令和6年6月定例会 第5回岩手県議会定例会会議録

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〇20番(佐々木宣和君) 自由民主党の佐々木宣和です。
 発議案第3号持続可能な農業・農村の実現と食料安全保障の強化を求める意見書に対して、賛成の立場で討論を行います。
 昨今の食料や農業生産資材の価格高騰を初め、気候変動による食料生産の不安定化、世界的な人口増加等に伴う食料争奪の激化、国際情勢の不安定化等により、いつでも安価に食料を輸入できないことが明白となるなど、近年の世界及び我が国の食をめぐる情勢は大きく変化しています。
 また、国内に目を向ければ、人口全体が減少局面に転じ、生産者の減少、高齢化も進んでおり、将来にわたって持続可能で強固な食料供給基盤を構築することが急務となっています。
 農政の憲法とも言われる食料・農業・農村基本法の制定から四半世紀が経過する中、食をめぐる情勢の変化等に対応した見直しを行うべく、去る5月29日、食料・農業・農村基本法の改正法が成立したところであり、今後、新たな基本法に沿った形で次期食料・農業・農村基本計画等の具体化を図っていくことが極めて重要であります。
 ついては、次期基本計画の策定に当たり、全ての農業者が、将来にわたり展望を持って営農に取り組める環境を整備していくことが重要であることから、生産現場の実態と農業者の意見を十分に反映した実効性のある施策を講ずることが強く求められているほか、これに伴って、国民に対する食料の安定的な供給の確保と農業、農村の持続的発展の実現に向けた十分な予算確保が必要不可欠であります。
 さらには、我が国においては、約30年にわたるデフレ経済下で、国内の農作物、食品価格はほとんど上昇しないまま推移してきており、消費者も低価格の食料を求めるようになる中、安売り競争が常態化し、サプライチェーン全体を通じて食品価格を上げることを敬遠する意識が醸成、固定化されてきております。
 生産資材の価格が急騰した際にも、食品価格に速やかかつ適切に価格転嫁できず、農業者の事業継続にもかかわる事態が生じていることから、適正な価格形成に向けた国民理解の醸成、さらには、国産農畜産物を選択する行動変容につながる施策を抜本的に拡充するとともに、生産現場の危機的状況を踏まえ、生産コストの指標化や農業者と取引相手との適正な取引関係の構築など、適正な価格形成の実現に向けた早期の法制化を速やかに整備することが、強く求められております。
 加えて、生産資材価格の高騰への影響緩和対策が改正基本法に位置づけられたことから、適正な価格形成を生産資材価格の高騰対策の基本としつつも、肥料価格や燃料価格の高騰対策、配合飼料価格安定制度等の既存のセーフティネットを組み合わせても補い切れない生産資材価格の高騰が、現に生産者の事業経営に甚大な影響を及ぼしていることからも、かかる状況に対応した生産者の経営安定に資する対策の充実強化が求められているものであります。
 先ほど、菅野ひろのり議員からも戸別所得補償制度に関して意見がありましたけれども、去る5月21日の参議院農林水産委員会地方公聴会においては、戸別所得補償制度があったほうがよいかという問いに対して、公述人4人全員が、あったほうがよいということで、基盤整備が滞ったことであるとか、戸別所得補償にかわる畑地化に対する補償、通称ゲタ対策などを充実すべきとの意見がありました。4人の公述人が、一様に戸別所得補償制度を求める発言をしたとは思っておりません。
 以上のことから、本発議案に対して賛成であります。議員各位の御賛同をお願い申し上げ、賛成討論といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(工藤大輔君) 次に、高田一郎君。
   〔25番高田一郎君登壇〕

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