令和6年6月定例会 第5回岩手県議会定例会会議録

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〇41番(小西和子君) 希望いわての小西和子でございます。
 請願陳情受理番号第28号ゆたかな学びの実現・教職員定数改善・義務教育費国庫負担制度負担率の引き上げを求める請願について、委員長報告に賛成の立場で討論を行います。
 日本国憲法第26条は、すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負う。義務教育は、これを無償とすると、教育を受ける権利、教育を受けさせる義務、義務教育の無償をうたっています。
 文部科学省は、義務教育費国庫負担制度に関して、この憲法の要請に基づき、義務教育の根幹である機会均等、水準確保、無償性を国が責任を持って支えるものだと制度の基本役割を規定しています。
 全国どこに住んでいても同じ水準の教育が受けられ、かつ、無償である。この原則を守るために、義務教育費国庫負担制度が1953年に成立しました。それまでの県、市町村の負担であった学校の教育費、人件費が、国の負担となりました。
 しかし、政府は、1985年から、国の財政状況を理由として次々と国庫負担の対象品目を外し、さらに、2006年の三位一体改革で義務教育費国庫負担の割合を2分の1から3分の1に引き下げました。減らされた国庫負担は一般財源として地方に交付税で配分されるようになりましたが、地方財政そのものが厳しい状況になっていることは、御承知のとおりです。つまり、国庫負担金が減り交付税化されればされるほど、財政の厳しい地方自治体では義務教育費を削減せざるを得なくなり、正規の教職員を維持、拡充することが困難となります。財政力の格差が、そのまま義務教育の水準格差に反映されてしまいます。
 2021年、いわゆる改正義務教育標準法が成立し、小学校の学級編制標準が段階的に35人に引き下げられたことは、教育現場が長らく求めてきた制度の実現であり、これまで各自治体が意見書提出を継続してきた成果だと言えます。しかし、基礎定数増の対応は加配定数からの振りかえであり、実質的な教職員定数増となっていません。
 本年4月4日公表の文部科学省による教員勤務実態調査集計では、時間外在校等時間の月平均が、公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドラインが示す上限の45時間を超えている教職員が、小学校で約65%、中学校で約77%、過労死ライン80時間を超える教職員が、小学校で約14%、中学校で約37%に上ります。
 2016年度調査と比較すると、平日の在校等時間は減少したものの、自宅等へ持ち帰っての業務時間が増加しており、大きく改善されたとは言えず、子供たちに向き合うための時間を十分に確保することが困難な状況となっています。それどころか、精神疾患による休職者の数は増加の一途をたどり、さらに、病休者や産休、育休者の代替が見つからず、未配置の状況が慢性化しています。
 学校現場においては、貧困、いじめ、不登校、ヤングケアラー、性の不一致、保護者への対応など、解決すべき問題が多様化しています。よりきめ細かな学校教育や学校における豊かな学びと働き方改革の実現を図るためには、中学校、高等学校の35人学級の早期実施はもちろんのこと、さらなる学級編制の引き下げ、少人数学級を実現するとともに、加配教員の増員や少数職種の配置増など、教職員定数改善が不可欠です。
 この間、教育予算は義務教育費国庫負担率が2分の1から3分の1に引き下げられたことで、各自治体における財政状況が義務教育費に影響する可能性が高まり、自治体間の教育格差が危惧されてきました。厳しい財政状況の中、独自財政により人的措置を行っている地方自治体もありますが、子供たちが全国どこに住んでいても、均等に一定水準の教育を受けられることが、憲法の要請するところであり、国が果たすべき役割です。
 以上申し上げ、請願陳情受理番号第28号ゆたかな学びの実現・教職員定数改善・義務教育費国庫負担制度負担率の引き上げを求める請願についての賛成の討論といたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(工藤大輔君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより、請願陳情中、受理番号第28号から受理番号第30号までを一括して採決いたします。
 各請願は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(工藤大輔君) 起立多数であります。よって、請願陳情中、受理番号第28号から受理番号第30号までは、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、請願陳情中、受理番号第19号女性専用トイレの存続を求める請願を採決いたします。
 本請願は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(工藤大輔君) 起立多数であります。よって、請願陳情中、受理番号第19号は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第13号閉伊川筋藤原地区水門災害復旧工事の変更請負契約の締結に関し議決を求めることについてを採決いたします。
 本案は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(工藤大輔君) 起立多数であります。よって、議案第13号は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、請願陳情中、受理番号第31号岩手県における原因不明の死亡者増加に対する原因調査を求める請願を採決いたします。
 本請願は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(工藤大輔君) 起立多数であります。よって、請願陳情中、受理番号第31号は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第1号から議案第12号まで、議案第14号及びただいま議決いたしました請願陳情を除く請願陳情を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(工藤大輔君) 起立全員であります。よって、議案第1号から議案第12号まで、議案第14号及びただいま議決いたしました請願陳情を除く請願陳情は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
   
   日程第16 委員会の閉会中の継続審査及び継続調査の件
〇議長(工藤大輔君) 次に、日程第16、委員会の閉会中の継続審査及び継続調査の件を議題といたします。
   
〔参照〕
  各委員会の閉会中の継続審査及び継続調査事件
1 継続審査
  環境福祉委員会 請願陳情受理番号第32号
 2,4,5―T系除草剤埋設物の撤去を国に求める意見書提出の請願
2 継続調査
  総務委員会 ・中心市街地の賑わい創出の取組について
・スタートアップ企業育成による地域振興の取組について
  文教委員会 ・令和7年度県立学校の編制等について
・図書館の運営状況等について
  環境福祉委員会 ・病児保育を含む院内保育所の運営について
・環境学習交流センターの取組について
  商工建設委員会 ・ものづくり力強化及び人材育成の取組について
・水力発電事業について
  農林水産委員会 ・県内サーモン養殖の現状と取組について
・岩手大学農学部の改組及び教育・研究の方針等について
   
〇議長(工藤大輔君) お諮りいたします。委員会の閉会中の継続審査及び継続調査の件につきましては、各委員長から、お手元に配付いたしてあるとおり、それぞれ申し出がありますが、委員長からの申し出のとおり、閉会中の継続審査及び継続調査に付することに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(工藤大輔君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長からの申し出のとおり、閉会中の継続審査及び継続調査に付することに決定いたしました。
   
   日程第17 発議案第1号計画的な教職員定数改善及び義務教育費国庫負担制度拡充を求める意見書
〇議長(工藤大輔君) 次に、日程第17、発議案第1号計画的な教職員定数改善及び義務教育費国庫負担制度拡充を求める意見書を議題といたします。
 提出者の説明を求めます。上原文教委員長。
   〔文教委員長上原康樹君登壇〕

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