令和6年6月定例会 第5回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇37番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案第13号閉伊川筋藤原地区水門災害復旧工事の変更請負契約の締結に関し議決を求めることについて、原案を可としたことに反対の討論を行います。
 7月1日の議案に対する質疑で明らかにしましたが、閉伊川筋藤原地区水門災害復旧工事の変更請負契約は水門土木工事の分でありますが、10年間で14回に及び、当初の契約額70億3、652万円余が、今回の変更契約で353億3、043万円余に5倍以上に膨れ上がったものであります。
 工期は2014年3月6日から2027年3月15日となっています。既に10年が経過し、さらにあと3年かかることになっています。県土整備部長の答弁では、資材等の価格変動や施工条件の変更に伴う工法の変更など、設計変更の検討が必要となる場合には、内容を十分吟味し、工事費について精査していきますと、今後も契約変更があり得るというものでありました。
 東日本大震災津波の直後での請負契約という特殊な条件があったとはいえ、これまで10年間で、毎年変更請負契約が提案される事態は異常なものであります。これでは当初の入札の意味、公正性は全く失われていると言わざるを得ません。
 この背景には、被災地の復旧、復興を最大限早めるために、入札公告において、詳細設計に伴う工事費の変動については、設計変更で対応するという条件を明示した標準断面図等による発注方式により進めてきたことがあります。また、地中の岩盤の状況や複雑な地質条件など、水門工事の複雑さ、困難性を軽視した結果ではなかったでしょうか。東日本大震災津波直後の請負契約だったとしても、今後に教訓を生かす立場でしっかり検証すべきであります。
 宮古湾の津波対策については、当初、水門案と河川堤防かさ上げ案が検討されました。宮古市と被災地住民は河川堤防かさ上げ案でありましたが、岩手県県土整備部が強く水門案を推した結果、宮古市長が態度を変えたという経過がありました。私の議案に対する質疑に県土整備部長は、まちづくりへの影響や最大クラスの津波による影響、経済性等を総合的に検討し、宮古市の意向も伺った上で水門案を選択したと答弁しました。
 しかし、実態は、工期が13年余と長期にわたり、水門土木工事の事業費は70億円から353億円余に5倍以上と膨れ上がりました。経済性についてはその根拠が完全に破綻しました。河川堤防かさ上げ案であったら、10年もかからずに完成したのではないでしょうか。
 当初の工事費の試算では、水門案が167億円、堤防かさ上げ案が約235億円と示され、水門案が経済性があるとされました。現段階では、工事費は総額で475億円と当初の試算の2.84倍、河川堤防かさ上げ案の2倍以上となっています。経済性の面でも工期の面でも、水門案は事前の想定とは違って、河川堤防かさ上げ案と比べて問題が多い工事となったのではないでしょうか。
 最大クラスの津波による影響も水門を選択した理由とされました。私の質疑に対する答弁では、最大クラスの津波に対しては、住民の避難を軸に、土地利用、避難施設の整備など、ハードとソフトを総動員する多重防御の考え方で減災すると答えました。最大クラスの津波による影響の点でも水門の優位性があるとは言えないということであります。津軽石川の水門が東日本大震災津波に対してどういう役割を果たしたのかの科学的な検証も重要な課題であります。
 以上申し上げ、議案第13号閉伊川筋藤原地区水門災害復旧工事の変更請負契約の締結に関し議決を求めることに、反対の討論といたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(工藤大輔君) 次に、高橋はじめ君。
   〔42番高橋はじめ君登壇〕

前へ 次へ