令和6年6月定例会 第5回岩手県議会定例会会議録

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第 5 回 岩 手 県 議 会 定 例 会 会 議 録(第5号)
令和6年7月4日(木曜日)
議事日程 第5号
 令和6年7月4日(木曜日)午後1時開議
第1 議案第1号 令和6年度岩手県一般会計補正予算(第1号)の専決処分に関し承認を求めることについて
第2 議案第2号 令和6年度岩手県一般会計補正予算(第2号)
第3 議案第3号 令和6年度岩手県立病院等事業会計補正予算(第1号)
第4 議案第4号 岩手県県税条例の一部を改正する条例の専決処分に関し承認を求めることについて
第5 議案第5号 母子福祉資金貸付金及び父子福祉資金貸付金の償還の免除に関する条例を廃止する条例
第6 議案第6号 緊急雇用創出事業臨時特例基金条例の一部を改正する条例
第7 議案第7号 過疎地域等における県税の課税免除に関する条例の一部を改正する条例
第8 議案第8号 特定復興産業集積区域における県税の課税免除に関する条例の一部を改正する条例
第9 議案第9号 地方活力向上地域における県税の課税免除等に関する条例の一部を改正する条例
第10 議案第10号 岩手県手数料条例の一部を改正する条例
第11 議案第11号 住民基本台帳法施行条例の一部を改正する条例
第12 議案第12号 小本川筋ほか岩泉地区河川激甚災害対策特別緊急(護岸工)工事の変更請負契約の締結に関し議決を求めることについて
第13 議案第13号 閉伊川筋藤原地区水門災害復旧工事の変更請負契約の締結に関し議決を求めることについて
第14 議案第14号 損害賠償請求事件に係る和解及びこれに伴う損害賠償の額を定めることに関し議決を求めることについて
第15 請願陳情
第16 委員会の閉会中の継続審査及び継続調査の件
第17 発議案第1号 計画的な教職員定数改善及び義務教育費国庫負担制度拡充を求める意見書
第18 発議案第2号 診療報酬及び介護報酬の抜本的引上げ等による労働者の処遇改善と医療機関や介護施設の経営改善を求める意見書
第19 発議案第3号 持続可能な農業・農村の実現と食料安全保障の強化を求める意見書
第20 発議案第4号 選択的夫婦別姓制度の導入を求める意見書
第21 発議案第5号 漁業生産力の発展に向けた支援の充実・強化を求める意見書
第22 発議案第6号 社会保障制度の整備、子育て施策、ふるさと振興の推進等のための地方財政の充実、強化を求める意見書
第23 発議案第7号 広大な県土に多数の条件不利地域を抱える地方公共団体の実情を踏まえた病院事業会計への繰出金や小規模高等学校の運営に対する財政支援の拡充を求める意見書
第24 発議案第8号 被災者生活再建支援制度の拡充を求める意見書
第25 発議案第9号 災害時における太陽光パネルの安全性の確保を求める意見書
第26 発議案第10号 東日本大震災津波被災者のこころのケア対策の継続的な財政支援を求める意見書
第27 発議案第11号 医療的ケア児等への支援の充実を求める意見書
第28 発議案第12号 HPVワクチン接種の更なる推進を求める意見書
第29 発議案第13号 公立病院等の運営に対する支援の充実を求める意見書
第30 議員派遣の件
日程第1から日程第15まで 委員長報告、質疑、討論、採決
   
本日の会議に付した事件
1 日程第1 議案第1号から日程第15 請願陳情まで(委員長報告、討論、採決)
1 日程第16 委員会の閉会中の継続審査及び継続調査の件
1 日程第17 発議案第1号(提案理由の説明、採決)
1 日程第18 発議案第2号(提案理由の説明、採決)
1 日程第19 発議案第3号(提案理由の説明、採決)
1 日程第20 発議案第4号(提案理由の説明、採決)
1 日程第21 発議案第5号から日程第29 発議案第13号まで(採決)
1 日程第30 議員派遣の件
   
出席議員(47名)
1  番 田 中 辰 也 君
2  番 畠 山   茂 君
3  番 大久保 隆 規 君
4  番 千 葉 秀 幸 君
5  番 菅 原 亮 太 君
6  番 村 上 秀 紀 君
7  番 松 本 雄 士 君
8  番 鈴 木 あきこ 君
9  番 はぎの 幸 弘 君
10  番 高橋 こうすけ 君
11  番 村 上 貢 一 君
12  番 工 藤   剛 君
13  番 小 林 正 信 君
14  番 千 葉   盛 君
15  番 上 原 康 樹 君
16  番 菅野 ひろのり 君
17  番 柳 村   一 君
18  番 佐 藤 ケイ子 君
19  番 高 橋 穏 至 君
20  番 佐々木 宣 和 君
21  番 臼 澤   勉 君
22  番 福 井 せいじ 君
23  番 川 村 伸 浩 君
24  番 ハクセル美穂子 君
25  番 高 田 一 郎 君
26  番 木 村 幸 弘 君
27  番 佐々木 朋 和 君
28  番 吉 田 敬 子 君
30  番 岩 渕   誠 君
31  番 名須川   晋 君
32  番 軽 石 義 則 君
33  番 神 崎 浩 之 君
34  番 城 内 愛 彦 君
35  番 佐々木 茂 光 君
36  番 佐々木   努 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 中 平   均 君
39  番 工 藤 大 輔 君
40  番 郷右近   浩 君
41  番 小 西 和 子 君
42  番 高 橋 はじめ 君
43  番 五日市   王 君
44  番 関 根 敏 伸 君
45  番 佐々木 順 一 君
46  番 岩 崎 友 一 君
47  番 千 葉   伝 君
48  番 飯 澤   匡 君
欠席議員(1名)
29  番 高 橋 但 馬 君
   
説明のため出席した者
知事 達増 拓也 君
副知事 八重樫 幸治 君
副知事 佐々木 淳 君
企画理事兼保健福祉部長 野原 勝 君
企画理事兼商工労働観光部長 岩渕 伸也 君
政策企画部長 小野 博 君
総務部長 千葉 幸也 君
復興防災部長 福田 直 君
ふるさと振興部長 村上 宏冶 君
文化スポーツ部長 小原 勝 君
環境生活部長 大畑 光宏 君
農林水産部長 佐藤 法之 君
県土整備部長 上澤 和哉 君
ILC推進局長 箱石 知義 君
会計管理者兼出納局長 滝山 秀樹 君
医療局長 小原 重幸 君
企業局長 中里 裕美 君
財政課総括課長 佐藤 直樹 君

教育長 佐藤 一男 君
教育局長 菊池 芳彦 君

警察本部長 増田 武志 君
   
職務のため議場に出席した事務局職員
事務局長 坊良 英樹
議事調査課総括課長 昆野 岳晴
議事管理担当課長 佐藤 博晃
主任主査 柴田 信
主査 堀合 俊彦
主査 三浦 訓史
   
午後1時2分 開議
〇議長(工藤大輔君) これより本日の会議を開きます。
   
諸般の報告
〇議長(工藤大輔君) 日程に入るに先立ち、諸般の報告をいたします。
 発議案13件が提出になっております。お手元に配付いたしてありますから、御了承願います。
   
発議案第1号
                令和6年7月2日
 岩手県議会議長 工 藤 大 輔 様
        文教委員会委員長 上 原 康 樹
   計画的な教職員定数改善及び義務教育費国庫負担制度拡充を求める意見書
 地方自治法第109条第6項及び岩手県議会会議規則第14条第2項の規定により、標記の意見書案を別紙のとおり提出します。
   
〔参照〕
                令和6年7月4日
衆議院議長  様
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
文部科学大臣
         盛岡市内丸10番1号
         岩手県議会議長 工 藤 大 輔
   計画的な教職員定数改善及び義務教育費国庫負担制度拡充を求める意見書
 子どもたちの豊かな学びを保障するため、その条件整備は不可欠であることから、令和7年度の政府の予算編成において、中学校、高等学校の35人学級の早期実現と計画的な教職員定数改善及び義務教育費国庫負担制度の拡充を図るよう強く要望する。
 理由
 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律の施行により、公立小学校の学級編制の標準が小学校2年生から35人に段階的に引き下げられたが、中学校、高等学校での早期引下げも必要である。
 本年4月4日公表の文部科学省による教員勤務実態調査(令和4年度)集計(確定値)では、時間外在校等時間の月平均が公立学校の教育職員の業務量の適切な管理その他教育職員の服務を監督する教育委員会が教育職員の健康及び福祉の確保を図るために講ずべき措置に関する指針が示す上限の45時間を超えている教職員が小学校で約65%、中学校で約77%に上り、子どもたちに向き合うための時間を十分に確保することが困難な状況となっている。学校現場においては、子どもたちの多様化が一層進展するなどの状況下において、貧困、いじめ、不登校、ヤングケアラー、性の不一致、保護者への対応など、解決すべき問題が多様化している。学校における豊かな学びや働き方改革の実現を図るためには、更なる学級編制の標準の引下げ、少人数学級を実現するとともに、加配教員の増員や少数職種の配置増など教職員定数改善が不可欠である。
 教育予算は、三位一体改革により、義務教育費国庫負担制度の負担割合が2分の1から3分の1に引き下げられたが、子どもたちが全国どこに住んでいても、一定水準の教育を受けられることが憲法の要請するところであり、定数改善に向けた財源を確保し、義務教育を保障するための条件整備は不可欠である。厳しい財政状況の中、独自財源により人的措置等を行っている地方自治体もあるが、自治体間の教育格差が生じることは大きな問題であり、国庫負担割合の拡充が必要である。
 よって、国においては、令和7年度の政府の予算編成において、次の措置を講ずるよう強く要望する。
1 中学校、高等学校での35人学級を早急に実施すること。また、更なる学級編制標準の引下げ等、少人数学級について検討すること。
2 学校の働き方改革、長時間労働是正を実現するため、教職員の増員や少数職種の配置増など教職員定数改善を推進すること。
3 自治体で国の標準を下回る学級編制基準の弾力的運用の実施ができるよう加配定数の削減は行わないこと。
4 教育の機会均等と水準の維持向上を図るため、地方財源を確保した上で義務教育費国庫負担制度の負担割合を引き上げること。
 上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
   
発議案第2号
                令和6年7月2日
 岩手県議会議長 工 藤 大 輔 様
      環境福祉委員会委員長 佐々木 宣 和
   診療報酬及び介護報酬の抜本的引上げ等による労働者の処遇改善と医療機関や介護施設の経営改善を求める意見書
 地方自治法第109条第6項及び岩手県議会会議規則第14条第2項の規定により、標記の意見書案を別紙のとおり提出します。
   
〔参照〕
                令和6年7月4日
衆議院議長  様
参議院議長
内閣総理大臣
財務大臣
厚生労働大臣
内閣官房長官
         盛岡市内丸10番1号
         岩手県議会議長 工 藤 大 輔
   診療報酬及び介護報酬の抜本的引上げ等による労働者の処遇改善と医療機関や介護施設の経営改善を求める意見書
 医療機関や介護施設で働く全ての労働者の処遇改善と医療・介護事業の安定的な維持発展のため、次の措置を講ずるよう強く要望する。
 理由
 政府は、看護師や介護職など社会基盤を支える労働者が、その役割の重要性に比して賃金水準が低い状況であるとし、医療機関や介護施設で働く労働者の賃上げ事業に踏み出し、令和6年の診療報酬、介護報酬、障害福祉報酬の改定で賃上げに特化した評価料や加算を盛り込んだ。
 しかし、診療報酬のベースアップ評価料や介護報酬の新加算は、病院と診療所や介護施設と在宅介護事業所の間で報酬が異なり、対象外となる従事者もいることから、効果は限定的であると考えられ、物価高騰を上回る賃上げにつながる施策が求められている。
 また、医療機関及び介護施設において、人員不足のために入院患者が受け入れられない、あるいは介護サービスを利用できないといったことのないよう、実質賃金が上がる処遇改善策が求められる。
 特に、介護報酬改定により令和6年4月から訪問介護の基本報酬が引き下げられたことに対して、不安の声が広がっている。訪問介護の基本報酬引下げの理由として、訪問介護の利益率が他の介護サービスよりも高いことが挙げられるが、ヘルパーが効率的に訪問できる高齢者の集合住宅併設型事業所や都市部の大手事業所が利益率の平均値を引き上げていることによるものであり、地方の実態にはそぐわず、訪問介護事業所の経営は圧迫されている。
 よって、国においては、医療機関や介護施設で働く全ての労働者の処遇改善と医療・介護事業の安定的な維持発展のため、次の措置を講ずるよう強く要望する。
1 医療機関や介護施設で働く全ての労働者の賃上げと人員配置増につなげるよう、国の責任において、全額公費による追加の賃上げ支援策を実行すること。
2 全ての医療機関を対象に、物価高騰や実質賃金増を補えるだけの診療報酬を抜本的に引き上げる臨時改定を実施すること。
3 訪問介護費の引下げを撤回するとともに、全ての介護事業所を対象に、物価高騰や実質賃金増を補えるだけの介護報酬を抜本的に引き上げる臨時改定を実施すること。
 上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
   
発議案第3号
                令和6年7月2日
 岩手県議会議長 工 藤 大 輔 様
           提出者議員 高 橋 穏 至
           賛成者議員 吉 田 敬 子
                 ハクセル美穂子
                 小 林 正 信
                 佐々木 宣 和
   持続可能な農業・農村の実現と食料安全保障の強化を求める意見書
 岩手県議会会議規則第14条第1項の規定により、標記の意見書案を別紙のとおり提出します。
   
〔参照〕
                令和6年7月4日
衆議院議長  様
参議院議長
内閣総理大臣
財務大臣
農林水産大臣
内閣官房長官
         盛岡市内丸10番1号
         岩手県議会議長 工 藤 大 輔
   持続可能な農業・農村の実現と食料安全保障の強化を求める意見書
 食料安全保障の強化に向けた措置を講ずるよう強く要望する。
 理由
 近年の世界情勢の不安定化や気候変動、人口増加などにより、穀物や肥料、飼料原料などを過度に輸入に依存している我が国の食料安定供給リスクが顕在化し、食料安全保障の強化が国家をあげた課題として、かかる施策の強化と再構築が求められている。
 また、我が国の農業をめぐっては、生産資材価格の高止まりが依然として続く一方、国産農畜産物への価格転嫁は進まず、生産基盤の弱体化に拍車をかける危機的な状況が続いている。
 去る5月29日、食料・農業・農村基本法の一部を改正する法律が成立したことから、今後、新たな基本法に沿った形で、次期基本計画等の具体化を図っていくことが極めて重要となる。
 よって、国においては、適正な価格形成が実現されるとともに、食料安全保障の強化が確実に図られるよう、次の措置を講ずるよう強く要望する。
1 次期食料・農業・農村基本計画の策定に当たり、全ての農業者が将来にわたり展望を持って営農に取り組めるよう、生産現場の実態と農業者の意見を十分に反映した実効性のある施策を講ずるとともに、国民に対する食料の安定的な供給の確保と農業・農村の持続的発展の実現に向け、十分な予算を確保すること。
2 農畜産物の適正な価格形成に向けた国民理解の醸成、更には国産農畜産物を選択する行動変容につながる施策を拡充するとともに、生産現場の危機的状況を踏まえ、速やかに適正な価格形成の実現に向けた法制化を図ること。
3 生産資材価格高騰への影響緩和対策が改正基本法に位置付けられたことから、適正な価格形成を生産資材価格の高騰対策の基本としつつ、既存のセーフティーネットを組み合わせても補いきれない生産資材価格の高騰に対応し得る対策を充実させること。
 上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
   
発議案第4号
                令和6年7月2日
 岩手県議会議長 工 藤 大 輔 様
           提出者議員 吉 田 敬 子
           賛成者議員 小 西 和 子
                 ハクセル美穂子
                 高 田 一 郎
                 中 平   均
   選択的夫婦別姓制度の導入を求める意見書
 岩手県議会会議規則第14条第1項の規定により、標記の意見書案を別紙のとおり提出します。
   
〔参照〕
                令和6年7月4日
衆議院議長  様
参議院議長
内閣総理大臣
法務大臣
内閣官房長官
         盛岡市内丸10番1号
         岩手県議会議長 工 藤 大 輔
   選択的夫婦別姓制度の導入を求める意見書
 選択的夫婦別姓制度を導入する民法改正を行うよう強く要望する。
 理由
 近年、夫婦が望む場合には結婚後も夫婦がそれぞれ結婚前の氏を称することを認める制度、いわゆる選択的夫婦別姓制度についての議論がある。
 令和4年3月に公表された内閣府の家族の法制に関する世論調査の結果では、「現在の制度である夫婦同姓制度を維持した方がよい」が27.0%であったが、「現在の制度である夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」が42.2%、「選択的夫婦別姓制度を導入した方がよい」が28.9%となっており、夫婦がそれぞれ結婚前の姓を名乗ることを希望する意見が一定程度ある。
 また、最高裁判所は、平成27年12月の判決に続き、令和3年6月の決定において、夫婦同姓制度が憲法に違反していないと判断し、夫婦の氏に関する制度の在り方については、国会で論ぜられ判断されるべきであると指摘している。
 今年6月には、一般社団法人日本経済団体連合会が、夫婦別姓を法的に認めない現行の制度は、女性の活躍が広がる中で、契約時や海外渡航時などの場面で不便や不利益が生ずるなどとして選択的夫婦別姓制度導入等の早期実現を政府に求める提言をまとめた。
 平成22年に法務省が実施した調査では、結婚後に夫婦いずれかの氏を選択しなければならないとする制度を採用しているのは、日本だけという結果であった。
 家族の多様化が進む中、旧姓を通称使用する人や事実婚を選択するカップルも少なくなく、また、改姓によってこれまで築き上げたキャリアに分断が生じたり、結婚を諦めるなど、不利益を被る例があることから、適切な法的選択肢を用意する必要がある。
 よって、国においては、選択的夫婦別姓制度を導入する民法改正を行うよう強く要望する。
 上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
   
発議案第5号
                令和6年7月4日
 岩手県議会議長 工 藤 大 輔 様
      議会運営委員会委員長 城 内 愛 彦
   漁業生産力の発展に向けた支援の充実・強化を求める意見書
 地方自治法第109条第6項及び岩手県議会会議規則第14条第2項の規定により、標記の意見書案を別紙のとおり提出します。
   
〔参照〕
                令和6年7月4日
衆議院議長  様
参議院議長
内閣総理大臣
農林水産大臣
内閣官房長官
         盛岡市内丸10番1号
         岩手県議会議長 工 藤 大 輔
   漁業生産力の発展に向けた支援の充実・強化を求める意見書
 漁業生産力の発展に向けて、漁業を取り巻く自然環境の変化を踏まえ、漁業者の経営の安定化に資する支援の充実・強化を図るよう強く要望する。
 理由
 岩手県の漁業は、全国有数の生産量を誇り、関連する水産加工・流通業とともに沿岸地域の基幹産業として、これまで国民に安全・安心で良質な水産物を提供するなど、我が国の食料システムを支える重要な役割を果たしており、その持続的な発展は、国民生活の安定向上や国民経済の健全な発展に資するものである。
 一方で、本県沿岸漁業は激変する海洋環境を要因とし、本県漁業の主力である秋サケの漁獲量は過去最低となったほか、ALPS処理水の海洋放出による風評被害も出ており、漁家及び漁協の経営は極めて困難な状況に立たされている。
 令和3年6月に水産庁が公表した不漁問題に関する検討会とりまとめでは、我が国の水産業が直面している問題を過去経験したことがない変化と指摘し、国、都道府県、漁業者、研究者等関係者が力を合わせて対策に当たることを求めている。
 よって、国においては、漁業生産力の発展に向けて、漁業を取り巻く自然環境の変化等を踏まえ、次の措置を講ずるよう強く要望する。
1 サケの資源回復のため、不漁原因の解明や海洋環境の変化等に適応する稚魚生産技術の高度化など、国の調査研究の充実を図ること。
  また、厳しい状況が続いているサケふ化放流事業が持続可能となるよう、ふ化場等の施設の有効活用への柔軟な対応と有効活用に向けた試験事業等について、強力な支援を行うこと。
2 サンマ、スルメイカ等の資源回復のため、調査研究や資源管理の充実を図ること。
3 海洋環境の変化等により、本県沿岸にクロマグロの来遊が増加していることから、漁獲可能量の配分方法の速やかな見直しと本県の漁獲可能量への反映を図ること。
4 海洋環境の変化に伴い秋サケ等の主要魚種の漁獲量が激減していることから、安定的な漁業経営のため、漁業収入安定対策事業を堅持すること。
5 ALPS処理水の海洋放出に伴い、水産物の輸入規制等を行う国に対し、理解と安心が得られる取組を行い、輸入規制が早期解除されるように取り組むこと。
 上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
   
発議案第6号
                令和6年7月4日
 岩手県議会議長 工 藤 大 輔 様
      総務委員会委員長 千 葉 秀 幸
      環境福祉委員会委員長 佐々木 宣 和
   社会保障制度の整備、子育て施策、ふるさと振興の推進等のための地方財政の充実、強化を求める意見書
 地方自治法第109条第6項及び岩手県議会会議規則第14条第2項の規定により、標記の意見書案を別紙のとおり提出します。
   
〔参照〕
                令和6年7月4日
衆議院議長  様
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
厚生労働大臣
国土交通大臣
内閣官房長官
デジタル大臣
復興大臣
内閣府特命担当大臣
(地方創生)
         盛岡市内丸10番1号
         岩手県議会議長 工 藤 大 輔
   社会保障制度の整備、子育て施策、ふるさと振興の推進等のための地方財政の充実、強化を求める意見書
 急激な少子高齢化に伴う医療、介護など社会保障制度の整備、子育て施策、人口減少下でのふるさと振興をはじめ、デジタル化、脱炭素化、物価高騰対策などの施策における地方公共団体の確実な行政運営の推進に向けて、地方財政の充実、強化を図るよう強く要望する。
 理由
 新型コロナウイルス感染症の感染拡大では、ワクチン接種や保健所も含めた医療提供体制の構築など、地方公共団体は重要な役割を果たしてきた。
 また、東日本大震災津波をはじめ相次ぐ自然災害においても、地方公共団体には被災者への継続支援策も含め、住民の安全を確保するための施策の充実が求められており、安定した財源措置が必要である。
 加えて、社会保障制度の整備、子育て施策、人口減少下でのふるさと振興、DXや脱炭素などの政策推進が国から要請されている中、諸課題へ適切に対応するため、人材と財源の確保が極めて重要である。
 また、令和2年度から会計年度任用職員制度が導入され、令和6年度からは会計年度任用職員に対する勤勉手当の支給が可能となったが、財源措置が不透明な中で常勤職員との格差の課題もあり、常勤職員を中心とする公務運営の原則を維持しつつ、会計年度任用職員の適正な勤務条件の確保に必要となる財政需要の増加に対応する地方財政措置が必要である。
 よって、国においては、令和7年度の政府予算と地方財政計画の検討に当たり、急激な少子高齢化に伴う医療、介護など社会保障制度の整備、子育て施策、人口減少下でのふるさと振興をはじめ、デジタル化、脱炭素化、物価高騰対策などの施策における地方公共団体の確実な行政運営の推進に向けて、地方財政の充実、強化を図るため、次の措置を講ずるよう強く要望する。
1 令和7年度地方財政計画の策定に当たり、少子高齢化に伴う医療、介護など社会保障制度の整備、子育て施策、ふるさと振興をはじめ、デジタル化や脱炭素化、地域公共交通の再構築など地方公共団体の財政需要を的確に把握するとともに、それを支える人件費を重視し、十分な地方一般財源総額の確保を図ること。特に、介護、児童虐待防止、児童の安心・安全を保障する保育施設等の人的環境整備、生活困窮者自立支援など、急増する社会保障ニーズへの対応と、これらに必要な人材を確保するための社会保障予算の確保及び地方財政措置を的確に行うこと。
2 新型コロナウイルス感染症などの感染症対策として、地方公共団体が混乱なく対応できるよう的確な実態把握と適切な情報提供を行うとともに、保健所を含めた衛生医療体制に係る支援を進めること。
3 東日本大震災津波からの復興に当たり、被災者支援と産業・生業の再生に力点を置き、引き続き地方公共団体が施策を進めるために必要な復興事業費総額の確保を図ること。
4 地域活性化に向けて、その意義が改めて重視されている地域公共交通について、公共交通専任担当者の確保を支援するとともに、普通交付税の個別算定項目に位置付け、一層の施策充実を図ること。
5 地方交付税の財源保障機能・財源調整機能の強化を図り、各地方公共団体における新たな財政需要を把握するなどの対策を講ずること。併せて、地方交付税原資の確保のため、地方交付税法第6条第1項に定める対象国税4税(所得税、法人税、酒税、消費税)の法定率引き上げ、臨時財政対策債に頼らない、より自律的な地方財政の確立を進めること。
  また、特別交付税の配分に当たり、諸手当等の支給水準が国の基準を超えている自治体に対して、その取扱いを理由とした特別交付税の減額措置を行わないこと。
6 人口減少に直面する小規模自治体を支援するため、段階補正を拡充するなど、地方交付税の財源保障機能、財源調整機能の強化を図ること。
7 地方創生推進費として確保されている1兆円の予算について、現行の財政需要において不可欠な規模となっていることから、恒久的財源としてより明確に位置付けること。
  また、導入されている行革努力や取組の成果に応じた算定方法は、標準的な行政水準を保障するという地方交付税制度の趣旨に反することから今後採用しないこと。
8 会計年度任用職員の処遇改善に向けて、令和6年度から支給が可能となった勤勉手当の支給も含め、引き続き所要額の調査を行い、必要な財源確保を図り、処遇改善に配慮すること。併せて、地方公共団体の公務運営に当たり、任期の定めのない常勤職員を中心とする公務運営の原則を維持するとともに、行政需要に応じた常勤の地方公務員の確保に係る地方財政措置の拡充を図ること。
9 地方公共団体業務システムの標準化、共通化に向けては、その移行に係る経費と移行の影響を受けるシステムの改修経費まで含め、デジタル基盤改革支援補助金を拡充するなど、十分な財源を保障すること。また、戸籍等への記載事項における氏名の振り仮名の追加については、自治体において相当な業務負荷が予想されることから、現場の意見を勘案し、必要な経費を国の責任において確保すること。
 上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
   
発議案第7号
                令和6年7月4日
 岩手県議会議長 工 藤 大 輔 様
      議会運営委員会委員長 城 内 愛 彦
   広大な県土に多数の条件不利地域を抱える地方公共団体の実情を踏まえた病院事業会計への繰出金や小規模高等学校の運営に対する財政支援の拡充を求める意見書
 地方自治法第109条第6項及び岩手県議会会議規則第14条第2項の規定により、標記の意見書案を別紙のとおり提出します。
   
〔参照〕
                令和6年7月4日
衆議院議長  様
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
内閣官房長官
         盛岡市内丸10番1号
         岩手県議会議長 工 藤 大 輔
   広大な県土に多数の条件不利地域を抱える地方公共団体の実情を踏まえた病院事業会計への繰出金や小規模高等学校の運営に対する財政支援の拡充を求める意見書
 広大な県土に多数の条件不利地域を抱える地方公共団体の実情を踏まえた地方財政の充実、強化を図るよう強く要望する。
 理由
 地方分権改革を実現するためには、地方が自由に使える財源を拡充することが不可欠であり、地方の安定的な財政運営に必要な一般財源総額について、確実に確保、充実されることが重要である。
 特に、広大な面積の中に、多数の条件不利地域を抱える本県のような団体においては、子育て施策や社会保障関係費などの全国的な課題に加え、地域住民の生命と健康を守るための地域医療体制の確立や小規模高等学校の維持による就学機会の確保など、これら特有の課題への対応も必要である。
 よって、国においては、地方公共団体特有の財政需要を的確に把握し、地方交付税が有する財源保障機能及び財源調整機能が適切に発揮されるよう、次の措置を講ずるよう強く要望する。
1 地域医療を担う公立病院を運営する病院事業会計への繰出金について、医師不足地域や条件不利地域においても必要な医療を安定的に提供できるよう、地方財政措置を講ずること。
2 他地域への通学が極端に困難で、就学機会確保の観点から統廃合が困難な小規模高等学校の維持、運営に係るかかり増し経費について、地方財政措置を講ずること。
 上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
   
発議案第8号
                令和6年7月4日
 岩手県議会議長 工 藤 大 輔 様
      議会運営委員会委員長 城 内 愛 彦
   被災者生活再建支援制度の拡充を求める意見書
 地方自治法第109条第6項及び岩手県議会会議規則第14条第2項の規定により、標記の意見書案を別紙のとおり提出します。
   
〔参照〕
                令和6年7月4日
衆議院議長  様
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
内閣官房長官
内閣府特命担当大臣
(防災)
内閣府特命担当大臣
(経済財政政策)
内閣府特命担当大臣
(地方創生)
         盛岡市内丸10番1号
         岩手県議会議長 工 藤 大 輔
   被災者生活再建支援制度の拡充を求める意見書
 被災者生活再建支援制度の拡充及び被災自治体の負担軽減を行うよう強く要望する。
 理由
 令和6年1月1日、石川県能登半島において、最大震度7の地震が発生し、多くの人的被害をもたらしたほか、住宅や建物の倒壊や津波等の甚大な被害に見舞われた。
 現行の被災者生活再建支援制度は、被災者の生活の再建を支援し、住民の生活の安定と被災地の速やかな復興を目的として、自然災害の被災者が最大で300万円の被災者生活再建支援金を受給できる制度であるが、平成19年に行われた被災者生活再建支援法改正時には、衆参両院の災害対策特別委員会において、支援限度額や国の補助割合を含め、制度の見直しなどの総合的な検討を加える旨の附帯決議がなされたものの、平成16年の法改正以降、約20年間金額は据え置かれたままとなっている。
 昨今の物価の上昇や人件費の値上がり等を踏まえれば、支援金制度の拡充は必要不可欠であり、現在、国会に提出されている基礎支援金及び加算支援金の倍増や対象の見直し、国庫補助率の引上げによる被災自治体の負担軽減を盛り込んだ被災者生活再建支援法の一部を改正する法律案を一刻も早く成立させるべきである。
 また、政府はその際、地方自治体の財政負担が重くならないよう、地方交付金で地方負担分を補填するなどの配慮が必要である。
 よって、国においては、被災者生活再建支援法に基づく支援制度を拡充するとともに、被災自治体の負担軽減を行うよう強く要望する。
 上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
   
発議案第9号
                令和6年7月4日
 岩手県議会議長 工 藤 大 輔 様
      議会運営委員会委員長 城 内 愛 彦
   災害時における太陽光パネルの安全性の確保を求める意見書
 地方自治法第109条第6項及び岩手県議会会議規則第14条第2項の規定により、標記の意見書案を別紙のとおり提出します。
   
〔参照〕
                令和6年7月4日
衆議院議長  様
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
経済産業大臣
環境大臣
内閣官房長官
         盛岡市内丸10番1号
         岩手県議会議長 工 藤 大 輔
   災害時における太陽光パネルの安全性の確保を求める意見書
 破損した太陽光パネルの感電、火災及び有害物質による危険性とその対処について、国民に周知するよう強く要望する。
 理由
 平成24年、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法、通称FIT法に基づく固定価格買取制度が創設されて以来、太陽光発電事業者が設置する太陽光発電施設が急激に増加し、広大な山林等のメガソーラーだけでなく、空地、農地、傾斜地、住宅及び小中学校の屋上にまで太陽光パネルが設置される一方で、太陽光発電設備が破損する事故も増えてきている。
 太陽光パネルは、破損や浸水した場合でも、日が当たれば発電を行う可能性があるため、感電や火災が起きる恐れがあり、また、火災時の消火については、通常より距離をおくなど、感電に気を付けなければならない。
 令和6年1月1日に発生した能登半島地震においては、太陽光発電施設や設備が広範囲にわたり多数破損した。石川県穴水町では、斜面に数百平方メートルにわたって敷き詰められていた太陽光パネルが崩落し町道を塞いだ。同県珠洲市ではスーパーの屋根に設置されていた太陽光パネルが建物ごと倒壊し長期にわたりそのまま残されたが、スーパーの経営者は発火の恐れがあることを知らなかった。
 破損した太陽光パネルの取扱いについては、経済産業省や環境省等が製造業者や事業者向けにガイドライン等を作成しているが、一般国民には、その危険性について十分に周知されているとは言い難く、住民に身近な地方自治体のホームページを見ても、周知をしているところは少ない。
 水害、地震の多い我が国においては、太陽光パネルの安全対策について、より一層、国民に周知すべきであり、このことが国民の生命を守ることにつながる。
 よって、国においては、破損した太陽光パネルの感電、火災及び有害物質による危険性とその対処について、国民に十二分に周知する取組を行うよう強く要望する。
 上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
   
発議案第10号
                令和6年7月4日
 岩手県議会議長 工 藤 大 輔 様
      議会運営委員会委員長 城 内 愛 彦
   東日本大震災津波被災者のこころのケア対策の継続的な財政支援を求める意見書
 地方自治法第109条第6項及び岩手県議会会議規則第14条第2項の規定により、標記の意見書案を別紙のとおり提出します。
   
〔参照〕
                令和6年7月4日
衆議院議長  様
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
厚生労働大臣
内閣官房長官
復興大臣
         盛岡市内丸10番1号
         岩手県議会議長 工 藤 大 輔
   東日本大震災津波被災者のこころのケア対策の継続的な財政支援を求める意見書
 東日本大震災津波被災者のこころのケア対策の継続を図るため、十分な財政支援等を講ずるよう強く要望する。
 理由
 東日本大震災津波発災から13年が経過し、被災地においてはハード面の復旧が着実に進んでいる。しかし、被災者の中には依然として精神的なストレスを抱えている方が多く存在し、心の復興は道半ばの状況にある。
 また、甚大な被害を受けた地方公共団体の多くは総じて財政力が弱く、精神保健医療福祉に携わる専門職等の確保が難しいことから、支援内容が高度化・複雑化する中にあって、今後も国の支援がなくては、被災者のこころのケア対策を十分に行うことが困難な状況である。
 よって、国においては、東日本大震災津波被災者のこころのケア対策の継続のため、次の措置を講ずるよう強く要望する。
1 被災者のこころのケアは今後も長期的な取組が必要であることから、第2期復興・創生期間終了後においても事業の実施に支障が生じないようにすること。
2 長期的かつ安定的なこころのケアが可能となるよう、引き続き特別会計でなくなっても一般会計での所要額の確保を図るとともに、全額国庫による財政措置を継続すること。
 上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
   
発議案第11号
                令和6年7月4日
 岩手県議会議長 工 藤 大 輔 様
      議会運営委員会委員長 城 内 愛 彦
   医療的ケア児等への支援の充実を求める意見書
 地方自治法第109条第6項及び岩手県議会会議規則第14条第2項の規定により、標記の意見書案を別紙のとおり提出します。
   
〔参照〕
                令和6年7月4日
衆議院議長  様
参議院議長
内閣総理大臣
財務大臣
厚生労働大臣
内閣官房長官
内閣府特命担当大臣
(こども政策)
         盛岡市内丸10番1号
         岩手県議会議長 工 藤 大 輔
   医療的ケア児等への支援の充実を求める意見書
 医療的ケア児とその家族が住み慣れた地域で安全・安心に暮らせる社会の実現を図るため、医療的ケア児等への支援を拡充するよう強く要望する。
 理由
 人工呼吸器の使用や喀痰吸引等の医療行為が日常的に必要な児童である医療的ケア児は、近年、医療技術の進歩に伴い増加傾向にあり、全国で約2万人に上ると推計されている。
 令和3年6月に医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律が制定されたが、看護師や保育士等が配置された病院等に医療的ケア児を預け、家族が一時的に休息(レスパイト)することができる医療型短期入所サービスは、家族の希望に対して全国的に施設が不足しており、長期的な医療的ケアやリハビリテーション等を行う医療型障害児入所施設についても地域により不足している状況である。
 本県においては、医療型短期入所事業所の多くが県央部にあり、沿岸部の児童や家族が利用するためには、往復4〜5時間かけて移動する必要がある。
 また、医療型障害児入所施設も不足しており、保護者が離職せざるを得ず、生活困窮や心身の疲労困ぱいに陥っている実態がある。
 医療的ケア児とその家族が住み慣れた地域で希望するサービスを受けられるようにするためには、施設が不足する地域への新たな事業者の参入促進に向けた環境づくりや地域格差の実態を踏まえたきめ細かな対応が求められている。
 よって、国において、医療的ケア児とその家族が住み慣れた地域で安全・安心に暮らせる社会の実現に向けて支援の充実を図るため、次の措置を講ずるよう強く要望する。
1 医療型短期入所事業所や医療型障害児入所施設の新規参入を促すため、施設や医療機器等の初期投資に係る費用や安定的な施設運営に向けた支援の拡充を行うこと。
2 専門的な知識や技術を有する看護師や保育士等の人材を確保するため、基本報酬や処遇改善加算の拡充を行うなど、更なる処遇改善を図ること。
3 国において、医療的ケア児等の実態や医療的ケアを行う施設に係る全国的な調査や検証を行い、地域間格差の積極的な解消を図ること。
 上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
   
発議案第12号
                令和6年7月4日
 岩手県議会議長 工 藤 大 輔 様
      議会運営委員会委員長 城 内 愛 彦
   HPVワクチン接種の更なる推進を求める意見書
 地方自治法第109条第6項及び岩手県議会会議規則第14条第2項の規定により、標記の意見書案を別紙のとおり提出します。
   
〔参照〕
                令和6年7月4日
衆議院議長  様
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
厚生労働大臣
内閣官房長官
         盛岡市内丸10番1号
         岩手県議会議長 工 藤 大 輔
   HPVワクチン接種の更なる推進を求める意見書
 子宮頸がんの撲滅に向け、国、都道府県、市町村が一体となったHPVワクチン接種の普及の取組を促進するため、制度の見直し等の対策を強化するよう強く要望する。
 理由
 子宮頸がんは、HPVワクチンと、HPV検査を導入した精度の高い検診によって、今や予防できるがんと位置付けられている。しかしながら、我が国においては欧米諸国とは状況が異なり、子宮頸がんの患者数が増加の一途を辿っている。
 その要因として、国がHPVワクチン接種の積極的勧奨を中止して以降、接種率が大幅に低下したこと、HPVワクチン接種の積極的勧奨が再開されたものの接種率が低迷していること、子宮頸がん検診の受診率が低いことに加え、HPV検査が未普及であるなど実効性のある検診体制の確立が遅れていることなどが挙げられている。
 子宮頸がんは若い女性の罹患率が高く、女性から子どもを産む機会を奪うことからマザーキラーとも呼ばれ、多くの女性を苦しめてきた病気である。
 一方で、ワクチン接種によって予防可能な数少ない病気でもあり、予防できるにも関わらずに罹患し、苦しむ女性を生み出さないためにもHPVワクチン接種の一層の普及が必要である。
 また、キャッチアップ接種については、公費接種期間が令和7年3月末までとされており、対象者が知らぬまま当該期限を迎えてしまうことが懸念される。
 よって、国においては、子宮頸がんの撲滅に向け、国、都道府県、市町村が一体となったHPVワクチン接種の普及の取組を促進するため、次の措置を講ずるよう強く要望する。
1 HPVワクチン接種に対する国民の認知度が依然として低いことから、国として更なる周知に努めるとともに、都道府県、市町村が行う接種率向上のための取組に対し、財政面も含め支援を強化すること。
2 キャッチアップ接種の接種率が低いことから、対象者に向けた情報発信を強化するとともに、当該期間の延長を行うこと。
  また、住民票を置く自治体に関わらず対応できるよう制度を見直すこと。
 上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
   
発議案第13号
                令和6年7月4日
 岩手県議会議長 工 藤 大 輔 様
      議会運営委員会委員長 城 内 愛 彦
   公立病院等の運営に対する支援の充実を求める意見書
 地方自治法第109条第6項及び岩手県議会会議規則第14条第2項の規定により、標記の意見書案を別紙のとおり提出します。
   
〔参照〕
                令和6年7月4日
衆議院議長  様
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
厚生労働大臣
内閣官房長官
         盛岡市内丸10番1号
         岩手県議会議長 工 藤 大 輔
   公立病院等の運営に対する支援の充実を求める意見書
 公立病院が住民の命と健康を守る役割を果たすことができるよう、支援の拡充を強く要望する。
 理由
 公立病院は、地域医療の確保と住民福祉の向上のため、公的医療機関でなければ対応することが困難な多くの不採算部門を担うなど、医療資源の乏しい自治体において、地域住民に安定的な医療を提供する役割を担ってきたところである。
 しかしながら、近年は、医師、看護師不足の慢性化に加え、ここ数年は新型コロナウイルス感染症の拡大による患者数の減少や、物価高による医療資材等の高騰、更には人件費の増加等で経営が悪化し、多くの公立病院が厳しい経営状況に置かれているのが実情である。
 民間の医療機関が少なく、他県と比べ突出して公立病院が多い本県においても、長年厳しい経営状況が続き、自治体の一般会計からの多額の繰り出しによる財政への圧迫が、医療分野のみならず、住民サービス全般に大きな影響を及ぼしている状況にある。
 そのような中にあっても、本県においては、今後も公立病院が基盤となって地域に必要な医療を確保していかなければならず、将来に渡って安定した地域医療を確保するためにも、公立病院維持のための国の一層の支援が求められているところである。
 よって、国においては、公立病院が今後も見込まれる医師等の不足や、患者数の減少、運営経費の増加等の厳しい状況にあっても、住民の命と健康を守る役割を果たすことができるよう、次の措置を講ずるよう強く要望する。
1 公立病院に対する特別交付税や公的病院等への助成に対する特別交付税の算定ルール、特に措置率や補正の適用について所要の見直しを行うなど、地方財政措置の更なる拡充を図ること。
2 診療報酬改定において、不採算部門を担っている公立病院等の運営に配慮した救急医療、へき地医療等の部門における評価を更に充実すること。
  また、仕入控除できない消費税による負担が公立病院等の経営を圧迫する要因となっているため、より公平に補填が行われるよう診療報酬の配点方法の精緻化を図ること。
3 建設業の人手不足や資材高騰を踏まえ、公立病院の建物整備に係る地方財政措置について、建築単価の上限を引き上げるなど、改築、改修等に対する支援の充実を図ること。
 上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
   
〇議長(工藤大輔君) 次に、監査委員から、現金出納検査結果の報告1件を受理いたしました。お手元に配付いたしてありますから、御了承願います。
   
   〔報告の登載省略〕
   
〇議長(工藤大輔君) 次に、各委員長から、それぞれ委員会報告書が提出されておりますが、後刻詳細に報告を求めますので、朗読を省略いたします。
 次に、各常任委員長から、継続審査及び継続調査の申し出があります。
   
   日程第1 議案第1号令和6年度岩手県一般会計補正予算(第1号)の専決処分に関し承認を求めることについてから日程第15 請願陳情まで
〇議長(工藤大輔君) これより本日の議事日程に入ります。
 日程第1、議案第1号から日程第15、請願陳情までを一括議題といたします。
 各案件に関し、委員長の報告を求めます。千葉総務委員長。
   〔総務委員長千葉秀幸君登壇〕

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