令和6年6月定例会 第5回岩手県議会定例会会議録 |
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〇37番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。議案に対する質疑を行います。
議案第2号は、令和6年度岩手県一般会計補正予算(第2号)であります。20億3、649万円余の補正予算であります。 第1に、能登半島地震への職員派遣に要する経費が1、060万円余、本県介護施設等職員が行った救助に要する経費が972万円余となっています。 一つ、今回の補正予算にかかわる介護職員の派遣数はどうなっているでしょうか。これまでの職員派遣数の職種と実績を含めて示してください。 二つ、職員や介護職員の派遣要請はどこから出されているでしょうか。 三つ、報道によると、被災自治体からの応援要請に対し、全国からの派遣数は公費解体にかかわる分では約半分にとどまっているとのことであります。今後の職員派遣等の取り組みはどうなっているでしょうか。 第2に、経営者保証非提供促進貸付金が新規事業として2億7、091万円余計上されています。国の新たな制度と連動した経営者保証を不要とする融資に係る貸付原資の一部を金融機関に預託しようとするものであります。 一つ、今回の新たな制度の意義、目的を示してください。 二つ、岩手県信用保証協会が保証承諾した法人に対する融資の保証債務残高のうち、経営者保証を提供していない割合、件数、金額はどうなっているでしょうか。 三つ、融資枠が10億円、貸付限度額が8、000万円となっていますが、融資額を超えた場合はどうなるのでしょうか。借りかえも可能だと思いますが、いかがでしょうか。 四つ、保証料率は高くなると思いますが、国の補助を含めて示してください。 議案第6号は、緊急雇用創出事業臨時特例基金条例の一部を改正する条例です。この基金条例の有効期間を2029年、令和11年3月まで延期しようとするものであります。 〔副議長退席、議長着席〕 一つ、事業復興型雇用確保事業費が当初予算では9、717万円計上されています。沿岸12市町村に所在する事業所が、被災3県に勤務または居住していた求職者を雇用した場合、1人当たり3年間で最大120万円を助成するものであります。昨年度の実績はどうなっているでしょうか。 二つ、これまでの累計の実績はどうなっているでしょうか。 議案第13号は、閉伊川筋藤原地区水門災害復旧工事の変更請負契約の締結に関し議決を求めるものであります。 一つ、今回の変更請負契約は、水門土木工事の分でありますが、14回目の変更で、当初の契約額70億3、652万円余が今回の変更では353億3、043万円余と5倍以上となるものであります。事業費が当初の5倍以上となるのでは入札をした意味がなくなるのではないでしょうか。 二つ、工期は2014年3月6日から2027年3月15日となっています。既に10年が経過し、さらに3年かかかります。余りにも工期が長過ぎるのではないでしょうか。今後も事業費の変更はあるのでしょうか。 三つ、宮古湾の津波対策については、当初、水門案と河川堤防かさ上げ案がありました。水門案が約167億円、堤防かさ上げ案が約235億円という試算が示され、水門案になったというのが経過であります。結果的には河川堤防かさ上げ案のほうが早く安く実施できたのではないでしょうか。しっかり検証されるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。 四つ、現在工事中の閉伊川水門では、どの程度の津波に対応できるのか示してください。今検討されている日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震の津波には対応できるのでしょうか。 以上でありますが、答弁次第では再質問させていただきます。 〇企画理事兼商工労働観光部長(岩渕伸也君) まず、経営者保証非提供促進資金貸付金の制度の意義、目的についてでありますが、中小企業が融資を受けるに当たって、経営者個人が会社の連帯保証人となる経営者保証については、思い切った事業展開を躊躇させる、また、円滑な事業承継や早期の事業再生を阻害する要因になっているなどの課題があり、国において、経営者保証に依存しない融資慣行の確立に向けた検討が進められてきたところでございます。 今般、都道府県等における制度融資において、経営者保証を不要とした場合に上乗せされる保証料率の一部を補助する制度を国が時限的措置として創設したところでございます。このため、県におきましても、この制度を活用した新たな融資制度を創設しようとするものでございます。 次に、保証債務に占める経営者保証を提供していない割合等についてでありますが、令和6年4月末現在の法人に対する保証債務件数は1万8、023件となっており、このうち経営者保証を提供していないものは1、435件、割合は8%となっております。 同じく保証債務残高2、596億1、130万円余のうち、経営者保証を提供していない金額は359億423万円余、割合は13.8%となっております。 次に、融資枠を超えた場合の対応についてでありますが、融資枠については、現在の県単融資制度の貸し付け状況等を踏まえた上で、十分なものとして設定したところでありますが、仮に想定以上の申し込みがあった場合等においては、必要に応じて追加の予算措置等を検討してまいります。 また、県の融資制度の既存借入金の借りかえも可能としております。 次に、保証料率についてでありますが、まず、本制度の保証料率は、事業者の財務内容等に応じて、0.25%または0.45%が所定の保証料率に上乗せとなります。この上乗せ分に対しまして、令和7年3月末までの保証申し込み分については0.15%、令和7年4月から令和8年3月末までの保証申し込み分については0.1%、令和8年4月から令和9年3月までの保証申し込み分については0.05%に相当する額が国から補助されることとなっております。 次に、事業復興型雇用確保事業費に係る昨年度の実績でございますが、求職者の雇い入れ費については、新規として14事業所で、久慈市1人、岩泉町1人、宮古市21人、大船渡市4人、陸前高田市9人で、計36人、1、518万7、000円余の助成を行っております。また、継続分を含めると、8市町村の48事業所、186人に対して4、591万4、000円の助成を行っております。 また、住宅支援の導入等における住宅支援費の助成については、1事業所に対して45万円の助成を行っております。 次に、事業復興型雇用確保事業費に係る累計実績についてでありますが、平成29年度から令和5年度までに、沿岸11市町村の159事業所、562人に対して4億7、934万7、000円の助成を行っております。 〇復興防災部長(福田直君) まず、能登半島地震に関する職員派遣についてでありますが、本県から石川県能登町への対口支援については、事務職を中心に延べ222名の職員を派遣して、住家被害認定などの業務に当たったところで、今回の補正予算案には、そのうち今年度分の県職員51名の人件費の一部や旅費などを計上しております。 また、介護職員については、先月末までに延べ28名を派遣して福祉避難所での業務などに従事いただいており、今回の補正予算案には、その実績や今後の見込みを含む人件費や旅費などを計上しております。 次に、職員派遣の要請元についてでありますが、被災地への応援職員のうち、対口支援のマッチングは、総務省や全国知事会などで構成する応援職員確保調整本部が担っており、介護職員のマッチングは厚生労働省と災害福祉支援ネットワーク中央センターが担っております。 また、中長期派遣については、全国知事会や全国市長会、全国市町村会などがそれぞれマッチングを行っております。 次に、今後の取り組みについてでありますが、御指摘の公費解体については、石川県内で2万2、000棟余りのニーズがあるとされる中、先月24日時点では、既に9割ほどが申請済みとなる一方、解体工事に着手されているのは全体の1割ほどであり、解体業者による工事の加速化に向けた方策を環境省などが検討しております。 本県から能登町への対口支援は5月末で完了しておりますが、現在は中長期派遣として、土木職9名、事務職2名など計14名の県職員を石川県や能登町などに派遣しております。 被災地のニーズが応急対応から復旧、復興へと移る中、道路や漁港の災害復旧業務などに従事しているところであり、今後も被災地のニーズを踏まえながら、必要な支援を行ってまいります。 〇県土整備部長(上澤和哉君) まず、閉伊川水門工事変更請負契約についてでありますが、閉伊川水門工事の発注方法については、被災地の復旧、復興を最大限早めるため、入札公告において、詳細設計に伴う工事費の変動については、設計変更にて対応するという条件を明示した上で発注する標準断面図等による発注方式により進めてきたところです。 この方式では、工事内容の細部の設計にかかる時間を前倒しして請負契約を締結できるものであり、労務者や資材等の準備を含め、早期に着工できるものです。 一方で、この発注方式については、地形の条件や近傍の類似施設の構造など、積算の開始時点で得られる情報をもとに最善の設計により発注したもので、工事着手後に当初想定できなかった地質条件等により工事費が増額となる場合が多くなる傾向があります。 変更請負契約の議案については、工事で使用する作業船を工事場所に進入させるためしゅんせつ作業を追加することによる増額変更について、内容を十分精査した上で提案しているものであり、御理解いただきますようお願いいたします。 次に、閉伊川水門の工期についてでありますが、閉伊川水門は施工箇所の水深が深いこと、航路部を有することなどから、他の水門と比べて規模が非常に大きく、コンクリート打設や基礎杭工、仮締切など、それぞれの施工量が多いものとなっています。また、施工においては、地中の岩盤の起伏が大きく、多数の巨れきが確認されるなど、複雑な地質条件であることが判明し、その対応に時間を要したことに加え、平成28年台風第10号により現場が被災し、手戻り工事が発生したところです。 さらに、この現場において、常に航路を確保しながら工事を行う必要があり、並行作業ができないことなど施工上の制約があることから、他の水門よりも多くの工事の日数が必要となっています。 閉伊川水門の今後の事業費の変更の見込みについてでありますが、今後実施する工事の期間中において、資材等の価格変動や施工条件の変更に伴う工法の変更など、設計変更の検討が必要となる場合には、発注者において受注者及び必要に応じて設計コンサルタントと協議した上で、内容を十分吟味し、工事費について精査していきます。 次に、宮古湾の閉伊川河口部における津波対策についてでありますが、平成23年度に水門案と河川堤防かさ上げ案を対象として、まちづくりへの影響や最大クラスの津波による影響、経済性等を総合的に検討し、宮古市の意向も伺った上で水門案を選択し、工事を進めています。 河川堤防かさ上げ案につきましては、現在の水門案と同じレベルで事業費や工期を精査するためには、より詳細な測量、地質調査、設計並びに用地交渉を堤防の地点等において行う必要がありまして、現在の水門案の工事費に見合う費用での比較は困難であると考えています。 水門案につきましては、経済性や工期だけでなく、まちづくりへの影響や最大クラスの津波による影響など、総合的に勘案して選択したものであり、現時点において最も優位な案であると考えています。 今後もコスト縮減に努めながら、宮古市民の安全、安心、早期完成に向けて取り組んでまいります。 次に、閉伊川水門の津波への対応についてでありますが、本県の津波対策については、数十年から百数十年の比較的頻度の高い津波に対し、防潮堤等により人命と財産を守ることとしており、閉伊川水門についても、これに対応できる高さとしています。 一方、最大クラスの津波に対しては、住民の避難を軸に土地利用、避難施設の整備などハードとソフトを総動員する多重防御の考え方で減災することとしています。 宮古湾におきましては、最大クラスの津波として、東日本大震災津波に加えて日本海溝モデル及び千島海溝モデルによる津波を想定しておりまして、これらの津波は水門や防潮堤を超えるものでありますが、ソフト施策として、市町村の避難計画等を検討するための基礎となる津波浸水想定を令和4年3月に公表しています。 住民の円滑かつ迅速な避難行動を促すため、津波出前講座や現場見学会など、さまざまな機会を通じて津波ハザードマップの確認等に係る周知等について、引き続き取り組んでいきます。 〇37番(斉藤信君) 再質問させていただきます。 能登半島地震への県職員の派遣ですけれども、取り組まれた職員に私は心から敬意を表したいと思います。ただ、ちょうどきょうで半年が経過をした。新聞、ニュースは一様に、復旧が進んでいないと報道する。先ほど公費解体の答弁もありました。完成は4%なのです。元旦の被災のままの姿が能登半島の、特に北東部は全く変わっていない。本当に大変な状況です。 日本共産党は現地に民主団体と協働して、能登半島地震被災者共同支援センターを設置して、今、被災者、特に仮設住宅を訪問しております。そうした声も含めて、大変切実な、深刻な実態は変わっていない。 一方で、応援職員、これは恐らく国が音頭をとっているのだと思いますけれども、本当にこれで十分なのか。やっときょう、国は150名規模でタスクフォースを設置するということです。おかしいのではないでしょうか。半年経過してから部局横断のタスクフォースをこれからやるというのは、少し違うのではないかと私は思うのです。 岩手県の応援本部の対応状況については、一番新しいのが第40報、5月21日付ですけれども、4ページにこういう記述がありました。自治体支援で、東日本大震災津波の経験に基づく知見の提供等を行ってきた。知事も石川県にそういうことをやったということもありました。東日本大震災津波のどういう経験、教訓を伝えてきたのか、それは生かされているのか、このことを一つお聞きしたい。 もう一つは、応援本部の資料を見て、総務省だ、内閣府だ、全国知事会だ、下水道協会だ、いろいろなところから要請が来ているのです。窓口が一本化されていないのです。これが統一した今度の復旧、取り組み、障害になっているのではないか。これは6月28日付の朝日新聞ですけれども、災害が多発しているイタリアでは、1980年のイルピニア地震直後に市民保護局というのをつくって、ここに警察、ボランティア、消防が、24時間体制で常駐の体制をつくって、被災後48時間以内に食事、ベッド、トイレを配置する状況をつくっている。私はこういう教訓をしっかり学ぶ必要があるのではないかと思います。 もう一つ、閉伊川水門についてですけれども、当初、水門が167億円、堤防かさ上げ案が235億円でした。先ほど契約変更で出ているのは土木だけの契約額で、合計すると475億円です。本当に大変な額に上がっている。そういう意味で、今でも水門案がいいという県土整備部長の答弁でしたけれども、土木工事だけで5倍以上に膨れ上がった。変更契約は10年間で14回です。1回で100億円以上の契約額の変更があるのです。10年間で14回、これからも変更はあり得ると、異常な答弁でありました。本当にこの様なことでいいのか、しっかり検証すべきではないかとこの点では私は思います。答弁を求めます。 〇復興防災部長(福田直君) 能登半島地震についてでございます。 まず、知見の提供でありますが、本県からは被災者支援の取り組みを含めて情報提供、助言させていただいておりまして、石川県においても、心のケアセンターを初め被災者支援の体制が随時整いつつある状況と認識をしております。 それから、被災地の課題についてでございます。課題が数多く御指摘されておりまして、政府においても、そういった課題を含めて、現在、ワーキンググループにおいて、今後の災害対応を含めて検討を行っている状況でございます。 いずれにしましても、石川県の意見を伺いながら、被災地において必要な支援を引き続き、私どもは行ってまいりたいと考えております。 〇県土整備部長(上澤和哉君) 閉伊川水門の変更につきまして、回数と事業費の増大の件のお話でございましたが、まず、閉伊川水門につきましては、先ほどお話ししましたけれども、ほかの水門と比べて現地の地形の状況等が複雑であるということと、水深が非常に深いということ。そして、これまで1期施工、左岸側分の施工と2期側の施工を今、やっているのですが、ボーリング調査をするにしても、中をすっかりドライにしなければ詳細なボーリング等ができないということがありましたので、その段階、段階でできる地質調査、そして、その時点で得られた知見といったものをその時点での設計の基準に当てはめて、適正な設計、積算を行った上でやってきております。 この変更等につきましては、受注者もそうですが、設計したコンサルタント等を交えて三者できちんと吟味して、その都度得られている技術的な知見をもとに必要な設計を行った上でやってきたものでございますので、御理解をお願いしたいと思います。 〇議長(工藤大輔君) これをもって質疑を終結いたします。 次に、ただいま議題となっております議案第1号から議案第14号までは、お手元に配付いたしてあります委員会付託区分表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。 〔参照〕 委員会付託区分表 (第5回県議会定例会 令和6年7月1日) 総務委員会 1 議案第1号 第1条第1項 第1条第2項第1表中 歳入 各款 2 議案第2号 第1条第1項 第1条第2項第1表中 歳入 各款 歳出 第2款 第3款 第3条第3表 3 議案第4号 4 議案第7号 5 議案第8号 6 議案第9号 7 議案第11号 環境福祉委員会 1 議案第3号 2 議案第5号 3 議案第10号 商工建設委員会 1 議案第2号 第1条第2項第1表中 歳出 第7款 第11款第3項 第2条第2表中 1追加中 2 2変更 2 議案第6号 3 議案第12号 4 議案第13号 5 議案第14号 農林水産委員会 1 議案第1号 第1条第2項第1表中 歳出 第6款 2 議案第2号 第1条第2項第1表中 歳出 第6款 第11款第1項 第2条第2表中 1追加中 1 〇議長(工藤大輔君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。 本日はこれをもって散会いたします。 午後4時14分 散 会 |
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