令和6年6月定例会 第5回岩手県議会定例会会議録

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〇45番(佐々木順一君) 本籍、自由民主党、現住所、立憲民主党、今現在は、希望いわてに間借りをいたしております、佐々木順一でございます。
 それでは、発言通告に基づき質問いたします。
 初めに、4月20日発生の宮古市刈屋地区の林野火災及び2月25日から28日の大雪、強風による被害対策についてお伺いをいたします。
 去る5月14日に実施いたしました岩手県議会希望いわて、国民民主党岩手県連及び立憲民主党岩手県総支部連合会三者合同による現地調査を踏まえ、以下、お伺いをいたします。
 まず、林野火災についてでありますが、現在、宮古市刈谷地区等林地再生対策協議会を設置し、林野再生に向け検討されているとお伺いしておりますが、現時点における計画の概要と検討状況についてお伺いをいたします。
 特にも、焼失した山林の大半は個人所有となっていることから、作業が円滑に進まないことが指摘されておりますが、このことを含め、計画推進上の懸念事項、予算の概要及び個人を含め関係団体の負担のあり方についてお尋ねいたします。
 次に、大雪、強風による被害対策についてお伺いいたします。
 県においては、対策の一環として、4月19日に国に対し復旧支援を要請するとともに、今定例会に17億円余の関連予算を提案されており、適切な対応に敬意を表します。
 ついては、災害対策の予算計上に当たり、どのような考え方に立って編成されたのか、また、例えば、農業用パイプハウスの撤去経費や小規模被害など国の制度で救済の対象にならないものはどう措置されたのか、お伺いをいたします。
 次に、民主政治の現状と政治の役割についてお伺いいたします。
 初めに、政治の役割についてお伺いをいたします。国政、地方政治を問わず、社会、経済情勢などの変化によって求められる制度の改廃、あるいは、社会の多様な利害の調整を行うことは政治の重要な務めであります。また、人々の声を行政などに反映させることも一般的には一つの任務とされております。
   〔議長退席、副議長着席〕
 確かに、社会的に弱い立場にある人の声や救済しなければならない人々の希望、要望などを公共のレベルで解決することは大事な務めでありますが、政治の本質的な役割は、所得の再配分など格差の拡大を阻止して社会の安定性を確保し、全ての人々が安心して希望と意欲を持って生活を営むことができる世の中をつくること、すなわち、平和な社会をつくること、自由な社会をつくること、そして豊かな社会をつくること、この三つの社会づくりに全力で取り組むことこそ政治の本来の役割ではないでしょうか。
 これは有権者の付託を受けた政治家に与えられた共通の責務であると思いますが、知事の御見解をお伺いいたします。
 これ以降の質問につきましては、質問席で行いますので御了承を願います。
   〔45番佐々木順一君質問席に移動〕
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 佐々木順一議員の御質問にお答え申し上げます。
 政治家の責務についてでありますが、佐々木順一議員御指摘のとおり、平和な社会、自由な社会、そして豊かな社会は、古今東西、人類が政治を通じて求めてきたものであると思います。
 この三つの社会づくりは、現在、古代や近代初期とは異なる複雑な環境の中で目指さねばならず、ともすれば、政治のプロでも見失いがちになるきらいがありますが、今こそ政治はその原点に立ち返り、平和と自由と豊かさを目指して真剣にならねばならない時なのではないかと考えます。
 その他のお尋ねについては、関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔農林水産部長佐藤法之君登壇〕
〇農林水産部長(佐藤法之君) 宮古市の林野火災についてでありますが、県では、宮古市、宮古地方森林組合、宮古地区広域行政組合とともに、宮古市刈屋地区等林地再生対策協議会を設置し、被害状況の調査等を進め、5月末に、被害面積を約187ヘクタール、被害額を約3億4、000万円と確定したところです。
 本協議会では、今後、森林所有者への説明会を開催し、復旧に係る意向等を把握の上、8月末を目途に被害木の伐採、整理や造林等の復旧方法、活用が見込まれる事業等を盛り込んだ復旧計画を策定することとしております。
 復旧計画の策定に当たっては、被災森林の所有者が51名と多いことから、所有者の意向を丁寧に、かつ速やかに把握することが必要であります。
 また、復旧にかかる予算や所有者等の負担については、復旧計画を策定する中で検討することとしておりまして、県としては、国庫補助事業等を最大限に活用しながら、被災地の林地再生が円滑に進むように取り組んでいきます。
   〔総務部長千葉幸也君登壇〕
〇総務部長(千葉幸也君) 今般の災害対策の補正予算案についてでありますが、その編成に当たっては、被災された農業者、水産業者の早期の事業再開や経営安定化等に配慮しながら、農業用施設の再建や養殖施設の復旧支援など、必要な対策を盛り込んだところでございます。
 また、国制度の対象とならない部分についても、その必要性を見極めながら、農業用パイプハウスの撤去、修繕費、小規模な養殖施設の施設整備費、ワカメ、昆布の種苗生産費などに対して、市町村と連携し、県独自の財政支援を行うこととしております。
 これらの対策を迅速に実施し、関係機関と一体となって被災事業者の早期の復旧を支援してまいります。
〇45番(佐々木順一君) 御答弁ありがとうございました。それでは、災害復旧についてお伺いいたします。
 漁港などの被害復旧は原形復旧が原則になっておりますが、例えば、唐丹漁港の東防波堤については、改良復旧を求める声が多くありました。可能な限り改良復旧を目指すことが求められると思いますが、どう対応されるのかお伺いいたします。
 あわせて伺いますが、参考までに、本県の漁港災害において改良復旧が行われた事業はどういうものがあったのか、また、改良復旧を行う場合も国との協議が必要になりますが、改良復旧を国に申請する県の判断基準と手続についてお伺いいたします。
〇農林水産部(佐藤法之君) 国の基準では、災害復旧は、佐々木順一議員御指摘のとおり、原形復旧が原則でありますが、地形地盤の変動のため原型に復旧することが著しく不適当な場合や、重ねての災害を受け、被害の状況が甚大である場合等には、改良復旧が可能となっております。
 ことし2月の強風で被災した漁港施設のうち、唐丹漁港の東防波堤については、平成28年にも被害を受け、今回、ケーソンが倒壊するなど大きな被害が発生していることから、県では、現在、堤体の幅を広げる改良復旧として災害査定申請を行ったところです。
 県内では、平成28年に被害を受けた釜石市鵜住居地区の白浜漁港等においても、災害復旧事業により防波堤の幅を広げるなどの改良復旧を行っています。
 また、国との協議については、改良復旧の場合も原形復旧と同様の手続となることから、県としては、国の基準に基づき、改良復旧が可能な場合には改良復旧の必要性や構造の見直し等を整理の上、国に申請していくこととしております。
〇45番(佐々木順一君) それでは、質疑的お尋ねはここまでにいたしまして、これから質問を行います。
 成長は全ての矛盾を覆い隠すと言われておりますが、今日、日本社会はさまざまな矛盾と社会不安に覆われております。例えば、気候変動、温暖化の進行により地球環境は維持できるのだろうか、いつ発生するかわからない海溝型巨大地震や首都直下型地震の発生に伴い、原子力発電所は巨大津波の直撃に耐えられるのだろうか、国家的な中枢機能は維持できるのだろうか、国際紛争に日本が巻き込まれるのではないかという戦争不安、とまらない物価高、円安を含め低迷する経済と人口減少により社会保障制度は維持できるのだろうかという点、あるいは、地域コミュニティーは消滅するのではないか、輸入に依存し乏しい食料自給率のままでいいのだろうかなどなど、数え上げたら切りがありませんが、こうした社会的不安、矛盾が少なからず人々の日々の生活に暗い影を落としていることは紛れもない事実であります。
 ついては、先ほど例示したことを含め、さまざまな社会不安、矛盾を解消することも政治の大きな役割であると思いますが、知事の認識を伺います。
〇知事(達増拓也君) 佐々木順一議員御指摘のようなさまざまな不安があり、特に、県においては能登半島地震、新型コロナウイルス感染症、豚熱などの危機事案や、原油高、物価高騰、人口減少問題などに関して、不安ではなく希望が持てるようにしなければならず、政治の役割が重要であります。
 課題の規模が地球規模になったり、科学技術の発展が逆に不安をもたらしたり、今日、政治が社会不安を解消することは、より難しくなっている面もありますが、そうであればこそ、政治はより真剣に社会不安に向き合っていく必要があると考えます。
〇45番(佐々木順一君) それでは、社会不安、矛盾の解消のためには、国が基本的な対処方針を示し、国民の理解と協力のもとに全ての地方公共団体など国民が一体となって取り組まなければならないと思いますが、今の国の対処方針は得心がいくものとなっているとお考えでしょうか。
 例えば、少子化の一つの要因として、非婚化、晩婚化に伴う出生率の低下が指摘されております。この背景には、所得など経済的な要因もさることながら、先ほど例示したさまざまな社会不安が若者たちの結婚、出産意欲を失わせ、結果として少子化につながっているものではないかと思いますが、知事の御見解をお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 災害や感染症などを初め、国家の危機や社会不安に対しては、国が基本的な対処方針を示し、国民の理解のもとに地方公共団体と一体となって取り組むことが望ましいものと考えます。
 人口問題については、国では平成26年以降、地方創生を掲げ、東京圏と地方との転出入の均衡に向けて取り組み、県でもこれに呼応しながら、ふるさと振興総合戦略を策定し、社会減ゼロを目指してまいりましたが、企業の進出による雇用環境の向上や県外からの移住、定住者数の増加などの成果がある一方、いまだに東京圏と地方との転出入の均衡は達成されず、また、全国的に出生率も減少しております。
 人口減少の大きな要因である少子化の背景としては、経済的要因に加え、さまざまな社会不安があると考えており、国として若者の生きにくさの実態を把握し、若者が将来に希望を抱くことができる長期的な展望を示すとともに、東京一極集中の是正に向けた地方重視の経済財政政策や、全国一律の子供、子育て支援に取り組むことが必要であります。
 県においても、地域の実情を踏まえ、さまざまな生きにくさを生きやすさに変え、一人一人の自由な選択を尊重しながら、安心して子供を産み育てたいと思える社会の構築に取り組んでいく必要があると考えております。
〇45番(佐々木順一君) 次に、民主主義の現状と課題についてお伺いいたします。
 最近の国政選挙の投票率は50%前後に低迷しております。自治体選挙においては、無投票当選、定数割れ選挙などがふえ続けており、深刻な状況に陥っております。また、一昨年の参議院議員選挙結果を踏まえ、公益財団法人明るい選挙推進協会が行った政治に対する満足度調査によると、やや不満であるが45.1%、大いに不満であるが31.2%、合わせて76%以上が不満であると回答しております。
 国、地方選挙ともに、十数年前は7割を超えていた投票率でありますが、今日では2人に1人が棄権していること、政治に対する不満の割合が7割以上になっていること、この二つの実態は、民意と政治が著しく乖離していることを示唆しているものと思います。
 民意を救い上げる努力が政治全般に不足しているのか、民意とかけ離れた政策がとられているのか、今日、パーティー券の裏金問題を含め、政治家の不祥事も日常茶飯事になっておりますが、政治不信が極限に達していることを踏まえると、我が国の民主政治が危機的状況に直面していることは否定できないと思います。
 知事は、今日の我が国の民主政治をどう捉えておられるのかお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 佐々木順一議員御指摘のとおり、投票率の低さ、立候補者の不足、政治に対する満足度の低さに見られる我が国国民の態度や意識は、我が国の民主政治が危機的状況にあることを示していると思います。
 それに加え、失われた30年と呼ばれるような経済の低迷と、それによる長期間の実質賃金の低下や可処分所得の減少は、我が国の民主政治が十分機能していないということであると考えます。
 政治は、平和、自由、豊かさという結果を出さなければならず、それができていないことが政治家の不祥事と相まって危機的状況をもたらしているということだと思います。
〇45番(佐々木順一君) ありがとうございます。それでは、民主主義についてお尋ねしてまいります。
 民主主義は、古代ギリシャを起源として2500年以上の歴史の風雪を乗り越えて今日に至っております。しかしながら、具体的な制度化が進んだのはこの2世紀にすぎません。
 戦後、我が国の民主主義は終戦直後の女性への参政権が認められた普通選挙からスタートし、日本国憲法の制定を経て、昭和30年の55年体制のもとでさまざまな制度が整備されてまいりました。直近では1990年代の抜本的な政治改革、行政改革、2015年の選挙権年齢の18歳への引き下げは特筆されるべき事柄でもあります。
 一方、民主政治は、常に腐敗とその根絶のせめぎ合いの連続でもありました。この50年弱の我が国の政治史を振り返ってみますと、例えば、昭和51年、1976年のロッキード事件、昭和63年、1988年のリクルート事件、いずれも汚職事件でありましたが、前者は抜本的な政治資金規正法の改正などの法整備で対応しております。後者については、大疑獄事件であることもさることながら、並行して国民の反対を押し切る形で3%の消費税が初めて導入される一方、国際的にはベルリンの壁の崩壊に象徴されますが、米ソ冷戦構造が終わりを告げるなど55年体制の限界をさらけ出しました。
 政治と金の問題解決を含め、政治の刷新を求める国民の声の高まりを受けまして、当時の与野党は新時代に対応する政治体制を模索いたしました。得られた結論は、衆議院の小選挙区比例代表並立制と政党交付金の導入などであり、今日に至っております。
 それから30年余り、パーティー券の裏金問題が今日議論になっておりますが、混乱する現在の国内外の諸情勢を考慮すると、政治の立て直しは政治資金規正法の改正というレベルをはるかに超えており、時代状況は1990年代当時の比ではないにもかかわらず、国政の最大関心事は政治資金規正法の改正に矮小化されたまま、先般の通常国会は閉じたわけであります。
 民主主義が危機に直面し、政治が機能不全に陥っている今日、平成の政治改革以上の取り組みが求められていると思いますが、今日、民主主義の発展を阻む問題は、例えば、人口減少社会が進む中で都市部だけに議員数が偏る不公平感の問題、あるいは、AIを初めとする技術革新にどう向き合うのかという問題、民主主義の宿命とも言うべきポピュリズムへの対応と権威主義との対立の問題、さらに、後ほどお尋ねいたしますが、有事やパンデミックなどの緊急事態に民主主義をどう機能させるかという問題など、これらを乗り越えるためのさらなるシステムづくりが求められると思いますが、時代認識と課題認識について、知事の御見解をお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 佐々木順一議員御指摘のとおり、平成の政治改革以上の政治の立て直しが今、求められており、原敬首相の時代の大正デモクラシーや、明治の自由民権運動にまでさかのぼって我が国の民主主義を立て直さなければならないのだと思います。
 社会の現状を捉えて、不安のもとになる課題を明らかにし、その解決法を決定して実行に移し、結果を出していくためには、より多くの人々の意見を集め、少数派によるチェックも大事にし、その上で、多くの人々の納得の上で政策を推進する民主主義のシステムが効果的であります。
 課題が地球規模になり、科学技術の発展が逆に不安を増長させる今日、政治が民主主義から離れれば、たちまち解決不能な課題があふれ、不安は広く社会を覆い、多くの人々の苦しみが増す未来しかなくなるでありましょう。
 政治はやはり人でありますので、政治家や政治家たらんと志す人たちが改めて自由民権運動や大正デモクラシーの担い手が持っていたような民主主義に対する情熱と使命感を取り戻すことが今、求められていると考えます。
〇45番(佐々木順一君) 知事、ありがとうございました。簡単に言えば、金権から民権です。
 それでは次に、いわゆる裏金問題についてお伺いしてまいります。
 まず、真相解明についてお伺いいたします。派閥から所属議員へのキックバックは、政治資金規正法第21条の2―公職の候補者に対する寄附の禁止に違反し、キックバックした側もされた側も、同法第23条―5年以下の禁固または100万円以下の罰金及び公民権停止の対象になります。検察はこの法律を根拠に実質犯として立件すべきでありました。しかしながら、検察は不記載を根拠として一部議員と会計責任者を立件しただけで捜査を終結、残る議員については、収支報告書の訂正という手続をさせることによって裏金を表金にし、しかも、4、000万円以下はおとがめなしにしております。
 不記載は紛れもなく法律違反であります。例えは悪いかもしれませんが、これでは、万引きがばれても商品棚に戻せば窃盗罪にしないと言っているようなものであります。裏金議員の脱税疑惑を捜査しない経済警察の国税庁も同じであります。
 今回の裏金事件は、自由民主党国会議員の80人以上がかかわった集団犯罪事件であるにもかかわらず、公権力を持つ検察、国税庁が法と証拠に基づき適切な対応をしなかったことは、権力の犯罪そのものであり、法の番人である検察、国税庁は法治主義をみずから踏みにじっていると言わざるを得ません。少なくとも政治資金規正法第21条の2を根拠に捜査を行っていれば、あるいは、国税庁が乗り出していれば、真相はより解明に近づいたものと思いますが、知事の御見解をお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) いわゆる裏金問題についてでありますが、自由民主党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題を解決し、再発防止を確かなものにするためには、事実関係の究明が全く不足していると思います。
 政治資金パーティー売り上げをいわゆる裏金化するという、他の政党など一般的には見られない特殊なことが、一定の手続のもと長期にわたって大規模に行われてきたことについて、なぜそうしてきたのかという大きな疑問を国民は抱いており、この疑問が解消されるように事実関係を明らかにすべきであると考えます。
 今回の問題は、日本における選挙の正当性や、今までの、そして現在の政府の民主的正当性を根底から覆すような問題であり、国を挙げて調査し、国及び地方の議会や政府の正統性を取り戻すため、国民的な努力が必要であると考えます。
〇45番(佐々木順一君) それでは次に、先般可決されました政治資金規正法の改正についてお伺いいたします。
 そもそも、ざる法といえども政治資金規正法の趣旨を踏まえ、遵法意識を発揮し適切に処理していれば、今回のような不名誉なことは起きなかったと思います。パーティー券裏金問題は、本質的には自由民主党国会議員の規範意識の退廃、遵法精神の欠如が招いたものと思いますが、知事はどうお考えでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 政治資金規正法の改正についてでありますが、自由民主党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題は、そもそも今回問題になっている特定の団体や特定の個人が当然保持しているべき倫理観を持っていさえすれば、一連の事件や疑惑などの問題は起こらなかったということでありましょう。
 問題になっている特定の団体や特定の個人は、みずからに関する事実関係を公表し、特になぜそのようなことをしてきたか国民に説明する責任があると思います。政治は人であるということが今回の問題にも言えると考えます。
〇45番(佐々木順一君) それでは、引き続きこの点についてお伺いしてまいります。
 今般の法改正の論点は、いわゆる連座制もどきの導入と企業団体献金の廃止の是非、政策活動費の存廃の是非、政治資金パーティーの存廃の是非などが主なテーマになっておりましたが、結果として、与党の賛成多数により企業団体献金は存続、政策活動費については、10年後の使途の公開、しかも、法律にこの政策活動費が位置づけられたわけであります。それから、政治資金パーティー券購入額の公開基準については、20万円超が5万円超に改められました。しかし、パーティー券購入額の公開基準の引き下げは、小口分散をしただけであり、実質的には現状維持にほかならないと思います。政策活動費の10年後の公開も、有権者から見ると、次の選挙の判断材料が奪われることになります。しかも、関係法令の時効が5年ないし7年であること、加えて、10年後に関係者や当該政党が存続している保証もないこと、さらには、黒塗りでの公開も排除されていないことなどを踏まえると、実効性は全くなく、これでは、引き続き裏金はつくり続けますと宣言しているようなものであります。
 そもそも政治資金規正法は、理念として、公明正大と国民からの浄財を掲げております。公明正大とは、国語の勉強ではありませんが、公平で私心がなく、隠し立てをしないこと、正しく堂々としていることであり、浄財とは文字どおり、伝道や慈善、社会事業などのために寄附する金銭であり、利得や報酬を考えないで寄贈する金銭であるという法の趣旨を踏まえると、私は、収入、支出とも1円から全てオープンにする、すなわち、公開、透明性の確保という原則を厳格に捉えて、真正面から今回の問題に向き合えば、全ての課題は解決されたものと思います。ただし、政党交付金が企業団体献金の廃止を前提にして導入された経緯に鑑み、これは筋論として一旦廃止することが望ましいと思います。
 また、政治資金パーティーについては、個人献金の奨励の観点と新人が立候補しやすい環境づくりも保証しなければならないことから、これは存続すべきであります。
 なお、パーティー券購入の公開を望まない方については、一定期間、個人情報保護の観点から、いわゆる黒塗りを認めるなどの配慮が求められても問題はないと思います。
 いずれにしろ、今回の改正で本則に明記されたものは、政治資金パーティー券購入額の公開基準5万円超や、効力のない確認書交付の義務づけなどであり、重要な事柄はほとんど検討事項として附則に羅列されただけになっております。やる気なし、反省なし、余りにも不見識かつ不誠実極まりない改正であることから、国民は怒り心頭に発していると言っても言い過ぎではないと思いますが、これらについて知事の御見解をお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 法改正に対する見解についてでありますが、自由民主党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題は極めて特殊な事案であり、個別具体的な特定の団体や特定の個人が、一般の政党など政治団体や一般の政治家には見られない特有の行動を歴史的に積み重ねてきたものであります。
 一般の政党などの政治団体や一般の政治家は、政治資金規正法の趣旨に反する行動をとっておらず、今般の問題に関する事実関係の究明が中途半端な状況である中、全ての政治家に適応される法改正を行うことは疑問であります。
 今国会内に法律改正を行うことは、本質的には求められていないのではないかと思われ、まずは原点に立ち返り、今般の問題に関する事実関係の究明を徹底的に行った上で法改正などを検討していくべきものと考えます。
〇45番(佐々木順一君) 次に、政党政治について知事の見解をお伺いいたします。
 議員内閣制の我が国において政党は極めて重要な役割を担っております。特にも政権を担った政党の役割は、政治力と公権力を行使して、国の発展と国民の幸福実現に全力で取り組む、このことに尽きるものと思います。
 しかしながら、党という言葉は、徒党、悪党の言葉に象徴されるように、我が国ではよいイメージで使われてきませんでした。この言葉が最初の文献に登場したのは十七条の憲法と言われております。すなわち、和をもって貴しとなし、さからうことなきを宗とせよ、で始まっておりますが、その後に、人みな党あり、また、達れる者は少なしと続いております。人みな党ありとは、何人か集まれば必ず派閥ができるという意味であり、達れるは者少なしとは、派閥の利益ではなく全体の利益を考えて達観している人は少ないということではないでしょうか。
 知事も以前、国会議員として政党に所属されておりましたが、現在の迷走する政党政治と志が見えなくなってしまった政権党の実態をどう捉えておられるのかお伺いをいたします。
〇知事(達増拓也君) 政党政治についてでありますが、明治の自由民権運動が自由党の成立で政党政治による民主化という形になり、原敬首相の初の本格的政党内閣によって我が国は大正デモクラシーという民主主義の時代を迎えました。
 今日の我が国において、この自由民権運動や大正デモクラシーの情熱、使命感、誠実さ、真剣さが取り戻される必要があると思われます。
 平和な社会、自由な社会、豊かな社会を目指して、国民一人一人を自分の仲間、あるいは同胞とみなす共感力を持ち、その国民がどのような課題に直面しているかを徹底的に追求し、オールジャパンの知恵と力を結集して解決法を決定して実行に移す、そのような政党が求められます。
 我が国の政党たるもの、そうであるように努め、また、この瞬間にもそのようであるよう求めたいと思います。
〇45番(佐々木順一君) 私も政党の一員でありますので、今の言葉を肝に銘じて微力を傾注したいと思っております。
 ことしは、図らずも国会開設建白書提出、自由民権運動の150周年という記念すべき年であります。これを踏まえて、民主主義の充実、発展のためには、議会の議論をより深めなければならないと思っております。
 一方、最近の県議会における質問、質疑を聞いておりますと、質問、質疑と答弁がかみ合わない傾向が見られます。ついては、答弁の際に、いわゆる反問権、反論権を知事は意識して行使したことはこれまであったでしょうか。また、これらの権利と言ったらいいでしょうか、反問権、反論権を円滑に行使されるように手続の整備の必要性を感じておられるのかお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) いわゆる反問権と反論権についてでありますが、執行部側が議員の質問や質疑の趣旨及び根拠等を問う反問と、議員に対して反対の意見を述べる反論については、各自治体において細かい表現や取り扱いが異なっておりますが、都道府県では宮城県など3県が反問という文言を用いた規定を議会基本条例において定めているものと認識しております。
 本県では、平成20年度、岩手県議会基本条例制定に係る県民意見聴取において、反問権を設けるべきといった意見が複数提出されたことから、議会のあり方調査特別委員会や議会運営委員会において、当時の議員各位による具体的な検討がなされ、議論の結果、反問の文言が用いられることは最終的に見送られたものの、執行部側が議員の質問の趣旨を確認するための発言権が条例に盛り込まれたものと承知しております。
 こうした経験も踏まえ、これらはいわば議会の自治に属する分野で、その議論を経て定められるべきものと認識しており、議決権を初めとする議会の権能が適切に発揮されるよう、知事としては的確な説明と答弁に努めることが重要と考えております。
〇45番(佐々木順一君) 直球でお答えいただけるものと思っておりましたが、変化球でありました。それはそれとして、岩手県議会の不動の4番バッター、千葉秀幸議員をしてもこのボールは打てなかったと思います。もう一度ボールを投げ返していただきたいと思いますので、視点を変えてもう一度お尋ねいたしたいと思います。次は知事、ストレートで御答弁を頂戴したいと思います。
 人間の思考がデジタル思考であれば誤差は全く生じないわけでありますから、反問は特に必要ないと思いますが、残念ながら、人間はアナログ思考であります。加えて、言葉は、その意味は聞く人によってかなりの幅がありまして、正確に理解できないものも、ままこの世の中にはあります。正しく意図をくみ取れない場合も人間社会の中であります。だから、世の中おもしろいと言えばおもしろいかもしれません。
 こういった人間の特性を踏まえて、もう一度知事にお伺いいたします。それでは、こう聞きます。日常生活の中で質問の意図を確認したいとか、あるいは、誤った指摘に対して、いや、そうではないのだという反論をしたいとか、日常生活の中でそういう気持ちをお持ちになったことがあるのかどうかお伺いをいたします。
〇知事(達増拓也君) 議会での答弁は、基本的に、執行部としてはかみ合った答弁をしており、かつ、質問に対する答弁は全て尽くしたという考え方で行っておりますので、その点について後悔はないところでございますけれども、一方、今、佐々木順一議員が疑問を呈しておられるように、執行部としてはきちんとかみ合った答弁をしたと思っていても、それをほかの人が見たときに、県として言うべきことが言われていない、県として本当はきちんとやっているのに、そのことを批判され、ただ批判されっぱなしで、県として説明すべきことをしていないと第三者に思われるようでは、ここは反省をしなければならないのだということは日常的にも感じているところであります。
〇45番(佐々木順一君) この議会は、一言で言えば、県民からお預かりしているものでありますから、私どもの質問と執行部の答弁を簡潔明瞭でわかりやすくするというのが双方の努めだと思います。つまり、簡潔でわかりやすい議会にしなければ、県民が理解できないような状態が続くということは、これは県民の期待に応えていないということになりますので、その点を私は心配しているわけであります。
 それでは、今の知事の答弁を踏まえて総務部長にお伺いいたします。岩手県議会基本条例は、先ほど知事からも指摘がありましたが、第13条でいわゆる反問権を認めております。反問権という言葉は使っておりません。しかしながら、文章表現として明示しております。いわゆる反問権が行使できるということです。
 もう一つ、反論権は、先ほど知事が言ったとおり、明記はされておりません。そしてまた、他の県議会では、意見を述べることを認めているところもあります。
 この際、総務部長にお伺いしますが、執行部から議会、あるいは議長に対して、反問、反論という言葉を使うかはともかくも、意見を述べることも含めて条例に位置づけていただく、あるいは、その詳細について検討していただくなど御要請されてはいかがでしょうか。
〇総務部長(千葉幸也君) 岩手県議会基本条例は、当時、議会に設置された、議会のあり方調査特別委員会を中心にさまざまな観点から議論がなされた後、委員会提案として発議案が提出され、全会一致で可決されたものと承知しております。
 そうした制定経緯を踏まえ、先ほどの知事の答弁にもありましたとおり、条例改正の必要性等につきましては、議会において検討されるべきことと認識しております。
 執行部といたしましては、議会における議論が深まることに資するよう、的確な説明と適切な答弁に努めていくことが重要と考えております。
〇45番(佐々木順一君) 議会の条例ですから、ああしてくれ、こうしてくれというのは、執行部側とすれば慎みたいということだと思います。
 議長にお願いがあります。今、質問と答弁を聞いたとおり、議会基本条例には第13条に反論権、反問権という言葉は使っていないのですが、文章表現としてそれを認めております。しかしながら、意見を述べること、すなわち反論権については、全く明記されておりません。もしこれを認めるということにするのであれば、その手続をどうするのかということは検討しなければならないと思いますし、また、細かい話になりますが、反問した場合に、その時間を答弁時間に加えるのか、加えないのか、あるいは、反論権が認められた場合、それも答弁時間に加えるか、加えないかなど、詳細な詰めが必要だと思いますので、ぜひ議会の議論の活性化のために、この点、今日の質問を踏まえて基本条例の充実に努めていただくように御要望を申し上げたいと思います。議事進行ではないので、要望にとどめさせていただきます。
〇副議長(飯澤匡君) 心にはとめておきます。
〇45番(佐々木順一君) ありがとうございます。
 それでは次に、いわゆる国の補充的な指示権についてお伺いをいたします。
 これは災害や感染症の蔓延など国民の安全に重大な影響を及ぼす事態であれば、個別法の規定がなくても必要な対策の実施を国が自治体に指示できるようにするものであり、地方自治法に特例として創設されたものでありますが、そもそも我が国の災害法制は、基本的な災害対応自治体を市町村とした上で、その規模に応じて、都道府県の関与、国の関与を可能とし、それぞれの責務や権限等を定めております。例えば、東日本大震災津波では政府内に緊急災害対策本部が、御嶽山噴火などでは非常災害対策本部が対応に当たり、また、災害のたびに得られた教訓を踏まえ、必要に応じ、その都度改正され、令和3年には大雨災害などに対応する特定災害対策本部が新設されるなど、極めて充実した法体制になっております。
 にもかかわらず、地方自治法という一般的、包括的に規定を設け、国の判断に従うよう地方を義務づけることは、障害、弊害を招くだけであります。災害時において、国が誤った判断を行うこともあります。
 これは未遂に終わりましたが、一つの事例を申し上げます。熊本地震の際に体育館の中に入らず、車中生活を余儀なくされている人々の窮状がマスコミで取り上げられたことを受けて、当時の防災担当大臣が避難者を体育館に入れるようにと言ったことに対し、現場の実態を把握していた熊本県知事は、これを拒みました。その数日後、震度7の本震が起こり、避難所になっていた体育館の屋根が落下しております。災害では現場主義は極めて重要になります。
 復興防災部長にお伺いいたしますが、国に一般的包括的指示権を与えることによって、どのような障害、弊害が生じるのか、足らざる点があれば災害対策基本法の改正で対応するのが王道であると思いますが、御所見をお伺いいたします。
〇復興防災部長(福田直君) 災害対策基本法では、住民に身近な市町村が災害対策を一義的に担い、国や県はその補完を行うこととされておりますが、国民の生命などの保護のため、緊急に必要とされる場合には国の指示権が認められております。
 一方、地方自治法は国の関与が必要最小限であるべき旨を定めており、御指摘の熊本地震の事例においても、結果的に国の指示権は行使されなかったものと承知しております。
 今回新たに設けられた補充的指示権は、災害対策基本法などの個別法の規定では想定されていない事態に対処するために創設されたものであり、そこで想定される具体的な事態は例示されておりません。
 そのため、具体的な事態が想定されない中で、補充的指示権の行使による支障事例を上げることは困難でありますが、いずれにしましても、危機対応の現場で支障が生じることのないよう、国と地方が意思疎通を図ることが何より重要であると考えております。
〇45番(佐々木順一君) 余り切れはよくなかったですね。もう一度重ねて聞きます。今度は感染症で聞きます。
 感染症法では、厚生労働大臣は、感染症の発生を予防し、また、蔓延を防止するための緊急の必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、この法律またはこの法律に基づく政令の規定により都道府県知事が行う事務に関し必要な指示を行うことができると規定されております。
 新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく法定受託事務は、一般的に国の指示権があります。総務大臣は、大規模災害やコロナ禍を例に挙げ、国の指示権を認めるべきと言っておりますが、十分な検証がなされたのでしょうか。間違ったことやピント外れが余りにも多かったことが有識者などから指摘されております。
 例えば、国はPCR検査を受けるのに37.5度以上の発熱が4日以上を目安にしましたが、これにより検査が受けられず、重症化し、亡くなる方もおりました。また、緊急事態宣言は都道府県単位でしか出せないと言っておりましたが、本当は〇○市の繁華街一円とかピンポイントで出せたこと、市町村の一部でも出せたことが代表例として挙げられます。
 ついては、十分な新型コロナウイルス感染症対応の検証がなされたと認識されておられるのか、感染症対策に関しても地方自治法に特例を設けずに個別法で対処されるべきとお考えか、お伺いをいたします。
〇復興防災部長(福田直君) 感染症対策については、全国的な蔓延を防ぐため、感染症法や新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく国の指示権が認められております。この数年間の新型コロナウイルス感染症対策については、政府でも検証作業が進められており、これまでに感染症法等の改正が行われたほか、近いうちに政府行動計画の改定も見込まれております。
 一方、今回新たに設けられた補充的指示権は、あくまでも個別法の規定では想定されていない事態に対処するために創設されたものです。
 したがいまして、感染症法のような個別法の規定で想定されている事態については、御指摘のとおり、個別法の規定に基づいて対処されることになるものと考えております。
〇45番(佐々木順一君) 想定しないことは何なのかとなると、例えば隕石が落ちてくるとか、そういうことしか考えられないわけでありますが、そのようなことを言っていたら法律そのものがおかしいことになると思います。
 それでは、総括的なことについて、この件について知事にお伺いいたします。
 まず、何よりも立法事実を踏まえたものになっていないことは大問題であります。内容もさることながら、地方自治法に特例として設けること自体、不見識と言わざるを得ません。地方自治法に一般的、包括的に補充的指示権の付与を位置づけることは、国と自治体は対等の関係にあるとの原理や国の関与の法定主義などこれまで積み上げてきた地方分権改革の成果を根底から否定するものであります。しかも、指示権の要件が極めて抽象的であり、かつ広いものになっております。国はこれを根拠に自治事務に対する不当な介入を誘発するおそれは否定できません。
 例えば、過疎地域の自治体は行政能力が低いので大きな近隣の市に事務を委託するよう指示することも可能になります。実質的には超法規的措置の創設であり、措置の内容も白紙委任と言わざるを得ませんが、これらの指摘に対し知事はどうお考えでしょうか。
 あわせてお伺いいたしますが、社会において法律が予定していない想定外のことは必ず起こります。その場合、対応策を決断し、実行に移し、結果責任をとるのが政治であり、具体的に言えば、国では内閣総理大臣が、地方自治でいえば首長の務めであると思いますが、御見解を求めます。
〇知事(達増拓也君) 国民の安全に重大な影響を及ぼす事態として、速やかな国の行動が求められる場合がある一方で、地域の状況に応じて地方自治体が対応すべき場合が想定されます。
 このような中、国の指示権については、指示が現場の実態に合わない場合や、地方自治体の権限を強化したほうが効果的な場合も想定されることから、個別の法令ごとに非常事態を想定し、対応できるよう規定を整備するべきと考えます。
 また、非常時において、法律の想定外の事態が発生し、個別法を改正するいとまがないときにおいても、法律で予定されている事態である場合と同様、住民の生命、財産を守るため、速やかに対応策を決断し、対処する責任が国、地方自治体にあることは佐々木順一議員御指摘のとおりであります。
 法律により指示権が付与されていなくても、東日本大震災津波や新型コロナウイルス感染症でもそうしてきたように、現場の状況を正確に把握し、最善と思われる対策を住民や国、市町村、関係機関と共有し、相互理解の上で協力して対処することが非常時には大変重要であり、そのようにリーダーシップをとることが首長の務めであると考えます。
〇45番(佐々木順一君) 残念ながら、法律は成立いたしました。指示権を行使しなければ実害はないと楽観視する方もおりますが、この法律が存在すること自体、自治体の萎縮や政策の質の低下を招くと思います。
 最近の水俣病問題に対する環境省の非常識な対応を見るまでもなく、永田町や霞が関の力量、対話能力は格段に落ちており、案件によっては法律を乱用してまで事を成し遂げようとしております。
 沖縄県名護市辺野古の埋め立て承認問題がいい例です。埋め立て承認は公有水面埋立法に基づく法定受託事務でありますが、国は本来、国民の権利や利益を守るための行政不服審査法を濫用し、また代執行をしております。法定受託事務を代執行によって沖縄県の意思を覆したということは前代未聞であります。禁じ手そのものであり、しかも、法律のあり方までゆがめて目的を達成しようとしているのが今の政権の実態でもあります。この事例を踏まえると、今般制定された指示権を根拠に、国が地方自治体に安易に介入してくることは想像にかたくないところではないでしょうか。
 ついては、国の不見識な介入を阻止するためにどう対応されるのか、今度創設された指示権を廃止することがベストであると思いますが、知事の御見解をお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 平時から個別の法令ごとに非常事態を想定し、対応できるよう規定を整備するなど準備を進めていくべきと考えております。
 また、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態が発生した場合には、まずは、何にどのように対応する必要があるのか、国と地方自治体が情報共有など連携を密にし、ともに取り組んでいくことが重要と考えております。
 こうしたことから、全国知事会では、やむを得ず、国が補充的な指示の行使をする場合であっても、指示は、地方の自主性及び自立性に配慮し、必要最小限とすること、国と地方自治体との間で事前に十分な調整を行うこと等を求める声明を出しておりまして、衆参両院においても同様の内容を盛り込んだ決議を付していることから、引き続き、事前に地方自治体と十分に協議するよう、国に対して全国知事会等とも連携し、強く働きかけたいと思います。
〇45番(佐々木順一君) それでは、関連してふるさと振興部長にお伺いします。
 行政需要がますます高まってくる一方において、人口減少社会を反映し、県内の基礎自治体は職員不足に陥っております。県も基礎自体の行政能力の維持、確保のため、県職員の派遣はもとより事業の共同化などに努めているところでありますが、県と市町村は対等な関係にあるとの意識を持って常に作業に当たらなければ、そのうち県が市町村を従属させるようなことが起きる可能性は排除できないと思います。
 県と市町村の健全な関係を維持しながら、市町村との連携をこれまで以上に強化しなければならないと思いますが、どのように取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。
〇ふるさと振興部長(村上宏冶君) 人口減少の影響等による職員不足や、複雑多様化する住民ニーズに対応するためには、県と市町村との対等な関係のもと、連携して取り組みを進めることが重要と認識しています。
 県ではこれまで、電子申請システムの共同利用や滞納整理機構による事務の共同処理、副市町村長の派遣や職員の相互交流などを実施してきたほか、今年度から新たに専門職員の派遣などによる人的支援と、地域経営推進費を活用した財政支援を一体的に行う仕組みを設けるなど、市町村と連携した取り組みを進めているところです。
 今後におきましては、さまざまな機会を捉えて、市町村からそれぞれの課題やニーズを丁寧に聞き取り、一層の意思疎通の強化に努めるとともに、これまでの取り組みのさらなる発展を目指しながら、県と市町村との連携の強化を図ってまいります。
〇45番(佐々木順一君) くれぐれも対等、平等というと原則をしっかりと堅持して、共同で作業に当たっていただくように重ねて要望申し上げたいと思います。
 次に、ILC―国際リニアコライダーについてお伺いいたします。
 ILCの誘致については、平成元年、1989年、中村知事時代の大型放射光誘致の失敗を踏まえまして、県は大型科学技術プロジェクトなどの情報収集活動に着手、工藤知事時代にILCの本格的内部調査を開始し、達増知事の1期目のときに誘致活動を本格化させ、今日に至っております。30年以上にわたる息の長い取り組みに心から敬意を表したいと思います。
 さて、若干古い話で恐縮でありますが、一昨年、素粒子物理学の重鎮、リン・エバンス氏は、岩手日報社のインタビューに対し、向こう1年で進展がなければ日本での計画はなくなるかもしれないと述べたと言われております。ついては、リン・エバンス氏にこのような強い危機意識を表明させた要因をどう分析されているのか、本県の取り組みが弱いのか、あるいは、政府の誘致に向けた熱意、意欲が乏しいのか、お答え願います。
〇ILC推進局長(箱石知義君) 佐々木順一議員御紹介のリン・エバンス氏は、ILC計画を長年推進し、北上山地の地質を理解し、建設候補地として適していると言ってこられた人物でございます。
 氏はインタビューの中で、政治レベルの進展も大事であるとし、以前、米国がILC計画の支持を表明したにもかかわらず、日本政府から前向きな提案がなかったこと、また、令和4年2月の文部科学省の有識者会議において、再度、ILC準備研究所への移行は時期尚早とされたことなど、日本が判断を先送りしていることに対し、このような発言をされたものと考えてございます。
 一方、記事では、意欲を示せば打開もと紹介されており、氏が日本でILCを実現したいという思いから、強い危機感とともに、日本に対する期待のあらわれ、叱咤激励の意味も込められているものと受けとめております。
〇45番(佐々木順一君) それでは、現在、この強い危機感は解消に向かっているのか、あるいは、深刻さがさらに強まっているのか。先般、東北ILC事業推進センター代表、鈴木厚人岩手県立大学学長は講演で、中国、欧州などの動向を踏まえ、2024年度内に日本政府から各国政府に対し前向きなメッセージを出すことが必須で、これが最後の機会になるだろうとの見解を示されましたが、現状についてどう認識されているのかお伺いいたします。
〇ILC推進局長(箱石知義君) リン・エバンス氏のインタビューの直後、令和5年度の概算要求におきまして、ILC関連予算がほぼ倍増の9.7億円となり、ILC国際推進チームの中田議長は、やろうという意識が見えると、これを評価いたしました。
 この増額されました予算を活用して、昨年から加速器に係る国際協働の研究開発、ILCテクノロジーネットワークの取り組みが進められております。
 一方、中国のCEPC―大型円形加速器の動きが加速し、早ければ2027年に着工との情報があり、また、欧州CERNでは、FCC―ee―次世代円形衝突型加速器の実現可能性調査の報告が本年度末に前倒しされ、また、次期欧州素粒子物理戦略も2025年度中に方向性が明らかになる見通しとなってございます。
 また、アメリカでは、昨年12月に、アメリカの今後10年の素粒子物理学の方向性を示す報告書、いわゆるP5報告書が公表され、日本のILCまたは欧州のFCC―eeのいずれかに貢献するとの方針が示されたところでございます。
 次期大型加速器をめぐる海外の情勢が大きく変化している中、日本の誘致判断に残された時間は少なくなってきており、研究者の取り組みと並行して、日本政府としても方針を示すことが重要であると考えております。
〇45番(佐々木順一君) にもかかわらず、直近の文部科学大臣の国会答弁は、国際的な費用分担や技術的成立性など、さまざまな課題が解決されるとともに、国内外の幅広い協力が必要である。欧州の関係国はILC計画に対する投資にかなり慎重な姿勢を示しているとの認識を示すとともに、必要な技術開発を着実に進めるとともに、国内外の研究者間においてしっかり御議論をいただき、合意形成を図ることが何よりも必要と述べております。
 やる気がないとは言いませんが、事務方に丸投げで意欲が感じられない答弁であることは否定できないところですが、県は文部科学大臣の答弁をどう受けとめておられるのか、危機感を持っていただくように働きかけなければならないと思いますが、お答え願います。
〇ILC推進局長(箱石知義君) 文部科学省は、将来加速器技術の研究開発の推進、そして、国際的な合意形成の議論など、一昨年の有識者会議の報告書に沿った対応が基本的なスタンスになっていると受けとめております。
 報告書に沿った研究開発等も重要ではございますけれども、先ほど説明したような国際的な動きを踏まえ、ILC実現に向けて、日本政府にはスピード感を持って国際的な議論を推進していただきたいと考えております。
〇45番(佐々木順一君) それでは、知事にお伺いいたします。ILC計画を長年進めてこられた高エネルギー加速器研究機構の吉岡正和名誉教授によると、欧米の研究者からは、何も決められない国かと厳しい目が注がれていると言われております。ただでさえさまざまな国際ランキングが下がり続け、国力が低下している我が国であります。ILC計画が頓挫すれば、日本の国際信用度はとんでもなく下がるだろうと、このように警告をしております。
 国際研究機関は平和の象徴でもあります。国際秩序が不安定化しつつある現状を踏まえると、今こそ日本が主導権をとり、ILCの本県誘致実現によって国際社会に貢献することは日本国憲法の理念にかなった取り組みであり、国内的にも次世代に引き継ぐ貴重な財産になるものと思います。
 こういう視点が政府にないことは残念でありますが、政府の早期表明に向け、どのような行動をとられるのかお伺いをいたします。
〇知事(達増拓也君) ILC計画は世界の研究者がその必要性、重要性を認めたプロジェクトであり、物質の根源の解明などの人類共通の課題に挑戦し、科学を通じた国際貢献、平和構築の場としての役割を果たすものと期待されています。また、日本でのILCの実現は、我が国が標榜する科学技術立国のシンボルとなり、総合的な安全保障にも資するものと考えております。
 建設候補地として世界に認められた北上山地を有する岩手県にとって、ILCの実現は使命であると考えており、これまで研究者の調査研究に対する支援、国民的な理解促進、機運醸成の取り組み、国への要望等を展開してまいりました。
 先般、6月7日には、来年度の政府予算要望において、私から関係省庁等に対し、ILC実現について要望しております。
 ILCを含むヒッグスファクトリーについては、アメリカのP5報告書の公表、中国のCEPCの動き、また、それを受けた次期欧州素粒子物理戦略の策定の前倒しなど、日本、欧州、中国の三つの計画の検討が同時に進められ、かつその動きが加速しており、検討に残された時間は少なく、今年度から来年度が山場と言われるゆえんであります。
 このような状況を踏まえますと、日本の政権であればILC建設を決断すべきであると考えておりまして、県としては、一日も早い政府の前向きな態度表明をしていただけるよう、県内外の推進団体等と一層の連携を図り、機運醸成の取り組みや国への働きかけを展開するなど、その実現に向けて全力で取り組んでまいります。
〇45番(佐々木順一君) それでは次に、農業問題についてお伺いしてまいります。
 25年ぶりに食料・農業・農村基本法が改正されましたが、最重要課題であった食料自給率の目標は、一度として達成されませんでした。また、農業政策の中心を大規模専業農家の育成と規模拡大に置きましたが、農産物価格の下落基調において規制緩和などの政策を追求した結果、国レベルでは農業生産額が減少し続け、農業所得の下落などにより、農業はもうからない産業となり、食料システムを脆弱にしてしまいました。
 本県においても、基幹的農業従事者の数は25年前と比較して半減し、高齢化も進んでおり、まさに危機的な状況にあるといえます。新旧を問わず基本法の政策目標は、食料、農業、農村を守ることにありますが、現状を直視することなく国は検証らしい検証もせずに法改正を行ったことは、極めて遺憾な取り組みと言わざるを得ません。
 旧法の趣旨を踏まえて、県も25年間にわたり岩手県農政を展開されてきたわけでありますが、どのように総括されているのか、今回の抜本的見直しをどう評価されているのかお伺いをいたします。
〇農林水産部長(佐藤法之君) 食料・農業・農村基本法の制定以降、本県では農業従事者の高齢化と基幹的農業従事者の減少が同時に進み、経済のグローバル化など農業を取り巻く環境が厳しさを増す中で、県では意欲と能力のある経営体の育成、収益力の高い食料供給基地づくり等に取り組んできたところであり、販売額3、000万円以上の企業的経営体の増加、農業経営体1経営体当たりの農業総産出額の増加、県オリジナル水稲品種の作付拡大や畜産物の生産拡大などの成果が見られるところであります。
 今般、基本法の制定から20年以上が経過して、世界的に食料需要が増加し、食料生産、供給が不安定化する中、国民に対し食料を安定的に供給できるよう基本法を改正したことは、一定程度評価できると考えておりますが、国においては、国民に対して、良質な食料の安定供給を確保するという基本的な責務を果たし、我が国の食料自給率を高めるよう取り組んでいくべきと考えております。
〇45番(佐々木順一君) 今般、旧法の食料の安定供給の確保が食料安全保障の確保に改められましたが、輸入の多角化を掲げつつ、依然として輸入依存の姿勢は維持したままになっており、旧法では前面に掲げていた食料自給率は後ろに追いやられる一方、有事の場合、罰則を設けて農家に強制増産を求める内容も関連法に盛り込まれるなど、余りにも現実離れした内容に農家は失望しております。お金を出せば食料をいつでも安く輸入できる時代はなくなっており、飼料、肥料、種苗などもほとんど輸入依存となっていることを踏まえると、今やるべき取り組みは、過度の輸入依存を脱却し、国内生産の増強に向け赤字で苦しむ農家を公的に支えながら、農業従事者をこれ以上減らさないように本腰を入れて取り組むべきではないでしょうか。
 国は法律改正を踏まえ、基本計画の策定に着手しておりますが、県は本県農業の振興に向け、どのような具体策を求めていくのか、農家あっての農業政策でありますので、このことも踏まえて農林水産部長の答弁を求めます。
〇農林水産部長(佐藤法之君) 基本法では、食料の安定的な供給について、国内の農業生産の増大を図ることを基本としており、我が国の食料供給の現場である地方と国が一体となって食料安全保障の強化に総力を挙げて取り組んでいくことが重要であります。
 このため、県では国に対し、今月7日に実施した令和7年度政府予算に対する提言・要望において、輸入に大きく依存する麦、大豆、飼料作物等の生産拡大に対する支援の強化など、国内生産の増大に向けた対策の一層の推進、再生産に配慮した適正な価格形成、取引を推進するための仕組みの早期構築や適正な価格形成に係る生産から流通までの関係者や消費者の理解醸成などについて要望したところです。
 国では、本年度中に、基本法に基づく食料・農業・農村基本計画を策定し、施策の具体化を進めることとしており、県としては、農業経営が安定し、本県農業が持続的に発展するよう、さまざまな機会を捉えて国に要望してまいります。
〇45番(佐々木順一君) 次に、国のみどりの食料システム戦略に関連し、お伺いいたします。
 2050年を展望した、国のみどりの食料システム戦略は、例えば、化学肥料の使用量30%低減や、有機農業の取り組み面積を100万ヘクタールに拡大など、長期目標を設定しております。
 これを踏まえ、県は、みどりの食料システム法に基づき、岩手県環境負荷低減事業活動の促進に関する基本的な計画を市町村と共同で策定し、所要の施策を展開しておりますが、同計画は4年間の実施計画になっております。
 CO2の削減など意欲的な目標を掲げている本県の取り組みを踏まえれば、実施計画以上の計画、すなわち今後25年を見据えた長期的な計画を策定すべきと考えます。また、有機農業に取り組む農家を国の環境保全型農業直接支払交付金により支援しておりますが、支援策の強化についてもお伺いいたします。
 関連し、今年度から試行的に始まっている環境負荷低減のクロスコンプライアンスについてお伺いいたします。
 この仕組みは、農林水産省の直接、間接を問わず、補助事業を受けている農林水産関係者などを対象に、農薬、肥料や温室効果ガスを減らすなど最低限行うべき環境負荷低減の実践を義務づけるもので、本格実施は3年後とされております。
 ついては、どのような手法で周知徹底を図っていかれるのか、また、対象者数や団体数をどう把握されているのかお伺いをいたします。
〇農林水産部長(佐藤法之君) 国では、みどりの食料システム戦略において、2050年を見据え、革新的な技術、生産体系の開発等を前提に、段階的に取り組みを進めることとしており、当面の対応として、直近5年程度の工程表を作成し、戦略を進めることとしております。
 県では、こうした国の取り組み方向などを踏まえ、県計画の期間を、いわて県民計画(20019〜2028)第2期アクションプランと合わせて4年間としたところでありまして、本計画に掲げた目標を確実に達成するよう取り組んでいきます。
 有機農業については、栽培技術の指導や、市町村が行う有機農業の産地づくりへの支援等に取り組むほか、今年度は、新たに有機農業等の実践者を育成する、いわてグリーン農業アカデミーを開講したところであり、有機農業などの環境保全型農業を一層推進していきます。
 クロスコンプライアンスにつきましては、例えば、中山間地域等直接支払交付金や農作物共済など、多くの農業者に加え、市町村、農協等も対象となり、県が全ての対象者を把握することは困難でありますが、農家座談会や事業担当者会議など、さまざまな機会を捉えて周知を図っていきます。
〇45番(佐々木順一君) もう一回聞きます。4年計画で実施して、長期計画は考えていないということでいいですか。
〇農林水産部長(佐藤法之君) 先ほども答弁申し上げましたけれども、現時点ではまず、今回策定いたしました基本計画に沿って取り組みを進めてまいりまして、その後の対応につきましては、国の動向とか技術開発の状況、こういったものも踏まえまして検討していきたいと考えております。
〇45番(佐々木順一君) 実施計画はマニフェストサイクルの4年という、これはこのとおりでいいのですが、せっかく岩手県も意欲的なCO2削減を掲げているわけでありますから、それにならって、例えば総合計画とか、それ以外の計画はないかもしれませんが、そういうところに位置づけていただくように御努力を御要望申し上げたいと思います。
 最後に、知事にお伺いいたします。
 先般、盛岡市内で開催されました参議院農林水産委員会の地方広聴会を傍聴してまいりました。それぞれの団体を代表する4人の公述人全員が戸別所得補償制度の復活を求めておりました。これは採算性がとれないから離農せざるを得ないという農家の今の窮状と実態を代弁したものと思っております。
 知事は全国知事会の農林商工常任委員長でもありますので、この際、バージョンアップした戸別所得補償制度の復活に向けまして、知事会などで議論をリードしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 このことをお伺いして、一般質問を終わります。
〇知事(達増拓也君) 世界的な人口増加等による食料需要の高まりや、気候変動による生産減少などにより食料生産への重要性が高まる一方、農業生産資材の価格高騰は依然として農業経営に影響を与えており、農業者が将来にわたり意欲を持って生産活動に取り組むことができる環境の整備が重要であります。
 現時点においては、農業経営のセーフティネットとして、自然災害による収穫量の減少や、農産物の需要変動による価格低下などの農業収入の減少を補填する収入保険制度等にとどまっており、今般の農業生産資材の価格高騰には対応していないところであります。
 このため、国においては、かつて実施された農業者戸別所得補償制度など、農業者が将来にわたり意欲を持って生産活動に取り組むことのできる何らかの支援策を検討すべきと考えます。
 県では、厳しい経営環境に置かれている農業者の状況を踏まえ、国に対し、収入保険や各種類似保険制度について、農業者のニーズや関係団体の意見を踏まえた見直しなどを要望するとともに、全国知事会の農林商工常任委員長として、国と地方の連携による持続可能で強固な食料供給基盤の確立に向けた提言を取りまとめ、総合的かつ効果的なセーフティネットの構築などを国に要望してきたところであります。
 日本の農業が危機的状況に直面している今、この岩手県からあるべき日本の農業の姿を実現するよう国に働きかけながら、全力を尽くしてまいります。
〇45番(佐々木順一君) 終わります。
   〔「関連」と呼ぶ者あり〕

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