令和6年2月定例会 第4回岩手県議会定例会会議録

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〇37番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。県民の切実な要求実現と県政の重要課題について、達増知事に質問します。
 冒頭、能登半島地震で亡くなられた方々に心からの追悼の意を表するとともに、被災された方々に心からのお見舞いを申し上げます。みずから被災しながら懸命な被災者支援の活動を行っている地元自治体を初め、応援に駆けつけている県職員や各分野の方々の活動に心からの敬意と感謝を申し上げます。
 本年2月17日、達増知事も岩手県の支援先である能登町に駆けつけたとのことでありますが、岩手県からの応援、支援の状況についてお知らせください。
 また、東日本大震災津波の経験と教訓を踏まえて、今後どのような支援が必要と考えているか示してください。
   〔議長退席、副議長着席〕
 物価高騰から県民の暮らしと営業を守ることは最も切実な課題であります。2023年の労働者の実質賃金は前年比マイナス2.5%となり、2年連続で減少しました。GDP―国民総生産は2期連続マイナスとなり、人口が日本の3分の2のドイツに追い越されてしまいました。失われた30年という長期にわたる経済の停滞は、岸田首相の言うコストカット経済によるものであります。
 何がコストカットされたのか。一つ、労働法制の規制緩和で非正規労働者が4割を占めるなど、人件費、賃金が削減されました。二つ、法人税が引き下げられ、大企業は510兆円を超える内部留保をため込みました。その穴埋めに、消費税の連続的大増税が強行されました。三つ目に、医療、介護、年金など、社会保障のあらゆる分野で制度改悪と負担増が繰り返されました。その結果、世界に例のない賃金が上がらない国、長期に経済が停滞した国になってしまいました。
 昨年12月に自由民主党及び公明党が発表した令和6年度税制改正大綱では、40年来進めてきた法人税の引き下げ政策が、投資の拡大や賃上げにつながらず、企業の内部留保を増加させただけで、意図した成果を上げてこなかったと、その失敗を認めています。失われた30年は自由民主党政治がもたらしたものというべきものではないでしょうか。
 失われた30年について、知事の認識と県民の暮らしと営業、地域経済にどういう影響を与えているか、具体的に示してください。
 以下の質問については、質問席で行います。
   〔37番斉藤信君質問席に移動〕
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 斉藤信議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、能登半島地震の被災地への支援についてでありますが、県では、国や被災自治体からの支援要請などの情報の一元化を図り、迅速かつ効果的な支援を行うため、1月5日に岩手県応援本部を設置し、職員派遣を初めとしたさまざまな支援を行っています。
 具体的には、1月6日以降、保健師等チームを初め、DMAT、県警広域緊急援助隊等を順次派遣し、その後も、応急仮設住宅建設地調査や漁港等の被害調査に当たる職員を派遣しています。
 また、本県が石川県能登町の対口支援団体となったことを受け、現地連絡員を派遣するとともに、住家被害認定調査や公費解体受付業務に当たる職員を市町村とともに派遣しています。
 物的支援としても、県及び市町村によるもののほか、民間レベルでも、被災地が置かれた状況を十分に考慮した支援が行われています。
 こうした支援のほか、石川県には復興計画の策定手法等に関する資料を提供するなど、本県だからこそできる支援を行っているところです。
 先日、私も被災地を訪問し、現地を直接確認したところですが、被害は甚大で、復興には中長期的な支援が必要と感じました。
 本県は、全国の自治体から多くの職員を派遣いただき、東日本大震災津波からの復興を進めてきました。
 能登半島地震の被災地でも、公共土木施設等の復旧、復興に当たる技術職員を中心に多くの人的支援が必要と見込んでおり、本県も全国の自治体と一体となって復興を支えていけるよう、被災地のニーズに応じた支援を行ってまいります。
 次に、失われた30年に対する認識等についてでありますが、議員御指摘のとおり、失われた30年の間、3回にわたる消費税増税を初めとした税負担増に加え、年金、医療、介護等の保険料の増加や、国立大学の授業料増加等に伴う子供1人当たりの年間教育費の増加など、国民負担がふえています。
 また、経済協力開発機構―OECDの調査によれば、2020年における日本の平均賃金は、先進国の下位に位置しているとともに、1990年以降、1世帯当たり平均所得金額は伸びておらず、国民負担の増加もあって、家計における可処分所得が減少してきている現状です。
 このような中、最近の消費者物価指数の内訳を見ると、食料や被服、家具、家事用品など、生活必需品の高騰が著しく、これが家計をさらに圧迫していると考えています。
 また、県が商工指導団体と連携して実施しているエネルギー価格・物価高騰等に伴う事業者の影響調査においても、光熱費や原材料費の高騰で利益が減少しているといった声が多く寄せられているなど、県民生活や地域経済への影響は、非常に大きいものと認識しております。
〇37番(斉藤信君) 国民の暮らし、経済、財政も大変な事態となっているときに、岸田政権が5年間で43兆円もの大軍拡を進めることは、暮らしも社会保障も犠牲にすることになりかねないと考えますが、知事はどう受けとめているでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 防衛費についてでありますが、我が国の防衛のあり方については、5年間で約43兆円といった金額ありきの極端な議論ではなく、国際情勢や近隣諸国との軍事バランスを調査、分析しながら、慎重な議論が進められるべきと考えます。
 今、東アジアで求められるのはむしろ軍縮であり、国内的にも、能登半島地震からの復旧、復興を第一に、物価高騰対策や構造的な賃上げ、子ども、子育て支援策の充実など、国民の生活を考えた政策を優先していくべきと考えます。
〇37番(斉藤信君) 同意見であります。
 具体的な物価高騰対策について質問いたします。
 さきの12月定例会で、59億円余の物価高騰対策が示されました。新規で物価高騰対策賃上げ支援金が、21億円の事業費で本年2月5日から申請の受け付けが始まっています。全国から高く評価されています。
 直近の申請状況はどうなっているでしょうか。申請企業の規模など特徴を示してください。
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) 2月5日の受け付け開始から2月19日までの約2週間で受け付けを確認した件数は、630件となっております。申請の詳細については、このうちオンラインによる申請414件のみの状況となりますが、申請額は1億6、000万円余であり、その内訳は、法人372件、個人事業主42件となっております。
 従業員規模別では、5人未満は81件、5人以上30人未満は206件、30人以上50人未満は49件、50人以上100人未満は44件、100人以上は34件となっております。
 業種別に見ると、件数の多いものから、建設業が99件、製造業が82件、卸売業、小売業が45件となっております。
〇37番(斉藤信君) 2月5日から始まって、2月19日段階で既に630件と、大変出だし好調です。特に、5人未満30人以下の中小、小規模企業が積極的に賃上げ支援に申請しているということを私は高く評価したいと思います。
 次に、県が実施しているエネルギー価格・物価高騰等に伴う事業者の影響調査では、知事の答弁でもありましたが、影響が継続している86%、債務の過剰感がある50.2%、価格が転嫁できていない71.5%となっています。
 事業者の影響調査の結果をどう受けとめているでしょうか。どういう対策が必要と考えているでしょうか。
 今年度実施された中小企業等事業継続緊急支援金は、大きな役割を果たしていると考えます。実績はどうなっているでしょうか。賃上げ支援とともに、物価高騰で打撃を受けている中小、零細企業への継続的な支援が必要だと考えますが、いかがでしょうか。
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) 昨年11月末時点で実施した事業者影響調査結果を見れば、エネルギー、原材料価格の高どまりの影響のほか、賃上げ原資の確保や人材不足への対応が求められているなど、県内中小企業者を取り巻く経営環境は、依然として厳しい状況にあると受けとめております。
 今後、県内中小企業者の経営を維持し、県内経済を活性化させていくためには、物価高騰に負けない県民の安定した暮らしの実現に向けて、中小企業者の賃上げを促進していく施策がより求められていると考えております。
 このような考え方のもと、さきの12月定例会において、物価高騰対策賃上げ支援金を予算化したところであり、また、令和6年度当初予算案において、今年度に引き続き、中小企業の生産性向上の取り組みを支援する中小企業者等賃上げ環境整備支援事業費補助を盛り込んでいるところです。
 これまで2度にわたって実施した中小企業者等事業継続緊急支援金の実績については、令和4年10月から令和5年3月を対象とした第1弾では、1万735事業者に対して11億4、555万円の交付実績、令和5年4月から9月を対象期間とした第2弾では、1万207事業者に対して11億227万5、000円を交付しております。
 物価等の高騰、高どまりによる影響が長期化する中にあって、この事業は、中小企業者の事業継続に少なからずの効果をもたらしてきたと認識しておりますが、先ほども答弁申し上げましたとおり、実質賃金をプラスにすることにより、物価高騰に負けない県民の安定した暮らしを実現し、地域経済を活性化させていくことが重要であると考えています。
 一方で、物価等の高どまりによる影響のほか、いわゆるゼロゼロ融資の返済を初めとしたコロナ禍による影響などを踏まえ、今後も、中小企業者のニーズに的確に対応した支援が必要であると考えており、国に対する働きかけなどを継続的に行いながら、さらなる支援についての検討を進めてまいります。
〇37番(斉藤信君) 最後のところでやっと先が見えたという感じでありますけれども、中小企業者等事業継続緊急支援金は、令和4年度補正が1万735件、約12億円、令和5年度実施したものが1万207件で11億227万5、000円です。令和5年度分は2度にわたって補正予算を組んだのです。いわば予想を超えてこれは活用された。それだけ切実性があったということでありますので、ぜひ、この事業継続緊急支援金の来年度早々の事業化を強く求めたいと思います。
 次に、新型コロナウイルス感染症第10波の感染拡大への対応について質問いたします。
 第10波の感染拡大との認識で、感染拡大の状況を具体的に県民に情報発信すべきですが、感染拡大の状況、クラスターの発生状況、入院患者の状況など示してください。
 県は、どのように情報発信してきているでしょうか。第10波が収束するまでは、せめて週1回はしっかり情報発信すべきと考えますが、いかがでしょうか。
〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 感染状況については、定点観測の患者数の増加が始まった令和5年12月以降の最大の数値で申し上げますと、定点報告数は2月14日公表分の18.07人、クラスター数は1月24日公表分の19件、入院患者数は1月25日の348人となっております。
 なお、最新の2月21日の定点報告数は12.40と減少を認めたところであります。
 県民に対する情報提供につきましては、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの5類移行後、定点医療機関における地域別、年代別の新規感染者数、クラスターの発生状況、入院患者数について、毎週水曜日に岩手県感染症情報センターのホームページで公表し、平時から最新の感染状況の発信に努めているところでございます。
 また、感染拡大時には、LINEなどのSNSも活用し、さらなる感染拡大防止の呼びかけを行っているほか、入院患者数の増加や医療従事者の欠勤状況等を総合的に判断し、医療の逼迫を未然に防止する観点から、記者ブリーフィングにより県民に対する注意喚起を行ったところであり、引き続き、適時適切な県民への情報発信に努めてまいります。
〇37番(斉藤信君) 野原企画理事、私は、第10波の認識ということを改めてお聞きしたい。
 本年1月以降、クラスターが90件発生しています。内訳は、高齢者施設45件、医療施設30件です。いわば、一番注意をしてやっているところで、これだけのクラスターが発生している。これは第9波並みです。医療機関はもっとふえていると言ってもいいぐらいの深刻な状況です。
 ネットで公開しているというだけでは情報発信にならないのです。新聞にも報道されないのです。第10波というのだったら、そういう感染拡大期にあるわけですから、どういう状況にあるかきちんと情報発信するべきだ。
 私が本年1月の盛岡地域県立病院運営協議会に行ったときに、県立中央病院の宮田院長が、第8波並みですと厳しい指摘をしておりました。そういう緊張感と情報発信がなければ、県民はどう感染防止対策をやればいいか伝わらない。改めてお聞きします。
〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) いわゆる第10波の感染状況については、昨年夏の第9波のピークが8月28日から9月3日だったのですが、定点報告数35.24人、クラスターの発生件数34件でしたので、おおむね6割程度の状況になっています。決して緩やかではない、医療がかなり逼迫したと我々も認識しておりまして、定点当たりの注意報値が10なのですが、10を超えた段階で感染症課長がブリーフィングを行いました。第9波の際には、保健福祉部長である、私から県民への注意喚起を行ったところでございます。
 記者ブリーフィングに関しましては、やはりめり張りをつけた、より訴求力の高い情報発信の手段であると考えておりまして、今後におきましても、こうした医療の逼迫の状況を見据えて、適時適切なタイミングで情報発信を行ってまいりたいと考えております。
〇37番(斉藤信君) めり張りをつけると言うけれども、1回しか記者会見していないのです。めり張りが全然ついていないではないですか。率直に言いますけれども、緊迫感が全然県民に伝わっていないです。だから、私が先ほど提起したように、第10波というのだったら、やはり第10波の感染拡大期には、せめて週1回はきちんと情報発信すべきだ。正面から受けとめてやってください。国が何もやめてしまった、それに追随してはだめだということを指摘しておきます。
 ウイルス量を正確に把握できる下水サーベイランスが2月から実施されています。始まったばかりですけれども、その結果と傾向を示してください。
〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 下水サーベイランスについては、令和6年度から実施する予定で準備をしていたところでございますが、今般の感染拡大を踏まえまして、この2月から、盛岡医療圏の人口の7割程度の汚水を処理する都南浄化センターからの採水により、週1回の頻度で調査を開始したところであり、初回の結果は、2月22日に岩手県感染症情報センターから公表したところでございます。
 今回の調査結果については、盛岡医療圏の新型コロナウイルス感染症の定点報告数が、調査を開始した第6週の22.42から第7週には14.37に減少した一方で、下水サーベイランスは、下水1リットル当たり2、484コピーから3、150コピーまで増加しており、今後、さらに分析を進めることとしております。
〇37番(斉藤信君) 昨年9月の第9波のときにこの実施を求めて、来年度からという話になっていましたけれど、これを前倒しでやったことは評価したい。
 まだ2回しか調査されていないのだけれども、2回目の調査でウイルス量が1.26倍になっているのです。ウイルス量を一番正確に把握できるのが下水サーベイランスだと私は思いますので、これは本当に継続して、その結果を踏まえて、しっかりした情報発信をやっていただきたい。
 ワクチン接種の効果がさまざまな研究で明らかにされています。昨秋以降のワクチン接種の状況はどうなっているでしょうか。
 3月末までは無料で接種できますので、しっかり情報提供して、希望者がワクチン接種できるように、特別に推進すべきと思いますけれども、いかがでしょうか。
〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 令和5年秋に開始しました接種の状況は、令和6年2月14日時点で県内人口の30.7%となっており、令和4年秋に開始した接種と比較しまして接種率が低い状況となっております。これは、令和5年5月8日から感染症法上の位置づけが5類感染症となったことや、これまでの接種と異なり、行政による接種勧奨の対象を高齢者及び基礎疾患を有する方に限定して開始されたことが要因と認識をしております。
 接種無料の取り扱いは令和6年3月31日をもって終了いたしますが、市町村では、今後希望される方に対しても接種が可能な数のワクチンを確保しているところであり、県では、市町村を通じて来年度からの定期接種について周知するとともに、3月末までに、みずからの意思で接種を選択できるように、特に高齢者等の重症化リスクの高い方への情報発信に努めてまいります。
〇37番(斉藤信君) 政府は、来年度からこれを有料にして、1回7、000円という話も出ています。ますますワクチンが受けられなくなりますから、まず3月末までしっかりやっていただきたい。
 感染予防効果、重症予防効果、あわせて最近は後遺症を軽減する効果もあると指摘をされていますので、そうした情報発信をしっかりやっていただきたい。
 そこで、後遺症対策が切実な課題であります。神奈川県では、独自の調査結果を公表しています。県の調査結果はどうなっているでしょうか。
 コロナ後遺症の専門外来と専門相談窓口を設置すべきと思いますが、検討されているでしょうか。
〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 令和5年12月に、県のLINEの公式アカウント岩手県新型コロナ対策パーソナルサポートに登録しておられる県民約16万人に対しまして、新型コロナウイルス感染症の罹患後症状、いわゆる後遺症に係る調査を実施いたしました。8、960人から回答が得られたところですが、結果の詳細については、今後の公表に向けて、現在精査をしているところでございます。
 県では、後遺症の症状に応じて受診できる医療機関の一覧を県医師会と連携して作成し、県ホームページにおいて地域別、診療科別に確認できるようにしているほか、一般相談窓口でありますいわて健康フォローアップセンターなどによりまして、症状に応じて医療機関の受診を案内するなどの対応を行っております。
 また、後遺症も含めたさまざまな病気を抱えた方が、治療と仕事を両立できるように、独立行政法人労働者健康安全機構が運営する岩手産業保健総合支援センターにおいて、相談支援を行っているところであります。
 今後におきましても、県医師会及び医療機関等と連携いたしまして、後遺症に悩む方々に対する円滑な受診や治療等の支援に取り組んでまいります。
〇37番(斉藤信君) 新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが昨年5月8日以降、5類に移行して、新型コロナウイルス感染症対策の補助金が大幅に削減されています。5類に移行しても、その後、第9波、第10波と感染拡大が続いています。医療機関では院内クラスターが発生し、以前と同じように防護具等の着用で緊張した取り組みが継続しています。
 ところが、新型コロナウイルス感染症関連補助金が削減されて大幅な減収を強いられています。その状況をどう把握されているでしょうか。新型コロナウイルス感染症関連補助金の復活を全国知事会等で強く求めるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 国におきましては、新型コロナウイルス感染症の5類移行後、医療提供体制を通常の体制に移行するため、医療機関への補助金等の支援を段階的に縮小、重点化しているところであります。
 令和5年11月に公表された医療機関経営状況に係る国の調査によりますと、令和4年度における一般病院の収支は平均で4、000万円余の黒字ですが、新型コロナウイルス感染症関連補助金の収入を除きますと2億2、000万円余の赤字であるとの結果が示されております。
 通常の医療体制への移行後は、医療機関の感染対策に係る経費については、補助金等による支援から診療報酬による対応となり、令和6年度の診療報酬改定では、感染症患者の入院に係る感染対策に対する新たな加算の創設等が検討されております。
 こうした国の制度改正が医療機関の経営に与える影響については現時点では予測が難しいところではありますが、県では、引き続き、県医師会や医療局を通じて医療機関の状況把握に努め、必要に応じて全国知事会等を通じて国へ要望してまいります。
〇37番(斉藤信君) 次に、県立病院の課題について質問いたします。
 2月22日に、令和5年度岩手県一般会計補正予算(第6号)等が提案されました。それによると、県立病院の令和5年度の収支は約39億円の赤字となっています。昨年度が23億円の黒字でしたから、異常な赤字転換だと言わなければなりません。
 直接的には新型コロナウイルス感染症関連補助金の削減だと思いますが、新型コロナウイルス感染症感染、クラスター等の影響はどうなっているでしょうか。赤字の主な要因は何でしょうか。
 全国の県立病院も同じような影響を受けていると思いますが、他県等の状況をどう把握しているか示してください。
〇医療局長(小原重幸君) 県立病院におきましては、令和5年度も新型コロナウイルス感染症の感染拡大が継続的に発生し、いわゆるクラスターも本年1月末までに30件以上発生するなど、診療制限を余儀なくされ、通常の診療体制への移行が困難な状況が続いたところであります。
 こうしたこともあり、患者数がコロナ禍前の水準に戻っておらず、病床利用率が上がらなかったため、医業収益が当初の見込みに届かなかったところであります。
 また、地域医療を提供していく中で、給与改定等による給与費の増加や薬品費等の材料費の増加、燃料費等の物価高騰による支出の拡大が続いたため、医業費用では増加しているところであります。
 こうした収益の減少と費用の増加による医業損益の悪化に加え、新型コロナウイルス感染症入院施設等確保事業費補助金等の新型コロナウイルス感染症関連補助金が前年度から42億円余減少するなど、医業外収益も減少するため、39億円余の赤字を見込んだものでございます。
 他県の経営状況についてでありますが、まず、収益を左右する患者数の動向につきましては、厚生労働省の調査によりますと、最新の取りまとめデータである令和5年11月期で、県立病院を含む全国の病院の1日平均入院患者数は、4年前の同じ時期と比較しまして92.1%と、およそ1割程度減少したままの状況であり、患者数は、本県のみならず全国的に依然としてコロナ禍前の水準に戻っていない状況であります。
 このような状況から、入院収益等の医業収益が伸び悩む中、全国的な燃料費等の物価高騰や人事院勧告等を踏まえた給与費の引き上げ改定などにより支出の拡大が避けられない状況となっていること、加えまして、空床確保等の新型コロナウイルス感染症関連補助金の見直しにより国からの補助額も減少していることが重なり、全国的にも非常に厳しい経営状況と伺っているところであります。
〇37番(斉藤信君) 県立病院の4月から1月までのクラスターの発生状況は、令和4年度は36件でした。令和5年度は31件、ほとんど変わらないのです。感染症法上の位置づけが5類に移行しても変わらない。そして、クラスターが発生すると、今、答弁があったように、入院規制をしなくてはならない。受診抑制にもなる。
 そして、令和4年度は、新型コロナウイルス感染症関連補助金は60億円だったが、令和5年度は18億円に減少してしまった。まさに国の施策で、岩手県立病院だけじゃない、全国の公立病院、民間病院も含めて大変な事態になっているのだと私は思います。
 ですから、これは本当に、基本的には国の責任で病院経営が成り立つように、強く全国と連帯して求めるべきだと私は思いますけれども、いかがですか。
〇医療局長(小原重幸君) 先ほど申しましたように、他県の状況等を伺っている中でも、全国的にかなり厳しいという状況もございますので、これらの状況をしっかり分析させていただきまして、必要に応じて、公益社団法人全国自治体病院協議会等を通じまして、国にも要望する必要があろうかと考えているところでございます。
〇37番(斉藤信君) 知事は、昨年の知事選挙で、全県的な医療提供体制と県立病院の体制の一層の充実を図りますと公約され、大きな支持を集めました。
 県立病院の役割、今の危機的状況をどう打開し、県立病院の充実をどう図っていくのか示してください。
〇知事(達増拓也君) 本県においては、医療資源の状況から県立病院が初期医療の役割も担うなど、県民福祉の増進のため、最も重要な社会基盤を県が直接県民に提供してきたところであります。
 公立病院を取り巻く経営環境が厳しさを増す中、県立病院としても、入院患者の積極的な受け入れや、令和6年度診療報酬改定に対応した上位・新規施設基準の取得等、みずからの経営改善を進めるとともに、国に対しては、地域医療の確保における公立病院の重要性に鑑み、公立病院の運営に配慮した地方財政措置の拡充等を訴えていく必要があると考えております。
 こうした取り組みにより、持続可能な経営基盤を確立し、人口減少や医療需要の動向、医療の高度、専門化などの環境の変化に応じて、役割や機能を見直しながら、引き続き、県立病院が県全体の医療提供体制の中で主要な役割を果たしていく必要があると考えております。
〇37番(斉藤信君) 県立病院は県民の命と健康を守る地域医療の拠点でありかなめでありますので、厳しい状況の中でこれを必ず守り抜く、知事の積極的なイニシアチブを期待するものであります。
 次に、県立大船渡病院の看護科における超過勤務が激減している問題について質問します。
 4月から12月末までの看護科における超過勤務時間は、1人月平均で昨年度は12.9時間に対し、今年度は3.5時間と4分の1近くに激減しています。
 先日、直接看護師から実態を聞いてきました。状況は何一つ変わっていませんと、切実な声が寄せられました。なぜ改善されていないのでしょうか。
〇医療局長(小原重幸君) 県立大船渡病院看護科の超過勤務の減少につきましては、まず、患者の動向として、入院患者数、外来患者数ともに減少していることも要因の一つと考えており、看護師のほか、医師の超過勤務についても減少しているところであります。
 大船渡病院では、長時間労働の是正や休憩時間の確保など、法令遵守の徹底を初め、職員のワーク・ライフ・バランスや健康保持を図るため、業務による職員の拘束時間を必要最小限とすること、次の勤務時間までのインターバルを十分に確保することを目指した取り組みを進めてきているところであります。
 一方で、超過勤務の申請がしづらい雰囲気があるという話を受けまして、申請されていない超過勤務を確認して手当を追給し、令和5年12月にも院長通知を発出して、超過勤務の申請、休憩時間の確保、勤務開始前及び勤務終了後の打刻の徹底、働きやすい職場環境づくりなどについての取り組みを進めているところであります。
 引き続き、職員負担の軽減と超過勤務の縮減につきまして、職員の一層の理解と共感が得られるよう丁寧に取り組みながら、働きやすい職場環境づくりを進めていきたいと考えているところであります。
〇37番(斉藤信君) 本当にずれた答弁でした。県議会9月定例会でも12月定例会でも同じ答弁を私は聞いた。
 そこで、なぜ超過勤務の申請ができないのか。リアルな実態を紹介します。
 院長名で超過勤務を正しく申請するように通達が出されても、職場の雰囲気が許さない。総看護師長に、コーディネーターだから超過勤務を書かないでと言われる。超過勤務になることを伝えると、何が残っているの、時間管理がなっていないと総看護師長に追い回される。申請しようとすれば責め立てられ、超過勤務の申請をせずに打刻して業務を行っていれば、いつまで残業しても何も言われない。休憩時間の超過勤務は申請されていません。それは労働基準法違反になるからです。
 これが実態です。医療局長は、こうした実態を聞いていますか。
〇医療局長(小原重幸君) 超過勤務の状況等につきましては、大船渡病院において、総看護師長等との面談や追加申請の報告のあった職員から聞き取りを丁寧に行い、その状況について把握してきたところであります。
 病院の面談においては、超過勤務を申請しづらい雰囲気があるといった声のほか、改善の取り組みにより、定時で帰れるようになった、職員配置の見直しにより、休憩時間を確保できるようになった、また、時間や効率化を意識して業務に取り組むようになったなどの声も伺っているところであります。
 議員御指摘のような声につきましても、引き続き、詳細を確認しながら、働きやすい職場環境づくりに向けた取り組みを丁寧に進めていきたいと考えております。
〇37番(斉藤信君) 私は何度も具体的な実態を示しているのではないでしょうか。12月定例会の本会議での答弁で、知事は、私の意見を踏まえて対応しなさいと答弁したのです。
 そこで、12月定例会の本会議での私の関連質問に対して、医療局長はこう答弁しました。職員からの超過勤務の追加報告では、約半数が勤務時間の打刻外の超過勤務になっており、勤務終了後の勤務記録の業務や勤務開始前の情報収集など、ほぼ毎日短時間で行っている状況が見られた。いわば、打刻してから仕事しているのが半数だった。それも、300人の看護師のうち60人しか申請していないのです。怖くて申請できない、こんな異常な事態になっているのです。
 勤務終了の打刻後に残業を行っている事実を認めたことになります。労働基準法に反する事態ではないでしょうか。全ての看護師を対象に徹底して調査すべきではないでしょうか。
〇医療局長(小原重幸君) 超過勤務の時間管理についてでございますが、適正な労務管理、職員の健康管理を行うためには、職員の在院時間を正確に把握することが必要と考えており、令和3年度から勤務管理システムを導入し、出退勤時刻と勤務時間の記録を客観的に把握しているところであります。
 その上で、時間外に行う超過勤務については、事前命令、事後確認の手続の原則に基づき、必要な超過勤務はしっかりと認め、事後報告につきましても、その内容を確認しながら認めております。
 大船渡病院において、今回の超過勤務の追加申請に当たり、病院内全ての看護師に対して、申請がされていないものがあれば申請するよう通知し、その結果、60名からの追加申請があり、内容を確認した上で適切に追給の手続を行ったところであります。
〇37番(斉藤信君) 私は、2月19日に院長にも会ってきました。院長は超過勤務を申請しなさいと通知を出しているのです。しかし、看護科だけはそれができない。わかりますか。事前申請といっても、認めないのだから、申請する状況に看護科はないのです。院長の通達も看護科には伝わっていないのです。わかりますか、あなた。だから、たった60人しか申請しないのです。
 私はよく聞いてきた。打刻してから仕事をする、パソコンにその記録が残っています。調べればわかるのです。誰がどれだけ勤務しているか、調べたらいいじゃないですか。調べたら、どれだけ残業しているかわかります。
 私は、労働基準監督署にも行ってきた。労働基準監督署にも私の議会での質問と答弁を情報提供してきました。労働基準監督署も直ちに動くべきだと私は思うけれども、それを待たないでやらないと同じことになりますよ。
 県立遠野病院の事件というのは、同じ総看護師長によって起こされたパワハラ、超過勤務申請を認めないものでありました。遠野病院では、労働基準監督署の指導に基づいて、看護師88人中87人に2、424万円余の不払い労働分が支給されました。
 遠野病院の不払い事件の責任はどこにあったのか。また繰り返していいのか。医療局長の答弁を求めます。
 大船渡病院問題の解決には、人事を刷新すべきと考えますが、いかがですか。
〇医療局長(小原重幸君) 労務管理、超過勤務の適正な運用のためには、勤務時間や在院時間を正確に把握することが重要であり、先ほども御答弁申し上げたとおり、令和3年度からは、勤務管理システムを活用して、出退勤時刻と勤務時間の記録を客観的に把握し、その適正な運用に取り組んでいるところであります。
 また、超過勤務については、事前に命令して事後に確認するという手続の原則に基づき、必要な超過勤務はしっかりと認め、事後についても確認の上、認めているところであり、日ごろから業務の内容の把握、調整など適切なマネジメントを行い、職員の負担軽減やワーク・ライフ・バランスの確保、健康保持等が図られるよう取り組んでいきます。
 人事の取り扱いにつきましては、看護管理者としての役割、経験や実践能力等を踏まえながら、適材適所での配置となるよう対応してまいります。
〇37番(斉藤信君) 大船渡病院の総看護師長は、4年前、5年前に遠野病院で同じことをやった。23人が離職しました。障がい者雇用の看護師も泣く泣くやめました。こんな犠牲を大船渡病院で出してはならない。
 だから今、遠野病院の2、400万円余の不払いの責任はどこにあるか聞いたではないですか。同じことを大船渡病院で繰り返していいのですか。今、繰り返しつつあるのです。あなた方は、労働基準監督署が指導に入らなければ真面目に調査しないのですか。答えてください。
〇医療局長(小原重幸君) 遠野病院におきましては、タイムカードなどの勤務管理を行うシステムがない中で、看護科の業務の命令権者を初めとした管理者等が、勤務の実態を適切に把握できておらず、勤務時間管理が不適切であったことによるものと認識しているところでございます。
 このようなこともありまして、先ほど御答弁申し上げたとおり、令和3年度からは、勤務管理システムを活用して出退勤時刻と勤務時間の記録を客観的に把握し、その適正な運用に取り組んでいるところでございます。
 引き続き、勤務時間の把握に適正に努めてまいりたいと考えているところであります。
〇37番(斉藤信君) 大船渡病院の院長は、超過勤務した分は申請してくださいと通知した。しかし、看護科はそれができていないのです。院長の指示が看護科は通らないのです。こんな異常な事態を医療局長はわかっていますか。
 その総看護師長を大船渡病院に配置したのはあなたです。あなたの責任は厳しく問われます。いかがですか。
〇医療局長(小原重幸君) いずれ、人事につきましては、看護管理者としての役割、経験や実践能力等を踏まえながら、適材適所での配置となるよう、これまでも配置してきたところでございますし、引き続き、そのような形で適切に配置してまいりたいと考えているところでございます。
〇37番(斉藤信君) 職員が本当に誇りを持って仕事ができる、これは県立病院の運営の方針ではないですか。このようなパワハラや強権的な管理が横行するようではだめだ。そのことを改めて。そして、これから厳しい局面になります。率直に言いますけれども。
 次に、県立不来方高等学校、県立盛岡第一高等学校事件の検証と再発防止についてお聞きします。
 不来方高校のバレー部員の自死事件と同じ顧問教諭による盛岡第一高校での暴言、暴力事件の検証を踏まえて、再発防止岩手モデルの策定を目指す策定委員会が、ことし1月の開催を含めて11回開催されました。しかし、不来方高校自死事件の前段となった盛岡第一高校事件の学校、県教委の対応に関する検証は、一向に進まず経過してきました。それは、県教育委員会が顧問教諭の暴力、暴言を容認してきた加害者側からしか調査してこなかったことによるものであります。
 その結果、策定委員会の外部委員が7人いますが、5人の外部委員の連名で、昨年10月31日付で、盛岡一高事件に関する調査検証委員会設置を求める要望書が、県教育長宛てに提出される異常な事態となりました。10項目に及ぶものでありますが、その内容を示してください。
 なぜこんなことになったのか。教育長は、この外部委員の要望書をどう受けとめ対応しようとしているか、答えてください。
〇教育長(佐藤一男君) 要望書におきまして、再発防止岩手モデルの策定に当たっては、盛岡一高事案の解明ができない限り、十分な再発防止策とならない可能性も否定できない。他方、岩手モデルは早急に策定すべきである。従って、岩手モデルを完成させることを大前提とした上で、盛岡一高事案についての調査、検証は、モデルの策定から完全に独立させ、新たな調査、検証委員会を立ち上げ、実施することが望ましいなどと述べられております。
 県教育委員会としましては、再発防止に取り組むためには、みずからが当時の学校及び県教育委員会の組織的な対応を検証することが適当と考え、外部委員に具体的な方法等をお諮りしながら調査に当たってきたところです。これまでの調査によって、当時の対応として不適切だった点及びその要因が、相当程度明らかになったものと考えております。
 自死事案の御遺族は、早急なモデル策定を望まれており、その点については、外部委員も同じ意向であります。県教育委員会として、まず、岩手モデルの策定に全力を傾注してまいります。
 要望書への対応につきましては、岩手モデルの策定を踏まえ、今後判断してまいります。
〇37番(斉藤信君) 不来方高校のバレー部員の自死事件、その前段に、実は同じ顧問教諭による暴力、暴言事件というのが盛岡一高であった。それに対して、まともに学校や県教育委員会が対応してこなかった。裁判で争われて、盛岡地方裁判所も仙台高等裁判所も有罪判決です。
 しかし、それにもかかわらず、まともな対応をしてこなかった。10回も策定委員会をやって、なぜ外部委員の5人が連名で別に検証委員会をつくれと言っているのか。私が先ほど指摘したように、加害者側の学校、県教育委員会からしかあなた方は調査しないからです。遺族、被害者の実態、認識とはかみ合わなかった。そのことを真剣に反省すべきだと私は思います。
 この要望については、もう少し正面から受けとめて、この検証抜きに再発防止に魂は入らないではないですか。だから今、不祥事が次々と起こっているのではないですか。今年度の教職員の不祥事、特に体罰、暴力、暴言、セクハラの案件はどうなっていますか。
〇教育長(佐藤一男君) 今年度における教職員の不祥事事案による懲戒処分件数でございますが、令和6年2月15日現在で20件となってございます。そのうち、体罰、暴力、暴言にかかわる処分件数は5件、わいせつ事案が1件の計6件となっております。
 県教育委員会としましては、これまでも綱紀保持の通知、各種会議での注意喚起など、不祥事防止に向けたさまざまな取り組みを行ってきたところですが、一部の教職員において、コンプライアンス意識が十分に浸透していないと言わざるを得ないと認識しております。
 現在、策定を進めている再発防止岩手モデルでは、策定委員会での検討を踏まえ、例えば、児童生徒の人権を尊重した指導を行う旨の宣言書を教職員に提出してもらう、不適切な指導根絶に係る目標、取り組み方針を、学校経営計画の重点目標に示すことなどに取り組むこととしております。
 また、県教育委員会事務局に新たに服務管理監を設置し、教職員の不適切な指導等についての相談受け付けや事実確認、処分等に迅速に対応するほか、県教育委員会や学校における本モデルの推進状況や事案の対応状況について、外部専門家による点検を定期的に行うこととしております。
 岩手モデルを策定した後は、あらゆる機会を通じてモデルの取り組みの徹底を図りながら、不祥事を起こさない、起こさせない職場風土の醸成と教職員一人一人の意識改革に学校、県教育委員会が一丸となって取り組んでまいります。
〇37番(斉藤信君) 引き続き、文教委員会でもこれは取り上げていきたいと思います。
 県立盛岡みたけ支援学校の通学バス問題についてお聞きします。
 県立盛岡みたけ支援学校高等部の通学バス運行の要望が、昨年5月22日、高等部進学を希望する保護者等によって教育長になされました。そのときの教育長の回答は、一生懸命検討してまいりますということで、大いに期待しておりました。
 ところが、ことし1月末になって、新年度からの通学バスは実施しないとの回答をいただき、保護者は本当にがっかりいたしました。その理由は、高等部通学への通学が困難となるのは1名のみで、就学奨励費を活用したタクシー利用で対応するとのことでした。このことを保護者に伝えると、通学バスの利用を要望しているのは1名のみではないとの声が寄せられました。
 盛岡みたけ支援学校の校長にもお会いして実態を聞きました。高等部の生徒の通学実態は、37名中21名が保護者の送迎、放課後デイサービス利用が3名で、合わせて65%を占めています。保護者の方々が独自に高等部での通学バスの要望を調査したら、新入生の保護者5名、在校生の保護者2名が通学バスの利用を希望していました。
 このことを踏まえて、2月9日、緊急に新学期からの高等部での通学バスの実現を求める教育長への再度の要請を行いました。教育長は、これまで学校と県教委で相当程度検討してきた、現時点でそのめどが立っていないが、検討は引き続き進めていきます、我々は最善の努力を続けますと答えられました。
 その後の検討状況と通学バスの見通しを示してください。誰ひとり取り残さない、この立場で新学期からの実現を求めますが、いかがでしょうか。
〇教育長(佐藤一男君) 本年度、盛岡みたけ支援学校小学部、中学部の保護者有志の皆様から、盛岡市青山に所在する高等部へのスクールバス運行に関する要請を2度いただきました。
 これまで、高等部の立地場所や公共交通機関の状況など、生徒の通学環境なども踏まえ、学校と教育委員会において通学支援の方法等について検討を重ねてきましたが、バスの運行には、対応する人員や学習時程、経費などさまざまな課題が認められました。
 そういった中で、障がいの程度や特性により自力での通学が困難で、かつ、家庭の事情により保護者送迎が難しい中学部3年の生徒が1名おいででしたので、その通学を保障するため、令和6年度については、個別の通学支援として、特別支援教育就学奨励費を活用し、タクシー利用で対応することとしたものであります。
 今後も、これまでの検討経過や課題を踏まえつつ、他の事例なども参考にしながら、通学バスの運行を含め、通学支援のあり方について、引き続き、多角的、総合的に検討してまいりたいと考えております。
〇37番(斉藤信君) 盛岡みたけ支援学校高等部は、さきほど言ったように、37名中、65%が保護者の送迎です。保護者がこれだけ送迎していたら、まともに仕事ができないではないですか。来年度22名が進学するのです。次年度も同じ規模で入学者がふえていくのです。
 バスに乗ることが教育なのです。県立一関清明支援学校は、通学バス2台を運行しているではないですか。なぜ、この保護者の切実な要望に応えられないのか。保護者にその責任を負わせるのか。それでいいのですか、教育長。来年度からの実施をまずは最大限努力する、しているということでいいのですか。
〇教育長(佐藤一男君) 先ほど申し上げましたとおり、これまでの経過や課題を踏まえつつ、他の学校の状況なども参考にしながら、この通学バスの運行を含め、通学支援のあり方について検討してまいります。
〇37番(斉藤信君) 来年度に向けてということでいいですね。首を振るか、うなずいてください。
〇教育長(佐藤一男君) この場でいつからということは申し上げられませんが、真摯に検討しております。
〇37番(斉藤信君) 特別支援学校の生徒にこそ、やはり教育のあり方が問われるのだと私は思うのです。さまざまなハンディキャップを抱えて、そして、保護者も一緒になって苦労している。そういうところに温かい手を差し伸べる、これが教育ではないでしょうか。
 ぜひ、ほかの支援学校ではやっているところがあるのだから、県立盛岡ひがし支援学校でもやっているのだから。なぜ、盛岡みたけ支援学校でやれないのか。そういう角度で決断をして、やるならどうすればいいか、すぐ解決します。ぜひ検討していただきたい。
 次に、県警察本部における不祥事と公安委員会のあり方について質問いたします。
 2019年1月28日、盛岡市内の勤務先において、盛岡東警察署員の自殺事案が発生しました。当時22歳の交番に勤務する巡査でした。私は、その直後の3月8日、2月定例会予算特別委員会で、若い警察官が署内で自殺した事件であり、パワハラ等がなかったのか、自殺の要因と背景を究明するようにただしました。
 結果的には、上司のパワハラと暴行によって自殺した事件であることが明らかになりました。遺族による労災認定の申請と公務災害が認定されました。損害賠償請求によって、8、310万円余の賠償を行う議案が昨年12月定例会で議決された事件であります。
 改めてこの自殺事件の経過を調べてみると、県警察本部の対応に重大な問題があることが明らかになりました。事件が発生した後、2019年3月25日、県警察本部は、上司であった元巡査部長を暴行罪で盛岡地方検察庁に事件送致するとともに、パワハラ行為によって本部長注意処分としました。この上司は、処分後の3月末に辞職しています。
 なぜ、若い警察官が上司のパワハラと暴行によって自殺に追い込まれたのに、急いで処分にもならない本部長注意としたのでしょうか。結局、辞職した上司に退職金を保障した、甘過ぎる、誤った対応ではなかったでしょうか。
〇警察本部長(高水紀美彦君) お尋ねは、調査が拙速に過ぎたのではないかという御指摘だと思います。
 当時の調査は、職場同僚、上司等の関係者から聴取、その他必要な調査を全て実施した結果、判明した事実とも照らし、事実関係を特定したものでございます。
 その中で、当時の調査結果からは、パワハラが自死の一因であることは否定できないものの、自死の唯一の原因を特定できず、新たな事実も出ないことから、事案の内容及び先例から適正に処分したものであります。
 必要十分な調査を行った上で適切に処分しており、拙速との御指摘は当たらないものと考えております。
〇37番(斉藤信君) 県警察本部から懲戒処分の指針というものをいただきました。こうなっているのです。セクシャルハラスメントまたはパワーハラスメントをすること、重大なものは免職または停職です。
 若い警察官が、パワハラと暴力によって自殺した。精神を患って自殺した。重大事件ではないですか。2019年3月25日に本部長注意をしたときに、あなた方は、暴力事件で盛岡地方検察庁に送付しているのです。パワハラも確認しているのです。なぜ、あわてて本部長注意などという中途半端な対応をしたのですか。あなた方の懲戒処分の指針から見たら免職か停職ではないですか。はっきり答えてください。
〇警察本部長(高水紀美彦君) まず、懲戒処分の指針でございますけれども、確かに懲戒処分の指針には御指摘のとおり書いております。ただ、事案の内容によっては、指針に定める懲戒処分の種類とは異なる処分を行うこと、懲戒処分とせずに、監督上の措置である訓戒等を行うこともあり得るという記載がございます。
 その中で、今回の事案につきまして、この懲戒処分の決定につきましては、行為の動機、対応、職責の内容、こういったものを総合的に考慮しておりまして、これは憶測に基づき処分できるものではないということでございます。今回のものにつきましては、まず、パワハラと認定した指導でございますけれども、これは、行為の動機として、業務上に関するものであること、つまり、いじめや虐待の意図によるものではないことが認められました。ただし、その中で、指導する理由があったものの、行き過ぎた指導であったということは認定されましたので、そういったものを考慮した結果、本部長注意という処分にしたものでございます。
 なお、罰金刑が科されたという御指摘でございますが、刑事処分につきましては検察庁の御判断であり、私どもがお答えする立場にはございませんし、刑事処分と懲戒処分とは連動するものではございませんので、今回のような結果となったものでございます。
〇37番(斉藤信君) 県警本部長の答弁、誰も納得しませんよ。22歳の若い警察官が上司のパワハラ、暴力によって自殺に追い込まれた事件です。それがなぜ本部長注意なのですか。もっと徹底した調査をすべきではないですか。だから、遺族は公務労災の申請をした。損害賠償請求までした。8、310万円を払っているのです。それが本部長注意で済むと思いますか。そんな調査しかできなかったら、県警察本部の調査はどの事件だってできないです、そんなことでは。反省すべきです。
 そこで、公安委員会にどのようにこの事件について報告してきたのか、公安委員会委員長にお聞きいたします。上司によるパワハラ、暴行によって若い警察官が自殺に追い込まれた事件について、公安委員会ではどう協議されたのでしょうか。若い警察官の命が奪われる重大な事件にもかかわらず、懲戒処分にもならない本部長注意でよしとしたのでしょうか。県警察本部にどのような指導をしたのかお聞きいたします。
〇公安委員会委員長(谷村邦久君) まず、答弁に先立ちまして、本県の警察官が上司のパワーハラスメントを受け、みずから命を絶ってしまったことにつきましては、公安委員会として極めて重く受けとめているところでございます。お亡くなりになられた警察官の御冥福をお祈りし、御遺族に対しまして謹んでお悔やみを申し上げます。
 まず、お尋ねの、公安委員会としてどのように協議がなされたのかにつきましては、警察本部からの報告に対し、自死原因究明の調査方法、職員の指導方法、再発防止対策などについて協議がなされたと承知しております。
 次に、本部長注意でよしとしたのかということにつきましては、当時の詳細な調査に基づき認定された事実から対処したものと報告を受けており、措置は適正であったものと承知しております。
〇37番(斉藤信君) 公安委員会というのは、市民の立場、市民の目線で警察を管理、指導するのです。全然市民の目線ではない。それだったら公安委員会は県警察本部の言いなりです。詳細な調査をしたというけれども、2019年3月25日の事件の直後、暴力事件で盛岡地方検察庁に送付して、パワハラで処分しているのです。1人死んでいるときに、本部長注意で済むなどということはあり得ないでしょう。市民の感覚ではあり得ないです。
 私は先ほど、不来方高校の自死事件について質問しました。顧問教諭による暴力、暴言でした。追い詰められて亡くなった。詳細な調査をした。処分に時間はかかったけれども、免職処分です。当たり前でしょう。それを、詳細な調査にもならないでたらめな調査で、間違った処分をしたと私は思います。今の公安委員長の答弁を県民が聞いたらがっくり来ますね。これが岩手県の公安委員会なのかと。この事件は徹底して検証すべきだと私は思います。いかがですか。ここで済まないと思いますよ。
〇警察本部長(高水紀美彦君) 徹底した調査をすべきという御指摘でございますが、まず、本件事案は、交番またはパトカー内という限られた空間の中で発生したものでございます。したがって、関係者も限定されることから、2カ月で十分な調査を行ったと認識をしております。
 前回答弁させていただいたと思いますけれども、聴取した関係者は合計で10名おりまして、その内容がほぼ一致したということで、事実の特定に至ったということを申し添えさせていただきます。
〇37番(斉藤信君) 私は何回も繰り返すつもりはないけれども、公務災害認定になって、これはパワハラ、暴力によって精神疾患を発症して、2019年1月28日に自殺に及んだという事件です。あなた方はこれを認定していますね。これが本部長注意になりますか。ならないでしょう。
 だから、この事件は徹底して今からでも検証すべきだ。8、310万円の県民の税金が損害賠償で払われているのです。その責任を自覚していますか。その首謀者が、本部長注意で退職金をもらってやめているのです。こんなのは県民が許さないと思います。
 もう一回だけ聞きます。検証すべきだと思いますがいかがですか。
〇警察本部長(高水紀美彦君) 本件につきましては、最初に申し上げましたが、しっかりと調査を行い、その結果、判明した事実をもとに、当時の基準で処分をしたものでございます。
 そして、その後、やはりこのような悲しい事案を二度と発生させてはいけないということで、県警察本部全体といたしまして、さまざまなパワーハラスメント防止対策を講じてきているところでございます。
〇37番(斉藤信君) 2019年3月25日に本部長注意をやってから、実は、公務災害申請され、認定され、損害賠償請求されて8、310万円を支払うことになったのです。本部長注意で済むような事件だったのですかと私は聞いているのです。違うでしょう。
 最後に、公安委員会委員長に聞きましょう。これは不来方高校の事案と同じように、きちんと検証すべきだ。なぜこういうことになったのか、公安委員会委員長に聞いて、この問題を終わります。
〇公安委員会委員長(谷村邦久君) もちろん、公安委員会としても重く受けとめていることは事実です。日ごろから、自死に至らないまでも、警察官のいろいろな不祥事というのは生じておりますので、それらを含めまして、今後、県警察本部と公安委員会等できっちりと議論していきたいと思っております。
〇37番(斉藤信君) それでは、次に、自由民主党のパーティー券、裏金事件と金権腐敗政治一掃の課題について質問いたします。
 しんぶん赤旗日曜版のスクープに端を発した、自民党の政治資金パーティーをめぐる巨額の裏金問題に、国民の深い批判と怒りが沸き起こっています。
 今回の事態は、自民党の主要派閥がそろって、政治資金パーティーにおける政治資金収支報告書を偽造していたという、自民党ぐるみの組織的犯罪であります。
 自民党の自主申告による極めて不十分な調査結果でも、85人の議員がキックバック、中抜き等の裏金を保有、使用していました。5年間分だけで5億7、949万円に及びます。何の目的で、何に使われたのかは全く不明であります。
 安倍派の場合は、2019年、2022年の参議院議員選挙の年には、パーティー券収入の全額がキックバックされていたことが明らかになっています。これは、選挙で裏金として使われたということではないでしょうか。公職選挙法違反となります。脱税の疑いも指摘されています。
 既に、3人の国会議員と安倍派、二階派、岸田派の会計責任者が、政治資金規正法違反で起訴されました。略式起訴については全て有罪が確定しています。徹底した真相の解明なしに裏金問題は解決できません。
 また、パーティー券は1枚2万円、飲食のないパーティーでも企業や団体は数枚から数十枚購入しています。事実上の企業団体献金であります。
 自由民主党ぐるみの組織的犯罪事件の真相究明とパーティー券を含めた企業団体献金の禁止こそ、金権腐敗政治を一掃する根本問題だと考えます。達増知事の見解を伺います。
〇知事(達増拓也君) 自由民主党の派閥の政治資金パーティー券をめぐる問題についてでありますが、まず、問われるべきは、問題になっている特定の団体や特定の個人が行ったことについて、事実関係を明らかにすることであり、岩手県議会12月定例会で可決された政治資金規正法違反疑惑の徹底解明を求める意見書においても、疑惑の徹底解明を求めています。
 また、今般の問題は、極めて特殊な事案であり、一般の政治団体や一般の政治家には見られない特有の行動を、特定の団体や特定の個人が行ったものであります。
 企業団体献金は、自由な政治活動という面もありますが、財力により政治をゆがませるおそれがあります。自由民主党のパーティー券、裏金問題については、議員御指摘のように、選挙で裏金として使われたとすれば、我が国の国政選挙及び地方選挙の正当性を覆すような大問題であります。
 今般の事案の規模の大きさ、期間の長さ、選挙を含む政治に与える影響の深刻さ、そして、世論調査にもあらわれているような国民の政治不信の甚大さを鑑みれば、自由民主党や関連する政治団体は、この際、法が定める以上の制限をみずからに課し、今後、企業団体献金は受けないとすることが日本政治の浄化につながるのではないかと考えます。
〇37番(斉藤信君) 岩手県議会は、知事が紹介されたように、政治資金規正法違反疑惑の徹底解明を求める意見書を採択いたしました。私は、自民党岩手県連も本部に対して声を上げるぐらいのことをやるべきだと、一言言っておきます。
 次に、自由民主党岩手県支部連合会の政治資金パーティー開催と政治資金報告書偽造疑惑について質問いたします。
 自由民主党岩手県支部連合会の政治資金収支報告書に重大な偽造の疑いを指摘いたします。
 2022年4月16日、自由民主党岩手県支部連合会は、盛岡市内で政治資金パーティーを開催しました。パーティー券収入は1、872万円、購入者数は936人と報告されています。これは購入者1人が1枚購入したということになっています。しかし、同じ報告書の中には、日本住宅株式会社が15枚30万円、日本都市開発株式会社も15枚30万円購入したとされています。岩手県薬剤師連盟はパーティー券3枚6万円を購入、全国たばこ耕作者政治連盟岩手県支部は7枚14万円購入したと報告しています。936人というパーティー券の購入者数は、偽造された虚偽の数ではないでしょうか。
 さらに、2022年のパーティー会場は、ホテルメトロポリタン盛岡ニューウイングと書かれているものの、会場費の支払い先は株式会社岩手ホテルアンドリゾートと記載されています。余りにもずさんな報告書ではないでしょうか。
 私の一般質問通告の後で、2月21日、自由民主党岩手県支部連合会は、2022年、2020年の政治資金報告書の修正申告を行いました。パーティー券購入者が2022年は936人から746人に190人減りました。2020年は948人から792人に修正されました。
 これは、虚偽報告を行ってきたことを自白する、認めるものではないでしょうか。選挙管理委員会委員長は、この修正申告をどう受けとめているでしょうか。
 政治資金規正法は、政治活動が国民の不断の監視と批判のもとに行われるようにするため、政治資金の流れを透明化し、民主政治の健全な発展に寄与することを目的とすると明記されています。政治資金収支報告書の虚偽記載については、5年以下の禁錮または100万円以下の罰金とされています。
 選挙管理委員会委員長に質問します。政治資金報告書の虚偽記載は、政治資金規正法違反に当たるのではないでしょうか。罰則の対象ともなるのではないでしょうか。
〇選挙管理委員会委員長(吉田瑞彦君) それでは、斉藤信議員の御質問に回答いたします。
 まず、斉藤信議員を初め、議員の皆様には、昨年の県議会議員の選挙におきまして県選挙管理委員会の選挙事務に御協力をいただいたことについて、選挙管理委員会を代表して感謝いたします。
 二つ御質問があったと思います。まず、修正申告をどう受けとめているのか、それから、罰則の対象になるのではないかということでございます。
 この修正申告につきましては、実は経緯がありまして、これは斉藤信議員みずから間違っているのではないかということを発見されたというところが端緒になっております。ここを説明したほうがいいかと思います。
 昨年12月26日に、斉藤信議員がこの収支報告書を確認されて、ホテルの名前であるとか対価の支払いをした者の数がおかしいのではないかということを指摘され、それを受けて、選挙管理委員会では、自由民主党岩手県支部連合会より、パーティーの対価の支払いをした者の数え方、カウントについて照会がありました。そして、それについて選挙管理委員会から回答いたしました。
 それに基づいて選挙管理委員会で、この政治資金パーティーの会場であるとか、それから、収支報告書の誤りがあるかどうかについて確認するように連絡をいたしました。2月13日に、その収支報告書を訂正したいと連絡があって、21日に訂正の提出があり、そして、2月22日に県選挙管理委員会は、変更されたデータの公表を行ったという経緯です。
 まず、選挙管理委員会は、どういう権限があるかということについてですけれども、収支報告書に関する県選挙管理委員会に与えられている権限というのは、政治資金規正法第31条に定められております。
 これによると、届出書類、報告書や添付書類の形式上の不備あるいは記載漏れなど、不十分なことについて審査する形式的な審査権となっており、個別具体的な事実に対する調査権は与えられておりません。
 この形式的な審査をして、もしこれに気づいた場合は、説明を求めたり、あるいは訂正を命ずることができるとされています。
 先ほどお話しした経緯からすると、斉藤信議員からの指摘を受けて、一応説明を求めると、確認を求めるという段階だったと思います。それについて、先ほどの経緯のとおり訂正が行われました。
 言うまでもなく、この政治資金収支報告書につきましては、政治資金規正法の規定にのっとり、事実に基づいて報告が行われるべきであるということは、余りにも明らかです。
 県の選挙管理委員会としては、この政治資金規正法に基づいて、提出された収支報告書を受理し公表するという立場で、今回の場合は、相手方から訂正の申し出がありましたので、それについても形式的な審査を行った上、速やかに公表を行ったということであります。
 ただし、先ほど言いましたように、個別具体的な事実関係について調査権限はありませんので、最初の収支報告書に記載があった人数であるとか、パーティー会場であるとか、これはそのまま速やかに公表を行ったということでありまして、修正申告をどう受けとめているかと聞かれましても、お答えはないと思います。
 選挙管理委員会としては、先ほど言いましたように、とにかく事実に基づいてきちんと報告していただきたいという立場であります。
 次に、虚偽記載について、これは罰則の対象になるのではないでしょうかという御質問です。
 まず、法律ですけれども、罰則については、政治資金規正法第25条第1項の各号の一つに該当する者は、5年以下の禁錮又は100万円以下の罰金に処するということで、同条の第1項第3号に、第12条第1項若しくは第17条第1項の報告書又はこれに併せて提出すべき書面に虚偽の記入をした者ということが書かれています。
 選挙管理委員会の委員長として言うべき立場ではありませんが、虚偽の記入と言っているので、これは明らかに故意犯です。故意に虚偽の記載を行ったということになりまして、もしそれが警察や検察の捜査によってそうだとなれば、それはまた罰則の対象になるということでしょうけれども、選挙管理委員会の立場におきましては、それが故意に虚偽であったかどうかということについて調査する権限はございませんので、これについては、選挙管理委員会の委員長としてお答えすることではないと思います。
〇37番(斉藤信君) いずれにしても、自由民主党岩手県支部連合会が2年後、4年後に修正申告をした。2年後、4年後に修正申告すれば罪を免れるということではないと思うのです。虚偽報告した事実は、逆に確認されたということだと思います。
 2年前も4年前も、購入者数は1人1枚のパーティー券を買ったという極めて機械的な報告なのです。本当にでたらめに報告している。会場が違っていたという、それほどずさんな報告だった。これは政治資金規正法に明確に違反します。
 あわせて、私が指摘しておきたいのは、2022年4月のパーティーは、コロナ禍で飲食なしのパーティーでした。1枚2万円は変わらず、会場費は133万円余となっています。2020年に開催した自由民主党岩手県支部連合会のパーティーは飲食ありでした。このときの会場費は153万円余でありました。ホテルの会場使用料を見ると、最大66万円です。2022年の会場費は余りにも過大ではないのか。これはきちんと釈明をしていただきたい。
 もう一つは、2022年のパーティー券、1、872万円の収入だったのですけれども、開催経費が381万円となっていました。しかし、中身を見ると、このうち165万円は、いわゆる県内支部にキックバックされている、還付金です。これは開催経費に当たらない。自由民主党岩手県支部連合会でも、恐らくパーティー券収入に応じたキックバックがされているのではないかと思われる事態であります。
 そうしますと2022年は利益率88%。パーティー券収入の88%は、丸々自由民主党岩手県連の収入になった。こういう企業、団体献金というのは本当に許されない。
 2022年の会計責任者は現職の県議会議員です。私は議会中にぜひ釈明をするように求めて終わります。ありがとうございました。(拍手)
〇副議長(飯澤匡君) 以上をもって斉藤信君の一般質問を終わります。
   
〇副議長(飯澤匡君) この際、暫時休憩いたします。
   午後4時4分休憩
   
出席議員(48名)
1  番 田 中 辰 也 君
2  番 畠 山   茂 君
3  番 大久保 隆 規 君
4  番 千 葉 秀 幸 君
5  番 菅 原 亮 太 君
6  番 村 上 秀 紀 君
7  番 松 本 雄 士 君
8  番 鈴 木 あきこ 君
9  番 はぎの 幸 弘 君
10  番 高橋 こうすけ 君
11  番 村 上 貢 一 君
12  番 工 藤   剛 君
13  番 小 林 正 信 君
14  番 千 葉   盛 君
15  番 上 原 康 樹 君
16  番 菅野 ひろのり 君
17  番 柳 村   一 君
18  番 佐 藤 ケイ子 君
19  番 高 橋 穏 至 君
20  番 佐々木 宣 和 君
21  番 臼 澤   勉 君
22  番 福 井 せいじ 君
23  番 川 村 伸 浩 君
24  番 ハクセル美穂子 君
25  番 高 田 一 郎 君
26  番 木 村 幸 弘 君
27  番 佐々木 朋 和 君
28  番 吉 田 敬 子 君
29  番 高 橋 但 馬 君
30  番 岩 渕   誠 君
31  番 名須川   晋 君
32  番 軽 石 義 則 君
33  番 神 崎 浩 之 君
34  番 城 内 愛 彦 君
35  番 佐々木 茂 光 君
36  番 佐々木   努 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 中 平   均 君
39  番 工 藤 大 輔 君
40  番 郷右近   浩 君
41  番 小 西 和 子 君
42  番 高 橋 はじめ 君
43  番 五日市   王 君
44  番 関 根 敏 伸 君
45  番 佐々木 順 一 君
46  番 岩 崎 友 一 君
47  番 千 葉   伝 君
48  番 飯 澤   匡 君
欠席議員(なし)
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   
午後4時23分再開
〇副議長(飯澤匡君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。木村幸弘君。
   〔26番木村幸弘君登壇〕(拍手)

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