令和6年2月定例会 第4回岩手県議会定例会会議録 |
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〇4番(千葉秀幸君) 希望いわての千葉秀幸です。今任期1回目の登壇の機会をいただきました先輩、同僚議員に感謝を申し上げます。
新年早々に、能登半島地震が発生いたしました。また、13年前には東日本大震災津波が発生し、今や自然災害は頻発化しているのが実態です。いつ、どこで、何が起きてもおかしくない今日、我々に求められることは備えであります。事前準備を万全にすることで、最小限の被害に抑えることができると考えます。また、それらは、各政策においても万全の準備をすることで、おのずと求める結果に近づけるのだと考えます。 そのような観点から、達増知事が進めるいわて県民計画(2019〜2028)の達成に向け、どのような成果につながるのか、私も一緒に頑張ってまいる所存でございます。 それでは、通告に従い質問に入ります。 初めに、人口減少対策についてお伺いいたします。 国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口によると、一昨年初めて80万人台を下回った出生数は、2043年に70万人を、2052年に60万人台を割り込み、2070年に50万人にまで減少すると予測されております。同じく、2070年の人口は約8、700万人で、2020年と比べて日本社会は約7割の規模にまで縮小します。 2012年に発足した安倍政権は、人口減少を食いとめ、維持するとの目標を立てました。2014年及び2015年の経済財政運営の改革の基本指針、いわゆる骨太の方針に、50年後にも人口1億人程度との目標を掲げ、待機児童解消のための保育所常設や、幼児教育、保育無償化などの対策を実行いたしました。 また、政府は2015年に、出生動向基本調査などに基づき、若い世代の結婚や妊娠、出産、子育ての希望がかなう場合に出生率が上がるという希望出生率1.8を打ち出し、実現を目指してこられました。 しかし、少子化の要因である晩婚化や未婚化をとめられず、最新のデータで計算し直すと、希望出生率は1.6程度に低下しているとの試算もあります。子供を産み育てたいという希望すら失われかねないのが現実で、1億人維持の目標は2018年の骨太の方針で消え、結果的に、政府の対策は失敗に終わったと言わざるを得ません。 大正大学の小峰隆夫客員教授は、1億人などの目標は破綻している。目標はあったほうがいいが、人口は減るものだと考えた上で、少子化スピードを緩めることを目指すべきだと述べております。 また、推計では、現在は総人口に占める割合が2%台にとどまる外国人が、2066年には10%台に達するという数値をはじき出したのも特徴であり、少子化による人口減を下支えする構造になっております。 少子高齢化は加速度的に進み、子供だけでなく、日本経済や社会保障制度の担い手である15歳から64歳の生産年齢人口も減っていきます。外国人の受け入れを含め、どのような社会を目指し手を打っていくのか。少子化対策にとどまらず、議論は待ったなしの状況が今もなお続いております。 本県においては、今年度、新たに第2子以降の3歳未満児の保育料無償化や在宅育児支援金の創設など、全国トップクラスの子育て支援策をスタートし、若者、女性の新規創業者の支援などにも取り組んでおられますが、未婚化、晩婚化や、若年層を中心とした転出超過が要因となり、本県においても人口減少に歯どめがかかっておりませんが、まずは、これらに対する県の分析結果と危機意識についてお示しください。 自然増減の推移を見ますと、出生数、婚姻件数ともに減少傾向であり、出生数は、平成29年が8、175人であったのに比べ、令和4年は5、788人、婚姻件数は、平成29年が4、755人であったのに比べ、令和2年に3、918人と急減しております。特に婚姻件数が令和2年に急減しておりますが、その要因は、新型コロナウイルス感染症の影響が大きいものと承知をしております。 新型コロナウイルス感染症が感染症法上の5類になったことから、今後、出生数、婚姻件数も増加あるいは横ばいとなるよう支援をしていくことが重要と考えますが、新年度の取り組みについて伺います。 そして、社会増減の推移でありますが、近年は、2018年のマイナス5、215人から2021年のマイナス2、731人まで減少幅が縮小した時期がありましたが、2023年にはマイナス4、653人と社会減においても歯どめがかかっていない厳しい状況であります。本県を転出される方々は横ばいですが、転入者が減少しています。 2月13日に行われた岩手県人口問題対策本部会議を通じて、知事は、今後どういう施策をもって改善に取り組んでいくのかお伺いいたします。あわせて、その期待される効果についてもお伺いいたします。 具体的に触れてまいります。 人口減少対策といっても、単に一つの政策によって解決できるものではありませんから、あらゆる要因を分析し、それぞれに対策を講じていくことが重要です。 その一つが女性の流出を防ぐことと考えます。本県は10代後半から20代前半までの女性の進学期、就職期の転出が顕著であり、特に20歳から24歳までの女性の転出は、コロナ禍で縮小したものの、1、000人を超える転出超過となっています。 令和6年度の取り組みとして、新たに産前産後サポート等利用促進事業、既存資源を活用した子どもの遊び場整備事業、いわて女性デジタル人材育成プロジェクト事業が盛り込まれました。 単に女性の流出といっても、年代別や転出理由等が多岐にわたっている中で、今回、何に焦点を当て、あるいは反映され、これらの政策に至ったのかについて知事にお伺いいたします。そしてまた、いつまでに、どの程度の成果を期待しておられるのかについてもお伺いいたします。 私は、多様化が求められる今日において、行政の支援に該当するかしないかと偏った施策ではなく、支援の選択を広げ、幅広いニーズに応じた支援を受けられることが好ましいと考えます。 令和5年度第2回岩手県人口問題対策本部会議の資料に貴重なアンケート調査がありました。県内大学生に対するアンケートで、婚姻後の理想のライフコースとして、仕事と家事、育児の両立が好ましいと回答された方は、男性87.8%、女性62.9%でありました。つまり、出産後、育児休暇が欲しい人、あるいは一定程度お休みになってから、早く働きたい人とそれぞれであります。 だとするならば、出産後に早目に仕事復帰を希望される家庭には、優先的に子供を預けられるだとか、かつ、その保育料を支援するなど、家庭の希望に沿った選択ができることで暮らしやすい岩手県につながると考えますが、こうした子育て支援の例に限らず、多様なニーズに応じた柔軟な施策対応についてのお考えはあるのか、所感を伺います。 次に、賃上げ対策についてお伺いいたします。 厚生労働省が今月6日に発表した毎月勤労統計調査によると、2023年の実質賃金は昨年と比べ2.5%減となりました。また、同日、総務省が発表した家計調査によると、2023年の消費支出は昨年と比べ2.6%減と3年ぶりの減少となり、物価の高騰に賃金の上昇が追いつかず、家計にも影響を与えることが浮き彫りとなりました。 国全体として賃金を引き上げていくため、国は、賃上げ税制の拡充や下請取引の適正化など、中小企業等が適切に価格転嫁を行えるよう環境整備を進めるとともに、最低賃金の引き上げなどを掲げていますが、具体的支援策が出されているのであればお示し願います。 そのような中、残念ながら地域別最低賃金は、岩手県は全国でも最低水準となっています。賃上げについては、知事も言及しているとおり、若者が低賃金で生活もままならない状況では、そもそも結婚も出産もできる条件が整っているとは言えません。生活水準の引き上げと安定が少子化対策にも欠かせない条件であります。 地域別最低賃金が最低水準となっている要因をお示しください。また、県はそれらの現状を鑑み、賃金水準の向上に向けた物価高騰対策賃上げ支援費を令和5年度岩手県一般会計補正予算(第5号)で組み込んだわけですが、県の期待する効果についてもお伺いいたします。 県は、適切な価格転嫁について機運を醸成するとともに、経営の安定や生産性向上を図る取り組みを支援することで、賃金の引き上げや人材の確保等に必要な環境を整備し、地域経済の活性に寄与するため、県内経済団体、労働団体及び関係行政機関の連名による共同宣言を昨年7月に打ち出しました。その一つにパートナーシップ構築宣言の普及拡大があるわけですが、宣言を行った県内事業者数は2月20日現在で219社となっています。 これら共同宣言に基づき、これまでどのような取り組みが行われ、どのような成果が出ているのか、また、適切な価格転嫁の実現に向け、今後どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。 地域医療についてお伺いいたします。 まず、周産期医療について伺います。 令和2年の10万人当たりの医師数は、都道府県別では第42位と低いレベルにあります。また、広大な大地の岩手県は、面積当たりの医師数も第46位と最低レベルにあります。全国的にも医師不足が問題視される中、本県にとっては最も深刻な課題であります。 平成20年の医師数は2、410人、うち産婦人科医97人、令和2年の医師数は2、509人、うち産婦人科医88人。全体の医師数は徐々に増加傾向にあるものの、産科医においては依然増加しているとは言えない状況であります。 平成30年7月の医療法改正により、各都道府県においては、医療計画の一部として医師確保に関する事項を定めることとされ、国のガイドライン等を踏まえ、医師偏在解消のための医師確保計画の策定が義務づけられました。また、医師全体の医師確保計画とは別に、産科及び小児科に限定した医師確保計画についても定めることとされました。 以上のことから、国のガイドライン等に基づき、県は令和2年3月に令和2年度から令和5年度までの期間で産婦人科医の岩手県医師確保計画を策定し、昨年、令和6年度から令和8年度までの期間で新たな医師確保計画素案を示しております。 産婦人科医は、目標医師数を医師偏在指標が全国の平均値となるための必要な医師数としていることから、新計画素案では、確定すべき産科医数を10人としています。しかし、果たしてあと10人の増加で充足されるのでしょうか。私は、そうは決して思っておりません。県の現在の四つの周産期医療圏ごとの産科医師数は、盛岡、宮古圏域が47人、岩手中部、胆江、両磐圏域が29人、気仙、釜石圏域が5人、久慈、二戸圏域が7人となっています。 このことから、国が示したガイドラインは、医師の偏在の状況を全国ベースで客観的に示すための指標であり、本県の産科医師数の現在の実態、あるいは四つの周産期医療圏を定めている上で、あと何人必要なのか具体的な目標を定めることが重要と考えますが、県の認識を伺います。 また、医療圏によっても当然出生数が異なります。医療圏別の出生数を想定した場合、各圏域にどの程度の産科医が必要と考えるのか、さらには、今後、分娩施設には何人体制が妥当と考えるのか、県の具体的認識と危機意識についてもお伺いします。 県では、消防法に基づく傷病者の搬送及び受け入れに関する基準の運用のほか、総合周産期母子医療センターへの委託により、周産期救急搬送コーディネーター事業を実施し、母子等の状態に応じた迅速かつ適切な受け入れ先の確保等に取り組んでおられます。 私の地元、奥州市を例に出すと、お産が必要な場合、北は県立中部病院か北上済生会病院、南は県立磐井病院での出産となります。平均時間は45分程度と予想いたしますが、冬期間ともなると1時間はかかります。先ほど申し上げたように、緊急搬送も可能ということでしたが、それらも想定し、搬送側の母体及び胎児の状態に対応し適切な処置が求められます。しかしながら、その取り組みは市町村ごとの対策に委ねられていることから、それぞれにばらつきが生じていると伺っています。 以上のことから、今後、医療圏を設定している県が先頭に立ち、市町村ごとに差が生じないよう研修や指導を行い、安心して出産できる環境を整えていく必要があると考えますが、県の考えと現在の実態についてお伺いいたします。 次に、医師確保についてお伺いいたします。 医師確保対策の本県の予算は、令和元年度から令和5年度まで5年間の平均で11.1億円余となっており、令和6年度当初予算案では12億円余が示されております。 その医師確保対策の本県の医師養成奨学金制度については、現在、県と医療局、市町村の3制度全体で55名の募集枠を設け、直近5年の貸し付け状況を見ると、平均で50人程度の貸し付けとなっておりますが、医師養成奨学金制度の県と医療局の地域枠及び一般枠については、例年、枠を超える希望者がいると伺っております。また、奨学金養成医師のうち産婦人科を選択した医師の数は、令和5年4月時点で13人となり、平成20年以降着実に増加しています。 これまでの産婦人科医を含む本県の医師数が不足している状況からも見てとれるとおり、医師確保対策の予算を増額し、医師養成奨学金制度の拡充の必要があると考えますが、知事の医師不足改善に対する意気込みとお考えについてお伺いいたします。 さきに述べたとおり、近年、奨学金制度の希望者が定員を上回る状況となっています。その中でも、岩手医科大学地域枠Aにおいては、15名の定員に対し奨学金希望者40名ほどが受験しているのが実態です。本県出身で医師を志す生徒を限定することも、今の本県の医師不足の観点から相反しております。 県では、地域枠Aについて、国立大学並みの負担となるように制度設計しており、貸付額は1人当たり3、050万円で、枠15人分の予算となっているほか、教育研究費負担金として1人当たり1、500万円を県が支出しています。 予算の増額は財源の問題上、難しい御判断であるならば、例えば、岩手医科大学地域枠Aの県の負担割合を緩和して募集定員の増加を図るなど、奨学金制度を見直す考えはないのか、県の認識についても伺います。 医師確保対策には、即戦力である医師の招聘も重要であります。本県の取り組みは、本県出身医師を初め、本県につながりのある医師への面談や県内外への情報発信のほか、招聘した医師の定着を図るためのフォローアップ等を実施しており、実績は、令和元年度以降、平均12人程度で推移しています。 医師確保対策の中でも、医師の招聘は重要な役割を占めていることから、改めて本県出身の医師に対し、県としてどのようにアプローチされているのか、また、学生の中で医学部を選択された生徒等をどの程度把握され、県として寄り添っておられるのか伺います。 次に、教育振興についてお伺いいたします。 岩手県立高等学校入学者選抜に係る検討委員会は、令和3年7月から令和4年8月まで、入試日程、推薦入試のあり方、一般入試のあり方について検討が行われ、令和4年9月に、改善の方向性について提言を受けたと伺っております。 令和3年7月に第1回を開催して以降、5回にわたり、有識者、学校現場、保護者というそれぞれの立場から意見を交換しながら協議を深めてこられました。その結果、令和7年度以降の岩手県立高校の入試制度の変更が行われることになりました。 その変更点として、一つ、現行の推薦入試については、1月下旬に推薦入試の検査、3月上旬に一般入試の検査を実施しているが、一般入試と特色入試の検査を3月上旬の2日間であわせて実施。 一つ、出願に当たって中学校長の推薦は不要とし、名称は特色入学者選抜とする。特色入試では部活動等の実績を出願の要件とはせず、生徒が志願先高校の求める生徒像等を参考にして出願。選抜に当たって、実績を評価するのではなく、受験生が日常的な学習や活動で身につけた多様な資質、能力について検査を実施して評価。 一つ、一般入試では、面接は一律に実施することはせず、各高校が必要に応じて実施との内容が示されました。 この検討委員会の会議録を拝見しましたが、多くの不安の声もあったと思います。3月に1回の実施とした場合、私立高校の入試が全て終わっているが、そのような中で各高校の活性化につながる人材が確保できるのか。学校が求める生徒を確保できなくなる可能性もあるのではないか等の声が上がっています。 先日、公立高校の入学試験の志願状況が発表されましたが、県立高校の全日制の平均志願倍率は0.8倍となり、記録が残る1976年以降で最も低くなりました。志願倍率が年々低下する中、今回の制度変更がそれに追い打ちをかけるものにならないかを危惧しております。 そこでお伺いいたしますが、現行の県立高校の入試制度は、平成16年度から実施しており、平成19年度に推薦入試制度が導入されて以来の入試日程を含めた見直しとなります。令和7年度に入試制度を変更したことで、県の描く県立高校の入試状況はどう変わるのか、この検討委員会で話し合われた内容もあわせてお伺いします。 この制度を令和5年度に開始した県が秋田県と伺っております。秋田県の秋田魁新報によると、2023年に新たに導入された特色選抜の受験者数は、2022年の前期選抜に比べて大きく減ったと伝えています。進路選択でスポーツを重視する中学生が、一発勝負への不安が強くなり、特色選抜を敬遠し、県外の私立高校に進路を決めたという実例もあります。 制度を変更したことによって、望まない結果や声も聞こえている中で、県教育委員会がこの制度を導入すると発表した経緯についてお伺いいたします。 福井県では、推薦選抜のほか、部活動の競技実績等で志願できる特色選抜の二つの選抜により、学科によっては、定員の8割は推薦と特色選抜で入学できる制度が導入されています。まさに多様化とこれまでのそれぞれの生徒の活動を評価し、学業推薦と部活動推薦から選択し、自分の活動の成果や長所を評価され入学できるわけであります。 この制度こそ参考にし、県立学校の募集定員の見直しや各学校の特色を生かしていくべきと考えますが、所感を伺います。あわせて、この検討委員会では福井県のような推薦制度の取り組み等も紹介され、議論があったのか。あったのであれば、その詳細についてもお示し願います。 次に、自動車産業振興についてお伺いいたします。 今から25年前、後にスマートフォンと呼ばれる手のひらサイズのコンピューターの普及を予測できた人は少なかったのではないでしょうか。そのさらに25年前、自家用車はまだようやく一般化し始めたところでした。さらに25年前はというと、テレビ放映も始まっておりませんでした。何を言いたいのかというと、四半世紀たてば時代は一変するということでございます。 そして今、自動車産業は100年に一度の変化のときと言われ、何かしら重大な変化が起きるとの認識を多くの業界関係者が持っており、駆動装置の電動化や自動運転システムの実装が既に進みつつあります。 本県としての取り組みは、とうほく自動車産業集積連携会議の発足など東北広域に拡大し、トヨタ自動車東日本の設立を初めとするトヨタグループによる東北地域の国内第3の生産拠点の動きと足並みをそろえる形で、岩手県、東北地域の自動車産業は着実に発展してきました。 また、2011年にセントラル自動車が、当時、宮城大衡工場が稼働したことにより、東北の完成車の生産工場は、関東自動車工業岩手工場の2拠点3ライン体制となり、東北地域の生産台数も2008年の30万台から45万台規模に増加されています。 そこでお伺いいたしますが、県では、岩手県自動車関連産業新ビジョンを令和元年9月に策定し、ことしはその折り返しの時期であります。さきに申し上げたとおり、産業の技術は想像以上に進展しております。今の自動車産業の進展の速さに、県のビジョンがおくれをとっていないか危惧しているところであります。 その一つがカーボンニュートラルでありますが、であるとすると、今後、モーターや蓄電池の関連企業の誘致も視野に入れた取り組みが必要と考えますが、いかがでしょうか。また、それらに伴い、自動車関連産業新ビジョンの見直しや、県内企業のカーボンニュートラル対応へのノウハウの波及、展開に力を入れていく取り組みを盛り込むことが必要と考えますが、カーボンニュートラルに向けた自動車の世界動向と県のお考えを、自動車関連産業振興本部長である菊池副知事にお伺いいたします。 とうほく自動車産業集積連携会議の目的は、産学官が連携して、地域企業の技術向上による自動車関連産業への進出や取引拡大、自動車部品メーカー等の立地の促進など、自動車関連産業の集積に向けた取り組みを推進し、東北を自動車関連産業の一大集積拠点とすることとし、代表幹事は本県の達増知事が務められております。 先月、愛知県豊田市のトヨタ自動車の本館ホールで開催された、とうほく・北海道、新技術・新工法展示商談会を視察してまいりました。参加企業84社のうち、本県出展企業は18社と他県に比べて多くの企業が出展されており、その技術の高さに相当の感銘を受けてきました。そのとき、それぞれの企業がPRして終わるだけではなく、企業同士が連携し、よりよいものを開発できる技術を結びつけることが重要ではないかと感じたわけであります。 現に、トヨタ紡織東北株式会社の自動車用のシート素材の規格外品を、第一物産株式会社岩手工場、岩谷堂箪笥の製造、販売の桜木家具店が連携し開発したソファーも展示されておりました。 そういった新たな連携やタイアップにより新しい技術や産業が生まれてくることを考えると、その旗振り役が、とうほく自動車産業集積連携会議代表幹事の達増知事であり、行政の力が必要と考えるわけでありますが、本県がリーダーシップをとって企業をより強力に後押ししていくお考えがあるのか、知事にお伺いいたします。あわせて、来年度は愛知県刈谷市での開催と伺っておりますが、本県のPRポイントも含め、意気込みをお聞かせください。 以上で私の一般質問を終わらせていただきます。答弁によっては再質問させていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) 〔知事達増拓也君登壇〕 〇知事(達増拓也君) 千葉秀幸議員の御質問にお答え申し上げます。 まず、社会減対策と期待される効果についてでありますが、本県の人口の社会減については、東京圏との相対的な経済状況の差により転出者がふえる傾向があるものの、コロナ禍による地方回帰や、県外からの新規立地に伴う新規雇用者数の増などにより転入者が増加する状況も生じています。 このため、魅力ある雇用の場の確保やU・Iターンの促進に取り組み、さらに、昨年、ニューヨークタイムズ紙掲載を契機に見直された地方の持つ価値や魅力を最大限に発揮して、関係人口や交流人口の増加を図ることとしています。 関係人口や交流人口の増加については、地域の財やサービスの需要の増加や、地域のにぎわい、コミュニティーの活力の創出など直接的な効果に加え、地域の価値や魅力の認識を通じて県内定着の促進につながると考えられますことから、これらを通じて本県への新たな人の流れを生み出していきます。 次に、女性の社会減対策についてでありますが、議員御指摘のとおり、本県の人口の社会減は、進学、就職期における若年女性の転出が大きな課題となっており、これまで、いわてで働こう推進協議会やいわて女性の活躍促進連携会議等を中心とした、官民が一体となった県内定着の取り組みを進めてきたところです。 このような中、出生数減少の要因の一つが女性人口の減少であるとの分析結果を踏まえ、岩手県人口問題対策本部会議において、少子化対策の3本の柱として、有配偶率や有配偶出生率の向上とともに、女性の社会減対策を強化する方向性を打ち出しました。 令和6年度当初予算案においては、こうした方向性のもと、女性の多様で柔軟な働き方の推進、所得向上を図るためのスキル取得や就労に向けた支援、性別に基づくアンコンシャスバイアスの解消に向けた啓発、女性や若者が生き生きと活躍できる環境づくりなどに係る新規事業や拡充事業を盛り込んでおり、これら女性の社会減対策に係る事業などを進めることで、令和8年度に合計特殊出生率を1.58に上昇させ、さらに出生数の増加を図りながら、2040年の100万人程度の人口の実現を目指してまいります。 次に、医師不足対策についてでありますが、県では、奨学金養成医師の計画的な配置に重点的に取り組んでおり、来年度は県全体で166名の配置を予定し、今年度と比較し15名増と着実に増加しています。 このうち、県北沿岸地域には66名の配置を予定しており、県北沿岸地域での義務履行の必須化などにより、県内の地域偏在は解消に向かうものと考えています。 診療科偏在については、これまでの産婦人科及び小児科に加え、来年度から、放射線科及び病理を選択した養成医師の特例配置を行うこととしており、診療科偏在の解消に向けた取り組みを進めています。 現行の奨学金制度となった平成20年度から今年度までの奨学金貸与者は741名となっており、今後においても医師の配置が着実に進む見込みであり、引き続き、医師養成奨学金制度による医師養成、特例配置などにより、医師確保、偏在解消のための取り組みを推進してまいります。 一方、医師不足、偏在の根本的な解消には、国レベルでの取り組みが必要という認識のもと、地域医療基本法の必要性や、医師少数県で構成する地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会において、実効性のある具体的な施策の実現を目指して、国への提言活動などを行っているところです。 こうした活動により、国では、昨年10月には医道審議会医師分科会において、医師少数県における一定期間の臨床研修の義務化についての検討が開始され、また、ことし1月には医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会において、医師の地域、診療科偏在等解消に向けた検討が開始されています。 引き続き、奨学金による医師の確保や国への提言活動などを通じて、持続可能で希望ある医療体制の構築に向け、医師の確保、偏在解消に努めてまいります。 次に、自動車産業の振興についてでありますが、とうほく自動車産業集積連携会議は、平成18年に岩手県、宮城県、山形県の3県で設立し、その後、新潟県を含む東北地域全域へと拡大してきたところであり、設立当初から岩手県知事が代表幹事を務め、本県がトヨタグループやサプライヤーとの連絡窓口や展示商談会の事務局を担っております。 先月のとうほく・北海道新技術・新工法展示商談会は、コロナ禍を経て、4年ぶりにトヨタ自動車本社内での開催となったこともあり、会期中、トヨタグループ各社のキーパーソンが多数会場入りし、大変活気にあふれる展示商談会となりました。 特に、電動化や自動運転など、いわゆるCASE分野における先端技術の提案や、北海道と新潟県を含む8道県の自然エネルギーを活用したカーボンニュートラルの取り組み等が、来場した大手サプライヤーを初めとした多くの方々に高く評価され、8道県の実力を印象づける絶好の機会となりました。 また、会期中は、トヨタグループとの商談のほか、出展者間の情報交換も活発に行われ、今後、新たな企業間連携の動きにつながることが期待されるなど、私自身、連携会議の代表幹事として、これまでの取り組みの成果と今後のさらなる発展の可能性に大きな手応えを感じたところであります。 また、来年度は、とうほく・北海道自動車関連技術展示商談会を愛知県刈谷市で開催する予定であり、株式会社デンソーや株式会社アイシンといった同市周辺に立地するトヨタグループの主要サプライヤーをターゲットに、CASEに関連する次世代技術を中心に提案したいと考えております。 8道県には、国内屈指の生産拠点であるトヨタ自動車東日本岩手工場を初め、高度な技術力と実績を持った企業が多数集積しており、また、豊富な自然エネルギーがあることから、こうした強みを生かし、域内企業のさらなる取引拡大に向け、強いリーダーシップを発揮しながら、引き続き、東北地域、北海道における自動車関連産業の振興を力強く牽引してまいります。 その他のお尋ねにつきましては、副知事、企画理事及び関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。 〔副知事菊池哲君登壇〕 〇副知事(菊池哲君) 自動車の世界動向と今後の対応についての御質問でありますが、自動車産業は、世界的なカーボンニュートラルの動きを受け、国や地域によって目標や時期に違いはあるものの、千葉秀幸議員御案内のとおり、ヨーロッパを中心にガソリンエンジン車の新車販売が大幅に抑制され、蓄電池とモーターを組み合わせた電気自動車化が進んでいくものと見込まれております。 一方、国内では、例えば、世界最大の自動車メーカーであるトヨタ自動車が、電気自動車のみならず、ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車、水素などの燃料電池車の組み合わせで、カーボンニュートラルに取り組む方針を示しているものと認識しております。 このように、国内外で状況の違いはあるものの、電気自動車やハイブリッド車などの電動車の普及拡大とともに、その重要部品である蓄電池やモーターなどの需要が、今後ますます高まっていくことが見込まれております。 このため、千葉秀幸議員御指摘のとおり、蓄電池やモーター等の関連企業の誘致に積極的に取り組むとともに、本県地域産業の大きな強みの一つである電気、電子部品分野等で豊富に培われた技術力や旺盛な研究開発マインドをもとにして、蓄電池のケースを製造する企業や燃料電池の電極触媒を開発する企業などもあらわれてきているところです。 このように、先行してカーボンニュートラルへの取り組みを進めている企業のさらなる成長と一層の集積を進めていくほか、中小企業のカーボンニュートラルの取り組みを支援する東北地域初の地域支援拠点に指定されましたいわて産業振興センターと連携し、県内企業の蓄電池やモーター等関連分野へのさらなる参入や事業転換などを支援してまいります。 また、こうした動きを受け、岩手県自動車関連産業新ビジョン、第II期アクションプランでは、新たにカーボンニュートラル対応等支援として、先ほど申しました、地域振興拠点を通じた県内企業の事業転換や産学官金連携による新技術、新製品開発等への支援などを盛り込むこととしております。 県では、引き続き、自動車業界の最新の動向を把握しつつ、国や関係機関、自動車メーカー等と連携し、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みを支援し、本県自動車産業を振興してまいる考えであります。 〔企画理事兼保健福祉部長野原勝君登壇〕 〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) まず、出生数及び婚姻件数の向上に向けた取り組みについてでありますが、コロナ禍の影響として、行動制限などにより生活意識や行動が変化する中で、若者や子育て世代の結婚、子育てに関する意識も変化している可能性が指摘されているところであり、本県においても、令和2年に婚姻件数が急減し、その後回復が見られないことが、令和4年の出生数の減少につながったものと考えております。 こうしたことから、出生数の増加に向けて今年度開始した第2子以降の保育料無償化や在宅育児支援金などの取り組みに加え、令和6年度当初予算案において、新たに市町村が実施する既存施設等を活用した遊び場の整備、産後ケア利用時の子供の一時預かりや交通費の支援に要する経費の補助、地域課題の分析や少子化対策の立案等に取り組む町村への専門家等と連携した伴走型支援の実施などを盛り込んだところです。 また、婚姻件数の増加に向けて、いきいき岩手結婚サポートセンター―i―サポのマッチングシステムの機能強化、i―サポ会員の交際を後押しするための食事券の配布、29歳以下の新婚世帯に対する県独自の支援金の上乗せ補助などの取り組みを通じて、出会いの機会のさらなる創出や結婚新生活支援の強化を図ってまいります。 次に、産婦人科医師数についてでありますが、令和2年の国の調査では、本県の15歳から49歳女性人口で見た10万人当たりの産婦人科医師数が42.7人と、全国平均の46.7人を下回っており、周産期医療体制の整備に当たっては、産婦人科医師の確保が極めて重要な課題であると認識しております。 このため県では、次期医師確保計画において、まずは次の3年間で産婦人科の医師偏在指標の全国平均を超える10名増を目標とし、医療局奨学資金の産婦人科特別枠や産科等を指定診療科とする地域枠の設置などに取り組むこととしております。 医療圏や分娩施設ごとに必要な産婦人科医師数については、出生数やハイリスク分娩の動向、婦人科疾患への対応などもあり、具体的な必要数を設定することは困難ではありますが、国では、本年1月に設置した医師の偏在対策等に関する検討会において、診療科偏在対策について議論することから、県では、その動向を注視しながら、各診療科等における必要な医師数について検討を進めていきたいと考えております。 次に、周産期医療に係る搬送体制についてでありますが、出産年齢の上昇などによるハイリスク分娩割合が増加する中、限られた医療資源のもとで安全な周産期医療体制を確保していくに当たって、搬送体制の充実は重要な課題であると認識しております。 このことから、県では、千葉秀幸議員から御紹介いただきました周産期救急搬送コーディネーター事業のほか、ICTを活用し、周産期医療情報ネットワークいーはとーぶによる医療情報連携や、搬送時の母体及び胎児の情報をリアルタイムで搬送先の医療機関に送信するモバイル型妊婦胎児遠隔モニターによる迅速な医療提供などに取り組んでおります。 また、搬送に対応する救急隊員等のスキルの向上に向け、県では、医療従事者や救急隊員を対象に、新生児の救命に係る研修を実施しているほか、一部の地域の消防においては、搬送中の分娩介助に係る研修が行われております。 引き続き、地域で行われている好事例の研修を市町村や消防と共有、実践しながら、周産期におけるより安全な救急搬送体制の確保に取り組んでまいります。 次に、奨学金制度の見直しについてでありますが、地域枠の貸与額は、県内の一般的な家庭からも安心して進学できるよう、国立大学と同等の学費負担となる制度とし、医師を目指す本県の高校生が、地元の大学で学び、地域で活躍する医師となることを後押しするとともに、本県の医師確保に大きな役割を果たしているものと認識しております。 地域枠は、平成20年度に国の医学部入学定員抑制策の転換を受け、医学部の入学定員に臨時定員を設定し、その臨時定員数の範囲内で貸与する奨学金として創設したものであります。 臨時定員は、全国の医学部総定員数を上限に、毎年度、国の認可が必要とされるものであり、国では現在、臨時定員の削減も含めたあり方について検討していることから、さらなる拡大は難しい状況となっております。 奨学金制度については、医師の絶対数の確保のみならず、地域偏在、診療科偏在の課題解決に向けて必要な制度見直しに不断に取り組んでまいります。 次に、医師の招聘についてでありますが、これまで県は、本県出身の医師の確保につなげるため、県外で開催される医師が参加する高校の同窓会などに出席し、情報収集や招聘活動に努めてきたほか、岩手医科大学の同窓会や、県医師会、県立病院の医師、県職員など人的ネットワークをフルに活用して取り組みを進めてきたところであります。 本県出身の医学部生の全体を把握することは、学生の進路といった個人情報保護の観点から難しい面もございますが、臨床研修の合同説明会や東北地域や関東地域の医学生の県人会を活用し、本県の情報を提供の上、県内での臨床研修の働きかけなどを行っております。 また、本県の奨学生とは毎年度面談を実施し、臨床研修先などの相談を丁寧に行っているところです。 今後におきましても、さまざまなつながりの力を活用して、本県にゆかりのある医師の招聘に努めていくほか、各種広報媒体を通じて全国に広く募集情報を発信し、医師招聘に取り組んでまいります。 〔政策企画部長小野博君登壇〕 〇政策企画部長(小野博君) まず、人口減少に係る分析結果等についてでありますが、本県の人口の自然減は、高齢化の進行に加え、出生数の減少が大きな要因であり、出生数の減少は、若年女性人口の減少、有配偶率の低下、有配偶出生率の低下によって引き起こされているものと分析しております。 さらに、最近では、コロナ禍による婚姻件数の急減や妊娠、出産控えが出生数の減少につながるなど、新たな要因も顕在化しております。 また、社会減については、進学、就職期の若年層の転出がその多くを占め、東京圏との相対的な経済状況の差が影響していると分析しており、コロナ禍による地方回帰の効果等により減少幅が縮小した時期もありましたが、ここ数年は社会減が再び拡大しております。 このような状況や、2030年代に入るまでが少子化傾向を反転させ人口減少を緩和するための重要な期間であること、出生率が回復してもすぐには人口減少がとまらないことといった有識者の見解などを踏まえ、人口減少対策は最優先で取り組むべき重要な課題であると考えており、全庁を挙げて人口減少対策に取り組んでまいります。 次に、多様なニーズに応じた柔軟な施策対応についてでありますが、千葉秀幸議員御指摘のとおり、社会経済情勢等の変化に伴い、個人の価値観や生き方が多様化し、また、県民ニーズも複雑化、複合化している中、これらに迅速かつ的確に対応するためには、国との連携に加え、住民に身近な市町村と専門的、広域的な機能を担う県が、多様な主体との協働のもと、連携して柔軟に施策を講じることが重要であります。 そのため、令和6年度岩手県一般会計予算案におきましては、これまでの市町村長との意見交換等を踏まえ、少子高齢化が進む市町村が、個性や特色を生かした地域づくりを進められるよう、広域的な視点に立ち、必要な施策を機動的に行える予算を編成したところです。 特に、限られた行財政資源の中で対応している小規模町村に対しては、柔軟に対応できる伴走型の支援体制を構築し、実効性のある事業を展開しながら、さまざまな地域課題に立ち向かうこととしております。 今後も、国の施策に呼応しつつ、県と市町村が構築してきた重層的な連携体制を生かしながら、地域のニーズやさまざまな課題に応じ、必要な施策を柔軟に進めてまいります。 〔商工労働観光部長岩渕伸也君登壇〕 〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) まず、賃上げに向けた国の支援策についてでありますが、国は、昨年11月にデフレ完全脱却のための総合経済対策を閣議決定し、中堅、中小企業の賃上げの環境整備、人手不足対応、また、生産性向上を通じて賃上げを継続させるための支援などの取り組みを行うこととしたところです。 また、具体的な支援策として、中堅、中小企業の賃上げに向けた省力化等のための大規模成長投資に対する補助や、税額控除を最長5年間まで繰り越しできる制度の創設、価格転嫁の難しい労務費の適切な転嫁に向けた指針の策定、業務改善助成金の拡充のほか、いわゆる年収の壁を解消するため、短時間労働者が健康保険等の適用による手取り収入の減少を意識せずに働くことができるよう、労働者の収入を増加させる取り組みを行った事業主に対して、労働者1人当たり最大50万円を支援するといった取り組みを新たに行うことが示されております。 これらの支援策については、去る2月7日に開催したいわてで働こう推進協議会において、国の関係機関の出席のもとで共有を図ったところであり、県における支援策と合わせて、その積極的な活用を促進していきたいと考えております。 次に、地域別最低賃金等についてでありますが、今回の地域別最低賃金は、公益、労働者、使用者の代表から構成される岩手地方最低賃金審議会におけるさまざまな議論を踏まえて、岩手労働局において決定したものと認識しております。 令和4年の毎月勤労統計調査における岩手県の所定内給与額は全国で33番目であり、令和4年度就業構造基本調査に基づいて試算すると、本県の10代後半の正社員の年収中央値は全国の中央値を上回る水準であるなど、県内の企業の多くは、最低賃金にかかわらず実際の賃金を決めているものと考えております。 最低賃金の設定に当たっては、近隣県の間などで少しでもみずからの県の最低賃金を高く設定しようとする流れにつながっていく可能性もあり、引き続き、岩手労働局との情報共有に努め、おおむね5年ごとに行っている制度の見直しの動向を見ていきたいと考えております。 また、物価高騰対策賃上げ支援費につきましては、今月5日から申請の受け付けを開始しているところであり、より多くの中小、小規模事業者の方々に活用いただくことで、地域経済を維持し、さらに活性化させ、物価高騰に負けない県民の安定した暮らしを実現させていきたいと考えております。 次に、価格転嫁の共同宣言による成果等についてでありますが、昨年の価格転嫁の円滑化による地域経済の活性化に向けた共同宣言以降、その参画機関における価格転嫁促進に向けた説明会の開催、また、パートナーシップ構築宣言を要件とする補助制度の創設などの取り組みを展開してきたところであり、共同宣言を行った昨年7月12日時点で127社であった本県のパートナーシップ構築宣言企業が、2月20日時点で219社に増加しております。 国の調査におきましては、パートナーシップ構築宣言を行った企業のほとんどが、8割以上の下請企業の価格協議に応じていると回答しており、この宣言企業の増加は、県内の価格転嫁の進展にも一定の効果が生じていると考えております。 中小企業にとりまして、物価高騰や賃上げへの対応が喫緊の課題である中、先ほど答弁申し上げましたとおり、今後、比較的価格転嫁が進んでいないとされる労務費を含めた適切な価格転嫁の実現が極めて重要であると認識しております。 このため、昨年11月に国が策定した労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針の活用促進について、国との連携のもと、引き続き、経済団体等を通じた県内企業への周知を図り、適切な価格転嫁の実現に向けた取り組みを進めてまいります。 〔教育長佐藤一男君登壇〕 〇教育長(佐藤一男君) まず、県立高校入試制度の見直しについてでありますが、近年の生徒の自主的、自発的な部活動や多様な活動の状況、少子化に伴う志願倍率の低下等に対応するため、令和3年7月に外部有識者から成る県立高校入試改善検討委員会を設置し、入試制度の見直し等について検討したところです。 この検討委員会においては、事前に実施した中学校長、高等学校長を対象としたアンケート調査結果から論点を整理し、生徒が日常的な学習や活動で身につけた資質、能力を適切に評価し、各校の特色化、魅力化をより一層推進する入試のあり方や、生徒がより時間をかけて適切な進路選択ができる入試日程の見直し等について検討が行われたものです。 その中で、入試日程については、生徒確保が十分にできるのかといった意見も一部ありましたが、一方で、高校の特色を踏まえ、生徒自身がじっくり考えて高校を選ぶことができる、特色入試は3月1回とすべきなどの意見もあったところであり、県立高校入試改善検討委員会としては、特色入試の時期については、一般入試とあわせて3月上旬に実施することが適切との結論に至ったものです。 今般の入試制度の見直しにより、これまで以上に生徒一人一人の適切な高校選択が可能となり、より充実した高校生活の実現につながるものと考えており、県教育委員会としては、各高校の特色化、魅力化をより一層進めていくことで、生徒に選ばれる魅力ある学校づくりを進めてまいります。 次に、特色入学者選抜についてでありますが、県教育委員会では、令和4年9月に県立高校入試改善検討委員会からの提言を受け、導入を決定し、素案を作成の上、同年12月にパブリックコメントを実施し、広く県民の意見を伺った上で、令和5年3月に成案を作成し、公表したところです。 新たな入試制度については、丁寧な説明が必要でありますので、令和5年3月に中学校、高校に対して見直しの趣旨や新制度の概要について説明会を実施した後、5月には、生徒及び保護者向け資料を公表、7月には、その説明動画を公開したところです。以降も順次、中学校、高校に対して、新制度の詳細等について説明会を実施し、周知に努めているところです。 今後、来年度の実施要項の公表に向けて、中学校、高校に対するオンライン説明会などにより、引き続き、 新制度の周知を図るとともに、令和7年3月の新制度の円滑な実施に向けて準備を進めてまいります。 次に、他県の制度を参考とした見直しについてでありますが、福井県の入試制度につきましては、千葉秀幸議員御紹介のとおり、一般入試のほかに、各校が示す部活動の実績等の要件を満たす者が出願できる特色入試、志願する学科に対する適性や興味、関心を有する者が中学校長からの推薦を受けて出願できる推薦入試の三つの選択方法があり、これを各校が実態に応じて組み合わせる多様な選択肢が設けられている入試制度であると承知しております。 本県の県立高校入試改善検討委員会におきましては、福井県を含めた全ての都道府県の入試制度を取りまとめて資料としてお示しし、全国的な状況も踏まえつつ、誰からもわかりやすい制度とすることも重要な視点として、協議を重ね、一般入試と特色入試を実施するとの結論に至ったものであります。 新制度におきましては、各高校が入学者の受け入れに関する方針に基づいて示す求める生徒像を参考に、生徒みずからの判断で主体的に出願できるようにすることとしており、これにより、生徒一人一人が、その多様な資質、能力、興味、関心、適性に基づいて、より一層適切に高校を選択できるようになるものと考えております。 〇4番(千葉秀幸君) それでは、幾つか再質問をさせていただきたいと思います。 先ほど自動車産業の件についても御答弁をいただいたところでございます。カーボンニュートラルという言葉も5年前、岩手県自動車関連産業新ビジョンを策定する前から出ていたわけですが、このビジョンには特段盛り込まなかったけれども、想像以上に進歩してきているということで、今回、折り返しのタイミングでカーボンニュートラル、あるいはモーター、蓄電池の政策等も徐々に制度として盛り込み始めたということでございます。 質問でもお話はさせていただきましたが、想像以上にモーター、蓄電池等とも技術が進展しているので、今後も、これから折り返しの5年間そのままで行く方向性というのも大事なのですが、その中で、想像以上に進んでいるという観点から、よりこのビジョンを最後の10年間まで見とらずに、例えば、2年か3年後にまた政策を見直す必要がある等との柔軟な対応も求められると思いますが、改めて所感を伺いたいと思っております。 先ほど野原保健福祉部長から、産婦人科医師数確保目標は、特に定めるのは難しいという御答弁もございました。確かに、普通分娩、ハイリスク等々、さまざま対応しなくてはいけませんから、一概に目標を定めるのは多少難しいということは理解しますが、二次保健医療圏が四つに分かれている中にあって、今、医療圏別に出生数等も出るはずですから、例えば、この圏域は今20人だけれども、30人までふやさなければいけない、あるいは、その一つの医療圏においては、10人だけれども、15人程度までふやさなければいけない等の、どのぐらいの数の医師が欲しいのかということは、はじき出せると思うのです。 その目標を達成することが大事だと申しているわけではなくて、そこの目標を定めて、そこに向かうことが大事ではないかと思います。それが課題解決を少しでも早めたり、それが安心、安全の体制を整えることにつながると思うのですが、改めて御答弁をいただきたいと思っております。 それから、教育長にもお伺いしますが、この新しい制度を私は非常に心配しています。私も、どちらかというとスポーツ、部活動に力を入れている先生方とお話しする機会も多いのですが、多くの先生方が口をそろえて、やはり私学に流れるのではないかとか、さらに県外に流出してしまうのではないかということで、県立学校を志願する人たちが減るのではないかということを危惧される声をお聞きしています。 例えば、3月に受験するより、1月に早目に内定をもらったほうが安心だというのは、親心を含めて、当然な話だということもありますし、先ほどお話ししたとおり、他県では私学に流れるという実態もございます。 多様性ということを言われるのですが、これは自由とはやはり違うと思うのです。これまで推薦制度はさまざまございましたが、これからは、自分の力を自分で試していきなさいということは、私は、中学生にとっては非常に苦しいハードルなのではないかと思います。 こういう推薦の方向性がある、こういった推薦制度があるというところにおいて、どちらに適しているのかということで、一定のレールを敷いた上で子供たちを見守っていく必要があると考えておりますが、あるいは全国的にも特色入学者選抜の方向性を示す県がふえつつあるということは私も理解しておりますが、国から、何かその方向性にするといったような指導があるのかについても伺いたいと思っております。 〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 2点目にいただきました産科医師の話から答弁させていただきます。 議員から御提言ありましたとおり、政策を掲げて、その目標を達成するために具体的な目標を設定するということは、やはり重要なことだと考えています。 今般の医師確保計画で産科の部分については、各四つの周産期圏域ごとに、確保すべき医師数は掲げさせていただいたところではあるのですが、3年間の目標で医師の数というのはなかなか難しいのが現状です。例えば、産科枠とかを設定して奨学金も設けていますけれども、卒業して実際医師になり、臨床研修が終わるまで8年、制度設計して政策効果が発現するのに8年かかるので、ある程度、中長期的なスパンを持って政策を見ていく必要がございます。 この医師確保計画というのは、3年計画なのですが、2036年をある程度見据えた組み立てとなっておりまして、先ほど、さまざま課題があるという話を申し上げました。診療科ごとの必要な医師数というのは、我々にとっても永遠のテーマと言える課題なのですけれども、先ほど答弁した以外の要素でも、例えば医療の高度化への対応、これは非常に進歩している部分があって難しく、また、医師の働き方改革の要素もございます。 そして、さまざまな要素を加味しなければならないので難しいのですけれども、やはり長期的に、どの圏域でどのぐらいの医師数を確保すべきかという大まかな目安みたいなものの設定は、私どもとしては目指したいと考えておりますので、国の議論の動向なども見据えながら、目標設定のあり方については、しっかり研究、検討を進めてまいりたいと考えております。 〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) 自動車産業の電動化の動きですけれども、先ほど菊池副知事が答弁いたしましたとおり、非常に目まぐるしい動きがあるのと、あとは、国によってさまざまな動き等がありますので、今後、その動向をきちんと見据えて、適時に対応していくことが非常大切だと考えております。 そうした中におきまして、岩手県自動車関連産業新ビジョンですけれども、これまで同ビジョン1本で、その中にアクションプランも一体で組み込んでいたのですが、やはりそういう動きに臨機応変に対応するために、同ビジョンからアクションプランを今回切り離して作成しておりますので、世界の動きとか業界の動きを見据えつつ、臨機応変に柔軟に対応するアクションプランの見直しというのは随時やっていきたいと思っておりますし、必要に応じた同ビジョン自体の見直しについても、きちっと検討していきたいと考えております。 〇教育長(佐藤一男君) 新たな入試制度につきまして、何点か御質問いただきました。 国から何かしら指導があるのかということにつきましては、そういう指導はございませんが、本県もそうですが、スクールミッション、スクールポリシーというものを全国的に決めることによって、その中で求める生徒像を打ち出していく。学校をつくっていく中で、そうすれば、そういう子供たちにも入っていただくことができるということで、入試の改革も進んでいるということです。 特色入試ということに関して言えば、例えば、宮城県、青森県、秋田県など、全国的にそういう流れはございます。 一方で、確かに時期については、推薦入試と一般入試を3月に行うということで、1月入試の私学等に流れるのではないかという話は、入試改善検討委員会の中でも若干そういう御意見もございましたが、しっかり、自分の勉強する方向性をじっくり考えていただいて進路選択をしていただくことで、入学してからも有意義な高校生活を送れると思います。入試が2カ月早いので、私学等に逃げてしまうのではないかという御意見もないわけではないのですが、検討委員会においても、生徒自身がじっくりそこは考えていただいて、自分に合った高校を選んでいただくことが大事ではないかという議論等もなされ、県教育委員会としても、新たな入試制度を打ち立てていこうとしています。 ついては、高校側としても、しっかりと高校の魅力化、特色化というものを高めて、それをしっかり打ち出して、中学生の皆さんにわかっていただく努力をしっかり続けていく、そういう取り組みをしていきたいと考えております。 〇議長(工藤大輔君) 以上をもって千葉秀幸君の一般質問を終わります。 〇議長(工藤大輔君) この際、暫時休憩いたします。 午後2時15分休憩 出席議員(48名) 1 番 田 中 辰 也 君 2 番 畠 山 茂 君 3 番 大久保 隆 規 君 4 番 千 葉 秀 幸 君 5 番 菅 原 亮 太 君 6 番 村 上 秀 紀 君 7 番 松 本 雄 士 君 8 番 鈴 木 あきこ 君 9 番 はぎの 幸 弘 君 10 番 高橋 こうすけ 君 11 番 村 上 貢 一 君 12 番 工 藤 剛 君 13 番 小 林 正 信 君 14 番 千 葉 盛 君 15 番 上 原 康 樹 君 16 番 菅野 ひろのり 君 17 番 柳 村 一 君 18 番 佐 藤 ケイ子 君 19 番 高 橋 穏 至 君 20 番 佐々木 宣 和 君 21 番 臼 澤 勉 君 22 番 福 井 せいじ 君 23 番 川 村 伸 浩 君 24 番 ハクセル美穂子 君 25 番 高 田 一 郎 君 26 番 木 村 幸 弘 君 27 番 佐々木 朋 和 君 28 番 吉 田 敬 子 君 29 番 高 橋 但 馬 君 30 番 岩 渕 誠 君 31 番 名須川 晋 君 32 番 軽 石 義 則 君 33 番 神 崎 浩 之 君 34 番 城 内 愛 彦 君 35 番 佐々木 茂 光 君 36 番 佐々木 努 君 37 番 斉 藤 信 君 38 番 中 平 均 君 39 番 工 藤 大 輔 君 40 番 郷右近 浩 君 41 番 小 西 和 子 君 42 番 高 橋 はじめ 君 43 番 五日市 王 君 44 番 関 根 敏 伸 君 45 番 佐々木 順 一 君 46 番 岩 崎 友 一 君 47 番 千 葉 伝 君 48 番 飯 澤 匡 君 欠席議員(なし) 説明のため出席した者 休憩前に同じ 職務のため議場に出席した事務局職員 休憩前に同じ 午後2時37分再開 〇議長(工藤大輔君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 日程第1、一般質問を継続いたします。斉藤信君。 〔37番斉藤信君登壇〕(拍手) 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