令和6年2月定例会 第4回岩手県議会定例会会議録 |
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〇26番(木村幸弘君) 社民党の木村幸弘です。
まず冒頭に、能登半島地震において犠牲となられました皆様に哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。 それでは、順次、通告に従い質問をいたします。 毎年、県内では、夢や希望に満ちあふれた若者たちへ、市町村や実行委員会等の主催による二十歳の集いなどが開かれておりますが、各議員諸氏も御案内をされ、二十の門出を祝し、この若者たちの前途洋々たる未来とその活躍を願ってきたものと存じます。 しかし、私は、その華々しい若者たちの姿を見ながら、彼ら、彼女らの未来が本当にどのような社会状況となっているのか案じざるを得ません。そしてそれは、個人的には、自分の子供や孫たちの未来であるからです。 昨年12月22日、厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が、26年後の2050年の推計人口を公表しました。 岩手県は、総人口78万3、242人で、2020年比で35.3%減少の見通しという内容です。県内14市町村で減少率が50%を超え、住民が半数になり、税収減や経済の縮小、そして生活基盤の維持が困難となるほか、何よりも人と社会を支えるマンパワーそのものが決定的に不足し、さらに本県は78万人中の46%、実に約36万人が65歳以上の高齢社会なのです。 私は26年後、生きていれば90歳です。3人の子供は皆60歳代、孫が38歳と32歳、結婚して子供を持って社会の担い手として大きな責任と社会的負担を強いられる世代であります。 先ほど申し上げた二十歳の集いに参加した若者たちは46歳、今の減少社会は100年の大計のもとでその対策が求められています。 そして、その影響を受け、その社会を生き抜かなければならないのは、今この場にいる大半の人たちではなく、ここにいない若者たちです。 民間団体の日本創成会議は、2014年に衝撃的な日本の未来の姿、すなわち全自治体の半数が人口減で運営が成り立たず、将来消滅する可能性があると公表しました。 この公表から10年たった今日について、座長の増田寛也氏のインタビュー記事が1月16日の岩手日報に掲載されました。この中で、人口減少や東京一極集中については、地方からの人口流出により10年間とまっていないとし、いわゆる消滅の可能性が高まっているとの認識を示しました。この10年の政府の取り組みについては、本腰を入れて正面から取り組んできたとは思えないと、政府の姿勢を厳しく評価しています。 そして、今後の取り組みとして、子供を持つ幸せへの理解、女性の声を政策に反映させる、若い世代の所得向上、雇用改善、男性の育児参加と働き方改革など、社会変革に踏み込むべきとしています。 そこで伺いますが、こうした人口減社会の現実の状況等を踏まえて、新たに示された2050年の人口推計についての受けとめと、日本創成会議増田座長の見解について、知事の所見を伺います。 2015年10月、岩手県人口ビジョン〜地方が主役になる日本を岩手から〜では、人口の展望に2040年に100万人程度の人口を確保するとしています。また、2020年3月の改訂版においても、同様の人口の確保が掲げられています。 そのベースにある考え方を見ると、岩手県からの人口流出、社会減が現実的に続くことを前提としつつ、出生率の人口置換水準2.07に達し得ても人口減少は続くという推計ですが、ふるさと振興を進め出生率の向上と社会減ゼロを実現し、超長期的な人口増の可能性、すなわち本県の2014年時の出生率1.44の現状を2040年に2.07の高い水準とし、それを2060年まで維持し、2080年に2.3まで向上すると仮定した場合に、本県人口は2095年に人口上昇局面にようやく転ずるとしています。 その方向性は10年前のビジョンと5年前の改訂版でも変わっていないわけですが、今般、公表されている2050年推計人口に照らし合わせたとき、現行の岩手県人口ビジョンの見直しについて、国の対策の動向や本県としての人口減少対策などを見据えて、新たなビジョンについてどのように考えているのか伺います。 令和6年度一般会計当初予算案が示され、知事は、希望郷いわてその先へ予算と銘打ちました。 その考え方として、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランのもとに、四つの重点事項を中心にして人口減少対策に最優先に取り組むとしています。 その中で、小規模町村へのマンパワーも含めた支援や、市町村ごとの課題に応じた政策立案支援など、市町村との連携の一層の強化について述べられています。 そこで、新しい時代を切り拓くプロジェクトの活力ある小集落実現プロジェクトの推進で、特に、現状の課題のうち3点目のプロジェクト推進に向けた連携体制の構築において、岩泉町、岩手町、西和賀町で構成する活力ある小集落実現プロジェクト研究会では、どのような個別地域課題の解決について研究していくのでしょうか。具体的な内容と、その狙いについて伺います。 次に、本年2月15日に開港60周年を迎えたいわて花巻空港の利用促進について伺います。 新型コロナウイルス感染症の影響から脱し、訪日外国人観光客の入国状況は、感染症法の5類移行後、インバウンド需要は回復傾向にあります。 国では、訪日外国人観光客数を2030年までに6、000万人に増加させるという方針を掲げており、このためには、いわて花巻空港を初めとする国内の地方空港の一層の利用促進を図ることが重要であります。 本県へのインバウンド需要の回復と増加に向け、いわて花巻空港における国際線の路線拡充に県としてどう取り組むのか伺います。 また、国内路線の充実強化に向けて、令和3年3月に新路線の神戸線が就航いたしましたが、今後の路線拡充についての具体的な検討と方針についてもあわせて伺います。 次に、自衛隊による民間空港使用拡大の問題について伺います。 昨年12月1日のNHKニュースウエブに次のようなタイトルの報道がなされました。なぜ戦闘機が旅客機の隣に、拡大する自衛隊の民間空港利用と。令和5年11月13日午後1時過ぎ、民間空港の大分空港に羽田空港発の全日空機が着陸した10分後、航空自衛隊のF2戦闘機4機が相次いで着陸し、民間機と同じスポットに移動駐留、燃料補給後、午後3時過ぎに同空港を離陸しました。大分空港開港から52年、初めての出来事として、一般利用者の驚きと戸惑いの声が報じられています。 さらに、同日に鹿児島県徳之島空港、11月15日には岡山空港、11月17日には奄美大島空港で4機のタッチアンドゴー訓練を行っています。 防衛省は、11月に防衛を想定した大規模演習を行い、この中で自衛隊基地が攻撃を受けて使えなくなったことを想定した訓練を行ったとのことです。 現在、国内には、北海道、青森県、茨城県、石川県、福岡県、宮崎県、沖縄県の7道県に自衛隊基地があり、戦闘機が配備されています。 また、国内空港のうち戦闘機が安全に離発着可能な2、000メートル以上の滑走路を持つ民間空港は、いわて花巻空港を含めおよそ60カ所あることから、戦闘機の離発着に使える空港をふやしたいという狙いがあると指摘されています。 防衛省は、今回の訓練では、関係自治体の理解が得られたためとし、ほかの空港でも理解が得られれば訓練を行いたいとのことですが、大分県などでは、大分空港の軍事利用反対を訴える集会など、県民の反対の意思も示されています。 こうした民間空港利用の方針は、一昨年閣議決定した、いわゆる安保関連三文書により、日本への侵攻に対処するため既存の空港や港湾を自衛隊が訓練で利用することが明記されています。 また、昨年12月18日に開催された関係閣僚会議の資料では、自衛隊・海上保安庁が、平時から必要な空港・港湾を円滑に利用できるよう、インフラ管理者との間で枠組みを設け、これらを特定利用空港・港湾とするとされています。 有事に備えての自衛隊の民間空港利用や港湾整備について、東京工業大学、川名晋史教授は、国際法上、民間の施設は攻撃してはいけないことになっているため、即座に民間空港が攻撃対象になることはないとしつつ、自衛隊機が一時的あるいは一定期間駐留できるとなると、相手にとっては軍事施設と認識され、攻撃対象に含まれる可能性があると述べています。 この指摘されている点については、今日のロシアによるウクライナ侵略戦争や、イスラエルによるガザ地区への無差別攻撃の状況にしても、軍事施設や軍事利用されている病院、学校等の民間施設を一方的に攻撃対象と決めつけ、その結果、ガザ地区は4カ月で10万人を超える死傷者が出て、子供や女性などの民間人の多大な犠牲が生じている現実を私たちは報道を通じて目の当たりにしています。 ひとたび軍事的有事となった場合、東日本大震災津波の際に防災拠点として人命救助の最前線として機能したいわて花巻空港が、民間施設であっても、軍事目的の利活用の実態があれば、間違いなく敵国の攻撃目標として戦渦に巻き込まれることは必定であります。 したがって、民間施設を軍事目的で利用させることは、到底看過することができない問題であると認識しています。 そこで、知事に伺います。防衛省関係者によると、10道県のおよそ40の空港と港湾を整備や機能強化候補地として、地元自治体との調整を進めていると報じていますが、本県のいわて花巻空港等においても、このような動向があるのかどうか。そして、こうした国の方針によって、いわて花巻空港等が軍事利用の対象として自衛隊による使用等の要請があった場合に、空港等の設置管理者として、戦闘行為を前提とする有事を想定した訓練を含む事態について、応じるべきではないと考えますが、知事の御所見とあわせてお伺いいたします。 次に、化製場の悪臭対策について伺います。 屠畜処理において発生する動物残渣の適切な処理と管理のあり方として、化製場の位置づけについてどのように理解し、畜産振興にかかわる同事業の役割とともに、県民の快適な生活環境保全のための県の責務について知事に伺います。 あわせて、本県の化製場の稼働の状況、処理量、管理運営上の課題や悪臭問題に対する現状認識についても伺います。 令和5年度の県への要望に取り上げられている、花巻市にあります化製場の悪臭対策についてですが、化製場を発生源とする悪臭により、長年周辺地域への生活環境面や近隣の宮沢賢治記念館などの観光面からも問題となっています。 この間、当該自治体の花巻市においては、花巻市悪臭公害防止条例に基づき、立入検査及び臭気測定を実施し、悪臭発生の原因について検証し、原因となる施設について、花巻市悪臭公害防止条例第10条による改善勧告が行われており、同市の報告によると、平成28年に行った改善勧告に対して、当該化製場では改善計画を作成し、施設場内及び排気設備について、臭気処理設備を設置するなどの対策を行っているとのことですが、悪臭の発生状況がいまだに改善せず、現在も改善勧告を継続しているとのことです。 化製場の設置については、化製場等に関する法律第3条第1項の規定により、化製場等の設置の許可または変更の届け出として、県知事の権限であり、その許可を受けることとされています。 また、構造設備等について変更しようとする場合には、同条第2項の規定より、県知事にあらかじめ届け出ることとされております。 そして、同法第6条第1項では、化製場等の設置者もしくは管理者に対する報告を求めることや、立入検査できる旨が規定されています。 同法同条の2では、化製場等の構造設備が県条例で定める基準に適合しなくなったと認めるとき、または法で定める措置を講じていないと認めるときは、県の条例の基準に適合させるために必要な措置をとるべきことを命じ、または、法で定める措置を命ずることができる旨、規定されています。 〔副議長退席、議長着席〕 しかし、本県の化製場等に関する法律施行条例の化製場または死亡獣畜取扱場の構造設備の基準等に係る規定では、臭気の処理を行う設備の設置に関する規定がなく、臭気処理施設の整備、設置がなくても実質的に当該施設の設置許可ができる状況にあり、その結果、悪臭問題が発生していても、県として化製場等に関する法律第3条第1項に基づき、知事の権限により設置の許可がなされていますが、設置以後の直接的な改善命令が難しいという状況にあります。 そこでお伺いします。まずは、他の都道府県において、化製場等に関する法律施行条例の化製場または死亡獣畜取扱場の構造設備の基準等に、臭気の処理を行う設備の設置に関する規定のある都道府県があるのかどうか。また、化製場に対する臭気の処理施設の更新整備などの改善等、実績の前例についてもお示しください。 その場合の適用の根拠法として、化製場に関する法律施行条例なのか、あるいは市町村による悪臭防止条例に基づく改善勧告命令によるものなのかも、あわせてお示しください。 先ほど述べたように、花巻市は、当該化製場施設による近隣の住宅団地や周辺観光拠点施設はもとより、市街地全域にも及ぶような悪臭公害が顕在化し、私が1987年に市議会議員になる以前から約40年もの間、当該施設に対する市行政の対応、近隣住民による対策協議会による監視と立入調査、事業者側との話し合いなどが今日まで粘り強く行われ続けています。 直近の平成28年には、改善勧告に対し、改善計画の作成と場内及び場内排気を行う設備に臭気処理設備を設置するなど対策はしていますが、一時的に効果は見られるものの、依然として、特に夏場の時期などは、処理待ちの原料の腐敗集と処理臭の臭気が、周辺地域や風向きによっては市街地まで広範囲に早朝の時間帯から重く漂い続けるのが実態です。 本来、化製場における事業の生成処理過程においては、悪臭を発生させる可能性が非常に高く、設置許可の時点で臭気対策処理設備を適切に行うことが重要であり、県として、化製場の悪臭被害に長年苦しめられている状況を認識いただき、こうした状況を改善するために、既存施設にあっても、設置許可後に化製場等に関する法律に基づく改善命令等の権限を確実に行使できるよう、化製場等に関する法律施行条例を改正するべきであります。 したがって、改めて花巻市からも繰り返し毎年のように求められています点について、一つは、化製場設置許可権者として、許可後における設備の規制についての実効性ある権限整備を図ること。二つには、化製場からの悪臭発生を未然に防ぐため、化製場等の設置者に対し、臭気を処理する設備の設置を義務づける化製場に関する法律施行条例を改正すること。以上の2点について、県としての検討状況と考えを伺います。 次に、交通政策について伺います。 県内の路線バス運行を取り巻く環境は、今日の慢性的な運転手不足とともに、残業規制の強化によって厳しさを増しています。 先月、岩手県交通が本年4月1日のダイヤ改正において、路線バス運行数を県内全域で、平日は現行より11.9%294便と大規模に減らすことが公表されました。 そこで、地域公共交通の維持、確保を図るため、今般のこのような路線バスの大幅な減便という事態なども踏まえて、改めて運行事業者に対する事業継続のための財政支援について国に対し強力に働きかけるとともに、事業者の経営状況や路線の存廃にかかわる計画などについては、県と関係市町村が協力して、県民に必要な路線維持などについてバス路線維持計画を策定するべきと考えますが、県としての考えを伺います。 県では、地域公共交通活性化推進事業費補助金による予約応答型乗り合い交通に対する補助について、地域公共交通体系の再編に伴う新たな実証運行として、車両の借り上げ費用や乗り合いシステム等の初期導入費用に限定する形で支援していますが、この補助制度において、既に運行している予約応答型乗り合い交通の運行費用については、活用できない制度であるとの指摘があります。 また、地域バス交通等支援事業費補助金において、令和4年度に新設した人口減少対策路線確保事業で、広域バス路線からデマンド交通等へ転換せざるを得ない場合の代替交通が補助対象となっていますが、支線バス路線の代替交通は補助対象となっておらず、今後の予約応答型交通へ転換を図っていく上で、財政負担増が課題となっています。 市町村からの要望も踏まえて、予約応答型乗り合い交通など継続的な地域交通の確保を図るために、支援制度の見直しが必要と考えますが、県の方針、検討状況をお示しください。 次に、JRローカル線維持について伺います。 昨年11月21日、JR東日本は地方路線の2022年度収支を公表し、本県の該当路線である大船渡線、釜石線、北上線、八戸線、花輪線、山田線の6路線10区間は、全て赤字であることを改めて示しました。 JRローカル線におけるこの県内6路線の今後のあり方については、これまでの議論においても、国の交通政策の根幹として、また、地域住民の移動手段、災害時の代替、補完交通、観光、物流を支える社会基盤としての役割など、沿線自治体、関係機関と連携してその維持と対策に努めることが求められていると申し上げてきました。 これまで、山田線を初め路線ごとに沿線自治体首長会議が順次開催され、鉄道の維持に向けて県と沿線自治体が連携して協議や具体の利用促進のためのイベント事業などについて取り組んでいるところですが、昨年10月には、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律が施行され、地域公共交通再構築に向けた国主導の再構築協議会の制度の運用が開始されました。 JR東日本管内では、まだ再構築協議会の具体的な動きは表面化していませんが、岡山県と広島県にまたがる芸備線では、JR西日本の要請により、全国初の再構築協議会が本年1月に設置され、3月下旬に第1回の協議会開催が発表されました。 昨年6月定例会の一般質問において、再構築の手続や考え方について質問し、知事は、地域の声がどこまで反映されるのか不透明であり、路線見直しの方向で議論が進むことも懸念されると答弁されています。 こうした再構築の動きがあらわれてきたことを踏まえ、JR東日本における動向などを県ではどのように受けとめ、今後どのように対応するのか、改めて知事に伺います。 最後に、防災対策について伺います。 このたびの能登半島地震による甚大な被害は、地震による建物倒壊と火災、そして津波という直接的な被害に加えて、その後の人命救助活動と避難者対策について、半島という地理的条件などから、支援を阻む道路網の崩壊、震災後の救援、救助活動、避難者支援とインフラ被害の復旧問題などが事態をより一層深刻なものとしており、連日の現地報道に心を痛める日々となっています。 また、本県からの対口支援による自治体関係者、医療関係者並びに民間支援団体等の活動に対しては、関係されている皆様には心から敬意を表したいと思います。 改めて、今般の能登半島地震の現状を現段階において、防災対策という備え方の視点と発災後の初動対応のあり方、そして、2カ月近く経過した現状の姿から、どのような課題を認識し、本県における災害防災対策に生かすべきと考えているのか、知事に伺います。 また、初動における道路網の寸断という事態に対して、改めて道路の二次、三次ルートの確保とともに、海路やヘリポートの緊急アクセスポイントの確保などにより、情報収集、救助、避難者支援活動の迅速な展開のための再点検、再構築についても図る必要があると思いますが、現状と取り組み方針について伺います。 以上で私の一般質問を終わらせていただきます。答弁によっては再質問させていただきます。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 〇議長(工藤大輔君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。 〔知事達増拓也君登壇〕 〇知事(達増拓也君) 木村幸弘議員の御質問にお答え申し上げます。 まず、人口推計に対する受けとめについてでありますが、先般公表された日本の地域別将来推計人口によると、2050年の総人口は、東京都を除いた全ての道府県で2020年を下回り、本県を含む11県では、2050年の総人口が2020年と比較して30%以上減少するとされておりますが、これは、追加的な対策を講じなかった場合の推計値であり、今後これを改善していくために、人口減少の背景にある生きにくさを生きやすさに変えていくさらなる施策の展開が必要です。 議員御紹介の東京一極集中に対する見解については、コロナ禍による一時的な反転効果も見られたものの、東京一極集中の是正には至っておらず、国に対し、地方重視の経済財政政策を実施するよう、全国知事会等とも連携しながら、強く訴え続けてまいります。 また、日本創成会議増田座長の少子化対策に向けた社会変革の見解については、働き方改革や女性の活躍、 若年層の所得向上、性別によるアンコンシャスバイアスの解消など、岩手県の自然減、社会減対策の考え方と通じるものがあり、県においても、特に若者や女性の生きにくさを生きやすさに変えるため、最重要課題としてオール岩手で取り組みを進めてまいります。 次に、自衛隊による民間空港使用拡大についてでありますが、昨年12月18日に開催された総合的な防衛体制の強化に資する研究開発及び公共インフラ整備に関する関係閣僚会議において、自衛隊等が平時から必要な空港、港湾を円滑に利用できるよう、インフラ管理者との間に設ける円滑な利用に関する枠組みについて、年度末を目途に、調整を加速するとされているところですが、現時点で、いわて花巻空港等では、そのような動向はない状況です。 また、いわて花巻空港等は民生利用を目的に整備しており、これまで災害派遣、捜索救難、人命救助等やこれに関する訓練で自衛隊の使用実績がありますが、戦闘行為を前提とした有事を想定した訓練の使用実績はありません。 空港等での戦闘行為を前提とする有事を想定した訓練の要請があった場合は、国からの説明などで具体的な内容を確認した上で、関係機関や周辺市町村等の意見を伺いながら慎重に判断してまいります。 次に、化製場に係る県の責務についてでありますが、化製場は、屠畜残渣などの畜産副産物を適正に処理し、有効活用できるよう飼料や肥料などの原料を生産する施設であり、畜産振興を図る上で不可欠な施設です。 一方、牛や豚などの獣畜の処理が衛生的に行われない場合、伝染病が発生して人や家畜に危害を及ぼす懸念などがあることから、昭和23年に化製場法が制定され、都道府県が衛生面から規制を行うこととされています。 県としては、この化製場法に基づき、構造設備基準の適合状況に関する検査などを行っており、今後も化製場法や関連する法令に基づきながら、引き続き公衆衛生の確保に取り組んでいく必要があると考えております。 次に、JRローカル線の維持についてでありますが、ローカル線は、地域住民の移動手段としてのみならず、災害時における代替性、補完性を有するとともに、観光、物流など地域経済を支える重要な社会基盤であります。 再構築協議会については、議員御指摘のとおり、JR東日本管内においては設置に向けた動きは具体化していませんが、JR東日本では、昨年11月の線区別経営状況の公表に当たり、持続可能な交通体系について建設的な議論をしていく意向を改めて示すなど、ローカル線を重要な経営課題として捉えているものと受けとめております。 県では、JRローカル線については、国鉄改革からの経緯を踏まえ、国やJR東日本が当事者として鉄道を維持していくべきことについて、沿線市町と認識を共有するとともに、路線ごとに沿線自治体首長会議等を順次開催し、路線の維持とそれに向けた利用促進の強化を確認しているところです。 県としては、路線維持に向けて、引き続き、国やJR東日本に対し路線の維持を働きかけていくとともに、利用促進の取り組みを推進することが重要との考えのもと、来年度当初予算案に沿線自治体等への補助制度の拡充を盛り込んだところであり、沿線自治体と連携し、鉄道の維持に向けた取り組みを一層強化してまいります。 次に、能登半島地震を踏まえた本県の防災対策についてでありますが、先日、私も被災地を訪問し、現地を直接確認したところでありますが、相当数の家屋が倒壊し、通行可能な道路でも多数の段差が生じているほか、広範囲かつ長期にわたり断水し、避難生活に多くの支障が生じていると感じたところです。 また、能登半島地震は、寒さが厳しい冬季に発生したこと、道路が損傷し多くの集落が孤立したこと等も踏まえ、本県としても、これらへの対策を進めていく必要があると改めて認識したところです。 住宅や水道の耐震化については、岩手県耐震改修促進計画や新いわて水道ビジョンに基づき取り組みを進めていくほか、冬季の災害対策については、県、市町村において防寒対策用物品の備蓄が計画的に進められていますが、その対策が十分であるか、市町村とともに改めて確認してまいります。 また、孤立化対策については、通信手段の確保、避難先、救出方法の確認、備蓄の奨励、自主防災組織の育成強化など、岩手県地域防災計画に定める対策の実効性を高められるよう、市町村と連携した取り組みを着実に進めてまいります。 今後とも、被災地の復旧、復興への支援等を通じ、能登半島地震における災害対応の状況や課題の把握に努め、本県の防災、減災対策に生かしてまいります。 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。 〔政策企画部長小野博君登壇〕 〇政策企画部長(小野博君) 新たな人口ビジョンについてでありますが、まち・ひと・しごと創生法に基づく国の長期ビジョンは、国勢調査を踏まえ、5年ごとに改訂されており、地方の人口ビジョンの見直しに当たっては、国の長期ビジョンや国立社会保障・人口問題研究所、日本の地域別将来推計人口などを踏まえることとされております。 国においては、令和6年度に長期ビジョンの改訂を予定しており、地方向けに人口動向分析、将来人口推計についての基礎データ等の情報を提供することとしていることから、本県としては、それをもとに人口の展望の見直しを行うことを想定しております。 見直しに当たっては、国の基礎データを活用しつつ、現行の人口ビジョンを踏まえ、本県の人口減少の背景にある東京一極集中の状況やコロナ禍で急減した出生数、女性の社会減なども注視し、長期的に人口が定常状態に至る道筋を探りながら、人口の将来展望と今後目指すべき将来の方向について検討していきたいと考えております。 〔ふるさと振興部長熊谷泰樹君登壇〕 〇ふるさと振興部長(熊谷泰樹君) まず、活力ある小集落実現プロジェクト研究会についてでございますが、この研究会は、急速な人口減少と少子高齢化の進行による地域社会への影響を踏まえ、将来にわたり持続可能な活力ある地域コミュニティーの実現を目指して設置したものです。 これまで、この研究会では、小集落の現状調査を初め、生活サービスの提供に向けた第4次産業革命技術や民間力を活用した社会実証、集落機能の維持や地域の担い手確保を推進する国の制度活用をテーマに研究会を開催してきたところでございます。 具体的には、岩泉町におけるドローンと陸送物流を組み合わせた新サービスの検討を行い、令和6年度は、その社会実装を進めるほか、郵便局やIGRいわて銀河鉄道など民間企業と連携した地域コミュニティーの拠点づくりなどに取り組んでまいります。 今後におきましても、小規模市町村の地域課題に焦点を当てながら、これまでこの研究会に蓄積したノウハウと民間力を積極的に活用し、市町村と連携した地域づくりをさらに加速してまいります。 次に、いわて花巻空港の利用促進についてでございますが、まず、国際線については、運航再開した台北線の路線維持に向け、インバウント、アウトバウンド双方の利用促進に取り組んでいきます。 また、運休中の上海線についても、早期の運航再開に向け、航空会社の日本支社を通じた働きかけ等を行っており、今後も国際線の拡充に向けて積極的に取り組んでまいります。 また、本年3月にはベトナム、5月には韓国へのチャーター便が、それぞれ約10年ぶりに運行されることとなっており、これらの路線に加え、運航実績のある香港やタイなども視野に入れながら、旅行会社等と連携し、引き続き国際チャーター便の誘致に取り組んでいきます。 国内線につきましては、いわて花巻空港の航空需要は、新型コロナウイルス感染症の影響から回復基調にあるものの、コロナ禍前の水準には至っておらず、県としては、まずは、現在運航中の5路線の維持、拡充を図っていくことが重要と考えております。 その上で、定期便が就航していない空港についても、定期便からの乗り継ぎの活用やチャーター便の運航について、引き続き航空会社へ働きかけを行うなど、航空需要の喚起を図りつつ、新規路線の開拓を含めた航空ネットワークの充実につなげていきたいと考えております。 議員から御紹介のあったとおり、いわて花巻空港は、先般2月15日に開港60周年を迎えたところであり、今後、関係者と一体となってさまざまな記念事業を実施し、空港の認知度向上と一層の利用促進を図ってまいります。 次に、バス路線維持計画の策定についてでございますが、人口減少や新型コロナウイルス感染症、燃料費高騰、運転士確保などが課題となる中にあっても、バス路線や路線が廃止された場合の代替交通などにより、日常生活に不可欠な移動手段を維持、確保していくことは重要と考えております。 国に対しては、国庫補助路線に対する補助上限額の拡大や補助要件の緩和、運転士確保に対する支援など、必要な措置を求めてきたところであり、県といたしましても、路線維持を図るため、国庫補助路線に対する協調補助や運転士確保に対する支援について、令和6年度当初予算案に計上したところであります。 また、現在、策定に取り組んでいる岩手県地域公共交通計画において、バス路線など地域公共交通の維持、確保に向けた基本方針や実施事業等を盛り込むこととしており、広域振興圏ごとに設置する地域別部会やバス路線活性化検討会等において、市町村と協議を重ねてきたほか、市町村の地域公共交通計画との整合性を図ってきたところであります。 今後も、国に対して必要な支援を求めていくとともに、市町村と連携して、持続可能な地域公共交通の維持、確保に取り組んでまいります。 次に、支援制度の見直しについてでありますが、市町村への支援のあり方につきましては、県と市町村で構成する地域内公共交通構築検討会において市町村と検討を行ってきたところであり、市町村においては、バス路線が廃止された場合の代替交通やデマンド交通等の維持、確保等に取り組み、県においては、デマンド交通等を市町村が導入する場合に一時的に膨らむ実証運行に必要な経費に対する支援を行うなど、役割分担しながら公共交通の維持、確保に取り組んできたところであります。 また、バス事業者から補助路線の廃止の申し出がなされた際に、市町村が路線維持のための代替交通等を確保する場合に、県がその経費の一部を支援する新たな補助について、令和5年度2月補正予算案及び令和6年度当初予算案に計上したところであります。 なお、デマンド交通等により住民の移動手段の確保に取り組む市町村に対しては特別交付税が8割交付されていますが、引き続き必要な財源が確保されるよう、国に求めてまいります。 〔環境生活部長福田直君登壇〕 〇環境生活部長(福田直君) まず、県内の化製場の状況についてでありますが、県内に所在する化製場は、県と盛岡市の所管分を合わせて9件であり、1日当たりの最大処理量は約390トン、その大部分を花巻市が改善勧告を行っている化製場が占めております。 化製場に関して懸念される課題としては、伝染病や悪臭の発生などがあり、保健所が化製場法に基づく検査を行っているほか、市町村が悪臭防止法等に基づく検査を行っております。 花巻市が平成28年に改善勧告を行った化製場については、既に改善勧告の期限を経過しておりますが、現在も周辺住民の皆様から苦情が寄せられていると伺っております。 次に、他県における規制の状況についてでありますが、化製場法施行条例における設備構造基準に臭気処理設備が明記されているのは、東北6県では3県となっており、御指摘のとおり、本県では明記されておりません。 なお、花巻市が改善勧告を行っている化製場では、外形上、臭気処理設備を既に備えているため、仮に基準に追加する場合、実効性のある形で規定できるかが課題であり、このことが化製場法に加えて悪臭防止法が制定されていることの背景にあります。 化製場については、令和3年度までの10年間において、化製場法に基づく改善命令が全国で4件ありますが、これらは壁や屋根の構造などに関するものであり、臭気処理設備に関するものは確認できませんでした。 一方、同じ10年間において、悪臭防止法に基づく改善勧告、命令は、全国で30件となっており、そのうち化製場という分類はありませんが、飼料、肥料製造工場に対するものは15件となっております。 次に、悪臭防止の実効性確保についてでありますが、悪臭防止法は、化製場法等の個別法では悪臭に十分対応できないことを踏まえて、昭和46年に制定されたものであり、悪臭で住民の生活環境が損なわれている場合、市町村が改善勧告を行い、それに従わない場合には改善命令を行い、それにも従わない場合には罰則を科すということで、市町村による段階的な対応策が用意されております。 花巻市の悪臭公害防止条例においても、改善勧告に従わない場合には改善命令を行うことができ、それにも従わない場合には罰則を科すほか、事業場の使用制限、禁止まで命じることができるとされております。 住民の生活環境の確保は重要であり、仮に悪臭防止法や花巻市の条例でそれが不可能なことが明らかになった場合には、御指摘のとおり、県の化製場法施行条例の見直しも含めて検討する必要がありますが、現在は市による改善勧告の段階にあり、改善命令の段階まで進んでいないと伺っております。 市による改善勧告、命令は、法定受託事務ではなく自治事務とされているため、県の関与も限定的となりますが、市の改善勧告に沿って悪臭公害の改善が進むことが重要であり、保健所による立入検査を花巻市と合同で行うなど工夫を図ってまいります。 〔復興防災部長佐藤隆浩君登壇〕 〇復興防災部長(佐藤隆浩君) 迅速な災害対応のための取り組みについてでありますが、県では、東日本大震災津波における災害対応の検証を踏まえ、広域的な大規模災害に対応可能な防災体制を構築するため、物資の集積、供給や、救助、救援機関の活動の拠点となる応急復旧活動拠点をあらかじめ配置することとし、平成25年度に岩手県広域防災拠点配置計画を策定したところです。 広域防災拠点は、県内五つのエリアに配置し、救助部隊等が集結し、活動拠点となるベースキャンプ機能、支援物資の受け入れ、分配機能、情報収集伝達機能など、人、物、情報に着目した機能を備えています。 広域防災拠点配置計画策定から10年が経過し、復興道路を初めとした交通ネットワークの整備や、本県最大クラスの津波浸水想定、風水害の激甚化など、本県を取り巻く環境等が変化していることを踏まえ、令和3年度から配置計画の見直しを進めているところです。 今回の見直しでは、広域防災拠点の配置がこれまで内陸部中心であったこと、どの地域が被災しても対応可能な配置とすること、いずれかの拠点が被災した場合であっても他の拠点が代替できる配置とすることなどを考慮し、広域防災拠点を配置するエリアの追加も含め検討を進めているところであり、年度内に見直しを終える予定としています。 今後は、この計画の実効性を高めるため、県総合防災訓練で広域防災拠点の開設、運営訓練を行うなど、災害発生時の初動対応を初めとする災害対応力の強化に取り組んでまいります。 〇26番(木村幸弘君) それでは、何点か質問させてもらいますが、まず最初に化製場の問題です。 今、環境生活部長からも答弁いただいて、いろいろと課題があることはこれまでも十分承知しているわけでありますが、きょう、改めて知事からも答弁いただいて、この化製場の位置づけについて、非常に重要な施設なのだと。畜産振興も含めて、この施設を活用し、やはりある意味で共存する施設という位置づけで、これまでも花巻市のさまざまな議論や、あるいは地域住民の悪臭公害の問題が発生する都度に、そういった議論は重ねて行われてまいりました。 しかし、いずれにしても、なかなかそこから前に進まない。化製場自体の経営力、経済力等も含めて課題はあるのでしょうけれども、まずは、やはり基本的に、許可を与えている県として、必要な法令にかかわる条例をまず構えとして、事業者と対等に向き合うという観点から、整備をしっかり行いながら、その上で改善の取り組みに花巻市と一体となって進んでいくことが、私は大変重要ではないかと思っております。 そこで、例えば、知事の先ほどの答弁の中で、構造設置基準の適合状況に関する検査なども行っているということですが、具体的に、しからばその検査はどのような形で行われて、その結果がどういう実態になっているのか。そして、それは当該自治体である悪臭防止条例を持つ花巻市とどこまで共有されて、今回の花巻市の改善勧告というところに至っているのか。その辺のいきさつをもう少しお答えいただければありがたいと思っています。 それから、関連法令に基づいて公衆衛生の確保に取り組むのだというのは、知事のおっしゃるとおりなのですけれども、そうは言っても、基づく関連法令の施行条例が、最初に申し上げたとおり、実効性のある指導や監督あるいは改善が求められるような中身が伴っていなければ、これはやはり不十分だということになるのだと思うのです。 そういった意味でのしっかりとした拡充すべき点があると私は思っております。今後、花巻市がまず第一義的に勧告を行い、命令を行い、さらに、それに従わなければ罰則あるいは事業所をとめるなどという使用制限にかかわるようなことまで、そこまでやる必要が生じる前の段階で、共存という施設の位置づけがあるのだとすれば、そこに向かって、お互いに前向きな、建設的な方向で改善が図られるようなステップをきちんと踏むように進むべきだと思うのですけれども、改めて、そうした点も含めてお答えいただきたいと思います。 〇環境生活部長(福田直君) まず、化製場法に基づく立入検査についてでありますが、先ほど申し上げたような、壁や屋根の構造に関して検査をさせていただいているというものでございます。 その上で、花巻市が改善勧告を行っている化製場では、外形上、臭気処理設備を既に備えている状態にございますので、仮に県の基準に追加するということになりますと、その臭気処理設備のスペックをどこまで書き切るかという点がございます。実効性のある形で規定できるかというところが、課題になってくると考えております。 一方で、花巻市悪臭公害防止条例は、まさに悪臭公害に対処するためにつくられた条例でございまして、花巻市の改善勧告によって悪臭公害の改善が進むことが期待されますが、それでも改善が見られない場合は、花巻市による改善命令に進むことが想定されるところでございます。 まずは、花巻市の改善勧告に基づいて改善が進むことが重要であり、花巻市と県の保健所が、共同で立入検査を行ってまいりたいと考えております。 〇26番(木村幸弘君) 最初の答弁と基本的に変わらないわけです。なかなか前に進まない議論なわけですけれども、いずれ、先ほど申し上げたように、この施設そのものを、かつては迷惑施設のような形で花巻市の中でも大きな問題になりました。このような施設は要らないというところまで、随分議論もあったわけであります。 しかし、一方では、やはり地域の中で、あるいは県全体の産業振興上、畜産振興上においても、この施設は重要であるという考え方や意見があって、そして、互いにどうやって共存できるかというところで、さまざまな今の経過をたどっているわけです。 そういった点をぜひしっかりと受けとめていただきながら、花巻市では、このまま勧告の方向から進まないということになれば、必要において改善命令という考え方も出ております。そうしますと、やはりもう一歩進んで、事業者側との、共存の方向性から対立の方向性へと逆に持っていくような流れだけは、決してあってはならない部分もありますので、そういった部分にしっかり県がどう寄り添えていけるかということも含めて、もう少し前に向けて取り組みを進めていただければありがたいということを意見として申し上げたいと思います。 それから、JRローカル線の維持についてでありますが、知事から御答弁をいただきまして、これまでも、各議員も含めて、それぞれこのローカル線の維持、確保に向けては共通の認識に立っているわけであります。 そこで、具体的なところについては質問いたしませんでしたけれども、今年度の取り組みとして、いわゆる地方路線対策監を設置して、各対象6路線の沿線自治体との連携によって、連絡会議を基本にして協議を進めてきているわけであります。 沿線自治体会議の設置と利用促進対策の取り組みが行われてきたわけですけれども、今年度、いわゆる支援事業費として900万円が予算措置されました。この間、各路線の中でもさまざまな利用促進に向けた動きなどが報じられているところでありますけれども、改めて、この900万円の予算措置によって、具体的にはどのような動きや展開がなされてきたのかということを伺います。そして、これを踏まえて、新年度、さらに当初予算案に盛り込んでいるわけでありますけれども、今年度の取り組みやその成果や課題を踏まえて、どのように新年度に生かしていこうとするのかについても、改めてお伺いしたいと思います。 同時に、いわゆる沿線自治体や我々利用者の促進対策だけではなくて、JR東日本本体が、このローカル線の維持のためにどのような利用促進の取り組みをやっているのか。いわゆる当事者の事業者としての経営努力といいますか、そういったものがどのようになっているのか、また、県はその辺をどう捉えているか、その点についてもお聞かせください。 〇ふるさと振興部長(熊谷泰樹君) まず、今年度の県の補助事業の活用状況ということでありますが、新たに、沿線自治体が実施する利用促進策に対する補助制度を創設いたしまして、利用促進の取り組みを推進しております。 沿線自治体首長会議等で、どのようなことをやったらいいかといった議論を踏まえ、事務的にも、先ほど議員からお話しがございました、地方路線対策監が現地に赴きまして、また、沿線自体も、岩手県内だけではなくて、他県にもまたがる沿線もあるものですから、他県にも赴きながら、利用促進を中心に、さまざま意見交換をさせていただいております。 利用促進の今回の取り組みでありますが、具体例で申しますと、住民を対象といたしましたシンポジウムの開催、定期券、回数券の購入支援、モデルツアーの実施、プロモーション動画の作成など、幅広い取り組みが展開されたところであり、また、今後も予定されているところです。 令和6年度に向けて、沿線自治体首長会議でも県の補助の拡大等の要望もございましたことから、今回、当初予算案で1路線当たりの補助限度額を150万円から500万円に拡大したところでございますが、新たな取り組みは、現在、各自治体で検討されているところだと思います。 今、聞いているところでは、利用促進に向けて、子育て世代が鉄道を利用していただけるような形での情報発信、路線の利用実態調査、それから、北上線が来年度、全線開業100周年を迎えますので、その記念事業等も予定されております。 当初予算案で補助事業を拡大しておりますので、それを十分活用して、県と市町村一体となって利用促進に取り組んでいければと思っております。 それから、JR東日本の利用促進の取り組みでございますが、日常業務の運営の中でそういった利用促進の活動をやってもらっています。特徴的な取り組みとしては、昨年、北上線を無料で御利用いただける企画を提案いただきまして、かなりの盛況を博したと受けとめております。 利用促進に当たりましては、県、沿線市町村だけではなくて、やはりJR東日本の協力も必要ですので、引き続き、連携して取り組んでいきたいと思っております。 〇26番(木村幸弘君) 最後になりますが、知事から御答弁いただきましたが、自衛隊の民間空港使用拡大の問題であります。 知事から御答弁いただいたとおり、いわて花巻空港は、民生利用を目的として整備をされたものでございます。ただ、その中でこの60年の長い歴史を振り返って見ると、民生利用を目的に整備されているものの、いわゆる空港拡張闘争なる大きな事件というか騒動もございました。当時の2、000メートルへの拡張工事に向けて、地元の地権者を初め、さまざまな市民、県民の方々が、単なる拡張整備という観点からの問題だけではなくて、騒音あるいは安全の確保、そして、安全の確保の中では、やはりジェット化がどんどん進んで空港が整備されることによる、いわゆる軍事的な利用に将来つながらないかというような懸念なども、さまざまな運動の中では実はあったと私自身は認識しているわけであります。 そうした観点を考えると、ぜひ、このいわて花巻空港については、やはり民間の空港として、軍事目的ではない形できちんと利用促進が図られて、県民の、あるいは来客する交流人口の拡大のための安心・安全な空港として、しっかりと確立していただくことを強く望みたいと思っております。 過去には、自衛隊ではなかったのですけれども、岩手山演習場で日米共同訓練が行われた際に、米軍機が、一方的に、日米地位協定のもとに強制着陸をした。これは、米軍の幹部を視察に訪れさせるために、花巻空港に直接、一方的な通告で乗り入れたという例などもございます。 こういった形で、なし崩し的に本当の意味での平和利用ではなくて、軍事的な目的のほうに進められることを断じて認めてはならないと私は思っていますので、ぜひ今後も十分にそうした動向なども踏まえながら慎重な対応をお願いして、意見として終わらせていただきます。 〇議長(工藤大輔君) 以上をもって木村幸弘君の一般質問を終わります。 〇議長(工藤大輔君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。 本日はこれをもって散会いたします。 午後5時31分散会 |
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