令和6年2月定例会 第4回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇35番(佐々木茂光君) 自由民主党の佐々木茂光でございます。令和6年2月定例会に当たり、登壇の機会を与えていただきました先輩、同僚議員の皆様に心から感謝を申し上げます。
 初めに、本年1月1日に発生した令和6年能登半島地震で犠牲になられた方々の御冥福をお祈りいたします。また、被害に遭われた皆様方に心からのお見舞いを申し上げます。
 それでは、一般質問を始めさせていただきます。
 初めに、被災地の人口減少対策について伺います。
 昨年6月定例会の一般質問でも被災地の人口減少対策について質問をいたしました。私は、沿岸被災地に人が戻り、定着し、まちがにぎわいを取り戻してこそ復興の完遂が図られたと言えるのではないかと考えております。
 県では、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる、水産業、商工業などのなりわいの再生や三陸地域の魅力の発信による交流人口の拡大に取り組んできたところであります。東日本大震災津波発災前の平成22年10月、27万4、000人余りだった沿岸12市町村の人口は、令和5年10月には21万1、000人余り、率にして22.7%の減少となっており、人口減少に歯どめがかからない状況が続いております。
 一方で、三陸沿岸道路などの道路網や港湾機能の充実が図られた沿岸被災地には、大きな可能性があると私は認識しており、これらの交通網を生かした産業振興や交流人口の拡大などに取り組み、人口減少に歯どめをかけてにぎわいを取り戻していく必要があると考えますが、今後、どのように被災地の人口減少対策に取り組んでいくのか、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、被災地の移転元地等の活用状況と利用促進の取り組みについて伺います。
 東日本大震災津波の発災から間もなく13年を迎えようとしております。この間、国内外から多くの支援をいただきながら復興の取り組みを進められてきたところであり、まちづくりや交通ネットワークの形成が進んでおります。
 また、陸前高田市に県が整備した東日本大震災津波伝承館は、令和元年9月の開館以降、90万人を超える来館者が訪れるなど、国内有数の震災伝承施設として交流人口の拡大に寄与しております。
 しかし、被災地においては、多くの観光客が訪れる商店街の周辺に利活用の進まぬ空き地がまだまだ見受けられ、伸び放題となっている雑草、雑木への対処が深刻な課題となっております。
 これは交通事故や事件、事故のほか、まさに環境景観の悪化の温床になるのではないかと改善を求める声が相次いでおります。未利用地の解消は一朝一夕には進まぬが、雑草は日を追うごとに繁茂するのであります。
 県は、市町村の移転元地等の利活用に向けた取り組みを引き続き支援するとともに、県としてももっと踏み込みを強め、活用方策を市町村とともに積極的に提案していくことが必要であり、改めて現在の移転元地等の利活用の進捗状況と今後に向けた取り組みについてお伺いいたします。
 次に、能登半島地震の被災県の復興について伺います。
 能登半島地震が発生してから2カ月が経過しようとしております。被災地では人的被害のほか、住宅の全半壊、ライフラインの寸断、道路の損壊などが発生し、多くの方々が被災され、避難所での厳しい生活を送っております。復旧に向けて被災者向けの仮設住宅の建設、そして入居が始まっていますが、いまだに多くの方々が避難所での生活を強いられている状況にあります。
 時間の経過とともに復旧、復興に向けたさまざまな取り組みが進んできており、東日本大震災津波を経験した者とすれば、被災県の早急な復旧、復興を願うものであります。そしてまた、すぐにでもはせ参じなければならないという思いであります。
 そこで、東日本大震災津波を経験した知事として、被災県の復興をどのような思いで支援していくのかお伺いいたします。
 次に、水産業のビジョン立て直しについて伺います。
 東日本大震災津波から13年を迎えようとしている現在、沿岸地域の基幹産業である水産業を取り巻く環境は、海洋環境の変化などにより主要魚種であるサケ、サンマ、スルメイカの漁獲量は不漁に見舞われ、さらには、少子高齢化や人口減少などによる漁業就業者の高齢化や後継者不足など、厳しい状況に置かれております。
 このようなかつてない不漁を打開するため、三陸豊穣の海を守るため、海洋環境の変化にも対応した将来を見据えた水産業の新たな取り組みが必要であると考えます。この厳しい状況をどのように捉え、水産業をどう立て直していくのか、また、ビジョンをお持ちか、知事の見解をお伺いいたします。
 次に、主要魚種の水揚げ状況について伺います。
 サケ、サンマ、スルメイカ等の主要魚種が不漁にある中、県内の幾つかの漁業協同組合では、サケ、マス類の海面養殖の生産拡大などの成果も出てきていると伺っております。令和5年の主要魚種の水揚げ量、水揚げ額とサケ、マス類の海面養殖の取り組み状況についてお伺いいたします。
 次に、海業の推進について伺います。
 本県水産業を取り巻く環境は、さきに述べたように、大変厳しい状況にあります。このような中、沿岸地域の活性化を図るため、これまでも伺ってまいりました、利用頻度の低い漁港施設用地等の有効活用のほか、海などに関する地域資源の価値や魅力を活用して所得機会の増大を図る海業の取り組みが重要なのであります。
 国では、令和4年3月に閣議決定された水産基本計画及び漁港漁場整備長期計画において海業の振興を位置づけ、水産物の消費増進や交流促進など、地域の水産業を活性化する海業の取り組みを促進することとしております。
 また、昨年5月に改正された漁港及び漁場の整備等に関する法律では、法律の目的に漁港の活用を促進することが追加され、漁港を利用して海業振興を図るための内容が盛り込まれております。
 このようなことから、県においても、沿岸地域の水産振興や地域振興に向け、積極的に海業の取り組みを推進すべきと考えますが、これまでの県の取り組みの状況と今後の取り組みについてお伺いいたします。
 次に、藻場の再生について伺います。
 藻場は幼稚魚の保護育成、魚類の生息場、そして、餌場、隠れ場などの豊かな生態を育む機能を有するほか、海中に溶け込んだ二酸化炭素を光合成により吸収するなど、環境保全の場としても非常に重要な役割を担っていると言われております。
 近年、冬季の海水温が例年より高めに推移したことでウニなどが活発に活動し、この時期に発芽した昆布、ワカメなどの大型海藻類の芽を食べ尽くしてしまうことにより、昆布やワカメなどの海藻が育たなくなり、それらを餌とするアワビの成長やウニの実入りに悪影響を及ぼしております。
 そのような中、県は令和3年に策定した岩手県藻場保全・創造方針に基づき、沿岸各地において藻場造成を進めていると伺っております。藻場の再生は、漁業者にとってはウニ、アワビなどの磯根資源の漁獲にかかわる喫緊の課題であります。
   〔議長退席、副議長着席〕
 今後、県や関係機関、団体による藻場の再生に係る取り組みの成果が上がることを期待していますが、これまでの取り組み状況と今後の進め方についてお伺いいたします。
 次に、クロマグロの漁獲可能量について伺います。
 これもたびたび質問をさせていただいている一つであります。令和5年度は、県沿岸南部の一部の定置網漁業で春先に大型のクロマグロが大漁となり、県に配分された漁獲可能量を消化し、その後、県内で大型のクロマグロの水揚げができず、放流している状況を聞き、本県におけるクロマグロの漁獲可能量と県の対応について、昨年の6月定例会でも質問をしておりました。
 県からは、小型魚の配分量の一部を大型魚に振りかえするほか、国に対し、大型魚の漁獲可能量の追加配分や配分方法の見直しなどを強く要望し、クロマグロの漁獲可能量の拡大に取り組むとの答弁がありました。
 定置網の主力であった秋サケが令和5年度は前年比の約30%と極端な不漁に陥っております。一方では、入網したクロマグロの漁獲超過を回避するため、割り当て枠の5倍に当たる739トンを放流したとのこと。このような状況は、漁業者にとってはやり切れぬ感情があると思います。そもそも定置網は、魚を選ぶことなく来るものを囲い取る、それが漁法であります。
 そこで、本県におけるクロマグロの令和5年度の漁獲可能量と漁獲実績、令和6年度の漁獲可能量の見込み、また、漁獲可能量拡大への県の取り組み状況について伺います。
 次に、漁業協同組合の経営状況について伺います。
 本県の多くの漁業協同組合は、近年の海洋環境の変化等により主要魚種である秋サケの不漁が続き、また、燃油価格や生産資機材価格の高騰も影響し、漁協の経営は非常に厳しい状況にあると伺っております。今後もこのような状況が続けば、漁業協同組合の財務状況はさらに悪化していくと思われます。
 令和4年3月、県と水産関係団体が、不漁に打ち勝つ!岩手県水産業リボーン宣言を公表しており、この宣言以降、サケ、マス類の海面養殖やウニの畜養等に取り組み始めた漁協も一部ありますが、漁協の組合員数も、震災前の平成21年度末の1万4、452人と比較して、令和3年度末には1万人を割るまでに減少しており、漁業生産力が低下していく中、漁業者の協同組織である漁協が経営を維持していくためには、経営の改善のほか、新たな事業展開が必要と考えます。
 そこで、本県漁協の経営状況はどうなっているか、漁協の経営改善に向けた県の取り組みについてお伺いいたします。
 次に、国土強靱化について伺います。
 近年の気象変動に伴い、気象災害は激甚化、頻発化しており、一部の地域へ大きな被害を与える局所災害が毎年のように発生しております。
 県では、国の防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策に対応し、岩手県国土強靱化地域計画の策定、道路などのインフラの老朽化対策や河川などの治水対策等に重点的に取り組んでいると承知しております。
 広大な県土を有する岩手県内には、対策を必要とする危険な箇所がまだまだあり、強靱化に向けた取り組みを一層強化していく必要があります。
 また、復興事業終了と同時に公共事業激減の状況にあります。そこで、強靱化に向けた今後の公共事業予算の確保の見通しについてお伺いいたします。
 次に、国道343号笹ノ田地区の道路整備に向けた取り組み状況について伺います。
 私は、国道343号について、ILC建設を見据え、新笹ノ田トンネルの整備を含めた抜本的改良の必要性を訴えてきたところであります。昨年11月には陸前高田市の東日本大震災津波伝承館の来場者数が90万人に到達しており、平泉世界遺産を結ぶ教育、観光振興や、さらには、物流を支える極めて重要な路線となっております。また、沿線住民の署名も9万、10万筆と届けております。
 県は、昨年3月に笹ノ田峠に新たなトンネルを整備する必要性などに関し、専門的見地から助言をいただく国道343号笹ノ田地区技術課題等検討協議会を設置し、検討を始めたと伺っております。
 令和6年の政府予算案について、令和4年度から倍増となった令和5年度当初予算を上回る額のILC関連経費が計上されているなど、ILC建設の機運の高まりは感じておりますが、新笹ノ田トンネルの整備については、ILCの動きを待つのではなく、みずからやれることを進めるべきと考えますが、新笹ノ田トンネルの整備に向けた取り組み状況についてお伺いいたします。
 次に、国道107号白石峠の道路整備の進捗状況について伺います。
 重要港湾大船渡港を擁する気仙地域と工場集積の進む県内陸部を結ぶ広域道路ネットワークは、新たな企業立地、港湾の利活用、流通効率化による農林業や水産業の振興、交流人口拡大による観光振興や津波伝承による防災学習、災害時の円滑な支援活動、救命救急医療の充実等に資するとともに、国際リニアコライダー実現の折にも重要な役割が期待されております。
 しかしながら、国道107号については、急カーブ、急勾配、荷沢峠の路面凍結など、安全で安心な通行を阻害する要因が多く残されており、幹線道路としての改良整備は極めて重要な課題であります。
 特に、白石峠はトンネルの幅員が狭くカーブしているため、コンテナ運搬車などの大型車両同士のすれ違いに大きな支障があるほか、急勾配もあるため、大型の物流車両等にとって通行の難所となっております。
 そこで、白石峠が整備されれば道路ネットワークの強化につながると思いますが、白石峠地区の道路整備の進捗状況についてお伺いいたします。
 次に、港湾振興策について伺います。
 港湾は本県のさまざまな産業を支える重要な社会資本であり、港湾の利活用を促進することで県内の物流の活性化につながり、ひいては沿岸地域全体の振興に資するものと考えております。
 県内の港湾におけるコンテナ輸送の現状を見ると、新型コロナウイルス感染症からの経済の回復を初め、県において首都圏で開催したポートフォーラムや、港湾所在市と連携した積極的な企業訪問などのポートセールスが功を奏し、復調しているものと認識しており、県の取り組みに感謝を申し上げます。
 また、令和5年3月に県が策定した、いわて県民計画(2019〜2028)の第2期アクションプラン、政策推進プランにおいて、港湾における実入りのコンテナ貨物取扱数は、令和3年の実績が8、709TEUですが、令和8年の目標が1万7、500TEUとされております。
 また、報道によると、令和5年における実入りのコンテナ貨物取扱数の実績を見ると、大船渡港が5、309TEU、前年比46.3%の増となっております。令和8年の目標値の達成に向け、大船渡港のコンテナ貨物取扱数を拡大していくことが重要であります。
 県では、この令和8年の目標値を達成するため、大船渡港を初めとする県内のコンテナ貨物取扱数の拡大に向けた課題をどう捉え、どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
 また、港湾のさらなる機能強化も必要と考えますが、大船渡港の整備の取り組み状況について、あわせてお伺いいたします。
 次に、クルーズ船寄港の誘致について伺います。
 港湾の利活用の促進という観点から、クルーズ船の寄港の拡大というものも大変重要であると考えております。県内の港湾にクルーズ船が寄港すると一度に多くの観光客が下船し、食事、観光などによる直接的な経済効果が見込めるほか、これらの観光消費に伴って関連産業の生産、雇用の発生などの波及効果などについても期待されます。
 令和5年5月に新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類に移行し、観光地などへの人出の回復傾向を背景に、観光振興や地域振興の観点からも、県内港湾へのクルーズ船の寄港の拡大が期待されるところであります。
 また、外国船社クルーズ船の本県港湾への寄港が再開した今年度においては、県と港湾所在市によるクルーズ船社、旅行代理店等へのポートセールスが功を奏し、外国船社クルーズ船の本県寄港が過去最高を記録したと聞いており、県の積極的な取り組みに敬意を表します。
 そこで、改めて確認しますが、今年度の県内港湾への外国船社及び日本船社のクルーズ船の寄港実績と、同じく来年度の見込みとクルーズ船のさらなる寄港拡大への取り組みについてお伺いいたします。
 次に、鳥獣による農作物被害の状況とその対策について伺います。
 令和4年度の全国の野生鳥獣による農作物被害額は、農林水産省の調査によると156億円となり、その被害額全体の約7割が鹿、イノシシによるものとのことであります。
 国では、本県にも多数生息している鹿の生息頭数を令和10年度までに平成23年度水準から半減させるとの目標を掲げております。
 そこで、本県における野生鳥獣による農作物の被害状況と、農作物被害対策の取り組みについてお伺いいたします。
 次に、ツキノワグマによる人身被害防止対策について伺います。
 今年度のツキノワグマの出没は異常とも言える状況であり、人身被害も過去最多の49人の方が被害に遭われています。市街地への出没や人身被害が繰り返し報道され、自宅の前でも熊に警戒しなければならない状況だという話も聞いているところであります。
 私はこれまでも熊対策について質問してきたところであり、捕獲については県が許可していると承知していますが、地域の実態に応じて捕獲許可を柔軟に対応できているのかお伺いいたします。
 また、直近の捕獲実績はどのようになっているのか、あわせてお伺いいたします。
 次に、市街地での銃使用について伺います。
 市街地での銃の使用に制限があるため、熊の捕獲に関係者が苦慮していると聞いております。銃の使用に伴う安全の確保は当然必要ですが、私は、市街地にあらわれた熊は速やかに捕獲し、殺処分するべきと考えております。
 昨年の国の緊急要望において、銃使用の規制緩和について要望したと聞いておりますが、現時点での見通しについてお伺いいたします。
 次に、ツキノワグマの指定管理鳥獣への追加に伴う県の対応について伺います。
 先般、国において、熊を鹿やイノシシと同様に指定管理鳥獣にする方針が決まったとの報道がありました。これは北海道東北地方知事会の緊急要望を受け、本県を含めた熊に被害を受けている地域の実情を国に理解していただいたことによるものと承知しております。
 しかしながら、指定するだけで対策が進むわけではなく、今後、国においても、省令やガイドラインの見直しなどのさまざまな手続が必要となります。今年度の状況を踏まえると、速やかな取り組みが必要と考えておりますが、今後の県の対応についてお伺いいたします。
 時は流れて幾千秋、治乱興亡夢の跡。世の濁流を退けて歩みを進めていかなければならない。知事並びに執行部局長には、県民に向かい、誠意ある答弁に御期待を申し上げ、一般質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 佐々木茂光議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、被災地の人口減少対策についてでありますが、県では、沿岸被災地の復興の推進が人口減少対策でもあるという考え方のもと、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプラン復興推進プランにおいて、あらゆる世代が希望を持って生き生きと暮らし、将来にわたって持続可能な新しい三陸地域の創造を目指すこととし、暮らしの再建やサケ、マス類の海面養殖やウニの畜養など新たな漁業、養殖業の取り組みの推進、若者を初めとする起業者や後継者の育成による経営人材の確保、新たな交通ネットワークを生かした企業誘致や物流体制の構築など、なりわいの再生に取り組んでおります。
 また、令和6年度岩手県一般会計当初予算案についても、四つの重点事項の一つとして自然減対策や社会減対策を掲げ、性別にかかわらず誰もが活躍できる環境の整備、ライフステージに応じた支援、移住、定住の促進などに関する事業を盛り込んでいるところであります。
 今後も、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランに掲げる自然減、社会減対策に係る施策を推進するとともに、海外でも注目されているみちのく潮風トレイルなど、三陸の地域資源を生かした誘客拡大や、復興の取り組みにより大きく進展した交通ネットワークや港湾機能を活用した企業誘致、産業振興を進め、オール岩手で人口減少対策を進めてまいります。
 次に、能登半島地震の被災地への支援についてでありますが、県では、1月5日に岩手県応援本部を設置し、人的支援や物的支援を行っています。
 具体的には、1月6日以降、保健師等チームを初め、DMAT、県警察の広域緊急援助隊などのほか、応急仮設住宅建設地調査や漁港の被害調査等に当たる職員を順次派遣しています。また、本県が石川県能登町の対口支援団体になったことを受け、住家被害認定調査や公費解体受付業務に当たる職員を市町村とともに派遣しています。物的支援としても、県及び市町村によるもののほか、民間レベルでも被災地が置かれた状況を十分に考慮した支援が行われています。
 こうした支援のほか、東日本大震災津波からの復旧、復興に関する経験や知見として、復興計画の策定手法を初め、避難所運営、被災水道の応急復旧、災害廃棄物処理等に関する資料を提供するなど、本県だからこそできる支援を行っております。
 先日、私も被災地を訪問し、石川県知事及び能登町長にお会いしてお見舞い申し上げ、被害状況等を伺うとともに、現地を直接確認したところでありますが、被害は甚大で、復興には中長期的な支援が必要と感じました。
 本県は東日本大震災津波からの復興に当たり、国内外から多くの支援をいただき、その支援が復興の大きな力となりました。今般の能登半島地震でも、さまざまな支援が必要であり、本県も全国の自治体と一体となって復興を支えていけるよう、被災地のニーズに応じた支援を行ってまいります。
 次に、水産業の立て直しについてでありますが、本県の水産業は沿岸地域の基幹産業であり、サケ等の主要魚種等の不漁は漁業者を初め、漁協や水産加工業者などの経営に深刻な影響を及ぼしております。
 県ではこれまで、関係者が一丸となって本県の水産業を再生していく水産業リボーン宣言を行い、大型で遊泳力の高い強靱なサケ稚魚の生産や、アワビ等の磯根資源回復に向けた藻場の再生などの主要魚種の資源回復、ウニの畜養、出荷などの増加している資源の有効利用、サケ、マス類の海面養殖などの新たな漁業、養殖業の導入を推進してまいりました。
 今シーズンのサケの漁獲は依然として厳しい状況であり、北海道などからの種卵確保に努め、目標の約7割を確保し、現在、大型で遊泳力の高い強靱な稚魚となるよう、鋭意取り組んでおります。
 また、ウニ資源の畜養、出荷が12漁協で行われ、サケ、マス類の海面養殖が6地区で行われております。来年度、サケ、マス類の海面養殖は9地区で2、000トンを超える生産が計画されるなど、取り組みが広がっております。
 また、ホタテガイに比べ出荷までの期間が短いアサリ養殖の事業化に向け、種苗の量産技術の開発に要する経費などを令和6年度当初予算案に盛り込んでおり、今後とも水産業リボーン宣言に基づく取り組みを漁業者、関係団体等と推進しながら、本県の水産業が持続的に発展するよう取り組んでまいります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔復興防災部長佐藤隆浩君登壇〕
〇復興防災部長(佐藤隆浩君) 東日本大震災津波からの復興における移転元地等の活用状況と利活用促進に向けた取り組みについてでありますが、昨年12月末現在で、移転元地については、市町村が買い取った約322ヘクタールのうち約200ヘクタール、62.2%が活用開始決定済み、かさ上げされた造成地については、約297ヘクタールのうち約174ヘクタール、58.4%が活用済みとなっています。
 一方、約4割の土地については、利活用が進んでいない状況であることから、県では、復興庁が行っている土地活用ハンズオン支援事業に参画しているほか、今年度からは、復興庁岩手復興局と合同で市町村を訪問し、先行事例の紹介や意見交換を行うなど、市町村における土地利用推進策の検討を支援しているところです。
 今後も国と連携しながら、移転元地等への産業集積や企業誘致を促進するとともに、土地の条件に応じた利活用や管理の方法を市町村とともに検討していくなど、移転元地等が沿岸地域の産業振興や地域の活性化に有効に活用されるよう取り組んでまいります。
   〔農林水産部長藤代克彦君登壇〕
〇農林水産部長(藤代克彦君) まず、主要魚種の水揚げ状況についてでありますが、今年度のサケ、サンマ、スルメイカの水揚げ量、水揚げ金額は、サケが約130トンで約1億3、000万円、サンマが約4、400トンで約19億円、スルメイカが約2、600トンで約23億円となっており、サケ以外はおおむね前年度を上回ったものの、いずれも東日本大震災津波前を下回る状況となっています。
 サケ、マス類の海面養殖について、県内では宮古市や山田町、大槌町など6地区で、トラウトやギンザケなどの海面養殖に取り組んでおり、今年度の生産実績は約1、800トンと、前年度の約1.5倍となっております。
 また、来年度においては、先ほど知事から御答弁申し上げたとおり、新たに陸前高田市などの3地区を加えた9地区で2、000トンを超える生産が計画されており、県としては、引き続き、サケ、マス類の海面養殖の生産拡大に向けた取り組みを推進してまいります。
 次に、海業の推進についてでありますが、人口減少、高齢化の進行等により漁村の活力低下が懸念される中、海や漁村の地域資源を最大限に活用しながら地域を活性化していく、いわゆる海業を推進していくことが重要と考えています。
 県ではこれまで、地域からの要望を踏まえた防波堤等の整備とともに、漁港の施設や用地の有効活用を進めてきたところです。県内では、漁港内の静穏水域を漁場として利用するアワビの増養殖や漁港施設を活用した児童、生徒等の漁業体験学習、漁港用地での大漁まつり等の地域イベントの開催など、地域のにぎわい創出の取り組みが行われています。
 また、現在、大槌町の吉里吉里漁港や山田町の織笠漁港において、海業振興に係る計画策定が進められており、来年度にあっては、釜石市の箱崎漁港において計画策定が予定されています。
 こうした海業振興の取り組みを広げていくため、海業の理解醸成に向けたシンポジウム開催や、地域が取り組む海業のビジネスモデルづくりへの支援に要する経費を令和6年度岩手県一般会計当初予算案に盛り込んでおり、今後とも関係機関、団体と連携しながら、漁港を核とした交流人口の拡大など、漁村の活性化に向け積極的に取り組んでまいります。
 次に、藻場の再生についてでありますが、県では、アワビ、ウニ等の水産資源の回復、増大に向け、効果的な藻場保全、創造を進めるために策定した、県藻場保全・創造方針に基づき、ウニの食害等により減少した藻場の再生に向けたウニの間引きや、昆布の養殖技術を応用した海中林の設置などのソフト対策と、ブロック等の投入による藻場造成のハード対策を一体的に進めています。
 これまで陸前高田市など5地区で海中林の設置等を支援するとともに、今年度は新たに大船渡市の2漁場を加えた4地区の10漁場において、地元漁業者と連携したウニの間引きとブロックの投入等による藻場造成に取り組んでいるところです。
 また、令和6年度岩手県一般会計当初予算案には、こうした取り組みとともに、新たに宮古市重茂地区の3漁場において、ブロック等の投入に必要な漁場環境の調査に要する経費を盛り込んでいるところです。
 県では、藻場造成の取り組みを拡大していくため、国に対し、必要となる予算を安定的かつ十分に措置するよう要望するとともに、藻場造成に必要な予算の確保や重点化を図りながら、取り組み地区の拡大等に努めているところです。
 今後とも、海中林の設置などのソフト対策とブロック等の投入によるハード対策を一体的に進めながら、藻場の再生が着実に図られるよう、関係機関、団体と一丸となって取り組んでまいります。
 次に、クロマグロについてでありますが、国際合意に基づいた国全体の漁獲可能量をもとに、国から本県に配分された今年度のクロマグロの漁獲可能量は、小型魚で約97トン、大型魚で約65トンとなっており、漁獲実績は1月末現在、小型魚で約93トン、大型魚で約64トンとなっています。
 令和6年度の漁獲可能量の当初配分は、小型魚で約79トン、大型魚で約55トンと昨年度と同水準となっており、例年5月頃に追加配分が行われております。
 県ではこれまで、国に対し、大型魚の漁獲可能量の追加配分や配分方法の見直しなどを要望するほか、他県等からの融通や小型魚から大型魚への漁獲可能量の振りかえなどに取り組んできたところであり、引き続き、国への要望など本県沿岸部への来遊がふえているクロマグロ大型魚の漁獲可能量が増加するよう取り組んでまいります。
 次に、漁業協同組合の経営状況についてでありますが、県内の漁協は、サケの不漁やアワビの生産額減少等により、収益の中心となる定置網等の漁業自営事業や販売事業等で十分な収益を確保できないことが見込まれ、依然として厳しい経営状況が懸念されるところです。
 県では、県漁連等で組織するJF経営指導岩手県委員会に参画し、漁協の経営基盤強化に向け、サケ、マス類の海面養殖の取り組み等を盛り込んだ経営改善計画の策定指導や助言を行うとともに、資金繰りの改善に必要な借りかえ資金への利子補給を行っています。
 また、不漁等により経営が悪化した漁協が経営基盤の強化に活用可能な資金を円滑に調達できるよう、利子や保証料の助成等を行う国の金融支援事業の活用を進めてきたところであり、これまでの取り組み等により、二つの漁協が国事業を活用しながら経営改善に取り組んでいます。
 さらに、漁業関係団体と連携した経営改善指導や漁協の資金調達への支援のほか、販売事業の強化に向け、来年度は、漁協役職員等を対象とした水産物の先進的なブランド化の取り組みや他業種と連携した新たな商品開発、販路開拓の取り組み等を学ぶセミナーの開催などを予定しており、引き続き、漁協経営が安定するよう支援してまいります。
 次に、野生鳥獣による農作物被害対策についてでありますが、本県の野生鳥獣による農作物被害額は、令和4年度で約4億7、000万円と被害額が最も多かった平成24年度に比べ約5、000万円減少しているものの、近年、増加傾向となっており、また、ニホンジカによる被害額が過半を占めております。
 県では、農作物被害の防止に向け、有害鳥獣の捕獲や侵入防止策の設置、里山周辺の除間伐など、地域ぐるみの被害防止活動を推進するとともに、今年度は特に久慈地域や遠野地域で鹿の広域捕獲活動などにも取り組んでおり、12月末現在の鹿の捕獲頭数は約1万3、000頭と、過去最多となった前年同期を上回って推移しております。
 また、市町村と連携した野生鳥獣被害対策を強化していくため、新たに、市町村等が実施する鹿の集中捕獲などの特別対策に要する経費を令和6年度岩手県一般会計当初予算案に盛り込んでおり、今後とも、市町村、関係団体と連携しながら、野生鳥獣による農作物被害が低減するよう積極的に取り組んでまいります。
   〔県土整備部長加藤智博君登壇〕
〇県土整備部長(加藤智博君) まず、国土強靱化についてでありますが、近年、激甚化、頻発化する自然災害から県民の安全、安心な暮らしを守るためには、社会資本の整備や適切な維持管理が重要であり、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策の予算を最大限活用して、岩手県の強靱化に向けた取り組みを推進しております。
 この取り組みを着実に進めていくためには国費の確保が重要であることから、昨年実施した令和6年度政府予算に関する提言・要望において、国に対し、公共事業予算の安定的、持続的な確保とあわせ、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策のさらなる推進などを提言、要望したところであります。
 引き続き、さまざまな機会を捉えて国に働きかけていくなど、公共事業予算の安定的、持続的な確保に努めてまいります。
 次に、国道343号笹ノ田地区の道路整備に向けた取り組み状況についてでありますが、昨年9月に開催しました第2回国道343号笹ノ田地区技術課題等検討協議会において、第1回検討協議会の意見も踏まえ、地形、地質の検討を深め、破砕帯等の脆弱化した地質の分布など技術的な課題が多いことを確認いたしました。また、地域経済の専門家も招き、県南地域と陸前高田市間の物流、観光、防災の観点から、対策の必要性と効果の検討を行い、信頼性の高い道路ネットワークや広域周遊観光に必要なアクセス性の確保などが必要であることを確認したところであります。
 現在、第2回検討協議会でいただいた意見の整理や、破砕帯などの技術的課題のさらなる検討等を行っており、次回の検討協議会では、整備方針案の検討と技術的課題の整理を行う予定としております。次回の検討協議会の開催に向け、必要な検討を進めてまいります。
 次に、国道107号白石峠の道路整備の進捗状況についてでありますが、大船渡市から宮守インターチェンジ間の国道107号は、重要港湾大船渡港と産業集積が着実に進む内陸部を結び、産業振興を支える上で重要な路線と認識しております。
 このため、令和3年に策定した岩手県新広域道路交通計画では、気仙地区と宮守インターチェンジ間の連絡強化を図るため、国道107号の大船渡市と宮守インターチェンジ間を一般広域道路に、さらに、これに重ねる形で、(仮称)大船渡内陸道路を構想路線に位置づけたところであり、この計画に基づき、国道107号大船渡市─住田町間の白石峠工区を令和4年度に事業化したところであります。
 白石峠工区については、これまでに現地測量が完了し、現在、地質調査や環境調査を進めており、令和6年度は、主要構造物であるトンネルの詳細設計等を行う予定としております。
 今後とも地域の御協力をいただきながら、白石峠工区の早期着工に向けて整備を推進してまいります。
 次に、コンテナ貨物取扱数の拡大についてでありますが、現在、本県のコンテナ貨物の多くが陸上輸送により京浜港等の県外港湾へと集荷されており、県内港湾の利便性や県内港湾を活用した海上輸送への切りかえのメリットについて、荷主企業等に対し理解を深めていただくことが課題であると考えております。
 このため、港湾所在市等と連携し企業訪問を実施するとともに、今月には首都圏に本社を有する荷主企業等へ県内港湾の利用を呼びかける、いわてポートフォーラムを開催し、道路整備に伴う県内港湾のアクセス性の向上等についてPRしたところであります。
 現在、物流業界においては2024年問題や脱炭素化に向けた取り組みへの対応が求められており、今後、陸上輸送から海上輸送へのモーダルシフトが進むものと考えておりますので、これを好機と捉え、目標値の達成に向け、県内港湾の利便性等について一層の理解が深まるよう、ポートセールス等の取り組みを進めてまいります。
 次に、大船渡港の整備の取り組み状況についてでありますが、近年、永浜・山口地区において、水深13メートル及び7.5メートルの岸壁に関連する埠頭を令和2年度に整備するとともに、その他の地区においても、埠頭用地の照明設置やしゅんせつによる岸壁の水深確保などを行ってまいりました。
 引き続き、大船渡港の機能向上について、港湾施設の利用状況、取扱貨物量の推移や将来の見込み、企業立地の動向等を見極めながら、適切に対応してまいります。
 次に、クルーズ船寄港の誘致についてでありますが、今年度は外国船社が宮古港に7回、国内船社が大船渡港に2回、宮古港に1回の合計10回の寄港がございました。来年度につきましては、現時点において、外国船社が宮古港に8回、国内船社は宮古港に2回、大船渡港と久慈港にそれぞれ1回の合計12回の寄港が予定されております。
 県ではこれまで、クルーズ船の寄港拡大に向け、港湾所在市等と連携したクルーズ船社や旅行会社への訪問や、旅行会社等が参加するツーリズムEXPOジャパン2023に、港湾振興に関する連携協定を締結している横浜市と合同で出展し、県内の魅力ある観光資源等についてPRを行ってまいりました。
 来年度も、港湾所在市や横浜市等と連携したクルーズ船社の訪問などを実施し、さらなる寄港拡大を図ってまいります。
   〔環境生活部長福田直君登壇〕
〇環境生活部長(福田直君) まず、ツキノワグマの捕獲についてでありますが、県のツキノワグマ管理計画では、個体数の削減に向けた方針を掲げており、その捕獲上限数について、令和3年度の546頭から昨年度は626頭、今年度は686頭と段階的に引き上げを行っております。
 また、熊の捕獲許可につきましては、市町村にあらかじめ枠として配分することで機動的な対応を可能としているほか、人身被害が発生するおそれのある緊急時には、配分枠にかかわらず、市町村が例外的に許可を行うことも可能としております。
 本県では、人と熊の適正な共存関係を探る中でも、このように、捕獲許可の弾力的な運用を行ってきたところであり、その結果、今年度の県内の捕獲頭数は、昨年末時点で859頭に達しております。
 次に、猟銃使用の規制緩和についてでありますが、ツキノワグマが市街地に出没した場合、周辺住民の安全確保の観点から、迅速に事態を収拾させる必要がある一方、鳥獣保護管理法では住居集合地域における猟銃使用が原則禁止されております。
 そのため、昨年11月の北海道東北地方知事会の緊急要望にも猟銃使用の規制緩和を要望事項として盛り込んだところであり、昨年12月からの環境省の検討会でも論点の一つとして議論が行われております。
 今月8日に行われたこの検討会で示された文書では、鳥獣保護管理法の改正も含めて国が早急に対応方針を整理すべきとされており、今後、早ければ臨時国会に改正法案が提出されることも考えられるため、その動向を注視してまいります。
 次に、指定管理鳥獣への追加に伴う対応についてでありますが、熊類の指定管理鳥獣への追加につきましては、昨年11月に知事が北海道東北地方知事会長として緊急要望を行ったところであり、環境省の検討会において、指定管理鳥獣に追加する方向性が今月8日に示されております。
 指定管理鳥獣につきましては、鳥獣保護管理法施行規則に限定列挙されているため、実際に熊類を追加する場合、この省令の改正が必要となるほか、環境省が作成しているガイドラインや交付金交付要綱の改訂も必要となります。
 県としては、これら一連の手順を踏まえた上で、県のツキノワグマ管理計画を改定することとなるため、手続の迅速化などについて、先週16日に環境省に改めて要望を行ったところです。
 ツキノワグマの被害防止に向けては、ゾーニング管理やモニタリング、人材育成など、総合的な対策が必要となることから、環境省と連携を図りつつ、専門家の意見も伺った上で、追加の対応策を検討してまいります。
〇35番(佐々木茂光君) どうもありがとうございます。
 まず最初に、知事から御答弁をいただきました人口減対策の件ですが、実際、東日本大震災津波から13年たちました。あの当時、沿岸部では犠牲になられた方、行方不明の方々を含めまして、沿岸部で津波そのものでは約6、500人の被害であったのですが、陸前高田市は約1、800人の方が犠牲になって、沿岸部は急激な人口減少があったわけです。私はいつも、人が戻るというか、人がそろって、まちの復興が本当に終わるのだという思いになっておりました。だから、機会あるたびに、人口減少対策を含めて、そういったところに目を向けてきたわけであります。
 今、知事からいろいろ御説明いただいたわけですが、当初から取り組んでいる人口減少対策が途中途中で見直す場面はなかったのかと一つ思うところであります。
 何事もそうなのですが、当初計画どおり、うまく進まない傾向がある中で、それをやり通すのも大切ですけれども、何か違った方法がなかったのか、あったのかという探りを入れる場面は、この復興計画の中になかったのかどうか。そういったタイミングは非常に大事かと思うので、そういった場面がなかったのかどうかということを、まず一つ聞きたいと思います。
 それから、能登半島地震についてですが、私どもも同じような状況が確かにあったわけでありまして、テレビでの情報ですけれども、このごろ連日のように報道されており、あのときの思いが思い出され、自分も被災した一人としてかなりショックを受けました。これも一つの契機として、一気にそのときそのときどうだったのかということも含めて、思いがよみがえってきたのですが、それでいて忘れてしまっていることが結構あるのです。そういったところをもう一度、岩手県民に対して何かの形でお知らせする。見直しをするところは見直す、もう一回皆さんでそういう意識づけをするという、知事からメッセージでもあったらいいのかということも思うのですが、その点についての所感をいただければと思います。
 それから、水産関係のことで、まず、藻場の再生にはずっと取り組んでいただいてはいるのですが、去年の11月、私も地元で藻場を造林するに当たって、組合員の一人であるのでそれに参加させていただきました。私の地域では桁に昆布を巻きつける形で海底に沈めるという方法なのですけれども、それが実は12月に入ってからのしけで全部固まってしまったようなところもあって、そのままになっている。恐らくそういう方法は何回も繰り返しされているのです。それでだめだから、今度はこれでやってみようというトライをするなど、いろいろ弾を撃ったほうがいいと思うのです。
 新聞で読んだ記事だったのですが、鉄鋼スラグと腐葉土を土のう袋に入れて、それを海底に沈めているという、北海道の留萌市でそういう取り組みをしています。ほかの様子も聞いてみるなどして、一日でも早く、きょうやったから明日になるものではないのだけれども、長い目でも取り組みを進めていくのが必要かと思います。今後の取り組み方はいろいろやり方があると思うので、ほかの取り組みも比較をしながら、その中で一番いいものを選んでいくのが必要かと思います。
 なぜ私が藻場、藻場と言うかというのは、主力のサケ、マスがとれなくなってしまって、頼れるのは地先の磯根の資源が一番手短なところなので、そういったところから逆に集中的に取り組んでいただき、そこから収益を上げるためには、まず藻場を回復させることが一つの仕事になるものですから、何回も何回も同じことを言っているのですけれども、これが現状なので、藻場については早急に取り戻せるように取り組んでいただきたいと思います。
 あとは、今の開口の時点では、アワビ、ウニをとるのですけれども、最終的には潜りでも可能で、ダイバーを使って確実に採捕するという方法も一つの水揚げ量を上げていく方法ではないかと思うのですが、過去にそういった事例のあった場所があるのかどうか。それは環境保存の取り組みの中でのものなのかどうなのか、その辺も今後、検討していく必要があるのではないか。
 そういったことを含めて、先ほど言った海業を、今、漁協の経営もかなり厳しい状況にあると思うので、そう考えた場合、これは岩手県下、手挙げで待つのではなく、漁協漁協が自営の事業として一つでも二つでも取り込んでいくような取り組みが求められているのではないか。そういった海業なる事業を組合の方々に協力をいただいて何とか進めていく、そういう方向も取り組みとすれば大事ではないかと思いますので、農林水産部長の御意見がありましたらば、お願いしたいと思います。
 それから道路、先ほど国道343号、国道107号、結構まめにやっているのだなと思ったところなのですけれども、話を聞いていて、何となく先が見えたような気がいたしました。その取り組みに対しては大変感謝するところであります。
 ただ、去年の3月、先ほどお話が出ました、国道343号の笹ノ田地区の技術課題等検討協議会で地形とか地質とかの調査まではやっています。今度はそれをさらに詰めるかどうかという話になっていくかと思うのです。本家本元のILCの実現に向けましては、今までも住民の人たちもお手伝いをもらいながら進めてはきているのですが、何か違った意味での感触とか、もしかするとという話はありませんか。
 その辺で一回、御答弁をいただきたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 私に対する再質問は、被災地の人口減少対策について、過去において変えたほうがいいと思ったことはなかったかということと、能登半島地震に際して、岩手県民も東日本大震災津波のときのことを思い出している。能登半島地震の情報を共有しながら、岩手県の復興について何も変えたほうがいいようなところはないのかという御質問だったと受けとめております。
 被災地の人口減少対策は、全県共通の自然減対策、社会減対策があり、これは、例えば、今年度になって第2子以降の保育料無償化、育児支援金給付というような新たな政策をどんどん足していっているところであります。
 また、被災地特有の復興事業による経済振興、地域振興に関しては、復興道路ができますと、今度はそれを活用した、例えば、瓶ウニを新幹線や飛行機で首都圏や関西圏に送るなど、新たな事業を行うことができますので、そのような形で、そのときそのとき、人口減少対策についても新たな施策を講じてきたところであります。
 能登半島地震の関係では、これは馳知事から伺ったところで、仮設住宅を建てる土地がない。そして、県境を越えた避難、また、市町村境を越えた、自分の市町村と違う市町村の仮設住宅に入るということへの抵抗感があるので難しいという話を伺いました。岩手県の場合は、それぞれ市町村が大変な努力をし、民有地の活用なども行いながら、その市町村に仮設住宅をつくってそこに避難するということをかなりやることができたということが、これも人口減少対策になったのではないかと思います。
 そして、仮設に関しては、仮設商店街、仮設飲食店街、仮設飲み屋街のようなものも釜石市などにありました。そうした仮設の施設をどんどん建てて、そして、なりわいの再生を行うことで生活の再建につなげていくということが非常に有効であったという話をしたところ、なるほど、そうかと受けとめてもらいまして、そういうなりわいの再生から生活の再建へという流れからしますと、2019年の三陸防災復興プロジェクトで、いわば、それまでなかったようなイベント、行事によって新たな交流人口、関係人口をつくっていくということがあったわけでありまして、今後においても、そのようなやり方、能登半島地震の復興の推移と関係づけながら、岩手県のさらなる復興や人口減少対策を進めていきたいと思います。
〇農林水産部長(藤代克彦君) 水産関係で幾つか御質問をいただきました。
 まず一つ、藻場の再生の取り組みでございます。これにつきましては、ブロック等の投入ということで御答弁をさせていただきましたが、このブロックにつきましては、例えば、底面が4メートル、高さが4メートルぐらいのテトラポットのようなかなり巨大なものを5メートル間隔で沈めながら、あるいは、同じような形で、高さが5メートルくらいで、底辺から柱みたいなものが立って、それにロープを巻きつけて、それに昆布の種を付着させたようなものをつけて沈めるというような形で取り組んでおりまして、佐々木茂光議員御指摘の、途中段階でしけでロープが絡んでしまってということもあろうかと思いますが、そういったところはまた補修しながら、こういったものを1地区当たり40個程度沈めながらという形で県で取り組んでおります。
 また、先ほど申し上げましたとおり、こういったところについて、予算の重点化も図りながら、昨年度に比べれば、ことしは倍くらいの予算をそこに投じながら、早期に藻場が再生されるような取り組みも進めております。
 また、鉄鋼スラグということで北海道で取り組んだ事例の御紹介がありました。これは海藻類が鉄分を補給することによって成長促進されるということだったかと記憶しておりますが、本県の海洋状況を見ますと、鉄分補給は特に必要ないのではないかという過去の調査結果でございましたので、特にこういったものではなくて、先ほど申し上げましたようなブロック投入で対応できるのではないかということで、今、こういった工法で藻場再生に取り組んでいるというものでございます。
 また、ダイバーの活用につきましては、大槌町の海業の取り組みを見てみますと、ダイビングと藻場の再生活動を組み込んだダイビングと連動したウニ畜養の事業化ということが藻場の振興計画の中に盛り込まれておりまして、こういった形で、アワビを採捕する際にダイバーを使うというのは資格が要る話でもございますので、漁協によっては、そういった資格を持っていらっしゃる方もいるとは聞いていますが、漁をされる方以外でも、一般の方も取り込みながら、交流人口の拡大につなげていければいいのではないかとも考えております。
 また、海業の振興につきましては、これまでも漁村地域のにぎわいということではさまざまな取り組みが行われていましたけれども、改めて海業という言葉で体系立てて、それから計画をつくって、計画的に取り組むというような形のステージに入ったと捉えておりまして、先ほど御答弁申し上げましたとおり、ことしは2地区、さらに来年は1地区、海業振興の計画策定をするというステージに入っております。それぞれの地域でこういった計画策定を着実に進め、そして、そこを県で応援できる事業も今回用意しましたので、地域のにぎわいにつながるような取り組みを引き続き進めてまいりたいと考えております。
〇県土整備部長(加藤智博君) 国道343号の最大の隘路である笹ノ田地区の現道課題につきましては、ILCを取り巻く環境も注視しつつ、今、設置しております技術課題等検討協議会を次回開催するに当たりまして、必要な検討をしっかりと進めてまいりたいと考えております。
〇ILC推進局長(箱石知義君) ILCの前向きな動きについてでございますけれども、議員の質問でも触れられておりましたけれども、令和5年度のILC関係の国の予算がその前の年から倍増しております。これにつきましては、国際協働の研究開発、ILCテクノロジーネットワークというものが、KEK―高エネルギー加速器研究機構とCERN―欧州合同原子核研究機関、国際的な研究機関との間で共同で進められているところでございます。
 また、国際的な議論、いわゆる台本づくりを進めるための国際有識者会議による取り組みが進められておりまして、県としては、こういった研究者の取り組みを支援しながら、国に早期の判断を求めていきたいと考えているところでございます。
〇35番(佐々木茂光君) 最後にもう一点ですけれども、先ほど言った空き地の利活用の件で、復興庁もその中に加わったということを考えますと、土地の管理者になるわけで、その場合、除草、草刈りとか、環境に対する手だて、お手伝いというのは、国なり県なり三者で面倒を見るようになると思うのですが、その辺は具体的にお話は出ているのでしょうか。
 これは前に復興特別委員会のときにその話をしたときに、復興庁もその話に承知したような話しぶりだったので、実際に今、どのような取り組みを進められていくのかお尋ねしたいと思います。
〇復興防災部長(佐藤隆浩君) 移転元地等の草刈りの関係ということでございますけれども、人通りの多い道路付近の未利用地の移転元地における草刈り等の維持管理、景観や住民安全の観点からも、県としても非常に重要な課題と認識してございまして、市町村と意見交換を行っているところでございます。
 市町村が買い取りました移転元地の草刈りにつきましては、市町村の人手、それから、予算の関係等で対応が難しい面もあると認識しておりますし、道路に面している箇所などについては、可能な限り対応しているものと承知しております。
 それから、民有地につきましては、どうしても所有権が地権者にあるということで、地権者に対応いただく必要があると思っております。
 陸前高田市などでは、安全面の観点から、特に対応が必要と判断した場合には、当該土地の地権者に対しまして、状況写真とか対応の依頼文書を送付することによりまして、自発的な対応を促して、ある程度効果を上げている事例もあると承知しております。
 土地の所有権の関係等もあり、公費でやれるところは限りがありますけれども、佐々木茂光議員御指摘のとおり、県と復興庁ともいろいろ情報交換しておりますので、さらにどのような対応ができるか、引き続き研究してまいりたいと考えております。
〇副議長(飯澤匡君) 以上をもって、佐々木茂光君の一般質問を終わります。
   
〇副議長(飯澤匡君) この際、暫時休憩いたします。
   午後4時14分休憩
    
出席議員(47名)
1  番 田 中 辰 也 君
2  番 畠 山   茂 君
3  番 大久保 隆 規 君
5  番 菅 原 亮 太 君
6  番 村 上 秀 紀 君
7  番 松 本 雄 士 君
8  番 鈴 木 あきこ 君
9  番 はぎの 幸 弘 君
10  番 高橋 こうすけ 君
11  番 村 上 貢 一 君
12  番 工 藤   剛 君
13  番 小 林 正 信 君
14  番 千 葉   盛 君
15  番 上 原 康 樹 君
16  番 菅野 ひろのり 君
17  番 柳 村   一 君
18  番 佐 藤 ケイ子 君
19  番 高 橋 穏 至 君
20  番 佐々木 宣 和 君
21  番 臼 澤   勉 君
22  番 福 井 せいじ 君
23  番 川 村 伸 浩 君
24  番 ハクセル美穂子 君
25  番 高 田 一 郎 君
26  番 木 村 幸 弘 君
27  番 佐々木 朋 和 君
28  番 吉 田 敬 子 君
29  番 高 橋 但 馬 君
30  番 岩 渕   誠 君
31  番 名須川   晋 君
32  番 軽 石 義 則 君
33  番 神 崎 浩 之 君
34  番 城 内 愛 彦 君
35  番 佐々木 茂 光 君
36  番 佐々木   努 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 中 平   均 君
39  番 工 藤 大 輔 君
40  番 郷右近   浩 君
41  番 小 西 和 子 君
42  番 高 橋 はじめ 君
43  番 五日市   王 君
44  番 関 根 敏 伸 君
45  番 佐々木 順 一 君
46  番 岩 崎 友 一 君
47  番 千 葉   伝 君
48  番 飯 澤   匡 君
欠席議員(1名)
4  番 千 葉 秀 幸 君
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   
午後4時32分再開
〇副議長(飯澤匡君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
   
〇副議長(飯澤匡君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   
〇副議長(飯澤匡君) 日程第1、一般質問を継続いたします。小西和子さん。
   〔41番小西和子君登壇〕(拍手)

前へ 次へ