令和6年2月定例会 第4回岩手県議会定例会会議録

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〇41番(小西和子君) 希望いわての小西和子でございます。通告に従い質問を行います。
 初めに、政治に対する国民の信頼回復について伺います。
 昨年11月のしんぶん赤旗日曜版の報道を受け、上脇博之神戸学院大学教授、政治資金オンブズマン代表が、2018年から2021年分の自由民主党の5派閥の政治資金収支報告書を分析し、計約4、000万円のパーティー収入が過少記載だったと告発しました。
 自由民主党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題は、安部派だけでなく二階派、岸田派、麻生派、茂木派でも明らかになっています。こうした組織ぐるみの裏金づくりは、政治資金規正法上の不記載、虚偽という犯罪であり、政治資金規正法の目指す国民の不断の監視と批判を回避し、政治活動の公明と公正を侵害し、民主政治の健全な発達を妨げるものです。また、裏金は課税所得であり、所得税の脱税の疑いも極めて濃厚と言えます。
 政治と金の構造的問題に対し、国民の政治不信は極めて深刻になっています。裏金を還流させる仕組みができたのはなぜなのか、中心になっていたのは誰か、裏金の使途はどうなっているのかなど、まだ明らかになっていない疑問が山積しています。国民の政治への信頼を取り戻すため、国会においても関係者の証人喚問を含めて、徹底的に事件の全容の解明を行い、責任を明確にしなければなりません。
 政治資金規正法には、政治活動を国民の監視のもとに置くことで公正さを確保する狙いがあります。今回の問題を検証し、再発防止に向け、抜け道をふさぐ実効性ある抜本的な法改正が必要です。国民の政治への信頼を取り戻すため、具体的にどのような取り組みが必要か、知事の見解を伺います。
 次に、能登半島地震と防災について伺います。
 本年1月1日に発生した能登半島地震で犠牲となられた方々の御冥福をお祈りいたします。被害に遭われた皆様に心からお見舞い申し上げます。また、被災地域の皆様の安全確保と、被災された皆様の生活が一日も早く日常生活に戻れるようにお祈り申し上げます。
 我が国は地震、台風、火山噴火などによる自然災害が発生しやすい環境にあります。近年では、気候変動の影響とも考えられる記録的な豪雨が頻繁に発生しており、今後も堤防の決壊等による河川の氾濫が懸念されます。このため、豪雨が頻繁に発生することを前提として、災害対策をさらに推進することが重要です。
 こうした中、南海トラフ地震、首都圏直下型地震など、大規模地震、大規模火災噴火などの発生が危惧されており、大きな被害が予想されるほか、台風や集中豪雨などに伴う大規模な浸水被害なども懸念されます。また、季節柄、大雪による被害への対策も手抜かりがあってはなりません。
 これらの自然災害に対応するため、河川、海岸堤防や排水機場の耐震化といったハード対策はもとより、自然災害の発生要因の監視、観測体制の強化や避難所の確保、充実といったソフト対策も含め、災害対策の充実、強化が喫緊の課題となっています。
 日本海溝・千島海港沿いの巨大地震における防災、減災対策のため、地域、世代、性別、職業、障がいの有無などにかかわらず、全ての層の代表が避難計画策定、運営等に参加する分権型のインクルーシブな防災体制をつくることが重要と考えます。福祉避難所の備えや市町村の個別避難計画の策定の促進とあわせ、見解を伺います。
 県は、土砂災害警戒区域1万3、305カ所に加え、新たな土砂災害が発生するおそれのある箇所9、992カ所を昨年12月に公表しました。県民が土砂災害に備え、迅速な避難行動につなげるためには、これら土砂災害のリスク情報に関する認知度の向上が重要と考えますが、県はどのような取り組みを行っているのか伺います。
 あわせて、能登半島地震では多くの家屋が倒壊しており、耐震化のおくれが被害拡大を招いたとの報道もあります。本県における住宅の耐震化を促進するための取り組みについて伺います。
 能登半島地震は原子力防災にも多くの課題を突きつけました。北陸電力志賀原子力発電所では、使用済み燃料プールの水がこぼれ、冷却ポンプも一時とまりました。外部電源を受ける変圧器が損傷し、油が漏れました。周辺に自治体や国が設けている放射線量の測定設備の一部はデータが送れなくなりました。
 地震による津波の影響については、北陸電力株式会社は当初、敷地内の海水を引き込んでいる水槽の水位変動は確認できなかったとしていましたが、実際は約3メートル上昇していました。変圧器から漏れた油の量も最初の発表の5倍以上でした。間違った情報は住民に不安を与え、被害の過小評価は重大な結果を招きかねません。
 活断層や地震の連動、揺れの想定や施設への影響など、今回の地震が浮き彫りにした課題は、志賀原子力発電所にとどまらず、全国の原子力発電所に多かれ少なかれ共通すると言われています。今回の震源の近くには、かつて珠洲原子力発電所の立地も検討されていました。教訓を規制や防災に役立てなければなりません。
 今回の地震では、道路の寸断による半島の孤立も改めて問題になりました。四国電力伊方原子力発電所や東北電力女川原子力発電所なども半島にあります。原子力発電所事故が起きた場合に避難や救援を妨げかねません。家屋の激しい損壊状況を見れば、屋内避難もできないおそれがあります。地震大国での原子力発電所のリスクが改めてあらわになりましたが、原子力発電所の立地についての知事の御所見を伺います。
 県漁連は2023年度のアワビの共販実績をまとめました。水揚げ数量は101トン、前年度比9.1%減、10キログラム当たりの平均単価は8万8、547円、前年度比35.3%減とそれぞれダウンしました。東京電力福島第一原子力発電所の処理水海洋放出に伴う中国の禁輸措置が影響し、平均単価は過去5年で最低、海洋放出は死活問題です。漁業者からは、東京電力ホールディングス株式会社に補償を求める声が上がっています。さらに、収入が減った分、たくさんとってしまうと将来的な資源量への影響が心配だとの声もあります。
 東京電力福島第一原子力発電所の処理水海洋放出に伴う県内漁業への影響と対策について、お示しください。
 長期間の避難所生活において生じる被災者ストレス反応はさまざまなものがあり、阪神淡路大震災、東日本大震災津波、熊本地震等、避難所や周辺での性暴力、DV、盗撮などのわいせつ事案が多数報告されています。災害時は加害者の不安定な心理状況が、弱い立場の人に暴力の形で向かいがちだと専門家は指摘しています。そこで、災害対応における男女共同参画の視点からの取り組み促進が求められます。
 女性に対する暴力の防止、安全確保として、性暴力、DV防止に対するポスター等を見やすい場所に掲示する、トイレ、更衣室、入浴設備を適切な場所に設置し、照明や防犯ブザーで安全を確保する。避難所の開設運営については、管理責任者に女性と男性の両方を配置する。避難所の環境整備については、プライバシーが十分確保された間仕切りにより家庭ごとのエリアを設ける。女性用品の配布場所を設ける。運営体制への女性参画を進めるなど、災害対応力を強化する女性視点が求められます。岩手県の災害対策では明示されているでしょうか。
 次に、豊かな教育の実現について伺います。
 日本の子供の実態は、子どもの幸福度ランキング、ユニセフ2020年において、精神的な幸福度が38カ国中37位となりました。その要因として、生活満足度の低さや自殺率の高さが指摘されています。いじめ、不登校は、ともに過去最多になっています。
 一方、国連子どもの権利委員会から過去4回にわたり、入試制度等、日本の学校教育の競争的システムの是正が指摘されているにもかかわらず、全く是正されていない実態が続いています。
 そこで知事に伺います。子供の幸福度向上のため、入試制度等、日本の学校教育の競争的システムの是正を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。
 2022年度の文部科学省調査によると、小学校、中学校で30日以上欠席した児童生徒は29万9、000人を超え、10年連続の増加で、2021年度から22.1%ふえ、過去最多となりました。このうち38.2%に当たる11万4、000人を超える児童生徒は、学校や教育委員会、民間支援団体からの支援を受けていないという実態も明らかになりました。
 岩手県の小学校617人、中学校1、388人、高校583人の2、588人の不登校児童生徒のうち、支援を受けた割合は、公立の小中学校では72.3%、公立の高校で76.7%であり、2割以上の児童生徒が支援を受けていない状況です。また、不登校児童生徒に対する支援は、スクールカウンセラー、ソーシャルワーカーの配置やアドバイザーの活用、教育支援センターの開設による相談、支援強化等となっています。
 不登校になる前に、教職員がゆとりを持って子供とじっくり向き合う時間が生み出せれば、何に悩み、何に困っているか、子供の思いを聞くことができます。今の教職員の働き方を変えなければなりません。
 文部科学省が昨年の4月に発表した教員勤務実態調査の速報値によると、1カ月換算での時間外在校等時間が、指針の上限45時間超えの教職員は、小学校約64.5%、中学校約77.1%、過労死ライン超えは、小学校約14%、中学校約37%に上ります。岩手県の職員団体の調査では、月45時間残業上限超えは90.6%、持ち帰り、土日業務を含めると93.9%という違法な勤務環境に置かれています。過労死ライン80時間超えが46.8%、持ち帰り、土日業務を含めると69.1%にも及びます。
 教職員の長時間労働の問題が顕在化し、2020年度から改正給特法―公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特例措置法が施行されましたが、状況は一向に改善されていません。このような中、昨年度の教職員の精神疾患による病気休職者は過去最多の6、539人となり、深刻さが増しています。岩手県は67人です。同時に、教職員不足が常態化し、子供たちの豊かな学びの保障に大きな影響を及ぼしています。
 教員志望の学生は10年前に比べて半減しています。3倍を切ると危険水域と言われていますが、岩手県も小学校教員採用試験の倍率は、来年は2倍を切るであろうと言われています。アンケート調査によると、志望者が減っている理由として、94%の回答者が長時間労働など過酷な労働環境を挙げています。受験者確保、受験者の負担軽減と試験結果の透明化のため、教員採用試験の合否判定のあり方の見直しを図るべきです。東北地域のほかの県は見直しを進めています。これらの課題を解決するには、具体的業務削減と人員をふやすことが求められています。
 政府が12月22日に閣議決定した予算案では、教員業務支援員、スクールサポートスタッフは、全ての公立小中学校に配置するとしています。今年度は、岩手県7人、青森県42人、秋田県66人、宮城県30人、福島県124人、山形県90人でした。
 まず、人員をふやすことについてです。教員の負担軽減のため、教員業務支援員、スクールサポートスタッフや学習指導員を適切に配置すべきと考えますが、来年度の見込みはいかがでしょうか。
 また、教職員が安心して育児休業を取得できるよう、男女を問わず代替教職員の前倒し配置を進めるべきと考えますが、県の見解を伺います。
 休日の部活動の地域移行を進める必要がありますが、地域の受け入れ体制の整備と課題解決の道筋をお示しください。
 安全で豊かな学校給食の実現のため、食材に地場産品を利用し、さらに、みどりの食料システム戦略の一環として、有機農産物を活用してはいかがでしょうか。
 あわせて、今年度は10市町村が学校給食費の全額無償化を実施しています。困窮している家庭がふえていることからも、ぜひ全ての市町村での学校給食費の全額無償化を実現すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、こども基本法について伺います。
 2023年4月にこども基本法が施行され、1994年に日本政府が子どもの権利条約を批准後、初めて子供の権利を擁護するための包括的な法律ができました。また、2023年12月に閣議決定されたこども大綱では、子供を権利の主体とし、子供や若者の視点や権利を主流化し、権利を基盤とした施策を推進することが明記されています。
 このような画期的な動きを受け、全国の自治体においても、子供の権利の推進及び子供参加の仕組みの構築と実践とがますます求められています。子供の権利を理解するための自治体職員、教職員の研修が必須です。
   〔副議長退席、議長着席〕
 子供の権利の理念に基づく自治体レベルの施策を確固なものとするために、子供の権利条例の制定及びその制定プロセスへの子供の意見聴取をテーマとした研修会を行うべきと考えますが、知事の御所見を伺います。
 国は、こども大綱の中で、自治体こども計画の策定推進に対する支援とともに、条例の策定についての見える化を進めるとしています。児童虐待、子供の貧困、ヤングケアラー、いじめ、不登校など、複雑な要因による課題が山積しています。学校教育や幼児教育の管轄は文部科学省のままとなります。
 保健福祉部を中心として教育委員会ともしっかりと連携しながら、真に子供と子育て家庭のためになる子供ファーストの施策を岩手県でも実現するべきと考えますが、知事の御所見を伺います。
 こども大綱では、子供を権利の主体とし、子供や若者の視点や権利を主流化し、権利を基盤とした施策を推進することが明記されています。このことから、政策全般にかかわる全ての領域に子供の権利の主流化を前に進める県政の実現が求められています。
 子供の貧困対策の施策の現状と子供の権利の主流化を反映させた子供の貧困施策について伺います。
 あわせて、子供の権利の主流化から共同親権導入への見解を伺います。
 次に、ジェンダー平等社会の実現について伺います。
 2023年6月21日、世界経済フォーラムが、ジェンダーギャップ指数の2023年版を発表しました。日本は146カ国のうち125位で、前年の116位から大きく後退し、依然として主要先進国G7の中で最下位となっています。
 若い女性が東京圏に流出することで、地方の人口減が加速しています。内閣府の調査で、20〜34歳の未婚者人口を男女別で見ると、未婚男性の比率が1.2倍を上回る県が24県あり、北日本・東日本地域では総体的に比率が高くなっています。
 岩手県は20〜24歳の女性の転出超過が毎年1、000人を超えます。2022年は1、086人と同年代の男性の1.4倍に上りました。若い人が岩手県に残らない原因として、東京圏との賃金格差や地元に希望する職がないことが挙げられます。今年度の女性の労働環境改善と賃金格差是正の取り組みの実績と、次年度の重点について伺います。
 2022年度の県職員男性の育児休業取得率が78.8%となっています。今年度の第2回岩手県男女共同参画審議会において、県は育児休業のカウントの仕方について、基本的には期間は1日であっても取得となっている。長期間の単位でとるべきだというのがまさに今後の課題と考えている。本来、何のためにとるかというところが大事であると答えています。
 育児休業の取得率を上げるのが目的ではなく、共働き世帯の男性の家事時間割合を上げていくこと、意識と慣習を家庭と職場と地域が一体となって変えていくこと、そのための手段の一つが男性の育児休業取得で、一番重要な課題だと考えます。共働き世帯の男性の家事時間割合が変わらずに低く、女性に家事の負担がのしかかってくるという現状を打破しない限り、少子化には歯どめがかかりません。県職員の男性の育児休業取得を推進するために、県は具体的にどのように取り組むのか伺います。
 あわせて、放課後児童クラブや放課後等デイサービス、保育園のゼロ歳児の受け入れ拡大などの整備もしっかりと県が推進するべきとの声がありますが、現状と次年度の取り組みについて伺います。
 ことし4月から施行される困難な問題を抱える女性への支援に関する法律は、都道府県に基本計画の策定を義務づけました。岩手県でも、いわて困難な問題を抱える女性への支援等推進計画素案が検討されています。理念や目的である民間の活用、男女平等、ワンストップ型の包括的な支援が十分でないと思われます。社会に埋もれてしまう声を拾い上げるには、公的機関に加え、女性支援やアウトリーチを担う民間団体との協働が不可欠と考えますが、見解を伺います。
 また、この法案は、年齢、国籍等を問わないとしていますが、計画にはLGBTQ、障がい者、ひとり親、中高年女性らの視点が盛り込まれているか伺います。
 当事者の方々は、婚姻という選択肢がないことによって、医療福祉、相続、親権などのさまざまな面において法的な保障を受けられないと訴えています。G7で同性カップルに法的保障がない国は、既に日本だけです。婚姻の平等を早期に実現するための法的措置を求めるべきと考えますが、知事の御所見を伺います。
 同性パートナーが犯罪被害等給付金支給法に基づいて遺族に支払われる給付を受けられるかが争われていましたが、最高裁判所が当事者双方から意見を聞く弁論をことし3月に開くとの報道があるなど社会の耳目を集める中、警察庁では、犯罪被害給付制度に基づき被害者が死亡した際に支給される遺族給付金の最低額を引き上げる方針を明らかにしました。この法改正に向けた動きの現状と御所見を伺います。
 2023年12月5日、日本経済団体連合会は選択的夫婦別姓制度の実現に向けた議論を本格的にスタートしました。女性活躍推進には、企業で解決できず、社会制度の見直しが必要な課題もある。政治のリーダーシップで女性活躍を阻む壁を取り除いていただきたいと訴えました。家族と性と多様性にかんする全国アンケートでは、選択的夫婦別姓への賛成は83.9%に達しています。機運が高まっていることから、選択的夫婦別姓制度を導入するための民法の改正を行うべきと考えますが、知事の御所見を伺います。
 なお、男女共同参画の視点に立った意識改革や制度、慣行の見直しに向けては、引き続き、職場、学校、地域、家庭等において、意識改革や制度慣行の見直し等が行われるように取り組む必要があると考えていますと県は答えています。学校の意識改革や制度、慣行の見直しが行われる取り組みの一つが、男女混合名簿です。県教育委員会の2022年度調査によると、調査内容が10項目あり、小中学校ではどの項目でも100%の達成率ではありません。特に、毎日使用している出席簿の達成率は、中学校では74.1%、学級名簿の達成率は、中学校は78.2%です。2023年度は調査していませんが、今後も継続して調査するべきと考えます。
 2024年問題について伺います。
 物流は国民生活や経済活動を支える重要な社会インフラであり、安定的な国民生活を維持するため、その機能を十分に発揮させていく必要があります。しかし、物流を支える現場では、長時間の荷待ちや価格競争に伴う厳しい取引環境、雇用環境等の課題が深刻化しており、トラックドライバーを初めとする物流分野における人手不足の原因となっています。
 このような課題に対し、物流産業を魅力ある職場とすることを目的として、本年4月からトラックドライバーの時間外労働の上限を年間960時間にするなどの取り組みが進められます。これにより一部のトラックドライバーの労働時間が短縮されることも想定され、その結果、何も対策を講じなければ物流が停滞しかねなくなるという、いわゆる2024年問題が危惧されます。
 政府は2023年6月に、商慣行の見直し、物流の効率化、荷主、消費者の行動変容についての抜本的、総合的対策として、物流革新に向けた政策パッケージを取りまとめるとともに、同年10月に物流革新緊急パッケージを取りまとめ、2024年問題への対策を進めています。
 より豊かな地域住民生活や持続可能な物流の実現のためにも、荷主企業、物流事業者、一般消費者の理解と協力のもと、我が国の物流分野の環境整備を図り、担い手の賃金水準向上を実現し、物流分野を支える人材を確保していくことが重要です。
 荷主企業に対する交渉力が弱い立場にあるトラック事業者を初めとする物流事業者が、コストに見合った適正な運賃、料金収受を行えるように取引環境の適正化を推進すべきと考えますが、御所見を伺います。
 いわぎんリサーチ&コンサルティング株式会社が首都圏と仙台市で暮らす北東北地域出身の若者に行ったアンケートで、県外に出る理由を複数回答で尋ねたところ、公共交通機関などのサービスの充実が39.6%でした。
 利用の少ないローカル線のあり方を議論する再構築協議会制度の運用が昨年10月1日にスタートしました。県は利用促進策を着実に進めるのが基本だ。沿線自治体の取り組みをサポートしていくと述べています。さらに、県は、不足しているバスの運転士を確保するための取り組み等を行うとしていますが、2024年問題も絡んで、事態は深刻です。持続可能な地域公共交通の確保についての対策をお示しください。
 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 小西和子議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、政治の信頼回復についてでありますが、自由民主党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題は、自由民主党と旧統一教会の関係をめぐる関係と同様、極めて特殊な事案であり、個別具体的な特定の団体や特定の個人が一般の政党など政治団体や一般の政治家には見られない、特有の行動を歴史的に積み重ねてきたものであります。
 その行動の一つ一つや積み重ねに違法性や非倫理性が疑われているところであり、国民の政治への信頼回復のためには、問題になっている特定の団体や特定の個人が国会及び国民に対して事実関係を明らかにすることが必要であります。
 特に、国民は政治資金パーティー売り上げの、いわゆる裏金化という一般的には見られない特殊なことが長期にわたって大規模に行われてきたことに対し、なぜそんなことをしてきたのかという動機に関する大きな疑問を抱いているのであり、この疑問を解消することなしに政治への信頼回復は困難であります。
 今回問題になっている団体や個人には、以上の疑問を国民の納得に変えるような説明をする責任があります。いまだそのような説明がなされていないという国民の印象は、各マスコミの世論調査に出ているとおりです。
 この説明責任を果たすことが政治への信頼回復の一丁目一番地であり、それができない、あるいは、したくないという当事者は日本政治から退場するしかないという状況なのだと思います。
 次に、原子力発電所の立地についてでありますが、本県においては、東日本大震災津波による福島第一原子力発電所事故の影響によって、放射線物質に汚染された農林業系副産物の処理、原木シイタケの出荷制限、風評被害などの大きな問題が生じ、現在もそれらの課題に対処しているところです。
 石川県に立地する志賀原子力発電所は現在、運転を停止していますが、令和6年能登半島地震によって変圧器が破損して油が漏れ出し、その影響で外部電源の一部が使用できなくなったものと承知しております。
 このことは全国の原子力発電所における内部電源設備の耐震性の課題を改めて浮き彫りにしたとの指摘もあるところであり、国の原子力規制委員会は、今回の地震で得られた知見を今後の審査に反映するとしていますが、国民の安全確保を最優先に取り組んでほしいと考えております。
 次に、学校教育についてでありますが、国連子どもの権利委員会は、日本におけるいじめの問題を指摘しつつ、いじめ防止の対策や学校におけるストレスの軽減について勧告しており、日本全体として、いじめ、不登校の問題があり、岩手県も同様であるため、その対策を講じる必要があるものと考えております。
 国では、昨年6月に策定した教育振興基本計画において、今後の教育施策に関する基本的な方針の一つに、日本社会に根差したウェルビーイングの向上を掲げ、多様な個人それぞれが幸せや生きがいを感じるとともに、地域や社会が幸せや豊かさを感じられるものとなるための教育を推進することとしています。
 現在、県教育委員会が策定を進めている次期岩手県教育振興計画では、国のこの方針等も踏まえ、学校教育における目指す姿を、岩手県の子供たちが自分らしく生き生きと学び、夢を育み、希望あるいわてを創造する生きる力を身につけていることとしております。
 こうした国や県の基本計画などを踏まえ、誰一人取り残さず、将来に向かって一人一人の可能性を伸ばし、自分の夢を実現できる社会の実現に向けた教育が推進されることが重要と考えます。
 次に、子供の権利の理解のための研修についてでありますが、こども基本法では、こどもの最善の利益の優先考慮について規定され、国や地方公共団体に対し、子供施策の策定等に当たって、子供の意見反映に係る措置を講ずることが義務づけられました。
 また、こども大綱においても、権利の主体である子供の意見を聞きながら、施策を子供とともに進めていくこととされています。
 本県においても、新たな岩手県教育振興計画や岩手県子どもの幸せ応援計画の次期計画策定に向けた児童生徒を対象とする調査や、いわて希望塾、いわて若者カフェなどの取り組みを通じて、県の施策への子供や若者の意見反映に取り組んでいるところであります。
 子供施策は幅広い分野に関連するため、県の各部局や市町村等において、こども基本法及びこども大綱の趣旨を適切に理解し、効果的な取り組みを進めていく必要があることから、国において現在作成中の子供の意見反映のためのガイドラインや、国や他県の取り組みなども参考にしながら、県内の自治体職員等の研修のあり方について検討してまいります。
 次に、子供ファーストの施策の実現についてでありますが、県では、子供の権利を尊重し、その最善の利益を考慮することを基本理念とする、いわての子どもを健やかに育む条例を制定し、本条例に基づくいわて子どもプランにおいて、教育委員会や関係部局が一体となって、子供の権利を守り、向上させる施策を推進しています。
 特に、児童虐待や貧困など家庭に起因する児童生徒の問題に対しては、各市町村の要保護児童対策地域協議会を中核としながら、福祉部局に加え、学校や教育委員会も参画し、児童生徒や家庭が抱える問題について関係機関で情報共有を図り、緊密に連携を図っております。
 こうした施策のさらなる推進のため、令和7年度からの次期いわて子どもプランの策定に当たっては、こども基本法の基本理念を踏まえ、子供や若者の意見を聴取するとともに、教育委員会等とも連携しながら、全ての子供が健やかに育まれる環境の整備を推進するための方策を検討してまいります。
 次に、同性カップルに対する法的保障についてでありますが、LGBTなど性的マイノリティーの中には、性的指向や性自認を理由として生きにくさや困難を抱える方がおられると承知しており、一人一人が尊重される暮らしやすい社会を実現することが重要であります。
 昨年2月に、私を含む全国23県の有志知事で緊急共同声明を発出し、その声明の中では、性の多様性が尊重され、誰もが活躍できる社会の実現に向けた取り組みをさらに進めるよう、政府や国会に求めました。
 また、県としては、昨年3月にパートナーシップ制度導入指針を策定した結果、県内市町村で制度の導入が進んでいます。現時点で4市町が導入済みですが、ことし4月には新たに6市町が導入する見込みとなっています。
 県内で制度上のパートナーシップが成立した件数については、昨年12月末時点で12組となっていますが、これは他の東北各県を上回るペースで伸びているところであり、今後も性の多様性に対する一層の理解を広め、誰もが生き生きと幸福を実感できる環境づくりを進めてまいります。
 次に、選択的夫婦別姓の導入についてでありますが、現在の民法のもとでは、結婚に際して、いずれか一方が必ず氏を改めなければならず、日常生活上の不便やアイデンティティーの喪失などが指摘されており、選択的夫婦別姓制度の導入を求める意見があります。
 また、このような人権の視点に加えて、夫婦別姓に伴う職業生活上の不利益や婚姻数の減少など、経済的な損失を回避する視点から、選択的夫婦別姓制度の導入を日本経済団体連合会が提言しようとしていることも、これまでになかった新たな動きであります。
 県としても、昨年8月に全国知事会を通して選択的夫婦別姓制度の導入に関する議論の活性化を求める提言を内閣府に対して行ったところであり、今後、広く丁寧な議論がなされ、困難に直面している人たちの問題が解消されるべきと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔復興防災部長佐藤隆浩君登壇〕
〇復興防災部長(佐藤隆浩君) まず、インクルーシブ、地域ぐるみの防災体制の構築についてでありますが、地域における自発的な防災活動を促進するため、平成25年の災害対策基本法の改正により、地区防災計画制度が創設されたところです。
 本県では、令和4年4月1日現在、6市町村の57地区で地区防災計画が作成されており、東北6県では最も多い地区数となっています。
 県では、昨年度から、大槌町源水地区での計画作成を支援してきたところですが、当該地区では、地域の小中学生、女性、高齢者等が参加し、地域ぐるみでの計画作成が行われたところです。今後もこうした取り組み事例を広く紹介しながら、多くの住民等が参加した地域主体の防災活動が展開されるよう取り組んでまいります。
 また、個別避難計画については、高齢者や障がい者等の円滑かつ迅速な避難の確保を図るとともに、福祉避難所で受け入れるべき対象者の把握を進めるためにも、その作成をより一層促進することが必要と考えています。
 このため、県では、市町村に対し、アドバイザー派遣により計画作成を支援するとともに、必要な福祉避難所の確保を働きかけているところであり、引き続き、高齢者や障がい者等が円滑に避難できるよう取り組んでまいります。
 次に、災害対応における男女共同参画についてでありますが、岩手県地域防災計画では、従前から、プライバシーの確保、男女のニーズの違い等、男女双方の視点等に配慮した環境の整備に留意して、平時から避難所の環境整備を図ることとしています。
 平成24年度には、東日本大震災津波の経験を踏まえ、応急仮設住宅の管理運営や復興計画の作成に当たり、女性等の参画を進めることを新たに加えたところです。
 また、平成25年度に作成した市町村避難所運営マニュアル作成モデルには、プライバシーや安全に配慮した空間確保などを盛り込んでおり、令和2年度の改訂では、避難所運営に携わる女性の割合を少なくとも3割以上とすることや、避難所生活のルールづくりに女性の意見を反映させること等を追記したところです。
 引き続き、市町村等と連携しながら、防災に関する政策、方針決定過程への女性の参画拡大、災害から受ける影響の男女の違い等に配慮した防災対策の実施、防災、災害の現場における女性の参画拡大等に取り組むなど、男女共同参画の視点を取り入れた防災対策を進めてまいります。
   〔県土整備部長加藤智博君登壇〕
〇県土整備部長(加藤智博君) まず、土砂災害への備えについてでありますが、土砂災害からの迅速な避難の確保を図るためには、県民一人一人があらかじめ土砂災害の発生リスクを認識し、日ごろから備えていただくことが重要と考えております。
 このため、県では、新たな土砂災害が発生するおそれのある箇所を公表し、現在、早期の区域指定に向けた調査を進めるとともに、指定済みの土砂災害警戒区域等も含めたリスク情報のホームページでの公表や、現地への標識設置など防災情報の周知に取り組んでおります。
 今後も、県民の迅速な避難行動につながるよう、県による防災情報の充実強化と市町村によるハザードマップ作成等の警戒避難体制の整備について、連携を図りながら取り組んでまいります。
 次に、住宅の耐震化を促進するための取り組みについてでありますが、令和3年3月に策定した第3期岩手県耐震改修促進計画において、平成30年度時点における本県の住宅の耐震化率を83.4%と推計しており、令和7年度の目標値を90%と定めております。
 この目標の達成に向けて、県では、耐震化に係る費用負担の軽減策として、市町村と連携した耐震診断と耐震改修の助成制度を設けて支援するとともに、耐震改修等に係る相談員の派遣や耐震診断士、改修事業者の確保のための講習会などを行っております。
 今後も市町村と連携しながら、各種助成制度等のさらなる周知を行うなど、耐震化の促進に取り組んでまいります。
   〔農林水産部長藤代克彦君登壇〕
〇農林水産部長(藤代克彦君) ALPS処理水による県内漁業への影響等についてでありますが、漁業団体からは、アワビの10キログラム当たりの事前入札価格が前年に比べ約4割低下したほか、ナマコの10キログラム当たりの平均単価も前年に比べ約3割低下したと聞いています。また、こうしたアワビの価格低下に伴う損害について、現在、漁業団体で組織する損害賠償対策協議会が東京電力ホールディングス株式会社と賠償に向けた交渉を行っています。
 県では、これまで、東京電力ホールディングス株式会社や国に対し、影響を受けた漁業者等の損害については、被害の実態に即して迅速かつ確実に賠償を行うよう求めてきたほか、新鮮で安全、安心なおいしい県産水産物の消費拡大に向け、県内外の量販店や飲食店と連携したフェア等を開催しています。
 さらに、影響を受けた水産物の需要喚起に向けた新たなビジネスモデルの構築に要する経費を令和6年度当初予算案に盛り込んでおり、今後とも本県の漁業者等が不安を抱えることなく、安心して漁業を継続できるよう、関係機関、団体と連携しながら取り組んでまいります。
   〔文化スポーツ部長小原勝君登壇〕
〇文化スポーツ部長(小原勝君) 部活動の地域移行についてでありますが、県では、地域の受け入れ体制の整備を進めるため、令和3年度から国の事業を活用し、これまで7市町村において地域クラブ活動のモデル事業を行ってきたところです。
 また、令和5年3月、先行して取り組む市町村向けに手引を作成するとともに、地域クラブ活動の整備等に向けた県の考え方を示す、学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方に関する方針を本年1月に策定し、市町村等に対する周知やセミナー等で説明を行っています。
 現在、各市町村において、地域の実情に応じた実践的な取り組みや検討が行われており、課題としては、指導者や活動場所の確保、費用負担などが挙げられております。
 これらの課題解決に向けて、教育委員会と連携しながら、運動部活動に加え文化部活動に係るモデル事業を実施するほか、学校、関係団体等が情報共有や意見交換を行う協議会を新たに設置する経費を令和6年度当初予算案に計上したところです。
 こうした取り組みを通じて、引き続き、市町村の取り組みを支援してまいります。
   〔保健福祉部副部長松村達君登壇〕
〇保健福祉部副部長(松村達君) まず、子供の権利の主流化についてでありますが、県では、子供たちが生まれ育った環境に左右されることなく、自分の将来に希望を持ち、幸せを感じることができる社会の実現を目指して、岩手県子どもの幸せ応援計画を策定し、教育の支援や生活の安定に資するための支援などの取り組みを進めています。
 この計画の策定に当たっては、子供の生活実態に関する調査を実施したところであり、令和7年度からの次期計画の策定においても、子供の生活状況や保護者の就労状況、感染症拡大の影響に伴う状況変化などの実態を把握した上で、子供の視点や権利を基盤とした施策を検討してまいります。
 また、現在、家族法制の見直しの中で、国において検討されている共同親権の導入については、さまざまな課題について指摘があることも承知しておりますが、子供の養育は、子供の意見、意向が反映されるなど、子供の利益が最優先で確保されることが重要であると考えています。
 次に、子供の受け入れ先についてでありますが、県では、市町村における教育、保育や障がい児福祉サービスの拡充に向けて、放課後児童クラブや保育所、放課後等デイサービス事業所の施設整備補助や研修による人材育成、確保などを行ってきたところです。
 こうした取り組みにより、令和5年度の待機児童数は、放課後児童クラブは64人に、保育所等は27人に減少してきていますが、特定の地域において、保育人材の不足や定員に対する年齢別のニーズのミスマッチなどにより、依然として待機児童が生じている状況です。
 また、放課後等デイサービスの利用実績は、延べ人数で申し上げると、令和4年度は月平均約2万6、000人と、令和元年度の約2万2、000人から約1.2倍となり、利用者は増加傾向にありますが、必要なサービスの提供は今後も確保されると見込まれます。
 県では、引き続き、施設整備補助や人材確保策に取り組むとともに、来年度策定予定の次期子ども・子育て支援事業支援計画及び現在策定中の次期障がい児福祉計画に基づき、必要なサービスの提供体制の整備に努めてまいります。
 次に、困難な問題を抱える女性への支援についてでありますが、県では、いわて困難な問題を抱える女性への支援等推進計画の策定に向けて、新たに設置した民間団体、弁護士、行政機関等の委員で構成する連絡協議会での議論や、パブリックコメント、地域説明会などにおける意見を踏まえ、検討を進めてきたところです。
 女性をめぐる課題が複雑化、多様化する中、行政のみでは実施が難しい女性支援やアウトリーチを担う民間団体との連携が重要であることから、計画案では、関係機関の連携・協力を施策の柱の一つに位置づけ、連絡協議会を拡充して、女性相談支援センターや民間団体が活動を行う際の課題の共有や支援調整などに取り組むこととしています。
 また、LGBTQについては、国の基本方針において、他の支援対象者にも配慮しつつ、可能な支援を検討することが望ましいとされていることから、国の動向を注視していくほか、障がい者、ひとり親、高齢者については、適切な支援がなされるよう計画案に盛り込んだところです。
   〔商工労働観光部長岩渕伸也君登壇〕
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) まず、女性の労働環境の改善と賃金格差の是正についてでありますが、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランにおきまして、若者や女性に魅力ある雇用、労働環境の構築に取り組んでいくこととしており、今年度は、岩手労働局等と連携し、企業や経済団体等に対し、女性の昇進等の機会を積極的に提供することを含めた要請活動や、新たに創設した魅力ある職場づくり推進事業費補助金により、柔軟で多様な働き方の実現やオフィス環境の改善等の取り組みに対する支援を行ってきたところでございます。
 来年度におきましても、こうした取り組みを引き続き継続するとともに、女性のデジタル人材育成やキャリア形成支援など所得向上につながる取り組みを強化していくこととしております。
 加えまして、家事や育児に費やす時間の偏りが男女間の賃金格差を生じさせている大きな要因となっておりますことから、庁内連携のもとで、家事・育児シェアシートの作成、普及拡大に努めるなどにより、男女が協力して家事、育児を行う意識醸成を図る取り組みも展開してまいります。
 次に、物流事業者の取引環境の適正化についてでございますが、物流事業者の物価高騰等に伴う価格転嫁につきましては、国や県の調査結果において、転嫁できていない、あるいは、ほとんど転嫁できていないとする割合が高くなっております。
 こうした中、国においては、物流の持続的成長を図るため、今般、2030年度に向けた政府の中長期計画を公表し、法改正などを進め、適正運賃収受や生産性向上などの環境整備を促進していくこととしていると承知しております。
 また、県におきましては、公益社団法人岩手県トラック協会に対し、物流の効率化、荷主、消費者の行動変容、商習慣の見直しなどを行うための支援を行っているほか、関連する経済団体、労働団体及び行政機関の連名により、価格転嫁の円滑化により地域経済の活性化に取組む共同宣言などを行っております。
 物流は、県民が安心して日常生活を過ごす上で重要な役割を担っており、引き続き、関係団体等を通じて現場の声をしっかりと聞きながら、国に対する働きかけを行いつつ、国の取り組みと連動して行うべき取り組みについての検討も進めていきたいと考えております。
   〔総務部長千葉幸也君登壇〕
〇総務部長(千葉幸也君) 男性職員の育児休業の取得促進についてでありますが、育児休業の取得は、男性職員にとって育児に主体的にかかわる契機となるだけでなく、組織にとっても育児を応援する職場風土の形成に資する重要な機会であると認識しております。
 県では、庁議の場で、育児休業等の取得状況を定期的に共有するなど、全庁を挙げた取得しやすい職場環境づくりに加え、子育て支援セミナーなどの場を通じて、育児支援制度の周知や男性育休経験者の体験談の共有などを進め、取得に対する不安解消や、主体的に育児にかかわる意識の醸成などに取り組んできたところであります。
 こうした取り組みの結果、総務省の調査による本県の全任命権者を合わせた男性職員の育児休業の取得率は、令和4年度において全都道府県で2位となっております。
 今後におきましても、取得をためらう職員や、所属長の意見などを踏まえ、男性職員の育児休業の取得促進に向けた取り組みをさらに充実させ、仕事と家庭の調和を図りながら、男女が家事や育児に平等に参画できる環境づくりを進めてまいります。
   〔ふるさと振興部長熊谷泰樹君登壇〕
〇ふるさと振興部長(熊谷泰樹君) 持続可能な地域公共交通の確保についてでございますが、人口減少や新型コロナウイルス感染症による利用者の減少、燃料費高騰に加え、JRローカル線への対応や2024年問題を控えたバス運転士の確保等が課題となっていますが、引き続き、日常生活に必要不可欠な移動手段を維持、確保していくことが重要と考えております。
 県では、公共交通事業者を対象に、令和2年度から運行支援交付金による支援を実施してきたほか、国や市町村と連携し、バス事業者に対して、広域的なバス路線の運行欠損額に対する補助を行っており、また、補助路線が廃止された場合のセーフティネットとして、市町村が必要な代替交通を確保する取り組みに対する補助を行ってまいりました。
 こうした取り組みに加え、令和6年度当初予算案においては、バス事業者による運転士の新規採用や職場環境の改善など、運転士確保の取り組みに対する補助制度の創設や、JRローカル線に係る沿線自治体等による利用促進の取り組みに対する補助制度の拡充を盛り込んだところでございます。
 今年度中に策定する県の次期地域公共交通計画においては、これらの取り組みを盛り込むこととしており、引き続き、国や市町村等と連携し、持続可能な地域公共交通の確保を図ってまいります。
   〔教育長佐藤一男君登壇〕
〇教育長(佐藤一男君) まず、来年度の人員配置についてでありますが、令和6年度当初予算案には、教員の事務作業をサポートするスクールサポートスタッフについては、小中学校、特別支援学校合わせて45人分の配置に要する経費を、学習指導員については、児童一人一人にきめ細かな支援を行うため、小学校で30人分、生徒の学校生活の安定と充実を図るため、中学校で30人分、合わせて60人分の配置に要する経費をそれぞれ盛り込んでおります。
 教職員が安定して育児休業を取得できるための取り組みについては、令和5年度から国の加配定数措置により育児休業代替教職員の前倒し配置を実施しているところです。
 この前倒し配置は、男女問わず、育児休業を取得する教職員を対象とするものであり、これにより育児休業取得予定者と代替教職員とが一緒に児童生徒への指導等に当たる期間を確保できるなど、教職員の負担軽減や安定した学校運営に効果的であると捉えているところです。
 今後も、国の補助事業や教職員定数に係る加配定数措置を活用しながら、勤務環境の改善や教職員の育児休業の取得促進を図るなど、引き続き、市町村教育委員会と連携して教職員の働き方改革に取り組んでまいります。
 次に、安全で豊かな学校給食についてでありますが、学校給食に地場産物を使用することは、児童生徒に各地域の産物や食文化等を理解し、尊重する心、食料の生産等に係る人々に感謝する心を育むなど、教育的意義があるものと考えております。
 県内学校給食における県産食材の使用については、令和4年度文部科学省調査で金額ベースの利用割合は60.9%であり、全国平均の56.5%と比較して4.4ポイント上回っております。
 また、有機農産物につきましては、農林水産部が実施した令和4年度県産農林水産物利用状況調査によれば、回答のありました108の県内の給食調理場のうち、既に活用しているのは12施設、今後検討としているのが23施設となっております。一方、同調査において、学校給食で有機農産物を使用するに当たっては、価格が高い、仕入れが困難といった課題も挙げられています。
 県教育委員会では、引き続き、農林水産部とも連携し、学校給食における有機農産物を含む県産食材の一層の利用促進に取り組んでまいります。
 学校給食費の無償化につきましては、現在、国において、こども未来戦略方針に従い、学校給食の実態調査を行っているところであり、自治体など学校設置者による実施方法の違いや公平性、負担のあり方などを整理し、検討が進められていくものと承知しているところです。
 学校給食費の無償化につきまして、本来、自治体ごとの財政力に応じて格差が生じることのないよう、同等の水準で行われるべきものでありますことから、引き続き、国に対して働きかけてまいります。
   〔警察本部長高水紀美彦君登壇〕
〇警察本部長(高水紀美彦君) 犯罪被害者等給付金に対するお尋ねでございます。
 御指摘の裁判につきましては、同居生活を送っていた同性パートナーを殺害された方が、遺族給付金を不支給とした愛知県公安委員会の処分を違法とし、愛知県を相手取り、処分の取り消しを求めた訴訟の上告審で、近く原告、被告双方から意見を聞く弁論が開かれることは、報道等で承知しているところでございます。
 現在、警察庁で遺族給付金の支給最低額の一律引き上げ、遺族給付金の支給額の増額、休業加算額及び障害給付金の支給最低額の一律引き上げといったことを骨子とした犯罪被害給付制度の見直しを進めているところと承知をしております。
 いずれにいたしましても、県警察本部といたしましては、個別事案ごと、法令、制度にのっとり、適正に手続を進めてまいりたいと考えております。
〇41番(小西和子君) 御答弁ありがとうございました。では、再質問をさせていただきます。
 まず、ジェンダー平等社会の実現についての県職員の男性育児休業取得でございますので、総務部長にお伺いいたします。
 岩手県が国の調査で、令和4年は52.4%で全国2位というのに驚きました。5年前はたしか1.3%で46位だったのですよね。どのような取り組みをして、このように2位まで上り詰めたのかというところをお聞かせください。
 それから、能登半島地震と防災については復興防災部長にお伺いします。
 寒冷地で冬場の地震などが起きた場合の被害を最小限に食いとめるには、避難施設の防寒対策等についても強化を図ることとか、感染症対策とも両立する災害緊急対応について再整備することが本県の場合、特に重要と考えますが、その見解を伺います。
 それから、岩手県でも能登半島地震の教訓を原子力災害対策に役立てなければなりません。課題の見直しについて伺います。
 もう一点、国では都道府県防災会議における女性委員比率3割を目標としていますが、岩手県防災会議がこの目標を達成するための道筋をお示しください。
 あわせて、市町村防災会議における女性委員の積極的な登用を要請し、女性委員未登用の町が一つありますし、女性委員1人の市町村に対しては、働きかけを強化するべきと考えます。どのように進めるのか、考えを伺います。
 それから、こども基本法についてですけれども、今、ヤングケアラーのことが国会でも話題になっています。ヤングケアラー支援策の施策の現状と子供の権利の主流化を反映させた施策について伺います。これは保健福祉部副部長に答弁をお願いいたします。
 ジェンダー平等社会の実現についての、いわて困難を抱える女性支援法素案についてですけれども、ワンストップ型の包括的な支援を行うとなっているのですから、男女平等の知見を有し、女性支援やDV支援も行っている岩手県男女共同参画センターを、先進県のように活用すべきと考えます。男女共同参画分野と福祉分野が一緒になるために、保健福祉部が中心となり、環境生活部と連携して女性支援に当たられるようにすべきと考えますが、これも保健福祉部副部長に答弁をお願いいたします。
 それから、豊かな教育についてでございますけれども、今回、私は質問原稿を作成するに当たって驚きました。県教育委員会は働き方改革を掲げていまして、今年度、100時間オーバーをゼロにするという目標でした。これは義務教育とか小中学校関係なく全てでございましたけれども、県教育委員会は小中学校の勤務実態調査を把握していませんでした。小中学校の教員の働き方については、先ほど私は調査結果を紹介しましたけれども、まず、その受けとめを教育長に伺います。
 そして、他県が働き方改革を推進している中、過労死ライン超えがもう70%近くになっているのです。何ら対策をとらないばかりか、実態を把握していないにもかかわらず、さらに過重労働の岩手県学習定着度状況調査を予算案に盛り込んでいます。そこで伺います。競争教育の最たるものである岩手県学習定着度状況調査を青森県のようにやめるべきと考えます。全国の都道府県の3分の1ほどは既に実施していません。子供たちの幸福度の向上のため、教職員の命と健康を守るためにも決断のときと考えますが、見解を伺います。
 以上、よろしくお願いいたします。
〇総務部長(千葉幸也君) 男性職員の育児休業取得率が全国2位となった要因についてでありますが、先ほど申し上げました職場環境づくりや職員本人の不安解消に継続的に取り組んでおり、具体的には、育児支援制度の周知に向けたハンドブックや、収入面への影響額を試算できるシートの作成、育児等に関する相談窓口の設置など、各般の取り組みを展開しているところでございます。
 特に、県警察本部におきましては、本部長の強いリーダーシップのもと取り組みを進め、男性職員の育児休業の取得率が警察部門の都道府県順位第1位となるなど、各任命権者においても取得が進んでいるところでございます。
 こうした取り組みを継続してきた結果、育児休業を取得して育児にかかわろうとする男性職員の意識の変化や、育児に理解のある職場風土が少しずつ形成されていることが全国第2位の取得率になったと考えております。
 しかしながら、まだまだこれからだと私は思っております。今後におきましても、各任命権者と情報を共有しながら、これまでの取り組みに加え、個々の職員の事情に寄り添った支援を充実させ、男性職員の育児休業の取得促進に取り組んでまいります。
〇復興防災部長(佐藤隆浩君) 防災に関しまして、3点ほど御質問をいただきました。
 1点目、災害時の防寒対策についてでございます。能登半島地震、寒さが厳しい冬季に発生したということで、連日、報道等で厳しい状況が報道されております。防寒対策等を改めて県としても進めていく必要があると認識しております。
 県と市町村では、毛布や段ボールベッドなど、防寒対策用物品の備蓄を計画的に進めておりますけれども、その対策が十分であるか、市町村とともに改めて確認を進めてまいりたいと思っております。
 それから、感染症対策でございます。新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けまして、感染症対策に配慮した避難所運営ガイドラインを平成2年7月に作成いたしまして、各市町村に提供しております。マスク、消毒液等の備蓄や体調不良者の滞在スペースの確保といったものを促しております。
 また、県の総合防災訓練では、体調不良者を別室に誘導いたしまして、一般避難者と滞在スペースを分離するなど、避難所において感染症が蔓延しないための訓練を行っておりまして、引き続き、避難所における感染対策に万全を期してまいります。
 2点目、原子力災害の関係でございます。東日本大震災津波の際に発生いたしました原子力発電所事故は、立地県のみならず、本県を含めた近隣の地方公共団体に対しましても、長期かつ広範囲にわたり、あらゆる分野に大きな影響をもたらしたところでございます。
 こうしたことを踏まえまして、県では、平成25年3月、岩手県地域防災計画・原子力災害対策編を新たに策定いたしました。
 この計画には、原子力事業者との通報連絡体制の整備を内容といたします災害予防計画、避難に関する内閣総理大臣指示の住民への伝達、避難誘導などを内容といたしました災害応急対策計画、それから、健康確保や風評被害防止などを内容といたしました災害復旧計画を定めております。
 この計画の実効性を高めるため、原子力事業者と協定等を締結いたしまして、早期の情報連絡体制を構築しております。
 今後も、能登半島地震による原子力発電所への影響等を把握しながら、必要に応じて、県の地域防災計画の見直しを進めるなど、県民の安全、安心の確保のために努めてまいります。
 それから3点目、防災会議における女性委員の登用の関係でございます。
 令和5年4月1日現在、県の防災会議の女性委員総数、77名のうち14名となっておりまして、その割合は18.1%でございます。
 女性委員の割合を高めるため、会議を構成いたします各指定公共機関等に対しまして、委員の改選時に女性の推薦を強くお願いしているところでございます。他都道府県の取り組みといったものも参考にしながら、国が定めた女性委員比率3割の目標達成に向けて取り組んでまいります。
 市町村の防災会議での委員の関係でございますが、こちらはいわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプラン政策推進プランで、3人以上の女性委員が参画する市町村防災会議の割合を令和8年度に100%にするという目標を設定しているところでございます。この目標達成に向けまして、市町村長を対象といたしました防災・危機管理トップセミナーといった場におきまして、女性委員の積極的な登用を働きかけているところでございます。
 今後、女性委員が3人未満の市町村に対しましては、女性委員を積極的に登用している他の市町村の取り組み事例を紹介するなど、個別の働きかけを行ってまいります。
〇保健福祉部副部長(松村達君) ヤングケアラーについてのお尋ねがございました。ヤングケアラーは、さまざまな子供の権利、安定した生活を送る権利ですとか、教育を受ける権利を阻害する可能性もあるということで、非常に大事な問題だと考えております。
 私どもでも、実際に子供さん方へのアンケートなども実施しながら、新たな施策を取り組んでいきたいと考えております。非常に課題なのは、子供本人が気がつかないでヤングケアラーの実態になっているということが子供にとっては大変なことだと思いますので、周りの大人、あるいは教育現場の方々の御協力も得ながら、ヤングケアラーの課題については対応するべく、今後、施策を検討してまいりたいと考えております。
 それから、2点目の困難を抱える女性への支援でございます。答弁の中でも連絡協議会のお話を申し上げました。現在、この構成員の中に、行政ですとか警察、教育機関、男女、若者の共同参画の担当課も入っているところで、今のような協議会ということで、あと民間の方々も入っていただきます。もちろんワンストップで全て解決できるのは難しいところもありますので、まずは事案について、関係者の中で共有をしながら、どういった支援をしたらいいのかということを調整していくこともまた一つ大切なことだと思っておりますので、対応を進めていきたいと考えております。
〇教育長(佐藤一男君) 3点、お尋ねがございました。
 まず、県教育委員会事務局において、令和4年度の文部科学省が行った勤務実態調査、状況を把握していないのではないかというお話でございましたが、この調査は文部科学省が直接調査対象の学校を選定し、その学校を公表してございません。また、直接国に対して回答するという調査でありまして、都道府県単位での調査結果が現時点で公表されておりません。今後公表されるかもしれませんけれども、都道府県の状況がつまびらかになっていないということでの事務局の回答があったのだと思います。
 それから、働き方改革プラン、目標を実現できていないということでございまして、現プランは令和3年から令和5年の3年間ということで、大きく、月100時間以上の者をゼロにするということで、そのとおりでございましたが、令和3年時点では71人いたものが、現在、ことしの第3・四半期までですが、7人になっています。一方で、月45時間超の職員については、令和3年度実績8.3%が現時点で7.8%であるということで、100時間以上のような減り方にはなっていないというのが実態でございます。
 まさにこのプランを来年度から改定いたしまして、目標を、月80時間以上の者をゼロにするということ、それから、引き続き、時間外45時間超の者、今までは部活動時間を除いた格好で確認しておりましたが、これには部活動指導に当たる時間も今度の計画には含む格好で、さらに減らしていくという取り組みを行っていきます。
 それから、市町村の教員につきましては、基本的に服務監督権者である市町村教育委員会がそれぞれの規則等に基づいて業務管理指導を行うということでありますが、我々として、働き方改革プランを改定して、この中身をしっかりと市町村教育委員会にもお伝えしながら、連携しながら取り組んでいくということで対応していきたいと思います。
 3点目の岩手県学習定着度状況調査でありますが、児童生徒一人一人の学習の定着状況と分析結果からつまずきの内容、要因等を把握する。一人一人を伸ばす指導の充実、教員の指導力の向上を図ることを目的にしておりまして、実施に当たりましては、序列化とか過度の競争が生じないようにということで、教育上の効果、影響に十分配慮しておりますし、採点や集計業務に係る負担軽減の観点から、令和3年度からですが、従前4教科だったものを2教科に精選して実施しているということ。今後、これがICТ活用した取り組みということも、国の全国学力・学習状況調査もそうですけれども、導入されてくるということもあり、そういった状況も見据えながら、適切に取り組んでまいりたいと考えております。
〇41番(小西和子君) びっくりしました。働き方改革は、始める前に県教育委員会は約束したのです。これは県立だけではない、小中学校も一緒に進めるのだということでした。それをわかっていないというのは情けない。
 それから、この数値は土日の部活の分も入っているからだという言い方をしています。一人の人間が行っている勤務なわけです。土日の分は別な体に変わるわけではないのです。だから、こんな過酷な状況の中で学習定着度調査などとびっくりしました。3分の1の都道府県がやめているのです。それも働き方改革を何とか実現しようということからやめているのです。本当にびっくり。この採点にどのくらいかかっていると思いますか。採点、入力にどのくらい時間を割いているでしょう。
 そして、この小中学校の教職員たちは平均80時間オーバーです。毎日毎日8時ころまで働いて、土日のどちらかは5時間くらい働いている。それで80時間になるわけです。それが終わってから採点、入力をやるわけです。かなりの時間がかかります。それなのに4日間で採点をしてよこせと。県教育委員会は全く現場をわからないような、そのようなことを指示しているわけです。みんなが倒れてしまっていいのでしょうか。
 それから、ICTを活用する、はぁ、そうですかという感じです。盛岡市は性能の低いタブレットです。授業で学級で一斉にタブレットを使用すると通信が不安定になって使えなくなるのです。ふだんの授業でも、途中でタブレットが使えなくなることも想定して、指導案を二通りつくっているのです。このようなことでやれるのですか。
 先ほど知事が話をした岩手県の教育振興の計画の中のあの理念と全く逆のことです。教職員をそんなにいじめ抜いて何がそんなに楽しいのですか、本当にそう思います。
 10日前に現職死亡がありました。50代の女性の方が亡くなりました。体調が悪いときに果たして病院に行けたのだろうか。小学校は支援を要する子供たちがふえていますので、担任ももちろんですが、担任外がみんな教室に入るのです。職員室は空っぽになります。そういう中で病院に行ってきますと言えたのだろうか。本当に健康や命が脅かされる岩手県小中学校の現場で、それを教育長は何とかしようと思わないのですか。
 青森県は学習定着度状況調査を廃止します。給食費も10月から無償化にします。この給食費も教職員の業務を削減することにつながるのです。支払えない家庭に電話をかけたり、集めに行ったり、そのようなこともやっているのです。それから、静岡県、奈良県では、育児休業代替の年度末までの特別配置、つまり、年度末まで配置しますよと決めて始まっているということです。
 先ほどスクールサポートスタッフが特別支援を入れて42人、それから、30人と言っていますけれども、文部科学省は各小中学校全部に入れると言っています。415校あるわけですが、たった42人と聞いていますけれども、これで働き方改革が進むのでしょうか。
 教育長、岩手県の教育をどのようにしようと考えているのでしょうか。教職員が倒れて、誰も教員になり手がなくなってもいいと考えているのでしょうか。もう一度、答弁をお願いします。
〇教育長(佐藤一男君) 先ほど、岩手県教職員働き方改革プランを改定し、来年度から施行するというお話を申し上げまして、この大きな策定の趣旨として、日々の生活の質や教職員人生を豊かにする、そういうことで教職員のウェルビーイングを確保するとともに、みずからの人間性や創造性を高め、子供たちの理解に努めながら、よりよい教育を行うようにするということを大きな目標に掲げ、先ほど申し上げたような、これまでの基準をさらに上回るような厳しい基準を設定した。従来、部活動時間を除いて基準を設けていたものを、部活動時間も入れてしっかり見ていこうということでございまして、より一層、岩手県の教職員の働き方を進めていこうというもとでこのプランを改定しているものでございます。
 ただ、市町村教育委員会も同じく働き方改革プランをつくっていただいています。若干残っているところが数市町村ありましたが、基本的には、今年度中にはつくっていただきます。市町村立の学校の職員も、我々は市町村と県は別だということではなくて、横並びで、連携しながらこういったものをつくっていこうということで動いていますので、ただ、服務監督権者とすれば市町村教育委員会ですということを申し上げたという次第であります。
 繰り返しになりますが、教職員のウェルビーイングを確保するということを目標に取り組んでまいりたいと考えております。
〇41番(小西和子君) 市町村でも学習定着度状況調査をしています。県でもやっています。だから、必要ないのだということで3分の1はやめているわけです。
 次の文章を読み上げて終わりにしたいと思います。これは学習定着度状況調査の後に調査したことです。一人一人のつまずきに対応していくことが大切であり、学びの楽しさを教えてこそ意欲向上、学力向上につながる。生徒の実態とかけ離れた内容であることも多く、調査の意義を感じない。時数も取られる。できない子はできないことを突きつけられるだけである。不登校にもつながっている可能性がある。踏襲かたぎをやめてほしい。
 以上です。
〇議長(工藤大輔君) 以上をもって、小西和子さんの一般質問を終わります。
    
   日程第2 議案第87号令和5年度岩手県一般会計補正予算(第6号)から日程第23 議案第108号損害賠償請求事件に係る和解及びこれに伴う損害賠償の額を定めることに関し議決を求めることについてまで
〇議長(工藤大輔君) 次に、日程第2、議案第87号から日程第23、議案第108号までを一括議題といたします。
 提出者の説明を求めます。
   〔総務部長千葉幸也君登壇〕
〇総務部長(千葉幸也君) ただいま議題とされました各案件につきまして御説明申し上げます。
 議案第87号は、令和5年度岩手県一般会計補正予算(第6号)であります。これは、国の経済対策と連動し、半導体関連産業のさらなる集積、高度化に向けた人材育成拠点施設の整備や福祉、介護職員等の賃上げ支援、公立小中学校における1人1台端末の計画的な更新のための基金造成など、喫緊の課題に対応するための経費や、県民の命と健康を守るため、新型コロナウイルス感染症や物価高の影響を受ける県立病院の経営安定化に向けた追加的な支援に要する経費を計上するほか、県税等の歳入の最終見込みや、所要額を踏まえた退職手当などの緊要な課題に対応する経費の計上を含む歳出額の整理を行うとともに、財政健全化を着実に推進するための県債管理基金への積み立て、財政調整基金の法定積み立てに要する経費を計上するものであり、総額248億1、000万円余の減額補正を行おうとするものであります。
 補正の主なものは、財政調整基金積立金98億8、900万円余、県債管理基金積立金35億円、障がい福祉職員等処遇改善事業費4億5、300万円余、介護職員等処遇改善事業費11億1、200万円余、半導体関連人材育成施設整備費補助3億9、800万円余、公立学校情報機器整備基金積立金7億1、400万円余、産業教育実習船代船建造費20億5、500万円余、県立病院等事業会計負担金47億8、900万円余等であります。
 次に、繰越明許費の追加は、スマートワーク推進など137事業に係る予算を翌年度に繰り越して使用するものであります。
 次に、債務負担行為の追加及び変更は、指定管理者による療育センター管理運営業務など9件を新たに追加するとともに、10件について限度額を変更しようとするものであります。
 また、地方債の追加及び変更は、半導体関連人材育成施設整備など3件を新たに追加するとともに、7件について起債の限度額を変更しようとするものであります。
 議案第88号から議案第101号までの14件は、令和5年度岩手県母子父子寡婦福祉資金特別会計など10特別会計及び4企業会計の各補正予算であります。
 これらはそれぞれの事業費の執行見込みに基づき、所要額を補正しようとするものであります。
 議案第102号は、流域下水道事業に要する経費の一部負担の変更に関し、議決を求めようとするものであります。
 議案第103号及び議案第104号は、条例議案であります。これは、岩手競馬再生推進基金条例の一部を改正するとともに、公立学校情報機器整備基金条例を新たに制定しようとするものであります。
 議案第105号は、一般国道282号(仮称)佐比内トンネル築造工事の請負契約の締結に関し、議案第106号は、一般国道397号小谷木橋旧橋撤去(下部工)(第3工区)工事の変更請負契約の締結に関し、それぞれ議決を求めようとするものであります。
 議案第107号及び議案第108号は、損害賠償請求事件に係る和解及びこれに伴う損害賠償の額を定めることに関し議決を求めようとするものであります。
 以上でありますので、よろしく御審議の上、原案に御賛成くださいますようお願い申し上げます。
   
〇議長(工藤大輔君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後6時14分散会

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