令和6年2月定例会 予算特別委員会会議記録

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令和6年3月14日(木)
1開会 午前10時1分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 昆 野 岳 晴
議事管理担当課長 藤 平 貴 一
主任主査 佐 藤 博 晃
主任主査 増 澤 綾 子
主任主査 及 川 雄 也
主査 阿 部 真 人
主査 堀 合 俊 彦
主査 三 浦 訓 史
1説明員
農林水産部長 藤 代 克 彦
副部長兼
農林水産企画室長 佐 藤 法 之
農政担当技監 照 井 富 也
林務担当技監兼
全国植樹祭
推進室長兼
企画総務課長 工 藤   亘
参事兼
林業振興課
総括課長 嵯 峨 俊 幸
競馬改革推進室長 大 坊 哲 央
農村整備担当技監
心得兼農村計画課
総括課長 今 泉 元 伸
水産担当技監心得
兼水産振興課
総括課長 森 山 拓 也
農林水産企画室
企画課長 高 橋 真 博
農林水産企画室
管理課長 臼 井   宏
団体指導課
総括課長 金 野 賢 治
特命参事兼
指導検査課長 小野寺   修
流通課総括課長 似 内 憲 一
流通企画・
県産米課長 和 泉 光一郎
農業振興課
総括課長 佐々木 誠 二
担い手対策課長 伊 藤 一 成
農業普及技術課
総括課長 竹 澤 利 和
農業革新支援課長 長谷川   聡
農村建設課
総括課長 東 梅 克 美
農産園芸課
総括課長 中 村 英 明
水田農業課長 吉 田 正 博
畜産課総括課長 村 上 勝 郎
振興・衛生課長 高 橋 真 紀
森林整備課
総括課長 砂子田   博
整備課長 小 川 健 雄
森林保全課
総括課長 田 村   聡
漁業調整課長 太 田 克 彦
漁港漁村課
総括課長 佐々木 雅 章
漁港課長 佐 藤 一 彰
競馬改革推進監 川 村   守

財政課総括課長 佐 藤 直 樹
〇城内愛彦委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入ります。
 議案第1号から議案第20号まで、議案第27号から議案第38号まで、議案第40号、議案第41号、議案第44号、議案第47号、議案第48号、議案第52号、議案第54号から議案第67号まで、及び議案第69号から議案第76号までの以上60件を一括議題といたします。
 本日の農林水産部の審査につきましては、3月4日の当委員会で決定したとおり、第1部及び第2部に分けて審査することとし、第1部では農業関係分野について、第2部では林業関係分野及び水産業関係分野について、それぞれ審査することとなっておりますので御了承願います。
 また、本日は農林水産部関係について、延べ28人の質問者を予定しており、世話人会の協議により、本日の質疑の目安時間は20分といたしました。
 また、関連質疑の取り扱い、換気のための休憩につきましては、これまでと同様でありますので、御協力を願います。
 この際、職員に係る不祥事について、農林水産部長から発言を求められておりますので、これを許します。
〇藤代農林水産部長 審査の冒頭、大変恐縮でございますが、3月3日に発生しました職員の逮捕について、御報告とおわびをさせていただきます。
 3月3日、県南広域振興局農政部遠野農林振興センターの会計年度任用職員が、飲酒の上、知人に暴行した疑いで逮捕される事案が発生しました。
 当部においては、昨年12月に職員が酒気帯び運転で逮捕される事案が発生しており、同様の事案を二度と起こさないよう取り組んでいる中で、飲酒にかかわる今般の事案が発生し、公務に対する県民の信頼を再び大きく損ねる事態となったことは、まことに遺憾であり、この場をおかりして深くおわび申し上げます。
 この不祥事を重く受けとめ、改めて、職員一人一人が、勤務時間の内外を問わず、みずからの行動が公務に対する信用に重大な影響を与えるということを十分に認識し、みずからの行動を律するとともに、部を挙げて再発防止を徹底し、県民の皆様の信頼回復に努めてまいります。
 大変申しわけございませんでした。
〇城内愛彦委員長 次に、農林水産部長に農林水産部関係の説明を求めます。
〇藤代農林水産部長 農林水産部関係の令和6年度の予算関係議案について御説明申し上げます。
 初めに、当部の予算編成に当たっての基本的な考え方でありますが、原油価格、物価高騰対策や東日本大震災津波を初めとする災害からの復興を着実に進めるとともに、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランのもと、生産者が意欲を持って、生き生きと働き、暮らすことのできる農林水産業の実現に向けた取り組みを積極的に推進するための予算として編成したところであります。
 まず、復興推進の取り組みについてでありますが、大型で強靱なサケ稚魚の生産等による資源回復や水揚げ量が増加している資源の有効利用、サケ、マス類の海面養殖等の新たな漁業、養殖業の導入、拡大に取り組んでまいります。
 次に、政策推進の取り組みについてでありますが、意欲と能力のある経営体の育成として、いわてアグリフロンティアスクールや林業アカデミー、水産アカデミーに加え、新たに、(仮称)いわてグリーン農業アカデミーの開講、収益力の高い食料・木材供給基地づくりとして、環境負荷を低減する農業生産の推進やスマート農業技術を活用した高収益園芸作物の生産性向上、県北地域の県オリジナル水稲品種の導入、主伐から再造林までの一貫作業の推進、農林水産物の高付加価値化と販路の拡大として、アジアや北米地域等を対象としたトップセールスや、メタバースなどのオンラインを活用したプロモーションの強化、一人一人に合った暮らし方のできる農山漁村づくりとして、全国植樹祭のレガシーを継承する、いわて森林の感謝祭の開催や、漁村の活性化に向けた海業のビジネスモデルづくりへの支援などに取り組んでまいります。
 それでは、予算関係議案について御説明申し上げます。
 まず、議案第1号令和6年度岩手県一般会計予算でございますが、議案その1の11ページをお開き願います。第1表歳入歳出予算の歳出の表中、農林水産部関係の予算は、6款農林水産業費の545億5、275万6、000円のうち、県土整備部所管分を除く542億6、919万8、000円、13ページの11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費の12億912万5、000円、12款公債費1項公債費のうち1、317万2、000円及び13款諸支出金2項公営企業負担金のうち351万1、000円を合わせまして、総額554億9、500万6、000円となります。これを前年度当初予算と比較しますと41億4、466万6、000円、率にして6.9%の減となります。
 予算の内容につきましては、予算に関する説明書に記載されておりますが、説明は省略させていただきますので、御了承をお願いいたします。
 次に、債務負担行為について御説明申し上げます。
 16ページをお開き願います。第2表債務負担行為の表中、18公益社団法人全国農地保有合理化協会が公益社団法人岩手県農業公社に融資した資金について、元利金の償還がない場合の不足額の損失補償から、17ページに参りまして、36水産流通基盤整備事業までの19件であります。その内容は、公益社団法人岩手県農業公社の事業資金の借り入れに係る損失補償が1件、農林水産業関係の各種資金の融通に伴う利子補給が7件、令和6年度から翌年度以降にわたって施行される工事等に係るものが11件で、いずれもそれぞれ期間及び限度額を定めて債務を負担しようとするものであります。
 次に、特別会計予算について御説明申し上げます。
 27ページをお開き願います。議案第3号令和6年度岩手県県有林事業特別会計予算は、予算の総額を歳入歳出それぞれ40億6、463万9、000円としようとするものであります。
 30ページに参りまして、議案第4号令和6年度岩手県林業・木材産業資金特別会計予算は、予算の総額を歳入歳出それぞれ8億1、654万8、000円としようとするものであります。
 33ページに参りまして、議案第5号令和6年度岩手県沿岸漁業改善資金特別会計予算は、予算の総額を歳入歳出それぞれ10億124万2、000円としようとするものであります。
 次に、予算以外の議案について御説明申し上げます。
 73ページをお開き願います。議案第16号農業関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについては、かんがい排水事業ほか8事業の農業関係の建設事業に要する経費の一部を受益市町村に負担させようとするものであります。
 77ページをお開き願いまして、議案第17号林業関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについては、県単独治山事業の林業関係の建設事業に要する経費の一部を受益市に負担させようとするものであります。
 78ページをお開き願いまして、議案第18号水産関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについては、水産生産基盤整備事業ほか8事業の水産関係の建設事業に要する経費の一部を受益市町村に負担させようとするものであります。
 次に、予算関係条例の議案について御説明申し上げます。
 議案その2の30ページをお開き願います。議案第34号家畜保健衛生所使用料等条例の一部を改正する条例についてですが、家畜保健衛生所の手数料は、臨床獣医師等が家畜疾病の病性鑑定を家畜保健衛生所に依頼する場合に納めるものであり、積算根拠である家畜共済診療点数表の改正に伴い、手数料の額を改正するものであります。
 40ページをお開き願いまして、議案第37号岩手県手数料条例の一部を改正する条例のうち、農林水産部関係の改正内容は、別表第6、遊漁船業の適正化に関する法律施行規則の一部改正に伴い、所要の整備をしようとするものであります。
 大きく飛びまして、114ページをお開き願います。議案第61号岩手県漁港管理条例の一部を改正する条例についてですが、漁港施設等の占用料の額を増額し、及び漁港漁場整備法の一部改正に伴い、土砂採取料または公共空地等占用料を徴収する者の範囲を改めるとともに、あわせて所要の整備をしようとするものであります。
 少し戻りまして、108ページをお開き願います。利用料金等の改定に関するものであります。108ページの議案第57号森林公園条例の一部を改正する条例、110ページの議案第58号緑化センター条例の一部を改正する条例、111ページの議案第59号林業技術センター条例の一部を改正する条例、113ページの議案第60号水産科学館条例の一部を改正する条例、117ページの議案第62号海岸休養施設条例の一部を改正する条例についてでありますが、これは、近年の物件費等の上昇に伴い、利用料金の上限額の引き上げまたは手数料の額を増額しようとするものであります。
 以上で議案についての説明を終わります。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
〇城内愛彦委員長 これより質疑を行いますが、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事の進行に御協力を願いします。
 ただいまの説明のうち、第1部農業関係について質疑はありませんか。
〇千葉伝委員 トップバッターです。農林水産部におきましては、本県農業の振興に鋭意取り組んでいただいているところであり、敬意を表するところであります。
 農業の状況については、農業生産額を見てみますと、令和4年は2、660億円、前年比で9億円増加し全国第11位となっております。その産出額の内訳として、畜産部門が1、714億円、64.4%を占めているところであり、前年に比して約13億円増加しております。
 そこで、農業部門の中で、特に、64%を占める畜産部門についてお伺いします。
 最初に、畜産振興対策であります。
 現下の情勢につきましては、海外情勢あるいは国内の物価高に伴う飼料高、燃料高、資材高、和牛子牛の価格低迷等、厳しい経営状況となっているところであります。
 この畜産経営について持続可能な支援が必要と思いますが、対策にどのように取り組んでいくのか、まずはお伺いします。
〇村上畜産課総括課長 まず、酪農、肉用牛についてでございますけれども、本県の酪農、肉用牛経営は、飼養頭数や産出額が全国上位にあるものの、経営規模が小さく生産コストが高いことから、生産性向上など経営体質の強化が課題となっております。
 飼料の価格高騰等によりまして、酪農、肉用牛経営は厳しい経営環境に置かれていることから、県ではこれまで、飼料等の価格上昇分を補填する国事業の活用を進めるとともに、県独自に、累次の補正予算によりまして飼料の購入費等への支援を実施してきたところでございます。
 現在、厳しい環境でありますけれども、酪農、肉用牛経営を持続、発展させるためには、経営の体質強化に向けまして、岩手県酪農・肉用牛生産近代化計画に基づき、自給飼料の生産拡大に向けた草地等の計画的な整備、改良に加え、牛舎等の整備や繁殖雌牛を預かるキャトルセンターを活用した繁殖、肥育一貫経営の推進、県や農業協同組合等で組織するサポートチームによる飼養管理技術の指導などを進めているところでございます。
 養豚、養鶏につきましては、飼料の購入費等への支援のほか、国や県独自の経営安定対策に加えまして、高病原性鳥インフルエンザ等の衛生対策などの取り組みを支援しており、令和6年度当初予算案には、新たに、大規模農場における鳥インフルエンザ等発生時に迅速な防疫措置を行うための備蓄資機材の拡充に要する経費などを盛り込んでおります。
 今後とも、こうした取り組みによりまして、畜産経営の体質強化、安定が図られるよう取り組んでまいりたいと思います。
〇千葉伝委員 対応については、国の補正に呼応して県もしっかり対応しているとは思っております。県、国ということですが、これに市町村あるいは畜産関係団体も一緒に連携して進めることと思いますが、そういったあたりはどうなっているのでしょうか。
〇村上畜産課総括課長 畜産に関する施策につきましては、国において支援事業が充実しております。国が直接、農協や団体等の事業主体に支援する事業や、公益社団法人中央畜産会など畜産関係の全国団体が事業主体となりまして、都道府県の畜産関係団体を窓口として支援する事業が多くなっております。
 こうした国の事業は、取り組み主体となる畜産経営体や生産組織などに事業内容の詳細や事務手続、計画等の作成方法などの情報が十分伝わっていないという状況もございます。
 県では、国からの事業内容の詳細情報を収集しまして、必要に応じて、各種説明会等で国から詳細を説明してもらうことや、県内の畜産関係団体や各地域の関係機関、団体等に対しまして、説明会や意見交換会などを開催し、畜産振興に係る事業を活用できるよう、国、市町村、団体等と連携して取り組んでいるところでございます。
 また、県内各地の関係機関、団体で構成しますサポートチームにより、地域が連携した畜産経営体の収益力向上の取り組みを行っているところでございます。
〇千葉伝委員 いずれ、しっかり対応して、持続可能な経営に持っていくようにお願いしたいと思います。
 クラスター事業ですが、酪農家の話を聞きますと、大型酪農家のためのクラスターみたいな格好になっているということで、中規模の酪農家の人たちから、私どものところにはああいった事業は入ってこないのか、やれないのかという話も聞きます。そういったあたりは検討する余地はあるのでしょうか。
〇村上畜産課総括課長 酪農家の規模拡大等の支援についてでございますけれども、今年度も飼料価格高騰とか、農業改良普及センター等が酪農家の全戸巡回などをしまして、その中でもそういった話は来ております。
 畜産クラスター事業をやる上では、畜産クラスター計画の中にしっかり盛り込んで、クラスター計画の中で、その酪農家がどういった形で地域の酪農や畜産の振興に寄与するかというところの効果をしっかり見きわめながら、計画を立てて実施するものですので、その点については、農業改良普及センターや地域の行政機関も一緒になって取り組みを支援しているということでございます。
〇千葉伝委員 よろしくお願いします。
 次に、獣医師確保対策についてお伺いします。
 獣医師の役割というとたくさんあるのですけれども、公衆衛生あるいは家畜保健衛生所等に勤務する公務員獣医師と、専ら大動物、小動物の治療をする獣医師に大別されると思います。この中で、最近の状況は、公務員獣医師の定員が不足しているのではないか、あるいは大動物の治療をしている獣医師が不足していると聞くところであります。
 獣医師確保について、どのように取り組んでいるのかお伺いします。
〇高橋振興・衛生課長 産業動物分野の獣医師確保についてでありますが、県では、令和3年3月に策定しました、獣医療を提供する体制の整備を図るための岩手県計画において、牛などの産業動物臨床獣医師と農林水産分野の公務員獣医師を合わせた獣医師の令和12年度の確保目標を235名としており、令和4年12月末現在では219名と、16名少ない状況となっております。
 獣医学生は、全国的に犬や猫などの小動物分野の希望が多く、産業動物分野の希望が少ない傾向にありますことから、本県への応募者を確保していくことが重要と考えております。
 このため県では、産業動物分野の獣医師確保に向け、獣医学生に対する修学資金の貸し付けや東日本の獣医系9大学での就職説明会の開催、獣医学生のインターンシップの受け入れなどに取り組んでいるところです。
 こうした取り組みにより、この5年間で26名の獣医師が、県内の産業動物分野に就業しているところです。
〇千葉伝委員 今の答弁の中に、確保に当たって岩手県の獣医師修学資金制度の話が出たところでありますが、実際にその現状はどうなっているでしょうか。
〇高橋振興・衛生課長 獣医師修学資金制度についてでありますが、県では、牛などの産業動物臨床獣医師や公務員獣医師を確保するため、平成3年に県事業として獣医師修学資金制度を創設しておりまして、平成29年度から、国事業も活用しながら、これまでに合計86名に修学資金の貸し付けを行い、令和4年度までに卒業した63名のうち約8割に当たる50名が、産業動物分野に就業しているところです。
〇千葉伝委員 その制度を実際にやっていると、中には、途中でやめる、あるいは資金を借りると返さなければならないといったいろいろな部分があると思いますが、特に、どういった課題があるか、あるいはそれにどう対応しているかあたりを教えてください。
〇高橋振興・衛生課長 先ほど答弁しましたとおり、これまでに貸し付けして、卒業した方のうち8割に当たる学生が、県内の産業動物分野に就業していることで、一定の効果は得られているかと考えております。
 ただ、全国的に、毎年、獣医系大学を卒業して国家資格を取得する学生が約1、000人おりますけれども、こちらの方々の就職先は、産業動物臨床獣医師や公務員獣医師は合わせて約2割、小動物臨床獣医師では約5割となっておりまして、やはり犬や猫などの小動物分野への就業が多いという状況になっております。
 このような中、獣医学生の方に本県の畜産や、産業動物分野で働く獣医師について興味を持っていただくこと、そして、働きがいや魅力を伝えながら本県への応募につなげていくことが課題と考えておりまして、これまでの取り組みを継続していくことが重要と考えております。
〇千葉伝委員 私が獣医系の大学に入ったあたりは、男性が8割、女性が2割という状況でしたが、最近は逆転して、女性が6割、男性が4割という状況と聞いているところです。したがって、女性が卒業した後、どこに就職するか、それが、今言った小動物あるいは薬剤関係の仕事といったあたりだと思います。
 岩手県は畜産県ですので、獣医師の中で、特に大動物を治療する獣医師の確保という部分について、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 次に、家畜衛生対策についてお伺いします。
 全国的に豚熱あるいは高病原性鳥インフルエンザの発生等、本県でもかなり心配される状況が続いております。特に、イノシシはどんどん北上して、頭数が県内に何頭いるかわからないという話も聞いております。環境生活部では、イノシシの数を調査すると言っておりますけれども、特に私が心配しているのは、高病原性鳥インフルエンザの発生です。
 その発生状況がどうなっているか、発生防止に向けて、どのように取り組んでいるのかお伺いします。
〇高橋振興・衛生課長 高病原性鳥インフルエンザの発生状況についてでありますが、全国の発生状況を見ますと、過去3年間で、冬から春にかけて全国の養鶏農場で発生し、特に、昨シーズンは過去最多となる発生となり、今シーズンは、現時点で9道県、11例の発生が見られ、野鳥の感染も多数確認されている状況です。
 本県の養鶏農場での発生は今シーズンは見られておりませんが、県内の県北地域や沿岸地域で、野鳥での感染が確認されている状況となっております。
〇千葉伝委員 いずれ、防疫対策についてしっかりやっていかなければならないということで、最近の新聞等では、鳥インフルエンザが世界で猛威を振るっているということが載っております。そして、毎年、季節に関係なく発生しているということも世界の中ではあります。それに、北海道のほうから渡り鳥も含めて日本に来ていることから、しっかり対応していかなければならないと思います。
 その防疫対策で、令和5年の防疫演習等の実施状況と課題、あるいは来年度の計画はどうなっているかお伺いします。
〇高橋振興・衛生課長 防疫演習の今年度の実績と来年度の計画についてでありますが、まず、今年度の実績の前に、県の体制について御説明いたします。
 県では、高病原性鳥インフルエンザ等の発生時に、農場等で防疫作業に従事する県職員約650名をあらかじめ指名し、24時間体制で防疫作業を継続する人員配置体制をとっております。この県職員を対象に、毎年、研修会を開催し、作業内容や指揮系統を確認しているところです。
 また、防疫作業者の後方支援を行う広域振興局等において、農場での発生を想定した机上または実動の防疫演習を行っておりまして、令和5年度は全県で延べ16回実施しております。
 さらに、県北、県南、沿岸地域におきましては、岩手県建設業協会に協力をいただきながら、処分した鶏を埋却する演習を行っており、盛岡地域においても埋却シミュレーションを行っております。このような演習を通じて、発生時の作業内容や連携体制を確認したところです。
 来年度の計画については、これから関係部局、関係団体と計画を策定していくこととなっておりますけれども、おおむね今年度と同様の内容で行うことで計画しております。
 また、演習を通じての課題については、演習を通じては大きな課題は認められておりませんが、他県では飼養規模が大きい農場での発生も確認されていますことから、本県においても大規模農場での発生を想定した準備が必要と考えております。
〇千葉伝委員 防疫対策を進める上では、まずは出ないようにということと、出たら迅速に処理する、ここに限るわけであります。県では、しっかりそういった対策を進めていると理解したところであります。
 もう一つ、防疫対策を進めるに当たっては、畜産課だけで進めるということではないと思います。他部局との連携などはどうなっているでしょうか。
〇高橋振興・衛生課長 部局連携も含めた防疫対策についてでありますが、養鶏農場における高病原性鳥インフルエンザの発生は、養鶏産業に及ぼす影響が極めて大きいことから、発生農場における迅速な防疫対策が重要と考えております。
 このため、本県の組織体制としましては、養鶏農場で本病が発生した場合に、知事を本部長とする県対策本部を設置し、各部局が連携して、農林水産部だけではなく全庁的に対応する体制となっており、この連携体制の中で発生に備えた準備も進めているところです。
〇千葉伝委員 しっかり連携しながら進めていただきたいということで、来年度予算の中で連携に必要な予算はどうなっているでしょうか。
〇高橋振興・衛生課長 これまでの発生を想定して、ある程度、現場で防疫作業に使う資機材を備蓄してきたところです。先ほど大規模農場での発生について準備を進めることが課題と申し上げましたが、これまでの想定を超す大規模農場での発生に備え、防疫作業員の人員増加に対応できるよう、初動に必要な備蓄資機材の拡充に要する経費を令和6年度当初予算案に盛り込んでおります。
 今後とも、防疫対策の徹底に取り組んでまいりたいと考えております。
〇千葉伝委員 しっかり対応していただきたいと思います。
 最後に、農林水産部長は、聞くところによると3月いっぱいで勇退との話ですが、農業にこれまで尽力していただいたわけでありますけれども、特に、畜産県岩手を考えた場合の、今、部長が思っていることを御披瀝いただければと。よろしくお願いします。
〇藤代農林水産部長 本県の今後の畜産振興というお尋ねでございます。
 冒頭、千葉伝委員が御紹介のとおり、本県の畜産につきましては、農業産出額の約6割を占める農業分野でも非常に重要な部門だと捉えております。ただ、一方で、現在の畜産の状況を見ますと、飼料価格が、幾らか下がってはきていますけれども、依然として高どまりの状態にありまして、難しい経営状況が続いていると捉えております。
 私は、畜産技術者として県に入りまして38年となりますけれども、この間、平成3年には牛肉の輸入自由化、平成13年には牛海綿状脳症―BSEの発生、平成23年には東日本大震災津波あるいは原発事故の影響による牛の出荷制限、牧草地の除染対策といったものがあったところです。
 こうした中で県内を見ますと、例えば、酪農では、乳牛1頭当たりの生乳生産量が平均で約1万キログラムというような能力の向上が図られたほか、肉用牛の肥育を見ますと、A4等級以上の上物率が平均で8割以上ともなっております。また、豚、ブロイラーでも、高い生産効率を実現するという形で、県内の畜産経営は、経営規模の拡大、生産性の向上が着実に図られてきたと捉えているところでございます。
 現在の畜産を取り巻く情勢は、資材価格の高騰、子牛価格の低下あるいは家畜防疫対策の徹底といったところがございますけれども、これまでも生産者、関係機関、団体がしっかりタッグを組みまして課題を乗り越えてきたところでございますし、また、県議会の皆様からの多面的な視点からの深い御議論もいただきながら、本県の畜産が強化されるよう取り組んでいくものであり、後輩職員が、こういったことをしっかり受け継いで取り組んでいってくれるものと考えているところでございます。
〇関根敏伸委員 私からは、県産米の戦略の推進という観点から何点かお伺いさせていただきます。
 まず最初に、先ごろ、恒例の一般財団法人日本穀物検定協会によりますさまざまな米のランキングが発表されたところでございますけれども、銀河のしずくが6年連続特A、県南ひとめぼれは特A復帰ならず、概略的にはそのようなところかと思います。
 改めて、県産米評価の格付に対する県の受けとめをお伺いさせていただきます。
〇吉田水田農業課長 県産米の評価についてでございますけれども、令和5年は、全国的に非常に暑い日が長く続きまして、例年以上に栽培管理が難しい状況でした。そのような状況の中で、日本穀物検定協会が主催します食味ランキングにおきまして、県中銀河のしずくが、6年連続の特A評価となったところでございます。
 また、県南ひとめぼれ、県中ひとめぼれはA評価、県中あきたこまちはA′評価ではありましたが、農産物検査における本県産うるち米の一等米比率は91.5%と全国第1位となっているなど、高い品質を確保していると認識しております。
〇関根敏伸委員 本当に、暑い中での栽培管理等に御苦労されたと思いますし、一等米比率については承知しております。県産米の実力が高く全国に発信されたかと認識を持っているのですが、改めて、この協会による毎年のランキング、格付評価が、県産米の販売量や価格形成にどのような影響を与えているのか、関連性についての御認識をお伺いさせていただきます。
〇和泉流通企画・県産米課長 日本穀物検定協会による格付と県産米の販売量、価格形成との関連性についてでありますが、今年度、日本穀物検定協会に格付された県産米の各銘柄につきましては、全国の米卸売業者など実需者からの評価が高く、多くの引き合いをいただいております。
 販売量や価格については、品種や生産されたお米に対する消費者や実需者からのさまざまな評価などによって決まっていくものと認識しており、格付もその一つであると認識しております。
〇関根敏伸委員 格付が全ての評価ではないという認識だと受けとめます。
 そんな中で、県は県として、金色の風や銀河のしずく、ひとめぼれ、県が主催するものもあれば全国農業協同組合連合会がやっていらっしゃるものもあると思うのですが、それぞれコンクールやコンテストを行っておられます。
 改めて、この目的、意義、成果について、どのように捉えているのかお伺いいたします。
〇吉田水田農業課長 金色の風、銀河のしずく、ひとめぼれのコンクールについてでございますけれども、県では、農業団体等と一緒になりまして、高品質、良食味米の生産に向け、生産者の意欲喚起、栽培技術の向上を目的としまして、平成29年度から銀河のしずく、令和3年度から金色の風、それから、全農主催になりますが、令和4年度からひとめぼれのコンテストをそれぞれ実施しているところでございます。
 コンテストの実施によりまして、入賞した生産者の励みになるとともに、入賞した方の栽培管理技術をほかの生産者に共有することで、県産米全体の品質、食味のレベルアップにつながっておりまして、その結果、本県産うるち米の一等米比率が全国第1位になるなどの成果が出ているところでございます。
 消費者から高い評価と支持を得ていくためには、県オリジナル品種の金色の風、銀河のしずくや、主力品種でありますひとめぼれの品質を高め、安定して供給していくことが重要と考えております。引き続き、これらのコンテストを実施して、県産米の品質、食味の向上を進めていきたいと考えております。
〇関根敏伸委員 それぞれ大きな意義があると認識させていただいたところでございます。継続してこれらのコンテストを行って、高品質のお米を生産し、技術の向上に努めていただければと思うのですが、そのような中、米・食味鑑定士協会が実施しております国際コンクールがあると思うのですけれども、県では、この国際コンクール大会をどのように御認識されておられますでしょうか。
〇吉田水田農業課長 米・食味分析鑑定コンクール:国際大会についてでございますけれども、本大会は、米・食味鑑定士協会が主催で、国内外の米を対象に、食味について審査し、良質な米づくりに取り組む生産者、生産者団体を表彰しているもので、令和5年で25回目を迎えたと聞いております。
 令和5年12月に新潟県で開催された大会では、国際総合部門、大型農業法人部門、全国農業高校・お米甲子園など、七つの部門で約5、100点の出品があり、分析機器で品質・食味を測定します1次審査、2次審査、それから、審査員30名で食味官能試験を行う最終審査を行いまして入賞者を決定していると聞いております。
 また、この大会の開催に当たっては、実行委員会組織を立ち上げまして、県や開催市町村による補助金、企業等による協賛金などにより大会を運営しているものと認識しております。
〇関根敏伸委員 今御答弁いただいたとおりだと思いますが、ちなみに、水田農業課長あるいは県の御担当の方は、この米・食味分析鑑定コンクールの国際大会においでになったことはございますでしょうか。
〇吉田水田農業課長 県から参加したことはございません。
〇関根敏伸委員 この大会は、先ほど御答弁いただいたとおり、12月1日から2日、新潟県津南町で行われまして、私の地元の農業生産者が連続して出品されているものですから、私も同行させていただいて、初めて現場を見せていただいたところでございます。
 5、000点を超える出品があるということはそのとおりでございますし、国際コンクールという名前のとおり、中国と台湾、韓国のお米の生産者も出品されており、金賞の受賞とはならなかったようでありますけれども、高い評価を海外のお米も得ているなという認識を持ってまいりました。
 また、農業高校のコンクールもありましたけれども、さまざまな観点から若い方々がこれからの農業をどう考えるのかという発表の場がありまして、非常におもしろい大会だと思っております。食味等がかっちりした形で数値化される、これをAI技術を使って、高品質のお米が高単価で販売できるような取り組みができるのではないかみたいな発表もありまして、本当におもしろい観点だと思っています。
 この大会は、先ほどおっしゃったとおり、2、400万円ぐらいの大会経費を実行委員会でつくるのですが、そのうち、町が1、700万円、県が400万円助成する形になっているのですが、来場者が3、500人で、経済波及効果が2、900万円、このような試算を町からいただいているわけでございます。
 これらをお聞きになられて、改めて、県として、こういった大会の必要性の御認識をお伺いできればと思います。
〇吉田水田農業課長 このコンクール、国際大会でございますけれども、これにつきましては、出品点数が5、000点を超える国内最大級のコンクールということで、入賞者の励みになっているものと捉えております。
 あと、そのようなコンクールの関係ですけれども、今後、県と関係団体等で、今年度行いました金色の風、銀河のしずく、ひとめぼれのコンテストの成果等を踏まえまして、次年度の実施内容等について検討を行うこととしております。
 新たなコンクールにつきましては、これらのコンテストの検討の中で、関係団体等と意見交換をしていきたいと考えております。
〇関根敏伸委員 前向きな御答弁をいただきましてありがとうございます。県産米を前に進めるという意味でも、コンクールの位置づけ、重要性は、私は非常に大きいのではないかと思っております。先ほど申し上げた2日間の経済波及効果だけではなくて、町としては、大会開催による今後5年間のお米の販売量の拡大を7、300万円と試算しているのです。町のお米の中の5%をキログラム当たり1、000円以上で販売できるお米にしていく、あるいはこれをつくることによって、ふるさと納税等によって返礼品として取り扱われる量がふえる。こういった中で7、300万円といった試算がされているようであります。
 私は、先ほどの御答弁にもあったとおり、今後こういったものを誘致していくことも一つあるのではないかと思っております。ただ、5年先までもう誘致先が決まっているようであります。令和7年、8年、9年の3カ年は、福島県が、浜通り、中通り、会津と3地区に分けて行う。これは、恐らく県が戦略的に誘致しているのではないかと思って私は拝見しているのですが、改めて、この辺の御認識をお伺いいたします。
〇吉田水田農業課長 ただいま関根敏伸委員からお話のありました福島県での開催につきましては、こちらも承知しているところでございます。
 先ほども御答弁申し上げましたけれども、今回のコンクール大会につきましても、まだ細かいところまで情報が共有されていない部分もありますので、関係団体等と情報共有しながら、意見交換を進めていければと思っております。
〇関根敏伸委員 そんな中で、水田農業課長もお耳には入っていらっしゃるかと思いますが、小さな試みではありますが、同じような大会を県内の生産者あるいはNPO法人等、県の農業生産者を支えたいという熱い思いで、類似の大会をつくり上げていきたいという関係者がいらっしゃいます。去年11月にプレの形でやったようですが、思うような出品数にはならなかったようですけれども、ことし11月に、本格的にそういったものを立ち上げて、さまざまな農業機械メーカーでありますとか食味鑑定にかかわるメーカーの協力を得ながら、進めていきたいといった思いを持っているようであります。
 コンクールを通じて、まさに農業を数値化する、見える化する、それによって技術や経験の乏しい方々も農業に入っていく、新規就農のハードルが下がっていく。コンテストで高評価を得た人も、あるいは得られなかった方も、さまざまな方にメリットがあるようなコンクールをつくり上げていきたいという思いのようであります。
 そういった小さな試みに対しましての県の所感と、何度も同じようなことになろうかと思いますけれども、支援でありますとか、さまざまな形での指導を考える必要もあるのではないかと思っておりますが、方向性等がお決まりであれば、お聞かせいただきたいと思います。
〇吉田水田農業課長 ただいま関根敏伸委員からお話がありました、実際にコンクールを計画されている方のお話についても承知してはおりますけれども、県としましても、現在、金色の風、銀河のしずく、ひとめぼれの生産者意欲喚起、栽培技術向上等を目的にコンテストを開催しているところでございます。
 支援等というお話もございましたけれども、そちらにつきましても、関係団体等と意見交換を進めていければと考えております。
〇佐々木朋和委員 まず、高温被害、高温対策について伺いたいと思います。
 ただいまの議論の中で米の食味ランキングの話がございました。本県においては、県中のあきたこまちがA´に下がったけれども、一等米比率では全国トップということで、品質は高温の中でも守られているというお話でございました。
 一方で、日本経済新聞には、おいしい米は西高東低というショッキングな記事が載りました。この議会の場でも販売戦略を見習えと言っていた青森県の青天の霹靂も、特AからAに下がったほか、新潟のコシヒカリもAに下がったということで、米どころと言われたところがこの高温で苦戦している一方で、高温対策の品種にかえた西日本で、特Aに上がったところがふえているということでございました。
 そこで御質問させていただきたいのですけれども、今回の食味ランキングの結果等は高温被害によるものが大きいのか、その辺の原因についてお聞きしたいと思います。
〇吉田水田農業課長 本年度の食味ランキングについてでございますけれども、食味ランキングを主催いたします日本穀物検定協会では、令和5年産米の評価理由について明らかにしていないところでございますので、詳細は不明でありますが、令和5年は、御承知のとおり、出穂後の8月から9月までの高温の影響がありまして、白未熟粒でありますとか胴割れ粒の発生割合が例年よりもやや高かった状況にありまして、米のかたさ、粘りのバランスに影響した可能性もあると考えているところでございます。
〇佐々木朋和委員 後ほど詳しく聞きたいと思いますけれども、次に、リンゴですが、3月の平均気温が高くて、発芽が早まり大きな霜被害を受けました。本年度の被害状況と影響をどのように捉えているのか伺いたいと思います。
〇長谷川農業革新支援課長 リンゴの被害状況と影響についてでありますが、県内では、昨年3月の高温によりましてリンゴの開花期が例年より2週間程度早い、4月下旬に早まりまして、低温に弱い生育段階で霜や低温に遭遇したことにより、結実不良やサビ果と呼ばれる果実の障害等が発生する被害に見舞われたところです。
 被害面積につきましては約730ヘクタールでありまして、県内の栽培面積の約3割を占め、被害額は約12億円となっております。
 今回の被害を見ますと、地形等により被害程度が異なっており、くぼ地や川沿いなどの冷気がたまりやすい園地での被害が多い傾向がありました。また、満開期と降霜が重なった園地では、令和3年以上の被害が発生したところもあると認識しております。
 霜被害を受けた園地では、次年度の果実の収量、品質への影響も懸念されたところでございますけれども、昨年12月に、令和6年に収穫となるリンゴの花芽の調査をしておりまして、大きな被害を受けた園地でございましても、平年並みの花芽の数を確保しているということで、今後、凍霜害が今年度どうなるかはこれからですけれども、平年並みの収量と品質が期待できると考えております。
〇佐々木朋和委員 花芽は無事だということで、ひとまず安心いたしました。ただ、米もリンゴもですけれども、ことしのような気候が、これから常態化していくのかといったところも危惧するところであります。
 そういった中で、県では、地球温暖化適応品種開発プロジェクト事業費ということで本年度から取り組んでいただいております。令和5年度の取り組みと令和6年度の事業の予定について、お示しいただきたいと思います。
〇中村農産園芸課総括課長 地球温暖化適応品種開発プロジェクト事業費についてでありますが、県では、本県の立地条件や気象特性を踏まえ、収量や食味にすぐれ、病気や冷害に強いなど、生産性、市場性の高い農作物の品種開発や選定を進めております。
 近年、夏期の高温により、水稲では粒が白く濁る白未熟粒や、リンゴでは果実の着色不良などが発生し、農作物の品質に影響を及ぼしております。
 このため、今年度創設した本事業により、DNAマーカー等の先端技術を活用し、高温のもとでも水稲の白未熟粒やリンゴの着色不良の少ない品種の早期開発に着手したところでございます。
 来年度におきましても、この着手して現在育成している品種につきまして、さらに継続して進め、気候変動に対応した生産性、市場性の高い品種の開発を進めていきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 ただいま御説明いただきましたけれども、今、高温に強い品種の開発をしていただいているということで、着手ということでしたが、では、これが市場に出てくるにはどのぐらいの期間が必要なものなのか、今の見通しをお聞かせいただけますでしょうか。
〇吉田水田農業課長 新品種の関係で、水稲の場合についてお話しさせていただきますけれども、水稲の品種開発につきましては、交配に始まりまして、高温耐性、そのほか食味等、必要な特性を有するものの選抜をして、その後、岩手県農業研究センター内で特性を評価、それから農家の圃場で最終的な特性確認まで行うことで、一般的には10年程度の期間を要している状況でございます。
 今、品種開発の各段階で高温耐性を有することが認められているものもございますけれども、まだ、このほかに収量性でありますとか耐病性、品質、食味など多くの特性の評価が必要だということで、開発までには何年とは申し上げられませんが、もうしばらくの期間を要する見込みとなっております。
〇佐々木朋和委員 なかなか大変だという思いがしてしまいました。全く新しいというのもそうですけれども、今ある金色の風とか銀河のしずくのマイナーチェンジと申しますか、その中でも高温に強い株というのでしょうか、そういったところを発見して持ってくるということも聞いたことがあります。
 今やっているこの研究は全く新しいものというイメージなのでしょうか。もう一度お願いしたいと思います。
〇吉田水田農業課長 今お話しした中身につきましては、各段階がございまして、先ほどお話しした、交配に始まって、岩手県農業研究センター内で特性の評価という段階がありまして、それぞれの段階で高温耐性を有するものが認められている状況にはございますが、先ほどお話ししましたとおり、その後、まだいろいろ確認しなければならないことがございますので、もうしばらく期間を要する状況になっております。
〇佐々木朋和委員 わかりました。今度、本県においては、県北地域の気候に合わせた新品種の投入という話も出ておりましたけれども、こちらについての特性はどのようなものか。青森県でも特AからAに下がっている状況を見ると、県北地域といえど高温に強い品種が必要なのではないかと素人ながら思うのですけれども、その辺はどうでしょうか。
〇吉田水田農業課長 県北地域向けの新品種となります岩手141号の特性ですけれども、栽培面では、寒さに強いことに加えて、いもち病にも強い。それから、わせ品種で県北地域にも入っておりますいわてっこと比較しまして、倒れにくい、量がとれるというような特性がある品種となっております。
〇佐々木朋和委員 そういった特性があるということでしたけれども、県北地域においては、高温についての耐性等は余り必要ないものなのか、懸念は一定あるのか、教えていただきたいと思います。
〇中村農産園芸課総括課長 現在の岩手141号につきましては、県北地帯におきましては、沿岸地域、特に県北沿岸地域は非常に寒い地域でございますので、そういうところにおきましても、おいしいお米がとれて、収量が安定する、まずはこれを目的に導入したものでございます。
 いずれ、県北地域におきましても高温ということが課題になってくると思いますので、今後の品種開発におきましては、さらにそういうことも考えながら進めていきたいと思います。
 現時点では、まずは、県北地域の寒さの中でもおいしいお米ということを主眼に行ったものでございます。
〇佐々木朋和委員 わかりました。今、今後は高温についての耐性も取り入れながらやっていただけるということでしたので、スピードアップも難しいかもしれませんが、我々としても応援していきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
〇照井農政担当技監 高温耐性の品種開発につきまして、今、農産園芸課総括課長から答弁させていただきました。先ほど答弁しましたように、一般的には品種開発に10年かかるということでございますが、岩手県生物工学研究所は、非常に豊富な遺伝資源を持っておりまして、それらを活用しながら、DNAマーカー等も活用し、例えば、御提案のありました、ひとめぼれの高温耐性ができないのかといったような視点も踏まえながら、品種開発の検討を進めてまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 ありがとうございます。よかったです。そういった株もあると聞いておりましたので、生かしていただけるということでした。ぜひ、10年といわず、早目に、マイナーチェンジでも、農家が安心して育てられるようなものを出していただきたいと思います。
 では、冒頭に触れましたリンゴの霜被害について、具体的な令和6年度の対策をお示しいただきたいと思います。
〇長谷川農業革新支援課長 令和6年度の取り組み予定につきましてですが、既に、この2月に果樹の凍霜害対策会議を開催しまして、凍霜害防止対策の準備について呼びかけをしているところでございます。
 さらに、4月に開催を予定しております対策会議において、現在作成を進めております岩手県果樹凍霜害対策マニュアルを活用しまして、園地の環境整備等による事前対策や燃焼法等の発生回避技術、人工受粉の実施等による事後対策などについて周知することとしておりますので、引き続き、凍霜害防止対策の徹底を指導していきたいと思います。
〇佐々木朋和委員 早く動いていただいておりまして感謝申し上げたいと思います。ただ、農家等からお話を聞きますと、先ほど新品種の話もありましたが、果樹ですので、切りかえもなかなか難しいという話をいただいたり、大規模なところでは、燃焼法等も、人手的にも金銭的にもなかなかやり切れないのではないかと不安の声もあるところであります。
 そういった声にどう対応していくのか、さらにお聞きしたいと思います。
〇長谷川農業革新支援課長 凍霜害の発生防止に向けては、園内に冷気が滞らないよう遮蔽物や防風ネットを除去すること、あとは地温が上昇しやすいよう下草を低く刈り込むなど、園地の環境整備等による事前対策が重要なところです。
 また、凍霜害防止対策としましては、燃焼法は、設置する箇所数が多く、早朝から火の見守りが必要となるため労力負担が非常に大きいことや、実施回数がふえると費用が増加することが課題となっておりますが、比較的簡単に実施できますので、防止効果は高い方法と考えております。
 また、防霜ファンは、設置費用につきましては高額ですけれども、低温になったときに自動で動作することで、省力的な方法でございます。
 いずれ、それぞれの対策方法にはメリット、デメリットがありますけれども、凍霜害を防止するためには、こうした対策をまずはしっかり行うことが重要と考えております。
 なお、岩手県農業研究センターでは、令和6年度におきまして、省力的で凍霜害の軽減に有効とされます葉面散布剤の効果を検討、評価する試験や、低コストで導入可能なファンを活用した実証試験を行うこととしており、規模の大きいリンゴ農家でも取り組みやすい凍霜害防止対策技術の開発に取り組んでいきたいと思います。
〇佐々木朋和委員 ぜひ進めていただきたいと思いますし、実証実験もしていただけるということで、評価したいと思います。
 国でも防霜ファンなどの補助等もあるのですけれども、さらなる県としての支援も求めていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 時間的に最後になると思いますが、本県の農林水産物の海外セールスについて伺いたいと思います。
 きのう商工労働観光部でも聞きましたけれども、知事は、12月にマレーシア、シンガポールを訪問して、食品であります農水産物を含めトップセールスを行いました。
 コロナ禍も明けて、ニューヨークタイムズの記事の効果も相まって、本県への外国人旅行客は急増しております。一方、岩手県畜産議員クラブの研修で訪れたいわちくにおいて、外国人観光客がふえている割には、県産の牛、豚の引き合いはふえていないというお話をいただきました。また、輸出はあるのですけれども、県産としてのブランドでの輸出は少ないということで、県産品の認知度は不十分なのではないかと懸念いたします。
 インバウンドの商品造成をするエージェントからも、食事に関しては一般的な日本食のオーダーが多く、県独自の料理や県産品についてのオーダーは少ないとお聞きします。
 畜産王国岩手には、牛、豚、鶏がそろい、ハラールを初めさまざまな宗教に対応可能です。また、風評被害に瀕している海産物についても、現在訪れている観光客は気にしていない様子だと思います。中国への輸出再開は見えない中ですが、新たな販売先として需要拡大を進めるべきだと考えます。
 輸出品としてのPRはもとより、インバウンド観光客への提供やお土産としてのPRも進めるべきだと思いますけれども、本県の農林水産物の海外セールス、トップセールス等を通じて、その所感と令和6年度の取り組みについて伺いたいと思います。
〇似内流通課総括課長 県産農林水産物の海外セールスについてでありますが、佐々木朋和委員から御紹介いただきました今年度実施したマレーシア、シンガポールでのトップセールスでは、県産米の輸出拡大に取り組む奥州市や金ケ崎町、JAグループや純情米いわてのほか、量販店等との取引拡大に向け、岩手県商工会議所連合会や岩手県酒造組合等とともに、農林水産物を初めとする県産品のPRを実施したところであります。現地の流通関係者等からは、農林水産物を初めとする県産品の品質やおいしさなどが高く評価され、取り扱いたいとの声を多数いただいたところであります。
 また、県産農林水産物の品質の高さやおいしさなどの魅力を実感していただき、さらに、帰国後に継続した購入やSNSによる発信などのPRをしていただけるよう、台湾など海外から来県した観光客や旅行エージェントを対象に、県産米やリンゴ等の提供を行ったところであります。
 令和6年度は、県産農林水産物の輸出が拡大しているアジアや北米地域を対象に、引き続き、トップセールスを初め、現地量販店等と連携したフェアの開催やバイヤーの産地招聘などとともに、東北経済連合会と連携した新たな販路の開拓などを予定しており、今後とも、県産農林水産物の輸出がさらに拡大するよう積極的に取り組んでまいります。
〇佐々木朋和委員 輸出もですけれども、こちらに来た方に食べていただく、私は、エージェントに呼びかけるのがみそだと思います。食べたいと言っていただけると県内でも活用がふえていくと思いますし、あと、観光庁が来年度、食を目的とした観光の振興策を出しております。ぜひ、商工労働観光部と連携して、こういったものも活用しながら取り組んでいただきたいと思います。
〇佐々木努委員 県有種雄牛造成事業について1点お聞きいたします。
 先日の私の総括質疑の際に、県有種雄牛造成を続ける理由として、県有種雄牛のあり方について生産者や農業協同組合等と意見交換を行ったところ、継続すべきとの意見が多数あったということが理由に挙げられていました。
 私のところに来るのは、やめたほうがいいのではないかという話ばかりなのですが、一体どういう方々と意見交換をされたのか、具体的に教えてください。
〇村上畜産課総括課長 意見交換の参加者ということだと思いますけれども、地域の和牛改良組合の代表者、あとは若手の生産者、これは肥育農家も含めての生産者など、これまで160人程度の方々と意見交換を行い、その中で、産肉能力にすぐれた市場性の高い種雄牛を造成してほしいという意見があったところでございます。
〇佐々木努委員 わかりました。その多くの方が続けるべきだとおっしゃったという理解でいいですね。つまり、もう20年以上評価の高い牛が出ていないけれども、いつかは出るに違いないから続けるしかないのだ、続けることに意義があるのだという認識で私は捉えてよろしいわけですね。―はい、わかりました。
 それでは、現状、今9頭の基幹種雄牛を係養していますけれども、県として、この9頭の能力をどのように評価しているか教えてください。
〇村上畜産課総括課長 現在の基幹種雄牛の評価でございますけれども、県ではこれまで、全国的に高い評価を得た菊福秀を初めとしまして73頭の種雄牛の造成をしており、昨年は、歴代の県有種雄牛の中で、脂肪交雑の遺伝能力が最も高い美津貴を選抜したところでございます。
 この美津貴の産肉能力は、牛肉中の霜降りぐあいですけれども、脂肪交雑で12段階中9.3と菊福秀の7.7に比べて1.6ポイント高くなっておりますが、市場評価の高い全国トップレベルの種雄牛は10を超えておりますので、さらなる産肉能力にすぐれた県有種雄牛を早期に造成していくことが重要と考えております。
〇佐々木努委員 過去の県有種雄牛に比べて非常に成績がいいのではないかと見ていらっしゃるということであります。美津貴のほかにも今8頭の種雄牛がいますけれども、どの牛も、種雄牛になる前は非常に評価が高かったと私は認識しているわけです。
 これだけ県が自信を持って送り出すこの種雄牛が、県内の繁殖農家になかなか利用されないということ。これはなぜなのか、その辺のところを畜産課ではどのように考えていらっしゃいますか。
〇村上畜産課総括課長 県有種雄牛については、県と農協などの関係団体で組織します協議会の中で、県有種雄牛の選抜や造成をやっております。この中では、各地域の育種組合なども含めて、生産者の意見を十分に踏まえながら種雄牛の造成をしてきたところもあります。その中でも、県全体的ではなく、各地域地域での要望もいろいろありますので、その中で、こういう牛を造成してほしいというところも踏まえた中で県有種雄牛の造成をしております。
 市場性の高い県有種雄牛というものもありますけれども、各地域の要望に応えた種雄牛の造成もやっているところです。
〇佐々木努委員 答えになっていないのですが、なぜ利用したがらないのかということを、どのように考えているのかということをお聞きしたかったのです。
〇村上畜産課総括課長 意見交換の中でも、肥育農家に関しては、県有種雄牛の能力については、各県の種雄牛に比べて引けをとらないという意見もありました。
 繁殖農家に関しては、今の子牛市場が低下している中にあって、これについては飼料高騰の影響などがあって、どうしても高く売れるような事業団の種雄牛などに移っていってしまうということも考えられるのではないかと思っております。
 ですから、今の繁殖農家の経営的なものを見れば、どうしても人気のある種雄牛を利用していくということは、生産者からもありますけれども、その中でも、これからの肉用主産地として、岩手県としての県有種雄牛が必要だという意見があったところです。
〇佐々木努委員 私も、今係養している基幹種雄牛が悪い牛だとは全然思わないのだけれども、やはり利用してもらえない。そこをどうしていくかという取り組みが、これまで弱かったのではないかと思っています。
 今の基幹種雄牛の評価はお聞きしましたが、それでは、今検定中の牛はどうなのかということについてもお聞きしたいと思います。
 たねやま種雄牛だよりなど、さまざま見せていただきますと、菊美翔平という牛が非常にいい牛なのではないかと書かれていますし、繁殖農家の方の間でも、もしかしたらいいのではないかという話も聞かれています。名前もメジャー級なので、これが当たれば、畜産界の大谷翔平になるぐらいの素材だったらいいと私は思うわけでありますが、今までのやり方―つまり凍結精液の販売のやり方を続けていったら、せっかくいいものが出ても、結局、ここ二十数年と同じことの繰り返しになってしまうのではないかと思うわけであります。
 いいか悪いかまだわかりませんけれども、とりあえず期待されているこの状況で―その前に、畜産課として、菊美翔平を含めた検定中の牛をどのように評価しているのかということについてお聞きいたします。
〇村上畜産課総括課長 佐々木努委員御指摘のとおり、今年度、種雄牛候補を父として生まれた子の肥育試験であります現場後代検定におきまして、先ほど委員がおっしゃったとおり、菊美翔平と福太郎3の2頭の成績についてですけれども、枝肉重量、ロース芯面積、脂肪交雑で、これまでの県有種雄牛を大幅に上回る成績となっております。
 特に、牛肉への霜降りの状態を示す脂肪交雑においては、菊美翔平が12段階中10.5、福太郎3が10.2と、2頭とも10を超える成績となっており、全国トップレベル級の脂肪交雑になっているところです。
 先般、この2頭につきましては、県及び農協等関係団体で組織します、いわて和牛改良増殖対策事業推進協議会におきまして県有種雄牛として選抜されたところでございまして、肉質、増体ともすぐれる子牛の生産を期待しているところでございます。
〇佐々木努委員 私も、県有種雄牛造成事業はやめたほうがいいのではないかみたいな話をずっとしてきて、そういう中にあって、このような救世主的なものが出てきたというのは、非常にうれしいことではあるわけであります。ただ、これをつぶすもつぶさないも、私は県あるいは関係団体、生産者にかかっていると思うわけであります。
 もしかしたら福之姫級のスーパー種雄牛になるかもしれない。名前はもう間違いないので。これをどのようにスーパー種雄牛として育成していこうとお考えか、お伺いいたします。
〇村上畜産課総括課長 冒頭でも申し上げましたとおり、意見交換の中で改良組合の生産者や若い生産者からは、これからそのような種雄牛がしっかり売り出せるPRも強化してはいかがかというような意見もありました。それについては協議会の中で、これからどういった種雄牛を造成していくかということも含めて、あとは、新しい指標の活用やPRの強化の仕方についても、今後、協議会において具体的な対応をしっかり検討していきたいと考えております。
〇佐々木努委員 わかりました。そういう協議は続けていっていただきたいと思いますが、何度も言いますけれども、結局、使ってもらえなければ何にもならないということでありますし、使ってもらってこそ、優秀な成績を全国に知ってもらう機会になって、そして評価が上がると思います。
 今の県有種雄牛は、残念ながら、県全体の平均価格よりも10万円以上低い状況がずっと続いているわけでありまして、これをどうやって埋めていくかということを考えていかない限り、すばらしい種雄牛であっても、これから使ってもらえないと思います。これは種山だけの問題ではなくて、県当局として、この十数万円をどう埋めていくか。私は、極端な話、価格補填をしてまでも1、000等規模、2、000頭規模でこの優秀であろう若い種雄牛の種をつけてもらって、実績をしっかりアピールする取り組みが必要なのではないかと思います。それこそが、私は種雄牛造成の戦略だと思うわけです。
 これは、1億円かかるか2億円かかるか3億円かかるかわかりませんが、これから何十年とそういう岩手県の種雄牛あるいは子牛の名声を高めていくためには、決して高い見通しではないと思うわけであります。そういうことを検討していかない限り、繁殖農家はつけたがらないと思うわけですが、何か所感があったらお伺いいたします。
〇村上畜産課総括課長 県有種雄牛につきましては、昭和62年に自県産の種雄牛造成の機運が高まりまして、県有種雄牛の造成を開始したところでございます。
 平成13年には、農協等が主体となって、独自の種雄牛を造成してきた地域も含めて、種雄牛の広域利用と改良の加速化を目的に県有種雄牛の一元管理を開始しまして、県及び農協等関係機関で組織する協議会において、種雄牛造成を行ってきたところでございます。
 こうした種雄牛の造成に係る過程についてですけれども、交配から肉の評価を確認するまで大体70カ月を要するものでございます。この種雄牛造成の過程におきまして、やはり生産者の御協力を得られなければいけないというところもあり、その時点で、この途中で、例えば生産者で選抜された種雄牛が、選抜から外れた、あとは市場販売することになった子牛もいますので、それらに対しては、しっかりいわて和牛改良増殖対策事業において補助を行っているところでございます。
 また、これらの単価や頭数につきましても、今回の意見交換の中でさまざま意見をいただいておりますので、あくまでも県有種雄牛の造成の過程中で、生産者と一緒に造成しているものですから、そういう過程の中での逸失を補助するという形で進めてまいりたいと考えています。
〇佐々木努委員 私は、ラストチャンスだと思ってやってほしいと思います。
 私の手元にたねやま種雄牛だより1月号、2月号があります。なぜかまだ県のホームページからは見られない状況になっていますが、ここに、1月号は次長のつぶやきで、2月号には室長のぼやきが載せられています。いずれも種雄牛不要論に対する反論だと思います。
 私は、これぐらい書く気概があっていいと思います。どんどんこういうことを訴えていっていいと思うわけでありますが、この反論だけに終わらないで、実績をつくっていくということをしっかり考えていただかなければならないと思うし、県当局には、先ほどから何回も繰り返しますが、予算的なこと、そういうものについては、これまでよりも一歩進んで、これでもう勝負するのだという思いを持って、この種雄牛造成、凍結精液の販売、そういうものに力を注いでいただきたいと思います。
 きょうは、やめたほうがいいという話はしませんので、また、これからも取り上げることはあると思いますけれども、ぜひ、県民や繁殖農家の納得がいく結果を出していただくようにお願いします。
 藤代農林水産部長は、畜産関係、特に和牛改良についてはいろいろな思いがあると思いますが、次の方々に何かそのことを伝えていっていただきたいと思いますが、よろしくお願いします。
〇藤代農林水産部長 種雄牛改良についてでございます。
 種山の情報誌につきましては、さまざまありますけれども、あくまで県の情報という形で提供しているものですので、個人の意見を書くものではないという捉え方をしておりますし、これから、そういった対応をすることとしております。
 また、県有種雄牛については、かねてより、まずはPRをしましょうということで、種山の販売部みたいな形で取り組んだこともございます。そういった中でも、いい牛をつくらない限り、皆さんには使ってもらえないのだから、まずは、例えば脂肪交雑で10を超えるような、全国トップになるようなものをゲノムの評価を使いながらつくれといったことで取り組んできました。ようやくそういった芽が出てきたかなというところでございます。
 繁殖農家の方を見ますと、やはり自分のところで残すもの、売って経営的にプラスになるもの、いろいろな戦略があった中で経営を展開されています。また、肥育農家の方は、当然、A4等級以上の上物率がコンスタントに出るような牛を求めますので、市場で高く公売される場合には、やはりボタンを押す人の数をふやしていかないと価格は上がりませんので、そういったところにしっかりアピールする。
 先ほど佐々木努委員から御指摘があったのは、凍結精液に対する価格補填ということだろうと思います。そういったことについても、まずは産地が、これはおらほの牛だと愛着を持って使ってもらうような雰囲気もつくっていかなければいけません。そういったことについて、育種組合あるいは和牛改良組合という生産者団体がありますので、そういったところとも議論しながら、産地として全国の優位に立てる、あるいは差別化できるような取り組みができるように、引き続き取り組んでいくことをお願いしたいと思います。
   〔「委員長、関連」と呼ぶ者あり〕
〇千葉秀幸委員 私も、県有種雄牛について通告させていただいておりましたが、先ほど佐々木努委員からも取り上げられたということで、ここで関連質疑をさせていただきたいと思っております。
 先ほど来さまざまな県有種雄牛について議論があるのは承知のことでございますが、私も畜産農家の方々と連携させていただいておりますが、いずれ、この厳しい県有種雄牛の状況の中ではあるけれども、県の力強い旗振りのもと、強力に進めていただきたいという声がございます。そういったことから今回取り上げさせていただきました。
 まずは、これまで、かつて優秀な県有種雄牛を誕生させて、共進会等品評会の成果もありながら価値が高まってきた経緯がございます。その結果、生産者も意欲を持って一大ブランドを築いてこられたものと承知しておりますが、先ほど来議論があるとおり、現在は非常に厳しい状況と私も認識しております。
 まずは、改めて近年の県有種雄牛の県の評価、そして実績について伺いたいと思います。
〇村上畜産課総括課長 これまでの県有種雄牛の評価ということで、昨年造成しました美津貴については、脂肪交雑で12段階中9.3というところですけれども、全国トップレベルの種雄牛を見ますと、家畜改良事業団でこの当時造成したものについては、脂肪交雑10.2だったり、あとは、長崎県で造成した正太については、脂肪交雑11.3というところもあります。
 美津貴を造成した段階では、菊福秀よりも1.6ポイントアップはしているところでございますけれども、まだ全国トップレベルの10以上の部分については及んでいなかったところでございます。
〇千葉秀幸委員 先ほど来も御紹介はありますが、全国的には、令和6年1月の平均取引価格においては54万8、000円、県有種雄牛においては39万4、000円と非常に苦しい状況となっております。加えて、昨年も牛マルキンなども発動したり、あるいは物価高騰においても非常に苦しい現場でございます。
 先ほど凍結精液の話もございましたが、平成23年度44%をピークに年々減少しているわけでございますが、現在のシェアは何%にとどまっているのかについて伺いたいと思いますし、改めて、この県有種雄牛をもっと活用していただきたいと思っております。
 岩手県は、畜産県岩手とうたっているわけでございますし、再び強い意欲を持って生産したいという声が生産者から出ているのも事実でございます。
 新年度も引き続き、ゲノム解析技術を活用しながら、優良な種雄牛選定に向けて取り組むとされておりますが、県の目指す方向についても伺います。
〇村上畜産課総括課長 県有種雄牛のシェアにつきましては、令和4年には7%ぐらいという形になっております。先ほども申し上げました美津貴については、今、令和5年度の種雄牛の精液の供給本数では、岩手県内の種雄牛の中で断然トップにはなっております。ですから、脂肪交雑でこれまでの歴代トップだということで、種雄牛の精液の本数はしっかり期待されているところと思っております。
 また、先ほど申し上げましたとおり、菊美翔平につきましては、全国トップレベルの脂肪交雑あるいは枝肉重量、ロース芯もトップレベルの成績になっておりますので、これについては、これから期待するところでございます。
 さらに、先ほど申し上げました菊美翔平、福太郎3については、食味を評価する指標の値が県平均を上回っておりまして、いわて牛のおいしさの向上が期待されるところでございます。
 ですから、この部分については、先ほど申し上げましたとおり、PRの強化についても、協議会の中で検討しながらしっかり取り組んでまいりたいと思います。
〇千葉秀幸委員 わかりました。これまでは厳しい現状についてのお話でございましたが、これからどう前向きに進めていくかという話に移らせていただきたいと思います。
 改めて、4%のシェアをどう上げていくかが非常に重要なのだろうと思っております。先ほど来御紹介があった福太郎3は、生産者が奥州市江刺地域、そして、菊美翔平においては、私の地元、奥州市胆沢地域の生産者の方々でございます。この2頭が最高の評価を得たということで私も理解しているところでございます。改めて、これを好機と捉えて、県有種雄牛をより強力にPRしていきたいというお話が今ございましたので、ぜひともよろしくお願いしたいと思っております。
 既にこの2頭の凍結精液が県内で販売されているということでございますが、販売状況についてお示しできますでしょうか。そして、新年度からは県外にも販売を開始する予定と伺っておりますが、どうPRしていくかが重要と考えておりますが、戦略があれば伺いたいと思います。
〇村上畜産課総括課長 先般造成されました新規種雄牛2頭につきまして、精液の供給につきましては、販売の受け付けはもう開始している状況でございます。しかしながら、精液の配送の時期が決まっておりまして、生産者に届くのは来月以降になります。ただし、県内においては、種雄牛の選抜前に、生産者からの供給要望が多いことから試験的に供給しておりまして、既に地元人工授精師が保管している場合は、使用できる状況になっております。
 精液の販売窓口は岩手県畜産協会が担っておりまして、県外については、畜産協会が、全国の家畜改良事業団を通じまして販売もしていきます。
 こういった精液の販売とか供給についても、しっかりアピールできるような形で進めてまいりたいと考えております。
〇千葉秀幸委員 いずれ、これが挽回のチャンスなのだと思っておりますので、引き続きよろしくお願いしたいと思っております。
 いずれ、地元の生産者の声も含めて御紹介させていただきますが、正直、今までの所得の苦しさを考えると、県有種雄牛以外の利用を思ってしまうこともないわけではないという話はされているのですが、やはり地元への思い、あるいは取引先とのこれまでのつながり等を考えると、やはり岩手県のものを使わないわけにはいかないということで、生産者の皆様においては、岩手県への強い思いも示していただいているのも事実でございます。
 改めて、県有種雄牛の価値を上げないといけないと思っておりますし、たびたび議論になっておりますが、やめてしまったら、もう復活は難しいのだということを生産者の皆さんも非常に心配されているわけでございます。そういった方々を大事にしながらも、期待に応えていくことも県の責務であると私は思っておりますが、改めて、今後の県有種雄牛に対する県の思いと意気込みを示していただきたいと思います。
〇村上畜産課総括課長 これまで生産者との意見交換の中でも同様の意見がありまして、すぐれた県有種雄牛の必要性については、意見が多数あったところでございます。
 そのほかにも、食味の新しい指標もしっかり活用した県有種雄牛も造成してほしいという意見もありました。これにつきましては、ゲノム解析技術を活用した県有種雄牛の造成も進めておりまして、今回は菊美翔平など、いい種雄牛が出ますけれども、来年度は、ゲノム解析により選抜した、これまで以上の産肉能力にすぐれた種雄牛が造成されるのではないかと期待しております。
 今後とも、本県が肉用牛産地として高い評価が得られるように、関係団体、生産者とも一体となって取り組んでまいりたいと考えております。
   〔「委員長、関連」と呼ぶ者あり〕
〇菅野ひろのり委員 当該委員でありますから簡潔に行います。
 まず、きょうの議論を聞いておりますと、不要論ではなく継続しろというような議論であったと私は認識しています。今、価格が低迷する、あるいは物価高騰の中で、先ほどもありましたけれども、農家が大変厳しい中で高い牛が必要だという気持ち、考えはわかります。それは経営安定対策等で対策すべきであって、改良をやるやらないといった議論ではないと思っています。
 なぜ改良を続けなければいけないかというと、これは長い年月の歴史の産物であって、今ある牛というのは短期的なものではありません。例えば、本県で有名な前沢牛の基礎は、昭和36年に島根県から106頭導入されて、国分知事が、農民知事と言われる中で基礎を築いてきた。さらには、この前沢牛を日本一にした農協職員、これは書物にありますけれども、生産基盤を確立するには20年かかると。その20年先、あるいは20年前のものを今やっているのだというような話があります。
〇城内愛彦委員長 質疑をお願いします。
〇菅野ひろのり委員(続) ですから、継続というのは非常に重要であります。私は、これはしっかり継続してやらなければいけないと考えておりまして、農林水産部長の考えを伺いたいと思います。
〇藤代農林水産部長 県有種雄牛の取り組みでございますけれども、かねてより、本県でこれまで一番有名になったということで菊福秀という名前を出させていただいております。菊福秀につきましては平成16年に選抜した牛ですが、凍結精液の一番売れた時期が平成22年ということで、年月的には8年かかっています。
 今はそこまで年数をかける時期ではないと思っていますので、さまざまな情報、メディア等もありますので、しっかりと今回出てきた牛について情報発信しながら、使っていただけるように取り組みたいと思います。
 また、かねてより申し上げていますとおり、産地として、しっかり他産地と差別化する特色を出すには、オリジナルの遺伝資源を持っていくことが大事だと考えています。そういった観点から、県有種雄牛の造成については、引き続き重点事項として取り組んでいきたいと考えているところでございます。
〇菅野ひろのり委員 そういった中で大事なのは、先ほどもありましたように、今、いい牛が出ているということでありますし、そういった評価なのです。問題の整理として大事なのは、先ほどもありましたけれども、どう供給していくか、ここに取り組んでいく。今まではPR事業あるいは専門の方を配置したりというのもありましたけれども、この供給本数を伸ばしていく工夫が、岩手県が議論して、さらには力を入れていかなければいけないところであると考えております。
 県のお考えを伺いたいと思います。
〇村上畜産課総括課長 最終的な県有種雄牛の評価については、肉になってからいろいろと評価されるところもあります。先ほど部長答弁にありましたとおり、造成してから売れるまで時間がかかるという面があると思います。その部分については、岩手県の中では肥育農家が少ないというところもありまして、県外や大規模な肥育農家も含めて、いろいろと協力体制をとりながら、県だけではできないような形になっておりますので、農協や関係団体と協議会の中でも今いろいろ議論している状況でありますので、そうした形で取り組んでいきたいと考えております。
 また、繁殖農家に対しても、いい種雄牛を造成してほしいという意見もありますので、そういうところをしっかりPRしながらやっていく必要があるかと考えております。
〇菅野ひろのり委員 やはり種雄牛の話は重要ですし、加えて、生産基盤で言うと、雌牛をその系統の中でいかに残しながら体制を維持していくかも重要だと思っています。そういった付加価値、一貫した体系がないと将来性はないのだと私は思っております。
 ぜひとも、これからも頑張っていただいて、県有種雄牛造成事業の継続をお願いしたいと思います。
〇岩崎友一委員 初めに、先月2月25日から28日にかけて、沿岸部を中心に大変な大雪、暴風でありました。結構被害が出ていると伺っておりますけれども、農林水産分野における被害状況について、調査率や、金額も含めてお伺いいたします。
〇高橋農林水産企画室企画課長 先日の大雪、強風等の被害の状況、調査率ということでございます。
 3月11日現在の数字で申し上げさせていただきますと、宮古市や久慈市など13市町村におきまして、農業施設や水産関係、漁港施設等で被害が確認されておりまして、被害の調査率は、農業施設で47%、水産関係では57%、漁港施設等で90%となっております。
 その主な被害の状況につきましては、農業施設では、農業用パイプハウスの倒壊が94棟、水産関係では、ワカメ等の養殖施設の破損が710台、水産物の落下等が4、242トン、漁港施設では、防波堤の倒壊や船揚げ場の損壊等が61件となっております。
 被害額につきましては現在精査中でございますが、過去の大雪や波浪による被害と比べますと、農業施設では、令和2年12月に県内陸部を中心に約48億円の被害額となった際の被害件数よりは大幅に下回っておりますが、水産関係では、令和元年10月の台風第19号によりまして、養殖施設などでは約13億円の被害額を記録したわけですが、そのときの被害件数を上回る報告がされております。主要魚種の不漁などの状況下にありまして、沿岸地域の水産業では、大きな被害を受けていると認識しております。
〇岩崎友一委員 農業施設関係、あと水産の関係で、漁港はかなり調査率が進んでいますけれども、ほかはまだ50%前後ということであります。細かい話はまだ調査中だと思いますけれども、いずれ、少しでも生産に影響がないように、災害復旧、あと災害査定も進めていただきながらお願いしたいと思います。
 本題に入りますけれども、初めに、ジビエの関係を取り上げたいと思います。
 農林水産部、環境生活部に、スタート段階には本当にお力添えを賜って、大槌ジビエもスタートして、この間、順調に成長しているというか事業を拡大している状況であります。
 当初から、私もそうですし、今、大槌ジビエをやっているMOMIJI株式会社のメンバーもそうですが、大槌町だけの事業ではなくて、やはり県全体、県内に横展開をしていって、鳥獣被害対策に加えて、ジビエ事業を展開することによって、農林水産業を若い方々にも加わっていただきながら進めていきたいという思いの中で、今も事業をしております。
 ことし5月には遠野市でも新たにスタートするということで、私も、やっと横展開がスタートしたと思っておりますけれども、このジビエの横展開に関して、まず、県の基本的な考え方、そして、まとめてお聞きしますが、これまでの取り組みと、課題がございましたらお示しいただきたいと思います。
〇伊藤担い手対策課長 ジビエに係る県の基本的な考え方等でございますけれども、まず、捕獲した野生鳥獣を食肉として利用することは、野生鳥獣による被害防止対策のほか、地域資源の有効活用につながるものと考えております。
 県ではこれまで、大槌町内の食肉処理施設を対象としました出荷・検査方針の策定や鹿肉の放射性物質検査、食肉処理施設の整備を支援してきたほか、今年度は、沿岸地域の市町村を対象にしまして、ジビエ活用の研修会や事業化に向けた相談会等を行ってきたところでございます。
 一方、課題でございますが、本県の鹿肉等につきましては、放射性物質の影響により、国から県全域を対象にしました出荷制限指示が出ておりまして、鹿肉等の利用に当たりましては、県が策定する放射性物質検査の実施等を定めた出荷・検査方針に基づき、適切な管理や検査を行うなど、放射性物質の基準値を下回る鹿肉等のみが流通する体制の整備が必要となっております。
 県としましては、こうした状況を踏まえまして、まずは、野生鳥獣の食肉利用に関心を示す市町村に対しまして、出荷制限の一部解除に向けた適切な管理、検査体制の整備や食肉処理施設の整備、それから、ジビエを活用した特産品開発や販路開拓に活用可能な事業の導入を支援することとしておりまして、引き続き、ジビエを活用する取り組みを推進してまいります。
〇岩崎友一委員 ジビエの事業を成功させるといっても、全国的には失敗事例もかなり多くて、なかなか厳しい部分もあると思いますが、ぜひ、大槌町の事例を参考に県内各地でやっていただきたいと思います。
 今の答弁でもありましたとおり、やはりこれを進めるに当たっては、やりたいという事業者と市町村がセットにならなければ推進できない事業だと思っています。
 現段階で興味を示している市町村はどのくらいあるのか、具体的に出せるのであれば、名前もよろしくお願いします。
〇伊藤担い手対策課長 ジビエ利用に興味、関心を示している市町村でございますが、当方で把握しているところでございますけれども、先ほど申し上げました相談会や研修会の状況を踏まえますと、宮古市や岩泉町におきましても、ジビエ事業化に向けて関心を示しているような動きがあると承知しております。
〇岩崎友一委員 ぜひ、この横展開を進めながら、岩手ジビエとして全国的にも大きく広がっていくことを期待しておりますので、県としても最大限のバックアップをお願いしたいと思います。
 ジビエの関係で、最後に1個だけですけれども、これから遠野市でスタートするに当たっては、国の出荷制限解除をしなければならないと思います。これは5月のスタートに向けて、この手続上問題ないのか、スムーズに行くのかだけお伺いします。
〇伊藤担い手対策課長 県では、遠野市からの鹿肉利用の相談を受けまして、出荷制限の一部解除に向け、市内の食肉処理施設を対象としまして、出荷・検査方針について、今、国と事前の協議を進めているところでございます。
 その状況でございますが、本年5月の稼働に向けましては、解除される見込みとなっております。
〇岩崎友一委員 わかりました。では、よろしくお願いします。
 最後に、地理的表示保護制度―GIの関係で取り上げたいと思います。
 先月か先々月か、西和賀町の西わらびもGI登録されたところで、本当にめでたいと思います。県内では、これまで、野田村のホタテであったり、北上市の二子さといも、あと、私の地元では甲子柿なども登録されていて、あとは岩手木炭、浄法寺漆、こういったものが登録されているわけであります。
 このGI登録されることによって、ブランド化であったり模倣品の排除といった部分、あと、海外展開に寄与するというような形で農林水産省ではうたっているわけであります。
 やはりGI登録された後に、登録産品がしっかり売れて、生産者がもうかる、報われる体制をつくっていく必要があると思うのですが、岩手県ではこれまで8個登録されていて、これは北海道、熊本県と並んで最多かと思いますが、GI登録後の販売戦略について、県の見解をお伺いします。
〇似内流通課総括課長 GI登録を契機とした販売強化の戦略ということで御答弁させていただきます。
 特別な生産方法や歴史のある農林水産物などについて、産地名を冠した地域ブランドとして保護するGI制度でございますが、岩崎友一委員から御紹介あったとおり、農林水産省所管は8品目、あと、国税庁所管で岩手清酒ということで、現在9品目登録されているところであります。
 県では、GI産品のPRに取り組んでおります日本地理的表示協議会等の協力をいただきながら、例えば、大手百貨店と連携したGI産品フェアや飲食店と連携したGIレストランフェアの開催等により、県内でGI登録されております甲子柿や二子さといもなどの県外への販路拡大に取り組んできたところであります。
 今後とも、関係機関、団体と連携しながら、県内外でのフェアやレシピコンテストなど、さまざまな機会を活用しながら、GI登録を契機とした県産農林水産物のブランド力向上や有利販売につながるよう支援していきたいと思っております。
〇岩崎友一委員 今、大手百貨店等の取り組みの例がありましたけれども、この成果はいかがなものでしょうか。やはり、登録されたことによって、一つ、まずブランドというか安心感を消費者に与えるものであると思うのですけれども、販売単価に変化があるとか、より販売量が多くなるとか、生産者にとってプラスになるような成果が上がってきたのかどうか、いかがでしょうか。
〇似内流通課総括課長 GI登録をした結果、ブランド化、販売単価の向上という御質問でございます。
 大変申しわけございませんが、数値としては捉えていないところでありますけれども、やはりGI登録することによって、地域と結びついた産品の品質、製法、評判という部分でのPR効果は大きくあるものと思っております。
 また、消費者にとっても、一定の品質が確立されたことによる信頼性の向上ということでありますので、すぐに価格が上がるかというところは、大変申しわけございません、把握はできておりませんが、長い期間で見れば、そういう部分は期待できるものと捉えております。
〇岩崎友一委員 期待できるというか、ブランド化によって単価が上がったり生産者が報われるようにしっかり取り組んでいかなければ、これは期待しても成果は出ないと思います。
 もう一つ、国内ではなく海外展開です。他県のGI登録された産品の生産者の方々のいろいろなものを調べていますと、やはり海外市場に打って出ている。これには県なども絡んでやっていると認識しております。
 本県における海外展開の状況についてお示しください。
〇似内流通課総括課長 県としてのGI登録を契機とした海外への展開ということでありますけれども、例えば、今年度、マレーシア、シンガポールのトップセールスにおきましては、日本酒を含めた県産品のPRということで、その取り組みをしてきたところであります。
 岩崎友一委員からもお話しございましたとおり、GI登録された農林水産物は、他産地との差別化による有利販売、ブランド力の向上が期待できるところでありますけれども、輸出に当たっては、輸出先国の国、地域が求める放射線規制や検疫規制など、あるいは物流の関係もございますので、そういう対応も必要となっております。そこの部分も捉えながら、販路拡大に当たっては、国内、海外を含めまして、GI登録した生産者や生産団体の産地の御意向を確認しながら、必要な支援に取り組んでいきたいと思っております。
〇岩崎友一委員 ぜひ県に音頭をとってやってほしいと思います。先ほどマレーシア、シンガポールの話がありましたけれども、このGIをめぐっては、EUとかイギリスが、EPAの締結によって、双方のGI登録産品が保護されるというような形で今進められているかと思います。
 ヨーロッパに対しての戦略は現段階であるのか、もしなければ、今後どう取り組んでいくのかお伺いします。
〇似内流通課総括課長 ヨーロッパへの取り組みというようなお話がございました。現在、農林水産物のGIに関していいますと、相互保護に合意している国、地域が、EUと英国の2カ国、地域ということでございます。ですので、EU向けでいきますとGIの部分は大きなメリットと考えております。
 現在、農林水産物でいいますと米が行っております。それ以外には日本酒などもございますので、米、日本酒などを含めましてEUへの取り組みを進めていきたいと思っております。
〇岩崎友一委員 GI以外の米も含めたさまざまな海外展開も必要だと思いますが、岩手県は、このGI登録産品が、清酒を入れても全国でも多いです。これは一つインセンティブだと思うのです。
 だから、これをGI産品ということで丸ごとセットで、例えば年中、いわて銀河プラザだったり高級スーパーだったり大手百貨店だったり、とにかく攻めの姿勢で、GI登録されることによってこういうメリットがある、最後は生産者が報われるという結果が必要ですが、そういった中でどんどんふやしていって、岩手県の農林水産業をしっかり強いものにしていっていただきたいと思いますので、ぜひ、前向きな取り組みを期待して、終わります。
〇城内愛彦委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午後0時1分 休 憩
午後1時1分再開
〇千葉盛副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇五日市王委員 県北農業研究所の組織、職員体制についてお伺いいたします。
 知事のマニフェストプラス39にも岩手県農業研究センター等の機能、体制強化を盛り込んでいただいておりまして、私も、9月定例会の一般質問におきまして、県北農業研究所に果樹部門―これは地元の生産者の大きな要望でもございましたので、そのことを受けまして御提案させていただきましたが、早速、4月から新体制を組んでいただきました。
 この県北農業研究所に新たに果樹・野菜研究室を設置するということでございますが、まずは、この体制についてお伺いいたします。
〇竹澤農業普及技術課総括課長 県北農業研究所の新体制についてでございますが、県北地域は、リンゴの冬恋などの高品質な果樹の産地でございまして、今後、温暖化などを見据えた産地づくりが重要でありますことから、収益性の高い果樹生産を支援する研究体制を整備することとしたものでございます。
 五日市王委員も先ほど御紹介いただきましたが、具体的には、県北農業研究所の現在の園芸研究室を、果樹・野菜研究室に改組いたしまして、果樹専門の研究員を1名増員するほか、北上市にあります農業研究センター果樹研究室の研究員が、県北農業研究所の果樹・野菜研究室の研究員を兼務することによりまして、研究体制を強化することとしております。
 今後、新たな体制におきまして、リンゴや桜桃、桃等の安定生産技術や優良品種の開発などを進めることとしておりまして、引き続き、県北地域の農業が持続的に発展していくよう、農業技術の開発等に取り組んでまいります。
〇五日市王委員 1名増員、そして、農業研究センターの果樹研究室の方々も兼務されるということでございます。
 具体的にもう少し、これまでの県北農業研究所の体制と、今、農業研究センターの果樹研究室が何名ぐらいの体制で、どういった形なのか教えていただいてよろしいでしょうか。
〇竹澤農業普及技術課総括課長 現状の県北農業研究所における園芸研究室と農業研究センターの果樹研究室の体制でございますけれども、現在の県北農業研究所野菜研究室につきましては、研究室長1名、さらに研究員3名の体制で、合計4名で野菜に特化した研究をしております。一方、北上市にあります果樹研究室につきましては、研究室長1名、さらに研究員4名で果樹の研究を行っている状況でございます。
〇五日市王委員 いずれ、果樹の関係の体制を強化していただいたことには、改めて感謝申し上げる次第でございます。
 この中で、新規の事業で北いわてグリーン農業人材育成事業も組まれておりますが、(仮称)いわてグリーン農業アカデミーの開講、こちらは本会議の一般質問で田中辰也議員からも御質問がございましたが、その事業内容についてお知らせいただきたいと存じます。
〇竹澤農業普及技術課総括課長 いわてグリーン農業アカデミーの事業内容につきましてでございますが、県北地域ではブロイラー等の畜産業が盛んでございまして、畜産由来の豊富な有機資源が利用されていることとか、雑穀生産における環境負荷低減の取り組み、研究の蓄積等があることから、来年度、県北農業研究所において、(仮称)いわてグリーン農業アカデミーを開講することとしております。
 この農業アカデミーにつきましては、農業大学校の農業者向け研修の一つと位置づけておりまして、年間を通じて、スマート農業や環境保全型農業に関する知識や技術の研修、さらに、有機農業などの先進事例研修を行うほか、さらに、研修生は環境保全型農業に取り組む農業者の認定、以前はエコファーマーという制度もございましたが、今回はこうした、いわゆるみどり認定に向けた計画策定に取り組むこととしております。
 また、体制につきましては、農業大学校研修科に准教授を1名増員することとしておりまして、研修の企画や運営のほか、准教授みずからも講義や技術指導を行いながら、有機農業を初めとした環境保全型農業を担う人材の育成に取り組んでまいります。
〇五日市王委員 こういった人材を育てていただくことも期待しておりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 リンゴについてですけれども、二戸地域の若手生産者の中では、昨年12月に、青森県のおいらせを品種改良した恋するみつ子という新たなブランドを、10年の歳月を経て、ようやく昨年市場に出したと。市場価格も5キログラム5、000円と普通の倍ぐらいの値段で設定したようでございますが、大変好評を呼んでいると聞いております。
 このような意欲のある生産者が県北にもたくさんいらっしゃいますし、また、先ほど午前中の議論でもありましたが、果樹部門の研究、いわゆる冷涼な地域での果樹部門ということもあったのですが、今の気候変動等もありますので、冷涼な部分もそうかもしれませんが、気候変動にもしっかり対応していただくような研究をしていただきますように、よろしくお願い申し上げまして、質問を終わります。
   〔「関連」と呼ぶ者あり〕
〇田中辰也委員 関連質問をさせていただきます。
 私も一般質問でやりましたグリーン農業アカデミーの件ですけれども、有機農業など環境保全型農業の実践者育成を目的としたとうたっております。県としては、県北地域にどういう農業人材が不足していて、どういう人を育成して、どのような農業経営をさせていくつもりでこのアカデミーを開講するのか、その辺をお聞かせください。
〇竹澤農業普及技術課総括課長 グリーン農業アカデミーの県北農業者に向けた狙いということで、お答えさせていただきたいと思います。
 まず、県内におきまして、環境保全型農業直接支払制度交付金の活用及び有機農業に取り組む方々は、どちらかというと県南地域に多い現状にございます。
 一方、県北地域は、先ほども答弁申し上げましたとおり、鶏ふんを初め非常に豊かな畜産資源がございます。こうした資源をぜひとも活用いただいて、例えば、化学肥料の使用量を低減していただくなど、そうしたことで、地域内で循環できる農業を県北の農業者に御理解いただきながら、ぜひとも進めていただきたいという思いで、こうしたアカデミーを開設したところでございます。
〇田中辰也委員 有機農業等に取り組むことによって、農業所得の向上等にも寄与すると。特徴ある農業生産をやることで県北地域の農業振興をさらに発展させていく。
 今、県北地域ではGAP等を取るような農業者もかなり出てきて、そういうところにも、さらに寄与していく人材を育成していくという考え方でよろしいでしょうか。
〇竹澤農業普及技術課総括課長 GAPにつきましては、既に金ケ崎町六原の岩手県立農業大学校で研修等をやっておりますけれども、いわてグリーン農業アカデミーにおきましては、GAPも含めた総合的なみどり戦略の推進という観点で、現在は、来年度の具体的なカリキュラムにGAPを盛り込む予定はしていないのですが、そうしたところも含めまして、今後、カリキュラムの充実等も検討していきたいと考えます。
 いずれ、田中辰也委員御指摘のとおり、総合的にそうしたことを進めていくようなアカデミーになるように努めていきたいと考えております。
〇田中辰也委員 県北地域に、これからの明るい農業、農業後継者として、やはり農業をやることが非常に魅力的だと思えるようなアカデミーになるように期待していますので、どうぞよろしくお願いします。
〇工藤剛委員 12月定例会の一般質問でも取り上げましたけれども、日本一の生産量を誇るリンドウの振興対策について質問いたします。
 まず、本県におけるリンドウの生産、販売状況をお伺いします。
〇中村農産園芸課総括課長 リンドウの生産振興の状況についてでございますが、令和4年のリンドウの生産額は21億円、面積は約220ヘクタールとなっておりまして、生産額、生産面積とも全国最大の産地、全国シェア約6割となっているところでございます。
〇工藤剛委員 今後の目標として、来年度もしくは何年後には、さらに二十何億円にするとか平米数をふやすとか、そういう目標の数値はお持ちですか。
〇中村農産園芸課総括課長 リンドウの作付面積の拡大につきましては、令和3年度の223ヘクタールを目標としまして、令和8年までに270ヘクタールまでふやすことを目標として取り組んでいる状況でございます。
〇工藤剛委員 現在220ヘクタールという県内の栽培面積ですが、その220ヘクタールの中で、岩手県の開発品種として作付しているシェアの状況をお伺いいたします。
〇中村農産園芸課総括課長 県オリジナルリンドウ品種についてでありますが、直近のデータであります令和4年における本県のリンドウの栽培面積は、先ほどからお話ししているとおり220ヘクタールでありますが、このうち、県オリジナル品種の面積は約60ヘクタール、県全体の3割を占めている状況でございます。
〇工藤剛委員 八幡平市の安代りんどうの場合は、市の花き研究開発センターで開発したオリジナル品種があって、ブランドを維持しているわけでございますが、他市町村の生産者の方は、他県の民間が開発した品種で作付しているということをお聞きしまして、その種苗費が高くなって負担になっているというお話を聞いております。その辺の状況を県としてはどのように把握しているかお伺いします。
〇中村農産園芸課総括課長 現在の種苗の状況でございますが、工藤剛委員お話しのとおり、八幡平市では、みずから開発しておりまして、県の約半分の面積を自前で用意しているわけであります。そのほかの地域でも育種が行われておりまして、西和賀町におきましても育種しており、県全体の7%、あるいは奥州市衣川でも育種しており、県全体の3%を占めております。また、花巻市におきましても育種しており、県の大体1%という形になっており、他県の品種等につきましては、1割を切るような状況となっています。
 そういう中で、現在、県品種につきましては、県の種苗センター等で種等を供給しておりまして、価格等につきましては、委員が指摘されたような大きな差があるというお話は聞いていないところでございます。
〇工藤剛委員 それでは、リンドウの節間短縮症、いわゆるこぶ症に加えまして、最近では萎縮症状がふえてきておりますけれども、県としては、その辺の病気に関してどう認識し、どのように対策しているのかお伺いします。
〇竹澤農業普及技術課総括課長 リンドウのこぶ症等についてでございますが、リンドウの節間短縮症、いわゆるこぶ症につきましては、発生原因はいまだ不明ではございますが、農業研究センターでは発生実態調査を行っており、発生防止対策といたしまして、こぶ症は畦畔際で発生が多いことから、畦畔とリンドウの定植畝との距離を離すこととか、畦畔に沿って明渠を設置している側ではこぶ症の発生が少ないことから、畦畔に沿って明渠を設置すること。さらに、品種によってこぶ症の発生頻度が異なることから、発生頻度の低い品種を畦畔際に配置することなどといった対策を取りまとめております。
 また、ただいま工藤剛委員から御指摘のありました萎縮症状―恐らく開花直前に地上部がしおれる症状と受けとめておりますけれども、これにつきましても、現時点では原因の特定はされてございませんが、特定の品種で発生することがわかっておりまして、発生しにくい品種への転換を現在進めているところでございます。
 引き続き、関係団体と協力しながら発生防止対策に向けた検討を進めてまいります。
〇工藤剛委員 リンドウの全国シェアが最も高い本県といたしまして、新品種の開発や病気への対策の研究にもっと力を入れるべきだと思いますが、県の御所見をお伺いします。
〇竹澤農業普及技術課総括課長 本県オリジナルリンドウ品種の開発とその病害防除技術の開発につきましては、現在、農業研究センター花き研究室、病理昆虫研究室で品種の開発、さらには、先ほど申し上げましたこぶ症や、いわゆるしおれ症状に対して、現地に入っていろいろ調査をしながら研究を進めているところでございます。
 いずれ、現地が求めるすぐれた品種、さらには安定生産につながる病害虫防除技術をしっかりと今後とも開発を進めていきたいと考えております。
〇工藤剛委員 よろしくお願いいたします。
 続きまして、新規就農者の確保、育成対策について質問いたします。
 まず、高齢化や担い手不足により、農業者は年々減少し続けているのが現状でございます。新規就農者の確保、育成を強力に進めなければならないと考えますが、新規就農者数の推移をお伺いいたします。
〇竹澤農業普及技術課総括課長 新規就農者数の推移についてでございますが、過去5年間の新規就農者数を見ますと、平成30年度が245人、令和元年度が268人、令和2年度が312人、令和3年度が277人、令和4年度が291人と、これまでの年間の確保目標である260人を上回って推移しているところでございます。
〇工藤剛委員 新しく農業を始めようとする人は、農業は初期投資が大変かかるものでございまして、その支援策をお伺いいたします。補助金名と金額だけではなく、できれば具体的な補助内容も、できるだけ簡潔にお願いいたします。
〇竹澤農業普及技術課総括課長 新規就農者への支援ということでございますが、まずは、就農準備前の研修期間には、年間最大150万円が給付されます就農準備資金といった制度がございます。さらに、経営開始後におきましても、最大3年間、これも最大年間150万円給付する制度がございます。加えて、新規就農者に対しましては、経営発展に必要な機械や施設の導入も支援する制度がございます。こちらにつきましては、単独でやる場合、最大1、000万円、先ほど申し上げました150万円を3年間給付いただく場合には、合わせて1、000万円という上限額が設定されているところでございます。
〇工藤剛委員 農業の場合は、初期投資が用意できるかできないかで取りかかる人がかなり違ってくると思いますので、その辺も、引き続き御協力いただきたいと思います。
 一つ確認したいのですけれども、一言で新規就農といいましても、以前は全く新しく始める他人の人ということでしたが、例えば、親子関係で子供が新しく農業を始めるといったケースでも、今言われた支援は受けられるかどうか確認したいと思います。
〇竹澤農業普及技術課総括課長 いわゆる親から経営を移譲する場合でございますけれども、基本的には、そのまま継承した場合には対象とならないことが多いですが、例えば、息子が親とは違う新たな部門を始める場合など、いわゆる新たに新規就農される方と全く同じようなリスクがあると市町村が認めた場合には、150万円を給付することができるとなっております。
〇工藤剛委員 それでは次に、本県には県立農業大学校があるわけですが、その役割と入学者といいますか研修生の状況をお伺いいたします。
〇竹澤農業普及技術課総括課長 岩手県立農業大学校の役割及び学生の数ということで、お答えさせていただきます。
 農業大学校につきましては、次代を担う本県農業の若手農業者を育成するための研修教育施設でございまして、2年間、農業に関する基本的な知識と技術を学ぶ場でございます。
 最近の入学者の状況でございますが、定員70名に対しまして、50名程度で推移しているといった状況でございます。
〇工藤剛委員 もう一つ確認させていただきたいのが、先ほどの農業支援、就農準備資金や、開始してからの資金ですけれども、県立農業大学校に入学するとか、地元の認定農業者など県が認めた人のもとで修業をするという場合でも使えると聞いたのですが、そこは、県立農業大学校だけではなく、地元の農業者へ修業に入ったという部分でも使えるということでよろしいですね。
〇竹澤農業普及技術課総括課長 就農希望者が、経営を開始する前の研修期間に受給することができる就農準備資金の給付を受けながら実践研修を受けることができる経営体につきましては、知事が、新規就農者受け入れ経営体として登録しているところでございます。
 現在、県内において98の経営体が登録されておりまして、こうした経営体で研修していただくことによって、年間最大150万円が給付されるといった仕組みになっております。
〇工藤剛委員 最後に、新規就農者の確保対策でございますけれども、県外からも呼び込むために、移住、定住対策の一環として考えることもできると思うのですが、その辺の部局横断での取り組みに関して、県の所感をお伺いいたします。
〇竹澤農業普及技術課総括課長 新規就農確保対策に係る部局横断での取り組みについてでございますけれども、新規就農確保対策は、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランの重点事項であります自然減・社会減対策の一つと位置づけられており、これまでも、商工労働観光部と連携いたしまして、例えば、県の移住定住ポータルサイト、イーハトー部に入ろう!におきまして、県内各地域の就農相談会の開催情報を発信するとともに、首都圏等で開催いたします移住フェア等に参画いたしまして、本県農業の魅力や就農支援に関する情報提供などを行ってきたところでございます。
 さらに、令和6年度におきましては、新たに本県への移住、定住を通じた農業法人等への雇用就農の支援に要する経費を当初予算案に盛り込んでおり、今後とも、商工労働観光部等関係部局とも連携しながら、移住イベントなどのさまざまな機会を活用しながら、県外からの就農希望者を一人でも多く確保できるよう努めてまいります。
〇臼澤勉委員 それでは、私からは、マニフェストプラス39にもありますが、収益力の高い農業の確立について、農家の所得向上対策をお伺いさせていただきます。
 まず初めに、畜産、園芸あるいは米を初めとした耕種、それぞれ3分野が岩手県の農業の核となって進めていると捉えていますが、農家の所得向上にどのような対策がこれまで講じられているのか。特に効果的と考えておられる事業について、まずはお伺いいたします。
〇伊藤担い手対策課長 県では、農家の所得向上に向けまして、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランに基づき、地域農業の核となる経営体の育成や生産性、市場性の高い産地づくりということで、経営規模の拡大、高収益作物の導入、生産性の向上などに取り組んでいるところでございます。
 こうした取り組みにより、販売額3、000万円以上の経営体や法人化した経営体の数が増加するなど、経営規模の拡大、経営の高度化が進んでいると認識しております。
 令和6年度当初予算案におきましては、農地中間管理機構を活用した担い手への農地の集積、集約化のほか、新たにDX―デジタルトランスフォーメーションやGX―グリーントランスフォーメーションを活用した土地利用型野菜の生産拡大、AI技術を活用しました花の省力型栽培体系の開発、実証、DNAマーカーなどを活用した地球温暖化に対応する米やリンゴ等の新品種の開発などに要する経費を盛り込んでおりまして、引き続き、農家の所得向上に向けた取り組みを進めていきます。
〇臼澤勉委員 さまざまな取り組みを今紹介されましたけれども、先ほどの答弁の中でも、販売額が3、000万円以上の農家がふえているということですが、具体的にどのくらい伸びているのか、もし数字がわかればお示しください。
〇伊藤担い手対策課長 まず、販売額が3、000万円以上の経営体でございますけれども、平成22年と令和2年を比較して説明させていただきますが、平成22年度は823経営体、令和2年度は970経営体ということで、147経営体の増加となっております。
〇臼澤勉委員 畜産とか園芸とかそれぞれあると思うのですけれども、傾向など、分野別にどう分析しているのかお伺いいたします。
〇伊藤担い手対策課長 申しわけございません。作目ごとの統計データについては、把握していないところでございます。
〇臼澤勉委員 捉えていないということでございますけれども、私は、今、農林水産部として、個々の作物というよりも、その辺のある程度大きな分野ごとに分析しながら追いかけていく必要があるのだろうと思います。
 そういった中で、今も担い手のお話などが工藤剛委員からもありましたけれども、担い手に向けての農地集積を地域ごとに進めていく必要があるだろうと捉えております。そういった中において、地域農業経営基盤強化促進計画がありますけれども、この辺の具体的な施策の効果あるいは評価について、どう捉えているのかお聞きいたします。
〇伊藤担い手対策課長 いわゆる地域計画についてでございますけれども、県では、市町村、農業委員会等と連携しまして、地域の話し合いに職員が参画しながら、農地の受け手となる担い手への集積、集約化や高収益作物の導入など、将来の農地利用の姿を明確化した地域計画が策定されるよう支援しているところでございます。
 さらに、農地の受け手となる担い手の育成に向けましては、農地中間管理事業の活用によります農地の集積、集約化、中小企業診断士等の専門家派遣によりまして経営体の法人化を支援しているほか、県独自の事業でございますが、地域農業計画実践支援事業等の活用によります機械、施設の整備などに取り組んでいるところでございます。
 今後とも、関係機関、団体と連携しまして、地域計画の策定を支援し、期限となっております令和6年度末までに、現在県内で計画されている417全ての地域計画が確実に策定されるよう取り組んでまいります。
〇臼澤勉委員 令和7年3月までにこの地域計画を定めていくと。そして今、417カ所ということで御紹介ありましたけれども、この地域計画をどう具体化していくのか。地域でいろいろ話し合ったり、うちの地元でも農業委員とかが汗をかきながらやっているのですけれども、実効ある取り組みの部分、来年度予算でどのような支援を県として進めていく予定なのか。そして、その支援によって、地域農業の強化についてどう図られていくかの具体的な見通し等があれば、お聞かせいただければと思います。
〇伊藤担い手対策課長 地域計画の策定に向けましては、市町村が中心となりますけれども、農業委員会や地元の土地改良区、農協、もちろん県の出先機関等を含めまして、支援チームが各市町村にございます。そういった中で、その地域ごとにどう進めていくかをまず準備段階として整理しまして、その後に、各地区の座談会などに参加いたしまして、例えば、その地区の作目をどうするのか、そもそも農地利用をどうするか、担い手はいるのかといったところを話し合っていただくことで、県の職員もそこをサポートしているところでございます。
 令和6年度の予算案につきましては、今年度の国庫事業の継続になりますが、そういったものを使いまして、主に市町村の計画策定に要する事務費ですとか、あとは会計年度任用職員の賃金とかといったものを、市町村から手を上げていただきまして、国庫事業で支援しているところでございます。
 いずれ、地域計画の策定でございますが、これまで、県でも農地の集積を進めてきたところですけれども、今後は、特に集約化を加速化させていくことを狙いとしておりまして、そういった目的のもと、まずは、期限までの策定に向けて関係機関と一緒に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
〇臼澤勉委員 ぜひ、農林水産部においては、農業普及員など、ほかの部署とは違う人的資源のある部署でございます。まさに今、難しいこの人口減少や、あるいは担い手である農家の高齢化が進んでおります。次の、例えば事業承継など、今後10年あるいはこの先を見据えた地域の農業をどう支えて、守っていくのかといったところがすごく重大な岐路になるというのは、改めて私が今申すまでもないのですが、そういったときに、農業普及員の方々が積極的に市町村、現場にどんどん入っていって、そこの計画づくり、あるいは計画の具体化に向けて進めていく必要があろうと思いますが、その辺についての御所見をお伺いいたします。
〇伊藤担い手対策課長 県では、まず、経営体への経営サポートの体制としまして、岩手県農業経営就農支援センターを関係機関と一緒に設置しております。その現地支援チームということで、農業改良普及センターが中心となりまして、市町村や農協がチームメンバーとなりまして、経営体個々のお悩みや経営課題の解決に向けて、今取り組みを進めているところでございます。
 臼澤勉委員からお話のありました事業継承につきましても、税理士や中小企業診断士などの専門家を派遣しながら、経営体個々の、いつ継承するのか、経営規模はどうするのかといった相談を、農業改良普及センターが中心となってまとめているところでございます。
〇臼澤勉委員 人の問題であり、今、農地の集約化のお話もありました。本県においては、全国平均を下回る集積率の現状であります。たしか全国で59.5%だったか、60%近いところですが、岩手県は55%ぐらいで、5ポイントぐらいの開きがあったかと思います。東北地域でも下から2番目ぐらいの集積率だったと思います。
 やはり、その中心となって、担い手の農家の方が必要とする土地を、やりたいぐらいの農地を確保しながら進めていく環境づくりがすごく重要になってくると思います。新年度において、集積率向上に向けての取り組みについてお伺いいたします。
〇伊藤担い手対策課長 県では、農業経営基盤強化の促進に関する基本方針を定めておりまして、その中で、令和12年度の担い手への農地集積の目標を80%と定めております。
 その目標に向けまして、農地中間管理機構であります県農業公社等、関係機関、団体が一緒になって今まで取り組みを進めてきたところでございます。
 こうした取り組みによりまして、農地中間管理機構による貸付面積や新規集積の面積は、全国トップクラスになっているということで、一定の成果はおさめてきたところと認識しております。
 令和6年度でございますが、当初予算案の中に農地の集積、集約化等を加速化するための、いわゆる地域集積協力金といった予算を盛り込んだほか、あとは、経営体の規模拡大に必要な機械、施設の導入、先ほどお答えしましたとおり、地域計画の策定に向けた経費を盛り込んでおりまして、今後とも、関係機関、団体と一緒になりながら農地集積、集約化の取り組みを進めてまいります。
〇臼澤勉委員 ぜひ、80%に向けまして頑張って取り組んでいっていただきたいと思います。
 新規事業、高収益園芸作物DX・GX導入実証事業が予算計上されておりますが、この政策内容、そして、この効果をどう見込んでいるのかお伺いいたします。
〇中村農産園芸課総括課長 高収益園芸作物DX・GX導入実証事業費についてでありますが、米の需要が減少する中、水田でのタマネギやバレイショ等の高収益作物への転換を進めるため、自動操舵トラクターによる作業の省力化、GPSレベラーを活用した圃場の傾斜化等による効果的な排水対策、ドローンによる防除作業の効率化など、技術の組み合せによる収益性向上のモデル実証に取り組むこととしております。
 また、新たに土地利用型野菜の栽培を志向する生産者に対しては、機械等の整備が必要になることから、既に農業機械を所有している生産者が農業機械を貸し出すなど、農業機械の広域利用体制の構築による新規参入モデルの実証に取り組むこととしております。
 加えて、キャベツや長芋などにおいて、環境負荷低減技術の先行事例として、脱炭素効果のあるバイオ炭の圃場施用による大気中の二酸化炭素の削減効果や生産性向上のモデル実証に取り組むこととしております。
 こうしたモデル実証圃場を拠点としまして、現地研修会やセミナー等を開催し、実証で得られた成果等を県内の農家に波及することにより、水田における野菜等の高収益作物の生産を拡大し、農業者の所得が向上するように取り組んでいきたいと考えております。
〇臼澤勉委員 具体的にどの程度の経営体を今回の実証事業で取り組んでいくのか、そして、その成果指標、実証事業ですから、それを横展開というか、ほかの農家の方々に対しても共有していくのだと思いますけれども、その辺の成果指標も含めてお伺いいたします。
〇中村農産園芸課総括課長 ただいま三つの実証についてお話をしました。これらを農家でやっていくわけですので、幾つかの組み合わせにはなると思いますが、おおむね県内3カ所におきまして、タマネギやバレイショにおいて、こういう技術を組み合わせた実証を行い、例えば、水田のタマネギ栽培におきましては、慣行的な収量が10アール当たり2.7トンであるのを3.7トンと1トンふやすとか、バレイショにつきましては、同様に1.8トンを2.3トン、いわば0.5トンふやすような目標を掲げながら収益向上モデルに取り組みたいと考えております。これを、その地域における農家に見ていただきまして、新たに取り組む農家をふやしていきたいと考えております。
〇臼澤勉委員 それは何年ぐらいの計画で取り組んでいくのか、そして、最終的に本県農業の中心となっていく方々に対して、どのくらいの生産者に、そういった成果を取り入れていこうと思っているのかお伺いいたします。
〇中村農産園芸課総括課長 予算としては、来年度分しか今は決まっていないわけですが、できれば複数年にわたってこういうことを続けながら、水田農業の中心となっている集落営農の方々、野菜に取り組んでいる方々に導入したいと考えております。
 具体的な数字は持ち合わせておりませんが、今後、その辺も含めて、実証しながら対象者等をリストアップしていきたいと考えております。
〇臼澤勉委員 ぜひ、具体的な目標のイメージ、この事業の位置づけを整理しながら、高い目標といいますか戦略的に取り組んでいっていただきたいと思います。
 最後にいたしますけれども、いずれ、この所得向上にさまざまな新規事業も提案されて取り組んでいくところでございますが、本県農業の所得向上に向けて構造改革にしっかり取り組んでいかなければ、今、転換期にあると捉えております。
 農林水産部として、この岩手県のグランドデザインをどう見ているのか、そして、そういった中期戦略的な位置づけの中で、来年度はこういったことに取り組んでいくという位置づけを最後にお示しいただきたいと思います。農林水産部長にお伺いいたします。
〇藤代農林水産部長 岩手県農業のグランドデザインというお話でございます。
 従来から申し上げているとおり、本県は、残念ながら、農業に従事されている方が高齢化、減少という状態は、依然として続いております。そういった中で、新規就農者をしっかり確保していくのは当然の話でございますが、従来から、もうかる経営体をつくるということで、経営の規模拡大あるいは経営体質の強化ということで取り組んできています。そういったものについては、先ほど担い手対策課長から申し上げましたとおり、3、000万円以上販売するような経営体が着実にふえてきている、あるいは法人化する経営体が着実にふえてきています。
 こういった方が生産の中心になるような形で、農業生産を維持しつつ、また、農村の維持という観点から、中小規模の方についても、水田での高収益野菜、今時点ですと、高収益野菜の中でも加工業務用野菜という形のもの、先ほど課長が言いましたタマネギ、バレイショあるいは加工用トマトといったものが、今、非常に求められてきているようなところもあります。
 こういった栽培についても、大規模経営体あるいは中小の方も取り組んでいただいて、また、人手が足りない分についてはスマート農業を積極的に導入しながら、経営の効率化を図って、農業生産が引き続き維持、拡大できるように取り組んでいきたいと考えているところでございます。
〇郷右近浩委員 それでは、私からも何点か質問させていただきたいと思います。私も久しぶりに競馬組合議員を離れたので、こちらで競馬事業について質問させていただければと思います。
 といいますのは、これまで競馬改革推進室で、どのような競馬組合との線引きというか、いろいろなことがどうなっているのかということでずっと考えていたのですけれども、その中で、今回改めて質問しようとした際に、予算書の中に競馬改革室の予算を見つけることができなかった。ただ、馬関係の中では、馬事文化プロモーション推進事業費72万円余という項目だけあったのですけれども、この事業は、競馬組合で行っている馬事文化事業関係との関係性はどのようになっているのか、お伺いしてもいいでしょうか。
〇川村競馬改革推進監 今御質問がございました馬事文化プロモーション推進事業費につきましては、競馬組合と直接的にということではございません。岩手県馬事文化地域連携連絡協議会という馬事文化の関係団体、関係市町村と構成している協議会がございまして、この中に競馬組合も1団体として入っております。こういった形で連携しまして、協議会の開催あるいはポスター展のほか、HORSE LAND IWATEという協議会のホームページの管理や、いろいろな馬事イベントの情報発信などを行っておりまして、それに係る経費、予算ということになっております。
〇郷右近浩委員 そうしますと、競馬改革推進室という名前ではあっても、あくまで、予算を持たないような部署であって、そして、競馬組合の仕事の補完をしているといった形の立ち位置になるのか、どのような線引きなのか。
 といいますのは、人件費も、県からは、競馬組合に8名の方が行っています。盛岡市、奥州市から2名ずつという形で組合に人が出ております。その8名の人件費も一体どこにどうなっているのか、その点についてもお知らせいただきながら、先ほどのどういう関係性なのか詳しく教えてください。
〇川村競馬改革推進監 今、競馬組合に新庄駐在として競馬改革推進室などの職員が駐在しております。こちらの職員の人件費につきましては、競馬改革推進室の職員、県庁5階にいる我々職員も同じでございますけれども、管理運営費の中に含まれているところでございます。
 競馬組合と競馬改革推進室との関係ということでございましたけれども、競馬組合で今、新計画に基づきまして経営再建に取り組んでおり、競馬事業を行いながら構成団体融資の返済も行っていただいているところでございます。こちらは、我々県と奥州市、盛岡市が構成団体として、競馬組合と連携、意思疎通を図りながら、我々としては、競馬組合の経営を構成団体として支援していく立場と捉えております。
〇郷右近浩委員 そうしたときに、今回、令和6年度の予算計画ですけれども、その中では、2億円の利益を目指しているといった形で競馬組合に示されておりますが、ルールによると、例えば、1億円を引いた額の半額を構成団体に返す返済ルールになっているということになると、2億円だと、1億円引いたら1億円、その半分の5、000万円を出資比率に応じてそれぞれ分配するといった形になりますけれども、そもそも、これは人件費にも充当しないといった形になるのかと。
 ただ、確かに、今回のこのルールができ上がった時点で、競馬事業自体、本当に大変な、まずは、とにかく続けていくことを優先させていく中で、さまざまな構成団体でいろいろ話をしながらこういう形をつくり上げていったものという認識はあります。そうだとすると、今のこの状況になったときに、私は、競馬組合のプロパー職員を育てていきながら、駐在している人たちを幾らか戻すなどということもやってもいいのではないかと。
 特に、今の競馬組合においては、専任の副管理者はもちろんそのとおりですけれども、そのほかに経営管理部長、そして事務局長と、中心になる意思決定する場所を全部県の職員の方々が押さえて入っている。その中で、そこに、例えばプロパーというか競馬事業に精通した人、外部の人でもいいと思います。よその競馬場でやっているのは、例えば、JRAから出向いただいたり農林水産省であったり、いろいろな形でやりとりしている主催者がいる中で、もう少しそこの部分を、今の岩手競馬においても、一歩そこまで踏み込んでいってもいいのではないかと思うわけであります。
 その点について、構成団体の一つの県としてという話にしかなり得ませんが、御所見をいただきたいと思います。
〇川村競馬改革推進監 構成団体からの駐在職員から、組合のプロパー職員に人を移していってもいいのではないかというお尋ねと理解しております。
 競馬組合におきましては、長く見合わせてきましたプロパー職員の採用を平成28年度から再開しておりまして、その採用した職員に対して、定期的なジョブローテーションなどにより、経営や競馬事業等に関する知見やノウハウ等の習得を図るなど、現在、計画的な人材育成を進めているところでございます。
 組合の自律的な運営を確保する観点からいいますと、郷右近浩委員御指摘のとおり、先ほど御例示いただきました副管理者や事務局長、経営管理部長といった運営のかなめとなるポストをプロパー職員が担うことが妥当ではないかと考えておりますが、そういったいわゆるマネジメント層の充足には、平成28年度以降採用した職員の人材育成ということで、まだ一定の期間が見込まれているところでございます。
 そうしたことから、引き続き、組合における人材育成の取り組みが円滑に進むよう、我々構成団体といたしましては、駐在職員などを通じて支援してまいりたいと考えております。
〇郷右近浩委員 確かに、やっとプロパーで人を入れて育てている状況だというのは、そのとおり承知しております。ただ、そうした意味でも、先ほどのJRAなり農林水産省なりという、よその主催者もやっているような形という例示を挙げたつもりではありました。
 やはり事業を事業としてしっかり継続していってくれる、1年2年のスパンではない中でも考えるという部分も含めて、そういったところもしっかり取り組んでいただきたい。
 例えば、これまで岩手県から副管理者で出向している方も、1年、基本的には2年ぐらいで交代しているといったことを考えると、今、副管理者になっている方も、恐らく令和5年度限りでかわるのかと想像がつくわけであります。
 しかし、そうした部分をある程度、もっと中長期的なスパンで物事を考えていただける方、そして、せっかく2年間なら2年間やった方が、いろいろな他団体であったり他主催者であったり、JRAもしくは農林水産省と少しずつ築き上げたものが、またゼロからスタートするようなことのないような形が、今、地方競馬を一つにしていこうという流れが出てきている中で、私は大事な取り組むべきことではないかと思っているわけであります。
 そうした中にあって、これまで岩手県競馬組合でもさまざまなことをやってきている中で、例えば厩舎建設などというのは、令和5年度、ある程度進めるといった方向でいろいろやっていただいている。ただ、私自身、競馬組合議会に行っている中で、その建設費なども、実際問題、当初は6、000万円ぐらいという話が、でき上がると、一説には1億2、000万円になっていたとか、そんな話が聞こえてくる……
〇千葉盛副委員長 質疑は簡潔にお願いします。
〇郷右近浩委員(続) 済みません。
 だとすると、そうしたものは、どこで決まっているのか。例えば、これは管理者、副管理者会議等で決まっているのか、そういった部分については、競馬改革推進室としては報告であったり認知して進めているということでよろしいでしょうか。
〇川村競馬改革推進監 競馬組合における意思決定について、我々のほうで承知している部分について御答弁させていただきます。
 郷右近浩委員からお話のありました厩舎建設など大きな設備投資案件につきましては、競馬組合の担当部署におきまして、競馬関係者などの意見も把握した上で投資計画を立案いたしまして、組合の管理者、副管理者への協議なども踏まえて、予算案とともに投資計画を組合議会に説明、提案しているものと認識しております。その後、所要の議決の手続を経まして予算計上に至っているものと承知しております。
〇郷右近浩委員 では、認識というか確認で、そのとおり、予算としては、例えば1棟当たり6、000万円なら6、000万円という予算で、そして議決したといった場合に、普通、県であれば、それがいろいろな要因によって金額が上がったといったときは、変更契約なりという形の中で議決などが必要だと思うのですけれども、私自身が、そのときうっかりしていたのか、そうしたことがあったという記憶がないのです。そうした部分は、構成団体の県としては、きちんと手続は進めてやっていたという認識を持っているということでよろしいでしょうか。
〇川村競馬改革推進監 郷右近浩委員から今お話しいただきました個別の案件の詳細についてまでは承知しておりませんけれども、少なくとも私どもで把握している限りでは、手続的には問題、そういったところの抜けなどがあったものとは認識しておりません。
 今、委員からお話がありましたとおり、組合で組合議会議員に対しての説明が不十分という御意見を頂戴いたしましたことにつきましては、組合とも改めて共有いたしまして、より丁寧な説明が今後行われるように、我々としても組合を支援してまいりたいと考えております。
〇郷右近浩委員 わかりました。競馬組合議会自体が年に3回ほどしか開かれないといったこともあって、例えば臨時議会を開いてほしいなど、いろいろなことをこれまでもやってきたつもりであります。ただ、私自身、今離れている中で、現在の状況はわからない。ただ、自分自身がこれまで思ってきた部分、どこまでが、例えば管理者、副管理者が会議でしっかり話ができていて、どうなっているのか、そこの部分であったり、さらには、最終的に決定したものがどうなっているのか、そうした部分で見えないところがあるので、今後ともいろいろお聞きしながら、私自身もしっかり把握に努めていきたいと思います。
 今回、令和5年度の実績より上げていますが、令和6年度は売り上げ実質減という形での予算になっているようです。やはり、これを、行政としてではなく事業としてきっちり、しっかり形にしていくような体制をとれることを願って、質問を終わらせていただきたいと思います。
〇高橋穏至委員 私からは、総括質疑で取り上げました持続可能な農業の確立、そのときは畑地化の促進と転作作物について質問したのですが、これの追加部分として、若干質問したいと思います。
 岩手県内の畜産での視点としては、輸入に頼らない自給の飼料を確保するという視点から考えた場合ですけれども、畜産の飼料を自給するために必要と考えられる作物がさまざまあるのですが、それに必要な面積はどれくらいになるのかということについて質問いたします。
〇村上畜産課総括課長 飼料作物の作付面積についてでございますけれども、県では、令和3年3月に策定しました岩手県酪農・肉用牛近代化計画におきまして、平成30年度を現状値とします飼料作物作付面積は4万6、600ヘクタールで、飼料自給率は44%となっております。
 仮に、乳牛、肉用牛における飼料自給率を100%にしようとする場合は、約3万5、000ヘクタール分の草地、飼料畑等を新たに確保しなければならないという試算になっております。
〇高橋穏至委員 100%にしようとした場合、それくらいということですが、今、岩手県の耕作可能な面積は、全体でどれくらいあるか押さえていますでしょうか。
〇村上畜産課総括課長 現在の飼料作物の利用している面積になりますと、県の作物統計によりますと、令和4年の本県の飼料作物作付面積は、牧草地が約3万5、000ヘクタール、飼料用トウモロコシや稲ホールクロップサイレージ等が約7、000ヘクタール、飼料用米や子実用トウモロコシが約6、000ヘクタールで、合計約4万8、000ヘクタールとなっております。
〇高橋穏至委員 現在のものはわかったのですけれども、今、岩手県にある農地として使える面積の全体像は幾らなのか。必要なのはプラス約3万5、000ヘクタールと言いましたけれども、そもそもその面積が岩手県内にあるのかということです。
〇村上畜産課総括課長 岩手県の耕地面積ということでの答弁になりますけれども、令和4年の耕地面積につきましては、田んぼ、畑を含めて、畑には普通畑ということで牧草地も入りますが、合計で約15万ヘクタールとなります。
〇高橋穏至委員 そうしますと、15万ヘクタールある中で、現在のところは44%ということでしたけれども、今後、目標としている自給率はどれくらいに設定しているのでしょうか。
〇村上畜産課総括課長 酪農肉用牛の近代化計画ですので牛の場合の話ですけれども、自給率では、先ほどの44%を51%程度に、令和12年までに10%程度増加させるという目標にしております。
〇高橋穏至委員 これは部門は違うことになろうかと思いますけれども、農地全体の中で飼料用作物以外、要は、主食用米や加工米、麦、大豆、野菜等あるわけですが、その県内生産、作付の現状と目標はどうなっていますでしょうか。
〇吉田水田農業課長 令和5年産の水田での作物の作付状況になりますけれども、主食用米につきましては4万2、800ヘクタール、主食用米以外の水稲につきましては約1万ヘクタール、それから、畑作物が、麦、大豆、飼料作物等を含めて約1万7、000ヘクタールという状況になっております。
 目標ということでございますけれども、米につきましては、その需要が現在減少している中ではございますが、いわて県民計画(2019〜2028)におきまして、オリジナル品種の作付面積を令和3年度の6、050ヘクタールから、令和8年度に1万300ヘクタールに拡大する目標を設定しております。
 また、小麦、大豆につきましては、麦・大豆生産性向上計画の中で、令和元年度の作付面積8、060ヘクタールを、令和8年度に8、412ヘクタールに拡大する目標を設定しております。
〇高橋穏至委員 この項目で総括質疑のときになかなかかみ合わなかったのが、先ほど臼澤勉委員からもありましたけれども、岩手県全体としてのグランドデザインといいますか、どこに、どういうふうにつくっていくかという計画がないのではないかということで取り上げました。
 先ほど来の計画についても、例えば地域計画、農業再生協議会の417カ所を令和7年3月までにということで、その中で収益をしっかりと、要は稼げる農業経営体をつくっていくという計画がそれぞれの地域でつくられているのですけれども、県内のそれぞれの地域単独での循環というのか単独での経営で考えていっただけでいいのかどうか。要は、必要となる農畜連携とか、さまざまなことを考えていったときに、エリアを越えた計画がほしいのではないかということで、総括質疑で取り上げたわけです。
 今の計画ですと、いずれいわて県民計画(2019〜2028)にしても、それぞれの経営体が収益を上げていくということの視点しかないような気がするのですけれども、岩手県全体として、気候風土とか中山間地とかさまざま違う中で、ここの地域はこれでやっていったほうがいいよねと。それは何かというと、先ほどの議論にもありましたけれども、機械とか設備とかにかかる経費を考えた場合、生産性や利益を上げていくために、どうしても地域でまとまった取り組みが必要なのではないかという観点から取り上げたわけです。所感がございましたら伺います。
〇照井農政担当技監 まず、全体での農地利用計画という話だと思います。
 特に水田におきましては、県と農業団体等で構成しています協議会で水田農業の推進方針を、今ですと令和5年から令和9年間ということでつくっております。その中で、主食用米をつくっていく面積や転換を進めていく面積というような全体の計画をつくりながら、水田の収益アップに向けた取り組みを進めているところでございます。
〇高橋穏至委員 水田活用はそうかもしれません。ただ、畑地とかさまざまな農地がある中で、全体的な計画をつくっていかないと、要は、畜産の飼料自給率を上げていくにしても、今の目標よりさらに上げることも必要ではないかと思って質問しているわけです。そういったグランドデザインが欲しいのではないかという視点で質問いたしました。
 これについては、多分、担当課横断でないと結論は出ないと思いますので、最後に、全体を見た農林水産部長の所感を伺って、終わります。
〇藤代農林水産部長 岩手県の農地の利用全体像というお話でございます。
 一つは、水田についてどういうふうに、水田といいますと、岩手県では大体15万ヘクタールのうちの5万ヘクタールが水田に該当しますが、その分については、今、農政担当技監が申し上げましたとおり、水田活用の方針という、これは関係団体と一緒につくっている方針でありますが、そういったところでカバーしております。また、畜産での飼料利用という場合には、先ほど畜産課総括課長が御答弁申し上げました4万7、000ヘクタールというのは、農地のうちの畑、そして水田での飼料作物生産を包含した形での位置づけとなっております。
 また、農地利用全体という形になりますと、県全体になりますと、農業振興地域の基本方針あるいは農業経営基盤強化の促進に関する基本方針といったところで、土地利用あるいはそこの中で認定農業者6、500人ぐらいを維持できるようにという形の目標を設定しているところでございます。
 そういった計画の中で、農地のグランドデザインあるいはどういった担い手を育成していくかというビジョンを描きながら、県全体としての農業振興を図っているところでございます。
〇岩渕誠委員 質疑が重複した部分については割愛しながら進めてまいります。
 まず、県内農家の経営の状況についてお尋ねいたします。
 このところ資材高騰、物価高騰の影響で大変な御苦労をされているわけであります。諸対策も入っているわけでありますけれども、まず、畜産、酪農農家の経営状況について明らかにしていただきたい。
〇村上畜産課総括課長 酪農家の経営状況についてでございますが、酪農家の経営については、それぞれ個別経営の中で、いろいろとやり方とかが違いますので、今の国の畜産物生産統計からしてみると、令和2年から比べまして、搾乳牛1頭当たり15万円ぐらいの収支が減少しているという形での統計情報であったかと思います。全国的な話です。
〇岩渕誠委員 もっと具体に言ってほしかったのですが。
 搾乳牛1頭当たりの収支で見ると、令和2年は1頭当たり108万円の粗収益があって、支出が82万円程度あって、収支で25万円程度の黒字。これが令和5年になると、副産物である、ぬれ子の減少によって、生乳価格は上がったものの、それが吸収できず、さらに飼料、流通費等、軒並み4割ぐらい上がっているので、収支は4万7、000円程度にかなり悪化すると私は把握しているのですが、いかがですか。
〇村上畜産課総括課長 大変失礼しました。
 国が公表している資料については、岩渕誠委員の御指摘のとおり、25万5、000円から、令和5年度であれば4万7、000円です。
〇岩渕誠委員 大変な激減でありまして、生乳価格をアップしたものの、やはりかなり厳しいわけであります。しかも、支出の中には施設の借金の返済はたしか入っていなかったと思いますから、そうなると実質的に赤字経営に転落している。
 そうした中で、岩手県を初め、国も、これまではいろいろな補助金を投入している。大体この金額が6万円近くありますから、対策があると10万円ぐらいになる。そして今、県内の平均飼養頭数でいうと55頭ぐらいありますから、この部分は、恐らく借金の返済等に充てる原資になっていくというような、計算を粗々すれば出てくるのだろうと思います。
 本会議でも指摘しましたけれども、この物価高騰対策が、新年度、国の財源手当がないということでかなり厳しい状況になってくると思っております。飼料高、原材料高が、若干下がったとはいえ高どまりの中で行くと思いますから、経営がかなり悪化するのではないかと危惧していますが、その辺はどのように考えていますか。
〇村上畜産課総括課長 本年1月の飼料価格については、高騰前の令和2年に比べまして約4割高くなっており、依然として畜産経営に大きな影響を与えるというところで認識しております。
 県では、これまで措置しました支援を迅速かつ確実に実施していくことが重要と考えております。
〇岩渕誠委員 いやいや、新年度措置されないものがありますね。その影響をどう考えていますか。
〇村上畜産課総括課長 これまで県としましては、国の事業の活用を進めるとともに、県独自で累次の補正予算によって、飼料購入費の支援や酪農経営への影響を緩和するための支援を実施してきたところでございます。
 先ほども申し上げましたとおり、まずは、この支援策をしっかり迅速かつ確実に実施していくことが一つでありますし、また、本県の強みであります豊富な自給飼料基盤を積極的に活用していくことが重要と考えています。
 そのため県では、自給飼料の生産拡大に向けて、国の事業の活用によりまして計画的な草地、飼料畑の造成、整備や、安定した収穫量確保のための土壌診断結果に基づく施肥設計の指導、安定した品質確保のための収穫適期の判断方法の指導などを行うとともに、堆肥を有効活用した化学肥料を低減する牧草生産の実証に取り組みまして、低コスト生産に取り組んでいくということで考えております。
〇岩渕誠委員 それはそのとおりなのですが、現実問題として、例えば、今まで継続してきたものがないわけです。これが補正予算対応で出てくればいいですけれども、今の国の動きを見ていれば、予備費だってほとんど積んでいないのと一緒です。そうなるとかなり厳しい。
 これはもう既にデータで出てきていて、1月の全国の酪農家の軒数は1万361軒で、1万戸割れがもう現実のものになっている。前年同月比で6%減っているのですが、これは2023年以降6%ずつ減ってきている。そして、1月のデータを見ると、北海道は5%減ですが、それ以外の都府県は8%減というような状況になっている。これだけ減って、飼養頭数がふえているからといいますけれども、これはほとんどカバーできなくなってくると思います。
 そういうように、加速度がついて下がってきていますから、これは、本当は直接補助をやっていかないと非常に厳しい状況だと思っています。
 ただ、これは財源の問題がありますから、これは国の全般に言えるのですが、物価高騰対策はやらないと、消費を下押ししていますから、個人消費が伸びないということになると、これから金融緩和の方向にはなっていますが、足元が非常に危ういと思っております。これはぜひ、引き続き物価高騰対策、これは農業部分ではかなり足かせになりますから、その辺を対応していただきたい。
 同じように、米の収支モデルについてお示しいただきたいと思います。
〇吉田水田農業課長 米の収支モデルについてでございますけれども、令和5年産の本県ひとめぼれの出回りから令和6年1月までの出荷業者と卸売事業者との相対取引価格は、60キログラム当たり1万5、112円で、国が公表しております本県の収穫量をもとに10アール当たりの収入額を試算いたしますと12万8、502円となりまして、米価が下落した令和3年産から徐々に回復傾向にございます。
 令和5年産米の生産費でございますけれども、資材価格高騰前の令和2年産の東北の生産費をもとに、価格高騰分を加味いたしまして機械的に試算したところ、肥料や農薬等を中心に生産費は上昇しており、作付規模別に見ますと、県の平均作付規模に当たります1から3ヘクタールの規模では14万2、734円と、生産費が収入額を超えている状況となっておりますが、3から5ヘクタールの規模では12万2、154円と、3ヘクタール以上では収入額が生産費を上回る状況となっております。
〇岩渕誠委員 数字はよくなったと言いますけれども、令和2年ときちんと比較してください。令和2年はマイナス8、500円ですけれども、これは令和5年だとマイナス1万4、000円。対策があって、肥料高騰対策を入れてもマイナス1万1、000円。これはリアルに数字が出ていますから、きちんと答弁してください。
 そうすると、それは3町歩以上つくると岩手県の米は、特に、ひとめぼれについて言えば黒字転換していると。状況は改善していると県は見ているのですか。
〇吉田水田農業課長 国の公表した数字、それから、県で試算した生産費に基づいて試算したものでございますけれども、実際に資材の価格は高どまりとなっておりますので、生産者の経営は厳しい状況と認識しております。
〇岩渕誠委員 補助金でいうと、これは水利費の上昇は余り見ていないのではないかと思っています。これは土地改良区はかなり、またことしも上がるところもあります。据え置きですけれども、去年どんと上がっていますから、この負担額はかなり厳しい状況になると思います。
 いずれも、酪農が一番大変で、同じように肉用牛、肉用繁殖も大変。そして、きょうは園芸の話は後でしますけれども、米も大変だと。
 こういう中で、国の農業・農村基本計画を見ると、本会議でも指摘しましたけれども、国内生産の増産とかいったところには全く力が入っていない。食料安全保障の話は出てきているのですけれども、どうしてもそれは、海外に投資しろとか、そんな話になっていて、ようやく与党で食料自給率を上げろということで参考数字から上がったものの、素案に入っていないから、体系的な政策、自給率向上のための政策は全く入っていないわけです。
 そもそも農業・農村基本計画がずっと続いている中で、食料自給率の上昇につながる予算はこれまで措置されたことがないし、目標とロードマップをつくったことはないわけです。その辺が僕は大きな構造的な問題だと思っているのですが、農林水産部長の見解をお願いします。
〇藤代農林水産部長 今の資材高への対応という部分でございますが、今、岩渕誠委員にさまざま御指摘いただきました。酪農については、これまで2度、乳価の値上げが20円ほどありました。また、畜産課総括課長が答弁しましたとおり、支援交付金を使っての飼料価格高騰への支援という形で行ってきたものでございます。また、肥料についても同様な形で行ってきたところでございますが、今時点でそういった支援がなくなるのは、先が見えない中で、生産者が高どまりしている価格の中で経営を行うところは、やはり難しい状況だろうと思っております。
 こういったことにつきましては、今、賃金の値上げが動いていますので、若干期待するところもあるのですが、そういった形で購買意欲が高まって、幾らかでも価格転嫁できるような農畜産物を買っていただける状況が来てほしいという期待感もございます。しかし、それを待っているのもなかなか難しいところもありますので、県としては、現状はしっかり把握しながら、国に対して必要な支援については要望していきたいと考えているところでございます。
〇岩渕誠委員 今、価格転嫁の話が出ました。コンビニのおにぎりを例にとって話をしますと、コンビニのおにぎりは1個100グラムから110グラムということだそうであります。60キログラムのお米は、御飯にすると2.2倍から2.3倍になりますから1、400個ぐらいつくれる。そうなったときに、コンビニの販売価格は13万円から17万円ぐらいのところでおさまるのですけれども、玄米で農協取引ですと1俵1万円ですね。16万円とか17万円ぐらいのところが付加価値になっているわけです。付加価値は全部流通部門にとられてしまって、農業生産のところにお金が入っていないというのが今の実態。これは、肉用牛にしたって園芸にしたって同じなわけです。
 だから、本当にそれが分配として正しいのかどうか。18分の1が生産費、あるいはもうちょっと行っても、13分の1が農業現場というのは、非常にいびつな格好だと思います。これは価格政策と所得保障政策を導入していかないと、根本的には守れないのではないか。こういうところをきちんと農業の方針として他産業としっかり共有していかないと、賃金が上がると上がるかもしれないと言うけれども、十何倍も差があるわけですから、その辺はしっかり理論武装すべきだと思いますが、いかがですか。
〇藤代農林水産部長 小売の価格を見れば、生産のほうにどれぐらい価格で還元されるかというところを見ますと、非常に難しいのは岩渕誠委員御指摘のとおりと思いますが、今時点で例えば米の相対取引価格を見ますと、ひとめぼれ、銀河のしずくにつきましても1万5、000円程度ということで、従来に比べれば、一番高かったときに匹敵するような価格で今推移しているところもございます。そういった形で引き続き取引されれば、期待感にはなりますけれども、令和6年産の米についても、一定程度の概算金は期待できるかと思います。
 あとは、また繰り返しの答弁になりますけれども、今の経営状況につきましてはしっかり分析しながら、国に対し、必要な支援については働きかけていきたいと考えているところでございます。
〇岩渕誠委員 わかりました。これは農業の断面だけで話をすると非常に問題があると思います。食料安全保障というのは国民全体の話ですから、今言った、いわゆる原材料に対して付加価値がどれぐらいになって、どういう富の分配が行われているか。これが本当に今の我が国の姿として、将来にわたって持続可能な、農業だけではなく国家ということを考えた場合にも、これはちょっといびつではないかということの国民的議論をやっていかないと、本当の意味での食料安全保障の議論にはならないと思います。ぜひ、岩手県にはそのリードをしていただきたいと思います。
 今、ブランドについても、いろいろな話が出ました。午前中にもひとめぼれ等いろいろな話が出ましたけれども、品種開発でいうと、金色の風についてかなり、BLといいますか次の世代のところが、岩手県生物工学研究所や岩手県農業研究センターでかなりスピードアップしてやっているところであります。
 品種開発の現状、当然、地球温暖化適応化事業の中に入ってくると思うのですけれども、金色の風などについての市場投入までの見通し、新年度、どこまで進むのかというあたりをお聞かせください。
〇中村農産園芸課総括課長 品種開発につきましては、先ほど開発には10年かかるというお話をしておりました。ただ、そういう中で、今、岩手県生物工学研究所等と一緒になりながら、DNAマーカー等の先端技術を使っていくことによって、10年かかるものが3年程度短縮できる。今、そういうことを農業研究センターと生物工学研究所が、一緒にやっているところでございます。
 金色の風につきましては、倒れやすいとか収量が低い部分につきましても、倒れにくいような遺伝子を入れ込むということなどを今進めておりまして、まだ研究段階の途中にはあるのですが、何とかそういう技術を使いながら、10年までは行かない中で、できる限り早いところで出したいと思っています。
 いずれ、研究の途中にはあるのですが、この後、収量性あるいは耐病性、さまざまな検定がありますので、今時点でいつということは明確には申せないですが、できる限り早く出したいと考えております。
〇岩渕誠委員 岩手県の米の強みは、画一的なブランドのラインナップではなく、金色の風をフラッグシップ米にして、ひとめぼれや銀河のしずく、そして中食米のいわてっこ、これは今度投入が変わりますけれども、非常に多種多彩なブランドがいっぱいあって、しかも食味ということを押し出してやっていっているのが、岩手県の強みであると思います。
 そういう意味でいうと、フラッグシップ米をどうしていくかが一つの大きなポイントですから、そこはしっかりやっていただきたいと思います。
 先ほどから15万ヘクタールという話があったのですけれども、これを正確に言っていただきたい。平成26年には15万1、500ヘクタールあったけれども、令和5年には14万7、100ヘクタールに下がっている。一方で、農業の従事者は10年間で、8万8、000人ぐらいいたのが4万3、000人ぐらいになって、しかも今、その半数以上が70代と非常に危機的な状況であります。
 こうしたところは、必ずしも面積の拡大とか規模拡大ということではなくて、多様な担い手をしっかりやって、この14万7、000ヘクタールをどうやっていくのか、こういったことをぜひ議論の真ん中に据えて、そして、先ほど言った食料安全保障の根幹は岩手県の農業の将来にかかわる話ですので、その辺をしっかり取り組んでいただきたいと注文して、終わります。
〇千葉盛副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
   午後2時31分 休 憩
午後2時52分再開
〇千葉盛副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇はぎの幸弘委員 私は、県内における各種農業生産品目の生産技術の状況について、この1点集中で、簡潔に、早目に質問を終わらせるように頑張ります。
 まずは、県内における各種農業生産品目のうち、いわゆる主要品目と言われるものには、例えばどういう品目があって、生産栽培技術の指導状況はどうなっているのかについて確認いたします。
〇竹澤農業普及技術課総括課長 県の主要品目の栽培技術につきましてですが、県では、主要な品目につきまして、例えば、稲作栽培指針、畑作物指導指針、野菜栽培技術指針、果樹指導要項など、さらには、例えば野菜であればトマト、キャベツ、ピーマンにつきまして、それぞれの栽培技術を取りまとめて普及指導に活用しているところでございます。
 なお、この技術指針等に基づきながら、農業改良普及センターの各普及員が、普及のみならず、関係機関、団体と連携しながら農業者に対して指導を行っているといった状況でございます。
〇はぎの幸弘委員 わかりました。昨今の異常気象などによりまして、生産、栽培によるノウハウも、その状況に応じて随時更新していかなければならないと思います。それを生産者に確実にフィードバックして、高品質の農作物を安定的に、しかも大量に生産供給していかないと、バイヤーや市場の信頼を損なって、いわてブランドにも傷をつけることになりかねないと思います。
 今のお話ですと、種類ごとに、品目ごとに指針を定めてやっているということですので安心しておりますが、そういった状況変化に応じても、随時更新しているという理解でよろしいでしょうか。
〇竹澤農業普及技術課総括課長 まさにはぎの幸弘委員御指摘のとおり、やはり市場ニーズに基づいた売れる農産物づくりは極めて重要でございますので、そうした市場動向ですとか、例えば品種に応じた栽培技術を随時見直しながら、指導に当たっているところでございます。
〇はぎの幸弘委員 わかりました。安心しました。
 では次に、その主要品目以外の生産技術はどうなっているのか伺いたいと思います。といっても余りにも漠然としているので、絞り込んでいきますと、施設野菜のうち、水耕栽培、養液栽培の技術についてですけれども、実は、これは私の地元の方から相談を受けた事案でして、私も答えに窮したものですから、この場で確認いたします。
 水耕栽培、養液栽培で毎回苗を購入しているのですが、それを自前でつくることができればコストを抑えられるのにというところなのですけれども、農業普及員の方に相談したら、難しいのではないかといったお答えをいただいたが、何かないですかという相談を受けました。その点、実情はどうなのでしょうか。
〇竹澤農業普及技術課総括課長 主要品目以外の栽培技術指導につきましては、県内外の栽培技術資料や先進事例等を収集いたしまして、農業者のニーズに対して、農業者にわかりやすい資料として取りまとめて情報提供するなど、的確に対応するよう努めているところでございます。
 はぎの幸弘委員から例示いただきました養液栽培用に自前で苗づくりをすることにつきましては、例えば、苗づくりをするに当たっては、必要な施設や機械等の導入が必要になるほか、苗づくりに失敗した場合は、その野菜生産そのものができなくなるといったリスクもあるところでございます。
 このため、農業改良普及センターでは、費用対効果やリスク等を総合的に勘案しながら、農業者の所得向上に向けて指導、助言を行っているところでございます。
〇はぎの幸弘委員 ぜひそういった、ただ単に、それは無理だ、難しいで終わるのではなくて、技術というのは日進月歩ですから、せっかく生産者が補助金に頼らず自前で何とかしたいと言っている、そういった能動的な気持ちを大事にしてやっていただきたいと思います。
 地球温暖化の影響なのか、自然環境も変わっていますし、それに見合った生産技術の更新も随時行っていかないと、農業生産物の品質低下、安定供給ができないということになりますので、ぜひ、そういったところも今後しっかりとサポートしていっていただければと思います。
〇佐藤ケイ子委員 私からは、新規就農者支援の関係でお伺いします。
 さきに工藤剛委員も新規就農者の状況についてお聞きいたしました。新規就農者の状況は割愛させていただきます。
 新規就農者の育成総合対策ということで、経営発展支援事業の受給要件の中に就農5年目の所得目標250万円ということがあるわけです。それが本当に現実的にクリアできる金額なのかどうかということであります。
 先ほどの質疑でもありましたが、農家の平均所得は大変低いということ。全国の平均所得でも、これは令和元年度の農林水産省の数字ですけれども、農業所得の平均は121万円と出ていて、この新規就農者が5年の中で250万円を目指すということは、まず無理ではないのか。こういうことを計画できるのは、どういう場合に計画できるのかと大変疑問に思って、私に相談された方がいます。
 これは、計画はそうやって出したけれども、計画達成できなかった場合、その補助金とかはどうなるのかお伺いいたします。
〇竹澤農業普及技術課総括課長 就農5年目の所得目標についてでございますけれども、県では、農業経営基盤の強化の促進に関する基本方針におきまして、就農5年後の所得目標について、就農後間もない他産業従事者と同程度の所得である250万円を指標としておりまして、これは東北地域のほかの県においても同等の水準となっております。
 また、佐藤ケイ子委員から御指摘のありました国の新規就農者育成総合対策における経営発展支援事業の受給要件においても、農業経営を開始して5年後までに、農業で生計が成り立つ所得として250万円を達成することを成果目標として設定しているところでございます。
 こうした目標につきましては、達成できなかった場合においても特段のペナルティーはございませんけれども、県といたしましては、新規就農者が早期に経営を確立し、地域の担い手として定着できるように、関係機関、団体と連携しながら積極的に支援を行っていきたいと考えております。
〇佐藤ケイ子委員 言っていることはわかります。農業で自立して生活したり、そこで定着したりするためには、やはり所得は確保しなければならないというのは、それはそのとおりです。ですが、現実的にはそういうことができないというのがあって、この要件、これは多分国の要件なのでしょうけれども、本当に現実に合っていない部分がある。農業を目指す方であれば、親元就農でも、今はいろいろ制限があります。同じ作物は対象外とか規模を拡大しなければならないなどといったこともあるのですが、そういう親元就農の制限とか、この新規就農の250万円の制限とかがあります。
 やはり、国の制度も変えていかなければ、なかなか新しく農業に入ろうという方々ができないのではないかと思っておりまして、ぜひ、いろいろな制度改正も行ってほしい。また、市町村でも、この国、県の基準ではなかなかできないというので、独自の基準で補助、支援をやっているところもあります。本当に現実に即した支援の制度につくり直してほしいと思っております。
 それで、新しく農業を始めようとする若い方々には、有機農業を目指そうという方が多いということであります。この有機栽培を目指す方々に対しての支援はどうなっているのでしょうか。もちろん、250万円の所得を得られるなどということはできないですし、それから、認定の研修機関、農業大学校とか農業農村指導士という認定される方から指導を受けるわけですけれども、その適切な人材がいるのかどうか。
 有機農産物アドバイザーが、ホームページを見ると県でも45人いるようです。でも、うち栽培管理の経験者は10人程度しかいないというのがホームページに掲載されています。そうすると、有機農業を現実的にやれるのかという問題がありますけれども、どうでしょうか。
〇竹澤農業普及技術課総括課長 有機栽培を志向する者への支援ということでございますけれども、まずは、県では、有機栽培を志向する者を含めまして、広く就農希望者に対しまして、先ほどの答弁にもありましたが、研修受け入れ先のあっせんや、年間最大150万円が交付される就農準備資金、経営開始資金等の情報提供などを行っているところでございます。
 また、技術の指導につきましては、これも佐藤ケイ子委員からございました有機農産物等アドバイザーの派遣によって技術習得を支援しているほか、就農希望者の実践研修を受け入れて、地域への就農、定着を積極的に支援する経営体を県知事が新規就農者受入経営体として登録しております。ただ、数は決して多くないのですが、有機農業につきましては、現在、農業農村指導士を含め五つの経営体が登録されておりまして、そこにおいて適切な指導が行われているものと認識しております。
 一方で、委員から御指摘のありました、有機栽培を目指す者が250万円を確保するのは非常に厳しいというのは、私も認識しております。ですので、ぜひとも一般栽培、慣行栽培に有機栽培を取り入れながら、徐々に、技術習得に応じて有機栽培を広げていく、そうしたことで確実に250万円なりの所得を確保できるようにといったことを農業改良普及センターでも指導させていただいております。
〇佐藤ケイ子委員 そうなのです。机上の空論みたいな感じです。
 実際に、私が20年来おつき合いしている方がいるのですけれども、北上市と奥州市の境に移住してきて、自給生活をやりながらずっと有機農業をやっている方ですが、今、そこにオーガニック農業を研修したいというので、結構県内からも他県からも来るのだそうです。だけれども、こういった支援の制度は全く受けられない。それから、もちろんその方は、有機農産物アドバイザーにもなっていない。だけれども、やり方が非常によくて、里山学校とかオーガニックフェスタとかをやって、かなりこだわっている方々がたくさん集まってきている。そこに研修生としても集まってきているということなのです。
 だから、やりたい人はいっぱいいるし、半農半Xでさまざまな取り組みをやっている人がいるので、ぜひ応援する仕組みをつくってもらえないかと思っています。
 県内各地に有機農業をやっている方々はいますけれども、それぞれ独自に個人的にやっていますから、そういった方々をつないで、そして、意見をまとめたり、政策につくり直していくというのが必要ではないかと思っていました。
 国でも、今度、環境負荷軽減を義務化するということで、農業の転換を図るような環境負荷低減のクロスコンプライアンスなどをやるというものがあるのですけれども、本当に転換期だと思っております。
 本当に、有機農業を進めるために、県は有機農業の戦略を立てているのかどうか。どうも乏しいと思っておりまして、そうした政策を練ってほしいと思っているのですけれども、どうでしょうか。
〇竹澤農業普及技術課総括課長 有機農業の戦略といったところでございますけれども、県では、昨年度末、市町村と共同で策定いたしました岩手県環境負荷低減事業活動の促進に関する基本的な計画の中に、有機農業の推進についても掲載させていただいているところでございます。
 具体的には、先ほど佐藤ケイ子委員からの御指摘がありました、例えば、やる気のある方が、なかなかその勉強をする場がないといった意見も聞いておりましたので、来年度は、岩手県有機農業連絡協議会と連携いたしまして、技術交流会といったものに新たに取り組もうとしているところでございます。
 また、こうした協議会との連携、さらには、先だっての報道にもありましたが、有機JASの協議会も発足されましたので、こうした方々とも密接に連携しながら、本県の有機農業を着実に展開していくように取り組んでいきたいと考えております。
〇佐藤ケイ子委員 よろしくお願いします。
〇畠山茂委員 私からは3点ほど通告しておりましたけれども、重複している部分もあるので、そこは省略しながらお聞きしたいと思います。
 まず1点目、鳥獣被害防止総合対策事業費3億4、800万円についてお聞きしたいと思います。
 この事業は、前年比で事業拡大するということで、野生鳥獣による農作物被害を防止するため、それから、有害捕獲や電気柵等の侵入防止策の設置などの支援に加えて、新たに、シカ特別対策に対する経費の補助もする事業ということで予算に関する説明書に書いてありました。
 今、現場では、農業、林業を営んでいる方々から、被害でもう商売にならない、廃業も考えているなどという切実な声もいただいております。加えて、市町村要望に行きますと、必ずこの項目が出てきます。
 鳥獣被害は年々増加していますので、ぜひ、県全体で力を入れて取り組むべきだと昨年の決算特別委員会でも指摘しましたけれども、市町村間で補助金等の金額を見ても千差万別です。
 そこで、改めて、県として何らかの指針を持って取り組むべきではないかと私は思っているのですが、県の認識をお伺いしたいと思います。
〇伊藤担い手対策課長 野生鳥獣による農作物被害対策についてでございますけれども、まず、鳥獣被害防止計画については、鳥獣被害防止特別措置法に基づきまして市町村が策定できるとされており、県内の市町村においては、野生鳥獣の種類別被害状況など、地域の実情に応じて計画を作成し、有害鳥獣の捕獲や侵入防止柵の設置、地域ぐるみでの被害防止活動などの取り組みを進めているところでございます。
 また、有害鳥獣の捕獲につきましては、国の交付金に加えまして、市町村がそれぞれの事情に合わせ、有害鳥獣捕獲の実績などを考慮しまして報奨金を支払っていると承知しており、県として、統一的な防止計画や報奨金の指針を示すことは難しいと考えております。
 ただ、県としましては、国庫事業を活用しまして、市町村の実情に応じた鳥獣被害防止計画に基づく取り組みを支援しますとともに、本年度は、久慈地域や遠野地域で鹿等の広域捕獲活動に取り組みましたほか、市町村等を構成員とします鳥獣被害防止対策会議を設置しておりまして、その中で、現地の被害状況や捕獲の優良事例、新たな被害防止技術の情報などを共有してきたところでございます。
 また、市町村と連携した被害防止対策を強化していくために、畠山茂委員から今お話がございました、新たに市町村等が実施する鹿の集中捕獲などの特別対策に要する経費を令和6年度当初予算案に盛り込んだところでございまして、今後とも、市町村、関係団体と連携しながら、野生鳥獣による農作物被害が低減するよう、県としても積極的に取り組んでまいります。
〇畠山茂委員 ホームページを見ますと、農作物の被害は、令和4年度で見ますと4億7、000万円から6、000万円ぐらい増加して、年々増加しているというのがわかりますし、それから、鳥獣被害防止総合対策は、先ほど説明があったとおり、各市町村でつくっていまして、この事業評価の報告をホームページで見ると、目標未達の自治体が大変多いと見ていました。
 そこでお聞きしたいのは、具体的に対策として、例えば猟銃であったりわなであったり防止柵だったり、あるいは、最近だと全国ではICTを活用したいろいろな対策も広まっているのですけれども、県レベルで、市町村のレベルアップを図るためにも、例えば、県が主催して、あるいは連携した団体と共催した研修などの取り組みもしながら、県全体で何とか捕獲の力や防止策の力をつけるべきだと思うのです。そういった取り組みはなさっているのか、お聞きしたいと思います。
〇伊藤担い手対策課長 先ほど御答弁申し上げました県の対策会議の中で、いろいろな各地の取り組みの事例等を共有しているわけですけれども、ことしは、新たに県内10地域に現地対策チームを設置しております。その中で、いろいろ勉強会や新しいわなの実証、あとは、わなにかかった動作を確認するような、ICTを活用したわなも新しく実証を進めておりまして、その実証経過について、そういった対策会議の中で情報共有を図っているところでございます。
 いずれ、今後も、特にそういった新しい技術、新しいわなの種類といったものを迅速に県内に普及していきたいと思っておりますので、こうした会議等の場を通じて、市町村初め関係団体に周知していきたいと考えているところでございます。
〇畠山茂委員 いずれにしましても、一般の方々もそうですけれども、本当に農業、林業をやっている方が、被害で大変苦しんでいるのはそのとおりなので、これからもよろしくお願いしたいと思います。
 それから、二つ目に移ります。二つ目は有機農業を通告していましたけれども、ここは佐藤ケイ子委員が今、詳しくやりましたので、ここは省略したいと思います。
 3点目に移りますけれども、農林水産物の輸出拡大について、これも通告していましたが、午前中に佐々木朋和委員がやりましたし、きのうの商工労働観光部でも議論されました。多分答弁は同じだと思うので、この点はぜひ力を入れて頑張ってもらいたいと思います。
 その中で1点だけお聞きしますけれども、新規事業で、いわての食財海外販路開拓・魅力発信事業費1、500万円を計上しているのですが、新しい事業として、どのような取り組みをして拡大に向けてやっていくのか、その点だけお聞きしたいと思います。
〇似内流通課総括課長 いわての食財海外販路開拓・魅力発信事業費の取り組み内容ということでございます。
 本事業につきましては、県産農林水産物の輸出力強化、海外への販路拡大を図るため、有望市場であります北米地域におきまして、在外公館等と連携したレセプションや現地小売店でのフェアの開催等を行うトップセールスのほか、現地バイヤーの産地招聘による商談会を実施することとしております。
 この事業につきましては、昨日審査がございましたけれども、商工労働観光部と緊密に連携して取り組むこととしております。
〇斉藤信委員 では、最初に物価高騰対策についてお聞きいたします。
 2020年比の肥料、飼料、燃油、その他農業資材の物価高騰の実態と農家への影響額について示してください。
〇佐々木農業振興課総括課長 農業資材の物価高騰の実態と農家への影響額についてでございますけれども、国が実施している農業物価統計調査では、令和2年、2020年を基準年とした場合の本年1月時点の農業物価指数を見ますと、総合物価指数が120.5、肥料が135.0、飼料が144.5となっております。
 また、原油価格につきましては、国の調査によりますと、本年1月時点の東北地方におけるA重油の価格は、1リットル当たり103.0円と高騰前の令和2年と比べて46%上昇しております。
 影響額につきましては、生産する作物や経営規模などによりまして、経営体によって生産資材の使用状況が大きく異なることから、また、個々の経営努力も加味しますと、影響額全体をお示しすることは難しいものでございます。
〇斉藤信委員 いずれにしても物価高騰の影響が続いている。農家に極めて大きな打撃を与えていることは、はっきりしていると思います。
 そこで、私は決算特別委員会でも取り上げたのですが、酪農農家の減収の実態と対策を示していただきたい。決算特別委員会のときに、成牛100頭、子牛20頭を飼育している畜産クラスターで規模拡大した農家が、月150万円、年間1、800万円の赤字だということです。国、県、市町村の補助があって、それを差し引いても1、200万円の赤字。結局、月100万円の赤字です。そして、昨年から、実は畜産クラスターの償還が始まって、月150万円だというのです。
 これは本当に大変な事態で、100頭規模の乳牛というのは、岩手県の酪農の中でも本当に中心を占める方々だと思うのですが、どのように畜産農家の減収の実態を把握し、対策はどうなっているのか。酪農農家戸数の推移も含めて示していただきたい。
〇高橋振興・衛生課長 酪農家の減収の実態と対策、酪農家戸数の推移についての御質問であります。
 飲用向けの生乳価格が令和4年11月と令和5年8月に段階的に引き上げられ、1キログラム当たり合計20円引き上げられたものの、配合飼料価格は高い水準で推移しております。
 こちらの状況を農林水産省が示しております畜産物生産統計で計算してみますと、まず、畜産物生産統計の最新値、令和2年の統計値として、搾乳牛1頭当たりの収支として約25万円と示されております。こちらは、農産物物価統計値の令和5年の数値が公表されておりますので、畜産物生産統計の公表値に農産物物価統計の公表値を単純に掛け算して出した数値でお示ししますと、搾乳牛1頭当たりの収支が約5万円となっておりまして、20万円の減ということが計算できております。このように、生産コストの増加が、酪農家の経営に影響を与えていると認識しております。
 県ではこれまで、酪農家の経営安定に向け、飼料等の価格上昇分を補填する国事業の活用を積極的に進めるとともに、県独自に、累次の補正予算により飼料や肥料の購入費、酪農経営への影響を緩和するための支援を実施しています。
 また、先ほど償還のお話があったところですが、県では、畜産経営の資金繰りに重大な支障が生じないよう、日本政策金融公庫盛岡支店ほか県内の金融機関に対し、適時適切な貸し出しや既往債務の返済猶予など、実情に応じた十分な支援を行うことを令和4年から繰り返し依頼しているところでして、金融機関からは、可能な限り相談に応じて対応していると回答をいただいているところです。
 県内の酪農家戸数については、国の統計によりますと、令和5年2月1日時点で728戸と、資材高騰前の令和2年と比べ約100戸の減少となっております。
〇斉藤信委員 今、令和2年と令和5年の収支が1頭当たり20万円減少している。ですから、これは100頭当たりだと2、000万円の減少になるのです。
 確かに国も対策、県も市町村も対策をとっているけれども、恐らくこれは半分も補填されていないのです。さっき私が言ったように、去年の段階だと100頭規模の酪農家で、合わせて600万円程度なのです。
 だから、私は農業の専門家の論文を見ましたけれども、1頭当たり10万円の支援策がないと酪農はもたない。1頭当たり10万円というのは、総額だと740億円なのですね。国レベルで考えたら、そんなに途方もない額でもない。
 私は、本当にそういう規模で支援策を講じないと、今、全国の、そして岩手県の酪農はもたないのではないかと思いますが、いかがですか。
〇高橋振興・衛生課長 酪農家への支援についてでありますが、先ほども答弁いたしましたとおり、県独自に、累次の補正予算により飼料等への購入費等、酪農経営への影響を緩和するための支援を実施しているところでありまして、まずは、これまで措置した支援を迅速かつ確実に実施するよう取り組んでまいりたいと考えております。
 また、県では、化学肥料の使用量を低減する堆肥等の活用や、飼料基盤を積極的に活用した自給飼料の生産拡大を推進するとともに、乳量の増加や乳質の改善等の生産性向上に向けた取り組みを支援しております。農業改良普及センターの職員が、酪農家を個別に訪問して、まず、経営の状況をお聞きしながら、例えば、経営計画の見直しや資金繰りの相談に応じているほか、生産性向上に向けた技術の指導などにも相談に応じて対応しているところであります。
 このような形で、生産者の声を聞きながら、寄り添った支援をしてまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 立ち入って言いますけれども、乳価が確かに2回、20円上がりました。1.8リットル当たりのパックで今250円を超えているのです。ですから、昨年は牛乳の使用量が一番減ったのです。だから、価格転嫁は大事だけれども、しかし、価格転嫁をすれば需要が減る、これもまた現実なのです。だから、価格転嫁とあわせて消費者に負担がかからないような支援策でないとだめなのです。
 そして、今足りないのはチーズなのです。全体は今、畜産クラスターをやって、逆に生産量がふえてしまった。ところが牛乳は余っているという、本当にちぐはぐな対策になっています。
 今、不足しているチーズを国産に転換すれば、かなりの程度、今余っている生乳の利用はできる。これは私が言っているのではなく、専門家が言っていることです。そういう対策を、これは輸入を減らさなければだめです。輸入のチーズを減らしてそういう対策をとれば、今の需要と供給の関係では解決できるのではないかと私は思います。だから、必要な支援とあわせて、今、生乳は余っている状況ですから、この対策をしっかりとる。
 もう一つ指摘しておきたいのは、政府がやったのは何かというと、バターが足りなくて生産増大だといって、余ったら乳牛を殺せ、1頭当たり15万円と、こんなことをやっているわけです。しかし、規模拡大した農家は、減らしたら借金を返せなくなる。
 これは本当にお粗末な対策で、岩手県ではどのぐらいの農家が15万円の申請をしたのかもあわせて示してください。
〇高橋振興・衛生課長 国の酪農経営改善緊急支援事業についての問いと思ってお答えします。
 本事業は、生乳の需要と供給の差である需給ギャップを改善するために、生産者が早期に乳用の経産牛をリタイアさせて、一定期間、生乳の生産抑制に取り組む場合、生産者団体等の一定の負担を要件に奨励金を交付する事業となっております。
 本県では、令和5年3月から9月までの第1次取り組み期間には、32頭に対して奨励金が交付されたところですが、令和5年10月から令和6年3月までの第2次取り組み期間に対する要望はなかったと聞いております。
〇斉藤信委員 わかりました。国の施策は受け入れられていないということだと私は思います。そうではなくて、安心して牛乳生産ができるような施策こそ必要だということを指摘しておきたいと思います。
 そして、12月定例会で、経済対策に対応して酪農家への支援策をやりましたが、厳密に言うと、これは昨年度の半年分なのですよ。だから、今まで議論があったように来年度の対策はないわけです。だから私は、せめてこれまでの取り組みは継続して、さらに拡充しないともたない。そういう点で国の責任が本当に一番問われている。
 これを本当に実現させないと、来年度は何もありませんということでは、農家を見殺しにしますので、その点は農林水産部長に聞きます。来年度何もなかったら、これは本当に見殺しになると思うのだけれども、その点いかがですか。
〇藤代農林水産部長 物価高騰対策についてでございます。
 振興・衛生課長が答弁しているとおり、これまで肥料、飼料の価格上昇分につきましては、国事業の活用とともに、県独自に累次の補正予算を組みながら、肥料、飼料の上昇分の購入費の支援あるいは生産コストの低減に向けた機械導入、あるいは省エネ対策といったものを進めてきたところでございます。
 昨年度の実績を見ますと、飼料で30億円弱ぐらいの交付金を措置してきているところでございまして、これについては、令和5年度の第4・四半期分については、令和6年度6月までに支払うという形で今動いていますので、資金繰りとすれば、6月までは何とか生産者に一定程度の資金が届く形で支援できるかとも捉えております。
 また、令和6年度の対策につきましては、従来より、国の交付金等を活用しながら県独自の支援も組んできたところでございますので、先ほどの岩渕誠委員に答弁申し上げましたとおりですけれども、こういった現在の生産者の状況も踏まえながら、国にしっかりと対策を求めていきたいと考えているところでございます。
〇斉藤信委員 わかりました。ぜひ、これはしっかり国にも求めてやっていただきたい。
 次に、米の問題について私もお聞きしたいと思います。
 先ほどの答弁で、令和5年度の生産費も独自に試算して、3ヘクタール以上のところは成り立つという答弁がありました。私は、独自試算したことは評価をしたい。しかし、この試算は本当に正確なのかという疑問符がつきます。
 一つ、販売額となっていますが、これは相対取引の価格ですね。これが農家にストレートに入るのですか。
〇吉田水田農業課長 相対取引価格でございますけれども、こちらにつきましては、全て農家に入るものではなく、流通経費等も含まれたものとなっております。
〇斉藤信委員 そうすると、販売額と生産費を比較するのは正確ではないです。流通経費は何%ぐらいになっているのですか。それを差し引かないと生産費と比較できないではないですか。
〇千葉盛副委員長 答弁できますか。
 時間をとめてください。
 答弁できますか。
〇照井農政担当技監 米の部分につきましては、概算金が大体そのくらいでございまして、それとの部分が流通経費としても含まれているという形で考えております。
〇斉藤信委員 せっかくこうやって試算するなら、やはり流通経費があるというのだから、その流通経費が何%で、それは統計でも大体わかるでしょう。それを差し引いて生産費と比較しなかったら、それだけでも全く正確ではないと思いますよ。
 それで、私は決算特別委員会のときにも紹介したのですけれども、令和5年産米で、農業新聞がアンケートをやった集落営農法人調査、これは10月24日付でした。コスト高騰に見合う農家手取りの米価は60キログラム当たり1万4、000円以上でないともたない。集落営農法人というのは大規模農家です。大規模農家でさえ1万4、000円以上ないともたないというのが、農業新聞のアンケートだった。1万4、000円ということになったらどうなりますか。
〇伊藤担い手対策課長 県では、昨年12月から本年1月にかけまして、主食用米の生産を中心とする集落営農法人13経営体でございますけれども、農業普及員による聞き取り調査を行ったところでございます。令和5年産の、まず10アール当たりの生産費を見ますと、令和2年産と比較して、肥料費が平均で約4割、農薬費が約1割増となっている実態がつかめたところでございます。
 調査した経営体におきましては、令和5年度の所得で見ますと、令和2年度と比べ減少となる見込みの経営体がある一方で、米価が上昇したこと、それから、作業の効率化による労働費の削減に一生懸命取り組むなどして、いわゆる個々の経営努力によりまして、令和2年度と同等以上の所得を確保できる見込みの経営体もあるとつかんでいるところでございます。
〇斉藤信委員 私はしっかりした資料に基づいて聞いているのだから、そんな抽象的な答弁では答えにならないでしょう。これは、大規模農家の実態調査をしたらすぐにわかることです。もう確定申告をしているのだから。
 最後、食料・農業・農村基本法案についてお聞きします。
 これは、食料安全保障というのが最大の目玉です。ところが、食料安全保障はどう定義されているか。国民一人一人が良質な食料を安定的に入手できる、これが食料安全保障だというのですよ。いわば、国内の生産で国民の安定した食料を確保するという、食料自給率を向上させる、この立場が消えてしまった。
 私は、これが一番の大問題だと思いますけれども、最後に農林水産部長に、新たなこの基本法案は何が問題か、答えていただきたい。
〇藤代農林水産部長 食料・農業・農村基本法の問題点というお話でございます。
 今般の基本法の改正につきましては、前基本法の制定から20年以上が経過して、食料需要の増加あるいは供給の不安定化、カーボンニュートラルといった状況変化を捉えまして、食料安全保障の確保、環境と調和のとれた食料システムの確立、農業の持続的な発展のための生産性向上、あるいは農村における地域社会の維持等を図るためというような形で見直すという動きになったところで、見直しするというところは評価できると捉えているところでございますが、先ほど来ありましたとおり、国内生産を拡大するということをうたっておりますので、農業者が、将来にわたって意欲を持って生産活動できる施策の充実を図っていただきたいと捉えているところでございます。
〇斉藤信委員 国内生産を拡大するというのは一言だけで、中身がない。全く中身がないのです。それでなくて、歯どめなき輸入自由化、価格保障、所得補償の削減、廃止、市場任せの農政。これでは、今の深刻な状況の日本の農業、国民の食料を確保することができない。この点でしっかり岩手県も物を言うべきだと、このことを指摘して、やめます。
〇田中辰也委員 私は、県北地域の米の新品種についてお尋ねしたいと思います。
 午前中に佐々木朋和委員から触れてもらったのですけれども、その中で、やはり新しいものをつくるのはいいのですが、それをどのように売って、皆さんに買ってもらうかという視点も必要なのではないかという問題点を持って質問するものであります。
 今、県北地域で推奨されていますいわてっこですが、コロナ禍前においては、関西圏の主に飲食店を中心に非常に好評を得ていたと記憶しているものでございますが、これから売り出そうとしている新品種については、どのような購買層をターゲットとして販売を考えているのか。
 また、今の品種のいわてっことどのようなすみ分けをするのか、または置きかえをしていくのか、現時点での構想について伺いたいと思います。
〇和泉流通企画・県産米課長 県北地域向けの新品種についてでありますが、県北地域の生産者から、いわてっこ以上の良食味と収量性を持った品種開発の要望を受け、県では、新品種、岩手141号を令和6年に奨励品種に採用したものであります。
 また、その販売先については、いわてっこの主な販売先となっている業務用が中心となると想定されていますが、具体的な購買層など販売先などについては、今後、関係機関、団体とともに検討を進めることとしております。
〇田中辰也委員 これからの検討ということでしたけれども、今、もう既に当然作付の試験等は進めているのだと思うのですが、どのようなところで今、作付試験をやっていて、どのような状態で、実際、一般に作付して売り出しができるのは、どの程度の時期を目指してやっているのかというところまで、わかる範囲で教えていただきたいと思います。
〇吉田水田農業課長 岩手141号についてでございますけれども、令和5年度につきましては、県北地域の久慈市、軽米町で試験的な栽培をしたところでございます。
 来年度につきましては、今の予定でございますけれども、県北部、それから、県中部の標高が高いところ等で、10市町村で12カ所程度のモデル圃場を設置する見込みとなっております。
 あと、市場デビュー、本格販売の年になりますが、まだ、これから面積等については検討していくところですが、最短で、今年度モデル圃場で栽培して、再来年度、令和7年度に市場デビュー、本格販売ができればと考えているところでございます。
〇田中辰也委員 そうすると、順調に行けば、令和7年の春に作付をするというイメージでよろしいのでしょうか。
〇吉田水田農業課長 順調に行けば令和7年度に本格作付が始まることになります。
〇田中辰也委員 順調に行って、うまく評価を得られるようになってもらえればいいと思うのですが、私が心配しているのは、今、いわてっこを作付しているところも置きかわるイメージなのか、一定程度は両方置きながら様子を見ながらやるということなのか。その辺について、令和6年度である程度の拡大をしてみて、それぞれ12カ所の圃場でやるということですので、その中の状況を見ながらの判断にはなろうかと思うのですが、開始当初としてはどういう目的でやるのか。
 飲食店向けというのであれば、令和6年度にやった分を、ある程度食べてみてよという形でもやるのかどうかとか。その辺でやらないと、売れるか売れないかが非常に心配なところだと思うのですが、その辺については、農家の心配解消も含めて、どのような形で進めようとされているのか、お願いします。
〇和泉流通企画・県産米課長 令和6年度の取り組みについてですけれども、モデル圃場で栽培されたものにつきまして、卸売業者などを通じまして、まずは、いわてっこの主な販売先などにサンプル米とか試食用として配布したりとか、実際その反応を見まして、どういう評価がいただけるのか。そういった評価をもとに、関係機関、団体とさまざま議論しまして、令和7年度の販売の対応について議論していきたいと考えております。
〇田中辰也委員 県北地域としても非常に期待のかかる新品種ですので、できるだけ農家の所得向上につながるような、また、魅力につながるような品種改良という形で市場デビューしていただきたいと思っていますので、今年度の試験等に大いに期待をしながら、頑張っていただくことを要望いたしまして、終わります。
〇千葉盛副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇千葉盛副委員長 質疑がないようでありますので、これで第1部農業関係の質疑を終わります。
 次に、第2部林業、水産業関係について質疑はありませんか。
〇岩崎友一委員 初めに、ギンザケの卵の関係です。
 先般、新聞に掲載されておりましたけれども、県内で生産、供給する体制が整えられたということでありますが、これの現段階での出荷状況はどのようになっているのか教えてください。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 ギンザケの種卵のこれまでの出荷状況でございますが、海洋環境の変化等によりまして、サケなど主要魚種の極端な不漁が続く中、地域の水産業振興に向け、サケ、マス類の海面養殖など、海洋環境の変化に左右されにくい安定的な魚類の養殖業を進めていくことが重要でございます。
 県内では、久慈市、宮古市、大槌町など6地区におきまして、サケ、マス類の海面養殖が行われており、生産量が拡大しておりますが、さらなる拡大に向けては、海面養殖用種苗の安定的な確保が必要な課題となっております。
 県では、令和4年度から、さけ、ます海面養殖イノベーション推進事業費によりまして、海面養殖に適したギンザケ、サクラマスの県産卵の効率的な生産技術の開発や種苗の生産体制の構築に取り組んでおります。
 県内水面水産技術センターでは、当該事業によりまして、岩手県内水面養殖漁業協同組合を通じまして、県内7養殖業者に対し、令和4年度には156万粒、令和5年度には136万粒のギンザケの種卵を供給しております。
〇岩崎友一委員 これから県としても海面養殖をふやしていくという中で、これまで卵を北海道からの購入や輸入に頼っていた分が、県内生産になることによって、事業者は卵をこれまでと比べてどのくらい安価に仕入れることができるのか、わかれば教えてください。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 県内生産への切りかえについてでございますが、ギンザケの種卵は、海外からの移入のほか、国内においては大部分が本県と北海道で生産されておりますが、県内での生産は、北海道からの購入と比べ2割程度安く抑えることができます。
 また、種卵の輸送は、発泡箱に詰められて宅配の冷蔵便で行われており、県内での調達により北海道から本県への輸送コストの低減が図られます。
〇岩崎友一委員 これは輸入のものと比べた場合はどうなりますか。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 海外からの移入との比較に関する資料を持ち合わせていないのですが、北海道卵の場合は1粒当たり6.5円、それに対しまして県産卵の場合は5.0円とされております。
〇岩崎友一委員 ぜひ、これからギンザケの海面養殖をやっていく中で、どんどん拡大していかなければなりませんから、こういった卵も安価に―安価にといっても、生産者もしっかり報われるような仕組みでなければなりませんが、できるだけ安価に仕入れることによって、各地の漁業協同組合でさらなる広がりができることを期待したいと思います。
 今はギンザケの話でしたけれども、先ほどの答弁にもありましたがサクラマス、そして、県内でもトラウトサーモンをやっている漁協も多いわけですが、この種卵生産に係る県の考え方、今後の研究の方針等がありましたらお示しください。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 サクラマスとトラウトサーモンの種卵生産についてでございますが、県では、内水面水産技術センターにおいて、海面養殖魚種としてニーズの高いギンザケとあわせて、他産地との差別化のため、希少性が高く本県海洋環境にも合った本県産オリジナルのサクラマスの養殖用種苗の生産に取り組んでおりまして、令和4年度から養殖業者へ約25万粒、令和5年度には約80万粒を試験的に供給し、種苗の品質や成長の度合いを確認しております。
 また、来年度におきましては、販売供給体制を構築し、県内養殖業者に対しまして約120万粒を販売する予定としておりまして、今後、生産を拡大していきたいと考えております。
 なお、トラウトサーモンの種卵の生産につきましては、魚病対策の技術的な課題や県内水面水産技術センターの施設規模などの問題をクリアする必要があり、当面は、ギンザケとサクラマスの生産体制を確立することを優先していきたいと考えております。
〇岩崎友一委員 わかりました。ぜひお願いしたいのは、例えば、養殖業者がトラウトサーモンの種卵生産をこれから始めようとなった場合に、現段階では支援策のようなものはないかと思うのですけれども、今後、例えば、トラウトサーモンの生産拡大を養殖業者が独自でやろうといった場合の補助など、そういった考えはお持ちなのでしょうか。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 現時点におきまして、養殖業者に対する養殖生産の補助はございませんが、サケ、マスふ化場の施設の有効利用の観点から、トラウトサーモン用種苗の生産についての拡大は沿岸地域で始まっておりまして、そういった形での生産規模の拡大に向けた支援といったことは、今後考えていきたいと思います。
〇岩崎友一委員 ぜひ、そこはお願いしたいと思います。今、やれる部分、できている部分もあるかと思いますが、やはりトラウトサーモンの部分が、生けすの関係が制限されているということで、そういった部分に補助もお願いしたいですし、生産に係る研究に関しても、ぜひ、県として支援をお願いしたいと思います。
 二つ目に、磯焼け対策についてお尋ねします。
 この磯焼け対策は、ハードではなくてソフトの関係で、端的に言えば、ウニの間引きが中心になりますけれども、これに関しては、今、各市町村の単独事業が中心かと思いますが、対策を講じていると思います。ただ、これは広域的、県内全域の浜の課題でありますので、やはりさらなる広域的な支援が必要かと思います。
 県として、例えば、磯焼け対策をする事業者あるいは漁協に対して、さらなる上積みの補助などをやっていくべきではないかと思いますが、いかがですか。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 磯焼け対策についてでございます。
 県内では、藻場の保全、再生に向けまして、漁業者や地域住民、漁協等で構成いたします活動組織が、ウニの間引きや昆布等の養殖技術を応用しました海中林の設置などの取り組みを行っておりまして、県では、市町村と連携しながら、こうした地域の活動を支援しております。
 県内各地では、漁業者を中心に磯焼け対策に向けたさまざまな活動が行われておりますことから、県では、ことし1月に、藻場の保全、再生に取り組む漁協や市町村等を参集した意見交換会を開催したところ、55名の参加があり、取り組み状況や成果について活発な意見交換が行われたところです。
 県といたしましては、引き続き、各地で効率的な藻場が再生できるよう各地区の取り組み事例を共有する場を設けるとともに、国に対しまして、必要となる事業予算を安定的かつ十分に措置するよう要望するなど、市町村や関係団体と一丸となって取り組んでまいります。
〇岩崎友一委員 国に要望するのは要望するということで、やはり今、磯焼けがかなり大きな問題になっておりまして、その対策に関しては市町村間でも結構ばらつきがあって、何町はやっている。何市はやっていない。ぜひ市長に言ってくれ、町長に言ってくれ。県も、広域的な課題だから、お金をもっと出したらいいのではないかといった漁業者の声も聞いております。
 そういった観点から、財政的な支援や、あともう一個言えば、やはり間引きをするのに苦労するのがダイバーの確保です。各市町村、漁協で取り組んでいても、ダイバーの確保が大きな問題でありますから、そういった部分を、県が中心となってダイバーを集めて派遣するなど、さらなる取り組みの強化を求めたいのですが、いかがでしょうか。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 県内では、約25団体がこの藻場再生の取り組みを行っております。ただ、各団体の規模、取り組み内容はまちまちでございまして、これに対しまして、国の水産多面的機能発揮対策事業で対応している地区、あるいは担い手育成基金の助成事業でやっている箇所、それから、広域振興局の地域経営推進費で実施しているところもございます。
 活動組織の意向を聞きながら適切な支援を検討していきたいと考えます。
〇岩崎友一委員 ぜひお願いします。
 せっかくですので、財政課総括課長がおりますからお尋ねしたいのですが、御存じだと思いますけれども、海藻は二酸化炭素を吸収するということで、まさにブルーボンド、グリーンボンドの用途としてはふさわしいのではないかと思うのですが、財政課の見解をお聞かせください。
〇佐藤財政課総括課長 岩崎友一委員御指摘の点は、そのとおりだと思います。今年度、ブルー/グリーンボンドを発行して、非常に反響が大きかったので、そういった用途についても、委員御指摘の意見を踏まえて検討していきたいと思います。
〇岩崎友一委員 ぜひよろしくお願いします。森林も二酸化炭素を吸収しますけれども、海藻はそれ以上に吸収するというデータもありますので、御検討をお願いしたいと思います。
 意見交換されたと言いましたけれども、やはり県内ではいろいろな取り組みがあって、カゼ―ウニの間引きをして、間引きしたカゼをさらに蓄養して、年中出荷できるような体制を整えようという動きもあるかと思います。
 東京都には、まさにそういった取り組みをしたウニノミクス株式会社というものがあるのですが、まさに間引きしたカゼを買い取って、蓄養して、またそれを商品化して売るという会社なのですけれども、ぜひ県内で、さまざまな漁協でそういった年中出荷できるような体制を整えれば、これは漁師にとっても漁協にとってもプラスになると思います。
 ぜひ、そのいい取り組みを全県的に共有して広げていっていただきたいと思いますが、そういった方向で進めていただけますでしょうか。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 ウニの間引き出荷については令和元年度からスタートしましたが、現在、取り組む地区は12地区に広がっております。それぞれで間引きしたウニに餌を与え、身入りをよくして、ウニの旬は夏ですが、年末の値段の高い時期に一定の品質で出せることが明らかになって、取り組みが広がっております。
 また、昨年度は、県の事業によりまして漁港内での蓄養をして、しけなどで漁獲できないときでも出荷できるような、ストックするような取り組みのマニュアルづくりなどを実施したところでございます。そういった成果も全県に広げながら、より一層拡大していきたいと考えます。
〇岩崎友一委員 よろしくお願いします。
 最後の質問になりますが、新たな魚種を生かした水産振興、漁業振興についてお伺いします。新規事業では、水揚げが増加しているサワラ等の販路、物流モデルの実証実験を行うとありますが、これは具体的に何を行うのでしょうか。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 販路、物流モデルの実証についてでございます。
 近年増加傾向にあるウニや、あるいはこれまで使用頻度が低かったサワラなど、南方系の魚種を対象といたしまして、高鮮度での流通の実証あるいは販路の開拓、拡大に向けた調査によりまして、新たなビジネスモデルを構築し漁業者等の収益向上を図ろうとしております。
 今年度は、漁協や流通業者等からコンペ方式により企画提案を募りまして、4事業者を選定し、国内外での新たな販路、物流の開拓に向けた試験販売等を行っているところでございます。
 来年度につきましては、輸送コストを抑えた物流の構築や、複数の飲食店や小売店での販売試験などを行うなど、マーケティングノウハウを蓄積し、今後、本格的な販売等を行っていくこととしております。
 県では、こうした取り組みを通じまして、事業者みずからのビジネスモデルを構築するとともに、それらを生かした収益力を高めていくことを期待しております。
〇岩崎友一委員 今、いろいろ構築しようとしているということで、物流はわかるのですけれども、これは、サワラなどは生ではなくて、水産加工会社において加工品としてどのようなものがつくれるかを実証しているということでよろしいですか。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 流通の形態はさまざまでございまして、サワラ、シイラに関しての取り組みは県内の流通モデルとして1事業者が取り組んでおりますが、新たなレモンペッパー風味の試作品など、スーパーの総菜向けのメニューの新設を行っているほか、例えば、久慈地域におきましては、先ほど申しました朝どれのウニを新幹線で移送して、その日のうちに首都圏の店舗に配送するような取り組みを実施しております。
〇岩崎友一委員 先般、テレビで見たのは、北海道でもブリがとれる。ただ、どうしたらいいかわからない。もともと食べる文化もない。それで、北海道なのか北海道の水産技術センターなのかわかりませんけれども、みんなでとにかく必死で、どういう加工品をやったらこれは売れるのだ、とれるけれどもルートがないということで、やはり全国的にも、まさに海洋環境の変化によって、今後もそうであると思いますし、とれる魚、魚種というものは変わってくると思います。
 そういった中で、やはり今、山田町でもイセエビがとれるという話もありますけれども、例えば、基本的にはイセエビも今、福島県のいわき市あたりまでとれるわけですが、今後どんどん海水温が上昇すれば、イセエビなどの漁場も北上してくるのかと思います。
 そういった点も含めて先取りをしていく必要があると思うのですけれども、南系の魚に対応して、何か事前に戦略を組んで進める必要性もあると思うのですが、県として、現段階で何かやっているのか、また、今後やろうとしているのかお尋ねします。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 先取りの魚種ということでございますけれども、御承知のとおり、サケ、マス養殖に関しては、今、ギンザケ、トラウトサーモン、サクラマスに取り組んでいるところですし、ことしなどは特に顕著でしたけれども、夏場の海水温が非常に高くて、ホタテガイを代表とする冷水性の二枚貝の生産が非常に厳しい状態にありますので、ホタテガイに比べて高水温に強く毒が抜けやすいアサリの養殖の事業化に向けた種苗の量産技術の開発に向けた経費などを、令和6年度予算案に盛り込んでいるところでございます。
〇岩崎友一委員 養殖業もそうでありますが、回遊している魚についても、ぜひ先取りをして進めていただければと思います。
〇佐藤ケイ子委員 私からは、スギ人工林伐採重点区域のことについてお伺いします。
 いわての森林づくり推進事業費、この中の花粉症対策費、採種園整備事業費1、460万円、前年比100万円減ですけれども計上されております。杉花粉の少ない森林への転換を促進するために、苗木供給に必要な採種園を整備するということが書いてありました。苗木の準備はされているようですけれども、これは去年からもやっています。
 この重点区域の設定と植えかえということにどう取り組んでいくのか、お伺いいたします。
〇砂子田森林整備課総括課長 スギ人工林伐採重点区域についてでございますけれども、国では、社会問題となっている花粉症の解決に向けまして、昨年12月にスギ花粉症発生源対策推進方針を改正し、県庁所在地、政令指定都市など、人口の多い都市部から50キロメートル圏内にあるまとまった杉人工林のある森林を伐採重点区域として、杉人工林の伐採、植えかえ等を加速化していくこととしております。
 県では、こうした国の区域設定の考え方に基づき、盛岡市など県内10市町村の約5、700ヘクタールを本県の伐採重点区域に設定したところです。
 また、花粉の少ない杉苗木等の安定供給に向け、これまでに採種園の造成やコンテナ苗生産施設の整備を支援してきたところでありまして、今後は、こうした苗木の供給と再造林の促進などにより、杉人工林の植えかえが着実に進むよう取り組んでまいります。
〇佐藤ケイ子委員 本県は、全国で3番目に杉人工林が多いのだそうです。秋田県、宮崎県の次が岩手県ということのようですけれども、その中でも、今回示された岩手県の取り組み面積が少ないのではないかと思います。東北地域の中でも一番多いのは青森県の1万8、136ヘクタールで、宮城県が1万3、896ヘクタール、岩手県が5、744ヘクタールということで、東北地域の中でも2倍、3倍の差があるわけです。
 どうして岩手県はこのように少ないのか単純に疑問に思っておりますので、お伺いします。
〇砂子田森林整備課総括課長 本県の森林は、杉以外にも、アカマツ、カラマツ、広葉樹などの多様な樹種で構成されておりますために、杉林が主体となっている他県に比べまして重点区域の面積が少なくなっているということでございます。
〇佐藤ケイ子委員 わかりました。県庁から50キロメートル範囲の中で、杉だけではなくて、ほかの木が多いということなのですね。
 今、苗を用意していると思うのですけれども、どういうタイミングで植えかえができるのか、植えかえのスケジュールはあるのでしょうか。
〇砂子田森林整備課総括課長 植えかえに当たりましては、現行の補助事業等を活用しまして植えかえを進めてまいりたいと考えております。現在、特別に今回重点区域を設定したところだけを植えかえするのではなくて、既存の補助事業等を活用しまして、県下全域にわたっての杉の伐採、そして、それ以外の樹種、本県ですと主にカラマツを植えている面積が多いのですけれども、そういった樹種に植えかえを進めていきたいと考えております。
〇佐藤ケイ子委員 わかりました。スケジュール感はよくわかりませんでしたが、次に行きます。全国植樹祭の植栽木についてお伺いいたします。
 全国植樹祭が陸前高田市で行われたときに、皆さんの御苦労が実って立派な式典ができたと思っております。ありがとうございました。
 それで、そのときに植栽された木の生育管理は、今はどうなっているでしょうか、お伺いいたします。
〇工藤林務担当技監兼全国植樹祭推進室長兼企画総務課長 全国植樹祭の植栽木についてでございますけれども、まず、天皇皇后両陛下によるお手植え木につきましては、現在、陸前高田市が、高田松原津波復興祈念公園内の奇跡の一本松のそばに、土壌改良と並行して定植などの工事を行っているところであります。それが終わった後も、引き続き、市が適切に管理していくという状況でございます。
 また、一般の方々に植えていただいた植栽木につきましては、枯れたり、調子がよくないものが一部見られたものでございまして、それらにつきましては、県で雑草の刈払いあるいは植えかえなどの管理を行ってまいりました。
 今後は、高田松原津波復興祈念公園に植栽したものについては、土地の管理者である県が管理をしていきますし、高田松原運動公園内に植栽したものについては、運動公園の管理者である陸前高田市が管理していくことにしております。
〇佐藤ケイ子委員 県の管理の部分ですけれども、聞くところによると、今度は県土整備部の所管になるということで、私はすごく違和感を持ったのですけれども、全国植樹祭のレガシーを後世にどうやって語り継ぐのか。
 それから、本当にこの木を適正に生育させるということ、これは長い年月もずっと見ていかなければならないのだろうと思うのですけれども、県土整備部でも余り予算がついていないやに聞こえております。
 なぜ、林務担当ではなくて県土整備部に所管がえになってしまったのか。今までも植樹祭をやったところは林務のほうで担当しているのではないかと思っていたのですけれども、その経過、どういう議論があったのかお知らせください。
〇工藤林務担当技監兼全国植樹祭推進室長兼企画総務課長 全国植樹祭の会場を、まず、陸前高田市で開催することを決める過程で、どこに植えようかということでさまざま議論してまいりまして、まさに復興の象徴となる場所である公園に植えましょうということで、そこについては、県土整備部の都市公園の管理担当課と一緒に協議を進めてまいりました。もともとあのエリアには樹木を植栽する計画がございましたので、そこに植樹祭で重ねて植えていくような取り組みをしてきたところであります。
〇佐藤ケイ子委員 もともと都市公園だったということなのでしょうけれども、この植栽木の管理、育成というのは誰が主体的にやっていくものなのか。県土整備部に所管がえしたからこちらは関係ありませんということなのかどうなのか。この管理、育成の方針はあるのでしょうか、伺います。
〇工藤林務担当技監兼全国植樹祭推進室長兼企画総務課長 植えた場所が都市公園ということでございますけれども、まずもって、令和5年度に県民税の財源を使いまして、そこに植えさせていただいたということもございます。
 植えた場所と、その時期が、非常に暑くなる直前に植えたものですから、中には様子を見なければならないものもございますので、そういったものにつきましては、令和6年度については、一部県民税を財源に管理をしていくということで、今検討しております。
 それ以降につきましては、公園管理者と連絡、調整あるいは協議をしながら、どういった管理をしていけばいいのか相談しながら、必要な部分については林務担当課で技術的な部分を面倒見たいと思いますし、予算についても、林務担当課で面倒を見られるものがあれば、そういったものできちんと管理をしていきたいと思っております。
〇佐藤ケイ子委員 県民にすれば、どこで管理してもらってもいいのですけれども、しっかりと管理していただきたい。本当に復興の象徴としての全国植樹祭でありましたし、また、天皇皇后両陛下がお手植えになったところは陸前高田市で管理するとしても、やはり県民が総参加で植樹祭に参加したという本当にすばらしいイベントでしたので、ぜひ、そういったレガシーをきちんと伝えていただけるようにお願いしたいと思っております。
〇中平均委員 私からは水産業についてお伺いいたします。最初に、サケ、マスふ化場の今後についてお伺いいたします。
 先ほどの岩崎友一委員の質問にもございましたけれども、現状でこれだけ主要魚種のサケの不漁というところで、ふ化場も集約して運用していくということでありましたが、数の中からいけば当然回っていかないという状況にありますが、県として、このふ化場の経営の現状をどのように今見ているのか、そして、今後の取り組みという点をまずはお伺いいたします。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 サケ、マスふ化場のこれからについてでございますが、ふ化場を有する漁協においては、収入源となるサケ定置網の水揚げが年々減少する中、ふ化場の運営経費の確保が大変厳しい状況に置かれているものと認識しております。
 このため県では、サケ資源の回復と持続可能なふ化放流体制の構築を目指し、回帰率の向上、ふ化場の生産機能の集約化、ふ化場施設の有効活用の取り組みを支援しております。
 具体的には、関係団体と連携しながら、大型で強靱な稚魚の生産と適期放流によりまして回帰率の向上を目指すとともに、採卵から放流までを担う拠点ふ化場と、拠点ふ化場を補完する地域ふ化場に区分し、種苗生産機能の集約によります生産の効率化を進めるほか、サケ、マス類の海面養殖用種苗の生産など、ふ化場施設の有効活用によります新たな収入源の確保を推進しております。
 県といたしましては、今後とも、サケ資源の早期回復と持続可能なふ化放流事業の実現に向け、市町村や関係団体と連携しながら全力を尽くして取り組んでまいります。
〇中平均委員 今、お話をいただきました。ただ、総数でふ化場を使う率が少なくなっている中で、例えば、漁業協同組合が経営してふ化場まで持っているところと、また、県北地域みたいに、ふ化場単体で回しているところもあります。久慈地域もそうだし、下安家地域もそうです。そういった点を考えていって、例えば集約化していく、またサブで使っていく。
 先ほど質問がありました、サケ、マス、トラウトサーモンの魚卵を確保してやっていくという中で、ふ化場等をどのように使っていくのか。今、収入源を確保していくとありますけれども、ふ化場自体、許容の100%を使うのがベストなのでしょうけれども、例えば10%使っても100%使っても、電力だったり燃料だったり手間だったりの経費は皆一緒なわけです。
 では、どこまでふ化場の中でふ化させてあげれば、単体のところが、黒字にはならないまでも、黒字赤字均衡まで行けるのか。聞いていると、今の状況だと、いろいろ回してもらってやっているのだけれども、結局そこの経費はかかる中で、なかなかそこまで行かない。逆に、もう少し高く買ってもらわなければ成り立たないものなのか、それとも、さまざま補助金の関係で今までサケしかできなかったものを、違う魚卵も入れられるようにしながら回しているのも聞いていますが、そういった点をどのように考えていくのかという点をもう一度お伺いします。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 サケふ化場の再編につきましては、県の関係団体が中心になって取り組んでいるわけですけれども、先ほども若干説明はされましたが、拠点ふ化場というのは、サケの採卵から飼育、それから放流に至る全工程を一貫して行うふ化場でございます。
 それに対しまして、それを補完する地域ふ化場というのは、採卵と最後の放流までは取り組みますが、その中の育成については、拠点ふ化場に移送してお任せするというスタイルをとります。
 ですので、地域ふ化場においては、今まで扱っていたポンプを回す経費などは削減になるということで、全体としては効率化が図られるという狙いで取り組んでいるところでございます。
〇中平均委員 それも去年、ことしから集約してやっていこうということで聞いていますので、そのとおりなのですが、実際やってきた中で、どうしても動かしていく、赤字が出てくる、そこをどうしていくのだと。
 震災後、みんな補助金なりを入れて新しくしているわけです。今やめると、今度は補助金返還が当然来るわけです。補助金返還となった場合に、誰が補助金を返すのだという話に当然なるわけでして、そうならないようにしていくことで、今の説明のやり方でやってきているのは理解しているのですけれども、ただ、そうはいっても、それが順調に軌道に乗る、また、これから話す海面養殖等の関係での、ふえていったとしても、それが軌道に乗る前に倒れていくところが出てくるのではないかと危惧するわけです。
 それをそうしないためにどうしていくのだろうということを今後に、問題意識を持ってやっているのは重々承知していますけれども、やはり、せっぱ詰まってきている各生産団体もありますので、そういった点をより積極的に動いていただきたいと思いますが、この点をもう一回だけお伺いします。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 沿岸4地区をエリアに分けて、それぞれのエリアでこの問題に取り組んでいるわけです。それらの中で、当然、集約化はしているのだけれども、なかなか赤字が減らないという実態は、確かに、中平均委員の御指摘のとおりでございます。その辺の取り組みについては、地域ごとに検討を重ねているところでございますし、また、県としても、そういった議論に対してのアドバイスは、関係団体と続けているところでございます。
〇中平均委員 森山水産課総括課長は久慈地区にもいたから、当然、私が言っている趣旨は重々わかると思うので、全県的な課題でもありますし、今後も取り組みをお願いしたいと思います。
 次に、令和6年度農林水産業高度化推進プロジェクト、攻めの地域漁業についてと書かれてあって、資料もいただいております。
 そういった中で、海面養殖、県産サーモンということで、水揚げが令和3年から令和5年までだと、令和3年の569トンが、令和5年度、今年度が全県で1、810トン、来年度は2、751トンを予定しているということであります。やはり、これを進めていきながら、主要魚種のとれない分を何とかカバーしていきたいということなのだと思っております。
 その中で、先ほどもお話があった、この海面養殖に係る関係の種卵等々をやっていく中で、先ほど来質問等あったのですが、なかなか地域の漁協も余裕がなくなってきているところもあるのですが、その点を踏まえて、県として、さらに養殖を増やしていく方策をどのように考えているのでしょうか。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 中平均委員御指摘のとおり、サケ、マス養殖については、今年度6地区で約1、800トン、来年度は9地区で2、000トンを上回る生産化が計画されておりまして、取り組みが広がっております。
 今後も拡大していく計画でございますが、ネックになるのは種苗の確保でございまして、これにつきましては、先ほど岩崎友一委員への答弁でも若干触れておりますが、種苗の供給体制をつくる取り組みを検討して、執り行っております。
 ギンザケの種苗の生産、それからサクラマスの種卵の供給、そういったものを拡大しながら、より一層、本県での海面養殖が拡大していくように取り組んでいきたいと考えています。
〇中平均委員 お願いいたします。
 そういった中で、今回の予算でも海業の推進ということで、説明では、大槌町でまずモデルでやっていくということであります。こういった点をまたふやしていきながらということだと思うのです。
 先ほどの岩崎友一委員の質問の、今、藻場をどう再生していくか、そして、そのために地域でどう回していくかという話もありましたし、やはり藻場の保全活動なり再生をしていく、そして、先ほどモデルの一つで久慈地域の冬のウニも出していただきましたが、駆除したウニを蓄養して冬に出していく。今年度は物流として新幹線に載せてという実証実験が行われているのも伺っております。
 例えば、久慈地域などでもそうですけれども、静穏域を利用したギンザケなどを養殖している中で、それを例えば観光にも使えるような、今はサケがとれなくなって、つかみ取りや一本釣りが、すっかりこの県内でなくなりましたけれども、そういったものを、当然とれる期間も夏前ですから、期間限定でやっていく。それは当然水産だけではなく、ふるさと振興部であったり商工労働観光部であったりと組みながら進めていくことが、水産業のまた次の発展につながっていくことだと思うし、それこそが国で言う海業の推進ということにつながっているのではないかと私は認識しています。
 今回はモデルが1地区ですけれども、そういった点を踏まえて、これからまたふやしていかなければならないし、いろいろやっていきながら、そして、随時、国の事業の申請もしていかなければならないのだと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
〇佐藤漁港課長 海業における他業種との連携についてでありますが、サケなど主要魚種の不漁により漁協経営は厳しい状況にある中、新たに海業の取り組みを進めるに当たり、民間活力を導入することは有効な手段であると考えております。
 県内で海業の取り組みを先行している大槌町の吉里吉里漁港では、民間事業者によるサーモン養殖等の水産業の取り組みを中心に、観光や教育など他分野との連携を図ることとしており、こうした取り組みにより、地域の産業振興や交流人口の拡大につながることが期待されております。
 地域の実情に応じた海業の振興に向けて、関係部局、市町村、民間事業者等と連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。
〇中平均委員 ぜひお願いしたいと思いますし、また、さっきも言ったとおり、どうしてもこの主要魚種が厳しくて、漁協がどこも余裕がない。本来であれば、漁協が今言ったものの一翼を担っていただければべストなのでしょうけれども、資金繰りが厳しくてそこまで手が回らないという状況もあります。
 そういった中で、では、これからどうしていくのだと。今言った民間主導型にして、北いわて産業・社会革新推進コンソーシアム等もありますから、そういうところでモデル事業をやるに当たっての事業を募って、業者を募りながら進めていく。そういった中において、例えば、今言ったサケの養殖の一本釣りを1日2本まで、しかも午前中に限定するとか、そうすればいやでも泊まるわけではないですか。そういうふうなものにしていきながら、そして、そこに対して船を出すのは漁協経由にすれば、漁協も委託のお金が入ってくる。
 一例ですけれども、そういったものを回していくことによって、水産業もですし関連するところもふやしていくという考えが必要だと思いますので、これは提案させていただいて終わらせていただきます。
 今後もぜひ頑張っていただきたいですし、私もまた、地域とともにやっていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
〇千葉盛副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
   午後4時30分 休 憩
午後4時52分再開
〇城内愛彦委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇佐々木宣和委員 午前中にも質疑がありましたけれども、2月26日の暴風雪にかかわる養殖施設の被害状況についてというところで、先ほどもありましたが、岩手県の漁業はかなり大変な状況になっているところでもございます。
 言わずもがなですけれども、主要魚種の不漁、サケ、サンマ、スルメイカが10%以下というところでもありますし、復興という状況で見れば、産地魚市場の水揚げ量が16万トンから8万トンと半分というところでもあります。また、養殖生産量も5万トン弱から2万5、000トンと半分というところ。そして、本当に漁業者の方々も高齢化していることもありまして、こういった状況だと、もうやめることを考えられる方も多くいらっしゃるようなところかと思っています。その中で、こういった大きな被害を受けたところでありまして、答弁は変わらないかもしれませんけれども、しっかり緊張感を持って取り組んでいただきたいところでございます。
 養殖施設に関しては、保険の掛け方の関係も違うところでもありますし、また、今回、12市町村が被害を受けているところで、市町村におかれましても、県の対応を少し注視するというか待つようなところもあるかと思います。そういうところで、この点、改めてこの対応策、取り組みに関して伺いたいと思います。
〇高橋農林水産企画室企画課長 私から、養殖施設の被害状況であります保険の関係の状況をお答えさせていただきます。
 養殖施設の被害状況は、先ほど佐々木宣和委員からもお話がありました3月11日現在で、宮古市、釜石市、普代村など養殖施設については10の市町村で、ワカメや昆布等の養殖施設710台で、ロープの切断や破損、いかりの流出によります水産物の落下などの被害を確認しております。
 被害を受けました養殖の施設や水産物につきましては、委員御存じのことと思いますけれども、漁業共済制度がございまして、施設の損壊分を補填する漁業施設共済あるいは漁獲金額の減少分などを補償する特定養殖共済がございまして、この本県における加入率は、令和4年度で申し上げますと、それぞれ66%、96%となっているということです。
 今後、被害調査が、水産関係の調査率は今57%と申し上げさせていただいております。実際、今後、収穫作業も行いながら、漁獲物の収穫量、品質などの確認を進めていくということでございますが、早期の全容把握に向けまして、こちらのほうは関係機関、団体等と連携し、しっかり取り組んでいきたいと考えております。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 現在、被害状況につきましては市町村等を通じまして調査を進めておりまして、被害を受けた養殖施設の復旧方法や水産物の被害に対する漁業共済の対応等についても、関係機関、団体を通じた情報収集を行っているところでございます。
 現時点では、被害の全容や漁業共済の対応等が明らかでないことから、被害への対応策について申し上げることは困難でございますけれども、県としては、引き続き、関係機関、団体と連携しながら、被害等の早期全容把握に努めるとともに、市町村とも連携し、被災した漁業者等の声を伺いながら必要な対策について検討してまいります。
〇佐々木宣和委員 丁寧にスピード感を持って取り組んでいただきたいところでございます。
 次に、林業担い手対策に関して伺いたいと思います。
 今定例会においても、発議案として、森林・林業・木材産業の活性化に関する意見書も出させていただいております。昨年6月、第73回全国植樹祭及び第51回全国林業後継者大会を開催し、森林、林業の重要性、林業の魅力を全国に発信したところでありますけれども、この二つの大会を契機として、本県林業をさらに発展させていくことを考えていかなければいけないと。
 本当に苦労されてこの全国植樹祭に取り組まれたところでありますけれども、これもまた次なるスタートの一歩としていくように取り組まなければいけないかと思っているところでございます。
 一つ目が、林業アカデミーに関して伺いたいと思います。
 平成29年4月からスタートというところでありまして、7期目がこの間、卒業式が終わったところかと思います。卒業生が100名を超えたという記念すべきときになっているかと思います。
 そういったところで、この林業アカデミーの今の状況に関するところ、そして、今回、予算案の中で運営事業費が増額しているところでもありますけれども、この要因に関して伺いたいと思います。
〇砂子田森林整備課総括課長 いわて林業アカデミーについてでございますけれども、まず、林業アカデミーの状況につきましては、平成29年度から令和5年度まで7年間で110名(後刻「111名」と訂正)が研修を修了したところでございまして、県内の林業事業体等に就職しているほか、令和6年度につきましても15名の研修生を受け入れる予定としております。
 令和6年度の林業アカデミー運営事業費の増額の要因でございますけれども、これにつきましては、素材生産事業の実習に使用している高性能林業機械6台のうち1台が老朽化したことに伴いまして、この更新が必要になったことによるものでございます。
〇佐々木宣和委員 機械の更新というところでございました。
 それで、7期を修了したわけでございますけれども、この林業アカデミーに関して、立ち上げのときから、一つは、何年にするかというところで、2年制か1年制かという話がありました。そしてまた内容に関しても、林業に携わって作業をすることだけではなくて、より広くマネジメントできるような人材を育成するほうがいいのではないかという話もあったやに記憶しております。
 全国の状況を見ると、24ぐらい同じような形式の学校があって、その半分ぐらいが2年制で、半分が1年制というところかと見ているのですけれども、この林業アカデミーで学習する内容を含めて、この7年間でどういったことを考えられて、また、次にどう更新していこうと考えられているのか、その方向性に関して伺いたいと思います。
〇砂子田森林整備課総括課長 いわて林業アカデミーにつきましては、これまで大きく定員を下回ることなく順調に研修生を確保できております。また、研修中においては、大きなけが等もなく安全に研修を進めることができておりまして、順調に進んできていると考えているところでございます。
 また、林業に従事する上での必要な資格等も、今までの研修生全員が取得しているところでございまして、インターンシップ等を通じて、林業産業に対する理解を深め、おおむね各自が希望する林業事業体等にも就職できているという成果を上げていると考えているところでございます。
 研修のカリキュラム、1年制等につきましては、今後もこれを継続してまいりたいと考えております。
〇佐々木宣和委員 まず、110名卒業というところで、しっかりと数字を積み上げると言うとあれですけれども、募集して、しっかり入学していただいて、スキルを、先ほど話がありました免許をしっかり取っているというところもすばらしいところだと思いますし、この数字をつくってきたということは、7年間継続しているところはすばらしいと思います。
 それをさらにつなげていくためにも、不断の見直しといいますか、現場のニーズに合ったということになると、やはり作業に注力していくような形にもなるかもしれませんけれども、いろいろな方向からこの考え方を広げていただくといいかと思っているようなところでもあります。数字を積み上げるのはすごく大事で、ありがたいと思っているところでもあります。
 次に行きます。緑の雇用に関するところでございます。国の制度でもありますけれども、この緑の雇用を使って、これまでも林業にかかわる方をふやしていくという取り組みをされているかと思いますが、この緑の雇用の状況に関して伺いたいと思います。
〇砂子田森林整備課総括課長 緑の雇用についてでございますけれども、緑の雇用は、森林施業の実践に必要な知識や技能を有する現場技能者を確保、育成することを目的に、国が公募により決定した団体に委託し、新規就業者等を対象に研修を行い、その育成やキャリアアップを支援する制度でございます。
 本県では、国が公募により決定した全国森林組合連合会を経由いたしまして、公益財団法人岩手県林業労働対策基金が受託し、新規就業者を育成するための段階的かつ体系的な研修、あるいは現場管理責任者等を育成するためのキャリアアップ研修を実施しておりまして、平成15年度から令和4年度までの20年間で677名が研修を修了し、そのうち380名が現在も就業しているところでございます。
〇佐々木宣和委員 677名、そして、今も380名の方々が働かれているところで、しっかり支えていただいているところなのかと思っております。
 この中で、なかなか見えづらいかもしれませんけれども、よく言われるのは、建設業をやられていた方が、今度林業をやられるという話もあるかと思いますが、他産業から林業に移ってこられる方々の状況などは、わかるものなのかということを伺いたいと思います。
〇砂子田森林整備課総括課長 他産業から移ってこられる就業者の方々でございますけれども、新規の林業就業者と申しますと、ここ最近は100名前後、令和4年度には114名の新規就業者という内訳になっておりますが、他産業からの移動に関する情報につきましては、残念ながら持ち合わせておりません。
 ただし、新規の中では、先ほどはアカデミーから15名ということで、それ以外にも新卒者の方が9名入っていますので、4分の1ぐらいは、全く新しい就業者が入ってきているのではないかと考えております。
〇佐々木宣和委員 若い方で、今、地域おこし協力隊で自伐型林業に取り組まれている方もいらっしゃるかと思います。かなりの人数もいるやに聞いておりますけれども、この自伐型林業をやられている方に対しての支援というものは、どんなことをやられているのか伺いたいと思います。
〇砂子田森林整備課総括課長 自伐型林業の支援についてでございますけれども、林業従事者の減少、高齢化が進んでいる中で、こういった森林整備等を行う林業就業者は、多様な担い手を確保することが重要であると考えているところでございます。
 現在、県では、小規模な林業事業者の方々を対象にしまして、森林整備に係る技術力の向上あるいは労働災害の防止などの安全技術の習得に向けた伐採技術研修、労働安全の知識、安全作業に係る研修などを実施しているところでございます。
 なお、令和6年度に関しましては、新たに森林・林業・木材産業グリーン成長総合対策事業費、林業労働対策事業費により、新たな担い手育成事業といたしまして、新たに造林を開始する者等に対する支援を開始することとしております。
〇佐々木宣和委員 もう一つですけれども、林業労働力確保基本計画の中で外国人材の受け入れということも書かれていまして、報道でもありましたが、特定技能に林業が入ると今まで1年だったのが5年ということもありまして、外国人に関するところで何か考えがあれば伺いたいと思います。
〇砂子田森林整備課総括課長 外国人材の受け入れに関するお尋ねでございますけれども、令和3年度に、県内の林業事業体を対象といたしまして外国人材の受け入れ等に関する調査を実施したところでございますが、その時点では、受け入れを希望している事業体はなかったところでございます。
 現在、国においては、外国人材の受け入れに向けて、特定技能制度へ林業を追加する方向で検討していると伺っておりますけれども、県といたしましては、まずは、県内の若者等を対象として、今までどおり林業就業者を育成してまいりたいと考えております。
 あわせて、先ほど御答弁申し上げました林業アカデミーの修了生110名と申し上げましたが、111名でございますので、訂正させていただきます。
〇佐々木宣和委員 次に、事業者と稼ぐ方々が働かれる事業体に関するところで、意欲と能力のある事業体の経営状況に関して伺いたいと思います。
〇砂子田森林整備課総括課長 意欲と能力のある林業経営体の経営状況についてでございます。
 県では、森林経営管理制度におきまして、森林所有者にかわり林業経営の集積、集約化の受け皿となり得る経営体を岩手県意欲と能力のある林業経営体に登録しておりまして、令和5年12月末現在で94経営体を登録しているところでございます。
 意欲と能力のある林業経営体は、地域の森林の経営管理を効率的かつ安定的に行うことが求められることから、県では、その認定に当たりまして、経営状況が良好であると認められること等を基準として定め、この基準を満たした経営体を登録しているということになっております。
 また、これらの経営体は、国庫補助を活用した高性能林業機械の導入や資金を借り入れる際の利率優遇等の支援があるほか、県が実施する林業経営セミナーの受講あるいは専門家派遣の活用など、経営力をさらに高めていくことが可能であることから、県では、今後とも、意欲と能力のある林業経営体の経営力と技術力の向上が図られるよう支援に努めてまいります。
〇佐々木宣和委員 この部分の最後ですけれども、林業労働者確保の将来予測とお取り組みについての所感を伺いたいと思います。
〇砂子田森林整備課総括課長 林業労働者確保の将来予測と取り組みについての所感でございますけれども、本県の林業従事者につきましては、平成24年度から減少傾向にありまして、令和4年度の林業従事者全体では1、634名という形になっております。
 将来予測につきましては、他産業から林業への移動、あるいは社会経済情勢によって変化することなどから、将来予測は困難なところでございますが、県内では高性能林業機械が多数導入されておりまして、林業従事者1人当たりの伐採作業の生産性が非常に高まっている一方で、造林や保育作業には依然として多くの人手が必要になることから、県では、いわて林業アカデミーによる現場技術者の養成に加えまして、岩手県林業労働対策基金と連携した新規就業者の確保に向けた就業相談会の実施や、就業に必要な知識、技術の習得、就業の円滑化の支援など、引き続き幅広い世代の人材確保に向けて取り組んでいきたいと考えております。
〇佐々木宣和委員 最後です。全国植樹祭の後継イベントに関して、いわての森林づくり推進事業費、いわての森林の感謝祭について、この継続性とコンセプトに関して伺います。
〇砂子田森林整備課総括課長 いわての森林の感謝祭についてでございます。
 いわての森林の感謝祭につきましては、県民参加による森林づくりを推進し、森林の恵みに感謝する行事として、県、岩手県緑化推進委員会、開催市町村の3者の共催によりまして、平成19年度から令和3年度までに13回開催してきているところでございます。
 令和4年度と令和5年度は、全国植樹祭及び1年前イベントの開催に伴いまして実施しておりませんでしたが、令和6年度には、10月に矢巾町で、14回目となるいわての森林の感謝祭を開催する予定としております。
 本年1月に開催された感謝祭の実行委員会におきましては、第73回全国植樹祭の開催理念であります、健全で豊かな森林を次の世代へ引き継いでいくこと等をレガシーとして継承し、林業の持続的な発展や森林に対する県民の理解を深めることを目的とする開催趣旨が承認されたところでございます。
 感謝祭では、記念植樹や児童生徒による緑の誓い、森林関係のパネル展示等を計画しておりまして、具体的な内容については、今後、関係者と検討を行っていきたいと考えております。
〇佐々木宣和委員 林業は、GXやカーボンニュートラル等々でまた注目されているところでございますけれども、なかなか現場の状況というのは、注目度の割には余り変わっていないかとも思っているところでもあります。
 Jクレジットの話などは、そのつながりとしてはわかりやすいところでもございますけれども、全国植樹祭を通してさまざまな、林業界だけではなくて、このつながりを広げたところもありましたので、そういったものを生かしながら岩手県の林業が盛り上がるように取り組んでいただきたいと思います。
〇上原康樹委員 私は、新年度の予算案に登場している海業推進モデル事業費について伺います。
 県からの資料によりますと、この海業の趣旨は、1行でこう書いてあります。漁村の活性化や交流人口の拡大を図るため、海や漁村の地域資源を活用した海業とあるわけですけれども、これは水産庁を中心として、国の事業として日本全国の海に面した地域を対象にした大プロジェクトでございます。
 水産庁による海業の定義はこうあります。海や漁村の地域資源の価値や魅力を活用する事業であって、国内外からの多様なニーズに応えることにより、地域のにぎわいや所得と雇用を生み出すことが期待されるものと書いてありますが、ますます曖昧になっているような気がします。
 これを農林水産部に体温を込めた言葉で説明していただきたいと思います。よろしくお願いします。
〇佐藤漁港課長 海業の具体的な説明でございますが、具体的には、宮古市重茂漁港において、漁港内の静穏水域を活用し、漁場として利用するアワビの増殖や、大船渡市越喜来漁港におきまして、漁港内の白地を活用したウニの蓄養、そのウニを道の駅で販売するほか、山田町山田漁港において、施設を活用した児童生徒等の漁業体験学習、大槌町の漁港施設用地を活用いたしました大槌町のサーモン祭り等の地域イベントの開催など、地域のにぎわい創出の取り組みが行われているところでございます。
〇上原康樹委員 耳なれない海業という言葉ですけれども、私は、よく考えますと、個人的には25年前から海業の現場にいたなという記憶がございます。それは何かといいますと、私は、岩手県に1996年に初めてきて、三陸の海を前にして、やはり絶句するほど感動したわけでございます。以来、洋野町の宿戸漁港、そして、山田漁港、さらには大船渡市の赤土倉漁港、泊漁港、門の浜漁港など、ずっと四半世紀にわたって通い続けております。
 私は、二十数年前にその海の記憶に感動した余り、岩手県への永住を決めたわけですけれども、そのように、海と人の心のきずなというものは確かにあるなと実感しております。
 今、農林水産部から詳しい説明があったわけですけれども、それぞれの漁港には、それぞれの魅力がある、こう思っております。この海業の振興モデル地域はもう設定されております。12県の海業振興モデル地区が決定されております。岩手県の場合は大槌町の吉里吉里漁港ですけれども、現在のところ、どこまでこの作業は進んでいるでしょうか。
〇佐藤漁港課長 今、上原康樹委員から御紹介ございました吉里吉里漁港の海業モデル地区の進捗状況でございますが、大槌町では、海業振興計画の策定、実施を目的に、昨年6月に吉里吉里漁港海業振興協議会が設立されまして、関係機関、団体と連携しながら、海業振興に向けた現状課題を共有したところでございます。
 3月7日に開催されました協議会におきまして、具体的な海業に係る取り組み内容などをまとめた海業振興事業計画の承認を得たところでございまして、今後、本計画による交流人口の拡大や地域活性化の実現に向けて、関係機関、団体と連携しながら積極的に取り組んでまいります。
〇上原康樹委員 今年度の予算を見ますと、新規事業として544万円余という規模でございますけれども、これは助走に入ったばかりということで、地域の意向調査ですとか基本計画の策定ですとか、そういうところがようやく始まったと見ております。
 少し先のことを考えますと、岩手県には、先ほども紹介しましたように、魅力的な漁港がまだまだたくさんあります。そういう漁港を十分に把握されている農林水産部としては、吉里吉里漁港以外に、さらにこの漁港を何とかモデルケースにしたいという構想はおありでしょうか。
〇佐藤漁港課長 その後の吉里吉里に次ぐモデル地区につきましては、山田町の織笠漁港を核として今考えております。
 織笠漁港におきましては、アサリの潮干狩り等で震災前から人が来訪されているところでございますが、地元漁業者等と連携しながら、アサリの潮干狩り、また、オランダ島上陸を体験するとか、カキ養殖を体験するとか、さまざまなマリンツーリズムの取り組みを考えているということでございます。
 県といたしましては、そういったところと連携しながら、今後、海業の拡大に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
〇上原康樹委員 織笠漁港の名前が出ました。私も賛成です。
 そのほかに、海業の分野としては、漁師の民宿、レストラン、水族館、遊覧船、観光定置網や地引き網、さらに、漁村の生活体験、漁村の文化、伝統の体験、つまり祭りや伝統行事ですね、こうした実に広範囲にわたるそれぞれの地域の魅力が対象となっております。
 やはり海業を軌道に乗せるためには、その地域が持つ漁港周辺のさまざまな文化やイベント、さらに特徴を見抜く目がないと、なかなかこれは設定が難しいと思っています。同時に、それだけ、一つ力があれば大きな事業に育て上げることができる可能性を感じております。
 地域の魅力、その価値を見抜いて、人を招き入れられる海業をプロデュース、演出し、さらに助言できる人の存在が必須だと思います。その点についてはどうでしょうか。
〇佐藤漁港課長 上原康樹委員御指摘のとおり、まさしくプロデュースするというのは非常に大切なことでございまして、今年度、大槌町吉里吉里地区、山田町織笠地区の2地区で海業の計画を策定しておりますが、海業の実践に当たっては、集客に関するノウハウの不足や人材の育成が課題となっております。
 そのため、来年度は、こういった地域が取り組む海業のビジネスモデルづくりへの支援に要する経費を当初予算案に盛り込んでおります。
〇上原康樹委員 県から海業について周知徹底していくことも大切なのですけれども、海業を理解した県民から、あるいは地域の住民から、うちの地域では、あの地域では、こういう魅力があるのだという提言を寄せてもらうことも物すごく大切なことだと思います。それに向けての取り組みは、どういうことを予定していますか。
〇佐藤漁港課長 対象地域の人々の意識の形成についてでありますが、海業の必要性や県内外の先行事例を漁業者や民間団体等へ直接説明し、身近に感じていただくことが重要であります。
 来年度は、沿岸部を会場にシンポジウムを開催することとしており、海業に取り組む全国の先行事例の紹介や課題解決に向けた意見交換など、海業の理解醸成を図りながら、計画策定や実践など海業の取り組み拡大につなげていきたいと考えております。
〇上原康樹委員 地域の魅力を見抜く、そして、それを表現すると、これは大変な能力だと思いましたけれども、司馬遼太郎の街道をゆくに匹敵するような文学的な発信も必要になってくるといいましょうか、有効だと思います。そうした高度な情報発信をぜひ重ねていただきたいと思います。
 それから、人を迎え、もてなす漁港ということになりますと、安全面、漁業者の作業を邪魔しない人の流れの整理、より見晴らしのよい景観の確保など、海業に即した形の整備というものが求められると思います。この点についてお考えを伺いたいと思います。
〇佐藤漁港課長 まさしく、今、上原康樹委員から御指摘あったとおり、漁港に来訪者が来るということは、非常に危険も伴います。また、今回の暴風雪等々でも、漁船等の被害もあったところでございます。
 県といたしましては、やはり安全の周知のため、協議会等を立ち上げながら、地域で来訪者の方々の安全対策、そういった部分を十分に確認しながら、安全対策の徹底、あとは、来られる方の海に対する理解といった部分を十分伝えながら、海業を広く展開できるよう努めていきたいと考えております。
〇上原康樹委員 海業というと、何か、どこか新しい観光地を整備して終わりということではないと思うのです。やはり漁業の活性化が第一になるはずの取り組みだと思うのですね。漁業に対する理解、そして、ああいう東日本大震災津波で被災した経験を踏まえて、復興がうまく進むのか、その中で、今、不振が言われている漁業を支援して、そして、地域の活性化を図っていくという大変な役割が課せられているはずなわけでございます。
 この辺の海業に対する認識を農林水産部長から一言伺いたいと思います。よろしくお願いします。
〇藤代農林水産部長 海業の認識についてでございます。
 海業につきましては、先ほど来、漁港課長が申し上げましたとおり、漁村地域あるいは海の新しい魅力や、もう知られている魅力、そういったものを改めて発掘して、昔から言われている地元学の応用版とも捉えておりますけれども、そういった形で、人を呼び込みながら地域の活性化につなげていく取り組みということで、大変重要だと考えております。
 また一方で、三陸地域は津波被害に見舞われた地域でもありますので、防災ツーリズムということも行われております。防災ツーリズムなど、三陸地域を周遊する機会、こういったようなものをあわせて海業の取り組み等を行うことで、さらに漁村地域の交流人口の拡大、防災教育の参加者あるいはそういったものの理解醸成にもつながる形で、東日本大震災津波からの復興の記憶と教訓を伝える取り組みの一つにもなるのではないかと捉えているところでございます。
〇上原康樹委員 最後に一言。きのうも出ましたけれども、潮風トレイルですとか、それから、サイクリングロードですとか、海業とオーバーラップする事業が多くあると思います。この辺の連携はどうとっていくのでしょうか。
〇佐藤漁港課長 ただいま藤代農林水産部長からも御答弁させていただきましたとおり、防災ツーリズム、また、潮風トレイルとか、県内には都会にない魅力あるものが数多く存在しているかと思います。
 農林水産部だけではなく、関係部局と十分連携しながら、そういった部分の来訪者を周遊させる、いわゆるそこにとどまらせるという形を十分展開させながら、県一体となってこういった取り組みを進めながら展開していきたいと考えております。
〇上原康樹委員 これからの取り組みだと思いますけれども、もっとわくわく感を込めて取り組んでいただきたいと感じます。よろしくお願いします。
〇吉田敬子委員 林業アカデミーについてお伺いします。先ほど佐々木宣和委員も取り上げておりましたけれども、重複しないところで質問させていただきたいと思っております。
 これまでの卒業生等については、卒業生が111名ということですけれども、定着率についてお伺いできればと思います。
 そしてまた、先ほどの質疑の趣旨と同じですけれども、1年制、2年制のこれからの取り組み状況。他県を見ると、全国で1年制が13校、2年制が11校ということで、今後、どのように本県で1年制、2年制について、先ほどは、今後も1年制について継続していきたいということで御答弁いただきましたが、やはりいろいろ考えていっていただきたいと私も思っております。
 卒業生や、森林組合、企業からどのような声が出ているのかお伺いします。
〇砂子田森林整備課総括課長 初めに、林業アカデミーの定着率についてでおります。
 令和4年度までの修了生96名につきまして、令和5年4月1日現在の定着率は94%、90名が定着しているという形になっております。
 次に、1年制、2年制の大学校等の状況についてでございますが、全国では、今、吉田敬子委員から御紹介ありましたとおり、1年制が13校、2年制が11校となっております。
 1年制ですと早期に林業の現場に送り出せるということ、2年制ですと知識や技術をより深く学べるといったような、それぞれの特徴があるわけです。
 本県では、林業アカデミーが5年目となります令和3年度に、修了生や修了生を受け入れている林業経営体にアンケートを行ったところ、研修期間は1年が適当であるという回答が多くございました。
 こういった声も踏まえまして、引き続き、現行の1年制で当面は運営していきたいと考えているところでございます。
〇吉田敬子委員 そのアンケートは卒業生に対してということで、卒業生は1年でよかったということですけれども、例えば、企業や団体からの声のあたりは御答弁がなかったわけです。
 北海道は2年制ですけれども、こちらは2年制なので37人の卒業生があって、卒業生の人数の7倍近くに当たる251人の求人が寄せられたという情報を、3月11日に卒業式があったというニュースで見ています。
 先ほど御答弁のとおり、1年制、2年制でそれぞれメリットも、もちろんデメリットもあるのだろうとは思っておりますが、ぜひ卒業生だけではなく、森林組合等からのお話や、受け入れている企業、定着率は94%ということでありますけれども、そういった声をもう少し聞いていただきたいと思っております。それに対する御答弁と、もう一つ、私は提言がありまして、今のカリキュラムの内容です。森林環境教育だったり木造建築に関するカリキュラムをぜひふやしていっていただきたい。
 先ほど佐々木宣和委員からも、アカデミーができる前のときに、経営に関する部分も必要なのではないかということで、そのとおりだと思いますが、経営に加えて、現場だけではなく環境教育、ソフトの部分に対する人材も、私はこれからもっともっと育成していっていただきたいと思っております。
 その森林環境教育、木材建築、こちらの木材建築については、森林組合からも、こういった木材建築の、こちらは大学だったり専門学校ということの趣旨の県に対する要望だとは思っておりますが、これについて拡充していくことも検討してはどうかと思いますが、御所見を伺います。
〇砂子田森林整備課総括課長 先ほどお話をしておりませんでしたけれども、先ほどの令和3年度に行ったアンケートでございますが、この際には、研修生と、それ以外に、研修生を受け入れている林業経営体等からも回答を頂戴したところでございます。その中では1年制がよろしいというお声もありますし、あとは、それ以外のところで聞いたお声でも、1年間でしっかりと九つの資格を得た上で、林業の現場技術者としてきちっとした人材を養成してもらっているという声もいただいております。こういった意味では、非常に成果が上がっているのだと考えているところでございます。
 そして、もう一つ、カリキュラムの件についてでございます。森林環境教育や木造建築などの拡充につきましてですけれども、現在、林業アカデミーにおきましては、年間214日、1、490時間のカリキュラムによりまして研修を実施しているところでございます。森林環境教育に関するカリキュラムは設定しておりませんが、木造建築の講義については3時間ほど実施しているところでございます。
 アカデミーにつきましては、その研修方針に、林業に関する知識や技術を体系的に取得し、将来的に林業経営の中核となる技術者を養成することを掲げておりまして、まずは、林業の現場技術者の養成に関する現行のカリキュラムによる研修を行っていきたいと考えているところでございます。
〇吉田敬子委員 今後も、現場も含めて受け入れ先の企業、団体も含めた意見聴取も含めて、全国的な流れも含めて、検討も引き続きしていっていただきたいと思っております。
 次に、子供たちへの森林や自然保育、教育の取り組みについてお伺いしたいと思います。
 いわての森林づくり県民税等を活用しまして、森林公園や企業、保育所等への木育施設などを設置してくださり、大変感謝しているところであります。
 先週末も森林公園の一つの八幡平市の県民の森へ―私も2カ月に1回くらいいろいろな森林公園に行っているのですが、先週たまたま行った際に、子どもとお出かけ情報サイトいこーよというのが全国的にあるのですけれども、これは私も他県に行くときは活用しているサイトですが、お出かけ人気ランキング2023の岩手県総合第1位を県民の森の木育施設がとられたというポスターが張ってあって、大変うれしく思いました。農林水産部の皆さんで、木育施設を整備されたことによる遊び場の整備をやっていただいたことに、改めて感謝しております。
 保健福祉部では来年度、子供の遊び場整備を市町村と一緒にやっていくことになっておりまして、それに先駆けて農林水産部で、私はそういった森林施設の公園の遊び場の整備もやっていっていただいていると思っておりますけれども、これらによって、幼児、児童、生徒への効果をどのように捉えているかお伺いしたいと思います。
 これまで、例えば森のようちえん事業についての提言もさせていただいておりますけれども、この検討状況、そして、今後の取り組み方針についてお伺いします。
〇嵯峨参事兼林業振興課総括課長 県では、児童生徒等の森林への理解醸成を図るため、これまで、森林環境学習の機会提供や、教育施設等への県産木材製品の導入、森林公園の機能強化などに取り組んできたところでございます。
 令和5年度は、9市町村の15団体が児童生徒を対象に実施した森林環境学習等を支援しているほか、18市町村の小中学校30校において森林学習会を開催したところでございます。
 吉田敬子委員から先ほども御紹介ありましたが、令和3年度以降、いわて子どもの森や保育所など62施設に木製玩具等を導入したほか、県民の森など4カ所の森林公園に、就学前の幼児も木製品と触れ合うことができる木育スペースを整備したところでございます。
 こうした取り組みにより、森林公園の利用者は、令和6年1月末時点で、前年同期に比べ1割増の14万人の利用をいただいているところでございます。子供たちの森林環境学習への参加や木材に触れる機会の増加など、木育の推進や森林づくりへの理解醸成につながっているものと捉えております。
 県といたしましては、引き続き、森林公園など森林環境教育の拠点となる施設を有効に活用し、関係団体等と連携しながら、子供たちを対象とした森林との触れ合い、森林の役割や木材のよさ等を学ぶ機会を提供していきたいと考えております。
〇砂子田森林整備課総括課長 森のようちえんの検討状況についてでございます。
 森のようちえん事業については、本県ではこれまで、いわての森林づくり県民税を活用しまして、いわて森のゼミナール推進事業によりまして、幼児を含む幅広い年代の県民を対象とした森林環境学習会の開催などに取り組んできたところでございます。
 こうした取り組みにより、子供たちを含む森林公園の利用者数がふえるなどの成果が出てきたところでありまして、県では、今後も引き続き、幼児も含め幅広い年齢層の県民が、森林との触れ合いや森林の役割等を学ぶ機会が得られ、また、子供たちの豊かな体験活動の充実が図られるよう、関係団体と連携しながら、事業の周知を図るとともに、森林との触れ合いや森林の役割を学ぶフィールドの情報を積極的に提供していきたいと考えております。
〇吉田敬子委員 代表質問のときにも取り上げさせていただいたのですけれども、私が、他県のように、こちらの県議会で森のようちえん事業の認証制度を導入していったらどうかということをお話ししました。長野県や鳥取県がやっているのですが、それに加えて、知事が出席している県政懇談会の中でも、同じように、参加者がこの制度について提言された際に、知事がそれに対して、岩手県としても検討していかなければならないと思います、そういう森林行政としての自然保育という観点からも検討したいと思いますと、かなり前向きに話されました。これは令和3年11月24日の県政懇談会に釜石市から参加された女性で、彼女自身が森のようちえん事業を、沿岸部で自然教育保育をやっていた方が参加して提言されたのですが、知事は検討したいということで、政策企画部からも実現に努力しているものということでしたが、農林水産部になると、なかなかそこが進まないというところをずっとお話しさせていただいております。
 先ほどの御答弁だとなかなか、知事にもっと言っていかなければいけないと思ってはいるのですけれども、普代村には、保育所として取り組んでいる岩手県で唯一の森のようちえんがあります。普代村は岩手県の中でも一番小さい村ですが、村としてそこに取り組んでいきたいということで、村長も頑張っていらっしゃいます。こういったところの底上げをぜひしていっていただきながら、こちらの農政サイドで認証制度をやっていっていただきたいということで提言させていただいていますので、ぜひ、これからも検討していっていただきたいと思っております。
 これはまた別の話になりますけれども、山梨県では、子ども樹木博士認定事業などをやられているのですが、先ほどは林業アカデミーの話を取り上げさせていただきましたが、今は、実際の現場に出る皆様の人材育成について、例えば、岐阜県の林業アカデミーでは、親子や子供たちを対象とした事業などもやられています。
 こういった、例えば林業アカデミーでの取り組みなどもやっていっていただけたらいいと思っておりますが、御所見をお伺いしたいと思います。
〇砂子田森林整備課総括課長 岐阜県の取り組みの御紹介がありましたけれども、岐阜県の取り組みにつきましては、アカデミーのカリキュラムで実施しているということは承知しているところでございます。
 本県のアカデミーにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、まずは、将来的に林業経営の中核となる林業の現場技術者の育成を目的とした現行のカリキュラムによる研修を、引き続き実施してまいりたいと考えているところでございます。
〇吉田敬子委員 先ほど全国植樹祭の質疑もありましたけれども、次の世代への継承というところで、いろいろそのとおりこれからやっていくところであると思います。私も参加させていただいたときに、虔十公園林のお話を取り上げられていましたけれども、ああいった世界観を、私は、レガシーとして引き継いでいくための子供たちへの森林環境教育を含めた林業施策に、これからしっかり取り組んでいっていただきたいと思っております。
 諦めずに引き続き取り上げさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
〇はぎの幸弘委員 私は、林道整備事業費を主体に、山林の保全も含めて何点か伺ってまいります。
 本県の総土地面積約153万ヘクタールのうちの77%を占める約118万ヘクタールが森林であると。北海道に次いで広い森林面積を有しており、全国森林面積の約4.7%を占めているということがインターネットに書いてありました。それだけ、県土の8割近くが森林ということですから、この豊富な資源を生かした経済活動というのは、しっかり取り組む必要があると思うのは私だけではないと思います。
 そのため、当然ながら、この山林を活用するためには林道整備が必要になってくるわけですから、それを踏まえて伺ってまいりたいのですが、林道開設または改良に関して、目標数は設定されているのか伺いたい。あるとすれば、それは毎年設定するのか、ある程度計画期間を設けて、10年のうち何カ所など、そういう決め方をするのか、その辺をまず確認したいと思います。
〇田村森林保全課総括課長 林道開設及び改良の目標数についてありますが、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランにおいて、林道開設及び改良等を合わせて年間10キロメートル、令和8年度までの4年間で40キロメートルを整備し、累計延長になりますと4、608キロメートルとする目標として現在取り組んでいるところでございます。
〇はぎの幸弘委員 ということは、毎年10キロメートルずつ長くなっているということで単純に理解していいのか、使わなくなった林道はどんどんまた山林に戻っていくのか、その辺の状況はどうなのでしょうか。
〇田村森林保全課総括課長 林道につきましては、毎年開設、改良が10キロメートルございます。また、その10キロメートルの中には、今まで整備したものの改良も含んでいるところでございます。
 現在、林道は県内に約1、200路線あるのですけれども、今まで整備したものも活用しながら、適正な森林整備と木材搬出等に取り組んでいるところでございます。
〇はぎの幸弘委員 わかりました。
 一口に林道といっても、山林自体は県有林だけではなくて、国有林や市町村有林あるいは私有林等もあって、入り組んでいると思うのですが、そういった中で林道整備を進めていくのは、当然、隣地との交渉などもあるので、その辺の林道開設、整備するに当たって、毎年どのようなプロセスで行われているのかということも確認したいと思います。
〇田村森林保全課総括課長 林道の整備につきましては、地域森林計画というものがございまして、これは、県内でどれだけ林道を整備していくかということが記載されているものでございます。その中では、10年間に開設157路線という計画があるのですけれども、こういう計画されたものについて、市町村とも協力しながら、用地交渉を行い、用地が整ったところから着手しているところでございます。
 また、国有林については国有林が整備することになっておりますし、国有林と民有林が重なるところは、それぞれ協議等を重ねながら整備しているところでございます。
〇はぎの幸弘委員 では、それを整備して、そういう交渉をやりながらという中で、課題や問題点等があれば参考までにお聞かせください。
〇田村森林保全課総括課長 課題としましては、土地所有者と交渉するに当たり、人数が多いとか、あとは、線形の検討に当たりまして事前に調査が必要とかということがございます。
 また、林道の整備に当たっては、所有者だけではなく、さまざまな合意形成を図りながら行わなければなりませんので、そういったところが課題となっているところでございます。繰り返しになりますけれども、市町村と協力しながら整備を進めているところでございます。
〇はぎの幸弘委員 わかりました。その林道を、そういった形で苦労しながら、今4、608キロメートルまで延伸したと。
 これは、多分、農林水産部の所管ではないかもしれませんけれども、そういった林道を活用して、例えば交流人口拡大につなげていく、単に植林や山林の管理だけではなくて、例えば交流人口拡大で言えば、そのくらい広大な面積があるわけですから、オフロードバイクなどの趣味を持っている全国の方々に集まってもらって、林道を走ってもらうイベントをやるなど、そういった形で外貨を獲得するようなことなどを考えられるものなのか、制度上それはなかなか難しいものなのか、確認させてください。
〇田村森林保全課総括課長 林道の活用につきましては、それぞれの管理者、市町村が多いわけですけれども、その管理者の了解をとりながらであれば、そういうイベントは可能かと思われます。過去には、マラソンとかサイクリング、ロードレースが全国で行われていると承知しておりますので、管理者が、その地域の御要望に応えることは可能かと考えられます。
〇はぎの幸弘委員 ぜひ、できればそういうことを、県単独ではなかなか厳しいとは思いますけれども、人口減少だ何だかんだとマイナスな情報ばかりが多いので、突拍子もないことかもしれませんが、岩手県を元気にするためのイベントに使えるのであれば、そういったことも予算化していったらいいのではないかと思っての質問でした。ありがとうございます。
 次に、林道というよりも山林管理面の質問になると思いますけれども、昨今は、熊の被害とか、熊が頻繁に里山におりてくるとか目撃されるということで、人々も山に入るのは怖いということで山に入る機会が減る。そうすると当然管理も行き届かなくなる。そういうのは多分、私有林が多いと思うのです。さらには、木材価格も低迷して、伐採しても赤字になるだけで、手をつけないほうがいいということで放置されている山林も少なくないと推察するのですが、山林の管理の実情はどうなっていますでしょうか。
〇砂子田森林整備課総括課長 山林の現状でございますけれども、現状幾らあるという数字についてはすぐには持ち合わせておりませんが、そういったなかなか手入れの行き届かない森林の管理を行うための事業といたしまして、平成31年度からは、国で森林経営管理制度が開始されております。これは、市町村が所有者にかわって森林を適切に経営管理するために、それぞれ調査あるいは森林所有者の意向調査等を行いながら、森林整備につなげていくという取り組みが創設されているところでございます。
〇はぎの幸弘委員 そういう制度があるというのが、どれだけ周知されているのかというところもあると思います。特に、伐期を迎えた立木を適切に運用することは大事だと思うのですけれども、それがうまく回っていない面もあると感じています。
 山林の適切な管理というのは、資源の有効活用だけではなくて、自然災害の防止や景観保全といった面でも必要ではないかと思います。今、市町村を主体としてそういう制度があるというのであれば、特に個人の山というのは、そういう形でさらに手入れを進めていかないと、相続問題でなかなか売買もおぼつかなくて、放置されて、手入れもされない。聞いた話では、伐期が過ぎると、中が空洞になってきて商品にもなりづらいという話も聞きますし、もったいないと思うのです。
 そういったところをもう周知して、山の管理を進めていく必要があると思うのですけれども、その点はどう捉えているのか伺います。
〇砂子田森林整備課総括課長 先ほど申し上げました森林経営管理制度を進めるに当たって、制度の開始から令和4年度までで4年目となっているわけですけれども、令和4年度末現在における森林経営管理制度に係る本県の取り組み状況を紹介させていただきます。
 航空レーザー測量等によって森林調査に12市町が着手しているほか、いわゆる森林所有者に、森林の経営の意向を確認する経営管理の意向調査を実施した市町村が26市町村となるなど、今、はぎの幸弘委員がおっしゃったとおり、なかなか森林に関心が向かない森林所有者に対しまして、市町村において意向調査を行う取り組みが順調に進められていると理解しているところでおります。
 県におきましては、今後とも、市町村がこの森林経営管理制度によりまして地域の森林整備に適切に取り組んでいくことができるように、支援してまいりたいと考えております。
〇はぎの幸弘委員 わかりました。冒頭で申し上げたとおり、本県の総土地面積の約8割が森林だということなので、それを有効活用して、さらには、樹種転換というのもよく出ていますが、やはり広葉樹を植えることでの保水力を高める取り組みなど、川の水量も減っているような気もします。ましてや、ことしなども暖冬で、早くから水は大丈夫だろうかという声も聞こえます。
 そういった事業、あるいはサケがなかなかとれないという話も質疑で出てきていますが、淡水魚の種類改良をして、なるべく大型化して刺身にも使えるような淡水魚を育てるという事業も、先進地で私は見てきたことがあります。やはりそういうことをしっかり進めて、活用していったほうがいいのではないかと思っております。
 ぜひ、今までもしっかりと取り組んでこられていると思いますが、今後も引き続き、そういった面で山林の保全、活用に尽くしていただければと願って、終わります。
〇畠山茂委員 私からは2点通告しておりました。
 まず1点目です。サケ資源緊急回復支援事業3億8、900万円についてお聞きしたいと思います。
 過日の一般質問の中で、令和5年度の種卵の確保は約7割、強い稚魚の育成に取り組んでいくという説明がありました。
 数年前までは4億尾の放流が目標のときもあったと記憶しておりますが、新年度は、従来の回復支援事業にとどまらず、新たな取り組みも計画しながら資源回復に向けて努めていくのか、新年度の取り組みをお伺いいたします。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 さけ資源緊急回復支援事業についてでございますが、海洋環境の変化等によりまして、サケの漁獲量が年々減少していることから、サケ資源の回復を図るためには、稚魚の生産に必要な種卵の確保とともに、生残率が高いとされる大型で強靱な稚魚の生産と適期放流により、サケの回帰率を向上させていくことが重要であります。
 このため県では、親魚確保や稚魚の生産に要する経費を支援するとともに、県外からの種卵確保に要する経費などへの支援も行っており、今年度においては、北海道等からの種卵の確保に努め、目標の約7割を確保したところでございます。
 確保した種卵につきましては、現在、各ふ化場において、成長を促進する改良餌を与え、回帰率の向上に効果があるとされる大型で遊泳力の高い強靱な稚魚に向け飼育と適期放流を進めているところでございます。
 令和6年度におきましては、引き続き、種卵の確保に加え、大型で強靱な稚魚の生産に向けまして、新たに稚魚の生き残りを高めることが期待される、オキアミ由来の機能性成分を添加した餌で飼育する試験や、高水温にも強い稚魚の生産技術の開発等を進め、研究で得られた成果を生産現場に普及し回帰率の向上を図っていくこととしております。
 県としては、引き続き、サケ資源の早期回復に向け、関係機関、団体と連携しながら全力を挙げて取り組んでまいります。
〇城内愛彦委員長 答弁は簡潔にお願いします。
〇畠山茂委員 詳しい説明ありがとうございました。
 サケの水揚げは、漁業協同組合にとどまらず、漁師から、加工業者から、小売店から、さまざまな幅広い業種に経営的な影響があるわけで、これからも頑張っていただきたいわけですけれども、最近の説明ですと、強い稚魚を育てる改良というかが出ています。新しく、きょうは餌の改良もしているという説明もありました。
 地元に帰って関係者などに聞くと、本当に強い稚魚だけで資源回復、再生が元どおりに戻るのかという疑問に思っている方も結構今ふえていると私は感じていまして、違う角度から、また新たな資源再生という検討とか研究とかというのは、今はあるのでしょうか。先ほどの説明の強い稚魚あるいはその改良というところで今とどまっているのか、その辺の新しい角度の対策というのはあるかないか、お聞きしたいと思います。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 新たな角度での研究ということであります。
 サケの稚魚については、ある程度大きな稚魚を放流することによって回帰率が向上するという過去のデータがありますので、それに基づいて大型の稚魚を育てて、放流している取り組みをしております。
 また、近年、高水温が続いているということで、高温耐性、高水温に対する耐性を持つ稚魚の育成に対応しておりまして、稚魚の持つ高温耐性を評価する指標を開発しているとともに、最近は、高温耐性に対する遺伝的特性を持った種苗の育成についても研究を進めているところでございます。
〇畠山茂委員 さまざま研究もしてもらっているようなので、これからも頑張っていただきたいと思います。
 次の質問に移りますが、新たな水産資源利活用モデル開発事業費等、今後の水産業については岩崎友一委員と中平均委員が私の中身と同じように触れていましたので、ここは省略したいのですけれども、思いだけは、意見だけは述べたいのです。
 沿岸部は、先ほど主要魚種の不漁と、経済的に言うと、有効求人倍率も1倍を割っていて、本当に最近、沿岸部の景気は大変厳しいと思っています。
 そういった中で、水産業は川上から川下まで本当に広い人、事業者が携わる事業でもございますので、やはり県庁のさまざまな部署が連携して、これからも沿岸部の経済を支えていただきますことをお願いして、答弁は求めずに終わります。よろしくお願いします。
〇佐々木朋和委員 私も流れに乗って簡潔に述べたいと思います。
 原木シイタケについて伺いたいと思います。
 直近の乾シイタケの植菌本数、また、市場価格の動向、生産者の増減、また、KPIになっております1人当たりの生産量をお示しいただいた上で、資材高騰等の影響についてどのように認識されているのか、また、令和6年度の対策についてもお示しいただきたいと思います。
〇嵯峨参事兼林業振興課総括課長 まず、原木シイタケの植菌本数等についてでございますけれども、令和4年次の干しシイタケの植菌本数は46万7、000本と、前年と比べ8万本の減となっております。
 また、令和5年度2月までの干しシイタケの卸売市場における平均価格は1キログラム当たり4、100円となっており、前年の平均価格3、600円を約500円上回ったところでございます。
 次に、出荷可能な生産者数は、令和5年8月末時点で490名と、前年と比べ61名の減となっております。
 令和4年次の1人当たりの原木干しシイタケの生産量は176キログラムで、前年よりも20キログラム増加しているところでございます。
 生産資材価格高騰の影響についてでありますが、原木を購入して栽培する場合、生シイタケ1キログラム当たりに要する生産資材価格は、令和4年2月の406円から令和5年12月時点では435円と、29円上昇していると把握しております。
 続きまして、令和6年度の対策についてでございますが、県では、国庫補助事業を活用し、シイタケ原木購入費用について震災前価格の半額を助成しております。令和6年度は、12事業体に対し約29万本の原木購入経費を支援する計画としております。
 また、種駒等への助成も同様に実施しており、令和6年度は、6事業体に対し約144万駒の購入経費を支援する計画としております。
 このほか、新規生産者を有する生産組合に対し、ほだ木の造成に必要な種駒の導入支援を行うとともに、栽培技術研修会の開催等を通じた生産技術の指導を実施するなど、生産者の経営の安定化に資する取り組みを進めてまいります。
〇佐々木朋和委員 植菌本数が大幅に減少しているところと、市場価格はアップしているということで、今の物価高騰の流れなのかと思いますけれども、生産者が61名の減ということで、2月には一関市、奥州市で新規の生産者も出てきているということは明るいニュースなのですけれども、やはり全体を見ればこうなのかというところであります。
 東京電力ホールディングス株式会社による損害賠償について、そのときに生産していた方しか賠償対象になっていないということで、原木の仕入れの補助は行っていても、足りない分の補償がされていない中で、新規の方もふえているということは大変ありがたいことだと思います。今後、原木林の再生に本気で取り組んでいかないと、生産者の方が高齢によってやめるとなった後に、なかなか次の担い手が育っていかないと思っておりますので、ここでやはり力を入れていかなければいけないと思います。
 そのような中で、令和4年3月の一般質問において、カリウム濃度の調査箇所の拡充をすると答弁をいただきました。セシウムの吸収を抑える似たような物質でカリウムがあって、これが土の中に多く埋まっていれば、余り原木に吸われていかないということがありまして、これの調査を拡充していくという本年度の方針でございました。
 調査の現状と、また、調査結果、今後の方向性について伺いたいと思います。
〇嵯峨参事兼林業振興課総括課長 県では、シイタケ原木林の再生に向け、樹木の放射性物質吸収を抑制するとされている土壌中のカリウム量を把握するため、令和3年度から調査を実施しているところでございます。
 令和3年度は5カ所、令和4年度は7カ所、令和5年度は5カ所と、これまで、原木シイタケの出荷制限地域内の17カ所において調査を実施したところでございます。
 調査の結果、土地の形状の違い等により数値にばらつきが見られたものの、国の研究機関が示した土壌中のカリウム量が多いと樹木の放射性物質濃度が低くなる傾向が見られたところでございます。
 このことから、土壌中のカリウム濃度が高い場所では原木林の再生が期待されるところでございますが、土壌中のカリウム量と放射性物質濃度の関係のデータのさらなる蓄積が必要と考えており、来年度以降も調査を継続し、原木林の利用に向けた取り組みを進めていきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 まだ知見が必要だということで、では、いつになったらと言ったら失礼ですけれども、めどが立っていくのか。早期に生産者の方にここは大丈夫だというところを示していくことが大事だと思うのですけれども、今後の見込みはどのようになっていますか。
〇嵯峨参事兼林業振興課総括課長 カリウム濃度調査の今後の見込みでございますけれども、先ほど申し上げたとおり、調査結果では、おおむね、一定程度カリウム量が多いと放射性物質濃度が低くなる傾向が見られたと申し上げましたが、データ的な数値ではある程度の傾向は見られるのですが、かなりばらつきがございまして、それを知見としてしっかり適用する程度まではまだ行っていないと思っております。
 これを、引き続きデータを蓄積していくということで、現時点で調査時期がいつぐらいまでというのは見通せないということで、来年度も継続して調査していきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 今の調査が蓄積していけば明確化するものなのか、そうであれば、私はサンプル数をふやして、年を、期間を短くできるものであればしていくべきではないかと思うのですけれども、サンプル調査の考え方をもう少し詳しく教えていただけないでしょうか。
〇嵯峨参事兼林業振興課総括課長 先ほどの調査の考え方でございますけれども、一定の地域をプロットいたしまして、その箇所の中で6カ所程度サンプル調査をしているということで、土壌中のカリウム量、あるいは、そこで出てくるぼう芽枝等の放射性濃度を測定しているということでございます。
 ただ、先ほど申しましたとおり、そういった調査はかなり実施しているのですけれども、数値がおおむねの傾向という程度としか言えないようなデータになっているということで、まだまだ必ずしもある程度適応できる程度のデータになっていないということでございますので、しばらくそういう調査を継続して知見を得ていくことが必要と思っております。
〇佐々木朋和委員 今の話ですと、今、継続して数年同一の区域の中でポイントをふやして傾向を見ているという形なのですか。それとも、いろいろな場所、いろいろなエリアを調べてサンプルをとっているということなのでしょうか。わからないので教えてください。
〇嵯峨参事兼林業振興課総括課長 調査の関係でございますが、1カ所をずっとやっているというよりは、エリアをいろいろ拡大して、広げて、いろいろなケースを調べてデータを蓄積していっているという形でございます。
〇佐々木朋和委員 お話を聞いていますと、これが蓄積していくと実際に活用できるようになるのか、わからないという感じがしました。
 県政調査会で、専門家の方がいらっしゃったときには、カリウムを積極的にまく、そうすることによって放射性濃度を抑えるという話もしておりました。その前段階としての調査なのかと思うのですけれども、県としては、なかなか広範囲にまくということもできないので、調査をして、もともとカリウムの濃いところを探しましょうということだと思うのですが、もし、今の調査の中で知見がたまっていけば実際に活用できる方向だというのであれば続けるべきだし、そうでなければ、カリウムをまく、あるいはほかの方法を考えることも必要だと思うのですけれども、もう一度所見を伺いたいと思います。
〇工藤林務担当技監兼全国植樹祭推進室長兼企画総務課長 カリウムの調査についてでございますけれども、まず第1に、国は、福島県のセシウムの被害の非常に大きいところを中心に調査をしております。そこで調べているデータに県のデータを加えまして、将来的にどう活用していこうかというのが、今、国で検討を進めているところであります。
 したがいまして、県のデータだけで、すぐ使える使えないということは言えないのですけれども、まずは、国と一緒に検討しながら進めていきたいと考えております。
 一方で、県内でも、カリウムの調査とは別に原木林調査をしている中で、ある程度の場所で利用できる区域が徐々にではありますが広がってきております。むしろ、そちらのほうを積極的に使っていって、生産者の方々にはその原木を提供し、次に、では、将来どうやっていこうかという場所について、そういったカリウムのデータを使いながら原木林の造成につなげていければと思っております。
〇佐々木朋和委員 わかりました。国の知見も合わせてということでしたので、ぜひ進めていただきたいと思います。
 もう一つ、私からの提案型になってしまうのですけれども、休耕田等への植林についてであります。全国の原木シイタケの組織の総会のときに、私も生産者の皆さんからお話を聞いたのですけれども、西日本では、休耕田や畑を活用して原木を植えて作業効率の改善につなげていると。山ではないので切り出しも楽でありますし、その場でほだ場にしてしまうという話もお聞きしました。
 そういった事例がある中で、一関市等の田畑は全て除染済みなわけであります。ですので、そういったところに、使われていない休耕田や畑などに原木になる木を植えて、10年周期で伐採していく。こういったことも、放射線の影響が大きい地域では必要なのではないかと思いました。
 本事業には、農地として認められるのかという課題もありますが、県としてはどのように認識をしているのか伺いたいと思います。
〇嵯峨参事兼林業振興課総括課長 休耕田等への植林ということでございますが、原木シイタケの産地再生のためには、原木の確保は重要な課題と認識しております。
 一般的に、植栽につきましては、土壌とか気候とか立地条件を踏まえて植栽することが基本とされておりまして、シイタケ原木となるナラなどの樹木を農地に植栽する場合、土壌や水はけなどの生育環境が場所ごとに異なるため、植栽に適した土地であるか十分確認しながら進める必要があると認識しております。
 また、先ほど農地のままでいいかどうかというお話もありましたが、例えば、森林整備事業等の補助事業を活用して植栽を行う場合等には、農地から林地への転用手続を行う必要がある場合があるということでございます。
 県といたしましては、生産者や土地所有者等から、さまざまそういう活用の御相談等があれば、助言を行うなど丁寧に対応してまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 ぜひ、東日本大震災津波からの復興という一つの大きな流れの中での応急措置という理論武装をすれば、そういったところについても、生産者の方からの要望があれば、そういった部分で国にかけ合うことも一つかと思っております。
 いずれ、さまざまな手法を使いながら、震災から13年たって、もともとの生産者の方々も高齢化が進んでおりますので、次の担い手の確保に向けて、ぜひ、これからも原木林の再生について取り組んでいただきたいと思いますので、お願いして、終わりたいと思います。
〇城内愛彦委員長 おおむね再開後1時間半が経過いたしますが、この後、質疑を表明している委員が2人います。続行してよろしいですか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇斉藤信委員 それでは、水産業再生の取り組みについて質問します。
 主要魚種であるサケ、サンマ、スルメイカの今年度の水揚げ量、魚市場の水揚げ量の現状と東日本大震災津波前との比較を示してください。
〇太田漁業調整課長 主要魚種の水揚げ量等についてでございますが、令和5年の主要魚種の水揚げ量としまして、サケは134トンで東日本大震災津波前の0.5%、サンマは4、366トンで震災前の8%、スルメイカは2、589トンで震災前の14%となっております。
 魚市場の総水揚げ量につきましては7万3、000トンで、こちらは震災前の41%、総水揚げ金額は160億円で、震災前の68%となっております。
〇斉藤信委員 特にサケが0.5%と激減して、前年と比較しても30%レベルと壊滅的な状況という感じがいたします。
 先ほどサケの資源回復のことで、海水温の上昇に対応した稚魚を育成するということは前も言われたことで、ところが、あのときはたしか北上川に上ってくるサケも話題になりました。今、北上川にはほとんど戻ってきていないのです。
 だから、私は、やはり高い海水温に対応するという前にあった議論は、なかなか厳しくなっているのではないかと思いますが、いかがですか。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 サケの回帰については、これまでの研究結果で、高水温にさらされると細胞を守る仕組みが働くという研究結果が出ておりまして、それらをもとに、それらの遺伝形質が引き継がれるかどうかを今研究しているところでございます。
 具体的には、研究の途中ではございますけれども、サケの精子を凍結しておいて、早い時期のサケは暑さに強い形質を持っているので、その精子を凍結して保存しておいて、後半のメスと掛け合わせる形で遺伝形質が引き継がれないかということを研究しているところです。
〇斉藤信委員 決算特別委員会のときにも聞いたのですけれども、魚市場別の水揚げ状況で、震災前を超えているのが普代村と野田村なのです。普代村は153%、野田村は162%です。
 私が決算特別委員会のときに聞いた理由は、ブリ、マイワシなどの水揚げ量がふえたと。しかし、これはどこでもふえているのです。だから、普代村と野田村で震災前と比べて1.5倍以上の水揚げになっている理由を真剣に検討したのでしょうか。
〇太田漁業調整課長 今、御指摘のありました普代村と野田村の魚市場の水揚げ量が震災前からふえているというところでございますが、こちらについて、個別の魚市場の水揚げ状況の解析については、申しわけないのですけれども、今の段階ではやれていないところでございます。
 ただ、漁業協同組合の関係者の方等にもお聞きしておりますと、やはりサケがだめになってきた段階で、マイワシ、ブリ等の青い魚―回遊してくる魚に、比較的早くシフトしていたということを組合長からもお話を受けていたところなので、先ほどの答弁につながっていたところでございます。
〇斉藤信委員 普代村、野田村は小さいところですけれども、普代村は4、662トン、野田村は2、515トンなのです。釜石市よりもやや少ないぐらいの規模です。震災前から1.5倍に水揚げ量をふやしているというのは、全体が41%ですから、これは突出しているのですよ。それがどういうふうに漁業の振興に力を発揮しているのかしていないのか、そういうところも含めてもっとしっかり分析する必要があるのではないかということを問題提起しておきます。
 次に、岩手県の強みである養殖ですけれども、ワカメ、昆布、アワビ、ホタテ、カキ、これはデータをいただきましたので私から紹介しますと、ワカメは震災前比で51%、昆布は35%、アワビが29%、ホタテガイ20%、カキ53%と、岩手県の強みの養殖が、これまた、ことごとく大幅に減少している。この要因についてはどのように受けとめているでしょうか。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 対象種別のお答えになろうかと思います。
 まず、ワカメにつきましては、親潮の張り出しが弱く水温が二、三度高かったこと、あとは、降水も少なく栄養塩が不足したことで伸びが悪かったという理由でございます。
 また、アワビについては、磯焼けが拡大しまして餌となる昆布等が不足したことから、成長や身入りが悪かったものと考えております。
 また、ホタテについては、夏場の表面水温が平年に比べて2度から4度ほど高かったということで、ホタテガイの生き残りに影響します23度を超過したことから、これらが影響して生産が少なくなったと捉えております。
〇斉藤信委員 ワカメは前年比だと94%、アワビは91%なのです。前年度から落ちていたということです。
 ワカメの場合は、日本一と言っていて、震災前比で51%まで落ち込んでいるというのは、岩手県が押し出す、力にするという意味でいけば、やはりワカメで震災前比に戻すぐらいの取り組みが必要なのではないか。担い手不足が大きな要因になっていないか、もう一回そこをお聞きします。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 ただいま斉藤信委員が御指摘のとおり、ワカメに関しましては、震災後、養殖業者が減ったことで生産が減少したということも一因としてはございます。
〇斉藤信委員 岩手県は水産業リボーン宣言に基づく取り組みを進めていますが、成果はどうなっているか、まとめて説明してください。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 リボーン宣言に基づく取り組みの成果でございますが、主なものといたしまして、サケ資源の回復につきましては、北海道から種卵の確保に努めまして、現在、大型で遊泳力の高い稚魚を生産しております。目標の7割となる5、600万尾を今月から順次放流しているところでございます。
 ウニの資源の有効活用につきましては、12漁協で実施しておりまして、拡大しております。
 また、サケ、マス類の海面養殖については、今年度6地区で約1、800トンということで、前年度と比べ1.5倍の生産実績となっており、さらに、来年度は9地区で2、000トンを超える生産が計画されており、取り組みが広がっております。
 貝類につきましては、ホタテガイに比べまして、高水温に強く、出荷までの期間が短いアサリの試験養殖を3漁協で実施しておりまして、これらによって、水産業リボーン宣言に基づく取り組みをしながら、水産業が持続的に発展するよう取り組んでおります。
〇斉藤信委員 次に、クロマグロについてお聞きいたします。
 令和5年度のクロマグロの漁獲状況、定置網に入っている状況、そして、漁獲割り当ての状況はどうなっているか示してください。
〇太田漁業調整課長 クロマグロの漁獲状況等についてでございますが、令和5年度における漁獲量は、2月29日現在、小型魚が93.1トンで漁獲可能量の96%、大型魚が64.1トンで漁獲可能量の99%を消化しております。前年同期比で小型魚が110%、大型魚が101%となっております。
 また、定置網では、漁獲可能量を超過しないように入網したクロマグロの放流を行っておりまして、令和5年度は2月29日現在で、小型魚、大型魚合わせまして、推定で約37万9、000尾、重量で2、700トンを放流したと定置漁業者から報告を受けているところでございます。
 これまで県では、国に対しまして、クロマグロの資源量の増加にあわせ漁獲可能量を速やかに増加させるよう要望しているところでありまして、今後も、国に対して積極的に働きかけていくとともに、クロマグロの漁獲管理を国際的に行っております中西部大平洋まぐろ類委員会の年次会合で、小型魚の漁獲可能量を1.47倍にして大型魚に振りかえ可能とする数量の拡大が採択されたことから、国は、令和6年度に都道府県管理の大型魚の漁獲可能量を増加させる方針を出しております。これを活用しまして、漁獲可能量の増大に向けて関係者と調整しているところでございます。
〇斉藤信委員 今年度の漁獲量が小型魚、大型魚合わせて157トンです。定置網で放流したのが2、700トンと、これは漁獲量の17倍なのです。去年私が聞いたときには5倍でした。だから、去年と比べてもかなり大量に定置網に入っている。資源が確実に回復しているということを示しているのではないか。
 私は、これだけ定置網に入って、17倍も放流しなくてはならないという事態、本当に漁民から見たら、水揚げしたいものを放流するという一番の矛盾ではないかと思うのですけれども、この点、政府はどういう取り組みをしているのか。国際条約に基づきますから、そういうところも含めて、どのような議論になっているかわかりますか。
〇太田漁業調整課長 日本国内の漁獲可能量につきましては、国の方針では、令和4年から令和6年度にかけては一定にするということで、現在の当初配分については固定化されているところでございます。
 先ほどありました中西部大平洋まぐろ類委員会につきましては、資源が増加していることは事実ということでは認めているようでございまして、令和7年度から新しい資源管理の取り組みについてを検討するとなっておりますので、また、来年度以降のWCPFC―中西部大平洋まぐろ類委員会で、新しい資源管理の取り組み等が議論されていくものと思っております。
〇斉藤信委員 本当に去年と比べてもとんでもない規模で定置網にクロマグロが入っている。遅くとも令和7年度には、今の資源量の回復に合った漁獲割り当てができるように、令和7年度から新しい枠組みという話もありました。
 あと、国内の問題でいいますと、沿岸漁業の割り当てと、大型まき網の割り当てが倍なのです。これが海外は反対ですから、私は、国内の割り当ての見直しも求めていく必要があると思います。いわば定置網にこれだけ入っているということを、漁獲の実績でなくて、実際に定置網に入っている漁獲枠でしっかりアピールする必要があるのではないかと思いますので、ぜひ、この問題をしっかりやっていただきたい。
 最後の質問になりますけれども、漁業の就業者数、担い手確保の現状と取り組みについて示してください。
〇太田漁業調整課長 漁業の就業者数、担い手確保についてでございます。
 本県における漁業就業者数は、漁業センサスによりますと、平成20年が9、948人、平成25年が6、289人、平成30年が6、327人となっておりまして、直近のデータであります平成30年は、10年前の平成20年と比べまして約4割減少しているところでございますが、5年前の平成25年と比べると、ほぼ横ばいの状況となっております。
 また、販売高が1、000万円以上の中核的漁業経営体数は、令和4年度は、令和3年度より140経営体多い414経営体となっております。
 県では、市町村や関係機関などと連携しまして、いわて水産アカデミーを核とした人材育成等により新規漁業就業者の確保、育成に取り組むとともに、養殖業の規模拡大や法人化、新しい漁業、養殖業の導入などによります漁業経営体の経営力の向上を図ることにより、中核的漁業経営体の育成に取り組んでいるところでありまして、新規就業者が、今後も将来の本県の漁業を牽引する担い手として活躍できるように、きめ細かな支援を行っていきます。
〇斉藤信委員 中核的漁業経営体が令和4年度414ということで、前年が277でしたから、これはかなり大きな成果だと思います。
 ただ、新規漁業就業者は、令和4年度30人、令和3年度47人ということでありました。新規漁業就業者数の目標と比べて令和4年度の30人はどうなのか。どのぐらい必要だという取り組みになっているかを示してください。
〇太田漁業調整課長 新規就業者の確保目標としましては、年間平均四十数人必要というところで見ておりますので、先ほど言いましたような数字でいきますと、もう少し上積みが欲しいところでございます。
〇斉藤信委員 わかりました。
 40人という根拠は何ですか。
〇太田漁業調整課長 そちらにつきましては、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランで、就業者数ということで示している数字でございます。
〇斉藤信委員 それは答えにならないのですよ。40人というのが、漁業の振興にとってどういう意味があるのか。それがなかったらだめではないですか。
〇城内愛彦委員長 どなたが答えますか。
〇太田漁業調整課長 そこの部分につきましては、御指摘を踏まえまして、今後の漁業の将来的な姿を見ながら、必要な人数につきましては改めて検討していきたいと思います。
〇田中辰也委員 最後の最後ですので、もう少しおつき合いください。
 私は1点だけお聞きします。内水面漁協についてお伺いいたします。
 県内各河川において、アユを初めとします各魚種が減少傾向にあると聞いております。また、各漁協としては、市町村の協力を得ながら放流量をふやすなどの対策を講じているわけですが、なかなか釣り客がふえなくて、遊漁券の販売も伸び悩んでいるという形で、経営が厳しくなってきているという話を聞いております。
 また、構成する組合員も高齢化が進んできており、今後、経営を維持していくのは非常に困難な組合も出てきているという話も伺っているところでございます。
 今後に向けた対策が急務ではなかろうかと思うわけですが、現状、それから課題を踏まえまして、今後の対策等についてどのようにお考えか伺います。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 内水面漁業協同組合の組合員の減少、高齢化等につきましては、田中辰也委員御指摘のとおりでございまして、大変厳しい状況に置かれているのが事実でございます。
 漁業協同組合の収入源となっております遊漁料収入の増加に向けましては、インターネットやSNS等を通じた遊漁者への情報発信が有効であると考えておりまして、県では、関係団体と連携しまして、国の補助事業を活用した電子遊漁券システムの導入などへの支援を行っており、令和3年度以降の遊漁者数は、やや増加している傾向にあります。
 また、県では、令和3年3月に策定いたしました第2期岩手県内水面漁業振興計画に基づきまして、遊漁者の増加に向けた支援を行うほか、内水面資源の回復に向けまして、これまでのアユ、ヤマメなどの種苗放流を中心とした資源造成に加えまして、費用対効果が高く、持続可能な自然再生産を促すなどの資源管理の手法も検討していくこととしております。
〇田中辰也委員 さまざまな対応を県としても、また、各漁協としてもやっているとは思うのですが、やはり一番は、今の若い人が河川の釣りを志向していないようなところがあるのではないか。それは、やはり子供のときから川に親しむというのが大分少なくなっている。小中学校は、川は危ないから近づくところではないよということをずっと言っているわけです。ですから、子供のときにその川にお父さんと行って、一緒に魚釣りをしたりというのが、大分減ってきているようなところがあるのではないかという思いをしています。
 そういうところから、渓流釣り等も岩手県の魅力の本当に一つではあると思いますし、自然豊かな岩手県をしっかりとPRしていくためには、ここをしっかりとやって、資源もふやしていくことも大事だと思うのですが、一番は、そこに魅力を持つ人をふやしていかなければならないのではないかと思います。その対策については何かお考えでしょうか。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 遊漁者に向けた情報発信という視点かと思われます。
 県は、内水面漁業協同組合連合会と連携いたしまして、毎年、川釣り写真コンテストを開催しておりまして、県内外の釣り具店等に、コンテストの受賞作品を用いたポスターを掲示してPRしているほか、内水面漁連のホームページにも公開し、魅力を視覚で訴えるような情報発信をしているところでございます。
〇田中辰也委員 そういうPRも大事ですけれども、さっき言ったように、将来の釣り客をふやす施策についても、各内水面漁業協同組合とも知恵を出し合いながら取り組んでいかないと、気がついたら誰もいなくなったという状況になりかねないと思っていますので、できる限り早目の対策をお願いしたいと思います。
 それと、経営がかなり厳しくなって、組合員も少なくなってというところが大分ふえてきているような気がするのです。そういった場合には、やはり、ある程度水系ごとに漁協の組織をまとめていくなど、そういう形も考えていかなければならない時期ではないかという思いもしているわけですが、その辺を各漁協等との意見交換等もされているのかどうか、お伺いしたいと思います。
〇金野団体指導課総括課長 内水面漁協の経営状況でございますが、田中辰也委員御指摘のとおり、従事される方々の高齢化や、あとは、事務局体制の脆弱化が非常に顕著にあらわれていると、日々の検査ですとかヒアリング等で把握しているところでございます。
 ただ一方で、その経営改善策はさまざまあるかと思いますので、合併が全ての方策ではないかと思いますし、それぞれの漁協で、経営改善なり経営の合理化なりを検討していくことが肝要と考えております。
 県として、特段、一方的な視点というのは持ち合わせておりませんが、各漁協の現状に応じまして、適切な助言等を重ねてまいりたいと考えております。
〇田中辰也委員 先ほども申しましたけれども、岩手県のきれいな、豊かな河川、これは本当に県の魅力の一つだと思いますので、そこをしっかり管理できるようにして、次の世代にしっかりとした形で渡せるような環境づくり、体制づくりをやらなければならないと思っております。
 各漁協は、悩んでいるところもかなりあるみたいですので、そこの意見をしっかりと吸い上げていただきながら、協議をして、さらに豊かな岩手県の河川を維持していっていただきたいと要望しまして、終わらせていただきます。
〇城内愛彦委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇城内愛彦委員長 質疑がないようでありますので、これで第2部林業、水産業関係の質疑を終わります。
 農林水産部の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 委員におかれましては、しばらくお待ちください。
 次に、3月5日の総務部審査において、臼澤勉委員から議事進行があった参考人の出席を求めることについてでありますが、3月6日、7日、8日、12日及び本日開催した世話人会において協議をした結果、予算審査の内容を深めるため参考人の出席を求める意見と、慎重に対応すべきなど出席を求めない意見があり、意見の一致を見ない状況であります。
 今後、協議を継続しても意見の一致には至らないと考えられることから、この状況で参考人の出席を求めることは難しいため、参考人の出席を求めないこととする結論に至りました。
 次に、3月6日のふるさと振興部審査において、斉藤信委員から参考人の出席を求める発言について、3月7日、8日、13日及び本日開催をした世話人会において協議をした結果、さきの12月定例会において、政治資金規正法違反疑惑の徹底解明を求める意見書を採択した経緯に関連し参考人の出席を求める意見と、令和6年度当初予算案の審査との関連が考えにくいことから出席を求めない意見があり、意見の一致を見ない状況であります。
 今後、協議を継続しても意見の一致には至らないと考えられることから、この状況で参考人の出席を求めることは難しいため、参考人の出席を求めないこととする結論に至りました。
 以上のとおりでありますので、御了承願います。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後6時48分 散 会

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