令和6年2月定例会 予算特別委員会会議記録 |
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令和6年3月13日(水)
1開会 午前10時1分 1出席委員 別紙出席簿のとおり 1事務局職員 議事調査課 総括課長 昆 野 岳 晴 議事管理担当課長 藤 平 貴 一 主任主査 佐 藤 博 晃 主任主査 増 澤 綾 子 主任主査 及 川 雄 也 主査 阿 部 真 人 主査 堀 合 俊 彦 主査 三 浦 訓 史 1説明員 労働委員会 事務局長 宮 昌 隆 審査調整課 総括課長 四 戸 克 枝 商工労働観光部長 岩 渕 伸 也 副部長兼 商工企画室長 高 橋 孝 政 定住推進・雇用 労働室長 三 河 孝 司 ものづくり自動車 産業振興室長 十良澤 福 志 観光・プロモー ション室長 高 橋 利 明 商工企画室 企画課長 齋 藤 深 雪 商工企画室 管理課長 藤 枝 修 経営支援課 総括課長 小野寺 重 男 産業経済交流課 総括課長 畠 山 英 司 特命参事兼 地域産業課長 金 野 拓 美 特命参事兼 雇用推進課長 駒 木 豊 広 労働課長 菅 原 俊 樹 特命参事兼 ものづくり産業 振興課長 小 野 和 紀 特命参事兼 自動車産業 振興課長 小笠原 徳 特命参事兼 産業集積推進課長 松 本 哲 特命参事兼 プロモーション 課長 大 越 治 仁 企業局長 中 里 裕 美 次長兼 経営総務室長 佐々木 真 一 技師長 村 上 敏 弘 経営総務室 管理課長 千 葉 順 幸 経営企画課長 伊 藤 隆 行 業務課総括課長 高 橋 浩 電気課長 白 井 孝 明 財政課総括課長 佐 藤 直 樹 〇城内愛彦委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入ります。 議案第1号から議案第20号まで、議案第27号から議案第38号まで、議案第40号、議案第41号、議案第44号、議案第47号、議案第48号、議案第52号、議案第54号から議案第67号まで、及び議案第69号から議案第76号までの以上60件を一括議題といたします。 本日は労働委員会、商工労働観光部、及び企業局関係について延べ20人の質問者を予定しており、世話人会の協議により、本日の質疑の目安時間は20分といたしました。また、関連質疑の取り扱い、換気のための休憩につきましては、これまでと同様でありますので、御協力をお願いします。 初めに、労働委員会事務局長に、労働委員会関係の説明を求めます。 〇宮労働委員会事務局長 労働委員会関係の予算について御説明申し上げます。 予算に関する説明書の153ページをごらん願います。5款労働費3項労働委員会費のうち1目委員会費3、128万5、000円は、労使紛争の解決を図るため労働委員会の運営に要する経費であり、委員15名に対する報酬や旅費等の事務費でございます。 次に2目事務局費9、178万5、000円は事務局の管理運営に要する経費であり、事務局職員の人件費や需用費等の事務費でございます。 二つの費目合わせまして、154ページの計のとおり1億2、307万円となるものでございます。 以上で説明を終わります。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。 〇城内愛彦委員長 これより質疑を行いますが、質疑、答弁ともに簡潔明瞭に行い、議事の進行に御協力をお願いいたします。 ただいまの説明に対し、質疑はありませんか。 〇名須川晋委員 トップバッターを仰せつかりましたので、いい流れをつくっていきたいと思います。 それでは、まず昨年5月、新型コロナウイルス感染症は5類感染症に引き下げとなりました。約3年にわたるコロナ禍期間に、労働環境に大きな変化がございましたけれども、このもろもろをどう総括しておりますでしょうか。 〇四戸審査調整課総括課長 コロナ禍期間における労働環境の変化に係る総括についてでございますけれども、新型コロナウイルス感染症が流行した時期におきましては、働き方改革関連法が順次施行されるとともに、事業主のパワハラ防止対策の義務化とか、改正育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律が順次施行されたことなど、労働関係の法制度が大きく見直される時期と重なった時期でございます。 そのため、新型コロナウイルス感染症の感染対策と事業活動の両立、働く場所、労働賃金、時間賃金、ワークライフバランスなど、何を優先していくかという、これまでの働き方を大きく変えることになったと考えております。 〇名須川晋委員 それでは、業種別、雇用形態別、年齢別、男女別、地域別、相談形式別、出前無料相談会、面談、メール等の推移と変化について、簡潔で結構でございますので、お知らせください。 〇四戸審査調整課総括課長 労働相談の推移と変化が顕著な点についての分析でございますけれども、労働相談につきましては、コロナ禍以降、令和2年度から令和4年度にかけまして、労働件数と相談件数が随分伸びまして、令和4年度につきましては673件と、過去最高となったところでございます。 令和5年度におきましても、2月末までで労働相談件数が615件となっておりまして、高どまりの傾向となっております。 個別労働労使紛争に関する相談を行っている労働委員会は全国で31府県ございますけれども、令和4年度の相談件数につきましては、本県が全国で2番目に多い相談件数となっているところでございます。 また、相談の性質別等でございますけれども、聞き取りによって把握した1月末時点の数値となりますが、業種別では、医療・福祉、そして飲食・生活関連のサービス業、製造業と続いております。 また、雇用形態別の相談者数につきましては、正規雇用者が半分を超えておりまして、非正規が3割ぐらいとなっております。 年代別につきましては、30代から50代の相談が多くなっております。 男女別につきましては、女性が54.9%と、女性のほうが若干多いという状況でございます。 また、相談者、地域別に見ますと、県央広域圏、県南広域圏が多くなっておりまして、この両広域圏で全体の8割を占めております。 また、相談手段形式別については、電話相談が487件と、ほぼ9割が電話相談となっております。 ここまでの相談の傾向については、令和2年度以降大きな変化はございませんけれども、相談内容につきましては、令和3年度、令和4年度はパワハラ、嫌がらせが最も多くなっておりまして、これは事業主のパワハラ防止対策が令和2年から施行されたことが影響しているかと思っております。 〇名須川晋委員 労働法委員会の予算書を見ても、事業費の中身などがなかなかわからないわけでありますが、その中でも、新年度において、新規あるいは拡充と、特色ある事業はございますでしょうか。 〇四戸審査調整課総括課長 先ほど御答弁申し上げましたとおり、現在の業務は労働相談が中心となっておりますけれども、その労働相談が高どまりとなっておりまして、日々深刻な相談が寄せられております。 労使双方がワークルールの基本的なところの理解がなされていないというところが大きなところかと思っております。 そのため、今年度の下期から、労働相談とか、ワークルールの出前講座におきましては、委員会の制度につきまして、使用者に対する周知を強化しております。また、労働相談が労働者の皆様のセーフティネットとしてより活用されるように、身近な商業施設とか、公共施設での広報活動をふやしているところでございます。 令和6年度におきましても、これらの取り組みを拡充したり、また、盛岡市で夜間に無料の労働相談会を開催することも計画しておりまして、労働環境の改善とか、良好な労使関係に向けて取り組んでまいりたいと考えております。 〇名須川晋委員 事業として、出張相談を月に2回ほどやられているということで、これは説明のところで、特出しで、事業として書き込めないわけでしょうか。ほかの自治体を見ても、やはり人件費だけしか書かれていないのですけれども、この事業をされていることをもう少しアピールしてもいいのではないかと思いますが、何か理由がありますか。 〇四戸審査調整課総括課長 会場設営費とか、そういったものは別途かかりますが、事務費の中でやっているものでございまして、ふだんの委員の報酬等の中でやっているというのが現状でございます。 〇名須川晋委員 今、一緒に見てもわからないというのが実態でございますので、これは少し検討していただければいいのかと思います。だから、質問もないと思いますので、もう少しこういうことをやっているのですということを明らかにするといいと思います。 今後、外国人労働者が増加していくと思われますが、相談や業務でのかかわりはどのようになっていくでしょうか。 〇四戸審査調整課総括課長 外国人労働者の相談や業務へのかかわりにつきましては、令和6年1月に労働局が出した資料によりましても、本県で雇用される外国人の労働者数とか、雇用事業所数は過去最高を記録しておりまして、産業人材の確保ということで、今後、外国人労働者はふえてくると見込まれます。ただ、現時点におきましては、当委員会に寄せられる外国人労働者からの相談はほとんどありませんで、今年度も2件のみとなっているところでございます。 当委員会に外国人の方から、母国語での専門的な相談が寄せられた場合には、現時点では、厚生労働省の対応しております外国人の労働者向けの相談ダイヤルとか、労働条件相談ほっとラインを御案内しております。また、アイーナに設置されておりますいわて外国人県民相談・支援センターに御協力を依頼することとしているところです。 国におきましても、育成就労の制度創設が検討されておりますけれども、本県で働く外国人労働者の方が働きやすく、安心して暮らしていけるように、当委員会としましても、国、県と連携しまして、進めてまいりたいと考えております。 〇名須川晋委員 ありがとうございます。私の知人のところでも、外国人材の方を雇って、急にいなくなったという事例がありまして、どうやら、給料のいいところに行ったということもございます。 これからどんどんふえていきますので、ぜひとも、県の相談体制も拡充が必要になってくると思いますので、よろしくお願いいたします。 そして、いよいよ2024年問題、この4月から本格化といいますか、施行されて、流通、建設、医療関係でございますけれども、これについて何か予測されるような状況、事態はありますでしょうか。 〇四戸審査調整課総括課長 いわゆる2024年問題については、各業界が抱える課題とか、対応に向けた業務の改善とか、雇用の管理などの報道が連日なされているところでございます。 当委員会に寄せられる労働相談につきましては、従来から医療、福祉関係の職種は多いのですけれども、建設業とか、運輸、医師の方からの相談は余り多くございませんでした。 ただ、さまざまな業種に幅広く影響を与えるという、この2024年問題でございますので、今後、これらに起因するような相談が増加することが予想されるところです。 昨年11月には、県内の医療機関の労働組合でも、12年ぶりにストライキが、労働争議もあったところでありますので、状況によりましては、そのようなことも予想されるところでございます。 また、当委員会としましては、ことし、岩手県トラック協会と岩手労働局を講師にお招きしまして、委員研修会を開催いたしました。その際に、トラック協会の方からは、運送業界にかかわる問題が、今、これほど関心を持っていただく機会はないということでした。この機会を逃さずに、さまざまな改善に取り組みたいとのお話も伺いました。 こういうこともありますので、労働委員会としても、引き続き、労働相談対応のスキル向上など、2024年問題への対応をしていきたいと考えております。 〇名須川晋委員 制度の周知状況について伺います。岩手県は非常に広い県土でございます。これをどうやってカバーしていくか、その取り組みについてと、先ほど冒頭で、相談件数が非常にふえているということでございました。また、労働委員会、労働相談というシステムがあることも、なかなか一般の労働者の中には浸透していないところがあると思いますので、PRについてお伺いいたします。 〇四戸審査調整課総括課長 PRについてでございます。全域をカバーするという視点では、県内の10市町村に委員が出向いて行います出前無料労働相談会を行っております。平日は労働相談の専用のフリーダイヤルで職員が対応しております。その出前無料労働相談会は、土日とか、平日夜間対応いたしますし、メールによる労働相談も対応しております。また、あっせんなどをいただいた際には、県内の各地、要請に応じまして、委員が出向くというようなことにも対応しております。 先ほどの答弁の繰り返しになりますけれども、今は、集団から個人への紛争ということで、労働相談が、個人の方からの相談が多いことと、ワークルールが理解されていないということで、労働者個人への、使用者への一層の周知が必要と考えております。 そのため、最近におきましては、民間の求人誌などへの広報掲載とか、商業施設へのパンフレット等の配架、合同庁舎のトイレなどへの名刺大の労働相談の御案内の掲示とか、あと、労働相談が多い職種の方が集まる会議で、そのような制度紹介などをしております。 また、経営者団体の方々の広報誌などへの掲載も働きかけておりまして、工夫しながら、周知に努めているところでございます。 〇名須川晋委員 最後になりますけれども、働き方改革を主として労働環境が変化していくとおっしゃられました。まさに私もですし、宮事務局長も昭和の24時間働けますかの不適切な時代を過ごしたかと思うのですけれども、個人的には懐かしいといいますか、そこに郷愁を感じているのですが、そういうこともなかなか受け入れられない時代になってきました。 そして、いわゆる失われた30年、物価高騰、価格転嫁できない中小零細企業、上がらぬ実質賃金といった、労働者、経営者とも大変厳しい経済情勢にあるわけでございますが、労働委員会の役割について、事務局長の所感を最後にお伺いいたします。 〇宮労働委員会事務局長 ただいま、失われた30年というお話がございましたけれども、私も県職員生活37年になりまして、そのほとんどの部分が失われた時期と重なるわけでございますけれども、そのころは、余り意識しないで過ごしてまいりましたが、現在、世界各国との比較分析によりまして、日本の経済成長が非常に停滞していたことが明らかになってきております。昨今の物価の急激な高騰も踏まえまして、やはり現在の経済情勢は非常に厳しいと認識しております。 その中で、先ほど来お話ししているように、労働相談の件数が高どまりしているという状況がございます。内容を見ますと、本当に解決が難しいような複雑な相談がある一方で、基本的なワークルールをお尋ねするような質問がございます。 例えば、有給休暇というのは、自分からとれるものなのでしょうかとか、職場でこういう話があったのですけれども、パワハラになるのではないでしょうかというお尋ねなどもございまして、働き方改革の動きが浸透していく中で、県民の労働環境への関心が高まってきたのではないかと、それが増加にもつながっているのではないかと感じております。 労働委員会でありますけれども、中立、公正な立場で、労使間の紛争を解決する行政委員会でございます。集団的労使紛争解決、あっせんとか、個別の労使紛争の解決等の役割を担っておりますし、最近では、労使間の紛争を未然に防ぐということで、労働相談にも力を入れているところでございます。 経済情勢が今後どうなるかということもありますし、賃上げ、物価高の様相もございますので、見通すことは難しいところでございますが、労働委員会としましては、委員会の役割をしっかり果たしていく中で、円滑な労使関係の構築、そして、働きやすい職場環境の実現に向けて貢献し、県民の幸福のために尽力してまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 〇城内愛彦委員長 ほかに質疑はありませんか。 〔「なし」と呼ぶ者あり〕 〇城内愛彦委員長 質疑がないようでありますので、これで労働委員会関係の質疑を終わります。 労働委員会事務局の皆さんは退席をされて結構です。御苦労さまでした。 次に、商工労働観光部長に商工労働観光部関係の説明を求めます。 〇岩渕商工労働観光部長 商工労働観光部関係の令和6年度歳出予算案について御説明申し上げます。 初めに、当部の予算編成に当たっての基本的な考え方でありますが、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランのもと、東日本大震災津波からの復興を進めるとともに、若者や女性の地元定着を初めとした、人口減少対策の取り組みを展開してまいります。 まず、復興の推進につきましては、市町村や関係団体等と連携した魅力ある観光地域づくりの推進や、三陸地域ならではの豊かな食産業の振興を初めとした三陸地域の魅力を生かした産業振興、交流人口の拡大に取り組んでまいります。 次に、政策推進につきましては、引き続き、自動車、半導体関連産業を中心としたものづくり産業の集積や、多様な雇用の創出を進めつつ、県内定着やU・Iターン、移住、定住、起業、スタートアップの取り組みを促進するとともに、若者や女性に魅力ある雇用、労働環境の構築を進めてまいります。 また、外国人観光客が増加している状況を踏まえた観光コンテンツの磨き上げや、県産品の販路拡大とも連動したプロモーションやキャンペーンなどを実施してまいります。 さらに、エネルギー、原材料価格の高どまり、人材確保、賃上げへの対応など、中小企業者は厳しい経営環境にあることから、引き続き、国や金融機関、商工指導団体等を構成員とするいわて中小企業事業継続支援センター会議を核とした、金融面や、生産性向上に向けた取り組みの支援などを行いつつ、やりがいと生活を支える所得が得られる仕事につくことができる岩手県の実現を図ってまいります。 それでは、予算議案について御説明申し上げます。 まず、議案第1号令和6年度岩手県一般会計予算でありますが、議案その1の10ページをお開き願います。 当部関係の予算は、2款総務費4項地域振興費の一部と、11ページに参りまして、5款労働費1項労政費及び2項職業訓練費、7款商工費、13ページに参りまして、11款災害復旧費2項商工労働観光施設災害復旧費を合わせまして総額1、087億3、600万円余となっております。 これは、令和5年度と比較し、169億5、500万円余、13.5%の減となるものであり、東日本大震災復興資金や新型コロナウイルス感染症対策関連資金に係る貸付金の減少が主な要因となっております。 次に債務負担行為について御説明申し上げます。15ページをお開き願います。 第2表債務負担行為のうち当部関係は、事項欄9から次ページの17までの9件であり、損失補償に係るもの4件、利子補給に係るもの1件、保証料補給に係るもの3件、離職者等再就職訓練に係るもの1件となっております。 次に特別会計について御説明申し上げます。36ページになります。 議案第6号令和6年度岩手県中小企業振興資金特別会計予算でありますが、これは歳入歳出予算の総額をそれぞれ11億6、300万円余とするものであり、令和5年度と比較して1億4、200万円余、14%の増となるものでございます。 増額の主な要因は、中小企業基盤整備機構への償還金の増によるものでございます。 以上が商工労働部関係の当初予算の内容でございます。 続きまして、予算に関連する議案について御説明申し上げます。 議案その2の101ページをごらんいただきたいと思います。 議案第54号産業文化センター条例の一部を改正する条例、及び107ページに飛びまして、議案第56号家族旅行村条例の一部を改正する条例についてでありますが、いずれも、昨今の物価上昇に伴い、利用料金の上限額を引き上げようとするものでございます。 以上で説明を終わります。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。 〇城内愛彦委員長 ただいまの説明に対し、質疑はありませんか。 〇福井せいじ委員 まず初めに、令和6年度中小企業者等賃上げ環境整備支援事業費について伺います。 今、中小企業で賃上げするには生産性向上と価格転嫁の二つの方法があるということでありますが、パートナーシップ構築宣言、これが価格転嫁を実現する一つのポイントだということです。パートナーシップ構築宣言を実施した事業数と、実施による価格転嫁できた実績を示していただきたいと思います。 〇小野寺経営支援課総括課長 昨年7月に、県で価格転嫁の円滑化による地域経済の活性化に向けた共同宣言を経済団体等と行ったところでございますけれども、その共同宣言を行った7月12日時点では、県内で宣言を行った企業は127社でございました。昨日、3月12日時点で226社に増加しております。 成果ですけれども、定量的に何かお示しするのは少し難しいのですが、定性的な成果という観点でいきますと、まず国では、パートナーシップ構築宣言の普及等を図るという一環で、宣言企業と下請け企業に対して定期的に調査を実施しております。その調査の中で、宣言を行った企業のほとんどが、8割以上の下請け企業の価格協議に応じているという回答結果になっております。 それから、価格転嫁の受け入れ状況という観点で見ますと、全ての宣言を行った企業が何らかの改善を行っているといったような調査結果もございますので、本県において、宣言を行った企業が増加しているということは、その価格転嫁について、一定の効果は生じているのではないかと考えております。 〇福井せいじ委員 今、下請けという言葉が出てきましたが、例えば流通業においては、下請けというよりは、相対の取引のほうが多いと思うのです。これは、流通業ではなかなか価格転嫁ができない状況にあるということです。例えば建設などのそういった下請け等のやりとりは確かに確認できるのですけれども、流通業者におけるこの価格転嫁については、何か商工観光労働部では考えていないのでしょうか。 〇小野寺経営支援課総括課長 このパートナーシップ構築宣言そのものは、必ずしも発注者と下請けのみならず、幅広い業種で宣言いただけるものになっています。例えば国でも示したように、備品の購入等の事業をやっていく上で、当然、取引が出てきますから、全てのものに関して、きちんとした価格で取引しましょうという考え方に基づいておりますので、そういった点では、流通業の方々にも、パートナーシップ構築宣言をしていただくことは有効な手法なのかと思います。 〇福井せいじ委員 相対の取引の場合、非常に価格転嫁が難しいという実情があります。さらに、例えば岩手県の場合は、サービス業がかなりの部分を占めていますので、ここを何とかしなければ、私は、賃上げというものから経済の流通までいかないと思うのです。ぜひとも、そういった意味では、県で宣言をした、あるいは宣言をしなくても、一般の流通業者に対してもアンケートをとるとか、そういった実態調査をしていただきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。 〇小野寺経営支援課総括課長 県では、物価高騰に伴う影響調査を定期的に県内の商工団体を通じて行っています。 その調査の中では、価格転嫁ができているかどうかといった質問項目を設けて、定期的にその状況は把握しており、業種ごとに統計もとっておりますので、そういったことを引き続き調査を通じて、定期的に状況の把握には努めてまいります。 〇福井せいじ委員 物価が上がっている中で、それ以上の賃上げをしていかなければ、非常に経営も厳しい中で、賃上げは実現できないと思いますので、その辺はぜひ調査して、しっかりとした価格転嫁を図ることができるように、環境を整備していただきたいと思います。 次に、中小企業者等賃上げ環境整備支援事業費補助について伺います。 これは、経営革新計画に基づいて生産性向上を図ったり、価格転嫁や賃上げのための環境整備に取り組む中小企業に対し、設備投資、人材育成等の経費を負担するということですけれども、この生産性向上に対して賃上げをしたという、これも成果測定が必要だと思いますけれども、この新しい事業に対しての成果測定の考え方はあるのか、お聞かせください。 〇小野寺経営支援課総括課長 今お話しいただきましたとおり、経営革新計画に基づいて行う事業です。まず経営革新計画承認を受けた企業に対しては、毎年フォローアップ調査を実施しております。ですので、今お話のあった賃上げの実績がどうなっているのかといったようなことに関しても、そのフォローアップ調査とあわせて、今後、事業者の方からお聞きする予定にしております。 〇福井せいじ委員 そのフォローアップの調査をした後、仮に賃上げがなされていなかったというときには、何かペナルティーなどはあるのでしょうか。 〇小野寺経営支援課総括課長 補助金を交付する前提として、年2%の賃上げを計画していただき、その計画に基づいて計画を実行していただくことにしております。実際に賃上げを行っていただければ、それにこしたことはないのですが、さまざまな状況で、結果的に難しいというような状況も生じ得ると思います。したがいまして、年2%の賃上げを達成しないから補助金の返還をしてくださいとか、そういった対応は考えておりません。 〇福井せいじ委員 国の制度でも、さまざまそういった賃上げを前提とした補助制度があるのですけれども、私は、それは本当はだめだと思うのです。その制度を受け入れる以上は、その経営計画にしっかりと基づいた実行をしなければ、本来の目的が達成されないので、ぜひとも私は、そういうときには一部返還とかそういったことも考えてもいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。 〇小野寺経営支援課総括課長 取り巻く経営環境は、いろいろな状況、業種、業態、地域、それぞれ変わってくる部分もありますので、当初計画していたとおりになかなか事業が進まないことも十分あり得るのだと思います。したがいまして、単年度で達成できていないから、すぐ返してくださいというのは、事業者の方々にとっては非常に酷な面もあります。 ただ、確かに交付金を財源として補助させていただいているということがありますから、おっしゃるような視点も必要かと思います。どういう兼ね合いで進めていけばいいのかといったところは、引き続き、我々は、今年度初めて実施した事業でもございますので、少し考えながら進めてまいりたいと思います。 〇福井せいじ委員 今年度初めてということですが、こういった事業は今までもやはりあるのです。それで、効果があらわれない場合に、そのまま放っておくのは、私はあり得ないと思うので、ぜひ、今後考えていただきたいと思います。 次に、商工労働観光部長にお聞きしたいのですけれども、生産性向上についてですけれども、私は、生産性向上はさまざまなところで出てくる言葉ですけれども、一事業者の取り組みとしては、生産性向上は限界があるのではないかと思うのです。 本来、生産性向上は、産業構造の改革にあると私は考えています。地方レベルの産業構造改革というのは、事業所同士の共同業務の取り組みとか、あるいは事業者の円滑な統合、水平、垂直統合とか、そういったことによって生産性が向上していくということです。これが恒常的な賃上げの仕組みにつながり、法人税の増収にもつながるのではないかと思っています。 そういった意味では、共同業務の促進や事業統合の推進に対する補助制度の創設は、本来の生産性向上、そして、県の産業振興につながると思うのですけれども、こういった取り組みはお考えでないでしょうか。 〇岩渕商工労働観光部長 対象が県内の中小企業でございます。また、さまざまな競争が激しくなる中で、地域経済を発展させていくためには、やはり経営体制を一層強くしていくことは、非常に大事なことだと思っております。 こうした中におきまして、国でも、今、中堅企業を多く生み出そうという取り組みも始まっております。そうしますと、県内の中小企業が中堅を目指すという場合には、おのずとそういう今おっしゃったような視点の取り組みが必要になってくると思います。そういう国の取り組みに対して、まさに県から、そういう企業が多く出るような支援策とか、そういうものの構築について、今後働きかけていきたいと考えているところございます。 〇福井せいじ委員 実際に、私どもの業界もそうですけれども、経営統合とか、あるいは共同業務によって非常に生産性が高まります。例えば配送業務を1社でなく、4社、5社でやることによって、非常に生産性が高まり、粗利率も大きくなっていくのです。そういった意味では、統合するときには、さまざまな経費もかかりますので、そういう環境を整備して、経費負担とかできるような補助制度があれば、一層、中堅企業の成立が円滑になると思いますので、ぜひお考えいただきたいと思います。 次に事業承継についてお聞きしたいと思います。事業承継推進事業費については、令和6年度は2、500万円余計上されておりますが、令和5年度の途中でもいいので、取り組み状況や執行状況をお知らせいただきたいと思います。 〇小野寺経営支援課総括課長 事業承継推進事業費でございますけれども、主に二つの補助事業がございます。まず一つが、企業向けの事業承継補助金ということで、事業承継者もしくはそれを予定されている方々が、事業承継にあわせて経営革新等の取り組みをなさる場合に、かかる経費を補助しましょうというものと、あと、商工指導団体等に対しまして、次世代経営者育成事業費を補助するという、大きくこの二つの事業で行っております。 企業向けの事業承継補助に関しましては、今年度は14件に対して応募がございましたので、補助金の交付を行っているという状況でございます。 それから、次世代経営者育成事業費補助金、これは岩手県商工会連合会に対して補助を行いまして、具体的に、後継者を対象とした経営力向上に向けた勉強会の開催、それから、優良な取り組みをした企業を表彰する制度である、いわてビジネスイノベーションアワードといった事業を今年度、ここまで行ってきているところです。 〇福井せいじ委員 わかりました。 次に、いわて事業承継促進資金貸付金について伺いたいと思います。 さまざまな質疑がなされる中で、事業承継診断企業数が令和3年度では、実績が1、908企業、そしてまた、支援企業数が3、172企業でありました。例えば令和4年度は4、540件の支援企業があって、事業承継が成立したのが27件という数字がありました。貸付金額は、この年、4、927万8、000円であります。 1件当たり大体180万円程度の貸し付けになるのかと思うのですけれども、ことしの令和6年度は、非常に大きな予算案となっておりまして、7億3、600万円です。これは大幅にふえているのですけれども、どういった要因があるのかお聞かせいただきたいと思います。もし、この貸付金の7億3、600万円を180万円で割ると、大体430件になるのですけれども、これだけ大きな目標を立てている背景はどういうことかお知らせいただきたいと思います。 〇小野寺経営支援課総括課長 7億3、600万円という予算額ですけれども、令和6年度に新たに借り入れをする事業者も想定した中での予算措置になります。したがいまして、必ずしも何かの実績に基づいてこの金額を積んでいるというわけではなくて、金融機関との協調融資になりますので、そこの県が負担すべき部分、金融機関に預託する部分ということで、このいわて事業承継促進資金貸付金の7億3、600万円を当初予算案に計上させていただいたというところです。 〇福井せいじ委員 令和4年度は4、900万円で、先ほどお話ししたように、27件の成立承継があった。27件で割ると大体180万円です。7億3、600万円を180万円で割ると、これは430件ぐらいの成約件数になるのではないかということです。それだけ大きな伸びを想定しているのかということを、私は確認したかったのです。 〇小野寺経営支援課総括課長 事業承継・引継支援センターでマッチングして成約した方々が全てこの貸付金を借り入れるというわけでもないのです。 令和5年度の当初予算ですけれども、いわて事業承継促進資金貸付金は7億3、700万円計上しておりましたので、枠として、そのぐらいを確保しておこうということで計上していましたので、令和5年度の当初予算と令和6年度の当初予算案を比べると、また今年度もほぼ同額を計上させていただいたというものです。 〇福井せいじ委員 そうすると、令和5年度途中でもいいのですけれども、今の事業承継件数は何件くらいあるのでしょうか。 〇小野寺経営支援課総括課長 事業承継・引継支援センターにおけるマッチング成約件数は、令和5年度2月末までの実績で30件、昨年は27件、今年度は2月末までで30件という状況です。 〇福井せいじ委員 そうすると、本来であれば、令和4年度は27件で4、900万円。それで、今回、令和5年度は30件で7億3、700万円。これはやはり予算を少し積み過ぎではないですか。 〇小野寺経営支援課総括課長 新規融資枠としてそのぐらいを見込んでいるということで、先ほども御答弁させていただきましたとおり、令和5年度の当初予算とほぼ同額という形で積んでおりますので、結果的に執行されないということで、預託がそのまま戻ってくるということになるかもしれませんけれども、まず当初予算ベースでは、前年度と同程度で提出させていただいたというものです。 〇福井せいじ委員 たくさん積んでいただくのはありがたいことかもしれないのですけれども、状況に応じた形での予算計上は必要なのかと私は思っています。いずれ、金融機関からの借り入れも含めてなのでしょうけれども、金融機関と一緒になっての融資貸し付けですよね。そういったこともあるのでしょうけれども、実情に応じた予算計上はやはり必要ではないかということをお話しさせていただきます。 最後に、U・Iターンクラブの状況についてお聞きします。 U・Iターンクラブは平成30年の1月に設立されております。現在、69大学との提携もされているということですが、平成30年から令和5年末で、6年間たっています。就職に関するイベントの延べ回数、延べの参加人数、それからU・Iターンクラブにおける、U・Iターンの実績についてお聞かせいただきたいと思います。 〇三河定住推進・雇用労働室長 ただいま福井せいじ委員御紹介のとおり、平成30年1月から、就職情報やイベント情報の提供、就職に関するイベントの開催支援など、県内で、ことし3校が新たに加盟しまして69校が岩手U・Iターンクラブの加盟となっております。 今、御質問のありましたイベント情報とか、そういったものにつきまして、何件あったかというのを、今持ち合わせていないところではありますが、毎年、関東圏であれば岩手県東京事務所のU・Iターンセンター、あとは東北各地であれば、ジョブカフェいわてとか、あと、我々職員等が大学に参りまして、県内の各企業を連れて、就職マッチングという形でもやっておりますし、あとはU・Iターンフェアということで、東京都、仙台市で、県内の企業や、市町村に参加いただきまして、フェアをやっておりまして、ことし9月30日に有楽町で行ったときには、538名の参加をいただいたところでございます。 ただ、新規の学生ばかりかという話になりますと、内訳は、社会人の方の参加も結構多い状況でございますので、今後、コロナ禍の関係で直接大学になかなか行けなかったという状況もございまして、それが、今、学校訪問が再開されたというところもありまして、そういった機会を捉えまして、今後、加盟大学の増加とか、そういった加盟の呼びかけをしてまいりたいと考えております。 〇関根敏伸委員 私からは、2項目についてお伺いをいたします。 まず、半導体産業についてお伺いをいたします。 今まで、県では、半導体産業育成、集積に向けてさまざまな取り組みをされてきたと承知しておりますが、今までと今後も含めた、県内の市町村、自治体で行ってきた補助の状況、それから、国でも経済安全保障の観点から、今後、半導体産業に相当の補助をつけるという方向が示されておりますが、その見通し、そこをまずお示しをいただきたいと思います。 〇十良澤ものづくり自動車産業振興室長 半導体産業に対する県、市町村による補助の状況と国の補助の見通しということでございます。 まず、キオクシア岩手株式会社を例にしてお答えしますと、県では、同社が整備した第1製造棟の固定資産投資及び雇用を補助対象として、令和元年度からの5年間で50億円の補助を行っております。 キオクシア岩手株式会社に対しましては、北上市も同様に、こちらは10年間でございますけれども、10年間で25億円の補助を行っているというところです。 今後につきましては、半導体、あるいはその関連企業の進出等々にあわせて、県、市町村で検討してまいります。 それから、国の補助につきましては、関根敏伸委員御紹介のとおり、キオクシア及びウエスタンデジタルコーポレーションから、特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入促進に関する法律、いわゆる5G法に基づき、経済産業省へ申請された特定半導体生産施設整備等計画を国が認定しまして、北上工場及び四日市工場で実施している設備投資等に対して、最大1、500億円の助成金の交付を決定したものと承知しております。 〇関根敏伸委員 その上で、県税とか市税とか、雇用とか、あるいは工業品出荷額等々、岩手県を初め、この地域に半導体産業として貢献がどのようにされてきたのか、どのように把握されているのかお伺いいたします。 〇十良澤ものづくり自動車産業振興室長 半導体関連産業の県税等に対する貢献の状況というお尋ねでございます。 順番は逆ですけれども、まず製造品出荷額からお話ししたいと思います。 令和3年の本県の半導体関連産業の製造品出荷額等は4、657億円となっており、5年前の平成29年の3、037億円から1、620億円増加しております。県の製造業全体に占める割合も12%から17.2%と5ポイント増加しております。 また、従業員数ですけれども、令和3年は約1万3、700人で、5年前の平成29年の約1万200人から約3、500人増加しているという状況でございます。 それから、税収への貢献ということですけれども、こちらの産業別あるいは企業ごとの納税額は公表されておりませんが、例えば令和4年の県税収入における法人県民税及び法人事業税、いわゆる法人2税の税収のうち製造業は102億円となっており、令和2年の75億円から27億円増加し、全産業に占める割合も28.1%から33.9%に増加しております。 また、令和4年の北上市の市民税における固定資産税は約114億円で、こちらも令和2年度74億円から40億円増加しているという状況でございます。 製造品出荷額や従業員数の増加、それから半導体関連産業の集積状況を総合的に勘案しますと、税収に対する貢献も相当程度あるものと推測されます。 〇関根敏伸委員 今、貢献の状況が示されたと思いますが、その中で半導体の集積促進協議会などがつくられまして、県内企業の参入とか、マッチング等々が行われてきたと思いますが、このマッチングの状況、あるいは課題等がありましたらお知らせいただきたいと思います。 〇十良澤ものづくり自動車産業振興室長 今、関根敏伸委員から御紹介のありましたいわて半導体関連産業集積促進協議会、通称I―SEPと呼んでおりますので、この設立による県内企業の参入やマッチングの状況ということでございます。県ではI―SEPが中核となり、商談会や技術支援などの取引拡大、大手半導体企業と県内企業との個別のマッチングなどに積極的に取り組んでおりまして、令和元年度から令和5年度までの5年間で、合計114件の取引が成立しているところでございます。 この中で、半導体デバイスメーカー向けのメンテナンス業務や、半導体製造装置メーカー向けの板金、溶接などについて、新たに県内企業が受注した例も出てきております。 キオクシア岩手株式会社や東京エレクトロンテクノロジーソリューションズ株式会社が増設を行うなど、県内企業の参入機会の拡大が期待されることから、県では、県内企業が半導体産業に参入するために必要なノウハウの習得とか、技術力の向上に向けた支援に引き続き取り組んでまいります。 〇関根敏伸委員 マッチングも114件あったということでございます。自動車の場合でありますと、よく地元調達率という目標を示して、御回答をいただく場合が多いのですが、半導体においては、そのような目標値をつくられているのかどうかお伺いしたいと思いますし、あわせて、いわて半導体関連産業集積促進協議会は、取引拡大部会とか、人材育成部会とかの部会がつくられて、大体150社程度参加されているようでありますが、拝見しますと、99%は県央地域から県南地域に集積する企業で、県北地域、沿岸地域でこの協議会に入られている企業はほんの数社と認識しております。 その上で、まさに北上川バレープロジェクトで集積ということが一つの目標だと思うのですが、岩手県全体の波及を見据えた中で、縦軸、横軸の道路も整備を着々とされつつある中で、地元調達率とこの協議会等々への県北地域、沿岸地域の企業の参入、マッチングへの支援、これはもう少し一生懸命やっていく必要があるのではないかという、そのような感想を持っているのですが、認識をお伺いいたします。 〇十良澤ものづくり自動車産業振興室長 地元調達率という話ですけれども、自動車の場合も、個社の目標はあると思うのですけれども、県全体としての調達率の目標は、実は出しておりません。 それから、半導体につきましても、結論から申しますと、調達率の目標は出していないのですが、例えばデバイスメーカー、キオクシア岩手株式会社だったり、株式会社ジャパンセミコンダクターだったりというところにつきましては、メンテナンスとかそういうところには参入できるのですけれども、そもそもウエハーをつくる工程にはなかなか入れていないという状況があり、構造的にそういうことになっております。 それから、半導体製造装置につきましては、これは、東京エレクトロンテクノロジーソリューションズ株式会社が奥州市にございますけれども、こちらは県内企業もしっかりとサプライチェーンの中に入っておりまして、重要な位置を占めていると認識しております。 それから、半導体産業の県北地域、沿岸地域、要は県全体の波及ということです。先ほど申しましたとおり、製造装置につきましては、これは板金であったり、塗装であったり、組み立てであったりというものもございますので、これは十分に県内全域に波及していけるものだと思っております。いずれ、自動車につきましても、半導体につきましても、県南地域が中心ではございますけれども、これを全県に波及させるべく、我々も取り組んでいるところでございます。 〇関根敏伸委員 そんな中、人材のことでお伺いいたしますが、3億9、000万円余の予算を補正でつけられて、人材育成の拠点がつくられるということで、非常に歓迎するわけでございます。 全国では、約4万人、半導体人材が必要だということです。北海道、東北地域だけでも6、000人程度必要だということも、どこかの報道に載っておりまして、そこをしっかりと取り組んでいただきたいと思うのですが、私はもう一つ、半導体の人材確保とともに、他の分野の、地場の企業に対しての人材確保を両立ててやっていかないと、地場の企業は相当苦労されると思います。 今、まさに熊本県ではそのような状況が起こっているということで、先般、テレビでも放映されておりました。時給が相当上がってきているという状況もあります。北上市でも、ほぼ似たような状況があるのはそうなのです。優秀な、県立黒沢尻工業高校とか地元の高校の生徒は順番に誘致企業に入って、我々の企業には入ってこない。非常にそういった生の声を実は耳にすることが多いです。ですから、同時に商工労働観光部として、地元企業の人材確保に向けた取り組みの拠点を整備するのかどうかは別として、やっていくべきではないかと思うのですが、その取り組みをお伺いいたします。 〇十良澤ものづくり自動車産業振興室長 地場企業の人材確保に向けた取り組みということでございます。我々は企業誘致もやっておりますし、地場企業の支援も両方やっております。誘致企業単独ではなかなか成り立たない、地場企業あっての誘致企業だと、そういうふうに捉えております。 そういう意味で、例えば人材の育成確保につきましては、北上市のオフィスプラザに、その専門の部隊を実は置いておりまして、そこが県内各地のものづくりネットワークと連携することで、小学校、中学校、高等学校、各段階に応じたものづくりへの興味、関心を持ってもらう取り組みから、あるいは企業見学、工場見学、これは当然、地場、誘致関係なくやっております。 そういうので、まず地場企業、あるいは県内企業の知名度を高める、知ってもらうという取り組みはこれまでもやっておりますけれども、これからも進めていきたいと思っております。 ことさら、地場企業に対して何かやっているかというと、持ち合わせているものはないのですけれども、そういう取り組みをこれからもますます強化していきたいと考えております。 〇関根敏伸委員 半導体の質疑の最後になりますが、まさに今、半導体バブル的な状況になって、株が過去最高値をつけたことも、半導体への期待ということもあるようであります。 そんな中、日本国内でもそうでありますし、世界的な半導体競争が激化する中で、県の将来見通しとか、長期的な対応のあり方でありますとか、果たすべき役割の認識、これをどのように考えているのかお伺いをいたします。 〇十良澤ものづくり自動車産業振興室長 半導体関連産業の今後の見通しでございます。 御案内のとおり、半導体市場は、生成AIとか、デジタル技術の急速な進展、自動車の電動化など、さまざまな動きを背景として、その需要が拡大していると見ております。中長期的にもさらなる成長が見込まれていると認識しております。 こうした状況を受け、県では令和2年度に、令和10年度までを見据えた長期ビジョンを策定しております。いわて半導体関連産業振興ビジョンを策定しまして、このビジョンに基づきまして、半導体関連産業のさらなる集積、地場企業の新規参入や取引拡大、人材の育成の取り組みを推進しているというところでございます。 このような状況の中、キオクシア岩手株式会社や東京エレクトロンテクノロジーソリューションズ株式会社が増設を行うというふうに、投資が拡大しておりまして、今後、関連企業も含めて、さらなる投資も期待されるところであります。このような状況の中で、県内企業の参入機会の拡大も期待されていると考えております。 県では、関連機関と連携しまして、いわて半導体関連産業振興ビジョンの目標に向け、先ほどお話ししたI―SEPを中心として、商談会による取引の拡大、あるいは企業ニーズに沿った人材の育成、確保などの取り組みを積極的に推進し、半導体関連産業のさらなる集積に向けた条件整備などに、引き続き取り組んでまいります。 〇関根敏伸委員 いずれ、大きく世界の中で闘っていかなければならない、そういうまさに最先端の企業がいるという中ですから、情報収集とかが非常に大事になると思います。 宮城県は、今度、大衡村につくられるPSMC―力晶績成電子製造に対して7名の組織体制をつくったということです。県は半導体で5名ぐらいの体制かと思って拝見しているのですが、情報収集も含めて、本当にアンテナを張っていかなければならないのではないかということを申し上げたいと、こういう意味でお願いさせていただきます。 2点目の外国人労働者についてお伺いいたします。 生産年齢人口が大きく減少する中、県内の産業人材の長期的不足の見通しをどのように捉えているのか、あわせて外国人人材の果たす役割、必要とされる分野、必要な人員数への認識、これを持っておられるのか、まずお伺いいたします。 〇駒木特命参事兼雇用推進課長 まず私から、産業人材の不足の状況の見通しについて申し上げます。 国立社会保障・人口問題研究所が公表しております、日本の地域別将来推計人口、令和5年推計によりますと、15歳から64歳の人口、いわゆる生産年齢人口は、2020年の国勢調査実績値67万784人に対しまして、2030年には56万9、947人、2040年には46万1、053人と推定されておりまして、10年で約10万人ずつ、1年で約1万人ずつ減少する予想となっております。 また、リクルートワークス研究所が公表しております都道府県別生活維持サービスの充足率シミュレーション結果によりますと、輸送、機械運転、運搬、生産工程、介護サービスなどといった日々の生活を支える生活維持サービスの分野における本県の充足率は、2030年に85.5%、2040年に59.1%と予想されておりまして、2040年代には、必要となる労働需要の約4割が不足すると予想されているところでございます。 〇城内愛彦委員長 答弁は簡潔に願います。 〇菅原労働課長 全国的に人口減少が進む中で、産業人材を含めた外国人材の受け入れを進めて、地域の活性化を図っていくことがやはり必要で、その辺が私たちの役割だと思っております。 あと、産業人材の状況につきましては、労働局が公表した外国人雇用の届け出状況によりますと、令和5年10月末現在で、県内で働いている外国人につきまして、7、082人のうち、製造業が3、751人と最も多いということです。次いで、卸売、小売業が536人、建設業が528人、農業、林業が507人と続いており、今後も、こうした業種におけるニーズが求められていると考えております。 〇関根敏伸委員 いずれ県では、新年度に産業人材育成のための特命課長を商工労働観光部に設けられます。そういった意味においては、外国人材に対しての必要数の認識等もしっかりと商工労働観光部で統括されるのか国際室がやるものなのかはわかりませんが、そこに対して相当アンテナを張って、準備を進めていかなければならない、こういう認識です。 国では、さまざまなこの外国人労働、技能実習制度が育成就労という形に変わると認識しております。今後、さまざまな動きがあるかもしれませんが、その中で、現在の外国人人材がいわゆる首都圏に流出する動きにも相当懸念をされる声があるわけです。 具体的に、技能実習から特定技能に移った際には、ほぼ首都圏に人材が移動してしまうという、こういう実態もあるようですから、この国のさまざまな外国人労働者における制度の見直しも含めて、産業人材の必要数の把握も含めた、長期的な県の司令塔としての商工労働観光部の役割、方針、これを最後にお伺いして終わりたいと思います。 〇菅原労働課長 今、お話があった部分は、当然、私たちの課題として認識しておりまして、そういうことに的確に対応していくためには、単に不足する労働力を補うという観点ではなくて、地域経済を牽引する高度人材の受け入れとか、待遇面にすぐれた労働環境を構築していくことと、あと、海外の多様な文化を理解して、ともに生活できる地域づくりを進めることが重要であると考えています。 そういうことを踏まえまして、来年度、県内事業所を対象に実態調査を行いながら、その関連企業の動向の把握に努めていきたいと考えております。 〇高橋但馬委員 私は、岩手県医療機器等関連産業イノベーション創出戦略について伺います。 四つの戦略に基づいて、医療機器等関連産業の高度化と集積を促進する取り組みを推進してきたと思っておりますが、戦略1のヘルステック・イノベーション・ハブを核としたイノベーションの創出の成果をどう評価しているか伺います。 〇小野特命参事兼ものづくり産業振興課長 ヘルステック・イノベーション・ハブを核としたイノベーション創出の成果の評価ということでございます。 県が、医療機器関連産業のさらなる集積と高度化を目的に整備をいたしましたヘルステック・イノベーション・ハブ─HIHでございますが、令和2年4月の開所後から順調に入居が進んでおりまして、19室ある研究ラボは、現在満室でございます。 入居しております東北ライフサイエンス・インストルメンツ・クラスター─TOLICの会員企業群によりまして、産学官あるいは企業間連携によるさまざまな取り組みが進められております。 例を挙げますと、新規の設立を含めまして、施設内で開発プロジェクトに取り組むベンチャー企業が8社ございます。 また、新たな医療機器として国に承認申請を行っている、市場化が間近な製品が1件ございます。こういった形で、着実に成果の創出につながってきていると認識をしております。 〇高橋但馬委員 それこそ、2014年、新型コロナウイルス感染症の検査薬のセルスペクト株式会社を初めとして、ベンチャー企業の増加がとてもふえてきていると認識しているのですけれども、その戦略2の岩手発の新製品の開発促進と、特許の出願状況はどうなっていますか。 〇小野特命参事兼ものづくり産業振興課長 県ではこれまで、医療機器関連分野の研究開発、製品化を支援する補助事業の実施、あるいは競争的資金の導入支援などによりまして、各種の製品開発に取り組んできたところでございます。 今年度は、県内のものづくり中小企業によるヘルステック分野の製品開発や事業化の取り組みを支援します補助事業を創設いたしまして、医療用極小径レンズの試作開発など、合計7件の取り組みを支援しております。 それから、知的財産の出願状況でありますが、ヘルステック・イノベーション・ハブの入居企業の例で申し上げますと、全てが医療機器関連ということではありませんが、令和2年から令和5年にかけて合計44件、特許、意匠、商標の出願をしておりまして、活発な取り組みが行われているところでございます。 今後も、岩手県発の新製品開発が円滑、効果的に進められるよう、産業支援機関と連携しながら、取り組んでまいります。 〇高橋但馬委員 特許の出願状況も44件と非常に多いと考えます。その戦略3についてですけれども、医療機器等関連産業の集積促進を目指してきたのですが、先ほどもお名前が出ましたが、TOLICの参加企業を初めとした企業創出や県外企業の誘致の状況をまずは示してほしいのと、あわせて、医療機器生産額の推移と今後の可能性、ポテンシャルをどう捉えているか、お知らせください。 〇小野特命参事兼ものづくり産業振興課長 本県の医療機器製造業登録企業数、こちらは平成22年の4月の11社から、令和5年4月には23社ということで、この13年間で倍増しております。関連産業への参入が着実に増加していると捉えております。 企業の創出ということでございますけれども、平成26年以降、TOLICの関連で、ヘルステックデバイスの開発や事業化に取り組むベンチャー企業が11社設立されております。 また、近年で申し上げますと、県外の医療用ステープラーメーカーによる生産拠点の新設、あるいは県内に立地しますマスクメーカーによる工場の増設のほか、大手製薬企業とヘルステック・イノベーション・ハブ入居企業が連携をしまして、製造ラインの自動検査システムの開発に取り組んでいるなど、誘致企業と地場企業との連携した取り組みも行われております。 また、医療機器生産額の推移等でございますが、厚生労働省の薬事工業生産動態統計調査によりますと、本県の医療機器生産額は、令和2年、約280億円、令和3年が約251億円、令和4年で約277億円ということで、ここ数年、おおむね300億円弱という水準で推移をしております。 コロナ禍においても業績を伸ばしてきた企業もございますし、今申し上げておりましたヘルステック・イノベーション・ハブの入居企業を中心に、さまざまな取り組みが活発化をしております。今後は、生産額の伸びにもしっかりとつながっていくものと考えております。 〇高橋但馬委員 誘致企業と地場産業の連携がしっかりできているというのは、あそこにHIHがあることによって、要するに、地元の企業も元気づけられているというのがわかるところでございます。 戦略4について、医療機器等関連産業を支える人材育成確保、定着が欠かせないと考えております。岩手県を離れなくても、先端の開発や製造を行っている企業が県内にあるということが重要です。 TOLICでも、会員企業のインターンやドイツへの研修参加費の半額補助を行うなど、取り組みを行っているが、企業が求める人材の育成に向け、県はどのような役割を果たしていくつもりかお知らせください。 〇小野特命参事兼ものづくり産業振興課長 人材の育成についてでございます。県では、医療機器に限らず、将来の地域産業を担う人材を育成、確保するということで、小中学校から段階的なものづくり産業人材の育成を進めているところでありまして、その上で、医療機器関連産業に関しましては、法規制、品質管理、知的財産、市場動向等に関する講習会やセミナーを開催しまして、専門人材の育成に取り組んでいるところでございます。 また、医療機器関連産業におきましては、独自の技術を強みとしまして、産学官連携や企業間連携により、開発型、あるいは高付加価値型のものづくりに取り組むベンチャー企業も多いということでございます。これらの取り組みの効果的な推進につながるよう、人材の育成や、連携、交流の場づくりといったことも、県の重要な役割と認識をしております。 〇高橋但馬委員 先ほどの答弁でもありましたけれども、HIHが既に満室という状況があります。盛岡市にも産業支援センターがありまして、13室中6室が使用中で、7室が今募集中ですけれども、ここというのは、基本的に入居は1年以内で、特許とか事業の進捗によって、3年を超えないところで2回の更新ができ、最長でも6年ということですけれども、HIHは5年間で更新も可ということで、中に入っている企業から聞くと、安定した期間を設けて研究に専念できるということで、多分、岩手県のこの施設が満館になっていると私は認識しているのですけれども、そこを含めて、この手狭になったHIHの次なる施設の整備というのが、中に入っている企業も要望していると思いますけれども、そこの検討状況を示してください。 〇小野特命参事兼ものづくり産業振興課長 今、高橋但馬委員から御指摘ございましたとおり、企業からは、新たな拠点という要望の声も伺っております。これらも含めまして、イノベーション創出を加速していくことにつきましては、TOLICが今構想しております第2ステージ構想の3本柱、一つは資金調達の円滑化、一つは経営マネジメント力の強化、そして、拠点の拡張による創造的活動の加速化といったようなことがございます。 これらを全体として実現していくことが重要と考えておりまして、TOLICの関係者、それから、盛岡市とも定期的に情報交換を行っております。この情報交換の中で、新たな施設の整備も含めまして、今後の方向性については、さまざまな可能性を検討していきたいと考えております。 〇高橋但馬委員 それこそ、今お話もありましたTOLICのセカンドステージ構想で、株式会社を設立して、財務とか総務とか人事を一括に請負って、研究に集中できる環境をつくるということであると思うのですけれども、既に今の施設がいっぱいの状況で、さらにここからふやしていくとなると、新しい、そういう拠点が必要となってくると思うのですが、福島県では、次世代医療産業集積プロジェクトということで、医療用機器、器具の部品等の出荷額が278億円と全国で1位ということです。医療機器生産額も2、013億円と全国で3位ということで、ホームページにも載っているわけですけれども、東北地域の中で、やはり同じような集積を行っているところが福島県にあって、そこと競合していかなければならないという状況にあると思うのです。 そういう中で、今、施設が必要だという企業がある中で、そこを整備するために、県として一歩前に出る必要があると思うのですけれども、その辺、商工労働観光部長、どうでしょうか。 〇岩渕商工労働観光部長 私も、TOLICの関係者から、次の施設整備の話の相談等を受けており、非常に可能性の高い医療機関関連産業だと思っております。一方で、さまざま、施設も満杯になっております。半導体の分野もいろいろやっていかなければいけない部分があるという中で、民間の力と一緒になってやっていくところが大事だと思いますので、引き続き、TOLICと十分に話し合いながら、前向きに考えていきたいと思います。 〇村上貢一委員 私からは、観光振興施策として、ユニバーサルツーリズム推進の観点から、何点かお伺いいたします。 平成21年度から始まったみちのくいわて観光立県第1期基本計画も、第2期基本計画と進み、第3期基本計画も今年度で終了し、今定例会で令和6年度から令和10年度の計画期間の第4期基本計画が上程されております。 その中では、第3期基本計画の総括、取り組み内容と成果、本県の現状と課題が示されておりますし、第4期計画で、住んでよし、訪れてよしの観光地域づくりと地域経済の活性化を推進することにより、自然と人、文化と人、人と人をつなぎ、地域社会の好循環を生む観光産業のさらなる発展を目指すものとしております。コロナ禍からの回復にも向けて、その計画実施に期待を込めて、具体の質問をさせていただきます。 まず初めに、本県を訪れる訪日外国人観光客を初め、障がい者や高齢者の方々等、さまざまなニーズに応じた受け入れ環境整備に取り組むとのことでございますが、本県の観光施設や宿泊施設等のユニバーサルデザイン対応の状況をお伺いいたします。 〇高橋観光・プロモーション室長 県内宿泊施設のバリアフリー対応につきましては、岩手県観光協会内に設置している、いわてバリアフリー観光案内所が、各施設からホームページで紹介することの承諾が得られた35施設を紹介しております。 そのほかにも、例えば全国に店舗を展開しているホテルなどにおきましては、車いす専用駐車場やエレベーター、多目的トイレを設置するなど、バリアフリーに対応している施設があると承知しております。 先ほど村上貢一委員からも御紹介ありましたとおり、今後は、今定例会に提案しておりますみちのく岩手観光立県第4期基本計画案におきまして、障がいのある人もない人も誰でも楽しむことのできる観光を推進するために、観光施設や宿泊施設等のユニバーサルデザイン対応の促進や、バリアフリー観光の推進、県観光協会と連携して、各施設のバリアフリー対応の情報の収集、バリアフリー研修会を実施しての心のバリアフリーの周知、関係者の協力のもと、官民が連携したユニバーサルツーリズムの推進に取り組むこととしております。 〇村上貢一委員 今、出てまいりました岩手県観光協会と連携しての心のバリアフリーということですが、そのところを広く周知するということでございます。その取り組みの考え方と、その中身についてお伺いいたします。 〇高橋観光・プロモーション室長 周知につきましてですが、心のバリアフリーの周知についてでございますが、県観光協会の中に設置している岩手バリアフリー観光案内所におきまして、心のバリアフリーおもてなしリーフレットを作成して、周知を図っているところでございます。 具体的にはこちらの案内所で、来訪者にリーフレットを配布しております。そしてまた、県観光協会のポータルサイト、いわての旅におきまして、こちらのページを開設して、バリアフリー観光情報と一体的に心のバリアフリーについて情報発信をしております。 取り組み内容でございますけれども、県観光協会におきましては、おもてなしの一層の向上を図るために、県内の宿泊施設等を対象といたしまして、接遇やバリアフリー観光等をテーマに研修会を開催しております。 令和5年度の取り組みでございますが、観光に求められるサステナビリティをテーマとした講習会やおもてなしの心、工場研修会などを開催しております。令和6年度におきましても、引き続き、こうした取り組みをしてまいりたいと考えております。 考え方につきましては、先ほど申し上げたみちのく岩手観光立県第4期基本計画案の中で、県観光協会と連携して、バリアフリー対応の情報を収集するとともに、バリアフリー研修会を実施することで、一人一人が多様な人のことを思いやる心のバリアフリーを広く周知しますと記載しており、このような考え方に基づいて実施していきたいと考えております。 〇村上貢一委員 バリアフリーのハード面が、例えば観光施設や宿泊所のバリアフリー対応ということであれば、ソフト面で言うと、今のような心の、いわゆるホスピタリティーの醸成のようなところがあると思うのですが、例えば会場ボランティアの養成とか、あとは、教育委員会との連携した、そういうノーマライゼーションや子供たちの気持ちの醸成とか、市民、県民の、そのようなホスピタリティーの醸成についてのお考えとか取り組みとかがあれば、お伺いいたします。 〇高橋観光・プロモーション室長 そのような県民全体でのおもてなしといった点につきましても、今回の岩手観光立県第4期基本計画案の中に盛り込んでおりまして、まさに村上貢一委員がおっしゃられたような内容を、県民、そしてまた、各構成団体、皆さんと連携しながら進めていきたいと考えているところでございますので、そういったところから、まず住んでよしというところを、観光客で来られる方にぜひPRしていきたいと考えております。まず自分たちの住んでいるところが、自信を持って紹介できるところだということが一番大事だと思いますので、そういったことも、今回の計画の中に盛り込んでいるところでございます。 〇村上貢一委員 わかりました。 次ですが、岩手県観光協会が各施設のバリアフリー対応の情報の収集、また、観光客への情報提供とか相談窓口なども担っているとお聞きしましたが、その対応状況といいますか、その課題、また、情報の集め方などに、何か課題等々ありましたら、お示ししていただければと思います。 〇高橋観光・プロモーション室長 高齢者・障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律、いわゆるバリアフリー新法が制定されたことに伴いまして、ひとにやさしいまちづくり指針に、具体的な推進方針として、観光地を加えていることによりまして、ユニバーサルデザイン化の促進とか、こういったユニバーサルデザインを掲載した地図の作成、それから、案内表示への外国語併記、外国語での対応が可能な観光案内所の設置などを促進しているところでございます。 先ほどお話ししましたいわてバリアフリー観光案内所を新たに設置し、いわての旅の中で、こういった情報についても掲載しているところでございますが、車いすの貸し出しとか、車いす対応の客室の有無とか、県内宿泊施設の対応状況の情報を発信していることもございますが、県の観光協会の中のバリアフリー観光情報案内所の中で、電話等の問い合わせにも、懇切丁寧に対応しているところでございます。 課題につきましては、情報発信については、今のところ、観光協会からは何かあるとは承ってはいないところですが、そういった話があれば、対応していきたいと考えております。 〇村上貢一委員 次に移ります。ことし1月、観光交通政策調査特別委員会の調査で、NPO法人伊勢志摩バリアフリーツアーセンターの理事長、また、日本バリアフリー観光推進機構の理事長でもある中村元氏からお話を伺いました。 日本バリアフリー観光推進機構は、2011年、観光地をバリアフリー対応し、バリアフリー旅行を一定の水準で全国的にサービスすることによって、観光客の増客及び地域づくりを実現することを目的に設立されました、バリアフリー相談センターの全国組織であります。現在、全国で15のツアーセンターがあり、東北地域では、秋田市、山形市、仙台市、福島市に設置されております。 そこで、山形バリアフリー観光ツアーセンターのホームページを拝見して、少しよかったと思ったので紹介したいと思います。山形バリアフリー観光ツアーセンターでは、高齢や障がいの有無にかかわらず、お客様一人一人の行きたいを行けるに変えるために、それぞれのお体の状態や、御希望に沿った宿泊施設や観光施設の紹介、旅行のアドバイスを行い、皆様の夢をかなえるお手伝いをします。障がいがあるから、高齢だからと旅行を諦めていませんか。その夢がかなえられるかもしれません。あそこは段差があるからと諦めていた施設、実は車いすでもそのまま入れる別ルートがあったり、足腰に不安がある高齢者の方などに御利用いただけるテーブル席の貸し出しなど、一人一人のハンディに合った情報提供や、つき添いの方の介助、施設の方への少々のサポートなどを同センターでは行っている。 私は、バリアフリー観光推進機構の理念は、本県の第4期基本計画とも観光施策とも一致し、バリアフリーセンター設置も、ぜひ検討調査すべきと考えますが、当局の御所見をお伺いいたします。 〇城内愛彦委員長 質問は簡潔にお願いします。 〇高橋観光・プロモーション室長 今定例会に提案しておりますみちのく岩手観光立県第4期基本計画案におきまして、高齢者、障がいのある方、訪日外国人など、全ての人が安全で快適な旅行をするために、市町村や観光関連団体、NPO法人、旅行会社等の幅広い関係者の協力のもと、官民連携でユニバーサルツーリズムを推進することとしております。 全国においては、本県におけるいわてバリアフリー観光案内所をさらに発展させ、相談や情報提供に限らず、ツーリズムの促進の機能を備えたセンター等を、NPOや民間事業者を主体に立ち上げている事例もあると承知しております。 県としては、こうした事例も参考としながら、今後、多様な関係者との協力のもと、推進の方向性について検討してまいりたいと考えております。 〇村上貢一委員 バリアフリーツアーセンターでは、例えば宿泊とか観光施設の調査をする際には、地元の専門委員の障がい者の方々が、直接現地を訪れて、調査をする。そして、そのバリアを詳細にデータ化する。そして、その情報を、バリア情報であり、バリアフリー対応の情報として、利用者、旅行者にお知らせする。そして、それをヒアリング、体の症状や旅行の嗜好などを詳しく理解した上で、相談して、それをまた宿泊や観光施設に返し、手配なども行う。 そのようなことでしっかりと共通のデータとして持って、まさしく障がい者が調査するから、より成果がある情報提供になっているということでございますが、この点とてもいいことだなと思うのですが、いかがですか。 〇高橋観光・プロモーション室長 ユニバーサルツーリズム推進の課題として、人材の配置はあると思います。今、村上貢一委員お話のありましたとおり、バリアフリーに関する情報提供に当たっては、現地の状況を把握しつつ、情報を必要とする者の状況に応じた対応が必要となることから、障がいに関する知識を持った者の配置が必要だということでございますので、そういった面も含めながら、今後、対応について、関係者と一緒に議論しながら、進めてまいりたいと考えております。 〇村上貢一委員 ぜひ、鋭意検討していただきたいと思います。 次に、アレルギー対応についてお伺いしたいと思います。2022年に、本県を訪れた教育旅行客は、学校数が延べ4、742校、児童生徒数が29万611人回となっています。学校数は前年比で4.1%増、児童生徒数は8.1%増となり、学校、児童数とも、東日本大震災津波後最多となっております。 このような状況の中、関係者の方々からは、アレルギーっ子が安心して県内の施設を利用できる仕組みづくりをしてほしい。アレルギー対応食の提供、バイキング、アレルギー表示を徹底してほしい。各施設で一から検討するのは難しいでしょうから、専門家もいらっしゃらないということで、県主体で、その点をしっかり取り組んでほしいという御意見を伺っていますが、現在の本県の県内宿泊施設の食物アレルギー対応状況、また、その取り組みについての御所見をお伺いいたします。 〇高橋観光・プロモーション室長 全国旅館ホテル生活衛生同業組合が策定しました旅館ホテルにおける食物アレルギーのお客様対応マニュアルでは、食物アレルギーに関する基礎知識やその事例、事故を防止するための対応などを定めております。岩手県旅館ホテル生活衛生同業組合では、こうしたマニュアルの普及拡大を図り、県内宿泊施設の食物アレルギー対応を促進していると承知しております。 また、外食に関するアレルギー対応については、消費者庁及び農林水産省が所管しており、消費者庁におきましては、外食、中食をするときのポイントや、食物アレルギーに関する情報提供、お客様対応の取り組み事例などを記載したパンフレット等の啓発資材を作成しております。 県では、こうした国の取り組みについて、食品衛生法を所管する環境生活部において、必要に応じて、関係事業者に情報提供していると承知しております。 〇村上貢一委員 ぜひ、県でも主体的に頑張ってもらいたいと思います。大分県ではしっかり頑張っておりまして、現在、宿泊施設向け食物アレルギーサポートブックをつくっていて、例えば3泊4日のメニューが載っていたり、また、緊急事態に向けての事業者の緊急体制を整えることとか、受け入れ体制についてもしっかりとしているという動きがあります。 また、京都市では、京都おこしやす事業といって、食物アレルギーのある子供に対して、京都市への修学旅行等の校外活動を楽しんでもらうため、さまざまな業態、関係者が一緒になってプロジェクト会議をしているという状況もございます。岩手県でも、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。 最後に、商工労働観光部長にお伺いしたいと思います。今までの総括ということで、高齢者や障がいのある方、訪日外国人など、全ての人が安全で快適な旅行をするため、市町村や観光関連団体、NPO法人、旅行会社等の幅広い関係者の協力のもと、官民連携でユニバーサルツーリズムを推進するということでございまが、この御決意をお伺いして、終わります。 〇岩渕商工労働観光部長 ただいま、さまざまな御質問をいただいて、御回答したところでございます。私、観光振興を進めていく上では、観光というのは一つの切り口であって、中身が、まさに福祉の分野であったり、環境生活の分野であったり、あるいは文化、スポーツの分野とか、さまざまになっております。 ですから、広い関係団体と連携することはもちろんですけれども、庁内のそういう部局とも連携しなければ、我々だけで対応できない部分も多々ありますので、観光は全庁を挙げてやるのだという形で、今後進めてまいりたいと思います。 〇佐々木宣和委員 私も、観光振興についてと、中小企業、小規模事業者振興、特に商工支援団体の体制について伺いたいと思います。 まず観光振興に関して、岩手県は、東日本大震災津波、台風を経験しまして、これからというところで新型コロナウイルス感染症の影響がありました。観光業は重ねて被害を受けたようなところでもございます。人口減少が進む中で、国がインバウンドに注力することと同様に、岩手県においても、外から来られた方にお金を落としてもらうことや、また、交流人口、関係人口、そして、定住人口へとつなげるためにも、非常に重要だと考えております。 また、改訂された岩手県ふるさと振興総合戦略においても、岩手とつながるを強化というところでありまして、デジタルを使っていくことだったり、インバウンド対応のきっかけとなるニューヨークタイムズ紙を活用するなど、この流れをしっかり生かしていく必要があると考えております。 初めに、宿泊事業者の経営状況について伺いたいと思います。コロナ禍の影響、また、物価高、そして、人手不足等もありまして、人流は戻っているものの、なかなかフル稼働で営業することも難しいという話を聞いておりますし、また、このコロナ禍で前々からたまっている債務も重なっているという話も聞いております。来ていただくお客様の拠点となる宿泊施設の経営状況について伺います。 〇高橋観光・プロモーション室長 昨年11月に実施いたしましたエネルギー価格・物価高騰に伴う事業者の影響調査におきましては、宿泊事業者の約8割の事業者で売上原価が増加、7割以上の事業者で必要な価格転嫁ができない、6割以上の事業者で債務の過剰感があるとの回答がありました。原料、資材高騰の対応、電気料金値上げへの対応、価格転嫁が現在の経営課題として挙げられているというところでございます。 また、コロナ禍前の同月との比較におきましても、6割以上の事業者で売り上げが減少としている回答があるほか、県内の宿泊施設の破産の事例もあるなど、厳しい経営状況にあると受けとめております。 〇佐々木宣和委員 お話のあるとおり、なかなか厳しい状況が続いているというところもあります。ただ、コロナ禍で、改めて、その裾野の広い産業であることでしたり、その域内経済循環の核となって、その地域でさまざまなものを消費していくときに、その核となる施設でもあるというところでありますので、宿泊事業者の経営状況に関しては、しっかり見ていっていただきたいと思っているところでございます。 そして次に、ニューヨークタイムズ紙掲載の効果と観光客の入り込みの状況について伺いたいと思います。外国人観光客が増加したというところは、盛岡市ではかなり実感としてあるような気がしますけれども、県内各地ではどんな状況なのか、どういった数字感なのかというところです。 また、外国人だけではなくて、この中から観光の入り込み客数等々は、どのような回復状況になっているのか伺いたいと思います。 〇高橋観光・プロモーション室長 本県の令和5年の延べ宿泊者数は、観光庁の宿泊旅行統計調査によりますと、速報値で日本人と外国人を合わせて延べ570万8、300人泊で、コロナ禍前の令和元年度比で90.9%となっております。 このうち、外国人延べ宿泊者数は27万1、380人泊で、コロナ禍前の令和元年度比で78.9%となっております。 観光入り込み客数につきましては、令和5年の1月から6月までの暫定値となりますが、日本人と外国人合わせて延べ1、067万8、711人回となっておりまして、令和元年同期比で82.2%となっております。 佐々木宣和委員からお話のありましたニューヨークタイムズ紙の影響ということでございますが、ニューヨークタイムズ紙に盛岡市が紹介されたことによる影響ということで、令和5年のアメリカからの延べ宿泊者数は、令和元年比144%増の1万20人泊、欧州は令和元年比111.9%の6、770人泊となっており、欧米からの観光客がふえているというところでございます。 〇佐々木宣和委員 外国人の入り込みというところで言いますと、パーセンテージは少し下がっているけれども、欧州から来られている方はふえている。実感としても、そういった形かと思っているところございます。そして、今回の予算の中にも、世界が訪れたくなる云々の広域周遊のお話だったり、世界が気づいた魅力、インバウンドぐるっと県内周遊促進事業費等々、外国人旅行客に対するさまざまな施策が予算として挙げられているところかと思います。 一つ、次のデータの活用の質問にも重なるようなところではあるのですけれども、要は、広域周遊をしていただきたいという形の取り組みなのかと思うところですが、広域周遊はデータで把握できるものなのか伺いたいと思います。 〇高橋観光・プロモーション室長 広域周遊の把握ということでございますが、一般社団法人東北観光推進機構でつくっていらっしゃる東北観光DMPにそういった情報も入っておりますので、そういったところからも把握ができると考えております。 〇佐々木宣和委員 データのお話に移っていきたいと思いますけれども、繰り返し伺っておりますけれども、データマネジメントプラットフォームについて、このデータの量はふえているのか。また、これを活用する人はふえているのかというところと、新年度はどんな展開を考えられているのか伺いたいと思います。 〇高橋観光・プロモーション室長 令和5年度におきましては、これまでに格納してきました岩手県観光統計やイベント、アンケート結果などのデータの精査、拡充に加えまして、県独自の統計であるスキー客や教育旅行の入り込み動向データなどを追加したところでございます。 また、観光統計データにつきましても、閲覧したい市町村のみ分析ができるデジタル版の観光統計概要を作成しているところでございます。 利用者の状況につきましては、令和5年9月から運用を開始いたしました。現在、利用機関数は43機関でございまして、その内訳は、市町村21、市町村観光協会が13、DMOが6、県関連が3となっております。 令和5年度までは、システムの構築、データの格納、システムの利用方法などの周知に取り組んできたところですが、来年度につきましては、さらなるデータ拡充を図っていくとともに、県観光協会に設置しています観光地域づくり支援チームが、いわて観光DMPを活用して、本県観光の現状分析などを行うこととしております。 具体的には、いつ、誰が、どんな目的で、どこに来ているかなどといった分析を市町村や地域別に行い、それをレポートとして発行するとともに、市町村を初めとした関係機関を対象とした説明会を開催して、そういったデータの活用の重要性を中心に説明していきたいと考えております。 〇佐々木宣和委員 令和6年から、いわて観光DMPのデータ拡充と、より多くの人に使い方も含めて知っていただくという形なのかと思いますけれども、それと、先ほども伺いましたけれども、要は、インバウンド旅行客のデータを、東北観光推進機構からもらえるというような話というのは、データマネジメントプラットフォームに一緒に入るような話なのか、それはまた別で見るような話なのか、その辺を伺いたいと思います。 〇高橋観光・プロモーション室長 東北観光DMPにつきまして、本県では、令和5年度、東北地域における外国人観光客の訪問や消費の履歴に関するデータを多角的に分析するということで、この東北観光DMPを導入いたしまして、初年度の今年度は、運営する東北観光推進機構の協力のもと、県、県観光協会、DMO等の職員を対象とした操作研修会を行い、利活用の取り組みが始まったところでございます。 こちらのデータには、観光庁などが公開している宿泊旅行統計調査などのオープンデータのほか、クレジットカードなどの決済情報などの消費、購買データなどが含まれておりまして、同機構によりますと、令和6年度はこれらのデータの更新頻度を増加するということで、改善が予定されているということでございます。 また、この東北観光DMPにつきましては、県内でも既に複数の観光協会やDMOが導入しておりまして、独自のデータ分析などの動きが始まっているほか、東北観光推進機構によりますと、令和6年度は市町村にも対象が拡大されるということでございます。 令和6年度には、そういった形での利用促進を図って、客観的なデータに基づく戦略的なプロモーションにつなげていくのですが、これまで少なかった三陸沿岸地域の観光スポットをふやすことを予定しておりまして、今後は、最近注目度が高まっているみちのく潮風トレイルの来訪者の動向などのデータも取り込めるよう、同機構と連携して進めているというところでございます。 〇佐々木宣和委員 もう一つ引っ張ってこられるシステムがあるというイメージでよろしいのですね。 ここまで、DMO、市町村、観光協会のようなさまざまな主体がかかわっていることはわかったようなところでもあります。その中で、きょう一番伝えたいことでもあるのですけれども、データ活用を進めるに当たって、旗振り役は、DMOなのか、県なのか、観光協会なのか、宿泊事業者は少しまだですけれども、旅行代理店もかかわるような形ですけれども、県がこのデータ活用を一生懸命頑張っていきましょうという立場でいいのかどうかを伺いたいと思います。 〇高橋観光・プロモーション室長 誰がデータの旗振り役をするかということでございますが、もちろん県も中心になって進めますが、やはり関係機関と協力し合いながら進めないとなかなか難しい部分もありますので、協力しながら進めていきます。いずれにしましても、県が旗振り役をしながら進めてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いします。 〇佐々木宣和委員 非常にさまざまな取り組みが行われているということが聞けていいと思っていますし、全県的に広げるのもとても大事ですけれども、得意な取り組みをどんどん伸ばしていくという形もありなのかと思っているところでございます。 達増知事のマニフェストプラス39の中でも、18番に、地域資源を生かした、より広域的な観光の振興というところで、広域的な観光推進体制の整備という形もありまして、このデータ活用が一つのきっかけとなって、連携がより深まるような形は、望ましいところと思っているところでございます。 そして次に、これもマニフェストプラス39の話ですけれども、まちづくり会社の設立というところで、地域密着型のディベロッパーとして公共性と企業性を併せ持ち、行政や民間会社の実施が難しいことに対して取り組むような会社を設立するというところであります。 これと絡めて、DMOの話などを答弁でも聞いているところですけれども、商工労働観光部として、このまちづくり会社というものをどう受けとめられているのか伺いたいと思います。 〇高橋観光・プロモーション室長 まちづくり会社につきましては、ふるさと振興部審査におきまして、現在、さんりく基金や三陸DMOセンターが果たしてきている役割をさらに発展させ、さらなる三陸振興に資するような方向で検討を進めておりますと答弁しておりまして、当部としても、同様に考えているところでございます。 〇佐々木宣和委員 三陸DMOセンターの取り組みを発展させるというところは、少しわかりやすくお願いします。具体的に、ディベロッパーは、ふるさと振興部でもあったのですが、それこそ主体がいろいろまた分散していくと、方向性が分かれるような印象もあるのですが、もう一度答弁をいただけますでしょうか。 〇高橋観光・プロモーション室長 三陸DMOセンターにつきましては、現在、客観的なデータに基づく調査とか、マーケティングを実施しているということがございますし、あとは、プランナー養成塾ということで、人材育成をしております。 そしてまた、教育旅行の対応もしておりますし、そういったような今現在進めている取り組みをさらに、例えば三陸沿岸地域の市町村にいる地域おこし協力隊とか、さまざまなプランナーと協力をしながら進めていく中で、そういった観光の人材を育成しながら、三陸DMOセンターの取り組みも強化していきたいと考えているところでございます。 いずれにしましても、三陸沿岸地域の地域づくりを推進することがまず中心になりますので、そういった取り組みを進めてまいりたいと考えております。 〇佐々木宣和委員 今の話は、結局、三陸DMOセンターがまずやらなければいけないということと、今、データの話で同センターでは取り組みを広げているという話なので、新機軸として何なのかと聞かれたときの答えには余りなっていないと思いますけれども、次に行きます。 冒頭に触れましたとおり、東日本大震災津波対応、コロナ禍と、岩手県の中小企業、小規模事業者は苦しい状態が続いておりますし、物価高や賃上げ等々もあります。相談指導体制は非常に重要でありますけれども、商工業小規模事業経営支援事業費補助、また中小企業連携組織対策事業費補助に関して、商工支援団体の今年度の体制、また、専門家派遣について、どういった状況になるか伺います。 〇小野寺経営支援課総括課長 まず、商工会、商工会議所、それから、岩手県商工会連合会に対する補助事業でございます商工業小規模事業経営支援事業費補助に関してですけれども、今年度は、今、御説明した期間に従事する職員269名分の人件費を、この補助金で支援をしております。 それからもう一つ、中小企業連携組織対策事業費補助、これは岩手県中小企業団体中央会―組合指導支援等を行っている団体でございますけれども、こちらに対しまして、今年度20名分の指導員等の人件費ということで補助を行っております。 そして、それぞれの団体において、まさに、今、佐々木宣和委員からお話のございました物価高騰に対する事業者への支援、それから、賃上げに向けた、生産性向上に向けた支援、それから、新規創業とか、非常に幅広い分野で事業者に伴走支援を、それぞれの団体で行っているという状況でございます。 〇佐々木宣和委員 前年と今年度と令和6年度と、どういった体制の違いがあるか、人数等をお伺いします。 〇小野寺経営支援課総括課長 まず、商工会、商工会議所、商工連合会に関しましては、先ほど御答弁したとおり、令和5年度─今年度は269名分でございますが、来年度は2名減で267名分ということで補助金に計上しております。 それから、中小企業団体中央会に対しましては、今年度と同じ20名分ということで、予算に盛り込んでおります。 〇佐々木宣和委員 人数が減っており、これは商工支援団体との話でもありますけれども、しっかりと指導相談体制が確保できるような体制整備というところを意識していただきたいと思います。 最後に、商工労働観光部長に所感を伺いたいと思いますけれども、人口減少が非常に進む中で、最新の統計では、2035年には、岩手県の人口100万人を切るというところだったので、岩手県人口ビジョンの予測より5年早く100万人を切るようなイメージなのかと思います。人口減少のスピードはどんどん早まっていくというところで、将来に向けて、どんなことを戦略的に取り組んでいく必要があるのかと思っているところでもあります。 政策企画部で、岩手県と他県を比べた総合戦略の違いを伺ったところですけれども、そのときに、岩手で働くの内容の中で、ニューヨークタイムズ紙のこととか、デジタルの話とか、これも特徴ですという答弁もあったところでもありました。 結局、この人口減少に対応することを考えると、岩手県でどれだけ魅力的な仕事をつくれるかということだと私は思っているのですけれども、そのような人口減少下で、その前段で選択する未来という言葉もあった中で、我々は、この商工業の支援に関して、どんな特徴を持たせて、岩手県として取り組んでいくのかという、包括的な所感を伺いたいと思います。 〇岩渕商工労働観光部長 一言で答弁するのは非常に難しい質問と思って受けとめておりますけれども、大事にしたいのは、これまでの先代から代々岩手県の地で育んできた風土的なものをしっかりと残していきたいと、私は考えております。 それが具体的にどういうものかというと、少し細かい答弁は大変なのですけれども、岩手県の独特な県民性、人のよさとか、頑張る姿勢とか、そういうものを生かした発信をして、また、そういう遺伝子を持って首都圏に出ている子供たちがいっぱいいますので、そういう子たちを取り込んでいけるような、そういう商工業の発展を進めていきたいと考えております。抽象的で申しわけありません。 〇城内愛彦委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。 午後0時3分 休 憩 午後1時1分再開 〇千葉盛副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。 〇岩渕誠委員 それでは、海外輸出力強化事業費からまず伺ってまいります。 今の時代、輸出の強化は大きなものでありまして、知事も海外に打って出ると、こういう話をしております。当該部においては大きな柱の一つになっていると思いますが、まず、今の岩手県の海外展開、特に、地場産品の輸出の状況、このトレンドについてはどのようにつかんでいますか。 〇畠山産業経済交流課総括課長 県とジェトロが共同で行っております岩手県貿易等実態調査によりますと、いわゆる地場産品の輸出につきましては、東日本大震災津波翌年の2012年以降、増加基調で推移しております。直近2022年におきましては、東日本大震災津波後最高額となる約63.8億円を計上いたしました。 うち、農林水産物の輸出額が約54.9億円、シェアにいたしまして約8割となっております。それから加工食品及び工芸品の輸出額が約8.9億円、シェアで言うと約14%となっております。 〇岩渕誠委員 これは、相手国はどうなっていますか。 〇畠山産業経済交流課総括課長 直近2022年の地場産品の主な輸出先のまず地域別の内訳でございますが、1番は、中国、香港を除くアジアで約27.4億円、構成比で約4割。それから2番目として中国、香港で約19.4億円、構成比で3割。3番目として北米で約7.3億円、構成比で約10%の順番となっております。 〇岩渕誠委員 整理しますと、農産品が多くて、アジアにふえていると、こういうことでありますが、これを詳細に見ていくと、牛肉がトップで、その次に冷凍魚介類があって、リンゴがあって、日本酒があってというような感じで、今はトレンドになっていて、非常に引き合いがあるということであります。 それから、相手国というところで見ると、アジアというところでしたが、地域で言えば台湾があって、その下に香港、中国があって、そして、今出てきているのが東南アジアです。これはマレーシアでもトップセールスをやって、トレンドになってきたわけであります。そこで、新年度の事業を見ると、海外輸出力強化事業費が3、800万円ほどの予算額ですが、この中に、新規が五つぐらい入っているということで、非常に魅力的な内容だと思っています。 事業の内容を見ていますと、日本酒のブランド工場、そして、輸出拡大支援事業が新規で入ってきている。それから、東南アジアのバイヤー招聘事業も入ってきているということで、非常に今のトレンドをつかんで、さらに拡大をしていこうというような狙いだと思いますが、その狙いと、それから、実施の時期について説明してください。 〇畠山産業経済交流課総括課長 お尋ねいただきました海外輸出力強化事業費でございます。昨年までの旧国際経済交流推進事業費を、予算額400万円ほど拡充いたしまして、海外輸出力強化事業費として改めて要求させていただくものでございます。 方向性といたしましては、少子高齢化による国内市場の縮小とか、あるいは経済のグローバル化、こういったものの進展を背景に、海外市場の重要性が高まっております。こうした中で北米、それから、今御指摘がありました東南アジア、それから、中国等を中心に、日本酒、加工食品、それから、伝統工芸品等地場産品の販路開拓、拡大を図っていきたいと考えております。 この中の新規の取り組みの柱でございますが、三つ説明させていただきますと、まず、東南アジアバイヤー招聘事業でございます。今年度、マレーシア、シンガポールに展開いたしましたトップセールスの効果を一過性のものとしないためにも、ASEAN地域への継続的なアプローチが必要と考えております。 今回、構築しました現地のネットワーク等を活用いたしまして、マレーシア等からバイヤーを招聘いたしまして、盛岡市で開催されます既存の大規模な食の商談会を6月ごろに想定しておりますけれども、県内事業者との大規模な商談機会の創出を考えております。 それから二つ目に、米国でのトップセールスでございますが、こちらはまだ…… 〇岩渕誠委員 順番にやろう。東南アジアはよくわかりました。 トップセールスは今年度のマレーシアも、マレーシア大使は、今、盛岡市出身の高橋大使ですから、知事の人脈というか、大分オファーがあって実現したと思います。達増知事の人脈の中で出てきたところだと思います。 新年度は、アメリカでのトップセールスでありますが、これはどういった形でやって、どういう展開をしていくか、これを示してください。 〇畠山産業経済交流課総括課長 失礼いたしました。 米国でのトップセールス事業でございますが、先ほど申し上げました地場産品の輸出額の上位国でございますアメリカを対象といたしまして、アメリカにおける販路拡大、拡充を目指していきたいと考えております。 内容といたしましては、アメリカにおける日系の最大手のスーパーマーケットとの連携を想定しておりますが、現地の流通事業者と連携の上、現地での岩手県産のいわてフェアといったものを想定しております。 それから、あわせまして、官民のオール岩手の体制での物産あるいは観光の一体的なプロモーション、こういった関係機関を訪問して、セールスコールとか、あるいは一堂に会してのレセプションといったところを想定しております。 〇岩渕誠委員 これは、特に、輸出の中で大きな柱は、農産物で言えば牛肉があって、これはUS向けもやっていますからいいのですけれども、リンゴとか日本酒が、輸出商材としてはかなり引き合いが強くなっているということです。それをリンクするということになると、これは秋以降、冬にかけて実施するということでいいですか。 〇畠山産業経済交流課総括課長 実施時期についてのお尋ねでございますが、今現在、未定でございますが、先ほど岩渕誠委員からも指摘ございましたように、リンゴといった農林水産物の非常に核となるアイテムがございますので、旬のそういった産物を持ち合わせてのプロモーションが必要になりますので、やはり秋以降になるのではないかと想定しております。 〇岩渕誠委員 これは、輸出の柱が東南アジアとアメリカだということでございます。この流れは、実はいわゆるインバウンドの対策にもあらわれてきているのだと思います。 岩手県に来ている外国人の宿泊数を見ますと、コロナ禍前に比べて、コロナ禍前は大きかったのは、台湾が圧倒的に多くて、そこに中国があって、香港があって、韓国があるという、いわゆる東アジアの諸国が多かったわけですけれども、令和5年度等の断面で言うと、大口の台湾は10万人台には回復してきたものの、まだ8割程度。それ以外は、中国は4分の1、香港も9割ということで、まだまだ回復していない。 一方で、アメリカ144%、カナダ140%を初めとして、イギリス、ドイツ、フランス、これは伸びている。さらに、シンガポール、タイ、マレーシア、インド。マレーシアなんかは3倍にふえている、インドネシアも2倍近いというような伸び率ですから、これはインバウンド対策も、当然、北米圏あるいは東南アジアになってくると思うのですが、今回の新しいインバウンド対策を見ても、こうしたところに力を入れるのだと思っていますが、対応をお示しください。 〇高橋観光・プロモーション室長 東南アジアを初め、さまざまなところの来年度の取り組みでございますけれども、令和6年度におきましては、今年度、県内自治体が現地でプロモーションを行いまして、今後の観光誘客が期待されるタイ、そしてまた、昨年トップセールスを実施いたしましたマレーシアを中心に、東北観光推進機構や東北各県と連携した取り組みを実施することとしております。 具体的にタイにつきましては、タイ、バンコク線の運航再開に向け、本年5月に現地航空会社等へのセールスを東北各県等が合同で実施することとしているほか、現地での合同商談会、そしてまた、現地の大型ショッピングモールでのPRイベントを実施することとしております。 また、団体旅行の割合が比較的高いマレーシアについても機構や他県と連携して、現地旅行会社を招請し、旅行商品造成を進めるということで考えております。 そしてまた、北米市場におきましては、県産品の販路拡大と連動したプロモーションを実施して、誘客拡大につなげていきたいと考えております。 〇岩渕誠委員 これは、世界が訪れたくなる東北岩手周遊促進プロモーション事業費があって、これはタイ、マレーシアでは新規でやるということです。それから、中国に対しても、旅行博の出展とか旅行商品の造成ということで、これも新規でやるということで、特に、東南アジア、北米は、知事はカナダも行っていますから、そういう意味でトップセールスから流れが出てきて、やるということがあると思います。 一つ要望を言えば、次の時代はインドですから、雲南省は、インドへの出口として非常にいいところにあります。GDPでも、新年度、その次の年度でかなりインドが躍進しますから、これはぜひ次のステージへの対応もしていただきたいと思います。 次に、半導体についてお伺いします。 東北地域の半導体、これはかつてシリコンロードと呼ばれて、国内の中でもかなりの地位を占めていました。今でも、半導体の生産の中で、出荷額は16.9%ということで、全国の中でも3番目で、これは九州地域よりも多いのです。そういったところで、今、復権を目指していろいろな動きが出ていますが、新年度からは、この東北地域の半導体を引っ張ってきた東北半導体エレクトロニクスデザイン研究会という官主導で行ってきた協議会が、今度は民間主導になります。T―Seedsという名称になるようですけれども、ここについて、県はどのようなかかわりを今後持っていくのか、これをお示しいただきたいと思います。 〇十良澤ものづくり自動車産業振興室長 東北半導体・エレクトロニクスデザインコンソーシアム、今、岩渕誠委員御紹介のありましたT―Seedsと県のかかわりについてでございます。 T―Seedsは、東北経済産業局が主導して、令和4年6月に設立した東北半導体・エレクトロニクスデザイン研究会が発展的に移行し、民間主導の団体として設立されるものと伺っております。県としては、他の行政機関や学術機関等と同じく、サポーター会員という位置づけになりまして、各種企画への参加、協力を行っていく予定でございます。 〇岩渕誠委員 これが今まではある程度主体的にやっていたのが、サポーターという形になるということです。このT―Seedsの中身を見ますと、外国人人材の登用とか、高度の専門人材の育成とかもいろいろやっていくということですが、岩手県の場合は、午前中の質疑もありましたけれども、北上市に新たな公設民営の人材育成の拠点をつくるということで、私はこれを高く評価しているのですけれども、さまざまな取り組みをやっていいのですけれども、県として、主体的に全部コントロールしていかないといけないというところもあります。ある程度サポーター的な立場でやっていった場合に、もうちょっと前に出てもいいという思いもあるのですけれども、この辺はどうですか。 〇十良澤ものづくり自動車産業振興室長 T―Seedsの中心となる民間企業が、県内にありますキオクシア岩手株式会社だったり、株式会社デンソー岩手だったり、株式会社ジャパンセミコンダクターだったりというところが恐らく中心になっていくのだろうと思っております。 これらの企業につきましては、当然I―SEPの主要なメンバーでございますので、我々としても、位置づけはサポーターという位置づけではあるのですけれども、積極的なかかわりは当然していくものと認識しております。 〇岩渕誠委員 特に人材育成は、東北地域の中で今後必要になってくる半導体の人材が6、000人といわれています。ただ、これは、正直な話を言うと、PSMC―力晶績成電子製造との引っ張り合いになってくる。そういった中で、大学研究機関とどう連携して、人材育成して、周辺のところに広げていくかというのは、これは県としても非常に大きな役割を持っていると思います。 そこでお伺いをいたしますが、やはり今九州地域が盛んに脚光を浴びていますけれども、東北地域は何と言っても、世界的に、半導体の中では東北大学の存在感は物すごくあるわけであります。 渡辺寧教授が東北大学の半導体研究の基礎をつくって、その弟子である西澤潤一先生がミスター半導体と呼ばれて、アメリカのインテルを育てたのは大見忠弘教授です。そして、舛岡富士雄さんがNAND型フラッシュメモリの開発者で、今の大野英男学長がいて、そして、NAND型フラッシュメモリの後継者で、次世代半導体の育成に当たっている遠藤哲郎先生です。 非常に幅広い知の集積があって、これが国際卓越研究大学の中でも、半導体を競争してともにつくっていこうという、こういう位置づけになっていますから、東北大学とどう一緒になってやっていくかというのは岩手県にとっても非常に大きなポイントだと思います。それを民がやるのか、官がやるのかというのはいろいろあるのですけれども、こことどのような連携をして、産業展開に結びつけていくのか、これは非常に大きな課題だと思っているのですが、いかがですか。 〇十良澤ものづくり自動車産業振興室長 高度専門人材の育成という観点からのお尋ねかと思います。これまでも、先ほどお話しした東北半導体・エレクトロニクスデザイン研究会は、公益財団法人いわて産業振興センターが国立研究法人新エネルギー産業技術総合開発機構、いわゆるNEDOの事業の委託を受けまして、主体的にやってきたものでございます。 同研究会では、東北地域の学生等を対象に、東北大学の半導体製造装置、いわゆるコインランドリーと呼んでいますけれども、これらを活用して、半導体製造のプロセスを学ぶことのできる講座を実施してきたところでありますが、この研究会が4月から移行するT―Seedsにも、当然、東北大学であったり、本県の岩手大学が参画する予定でございますので、引き続き、同様の取り組みを行っていくとしております。 〇岩渕誠委員 これは御承知のとおり、半導体は、これからは拡大をするけれども、やはり波が激しいところもあります。かつて、東北地域はシリコンロードといわれたけれども、残念ながら企業撤退、完全撤退という憂き目にも遭っています。それだけではなくて、半導体に限らず、どうしても東北地域の場合は、岩手県でもアルプス電気株式会社とか、アイワ株式会社だったり、あるいは日本フィリップス株式会社だったり、全部工場閉鎖して大変だったことがあります。 この原因は何だったかというと、海外シフトでありました。そのときは、単純に賃金とか、そういう合理性の問題がありましたけれども、その中で出てきたのは、やはり大もとの研究型、知識をどうやっていくか。ここでなければできない技術、知識を東北地域に張りつけなければ、これは大変厳しい荒波に簡単にさらわれてしまう。要は、生産部門だけいっぱいあっても、頭脳部分はここに置かなければいけないということだったと思います。 そういうところから言うと、やはり半導体も同じで、世界的なところとどうやって結びついて、ここでなければできない技術、知識の張りつけをやっていかなければならないということです。これは産業振興の中で変わらない普遍的なものだと思います。 そういった意味では、十良澤ものづくり自動車産業振興室長は、企業誘致、それから産業振興にずっと当たってきたわけですけれども、その経験を踏まえて、今後の再び東北地域が、今度はシリコンコリドーを目指すのだそうですけれども、必要なポイントはどのように考えているか、最後にお示しいただきたいと思います。 〇十良澤ものづくり自動車産業振興室長 私として一番大事なのは、やはり人材だと思っています。先ほど、研究開発のお話が出ました。これは半導体に限ったことではなくて、ものづくり全般に言えることですけれども、研究開発機能があるということは、当然高度な人材も根づくわけですし、企業がそこにずっと居続けられるという環境ができるのだと思っております。ただし、それを動かすのはやはり人でございまして、これは、量も質も両方大事だと思っております。 東北地方には、半導体企業、各県にございます。先ほど九州地域との比較で話も出ましたけれども、当然、これからは、九州地域と同じく、東北地域でも半導体が伸びていかなければならないだろうと思っております。 そのために、県でも新たな施設をつくって、人材を育成しますし、T―Seedsでも、東北大学と連携しながら、高度な人材を育成していくということでございますので、これは、お互いによい方向に向かっていければいいなと思っております。 産業振興の課題といいますと、先ほどの繰り返しになりますけれども、やはり人が大事だということで、午前中の商工労働観光部長のお話もありましたけれども、真面目で熱心な人柄というか、そういうものが私は大事だと思っております。 〇吉田敬子委員 まずは、アパレル産業の振興についてお伺いしたいと思います。岩手県では、県北広域圏での取り組みとして、北いわてアパレル産業振興会をメインに、2015年から取り組まれておりますけれども、この産業振興会の中には、会員が17社でありますけれども、この取り組みの成果と課題について、どのように捉えているかを、企業数や、生産、売上高、人材育成、確保の状況等からお示し願います。 〇金野特命参事兼地域産業課長 県北圏域に集積しておりますアパレル産業のさらなる振興を図るために、県はこれまで、関係団体と連携しまして、地元縫製事業者の製品とか、学生の洋服デザインを県内事業者が制作した衣料のファッションショー、商談会の開催等に取り組んできたところであり、これらの取り組みを通じまして、認知度の向上、事業者と学生等との相互理解、販路拡大のほか、縫製事業者への新規学卒者の就職につながるなど、一定の成果があったものと認識しております。 県北圏域におけるアパレル産業の状況につきまして、令和3年の岩手県の工業の公表資料によりますと、企業数は20事業所、製造品出荷額等は約53億円、従業者数は964人となっており、これは5年前の同じ調査になります平成28年の調査と比較いたしますと、企業数、従業者数に関しては全県で減少傾向にある中、横ばいを維持しており、製造品出荷額等につきましては、約12億円増加しているという状況にございます。 本県におけるアパレル産業は、受託生産中心の事業者が多く、安定的な受注の確保や一層の企業認知度向上が必要であるとともに、少子高齢化や人口の社会減などによる人手不足等への対応が課題であると認識しております。 本県が誇る高い縫製技術を有する事業者やアパレル産業で活躍する若者のPRなど、発展的な展開に向けて取り組んでまいりたいと考えております。 〇吉田敬子委員 高橋商工労働観光部副部長が県北広域振興局にいらっしゃったときから頑張ってこられた事業の一つであると認識しておりますけれども、先ほど御答弁がありましたとおり、出荷額も伸びていたりという、さまざまな取り組みの成果があると私は評価させていただきたいと思っております。 今回、来年度、新規事業として、これまでも県北地域でやっていたものを全県に拡大する取り組みとして、新規事業として、いわてアパレル若者女性活躍推進事業費が盛り込まれておりますけれども、これまでは、北いわてはアパレルの聖地というキャッチフレーズで、北いわてということでやってきておりましたけれども、今後は、どのような目指す姿があって、方向性等をお伺いできればと思っております。先ほどは、県北地域における事業者数だったり、出荷額等のお話を御答弁いただきましたけれども、本県全体にしたときのアパレル産業の、県として可能性も含めてお伺いできればと思っております。 〇金野特命参事兼地域産業課長 新規事業での目指す姿、方向性についてでございますが、新規事業のいわてアパレル若者女性活躍推進事業費につきましては、女性の従業者の割合が多いアパレル産業において、若者や女性の感性を生かして、縫製業で活躍している姿とか、働きやすい職場環境の取り組みを進めている事業者を紹介するほか、高校生や大学生等を対象としたインターンシップのマッチングを行うものであり、これらを通じて、若者や女性を対象に岩手県で働く場としての選択肢を提示しようとするものでございます。 県といたしましては、先ほど吉田敬子委員御指摘のとおり、これまで、主に県北圏域で実施してまいりましたアパレル産業の振興の取り組み、そして、その取り組みの成果を全県に波及、展開していきたいと考えており、若者女性に対するアパレル産業の魅力の発信、県内縫製事業者の生産性の向上や、優良取引先とのマッチングの支援、さらには、より収益性の高い自社ブランド事業に取り組む事業者の支援などを通じて、縫製分野を含むアパレル産業の一層の振興を図ってまいりたいと考えております。 〇吉田敬子委員 人口社会減対策の観点からこの事業が立ち上がったと思っておりますけれども、岩手県の人口減の課題として、若年女性の転出が社会減としてある中で、いろいろな産業が、自動車だったり、医療機器関連さまざまある中で、アパレル産業はあえて若い女性というところにターゲットを絞ってやられているところで、私は、ここを県の中の大きい一つの産業として、今後位置づけていただきたいと思っている、可能性としても期待しているところであります。 今回の事業は、大きくは、県北地域でもやられていたファッションショーをやりつつ、インターンシップをやっていくということですけれども、県内だと、一関市で東京ガールズコレクションを、ことし2回目をやられる予定になっておりますけれども、今回、県で見ている予算規模は大きくないわけですけれども、今後は、ファッションショーがどこまで費用対効果、例えば人材育成だったり、本当に産業の生産額、出荷額等にもつながるかというところが大きなところであるかと思います。 ただ、ファッションショーをやることは意義があると思うので、その辺を、県北地域でやっていたところの課題等もあるかと思いますので、今回、全県でやるところに、いろいろ期待しているのですけれども、今のところ、県北地域でやっていたのとまた違うような何か考えていることがあったりすれば、お伺いできればと思います。 〇金野特命参事兼地域産業課長 来年度の新規事業の関係でございますが、この詳細につきましては、今後詰めるといった段階にございますけれども、今、アイディア段階といたしましては、大規模なイベント、若者とか女性にアパレルに関心を持っていただくための大きなイベントといたしまして、例えばアパレル専門の大学の先生から基調講演をいただくとか、あとは、本県ゆかりのタレントとのトークセッションとか、そういったもので、若い方、女性の関心を寄せていただくといった取り組みとか、あともう一つ、県内の縫製事業者の方を広く御紹介するといった格好で、ファクトリーブランドに取り組まれている事業者の作品の紹介とか、会社自体の働きやすいさまざまな取り組みをなさっている、そういった様子を御紹介するとか、あとは、これまでと同様の取り組みになりますけれども、学生からのデザインを公募いたしまして、一つ違ったところが、これを県北地域の縫製事業者以外にも、県内には数多くのアパレル関係の事業者がいらっしゃいますので、その事業者とデザインを応募された学生が一緒に、その作品を制作するといった取り組みも、可能な範囲で実現していきたいと考えております。 もう一つ、イベントとは別に、インターンシップの取り組みになりますが、これも県北地域では既に実施してきたところでございますけれども、これも横展開するような形で全県に広げて、同様に、これまでは県北地域だけでしたが、沿岸地域とか、県央地域、県南地域で、それぞれの地域に住む学生とか、それに限らず、県内外からも広く学生を募集して、各縫製事業者の取り組み、インターンシップを進めていきたいと考えているところです。 〇吉田敬子委員 愛知県は、世界3大ウールの尾州ウールがあるようで、愛知県は繊維ですけれども、私たち岩手県は縫製業を売っていくというところでありますが、ただ、愛知県は世界に打って出ているような取り組みをされていまして、岩手県も世界に打って出るということで、縫製業、アパレル産業をぜひ大きく打って出ていっていただきたいなと期待するところであるのですけれども、今回、縫製業の中には、特に次の質問にもかかってくるのですけれども、地場産業の中で、例えば岩手県だとホームスパンという伝統工芸がありますけれども、そういったところとの連携も含めて、さらに盛り上がりを見せていっていただけたらいいなと思っております。 次に、伝統工芸産業の振興についてお伺いさせていただきたいと思います。人材育成、確保の取り組み状況について、小、中、高生の職場体験、または、大学生のインターンの受け入れなどの状況についてお伺いしたいと思います。 〇金野特命参事兼地域産業課長 小中高生、大学生のインターンの受け入れ等の状況についてでございます。 県では、若者の県内定着を図るために、これは伝統工芸産業を含むという形になりますけれども、県内の魅力的な仕事や職場を広く知ってもらう、そういった取り組みを行っております。 北上川流域ものづくりネットワークと連携した小中学生を対象とした工場見学や出前授業、こういったものを実施するほか、市町村や地方独立行政法人岩手県工業技術センターと連携いたしまして、県内外の学生を対象とした漆器工房でのインターンシッププログラムの開催などに取り組んできたところでございます。 また、県内で大規模な工芸イベントの開催が定着しております。そういった中、民間事業者と連携いたしまして、マーケティングのスキルや、販売、情報発信に係る技術力向上を目的としたセミナー、それから、対面販売を開催いたしまして、伝統工芸を含む県内の多様な工芸事業者の人材育成を支援してきたところでございます。 〇吉田敬子委員 他県の状況を見ると、伝統工芸というところに限ってのインターンシップをしているところがあったりするのです。例えば、近くだと福島県クリエイター育成インターンシップということで、これは本当に伝統工芸に限って、こういった事業をやられていて、このような事業は、他県、福井県などにもあったりします。 それを、夏季に集中するコースと随時受け入れるという、本当に伝統工芸に限ってあえてやっているということで、先ほどの御答弁だと、北上川流域ものづくりネットワークの関係で、いろいろな産業が入ったインターンシップを県ではやられていますけれども、あえて芸術系の大学生等にPRをして、こういった伝統工芸産業のインターンシップ受け入れ事業をやられている県が多かったりするので、今後、こういうことも含めて、私は、ぜひ取り組んでいっていただきたいと思っております。 例えば盛岡市だと、繋地区に盛岡手づくり村がありますけれども、私もよく行くのですが、地元の小中学生がなかなか来ないとよく聞いています。あそこは盛岡市なので、ホームスパンだったり、今は、ぴょんぴょん舎の冷麺をつくったりする場所もありますし、おせんべいをつくったりというところがありますけれども、小中学生、地元の例えば教育体験として、ホームスパンもせっかくあのようにすばらしい織り機があるのですが、どちらかというと県外の修学旅行でいらっしゃる方が多いと聞くので、地元の小中学生にも、学校のキャリア教育からだけではなくて、産業振興を所管する部局の取り組みとしてやられている県も多数見受けられているので、できれば、商工労働観光部からの視点での職場体験を、奥州市などの南部鉄器の地域の方では、やられていますけれども、何かそういうものを、県の産業経済交流課からの視点での職場体験、子供たちからの取り組みを、ぜひふやしていっていただきたいなと思っておりますけれども、御所見を伺いたいと思います。 〇金野特命参事兼地域産業課長 吉田敬子委員から御指摘いただきました。本当に私どもの取り組みが、今まで、伝統工芸に関しましては、進路選択というのでしょうか、比較的年齢の高い層をターゲットにしてきたところは、偏ってきた部分はあると考えております。 おっしゃるとおり、伝統工芸を志す、興味を持ってもらう、そういった裾野をどんどん広げていく必要があると考えておりますので、関係機関、市町村等々と連携、相談しながら、県としても、どういう形でコミットというか、積極的に手を出していけるのかといったところは検討してまいりたいと思います。 〇はぎの幸弘委員 まず前段で今の吉田敬子委員の質問、私も、アパレル関係の人間として、いわてアパレル若者女性活躍推進事業費に非常に期待しているところでありますが、かつて、岩手県は一つのアパレル団体だったのが、今、北いわてと銘打ったが上に、北いわてとそれ以外と分かれている面もありますので、ぜひ、これを機会に、また一つにまとめていただければと思います。 余談はそのくらいにしまして、私は社会減対策強化事業について、幾つか質問をさせていただきます。 まず、いわてターン促進事業費について伺います。これは事業費420万円、本県のUターンを促進するために、お盆と正月の帰省時期に、帰省者を対象としたプロモーションを実施する事業のようですけれども、まず質問項目を四つまとめて質問します。 今回のプロモーションの具体的な内容を確認したいのですが、それは、毎年行われているものと同じことをまたやられるのか。それともその年によって分かれているのか、変えているのかということが1点。 2点目には、前年度予算1、540万円に対して、今回は420万円と激減していますが、なぜでしょうか。 そして、これまでの効果を検証して得られた結果と、それを今後にどのように生かそうとしているのか。 そして最後に、お盆と正月のみではなくて、継続したアプローチが必要ではないかと思いますが、これらについて一括して伺います。 〇三河定住推進・雇用労働室長 まず、おかえりプロモーションの変更点についてでございますが、おかえりプロモーションは、お盆及び年末年始の帰省時期に、県外からの帰省者やその家族に対しまして、岩手県で働く魅力やUターン移住、就職に関する支援窓口、制度などをPRすることにより、本県へのUターンを働きかけようとするものでございます。 具体的には、盛岡駅にUターンのPR、相談ブースを設けたほか、SNS広告や新聞広告、テレビ出演などによるプロモーションを実施したところでございます。 来年度につきましては、新たに盛岡駅に加えまして、いわて花巻空港での実施を検討しているところです。 盛岡駅の各ブースにつきましては、シゴトバクラシバいわての登録者数をふやすことを目的としていますので、やることについては、ベースのところは変わらない予定です。 それから、予算の減額の理由についてですが、今年度は、帰省時期のプロモーションとIターン向け動画を作成いたしております。来年度の予算につきましては、プロモーションを継続して実施することとしておりまして、減額分はIターン向けの取り組み部分になります。Iターン向けの取り組みにつきましては、今年度作成した動画や、令和4年度に作成したガイドブックを移住イベントなどで活用、普及して、働きかけを進めることとしております。 これまでの検証結果と今後の生かし方についてですが、今年度の取り組みを通じまして、シゴトバクラシバいわて新規登録者数が、夏期が157人、冬期が170人と増加傾向となっております。プロモーションの認知度が上がってきていることから、さらに継続的に取り組みを進め、Uターンの機運醸成につなげてまいります。 継続したアプローチについてですけれども、若者のU・Iターンの促進につきましては、将来のUターンを見据えて、小学生段階といった早い時期から、地域の産業や特徴を知ってもらうことが重要であると考えております。 このため、小学生段階からの工場見学や、高校生を対象とした企業説明会の開催、大学の授業を活用した企業の魅力を伝える講座などの取り組みを行っているところでございます。 〇はぎの幸弘委員 わかりました。小学生段階からのアプローチが必要である件、私も同感であります。この辺は、また後ほど質問します。 いずれ、県内企業は、企業に限らずですけれども、人手不足が本当に深刻です。企業とコラボした対策、例えば大企業については、やはり資本力がありますから、まず、独自に人も引っ張ってきて、誘致企業とよく言いますけれども、会社だけ引っ張ってくるのではなくて、人も引っ張ってきてほしいという促しをして、県や各自治体に関しては、基礎体力のない地元の中小企業を中心にサポートするようにしないと、結果的に、県内の人手を内輪だけで大企業と中小企業が競っても、大企業がほぼほぼ勝つのですけれども、結局、どちらかが疲弊してしまう。私としては、大企業も中小企業もウイン・ウインでいかないと岩手県の発展はないと思うのですが、そういう手分けをするといいますか、大企業にもお願いをして、外から引っ張ってきてください。我々は地場企業の下支えをします。例えばそういう取り組みをしてはどうかと思うのですが、その辺の予算立ては考えていないでしょうか。 〇三河定住推進・雇用労働室長 大企業につきましては、大手就活エージェントをみずから使っておりまして、そこの人材の募集などにより人材を確保していると伺っているところでございます。 県におきましては、独自の企業努力により、人材確保を目指す中小企業をサポートするため、就職マッチングサイト、シゴトバクラシバいわてや、岩手U・Iターンクラブ加盟大学を通じた情報提供のほか、東京都と仙台市において、毎年U・Iターンフェアを開催するなどの取り組みを行っております。 また、シゴトバクラシバいわてのサイトに就活応援メディア、みんなの想職活動in IWATEを新たに開設いたしまして、SNSも活用しながら、県内各地の各産業分野で働く若者のライフスタイルを紹介しているところでございます。 〇はぎの幸弘委員 先ほどの御答弁では、前年度予算より大幅に激減したけれども、内容的には変わっていないという趣旨だと受けとめましたが、それでも減っているという実情があるので、私は、逆に、これまでの取り組みを維持しながら、次の手を打つ予算立てをしたほうがいいと思いますが、そこは今後に向けて検討いただければと思います。 次に、いわてとつながろう働く魅力発信事業費について伺います。これは事業費1、900万円ということで、U・Iターン就職を促進するために、高校生向けリーフレットの制作などを行う事業ですけれども、これは五つまとめて聞きますが、具体的な発信内容は何なのか。また、一部新規ということですけれども、新規の内容とは何か。そして、高校生、大学生に何を発信して、どれだけの効果を期待しているのか。また、高校生と大学生で内容は同じなのか、変えているのか。これらについて1、900万円の内訳とあわせて伺いたいのが1点目。 これまでの成果あるいは効果、これもどのように検証して予算に反映しているかが2点目。 3点目、U・Iターンの促進を狙っているということですけれども、発信先はどこなのか。県内の各学生なのか、東京圏なのか。 あとは4点目としては、リーフレットの内容と制作部数、配布方法を改めて確認しますし、これは高校生向けですけれども、大学生向けはないのかということ。 最後に5点目は、前年度予算、これも4、440万円だが、大幅な減額ですが、これも、去年の在庫が残っていて同じレベルでやるというのか、その辺も伺います。 〇三河定住推進・雇用労働室長 まず、1点目の具体的な内容と一部新規の内容と、1、900万円の内訳についてですが、今年度作成いたしましたみんなの想職活動in IWATEの記事の充実など、サイト運営と、対象を高校生に拡充いたしますことから、新たに登録を促すための高校生に対するリーフレットの作成費用として1、900万円の予算を計上しているものでございます。 これまでの効果検証と予算への反映についてでございますが、来年度の作成を予定しています高校生向けのリーフレットの内容につきましては、今年度、県の就職マッチングサイトシゴトバクラシバいわて内に新たに開設しましたみんなの想職活動in IWATEを、高校生や県内大学生にさらに広範囲に普及させるため、その閲覧につながるものを想定しているところでございます。 次に、予算が減額となっている理由でございますが、これは、今年度は、県の就職マッチングサイトシゴトバクラシバいわて内にインターンシップのページを新たに開設するために予算を計上しておりましたが、ページの開設が完了したことに伴いまして、来年度の予算計上は行っていないところでございます。 また、高校生向けに発行している就職促進情報誌を、来年度からは時代のニーズに合わせまして、時間や場所を選ばず閲覧できるデジタル媒体、みんなの想職活動in IWATEに統合することが主な理由でございます。 それから、大学生向けのリーフレットはないのかというお尋ねについてでございますが、令和6年度に作成します高校生に対するリーフレット内容について、今後、受託者と協議を進めながら検討することとなりますけれども、みんなの想職活動in IWATEを紹介するQRコードのついたリーフレットで、高校生の趣味や関心を引くような内容としたいと考えています。制作部数は、県内高校の全生徒に配布を予定しておりまして、約3万部の作成を想定しております。 大学生向けにつきましては、新たなリーフレットの作成は行わないこととしておりますが、現在も、チラシを作成し、U・Iターンクラブ加盟大学を通じた情報提供やイベント時に配布しているところでございます。 〇はぎの幸弘委員 先ほど、小学生段階からのアプローチも質問しようと思いましたが、地元に根差していくためには、こちらから一生懸命アプローチするのも必要ですけれども、本人が帰ろうと思わなければだめだと思います。ですから、高校生、大学生になってからあわててアプローチしても、もう時既に遅しだと思いますから、ぜひ、小中学校からもっとアプローチしたほうがよろしいかと思います。 3点目、中小企業者等賃上げ環境整備支援事業費補助について伺います。補助先である中小企業に直接交付するようですけれども、こういう類いの補助金は、通常、市町村の窓口を介してやるイメージがあるのですが、これは、本当に県と事業者だけなのか。中間に商工団体あるいは市町村を挟んで、さらに、各市町村の上乗せ補助は想定していないのか、その辺はどうなのでしょうか。 〇小野寺経営支援課総括課長 まず、申請の手続で言いますと、事業者が県に直接申請をいただくというスキームになっております。ただ、この要件としての経営革新計画の承認を得ていることですけれども、経営革新計画を企業が策定するに当たって、今は、ほとんどの事業者が、商工団体の伴走支援で、支援をいただいています。そのもとでの計画をつくっていただいておりますので、今年度の展開の中でも、申請いただくに当たっては、商工指導団体がその申請をサポートして、一緒に申請いただくというケースがほとんどでございますので、商工指導団体と密接に連携した取り組みができていると思います。 それから、上乗せ補助に関しましては、この補助に限らず、県や市町村、国などがそういった幅広く支援していくのは、その事業者にとって厚い支援になりますので、そういった視点は、我々の各市町村の産業担当部局と常に持ちながら、施策の展開に努めてまいります。 〇はぎの幸弘委員 わかりました。 設備投資、人材育成、これは、国の補助だと、ものづくり補助金という類いのものがありますが、今は、賃金について1.5%以上のアップを義務づけられておりまして、それができなければ返還ということで、ものづくり補助金はもう申請しないという事業者もいます。結局、補助メニューをつくっても、申請する企業数が減っていることもありますから、使い勝手のいいもので、ものづくり補助について5年縛りがあるところも柔軟な対応をしていただければ、もっと活用されるのだと思います。 最後に、外国人受入環境整備事業費について伺います。こちらも午前中、関根敏伸委員から類似の質問が出されているようですけれども、これは300万円の事業費で、外国人が働きやすく、安心して暮らせる環境整備を進めていくために、外国人労働者の雇用実態の調査、関係機関による受け入れ環境整備を行う事業ですけれども、この安心して暮らせる環境整備はどういうことをイメージしたらいいのか。少し漠然とし過ぎていてわからないので、目指している環境整備の内容を知りたい。 それから、外国人労働者の雇用実態の調査、午前中も、調査するという答弁がありましたが、具体的な調査先、これは各自治体なのか、あるいは受け入れ団体なのか、その辺がよくわからなかったので伺いたい。 三つ目は、この事業の目的として、将来的に何をどのようにしたいがための調査なのか。例えば人手不足対策強化の一環としたいのか、あるいは外国人労働者が多数入ってくることによる犯罪の未然防止なのか、その辺、どのような目的なのか、この3点まとめて伺います。 〇菅原労働課長 こちらもまとめて御回答という形になるかもしれませんけれども、環境整備のイメージですけれども、例えば相談体制の充実とか、医療機関受診時や災害時の対応、日本語教育などの言葉の壁の解消とか、外国人県民を地域で支える人材育成、環境整備としては、そういうことが課題になっているという認識です。 この事業につきましては、具体的な調査内容などはこれから検討となりますけれども、私たちとしては、まず、企業の声を聞いていきたいと思っております。それで、現状把握と課題抽出しまして、どのような受け入れ環境の構築が必要なのか、そういう点について関係部局と連携して、考えていきたいと思っております。 〇はぎの幸弘委員 わかりました。 人口減少、人手不足が進む中に、外国人材への依存度は御指摘のとおり、ますます上がっていくことが予想されますけれども、全国一低いレベルの最低賃金で、外国人もそこはドライに考えていまして、岩手県は安いから行きたくないという声が結構あります。 だからといって、企業が簡単に賃金、処遇アップできるかというと、そうでもないというのが実情ですから、県として、調査に当たっては、先ほどウイン・ウインと言いましたけれども、どちらにもいいように、なかなか難しいテーマだと思いますけれども、そういう事業予算の措置について、今後も考えていただきたいと思います。これは意見で終わります。 〇佐藤ケイ子委員 私は、若者、女性支援関係について、人材育成などたくさんの事業が入っておりますので、お聞きしたいと思います。 まず、いわて産業人材奨学金返還支援基金出捐金が9、000万円計上されておりまして、これは昨年と同額ですけれども、財源として企業が2分の1、県が2分の1を負担する。県は負担した分、国からの財政措置もあるということで、今、大学生の方々半分くらいは奨学金を借りており、返済が厳しいことから、奨学金返済を支援するので、どうぞ岩手県内に就職してくださいというわけです。 私はこの事業に大変期待をしていたのですけれども、目標になかなか達していないのではないかと思っておりまして、令和4年度は、この支援を受けて、県内就職した人は53人と、今まで何年間かやってきて、300人を超える方々がこの制度を使ったということだったわけですけれども、その目標に達していないことについては、どの点が課題になっているのかということをお聞きしたいと思っております。 周知の仕方なのか。これは国の制度なわけですけれども、この制度の使い勝手が悪いのか、どういう問題なのか、お聞きしたいと思います。そして、令和5年度の状況についても、そして、新年度の取り組み姿勢についてもお伺いいたします。 〇小野特命参事兼ものづくり産業振興課長 奨学金返還支援制度についてのお尋ねでございます。 今、佐藤ケイ子委員からお話ございましたとおり、本事業を利用いただく支援対象の数が伸び悩んでいるという状況でございます。さまざま理由があると考えておりまして、社会経済環境や、学生、若者の方の就職の志向等もありますが、この制度に限っての課題認識についてお話しさせていただきます。 まず、制度認知の課題。制度の内容について、学生に対して十分に周知できていない可能性があること。それから、手続上の課題。これは、学生から申し込みがしにくいとか、使い勝手が悪いと思われている可能性があること。そして、受け皿となる認定企業の数の範囲の課題。これは、今年度、認定企業の対象とする企業の範囲を広げておりまして、認定企業は徐々にふえておりますけれども、まだまだ限定的であり、拡大の余地があると考えられること。といったところでございます。 この制度の周知に関しましては、ホームページやSNSでの情報発信や、大学を訪問しての制度の説明、チラシ、ポスターの掲示、就職イベントやU・IターンイベントでのPR、新聞広告や市町村広報誌への掲載等に取り組んでいるところでありますが、最近の学生の方は、オンラインでの就職活動が浸透してきていることもございまして、SNSの一層の活用など、アプローチの工夫が必要と考えております。 また、来年度は、将来の制度活用にもつながるよう、高校生や保護者への制度紹介にも努めてまいります。 また、手続についてですが、今年度、申請書類を大幅に簡素化したところでありますが、来年度は、さらに、オンラインによる申請もできるよう、改善を図る予定としております。 それから、認定企業については、一層の制度認知を促進するために、メーリングリストでの情報提供を、各種会合、イベントでの制度紹介に加えまして、企業訪問によるメリットの説明などによりまして、粘り強く制度への理解と活用を促してまいりたいと思います。 今後も、制度が十分に活用されまして、優秀な人材が一人でも多く県内に就職、定着するよう、引き続き、ニーズの把握をしながら、関係機関、市町村とも連携を図りながら、取り組みを強化してまいります。 〇佐藤ケイ子委員 企業登録です。認定企業数がかなり伸びたわけです。最初の令和2年のころは66社だったのですけれども、令和5年度は108社になったということで大分伸びた。その伸びた中で、建設業が大分伸びていました。 ということは、業界の中での認知というか周知活動とか、業界そろってこういう制度があるので、活用しようなどという動きが出てきている業界があるのかと思って見ていました。産業人材と言うと何か限定的なような気がしますけれども、今、いろいろな職種に拡大されているということですので、ぜひ、この制度がどんどん活用できるようにしていただきたいと思っております。 次に行きます。今度は、未来のものづくり人材育成・地元定着促進事業費は、2、550万円計上されて、前年より190万円増という予算ですけれども、これまでも、工場見学などのほかに、今度は、新たに理工系女子大生と連携した事業を行うようですけれども、具体的なターゲットや、想定している事業内容など、お伺いしたいと思います。 〇松本特命参事兼産業集積推進課長 未来のものづくり人材育成・地元定着促進事業費において来年度取り組もうとしております理工系女子大学生と連携した事業についてでございます。 本事業は、サイエンスショーやものづくり体験などの活動を行っております岩手大学理工学部の女子学生の有志で構成する工学ガールズと連携することを想定しております。 特に、小中学校の女子児童や生徒の理工系への興味、関心を高め、将来の理工系学校への進学やものづくり産業への就職といった進路選択の促進を目的として、来年度から新たに取り組もうとしているものです。 内容ですが、理系の学びとものづくりの楽しさを実感できるような体験型のイベントを想定しております。具体的な内容は、今後、調整していくこととしておりますけれども、イベントでの体験が、ものづくり企業で働くイメージに結びつくようなものにしたいと考えているところです。 〇佐藤ケイ子委員 ぜひ、期待したいと思います。 次は、若者・女性創業支援資金貸付金について、2億8、260万円計上されて、倍増になっているのですけれども、これまでの実績、そして、新年度はどのように想定しているのか、見込みをお伺いいたします。 〇小野寺経営支援課総括課長 若者・女性創業支援資金貸付金は、若者、女性の起業、創業、立ち上げ時の資金負担をできるだけ軽減して、うまく軌道に乗せてもらおうということで、令和5年度に創設いたしました。 令和5年度当初予算では、融資枠5億円を想定して、それに必要な予算を計上させていただきましたが、ことし1月末現在の融資実績は6億2、749万円余となっております。 令和6年度におきましても、新規融資枠は5億円という想定のもとで、それに必要な預託額を予算計上させていただいております。もし足りなくなったら、そのときは融資枠を拡大して、対応する予定にしております。 なお、令和5年度と令和6年度の予算を比べて倍になっておりますが、これは5年度に創設した資金でございまして、必要となる予算が、金融機関が融資をしている残高に応じて県が預託するということになります。令和6年度になりますと、令和5年度に融資した分と令和6年度に融資した分と、2カ年分必要になりますので、予算がほぼ倍になっているという状況でございます。 〇佐藤ケイ子委員 今、融資実績6億幾らというのがあって、多分、これはかなり伸びたと思うのですけれども、こういった事業を活用して、若者、女性に対し、人材育成でも、小中学生のものづくり体験でも、それから、資金の面でも、どんどんみんなで支援するということを、ぜひPRいただきたいと思っております。 それから、若者、女性とは限らず、企業スタートアップ推進事業もあるようでございます。これは2、030万円で、430万円減ですけれども、これは、これまでの実績、新年度の見込みはどうでしょうか。 〇小野寺経営支援課総括課長 先ほど答弁しました若者・女性創業支援資金貸付金のことし1月末現在の融資件数は166件でございます。 企業スタートアップ推進事業でございますけれども、これは、まさに佐藤ケイ子委員からお話のありましたとおり、関係機関が連携して企業スタートアップを支援していこうということで、いわてスタートアップ推進プラットフォームを立ち上げまして、その連携の中で、地域経済の新たな担い手となる企業家の育成を支援するという事業になっております。 今年度の主な取り組みとしましては、昨年8月、市町村、商工団体、金融機関等の支援機関96団体が参画していわてスタートアップ推進プラットフォームを設立いたしました。そのプラットフォームの中で、女性の起業支援分科会といった三つの分科会を設置して、若者や女性の起業における効果的な支援手法の検討などを進めておりますし、それから、大学生等を対象とした実践的な起業家育成プログラムも実施しております。こういったことを通じて起業家支援を図っております。 来年度につきましても、基本的には同じような枠組みの中で、事業を進めていくことになります。特に、女性の起業支援分科会などで、引き続き、若者、女性の起業支援を継続して検討していくといったようなさまざまな取り組みを予定しております。 〇佐藤ケイ子委員 この事業の中で、いわてイノベーションスクールもやっているのですよね。それがどういう状況だったか。それから、新年度の予定などお聞きいたします。 〇小野寺経営支援課総括課長 今お話しいただいたいわてイノベーションスクールが、大学生等を対象とした実践的な起業家育成プログラムになってございまして、令和5年度─今年度は、5月27日に開校し、12月16日まで開催いたしましたが、修了時点で、大学生等28名に受講いただいております。 令和6年度につきましても、基本的には、同じような対象者、同じような目的のもとで事業を継続していく予定にしております。 〇佐々木朋和委員 まず、私からは、観光振興、インバウンド対策について伺いたいと思います。 コロナ禍も明けて、ニューヨークタイムズ紙の記事の効果も相まって、本県への外国人旅行客は急増しております。観光庁宿泊旅行統計調査によりますと、延べ宿泊者数、外国人は、令和5年6月にコロナ禍前の令和元年比100%を超えて、年間の目標値であります27.7万人を超える勢いであります。 しかし、令和元年度の実績値は34万人でして、それまでには戻っておらず、みちのくいわて観光立県第4期基本計画案では、令和6年度は34万人を目標に取り組むこととなっております。ニューヨークタイムズ紙の記事の効果を考えれば、コロナ禍前の全国33位から順位を上げていきたいところですし、令和10年の目標が59.2万人泊の目標を達成していくような努力が必要です。 コロナ禍明けの需要と円安が相まって、令和6年度は本年度以上のインバウンド観光客の訪日、そして、ゴールデンルートのオーバーツーリズムや物価高騰の影響によって、地方への周遊が期待されております。一方で、例えば山形県では新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行してすぐの昨年5月に、吉村知事が台湾へトップセールスを行っています。また、秋田県や福島県等、東北各県の空港では、本県のお得意様であります台湾とのチャーター便が再開、延長や定期便が動き出すなど、各地方、さらに東北地域内でも各県の競争が激化しております。 県は、令和6年度のインバウンド集客について、取り巻く環境をどのように分析しているのかお伺いしたいと思います。 〇高橋観光・プロモーション室長 観光庁統計宿泊旅行統計調査からお話のありましたとおり、令和元年の34万人に比べて、外国人延べ宿泊者数は速報値で延べ27万人泊となっておりまして、78.9%まで回復しているということで、全国では28位と、コロナ禍前の順位の33位を上回っている状況でございます。 国、地域別の状況で見ますと、欧米や東南アジアからの宿泊者数が、コロナ禍前と比較して大きく増加していることが特徴となっている一方、中国からの旅行者につきましては、いまだ、ビザ取得等が必要なことなどから、回復途上でありまして、こういった国や地域に対する誘客策が必要と考えているところでございます。 また、佐々木朋和委員御指摘のとおり、東北各県におきまして、海外とのチャーター便が就航いたしまして、東北地域全体のインバウンドが非常に活発化している状況でございます。 今後、外国人観光客の東北全体への誘客拡大や、広域的な周遊が加速していくと考えております。 〇佐々木朋和委員 東北地域への来年度のインバウンドの誘致は、さらに活発になるだろうということは間違いないと思います。一方で、他県も、就航の便が充実をしてきて、岩手県のお客様全体としては、ふえるのか減るのか、そういったところの予測が難しいところでありますけれども、昨年12月のマレーシア、シンガポールのトップセールス、また、香港のトップ取材について伺います。 昨年12月に知事はマレーシア、シンガポールを訪問して、食品や一次産業、GIを取得した岩手県の清酒、観光等のトップセールスを行いましたし、さらに、ことし3月には、香港メディアが宮古市などを取材、知事みずから対応いたしました。 これらトップセールスやトップによる取材対応について、どのような効果を狙ったものなのか、また、今後の取り組みに生かせるようなヒント、気づきなど、商工労働観光部としての所感を伺うとともに、令和6年度のインバウンド誘致戦略を伺いたいと思います。 〇畠山産業経済交流課総括課長 トップセールスについてのお尋ねでございました。 昨年12月に実施いたしましたマレーシア、シンガポールでのトップセールスでございますが、それぞれの大使館とのつながりや、これまで培ってまいりました現地流通大手イオングループあるいは日系の大手百貨店等との連携を活用いたしまして、近年、着実な経済成長を遂げておりますASEAN―東南アジア諸国連合の各国への市場展開の足がかりをつくることを狙ったものでございます。 また、今月には、外務省のALPS処理水の海洋放出に係る風評被害対策の一環といたしまして、農林水産部が窓口となりまして、香港のテレビ局が、本県の水産物をPRする番組を制作、放送するものでございます。知事みずからの言葉で、香港に向けて直接メッセージを伝えることで、香港の風評の払拭を狙ったものでございます。 気づきに関してでございますが、今回のトップセールスを通じまして、東南アジアにおける日本食あるいは日本の生活文化そのものへの現地の関心の高さを実感したところでございます。現地に数多く立地する日本食レストラン等への県産食材あるいは日本酒の輸出拡大の可能性を強く認識いたしました。 また、現地クアラルンプール市内のイオン複数店舗で実施いたしましたいわてフェアへの入込数あるいは販売額が、これまで他県が行いました現地のフェアの中でも、最上位の実績となったとのイオン側の報告も頂戴しております。県産食材の品質の高さが改めて評価されたと受けとめております。 さらに、マレーシア国内におきましては、岩手県ゆかりの呪術廻戦を初めとする日本の漫画、アニメが非常に人気を博しているということでございました。こうした文化面からの交流人口の拡大も期待できると感じたところです。 来年度の県産品の輸出拡大あるいはインバウンドの誘致に向けましては、こうした現地の状況等を踏まえつつ、一般社団法人東北観光推進機構、それから、東北各県とも連携いたしまして、マレーシアの現地旅行会社の招請による旅行商品の造成とか、シンガポールを含めた東南アジアからのバイヤー招聘などを行っていきたいと考えております。 〇佐々木朋和委員 では、具体的な事業についても触れながらお聞きしたいと思います。 令和6年度より、いわて花巻空港を起点とした県内周遊促進事業、インバウンド県内周遊支援事業を創設いたしました。いずれも、県内周遊を促進させるための事業です。 令和10年の59.2万人泊の達成には、既存の受け入れ施設だけでは難しく、新たなスポットの開発は必須ですので、正しい方向と思います。一方で、国もビジット・ジャパンにて東北地域を一体として売り出しております。先ほどの答弁の中でもありました東北地域内の周遊が拡大するだろうと思われます。また、東北地域を一つの地域と捉えて商品造成をしている旅行会社に対して、どのようにアピールをし、行程先を変えてもらうのか、具体的な手法が必要と感じます。 また、受け入れ施設についても、まずは、インバウンドを受け入れようという機運の醸成とハード面の整備も含めて支援が必要と思いますが、県の取り組みを伺いたいと思います。 〇高橋観光・プロモーション室長 本県の令和5年度の外国人延べ宿泊者数は27万人泊で、令和元年比で78.9%でございますが、実宿泊者数で見ますと、21万2、620人泊で、令和元年比で89.5%となっております。このように宿泊者数は増加しておりますが、宿泊日数は、回復が若干緩やかな状況となっております。 今後、外国人延べ宿泊者数の増加を図るためには、本県に一日でも長く滞在していただくことが必要でありまして、それに向けて、本県の持つ、特色のある観光コンテンツの掘り起こしや磨き上げを図るとともに、海外の方々にはその魅力をしっかりと発信していくことが重要であると考えております。 このため、令和6年度当初予算案におきましては、まずは、いわて花巻空港を起点とした県内周遊の促進を図るための、県内の観光事業者や自治体とも連携しながら、現地旅行会社へのセールスや現地旅行会社への招請等を通じて、情報発信や旅行商品の造成に取り組むこととしております。 インバウンドの受け入れに向けた機運醸成やハード面の整備につきましては、さまざまな会議の場などで、観光関係事業者と情報共有や意見交換しながら、対応を検討していきたいと考えております。 〇佐々木朋和委員 具体的に、今、説明をいただきました事業ですけれども、いわて花巻空港を起点とした県内周遊促進事業、これは商品造成ということだったのですけれども、460万円余でどの程度の人数というか、誘致を見込んだ事業なのか。また、インバウンド県内周遊支援事業も創設で、1、900万円余ですけれども、こちらは交通費の補助ですが、飛行機の交通費の補助なのか、バス何台分なのかわかりませんけれども、こういった部分の定量的な説明をいただければと思いますが、いかがでしょうか。 〇高橋観光・プロモーション室長 いわて花巻空港を起点とした県内周遊促進事業460万円余でございますけれども、こちらにつきましては、基本的には、1人当たり1、000円での計算となっております(後刻訂正あり)ので、そういった形での対応になりますが、基本的には、旅行会社と連携して、旅行商品をつくることが基本になっておりますので、そういった形でのどちらかというと、海外の旅行会社への支援という形になっております。 インバウンド県内周遊支援事業につきましては、海外旅行会社が、三陸沿岸地域、県北地域になかなか行っていないこともございますので、そういった方向を含む県内周遊を図る旅行商品を造成する場合の交通費の支援ということで、助成額の案としては1人1泊につき1、000円ということで考えております。 なお、三陸沿岸地域または県北地域を周遊し、県内で2泊以上で考えているところでございます。 〇佐々木朋和委員 今お話をいただきました交通費助成等ということでしたけれども、インバウンド県内周遊支援事業は、いわて花巻空港を使わなくても、これは活用できるものでしょうか。 〇高橋観光・プロモーション室長 インバウンド県内周遊支援事業につきましては、いわて花巻空港を活用しなくても使えるものでございます。 〇佐々木朋和委員 確認させていただきました。 各県、自分の県の空港の利用促進とあわせて、インバウンドの観光客の宿泊助成を行っています。 岩手県でも、先ほどは交通費でしたけれども、宿泊助成の場合は、台湾との定期チャーター便利用に対して、1人1泊につき1、000円の助成を行っています。 一方、いわて花巻空港利用から、先ほど沿岸地域周遊の話もありましたけれども、ルートとして、現在、立ち寄りがない地域にとっては、助成のメリットがなく、全県的なインバウンド集客につながっていないのではないかという課題意識があります。 例えば岩手県北地域であれば、青森県、県央地域であれば秋田県、県内沿岸地域なら、いわて花巻空港利用時の宿泊助成も必要と感じます。 例えば山形県では、山形空港を利用しない場合でも、宿泊助成を行っており、本県も見習うべき取り組みだと思います。山形県内の空港のチャーター便利用の旅行商品に、1人当たり4、500円、山形県外の空港利用でも、2、700円の助成がついております。さらに、泊数によってプラスの補助がなされているとお聞きしております。 さらに、山形県と岩手県の助成額の差もありまして、先ほど御説明いただきました、この事業も1、000円ですし、先ほど説明をいただいたものも全部1、000円ということで、額的にも少し差があると感じます。せっかくトップセールスで行っても、他県に比べて、同等ぐらいの助成の部分がないと、武器もなくて、トップセールスもなかなか大変なのではないかと思います。事業の要件緩和や、拡大も必要と感じますが、所見を伺いたいと思います。 〇高橋観光・プロモーション室長 定期便やチャーター便の運航開始あるいは運航継続を図るに当たりまして、佐々木朋和委員御指摘の山形県の旅行商品の造成に限らず、利用拡大に向けたPRや二次交通の確保など、東北各県において、さまざまな形の支援を行っていると承知しております。 本県におきましては、令和6年度当初予算案において、いわて花巻空港を利用する旅行商品に対する宿泊費の支援に加え、新たに、いわて花巻空港利用に限らず、沿岸地域や県北地域を周遊する場合のバス利用等への支援を盛り込んでおります。また、いわて花巻空港の利用促進に係る取り組みにおきましても、各種支援に取り組んでいるところでございます。 現在、東北各県で海外との定期便やチャーター便が就航するなど、東北地域全体のインバウンドが非常に活発化している状況でありまして、今後も、チャーター便の増便や、新たな路線就航の可能性などを見据え、本県への誘客拡大に向けた、戦略的かつ効率的な支援を展開してまいりたいと考えております。 〇佐々木朋和委員 今、岩手県としては、ニューヨークタイムズ紙の記事への掲載の契機もありまして、大変チャンスでもあると思うのです。そういったときに、知事のマニフェストプラス39の事業の仕分けの金額を見ますと、2億6、800万円余の観光についての予算額で、ほかの東北各県と比べてもどうなのだろうと、正直、疑問に思うところです。 今、御紹介したように、他県に比べてインバウンドの助成が少ないのは、トップセールスに力を入れても、岩手県のすばらしい景観や食をもってしても、なかなか大変なところもあるだろうと思います。他県と同等ぐらいの武器を持ちながら、インバウンド誘致に向けた取り組みができるように、ぜひとも、商工労働観光部としては、財政課にもしっかり言っていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。 さらに、大きな問題として思うのは、先ほど来お話があるとおり、東北地域内の周遊が進む中で、海外エージェントが東北地域の垣根なく商品造成を行っている中、各県がそれぞれ独自の助成制度を行っていることが問題だと思います。地域としてのライバルである九州地域や北海道、北海道は1自治体ですので、そこでは共通の施策を行って、どこの空港に入っても宿泊助成が同じようにつくと、そういったような取り組みをしております。 東北地域全体でインバウンド誘致のため、エージェントが活用しやすい、東北地域全体足並みをそろえた助成制度を各県に呼びかけて創設すべきと思いますけれども、商工労働観光部長、ぜひ所見をお願いしたいと思います。 〇岩渕商工労働観光部長 東北6県が足並みをそろえた支援という形ですが、チャーター便に飛んで来てもらうにしても、そういう航空会社のニーズが、宿泊助成をしてもらいたいとか、飛ばすこと自体に支援してほしいとか、さまざまになってきますので、そういう相手との交渉をする段階で、なかなか難しい面は多々あるというのが、実感として思っているところでございます。 そうした上で、一律の足並みをそろえた助成につきましては、一般社団法人東北観光推進機構を軸に東北6県が集まっておりますので、そうした会議の場におきまして、話題にして、少し考えていきたいと考えております。 〇佐々木朋和委員 北海道、東北地域の議員の研修会の中でも、そういった話題も出ておりまして、他県からもそういう話が挙がっておりました。 エージェントのニーズはもちろんあると思いますけれども、一方で、我が県としては、県土が広いですから、我が県の空港に降り立ったとしても、なかなかルートに入れない地域は出てくると思うのです。そういったところを他県の空港を利用しながらも、少し足を伸ばして岩手県までも周遊いただけるような取り組みを進めていきたいと思いますし、全東北地域で考えていただければと思います。 最後に、先ほどのお話にもありました清酒のことについてです。GI取得について、マレーシアにて、GIいわてスタートアップセミナーが開催されました。成果と今後のGI取得を活用した清酒の販売戦略を伺いたいと思います。 〇畠山産業経済交流課総括課長 トップセールスの一環といたしまして、マレーシアにおいて、仙台国税局の主催で、岩手県酒造組合、マレーシアの日本国大使と連携いたしまして、現地の日本食レストランをお借りしまして、GIいわてPRセミナーとして開催したところでございます。 セミナーでは、GIいわての日本酒の認知度向上、それから、輸出拡大を図るため、現地の主に中華系の富裕層を中心にいたしまして、現地のインフルエンサー、マスコミ、インポーター、小売業、飲食店等を対象にいたしまして、県産食材と料理のペアリングによる日本酒の試飲PRを行ってまいりました。 セミナーを通じて、岩手県の日本酒の価値、魅力を訴求することができたということで、マレーシアを初めとするASEAN市場全体への発信の大きな端緒になったと認識しております。 令和6年度のプロモーションの戦略でございますが、今回のトップセールスの効果をさらに高めるために、マレーシア等の流通業者との商談会などを行うとともに、本県日本酒の輸出先の上位市場でございます中国のバイヤー招聘、アメリカにおける食品見本市への出展、それから、先ほども触れましたトップセールスを展開いたしまして、GIいわての一層の認知度向上、それから、販売、販路の拡大に取り組んでまいりたいと考えております。 〇千葉盛副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。 午後2時31分 休 憩 午後2時46分再開 〇千葉盛副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。 〇高橋観光・プロモーション室長 先ほどの佐々木朋和委員のインバウンド県内周遊促進事業費の件でございますが、令和6年度予算案のインバウンドぐるっと県内周遊促進事業費のうち、いわて花巻空港を起点とした県内周遊促進事業、予算額460万円余でございますけれども、私、1人当たり1、000円とお話ししましたが、それは違いました。 こちらにつきましては、旅行商品造成のための台湾や中国の現地旅行会社等へのセールスを実施するほか、旅行会社の招請や県内の観光事業者等への商談会を実施するという経費でございますので、訂正させていただきます。 〇千葉盛副委員長 質疑を続行いたします。 〇鈴木あきこ委員 私からは、いわての魅力まるごと発信強化事業費の中の二つの項目を質問させていただきます。 まず初めに、岩手県公認Vチューバー岩手さちこ。あえて呼び捨てでさせていただきます。この岩手さちこの声は、盛岡市出身の声優で佐々木未来さんという方を起用しています。 このVチューバーの岩手さちこの目的、また、どの世代に向けたものか。そして、通告しておりませんでしたが、岩手さちこという名前は、どなたが命名したのか、それを伺います。 〇大越特命参事兼プロモーション課長 まず、岩手県公認Vチューバー岩手さちこの取り組みは、バーチャルユーチューバー、略してVチューバーといいますけれども、そのキャラクターを活用しまして、ユーチューブやX─旧ツイッターなどのSNSにおける動画配信等を通じて、本県のさまざまな魅力や県の取り組みをわかりやすく、機動的かつダイレクトに伝え、岩手ファンの拡大や、関係人口の創出、拡大につなげることを目的としているものでございます。 そのターゲットでございますが、SNSから情報を得る機会が多く、Vチューバーに親和性の高い若者層を主なターゲットとしているところでございます。 それから、岩手さちこの命名を誰がしたかというところでございますけれども、こちらにつきましては、岩手県の岩手という名字、それから、いわて県民計画(2019〜2028)の幸せの部分からさちこを引っ張ってきまして、知事が命名したと記憶しております。 〇鈴木あきこ委員 知事が命名してくださったのでは、余り言うのはあれですが、Vチューバーをつくるに当たって、名前はもしかしたら県民から募ってもよかったと思いましたので、この質問をさせていただきました。 民間調査によると、ユーチューブの認知度は、15歳から79歳までで96.5%、また、利用、視聴しているのは、10代、20代、30代が80%超え、40代、50代も80%近い方が利用されているというデータがありました。 ユーチューブを利用して情報発信をしている自治体が今ふえていますが、岩手さちこを発信するに当たり、参考にした自治体はどこかありますでしょうか。また、ありましたらば、どのような内容かも伺います。 〇大越特命参事兼プロモーション課長 岩手さちこをつくるに当たり、参考にした自治体でございますけれども、平成30年8月から、自治体初の公認Vチューバー茨ひよりによる活動を行っている茨城県の取り組みを参考にしつつ、令和2年2月から岩手さちこの取り組みを実施しているところでございます。 茨ひよりの取り組みでございますけれども、こちらは、若者層によりアプローチできますように、例えばユーチューブ動画におきましては、ゲームや歌など、若者に受け入れられやすい内容を取り入れながら、県の魅力を発信しているほか、イラストやグッズなどを通じまして、キャラクターの知名度の向上を図っている取り組みであると認識しております。 〇鈴木あきこ委員 私も、茨城県はとても盛んにやっていると思いまして、少し調べたところ、茨城県知事がSNS等にとてもたけていることと、あとは、茨城県にはローカルテレビ局がないことから、人気が爆発的に出たという情報も調べてみました。情報発信ツールとして、とてもよいものだと私は思っております。 そこで、先ほどXなどもありましたが、岩手県のユーチューブの企画、制作はどこかにお願いをしているものでしょうか、伺います。 〇大越特命参事兼プロモーション課長 岩手さちこ事業につきましては、令和元年度から毎年度、企画コンペを実施の上、委託先を決定しているものでございまして、今年度は、IAT―株式会社岩手朝日テレビが受託をしております。IATにおいて、岩手さちこのユーチューブ動画の制作や、Xへの投稿業務を行っているものでございます。 今年度は、特にニューヨークタイムズ紙の効果を全県に波及させるため、岩手で行くべき52カ所といたしまして、県内の観光地などを紹介する動画を毎週Xやユーチューブにアップしており、当室と委託先の間で調整を行いながら、掲載内容を確定させているものでございます。 なお、岩手さちこは岩手町出身の設定であることから、IGRいわて銀河鉄道と連携した情報発信にも力を入れておりまして、今般の冬季観光キャンペーンのPRポスターを作成し、車両や駅などへの掲載も行っているところでございます。 〇鈴木あきこ委員 プロのテレビ局がかかわっての制作ですし、IGRもかかわっているのであれば、皆さんにもっと周知されてもいいと思っております。 なぜ、今回、私が岩手さちこについて質問したかといいますと、今、岩手県は、人口減少、子育て支援の取り組み等をやっております。その中で、U・Iターン、いきいき岩手結婚サポートセンター―i―サポ、保育士と保育園のマッチング、潜在看護師の発掘、子育て支援制度の発信など、さまざまな事業を行っておりますが、その情報をどうやって県内外に周知するのかというところに、私は大きな課題になっていると思っております。 その中で、場所もどこでもいい、時間も自分の都合でいい、制限なく見ることができるユーチューブやXは、先に述べたこと等の情報発信に非常に有効と考えております。 先ほどの答弁で、観光等もありましたが、岩手さちこは、岩手県の公認Vチューバーです。商工労働観光部ですので、観光はもちろんですが、各部局のいろいろな事業の情報発信をしていくことも効果的と思っております。 そして、対象が若者であれば、実際にどういうものが若者に受け入れられるか、また、若者の意見を取り入れるべきと思いますが、その点については、どのように活動しておりますか、伺います。 〇大越特命参事兼プロモーション課長 若者の声をどのように聞いているかというところでございますけれども、岩手さちこのユーチューブ動画やXへの投稿に対して、さまざま寄せられるコメントとか、あと、イベントにおいて、来場者から直接お話を伺うなど、視聴者からの声の把握にも努めているところでございます。 それらを踏まえまして、Xでは、単なる観光地などの紹介にとどまらず、県民ならではの視点による発信に努めることや、動画につきましては、短時間でかつ公開頻度を高めるといった改善を行って、今年度、視聴数の大幅な改善につながったと考えているところでございます。 鈴木あきこ委員御指摘のとおり、若者層がどのような情報や動画を求めているのかを把握するところにつきましては、多くの若者からその声を直接聞くことも大事だと考えているところでございまして、今後、若者層の声の把握につきましては、よりよい方法を検討いたしまして、一層効果的な発信に努めてまいりたいと考えております。 〇鈴木あきこ委員 岩手大学とのという話も先日伺ったような気がしたので、ぜひとも、若い方たちの意見を取り入れて、ますます皆さんに周知してもらいたいなと思っております。 また、私も若い方たちに、この間は一関工業高等専門学校の方に聞くと、やはり彼らはこういうものにたけているので、クオリティーや、情報発信の内容について意見がありました。ぜひ、この課題も若い方たちの意見を取り入れて解決し、どんどん前に進めていただきたいと思っております。 行政だからといってちゅうちょせずに、どんどん前に進んで、岩手県のいいところとか、いい制度、わくわくするようなもの、あとは、岩手県に帰りたいと思う、いい意味でのホームシックになるようなユーチューブを、ぜひ展開していただきたいと思っております。 では、二つ目に進みます。 次に、これも岩手さちこがかかわってきますが、FDA―フジドリームエアラインズとのプロモーション事業について伺います。FDAとのプロモーション事業の内容と目的、あと、予算推移を伺います。 あわせて、効果はどのようなものがあったのか伺います。 〇大越特命参事兼プロモーション課長 まず、プロモーション事業の内容と目的、予算の推移でございます。 事業内容についてでございますが、株式会社フジドリームエアラインズ、いわゆるFDAのゴールド色の9号機を、ネーミングライツによりまして、黄金の國、いわて。号と命名し、岩手さちこのイラストによる機体広告を行っており、この機体が花巻―神戸線、花巻―小牧線に限らず、全国各地を飛び回っております。 また、機内の広報誌に広報記事を年2回掲載しておりますほか、時期に合わせたヘッドレストカバーへのさまざまな広告やウエブを活用した広告、さらには、花巻―神戸線をPR強化するために、近畿圏のテレビ、ラジオの番組内で、本県の観光物産の魅力を発信しているところです。 これらの取り組みにつきましては、本県への誘客の一翼を担っております航空事業者であるFDAと連携をいたしまして、プロモーションから誘客までを一体的に展開し、県外宿泊客の増加や観光消費額の増加を図ることを目的としております。 さらに、予算額の推移についてでございますが、令和3年度は825万円、令和4年度及び今年度につきましては715万円となっております。 それから、効果についてでございますけれども、FDAは、北海道から鹿児島までの国内14都市に就航地がございまして、このゴールド色の9号機が年間を通じて就航することにより、本県の魅力をPRする上で、波及効果があると考えております。 そのため、本県でのさまざまな大会の開催等で、本県への注目度が高まる時期を捉えまして、効果的に本県のさまざまな魅力を売り込み、岩手ファンの拡大や交流人口の拡大を図っているところです。今後も、ネーミングライツ事業を通じまして、効果的に本県のさまざまな魅力を売り込んでまいりたいと考えております。 〇鈴木あきこ委員 実は私、ことし2月に小牧空港で、ゴールドの9号機を見たのですが、それを伺っていたので、どこに張っているのかなと思ったら、翼の後方部の本当に後ろのほうで、少し見えづらいと思って、タラップを登る前に、寄っていったら叱られたのですけれども、本当にそこまでしないと見えないと、これは誰に見てもらいたいのかという疑問を持ちましたが、予算等の関係でということはわかりました。 しかし、せっかくやるのであれば、予算があるのでしょうけれども、やるならちゃんとやろうと思います。あとは、ヘッドレストのところもあるということでしたが、飛行機に乗ると、大体お茶が出るのですけれども、その紙コップにも岩手さちこなり、黄金の國、いわて。など、そういうものを使ってもいいのではないかと思っております。 そのような検討事項もあると思いますが、盛岡市がニューヨークタイムズ紙に出ました。そして、岩手県は岩手県政、令和4年から令和8年にかけて150年ということで、そういうところも県民に周知する、あるいは県外に周知するという意味では、こういう事業はしっかりやっていただきたいと思います。 この二つの事業ですが、これからどのように活用していくか、また、意気込みがありましたら、最後に伺って、終わりにしたいと思います。 〇大越特命参事兼プロモーション課長 さまざま応援のお言葉大変ありがとうございます。 今後の意気込みということでございますけれども、さまざまプロモーションの手法がある中、Vチューバーも現在注目されているジャンルとなっております。その中で、自治体公認として活動することで、岩手県への興味を引くような、魅力発信ツールとなっていると考えております。この岩手さちこをきっかけに、本県への興味を持つ方々も多くいらっしゃいますので、今後とも、楽しく見ていただける、そして、岩手県に来ていただけるような、動画制作を初めとした取り組みを民間と連携しながら、進めてまいりたいと考えております。 〇松本雄士委員 私からは、まず、地域観光資源の活用による広域的な観光振興についてお伺いしたいと思います。 改めまして、本県の観光振興における強みについて、県の認識について伺います。 〇高橋観光・プロモーション室長 本定例会に提案しておりますみちのく岩手観光立県第4期基本計画案におきまして、本県の観光振興における強みにつきまして、異なる時代の三つの世界文化遺産や二つの国立公園、早池峰神楽、吉浜のスネカ、鬼剣舞などのユネスコ無形文化遺産を初めとした地域に根ざした伝統文化、地域の多様な食などを記しているところでございます。 また、これらのほかにも、例えば人気漫画聖地めぐりといったように、観光客のニーズは多岐にわたっており、広い県土を有する本県は、観光振興に当たって、多くの強みを有していると考えております。 今後、これらの持つポテンシャルを最大限に発揮するため、県内各地の魅力ある観光資源を組み合わせて売り込むことによりまして、オール岩手による魅力ある観光地域づくりに取り組み、交流人口の拡大や観光消費額の拡大を図っていきたいと考えております。 〇松本雄士委員 そのとおりかと思います。世界文化遺産を初めとする歴史文化、そして、それを育んできたその豊かな自然が、本県の観光振興の本当の強みであると思っております。また、食材も本当においしいのがいっぱいありますし、それをミックスしてオール岩手で、まさにそういうことかと思います。 そして、今は、ニューヨークタイムズ紙で盛岡市を取り上げてもらって、また、英紙タイムズで、日本で訪れるべき場所14選にみちのく潮風トレイルも取り上げていただいた。今はまさにその好機であると考えております。 そして、みちのく潮風トレイル、八戸市から福島県までの1、000キロメートル以上のトレイルのコースでありますけれども、壮大な海岸風景と温かいコミュニティーに触れながら、東日本大震災津波について学べるという、そこまで紹介してもらっている。このみちのく潮風トレイルを使って観光振興を図っていくのは、これから大切になると思うのですけれども、このみちのく潮風トレイルのモデルコースが、環境省のホームページに非常に詳しく載っているのですけれども、そこまでの行程であったり、誘客であったり、みちのく潮風トレイルを使って、本県の観光振興をどう図っていくのか、お伺いいたします。 〇高橋観光・プロモーション室長 みちのく潮風トレイルは、松本雄士委員御指摘のロンドン・タイムズにおける日本で訪れるべき場所14選の記事を初め、ニューヨーク・タイムズ紙など国内外の数多くの媒体で紹介されております。 また、昨年、北海道で開催されましたアドベンチャートラベル・ワールドサミットでは、みちのく潮風トレイルのモデルツアーが行われたほか、外国人を対象としたツアーも造成されていることから、海外からも大きな注目を集めており、今後、東北地域へのインバウンド誘客拡大の大きな柱の一つになり得るコンテンツと考えております。 みちのく潮風トレイルは、先ほど松本雄士委員からお話のありましたとおり、青森県から福島県にまたがるコースであることから、誘客に当たりましては、広域での連携が必要と考えておりまして、一般社団法人東北観光推進機構や、関係自治体、関係団体、観光事業者と連携しながら、インバウンドを初め国内外からの誘客に向けて取り組んでまいりたいと考えております。 〇松本雄士委員 外国人の注目度が高い、日本で訪れるべき場所14選の中では、そういったロード、道的なもので取り上げられたのは、みちのく潮風トレイルと熊野古道でありました。そして、熊野古道は、今、外国人にも非常に人気があるというところで、これも積極的にアピールしていきたいと考えている、何か具体的な発信の仕方等を、今、検討しているものがありましたら、教えていただきたいと思います。 〇高橋観光・プロモーション室長 現在、三陸沿岸地域には、みちのく潮風トレイルを初め三陸ジオパークや震災遺構、東日本大震災津波伝承館などのコンテンツに加えて、三陸DMOセンターが中心となって、環境や防災、歴史、文化といった探究を重視したさまざまな体験プログラムを提供しているところでございます。 こうしたさまざまな体験プログラムの磨き上げを促進するとともに、環境省とも連携しながら、二次交通の情報等も含めまして、国内外への情報発信に努めてまいりたいと考えております。 〇松本雄士委員 みちのく潮風トレイルとともに、本県が、今、県土整備部が主体となって整備を進めている、岩手県広域サイクリングルートのことがあります。サイクリングルートも、まさに岩手の自然の強みを生かした、本当に観光振興のコンテンツになっていくと思うのですけれども、岩手県広域サイクリングルートを、本県の観光振興にどうつなげていくのか、お伺いいたします。 〇高橋観光・プロモーション室長 今年度、県土整備部におきましては、岩手県広域サイクリングルート検討会議を開催しており、その中で、パブリックコメントを踏まえた広域サイクリングルートの最終案について議論をしたところであり、年度内に最終案を取りまとめることとしております。 また、今定例会に提案しておりますみちのく岩手観光立県第4期基本計画案におきましては、県内の広域サイクリングルートを活用した観光振興について、サイクルツーリズムを楽しむ観光客の誘客促進や、本県の魅力を生かしたサイクリングルートの形成等により、自転車を活用した観光振興を図ることとしており、これにより、周遊、滞在型観光を推進していくこととしております。 こうした状況を踏まえて、本県におきまして、広域サイクリングルートの利活用を促進するため、例えば三陸沿岸地域においては、三陸鉄道株式会社を初め三陸沿岸市町村と連携しながら、三陸沿岸地域の観光地をめぐるなどにより利活用を図るとともに、県内の各市町村と連携し、各市町村の観光スポット情報の充実などを図りながら、観光振興を図ってまいりたいと考えております。 〇松本雄士委員 先ほどのみちのく潮風トレイルでは、環境省、また、県の部局で言えば環境生活部、そして、このサイクリングルートでは県土整備部、DMOでは市町村、これらとの連携が非常に重要であって、観光部局がその中心的な総合調整役を果たしていただきたいと思うところであります。 みちのく潮風トレイルとサイクリングルートは、本県において、本当に強みになるのだと思います。世界に向けても、三陸ジオパークとの連動も期待できます。当然、連動させなければならないのですけれども、これら、みちのく潮風トレイル、三陸ジオパークとつなげる、そのプラットフォーム的なものを考えているかをお伺いいたします。 〇高橋観光・プロモーション室長 昨年度、三陸DMOセンターと三陸ジオパーク推進協議会との間で連携協定を締結いたしまして、雄大な海岸線の成り立ちや地質などを観光資源として、広く情報発信する取り組みなどを展開しているところでございます。 今後、広域サイクリングルートが決定すれば、三陸沿岸地域の景色や海産物の宝庫を楽しみ、復興伝承を学ぶルートなどを、三陸地域ならではのコンテンツとして、みちのく潮風トレイルなどと一体的に情報発信していくことが、効果的な誘客につながるものと考えております。 三陸地域の観光情報は、三陸観光ポータルサイトさんりく旅しるべにおいて、三陸を知る、三陸に行く、三陸を楽しむための情報を一元的に発信しており、広域サイクリングルートも含め、引き続き、三陸DMOセンターと連携して、県として、一体的な誘客活動を強化していきたいと考えております。 〇松本雄士委員 三陸DMOセンターのさらなる取り組みの活性化をサポートしてもらって、まさに、本当にみちのく潮風トレイル、三陸ジオパークをもっと発信していってもらいたい。そして、人に来てもらいたいと期待するところであります。 今、三陸地域中心の話になっています。サイクリングルートは、県南地域も県北地域も、奥羽山脈側が全域になっております。そうしますと、期待されるのが、今、岩手県観光協会で県全域を対象としたDMOの登録を進めていると聞いております。今の段階は、候補DMOというところで、登録DMOを目指して進めている。そのDMO登録に向けての現在の進捗状況と、岩手県全体の広域のDMOが担う役割、機能についてお伺いいたします。 〇高橋観光・プロモーション室長 候補DMOの一つである岩手県観光協会は、全県を対象としたDMOとして、令和5年3月31日に観光庁の登録を受け、登録から3年以内の令和8年3月31日までに登録DMOとなるため、県内全域の観光地域づくりの支援などに取り組んでおります。 また、同協会では、協会内に観光地域づくり支援チームを設置し、専門人材を配置した上で、例えば候補DMOとしての登録に必要となる観光地域づくり法人形成計画の策定などの支援を実施しているところであり、今後も、各地域のDMOの連携を図る役割も担うほか、引き続き、各種データも活用しながら、市町村や地域が取り組む観光地域づくりを支援していくこととしております。 〇松本雄士委員 DMOが、いろいろ総合調整や、連携などの中心的な役割を担って進めていっていただきたいと思います。 これからの観光は、物から事へシフトしていると思います。そういったときに、岩手県は非常にいい内容のものを持っていると思っておりますので、ぜひとも、その活用に向けて進んでいっていただきたいと思います。 次に、大きな2点目でありますけれども、中小企業の賃上げ支援についてお伺いいたします。受付がことし2月5日から始まりました物価高騰対策賃上げ支援事業の現時点での申し込み状況等についてお伺いいたします。 〇菅原労働課長 令和6年3月8日時点での申請件数でございますけれども、1、055件となっております。このうち、集計が完了した791件について申し上げますと、支給対象者数は6、035人、申請額が3億175万円となっておりまして、予算額20億円ですが、大体15%という状況でございます。 〇松本雄士委員 今後の見通しとしては、どういった見通しを持っていますでしょうか。 〇菅原労働課長 現時点では、なかなか難しいですけれども、賃上げを行う企業が多い4月、最低賃金の議論が始まる7月ころに、企業がどういう動きになるかというところを注視したいと思っています。 〇松本雄士委員 わかりました。 この事業ですけれども、賃上げ後のフォローであったり、その後をウォッチするのは、事業上どうなっていましたでしょうか。 〇菅原労働課長 基本的には、申請していただく段階で誓約する誓約書に、1年間賃上げした額を続けるという誓約をしていただきます。そこで整理しています。ただ、仮に、社員を辞めさせたとか、そういう情報が入れば、返してくださいという話になります。 〇松本雄士委員 わかりました。 そして、賃上げの定着に向けては、経営基盤の確立、強化が本当に大切であると思います。経営基盤強化のために、生産性向上に向けて、これまで県は、中小企業者等賃上げ環境整備支援事業費補助によりいろいろ手当てしてきて、本年度予算額は2億円。それが、令和6年度当初予算案で1億円に削減になっているのですけれども、今後、県として、中小企業の生産性向上支援をどう行っていくのかということも聞きたいので、その前に、これまでの中小企業者等賃上げ環境整備支援事業費補助の評価と、これからの生産性向上支援について、お伺いいたします。 〇小野寺経営支援課総括課長 中小企業者等賃上げ環境整備事業費補助は、今年度の6月補正予算にてお認めいただいて、展開してきたわけですけれども、今年度は、実績を申し上げますと、54件、54事業者に対して、8、100万円余りの交付決定を行っております。今、最終的な精査の作業中でございますけれども、そういう状況でございます。 評価としますと、経営革新計画の承認に基づいて、皆様取り組まれるということですから、基本的には、生産性向上に直結する機械設備の導入とか、販路開拓、それから、人材育成、そういったものに御活用いただくということで、きちんと目的を持って御活用いただいておりますので、御活用いただいた事業者の方々の生産性向上、そういったものには非常に寄与しているのではないかと考えております。 〇松本雄士委員 次に、中小企業において、設備導入などでは、生産性向上からの経営基盤の強化はなかなか難しい。午前中に、いろいろ事業再編への支援について質疑のやりとりもありましたけれども、事業再編に伴っての労働移動への支援も必要かと思います。これまで、中小企業事業再生・再チャレンジ支援事業費補助が、商工指導団体に対して出されていたのですが、これも、4億5、000万円から2億2、500万円に削減されております。 中小企業事業再生・再チャレンジ支援事業費補助のこれまでの評価と、この削減をして、今後のそういった支援、フォローのあり方について、お伺いいたします。 〇小野寺経営支援課総括課長 中小企業事業再生・再チャレンジ支援事業費補助でございますけれども、これは、新型コロナウイルス感染症や物価高騰の影響を受ける厳しい経営環境に置かれている中小・小規模事業者を支援するために、商工会、商工会議所に人材を配置する。 それから、それらを含む商工指導団体等が行う専門家派遣、事業計画策定等の支援に要する補助を、令和4年度からここ2年間実施してきたというものでございます。 金額が、令和5年度予算と比べて、当初予算比で半減しておりますけれども、令和4年度、令和5年度は、国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を財源として活用できました。 ただ、令和6年度は、その活用ができない状況にあります。ただ、物価高騰等の影響が続いていて、中小・小規模事業者の伴走支援が引き続き必要だという状況にございますので、そこは一般財源を充当して、予算を計上させていただいております。 ただ、一般財源でございますので、令和5年度並みというのがなかなか難しい状況にありましたから、まずは、必要となる商工指導団体の相談体制の維持、そこは最低限必要額を計上しようということで、今般、2億2、500万円の計上とさせていただきました。 いずれ、小規模補助金、連携組織補助金、商工団体の補助事業、さまざまございますので、そういったものも組み合わせながら、中小・小規模事業者に必要となる支援体制はきちんと確保していきたいと考えております。 〇松本雄士委員 いろいろ新型コロナウイルス感染症の財源もあって、これまでの金額であったということです。そういった中で、これを途絶えさせるわけにいかなくて、いろいろ工面してもらったというのは、ありがたいところでありますし、地元の商工会から、これは非常にありがたいし、有効に使わせてもらっているという話を聞いております。 商工会が、地元の中小企業に寄り添って、いろいろ支援するときに、息の長い伴走支援のようなものが必要になってきますので、継続した中小企業事業再生・再チャレンジ支援事業費補助による支援をお願いしたいと思います。 〇村上秀紀委員 では、私からは、U・Iターン施策について、質問してまいります。 県や市町村等の移住施策を通じた本県への移住、定住者数は年々増加しております。また、各種事業の取り組み成果においても、多くの伸びを示しております。 このたび、令和6年度の継続事業における予算の拡充及び縮減、並びに新規事業の追加の根拠となるこれまでの成果、そして、今後の課題を教えてください。 〇三河定住推進・雇用労働室長 初めに、定住推進・雇用労働室が所管するU・Iターン施策で予算を拡充した事業は、いわて暮らし応援事業費でありまして、令和5年度当初予算と比較しまして、4、000万円余の増額となっております。これは、主に東京圏からの移住者に対して、市町村を通じた移住支援金の支給に要する経費でございます。 また、予算の縮減をした主な事業は、いわてとつながろう働く魅力発信事業費でございますが、これは、今年度は県の就職マッチングサイトシゴトバクラシバいわて内に、インターンシップのページを新たに開設するための予算を計上しておりましたが、ページの開設が完了し、来年度の予算計上を行わないこと、また、高校生向けに発行している就職促進情報誌を、来年度から、時代のニーズに合わせ、時間や場所を選ばず閲覧できるデジタル媒体みんなの想職活動in IWATEに統合することが主な理由であります。 さまざまな取り組みにより、移住者数の増加などの成果が上がってきているところではございますが、令和5年度の総務省の調査によりますと、東京一極集中が再び加速しており、令和5年度の東京圏への転入超過数が再び拡大している状況にあるなどの課題があると感じているところでございます。 来年度の新規事業は、短期滞在型人材確保推進事業費でありますが、将来的なU・Iターン者の増加を図るため、県外に住む若者等に、岩手県内の企業でのお試し就業、お試し居住の機会を提供するもので、多忙な学生や社会人でも参加しやすい、短期滞在型の職務体験プログラムを提供いたしまして、業種等もオーダーメイドに近い形で提供することにより、本県への就職、転職につなげていこうとするものであります。 〇村上秀紀委員 東京一極集中拡大しているところを解消するために、お試し就業、居住体験を、今回、新規で追加したということであります。さまざまな対象に向けた事業を展開されています。 例えば高校生、大学生、首都圏を中心とする県外学生及び社会人あるいは親、保護者に対しての事業もなさっている。また、媒体についても、紙やオンライン、イベントあるいは今回は体験型ですし、当然、国や県独自の支援金も展開しているというところでありますけれども、次の質問もお願いしたいのですが、今定例会でも、さまざま皆様から取り上げられておりますいわぎんリサーチ&コンサルティング株式会社の東京圏などへ転出した若年層に対するアンケート調査結果に関して、これまで、県が、U・Iターン事業を活用してきた方々から、恐らくアンケートとか意見を収集していると思うのですが、それと比べてみて気づいた点があったかどうか。もしあったとすれば、それを、具体的に、今後どのように施策に反映させていこうとしているのか、その点についても伺います。 〇三河定住推進・雇用労働室長 県では、シゴトバクラシバいわての登録を通じまして、県内における就職希望職種の把握などに努めているところでありますが、実際に、県外に就職した若者等を対象としたアンケートなどは行っていないところでございます。 このため、今般のいわぎんリサーチ&コンサルティング株式会社によるアンケート結果との対比はできないところではございますが、岩手県の産業の魅力を、小学生等の早い段階から伝え、各地域にある多種多様な産業や特徴を知ってもらうことが重要であるとの考え方のもと、さまざまな取り組みを展開しているところです。 このため、小学生段階からの工場見学や、高校生を対象とした企業説明会の開催、大学の授業を活用した企業の魅力を伝える講座などの取り組みを行っています。 また、進学等で一旦岩手県を離れることとなる若者に対しましては、本県とのつながりを継続させることが重要であると考えております。就職マッチングサイトシゴトバクラシバいわてやいわてU・Iターンクラブ加盟大学を通じた情報提供のほか、東京都と仙台市において、毎年、U・Iターンフェアを開催するなどの取り組みを行っております。 加えて、特に県内のさまざまな産業分野で活躍する若者や女性の姿を、高校生や大学生等に知ってもらい、また、直接交流する機会を設けるなどの取り組みを強化してきており、シゴトバクラシバいわてのサイトに、就活応援メディアみんなの想職活動in IWATEを新たに開設いたしまして、県内各地で働く若者のライフスタイルを紹介しているほか、企業の若手社員と高校生等の意見交換の場を設けるなどの取り組みを進めております。 〇村上秀紀委員 今後、県のU・Iターンの事業を活用した方々には、ぜひアンケートなどをとっていただいたほうがよろしいかと思います。 いわぎんリサーチ&コンサルティング株式会社の調査結果は皆さんもごらんになっていると思いますが、少しだけおさらいをさせていただくと、その中、新卒のうち7割が地元以外に就職していることがあり、なぜ県外に出たかというと、つきたい仕事があった、賃金が地元より高いとか、また、公共交通機関などサービスが充実している、文化、芸術、娯楽が充実しているということがあります。 そもそも出ていった方々が住みたい場所は、都会が6割と回答されています。地元あるいはどちらでもよいが3割、男性の関心は賃金だし、女性は公共交通機関や文化、芸術、娯楽。こうやって見ていくと、一言で言うと、都会が好きだから出ていっているのだというのが、よくわかるというところがあります。 地域で働くためには、課題とすれば、賃金が5割だし、企業や職場の柔軟性、弾力化、子育て環境というアンケート結果が出ています。 こうやって見ていくと、今まで県で取り組んでいるU・Iターンの施策の中に、これもさらに必要なものは、先ほど、ほかの方の答弁にも出ていましたが、起業に対するプラットフォームができたということですが、この起業に対するスタートアップからアフターフォローへの支援は当然必要になってくるのだろうと思います。あとは、向こうから戻ってきていただくときの、それぞれのキャリアを生かした登用とか、あるいは質の高い雇用がますます必要なのだろうと思います。 一つ気になるところが、これまで、小さな小学生の段階から、工場見学とか、キャリア教育というお話をされていますけれども、いわぎんリサーチ&コンサルティング株式会社が調べている中で、県内就職を選んだ理由で、地域への愛着や親しみが挙がっているのです。 ここで、私、昨年の令和5年春に、実は、独自に、紫波郡で、働く世代およそ100人の方々にアンケートをとっているのです。なぜ、この地域に住んでいるのですか、地域のどんなところが好きですかというアンケートをとった結果、1位が豊かな自然、2位がまちの景観、3番目が豊富な農畜産物やそれを生かした特産品が挙がっているのです。盛岡広域圏の紫波郡に住む方々であっても、岩手県の魅力そのものを魅力と思って住んでいると、岩手県が好きだからということだと思います。 だからこそ、まず初めに申し上げたいのは、子供たちに対しては、キャリア教育も含めて、ふるさと教育が非常に大事なのだろうなと思います。それは、さまざまな教育の観点とか、もしくは、部局別のところでやっているかもしれませんが、商工労働観光部として、ふるさと教育に重点を入れていただきたいということがあります。 これに関連して、もう一つ伺いたいのですけれども、それぞれにU・Iターンの各種施策は、幅広い年代を対象に展開しておりますけれども、それぞれのライフステージ、あるいはニーズに合わせて、きめ細やかなものになっているか。また、移住、定住に関して、先ほどお話しした支援金以外にも、特に仕事に関する受け入れ環境、行政あるいは民間、それぞれ整っているかどうかというのを教えてください。 〇三河定住推進・雇用労働室長 県外に進学しました学生等に対しましては、先ほども申し上げましたが、いわてU・Iターンクラブ加盟大学を通じた、就職やイベント情報、インターンシップ情報の提供などを行っているところでございます。 進学や就学、就職などにより本県を離れた方に対して、帰省時期に合わせて、おかえりプロモーションを実施しておりまして、本県にUターンする際の仕事探しを支援するため、就職マッチングサイトシゴトバクラシバいわてを運営し、求人情報の提供などを行っております。 また、世帯を伴う移住者に対しましても、お試し居住の延長や移住支援金の加算などを行っております。 相談体制につきましては、盛岡市内のほか、東京都内に2カ所の移住相談窓口を設けておりますほか、東京都で受けた移住相談を、県内の市町村に円滑に引き継ぐため、県内の全市町村が移住コーディネーターを配置いたしまして、Uターン者のみならずIターン者の地域での受け入れに当たっております。 また、仕事に関する受け入れ環境につきましては、いわてで働こう推進協議会を核としまして、働き方改革アワードでのすぐれた取り組みの普及拡大を進めているほか、柔軟な勤務制度の導入、オフィス環境の改善に取り組む企業を支援し、若者、女性に魅力ある雇用、労働環境の構築を進めてまいります。 〇村上秀紀委員 ライフステージに関しては、もう少し細かく分けて考えたほうがいいと思います。進学、就職の後、次にやってくるのは、例えば結婚、子供が誕生したタイミング、次に、学校に入るタイミングです。そして、もう一つは、子供が自立した後だと思うのです。 子供が自立して、ある程度時間など余裕ができた方々が、その後、出身の岩手県に戻ってきて、その後の余生を岩手県で暮らそうかとか、そういうきっかけのタイミングもあると思いますので、ライフステージをもっと細やかに分けたアプローチが必要だと思うのですが、先ほど、受け入れ環境では御答弁をいただきました。そのとおり、帰ってくる受け皿がなければなりませんから、キャリアを生かした登用とか、あるいは、一番望む賃金の水準とか、それもちゃんと見合うような、向こうと同じ金額にはならないかもしれませんが、岩手県にやってくれば、当然、物価なども勘案すれば、そういったバランスも含めて提案することもできると思います。職種であれあるいはポジションであれというところで、まず受け皿は非常に大事だと思います。 ただ、こうやってたくさん取り組んでいるとは言っても、全国の各地方自治体も、同様に、移住、定住対策に積極的に取り組んでいると思うのですが、本県は、他県に対して、どのような差別化を図っているのか。また、その差別化に対して、岩手県として、各市町村も同様に、この対策は取り組んでいると思うのですが、その辺、どのように共有して、連携して取り組んでいるのか教えてください。 〇三河定住推進・雇用労働室長 本県では、令和3年度から、国の移住支援金の対象とならない東京圏からの移住者に対して、県独自のいわて若者移住支援金を創設したところでございます。 令和5年度からは、特に、進学や就職などにより転出者が多くなる若者や女性を対象とした加算制度を設けたところでございます。 また、県が、東京都内で年に一度開催する移住フェアにつきましては、県内の全市町村が参加いたしまして、全ての市町村が移住相談ブースを設けることにより、フェアの来場者が地域の担当者と直接移住相談を行うことができる貴重な機会となっておりまして、その目的に向かって、全市町村が連携した取り組みを行っているところでございます。 さらに、県内の全市町村には、岩手県移住コーディネーターが配置されておりまして、東京都の有楽町と銀座にある二つの相談窓口とのネットワークを構築しておりまして、移住相談から受け入れ、移住後のフォローアップまでを行っているところでございます。 〇村上秀紀委員 差別化に関してですけれども、他県と比べて、岩手県が特徴ある差別化になっているかどうか、もう少し詳しく教えてもらえますか。岩手県はほかに比べて、こういうところが差別化されているというところを。 〇三河定住推進・雇用労働室長 他県の状況を詳しく調べていないところですが、県独自に、県単事業におきまして、若者移住支援金を創設しております。それに、昨年度からは、女性や若者に対する加算金をつけるというところが、今のところの特徴と考えております。 〇村上秀紀委員 ほかを確認してない中ですから、確かに、独自の支援金はつけていますが、恐らく他県でも同様にやられているのではないかと思います。 ということで、差別化は非常に難しいと思うのです。だから、どこにターゲットを置くかというと、恐らく岩手県出身者です。どこの県でもそうだと思うのです。無理に引っ張ってくるのではなくて、まずは、この岩手県にゆかりのある出身者にターゲットを絞ってやることが一番と思っております。 ここまでのお話の中で、先ほど、県と市町村の連携がとれているとおっしゃっていましたが、それぞれで1位を取り合うのは、本当に一つもいいことはない。もうゼロサムで終わってしまうわけですが、県外からまず岩手県に戻ってきてもらうというふうに、みんなで集中して、各市町村も連携してやるということで、全体が拡大していくことだと思います。 これまで質問してきた中で、足りない部分は、先ほど申し上げました、ライフステージに合わせたきめ細やかさ。あとは、恐らく職場の受け入れ体制が、本当にいつでも戻ってこられる状況なのかどうかといったら、まだまだ不安があると思いますし、あとは、地域への愛着や親しみを育むことだと思います。 よって、移住、定住につなげる取り組みとしては、先ほどお話し申し上げましたが、小学校、中学校、高校では、キャリア教育に加えて、ふるさと教育を重点的に加えていくことであるでしょうし、あとは、進学及び就職時に、U・Iターンのライフステージに応じたキャリアプランを明確に示してあげることで、いつでも戻ってくる場所があることを十分に周知して、意識づけてあげることではないかと思います。 ずっと岩手県の中で進学して、就職してという取り組みももちろん必要ですけれども、県外を志望する方々も快く送り出してあげるという体制が必要だと思います。 そして、知識や経験、ノウハウを身につけて、やがて、慣れ親しんだこの岩手県に戻ってきてくれると、そういう流れをしっかりと明確につくってあげること、教育目標にもございます。この岩手県であるいは世界で活躍する人材を育むことと、そのとおり、とにかく快く外に送り出してあげるというのが、子供たちには必要な一つではないかと思っております。ぜひ、これについての所感をもう一度伺います。 〇三河定住推進・雇用労働室長 今、村上秀紀委員から御紹介ありました、若いうちからといいますか、学生のうちから、ふるさとへの思いを持って首都圏等に進学することが、将来、岩手県に戻ってくるきっかけになるのではないかと考えております。 昨年度から、進学を希望する高校生に対しまして、岩手県内の企業の紹介などをする機会を設けております。そこで、4年後に大学を卒業して、就職先を考える際に、県内にも、世界に向けてこういった企業があるという情報を勉強する機会がありまして、その情報提供を通じて、将来、首都圏で勉強した後は、仕事をして、経験をある程度積んできた人が県内に帰ってくることを狙いとして、今、そういったところに力を入れているところでございます。 〇村上秀紀委員 いずれにしろ、厚みを増したU・Iターンの取り組みを期待しております。 〇菅原亮太委員 私は、若者、主に学生ですけれども、県内企業への定着の取り組みについて、質問させていただきたいと思います。 といいますのも、私、生まれは福井県でして、大学は隣の石川県金沢市でした。若いうちは、就職活動のときには、東京都内で選ぼうかと思ったのですけれども、就職活動のときに、福井県の企業が、毎月、金沢市の大学の校舎に来て、合同企業説明会やったりとかして、就職活動で福井県のいろいろな魅力ある企業を知ったというところから、福井県の会社に就職したという経緯があります。今は、御縁あって岩手県にいるのですけれども。 福井県として、福井県の企業の学生に対する地元定着に向けた、このなみなみならぬ熱意や取り組みを感じまして、その経験から、本県の県内の高校生、大学生の地元企業への定着、そして、岩手県出身者で、県外大学生のUターンでの県内企業への定着の取り組みについてお伺いしていきたいと思います。 まず、県内高校生への県内定着の取り組みですけれども、本県の令和5年3月卒の新規高校卒業者の県内、県外就職内定者割合が、県内就職で73.6%、県外就職で26.4%、これは、全国的に比較しますと、県内就職割合は多分30番台ぐらいの順位だと思います。全国的に見て、高校卒業者の県内就職内定者の割合が低い要因、これは何だと分析しておられるか、お伺いさせていただきます。 〇駒木特命参事兼雇用推進課長 かつて、岩手県内では、高卒者の働き口が少ない時期がありまして、これが、県内にはよい就職先がないというイメージにつながっていると考えております。 しかし、近年では、企業誘致が進みまして、県内にも多様な働き場所がありますし、自動車、半導体関連産業を中心としたものづくり産業の集積が進んだこともありまして、待遇面でよい企業がふえているということがございます。それらの情報が十分に伝わっていないことが、県内の就職率が低い要因ではないかと分析しているところでございます。 このことから、小学生段階から、保護者を含めた県内企業の認知度向上に向けた取り組みを強化していく必要があると考えております。 〇菅原亮太委員 ちなみに、令和4年3月卒の全国の新規高校卒業者の都道府県就職者割合を見ますと、岩手県の県内就職が74%で全国33位で、先ほど言った福井県では、県内就職が95%で1位となっていました。 これは、いろいろ文献を見ますと、地元企業が地元高校や専門学校と積極的に連携して、企業見学だったり職場体験などの機会を通じて、実際の職場での技術、そして、仕事を学ぶことができるように支援していると。学生も、企業が地域社会に貢献していることを認識して、地元企業での働きがいとかやりがいの機運醸成につながっているのではないかといった文献もありました。 私も、実際、学生時代、中高生のときに、1週間ぐらい地元企業で職場体験したことがあったと思いますので、これについて、来年度、県として、地元企業との高校生の交流、そして、職場体験の機会をどういうふうに拡充していくかお伺いしたいと思います。 〇駒木特命参事兼雇用推進課長 県内におきましては、県教育委員会事務局におきまして、いわて高校魅力化・ふるさと創生推進事業を通じまして、生徒が、地域や地域産業の持つ力、それから、課題等に触れながら、地元産業に対する理解を深める学習やインターンシップなどに取り組んでおりまして、令和4年度は51校の全日制高校でインターンシップを実施したと把握しているところでございます。 当部におきましては、各地域のハローワークが実施しております、高校生向け企業説明会につきまして、各広域振興局等に配置した就業支援や、県内就業キャリアコーディネーターが支援しているというところでございます。 また、昨年度から、進学希望の一、二年生を対象といたしました、県内大学と県内企業が出展する合同説明会未来のワタシゴト探究会議を開催いたしまして、県内の高等教育と仕事のつながりを学ぶ機会を提供することで、大学進学後の県内就職のきっかけづくりに取り組んでいるところでございます。 〇菅原亮太委員 種々取り組みをいただいていると思いますが、もっと重点的といいますか、県としての取組を深めてほしいと感じています。 次は、県内大学生に向けた県内定着の取り組みについて伺いたいと思います。本県は、令和5年3月卒の新規大学卒業者の県内、県外就職内定割合、県内就職が41%、県外就職が59%となっております。 この県内就職者割合41%は、過去10年で最低の数値であると認識しております。大学に限らず、短期大学や専修学校も、軒並み県内就職割合が令和5年3月は低い状況と認識しておりますけれども、この理由について、県はどのように分析しておられるか伺います。 〇駒木特命参事兼雇用推進課長 岩手労働局によりますと、コロナ禍に伴う行動制限が緩和されたこと、それから、企業側のオンライン選考が定着したことなどによりまして、県内大学生が県外に目を向ける機会がふえたと分析しているということでございます。 また、全国的な人手不足によりまして初任給が上昇いたしました首都圏を初めとした県外企業からの求人が増加していると、県内大学等からは伺っているところでありまして、これらが、県内就職率が低い要因となっているものと分析しているところでございます。 〇菅原亮太委員 県外企業からの求人がふえているという話もありましたけれども、確かに、先ほどのいわぎんリサーチ&コンサルティング株式会社のアンケート結果でも、岩手県外の首都圏とかで就業しようと考えて、就職先を選んだという方が70%いたというアンケートもありました。 また、いわてで働こう推進協議会の議事録を見ましても、その中の意見では、学生に地元企業の魅力を伝え切れてないという情報発信力の問題。また、インターンシップの積極的な導入及び導入支援、企業情報の発信と、発信内容の精査などが必要と考えられますとのことでした。 特に、就職活動前のインターンシップについては、企業の人材を確保するに当たって、さらに積極的な取り組みが必要であり、重要なものと考えているといった意見も、いわてで働こう推進協議会の中で出たと伺っております。 お伺いします。県として、来年度、インターンシップの取り組みについてどのように行うか、伺いたいと思います。 〇駒木特命参事兼雇用推進課長 インターンシップにつきましては、実際に業務を体験することで、仕事に対する適性を把握できるとともに、企業の魅力を知り、入社のミスマッチを防ぐことができる重要な機会であると考えております。 このため、今年度から、インターンシップ事業を設けておりまして、インターンシッププログラムの新規作成または見直しを行った企業に対する補助制度の新設、インターンシップに取り組む企業の拡大及びインターンシップの質の向上を目的としました企業向けセミナーの実施、それから、県外に進学した大学生の県内企業へのインターンシップ参加を促進するための保護者向けセミナーの実施などを行っているところでございまして、来年度も、今年度に引き続き、県内企業のインターンシップ実施に係る補助、それから、企業や保護者を対象としたセミナーを実施いたしまして、より多くの企業がインターンシップを導入してもらえるよう支援をいたしまして、大学生に地元企業の魅力を伝えていきたいと考えております。 〇菅原亮太委員 インターンシップに取り組んでいる企業ですけれども、シゴトバクラシバいわてのインターン受付企業を調べましたところ、今、26社となっていました。 大学生の夏休み期間、冬休み期間にやっているインターンシップ受付企業に絞り検索すると、その26社が7社という形になりました。これは拡大が重要だと思いますけれども、このインターンシップ受付企業について、来年度の目標数はあるのか。そして、この企業の拡大にどう取り組むのか、お伺いしたいと思います。 〇三河定住推進・雇用労働室長 今年度4月から12月までの期間において、シゴトバクラシバいわてを通じてインターンシップの募集を行った企業は96社となっております。来年度においては、これを上回る数値にしたいと目標を持っております。 なお、このサイトを使って、現時点の募集企業数を検索いたしますと、先ほど菅原亮太委員御紹介ありました26社となっておりますが、これは、現時点で募集を継続し、かつ昨年の夏休み期間や冬休み期間においても募集をしていた企業に限定された数字であると承知しているところでございます。 受け入れ企業の拡大についてですが、ことしの募集が96社になっておりまして、来年度におきましては、これを上回る数値にしたいという目標を持っているところでございます。 〇菅原亮太委員 目標数は96社ですか。その拡大にどう取り組むかというところをお伺いしたいと思っておりましたが、答弁あれば、伺いたいと思います。 〇駒木特命参事兼雇用推進課長 県内の大学のインターンシップにつきましては、インターンシップin東北という組織を、県立大学が事務局となって行っておりまして、その中ですと、依頼事業者数300社程度にお願いしているのですけれども、実際に受け入れ可能と回答した企業が120社程度にとどまっていることもございますので、大学が希望する企業ができるだけインターンシップを受け入れることができるように、先ほど申しましたインターンシップ事業によりまして、企業向けセミナーや企業への補助といった形で、拡大をしていきたいと考えております。 〇菅原亮太委員 ぜひ、取り組みをしていただきたいと思っております。 私も、一般質問で、大学生に対する県内企業定着の取り組みを伺った際に、御答弁の中で、大学の授業で地元企業の魅力を伝える講座だったり、また、シゴトバクラシバいわてで就活応援メディアを開設しましたという御答弁もいただいておりましたが、就活応援メディアのホームページを見ますと、数社の情報提供にとどまっているなという印象を受けました。 そこは、情報発信も大事ですけれども、一歩進んだ対応が必要だと思っていまして、ぜひ、県内大学の合同企業説明会に出向いて、みずからの足で学生をつかまえるといった取り組みをお願いしたいと思いますけれども、県内大学の合同企業説明会をどのくらいの頻度で開催しているかとか、そういう取り組み状況を伺えればと思います。 〇駒木特命参事兼雇用推進課長 県内大学における合同説明会の状況でございますけれども、岩手県立大学に確認したところ、令和7年3月卒業予定の学生を対象に、オンラインと対面形式による合同企業説明会を3月に3日間開催したと伺っているところでございますし、岩手大学におきましては、12月と2月に計4日間、全学生を対象といたしました業界研究及びインターンシップセミナーを開催しているということでございます。 先ほど菅原亮太委員からも御紹介ありましたとおり、大学の授業等を活用して対応しているのですけれども、実は、令和4年度まで、大学の放課後の時間を活用いたしまして、県内企業紹介キャラバンを実施していたのですけれども、学生への強制力がないこと、それから、コロナ禍と相まって、参加学生が減少してきたということもございまして、大学の授業を活用した事業に切りかえたところでございます。 〇菅原亮太委員 次に、県外大学生への岩手県内の企業への定着の取り組みについて伺いたいと思います。 私も、一般質問でもこの取り組みについて伺いましたところ、いわてU・Iターンクラブの加盟大学と連携して、直接訪問して、県内企業について情報提供しているという御答弁をいただいておりました。 いわてU・Iターンクラブの加盟大学を調べてみますと、全部で69校ございますが、東北6県の大学が少ないという印象を受けております。青森は1校、秋田は1校、山形2校、福島0校、宮城8校、北海道1校、残りの56校は首都圏の私立大学となっていまして、全69校中、国公立大学は4校、北海道、東北各県の国立大学は0校という形になっていました。 いわてU・Iターンクラブ加盟大学は、どのような基準で選ぶのか、または、岩手県の出身者、高校生が入学している大学を選ぶのか、そういった基準についてお伺いできればと思います。 〇三河定住推進・雇用労働室長 いわてU・Iターンクラブの設立時におきまして、岩手県からの進学者が多く、また、U・Iターンの可能性の高い首都圏の大学や短期大学をターゲットとしつつ、仙台市を含め東北地域やその他の地域も含めて、加盟校の拡大を図ってきたところでございます。加盟に当たっての特段の基準は設けていないところでございます。 〇菅原亮太委員 岩手県の高校生の大学進学先を見ますと、やはり岩手大学、そして、東北大学が多い傾向があります。東北大学がいわてU・Iターンクラブに入っていないのは、どうなのかというところがありまして、高校生が進学した大学をしっかりとサーチして、そこで、加盟を結ぶなりして、企業の情報発信、また、合同企業説明会等を、ぜひそういった連携をとりながら行っていただきたいと考えております。 次に、いわて暮らし応援事業費ですけれども、この中で、新卒者対象のいわて若者移住支援金がありまして、東京圏の大学を卒業して、岩手県に就職する新卒者の方への支援金となっておりますが、岩手県から東京圏に限らずさまざまな県の大学に進学する学生も多くいる中で、この要件が、東京圏の大学卒業者になっていますけれども、これは、大学の進学先に合わせて、東北圏の学生に対しても、いわて若者移住支援金を拡充すべきではないかと考えますが、御所見をいただければと思います。 〇三河定住推進・雇用労働室長 本県では、令和3年度から、国の移住支援金の対象とならない、東京圏からの移住者に対しまして、県独自のいわて若者移住支援金を創設したところでございます。 国の支援を受けられるのは東京23区内に住んでいるか、勤務しているかということが条件になりますけれども、東京圏というのは、23区外の東京都、あとは、千葉県、埼玉県、神奈川県といった関東圏というところを想定しておりまして、今後の拡充につきましても、移住の要件については、他県の状況とか、その効果などを含めて、判断していきたいと考えております。 〇菅原亮太委員 ぜひ、検討いただきたいと思います。 最後になりますが、また福井県の話で恐縮ですけれども、令和5年3月、福井県の県外の大学を卒業した学生のうち、福井県の企業などにUターンで就職したのが28.2%に当たるということで、前年度からだんだん右肩上がりですよというニュースがございました。 この理由としては、福井県、実は、名古屋市とか京都府に新しく事務所を開設しまして、そこで、現地に進学した学生たちに、福井県内への就職を働きかけた効果が出たということで、そういうUターンの就職率も上がっていますよというニュースがございました。 事務所を設けるのは結構大きな話ですけれども、そういった取り組みを通じて、県外に行った大学生、その進学状況をしっかりと把握して、それぞれの学生に対してアプローチ、就職支援していただきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。 〇斉藤信委員 それでは、物価高騰の中での中小企業対策について、質問したいと思います。 きょうの新聞報道を見ますと、これは、盛岡財務事務所の発表ですけれども、県内の景況判断指数はマイナス22.1と、前回調査、これは10月から12月期との比較ですが、15.7ポイント悪化したと、こういうことでありました。 また一方で、実質賃金は22カ月連続減少、1月の消費支出は6.3%減。株価が非常に上がって、今、少し下がり始めていますけれども、本当に株価が景気を全然反映していない、経済のゆがみを示しているのではないかと思いますけれども、こうした中で、県内中小企業の現状と課題、県の対応策について示していただきたい。 〇小野寺経営支援課総括課長 県で、商工指導団体と連携して、定期的に事業者影響調査を実施しておりますけれども、昨年11月時点で調査した結果から見ますと、エネルギー価格、物価高騰等の影響が継続している事業者が86%、債務の過剰感を感じている事業者が50.2%、それから、売上がコロナ禍前の同月と比較して20%以上減少している事業者が22.8%ということで、厳しい状況にあります。それから、今、斉藤信委員から御紹介のありましたような、直近では、取り巻く経済環境はなかなか厳しいという状況もございます。 それとあわせまして、先ほどの事業者影響調査の中では、現在の経営課題として、原材料、資材高騰への対応を挙げる事業者が56.8%、そして、人材確保が35.5%で、賃金の引き上げ29.5%といったような形になっております。 こういった経営課題を多くの事業者が抱えているという状況でございますので、今、実質賃金の話もございましたが、県内の中小企業者の経営を維持して、県内経済を活性化していくためには、物価高騰に負けない県民の安定した暮らしの実現に向けて、中小企業者の賃上げを促進していく施策が、今、一番求められているのだろうと考えております。 賃上げの施策としては、いわゆる防衛的な賃上げも含む当面の賃上げ原資の確保、それから、持続的な賃上げを実現していくための生産性向上させていくための支援、そして、適切な価格転嫁の実現、こういったものが今必要です。 そういった考えもありまして、昨年の12月定例会で、物価高騰対策賃上げ支援金予算をお認めいただきましたし、今般の当初予算案でも、中小企業者等賃上げ環境整備事業費補助を計上させていただきました。 それから、昨年7月に、関係団体等々が行った共同宣言に基づきまして、適切な価格転嫁に向けたさまざまな取り組みを検討して、展開していくことにしております。 〇斉藤信委員 私は、二正面作戦が必要だと思います。今は物価が高騰していますから、物価高騰をも上回るような賃上げが必要だと思います。これはもう本当にみんなそう思っています。 しかしもう一方で、今、答弁があったように、売り上げは減少している。そして、令和4年度の法人事業税65%赤字です。法人事業税の対象にならない。これが、また中小企業の実態でもあるわけです。だから、そういう中で、賃上げ支援と。そして、売り上げ減少に悩む多くの中小業者に対する支援と、私は、この両面作戦が必要だと思います。 まず、前向きのところからお聞きしますけれども、今回、県が、物価高騰対策賃上げ支援金21億円の事業費で打ち出したとのことです。これは、全国でも高く評価される取り組みで、先ほどの答弁を聞きましたら、3月8日段階で1、055件申請があったとのことです。2月5日からほぼ1カ月で1、000件を超える申請があったということで、出足好調だと。791事業者の分析がありますから、どういう規模の事業者がこれを申請しているのか、業種別にはどういうところが多いのかを示してください。 〇菅原労働課長 まず、規模別でございます。5人未満が159件、5人以上20人以下は347件、21人以上50人以下は153件、51人以上100人以下は81件、101人以上は51件ということで、5人以上20人以下のところが割合で申し上げますと44%となっておりまして、ここのボリュームのところで使われていると感じております。 業種別でございます。パーセンテージで多いところを申し上げますと、建設業が180事業者で22.8%、製造業が155事業者で19.6%、卸売、小売業が105事業者で13.3%でございます。 〇斉藤信委員 規模別で見ますと、1人から4人が20%です。今お話しされた5人から20人は44%。だから、20人以下で64%を占めるということで、小規模零細企業が積極的に申請していることを、私は高く評価したいということです。 しかし、問題は、全体として、売り上げに今の原料価格、資材価格等を転嫁できない。もう一つは、人件費を上げても、人件費の分がやはり転嫁できない。こういう状況があるわけで、そういうところに対する支援策がもう一つ必要だと思います。 そこで、中小企業者等事業継続緊急支援金を1弾、2弾とやって、1万件を超える申請がありました。特に第2弾は、2回にわたって補正予算を組んで対応したとのことです。だから、これだけ切実に要望されているこの取り組みは、そして、特に県内市町村も連動して、同額またはそれに近い額を中小企業に支援するというダブルの効果もあったので、私は、来年度早い時期に、市町村とも連携をとりながら、この事業継続緊急支援金第3弾が必要だと思いますけれども、いかがですか。 〇小野寺経営支援課総括課長 今お話ありましたとおり、物価等の高どまりによる影響、それから、いわゆるゼロゼロ融資の返済といったものもありまして、コロナ禍による影響が継続し、そういった環境もあり、厳しい経営環境に中小企業が置かれているという状況もございますから、今後も、中小企業者のニーズを的確に対応した支援が必要であると考えております。 ただ、どうしても財源の問題等もございますので、その辺は、国に対する働きかけなども継続的に行いながら、支援については、検討を進めてまいります。 〇斉藤信委員 それで、もう一つ、新しい問題をきょうは指摘しておきたいと思います。 実は、きのうの国会で取り上げられた、岩手県内で2番目の事業規模のタクシー会社が倒産したとのことです。倒産したきっかけは何かというと、社会保険料の滞納による差し押さえだったとのことです。 実は、これは税務署よりひどいといわれるのです。2023年度の差し押さえ事業者は、全国3万4、000件で、今、厳しい物価高騰の中で頑張っている中小企業が、そういうさまざまな行政も支援策をとっているときに、社会保険庁が、社会保険料を滞納差し押さえして潰すなんていうことは、私、絶対あってはならないと思います。 所管は違うと思うけれども、中小企業を守るという点で、こういうやり過ぎについて、私は、県の担当部局としても、しっかりと物を言うべきだと思います。 もう一つ、これは皆さん御承知のように日産自動車株式会社は、いわば約束した下請け代金、納入代金を不当に引き下げていた。これは、たった2年間で30億円です。これは、公正取引委員会が厳しく指導いたしました。実は、これは2年間分で、もう20年以上前から行われていた可能性があると指摘されているのです。 前はマツダ株式会社もやりました。トヨタ自動車株式会社は、幾ら本社がぼろもうけしても、下請けの単価は、乾いたタオルを絞るぐらい締めつけているのです。 今、大企業が空前の利益を上げて、内部留保をため込んでいるときに、それをきちんと下請け単価に反映させる、賃金に反映させる。賃金については満額回答というニュースもありますけれども、残念ながら、下請け中小企業には十分還元されてないと思うのです。 だから、こういう日産自動車のような状況がほかのところにあるかないか、総点検しながら、下請け単価を企業の利益内部留保に見合ってやるように、これは行政としても、さまざまな関係機関と、総点検しながら物を言うべきだと思いますけれども、いかがですか。 〇小野寺経営支援課総括課長 今、お話ありました公租公課です。コロナ禍で、特例的に支払いが猶予されていて、それが明けたので、払えなくなって、差し押さえ、それがきっかけとなって倒産というような状況は、最近、私どもも報道などで幾つか見るようになってきましたし、それから、県が、金融機関や商工指導団体と設置して、定期的に意見交換しております事業継続支援センター会議の中でも、金融機関から、実際、そういう実態があり、対応に苦慮しているというお話もお聞きしております。 ただ、一方では、支払いが必要なものというところもございますので、その辺の兼ね合いは非常に難しいと思いますが、県内の状況等を的確に把握しながら、必要な対応があれば、対応してまいりたいと思います。 それから、下請代金支払遅延等防止法に基づいて発注者が遵守すべき事項が定められており、それに反するということで、今般、日産自動車、それから、最近は、小売業者の話もニュースになっております。 そういった状況もございますから、基本的には、国で所管する法律、そして、公正取引委員会等で罰則等を所管しておりますので、そういったところと連携を図りながらということになりますけれども、県でも、そういった適切な対応という観点でかかわりを持っていきたいと思います。 〇斉藤信委員 実は、岩手中央タクシー株式会社の件について、もう少し立ち入って言うと、事業の継続を困難にするおそれがある場合の社会保険料の猶予期間は、最長で4年と、こうなっているのです。鈴木俊一財務大臣は、余りにも取り立てが厳し過ぎて、破綻に追い込むのはいかがなものかと。昨年10月初め、納付計画が不履行の場合、計画見直しの協議などを年金事務所に周知したとのことです。納付猶予の緩和制度を適用するなど、指導をするとのことです。これは、きのうの国会の答弁です。私は、これをしっかり踏まえて、再びこういうことがないように、しっかりやっていただきたい。 それともう一つ、予算特別委員会でも議論になりましたけれども、商工会、商工会議所への支援、経営指導員の増員の問題について、残念ながら、商工業小規模事業経営支援事業費補助が、令和5年度、令和6年度と減少しているのです。 東北6県で見ても、予算額、経営指導員の数は、例えば秋田県は15億927万円、岩手県は13億円、そして、経営指導員は、秋田県が143人で、岩手県は115人。せめて秋田並みにしていただきたい。今、本当に厳しい中で伴走型支援をやっている、こういう中小企業、商工団体への支援は、削減ではなく、強化すべきだと私は思いますが、いかがですか。 〇小野寺経営支援課総括課長 商工会、商工会議所の経営指導員の方々は、今の厳しい経営環境に置かれている中小企業を伴走支援していく上で不可欠で、最前線で御活躍いただいている方々という認識は、私も強く持っております。 今、お話があったのは、他県との比較ということで言いますと、従来、こういった支援は国から都道府県向けの補助で行われておりましたけれども、平成5年から平成7年に、人件費は一般財源化されましたし、平成18年度からは、事業費分も補助が廃止されて、税源移譲がなされたということで、その段階から、各県で若干差が出てきているという状況でございます。 ただ、冒頭に申し上げましたとおり、商工会、商工指導団体の方々の体制の整備は、非常に大切だという認識を常に持っておりますので、これまでも、中小企業事業再生・再チャレンジ支援事業費で体制をさらに強化するといったような対応もとってまいりました。その時々で活用できる財源、それから、必要な体制、そういったものをきちんと検討しながら、体制の整備に努めてまいります。 〇斉藤信委員 岩手県商工会連合会に聞きますと、経営革新計画の策定では東北地域1位、全国でもトップレベルの支援をやっていることを聞いていますので、ぜひ、その辺をしっかり評価して、体制、対策を強化していただきたい。 最後ですけれども、東日本大震災津波から13年経過いたしました。テレビ、報道などでも、特集が組まれましたけれども、その中で、グループ補助金です。この実績と高度化資金の貸し付け、返済状況、倒産、財産処分の状況、二重ローンの取り組みの実績と現状について示してください。 〇小野寺経営支援課総括課長 グループ補助金の実績につきましては、令和6年2月末現在で1、573事業者に918億円余の交付決定を行っております。自己負担分について高度化スキームを利用された事業者の方、同じく2月末現在で345件、165億円余の貸し付けとなっておりまして、返済状況については、完済が52件、額は7億円余、そのほか、償還猶予、最終償還期限の延長などの条件変更を行っているのが68件という状況です。 それから、倒産、財産処分の状況ですけれども、倒産につきましては、同じく2月末時点で26件ございます。業種としましては、水産加工8件、宿泊業と小売業が4件といったような状況です。 そして、復旧した施設、設備、財産処分制限期間内に譲渡や廃棄等を行う場合に、財産処分の承認手続をとっていただきますけれども、これも同じく2月末現在で673件、財産処分の承認手続を承認申請いただいて、そのうち、財産処分に伴って県に補助金の一部に相当する額を納付していただいたものは105件、額は3億6、000万円余です。 それから、二重債務問題でございますけれども、県では、岩手県産業復興相談センターと岩手産業復興機構を通じて、事業再生計画の策定支援、債権買い取り、金融支援等を実施しております。岩手産業復興機構による債権買い取り件数は、同じく2月末現在で110件。そして、そのうち経営再建等を果たして、いわゆるEXITと呼ばれる債務の完済等を行った事業者は98件、そして、法的破綻等によって、EXITに至らなかった事業者は6件、そして、支援を継続している事業者6件、こういう状況になっております。 〇斉藤信委員 グループ補助金を受けて、大方これで再建をしたという、私は画期的な制度だったと思います。しかし、その後、特に大不漁、コロナ禍、物価高騰ということで、先ほど26件の倒産の中で、8件は水産加工業で、これが一番多いのです。ここに本当に厳しさがあると私は思います。 これ以上は聞きませんけれども、知事と私たちが懇談したときにも、特に漁業、水産加工業の状況は、四重苦に対応する支援の再強化が必要だという話でありました。そういうことをしっかり受けとめて、なりわいの再生が最後まで成り立つような支援をしっかりと継続、強化していただきたい。 〇千葉盛副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。 午後4時25分 休 憩 午後4時46分再開 〇城内愛彦委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。 〇小林正信委員 まず、半導体関連産業創出推進事業費について。この事業の概要についての質問は、先ほどの関根敏伸委員の質疑で概要はわかりましたので、割愛したいと思います。 そして、先ほど関根敏伸委員あるいは岩渕誠委員からもお話ありましたけれども、台湾のPSMC―力晶績成電子製造が宮城県大衡村に半導体工場を新設すると発表したとのことです。投資額は8、000億円で、宮城県でも過去最大、直接雇用も含め全体で7、500人の雇用効果が期待されているとのことです。今後は、岩手県南地域と宮城県北地域が一つのエリアとして、産業振興が進展していく可能性があり、先ほどもシリコンロードというお話がありましたけれども、岩手県と宮城県が人材を取り合うのではなくて、一体となって発展していく。岩手県、宮城県がさらに連携して、半導体産業の振興を図ることが、日本あるいは世界の他地域との競争に勝っていくという点で、重要なものと考えます。 先ほど、T―Seeds―東北半導体・エレクトロニクスデザインコンソーシアムのお話もございましたけれども、宮城県と一体となった連携による半導体産業の振興について、現在の状況も含め、県の考えをお伺いします。 〇十良澤ものづくり自動車産業振興室長 宮城県にPSMCが建設されるということで、隣県に大規模半導体工場が新たに立地することは、本県を含む東北全体のサプライチェーンの強靱化に資するものと歓迎する一方で、本県南部に近接する地域への大規模工場の立地であり、人材の獲得に向けた地域間競争は激化するものと考えておりまして、I―SEP─いわて半導体関連産業集積促進協議会においても、危機感を共有しているというところです。 県といたしましては、東北地域における半導体関連産業のさらなる発展に向けて、宮城県を含む東北各県、それから、4月に民間主導で設立される予定のT―Seeds─東北半導体・エレクトロニクスデザインコンソーシアムなどとの連携を深めるとともに、I―SEPを中核として、今後、整備する半導体関連産業人材育成施設など、本県の特性に合った、また、他県にはない人材の育成、確保に向けた取り組みを進めることが重要と考えております。 〇小林正信委員 宮城県との連携についてというところも、お伺いできればと思ったのですけれども、東北大学も宮城県ということで、宮城県と岩手県の自治体同士が、今後、この宮城県北エリア、岩手県南エリア、これが一体となって発展していくというビジョンを持ちながら、これを進めていくことが、世界に打って出るというか、世界に類を見ない半導体の集積につながるのではないかという期待もあるわけでございますので、PSMCが来て身構えているところもあるかと思うのですけれども、ここは、宮城県の懐に飛び込んでいって、一緒に盛り上げていこうという、そういう連携も必要なのかという気もいたします。そのあたりのお考えをお伺いしたいと思います。 〇十良澤ものづくり自動車産業振興室長 大変失礼いたしました。宮城県と連携しないということではなく、当然連携はしていきます。ただ、宮城県と、ということとは少し違って、東北地域全体と連携していきます。自動車などもそうですけれども、今、東北地域、新潟県、北海道と連携しておりますし、宮城県にはPSMCが進出しますが、青森県、秋田県、山形県、福島県、宮城県それぞれ半導体工場がございますので、東北地域全体としてという意識で我々は取り組んでまいりたいと思っております。 〇小林正信委員 わかりました。よろしくお願いします。 続きまして、海外輸出強化事業の概要については、先ほど岩渕誠委員から詳しく質疑がありましたので、割愛しますが、伝統工芸品の海外展開について、秋田県の大館市では、市長のトップセールスで、大館曲げわっぱは、イタリアのミラノ市で開かれるミラノサローネ国際家具見本市への出展を目指しているとのことです。これは、大館市も一生懸命頑張っているのですけれども、国のクールジャパン予算とか、海外ビジネス投資進出との連携、大館市がこれをしっかりやってきたということが重要だと。伝統工芸を買いに来る外国人を待つのではなくて、外国に打って出る姿勢が必要で、バイヤーがいるところに飛び出していくというところも必要なのだろうと思います。 ヨーロッパの国々は、伝統工芸をアート、芸術作品として見ているとのことです。大館曲げわっぱのほかにも、岡山県の備前焼、石川県の輪島塗等がミラノサローネへの出展を計画されているとのことです。岩手県にもアートといえるさまざまな伝統工芸がございますけれども、国の支援室と連携し、海外への見本市への出展を図る必要も考えられるかと思うのですけれども、御所見をお伺いしたいと思います。 〇畠山産業経済交流課総括課長 これまでも、南部鉄器あるいは漆器等伝統工芸品につきましては、2010年の上海万博への出展を皮切りといたしまして、中国南アジア博覧会、あるいはフランスで開催されましたコルマール旅行博出展等、海外向けの商談会や見本市出展を通じまして、海外への販路拡大に係る取り組みを推進してまいりました。 特に南部鉄瓶につきましては、安定的な輸出実績のある中国など東アジア圏のほか、漫画や、あるいは日本食の人気等が非常に高まっているフランスを初めとした欧米市場へのさらなる輸出拡大が期待されるところであります。 今後も、安定的な需要が見込めます中国市場に加えまして、伝統工芸品の輸出増加が期待される欧米市場、先ほど小林正信委員からも御指摘ありました、例えばアートとして評価されると、そういった側面もあろうかと思いますので、輸出の伸びが期待されます欧米市場に向けまして、現地の流通業者、バイヤーと連携した販売拡大等に取り組んでまいりたいと思います。 また、他の委員からも言及がございましたニューヨークタイムズ紙効果とか、新型コロナウイルス感染症で5類感染症移行の影響もありまして、本県には、特に欧米からのインバウンドのお客様が非常に増加している状況でございます。 こういった環境の変化を好機といたしまして、本県を訪れるインバウンドのお客様に向けて、本県の高品質で魅力的な伝統工芸品に関する情報を積極的に発信し、実際にお買い求めいただき、さらには、帰国後の彼らのアナウンス効果によりまして、岩手ファンの拡大を目指し、伝統工芸品の輸出拡大につなげると、そういったよい循環を目指してまいりたいと考えております。 〇小林正信委員 伝統工芸品については、国内での販売は縮小していく。その中で、伝統工芸にリスペクトのあるヨーロッパへの売り込みが、伝統工芸品の存続についても非常に重要と思います。欧米とおっしゃいましたけれども、米国は伝統工芸品にはあまり興味がないです。 次に、先ほど高橋但馬委員から質疑がありましたが、ヘルステック・イノベーション・ハブは、現在満室で、本来であれば、イノベーション施設は一定期間入居して、成長すれば出ていくというサイクルだろうと思うのですけれども、高橋但馬委員もおっしゃったとおり、ヘルステック・イノベーション・ハブは、入居期限はあるけれども、更新可能とのことです。腰を据えて、研究開発をしっかりできる。こういう特徴があると思います。 今、ヘルステック・イノベーション・ハブ、TOLIC―東北ライフサイエンス・インスツルメンツ・クラスターは、全国から医療ベンチャーが集まってきている。先日も、台湾、韓国からも来客があったとのことです。海外からも注目されている重要なタイミングだと思います。その中で、先ほど新施設の整備について検討をというお話がありましたけれども、県としては、新施設の意義について、どのようにお考えなのかお伺いします。 〇小野特命参事兼ものづくり産業振興課長 ヘルステック・イノベーション・ハブでありますが、令和2年4月の開所直後から順調に入居が進んでおりまして、現在では、各種研究室が満室という状況でございます。 入居企業におきましては、活発な企業間連携や産学官連携による独創的な製品開発、共同での人材育成、確保の取り組みが進められておりまして、ヘルステック・イノベーション・ハブ設置の効果があらわれてきているところと考えております。 令和3年3月に県が策定しました岩手県医療機器等関連産業イノベーション創出戦略に掲げる目標の実現に向けまして、産学官や企業間の連携、交流及び研究開発拠点機能の一層の充実も必要と認識しております。引き続き、関係者間で協議してまいります。 〇小林正信委員 ぜひともお願いいたします。 そして、先日、一般質問でいただいた答弁では、TOLIC関係者が盛岡市等と定期的に情報交換を行っているとのことでした。この中で、新施設の整備を含め、今後の方向性について議論を進めるというお話でございました。この情報交換の場は、ヘルステック産業の振興にとって重要なものと思います。盛岡市もヘルステック産業振興戦略を立てて、取り組みを進めているとのことです。また、盛岡市の同業地区には、新産業投資を拡充していると。ヘルステック企業の集積をここに目指していると。TOLICの第2ステージの戦略と盛岡市の戦略、県の戦略、これが一体になって推進を図っていくことが重要なのだろうと思います。 そこで、月1回の3者の情報交換、作戦会議の熟度を上げていっていただいて、商工労働観光部長におかれましても、この作戦会議から出たさまざまなアイディア、特に新設に係るアイディアについては、おおらかに前向きに捉えていただいて、採用いただければ、ありがたいと思っております。この月1回の作戦会議も含めて、3者の今後の連携について、新施設の整備に向けという点も含めて、さらなる充実を図っていただきたいと思いますけれども、御所見をお伺いします。 〇小野特命参事兼ものづくり産業振興課長 月1回の情報交換についてでございます。会議体組織として正式に設置をしたものというものではありませんで、現場レベルでの会合、実務的な情報交換とか、意向の確認、アイディア出しを行っているものであります。 この構成メンバーとしましては、TOLICの中核メンバーと、盛岡市、県の担当ということで、毎回10名弱程度で開催しております。 昨年の4月に、TOLICがいわゆる第2ステージ構想を公表しまして、その翌月から、月1回のペースで、先月まで、これまで10回開催しております。内容につきましては、第2ステージ構想全体の進め方をしっかりとやっていこうということで、そのための意向の確認、情報の交換といったようなことを行っております。 必要なことは、どのような形で実現をしていくかということ、実現するために何をしていくかといったようなところのすり合わせをしながらということでありますので、盛岡市、そして、TOLICと連携を強化しながら、進めていきたいと考えております。 〇小林正信委員 ぜひとも、先ほど申し上げたとおり、この打ち合わせの熟度をしっかり上げていただいて、さらなる推進のエンジンとなるように、取り組みを進めていっていただければと思います。 続いて、情報関連産業競争力強化事業費について、概要をお知らせいただければと思います。 〇小野特命参事兼ものづくり産業振興課長 県では、令和3年3月に、岩手IT産業成長戦略を策定しまして、産学行政の連携強化による取引拡大、新製品開発の推進など、三つの基本戦略に基づいた取り組みを進めております。 この情報関連産業競争力強化事業でありますが、この戦略に掲げる目標を実現するため、公益財団法人いわて産業振興センターへの補助を通じまして、県内IT関連企業と県内外の企業とのマッチング商談会の開催とか、販路拡大を目的とした専門展示会への出展経費の助成等を実施するものであります。 また、人材育成の取り組みといたしまして、組み込みソフトウェア技術者の育成イベントでありますETロボコン東北大会とか、岩手県立大学と連携しました高度技術者の養成講座の開催に取り組むこととしております。 〇小林正信委員 IT人材という部分も、今お話ありました。この人材の確保という観点からは、県立大学のソフトウェア情報学部の卒業生、これは非常に重要な点だと思うのですけれども、この卒業生の県内定着は、長い間課題があったとのことです。ソフトウェア情報学部への入学者のうち、県内出身者が毎年大体90名から100名で推移しておりますけれども、卒業生の県内内定者は20名から30名で推移しているとのことです。毎年多くの県内出身のIT人材が県外に流出しているといった状況があるものと思います。 IT人材の流出を防ぐ受け皿という点で、さまざまな施設整備の話題が挙がっている中ではございますけれども、IT産業においても滝沢市IPUイノベーションパークの拡張が急がれるべきと考えます。商工労働観光部長も、かつて、柳村一委員への答弁で、滝沢市IPUイノベーションパークはソフトウェア情報学部の重要な受け皿であり、拡張も含めた滝沢市IPUイノベーションパークの発展に取り組むと答弁されております。 私への答弁でも、拡張がいつになるのか、時期の問題を検討していくとも答えられました。IT人材の流出を防ぐ意味で、拡張の時期は、今を逃してはならないのだろうと思いますけれども、検討の状況について、まずお伺いしたいと思います。 〇小野特命参事兼ものづくり産業振興課長 滝沢市IPUイノベーションパークの拡張についてでございます。 滝沢市IPUイノベーションパーク運営協議会の令和5年度事業計画におきまして、パーク拡張を見据えた運営計画の見直しを盛り込んでおります。今年度は、これまで、滝沢市と県立大学と県との3者で、計4回の事務レベルの協議を実施しておりまして、新たな運営計画の案の作成に取り組んできたところでございます。 この新たな運営計画の案でございますが、今月下旬に開催されます令和5年度運営協議会の議論を踏まえまして、策定されることとなっておりまして、引き続き、関係部局とも連携しつつ、滝沢市、県立大学と協力し、パークを中心とした産業集積や地域の活性化に向けた取り組みを推進してまいります。 〇小林正信委員 再度確認ですけれども、この拡張に向けた計画見直しということで、拡張は確定しているという解釈でよろしいのでしょうか。 〇小野特命参事兼ものづくり産業振興課長 現在の運営計画では、拡張は長期的な10年以上先の課題ということに位置づけられております。これは、現在、状況もかなり変わっておりまして、産業集積も進んで、集積形成の第1のステージが終了したという認識のもとで、第2ステージ、先ほどのTOLICと同様の状況ではありますが、第2のステージを迎えるという認識のもとで、拡張についても課題としてしっかり考えていくという内容になろうかと考えております。 〇小林正信委員 イノベーションパークも手狭になってきたり、満室という状況が続いておりまして、その間に、IT人材は流れていっているとのことです。この計画の見直しも含めて、早期に、パークの拡張は取り組んでいただきたいとお願いをして、終わりたいと思います。 〇城内愛彦委員長 ほかに質疑はありませんか。 〔「なし」と呼ぶ者あり〕 〇城内愛彦委員長 質疑がないようでありますので、これで商工労働観光部関係の質疑を終わります。 商工労働観光部の皆さんは退席をされて結構です。御苦労さまでした。 次に、企業局長に企業局関係の説明を求めます。 〇中里企業局長 企業局関係の令和6年度当初予算について御説明申し上げます。 初めに、国際的な動きとして脱炭素化が進展する中、企業局としても、再生可能エネルギー由来の電力と、自動車産業や半導体産業を支える工業用水の安定供給によりまして、本県の脱炭素化や地域産業の振興に寄与していきたいと考えております。 このため、第2期中期経営計画の初年度であります令和6年度の当初予算における基本的な方針として、電気事業では、新規水力開発に向けた調査を積極的に進めるとともに、再開発事業を計画どおりに進めることにより、再生可能エネルギーの維持拡大に努め、工業用水道事業では、新北上浄水場の給水能力の増強を進めるとともに、ニーズに応じた施設規模の最適化に取り組んでいくこととしております。 それでは、議案について御説明申し上げます。 議案その1の60ページをごらん願います。 議案第13号令和6年度岩手県電気事業会計予算についてであります。 第2条は業務の予定量ですが、年間販売目標電力量の合計を、次の61ページの1行目に記載のとおり、4億9、065万キロワットアワーと見込むものであります。 第3条は収益的収入及び支出の予定額であり、収入の第1款電気事業収益は97億3、900万円余、支出の第1款電気事業費用は94億800万円余であります。 第4条は資本的収入及び支出の予定額であり、収入の第1款資本的収入は2億5、000万円余であります。 62ページにお進み願います。支出の第1款資本的支出は44億1、300万円余であります。 第5条は債務負担行為でありますが、胆沢第二発電所発電所建屋改修工事など7事業について、債務負担行為の期間と限度額を定めようとするものであります。 電気事業会計予算の説明は以上でございます。 次に、64ページにお進み願います。議案第14号令和6年度岩手県工業用水道事業会計予算について御説明申し上げます。 第2条は業務の予定量ですが、(1)は、年間総給水量を1、543万6、215立方メートル、1日平均給水量を4万2、291立方メートルとそれぞれ見込むものであり、(2)は、主要建設事業として新北上浄水場の増強をしようとするものであります。 第3条は収益的収入及び支出の予定額であり、収入の第1款工業用水道事業収益は12億1、200万円余であります。 65ページに参りまして、支出の第1款工業用水道事業費用は16億4、500万円余であります。 第4条は資本的収入及び支出の予定額であり、収入の第1款資本的収入は26億9、000万円余、支出の第1款資本的支出は30億5、700万円余であります。 第5条は債務負担行為でありますが、第三浄水場高圧受電設備ほか更新工事など2事業について、債務負担行為の期間と限度額を定めようとするものであります。 以上で説明を終わります。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。 〇城内愛彦委員長 ただいまの説明に対し、質疑はありませんか。 〇松本雄士委員 私からは、第2期中期経営計画における工業用水道事業の見通しについてお伺いいたします。 新たな水需要への対応として、総事業費196億円で、新北上浄水場の建設が始まっております。そして、第2期工事に令和5年から着手されているところと認識しております。 この第2期工事の完了はいつごろを見込むのか、また、第3期工事のスケジュールについてお伺いいたします。 〇高橋業務課総括課長 新北上浄水場建設事業のスケジュールについてでございますが、新北上浄水場は、平成30年度から事業着手しておりまして、第1期工事は令和5年3月に工事を完了し、令和5年4月から給水を開始しております。また、第2期工事については、令和5年度に工事着手し、令和7年度の完了予定で進めていたところでございます。 今年度、需要量調査に基づく中長期的な需要予測の結果、ユーザー企業の使用水量の増量がおくれる見込みとなったことから、第2期工事のスケジュールの検討を行い、工期を延長することで、維持管理費や減価償却費の低減が図られ、収支の改善が見込まれるため、工期を令和8年度まで1年間延長することといたしました。 あわせて、第3期工事についても、スケジュールを見直し、令和9年度からの2カ年で工事を行う見込みとしております。 〇松本雄士委員 第2期中期経営計画では、令和5年度の決算も非常に厳しい数値が出ているのですけれども、この第2期中期経営計画では、今後、非常に厳しい経営状況になるという記載がございます。 令和6年度以降の中長期の収支見通しについてお伺いしたいのですけれども、特に、最大の赤字が見込まれる年とその額、そして、何年ごろから黒字転換を見込んでいて、それまでの累積赤字の額についてお伺いいたします。 〇高橋業務課総括課長 中長期の収支見通しについてでございますが、収支見通しは、主な収入となる料金収入や今後必要となる維持管理費、建設改良費など、営業収益や営業費用を仮定しまして、資本的収入や支出などを織り込んで推計しているものでございます。 見通しとしましては、工業用水道事業全体で最大の赤字が見込まれる年度は令和9年度で、約7億円程度、単年度で黒字となるのは令和23年度、累積赤字が最大となるのはその前年度の令和22年度で、約60億円程度と見込んでおります。 〇松本雄士委員 そういった見通しを踏まえまして、令和5年度の包括外部監査報告書においても、そのあたりが、指摘ではなくて、意見という形で記載されております。この設備投資が、工業用水道事業の事業規模に比して非常に大きい。それは、産業振興や雇用創出などの政策判断という、そういったところでは非常に重要で、必要なものでありますけれども、なかなかリスクも大きいといったところが書かれているというところであります。 そして、そのリスクを発現させないため、リスクを管理していくために、先ほども状況を見ながらいろいろ1年、リスケジュールをしてという対応もとられているのかと思いますけれども、そういったリスク管理が必要だといった記載もされております。 そのような記載、意見に対して、県としては、今後、どのような対応を検討しているのかお伺いいたします。 〇高橋業務課総括課長 新規投資へのリスク対応策の検討についてでございますけれども、企業局としましては、工業用水道事業者として、まず、企業が求める時期に、求める量を安定的に供給できる体制を整えておくことが使命であると考えております。 一方で、今回のように多額の設備投資をする上では、安定経営の観点から、ユーザー企業の需要を見極めつつ、過大な投資にならないよう、段階的に施設整備をしていくことも必要と考えております。 今年度は、先ほども申しましたが、新北上浄水場の建設について、工業用水の需要量調査に基づく中長期的な需要予測の結果、ユーザー企業の使用水量の増量がおくれる見込みとなり、第2期及び第3期の整備スケジュールを変更して、対応しているところでございます。 今後も、包括外部監査での意見も踏まえながら、工業用水道事業の安定経営に向けて、水需要に応じた臨機応変な整備、適正な設備規模、及び効率的な事業運営など、必要な取組を検討してまいります。 〇松本雄士委員 実際、今年度からもそういった対応をとられたということでありまして、また、包括外部監査の意見の中では、適正な収入の確保に向けて、契約水量の維持、増量に努められたいといった書きぶりもあるのですけれども、その辺の具体的な取組についてお伺いいたします。 〇高橋業務課総括課長 工業用水道事業における具体的取組と見通しについてでございます。 水需要に応じた施設規模の検討につきましては、ユーザー企業の水需要に合わせて、新北上浄水場建設第2期工事の工期を、令和8年度まで1年間延長することとし、第3期工事についても、スケジュールを見直し、令和9年度から2年間で工事を行うなどの対応をしているところでございます。 また、安定的な事業経営に向けては、需要に応じて、施設設備の休止や廃止も検討していく必要があると考えております。 契約水量の維持、増量に向けた取組につきましては、各ユーザー企業に対して、年数回の訪問を通じて、工業用水の使用計画を確認するなど、綿密な情報交換を行うとともに、関係部局や関係市町と連携して、契約水量の増量などの働きかけを行ってまいります。 〇松本雄士委員 適正な水量の確保で、いろいろ情報入手にも努められているというところでありましたけれども、一番大きな半導体産業、キオクシア社の動向の把握が重要であると認識しております。キオクシア社の動向については、これまでいろいろ質疑の中でも、やりとりが行われているところでありますが、昨年末まで、非常に厳しい報道もあった中、年明けには、いろいろ在庫調整も進んで、減産が見直しされるとか、また、いろいろ統合交渉も再開されるのではないかといった報道もあります。ただ、予断を許すことなく、情報を入手して、そのさまざまな対応を、選択肢をいろいろ持って、用意しておかなければならないのだろうと考えております。 先ほど、いろいろ出向いてとか市町村と連携ということでありましたけれども、キオクシア岩手株式会社との連絡会議等の情報共有の体制について、改めて、お伺いいたします。 〇高橋業務課総括課長 キオクシア関連情報の把握と情報共有の体制についてでございますけれども、これまで、キオクシア岩手株式会社を初めとするユーザー企業からは、工業用水の使用計画等が提出されまして、これに基づき、中長期的な工業用水の需要量を予測し、新北上浄水場の建設を進めてきたところでございます。 各ユーザー企業に対しましては、繰り返しになりますが、年数回の訪問を通じて、工業用水の使用計画を確認するなど、綿密な情報交換を行っているほか、工場拡張を予定しているユーザー企業に関しましては、関係者で、随時、情報交換を行っているところでございます。 企業局では、県と岩手県企業誘致推進委員会が主催する企業ネットワークいわてに参加しているほか、みずから岩手県工業用水利用促進等関係機関連絡会議を開催しまして、関係部局や関係市町と、企業の立地動向やユーザー企業に関する情報交換などを行っております。 〇松本雄士委員 ぜひ、綿密な連携をして、情報共有をしっかりと行って、このリスク管理に備えていただきたいと思います。 先ほどの黒字転換するまで、そしてまた、その累積損失の解消までと考えますと、かなり長期にわたることが想定されますので、引き続き、経営の効率化や、適正な収入確保の取組のほど、よろしくお願いいたします。 〇柳村一委員 私からは、今定例会に提出された包括外部監査報告書の中の電気事業についてお伺いします。 財政的貢献の内容及び保有流動資産の有効活用は、検討の余地があると指摘されましたけれども、令和6年度予算で、一般会計への繰出額と充当する事業内容をお伺いします。 また、保有流動資産の今後の運用の考えについても、あわせて伺います。 〇伊藤経営企画課長 令和6年度予算案の一般会計の繰出額についてですが、環境保全活動やクリーンエネルギー導入に係る事業に約2、900万円、震災復興やふるさと振興に寄与する事業に約9、100万円、GX―グリーントランスフォーメーションの推進に資する事業に約6億6、000万円を計上しており、総額7億7、700万円を繰り出すこととしています。 充当する事業の内容についてですが、環境保全活動やクリーンエネルギー導入に係る事業として、海洋エネルギー関連産業創出事業や水素利活用推進事業など、地球温暖化対策と関連が高い10事業に、震災復興やふるさと振興に寄与する事業については、スマート物流と社会実装促進事業や、建設DX推進事業など、地域の産業振興などに寄与する9事業に、それぞれ繰り出しを行うこととしています。 また、GXの推進に資する事業については、森林整備事業やEV等普及促進事業など、15事業に繰り出しを行うこととしています。 次に、保有流動資産の運用についてですが、包括外部監査での意見も踏まえ、令和6年度予算案で、新たに、国債及び地方債の購入を計画しているところであり、引き続き、事業の収支計画を勘案しながら、資産運用を検討していきます。 〇柳村一委員 有効活用ということで、県としては、あらゆる歳入確保策という中で、企業局が一番貢献していると思うのですけれども、本来であれば、再生可能エネルギーの維持、拡大、そういうものに使うことによって、企業局がますます発展していくと思うのですが、まだ水力の調査の段階ということで、その辺にもう少し割いていただきたいと思いますけれども、そのことについては、後でお伺いします。 次、女性用のトイレや更衣室の整備のおくれを指摘されておりますけれども、その理由と、あと、今後の人材確保の方策と、施設の整備についての考えを伺います。 〇高橋業務課総括課長 人材確保と施設整備についてでございますが、企業局では、職場環境の充実、職員の働きやすさ向上を目的としまして、発電所等への女性トイレの整備を進めてきたところでございます。 当初の予定では、第1期中期経営計画期間終了の令和5年度までに、発電所20カ所のうち、近隣に利用可能な施設のある4カ所を除く16カ所に整備する計画としておりましたが、入札不調や再開発事業との調整等によりまして、4カ所が未整備となっているものでございます。 残る4カ所につきましては、第2期中期経営計画期間である令和6年度から令和8年度までに整備していく予定としておりまして、今後の女性職員登用を含む人材確保のためにも、引き続き、職場環境の改善に取り組んでまいります。 〇柳村一委員 ちなみに、現在の企業局の中で、女性職員は何名ぐらいいるのか、登用に当たっての何か問題点みたいなのがあるのか、その辺お聞きします。 〇千葉経営総務室管理課長 現在の企業局の職員の中の女性職員の数でございますけれども、技術職で5名でございます。それから、事務職の正職員ですと、今、人数は、大体3割程度でございます。 それから、女性に限らないのですけれども、人材確保と環境整備の関係性は、非常に重要だと認識しており、大きく三つ考えております。一つは、働きやすい環境の提供。これはハード以外にもさまざまな制度面で、働きやすい環境をつくっていくということ。それから、キャリアアップの支援ということで、キャリアイメージをしっかり持って、自分の将来をつくっていくということ。それから、多様性の尊重ということで、男女かかわりなく皆同じように働けるような環境ということを、まずしっかり職場の中でつくり出していくことによって、企業局の働き方改革とか、それから、企業局の価値そのものも向上していくのではないかと考えております。 〇柳村一委員 局長が女性ですので、女性が多くいるということでイメージアップにもつながると思いますので、今後とも、登用をよろしくお願いいたします。 附帯事業収益の扱いについてお伺いします。風力発電と太陽光発電が、水力発電の附帯事業と位置づけていることについて指摘されていましたけれども、これについての見解をお伺いします。 〇佐々木次長兼経営総務室長 附帯事業収益の取り扱いについてでございますが、今回の包括外部監査におきまして、現状の損益計算書では、風力発電及び太陽光発電からの売電収入を附帯事業収益に計上しているが、水力発電と同様に、営業収益に計上することを検討されたいとの意見が出されたところです。 現在、企業局では、これまでの技術やノウハウの蓄積があり、その強みを生かして、新規開発及び再開発に取り組んでおります。水力発電を主要事業としておりますことから、風力発電及び太陽光発電につきましては、附帯事業として位置づけし、会計上も同様に取り扱っているところです。 本県につきましては、現状でも制度的な問題はないものの、他県の処理を確認いたしますと、一体として取り扱っている事例が多いこともございまして、指摘ではなく、意見とされたものであり、今後、監査人の意見を参考とし、他県の状況とか、会計システム上への影響なども考慮しながら、検討を進めてまいりたいと考えております。 〇柳村一委員 営業収益の中の電力量ということで、水力発電だと79億3、000万円何がし、附帯事業ですと14億円何がしと、金額的にも結構大きいものだと思いますけれども、附帯事業の中身を見ますと、委託料という形で出ているので、事業というより、委託のほうに割いているからそうなっているのかと思いますけれども、金額だけ見ると、監査の指摘ももっともだと思いますので、今後、検討されたほうがいいのかと思います。 次に移ります。第2期中期経営計画の電気事業について伺います。 供給電力量について、令和6年度と令和8年度が、令和5年度見込みより約1億キロワットアワーほど目標値が低いということで、その理由についてお伺いします。 〇白井電気課長 令和6年度及び令和8年度の供給電力量の目標値が、令和5年度の見込みより低い理由についてでございますが、供給電力量の目標値は、過去の発電実績をもとに、工事等による発電停止分を差し引いて算出しております。 令和6年度においては、胆沢第二発電所及び入畑発電所の再開発のほか、仙人発電所の入口弁補修工事及び松川発電所の分解点検補修工事などによる発電停止を見込んでおり、令和5年度見込み5億8、400万キロワットアワーに比べて、9、300万キロワットアワーの減となる4億9、100万キロワットアワーを予定しています。 また、令和8年度におきましては、岩洞第一発電所の制御装置の一部更新工事のほか、四十四田発電所、御所発電所及び早池峰発電所の分解点検補修工事などによる発電停止を見込んでおり、令和5年度見込みに比べまして、9、700万キロワットアワーの減となる4億8、700万キロワットアワーを予定しています。 〇柳村一委員 計画を見ますと、令和6年度は、岩洞第二発電所の濁川サイフォン耐震改修工事とか、令和8年度は仙人発電所の耐震強化という形で、これが大きいのかと思ったら、結構さまざまな要因があるようですけれども、水力発電はベース電力になるわけですので、余りこういうでこぼこがあるような発電の仕方をすると、売電にも影響するのではないかと思いますので、難しいと思いますけれども、もう少しならしたような形をとったほうがいいのではないかと思います。 次に移ります。再生可能エネルギーの維持拡大についてでございます。 新規水力発電、先ほども言いましたけれども、調査検討ということで、その状況は、今どうなっているのでしょうか。 〇高橋業務課総括課長 新規水力発電所の調査検討状況についてでございますけれども、今年度は、新たな水力発電の開発候補地点の検討としまして、概略設計を4地点と可能性調査を4地点で実施したところでございます。 概略設計4地点のうち、調査結果が良好だった1地点を次の段階の基本設計に進めることとし、可能性調査は、4地点のうち調査結果が良好だった1地点を次の段階の概略設計に進める見込みでございます。なお、その他の地点は、引き続き、検討を継続することとしております。 来年度は、今年度の検討結果を踏まえ、基本設計と概略設計をそれぞれ1地点予定し、加えて、可能性調査を新たに4地点で予定しております。 第2期中期経営計画期間におきましても、これらの調査検討を継続しまして、新たな水力発電開発の具体化、事業化に向けて、取り組んでまいります。 〇柳村一委員 基本計画に進める1地点がこれから再開発による電力供給能力の向上という令和7年度の数字になるのですか。これは、また違う。 では、しっかりと調査研究していただいて、簗川ダムみたいな大きな事業ではないでしょうけれども、これから水力発電になると思いますので、安定供給のために、調査研究をしっかりやっていただきたいと思います。 未利用エネルギーの活用推進についてですけれども、送電線利用ルールの変更による未利用エネルギー活用が可能になったということで、その試算はどうなっているのでしょうか。 〇白井電気課長 送電線利用ルールの変更による未利用エネルギーの活用の試算についてでございますが、送電線利用ルールは、従来、接続申し込みの先着順に接続の容量を確保するものとされてきたことから、近年では、再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、県内全域で、送電線の空き容量がなく、既存発電所の出力アップができない状況でありました。 これが、令和3年1月に、あらかじめ容量を確保せずに、送電線の利用状況に応じて出力制御するルール、いわゆるノンファーム型接続が開始され、令和5年4月から、企業局施設においても、その対象となっております。 このような状況から、第2期中期経営計画においては、既存発電所の出力アップのポテンシャルを試算の上、事業性を評価するなど、未利用エネルギーの活用について検討を進めることとしています。 〇柳村一委員 第2期中期経営計画にはもう反映されているという解釈でよろしいですね。 〇白井電気課長 現時点におきましては、調査中につき、具体的な発電所とか数値はまだお示しできる段階にないという状況でございます。 〇柳村一委員 結局は、捨てている部分の電力で、それがちゃんと電力になるということは、しっかりとやっていただければ、企業局のためになると思います。 発電側課金が4月から始まるようですけれども、この電気事業に対しての影響は、どのように試算されているでしょうか。 〇白井電気課長 発電側課金の電気事業への影響についてでございますが、発電側課金とは、現在、小売電気事業者が全て負担している送電網の維持、拡充に関する費用を、発電事業者にも一部負担を求めるものでございまして、令和6年4月から開始される制度でございます。 この制度は、発電側課金の費用が売電料金の一部として、小売電気事業者に適正に転嫁されることを基本としておりまして、企業局では、令和6年度当初予算におきまして、発電側課金に係る支出と収入を同額計上しておりまして、電気事業の損益への影響は生じないものとなっております。 〇柳村一委員 わかりました。 ちなみに、揚水発電は、企業局では行っているものですか。 〇白井電気課長 企業局では、17の水力発電所がございますが、揚水発電は行っておりません。 〇柳村一委員 最後にしますけれども、本日のテーマである所感についてお伺いしたいと思います。 総括で知事に伺ったのですけれども、企業局については、グリーンエネルギーの安定供給とGX推進のための財源確保により、本県におけるグリーン社会の実現のいわば両輪であり、電気事業がこれまで以上に重要な役割を果たしていくことを期待しているということを御答弁されておりますけれども、あらゆる歳入確保策の大きな役割を果たしている企業局において、このことについて、所感を聞いて、終わります。 〇中里企業局長 知事から、期待するという答弁をいただいたところでございますが、脱炭素社会に向けた取り組みが国際的に進められておりまして、先ほど柳村一委員からもお話しいただきましたように、再生可能エネルギーの重要性はますます高まっていると感じているところでございます。 現在、策定中の第2期中期経営計画におきましても、水力発電の新規開発、そして、既存発電所の再開発などに取り組むことで、再生可能エネルギーを維持拡大させることを記載しておりまして、これらの取り組みを着実に進めることで、本県のGXの推進に寄与してまいりたいと考えております。 また、一般会計への繰り出しにつきましても、第2期中期経営計画に盛り込んでいるところでございます。引き続き、当局の将来の必要となる経費、そして、純利益の状況を勘案しながら、取り組んでまいりたいと考えております。 〇斉藤信委員 企業局における新たな再生可能エネルギーの取り組みについて、最初にお聞きいたします。 風力発電事業、太陽光発電事業、今年度の計画目標に対して、実績はどうなっているでしょうか。 〇白井電気課長 風力発電事業及び太陽光発電事業の今年度の実績についてでございますが、風力発電事業につきましては、風況がおおむね計画どおりであったことなどから、令和5年度当初予算上の目標値5、807万キロワットアワー余に対しまして、2月補正予算では、5、943万キロワットアワーで、達成率は約102%を見込んでいます。 次に、太陽光発電事業についてでございますが、日射量が好調であったことなどから、目標値153万キロワットアワー余に対して、2月補正予算では159万キロワットアワー余で、達成率は約104%を見込んでいます。 〇斉藤信委員 東北電力株式会社は、昨年、出力抑制を10回行いました。この影響があったのでしょうか。 〇白井電気課長 出力抑制の影響についてでございますが、再生可能エネルギーの出力制御は、主に、4月から6月の土日祝日の8時から15時ごろにかけて、電気の需要が少なく、太陽光発電の出力がふえる時間帯に、電力の需要と供給のバランスを維持するために行われているものでございます。 令和5年度につきましては、東北エリアにおきまして、4月から6月までに計11回の出力制御が行われています。そのうち6回で、企業局施設も対象となっておりまして、3施設延べ8件、計55時間程度の出力制御を受け、供給電力量は約15万キロワットアワーの減少となっております。 〇斉藤信委員 内容を見ますと、相去太陽光発電所が5件、40時間33分ということで、風力発電と比べて、太陽光発電の出力抑制が大きかったのは、これはなぜですか。 〇白井電気課長 発電種別によって、停止の時間とか期間が定められておりまして、高森高原風力発電所につきましては、比較的猶予されているといいますか、太陽光発電のほうが基本的には優先的に停止されているといった状況となっております。 〇斉藤信委員 いずれにしても、かなり軽微な影響にとどまったということですね。本来なら、再生可能エネルギー優先という仕組みにすべきだと私は思います。 次に、企業局の新規水力開発に向けた取り組み、これは先ほど議論もありました。この間、概略設計を4地点で行って、1地点で開発の可能性が認められたと。来年度基本設計と。そして、可能性調査は4地点で行って、これは1地点で開発の可能性が認められたと。 これは、来年度の予算案で、基本設計及び概略設計は5、251万円余の予算が組まれていますけれども、県央地域、沿岸地域ということになっていますが、基本設計は県央地域の1地点、概略設計は沿岸の1地点ということでしょうか。 〇高橋業務課総括課長 斉藤信委員が今おっしゃったとおり、基本設計は県央地域の1地点、概略設計が沿岸地域の1地点でございます。 〇斉藤信委員 わかりました。そして、可能性調査を引き続き4地点で行うということですね。 続きまして、企業局の再開発事業の実施状況と今後の見通しについて示してください。 〇白井電気課長 再開発事業の実施状況と今後の見通しについてでございますが、企業局では、現在、奥州市の胆沢第二発電所及び北上市の入畑発電所の2カ所の水力発電所で再開発事業を進めています。 胆沢第二発電所につきましては、令和8年度の運転開始を目指して、農業用水の代替放流設備の設置などを進めてきたところであり、令和6年度は、既存の電気設備の撤去や水圧管の更新などを行う予定でございます。 また、入畑発電所につきましては、令和7年度の運転開始を目指して、既存設備の撤去を進めているところでございまして、令和6年度は電気設備の設計、製作などを行う予定でございます。 〇斉藤信委員 最終損益の見込みもあわせて示してください。 〇白井電気課長 最終損益の見通しでございますが、胆沢第二発電所では、固定価格買い取り制度の買い取り期間である20年間で、約27億円の黒字を見込んでおります。 また、入畑発電所につきましては、20年間で約4、000万円の黒字を見込んでおります。 〇斉藤信委員 入畑発電所の場合には、すれすれという感じで、再開発をする割には、費用対効果は余りないという感じです。 最後です。これも先ほど質問がありました、新北上浄水場建設事業の進捗状況と、今後の見込みについてでありますが、先ほどの答弁を聞きますと、第2期工事を1年延長して、令和5年度から令和8年度ということになります。 その要因は、恐らくキオクシア社の減産だと思いますけれども、最近の新聞を見ると、減産見直しという報道もありました。 現状は、工場の整備はどうなっているのか。そして、キオクシア社の減産の見直しという報道がありましたけれども、これは、いつからの見直しの実施ということになるのか。工業用水の需要の関係で示してください。 〇高橋業務課総括課長 まず、キオクシア社減産の見直し時期についてでございますが、新聞報道によりますと、この3月にも見直す予定ということで報道されております。 それから、今後の見通しにつきましては、半導体市場の大幅な回復が予想されるということで、いろいろニュース等でも発表がございましたので、ユーザー企業にも直接伺って、状況は聞いておりますけれども、給水量は、今後、増加していくものと期待しております。 〇斉藤信委員 期待していますという、そこが微妙なのです。何回も需要予測を伺って、そして、第2期工事も1年延長したということですから、私が聞いているのは、需要予測から見て、どういう減産の見直しというか、需要の拡大を見込んでいるのかというところを、もう少しリアルにお答えできますか。 〇高橋業務課総括課長 需要予測でございますけれども、減産調整が始まったのが令和4年10月だと記憶しておりますが、そのころから、なかなか回復せずに現在まで来ているのですが、現在の状況で言いますと、その減産を始めた時期と同じくらいまでは回復している状況ということで、今後は、それから上がっていくものと期待しているところでございます。 〇斉藤信委員 半導体事業はなかなか読めないというか、そういうところがある。それだけにリスクもあると指摘もされているのだと思います。 工業用水というのは、ある意味先行投資という、そういうリスクを前提にした事業になっているのでしょう。だから、先ほど答弁がありましたけれども、そういうリスクを見ながら、必要な場合には休止、廃止も考えると。ここまで答弁がありましたので、そういうリスク管理をしながら、必要な企業の需要に応えていくと、そういうことで、企業局長いいですか。 〇中里企業局長 斉藤信委員がおっしゃるとおりでございまして、工業用水の供給を担う企業局といたしましては、企業側が求める時期に求める量を供給できる体制を、常に整えておくことが使命と考えております。 今後も、現在進めている新北上浄水場建設第2期工事の進捗を図りながら、北上工業団地における将来の工業用水の需要に的確に対応できるよう、工業用水を安定的に供給できる体制を、効率的な業務執行などによりまして整えてまいりたいと考えております。 〇城内愛彦委員長 ほかに質疑はありませんか。 〔「なし」と呼ぶ者あり〕 〇城内愛彦委員長 質疑がないようでありますので、これで企業局関係の質疑を終わります。 企業局の皆さんは御苦労さまでした。 以上で本日の日程は全部終了しました。 本日はこれをもって散会いたします。 午後5時52分 散 会 |
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