令和6年2月定例会 予算特別委員会会議記録 |
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令和6年3月12日(火)
1開会 午前10時1分 1出席委員 別紙出席簿のとおり 1事務局職員 議事調査課 総括課長 昆 野 岳 晴 議事管理担当課長 藤 平 貴 一 主任主査 佐 藤 博 晃 主任主査 増 澤 綾 子 主任主査 及 川 雄 也 主査 阿 部 真 人 主査 堀 合 俊 彦 主査 三 浦 訓 史 1説明員 企画理事兼 保健福祉部長 野 原 勝 副部長兼 保健福祉企画室長 松 村 達 医療政策室長 吉 田 陽 悦 子ども子育て 支援室長 高 橋 久 代 保健福祉企画室 企画課長 田 内 慎 也 保健福祉企画室 管理課長 千 葉 博 和 健康国保課 総括課長 前 川 貴美子 地域福祉課 総括課長 前 田 敬 之 長寿社会課 総括課長 下 川 知 佳 障がい保健福祉課 総括課長 日 向 秀 樹 医療企画監 高 橋 宗 康 医務課長 柴 田 勝 師 地域医療推進課長 山 崎 重 信 感染症課長 木 村 真 智 特命参事兼 次世代育成課長 佐々木 浩 一 医療局長 小 原 重 幸 次長 佐々木 亨 参事兼 職員課総括課長 宮 好 和 経営管理課 総括課長 熊 谷 正 信 医事企画課 総括課長 佐 藤 誠 業務支援課 総括課長 千 葉 直 樹 薬事指導監 菊 池 昌 之 看護指導監 冨 山 香 医師支援推進室長 竹 澤 智 医師支援推進監 尾 形 健 也 医師支援推進監 尾 形 憲 一 財政課総括課長 佐 藤 直 樹 〇城内愛彦委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入ります。 議案第1号から議案第20号まで、議案第27号から議案第38号まで、議案第40号、議案第41号、議案第44号、議案第47号、議案第48号、議案第52号、議案第54号から議案第67号まで、及び議案第69号から議案第76号まで、以上60件を一括議題といたします。 本日は、保健福祉部及び医療局関係について、延べ27人の質問者を予定しており、世話人会の協議により、本日の質疑の目安時間は20分といたしました。また、関連質疑の取り扱い、換気のための休憩につきましては、これまでと同様でありますので、御協力をお願いします。 初めに、保健福祉部長に、保健福祉部関係の説明を求めます。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 令和6年度の保健福祉部関係の議案について御説明申し上げます。 初めに、令和6年度予算編成に当たっての基本的な考え方でございますが、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランのもと、東日本大震災津波からの復興を着実に進めるとともに、四つの重点事項と各政策分野に基づく施策を推進してまいります。 まず、復興の推進では、岩手県こころのケアセンターなどによります心のケアの支援のほか、生活支援相談員による見守り活動等の被災者支援の取組を進めてまいります。 また、四つの重点事項の自然減対策では、結婚、妊娠、出産、子育ての各ライフステージに応じた総合的な取り組みのほか、産後ケアを利用する際のアクセス、一時預かりへの支援など、市町村の地域課題に応じた人口減少対策の支援の取り組みを進めてまいります。 次に、健康・余暇の政策分野では、特定健診などのさらなる受診率向上の取り組みを初め、自殺予防に向けた相談支援体制の充実、即戦力医師の招聘や奨学金による医師養成、周産期医療提供体制の充実強化などのほか、助産師の確保育成や、在宅医療提供体制の強化などの取り組みを進めてまいります。 家族・子育ての政策分野では、第2子以降の3歳未満児に係る保育料の無償化と在宅育児支援金の支給など、引き続き子育て世帯の経済的負担の軽減を図るほか、結婚サポートセンターのマッチング機能の強化や、交際から成婚までのフォローアップの充実、市町村が行う子供の遊び場の整備などの取り組みを進めてまいります。 続きまして、当部関係の予算議案について御説明申し上げます。 まず、議案第1号、令和6年度岩手県一般会計予算でございますが、お手元の議案その1の10ページをごらん願います。 当部関係の予算は、3款民生費のうち1項社会福祉費、3項児童福祉費、11ページに参りまして4項生活保護費と、4款衛生費のうち1項公衆衛生費、3項保健所費、4項医薬費、13ページに参りまして13款諸支出金、1項公営企業貸付金及び2項公営企業負担金の一部を合わせまして、総額で1、360億8、828万円余であり、前年度の当初予算と比較しますと、278億32万円余の減額となるものであります。 予算の内容につきましては、予算に関する説明書に記載されておりますが、説明は省略させていただきますので、御了承をお願いいたします。 次に、債務負担行為について御説明申し上げます。15ページをごらんください。 第2表債務負担行為の表中、保健福祉部所管の事業は、7福祉・消費生活関連相談拠点施設(仮称)整備事業(社会福祉総務)及び8番いわてリハビリテーションセンター設備整備で、福祉総合相談センターと県民生活センターの一体的整備及び岩手リハビリテーションセンターの設備整備が翌年度にわたりますことから、期間及び限度額を定めて債務を負担しようとするものであります。 次に、議案第2号、令和6年度岩手県母子父子寡婦福祉資金特別会計予算について御説明申し上げます。引き続き議案その1の24ページをごらん願います。歳入と歳出の予算総額はそれぞれ3億9、766万円余であり、前年度の当初予算と比較いたしますと3、120万円余の減額となるものであります。 次に、議案第10号、令和6年度岩手県国民健康保険特別会計予算について御説明申し上げます。引き続き議案その1、48ページをごらん願います。歳入と歳出の予算総額は、それぞれ1、072億9、236万円余であり、前年度の当初予算と比較いたしますと46億5、537万円の減額となるものであります。 引き続き、予算に関連する議案について御説明いたします。議案その2の23ページをごらん願います。議案第29号、後期高齢者医療財政安定化基金条例の一部を改正する条例は、後期高齢者医療広域連合から徴収する同基金の拠出金に係る拠出率を引き上げようとするものであります。 24ページをごらん願います。議案第30号、子育て支援対策臨時特例基金条例の一部を改正する条例は、基金の管理運営について定めている国の要領の改正に伴い、本基金条例の有効期限を令和7年9月30日まで延期しようとするものであります。 少し飛びまして、83ページをごらん願います。議案第47号、福祉の里センター条例の一部を改正する条例は、近年の物件費等の上昇を踏まえ、同施設の利用料金の上限額を引き上げようとするものであります。 85ページに参りまして、議案第48号、福祉交流施設条例の一部を改正する条例は、近年の物件費等の上昇を踏まえ、ふれあいランド岩手の利用料金の上限額を引き上げようとするものであります。 95ページに参りまして、議案第52号、いわて子どもの森条例の一部を改正する条例は、近年の物件費等の上昇を踏まえまして、同施設の利用料金の上限額を引き上げようとするものであります。 以上で、保健福祉部関係の議案の説明を終わります。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。 〇城内愛彦委員長 これより質疑を行いますが、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事の進行に御協力をお願いいたします。 ただいまの説明に対し、質疑はありませんか。 〇佐々木茂光委員 きのうは、東日本大震災津波から13年ということで、それぞれ各地で追悼式が行われたわけであります。当初から、私が問題視して取り上げてきたところは、一つはリハビリテーション。これは、我々沿岸部にいる者にすれば、脳梗塞であったり、心筋梗塞であったり、後々に回復するための訓練が必要な施設を、当初から非常に望んでいたわけであります。一時的な処置については、どうしても身近な病院で対応するわけですけれども、その後の療養については、内陸部のほうがはるかにそういった施設がありまして、どうしても内陸部に来なければならない状況に置かれております。 それが現在も続いているわけでありまして、実は今、このリハビリ療法がどの辺まで進んでいるのか。そしてまた、医療、その職員の配置であったり、この状況について、今どのような状況にあるのか、お示し願いたいと思います。 〇山崎地域医療推進課長 県内のリハビリテーション医療についてでございますけれども、まず、近年のリハビリテーションの特徴でございますが、患者の社会復帰や在宅復帰を早期に促すために、患者の安静度に従いまして、手術の当日とか翌日、早期にリハビリテーションを行うことが多くなっているということでございます。そのことによりまして、退院のときの、日常の着がえとか食事といったような日常生活動作などが、非常に改善する効果が高いということで、近年ではそういった形のリハビリテーションが進められております。 そして、本県のリハビリテーションの提供体制、職員の配置状況についてでございますけれども、これは二次保健医療圏によって医療資源が偏在しておりまして、リハビリテーションを専攻する医師の絶対数は少なく、盛岡圏域などの内陸部に集中しております。 また、医師以外の専門職員につきましては、令和3年に厚生労働省が行った調査によりますと、病院や診療所に従事する理学療法士等の専門職約1、450名おりますが、県北沿岸地域に配置となっているのはそのうち230名ほど、約16%にとどまっているという状況でございます。 今後、県としては、本県のリハビリテーションに係る現状課題を分析しながら、リハビリテーションを担う医師や理学療法士等の専門職の確保、質の向上など、リハビリテーション提供体制の強化に取り組んでまいりたいと考えております。 〇佐々木茂光委員 今、説明をいただきましたが、内陸部と沿岸部との格差の改善が全然図られていなかったのかとまずは思うのです。当時、私が最初にお話ししたのは、陸前高田市の県立病院が平成30年に再建されたということで、そこからがスタートで、実はその当時も、震災後13年になっていることもありまして、脳梗塞や心筋梗塞といった症状を一つの原因として、リハビリでどうしてもお世話にならなければならないということもあり、沿岸部に、そういったリハビリにかかわる施設整備が必要ではないかということでした。 そのときの保健福祉部長の答弁では、重く受けとめている。その後については、県全体の中での協議をすることに努めるという文言でお話をいただいたのですが、その後、協議が実際進められたのかどうかということを、まずお尋ねしたいと思います。 〇山崎地域医療推進課長 沿岸部につきましては、高齢化も進行する中で、そういった脳卒中患者の予後の改善、社会復帰、在宅高齢者の自立支援を図る上で、リハビリテーションはその重要性を増していると認識しております。 沿岸部のリハビリテーションの充実につきましては、知事のマニフェストプラス39によりまして、リハビリテーションセンターのサテライト施設も出ておりますけれども、今後、岩手県リハビリテーション協議会の場において、現在の患者の受療動向とか、今後の人口減少も踏まえた患者の動向など、県全体のリハビリテーション医療資源の状況も踏まえながら、検討してまいりたいと考えております。 〇佐々木茂光委員 ということは、今初めて向かい合うというか、協議が始まったという解釈でよろしいですか。 〇山崎地域医療推進課長 沿岸部のリハビリテーションの充実につきましては、前々から佐々木茂光委員からも御質問をいただいていたところでございまして、我々としても、その偏在のところの対策が必要という認識はございましたけれども、リハビリテーションの専門医が、県内全体の中で非常に不足しているとか、そこに一歩踏み込んで、課題解決のところまではなかなか至っていないというのが現状でございます。 今回新たに、岩手県リハビリテーション協議会等の場で、改めて、今後の県内の患者の動向とか、そういったことを踏まえての議論をさらに進めていきたいということで、来年度から力を入れて取り組んでいきたいと考えております。 〇佐々木茂光委員 今までやってなかったということですね。さっきお話のあった1、450名、県北沿岸地域には230名ということで、明らかにこれだけの差がある中で、どうしても沿岸部が多いというか、そういう表現がいいか悪いかは別にしても、震災でかなりのダメージを受けているわけです。 震災からもう13年たった中で、結構な方々がそういったお世話を受けなければならないような状況に置かれているわけです。それで、あえて、沿岸部のほうに何とか先生を回すなり、そういった施設展開をできないかということを要望したのが、その話の初めでありまして、それで、今のお話を聞くと、これまでどういうふうに対応してきたのかという、非常に疑問なところがあるのです。 その辺について、何もしていないという解釈ではないのですけれども、今まではその程度の取り組みしかされていなかったと解釈します。何回も聞きますけれども、それでいいですか。 〇山崎地域医療推進課長 先ほども答弁申し上げましたとおり、課題としては十分認識していたところではございますが、そもそもリハビリテーション専門医が少ないとか、医療資源がなかなか潤沢でないという状況の中で、その偏在の解消には、結果としてなかなか至っていないというところではございます。 今後につきましては、そこをさらに一歩進めるべく、岩手県リハビリテーション協議会等の場で、力を入れて検討してまいりたいと考えております。 〇佐々木茂光委員 結局、ことしになって、あしたから、それだけの医者や、リハビリとなれば、その技術者を今すぐ集められますか。 今までそれに向けて取り組んできたのであれば、医師の数も、例えばことしは10人、来年は20人という形で取り組んでくるのが本来です。そういう姿ではないかと、そういうところを私は期待しておりました。今、これだけ医者が少ない中で、県北部なり沿岸部に施設展開できるぐらいの人を、この1年2年で集めることはできますか。 〇山崎地域医療推進課長 新たなそういったリハビリテーションの専門医あるいは専門人材をすぐに潤沢に確保することは、現状難しいと考えております。 しかしながら、佐々木茂光委員御指摘のとおり、リハビリに沿岸部から内陸部まで来なければいけない現状がございますので、今の医療資源の現状を踏まえて、そういった方々の負担をどうやって軽減できるかというところで、県立病院とか、既にリハビリに取り組んでいる医療機関などとも連携をとって、できるだけ負担の少ない体制に向けて、検討していきたいと考えております。 〇佐々木茂光委員 結局、何事も今からだ。それが復興で取り残されている部分です。13年もたっている。今からですみたいな話はないでしょう。私はそれに対して、すごく疑問を持つし、腹立たしいです。 あのときに、被災地の中では、非常に厳しい環境の中でみんな暮らしているわけです。そういったところが、どうしても最初に手をさしのべていただきたいということの中から、これは、県立病院の再建に当たって、地元の方々の意見であったり、私の周辺にもそういう人たちが結構多く出てきたのです。要するに、我々の暮らしているあのときの環境は、皆さんも恐らく想像できない状況だったと思います。 その中で、あえて、私からそういうお話をしたのは、事実上はそうだったということです。そのときに、本来ならば、何かの手をかけてくれるとか、相談をするとか、地域に入ってくるとか何とかという動きがあれば、また違ったかもしれません。それを、今になって、今からやりますみたいな話はおかしい。 何のための復興で、それに対して、地域の人たちも含めてみんな一生懸命やってきた。今13年たった。その間に、今からやりますという話はない。あなたたちは何をやっていたのかということになるでしょう。医者とか看護師は、もともと医療資源の少ない中での地域の暮らしであったわけです。そういったところを今からやるというのは、何で早くやれなかったのかと言っても、恐らく、医療資源の技術者なり、担当する医者をそろえるのに、これからだと言って、この1、400人、そして、沿岸部にいる250人程度を、そこまで上らせていくのは相当のエネルギーです。 もう一回聞きますが、何でそちらに目が向かなかったのか。まず、それを聞きたいと思います。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 佐々木茂光委員からは、この問題について、一般質問でも、これまでもたびたび御質問いただいておりました。被災地において、我々、確かにリハビリの専門医とか、OT、PT、人材が非常に内陸部に比べて少ない中で、どうしていくかという状態で、当時、復興特区という制度がございまして、それを使って、例えば訪問リハビリテーション事業所は、開設事業所はできないのですけれども、特区制度を使って沿岸部で訪問リハビリテーションという形で、県外の事業者に入っていただいて、被災地の訪問リハビリテーションの支援を行ったこともございます。 また、平成28年に、岩手県地域医療構想を策定いたしました。その地域力構想は、リハビリテーションに着目した議論を必ずしているわけではないのですが、リハビリテーションはいわゆる回復期の医療に当たるのですけれども、県全体を見ても、特に沿岸部を見ても、回復期を担う機能が少ないことを我々はお示しをさせていただいて、沿岸部においても、回復期機能をふやしていこうという形での取り組み、議論を進めてまいりました。 リハビリという形ではあらわれてないのですが、その中でも、地域包括ケア病床があるのですけれども、これは急性期からリハビリも含めた回復期なども担うような機能になっていますが、こうした病床についての転換といったものも進めてまいりました。 一方で、佐々木茂光委員が御指摘になったような、脳卒中リハビリとか心臓のリハビリとか、そういった疾病に着目した専門的なリハビリテーションは、先ほど山崎地域医療推進課長から申し上げたとおり、内陸部と沿岸部ではやはり地域差がある。ほかの医療もそういった傾向はありますけれども、特にリハビリテーションはそういった傾向がございますので、専門医とかそういう人材の確保は、すぐにはなかなかできないのですけれども、OT、PTの確保、あとは病床、そういったリハビリ機能をどうしていくのかというところは、これまでも回復期という形で議論をしてまいりましたけれども、本格的な議論を進めまして、リハビリテーションの充実に努めてまいりたいと考えています。 〇佐々木茂光委員 これ以上あまり高い声を朝から上げたくないので、いずれ、しっかりとその辺を進めながら、まさに内陸部と沿岸部との格差はこのぐらい出ているわけなのでありまして、知事のホームページにも、マニフェストプラス39で何かうたったようでありますけれども、県北沿岸部にはそれなりの施設として展開していただきたいと思います。これから、医師なり専門医を集めていくという取り組みも、これは是が非でも頭数そろわなければ何の施設展開もできないので、そのためにも皆さんにはしっかりと取り組んでいただきたいと思うし、一日でも早くそれが動き出せることを御期待いたしますので、よろしくお願いいたします。 〇高橋はじめ委員 私からは、大きく2項目質問したいと思います。 まず、WHOのパンデミック条約締結及び国際保健規則改正の動きに関してであります。2024年5月のWHO総会において、パンデミック条約の草案及び国際保健規則改正案の提出が予定されておりまして、これが採択となれば、加盟国の政府の判断が、WHOの勧告に拘束され、保健政策に関する国家主権が侵害され、基本的人権や国民生活に重大な影響を及ぼすことが懸念されております。 しかしながら、現在、我が国では、これらの草案の内容や交渉経過が国民に十分周知をされているとは言いがたい。県として、このような動きをどう認識しているのか。あわせて、パンデミック条約草案及び国際保健規則改正案に対する所感を伺いたいと思います。 〇木村感染症課長 いわゆるパンデミック条約等についてでございます。 外務省のホームページによりますと、新型コロナウイルス感染症対策を踏まえたパンデミック条約の作成と国際保健規則の改正に向けた作業につきましては、2024年5月のWHO総会での提出及び採択を目指し、現在、政府間での交渉が進められているものと承知しているところでございます。 現時点におきまして、パンデミック条約及び国際保健規則に係る草案及び改正案に係る政府間交渉の内容等については、非公表となっていることから、県としましての所感については持ち合わせていません。 ただ、条約の締結に当たっては国会の承認が必要とされていることから、県では、国会の議論について注視してまいります。 〇高橋はじめ委員 外務省が中心になっている条約ですから、そういうところなのでしょうけれども、問題は、厚生労働省を含めて医療界全体で、こうした議論をしっかりやっていかないと、国際条約が決まった、それは法的に拘束力がある、あるいは義務が発生するということで、国民はそこに自分たちの意思を発揮できないという、大変危険ということもあるわけです。 そのことを、なぜ外務省が広く国民に周知し、そして、国会でもどんどん議論をしないのか。私は、今回の新型コロナウイルス感染症を通じて、情報の隠蔽といったことを痛切に感じているわけであります。 そういうことを含めて、国があまり情報公開しないのであれば、県としても、今、こういう草案がWHOで議論される予定になっていると、どこかでそういう情報も提供していくべきではないか。決める、決めないは、国会での議論となるわけでありますが、そういう役割を担うところがない以上、県民の命と健康にかかわる問題を考えれば、何かしらそういう情報提供も必要ではないかという思いをしております。 そのことを含めて、私は、今回は、この現状はどうなっているのかを質問させていただきました。ぜひ、ここにおられる県議の皆さんとともに、これは考えていかなければならないことだと思っておりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。これ以上、県に回答を求めても難しいでしょうから、この件については、以上のことで、次に移りたいと思います。 次に、新型コロナウイルス感染症並びに新型コロナワクチンについて、4点お尋ねします。 新型コロナウイルス感染症並びに新型コロナワクチンについて、新年度4月以降、国及び県の対応はどうなっていくのか。県民の相談窓口はどうなるのか、周知をどうするのか、こういった点についてお尋ねしたいと思います。 先ごろ、県議会にも新型コロナウイルス感染症4月以降の対応についてということで、報告もいただきました。要点も含めてお尋ねしたいと思います。 〇木村感染症課長 4月以降の国及び県の対応についてでございます。 国からは、新型コロナウイルス感染症への特例的な対応を令和6年3月で終了し、4月からは、季節性インフルエンザと同様の通常の医療提供体制に移行することが示されているところでございます。 3月末で廃止されるものとしましては、医療提供体制につきましては、外来対応医療機関の指定や病床確保料による病床確保、公的支援につきましては、新型コロナウイルス感染症治療薬及び入院医療費に係る公費支援、高齢者施設等の従業員に対する集中的検査などがございます。 新型コロナワクチンにつきましては、定期接種化に伴い、一部の方を除き、公費負担が終了することから、県では、市町村を通じて、来年度からの定期接種について周知するとともに、特に高齢者等の重症化リスクの高い方への情報発信に努めているところでございます。 なお、4月以降継続するものにつきましては、新型コロナウイルス感染症患者等に対する国の相談窓口のほか、発熱者、新型コロナワクチンの副反応等に係る県の相談窓口として、平日、日中は、県医療相談センター、休日、夜間は、専用のコールセンターで対応するため、現在必要な経費を本年度の当初予算案(後刻、「令和6年度当初予算案」と訂正)に計上させていただいているところでございます。 今般の変更に係る情報発信につきましては、県ホームページ、LINEを初めとしたSNS、新聞、ラジオなど、さまざまな媒体を通じ周知を図っていくほか、特に相談窓口につきましては、来年度以降も、市町村広報誌での周知や、全戸配布の県広報誌いわてグラフへの掲載等による情報発信に努めてまいります。 〇高橋はじめ委員 さまざまな媒体を通じて県民には周知をしていくということであります。私も、各家庭にSNS等あるいはホームページとかそういうことだけではなしに、紙媒体でもしっかりと配布していただければと思っております。そうした取り組み、それから、市町村と連携した取り組みは非常に重要だと思いますので、ぜひ、その点の取り組みをよろしくお願いしたいと思います。 次に、新型コロナウイルス感染症ですが、昨年の5月より感染症法上の位置づけが5類に区分されまして、本年3月末をもって診療体制やワクチン接種等について一つの区切りを迎えたと、このようにも言えるかと思います。さきにも、この間の県の取り組みや、その後、その効果、問題、課題について、総括を行い、次への体制整備を図るべきと、このような提言を申し上げておりました。3月末で一旦一つの区切り、この3年余りの現状、それまで何が起きたか、どういった取り組みをしてきたか、あるいはどういう課題があったか、それらをまとめて一つの報告書をつくりながら、次なるさまざまな問題について対応していく、その指針となるべきものをつくっていく必要があると、私はこのように思っていますので、その辺について、もう一度所管をお伺いしたいと思います。 〇木村感染症課長 済みません、今回の答弁に入る前に、先ほど答弁いたした中で、今年度の当初予算に計上させていただいているというところですけれども、正しくは、令和6年度当初予算案でございますので、訂正させていただきます。大変申しわけございませんでした。 次に、新型コロナウイルス感染症に係る医療提供体制の総括の部分でございます。新型コロナウイルス感染症が、感染症法の2類相当の指定感染症と指定された令和2年2月1日から5類に移行した現在まで、国と連携し、県では必要な取り組みを進めてまいりました。 県では、新型コロナウイルス感染症対応と一般医療との両立を図るため、医療機関の役割分担に基づく連携協力関係を構築し、オール岩手で対応してきたところでございます。 なお、5類感染症への移行後におきましては、より幅広い医療機関で対応できるよう、地域関係機関の連携強化や、医療機関間による入院調整円滑化の取り組みを継続してきたところでございます。こうした取り組みにより、入院医療体制については、確保病床によらない、通常の形での患者受け入れが進み、外来医療体制につきましては、かかりつけ医以外の患者にも対応可能な体制が拡充されてきているところでございます。 また、入院調整につきましては、行政によらない医療機関間での円滑に入院が決定される体制へと、移行が進んできたものと認識しております。 こうした新型コロナウイルス感染症対応を通じて得られた経験は、岩手県感染症予防計画の改定に反映させ、次の感染症危機に備えた体制確保に生かしてまいります。 〇高橋はじめ委員 生かしてまいりますというところは評価しますが、それを一つの報告書というか、形で残しておかないと、それが、これまでのいろいろなものがまとめられた、今おっしゃったような内容を含めて、それを記録として残しておかないと、次に何かあったときに、それが生かされてこないと思うのですが、その辺いかがですか。 〇木村感染症課長 コロナ禍の振り返りにつきましては、現在、復興防災部で、コロナ禍の振り返りという形で、冊子として作成しておりまして、今年度中に発表する予定でございます。 また、先ほど申し上げましたとおり、感染症対策については、現在、岩手県の感染予防計画の策定を進めておりまして、こうした新型コロナウイルス感染症対応の振り返り等も、予防計画にも記載させていただいているところでございます。 〇高橋はじめ委員 県としても、対策本部を設けて取り組んできたわけです。そういうところを含めて、私は、もう一回関係者の中でしっかり議論して、そして、一つの報告書に仕上げていかなければならない。 復興防災部でやるのは、今、少しおかしいと思ったのですけれども、保健福祉部もそこには大きく関与していかないと、ただ体制だけこう動きました、しかし、中身はこうだったというところが欠けていると、本当の意味で、次に生かされていかないと思いますので、その辺、ぜひお願いしたいと思います。 次に、新型コロナウイルス感染症並びに新型コロナワクチンに係るこれまでの総支出はどのくらいか。全体だと大変なので、主な支出項目について、わかる範囲で総額を伺いたいと思います。 〇木村感染症課長 新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金の医療分に係る支出についてでございます。 決算ベースで、令和2年度から令和4年度までの総支出額は483億円余となり、その主な支出項目は、病床確保に係る経費が293億円余と全体の61%、宿泊療養事業に係る経費が62億円余と全体の13%となっております。 令和5年度につきましては、2月補正予算ベースとなりますが、予算額が102億円余、病床確保に係る経費が80億円余と全体の78%、宿泊療養事業に要する経費が16億円余と全体の16%となっております。 新型コロナワクチン接種体制確保に係る県分の支出についてでございます。 決算ベースで、令和3年度から令和4年度までの総支出額は50億円以上となり、その主な支出項目は、ワクチン接種促進を目的とした医療機関への補助に係る経費が34億円余と全体の68%、集団接種運営に係る経費が10億円余と全体の20%となっております。 令和5年度につきましては、2月補正予算ベースとなりますが、予算額は9、500万円余。主な支出項目は、専門相談コールセンターに係る経費であり、9、100万円と全体の96%となっているところでございます。 〇高橋はじめ委員 この3年余りで、非常に多額の予算が投入されておりました。そういう意味で、一つ一つの支出項目の中で、予算が本当に生かされてきたのか、そういった検証もやがて必要になってくるという思いもしておりました。 国家予算では、100兆円余りの予算を確保して、この感染症に取り組むのだという当初のお話でありました。その大部分のところで、何にどのようにお金が使われているのかというのも、国会で議論しても、それが明確な資料として出てきていないということもあります。その負担は、国民が負担していかなければならないわけですから、私たちは、そういった中身もしっかりと検証しながら、次なるときの予算もつくっていかなければならないのではないか。そのような思いで、今お尋ねしたわけであります。これから、この件についても精査していかなければならないと私自身は思っております。 次に、新型コロナウイルス感染症の後遺症に悩む県民が長期にわたって出てくることが予測されます。それから、県民の相談窓口、専門医の紹介を継続すべきと思いますが、新年度以降どう対応するのか。類似する新型コロナワクチン後遺症に悩む県民の医療難民を防ぐ意味でも、大変重要と思われます。この辺について、これまでとこの4月以降で、どう取り組みをされるのかをお尋ねします。 〇山崎地域医療推進課長 4月以降の後遺症対策でございますけれども、4月以降におきましても、これまでと同様、引き続き、県ホームページにおきまして、後遺症の症状に応じて受診できる医療機関などについて情報発信をしていくほか、後遺症に係る相談につきましても、先ほど答弁いたしました平日、日中については、県の医療相談窓口、休日、夜間についても、新たにコールセンターで対応するための経費を、令和6年度当初予算案に計上しているところでございます。 引き続き、県医師会や医療機関等と連携しまして、後遺症に悩む方々に対する円滑な受診や治療等の支援に取り組んでまいります。 〇高橋はじめ委員 ホームページから、症状に応じてこういう医療機関にぜひ診察を受けてくださいという流れになってきているのですけれども、そういうところ、それから、さっきお話しされた4月以降のところで、専門医とかかりつけ医の関係もありまして、専門医でない医者が、このワクチンの後遺症あるいは新型コロナウイルスに感染した後遺症についてのさまざまな知識がなければ、見過ごしてしまうという可能性もあります。専門医がこれまでいろいろ診察してきた実例がかかりつけ医にも届くような情報の発信というか、医師会との協議の場でも、ぜひ、そういうことも含めて取り組んでいただければと思っておりますが、その辺はいかがですか。 〇山崎地域医療推進課長 今、新型コロナウイルス感染症のいわゆる後遺症については、全国的にもさまざま研究が進んでいるところでございまして、医療機関がどのように対応すればいいかというところは、新型コロナウイルス感染症の後遺症の診療の手引を国で発行しているものがございます。これまでと同様に、そういったものが新たに発行されました際には、医師会を通じまして、各医療機関にお知らせして、手引に沿って、適切に診療していただく、必要に応じて専門医を紹介していただくという体制を、引き続きとってまいりたいと考えております。 〇高橋はじめ委員 ぜひ、後遺症に悩む県民が難民とならないように、また、わからないで、三つも四つも五つも医療機関をあちこち回らなければならないということがないように、ぜひ、いろいろな実例が一目でわかるような、その手引が日々更新されているものであればいいのですけれども、ぜひ、その辺の情報提供をこれからもお願いしたいと思っております。 最後になりましたが、先日の一般質問で、野原企画理事兼保健福祉部長が欠席しておりまして、部長答弁も聞きたかったと思っておりましたが、一つの区切りを迎えたことについての保健福祉部長の所感を伺って、終わりたいと思います。お願いします。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 昨年5月8日に、いわゆる感染症法における位置づけが5類相当になりました。それまでは、いわゆる入院をしていただく、法に基づいて症状がない、入院の適応が臨床的にはなくても、周囲の方々への感染拡大防止の観点から、宿泊療養施設とか、そういった法に基づいた療養制限なども含まれていたのが、感染症とつき合っていく、いわゆる季節性インフルエンザと同様の対応になりました。それにあわせて、県でも、さまざま医療体制とか検査体制の円滑な移行なども行ってきたところでございます。 一方で、新型コロナウイルス感染症自体がなくなったわけではありません。これまで、いわゆるパンデミックということで新興感染症での対応だったのですが、これからはエンデミックといいまして、毎年季節ごとにある程度流行していく、これまでの風邪とか、季節性インフルエンザと同様に、私どもはつき合っていかなくてはならない感染症となりました。 そういった意味では、医療機関や介護現場においては、何ら感染症の負担は変わってないわけで、そうした部分での負担の軽減にきちんと努めていくとともに、私どもとしても、きちんと感染症の流行状況、あとは、対策などについて、科学的に正しい情報について、県民への発信に努めてまいりたいと考えております。 〇中平均委員 私からは、こころのケアセンターについてお伺いいたします。 令和6年度一般会計当初予算案の中に、被災地こころのケア対策事業費4億300万円余、また、自殺対策緊急強化事業費1億1、000万円余がございます。コロナ禍で、こころのケア対策事業費は100%国庫支出金、自殺対策についても、国費の金額が大きいということになっています。 そういった点を踏まえまして、お聞きしてまいるのですが、きのうで東日本大震災津波から13年というところでありますけれども、復興庁の設置の期限も、10年間延びて、令和13年までとされている中で、このこころのケアセンターのあり方です。今後の運営の仕方について、国はどのように考えているのか。今、持っている情報を教えていただければと思います。 〇日向障がい保健福祉課総括課長 こころのケアセンターにおける国の方針についてでございますけれども、先週、3月8日に開催されました国の復興推進委員会において、第2期復興・創生期間以降における復興の基本方針の3年目の見直し案が示されたところでございます。 こころのケアセンターにつきましては、センターにおける相談支援対応の実情、地方公共団体の精神保健福祉施策の状況等を踏まえ、適切な支援のあり方を検討するとし、その上で、第2期復興・創生期間内に終了しないものにつきましては、個別の事業を丁寧に把握し、政府全体の施策の総合的な活用も含め、事業の進捗に応じた支援のあり方を検討し、適切に対応するとされたところでございます。 国の第2期復興・創生期間は令和7年度までとされておりますが、その後の方針につきましては、現時点では具体的に示されておりませんけれども、心のケアは中長期的な取り組みが必要であることから、国に対して、財源措置も含めて、継続的な支援を求めていく考えでございます。 〇中平均委員 第2期復興・創生期間は令和7年度までということでありました。それが終了しない場合には、その後、さまざまな省庁等の予算を使いながらも続けていく方針という今の御答弁でありました。国の考えです。 その中でお聞きするのですけれども、岩手県として、今やっているこころのケアセンターの形での運営が、令和7年度で国の方針としては終わらせたい。終わらない場合は、次に続けていくということなのでしょうが、今後、今のケアセンターのあり方自体の評価と、令和7年度に、例えばその事業の目的を達成できると考えているのかをお伺いしたいと思います。 〇日向障がい保健福祉課総括課長 国の方針が、令和7年度の第2期復興・創生期間までとされているところではございますけれども、それ以降につきましても、岩手県におきましては、まだまだ相談状況も高どまりをしている状況であるとか、あるいはその地域で支援をしていただく方の体制のつくり方もあるかと思いますので、県といたしましては、必要な期間、ケアセンターの取り組みを続けていきたいと考えております。 〇中平均委員 そうですよね。やはり時間がかかることは私も重々承知しておりますし、知事のケアセンターとしてやっていくという話もありますし、復興大臣の去年の12月の発言ですけれども、ここでも、心のケアはどこの町にとっても重要な課題の一つであると、こういう発言をいつも各大臣からしていただいて、問題認識は国も持っているのだろうと思うのですが、ただ、実際に進めていくという中で、予算というか、事業的なものをある程度絞っていきたいという雰囲気も、国の方針として若干見えるのです。 そういったところを、岩手県として必要だということを訴えていかなくてはならないと思うのですが、そこでお伺いしますけれども、同じく被災した、宮城県、福島県。宮城県は、10年でケアセンターを解散して、各自治体に予算を振って、やっているという記憶もあるのですけれども、宮城県と福島県の心のケアの問題について、どのような対応をしているのか、ちょっと情報を教えてもらえればと思います。 〇日向障がい保健福祉課総括課長 宮城県、福島県の対応状況でございますけれども、福島県につきましては、まだまだ原発での広域避難、それから、帰還ができていないという状況もございまして、対応につきましては、長期的な取り組みが必要とお伺いしております。 宮城県につきましては、可能な限り、地元の自治体市町村等で、心のケアを担っていく方向で検討を進めるとされておりますけれども、地元と県との正式な合意と申しますか、そのあたりまではまだ進んでないとお聞きしております。 心のケアは、各県によって状況が異なるとは思いますけれども、岩手県におきましては、まだまだ必要と私どもは考えております。 〇中平均委員 そういった中で、どういうふうにしてこれを維持していくか、残していくか、そして、活動をより充実させていきながら運営していくことが大切だと思っています。 今は高どまりの方向で、相談件数も来ているのは前回も聞いた記憶がありますけれども、そういった中において、令和7年、第2期復興・創生期間で恐らくこのまま続けていかなければならない。国で、なるべくなら自治体にという話もあるのでしょうけれども、例えばケアセンターの維持で4億円来ているのを、各自治体に再配分してやるといっても、今と同じ体制のフォローアップ、今のケアセンターの体制での相談とかを受けられないのではないかと私自身は思うのですけれども、その点はいかがでしょうか。 〇日向障がい保健福祉課総括課長 本県の沿岸自治体の多くは、もともと精神保健福祉に携わる専門職の確保が難しい地域でございますので、こころのケアセンターに求められる役割は、引き続き高いものと認識しているところでございます。 県としましては、こころのケアセンターを中心とする相談支援体制を堅持いたしまして、被災者に寄り添った対応を継続するとともに、地域の保健師などの人材育成、スキルアップの支援や心の健康の普及啓発等を行いながら、関係機関と連携し、被災者の心のケアに包括的に取り組んでいく考えでございます。 〇中平均委員 そういった中で、予算的な考えをしていくと、国からも予算が確実に来ることが必要だと思うのです。こころのケアセンター4億300万円、県単を入れずにこれで維持して、運営している状況ですので、そうなってくると、毎年の国への要望等で記載しているのを私も見ているのですけれども、そういった国の予算確保の努力と、国に対する岩手県の実態、こころのケアセンター等運営の実態で、この効果があるからこそ予算は引き続き持ってこなければならないというのを訴えて活動していく必要があると思うのですが、そういった点、今後どうやって進めていくのかをお伺いします。 〇日向障がい保健福祉課総括課長 こころのケアセンターの維持のためには、今、中平均委員から御紹介があったとおり、予算の確保、財源の確保というところが重要かと思っております。 県といたしましては、これまで、政府予算要望におきまして、所要額の確保と、全額国庫による財政措置の継続について要望をしてきております。また、復興大臣等の現地視察の機会にあわせまして、本県の現状を説明するとともに、直接要望なども行ってきたところでございます。 県といたしましては、直接現場で携わっている方々の御意見も伺いながら、本県の実情を踏まえた心のケアの必要性や維持について御理解いただけるよう、機会を捉えまして、引き続き国に働きかけていきたいと考えております。 〇中平均委員 ぜひよろしくお願いします。地域地域で、さまざま皆さん活動をして、そして、少しでもこういうケアの手伝いをしていっている。そして、自殺予防等も活動しているところでございますので、引き続き、そういった実態を含めて、最後に保健福祉部長の決意は聞きませんから、大丈夫です。ぜひ、私どもも頑張っていかなければならないことだと思っておりますし、担当部としても、これからもお願いして、終わりたいと思います。 〇ハクセル美穂子委員 私からは、いわて子育て応援の店といわてで生み育てる県民運動について、お伺いしたいと思います。 いわて子育て応援の店は、平成19年度から始まり令和6年度で17年目の取り組みになるという事業でございます。割引などの特典がもらえるにこにこ店、外出しやすい配慮を行うほのぼの店と合わせて、現在では1、985の店舗が登録になっていると私も認識しております。 そして、もちろん令和6年度も同じような内容で行うということで、予算案が計上されているのですけれども、昨年度の新規登録店舗数は36店舗でした。大手のチェーンとかコンビニエンスストアとかそういったところが登録になるかどうかで、店舗数がその年によって大変大きく変わるというお話も聞いておりますが、去年は、別に予算を計上して、メディアを駆使して、いわてで生み育てる県民運動も実は行っている。その中にも、このいわて子育て応援の店とかさまざまな事業について、CM等を使いながら、普及啓発活動をしている。それでも、36店舗しかふえなかった。 これはどういう要因だったと考えておられるのか、検証はされているのか、また、そういった検証を含めても、来年度も同じように、この事業を続ける意義と目的についてお伺いしたいと思います。 〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 いわて子育て応援の店についてでございますが、この取り組みは、企業や店舗に協賛店として登録いただくことによりまして、妊婦及び18歳未満の子供連れの全ての家庭に対し、協賛店独自の子育て支援サービスを提供しているものでございますが、協賛店舗の拡充に向けては、企業訪問による登録の働きかけとか、ハクセル美穂子委員からも御紹介ありました県民運動と連動したテレビ、ラジオ等を通じた広報、周知などを実施しているところであり、店舗数自体は年々増加しているところでございます。 ただ、先ほどハクセル美穂子委員からも御指摘ありましたとおり、店舗数の年度ごとの増加の幅は、全国展開する企業、コンビニエンスストアとかそういったところが一斉に登録していただいた年は多く、それから、そういった年でなければ少ないということで、少し波があるというところがございます。 我々も、企業の登録の増加に向けて、企業訪問等で御紹介したりということで、取り組みは進めております。県民運動も実施をしており、令和5年度が36件で、昨年度より少ないという状況ですが、内訳を見ますと、個人経営の店舗の登録はふえておりますので、こういったところが県民運動とか企業訪問で御紹介した効果が出ているのかと思っております。 この事業は継続して取り組んでおりますけれども、子育てに係る機運醸成ということでやっておりますことから、子育て世帯、それから、登録していただいている企業双方にメリットを感じられる取り組みとすることが必要だと感じておりまして、さらに、PRの方法とか、お店へのフォローアップなど、工夫をしていきながら、運用していきたいと考えております。 〇城内愛彦委員長 答弁は、簡潔明瞭にお願いします。 〇ハクセル美穂子委員 企業訪問ということですけれども、それでは、どれぐらいの人員が、どれぐらいの時間をかけて、この子育て応援の店をふやすための企業訪問をされているのか、その辺は把握されているのでしょうか。お伺いします。 〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 企業訪問等の働きかけにつきましては、主に広域振興局で、子育てに優しい企業等の認証など、そういった他の子育て制度とあわせて、PR、働きかけをさせていただきます。今年度2月末現在では、100件の企業訪問を実施したということで、把握をしております。 〇ハクセル美穂子委員 100件もの企業訪問をもうやっていただいている。ただ、私、平成27年にもほぼ同様の質問をしています。県議会議員になった最初の年の決算特別委員会で、同じような質問をしているときにも、機運醸成のためにというお話をしていただいて、そうかと思っておりました。 そのときは、平成22年度に、利用状況についてのアンケートもしてあって、それを踏まえて、今後もやっていくというお話をされているのですけれども、平成22年度以降に、実際に使っている方々というか、店舗の方々にアンケート等をとったりして、いわて子育て応援の店という事業について、効果的になっているのか等々を検証されたことはあるのでしょうか。それもお伺いします。 〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 協賛店に対しましては、令和2年度にアンケートを実施しております。協賛店から挙げられたメリットとしては、お客様からよい反応があったとか、子育て支援の意識が高まったというメリットを挙げていただいている一方で、子育て世帯に対するさらなるPRをもっとしてほしいという意見もございました。 先ほども申し上げたとおり、この制度につきましては、利用者もそうですが、協賛店も双方にメリットを実感できるような取り組みが必要と考えておりますので、その辺の運用の工夫もしてまいりたいと考えております。 〇ハクセル美穂子委員 PRをしてほしいというのは、平成27年の私の質問に対する答弁でも、平成22年度のアンケートで同じようなことが話されていて、これからやっていくと、実は答弁されていることなのです。私もそう思います。 なぜかというと、令和元年度、にこにこ店ですね、特典をくださる店舗のほうです。こちらは622店舗だったのが、コロナ禍とかさまざまな要因があると思いますけれども、令和5年度では480店舗ということで、その前の年ぐらいよりは少しふえていますが、基本的に令和2年と令和3年のところでがくっと減っている。PRできるメリットが薄いというのがここではっきりしたので、やめられたりとかしたと、そういったのがあるのかと感じております。 私、この事業を、県が主体でずっと運営していくことが、本当にこれからもずっとやっていくべきなのか、少し疑問に思っているところがあるのです。その点については、先ほど同じようにやっていくという御答弁をいただきましたけれども、例えばですけれども、これは、多分、前も提言したことがあるのですが、民間の方々で運営して、その運営主体の方々にある程度公費を載せていくような形の事業に変えていくとか、さまざまやり方はあると思うのですけれども、そういった検証について、それから、検討については、どのようにされているのかお伺いしたいと思います。 〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 この取り組みは、社会全体で子育てを応援する機運の醸成ということを目的に実施しておりまして、機運の醸成につきましては、行政のみならず、関係団体とか企業、県民、あらゆる主体と一体となって進めていく必要がございますので、そのため、子育てに優しい企業等の認証の取り組み、県民運動、それから、子育て応援の店ということで、お店を対象とした取り組みを、県として実施していたところでございます。 この取り組みにつきましては、社会全体で子育てを支援する機運の醸成というところが、一番大きい目的でございますので、店舗からももっとPRをという御意見もございましたし、この取り組みがしっかりと機運醸成につながっていくことが大事だと思いますので、ハクセル美穂子委員から御提案のありました取り組み、それから、今、県として実施している取り組みの中身も十分に検証して、よりよい取り組みとしていきたいと考えております。 〇ハクセル美穂子委員 よりよい取り組みとしていきたいという御答弁をいただきましたが、ぜひお願いします。 実は、この事業以外にも、子育てとか、いろいろ少子化対策に関連する事業があると思いますが、同じような事業を、県民運動とか機運を醸成する事業を何個も何個も行っている中で、合計特殊出生率は余り関係ないのかもしれないとなってしまうのかもしれません。そういう指標についても上がっていないということで、重層的にやっていくことが本当に効果があるのか、きっちり検証しながら、私はやっていかなくてはいけないと思います。 子育て応援の店といわてで生み育てる県民運動以外にも、子育て応援パスポートとかです。それから、ことしからは、環境生活部で、いわて家事・育児シェア普及推進事業も始まります。少しずついろいろなところでちょこちょこやるよりも、きちんとしたものをしっかりやっていくという形で、財政的にも苦しい県であるということを、何度も私の質問にも答弁をいただいています。 県立病院等事業会計に対する繰り出しが多くて、こういったところがなかなかできませんというのをやっている中で、ちょこちょこしたものをきちんと集めて、スケールメリットを生かしたような事業にするとか、本当に効果のあるものをしていかなくてはいけない時期になっていますので、その点について、アンケートだけではなくて、アンケートをとった後の検証とか、民間の方々の力を借りて、2倍3倍の事業にしていくとか、そういったことをしっかりとやっていただきたいと私は思っております。その点について、改めて、もう一回御所見を伺いたいと思います。 〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 先ほども御答弁申し上げましたとおり、機運の醸成はあらゆる主体と一体となって進めていく必要があるということで、これまでもさまざまな事業として取り組んできているという形になっていると思います。 ハクセル美穂子委員御指摘のとおり、それらの機運醸成の取り組みが、どのぐらい効果を上げているのかというところを今後もしっかりと検証しながら、これからの取り組みについて検討してまいりたいと考えております。 〇ハクセル美穂子委員 子ども子育て会議でも、店舗数がふえているのでうまくいっていますと、それから、達成度はAですということもお話をされていました。それは令和4年度の子ども子育て会議の会議録にありましたけれども、私が今質問した内容のままずっとやってきて、そういうことをその会議の中でお話ししているのであれば、今後、本当に改善していくのかというのが、私にとってはどうなのかと思うところがありますので、いわて子育て応援の店の事業はもう17年目ですから、きちんと成果が出るようなことをやってほしいと思います。 私はこの事業が9年目のときに1回言っている。そして、今、17年目でこのことをお話ししておりますので、その期間のうちに、効果があったのかなかったのかというのは、十分検証できるような期間があったと思います。しっかりとその点について形にして、皆さんとともに新しいよりよい事業をつくっていただきたいと思います。 最後に、保健福祉部長にお願いして、終わりたいと思います。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 機運醸成については、多分、国も、こどもまんなか政策ということで、社会の意識を変えていくということで、今、取り組みを始めています。 多分、この取り組みの必要性は、ハクセル美穂子委員も含めて皆さん御認識なさっていると思うのですが、御指摘のとおり、我々がさまざまやっている事業の評価が、どれぐらい県民の機運醸成につながっているのかという検証、なかなか検証が難しい部分はあるのですが、これはきちんとしなくてはならないと考えています。 これは、子育て世代だけではなくて、子供を持っていない世代も、子育てを終わった世代も含めて、皆さんでの機運醸成だと思っております。佐々木特命参事兼次世代育成課長からも答弁申し上げましたけれども、アンケートなどは実施しておりますが、県民運動は確かにさまざましておりまして、我々もこの事業の検討の中で、事業効果をどう測定していくのかというのは、毎回、非常に悩みながら事業を進めている部分ではあるのです。有識者やさまざまな方からも御意見をいただきながら、アドバイスをいただきながら、きちんと検証をしながら、より効果的な事業展開、これに向けて検討を進めて、事業をきちんと発展させてまいりたいと考えております。 〇城内愛彦委員長 質疑は、簡潔明瞭にお願いします。 〇神崎浩之委員 4月から子ども子育て支援制度が大きく変わるわけですけれども、これが県内市町村で、うまくスタートできるかどうかということで、質問させていただきます。 政府は、本年2月16日、子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案を閣議決定いたしました。これは昨年からこども未来戦略方針であったり、それから、こども未来戦略であったりということで、さらに、経済的支援の強化、それから、支援の拡充をうたっております。 そこで、こども未来戦略加速化プランの進捗状況と内容についてお伺いいたします。初めに、児童手当については、ことしの12月から所得制限の撤廃、それから、支給期間の高校生までの延長。それから、第3子からは3万円への増額と、大きく経済的支援が拡充されるわけでありますけれども、今、自治体では、行政のデジタル化に伴って、さまざまな準備がおくれているような話も聞いております。これについて、県内の市町村の状況についてお伺いしたいと思います。 それから、あわせて、出産・子育て応援交付金についてでありますけれども、これは、5万円プラス5万円ということで10万円でありますが、私、前々から、例えば産後ケア事業についてとかそういうことも含めて、現金給付ではなくて現物給付でということを、県で市町村に働きかけてほしいという話をしておりましたけれども、どういう状況なのかお伺いいたします。 〇高橋子ども子育て支援室長 まず、児童手当についてでございますが、神崎浩之委員御紹介のこども未来戦略加速化プランでは、児童手当の抜本的拡充としまして、所得制限の撤廃、支給期間の高校生年代までの延長、そして、手当額の第3子以降3万円への増額のほか、手当の支払月を年3回から隔月の年6回とする内容が盛り込まれ、現在、所要の法案が国会で審議されているところでございます。 児童手当の拡充は、令和6年10月から実施されますが、初回の12月の支給に対応できますよう、国は、市町村等が業務システムの改修等を行う経費について補助することとしておりまして、先ごろ、補助金交付要綱が示され、現在、1市が交付申請を行っているほか、他市町村におきましても、来年度以降、順次、児童手当制度の見直しに向けて、取り組みを進めることとしております。 県といたしましては、引き続き、国の動向を注視しつつ、市町村が円滑に対応できるよう、必要に応じて助言等を行うなどの支援をしてまいります。 〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 続きまして、出産・子育て応援交付金についてでございます。 本事業は、妊娠期から出産、子育てまでの一貫して身近なところで相談に応じるという伴走型支援を、神崎浩之委員から御紹介ありましたとおり、5万円プラス5万円の10万円相当の経済的支援と一体的に実施をするものでございます。 神崎浩之委員から御指摘ありましたが、経済的支援の部分につきましては、これまで、全ての市町村が現金給付により実施しておりますが、出産、子育て関連用品を給付する方法も選択できるよう、県では、令和6年度当初予算案において、県内市町村が共通して活用できる、出産・子育て応援ギフトプラットフォームを運用する費用を計上しておりまして、市町村にもこの活用を促し、取り組みをさらに充実させるよう支援してまいりたいと考えております。 〇神崎浩之委員 ぜひとも、現物給付、産後ケア事業等に使っていただけるように推進していただきたいと思います。 それから、あわせて、ただ単に、現金給付ではなくて、伴走型相談支援もセットでということで、この仕組みは本当にいいと思っています。そこで、実際に、お金だけではなくて、伴走型相談支援の状況についてどうなっているのか、お伺いしたいと思います。 〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 伴走型相談支援につきましては、令和4年度の国の補正予算で事業が創設されまして、国の予算事業として、現在、実施されております。 本事業は、現在、県内の全ての市町村で取り組まれておりまして、妊娠初期、妊娠8カ月期、出産後における面談の実施などにより、支援が必要な妊産婦の早期把握、産後ケアなどの支援メニューへの活用促進など、妊産婦等に寄り添った相談支援体制の充実が図られているものと認識しております。 〇神崎浩之委員 次に、これは全国でもいろいろ話題になっておりますが、こども誰でも通園制度の県内での状況であります。 県内の準備状況、課題、それから、声。来年度は本格実施に向けた試行ということで、この段階がよくわからないのですけれども、いずれ、この制度の目的と、県内の市町村での実施状況と課題、声についてお伺いしたいと思います。 〇高橋子ども子育て支援室長 こども誰でも通園制度は、親の就労要件を問わず、柔軟に利用できる新たな制度として、令和8年度から、全国の自治体において実施することとされておりまして、本年度から、保育所の空き定員を活用して、未就園児を預かるモデル事業など、段階的に実施されているところであります。 本年度は、盛岡市と釜石市においてモデル事業を実施しておりまして、利用状況は、盛岡市の保育所では、1カ月につき14日を限度に、0歳から2歳児の6人が、また、釜石市の保育所では、週に1日から3日程度で、0歳から3歳児の5人が利用していると聞いております。 また、令和6年度のモデル事業につきましては、制度の本格実施を見据え、自治体ごとの補助総額や1人当たり利用時間の上限を設けた内容となっておりまして、盛岡市と一関市が実施を予定しております。 また、課題についてでございます。国では、本年度のモデル事業について、保護者や保育者に対してアンケート調査を実施しておりまして、それによりますと、保育者からの課題として、ふだんの保育に加え、子供対応にかける時間、労力がふえた、子供が環境に慣れることが難しいとの意見が多くなっておりまして、こうした保育者の仕事負担の増加や、子供への対応の難しさということが課題になろうかと認識しております。 〇神崎浩之委員 課題は本当に大変だと思います。受け入れ側が、突然知らない子供を預けられてということもあってやっているのですが、一方、老人ホームはそういうことをやっているのです。通常入っているお年寄りもいますし、ショートステイで、知らないお年寄りを急に預けられたりする。そういう例もあるので、ぜひとも、この試行期間にいろいろな声を聞いて、課題をまとめて、そして、推進していただきたい。 目的は、子育て支援というソフトなものよりも、虐待防止という意味もあるようでありますので、ぜひとも、制度を整えていただきたい。 それから、これも本年4月から始まる新しい制度ですが、こども家庭センターについてであります。これは、母子保健と児童福祉が一緒になってということになるわけですが、その整備状況、予定についてと、それから、そこには統括支援員という新しい資格が出るわけですけれども、その確保状況と、県は、統括支援員の資格、それから、育成講習会を準備しなければならないということですが、この辺の進捗状況についてお伺いしたいと思います。 〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 こども家庭センターについてでありますが、児童福祉法の改正に伴いまして、こども家庭センターの設置が市町村の努力義務とされます。現在、30の市町村が設置の準備を進めておりまして、うち19市町村が、法の施行日であります本年4月1日からの設置を予定しているところでございます。 神崎浩之委員からも御指摘ありましたとおり、こども家庭センターには、母子保健、児童福祉双方の知識を有する統括支援員の配置が求められているところですが、要件としましては、保健師、社会福祉士など、母子保健や児童福祉に係る資格を有し、一定の実務経験を有する者ということとされております。かつ、一体的支援に係る基礎研修を受講した者とされております。 基礎研修につきましては、国において、本年4月以降に、オンライン形式で研修を実施する予定としておりますので、県としては、本県の受講が統括支援員の必須条件となっていることから、市町村に対して、受講を促してまいります。 〇神崎浩之委員 この事業の中には、もう一つ大きな特徴がありまして、サポートプランを作成することになっております。これも非常にいいことですけれども、現場は、準備が大変だと思っております。そのサポートプランの概要、内容、それから、作成の対象者の数、メリット、課題等があれば、教えていただきたいと思います。 〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 サポートプランについてでございますが、支援の必要度が高い妊産婦や子育て家庭に対して、切れ目なく支援を行うため、個々の家庭の課題やニーズ、必要な支援の種類及び内容などを盛り込んだサポートプランを作成することとされておりますが、対象者は、母子保健の観点から、健康の保持及び増進に関する支援を必要とする者、要保護児童、要支援児童とその保護者、特定妊婦とされておりまして、また、それに加えまして、子の養育に不安を抱え、行政機関からの継続的な支援を希望する者とされておりますので、対象者数については、相当数いるものと考えられます。 サポートプランの作成によりまして、個々の家庭の課題やニーズに応じたサービスを組み立て、それを明文化することにより、支援対象者の合意のもと、関係者間でその内容を共有し、継続的な支援へとつなげられるメリットがあると考えております。 一方で、支援者との関係性の構築や支援ニーズの十分な把握、サービス資源の把握、開拓などが必要となりますので、それらに対応するための人員体制の確保や、ノウハウの習得が課題であると考えております。 〇神崎浩之委員 本当に必要なことですけれども、デリケートな問題でありますので、ぜひとも、この進捗状況については、県でも把握していただいて、支援をしていただきたい。 最後に、保健福祉部長に2点聞いて、終わりたいと思います。 一つは、政府が、出産、子育てサポートについて、このように大きな支援をしているということで、児童手当の拡充であったり、それから、出産については42万円から50万円、今後は、医療保険でも見ましょうという構想もあります。 それに伴う財源としては、こども基金等を準備していくということがあって、こういう動きに対して、出産、子育て支援に関する今の政府のこのプラン、これについての部長の所感、期待すること。 それから、もう一つは、私、産後ケアも含めていろいろ質疑をやっているのですけれども、県のほうが市町村の状況をきちんと把握できていないのではないかという気持ちを持っております。 それは、今、子育てのお金は、県を通さなくて、国が直接やっているものですから、行政から予算が通らないと、事業に興味がないというかそういうことで、市町村に任せきりになっているのではないかということもあるので、ぜひとも、本庁でも、各広域振興局を使って、現場の市町村の課題、そういうものを吸い上げて、必要な援助をするのではなくて、出向いていって、こちらのほうから課題を聞いて、それを県政に反映させるような仕組みを整えていただきたい。部長のからこの2点お願いいたします。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 国では、少子化対策の財源確保のために、子ども子育て支援金制度を、令和8年度から段階的に導入するということで、年齢にかかわりなく、能力に応じて支え合うという、全世代型社会保障構築の観点から、今、さまざま制度を整え、議論しているところでございます。 いずれ、少子化対策については待ったなしで、この五、六年が勝負だと思います。これまでも、結局、やるべきときにやってこなかったという反省もあって、国としては、20代女性人口が減少していく中で、今が本当に最後のチャンスだという思いで、こども未来戦略を立てました。 当然に、市町村や都道府県も、この人口減少対策、子育て支援施策は、もう目の前の最も重要な施策という意気込みで取り組みを進めている中で、国、都道府県、市町村が同じ思いで、この施策に取り組んでいくことについては、とてもよいことではないかと思っております。必要な財源の確保が重要でございますので、ここは、国会の中で国民的な議論、国会の中できちんと議論した上で、国民の皆様方に納得が得られるような制度設計を望むところでございます。 続きまして、市町村との連携でございます。神崎浩之委員から御指摘あったとおり、例えば私ども産後ケア事業の支援をさまざま取り組んでいるのですが、法律のたてつけ上、実施主体が市町村になっておりまして、都道府県の役割は法律上ない中でやっています。 例えば補助事業も、県を通さないで、国から直接、実施主体である市町村に行くということで、御指摘あったとおり、私どもは、市町村がそれぞれ地域の中でどういう工夫をされているかというのが、皮膚感覚としてなかなかわかりにくいというのも御指摘のとおりでございます。 一方で、少子化対策や子ども子育て支援政策は、市町村と県がきちんと連携をして取り組まないと、お互いが役割分担をしっかりして、有効な施策を打っていかないと機能しないことは、市町村も私どもも共有しておりますので、市町村の情報をきちんと集めて、一緒に取り組んでいこうという機運の中で、来年度、例えば市町村支援の事業の分析なども行って、伴走型支援を行っていくという事業なども盛り込ませていただいたところでございます。 ふるさと振興部の関係ではございますが、特命課長などを配置しながら、地域をよく把握している広域振興局と市町村が連携をして取り組んでいくという取り組みもさせていただいたところでございますので、今後とも、市町村ときちんと情報共有、交換しながら、効果的な施策を展開できるように努めてまいりたいと考えております。 〇城内愛彦委員長 質疑は、簡潔明瞭にお願いします。 〇小西和子委員 私からは、イー歯トーブ8020運動推進事業についてお伺いいたします。 10年以上前に制定された岩手県口腔の健康づくり推進条例等が、イー歯トーブ8020プラン(岩手県口腔の健康づくり推進計画)の法的根拠になっています。これは、議員立法の形をとっていますが、岩手県歯科医師会が作成した案を追認したものです。当時も、フッ化物洗口の問題点を指摘したのですが、議員立法であることを理由に取り上げてもらえませんでした。 この推進計画は、12カ年計画であること、学校でのフッ化物洗口との記載から、学校現場との合意形成がなされないまま、トップダウンで強制的に導入されていること、海外で、フッ素を公共用用水へ添加している国は過去40カ国ありましたが、現在は半減しています。スウェーデン、ドイツ、オランダなどでは、フッ素の使用を禁止。フッ素予防の発祥地のアメリカでも、フッ素の人体に対する毒性と環境に及ぼす影響で論議が起こり、大きく方向転換を始めています。コクラン報告でも無効とされています。 それではお伺いします。イー歯トーブ8020プラン(岩手県口腔の健康づくり推進計画)(第2次)2024―2035素案に対するパブリックコメントで、128通のうち107通も、フッ化物洗口を学校で行うことに反対の意見がありました。それにもかかわらず、そのまま小学校、中学校においてとか、学校職員及び教育委員会という文言を残しています。このことについての納得のいく説明を求めます。 パブリックコメントに対する検討結果、県の考え方では、厚生労働省医政局長及び健康局長通知を踏まえたものであることとの記載が全てにあります。しかし、厚生労働省も、文部科学省も、以前から、学校でのフッ化物洗口を積極的に導入すべきというスタンスではないことを、国会の質疑等で確認しております。 では、見解をお伺いいたします。 〇前川健康国保課総括課長 まず、学校における集団フッ化物洗口の実施につきまして、ただいま小西和子委員から御紹介いただきましたとおり、パブリックコメント等におきまして、多くの反対意見をいただいたほか、また、次期イー歯トーブ8020プランの検討を行う協議会におきましても、教育関係の委員から、安全面での不安や教職員の負担の大きさ、関係者の合意がないまま実施されている例などもお聞きしております。 こうした意見も踏まえまして、有識者等による専門委員会において、プランの最終案の検討を行い、さまざまな御意見が出された中で、最終的には、本県の乳幼児、学齢期の虫歯の現状、集団で実施するフッ化物洗口の虫歯予防効果等を踏まえまして、学校における集団フッ化物洗口も有効な手法の一つの選択肢としてプランへの記載を残すこととしたものであります。 一方で、反対意見の背景にございます学校現場の現状に対する理解と配慮も重要でありますので、学校で実施する場合には、学校歯科医、学校薬剤師等の指導、安全性の確保、そして、関係者間の合意形成が必要であることをプランに明記することとし、改めて、市町村、関係団体等に周知を図っていきたいと考えております。 続きまして、厚生労働省等のスタンスについてでございますけれども、厚生労働省におきましては、令和3年度に最新の知見等を踏まえて取りまとめられた研究報告書に基づきまして、令和4年12月にフッ化物洗口の推進に関する基本的な考え方を定め、県市町村、関係団体等に対して周知を図っております。 その中で、小児期については、う蝕の予防及び健康格差の縮小の観点から、集団フッ化物洗口を施設等で実施することが望ましいとされており、あわせて、実施に当たって、必要な事項や手順等が示されたところでございます。 文部科学省におきましても、令和5年1月6日付で事務連絡が発出されており、厚生労働省通知の周知とあわせまして、学校での実施に当たっては、市町村による実施や歯科医師会、薬剤師会の協力など、関係者間での適切な役割分担を検討し、教職員の負担軽減に配慮するよう示されているところでございます。 県では、これらの通知等に基づき、各地域及び学校の現状や実施する上での課題などを踏まえながら、関係者間で十分な協議が行われるよう、今後とも、教育委員会、市町村との連携を図っていきたいと考えております。 〇小西和子委員 そのようなお答えですけれども、学校で、医師でも看護師でもない教員が、歯科医師の指導もなく、劇薬であるフッ化物を希釈すること、洗口液の保管及び廃棄をすること、劇薬であるフッ化物を貯蔵すること、資格のない者がこのようなことを行うこと自体、不安で仕方がないという声が寄せられています。 アレルギーを持つ児童生徒が多い昨今、身体的不調や拒否反応を起こす可能性も否定できません。県外でも多く発生しているのですけれども、フッ化物洗口後に、児童生徒が体調を崩した事例も複数報告されています。問題が発生した際の責任の所在を伺います。保健福祉部が責任を持つということなのかどうかです。 〇前川健康国保課総括課長 ただいま御指摘のとおり、フッ化物洗口に関する不安等につきましては、多くの意見が寄せられております。 フッ化物洗口の実施に伴い、問題が発生した場合の責任の所在と対応につきましては、発生に至った経緯等も踏まえまして、関係者がそれぞれの立場に応じた責任の範囲により対応するものと認識しておりますが、適切な対応を行うためにも、実施に当たりまして、関係者間での合意形成、実施上の課題などを十分に検討し、関係者間での役割分担、責任の範囲を明確にするなど、安全に実施するための体制づくりを行うことが重要と考えており、県においても、必要な支援を行っていきたいと考えております。 〇小西和子委員 では、保健福祉部が責任を持つことで進めていかなければならない。学校では責任は持てません。学校はやりたくてやっているわけではないのです。合意形成なんて一度もありません。どこの学校も、強制的にトップダウンで押し込められているのです。 多くの教員の超過勤務時間が過労死認定されている月80時間を超えております。文部科学省は、教員が行うべき業務に絞って業務を精選することで、持続可能な学校現場に変える働き方改革を強力に進めています。教員を目指す若者が激減している理由の第1は、このような過重労働です。学校での集団フッ化物洗口は、学校で行う業務には含まれていません。一介の担当者、ほとんどは養護教員ですが、その作業時間は、計画から後始末まで平均2時間半かかります。担任は40分かかります。これを大体週に一遍ということで進めていますから、4週間、5週間、4回、5回、それから、学校規模においては、本当に毎日のように行わなければならないということにもなるわけです。 子供たちも、始業前の時間や休み時間を奪われます。ですから、勤務時間前に準備をしなければいけないことも、時間外労働がふえる理由かと思われます。教員の働き方改革とフッ化物洗口についての見解を伺います。 〇前川健康国保課総括課長 学校における集団フッ化物洗口の実施に当たりましては、先ほども御答弁したとおり、教職員の負担軽減に配慮するよう、文部科学省からも事務連絡が発出されており、関係者間での適切な役割分担の検討が求められていると認識をしております。 本県におきましても、関係者間で役割分担を行いまして、教職員以外が実施している例もあると聞いております。学校という場で実施する場合にも、教職員のみに負担が集中することのないよう、関係者が連携、協力し合い、実施する方法もあると認識をしております。 教職員の働き方改革を進めるに当たりましては、こうした実施方法なども含めて、業務の役割分担、適正化について、関係者間で十分に協議、検討を行っていただくことが重要と考えております。 〇小西和子委員 教職員以外が行っているところはごく限られたところです。それをわかってください。ほとんどこのような過重労働になっているのです。 WHO―世界保健機構では、1994年に、6歳未満の子供へのフッ化物洗口は禁忌、強く禁止となっていますし、フッ化物洗口を推進してきたアメリカの歯科医師連盟ですら、同じように、6歳未満の子供へのフッ化物洗口は禁忌、強く禁止となっています。ところが、イー歯トーブ8020プラン最終案28ページには、保育施設、認定こども園及び幼稚園等の4、5歳児を対象にと記載されています。見解を伺います。 〇前川健康国保課総括課長 6歳未満の子供へのフッ化物洗口を禁忌としているWHOの見解につきましては、1994年に示されたものでございますが、これは、虫歯を予防するために、水道水中のフッ化物濃度を調整する、いわゆる水道水フロリデーションを実施している地区の6歳未満の小児を対象としたものでございまして、水道水に含まれるフッ化物に加えて、フッ化物洗口を実施することで、歯のフッ素症のリスクが増加する可能性があるという観点で発表されたものと認識をしております。 日本におきましては、水道水フロリデーションは行われておりませんので、正しい洗口法で実施すれば、フッ素症の影響を考慮する必要はないと考えられており、令和5年12月に厚生労働省から示されました基本的な考え方におきましても、4歳から14歳までの期間に実施することが、虫歯予防対策として最も効果的であるとされているところでございます。 一方で、このような考え方が十分に周知されておらず、フッ化物に対して不安を抱いている方もいると思われますので、県では、引き続き、さまざまな機会を捉えて、周知に努めていきたいと考えております。 〇小西和子委員 フッ化物は毒です。ねずみ退治に使っている原料です。 現在、集団を対象とした保健政策は、フッ化物洗口だけです。いいですか。子供たちの虫歯は年々減少しています。本当に少なくなっています。これは、学校でブラッシングを丁寧に指導してきたからです。学校で、薬剤を使用してまで行わなければならないという状況ではありません。むしろ、このフッ化物洗口することで、歯磨きしなくてもいいのだという、そんな風潮が広まっていると聞こえています。歯肉炎についても、大変危機的な状況だということです。 パブリックコメントで示され、先ほど紹介しましたけれども、小学校、中学校においてとか、学校職員、教育委員会という文言を削除すべきであります。これは、健康いわて21プラン及びイー歯トーブ8020プラン、どちらもです。このことについて、保健福祉部長から見解を伺います。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 これらは、前川健康国保課総括課長から御答弁申し上げましたとおり、県としては、学校における集団フッ化物洗口は、子供の虫歯予防の効果が期待される取り組み一つであると考えており、実施に当たりましては、特に教職員の負担軽減に配慮しながら、各地域において、十分に県と協議の上、地域の実情に応じて実施をされる必要があると考えております。 本県のみならず、全国的に学校での実施を見直すべきという声があることは十分承知をしているところでございまして、教職員の負担軽減などに十分配慮し、実施方法を見直しながら、取り組みを継続している自治体の例もありますことから、関係者が連携、協力し合い、実施する方法を検討することも重要と考えております。 このため、県といたしましては、次期プランにおきましても、学校におけるフッ化物洗口について記載させていただきたいと考えておりますが、あわせて、教職員の負担軽減への理解や配慮が進むように、教職員とも連携し、必要な取り組みを行っていきたいと考えております。 最終的には、前川健康国保課総括課長からも答弁したとおり、最終案の中には、学校が実施する場合には、学校歯科医、学校薬剤師等の指導、安全性を確保、そして、関係者間の合意形成が必要であるという旨をきちんと記載させていただいたところでございますので、こうした点については、関係市町村にもきちんと周知を図ってまいります。 〇小西和子委員 合意形成は全くないです。 それから、先日行われた岩手県健康増進計画推進協議会では、県は、県として強制的に導入するというものではないと答弁しています。ということから、合意形成は全く行われていないということでありますので、今後、合意形成がない場合については、強力には推薦しないことを確認したと思っております。 ひとり親家庭等相談支援事業についてです。岩手県ひとり親家庭等自立促進計画の期間は、残すところ1年であります。以前は、相談件数が指標にありましたけれども、いつの間にか削除されています。さまざまな理由があって、相談件数が1、000件以上。ところが、同じ人から何度も相談があった。相談員をかえたら、いきなり件数が減ったなどということがありました。 目標を達成できなかった要因を伺います。これまでの取り組みを検証し、支援が必要な方々に必要な支援が行き届く取り組みにするための、次年度に向けた保健福祉部長の決意をお伺いして、終わります。 〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 まず、ひとり親家庭等相談支援事業について御答弁いたします。 本事業により、ひとり親家庭等応援サポートセンターを令和2年度に設置しておりますが、設置当初は、関係機関等に対する周知が十分に行き届いておらないこともありまして、特定の相談者からの対応が多い状況にありました。 現在ですが、初期の相談において拾い上げた悩み、ニーズに対し、関係機関と連携した対応を重視しておりまして、令和5年度は、夜間相談時間の延長、LINEによる相談対応など、相談しやすい環境整備にも取り組んでおりまして、相談延べ件数は、令和4年度308件から、令和5年度は2月末現在で486件と、増加しております。 また、各圏域のサポートネットワーク会議についても、今年度は九つの圏域全てで設置をされているところでございます。このように関係機関と連携を強化しながら、相談機能の充実、充実に向けまして、継続して取り組みを進めてまいりたいと考えております。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 県では、平成30年度に、岩手県子どもの生活実態調査を実施いたしまして、ひとり親家庭の方々の相談窓口の利用とか認知度が低いことが明らかになり、それを受けて、令和2年度から、ひとり親家庭等応援サポートセンターを設置したところでございます。 その後、新型コロナウイルス感染症の影響の長期化や物価高騰などもございまして、ひとり親家庭を取り巻く環境も厳しくなっているものと考えておりまして、支援を要する人や、ひとり親家庭が着実に相談につながり、それぞれの課題やニーズに応じた適切な支援を受けられることが重要であると考えております。 現在の岩手県ひとり親家庭等自立促進計画は、来年度で計画期間の最終年を迎えますことから、次期計画の策定に向けまして、今年度、ひとり親世帯等実態調査及び子どもの生活実態アンケート調査を行っております。こうした調査を通じまして、子供やひとり親家庭の現状及び課題を把握した上で、これまでの取り組みの検証を行い、ひとり親家庭が経済的に自立し、子供が心身ともに健やかに成長できる地域社会の実現に向けた今後の取り組みを検討し、次期計画に反映してまいりたいと考えております。 〇高橋但馬委員 災害派遣精神医療チーム設置事業費についてお伺いします。 東日本大震災津波後にDPATが発足したと考えておりますけれども、発足の経緯についてお知らせください。 〇日向障がい保健福祉課総括課長 災害派遣精神医療チーム、いわゆるDPATの発足の経緯についてでございますが、東日本大震災津波後、全国からこころのケアチームが派遣されましたけれども、定義や役割が明確ではなく、必ずしも効率的な活動ができなかったことから、国が、平成25年に災害時の精神保健医療ニーズに対応することを目的といたしました専門的な研修、訓練を受けたチームをDPATと定義し、活動要領を定めたものでございます。 本県では、平成28年に運営要綱を定めるとともに、国の研修、訓練へ精神科医師等を派遣しているところでございます。こうした取り組みによりまして、県の人材育成にも取り組んできているところでございます。 〇高橋但馬委員 令和6年度一般会計当初予算案を見ると、令和5年度より金額が増額しているというのがあるのですけれども、この増額の理由と、その支援体制の整備状況についてお知らせください。 〇日向障がい保健福祉課総括課長 まず、予算の増額理由についてでございますけれども、被災地でDPATが活動時に携行します衛星携帯電話につきまして、現行機種が令和7年度で使用できなくなることから、その更新に係る経費約130万円、令和6年度当初予算案に計上したところでございます。 次に、支援体制の整備状況につきましては、令和4年度末現在、DPAT隊員登録数は、全国では4、279人、本県では88人となっているところでございます。 〇高橋但馬委員 本年1月8日に、岩手県DPAT調整本部を設置して、1月12日に能登半島地震被災地へ出発しました。現地の対応状況と再出発の要請は来ているのかどうかをお知らせください。 〇日向障がい保健福祉課総括課長 能登半島地震における岩手DPATの現地での活動状況についてでございますけれども、能登半島地震におきましては、国の派遣要請に基づきまして、移動日を含め、1月12日から19日までの間、岩手DPAT隊として4人で構成する岩手医科大学のチームを派遣したところでございます。 岩手DPAT隊は、石川県のDPAT調整本部の指示に基づきまして、主に石川県珠洲市内の避難所や在宅避難者を訪問いたしまして、相談支援や入院搬送等の活動を行ったところでございます。 現在、石川県では、他県隊の活動は終了しておりまして、現時点で、本県からの派遣予定はございませんが、再度要請があった場合につきましては、関係機関と相談をいたしまして、派遣を検討していくとしているところでございます。 〇高橋但馬委員 現地に行って対応するのは、チームワークも非常に重要になってくると思うのですけれども、どのようなシステムを活用して、被災者の支援をしているのか、その辺をお知らせください。 〇日向障がい保健福祉課総括課長 災害発生時の被災者支援に係るシステムの活用状況等についてでございますけれども、現在、広域災害救急医療情報システム―EMISと災害診療記録―J―SPEEDの二つのシステムを運用しております。 このうち、EMISは、災害派遣されましたDPATやDMATなどの医療救護班が、どのような活動状況にあるのかを共有することに活用されておりまして、 J―SPEEDにつきましては、個々の診療情報などを相互に各隊が共有するために活用されております。 これらのシステムにつきましては、個人情報が含まれるため、調整本部や隊員などの限られた従事者のみ入力、閲覧ができるものとされているところでございます。 〇高橋但馬委員 そのようなシステムをしっかりと活用して、被災者の支援に当たっていただきたいと思います。 災害時に、うつやパニック障害といった精神疾患を抱えている被災者への診療とかケア、そして、一般の被災者への心のケアも非常に重要だと考えております。これから、多様化する災害の状況に対応できるように、日ごろからの準備が非常に重要となってくると思いますけれども、そこに対する対応状況をお聞きして、終わりたいと思います。 〇日向障がい保健福祉課総括課長 まず、DPATの活動についてでございますけれども、県では、コロナ禍で休んだ時期はございましたけれども、毎年度、その研修を実施しておりまして、実際の活動に即した内容の研修になるように、さまざまな講師などもお呼びしながら、取り組みを進めているところでございます。 また、精神関係のチームということもありますので、場合によっては、救急搬送であったりということも、実際に能登半島地震における派遣でも行ったところでございますので、そういうことも含めて、今後とも、隊員の資質向上であったり、人材確保に取り組んでいきたいと考えております。 〇城内愛彦委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。 午前11時57分 休 憩 午後1時1分再開 〇千葉盛副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。 〇村上貢一委員 初めに、特定妊婦に対する支援についてでございます。 2009年に、児童福祉法に明記された特定妊婦の定義は、出産後の養育について出産前において支援を行うことが特に必要と認められる妊婦のことであり、その要件は、経済的困窮、若年妊娠、妊娠葛藤、多胎、母体の心身の不調、妊娠後期の妊娠届出、妊婦健診未受診、妊婦自身や家族が知的、精神的障がいなどで育児困難等、そのような理由から、出産前から子供の養育に支援が必要な妊婦だと判断されると、特定妊婦として自治体に登録され、支援の対象となります。 また現在は、児童福祉法から、支援を要する妊婦等を把握した医療機関や学校は、その旨を市町村に情報提供するよう努めるものと規定もされております。 そこで、現在の本県の特定妊婦の現状、登録数とその該当要件、対応状況などをお伺いいたします。 〇高橋子ども子育て支援室長 特定妊婦につきましては、妊娠届が提出された際、妊娠についてのアンケートの実施や保健師等の面談により把握されておりまして、令和4年度は151人となっていますが、各市町村の要保護児童対策地域協議会に登録され、個別のケース検討や家庭訪問等による支援が行われております。 なお、該当要件についてでございますが、先ほど村上貢一委員が御紹介のとおり、特定妊婦は児童福祉法において定義されておりまして、国の手引では、こちらも村上貢一委員御紹介のとおり、養育の問題がある妊婦、支援者がいない妊婦、望まない妊娠をした妊婦などと例示されておりますが、先ほど御答弁申し上げたとおり、妊娠届の際のアンケート調査や保健師等との面談によりまして、市町村において特定妊婦として判断されているものでございます。 〇村上貢一委員 わかりました。 そうは言いましても、予期せぬ妊娠、思いがけない妊娠などで、特定妊婦として把握されず、行政や医療機関ともつながれない女性、どうしたらいいかわからないという悩みを抱えた女性、助けを求めづらい、頼ることができない女性や当事者などが、より深刻な状況に置かれている実態も少なからずあり、一定数の対象者がいるものとされている状況があります。 本県においても、(仮称)いわて困難な問題を抱える女性への支援等推進計画(2024〜2028)が策定予定の中、予期せぬ妊娠に対する相談体制の現状と課題をどのように捉えているのか、お伺いいたします。 〇高橋子ども子育て支援室長 妊娠届の提出には至っていない予期せぬ妊娠や妊娠不安等に悩む方に対しましては、県では、保健所での相談支援や、婦人相談所による相談支援と、一時的な居場所として、必要に応じて一時保護を行っていますほか、民間では、にんしんSOSいわてが、相談対応や一時的な居場所の提供等を行っております。 また、民間の婦人保護施設におきましては、生活に困難を抱える妊産婦に、居場所の提供や自立に向けた支援等を行っております。 相談体制の課題についてでございますが、相談は、予期せぬ妊娠などで悩む方を、適切な支援につなげるための重要な過程であるとも考えますことから、身近なところで、できる限り早期に相談できるよう、相談体制の充実を図ることが必要と考えております。 〇村上貢一委員 私、過日、今もお話にありました民間支援団体でありますにんしんSOSいわてにお伺いし、直近の状況等を伺ってまいりました。 今は、電話、メールでの相談、病院や公的機関への同行支援、出産前後の一時的な居場所支援、関係機関とのつなぎ支援等を行っているとのことであり、その相談体制は、週3日ではあるが、祝日、年末年始も無休で、24時間体制ということでございます。 相談件数は、令和4年8月の開設から、現在では140件を超えている。そして、その相談先は、県内全域からの相談、青森県、秋田県を初め、遠くは西日本からも来ているということでありました。 これまでには、乳児の生命に係るような事案や、緊急的な事案等もあったとのことでございます。 県は、このような民間団体の取り組みに対して、どのような評価や認識を持ち、また、今後の活動支援への御所見をお伺いいたします。 〇高橋子ども子育て支援室長 民間の取り組みに対する評価についてでありますが、にんしんSOSいわては、メール等を活用した相談支援や、医療機関への同行支援、一時的な居場所の提供などを行っておりまして、行政機関のみでは対応が行き届きにくい、こうした柔軟性のある民間の取り組みは重要であると認識しております。 あわせて、支援を必要とする方への包括的で切れ目のない支援のためには、民間のこうした支援から、生活の場である市町村等の支援へつなぐなどが必要でありまして、行政と民間の連携した取り組みもあわせて重要であると考えております。 今後の活動支援につきましては、先ほど村上貢一委員からも御紹介いただきました、いわて困難な問題を抱える女性への支援等推進計画(2024〜2028)、こちらの計画は年度内に策定を予定しておりますが、この計画の策定過程におきまして、にんしんSOSいわてなど民間団体から、活動に係る課題などを伺っておりまして、団体からは、民間の支援の際、市町村等関係機関からの情報入手や情報共有、また、支援の引き継ぎ等の連携が難しいとの意見が複数ありましたことから、今後の円滑な活動のためには、県や市町村などの行政や関係機関、民間との連携や課題共有、支援の調整といった支援をすることが必要であると考えております。 〇村上貢一委員 国では、令和6年度、妊産婦等生活援助事業として、家庭生活に困難を抱える特定妊婦や出産後の母子等に対する支援の強化を図るため、一時的な住まいや食事の提供、その後の養育等に係る情報提供や、医療機関等と関係機関との連携を行うということであります。 ぜひ、県においてもこの事業を積極的に活用して、今後の施策展開へ図っていただきたいと思います。その御所見をお伺いします。 〇高橋子ども子育て支援室長 村上貢一委員御紹介の国の妊産婦等生活援助事業の活用につきましては、今後、国から示されます実施要項を確認するほか、困難を抱える妊産婦等に対しましては、これまでも、県や市町村、民間による支援が行われてきましたことから、これらの既存の支援体制の現状やニーズなどを十分に把握し、検討してまいります。 〇村上貢一委員 ぜひ、よろしくお願いしたいと思います。 次に、ひとり親世帯の自立支援施策の観点から、離婚時の親支援講座や養育費、面会交流の取り決め等、支援の現状、今後の対策についてということでお伺いいたします。 初めに、本県における離婚件数の状況についてお伺いいたします。 〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 本県の離婚件数についてでありますが、国の人口動態統計によりますと、本県の離婚件数は、令和4年は1、492組で、前年より33組増加しておりますが、中長期的には減少傾向で推移しております。 人口1、000人に対する離婚率は、令和4年は1.27%で、全国の1.47%より低い数値となっております。 〇村上貢一委員 わかりました。 続いて、平成24年4月1日に民法第766条が改正、施行され、離婚協議の際に、父母が協議で定める事項として、養育費と面会交流があること、これらの取り決めをするときは、子供の利益を最も優先して考慮しなければならないことが明記されました。 また、国の令和4年度モデル事業となった離婚協議開始前の父母等に対して、離婚が子供に与える影響、養育費や面会交流の取り決めや、離婚後の生活を考える機会を提供することを目的とした、親支援講座の取り組みも非常に肝要と認識しますが、市町村のその取り組み状況がわかれば、お知らせください。 また、県の事業支援への御所見をお伺いいたします。 〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 村上貢一委員御紹介の国のモデル事業を活用した事業でございますが、現在、県内では、それを活用して、事業を実施している市町村はございません。 面会交流につきましては、県内ではFPIC―公益社団法人家庭問題情報センターが、有償ではありますが、支援を行っており、市町村におきましては、年1回の児童扶養手当現況届提出の時期に合わせて、FPICの無料相談窓口を設置するなど、連携を図っている市町村の例もあると聞いております。 また、県としましては、委託設置しておりますひとり親家庭等就業・自立センターにおきまして、相談員による養育費相談や、弁護士による無料法律相談により、養育費や面会交流の取り決め方法などの相談に対応しているほか、養育費確保に向けた諸制度とその活用方法等に関する講習を実施しておりまして、市町村等を通じて、必要な方へのこれらの活用を促しているところでございます。 〇村上貢一委員 親支援講座は、市町村では取り組んでいるところは一つもないということでございますが、その件について、担当部としてはどのような見解をお持ちですか。 〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 村上貢一委員御指摘のとおり、親の離婚によって子供の利益が損なわれないことが、非常に大事だと思っておりまして、県では、先ほども申し上げましたけれども、養育費の相談事業とか、県として、養育費確保等に関する講習を実施しておりまして、それに市町村を通じて、必要な方への周知を図っているというところでございます。 〇村上貢一委員 日本においては、離婚に際して、養育費の支払方法等の必要な取り決めがなされないまま協議離婚し、養育費が支払われない例や、取り決めをしたとしても、実行されない例が多く、子供の貧困の原因の一つとなっている状況もあると思います。 また、経済協力開発機構―OECDの2014年版世界のひとり親世帯の相対的貧困率ランキングによりますと、日本は、母親の就労率が世界的に高いにもかかわらず、ひとり親世帯の貧困率が50.8%と、OECD加盟国33カ国中ワースト1位となっている状況も見られます。 親の養育費支払い義務は、親の生活に余力がなくても、自分と同じ水準の生活を保障しなければならない、強い生活保持義務であり、養育費は子供の権利であります。 そこで、岩手県の未来を担う子供を社会全体で守る意味からも、養育費確保支援施策等の市町村への財政的補助、支援、連携の強化、また、面会交流では、先ほどお話がありましたが、盛岡市において、民間団体、FPICが2018年の開設以来、高い専門性あるスキルを使い、三十数例の取り組み事例があり、県内はもとより、秋田県、青森県、福島県等、交流支援を行っていることでもありますから、養育費確保支援とあわせて、その施策充実を図っていただければと思います。 最後に、保健福祉部長にその御決意をお伺いして、終わりたいと思います。お願いします。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 村上貢一委員御指摘のとおり、離婚によって子供に不利益があってはならないと考えております。村上貢一委員から御紹介いただきましたけれども、国の事業等も活用している自治体などもあると承知しておりまして、そういった他県の事例なども十分研究、検討させていただきながら、そのあり方、また、市町村からも、この問題についてどのような課題があるのか、どのようなことを考えているのかということも、十分意見交換しながら、今後の取り組みの方法について、検討してまいりたいと考えております。 〇臼澤勉委員 初めに、県立療育センターの利用状況とその評価、それと、まとめて聞きますが、利用率向上のための取り組みについて、お伺いいたします。 〇日向障がい保健福祉課総括課長 県立療育センターの利用状況等についてでございますけれども、令和4年度の状況でお答え申し上げますと、入所部門につきましては、定員60名に対し、1日平均入院患者数が40.1人、病床利用率が66.8%、外来部門につきましては、1日平均外来患者数が72.2人、通所部門のうち、医療型児童発達支援センターは、定員20名に対し、1日平均通所人数7.3人、利用率が36.5%、児童発達支援及び生活介護事業におきましては、定員15名に対し、1日平均通所人数が6.1人、利用率が40.7%となっているところでございます。 多くの障がい児の受け入れをしたいところではございますが、コロナ禍の影響や医療的ケア児などの重症心身障がい児が年々増加しておりまして、こうした方々に対応できる医療スタッフの確保が課題となっております。定員どおりの受け入れができなかったところでもございますので、人材確保について、取り組みを強化していく考えでございます。 〇臼澤勉委員 入所部門については、令和4年の病床利用率が66.8%ということで、年々伸びてきているのかなと、本当に御努力に感謝したいと思います。 ただ、一方で、通所部門の医療型児童発達支援センターつくしんぼであったり、児童発達支援・生活介護事業所かがやきでは、令和4年の利用状況は、がくっと下がっているというところであります。コロナ禍であったり、まだ引き続き感染対策もいろいろある中で、そういった難しい状況にあるのかと思います。 続いて、短期入所及び日中一時支援の利用状況について、どのような課題あるいは改善策について捉えているのかも含めてお伺いします。 〇日向障がい保健福祉課総括課長 療育センターにおける短期入所、日中一時支援の課題等についてでございます。 新型コロナウイルス感染症が発生いたしました令和2年度以降、療育センターにおきましては、医療的ケアを必要とする超重症児等が多く入所しておりまして、感染した場合の重症化リスクが高いという理由から、短期入所及び日中一時支援につきましては、受け入れ制限をせざるを得ない状況でございました。 新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの5類移行後も依然として感染力が強いことから、短期入所等の受け入れ再開につきましては、慎重に検討を行っているところではございますが、緊急性や家庭での看護が困難と認められるケースにつきましては、こうした事情を勘案し、受け入れをしているところでございます。 今後におきましては、感染症の発生状況や利用ニーズを踏まえまして、受け入れの再開について、検討を進めていきたいと考えております。 〇臼澤勉委員 本当に、このコロナ禍あるいは5類移行で、受け入れがほとんどないような状況になっているということで、逆に言うと、その分、御家庭にそういった負担がかかっている。その辺のフォローを丁寧に、ぜひお願いしたいと思います。 そして、みちのく療育園メディカルセンターに医療的ケア児の支援センターを委託されて、たしか令和4年に委託事業が始まりましたけれども、こちらの今の運営状況、委託状況、そして、その課題があれば、課題、改善策を含めてお伺いいたします。 〇日向障がい保健福祉課総括課長 みちのく療育園メディカルセンターに委託設置をしております医療的ケ児支援センターにつきましては、センターの設置によりまして、当事者及び支援者の相談先が明確化されたほか、市町村に配置します医療的ケア児等コーディネーターの配置数が、11市町村から19市町村に増加するなど、地域の支援体制が促進されてきていると認識をしております。 地域によっては、医療人材の不足等によりまして、取り組みが進んでいないことから、居住する地域にかかわらず、適切な支援を受けながら生活できるよう取り組んでいく必要があると考えております。 こうした状況から、令和6年度当初予算案におきましては、新たに、医療関係者で構成するスーパーバイズチームを設置するための経費を盛り込み、地域で医療的ケア児の支援を担う市町村などの体制強化に向けて、取り組んでいくこととしております。 〇臼澤勉委員 本当に、ここの役割分担は、令和4年から、体制がしっかりと構築されてきていると評価はいたしますし、そういった中で、従来、先生方からも言われている小児期から成人期へしっかりと移行していく体制の構築という部分も、大きな課題として挙げられておりますけれども、県としてこの取り組みをどのように進めていくお考えかお伺いいたします。 〇日向障がい保健福祉課総括課長 移行期の医療体制についてでございます。県立療育センターを利用されている方で、18歳到達による退所者につきましては、例年5人程度いらっしゃいます。その多くは、障がい者支援施設や療育介護事業所などへの入所、それから、重症心身障がい児者の病棟へ転院しております。主に、みちのく療育園メディカルセンターや国立病院などが、その転院先となっているところでございます。 対象に当たりましては、当事者の心身の状況や家族の意向を踏まえまして、療育センター内に設置しております療育連携室が中心となって、調整を行っているところでございます。 今後は、この療育連携室に退院支援担当者を新たに配置いたしまして、退院後も、切れ目なく医療やリハビリテーションが受けられるよう、関係機関や障がい福祉サービス事業所等々の連携強化に取り組むとともに、センター内の医師、看護師など、多職種連携をした移行支援を進めていきたいと考えております。 〇臼澤勉委員 ぜひ、しっかりと進めていただきたいと思います。 次に、成婚率向上対策についてお伺いいたします。今回、食事券の配付事業ということで、新基軸の提案があったわけでございますけれども、これについて確認させていただきます。まず、この事業の目的と期待される効果、そして、事業の対象選定基準、そういったところの詳細についてお伺いいたします。 〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 お食事券配付事業についてでございますが、まず、この事業を実施した目的ということですが、いきいき岩手結婚サポートセンター―i―サポの課題として、マッチング成立後に一度も会わずに、交際が終了したり、交際が長続きしないという課題が挙げられておりました。 そのフォローアップの一環として、お食事券の配付という事業を実施しようとするものでございます。i―サポの対象の選定でございますけれども、i―サポにおいては、お見合い終了後に、相手方と合意の上、連絡先を交換することを、交際ということで定義づけておりまして、交際成立カップルに食事券を配付することを想定しております。 〇臼澤勉委員 連絡先を交換したら交際がスタートだということのようですけれども、この事業が発表されてから、SNSでもこの効果を疑問視するような声がさまざまあるのも事実でございます。 この前も、国立一関工業高等専門学校の学生とかとも意見交換した際には、本当に彼らからも、何となくこういうのを行政でやるのですかという、県が公的資金を使ってどこまでやるのかというようなところ、ここについて、若者たちも、実は利用するような彼らですら、何となく疑問視する声が届いております。 そういった中で、この配付事業の効果測定を、県としてどのように評価するお考えなのか、お聞かせいただければと思います。 〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 まず、お食事券配付事業を実施しようとしたところで、何点か要素がございまして、一つは、i―サポの結婚支援アドバイザー等によるヒアリングもしております。その際、先ほども申し上げましたけれども、課題として挙げられているのが、交際経験の不足により、どこにデートに行けばよいか、どのように誘えばいいかということがわからず、デートの約束まで至らないというケースが相当数あるということを伺っております。 それから、もう一つは、我々も、結婚支援に当たっては、県内の結婚支援団体とも意見交換をしておりまして、その中で、県内で開催された婚活イベントの中で、試験的に交際が成立したカップルに食事券を配付したところ、配付しなかった回に比べて、3カ月後の交際継続率が高かったという報告も受けておりまして、そのような事例といいますか、実績等も踏まえて、事業として実施しようとしているところでございます。 効果測定につきましては、お見合いから成婚までは、平均して半年から1年半程度かかりますので、令和6年度中の成婚数のみで成果を測定するのは難しいと考えておりまして、そのため、3カ月後の交際継続率や、交際継続期間の平均値などの数値を比較することにより、効果測定をしていきたいと考えております。 〇臼澤勉委員 3カ月の期間で効果も測っていくということですが、期待される成果が仮に得られなかったような場合の対応策は、逆に、どんなふうに考えているのかお伺いします。 〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 まずは、実施する事業の効果測定をしていくというところでございますが、効果が上がらなかった場合、結婚の理由もさまざまでございまして、適当な相手とめぐり会わないというところもありますが、先ほどのように、なかなか交際活動につながらないというところもございますので、まず、食事券を配付するだけではなくて、交際初期の活動を後押しするため、食事券の使用報告をi―サポに求めることで、i―サポ職員の定期的なフォローアップも強化していきたいと考えております。 これまで、任意に相談に応じてきたところ、お食事券導入によりフォローアップを定例化することにより、交際に係る悩みとか、そういった相談に積極的に対応し、しっかりと交際を応援していただけるような対応をしてまいりたいと考えております。 〇臼澤勉委員 知事も、記者会見あるいは議会でも、成婚率向上、全国との差も1ポイントぐらいあって、年々全国順位も下がっている岩手県の現状において、知事は心を動かす仕掛けが必要だということで、今回提案したようでございますが、この成婚率を上げるために、心を動かす仕掛け、岩手県が考えている具体的な対策、ほかにどういったものがあるのでしょうか。心を動かすというところについて、お伺いします。 〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 まず、食事券の配付を実施しますけれども、これに関連しましては、今後の拡張性として、例えば、地域の飲食店と連携したオリジナル食事券の発行とか、観光施設や自然体験などと組み合わせたデートツアー、そういったところへの発展も考えられるところでありまして、i―サポの会員の意見等も伺いながら、地域への経済波及効果も、あわせて期待できるような事業についても、今後、研究していきたいと考えております。 また、成婚率の向上には、さまざまな要因がございます。若い世代のライフプラン形成支援とか、新婚生活への経済的支援などもあわせて実施するところですけれども、そういったさまざまな要因に対して、これからも、総合的な支援をしてまいりたいと考えております。 〇臼澤勉委員 今も、いろいろとその次への展開も期待しているようなお話がありました。野外での活動とかです。若者たちから、食事券というか、この対策の全体像が、戦略的にどういうふうに位置づけられているのかという、そういった行政施策のこの全体像が見えにくい。 そして、その施策の中心となるポイントがどこなのか、どこを押せば、例えば全国との1.0が縮まっていくのか。あるいは、食事券の配付によってどのぐらいまで寄与するのかというところも、若者たちから聞かれておりまして、ぜひ、その辺の成婚率向上の全体像を含め、お伺いしたいと思います。 〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 成婚率向上に向けた効果的な施策についてでございますが、未婚、晩婚の理由としては、適当な相手とめぐり会わない、結婚資金が足りないという理由のほか、仕事や趣味を大切にして、自由を失いたくないという生活感、価値観の変化など、さまざまございます。 県では、有配偶率の向上を少子化対策の柱の一つとして掲げておりまして、先ほども申し上げましたが、若い世代のライフデザインの形成支援、それから、市町村、企業と連携した出会いの場の創出などの取り組みに加え、令和6年度は、i―サポの機能強化とか、結婚に伴う経済的負担の軽減のための新婚世帯への上乗せ給付にも取り組むことにしまして、成功率の向上に向けて、総合的な支援を進めていきたいと考えております。 こうした事業を実施する中で、その効果をしっかりと検証し、課題も把握した上で、必要に応じて事業も見直しながら、効果的な施策の検討を行っていきたいと考えております。 〇臼澤勉委員 最後にいたしますが、いずれ、成婚率の向上、岩手県の社会減対策、人口減対策に向けて、例えば、移住、定住促進と絡めるとか、農業従事者と若者たちとか、産業別だとか、あるいはこの前も一般質問でありましたけれども、企業のそういった連携みたいな取り組みという、市町村あるいは民間、そういった広がりも、i―サポの事業のところを核としても、その地域の展開を、民間の力もうまく巻き込むような形での施策の組み立てを、ぜひお願いしたいと思います。 〇郷右近浩委員 それでは、私からも何点か質問させていただきたいと思います。 令和5年12月定例会の一般質問に引き続き、岩手県保健医療計画について、お伺いさせていただきたいと思います。 計画につきましては、今後、令和5年度内に、常任委員会等も経て策定されると認識しておりますけれども、今回、新たに設定する疾病・事業別医療圏において、脳卒中や心血管疾患については、治療開始が早いほど、後遺症の有無等、良好な治療効果が期待できるものと私は思うわけであります。今回、佐々木朋和委員の予算特別委員会等の質疑、もちろん私自身の12月定例会における一般質問のときの答弁においても、企画理事兼保健福祉部長から答弁があった、治療開始までの時間の考え方に加えて、特に、緊急的対応が必要な疾患については、医療機関までの搬送時間、距離が重要だと、私はどちらかというとそのように考えるわけであります。改めて、今回、疾病・事業別医療圏を設定するに至った県の考え、また、今後の取り組みについて、お伺いさせていただきたいと思います。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 今回、策定した岩手県保健医療計画の疾病・事業別医療圏の考え方についてでございます。 まずは、少子高齢化や人口減少を伴う患者数の減少などの環境の変化を踏まえて、急性期医療から在宅医療に至るまで、切れ目のない持続可能な医療提供体制の構築が求められております。 このため、郷右近浩委員御指摘のとおり、これまでの医療機関までの搬送時間や距離も重視しつつ、治療開始までの時間に着目し、救急医療を初めとした身近な医療を提供する圏域として、二次保健医療圏の設定の考え方について見直すとともに、県民に、より質の高い高度・専門的な医療を提供できるように、広域的な疾病・事業別医療圏の設定について、検討を進めてまいりました。 この疾病・事業別医療圏の設定については、専門人材や高度医療機器の配置の重点化などにより、高度専門的な医療のさらなる質の向上を図るとともに、症例数や手術数の確保により、専門教育機能が充実した研修体制の整備も行い、医師の確保や定着につなげることも目指し、新たに、がんを5圏域、脳卒中を7圏域、心血管疾患を8圏域として、設定することとしたところでございます。 この疾病・事業別医療圏における医療連携の推進に向けましては、例えば、胆江・両磐圏域における脳卒中医療圏の設定に当たりましては、今年度中に、初期対応医療機関と専門医療機関におけるCT画像のデータ共有に係る連携体制の構築や、搬送基準の見直しに向けた、関係機関との調整を現在進めているところであり、引き続き、ICTの活用や、ドクターヘリの効率的な運用などによりまして、適切な医療が受けられる環境整備を進めていく考えであります。 〇郷右近浩委員 今、御答弁いただいた部分は、私自身の一般質問のときであったり、先日行われた総括質疑の中での答弁にも出てきたものであります。 ただ、先ほど少し言いましたけれども、私自身は、例えば特に脳疾患については、治療までの時間とは言いますけれども、運ぶ距離、体の負担とか、距離によっては、いろいろな体制を準備して待ち構えるにしても、やはり距離が近いにこしたことはない。特に後遺症等の影響を考えると、そうしたように私は思うのであります。 だとすると、今回のこの疾病・事業別医療圏は、本当に医療の充実を目指しているのか、集約を目指しているのか、一体どのような形を目指しているのかといったような疑問を持たざるを得なくなってくる。その点については、どのようにお考えでしょうか。 〇吉田医療政策室長 今回の保健医療計画の策定に当たりましては、限られた医療資源のもと、人口減少の中で、どのように県民の医療を確保していくかというところで、検討が進んできたところでございます。 そうした中で、身近な医療については、引き続き継続というところでありますが、高度・専門的な医療については、ある程度集中的な専門人材の配置、それから、医療機器の配備などをすることによって、県内で、高度・専門的な医療を提供していくというところで考えてきたところでございます。 距離という部分については、大きな視点ではありますけれども、現在、そういったデジタル機器とか、いろいろそういったツールも活用できるというところから、いろいろ検討を重ねてきたところでございます。 〇郷右近浩委員 そのような答弁になるのだろうと思います。確かに、それぞれ診療科ごとの医師数であったり、今の体制を見ると、そうした考え方もあり得るのかと思いますけれども、ただ、そうでないような形をぜひ求めたいと思います。 だとすると、例えば、疾病・事業別医療圏設定に当たって、例えば役割分担とか、高度・専門的な医療を、今度はどのように提供していくのかという中で、今回の圏域の設定に当たりましては、それぞれの病院の役割分担の整理等も必要になってくるのかとも思います。 例えば、今回、脳卒中医療圏を設定する胆江・両磐圏域などは、専門的治療を行う病院と、それ以外の病院では、どのような役割分担にしていくのか。また、がんの圏域設定に当たっては、胆江・両磐圏域それぞれに、専門的治療を行う病院が、計画に位置づけられる予定となっておりますけれども、具体的に、高度・専門的な医療をどのように強化していくのか、まずお伺いさせていただきたいと思います。 〇吉田医療政策室長 脳卒中医療圏設定に当たっての役割分担として、高度・専門的な脳卒中医療の提供については、専門的治療を行う病院において、脳梗塞に有効なt―PA療法や血管内治療、緊急の外科的治療を行うこととしています。 身近な脳卒中医療の提供については、県内の二次救急医療機関等において、脳梗塞等の内科的治療での対応可能な疾患や、回復期におけるリハビリ、維持期の患者への対応などを行うこととしております。 また、がん医療における高度・専門的な医療の強化に向け、関係大学や県立病院などと連携し、放射線治療医や診断医、病理診断医等の専門人材や、手術ロボット、高精度のリニアックなどの高機能の医療器械を、高度・専門的治療を行う病院に重点配置し、集学的治療の実施による、より質の高い高度・専門的な医療を県民に提供できる体制を確保することとしています。 〇郷右近浩委員 私、先ほど来、県立胆沢病院、胆江・両磐圏域という話をさせていただいております。ただ、これは、例えば釜石圏域、大船渡圏域であったり、全県的な中で、これまで基幹病院であったり、中核病院と言われながらも、それを、今回一歩踏み込んでいく中で、それぞれがどのような位置づけになっていくのか。例えば中核病院が、みんなどんどん地域病院のような形になっていくのか。 今お話があったとおり、例えばがんはどのような形で診ていくといったときに、リニアックという話もありましたけれども、そうしたものをどう配置していくのかというのは、また、今後、いろいろな形の課題として出てくると思いますし、本来、県立病院は最後のとりでではないですけれども、ここへ行けば安心して医療を受けられるという形は、まさにあまねく医療の均てんではないですが、しっかりとつくり上げていくような形は、ぜひ引き継いでいっていただきたいと思うものであります。 そうした中で、先ほど来少し話しましたが、県立胆沢病院は、例えば中核的な病院なのか、また、胆江・両磐医療圏の基幹病院なのか、お伺いしていきたいと思います。今回、脳卒中医療圏が設定され、胆江・両磐圏域では、県立磐井病院が高度・専門的な医療を提供する病院となり、県立胆沢病院では、産科に続いて脳神経外科が集約されることになった。 県立胆沢病院は胆江圏域の基幹病院であると思うわけでありますけれども、胆江圏域の医療の中核の県立胆沢病院の機能をどのようにしていくのか。地域病院のようになっていくという形なのか。そのようにしか見えないと思う中で、教えていただければと思います。 〇吉田医療政策室長 県立胆沢病院については、胆江圏域において、救急患者の受け入れや、がん医療の高度・専門的な医療の提供などの急性期を中心とした医療機能を担っているほか、医師養成に係る研修機能を担うなど、胆江圏域のみならず、県南地域の医療提供体制の確保において、重要な役割を果たしています。 今後の県立胆沢病院の機能については、医療局が来年度策定を進める次期経営計画において、新たな保健医療計画を初め、医療人材や医療機器の配置など、病院それぞれの特色や、隣接する圏域などとの医療連携の状況などを踏まえ、県立胆沢病院を初めとした県立病院全体の役割分担の中で、検討が進められるものと認識しております。 引き続き、県立病院や民間医療機関、関係大学などの医療関係者を初め、介護関係者、市町村等と連携し、県民が、地域密着で、安心して医療を受けられる体制を確保するとともに、より質の高い、高度・専門的な医療を受けられることができる医療提供体制の構築を進めてまいります。 〇郷右近浩委員 想定内の答弁であります。そのとおりの答弁なのだろうとも思いますけれども、きょうは、あえて保健福祉部で、また、改めてこのような聞き方をさせていただきました。 これから、医療局の審査があります。まさに、今度は経営計画の策定ということで、どのようにしていくかの具体の部分がつくられていくのだろうと思います。これ以上行くと、大分細かくなっていくので、医療局審査で、あとは聞かせていただければと思っております。 〇佐々木朋和委員 私からは、まず、家族・子育て分野の少子化対策の取り組みについて伺いたいと思います。 総括質疑で、保健福祉部長より答弁をいただいておりましたけれども、合計特殊出生率の向上などの効果の発現には、一定の時間を要するものと答弁をいただきました。きょうも、政策評価は大変難しいという話がございました。今、岩手県でも、保育料の無償化、在宅育児支援金、産後ケア利用料、交通費の支援等々、無償化型の事業を行っておりますけれども、効果の発現を待つということですと、いつごろをめどとして今の政策を行っているのか。また、実数の変化はすぐには効果が出なくても、子育てに関する分野別時間の推移と、変動要因に係る分析ということで、追加分析等も行っていただいております。 県民の実感は、すぐに施策をやっても、リアクションはあるのではないかと思うのですけれども、県は、この県民の実感の変化をどう評価しているのか伺いたいと思います。 〇田内保健福祉企画室企画課長 無償化型事業の効果の発現についてのお尋ねでございますけれども、恐縮ですが、一例ではありますけれども、第2子以降の3歳未満児の保育料無償化や、在宅育児支援金の取り組みにつきましては、国の調査におきまして、子育てや教育に係る経済的負担がさらに増すなどの理由により、夫婦の理想の子供数2.25人に対して、最終的な出生子供数が1.90人にとどまっていることや、保育料等の無償化により2割強の保護者が、予定する子供数をふやしたいという回答をしていることなども踏まえまして、県民が希望する子供の数を実現できるよう、今年度から実施しているところでありまして、第2子以降の出生数の増加を期待しているところでございます。 また、子育てに関する県民の実感につきましては、県民ニーズを把握し、施策とのギャップを埋めていくという上で、その変化の状況を、的確に捉えていくことが重要だと考えております。 県民意識調査におきましては、子供のいない方や若い世代の実感が低く、その要因として、教育、子育てにかかる費用が高いことを挙げている方が多い状況となっております。国の各種調査でも、同様に、子育てには経済的負担がかかるという割合が多いので、調査結果の推移には、その時々の経済動向も大きく影響しているのかと考えておりますけれども、いずれ子供を持ちたいと考えている方が、経済的理由から諦めてしまうことのないように、施策の充実に努める必要があると考えております。 〇佐々木朋和委員 この分析は、グラフが二つ並んでおりまして、20代、30代、40代の実感、子供1人、2人、3人、4人、あと子供がいない実感と、こう出ているのですけれども、その中で見ると、よく言って横ばい、令和4年から令和5年には下がっている状況、いろいろな無償化をやりながらです。あと、1人、2人、3人、お子さんがいる世帯、4人は少し下がるのですけれども、大体同じぐらいというところの負担感とかこういったところが、本当に知事が言うように、心を動かすことができているのかというのが、実数が変わるのを待ちながら、変わりませんでしたと待っているのではなく、この実感に敏感になって、次の一手も打っていかなければいけないのではないかと思います。 その中で、2問目ですけれども、子育てがしやすいと感じているかということに対して、感じないと回答した方、先ほど田内保健福祉企画室企画課長に言っていただきましたように、教育、子育てにかかる費用が一番だという話がありました。 岩手県も、令和5年―今年度は保育料の無償化を、第2子以降3歳未満児に行っているわけですけれども、今は、予算のことはありますが、当部として、無償化メニューは、今、岩手県としては出そろったという印象なのか。それとも、今後行うべきと考える無償化メニューがあるのかを伺いたいと思います。 〇田内保健福祉企画室企画課長 今しがた、佐々木朋和委員から御紹介ありましたとおり、今年度から、第2子以降3歳児未満の保育料無償化等の取り組みを始めたところでございますけれども、令和6年度の当初予算案におきましては、市町村が実施する遊び場の整備とか、産後ケア利用時の子供の一時預かりや交通費の支援といったものに対する経費の補助、それから、専門家等と連携し、地域課題の分析や、少子化対策の立案等に取り組む市町村への伴走型支援の実施などを、新たに盛り込んだところでございます。 これらの新規事業につきましては、人口問題対策本部会議や、いわてで生み育てる支援本部会議において分析を行い、その分析結果を踏まえて、今後の方向性を検討し、新規に事業化したものとなっております。 今後も同様に、これらの本部会議におきまして、分析や今後の方向性を検討し、それらの検討結果を踏まえて、施策の拡充や改善を行っていくこととしております。 〇佐々木朋和委員 今の御答弁ですと、先ほど説明をいただいた一番の理由が、教育、子育てにかかる費用だという話をしていて、ことし出てきたメニューとしては、費用直接に係る支援というところでは、直接的ではないように感じますが、その辺のロジックをもう一度お願いできますか。 〇田内保健福祉企画室企画課長 今年度の事業につきましては、今年度、第2子以降3歳未満児の保育料無償化とか、在宅育児支援金の取り組みを始めまして、まずは、その辺の効果測定もこれからやっていかなければならないという中におきまして、市町村やさまざまな方面から御意見を伺って、こういうところをやったらいいのではないかというものを、まず、それらの本部会議の中におきまして議論して、今年度の新規事業につきましては、そういった形で組み立てていったというところでございます。 一方で、人口問題対策本部会議におきましては、その分析の中で、合計特殊出生率の減少率が小さい都道府県におきましては、子育て支援サービスを利用して、正規雇用の職に就いている女性が多いというデータや、雇用環境が安定し、共働き世帯の所得水準が高いといったことが挙げられております。 そういったことから、家計に経済的な余裕が生まれて、子供を生み育てやすい環境となっていることが示されておりますので、今後も引き続き、人口問題対策本部会議等において、そういったデータ等も踏まえながら、新しい事業をやるのか、改善していくのかということについて、検討してまいりたいと思います。 〇佐々木朋和委員 今のお話ですと、なお一層、効果検証が重要だと思いました。せっかく実感の分析もやっておりますので、しっかりと生かしながら、効果検証の方法の確立も目指していただきたいと思います。 また、商工分野にかかわるところかもしれませんけれども、所得の向上も大きなテーマだというのは御指摘ごもっともだと思いますので、そちらのほうも、我々議員としても、ぜひ頑張ってやっていただくように発信をしていきたいと思います。 この分析で気になるのが、お子さんのいない方の子育てに関する実感というところで、要は、これから、お子さんを持とうとする方、結婚しようとする方にとって、岩手県の子育て支援がすばらしいのだということは伝わっていないと思うのです。そこを上げないと、合計特殊出生率もなかなか上がってこない、婚姻率も上がってこないというところだと思います。 そこで、いわてで生み育てる県民運動について、午前中も質疑がありましたが、私なりの視点でお伺いしたいと思います。令和5年度のこれの総予算と実施内容、または、令和6年度の総予算、事業予定についてお示しいただきたいと思います。 〇田内保健福祉企画室企画課長 令和5年度におきましては、630万円余の予算を措置しまして、昨年度公募により作成しましたキャッチフレーズ、いわての子 みんなでつくる 大きなゆりかごを活用しながら、県民運動を展開してまいりました。 具体的には、子育て支援サークルやこども食堂、子育て応援の店の取り組みや、子育て世代が働きやすい環境づくりに取り組んでいる企業など、子育て支援に関する情報を、テレビ、ラジオ、SNS等を通じて紹介したところでございます。 また、県と県医師会、JA岩手県五連の共同制作によりまして、知事と各会長の出演による子育て応援番組を放送しましたほか、子育て世代が多く集まるイベントへのブース出展や、キャッチフレーズを使用した協賛CMの放送などによりまして、県民の機運醸成に取り組んだところでございます。 来年度におきましても、地域社会全体で子育てを応援する機運をさらに盛り上げていくために、引き続き、テレビやSNS等の広報事業を中心に取り組むこととしておりまして、520万円余の予算額を令和6年度当初予算案に盛り込んだところでございます。 〇佐々木朋和委員 さまざま広報をやっていただいている中で、お子さんがいない方も含めて、若い世代にどのぐらい届いているかというところだと思うのですけれども、ホームページに4本の動画がアップされておりますけれども、いずれも6分ぐらいのロングなのです。今の世代、私も6分は見ないと思うのですけれども、あとは、こういった動画がどのぐらい回っているのかということだと思うのですけれども、この活用状況についてお示しいただきたいと思いますし、また、ショート版はあるのかどうか。 また、その中で見たときには、これだけやっていますという、無償化についてのアピール動画は見当たらなかった感じもするのですけれども、こういったもののPRの動画はあるのか、あわせて伺いたいと思います。 〇田内保健福祉企画室企画課長 ホームページに掲載している動画でございますが、こちらは、テレビの情報番組で紹介した子育て支援に関する情報につきまして、効果的な広報のために、番組での放映だけではなくて、ネット動画として二次利用しまして、当該動画4本をホームページに掲載して、広く情報発信しているほか、イベント等でも放映し、活用しているところでございます。 また、動画のショート版についてお尋ねがございましたけれども、テレビ番組の二次利用ということでございまして、ショート版については、制作していないということになっております。 また、無償化事業等のPRにつきましては、ホームページに載せている動画の中では紹介はないわけでありますけれども、その他、この県民運動の取り組みの中で、テレビ番組におきまして、特定不妊治療の交通費の助成について取り上げたほか、SNSでも、保育料の無償化とか医療費助成、それから、先ほどと同様に、特定不妊治療の交通費助成といったものについて、情報発信を行うところでございます。 〇佐々木朋和委員 了解しました。動画はないということなのですね。 SNSでは、どういうような形で発信をしているのか、文章のみみたいな形なのでしょうか。 〇田内保健福祉企画室企画課長 SNSでございますけれども、子育て支援に関する公的なサービスや制度の紹介はもちろんのことですけれども、先駆的な取り組みの波及を期待しておりまして、民間企業や団体において、子ども子育てを応援するさまざまな取り組みも取り上げたりしております。 県民運動は、幅広い世代に働きかけながら、子育てを応援する機運を盛り上げていくことが重要でありますので、さまざまな世代によって親しみのある媒体も異なっていると思われますことから、SNSとかネット動画だけではなくて、テレビ、ラジオとか、新聞とか、さまざまな媒体を組み合わせて、情報発信に取り組んでいるところでございます。 〇佐々木朋和委員 組み合わせはいいのですけれども、子育て世代に一番届くようなところでやるべきかと思いますし、動画等も撮影して、アメーバ戦略で、常に見る機会がある、そういったところで、県民の中で、子供がいない方々も含めて、岩手県では子育てトップレベルなのだということが実感できるような情報発信を、より工夫すべきだと思いますので、ぜひ、予算の拡充も含めて、財政課にも要望をいただければと思います。 最後になりますけれども、放課後児童クラブの設置状況について伺いたいと思います。共働き世帯を応援して、家庭収入を上げることについては、小学校に子供が上がって、大きくなってきても、放課後児童クラブ等で預けられるという環境は重要だと思っております。 待機児童数がKPIになっておりますけれども、小学校区にそもそも放課後児童クラブがあるのかという課題があると思っておりました。いわて県民計画(2019〜2028)第1期アクションプランのときには、放課後子ども教室も含めてということで、週1回預けられるだけでも、KPIは達成だったのですけれども、今は、時代が過ぎまして、そういうわけにはいかないと思っておりまして、小学校区に放課後児童クラブがあって、毎日預けることができる。そういったことを県としてもしっかりと把握をしていくべきだと思っておりました。 また、待機児童についても、近くに放課後児童クラブがあるかが、そもそも待機児童カウントがされないのではないかという課題認識を私も持っておりました。ですので、待機児童の考え方についてお示しいただきたいのと、また、小学校区ごとのクラブの設置状況についてもお示しいただきたいと思います。 〇高橋子ども子育て支援室長 放課後児童クラブの待機児童の考え方についてでありますけれども、国の調査の定義を使っておりまして、保護者が就労等により、昼間家庭にいない小学生で、放課後児童クラブに利用申し込みをしたけれども、受け入れ枠などの関係から利用登録できなかった児童を、待機児童としております。 また、小学校区をまたいで近隣のクラブに利用申し込みをしている事例も、現状でもありまますが、申し込みをしたけれども、利用登録できなかった場合には、待機児童になるということになります。 また、小学校区ごとのクラブの設置状況についてでございますけれども、令和4年度の数値になりますが、小学校区数287に対しまして、クラブを設置している小学校区数は245と、全体に占める割合は85.4%となり、年々増加している状況であります。 〇佐々木朋和委員 盛岡市では、放課後児童クラブとは違う体制もあるということで、設置率は上がってきているのかと思います。ただ一方で、そもそも小学校区が広がっているという課題も、今は統合によってありまして、そこはしっかりと注視をしていかなければいけないと思っておりますので、今後とも、ぜひ、しっかりとチェックをしながら進めていただきたいと思います。 〇はぎの幸弘委員 私からも、少子化対策強化の三つの柱の一つであります、有配偶率の向上の結婚支援の主な事業について、順次伺ってまいります。 まず、岩手であい・幸せ応援事業費であります。先ほども臼澤勉委員から一部取り上げておりましたけれども、別な観点から質問します。まず、5、500万円の事業の予算ですが、主なところで結構ですので、内訳を御確認いたします。 〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 予算の内訳についてでありますが、i―サポの人件費や運営費などの経常的経費で3、900万円余、それから、マッチングシステムの改修に係る経費に750万円余、結婚支援コンシェルジュの配置に係る経費が470万円、それから、お食事券の配付に係る経費が125万円、それから、企業等と連携した、出会いイベントの開催経費が200万円などとなっております。 〇はぎの幸弘委員 今、マッチングシステムの機能強化ということで、資料を見ますと、自宅閲覧、性格診断、趣味検索などとありましたが、イメージが浮かばないので、もう少し詳しく、この辺の説明をお願いします。 〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 マッチングシステムの改修についてでございますが、i―サポのマッチングシステムに追加する機能としては、主に、性格診断マッチング機能、趣味検索機能、オンライン会員登録機能、自宅閲覧機能の四つがございます。 期待する効果は、大きく二つ考えておりまして、一つ目は、マッチング精度の向上であります。これまでは、会員自身が希望する年齢とか年収等の条件に合う異性、または、マッチング情報等の解析をもとに、AIが勧める異性にしかお見合いの申し込みができませんでしたが、性格診断や趣味検索の機能が加わることにより、年齢とか年収以外に、趣味、嗜好、相性が合うと思われる異性を勧めることが可能となります。 効果の二つ目としては、会員の利便性の向上でございます。これまでは、入会やお見合いの申し込みの際には、i―サポに直接出向いて手続きを行う必要がございましたが、会員から利便性に欠けるとの意見もあり、自宅でのオンライン登録やお相手の閲覧等を可能とするものでございます。 これらの機能拡充により、会員の活発な行動が促され、成婚数の増加につながることが期待されるほか、i―サポの機能充実や利便性の向上を、対外的にアピールすることで、i―サポの会員増にもつなげていきたいと考えております。 〇はぎの幸弘委員 そうしますと、そのシステム改修は、会員の利用者の方々のニーズ対応とか、もちろん運営側のこうしたほうがもっといいのではないかという、両方あると答弁の中から推察しました。 次に、結婚支援コンシェルジュの具体的任務とか、人数とか、どんな人が就任するのか、誰が任命するのか、そういったところをお聞かせください。 〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 結婚支援コンシェルジュについてでございますが、結婚支援コンシェルジュは、県、市町村、地域の各団体等の結婚支援に係る連携強化を担う専従の職員でございまして、令和5年度からi―サポ盛岡に1名配置しております。 具体的任務としましては、各市町村の結婚支援施策への助言支援、先進事例の県内市町村への横展開、結婚支援への協力企業、団体の発掘などの活動を通じ、県内各地域での結婚支援の取り組みの充実を図ろうというものでございます。 今年度から配置しております本県の結婚支援コンシェルジュでございますが、イベント企画運営会社での勤務経験もございまして、そのノウハウやコミュニケーション能力を生かし、県内の企業、団体等を訪問し、結婚支援の実情や課題等について、ヒアリングをしておりますほか、こうした企業、団体と連携した、県主催の縁結びイベントのサポートとか、市町村主催のイベント等への助言などに取り組んでいただいております。 〇はぎの幸弘委員 これは、結婚支援アドバイザーとは別だと思います。ただ、1名だけということで、どれだけ効果が見込めるかというのは、未知数だと思うのですが、新しく配置ということなので、ここでも、何とか成果を上げていただければとは思います。 ただ、私の懸念としては、今までのやりとりの中で、私のイメージでは、いわゆるアドバイザーの方のスタンスというか、こちら側のスタンスは、受け身のような気がするのです。結局、会員の方が自分で、この人と話をしたいとか、能動的に会員がアプローチしないと動かないようなイメージがあるのですが、例えば、富山県の南砺市でも、古いですけれども、プロポーズ大作戦や、昔でいうねるとんではないですが、企画する側が能動的に会員にアプローチして、この人といいのではないかとか、どんどん積極的に結びつける努力をしているのです。それに対して、このシステムは、会員がまず申し出ないと動かないというイメージがあるのですけれども、その辺はどう考えていますか。 〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 i―サポ岩手ですけれども、盛岡市にセンターがあるほか、奥州市と宮古市にもセンターがございまして、それぞれアドバイザーを配置しております。 まず、お相手探しの直接の始まりが、システムによるお相手検索、システムのほうからも紹介がありまして、それで検索していくということですが、そこで、御本人がお相手を探していただいて、それに対する結びつけといいますか、お見合いのセッティングとか、お見合いから交際へのフォローというところは、アドバイザーが直接会って、会員をフォローしております。 検索して、マッチングしてから、実際に交際まで結びつけるというところは、実は、本県のi―サポでは、率としてはかなり高く、交際までは行くのですが、先ほど来申し上げているとおり、その先が進まないというところで、その一助として、お食事券という事業もそうですし、それをきっかけにしたアドバイザーの積極的な関与も、今後、考えていきたいと考えております。 〇はぎの幸弘委員 そこに行き着くまでの、要は、相手が見つからないという方は、結局、そういうスキルが、ノウハウが足りないというか、一歩踏み出す勇気がないとか、どうしたらいいかわからないとか、そういう理由でなかなか見つけられないのではないのかと思うのです。 ですから、例えば、先ほど言った富山県の南砺市は、1泊2日で、男女10名ずつ募集して、会費もいただきながらですけれども、単に結びつけるだけではなくて、社会人として、結婚した後、どういう人生を歩んでいくかとか、そういうレクチャーまでしているみたいなのです。 そういったところからすると、スタートから、定期的に、会員登録した方には、全部が全部みんな一生懸命積極的にアプローチしているかどうかはわからないですから、何とも言えませんけれども、どうですかということで、支援員の方が能動的に一生懸命一人一人当たるとか、担当を決めるとか、そういうふうにして結びつけていかないと、なかなか前に進まないのではないかと思います。 時間もないので、いずれ、また、次の機会に、進捗状況は伺ってまいりたいと思いますけれども、もう少し積極的な動きが欲しいと感じました。 次に、いわてで家族になろうよ未来応援事業費について伺います。これは1億1、800万円の予算ですけれども、これについても、内訳、そして、これは一部新規となっておりますが、どの部分が一部新規なのか伺います。 〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 いわてで家族になろうよ未来応援事業費につきましては、新婚世帯向けに引っ越し費用とか、住居にかかる費用を助成しているというもので、これは、国の地域少子化対策重点支援交付金を財源として実施してきたものでございます。 ただ、引っ越し費用だけではなくて、家財道具の購入にも費用がかかる。これは、現在の国の交付金を使った事業では、対象外となっておりますので、こういったものに活用できるものとして、県として、独自に、10万円の上乗せ給付を行おうというものでございます。 〇はぎの幸弘委員 これは、国の要件かもしれませんが、29歳以下で、世帯所得500万円以下の方々が対象ということですけれども、29歳以下というか、それ以上の方でも、今後、晩婚化もありますし、年齢的なニーズはもっと広いと思うのです。あと、世帯所得500万円も、今は、最低賃金を上げろとやっていますから、今後、世帯年収としては、500万円ちょっと超えてしまったとかという人も、結構出てくると思うのですけれども、もうちょっと緩和できないものなのでしょうか。これは国のルールで縛られている条件でしょうか。 〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 国の交付金を活用している、この生活の支援につきましては、国の要件で、そのようになっているところでございます。 〇はぎの幸弘委員 わかりました。 国にも、積極的に、このような条件ではなかなか片手落ちだと、ぜひ、アピールをしていただいたほうがいいのではないかと思います。 次に、市町村少子化対策支援事業費について伺いますが、これは8、200万円の事業費ですが、新規事業ということですが、この事業をつくったのは、これもやはり国からの要件でしょうか。 〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 市町村少子化対策支援事業につきましては、県独自の事業でございます。遊び場の整備事業とか、産後ケアの利用促進の事業についての助成、それから、伴走型の町村への支援ということで、メニューを設けておりますが、県として、独自に事業化したものでございますが、伴走型支援の一部には、国の少子化対策交付金も活用することを考えております。 〇はぎの幸弘委員 これは、産後ケアなどの利用促進も狙いには書いていますけれども、逆の見方をすれば、各市町村で行っている産後ケアは、なかなか利用されてないということなのでしょうか。また、補助率が2分の1とか3分の2とかありますけれども、それぞれ違いは何なのか伺います。 〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 産後ケアにつきましては、従来から、県では、利用料の無償化への補助ということで、一律に行っているところですけれども、本県は、県土も広いですので、それぞれの地域に例えばデイサービス型の産後ケアを受けられるところがあるとも限らないということで、例えばタクシーとか公共機関を使って、遠くから移動して、産後ケアを使いたいという方もいるということで、その辺は、市町村の地理的状況によっても、状況が少し違うというものもありますので、それぞれの地域に応じた取り組みができるように、産後ケアの利用促進、交通費支援とか一時預かりというところは、メニューとして入れさせていただいているというところでございます。なので、産後ケアは、さらに利用促進をしていきたいということで、よりきめ細かく事業化をしたというものでございます。 それから、補助率が、2分の1とか3分の2ということで、これは遊び場整備のほうで、補助率を2パターン用意させていただいておりますけれども、基本的には、市町村が行う遊び場整備に、2分の1補助を行いますけれども、小さい町村もありますので、町村単独では整備が難しいというところにつきましては、広域連携の形で、複数の市町村と組んで、大きいものをつくるという場合は、3分の2の補助率ということで、その部分、広域連携する場合は、かさ上げをしようということで、遊び場整備も促進を図っていきたいという内容でございます。 〇はぎの幸弘委員 わかりました。 33市町村みんな均一な制度ができているかというと、そうでもないと思います。進んでいるところとちょっと撤退しているところはあると思いますから、県のほうでも、しっかりと連絡を密にしながら、サービスの平準化を図っていただければと期待します。 最後に、同じ内容のものなので、ライフデザイン形成支援事業費について、少しだけ伺いたいのですが、これは、事業費800万円で、高校生を初め県内の若者に、MY LIFE PLANとかという冊子を配っているということですけれども、配るだけではどうなのかという思いもありまして、今回は改定するようですけれども、いわゆる妊娠や不妊の啓発ではない部分ですか。いわゆる結婚から仕事までのライフステージに対応した内容に改定するということのようですけれども、これは、高校生を初め幅広いというのは、どの程度までをターゲットにしているのか。印刷や配布方法。個人に配布して終わりなのか。例えば学校の授業に組み入れたらどうなのかという、そういった点は考えたことがありますか。 〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 ライフプラン形成事業につきましては、若者について、将来の結婚、出産、子育ても見据えて、ライフプランを早期に考えるきっかけをつくるというものでございまして、御紹介にありましたMY LIFE PLANという、正しい妊娠、不妊の知識を啓発する冊子もそうですが、今年度から、冊子の配布だけではなくて、県内の五つの高等学校に、モデル的に事業に組み込みまして、出前講座みたいな形で、講師をお呼びしながら、ライフプランを考える、啓発の事業を実施しているところでございまして、それにつきましては、来年度も継続して、また、5校程度で実施を継続する予定としております。 MY LIFE PLANの冊子ですけれども、妊娠、出産、不妊を中心とした内容でしたけれども、そこに、仕事とか、地域で働くとか、そういったところも含めた内容に改定しまして、それのデジタル版も作成して、冊子だと、随時更新していかなければならないのですけれども、さらに更新しやすく、そして、幅広く、高校生だけではなくて、大学生とか企業の若手社員、そういったところも含めて展開できるように、デジタルコンテンツとして、来年度作成しようと計画をしております。 〇はぎの幸弘委員 わかりました。 私も、今回をきっかけに、MY LIFE PLANをインターネットで見てみましたけれども、これを高校生にいきなり読ませるのは少し重たいのではないかという内容、何か明るく書いていましたけれども、でも、内容はよく考えると、その前の段階が必要なのではないか。要は、結婚前の段階です。あとは、社会人として自立するとか、ぜひ、そういったところを今回の改定に加えていただければと思います。 〇千葉盛副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。 午後2時25分 休 憩 午後2時46分再開 〇千葉盛副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。 〇軽石義則委員 それでは、高齢者支援事業について質問させていただきます。自分自身が体験したことに基づいて、抱える課題等で、気づいたところがありますので、それらも含めて再確認させていただきたいと思います。 岩手県高齢者総合支援センターがあるわけですけれども、その事業内容と、現状の課題等があれば、まずはお示し願います。 〇下川長寿社会課総括課長 岩手県高齢者総合支援センターでございますが、こちらのセンターは、高齢者の総合的な支援及び地域包括ケアを推進するため、平成21年度から、委託により設置、運営をしているものでございます。 主に、高齢者に対する総合相談業務のほか、地域包括支援センターの充実・強化のため、地域包括支援センターの職員向けの各種研修や情報交換会等による支援、認知症サポーター養成講座の開催など、認知症の人や家族の支援に資する事業等を行っております。 課題としては、地域包括ケアシステムの深化、推進において、中核となる地域包括支援センターが、多様化する高齢者のニーズや、複合的な問題を抱える困難事例の相談等に適切に対応できるよう、研修等による支援の充実を進める必要があると考えております。 〇軽石義則委員 まさに、必要で大事な事業だと私も思っておりますし、その状況の中で、相談件数や相談の内容は、具体的にどういう状況になっているでしょうか。 〇下川長寿社会課総括課長 総合相談の相談件数と相談内容についてでございますが、令和5年度の実績では、本年2月末現在の数字になりますけれども、783件の相談を受け付けまして、相談内容に応じた専門機関を紹介するほか、指導、助言、傾聴等の対応を行っております。 相談内容で一番多いものは、家族や家庭に関係するもので451件、次が、法律に関するもので109件、以後、経済、生活関係80件、保健医療関係77件となっております。 〇軽石義則委員 家族、家庭関係、非常に大事なことだと思いますけれども、傾聴がその相談の38%、指導、助言が39%ということにもなっているようですが、私が、今回、相談を受けた内容は、御本人は病気、家族は判断能力を持ち得ない。そして、入院しなければならない。しかし、入院するためには、保証人は必要です。でも、家族は直接かかわれない。周りの近所も、かかわりを持つことは、非常に厳しい社会状況になっております。民生児童委員もあるのですけれども、民生児童委員も、そういう深いかかわりを持っていくことができる方もいると思いますが、通常は、町内会の中で、役割分担で、どうしても引き受けてくれという方が多いようでありますので、そういう中において、どこに相談すればいいのか、自分はどうなっていくのか、先が見えない不安を抱えている方も結構いるのではないかと考えております。 実際、相談を受けた方がそういう状況で、かかわった以上は、面倒を見て、今は施設に入ってもらっているのですけれども、ただ、親戚でもなければ、家族でもない人が、そういう権利擁護も含めて、かかわっていくのは非常に難しい壁があると実感したところであります。そういう状況、毎年一定の相談が来ているようですから、その相談に対応していく、まさに包括支援センターの相談員は、日々一生懸命やっていただいているのも、実感しました。 そういう意味では、まさに身内ではない者が身分を保証してあげる、支えてあげるという制度を、行政が肩がわりできるものはないのか。家族がどうしてもできないときには、そういう環境がこれからどんどんふえてくるのではないかと思うのですが、その点の現状の対応は、どのようになっているのでしょうか。 〇下川長寿社会課総括課長 介護が必要な、例えば単身の高齢の方など、御自分で御相談に行ったり、あと、御家族とかも手続を行えないような方につきましては、一時的なサポートにならないためにも、まずは、地域の包括支援センターにつながりまして、その上で、一人一人の状況や、課題に合った適切なサービスやケアの検討、それに伴う支援が行われる必要があると考えております。 地域包括支援センターでは、地域における高齢者の介護ニーズやサービス提供の体制を的確に把握し、介護施設事業者、医療機関等の連携体制づくり、支援困難事例への対応など、総合的にコーディネートする役割を担っております。そういったところが地域の各機関との連携の上に行われることが、重要であると考えております。 そうしたことから、まずは、地域包括支援センターの相談機能、相談能力のスキルアップといいますか、高齢者総合支援センターでも、そういったところを支援していく必要があると考えております。 〇軽石義則委員 実際、相談員は一生懸命やっていただいていると思いますし、そのことによって助けられている方もいるのは事実です。その支援員の支援業務をやっていることは、まさに高齢者総合支援センターの役割の一つです。 ただ、相談業務一つとっても、市町村によってはかなりばらつきがあるようですし、岩手県に1カ所では、この広い県の中で、全てを網羅できるかどうかというところについては、なかなか行き届かないところ、相談したくても、困っていても、行き場を見つけられない人がいるのではないかという心配もあるのですけれども、その部分についてはどうなのでしょうか。 〇下川長寿社会課総括課長 県内1カ所では、行き届かないのではないかという御質問でございますけれども、地域には、先ほど申し上げました地域包括支援センターがございまして、住民の方が、より身近な相談窓口で、相談支援を受けられることが重要であると思います。そうでないと、継続的なサポートというところもなかなか難しいと考えております。 そういったところで、高齢者総合支援センターが県内で一手に相談を受けるという体制ではなくて、地域包括支援センター等と連携しながら、また、地域包括支援センターだけではなくて、例えば医療機関の医療ソーシャルワーカーとか、先ほどお話に出ました民生委員とか、そういった方たちとも連携しながら、ネットワークの中で、高齢者の方等を支援していくことが重要であると考えております。 〇軽石義則委員 ネットワークで、ぜひ広げてもらいたいと思います。ただ、包括支援センターでできる業務と、福祉事務所が担当する業務と、また、それぞれが役割分担があって、最終的にはいろいろな手続の支援はしてくれるのですけれども、各種手続は、本人が行かなければならないのです。ただ、本人が動けなければ、それを委任される方が代理として今はやっているのも事実ですけれども、代理として委任される人、まさに連帯保証人を引き受けてまでやれる人は、今、この核家族の中で、単身の高齢者が多い中で、そこまでできない人は、現状はどういう対応があるのでしょうか。 〇下川長寿社会課総括課長 身寄りのない方等、また、手続等に伺えないような方等の現実的な対応の現状でございますが、現状としましては、関係機関でそれぞれ連携しながら、役割分担、また、どういったところまでできるのか、各機関の限界もあると思いますので、そういったところも踏まえながら、地域の中で、先ほど申し上げましたネットワーク、役割分担を確認しながら、個別、具体ケースごとに検討されて、対応しているのが実情と認識しております。 〇軽石義則委員 それぞれ役割分担があるのは承知して、聞いているのですけれども、今回も、高額医療費の助成の申請や、要介護認定や、障がい者認定も含めて、本人にとっての証明ですので、これを代理がとっていくのはまさに難しいし、後見人制度の活用をしたくても、4親等内の方が申し出なければ、後見人制度にもなかなか申請できない。 それぞれ制度には決まり、ルールがあって当たり前ですけれども、それを乗り越えられないがために、在宅介護も受けられないまま、ただただ在宅でひっそりと生きている方もいないとも限らないのです。 それは、民生委員が把握してくれているので、そういう意味では、いろいろな道筋をつけていただけると思うのですが、先ほどから、ネットワーク、各機関の連携というお話ですけれども、具体的に、市町村も含めて、各機関が連携して、協議する、そこに県はどういう役割を果たしているのかお聞きいたします。 〇下川長寿社会課総括課長 困難事例等に対する県の役割でございますが、まず一つは、先ほど申し上げました地域包括支援センター等での対応力をアップするための研修とか、そういったところでの人材育成に関する支援をして、県はそういった役割を担っていると理解しております。 また、市町村におきましては、地域ケア会議と申しまして、高齢者の処遇等に関しての検討会を、地域包括支援センターが中心となりまして開催している会もありまして、そういったところに、県から専門家のアドバイザー等の派遣などを行いながら、より充実した検討ができるような支援も実施しているところでございます。 〇軽石義則委員 そういう協議の場もあるということで、書類の整備まではできるのですけれども、実際に、その書類を完成させて、入院なり、入所なりする段階で、本人がどうしてもできない、家族も判断ができない。そういうときには、行政がその肩がわりをして、一時的に、その方々を保護していくことも、制度としてはあるのですか。 〇下川長寿社会課総括課長 行政が保護するということでございますが、虐待の案件とか、生命の危険があるようなケースにつきましては、行政が積極的に関与しまして、一時的に、高齢者の施設等に保護するということが行われているところでございます。 〇軽石義則委員 保護は一時なので、まさに在宅介護ができない、一人で暮らせないとなれば、施設に入っていただく。そういう意味では生活保護の制度もあって、生活保護の実態もお聞きしたのですけれども、医療扶助、介護扶助を見ますと、すごい金額が措置されているのです。 そういう意味では、これはますますふえてくるのではないかと思うのですけれども、生活保護を受けるときも、財産をきちんと精査した上で判断しなければならないのに、本人は病院から動けない、家族は判断能力がない、そういう場合はどうしているのでしょうか。 〇前田地域福祉課総括課長 生活保護についてでございますけれども、まず、こちらは高齢者に限らず、生活に困窮されている方ということでございます。これは、本人とは限らず、親族の方とか、そういう方でも、福祉事務所に、まず来所していただくということがあるかと思います。 来所された方に関しては、面談者から、その当事者の状況を把握した上で、生活保護制度の仕組みについて十分な説明を行い、申請が必要かどうかという当事者の意思を確認するなどを行いまして、適切に対応を行うこととなっております。 保護世帯ということでございまして、高齢の単身の方ということも、生活保護の中でも大きな割合を占めているところでございまして、軽石義則委員から紹介あった民生委員などからの情報などもいただきながら、また、地域包括支援センターなどから情報がありましたらば、そういった福祉事務所などに適切につなぐように、日ごろから、関係機関が連携して取り組んでおります。 〇軽石義則委員 いろいろな機関で協議して、対応していただいているのも十分わかります。生活保護の高齢者世帯は、全体の55.5%ですので、数がどんどんふえていくと、さらに対応、個別の条件ですから、いろいろ違うこともあると思います。 でも、最終的には、本人がどうしても確認をした上で、金融機関はさらに厳しいので、本人の意向だけでは金融機関は対応してくれませんし、もっと言えば、行政がその肩がわりを責任持ってできる一つの機関だと、私は思っているのですけれども、今後、そういうことも含めて、検討するに値するのではないか。 もっと言えば、法律がそこの壁を越えられないとすれば、法律は人を守るためにあるとすれば、ルールを変えていくことも私は大事ではないかと、そういう現場の声をしっかり国に伝えていくことも、県の役割ではないかと思うのですが、最後、保健福祉部長に聞いて、終わります。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 今、高齢者または高齢者のみの世帯の方が非常にふえておりまして、そういう方々は、背景に生活困窮を抱えていたりとか、日ごろ、さまざま福祉サービスになかなかつながらないという方も多くいると認識しております。 高齢者福祉の世界ですと、各課長から答弁したように、地域包括支援センターが、そういったようなケース会議で、どういった福祉サービスにつなぐのかという仕組みはさまざまあるのですけれども、軽石義則委員から御紹介あったような方の場合、そういった福祉の仕組みで、十分機能してない面もあると認識をしております。 今、こういった多くの福祉的課題を抱えている方々に、重層的支援体制整備事業という形で、市町村が困窮や法律とか、いろいろな課題を抱えた方を、ワンストップでできるようにという形で、今、進んでいるところですけれども、そうした市町村における福祉のさまざま属性とか、制度の垣根を越えた支援、あとは、我々もそれに対する人材育成とか調整の支援、また、軽石義則委員からお話あったとおり、それが法の制度になかなか現場が合っていないということであれば、必要に応じて、現場、特に、言われたような、人口密度が低いような過疎地での課題などについて、国に対して提言をしてまいりたいと考えております。 〇松本雄士委員 初めに、私からは児童発達支援センターの設置について伺いたいと思います。 今現在、県内には3カ所、盛岡市、花巻市、矢巾町に、児童発達支援センターがあるわけですが、国の指針では、各市町村か保健圏域内に1カ所を目指すとされていまして、当初、県としても、17カ所の設置を目指していたのですけれども、いろいろ市町村の事情等もあって、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランでは、6カ所の圏域で設置を目指すとされたところと認識しております。 そして、昨年の決算特別委員会では、今現在、3カ所で、6カ所を目指して、1カ所が具体的に動き出しているという報告がございました。その具体的に動き出している1カ所の現在の状況と、それ以外の圏域の設置の見通しについてお伺いいたします。 〇日向障がい保健福祉課総括課長 児童発達支援センターにつきましては、今、松本雄士委員から御紹介がありましたとおり、国の指針におきまして、市町村または圏域単位で1カ所以上設置するとされているところでございます。 現在、1カ所につきましては、令和6年4月ごろの設置に向けた手続を進めておりまして、その地域としましては、宮古地域が進んでいるとお聞きしております。 今後の見通しにつきましては、今、答弁いたしました宮古地域のほか、現在、市町村が策定を進めております第3期障がい児福祉計画におきましては、令和8年度までに、両磐と二戸の圏域で設置するという計画になると聞いております。 また、福祉計画におきましては、胆江、気仙、久慈の3圏域が、センターとしては設置しませんけれども、保育所等訪問や障がい児相談支援など、児童発達支援センターが実施するとされている事業を、地域の関係者が分担して行う体制の構築を計画しているところでございます。 こうした体制につきましては、国も推進をしているところでございますので、センター設置にかかわらず、取り組みを地域で進めていただきますよう、県といたしましては、先進事例の紹介、担当者会議、それから、個別訪問などを行いまして、支援していきたいと考えております。 〇松本雄士委員 今現在の3カ所では、大分遠方から通っているとか、予約にも時間かかる。また、未就学児の障がい児を持っている御家族の不安は結構ありまして、そういったところに寄り添う意味でも、この計画どおり進めていただきたいと思います。 続きまして、農業と福祉の連携、農福連携についてお伺いしたいと思います。農福連携については、その双方のニーズ、農業現場では人手が足りない、福祉の現場では就労の場、収益の確保というところで、はまれば、ウイン・ウインの事業であると思っております。 本年2月上旬に、岩手県農福連携協議会がありまして、そこで、事業所では、農福連携を今やっているところも相当数ありますし、やってないけれども、興味あると言っているところが44カ所ほどあるという報告がなされていると聞いております。 その双方のニーズをうまくはめていくためには、コーディネーターの存在は非常に重要であると思っておりまして、現在、県内にはコーディネーターが1名しかいないという状況であると聞いております。コーディネーターの体制の充実であったり、今後の体制整備についてお伺いいたします。 〇日向障がい保健福祉課総括課長 農福連携の体制整備についてでございますけれども、県が委託し設置しておりますいわて障がい者就労支援センターには、計3名のコーディネーターを配置しておりまして、このうち1名を農福連携コーディネーターとしているところでございます。 コーディネーターの活動につきましては、例えば昨年開始しました薬用作物の栽培におきましては、こうした農福連携の先端分野にかかわらず、3名のコーディネーターが連携しまして、農福連携セミナーを開催し、それを契機として、ツムラグループとのマッチングがつながったとお聞きしております。 引き続き、こうしたコーディネーター3名の連携による取り組みを進めていきたいと考えております。 〇松本雄士委員 農福連携の人は1名専任ということですけれども、3名もうまく連携活用していただいて、この農福連携を進めていただきたい。 そこで、今、話も出ました、薬草農福、株式会社ツムラの事例が県内でも広まっておりまして、非常に高収益作物であると聞いております。 ただ、県内の事例は、昨年の作付で、まだ収穫まで至っておりませんので、それがうまく進んでいくかどうかというのは、これからのところでありますけれども、それの導入に当たって、その事業所から、ちょっとした農作業機材、いろいろトラクターのアタッチメントだったり、管理、こういうのがあれば助かるという話を聞いております。 農林水産省の管轄で、農山漁村のイノベーションの農福連携の事業はあるのですけれども、これは非常にハードルが高くて、なかなか簡単に導入できないといったところがあります。 こういった農福連携、薬草といった、新しい取り組みを進めていくための県の支援が本当に重要だと思うのですけれども、それに対する県の見解と、支援についての考え方をお伺いいたします。 〇日向障がい保健福祉課総括課長 ただいま御紹介をいただきました、農林水産省が所管しております農山漁村発イノベーション推進・整備事業という補助金につきましては、農作業用の機材につきましては、補助対象にならないと聞いているところでございます。 こうした国の補助金のみならず、一方では、公益財団法人等が助成事業を実施しておりまして、障がい者工賃の向上を図るために、事業所が行うこういう設備整備の導入について、助成対象としているものもあるとお聞きしております。 いわて障がい者就労支援センターのコーディネーター等を通じまして、こういう情報につきましては、丁寧に情報提供していくことと、活用についての支援をしていきたいと考えております。 〇松本雄士委員 ぜひとも、そういう情報を積極的に流して、現場の取り組みを促進していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 戦没者、満州開拓殉難者の慰霊、啓発活動、史実の継承についてお伺いいたします。本県における戦没者慰霊碑、また、満州開拓殉難者の慰霊碑のこれらの管理の状況、また、県の支援についてお伺いいたします。 〇前田地域福祉課総括課長 戦没者慰霊碑と満州開拓殉難者慰霊碑の状況についてであります。 厚生労働省の依頼により、県が平成30年度に行った民間建立慰霊碑の状況調査において、県内で329基の戦没者慰霊碑が確認されております。このほか、満州開拓団の犠牲者を慰霊するため、岩手県満州開拓殉難の塔建設委員会により、昭和49年に岩手県満州開拓殉難之塔が雫石町内に建設され、その後、平成19年に滝沢市内に移設されております。 これら慰霊碑の管理についてでありますが、民間建立の戦没者慰霊碑につきましては、県内各地域の遺族団体等により管理されております。また、岩手県満州開拓殉難之塔につきましては、滝沢市内に移設されて以降、岩手県満州開拓殉難者の霊を守る会により管理されております。 県の支援についてでございますけれども、民間が建立した慰霊碑につきましては、国から建立者等がみずから維持管理を行うことが基本との考え方がされておりますが、全国的には、建立者等が不明などであって、管理状況不良のまま放置されている例もあることから、戦没者慰霊碑につきましては、市町村等が、慰霊碑の移設、補修、または、埋設等を行うための経費について、国による補助制度が設けられており、県といたしましては、市町村に対して、本制度を周知し、市町村から国庫補助の活用について相談があった場合には、事業実施を支援してまいりたいと考えております。 〇松本雄士委員 基本、民によって建立されたのは、民による管理が基本というのは存じ上げております。 ただ、今、慰霊碑を管理されている方々、また、その関係者は非常に高齢で、かなり厳しい状況になっております。その体験と記憶を後世にしっかりとつないでいくという、これは非常に価値がある、必要なことだと思います。多文化共生であったり、同じ過ちを繰り返さないというためにも、この史実をしっかり残していく。岩手県もこういうふうに携わったといったことを残していくたとは、非常に重要であると考えております。 そこで、今、国の事業で、言ってしまえば墓じまい的なときには出る、閉じるときには補助金が出るというものがあったのですけれども、その前に、今の慰霊碑の状況を関係者に聞き取ったり、資料収集、保存、そして、そのデジタルアーカイブ化していく、しっかりその史実を残していくために、そういった歴史の継承のための取り組みが必要であると考えるのですが、県の見解を伺います。 〇前田地域福祉課総括課長 歴史の継承についてでございますが、県では、毎年、県主催の戦没者追悼式を開催し、満州開拓団を含め、さきの大戦で犠牲となられた戦没者の慰霊を行っているほか、旧満州等からの引揚者の援護など、県の戦後処理をまとめ、昭和47年に発刊した援護の記録という冊子をデジタルアーカイブし、令和2年度から県のホームページ等で公開し、歴史の継承を図っているところでございます。 また、岩手県満州開拓殉難者の霊を守る会の方々などが保管している歴史的資料などについては、関係者が希望される場合、その内容によりまして、県立図書館、県立博物館への受け入れを検討していくことも可能であると考えております。 県としては、こうした取り組みを通じまして、満州開拓を含めた、戦争の悲惨さと平和の尊さを次の世代に継承していきたいと考えております。 〇松本雄士委員 今、一部がデジタルアーカイブになっているというのも認識しております。ただ、この関係者の方々、御遺族に会って話を聞いたり、資料を見ますと、もっと貴重な資料をたくさん持っておられます。今、そういったものをいろいろ受け入れていただけるという話もございまして、ぜひとも、そこをお願いしたいですし、今、県立大学の先生方も、この研究の必要性というところで、研究費の申請をして、こういった歴史、史実の継承をしっかりやっていかなければいけないという動きもありまして、ぜひとも、引き続きよろしくお願いいたします。 〇上原康樹委員 きのうは、東日本大震災津波から13年という一日でございました。それに関連しまして、災害被災地と精神医療について、質問させていただきます。 岩手県では、被災体験をして、精神的にダメージを受け、13年たった今も、精神科で治療を受ける人たちがいると思いますが、それを把握していますか。 〇日向障がい保健福祉課総括課長 東日本大震災津波の被災者におきましては、医療を必要とする方、それから、見守りを必要とする方、定期的な支援が必要とされる方、さまざまいらっしゃると思います。状態によっては、医療が必要になるという方もいらっしゃるとお聞きしておりますし、現時点においても、相談の中で、医療機関への紹介をするという方もいらっしゃると、こころのケアセンターの職員からもお聞きしておりますので、そういう状況については、県としても把握しているところでございます。 〇上原康樹委員 そういう方が、今何人ぐらいいらっしゃるのか、把握していますか。 〇日向障がい保健福祉課総括課長 大変申しわけございませんが、正確な数字は出てきていませんけれども、年間を通じて、医療を紹介するほうがいいとされる方については、変動はありますけれども、年間、まだ数十名いるということでお聞きしております。 〇上原康樹委員 数十人という数字を何となく今お答えになりましたけれども、あれだけの大きな災害で、数十人という言葉が簡単に出てくるところに、私はまだ認識が甘いと思いました。 それで、患者の方の心の状況、精神が抱える問題も、被災直後と13年が経過した今、これは当然変化してきていると思います。人は年齢を重ねますし、それから、抱えている生活状況も変化していますから、さまざまな心の苦しみは多様になり、多岐にわたるものだと思います。どのように変化してきているのか、県の認識をお聞かせください。症状にも変化があると思います。 〇日向障がい保健福祉課総括課長 東日本大震災津波以後の状況の変化についてでございますけれども、発災直後は、近親の方を亡くした方等が、いわゆる悲観の状況にあるという方が多いと聞いております。 その後、復旧、復興の段階に応じて、家族関係であったり、あるいは仕事の関係で、ほかの方と違うということで、苦しんでいる方がいるとお聞きしておりまして、その段階、段階に応じた対応と支援が必要になってきていると認識しているところでございます。 〇上原康樹委員 そういう認識は、医療現場に反映されているのでしょうか。 〇日向障がい保健福祉課総括課長 こころのケアセンターが、発災直後から現在に至るまで、沿岸地域を回りまして、相談、支援等を行っているところでございます。個々の状況によって、最適な支援として、医療につなげたほうがいい方と、地域で見守ったほうがいい方、あるいは、定期的に訪問したほうがいい方という、いわゆるケース分けをしながら支援をしているというのが、現状だと思っております。 〇上原康樹委員 今のお話をこちらで解釈いたしますと、保健師の方とか、生活支援員とか、ボランティアの人たちなどの、これは連携が求められますけれども、その連携の現状をお知らせください。 〇日向障がい保健福祉課総括課長 こころのケアセンターの例としましては、精神科医師のほかに、保健師、看護師、精神保健福祉士等の職員がケアセンターの職員として、地域の支援をしておりますし、地域で見守りをしていただいている生活支援員から、相談してほしいとか、あるいは、少し様子がおかしいということでつなぐケースもあるようですので、地域の状況も踏まえながら、連携して取り組んでいると聞いております。 〇上原康樹委員 被災体験で、心に刻まれた傷は、時間を、歳月を重ねることで、深く潜行して潜り込み、あるとき、何かのきっかけで顕在化することもあり得るのではないかと私は感じます。 それだけに、日ごろの暮らしの中で、被災した方々の心をじっと注目し、観察し、寄り添うという活動は非常に重要だと思いますので、何とぞよろしくお願いいたします。 被災地で心にダメージを受けるのは、被災者だけではありません。被災者を助ける立場の人々、消防士や自衛隊員など、災害救援者と呼ばれる人たちも、極限状況で、心理的な影響を受けることが知られています。こうした人々への精神科医、精神医療対応はどうなっているでしょうか。 〇日向障がい保健福祉課総括課長 いわゆる支援者支援という部分になるかと思いますが、こころのケアセンターにおきましては、例えば、行政に他県から派遣で来ている方を対象とした、心のケアの研修、セルフケアの研修などを行っているほか、地域で支援を行っている方、それから、社会基盤の整備に携わっている方などを対象とした研修会を、これまでも繰り返し実施しているところでございまして、市町村と相談しながら、こういう方を対象とした研修なども、引き続き実施していきたいと考えております。 〇上原康樹委員 最後に、極めて物理的なこと、薬についてお聞きします。これまでも、災害時の薬の不足ということが言われていました。特に災害直後、それまで定期的に病院へ通って、薬を出されていた精神疾患の人が、薬が使えなくなる、災害で被災して、薬が使えなくなる状況に陥るということは当然考えられます。 心を落ち着けるための薬が途絶えるのは、御本人にとって大変な不安です。そうならないために、どのような準備、備えを進めているのでしょうか。 〇日向障がい保健福祉課総括課長 まず、発災直後につきましては、午前中にも答弁をさせていただきましたけれども、DPATが、被災者、避難所を訪問しまして、支援を行っているところです。 今般の能登半島地震におきましても、薬の喪失であったり、あるいはその状況変化に応じて、医療が必要になった方がいらっしゃるので、その方をなかなか交通事情が厳しい中、3時間、4時間かけて搬送したという例もあるようでございます。 そういう人的支援に加えまして、薬につきましても、DPATが常備しておりまして、状況に応じて、精神科医の診療のもと投与する場合もあると聞いております。 ただ、長期にわたる場合につきましては、全体の薬の確保のルートに載せていただく必要があるかと思いますので、DMATなどさまざまな機関と連携しながら、支援をしていくということになるかと思います。 〇上原康樹委員 私、今回のことでいろいろな専門家の報告を読んでおりまして、1行、猛烈な言葉を読みまして、ショックを受けました。本当にこのとおりだと思いますけれども、読みます。 社会が被災地のことを忘れたときに、本当の災害が始まる。 深いと思います。その被災体験で、心理的な問題を抱えたままの方々が、苦しむ人々が存在し続けることは、災害の爪跡そのものだと思います。さらに、社会の未来を非常に危うくする状況だと思います。 被災体験、過去のものであれ、未来のことであれ、どこまでも向き合う覚悟のもとに、精神医療体制を盤石なものにすることについて、県のこれは大きな責務と考えております。保健福祉部長のお考えを聞いて、終わりにいたします。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 昨日は3.11でした。報道等も拝見しますと、東日本大震災津波のときの本当に苛烈な体験がこの日になると思い出されます。いまだに心に重い傷跡であったり、深い跡を残されている方、被災者の方々に非常に多くいらっしゃると思います。 私自身思い出しても、岩手県民の皆さん、3.11のときどうだったのかというのは、本当にきのうは思い返されたのではないかと思いますし、被災地に思いをはせたと思います。 上原康樹委員から御指摘のとおり、被災者の方々、これらの心のケアの問題は、これは、年数を区切って解決する問題ではないと我々は考えています。被災地の方々が、精神的なものも含んでお困りなものはずっとありますので、これについては、県の施策として、ずっと寄り添って、必要な支援を続けてまいりたいと考えております。 〇菅原亮太委員 私からは、産後ケアに関する事業及び妊産婦の支援に関する事業について伺いたいと思います。 私の一般質問でも取り上げさせていただきましたけれども、本県の産後ケア事業の実施市町村数は、訪問型28市町村、日帰り型が15市町村、宿泊型が奥州市の1市のみとなっています。 ほかの都道府県の宿泊型産後ケア事業、数を比較しますと、最多が大阪府の99、最小は岩手県の1、東北6県で見ても、青森県2、宮城県17、秋田県10、山形県15、福島県19となっています。 女性にとって、産前産後は、女性ホルモンが乱高下して、心身ともに大きな負担、第三者によるケアがないと産後うつにもつながるということがありますので、産後ケア事業、この大事な時期に、母親となった女性の心身を癒やして、そして、親としての自立を促して、社会復帰への援助を行うということで、大事な事業だと思いますので、産後ケアに関する事業、そして、妊産婦の支援について、奥州市からヒアリングした意見を踏まえながら、よりよい事業になるようにという思いで質問させていただきたいと思います。 まず、産後ケア利用促進事業費補助ですけれども、こちらは、市町村が産後ケア利用者が負担する利用料を無償化した場合、その経費について、市町村に対し補助を行い、利用者の経済的負担の軽減を図るものと認識しています。 県の10分の10の補助で、産後ケア利用の無料化は実現できていまして、補助金申請のときの書類提出も簡素化されていますので、とても使いやすいという声もいただいていました。 今後も、支援の継続を希望したいというところでございますが、まず一つ目、奥州市が、来年度から民間ホテルを活用しての日帰り産後ケア事業を考えております。こちらのホテルの使用料についても、補償の対象となるか確認したいと思います。 もう一つ、今年度から、予算額が700万円の削減になっていました。率にして8割の削減ですけれども、その理由について教えていただければ、ありがたいです。 〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 産後ケア利用促進事業費でございますが、産後ケアの利用に当たっては、利用者が市町村の規定に基づき、利用料の一部を負担することになっていますが、県は、補助事業により、それを市町村が無償化する場合、補助をして、負担軽減を図っているものでございます。 奥州市で、今後、民間のホテルを活用した日帰り型、デイサービス型の利用ということでございますが、同様に、市で、利用料の無償化を継続するのであれば、本事業の活用は可能と考えております。 また、本事業の予算額について、減額されているということでございますが、本県では、令和4年度から、県の10分の10の補助ということで、利用料の無償化の補助を実施しておりますが、令和5年度からは、国においても、利用料の一部、2、500円上限で、その減免した費用を国庫補助の対象にすることになりましたので、まず、そちらの活用を図っていただくということで、国のほうで見てもらえる分は、県の負担が減じられることになりましたので、その関係で減額されているものでございます。 〇菅原亮太委員 奥州市以外の人からも、この奥州市の産後ケア施設を使いたいという要望があるそうですけれども、やはりどうしても市民優先ということで、そういった方は断っているそうです。 宿泊ケアは、今、奥州市は3カ月待ち、当然、宿泊ケアについては、奥州市においても、助産師の確保が難しくて、これ以上の拡充は本当に厳しい状況だと伺っております。 一つの市で宿泊型産後ケア維持拡大するのは、大変難しいということで、ここから、提案になってしまうのですけれども、山梨県では、産前産後ケアセンターママの里という施設を、県が事業主体となり設置しています。詳しくは、山梨県と県内全市町村の負担金によって、学校法人健康科学大学が委託を受けて、産後ケア事業を運営している。利用者は、山梨県民全員が使えまして、利用料は、利用者が負担という形になっております。 この宿泊型産後ケアの事業を、奥州市だけでなくて、先ほど言ったように、ほかの市町村から、岩手県全体としてもニーズがあると捉えていますので、ぜひ、県として、山梨県のように、産後ケア施設を整備していただけないかなという声も伺っておりますが、それについて御所見いただければと思います。 〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 宿泊型の産後ケアを県としての実施ということでございますが、周産期を取り巻く環境を考えますと、お産はどうしても集約化という方向になっておりますので、産後ケアなどのサービスは、お住まいの地域にできるだけ近いところで受けられる体制が重要だろうと考えております。 本県の地理的条件なども含めて、御紹介のあった山梨県の事例などを参考に、いろいろ研究していく必要はあると思います。まず、奥州市でも、ホテルを活用したデイサービス型に取り組むという御紹介がございましたけれども、そういう形で、圏域の医療機関とか、それから、そういった宿泊施設、地域資源を活用した取り組みということで、身近な地域で、デイサービス型あるいは宿泊型というサービスの提供ができないかということを、地域の関係者と十分に、当然、実施主体である市町村の意向も踏まえながら、十分に検討をして、地域になるべく近いところで、そういったサービスが拡充されるよう、県としても、そういった広域の調整とか、そういった面で市町村を支援していきたいと考えております。 〇菅原亮太委員 ぜひ、研究、検討をお願いしたいと思います。 先ほどの話の中で、助産師の確保が難しくて、市として、産後ケアの拡充が難しいという話をさせていただきました。 次に、来年度新規の助産師活躍支援事業についてお伺いしたいと思います。岩手県助産師活躍推進事業は、院内助産や助産師外来、産後ケアの推進のための助産師の確保、育成の取り組みと伺っております。 これは大きく分けて、二つ事業があると伺っていますけれども、そのうちのアドバンス助産師派遣支援事業の概要について、御説明いただければと思います。 〇柴田医務課長 助産師活躍推進事業のアドバンスケア助産師の派遣の部分でございますけれども、これは、市町村が産後ケア等の事業を実施するに当たりまして、助産師の確保が課題になっているということで伺っているところでございます。 助産師会等の関係団体と連携いたしまして、市町村のアドバンス助産師等の紹介に取り組むような仕組みをつくっていきたいということで考えているところでございます。 〇菅原亮太委員 分娩件数100件以上をアドバンス助産師といいますけれども、アドバンス助産師の紹介システムと理解させていただきましたが、アドバンス助産師に関する必要な経費は、県、市町村どちらが負担するかというのは決まっていますでしょうか。 〇柴田医務課長 紹介の窓口の運営については、今回の事業費の中で積算しているものでございますけれども、実際に、派遣された助産師の活動に要する経費とか、その旅費については、市町村に負担していただくことを想定しているものでございます。 〇菅原亮太委員 アドバンス助産師の派遣、出張ですけれども、これはどのくらいの期間を想定されているかを教えていただけますか。 〇柴田医務課長 この事業につきましては、来年度、予算成立以降、実際には仕組みをつくっていただくものでございまして、市町村でも、例えば派遣を想定される医療機関だったり、助産師会だったりでも、好意的に受けとめていただいているという状況はございますけれども、実際には、送り手側と受け手側のマッチングの状況次第になってきますので、具体的には、今後ということになってきます。 ただ、いずれ、あまり長期間ということではなく、短期の出張という形になるのではないかという想定はしております。 〇菅原亮太委員 短期間というのは3日間と伺っていましたので、その辺が短過ぎるというところを触れさせていただきたいと思っていました。 あと、県立病院とか盛岡赤十字病院から、アドバンス助産師を市町村の要望に応じて紹介という形でございますけれども、これは、市町村が申請すれば、すぐにアドバンス助産師が市町村へ派遣できる体制になっているのか、その辺を確認したいと思います。 〇柴田医務課長 繰り返しになりますけれども、この事業につきましては、今後、マッチングのための窓口の設置と、あとは、医療機関あるいは市町村からの申請の仕組みをつくっていきたいというものでございますので、4月からすぐに100%で稼働できるという状況では残念ながらございません。これを、年度内において、そういう動ける仕組みということでつくっていきたいと考えているものでございます。 〇菅原亮太委員 正直、今の分娩状況とか、あとは働き方改革、タスクシフトとか、すぐに助産師を派遣できる体制にするのはなかなか難しいように私も感じていました。市町村に対して、どういう支援が受けられるかというところは、情報提供はまだまだ少ないと感じていますので、できれば、都合がいいときに都合よく派遣していただけるような体制を、ぜひ整えていただきたいなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。 次に、市町村少子化対策支援事業費について伺います。この中で、産前産後サポートなど利用促進事業費がございまして、この事業は、妊産婦が産後ケア事業利用する間、妊産婦の子供の一時預かりに要する経費と、産後ケア事業を利用する際の交通費を補助する制度と認識しております。 どちらも、補助率2分の1で、交付対象は市町村となっておりましたが、まず、この一時預かりです。これを市町村で実施することについて、市町村の課題は何であるかなど、認識しているか伺いたいと思います。 〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 市町村少子化対策支援事業についてでありますが、その中で、産後ケア事業等の利用促進のメニューも設けておりまして、一時預かりにつきましては、産後ケア事業を利用するに当たって、上に未就園の子がいることで、なかなか利用につながらないといった声なども聞かれておりまして、そういった課題に対応するために、一時預かり支援についても、補助の対象としたものでございます。 課題としましては、保育所などの子供の預け先が確保されるかどうかというところが課題であると思います。地域の保育所で預けられれば、それを利用していただく形もありますけれども、もし難しい場合であれば、これは、産後ケアの事業者の協力もいただく必要があると思いますが、産後ケア事業者による託児など、そういったところを使った場合も対象になるような形で、可能な限り、柔軟な運用を考えていきたいと考えております。 〇菅原亮太委員 次に、妊産婦が産後ケア事業を利用する際の交通費の補助についてですけれども、この交通費は何を想定しているのか。タクシー代なのか、それとも、当然利用者は市内の人なので、高速代は使わなくて、自家用車だと思うのですけれども、その場合、距離換算とかガソリン代なのか、その辺の交通費について、どういうことを想定しているかをお伺いできればと思います。 〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 産後ケアの利用に対する交通費の補助ということでございますが、まず、本県の地理的状況からして、遠くのデイサービスセンター、施設に通わなければならないということもあるかと思います。その場合の移動手段の確保とか、交通費の負担が難しいということで、サービスの利用につながらないといった課題もあろうかと思います。 それから、産後間もなくということなので、その方が御本人で、運転できるのかどうかというところもあります。そういったことからも、移動手段、交通費の負担というところの問題が出てきます。 今回の補助につきましては、まず、公共交通機関などの利用についてはもちろんですけれども、タクシーまたは自家用車、御家族の送迎なども、補助対象に加えるというところで、これから、詳細な要件とかは定めてまいりますが、可能な限り、これも柔軟な運用を考えていきたいと考えております。 〇菅原亮太委員 その際、申請書類が煩雑にならないようにしてほしいという声もありました。 次に、妊産婦に関する支援について伺っていきます。 まず、通院アクセス支援についてです。これは、妊産婦の経済的、身体的な負担を軽減するために交通費などのアクセス支援を実施する市町村に対して補助する事業ですけれども、これが、領収書とか通院証明書が必要で、妊産婦が書類を用意するのが大変だという声を伺っています。高速料金とかだと、クレジットカードの領収書を何度も持ってきてもらうことになってしまうし、また、補助金申請は、年度ごとに申請することになっていますので、妊娠期間が年度をまたぐ妊婦の場合、2回申請を行う必要があるのだそうで、これが妊産婦にとってとても負担になっていると。年度ごとだから、3月に無理やりまた来てくださいと呼び出して、申請してもらわないといけないらしいのです。 そこで、奥州市は、この妊産婦の負担を軽減するために、年度にこだわらず、出産後にまとめて申請することを可能としているみたいです。奥州市独自のある判断なので、一部の申請者は、県の補助金対象外となる形になります。当然、補助金対象外となれば、それは、市が負担するという形になっていますので、意見ですけれども、これを一律で、定額で決めてしまっていいのではないかと感じています。 あとは、市町村とぜひ意見交換していただいて、どういうところが大変ですかというところを伺って、そういったところをぜひ課題として受けとめて、今回も、書類が煩雑だという意見を伺っていますので、どうしたら妊婦にとって負担にならない申請になるかというところも、ぜひ考えていただきたいと思っていました。 提案として、一律定額支給とか、奥州市から北上市まで高速代とかは大体決まっていますから、そういう意味でも、ここからここまでの人は幾らと決めてしまってもいいのかと思うのですけれども、それについて御所見いただければと思います。 〇山崎地域医療推進課長 妊産婦の通院支援についてでございますけれども、ただいま菅原亮太委員御紹介のとおり、県の妊産婦アクセス支援事業については、市町村において、また、地域の実情に応じた制度を策定の上、実施しているものでございまして、その支援の実施のために、確認が必要な書類についても、各市町村がそれぞれの要件を確認するために、妊婦に対して提出を求めているものと考えております。 ただ、市町村によりましては、先ほど菅原亮太委員から御紹介がありましたとおり、運行ルートの確認を要さずに、通院1回当たりの金額を定めて補助している、そういった市町村も実際にございまして、そういったことも、県としても、通院等に使ったことが確認できれば、補助の対象としているところでございます。そういった例を情報提供するなど、市町村と意見交換を行いながら、申請する妊産婦の負担が大きくならないようなことを、市町村とともに努めていきたいと考えております。 また、年度またぎの申請のところにつきましても、今、御紹介ございましたので、改めて、市町村とも、情報交換を行いまして、使いやすい制度となるように、検討していきたいと考えております。 〇菅原亮太委員 前向きな御答弁いただきまして、ありがとうございます。 最後に言わせていただきますと、奥州市にヒアリングして、市からのニーズや要望を、きちんと酌み取れていないのではないかと感じました。いろいろ補助してくれるのはありがたいのですけれども、さっき言ったみたいに、書類が煩雑だったりとか、年度をまたぐ場合は2回申請しないといけないとか、新規の来年度事業が県議会で可決されないと、市町村に照会されないというので、市町村にもなかなか情報が上がってこないというところもあるのだと思うのです。できれば、事業予算化する前に、前年度の12月ぐらいには、この事業の概要をお知らせして、市町村との意見交換で、さっき言ったような、ニーズや課題のヒアリングをしていただいてからいただきたいと感じましたので、ぜひよろしくお願いいたします。 〇千葉秀幸委員 岩手県全体のことに触れながら、質問させていただきたいと思っているところでございます。 まずは、市町村少子化対策事業費について伺います。先ほど菅原亮太委員から、少子化対策事業費についての産前、産後サポートについては、御説明があったとおりでございますので、私からは、既存資源を活用した子どもの遊び場整備事業、そして、地域課題分析型少子化対策支援事業、これは、県としてさまざまな課題があって、今回、新たにメニューに導入したと思いますが、その経緯についてお伺いいたします。 〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 市町村少子化対策支援事業費についてでございます。今年度実施した本県の少子化要因の分析において、県内でも、圏域ごとに女性人口とか、有配偶率の減少の度合いなど、地域差が見られたというところでございまして、保育料の無償化のように、一律で実施している事業に加え、各市町村が地域の実情に応じて取り組めるような支援を行うことを目的に、この事業を事業化したものでございます。 特に、社会資源の違いが見られる先ほどの産後ケア利用の部分とか、子どもの遊び場の整備について、地域の実情に応じて活用できる補助メニューを設けさせていただいたところでございます。 さらに、小規模な町村に対しましては、地域課題の分析や少子化対策の立案等について、専門家とも連携しながら、伴走型支援を行い、国の少子化対策の交付金とか、県の地域経営推進費などを活用した、具体的な地域の実情に即した施策の展開につなげていこうという考えのものでございます。 〇千葉秀幸委員 それでは、まずは、子どもの遊び場整備事業について、少し触れさせていただきたいと思っておりますが、この間、新型コロナウイルス感染症あるいはインフルエンザ等もあって、密を回避して、制限がある中で、かつ子供たちの遊び場を確保していきたいという声があったわけでございますが、この間、岩手県内においては、遊び場が少なかったことは共通認識だと思っております。 そういったことから、今回、市町村あるいは複数の市町村をまたいで整備していくことになったのでございますが、今現在の市町村においての事前調査の状況、どうなっているのかお示しいただきたいと思います。 〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 遊び場整備事業についてでございますが、市町村への事前調査の結果、複数の市町村から、本事業を活用した遊び場を整備する意向が示されているほか、今後、整備を検討していくという市町村も、複数把握をしているところでございます。 令和6年度当初予算案の積算においては、数カ所程度への補助を想定して、予算を計上しているところでございますので、令和6年度に遊び場整備を予定、または、検討している市町村に対して、活用を促してまいりたいと考えております。 〇千葉秀幸委員 複数ということで、具体的なところまでの御答弁はいただけなかったわけでございますが、これは、ぜひ積極的な支援をお願いしていただきたいと思っておりますし、繰り返しにはなりますが、新型コロナウイルス感染症あるいはインフルエンザのように、改めて密を回避しなくてはいけない状況は、今後もあり得るかもしれません。新たなウイルスが出たときに、基本となるのは、距離だったり密だったりということが想定されます。 そういったことからすると、室内においては、一部利用が制限されたりということも、今後、生じる可能性があると思っております。そういったことから、本県の自然豊かな資源を活用したり、触れ合っていただく、そういった観点からも、今後は、室内に限定せずに整備を進めていくことも重要ではないかと考えておりますが、そうした場合は、さまざまな部局が絡んでくることも承知をしているところでございます。 しかしながら、先ほど申し上げた観点からも、今後、検討いただければと思っておりますが、御所見をいただきたいと思います。 〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 子育てしやすい地域社会ということで、子供が伸び伸びと遊べる遊び場、環境づくりも重要でございまして、来年度は、室内の、特に既存設備を活用した事業ということで、これは、機動的に地域のニーズに応じた遊び場の整備ということで実施するところを、支援していこうというものでございます。 それ以外に、屋外の遊び場とか、もっと大きい大型施設というところもあるかと思います。それも、大型施設となれば、費用の問題や、維持管理の問題、それから、屋外施設となれば、当部以外の各部局との取り組みの連携もあるかと思いますので、総合的な子育て環境整備ということで、人口減少対策本部とか、子育て支援本部の全庁的な協議の中で、今後の対応についても、検討してまいりたいと考えております。 〇千葉秀幸委員 よろしくお願いいたします。 次でございます。地域課題分析型少子化対策事業についてでございますが、今回、市町村の中でも、これは町村に特化したという事業だと理解しております。これは、人口減少を抱える本県においても、私は、町村に特化した対策で、非常にいい事業だと期待しているところでございます。 町村は、やはり人口減少が著しく少ないという実態でございます。だからこそ、町村に特化したと理解をしておりますが、改めて、実態も含めて、県の認識を伺ってまいりたいと思います。 〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 少子化問題は、町村に限らず、全ての市町村に共通する課題ではございますが、少子化対策に当たりましては、結婚、出産、子育てなどの自然減対策に加え、若者の転出など、社会減対策も含めた取り組みが必要になると考えておりますが、特に小規模な町村においては、少子化対策の分析とか立案に携わるマンパワーが不足しているなどの課題があると考えております。 このため、県では、令和6年度当初予算案において、小規模な町村を対象とし、地域課題の詳細な分析に基づく施策立案に向けて、専門家等と連携しながら、伴走型支援を行う事業を新たに盛り込んだところでございます。 〇千葉秀幸委員 それでは、県が専門家と連携を図りながら、伴走型支援を実施していくということでございますが、具体的には、どういった支援をしていくのか、伺いたいと思っております。 広域振興局ごとに特命課長、あるいは各部局に少子化対策監等を設けている、あるいはこれから設けるという取り組みも進んでいく中において、私は、こういった方々と連携を図っていくという認識でいますが、いかがでしょうか。 〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 先ほども御答弁申し上げたとおり、少子化対策に当たっては、自然減対策のみならず、社会減対策も含めた取り組みが必要となることが想定されます。本事業で、少子化対策の検討を進めるに当たりましては、県と市町村合同のワークショップの開催を予定しておりまして、県としては、振興局に新たに配置される人口減少対策の特命課長や庁内各部局の少子化対策監と連携し、分野横断的に、関連する部門の職員が参加する形で、支援町村の実情を踏まえた少子化対策の検討を、総合的に支援していく考えでございます。 また、ワークショップの検討結果などにつきましては、庁内の少子化対策監会議等で共有し、翌年度以降の県の施策の検討にも活用していきたいと考えております。 〇千葉秀幸委員 先ほどもお話がありましたが、町村においては、非常に苦しい材料としては、マンパワーが不足しているというところだと思っております。そこに対して、県あるいは専門家が入りながら、連携していくということでございますので、少子化対策あるいは地域課題につながることを、私も期待しているところでございます。 そこで、大切なことは、これらの事業をこれから分析していくという話でありますが、これを分析して、それから、施策に落とし込む、このスピード感が最も大事だろうと思っておりますが、施策に落とし込むまでの全体像あるいはスピード感も含めて、どう想定されているのかについて伺いたいと思います。 〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 来年度の町村への伴走型支援は、先ほど町村と合同でワークショップを設けるという話をいたしました。このワークショップで何をするかといいますと、国で、少子化対策地域評価ツールということで、少子化に関する課題分析を実施し、対策を検討するためのツールが公開されているのですが、市町村独自にこれを使ってやってくださいと言っても、なかなか難しいというところがありますので、そのステップに準じた取り組みをするということで、今の想定では、年間5回程度のワークショップを、そのステップごとに応じて開催する予定です。これらのワークショップは、年度の前半で、9月ごろまでに、一連のワークショップを検討していきたいと考えております。 そして、令和7年度以降の具体的な予算化、事業化に向けて、きちんと球出しができるように、年度前半で検討をし、年度後半に、さまざまこれについても助言を行いながら、具体的な事業化に向けて、そこも支援してまいりたい、そのようなスケジュール感で考えております。 〇千葉秀幸委員 ぜひ、私も期待しますし、今後とも、注視してまいりたいと考えております。 最後に、奨学金制度についてお伺いしたいと思っております。これも、私も一般質問で取り上げたものでございますが、改めて、この枠をふやしたり、あるいは増額も、実態とすれば、非常に苦しいという御答弁をいただいたところでございます。 であれば、せめて、今の奨学金制度の中で、医師をしっかりとどうつくっていくかという中においては、これはすぐに取り組める内容であると思っておりますが、奨学金を借りた生徒が、奨学金を返還するといったこと、これは、できる限り今後も防いでいくものと思っておりますが、実態と、その成果への現在のアプローチについて伺いたいと思います。 〇柴田医務課長 医師の奨学金の制度ということでございます。 奨学金の返還者への対応ということでございますけれども、今年度、県と医療局及び市町村の医師奨学金制度において、返還に至った方は、全部で14名いらっしゃいまして、そのうち、配置対象の医師が12名、それから、1年次研修医と在学中の方が各1名という状況となっております。 この方々については、それぞれの制度のルールに基づきまして、医師免許を取得した方については、勤務年数分を減免した上で、所定の利息を付して、返還をお願いしております。また、在学中の辞退の方については、貸付額をそのまま返還していただくということとなっております。 県におきましては、この奨学金養成医師の円滑な義務履行とか、履行後の県内定着につなげていくために、在学中は、奨学生が交流を深める場として、医学奨学生セミナーを開催しておりますほか、医師免許取得後には、県立病院長経験者の医師支援調整監による面談を実施しておりまして、義務履行とキャリアアップの両立をきめ細かく支援しているというところでございます。 〇千葉秀幸委員 最後にさせていただきたいと思いますが、いずれ、数ある応募の中でも、限定されて奨学金を受けているわけでございますから、そういった方々に、改めて、本県の税金を活用しているという重さ、プレッシャーという意味ではなく、しっかりと理解をしていただく必要があると思っております。今後も、その辺の取り組みをしっかりとしていただきながら、極力、奨学金を活用した生徒が、しっかりと本県に医師として定着していただきますことを御期待を申し上げるところでございます。 〇斉藤信委員 それでは、新型コロナウイルス感染症対策について質問します。 第10波の感染拡大への対応について、高齢者施設、医療機関のクラスターが、引き続き発生しています。第9波との比較を含めて、示してください。 〇木村感染症課長 いわゆる第9波、第10波の感染状況でございますが、それぞれの最大数値を申し上げますと、定点報告数は、第9波では、令和5年9月6日に公表しました第35週の35.24人、第10波では、令和6年2月14日に公表しました第6週の18.07人となっており、クラスター報告数でございますが、第9波では、令和5年9月6日に公表した第35週の34件、第10波では、令和6年1月29日に公表しました第3週の19件となっております。 こうした状況から、第10波は、第9波と比較し、定点医療機関で確認された患者数及びクラスター報告数とも、下回っている状態でございます。 〇斉藤信委員 今のはピーク時の比較です。第8波は、山があるわけだから、例えば第10波は、第1週から第8週までとしますと、高齢者施設のクラスターは52件です。医療施設のクラスターは32件です。第9波、これも8週間で比較しますと、高齢者施設のクラスターは59件、医療施設のクラスターは24件です。 要は、高齢者施設は、第9波とほぼ同数。医療施設は、第9波を上回っているのです。これ、認識されていますか、分析されていますか。 〇木村感染症課長 その期間におきまして、施設の割合が変わってくるのは、当然、認識しておりまして、そういった形で、高齢者施設については、クラスターが発生する割合が非常に高いというところがございます。 あとは、時期によっては、学校が監視している場合においては、小学校の教育施設のクラスターが発生したりとかという形で、時期に応じて、内容は変わってくるものと認識しておりますが、いずれにせよ、高齢者施設、医療機関とも、クラスターが多いのは事実でございます。 〇斉藤信委員 私の質問に残念ながら答えられていない。分析されていないのです。8週間で見ますと、医療施設のクラスターは、第9波より多いのです。高齢者施設、医療施設は、感染に一番気をつけているところで、それで、これだけの感染が広がっている。その他の施設は、まともに報告される義務がありませんから、私は、そういう意味でいくと、総数を比較しても、あんまり正確な比較にならない。だから、高齢者施設と医療施設について聞いたのです。 保健福祉部長にお聞きしたい。医療施設のクラスターが、8週間で見ますと、第9波を超えている。この要因は何なのか。医療施設までこのクラスターが広がるというところに、本当に数字にあらわれないような、感染の広がりがあるのではないかと私は考えているのですが、いかがですか。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 クラスター数と地域の感染状況は、基本的にはリンクしていると考えていますが、医療機関においては、例えば、濃厚接触者の取り扱いが少し変わってきたりとか、さまざま運用も変わってきている中にあって、クラスターの対応というところも、医療機関においても、かなり変わってきているという認識はしています。 ただ一方で、医療機関は、斉藤信委員がおっしゃるとおり、感染対策が一番しっかりしている中にあって、クラスターが発生しているという状況ですので、この部分、特に医療の負荷という部分が一番重要な部分でございますので、私も、このクラスターの状況、また人数規模を、そういったものもきちんと注視しながら、分析をしていきたいと考えております。 〇斉藤信委員 私は、ぜひ、危機感を持って、今後の対策に当たっていただきたいと思います。 そこで、第8波は最大の波でした。このときには、入院患者の6割を県立病院が受け入れた。第9波のときには約4割でした。第10波の場合にはどうでしょうか。そのことをお聞きしたい。 〇木村感染症課長 令和6年3月3日までにおける1日当たりの入院患者数の延べ人数でございますが、1万5、891人、そのうち県立病院の人数は5、290人と、県全体のコロナ入院患者の約3割という形になっているところでございます。 〇斉藤信委員 感染症法上の位置づけが5類になって、一般の病院でも新型コロナウイルス感染症患者を受け入れるという形で、そういう意味でいけば、県立病院、岩手医科大学附属病院、その他の負荷は軽減されているのだと思いますけれども、それでも、県立病院が3割の入院患者に対応していることは、私は高く評価したいと思います。 それで、今、本当に切実な問題は、5類に移行して、新型コロナウイルス感染症関連の補助金が縮小、廃止をされている、来年度はみんななくなる、こういう話です。 一般質問でも取り上げたのですけれども、県立病院の赤字は、前年度23億円の黒字だったのが、39億円の赤字です。盛岡市立病院に聞きましたら、これも、今年度末は8億7、000万円の赤字見込みだということです。本当に、公立病院はもとより民間も含めて、軒並み今年度は赤字に転換するのではないか。 この点で、医療機関の経営状況について、国の調査結果もありますし、県内の状況をどのように把握しているでしょうか。 〇木村感染症課長 新型コロナウイルス感染症に関連する補助金についての医療機関の経営に与える影響についてでございます。 斉藤信委員からも御紹介ありましたように、令和5年11月に、国で公表された医療機関経営状況に係る国の調査によりますと、令和4年度における一般病院の収支は、平均で4、000万円余の黒字ではございましたが、新型コロナウイルス感染症関連補助金の収入を除くと、2億2、000万円余の赤字であるとの結果が示されていたところでございます。 国では、新型コロナウイルス感染症への特例的な対応を、令和6年3月で終了し、4月以降、通常の医療体制に移行するという形を示されているところでございます。 通常体制への移行後は、医療機関の感染対策に係る経費等につきましては、補助金による特例的な財政支援による支援から、診療報酬による対応となります。 令和6年度の診療報酬改定では、感染患者の入院に係る感染対策に対する、新たな加算等の創設等が検討されている状態でございますが、こうした補助金が縮小、廃止される一方で、こうした診療報酬の改定による補助対策への新たな評価が導入されるため、医療機関の経営に与える影響については、現時点では、予測ができないところでございますが、県では、引き続き、県医師会や医療局を通じて、医療機関の状況把握に努めまして、対策が必要な場合は、全国知事会等を通じまして、国へ要望してまいります。 〇斉藤信委員 これは昨年11月の発表です。だから、年度末になったら、また、その深刻さが変わっていると思う。補助金を入れないで、経常収支は、1病院当たり2億2、400万円の赤字。恐らく年度末はもっと赤字がふえていると思います。 私は、そういう意味で、新型コロナウイルス感染症のピークは、10波は確かに下がりました。それでも、先ほど私が紹介したように、医療機関のクラスターはふえている。クラスターがふえるということは、入院規制したり、手術規制したり、大幅な減収に結びつくのです。だから、新型コロナウイルス感染症が決して終息したわけではない。私は、そういう意味でいけば、もう新型コロナウイルス感染症は終わったというような誤った見方ではなくて、今の新型コロナウイルス感染症の感染状況をリアルに見て対応すべきだし、来年度からは全てやめてしまうと、診療報酬でどうなるかわからない。だって、全体が診療報酬はマイナスですから。 保健福祉部長、この点で危機感を持って、しっかり対応すべきだと思いますが、いかがですか。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 新型コロナウイルス感染症の対応に当たったのは、全国的に見ますと、公立、公的医療機関が大きな役割を果たしまして、県立病院も、収支もそうですが、全国的に公立病院、公的医療機関の今年度の収支は、非常に厳しいものという状況で聞いております。 多分、診療報酬についても、今後、分析がなされて、例えば、全国自治体病院協議会とか、そういった公的機関の集まりのところで、分析されて、このような形が出てくるかと思っておりますので、私どもは、こういった医療機関の情報をきちんと精査しまして、先ほど木村感染症課長が答弁申し上げましたとおり、必要な対応については、国に対して要望していきたいと考えております。 〇斉藤信委員 岩手県は、全国で最大の県立病院を抱えているわけだから、全国自治体病院協議会とか、全国知事会とか、岩手県から声を上げて、しっかり対応をしていただきたい。 第8波、第9波の検証はどうなっているかと、私の質問に対して、岩手県感染症対策連携協議会で協議しているというのが答弁でありました。3月末にはこれを示すというわけですから、恐らく、その検証の主な内容は定まっているのではないか。この内容を簡潔に示してください。 〇木村感染症課長 今現在、感染症予防計画を作成しておりまして、新たな新興感染症に対しての備えということで、今般の新型コロナウイルス感染症対応を踏まえたさまざまな指標等の目標数値を掲げて、今、予防計画で連携協議会の中で議論しているというところでございます。 内容的に申しまして、今般の新型コロナウイルス感染症対応に対して、まずは新型コロナウイルス感染症対応と一般医療との両立を図るため、さまざまな取り組みをしてきたところですが、こうした対応を、次期岩手県感染症予防計画に反映しまして、県独自に、入院等調整や、高齢者施設での感染対策研修の実施などについて、指標を項目として追加するなど、独自の予防計画をつくっているという状況でございます。 〇斉藤信委員 私が前に質問したときには、重要な後遺症問題が検討に入ってなかった。これはやはり全く入らないのですか。入るか入らないかだけ答えてください。 〇木村感染症課長 後遺症の記載につきましては、後遺症は感染症へ罹患後に生じる可能性があるものでございまして、今般の感染の発生、まん延に対応するために策定される感染症予防計画においては、記載することはなかなか困難かと考えているところでございます。 〇斉藤信委員 新型コロナウイルス感染症の新しい特徴は、後遺症なのです。私は、それは何らかの形で対策をしっかり立てるべきだと思います。 最後の質問になりますが、第9期介護保険料の算定の見通しはどうなのか。第8期末の基金の見通しはどうなのか示してください。 〇下川長寿社会課総括課長 第9期介護保険計画期間中の介護保険料については、各保険者の見込み額を取りまとめましたところ、県平均で6、095円となっており、第8期と比較して、62円ふえる見込みでございます。 また、第8期末―令和5年度末でございますが、各保険者の介護給付費準備基金の残高見込みを集計しましたところ、123億891万1、000円となっておりまして、第7期末―令和2年度末でございますが、こちらと比較して、23.9%増加する見込みでございます。 〇斉藤信委員 第9期の保険料が6、095円と、62円上がる。ただ、今、答弁があったように、実は、23億円基金積み増ししたのですね。だから、本来なら上げる必要がなかったのではないか。 私は独自に、県議会事務局を通じて、市町村及び行政事務組合等の介護保険料の調査をしました。基金の残高も調べてみました。値上げを予定しているのが8事業体、値下げが5事業体、そのまま現状維持が9事業体ということでありました。値上げの8事業体のうち五つは、基金をふやしているところでした。いわば、3年間黒字だったのに、来期は上げる。私は、これは不当なのではないかという感じがしたところでございます。 そこで、第8期の特別養護老人ホームの待機者と当初の特別養護老人ホームの整備計画、第8期末の実際の整備された特別養護老人ホームの実態はどうなっているでしょうか。 〇下川長寿社会課総括課長 令和5年4月1日現在におけます特別養護老人ホームの入所申込者数は3、691人でございまして、このうち、市町村が、早期に入所が必要と判断した待機者は722人となっております。 今年度―第8期の最終年度でございますが、特別養護老人ホームが206床、認知症高齢者グループホームが81床開設する予定でございまして、こうした整備が、入所待機者の解消に資するものと考えております。 〇斉藤信委員 第8期の特別養護老人ホームの整備計画は、実は504床でした。結果的には、260床しか整備されませんでした。この要因は何なのか。 もう一つは、今もお話があったように、早期入所が必要な方が、去年の4月1日段階では722人いた。しかし、第9期整備計画が393床です。これでは、保険料を天引きされても、入りたい特別養護老人ホームに入れる人が入れないということになりませんか。このことについてお答えいただきたい。 〇下川長寿社会課総括課長 第8期におきまして、整備計画がなかなか進まなかった要因としましては、物価高騰等につきまして、当初の整備計画よりも予算が上回ってしまったこととか、コロナ禍におきまして、特別養護老人ホーム等で、ショートステイを、長期入所に転換するという検討が、なかなか進められなかったということが影響したものと理解をしております。 第9期計画におきまして、先ほど斉藤信委員から御紹介ありましたとおりの整備計画数でございますが、それでは不足なのではないかということにつきましては、特養ホームのほかに、認知症グループホームとか、ほかの入所系の事業所等も開設の予定がございますので、こういったところで一定程度は対応できるのではないかと考えております。 〇斉藤信委員 いつもそういうふうに答えて、結果的には、第8期も504床を計画したけれども、260床しか整備されなかった。特別養護老人ホーム入所待機者の調査は、特別養護老人ホームに入りたいという人、早期に入れるべき人なのです。それが722人もいるのに、来年から3年間、393床しか整備しないということだったら、これは、保険料を天引きされて、入らなくてはならない人が入れないということになりませんか。早期に入所以外の申請者もたくさんいるのです。多様なところに入るのはいいかもしれないけれども、本来特別養護老人ホームに入れる人が入れないという、もう半分も入れないような、そういう第9期計画でいいのか。これは、保健福祉部長に最後に聞いて、終わります。いかがですか。こういうのでいいのですか。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 介護保険事業計画につきまして、今、第9期の最終的なまとめをしているところでございます。市町村におきましては、その地域において、今後、高齢者入所が必要な人数などを分析しながら、この3年間での整備計画を介護保険料などとの兼ね合いも見ながら、計画値を立てていると考えております。 斉藤信委員御指摘のとおり、特別養護老人ホーム入所待機者はまだまだおられますので、本当に必要な方がきちんと適した施設に入所できるように、県としても、市町村を引き続き支援してまいりたいと考えております。 〇千葉盛副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。 午後4時24分 休 憩 午後4時41分再開 〇城内愛彦委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。 〇高田一郎委員 まず、高齢者の生きがいづくりについて質問いたします。 新型コロナウイルス感染症は、高齢者にとって、外出制限とか行動制限によって、運動量の低下など、大きなストレスとなりました。筋力の低下や認知機能の悪化など、いわゆるフレイルの増加も指摘されています。新型コロナウイルス感染症の拡大のもとでの高齢者のリスクについて、県の認識を伺います。 〇下川長寿社会課総括課長 新型コロナウイルス感染症による高齢者のリスクについてでございますが、高田一郎委員からも御紹介ありましたとおり、新型コロナウイルス感染症は、高齢者や基礎疾患のある方は、重症化するリスクが高いことが報告されておりまして、コロナ禍で、外出制限が長期化することにより、運動量の減少による筋力の低下とか、食事量の減少による栄養状態の悪化、人とのつながりの減少による認知機能の低下など、さまざまな影響があるものと認識をしております。 〇高田一郎委員 コロナ禍の長期化によって、高齢者に大きなリスクがあるということだと思います。この問題、フレイルに詳しい大阪経済大学の高井教授は、自治体がその実態をよく把握して、感染予防を支援しながら、運動できる環境をつくるべきだと、こう指摘をしています。岩手県における高齢者の身体状況について、調査をすべきと思いますが、どうでしょうか。 また、今は独居老人などが増加し、社会的孤立も問題になっています。見守り支援が非常に重要な対策だと思いますけれども、この対応状況についても伺います。 〇下川長寿社会課総括課長 国が実施しました新型コロナウイルス感染症による高齢者の心身の影響に関する調査結果によりますと、コロナ禍においては、高齢者の外出とか、社会参加の機会が減少したほか、うつの項目に該当するものの割合が増加したとのデータも示されているところでございます。 また、高齢者の見守りにつきましては、市町村において、主に、地域包括支援センターを中心として、関係機関とか、民生委員、ボランティアなど、多様な機関や職種の連携により、行われていると承知をしているところでございます。 高齢者の身体などの実態調査についてでございますが、現在のところ、県が独自に、高齢者の身体などの実態調査を実施する予定はございませんけれども、引き続き、介護予防の通いの場の状況とか、要介護認定者数の推移等のほか、国の各種調査の分析等により、高齢者の身体等の実態把握に努めていきたいと思っております。 〇高田一郎委員 厚生労働省の調査でも、心身への影響が出ているということでありますので、これは、岩手県としても、しっかりと調査すべきだと思います。 高齢者の生活支援を行う上で、大きな役割を果たしているのが、先ほど議論がありましたけれども、地域包括支援センターだと思います。今は、地域包括支援センターの圏域人口は、高齢者3、000人から6、000人といわれていますけれども、県内の設置状況、圏域内の高齢者の人口規模も含めて、設置状況がどのようになっているのか、また、職員の配置基準に対する充足率も含めて、示してください。 〇下川長寿社会課総括課長 地域包括支援センターの状況でございますが、県内の地域包括支援センターは、令和6年2月末現在で、74カ所となっております。 センターには、保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員の3職種を、担当する区域の第1号被保険者数に応じて配置する必要がございますが、専門職全体の充足率は96.3%となっているところでございます。 また、本県では、第1号被保険者数が3、000人以上9、000人未満の3職種を1人ずつ配置する必要があるセンターが最も多くなっておりまして、県内で41カ所となっております。 〇高田一郎委員 圏域内の人口規模もお伺いしたのですけれども、いただいた資料を拝見しますと、圏域人口が6、000人を超えているのが15市町村あります。大きいところは、1カ所で2万4、000人の責任を負っている、そういう地域包括支援センターもあります。 自治体別で見れば、宮古市が1カ所平均2、374人に対して、二戸市は2万4、853人と、10倍の開きがあるのです。先ほどの議論の中で、下川長寿社会課総括課長から、地域包括支援センター内の高齢者の実態をよく把握して、より身近なところでの相談支援が必要だ。日常生活圏の中での対応が必要だと思うのです。そういう点で、岩手県の現状から見て、規模が大き過ぎる、そういう課題があるのではないかと思いますけれども、これに対して、県の認識についてどのように考えているのか、お伺いいたします。 〇下川長寿社会課総括課長 市町村の地域包括支援センターが担当する規模についてでございますが、こちらは、地域包括支援センターの運営協議会の検討等も踏まえまして、市町村で検討して、設定しているものと捉えております。 また、地域の身近なところでの相談が重要だというところは、まさしくそのとおりだと思っておりまして、そういったところに対応できるようにするために、前の答弁でも申し上げましたとおり、高齢者総合支援センター等の研修事業の支援等を使いまして、支援の充実に努めているところでございます。 〇高田一郎委員 市町村の事業ですから、市町村の実情に応じて設置をするのは、そのとおりだと思いますけれども、包括支援センターというのは、介護予防、総合相談支援、権利擁護、そして、包括的、継続的なケアマネジメントの役割ということで、大変大きな役割を果たしているのです。実態とすれば、介護予防がかなりのウエートを占めていて、体制の問題もあって、十分な相談対応などがなかなかできていないという包括支援センターもあります。 新型コロナウイルス感染症の感染拡大のときに、デイサービスが休止になって、そういう中で、地域包括センターの職員が弁当を届けた。これは、本当に日常生活圏の中にあるからだと思うのです。 そういう意味で、自治体によっては、10倍の開きがあるという、この規模のあり方を検討していくことが必要ではないかと思います。ぜひ、それは検討していただきたいと思います。市町村の事務ではあっても、県として、いろいろと検討していただきたいと思います。 次に、加齢性難聴者に対する補聴器購入助成について伺います。 これも、岩手県議会でも、請願採択を受けて、私も何度も要望してきました。現在の加齢性難聴者への国の動向がどうなっているのか。また、全国で、補聴器購入助成に対する支援を行っている自治体、全国あるいは県内の状況を、県はどのように把握されているのでしょうか。 〇下川長寿社会課総括課長 加齢性難聴の件、国の研究の状況についてでございますが、国では、国の認知症施策推進大綱におきまして、難聴が認知症の危険因子の一つに挙げられておりますが、現状では、明確なエビデンスを得られてないことから、現在、国立長寿医療研究センターにおいて、補聴器の装着の有無による、認知症発症率の差に関する研究が継続されているものと認識しております。 また、全国での加齢性難聴者への補聴器購入に対する支援の状況についてでございますが、全国では、東京都において、市区町村が行う補聴器支給等の事業に対し補助を実施しているほか、兵庫県において、令和4年度及び令和5年度に、補聴器の使用が社会参加活動に及ぼす影響を調査しておりまして、この調査に参加いただいた方に、補聴器の購入費の補助を行っていると承知しております。 また、県内でございますが、令和5年1月末現在(後刻「令和6年1月末現在」と訂正)で、7市町村が助成を行っていると承知しております。 〇高田一郎委員 全国の実施状況は、県としては把握してないということですね。全国の市町村の実施状況についても伺ったのですが、そこも把握してないということですね。 〇下川長寿社会課総括課長 大変失礼いたしました。都道府県の状況は把握しておりますが、全国の市町村の状況は、申しわけございません、把握しておりません。 〇高田一郎委員 全国年金者組合大阪府本部が、最近、全国調査をいたしまして、実は、現在、238市町村に大きく広がっていることが報道されておりました。 先ほど、下川長寿社会課総括課長から、エビデンスの問題をお話しされましたけれども、いわゆる補聴器使用による加齢性難聴の進行抑制効果が、国の研究レベルの間ではまだ確立されてないという、そういう中にあっても、全国で補聴器購入に対する助成が広がっていることを、県としても受けとめて、対応していくべきだと思います。 今、高齢者の難聴がふえていて、75歳以上の後期高齢者の半数が難聴と言われています。日常生活を不便にして、生活の質を落として、そして、認知症やうつになるという、こういうことは、研究成果も実は出ているのです。 そこで、お伺いしたいのですけれども、加齢性難聴が高齢者に及ぼす影響、そして、補聴器の有効性について、県はどのような認識を持っているのか。難聴が、高齢者に及ぼす影響、補聴器の有効性、これについてどのようにお考えなのか、この点について伺います。 〇下川長寿社会課総括課長 加齢性難聴についてでございますけれども、高齢者の難聴につきましては、難聴による認知機能の低下とか、閉じこもり等に影響があるものと理解しております。 言語聴覚士の先生などにも伺ったことがありますが、加齢性難聴者の方につきましては、難聴そのものが問題なのではなくて、難聴による認知機能の低下や閉じこもりの改善に向けた支援も重要だという御所見を伺ったところでございます。 そのため、県では、今年度、市町村や地域包括支援センターの職員など、高齢者の支援に携わる方々を対象とした介護予防セミナーにおきまして、加齢性難聴者に対する接し方とか、ケアの方法等を取り上げまして、支援に役立てていただくとしたところでございます。 今後も、国の研究の動向を注視するとともに、研修やセミナー等を通しまして、加齢性難聴の高齢者に対して、適切なケアが行われるよう、理解の促進を図っていきたいと考えております。 〇高田一郎委員 補聴器の有効性については、言及がありませんでしたけれども、高齢者の健康や生活の質の向上に、大きな役割を果たしていると思うのです。だから、兵庫県でも、実証実験を行うために予算措置をしたり、東京都でも、市町村にも広がるように、市町村が行う補聴器支給等の事業に対する補助をしたり、そういう努力により、238市町村まで広がっているのだろうと思います。 私は、兵庫県の取り組みが非常に教訓的だと思います。実証実験を2年にわたって400人規模でやって、この実証実験をもとにして、国に公的支援を求めていくという対応であります。 岩手県も、震災復興の課題などで、さまざまな提案を行って、実際、国がやらないのだったら、県がやるということでやって、それを国に求めて、動かしてきた、そういう役割を果たしてきたと思います。 補聴器購入助成についても、東京都や兵庫県の取り組みに学んで、ぜひ検討していただきたいと思います。 次に、こども誰でも通園制度についてお聞きいたします。午前中に、質疑もありましたけれども、通告しておりましたので、私も質問したいと思います。 これは、就労要件を問わずに、月10時間程度といわれていますけれども、保育園に通園して、子育てを支援するという、こども未来戦略に基づいて実施しようとするものであります。これは、保育現場からも、率直な疑問の声も上がっております。これについて、県はどのような感想を持っているのかについて、伺っていきたいと思います。 月10時間程度ですから、1週間で3時間とか、こうならざるを得ないと思います。保育現場では、毎日、子供がかわるわけです。そのことによって、人間関係や信頼関係を築けないまま、保育をしたりして、本当に子供の成長や発達にプラスになるのだろうかという、この保育の質、子供の発達、この点で問題があるのではないかという指摘であります。 私は、来年からもう実施ですから、この検証をしっかりして、必要な要望を国に上げていくべきだという立場で、保育の質、子供の発達の点で、この通園制度は、本当に課題はないのかということをお聞きしたい。 もう一つは、今、全国で保育園での死亡事故も起きております。その8割が0歳児から2歳児です。先ほど、空きスペースを利用するというお話もありました。十分な保育体制があるのかどうか。一時保育と同じ配置基準だといわれて、これは、ますます教育現場では不安の声が、今でもぎりぎりの体制でやっているわけですから、本当に、保育園というのは何よりも安全でなければならない。こういうことから、本当に大丈夫なのかという不安の声が出ています。これに対して、県はどのようなお考えなのか伺いたいと思います。 〇高橋子ども子育て支援室長 こども誰でも通園制度につきましてですけれども、令和8年度の本格実施ということになりますが、午前中も御答弁させていただきましたけれども、本年度から、全国でモデル事業が実施されております。国では、このモデル事業について、保育者からのアンケートを実施しておりまして、ふだんの保育に加え、子供対応にかける時間、労力がふえた、子供が環境に慣れることが難しいとの回答も多くなっております。 今年度は、モデル事業について、盛岡市と釜石市が実施しておりまして、現在、事業効果とか課題について検証を行っていると聞いております。こうした現場サイドでの取り組みに係る具体的な課題についても、県として、情報収集、承知をしていく必要があろうかと考えております。 こども誰でも通園制度は、令和8年度からの本格実施となりますが、国のアンケート調査による課題なども示されております。県といたしましては、保育士の確保とか、保育環境の整備というところについても、大事な取り組みであると考えておりまして、引き続き、保育士修学資金貸付とか、保育士・保育所支援センターのマッチング支援などの保育士確保策に取り組みますほか、令和6年度の当初予算案におきまして、新たに、全県を対象としました、保育補助者等の養成研修の実施を盛り込みました。 こういった保育補助者も保育現場でのサポートになると考えておりますので、こういった制度の本格実施を見据えまして、現場サイドのさまざまなニーズなどもお伺いしながら、保育現場の体制充実、保育者の資質向上など、また、都度、必要に応じて、国への要望につきましても、検討してまいりたいと考えております。 〇小林正信委員 私は、健幸づくりプロジェクトについて、新しい時代を切り拓くプロジェクトの一つであり、令和6年度も、継続して取り組みを進める予定と思いますけれども、この健幸づくりプロジェクトが目指す健康寿命の延伸について、岩手県では、国が3年ごとに行う調査で、2019年、男性は全国47位、女性は42位と、低位になっております。また、脳血管疾患の10万人当たりの粗死亡率では、2022年には全国の88.1%に対して岩手県は165.2%と、倍近い数値となっており、ここ数年のデータを見ても、改善の兆しが見られていない状況です。 プロジェクトでは、特に脳卒中患者のデータの抽出システムの構築と運用、こういったところに取り組んでおりますけれども、この取り組みの概要と、脳卒中の予防あるいは治療に、この取り組みがどのような効果があるのかという点をお伺いしたいと思います。 〇前川健康国保課総括課長 個別疾患を抽出するシステムにつきまして、他の疾患に先行しまして、脳卒中に関するデータを、電子カルテデータから自動的に抽出するための仕組みをつくり、患者データの抽出機能を利用して収集したデータの集計分析を行うことを目指しているものでございます。 現在は、データ抽出方法の調査研究を委託しました岩手医科大学において、抽出の精度を検証する研究を続けているところであり、研究期間が令和6年度までの予定となっております。 電子カルテデータを活用しましたデータの抽出、分析は、難易度が高いものであり、コロナ禍の影響等もあって、データの活用までには至っておりませんが、令和6年度は、今後、設置を予定しております専門家を含むワーキンググループにおいて、電子カルテデータを活用したデータの抽出、分析についても、検討していきたいと考えているところです。 〇小林正信委員 プロジェクトでは、このシステム構築に2018年から取り組んでおられますけれども、6年間たっておりますので、そろそろ何か具体的に、脳卒中の数の粗死亡率も改善の兆しが見られていない中で、脳卒中対策も急ぐべき取り組みだろうと思いますので、この具体的推進につながるように望むものです。 また、プロジェクトでは、被保険者のデータ4、100万件を集めて、市町村に提供した。県としては、このデータを活用して、何か具体的な取り組みをしてもらいたいと思うのですけれども、その取り組みについては、どのようなものを考えているのか、あるいは市町村にはどう取り組んでもらいたいのかというところをお伺いしたいと思います。 〇前川健康国保課総括課長 本プロジェクトの取り組みの一つとしまして、これまで、ビッグデータを活用した被保険者の疾病状況及び受療行動とか、特定健診結果などのテーマについて、基本となる分析を進め、地域の健康課題の見える化に活用できるよう、市町村別に集計、分析した結果を市町村等に提供してきたところでございます。 また、先般、武田薬品工業株式会社と共同研究契約を締結しまして、ビッグデータを活用したうつ病をテーマとする共同研究にも着手をしたところであります。行政のみならず、民間企業と連携した研究にも、ビッグデータの活用を行っていくというところでございます。 今後は、ビッグデータの効果的な活用に向けまして、分析手法の充実が求められることから、専門家を含むワーキンググループにおいて、分析手法の検討を行いますとともに、分析結果が、市町村において、保健指導等に有効に活用されるよう、データ活用人材の育成に係る支援や、昨年3月に開設いたしましたいわて健康情報ポータルサイトなどを活用して、県民への情報発信等に取り組んでいきたいと考えております。 〇小林正信委員 了解いたしました。市町村としても、健康寿命延伸につながる取り組みを、何かやりたいと思っているのでしょうけれども、このデータをどう使っていいかわからない。 県としては、具体的に取り組み、伴走型ともおっしゃっていますけれども、そういったところも一緒に考えていってもいいのかと思いますので、お願いしたいと思います。 また、プロジェクトでは、令和2年度から西和賀町で、パーソナルヘルスレコードを試験的に導入して、令和6年度も取り組みを行う。この取り組みを、今後、どのように発展させていくお考えかお伺いしたいと思います。 〇前川健康国保課総括課長 パーソナルヘルスレコードの取り組みにつきましては、令和2年度に、健康づくりプロジェクトの一環として、パーソナルヘルスレコードサービスの導入事業を実施するに当たりまして、西和賀町の取り組みを、県内におけるモデル事業と位置づけて、実施することとし、県が補助を行ったところでございます。 具体的には、スマートフォンなどの端末を用いて、病院の診察記録やさまざまな健康情報を、本人や家族が正確に把握するとともに、アプリを導入した町民に対し、町の健康づくりの取り組みの情報を配信するための仕組みを構築し、町民の健康づくりの促進を目指すものとなっております。 コロナ禍の影響もあり、こちらも計画におくれが生じておりまして、本格運用の開始には至っていないところではございますが、現在、モニターを対象とした情報配信の試験に取り組んでいると伺っております。 県では、早期の本格運用の開始に向けまして、町との調整や支援を継続するとともに、本格運用開始後は、西和賀モデルの運用の成果や課題等をもとに、他市町村における活用の可能性について、検討していきたいと考えております。 〇小林正信委員 こちらも非常にすばらしい取り組みだと思うのですけれども、令和2年度から行っているというところで、コロナ禍の影響もあったと思うのですけれども、進捗がまだなかなか難しい部分もあるのかなと。健康寿命の延伸はしっかり取り組んでいかなければならないと思いますので、ぜひ、これを充実させて、横展開という部分はお願いしたい。 さまざまなデータを活用した健康増進というところは、大変重要な取り組みと思うのですけれども、2018年から6年間取り組みを進めている中で、健康寿命の全国順位は低下している。また、脳血管疾患も改善されていない。このプロジェクトの目指すべき姿である健康寿命が、長く生き生きと暮らすことのできる社会の実現というところには、まだ遠いものなのではないかと感じております。 今後、明確な目標をしっかり定めて、具体的な取り組みをさらに進めていく必要があるのではないかと思います。このプロジェクトの数値とか、何か具体的な目標がまだ明確になってないから、ずっと何かぼやっとした感じで続いているのかという気もするので、この数値目標を含めた目指すべき姿を、もう少し明確にして、進めていってもらいたいと思いますけれども、そのあたりのお考えをお伺いしたいと思います。 〇前川健康国保課総括課長 ただいま、小林正信委員から御指摘ありましたとおり、本県の健康寿命、また、脳卒中の患者の死亡率等、全国においても下位となっております。 今年度策定しております健康いわて21プランなど、関連計画におきましても、健康寿命の延伸を目標に掲げて、平均寿命の増加分を上回る健康寿命の増加を目指して、取り組みを進めていくこととしております。 その中でも、さまざまな指標を設定しまして、取り組みを進めていくこととしております。ビッグデータの分析結果も、こうしたものの取り組みに活用しながら、目指すべき姿の実現に向けて、取り組んでいきたいと考えております。 〇小林正信委員 かつて、脳卒中の罹患率がワーストワンだった長野県ですけれども、今は、健康寿命日本一になっている。取り組みとしては、県民の食生活や生活習慣の改善、適度な運動の推奨に、とにかく力を入れた。 岩手県も同じような取り組みを行っているとは思うのですけれども、例えば野菜の摂取率とか食塩の摂取率という細かいところまで、長野県では着目している。これはすばらしいと思います。ちなみに、長野県の野菜摂取率が日本一で、これを目指してやっているところだったと思います。 データを集める、システムを構築するのは、格好いい取り組み、これも重要だと思うのですけれども、とにかく県民に野菜を食べてもらうとか、あるいは県民に歩いてもらうとか、何かそういうシンプルな取り組みも重要なものなのではないかと考えているところでございますので、そういった具体的な取り組みを、プロジェクトでもしっかり目をつけていただきながら、あるいは指標の部分でも、そういうすごく細かいところまで見ていただいて、それが健康寿命の延伸につながるという取り組みをしっかりやってもらいたいなと思いますので、お願いいたしいたします。 続いて、総括質疑でも取り上げさせていただいたにんしんSOSいわてについて、県として、この取り組みについて、その必要性などをどのように捉えているかということを質問しようとしたのですけれども、先ほど村上貢一委員から質疑がございましたので、これは割愛したいと思います。妊産婦等生活援助事業、これも村上貢一委員が取り上げられておりましたけれども、これについては、現在の支援体制の現状やニーズを十分に把握し、検討すると知事から答弁をいただきました。先ほど村上貢一委員への答弁でも、そういった答弁だったのかと思いますけれども、現状やニーズの把握、どういったスケジュール感でやっていくのか、また、検討についても、どういったスケジュール感でやっていくのか、このあたりのお考えをお伺いしたいと思います。 〇高橋子ども子育て支援室長 妊産婦等生活援助事業の活用についてでございますが、まず、本事業の実施要綱が、今後、国から示されることになりますので、事業内容や要件等を確認いたしますほか、これまでも、県や市町村、民間による支援が行われてきましたことから、にんしんSOSいわても含めまして、既存の支援機関の複数年の対応状況などにより、ニーズ等の把握が必要と考えております。 また、午前中、御答弁申し上げましたが、対象者の方への包括的で、切れ目のない支援のためには、行政と民間が連携した取り組みが重要であると考えておりまして、本事業の概要でも示されているところでございますが、児童相談所や市町村、医療機関等とも連携した支援のあり方についても、あわせて検討する必要があろうと考えております。 困難を抱える妊産婦等への支援につきましては、既に、国の補助事業を活用している都道府県もありますことから、こうした他県の取り組みも参考にしながら、来年度にも、検討を開始し、支援の現状やニーズなどを十分に把握し検討してまいりたいと考えております。 〇小林正信委員 ぜひともお願いしたいと思います。 にんしんSOSいわての相談の中には、誰にも相談できなくて、病院にも行けなくて、自宅で出産をしたけれども、どうしたらいいかという、本当に非常に緊急性を持った相談もあったと伺っております。 にんしんSOSいわても、県立病院とか、あるいは児童相談所とも連携して、助産師に大変お世話になっているということもおっしゃっていたので、県との連携も十分にされているのかと思いますし、これは岩手県としても、他県にもない、本当に先進事例だと思いますので、この相談支援は非常に大事にしていただいて、ぜひ充実をお願いしたいなと思います。 続いて、ひとにやさしい駐車場利用制度について、制度の概要と利用者の声についてお伺いしたいと思います。 〇前田地域福祉課総括課長 ひとにやさしい駐車場利用制度についてですが、この制度は、車椅子使用者用駐車施設の適正利用を推進するため、本県では、平成22年4月に創設したものであり、障がい者、要介護高齢者や、一定の難病をお持ちの方などを対象としているほか、短期利用として、傷病等により歩行困難との医師の診断を受けた方や、妊娠から産後1年までの妊産婦を対象としております。 県と施設設置者との協定締結により、本制度で優先利用が可能となっている駐車区画は、昨年12月末現在で1、120区画となっており、また、同様の制度を運用している全国42府県と相互利用を行っており、幅広く活用いただいております。 利用者からは、障がいのない方や利用者証の提示がない方が駐車しているため、使用できず困っているという声が多く寄せられているほか、早産された方や、双子用のベビーカーを利用されている方から、利用期間の延長を希望する声などを伺っております。 〇小林正信委員 非常にすばらしい制度だと思います。先ほどもお話あったかと思うのですけれども、子育て世帯についても利用証を発行していて、本当にこれはすばらしいと思うのですけれども、先ほどもお話あったとおり、これを利用できるのが産後1年間で、できれば、もう少しこの年齢を上げてもらいたいという声がありました。それこそ双子を産んだお母さんからとか、あと多子世帯で子供がいっぱいいるお母さんから、そういう声が出ていると伺いました。 また、駐車の乗り降りとか、安全確認が大変だということとか、最近では、駐車場で小さいお子さんが事故で亡くなられたこともありました。この制度はすばらしい制度だと思いますけれども、ぜひとも、利用できる幼児の年齢を引き上げるなど、子育て世代に対して、この制度の拡充をしていただきたいと思いますけれども、お考えをお伺いしたいと思います。 〇前田地域福祉課総括課長 子育て世代への支援についてでございます。この制度ですが、基本的には歩行困難な方などを中心として発足した制度でございます。現在、妊産婦の利用については、一律に産後1年までの期間と設定しているところですが、早産や多胎出産の方など、それぞれの事情があることから、先ほど御紹介した利用者の声や、他県の運用状況も参考としながら、拡充も含めて、今後、検討を進めていきたいと考えております。 〇小林正信委員 わかりました。ありがとうございます。いつぐらいまでに検討が終わりそうな感じか、そのあたり、もしわかれば教えてください。 〇前田地域福祉課総括課長 この延長についてですけれども、他の県などでも、同じように延長しているというところもございます。そういったあたりを参考にしながら、今、いつまでとは申し上げられませんけれども、来年度になると思いますけれども、できるだけ検討を進めてまいりたいと思っております。 〇小林正信委員 ぜひとも、よろしくお願いいたします。 次の精神保健福祉について、県は、施策の充実を目指して、精神障がい者にも対応した地域包括ケアシステムの構築を行っているとのことですけれども、その状況についてお伺いします。 〇日向障がい保健福祉課総括課長 精神障がいにも対応した地域包括ケアシステムの構築についてでございますけれども、国では、医療や、福祉、社会参加などが包括的に確保されたこのシステムの構築を推進しているところでございます。 県では、システムの構築を推進するため、保健所圏域において、医療機関や相談支援事業所、当事者団体、市町村などの関係機関、団体等で構成する協議の場の設置に向けまして、現在、県央圏域におきまして、モデル的に取り組んでいるところです。 こうした取り組みのほか、今年度は、県央及び気仙圏域におきまして、主要な事業となる家族相談会等を民間団体に委託して、実施しているところでございます。 〇小林正信委員 昨年、日本福祉大学の青木聖久教授の講演を伺う機会があったのですけれども、その中では、今、日本では20人に1人が精神疾患を抱えていて、5人に1人が生涯において精神疾患を抱える可能性があると。地域で、何でも言えて相談できる場所、安全地帯が必要だということをおっしゃっていました。 こうした居場所については、これまでも取り上げてまいりましたが、当事者、家族に対し、居場所や情報の提供を行う相談支援の拠点整備について、県のお考えをお伺いします。 〇日向障がい保健福祉課総括課長 メンタルヘルスの不調や精神疾患が、誰でも経験し得る身近な疾患となっているところでございます。国では、令和4年度に、精神保健福祉法を改正しまして、精神保健に関する相談支援の実施主体として、市町村が位置づけられたところでございます。 県は、これまでの相談体制の継続に加えまして、市町村が行う精神保健に関する相談支援に対しまして、必要な援助を行うよう努めなければならないと、法改正されたところでございます。 こうした法改正の趣旨から、県内1カ所の拠点設置につきましては、市町村を中心とした相談支援体制の構築との整合性や、精神保健福祉センター等で実施しております情報提供、家族会支援や、居場所づくりの取り組み等の役割分担、全国にこのような拠点の設置例がないことなども考慮しながら、検討していくべき課題と考えております。 〇城内愛彦委員長 下川長寿社会総括課長から発言を求められておりますので、これを許します。 〇下川長寿社会課総括課長 大変申しわけございません。先ほど、高田委員の加齢性難聴の、県内の市町村の取り組み状況について御説明した際に、私、答弁で、令和5年1月末現在と答弁したところですが、正しくは、令和6年1月末現在でございます。令和6年1月末現在で、7市町村が助成をしているという状況でございます。大変申しわけございませんでした。 〇城内愛彦委員長 ほかに質疑はありませんか。 〔「なし」と呼ぶ者あり〕 〇城内愛彦委員長 質疑がないようでありますので、これで保健福祉部関係の質疑を終わります。 保健福祉部の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。 次に、医療局長に医療局関係の説明を求めます。 〇小原医療局長 令和6年度岩手県立病院等事業会計予算につきまして、御説明申し上げます。 初めに、事業運営に当たっての基本的な考え方について、御説明いたします。 県立病院を取り巻く環境でございますが、医療提供体制の中核であります医師につきましては、奨学金養成医師の配置などにより絶対数は増加しているものの、地域偏在、診療科偏在が依然解消されていない状況であり、診療体制は当面厳しい状況が続くと見込まれております。 また、病院事業運営につきましては、患者数がコロナ禍前の水準に戻らず、病床利用率が上がらないことや燃料価格の高騰等による経費の増加が続いていること等、厳しい経営環境に置かれているところであります。 医療局として、新型コロナウイルス感染症の通常の対応への完全移行に伴う通常診療の充実に取り組むとともに、診療報酬改定を踏まえた上位、新規施設基準の取得等による診療単価の向上等、収益確保の取り組みのほか、病床機能、病床数、病棟数の見直しやエネルギー消費量の削減等、費用面の見直しを進めることにより、持続可能な経営基盤の確立を図っていくこととしております。 こうした状況のもと、令和6年度の事業運営に当たりましては、岩手県立病院等の経営計画を着実に推進することにより、県立病院が県民に信頼され、今後とも良質な医療を持続的に提供できるよう、全職員が一丸となってさまざまな取り組みを進めることとしております。 具体的な計画の推進に当たっては、医師の確保、定着に向けた取り組みとして、時間外、休日労働の上限規制に対する適切な対応を初めとする働き方改革の推進、関係大学への派遣要請や即戦力医師の招聘活動、臨床研修医の積極的な受け入れ、県奨学金養成医師の効果的な配置に継続して取り組んでまいります。 また、医療の質や患者サービスの向上を図るため、研修の充実等により、職員の資質向上を図るとともに、ワークライフバランスの充実やハラスメント防止対策など働きやすい職場環境の整備を行ってまいります。 こうした取り組みを進めながら、県民に良質な医療を持続的に提供できるよう努めてまいります。 それでは、議案の説明に入らせていただきます。 議案書その1の57ページをお開き願います。 まず、第3条の収益的収入及び支出について、収入でございますが、第1款病院事業収益は1、199億1、100万円余を見込んでいるものであります。 次に、支出ですが、第1款病院事業費用は1、217億3、500万円余を見込んでいるものであります。この結果、差し引きでは18億2、300万円余の純損失を見込むものであります。 次に、第4条の資本的収入及び支出について、まず支出ですが、第1款資本的支出は206億3、400万円余を見込んでいるものであり、また、この財源として第1款資本的収入は147億5、800万円余を見込んでいるものであります。 なお、予算の内容につきましては、予算に関する説明書に記載されておりますが、説明は省略させていただきますので、御了承願います。 以上で説明を終わります。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。 〇城内愛彦委員長 ただいまの説明に対し、質疑はありませんか。 〇臼澤勉委員 それでは、私から大きく2点。 まず、疾病別医療圏の設定とハイボリュームセンターの整備に関する御質問をいたします。 先ほどの保健福祉部の審査でも、いろいろ議論ありましたけれども、今回、疾病・事業別医療圏において、高度・専門的な医療を、県内で継続的に提供していく体制を確保していくということで打ち出されているわけでございますが、本県の医療は、県立病院が大きな役割を果たしているところは、改めて言うまでもございません。 そういった中において、疾病・事業別医療圏に対応して、県立病院は、どのように医療の質の向上を図っていくのか、まずお伺いいたします。 〇熊谷経営管理課総括課長 県立病院におきましては、人口減少や医療の高度・専門化など、医療を取り巻く環境の変化の中で、限られた医療資源を効率的に活用し、県内で高度・専門的な医療を、安定的に提供できる体制を確保していくことが求められております。 今般の疾病・事業別医療圏に対しましては、がんや脳卒中などの疾病に関しまして、中核となる病院に、専門人材や高度医療器械の配置の重点化などを進めていくことを検討してまいります。 そうすることによりまして、症例数や手術数の確保を図り、専門人材のさらなる育成、医師確保、定着につなげまして、持続可能な医療提供体制の確保、医療の質の向上を図ってまいります。 〇臼澤勉委員 県立病院が果たす役割は、住民に身近な医療を提供していくことであり、県民が県立病院に期待している大きなポイントだと思っております。 一方で、ハイボリュームセンターを整備していくことによって、地域医療への影響が生じてくるのかなとも思ったりするのですけれども、医療局として、どう捉えているのかお伺いします。 〇熊谷経営管理課総括課長 ハイボリュームセンターに関する御質問でございます。 ハイボリュームセンターにつきましては、県内で、高度・専門的な医療を、安定的に提供できる体制を確保していくために、まずは、中核となる病院に、疾病・事業別医療圏に対応しまして、一定の機能集約を図っていく。症例数や手術数を確保していこうとするものでございます。 また、地域病院等につきましては、これまで、採算性や人材確保の面から、民間の医療機関の立地が難しい地域におきまして、初期医療を含め地域医療を担ってきたことから、今般のハイボリュームセンターの議論とは別に、引き続き、地域密着の医療を提供していくものと考えております。 こうした考え方のもと、次期経営計画の検討をこれから進めてまいりますけれども、高度・専門的な医療を提供する中核的な医療を提供する病院と地域密着の医療を提供する地域病院等が連携をしながら、地域医療を確保するという体制を検討してまいります。 〇臼澤勉委員 今、地域病院との連携の強化というキーワードが出ていたのですけれども、この地域住民あるいは医療従事者からの意見を、医療局としてどのように反映させていくのか。基本的な考え方なので、この辺の意見の反映、そのために、具体的にどのような取り組みをしていくのか、お伺いします。 〇熊谷経営管理課総括課長 具体的な反映の仕方につきましては、まず我々は、今回の保健医療計画を踏まえまして、経営計画をつくっていくわけでございますけれども、その過程におきましては、例えば県立病院それぞれに運営協議会を設置しております。その運営協議会等でさまざまな御議論をいただくほか、圏域ごとに設けられている地域医療構想調整会議がございますので、そちらにも、経営計画の関係につきましては、草案の御説明をして、いろいろと御意見を賜りながら、最終案に仕上げていきたいと思っております。 〇臼澤勉委員 一方で、ハイボリュームセンターの高度・専門的な医療の提供する病院、それから、地域密着の医療との連携によって、相乗効果というか、シナジー効果が期待されるわけですけれども、県立病院としての基本的な考え方をお伺いいたします。 〇熊谷経営管理課総括課長 病院間の連携といったことについてでございますけれども、今後、高齢者人口は増加していく傾向にありまして、地域医療におきましては、高度・専門的な医療の集約による医療の質の向上といったこととともに、急性期後の機能回復、あるいは在宅復帰を目指す回復期病院での医療ニーズも高まっていくものと考えております。 こうしたことも踏まえまして、県立病院における次期経営計画の策定に際しましては、高度・専門的な医療機能を集約する病院とともに、社会ニーズの変化を捉えまして、急性期から回復期病床への転換等を進める病院の検討もあわせて行うなど、県立病院全体の機能や役割の見直しの検討を進めてまいります。 その上で、急性期から回復期、また在宅医療までが切れ目なく提供されるためには、異なる機能、特徴を持つ県立病院間の連携を一層強めていくことが重要になってきますことから、民間医療機関や介護施設等との連携も進めながら、より高い効果発現ができるよう、検討してまいりたいと思います。 〇臼澤勉委員 繰り返しになるかもしれないですけれども、地域医療体制の影響の部分についてもとても気になるところでありまして、小規模の医療機関や地域クリニックへの役割が、医療局としてどのように変化していくと、今時点で見込んでいるのか。そういった場合に、医療局としての支援策は、医療局に聞くことではないのかもしれないですけれども、少しその辺のお考えがあれば、最後にお伺いしたいと思います。 〇熊谷経営管理課総括課長 今回の保健医療計画あるいはこれから策定しようとしております次期経営計画に関しまして、他の小規模な病院あるいはクリニックへの影響ということですけれども、もともとクリニックなどとの関係につきましては、県立病院は急性期あるいは回復期を担ってきている病院でございまして、クリニックは初期のかかりつけ医という役割を担っていくと思います。 これから、救急をどうしていくかという中で、かかりつけ医からどのように我々の病院に移していくかということは重要なことになってくると思います。常に、その連携を密にしながらやっていくことが必要でございます。 どのような影響があるかというのは、現時点でなかなか見通すことはできないのですけれども、連携体制をとりながら、県内全体の医療をうまく回していけるようにと考えております。 〇臼澤勉委員 次に移りますが、高度な治療を行うために、医療器械の計画的な整備がますます重要になってくると思っております。今回も、8年ぶりの経常赤字といった中においても、手術用のロボットの購入について予定していると伺っておりますが、まず、医療設備の稼働率とメンテナンスの状況、どのような状況になっているのか、そして、この設備の適切な維持管理に向けた取り組みについて、あわせてお伺いします。 〇千葉業務支援課総括課長 医療器械の稼働状況についてでございますが、5、000万円以上の高額医療器械につきましては、整備後、毎年、稼働件数について、各病院調査しておりますほか、整備計画時の見込み件数と乖離が生じていないか確認しております。 また、5、000万円未満のCT装置と主な放射線機器につきましても、稼働実績について把握しているところです。 また、医師の異動等により使用が見込まれない機器につきましては、県立病院間で、使用できる病院を確認し、移設するなど、有効に活用できるよう、取り組みを進めているところです。 機器のメンテナンス状況につきましては、医療器械のメンテナンスを行う臨床工学技士を各基幹病院に配置し、医療法に基づき、人工呼吸器など生命維持装置等の日常点検や使用前点検を実施しておりますとともに、放射線機器等の高額機器につきましては、メーカーに定期点検を委託し、機器の安全な使用と長寿命化に努めているところです。 〇臼澤勉委員 いろいろと厳しい経営状況の中においても、そういった機器の更新は重要になってくると思います。あえて聞きますけれども、県立病院が直面している設備であったり、技術面での課題というか、その最大の弱点について、どういうふうに医療局として捉えているのか。この課題、弱点を克服するために、具体的な計画とか、お考えがあればお伺いします。 〇千葉業務支援課総括課長 医療器械の整備に当たっての課題についてでございますが、まずは、限られた予算の中で、地域間の格差の解消や、県全体での医療の質の向上に向け、どのようにバランスのとれた計画整備を行っていくかに配慮する必要があるほか、特に新規整備に当たりましては、機器を操作する人材の確保、教育や技術等の修得が求められる場合がありまして、例えば、先ほど臼澤勉委員から御指摘もございました内視鏡手術支援ロボット─ダヴィンチによる手術の実施に当たっては、施設基準において、当該診療科の常勤医師2名の配置が必要となるほか、専門の知識及び5年以上の経験を有するなどの要件が定められておりまして、また、この機器を使用する医師等は、機器のメーカーが実施している教育プログラムを受講し、資格取得する必要があるなど、こうした技術的な課題等にも対応しながら、整備を計画する必要があると考えているところです。 また、バランスのとれた計画整備につきましては、特に高額な医療器械につきましては、各病院からの整備要望を踏まえて、県立病院の院長や医師等で構成する本庁の医療用設備整備調査委員会におきまして、二次保健医療圏におけるニーズや、整備後の稼働状況のもくろみ、全県立病院の状況等を踏まえながら、優先順位を決定し、計画整備を行っているところでございます。 〇臼澤勉委員 ダヴィンチのお話もありました。がんあるいは脳卒中、心血管疾患等で、ダヴィンチであったり、高精度なリニアック、t―PA療法等、さまざまあるわけでございます。こういった最新医療設備の導入において、医療局は優先順位をどうやって決定しているのか。この決定基準とか、今後の配置の具体的な計画みたいなところをお伺いさせてください。 〇千葉業務支援課総括課長 最新の医療機器の導入における優先順位についてでございます。医療機関への整備に当たりましては、二次保健医療圏の基幹病院において、圏域内の機器について、優先順位を付して計画整備を行っておりますほか、先ほど御答弁させていただきました、特に高額な医療器械については、オール岩手で、県立病院の院長や医師等で構成する委員会で、二次保健医療圏のニーズとか、稼働状況等を踏まえながら、優先順位を決定し、計画整備を行っているところです。 特に、限られた予算の中、各圏域の優先順位を、まず優先させるという中身と、今まで使っていた器械が整備できなくなるのは避けなければいけないので、更新整備を優先しているところでございます。 〇臼澤勉委員 参考までにお伺いしますが、他県の医療設備と比べて、本県の県立病院の医療機器の水準は、ギャップとか、どのような感じなのでしょうか。簡潔に、様子だけ教えてください。 〇千葉業務支援課総括課長 他県の状況との比較でございますが、病床1人当たりの整備額は、全国でも高位に位置しておりまして、他県と比較して、整備できていないという状況ではないと捉えているところでございます。 〇臼澤勉委員 安心しました。 最後に質問いたしますが、今後、私は、地域住民あるいは診察を受ける方や医療従事者からの意見の収集、そういった部分が、今後のこういった機器あるいは医療設備の導入に当たっても、フィードバックしながら、そういった御意見なり声を吸い上げて、返していく、あるいは形にしていく取り組みが大事になってくるだろうと思います。 最後に、そこら辺の取り組みの考え方を聞いて、終わりたいと思います。 〇千葉業務支援課総括課長 県民や医療従事者からの意見の集約と、その反映についてでございますが、各病院におきましては、圏域における住民の医療ニーズや、各診療科の意見等について調整した上で、病院の機能や現有機器の使用状況、経過年数を、圏域の医療器械整備委員会において、圏域単位で取りまとめ、優先順位を付して、計画整備を行っているところでございます。 こうした各圏域と、全県的な観点による委員会等の検討を経た上で、県民や医療従事者のニーズを踏まえた医療器械整備を進めているところでございます。 〇郷右近浩委員 今、臼澤勉委員から質問があった部分とかなり重複していますので、その辺を整理しながら、質問させていただきたいと思います。 まず、ダヴィンチにつきましては、御礼を申し上げたいと思います。更新期というか、この間使ってきて、若手の医師も、ダヴィンチがあることで、本来的な目的より、もう少し些細な手術も含めていろいろな形で、しっかり体験することができるというか、そうしたことで使わせていただいていることを、現場からもさまざま聞いております。今回、更新期ということで、対応いただいていることに、御礼を申し上げたいと思います。 さらには、今、リニアックという話もありましたけれども、昨年も、そうした形で進めてきていただいている中で、私も、当初は、次期医療計画を踏まえた県立病院の対応について聞こうと思ったのですけれども、大きい部分ではほぼ同じような内容だったので、整理して、質問させていただきます。 例えば県立胆沢病院については、胆江医療圏の基幹病院で、地域の期待が大きいという中で、本当に偶然ですけれども、少し調子が悪いということで病院に行って、脳梗塞が早く見つかったものですから、発見されて、溶かして、それで、きのう退院してきたという友人とばったりお会いしました。近くで治療を受けられるという中で、特に脳梗塞などは、今回集約される部分でのt―PA治療は、発症から四、五時間以内であったりといった部分で、時間との闘いということが完治までの非常に大きい要素であり、後遺症がない要素だと私は思っております。 そうした中で、県立磐井病院に高度・専門的な医療を提供するような形になっていって、そして、県立胆沢病院ではそうではない形になっていく中で、基幹病院であったり、地域の医療をどのような形で充実させていこうとしているのか、医療局としての考え方を教えていただきたいと思います。 〇熊谷経営管理課総括課長 県立胆沢病院につきましては、胆江圏域の中心的な急性期病院としまして、昨年度も9万9、000人の入院患者を受け入れております。病床利用率も8割を超えている病院でございます。また、外来におきましても、延べ14万8、000人の患者の受け入れを行っておりまして、圏域の基幹病院として、大きな役割を果たしているところでございます。 こうした中、がんとか救急患者の受け入れにつきまして、増加傾向にございますことから、外来化学療法室の増床とか、救急外来室の拡張などに、今年度、既に取り組みを始めているところでございます。 また、来年度は、今、郷右近浩委員から御紹介のありましたように、県立病院では、県立胆沢病院のみに整備しております手術支援ロボットの更新を行いまして、がん診療の充実を図るなど、地域の基幹病院として、必要な機能強化を進めてまいりたいと思います。 〇郷右近浩委員 わかりました。 とはいえ、脳外科の先生が、開頭手術をしてというのは、これまでもやっていない部分であります。そうした中で、今回、ドクターが1人、応援医師が1人という体制になるという中にあって、せめて、例えば投薬とか点滴治療であったりといった部分等は、私はやってもいいのではないかと思うわけであります。 余り具体的になり過ぎるとあれですけれども、そうしたなるべくできることを、こちらは高度な医療を与えるから、完全に集約するという話ではなくて、できることをなるべく進めていっていただきたいと思うわけでありますけれども、特にこれから、先日来の質疑の中で、医療局では、令和7年度を初年度とする次期経営計画の検討を始める中で、疾病・事業別医療圏に対し、まずは、がんや脳卒中など疾病ごとに既存の中核的な病院にという話です。 高度・専門的な手術機能等を集約し、症例数の確保を図りながら、ハイボリュームセンターとしての機能、役割を果たしていくことを検討するということでありますが、これは、どのぐらいどうしていこうとしているのか。 それぞれの地域でこうやってしっかりとやれる医療を、これは逆に言うと、県立磐井病院、県立胆沢病院であったり県立中部病院であったり、何という話だけではなくて、これまでも、県北地域であり、沿岸地域であり、そこですぐ手術ができない、運ばなくてはいけないという、その時間との差を、本来、なるべくならしっかりと埋められるように頑張っていただきたい。 あまねく良質な医療の均てんをというのはあれですけれども、県民に対して、私自身も県立病院に対しての信頼感とあわせて、もちろん期待感をかなり持っている中で、しっかり対応していただきたいと思います。その中でも、例えば、本当にこれからそういう医療を、今の医療の線引きというか、そこの部分をどのようにしていくのか、お伺いしたいと思います。 〇小原医療局長 医療局におきましては、先ほど来、御答弁等をさしあげているところですけれども、次期保健医療計画における疾病・事業別医療圏に対応し、まずは、がんや脳卒中などの疾病ごとに、既存の中核的な病院に高度・専門的な機能等を集約して、症例数の確保を図りながら、ハイボリュームセンターとしての機能や役割を果たしていくということで考えているところであります。 例えば県立胆沢病院につきましては、症例数や手術が一定数あり、高度・専門的な医療を担う中核的な病院の一つとしての役割を検討しているという中で、泌尿器や呼吸器内科など、現在の医師の体制等の強み、特徴を生かしまして、ロボット手術を通じたがん治療など、その高度・専門的な手術機能等を集約して、症例数の確保を図りながら、あり方について検討していきたいと考えているところであります。 〇郷右近浩委員 通告したところからどんどん離れていきそうなので、きょうはこれでやめます。ただ、今後とも、いろいろお聞きしたいと思いますので、よろしくお願いします。 〇佐々木朋和委員 令和5年度の県立病院等事業会計決算の見込みが35.8億円の赤字、また、令和6年度の予算案も、18億円の赤字予算となっております。 原因は、燃料費高騰とか人件費高騰に加えて、コロナ禍における患者数の減を挙げておられます。令和5年度は、入院の計画としては107万3、000人だったのに対して、実数では7万2、000人ほど減となりました。このうち、新型コロナウイルス感染症の影響をどの程度、また、実際の純粋な人口減少の影響をどの程度と分析をしているのか。コロナ禍による診療休止とか、病棟閉鎖、ロックダウンとなった事例がどの程度あったのかをお示しいただきたいと思います。 〇佐藤医事企画課総括課長 入院患者の減少についてでありますが、令和5年度当初予算の入院患者数については、新型コロナウイルス感染症の感染状況が、通常診療には大きな影響を及ぼさない想定で計上しており、人口減少による影響として、新型コロナウイルス感染症流行前の平成27年度から令和元年度までの間、5年間の患者数の減少傾向を参考とし、これに、コロナ禍で受診を延期していた手術や検査が再開されることによる患者数の回復を見込み、114万5、012人と、1日平均3、128人としたところです。 今回、最終予算でお示しした入院患者数7万2、000人、1日平均194人の減少は、感染症法上、5類感染症へ移行した後も、新型コロナウイルス感染症への対策を継続せざるを得ず、いわゆるクラスターも1月末までに30件以上発生したほか、一部の病棟の入院制限や外来や救急診療の縮小など、20病院全体で、30件以上の診療制限を余儀なくされ、通常診療体制への移行が困難な状況が続いたことが大きく影響したものと考えているものです。 〇佐々木朋和委員 今、令和5年度の入院患者数を言っていただいたということでした。わかりました。 そういったところで、診療休止とかロックダウンは見込まないところの予算立てだったけれども、その分が出たことによってマイナスになったというところだったと思います。 では、令和6年度は、どのような見込みを持って、入院数、患者数を設定しているのか。診療休止や病棟閉鎖、ロックダウンを見込んでいるのかも含めて、お示しいただきたいと思います。 〇佐藤医事企画課総括課長 令和6年度の患者数でございますが、令和6年度は、少子高齢化や人口減少の影響が見込まれるものの、新型コロナウイルス感染症の通常対応への完全移行に伴い、通常診療を充実するため、地域の医療機関等と連携した入院患者の積極的な受け入れ等により、患者数の確保を進めることとしており、令和6年度当初予算案における入院患者数については、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を起因とした診療制限等の影響は見込まず、1日平均患者数を令和5年度最終予算より135人増の3、069人と見込んでいるところです。 〇佐々木朋和委員 では、方針としては、病棟閉鎖等は行わず、最小限のところで、ゼロコロナではなく、ウィズコロナの体制で、県立病院は運営していくということでよろしいのでしょうか。 〇佐藤医事企画課総括課長 令和6年度においては、原則として、診療制限等は行わず、通常診療を優先するという形ですが、感染の拡大がどのように起きるかですけれども、感染状況によっては、診療制限をせざるを得ない状況も、再び起こるかもしれないということは考えております。 〇佐々木朋和委員 運営協議会の資料も見させていただきましたけれども、病院の役割によって、重症者を受け入れている病院等では、原則は原則だけれどもという医師の意見もありましたので、ぜひ、そこは柔軟に対応しながら進めていただきたいと思っております。 次に、先ほども議論が出ました疾病・事業別医療圏の設定についてでございます。それによって、中核病院の機能の一定の集約をするということになります。県立磐井病院にも、本年2月に、今までできなかった血管内治療ができる施設が完成しました。また、医師の確保も、令和6年の4月からできるということ、これについては、感謝を申し上げたいと思います。 一方で、先ほどの答弁の中に、ハイボリュームセンターと地域病院とは別だという考え方を示していただきました。地域病院においては、どうしても赤字化のところがあって、それを埋めようと、現場では、懸命にやっていただいておりますけれども、やり過ぎると、各地域病院があるところは、高齢化も進み、家庭の力も弱まっている中で、無理に退院等ということにもいきませんので、そこは、ある程度赤字を覚悟しながら、ハイボリューム化したところでは、より収益を上げていただくという考え方も必要なのかと思っております。 そういった中にありまして、疾病・事業別医療圏の設定によって、病院経営に与える効果をどのように捉えているのか、試算もあれば、お示しいただきたいと思います。 〇熊谷経営管理課総括課長 医療局におきましては、先ほど来の御答弁のとおりでございますけれども、今般、既存の中核的な病院に、高度・専門的な手術機能の集約を図ることを検討していく中で、具体的には、医師等の専門人材、それから、高度医療器械等の配置を中核病院に重点化していくということです。症例数や手術件数を確保して、効率的で質の高い医療提供につなげることが可能になりまして、こうしたことは経営改善にも効果があると考えております。 具体的な試算につきましては、現時点で、経営全体の効果額をお示しすることはなかなか難しいのでございますけれども、例えば、高額医療器械の整備といった面を例に挙げますと、現在、九つの基幹病院全てに整備しているリニアック等の5、000万円以上の高度医療器械については、一定の集約が進むことになりますれば、整備費用の削減といったことが図られると、まず費用面の効果が考えられます。 また、収益に関しましても、効率的な人材配置で多くの手術をこなせることになりまして、こういったことも収益向上につながってまいります。また、より高機能な機器整備も考えられまして、これまで、県外で治療を受けざるを得なかった方が、県内で対応可能となるといったことなども考えられまして、費用、収益、費用面の好転が経営改善につながるものと考えております。 〇佐々木朋和委員 ぜひ、そういった説明を、住民あるいは各圏域で、地域医療圏の会議もありますから、そういった部分も伝えていただきたいところだと思います。医師や我々議員だけではなく、住民の団体も参加しておりまして、私も、会議が終わった後に駆け寄られて、きょうの会議はどういうことだったのかという質問をよくされます。そういった中で、私も総括質疑でも話させていただきましたが、住民にも、これを拡充するという言い方は、無理があるのだろう。集約化の部分があるけれども、ハイボリュームセンターでこれだけ黒字が出て、地域病院を守れるのだと、そういった説明を正直にしていくことが必要だと思います。 そういった中で、疾病・事業別医療圏の中核病院の役割と連携体制についてお伺いしたいと思います。また、それによってさまざまな県民の負担増、距離的、時間的なマイナスが生じると思われますけれども、どのようなことを想定し、県立病院として、どのように軽減策を講じていくのか伺いたいと思います。 〇熊谷経営管理課総括課長 まず、中核病院の役割と連携という御質問につきまして、中核病院は、県内で高度・専門的な医療を安定的に提供していく機関としての役割を果たしていくということで、人材や医療器械の配置の重点化を進めていくことを検討しています。 例えば、疾病・事業別医療圏で、新たに医療圏が設定されるがんの分野におきまして、手術支援ロボットや高精度リニアック等の医療器械等を活用し、集学的治療を行える体制の整備を図っていくことを検討します。 一方、保健医療計画におきましては、今、御指摘のありましたように、薬物療法等による標準的治療、それから、在宅療養支援等の身近な医療については、引き続き、二次保健医療圏で提供することが示されておりまして、県立病院といたしましても、中核病院での高度手術の後は、地域の基幹病院や地域病院に治療の場を移しまして、患者の地域により近い場で医療を受けられるようにするなど、病院間連携を進め、県内全体で、よりよい医療の提供体制を確保していくことを検討していきたいと思います。 また、今お話のありましたように、距離的、時間的なマイナスという面につきましては、一定の負担の増加等も生じることも考えられます。県立病院といたしましては、負担を最小限のものとするために、診療情報の共有とか、地域連携クリティカルパスの推進、オンライン診療の導入等を通じまして、高度・専門的な検査や治療は中核的な病院が対応し、ふだんは地域の身近な病院が対応するという体制の構築を進めてまいりたいと思います。 また、先ほど地域住民の声という話もいただきましたが、市町村や住民等が参加する県立病院運営協議会も毎年開催しております。そういった地域懇談会等の場で、住民の方々から寄せられる意見を、例えば公共交通を担う県とか市町村によく伝えまして、必要な検討につきまして、医療局としても意見を述べていきたいと考えております。 〇佐々木朋和委員 今、いろいろポイントが出たと思うのですけれども、一つは医療情報連携ネットワークです。今、圏域ごとにシステムも違う運用がされていると思うのですけれども、こういったものが、今度、圏域を越えてやっていくと、医療、介護、薬剤師の連携、ネットワーク等もあると思うのですけれども、そこと中核病院との連携とかそういったことも課題になってくると思います。それについて、今後どのようにしていくのか伺いたいと思います。 〇熊谷経営管理課総括課長 具体的なシステム関係の連携という部分でございます。県立病院間には、ステラというデジタル技術を用いまして、診療情報を共有するシステムがございます。そうしたものをフル活用しまして、データの共有を進めながら、切れ目のない医療連携体制をつくってまいりたいと考えています。 〇佐々木朋和委員 県立病院では、それがあっていいということでしたけれども、圏域ごとには、民間病院や介護施設も含めた、連携、ネットワークがあって、それについて、県統一でやるべきではないかという話もあったと思います。そこについては、まだ課題があるのかと思いますので、これは御指摘をさせていただきたいと思います。 市町村の連携と言いましたけれども、脳血管疾患医療連携体制等の図を見たりしますと、最初の救急隊との連携は非常に重要だと思いますし、負担も大きくなるのかと思います。そういったところの市町村との連携がどのようになっているのかお聞きします。 もう一つ、先ほどの郷右近浩委員の質疑の中で、二次医療圏内には、脳卒中で、投薬治療等ができるところが必要ではないかという話もございました。圏域のこの説明には、二次医療圏の中には、軽度の脳梗塞への初期治療としての薬物治療、回復期のリハビリ等も入っておりますけれども、こういった部分については、二次医療圏ごとにしっかりと設置されるのか、これについても伺いたいと思います。 〇熊谷経営管理課総括課長 消防機関との連携でございます。御指摘のように、早期の治療が必要ということでございます。脳卒中や心血管疾患につきましては、発症から可能な限り速やかな専門治療が必要です。場所もそうですけれども、単に医療機関までの時間よりも、複数分野の医師とか看護師、専門医療職が迅速かつ的確にチーム医療を提供できる場所で受けていただくことも、非常に大事になってまいりますので、今おっしゃったように、消防機関との連携はしっかりやっていきたいと思っております。 それから、薬物治療等の状況についてですけれども、これから、次期経営計画の中で、どういった機能を中核病院に寄せ、どういった機能を地域病院で担うのかといったことを検討してまいりたいと考えておりましたので、佐々木朋和委員からの御指摘も参考に、検討を進めてまいりたいと思います。 〇佐々木朋和委員 最後に指摘として、岩手県保健医療計画の中に、二次医療圏単位で、軽度の脳梗塞への初期治療としての薬物治療、回復期リハビリなどが載っておりますので、ぜひ、その部分は県立病院としての計画にも入れ込んでいただきたいと思います。 〇松本雄士委員 私からは、県立病院の経営計画についてお伺いいたします。 今現在、次期保健医療計画の検討が進んでおり、その内容と、総務省からの公立病院経営強化ガイドラインを踏まえて、令和6年度中に次期経営計画が策定されるものと認識しております。 ただ、保健医療提供体制の検討に当たっては、医療圏で担う機能に伴っての人材確保、育成、そして、その投資のあり方等、次期経営計画の数値の裏づけとあわせて考えるべき。つまり、保健医療計画と経営計画は、同時に策定すべきものかなと考えるのです。今は、実務的にもう無理かと思うのですけれども、今後に当たって、その辺の県の見解を伺います。 〇熊谷経営管理課総括課長 県立病院の経営計画につきましては、従来から、今お話しいただきましたように、保健医療計画の策定の翌年度に策定してきておりました。こちらは、例年、年度末の3月に保健医療計画が策定されまして、計画に基づく全県的な医療提供体制のあり方を踏まえまして、県立病院といたしましては、各病院の役割や機能、規模、医療従事者の確保、配置、施設医療器械等への投資規模等を詳細に検討する必要がございます。そういうことによりまして、翌年度という作業スケジュールとさせていただいておりました。 医療局といたしましても、今般の保健医療計画を踏まえ、なるべく早期に経営計画の全体像をお示しできるよう、作業を進めまして、来年度8月には草案のお示しができるよう、努めてまいりたいと思います。 〇松本雄士委員 わかりました。 どうしても実務的にずれるところがあるかもしれないのですけれども、そうしますと、今の保健医療計画の検討に当たっては、おおよそのいろいろ経営的な数値を見ながら進めているということでしょうか。 〇熊谷経営管理課総括課長 保健医療計画の策定議論に当たりましては、今回もそうですけれども、その形成過程におきまして、県立病院の全病院長が出席する会議の場等で、県当局に対し意見を述べるなど、一体的な検討に加わってきております。 そうしたことから、一定の御意見につきましては、反映されているとともに、そうしたことを踏まえまして、既に医療局の中に、次期経営計画検討委員会を立ち上げまして、検討開始し始めたところでございます。年度末の医療計画の最終決定を受けまして、県立病院としても、早期に具体化の検討を進めてまいりたいと思います。 〇松本雄士委員 それぞれの計画の実効性を担保するためにも、同時性というか、両にらみで進めるのは重要だと思いますので、よろしくお願いいたします。 次に、先ほど医療圏の見直しが、どういった経営改善の効果があるのかという質問がありましたけれども、私からは、そういった医療圏の見直しが、公立病院の経営改善につながったような、隣県とか全国の例、経営に及ぼした影響があるのかないのか。あれば、その具体的な概要を教えていただきたいと思います。 〇熊谷経営管理課総括課長 医療圏の見直しと公立病院の経営、特に県立病院の経営改善についてお話しさせていただきますが、例えば、平成25年度に宮城県におきまして、医療圏を七つから四つに統合したという例はございました。ただ、宮城県におきましては、県立病院を担う医療が、もともと全県対象のがんとか精神、小児といった分野に限られておりまして、岩手県の県立病院のように、各圏域におきまして、救急医療や高度医療を担っていないという状況にありました。 ですので、明確なことは申し上げられませんが、医療圏統合による影響はないのではないかという整理をしております。我々の調べた範囲におきましては、医療圏の見直しが県立病院の経営改善に直ちにつながったという事例については、把握していないところでございます。 〇松本雄士委員 わかりました。岩手県の置かれた歴史的経過の特殊性から、単純に比較できるところはなかなかないのかということです。 次に、今の医療局の会計のセグメントの情報開示のところであります。20の県立病院と6地域診療センターがあるわけですけれども、その6地域診療センターについては、資産とか損益の開示がないのですが、この辺の考え方についてお伺いします。 〇熊谷経営管理課総括課長 セグメント情報の開示に関する地域診療センターの扱いでございますが、予算に関する報告区分につきましては、法律とか、医療局の財務規定によりまして、20の県立病院をセグメントと定めております。 センターにつきましては、県立病院事業の設置条例の中で、病院の附属診療所と位置づけておりますことから、地域診療センターの予算につきましても、基幹病院と一体的に報告させていただいております。 地域診療センターの運営に関しましては、例えば診療体制につきまして、基幹病院からの定期的な診療応援により維持されております。そうしたことから、人件費は基幹病院に計上されているという部分がございます。あるいは、事務や検査体制につきましても、効率的に行うために、その経費を基幹病院に計上しているといったこともあり、このような運用とさせていただいているところでございます。 〇松本雄士委員 わかりました。 オープンに議論を進める意味でも、地域診療センターの今の損益も開示できたらいいのかと思いまして、聞いたところでありました。 診療センターに対する国の交付税措置は、市町村が担っている場合と聞いておりまして、県が担っていると、経営的にもなかなか厳しいのかと思うところがあります。 そこで、地域の医療等をしっかり守っていくという意味で、市町村と県で、その役割分担みたいなのをしっかり考えていかなければならないのかと思っております。 県立病院等事業会計への繰り出しの状況を見ますと、全国では、県が大体42%、市町村が58%ぐらいのという平均のところで、本県の場合は、県の繰り出しが84%で、市町村が16%と、県に非常に偏っている。 そういった中で、市町村と県の役割分担をどう考えているのかというところと、また、市町村との協議、どういった場でどういうふうな協議が行われているか、お伺いします。 〇熊谷経営管理課総括課長 私どもは、県立病院といたしまして、その役割分担を明確に申し上げることはなかなか難しいのでございますけれども、医療法上の話をさせていただきますと、医療法は、国及び地方公共団体に対して、国民に対し良質かつ適切な医療の効率的な提供体制を確保するよう努力義務を課しておりますが、役割分担について、具体的な言及はございません。 本県におきましては、先ほど松本雄士委員からもお話がありましたけれども、広大な県土と医療資源の状況といったことを踏まえまして、採算性、人材確保の面から、県立病院が高度・専門医療から初期医療までを幅広く担ってきたといった歴史的な経緯がございます。 県と市町村の役割分担につきましては、今、御指摘もありましたように、全国の都道府県それぞれあり方が全く違っておりまして、地域の個別事情と経緯に基づくということで、認識しているところでございます。 〇松本雄士委員 わかりました。 ちなみに、いろいろ地域の実情で、全国でもあり方が違うということですけれども、県立で診療センターを持っている県はほかにあるのでしょうか。 〇熊谷経営管理課総括課長 沖縄県が持っているのではないかという情報がございます。 〇松本雄士委員 沖縄県のみということでしょうか。わかりました。 続いて、今の経営状況でありますけれども、令和6年度のキャッシュフローの状況を見ましても、令和6年度も23億円ほどと、損益も非常に厳しい状況であります。資金繰りも非常に厳しいことが見込まれる中で、資金繰りの安定とか、その資金の確保といった、キャッシュフロー対策を考えられているのかお伺いします。 〇熊谷経営管理課総括課長 キャッシュフローの確保は、こちらは病院の安定的経営に不可欠でございます。まずは、収益的収支の改善が必要でございます。通常診療を充実させること、上位、新規施設基準の取得等により、収益確保を図りますとともに、薬品とか診療材料等の廉価購入など、費用面での取り組みをあわせて行ってまいります。 また、収益的収支の改善とともに、医療器械整備など投資面の取り組みも大事でございまして、例えばでございますけれども、更新周期の見直しとか、器械の一括購入といった廉価購入を進めるほか、今後の医療機能の集約等によりまして、高度医療器械のめり張りある整備等、効率的な投資を進めてまいります。 加えて、投資を行う際には、事業債を発行するわけでございますけれども、その中には、脱炭素化推進事業債とか災害拠点病院事業債といったような、有利な条件の起債制度がございます。財政措置が有利な起債等も最大限活用いたしまして、医療局の手出し負担を縮減することによりまして、キャッシュフローの確保を進めてまいりたいと思っております。 〇松本雄士委員 わかりました。 次に、今の経営計画におけるさまざまな経営指標があるかと思うのですけれども、病床利用率であったり、ジェネリックの利用促進の状況であったり、未収金の主な経営指標の達成状況等についてお伺いします。 〇佐藤医事企画課総括課長 主な指標としまして、病床利用率と個人未収金の回収状況についてお答えいたします。 病床利用率についてですが、令和4年度は、経営計画における目標値である内陸南部の基幹病院83%に対し76.1%、県北沿岸部の基幹病院73%に対し63.4%、地域病院は73%に対し53.9%、精神科病院は72%に対し59.1%と、全て未達成となっているものです。本年度においても、1月末で前年度を下回っており、未達成となる見込みとなっております。 病床利用率の低下の要因につきましては、新型コロナウイルス感染症に係る空床確保や、感染拡大による入院制限等で患者数が減少したことが、大きく影響しているところであります。病床利用率の向上に向けて、地域の医療機関等と連携した入院患者の積極的な受け入れ等により、患者数の確保に努めてまいります。 個人未収金等滞納債権の状況についてですが、医業収益に占める過年度個人未収金の割合を指標としており、令和4年度は、経営計画における目標値0.6%に対し0.52%と、目標を達成しており、今年度においても、目標達成を見込んでいるところです。 未収金につきましては、自動入金機のクレジット払いや窓口でのクレジット非接触決済機能の追加など、支払い環境の整備による発生防止、債権回収業務委託の活用による回収強化などにより、引き続き縮減に努めてまいります。 〇松本雄士委員 わかりました。 キャッシュフローのところであったり、経営指標のところでいろいろ厳しい面もある。まずもって、現行の経営計画に定める指標クリアに向けて、いろいろ取り組んでいくということでしょうし、また、本県の特殊事情もありますので、そういうことを踏まえて、しっかり国に働きかけていくというところと、財政措置のところは、人口要件だけではなくて、面積要件というあたりをより加味してもらうように働きかけていくというのが重要だと思います。 ただ一方で、人口減と少子高齢化は当面不可避でありますので、それに対応した医療提供体制、また、経営と地域病院のあり方も考えていかなければならない。そうしますと、踏み込んだ検討も必要かと考えますけれども、その辺に対しての県の見解をお伺いいたします。 〇小原医療局長 現在、策定を進めております次期保健医療計画では、人口減少に伴う患者数の減少、医療の高度・専門化などの環境の変化を踏まえ、地域において、身近な医療を受けられる体制を確保するとともに、先ほど来お話ししておりますが、がんや脳卒中、心血管疾患などについては、二次医療圏とは別に、広域的な疾病・事業別医療圏を設定するなどの対応を進めているところであります。 次期経営計画の検討に当たりましては、今回の保健医療計画の内容を踏まえまして、まず地域病院については、在宅医療や地域包括ケアなど、身近な医療をしっかりと担い、高度・専門医療につきましては、疾病・事業別医療圏に対応し、拠点となる基幹病院に高度医療器械や専門人材の重点的な配置を検討していきたいと考えているところでございます。 当面は、こうした取り組みを進めながら、さらなる人口減少の状況とか、患者数の状況、また、そのさまざまな環境の変化の状況を注視し、地域における県立病院のあり方について、引き続き検討していきたいと考えているところであります。 〇城内愛彦委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。 午後6時23分 休 憩 午後6時36分再開 〇城内愛彦委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。 〇岩渕誠委員 きょうは、経営の話はしませんが、新年度の予算は、最終的な着地は、よほどの災害とよほどの感染症がない限り、いわゆる平時の収支ということになると思いますので、これがこれからの経営の基本の数字になると思います。そういった意味ではぜひ御努力をいただきたいということを冒頭申し上げて、質問に入ります。 まず、新年度の診療体制であります。医師の数もかなりふえてきている中で、標榜科目とか、常勤医の配置、これが新年度も進むかと思っておりますが、常勤医師の数等も含めて、新年度の診療体制をお示しください。 〇尾形健也医師支援推進監 新年度の診療体制についてでありますが、令和6年1月1日現在の標榜診療科数は303となっており、うち常勤医師が配置されている診療科は194、非常勤医師による診療科が78となっております。 令和6年度の診療体制につきましては、未定のところもございますが、県立胆沢病院と県立遠野病院が常勤医の配置により、腎臓内科を新たに標榜し、標榜診療科数は305となり、新たに休診となる診療科はない見込みです。 また、新たに久慈病院には、麻酔科に常勤医師を配置する見込みとなっております。 医師数についてですけれども、常勤医師につきましては、前年度同月比で28名減の642名の配置を見込んでおり、臨床研修医につきましては、1年次、2年次の臨床研修医、合わせて同6名増の105名の配置を予定しているところでございます。 〇岩渕誠委員 今の答弁の中で、腎臓内科がふえること、それから、何よりも県立久慈病院への麻酔科の常勤医師の配置は、これは非常に手術に対応できるということだと思います。沿岸地域の麻酔科への配置は、たしか2年連続だと思います。去年は県立宮古病院に配置しておりますから、県立久慈病院、県立宮古病院、県立大船渡病院、基幹的な病院については、これで全て、手術については、デイリーで対応可能だと、こういうふうに認識してよろしいですか。 〇尾形健也医師支援推進監 麻酔科の医師につきましては、昨年度、県立宮古病院、今回は県立久慈病院という配置で、常勤医の配置ができることによって、麻酔を伴う手術の実施は可能という状況でありまして、県立大船渡病院につきましては、常勤医師という形ではございませんが、岩手医科大学附属病院からの派遣医師等によって、週に4日程度、診療応援を受けながら、手術を行っているという状況でございます。 〇岩渕誠委員 いずれ、大きく前進をしたということで、評価したいと思います。 一方で、常勤医師が少し多めに減少ということで、臨床研修医を足しても、少しマイナスになるということですが、減少の大きな要因はどこですか。 〇尾形健也医師支援推進監 常勤医師が減少する理由についてですけれども、まずは、65歳以上の医師についてですが、定年延長、それから、任期付採用の期限のタイミングで、各医師の体力や働き方に応じて、常勤から非常勤に切りかわるという任用形態を変更する医師が、全体で16名ほどおります。 また、県内で臨床研修を行った医師のうち、専門研修を行う医師、こちらは専攻医といいますが、採用が、今年度は35名だったのに対して、来年度は17名予定しておりまして、今年度と比較して18名減少すること、これらが大きな要因と捉えております。 〇岩渕誠委員 専攻医の話は、ハイボリュームセンターとも大きく関連する話なので、これは後でやりますが、そうしたところに、若手の戦力となると、臨床研修医から常勤の医師になる。いわゆる定着率というところが一番注目されるところで、新年度の定着率は大変だと思っているのですが、お示しいただきたいと思います。 〇尾形憲一医師支援推進監 臨床研修医の県内定着率についてでございますが、県立病院における令和5年度の臨床研修修了予定者は46人でございまして、そのうち、来年度も引き続き県立病院で勤務する医師は16人、岩手医科大学附属病院など県内の他の病院に勤務する医師が14人で、県内定着率は65.2%となっております。 県立病院の臨床研修医における県内定着率については、令和4年度は86%、令和3年度は79.1%と、年度ごとにばらつきはございますが、おおむね7割前後で推移しているところでございます。 〇岩渕誠委員 今、御紹介いただきましたけれども、これは定着率、もちろんローテーションでやっている部分もありますから、県全体で見るべきだと思いますが、それにしても、令和に入ってから、65.2%は一番低い数字であります。このところ、大体78%とか86%とかそういう数字がよかったのですけれども、ことしはぐんと下がって、その影響で県立病院の定着率も下がっているということです。この要因は先ほどありましたけれども、専攻科という専門のところを学びましょうというところなのかとも思っているのですが、どのように分析されていますか。 〇尾形憲一医師支援推進監 県立病院の臨床研修医のうち、奨学金養成医師が約4割、このうち8割以上の臨床研修医は、臨床研修修了後も県内の病院で勤務している一方で、約6割を占める奨学金養成医師以外の臨床研修医の定着率は、これらの年度ごとに結構変動がございまして、6割程度のときもあれば、7割を超える年もあるということで、これに大きく左右されるということがございます。 臨床研修医の県内定着について、その増減の要因は、複合的に影響していると考えているところでございますが、臨床研修後の専門研修を見据えて、専門研修の指導体制やカリキュラムが充実している都市部の病院、大規模病院などを志向しているというのも一因ではないかと考えております。 〇岩渕誠委員 これは、東京都のほうに臨床研修医が行くように制度的にシーリングがかかったりしているという問題がありまして、これは去年言いましたから言いませんけれども。若いときですから、専門知識を学びたいということになると、ハイボリュームセンターは、患者さんの高度医療を担うという役割だけではなくて、県内に定着する若い医師の受け皿としてはとても大事な側面があると思います。 したがいまして、ハイボリュームセンターはアピールをしていって、症例数のないところには若い医師は来ませんから、そういったところできちんとやっていく。一方で、在宅医療と高度医療、重層的にこれをやっていかないと県全体の地域医療を守れませんし、何よりも、そこの担い手をきちんとつくっていただきたいと思います。 先ほど、奨学金医師の話がありましたので話しますと、奨学金養成医師のうち、返還のところで見ると、県外に行った人と県内に行った人では大きな差があるのです。岩手医大に進学して、義務履行をしないで、返還をしているのは、全体で350人近いうちの4%。ところが県外に行った人たちは、160人ぐらいいるうちの19人は返還していますから12%ぐらい。だから、物すごい差があるわけです。 一般質問で言いましたけれども、義務化をいろいろやっても、やはりそこは大事なので、しっかり分析をしてやっていただきたいと思うのですが、所感があれば伺います。 〇尾形健也医師支援推進監 奨学金養成医師の返還の状況は、医療局の奨学金養成医師については、大体10%程度の返還者が現在あるところです。 奨学金を借り受けた医師につきましては、県立病院での、また、県内での義務履行をしっかり果たしていただきたいと考えておりますし、貸与した医師については、定期的に、少なくとも年1回以上は医師本人と面談して、その医師本人のキャリア形成に資するような人事配置等にもつながるように面談を重ねて、そういった義務履行とキャリア形成の両立が図られるようなスキームをつくりながら、県内への定着につなげていきたいと考えております。 〇岩渕誠委員 僕は、多分、医学部に進学している医師の卵は、そういう意識にあふれていると思います。ただ、それは教授とか、そういったいろいろなことがあってなかなか厳しいというのが現実ですから、そういう意味では地域医療基本法とか、これを前面に出していかないと、きちんとなりませんので、お願いしたいと思います。 その医師配置の中で、今ふえてきているのは女性医師です。これは、2018年に医療版ガラスの天井というか、不正入試の問題があって、それから、合格者が大分上がってきて、去年だと、初めて女性の合格者、入学者数が4割になったということで、これにあわせて女性の医師も、全国で見ると、大体21%ぐらいのところまで来ていると思います。これでもOECDの平均値49%からすると、相当低くて一番下ですけれども、今、県立病院の中で女性医師の割合はどの程度まで来ていますか。 〇尾形健也医師支援推進監 県立病院における女性医師の割合についてですが、ことし1月1日現在の女性医師の正規医師は、前年度と比べまして、7名増の125名となっております。 また、県立病院全体の正規医師に占める女性医師の割合としては19.2%となっておりまして、この数字は、令和元年度の14.6%を4.6ポイント上回っている水準となっております。 〇岩渕誠委員 これは、岩手医大の入学者数を見ても、今、34%ぐらいまで来ていまして、5%ぐらいは上がってきていますから、これはどんどん上がってくるのだろうと思います。 一方で、女性医師の全国的な傾向で言うと、大体30代を境にみんな辞めていく、離職をしていくというのがトレンドであります。これは、当然、出産、子育ての対応がなかなかうまくいってないという中で、貴重な女性医師がいなくなっているという状況であります。 いま、女性医師だけの支援は、ジェンダーの関係から、それはだめなのだそうでありまして、男性医師も含めて、そうした出産、子育ての環境については、県の医療局もやってきたと思います。今、どういうような使われ方をして、どういうような利用率になっているか、これをお示しください。 〇尾形健也医師支援推進監 まず、医療局の女性医師の確保に係る取り組みですけれども、医療局におきましては、岩手JOYサポートプロジェクトチームを設置して、仕事と育児の両立のためのさまざまな制度を設けて、医師が働きやすい環境整備に向け、支援に努めてきたところでございます。 具体的には、育児に係る支援制度として、育児休業、また、部分休業等がございますが、部分休業につきましては、子が小学3年生まで取得可能に、また、子が小学6年生まで取得可能な育児短時間勤務制度のほか、時間外勤務や深夜勤務の制限においても、制度が利用できるような環境としてきているところでございます。 育児支援制度の育児休業については、現在11名、育児短時間については13名、部分休業については8名の医師が利用している状況でございます。 〇岩渕誠委員 これは、院内保育なども随分やっていて、利用者も30人近くあるようだと思っています。定着していただくための支援は、これは絶対に必要なことであります。でも、僕は結構使われているほうだと思います。 そういった制度を整えることによって、例えばフランスの産婦人科は、女性がかなりふえた、8割ぐらいとか言っていましたけれども、そういった実績もあるのだそうであります。こうした成果によって、診療科目によっても違うと、いろいろばらつきはありますけれども、女性医師が活躍できるところはふえていると思いますが、実際はどうですか。 〇尾形健也医師支援推進監 女性医師が増加している診療科についてですが、令和元年度から令和5年度までの増加の状況を見ますと、一番増加しているのが産婦人科でございます。8名増加している状況です。次いで神経内科が6名、外科が5名、そのほか、皮膚科、麻酔科も、それぞれ4名の増加という状況でございます。 〇岩渕誠委員 そういう意味では、産婦人科などは非常に戦力になっているし、多分、女性は、女性医師に取り上げてほしいという要望もあると思いますから、非常にいいと思います。 今、びっくりしたのは、全国のデータを見ると、女性の医師の割合が5割超えているのは皮膚科です。整形外科と外科は1割にも満たなくて、外科の医師たちは、SNS上はいろいろな発言があって、女性はなかなか入れないような雰囲気があったりするのですけれども、大事なことは、女性医師、男性医師関係なく、働き方改革の中で、働きやすい、子育てをしやすい環境を整えることが、これは一番のせっかくのあれですし、しかも、その女性医師は、どこでトレンドが変わっているかというのはわかっているわけですから、ここは対策が打ちやすいと思っています。 ただ一方で、現実問題、4月から医師の働き方改革が始まります。ほとんどA水準―時間外・休日労働時間の年間の上限が960時間で行けると思いますけれども、まだB水準―時間外・休日労働時間の年間の上限が1、860時間のところもあると思います。今後、どういうような見通しになるかお示しください。 〇尾形憲一医師支援推進監 県立病院では、医師の長時間労働の解消のために取り組みを進めてきておりましたが、この4月からも、一定の病院で、960時間を超えて勤務する医師があるところでございます。その病院は、県立中央病院、県立中部病院、県立胆沢病院、県立磐井病院の4病院でございまして、現在、県に指定申請の手続をしているところでございまして、この4月から指定を受ける見込みでございます。 〇岩渕誠委員 いずれも、基幹病院かつこれからハイボリュームセンター化していくという候補のところであって、緊急医療といったことも必要になってきますし、分娩の拠点になっているところが多いわけです。 そういった意味から、医師の定着の部分で言うと、そこの働き方改革は避けて通れない部分であります。女性は特に負荷がかかることが、データではっきりしていますけれども、ここをきちんとやっていかないと、医療の基本は、医療人をどう確保するかというところでありますから、この辺の対応をぜひお願いしたいと思います。最後、医療局長にお話を伺って、終わります。 〇小原医療局長 いずれ、良質な医療を提供していくために、医師の確保は非常に重要な視点でございまして、令和6年4月から働き方改革の上限規制が始まりますので、県立病院としては、まず、魅力ある県立病院、働きやすい職場環境に努めていくことが必要かと思っているところでございます。 ただ、そういう中で、どうしても上限規制に対応できない部分、960時間超えをする部分が出て、例えば、救急対応などにより上限規制を超えて勤務せざるを得ない医師がいるということで、今回、特例水準の申請をしているということでございますので、そのような対応も踏まえて、今後も、地域医療の確保に配慮しつつ、適正受診に係る県民の理解と協力を得ながら、医師の働き方改革の取り組みを進めて、医師の確保につなげていきたいと考えているところでございます。 〇菅野ひろのり委員 初めに、先ほど佐々木朋和委員の質疑において、県立病院の新年度の収支、18億円の赤字見込みということでございました。赤字額は過去最大ということです。 最初に、ざっくりお伺いしますが、令和6年度、どういった点に力点を置いて、病院経営、運営していくのかお伺いいたします。 〇熊谷経営管理課総括課長 医療局といたしましては、今、御紹介ありましたように、赤字予算を計上しております。一方、新型コロナウイルス感染症の通常対応への完全移行といったことで、通常診療を充実させてまいりたいと考えております。 また、診療報酬改定の年でもございます。診療単価の向上等の収益確保に一層取り組んでまいります。 また、人口減少、医療需要の動向といった変化がございます。病床機能、病床数等の見直しについては、不断なく行ってまいりたいと考えております。 また、電気等の高騰が叫ばれておりますけれども、LED化等も進めまして、エネルギー消費量の削減といったことも進めながら、費用面の取り組み、収支の改善を図ってまいりたいと考えております。 〇菅野ひろのり委員 先ほど答弁いただいた中で、病床数の見直しを継続的に行っていくと、当初予算のポイントの中でも、一番に県立病院間の役割分担と地域連携の推進を挙げられていまして、私も、限られた医療資源の効率的な活用と、県立病院の経営改善を、それぞれの病院で、稼働の状況を見ながら、これは時代的にやっていかなければいけないものだろうと思っています。 そういった中で、令和6年度から、県立江刺病院で、医療提供体制が変更になるということですが、その概要をお聞きします。 〇熊谷経営管理課総括課長 県立江刺病院につきましては、近年、病床利用率が低下しておりまして、令和3年度、令和4年度と、40%台で推移してきておりました。こうしたことから、来年度4月からは、今現在、2病棟体制でございますけれども、1病棟減少した形で、1病棟運用ということで、病院経営を進めてまいりたいと考えております。 〇菅野ひろのり委員 冒頭、経営状況が厳しい中で、稼働率を見ながらというのはそのとおりだと思います。いただいた資料を確認すると、やはり4割ぐらいがずっと推移していると思っておりまして、これは、私自身は、ある一定、仕方がないのかと思っています。 一方で、住民からすると、そういった経営というよりも、あったところがなくなるというのは、大変な不安に駆られると思います。それで、患者への影響はどういったものがあるのかないのかを伺いたいと思います。 〇熊谷経営管理課総括課長 患者への影響でございますけれども、先ほど申し上げましたように、県立江刺病院につきましては、近年、病床利用率が40%台ということで推移しておりました。2病棟あるうちの40%でございますので、1病棟体制になった場合におきましても、患者が、転院を余儀なくされるといったようなことはございません。病院の中で、しっかり対応してまいりたいと思います。 また、地域医療構想におきましても、胆江区域につきましては、回復期病床が過剰な地域になっておりまして、大きな影響につきましては、地域住民にはないのではないかと考えております。 また、この件につきましては、本年3月7日に開催されました胆江圏域の地域医療構想調整会議でも御説明の上、了承されたといったところでございます。 〇菅野ひろのり委員 回復期については、この後触れさせていただきますが、先に、最初の予算のところで、今回、病床数が削減になることによって、経営改善あるいは一般会計繰入金の削減はどの程度になるのか、全体からすると少ないかもしれませんが、確認をお願いします。 〇熊谷経営管理課総括課長 県立江刺病院の病棟削減による経営改善の関係でございます。まず、来年度、1病棟削減を考えております。病棟削減によりまして、設置されておりました看護師や薬剤師等の人員配置が変更になります。そのことによりまして、人件費としては、1.2億円程度削減されると。経費の部分では、ここが非常に大きいところでございます。 また、一般会計繰出金につきましては、稼働病床数の変更に伴いまして、病床数割に影響を与えるほか、職員配置の見直しによりまして、社会保障関係経費の繰り出しが一部ございますので、そういった部分が縮減していくものと考えております。 〇菅野ひろのり委員 職員はいかがですか。聞こえてくる内容で言いますと、雇用の維持あるいは配置転換、あとは辞められるという話が聞こえてくるわけですけれども、今、医療従事者を県としてしっかり抱えていかなければいけない中で、できるだけというか、やはり残っていただきたいと考えるわけですけれども、そういった離職などは、どういう状況になっているか伺います。 〇熊谷経営管理課総括課長 今回の病棟休止によりまして、看護師は14名、薬剤師が1名の方を配置見直しされる予定になっております。 定期人事異動の中で、配置がえを行うことにしておりまして、異動に当たりましては、異動希望に基づきまして、人材育成、ワークライフバランス等に配慮しました適材適所の人材配置がなされていくものと考えております。 〇菅野ひろのり委員 ぜひ、そういった医療従事者の方の雇用の継続はお願いしたいと思っています。 先ほど、回復期の話が出ました。関連して、きょうは奥州市の話題も出ましたが、奥州市は、議会にはまだ出されてないので、私も、報道あるいはウエブベースですが、新医療センターを建てたいという話であります。その内容を見ますと、回復期を重視するというので、80床はつくるということでありました。 一方で、先ほどもありましたように、県立江刺病院の病床数は、回復期、圏域として多い。さらに、稼働していないから削減する。具体的には、令和7年度の必要病床数、回復期は312床、これは胆江地域です。実際に、今どのくらいあるかというと、525床、差し引き213床、回復期約200床が、胆江地域としては多いという数字です。 一方で、新医療センターについては、回復期重視なのだということです。この間、議会で行けず、地域医療調整会議でどういう話になっているかわかりませんが、私は、これは少なからず、県立病院の経営に対して、影響を与えるのだろうと思っております。県立病院に与える影響を、どういうふうに考えられているか伺います。 〇熊谷経営管理課総括課長 県立江刺病院につきましては、圏域の地域病院として、県立胆沢病院を初めとした他の医療機関、施設と連携しながら、入院医療を提供してまいりました。地域包括ケア病床が稼働いたしまして、急性期回復後の回復期患者等を受け入れているほか、旧江刺市内を中心といたしまして、救急患者の受け入れ、人工透析の実施、在宅医療としての訪問診療、往診、みとりの実施などの役割を担っております。 今、御紹介のありました病院の関係については、まだ不透明な部分がございますけれども、基本的に、旧江刺市内を中心とした体制になっていると考えております。 〇菅野ひろのり委員 医療局長にお伺いしたいのですけれども、今回、胆江圏域で言うと、二つの県立病院があるのは、強みとしてしっかりと残していかなければ、私はいけないのだと思っています。そうなったときに、新医療センターの建設は、繰り返しになりますが、影響があると考えますと、県の医療局に対しても、市側から、何らかの説明あるいは相談が、私はあってもいいのではないかと思っておりまして、現状、どういうコミュニケーションになっているのか、保健福祉部所管の部分もあると思いますが、お伺いしたいと思います。 〇小原医療局長 新医療センターにつきましては、奥州市からは、その構想につきまして、医療局に対して、こういう構想でという御説明はいただいたところでありますが、具体的に、県立江刺病院とどういうことでという、その役割分担についての具体的な打ち合わせは、現時点では行われておらず、いわゆる地域医療構想において、県立江刺病院と奥州市総合水沢病院については、それぞれ立地場所における回復機能を担う公立病院として、役割を分担しているという認識で、今のところ進めているということで、医療局としても考えているところでございます。 〇菅野ひろのり委員 胆江圏域の医療問題について、実は我々県議も、地域医療調整会議のオブザーバーでありまして、この一体となった話の場が、なかなか機会を得ることができず、岩手県の医療は、県立病院中心になっていますから、医療局で取り上げさせていただいております。 ここで、私から言いたいのは、住民の皆様からすれば、今まであったものがなくなる不安、一方で、新しいものができることによって、医療関係が変わってくる不安、県立であろうが市立であろうが、受けられる方はある意味関係ないわけです。必要な医療を提供していただきたいという中にあって、私は、この県立病院も含めて、市としっかりと連携をとりながら、話をしながら進めていただきたいと思っております。 県立江刺病院の関連で言いますと、川村院長の存在が非常に大きく、医療の問題になると、施設とかハード云々ありますが、やはり人だと感じるところが多くございます。といいますのも、医療のみならず、訪問診療、あるいは終末期に関する考え方の講演、あとは、介護従事者との懇談会、さまざまやっていただいております。 一方で、定年間近ということも聞いておりますので、そういった先生方の配置を担っている県立病院でありますから、ぜひ、今後も、そういった地域に対する県立病院の役割をしっかりとお願いしたいと思っております。 最後に、胆江圏域におけます県立江刺病院の今後のあり方、方向性についてお伺いして、終わります。 〇熊谷経営管理課総括課長 県立江刺病院の今後のあり方についてでございます。具体的には、令和7年度から開始する次期経営計画の策定の中で、検討してまいりたいと考えておりますけれども、引き続き、圏域の基幹病院である県立胆沢病院や他の医療機関等と連携しながら、回復機能を担い、それから、地域包括ケア病床の運用や在宅医療を強化するなど、地域における身近な医療を提供する体制等を検討してまいりたいと考えております。 〇斉藤信委員 それでは、県立大船渡病院における看護科の超過勤務問題に絞って、この解決を求めて、質問いたします。 本年2月20日に、大船渡労働基準監督署が大船渡病院を来訪したということでございます。どういうことで労基署が訪問したのか、何を調べられたのか、病院はどう対応したのか、示してください。 〇宮参事兼職員課総括課長 大船渡労働基準監督署の事実確認についてでありますが、斉藤信委員からの情報提供に基づき、大船渡労働基準監督署が、看護師の超過勤務について、提供された資料等に係る状況の確認のために県立大船渡病院を訪問し、これまでの経緯や事実関係等について確認したものと伺っております。 県立大船渡病院からは、追給の状況、超過勤務申請の概要について説明したところであり、今後、さらに労働基準監督署から状況確認があった場合には、適切に対応してまいりたいと考えています。 〇斉藤信委員 一般質問でも取り上げました。きょうは、各論で少し詰めた議論をしたい。 令和5年10月20日付けの病院長の事務連絡で、超過勤務の申請状況の確認についてという文書が出され、4月から9月分の追加申請を看護科ではなく、事務局に申請するようにした。その結果について、詳しく示してください。 〇宮参事兼職員課総括課長 県立大船渡病院の追給の状況についてでありますが、県立大船渡病院において、職員団体等から、看護科において、超過勤務の申請がしづらい雰囲気があるという話を受け、病院内全ての看護師に対して、申請がされていないものがあれば申請するよう通知し、その結果、60名からの追加申請があり、内容を確認した上で、追給を行ったものです。 時間外に行った業務に対する手当は適切に支払うべきものと認識しておりまして、事前命令、事後確認の手続の原則に基づき、必要な超過勤務はしっかりと認め、事後報告についても、確認の上、進めてまいりたいと考えております。 〇斉藤信委員 もっと正確に答えていただきたい。60人から追加申請があった。その超過勤務時間は1、271時間、344万円を12月に支給したということです。 この超過勤務の中には、始業前の超過勤務時間が44.3時間ありました。打刻の枠内の超過勤務が618時間、打刻の枠外の超過勤務、いわば終業時間を打刻して、その後働いていたというのが653時間、休憩の超勤時間、本当は休憩をとらなければだめだけれども、205時間です。 300人の看護師のうち、60人、5人に1人しか申請しなかったということが、私は大問題だと思うけれども、その60人の追加超過勤務時間が、こういう形でわかった。終業時間の後に働いていたのが約半分だった。 これは、結局、必要な超過勤務が、この通知が出される前はできなかったということを示しているのではないですか。端的に答えてください。 〇宮参事兼職員課総括課長 斉藤信委員御指摘のとおり、先ほども申し上げましたが、看護科内で、超過勤務申請しづらい雰囲気があったというところで、そのような状態になったものと考えております。 〇斉藤信委員 実は、この追加給付を行って、病院長が令和5年12月25日、職員に対してこういう通知を行いました。勤務時間の適正な管理について、出退勤の打刻は、業務の開始前及び業務の終了後に確実に行うように、退勤時の打刻後に業務を行うことがないよう、改めて、徹底願います。こう言っているのです。要は、終業の打刻は、仕事が終わってからやりなさいという通知をした。それは、そうなってないからです。 実は、令和6年3月8日に団体交渉が行われた。これはどちらかというと当局から要求されてやったのです。病院長が、総看護師長、師長、全部参加させて、団体交渉で、この趣旨を徹底したのです。 今、県立大船渡病院の異常な事態は何か。私は令和6年2月19日にも院長に会ってきました。院長は、働いた分はきちんと超過勤務手当を出さなければだめだとはっきりしゃべっているのです。そういうふうに通知もしています。しかし、看護科だけはそうなっていない。ここが大問題なのです。 そこで、看護科の超過勤務時間、この5年間で見ますと、ずっと10時間以上、令和4年度は12.9時間だった。これは、月1人当たりです。4月から1月まで。令和5年度は3.5時間です。私が、令和5年10月の決算特別委員会で取り上げ、12月定例会の本会議の関連質問で取り上げ、しかし、何ら変わっていないのです。 医療局長、この変わっていないことを認めますか。 〇小原医療局長 県立大船渡病院の看護科の状況でございます。県立大船渡病院におきましては、先ほど御紹介ありました、令和5年12月に院長通知を発出いたしまして、超過勤務の申請、休憩時間の確保、勤務開始前及び勤務終了後の打刻の徹底、働きやすい職場環境づくりなどについての取り組みを進めて、病院内の経営会議や各部門の会議など、さまざまな機会を重ねて、周知徹底を図っているということでございます。 〇斉藤信委員 状況が変わってないということを私は聞いたのです。もう少し正確に私がお話ししましょう。 10月に追加申請を認めた。では、10月以降はどうなったか。いいですか。看護科の1人当たりの月超過勤務時間、10月2.1時間、前の年は14時間です。11月は1.6時間、前の年は14時間です。12月3.1時間、前の年は16.5時間です。1月3.6時間、前の年は19.3時間です。いいですか。10月以降、前の年と比べてどんどん乖離しているのです。超過勤務が申請しやすくなったどころか、前の年以上に超過勤務が認められていない。この事実を認めますね。 〇小原医療局長 超過勤務が減っているという理由につきましては、これまでも御答弁申し上げてきたとおり、業務改善による見直しの効果が大きい、または、前年と比べて、患者数がかなり減っているというところによることの原因が一番大きいものと認識しているところでございます。 〇斉藤信委員 そんなことを医療局長が言っているから、この問題は解決しないのです。いいですか。今、私は看護科だけ言いましたが、医療技術部門は超過勤務がふえています。事務部門も、15.6時間が16.1時間にふえています。看護科だけが12.9時間から3.5時間に、こんなに激減するようにならないでしょう。あなたが、患者が減っていると言ったら、ほかの部門だって超過勤務は減るわけでしょう。看護科だけが激減しているのです。 私は、一貫してリアルにお話をしてきた。なぜ、超過勤務の申請ができないか。まず、事前申請を認めない。だから、事前命令が出ないのです。超過勤務になることを伝えると、何が残っているの、時間管理がなっていないと、総看護師長に追い回される。さらに、残務確認として、コーディネーターからも追い回される。超過勤務の申請をせずに、終業時間の打刻をして、業務を行っていれば、いつまで残業しても、何も言われない。終業時間を20分以上超過すると、修正打刻させられる。これが看護科の実態です。 わかりますか。超過勤務の事前申請が認められないのです。やれば、追い回されるのです。こういう状況があるから、追加申請を求めても、300人のうち60人しかできなかったのです。みんなしていないのです。これはたった半年分です。後の半年分、今、不払い残業が続いているのです。 医療局長、あなたの言っていることと私の言っていることと、どちらが事実だと思いますか。これは大事なことです。事実の確認が違ったら、解決の仕方が違うのだから。 〇小原医療局長 先ほど斉藤信委員から御紹介のありました、令和6年3月8日に組合側とお話をさせていただいたというところで、確認をさせていただいた内容もございますけれども、そういう中で、例えば勤務時間前に、打刻前に超過勤務をしていたということにつきましては、9時からの患者を迎える前に、8時半前にあらかじめ来て、準備をしたいという意向が働いて、超過勤務をしたという状況は聞いております。 ただ、そういうことにつきましても、しっかり8時半から準備を始めていいということで、院長もお話をしておりましたし、ただ、業務改善を進めていこうという取り組みにつきましては、組合側も、認識は同じですというお話をされております。 そういう中で、取り組みの進め方が、少しペースが速かったのではないかというところは、反省することはあろうかということで、そこは進め方として、理解と共感を得ながら、丁寧に進める必要があったかということで、認識しているところでございます。 〇斉藤信委員 重要なことは、幾ら超過勤務をあなた方が認めなくても、パソコンには記録されているということなのです。さっきも私が話したでしょう。終業時刻を打刻しても、残業しているのです。超過勤務の申請しなさいと一言もないのです。しかし、それはきちんと記録されている。あなた方が調べれば、看護科の職員が毎日どれだけ残業しているか、みんなわかります。私には、一部具体的なデータもいただきました。だから、あなた方が真面目に調べたら、残業時間は全部わかる。残業していても、申請させないのだから。 もう一つ、最も重大なのは、せっかく病院長が、出退勤の打刻を正確に徹底しなさいと言っても、看護科だけがそうならないという、異常なのはこの実態です。 私は、一般質問で、県立遠野病院で何が起こって、その責任はどこにあるかということを聞きました。医療局長はこう答えました。看護科の業務の命令権者を初めとした管理者が、勤務の実態を適切に把握できておらず、勤務時間管理が不適切であったことによるものと認識している。だったら、その当時の総看護師長に責任があるということですね。イエス、ノーで答えてください。 〇小原医療局長 県立遠野病院におきましては、タイムカードなどの勤務管理を行うシステムがない中で、看護科の業務の命令権者を初めとした管理者等が勤務管理上必要な取り組みを怠り、看護科内において超過勤務時間に係る認識が不十分のままに、管理者等が実態を適切に把握できておらず、また、必要な指導を行っていなかったことなどにより、勤務時間管理が不適切であったことによるものということで、認識しているところでございます。 〇斉藤信委員 私は、県立遠野病院も何度も調査して、今回も県立大船渡病院を調査した。同じことをやっていました。同じように、超過勤務の申請を認めないのです。それについていけない職員が23人も辞めた。これが、2年間の県立遠野病院の総看護師長の実績です。 あなた方は、総看護師長を県立遠野病院から医療局に異動させた。しかし、2、400万円の不払い残業が発生したのに、処分しなかったではないですか。責任をとらせていないのではないですか。違いますか。答えてください。 〇小原医療局長 いずれ、勤務管理時間が不適切であったことによる対応といたしまして、しっかりと職務に専念するよう、指導しているところでございます。 〇斉藤信委員 結局、懲戒処分も何もしなかった、曖昧にした。そして、県立大船渡病院に配置した。これは二重の問題です。 院長と話したときに、始業前の超過勤務について、ナースセンターで、始業時間の報告をすることは間違いなのです。看護師が着がえして、仕事を準備する。これも勤務時間。だから、入口に、本当は打刻するものを設置すべきなのです。県立大船渡病院の院長はそう言っていました。入口に設置すべきだと医療局に言ったけれども、認められなかったと言っていました。 だから、総看護師長は何と言っているか。8時半始業だから、8時半になったら、患者のところへ行きなさいと言っているのです。8時半に患者のところに行けるわけないでしょう。そのために、看護師は15分でも30分でも早く、1時間早く出勤している看護師もいるのです。だから、あなた方は、本当に正確に、始業時間、終業時間を確認するというのだったら、病院の入口に設置すべきではないですか。いかがですか。 〇宮参事兼職員課総括課長 勤務管理システムの打刻の端末でございますが、今、斉藤信委員から御紹介いただいたとおり、可能な限り、入口に置けるような形で運用できないかということで、今、検討を進めているところでございます。費用等や、ネットワーク等の状況も確認しながらということになりますので、その暁には、県立大船渡病院といったところで試行していきたいというところで、今、準備を進めているところでございます。 〇斉藤信委員 私が取り上げるのは、昨年10月以降、今回で3回目です。なぜ取り上げているかというと、改善されないからなのです。一つも改善されない。それどころか、どんどん乖離が広がっている。異常なことです。 だから、病院長は、思い余って、団体交渉の場で、本人の立場を表明、そこには総看護師長も看護師長も全部集めた。こういう団体交渉なのです。労働者がびっくりしていました。これは、総看護師長や看護師長に、院長が言いたいことを言っているのだと、こういうふうに受けとめたそうですけれども。 いずれ、あなた方が認めない超過勤務も、全部記録されています。だから、みずから調べて、追加申請は4月から9月分です。10月以降の不払い残業は、今も続いている。そういう認識でこの問題を解決すべきではないですか。労働基準監督署が入るのは時間の問題です。 私は、そういう形で、最後に二つお聞きしたい。不払い残業はきちんと全額支給する。 もう一つは、この超過勤務が申請できない最大の責任者は、きちんと処分する。そのことをお聞きしたい。 〇小原医療局長 超過勤務につきましては、時間外に行った業務に対する手当は、適切に支払われるべきものと認識しております。事前命令、事後確認の手続の原則に基づき、必要な超過勤務はしっかりと認め、事後報告についても、確認の上、進めていきたいと考えているものでございます。 また、総看護師長には、看護部門のトップといたしまして、院長を補佐し、病院全体のマネジメントに携わるとともに、質の高い看護を実践するために、現場の監督、指揮、指導、評価、人材育成、安全管理、職員の健康管理などに加えて、看護部門の目標や病院の目標達成を目指して、業務改善を行いながら、看護部門全体のマネジメントをしていく看護管理者としての役割を期待しているというところでございます。こうした観点から、経験や実践能力を踏まえ、適材適所で、今後も配置していきたいと考えているところでございます。 〇城内愛彦委員長 ほかに質疑はありませんか。 〔「なし」と呼ぶ者あり〕 〇城内愛彦委員長 質疑がないようでありますので、これで医療局関係の質疑を終わります。 医療局の皆様は御苦労さまでした。 以上で本日の日程は全部終了いたしました。 本日はこれをもって散会いたします。 午後7時29分 散 会 |
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