令和6年2月定例会 予算特別委員会会議記録

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令和6年3月8日(金)
1開会 午前10時1分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 昆 野 岳 晴
議事管理担当課長 藤 平 貴 一
主任主査 佐 藤 博 晃
主任主査 増 澤 綾 子
主任主査 及 川 雄 也
主査 阿 部 真 人
主査 堀 合 俊 彦
主査 三 浦 訓 史
1説明員
文化スポーツ部長 小 原   勝
副部長兼文化
スポーツ企画室長 加 藤 勝 章
文化スポーツ
企画室企画課長 柏 葉 保 行
文化スポーツ
企画室管理課長 久 保 和 重
文化振興課
総括課長 武 蔵 百 合
スポーツ振興課
総括課長 鈴 木   忠

教育長 佐 藤 一 男
教育局長 菊 池 芳 彦
教育次長兼
学校教育室長 坂 本 美知治
教育企画室長兼
教育企画推進監 西 野 文 香
予算財務課長 古 川   敦
学校施設課長 佐々木 義 秋
学校教育企画監 度 會 友 哉
首席指導主事兼
義務教育課長 武 藤 美由紀
首席指導主事兼
高校教育課長 中 村 智 和
特命参事兼
高校改革課長 安 齊 和 男
首席指導主事兼
産業・復興教育課長 多 田 拓 章
首席指導主事兼
特別支援教育課長 最 上 一 郎
首席指導主事兼
生徒指導課長 千 田 幸 喜
教職員課総括課長 大 森 健 一
首席経営指導主事
兼小中学校
人事課長 熊 谷 治 久
首席経営指導主事
兼県立学校
人事課長 駒 込 武 志
保健体育課
首席指導主事兼
総括課長 菊 池 勝 彦
生涯学習文化財課
首席社会教育主事
兼総括課長 小 澤 則 幸
首席指導主事兼
社会教育主事補
兼文化財課長 佐 藤 淳 一

財政課総括課長 佐 藤 直 樹
〇城内愛彦委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入ります。
 高橋こうすけ委員は欠席とのことでありますので、御了承願います。
 議案第1号から議案第20号まで、議案第27号から議案第38号まで、議案第40号、議案第41号、議案第44号、議案第47号、議案第48号、議案第52号、議案第54号から議案第67号まで及び議案第69号から議案第76号まで、以上60件を一括議題といたします。
 本日は、文化スポーツ部及び教育委員会関係について延べ32人の質問者を予定しております。世話人会の協議により、本日の質疑の目安時間は20分といたします。
 また、関連質疑の取り扱い、換気のための休憩につきましてはこれまでと同様でありますので、御協力を願います。
 初めに、文化スポーツ部長に文化スポーツ部関係の説明を求めます。
〇小原文化スポーツ部長 令和6年度岩手県一般会計予算、当部関係の歳出予算について御説明申し上げます。
 初めに、令和6年度当初予算編成に当たっての当部の基本的な考え方を申し上げます。
 文化芸術、スポーツ分野におきましては、国内外で本県ゆかりの皆様の活躍で、文化芸術、スポーツへの関心や期待が高まっています。県人の活躍は、岩手県民の誇りや勇気、子供たちに夢と希望を与えるものであり、この文化芸術、スポーツへの関心の高まりを岩手県の活力とし、交流、関係人口を拡大させて地域の活性化、地域振興につなげていくことが重要と考えております。
 まず、復興推進の取り組みでありますが、復興のきずなを生かした、さんりく音楽祭などの開催、東京都及び被災3県の連携により、子供たちによるスポーツ交流大会や震災学習等を実施し、人的交流、次世代の育成を行いながら、東日本大震災津波の伝承に取り組みます。
 次に、政策推進の取り組みについてでありますが、健康・余暇分野では、岩手芸術祭を開催し、音楽、美術、文芸など多彩な舞台発表や作品展示を行い、文化芸術の魅力を発信いたします。
 新たなスポーツ推進計画に基づき、県民誰もが生涯にわたってスポーツを楽しむことができる共生社会型スポーツの普及推進に取り組みます。
 教育分野では、トップアスリートの育成に向け、スーパーキッズ事業や指導者の資質向上、スポーツ指導のデジタル化、パラアスリートを含むトップアスリートの活動支援などに取り組みます。
 また、中学校の休日部活動の地域移行については、運動部活動に加えて文化部活動の受け入れ体制の整備に向けた実証事業を実施するとともに、学校や関係団体と連携して一体的な推進体制を構築するため、新たに協議会を設置します。
 居住環境・コミュニティ分野では、大規模スポーツ大会のレガシーを継承し、スポーツ大会、合宿の積極的な誘致など、人的、経済的な交流の一層の拡大を図ります。
 歴史・文化分野では、中尊寺金色堂建立900年を契機として、平泉世界遺産ガイダンスセンターを核に平泉の価値を国内外に発信するほか、平泉、橋野鉄鉱山、御所野遺跡の三つの世界遺産の連携、交流を図るとともに、民俗芸能フェスティバルの開催など地域に誇る歴史、文化資源の活用を推進します。
 次に、当部関係の歳出予算について御説明申し上げます。
 お手元の議案その1、10ページをごらん願います。
 当部関係の予算は、2款総務費8項文化スポーツ費の22億9、500万円余であり、対前年比で1億100万円余の増となっております。
 予算の内容につきましては、予算に関する説明書に記載されていますが、説明は省略させていただきますので御了承願います。
 次に、予算に関連する議案についてであります。
 当部所管の文化スポーツ施設8施設につきまして、物価上昇に係る物件費の伸びに伴い、令和6年4月から、それぞれの利用料金の上限額を引き上げようとするものであります。
 改正する条例でありますが、議案その2の19ページをごらん願います。
 議案第27号公会堂条例の一部を改正する条例、次に、78ページ、議案第44号屋内温水プール条例の一部を改正する条例、105ページ、議案第55号勤労身体障がい者体育館条例の一部を改正する条例、142ページ、議案第70号県民会館条例の一部を改正する条例、147ページ、議案第72号県立体育館条例の一部を改正する条例、149ページ、議案第73号県立スケート場条例の一部を改正する条例、154ページ、議案第75号スキージャンプ場条例の一部を改正する条例、155ページ、議案第76号武道館条例の一部を改正する条例、以上8件であります。
 以上で説明を終わります。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
〇城内愛彦委員長 これより質疑を行いますが、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事の進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇福井せいじ委員 おはようございます。私は、第2期岩手県スポーツ推進計画、スポーツを楽しむ環境の整備について伺います。
 まず初めに、令和5年度に行われました岩手県文化スポーツ部所管公共施設個別施設計画に関する県営スポーツ施設のあり方に関する懇談会でのスポーツ施設のあり方について、どのような方向性が示されたか教えてください。
〇鈴木スポーツ振興課総括課長 現在、県営スポーツ施設のあり方について、各施設の利用状況や市町村との役割などを踏まえ、外部有識者から専門的な意見を伺いながら総合的に検討を行っているところでございます。
 外部有識者との懇談会には、スポーツや施設管理、公民連携等に関する県内の関係団体や県内外の学識経験者等に出席いただきまして、利用状況や市町村等における類似施設の状況を踏まえた県営施設としての必要性や、長寿命化を図る場合のバリアフリー化、空調設備等の必要性などについて意見をいただいているところでございます。
 現在、こういう状況であり方検討を深めているところでございます。
〇福井せいじ委員 個別施設計画ということで、各施設についての方向性というものがあると思いますけれども、例えば、県営運動公園、あるいは県営体育館については、どのような方向性が示されたか、今、おわかりになりますでしょうか。
〇鈴木スポーツ振興課総括課長 県営体育館につきましては、一般利用による利用率が非常に高い状況になっておりますが、バリアフリー化、空調の機能が不十分で、それらの課題があるとあり方検討でも議論をしております。そのため、改修を行いながら維持するか、類似の施設との集約により機能の高い施設整備なども考えられるということで、今、検討を深めているところでございます。
 県営運動公園につきましては、県規模から国際規模までの競技会の会場として利用されております。基本的に、改修を行いながら維持することが望ましいと議論しておりますが、野球場につきましては、類似の施設も多いので、運動公園の機能性や利便性を向上させるため、他の用途として利用することも考えられるということで議論を深めているところでございます。
〇福井せいじ委員 今、利用率の話がありましたが、令和4年度は、県営運動公園が84.4%、県営体育館においては98.2%と非常に利用率が高いと私は評価しております。非常に老朽化しているということで、そういう意味では、昭和45年いわて国体のための整備だったと伺っております。今はそれから非常に年月がたっているゆえに、周辺環境の変化や駐車場等の整備など、時代に適した状況になっていないということで、今後、今お話があったように、さまざまな仕様を変えて対応していく必要があると思うのですけれども、県営運動公園の陸上競技場、あるいは北上陸上競技場は、第一種適用とか第二種適用とあると思うのですが、これは第一種適用になっているのでしょうか。
〇鈴木スポーツ振興課総括課長 県営運動公園の陸上競技場につきましては、第二種公認を得ております。東北大会レベルの大会を開催できる状況でございます。
 お尋ねのありました北上市の総合運動公園の陸上競技場につきましては、第一種公認を取っておりまして、そちらは全国大会レベルの大会を開催できる状況になっているところでございます。
〇福井せいじ委員 今、北上市のお話を出したのですけれども、野球場については、県営野球場と盛岡市営野球場で一緒になって、きたぎんボールパークをつくった。今後も、陸上競技場、体育館など、これからも各市町村と一緒になって整備していくことは必要だと思います。
 特に今、プロのチームがある、例えばラグビーは釜石市にありますけれども、サッカーの競技場がプロ仕様になっていない。それから、バスケットボールも、盛岡タカヤアリーナを使っているのですけれども、これもプロ仕様になっていないということです。こういったサッカー、あるいはバスケットボールのプロチームに対応するような競技場の整備については、何かお考えがあるかお聞かせいただきたいと思います。
〇鈴木スポーツ振興課総括課長 プロチームの関係でございますが、プロチームは地域振興に大きな役割を果たしておりますので、地域振興のために当部で委託事業をしながら、さまざまスポーツ教室などを開催していただいて、地域振興に取り組んでいるところでございます。そういう役割を果たしている部分もございますので、施設につきましては、各プロチームの要望、施設を持っている市町村などの状況も踏まえまして、検討していく必要があると考えております。
〇福井せいじ委員 今、スポーツ振興課総括課長に御答弁いただいたのですけれども、サッカーは、いわてグルージャ盛岡、そしてまた、バスケットボールは岩手ビッグブルズのスタジアムの整備が求められている状況にあります。ぜひとも県、市町村、民間を巻き込んだ形でサッカーのスタジアム、バスケットボールのアリーナを整備していただきたいと思うのでありますが、文化スポーツ部長に、今どのようなお考えを持っているのかお聞かせいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
〇小原文化スポーツ部長 福井せいじ委員御指摘のとおり、県営スポーツ施設は昭和45年の岩手国体を契機として整備した施設ですので老朽化が進んでいるところでございます。利用者が安心してスポーツを楽しめるよう、安全確保を最優先に、計画的な維持管理を行っているところですけれども、今、スポーツ振興課総括課長から答弁したとおり、あり方検討をしている中で、県が管理する施設の面積を減らし、財政負担を減らしていこうという背景もございますけれども、一方で、今申し上げたような、スポーツを楽しめるような環境整備、それから、スポーツにかかわるとすれば、する、見る、支えるといった視点があります。それぞれの施設を考えていく際にその視点も加えながら、福井せいじ委員から御提案のありました官民との連携ですとか市町村との協働ですとか、そういった手法もよく検討して、個別の施設について具体的に検討していきたいと考えております。
〇岩渕誠委員 ことしは中尊寺金色堂建立900年ということで、1月から東京都で特別展が行われておりますし、新年度は、付随して県内でもいろいろ取り組まれると伺っております。きょうは平泉の世界遺産の拡張登録についてお伺いしたいと思います。
 これはいろいろな議論がありましたけれども、差し当たって、柳之御所遺跡の拡張登録を目指すということで一定の方向性が出たということであります。新年度予算案にも、その拡張登録に向けた予算が計上されております。新年度どういう取り組みをして、この先のスケジュール感といったものはどのように考えているのか、お示しをいただきたいと思います。
〇武蔵文化振興課総括課長 世界遺産平泉の拡張登録に係る今後の予定についてでございます。
 御案内のとおり、平成24年に暫定リストに掲載されて、10年にわたって調査を継続してまいりました。昨年8月には、県及び関係市町の代表者による会議において申し合わせを行いまして、拡張登録の対象として柳之御所のみを推薦するということについて合意いたしました。
 今後の進め方についてでございますが、関係市町の代表者による申し合わせを行った8月末以降、現在まで国や専門家との協議を重ねているところでございまして、現在、推薦書案の作成に向けて、柳之御所遺跡における調査成果の検証や、イコモスからの勧告による課題への検討を行っており、引き続き、専門家や関係機関の協議と調整を図りながら進めていくところでございます。
 また、世界遺産平泉の構成資産を含めた10の資産については、新たに、ひらいずみ遺産という形で一体的な保存管理や調査研究、活用、発信に取り組むこととしており、これらを活用した文化観光の取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇岩渕誠委員 推薦書の作成というものをどういう進度でいくのかということは一つのポイントだと思います。日本全体と世界の状況を見れば、まず、日本にとってみれば、今、最大の優先順位は佐渡島の金山です。これは少し停滞をしたので、新年度、文化庁は佐渡に全力をつぎ込むだろうと思います。その後は姫路城とかいろいろあるわけで、3番手に入るか、あるいは、頑張って2番手、いろいろな距離感というのが実質、行政の手続の中ではある程度想定されているのだと思います。
 そうした中で、文化庁と協議をされているわけですから、実質、推薦書の作成をどのタイミングで上げてくれというのは協議の中で出てくる話ですから、現状でどういったところまで進んでいるのか。そして、県としてはどのあたりを目指しているのかお示しください。
〇武蔵文化振興課総括課長 柳之御所遺跡の拡張登録につきましては、これまでの暫定リストに載っていたということですけれども、課題の整理について、まだ調整すべき事項が残っているところでございます。したがいまして、本年夏ごろには拡張登録検討委員会を開催いたしまして、そこで専門家の方々の御意見を踏まえて、以後、文化庁と調整を進めた後、可能な限り年度内をめどに推薦書案の取りまとめを行いたいと思っております。
〇岩渕誠委員 よくわかりました。来年度内に推薦書の作成ということになれば、可及的速やかな部分に入ると思います。問題は、国全体の順位づけで、佐渡島の金山はどうしても決まっていますから、その後どうするかというところの問題であって、今、いろいろな話が出ていますけれども、暫定リストに載っているということからすれば、やはり姫路城の後とか同等ぐらいにスピード感を持ってやっていただきたいと思います。
 一方で、今、拡張登録をするといった柳之御所遺跡以外について、ひらいずみ遺産というくくりをするという話なのですが、このくくりは、捉え方によっては、世界遺産を目指さない部分だと捉える方もいれば、いやいや、これはこの中で、とりあえず柳之御所遺跡の拡張登録の次のところという位置づけであって、この後の展開は調査次第という展開なのか、受けとめる側は、聞く人によって少し違うのです。それをはっきりしてください。
〇武蔵文化振興課総括課長 新たな枠組みとしてのひらいずみ遺産の考え方でございます。
 こちらは、先ほど御答弁申し上げましたとおり、関係市町と調整の後、決定した事項でございますが、こちらについては、10の遺産について一体的に保存管理の取り組みを継続するということが1点。それから、遺跡の調査研究を行いながら、調査の蓄積、共有を図っていくということでございます。そういった点におきましては、10の資産として改めてそういった取り組みを進めていくということを明確にしたものとしております。
 また、先ほど御答弁申し上げましたとおり、この10の遺産を活用した文化観光の取り組みということで、具体的な事業メニューを進めていきたいと考えております。
〇岩渕誠委員 県の認識はそうかもしれないけれども、大事なことは、伝わっていないということなのです。要は、それは別のくくりと思ってしまうところがあって、いやいや、そうではないと。これは教育委員会になりますけれども、予算上はきちんと調査の予算も入っていて、骨寺村荘園遺跡とか遺跡調査するということになっているのだけれども、どうもひらいずみ遺産というところだけが先行して、世界遺産と切り離されて、言葉は適切ではないけれども、どうも二軍扱いみたいなされ方をしているのではないかということが地元においては割と伝わっているわけです。だから、真意を明確にしてほしいのです。もう一回お願いします。
〇武蔵文化振興課総括課長 このひらいずみ遺産の取り組みについては、昨年8月に決定以降、まだ十分な周知が図られていないということ、また、地域の方々にも説明会などを通して御説明申し上げているところですが、そこに関しては、まだ不十分なところもあろうかと思います。そちらについては、改めて地域の方々、あるいは県民の方々に、ひらいずみ遺産としての取り組みを御理解いただけるように進めてまいりたいと思います。
〇岩渕誠委員 特に、世界遺産登録において、今、骨寺村荘園遺跡は中世の風景をそのまま残していると非常にロマンのある言葉で語られていますけれども、要は、曲がりくねった田んぼがあって土地改良も何もできないというような中で、営農を継続しながら文化遺産を守っているわけです。現状の農業の状況を考えれば、とてもコストがかかって、現状の単価の中では生活をしていくのがやっとだ。でも、世界遺産だということでみんな頑張っているわけです。
 そもそもこの平泉の世界遺産登録については、骨寺村荘園遺跡の役割というのは極めて重要だという指摘があったということについては、県では承知をしていますか。
〇武蔵文化振興課総括課長 骨寺村荘園遺跡については、文化的景観として非常に重要なものであるということについて評価を受けていることを承知しております。
 一方、お話のございました営農につきましては、これまで世界遺産登録を目指しまして、営農の継続という観点で、地元の方々が長年の御理解、御協力でさまざまな取り組みをしていただいたことも承知しております。こういった営農の継続と環境の保全の観点と、今後の骨寺村荘園遺跡の遺跡としての価値の普及については、引き続くものと認識しております。
〇岩渕誠委員 高く評価されていますということではないのです。世界遺産を目指しましょうといったときに、文化庁の部長が来て、平泉の世界遺産というものは、それを支える骨寺村荘園遺跡がなければ成り立たないので、世界遺産の登録にはお寺だけはなく骨寺村荘園遺跡が入っていないとだめだと言って、地元を説得して進んだのです。
 ところが、この間、骨寺村をどうするかというところになって、文化庁は一切前に出てこないのです。それだけの文化価値があると、あおり、そそのかしとは言いませんが、かなり重要性を指摘して、後に構成の理屈づけ、理念のところが大きく変わる中で不都合なところが出てきた。
 そういった中で、地元は頑張って残して、今、瓦一枚変えるのだって、トタン一枚変えるのだって許可が必要で、農業以外にもいろいろ文書をつくりながら頑張っているわけです。そういったところに対しての説明というのは、県も市もしたけれども、文化庁は一切知らんふりなのです。これは私は地元の人たちからしてみると、国にだまされた、文化庁の専門家にだまされたという思いが物すごく強いのです。20年頑張ってきて、ここはきちんと文化庁と話をしないとだめだと思いますが、いかがですか。
〇武蔵文化振興課総括課長 骨寺村荘園遺跡をめぐるこれまでの経緯については、岩渕誠委員御指摘のとおりでございまして、地元の住民の方の落胆などについても、十分受けとめております。
 文化庁がその後、十分な説明の機会を設けていないということにつきましては、昨年8月、申し合わせの時期を前後いたしまして、県の状況については御報告をしているところですけれども、改めて現在の状況等についても説明するとともに、必要な連絡、相談などを行っていきたいと思います。
〇岩渕誠委員 正直言って、文化庁おまえもかという感じなわけです。国は都合が悪くなると、その説明は地元でやりなさい、これは学術的な研究に基づくものです、財政的な合理性に基づくものです、いろいろなことは格好つけるのですけれども、もともとの経緯からして、道義的にはきちんとやってもらわないといけないし、一方で、調査というものはきちんとやっていただきたいと思うわけです。要は、骨寺村荘園遺跡というのは、ヨーロッパと違って木の文化ですから、現存していないというのが世界遺産登録のハードルを高くしているわけで、調査もできるだけ続けて、きちんと対応して、そういったことはお約束をいただきたいと思うのですが、いかがですか。
〇武蔵文化振興課総括課長 骨寺村荘園遺跡については、引き続き、今後も調査研究を続けていくということにしております。
 あわせて、遺跡の調査、活用、文化景観の保全を図るために骨寺村荘園遺跡調査指導委員会を設置しておりまして、文化財の部局に加えまして県南広域振興局の農政部、土木部も参画し、新たな地域づくりの計画策定に向けて一関市とも取り組んでいるところでございます。こういった取り組みにより、関係機関でしっかりと当該地区の調査研究、また、環境景観の保全が保たれるように努めてまいります。
〇岩渕誠委員 最後にしますが、文化を守るというのは、ただ守れるわけでもなく、そして、骨寺村荘園遺跡のように、常に暮らしとなりわいと密接にして文化の守り手がいるわけです。それがいるから初めて景観も守れるし、歴史的な価値というものも持続されるわけです。そうなると、暮らしと密接にかかわっている遺跡という価値をどのように学術的に昇華していくかというのは一つのポイントだと思っております。
 研究を続けていただきたいと思いますし、あわせて、これは地域振興と密接に絡んで文化が守られているという点についても、十分御留意をいただきたいということを申し上げます。
 文化スポーツ部長、所感がありましたら、お聞きして終わります。
〇小原文化スポーツ部長 さまざまな経緯がありまして、ひらいずみ遺産という形で新たなスタートを切っているところでございます。ほかの4資産については、専門家から今の世界遺産に拡張登録を進ませるためには課題があるということが指摘されておりますが、私どもとしては、平泉全体の価値を形づくる重要な資産であるという位置づけは変わっておりません。
 今後、暮らしとの調和を検討していくことになりますが、新たな地域づくり計画を議論していく中で、行政サイドもしっかり入って検討していきますが、地元の方々の思いも込めながら調整を図って、必要とされる対応については、我々でもさまざま働きかけをしながら、しっかりと対応していきたいと考えております。
〇吉田敬子委員 私からは、文学の国いわての取り組みについてお伺いしたいと思います。
 近年、郷土ゆかりの作家、沼田真佑さんや若竹千佐子さんなどが2期連続で芥川賞を受賞したこともあり、文学の国いわてというのが大きな話題になっていると私は感じております。
 また、本県の高校生も毎年上位入賞ということで、これからも応援していきたいと思っております。これは県が文学の国いわてということを始めたきっかけとして、宮沢賢治だったり石川啄木が岩手県の文学の土壌をつくってきたことがあって、今回の文学の国いわてに取り組まれていると私も思っておりますが、こちらは平成30年からの取り組みですけれども、これまでの取り組み実績と成果についてお伺いしたいと思います。
〇武蔵文化振興課総括課長 文学の国いわては、平成30年度から取り組みを開始しておりまして、本県ゆかりの作家による講演会と、高校文芸部の生徒を対象とした文学交流会を実施してまいりました。
 講演会につきましては、文学に対する関心や創作活動への意欲を高めることを目的としておりまして、これまで岩手県ゆかりの作家などに御講演をいただいております。
 また、高校文芸部を対象とした文学交流会では、高校生が事前課題として小説を執筆いたしまして、作家から添削、講義を受け研さんを積む機会につながっており、参加する生徒を初め教員の方からも、継続的な開催の声をいただいております。
 取り組みの成果についてでございますが、初回の文学交流会に参加された、くどうれいんさんが芥川賞候補者に選出されたこと、また、県内の高校生がコンクールにおいて多数入選を果たすなどの活躍にもつながっているものと考えております。
〇吉田敬子委員 この事業の大きな柱は、本県ゆかりの作家の講演会と高校生向けの取り組み、それが大きな二つの事業だと思っておりますが、先ほど御答弁いただいたとおり、高校生に向けたというところでいろいろな方々が、もちろん、先ほどの文芸作品の受賞もそうですけれども、私は、対象の拡充を図っていくことも必要なのかと思います。高校には文芸部があるので、そこの方々を対象に事業をされているのですけれども、これからというところになると、小学校、中学校の児童生徒にもぜひ文学というところに、文芸部に入る前の、もちろん文芸部に入らなくてもこの事業は対象にはなっていると思うのですが、文学の国いわてとして、さらに広げていっていただきたいと思っております。
 その中で、教育委員会だと読書のときに副読本をつくっているのですけれども、例えば、こちらの文化スポーツ部でも文学の国いわてというような副読本を小学生、中学生、高校生用に向けて作成してみてはいかがかと思っております。
 その副読本を活用した読書アドバイザーみたいな方々に学校図書館や公立図書館にボランティアだったり教育のお手伝いをしていただくような取り組みを新たな展開としてぜひやっていっていただきたい。今、通算6年やっていて、ずっと同じ事業をやられていると思いますけれども、新たな次の展開や、御所見についてお伺いしたいと思います。
〇武蔵文化振興課総括課長 吉田敬子委員から御提案をいただきました、岩手県ゆかりの作家などを紹介する副読本についてでございますが、子供たちの興味、関心を促すという点、また、文学のまちであることを郷土の魅力の一つとして捉えて、文学に親しむ機会にもつながるものと考えます。
 この文学の国いわてというものの定着を図るためには、若年層から文学への関心を高める取り組みが必要であると考えておりまして、本県ゆかりの作家や書籍などを紹介する、例えばリーフレットのようなものなどを作成し発信する取り組みなど、委員からの御提案の趣旨も踏まえまして、学校、図書館、書店など関係する方々の御意見もいただきながら、どのような取り組みができるか検討したいと思っております。
〇吉田敬子委員 くどうれいんさんの最近の御発言で、彼女は今、年齢は20代後半だったか、30歳になったか、だと思うのですが、彼女が7歳のときの七夕で、作家になれますようにと。7歳のときにはもう既に作家になりたいと思っていたのだと。彼女は旧玉山村出身ですけれども、小学校のときから作家になりたいと思って、今、その夢を、彼女にはもっと先の夢があると思いますけれども、すごく心が動かされる7歳当時のものを写真に載せて、思いをSNSで投稿していました。
 高校生に向けた、表彰式の場で発表される機会がありまして、その場での発言を、私はその場には参加できませんでしたけれども、どういったお話をされたかということを見させていただいて、当時の小学校、中学校、高校の小さいときからいろいろな思いがあって、いろいろな悔しい思いがあって、今があるのだと思ったので、小学校、中学校にもぜひ拡充していただきたいという思いで今回、提言させていただきました。
 また、こちらも新たに御所見をいただきたいのですけれども、文学のまちというと、金沢市だったり松山市、岡山市という市町村単位はすごくたくさんあるのですけれども、文学のまちとか文学のくにを、都道府県単位で言っているところは岩手県くらいしかなくて、都道府県でやっているからこその魅力が観光にも産業にもつながる取り組みだと私はすごく将来性を感じています。
 岡山市は2023年10月31日にユネスコ創造都市ネットワークで、文学という部分で日本で初めてユネスコ創造都市に認定されたということで、こういった取り組みもあるのだということで改めて私も知りました。岩手県全体としてこういう取り組みに進んでいっていただきたいと思っております。今の事業展開は、まだクローズドな取り組みなので、岡山市だと文学フェスティバルということで、一般の県民の皆さんも参加できるような取り組みをされているので、そういった盛り上げにつなげていっていただきたいと思っております。
 ただ、課題が200万円という予算、来年度は少しプラスアルファされて240万円ですけれども、ずっとこのくらいの予算でやられていて、大変頑張っていらっしゃるのだと思っております。
 ぜひ、ここは観光なりいろいろな分野につながると思って期待している文学の国いわての事業ですけれども、文化スポーツ部長に最後、新年度は予算が少し拡充されておりますけれども、新しい事業展開も含めて文学の国いわて、今後の取り組みについてお伺いできればと思います。
〇小原文化スポーツ部長 文学の国いわての取り組みにつきまして、令和6年度事業におきましては、高校文芸部の生徒を対象とした文学交流会について、オンラインを活用するなどして拡充して、多くの高校生や大学生の方々、若い世代を対象に実施しようとしているものでございます。
 吉田敬子委員御提案のさまざまな取り組みにつきましては、全県に広がっているさまざまな題材が、身近な題材が作品に取り上げられているということが、岩手県の魅力に気づくとともに、文学作品そのものが身近に感じるのではないかと思っております。
 先ほど御提案のあった副読本のような一つにまとめたものというのは、恐らく小、中、高校生もそうですが、観光でいらっしゃる方々、県民の皆さん、多くの世代の方々にも大変響くものだと思いますので、文学の国いわての展開については、もっといろいろな人に響くように展開をしていきたいと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 私からは、ソフトパワーいわて戦略推進事業についてお伺いしたいと思います。
 このソフトパワーいわて戦略推進事業費で発刊しているコミックいわてですが、これは平成23年に1巻が発行されました。発行当時は自治体が漫画を発行するという全国でも類を見ない取り組みだということで話題になりまして、3万6、000部発行されていたと書いてありました。また、岩手県知事責任編集という帯までつけられていたということも書いてありましたので、これは知事の肝入り事業の一つであることは、このように明らかです。
 この事業ですけれども、令和6年度もまた13巻目のコミックいわてを発行する事業として継続実施する予算案が計上されています。このコミックいわて、1巻目は先ほどのとおり3万6、000部と、目標が1万部だったところ、多く発行されているのですけれども、昨年度発行のコミックいわて11(いい!)というのは1、321部の発行だった。ウエブもあるのですけれども、そちらの閲覧数も目標としていたほど伸びなくて、政策評価等の実施状況報告書の中ではC判定という中身でございました。
 このように、年々発行部数が下がり続けているにもかかわらず、また、過去に県の文化芸術振興審議会の委員から、認知度の低さと首都圏に届いていないのではないかという厳しい指摘もあったと議会の中で答弁されている、こういった事業をまた新しく、新年度にも同様に実施する意義とその目的をお聞きしたいと思います。
〇武蔵文化振興課総括課長 ソフトパワーいわて戦略推進事業費は、いわてマンガプロジェクトの中核となる事業でございまして、これまで漫画単行本コミックいわての発行や、コミックいわてWEBの運営、いわてまんが大賞コンテストの実施など、岩手県の漫画文化の振興と漫画を活用した本県の魅力発信、交流人口の拡大を目的に取り組んでまいりました。
 日本の漫画は海外でも人気が高く、コミックいわての英語版やフランス語版、中国語版を作成し、海外での大規模イベントやトップセールスの場を活用して配布してきたほか、ウエブでも外国語ページを作成し発信しております。
 また、いわてマンガ大賞コンテストにつきましては、中国やフランスなど海外からも御応募いただくなど、海外への漫画文化の発信にもつながっているほか、漫画やアニメのモチーフとなった場所にファンが訪れる、いわゆる聖地巡礼の動きが全国的にも広がっており、本県においても、アニメ等の聖地として県内外から多くのファンが訪れていることから、交流人口の拡大にもつながる成果があると考えております。
〇ハクセル美穂子委員 交流人口の拡大等にもつながる事業であるということで、また引き続き行うということですけれども、交流人口がどれぐらい拡大したかとか、そういったところの成果の検証はなされておられるのでしょうか。お伺いします。
〇武蔵文化振興課総括課長 このいわてマンガプロジェクトを実施したことによる直接的な交流人口ということにおいては、具体的な数字としては押さえているものはございません。
 先ほど御答弁申し上げました聖地巡礼であるとか、そういったものについては、多くの市町村に皆様が訪れていただいているというもので認識しております。
〇ハクセル美穂子委員 聖地巡礼に来てくださっている方々は、コミックいわての漫画で聖地巡礼に来ておられるのか、それとも、別の岩手県出身の漫画での聖地巡礼なのか、その点については、どのように把握されておられるでしょうか。お伺いします。
〇武蔵文化振興課総括課長 個別の漫画、アニメーション、映画作品を通した聖地巡礼につきましては、それぞれの作家様の作品に基づいた興味、関心のある方に御来県いただいているものと認識しております。
 ただ一方で、このいわてマンガプロジェクトは、メディア芸術の一つのツールとして、これを使ったさまざまな発信を行っているということでございますので、そういった点においては、交流人口の拡大にはつながるものと捉えております。
〇ハクセル美穂子委員 そういうふうな考え方だと。
 では、この1、300万円余の予算に、四つぐらい取り組み内容があるのですが、漫画の発行、ウエブなどあるのですけれども、主にどこに活用されているのか、その点についてお伺いしたいと思います。
〇武蔵文化振興課総括課長 ソフトパワーいわて戦略推進事業費の主な事業ということでございますが、コミックいわてWEBの運営、それから、漫画単行本コミックいわての発行で912万8、000円となっておりますので、この事業の中の中核を占めるものとなっております。
〇ハクセル美穂子委員 1、300万円のほとんど、半分以上を漫画単行本発行に使っておられる。そして、発行した漫画本というのは、今では1、300部。費用対効果というか、このぐらいのお金をかけて、あえてコミックいわてを発行する意義が私には見えないと思っております。いわてまんが大賞などは、そんなに予算がかかっていないということも今の御発言でわかっているのです。なので、フランスの方とか中国の方とかにリーチするのは、別に漫画本の発行があってのリーチであるとは私は今までの説明では捉えられないのですけれども、どういうふうな形で捉えておられるのか、もう一回、済みません、お願いいたします。
〇武蔵文化振興課総括課長 いわてマンガプロジェクトは、ソフトパワーいわて戦略推進事業費ともう一つ、いわての文化国際交流推進事業という二つの事業費を柱として、プロジェクトとして進めております。漫画を通じた外国との交流に関しましては、いわての文化国際交流推進事業費も通じまして、例えば、今年度につきましては、漫画を通じて交流のあるフランスの美術学校の御紹介により、フランスの都市のスーシー・オン・ブリ市の児童絵本見本市にコミックいわての作品を展示するなどの交流も深めております。
〇ハクセル美穂子委員 やはりフランスとの交流はまた別の事業を活用してやられているということは、この漫画を発行するのは、私は廃止も含めて見直しをきちんと考えていく時期に来ていると思っておりますけれども、このことについて御見解をお伺いいたします。
〇武蔵文化振興課総括課長 平成21年度から続けております、いわてマンガプロジェクトにつきましては、それぞれの年度におきまして、さまざまな工夫を凝らしながら、新たな取り組みなども行いながら進めてきたところでございます。例えば、今年度につきましては、コミックいわてを子供たちにも知ってもらうため、市町村立小中学校、図書館、県立学校の希望する所属に提供する取り組みを行いまして、学校からも、小学生でもルビがなくて楽しめるですとか、岩手県の魅力を発信する漫画が合っているなどのお声もいただいているところです。
 また、いわての文化国際交流推進事業費では、今年度、新たに岩手県を題材にした動画コンテストを実施しております。こちらは若い世代の利用が進んでおりますインスタグラムでの投稿も設けたことから、県内外から1、245件もの多数の応募がありました。こういった新たなメディアを活用した発信という観点において、新たな視点を取り入れながらこの事業を進めているところでございます。
 したがいまして、今後も不断に事業の見直しを行いながら、新しい要素も取り入れて取り組んでいきたいと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 いろいろ、なかなか苦しい御答弁で、コミックいわて自体の漫画単行本の発行については、今の説明だと私は意義というか、そういったものが見出せないなと残念ながら感じました。県立病院に対して多額の繰り出し金を出していて、今回もそれが議論されている中で、財政的に岩手県は大変厳しいということで、ほかのさまざまな必要な事業でも拡充を足踏みしている中で、そもそも買っていただくために発行している本なのにあえて子供たちに無料配布みたいにする。その事業に1、300万円もの予算を使っていくというのは、私はどこに意義があるのかとしか考えられないのです。
 いわてマンガ大賞はそんなに予算を使っていない部分です。これは工夫しながら継続するというのはできると思いますし、フランスや中国、海外との交流というのはまた別の事業がきちんとあるということであれば、ずっと13年間、私の3番目の息子と同じくらいの年、中学生になりましたが、それぐらい長くやってきて、発行部数も下がってきているのであれば、きちんと見直しをしていくべきだと私は思いますので、その点、成果の検証をして見直しをすることを私は訴えたいと思います。ぜひこのことを前向きに考えていただきたいと思いますが、その点、文化スポーツ部長から御意見をお伺いしたいと思います。
〇小原文化スポーツ部長 本県の文化振興の取り組みにつきましては、オーソドックスな伝統的な文化芸術から民俗芸能などの生活文化、それから、サブカルチャー、メディア芸術など、漫画やアニメ、映画に代表されるような各般の文化振興施策を行っております。この多彩で幅広い取り組みというのが岩手県の文化振興施策の特色になっているところでありまして、その特色の部分に幅広い層から関心を引きつけることに結びついていると考えております。
 常に新しい要素を取り入れながら、印刷媒体からウエブ媒体などへの移り変わりなど、さまざまな変化もありますので、そういった新しい要素を取り入れたり、経費についてチェックしたりして、できるだけ効果が上がるように努めてまいりたいと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 私も漫画が好きですので、漫画自体を否定しているものでもないですし、漫画で発信するというようなコンセプトを、応募して大賞をあげるとか、そういうことを否定しているのではなくて、あえてコミックいわてをずっと発行し続ける、その予算に900万円を使っているということを見直すべきだと思っています。
 さまざまな文化振興をやっていくということに全く異論はないのですけれども、その予算の使い方、これは県民からいただいている税金でございますので、そして、地方交付税だって国からいただいている中でやり繰りしているのであれば、きちんと効果が上がるような形でやっていくことが私たちの責務であると考えておりますので、この御提案をさせていただきましたので、前向きに検討をお願いしたいと思います。
 次に、スーパーキッズ発掘・育成事業についてお伺いします。
 まとめてお聞きしますが、このスーパーキッズの事業については成果も出ているというのはわかってはおりますけれども、17年間行ってきて、岩手県内の特にも運動能力の高い子供たちはその恩恵を受けてきた。私は17年間も行ってきたのであれば、このスーパーキッズの事業で蓄積してきたノウハウをスーパーがつかない普通の、私みたいな普通の子供たちにもその知見をきちんと使っていただくような事業に広げていく時期に来ているのではないかと思うのですけれども、その点についてお伺いをしたいと思います。
〇鈴木スポーツ振興課総括課長 スーパーキッズ発掘・育成事業は、岩手県から世界で活躍するトップアスリートを輩出するため、素質ある選手の早期発掘と育成を行う事業として、長年にわたる取り組みにより、オリンピックやワールドカップなど世界の舞台で活躍するアスリートを輩出するなど、本県の競技力向上に寄与しております。
 ハクセル美穂子委員から御指摘がありましたとおり、スーパーキッズ以外の子供たちにもキッズの活動を波及させ、子供たちのスポーツ活動の充実を図ることは大切であると考えております。
 今年度は、スーパーキッズのインスタグラムで動画を用いながらプログラムの様子を配信しておりますし、事業周知と体力向上に向けた運動プログラムの提供を目的に、スーパーキッズの体験会を県内2カ所で開催するなど、本事業の知見の周知を図っております。
 また、スポーツ医・科学の知見に基づくメンタルトレーニングやコンディショニング等の取り組みについては、小中学校からの依頼を受けまして講師を派遣し、スーパーキッズの事業と同水準の講座を行いながら、子供たちの心身の発達に寄与しているところでございます。
 引き続き、多くの子供たちにキッズ事業の知見を広められるよう取り組んでいきたいと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 メンタルトレーニングを小中学校へ行って教えるというのは、どれぐらいの実績が上がっていらっしゃるのか、その点、確認をしたいのですが、お願いします。
〇城内愛彦委員長 時間をとめてください。後ほど答弁しますか。
〇鈴木スポーツ振興課総括課長 小中学校には今年度は健康づくり推進事業費として54の学校、事業所等に健康づくり事業の講演をしております。今、まとめた数字はないですが、その中に小中学校も、行っておりまして、健康づくり推進事業費の中でメンタルの関係の講義も行っているところでございます。
〇ハクセル美穂子委員 まだまださらに伸びていくことができるような内容でございましたが、今、少子化によって、岩手県内の都市部のお子さんであればチームスポーツもできる場合もあるのですけれども、中山間地域とか沿岸地域の方々はチームスポーツ、自分のしたいスポーツをすることもなかなかできないような状態になってきて、クラブチームにしようか、部活動を移行するかとか、そういう中で彼らのスポーツに対する機会が本当に少なくなってきていると思っています。そして、肥満もふえてきているということで、これは大人が仕組みをきちんとつくって、子供たちにその機会を与えていくということをしっかり考えていかなくてはいけないと思いますので、誰もが自分に合ったスポーツを見つけることができるような環境づくりをしていただきたいと思います。
 それをお願いして終わりたいと思います。ありがとうございます。
   〔「関連」と呼ぶ者あり〕
〇高橋穏至委員 関連ということで、ソフトパワーいわて戦略推進事業費について通告しておりましたので、ここで取り上げて、私の番はなしにしたいと思いますので、よろしくお願いします。
 私も同じ視点で、総括質疑で事業の見直しとか事業評価をしっかりとして、全体の見直しを図るべきという中でこれを取り上げたのですが、先ほどハクセル美穂子委員からいろいろと質疑があったところです。
 私が通告しているのは、これまでの事業の経過の中で、どれくらいの予算を投入してきたのかというのを通告しておりましたので、答弁をお願いします。
〇武蔵文化振興課総括課長 ソフトパワーいわて戦略推進事業費につきましては、これまで単年度当たりで1、400万円程度を計上してきております。
〇高橋穏至委員 毎年、今回も1、330万円ということで、ほぼ同額を13年間使ってきたという内容だと思います。先ほどの質疑の中であったのですが、発行とウエブの運用で900万円ほどということで大半を占めているわけですけれども、その中で発行部数が下がってきた中で、県下の小中学校に配布も考えたいという話がございました。要は、小中学校に何をPRするのか、漫画のよさをPRするのか、コンテンツは何を訴えようとしているのかお伺いします。
〇武蔵文化振興課総括課長 コミックいわてにつきましては、岩手県に存在する食文化、自然、人柄、民俗芸能も含めたさまざまな価値あるものを題材とした漫画となっております。そういった観点から、このコミックいわてを小中学生などに読んでいただくことによって、岩手県の魅力のよさに気づいていただくことを主な目的としております。今年度は配布済みということでございます。
〇高橋穏至委員 岩手県の魅力を小中学生に知っていただく、これは私も取り上げたふるさと教育の中で非常に重要だというお話をしたのですが、コミックいわての本来の部分からだんだんかけ離れた事業になってきているのかと。であれば、小中学校の副読本で予算化するということで、また違う分野で使えるのではないかと思います。
 発行することが目的になってきているのではないかと非常に思うわけでして、先ほど過去の評価、KPIでC評価とありますけれども、令和4年度のウエブ訪問者数はD評価です。だんだん評価が下がってきております。
 そういった中で、やはり見直しすべきではないかと私も思っているところでしたが、先ほども聞いたようですので、改めて、幅広く文化を取り扱うのは岩手県の特徴だと文化スポーツ部長がおっしゃいましたけれども、先ほどの吉田敬子委員の質疑の中でも、なかなか200万円から脱しきれないというような状況もあり、全体のバランスとかを見直すべきではないかなと思うのですが、最後に所見を伺って終わります。
〇小原文化スポーツ部長 さまざま事業に係る経費としてはバランスはあるかもしれませんけれども、狙いとしている効果ですとか対象ですとか、金額がかからなくても、あるいは、ゼロ予算でも取り組めている分野もございますし、継続的な取り組みの中でさまざま費用を計上しているものもございます。不断に見直しを行いながら、それから、バランスを考え、金額の面にも目を配りながら、今後、文化振興施策については組み立てをしてまいりたいと思います。
〇臼澤勉委員 私からも大きく2点通告しておりますが、中身的には一つでございます。
 マニフェストプラス39の8項目めにスポーツ医・科学センターの建設と活用について述べられておりますが、この中に、一定の役割を終えた県営体育施設を整理、統合し、そして、新たな機能を持った施設としてスポーツ医・科学センターを建設しますと書いてあります。マニフェストプラス39にはさまざま述べられてありますが、このスポーツ医・科学センターのみ、整備を進めるとかそういう表現ではないのです。これだけは建設しますとはっきりと明言しておりますので、そういった大きく二つの視点からお伺いしてまいります。
 まず初めに、スポーツ施設の整備と更新に関して、整備計画についてお伺いしてまいります。
 県営体育館とか県営屋内温水プールなど、具体的な施設における今後の10年間の整備計画をまずお伺いしたいと思います。特にも老朽化が進む施設について、今後どのような優先順位で整理、統合も含め、あるいは、更新、改修も含めて考えているのかお伺いいたします。
〇鈴木スポーツ振興課総括課長 県営スポーツ施設につきましては、現在、岩手県文化スポーツ部所管公共施設個別計画を策定しておりまして、県営野球場につきましては、盛岡以市営野球場と集約を図ったところでございます。
 その他の県営スポーツ施設につきましては、この個別施設計画に基づきまして、今後、計画的な修繕、改修を図りながら長寿命化を図っていくこととしております。
〇臼澤勉委員 今時点で一定の役割を終えた県営体育施設の御認識についてお伺いします。
〇鈴木スポーツ振興課総括課長 現在、スポーツ施設につきましては、きたぎんボールパークを除く8施設、東日本大震災津波で凍結されておりますスポーツ医・科学センター、多目的屋内練習場につきまして、あり方検討を進めております。有識者を交えまして、有識者の御意見を聞きながら、あり方検討を進めておりますので、その検討の状況を踏まえまして、令和7年度から始まる公共施設個別計画で対応について定めていくこととしております。
〇臼澤勉委員 令和7年度から具体的に検討が進んでいくということでございます。県内にもいろいろとスポーツ施設がある中で、延命しながら、老朽化対策をしながら修繕、改修をやっていくのですけれども、10年先、20年先を見据えながら、人口減少社会の中においての統廃合も、ここのマニフェストプラス39にも書いているとおり、ある程度整理、統合も必要になってくるのかと思います。
 先ほども福井せいじ委員から質問がありましたけれども、私は、文化スポーツ部のミッションは何なのかと組織再編が行われたときから考えております。単なる箱物をつくって、あるいは、スポーツ文化を振興するということだけではないのかと思っております。施設を整備し、それをどう活用し、そして外貨を稼ぎながら、文化スポーツGDPの視点みたいなところも必要になってくると思うのですけれども、その辺の出口戦略をどのように捉えているのか、これは通告していませんけれども、基本的な考え方ですのでお伺いします。
〇鈴木スポーツ振興課総括課長 施設の関係で申しますと、私たちはスポーツ振興を図るために、県民、子供、成人、高齢者を含めてですが、スポーツをする機会を提供する必要がございますので、それらの場所、機会、施設を提供するために施設整備をしております。それらをしまして、県民のスポーツ振興を図っていくことが私たちの一つの役割かと考えております。
〇臼澤勉委員 今の答弁では少し従来型というか、文化スポーツ部が生まれた経過というのは、文化スポーツの振興を図りながら、県民所得であったり、外貨を獲得していくようなミッションがあるのかと思っております。宮城県で、利府町にグランディ・21という宮城県の総合運動公園があります。そこの体育館は、単なる体育、スポーツだけの活用ではなくて、文化振興、コンサートとかもやりながら、そういった利活用をしながら施設の維持管理費を稼いでいるわけです。そういった拠点、スポーツ、サッカー、あるいはバスケットボールの拠点についても、今後、整理、統合しながら、出口戦略をどう見ながら、活用策を含めて、民間の力を入れながら図っていくのかというのがすごく重要な視点だと私は思っております。
 改めて、このスポーツ施設の整理、統合、今後、具体的に進めていくのだと思いますけれども、先ほどの出口戦略を踏まえた、あるいは、プロのスポーツ団体との連携というか、そういった方々とも一緒にこれからの計画をつくっていく、あるいは、管理をしていく上で、参画して協働して議論して進めていく必要があろうと思いますが、その辺の御所見、文化スポーツ部長にお伺いいたします。
〇小原文化スポーツ部長 今、行っている県営スポーツ施設のあり方の検討については、さまざまな方から御意見を伺いながら進めているところでありまして、経済界ですが、プロスポーツのような視点のところも重要であると考えております。
 現在、国などが進めておりますスタジアム・アリーナ構想のような形で、全国各地で新たなスタジアムやアリーナを中心とした地域活性化の取り組みが行われています。そういったものは十分に参考になる事例だと思っておりますので、今後、一つ一つの具体的な施設の検討に入る際に当たっては、そうした動きも捉えながら、県内の民間との連携の事例なども踏まえながら検討していきたいと思います。
〇臼澤勉委員 長寿命化対策の予算と効果額についての質問通告もしておりましたけれども、そこはあえて省略いたしますが、そういった長寿命化対策は一方で進めながらも、ただ、それは将来的に見据えながら、施設の統廃合を含め、その出口戦略、そして、文化活用も含めた施設のあり方を今後具体的に検討していく時期に来ているのかと思います。
 次に、スポーツ医・科学センターの設置計画について、具体的な検討項目、スケジュール及び実現のめどについてお伺いいたします。
 また、このセンターがこの地域、岩手県のスポーツ振興にどのように貢献するのか、そのビジョンもお聞かせ願います。
〇鈴木スポーツ振興課総括課長 スポーツ医・科学の拠点についてでございますが、医科学の知見に基づく競技力向上と県民の健康づくりの観点から、老朽化したスポーツ施設の整理、統合などとあわせまして拠点の整備を検討することとしております。先ほども答弁しましたけれども、現在、県営スポーツ施設のあり方を検討しておりますので、県財政の状況や最先端の医科学の動向などを踏まえ、他県の事例等の調査も行いながら、外部有識者の意見をお聞きしまして、具体的な整備目的とか必要な規模などを今後検討してまいる予定としております。
〇臼澤勉委員 冒頭申し上げましたけれども、この施設だけは、ほかの箱物と違って断定しています。任期中に建設すると言っているのです。ほかの箱物は、整備を進めますと。これは行政用語でいけば、整備を進めますというのは、検討も含めて着手していきますよということです。ある意味、幅広く、私の理解はそういった捉え方ができるような言い方なのですけれども、ただ、この施設だけは、知事が建設します、任期中にやりますと、こういう意味合いで述べていますので、今の答弁ですと、任期中にとてもできるようには私は捉えられないのですけれども、再度、具体的なスケジュール及び実現のめど、検討項目をお伺いいたします。
〇鈴木スポーツ振興課総括課長 繰り返しになりますが、現在、あり方検討で整備についてさまざま議論しているところでございます。それらを踏まえまして、具体的なスケジュール、建設時期、機能などを検討してまいります。
〇臼澤勉委員 具体的にあり方検討は、今年度中、あるいは、いつまでにその辺の具体的なスケジュール、実現項目、具体的な検討項目も含めて、実現のめどを立てる予定なのかお伺いします。
〇鈴木スポーツ振興課総括課長 あり方検討をした上で個別計画の策定を進めます。個別計画につきましては、来年度内に着手する予定をしておりまして、あり方検討はその前、めどとしましては、夏から秋ごろにあり方の取りまとめを行いたいと考えております。
〇臼澤勉委員 一歩具体的な答弁をいただきました。
 それで、この施設の設置に当たっては、地域社会、あるいは関係者との連携が大事になってきます。具体的にどのように進めて、取り組まれていくのかお聞かせ願います。
 また、住民ニーズはどのように反映させる計画なのかについても、あわせてお伺いします。
〇鈴木スポーツ振興課総括課長 スポーツ医・科学の拠点につきましては、今、スポーツ医・科学サポート事業というのを行っていまして、さまざまな関係機関、大学や岩手医科大学を含む医療機関と連携しまして、医師等の専門的知識や資格を持つ外部有識者とも連携をとりながら進めているところでございます。
 また、医・科学の事業におきましては、市町村、学校、企業等と連携している部分もございますので、それらの連携している部分でソフト面の取り組みをさまざま進めていきたいと思っております。
 拠点の整備につきましては、あり方検討を踏まえまして、内容に応じまして、さまざま今、お話しした関係者、県民、関係団体等の御意見も聞きながら整備を進めていく必要があると認識しております。
〇臼澤勉委員 最後にいたしますけれども、県民ニーズを具体的にどのように反映させていくのかということ。これは単なるスポーツ施設ということだけではないのかと思うのです。少子化、そして高齢社会の中において、介護予防による高齢者の自立支援だとか、あるいは、リハビリの機能回復も含めた部分で、最先端のスポーツ医・科学拠点として大きな役割、期待される施設と私は捉えております。
 そういった意味からも、少子、そして高齢社会における岩手県の拠点としての役割について、文化スポーツ部長に、最後に御所見を聞いて終わりたいと思います。
〇小原文化スポーツ部長 このスポーツ医・科学センターにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、アスリートの競技力向上、それから、指導者の資質向上といった面はもちろんですし、県民の健康づくりにどうのように役立てていくかといったことが重要な議論だろうと思います。
 こちらの点についても有識者の方々から御意見をお聞きしておりまして、高齢者のフレイル対策ですとか障がいのある方の機能支援とか、そういった面も含めまして、県民にとってどういう価値のあるスポーツ医・科学センターにするかということは十分な議論が必要かと思います。先ほどから大きな期待の声をいただいていると思っておりますので、その点について、しっかりと議論を進めてまいりたいと思います。
〇佐藤ケイ子委員 私からは、文化スポーツ関係の施設で働いている方々の関係についてお伺いいたします。
 先ほどから岩手県の文化、スポーツを振興させていこうということで質疑が続いておりますけれども、その施設管理につきましては、指定管理の施設がほとんどなわけです。体育施設、文化施設、指定管理されております。今、物価上昇の中で、賃上げを社会的に求められている状況でありますけれども、指定管理施設で働いている方々は適切に賃上げが行われている状況なのかということです。
 まずお聞きしますけれども、文化スポーツ部所管のたくさんの施設がありますけれども、その指定管理施設数、就労人員はどれほどになっているのかお伺いいたします。
〇久保文化スポーツ企画室管理課長 文化スポーツ部所管の指定管理施設でございますけれども、文化施設が3施設、スポーツ施設につきましては、県と盛岡市が共同設置者である、いわて盛岡ボールパークを除きまして8施設、計11施設となっております。
 そのうち八幡平市が指定管理者となっております県営スキージャンプ場を除く10施設の職員数でございますが、延べ84人となっております。
〇佐藤ケイ子委員 この84人というのは正規という意味ですか。非正規も結構多いと思っているのですけれども、そのことをまず確認します。
〇久保文化スポーツ企画室管理課長 先ほどの職員延べ84人のうち、正規職員は32人、有期の採用職員が52人となっております。
〇佐藤ケイ子委員 わかりました。今、県民所得を上げようという中で、公共サービスにかかわっている方々も、所得を底上げするという意味では大きな位置を占めているのです。例えば、文化スポーツ関係はこういう人数ですけれども、福祉関係ですとかたくさんあるわけです。商工関係もそうですけれども。
 それで、指定管理の契約の中で、労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針というのが総務省から出されまして、労務費上昇分について受注者と協議することが示されましたけれども、こういう通知を認識していたのかどうか。
 そして、この通知の後でフォローアップ調査が行われるということでありますけれども、指定管理が行われているところの賃上げについては、どう対応しているのかお伺いいたします。
〇久保文化スポーツ企画室管理課長 まず、指針についてでございます。指針につきましては、当該指針を踏まえました総務省通知を受けまして、庁内での各部局に対しまして、労務費の適切な価格転嫁を図るようにという通知が発出されたところでございます。この指針につきましては、労務費の転嫁に関する発注者、受注者双方の立場からの行動指針というものになっておりまして、佐藤ケイ子委員御指摘のとおり、発注者側から定期的な協議の実施でありますとか、要請があれば協議のテーブルに着くということなど、取引の適正化に必要な項目が示されているものと認識しております。
 次に、賃上げへの対応についてでございます。先ほどの指針及び指針を踏まえた総務省通知の趣旨にのっとりまして、県では定期的に人件費に関する協議の場を設定するということと、指定管理者から要請があった場合には確実にその協議に応じるなど、丁寧に対応してまいりたいと考えております。
〇佐藤ケイ子委員 わかりました。丁寧に対応してまいりたい、丁寧に対応したということではないですね。
 それで、指定管理施設で働いている方々の所得の状況はどうなのでしょうか。基本的には県職員準拠なはずなのですけれども、本当にそのようになっているのかどうか。現場からは、なかなか反映されていない、人事委員会勧告が出ても県職員は給与がアップされるけれども、関連施設で働いている事業団の方々の賃上げはなかなか厳しいのだという話を聞いたことがあるのですけれども、平均賃金はどういう状況になっているのか、比較をいただきたいと思います。
〇久保文化スポーツ企画室管理課長 指定管理施設職員の所得についてでございますが、当部所管の指定管理者のうち、公益財団法人岩手県文化振興事業団と公益財団法人岩手県スポーツ振興事業団の職員分となりますけれども、指定管理者から提出されます職員配置計画書に基づきまして算定いたしますと、令和5年度の給与額につきましては、単純に平均いたしますと、1人当たり年間332万円ほどとなっております。
 一方、厚生労働省の平成4年賃金構造基本統計調査によりますと、岩手県における10人以上の労働者がいる企業の一般労働者の給与額及び年間賞与等の合計の1人当たりの平均額につきましては、サービス業におきましては327万6、000円となっておりまして、おおむね同程度となっております。
〇佐藤ケイ子委員 わかりました。年収330万円くらいということで、比べる平均値が10人以上の民間企業ということで、そこに比べればそこそこだということなのでしょうけれども、県職員準拠という基本の中では、かなり賃金が低い。さらには、非正規の方々が多いわけですから、暮らしも大変なのだろうということが想像されます。
 そこで、私は財政課総括課長にお聞きしたいのですけれども、順番で文化スポーツ部が早かったのでここで取り上げたのですけれども、商工労働観光部にしても、保健福祉部にしても、あちこちの部局で指定管理をされているわけですけれども、なかなか賃金が上がらない。そして、それは結局、契約するのが担当部局ではあるけれども、予算がつかないということなわけです。財政課とすれば、コストを削減したいというのはそのとおりだと思いますし、一方で、商工労働関係は県民所得を上げたいというのがあって、中小企業には賃上げの補助をするわけです。ですから、財政課としても総務省通知に基づいて適切に賃上げをするように配慮しなければならないと思うのですけれども、どのように対応するのかお伺いいたします。
〇佐藤財政課総括課長 まず、指定管理の予算計上のことからお話ししますと、指定管理期間は大体3年とか5年でして、そのときに県職員の給与をもとに積算しておりまして、それは今回は上がっていますけれども、下がったときも、基本的には3年間なりのルールで指定管理者がやれるということで契約していますので、上がっても下がってもやる。
 それから、特殊な場合、今回の物価高騰などの場合は、増分とかも適時適切に見ていますし、総務省通知や、個別に協議があった場合は、財政課としても柔軟に対応しているといったものです。
〇佐藤ケイ子委員 債務負担行為で契約を複数年、3年、5年で契約をしているわけですけれども、上がっても下がっても、今、物価高騰、賃上げという世の中の流れの中で、本当にこれが適切に対応しているのか。これ以上言いませんけれども、ほかの部局も含めて、しっかりと対応をしていただきたいと思います。
 次に行きます。部活動の地域移行についてでございます。
 中学校の休日部活動の地域移行を進めるために、新年度予算案では地域文化芸術活動体制整備事業費で文化振興課分270万円、それから、地域スポーツ活動体制整備事業費でスポーツ振興課分2、400万円ということで、文化振興課のほうは皆増、スポーツ部門は930万円増ということですけれども、対象の学校数、部の数、指導者数など、想定している事業内容をお伺いいたします。
〇鈴木スポーツ振興課総括課長 地域スポーツ活動体制整備事業費の内容でございますが、今年度に引き続きまして、国の事業を活用しまして、運動部活動の地域移行に向けた市町村による実証事業を予定しております。
 学校と関係者間の連絡調整を行うコーディネーターの配置、運営団体の体制整備、指導者の確保などに関する実証事業でございます。令和6年度は10市町村が実証事業を希望しております。今年度は5団体でございました。
 今後、希望市町村において、国と調整しながら、対象となる学校や部活動などを決定しまして実証事業に取り組むこととなります。
〇武蔵文化振興課総括課長 部活動の地域移行に係ります地域文化芸術活動体制整備事業費について御説明いたします。
 こちらの事業でありますが、文化庁の実証事業について、市町村の意向に基づきまして、芸術文化関係団体と連携しながら実施することにより、休日の文化部活動の円滑な地域移行を進めようとするものでございます。
 こちらの対象につきましては、市町村への調査結果及び国による予算規模を参考にいたしまして、令和6年度予算案におきましては、三つの市町村で実施することを想定して予算を計上しております。
 学校数や部の数につきましては、現在、2回目の市町村の意向調査も行っておりまして、その結果なども踏まえて詳細について検討してまいりたいと考えております。
〇佐藤ケイ子委員 わかりました。実証事業なのですね。私は各市町村に指導員配置の予算を出すというくらいのものかと思ったら、なかなかこれは難しい話であります。今、地域の中では、とにかく部活動の地域移行が、どうなるのだというのでかなり話題を呼んでおります。子供たちが選択できるような状況ではないなとか、親の負担がすごく大きくなる。それから、指導者の質、指導者の確保、集まればその話ばかりでありまして、中体連、高体連とか甲子園とか、そういった大会運営のあり方そのものが変わらない中で、できるのだろうかと。課題ばかりで大変な状況だと思っておりました。
 一つお伺いしたいのは、スポーツの関係で、実証事業をことしもやっていますし、一昨年度からもやっています。その状況の成果、課題とか、どういう状況かわかりますでしょうか。
〇鈴木スポーツ振興課総括課長 実証事業ですが、それぞれの地域の実情に合わせまして、各市町村におきまして地域移行のモデル事業を実施しております。その中で、地域によって協議会なり検討会を設置しまして、地域の関係団体のご意見をお聞きしたり、あとは、協議団体の協力を得ながら具体的にモデル事業に取り組むことができた、地域の理解を得て実施できた等が成果と捉えております。
 課題でございますが、今、佐藤ケイ子委員からもお話がありましたが、受け入れ団体の整備、充実が必要だと認識しております。あわせて、指導者の確保、質の向上も必要だと考えておりますし、地域移行をするに当たり費用負担が生じる場合や、保護者が送迎するようなケースも出てきますので、それらの十分な理解が必要なのかなと思います。それらの課題につきましては、さまざまな機会を通じてモデル事業の状況を説明しながら、各地域で円滑な地域移行が行われるように、県としても取り組んでいく必要があると考えております。
   〔「関連」と呼ぶ者あり〕
〇はぎの幸弘委員 私もこの部分を通告しておりましたので、お願いします。
 まずもって素朴な疑問なのですが、最初、私はこの予算案を見たときに、新人なもので、県教育委員会かと思っていたのですが、文化スポーツ部だったということで、これは教育委員会は絡んでいないのでしょうか。
〇鈴木スポーツ振興課総括課長 学校部活動の地域移行につきましては、国のガイドラインに示されておりますとおり、合同部活動の導入、部活動指導員等の配置による学校部活動の地域連携、体育協会や競技団体などの地域団体が実施主体となる地域クラブ活動の実施などの部分がありますので、学校部活動を所管する教育委員会と地域団体の整備を所管する当部が連携して取り組む必要があるものでございます。
 学校部活動の地域移行を進めるに当たりましては、多くの関係者が連携、協働して、段階的、計画的に取り組む必要がございまして、当部と教育委員会が中心となりまして、市町村、学校、協議団体等の関係者と一体となりまして取り組む必要があるものでございます。
〇はぎの幸弘委員 わかりました。では、学校の部分は教育委員会の部審査で聞けると思いますので、ここでは地域の部分ということだと思います。
 先ほどの質疑を聞いていますと、スポーツの実証事業は令和3年度からやられているようですけれども、手挙げ方式だということです。単純に考えれば、33市町村どこでも同じ問題を抱えていると思うのですが、手挙げの状況としては33市町村一斉に手を挙げている状況なのか、それとも一部なのか、その辺の確認をいたします。
〇鈴木スポーツ振興課総括課長 実証事業でございますが、令和3年度は、岩手町と葛巻町におきまして、令和4年度は、今の2町に加えまして大船渡市において実証事業を実施しております。今年度は、盛岡市、宮古市、大船渡市、西和賀町、九戸村の5市町村において実施しておりまして、来年度は、現時点におきまして、10市町村が実証事業を行う予定としております。
〇はぎの幸弘委員 わかりました。年々手を挙げる自治体がふえている、あるいは、もう既に実証が終わって独自で歩み始めているところもあるのか思うのですけれども、今までやってきたところで、私は一部資料はいただいていますけれども、例えば、岩手町、葛巻町に関しては、令和3年度、4年度で終わっている。これは実証事業が終わって本格的にそういった地域移行がなされているという理解でいいのでしょうか。
〇鈴木スポーツ振興課総括課長 岩手町、葛巻町におきましては、モデル事業を2カ年やりまして、ある程度課題等の検証を行った上で、はぎの幸弘委員からお話のありましたように、各町で部活動の地域移行を自走している形になっております。
〇はぎの幸弘委員 わかりました。そういった事例もあるということで、どんどん県内全部に広げていく必要があると思いますが、反面で心配なのは、今後、自走していればいいのですけれども、途中で失速して、またなくなってしまったとか、そういうことも懸念材料としてあると思いますから、新規のところばかりに目を向けるのではなくて、既に始まっているところのフォローも必要かと思うのですけれども、その辺の状況はどうなっていますか。
〇鈴木スポーツ振興課総括課長 県では毎年、広域ごとに制度の内容の説明会、来年度は相談会ということで、市町村の状況をお聞きする機会を設けられるようにしております。それらにおきまして、市町村の部活動の地域移行の状況を把握しながら、適切なフォローアップをしていきたいと考えております。
〇はぎの幸弘委員 ぜひその辺もしっかりフォローするべきだと思っております。
 文化芸術の実証事業も同じような中身だと思うのですけれども、今回が新規の事業ということにこちらはなっています。二、三年のタイムラグ、スポーツからはおくれているというのは、国の都合なのでしょうか、それとも県の都合ですか。
〇武蔵文化振興課総括課長 文化芸術活動の地域移行に関しましては、市町村の意向に基づき、今年度は3市町村程度の予算計上をしております。これまでスポーツ分野に比べて実証事業への手挙げが少ないという御指摘でございますが、市町村へのヒアリングによりますと、まずは運動部活動の取り組みを進めて、その様子を踏まえながら文化部活動の検討を行うとするところが多いと認識しております。
 また、スポーツ分野におきましては、従来から小学校においてスポーツ少年団など、地域で活動するスポーツ団体という土台があったということもございまして、比較的そういった枠組み、あるいは、受け入れ団体の把握も含めて進めやすい状況にあると考えております。
 まずは、地域移行が円滑に進みますように、市町村と引き続き連絡調整を行いながら、進めてまいりたいと思います。
〇はぎの幸弘委員 わかりました。地域スポーツ活動体制整備事業費は2、400万円余で、文化芸術活動体制整備事業費は270万円ということで、10分の1程度の予算規模です。これは始まったばかりなので、できれば今後ふえていってほしいと思いますし、自治体の温度差というのもあると思うので、これは教育委員会の部審査で質問しますが、異動する先生方はどこに行くかわからないわけで、行くところによって、地域移行ができているところ、できていないところの格差が生じるというのは、私はよろしくないと思いますから、手挙げを待つのではなくて、ともかく各自治体との情報交換を密にして、スポーツ分野も文化芸術分野もなるべく早めに地域移行を進めるめどをつけるように指導していくべきと思いますが、その辺の所管を伺って終わります。
〇鈴木スポーツ振興課総括課長 国でモデル事業等を、3年間で改革推進期間ということで取り組みまして、できるだけ早く地域移行するように取り組んでいるところでございます。県でもこれを踏まえまして、できるだけ早期に地域移行が進むよう取り組んでいくつもりでございます。
〇武蔵文化振興課総括課長 文化芸術活動につきましても、既にNPО団体ですとか、あるいは合唱、吹奏楽の個別に指導に入っているという例もございます。こういった指導の実態から、団体、あるいは地域としての受け入れにつながるように情報収集をいたしたいと考えております。
 また、市町村に対しましては、これまで担当者会議での事例の紹介ですとか個別の市町村めぐりなども行っているところでございます。いずれ、スポーツ分野に比べて文化芸術分野の地域移行が大幅におくれることがないように進めてまいります。
〇佐々木朋和委員 私からは、いわての民俗芸能活性化交流促進事業費について伺いたいと思います。
 コロナ禍がありまして、また、人口減少のある中、各民俗芸能団体はダメージを受けていると感じるのですけれども、今の民俗芸能各団体について、どのような状況にあるか、人員の増減や高齢化、また、経済的な状況等、あわせて、伝統的な地域のお祭りや地域伝統行事の存続や廃止についても、現状を把握していればお示しいただきたいと思います。
〇武蔵文化振興課総括課長 コロナ禍の影響についてでございますが、民俗芸能団体のみを対象としたものではございませんが、県では、これまで県内文化芸術団体に対しまして、新型コロナウイルス感染症による文化芸術活動への影響調査を定期的に行っております。
 令和5年6月に行った10回目の調査によりますと、新型コロナウイルス感染症による文化芸術活動への影響の有無について、大きく影響があると答えた団体が、前回の2月の調査では20%だったところ、6月ではゼロになっております。また、多少の影響があると答えた団体が、2月の調査では55%であったところ、6月には42.9%と若干ではございますが減少しておりまして、活動の状況については大きく改善が見られるものの、コロナ禍前と比べると影響はいまだ残っていると捉えております。
 また、影響の内容につきましては、団員、会員等の活動意欲の低下が最も大きい割合を占めております。
 伝統的なお祭りや行事の状況でございますけれども、県で広域圏ごとに開催している会議や、民俗芸能団体が主催する会議等に参加させていただいた際に聞いたところによりますと、一部縮小開催していた祭りや行事を今年度はコロナ禍前の形で開催したところが多いと聞いております。一方で、報道等で取り上げられていますように、本年を最後に開催見送りとしたものもあると承知しております。
 人員の削減、あるいは高齢化、経済状況でございますけれども、先ほど御紹介いたしました調査においては、団体の会員数の減少や自治体の補助金削減による活動資金の不足、あるいは、会員の高齢化、新規入会者がいないということが活動の停滞する要因であるとの回答も寄せられております。
〇佐々木朋和委員 コロナ禍の一番大変だったときと今を比べていただきたかったのではなく、コロナ禍前と比べて、今、コロナ禍を経過して、どういった状況にあるのかということでありました。その部分も述べていただきましたけれども、地域の民俗芸能等については、この3年間で、あるいは4年間で子供たちに教える機会がなくなって、その流れがとまってしまったとか、あるいは、そういった中で、会員数が減少して衣装や道具の修理などについても苦慮しているという話をお聞きします。
 県では本事業、本県の民俗芸能の魅力発信と民俗芸能の保存、継承に向けた発表、鑑賞機会の確保のために民俗芸能フェスティバルを開催するということですけれども、発表の場も、今戻ってきている中にあって、全県で一つ、集まってやるということも必要でしょうけれども、その前に担い手が不足している、衣装について、あるいは太鼓について、なかなか改修も難しくなっている。私はこういったところにこそ県は目を向けるべきではないかと思っております。
 令和5年度、6年度もですけれども、文化庁で地域伝統行事・民俗芸能等継承振興事業というのがありまして、これについては、それこそ道具の修理でありますとか、担い手の確保のための事業を行っているということでございます。1、000万円上限で85%の補助だということで、かなり有意なものだと思うのですけれども、本県における令和5年度の活用状況と、また、令和6年度の申請状況をお示しいただきたいと思います。
〇武蔵文化振興課総括課長 文化庁の地域伝統行事・民俗芸能等継承振興事業についてございます。
 こちらの事業については、各地方公共団体が策定する地域の文化遺産を活用した取り組みに係る実施計画に基づき行われる用具等修理、後継者育成のための研修会、講習会の開催、継承のための記録作成などを支援するものでございます。
 本県におきましては、令和5年度は4団体が採択されまして、チャグチャグ馬コや花巻まつり、神楽や鹿踊りなどの継承に係る取り組みに活用されております。
 令和6年度の申請状況でございますが、4団体が申請を行っております。
〇佐々木朋和委員 この予算規模はわかりませんけれども、実施計画を立てれば各地方団体に一つずつ認められるわけで、私は県内全市町村でやってもいいようなものではないかとも思いますし、これは県も主体になれるのですね。県としてはそのような有意な制度でありますので、各市町村に利用を促していく、または、できないところについては、みずからが実施主体をサポートする団体として申請をしていくということも必要ではないか。先ほどの御答弁でも、岩手県を代表するようなお祭りも実施が困難となっているという状況にあっては、そういったところにも私は目を向けるべきではないか、この事業の活用に向けて検討するべきではないかと思うのですけれども、所見を伺いたいと思います。
〇武蔵文化振興課総括課長 この文化庁の助成事業につきましては、比較的採択の率も高いと認識しておりまして、県内の団体の事業の周知については、引き続き努めていきたいと思います。
 一方で、市町村の計画に沿った取り組みでなければいけないという条件や、市町村が参画する実行委員会をつくって対象団体とするといったようなこともございますので、そういった調整がつかないことを理由に、もし市町村が申請を行っていないという状況があるのであれば、県としても必要なフォローなどを行っていく必要があると考えています。
 この事業につきましては、申請の有無については各団体等の事情によるものも大きいと思いますけれども、より多くの団体の活動の支援につながるように、県としても周知に努めてまいります。
〇佐々木朋和委員 この要件の図が説明にあるのですけれども、全体で自治体単位ぐらいの実行委員会をつくって、各団体がそこの中に入って、また各団体がそれぞれの衣装を直したりもできるような書き方をしております。
 先ほど文化振興課総括課長からは、もしという話をされましたけれども、今までこういった事業がありますと市町村に促したことはございませんでしょうか。
〇武蔵文化振興課総括課長 当該助成事業につきましては、国からの通知を受けて、市町村を初め関係団体、民俗芸能の協議会等についても周知を行っております。
〇佐々木朋和委員 でしたら、なぜこの申請が4件にとどまっているのか、ぜひとも一緒に聞いていただいて、ともにやっていただきたいと思いますし、各自治体に一つということでしたけれども、例えば、市町村が申請をしていれば、県としてできないものなのでしょうか。これは県と市と両方できるものなのですか。
〇武蔵文化振興課総括課長 事業の枠組みといたしましては、地方公共団体ということになっておりますので、県としての利用も可能であると承知しております。
〇佐々木朋和委員 例えば、岩手県民俗芸能フェスティバルについても、国の事業の中には情報の発信であったりとか記録ということも入っているわけで、この事業を原資として、実行委員会は別ですけれども、この予算を使いながら15%の分に充てるなど、この事業をやりながらでも国の1、000万円分の事業費を活用するような工夫もできるのではないかと思います。ぜひとも、そういった国の有用な事業を活用しながらというのは予算編成の中でも重要なことだと指摘をされているはずです。しっかりと使っていただきたいと思います。
 最後になりますけれども、担い手不足については、先ほど私も申し上げましたけれども、学校への関与、子供のころに民俗芸能をやっているということが、大人になってから再度やろうかというものにつながってくると思います。そういった中で、例えば、小学校のときは部活動もないので民俗芸能をやっているのだけれども、中学校の部活動が始まるとやめてしまう子たちも多いと聞いています。
 そういった中で、今、地域部活動としての文化部活動の移行というのがあって、協議会にも入って検討している。実証事業が今、市町村で三つだけだという話もありましたが、既存の部活動をもとにすれば、なかなかそれは数は少ないのでしょうけれども、こういった民俗芸能団体などは、子供たちに教えるという機会も求めているわけです。そういった中にあっては、文化部の活動の一つとして地域部活動ができる部分もあるのではないかと思います。
 文化スポーツ部としては、しっかりとそういった部分についても目を向けながら、市町村にもこういったこともできるのではないかと提案もしていただきたいと思いますけれども、御所見を伺いたいと思います。
〇武蔵文化振興課総括課長 民俗芸能の文化部活動、あるいは地域部活動としての今後の見通しということでございますけれども、多くの小学校において、その地域に伝わる踊りなどを学年を指定して運動会で踊ったりという実態がございます。その後、その踊りをさらにやりたいという子が指導者の派遣を受けて地域で練習を行ったり、あるいは、別日を設けて地域で集まって練習し続けたりという動きも多数あると承知しております。
 民俗芸能団体の皆様も、今まで培ってきた活動実績と部活動の地域移行に関しては、民俗芸能の継承につながる大きな契機と捉えていらっしゃいまして、その点に関しては、県としても同じ認識でございますので、これを契機としまして、民俗芸能の担い手の確保にもつながるように、県としても市町村と連絡を密にしてまいりたいと思います。
〇佐々木朋和委員 前向きな答弁をいただきまして、ありがとうございます。今、小学校の統合等によって、各小学校でやっていた伝統芸能を、学校が一つになったからといって全部やめてしまう事例も多く散見されるなと思います。そういった学校の現場での伝統、民俗芸能ができなくなっているという状況もぜひ踏まえながら、この地域部活動を契機として、もう一度盛り上げていただきたいと思いますので、よろしくお願いをして終わりたいと思います。
〇城内愛彦委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午後0時6分 休 憩
午後1時2分再開
〇千葉盛副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇鈴木あきこ委員 よろしくお願いいたします。それでは、早速始めさせていただきます。私からは、地域文化芸術活動支援事業費について伺います。
 まず、令和6年度予算案が昨年度より増額となり、約680万円でございます。これは、事業内容といたしまして、いわての文化情報大辞典、文化芸術コーディネーターの事業活動と認識しておりますが、それで大丈夫でしょうか。
〇武蔵文化振興課総括課長 地域文化芸術活動支援事業費につきましては、文化芸術コーディネーターの配置や本県の文化芸術情報を国内外に発信するための、いわての文化情報大辞典の運営等を行う事業費としております。
〇鈴木あきこ委員 私は決算特別委員会の中で、このいわての文化情報大辞典はすごくすばらしいものだと大絶賛をさせていただきましたが、少し使いづらいところがあるというお話をいたしまして、そのときの答弁で、多くの方に利用いただけるよう検討していきますという答弁をいただいておりました。検討ということだったので、たびたび見ておりましたが、修正はされていなかったのですけれども、今回の令和6年度の中で訂正というか整理していただけるのでしょうか。
〇武蔵文化振興課総括課長 いわての文化情報大辞典の利用につきましては、掲載情報の古さ、あるいは誤りにつきましては、庁内の関係室課とその情報について連携しながら、可能なところから修正作業などを行っているところでございます。
 検索機能の強化につきましては、以前に御指摘いただいたところですけれども、こちらについては、大がかりなシステム的な対応が必要な部分でございますので、今後の課題としております。
〇鈴木あきこ委員 すぐには対応が難しいということで非常に残念ですが、小学校等の教育の現場でも子供たちが見ていたり、実は、数日前に市の教育委員会に伺いましたら、市の文化課でも、それを時々見ていますということだったので、ぜひ皆さんが使いやすいように調整していただきたいと思っております。
 それでは次に移ります。地域文化芸術活動支援事業費の文化芸術コーディネーターについて伺います。
 私はこの文化芸術コーディネーターの存在を知らなくて、今回初めて知ったのですが、そのコーディネーターを県内4広域圏に配置しているということでございました。ここのコーディネーターをしている方はどういう方、あるいは団体なのでしょうか。
〇武蔵文化振興課総括課長 文化芸術コーディネーターの受託者についてでございますけれども、こちらは、それぞれの地域で文化芸術活動を支援しているNPО法人等に委託しておりまして、現在、県央、県南、沿岸の各広域振興局に1カ所ずつ、また、県北広域振興局は、久慈地区と二戸地区が地域的にも文化的にも異なることなども考慮しまして、久慈地区と二戸地区各1カ所に分けて設置しております。
〇鈴木あきこ委員 それでは、続けて質問させていただきます。そのコーディネーターを設置している目的と役割、文化芸術コーディネーターという方、団体はどのような活動をしているのかお伺いします。
〇武蔵文化振興課総括課長 文化芸術コーディネーターの設置目的についてでございますが、地域の文化芸術活動を支援し、活性化を図るために配置しているものでございます。
 このコーディネーターにつきましては、文化芸術活動の企画の支援、活動団体の連絡先や活動場所の紹介、活動のPRの支援、文化活動に必要な助成金などに関する情報提供などについて、住民の文化芸術活動の相談に対応するということが一つございます。また、市町村や文化芸術団体などによる文化芸術活動支援ネットワーク会議を県とともに開催しまして、地域の文化芸術活動についての意見交換の場を設けて、地域と文化をつなぐ役割を担っているものでございます。
〇鈴木あきこ委員 そうしますと、例えば、コンサートをしたいとか、美術展、個展を開きたいというときに、どうやってコーディネーターという存在を知るのか、どのような形で周知しているのか伺います。
〇武蔵文化振興課総括課長 文化芸術コーディネーターの周知についてでございますが、なかなか周知が進んでいないという声も聞かれましたことから、令和5年度は新たにチラシなども作成しまして、公共施設ですとか各文化施設、あるいは、市役所、役場等に配架していただいております。
 また、ホームページなどでも情報提供を行っておりますけれども、一方で、まだやはりどこに相談したらいいのかわからないという声が聞こえておりますので、引き続き、周知については努めてまいりたいと思います。
〇鈴木あきこ委員 周知しなければコーディネーターを置いている意味がないと言うと少しひどい言い方になりますけれども、知らなければ利用もされないので、ぜひ周知を一生懸命していただいて、コロナ禍でいろいろな芸術関係もコンサートとかもできない状況が続いておりましたので、ぜひこれからは文化芸術コーディネーターの方に活躍していただいて、県内の文化芸術を発信したいという方の力になっていただきたいと思っております。
 それでは次の質問です。
 ユニークベニューの活用について伺います。ユニークベニュー活用の実績と効果について伺います。
〇武蔵文化振興課総括課長 ユニークベニューの実績と効果についてのお尋ねでございます。
 まず、ユニークベニューでございますが、歴史的建造物や神社仏閣を初め、城跡、美術館、博物館、天然記念物などにおいて、会議やイベントなどを実施することにより特別感や地域特性を演出することを目的に、本来の用途とは異なるニーズに応えて、特別に会場を貸し出して実施されている取り組みでございます。
 これまで県内での具体的な例といたしまして、盛岡市の岩手銀行赤レンガ館を活用した各種イベントのほか、金ケ崎町の要害歴史館でのコンサート、宮古市での旧東屋酒造店酒蔵を活用した映画上映、岩泉町龍泉洞内での宝探しなど、施設の特徴を生かしたイベントが県内各地で開催されているところです。
〇鈴木あきこ委員 重要文化財に指定されているいろいろな建物等がありますが、なかなか建物を見にいこうという感じにはならないので、そういったイベントとあわせて来てもらう、見学してもらうというのは重要なことだと認識しております。
 また、このユニークベニューの活動は、調べてみますと、実施主体はその団体の管理者とか実行委員会等とありますが、これに関して、岩手県は補助をしているとか、何かしらの手伝いのようなものをしているのか伺います。
〇武蔵文化振興課総括課長 ユニークベニューの取り組みに関する県の関与、または支援ということでございますが、基本的にはその自治体、あるいは実行委員会においてなされているものでございますけれども、こういったユニークベニューの活用について、県としても地域の活性化につながるということと、文化芸術活動にも資するという意味におきまして、ユニークベニューの取り組み例について、市町村の会議ですとか関係者への活用事例の発信などを行っているところです。
 また、県独自といたしましても、令和6年度は世界遺産でのいわて世界遺産まつりの実施ということで、これもユニークベニューの取り組みということで行っているところです。
〇鈴木あきこ委員 せっかく4広域圏に文化芸術コーディネーターがいますので、そこも含めて、巻き込んで、ユニークベニューというのを盛んにやってもらったらいいのではないかと思っております。
 県内には、郷土芸能もそうですし、美術系もそうですし、それをやっている方たちがたくさんいるので、その方たちがやってよかった、みんなに見てもらいたいといううれしい思いというのが、知事がよく言う、生きにくさを生きやすさにする一つのものにもかかわってくると思いますので、この点についても今後も取り組んでいただきたいと思います。
〇村上秀紀委員 私からは民俗芸能について伺うのですが、先ほど佐々木朋和委員からもありましたので、関連する部分がありますので、手短にいきたいと思います。
 令和2年に策定されました第3期岩手県文化芸術振興指針による現状と課題、目指すべき将来像、具体的な取り組みなど、今後の課題解決に向けた進捗について。あともう一つ、この指針に基づいて取り組んでいる現在の団体数などの推移について教えてください。
〇武蔵文化振興課総括課長 第3期岩手県芸術文化振興指針では、民俗芸能など岩手県の特徴を生かした文化芸術の振興と交流の推進に取り組むこととし、後継者の育成を課題として抽出いたしまして、民俗芸能の保存、継承の支援を重点的取り組み事項としているところです。
 この指針に基づく施策の評価、検証に当たりましては、岩手県民俗芸能団体協議会に加盟している団体数を一つの指標としております。加盟団体は、令和4年度393団体から令和5年度422団体に増加しているところです。
 一方、民俗芸能団体の活動状況を把握するため、県が毎年市町村に対して行っている団体の現況調査によりますと、指針の適用期間である令和2年度以降も活動を中断する団体が増加しており、コロナ禍や後継者不足などの影響によるものと認識しております。
〇村上秀紀委員 この振興指針というのは、実際、文化スポーツ部の範囲のところで、存続とか云々というよりは、目標としては岩手県の風土に培われた豊かな歴史や文化を次世代に受け継いでいく、あるいは、こういったものに親しんだり創造できる環境づくりを進める。よって、魅力あふれる岩手県を実現する。どちらかというと、豊かな心を育むといった方面でありますけれども、殊に民俗芸能というのは、人口減少の中では非常に存続が難しいものでありますから、これに限っては人口減少対策の観点に立って、もう少し重点的に進めていかなければならないのかと思っております。
 実際に研究などをのぞいていきますと、人口減少対策の観点の研究結果も上がっております。民俗芸能を通して人々が地域に集い、郷土芸能のために地域へ戻るという潜在的機能があるといった研究がございますので、そしてまた、東日本大震災津波においても、地域コミュニティーの再建にも大きく役立ったというのは皆様の知るところであります。
 先ほど佐々木朋和委員もお話しされていましたが、学校の統合で学校区単位にあったものが、今、その存続が非常に大変だということが現場からも聞こえておりますし、資料を拝見しますと、意見交換の場でも皆さんも御存じのとおりだと思います。
 また、学校統合は市町村それぞれ決定したことかもしれませんが、県全体で、行政としても責任があるという観点からも、この振興指針に対して民俗芸能に対しては人口減少対策の観点からという文言をぜひ追加していただきたいと思うのです。令和7年からは第4期の指針が策定されると思いますが、この中に、先ほどお話ししました人口減少対策の一環として、民俗芸能の存在価値というものをしっかりと明記していくべきではないかと思いますが、御見解を伺います。
〇武蔵文化振興課総括課長 若い世代が民俗芸能になれ親しんでいく中で、地域の歴史や文化への理解と地域の愛着を深めるという点においても、民俗芸能の保存、継承の必要性というのは非常に重要に考えておりまして、将来の担い手の確保や地域活性化にもつながるものと捉えております。
 一方で、地域外からの移住者等の参加により、新しい担い手が育つ団体もあることから、民俗芸能の魅力や価値を県内外に発信し、より多くの方々に関心を持っていただくということも必要だと考え、取り組んでいるところでございます。
 第4期の岩手芸術文化振興指針については、令和6年度から新たな改訂作業に入ってまいります。村上秀紀委員からいただきました視点、人口減少の視点も踏まえながら、十分議論し、あり方を検討してまいりたいと思います。
〇村上秀紀委員 これとまた管轄が変わるかもしれませんが、こういった文化保存活用の大綱でしたか、そちらには比較的人口減少対策というか、存続に対する文言が強く明記されていたと思いますので、ぜひその点も踏まえてお願いしたいということで、終わります。
〇田中辰也委員 私も民俗芸能について通告していたんですけれども、大体今のお二方で聞きたいことは満足しましたので、簡潔にさせてもらいます。
 なぜこういうことをしようかということだけ御紹介させてもらいます。先般、岩手県立大学の学生ですが郷土芸能、民俗芸能の活性化、彼も神楽団体に属している人で、一生懸命やっているのですが、後継者もなかなか育たないという問題点から研究活動をしたのです。その発表を聞いたものですから、若い子もこういうふうな問題意識を持っていろいろ取り組んでいるということで、その紹介も含めながら、県としても郷土芸能、民俗芸能というのは岩手県の本当の魅力だと思います。特に欧米系の観光者にとっては本当に魅力的なアイテムでありますので、ここをしっかりと守って地域の発展をさせていっていただきたいという思いで、今、お二人の質問の内容と一緒ですので、そういう思いだけ伝えさせていただきまして、私のもう一つの質問だけやらせてもらいます。
 世界遺産保存活用事業についてお伺いしたいと思います。
 県内には平泉、釜石市の橋野鉄鉱山、それと、一戸町にある御所野遺跡という三つの文化遺産があります。世界文化遺産が三つあるのは岩手県と奈良県で、奈良県は大体同じような中身の遺産であって、岩手県の場合は、縄文から平泉の中世、橋野鉄鉱山の近代、それぞれバラエティーも富んでいますし、非常に魅力的なものだと思っております。
 その背景として、岩手県の自然と密接にかかわっている三つの遺跡だと私は思っています。それは今の岩手県の姿にしっかりと投影される三つの遺跡だという思いをしています。ですから、自然と共生する岩手県、持続可能な社会形成をしている岩手県という観点からも、その三つをつなげた統一したストーリーづくりをしながらPRをするような活動をしていったほうが、より魅力的に映るのではないかという思いをしているわけですが、どのように思いますか。
〇武蔵文化振興課総括課長 県内の三つの世界遺産についてでございます。
 田中辰也委員からお話がございましたとおり、本県の三つの世界遺産については、先史、中世、近代のそれぞれの世界遺産ということで、豊かな文化や伝統が息づく岩手県の象徴として本県の歴史、文化の厚みと多様性を示しているものと考えております。
 委員御提案の自然との共生というストーリーについては、御所野遺跡につきましては、縄文時代の人々の暮らし、平泉は自然の景観を取り入れた浄土庭園、橋野鉄鉱山では地形や環境を生かした製鉄という点で、いずれも深くかかわりがあるものと考えています。
 それぞれの遺産の価値や特色を踏まえながら、自然とともに生きること、その原点が岩手県にあるということを世界遺産を通じて効果的にPRしていくように検討したいと考えています。
〇田中辰也委員 岩手県の魅力は何なのだということで、これから発信していくときに、持続可能な社会形成を先史時代からずっと我々は受け継いでいるのだという意識を県民全体が持ちながら、そういう自信と誇りを持ちながら暮らしていく、ほかに発信していくという形が非常に大事だと思っておりますので、そのような全体をまとめるようなストーリー構成をぜひとも考えていただきたい。縄文から現代に至るまで、岩手県の人は自然とこういう形で対峙して一緒に暮らしてきて、今後もこういう形で伸びていくのだという魅力をどんどん発信していくことが岩手県の今後の魅力につながると思いますし、文化遺産の世界遺産の活用、保存にも大いに貢献すると思っておりますので、そのような形を小中学生の教育、高校生の教育、研究も含めて前広にやっていただきたいと思います。
 そのような組織づくりとか検討とか、今、そういうところまでは行っていないですね。それぞれの活用はそれぞれでやっているところがあって、三つを一緒にした活用研究というのがなされていないと思うのですが、その点については、組織化、その他も含めてどのようにお考えでしょうか。
〇武蔵文化振興課総括課長 三つの世界遺産の連携と活用についてでございますが、令和4年6月に三つの世界遺産連携会議を設置いたしまして、構成の関係市町や岩手県観光協会などと県の関係部局が連携いたしまして、活用の検討なども行っております。
 また、若い世代への価値普及につきましては、児童生徒を対象にした世界遺産出前授業ですとか、子供を対象とした交流会、あるいは、その価値を説明する各世界遺産の遺産ガイドの皆様を一堂に集めた交流会などを創設して、三つの世界遺産の一体的な連携、活用を図る取り組みを進めております。
 令和6年度も同様に、この協議会、あるいは関係部局と連携いたしまして、取り組みを進めてまいります。
〇田中辰也委員 とりあえず各関係部局横断で、さまざまな形で岩手県の魅力を発信する一つだと思っておりますので、今後とも鋭意、そのようなPR等の発信も心がけていただきたいというお願いを申し上げまして、質問を終わります。
〇千葉盛副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇千葉盛副委員長 質疑がないようでありますので、これで文化スポーツ部関係の質疑を終わります。
 文化スポーツ部の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 この際、教職員に係る不祥事について、教育長から発言を求められておりますので、これを許します。
〇佐藤教育長 教育委員会審査の冒頭、大変恐縮でございますが、昨日発生しました教諭の逮捕について、御報告とおわびをさせていただきたいと存じます。
 本事案の内容でございますが、久慈市立久慈中学校に勤務する39歳の男性教諭が、被害者である10代の女性方において、被害者に抱きつくなどのわいせつな行為をしたことにより、強制わいせつの容疑で昨日逮捕される事案が発生しました。
 県教育委員会では、これまでコンプライアンスへの取り組み、会議や研修を通じた意識改革や啓発などにより不祥事の根絶に向けて取り組んできたところでありますが、本事案の発生に至りましたことは、教育に対する議員並びに県民の皆様の信頼を大きく損ねるものであり、この場をおかりして深くおわびを申し上げます。
 詳細につきましては、現在、久慈市教育委員会を通じて確認中であります。本事案につきましては、警察の捜査等の動向も見極めつつ、事実関係を精査した上で厳正に対処いたします。
 今回の事態について、教育委員会として深刻に受けとめており、県民の皆様の信頼回復に努めてまいります。大変申しわけございませんでした。
〇千葉盛副委員長 次に、教育長に教育委員会関係の説明を求めます。
〇佐藤教育長 教育委員会関係の令和6年度岩手県一般会計予算等について御説明申し上げます。
 初めに、教育委員会における当初予算編成に当たっての基本的な考え方についてでありますが、いわて県民計画(2019〜2028)、新たな岩手県教育振興計画の諸計画等に基づき、東日本大震災津波からの教育の復興と学校教育及び社会教育、家庭教育の充実について、長期的な視点に立ち、関係機関と十分に連携しながら、本県の未来を創造していく人づくりに取り組んでいく考えであります。
 令和6年度におきましては、児童一人一人に寄り添った支援体制の充実、復興教育や防災教育のさらなる推進、震災・防災等の学び合いスペース、I―ルームを活用促進などに取り組むほか、(仮称)岩手県学校教育DX・学力育成協議会における各種施策の協議、市町村等と連携した学習内容の定着に向けた施策の展開、学校教育におけるDX―デジタルトランスフォーメーションの推進とDXハイスクールにおける文理横断的、探求的な学びの強化、市町村の教育支援センターの設置促進と機能強化の支援、県教育支援センター、ふれあいルーム分室の設置などによる多様なニーズに応じた支援等の充実、教職員自身のワーク・ライフ・バランスの確保に向けた教職員の働き方改革のさらなる推進、教育振興運動60周年を契機とした全県共通課題、家庭学習の充実、体験活動の充実の推進などの重要課題に積極的取り組んでまいります。
 なお、全体的な方針につきましては、去る2月14日の開会日に行わせていただきました教育長演述で申し上げたとおりでございます。
 それでは、一般会計予算の歳出予算について御説明申し上げます。
 お手元の議案その1、12ページをごらんいただきたいと思います。
 教育委員会が所管する予算の合計額は、10款教育費の1、370億2、187万円余のうち、ふるさと振興部が所管する1項教育総務費の一部、次のページ、13ページの一番上の8項大学費及び9校私立学校費を除いた1、265億7、155万円余に、次の11款災害復旧費4項教育施設災害復旧費の3、000万円を加えた総額1、266億155万円余であります。
 これを令和5年度当初予算額と比較しますと、61億4、201万円余の増となっております。
 予算の内容につきましては、予算に関する説明書に記載されておりますが、説明は省略させていただきますので御了承をお願いしたいと思います。
 次に、債務負担行為について御説明申し上げます。
 18ページをごらんください。
 第2表債務負担行為の表中、教育委員会関係のものは、事項欄54の校舎建設事業及び事項欄55の特別支援学校施設整備事業の2件であり、いずれも工期が翌年度にわたることから、期間及び限度額を定めて債務を負担しようとするものであります。
 続きまして、予算に関連する議案について御説明申し上げます。
 議案その2、137ページをごらんください。
 議案第69号青少年の家条例の一部を改正する条例、146ページの議案第71号美術館条例の一部を改正する条例及び151ページの議案第74号野外活動センター条例の一部を改正する条例の3件についてでありますが、これらは物件費の上昇により、使用料等の額を増額し、及び利用料金の上限額を引き上げようとするものであります。
 いずれの条例も、令和6年4月1日から施行しようとするものであります。
 以上で説明を終わります。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
〇千葉盛副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇神崎浩之委員 初めに、学校給食費の無償化の準備についてということで、教育委員会の皆様にも頭が痛いテーマからで大変恐縮でありますが、流れでありますので。
 そもそも給食費の無償化の流れというのは、コロナ禍で所得が減っている、そして、ロシアの侵略戦争でエネルギー、物価高騰という状況の中で、子育て世帯への経済的負担軽減、そういう声から学校給食費の無償化みたいな流れになっております。
 教育委員会は学校給食法にのっとってやっているので、ある意味、文部科学省も県教育委員会もそのあおりをくって、大変気の毒な気持ちでもあります。したがいまして、実態調査等は教育委員会はがっちりやっていただいて、最後にも言いますけれども、知事部局の予算を使いながら進めていくようなことも教育委員会として整理して進めていただきたいという気持ちを持っております。
 まず初めに、一般質問でも、すぐできない理由として、当局から法整備の必要もあるという話もされました。これについて教えていただきたいと思います。
〇菊池保健体育課首席指導主事兼総括課長 学校給食の経費の負担については、学校給食法第11条により、学校給食の実施に必要な施設及び設備に要する経費並びに学校給食の運営に要する経費のうち、政令で定めるものは義務教育諸学校の設置者の負担となっております。それ以外の経費、いわゆる学校給食費は、児童生徒の保護者の負担とすることが定められているところです。学校給食費の無償化に向けては、これが課題となっているところでございます。
〇神崎浩之委員 実際、実施していますから、これは問題ではないと思っております。
 次に、全国の状況と岩手県の状況について、全国の小学校、中学校の学校数、それから、岩手県の小学校、中学校の学校数、そのおのおのの完全給食、補食給食、ミルク給食の学校数と割合。
 あわせて、全国との給食費の比較、高いところ、低いところ、岩手県、それから、給食提供日数の比較について、全国と岩手県について教えていただきたいと思います。
〇菊池保健体育課首席指導主事兼総括課長 まず初めに、全国と本県の状況の比較についてでございます。
 文部科学省によると、学校給食実施状況等調査が隔年調査で行われております。令和3年度が最新のデータでございます。
 小中学校における完全給食、補食給食、ミルク給食の状況につきましては、小学校におきましては、岩手県295校中、完全給食が281校、95.3%、補食給食が14校、4.7%、ミルク給食はございません。全国では、1万8、803校中、完全給食は1万8、696校、99.4%、補食給食は38校、0.2%、ミルク給食は16校、0.1%でございます。
 続いて中学校でございますが、岩手県149校中、完全給食が126校、84.6%、補食給食が7校、4.7%、ミルク給食が15校、10.1%。全国でございますが、9、145校中、完全給食が8、788校、96.1%、補食給食が26校、0.3%、ミルク給食が166校、1.8%でございます。
 続きまして、全国の状況について、給食費の比較についてでございます。これにつきましても、文部科学省による令和3年度の調査によるものでございます。1食当たり平均単価で、小学校は、岩手県が261.7円、全国は256.5円、中学校は、岩手県が303.3円、全国が299.6円となっております。
 続きまして、給食提供日数の比較でございます。年間で、小学校は岩手県が174回、全国平均が192回、中学校は、岩手県が173回、全国平均が188回となっております。
〇神崎浩之委員 これはなぜ聞くかといいますと、国のほうが給食費の無償化について、今後、自治体の取り組み状態や課題調査、そして、小中学校の給食の実施状況の違いや課題を丁寧に調べて、決定から1年以内に結果を公表するということであります。
 そこで、自校給食であったり、センター方式であったり、委託であったり、自前であったり、直営であったりということで、単価から提供形態からばらばらである。こういうことを整理してからでないと国として一元的に提供できないという中でありますので、今後、岩手県の状況について、教育委員会としては詳細に調べていただきたいという意味を込めて質問させていただきました。
 実際に、実施している自治体の数、全国の状況、県内の状況、それから、県内で実施しているところは、どのような財源を使っているのか教えていただきいと思います。
〇菊池保健体育課首席指導主事兼総括課長 実施している自治体数と財源についてでございますが、本県においては、今年度、10市町村が学校給食費の全額無償化、そして、21市町が一部補助を行っております。そのうち16市町が国の物価高騰対策にかかわる臨時交付金を活用しているところでございます。
 全国の状況につきましては、今、手元に資料がございませんので、改めましてお示しいたします。
〇神崎浩之委員 県内の状況について、実施している10市町村の財源はどういうものを活用しているかということを再質問したいと思います。
 日本農業新聞によると、全国は、令和4年で451自治体ということでありました。再質問は、10市町村の財源について教えていただきたいと思います。
〇千葉盛副委員長 答弁できますか。
 それでは、後ほど答弁してください。
〇神崎浩之委員 よろしくお願いいたします。実施している市町村はどういう工夫をしているか。
 国の方針について、国は今後の流れ、この前もこども未来戦略の中でという答弁もありましたけれども、国の方針、今後の流れについて、岩手県の教育委員会としてはどういうふうに把握していらっしゃるのか教えてください。
〇菊池保健体育課首席指導主事兼総括課長 国におきましては、令和5年6月13日に閣議決定された、こども未来戦略方針に従い、現在、学校給食の実態調査を行っているところであり、自治体など学校設置者による実施方法の違いや公平性、負担のあり方などを整理し、検討が進められていくものと承知しております。
 ことしの6月までに結果を公表した上で、小中学校での実施状況の違いや法制面などを含めた課題を整理し、結論を出す予定であると承知しております。
〇神崎浩之委員 国のそういう調査に向けて、岩手県はどういう対応をしているのか。国からこういう項目で、こういう調査をしてくださいというのは既に来ているのか。先ほどの答弁できなかったことです。実施しているところの財源も恐らく調べていくと思いますけれども、国の今後の方針について、国からの調査、それから、それを受けての県内の実態調査については進んでいるのでしょうか、教えてください。
〇菊池保健体育課首席指導主事兼総括課長 学校給食に係る本県の状況につきましては、文部科学省において、今年度6月、8月、12月の3回の調査で行われており、県教育委員会として、各市町村の調査票を取りまとめる中で把握しているところでございます。
〇神崎浩之委員 その結果を受けて、今現在、岩手県の教育委員会はどういうふうな所感をお持ちでしょうか。
〇菊池保健体育課首席指導主事兼総括課長 学校給食費の無償化を実施する自治体の調査についてでありますが、全額無償化を行っている10市町村は、財源といたしまして、一般財源を主としまして、3市町が臨時交付金を活用しております。また、一部無償化を行っている21市町村は、2市町で第3子以降全額無償化しているほか、給食費の半額補助や物価高騰分などの支援を行っており、財源として一般財源を主として、16市町村が臨時交付金を活用しているところでございます。
〇神崎浩之委員 その結果を聞いているわけではなくて、それを受けて、県としてはどうすれば無償化が実現できるかというところまで進んでいるのかどうかということなのです。ただ数字を出せばいいという問題ではなくて、数字を出すということは、目的があってそれに進むためには、この数字からどうすれば現実になるかということを考えていくのが教育委員会、お金の話は別として、そうだと思いますけれども、そのような姿勢で臨んでいただきたい。ただ単に数字を挙げれば、調査をすればいいということではなくて、目的があるのですから、そのように進めていただきたい。
 私は、知事がそれは国だと言っているから、それは国がやるものだからということで、教育委員会もそのような関係で、ブレーキがかかっているのではないか、自分の仕事が進めないのではないかという気持ちを持っておりますので、その辺よろしくお願いします。
 次の教育のDXについて進めていきたいと思います。
 大きく3つ通告を出しておりました。心の健康観察システムについて、それから、遠隔教育について、教員のデジタル活用のボトムアップはという三つを出しておりました。
 これらは私は去年の2月定例会、一般質問で結構濃厚にやった内容でありまして、それを受けて、新年度予算案も組んでいただいて、大変うれしく思っております。したがいまして、遠隔教育との教員のデジタル活用については、どんどんやっていただきたいと思いまして、心の健康観察システムについて、いいことなので、この内容について説明をいただきたいと思います。
〇千田首席指導主事兼生徒指導課長 心の健康観察システムについてでありますが、1人1台端末等を利用して、児童生徒がその日の気持ちや体調について入力することにより、教職員が児童生徒の心や体調の変化を把握し、児童生徒が発するSОSなどの早期発見、早期支援につなげるものでございます。
 令和6年度は県立中学校、そして、実施可能な市町村教育委員会内の小中学校と連携して取り組むこととしており、学校の教育相談体制の充実に努めてまいります。
〇神崎浩之委員 去年、NHKの朝のテレビでこの心の健康観察システムというものが放映されておりましたので、教育委員会の皆さんにお知らせしたことがあります。DXというのは学力向上ではなくて、子供の生活、心、それから体の不調、こういうこともいち早くキャッチできるのがDXということで、去年、情報提供したところがあります。
 このシステムは、午前と午後に1回ずつ、児童生徒が1人1台端末で入力するということです。
 体調はということで、大丈夫、頭が痛い、おなかが痛い、風邪気味だ、けがだ、その他ということでピッと押す。それから、今の気分はということで、普通だ、とても悪い、悪い、よい、とてもよいみたいなことをポチッと押すということです。そうすると、それを先生が見て、あ、この子はちょっときょうは頭が痛いとか、この子は気分が悪いのだというのを担任の先生が見ることができる。こういうふうに並んでいて、生徒の席順が出ていて、そこに出る。それを担任の先生ではなくほかの先生にもお知らせができる。ですから、担任には言ったけれども、担任以外の先生が来たときでも、あ、この子はきょうちょっと頭が痛い子供なのだというのがわかるということです。
 わざわざ今、子供から、先生、俺、頭が痛いだとか風邪気味だ、調子悪いと言わないですから、こういうのを自分の端末で、朝来たときにポチッと気分を押すだけということで、全校的に子供を支えるシステムかと。
 それから、相談についても、誰について何の相談をしたいということも、担任の先生だけではなくて、この相談をどの先生に相談したらいいか。例えば、担任のことは担任の先生に相談できないですよね。例えば、部活の顧問の先生に相談したいだとか、前の前の担任の先生に相談したい、そういうのもポチッと選ぶことができるということで、わざわざ教員に申請しなくても、気軽に担任以外にも相談できるということで、早期に発見できるということですけれども、こういうふうな内容で取り組むということでよろしいでしょうか。
〇千田首席指導主事兼生徒指導課長 児童生徒の心や体調の変化を把握したり、児童生徒の状況を多面的に把握するICTツールを適切に活用することは、教職員がこれまで気づいていなかった児童生徒の心身の状態に気づくことができたり、教職員の児童生徒理解の幅が広がり、悩みや不安を抱えた児童生徒の早期発見や早期支援につながるものでございまして、こういったシステムを推進してまいりたいと考えております。
〇神崎浩之委員 ぜひ進めていただきたい。
 最後に、教育長に給食費の関係を聞いて終わりますけれども、青森県は予算がない中で、教育委員会の学校予算ではなく、広く知事部局の子育て支援のお金で今回組み立てたということであります。したがいまして、給食費だけではなくて、無償化しているところは他の子育て支援策への交付金でもオーケーということになりました。教育より子ども・子育て予算がつきやすい、追い風だということがあるということで、知事が何とかやりたい。そのためには予算を含めどういう組み立てだと実行できるかということを真剣に考えた結果だと思っておりますので、どうぞ組み立てと予算は別として、どんどん進めていただきたいと思います。この件についてお願いします。
〇佐藤教育長 先ほど、国が調査して6月に結論を出すということに向けて、本県も文部科学省の調査に県内の状況を把握しながら協力しているということで、その結果、給食の実施方法、あり方についてはさまざまなケースがあるということがわかっておりますので、そういったことをとらまえて、今後、長期的に継続的な学校給食、無償化ということであれば続けていく必要があると思いますので、国の取り組みをしっかり見ながら、我々としても教育委員会として、しっかり給食のあり方については引き続きウォッチしていくということで対応してまいりたいと思います。
〇五日市王委員 紆余曲折を経まして、県立福岡工業高校と県立一戸高校の統合、新年度4月9日に開校式を迎える運びとなっております。冒頭ですけれども、これまで両校のPTAの皆様、そして、OBの皆様、地域の皆様にも御理解を賜りましたことは敬意を表する次第でございますし、教育委員会におかれましても、当初案から見直し案ということで、現在の2学科2学級を見直していただいたことにつきましては、感謝を申し上げる次第でございます。
 現在、開校に向けて準備が着々と進んでいると思います。新しい校名、新しい校歌、校章、そして新しい制服ということで進んでいるようでありますが、統合に向けたこれまでの協議はどういったものがあって、そして、新たな課題というものがあればお聞かせを願いたいと思います。
〇安齊特命参事兼高校改革課長 県立北桜高校の開校に向けた検討状況でございます。
 統合に向けては、県立福岡工業高校と県立一戸高校の関係者、また、地域の代表者を構成員とする県北地区新設高等学校統合検討委員会を令和4年7月に設置し、令和5年2月まで計5回会議を開催し、新たな校名、校歌、校章、校訓、制服、教育内容など、統合に関する諸課題とその対応策について協議してまいりました。
 令和5年4月からは、両校の教職員を構成員とする統合準備委員会に検討の場を移しまして、教育課程や生活時程、校内の諸規定、校舎制のもとでのよりよい学校行事の持ち方など、教育活動の詳細について検討してきたところでございまして、このたび4月に開校を迎えることとなります。
 課題に対してでございますが、例えばですが、北桜高校における校舎制の運用については、県内初の校舎制である県立宮古商工高校の事例を参考にしながら検討を進めまして、両校舎の生活時程を統一させること等により、両校舎の生徒の交流機会の増加、また、教職員の負担軽減を図るなど、統合に伴う課題への対応については、両校で協議の上、整理を行ってきているところでございます。
〇五日市王委員 それで、統合の問題が出てからも、生徒たちにとっても保護者にとっても一番大きな心配事は教員体制なのです。こちらがどういう形になるのか、教育課程、あるいはカリキュラム、こういったものがそのまま維持されるのかどうか、その辺をお聞きいたしたいと思います。
〇駒込首席経営指導主事兼県立学校人事課長 教員体制についてでございますが、校長のほか、両校舎に副校長を配置し、総合校舎37名、工業校舎28名の体制を予定しております。両校舎において、総合学科の各系列及び工業科の各学科の学びがそれぞれ維持できるよう教職員を配置する予定でございます。
〇安齊特命参事兼高校改革課長 教育課程についての御質問がございました。北桜高校は、統合前の福岡工業高校、一戸高校の各学科、系列を維持することとし、それぞれ同じ規模で統合を行うものでございます。
 このことから、統合後の教育課程につきましては、現行の教育課程と比較しても同様のカリキュラムとなっており、例えば、これまで福岡工業高校で行われてきておりました資格取得にかけたカリキュラムといったものも変更なく行う予定でございます。
 加えて、統合後においては、農業、工業、商業、家庭、福祉、芸術などの学びの連携、または、地域と協働した活動について、そういったものを充実することにしておりまして、教育活動の一層の充実に取り組んでいくことにしております。
〇五日市王委員 今のお話を聞いて安心いたしました。現役生徒の在校生、あるいは、きのうは受験でしたか、中学生、そして保護者の受けとめとか反応というのはどういったものがあるのか、把握していれば教えていただきたいと思います。
〇安齊特命参事兼高校改革課長 在校生、また、中学生や保護者の受けとめについてでございます。
 在校生からは、報道関係からの取材に対してでございますが、学校が変わっても勉強することは一緒、北桜高校という新しい校名に変わり、新鮮で楽しみであるとか、学校がなくなることは寂しいが、時代の変化なので仕方がないとか、統合により活動の幅が広がるので楽しみであるといったような声が聞こえております。
 また、昨年夏に体験入学を行いまして、その際に参加した中学生、保護者のアンケートでは、もともと進学したいと考えていたとか、体験入学参加後に進学したいといった前向きな意見が5割を超えておりまして、その他は未定ということでございました。
 また、保護者からは、生徒が学びたいものを一生懸命学ぶことができる環境づくりをお願いしたいというような要望等もございましたが、統合に対する不安を示すような声は上がっておりません。
 このように、北桜高校の開校に対しては前向きな反応が見られておりまして、在校生や中学生等の理解が進んでいると捉えております。
〇五日市王委員 わかりました。いずれ生徒にも大きな環境の変化でございますので、これからもきめ細かな指導体制といいますか、相談体制も含めて、そういったものはお願いしたいと思います。
 次に、福岡工業高校、新年度からは北桜高校工業校舎の敷地内ということになるのですが、そちらに特別支援学校の小中学部が新設することになりまして、令和6年度予算案にも3億6、000万円余計上されております。こちらも、これまで小中分教室タイプであったわけですが、生徒数がふえているとか、あるいは狭いとか、そういった事情もあったことを含めていただきまして、計画より大分前倒しで進めていただいていることには感謝を申し上げる次第でございます。
 新年度の事業内容と今後のスケジュール、今のところ、令和8年度の開校予定と聞いておりますが、資材高騰等いろいろ心配事もあるものですから、そういったところがどういうふうに進んでいるのかお伺いいたします。
〇佐々木学校施設課長 事業内容と今後のスケジュールということでございますが、県立盛岡みたけ支援学校二戸分教室の高等部が北桜高校工業校舎内に設置されておりますので、同校の敷地内に小中学部校舎を整備することとしまして、現在、設計業務を進めております。
 令和6年度から7年度にかけまして新築整備をすることとしておりまして、当初予算案に整備費を計上しており、予定どおり、令和8年度の開校を目指しております。
 それから、整備面積ですが、3、240平方メートル程度を予定しておりまして、高等部を合わせれば県立釜石祥雲支援学校と同規模となります。
 また、高等部はこれまでと同様に、北桜高校工業校舎を活用することとしておりますし、屋内運動場につきましては、北桜高校工業校舎の第二体育館を改修いたしまして、特別支援学校の体育館とすることとしております。グラウンドは高校と共有の予定でございます。
〇五日市王委員 その校舎の特徴ですけれども、本会議で知事からも答弁がありましたが、県公共施設で初のZEB Ready相当の施設となる予定ということでございます。こういったことも含めまして、校舎の特徴がどのようになっているのか、お聞かせ願いたいと思います。
〇佐々木学校施設課長 校舎の特徴についてでございますが、県有施設等の脱炭素化に向けた基本方針に沿うよう、五日市王委員御指摘のとおり、省エネ性能50%程度のZEB Ready相当とする予定でございます。その内容といたしましては、断熱壁、複層ガラス、高効率の冷暖房及び給湯設備、LED照明、太陽光発電等の設置を予定しております。
 なお、県有施設では初めてのZEB Ready相当の建物となる予定でございます。
〇五日市王委員 脱炭素に向けて今後、ZEB化というのは進めていかなければいけないと思いますが、県立学校全体におけるZEB化推進の目標といいますか、どのように捉えているのかお伺いいたします。
〇佐々木学校施設課長 県立学校のZEB導入の目標についてでございますが、学校施設の改築等に当たりましては、先ほど申し上げた県の基本方針を踏まえまして、省エネ性能50%以上のZEB Ready相当に整備する予定としております。
〇五日市王委員 一つ心配していることがございまして、施設の関係ではないのですが、今まで小中学校は分教室タイプだったものですから、それが今度は小中校一貫ということになれば、これまで、小学生、中学生等インクルーシブ教育ができていたわけですが、これがある意味、切り離されるという心配をしております。そういった意味では、今後ともインクルーシブ教育の推進のためには、小学部、中学部、高校は工業高校と一緒だとしても、地域といかに連携していくかということが大事だと思うのですが、その辺の方向性をお示し願いたいと思います。
〇最上首席指導主事兼特別支援教育課長 インクルーシブ教育の推進についてですが、新設校におきましては、引き続き、二戸市立石切所小学校、二戸市立福岡中学校と実施してきました交流及び共同学習を継続するとともに、北桜高校との間に校種を超えた交流を行うこととしております。
 また、地域との交流につきましても、これまで実施してきました取り組みを継続するとともに、地域の方々との作業製品や美術作品等の共同制作、地域の方を講師とした合同授業を行うなど、新たな活動も加えながら、インクルーシブな学校運営のモデルとなるよう取り組んでまいります。
〇五日市王委員 教育長は、演述の中でもインクルーシブな学校運営のモデルとしたいという意気込みを示されておりましたが、改めてその決意をお聞きして終わりたいと思います。
〇佐藤教育長 先ほどインクルーシブな学校運営のモデルとなるようにと特別支援教育課長から話がございました。私は、二戸市立石切所小学校も二戸市立福岡中学校も訪問した上で、行事や授業なども一体となって取り組まれているところを見ていますので、それが場所が移ることによって切れるということはあってはならない話ですし、今、特別支援教育課長から申し上げたとおり、地域の応援もいただきながら、より一層、インクルーシブな教育が進むように努めてまいりたいと思います。
〇千葉盛副委員長 この際、菊池保健体育課総括課長から発言を求められておりますので、これを許します。
〇菊池保健体育課首席指導主事兼総括課長 先ほど神崎浩之委員から質問がございました、お答えできなかった2点について申し上げます。
 まず初めに、本県の学校給食費の無償化について、10市町村とお答えいたしましたけれども、その状況についてですが、臨時交付金を活用しているところが3市町、そして、自己財源で行っているところが7町村になります。
 あわせまして、全国の無償化の状況についてですが、当課で押さえておりますのは、平成29年度の文部科学省の調査が最新のものでございまして、非常に古いデータではあるのですけれども、まず、小学校、中学校とも無償化を実施が76自治体、小学校のみ無償化を実施が4自治体、中学校のみ無償化を実施が2自治体。それ以外で一部無償化、一部補助を実施しているのが424自治体、無償化等を実施していないのが1、234自治体で、合計が1、740自治体ということになります。
 申しわけございませんでした。
〇中平均委員 私からは二戸地域の新設統合校が4月から開校というで、久慈地域のほうは今、県立久慈東高校と県立久慈工業高校、令和7年4月の開校に向けて準備をしていると伺っています。五日市王委員と同じような質問になって恐縮なのですが、両校の統合の今の進捗、協議なり課題等を含めてお知らせください。
〇安齊特命参事兼高校改革課長 県立久慈東高校と県立久慈工業高校の統合についてでございます。
 両校の統合は、平成28年3月に策定いたしました新たな県立高等学校再編計画に基づきまして、令和7年度をめどに統合することとしております。久慈地域の将来を見据えた専門教育の拠点となる新たな学校を設置するという理念のものでございます。
 これまで両校の統合に関する諸課題とその対応策について協議するため、地域の代表者、両校の関係者を構成員とする久慈地区新設高等学校統合検討会議を令和5年6月に設置し、本年2月まで全4回の会議において、校名案、校訓、校舎制のあり方、そして、学校教育目標、スクールポリシー、設置する部活動などについて検討を進めてまいりました。
 現在、両校教職員を構成員とする統合準備委員会に検討の場を移しており、今後、生徒等の意見を集約しながら、校章や制服のデザイン案を選定したり、教育課程の検討や内部諸規定の作成、校舎制のもとでのよりよい学校行事の持ち方など、教育活動の詳細について検討を進めていくこととしております。
〇中平均委員 その中で、校舎制ということでございます。久慈東高校と久慈工業高校、現在の位置での校舎制でやっていくということですけれども、先ほどの答弁でも、県立宮古商工高校から始まって二戸地域、そして久慈地域ということだと思うのですが、久慈地域の場合の校舎制と今のあり方、その形をどのように考えているのか、協議会等で決まってきている内容をお知らせください。
〇安齊特命参事兼高校改革課長 久慈東高校と久慈工業高校の統合に際しても、県立北桜高校と同様に、独立校舎型の校舎制を採用することとして、統合検討会議で了承をいただいているところでございます。
 校舎制については、独立校舎型と実習移動型ということで2種類あるわけですけれども、独立校舎型ですので、通常、工業科の子供は工業校舎(後刻「野田校舎」と訂正)に、総合学科の生徒は久慈東高校の総合校舎(後刻「門前校舎」と訂正)に通学し、部活または学校行事のときには合同で実施するという形になります。
〇中平均委員 そういった中で、久慈東高校と久慈工業高校、距離にして20キロメートルくらいでしょうか。学校行事等、またクラブ活動等もそうかと思うのですけれども、移動という面も出てくると思うのです。どのような移動手段であったり、費用的なものをどのように考えているのか。
 また、学校の先生も専門の先生といわゆる一般教科の先生とでどのような配置になって、校舎制なので両方に同じように配置していくものなのか、専門の先生は校舎制で別々に配置になっているとしても、一般教科の先生は移動して教科を見たりするのか、その辺は今、どう考えているのでしょうか。
〇安齊特命参事兼高校改革課長 まず、校舎間の生徒の移動でございますけれども、宮古商工高校でも同様でございますが、部活動、学校行事の際につきましては、バス輸送を想定しております。具体に、どのような形で運行するか等につきましては、今後の検討となります。
 教員の移動につきましては、具体の教育課程が定まらないと移動をどのようにするかというところは決まらないところでありますが、専門の教員については、専門教科を教えますが、普通教科については、必要があれば移動する体制をとることになると思います。
〇中平均委員 バスで移動するということなので、その費用は学校側で見るということでいいのですね。それは確認をお願いします。
 あと、授業等の関係で、久慈東高校もそうですが、工業高校は、みんな資格を取っていきます。工業高校の場合は1年生のときから各種資格を取得していく。それが就職率にもはね返ってきているところでありますし、そういった点を統合することによって、今からプログラムというか教育課程をこれから組んでいくということでございますけれども、そこの点をきちんとしていっていただきたい。今まで同様の資格が取得できる等あると思うので。
 久慈東高校も総合学科ということで、2年生からコースが分かれていく中で、久慈東高校になる前に各学科の資格が1年生のときから授業に入っていないので取れていない。3年生で、例えばほかの商業高校とかで取れる資格が取れないということも聞いていますので、その点は直接の統合に当たっての教育の見方とは違うのかもしれませんけれども、地域でもそういった声がありますので、その点を踏まえながら、どういった形が一番、統合高校の中で資格等の取得を目的にして入学する子供たちも多いですので、その点を見ていってもらいたいと思うのですがいかがでしょうか。
〇安齊特命参事兼高校改革課長 まず、バスの費用につきましては、宮古商工高校も同じでございますけれども、学校運営費とは別に予算立てをして、県費で措置しているものでございますので、同様の考え方になると考えております。
 また、学びの関係で資格取得の面でございます。久慈東高校総合学科については、系列がそのまま維持されますが、工業のほうは1学科減ということになります。ただ、1学科、工業科ということになりますけれども、地域の産業、そして生徒の希望等を考慮しまして、中に二つのコース、機械コースと建設コースという形で学びを残すこととしておりまして、そういったところで担保していこうというところです。具体の教育課程については、これからになります。
 また、もう一つ御質問がありました久慈東高校の資格取得の関係です。例えば、福祉とかそういった資格が2年生からではという御質問かと思います。これについては、今回の統合に直接ということではございませんが、引き続き、総合学科のあり方については検討してまいりたいと思っております。
〇中平均委員 来年4月の開校に向けて、また引き続き御努力をよろしくお願いいたします。
 次に、ICT利活用の教育ということで、今回、予算もさまざまついております。学校教育DX推進事業費が新規で3、870万円、いわて進学支援ネットワークが、継続ですが1、730万円、その他たくさんありますけれども、その中で、9月定例会の代表質問でも少し話しましたが、令和4年度、令和5年度、今度は令和6年度に入っていきますけれども、タブレット端末等を配備して、その利用率、年々上がってきているというのは前回の質問でも聞いておりますが、今の段階で、改めて岩手県の利用状況の推移と全国との比較を教えてください。
〇西野教育企画室長兼教育企画推進監 岩手県の利用状況の推移、全国との比較でございます。
 令和5年度の全国学力・学習状況調査結果によりますと、ほぼ毎日活用、週3回以上活用としている学校の割合、小学校では令和4年度が49.3%、令和5年度が71.4%となっております。そこで22.1%伸びておりますし、中学校におきましては、65.4%から81.9%と16.5%伸びております。
 ただ、伸びているものの、全国との比較を見ますと、令和5年度で申し上げます。週3回以上活用は、全国が90.6%に対して岩手県は71.4%という状況ですので、まだ20ポイント弱下回っている状況です。中学校に関しましては、かなり全国水準に近づいておりまして、全国が86.7%、岩手県81.9%という状況になっております。
〇中平均委員 令和4年度から見て格段に伸びてきている。さまざまな施策を通じながらやってきたという成果が出てきていることなのだと思います。実際、私の家でも、前は持ってこなかった子供が持ってくるようになっていますので、そういったところでもいろいろ使われてきているのだと思います。
 ただ、市町村間の差もまたあるのだと思うのです。全国と比較しても、小学校でまだ20%の差があって、そして、岩手県内の自治体間においてもあるのだと思います。ここであえて、どの自治体が進んでいて、どの自治体が進んでいないとは聞きませんけれども、県教育委員会として、これをどのような形で全国に比較して伸ばしていって、そして、地域的なさまざまな岩手県の広大な県土の問題で、人口減少という中で、クラスが減っていって教員の数も確保できない、加配で配置しているけれども、なかなか厳しいという中において、DXの推進ということで予算がついているということなのだと理解しておりますし、これを活用することによって、どのような岩手県の教育を目指していくのかという点をお聞かせください。
 あと、自治体間の差をどうやって埋めていくのかという点とあわせて2点、お願いします。
〇西野教育企画室長兼教育企画推進監 令和3年度で県内の公立学校全てにICTが配備されまして、その整備時期が若干おくれていること、また、先生方のサポート体制みたいなものも市町村によって差があることも地域差、ばらつきがあると認識しております。
 そのばらつきの解消に向けましては、特効薬というものは、一足飛びというのはなかなかないと思っておりまして、今までもICT推進協議会のような場を通じて教育長に向けての活用に当たっての課題、先進事例の共有であるとか、校長先生への研修会での働きかけ、あとは、先生方への研修の受講奨励などをやってきておりましたが、それに加えまして、今年度はICTサポート体制の横連携ということで、ICT支援員の成果と課題の連携会議、授業で使うためのキーパーソンとなる指導主事の研修会も行っているところでございます。
 このような各階層のキーパーソンに向けての働きかけ、そして、先生方への研修のきめ細やかな充実とサポート体制の強化ということを積み重ねていきながら、市町村のばらつきを解消していきたいと思いますし、税金でもって整備させていただきましたICT環境を活用して、まさに国の今の学習指導要領で目指している個別最適な学び、協働的な学びを深められるような教育活動の深化につなげていければと考えております。
〇中平均委員 ICTを活用していく一番の効果は、昔と違って、どの地域にいてもタブレットとインターネットの環境さえ整えば差がなくなってくるというか、そのように持っていきたいということなのだと思いますので、ぜひとも進めていっていただきたいです。
 今回、新規でGIGAスクールの運営支援センターの予算を組み込んでやっていくということでございます。いただいた資料だと、県と自治体が連携してやっているところもありますし、自治体独自でやっているところもあります。また、ICT支援員も各自治体、GIGAスクールセンターとICT支援員を両方組み合わせてやっている自治体もあれば、片方どちらかだけで、またどちらもないというところもあります。どちらもないからといって全く進んでいないというわけではないとは思うのですが、その点は今、御答弁いただきましたけれども、ぜひとも進めていっていただきたいというところです。
 あとは、小規模の学校、高校もふえてきて、地理的な問題もあるという中で、いわて進学支援ネットワークの予算案があります。沿岸地域、県北地域になると、どうしても学力向上等頼らざるを得ないというところがあると思うのです。そういった中で、これからの高校の学力向上というのを踏まえながら、ICTとかDXを進めていきながら、どのようにやっていこうとしているのかお伺いします。
〇中村首席指導主事兼高校教育課長 進学等に向けた学力向上についてでございますが、県の教育委員会では、いわて進学支援ネットワーク事業を行っておりまして、各学校や生徒の支援を行っているところでございます。
 小規模校に対する支援といたしましては、今年度から、地域や学校規模による学習機会の格差解消を図り、より多くの生徒の進路希望達成の実現を図るために、講座配信型授業を開始しているところでございます。8月には3年生を対象とした講座を実施し、3月には1、2年生を対象として、数学、英語の講座を実施しながら進路の実現を図りたいと考えているところでございます。
〇中平均委員 ぜひこれからも積極的な展開を望んでおりますし、私も質問のたびにこの辺は触れさせてもらっていますので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。
〇千葉盛副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
   午後2時28分 休 憩
午後2時46分再開
〇千葉盛副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇安齊特命参事兼高校改革課長 先ほどの中平均委員への答弁におきまして、久慈地域の統合校の校舎名について、現久慈東高校の校舎を総合校舎、久慈工業高校校舎を工業校舎と答弁しましたが、正しくは、久慈東校舎は門前校舎、そして、久慈工業校舎は野田校舎が正しいものでございます。
 おわびの上、訂正させていただきます。
〇千葉盛副委員長 質疑を続行いたします。
〇ハクセル美穂子委員 私も、先ほど中平均委員が質問されました学校教育DX推進事業費について、まずお伺いしたいと思います。
 先ほどは子供たちのほうの観点で御質問だったのですが、私としましては、この事業、GIGAスクール運営支援センターを運営するということも含まれておりまして、先生方の働き方改革というか、働く状況が改善されるような形になるのではないかと期待をしております。この事業を行うことによって、どういった効果が学校教育現場で先生方に特に生まれるのかと考えていらっしゃるのか、その点についてお伺いしたいと思います。
〇西野教育企画室長兼教育企画推進監 今、御紹介ありました学校教育DX推進事業ですけれども、これには教員の支援という側面で見ますと、二つほど事業が入っておりまして、まず、ヘルプデスク、ICT機器の不良ぐあいなどや先生方の研修を実施する、GIGAスクール運営支援センターの設置に係る経費、もう一点は、令和6年度から段階的に県内の小中学校に導入する統合型公務支援システムの運用に要する経費を盛り込んでいるところでございます。
〇ハクセル美穂子委員 統合型公務支援システムは、子供たちのデータというか通信簿とかが全部入っていって、先生方が一元的に見ることができるようなシステムだという説明をいただきましたが、それをお願いします。
〇西野教育企画室長兼教育企画推進監 申しわけありません。答弁が中途半端でございました。
 GIGAスクール運営支援センターは先ほどのお話のとおりでございまして、統合型公務支援システムは、まさに今、御紹介いただいたような通知表、児童生徒の出席簿の作成など、今まで先生方が手書きや手作業でやっていた業務を全部システム化しまして、業務の効率化を図る。そして、それを県内統一のシステムで行うということで、先生方が異動しても、どこにいても同じ形の処理ができるということを目指しておりまして、令和6年4月から県内の11市町村で運用を開始し、令和8年度まで3カ年をかけて全市町村に導入ということを考えているものでございます。
 大変失礼しました。
〇ハクセル美穂子委員 3カ年かけてということで目標設定をしていただいていることもありがたいと思っていますが、先ほどおっしゃったとおり、今まだ11市町村ということで、県内33市町村ある中で半分になっていないということで、なるべく早く活用していただくことが、先生方の業務の改善に本当に寄与する事業だと思いますので、積極的に進めていっていただきたいので、そのことをまずお願いしたいと思います。
 そして、それとともに、遠隔教育による学びの機会の充実事業というのも新たに行われるようでございます。この事業は国庫10分の10の事業で、中山間地域の小規模校での学びの機会の充実を図るための遠隔授業を行う事業だということでお話をお聞きしました。
 これも大変大切な事業だと思いますが、これまでは遠隔で授業をする場合に、発信する側と受信する側、どちら側にも教科担任の先生がいなくてはいけないとか、意外と使い勝手が悪い部分があって、なかなか利用の拡大がされなかったのですけれども、令和6年度の授業に関しましては、そういった点はどのように運用されていくのか、改善が図られるのかという点についてお伺いしたいと思います。
〇中村首席指導主事兼高校教育課長 遠隔授業の受信側の教員の配置ということでございますが、現在も文部科学省の指定を受けて、遠隔授業の研究を行っているところですが、現在は、教科の教員でなくても、学校の教職員であれば対応可能という状況で取り組んでいるところですが、現在申請を考えている令和6年度からの新しい事業では、指定を受ければ、学校の状況にもよりますが、安全等の確保をした上で、場合によっては教員が配置されない状況でも、受信側での対応は可能という形になっております。
〇ハクセル美穂子委員 より使い勝手がよくなる形で、国もそういった実証実験的な事業を行うということなので、これをぜひ成功させていただいて、このほうがいいですよということを国にもしっかりとお伝えいただいて、岩手県でさらに活用できるようにしていただきたいと思います。
 3年でということですが、そのほかにも不登校等多様な背景を有する生徒の児童生徒の実態把握と、不登校のお子さんのための遠隔授業を配信するための環境整備等も試行的に行うというようなことをお聞きしていますが、そういった中身はどのような形になるのでしょうか、お伺いしたいと思います。
〇中村首席指導主事兼高校教育課長 現在、遠隔教育では科目充実型ということでやっておりますが、来年度予定している不登校等の生徒、多様な背景を要する生徒への遠隔授業につきましては、別室や自宅で授業の配信を希望する生徒がいるかどうか、そういったニーズの調査や、受信する場合の環境等の整備を行って、令和7年度以降、試行を重ねながら、段階的に体制の整備を進め、令和8年度までに配信を行いたいと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 ぜひニーズ調査をしっかり進めていただいて、ICT、1人1台端末を持たせておりますので、不登校でなかなか学校に来られない児童生徒の方々にも学習の機会をあげるための活用をしていただきたいと思います。
 令和2年度の不登校児童生徒の実態調査、文部科学省で行った調査ですけれども、その調査の中にも、不登校中の児童生徒の方々、それから、保護者ともに、学習のおくれに対する不安が大変大きいというような結果も出ておりました。不登校のお子さんもふえております。不登校中であっても、気持ちの波はあるのですけれども、いいときはきちんと学習をすることができるような、そういった環境も私たちがつくっていかなくてはいけないと思っておりますので、ぜひ鋭意取り組んでいただきたいということをお願いして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
〇福井せいじ委員 最初に、新たな県立高等学校再編計画後期計画についてお聞きします。
 これは2021年に策定されたものですが、その年の10月に、岩手の高校魅力化グランドデザイン for 2031というものが出されております。このグランドデザインの策定の背景には、生徒の希望する進路の実現、地域や地域産業を担う人材づくりと書かれております。
 今、ここで聞きたいのは、高等学校教育の意義と必要な環境整備についてお示しください。
〇安齊特命参事兼高校改革課長 高校教育の意義と必要な環境整備についてでございます。
 まず、意義については、学校教育法において、高等学校の目的については、中学校における教育の基礎の上に、心身の発達及び進路に応じて、高度な普通教育及び専門教育を施すことと定められておりまして、その目的の実現のためには、豊かな人間性等を養い、社会の形成者として必要な資質を養うこと、一般的な教養を高め、専門的な知識、技術及び技能を習得させること、社会の発展に寄与する態度を養うこととされております。
 このような法の趣旨を踏まえるとともに、本県の特性を踏まえ、そしてまた、高等学校は社会に羽ばたこうとする段階の人間形成期でございますので、学力の向上、社会性、協調性の育成等に向けて、生徒同士が切磋琢磨できる教育環境を残していかなければならないと捉えてございまして、現行の計画においては、教育の機会の保障と質の保証に加え、生徒の希望する進路の実現、そして、地域や地域産業を担う人づくりを基本的な考え方として、岩手県の子供たちにとって必要な教育環境の整備に取り組んでおります。
〇福井せいじ委員 高度な教育とか豊かな教育、そしてまた、社会性への適応ということもうたわれております。そういった環境整備、そしてまた、意義に沿ったこれから高校等学校再編計画をつくっていかなければならないと思うのでありますが、ここで、少子化の進展と再編の方向性についてお伺いしたいと思います。
 新たな県立高等学校再編計画後期計画によると、中学校の卒業生が令和7年度は9、842人、令和16年度の数もしっかりと明記されており、7、520人、実に10年間で2、300人の生徒が減少するということであります。学校数は令和7年度62校、そして、学級数が224でありますが、令和16年度には、何と令和7年度の77%になるということであります。そうなると、学校数が62校、これに77%を掛け合わせると実に48校、そしてまた、学級数は172学級になると想定されています。
 ここで伺います。少子化進展と再編の方向性について、教育委員会はどのような形で捉えられているのか、お示しください。
〇安齊特命参事兼高校改革課長 福井せいじ委員から御紹介のとおり、今後一層、全県的な少子化が危惧され、生徒数の減少が見込まれております。これにより、今後、学校規模もさらに小規模化が懸念されており、現行計画の上においても、後期計画期間後の再編の方向性について、学校規模を確保した上で教育の質を維持できるよう、さらなる統合の検討を進めていくことや、より広域で大規模な統合の検討を進めていくことの必要性についてお示ししているところでございまして、少子化に応じた対応が必要であると認識しております。
 現在、県教育委員会では、後期計画の終期を見据え、外部有識者を構成員とする県立高等学校教育の在り方検討会議を開催し、10年、15年先を見通した高等学校教育の長期ビジョンの策定に向け、外部有識者から御意見を伺っているところでございます。
 将来の子供たちによりよい教育環境を残していくため、丁寧に検討を進めていきたいと考えております。
〇福井せいじ委員 大変大きな問題だと私は思っております。先ほど少し話しましたが、規模感で言うと、今の規模を保つとすれば、10年間で学校数を約14校減少させなければいけない状況。その中で、しっかりとした教育を進めていく上では、先ほど高校改革課長がおっしゃいましたが、広域化ということも考えていかなければいけないということです。
 これの計画について、今、若干触れましたが、例えば先ほども統合の話が出ていましたが、これを徐々に狭めていくというか縮小していくのか、あるいは、ある段階で大規模な形で再編するのか、この考え方についてはいかがなものでしょうか。
〇安齊特命参事兼高校改革課長 現計画は令和7年度までの計画となっておりますが、今後の計画の策定について、明確にこうだということは今段階では持ち合わせておりません。外部有識者からの御意見も伺いながら、そして、地域の方々から御意見を伺いながら、慎重に検討を進めていきたいと思っております。外部有識者との意見交換の中でも、学校規模であったり、その配置のあり方、また、小規模校のあり方等について御議論いただいておりますので、そういったところも含めて、今後検討してまいりたいと考えております。
〇福井せいじ委員 岩手県における高等学校の数、広域な中で教育の質を保たなければいけないというのは非常に大切な問題であります。しかし、一方で、交付税措置率の関係で見てみますと、高等学校費は一般財源の負担額に対して交付税措置率が約8割しかない。令和4年度では50億円の繰り出しをしております。こういった観点からも、私は、これから再編計画は大切だと思いますので、ぜひしっかりと教育の質の担保と、あるいは、地域とのかかわり合いを見ながら進めていただきたいと思っております。
 次に、学校教育と人口減少対策について伺っていきます。
 まず一つは、郷土愛の醸成の取り組みについて、どういった形で郷土愛、学校教育の中で取り組んでいるか。そしてまた、キャリア教育の取り組みについて、この2点についてお聞きしたいと思います。
〇武藤首席指導主事兼義務教育課長 郷土愛を育む取り組みについてですけれども、学習指導要領において、郷土を愛する態度を育成することについて定められておりまして、各学校においては、学校教育全体で取り組んでいるところです。例えば、道徳科では、岩手県版小中学校用道徳資料や、各地域で作成した先人教材等が活用され、自分たちの住む地域と同じ自然と風土で育った先輩のさまざまな困難にぶつかりながらも、辛抱強く創意工夫をして乗り越えていった姿に触れることにより、自己の生き方について考えを深めることを通して、地域に対する理解や郷土愛が育まれるよう取り組んでおります。
 総合的な学習の時間におきましては、岩手県の歴史や偉人、豊かな自然、文化等を探求する学習や、地域活動への積極的な参加、地域産業を理解する取り組み、地域の課題解決を図る学習、伝統文化を検証する取り組みなど、地域の特色に応じた学習が展開されているところでございます。
 今後も郷土を大切に思う心情の醸成に向けて、子供たちの地域にかかわる学習の一層の充実が図られるよう、市町村教育委員会を通じて学校の取り組みを支援してまいりたいと思います。
〇多田首席指導主事兼産業・復興教育課長 キャリア教育の取り組みについてでありますが、県内の全ての学校では、いわてキャリア教育指針改訂版に基づき、児童生徒が自己のあり方、生き方を考え、主体的に進路を選択し、社会人、職業人として自立するための能力の育成に取り組んでおります。
 小学校では、身近な職場見学や農業、ボランティア等の体験活動を通じて、自分と身近な社会や仕事とのかかわりについて気づく学習に取り組んでおり、中学校では、社会を学ぶ機会の一つとして職場体験活動を実施しており、生徒が自身の変容や成長を実感することにより、自己実現や将来の展望につなげる学習に取り組んでおります。
 高等学校では、学校と自治体、地元企業等が共創して探求的に学ぶ、いわて高校魅力化・ふるさと創生推進事業を通じ、生徒が地域や地域産業の持つ魅力や課題等に触れながら、地元産業に対する理解を深める学習やインターンシップなどに取り組んでおります。
 今後もキャリア教育の取り組みを通して、児童生徒の総合生活力と人生設計力の育成を推進してまいります。
〇福井せいじ委員 私は郷土愛、そしてキャリア教育についてお伺いしたのは、実は、Uターンにつながるという要素がそこにあるということであります。さまざまな郷土を知ること、そしてまた、郷土の文化、郷土の偉人を知ることによって、僕らの郷土、ふるさとではこういった人がいたんだ、あるいは、こういった文化があったんだということが、郷土に目を向けるきっかけになることがあるということです。
 私もこの前、沖縄県の視察に行ったときに、居酒屋で沖縄県の若者と話しました。その人たちは大阪府からUターンで帰ってきたと。何と沖縄県のUターン率は70%を超えているのですが、やはり郷土に対する誇りを持っている、あるいは、郷土で暮らしたいと思いを持っている。それは小さいころから家庭や学校、そしてまた、お祭りなどで育まれていたということでありました。そういった意味で、郷土愛を育む教育にも取り組んでいただきたいと思います。
 それから、キャリア教育ですけれども、今度は沖縄県から富山県に飛びますけれども、富山県では14歳の挑戦といって、全県で、14歳になると1週間の職場体験をするのです。地元の商店、あるいは行政にも入ってくるそうです。14歳のときに5日間、全県で一斉にこういった14歳の挑戦というのに取り組み、地元の仕事について学んでいる。それがある意味、富山県もUターン率が50%を超えている。幼いころからの地元に対する目の向け方、こういったことを育むことが実はUターンにつながっていくのではないかと私は思います。
 ぜひとも、そういった意味で、キャリア教育の中にも人口減少、Uターンにつながるような取り組みをしていただきたいと思っております。
 最後に、高校卒業時におけるUターンの呼びかけの取り組みについてお伺いします。
 これも富山県の話でありますが、高校の卒業時に生徒、保護者に呼びかけ、県外に転出する生徒の連絡先情報入手を承諾される場合は、しっかりと個人情報を管理しながらUターンや企業情報を送っている、これが富山県の現状であります。こういった取り組みが高校の現場でも必要ではないかと私は思うのでありますが、今、岩手県においては、そういった企業情報をプッシュ型で送るとか、あるいは、企業情報を保護者の方に送るとかなかなかできない状況にあると聞いていますが、今、現状はどうなのでしょうか。それをお聞きしたいと思います。
〇多田首席指導主事兼産業・復興教育課長 高校卒業時におけるUターンの呼びかけについてでありますが、各校では、いわて高校魅力化・ふるさと創生推進事業費による探求的な学習や職場見学、インターンシップ等の体験的な学習を通して、生徒の社会人、職業人としての自立と生徒一人一人の希望する進路の実現を図るとともに、本県の特色ある地域や産業等について、理解を深める取り組みを行っております。
 また、高校卒業時には、商工観光労働部の、いわてとつながろうLINE公式アカウントへの登録について、各校を通じて生徒に趣旨等を説明し、いわてU・Iターンサポートデスク等のサポートやサービスを受けることができるよう、教育委員会としても登録を推奨しているところでございます。
 今後、地域や産業界、商工労働観光部等の関係部局と連携を図りながら、生徒が地元企業を十分に理解する機会の充実に努めてまいります。
〇福井せいじ委員 一つそういった働きかけはしているということでありますが、私はもう一歩進めていただきたいです。例えば、保護者の方、卒業生の許諾を得れば住所をもらって、そこに就職情報を送っていただくとか、あるいは、LINEであればその場でQRコードを読み取ってもらうとか、そうでなくては、しっかりとした情報が把握できないかと思うのです。
 今、一生懸命、Uターン、Iターンに取り組むのであって、そして、問題が高校を卒業するときであるというのであれば、ここを抑えなければそういった形には取り組めないと思いますので、ぜひとも教育委員会と商工労働観光部が一体となってUIターンに取り組んでいただくことをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
〇郷右近浩委員 それでは、私から何点か質問させていただきます。
 まずもって、きのうは高校入試、皆様方さまざま御対応いただいたと思います。本当にお疲れさまでございました。多少トラブルもあったようでありますけれども、無事に子供たちが次の自分たちの進路に向かっていくという第一歩、天候もまずまず大丈夫な中で過ごせたことはよかったと思います。
 そこで質問に入ってまいりますが、令和6年度の県立高校の調整後入試志願率、まさにきのうの件でありますけれども、県全体で0.8倍という数字が示されております。この倍率については、どこと言いませんけれども、盛岡地区は0.99倍、ほかの地区については0.85倍であったり0.75倍、0.85倍、0.61倍、0.63倍、0.68倍、0.57倍、0.48倍というようなそれぞれの倍率だったということであります。私の地元は、先ほどお話しした0.75倍ということであります。
 この数字は、それぞれうちの地域からも盛岡地区であったり、いろいろなところに受験に行っている子たちがいるという中で、単純に地元の子供たちの数という話ではない中で、地元の高校をどのように進めていくか。中にはもちろん、山村留学であったりとか、いろいろな形の対応をして生徒数をしっかりと維持しよう、ふやしていこうと、そうした活動が目に見えてしっかり成果になっているところもあるという中でありますけれども、これからさらにまた子供たちの年代別人口はしっかり数字が出ている。先ほど10年後という話で福井せいじ委員からも話がありましたけれども、年々少なくなっていくというのが完全にわかっている中で、今現在の令和7年度までの高校再編計画の後期計画、今、どのように進んでいるのか、まずお伺いしたいと思います。
〇安齊特命参事兼高校改革課長 後期計画における学校統合の進捗について御説明申し上げます。
 まず、県立盛岡南高校と県立不来方高校の統合により、令和7年度に新設する県立南昌みらい高校については、地域の代表者、学校関係者を構成員とする統合検討委員会における議論を終えまして、現在、教職員を構成員とする統合準備委員会に検討の場を移し、校歌、校章、制服、教育課程等の決定に向け、具体的な検討や取り組みを進めております。
 次に、県立福岡工業高校と県立一戸高校の統合により、来月開校する県立北桜高校については、準備委員会等の検討を終え、現在、開校に向けた準備を進めております。
 また、県立水沢工業高校、県立一関工業高校の統合により、県南地域に新設する工業高校については、令和7年度までの後期期間中に設置場所や統合時期、教育内容等の検討を進めることとしておりまして、建設場所の選定に当たっては、昨年度、外部委託により基礎調査を行い、今年度から外部有識者を構成員とする検討会議を設置して御意見を伺っております。
 また、設置場所の選定にあわせて、学びの内容についても検討に着手することとしておりまして、産業関係者、学識経験者、地域等の意見を伺いながら、これからの技術革新に合わせた教育課程の編成や新たな学科の設置など、統合新設校が県南地域における産業人材の輩出に資する魅力ある学校となるように検討を進めていきたいと考えております。
〇郷右近浩委員 先ほど五日市王委員、そして、中平均委員の質疑の中でも、その部分についてはお聞きしておりました。
 ただ、そのほかに、今現在、令和7年度までに学校統合になっていくといった学校があったり、そうした中で、盛岡地区でも3学級減であったり、久慈地区で1学級減という計画になっている。水沢工業高校、一関工業高校などにおいては、後期計画最終年の令和7年度中に場所を選定して、その後、用地や内容等を決定してくとなると、今現在の現状を加味した中で、令和8年度からの計画期間である次期の計画と並行して考えていかなければならなくなるのではないかと思います。
 今の再編計画については、前期計画においては、結構思い切って進めるといった姿勢もあった中で、地域によって反対であったり、意見が多く出たりという中で、後期計画についてはかなり丁寧に進めてきたという認識を私自身持っています。ただ、丁寧に進めたがゆえに、先ほどのような零点何ぼという入試志願率が非常に多く目立つような形になってきて、本当にこれを次にどうやっていくのだといった部分が、先ほど福井せいじ委員からもありましたが、次期計画のあたりでどうしなければいけないというのが突きつけられてくるのではないかという思いもあるわけであります。
 そうしたことから、この次期計画について、特にもそのとおり、今現在の後期計画とかぶっていく中で、さらに減少が進捗していく中でつくる次期計画をどのような形で進めていくのかお伺いしたいと思います。
〇安齊特命参事兼高校改革課長 現行計画は令和7年度までの計画でございまして、今、次の計画の策定に向けて外部有識者から意見を伺っているところでございます。
 現行計画については、地域からさまざま御意見を受けながら策定してきたところでございまして、これの着実な推進というのは進めていかなければならないものと認識してございます。次期計画の再編に向けては、長期ビジョン策定に向けて、有識者会議に意見を伺っているところであり、そちらも並行して検討してまいります。
〇郷右近浩委員 済みません、1点確認させてください。今現在、令和7年度末までの計画である今の計画に載っている、例えば、水沢工業高校、一関工業高校の統合などは、新しい計画にそのままスライドするのではなくて、これはこれとしての計画としてまた進めるということで、新しい計画は全くそれとは別に、その後につくるという形になっているのでしょうか。
〇安齊特命参事兼高校改革課長 県南地域に新設する工業高校に係る検討についてでございますが、当該校については、現計画期間中に設置場所だけでなくて、並行して教育内容等についても検討することとしております。令和7年度までの後期計画期間中に設置場所、統合時期、教育内容等の検討を進めるということにしておりまして、こちらに向けては着実に進めていきたいと考えております。
 次期再編計画に向けての取り組みは、それと並行して進めていきたいと考えております。
〇郷右近浩委員 少し心配しながら、この計画の有無をお聞きしたかったということでございます。
 これで私の質問を終わります。
〇吉田敬子委員 私からは、まずは視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律―読書バリアフリー法の取り組みについてお伺いしたいと思います。
 2019年6月にできた読書バリアフリー法は、視覚障がい、発達障がい、肢体不自由などの障がいによって読書が困難な人々の読書環境を整備することとされておりますけれども、県内において、点字図書や音声図書、拡大図書などについて、公立図書館や学校図書館への配架状況と課題、取り組みについてお伺いします。
〇小澤生涯学習文化財課首席社会教育主事兼総括課長 読書バリアフリー法に係る取り組みについてでありますが、県内の公立図書館においては、点字図書と音声図書につきましては2割の図書館で、拡大図書につきましては、全ての公立図書館で配架されております。
 また、学校図書館においては、点字図書は2割の小学校、音声図書や拡大図書については、小、中、高、特別支援学校とも数校の配架という状況であります。
 このような状況を踏まえまして、令和6年度からスタートする第5次岩手県子どもの読書活動推進計画におきましても、読書バリアフリー法の基本理念等を踏まえた展示図書や音声図書、拡大図書の拡充について位置づけ、多様な子供たちが読書に親しむ環境づくりを推進してまいりたいと考えております。
〇吉田敬子委員 公立図書館においては2割ということで、また、学校図書館についてもそのとおり、小学校2割だったり、ほとんど設置されていないという状況だったと思います。先ほど御答弁の中で、子どもの読書活動推進計画の中に位置づけてありますけれども、位置づけているというよりは、文言が入っているだけで、これに対して具体的にどの程度上げていくかということは特にこちらには書いておりません。今の状況を課題として認識しているのであれば、県立図書館とかも含めて、まずはそこからやっていくだとか、しっかり取り組みを行ってほしいと思っておりますけれども、その部分についてはいかがですか。
〇小澤生涯学習文化財課首席社会教育主事兼総括課長 県の視聴覚障がい者情報センターがアイーナの中にありまして、県立図書館を通して各公立図書館と連携をして、図書館同士であれば相互貸借が、音声図書ですとかそういったものもできるようになっておりますので、そういう意味では、県立図書館がハブになって各公立図書館と障がい者情報センターをつなぎながら、図書の貸し出しも可能な状況ではあります。
〇吉田敬子委員 私も県立図書館の4階部分の隣に設置してある視聴覚障がい者情報センター、こちらは保健福祉部の障がい保健福祉課が担当になっていますけれども、最近また改めて行ってみました。配架されているものも、実際に絵本と児童書と一般書とあるのですけれども、障がい保健福祉課で配架の状況もどうなっているかを把握していないということで、改めて今現在こちらのセンターに資料請求をしています。保健福祉部で把握されていなくて、図書館はこちらで管轄されていると思いますけれども、そういう状況下では私は問題だと思っております。
 確かに、障がい者情報センターがたまたま隣にあるので、県立図書館はここを通じてされていると思いますけれども、皆さんも行かれたことがあるかと思いますけれども、少し分断されているというか、図書館の一部というよりは、その奥に部屋があるというような状況であって、私はもう少ししっかり図書の中身も含めて、更新も含めて、県立図書館が県内の公立図書館と学校図書館への貸し出しといったことも含めてやる機能の場所であるならば、もう少し教育委員会でもその中身もしっかり把握していただきたいと思っております。
 読書バリアフリー計画というのは義務化されていないのですけれども、国からは、この法律にのっとって、できれば計画をつくってほしいというようなことになっておりますけれども、岩手県は、これについてはどのようなことになっていますか。
〇小澤生涯学習文化財課首席社会教育主事兼総括課長 本県における取り組みについてですが、吉田敬子委員御指摘のとおり、努めなければならないと法律にありますけれども、本県においては、令和6年度からスタートする次期障がい者プランの一部の中で読書バリアフリー計画を盛り込むこととしておりまして、点字図書やデイジー図書等の情報提供、点訳図書や音訳図書の作成ボランティア養成、公立図書館職員や読書ボランティア団体を対象とした障がい者理解等に関する研修会の実施などを取り組みとして進めることにしております。
〇吉田敬子委員 障がいの分野の中に位置づけて、読書バリアフリー計画をということでお話がありましたけれども、今の状況だと、県立図書館に行ったときに、こういった展示図書だとか音声図書、拡大図書があるということは一般県民の方になかなかわかりづらい環境になっていると思います。このバリアフリー法の理念としては、それが配架されているだけでなくて、私たち誰でもそういう環境にあるということを、一般の障がいがない方も含めて、そういうものがあるということを広めるという意味の法律でもありますので、ぜひこのバリアフリー計画も含めた取り組みを促進していっていただきたいと思っております。
 次に伺いますが、公立図書館と学校図書館のDXの取り組みについて、各市町村立図書館と各小、中、高等学校の学校図書館における図書のDX化の状況について、連携できる状況になっているかお伺いします。
〇小澤生涯学習文化財課首席社会教育主事兼総括課長 公立図書館と学校図書館のDXに向けた取り組みについてでありますが、県内では46ある公立図書館のうち、12の図書館で電子書籍を配架しております。一方、学校図書館につきましては、コスト面や著作権などの課題があり、配架が進んでいない状況であると承知しております。
 連携状況につきましては、平泉町の全小中学校、一関市、久慈市の一部の小学校では、近隣の公立図書館が配架している電子書籍を児童生徒へ貸し出しできる体制を整備しております。
 今後も、全国及び県内の好事例を積極的に収集し、市町村教育委員会との情報共有に努めながら、公立図書館と学校図書館が連携したDXの推進に取り組んでまいりたいと思います。
〇吉田敬子委員 今、各市町村で書店がだんだん減っていっている中で、公立図書館と学校図書館の役割はすごく大きいと思います。昨年、全国図書館会議が岩手県で初めて開催されて、私も参加させていただきましたけれども、同じような議論がそこでなされていて、大変意義深い大会を私も勉強させていただきました。平泉町、一関市と一部に限られているような取り組みなので、これがしっかり全県で取り組めるような予算措置も含めて、取り組んでいただきたいと要望して、ここは終わりたいと思っております。
 次に移ります。不登校生徒の学びの場の確保についてお伺いしたいと思います。
 県教育支援センターの分室が県立図書館につくられるということで、私も今現在あるI―ルームの近くに設置されるのかと思っているのですけれども、そちらの分室について、どのくらいの生徒が受け入れられる体制なのか、あと、場所についても、今後の取り組みの方向についてお伺いしたいと思います。今の花巻市にある支援センターでは、高校生の受け入れゼロという実績ですけれども、どの程度受け入れられる体制にしていくのかお伺いしたいと思います。
〇千田首席指導主事兼生徒指導課長 不登校生徒の学びの場の確保についてでございますが、県教育委員会では、令和6年度に県の教育支援センター、ふれあいルームの利便性を図るため、県立図書館内に分室を設置し、不登校児童生徒やその保護者に対する相談体制の充実を図るとともに、多様な学びの場や居場所の確保に取り組むこととしております。
 県立図書館の分室で受け入れられる生徒数についてでございますが、図書館と連携して、さまざまなスペースを活用しながら柔軟に対応してまいりたいと考えてございます。
 不登校の悩みや不安を抱える児童生徒、そして、保護者に対して、必要な支援の充実に努めてまいりたいと思います。
〇吉田敬子委員 さまざまなスペースで柔軟にということで、職員の体制とかも、その都度、来年度につくって、いきなり来て、どの程度受け入れられる体制なのか、職員の確保も含めて改めてお伺いしたいと思います。
〇千田首席指導主事兼生徒指導課長 ふれあいルーム分室でございますけれども、複数での対応を考えております。今現在、総合教育センターの教育支援相談担当の研修指導主事と自立支援相談員とで対応することとしております。
 窓口を県教育支援センターとしておりますけれども、そこで児童生徒の状況等をアセスメントして、必要な支援についてさまざま検討して、ふれあいルームの分室での対応ということを考えております。
〇吉田敬子委員 新しくやる取り組みなので、まだまだ見えないところもある中で、このように新しいことにチャレンジするということは評価させていただきたいと思います。子供たちの学びの場を確保しようという意気込みを感じてはおりますので、柔軟に対応していっていただけるということですので、先ほど図書館のお話を取り上げましたけれども、ぜひ縦割りではなく、しっかりと図書館の方々との連携も含めて取り組みをしていっていただきたいですし、県の教育支援センター分室を図書館にということで、今、県では、各市町村の教育支援センターを拡充というところでやられておりますけれども、ぜひその一つの新たなモデルとしての取り組みとなるようにしていっていただきたいと思っております。
 来年度から、例えば、盛岡市は盛岡動物公園の中にフリースクールを設置するということで、出席の扱いもしていただけるようなことになっておりますけれども、一つの新たなよい事例なのかなと思っておりますが、県の所感についてお伺いしたいと思います。
〇千田首席指導主事兼生徒指導課長 フリースクール等民間団体につきましては、子供たちの居場所としての役割を担うほか、学習支援や体験活動を行う団体と、児童生徒の状況等に合わせた取り組みが行われているものと承知しております。
 県教育委員会では、社会教育施設等を活用した多様な学びの場や居場所の確保に取り組んでおり、引き続き、誰一人取り残されない学びの保障に向けた取り組みの充実を図ってまいりたいと考えております。
〇吉田敬子委員 動物園だったり、博物館だったり、美術館、そういう社会教育施設を活用した学習の活動も充実すること。今回の図書館を活用した分室もそうですし、動物園の中にフリースクールをつくるという、公民の民間の取り組みも含めて、私は県としてしっかり連携会議も含めてですけれども、子供たちの多様な学びの場の確保について取り組んでいただきたいですし、民間の方々への支援策もぜひ検討していっていただきたいと思っております。
 児童生徒の問題行動、不登校等生徒指導上の諸問題に関する調査結果の中には、不登校を理由に欠席する方、そして、病気を理由に欠席する方、経済的理由というものがあるのですけれども、いつも取り上げられるのは、不登校という枠の中にある子供たちで、私たちは不登校の子供たちの学びの確保をやっているのですが、この中に、私も最近気になるのが、病気という理由で休む子供たちが平成30年度は158人だったのが令和4年度が463人と、コロナ禍とはいえ、やはり少しふえている状況です。もちろん、コロナ禍が始まったあたりは新型コロナウイルス感染症を避けて休むという子供たちがいらっしゃいましたけれども、それだけではない課題が今、見えているのではないかと思っておりますが、県はどのようにこの状況について捉えているか、支援のあり方についてもお伺いしたいと思います。
〇千田首席指導主事兼生徒指導課長 令和4年度の本県国公私立の小、中、高等学校の長期欠席者についてでございますけれども、病気を理由とする欠席児童生徒数は594人であり、近年、増加傾向にございます。
 病気を理由とした欠席が増加している背景といたしまして、文部科学省では、新型コロナウイルス感染症対策として、発熱や咽頭痛、せきなどのふだんと異なる症状がある場合などには登校しないことの周知、呼びかけが徹底されたことが考えられるとしており、本県も同様であると認識しております。
 病気を理由とする欠席児童生徒に対する支援につきましては、病気の治療を優先しつつ、長期入院等が必要とする児童生徒については、医療機関と連携を図りながら、自宅療養している児童生徒については、家庭と連携を図りながら、学校職員が訪問したり、ICTを活用したりするなど、学習の機会を保障していく取り組みが必要であると考えております。
〇吉田敬子委員 ある別の調査では、中高生が病気で休む中で、新型コロナウイルス感染症ももちろんふえているのですけれども、心の病も半数ではないかということが出ていて、不登校だけではなくて病気という理由で休んでいる子供たちがふえていますので、実態把握に、ぜひ不登校というだけではないところも今後は県教育委員会には注視していただきたいと思っています。
〇臼澤勉委員 私からも、高校再編計画と学力向上策についてお伺いさせていただきたいと思います。
 ある民間会社の調査によれば、令和5年の大学入学共通テスト、5教科総合得点ですけれども、本県は461.2点、全国の最下位。トップの東京都は629点ということで、160点ぐらいの差があるわけでございます。全国最下位グループというか、そういった平均点を改善するために、教育委員会が実施している具体的な学力向上プログラムをまず教えていただきたい。
 そして、このプログラムがこれまでどのような効果をもたらしてきているのか、具体的な成果をお示しください。
〇中村首席指導主事兼高校教育課長 学力向上の具体策についてでございますが、県教育委員会では、大学等進学を希望する生徒を支援するため、いわて進学支援ネットワーク事業において、志望大学別に生徒を集め講座を実施する高校合同での授業や、医学部対策講座や芸術系における技術講習など、各学校の特色に合わせた進学指導を支援するコアプログラム事業などを実施してまいりました。
 今年度は、地域や学校規模による学習機会の格差解消を図り、より多くの生徒の進路希望達成の実現を図るために、講座配信授業を開始したところでございます。
 県全体の大学進学率につきましては、平成26年が42.4%、平成30年は44.6%、令和4年が46.7%と着実に高まってきており、今後、生徒の希望する進路を実現するための取り組みを一層充実させて、生徒の進路の目標達成に取り組んでまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 ただいま大学進学率の成果みたいなことが数字で示されました。平成26年、42.4%が令和4年、46.7%という数字でして、高まっているという評価でしたが、ただ、これは全国順位を見ると、全国41位から44位に下がっているのです。全体的に上がっているのです。そこをちゃんと正確に答弁してもらわないと、少しミスリードするのかとまず思います。そこを1点御指摘させていただきたい。
 そして、知事のマニフェストプラス39では、学びのデータを活用し、一人一人に応じた学習指導体制を構築していくというようなことも書かれております。マニフェストプラス39を踏まえて、改めて、今の全国最下位の評価、県教育委員会としてどう受けとめているのかお伺いします。
〇中村首席指導主事兼高校教育課長 現状を捉えてということでございますけれども、先ほど話をいたしました、いわて進学支援ネットワーク事業費につきまして、講座配信型授業を開始する、あるいは、来年度は、2年生で実施している講座配信事業を、さらに志望大学別に分けて実施するなど、現状の大学進学率を一層高めていくという形で計画を考えているところでございます。さらに、医学部志望の生徒に対するメディカルプログラム等、そういった志望別の対策講座も行いながら、しっかりとした進学支援をしてまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 県教育委員会の皆様、先生方の取り組みには本当に敬意を表したいと思って質問させていただいております。
 そういった中で、進学支援策の具体的な成果と改善計画についてお伺いいたしますが、進学支援策が進学希望者の増加にどのような成果をもたらしているのか、具体的なデータや事例をもとに説明を求めたいと思います。
 また、これらの支援策の改善計画について、どんな点を見直して、どのようなところを強化していく予定なのか、具体的に計画をお伺いしたいと思います。
〇中村首席指導主事兼高校教育課長 令和6年度のいわて進学支援ネットワーク事業費では、今年度までに実施してきたさまざまな講座に加えて、先ほどもお話しした2年生での講座配信をさらに志望別に分ける、あるいは、新たに来年の大学入学共通テストから加わる教科、情報の支援事業などを行い、大学入試に向けた対応をしっかりとっていきたいと考えております。
 あとは、ウインターセッションという、大学における講義や研究のおもしろさに直接触れる機会を提供することで進学の意識を高めるといった取り組みも行っているところでございます。
 また、高校奨学事業費補助として、進学意欲がある高校生が経済的な理由から断念することがないように、大学等への進学に要する費用の支援も行っているところでございます。
 こういった支援策により、例えば、令和4年3月の卒業生について、入学当初の大学等への進学を希望する生徒の割合が36.8%だったのに対して、卒業時の大学等への進学率が46.7%と約10%ほど上昇するなど、進学希望者の増加につながっているのではないかと考えております。
〇臼澤勉委員 全国でも50%を超えている大学進学率の中での今の現状でございます。指標に基づく評価についてもお伺いいたしますが、学力向上とか進学支援の効果をはかるための指標を設定していると思います。この内容、指標に基づく評価結果、そして、今後の施策の改善にどう取り組んでいくのか、具体的な計画をお伺いいたします。
〇中村首席指導主事兼高校教育課長 指標に基づく評価についてでございますが、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランでは、社会のニーズに対応した学習内容の充実などにより、生徒一人一人の進路実現を推進していくこととしており、生徒の進路実現に向け、自校で設定した進路目標を達成できた高校の割合を指標としております。
 この指標は第1期アクションプランでも設けておりまして、令和元年度は54%、令和2年度が63%、令和3年度が66%、令和4年度は74%と上昇してきているところではございますが、目標値には到達していないという状況がございます。
 そういった本指標の結果や多様化する大学入学者選抜の状況、理系人材やデータを収集、分析、利活用できる人材が社会的に求められている状況を踏まえて、令和5年度からは探求・STEAM教育推進事業を実施し、県内各地域の9校を推進校として指定して、各高校における探求的な学びを文理横断的な視点から深める取り組みを行っているところでございます。
 さらに、先ほど申し上げました、情報の対応、講座配信型の充実などを実施する予定でございます。
〇臼澤勉委員 冒頭、高校再編と学力向上の絡みでお伺いすると申し上げました。高校再編も魅力化のために統廃合を進めていくということで、いろいろ計画を進めていると理解しております。高校魅力化のために実施している具体的な施策とその成果、そして、どのように評価しているのか、評価方法とその結果について、詳細にお伺いしたいと思います。
 また、この結果を踏まえて、今後の魅力化計画について、どのように県教育委員会として取り組んでいくのかお伺いいたします。
〇安齊特命参事兼高校改革課長 高校魅力化のための具体的な施策とその評価等についてでございます。
 取り組みについてですが、令和4年度から国の交付金を活用した、いわて高校魅力化・ふるさと創生事業費により、全県立高校の魅力化、特色化に取り組んでいるところでございます。
 具体的な取り組みについては、県高校魅力化プロデューサーによる訪問指導、助言、地域連携コーディネーターによる地域との連携、高校魅力化評価システムの導入、ウエブサイトnoteを活用した情報発信、こういったものに取り組んでいるところでございますし、また、各学校における探求活動の実施やコンソーシアムの運営経費などの措置もしているところでございます。
 こういった事業の成果、評価でございますが、各学校における探求活動が充実、深化しているところでございまして、評価システムにおける調査結果において、生徒の資質、能力に関し、主体性や協働性に関する数値の上昇が見られているほか、また、noteを活用した情報発信において、令和4年度2、900件であったものが、令和5年度2月末現在で5、400件と約2倍に増加していることが挙げられます。
 今後につきましても、こうした取り組みの深化をするとともに、各学校の自走に向けた取り組みを支援してまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 学力向上の最後の質問にいたしますが、マニフェストプラス39でも、県立高校の理数科の一部を医系進学コースに再編するということも盛り込まれておりました。具体的な今時点での想定される学校、あるいはスケジュール、実現のめどについてお聞かせください。
〇中村首席指導主事兼高校教育課長 医系進学コースの創設につきましてでございますが、現在、県立高校教育のあり方検討会議を開催し、今後の本県高校教育のあり方について、外部有識者から御意見を伺っております。当該検討会議における意見や、教育委員会におきましても、先行他県の取り組みの調査等も進めているところでございます。
 そういったことの検討や取り組み等を参考にしながら、具体的な設置校、あるいは設置年度については、検討を進めてまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 検討会議での取りまとめ、いつごろ検討会議でまとめる予定なのかお伺いします。
〇安齊特命参事兼高校改革課長 県立高等学校教育の在り方検討会議による取りまとめでございますが、高校教育全般に関する計画、ビジョンでございまして、来年度末までの取りまとめとして考えております。
 ただ、今、高校教育課長が答弁申し上げました医系進学コースの創設等については、こういったところの議論の一つとなっておりますが、意見を聞きながら検討していくものと捉えております。
〇臼澤勉委員 いろいろ聞いても難しいかもしれませんので、規模感とか、どういった人材を想定しているのか、そこについては、今後、いろいろとまた教えていただければと思います。
 次に、不登校対策に移ります。
 不登校は県内、増加傾向にあると認識しております。この不登校対策について、県教育委員会としてどうかかわるのか。役割分担というか、要は、県教育委員会としては、公立高校のみ、あるいは公立小中学校も含めて対象なのだという考え方なのか、私立も含めてというか、岩手県の子供たちが学びにつまづいたり、そうしたときに支援をしていくという立場なのか、どちらなのか、教育長にお伺いしたいと思います。
〇佐藤教育長 不登校につきましては、校種を超えて、小学校も中学校でも高等学校でも、大きな課題となっております。確かに、設置者としては我々は高等学校を直接見ておりますが、さまざま市町村教育委員会との連携の中では、小学校、中学校の不登校児童を減らすということも岩手県としても大事なことなので、そこは一緒に意見交換もしますし、市町村における教育支援センターの設置に補助を出すという形で進めていただきたいということを申し上げていますので、そこは一緒になって取り組むべきもの。いずれ小中学校の子供たちは高等学校に入ってくるわけですので、引き続き一緒に取り組みたいと思っております。
〇臼澤勉委員 私立学校との関連もお伺いいたします。
〇佐藤教育長 私立の学校になりますと、学校法人のそれぞれの考えもありますので、どこまで県教育委員会なり市町村教育委員会がお話ができるのかというのは、難しいところはあるかと思いますが、公立小学校、中学校にいた子供が私学、専修学校に入学されることもありますので、フリースクールも含めて、我々はいろいろな資源、資源と言ったら失礼かもしれませんけれども、そういうところとはしっかり情報共有、連携を図って取り組んでいく必要があると思っています。
〇臼澤勉委員 岩手県に生まれて、岩手県で育つ子供たちが、それこそ誰一人取り残さないような形での学びの環境づくりというのが私は県教育委員会の使命でもあるのかと思いますし、結果として、受け皿が公立なのか私立かというのは、それはまた結果のところで、本当は公立高校でそのまま学びたいと思っている子供たちが何らかの形で学校に行けなくなっているという問題も多々見られますので、そこは余り縦割りにということではないと思っております。
 次の質問にしますが、多様な支援策の展開についてお伺いします。要は、学校以外での学びを提供するフリースクール、あるいは民間団体との連携について、具体的な取り組みや成果について教えていただきたいと思います。
 また、これらの支援機関との連携を強化するために、教育委員会が計画している新たな施策、あるいは予算とかあれば教えてください。
〇千田首席指導主事兼生徒指導課長 多様な支援策の展開についてでございますが、不登校児童生徒の多様な居場所の確保や教育支援センターやフリースクール等民間団体との連携を図るため、不登校児童生徒支援連絡会議を開催しており、令和5年度の連絡会議では、学校と連携した保護者への支援や保護者向けの情報提供について話題にしたところであり、各市町村教育委員会や各教育事務所の関係者と情報共有したところでございます。
 新たな施策といたしましては、県教育委員会として令和6年度の不登校児童生徒支援連絡会議では、新たに保護者等を対象とする学習会を開催するなど、不登校児童生徒やその保護者に対する支援の充実が図られるよう、関係団体との一層の連携に取り組んでまいります。
〇臼澤勉委員 さまざま新規事業も聞いております。図書館での受け入れとか、そういった答弁はなかったですけれども。
 最後、不登校生徒のニーズ把握と支援内容のマッチングというもの、私はすごく大事だと思っていました。要は、子供たちがどういったニーズを、皆さんにヘルプを求めているのか、あるいは、こういった環境で学びたいとか、支援内容の把握をまずすること。そして、どのようにそれを形にしていくのか。この具体的なプロセスと成果というものを県教育委員会としてどう考えているのか、最後に御所見を聞いて終わりたいと思います。
〇千田首席指導主事兼生徒指導課長 不登校生徒のニーズ把握と支援内容のマッチングについてでございますが、支援ニーズや本人としてはどうありたいのかという希望や願い、本人が持っている強みや興味、関心も含めて、不登校児童生徒の気持ちを理解し、思いに寄り添うことが重要であり、教育支援センター等の支援の場やICTを活用して把握、アセスメントを行い、個に応じた具体的な支援を行っているところでございます。
 成果といたしましては、多くの不登校児童生徒が必要な相談、指導等を受け、さまざまな支援につながっていることが挙げられますが、一方、相談、指導等を受けていない児童生徒が一定数いることが課題として挙げられます。このため、令和6年度、ふれあいルームの利便性を図るため、県立図書館内に分室を設置し、不登校児童生徒やその保護者に対する教育相談体制の充実を図るとともに、多様な学びの場や居場所の確保に取り組んでまいります。
〇岩渕誠委員 きょうの教育委員会質疑でも学力向上、学力育成という話題が出ております。これを聞いていて、基本的なことを聞いてみたくなりました。教育長に伺います。
 学力というのは古今東西、それぞれ変化するものであります。求められる学力というのは、その時代や地域によって違う。最近の大河ドラマを見ていると、和歌をつくる能力は非常に大事なのだということを思うわけでありますが、今、この時代にあって、全人格教育という中で学力に絞ってお話をすれば、岩手県の教育委員会が今、育成をしようとしている学力というのはどのようなものだと思われますか。
〇佐藤教育長 非常に難しいですけれども、公教育を我々は担っておりますので、基本的には、新学習指導要領に基づいた教育というものを我々としては、小中高で展開してきております。一人一人の個別の対話、あるいは協働の学び、情報活用能力といったものも新たに必要だということも言われております。新学習指導要領に基づく学力感に基づいて、我々は施策を展開していると御回答申し上げたいと思います。
〇岩渕誠委員 新学習指導要領の問題については、後段取り上げます。
 新学習指導要領に対応するにしても、まずは教育環境をどう整えていくかということは前提にあると思います。これは先ほどの審議にありました、1人1台端末の利用状況、これはかなり頑張っていただいていますけれども、今なお格差があるということは現実だと思います。
 そして、先ほどは紹介いただけませんでしたけれども、中身を見てみますと、まず、タブレット、パソコンというのは文房具の一つですから、何日使えばいいとかというものではなくて、毎日使わないとならないものだと思うのですが、そういう観点で見ると、令和5年度の調査で言うと、全国は小学校で65%、大体3分の2がほぼ毎日使っているのに、岩手県は4割なのです。月1回以上、月1回しかやっていないというのも小学校で4.8%あるわけです。中学校も2.7%あって、これはかなり高いのです。
 僕はそういうところに現実があるということからすれば、それは週に3日以上ではなくて、ほぼ毎日使ってくださいということになると思うのですが、ここにいかない問題というのは、先ほど話がありましたけれども、もっと課題を因数分解してみると、これは教育をさせる側の問題なのか、それともハードの問題なのか、それとも受ける側の問題なのか、これはきちんと因数分解をしてやらないと問題の解決にはならないと思っているのですが、どのように問題を把握していますか。
〇西野教育企画室長兼教育企画推進監 まさに毎日使うという部分は、岩手県は非常に低調で、全国との乖離があるところであります。この要因といたしましては、まず、毎日、学校で授業では必ず文房具のようにタブレットを用意するということがまだ定着していない。そして、全国と差がある部分は、持ち帰りという部分もあると考えております。毎日持ち帰って、家で何かしらタブレットで宿題をする。持って帰らせて何をやらせるのかという教育的な内容の課題の出し方とあわせて、本県においては、家庭でのWi―Fi環境であったり、壊した場合の対応など保護者の理解というところがあると考えております。
〇岩渕誠委員 いろいろ今、因数分解をしていただきましたが、さらに因数分解をしていただいてやらないといけないのだと思います。
 例えば、Wi―Fi環境の問題であればルーターの貸し出しをしていたりとか、ある意味、お金の問題で解決ができる。予算をつければ何とかなる話です。一方で、習慣化していないというのは、これは意識の問題。金をかけてもだめなところがある。そこの部分をきちんと分別していかなければならないのですが、私はどちらかというと、習慣化、意識づけの問題、そして、それは学校側の問題もあるのではないかと思っています。
 それはもちろん、私も50代半ばになりましたけれども、新しいことをやるのはなかなか大変でありまして、こういったところをあえて順位づけをするとすれば、県教育委員会としては、いろいろ羅列をされたけれども、課題のために一番取り組むべき優先課題はどこにあると考えていますか。
〇西野教育企画室長兼教育企画推進監 昨年、県教育委員会が小学校、中学校、高等学校の先生方に実態調査をしたのですけれども、教える側で使う場面は多くなっているのですが、児童生徒自体が授業内で使っている場面はまだ少ない。そこの乖離があるというところで、いかに授業内容で子供たち自身がタブレットを触って学びをするかというところが一番課題だと思っております。
 同じ結果で見ますと、40代、50代の部分が授業での活用状況が芳しくないという結果は出ていますが、一方で、その方たちも、使わなくてはこれからの学びに対応できないと思っている状況です。
 また、教員が求めているのが、まさに子供たちにどういう場面で使わせたらいいか、アプリはどれがいいのだろうかという研修ニーズがすごく高くなっておりまして、それを最優先で取り組むべきと新年度予算案の検討においては考えております。
〇岩渕誠委員 わかりました。我々が視察に行くところはみんな立派なところしか行きませんから、子供も先生も楽しそうにやっているのです。だけど、多分そうではない人もいっぱいいるのだと思います。ひとつ、ある意味のマインドリセットといいますか、やらなければいけません。
 一方で、きょうはこの問題は深掘りしませんけれども、50代の退職がふえています。知事部局とか警察部局に比べれば、圧倒的に50代の退職が多いです。こういったところの問題との兼ね合いもあるかと思いますが、そういうことであれば、民間のそういったことに長けている人たちを活用するなりということが進まないと、国家百年の計は教育にありということであります。岩手県も教育立県としてやるためには、環境整備というものはぜひ全体でやっていただきたいと思うわけであります。
 GIGAスクール構想というのがあります。今回の予算案では学校DXとなっています。私は、GIGAスクールというのは、1人1台端末をして土俵をつくることだと。学校DXは、これを活用して何かをやることだと思っているのですが、今の状況から言うと、GIGAスクールにはなっているけれども学校DXにはなっていないと認識しているのですが、その課題認識はどうなっていますか。
〇西野教育企画室長兼教育企画推進監 教育DXというのは端末整備だけではないと認識しています。これからはまさに学びを、今回整備させていただいたICT環境を十分に使うこと、そして、そこから得られたデータをうまく活用して、さまざまな学習場面において教育内容の重点化を図ったり、多様な資源であったり機関とつながって、深い学び、質の向上につなげていくことだと思っています。
 国のほうでも教育DX、3段階で進めていこうとされていまして、電子化という一番初歩の段階、そして、次が改善であり最適化、そして、最後にDX、価値創造というようなところだと思いまして、本県におきましては、まず、電子化というところを集中的に取り組んでいる状況と認識しております。
〇岩渕誠委員 トライ・アンド・エラーで結構です。次の段階に進むように努力いただきたいと思います。
 新学習指導要領への対応、これは予算案の中でもいっぱい出てきています。来年度の大学入試から新学習指導要領に対応した入試が始まるということで、ある意味、新年度は新学習指導要領の完成年。そうしますと、求められている学力というのが旧指導要領と新学習指導要領で違うわけでありまして、そうすると、一つの結果が出てくる。そうなると、我々の年代で思っていた学力とは少し違うのだというのが出てくるのか、やはり同じなのだというのが出てくるのかよくわかりませんが、その中でお聞きをいたします。
 義務教育課程においては、既に新学習指導要領がある程度完成をしていると思っています。今まで進めてきた新学習指導要領に対しての成果をもうそろそろ聞いてもいい時期なのかと思っているのですが、どのように捉えていますか。
〇武藤首席指導主事兼義務教育課長 義務教育段階においての現行の学習指導要領の成果というところにつきましては、学びの転換というところで、子供を主語にした学びを実現していくということで、それまではそろえる教育、先生が主導で全員が同じことができるようになることを求める教育という考え方から、一人一人の課題やつまずき、あとは、一人一人の持ち味やよさ、そういったことを伸ばしていく、一人一人にクローズアップを当てて、子供たちの個性を伸長しながら、そして、集団として協働的に学び、人とかかわり合うよさ、それから、社会に貢献していく、そういった思いを醸成していくということが一層クローズアップされた指導要領だったと思います。
 そういったことに向かって、各学校、小中学校におきましても、指導要領の趣旨については理解が進み、その具現化に向けた授業改善が日々行われるようになってきたことが大きな成果であり、それに伴って、子供たちも着実に成長をしてきているのではないかと捉えております。
〇岩渕誠委員 今、発言があったことを土台に高校教育があるわけであります。高校教育の中では、大きく探求型の授業をやって、我々も行くと、なるほど、今の高校生というのはこんなことをやっているのだと。読み書きそろばんとかわかっただけではだめなのだ、こっちの知識とこっちの知識をつなげて、こういう新しい答えを出していかないとならないのだということをよく実感するわけであります。
 高校の中でもそういったところが今度は評価の対象になってくるわけでありますけれども、探求型の授業の成果について、今、どの辺まで来ていると認識されていますか。
〇中村首席指導主事兼高校教育課長 探求型の学習活動の成果、どの辺まで来ているかというところでございますが、高等学校における総合的な探求の時間に関しましては、平成31年度から先行実施という形で早く取り組んできているところでございます。
 加えまして、県教育委員会では、平成31年度から各校では総合的な探求の時間の充実に取り組んできているところですが、県教育委員会では、令和2年度から4年度にかけた探求プログラムとか、令和4年度から、いわて高校魅力化・ふるさと創生推進事業、そして、今年度から探求・STEAM教育推進事業、探求活動を深めることを支援する取り組みを進めてきているところでした。
 各校では、少し前のイメージですと、学校の中だけで探求を閉じようというイメージもあったのですけれども、積極的に外部、地域の方とか大学とかと連携を深めて探求活動をしようという取り組みが進んでおりまして、学校でもかなり成果を外部に発表するということが進んでおります。具体的に、自治体と連携した探求活動を行っているところでは、自治体も高校生の意見を聞きながら施策を検討している例もあると伺っておりますので、探求活動の深化は進んできているのではないかと考えております。
〇岩渕誠委員 最近の予備校のリポートなどを見ていますと、どうも競争があって、来年新しいのが始まるというので、内容は大概、今度の受験は教科がふえる、情報というのがふえて大変だという話しか出てこなくて、探求とか、いわゆる知と知をつなげてどうやるか、新学習指導要領が求める姿と実際の入試段階の情報では大きな乖離があるわけです。
 僕は、最終的に、大学入試であったり社会が何を求めているのか、ある程度の求める形は大学入試に出てきますから、それが本当に合っているのかどうか。今までの指導の範疇に合っているのかどうか、それとも、今までと全く変わらないのかというところは、よくよく注視をしていかないと、これまでやってきた教育は一体何だったのだという話になると思いますので、そこはしっかりと対応していただきたいと思うわけであります。
 とはいっても、私が思っているのは、だからといって、基礎学力をおろそかにしていいものではないだろう。むしろ、知と知をつなげるということは、基礎学力はしっかりやっていかないとならない。恐らく、よく言われたのは、新学習指導要領の中で何を求めているかというと、一つは、少し前になりますけれども、ハーバード大学のマイケル・サンデル教授の白熱教室みたいな、自分で意見を言って、こういうのを日本の風景にするというのがありました。そこにはまだ行っていないと思うのですけれども、そこを目指した教育というのが続いてきたわけだから、出口のところについては、きちんと検証を今からするし、そういうような形に着地をするように持っていっていただきたいと思いますが、教育長、いかがですか。
〇佐藤教育長 高校教育と大学入試、大学との接続ということで、新学習指導要領に基づきまして、従来より思考力、判断力、表現力等が重視された教育がなされてきている一方で、やはり基礎、基本を欠くと、なかなかその上の積み上げが難しいということだと思っておりますし、入試を見ましても、従来型の一般の入試も従前同様ありますが、相当程度、新学習指導要領に沿った形での入試という枠がどんどん広がってきているということですので、県教育委員会としましては、入試の対応は、まさに基礎、基本、しっかり学んで従来型の入試で通る子もいるし、そうではなくて、探求を深めることよって大学に入っていくというあり方も、広くなってきていますので、もちろんあります。どちらでも対応できるような取り組みをしてきていると、申し上げたいと思います。
〇岩渕誠委員 新年度1年間の取り組みに注視したいと思います。終わります。
〇千葉盛副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
   午後4時16分 休 憩
午後4時36分再開
〇城内愛彦委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行します。
〇佐々木朋和委員 私からも不登校対策について、国のCOCOLOプランへの本県の対応という視点からお伺いしたいと思います。
 令和5年3月31日に文部科学省からの通達があります。県の教育長、知事等へ向けてですけれども、不登校児童生徒が学びたいと思ったら学べる環境の整備、不登校児童生徒の保護者への支援、早期発見、早期支援のための福祉部局と教育委員会との連携強化、学校の風土の見える化が挙げられておりまして、これは、とりわけ速やかに推進していくべきとして、お願いという形で国から届いております。
 令和5年3月31日ということで約1年がたつわけでありますけれども、この1年間の県の対応状況と令和6年度の取り組みについてお示しいただきたいと思います。
〇千田首席指導主事兼生徒指導課長 まず、不登校児童生徒が学びたいと思ったときに学べる環境の整備についてでございますが、不登校の要因は多岐にわたり、児童生徒一人一人の状況に応じた教育相談体制の充実を図るとともに、学校内外の居場所づくりなど、教育機会の確保に取り組んでいく必要があると認識しております。
 そのため、県教育委員会では、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置、24時間子供SОSダイヤル相談窓口の設置、教育支援センターやフリースクール等民間団体との連携を図る、不登校児童生徒支援連絡会議の開催など、これまでの不登校対策に加え、今年度、新たに教育事務所管内を統括するエリア型カウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置、いじめ対応、不登校支援等アドバイザーの常勤化、一人一台端末を利用した、こころの相談室の開設、市町村の教育支援センターの設置や拡充による教育支援体制の強化などに取り組んでいるところでございます。
 また、不登校児童生徒の保護者への支援についてでございますが、県教育委員会では、スクールカウンセラー、あるいはスクールソーシャルワーカーの配置による保護者への相談支援を実施するとともに、相談窓口を設置するなど、これまでも保護者の支援を進めてきたところでございます。
 また、今年度から、教育支援センターやフリースクール等、民間団体等との連携を図る、不登校児童生徒支援連絡会議に参加したフリースクール等民間団体の連絡先を県のホームページにも掲載したところでございます。
 そして、福祉部局との連携についてでございますが、保健福祉部で設置しております医療、保健福祉、教育、就労、若者支援に係る関係機関等で構成する岩手県ひきこもり対策連絡協議会において、各関係機関の支援の取り組み状況を共有するなど連携を図っているところでございます。
 学校の風土の見える化についてでございますが、県教育委員会では、各市町村教育委員会に対し、COCOLOプランの周知を図るとともに、国が示しました学校の規律、安全、安心、学習環境、児童生徒同士の関係、児童生徒と教師の関係など、学校の風土などを把握するためのツールの情報を提供し、活用を働きかけているところでございます。
 令和6年度におきましても、現在、国が実施しているCOCOLOプランに係る諸調査の結果をもとに、安心して学べる学校づくりを進めるための取り組みの支援を進めてまいります。
〇佐々木朋和委員 御説明ありがとうございました。この通知を拝見して、国からは県に対する強い期待と申しますか、この問題について主導的に進めようというような思いを感じたところでした。
 少しわからないのでお聞きしたいのですけれども、こういった通知というのは、これを見ると、県知事、あるいは教育委員長、指定都市の長には送られているのですが、同様に、各市町村にも通知はされているものですか。
〇千田首席指導主事兼生徒指導課長 各市町村への通知でございますが、県教育委員会から各市町村教育委員会に通知しているところでございます。
〇佐々木朋和委員 そうしますと、先ほど義務教育については市町村という教育長の答弁は、こういった部分については、国からは主導的に県に来ているのかと思うのですけれども、そういった部分とは食い違いはないということでよろしいですか。
〇佐藤教育長 通常、国の施策の展開につきましては、市町村教育委員会で対応するものについても県を通じて出される場合が多いですので、県で取り組むもの、市町村教育委員会で取り組むものについて、県教育委員会を通じて市町村教育委員会にもおあげしているというのが通常であろうかと思います。
〇佐々木朋和委員 わかりました。了解いたしました。
 ただ、この通知を見ますと、各都道府県においては、みずから不登校特例校、今では学びの多様化学校の設置をするほか、域内の市町村において、不登校特例校の設置に向けた意向があった場合の相談支援や市町村間の連絡、調整など、域内全体の不登校児童生徒を支援できるよう、広域の地方公共団体として積極的な役割を果たすことが求められるというような記載があります。そういった意味では責任も重かろうと思いますし、学びの多様化学校の設置については、しっかりと進めなければいけないと思っております。
 全国で300校の設置を国では目標としているということであります。県も設置に向けた取り組みを加速させていくべきだと思いますけれども、本県の設置に向けた取り組みについて、まずは伺いたいと思います。
〇千田首席指導主事兼生徒指導課長 学びの多様化学校、いわゆる不登校特例校の設置についてでありますが、現在、全国で24校設置されておりますが、都道府県では設置例はまだないと承知しており、その設置については、各市町村教育委員会等とも連携を図りつつ、国の動向や他県の先進校の事例等の調査を進めていくとともに、不登校児童生徒の居場所の確保をどう図っていくか、研究してまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 その研究の中で、今、教育委員会では夜間中学校が学び直しの場として期待されているということで、1月末までのアンケートを行っている。また、その結果を受けて、今後の方向性について検討していくということだとお聞きしておりますが、現状をお示しいただけますでしょうか。
〇武藤首席指導主事兼義務教育課長 夜間中学についてでありますけれども、今年度の調査は、昨年12月22日金曜日から本年1月29日月曜日までを回答期間といたしまして、調査項目の改善やホームページ上からの回答も可能というような回答方法の工夫を行いながら実施したところでございます。結果につきましては、現在、取りまとめ精査中になります。
 今後の方向性といたしましては、今回の調査結果も踏まえまして、多様な学び直しの機会を保障するという観点から、他県の設置までの先進事例等も参考にし、各市町村教育委員会や関係機関と一層連携を図り、本県にとってふさわしい夜間中学のあり方について、少し時間をかけて精査をしてまいりたいと考えているところです。
〇佐々木朋和委員 まだ時間がかかりそうだという印象を受けました。不登校特例校も含めてですけれども、県内にはフリースクールも、盛岡市の動物園、あるいは一関市にも旧校舎を活用してというのが出てきておりますけれども、夜間中学校も含めて、そういったところから、今、先行しているものが不登校特例校になっていくのか、また、県として新たにつくっていくということなのか、その辺の方向性は今、見えていないのでしょうか。答弁をいただきたいと思います。
〇千田首席指導主事兼生徒指導課長 学びの多様化学校、いわゆる不登校特例校の設置などの方向性でございますが、県教育委員会といたしましては、学びの多様化学校に係る全国の研修会への参加、あるいは、先進校への視察のほか、先月開催されました市町村教育委員会との意見交換などにおきましても話題としてきたところではございます。今現在、例えば、市町村教育委員会の具体の取り組みということでは見えていないところでもございますが、今後、さらに必要な情報等を収集し、市町村教育委員会などにも提供しながら、今後の取り組みについて進めてまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 わかりました。
 では、少し視点を変えて、教育支援センターの支援の機能強化ということでありました。先ほど来紹介している通知では、教育支援センターには不登校児童生徒本人への支援にとどまらず、その保護者が必要とする相談場所や、保護者の会等の情報提供や、域内のさまざまな学びの場や居場所につながることができるようにするための支援等を行うことが期待されている。また、不登校児童生徒への支援の知見や実績を有するNPОやフリースクール等の民間施設のノウハウを取り入れた支援が行えるよう、業務委託や人事交流等を通したNPОやフリースクール等との連携を強化することも効果的であるというような記載があります。
 そういった中で、今回、令和6年度、県立図書館に分室を置くとされておりますけれども、生徒児童の通いやすさということプラス、国は機能強化を求めておりますけれども、この機能強化の状況をお示しいただきたいと思います。
〇千田首席指導主事兼生徒指導課長 教育支援センターの支援機能等の強化についてでございますが、令和6年度のふれあいルームの利便性を図るため、県立図書館内に分室を設置し、不登校児童生徒やその保護者に対する教育相談体制の充実を図るとともに、多様な学びの場や居場所の確保に取り組んでいく予定としております。
 対応する職員といたしまして、学校心理士の資格を有する研修指導主事や自立支援相談員等が個々の相談に応じて助言や支援を行うこととしております。児童生徒、そして保護者に必要な支援が届くように、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 先ほどの議論の中で、特例校についてはなかなか時間がかかるという中で、こういったフリースクールであるとかNPОの力をおかりしながら不登校対策を進めていかなければならないのですけれども、国の通達の中で、業務委託、あるいは人事交流というのがありまして、これは県としてもそういった支援の機能を強化できる。一方で、運営の基盤がなかなかそろっていないフリースクール等、財政的な面も業務委託という形で県としても支援もできると思うのです。そういった部分を想定して、私はこの通達というのが来ているのだろうと思います。
 これから県としても不登校の特例校の設置ということも国から求められている中では、今、立ち上がっている、継続をしている、立ち上がろうとしているフリースクールといったものについて、もう少し、今申し上げたような支援、あるいは、業務委託の制度も使いながら、運営主体を財政的に支える方法も模索をしていかなければならないかと思っております。
 また、フリースクールについての担当の部署も専門的にあるのかないのかということも、私もわかりませんが、その辺も含めて所感を伺いたいと思います。
〇千田首席指導主事兼生徒指導課長 フリースクールに対する支援についてでありますが、不登校児童生徒への支援については、フリースクール等民間団体やNPОなどにおいてもさまざまな取り組みがなされており、日ごろから情報交換や連携に努めていく必要があると考えております。
 本年度からフリースクール等を含むさまざまな団体や機関の連携を進める国の教育支援体制整備事業費補助金を活用しまして、会議の開催方法を見直し、参加メンバーを拡充するなど内容の充実を図っております。
 フリースクール等民間団体への支援のあり方や担当部署を明確にして取り組むことにつきましては、引き続き、国や他県の動向など、さまざまな情報を収集しながら研究してまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 今現在としては、フリースクールについての担当部署がないということですか。
〇千田首席指導主事兼生徒指導課長 さまざまな連携ということで、県教育委員会でフリースクールなどと進めているところでございます。担当部署と言われれば、こちらということを認識しながら進めているところでございます。
〇佐々木朋和委員 1年前に通達があって、これだけフリースクール等との連携を強めましょうと。また、県内でもさまざま立ち上がる動きも見えている。そこで課題になっているのが、持続可能性、財政の問題であったりするわけです。これは今後、県が求められる特例校を設置していく、あるいは、地域で特例校の動きが出たときに積極的にかかわっていきましょうということも言われている中で、フリースクールについての担当も、私ですとしっかりと言いたいはずなのに言えない状況というのは、いかがなものかと思います。これは再検討の必要があるのではないかと思いますが、最後に教育長にお話を聞いて終わりたいと思います。
〇佐藤教育長 最後、フリースクールの担当部署というお話をいただきましたが、全国各地を見ますと、いろいろな角度からフリースクールとかかわっている自治体がありますようで、そういった意味では、首長部局がかかわっていたり、教育委員会がかかわっていたりとさまざまありますが、現時点では、我々としては連携会議をもって、この連携会議を基盤にいろいろな施策を展開していますので、そういった意味では担当部署であると理解してございます。
〇佐々木朋和委員 教育委員会としては担当している、積極的にかかわっているところだということでした。教育委員会全体としてはそうなのですけれども、しっかりと担当課なりを決めてやるべきだと思うのですけれども、そこはこちらでよろしいということなのですか。
〇佐藤教育長 教育委員会事務局の中で言えば、現時点では学校教育室が担当しております。
〇佐々木朋和委員 わかりました。今、しっかりとどことお話ししていけばいいということがわかりましたので、我々も地域や学びの現場の声をつないでいきたいと思いますので、ぜひとも支援の拡充もお願いしながら、終わりたいと思います。
〇佐々木宣和委員 よろしくお願いいたします。学力向上の取り組みについて、先ほど臼澤勉委員からは、高校の話でしたけれども、私は小学校、中学校の話を伺いたいと思います。
 令和5年の全国学力・学習状況調査の結果ですけれども、全国平均に比べて小学校6年生の国語以外は、残念ながら下回っている状況というところでございまして、中学生の数学が5%、英語が9%下回った。過去の全国学力・学習状況調査から、岩手県の児童生徒の学力の傾向をどう把握されているのか。そして、新年度予算案に関して、どのような取り組みを進めていくのか、伺います。
〇度會学校教育企画監 学力の傾向の把握についてでございますが、令和元年度以降、小学校6年生は、国語は常に全国平均を上回り、算数は全国平均を下回るものの、近年、改善傾向にあります。中学校3年生は、国語は今年度わずかに全国平均を下回ってしまいましたが、そのことを除けば、毎年全国平均を上回る一方、数学に関しては、御指摘のとおり、全国平均を下回っておりますけれども、近年、改善傾向にありましたが、今年度は全国平均との差が開いてしまいました。英語においても同様に、全国平均との差が開く結果と今年度なってしまいました。
 また、意欲を持って自ら進んで学ぼうとする児童生徒の割合や、授業で自分の考えを深めたり広げたりしている児童生徒の割合は、常に全国平均を上回る結果となっております。
 このため、県教育委員会としては、確かな学力を育成していかなければならないというところで、市町村教育委員会等との連携を強化しながら取り組んでいくことが必要不可欠と考えております。
 まず、来年度、全国学力・学習状況調査のデータをもとに、我々において、全ての33市町村の現状、課題及び取り組むべき方向性を整理したレポートを作成の上、六つの教育事務所や市町村教育委員会と連携しながら共有して、指導、助言を通じて市町村が取り組むべき学力育成のための施策を支援してまいります。
 また、算数、数学や英語の授業力強化を図るため、国で作成しております授業アイデア例なども活用して、指導力の向上や授業実践の充実を図ることを目的といたしまして、質の高い授業提案を中心とした講義、研修を実施することとしております。
〇佐々木宣和委員 数学は全国平均に近づきつつあるような改善の傾向があるというところ、また、英語はなかなか難しいという話もあるやに聞きました。
 そして、学力向上の取り組みに関して、デジタルツールを活用した取り組み、新年度予算案に盛り込まれているかと思いますけれども、この点に関して伺いたいと思います。
〇度會学校教育企画監 デジタルツールを活用した学力向上に関する取り組みについてでございますけれども、来年度は新たに、本県の課題として捉えております、英語及び算数、数学における学力向上の観点から、デジタル教科書を活用した授業実践の充実、児童生徒が端末を用いてオンラインで問題演習などを行うことのできる文部科学省のCBTシステムがございまして、これを活用した学校での学びや、家庭学習を含む学びの支援に取り組むこととしております。
 具体的には、英語と数学、それぞれ研究校を6校ほど指定させていただきまして、この文部科学省のCBTシステムなどを活用して、学力調査等などで課題が見られた内容に関する問題を掲載したりすることによって、子供たちの学校での学び、家庭での学びを支援していくほか、デジタル教科書を活用して指導要領の趣旨を踏まえた主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善や個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実を図ってまいりたいと考えております。
〇城内愛彦委員長 答弁は簡潔明瞭にお願いします。
〇佐々木宣和委員 英語力向上、また数学力向上というところで、6校ずつ選んで取り組まれるというところでございます。
 そして、先ほど中平均委員、また岩渕誠委員からもありましたけれども、端末の利用に関しては、少しずつ、しっかり使うような形になってきたというところでございますけれども、実際、令和2年3月から令和4年3月1日で、整備状況は、PC1台当たりの児童生徒数が4.6人から0.9人になって、1人1台端末以上になったというところで、今度はその利用をしっかりしていこう、中身をまた改善していこうというところになっているかと思います。
 まず、その先に、端末の更新に関して、昨年の国の経済対策におきまして、端末の更新費用も含めて2、760億円積まれたように把握しているところでございますし、今定例会において、公立学校情報機器整備基金条例も制定されたところでございますけれども、端末の更新について、どのように進めていくのか伺いたいと思います。
〇西野教育企画室長兼教育企画推進監 今ある端末の更新でございますが、今、御紹介いただいたとおり、国から昨年、端末更新に要する経費の財源に充てるための基金造成を県で行って、県から市町村への補助という形の枠組みが示されました。そこで、先ほど御紹介いただいた基金の条例議案、そして、その基金の造成に要する経費として7億1、000万円余の予算を御承認いただいたところでございます。
 それとあわせまして、国からは、端末の調達ガイドラインというのが示されております。それによりますと、調達に当たっては、まず、県と市町村で構成する共同調達会議を設置すること、そして、その会議において、端末のスペック等の共通仕様書を作成した上で、各市町村が端末の更新を行うこととされております。
 本県の導入状況から見ますと、令和7年度から本県の端末更新が始まりまして、令和7年度、令和8年度が更新のピークを迎えることと見込まれておりますので、来年度につきましては、県と市町村の共同調達会議において、共通仕様書の作成、検討の協議を進めていくところでございます。
〇佐々木宣和委員 まず、これだけ急速に端末の整備をさせていただいたところでもありまして、この端末を更新していく費用に関して心配されているところもあったのかなと思っておりまして、こういった取り組みが進められるのは素晴らしいことかと思っているところでございます。
 そして、次に、統合型支援システムに関して、先ほどハクセル美穂子委員からも質問がありましたけれども、先ほどは先生方の業務の効率化というところでございましたけれども、私は、児童生徒のメリットというものをどう考えられているのか。特に、学習したことの自分のログがとられていくということがメリットが大きいところなのかと思っているところですけれども、その点に関して伺います。
〇西野教育企画室長兼教育企画推進監 今般整備しようとしております統合型校務支援システムにおきましては、さまざまな機能がございまして、公務というようなもの、あとは生徒情報、出欠管理であるとか保健、成績というものがございます。まさに学習の記録という点では成績の部分、通知表、指導要録、調査書などの部分がかかわってくるかと思いまして、例えば、小学校在籍時の成績情報をこれまでは紙ベースで中学校に転送していたようなものが本システムで閲覧可能になる。また、データの蓄積、活用が可能にというようなことが想定されておりまして、まずは、そのような部分で使っていきたいと考えているところでございます。
〇佐々木宣和委員 デジタル庁と総務省、文部科学省、経済産業省で教育データ利活用ロードマップの策定が行われているところでありまして、誰もが、いつでも、どこからでも、誰とでも自分らしく学べる社会、データのスコープ範囲と品質組み合わせの充実、拡大という三つの自己設定というところで、まだなかなか想像しづらい部分もありますけれども、まさにGIGAスクールというか、全体像が見えるような話が着実に進んでいるようなところがあって、すばらしいなと思うところでもあります。
 特に、自分自身の学習履歴が自分で把握できるというのは、すごく必要なことなのではないかと思って、それこそつまずいたところはどこだったのかというログが自分で把握できるので、先ほど学力向上の話で、全体としてどうだからこういう取り組みをしていこうというところは、個人にどのくらいリーチするのは見えづらいところでもありますので、自分自身がどういう傾向にあるかというものを把握できるようになるのは、一つすばらしいことなのかと思っているところでございます。
 次に、高等学校DX加速化推進事業費というところで2億4、000万円の事業がございます。これはいわゆるDXハイスクールというところで、国の令和5年度補正予算の100億円のものに呼応しているようなものかと思いますけれども、これの説明、わかりやすいイメージを伝えていただきたいと思います。
〇中村首席指導主事兼高校教育課長 この事業の内容につきましてですが、本事業は、大学教育段階でデジタル、理数分野への学部転換の取り組みが進む中、その効果を最大限発揮するためにも、高校段階におけるデジタル等成長分野を支える人材育成の強化が必要であり、そのため、文理横断的な探求的な学びを強化する学校などに対して、必要な環境整備の経費を支援するものでございます。
 この事業は、いわゆる理系のみを対象としたものではなくて、また、普通科だけでなく専門学科、総合学科の高校の生徒にもよりよい学びの環境が展開されることを目的としておりまして、文部科学省に申請し、採択となった学校で実施する事業でございます。
 この事業におきましては、各学校で高性能PCや3Dプリンタ等の機器を整備したり、外部専門人材を活用することなどにより、数理、データサイエンス、AIの適切な活用を行いながら、各教科、科目や総合的な探求の時間で文理横断的な学習活動を行っていくこととしております。
〇佐々木宣和委員 今の段階とすれば、文部科学省事業に対して応募していて、それがまだ決まっていないという状態ということでよろしいでしょうか。
〇中村首席指導主事兼高校教育課長 そのとおりでございます。
〇佐々木宣和委員 そして、2億4、000万円というところなので、学校の数は上限の1、000万円で24校というところで、可能性があるところは全てという形でよろしいか伺います。
〇中村首席指導主事兼高校教育課長 申請段階において、申請校の可能性等を含めながら予算計上したところでございますので、あとは採択されるかというところでございます。
〇佐々木宣和委員 これもかなりの金額、かなりの校数でトライするような形になっていまして、それこそタブレット端末の整備のときではないですけれども、どうやって使うのかというところも先に考えて準備をしておく必要があるなと思っているところでもございます。
 最後に、地域教育、ふるさと教育の充実と展開について伺います。
 総括質疑で高橋穏至委員からもございましたし、先ほどは福井せいじ委員から、郷土愛、キャリア教育が必要だという話もありました。学生の方々と話しているときに、より早い段階で自分の地域のことを知ること、体験することが重要ではないかと思っているところでありますし、職業体験もすごく重要だとは思うのですけれども、地域づくりの役割が自分が住んでいる地域に対してその子にもあるのだということを伝えるということと、自分の地域のことを明確に言語化して、客観的な事実に基づいて伝える、自慢できる、そういった子供たちを育てていくことが重要だと思いますけれども、所感を伺います。
〇武藤首席指導主事兼義務教育課長 地域教育、ふるさと教育の充実と展開についてでございますけれども、岩手県教育振興計画では、郷土に誇りと愛着を持つ心を育み、岩手で、世界で活躍する人材を育成することを掲げており、各学校においては、生活科や社会科、総合的な学習の時間を中心に、地域にかかわる学習に取り組んでおります。
 小学校低学年の生活科では、児童が地域に実際に出て、人、物、事と直接的にかかわることを通して地域の自慢やよさをまとめ、発表する学習を行っています。
 また、中学校の職場体験活動は、地域の特色ある産業を体験先に設定するなど、地域振興に貢献する大人とのかかわりを通して地域を支えることの重要性を学ぶことにつながっています。
 さらに、いわての復興教育とかかわらせながら、沿岸部の学校での海岸清掃活動や、地域の産業について学んだ成果をPRする活動を修学旅行に組み込むなど、地域に貢献する取り組みをしている学校もあります。
 以上のように、児童生徒が地域を支える方々との豊かな体験活動を通してふるさとに誇りを持ち、地域づくりに貢献し、自分もできることをかかわっていこうというような心情が醸成されていくよう、市町村教育委員会と連携しながら、引き続き取り組んでまいりたいと考えています。
〇佐藤ケイ子委員 私からは、教職員の働き方改革についてお伺いいたします。
 総括質疑でも触れましたけれども、働き方改革の取り組みでの答弁は、県立学校における時間外在校等時間が大幅に減少した。そして、一定の成果が出ている。それから、やりがいや授業に集中とか、健康で生き生きということについては、肯定的回答が減少しているということも出されました。それから、次期働き方改革プランでは、負担軽減、業務改善の実感を伴った実効性のある取り組みが必要という答弁でございました。
 それで、具体的お聞きいたしますけれども、教職員をサポートする体制はどうでしょうか。特に、小学校の専科指導教員の配置、それから、スクールサポートスタッフの現状と今後の見込みについてお伺いいたします。
〇大森教職員課総括課長 教職員をサポートする体制についてでございます。
 まず、学習が高度化する小学校高学年において、専門性の高い教科指導を行い、教育の質の向上を図るための専科指導教員でございますが、今年度は121人を延べ170校に配置しております。
 令和6年度に向けまして、先般、国から156人分の加配定数の内示があり、現在、市町村教育委員会と連携しながら、配置に向けた調整を進めているところでございます。
 また、教員の事務作業をサポートするスクールサポートスタッフにつきまして、今年度は小中学校7校に配置をしておりますが、令和6年度は、小中学校及び特別支援学校合わせて45人分の配置に要する経費を当初予算案に盛り込ませていただいているところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 大分増員はされるわけですけれども、スクールサポートスタッフについても、ほかの県よりはかなり少ないと思っております。
 次に行きます。スクールロイヤーのことです。
 これも全国的に、学校でいろいろなトラブルがあって、弁護士とか法律にかかわる方をお願いしたいというのがあって、ずっと取り組まれてきておりましたが、岩手県はなかなか進めなかった。今度は新規に110万円の予算案となっているわけですけれども、少額過ぎてびっくりしました。どのような想定をしているのかお伺いいたします。
〇大森教職員課総括課長 スクールロイヤーについてでございますが、佐藤ケイ子委員からも御紹介がありましたとおり、不登校やいじめのほか、学校等への過剰な要求、あるいは、学校事故への対応等の諸課題に対応するため、法律の専門家である弁護士が学校からの法務相談等に応ずる役割を担ってもらうものでございまして、全国的にも配置が進んでいるところでございます。
 令和6年度の当初予算案には、スクールロイヤー法務相談体制整備に係る経費を計上しております。岩手弁護士会からの推薦に基づいて、教育行政に精通した弁護士にスクールロイヤー業務を委託し、県立学校及び市町村立学校からの相談に対し、法的観点から助言を行うことを想定しているものでございます。
 また、弁護士への委託金額ですとか相談件数につきましては、先行して法務相談体制を整備する自治体の例でありますとか岩手弁護士会との協議結果を踏まえながら見込んだところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 スクールロイヤーの活用の仕方なのですけれども、これは県立学校、市町村教育委員会、どちらも活用できるものなのか。県立学校だけのもので予算化したのか、どうでしょうか。
〇大森教職員課総括課長 スキームといたしましては、県立学校、それから、市町村立学校、それぞれの相談に対応するものとして見込んでおります。市町村立学校につきましては、一義的に市町村教育委員会がまず窓口になりまして、その相談内容を精査していただいて、最初に県教育委員会が相談を受け付ける、ロイヤーとのつなぎ役を果たす。県立学校につきましては、県教育委員会が直接やるということで、その中にありましては、県教育委員会でも一定数、弁護士に相談したいといったもので、県教育委員会のノウハウで御回答なり助言ができる部分もあるかと思っておりますので、そういったところも含めながら、相談内容を精査しながら、令和6年度新規でございますので、どういう内容がどのくらいの件数が来るか、正確に見込めないところでございますが、そういったところで限られた予算を有効に活用できるように取り組んでまいりたいと思っております。
〇佐藤ケイ子委員 わかりました。スクールロイヤーの活用の仕方も全国的にもさまざまあるようでありまして、学校と緊密に連絡を取り合っているところとか、市町村教育委員会に配置とか、顧問弁護士と同じようなやり方をしているとか、それぞれあるようでございます。期待をしております。
 それで、働き方改革に取り組む中で、現場から見直ししてほしいというのがたくさんあったはずです。教育指定校のこととか、全国学力・学習状況調査、県の学力調査、学校の行事、会議などさまざまあって、メスを入れる必要があるのだということがずっと言われているわけですけれども、なかなか進んでいないと思っていました。
 先生方にアンケートをとったようでございますけれども、その中で、あなたの職場で最も改善してほしいものは何ですか。業務の全体量が多い、適正な人員配置がないとか、授業や学校経営以外の業務が60%を占めている。会議とか打ち合わせが多い、保護者、地域の対応、行政、関係団体の事務という時間外勤務の状況に対して疲労感や焦燥感を感じているということなわけです。これは県教育委員会のアンケートです。どのように改善を図っていくのか。教職員の働き方改革をどうやったら前進していこうとしているのか、メスを入れようとしている項目はあるのかお伺いいたします。
〇大森教職員課総括課長 業務のスクラップでございます。
 これまでもさまざま取り組んできておりますが、これまでは一定の取り組みを継続的に進めていくほか、例えば、佐藤ケイ子委員からも御紹介がありました、県教育委員会が実施する会議ですとか調査等の削減などについても、県教育委員会事務局みずからが会議、調査等を削減、合理化の検討を進めていきますほか、県立学校から、あるいは市町村教育委員会から、それぞれの視点から削減できる業務がないかどうか、直接お話をお聞きして、学校の実情も踏まえながら、事務局内部での事務等の削減に係る検討を進めていきたいと思っております。
 アンケート調査からさまざま、教育以外の部分での事務の負担ということを言われているのは重々承知しております。県教育委員会としましては、教職員が業務負担の軽減を実感できるような取り組み、不断の見直しを図っていきたいと思っております。
〇佐藤ケイ子委員 コロナ禍で大分見直しをかけて、本当に必要なことは何かということで、学校の中でかなりやったようですけれども、また最近、全部復活するというような動きがあって、本当にそれでいいのだろうかという声も上がっております。どうぞよろしくお願いします。
 それでは、次の質問です。児童生徒の生理のことについてです。
 昨年の6月に文部科学省から、各教育委員会に、生理に伴う欠席が高校入試で不利に取り扱われることのないよう通知が出された。追試もできるように配慮された、岩手県教育委員会もそういうふうに配慮したということでございます。
 それで、入試はそうなのですけれども、では、ふだんはどうなのかということなのです。働いている女性には労働基準法の中で生理休暇が認められておりますけれども、児童生徒も、実は思春期の子供たちの体調はすごく不安定で、そして、腹痛とか頭痛とか腰痛とか吐き気とかたくさんあって、身動きできない子供もたくさんいるのです。それで、学校に生理休暇の導入を設ける声が上がっているということでございます。生理痛による欠席が内申書などで不利にならないようにするべきではないかという動きがあるようですけれども、県教育委員会としてはどのように対応しようとしておりますか。
〇中村首席指導主事兼高校教育課長 児童生徒の生理についてでありますが、県立高校入試について申し上げますと、その選抜に当たっては、学力検査、それから、調査書の学習の記録、面接等の得点から総合的に合否を判断するということになっておりますので、生理痛も含めてですが、欠席日数により不利に扱われることはないというような制度になっております。
〇佐藤ケイ子委員 入試はわかりましたけれども、日ごろからの登校について、欠席をせざるを得ない状況とか、そういったものは欠席扱いにするのか、どういうことにするのか、苦しかったら休んでもいいということを言ってあげればいいと思うのですけれども、そこはどうしますか。
〇中村首席指導主事兼高校教育課長 欠席等の扱いについてでございますけれども、生徒の出欠席にかかわっては、特に規則等で決めているものはないですので、今後、生徒の体調等を見ながら、実際に、例えば入院等の場合につきましても、学校では欠席になるということでございまして、さまざま選抜とか、済みません、選抜のことではないというお話で大変恐縮ですけれども、欠席理由等も含めながら、生徒個々の状況に応じた対応をとってきておりますので、そういった扱いにつきましては、今後、全国の様子なども見てまいりたいと考えております。
〇佐藤ケイ子委員 自分の責任で、なりたくて生理痛になっているわけではないのです。本当に配慮していただきたいと思っております。
 それから、性教育も今、するようにしろということでありますから、子供たちの体、成長について、男女とも理解を深め合うというようなことも進めていただければと思います。
〇はぎの幸弘委員 私も、先ほども取り上げておられましたが、遠隔教育による学びの機会充実事業費について、かぶらないようにお尋ねします。
 この事業は新規事業ということですけれども、昨年、私の一般質問の中では、遠隔授業は既にやっているという御答弁をいただいておりまして、そうなると、これは別の事業なのか、あるいは、置きかえられて新たに新規という名前になったのか。また、仮に置きかえられたとしても新規事業と書いてありましたので、何かが変わっているのかという憶測をするわけですが、その点はどうなのでしょうか。
〇中村首席指導主事兼高校教育課長 遠隔授業についてでありますが、現在実施しているのは、令和3年度から国の事業であるCOREハイスクール・ネットワーク構想事業を活用して実施しているところでございます。この事業につきましては、本年度で指定期間が終了するため、来年度、令和6年度からは新しい国の事業であります、各学校・課程・学科の垣根を超える高等学校改革推進事業を活用して、これまでも取り組んできました小規模校に対する配信に加えまして、新規に、不登校等多様な背景を有する生徒を対象とした取り組みを加えて実施する予定でございます。
 令和6年度の取り組みにつきましては、小規模校の配信ということで、これまでも葛巻高校、西和賀高校、花泉高校、山田高校、種市高校の5校に配信しておりましたが、新たに伊保内高校を加えた6校に対して延べ11科目を配信する予定でございます。
 また、不登校等の生徒への遠隔授業につきましては、令和6年度は、別室や自宅で授業の受信を希望する生徒がいるか、また、受信する場合の受信環境等の調査を行い、令和7年度以降、試行を重ねながら段階的に体制の整備を進めて、令和8年度までに配信を行う予定の授業になっております。
〇はぎの幸弘委員 今の御答弁を聞きますと、これは高校のみで行われる遠隔授業ということだと思います。私からすれば、小中高全てにおいて必要な形態ではないかと思っております。特に小中学校―小学校は複式学級とか、少子化の関係でそういう授業形態をとられている学校がふえています。それを考えると、県教育委員会とすれば県立高校というテリトリーで、小中学校は各自治体というテリトリーかもしれませんけれども、岩手県の子供たちの教育という広い観点でいえば、県教育委員会としても無視できない課題ではないかと思うのですが、その点はどのようにお考えでしょうか。
〇武藤首席指導主事兼義務教育課長 はぎの幸弘委員御指摘のとおり、小中学校における複式学級での授業のデメリット解消には、遠隔授業の学びの形態というのは非常に有効であると認識しているところでございます。
 学びの質の向上といった形で、学びの広がりや深まりに大きな可能性を秘めた手だてであるというふうには私どものほうでも認識をしております。小人数ですので、学びの一体感を生み出していくために、やはり遠隔授業というのは有効であると考えておりますけれども、そのために必要な環境整備というものも、また各自治体には求められることになります。
 来年度の市町村の遠隔授業に係る予算配分はどうなっているかということについては、現在、情報として持ち得ておりませんので、その点につきましては、御了承いただきたいと思います。
〇はぎの幸弘委員 そもそもこれは事業予算800万円ほどということなので、今、御答弁いただいたような遠隔授業をやるといっても、なかなか足りない予算だと思います。国の事業ということなのですが、私とすれば、今の御答弁も踏まえて、自主財源でできればいいのでしょうけれども、もっと国にプッシュして遠隔授業をもっと広められるようにする―いわゆる旗振り役といいますか、各市町村、自治体と連携してやるべきだと思いますが、いかがお考えですか。
〇武藤首席指導主事兼義務教育課長 はぎの幸弘委員から今、お話しいただいたとおりの考え方、ごもっともであると思いますけれども、現在、国では、遠隔教育特例校制度というものを小中学校を対象に設けているところでございまして、主に中学校の技術・家庭科、技術分野になるわけですけれども、その指導体制の一層の充実ということの中で、複数校指導、遠隔教育の推進ということについて強く打ち出され、この遠隔教育特例校の制度について、学校現場の創意工夫を実施可能とできるようにするために、今、制度改革の検討を少し進めているような情報もありますので、こういったことの制度の枠組みがきちんと固まりましたならば、本県でも取り組みについて検討していく段階に入れるのかと思っているところです。
〇はぎの幸弘委員 そもそも私が主張している遠隔授業と教育委員会から御答弁されている高校版の遠隔授業では、何か違うと私は感じております。私は、あくまでも通常の授業で、結局、少人数でやるものをバーチャルな、画面の向こうにある2校で通常の授業を結んで、いかにも大人数で授業を受けているような中でやることで、上の学校に上がったときのギャップを解消しながら、学びの切磋琢磨の環境をつくって学力向上につなげるというものです。
 ただ、高校版だと、不登校とか何とかと聞こえてきているので、何か違うのではないかと思うのですけれども、改めて、この高校版の遠隔授業というのは、どういうやり方、手法なのか、確認だけさせてください。
〇中村首席指導主事兼高校教育課長 高校での遠隔授業ということでございますけれども、小規模校を対象に、小規模校は学校の規模から教員の配置が限られる。そうした場合に、理科や地歴公民、それから、単位数の少ない教科の教員の配置が限られることになりますので、そういった状況においても専門性の高い授業が配信できるように、この遠隔授業により、その科目の配信を行うといった事業でございます。
〇はぎの幸弘委員 わかりました。規模感は違うにしても、基本的には同じような形で複数校がつなぎ合ってやっているということで理解してよろしいでしょうか。
〇中村首席指導主事兼高校教育課長 現在、本県で取り組んでおりますのは、配信拠点というところに遠隔授業を配信する教員がございまして、そこから各校に対して授業を配信しているといったスタイルでございます。
〇はぎの幸弘委員 わかりました。これはまた改めて掘り下げていきたいと思います。
 次に、学び直しへの支援事業費について伺います。
 これは高等学校等を中退した後に、再び学び直すという方への支援ということですけれども、改めて、この事業における趣旨や概要などを御確認いたします。
〇古川予算財務課長 学び直しへの支援制度につきましては、授業料相当額を支援する国の制度の一つでございまして、まず、平成26年に導入されました高等学校等就学支援金によりまして、保護者等の収入が一定の基準未満となる場合に、全日制高校であれば3年間の36月分、生徒の授業料に直接充当しているものでございます。
 御質問の学び直しへの支援制度は、さまざまな事情により高校を中途退学した後、再び高校に入学して学び直す場合に、例えば、全日制高校であれば3年、36月の就学支援金に加えまして、最長1年間の12月分、通算で4年間の48月分の授業料を支援する制度となってございます。
〇はぎの幸弘委員 私も高校の授業料無償化というのをうっかり忘れていまして、なるほど、あの件かと思い出したわけですけれども、いただいた資料では、補助対象見積もり、いわゆる事業費の見込み数で、令和5年度は20名に対して令和6年度43名ということで、倍以上に見込んでいるわけですけれども、今、少子化とかやっている中で、対象者がふえる見込みでやっているのか、同じレベルでもいいと思うのですけれども、その辺はどういった積算根拠なのでしょうか。
〇古川予算財務課長 今、御紹介いただきましたとおり、令和5年度の支援対象実績は、現在、20名となっているところでございます。
 令和6年度におきましては、43名を見込んでおりますが、これはこれまでの支援実績を踏まえまして、また、予測がなかなか難しいといったところもございまして、年度途中で予算が不足することのないよう、これまでの最大値で計上させていただいているものでございます。
〇はぎの幸弘委員 わかりました。その辺もしっかり予算の欠けることのないように、よろしくお願いしたいと思います。
 午前中の文化スポーツ部の質疑の際にお話ししておりました地域スポーツ活動体制整備事業費及び地域文化芸術活動体制整備事業費についてですが、対象が中学校ということに限定しているようですけれども、私とすれば、部活動のサポートというのは、高校でも必要なのではないか。まして、県教育委員会ですから、高校こそメーンではないかと思うのですけれども、高校は予算としては入っていないのでしょうか。
〇菊池保健体育課首席指導主事兼総括課長 少子化が進展する中、特に中学校につきましては、生徒数の減少等により学校単位での部活動運営が困難な状況にあることや、学校外のスポーツ文化活動に取り組む中学生が見られるなど活動が多様化しており、学校の部活動だけで中学生のニーズに応えることが困難な状況にあることから、全国的に地域クラブ活動への移行に向けた取り組みを進めているところでございます。
 国のガイドラインでは、高等学校については、義務教育終了後に多様な教育活動が行われている状況を踏まえつつ、学校等の実情に応じて学校部活動の改革に取り組むことが望ましいと言われております。
 本県の高等学校における部活動改革の取り組みとしては、平成30年度から地域人材を部活動指導員として任用いたしまして、令和5年度の配置状況は46校に102名となっております。導入開始から着実に配置数をふやしているところです。
 地域クラブ活動への移行については、国においては、令和5年度から7年度までを改革推進期間と位置づけ、公立中学校における部活動の地域クラブ活動への移行に、まずは休日から取り組むこととしていることから、本県においても、中学校から取り組みを進めていきたいと考えております。
〇はぎの幸弘委員 ということは、高校では既にスポーツも文化系もある程度進んでいるという理解でよろしいですか。
〇菊池保健体育課首席指導主事兼総括課長 地域クラブ活動につきましては、現在においても、例えばスイミングなどは、学校の部活に所属したり、または所属していない者が地域のスイミングスクールに通いながら活動しているという状況でございます。
 中学校におきましても、高校におきましても、今からスタートということではなく、個人的には進めている生徒もいるというのが実情でございまして、それを県全体、全国で進めていくというようなものでございます。
〇はぎの幸弘委員 こちらも質問の内容と答弁がかみ合っていないなと思うのですが、地域の部活動と言いますけれども、私がイメージしているのは、中学校も高校も部活動、私の息子も野球部でしたけれども、先生はいつ休んでいるのだろうと思うくらい、土日も遠征だ何だかんだと、父母会も一緒についていくわけで父母も休みがないのですけれども、それではなかなか大変ではないかということで、そういうことが改革されるための事業なのかと思ったのですが、そうではないのですか。
〇菊池保健体育課首席指導主事兼総括課長 部活動改革といたしまして、ただいま御指摘のありました教員の働き方改革とあわせまして、子供たちの多様なニーズに応じた活動機会を創出するというものでございます。さまざまな生徒の興味、関心に応じた活動機会をつくっていくということがまず一つ、求められるところでありまして、それを受けて、そういう環境のもと、土日の活動については、地域の生徒を育てるというもと、進めていくものです。
 まずは中学校から今現在は進めているところではございますけれども、今後につきましては、高校について、未定ではございますけれども、部活動改革の流れで、高校につきましても今後検討されるものであると想定されているところでございます。
〇畠山茂委員 私から7項目予定していましたけれども、結構重複しているので、重複していないところだけお聞きしますので、よろしくお願いします。
 それでは初めに、確かな学力育成加速化事業600万円についてお聞きします。
 先ほど来、お話の中で、学力向上にはDX、あるいはタブレットの活用が取り上げられておりました。今回の新規事業では、デジタル教科書等を活用した授業改善や家庭学習を支援するとあります。紙からタブレットに変わっていく時代になるのだろうと思いますけれども、まずお聞きしたいのは、県内でのデジタル教科書の活用状況と、もし活用している学校があるのであれば、どのような効果が今、出ているのか、あわせてお伺いをいたします。
〇武藤首席指導主事兼義務教育課長 デジタル教科書の活用状況でございますけれども、今年度、文部科学省の学びの保障・充実のための学習者用デジタル教科書実証事業により、小学校5、6年生の外国語と、中学校全学年の英語のデジタル教科書が全ての小中学校に配布されております。また、小学校5、6年生の算数と中学校全学年の数学のデジタル教科書が、県内約半数の小中学校に配布されております。
 今年度、県で実施いたしました教育課程編成・実施状況調査によりますと、デジタル教科書を活用していると回答した学校の割合は、小学校で84.8%、中学校で90.3%となり、令和3年度調査に比べまして、小学校は33.4ポイント、中学校は41.6ポイントと大きく上昇いたしました。各学校で先生方が紙の教科書と併用しながらデジタル教科書の活用を試み、指導に生かしている結果がつながっていると捉えております。
 具体的に、デジタル教科書を活用した効果といたしましては、英語では、ネイティブスピーカーが話す音声を子供たちが各自の習熟度に合わせて再生速度を変えたり、特定箇所を繰り返し再生したりできるなど、個別最適な学びにつながっています。算数、数学においても、図やグラフなどを子供たちが動かしながら動的に観察し、理解を促進するツールとして活用されております。
 令和6年度からは、小学校外国語と中学校英語のデジタル教科書が紙の教科書とあわせて導入されることとなっております。
〇畠山茂委員 理解しました。県議会と同じように、まだデジタル化とペーパーと併用して利用しているということで、いずれデジタルの時代が来ると思うので、これからも見ていきたいと思います。
 次の質問に移ります。防災教育についてです。
 2月25日の岩手日報記事ですけれども、県内の公立50校の小中高の児童生徒にアンケート調査を行い、津波てんでんこの意味がわからないという回答が64.4%に上っております。また、内陸地域と沿岸地域でも開きが見られたということです。
 将来発生が予想される日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震を授業で取り上げた職員は18.7%と、私の印象では東日本大震災津波に関することを中心に今、防災学習をしているのかとは思いますが、いずれ、1月の能登半島地震からも、いつどこで災害が起こるかわからないので、備えと教訓の伝承は必要と考えます。防災教育にしっかり取り組んでほしいわけですけれども、県内の小中高の学校の取り組み状況をお伺いいたします。
〇多田首席指導主事兼産業・復興教育課長 防災教育につきましては、いわての復興教育プログラムに基づき、東日本大震災津波の教訓を踏まえ、児童生徒がみずから命を守り抜こうとする主体的に行動する態度を育成するよう、学校、家庭、地域、関係機関と連携をとりながら県内全ての学校で取り組んでおります。
 各学校では、学校防災アドバイザーを活用した防災教室や児童生徒による防災ハザードマップの制作など、学校や地域の実情に合わせ、懸念される災害リスクへの対策を継続的に進めております。
 県教育委員会としましては、今後予想される日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震等を踏まえ、県防災教育研修会や復興教育研修会の内容を精選し、教職員の防災に関する専門性の向上を図るとともに、全ての学校において充実した防災教育を実施し、児童生徒の安全に関する資質、能力の育成を図ってまいります。
〇畠山茂委員 取り組んでいるというふうに認識しましたけれども、教育委員会であわせてお聞きしたいのは、各市町村では学ぶ防災というのも沿岸地域では取り組んでいたり、あるいは、復興の話になると、教育旅行にどんどん取り組んでいこうと議会の中で話が出てくるのですけれども、こういった取り組みというのは、県内の小中高では取り組んでいるのか、把握はなさっておられますでしょうか。
〇多田首席指導主事兼産業・復興教育課長 県といたしましては、いわての復興教育スクールの推進校というのを設定しておりまして、そういったところでは積極的に取り組んでいるところでございますが、各学校独自にどういった内容に取り組んでいるかというところまでは、全て把握してはいないところでございます。
〇畠山茂委員 ぜひ、沿岸地域の学ぶ防災であったり、教育旅行で沿岸地域のいろいろな施設を訪れて、全県の学校で取り組んでもらうと、いろいろな意味で経済効果があると思いますし、教訓の伝承にもなると思いますので、それもぜひよろしくお願いしたいと思います。
 次の質問に移ります。部活動の地域移行についてです。
 先ほど来も触れられていまして、午前中のやりとりの中では、主導的にやるのは市町村だというような説明でございました。私がここで聞きたいのは教育委員会の部分で、先ほど来も出ていましたけれども、中学校の部活動は少子化で希望した部活動ができなかったり、合同チームでの大会参加になってしまったり、あるいは、部活動をしたいがために遠くの学校へ入学するなど、環境が大きく今、変わってきていると思います。そういった意味で、部活動の地域移行は理解します。
 ここでお聞きしたいのは、部活動の地域移行に伴って、いろいろな大会参加の資格のあり方です。スポーツクラブとか学校単位での参加が混在すると、競技団体によっては力の偏りが出てきて、トラブルやハレーションもあると聞きます。そこで、大会参加資格のあり方について、例えば、県大会、全国大会など、そういった大会資格の整理は進んでいるのかお伺いしたいと思います。
〇菊池保健体育課首席指導主事兼総括課長 大会参加資格のあり方についてでございますけれども、中学校体育連盟主催の大会参加の見直しにつきましては、学校部活動と地域クラブ活動の両方に対し、公平、公正な大会参加機会を確保する観点から、日本中学校体育連盟は、令和5年度から地域クラブ活動に参加する中学生の全国中学校体育大会への参加を認めております。
 これを受けまして、県中学校体育連盟は、令和5年2月に、中学校総合体育大会の参加要件について示したところです。
 具体的には、各競技団体に登録し、日常的な活動が指導者資格を有する指導者のもとで適切に行われていること。国が発出したガイドラインにおける新たな地域クラブ活動に示された適切な休養日等の設定を遵守すること。県中体連の活動を理解し、大会運営等に協力すること。同一地区の学校に在籍する生徒のみでチーム編成をすることなどとしているところでございます。
 県教育委員会では、県中学校体育連盟と随時情報共有しており、必要に応じて助言をしていく考えでございます。
〇畠山茂委員 競技によってもさまざまあるとは思うのですが、一定のルールは設定されていると理解いたしました。
 それでは、最後の質問に移りたいと思います。不登校対策強化事業についてです。これも先ほど来、吉田敬子委員、佐々木朋和委員も触れていますので、重複しないところでお伺いしたいと思います。
 先ほど来もお話になっているとおり、県内の不登校児童生徒は、昨年度は2、588人と過去最多で増加傾向にあります。そういった中で、4割の不登校児童生徒が文部科学省の調査では専門機関に相談できない状況にあるということで、さまざまな教育の場、あるいは居場所づくり、相談支援体制はこれからも努めていただきたいと思います。
 そこで、私が危惧しているのは、最近、高校の通信制の生徒が増加傾向にあるということです。学びの保障という面では理解をしますが、在籍中に教育委員会の目が届いているのか、あるいは、卒業後に向けたフォロー体制ができているのか、教育委員会の通信制の生徒の増加に対する認識と生徒指導の把握状況についてお伺いしたいと思います。
 あわせて、不登校児童生徒の5年後のアンケート調査では、進学や就職もせず、ひきこもりやニート、生活困窮などにつながるケースもあるとしています。教育委員会と保健福祉部とが連携して、切れ目のない支援をお願いしたいと思いますが、支援体制や連携状況はどのようになっているのか、お伺いしたいと思います。
〇千田首席指導主事兼生徒指導課長 通信制の生徒の増加に対する認識でございますが、文部科学省が実施する学校基本調査によると、全国の公立、私立の通信制課程に通学する生徒は増加傾向にあり、通信制は学習時間や方法等をみずから選択して自分のペースで学ぶことができることから、多様な生徒に対して教育機会を提供することができ、通信制を選択する生徒が増加していると認識しております。
 また、通信制高校における卒業後に向けたフォロー体制についてでございますが、県立学校においては、定期的なスクーリングなどを通じて、生徒が希望する進路の実現に向けて、入学時から卒業時までを見通した計画的なキャリア教育や進路指導などにより、適切な指導や支援が行われていると認識しております。
 また、不登校児童生徒の支援体制や連携状況についてでございますが、保健福祉部で設置しております医療、保健、福祉、教育、就労、若者支援に係る関係機関等で構成する、岩手県ひきこもり対策連絡協議会において、各関係機関の支援の取り組み状況を共有するなど、連携を図っているところでございます。
〇畠山茂委員 わかりました。いずれ、高校生の通信制というのは公立も民間もあって、日中の高校に通えない子供たちの受け皿には確かになっているとは思いますけれども、さまざま難しいところもあるのではないかと思うので、これからも私も勉強して、何か提言をしていきたいと思います。
〇鈴木あきこ委員 よろしくお願いいたします。
 私からの質問は、まず1点でございます。文化財保護事業費について伺います。
 前年比に比べ増額となりまして、9、942万円、大体1億円となっておりますが、1億円の項目を全部というわけではありません。どのように使われるか、大きなくくりのところで伺います。
 また、それが国のものであれば何分の何とか、県であれば何分の何というところまで教えてください。
〇佐藤首席指導主事兼社会教育主事補兼文化財課長 文化財保護事業費でございますが、指定文化財の所有者等が、その価値の維持、周知など、文化財の適正な保存及び活用を行う際に補助を行うものでございます。
 令和6年度におきましては、史跡等において、見学のための園路でありますとか看板の設置、あるいは、いわゆる遺構の保護のための盛土の工事、こういった整備を行う指定史跡等総合活用整備事業に8件、指定史跡地の保存のために土地の買い上げを行います指定史跡等購入事業に1件、それから、建造物や美術工芸品の修理等や、火災、地震など災害への対策を行う指定有形文化財修理・防災事業に11件、それから、県内に伝承されている無形の民俗文化財の記録の作成を行う無形民俗文化財記録作成事業に1件、合計で21件に対して補助を行う予定です。
 補助率につきましては、基本的に、国の指定のものについては国が2分の1の補助をしております。県の指定の文化財につきましては、県で2分の1の補助をしております。
〇鈴木あきこ委員 国、県からの補助率が2分の1というところをちょっと頭に入れながら、進めてまいりたいと思います。
 岩手県内には有形、そして無形文化財がたくさんあります。その維持管理は非常に大変だということは私も感じております。ただ、中尊寺金色堂を初め歴史的な宝物がたくさんある岩手県、黄金の國いわてを守っていけるよう、これからも取り組んでいただきたいと思っております。
 しかし、その中でも、平泉の世界遺産のように光が当たる歴史、文化財があれば、一方、盛岡市にある志波城におきましては、国の指定史跡になっているにもかかわらず、文化庁からいろいろ条件はありますが、2分の1の補助制度を使えるかもしれないのに2分の1の資金の調達ができない。また、さまざまな要因が重なり、日本で一番長い塀、一辺が840メートルの築地塀と、そこにあるやぐらが修復をしなければならないという状況になっております。
 しかし、先ほど述べましたような理由から、維持管理がついにできなくなっております。このことに対して、教育委員会の所見をお伺いしたいと思います。
〇佐藤首席指導主事兼社会教育主事補兼文化財課長 国指定史跡志波城跡の維持管理についてということでございますけれども、国指定史跡の整備等に係る事業につきましては、所有者や管理者がその内容を国と調整しつつ、国の補助金などを活用しながら、保存と活用に向けた整備を進めることとなっております。
 志波城跡につきましては、発掘調査によって明らかとなりました当時の政庁の跡でありますとか門跡といったものが復元されておりますが、整備から20年以上経過しておりまして、老朽化に伴う対応が必要になっているということは承知をしているところでございます。
 今後の維持管理につきましては、所有者である盛岡市がこれまでの文化財保護の取り組みの実績でありますとか、地域住民の意向などを十分踏まえ、計画的に実施することが重要であると考えております。
 なお、維持管理や修理等に係る資金調達の方法につきましては、補助金のみならず、クラウドファンディングなど多様な方法を検討することも必要と考えており、国においても多様な資金調達の方法を推奨し、ハンドブックを作成するなど周知を図っているところでございます。
 県教育委員会といたしましては、引き続き、国との調整や文化財保護に関する研修会などを通じまして情報提供に努め、支援を図ってまいりたいと考えております。
〇鈴木あきこ委員 先日訪ねてきたのですが、やはりクラウドファンディング等の方法も考えているということでございました。また、いろいろレクチャーしていただいて、国のものは国、県のものは県、市町村のものは市町村がという壁があるのだということもよくわかりました。その壁を超えていろいろやるというのは難しいということを改めてこのたび感じております。
 志波城については今のような複雑な理由がありまして困難となっておりますが、これから新たに史跡等大きなものが指定されるときには、県からも管理者がきちんとしているとか、その先何十年たって、志波城のようにならないようにと言うと、志波城のために頑張ってくれた方に失礼に当たるかと思いますが、未来の方が困らないような指導とか助言をしていただきたいと思っております。
 また、史跡、郷土芸能を含め、岩手県人の先人の暮らし、また、文化、歴史を知るものでございます。貴重な文化財ですので、今後もサポートしていただきたいと思っておりますので、その点もよろしくお願いいたします。
 では、次にまいります。2番目に、県の無形民俗文化財について伺います。
 現在、岩手県の無形民俗文化財に指定されているものは何件ほどあるか、伺います。
〇佐藤首席指導主事兼社会教育主事補兼文化財課長 岩手県無形民俗文化財の指定件数についてでございますが、令和6年3月1日現在、県指定文化財は全部で405件ございますが、このうち無形民俗文化財の指定は42件となっております。
〇鈴木あきこ委員 ごめんなさい、もう一つ聞くのを忘れてしまいましたが、県の指定無形民俗文化財、郷土芸能等で休止をしている団体はありますでしょうか。
〇佐藤首席指導主事兼社会教育主事補兼文化財課長 指定になっている無形民俗文化財で休止になっているものは、ないものと承知しております。
〇鈴木あきこ委員 県の無形民俗文化財は休止がないと聞いて、ほっとしておりますが、盛岡市においては、54団体中13団体がただいま休止状態になっております。これは、全県を考えていくと大変大きな数の団体が休止していることが予想されます。私はその状況に大変危惧しているところでございます。
 また、記憶に新しい黒石寺の蘇民祭がことしで終了となりました。これを管理している側がやめますと言ってしまえば、もうそれ以上、県も誰も何も言えなくなくところではございますが、そんな中で、県の文化財に盛岡八幡宮の山車行事、そして、山田町の神幸行事が新たに指定になりました。
 そこで伺います。既に指定された団体から、後継者不足、あるいは道具の修理、衣装の新調等のための資金の調達とかその方法とかの相談は、県の教育委員会に相談はありましたでしょうか。
〇佐藤首席指導主事兼社会教育主事補兼文化財課長 後継者不足や道具の修理、衣装の新調等のための資金調達方法への相談についてでございますが、令和5年度におきましては、文化財の指定、未指定にかかわらず、無形民俗文化財に関する道具の修理や衣装の新調などへの相談は、市町村の文化財部局を通じて、4市1町から延べ5件の相談があったところでございます。
 国指定の文化財につきましては、国庫補助事業の活用を、そして、それ以外の文化財につきましては、民間の助成金などが活用できることをお伝えしているところでございます。
〇鈴木あきこ委員 団体の皆様から言われるのは、市町村の指定だと市町村の教育委員会に相談に行くのはすごく行きやすいのだけれども、県となると、市のほうに行っていいのか、県のほうに行っていいのか迷うというお話をよく聞きます。もし可能であれば、県の指定しているものは県の教育委員会に相談に来てもいいですという窓口があると、芸能を守っている人たちも大変気が楽になるというか、安心するのではないかと思います。
 あともう一つ、言われているのですが、岩手県文化振興事業団から、申請すると補助をいただけるという制度があるのですが、申請するに当たって、お願いすると到着して約10日後には見積もりから何から提出しないとならない状況で間に合わない。前もって調べておくのですが、今のように物価高騰で日々いろいろなものの価格が変わっていく中で、前もって見積もりして出すと、いや、実は違ったということになるのは困るので、また、装束とか幕というのは、それぞれの団体でそれぞれのものがありますので、そういう見積もりを取るのがすごく時間がかかるのに、10日間しか猶予がないところがすごく困っているということでした。
 そのために、最終的には古いもので我慢する、また、自分たちがちょっとお金があったらそれをためて、自分たちで買おうというような状況になっております。文化を守るところもそうですし、その窓口と文化振興事業団のところの機関についてはいかがか、最後に質問させていただきます。
〇佐藤首席指導主事兼社会教育主事補兼文化財課長 県教育委員会といたしましても、無形民俗文化財の持つ価値について、今、鈴木あきこ委員から御紹介のありましたような関係機関でありますとか、庁内の関係部局とも連携をしながら、一層の周知を図るとともに、そういったものの歴史的な背景などもあわせて伝えることによって、より多くの方々に興味、関心を持っていただけるよう取り組んでまいりたいと考えております。
〇城内愛彦委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
   午後6時9分 休 憩
午後6時31分再開
〇城内愛彦委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇松本雄士委員 私からはまず、豊かな人間性と社会性の育成、徳育についてお伺いいたします。
 多様性を認め、他者を尊重し、思いやりの心を育み、そして自分の目標に向かっていく、そういった児童を育てる教育を進めるために、県として多様な教育活動と関連づけたカリキュラムの編成や教員の指導力向上に向けた教育研修に取り組むとありますが、どのような取り組みを進めていくのかお伺いいたします。
〇武藤首席指導主事兼義務教育課長 豊かな人間性と社会性を育むための具体的なカリキュラム編成について御説明申し上げます。
 各学校では、児童生徒の実態に応じてカリキュラムを工夫しながら、学校教育全体を通じて道徳教育や人権教育に取り組んでおります。
 県教育委員会では、研究指定校を指定いたしまして、各学校がカリキュラムを編成する際の参考となる事例の創出に取り組んでおります。
 その具体的な事例といたしまして、道徳教育においては、奥州市立佐倉河小学校での、子どもたちのよりよいポジティブな行動支援を学校全体で取り組むシステムや、宮古市立田老第一中学校での、郷土の伝統と文化の尊重、郷土を愛する態度を重点とした各指導計画の改善や充実した体験活動の取り組みなど、さまざまな工夫が行われているところでございます。
 さらに、県では、県内の事例をまとめました、いわて道徳教育ガイドブック増補版を発行することにより、各学校に周知を図ることとしております。
 また、人権教育では、花巻市立花巻北中学校が、生徒会が中心となって人権や人権擁護に関する知的理解の向上や人権感覚の醸成を目指して、地域の障がい者施設や国際交流協会、アイヌにゆかりのある人々と交流しています。実践の成果については、人権教育啓発リーフレットにまとめ、周知を図ることとしております。
 今後も、研究指定校への指導、支援と、その研究成果の波及を通して、各学校におけるカリキュラム編成に基づく実践が充実するよう支援してまいりたいと思います。
〇松本雄士委員 各学校が工夫して取り組んでいる、画一的でなくて、いろいろな状況に応じて、実情に応じて取り組んでいくということが大切なのだと私も思います。
 そういった中で、徳育のところに関しましては、幸福関連指標を置いてしっかりと取り組んで、そこにおいては、自己肯定感を育むということを目標に取り組んでいるところであります。目標に対しては未達でありますけれども、数字に一喜一憂することなく、自己肯定感の育成というところはしっかり取り組んでいかなければならないと思っております。
 最近の若い方々のアンケートを見ますと、結婚したくないとか、子供を産みたくないとか、そういったところの人口減対策の本質も徳育、自己肯定感の育成というところにあるのではないのかと私は考えております。
 ただし、それには今、御説明があったとおり、画一的な指導とかプログラムがあるわけではなくて、いろいろ工夫を皆さん考えながらやっていかないとならない。
 そこにおいて大切なのは、自己肯定感の育成であったり道徳教育の大切さというところをしっかり認識して向き合う。今、現場では当然やられていると思うのですけれども、さらにそこにしっかり向き合うためにも、特にも先生方にはそのことに向き合う、考える機会の確保、そういった時間をもっとつくっていただきたいと考える次第であります。
 そういった中で、予算として指導運営費、道徳教育の推進費というのが措置されておりますけれども、この活用、どういった範囲、どういった内容、研修会などだと思うのですけれども、その範囲、回数、対象人数についてお伺いいたします。
〇武藤首席指導主事兼義務教育課長 道徳教育推進事業についてでありますけれども、国費10分の10で実施しております。
 内容といたしましては、実践上の課題について協議を行い、各学校の一層の道徳教育の充実につなげることを目的とした道徳教育パワーアップ研究協議会を行っております。二つ目は、県内2地区でのモデル事業の提案と研究協議より、道徳科の趣旨を踏まえた授業改善につなげる授業力ブラッシュアップ研修会、三つ目は、先ほど申し上げました、研究指定校の実践発表や講演、シンポジウムをもとに学習指導要領の趣旨の理解を深める豊かな心を育む道徳教育シンポジウム、四つ目は、ワークショップ形式で授業づくりを学び、授業力向上につなげる道徳科授業づくり研修会、延べ5回の研修会を実施しております。
 この成果指標といたしましては、これらの研修への教職員の参加人数を130名と設定し、今年度はこの数を達成できているということで、研修者の参加人数を指標として評価しております。
〇松本雄士委員 130人がまずその対象ということであります。学校の先生、小学校、中学校の教諭の方、校長先生とかそれ以外の方を含めるともっと多いのですけれども、教諭の方で大体5、300人ぐらいいらっしゃるかと思うのですが、5、300人に対して130人という目標、もっとふやしていっていただきたい、そういった機会を確保していただきたいと思うわけでございますが、この130人の方は、学んだ後にそれを持ち帰って現場でそれを伝達するとか、そういった機会はあるのでしょうか。
〇武藤首席指導主事兼義務教育課長 研修を受講した先生方は、もちろん校内での研修内容の伝講を行っていただき、研修内容について、全職員で共通理解を図る場を設けていただくように働きかけを実際にお願いしているところでございます。
 この授業につきましては、平成25年度から取り組んでおりまして、いわゆる先生方が忙しい中でも可能な限り参加していただけるように、そして、豊かな心や人間性を育めるように、継続してずっと取り組んできている授業でございます。
 来年度も引き続き、授業の内容については、先ほど申し上げた内容をしっかりと保障しながら進めていく計画になっております。
〇松本雄士委員 先ほど説明の中で2地区でとございましたけれども、どの地区で、また、その地区の拡大みたいなことを予定されているか、お伺いいたします。
〇武藤首席指導主事兼義務教育課長 今年度は、県南教育事務所と県北教育事務所の2地区で開催いたしました。先ほども申し上げましたが、国庫10分の10という事業を活用して進めているものでございますので、これにつきましては、3年間で6教育事務所で開催できるようにローテーションを組んで、県内にバランスの不均衡が起こらないような形で進めております。
〇松本雄士委員 他方、先生方の働き方改革、負担軽減というものにもしっかり取り組んでいかなければならないわけであります。この件につきましては、これまでいろいろやりとりがあるわけですけれども、何点か聞きたいのですが、今、導入が予定されている統合型校務支援システム、令和6年4月から11市町村が入って、令和8年から全部統一的にと伺っております。この統合型校務支援システムの導入によって、どの程度負担軽減が図られるのかお伺いいたします。
〇西野教育企画室長兼教育企画推進監 ことしの4月から導入になるため、現時点での本システムに関する評価、測定に関してお答えすることは難しいのですが、他道県の状況といたしましては、この導入によりまして、例えば、学級担任1人当たり年間平均で大体120時間弱の削減効果があった事例でありますとか、副校長で、年間230時間弱の削減効果があったという事例も公表されておりまして、そのようなものを期待しているところです。
〇松本雄士委員 かなりの削減になるという印象でありまして、そのとおり進んでいただければ、1日10時間、本来8時間労働で考えても10日以上の、副校長においてはもっと削減になるということで、非常にその効果に期待するところが大きいわけであります。
 次に、令和6年度予算案において、教員業務支援員が7名から45名に増員、学習指導員が配置されるということでありますけれども、この配置の基準につきましては、どうなっているか伺います。
〇大森教職員課総括課長 教員業務支援員と学習指導員の配置基準でございますが、まず、前提といたしまして、国庫補助金の交付要件といたしまして、タイムカード等による客観的な在校等時間の把握や在校等時間の上限を各市町村の規則等に反映することなどが定められています。その上で、教員業務支援員、いわゆるスクールサポートスタッフでございますが、これにつきましては、小中学校にあっては、学校規模が大きいほど時間外在校等時間が多い傾向が見られますことから、本県では12学級以上の中規模以上の小中学校の中から、市町村教育委員会の意見も踏まえまして配置校を決定することとしており、また、特別支援学校にあっては、業務改善や時間外在校等時間の削減に積極的に取り組もうとする学校に配置する予定としております。
 また、学習指導員につきましては、児童生徒の実態や教職員の人数構成等を踏まえて配置校を選定しておりますが、児童一人一人にきめ細やかな支援を行うために、小学校に配置するすこやかサポート30人につきましては、児童数が30人を超える学級を有する学校の中から、また、生徒の学校生活の安定と充実を図るために中学校に配置する学校生活サポート30人につきましては、不登校や別室登校の生徒が多いなど課題を抱える学校の中から、それぞれ市町村教育委員会の意見を踏まえて配置校を決定することとしております。
〇松本雄士委員 重要度、優先度、規模であったり、時間が多いところを見極めて支援していただけるということで、その効果も期待するところであります。いろいろ支援システムであったり支援員の方々で削減になったところは、先ほどの道徳教育のところであったり、また、今、いろいろ時代の変化で求められているICTの活用のところであったり、先生のワーク・ライフ・バランスをしっかり確保するのが大前提でありますけれども、そういうところにどんどん振り向けていただきたいと思う次第であります。
 続いて、特別支援学校への通学支援について伺います。
 私も特別支援学校に通うお子さんを持たれる御家族からいろいろと相談を受けるわけでありますけれども、今現在、県立の特別支援学校に約1、400名ほどのお子さんが通っていて、寄宿舎には1、400名のうち190名ぐらいが入っていらっしゃる。そうすると、それ以外の1、200名ぐらいの方がどうにかして通っているということでありますけれども、特別支援学校への通学実態についての調査はなされているかどうか、お伺いいたします。
〇最上首席指導主事兼特別支援教育課長 特別支援学校への通学の実態についてですが、今年度の県立特別支援学校の状況を確認したところ、保護者の送迎が44%、通学バスの利用が17%、公共交通機関等を利用した自力での通学が9%、福祉機関のサービス等を利用した通学が7%、そのほか、寄宿舎や施設などから通っている生徒が23%となっております。
〇松本雄士委員 そういったデータがある。保護者の方が44%と半数近くいらっしゃるといった状態になっているというところで、実態の調査のほかに、こういった方々の声を拾うといったこともされているのでしょうか。
〇最上首席指導主事兼特別支援教育課長 保護者の声についてですが、県内の特別支援学校でPTA連合会という組織がございます。その組織において、毎年、各学校からの要望を整理した上で、県教育委員会に提出してもらっているという流れはあります。
〇松本雄士委員 実態と声も拾っているというところで、保護者の方の、今、何に困っているかということは把握されているかと思います。障がいの種類によって、みんながみんな、今の報告の中でも自立で通学されているお子さんもいるということでありましたけれども、特別支援学校というのは県内に余り多くなくて、そして、受け入れの時間帯もかなり制限されているというのがあります。そうしますと、保護者の方が自分の働きを制限するか、場合によっては、中等部から高等部に行くときに、かなり遠いところに行くということで、仕事をやめざるを得ないかなといった相談まで受けております。その辺の特別支援の通学支援について、今現在の県の考えをお伺いいたします。
〇最上首席指導主事兼特別支援教育課長 登校時間を早めることであったり、朝、子供を預かってほしいという通学支援を含めたそういった要望があることは承知しているところでございます。児童生徒の実態がさまざまであることを踏まえ、それから、安全に登校すること、あるいは、学校に登校した後の安全を第一に考えながら、教職員の勤務時間、勤務体制など、校内支援体制を整えることについて、学校と連携を図りながら、さまざま検討、確認をしていきたいと考えているところです。
〇松本雄士委員 その中でも、特にも医療的ケア児とか看護ケアが必要なお子さんの送迎が本当に大変だと。今々どうにかしてくれないかといった声をいただくのですけれども、医療的ケア児とか、看護ケアが必要な子供の送迎について、もう一段考えているところがあればお伺いいたします。
〇最上首席指導主事兼特別支援教育課長 医療的ケアなどケアが必要な子供の送迎についてでございますが、県立特別支援学校で医療的ケアを必要としている児童生徒は、現在51名在籍しております。医療的ケア児の安全確保のため、保護者のつき添いのもと通学をお願いしているところでございます。
 これは、現在の医療的ケアの現状としまして、看護職員の確保が全県的な課題となっており、日中の学校生活における医療的ケア実施のための看護職員の確保も難しい状況となっておりますので、保護者に送迎を依頼せざるを得ないという理由となっております。
 今後につきましては、児童生徒一人一人の医療的ケアの内容、長時間乗車による負担、送迎車両へ乗車可能な看護職員の確保、緊急時の対応など、保健福祉関係機関等とも調整を図りながら、慎重に対応していきたいと考えているところです。
〇松本雄士委員 医療的ケア児の送迎には、まずもって運転士の確保も今、大変なのですけれども、看護師の確保がそもそもの医療現場で確保できていないのに送迎用にというのは本当に難しいというのは重々承知しております。ただ、保護者の方はちょうど働き盛りで、保護者の方の就労確保、維持ということ、また、レスパイト、休息のためにも、今、お話しいただいた手配であるとか検討を進めていただきたいとお願いいたします。
〇村上秀紀委員 私からは、教員の働き方改革について質問いたします。
 このたび、きのう行われました高校入試に関して、それを例にとって質問してまいりたいと思うのですが、まず、県の人口の20歳から60歳はおおよそ52万人ほど、そして、県採用の職員は1万9、000人、うち教員が1万2、000人。33の市町村職員を全部足しておよそ1万人。もしこの足し算が間違っていたら後で御指摘いただきたいと思うのですが、いずれ働く世代の2.3%、県採用職員の半分以上、市町村全体の職員数をも超える教員の働き方改革によってワーク・ライフ・バランスが改善し、県の出生率の向上に大きく寄与するものと考えまして、質問いたします。
 また、今からお話しすることは、私と同世代か、それより若い現役の教員方にとっては、日ごろの率直な疑問でありながらも、なかなかアンケートにはあらわれにくい部分を聞き取りした上で質問してまいりたいと存じます。
 まず、繰り返しになりますが、きのう行われました令和6年の県立高校入試では、コロナ禍によって3年間見合わせていた一般入試の面接試験を再開いたしました。令和7年からは制度が変わり、面接試験は一律に実施することはせず、各高校が必要に応じて実施することとし、現段階では一般入試全体のおよそ23%が実施する予定としております。
 これまで3年間、面接試験が行われなかった期間、生徒及び教員に対して、きっと弊害があったからこそ再開されたのだと存じますが、この再開に至った理由をお聞かせください。
〇中村首席指導主事兼高校教育課長 令和6年度入試で面接を再開した理由についてでございますけれども、現行の県立高校入試制度は、一般入試で全受験者に対して面接を実施するといった制度で実施しているところではありますが、新型コロナウイルス感染症への対応として、令和2年度入試から令和5年度入試までの3年間はその対応ということで、一般入試での面接を実施しませんでした。
 令和5年5月に新型コロナウイルス感染症が感染症法上の5類感染症に移行したことを受けて、令和6年度入試では、現行制度である面接を実施するということにしたところでございます。本来の制度に従って、今回、入試を実施したことになります。
〇村上秀紀委員 では、行わなかった3年間で、特に弊害というのはなかったということでよろしいでしょうか。
〇中村首席指導主事兼高校教育課長 令和2年度入試から令和5年度入試に合格した生徒について、新型コロナウイルス感染症により学校行事等を通常どおり行うことができなかった時期でもございますので、面接を行わなかったことのみの影響、そういったことは正確に把握はしておりませんけれども、一部の高等学校からは、面接を実施したほうが生徒の個々の状況を把握し、入学後の指導や支援に生かすことができるといった声もございました。
〇村上秀紀委員 今度、令和7年からそれぞれの学校が判断できるという中で、先ほど申し上げましたとおり、23%が実施すると。ただ、その学校を見てみると、学校の特色とか特徴ではなく、地域性に偏りがあるなと見受けられました。特に県南地区の一関市を中心としたところでは実施されますけれども、それ以外のところは、そうでもないようにも見受けられるのですが、それぞれの実施するという決断に至るまでは、どのような形で行われているのでしょうか。
〇中村首席指導主事兼高校教育課長 学校の求める生徒像等に沿って、各学校で実施については判断していただいているところではございますが、比較的小規模校では、受験者が少ないという関係もあって、個人にしっかり面接して、その生徒の高校生活の意欲とか、そういったことをしっかり把握したいという考えもあって、面接を実施しているといったことになっているかと思っております。
〇村上秀紀委員 では、たまたま地域が偏ったということですね。
 今のところで、面接試験の内容、実際に行っている中学校の教員、あるいは高校の教員に聞いてみると、まず、面接試験の練習に時間を取られます。どのような練習をするかというと、願書に書いてある志望動機をそのままきちんと言えているかどうか、1番はその程度である。また、基準も非常に曖昧であるということでしたけれども、この辺、令和7年度からの面接試験について、どのような明確な判断基準を設けているのか伺いたいです。
〇中村首席指導主事兼高校教育課長 面接の基準ということで、令和7年度以降の入試につきましては、各学校が示す実施概要におきまして、その面接の観点等も示して面接を実施することで、その評価の過程を明確にしていきたいと考えております。
〇村上秀紀委員 次に進みます。
 きょうさまざま皆さんからの質問もありましたけれども、一般入試の志願倍率が1倍に満たない学校、学科における試験実施の必要性について伺いたいと思います。
〇中村首席指導主事兼高校教育課長 志願倍率が1倍に満たない学校における入試の必要性ということでございますけれども、入学者選抜の実施により、中学校で学んできた各教科の基礎的、基本的な知識や技能、そして、これらを活用して問題を解決するための思考力、判断力、表現力等の入学時の生徒の学力を適切に把握したり、また、中学時代の取り組みや志望動機、高校生活への意欲を把握することで、入学後の円滑な指導や支援をつなげていくことができると考えております。
〇村上秀紀委員 それぞれの学校から調査書は届いていると思うのですけれども、その辺は調査書では判断できないのでしょうか。
〇中村首席指導主事兼高校教育課長 調査書からも生徒の取り組み等について把握できる部分もありますが、改めて学力検査、あるいは、面接等を通じて、より具体的な把握を行うということでございます。
〇村上秀紀委員 例えば、県立一関第一高等学校附属中学校から県立一関第一高等学校に入学する際、希望の生徒は入試を行わないそうですけれども、その点はどのようにお考えでしょうか。
〇中村首席指導主事兼高校教育課長 県立一関第一高等学校附属中学校は併設型中学校ということで、ふだんの中学校での取り組みの様子というのは、高校の教員とも具体的な情報共有は可能というところもございまして、また、併設型中学校では選抜を行わないといった制度にもなっておりますので、そういう形で、入試がないという形になっているところでございます。
〇村上秀紀委員 先ほどまでほかの委員からも質問がありましたけれども、今度、統合型校務支援システムということによって、それぞれの子供たちの様子が一元的に管理できるようになると伺っておりますけれども、今後、それが導入されるのであれば、全県共通でありますから、その辺、解消されるような気がするのですが、その辺、いかがでしょうか。
〇中村首席指導主事兼高校教育課長 統一の校務支援システムにより、今後の可能性として、中学校と高校との書類上のやりとりというところは可能にはなっていくかと思います。そういった意味では、情報のやりとりが進むのかと思いますけれども、今の附属中学校ということでございますと、校舎が一緒という環境の中での密な情報共有は可能というところもございまして、いずれ、校務支援システムの導入により書類上のやりとりは非常にスムーズになるとは考えております。
〇村上秀紀委員 それぞれの高校では、入学した時点ですぐにテストを行うと思うのです。そうすれば、その時点での学力ははかれるわけですから、1倍に満たなかった学校の試験が必ず行わなければならないのかなといったら、少し疑問に思ったところでした。
 というのは、試験を実施するということは相当な労力と時間がかかっているはずなのです。例えば、もし試験をしないことによって、これは私の勝手な想像です。ここに行こうとしたら1倍を超えていて試験をしなければならない、こちらだったら満たないからといった志願の分散も図られたりとか、盛岡広域に集中しているものも、もしかしたら地域に分散されるということも考えられる。地域に子供が残るきっかけにもなると、ふと思ったところですし、また、試験をしないことによって直前の学力がはかられないというところは、調査書などで何らかの基準により足切りをすれば済むことではないのかと思うのですが、ただ、その調査書もそれぞれの学校によって不公平感があります。そこに所属する子供たちの数であったり、学力であったり、あとは、判断する先生であったりということで、ここの部分については、また後ほど触れたいと思います。
 次に進みますが、学校教育DX推進事業費がございます。先ほどハクセル美穂子委員が取り組み内容については取り扱っておりました。先ほどもお話ししましたが、統合型校務支援システムを整備するということでしたが、推進の近い先にある入試制度について、今後の方向性について伺いたいのですが、まず一つは、入学願書の提出方法について。もう一つは、選抜方法、学力検査と調査書等のあり方について伺います。
〇中村首席指導主事兼高校教育課長 入試制度の今後の方向性ということでございますけれども、まず、オンラインでの出願につきましては、郵便事故や書類の紛失等による高等学校での願書の受付漏れがなくなるといった利点が考えられます。一方で、通信環境等の事情により出願できない生徒の対応、あるいは、出願システムの利用料金の負担などの課題も考えられるところでございます。今後、既にオンラインでの出願を導入している他県の動向を注視してまいりたいと考えております。
 また、来年度から県内公立中学校に順次導入されることとなっております統一校務支援システムと、各県立高校に導入済みの校務支援システムを連携させることにより、中学校から高校へ、調査書等の出願書類や高校入学後の生徒指導要録の写しを安全で迅速に提出する方法について検討を行っているところでございます。
〇村上秀紀委員 入学願書はオンラインでも提出している他県があるということで、今後検討していきたいと。
 調査書等の話なのですけれども、結局、校務支援システムがあったとしても、それぞれの学校で入力して一元管理される。
 入学願書について、それぞれが郵送で行った場合、それぞれの学校の教員がまたそこで入力をして、それを数人の教員で中身のミスがないかチェックしてという作業があるそうですけれども、いろいろ考えれば、オンラインにすれば何の問題もないのかと思うのですが、前向きに検討していただきたいということと、あと、調査書に関して、先ほど申し上げましたとおり、学校の平均学力等に差がありまして、内申点も担任次第もありますし、不公平感があると思います。例えば今、中学生全員にタブレットを貸与しているわけですから、選抜方法の調査書に関しては、単元ごとの全県共通のテストを3年間通じて実施させて、その積み上げの点数を調査書にすれば、全県公平な点数が出されるのではないかと私は考えています。
 そうすることによって、学校の先生は定期テストをつくる必要がありません。採点も要らないということで、非常に学校の先生の負担軽減につながるのではないかと考えます。それについて、どのようにお考えでしょうか。
〇中村首席指導主事兼高校教育課長 生徒の学習評価につきましては、各学校が学習指導要領に基づいて評価基準を設定して、それに沿って生徒の学習状況等も含めて評価しているというところでございます。そういったことをもとに、調査書の学習の記録がついているものとなっております。
〇村上秀紀委員 そういったところはもちろんしっかりとそれぞれの先生に評価していただくべきところですが、点数に関しては、テストがそれぞれの学校によって全く内容がばらばらです。それについての不公平感について、どのようにお考えでしょうか。
〇中村首席指導主事兼高校教育課長 基本的に、学習指導要領で定められて内容というのは日本全国一律ではございますけれども、実際に扱う教材が地域の特色によっても異なる。基本的な内容は同じですけれども、そういった内容について少し異なっているというところもあり、各学校における評価をしているところでございまして、統一的に評価する、全てが同じということではなくて、学習指導要領をもとに各学校で学習指導計画を立ててやっているというところがございますので、そういった各中学校での評価となっております。
〇村上秀紀委員 では、今の答弁を聞きますと、各学校でテストをつくって、それぞれの学校で評価することが子供たちのためになるということですね。
 私は、きょう、出だしにお話ししたとおり、先生たちの働き方改革について質問しているのですけれども、本当にどちらを選ぶといったら、それぞれの学校でテストをつくって、採点して、評価をしていくというほうが子供たちのためである、先生たちのためであるということなのですね。
〇中村首席指導主事兼高校教育課長 生徒の学習評価ということで、繰り返しということにもなるのですけれども、ベースとなる学習指導の内容は、基本的には国の定める学習指導要領によって決まっているところではございますが、各学校の地域や特色によって、目指すところは同じでも内容によって違うものもございますので、なかなか統一的なテストで行っていくというのは難しさもあるのではないかと考えているところでございます。
〇村上秀紀委員 場所は変わりますが、例えば、医師を養成する大学の世界であれば、20年前から全部の学校で統一的なもので、もちろん、それは平準化するとか、技術をしっかりということで、そういったノウハウとテクノロジーは既に世の中に備わっているわけですけれども、それとはまた違うということですね。そこについては、わかりました。
 最後ですが、校務支援システム、先ほど指導要録の話も出ましたが、指導要録と児童個票についても、校務支援システムの中で取り扱われるものなのでしょうか。
〇西野教育企画室長兼教育企画推進監 校務支援システムでは、児童個票という教職員の情報でありますとか生徒の基本情報といったもの、あとは、通知表、指導要録、調査票みたいなものも扱う予定としております。
〇村上秀紀委員 きょうは一連で働き方改革の観点からいろいろと質問してみましたけれども、仕事が多過ぎる。いずれ、どこの部分をどうやってバランスをとって、これまで常に皆さんの話によると、教員の働き方改革はなかなか進まないという意見、質問が出ている中で、だから、どこをどのように考えていくか、私なりに質問してみましたけれども、今の観点からも、また引き続き今後も質問してまいりたいと思います。
 いずれにしろ、石橋をたたいても渡らないというような我々日本人は慎重な民族でありますから、ぜひそれに挑戦する姿勢を忘れずに取り組んでいただきたいと申し上げまして、私から終わります。
〇高田一郎委員 それでは、まず最初に、就学援助制度についてお聞きします。
 新年度の就学援助費の単価はどのようになるのでしょうか。これまでも準要保護児童の就学援助については、要保護の見直しに伴って見直しをされてきました。新年度、市町村の対応を県はどう把握されているでしょうか。
 また、新入学児童生徒の学用品、また、学校給食費及び修学旅行費の現物給付を私たちは求めてきました。この間、どのように改善されているのでしょうか。
〇佐々木学校施設課長 令和6年度の就学援助に係る単価の見直し等についてでありますが、準要保護就学援助につきましては、実施主体である市町村に対し地方交付税措置が講じられており、多くの自治体において、国の要保護児童生徒援助費補助金単価に準じて支給されているものと承知しております。
 補助金単価の引き上げは、これまで物価高騰等を踏まえまして、文部科学省において行っております。それに合わせて、多くの市町村が支給額の見直しを行っています。
 令和6年度も文部科学省において単価の引き上げが予定されていることから、各市町村においては、この単価引き上げに呼応するものと認識しております。
 次に、新入学児童生徒入学用品費の支給方法についてでございますが、令和元年度から全市町村が入学前支給を実施しております。
 学校給食費の支給方法につきましては、市町村が給食センターに直接支払うことにより、保護者の一時的な負担がない現物支給を令和5年度は完全無償化を含め30市町村が実施しております。
 修学旅行費の支給方法につきましては、令和5年度は6市町村が概算支給を実施しております。
〇高田一郎委員 就学援助の単価において見直しが行われましたので、ぜひ全ての市町村で見直しがされるように、しっかりと支援していただきたいと思います。
 入学準備金については、答弁があったように、全ての自治体で入学前支給が実現いたしました。これは入学する前に支給されるということで、保護者から大変歓迎されております。しかし、今、お話にあったような学校給食費や修学旅行については、まだ全自治体がそういう状況になっていません。就学援助というのは生活に困窮した児童に対する支援でありますから、就学援助の制度の趣旨からすれば、概算払い、現物給付が当然だと思いますので、なぜ入学準備金ができてほかができないのかという課題をしっかり把握して、必要な支援をしていただきたいと思います。
 県内の就学援助の児童数は、自治体によって大きな格差があります。私は、全体として底上げが必要ではないかと思っております。例えば、金ケ崎町では就学援助を利用している児童は5.41%に対して、一番多いのが岩泉町23.58%です。4分の1の児童が就学援助でカバーしているということです。35人学級でいえば、2人の自治体もあれば8人の自治体もある。4倍違っているわけです。この格差を少しでも是正する必要があると思います。
 聞きたいのは、なぜこういう状況になっているのか、県としての認識をお伺いしたいと思います。
〇佐々木学校施設課長 市町村における認定基準ということの県の認識でございますけれども、準要保護世帯への就学援助につきましては、真に支援が必要な世帯に寄り添った対応が必要と認識をしております。各市町村におきましては、こうした考えのもとで、それぞれの実情を踏まえ、工夫を凝らした認定や交付が行われているものと認識しておりまして、認定に当たりましても、一定の所得基準のほか、学校納付金の納付状態、児童生徒の被服等の状況、保護者の職業が不安定であるかなど、学校や福祉部門との連携のもと、生活状態を個別に勘案している市町村もあると聞いております。
 県教育委員会といたしましては、各市町村の考えを尊重しつつ、県内市町村における支給時期や内容、認定基準等について情報提供を行いながら、各市町村の実情を踏まえたより適切な運用が図られるよう、引き続き助言してまいりたいと考えております。
〇高田一郎委員 今、答弁があったように、市町村の実情によって行われているというのは、そのとおりだと思います。市町村事業ですから、もちろんそうだと思います。
 ただ、例えば、就学援助の対象となるモデル世帯、一関市でいえば40歳夫婦、小中学生が2人いる場合は世帯収入が285万円、盛岡市でも、多分県内で一番高いと思うのですが、315万円というのが基本になって、ホームページ上でもそういうことが書かれております。
 これ自体が果たして妥当なのかということだと思うのです。生活保護基準に対して大体1.2倍とか1.3倍とかという自治体が多いのですけれども、財政が伴う問題でありますけれども、1.4倍とか1.5倍にしていくような対応が必要ではないかと思います。
 義務教育は無償であります。就学援助の役割というのは、お金の心配なく学べる権利を保障する制度にいかにこの就学援助制度を近づけているか、行政が近づけるために努力をするということが問われているのではないかと思いますので、もちろん市町村の事業ですけれども、県としてそういう問題意識を持って、毎年毎年、市町村とのさまざまな情報提供をしたり協議をしていますけれども、そういう立場に立った対応が必要ではないかと思いますけれども、その辺いかがでしょうか。
〇佐々木学校施設課長 準要保護世帯を認定する際の生活保護基準額の係数について、各市町村に違いがあるというのは、高田一郎委員御指摘のとおりでございます。県教育委員会といたしましては、その状況につきまして、各市町村に情報共有を行いまして、制度の拡充に向けて当初予算要求に生かせるような形で市町村に情報提供しているところでございます。
 なお、一部の市町村におきまして、令和5年度から認定係数の見直し、1.3倍から1.5倍へ行われたところでございます。
〇高田一郎委員 ひとつ、引き続きよろしくお願いしたいと思います。
 きのう、県内市町村のホームページを見ましたけれども、ほとんどの自治体が就学援助の位置づけといいますか、経済的に困っている方々に対する支援というフレーズで紹介しているのですけれども、そういうフレーズではなくて、お子さんを楽しく勉強させるような制度なのだと、あくまでも子供主体で、子供の権利を保障する制度ということを徹底していくことが必要ではないかと感じました。参考までに取り組んでいただきたいと思います。
 次に、学校給食についてお伺いいたします。
 今年度は物価高騰による食材費の値上げによって大変な一年だったと思います。この実態はどうだったのか、どういう軽減策がとられたのか、新年度は学校給食はどのように把握されているのか、あわせて伺います。
〇菊池保健体育課首席指導主事兼総括課長 市町村立学校については、令和4年度と令和5年度の1食当たりの平均単価で比較いたしますと、小学校は令和4年度が268円、令和5年度が273円で5円の増。中学校は、令和4年度が309円、令和5年度が314円で5円の増となっております。
 市町村において全額無償化が10市町村、物価高騰分などの一部無償化が21市町村となっており、保護者負担の軽減を図っております。
 なお、市町村に令和6年度の学校給食費の予定を確認したところ、10市町村が増額を予定しており、うち1市が保護者負担増となること、そして、23市町村は据え置き予定と聞いているところでございます。
〇古川予算財務課長 私のほうから、県立学校分について御答弁させていただきたいと思います。
 令和4年4月と令和5年4月の1食当たりの単価で比較しますと、特別支援学校の給食で言いますと、令和4年4月が335円、令和5年4月が375円で40円の増となっていたものでございます。令和4年度からの急激な物価高騰への激変緩和策として、国の地方創生臨時交付金を活用しまして、保護者負担額が増とならないように取り組んできたところでございますが、令和6年度については、国の交付金が見込まれていないということもございまして、当初予算案には盛り込んでいないところです。
 今後も物価高騰の状況を随時把握し、国の対策の動向も注視してまいりたいと思っております。
〇高田一郎委員 新年度の学校給食費について、きのうの新聞で報道がありましたように、盛岡市は1、700円から6、000円上げるということで、今、答弁があったように、10の市町村が値上げです。先ほどの議論でもありましたけれども、岩手県は全国から比べると学校給食費の日数がかなり少ないです。だから、値上げの物価上昇に伴って、恐らく回数が減るのではないかということ、食材の中身、質が低下するのではないかと、学校の栄養士は本当に苦労しながら頑張っているわけです。学校給食の摂取基準というのがありますから、ここにおさめなければならない。モチベーションが低下しているのではないかという思いをしております。
 ぜひこれらの実態を、質の問題を含めてよく把握して、必要な支援を行っていただきたいと思いますし、学校現場では解決できない問題があると思います。地元の食材をふんだんに活用するとか、農林水産部、農業サイドの協力をもらって食材を給食に支援するとか、そういったことも含めて学校給食費を抑制し、そして、質を高めていく対応、努力をしていただきたいと思います。これは要望だけにとどめておきたいと思います。
 次に、スクールロイヤー相談体制整備事業について、先ほども質疑が交わされましたけれども、通告しておりますので質問いたします。
 先ほどの答弁では、学校に対する相談、助言という答弁でありました。しかし、文部科学省の手引を見てみますと、業務内容というのは学校への法的な助言、スクールカウンセラーなどの連携した子供への支援とか、過剰な保護者からの要求に対する対応とか、あるいは、研修、出張など幅広い内容になっているのです。先ほどの答弁を聞きますと、弁護士がたった一人ですから、恐らく電話での対応になってしまうのかと、そのように思うのですけれども、業務内容というのはそういうことになるのでしょうか。
 そして、この広い県土岩手で弁護士1人ということになったのは、どういうことなのでしょうか。
〇大森教職員課総括課長 高田一郎委員から御指摘がありましたように、文部科学省でスクールロイヤーの業務内容としまして、助言、アドバイザーの業務のほか、代理、保護者との面談への同席や、教職員、あるいは児童生徒への研修、出張授業などというものも例示しておりますけれども、本県といたしましては、初年度だということと、相談、助言にできるだけ時間を割きたいということから、相談、助言に特化して来年度は実施したいと考えております。
 また、相談のやり方ですけれども、基本は委託される弁護士事務所を校長先生や教育委員会の担当者が訪問をして相談するということを考えておりますが、内容によっては、直接学校に行って状況を確認したいということも考えられますことから、一定の旅費なども予算案の中で計上しているところでございます。
 続きまして、今、1人という想定にしておりますけれども、他県の先行事例を見ますと、いろいろ幅はあるのですが、内容としましては、いじめ問題、保護者への対応に関する相談の割合が多くて、年間20件程度というところでございます。
 今後におきましては、先行自治体の実績も踏まえまして、まずは1人ということで配置させていただく予算案としております。今後、相談実績とか、実際やってみての課題を踏まえながら、学校にとって利用しやすいものに見直すとか、あとは円滑な法務相談体制の実施に向けた、さまざま、岩手弁護士会とも御助言をいただきながら、適切な相談ニーズに対応できるように柔軟に見直していきたいと思っております。
〇高田一郎委員 わかりました。日本弁護士連合会は、スクールロイヤーというのは学校の代理人になってはならないと指摘しています。学校現場での教職員の負担が軽減されて、そして、子供たちの最善の利益につながるような制度になってもらえるように取り組みをお願いしたいと思います。
 次に、学校の健診対策についてお伺いいたします。
 定期健康診断で要受診と判定された児童生徒の医療機関への受診状況はどのようになっているでしょうか。
〇菊池保健体育課首席指導主事兼総括課長 令和5年度の定期健康診断において、在籍者数に対する要受診とされた児童生徒の割合は、主な疾病で、小学校が視力34.5%、歯・口腔31.1%、耳鼻咽喉疾患20.6%です。中学校は視力42.9%、歯・口腔25.0%、耳鼻咽喉疾患13.1%、高等学校は視力30.0%、歯・口腔29.3%、耳鼻咽喉疾患9.3%などとなっております。
〇高田一郎委員 今回の調査結果を見て、私も大変驚きました。小学校で要受診となっても半分ぐらいしか受診していない。特に口腔関係は半分以上です。口腔崩壊というのは、放置すると心臓病とか糖尿病にもなるリスクが高いわけです。
 こうした状況のもとで、学校現場だけではこの問題は解決できないという思いをしております。こうした未受診の要因というものを県はどのように把握されているのか、抜本的な対応、対策が私は必要なのだろうと思います。この点について、教育委員会の見解、対応をお伺いいたします。
〇菊池保健体育課首席指導主事兼総括課長 受診しない理由につきましては、保護者の都合によるものが多く、通院時間の確保が難しいなどの要因が考えられます。
 対策といたしましては、児童生徒への保健指導や必要な支援を行っており、未受診の児童生徒については、夏休み前、冬休み前の三者面談等で再度受診の重要性をお伝えするとともに、保護者に対しては、公費医療費助成制度の周知など、必要な情報提供をあわせて行っているところでございます。
〇田中辰也委員 それでは、私から質問をさせていただきます。60周年を迎える教育振興運動について、お尋ねするところでございます。
 岩手県独自の教育運動として長年行われております教育振興運動ですが、これまで状況の変化に合わせて、いろいろ活動の中身を変化してきているとは思いますが、直近、近年のさまざまな状況変化は激しくなっております。今までと同じ活動をしていたのでは、その効果が得られないのではないかという思いをしておりますので、現状の活動と課題、それから、今後の方針について、まず伺います。
〇小澤生涯学習文化財課首席社会教育主事兼総括課長 60周年を迎えます教育振興運動についてでありますが、令和5年度は県内535の実践区において、環境美化活動や郷土芸能の伝承活動、世代間交流等のさまざまな取り組みが地域の実情に合わせながら実践されております。
 現在掲げております全県共通課題の一つであります情報メディアとの上手なつき合い方につきましては、全体の約7割の実践区において取り組まれており、取り組みの成果については、実施している実践区の約8割において肯定的な評価がなされているところです。
 一方で、運動にかかわる人が限られるという課題があることから、より広い地域住民とのかかわりや多様な主体との連携が必要と考えております。
 60周年となる令和6年度からは、新たな岩手県教育振興計画の理念を踏まえ、全県共通課題に家庭学習の充実と体験活動の充実を掲げ、取り組むこととしております。
 家庭学習は学校外で行う自主活動と広く捉え、地域の公民館等での学習スペースの確保やボランティアによる学習支援の活発化を促したり、体験活動にかかわる関係者のネットワークを広げたりすることにより、運動にかかわる関係者の裾野を広げていきたいと考えております。
〇田中辰也委員 さまざまな課題認識をされておられるということでございます。私は、子育て支援にも大きくかかわってくる。地域がその子供の成長を一緒に見守っていくという意味で非常に大事な思いだと思っておりますし、保護者にとっても、負担が少しそういうところで軽減されれば、なおさらいいかという思いはしているのですが、一方、家庭では、個を重視するのが多くなって、広く交わることをできるだけ避けようとするところが出てきている印象が多々あります。PTA活動にも余り積極的ではないし、地域活動、町内会にも参加したくないしという形になっている世帯も非常に多く見受けられます。
 そういうところで地域とかかわりながらやることが子供の情操教育には非常に大事だと私は思っていますし、教育振興運動の今までやってきた成果は非常に大きなものであると思っているところでございますが、そういう家庭の状況、また、地域として見てみると、学校統合が非常に大きな影響をもたらしています。昔は目の前に子供がいて、あれはどこの子供だ、どこの孫だというのがわかったわけです。今、スクールバスで集まってきて、どこの子供か、誰の子供かもさっぱりわからない。地域の子供がどこにいるかわからないという状況で、地域が教育振興運動にどうかかわっていくのだというところが非常に今、大きな問題になってきているのではないかという思いをしています。
 それともう一つ、事務局をほとんど学校がやっていると思うのです。学校の副校長先生が大体やっていると思うのですが、コミュニティスクール等をやるということ、地域連携をやるというのは大事な前提なのですが、もっと地域がかかわれるように、事務局を学校に置かないで、生涯学習部門で受けたほうがもっと地域が参加しやすくなるのではないかという思いもしているのですが、その点について、どのようにお考えでしょうか。
〇小澤生涯学習文化財課首席社会教育主事兼総括課長 田中辰也委員御指摘のとおり、家庭がなかなか地域活動とかPTAの活動もそうですけれども、加入したり参加することが消極的になっているという現状は、そのとおりだと思います。
 また、事務局については、小学校が事務局を担っているのが4割程度、中学校が2割程度、あとは町内会や自治会、または公民館が主体になって事務局を担っているところも、若干ではありますが、ある状態ではありますので、確かに、割合とすれば、6割の実践区が小学校、中学校で事務局を担っているということですので、ここについては、先ほど申し上げた、かかわる人が限られるという部分とのかかわりもありますので、働き方改革とも絡めながら、ここについても課題として今後検討してまいりたいと思います。
〇田中辰也委員 そういう形で、いろいろな問題が出てきていますので、関係者の知恵を合わせながら、私は岩手県のすばらしい運動で、60年を契機にさらに発展させていくためにどう変えていったらいいかということ、それは互者それぞれがそれぞれの立場で考えて、よりよい形で岩手県の教育を盛り上げていく形の運動にしていかなければならないと思っておりますので、鋭意努力をしていただきたいと思います。
 もう一点、郷土愛を育む教育について通告をしておりましたが、中身につきましては、多くの委員が御質問していただいておりましたので、一般質問でも私も言いましたけれども、郷土に誇りと愛情を持つ子供の育成、これは将来の人材育成の観点から不可欠だと思っていますし、これから移住、定住を盛んにしようと思ったときに、教育が魅力の第一になると私は思っております。どのように人を育てていくのか、それがしっかりしたところでないと、ほかから人が集まってこない。ここで育った人もなかなか戻ってこない。どちらにしても、しっかりとした教育をしていくということが大事で、そういう岩手県を誇りに持つ、岩手県に生まれたことを自信に持つということを進めるための教育をどのように進めていくのか、教育長の思いをお聞きして終わりたいと思います。
〇佐藤教育長 地域教育、あるいは、ふるさと教育という観点でのお尋ねでございます。先ほど教育振興運動の話、あるいは、復興教育の話、文部科学省とも人事交流をしているのですが、文部科学省から来た方が、岩手県の教育の特徴は何だというと、復興教育と教育振興運動だということをおっしゃる方が多いわけでして、これは誇るべき教育であるし、続けていくべきものだと考えております。
 そういった復興教育の中では、地域を愛するような教育も含めてやっている。るる義務教育課長からも、小中学校の取り組み、それから、高等学校では特色化、魅力化ということで全ての公立学校で取り組んでいるというところでございます。小さいときに地域で先輩方とかおじさん、おばさんに教わったことはなかなか忘れないというか、根っこに皆さんあると思うので、地域でずっと育って、そして教育を受けて、仕事をしていくという方はもちろん大事ですし、一旦外に出た方も、いずれ戻ってきていただくということはあるわけで、そういった方々の気持ちに根づいているのだろうと思います。小さいときからそういうことをしっかり教育していって、戻ってきていただくということも非常に大事な取り組みになるのだろうと考えております。
 もちろん世界で活躍する人間、全国で活躍する人間、どんどん出していきたいとは思いますが、やはり郷土を愛して、郷土のために貢献する人間もつくっていく必要はあると考えて、今、るる課長等から申し上げた取り組みは今後もしっかり続けていきたいと考えております。
   〔「関連」と呼ぶ者あり〕
〇高橋穏至委員 今の地域連携の話を私は総括質疑でさせていただいたのですが、総括質疑には教育長がおりませんでした。私も地域と連携して地域教育をやるべきだと言ったのですけれども、今、田中辰也委員からありましたとおり、地域で事務局を持つというのも非常にリスクもありまして、そのときも言ったのですけれども、PTA活動ですら、何でPTAをやらないといけないのかとPTAから抜ける親がいるくらいです。
 私は前に提案したことがあるのですが、学校に地域連携の担当職員、これは地域からの派遣でいいです。PTAのサポートとか、そういうものを持てるようにして副校長の仕事を余りふやさないように、学校にそういう拠点を持つというのも私は考えていましたので、所感があったら一言お願いします。
〇佐藤教育長 地域教育、ふるさと教育、重要だというお話を申し上げましたが、一方で、教職員の働き方改革も大きな我々として取り組んでいかなければならない課題だと思っていますので、本来、教員がやるべきこと、それ以外のことをしっかり分けながら取り組んでいくということは非常に重要な視点だと考えております。
〇城内愛彦委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇城内愛彦委員長 質疑がないようでありますので、これで教育委員会関係の質疑を終わります。
 教育委員会事務局の皆さん、御苦労さまでした。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後7時42分 散 会

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