令和6年2月定例会 予算特別委員会会議記録

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令和6年3月7日(木)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 昆 野 岳 晴
議事管理担当課長 藤 平 貴 一
主任主査 佐 藤 博 晃
主任主査 増 澤 綾 子
主任主査 及 川 雄 也
主査 阿 部 真 人
主査 堀 合 俊 彦
主査 三 浦 訓 史
1説明員
復興防災部長 佐 藤 隆 浩
副部長兼
復興危機管理室長 大 畑 光 宏
副部長 浅 沼 秀 行
総括危機管理監 田 澤 清 孝
復興危機管理室
企画課長 高 橋 新 吾
復興危機管理室
管理課長 千 葉 智 貴
特命参事兼
放射線影響
対策課長 高 橋 光 羊
復興推進課
総括課長 北 島 太 郎
復興くらし再建課
総括課長 森 田 竜 平
被災者生活
再建課長 和 田 英 子
防災課総括課長 戸 田   新
防災危機管理監 駿 河 芳 典
消防安全課
総括課長 田 端 政 人
県民安全課長 木 村 幸 地

環境生活部長 福 田   直
副部長兼
環境生活企画室長 小 國 大 作
環境担当技監 佐々木 秀 幸
若者女性協働
推進室長 阿 部 美登利
環境生活企画室
企画課長 中 村 公 一
環境生活企画室
管理課長 藤 川 耕 平
グリーン社会
推進課長 高 橋 政 喜
ジオパーク
推進課長 土 澤   智
環境保全課
総括課長 加 藤 研 史
資源循環推進課
総括課長 古 澤   勉
廃棄物施設
整備課長 石手洗   慎
自然保護課
総括課長 酒 井   淳
県民くらしの
安全課総括課長 佐 藤 義 房
食の安全安心課長 千 葉   正
消費生活課長 大 坊 真紀子
青少年・男女
共同参画課長 藤 井 茂 樹
連携協働課長 大 内 玲 子

財政課総括課長 佐 藤 直 樹
〇城内愛彦委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入ります。
 高橋こうすけ委員は欠席とのことであります。御了承願います。
 議案第1号から議案第20号まで、議案第27号から議案第38号まで、議案第40号、議案第41号、議案第44号、議案第47号、議案第48号、議案第52号、議案第54号から議案第67号まで及び議案第69号から議案第76号までの以上60件を一括議題といたします。
 本日は、復興防災部及び環境生活部関係について延べ23人の質問者を予定しており、世話人会の協議により、本日の質疑の目安時間は20分といたしました。
 また、関連質疑の取り扱い、換気のための休憩につきましてはこれまでと同様でありますので、御協力を願います。
 初めに、復興防災部長に復興防災部関係の説明を求めます。
〇佐藤復興防災部長 令和6年度の復興防災部関係の歳出予算について御説明申し上げます。
 初めに、復興防災部における予算の編成に当たっての基本的な考え方について御説明いたします。
 令和6年度は、いわて県民計画(2019〜2028)第2期復興推進プランに基づき、安全の確保、暮らしの再建、なりわいの再生、未来のための伝承・発信の取り組みを着実に実施するとともに、第2期政策推進プランに基づき、自助・共助・公助による防災体制づくり、事故や犯罪が少なく、安全・安心に暮らせるまちづくりなどの取り組みを推進してまいります。
 まず、復興推進の取り組みについてでありますが、安全の確保に向け、災害ケースマネジメントの推進のため、アウトリーチ人材育成プログラムの作成に向けた調査研究等に取り組むほか、暮らしの再建に向け、いわて被災者支援センターにおける被災者への相談支援などに取り組むとともに、なりわいの再生の向け、水産加工業者が行うDX―デジタルトランスフォーメーションの導入や女性が働きやすい職場環境の整備に対する支援など、引き続き、中長期的に取り組むべき課題に対して、被災地の状況に応じ、重点的に対応してまいります。
 また、復興フォーラムの開催や県内震災伝承施設等の情報発信の拡充など、東日本大震災津波伝承館を拠点とした事実と教訓の伝承・発信等に取り組んでまいります。
 次に、政策推進の取り組みについてでありますが、自助・共助・公助による防災体制づくりに向け、防災意識の向上や自主防災組織の活性化、個別避難計画の作成支援、沿岸市町村が行う津波による犠牲者ゼロを目指す取り組みへの支援などのほか、デジタル技術を活用した避難所受付の効率化や支援物資の迅速な供給に関する実証実験に取り組んでまいります。
 また、事故や犯罪が少なく、安全・安心に暮らせるまちづくりに向け、地域安全アドバイザーの派遣等による県民の防犯意識の高揚や、医療機関等と連携した、はまなすサポートによる性犯罪等被害者への総合的な支援のほか、犯罪被害者等支援に関する計画の策定や普及啓発などに取り組んでまいります。
 続きまして、歳出予算について御説明申し上げます。
 お手元の議案その1の10ページをお開き願います。
 復興防災部関係の一般会計歳出予算は、2款総務費のうち6項復興防災費の15億3、200万円余、3款民生費のうち2項県民生活費の一部2、500万円余、11ページの5款災害救助費の2億円余、13ページに参りまして、12款公債費の一部1億5、200万円余、これらを合わせまして、総額で19億1、100万円余となっております。
 前年度当初予算額と比較いたしますと、1億8、000万円余、率にして約8.8%の減となっておりますが、これは防災行政情報通信ネットワークの更新に係る設計の完了等によるものであります。
 予算の内容につきましては、お手元の予算に関する説明書に記載されておりますが、説明は省略させていただきますので、御了承願います。
 以上で復興防災部関係の説明を終わります。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
〇城内愛彦委員長 これより質疑を行いますが、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事の進行に御協力を願います。
 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇岩崎友一委員 おはようございます。よろしくお願いします。
 初めに、復興防災部でいわて復興ウォッチャー調査等をしているかと思いますけれども、東日本大震災津波の被災地の経済の回復度が、この間ずっと、下落し続けていることの認識について、お伺いいたします。
〇北島復興推進課総括課長 県ではこれまで、被災した漁船や養殖施設の復旧を支援してきたほか、グループ補助金を活用した施設、設備の復旧支援や債券買い取り等の金融支援等により、8割を超える被災事業者が事業を再開するなど、水産業や商工業を初めとするなりわいの基盤は整ってきたと認識しております。
 一方で、先日公表した、いわて復興ウォッチャー調査では、地域経済の回復に関する実感として、回復した、やや回復したと回答した人の割合が48.4%にとどまっているほか、回復していない、あまり回復していないと回答した人の割合が18.2%と昨年1月の調査から5.5ポイント増加したところです。
 この要因については、主要魚種の不漁やコロナ禍、原油価格、物価高騰の地域経済への影響が継続しているためと考えております。
 このことから、いわて県民計画(2019〜2028)第2期復興推進プランに基づき、主要魚種の資源回復や増加している資源の有効利用、新たな漁業、養殖業の導入、生産性の向上や、他社、他エリアの企業と連携して経営課題の解決に取り組む水産加工業者への支援、教育旅行の誘致拡大と三陸地域への周遊の促進などの取り組みを積極的に進めることしており、令和6年度岩手県一般会計当初予算案に必要な経費を盛り込んだところです。
〇岩崎友一委員 私は今、下落を続けている経済の回復に関する数値が向上するだけの事業を今回、予算要求をして実行しなければならないと思うのです。農林水産部の事業もそうですし、商工労働観光部も見させていただき、この程度の事業では下落を続けている経済の回復に関する数値を上昇に持っていくのは厳しいのではないかと思うのですが、その辺はどのような認識でしょうか。
〇北島復興推進課総括課長 予算要求している実際の事業の効果が地域経済の回復度の実感にどの程度反映されるかという御質問だと思います。
 このいわて復興ウォッチャー調査ですけれども、東日本大震災津波からの復興状況を定期的に把握することを目的に、被災地域において復興の動きを観察できる立場にある方々の協力をいただいて、一人一人の復興の実感に基づき調査を行っているものです。
 この調査の性格上、経済の回復に対する実感をいつまでにどこまで上げればよいかといった目標値を設定することは難しいと思っております。ただ、第2期復興推進プランに、なりわいの再生の取り組み方向として、沿岸地域の基幹産業である水産業の再生ですとか中小企業の経営力の強化、新たに整備された交通ネットワークを活用した物流体制の構築、それから、魅力ある観光地づくりの推進など、地域資源を活用した産業振興や交流人口の拡大により、地域のなりわいを再生し、地域経済の活性化を図りますとうたっております。
 関係部局におきましては、この取り組み方向を踏まえて必要な取り組みが実施できるように、復興枠は所要額を要求することができますので、必要な取り組みを進めるための所要額の要求をしているものと考えております。
〇岩崎友一委員 今、所要額の話がありましたけれども、私も今回、予算編成に当たって総務部長の依命通知を見ましたらば、少し私の読み方が間違っていたようで、これでは予算要求をしづらいのではないかということで、総務部の予算質疑の際に質問をさせていただきましたら、まさに今のような答弁で、3倍要求等の仕組みを活用するなど、総務部としては積極的な予算要求を促しているというのが答弁でありました。この震災復興に当たって、復興防災部から要求している事業というのはあるのでしょうか。
〇北島復興推進課総括課長 復興防災部からの予算要求ということですけれども、私どもの復興推進課では、例えば、復興の情報発信事業費を要求しております。そのほか、東日本大震災津波伝承館の管理費などを要求しております。
〇岩崎友一委員 もともと復興局を立ち上げる際には、復興局が司令塔となって部局横断的に震災復興を進めようという趣旨で設置されたかと思います。それが今、復興防災部がその役割を担っていると思うのですけれども、今の復興防災部は、経済の復興に関するような予算要求をしていないと私は読み取りました。
 私が気にしているのは、しっかりと司令塔的な役割を復興防災部で果たしきれていないのではないか。要は、ふるさと振興部は県北・沿岸振興を担う、商工労働観光部は全県的な商工業であったり経済の部分を担っていく。結局、みんなが誰かがやるだろうというか、それはうちの管轄ではないみたいな感覚をそれぞれ持っていて、結果、被災地の経済がしっかり回復、活性化していくような事業が立案されず、予算要求されないのではないかという危惧を持っているのですが、その辺の司令塔としての復興防災部の認識をお尋ねします。
〇北島復興推進課総括課長 経済回復のための政策立案の関係の組織についての御質問だと思います。
 今回、第2期復興推進プランがスタートするに当たって、大きな柱の一つとなる、なりわいの再生に向けて、被災地の産業振興施策に関して、関係部局間の連携の強化に向けて、実務レベルでの定期的な協議の場として、昨年2月になりわいの再生に係る関係室課連携推進会議を設置しております。この推進会議では、被災地における産業に関する現状やニーズ、支援施策等の情報を共有し、各部局が連携した事業の推進に向けた協議を行っているところです。
 引き続き、被災地の状況を丁寧に拾いながら、各部局の産業振興施策について、互いの連携調整を図りながら効果的な適用を図っていきたいと考えております。
〇岩崎友一委員 なりわいの再生に係る関係室課連携推進会議の設置は昨年2月という話がありました。1年前ですよね。それ以降は、今後の被災地の経済に対して各部局との連携を図る会議というものはどのくらい開かれているのでしょうか。
〇北島復興推進課総括課長 この連携推進会議の開催状況の御質問と思います。3回連携推進会議を開いておりまして、5月に事業者ヒアリング内容の共有や事業展開に当たっての連携について協議を行ったところです。それから、9月には事業者や市町村へのニーズ調査の結果の報告、それから、令和6年度の新規事業の検討、それから、1月には令和5年度の取り組みの振り返りと令和6年度岩手県一般会計予算案の事業の共有を行ったところです。
〇岩崎友一委員 それでいて、今回、新年度予算案には、これはおもしろいという事業や、これは被災地が活性化していくのではないかという事業が盛り込まれていないわけです。ですから、まず、各部局、ふるさと振興部も商工労働観光部も農林水産部もそうでありますが、司令塔として復興防災部がその役割を担っていただきながら、復興推進プランも一回つくったからいいではなくて、つくったけれども、実感がずっと下落している。数値としては、同じ人に何度もアンケートをとっているという話ですが、私も沿岸部に住む者の一人として、肌感でも非常に経済は悪いです。特に夜の飲食もそうですし、浜だけではなくて、丘のさまざまな産業が低迷しているという状況も感じております。
 そういった中で、今回の予算案で斬新な、これはおもしろいぞ、これはいいぞという事業が出てこなかったのは非常に残念だと思いますけれども、補正予算も含めて、おもしろいといいますか、被災地の経済が上向くような成果につながる事業をつくっていってほしいと思います。
 12月定例会でも質問しましたが、3.11を軸とした被災地全域を対象としたイベントの開催ということで、12月定例会では知事に質問しましたけれども、ことしから追悼式も盛岡市で行われることになって、恐らく来年以降もそういった傾向になるのだと思います。ことしは被災地の意向で静かにやりたい、来年はまた沿岸地域でやりましょうというふうにはならないと思うので、今後、盛岡市での開催が続くと思うのですが、そういった中で、しっかり県としても復興はまだ終わっていない、一生懸命やっていく、そういった意思を示すためにも、三陸防災復興プロジェクトと同規模と言いませんけれども、半分くらいの予算規模でもいいと思います。市町村と連携をして防災学習なども含めたイベントを、私も5回、6回、7回と提案しているのですが、なかなか実現に至っていないわけであります。その辺、ぜひ実施してほしいと思うのですが、改めて県の認識をお伺いします。
〇北島復興推進課総括課長 岩崎友一委員から今、3.11を基軸とした震災被災地を対象としたイベントについての御質問がありましたので、震災伝承に関連したイベントについて、まずお答したいと思います。
 県では、震災の事実と教訓を国内外へ伝承発信するため、これまで多様な主体が復興について幅広く学ぶ、いわて復興未来塾、東京都と被災4県が都内で開催する東日本大震災風化防止イベント、それから、本県の復興状況や支援への感謝を発信する県外向けテレビ番組の放送などに取り組んでまいりました。
 震災伝承の取り組みに当たっては、事実、教訓について学ぶほか、実際に被災地に足を運んでいただいて、復興の姿や地域の魅力を体験、体感いただくことが重要と考えております。
 したがって、いわて復興未来塾では、沿岸部で開催するときには被災地の復興状況を学ぶ機会として、震災伝承施設や震災遺構、防潮堤などをめぐるエクスカーションを実施しております。
 また、来年度は東日本大震災津波伝承館のホームページを改修し、県内の震災伝承施設の情報を一元化したウエブページを構築するなど、情報発信を強化することにしております。
 県内陸部を初め首都圏等からも多くの方々に被災地に足を運んでいただけるように、復興の姿と三陸地域の多様な魅力の発信に努めていきます。
〇岩崎友一委員 ということは、私が提案しているイベントは、やる気がないということでよろしいのですか。
〇北島復興推進課総括課長 経済回復を行うイベントのために何ができるかということであると思います。私どもは震災伝承を担当しておりますので、東日本大震災津波伝承館の集客力をぜひとも生かしていきたいと思っております。令和元年9月の開館からことしの2月末までに93万人の方々、今年度だけでも23万人を超える多くの方々に御来館いただいております。この集客力を生かしながら、伝承館での学びを契機として、3月11日に限らず、年間を通じて、さらに沿岸各地に足を運んでいただけるように、他の震災伝承施設や沿岸各地の多様な魅力がございます。そういったものに直接触れていただくなどの機会を創出することが重要だと思っております。
 このため、先ほども御説明いたしましたが、伝承館のホームページを改修いたしまして、県内の各伝承施設等が取り組んでいるプログラムの料金ですとか時間とか人数などを取りまとめて発信し、学校現場や旅行商品を企画する旅行会社、それから、震災の事実、教訓を学びたい方々など、教育旅行の誘致につなげていきたい。そして、三陸ジオパークや三陸鉄道、豊かな食など沿岸地域固有のコンテンツと組み合わせることで交流人口の拡大や地域経済の活性化につなげていきたいと考えております。
〇岩崎友一委員 なかなか逃げの姿勢で、もっと前向きな答弁が必要だと思うのですが、今の答弁で、私どもは震災伝承を担っているという話がありましたけれども、違いますよね。司令塔として、商工分野も農水分野もふるさと振興分野も統括するのが復興防災部ですよね。今、震災伝承に偏ったような答弁ばかり多くて、もっとしっかり司令塔の役割を果たしていただきたいと思います。
 イベントに関しては、ぜひ継続的にやってほしいと思います。市町村への意向調査は行ったことはありますか。
〇北島復興推進課総括課長 今のイベント等に関する市町村への照会については、今のところやっていない状況でございます。
〇岩崎友一委員 ぜひ市町村への意向調査をやっていただきたいのです。各市町村も困っているのです。自分たちだけが、例えば、3月3日の宮古毛ガニまつり、宮古市で開かれて大盛況だったと聞いておりますけれども、各市町村だけが淡々とやるのではなくて、大きなイベント化することによって、被災地全体としてより大きな集客力を生むことができると思いますので、前向きに検討していただいて、市町村の意向もくんでいただいて、県もお金を出す、市町村も出す。市町村がかかわることによって、市町村の観光の力もつけていくといったことも大事だと思いますので、前向きに御検討いただきたいと思いますが、復興防災部長、どうですか。
〇佐藤復興防災部長 沿岸地域を元気づけるためのイベントということでの御質問をいただきました。いずれ地域経済を活性化するというのは、人の流れ、経済の流れ等を確かなものにしていくことが重要だと思っております。企業誘致ということで産業が興っていくのは、今の状況ではなかなか難しいところもございますけれども、いずれ震災伝承という切り口で沿岸地域に人を呼べるキーコンテンツになるとは思っております。
 岩崎友一委員からいろいろイベントの関係で御提案をいただいておりますので、その辺を含めて、広域振興局も市町村と一緒になってさまざまな活性化の事業をやっておりますので、市町村だけという話ではないと私どもも思っておりますので、岩崎友一委員からいただいた御提案も含めて、今後の対応は検討させていただきたいと思っております。
〇岩崎友一委員 ぜひよろしくお願いします。
 最後、災害援護資金の現在の返済状況と今後の対応についてお伺いします。
〇和田被災者生活再建課長 災害援護資金の貸付実績と返済状況ということについてでありますが、東日本大震災津波に係る災害援護資金の本県の市町村の貸付実績は、令和5年12月末現在、1、171件、30億3、230万円余となっているところでございます。
 また、借り受け人から市町村への返済額は、令和5年9月末現在、16億3、500万円余で、貸付金額の54%となっているところでございます。
 県では、平成29年度に作成し、市町村に提供しました東日本大震災に係る災害援護資金債権管理マニュアル等をもとに、円滑な償還に向けて市町村を支援しているところでございます。
 さらに、令和3年4月に設置した、いわて被災者支援センターにおいて、経済面や生活設計の面などの相談に対し、ファイナンシャルプランナーや弁護士等の専門家が対応しており、引き続き、借り受け人の円滑な償還に向けた支援を丁寧に行っていきたいと考えております。
〇岩崎友一委員 本当に今、災害援護資金は、能登半島地震でも恐らく活用されると思うのですが、震災から13年たって返済が非常に厳しい。分割だったりさまざまな工夫はしていただいていると思うのですけれども、県としても災害弔慰金等が支給されることもあり、災害援護資金のバランスは全県的に考えていく必要があると思うので、県としての方針を持って、全国知事会であったり、被災3県で国ともあるべき姿はしっかりと協議をしていっていただきたいと要望して終わります。
〇大久保隆規委員 私からは、復興推進費及び東日本大震災津波追悼式開催費に関連して質問させていただきたいと思います。
 きょうが3月7日ですから、あと4日で3月11日を迎えるのだなと。もう13年になるのだなということで、早いものだとも思いながらも、その日、そのときの光景が脳裏にまたよみがえってまいりまして、何としても復興をやり遂げなければいけないと決意を新たにしているところでございます。
 復興のための工事もおおむね終了したということで、私は復興第2章という言い方をさせていただいているのですけれども、復興も新しいステージに差しかかっている。これから復興計画に基づいて、各市町村、被災地域に次にどう仕掛けていくかという重要な局面にいよいよ差しかかっていると思っています。
 そういうさなか、過半、日本海溝・千島海溝沿い巨大地震による最大規模の津波の襲来という指摘がなされ、東日本大震災による津波よりももっとすごいのが来るのかということでおじけつくと申しますか、各市町村も今後の計画を進める中で、また一つ大きな宿題がのしかかっているところだと思うのです。
 事実、釜石市も前市長において計画、事業が進められていた釜石新庁舎の計画もその想定のもと、設計変更ということで取り組みがされましたし、また、久慈市におきましても、震災想定区域の小学校の統廃合、あるいは現庁舎の移転等、今後、検討に取り組んでいくという対応が各自治体でなされているところでございます。いずれ災害はいつか必ずやってくるわけですから、万全の備えをしていかなければいけないわけでございます。
 そういうことで、日本海溝・千島海溝沿い巨大地震に対する対策をしっかりととっていくという立場から、沿岸地域の市町村との連絡会議も当局はされていらっしゃると思うのですけれども、非常に重要だと考えております。その議論の進捗状況、そして、あわせまして今後の取り組みといったことについてお示しをいただきたいと思います。
〇戸田防災課総括課長 沿岸市町村との連絡会議での議論と今後の取り組みについてでございますけれども、県では、昨年8月に取りまとめました、岩手県地震・津波減災対策検討会議報告書を踏まえまして、県と沿岸市町村が一体となって、引き続き、具体的な減災対策の検討や沿岸市町村の取り組みの情報共有等を行うことを目的に、令和5年11月に巨大地震・津波対策連絡会議を設置したところでございます。
 また、連絡会議の下に、避難行動要支援者避難対策担当者会議と、地震・津波対策担当者会議を設置しまして、具体の課題検討ですとか情報共有等を行っているところでございます。
 避難行動要支援者避難対策担当者会議は、ことし1月に第1回目の会議を開催しまして、沿岸市町村における個別避難計画作成の取り組み状況や課題を共有したところでございます。今後、継続的に会議を開催して、津波避難に係る個別避難計画の項目や活用のあり方等について検討を行いながら、その作成を促進していくことにしております。
 それから、地震・津波対策担当者会議ですけれども、昨年12月の設置以降、3回開催いたしまして、各市町村における津波避難対策の課題ですとか、津波避難ビル等の指定に向けた条件の考え方などについて、意見交換ですとか情報共有を行っているところでございます。
 令和6年度も毎月1回程度の会議を開催しまして、津波避難対策の向上に向けた実証実験の結果を共有するなど、沿岸市町村による津波避難対策が円滑に進むよう支援していきたいと考えております。
〇大久保隆規委員 わかりました。この御指摘に関しまして、もっと大きい最大規模の地震や津波がすぐ来るとか、必ずしもその規模だということではない。マックスでこのぐらいであろうということが想定されるということで、他方、宮城県沖地震のリスクも高まっているという面もございますし、いずれ、常に備えていかなければいけないと思います。
 今回の日本海溝・千島海溝沿い巨大地震に想定される最大規模に備えて、さらに防潮堤を高くかさ上げするとか、あるいは、新たにまた土地を造成するということでは一切ないと思うのです。今、でき上がったディフェンスの中でどうしっかりやっていくかということで、この想定に従ってどう取り組んでいくかということだと思いますので、その辺、今後とも各市町村との連絡会議を緊密に行っていただいて、実効性のある備えを万全にしていただくようお取り組みをお願いしたいと思う次第でございます。
 そこで、いよいよ3.11を迎えるわけでございますけれども、復興を風化させない、あるいは、復興を何としても成し遂げるのだという観点から、釜石市では前日の3月10日に日本製鉄釜石シーウェイブスが復興記念試合を行うということで大きく位置づけて、その試合を迎えようということで、今、取り組みをされております。私もそれまでの取り組みは記憶にないのでございますけれども、日本製鉄株式会社も操業をとめて、工場を一切ストップさせて、みんなで試合を応援しにいこうという取り組みをするという力の入れようでございます。また、当日はさまざまな復興及び津波の伝承のイベント等も計画をされておりまして、いずれ、現地では復興を風化させないための取り組みが計画されています。
 その1週間前の、3月3日、日曜日の日本製鉄釜石シーウェイブスの試合、これは同じ釜石市に立地しているSMC株式会社が主催試合ということで、本社から社長も応援に駆けつけていただいたのですけれども、あいにくの雪で試合ができなかったのですが、進出している企業、あるいは、もともとの地元企業も含めて、この復興に対して並々ならぬ決意でいろいろなことを取り組んでいるということを私は御紹介申し上げたいのでございます。
 そういう現地の取り組み等々を含めて、復興防災部長、御所感等があればお示しをいただきたいと思います。
〇城内愛彦委員長 質疑答弁とも簡潔明瞭に行い、議事の進行に御協力を願います。
〇佐藤復興防災部長 東日本大震災津波からまさに13年を間もなく迎えるという状況でございます。津波で被災いたしました鵜住居小学校、そして、釜石東中学校の跡地に建設されました、復興のシンボルとも言える釜石鵜住居復興スタジアムで復興記念の冠を関して試合が行われるということは、3.11を決して忘れない、そして、これまでの復興の歩みで得られた多くのきずなを大切にする取り組みとして、大変意義のあるものだと感じております。
 今、大久保隆規委員から御紹介がありましたが、日本製鉄株式会社の北日本製鉄所釜石地区の初の取り組みということで、全席無料招待で、本当に多くの方に来ていただいて、スタジアムを満席にして試合をしたい。できれば来年度以降もこういう形で継続したいと伺っておりますし、当日、県立釜石高等学校の生徒有志によります防災震災伝承活動グループによる語り部の活動も行われると聞いております。
 3.11は決して忘れてはいけない日でございますし、あの日何が起こって、どう対応したのか、反省すべき点、教訓は何だったのかということを改めて考え、被災県の使命といたしまして、これからも力を入れて続けていかなければならない東日本大震災津波の事実と教訓の伝承、こちらを次代を担う若者が積極的に取り組んでいただけるということは大変大きな意義があると思っております。
 折しも、ことしの元日、1月1日には能登半島地震が発生しまして、本当に多くの犠牲者、被害が発生しておりますし、災害で犠牲者を出さないということ、そして、これから日本海溝・千島海港沿いの巨大地震の備えもしっかりしていかなければならないということもございます。東日本大震災津波の事実と教訓を次代の人に確実に語り継いでいく必要があると思っております。
 県では東日本大震災津波を語り継ぐ日条例というのを議員発議で可決しておりますが、その趣旨に沿いまして、今回のような取り組みがどんどん広がっていく。県といたしましても、条例の趣旨の普及、県民理解の促進に努めてまいりたいと考えております。
〇大久保隆規委員 今、そのような御紹介をいただきまして、ありがとうございました。
 とにかく復興第2章ということで、いよいよこれからが本番だと思います。しっかりとした取り組み、今後ともよろしくお願いいたしまして、終わります。
〇飯澤匡委員 まずもって、1月1日に発生した能登半島地震でお亡くなりなられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被災者の皆様の一刻も早い復旧、復興を願ってやまないものでございます。
 質問の1点目は、能登半島地震から得られる日本海溝沿い巨大地震における本県の備えについて。
 1番目は、2次避難所の確保についてお伺いします。今回、能登半島地震は、冬期に発生しまして、被災された方は大変難渋をしております。寒冷地においては、1次避難所の長期間の生活は極めて困難です。中央防災会議では、日本海溝沿い巨大地震における本県の死者の想定は1万1、000人、低体温症要対処者は1万4、000人。そこで、2次避難所の確保予定はどうなっているのか。市町村の確保状況はどうなっているのか。その点についてお示しをいただきたいと思います。
〇戸田防災課総括課長 2次避難所の確保についてでございますけれども、避難住民等の避難先につきましては、国において、東日本大震災津波の対応を契機として、危険が切迫した状況で緊急に避難する指定緊急避難場所と、避難した住民等が災害の危険性がなくなるまで必要な期間滞在する指定避難所が災害対策基本法に位置づけられたところでございます。
 本県の指定避難所につきましては、令和6年2月1日現在、1、642カ所が指定されており、うち10市町村の12カ所がホテルや旅館といった民間の宿泊施設となっております。
 指定避難所の指定につきましては、市町村が行うこととされておりますけれども、感染症対策の観点などからも、より多くの避難所を指定していくことは重要な課題でございまして、市町村では、ホテル等宿泊施設との協定締結ですとか、学校の空き教室の活用など、避難所の増設等に努めているところでございます。
 県では、先行事例の情報共有を図るなど市町村の避難所の増設等を支援しておりまして、引き続き、災害時における避難所等の確保を促進していきたいと考えております。
〇飯澤匡委員 ただいま東日本大震災津波の教訓というお話がありましたが、このときの教訓というのは、具体的に、非常に教訓を生かさなければならない点があったと思うのですが、本県では、平成24年2月に出された東日本大震災津波に係る災害対応検証報告書、それから、平成25年3月に出された、岩手県東日本大震災津波の記録、この二つが検証記録として残っているわけですが、その内容を含めて、当時の経験や教訓などについて、その点も含めて、どういう教訓が生かされたのか示していただきたいと思います。
〇戸田防災課総括課長 東日本大震災津波の教訓についてでございますけれども、東日本大震災津波の災害対応では、避難所から内陸11市町村の宿泊施設48施設へ約2、000人の一時移動事業を実施しております。このことについて、東日本大震災津波における避難者支援活動記録集では、一時移動者に対する被災市町村からの情報提供等のケア体制が不十分だったことなどの課題が挙げられております。
 このことを受けまして、県では、地域防災計画に、災害発生時に避難者が県内他市町村、または他の都道府県への一時的な滞在を行う広域一時滞在について規定をしておりまして、市町村や県の役割を明確にしたほか、広域一時滞在の円滑な実施に向け、広域一時滞在マニュアルを平成26年3月に策定し、連絡、調整窓口の明確化ですとか、県及び市町村における具体的な手続等を定めるなど、東日本大震災津波の教訓を生かした避難施策に取り組んでおります。
〇飯澤匡委員 冒頭申し上げましたように、次に想定される巨大地震において、先ほど来、答弁のとおり、対応はされていると思うのですが、この際、隣県の宮城県の検証報告もしっかり見据えて、今後に生かす必要があるのではないかと思っております。
 一例を申し上げますと、宮城県は3月19日、国から内陸部への移送の助言をもらって、4月3日に移送が始まっております。しかし、本県は3月下旬から2週間以上アンケート調査なるものを行って、2次避難所に避難させたのは5月上旬だったと聞いております。このような実態なのに、岩手県が国に要望を行った結果、国庫対象になったとか不正確なことを検証記録に書いてあるわけです。宮城県は国から助言をもらって2週間で実施したのに対して、制度にとらわれることなく実施したという本県が6週間もかかったというのは、残念ながら、恥ずかしい限りだと思っております。
 これらに対する検証、記録もしっかりとさらに検証し直す必要があるのではないかと思うのですが、いかがですか。
〇戸田防災課総括課長 ただいま飯澤匡委員から御指摘がありましたとおり、本県の実績のとおり全てよかったというわけではなくて、他県でもさまざまな対策がとられていましたので、他県のそういった対応も参考にしながら、引き続き、本県にまた巨大災害が起こった場合に対策が万全にとれるように努めていきたいと思ってございます。
〇飯澤匡委員 宮城県はそうではないわけですから、少なくとも国の対応に先駆けてやったという記述への対応というのは必要ではないですか。岩手県の記述は間違っていると思うのですが、いかがですか。
〇戸田防災課総括課長 その点につきましても、改めて今後、検証していきたいと考えてございます。
〇飯澤匡委員 やはり検証というのは正確に、事後起こったことを、いろいろな周囲の概況であるとか、他県の対応であるとか、そこを客観的に反省し、次に生かすということが必要だと思っていますので、その点もしっかりとやっていただきたいと要望します。
 2番目は、通信手段の確保についてであります。東日本大震災津波のときも、この点については大変難渋をして、被災地との連絡がつかなかったという教訓があります。現在、県本庁と各広域振興局との衛星携帯電話の保有台数はどうなっているか。そして、各市町村はどうなっているか、示していただきたいと思います。
〇戸田防災課総括課長 衛星携帯電話の保有状況についてでございますけれども、現在、県の本庁では持ち運びできる可搬型が6台、室内で使用する固定型が2台の計8台を保有しております。災害が発生した際に早期の情報収集を担う保健福祉部、農林水産部、県土整備部、医療局に配備しているところでございます。
 また、広域振興局では、盛岡、花巻、奥州、一関、二戸の内陸の地方支部に各2台、久慈、宮古、釜石、大船渡の沿岸部の地方支部に各3台の計22台を配備しております。
 各市町村の保有状況についてでございますけれども、平成24年に33市町村のうち27市町村に対して県で衛星携帯電話を購入し、各1台を貸与しております。残り6市町村につきましては、独自購入等により保有しておりまして、現在、県内全市町村で衛星携帯電話を保有している状況でございます。
〇飯澤匡委員 この点については、保有台数は確実に数が明確にわかりますので、その点については対応していると理解いたしました。
 そこで、先ほどの質問と同様に、東日本大震災津波の教訓をどのように生かしたのか。初動対応などについて、大変課題があったように記憶しております。そして、検証記録はどのようになっているのか示していただきたいと思います。
〇戸田防災課総括課長 東日本大震災津波に係る災害対応検証報告書では、発災直後、沿岸市町村等と通信が途絶し、被害状況や救助要請等の情報収集が困難となった要因として、固定電話や携帯電話の設備の損壊、流出や停電による電源の途絶などを挙げております。
 そのため、県では、重層的な情報収集体制の確立に向け、被害状況や対処状況など災害に関する情報をクラウド上で共有する岩手県災害情報システムの整備や、衛星携帯電話の全市町村配備などの取り組みを進めてきたところでございます。
 今後は、大規模災害が発生した際に、これらのシステムや機材が確実に使用できるよう適切な維持管理を行うほか、その使用方法の習熟に向けて、市町村等の職員に対する研修や通信訓練を定期的に行っていきたいと考えております。
〇飯澤匡委員 今、適切な維持管理とありましたが、どのような頻度で行っているのか、その状況についても示していただきたいと思います。
〇戸田防災課総括課長 頻度につきましては、今回、衛星携帯電話につきましては更新の時期を迎えておりまして、現在、当課で配備している衛星携帯電話がNTTドコモのワイドスターIIを使用しておりますが、令和8年3月末に通信サービスが終了する予定なので、令和7年度に更新することで計画しております。更新台数ですとか配備先は、現在の組織体制に基づき、関係部局と協議しながら今後決定していきたいと考えております。
〇飯澤匡委員 ハードの維持については答弁がありましたが、実際、どのように連絡が良好に保てているのか、その訓練等についても、どのような頻度で確度を持ってやっているのかもあわせて示していただきたいと思います。
〇戸田防災課総括課長 衛星携帯電話の使用状態の確認というところだと思いますけれども、今、手元に正確な数字はないのですけれども、年に数回、仕様のチェックは行っております。
〇飯澤匡委員 抽象的ではなくて、危機管理のためにチェックするというのは日にちも決まっているわけではないですかそこの状況もあわせて示してください。そうしないと、いざ何かあったときに、何月何日と記録が残っていないと大変まずいことになると思いますから、よろしくお願いします。
〇戸田防災課総括課長 後ほど提供させていただきたいと思っております。
〇飯澤匡委員 過去にこの検証の部分については、岩手・宮城内陸地震のときに、当時、県の幹部等と連絡がつかなかった。そこで、非常に曖昧な連絡の途絶という、検証結果によって衛星携帯電話の配備がおくれたというような指摘もあります。これは今やってもしようがないことなので、時間があったら東日本大震災津波復興特別委員会でももう少し整理してやりたいと思いますが、いずれ正確な検証と反省、教訓のもとに次なる備えをしておかなければならないと思っていますので、県内は広いですから、きょう挙げた2次避難所の問題、それから、衛星電話を初め通信関係の整備の問題をもう一度再点検をして、そこをしっかりやっていただきたいと思います。
 最後に、復興防災部長に、その備えについて、今どういう形で行っているのか方針を示していただいて、質問を終わります。
〇佐藤復興防災部長 東日本大震災津波の関係につきましては、飯澤匡委員からも御紹介がありましたけれども、県では、各部局でさまざまな検証報告書を記載してもらっています。県のホームページにも記載しておりますが、各部局で大体20冊ぐらい、いろいろな分野で検証報告書をつくっております。
 今回、東日本大震災津波のほかに今回、能登半島地震が発生いたしまして、改めて能登半島地震が起きたことで本県で改めて対応をしければならないところもございますので、正確には能登半島地震の検証報告書を石川県でももちろん出すと思いますけれども、情報収集ができる範囲内で、本県で足りないところ、今の状況に不足するところは補っていかなければならないと思っております。
 あわせまして、今年度の予算で、県以外にも東日本大震災津波の検証報告書をいっぱいつくっておりますので、80冊ぐらいピックアップして、今の岩手県の検証報告書に足りないところがあるや、なしやというあたりをチェックさせていただいております。災害ケースマネジメントに生かすことの取り組みをしておりますので、引き続き、過去の災害で学ぶべきところ、反省しなければならないところは整理をいたしまして、これから災害、犠牲者を出さないという思いでいろいろ整理をさせていただきたいと考えております。
〇飯澤匡委員 高知県は南海トラフ地震を想定して、高知県は海抜より少し下がっているような状況ですから、今、非常に危機感を持って、危機対応をしています。そういう危機対応をしているところ、そしてまた、防災グッズ等の産業もしっかり備えて、先ほど産業の議論もありましたけれども、岩手県はそうしたことも総合的に先進地から学べるものを貪欲に学んで、能登半島地震の状況も踏まえて対応をしていただきたい。きょう指摘をしましたが過去の検証についても、大事ですが、先々を行っている県についても参考にしながらやっていただきたいと思います。
〇佐々木茂光委員 私からも東日本大震災津波にかかわることです。東日本大震災津波から13年目ということもありまして、また、この正月に能登半島地震を映像で見たとき、自分もその被害を受けたときの状況がすごく思い出されて、少し苦しいところもありました。そういった中で、もう既に新しい地震津波の想定もされている、そういった動きがあります。
 そこでまず、ハード的な復興はほぼ終了したということで、残っているのは心の置きどころ、自分たちの生活空間の復興がどのようにこれから進んでいくのか、いかにして自分たちの生活を取り戻すか、そういったところに今、力点が置かれているわけで、最初に、被災者生活支援事業についてお尋ねをしたいと思います。
 いわて被災者支援センターの取り組みの中で生活支援の事業が行われているわけでありますが、東日本大震災津波から13年もたっておりますので、現状についてお知らせ願いたいと思います。
〇和田被災者生活再建課長 いわて被災者支援センターの現状と取り組み状況ということでございます。
 令和5年度は1月末現在で111人から相談がございまして、相談対応回数は2、379回となっているところでございます。
 センターに寄せられる相談というのは、被災を起因としながらも、その後の生活環境であるとか社会環境の変化に伴って、複雑かつ多様化しているところでございます。具体的には、生活費の負担増による家計の逼迫、住宅ローンといった多額の負債の整理など、家計や債務に関する相談が多くなっているところでございます。
 また、専門的な支援が必要なケースについては、弁護士やファイナンシャルプランナーとも連携しながら、一人一人の状況に応じたきめ細かな支援を行っているという状況でございます。
 今後も、センターの特徴を十分に生かしていくために、引き続き、弁護士会等の関係機関などと連携を図りながら、そして、介護や子育て、生活困窮など、支援ニーズに対応した包括的な支援に取り組む市町村や市町村社会福祉協議会などと一層の連携を図っていくこととしております。
〇佐々木茂光委員 いわて被災者支援センターは、生活支援ということでスタートしたのですが、今、状況が変わってきて、相談も随分多岐にわたっているかと思うのです。極端に言うと、それはいつまでやるのですか。当初は被災ということの中からスタートしているわけです。そのような考え方で言うと、皆さんが今、相談をすることは、先ほども言ったように、東日本大震災津波が起因しているということになるのでしょうけれども、そういったくくりの中でこれからも対応していくのか。私らもそうだけれども、東日本大震災津波というのも大分風化している。私も喜んでいるわけではないけれども、そういったところを一つのよりどころとしてこれからも運営をしていくのかどうか、その辺、少し聞かせてください。
〇和田被災者生活再建課長 いわて被災者支援センターの運営をいつまでというような御質問だったかと思います。具体的な終期というものはなかなか示しがたいのではありますけれども、センターに寄せられる相談というのは、やはり住宅を失って再建をする、その中で住宅ローンを組んで家計が逼迫してしまうという方が全体の多くを占めていることになります。ですので、そういった方々がきちんとした支援につながって、再建がきちんと進むような形で支援していくというところで我々も考えております。
 また、その支援をする母体となるのは、我々センターだけではなくて、市町村や社会福祉協議会などとの連携がとても大事だと考えておりますので、そういった機関としっかりつながっていくような形をつくりながら、この業務を少しずつ市町村が主体的にできるようになるのが理想であると考えております。
〇佐々木茂光委員 わかりました。本当に大切なことだと思うのです。私はいつまでやる、何年という話をしたわけではないのですが、例えば、そう捉えていくと、水をかぶった人たちは、いつまでも被災者、被災者と言われるわけです。これから進んでいくためには、そういうところを後押しするという立場に恐らくなっていくわけなので、センターの名称を切りかえるとか、当時のいわて被災者支援センターというくくりがスタートの原点になるわけだけれども、状況が変わってきているのもそうだし、周りの空気感も変わってきているのです。
 それを踏み台にして、これからこういうふうにしてやっていきましょうよという状況に皆さんいるわけですから、そういったことを考えると、では何がいいかというのは私も思いつきはしませんけれども、さらに後押しする意味でも、その取り組み方も変わってきているわけです。違った意味での受け入れ元、支援する側という形を世の中には示していったほうがわかりやすいのではないかと思います。
 相談する人たちも違ってくると思うのです。恐らく被災者がベースになったにしても、今々のことを相談したいなと来る。そういう受け入れ元になっているわけだから、それはそれなりに少し名称を変えるというのか、結局、我々はいつまでたっても被災者、被災者と言われているわけです。みんな表立ってそういうことを言わないし、いつまでも被災者と言われるところもあるわけです。
 そういったところも少し空気を変えるというのか、同じ相談をしに行くにしても相談しやすい、今は窓口が少し広くなっていく傾向だと思うので、その辺、これから支援していく取り組みとしては、少し考えたほうがいいのではないかというのが私なりの思いでございますので、よろしくお願いしたいと思います。
 もう一つは、先ほどから、これから来る大きな津波にしろ何にしろ、その対応、対策について、どのように進んでいるかという心配があって、皆さんからお話が出ているわけなのですが、今年度の予算案の中にある個別避難計画の作成状況、主な項目はどのようになっていますか。
〇城内愛彦委員長 質疑は簡潔にお願いします。
〇和田被災者生活再建課長 個別避難計画の具体的な項目、どのような内容になっているかということの御質問だったかと思います。
 個別避難計画というのは、避難行動要支援者が避難するためにあらかじめ作成して、その中で避難支援者を誰にするかといったようなことを書く計画になりますが、この計画の様式というのは統一したものがなくて、市町村の実情に応じて、法律や指針等に基づいて必要な項目を掲載し、さらに、必要なものは追加しているという形になっております。
 基本的な情報とすれば、氏名、住所、家族の構成、そういったものを書かれるほか、例えば、歩行の可否など障がいの状況であるとか介助する際の留意事項、避難場所への経路、避難支援者となる方の氏名などを記載することになっております。
〇佐々木茂光委員 これは市町村別に状況に応じて作成して対策をつくっていくということは、市町村別、単独でという形で進められている事業なのですか。
〇和田被災者生活再建課長 個別避難計画につきましては、法律に基づいて作成するということになっております。計画の作成に当たっては、まず、避難行動要支援者名簿というものがございまして、それは平成25年度に市町村に作成が義務化されています。そして、令和3年度に個別避難計画、名簿に掲載された方々の具体的な計画を作成することが努力義務化されたということになっております。
〇佐々木茂光委員 その状況によって、同じ水をかぶったところにしても、高いところにいた人がいたり、水際、海に面しているところにいたりということなので、その辺の調整というのは、例えば、陸前高田市はこういうところまで取りまとめしましたというのは、県に上がってきているものですか。
〇和田被災者生活再建課長 計画の具体的な中身であるとか、そういったところまでは我々は上がってくるというよりは情報収集させていただいているのが現状ということになります。
 ただ、作成の状況につきましては、毎年、どのくらい作成が進んでいるかという数値の情報を共有させていただく形で報告をいただいているということになっております。
〇佐々木茂光委員 その対策のための計画も非常に大事なのでありますけれども、今の状況で言うと、東日本大震災津波後に生まれた子供たちとか、今、社会人ぐらいになるのだけれども、遺訓教訓という引き継ぎが少し滞っているのかなということを感じることもあるのです。
 この間も新聞で読みましたけれども、遺訓教訓というものをどうやって言い伝えしていくかが今後の課題というか、ハードな面の対応ももちろん大事だけれども、最終的には、津波が来たら逃げるんだぞという原則論が大事です。津波てんでんこという言葉はわかりますかと言ったら、2割か3割ぐらいしかわからないし、それが何のことだかもわからないということです。県教育委員会でも副読本を出しながらも進めているのだけれども、その辺が大分手薄になってきているのかなと思うところがあるのです。
 本当にハードの面はほぼ終了したと言ってもいいかと思うけれども、最終的には、遺訓教訓として残していくものをどの代まで引き継ぐかといったら、永遠に引き継いでいかなければならないことだと思うんですよね。そういったところにも力をしっかり入れていかないと、自分たちの仕事の位置が非常に大切ではないかと思うのです。
 その辺、これからそちらのほうにも力を入れてしっかり取り組んでいかなければならないのではないかと思うのですが、どうでしょうか。
〇北島復興推進課総括課長 東日本大震災津波を受けて、遺訓教訓の話が出ました。県では、令和3年2月に岩手県議会で東日本大震災津波を語り継ぐ日条例が制定されております。したがいまして、3.11を軸として、震災の事実と教訓をきちんと後世に伝えていくことが大事だと思っております。
〇佐々木茂光委員 当たり前のことなのです。いかにそれを教訓として、遺訓として、やはり伝えていかないと、水をかぶったことのない子供たちはわからないわけです。例えば、我々沿岸部にいる人間はわかります。毎日のように子供たちにそういうことを伝えることができます。例えば、内陸部の人たちが津波というものに対して、要するに体に刻まれていないわけだから。しっかりした共通の認識を持っていただかないと、それこそ犠牲者ゼロということをうたいながら、その辺が届かないでしまう。結果的にどうだったのかと、これからの取り組みが非常に問われていると思います。
 これからもいろいろな災害が起こるという話も出ている中で、我々が心配しているのは、津波、地震だけの問題だけではないと思います。内陸部から来た方々がどういうふうな状況に置かれるか、みずからそういう気持ちを持って、来る災害に対して自分の命をどうやって守るかということにもっともっと力を入れて取り組んでいただきたいと思うところであります。
 その点でもう一つ、一般質問でもお話ししたのですけれども、浸水地の土地の利活用についてです。いかに浸水地の土地の利活用が進むかということは、まちの経済であったり、まちのにぎわいであったり、自分たちの生活空間がどのようにこれから進むかということを我々被災地の住民は、心配するがためにお話を出しております。
 国とこれから連携を図りながら、利活用や管理方法を含め市町村とも検討していくということで答弁いただいたわけでありますが、例えば、現状を担当する部局としてどのように捉えているのか、そこまでは実は一般質問では聞かなかったので、本家本元をお話しいただきたいと思います。
〇北島復興推進課総括課長 移転元地やその造成地における未利用地の草刈りの関係の……(佐々木茂光委員「草刈りだけでないよ」と呼ぶ)失礼しました。維持管理の問題であります。景観や住民の安全の観点から、維持管理というのは非常に大事だと思っております。
 我々は市町村に出向いていろいろ意見交換しておりますけれども、市町村が所有している移転元地の維持管理については、市町村の人手とか予算の関係でなかなか対応が難しいけれども、道路に面している箇所とか重要なところについては、可能な限り対応しているということで聞いております。
 それから、造成地のうちの民有地の維持管理ですけれども、基本的に、地権者に対応していただく必要があると思っております。陸前高田市では、特に安全の観点から対応が必要なものと判断した場合には、地権者に対して状況の写真や対応依頼の文書を送付することによって自発的な対応を促して、一定の効果を上げていると伺っております。
 また、最近、陸前高田市で、ふるさと納税の返礼品として草刈りサービスを設定しているとか、今年度から新たに草刈り機の貸し出しも開始しているということで、市町村でも知恵を出して維持管理を促しているという状況と認識しております。
〇佐々木茂光委員 私が言っているのは草刈りだけでないからね。大事なのは、そこの土地をどう動かすかということなので、たまたま対象になっている土地が、草ぼうぼうではうまくないでしょうということが事の発端です。もとはその土地を早く戻してくれという思いの中で出た話なので、それが今の現実です。ただ、県も一緒になって土地を何とかして活用してもらいたいと思うので、それをお伝えしたいと思っております。
 草刈りの話でなく、所感を復興防災部長からいただければと思います。
〇佐藤復興防災部長 移転元地等の未活用地の話でございますけれども、いずれ市町村がまちのデザインを描いて、自分たちのまちづくりどうやっていくか、その中に被災の状況で虫食い状況でどんどん土地が残っている状況、大変な状況だと認識をしております。市町村がまちのデザインを描く意味で、どういう風に使いたいのか、その辺がキーポイントだと思っております。
 権利義務の関係等、いろいろ難しい問題があると承知しておりますけれども、市町村の目指すまちづくりについて、どれだけ障害があって、何をしていけばいいのかというあたりを県としても国と一緒に協議し相談しながらお手伝いをしていきたいと思っております。
 県沿岸北部地域では土地の未活用ということでいいますと、野田村は利用地の割合が97%で、市町村によっては実はばらつきがございまして、沿岸南部のほうが被災した状況も多いということで、未利用地が多い状況になっております。場合によっては、太陽光の発電に使いたいとか、あるいは、具体的に使い道がないので自然公園みたいな形で活用するとか、いろいろな手だてはあろうかと思っておりますけれども、まずは、市町村がまちづくりの観点で、その土地をどういうふうに使いたいのか、その辺の意向を聞きながら、何のお手伝いができるかというあたりを一緒になって検討していきたいと考えております。
   〔「関連」と呼ぶ者あり〕
〇松本雄士委員 私は事前通告していた内容に関連しまして、個別避難計画の策定について、ここで質問させていただきます。
 災害対策基本法が改正されまして、個別避難計画の策定が市町村の努力義務とされて3年経過するのですけれども、先ほども個別避難計画の話が出ましたが、今の市町村の策定状況と、さらに、個別行動要支援者、名簿に記載される人数に対しての作成率について伺います。
〇和田被災者生活再建課長 市町村の個別避難計画の作成状況と作成率ということについてお答えさせていただきます。
 今年度の調査におきまして、避難行動要支援者の全員分、または一部を作成しているのは30市町村となっているところでございます。
 それから、避難行動要支援者名簿に登録されているのは、令和5年5月1日現在で、全県で9万3、670人ですが、このうち個別避難計画の作成されているのは1万9、047人であり、その作成率は20.3%となっているところであります。
〇松本雄士委員 20%という作成率でかなり低いなと思います。努力義務とはいえ、ここの率を上げていかなければならないと思うのですけれども、要支援者について、浸水区域とハザードマップ上の危険地域において、個別避難計画が作成されていない要支援者がいるのか、いないのか、その把握状況について伺います。
〇和田被災者生活再建課長 被災想定区域に居住する避難行動要支援者の状況ということになりますが、避難行動要支援者名簿に掲載された全ての方の個別避難計画を作成しているのが、現在3市町村となっております。このほかの市町村では、全ての要支援者の個別避難計画の作成まで至っておらず、被害想定区域に居住している要支援者の有無の把握も進んでいない現状となっております。
 今年度、県が取り組んでおります津波避難実証実験では、最大クラスの地震、津波による被害想定により最も多くの犠牲者が出るとされている久慈市において、津波浸水想定区域に居住する避難行動要支援者の居住情報を地図情報システムに落とし込んで可視化するという取り組みを実施しているところであります。
 地図上で可視化するこの取り組みによりまして、津波災害以外でも被害想定区域に居住する要支援者の把握が容易になるということから、今後、こういった取り組みを市町村に紹介して、活用を働きかけていくこととしております。
 こうした取り組みを進めながら、ハザードマップ等の情報も踏まえた個別避難計画の作成が促進されるように市町村を支援してまいりたいと考えております。
〇松本雄士委員 ぜひそういった取り組みを早急に進めていただきたいと思うのですが、危険地域に要支援者がいるということ、すぐ今そこにある震災、災害に備えなければならないのですけれども、その辺がなかなか進まない課題は何なのでしょうか。
〇和田被災者生活再建課長 市町村等とさまざま議論、意見交換をさせていただいている中で、個別避難計画が進まない理由につきましては、避難支援する方が高齢化等もあってなかなか見つからないということ、それが最も大きな課題だと伺っております。
 それから、沿岸地域においては、津波避難に係る個別避難計画を作成するに当たって、避難支援者を誰にしたらいいのか、お願いするにもなかなかお願いしにくいといったような市町村の課題もあると伺っております。
 県としては、そうはいいましても、しっかりと個別避難計画を作成していくことが必要だということもあって、この1月に津波避難に係る担当者会議、意見交換会を開催しまして、さまざま市町村から課題感を共有させていただきました。そういったことも踏まえながら、これから市町村と議論を深めて、どういうふうにしていけばいいかといったところを検討してまいりたいと考えております。
〇松本雄士委員 地域の実情として、少子高齢化が進んでいる中で、それが現実なのだと思います。要支援者を助ける方もいないし、そういった津波のときは、まずもって自分の身の安全を確保しなければならないというのが原則であります。
 そういった中で、危険地域の要支援者において、心身の状況とか社会的孤立の状況を踏まえた優先度の把握はされているのでしょうか。
〇和田被災者生活再建課長 市町村における優先度が高い対象者の把握状況ということでありますが、国の取り組み指針では、自力で避難することが困難な方の要件として、重度の障がい者や市の生活支援を受けている難病患者などを例示しているところではあります。そして、同指針では、こうした要件に該当する方の中でも、洪水、津波、土砂災害等の危険度の想定とか、重度の要介護や障がいの状況、あるいは、独居等の居住実態など、優先度の高い避難行動要支援者から作成することが適当とされておりますが、その把握が進んでいない市町村もやはりあるところです。
 今後は、市町村の福祉部門や防災部門の連携などにより、優先度の高い避難行動要支援者を把握するとともに、こうした優先度の高い方々の計画作成が進むように働きかけてまいりたいと考えております。
〇松本雄士委員 まず、優先度というものをしっかりと見極めていくということと、あと、計画はつくって終わりではないので、計画の実効性を高めるという取り組みも非常に重要かと思うのですけれども、福祉部門との連携であったり、実際、個別避難計画を活用した訓練の実施状況について伺います。
〇和田被災者生活再建課長 個別避難計画を活用した訓練等についてでございますが、令和5年度に個別避難計画を活用した避難訓練を実施したのは、一つの町と一つの村の2町村にとどまっているところでございます。その実効性を確保するためにも、計画の作成を進めるとともに、各市町村において、日ごろからこれに基づいた訓練を重ねていく必要があると考えております。
 県の総合防災訓練では、福祉避難所の開設、運営に係る訓練を実施しており、一部の市町村の防災訓練でも同様の訓練を行っています。これらの取り組みは、福祉関係者との連携強化のほか、個別避難計画の点検、見直し等にもつながるものであることから、市町村の担当者研修会や意見交換会等において、これらの事例を共有しながら個別避難計画の実効性が確保されるように取り組んでまいりたいと考えております。
〇松本雄士委員 その訓練の実施状況は大分低いなと思うので、そういったものを高めていかなければならない。ただ、現場では課題があるのだと思います。マンパワーの不足であったり、要支援者と一緒にそういった訓練をするのは難しいことがあると思います。ただ、東日本大震災津波のときのデータで、全人口に対する普通の人の死亡率に対して、障がい者の死亡率は2倍であったといった報告がなされております。非常に悲しい事実でありますけれども、しっかり備えておけば救える命は必ずあったのだと思います。
 まず、全部画一的に進めるということではなくて、先ほど話をした優先度の見極めであったり、計画の実効性をしっかり確保する訓練を、福祉部門との連携を見極めてしっかり前に進めていっていただきたいと思います。
〇畠山茂委員 私からは大きく7点端的にお聞きしていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 まず1点目の個別避難計画は、今、松本雄士委員のやりとりで理解をいたしましたので、そこは省略いたします。
 次に、自主防災組織強化事業についてお伺いをします。
 自主防災組織強化事業では、県内の組織率は令和5年4月1日現在で89%と組織化が進んでいる一方で、市町村別に見れば、組織率や活動にアンバランスがあると認識していますが、県は現状をどのように認識をしているのか。また、今後は組織率の向上と活動の充実に向け、どのような働きかけをしていくのか、それらの計画をお伺いいたします。
〇戸田防災課総括課長 自主防災組織の組織率につきましては、40%程度から100%まで幅がございまして、近年、大きな災害が比較的少なかった県の北部ですとか、東日本大震災津波により新たなコミュニティーを構築する必要があった沿岸部の一部で組織率が伸び悩むなど地域間で差が生じていることから、組織率が伸び悩む市町村では、組織率の向上が必要であると考えております。
 また、組織率が高い市町村におきましても、災害時に自主防災組織により実効性のある対応をするためには、防災に関する研修ですとか避難訓練等の活動を継続的に実施する必要があると考えておりまして、自主防災組織の活動が活性化していることは、組織率の向上とあわせ重要なことと認識しております。
 自主防災組織は、災害発生時の地域における共助の担い手であることから、地域コミュニティーの防災力を強化するため、県では、これまで岩手県自主防災組織リーダー研修会、それから、防災士養成研修会などによる地域防災の中核人材の育成ですとか、防災に関する資格を持つ方や消防職員OB等を地域防災サポーターとして、学校での防災教育などの講師として派遣したところでございます。
 来年度は、新たに防災人材を活用した自主防災組織等の活用支援に必要な経費を当初予算案に盛り込んだところでございまして、引き続き、自主防災組織の組織化ですとか活動の活性化を促していきたいと考えております。
〇畠山茂委員 先ほど来、説明のあった40%から100%という形で差があるというのは、先ほどの個別避難計画ではないですが、問題だと思いますので、ぜひ県内の市町村と連携してやっていただきたいし、防災リーダー、あるいは防災士の人材育成も市町村と連携してやっていただきたい。多分、聞くとそれも市町村で差があるのではないかと理解しますので、よろしくお願いします。
 次に移ります。次の質問は、地震・津波対策緊急強化事業費の5、900万円についてお伺いいたします。
 事業説明では、将来的に日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震が想定される中、沿岸市町村が行う避難対策や自主防災組織の育成強化に取り組むということですけれども、まずお聞きしたいのは、令和5年度の同事業の予算は約1億2、000万円ほどありましたけれども、執行率は2割にとどまっております。先日の令和5年度の補正予算第6号では、1億800万円の減額補正が提案されていました。まずは、令和5年度に執行率が悪かった理由は、市町村の計画がなかなか進まなかったのか、需要がなかったのか、減額理由をお伺いしたいと思います。
 あわせて、新年度予算では約5、900万円と今年度の半分の予算提案となっています。県の日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震のシミュレーションの公表では、先ほどもお話があったように、甚大な被害が想定されています。今後は具体的なレッドゾーンの指定などが出てくると思うのですけれども、本県沿岸12市町村におけるハード面の対策条件について、県はどのような認識を持っているかもあわせてお伺いをいたします。
〇戸田防災課総括課長 まず初めに、令和5年度の事業費の執行率が悪かった理由ということでございますけれども、日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震については、令和4年3月に津波浸水想定を、それから、同年9月に被害想定を公表いたしました。
 その後、県と沿岸12市町村で立ち上げた岩手県地震・津波減災対策検討会議におきまして、市町村に共通する課題について検討を進め、昨年8月に具体的な減災対策の取り組みを推進するに当たっての基本的な考え方を岩手県地震・津波減災対策検討会議報告書に取りまとめたところでありまして、沿岸市町村では、現在、その地域の実情に応じた避難対策の検討を進めているところでございます。
 こうしたこともありまして、津波避難に係るソフト対策に対して支援を行う当事業につきましては、今年度は5市町村の活用にとどまったところでございます。
 次に、ハード面の対策状況というところについての御質問かと思いますけれども、県では、東日本大震災津波の経緯を踏まえまして、最大クラスの津波を想定しつつ、さらに想定を超える可能性や、整備された堤防等では防ぎきれない規模の津波を前提としながら、ハードとソフトを総動員した多重防御の考え方により、住民の避難を軸に減災に結びつけることとしております。
 ハード面の対策につきましては、東日本大震災津波からの復興により、海岸保全施設の整備が進んだところです。
 また、現在、市町村では、いわゆる日本海溝・千島海溝特別措置法に基づき、津波避難対策緊急事業計画を作成し、住民がより安全な場所に確実に避難するための避難路や緊急避難施設等の整備に取り組んでいるところでございまして、県でも、各市町村の津波避難計画等を踏まえ、避難路など、県が実施すべき施設の整備に取り組んでおります。
 今後も、地震・津波対策緊急強化事業により、市町村が行うソフト対策と合わせ、地域の実情に応じた減災対策に市町村と一体となって取り組んでまいります。
〇畠山茂委員 今の説明ですと、昨年の8月ごろに対策を取りまとめたということで、予算執行には計画が間に合わなかったというふうに理解いたしました。そういった意味で、日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震では大きな地震が想定される中で、今、説明がありましたけれども、国のハード面の強化補助金は、何かハードをつくった場合は3分の2は国が支援をしますけれども、3分の1は自治体が持ち出しをしないとならないということで、これ以上にハード面をつくろうと思っても、自治体としての負担は大きいというところで足踏みする部分もあるのではないかと私は個人的には思っていますけれども、いずれ大きな災害のシミュレーションは示されているので、今後とも速やかに12市町村と連携をしながら、ハード面、ソフト面、ぜひ強化をしていただきたいと思います。
 次に、広域防災拠点設備等整備費1、200万円についてお聞きしたいと思います。先ほど飯澤匡委員も2次避難所に触れていましたけれども、今回の1月の能登半島地震では、改めて、日ごろの備えと訓練の重要性を再認識したところです。その中でも、被災地は被害で機能不全に陥ってしまうので、大規模災害時は後方支援体制の重要性を改めて認識したのですけれども、そこで、今回の予算案1、200万円の主な事業は、どのようなことを行うのか。
 あわせて、県は今回、大規模災害が発生したときに後方支援体制とか、あるいは、広域連携の計画等をきちんと策定している状況なのか、その点もあわせてお伺いいたします。
〇戸田防災課総括課長 広域防災拠点設備等整備費についてでございますけれども、県では、津波等の大規模かつ広範囲に及ぶ災害に対応するため、東日本大震災津波の災害対応検証を踏まえ作成した災害備蓄指針に基づきまして、県内の広域防災拠点施設等に県の災害備蓄物資を分散して補完しているところでございます。
 令和6年度当初予算案における主な内容は、簡易トイレ、それから、アルファ化米、飲料水、乳児用液体ミルクなど、使用期限や消費期限が到来する備蓄物資の更新に要する経費となっております。
 次に、大規模災害時の後方支援体制や広域連携の計画についてでございますけれども、県では、大規模災害発生時に受援、応援を的確に実施するため、岩手県災害時受援応援計画におきまして、本県で大規模災害が発生した場合の都道府県等からの応援の受け入れについての手順等、それから、本県以外で大規模災害が発生した場合の本県からの応援についての手順等をそれぞれ定めているところでございます。
 また、県では、岩手県広域防災拠点配置計画におきまして、県内全域で発生する大規模災害に対応する人、物、情報に関する機能を有する広域防災拠点を県内五つのエリアに配置しております。
 現在、広域防災拠点を配置するエリアの追加を含め、検討を進めているところであり、年度内に見直しを終える予定となっております。
〇畠山茂委員 1、200万円は備蓄、あるいはトイレ等に今回充てるのだということです。それから、後方支援体制は、今年度見直しをもう一回始めるということですので、これもよろしくお願いしたいと思います。
 次に移ります。
 避難所運営デジタル化実証事業費800万円についてお聞きします。これも新規事業で、避難所の受付効率化、あるいは支援物資等の迅速な供給に関する実証実験を行うと説明では書いてあったのですけれども、今後、集中豪雨や巨大地震が予想される中、あるいは、1月に発生した能登半島地震を見ても、住民の安否の確認や避難所での運営において、デジタル化というのは迅速な効果を発揮するものと私も考えます。新年度ではどのような取り組みを計画しているのか、お伺いをしたいと思います。
〇田澤総括危機管理監 避難所運営デジタル化実証事業費についてでございます。
 県では、防災DXの検討を進めるに当たりまして、昨年、県内市町村にアンケート調査を行いまして、市町村からは発災後の応急対応期において、最も負担となり、デジタル技術の活用が期待される業務として、避難所運営業務が挙げられたところです。
 こうした御意見を踏まえまして、避難所運営業務の効率化を図る実証実験に取り組むことといたしまして、具体的には、従来、紙で対応しておりました避難所受付業務について、マイナンバーカードやLINEを活用した避難所の受付に係る所要時間の短縮や、避難者名簿をリアルタイムで作成することによる事務処理の効率化、関係機関との迅速なデータ共有による物資供給の最適化、在宅避難者、車避難者の効率的な把握に向けて実証実験を行う予定としております。
 また、実証実験の成果や防災DXの先進事例などを市町村と共有するため、市町村職員を対象とした研修会の開催も予定しております。
 こうした取り組みを通じまして、防災分野におけるデジタル化の取り組みを促進していきたいと考えております。
〇畠山茂委員 わかりました。ただ、マイナンバーカード、LINEというお話がありましたけれども、きのうも話題になっていましたが、マイナンバーカードの活用は、これから保険証であったり運転免許証に活用されるということで、活用の仕方によっては、これからDXの時代になってくると思うので、理解をしますし、全国の事例では、そういうふうにやっているところもあります。市町村では、マイナンバーカードで受け付けて、電子化ですぐわかるという把握の仕方をしている自治体もあると承知していますが、そのもととなるマイナンバーカードがまだまだ県民に認知度が低いところもあるので、その点もあわせて、これからも計画を進めていただきたいと思います。
 次に、福祉避難所についてです。福祉避難所については、能登半島地震の教訓からも、断水や停電などの場合、特殊な事情を抱える高齢者や障がい者の方が安心して避難できる福祉避難所の準備は必要だと考えます。
 そこで、2月8日の新聞記事では、県内の福祉避難所は昨年5月時点で398カ所あるのですが、国の基準を満たしている市町村が公示している箇所は97カ所ということで、市町村間でも福祉避難所の箇所数にばらつきがあるのだなと感じています。日々の備えとして、災害時の福祉避難所の運営のあり方はきちんと議論されるべきですし、県は県内の自治体と認識の共有化を図り、箇所数の確保や拡大の取り組みをどのように認識し考えているのかお伺いしたいと思います。
〇和田被災者生活再建課長 福祉避難所についてでありますが、県では、福祉避難所の一層の確保に向けて、市町村を直接訪問し、社会福祉施設のほか、旅館等の宿泊施設の活用や、避難所運営に従事する人材の確保などの助言を行ってきたところでございます。
 今後とも関係機関と連携しながら、身近な地域で福祉避難所が確保されるよう市町村に働きかけを進めてまいりたいと考えております。
 また、災害時に迅速かつ円滑に福祉避難所を開設するためには、日ごろから訓練を重ね、避難所となる社会福祉施設等との連携を確認しておくことが重要であると認識しております。
 県の総合防災訓練では、福祉避難所の開設、運営に係る訓練を実施しており、市町村の防災訓練でも同様の訓練を行っている例がございますので、市町村担当者研修会や意見交換会等において、これらの事例を共有しながら、全県で福祉避難所に関する訓練が実施されるように取り組んでまいます。
〇畠山茂委員 説明はわかりました。ここで改めて、市町村別の数字でアンバランスとかがあるといった把握はなさっていますか。
〇和田被災者生活再建課長 福祉避難所の状況ということになろうかと思いますが、ほとんどの市町村で高齢者施設、障がい者施設を福祉避難所に充てているという状況です。中には、管内にある施設を全て福祉避難所に指定している自治体もありますし、既に入居されている方が多いという状況で活用が難しいという場所もございます。そういった状況で、ばらつきはあるというふうにお答えせざるを得ませんけれども、まだ少し余裕のあるところ、あるいは、災害時にどのように対応できるかといったようなところも市町村ごとにしっかりと状況を把握していっていただいて、可能な限り確保できるように取り組んでいってもらうように働きかけてまいりたいと思います。
〇畠山茂委員 それでは、最後の質問になります。東日本大震災津波伝承館管理費1億1、600万円と、復興情報発信事業2、300万円についてお伺いしたいと思います。
 きょうの新聞でも陸前高田市の県有施設の話題が出ていましたし、先ほどの説明でも、来場者が93万人ということで順調に来場者が伸びているという印象があります。一方で、各市町村が自前で取り組んでいる伝承施設では、私は来場者の伸び悩みを感じています。宮古市でも新たな災害防災伝承施設の建設を今、進めています。観光振興や交流人口の拡大のためにも、今までの点から、線や面の連携した情報発信やルートづくりが私は必要だと考えています。学ぶ防災や災害の教訓や伝承の発信を県はどのように取り組んでいくのかをお伺いします。
〇北島復興推進課総括課長 東日本大震災津波伝承館では、震災の事実、教訓の伝承とともに、県内の教員を対象に、震災・防災学習プログラムを紹介する現地研修会の開催や、県観光協会が主催する県外教育旅行説明会でのPRなど、教育旅行の誘致に取り組んでおります。
 また、商工労働観光部が教育旅行を対象とするバス運行支援を実施しているほか、3.11伝承ロード推進機構が主催するモニターツアーにより、旅行会社や台湾教育関係者が伝承館を初めとする県内の震災伝承施設を訪問するなど、三陸地域を周遊する機会の創出が図られております。
 来年度は、これらの取り組みに加え、復興情報発信事業で、県内の震災伝承施設等の情報を一元化したウエブページを構築するなど、情報発信を強化することとしており、引き続き、関係機関、団体等と連携しながら、震災伝承施設を初め、三陸ジオパーク、みちのく潮風トレイルなどの三陸固有のコンテンツや、復興道路、三陸鉄道などの交通ネットワークを活用し、伝承館の集客強化を三陸地域全体へ波及させるように取り組んでまいります。
〇臼澤勉委員 それでは、私からも広域防災拠点等整備費に関する質問を行います。
 たっそ拓也マニフェストプラス39の29番に、消防防災拠点と岩手県消防学校の整備ということがうたわれております。これには岩手医科大学の災害時地域医療支援教育センターとの連携、そして、災害時の拠点となる施設を整備するのだということで、老朽化した消防学校の整備を進めますと書いております。
 そこでまずお伺いいたします。老朽化した消防学校の認識、具体的な安全性の問題点の認識についてもお伺いします。
〇田端消防安全課総括課長 消防学校の安全性についてでありますけれども、平成23年度に実施した耐震診断調査の結果でございます。校舎1階及び2階の東西方向が災害応急対策活動に必要な建築物及び多数の者が利用する建築物に求められる数値を満たしていない状況ということになっております。しかしながら、震度6強の地震で倒壊する可能性は高くないとされているものでございます。
 この結果から、直ちに耐震化を行うような危険性はないものの、先ほどの御質問にもありましたとおり、50年ほど経過しておりますので、経年劣化もあるところでございます。これらの改善に向けた対応が必要であると考えております。
〇臼澤勉委員 平成23年からも相当程度、月日は流れております。そして、劣化診断の結果についても、たしか平成29年に、5年以内に具体的な改修計画を進めていくとされておりますけれども、この辺はどのようになっているのか、お聞きします。
〇田端消防安全課総括課長 その後の検討の進め方ということだと思いますけれども、令和5年3月に、この件に関しまして、岩手県消防学校整備基本構想策定委員会というものが取りまとめた報告書をもとに、現在、消防学校に求められる機能などを満たすために必要な施設整備の内容ですとか、未整備となっている実践的訓練施設の種類や規模、それらを全て整備した場合に必要となる敷地面積などなど、消防学校を設備するための課題について検討を進めているところでございます。
 今後、これらの検討を踏まえまして、整備スケジュールを含めた具体的な整備計画について検討していくこととしております。
〇臼澤勉委員 この整備計画の具体的なスケジュールは、これからだということですけれども、今回も、先ほど来、能登半島地震も含めて東日本大震災津波の教訓が話題になっております。皆様は今回の教訓をどのように捉えているのか。例えば、津波てんでんこという避難の三原則みたいなことも13年前、全国に教訓として伝わっていったと思いますけれども、その教訓について教えていただければと思います。
〇戸田防災課総括課長 今回の能登半島地震での教訓というところでございますけれども、津波からの避難ということに関して言うと、報道等でしか承知していないですけれども、訓練や東日本大震災津波などの経験を見聞きしていたので、速やかに逃げることができたなどといったところもありますので、能登半島地震からの教訓というよりは、こちらの教訓が能登半島地震に生きてくれたのかというところがありますので、改めてその辺の重要性を認識したところでございます。
〇臼澤勉委員 想定にとらわれるなということ、13年前の東日本大震災津波、そして、率先避難であり、最善を尽くせといった私は三つの大きな教訓があったと思います。
 先ほども震度6強の地震では倒壊する可能性は高くないというような答弁もありましたけれども、この消防学校の位置づけというのは、まさに広域防災拠点であり、この13年間の中においても、岩泉町での台風10号で被災したときにも、県内の復旧、復興を行う機能を持つ拠点でした。ここが震度6強で大丈夫だということの前提に立って議論していたら、それ以上の、あるいは、それから何年ももうたっているわけですから、いざそういった地震とかが起こったときに本丸がもたなければどうなるのかという問題認識で私は質問しているのであります。
 そういった観点からして、ゆったりとやっているということではないと思いますけれども、その辺のスケジュール感をしっかりと持って取り組んでいただきたいと思っております。
 整備費用においても財源確保対策は重要になってくると思いますけれども、国の支援事業とか他の財源との兼ね合いについて、どのように検討されているのかお伺いいたします。
〇田端消防安全課総括課長 整備に関する財源についてでございますけれども、現在、消防学校の整備に当たっての国の補助制度というものはありませんで、一般財源、あるいは一般事業債といったような財源での整備が前提となっているところでございます。
 しかしながら、実践的訓練施設の整備には交付税措置のある防災対策事業債が、あるいは、女性用施設の整備には特別交付税での措置があるなど、整備する施設や設備によっては、活用できる財政措置もあるということでございます。
 今後、そういった整備内容や整備費用の算出とあわせて、財源についても検討してまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 参考までに、他県の消防学校の整備状況とか改修の事例もあると思うのですけれども、どのくらいの整備費がかかって取り組んできているのか、お伺いいたします。
〇田端消防安全課総括課長 他県の消防学校でございますけれども、全国では、平成23年以降6県で建てかえ整備を行っております。また、東北、北海道地区では、現在、青森県と北海道が令和7年度中の完成を目指して建てかえ工事を進めていると伺っております。
 それぞれの消防学校の規模、人口規模、受け入れる消防吏員の規模などによって整備費用はさまざまではございますけれども、岩手県と大体同規模ぐらいの都道府県においては、全部を建てかえた場合、50億円程度と承知しております。
〇臼澤勉委員 50億円程度ということで、機能や、どういった施設にするのかという、内容とかによっては単純に比較はできないということは十分理解いたしますけれども、ただ、今回の、特にマニフェストプラス39では岩手医科大学の災害時地域医療支援教育センターとも連携をしながら拠点整備に取り組んでいくということを書いているわけでございます。基本構想委員会でまとめた整備基本構想等々について、今回、どういった機能を盛り込んでいこうとしているのか、いろいろあるでしょうけれども、特にこういったところに重点的整備を今、検討しているといったところを御披露願います。
〇田端消防安全課総括課長 まず、消防学校でございますので、先ほど申し上げました実践的訓練施設で言いますと、岩手県で多い土砂災害ですとか、あるいは、火災でいえば一般住宅の火災に対応する能力を養うといったような基本的には、消防吏員、あるいは消防団員の教育、訓練に要する施設等の設備が必要だと考えております。
 また、先ほど来出ております広域防災拠点機能につきましては、これから検討が必要ではございますけれども、今の機能を維持しながら、それに追加して必要な機能はどうだろうかといったようなものを検討してまいりたいと考えております。
 先ほど岩手医科大学との関係で、災害医療活動支援機能のことも出てございました。そういった機能についても、あわせて検討していきたいと考えております。
〇臼澤勉委員 最後にいたしますけれども、このマニフェストプラス39は、いずれ約束事であります。具体的に計画を実践していく、形にしていくということが求められるかと思います。最後、そこの確認をさせていただければと思います。
〇田端消防安全課総括課長 具体的なスケジュールということでございます。一般的に、このような施設につきましては、設計に一、二年、工事に2年程度ということで、一定の期間を要するということになろうかと思います。
 消防学校につきましても、具体的な整備手法ですとか財源など、今後検討すべき課題がさまざまあるということで、具体的にいつということはお示しできない状況ではございますけれども、現在、具体的な計画策定に向けて、整備の内容ですとか実践的訓練施設の種類、規模など、課題となっている事項について検討を進めておりますので、その後、整備スケジュールを含めた具体的な整備計画を検討するということになっております。
〇臼澤勉委員 今の答弁では、少し違うのではないかと思います。復興防災部長に最後、お伺いします。いずれ、いろいろ計画を策定して、実施設計だとか用地の選定も含めて、いろいろな関係機関との調整があるのは十分にわかります。いつまでにやるのかわからないといった答弁では、我々は少し納得できない部分がありますので、改めて復興防災部長、最後、簡潔でいいですから答弁をお願いします。
〇佐藤復興防災部長 消防学校の整備でございます。老朽化が随分進んでおりまして、ずっと懸案事項になっている案件でございます。
 消防安全課総括課長も答弁申し上げましたけれども、再整備につきましては、まだまだ検討を要する事項がございます。臼澤勉委員からもお話のありました用地の関係とか設計の関係がありますので、いずれ一つ一つ手順を踏みながら、具体的な整備計画を早急に作成していきたいと考えております。
〇城内愛彦委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午後0時1分 休 憩
午後1時2分再開
〇千葉盛副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、戸田防災課総括課長から発言を求められておりますので、これを許します。
〇戸田防災課総括課長 午前中、飯澤匡委員から衛星携帯電話を活用した通信訓練の実施状況ということで御質問がありまして、そちらについて答弁させていただきたいと思います。
 市町村を対象にした衛星携帯電話の通信訓練につきましては、毎年度2回実施しております。令和5年度は11月8日と3月1日にそれぞれ2市町、計4市町で訓練しておりまして、毎年おおむね4市町村から7市町村を対象に行い、大体5年で一めぐりするという形で訓練を実施しております。
〇千葉盛副委員長 質疑を続行いたします。
   〔「関連」と呼ぶ者あり〕
〇郷右近浩委員 午前中の消防学校の質疑について、関連して質問させていただきたいと思います。
 消防学校については、これまでも何度も視察等にお邪魔させていただいて、そして、今の建物の現状であったり施設の現状、そして、そこで一生懸命、消防の技術を磨いている生徒たち、全県から集まっている方々の姿勢であったり、これまでの成長の過程を拝見させていただいているのですけれども、そうした中で、確かにあそこの施設自体、もう建てかえなければならないというのはそのとおりで、新しい施設を、しっかりとしたものをつくっていきたいという思いは私自身も持っている中で、先ほどの質疑の中で、広域防災拠点との連携という部分で、何となく、場所の選定等を含めて大分考えているのかといったニュアンスが示されたわけでありますけれども、それはどこか、ここに建てようという場所とか、新しい建設場所について、候補地がいろいろ考えられているということでよろしいのか、まずお伺いしたいと思います。
〇田端消防安全課総括課長 再整備する消防学校の施設設備の内容や規模、その設備に必要な敷地の面積などについては、現在検討を進めているところでございます。したがいまして、整備の予定地につきましても、そういったものを整理した中で決めていくということで、現時点では未定ということになっております。
〇郷右近浩委員 わかりました。繰り返しになりますけれども、どこにどうするといったようなことも、今、候補地を絞り込んでいるなどということもまだなく、建設スケジュールに関しては、先ほど質疑の中でもありましたので、スケジュールとしてはわかっていますが、まだそこまでいっていないということでよろしいのか、確認させてください。
〇田端消防安全課総括課長 今、郷右近浩委員がおっしゃったとおりでございまして、まだ決まっていないといいますか、未定ということでございます。
〇郷右近浩委員 わかりました。あしたを担う消防士たちのためになるべく早くつくってほしいといった思いがあるわけですが、しっかり取り組んでいただければと思います。
〇菅原亮太委員 私からは、避難所運営デジタル化実証事業費について御質問させていただきたいと思います。畠山茂委員からも御質問がありましたので、かぶらないところで質問させていただきます。
 まず、住民による共助が求められているのが避難所運営でして、運営には自主防災組織を含めて多くのスタッフが必要になります。東日本大震災津波では、当初、避難者の把握が困難を極めまして、在宅避難者を含め避難物資が行き届かない状況があったと伺っております。先ほどの御答弁の中でも、市町村アンケートで避難所運営のデジタル活用による効率化が必要という声があったということで、今回、避難所運営デジタル化実証事業費、デジタル技術を活用した避難所の受付の効率化、支援物資の迅速な供給に関する実証実験が当事業と伺っております。
 内容的には、LINEやマイナンバーカードを活用した避難所受付によりリアルタイムで避難者数などの把握を行い、当該情報に基づいた物資の迅速な供給支援に係る実証実験を実施すると内容としては伺っておりますけれども、他県では、マイナンバーカードを利用した避難所の受付を行っている事例が幾つかありまして、宮崎県都城市では、これまで避難者カード用紙を用いていた避難所の受付がマイナンバーカードなどの身分証を読み込んで受け付けできるようになっています。今、マイナンバーカードを利用した避難所受付が進んでいますけれども、今回は、マイナンバーカードに加えてLINEも活用と伺っています。
 マイナンバーカードの活用については、都城市と同じように、マイナンバーカードで受け付けをするという取り組みだと思いますが、LINEはどのように活用していくのか、まず伺いたいと思います。
〇田澤総括危機管理監 LINEを活用する理由についてでございます。避難所運営の効率化を進める実証実験の実施に当たりまして、本県の実証実験でもマイナンバーカードの活用を想定しているところでございますけれども、一方で、マイナンバーカードを持参しない避難者が多くいる場合の対応ということも想定して検討する必要があると考えたところでございます。
 このため、民間の研究所が令和4年に実施いたしましたスマートフォン等の所有者のSNSの利用動向調査結果というものがございまして、その調査によりますと、LINEの利用率が81.6%と最も高い結果となっているということを踏まえまして、本実証実験で取り組むこととしております避難所の受付、あるいは在宅避難者、車避難者の把握にLINEもあわせて活用することとしたところでございます。
 なお、LINEを使えない小さいお子さんですとか高齢者の方への対応が課題となりますけれども、家庭の中でLINEを使う方が一人でもいれば家族全員分を登録できるようにするといった仕組みにいたしまして、多くの避難者をカバーできるのではないかと考えております。
 いずれ、実証実験ではマイナンバーカードを活用した避難所受付の実証実験も行いますので、それぞれの手法の優位性でありますとか課題といったところをしっかり研究していきたいと考えております。
〇菅原亮太委員 総じてまとめると、まず、皆さんに基本情報を登録していただいて、避難所に向かう方はマイナンバーカードを持っていく、もしくはスマートフォンを持って、QRコードみたいなもので避難所の受付をやってもらう。先ほど申したように、在宅とか自動車避難の方はLINEで事前登録した情報をもとに、どこにいますかというやりとりをするという実証実験になると理解をさせていただきました。
 東日本大震災津波のときは、着の身着のまま避難所に逃げたという方もいらっしゃいました。そういう何も持っていない方に対して、従来の紙の受付も実証実験で一緒に行うのかどうか、そこを確認したいと思います。
〇田澤総括危機管理監 菅原亮太委員御指摘のとおり、避難が切迫している環境の中では、スマートフォンも持たない、あるいは、マイナンバーカードも持たない状態で避難する方は当然いらっしゃると思います。ですので、この取り組みを実装していくとしても、100%デジタルに切りかえることは難しいと思っております。
 今回の実証実験では、事務局でシナリオを考えたいと思っているのですけれども、例えば、デジタルで8割、従来型の紙で2割とか、あるいはデジタルで6割、紙で4割対応した場合に、どの程度効率化できるのかといったところも定量的に分析いたしまして、その結果を市町村とも共有して、今後の活用可能性について検討を進めていきたいと考えております。
〇菅原亮太委員 今回、能登半島地震でも、在宅避難であったり車避難が多かったですし、特に高齢者の方、災害弱者と言われて、徒歩避難では津波から逃げおくれる可能性があるということで、今後、車避難、在宅避難といった選択肢が重要になってくるのではないかと考えています。
 この実証実験において、在宅避難者、車避難者への支援物資のニーズ把握について、どのように取り組むか教えていただければと思います。
〇田澤総括危機管理監 今回の実証実験で検討してみたい大きな項目の一つとして、これまで把握がなかなか難しかった在宅避難の方、車避難の方の把握について、LINEを活用して把握ができないかということを取り組んでみたいと考えております。イメージといたしましては、LINEで御自分が現在どこに避難しているのかということを登録していただくとともに、例えば、支援が必要なのかどうかといったところもあわせて登録して、すぐデータとして集計できますので、それを災害対策本部と速やかに共有して必要な支援につなげていくという仕組みができないかということを実証実験の中で検討してまいりたいと考えております。
〇菅原亮太委員 事前にいただいた概要資料で、年に2回開催予定と伺っておりました。この2回というのは、場所を変えて2回なのか、それとも春とか冬とか時期をずらしての2回なのか、その辺の想定はありますでしょうか。
〇田澤総括危機管理監 実証実験の回数ですけれども、菅原亮太委員御指摘のとおり、2回開催する予定としております。開催場所は異なる場所で開催したいと考えておりまして、例えば、県や市町村の総合防災訓練と連動する形で実施するなど、市町村とも連携しながら、この実証実験に取り組みたいと考えております。
 今後、地域のバランスですとか、菅原亮太委員から御指摘のあった、季節によって分けるとか、そういったところも考慮しながら、実証実験場所については具体的に検討を進めていきたいと考えております。
〇菅原亮太委員 特に、行う市町村については未定で、何人くらいの参加者を見込んでいるかということも未定ということでよろしかったですね。わかりました。ありがとうございます。
 先ほど申し上げた都城市であったり、今回、岩手県はLINEですけれども、宮城県では支援避難アプリというのも開発されて、そのアプリを使ってマイナンバーカードを読み取って避難所の運営、登録をやっていると伺っております。宮城県が実施したアプリの実証実験では、従来どおりの方法で避難訓練した場合は、10分間に参加者100人中31人しか避難所への入所手続が完了しませんでしたが、アプリを活用した場合は、2分間で100人全員の避難が完了したという成果も出ているようでございました。
 今回、全国的にもデジタル避難所が広がっておりますので、運営の効率化によって、自治体職員が復旧事務などに専念していただくこともできると感じています。この実証実験の成果検証等をぜひしっかりと行っていただきたいと思いますが、成果検証についてはどのように考えていらっしゃるか、お伺いできればと思います。
〇田澤総括危機管理監 実証実験の成果検証ということでございます。実証実験の実施に当たりましては、マイナンバーカードの活用ですとかLINEに対応できる民間企業の御協力もいただいて実施することを考えております。
 その中で、今、菅原亮太委員から御指摘いただきましたように、受付にどれくらい短縮効果があったのか、あるいは、受付だけではなくて、実際、今、紙ベースでやっておりますと、受け付けしてそれをデータ入力するという事務的な時間も必要となります。そういったところがトータルでどれくらい短縮できるかといったところを分析してまとめたいと考えておりますし、実証実験を終了した後に考えておりますけれども、市町村職員を対象とした成果の報告会のようなものも開催したいと考えております。
 その中で、避難所運営というのは市町村が現場を担われますので、市町村の職員の方の目線から見て、この取り組みは有効だとか、あるいは、こういう課題があるといったところの御意見もいただいて、更にブラッシュアップしていくことを考えております。
〇菅原亮太委員 この実証実験については、今回、デジタル田園都市国家構想交付金とかの交付対象になるかどうか。また、今後、実装化する場合もデジタル田園都市国家構想交付金の交付対象になるかどうか、まず確認させていただきたいと思います。
〇田澤総括危機管理監 デジタル田園都市国家構想交付金の対象になるかどうかというお尋ねでございます。
 まず、今回の実証実験に要する経費ですけれども、交付金のうち、デジタル技術を活用した地方創生に資する取り組みなどを支援する地方創生推進タイプというものがございまして、これに該当する事業と考えて、現在、国に申請しております。
 それから、実装化を行う場合の経費が対象になるかという点につきましては、国の採択の判断も当然あるわけですけれども、同じ交付金のうち、デジタル技術を活用した地方の活性化や行政、公的サービスの高度化、効率化の推進に資する取り組みなどを支援するデジタル実装タイプというものに該当する事業として、交付対象となると考えております。
〇菅原亮太委員 ぜひ実装化に向けて取り組んでいただきたいと思っています。
 この実証実験も含めてですけれども、現状の避難所運営の話ですが、避難所のWi―Fi整備であったり、また、避難所運営の人材育成について、どのように取り組んでいくかお伺いしたいと思います。
〇田澤総括危機管理監 菅原亮太委員御指摘のとおり、災害発生時にデジタル技術を有効に活用するためには、通信インフラなどが有効に機能することが大前提となります。今後、避難所におけるWi―Fiの整備状況がどうなっているか、来年度になるかと思いますけれども、市町村の御協力もいただきながら把握していきたいと考えております。
 それから、能登半島地震での対応を見ますと、通信環境が長期間にわたって途絶いたしました。その中で、災害時に強い通信確保手段として、定期移動衛星を利用した衛星通信サービスでスターリンクというものがあり、かなり活用されたと聞いております。
 今後、私どもでも、能登半島地震でのそういった対応状況等も調査をしながら、災害時にデジタル技術を有効に活用するための対策を実証実験と並行して検討していきたいと考えております。
 それから、人材育成の話もございました。いつ起こるかわからない災害で、すぐにこういうシステムを活用するためには、まず、避難所の運営側にとっても使い勝手がよくて、誰でも使いこなせるようなシステムとすることがまずは重要と考えておりますので、この実証実験の中で、そういった視点ですぐに使える、わかりやすいシステムとなるような視点での検討も進めてまいりたいと思いますし、実用化に向けて検討する市町村が出てくる場合には、市町村と相談しながら、簡単なマニュアルの整備などを相談しながら進めていきたいと考えております。
〇菅原亮太委員 市町村との連携は、非常に重要でございますので、ぜひお願いしたいと思います。
 最後の質問になりますが、避難行動要支援者の個別避難計画について、私からも質問させていただきたいと思います。
 先ほどの先輩委員のやりとりの中で、個別避難計画を作成していない市町村について、要因としては、支援をする人が高齢で見つからないといったお話が、和田被災者生活再建課長からもございました。これは県でフォローしたりとか、そういった取り組みはなかなか難しいことなのでしょうか。
〇和田被災者生活再建課長 市町村からの課題につきましては、昨年度来、さまざまお聞きしているところでございまして、今年度、県では希望する市町村にアドバイザー派遣をして、地域ぐるみによる計画作成などの助言をさせていただいたところです。これによりまして、計画の作成件数が支援前の2件から205件に大幅に増加した市町村もあったといったような成果も見られます。
 令和6年度は、市町村の担当者による意見交換会、それから、研修会を開催することによって、市町村の計画作成の事例等の共有を図らせていただきながら、全県で計画作成が進むように取り組んでいきたいと考えております。
〇菅原亮太委員 先ほどのデジタル避難所の話に戻るのですけれども、名前、生年月日、性別、住所、配慮事項などを事前登録するというのが実証実験だったと思うのですけれども、先ほどの個別避難計画でも氏名、住所、家族構成、障がいの状況、避難の経路、また、支援する人というのが個別避難計画でも入力されます。今回の実証実験で事前登録する内容というのは、個別避難計画に記入するような内容とリンクしているかを確認したいと思います。
〇田澤総括危機管理監 具体の入力項目をどうするかという詳細については、今後検討していくこととしております。できるだけリンクした形とすることが望ましいのかと思いますけれども、一方で、入力項目が多過ぎると、逆に活用されがたいといったような課題もあろうかと思いますので、市町村の担当者とも、どういった情報が欲しいのかといったお話をお聞きしながら、バランスを考慮しつつ、そういった入力項目を具体的にどうするか、検討していきたいと考えております。
〇菅原亮太委員 個別避難計画の策定が進まない要因としては、支援する人が見つからないというところが大きな課題だと思っています。今回のデジタル避難所は、実装されていけば避難所運営に係る人員も削減できる。そうすると、削減できた人員を避難計画の支援する人に回せないかなと思います。デジタル避難所と個別避難計画がうまく課題を解決する方向に回っていかないかという思いがあるのですけれども、御所見はいかがでしょうか。
〇田澤総括危機管理監 デジタル避難所の実証事業ですけれども、究極的な目的としては、LINEなりマイナンバーカードを使って速やかに受付をするということなのですけれども、ただ受付を早くすることだけが目的ではもちろんございませんで、菅原亮太委員から御指摘いただいたように、それに付随してさまざまな事務処理をデジタル化して効率化を図っていくということを目的に考えております。その結果として、今まで避難所運営に人数をかけなければ対応できなかったものが少しでも軽減されれば、おっしゃるとおり、一番大事な被災者の支援にマンパワーを振り分けることができるようになるのではないかとも考えておりますので、そういったゴールを目指して、この実証実験に取り組んでいきたいと考えております。
〇菅原亮太委員 いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランでも避難行動要支援者の個別計画作成、県としても目標に据えています。この目標の達成は、ひいては、自助、公助、共助による防災体制をつくるという目的にも資すると思いますので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。私も社会的弱者を含めて、県民に寄り添う愛民精神でいきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
〇斉藤信委員 それでは、私は、いわて被災者支援センターの取り組みと体制強化について質問いたします。
 いわて被災者支援センターの相談活動、相談件数、内容、特徴、どうなっているか、個別支援計画の作成と支援の状況、訪問同行支援の実績を含めて示してください。
〇和田被災者生活再建課長 被災者の相談内容の特徴と対応についてでございますが、いわて被災者支援センターに寄せられる相談は、住宅ローンや家計の見直し、家族間トラブルなど経済面や生活面に関する相談が多く、市町村、市町村社会福祉協議会などと連携して支援に向けた対応をするとともに、専門的な支援が必要なケースについては、弁護士やファイナンシャルプランナーと連携し、一人一人の状況に応じたきめ細かな支援を行っているところでございます。
 また、個別支援計画の作成と支援の状況についてでありますが、令和3年度の開設から本年1月末までに530人から相談が寄せられ、このうち、継続した支援が必要と認められた372人について個別支援計画を作成しており、これまでに232人の支援が終了し、140人の支援を継続しているところでございます。
 いわて被災者支援センターでは、継続支援が必要であるにもかかわらず、生活困窮の相談の後、連絡がとれなくなった方などへの訪問や、生活保護の受給申請等への同行支援なども行っておりまして、令和5年度は1月末までに訪問同行支援を73回実施しているところです。
〇斉藤信委員 いわて被災者支援センターは、被災者の困難な相談に対応するということで、今年度も相談人員は新規で111人、今、お話のあったように、継続して支援しているのが140人いますから、1月末までに2、379回の相談対応回数、これはほぼ昨年と同レベルということになります。
 特に特徴的なのは、訪問同行支援が昨年度は45回でしたが、もう既に73回と倍近くになっており、最終的には倍を超えるのではないかと思われます。その点で、私は本当に困った被災者の方々の駆け込み寺というか、単なる駆け込み寺だけではなく、沿岸4地区で毎週、月4回、弁護士等の専門相談にも対応するということで、大変頼りになる対応になっているのではないかと思います。
 私も直接、いわて被災者支援センターに最近の特徴を聞きました。今、お話のあったように、住宅ローンなど生活困難が大変多いというのと、相続、家族関係の相談、最近はDVの相談もあるということで、月がたてばたつほど深刻化した相談が増加しているということでした。
 そこで、これだけ大事な役割を果たしていますが、来年度の事業、予算をどのように措置をしているでしょうか。ふえているのでしょうか。
〇和田被災者生活再建課長 いわて被災者支援センターの委託事業費ということになろうかと思いますけれども、今年度のいわて被災者支援センターへの委託事業の予算額は4、112万3、000円ということでした。来年度は4、128万3、000円ということで、前年度と比べて16万円ほど増加されております。
〇斉藤信委員 昨年度は相談員3人プラス事務員が相談員4人ということで、本当に若干だけ人件費がふえた。きょう実態をお聞きしましたら、釜石市のセンターに3人、盛岡市のサブセンターに3人プラスアルファなのです。ですから、委託されたNPOがみずから自腹を切って人を派遣して運営しているというのが実態です。この1年間の物価高騰を考えたら、16万円ふやしたといったって実質マイナスになるのではないか。私が紹介したように、人員は6人以上の体制で回している。そして、物価高騰分もあるといったら、実際にはマイナスの事業費ということにならないか。
 いわて被災者支援センターは、知事も含めて活動を高く評価しています。評価している割には事業費がふえず、人員もふえない。これはなぜなのでしょうか。
〇和田被災者生活再建課長 いわて被災者支援センターの人員体制ということになろうかと思いますが、センターは相談員が電話、自宅訪問など相談に対応しているところですが、基本的には、市町村や市町村社会福祉協議会と連携を強化しながら、例えば、アウトリーチが必要なケースについては、市町村、あるいは市町村社会福祉協議会の生活支援相談員が実際にお伺いするといったところもございますし、全てがセンターのほうでアウトリーチするところでもないというところが実態としてあります。
 そういった中で、現状の県の人員体制につきましては、4人を計上しているところでございます。
〇斉藤信委員 実態として、市町村の生活支援相談員も減っているのです。これがふえているなら、あなたの言うとおりなのだけれども、それも減っている。一方で、いわて被災者支援センターは、訪問同行の支援を倍近くにふやしている。私はこの実態をよく見て、全国的にも高く評価される被災者支援ですから、ぜひこの活動の実績、体制をよく見て、それに見合った支援を物価高騰分も含めてやるべきではないか。復興防災部長、簡単に答えてください。
〇佐藤復興防災部長 いわて被災者支援センターの活動費の関係でございます。いわて被災者支援センターがスタートしたときから県で仕様書をつくりまして、人数何人相当という形での委託としております。それで応募していただいた受託者は、それに加えて自分のところで、県の委託の範囲内ということであると思うのですが、自前で人数を足して運営費を回している状況でございます。
 物価高騰等のお話もそのとおりでありますが、県といたしましては、受託費につきましては、人件費の上昇分等も見て積算しているところでございます。
 いずれ、いわて被災者支援センターのあり方、非常に全国的にも評価されているという話もありますし、相談内容等の状況もそのとおりでございますので、市町村、社会福祉協議会等と連携しながら、被災者の支援に当たってまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 次に、ここでも議論になりました災害援護資金の滞納の問題なのですけれども、貸付実績が1、171人、支払期日が到来したものが1、041人、滞納が291人ということで28%ということになっております。滞納は291件で3億649万円です。1人当たりにすると105万円で、13年貸付だったと思いますけれども、この滞納の実態については、どのように今、対応されているのか示してください。
〇和田被災者生活再建課長 災害援護資金の貸付の滞納案件への対応状況ということになろうかと思います。
 市町村においては、法令、条例に基づきまして、借り受け人の資力状況などに応じて支払いの猶予、あるいは、少額での返済などの対応を図ることも可能となっておりますので、市町村では、償還が困難な場合には早めに相談をしていただくように促すなど、借り受け人の方の経済状況に配慮した対応を行っていると伺っているところでございます。
〇斉藤信委員 岩手県の場合には、さまざまな支援策が充実していたので、相対的には災害援護資金の活用件数は少ないのです。しかし、滞納というのは、年金生活だけで生活が苦しいという方々ですから、阪神淡路大震災もかなり長期になりましたけれども、最終的には免除措置がとられた。新型コロナウイルス感染症の福祉資金も、非課税世帯の場合は返済が免除。だから、こういう取り組みがされているので、東日本大震災の災害援護資金についても、今までの到達点を踏まえて、返せない人から無理に返還させるということがないようにしていただきたい。これは指摘だけにとどめておきます。
 次に、福島第一原子力発電所事故による汚染水、処理水の海洋放出について、県内への影響、損害賠償請求の取り組みはどうなっているでしょうか。
〇高橋特命参事兼放射線影響対策課長 まず、本県への影響についてですが、関係団体等からの聞き取りによりますと、一部の水産加工業者で中国への輸出が困難になっているほか、取引がキャンセルになるなどの影響が生じていると把握しております。
 また、漁業団体からはアワビの10キログラム当たりの事前入札価格が前年に比べ約4割低下したほか、ナマコの10キログラム当たりの平均単価も前年に比べ約3割低下したと聞いております。
 次に、損害賠償請求ですが、中国からの輸入停止措置等により損害が生じた場合には、東京電力ホールディングス株式会社において賠償を行うこととしており、県内の一部の水産加工業者が東京電力との賠償に向けた交渉を行っているほか、アワビの価格低下に伴う損害について、現在、漁業団体で組織する損害賠償対策協議会が東京電力と賠償に向けた交渉を行っていると把握しております。
〇斉藤信委員 私は昨年の決算特別委員会のときにも聞いたのですけれども、中国に対して水産物の輸出額が6億8、000万円ありました。これが基本的にストップしているのだと思います。これの今の対応状況、被害額は把握されていますか。
〇高橋特命参事兼放射線影響対策課長 輸入停止措置後にどのぐらいの損害が出たかという部分については、現在把握されていない状況でございます。
 なお、損害額につきましては、東京電力に対する損害賠償請求が各事業者から個別に実施されております。東京電力が本県の損害賠償額を公表しておりませんので、具体的な損害賠償の状況については、把握できていないところでございますが、東京電力では、全国の海洋放出の影響に伴う損害賠償、今、支払っている額を公表してございまして、2月21日現在、全国で40件、43億円の支払いが行われたと承知しております。
〇斉藤信委員 40件41億円というのは、恐らくほんの一部なのだと思います。そういう点では、汚染水の海洋放出というのは安上がりでやったのです。しかし、国内外の理解を得ないでやりましたから、こういう輸出禁止とか、水産物の暴落とか、安上がりどころではない大変な被害が生まれている。こういう海洋放出は見直すということを私は求めるべきではないかと思います。
 そこで、次の問題にいきますが、能登半島地震を見て、改めて初動対応の課題、重要性が明らかになったのではないか。特に、トイレの設置、温かい食事の提供、簡易ベッド、段ボールベッドの供給、TKBと言われるのですけれども、48時間以内にどれだけ提供できるかというのが被災者の命と暮らしにかかわる。
 この点で、岩手県は東日本大震災津波の教訓を踏まえて、どのような備蓄の体制、わかりやすく言えば、48時間でどういうTKBの供給体制を構築されているか示してください。
〇戸田防災課総括課長 トイレ等の救急体制についてでございますけれども、岩手県地域防災計画では、避難生活に必要な物資の備蓄を市町村の役割としまして、県は、市町村が物資供給、または調達が困難な場合に備えて備蓄を行う補完的役割を担っております。
 そのため、県では、市町村の備蓄だけで不足することも想定される簡易トイレ、組み立てトイレ、アルファ化米、飲料水、段ボールベッドなどの備蓄のほか、県が作成している市町村避難所運営マニュアル作成モデルにおいて炊き出しについて定めるなど、避難所生活の質の向上を進めるようにしているところでございます。
 県からの物資供給は、災害発生箇所にかかわらず、迅速な支援が可能となるように、消防学校、遠野地区の合同庁舎、北上地区の合同庁舎等、県内複数箇所に備蓄しているほか、大規模災害時に速やかに供給できるように、岩手県総合防災訓練の中で緊急物資受入・輸送訓練を実施しているところでございます。
〇斉藤信委員 もちろん市町村も備蓄するわけですが、県は、ぜひ教訓を踏まえて必要な備蓄を行っていただきたい。ただ、一番解決しないとならないことで、未解決になっているのは、学校の体育館での避難なのです。これは諸外国に例がないのです。災害大国と言われる日本で、1カ月、2カ月もそういうところで避難せざるを得ない、これ自身、根本的に打開する必要があるのではないか。これは提起だけにとどめておきます。
 最後ですけれども、日本共産党の小池晃書記局長がことしも達増拓也知事、陸前高田市の佐々木拓市長にお会いして、被災の現状、課題をお聞きいたしました。達増知事の発言で大変印象に残ったのは、今、大不漁、物価高騰、さまざまな状況の中で国の支援の再強化が必要だと、こういうことでした。
 もう一つ、新聞報道でも、達増知事は、復興を機械的に終わらせるのではなくて、心のケア、コミュニティー支援などの必要な事業は、被災地の意見を十分に踏まえて予算確保をお願いしたいと。第2期復興・創生期間は令和7年度までなのです。令和7年度で支援策が終わるのではないかとみんなが心配しています。そうではなくて、なりわいの再生にしても、心のケアの取り組みにしても、本当にますます支援が必要だというような状況ではないかと。
 最後に、復興防災部長に、必要な被災者支援、なりわい再生の財源というのは第2期復興・創生期間が終わっても継続されるべきだと、その取り組みを強化すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
〇佐藤復興防災部長 第2期復興・創生期間、国も令和7年度までということにしております。前回の令和5年のときもそうなのですが、3年で見直しをするということになっていまして、実は今、まさに第2期復興・創生期間の見直しの作業が、今、国で始まっているところでございます。
 県といたしましては、従来からも申し上げているところでございますが、必要な支援については、期間を区切ってここで全部終わりということではなくて、被災地の状況をよく見ていただいて、必要な支援は引き続きお願いしたいということを繰り返し申しておりますし、今後もそういうスタンスで国とはお話をさせていただきたいと思っております。
〇千葉盛副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇千葉盛副委員長 質疑がないようでありますので、これで復興防災部関係の質疑を終わります。
 復興防災部の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 次に、環境生活部長に環境生活部関係の説明を求めます。
〇福田環境生活部長 それでは、令和6年度岩手県一般会計予算のうち、環境生活部関係の歳出予算について御説明申し上げます。
 初めに、当部における予算編成の基本的な考え方でありますが、東日本大震災津波からの復興を着実に進めるとともに、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる政策の推進を図るため、復興の推進については、災害にも対応できる自立分散型のエネルギー供給システムの構築に取り組むとともに、NPОなどの多様な主体が行う復興支援活動等を支援してまいります。
 次に、10の政策分野についてでありますが、家族・子育てについては、青少年が個性や主体性を発揮して自立した活動ができる環境づくりに取り組むとともに、動物愛護の意識を高める普及啓発の取り組みなどを推進してまいります。
 居住環境・コミュニティにつきましては、水道施設の広域連携を推進するとともに、市町村等が実施する耐震化や老朽化対策等を支援し、水道事業の基盤強化の推進に取り組んでまいります。
 安全については、消費者施策を推進するとともに、食品に対する正しい知識の普及啓発や食品関係事業者への指導等を通じて、県民の食の安全、安心の確保に取り組んでまいります。
 自然環境については、生物多様性の保全や自然との触れ合いの促進、良好な大気、水環境を守る取り組みや三陸ジオパークに関する取り組みのほか、廃棄物の発生抑制や再使用、再生利用の推進、産業廃棄物の適正処理の推進などに取り組んでまいります。
 また、温室効果ガス排出量の2050年度実質ゼロに向けて、県民、事業者、市町村等の各主体における脱炭素の取り組みを促進するとともに、県有施設等の脱炭素化や再生可能エネルギーの導入促進に取り組んでまいります。
 参画につきましては、男女共同参画社会の実現に向けた環境の整備を行うとともに、若者の活躍支援や、女性デジタル人材の育成など、女性の活躍支援に取り組んでまいります。
 以上が環境生活部の令和6年度予算編成に当たっての基本的な考え方でございます。
 続きまして、予算議案について御説明申し上げます。
 お手元の議案その1の10ページをごらん願います。
 環境生活部関係の予算は、3款民生費2項県民生活部の一部と、11ページに参りまして、4款衛生費2項環境衛生費と、13ページに飛びまして、12款公債費1項公債費の一部及び13款諸支出金2項公営企業負担金の一部を合わせまして、総額103億4、998万3、000円であります。
 これを前年度当初予算額と比較いたしますと、水道行政が厚生労働省から国土交通省に移管されることに伴う一部予算の前倒し等による事業費の減などにより、10億1、553万3、000円の減となります。
 予算の内容につきましては、予算に関する説明書に記載されておりますが、説明は省略させていただきますので御了承願います。
 次に、債務負担行為について御説明申し上げます。
 恐れ入りますが、議案その1にお戻りいただきまして、15ページをごらん願います。
 第2表債務負担行為の表中、当部関係は、一つ目は、4、福祉・消費生活関連相談拠点施設(仮称)整備事業であり、これは、福祉総合相談センターと県民生活センターとの一体的整備が翌年度にわたることから、債務負担行為を設定しようとするものであります。
 二つ目は、5、いわて県民情報交流センター管理運営であり、これは同センターの設備更新工事について、工期が翌年度にわたることから債務負担行為を設定しようとするものであります。
 三つ目は、6、産業廃棄物処理施設整備事業促進であり、これは、同事業に係る周辺環境整備事業について、工期が翌年度にわたることから債務負担行為を設定しようとするものであります。
 次に、予算関係条例について御説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の議案その2の53ページをごらん願います。
 議案第40号いわて県民情報交流センター条例の一部を改正する条例についてですが、これは、物件費の伸びに伴い、いわて県民情報交流センターの利用料金の上限額を引き上げようとするものであります。
 以上で環境生活部の予算関係議案についての説明を終わります。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
〇千葉盛副委員長 ただいまの説明に対し、質疑はありませんか。
〇千葉伝委員 現在、県と盛岡市が整備を協働して進めている動物愛護センターの件についてお伺いしたいと思います。
 現在、県と盛岡市で整備することで取り組んでいるわけですが、動物愛護センターについては、6年前、取り組みをするということで決められた。これまでの取り組みの状況、経緯について、まずはお伺いしたいと思います。
〇千葉食の安全安心課長 動物愛護センターの整備の検討の経緯についてでございます。
 動物愛護センターにつきましては、県と盛岡市が共同設置により盛岡市内に整備することとして、平成30年1月に基本構想を策定し、公表したところでございます。設置場所につきましては、基本構想策定後に県及び市の所有地から、基本構想で掲げた設置場所の要件に合致する場所を検討した中で、民間主導型公民連携事業による再生を目指していた盛岡市動物公園が候補として挙がり、その後、有力な候補地として検討を行ったところですが、動物の感染症対策など最適解とするには課題が多いとの結論に至ったところでございます。
 その後、改めて盛岡市内の県及び市の未利用地から候補地の洗い出しを行い、絞り込みを行ってきましたが、基本構想に掲げる設置場所の要件に合致する場所の選定に時間を要しているところでございます。
〇千葉伝委員 平成30年の策定以来6年経過しているわけであります。この間、さまざま検討してきているとは言っておりますが、私が聞きたいのは、6年かかって当初の整備計画がおくれているという理由、もう少し中身を聞きたいということと、今後の見通しということで最終的にお聞きしたいと思っております。
 この動物愛護センターは、御案内のとおり、整備については、動物の保護と動物愛護の啓発、先ほど環境生活部長からそういう話も出ましたけれども、交流拠点として必要な施設であるということから、全国であるわけですが、それぞれ設置されているところでありますが、改めて全国の設置状況をお聞きしたいと思います。
〇千葉食の安全安心課長 全国の都道府県で現在設置されていないのは、本県のほか、長崎県と北海道と認識しております。
〇千葉伝委員 私もそれは聞いているところですが、全国で3道県だけが未設置だということで、動物愛護を進めるといった面では全国にどんどんおくれていっているというふうにしか思えないわけであります。したがって、この整備の計画を立てる段階で、動物愛護団体、あるいは獣医師会、関係するところの保健所も県内にいっぱいあるわけですが、そちらからも、ぜひ必要な施設だということで早急に整備すべきだという要望に基づいて進めることにしたわけであります。したがって、どうしておくれているか。そこをもう少し詳しくお聞きしたいと思います。
〇千葉食の安全安心課長 動物愛護センターの整備計画についてでございますが、令和5年3月の予算特別委員会の場におきまして、可能な限り早期に候補地を決定し、令和5年度内には基本計画の策定作業に着手したいと申し上げてきたところでございます。現在、基本計画策定作業の着手に向けましては、最終調整段階にあると認識しておりますが、盛岡市におきましては、新たな体制のもとで主要な施策について丁寧に協議され、市としての内部調整に時間を要していたと伺っております。
〇千葉伝委員 私は1年前のこの予算特別委員会でこの質問をして、今、答弁があったとおり、当時の環境生活部長から、令和5年度中には何とかしたいというお言葉もいただいているわけでありますが、それがついこの間、平成6年2月29日……(「令和」と呼ぶ者あり)令和です。失礼しました。令和6年2月29日の常任委員会でまた質疑がありました。佐々木努委員、あるいは、吉田敬子委員から、どうしておくれているかも含めてお聞きしたということで、2023年度内の着手が困難ということで新聞にでかでかと載ったところであります。
 そうすると、1年前に何とかしたいと言ったのが、要するに、進まない。その進まないのが、今、答弁の中で盛岡市が新しい体制、それはこういった事務を進める上で本当は言ってはならない言葉の一つだと私は思うのです。市長がかわった、だからおくれている、そんなことを言ったら盛岡市は怒りますよ。
 しからば、ふだんの協議の部分をしっかりとやっていないからおくれているのではないかと私は思うのですが、平成4年には9回の協議をしたと聞いています。(「令和」と呼ぶ者あり)令和か、大変失礼しました。令和5年は何回やったのですか。そして、どういう人たちで検討したかをお聞きしたいと思います。
〇千葉食の安全安心課長 令和5年度におきましては、市の担当レベルと県の担当レベルにおきまして、ワーキンググループ、あるいは打ち合わせを合計7回実施しまして、整備候補地のほか、組織運営体制であったり、獣医師会や動物愛護団体など関係団体との連携のあり方など、基本計画策定着手に向けた課題の整理を進めてきたところでございます。
 また、県と市の担当だけではなくて、部長レベルの協議も行いながら進めてきているものでございます。
〇千葉伝委員 担当レベルで令和4年は9回、令和5年が7回、検討する回数からすればかなりやっているという思いはしますが、場所が決まらないから先に進まない、ここのところがネックになっているということでよろしいのですか。
〇千葉食の安全安心課長 先ほど申し上げましたとおり、候補地のほか、運営体制ですとか連携のあり方等、必要な協議を行っているところでございまして、候補地につきましては、公表に向けた最終調整を行っているという状況でございます。
〇千葉伝委員 物事を進める上で、まずどこに設置するかということが大事だと私は思います。中身をどういうふうな形でするかということについては、その後また協議をしていくという進め方のほうがいいのかと思います。それを最初から、この施設にはこういうのがぜひ必要だ、ではどうするのだというと、かなりの回数をやっても物事が進まない要因になりがちではないかと私は思っております。
 したがって、まずは、盛岡市で今進めている場所の選定に当たって、もう少し県が積極的にイニシアチブをとって市の所有地、あるいは県有地をお互いに出して、ぜひここでやりましょうと。まちなかにつくるというのは、周辺からすれば少し問題あり。であれば郊外。盛岡市ということであれば、滝沢市というわけにはいきませんから、盛岡市玉山区とか、そういったあたりも検討して、場所はたくさんあるのではないかと思っております。
 今後、これからどうすればいいかということが一番の問題だと思います。進め方について、いつまでもずるずるという感が私はしております。この今年度内の着手が困難という新聞記事が出た後に、私の知っている獣医師会の方を含め何人かから、今年度内の着手が困難だと、かなり期待して待っていたという方も当然、関係者にいるわけなので、そういった人たちから、いや、千葉さん、何とか早く進めてちょうだいと言われました。私に言われても、私が決めるなら即、決めるけれどもとは言わなかったのですが、私が決めるというわけにはいかないということで、県と盛岡市で協議をして早く進めるようにということで進めている。どうもそこの部分が、私からすればすごく気になって、いつ決まるのかという思いがしております。
 私が思っているのは、これからの進め方を担当者同士というよりもトップ会談に近い格好で、まず場所をどうするかといったあたりを進めるべきではないかと思います。先日……
〇千葉盛副委員長 質疑は簡潔にお願いいたします。
〇千葉伝委員(続) 先日、盛岡市の副市長、盛岡保健所長、獣医師会に行って状況を聞いてまいりました。盛岡市は、先ほど言った、場所は大分絞り込んで、間もなくとは言わなかったけれども、早く選定したい。気持ちはそのとおりだということです。ただ、保健所長が、私らのところにはさっぱり相談事がないという話をされて、なぜ保健所が協議に入っていないのかと思ったのですが、入っていないのですか。
〇千葉食の安全安心課長 まず、今後の見通しの部分でございますが、今定例会におきましては、先ほど申し上げたとおり、候補地の公表や基本計画の策定作業の着手時期について申し上げることはできない状況ではございますが、さきの3月5日に行われました盛岡市議会の一般質問におきまして、動物愛護センターの早期実現に向け力を注ぐ旨の市長答弁もあったところでございまして、今後、盛岡市との調整を進めてまいります。
 また、月内には環境生活部長と盛岡市の保健福祉部長による会談も予定しているところでございまして、今後、しかるべき段階で、しかるべき立場による協議も交えながら調整を進められると考えております。それが整い次第、県としての意思決定の手続を進め、議会に対し、整備候補地の公表や基本計画策定の着手について説明させていただきたいと考えております。
 また、その協議の中の保健所との情報共有でございますが、この検討を進めるものと並行して、動物愛護センターと既存の動物管理施設の検討も必要な部分がございます。そのあたりも含めまして、保健所の担当課長を集めての会議を開催しながら、どのような課題があるかという整理も行いながら、情報を共有しながら進めているところでございます。
〇千葉伝委員 いずれ、できるだけ早く、もう6年もたっていて、進んではいるとはいっても決まっていないという状況です。そこで、今のお言葉で、環境生活部長が市の保健福祉部長と話をするということですが、今後の取り組みの中で、去年の環境生活部長からは、来年度中には何とかしたいという答弁をいただいているのですが、福田環境生活部長から思いというか、これからやる上での決意をいただきたい。
〇福田環境生活部長 平成30年に基本構想が公表されてからも紆余曲折がありまして、6年ほど経過しておりますが、盛岡市側と協議してまいりました結果、一昨日の盛岡市議会で前向きな市長答弁をいただいたということは、大変ありがたいと考えております。
 これまでも私自身、市の保健衛生監などと協議させていただいておりましたが、市の保健福祉部長らと今後のスケジュールを改めて確認する機会を月内と言わずに近日中に設けまして、前に進めていきたいと考えております。
〇千葉伝委員 ありがとうございます。ぜひ早く進めるという意味で、そういう決意で臨んでいただきたいと要望して、終わります。
   〔「関連」と呼ぶ者あり〕
〇菅野ひろのり委員 私も同じ内容で通告しておりまして、世話人でございますので簡潔に、関連でやらせていただきたいと思います。
 私もこの間、事前に話を聞いてきたりしたのですが、なぜおくれたかというのが明確に答弁いただけていないと思っています。ワーキンググループで議論されている内容も非公開だということでございました。
 そして、盛岡市議会教育福祉常任委員会の令和5年10月17日の議事録を見ると、答弁の中で、令和4年の終わりの段階で、最終的な候補地の絞り込み、最終的なところまでこぎ着けたと答弁されているわけです。大体決まったということであれば、一回決まったけれども、その候補地がだめになって新たに選定し直したとか、具体的なところをお聞きしたいです。お伺いいたします。
〇千葉食の安全安心課長 先ほども申し上げましたとおり、未利用地の中から候補地の絞り込みを行いまして、その後、候補地の公表に向けた手続きを行って、今に至っているという状況でございます。
〇菅野ひろのり委員 としますと、決まって、公表に向けて準備をしていたけれども、だめになったということですか。
〇千葉食の安全安心課長 だめになったということではなく、候補地の公表に必要な確認作業、手続を行っているというところでございます。
〇菅野ひろのり委員 ごめんなさい、私の理解がちょっとついていけないのですが、決まっていたところが変わったということではなくて、それは継続して今もあるということですか。だとすると、おくれている理由、先ほど答弁の中では、市の体制が変わったというようなこともおっしゃっていましたけれども、そうすると、別に理由があるわけですよね。市長がかわったからではなくて、本来は平成33年には着手するという計画でしたよね。そういう中身、スケジュールから見ても大分おくれていると思っているのです。そこには何の課題があったのかということをシンプルにお聞きしたいだけです。
〇千葉食の安全安心課長 候補地の使用に係る法律の規制等の確認作業等にかなり時間を要したことがございます。
〇菅野ひろのり委員 では、それはクリアされて、今後は前進するところということでよろしいですか。
〇千葉食の安全安心課長 その確認作業については終了している認識でございます。
〇菅野ひろのり委員 ありがとうございました。では、ほかにも関連がありそうなので、進めていただきたいと思っているのですが、動物愛護センターの設置がおくれることによって何が問題かといえば、基本計画の目標、殺処分ゼロということなのです。そうなると、今、現状の数値をいただきましたが、例えば、殺処分については、犬であれば令和4年度は12頭とか、平成29年からは、10頭から30頭ぐらいを推移している。猫に関しては、50頭から100頭の間でずっと推移しているということで、はるかに遠い計画になっている。
 この現状を踏まえて、どこが犬猫のカバーをしているかというと、NPОの団体に負荷が行っていると思っているのです。だとすると、県として、この計画がおくれることによって何らかの支援というのをそういった団体とかとも話し合いながら、協力なのかやっていかなければいけないと思うのですが、その辺の考えを伺いたいと思います。
〇千葉食の安全安心課長 動物愛護団体等との協力、あるいは支援についてでございますが、動物愛護を推進していく上で、動物愛護団体等との協力は非常に重要であると認識しており、例えば、預かりボランティアを含めた保護動物の飼養管理、あるいは、普及啓発事業、そして、多頭飼育事案の対応など、さまざまな場面で動物愛護団体等に協力いただいているところでございます。
 このような団体への支援としては、令和6年度新規事業として、クラウドファンディングを活用した一時預かりボランティア育成事業を考えており、この実施に必要な一時預かりボランティアの養成講習会の開催経費、あるいは、餌やミルクなどの消耗品代、また、体調不良の際の治療費等の経費を計上しており、この事業を通じまして譲渡を推進するとともに、動物愛護団体に対する支援にも取り組んでいけるものと考えております。
〇菅野ひろのり委員 ぜひそういった連携を進めながら行っていただきたいと思いますし、一番問題なのは、今、多頭飼育が崩壊したりした中で引き取り先、あるいは、去勢を行わないことでの繁殖がどんどんふえていく、さらには、高齢者の方、あるいはコロナ禍でペットを飼うことによって癒やしを求める方がふえたという報道もあった中では、その後、ペットが勝手に捨てられたりとなってはいけないと思っています。
 ですので、まずは動物愛護センターの計画に向けて、先ほど答弁もありましたが、早々に御対応いただきつつ、そういった支援をいただける団体の皆さんと協力しながら行っていただきたいと思います。
〇佐々木朋和委員 私からも関連質問をさせていただきたいと思います。
 まず、盛岡市議会令和6年3月定例会、佐藤明彦議員の質問に対して、市が令和6年度中の基本計画策定を目指すという答弁をされていますけれども、今までの話の中で、そういった部分について聞かれなかったわけですが、県もこういった思い、目標は一緒なのかお聞かせいただきたいと思います。
〇千葉食の安全安心課長 まずは、動物愛護センターの基本計画の策定に可能な限り早期に着手できるように取り組みつつ、市長答弁にもあったように、可能な限り早い策定にこぎ着けたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 盛岡市議会では令和6年度中という話も出たとは聞いているのですが、私、間違っていましたかね。前向きな、令和6年度中というところで一致しているのか伺いたいと思います。
〇千葉食の安全安心課長 今後の盛岡市との協議の中で、そのスケジュールについて調整しながら、令和6年度中の策定実現に向けて取り組んでいきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 よろしくお願いしたいと思います。その中で、盛岡市議会でのやりとりの中でも、費用負担であるとか運営方法、また、主体というところもまだ決まっていないのか、これからの基本計画の中とはいえ、方向性についてもまだなのかという印象を持ちました。そういった部分の盛岡市との調整の中での課題について、どのような事項があるのかお示しいただきたいと思います。
 場所についても、計画策定と同時並行でいけるものなのか、やはり場所がしっかりと確定した後でないと協議が進まないものなのか、これについても教えていただきたいと思います。
〇千葉食の安全安心課長 正式な基本計画の策定の着手には、場所が決まっての公表が必要かと考えておりますが、その後の基本計画の策定に必要な課題の整理というのは、今の段階でも行っているところでございます。
〇佐々木朋和委員 それでは、可能なところで結構ですけれども、課題の中で、まさに費用負担であるとか運営方法、また、運営主体などについては、今の段階で盛岡市とある程度進められているのか、それとも、こういった部分についてもゼロからの協議になっていくのか、この辺はいかがでしょうか。
〇千葉食の安全安心課長 その課題につきましては、現在整理を行っているところではございますが、運営につきましては、直営を基本とは考えつつも、可能な限り関係団体から協力をいただけるような連携のあり方について検討しているところでございます。
〇佐々木朋和委員 ありがとうございました。ぜひ進めていただきたいと思います。
 先ほど話の中でも出ました、センターが整備されていないことによって、各保健所にある収容所についての改善がおくれるのではないかと私も危惧しております。今年度、吉田敬子委員とともに一関の収容所も含め各保健所を拝見させていただきましたけれども、やっと犬が入るゲージを1カ所広げてもらった。これは大変ありがとうございます。やっと電気毛布が入る。ほかのところは電気毛布が入らないのかというような課題ですけれども、エアコン設置やケージの拡張について、今の県内の現状と令和6年度の予定についてお示しいただきたいと思います。
〇千葉食の安全安心課長 各保健所の動物管理施設の整備予定でございますけれども、今年度、県内9施設のうち4施設を対象に、十分な広さが確保できるよう、犬のおりの拡張工事を行ったところでございます。また、県内動物管理施設にエアコンを設置している施設はない状況ではございますが、各保健所ではオイルヒーターなど暖房器具を配備するなど、施設内の温度管理に気を配りながら飼養管理を行っており、今年度も1カ所において暖房器具を購入したと聞いております。
 令和6年度におきましても、必要な施設の修繕や設備の手当てを行うことと考えております。
〇佐々木朋和委員 私も見てまいりましたけれども、コンクリートに囲まれて非常に寒いという中で進めておりますし、先ほど菅野ひろのり委員からもありましたとおり、ボランティア団体が自腹を切ってやっていただいている部分もある。また、これから夏の暑さも心配だというところもあります。先ほどエアコンを設置している施設は県内にはないということですけれども、動物愛護センターの整備がおくれるのであれば積極的に進めていただきたいと思いますし、ケージを広げるのも9施設のうち4施設やったということでしたが、5施設は必要がないのか、または、必要があるけれども、まだ着手できていないのか、これについてお示しいただきたいと思います。
〇千葉食の安全安心課長 犬のケージの広さにつきましては、ほかの5施設については、大型犬も収容できる広さがあると認識しております。
〇佐々木朋和委員 わかりました。
 あと、2022年の保護犬が195匹、猫が659匹だそうですけれども、それに対して令和6年度は医療費、検査費をどの程度確保しているのでしょうか。保護したときに病気の動物たちもいるし、病気でなくても収容所内で感染症や伝染病をはやらせないためにも検査が必須だとボランティア団体の方は言っておりました。その点はいかがでしょうか。
〇千葉食の安全安心課長 県が保護、収容した犬猫に対する医療費等についてでございますが、これまでも譲渡対象動物の飼養管理費として内外寄生虫の駆除、あるいはワクチン接種、感染症の検査及び外傷などの治療を実施するために必要な経費として計上しており、令和6年度におきましては、200万円余を計上しているところでございます。
 これに加えまして、令和6年度には、先ほども申し上げた新規事業として、クラウドファンディングを活用した一時預かりボランティア育成事業を実施するために必要な経費として、餌やミルク等の消耗品のほか、感染症の検査に必要なキット、ワクチン購入必要として88万円余、体調不良の際の治療費として43万円余を計上しており、この事業を通じまして、譲渡のさらなる推進に取り組んでいきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 ただいま示していただいた、例えば200万円で何匹分の検査、医療費に充てられるものなのでしょうか。
〇千葉食の安全安心課長 令和4年度実績にはなりますが、同程度の予算の中で、犬91頭、猫366頭の譲渡費用としております。
〇佐々木朋和委員 保護犬猫の数からすると約半分くらいというところです。それ以外のところをボランティアが担っていただいているのかと思っております。動物愛護の予算については減少傾向と私も感じておりまして、必要枠において、まだまだ足りていないなという思いがあります。ぜひ動物愛護センターの整備とともに、各地域の保健所において現場のスタッフの方、保健所の方も一生懸命やっていただいていますけれども、迅速に動けるように、経費的なところから本庁の支援をいただきたいと思っております。
 最後になりますけれども、先ほど多頭飼育の話がございました。生活保護等で支援に行ったら多頭飼育をやっていたというところも多いようです。そういったときに、保健福祉と動物愛護、また、市と県というところで連携状態がどうなっているのかという心配の声も上がっておりますけれども、どのようになっているのか伺いたいと思います。
〇千葉食の安全安心課長 保健福祉分野との連携についてでございますが、佐々木朋和委員がおっしゃった、生活保護家庭と多頭飼育問題が重複しているような事例が本県においても確認されており、その対応が課題となっているところでございます。その解決のためには、動物関係部局のほか、保健福祉部局や警察など関係機関が連携して対応することが重要であるところでございます。
 本県においても、関係機関との連携体制の確立が必要と考えておりまして、令和4年度から本庁内の関係部署である保健福祉部、あるいは県警察本部との連絡会議を開催し、連携の重要性について認識を共有しているほか、県内の関係機関や動物愛護推進員を対象として、多頭飼育をテーマにした研修会を開催したところでございます。
 また、各広域振興局におきましても、市町村の社会福祉部局など関係機関との連携体制の構築に努めているところであり、実際に生活保護家庭が関係する事例の中では、広域振興局と市町村の関係機関が連携しながら対応した事例も出てきているところでございます。
 今後も、引き続き、各地域における関係機関の連携体制の構築と強化に向けた取り組みを進めてまいります。
〇千葉盛副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
   午後2時28分 休 憩
午後2時47分再開
〇千葉盛副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇関根敏伸委員 私からも動物愛護の推進、管理の状況について通告をさせていただいておりましたけれども、前段、千葉伝委員、佐々木朋和委員、菅野ひろのり委員の質疑の中で、半分くらいは重複しておりますので、動物愛護センター整備の状況につきましては、そのまま割愛させていただきたいと思います。
 一部重複する部分もあろうかと思いますけれども、お疲れのところ恐縮ですが、千葉食の安全安心課長にはもう少しおつき合いいただければと思います。
 私自身の課題認識を深める意味でも、改めて数値的なところから教えていただきたいと思います。岩手県動物愛護管理推進計画につきましては、第3次推進計画で10年間の計画が定められておりまして、大きな目標の一つに動物の生存機会の拡大ということが掲げられていると思いますが、改めて、県内の犬猫の保護引き取りの状況、返還、譲渡、殺処分の状況等について教えていただきたいと思います。
〇千葉食の安全安心課長 県内の動物愛護管理の実績についてでございますが、令和4年度の実績として、奥州市の緊急保護事案を含めまして、犬の場合は保護した数が256頭であり、このうち、元の飼い主へ返還できたのが107頭、新しい飼い主へ譲渡したのが137頭、自然死が5頭、譲渡適性がないなどの理由によりやむを得ず殺処分した数は12頭でございました。
 猫の場合は、保護した数は808頭、このうち元の飼い主へ返還できたのが5頭、新しい飼い主へ譲渡したのは563頭、自然死が138頭、犬と同様にやむを得ず殺処分した数は81頭となっております。
 過去5年間の実績を見ますと、犬猫ともに保護数と殺処分数は下げどまり、譲渡数は頭打ちの傾向にあると考えております。現在、譲渡適性がある犬猫はほぼ全て譲渡できているものの、これまで譲渡適性がないと判断していた犬猫の譲渡適性を高めたり、幼弱などの理由による自然死を減らす必要があり、ここが課題であると認識していることから、殺処分数削減に向けまして、飼い主への動物返還の推進や動物愛護団体等と連携した譲渡会の開催などにより、新たな飼い主への積極的な譲渡に取り組んでいるところでございます。
〇関根敏伸委員 この計画の中でも、改めて推進体制の構築の中で、先ほどの質疑の中でも触れられておりましたが、県内の愛護団体、ボランティアの連携、そして協働体制、また、人材育成と非常に大きなウエートを占めていると認識しているわけですが、県内の愛護団体、ボランティアの状況、課題と支援の方向性について、改めてお聞きいたします。
〇千葉食の安全安心課長 動物愛護管理の推進体制の構築についてでございますが、動物愛護を推進していく上で、動物愛護団体との協働は非常に重要と認識しているところでございます。県では、動物の愛護及び管理に関する法律の規定に基づきまして、獣医師会や動物愛護団体等の会員等のうちから動物愛護推進員を今期は73人委嘱し、人材の確保に努めているところでございます。動物愛護推進員には、県が実施する動物愛護関連行事への協力や適正飼養、あるいは繁殖制限措置に関する動物の飼い主への普及啓発や助言のほか、譲渡のあっせんなど、県と連携した活動を行っていただいているところでございます。
 また、各保健所が把握している情報によりますと、令和4年6月時点で県内には動物愛護団体が21団体ございまして、それぞれの地域において、保健所と連携して保護動物の預かりや譲渡、普及啓発事業、あるいは、多頭飼育事案への対応などに協力していただいているところですが、県として、このような団体に対する支援のあり方が課題の一つであると認識しているところでございます。
 令和6年度には、先ほども申し上げましたクラウドファンディングを活用した動物の一時預かりボランティアの育成事業を予定しておりまして、この事業を通じて動物愛護団体の支援にも取り組んでまいりたいと考えております。
〇関根敏伸委員 私も正直、この分野の課題認識は低かったのでありますが、先般、私の地元で、主に保護猫活動に従事されている団体の方から現状を知ってほしいと強く訴えがございまして、しばらくお話を伺ったところでありまして、きょうの質問に至っているわけであります。
 その団体では、活動して8年になるようでありますが、代表の御自宅に60匹の猫を預かっていらっしゃる。ボランティア20名で100匹を預かっている。今まで去勢、不妊手術を400匹行ってきた。それから、雫石町の大きな団体ですが、私のところに定期的にレターをいただくのですが、今までに延べ5、900匹の動物を助けてきた。ボランティア宅で330匹の犬猫を今、保護している。2022年だけでも譲渡回数41回、犬猫で300匹ぐらい譲渡しているという数値をいただきましたし、最近の新聞でも、これらの団体の記事が随分多く見受けられまして、先ほど21団体あるというお話でしたが、相当広い民間分野で犬猫の保護活動、譲渡活動が行われていると認識しております。
 改めて、先ほど県内の状況をお示しいただいたのですが、この数はあくまで保健所として把握している数ということでよろしいのでしょうか。民間でどのような活動が行われ、どのような保護、譲渡が行われているのかという数値は把握されているのでしょうか。
〇千葉食の安全安心課長 先ほど御説明した数字については、県内の各保健所で取り扱っている数字でございまして、関根敏伸委員がおっしゃっているとおり、県内の各団体で扱っている数字というのは、県では把握していないところでございます。
〇関根敏伸委員 把握する必要性というのはお感じになりませんか。先ほど支援のあり方が大きな課題だということで、令和6年度の新規事業を盛り込まれているようであります。私のところに来られた団体も自身でクラウドファンディングを始められて、今、300万円の寄附に向けて、この間拝見したら超過しているようで、よかったと思っているのですが、現実的に、去勢費用とか餌代はほぼ実費で賄ってきた。どうしようもないという段階の中でクラウドファンディングに行き着いたという状況なのです。
 動物愛護法を調べてみますと、本来であれば、行政における犬猫の引き取りは義務化されていたと承知しておりますが、二度にわたる法改正の中で、令和元年に飼い主のいない犬猫は引き取りを拒否できるという法改正が行われたと、初めて知りました。そういった中で、この分野での活動が相当、民間の部分に結果として委ねざるを得ないという状況になっていると思いますけれども、先ほどの民間団体の実態の把握も含め、法改正によるさまざまな変化をどのように捉えていらっしゃるのかお伺いしたいと思います。
〇千葉食の安全安心課長 まず、実態把握のところでございますが、県内の愛護団体の多くが、いわゆる第二種の動物取扱業の登録、届出をされております。各保健所におきましては、このような第二種取扱業のところに立ち入り検査でお邪魔して実態を確認しているところでございますので、そのような立入検査の中での各団体の状況について、把握に努めたいと考えております。
 また、法改正の影響でございますが、先ほど関根敏伸委員がおっしゃられたとおり、拒否することができるという事項が新に設けられたところでございます。保健所が犬や猫の引き取りを求められた際に、相当の事由がないと認められる場合には拒否できることとなっております。令和4年度には、犬猫を合わせて引き取り申請を拒否したのはゼロ件ですが、相談の段階で説諭したのが254件となっております。一方で、この規定ができたことによりまして、動物愛護団体のほうに引き取り相談が寄せられているという事例もあると聞いているところでございます。
〇関根敏伸委員 聞くところによると、一般社団法人岩手県獣医師会も含め愛護団体とかボランティア等の協議会も設置されているようなのですけれども、定期的にどういった状況で開催されているのか、民間の団体からは、県に対してどのような声が挙げられているのか、お聞かせいただきたいと思います。
〇千葉食の安全安心課長 岩手県動物愛護推進協議会は、獣医師会、あるいは大学、そのほか動物愛護団体等からなっているところでございますが、年に2回開催をして、県の施策に対する御意見を伺っているところでございます。その会議の中でも、動物愛護団体への支援が必要だという声もいただいているところでございます。
〇関根敏伸委員 その中で、先ほども多頭飼育の問題に触れられました。特に猫ですよね。猫の多頭飼育というのが大きな課題になっているようで、地域猫というか、保護猫の問題が今、非常に顕在化してきておりまして、保健所への苦情も、犬に比べると猫が相当上昇傾向にあるという状況でございます。
 不妊去勢手術が進んでいない大きな原因の一つに、費用が高い、面倒だ、かわいそうだという背景があるようでございますけれども、不妊去勢手術は、聞くところによると、猫であれば1匹当たり2万円から3万円かかる。これに対して、先ほど申し上げました、飼い主が本来やらなければならないものを民間団体が行っているという状況の中で、不妊手術に対しての助成というのはどのような状況になっているのでしょうか。
〇千葉食の安全安心課長 県内の不妊去勢手術に対する助成の状況でございますが、県内では獣医師会が不妊去勢手術費用の一部を助成する事業を実施しているほか、盛岡市が飼い主のいない猫を管理する、いわゆる地域猫活動を行う団体に対して費用の一部を助成していると承知しております。
〇関根敏伸委員 ホームページで見ましたら、そのような状況になっているようです。獣医師会は5、000円程度の助成だったと思いますが、それで間違いないですか。
〇千葉食の安全安心課長 雄と雌の違いがあるかと思いますが、5、000円から1万円程度の助成と認識しております。(後刻訂正あり)
〇関根敏伸委員 わかりました。そのような状況の中で、獣医師会などについても頭数の制限とか、当然、予算の上限幅があるのだろうと認識しております。先ほど申し上げましたとおり、2万円から3万円の費用がかかる中で、助成をフルに活用したとしても半分程度という状況かと思っております。
 全国を調べてみますと、岩手県は確かに盛岡市だけです。市町村だけでも助成しているところはないようですし、県はもちろん、助成しておりません。ただ、愛護団体に聞くと、茨城県では多くの市町村が実施されていましたし、茨城県も1万円ほどの助成制度を設けていらっしゃる。年間2、500匹分の不妊助成のための費用を確保して、実施して、ここでは犬猫ともに殺処分ゼロが続いている状況だとお聞かせいただいたところでございます。
 改めて、支援のあり方ということでございます。先ほど来話があったとおり、愛護センターの整備がおくれることによって、団体の保護、譲渡の下支えをする機能、あるいは不妊等々の機能強化がおくれてくるわけでございます。これから基本計画をつくって、整備してということになれば、本来、震災10年のうちに動物愛護センターを立ち上げるという最終目標があったようですが、これが相当おくれているということの中で、費用負担も含めて、県として県内市町村も含めて考えていかなれば、ボランティア団体の負担だけが大きくなってくるという形に思われるのですが、この認識と方向性について、改めてお聞かせいただきたいと思います。
〇千葉食の安全安心課長 愛護団体、あるいはボランティアの負担がふえるというような状況に対しましては、当面、令和6年度は、先ほど来申し上げている、一時預かりボランティアの育成事業を通じまして、支援を始めたいと考えているところでございます。
 また、不妊去勢手術の費用の助成等の面での支援につきましては、動物愛護センターの基本構想の中では地域猫活動の支援というのも項目として挙げております。また、他県で行われているような助成事業につきましても、今後、情報を集めて、どのようなことが可能かというところは研究してまいりたいと考えているところでございます。
〇関根敏伸委員 前向きに御検討いただきたいと思います。県で直接支援されているところは少ないかと思いますが、全国を見ますと、市町村でもかなりの単位で支援をされている都道府県が多いという認識でございましたので、そこは市町村との連携も含めて、ぜひお願いしたいと思います。
 次に、前半、復興防災部の質疑があったわけでございますが、震災等の災害があった場合の動物の救護対策と推進についてであります。いろいろ推進が図られていると聞いておりますけれども、県の防災計画の中での位置づけがどのようになっているのか。また、県内市町村での災害時のペット等の対応状況、どのように策定されているのかお伺いしたいと思います。
〇千葉食の安全安心課長 災害時の動物救護対策についてでございますが、岩手県地域防災計画において、愛玩動物の救護対策として、被災した愛玩動物の保護や適正な飼養について、具体的には、放浪動物の保護収容、あるいは、負傷動物の保護収容と治療、そして、飼い主とともに避難した動物の適正な飼養の指導等について、市町村と関係機関や獣医師会等関係団体に対して支援要請を行うことなどが規定されているところでございます。
 また、市町村におきましては、県内32の市町村の地域防災計画に愛玩動物の救護対策が規定されているほか、26市町村が避難所運営マニュアルに、ペットを連れた避難者への対応を盛り込んでいると承知しております。
〇関根敏伸委員 わかりました。相当程度、市町村でも進んでいるという認識をしております。いずれ、まだ未策定のところもあるようでございます。まさに災害はいつどういう状況で起きるかわからない。ペットは言うまでもなく家族の一員だという認識の上に立てば、市町村での対応についても、全市町村において、ペット等の避難状況等もしっかり進んでいけるように県の御指導をお願いして終わりたいと思います。ありがとうございました。
〇佐々木朋和委員 まず、いわて家事・育児シェア普及推進事業費について伺いたいと思います。
 本年9月20日の岩手日報に、積水ハウス株式会社が行っております男性育休白書2023というものが載っておりまして、我が県では育休取得数、これは育休を取った人の日数が全国トップということで43日、全国平均を大幅に上回っている反面、家事・育児時間が11.8時間ということで全国平均を下回り、全体としては13位となったということです。
 まず、県はこの結果について、どのように受けとめて分析をしているのか伺いたいと思います。
〇藤井青少年・男女共同参画課長 男性の育児休業に関連しまして、佐々木朋和委員御指摘の調査でございますが、民間企業が独自に設定いたしました男性の家事、育児力を決める四つの指標を数値化いたしまして、都道府県別のランキングを公表しているものでございます。本県は、委員御指摘のとおり13位ということで、男性の育児休業取得が進んでいる一方で、家事、育児にかかわる時間が低い評価結果となっていると認識しております。
 家事や育児に費やす時間の男女間の偏りが、女性の離職や非正規雇用への選択等につながっているものといった指摘がある中で、男性の育児休業取得により家事、育児等に男女が協力して取り組むことで女性の働きやすい環境づくりが期待されるものでございまして、育児休業の取得日数だけでなく、家事、育児にかかわる時間割合の両方を上げていくことが必要であると考えております。
〇佐々木朋和委員 表面上だけ見れば、育児休暇を取っているのに家事はしないといったことではないかと思うのですけれども、我が県では家事分担の割合を半分にということで、目標値に家事時間を参考値としております。今、藤井青少年・男女共同参画課長に言っていただいたように、家事時間を延ばすということも重要なのですけれども、この調査でおもしろいと思ったのは、女性が認める実践数ということで、男性が自分でやっている家事ではなくて、女性が、男性がやっているという数を挙げている。あとは、楽しみ、積極的に行っているかという関与度、あと、男性が家事をやることによって幸福度をどれだけ感じているかといったことを指標にしているようです。
 今般、いわて家事・育児シェア普及推進事業費を新たに設けまして、アンケートでも配偶者の家事への寄与度というのが重要だと出ておりますので、新たにこれを設けているというのは大変評価したいと思いますが、時間だけにとらわれずに、多角的な目標値とか、あるいは政策的アプローチが必要ではないかと思うのですけれども、この新規事業の内容とともに伺いたいと思います。
〇藤井青少年・男女共同参画課長 いわて家事・育児シェア普及推進事業費についてでございますが、本県における共働き世帯の男性の家事時間割合は、女性に対しまして4割と低い状況にあることから、家事、育児に費やす時間の男女間の偏りの解消に向けた取り組みを新たに実施することとしたものでございます。
 具体的には、男女が協力して家事、育児を行う意識醸成を図るため、家事・育児シェアシートによりまして、まずは家庭内の負担割合の現状と理想を見える化いたしまして、家事シェアについて考えるきっかけとしてもらうこととしております。
 また、そのシェアシートの普及を食洗器等の時短家電ですとか時短商品等を扱う企業とタイアップすることによりまして、家事自体の負担軽減と最適化にもつなげ、社会的な広がりを目指すキャンペーンとして展開することとしております。
 佐々木朋和委員御指摘のように、男女間の偏在是正だけでなく、女性と男性双方の立場や視点からのアプローチも必要であるという認識をしておりまして、先ほどの食洗器ですとかカット野菜などの時短商品もうまく使っていただくことによりまして、家事や育児になれていない男性でも抵抗感なく、また、女性も認めるような男性の参画につなげていけるような取り組みとしていくこととしております。
〇佐々木朋和委員 そういった視点を持っていただいているということでしたので、ぜひ今後、政策にも反映して、取り組みを深化していただきたいと思います。
 この分野の最後に、県職員の男性育児休暇取得が52%で全国2位ということで、県警察本部の話もありましたけれども、一方で、課題は民間企業が本県でも20%程度というところで、広がりをどうつくっていくかということだと思います。来年度から大企業では育児休暇を義務化というところも進んでいる中で、本県の企業は中小企業が多いですから、そこから取り残されないか大変心配をしておりますし、取り組みが必要だと思っております。この辺の広がりをどうつくっていくのか、お示しいただきたいと思います。
〇藤井青少年・男女共同参画課長 男性の育児休業の民間企業への広がりについてでございますが、育児休暇の取得は男性が育児に主体的にかかわる契機となるだけでなく、企業にとりましても、育児を応援する社内風土の形成に資する重要な機会であると考えております。
 そういった趣旨で、今回、先ほど御説明しましたような家事・育児シェア普及事業も新たに計上させていただいたところでございます。
 これ以外でも、これまで当室におきましては、女性活躍に関するさまざまな事業に取り組んでおりまして、そういったものを通じて、引き続き、企業における男性育児休業等の促進が図られるように取り組んでまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 よろしくお願いします。
 最後に、いわて女性デジタル人材育成プロジェクト事業費について、総括質疑でも取り上げましたけれども、例えば、離職者にはハロートレーニングがある。また、働いている方には教育訓練給付制度等があったり、また、今回、商工労働観光部でもデジタルリスキリング推進事業費があるといった中で、あえてこの事業を持ってきているというところ、ニーズ的にもどうなのか、また、どういった内容なのか、私は大変気になるところがあります。事業内容についてお示しいただきたいと思いますけれども、4カ月から6カ月の受講期間とされておりますが、どの程度の時間、コマ数を想定して、どの程度のデジタルスキルの取得を目指すものなのか、資格取得もないということでした。また、委託先としてはどういったところを想定しているのか、伺いたいと思います。
〇藤井青少年・男女共同参画課長 いわて女性デジタル人材育成プロジェクト事業費についてでございますが、受講する女性の状況とライフスタイルに合わせた学習をすることが可能となるように、24時間受講可能なeラーニングにより4カ月から6カ月間の受講期間中に190時間程度の学習を行っていただくことを想定しております。
 また、取得するスキルにつきましては、IT市場の動向等を踏まえまして、定型業務を自動化する技術でございますRPAツールのシナリオ作成ですとか、システムの品質検査、ウエブデザインなど、国家資格等の取得までは至らなくても、企業から求められるような即戦力となるスキルを習得できるようなカリキュラムを想定しているところでございます。
 また、委託先といたしましては、これらのデジタルスキル習得のための学習環境を提供でき、かつ、時短就労や副業など、みずからの希望に合わせた雇用形態で、高単価で働ける就労マッチングまでを一貫して提供できる民間企業を募集することで、女性の多様な働き方と所得向上を図っていくこととしております。
〇佐々木朋和委員 これは就職活動とセットで、就業までのバックアップも行うということですけれども、ただいま説明いただいた取得スキルについて、企業ニーズというのは調査済みなのか。また、いただいた資料では、修了試験合格後に就労マッチングを行うということで、資格でもないのに県が独自で修了試験を行うのでしょうか。そういった部分についての技術的な裏づけ、企業としての信用度、こういったところがどうなのか、あわせて伺いたいと思います。
〇藤井青少年・男女共同参画課長 企業ニーズについてでございますが、今年度、女性デジタル人材の育成や、育成した人材の県内就業等について検討するための基礎資料とすることを目的といたしまして、いわて女性活躍認定企業、団体を対象といたしまして、県内企業におけるデジタル人材のニーズ調査を実施したところでございます。
 227社から回答をいただいておりまして、現在、取りまとめ中ではございますが、県が育成する女性デジタル人材に対し、採用意向を示す企業回答も得ているところでございます。
 来年度の事業実施に当たっては、県内企業のさまざまなニーズに合ったスキル習得も、カリキュラムにできるだけ盛り込むことによりまして、女性デジタル人材の労働市場を県内で生み出していく考えでございます。
 なお、先ほど佐々木朋和委員から御指摘のありました修了試験ということでございますけれども、先ほど申し上げました委託先で、ある程度のスキルを習得した者でないと短期就労とか副業的な業務であっても頼めないということもございますので、そこをはかるための試験ということでありますので、あくまでどの程度のスキルが習得できているかというところを確認するための試験と御理解いただければと思います。
〇ハクセル美穂子委員 私からは、最初に、三陸ジオパーク推進強化事業費についてお伺いしたいと思います。
 令和5年11月の再認定審査では、これまでの地域内での連携の取り組みが非常に高く評価されて、再認定となったということでございました。令和6年度は世界に向けての新しい取り組みがあるということなのですけれども、今後の見通し、三陸ジオパークというのは、沿岸地域にとってどういう役割を担って、そして、これからどんなふうに発展させていこうと目標を掲げていらっしゃるのか、改めて伺いたいと思います。
〇土澤ジオパーク推進課長 三陸ジオパークのこれまでの成果と今後の取り組みについてというお尋ねでございますけれども、これまで三陸ジオパーク推進協議会との連携のもとで、地域で活躍するガイドの育成と資質向上、それから、ジオサイトや三陸地域への誘客促進に向けた情報発信やイベント開催、また、三陸鉄道を初めとする関係団体の連携協定の締結、さらには、構成市町村長が参加するジオツアー、こういった取り組みで地域が連携した活動の展開を図ってきたほか、地域おこし協力隊制度を活用した専門人材の配置などに取り組んできたところであります。
 これらによるジオパーク活動の進展、体制の強化に努めてきたことなどが評価されまして、先ほどお話がありましたとおり、昨年12月の日本ジオパーク委員会による再認定審査におきましては、広域ジオパークのトップランナーといった高い評価とともに、4年間の再認定を受けたところであります。
 県としては、こうした成果を踏まえまして、ジオパーク活動を今後一層、充実強化していくということで、地域における理解醸成を図りながら、国内外からの交流人口の拡大を推進するとともに、令和6年度からは、ジオサイトの国際的価値づけのための国際論文の収集や専門家による価値の分析、検証、それから、国際会議における三陸ジオパークの活動の発表や交流など、世界ジオパーク認定を見据えた取り組みにつきましても進めていくこととしております。
〇ハクセル美穂子委員 国際的な論文収集とかそういったものを新しく、世界に向けての取り組みをするということですが、シンポジウムが多くて、シンポジウムもいいのですけれども、最終的な目標としては、沿岸地域の振興に寄与するという意味で、交流人口をきちんとふやしていくということが大切だと思っています。
 ジオパーク学習会とかの参加者数はふえているというのは私も確認しておりますけれども、お聞きすると、その地域の方々の参加が多くて、そこから少し離れた内陸地域とか、いろいろなところからの参加はまだまだ、これからもっとふやしていける余力があるようです。沿岸地域から世界にボンと行くのもいいですけれども、何度でも来ていただける活動につなげていくところにだんだん入っていかなくてはいけない時期ではないかと思うので、そういった取り組みもぜひ今後広げていっていただきたいのですけれども、今後の部分について、もう一度お聞きしたいと思います。
〇土澤ジオパーク推進課長 ジオパーク学習等の参加者をふやしていく取り組みというお尋ねと考えておりまして、地域住民等を対象とした学習会、それから、講演会、地質観察会でありますとか、みちのく潮風トレイルといったイベントとか、地域のジオサイトの清掃活動、こういったものを利用して行うミニ講座など、ジオパーク教育を行っているわけですが、こちらはジオパークの核となる地質、地形に対する理解を深めるということのみならず、そういった知識を保全とか観光に結びつける。そして、交流人口の拡大につなげるという取り組みで重要なものと認識しているところであります。
 現在、16市町村あるわけですけれども、各地域でそういった学習会を展開しております。約2、000名の方に参加いただく見込みとなっておりますけれども、これは参加者からも、住んでいる地域の魅力についての理解が深まったでありますとか、身近な素材について楽しく学ぶことができたと好評をいただいているところであります。
 したがいまして、こういった取り組みを伸ばすということで、引き続き、教育、生涯学習分野、観光分野との一層の連携を図るとともに、ジオパークをわかりやすく伝える認定ガイドの育成、それから、地域住民を対象としたシンポジウム、こういった普及啓発イベント、情報発信を強化してまいりたいと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 わかりました。地域住民の皆さんが頑張っているのは本当にわかりますので、ぜひそれが沿岸地域の16市町村のみならず、県内には33市町村ありますので、そういったところの子供たちの学習機会とかにも活用していただける取り組みにつながるように、事業の展開をお願いしたいと思います。
 事業実施主体は、みちのく潮風トレイルの場合は環境省ですし、三陸ジオパークは県が主体となってやっていて、バナーは張り合っているのだけれども、どういうふうにリンクしながら、みちのく潮風トレイルから入っても三陸ジオパークの中身がしっかりと学習できるとか、三陸ジオパークの活動のほうから入っても、みちのく潮風トレイルを利用しながら、トレイルは長いので、何回も何回も、二度、三度と沿岸の地域を訪れてくださるようなファンをふやしていく活動にしていくことがこの事業の大きな大きな目標ではないかと私は捉えておりますので、ぜひそういった形になりますように、市町村とさらに連携を密にして取り組んでいただきたいと思います。これはお願いをして、次の質問に移りたいと思います。
 次は、若者の活躍支援事業についてお伺いしたいと思います。
 若者の活動を発表する場といたしまして、いわて若者文化祭がスタートして10年がたっております。これは、若者、女性活躍支援をうたう知事の肝入り事業であると私は理解しております。今はその内容も大きく変わりまして、いわてネクストジェネレーションフォーラムとしてずっと継続実施されてきております。私たちの会派では、これまで、いわてネクストジェネレーションフォーラムを含め、この事業が本当に若者の支援につながっているのかということを見て、疑問点も感じながら、廃止も含めた事業の見直しを求めてきておりますが、令和6年度も令和5年度同様の内容で実施される、予算額は大体同じで実施されるようであります。
 ただ、昨年度の実績を見せていただきましたけれども、昨年度の参加者1、690人ということですが、そのうち実際に会場に足を運んだ人数というのが187人ということで、ほとんどがオンラインで視聴しているような形での参加でした。その前の年は300人ぐらいは実際に来ておりますので、1年で会場に来る人数が半分になっているといった状況でございます。
 このように、参加者が減少したりして、また、参加スタイルも変化している中で、新年度も同じようにフォーラムを開催しようと考えられた意義と目的をお聞きしたいと思います。
〇藤井青少年・男女共同参画課長 いわてネクストジェネレーションフォーラムについてでございますが、当フォーラムは、東日本大震災津波からの復興を進める中で、平成26年に立ち上げました、いわて若者会議から数えて昨年で11回目の開催となり、若者が一歩前に出て活躍できるよう、全ての世代で若者の背中を押し、若者とともに岩手県の未来を創造するために開催してきたものでございます。
 これまでの成果といたしましては、多様な分野で活躍する若者の参画、交流、発表の場を提供することで、学校や職場を超えた交流が生まれ、若者が地域活動への参加意欲や地域への愛着を深めるきっかけとなっているものと考えております。
 また、昨年11月のフォーラムにおきましては、若者を初めとする皆さんにジェンダーの視点なども含めた提言を行っていただきまして、その提言は、家事、育児負担の男女格差を解消する議論などにつながっているところでございまして、このようなイベントで若者に焦点を当て、若者世代の価値観や考え方を地域社会に反映することは、人口減少対策にもつながるものと考えております。
 令和6年度におきましても、引き続き、若者が活躍しやすい社会への変革を目的に据えまして、大人世代の参加も呼びかけるとともに、ほかの若者活躍支援施策との連携も意識しつつ、若者の社会参画を促す場として開催してまいりたいと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 今、るるお話をいただきましたけれども、令和5年12月定例会でいただきました政策評価等の実施状況報告書の中には、今後の方向性というか課題の中に、いわてネクストジェネレーションフォーラムの開催に当たっては、企画から若者に参画してもらうなど、参加者の満足度を担保するとともに、大人が若者の価値観を理解し、若者と交流できる内容に見直しますと書かれているのです。そもそも参画していなかったのではないかと、私はこれを見て、ちゃんと参画してもらって満足度を担保できていないフォーラムだったからこそ、今後の方向性のところにこういったお話が書かれているのかと捉えました。実際に来る人数が減っているというのも、若者にとって魅力が感じられない部分というか、若者よりも大人が若者に対して発信する場になっているとか、そもそもの目的が変わってきているところがあるのではないかと私は感じております。
 いわて若者カフェとか、いわて若者活躍サポート体制整備事業等、県においては若者の活動支援をいろいろ行っている中で、なぜこのように多くの人を集めて開催するようなフォーラムをやらなくてはいけないのか、その意義が私はわからないと思っています。
 若者のアイデアとか提言が必要であれば、高校、大学、その他各種若者の団体から募集するような取り組みをすればいいと思いますし、また、若者の発表の場というのが必要であれば、県がSNSとかいろいろな媒体を活用して、そういう場をつくりつつ発信をしてあげるとか、さまざまやり方があると思うのです。
 オンライン開催も実際にやっていますし、これだけの費用をあえてかけて、人を集めるような取り組みをする必要が見えないと思っているのですけれども、この点については、あえてもう一回やるということは、何か特別な意義があるのかどうか、その点、もう一回確認させていただきたいと思います。
〇藤井青少年・男女共同参画課長 いわてネクストジェネレーションフォーラムにつきましては、毎年度、企画段階から参加する若者の実行委員がおりまして、若者のやりたいことを実行委員からの提案に基づきまして、それを反映した上で開催してきているところでございますが、今後、よりしっかり、若者の意見を取り入れながらやっていこうという趣旨で、今回見直しを行うということにさせていただいたところでございます。
 フォーラムでございますが、講演等のほかにも交流会等を開催しておりまして、先ほど申し上げましたとおり、学校や職場を超えて交流することで新たなネットワークが生まれたり、また、若者を応援したいという企業も参加することで、若者支援の輪も広がってきているところでございます。
 このネクストジェネレーションフォーラムをきっかけといたしまして、例えば、継続的な活動を望む若者に関しましては、先ほど御紹介いただきました、いわて若者カフェによる活動の場の提供ですとかカフェマスターによる助言、また、当室で持っておりますいわて若者アイディア実現補助のような資金面での支援など、積極的かつ多面的な形でサポートを図っていきたいと考えております。
 いずれ、そういったさまざまな施策を総合した形で、若者の希望に沿った、若者の夢をかなえるような、若者の生きづらさを生きやすさに変えるような、さまざまな若者の要望に応えるようなフォーラムとして、引き続き開催していきたいと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 いろいろな意見を聞くのであれば、いわて若者カフェでも十分に中身はできているのではないか。今の御答弁をお聞きしても、フォーラムを開催する必要は見えないと思っております。このフォーラムがなくなったときに若者の意見を集めることができなくなるのか、それは本当にそうなのかというところも含めて、しっかりと見直して、結構多額の予算をフォーラムに使っておりますので、それをもっと、例えば困っている若者、ひきこもりの若者の支援とか、活躍したいと思っていてもできないような課題のある方、県内でもいろいろいらっしゃいますし、議会の中でもそういった方々に対する支援というのはいろいろ議論されておりますので、そういった方々に対しての支援のほうに持っていくとか、11年もやっていますので、見直す時期に来ているのではないかと思っております。やめる、やめないも含めて、本当の若者に対しての支援はどういうふうにあるべきか。実行委員会で来ていただいていると言いますけれども、若者がもっと発言しやすかったり、いろんな意見をいただけるような中で見直しを図っていくことが必要だと思いますので、そのことを取り組んでいただきたいと思いますが、改めてもう一回お聞きしてもよろしいでしょうか。お願いします。
〇藤井青少年・男女共同参画課長 若者への施策に関しましては、先ほどハクセル美穂子委員からも御案内いただいたとおり、ネクストジェネレーションフォーラムとか、いわて若者カフェといったものだけではなく、悩みを抱える若者に対しましては、青少年なやみ相談室ですとか、就労を支援するステップアップ事業等、さまざまな事業を行ってきているところでございます。いずれ、県の施策といたしまして、若者の意見をしっかり聞いた上で、そういったものを地域社会に反映していくことで人口減少対策にもつながるといったような形で、引き続き取り組んでいきたいと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 また引き続きというような御答弁でしたけれども、まず、現実的に、現地に来てくれる人が187人しかいないということと、令和4年は363人が187人になった理由と、それから、どうしてそうなったのか、しっかり検証していただいた上で、反省のところに書いていますので、みずから書かれた、大人ベースでやっているのではないかということではなくて、きちんと若者の意見を聞くとはどういうことなのかということも含めて、皆さんで話し合っていただいて、見直しについてもさらに踏み込んでやっていただきたいと思います。そのことをお願いして終わりたいと思います。
〇佐々木茂光委員 私からはツキノワグマ対策について、これも今定例会の一般質問でお話したところでございますが、もう少しお話を聞きたくて、再度、ここで熊を取り上げるわけであります。
 最初に、指定管理鳥獣に格上げしたということで、その方針が打ち出されているわけで、私が心配しているのは、調整することがあって正式にはまだまだ時間がかかりますというお話でありました。あすあすに熊が出てくる時期に来ているもので、その間、一応、方針は打ち出されました。それが実際に実施するまでの猶予期間があるのですが、熊が出てきたときに、どのように対応すればいいのか。これは地元の人の話なのです。最初に1点、そこをお願いします。
〇酒井自然保護課総括課長 指定管理鳥獣に今後の手続を進めるまでの間の熊の捕獲の動きということかと思いますけれども、今回、指定管理鳥獣になることによって国の交付金を得られるといった動きは今後出てくることではございますが、実際、人里近くに出てくる熊の捕獲活動に関しましては、従来から農林水産省の交付金を使いました有害捕獲で行っているところでございまして、こちらが今回できなくなるというわけではございませんので、こちらの指定管理鳥獣の手続は手続としつつ、従来からの熊の捕獲活動については、市町村が中心になって行うという部分に関しては、変更は特にございません。
〇佐々木茂光委員 それで安心しました。
 今後の対策、それから、管理推進等に向けての取り組みの中で、ツキノワグマの大規模ヘアトラップ調査を行うというふうに書かれてあるのですが、ヘアトラップ調査というのはどういった形で進める調査なのでしょうか。
〇酒井自然保護課総括課長 ヘアトラップ調査につきましては、熊の推定個体数を調査する手法として、現在、非常に信頼度が高い手法ということで、県では大分前から取り組んでいるものですけれども、具体的な内容といたしますと、有刺鉄線を張りめぐらせたところに熊の餌となるようなものをぶら下げまして、そこに入り込んできた熊の体毛を採取させていただきます。その採取した体毛のDNAを分析することによりまして、親子関係みたいなものとか、そういったものを調べることによって、その地域にどれくらいの生息密度でいるかというのを推定する手法でございます。
〇佐々木茂光委員 それはどの辺の範囲までやっていくのですか。例えば、熊はかなり広範囲にいると思うのですけれども、全体的な頭数、調査で予測をかけて、全体的にはこの辺に何頭いますという形で進めていくのか、調査ポイントを全県的に広くして全体の頭数を得るのかどうか、その辺も伺います。
〇酒井自然保護課総括課長 現在、来年度の当初予算案に計上していますヘアトラップ調査につきましては、全県下で取り組みを行うこととしてございますので、この中で、もちろん、従来、生息密度が高いとわかっているようなところに関しては、ヘアトラップの設置を重点的に行いますけれども、全県におきまして、全体としてどれくらいの生息数がいるのか推計しようと考えているところでございます。
〇佐々木茂光委員 それは急いだほうがいいですよね。笑い話ではないけれども、実際、もうそこまで熊が来ていますから。今度は春先の山菜の季節になってくると人も動くようになるし、当然、その前に熊が動いているわけなので、この周辺には大体何頭ぐらいいますぐらいまでは早々につかんだほうがいいと思いますので、その辺は急いでやっていただきますようにお願いいたします。
 それから、捕獲するに当たって、昨年末時点で捕獲頭数は859頭、当然、これ以上生息しているということです。捕獲した数がこのぐらいの数なので、現時点でも大体の頭数の予測はつくかと思います。ただ、心配なのは、熊を追い込むことによって、動物愛護団体から中傷めいた話などいろいろな話が出てきているということで、役所の方々を含めてその対応に苦慮しているという話も聞いております。
 そういったところの対応、対策も、全部落としてしまえという意味ではなく、共生をしていくという観点から、そこはお互いに理解してもらわなければわからないところなわけで、その辺の対策もしっかりと立てた形で管理をしていく方向づけも大切ではないかと思うのですが、それらに対する今の当局の考え方はどのように対応していくのかを含めて、お話しいただければと思います。
〇酒井自然保護課総括課長 県に寄せられる熊に関するお問い合わせを含めた対応というところでございますけれども、確かに、ことしに限って言いますと、非常に出没とか人身被害も多かったということで、例年以上にお問い合わせの電話とか、若干、お小言のようなお問い合わせ等もいただいているところでございますが、本県に関していきますと、他県等にあります、報道されているような、極めて長時間にわたって拘束されるような電話があるとか、そういった極端な例というのは、数として多いわけではございません。
 今後につきましては、昨年11月ですとか、ことしの2月も行いましたけれども、北海道東北地方知事会の要望につきましても、過度な問い合わせに関しましては、国でもしっかり情報発信してほしいということで要望させていただいているところでございます。こちらにつきましては、国でもしっかり受けとめていただけるという御回答もいただいておりましたので、国のお力もかりながら、情報発信をしっかり行うことによって、愛護団体も含めた熊に関するお問い合わせについては対応させていただきたいと考えております。
〇佐々木茂光委員 あとは、熊との共生というか、住宅市街地に出没する熊の防除、対策もそうなのですけれども、山からおりてくるわけだから、住宅街に入る手前の緩衝地帯というのも長い目で考えていかなければならないのではないかと思うのですが、その辺に対する手だてというか考え方は、捉えておりますか。
〇酒井自然保護課総括課長 ツキノワグマ対策におきまして、佐々木茂光委員のおっしゃるとおり、熊の個体管理とあわせまして、山林を中心とする熊がいるような保護エリアですとか、あとは、我々が活動する人間活動が優先するエリア、また、その間に緩衝地帯としてのエリアを設定するようなゾーニング管理と呼ばれる対策を進めることが重要とされているところでございます。
 県内におきましては、電気柵の設置であったりとか、廃棄した農産物の適正処理、あと、刈り払いによる緩衝帯の整備など、地域ぐるみでの被害防除対策に取り組むことによりまして、鳥獣被害の軽減に成功している事例がございます。
 こうした緩衝帯の整備を含めたゾーニング管理を進めていくためには、市町村と住民が連携して取り組むことが非常に重要でございまして、現在におきましても、農林水産省の鳥獣被害防止総合対策交付金を活用して市町村の取り組みを支援させていただいておりますほか、来年度につきましては、いわての森林づくり県民税なども活用して、里山周辺の整備への支援なども行う予定としているところでございます。
 あわせて、我々といたしましては、環境省において支援メニューも検討されているところでございます。こちらのゾーニング管理につきましても、財政的かつ技術的な支援を行うように、あわせて要望しているところでございます。こちらにつきましては、早期の支援実施に向けて国に働きかけてまいりたいと考えております。
〇佐々木茂光委員 そのお話を聞いて、またひとつ安心したところでありますけれども、例えば、ドングリだって、熊が食べるものを今、植えましたといったって来年に実がなるわけでもないでしょうから、そういうところを踏まえてしっかりと、ある程度根気よく進めていかなければならないと思います。しっかり取り組んでいただきたいと思います。
 あとは、今、猟友会も大分高齢化しているということも聞いたり、私なりに思うと、いわて林業アカデミーの授業の一環で、わなの資格を取るとか狩猟の免許を取るとか、そこまで踏み込んだ学科があってもいいのではないかと思うのですが、今言った話なので、わかりましたという話ではないのですけれども、そういった考えもしながら、少し猟友会の若返りを図るとか、ある意味、山に入っている時間が、その方々も山仕事で熊の近くまで行っているわけだから、そういったところで資格を取れるような仕組みを何か考えてはどうかと思うのですが、どうでしょうか。
〇酒井自然保護課総括課長 捕獲の担い手の確保という部分に関しまして、これまで我々のカウンターパートといいますか、直接の相手方は猟友会ということで、猟友会の方々と連携させていただいていたところでございますが、今、佐々木茂光委員から御指摘がありましたいわて林業アカデミーという部分に関しましては、新たな御提案ということもございまして、農林水産部と調整したという経緯はございませんので、一度、どういった中身で取り組んでいらっしゃるのか、我々のほうと連携する可能性があるのかといったところも含めて、まずは相談をするところから始めさせていただきたいと思います。
〇高橋はじめ委員 私からは、再生可能エネルギー導入促進事業費に関連いたしまして、何点か伺いたいと思います。
 まず、適正立地についてでありますけれども、環境アセスメントガイドラインについて、主に重要視している事項は何か、この点について、お伺いしたいと思います。
〇加藤環境保全課総括課長 環境アセスメントガイドラインについて重視している事項についてでございます。
 ガイドラインは、最近の環境アセス手続で増加しております陸上風力発電を対象にしております。風力発電は、規模にかかわらず立地による影響が大きいことから、立地場所の選定で特に重要な騒音、土地の安定性、鳥類、生態系及び景観の項目に着目し、それぞれについて環境保全上の支障を及ぼすおそれがある区域をあらかじめ事業者に示すものです。
 特に、騒音では、過去のアセス審査の事例から、風車による騒音影響が一定レベルを上回るおそれのある距離として住居等から1キロメートル以内の区域を、鳥類では、イヌワシの生息地のうち頻繁に利用されている繁殖場所や採餌場所の区域を、生態系では、自然環境保全地域など希少な植生や天然林の自然環境の保全のため、法令により指定され、工作物の新築等の開発行為が制限されている区域を選定することを重視しております。
 これらの取り組みにより、計画初期段階で適正な立地場所を促すことにより、環境と共生する風力発電事業の導入を図ってまいります。
〇高橋はじめ委員 ことしの1月18日でしたか、県の環境影響評価技術審査会が開催されまして、そこに陸上風力発電のレッドゾーンの関係で、県と市の考えの素案みたいなものを示したという記事が前にありました。これについては、今おっしゃられた三つぐらいの項目があったようですが、全体で7項目ぐらい例を出されたということがありましたけれども、その辺について、もう少し補足でお伺いできればと思います。
〇加藤環境保全課総括課長 主な保全区域でございますけれども、幾つか例を出しますと、砂防指定地ですとか地すべり防止区域、急傾斜崩壊危険区域、保安林、先ほど申し上げました、騒音関係で住居等から1キロメートル以内、自然環境保全地域、国立・国定・県立自然公園特別区域、それから、生息地等保護区の管理監視区域、国指定、県指定鳥獣保護区、イヌワシの重要な生息地等でございます。
〇高橋はじめ委員 この陸上風力発電のレッドゾーンという形での取り組み内容でございますが、環境影響評価技術審査会ではどんな意見が出されたのか、その辺はおわかりでしょうか。
〇加藤環境保全課総括課長 環境影響評価技術審査会においての意見でございますけれども、これまで審査会におきまして、ここ最近ですけれども、イヌワシの生息地ないしは県立自然公園の重要な区域での立地が相次いでおりまして、その都度、事業者に知事意見として指摘をしているところでございます。
 そういったところに立地する場合には、こういった厳しいリスクがあるということをあらかじめお知らせするということは非常にいいことではないかということで、好意的に捉えていただいております。
〇高橋はじめ委員 先ほどの説明の中で、住居から1キロメートル以内というお話でありました。私は、この1キロメートルというのは非常に近い距離だとも思っておりまして、1キロメートルというのはどういうところを参考にして1キロメートルという数値が出てきたのか。私は少なくとも5キロメートルから10キロメートルぐらいは民家から離れておったほうがいいような気がするのですけれども、その辺はどういうところを参考にされて1キロメートル以内とされたのか、お尋ねします。
〇加藤環境保全課総括課長 住居から1キロメートルの根拠でございますけれども、風力発電の場合の騒音予測というものがありまして、おおむね1キロメートル離れていれば影響がない範囲であろうということから1キロメートルとしております。ただ、これは立地が好ましくないというところで1キロメートルとしておりますので、環境アセスメントの中で、そこよりも遠いエリアにあったとしても、環境アセスメントの中で環境影響を評価してまいりますので、1キロメートル以上だからといって無条件で容認しているわけではないということでございます。
〇高橋はじめ委員 まず、それを聞いて少しは安心させていただきました。
 レッドゾーンの一つの事例を挙げながら、このあたりは不適地だということをお知らせするのは非常に重要だと思っておりますので、これをどういう形で周知を図っていくのか。業者から問い合わせが来たときに、いやいや、ここは問題あるよということではなしに、ある面では、不適地を事前に知っていて業者が計画を練っていくというところなのでしょう。それから、事業主と市町村が協定を結びながら事業導入を図っていくシステムになっておりますので、市町村もそのことを理解してもらわないとならないと思うのですけれども、市町村との連携などはどのようにお考えなのか、お尋ねします。
〇加藤環境保全課総括課長 今回のガイドラインの周知というところでございますけれども、この3月にガイドラインの最終案を環境影響評価技術審査会に示した上で策定しようとしているところでございます。風力発電を計画する事業者など限られたところだと思いますけれども、好ましくないエリアとして考えているエリアにつきましては、ホームページ上で公開していきたいと考えております。
 また、市町村との連携ということですけれども、市町村との会議においても、県の考え方については示しておりまして、ガイドラインができた暁には、市町村にもしっかり提供してまいりたいと考えております。
〇高橋はじめ委員 次に、地域住民や生態系への影響について、先進地における問題、課題はどのようなものがあると御認識されているのか伺いたいと思います。
 特に風力発電機、あるいは太陽光発電施設といったものについて、稼働の先進地というか、日本よりも早期に導入をして実績のある欧州地域、そういったところでどのような実情になっているか。問題とか課題、たくさんあると私は思うのですが、その辺について、どのように捉えておられるのか、まだこれからだということなのか、現状をお伺いしたいと思います。
〇加藤環境保全課総括課長 先進地での課題というところでございます。欧州地域における状況ということにつきましては、把握しておりません。大変申しわけありません。
 風力と太陽光に分けて、日本国内の状況について御説明したいと思います。
 まず風力について、本県同様に進んでいる北海道、東北地域で見ますと、風車の基数が3本と小規模な風力発電所で、絶滅危惧種のオジロワシの衝突事故が多数発生した事例ですとか、野鳥の生息地である重要湿地の近くに設置された風車に絶滅危惧種のクマタカが追突した事例などがございます。
 これらは、風力発電所はその特性上、たとえ規模が小さくても、立地により環境影響の程度が著しいものとなるおそれがあることから、計画の初期段階での立地選定の重要性を示しているのかと考えております。
 また、最近の計画で主流となっております大型風車の稼働実績は全国的にも少なく、騒音や鳥類の影響に関する科学的知見は十分でないということがありまして、供用開始後の環境調査を通じて評価手法の充実を図ることが重要であると考えております。
 また、太陽光についてでございます。国が令和3年3月にまとめた報告書によりますと、報道等のあった問題事例としては、工事中の土砂災害の発生や施設供用時の景観への影響が最も多いです。また、地方公共団体のアンケートでは、工事中の土砂災害や濁水の発生、施設供用時の景観、落水に関するものが多いとされております。
〇高橋はじめ委員 国内におけるいろいろな問題とか、そういったことも今、お話しいただきました。少し古い資料ですけれども、2019年度に太陽光パネルの飛散、落下などの事故が135件。太陽光など再生可能エネルギー施設の設置を抑制する条例が全国の各市町村でも今、動きがあるようですけれども、これについては、2016年度26件、2020年度では134件と5倍に、全国の自治体でも再生可能エネルギーについての抑制ということを含めて条例をつくって、今、ある程度枠をかなり狭めてきているという動きもあるようでございます。
 それから、風力発電施設の事故が、2021年度まで40件発生している。タワーの倒壊、座屈が4件、ブレードの折損、飛散22件、ナセル等の落下が5件、火災が7件、その他2件ということが言われておりまして、風力発電は、非常によさそうに見えるけれども、その中でさまざまな事故とかが発生しているわけです。
 そのあたりをこれから先、再生可能エネルギー施設を設置していく際には事故防止等の取り組みもしていく必要があるのではないかとも、この数値を見て思った次第でございます。
 次に、市町村と設置事業者との協定の締結についてでありますけれども、協定締結の際に留意すべき事項のガイドライン等はあるのか。それから、市町村は何をもとに設置事業者と議論し、判断を行っているのか。その辺について、おわかりであれば教えていただければと思います。
〇高橋グリーン社会推進課長 協定締結の際のガイドライン等についてでございます。
 市町村と再生可能エネルギー発電事業者との間で協定を締結する場合のガイドラインについては、久慈市で運用されておりますが、その他の市町村には指針のようなものがなく、個別に対応している事例もあると聞いております。
 そのような中で、市町村からは、地域に裨益する協定の締結に向けた指針のようなものを作成してくれないかという要望が県にもございましたので、それを受けまして、県において手引の作成を進め、間もなく市町村に提示することとしております。
〇高橋はじめ委員 手引をつくって、今、準備をしているということですが、これは年度内に完成して、新年度には市町村に届くという流れですか。スケジュール感は、どういうふうになっているのか。
〇高橋グリーン社会推進課長 間もなく完成予定でございますので、間違いなく年度内には完成の上、市町村のほうに送付する予定でおります。
〇高橋はじめ委員 ありがとうございます。
 大船渡市で以前、当時の市長が市民から提訴された事案がありましたけれども、この事案のその後の経過と、何が問題であったと県は認識しているのかお伺いしたいと思います。
〇高橋グリーン社会推進課長 大船渡市吉浜地区の太陽光発電事業についてでございますが、住民団体が当時の市長などに対し、土地賃貸借契約をめぐって刑事告発をした後でございますが、書類送検された7名は、令和5年8月に不起訴処分となったところです。令和6年2月、その処分を不服として住民団体が当時の市長と副市長について、検察審査会に審査を申し立てる書面を郵送したと承知しております。
 一般論としまして、再生可能エネルギーの発電事業を行う場合でございますが、地域住民の理解というものが必要だと考えております。地域住民とのコミュニケーションの円滑化を図る意味でも、先ほど答弁申し上げましたけれども、県として作成する協定の手引を踏まえた対応が期待されると考えております。
〇高橋はじめ委員 せっかくよかれと思っていろいろ取り組みされたのではないかと思っておりますけれども、残念な形で推移している。早期にいい形で決着が図られればとも願っております。
 本年1月18日の岩手日報の論壇に、大船渡市三陸町吉浜の16歳の高校生の方が意見を述べておりました。環境保全、身近な自然からという題目があったのですけれども、吉浜の大窪山元山で大規模な太陽光発電を建設しようという計画についての意見ということで、リアス海岸を一望でき、途中の湿地地帯の湧水に生息する小生物や植物は、そこでしか見ることのできない生態系があった。この大窪山元山への大規模な太陽光発電を建設しようという計画について説明があり、環境に配慮して事業を行うと聞いたが、大きな疑問が残った。中略。太陽光発電など再生可能エネルギーの本来の目的は、青い地球を守ることだったはずだ。しかし、人間がいつまでも搾取し続ければ、自然はもちろん、人間もろとも地球は必ず壊れてしまう。さまざまな動植物が共存し、美しい自然が残る元山の環境を守るために太陽光を設置する、これは本来の目的と根本的に矛盾している。この小さな町の自然が守れなくて、どうして地球環境が守れると言えるのか。
 このような非常にすばらしい環境に対する意見を持った高校生の意見が載ったのです。私もこの地区の太陽光発電の事業者の方からお話も過去に聞いたことがありまして、その当時、私も何が問題だろう、早く進めたほうがいいのではないかという思いをしたのですけれども、その当時の県の担当から、ここはさまざまな自然を守っていかなければならない地帯だという話も聞いて、納得させていただきました。
 協定のガイドライン等について、環境審議会での議論の有無、未議論の場合、先ほどいろいろ示せと言っておられましたけれども、主にどういったポイントを重点に考えておられるのか、その点、お尋ねしたいと思います。
〇高橋グリーン社会推進課長 間もなく公表する手引でございますけれども、ポイントしては、再生可能エネルギーで発電した電力をどうやって地域内で循環できるだろうか、あるいは、売電で収益を上げたお金を地元に還元できないのか、そういった視点もしっかり踏まえた上で、市町村と事業者の間で締結を結ぶことが有効といったことがポイントの一つとして挙げられます。
〇工藤剛委員 私からは、食品ロス削減の県の対応についてお伺いいたします。
 本来食べられるにもかかわらず捨てられている食品、いわゆる食品ロスは、全世界では年間約13億トンが廃棄され、廃棄による温室効果ガス排出量は、全体の8から10%だと言われております。日本の食品ロス発生量は、年間約600万トンとされ、令和3年12月に策定された岩手県食品ロス削減推進計画では、日本の子供の7人に1人が貧困状態にあることや、市区町村及び一部事務組合における一般廃棄物処理に要する費用が年間約2兆円、岩手県では約153億円に上っていることから、食品ロスの削減は真摯に取り組むべき課題となっている。さらに、食品ロスを廃棄物として処分する場合は、運搬及び焼却処理に伴いCO2が発生することから、食品ロスの削減は地球温暖化対策の観点からも重要な課題だと示しております。
 そこで、初めに、岩手県内の食品ロスの発生量の推移をお伺いいたします。できれば、現在の数字と、例えば過去5年間分、または3年単位、5年単位でも構わないですが、今と昔での推移、違いがわかるような説明を事業系、家庭系と分けてお願いいたします。
〇古澤資源循環推進課総括課長 食品ロスへの県の対応、それから、発生量の状況ということでございます。
 工藤剛委員御紹介のとおり、県では、令和3年に食品ロス削減推進計画を策定しまして、指標に食品ロス発生量の削減、それから、削減に取り組む消費者割合を掲げて、食品ロス削減の取り組みを推進しているところでございます。
 食品ロスの発生量としましては、この計画の中で、平成30年度を基準年としてどれくらい発生しているのかということで紹介させていただきますと、家庭系が2万3、200トン、事業系が2万9、000トン、合計5万2、200トンということでございましたが、最新のデータとしますと、令和2年度の推計値がございまして、家庭系が年間2万2、400トン、事業系が2万9、000トン、合計5万1、400トンという形で推計しております。
 したがいまして、平成30年度の推計値と直近の令和2年度の推計値でいいますと、約800トン減少しているという状況でございます。
〇工藤剛委員 平成30年度を基準にということで、恐らく令和2年度の場合は、コロナ禍があったとすれば、家にこもっている期間があるということで、例年とは違った動きをしたのかという気もしますが、それはそれといたしまして、先ほど申し上げた岩手県食品ロス削減推進計画での指標の1として、令和12年度の食品ロス発生量を、先ほど申し上げた平成30年度比で18%、4.3万トン以下にする、削減するとしておりますが、その具体的な削減策をお伺いいたします。
〇古澤資源循環推進課総括課長 食品ロスの削減策というのは、いろいろございまして、一つは、市町村と連携した、もったない・いわて☆食べきりキャンペーンというような、食べ残しを防止する啓発活動、それから、エコ協力店認定制度ということで、飲食店とか小売店で食品ロス削減の取り組みを促進するということ、それから、事業として行っている産業・地域ゼロエミッション推進事業によりまして、食品製造工程における食品残渣の抑制、もろもろの施策によって令和12年度の計画目標値を達成しようということで取り組んでおります。
〇工藤剛委員 実際、県としても、例えば県単独で何かをしても、なかなか先に進まないというのはそのとおりだと思いますので、先ほど御答弁にもありましたとおり、市町村との連携をしっかりとって、そして、県民というよりも市町村民の方に御理解をいただくというような流れが重要かと思います。例えば、市町村でも食品ロス削減に対してのチラシ的なものを回してもらうとか、もっと県民に広く知ってもらうような取り組みということは、何かなされているのでしょうか。
〇古澤資源循環推進課総括課長 先ほど申し上げました、もったいない・いわて☆食べきりキャンペーンとかエコ協力店認定制度、これは市町村と連携してやっている事業でございます。したがいまして、そういった啓発活動、市町村と県と両方でやっているというものでございます。
〇工藤剛委員 それでは次に、指標2としまして、令和12年度の食品ロス問題を認知して削減に取り組む消費者の割合を90%にするとしておりますが、これについても、具体的にどういう方法で進めていく、もしくは、今、進めているということか、御説明をお願いします。
〇古澤資源循環推進課総括課長 この二つの指標、いわゆる食品ロス発生量の削減、それから、取り組む消費者の割合を上げる、これは、どちらかのために何かをやるというよりは、先ほど申し上げました普及啓発活動、あるいは、県としての事業、そういったことをやることは同じということになります。結果として、食品ロスがどれくらい減ったのか、取り組む消費者の割合がどれくらいになるのかということで推しはかるものでございます。
〇工藤剛委員 食品ロスを本気で削減していくと考えるに当たって一番のポイントは、県民、消費者一人一人が協力していただかないと前に進まないのかと思っております。
 そういう意味でも、まずは県民、消費者一人一人に食品ロス削減に対して認知してもらうということが最重要課題だと思っておるのですけれども、そういう観点から見ますと、正直言って、これに取り組む、県としてでもいいですし、市町村としてでもいいのですが、いわゆるPR不足はとても感じるのです。
 今、私が質問しようとして、ホームページを見たり、いろいろ検索したりすればこそ出てくるのですけれども、一般の人が普通の生活の中で、わざわざ食品ロスに対して県のホームページを見るとか、そういうことは少ないのが現実的だと思うのです。せっかく食品ロスの削減推進計画ということで、ごみゼロのポスターコンクールとかもやっておりまして、1ページ目にお子様たちがつくったポスター、最優秀賞のポスターとかを載せているのですが、こういうのが本来はもっと広く県民の方の目に触れるような活動は必要だと思うのです。
 例えば、県のホームページを開いたら、バックに今、アジサイの写真がありますけれども、こういうポスターが載っているとか、食品ロス削減というロゴがあって、そこを開けば県の取り組みなり、市町村の取り組みなりに入っていける。簡単に県民、市民の方々の目に触れるというか、そういう活動はもっと必要だと思うのですが、いかがですか。
〇古澤資源循環推進課総括課長 工藤剛委員御指摘のとおり、食品ロスを削減するためには、まさに消費者にもしっかり理解し、取り組んでもらわなければならないということでございます。
 もちろん、消費者だけではなくて、事業者、行政、多様な主体が食品ロス削減を我がこととして捉えて、フードサプライチェーン全体で食品ロスの削減を進めないと、なかなか結果がついてこないと考えております。
 先ほど委員から御紹介いただきましたように、計画を立ててもなかなか目に触れることがないということでございますが、県としての食品ロスに係る取り組みとしまして、もちろん、ホームページに載せるということをしている以外に、例えば、もったいない・いわて☆食べきりキャンペーン、これは年末年始とかに行っているものですが、飲食店への啓発チラシを配布したり新聞に掲載する、あるいは、路線バスへの広告を掲出するということを行っております。
 それから、毎年10月になりますが、家庭でのおいしい食べきりキャンペーン、10月が食品ロス削減月間になっておりまして、この月には啓発ポスターの配布、新聞、路線バスへの広告掲出を行っております。
 それから、エコ協力店いわて認定、これも継続してやっておりまして、食品ロスなどを推進する事業者を表彰などをして、食品ロス削減を進めるということをやっておりまして、表彰する際にはマスコミ関係者の方にも来ていただいて、テレビ等で放送するというところはやっておりますが、まだまだ不足しているところはあるかと思いますので、こういった取り組みは継続してやっていきたいと思っております。
〇工藤剛委員 ぜひお願いいたします。
 ちなみに、県でも、例えば企業局では単独でテレビコマーシャルもしておりまして、この間、常任委員会でもそういう話が出まして、どのぐらいの費用がかかるのかという話になったら、思っていたよりも高くないといいますか、高額なコマーシャル費ではなかったと思います。例えば、そういうことをしてでも、もっと食品ロスということに対して、県民に幅広く知ってもらう機会をふやしていくという考えはないですか。
〇古澤資源循環推進課総括課長 予算の絡みもありますので、CMをというところまではこの場ではお答えはできないのですが、食品ロスを減らす一番のポイントとすると、啓発活動でいかに消費者、事業者、市町村等と関係業者が理解し、取り組んでもらえるかというところでございますので、効果的な取り組みは何かというものを考えて、いわて!わんこ広報室とかではPRしたりはしておりますので、そういったことも継続してやっていきたいと考えております。
〇工藤剛委員 ぜひお願いいたします。
 もう一つには、いわゆる3010運動がございます。御答弁であるかと思っていたけれども、それはなかったので。結局、コロナ禍明けで最近、今年度あたりからいろいろな宴会、会食の場がふえてきているのですけれども、コロナ禍前からもあって、コロナ禍で下火になったのですが、開始30分は立って歩かないで食べましょう。終わりの前10分は自分の席に戻って、食べ残しているものなくしていきましょうという運動が推進されております。
 私も知っている市町村に招待されて行ったときも、役所の司会進行の方が、乾杯するときに、3010運動を推進していますので、皆さん、ぜひ30分間は立たないで食べてくださいね、10分前に戻って食べてくださいねということを話して、すごく推進している市町村もございます。
 いろいろな関係者、事業者の社長ですとか、いろんな団体の代表の方などがいるので、そういうことをもっと広めていくべきだと思うのです。ですから、3010運動も含めて、もっと市町村なり各関係団体なりに働きかけることも必要だと思うのですが、いかがですか。
〇古澤資源循環推進課総括課長 今、工藤剛委員から御紹介いただきました3010運動、これも大分前から取り組みさせていただいている運動でございます。
 もったいない・いわて☆食べきり協力店登録制度を平成29年8月から行っておりまして、食べ残しを減らす取り組みなどを行う店舗を登録するものでございます。現在、177店舗登録されておりますが、その登録要件の中に、小盛メニューの導入、あるいは、ポスター掲示等ということで、このポスターの中には3010運動を呼びかけていただく、あるいは、食べ残しの持ち帰りへの対応とか、そういった取り組みをしていただける店舗を登録制度としてやっておりますので、こういったところをふやしていくということで、3010運動を広げていくことによっての食品ロス削減というのもやっていきたいと考えております。
〇工藤剛委員 永続的にといいますか、永久的に予算等を使っていく必要はないと思うのです。今、県民なり事業者の方になれるまでといいますか、食品ロスに対する認知度が高まるまでといいますか、そういうところに最初に予算を使って、皆さんが当たり前に食品ロス削減に取り組んでくれるようになればいいと思いますので、もう少しPRに力を入れて頑張っていただきたいと思います。
〇千葉盛副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
   午後4時25分 休 憩
午後4時46分再開
〇城内愛彦委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇千葉食の安全安心課長 先ほど関根敏伸委員の御質問に対する答弁の中で、岩手県獣医師会が実施している犬猫の不妊去勢手術費用の一部を助成する事業の助成金額を5、000円から1万円程度と説明いたしましたが、令和5年度事業では、雄が2、000円、雌が5、000円でございましたので、訂正いたします。
〇臼澤勉委員 それでは、私からも、先ほど高橋はじめ委員が質問しておりました陸上風力発電事業と環境アセスメントについてお伺いいたします。かぶらないようにお伺いいたします。
 まず、現在進行中の陸上風力発電計画におけるアセス手続の実施状況について御説明をお願いしたいと思いますし、その中で明らかになっている課題は何なのかお伺いします。
〇加藤環境保全課総括課長 風力発電事業の環境影響評価手続の現状と課題でございます。
 県内を事業区域とする風力発電事業計画ですが、現在、全体で27件ございますが、近年の状況は、令和3年度に1件、令和4年度8件、令和5年度は1件の新規の届け出があったところです。
 令和5年度は、このほか、前年度に届け出のあった事業のうち、環境影響評価手続の第2段階に進んだ事業が4件ございました。
 これまでの事業の中には、イヌワシの重要な生息地と事業区域が重複していることが判明し、計画の抜本的な見直しを求められた事業や、調査方法や環境保全措置の検討に時間を要し、想定していたアセス手続のスケジュールが大幅におくれている事業、地域にとって重要な景観への影響を指摘する知事意見を受けて、事実上、次の手続段階に進むことを断念した事業など、立地選定での適切な配慮がなされず、その後の対応に苦慮する例が見られるところです。
 こうした事例の背景には、事業計画の初期段階で適切な立地選定を行う手法が徹底されていないことや、環境保全上、立地場所に含めることが適切ない区域についての認識が十分ではないということがあると考えられます。
〇臼澤勉委員 今、27件の計画が県内で進められているということでございますが、アセスの手続を進めていく配慮書とか方法書、準備書ということで、それぞれ段階、ステージを進んでまいりますが、知事の意見書等を出す中において、事実上の撤回とか再検討が必要だというのは何件ぐらいあるものでしょうか。
 また、その事業の総出力数みたいなものがもしわかるのであれば、お伺いします。
〇加藤環境保全課総括課長 抜本的な計画の見直し等を求めている案件というのは、最近であれば5件ほどございます。現在、配慮書段階にあるものとしまして3件、方法書段階にあるものとしては2件ということでございます。
 総出力数の合計につきましては、今、手元での集計が難しくて、大変申しわけありません。
〇臼澤勉委員 新規の届け出は令和4年度で8件と言いましたか。いろいろと手続が進んできた中において、そのうち5件程度、抜本的な見直し等を求められる、事実上できないような状況になっている案件があるのかと思っておりました。
 県の立場は再生可能エネルギーを推進していくという立場、それから、一方では、環境保全のバランス、保全するという相反する調整をする難しい立場であるというのは私も重々承知しておりますが、その辺のお互いの利益が相反するような関係を具体的にどういった方針でバランスを図ろうとしているのか、お伺いいたします。
〇加藤環境保全課総括課長 まさに風力発電事業を促進もしなければなりませんし、また、環境配慮しなければならないという両面があります。規模の大きい事業につきましては、環境アセスメント制度があります。風力発電につきましては、商業用のものにつきましては、ほぼほぼ環境アセスメントが適用になりますので、この環境アセスメントを通じて環境に配慮した事業を促進していく、確保していくということになります。
〇臼澤勉委員 県のKPIの指標、再生可能エネルギーによる電力自給率というものを見させていただきますと、2021年の再生可能エネルギー電力自給率38.6%、これを2024年には51%まで持っていく目標になっております。2026年には56.2%ということで、これまでの自給率を1ポイントぐらい上げる目標値を一気に上げていく計画になっております。
 これをそれぞれの種類別に分解してみると、2021年は、風力が占める割合が9%程度だったものを2025年には22%まで持っていくという目標になっている。つまり、風力発電事業を県内で多く進めていくというようなことで私は理解しております。
 そういった中において、先ほどもレッドゾーンの話とかもありましたけれども、その辺の事業者との調整もしながら、目標値、KPIとアセスのバランス、整合性をどのように考えているのか。一連の大きな流れの考え方ですので、県のお考えをお伺いいたします。
〇加藤環境保全課総括課長 KPIについて、今、資料が手元にございませんので、大ざっぱなところで説明させていただきますと、2030年に風力の導入目標がそもそもありまして、それが大体15億キロワットアワーと承知しております。
 環境アセスメントにつきましては、臼澤勉委員から先ほど御説明がありましたとおり、各段階があります。配慮書、方法書、準備書、評価書というステップがありまして、後の方に行くに従って実現可能性が高まってきているということでございます。現状、既に運転開始されている事業もございます。また、実現可能性が非常に高い、評価準備書が終了している事業もございまして、現状、これらを積み上げると、先ほど申しました2030年度目標15億キロワットアワーを上回るような状況にございます。風力発電につきましては、現在計画がかなりありまして、目標を満たすような状況にあると考えております。
〇臼澤勉委員 ある程度目標を満たしているペースで上がってきているという中だと理解いたします。風力におけるアセスの一番のポイントがイヌワシのバードストライクの問題だと理解しております。先ほども北海道のクマタカの実例とかを御紹介されておりましたけれども、お伺いいたしますが、県内におけるバードストライクの発生状況、そして、一方で、イヌワシのつがいの繁殖状況、どのようになっているのかお伺いいたします。
〇酒井自然保護課総括課長 まず1点目、バードストライクの関係でございますけれども、本県におきましてバードストライクが確認されましたのは、平成20年に釜石市の釜石広域ウィンドファームで確認がされておりますけれども、以後は確認されていないという状況でございます。
 次に、2点目、繁殖率の関係でございますけれども、イヌワシの繁殖率に関しましては、いわて県民計画(2019〜2028)第1期アクションプランの目標値に掲げさせていただいているところでございまして、令和4年度の目標値が14%に対しまして実績値が3.8%ということで、目標値を下回っている状況になっております。
〇臼澤勉委員 令和3年度の7.7%から3.8%と大幅に繁殖成功率が下がっている要因、あるいは、課題をどう捉えているのか。これが風力発電にどう影響するのかお伺いいたします。
〇酒井自然保護課総括課長 繁殖率が低いところの原因でございますけれども、野生鳥獣ということで、なかなかはっきりした原因は明らかになっていないところでございますが、専門家からの意見によりますと、ノウサギなどの餌の不足であったりとか、大雨、大雪、暴風といった気象変化による巣の損傷、あとは、熊によるヒナの捕食といったような影響が考えられるのではないかと伺っているところでございます。
〇臼澤勉委員 風力発電との影響というところについてのコメントがなかったのですけれども、そこについてはいかがでしょうか。
〇酒井自然保護課総括課長 直接の影響という部分からいきますと、事故という部分では、先ほどのバードストライクの関係については、近年は発生していないところでございます。
 今動いているものに関して、直接的な影響という部分に関しては、まず、考えられる影響でございますけれども、専門家からの意見という部分でいきますと、風力発電施設が営巣地の近くにあることによって、イヌワシ自体が営巣活動を放棄してしまうといったところであったり、あとは、山の尾根などがイヌワシの重要な餌場になっているということで、こういったところに風力発電がもし建設されてしまうと、餌場が失われてしまうといった影響が考えられると聞いているところでございます。
〇臼澤勉委員 そういった中において、この3月にレッドゾーンの設定をされるということを新聞報道でお伺いいたしました。まず、このレッドゾーンを設定する基準というか、先ほど砂防指定とか地すべり、保安林等、あるいは、イヌワシの重要生息地域ということで紹介がありましたけれども、これらは全体でどのくらいのエリアを面積的に指定する予定なのか。また、この設定の根拠、それから、設定プロセスにおいての地域住民や関係者との意見、調整はどのようにされているのかお伺いします。
〇加藤環境保全課総括課長 初めに、どの程度の面積かということでございますけれども、概略を御説明しますと、イヌワシの重要生息地として今考えておりますのは、県内の森林面積の3分の1程度ということでございます。また、その他、自然環境保全地域ないしは自然公園、保安林、そういったものについては、そもそも指定されているエリアをそのまま採用しようとしているものでございます。
 ネガティブゾーンの設定の基準でございますけれども、具体的には、先ほど申しましたとおり、自然公園、保安林など自然環境の保全や土砂災害防止のため法令に基づき指定され、開発行為が制限されている区域のほか、国内希少野生動物であるイヌワシの重要な生息地などを検討しているということでございます。
 これらの区域は、従来からアセス手続の知事意見において、事業区域から除外を検討するよう求めておりまして、新たに事業計画を立案しようとしている事業者にあらかじめ示すことによって、環境保全上のリスクが高い区域を避けた事業計画の立案が可能となり、アセスの調査期間の短縮ですとか環境保全措置のコスト縮減を図ることができると考えております。
 この基準を、どのように関係者と共有しているかということでございますけれども、これにつきましては、先ほど申しましたとおり、アセスの意見というところで出てきた場所でございますので、これまで4回にわたり環境アセスメントを審査する岩手県環境影響評価技術審査会の意見を伺いながら検討を重ねてきたものでございます。最終案を諮った上で、3月中をめどに改正するということにしております。
〇臼澤勉委員 レッドゾーンという面的な指定のように私はイメージするのですけれども、レッドゾーンが発表されるとすごく強力な、事業者にとっては規制が大きくなってくるのかと思います。
 保安林だとか公園区域内で本来建てられないようなところ、不適切なところというような表現もありました。あえて聞きますけれども、今回指定されるレッドゾーンエリアで、既に風力発電が建って稼働しているようなエリアはあるのでしょうか。
〇加藤環境保全課総括課長 あるかないかということで言いますと、ございます。
〇臼澤勉委員 具体的にお伺いします。どういったところであって、なぜそこは建設されているのでしょうか。
〇加藤環境保全課総括課長 具体的にということでございますけれども、場所的には、宮古、岩泉エリア等があると承知しております。
 なぜ設置されているかということにつきましては、環境アセスメントを通じまして、事業者がその計画をある程度変更いたしまして、環境に配慮するということで環境アセスメントが終了しているものでございます。
〇臼澤勉委員 そこの当該エリアは、恐らくアセスの手続は当然踏んでいるでしょうし、知事の意見書とかも当然出ていると思うのです。私が今回思っているのは、事業者にとっても非常に規制が厳しくなる。一方で、県で再生可能エネルギーを進めるという中で、お互いに守るほうと進めるほうの両者の合意、そして、地域住民からの理解、あるいは、地域住民からは誘致、投資促進の要望もあるような声もよく聞くわけでございまして、三者のバランスをいかに保っていくのかといったところが求められてくると思います。
 改めて、その辺のネガティブゾーンの規制と、事業者、あるいは地域住民への配慮、どのように県として進めようとしているのかお伺いします。
〇加藤環境保全課総括課長 非常に規制が厳しいという御指摘がございましたけれども、今回のレッドゾーンにつきましては、その地域に風力発電の立地を禁止するとか、制限するということではございません。その地域で事業計画をするとアセスに非常に時間がかかる、コストがかかる。ですので、前の段階で影響のないところに建てたほうが事業者にとってもメリットがありますよということで、事業者に対してあらかじめ御案内をするものであります。
 もし仮に、そのリスクを考えてもレッドゾーンの中でやりたいということであれば、それは当然、環境アセスメントの手続の中で、今までどおり意見を述べていくということになろうかと思います。
〇臼澤勉委員 いずれ事業者の側も事前に調査して、何年もかけて、あるいは投資もしながらやっているという中において、レッドゾーンを今回、3月に指定を進めていくことになれば、ある程度事業に着手している、調査をしているようなところへの配慮も含めて考えなければいけないのかと思って質問させていただきました。新たな規制をかけるわけではないという答弁でございましたので、適切に運用していただければと思います。ありがとうございました。
〇小西和子委員 それでは、私からは、女性のためのつながりサポート事業費というのがありますけれども、150万円増額いたしまして1、470万円計上されております。その中の、いわて女性のスペース・ミモザの活動について、まずお伺いいたします。
 今年度のいわて女性のスペース・ミモザの活動実績について伺います。
 あわせて、生理の貧困に係る取り組みについてもお伺いいたします。
 いわて女性のスペース・ミモザの活動の評価についてお伺いいたします。
〇藤井青少年・男女共同参画課長 いわて女性のスペース・ミモザの活動についてでございますが、こちらの事業は、アイーナで相談とか居場所づくりといったものを行っている事業でございます。
 今年度の実績でございますが、令和6年1月時点でございます。電話や対面、メール等で延べ1、531件の相談が寄せられているほか、市町村や大学、全県立学校等に延べ4、937人分の女性用品を提供したところでございます。
 また、市町村の取り組みについては、7市町村が予算措置等により調達し提供しているほか、これら市町村を一部含む提供希望のあった28市町村に対して、ミモザから女性用品を提供したところでございます。
 次に、活動の評価についてでございます。
 ミモザは、コロナ禍を契機に設置してから3年目を迎えております。令和6年1月末時点の相談件数は、先ほどお示ししましたとおり、1、531件でございますが、前年度の同期の実績と比較して倍増しておりまして、ミモザの認知が定着してきたものと認識しております。
 ミモザへの相談内容については、新型コロナウイルス感染症関連の相談が減少している一方で、家庭内の人間関係に関する悩みですとか家事、介護等の負担に対する悩みなど、家族に関する相談や、これからの健康上の不安、経済的な不安に関する相談もふえてきておりまして、聞いてもらって気持ちが楽になったですとか、親の介護のことなどを専門の資格を持つ相談員に相談できて安心したといった意見が寄せられているところでございます。
 また、女性用品を提供した学生などからは、経済的に余裕がないため助かった。これからも女性用品の無償提供を継続してほしいといったような声が多く寄せられているところでございます。
 女性が抱えるさまざまな困難を受けとめ、寄り添った支援を行うミモザの取り組みは、女性一人一人の安心感の醸成や課題の解決に向けた糸口に結びついているものと認識しております。
〇小西和子委員 相談が倍増している。これはすごいことですが、それだけ悩みの多い女性が多いということの証でもあるかと思います。生理用品につきましても、困窮している中、本当に助かるという声は大きいと思っています。
 ミモザの活動はコロナ禍のさまざまな声をということで始めたのですけれども、今は人間関係とか、家族のこととか、困窮していることとか、そういう悩みに移行しているということでございました。
 では、次年度の取り組みについて伺います。
〇藤井青少年・男女共同参画課長 来年度のミモザの取り組みについてでございます。今年度と同様に、電話や対面、メール等で相談を受け付けるほか、県内4カ所での居場所の提供、県内各地での出張相談、市町村や高校、大学等への女性用品の提供を行うこととしております。
 また、ミモザの相談件数が倍増していることを踏まえまして、相談対応時間を拡充するとともに、相談者の事情に配慮して柔軟に対応するため、ミモザの相談員が相談者に出向くアウトリーチ型の相談を強化するなど、よりきめ細かな支援を行っていく考えでございます。
 引き続き、市町村とも連携を図りながら、困難や不安を抱える女性が安心して生活できるよう支援をしてまいりたいと考えております。
〇小西和子委員 活動を広げるがために150万円拡大と捉えていいですね。困難や不安を抱える女性というフレーズがありましたけれども、岩手県でも(仮称)いわて困難な問題を抱える女性への支援等推進計画(2024〜2028)が検討されております。
 これは一般質問でもお話ししたのですけれども、ワンストップ型の包括的支援を行うとなっておりますので、先ほど藤井青少年・男女共同参画課長がお話をしました女性が抱えるさまざまな困難を受けとめ、寄り添った支援を行うミモザの取り組みというのは、女性一人一人の安心感の醸成や課題の解決に向けた糸口に結びついているということから、困難を抱える女性については保健福祉部管轄ではありますけれども、私は、環境生活部と保健福祉部が連携をして女性支援に当たれるようにすべきだと考えます。これは指摘にとどめておきます。
 次に移りたいと思います。
 二つ目は、女性活躍と人口減少対策についてであります。今年度のえるぼし認定の実績と評価について伺います。
〇藤井青少年・男女共同参画課長 えるぼし認定の実績と評価についてでございます。
 国では、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づきまして、女性の活躍推進に関する取り組みの実施状況が優良である等の一定の要件を満たした企業をえるぼし認定企業として認定しているところでございます。
 本県における直近の令和6年1月末時点のえるぼし認定企業数は32社となっておりまして、今年度に入ってから4社が認定を取得しており、徐々にふえているところでございます。
 この件数は東北地域1位となっておりまして、厚生労働省の担当者からも県の施策の寄与が評価される等、女性活躍に向けた取り組みの成果があらわれているものと考えております。
 なお、県では、えるぼし認定につながるよう、平成29年から、いわて女性活躍企業等認定制度に取り組んできておりますが、その結果、直近の3月1日現在の認定企業数は507社ということで、500社の大台を突破したところでございまして、今後も女性が活躍できる職場環境づくりに向け、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
〇小西和子委員 えるぼし認定企業のほうも昨年度から4社プラスになって、引き続き東北地域1位であるということ、いわて女性活躍企業等認定制度のところは、昨年の同時期にも質問したのですけれども、それから75社もふえているということでございます。これは取り組みがしっかりしているからだと評価させていただきます。
 女性の県外流出の解決策の一つとして、働く女性の活躍の見える化に取り組んでいるとのことでありましたけれども、実績と課題について伺います。
〇藤井青少年・男女共同参画課長 働く女性の活躍の見える化についてでございます。
 県では、昨年度、若者女性の県内定着等を図ることを目的に、女性活躍認定企業における取り組みですとか、働きがいのある職場の雰囲気を伝える動画を作成したほか、今年度は、各認定企業の具体的な取り組みや、就職等を検討している女性へのメッセージ等を新たに掲載するなど、いわて女性の活躍応援サイトの充実にも取り組んできたところでございます。
 また、官民連携組織でございます、いわて女性の活躍促進連携会議の就業促進部会におきましても、県政番組により部会の取り組みを紹介したほか、企業経営者等として活躍している女性委員が、ラジオやSNSを活用した情報発信も行ってきたところでございまして、これらの取り組みにより、求人への好影響や認定に向けた問い合わせがふえるなどの効果があらわれてきているところでございます。
 若者女性が県内で働きたいと思えるよう、女性活躍推進に取り組む企業をふやしていくことが重要であることから、本県で生き生きと女性が活躍している姿をさらに広げていけるよう、応援サイトのリンクをふやすなど、今後も県と民間企業が連携した情報発信等を充実させていく考えでございます。
〇小西和子委員 この見える化が重要であるということ、ある方から指導していただきましたけれども、しっかりと取り組んでいらっしゃいまして、ラジオとかSNS等の活用等も行っているということですので、今後も取り組みを充実させていっていただきたいと思います。
 次に、ジェンダーギャップ解消に向けた今年度までの取り組みについて伺います。
 あわせて、次年度の取り組みについても伺います。
〇藤井青少年・男女共同参画課長 ジェンダーギャップ解消に向けた取り組みについてでございますが、県では、これまで、女性活躍企業認定の普及拡大や企業の経営トップ層の意識改革のための経営者セミナー等により、働く場でのジェンダーギャップの解消を図るとともに、家庭や地域、学校等のさまざまな場においてジェンダーギャップが解消されるよう、いわて男女共同参画センターを拠点として、男女共同参画を推進する人材の育成ですとか、セミナー等により意識改革に取り組んできたところでございます。
 今年度は、新たに、外部専門人材をいわて女性活躍エグゼクティブアドバイザーとして委嘱し、女性活躍推進のメリットを経営者層に普及浸透させるための講演をキャンペーン的に展開するとともに、モデル企業に社会保険労務士を派遣するハンズオン支援や、成長が見込まれるデジタル分野での女性のための就業促進セミナー等、働く場における取り組みを強化したところでございます。
 来年度は、これまでの取り組みに加えまして、女性デジタル人材育成やマッチングに力を入れることで、多様な働き方や所得の向上を目指すほか、企業とコラボした家事、育児等の負担を見直す啓発キャンペーンも予定しておりまして、今後も家庭や地域等におけるジェンダーギャップ解消に向け、積極的に取り組んでいく考えでございます。
〇小西和子委員 私もアドバイザーの講演を聞かせていただきました。すごく効果的だと思います。県内企業トップへのアピールということで、女性が働きやすい職場環境づくりの推進につながるものと思いますので、大いに期待しております。
 では、次です。いわて幸福関連指標の状況では、共働き世帯の男性の家事時間割合でございますけれども、女性の家事時間に対して、令和3年、男性39.2%、令和4年39.7%、令和5年の目標値は42.5%となっております。共働き世帯の男性の家事時間割合を上げていくこと、意識と慣習を家庭と職場と地域が一体となって変えていくこと、そのための手段の一つが男性の育児休業取得で、一番重要な課題だと考えます。何度も言っているので耳にタコができたかもしれませんが。共働き世帯の男性の家事時間割合が変わらずに低く、女性に家事の負担がのしかかっているという現状を打破しない限り、少子化に歯どめがかかりません。共働き世帯の男性の家事時間割合を上げるための次年度の取り組みについて伺います。
〇藤井青少年・男女共同参画課長 共働き世帯の男性の家事時間割合を上げるための取り組みについてでございます。
 県では、女性活躍企業等認定制度を初め、これまで女性が働きやすい職場環境づくりを中心に取り組んできたところでございますが、固定的な性別役割分担意識やアンコンシャスバイアスに起因して、女性が家事や育児に縛られている限り、与えられた機会を十分に生かせないといった懸念が生じているところでございます。先ほど小西和子委員からも御紹介がありましたとおり、本県における共働き世帯の男性の家事時間割合は4割と非常に低い状況となっておりまして、家事、育児に費やす時間の男女間の偏りの解消に向けた取り組みを、新たに来年度実施することとしたものでございます。
 具体的には、先ほども御紹介させていただいているところでございますが、家事・育児シェアシートによりまして、まずは家庭内の負担割合の現状と理想を見える化し、家事シェアについて考えるきっかけとしていただくこととしており、また、シェアシートの普及におきましては、時短家電や時短商品等を扱う企業とタイアップすることによりまして、家事自体の負担軽減と最適化につなげ、社会的な広がりを目指すキャンペーンとして展開することとしております。
〇小西和子委員 国際的な調査で、日本の女性の睡眠時間がほかの国と比較して非常に短いという結果が出ております。これは、それだけ家事、育児時間が長いということのあらわれでもあるかと思います。
 最後です。岩手県の課題である人口減少対策に率先して取り組むためにも、あらゆる分野でのジェンダーギャップ解消の取り組みが必要と考えますが、次年度に向けての環境生活部長の意気込みをお伺いして、終わりにしたいと思います。お願いいたします。
〇福田環境生活部長 御指摘いただきました女性活躍の促進は、個々の企業や地域経済の活性化を図る点からも重要であり、先ほど藤井青少年・男女共同参画課長から答弁のありましたとおり、女性デジタル人材の育成、外部専門人材の活用による経営者の意識改革、社会保険労務士の派遣によるハンズオン支援、こういったことに取り組む中で、えるぼし認定が東北6県で最多となるなど、その成果があらわれている面もあると感じております。
 その一方で、県内の経営者の方と話しますと、せっかく女性に機会を与えても本人に意欲がないといった誤解も一部にあるようですが、少し引きの視点で見てみますと、決して女性に意欲がないわけではなく、家事や育児などに縛られている限り、活躍の機会を十分に生かせないというのがその実態ではないかと感じております。
 まさにこの点があらゆる分野でのジェンダーギャップの根本的な原因であり、来年度は、家事や育児といった家庭内無償労働の負担軽減や、遍在是正を人権の視点だけでなく、さまざまな分野の企業と連携を図る中で、世の中の大きなうねりとなるように取り組んでまいります。
〇岩渕誠委員 新年度予算案において、当該部におきましては、新規、そして拡充される予算は12事業あると理解しております。そのうちの三つは鳥獣被害対策ということで承知しておりますけれども、まずは、鳥獣被害対策関連の予算についてお伺いしたいと思います。
 先ほども議論のありましたツキノワグマの指定管理鳥獣指定について、これは大きな前進だと思います。特に財源的に非常に大きな優位性を持っているものと思いますが、これはなかなか手続がすんなりいかない。省令改正をやって、ガイドラインを改正して、そして、都道府県に対していろいろ示すというのがあって、それを受けて県でやるということですが、スケジュール的に、県が今、想定しているもの、場合によっては各種計画の見直しが必要だというふうにも聞いていますけれども、この辺はどうなるのでしょうか。
〇酒井自然保護課総括課長 ツキノワグマの指定管理鳥獣に伴う一連の手続の部分というところでございますけれども、岩渕誠委員御指摘のとおり、現在、環境省におきまして、指定管理鳥獣に追加するための省令改正であったりとか、ガイドラインの改定の手続が進められているところでございまして、この動きに合わせて、来年度、個体数管理ですとか被害防除対策について定めております、県のツキノワグマ管理計画の改定手続が必要になると見込んでいるところでございます。
 支援制度につきましても、あわせて国で検討が進められており、詳細が不明なところはございますけれども、既に指定管理鳥獣になっております鹿ですとかイノシシの対応を踏まえますと、これまで支援対象にならなかった捕獲やモニタリング、捕獲従事者の人材育成などに環境省からの交付金の活用が見込まれると考えているところでございます。
 その一方、まだ県単独で個体数推定のためのヘアトラップ調査であったりとか、捕獲効率を向上させるための捕獲向上研修の経費につきましては、計上させていただいているところでございますので、今後、国の交付金の内容が明らかになったところで、活用であったりとか、既存事業に合わせていくような形で修正を検討していきたいと考えております。
〇岩渕誠委員 基本的には、今、事業化で走っていますから、それの財源振りかえという形で出てくるのだろうと、財政的には思っておりました。
 今、熊対策は第5次ツキノワグマ管理計画に基づいてやっていると承知していますけれども、このところ捕獲上限数を上回って、去年は最高という年になっているわけですが、これも改めて計画を見直して、上限数の設定に入るということなのだと思います。ただ、全体を見ますと、第4次計画では、岩手県内には3、400頭の生息数がある。これが第5次、おととしのスタート段階では3、700頭に増頭している。細かく話をすれば、北上山地のほうに2、000頭がいて、北奥羽山脈のほうに1、700頭がいて、二つの系統があるということであります。とりあえず今の計画では、第4次計画の3、400頭まで減少させるというたてつけになっているのですけれども、ここの大もとも、場合によっては計画の見直しを迫るというということになるのですか。
〇酒井自然保護課総括課長 ツキノワグマ管理計画への影響ということでございますけれども、今回、国で検討されているものが、ガイドラインの見直しも行われておりますので、こちらの内容によっては、現在、県で定めております熊の個体数管理に関する考え方自体も見直しが出てくる可能性はございます。
 ただ、どういった形で見直されるかというところは不明なところもございますので、現時点におきましては、現行の3、700頭から3、400頭に減らす方針に基づいて個体数を管理していくことになります。国の動きに関しましては、考え方の変更に伴って速やかに対応できるように情報収集に努めていくとともに、国に対しては早期に方針が示されるように働きかけを進めていきたいと考えております。
〇岩渕誠委員 これは国の方針もさることながら、実際、昨年来の捕獲の状況を見ていると、3、700頭というのがふえていることなのか、それとも単純に、山に食料がないということで里山以上に近づいてきているのか、これはどういうふうに分析するかにもよると思いますので、現場の実態に即した形で進めていただきたいと思います。
 管理しないといけない動物がいろいろありまして、次はイノシシであります。平成23年に一関市で初めて有害駆除で1頭が捕獲されて、県内への流入が出たわけですけれども、令和4年には九戸村と野田村を除いて全域で捕獲されているという実態であります。もう既に県内は全域でイノシシが生息していると考えてよろしいですね。
〇酒井自然保護課総括課長 岩渕誠委員御指摘のとおり、イノシシにつきましては、平成23年に県内で確認される以前までは、一旦は絶滅をされたと認識されていたところだったのですが、以後は各地で捕獲が報告されているところでございます。こちらにつきましては、どこにどのくらいいるのかという分布の状況もよくわからない状況もありましたので、令和元年度から3年度にかけまして、行政区長ですとか農業委員などを対象としたアンケート調査を行っておりまして、その結果、委員御指摘のとおりでございますが、県内全域に生息していると確認されているのが現状でございます。
〇岩渕誠委員 計画と予算上は、捕獲についてお金が出ていますから、去年は実績で979頭、予算上は1、200頭が目標だったと思いますけれども、イノシシの場合の問題は、県内に何頭いるのかがわからないということで、しかも、専門家が推定個体数の把握は無理ではないかという話があります。全国的には今、中央値は70万頭よりちょっと上ぐらいだろうと。環境省はたしか50万頭に減らすという計画があって、全体としては下がり傾向でありますが、岩手県の場合、恐らく拡大していると思います。東北地域全体では10万頭以上いるという推計はあるのですけれども、それにしても岩手県にどれくらいいて、どういう対策をするかということになれば、敵を知ることですから、この辺の個体数の調査は絶対必要になるわけでありますけれども、これも積極的に取り組むと伺っていますが、お示しいただきたいと思います。
〇酒井自然保護課総括課長 イノシシの生息数につきましては、現計画におきましても、生息地域に偏りがあって個体数の推定は困難とさせていただいているところではございます。そのため、これまでだとGPSを装着して、捕獲効率を上げるために行動圏を調査するといったことは令和4年度、令和5年度、今年度にかけて取り組んでいるところでございますが、それだけでは難しいということで、イノシシについては、生息数の調査手法は確立されているわけではないところでございます。来年度につきましては、自動撮影カメラを使って個体数を推定するという手法に、一部の地域ではございますけれども、試行的に取り組むことにしておりますので、この方法を使って推定個体数の把握であったりとか、効果的な被害防止対策の検討を進めていきたいと考えております。
〇岩渕誠委員 繁殖行動を見ても、ツキノワグマが1年間に大体2頭というところに対して、イノシシは1年間に平均で1回4頭から5頭、2回出産するというデータもあるようですから、爆発的な繁殖力です。これはきちんとやらないと、今、農業被害が中心ですけれども、イノシシは人的被害とか、狩猟などでよく事故があるのです。そういったこともありますから、これはきちんと取り組んでいただきたいと思います。
 次に、新規拡充事業12の中の三つの関連になっています脱炭素、その中の再生可能エネルギーについてお話させていただきたいと思います。
 先ほども議論がありました。地域とか環境とか、いろいろ折り合いをつけて進んでいかなければならないということはそのとおりだと思います。一方で、岩手県地球温暖化対策実行計画の中では、再生可能エネルギーの自給率は非常に大きな目標を持ってやっているわけでございます。2030年には再生可能エネルギーの電力自給率を66%に持っていく。その手前の2025年には53%まで持っていくということであります。現状、一番近い数字は2022年の41%という数字でありますが、これは新年度の計画によってどの辺まで計画に近づくのか、お示しください。
〇高橋グリーン社会推進課長 再生可能エネルギーによる電力自給率の関係でございます。
 岩渕誠委員御指摘のとおり、41%というのが直近の数字でございまして、それに令和6年度は幾ら上積みできるかと申しますのは、発電が始まるまでの要素、手続等、さまざまな要因がありますので、明確にお答えすることは難しいのですけれども、先ほど来答弁しておりますとおり、まだ計画中の発電所がございますので、それらが地域と共生をした上で順調に運転を開始してもらえれば、着実に上積みができるのではないかと考えております。
〇岩渕誠委員 具体のところをお示しいただきたかったのですが、今、稼働中のものは太陽光が圧倒的に多く、180件で、出力ベースで言うと大体1、201メガワット、計画中のものが20件ある。ここは風力発電が大きな割合を占めるということになっているのですけれども、計画はいつまでに完了するか、それは示せますか。
〇高橋グリーン社会推進課長 先ほど岩渕誠委員がおっしゃった計画の数ですとか出力でございますけれども、その根拠になっておりますのが、現在、固定価格買取制度の認定を取った上で1メガワット以上の発電所を掲載した資料でございます。それぞれ計画の期間が異なっておりますので、いつまでにということではございませんけれども、我々としては2030年度の目標がまずありますので、それに向けて運転開始ができればよろしいというところは期待しているところでございます。
〇岩渕誠委員 岩手県の再生可能エネルギーのポテンシャルというのは、全国の再生可能エネルギーの大体7.1%、これは全国で2番目のポテンシャルを持っている。特に、太陽光も多いのですけれども、一番のポテンシャルは風力で、これは9.4%で全国第2位、地熱はもっと上で16.7%のシェアを占めてこれも第2位、トータル2位ということになるわけでありますが、再生可能エネルギーをやるというところが、今、産業界にとっては非常に重要なわけであります。
 その前段として、今の問題とすれば、再生可能エネルギーをやるのだけれども、今、出力規制の問題が出てきています。これは例年4月、5月によく出力規制が行われるわけでありますけれども、県内における出力規制の実態はどうなのでしょうか。
〇高橋グリーン社会推進課長 再生可能エネルギーの出力制御と申し上げさせていただきます。出力制御の問題でございます。残念ですが、都道府県単位の実績は公表されておりませんけれども、東北電力ネットワーク管内─新潟県まで含みます─の出力制御の状況としましては、今年度につきましては、春の4月から6月までの間に計11回行われたと把握しております。
〇岩渕誠委員 これは全体のパーセンテージからいうと零コンマ幾らのパーセンテージですから、まだまだ低いのですけれども、九州地域などに行くと4%とか5%で、電力を捨てているということになりますから、要は、そこの中で蓄電池をかませてやるか、それとも送電網を次世代型のスマートグリッドにしていくか、この両方で対応しなければいけないというのが国家的な目標だと理解しています。
 岩手県とすれば、せっかく近くでクリーンエネルギー、再生可能エネルギーがあって、例えば、企業誘致の断面、COP3とか産業全体で脱炭素に取り組むことが義務づけられる中で、非常に利点があるわけでありますから、そうすると、マイクログリッドにどうやって取り組むか。例えば、ここの誘致する工業団地については岩手県の再生可能エネルギーが使えます。火力電力よりもこれぐらいのCO2の排出削減量になりますということになると、企業誘致の中でも非常に大きな役割を果たす、これがGX―グリーントランスフォーメーションの一つだと思っております。そういう意味では、ポテンシャルがあるということなのですが、このあたりの考え方は、環境生活部としてどのように考えているのでしょうか。
〇高橋グリーン社会推進課長 岩渕誠委員御指摘のとおりでございますけれども、我々としましても、再生可能エネルギーは、これまでは固定価格買取制度等で比較的大規模なものが設置されまして、そのエネルギーの多くが、実は県外に行ってしまう、県外に売られていたという実態があったと思います。それはそれで、普及促進の断面では非常に有効だったと思います。
 これからに関しましては、本県でも、例えば紫波町ですとか宮古市で、マイクログリッドに向けた取り組みの検討が既に始まっております。問題意識はそれぞれですけれども、地元でせっかくつくった電力を地元の施設で使うためにはどうしたらいいかという課題認識を持っていると感じております。
 そして、産業振興との関係につきましても、我々のほうで商工労働観光部とも頻繁に意見交換をしておりまして、実際に工業団地に再生可能エネルギーのCO2フリーの電力ができるといいという話はさせていただいております。具体的にどういった形がいいのか、非常に大事なテーマだと思っておりますので、研究してまいりたいと思っております。
〇岩渕誠委員 再生可能エネルギーは導入、開発の断面から、いかに経済の真ん中において活用して、それの利益を地元で享受するか、これは現実の果実として味わわないといけない段階に入ったと思います。特に産業界はそういうこととマッチしておるわけでありますから、これについては、モデル事業でも構わないので、ひとつ産業用地の開発に当たっては、再生可能エネルギー100%とか、そういったような形で、もう少し形づくりを進めていただきたいと思いますが、環境生活部長の見解を聞いて終わります。
〇福田環境生活部長 御指摘いただきましたエネルギーの地域内循環でございます。先ほど話題に上りました再生可能エネルギー協定の手引は今、作成中でございまして、この中で、まさにエネルギーの地域内循環を一番大きな眼目として設定しております。間もなくといいますか、あすにでも公表したいと思っておりますので、そういった取り組みを通じて、御指摘の点、しっかりやってまいりたいと思っております。
〇斉藤信委員 それでは、改定された第2次岩手県地球温暖化対策実行計画の推進のために、第1に、県内各市町村の実行計画の策定状況、温室効果ガス排出量の削減目標はどうなっているでしょうか。
〇高橋グリーン社会推進課長 各市町村の計画における排出量の目標でございます。
 現在、実行計画の区域施策編を策定済みの市町村が10ございます。10の温室効果ガス排出量の削減目標は、一番高いのが久慈市の62%、県全体の57%を超えるものになっております。そのほか、一戸町57%、釜石市55%などとなっております。
 なお、半数の市町村につきましては、国の目標と同じ46%という設定になっております。
〇斉藤信委員 先日、脱炭素社会調査特別委員会で宮古市に調査に行きまして、宮古市の目標は50%ということでした。県内では先進地区ですけれども、その中身を聞いたら、森林吸収率は入っていない。ここが県の計画との違いなので、それを入れれば、恐らく県の目標とほぼ合致するのかと受けとめてきました。
 いずれ、まだ10市町村ということになると、3分の1以下です。全市町村が足並みをそろえて地球温暖化対策に取り組む。そして、目標も、久慈市は大変積極的ですけれども、積極的な目標を掲げないと、県の目標達成の裏づけが出てこないので、ぜひその点をしっかり市町村を援助しながら推進していただきたい。
 二つ目に、脱炭素化推進事業費について、これまでの実績を伺いますが、事業者への省エネ設備導入補助、県有施設の脱炭素化の実績と来年度の取り組みについて示してください。
〇高橋グリーン社会推進課長 脱炭素化推進事業費の実績等でございます。
 まず、事業者の省エネ設備導入補助でございます。LED照明や空調設備への補助でございます。令和3年度から始まりまして、令和3年度と4年度は実績が各35件でございます。今年度の交付決定数は11件となっております。
 次に、県有施設の脱炭素化に関しましてですけれども、今年度は合同庁舎など15カ所の省エネルギー診断を実施したところでございます。来年度予算案としましては、省エネ診断4カ所の費用に加えまして、太陽光発電の5施設分の設計費用、公用車のEV導入に伴う充電器8基分の整備費用を計上しているところでございます。
〇斉藤信委員 事業者向けの補助なのですけれども、令和3年度、令和4年度が、35件で来て、今年度は11件、本来ならウナギ上りにしないといけないのに、なぜこれが伸びなかったのか。
 それと、EV等の導入補助の実績とその評価、来年度の見通しについても示してください。
〇高橋グリーン社会推進課長 まず、省エネ設備補助の件でございます。令和5年度から補助対象設備の要件が若干変わりまして、主にLED照明が大きく影響しておるのですけれども、それまでは省エネ診断を受けていただいて、そこで提案された照明であればよいですという設備でございました。
 令和5年度に関しましては、財源の話で恐縮なのですけれども、国の交付金を財源として充てました。国の交付金を使って補助するということになると、調光機能、センサーで明るさが弱くなったり強くなったりするLEDだけが補助の対象という取り扱いになっておりましたので、その影響が補助件数が落ちた一番大きな要因ではないかと考えております。そういったことも受けまして、来年度予算案では、同じ補助に関しまして、補助の上限額を引き上げるということで予定しておるところでございます。
 続きまして、EV等の普及促進事業の実績と見通しでございます。EVバス、あるいはタクシーへの補助になりますけれども、今年度、交付決定済みが、現在、EVバス2件となっております。来年度当初予算案にも同事業を計上させていただいておりますが、バス、タクシーを含めまして、複数の事業者から活用したいというお声はいただいておりますので、ぜひ運輸部門の脱炭素化に向けて活用していただけるように、さらに働きかけをしてまいります。
〇斉藤信委員 県有施設の太陽光発電の整備の点については、これは調査をしたわけですね。今後の太陽光発電の設置の具体的な計画はどうなっているでしょうか。
〇高橋グリーン社会推進課長 令和4年度に太陽光の調査をしました。その対象施設数が40でございます。先ほど申し上げましたけれども、令和6年度の当初予算案では、県有施設のうち5カ所分の太陽光発電設備の設置に向けた設計費用を計上いたしました。まず第一弾と捉えていただければと思います。
 その後、現在、年度末に向けて工程表を作成しておりますので、その中で、調査対象だった40カ所をまず優先的に太陽光発電が導入できるような形で工程表の作成に、取り組んでいるところでございます。
〇斉藤信委員 やっと来年度、5件実施設計ということで、なかなか階段を上るごときの動きだという感じがしますが、それこそ目玉の県民生活センターと福祉総合相談センターの合築は、知事も太陽光発電の設置を検討すると令和5年10月決算特別委員会で答弁しましたが、これは入っているのでしょうか。
〇高橋グリーン社会推進課長 工程表を年度末までに作成いたしますので、それまでお待ちいただければと思っております。その段階で、施設名については明らかにしたいと考えております。
〇斉藤信委員 そうすると、来年度の5件には入っていないということですね。
〇高橋グリーン社会推進課長 失礼いたしました。来年度の設計費用には含んではおりません。(後刻訂正あり)
〇斉藤信委員 最初からそう言ってくれれば。わかりました。県民生活センターと福祉総合相談センターの合築は、県が改築する、今後のモデルになる施設にふさわしく整備すべきだと、知事にもそのことを質問した経過がありました。立派なものをしっかりつくっていただきたい。
 次に、省エネ性能の高い家電製品への転換ということで、県としての取り組みはありますか。
〇高橋グリーン社会推進課長 省エネ性能の高い家電製品への転換についてでございますけれども、県といたしましては、いわてわんこ節電所のウエブサイトを通じて、買いかえが消費電力を大幅に削減できるものですといった普及啓発をやっております。
 また、家庭部門の脱炭素化に関しましては、例えば、住宅への太陽光発電やペレットストーブの導入補助など、より生活に身近な市町村において取り組まれることが多い一方で、県としては産業部門への補助を行うなど、ある程度の分担が見られることも県市町村GX推進会議で確認したところでございます。
 その後、各市町村においては、省エネ家電の買いかえ促進事業も家庭向けの取り組みとして展開されたところでございますので、引き続き、県、市町村が連携して家庭の脱炭素を促進してまいります。
〇斉藤信委員 家庭部門での電力消費は、暖房より実は家電のほうが多いのです。これは本当に軽視できない大事な課題だ。今、例えば、奥州市とか、大船渡市とか、宮古市とか、盛岡市もやっています。本年2月20日付の新聞で、奥州市が2月1日に申請を開始したら、19日で2、000万円の予算を突破した。423件の申請があったということでありました。希望といいますか、需要がすごくある。これを進めたら省エネにもなりますし、家庭の電気代の節約にもなるので、岩手県は事業者への補助、それはそれで理解できます。ただ、全県的な取り組みとしては大事な課題なので、全体の取り組みをよく把握して、いわてわんこ節電所だけでなくやっていただきたい。
 次に、大船渡市吉浜地区における太陽光発電の県の環境アセスにかかわる知事の意見書の内容を示してください。
〇加藤環境保全課総括課長 吉浜地区における太陽光発電の知事の意見ということでございます。
 本事業につきましては、令和5年10月に開催された岩手県環境影響評価技術審査会におきまして、事業区域内の湿地に生育する希少動植物や、事業実施区域を飛翔するイヌワシへの影響などの課題が指摘されております。これらの課題解決に向け、方法書知事意見では、事業実施区域周辺を十分に調査し、希少な動植物に配慮した評価を行うことや、希少猛禽類の利用状況や植生の変化等による影響を踏まえた調査を求めております。
 現在、事業者におきましては、知事意見を勘案して調査手法等を見直した上、環境影響の予測及び評価を実施しており、今後、その結果を踏まえ、次の手続である準備書において、必要な環境保全措置を検討することとなります。
〇斉藤信委員 この岩手県環境影響評価技術審査会でも専門家から大変厳しい意見が出た。それを踏まえた知事意見は、総括的な事項では、地域住民との適切なコミュニケーションを図る観点から、環境影響の調査や予測、評価に当たっては、地域住民、有識者、対象事業実施区域の大部分を占める五葉山県立自然公園の管理者、関係行政機関との意見交換を行い、必要に応じて追加的な調査、予測、評価の実施や環境保全措置の検討を行い、事業について理解が得られるように努めること。大変厳しい、住民の理解を得なさいと、こういう総括的な意見。
 あわせて、例えば、水質では、雨水排水対策を踏まえた適切な調査地点の設定の言及。土地の安定性では、実施区域内に含まれる花崗岩質岩石真砂土が散見される中、十分な地質調査の必要性に触れた。猛禽類では、環境省レッドリスト、いわてレッドデータブックに掲載されている希少な動植物への配慮も求めている。さらに景観の問題についても、このぐらい意見が出たら、私は簡単に環境アセスをクリアするのは難しいのではないかと思いますし、実はこの後、地域住民の理解を得ることという市長の意見も出しています。
 その点で、この計画は県立自然公園内ということでありますから、私は県や市の対応は大変大きな比重を占めるのではないかと思いますが、現段階で事業者はどう対応しているでしょうか。
〇加藤環境保全課総括課長 先ほども申し上げましたとおり、知事意見を踏まえて、現在、環境影響を調査しているということでございます。
〇斉藤信委員 わかりました。地域住民の圧倒的多数、特に吉浜地区は圧倒的多数が一貫して太陽光発電の計画に反対しているという事実だけは指摘しておきたいと思います。
 最後です。県央ブロックごみ処理広域化計画について、盛岡広域環境組合、県央ブロックごみ処理体制検討協議会が設置されましたけれども、今の進捗状況を示してください。
〇古澤資源循環推進課総括課長 盛岡広域環境組合と県央ブロックごみ処理体制検討協議会の具体的な進捗状況についてでございます。
 盛岡広域環境組合は、新ごみ処理施設の整備に向け、学識経験者や住民代表からなる施設整備検討委員会を開催し、施設規模、ごみ処理方式、環境保全対策及び余熱利用等についての検討を進めているほか、環境影響評価の手続を行っているところと承知しております。
 一方で、県央ブロックごみ処理体制検討協議会につきましては、令和5年11月に開催をしたほか、担当課長等で構成する幹事会を開催し、不燃ごみ、粗大ごみ処理、資源化処理体制の方針についての協議が行われているところと承知しております。
〇斉藤信委員 今、お話がありましたように、施設整備検討委員会で施設規模が示されました。1日459トンの処理能力を持つ施設。しかし、これは今まで日量495トンと言っていたのです。280日稼働だったのです。今回は290日稼働で459トン。実質、ごみの排出量が変わっていないのです。どういうことかというと、ごみの減量リサイクルの計画なしで、施設の規模が先行して示されている。あり得ないのではないですか。
 資源循環リサイクル、プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律もあります。私は優先してごみを減量するのか、プラスチックをリサイクルするのか、そういう計画があって初めて施設の規模は示されると思うけれども、ごみの減量、リサイクルが後回しのこういう大規模施設優先の施設の計画でいいのかと思いますが、いかがですか。
〇古澤資源循環推進課総括課長 斉藤信委員御指摘のとおり、リサイクルとか資源化が必要だというところはあると思います。そのために、ごみの減量、リサイクルについては、盛岡広域環境組合の循環地域計画において、資源ごみの分別品目の拡大であるとか、生ごみの減量化など、資源化とかリサイクルを進めるということになっておりまして、その中で、資源化とか分別回収をしながら、新ごみ処理施設もやっていくということで進めているものと認識しております。
〇斉藤信委員 結局、施設整備検討委員会で示されたのは、ごみの総量は変わっていないのです。280日から稼働を290日にふやして、日量を少し減らした。国の方針からいっても、全然かみ合わない。プラスチック資源循環促進法は本当に今、ごみ減量にとって大きなポイントになりますから、そうした検討、具体化を優先させて取り組むべきではないのか。そういう点で、県がきちんとした指導、助言を進めるべきだと思いますが、最後に一言だけ聞きます。
〇古澤資源循環推進課総括課長 斉藤信委員御指摘のとおり、そういった視点もあるのですが、盛岡広域環境組合及び構成市町村で、地域計画に記載されているものから今の施設整備計画を進めているというように承知しております。
 県の立場としましては、広域環境組合、あるいは構成市町村にプラスチック資源循環化への対応とか、そういったものを進めるように技術的な助言を行っていきたいと考えております。
〇小林正信委員 私は、循環型経済─サーキュラーエコノミーについてお伺いします。
 脱炭素社会の実現に向けて、大量生産、大量廃棄の直接型の経済から、廃棄される製品や原材料を資源として循環させる循環型経済─サーキュラーエコノミーへの転換が必要だと。具体的には、日常生活に密着したさまざまな製品の資源循環を推進させるということで、製品を生み出す産業と、また、廃棄物等の回収や再利用を担う産業の連携など、産業構造の構築が重要ということです。
 国としても循環型社会形成推進基本法に基づいて施策の充実を図っているところですけれども、県としての循環型経済─サーキュラーエコノミーに関する考え、また、取り組みについてお伺いしたいと思います。
〇古澤資源循環推進課総括課長 循環経済─サーキュラーエコノミーの推進に関する県としての考え方、取り組みについてでございます。
 循環経済、いわゆるサーキュラーエコノミーにつきましては、あらゆる段階で資源の効率的、循環的な利用を図りつつ、付加価値の最大化を目指す社会経済システムと理解しておりまして、国では、来年度策定予定の第5次循環型社会形成推進基本計画に循環経済への移行について盛り込んでおります。その中で資源循環の高度化を進めるということになっているようでございます。県としましても、脱炭素や資源制約などの観点からも、循環経済への移行が重要と考えております。
 県においては、第三次循環型社会形成推進計画の中で、資源採取、生産、流通、消費、廃棄など社会経済活動全ての段階を通じて、廃棄物の発生抑制や資源の損失を少なく抑えるビジネスモデルへの転換を目指すこととしておりまして、廃棄物等を利用したリサイクル製品を再生資源利用認定製品として認定し、利用促進を図るなど、循環経済の考え方に沿って取り組みを行っている状況でございます。
〇小林正信委員 今、循環型経済のビジネスモデルという話もありましたけれども、サーキュラーエコノミーの実現を目指して、先進的な取り組みを行っている自治体が出始めている。地域の特性とか産業を生かした脱炭素ビジネスや地域資源を生かしたエネルギー自給率向上の取り組みなど、サーキュラーエコノミーを通じて地域に新たな付加価値や雇用が創出されているということです。地域経済の活性化にも資する取り組みなのだろうと思います。
 岩手県でも既にサーキュラーエコノミーを実践している自治体もあるのだろうと思いますけれども、そうした自治体も後押ししつつ、先ほどおっしゃったような民間との連携、サーキュラーエコノミーの推進、資源循環ビジネスの創出について、さらに取り組みを進めていくべきと考えますけれども、県のお考えと取り組みをお伺いしたいと思います。
〇古澤資源循環推進課総括課長 民間との連携による循環資源ビジネス創出の取り組みについてでございます。
 循環経済への移行には、産官学や動脈産業と静脈産業の連携強化が不可欠でございまして、国では、脱炭素と再生資源の質と量の確保等の取り組みを促進するために、再資源化事業等の高度化に係る認定制度を創設し、資源循環ビジネスの促進を図ることとしております。
 県としましては、産業廃棄物税などを原資とした産業・地域ゼロエミッション推進事業によりまして、例えば、太陽光パネルのリサイクル技術の開発や、開発された技術の利用促進に取り組む事業者への支援を事業として行っているところでございます。
 また、今年度からプラスチックごみの再商品化に参入しようとする事業者への支援を開始しておりまして、令和6年度は事業を一部拡充するなど、民間と連携した資源循環ビジネスの創出に取り組んでいくこととしております。
〇小林正信委員 脱炭素化という点においても非常に重要な取り組みとなって、岩手県としても注目して取り組みを進めていただいていると思いますので、さらなる促進を期待しております。
 続きまして、私からも若者の支援について、先日、一般質問で人口減対策には総合的に若者支援を進めていく必要があるのではないかと述べさせていただきましたけれども、知事からは、若者支援の充実を部局横断で図っていくことが重要だと。そして、人口問題対策本部会議の枠組みでさらに検討を進めていくという答弁をいただきました。若者支援の充実に私も大きな期待を持っているところです。
 知事の言われる部局横断での若者支援については、環境生活部が中心となって若者に係るさまざまな支援を充実させていくのかと私は思っているのですけれども、人口問題対策本部会議における若者支援の今後の方向性について、どのようにお考えなのかお伺いしたいと思います。
〇藤井青少年・男女共同参画課長 人口問題対策本部会議における若者支援の方向性についてでございます。
 若者の生きにくさを生きやすさに変えていくことは、人口問題対策の基本的な考え方でございまして、今年度の人口問題対策本部会議におきましても、特に社会減の大きな要因となっている若年層の転出を抑制し県内定着を図っていくため、若者に向けた一層の取り組みの強化を図っていくことなどの方向性についての確認が行われたところでございます。
 これを踏まえまして編成されました来年度当初予算案におきましては、他部局の事業とはなりますけれども、いわてスタートアップ推進プラットフォームを通じた起業支援ですとか、県営住宅を低廉な家賃で若者に提供するなどの取り組みのほか、当部といたしましても、いわて若者カフェの拠点の拡充や、青少年なやみ相談室による相談内容の分析と対応、若年無業者等の就労や社会的な自立支援など、さまざまな角度からの若者支援を充実させていくこととしているところでございます。
 若者支援をさらに充実させていくためには、部局横断的な取り組みが不可欠でございまして、今後も人口問題対策本部会議やそのワーキンググループなどの枠組みを使って、本年度のいわてネクストジェネレーションフォーラムで提言されました若者世代の新たな価値観を共有し、施策検討の参考とするなど、関係部局と連携を深めながら取り組んでいく考えでございます。
〇小林正信委員 わかりました。今、いわてネクストジェネレーションフォーラムの話も出ましたけれども、いわて若者活躍支援強化事業費、210万円の増となっております。この中では、いわてネクストジェネレーションフォーラムとか、いわて若者カフェの話も先ほどありましたけれども、このいわて若者カフェは、先ほどおっしゃったとおり、連携拠点を設置した。そして、カフェマスターがいらっしゃる。カフェマスターの方がさまざま支援して、飲食店をつくったりとか、いい感じの取り組みが出てきているということですけれども、起業、創業の支援という点でも、いわて若者カフェは使えるのかと、そういう可能性も感じているところであります。いわて若者カフェの今後の取り組みについてお伺いしたいと思います。
〇藤井青少年・男女共同参画課長 いわて若者カフェの取り組み状況でございます。
 今年度は、カフェマスター等を講師といたしましたイベントを6回開催しまして、家庭、学校、職場以外の仲間と交流しながら、地域課題等について考える機会を提供するとともに、若者の提案による交流イベントも4回開催するなど、若者の挑戦やネットワークづくりの支援に取り組んできたところでございます。
 イベントの周知に当たりましては、SNS等も積極的に活用するとともに、若者ポータルサイトへの誘導等を工夫した結果、各SNSのフォロワー数及びポータルサイトの新規登録者数も増加しております。加えまして、カフェの施設についても、盛岡近郊の高校等への周知等に取り組んでおりまして、若者の利用が伸びているところでございます。
 来年度におきましては、小林正信委員御紹介のとおり、カフェの連携拠点を各拠点が主体的になって、地域のNPО等と連携を図りながら、若者人材育成に取り組めるよう事業を拡充するとともに、いわて若者アイディア補助金の採択団体をカフェマスターが伴走支援をするといった仕組みも新たに導入するなど、他の若者活躍支援の取り組みも連動させながらカフェの運営を行っていきたいと考えております。
〇小林正信委員 すごく充実しているのだろうと思います。一方のいわてネクストジェネレーションフォーラム、こういったイベントも大事かと思うのですけれども、具体的な若者の活躍につながる、持続的な今のような取り組みにも力を入れるべきだろうということは、先ほどハクセル美穂子委員からもございましたし、私もこれまでも述べてまいりました。一過性のイベントに力を入れるよりも、持続的な取り組みを続けていただきたい。いわてネクストジェネレーションフォーラムを目指して頑張っている若者団体もいるのだろうと思いますけれども、そういった方たちは、いわてネクストジェネレーションフォーラムだけで終わるのではなくて、常時そういった若者団体と連携をしていく。やっていらっしゃるのかもしれませんけれども、若者団体との常時の連携もしていただければと思います。
 このいわてネクストジェネレーションフォーラムでは提言が行われたとおっしゃいました。知事はこの提言を踏まえて若者施策の充実を図っていくと述べられました。この提言はすばらしい内容だと思うのですけれども、元気で輝いている若者の声、提言なのだろう。知事も常々おっしゃっている、生きにくさを生きやすさにという点を踏まえると、生きにくさを抱える若者の声も踏まえて政策をつくっていく必要があるのだろう。そうしたことから、県で設置している青少年なやみ相談室、大事な取り組みだと思うのですけれども、この取り組み内容と相談の傾向についてお伺いしたいと思います。
〇藤井青少年・男女共同参画課長 青少年なやみ相談室の取り組み状況と相談内容の傾向等についてでございます。
 青少年なやみ相談室は、アイーナにある青少年活動交流センター内に相談窓口を設置いたしまして、青少年やその保護者からの相談に対応しているものでございまして、今年度の相談件数は、1月末時点760件となっております。
 相談内容の傾向といたしましては、これまでも家庭生活や学業、体の発達などに関するものが多い傾向にありますが、近年は、人間関係やSNS等の問題が増加傾向にあると認識しておりまして、今年度も、情報モラルに関する講座を県内4カ所で実施したところでございます。
 ひきこもりやいじめ、就職などのさまざまな悩みに対しましては、必要に応じて専門的な機関につなぐなどによりまして問題解決を図っておりまして、子ども・若者自立支援ネットワーク会議を通じて情報共有を図りながら、今後も関係部局や関係機関と連携して取り組んでまいりたいと考えております。
〇小林正信委員 県としても若者の声をさまざまな形で集約して政策に反映していると思うのですけれども、青少年なやみ相談室に寄せられるような、先ほどおっしゃった、ひきこもりとか不登校、また、安心できる場所がないというような生きにくさを抱える若者、若い世代の声、情報共有はされていると思うのですけれども、これが余り政策に反映されていないと私は感じております。ぜひ相談の内容も含めて、困難を抱える若者、生きにくさを抱える若者の声を大切にしていただいて、政策に反映していただければと思います。
 そして、先ほど藤井青少年・男女共同参画課長がおっしゃった、いわて若者ステップアップ支援事業費について、これは若者サポートステーションと一体で行っている若者支援の事業ですけれども、こうした事業を県単独で準備をしている点、本当にすばらしいと思います。まずは、この事業の取り組み状況についてお伺いしたいと思います。
〇藤井青少年・男女共同参画課長 いわて若者ステップアップ支援事業費の取り組み状況でございます。
 いわて若者ステップアップ支援事業費は、若年無業者等の就労や社会的な自立を支援するため、国の地域若者サポートステーション事業と一体によりまして、盛岡市と一関市、宮古市に拠点を設けているものでございます。
 主な取り組みといたしましては、コミュニケーション能力等の向上に向けた活動、交流機会の提供、訪問支援、相談対応、就業に向けたジョブトレーニング等を行っておりまして、今年度は1月末時点で3、856件の相談等に対応したところでございますし、160人の進路決定等につなげているところでございます。
〇小林正信委員 本当にすばらしい取り組み、3、000件を超す相談に対応しているということ、ぜひ継続していただきたいと思いますし、若者の生きにくさを生きやすさに変えるという点で、この事業の予算の点でも充実を図っていただきたいということはこれまでも述べてまいりました。
 例えば、先ほど述べた若者活躍支援強化事業、ネクストジェネレーションフォーラムとかの事業ですけれども、210万円の増額でしたけれども、いわて若者ステップアップ事業は横ばい、微減という感じになっているのです。元気な若者のチャレンジを応援するのも大事だと思います。それと並行して、生きづらさを抱えている若者を応援する事業も一緒に充実をさせていくということが大事なのではないか。それが知事のおっしゃる、生きにくさを生きやすさに変えるという考え方が政策に本当に反映されていると、政策が充実しているとなるのではないかと思いますので、いわて若者ステップアップ支援事業費の今後、予算も含めた充実について、どのようにお考えなのかお伺いをして、終わりたいと思います。
〇藤井青少年・男女共同参画課長 若年無業者等は、学校を卒業した後に支援のつながりが切れてしまうことですとか、発達障がいや生活環境など、複合的な支援を必要とする方がふえていることなどが課題であると認識しております。
 小林正信委員御指摘のとおり、若者の夢と希望を持って活躍するという部分はもちろんですけれども、生きにくさを生きやすさに変えていくというところも大変重要だと考えておりまして、今後も、雇用、福祉、教育、医療といった関係部局や関係機関と連携を図りながら、学校と連携した進路相談ですとか、アウトリーチによる訪問などの支援を充実させていくように進めていきたいと考えております。
〇田中辰也委員 それでは、私から2点ほど質問させていただきます。
 まず、EV等の普及促進事業についてお尋ねいたします。
 EVについて、寒冷地である本県においては、特に冬場の利用に不安の声が多く聞かれます。その要因としては、充電ポイントの少なさ等が挙げられていると思いますが、県が公用車等のEV化を進めるに当たり、課題とその対策について、どのようにお考えか伺います。
〇高橋グリーン社会推進課長 EVの課題と対策についてでございます。
 EVの普及に当たっての課題としまして、一般的に、ガソリン車と比べて車両本体の価格が高いこと、あるいは、利用者の利便性の向上に向けて、充電インフラが普及の途上にあることなどが考えられます。
 国におきましては、充電器を2030年までに現在の10倍にする目標を掲げて、補助金も拡充して整備を進めることとしており、県としましても、来年度予算案では新たに充電器への補助に取り組むこととしております。
 また、県の公用車といたしまして、来年度は8台のEVを導入する予定で予算案に計上しておりますけれども、公用車の円滑な運用に向けまして、EVを導入する県有施設に普通充電器をあわせて整備しようと考えております。
〇田中辰也委員 充電器とセットで整備するということで、県の出先なり立ち寄り先にも充電器が設置されるという理解でよろしいのでしょうか。
 県のEVはそういう形で、行く場所が大体決まって、先ほど斉藤信委員の質疑で、バスであったり、タクシーであったり、そういう事業者からも声が大きいですという話を聞きましたが、逆に言うと、盛岡市やスモールタウンはある程度いいのかもしれませんが、地方に行くとタクシーも航続距離がかなり長くなります。そうなってくると、今のEVの性能でいくと非常に不安だという声があって、なかなかEV化に踏み切れないというのが田舎に行けば行くほど充電器の数も少なくなっているしというのが見えてきているのではないかと思っています。
 今、ヨーロッパではEVの販売台数がかなり落ちてきているという話も聞いています。逆に、ハイブリッドのほうがまた注目を浴びつつあって、ハイブリッドを使ってバイオ燃料でやったほうが、将来的には環境にいいのではないかという話も出てきているという情報もありますが、そのような情報については、何か収集しておられますでしょうか。
〇高橋グリーン社会推進課長 世界的な動向としてのハイブリッドとEVの関係については、報道等ですけれども、承知しております。さまざまな要因がある中とは思いますけれども、伸び率に関して言うと、昨年だったと思いますけれども、ハイブリッドのほうが高かったということは承知しております。
〇田中辰也委員 情勢がいろいろ変わってくるのだと思います。県としてもEVを推進するのは一つの方策としながら、やはりハイブリッドもあわせて考えていく方策も考えていかないと、EV一辺倒になると、後で大変なことになりかねないなという危惧をしておりますので、その辺も考えながら推進をしていただきたいと思います。
 続きまして、2点目ですが、一般質問でもお聞きしましたが、北岩手循環共生圏につきましてお尋ねをいたします。
 一般質問におきまして、再生可能エネルギーの地域内循環によってこれを黒字化し、産業集積にもつなげることができれば大きな経済効果が期待できるという答弁をいただきましたけれども、これの実現のための課題を今どのように認識されており、市町村連携をどのように考えているのか、まず伺いたいと思います。
〇高橋グリーン社会推進課長 北岩手循環共生圏についてでございます。
 再生可能エネルギーの地域内循環を進めるためには、発電された電力が地域に供給されて、その地域内で使われることですとか、再生可能エネルギー事業の収益が地域内にとどまるような仕組みが必要になると考えています。
 そのためには、発電事業者と地域との間でエネルギー供給や売電収入の地域還元などについて、先ほど来答弁してまいりましたけれども、協定を締結することも有効と考えておりまして、県では、新たに協定の手引を作成して、市町村を支援することとしております。
 また、市町村連携についてでございますけれども、連携によって市町村間の施策の補完ですとか、あるいは先進的な取り組みの波及などが期待されます。例えば、同様に、地域循環共生圏の実現を目指している熊本市とその周辺市町村では、おのおのの特性を踏まえまして、再生可能エネルギーの供給地域、逆に需要地域、一定の役割分担によりまして、エネルギーの圏域内での循環に向けて取り組んでいる例もございます。
 こうした事例については、県市町村GX推進会議でも共有してきておりますけれども、引き続き、再生可能エネルギーと地域経済を好循環させる社会の実現に向けて、市町村の支援策を検討してまいります。
〇田中辰也委員 循環共生圏について、今、地域内循環を中心にお話をしていただきましたけれども、この中で、令和2年の環境白書にモデル事業として紹介されたものがあります。これは何かというと、九つの市町村のみならず、都市部、横浜市との大きな意味での循環を目指しましょうという計画があったのです。それが環境省としても目新しいということでモデル事業として環境白書にも搭載されたという事業でございます。
 これにつきましては、県の環境基本計画の中にも、都市と農産漁村の連携、交流と広域的なネットワークづくりというのを施策の一つとして挙げている。その中で、地域資源を活用した都市と農産漁村の連携、交流、自然文化、風土など、地域の特色ある資源を活用し、都市と農産漁村との連携、交流を促進するという文言を県の環境基本計画の中にうたっているわけです。そういう意味で、当初の北岩手循環共生圏の地域内循環のみならず、もっと大きな枠組みでの循環をどのように県としてやっていくのかということがここでは求められてくるのではないかと思っておりますが、いかがでしょうか。
〇高橋グリーン社会推進課長 田中辰也委員御指摘のとおり、横浜市とのエネルギーの取り組みのみならず、さまざまな交流が行われて、現在もエネルギーは一部供給されていると伺っております。
 循環共生圏としてのエネルギーの取り組みに関しまして、その視野といいますか、広く大都市と、あるいは、できれば県内でもあればありがたいのですけれども、県内のほかの都市とネットワークのようにつないで、北岩手地域は再生可能エネルギーのポテンシャルももちろん高いですけれども、実際に再生可能エネルギー発電の電力量もほかの地域よりは多くございますので、そちらで発電した電力を、例えば、内陸地域ですとか沿岸地域のほかの都市にといったことも可能性としては大いにあると考えております。そういった形で視野をほかの都市に広げていくということも非常に有効だと考えております。
〇田中辰也委員 そういう形で視野をもう少し広げながら、そのエリアだけでは多分、使いきれないのだと思うのです。その中で全部循環させようといっても余るので、それをしっかりと、資金なり、お金なり、人なり、物なりという形で、循環させて戻ってこさせるようにしなければならならない。そういう施策展開を県としても仕組みづくり、市町村と一緒になりながらやっていただきたいという思いをしておりましたので、その点につきまして、環境生活部長、最後にコメントをいただきまして、終わりたいと思います。
〇福田環境生活部長 地域のエネルギー収支について申し上げますと、現段階ではまだ赤字の状況にございます。将来的には、田中辰也委員御指摘のとおり、黒字になってまいりますので、そうなると遠隔の自治体と連携するという妙味が出てくるのかと考えております。
 いずれにしましても、熊本市の事例、久慈市の事例、いずれも自治体の役割分担に基づいて連携をするという意味では同様でございますので、県市町村GX推進会議を通じてしっかり支援してまいります。
〇高橋グリーン社会推進課長 先ほどの斉藤信委員への私の答弁の中で、県民生活センター等の合築の施設の太陽光発電の設置につきまして、若干不正確な点がございました。
 建てかえにつきまして、太陽光発電の設計費用は計上されておりますけれども、私どもが紹介した脱炭素化推進事業費ではなくて、そちらの建設用の事業となっておりますので、御了承ください。
〇城内愛彦委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇城内愛彦委員長 質疑がないようでありますので、これで環境生活部関係の質疑を終わります。
 環境生活部の皆さんは御苦労さまでした。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後6時33分 散 会

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