令和6年2月定例会 予算特別委員会会議記録

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令和6年3月6日(水)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 昆野岳晴
議事管理担当課長 藤 平 貴 一
主任主査 佐 藤 博 晃
主任主査 増 澤 綾 子
主任主査 及 川 雄 也
主査 阿 部 真 人
主査 堀 合 俊 彦
主査 三 浦 訓 史
1説明員
ふるさと振興部長 熊 谷 泰 樹
副部長兼ふるさと
振興企画室長兼
県北・沿岸振興室長 菅 原 健 司
参事兼市町村課
総括課長 中 村 佳 和
地域振興室長 熱 海 淑 子
国際室長 菊 池   孝
交通政策室長 渡 辺 謙 一
科学・情報
政策室長 藤 原 由喜江
ふるさと振興
企画室企画課長 大 内   毅
ふるさと振興
企画室管理課長 石 川 一 行
学事振興課
総括課長 本 多 牧 人
調査統計課
総括課長 岡 部 春 美
地域企画監 千 葉 敬 仁
特命参事兼
地域振興課長 山 本 洋 樹
県北振興課長 竹 花 光 弘
沿岸振興課長 森   昌 弘
地方路線対策監 中 嶋 英 俊
地域交通課長 山 田 智 幸
空港振興課長 藤 島   修
科学技術課長 佐 藤 光 勇
デジタル推進課長 古 川 健 一

選挙管理委員会
事務局書記長 中 村 佳 和

ILC推進局長 箱 石 知 義
副局長兼事業
推進課総括課長 佐々木   哲
企画総務課
総括課長 菅 原 健 司
企画総務課
企画課長 大 内   毅
企画総務課
管理課長 石 川 一 行
計画調査課長 藤 島   謙

会計管理者兼
出納局長 木 村   久
副局長兼
総務課総括課長 佐 藤 益 子
入札課長 千 葉 三 男
会計課総括課長兼会計指導監 今 雪 博 貴
審査課長 佐 藤 卓 也

人事委員会
事務局長 山 村   勉
職員課総括課長 及 川 有 史

監査委員事務局長 藤 澤 良 志
監査第一課
総括課長 及 川 博 英
監査第二課
総括課長 佐々木 良 生

警察本部長 高 水 紀美彦
警務部長 天 野 真 弓
生活安全部長 金田一 正 人
刑事部長 中屋敷 修 二
交通部長 吉 田 知 明
警備部長 金 崎 将 樹
警務部参事官兼
首席監察官 熊 谷 秀 一
警務部参事官兼
警務課長 加 藤 秀 昭
警務部参事兼
会計課長 菊 地 哲 志
監察課長 亀 山 久 雄
生活安全部
参事官兼
生活安全企画課長 前 川   剛
刑事部参事官兼
刑事企画課長 藤 林 隆 博
交通部参事官兼
交通企画課長 南 部 一 成
警備部参事官兼
公安課長 高 橋   淳
総務課長 高 橋   淳
交通規制課長 高 橋 紀 彦

財政課総括課長 佐 藤 直 樹
〇城内愛彦委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入ります。
高橋こうすけ委員、千葉秀幸委員は欠席とのことでありますので、御了承願います。
議案第1号から議案第20号まで、議案第27号から議案第38号まで、議案第40号、議案第41号、議案第44号、議案第47号、議案第48号、議案第52号、議案第54号から議案第67号まで及び議案第69号から議案第76号まで、以上60件を一括議題といたします。
本日は、ふるさと振興部、ILC推進局、出納局、人事委員会、監査委員及び警察本部関係について延べ31人の質問者を予定しており、世話人会の協議により、本日の質疑の目安時間は20分といたしました。
なお、関連質疑については目安時間を10分とすること、同一部局の審査において、質疑と関連質疑を行う場合は、その質疑の目安時間の範囲内とすることとしておりますので、あらかじめ御了承願います。
また、これまでと同様に、換気のため休憩をいたしますので御協力をお願いします。
初めに、ふるさと振興部長に、ふるさと振興部関係の説明を求めます。
〇熊谷ふるさと振興部長 それでは、令和6年度のふるさと振興部関係の歳出予算につきまして御説明申し上げます。
最初に、当部の予算編成に当たっての基本的な考え方でございますが、令和6年度は、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランのもと、交流人口、関係人口の拡大などの社会減対策、あらゆる分野で利便性や生産性の向上を図るDX―デジタルトランスフォーメーションの推進など、県民の幸福度向上を図る10の政策や三陸・北いわてを初めとする新しい時代を切り拓くプロジェクトを着実に推進してまいります。
また、小規模町村への支援等、市町村とのさらなる連携の強化等を図る取り組みを推進してまいります。
まず、復興推進の取り組みについてでございますが、被災地の高校生等への通学費用の負担軽減支援を実施する公共交通機関を支援する取り組みなどを推進してまいります。
次に、政策推進の取り組みでありますが、教育分野につきましては、各私立学校の特色ある教育活動への支援などに取り組んでまいります。
居住環境・コミュニティの分野につきましては、運転士不足に伴うバス路線の減便や廃止等により地域の足が失われることを防ぐため、バス事業者が運転士を確保する取り組みを推進し、地域公共交通の維持及び確保に取り組んでまいります。
社会基盤の分野につきましては、DXやGX―グリーントランスフォーメーションに関する将来有望な研究シーズの育成や事業化に結びつく研究開発及び知的財産の実用化に向けた研究開発の支援等を実施してまいります。
新しい時代を切り拓くプロジェクトの推進に向けた取り組みについて、代表的なものを申し上げますが、北いわて産業・社会革新ゾーンプロジェクト等におきまして、北いわての振興及び持続可能な地域コミュニティーの実現のため、大学の高度な知見や民間力を活用し、市町村と連携したデジタル化の推進や、住民サービスを担うワンストップ拠点の立ち上げ支援など、地域課題の解決に向けた取り組みを実施してまいります。
その他の事業についてでありますが、広域振興局が各地域の地域振興や地域課題の解決に向け、きめ細かな事業を実施するとともに、現場主義に立脚した完結性の高い広域行政等に向けた市町村の取り組みの支援に加え、市町村とのさらなる連携の強化を図り、市町村が行う人口減少対策等の取り組みを支援してまいります。
それでは、歳出予算につきまして御説明申し上げます。
お手元の議案その1の10ページをごらん願います。
ふるさと振興部関係の予算は、2款総務費のうち1項総務管理費の一部、2項企画費の一部、4項地域振興費の一部、5項選挙費、7項統計調査費、12ページに参りまして、10款教育費のうち1項教育総務費の一部、13ページに参りまして、8項大学費及び9項私立学校費であります。これらを合わせまして、総額で186億500万円余であり、前年度と比較しますと、3億200万円余の減額となるものでございます。
予算の内容につきましては、予算に関する説明書に記載されておりますが、説明は省略させていただきますので御了承願います。
次に、債務負担行為について御説明申し上げます。恐れ入ります、15ページにお進みいただきたいと存じます。
第2表債務負担行為の表中、当部関係は、3、庁内基幹業務システム整備事業であり、これは財務会計システムを初めとする庁内基幹業務システムの整備に当たり、構築業務が翌年度以降にわたりますことから債務負担行為を設定しようとするものであります。
以上で説明を終わります。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
〇城内愛彦委員長 これより質疑を行いますが、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事の進行に御協力を願います。
ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇岩崎友一委員 初めに、三陸DMОセンターの運営のあり方について取り上げます。去る12月定例会の私の一般質問でも取り上げましたが、なかなか議論が深まらなかった面もありまして、再度取り上げさせていただきます。
三陸DMОセンターでありますが、今、公益財団法人さんりく基金の中にあるDMО事業部の中に三陸DMОセンターがあるわけであります。私もこれまでの間、公益財団法人さんりく基金、あるいは三陸DMОセンターの活動を見てきましたけれども、まだまだ三陸地域の観光の魅力を伸ばすことができると思っておりまして、三陸DMOセンターの運営についてお尋ねするわけであります。
今、センター長はふるさと振興部の職員の方がなられている。個人的な話ではなくて組織の話です。三陸DMОセンターでは民間の方を雇われているわけでありますけれども、この間の活動を見ますと、釜石市のDMCであれば民間の方が社長で、その下に市役所の職員が就いているという形で、かなり伸び伸びと仕事をされていて、成果も着実に出していると思うわけでありますけれども、県の三陸DMОセンターのセンター長の民間からの登用に対する県の見解をお伺いします。
〇森沿岸振興課長 三陸DMОセンターにつきましては、公益財団法人さんりく基金内に平成28年度に設置し、令和4年度には現地機能を強化するため、宮古市に活動拠点を移し、地域に根差した活動を行っております。
センター長は、県からの派遣職員で、行政経験が豊富な副部長級の職員を充てており、三陸地域の振興、観光地域づくりに必要とされる関係機関との緊密な連携調整、特に県の施策との連携に経験が生かされているところでございます。
一方、三陸DMОセンターの運営は、観光振興が主となることから、民間の旅行会社での勤務経験を有するプロパー職員である観光プロデューサーを配置するとともに、県の兼務職員として県商工労働観光部の職員が従事しており、県の観光施策とも連携しながら、機動的かつ柔軟に事業を実施しています。
官民、地域振興と観光のそれぞれの長所を生かし、緊密に連携しながら、引き続き、地域に根差した観光地域づくりを進めてまいります。
〇岩崎友一委員 シンプルに言いますと、私は民間の活力をもっと活用すべきだと思います。ついては、センター長の民間人登用について提案をしているのですが、今の答弁ですと、端的に言えば、民間人を登用するつもりはないということでよろしいのですか。
〇森沿岸振興課長 現状は、官民のそれぞれの長所を生かしまして、緊密に連携しながら運営してまいりたいと考えております。
〇岩崎友一委員 私がなぜこの問題を取り上げるかというと、これまでの間見てきた三陸地域の観光消費額等の推移が伸び悩んでいる中、新しい可能性にチャレンジしてみるというのも、活性化の意味も含めて、また、将来の三陸地域の観光をさらに引き出すという意味も含めて、試してみる必要があるのではないかという思いで提案しておりますので、再度答弁をお願いします。
〇菅原副部長兼ふるさと振興企画室長兼県北・沿岸振興室長 三陸DMОセンターへの民間の方の登用ということでございますけれども、民間の登用ということで、先ほども御答弁申し上げましたように、現在、観光プロデューサーを配置しているところでございます。
センター長をどうするかということにつきましては、現体制につきましては、県からの派遣ということになっておりますけれども、三陸総合振興の体制を検討しなければならない状況にございますので、その中で、民間の活力をどう生かしていくか、そして、民間感覚を持った観光振興を進めることは重要なことだと思っておりますので、その体制検討の中であわせて検討させていただきたいと考えております。
〇岩崎友一委員 ぜひ前向きに検討をお願いしたいと思います。三陸DMОセンターというのは、まさに観光に特化した部署でございまして、そういった部分を含めますと、上に行政の方がいる。さらに、商工労働観光部の観光・プロモーション室ではなくてふるさと振興部ということで、いろいろな違和感も感じているところでもありますので、思い切ってぜひ民間のセンター長の登用を考えていただきたい。もし不可能であれば、プロデューサーを含め2人の人件費が商工労働観光部の予算で払われていると思うのですけれども、そういったことを考えれば、センター長は商工労働観光部の観光・プロモーション室に任せるというのも検討いただきたい。公益財団法人さんりく基金の所管はふるさと振興部でいいと思うのですが、そういった観点からも、あらゆる可能性を排除せずに考えていただいて、成果として三陸地域の観光消費額を上げられたというような成果にこだわった体制づくりをしっかりと検討していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
次に、地域経営推進費に関してお伺いいたします。これまでの地域経営推進費の実績、広域振興局ごとの予算配分、広域振興局ごとの事業数、執行率、そしてまた、成果についてお答え願います。
〇千葉地域企画監 地域経営推進費の実績についてでございますが、当初予算ベースになりますけれども、令和4年度は、盛岡広域振興局には約8、000万円を配分し、53事業を実施、執行率は約97%、県南広域振興局には約1億2、000万円を配分し、52事業を実施、執行率は約78%、沿岸広域振興局には約1億4、000万円を配分し、87事業を実施、執行率は約79%、県北広域振興局には約1億円を配分し、73事業を実施、執行率は約79%となっております。
全体では、約4億5、000万円を配分し、265事業の実施、執行率は約80%となっております。
それから、成果でございますけれども、地域経営推進費では、各広域振興局長の裁量で、本庁が行う全県を対象とする事業などでは対応が難しい地域の個別課題などの解決に向けまして、市町村などの要望も踏まえながら、きめ細かい事業を実施しております。また、市町村が地域課題解決のために行うさまざまな事業の支援をしておりまして、市町村などとの連携により地域の実情に応じた実効性のある取り組みができているものと認識しております。
〇岩崎友一委員 私も去年の代表質問で通告をしまして、結果、時間がなくて取り上げられなかったわけでありますけれども、私もいろいろ調べまして、今、答弁があったとおりで、金額と事業数を割り直しますと、一つの事業は数十万円とか、高くても数百万円とか、小さな事業をものすごく数多くやっているわけでありますけれども、それが市町村の意向といえば意向なのかもしれませんが、なかなか成果として見えづらい状況になっております。
例えば、こういった事業をやったことによって観光の消費額が上がったとか、人口減少に歯どめがかかったとか、移住者がふえたとか、そういったのも調べてみたのですが、このままやっていても成果というものを残せるのかという疑念があるのですが、成果という部分に関してどのように捉えていますでしょうか。
〇熱海地域振興室長 地域経営推進費の成果ということでございますが、広域振興局におきましては、それぞれ個別の事業ごとに、実施後に自己評価しておりますし、あわせまして、各圏域の地域懇談会などの場がございまして、その場で地域の皆さんと共有して、県全体の政策評価の中で地域経営推進費についても評価いただいております。
そういったことで、一定程度、事業のできはどうだったのかというのは評価ができ、次の年度に生かしていると認識しております。
〇岩崎友一委員 私は広域振興局が事業ごとに評価しているかどうかではなくて、成果が出ているのかという点についてお尋ねしております。
〇熱海地域振興室長 先ほどもありましたように、地域経営推進費は、きめ細かな事業を展開できる制度になっております。私どもといたしましては、地域課題に結びついて、それなりの成果があるものと認識しております。
〇岩崎友一委員 名前は忘れましたが、広域振興局内で広域的に使える予算も、ありましたよね。そういったもので、これはいいのではないかというのはあるのですけれども、全体を通じて見ていくと、なかなか成果につながっていかない。さらに、今回の定例会でも取り上げられておりますさまざまな人口減少対策について、もっと踏み込んで取り組んでいくということで、新年度予算案は2、000万円増額になったという形かと思いますけれども、このままやっていっても、特に県北、沿岸地域に限っては、岩手県がよくなるような成果を出せないのではないかとの懸念を私は持っておりますけれども、本当にこのままでいいのかどうか、ふるさと振興部長の御見解をお伺いします。
〇熊谷ふるさと振興部長 地域経営推進費につきましては、先ほどから答弁しているとおり、地域のきめ細かなニーズに的確に対応するように、広域振興局長の裁量という形で予算をつくり、それを各広域振興局に配分しているところでございます。
また、広域振興局には、それよりも少し大きめの事業ということで、広域振興事業、これはそれぞれ広域振興局がもっと広い範囲で、他の圏域と連携したり、そういった部分で大きめな事業ということで企画し、それを総務部と協議して事業化しているところでございます。
基本的に、予算の立て方といたしましては、各圏域にそれぞれの市町村や各団体と話をしながら、農林であれば農林、土木であれば土木、といった分野ごとに事業要望を聞き入れながら事業化し、本庁で予算要求し、予算が成立した後には各広域振興局に予算配分するという形になっていまして、そこに横串を刺すというか、広域振興局長がみずから地域の課題に対して柔軟に取り組めるように、機動的な予算として地域経営推進費を活用しているところでございます。
成果という部分は、事業によってさまざまございます。成果を上げているものもあると思いますが、新しく特命課長を来年度から配置して、今年度、広域振興局で市町村とワーキンググループを設置し、どういった対策ができるか話し合いながら、現在、事業を固めているところでございます。
そういったところで、来年度、体制も強化いたしますので、そういったことで成果の上がるような取り組みの展開や、地域経営推進費の活用を行っていきたいと思っております。
〇岩崎友一委員 私は今の答弁を聞いても、なかなか厳しいのかと感じました。厳しい理由として、一つが予算額にあります。この間、4広域振興局体制以降の予算の推移も見たところ、簡単に言えば、1広域振興局当たり1億円前後、沿岸広域振興局が数千万円高めに配分されているという形で見てきましたけれども、本当にやるのであれば、もっともっと予算をふやしていかなければ成果につながらないと思います。
ただ、私はどちらかといえば、きのうの総務部の審査でも、組織のあり方について何名かの委員から質疑がありましたけれども、今の体制ではなくて、当然、農林水産の現場であったり土木、保健所機能というのは各圏域に残さなければならないと思いますけれども、政策企画の部分は、私は各広域振興局でやるのではなくて、もう引き上げて、本庁から各33市町村に職員を出向させる。今使っている地域経営推進費に関しては、市町村に交付金という形で配分する。また、市町村間の連携、広域の連携に関しては、市町村に派遣されている県職員の方々が頻繁に会議を開きながら、そこには市町村の職員も混じって、よりよいお金の使い方、事業のつくり方を進めていったほうが、これからの課題解決につながっていくのではないかと、私はそういった持論を持っております。
そういった意味で、去年の代表質問の際も質問通告をさせていただいたわけであります。組織の件なので、直接的にはふるさと振興部で云々という話ではないと思うのですが、私の提案を受けて、広域振興局を所管するふるさと振興部長のお考えを、岩手県のこれからの成果を出す意味で、どういった形が望ましいのかという観点から答弁をいただきたいと思います。
〇熊谷ふるさと振興部長 今のいわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランにおきましても、現在の広域振興局体制を基本としつつ、政策推進プラン、それから地域推進プラン、復興推進プラン等を実施していくというところで、そこが基本でございます。
いわゆる行政センター、現地の各センターがあるわけですけれども、地元でなければならない農林とか保健、福祉、土木、そういった現地機能があるもの、税務もそうだと思います。やはり災害対応という部分も広域振興局の部分で機動的に対応するために必要な機能でございます。そういった現地になければならない機能というものもございます。
そういったことも含めながら、ただ、実際、DXの進展で業務の効率化が図られるとか、道路の整備によりまして時間的な距離が短縮になっているというようなさまざまな状況、それから、職員配置の関係の問題もありますので、そういったことを総合的に勘案しながら、必要な広域振興局の体制については、常日ごろ考えていく、そういった考え方でございます。
〇岩崎友一委員 最後です。今おっしゃるとおり、現地に必要な機能は残さなければならないのはそのとおりだと思いますし、私の提案も、今すぐに組織再編などできる話ではないと思うので、何年かかけて検討すべき話ではあると思うのですが、デジタル化が進めば税務部門も各市町村に移して、市町村に出向する県職員が担当してもいいわけだと思いますし、そういった時代の流れもございますので、どうすれば県が、市町村と連携しながら、よりよい事業をつくれるか、よりよい予算の使い方ができるか、そして、結果につながるかということは考えていただきたい。そのことを申し上げて、質問を終わります。
〇佐々木順一委員 選挙管理委員会事務局の書記長にお伺いいたします。
まず、政治資金規正法の趣旨についてお伺いいたします。私の理解では、政治活動の公明と公正性を確保して、民主政治の健全な発展に寄与することを目的としております。さらに、政治団体及び公職の候補者は、政治資金の収支に当たっては、国民の疑惑を招くことのないように公明正大に行わなければならないこと、公開された収支の状況の判断は国民に委ねられているというのが主なポイントであると思いますが、私の理解不足があれば御指摘を願いたい。
〇中村選挙管理委員会事務局書記長 政治資金規正法の趣旨につきましては、佐々木順一委員御指摘のとおりでございます。
補足させていただきますと、政治活動の公明の確保といいますのは、政治活動の実態を国民の前に公開し、国民の不断の監視と批判のもとに置くことを意味しているとされておりますし、政治活動の公正を確保するため、法により政治資金の授受を量的、質的に規制すると言われております。
〇佐々木順一委員 公明正大も私はポイントだと思います。これは議員立法でありますので、公明正大ということは私心がないこと、隠し事がない、それから、恥じることはないということなのです。だから、議員立法ですから、関係する方々は恥じることのないように、堂々と法にのっとって作業してくれということだと理解しておりますので、このことを踏まえてお尋ねをしてまいります。
報道によると、政治資金パーティー券の裏金問題をめぐりまして、先般、本県選出のF衆議院議員の収支報告書の訂正が行われたとお聞きしておりますが、何をどう訂正されたのか、具体的にお伺いをいたします。
〇中村選挙管理委員会事務局書記長 お尋ねの議員が代表を務める政治団体につきましては、令和4年度分の収支報告書について訂正が出されております。
具体的には、収入のうち10万円につきまして、当初、政治家個人からの政治団体への貸付としていたものを、清和政策研究会からの寄附に訂正したものでございます。
また、清和政策研究会からの寄附の年月日については、不明と記載されております。
〇佐々木順一委員 借入金10万円を政治団体清和政策研究会からの寄附に変更と。それから、受理年月日は不明ということでありますが、なぜこれが受理可能なのでしょうか。先般の国会で総務大臣は、不明が認められる場合は、災害などで書類や領収書を紛失した場合などと国会で答弁されております。いわば極めてレアケースでありますが、何をもってこれを受理されたのか、その根拠をお伺いいたします。
〇中村選挙管理委員会事務局書記長 政治資金収支報告書の記載に当たりましては、政治資金規正法施行規則等の定めによりまして、定められた項目について、適切に記載していただくべきものでございますけれども、今回の訂正につきましては、正確な年月日がわからないということで、一時的にこのような記載となったものでございます。
また、訂正された報告書におきまして、団体からは、年月日確認中のため、判明次第、再訂正するという説明がありまして、宣誓書にも記載されているものでございます。
なお、総務省にも確認した上で、同様の取り扱いの例があるということで受領したものでございます。
〇佐々木順一委員 それでは、こういうことですか。判明次第、速やかに訂正すると、こういうことを前提にして誓約書を書いていただいて、受理したと。受理でいいわけですね。もう一回答弁をお願いします。
〇中村選挙管理委員会事務局書記長 佐々木順一委員御指摘のとおり、今回は一時的な記載ということで、後から再訂正するという説明がございましたので、受理したものでございます。
〇佐々木順一委員 政治資金規正法の趣旨にのっとれば、極めて適切でないと思います。
今後、県内の各政党及び政治団体から締め切り日に向けて報告書の提出があると思いますけれども、この不明という言葉が安易に使われるおそれがないとは言えないわけであります。仮にこのようなことが頻繁に起きると、政治資金規正法の趣旨、法律の形骸化につながるおそれがないとは言えないわけでありますので、この際、県内の政治資金を取り扱う関係者に、法の趣旨にのっとって正しく報告されるように、県選挙管理委員会としてメッセージ及び何らかの対応策を考えるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
〇中村選挙管理委員会事務局書記長 政治資金規正法に基づく政治資金収支報告書への作成や提出につきましては、毎年、全ての団体に対しまして適切に提出していただくよう、文書で通知しているところでございます。
また、全ての政治団体に対しまして、記載要領等を作成し、配付しているほか、常時、事務局において不明な点等への問い合わせに対応しているところでございます。
今回は一時的な記載ということでございますので、基本的には、適切に記載していただけるよう周知していきたいと考えております。
〇佐々木順一委員 今回は不明という言葉が全国的に広がったわけでありますから、収支報告書を書くのは面倒くさいわけでありますので、不明という言葉が殺到する可能性もあるので、何らかの対応を私は今年度は考えるべきではないかということで申し上げたわけでありますが、いかがですか。
〇中村選挙管理委員会事務局書記長 基本的には、最初に申し上げた政治資金規正法の趣旨の部分にもなりますけれども、報告書自体は国民の不断の監視と批判のもとに置くことを公明の確保ということで言っております。出される方もそれを意識しながら、法に基づく必要な報告を行っていただきたいと思っておりますし、先ほども申しましたけれども、全ての政治団体に対してさまざまな機会を通じて、私どもも説明等をしておりますので、そのような機会を通じて適正に出していただくよう周知してまいりたいと考えております。
〇佐々木順一委員 次にいきます。
当該政党支部の代表者であるこの衆議院議員は、みずからの裏金問題について、署名入りの釈明文、これは謝罪文でありますが、関係者に送付しております。その文面は、派閥の幹部、関係者からノルマを超えたものは現金でキックバックを受けていたこと、また、政治資金とは別の会計処理をしているので政治資金収支報告書への記載は不要であるとの説明を受けていたこと、領収書は要らないと言われたことなどが詳細にわたって記されております。
これらの記述を踏まえますと、本人は、裏金であることを明確に認識していたことになると思います。にもかかわらず、検察の捜査の終結を待って、このたび、収支報告書を訂正し、清和政策研究会からの寄附として届け出たわけであります。形式的には清和政策研究会から自由民主党岩手県第三選挙区支部への寄附となり、合法になりますが、これは後づけであります。いわば黒いものを白い紙で包装したようなものであります。
先ほど紹介した謝罪文の記述を踏まえると、事実に基づいていないことは明らかでありますので、これは虚偽記載に当たると思いますが、見解をお伺いいたします。
〇中村選挙管理委員会事務局書記長 県選挙管理委員会におきましては、法に基づいて提出された収支報告書を受理し、公表する立場でございます。収支報告書の計数ですとか形式についての形式審査権を有してはおりますものの、事実関係の調査権限は有しておりません。
新聞報道などが行われていることは承知しておりますけれども、県選挙管理委員会といたしましては、個別具体の事案に係る事実関係の詳細を確認する権限は有しておりませんので、見解を申し上げる立場にございませんので、御理解をお願いいたします。
〇佐々木順一委員 確かに、選挙管理委員会は労働委員会のような準司法的機能を有していないわけでありますので、答弁する立場にないという趣旨も含めた今の答弁だと思います。では、一般論として聞きます。虚偽記載は政治資金規正法の違反になるかどうか。
〇中村選挙管理委員会事務局書記長 明らかに虚偽ということであれば、一般論、あるいは法解釈論としては、違法に該当すると思います。
〇佐々木順一委員 そういうことのようであります。
次に移ります。
政治資金規正法第21条の2第1項と、第22条の2の解釈と、これに違反した場合の罰則について、わかりやすく御答弁をいただきたいと思います。
〇中村選挙管理委員会事務局書記長 政治資金規正法第21条の2につきましては、何人も公職の候補者に対し、金銭等による政治活動に関する寄附を行うことを原則禁止するものを定めております。例外としては、政党が行う場合ですとか選挙運動費用として寄附する場合は認められているものでございます。
また、法第22条の2は、何人も法第21条の2に違反をしてされる寄附を受けることなどについて禁止する内容となっております。
また、これらの規定に違反して寄附をした者及び寄附を受けた者に係る罰則の規定は法第26条に定められておりまして、違反した場合には、1年以下の禁固または50万円以下の罰金に処することとされております。
〇佐々木順一委員 わかりました。
 それでは、派閥である清和政策研究会から国会議員が寄附を受けたわけでありますので、外形的には21条の2、22条の2が適用されても問題はないと私は思いますが、選挙管理委員会はどう判断されますか。
〇中村選挙管理委員会事務局書記長 繰り返しになりますけれども、県選挙管理委員会は事実関係の調査権限は有しておりませんので、個別具体の事案について見解を申し上げる立場にはございませんので、御理解をお願いいたします。
 虚偽の記載ですとか法違反の疑いがある場合につきましては、しかるべき捜査機関等において判断されるものと考えております。
〇佐々木順一委員 では、例え話をいたします。身を切る思いでの例え話です。
 私が県議会に派閥をつくりました。佐々木順一派閥であります。メンバーは20人おります。私が派閥のオーナーであります。政治活動に関して派閥に参加した方に寄附をいたします。これはよろしいでしょうかと私が選挙管理委員会にお尋ねした場合、どういう指導をしていただけますか。その点をお伺いいたします。
〇中村選挙管理委員会事務局書記長 お尋ねの部分については、あくまで一般論、法の解釈論ということになるかと思いますけれども、先ほどの法第21条の2に該当いたしますが、基本的には政党以外の政治団体から候補者個人への金銭による寄附が行われていたような場合につきましては、先ほど言いました選挙運動費用として寄附するなどの例外に該当しない限り、法に抵触する可能性があるというふうになります。
〇佐々木順一委員 ありがとうございます。この21条の2、22条の2の法解釈はこのとおりであります。しかし、今回の裏金問題について、検察当局はなぜか、3、000万円とかの寄附の一定額の基準を設けております。加えて、虚偽記載という形式犯で立件しております。実質犯といえる21条の2、22条の2があるわけでありますから、これで立件すべきだと専門家及びその市民団体がこれを唱えております。現在、市民団体がこうした視点から告発の準備を進めておりますので、検察審査会の申し立ても含めまして、今後の動向を注視していきたいと思っております。
 それでは、最後になりますが、国会議員は言うまでもなく、国権の最高機関の立法府を構成する一員であります。法律をつくる立場でありますので、国民、県民に対して模範を示さなければならない立場であります。いわゆる鋭い規範意識と遵法意識が求められるわけであります。加えて、高い倫理観も、当然のことながら求められるわけであります。県議会では、この裏金問題の真相究明を求める意見書も可決しております。
 当該議員は弁護士でもあります。高い倫理観、弁護士となれば、きのう不倫で釈明した方は論外でありますが、いずれにしろ、当該議員は、この件について特定の方々に文書送付でもって終わるのではなく、記者会見及び公式の場で、謝罪を含めまして一連の真相について説明責任を果たされることを強く求めて、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
〇吉田敬子委員 私からは、代表質問の際は、グローバル人材の育成について取り上げさせていただきましたが、それに関連して、パスポート取得、保有の状況についてお伺いしたいと思います。
 日本人のパスポート保有率は、2023年、17%にまで減少したということです。コロナ禍前は2019年、23.8%、2020年、21.8%と年々減少傾向にある中の17%ということです。
 本県の保有率についても、これまで岩手県の保有率は全国でも最下位にいるということで取り上げさせていただいておりますが、コロナ禍前と現在とでどう変化しているか。また、これに対する県の課題認識、世代別での傾向とあわせてお伺いしたいと思います。
〇菊池国際室長 パスポートについてのお尋ねでございます。外務省の旅券統計から、有効旅券数、それから、国勢調査における人口数から、便宜、所持率を計算いたしますと、コロナ禍前の令和元年におきましては、全国平均約23%に対しまして本県が約10%、令和5年におきましては、全国平均約17%に対しまして本県は約7%でございまして、いずれも全国平均を下回っております。
 この有効旅券数には年代別の所有率がございませんので、これにかわりまして、旅券発行数で令和元年と令和5年を比較いたしますと、全国平均と比較いたしまして、本県においては、コロナ禍以前から発行数に占める60歳以上の割合が高く、50歳以下の割合が低い傾向にあります。これは比較的若い年齢層において、海外とのかかわりが少ない方が多いのではないかということを示していると考えられるところでございます。
 県といたしましては、高校生の海外派遣、海外で活躍する本県出身者と児童生徒とのオンライン交流、青少年を対象とした事業の実施、それから、在住外国人との交流イベントなどを通じまして、県民の皆様に海外への関心を持っていただくような機会づくりに引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
〇吉田敬子委員 60歳以上が本県では高いということで、報道によると、全国平均では20代の若者もふえている。にもかかわらず、岩手県が若い世代の保有率が上がらないということで、実際に若い世代が本県から出ていってしまっているような状況もある中で、低い状況も何となく理解はするのですが、ただ、オンラインでいろいろな学習の機会もあるとはいえ、現地に実際に足を運んでみる機会というのもすごく大事だと私は実感しております。
 その中で、パスポート取得の応援キャンペーンを県ではされておりますけれども、申請状況について、その成果についてもお伺いしたいと思います。
〇藤島空港振興課長 パスポート取得応援キャンペーンについてでございます。こちらは、いわて花巻空港の国際定期便の利用促進を図るため、新たにパスポートを取得、または更新し、いわて花巻空港の台北線を往復利用される方に対し、岩手県空港利用促進協議会が5、000円を助成するもので、今年度の申請者数は88名となっております。
 このキャンペーンによりまして、台北線の利用促進に一定の成果があったものと考えておりますが、今年度につきましては、台湾からの旅行需要が非常に高く、県民が台北線を利用される際に花巻発着の座席が確保しにくいという状況もありまして、当初見込んでいた申請者数には達していないところであります。
〇吉田敬子委員 パスポート取得の中でも、特に台湾便に限ったものなので、この中で取得を上げることで、県全体の取得を上げるということではもちろんないのですけれども、一つのきっかけとして、この台北便というのはすごく大きいと思うので、パスポート取得件数を伸ばしていっていただく機会になるのかと思っているのです。今年度については、当初は10月くらいまでの申し込みを予定していたものが、結局、申し込みが伸びなくて、今まだ申請中というか、300名を予定されていたものがまだ88名ということで、もちろん、コロナ禍が理由ではあると思うのですけれども、なかなか伸びないという残念な気持ちでいるわけです。
 本県はこれに対して5、000円補助ということで、他県の状況を見ると、1万円補助だったり、または、30歳未満など若者にはさらに1万円の旅費支援をしているところもあったりするのですけれども、先ほどの国際室長の御答弁でも、若者がこういう機会が少ないという現状もあって、後押しになるような新しい支援策が私は必要だと思っておりますけれども、新年度の取り組みについてお伺いしたいと思います。
〇藤島空港振興課長 このキャンペーンの新年度の取り組みについてでございます。
 吉田敬子委員御紹介のとおり、他県におきましては、パスポートを取得、更新して国際定期便を利用される、あるいは、パスポートの取得に関係なく、30歳未満の若い方が国際定期便を利用される際に助成を行うという制度がございまして、例えば、仙台空港、福島空港などでは1万円を助成している例もあるところでございます。
 このキャンペーンにつきましては、国際線のアウトバウンドの利用促進に向けた海外旅行需要の喚起策として有効と考えておりますので、令和6年度につきましても、引き続き実施したいと考えております。
 助成額も含めたキャンペーンの内容につきましては、定期便の利用状況、あるいはキャンペーンの利用状況等を勘案いたしまして検討してまいりたいと考えております。
〇吉田敬子委員 岩手県台湾友好議員連盟において、台湾の大使館に伺った際にも、日本から行く私たちのほうからももっと来ていただきたいというお話をいただいている中で、あちらからいらっしゃることで、台湾便は今、90%ということで利用率は高くはなっているのですが、こちらから行く方々もふやしていくことが、台湾便については課題だと思っています。
 加えて、パスポートがあるかないかだけでグローバル化ということはもちろんはかれないのですけれども、実際に足を運んで、少しでも見るきっかけをつくっていくところと、今の県内の現状として、若い世代の保有率が少ないということで、実際、台湾便は身近な便であって、そこからまたさらに広がるという視点もあるかと思うので、ぜひ若い世代の補助としても検討していただきたいと思っております。
 最後に、国際室長にぜひお伺いしたいのですが、先ほどのパスポート保有率について、コロナ禍前は本県は10%あって、こちらも最下位のところが、さらにまた7%ということで、全国でも少ない現状の中で、本県は若い世代が特に保有が少ない。私は、知事がおっしゃるように、世界に打って出るという中で、若い世代と現役世代が世界に一度足を運んで、見ていただくことはすごく大事だと思っています。オンラインはもちろん気軽でいいと思うのですけれども、国際室長もいろいろなところを見て渡ってこられて御存じのとおり、実際に足を運ぶことで広がる視点があると思います。
 今年度、いわて国際戦略ビジョンも新たに策定する中で、ここにもネットワークの強化、人材、グローバル育成が必要だということが書かれておりますが、今後の取り組みとして、パスポート保有だけではもちろんないのですけれども、国際室として今後どのように国際、グローバル人材も含めた取り組みをされていくおつもりか、お伺いできればと思います。
〇菊池国際室長 お尋ねの件でございますけれども、言い古された言い方ではございますけれども、百聞は一見にしかずでございまして、実際に海外を体験してくることで、特に若い世代はとても成長するものだと思っています。
 今年度、4年ぶりに北米地域への高校生の派遣、それから、雲南省への高校生の派遣を行ったわけですけれども、帰ってきた生徒の報告、あるいは、学校、保護者からのいろいろなお声を聞きますと、やはり大変成長したと。例えば、堂々と発言するようになったとか視野が広がった。やはり相当効果があるというところを私どもとしても実感しているところでございます。
 一方で、現下では渡航費が高騰しているとか、あるいは円安の影響があり、私どもとしてもなるべく多数の若者に海外に挑戦してもらいたいと思っておりますけれども、なかなか厳しい状況にございます。そのような中でもいろいろ工夫をしながら、吉田敬子委員御指摘のような、若者が海外を体感する機会の充実に努めてまいりたいと思います。
 一方で、在住外国人もふえてきている中で、県内で多文化共生の社会を支える人材もますます重要になってまいりますので、必要な取り組みを今後とも進めてまいりたいと思っております。
〇工藤剛委員 ハロウインターナショナルスクール安比ジャパン支援費補助の県としての取り組みについてお伺いいたします。
 2022年8月29日、八幡平市の安比地域に開校いたしましたハロウインターナショナルスクール安比ジャパンに、県は年間1億6、400万円を5年間補助するとしており、達増知事も知事演述の中で、ハロウインターナショナルスクール安比ジャパンとの連携など、国際化、多文化共生を推進する。世界から岩手県にやってきて、世界に羽ばたくこともできると語っておられます。
 そこで、まず初めに、県としてハロウインターナショナルスクール安比ジャパンに期待することと、県としてのかかわり方をお伺いいたします。
〇千葉地域企画監 ハロウインターナショナルスクール安比ジャパンに対する県としての取り組みについてでございますが、県におきましては、令和4年8月のハロウインターナショナルスクール安比ジャパンの開校を本県の地域振興や国際化の推進等に向けた取り組みを進める上での好機と捉えまして、これまで同校との連携によるさまざまな取り組みを進めているところでございます。
 具体的には、同校との間で地域の振興に関する連携協定を締結しまして、これまで、東日本大震災津波伝承館での震災学習の実施でありますとか、知事による世界遺産出前授業の実施、それから、地元八幡平市を初め盛岡市や普代村の中学生等とのスポーツを通じた交流などのほか、学校食堂での県産米の使用でありますとか県産野菜、果物を提供するローカル食材コーナーの設置にも取り組んでいただいているところでございます。
 今後も引き続き、ハロウインターナショナルスクール安比ジャパンと連携した取り組みを通じまして、ハロウインターナショナルスクール安比ジャパンの開校の成果を県内全体に進めていきたいと考えております。
〇工藤剛委員 今、御答弁にもありましたとおり、開校に先駆けまして、2022年8月1日にハロウインターナショナルスクール安比ジャパンと岩手県は連携協定を結んでおりますが、その内容をお伺いいたします。
〇千葉地域企画監 令和4年8月に連携協定を結んでおりますけれども、その内容につきましては、教育・文化・スポーツの振興に関すること、地域資源の活用に関すること、国際化の推進に関すること、東日本大震災津波からの復興に関すること、その他地域の振興に関することとして、五つの連携する事項を掲げてございます。
〇工藤剛委員 ハロウインターナショナルスクール安比ジャパンですが、この学校は11歳から18歳、日本の学年で言いますと、小学校6年生から高校3年生までの7学年制で、最終的な予定生徒数は約920人と言われております。ただ、現在はまだ全学年が入学しているわけではなく、初めての卒業生が出るまではまだ数年かかると聞いております。
 そこでお伺いいたしますが、現在のハロウインターナショナルスクール安比ジャパンの課題を県としてはどのように把握いたしまして、今後どう対応していくのか御説明をお願いします。
〇本多学事振興課総括課長 今、ハロウインターナショナルスクール安比ジャパンの課題ということで、当課は、ハロウインターナショナルスクール安比ジャパンは各種学校としての許認可を行っておりますので、私から答弁申し上げます。
 まず、生徒数の推移につきましては、初年度160名程度だったものが、令和5年度は約250名程度となっておりまして、もともと開校したときには、世界的なインターナショナルスクールがどんどんふえているという予測のもとで、生徒数もふえていくだろうということで学校では計画していたようですが、一方で、コロナ禍の関係で、さまざま海外渡航の制限といったものもあって、まだ十分な確保には至っていないと伺っております。
 一方で、コロナ禍の渡航制限が撤廃された影響で、再び入学者数はふえていると伺っております。
 どういった課題があるのかというところですが、一つは、学校から聞いている話としては、立地の関係だと思いますけれども、医療機関へのアクセスがすごく不便だということで、そのために学校では、子供たちが医療機関に行くときにつき添えるように教員を確保する必要があると伺っているところでございます。
 また、先ほど工藤剛委員から御指摘いただきましたとおり、生徒数をこれからふやしていくと見込んでいるところですけれども、現在の収容可能人数は校舎が600名程度、寄宿舎が350名程度と伺っております。今後、生徒の増に合わせまして、校舎でありますとか寄宿舎の整備といったものが課題になってくると伺っているところでございます。
〇工藤剛委員 当初の予定のとおり、総生徒数で920人ぐらいと考えますと、単純に、7学年としまして、1学年平均130人ほどになるわけでありますが、入学が8月ですので、現在ですと5学年としまして650人ほど実際に入っていれば予定どおりという形なわけでございますが、実際に聞いた話ですと、現在入っている生徒全部で二百五、六十人ぐらいだという話もあります。
 全寮制ですので、寮費も含めまして学費が900万円を超えると聞いておりますので、入学者数が予定より減っているのであれば大変であろうと勝手に心配しての質問でございました。
 今後、ハロウインターナショナルスクール安比ジャパンから相談があれば、6年目以降の費用の補助ですとか、5年目内でも補正を組んで新たに追加補助のようなものは可能性としてはあるのかどうか伺います。
〇千葉地域企画監 補助の関係でございますけれども、本県の地域振興や国際化の推進に資するため、令和4年8月に八幡平市に開校したハロウインターナショナルスクール安比ジャパンへの支援を行おうとするものでございまして、こちらにつきましては、当面、同校の経営の安定化を図る必要があることから、令和4年度から8年度までの5年間、総額8.2億円、令和6年度当初予算としては1億6、400万円を計上しているところでございまして、基本的には、この補助を使ってハロウインターナショナルスクール安比ジャパンと連携しながら取り組みを進めていこうとしているものでございます。
〇工藤剛委員 次に、ハロウインターナショナルスクール安比ジャパンが安比地域に開校するに当たり、県として、例えば知事がイギリス本校にお願いに行ったとか、何か誘致に関して、かかわりが県としてあったのかどうか伺います。
〇熊谷ふるさと振興部長 誘致に知事がかかわってイギリスに行ったとか、そういうお話でございますが、申しわけございません、私のところにはそういったお話について、具体的に聞いた記憶はございません。
〇工藤剛委員 開校以来、ハロウインターナショナルスクール安比ジャパンは地元の八幡平市、また、県内の小中学生と年に数回交流をしてきたり、今週末には八幡平市の中学生や県のスーパーキッズの子供たちも含めて、そして、ハロウインターナショナルスクールの本校の生徒も来られるということですが、スキー大会が行われるそうです。午前中は競技をして、お昼はハロウインターナショナルスクール安比ジャパンの食堂でみんなで一緒に食べる。その後、英語のスピーチを交えて表彰式をするというような行事もするということで伺っております。
 ちなみに、ハロウインターナショナルスクール安比ジャパンでの食事は、今回のスキー競技だけではなくて、今までずっとそうなのですが、八幡平市産の豚肉を含めまして、米とか野菜はほぼほぼ岩手県産のものを使っていただいているということもございます。
 また、余談でございますが、ハロウインターナショナルスクール安比ジャパンの先生たちが地元の居酒屋で食事をされている姿を見かけたりもします。
 このように、地域にとって、特に児童生徒たちにとっては国際化に向け大きな刺激となっております。ぜひ県としても、今後もさまざまな面でハロウインターナショナルスクール安比ジャパンを支援していただきたいとお願いをして、私の質問を終わります。
〇神崎浩之委員 きのう、総務部で県の組織、広域振興局の見直しというお話をしたわけですが、総務部長の答弁は、ぬかにくぎの様なさっぱりとした返答でありました。きょうはふるさと振興部長から、広域振興局は市町村と密接に仕事をしていくという力強い宣言をいただきましたので、きょうはこのテーマはなしということで、行政のデジタル化一本に絞って質問をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、ふるさと振興部長から認識を二つお聞きしたいと思います。
 一つは、きのう報道にあったのですが、自治体の標準化が進まないということで、国はシステムの標準化ということで、戸籍や税や児童手当など20の主要業務について、全自治体のシステムを国が定める仕様に統一するということで、制度改正や改修等の手間を省くために国で統一するという流れでいっているわけです。きのうの報道では、この標準化について、約1割に当たる171団体が2025年度までに間に合わないというという報道でありました。その中には、20ある全ての政令都市を含め、人口の多い自治体も含まれているということで、こういう国の大きな方針の中で間に合わないという報道があったということは、ふるさと振興部長としてどう認識されているかということについて伺います。
 それから、行政のデジタル化というのは、今まで市町村が責任を持ってやっていくもの、デジタル田園都市国家構想がなかなか進まない状況の中で、いよいよ国が、県が市町村へ深く関与する役割をこれから位置づけたと私は認識しているのですが、この2点について、最初にふるさと振興部長にお伺いしたいと思います。
〇熊谷ふるさと振興部長 標準化等が進まない部分であります。県内市町村においても、当初目標どおり進んでいる自治体、それから、おくれている自治体、さまざまございます。進んでいる自治体が全体的に少ない。数的なものは手元にないものですから、傾向としてお話しさせていただきます。
 市町村、特に人口の少ない町村においては、なかなかデジタル人材の確保が厳しいとか、それから、デジタル人材だけではなくて職員全体の数も少なく、一人で何業務もこなさなければならないという現実もあって、デジタル化の部分は、国が定めた工程表に沿ったような形でなかなか進んでいないというのが現状であると思っております。
 国からは、市町村のみに任せるのではなくて、県がもう少し主体的に市町村をリードし、進めるようにという御指示もいただいているところでございます。
 県では、これまでも、特に、小規模な自治体が連携してさまざまDXの取り組みをやる基礎づくりでありますとか、標準化、共通化に向けた研修でありますとか、そういった部分を取り組んでまいりました。まさに県がもう少し一歩踏み出せということでありますので、そこにつきましては、これまでの取り組みも継続するとともに、もう少し自治体と個別にお話をしながら、どういった支援ができるか、いわゆる人口減少対策の部分でも市町村のかかわりを深くするということで、市町村の困り事などについて、小規模自治体を中心に回ってお話を聞いております。新年度からは、小規模町村だけではなく全自治体に回っていきたいと思っています。
 そういったアンケートや行財政コンサルティングといった部分も踏まえながら、個々の市町村にどういった支援ができるのかといった部分を個別にお話をしながら相談させていただきたいと思っております。
〇神崎浩之委員 1月に総務省に行ってやりとりをしたのですけれども、いよいよ県に頑張ってもらわないといけないという話をされてまいりました。
 次に、2030年度までにデジタル実装に取り組む自治体、これは国のデジタル田園都市国家構想のKPIなのですけれども、2024年には1、000団体、2027年には1、500団体を目標に国はKPIを立てているわけなのですが、しかし、約半数しか進んでいないということです。私も驚いたのですけれども、地域課題解決のためにデジタル技術の導入に取り組んだ事例ということで、地方公共団体の約半数しか取り組んでいないということであります。それから、取り組み事例はなく、検討したこともないというのが何と34.8%、みんなDX、DXと言っているにもかかわらず、取り組んでいるのが何と半数。それから、取り組んだ事例もなく検討したこともないが34.8%という数字に非常に驚いておりました。
 そこで、国のKPIはあるのですが、岩手県の現状はどうなっているのか。それから、課題はどういうふうに捉えているのか質問いたします。
〇古川デジタル推進課長 本県における国のデジタル田園都市国家構想交付金デジタル実装タイプの活用実績についてでございます。
 2022年度は県で6事業及び9市町村で14事業、8市町村と六つの一部事務組合による1件の広域連携事業がございます。今年度、2023年度につきましては、県で7事業及び15市町村で32事業、さらに、県と12市町村と連携している1件の地域関連携事業という実績でございます。一部事務組合を除きますと、実取り組み団体数は、県と市町村を合わせまして26となっております。
 課題といたしましては、国の調査では、自治体においてデジタル化の取り組みが広がりにくい状況が一部あるということで、その背景として、予算、人材、情報の不足、体制構築等が挙げられているところでありますが、本県においても同様の課題があるものと認識しております。
 これらの課題解決に向けまして、県として、市町村等で構成する電子自治体推進協議会等を通じまして、優良先進事例の紹介や研修会を行っております。さらには、国に対しまして、デジタル田園都市国家構想の補助対象経費を拡大して、自由度の高い交付金制度となるよう見直しをお願いするとともに、交付金制度の継続を要望しているところでございます。
 次年度以降もこうした取り組みを継続いたしまして、市町村に対する支援を行ってまいりたいと考えております。
〇神崎浩之委員 課題の中には、業務の省力化を組み立てながら移行するという部分がなかなか厳しいという話もあります。そういう状況に対して、国は地域デジタル基盤整備事業というものを立ち上げてやっているわけですけれども、この事業の岩手県での活用状況をお伺いしたいと思います。
 まず最初に、計画策定支援事業というメニューがあるのですけれども、これについて、県内の活用状況についてお伺いいたします。
〇古川デジタル推進課長 地域デジタル基盤活用推進事業のメニューの一つであります計画策定支援事業でございますが、こちらにつきましては、現状では実績はないところでございます。
〇神崎浩之委員 残念です。それから、次の実証事業について、これは特にローカル5G等の新しい通信技術の支援策でありますけれども、これについてお伺いしたいと思います。
〇古川デジタル推進課長 実証事業につきましては、ローカル5GやWi―Fi HaLow―ワイファイヘイローといった新しい通信技術を活用して地域課題を解決するという先進的なソリューションを使って実証実験を支援するものとなるのですが、こちらも、残念ながら、本県では実績はございません。
〇神崎浩之委員 残念です。三つ目の国の補助事業があるのです。通信インフラの整備費用の補助ということなのですが、無線ネットワークの整備、ソリューションの機器の整備なのですけれども、これについては県内の実績はいかがでしょうか。
〇古川デジタル推進課長 補助事業についてでございます。こちらは、地方公共団体等が行うローカル5G、Wi―Fi、LPWA―Low Power Wide Areaなどの通信インフラ整備を目的とした補助事業でございますが、こちらについても、残念ながら、実績はございません。
 ただ、新しいLPWAといった通信事業を用いた本事業以外の取り組み事例としては、まず、県で行っているローカル5Gの実証実験などを実施しております。また、農林水産業の分野では、鳥獣被害対策としてLPWAを用いた長距離無線式捕獲パトロールシステム及び水田の水管理の省力化を目的として取り入れられた水田水位センサがあるということで、各省庁の補助金を使って取り組みを進めたり、県単独事業として進めたりしていると認識しています。
〇神崎浩之委員 非常に有利なこの地域デジタル基盤整備事業について、1次から3次募集まであり、今年度についても1次募集が2月から始まっているわけですけれども、県内市町村はなぜこの事業を活用しないのでしょうか。県が率先して市町村と取り組むよう国からの依頼通知が出ているわけなのですけれども、できない理由についてお伺いしたいと思います。
〇古川デジタル推進課長 実績がない理由についてでございます。
 先ほども少し触れましたが、LPWAを使った取り組みというのが既存の補助金でもカバーされている鳥獣被害対策などがございますので、そちらを使っているものもございます。あと、水田水位センサにつきましては、単価が3万円ぐらいという話でしたので、補助対象となりにくいということで、使われていない背景もあるとは思いますが、農事法人側による独自の整備が広まりつつあるものと推測しています。
 なお、地域デジタル基盤活用推進事業でございますが、これは令和5年度から既存事業の名称が変わったり、要件が変わったりして始まった事業となりますので、実際、活用事例がそういった背景もあって少ないものもあると思われます。
 つきましては、県としましては、本事業の活用事例、他県の状況を市町村に周知して活用を促していきたいと考えております。
〇神崎浩之委員 私は昨年も市町村を回って、デジタル化の推進状況について確認したのですけれども、人材がいない、それから予算が足りないということであります。それを国に言うと、総務省はこういうふうなメニューを用意して、お金も支援していますと言われてきました。
 その中で、地域情報化アドバイザー制度の活用状況であります。自治体について、全国のデジタル関係の専門家が地域情報化アドバイザーとして、国が全額を出して派遣する。市町村、県の悩みの相談を受けるということ。これについては随分前から始まっています。岩手県や県内の自治体のこの事業の活用状況についてお伺いいたします。
〇古川デジタル推進課長 地域情報化アドバイザーの派遣の実績についてでございます。総務省では、御案内のとおり、地域情報化アドバイザーということで、デジタルに長けた専門家を委嘱して、地方公共団体からの求めに応じて派遣しているところでございます。
 本事業に係る実績が公表されておりまして、直近のものを拾い上げますと、令和4年度は盛岡市、大船渡市、遠野市で各1件、延べ8回の派遣がありまして、令和5年度では、岩手県で1件、1回の派遣実績がございます。
〇神崎浩之委員 わかりました。
 それから、CIO補佐官―最高情報責任者補佐官を置いて部局横断でまとめてデジタル化を推進しなさいということで、県であったり、市町村であったり、デジタルに特化したCIO補佐官を設置して推進しなさいということですが、県の設置状況、その活用状況と市町村の配置状況についてお伺いいたします。
〇古川デジタル推進課長 CIO補佐官の県と市町村の設置状況等でございます。
 まず、県におきましてですが、令和4年度からDXに精通した民間の有識者をCIO補佐官として任用してございまして、県のDX推進方針や岩手県DX推進計画の推進に対する助言、あと、DX推進の意識醸成に向けて管理職、経営者等を対象とした講演などの支援をいただいているところです。
 令和5年度は、DX推進本部会議におきまして、部局長を対象に業務改革に関する講演をいただいております。このほか、二戸地域デジタル人材育成研究会において地方DXに関する講演、あと、会員企業のデジタルを活用した取り組みに対しても助言をいただいているところです。
 さらに、いわて高等教育地域連携プラットフォーム、地域ニーズに対応したリカレント教育推進事業報告会におきまして、リカレントとリスキリングに関する重要性を説く講演もしていただいております。
 以上のように、幅広い分野で県のDX推進に御支援をいただいているところでございます。
 次に、市町村におけるCIO補佐官の設置状況でございますが、令和5年度4月時点で20の市町村が設置していると認識しております。こちらは、直近でも変わっていないと聞いております。
 県といたしましては、司令塔となるCIO補佐官は必要だと考えられますので、国でも自治体DX推進計画でうたっておりますので、国の支援制度の活用などによりCIO補佐官を任用していくような動きがございましたら、支援していきたいと考えております。
〇神崎浩之委員 私も岩手県のCIO補佐官は非常に期待しておりました。今、聞くと、講演とかそういう話なので、実際そうではなくて、デジタル化というのは部局横断でしっかりやっていかないといけないので、常勤で部局横断的にまとめられるような位置づけだと思っていたのですが、そうでないようですので、今後は検討していただきたい。
 それから、先ほどの地域アドバイザー派遣で、岩手県が派遣を受けている指導内容というのは、SNSの発信をなかなか住民が見てくれないから、それを指導してくれといった内容の依頼を岩手県がお願いしたということでありました。ほかの自治体は、スマート窓口をどうすればいいのだ、地域通貨をどうすればいいのだ、自治体の窓口対策、テレワーク、こういうことをやりたいのだけれどもアドバイザーを派遣してほしいという要望で行っているのですけれども、岩手県は、我々が考えているようなSNSの発信をアドバイザーにお願いして来てもらうということをやっているようでありますので、これも含めて、ふるさと振興部長、コメントをお願いいたします。
〇熊谷ふるさと振興部長 まず、CIO補佐官でありますが、補佐官でございますので、CIOである八重樫副知事を補佐するとともに、DXの普及、啓発に関する対外的な活動、それから、県のDXを進める上で、岩手県DX推進計画の策定にも参画のうえ、アドバイスいただいているほか、産官学で構成するいわてデジタルトランスフォーメーション連携推進会議がございますが、そこにおきましても、事業のアドバイスや、いわてデジタルトランスフォーメーション大賞の選考など、さまざまな部分にかかわっていただいております。
 CIOの八重樫副知事のもと、各部局でDXの取り組みを進めているところでありますので、県の推進体制ということで、岩手県DX推進計画に基づいて、それぞれの分野でDXを進めていきたいと思っております。
 それから、国のアドバイザーの活用の関係につきましては、広聴広報分野で活用をしているということでございますが、広く庁内にも周知いたしまして、より有効な活用、アドバイスいただきたいような事項があるのであれば、積極的に活用するように努めてまいりたいと思います。
〇関根敏伸委員 私からは3項目お願いしたいと思います。
 まず最初に、県内で進められている特定地域づくり事業協同組合事業の状況について、県内の組合認定の状況、事業進捗の成果と課題、これらについてお伺いしたいと思います。
〇千葉地域企画監 県内の組合認定の状況についてでございますが、特定地域づくり事業協同組合制度は、人口減少に直面している地域において、就労その他の社会的活動を通じまして地域社会の維持、それから、地域経済の活性化に寄与するため、令和2年度から開始された制度でございます。
 本県におきましては、本年2月末現在で、葛巻町特定地域づくり事業協同組合、おおつち百年之業協同組合、協同組合マルチワークいわいずみの3組合を認定しているところでございます。
 それから、成果と課題についてでございますけれども、これまで認定した組合のうち、葛巻町特定地域づくり事業協同組合と、おおつち百年之業協同組合の2組合におきましては、それぞれ2名の派遣職員を雇用し、各組合の組合員であります事業者に職員を派遣する労働者派遣事業を実施しております。
 また、協同組合マルチワークいわいずみにつきましては、現在、派遣事業開始に向けまして、ハローワークでありますとか民間求人サイト等の活用により、派遣職員の募集をしているところでございます。
 課題としましては、組合におきましては、認定後、派遣職員の確保に時間を要して派遣事業の開始がおくれることでありますとか、派遣職員数が定員数に満たない場合があるなど、県としても地域産業の担い手となる派遣職員の確保が課題であると認識しております。
〇関根敏伸委員 葛巻町特定地域づくり事業協同組合とおおつち百年之業協同組合については2名ずつということで、協同組合マルチワークいわいずみは、まだ人員が確保できていないということです。人の確保は大きな課題だと思います。
 葛巻町特定地域づくり事業協同組合とおおつち百年之業協同組合については、派遣した人員は県内からいらっしゃった方なのか、あるいは、県外からおいでになった方なのか、それをどのように把握されているのかということをお伺いしたいと思います。
 あわせて、この事業は労働者を派遣することによって手数料収入を得る。それで2分の1の運営費を確保しながら、残りの2分の1は市町村が運営費を交付するという成り立ちになっていると思うのですが、これらの動き出している組合については、市町村がどの程度の負担をしているのかということをもし把握されていれば、これも少し教えていただきたいと思います。
〇千葉地域企画監 今、詳細なデータを持っていないのですけれども、おおつち百年之業協同組合については、町内にいらっしゃる方を採用されているということでございます。
 それから、市町村の財政負担の関係ですけれども、正確な金額は今、データを持っていませんけれども、国からの交付金が半分来まして、残りの市町村が負担した分についても特別交付税で措置されることになっております。
〇関根敏伸委員 金額的にはまだ具体的に把握はされていないということですか。
〇千葉地域企画監 今、手元に金額はございません。
〇関根敏伸委員 よろしいです。後ほど把握できたら教えていただきたいと思っております。
 この事業を進める上では、人口急減地域であるということが認定されなければならないと思うのですけれども、この人口急減地域ということに関しては、人口であるとか地域の事業者の数であるとか、そういったことを総合的に勘案して知事が判断するということになっているようでありますが、ふるさと振興部として県内の人口急減地域というのはどの程度あると把握しているのか。そして、それらの地域において、今後の組合設立の見通しでありますとか必要性、県の関与はどのように考えているのかお伺いしたいと思います。
〇千葉地域企画監 県内の人口急減地域につきましては、基本的には過疎地域がベースとなりますので、みなし過疎でありますが、一部過疎も含めると25市町村になります。
 それから、この制度につきましては、活動地域以外にも過疎と同程度の人口減少が進んでいるところも認められることになっておりますが、組合を支援するに当たっては、市町村の財政措置も必要になってきますので、市町村の意向でありますとか具体的な設立の動きなどがありましたら、市町村と相談の上、個別に検討していくことになります。
 それから、今後の組合員の見通しですけれども、本年1月に九戸村において、くのへ村づくり事業協同組合の設立総会が開催されまして、これから県へ組合認定の申請でありますとか、岩手労働局への労働者派遣事業の届け出を行いまして、今のところの予定でございますけれども、本年の6月以降に派遣事業を開始する見込みであると伺っているところでございます。
 県としましては、組合の設立を検討する市町村のほか、岩手労働局や事業協同組合の設立支援を行う岩手県中小企業団体中央会等の関係団体と連携しまして、引き続き、セミナー等による制度周知でありますとか組合設立に向けた支援などを行っていきたいと考えております。
〇関根敏伸委員 続きまして、関係人口についてお伺いしたいと思います。新年度予算案は関係人口創出拡大事業に予算計上されておりますけれども、これによる具体的な取り組みを教えていただきたいと思いますし、今まで関係人口づくり事業を継続してやられてきたと思うのですが、その成果と評価についてお伺いします。
〇山本特命参事兼地域振興課長 関係人口創出・拡大事業費につきましては、首都圏在住者などの県外居住者に対しまして、岩手県への関心を高める情報発信や、県内の地域課題解決等に参画する機会の提供などを通じまして、継続的にさまざまな形で地域とかかわる関係人口の質的、量的な拡大を図る事業でございます。
 具体的な取り組みといたしましては、県内各地域における関係人口関連施策の展開に向けました市町村向けのセミナーや、SNSいわてのわや、関係人口ポータルサイトによる情報発信、首都圏人材と県内企業、団体等とのマッチングを行う遠恋複業課、ワ―ケーション対応型宿泊施設等の利用者が地域とのかかわりを深めるプログラムの構築などの取り組みを行う予定としております。
 これまでの成果でございますが、SNSいわてのわにおきましては、約1万6、000人のフォロワーに対しまして、県営住宅へお試し居住してきた方や、本県と都市部で二地域居住している方の記事、他の県庁内のSNSと歩調を合わせた統一的なテーマでの情報発信のほか、県内外の関係人口創出に係るイベント、取り組みの紹介などを行っております。
 また、遠恋複業課におきましては、首都圏での営業活動支援やウエブサイトの改善、経営アドバイスなど、令和元年度から令和5年度までに計119件のマッチングを行っております。
 人口減少の進行に伴いまして地域の担い手不足が懸念される中で、地域外の人材が地域と多様にかかわる関係人口の重要性は高まっております。県内外において、多様な主体により関係人口の裾野を広げるさまざまな取り組みが行われている状況です。
 盛岡市や紫波町の関係人口登録制度や、洋野町や住田町の関係人口が訪問できる拠点の整備、全県的なふるさと納税の寄附者の増加などを通じまして、さまざまな方法で岩手県にかかわる人々が増加しているものと考えております。
〇関根敏伸委員 複業であるとか、二地域居住であるとか、ふるさと納税であるとか、一定の成果が出てきていると認識したいと思います。
 その上で、関係人口、あるいは地方創生の観点から、今、県教育委員会でいわて留学というのが進められているわけでありますが、この取り組みをどのように把握されておりますでしょうか。また、県の教育委員会とふるさと振興部は、地方創生の観点からどのような連携をされているのか、お伺いいたします。
〇山本特命参事兼地域振興課長 いわて留学は、県内生徒と県外生徒の交流を通じて互いの成長を促す取り組みと認識していまして、また、高校と地域の連携が図られることで地域の活性化にもつながるものと承知しております。
 生徒が高校のある地域の関係人口、定住人口となっていただけることから有効な取り組みでありまして、それぞれの高校の所在する市町村におきまして、地域の実情に応じて募集活動や受け入れ時の住環境の整備などが進められているものと承知しております。
 こういった市町村が行うそれぞれの取り組みに対しまして、地域経営推進費でありますとか地域おこし協力隊などの制度を活用した支援を行っているところでございます。
 引き続き、県教育委員会との間で情報共有を進めてまいりまして、受け入れた生徒が特色ある教育活動を行う高校において活躍し、本県とのかかわりを深めていけるように支援してまいりたいと考えております。
〇関根敏伸委員 私は、いわて留学について県教育委員会にもいろいろ質疑をさせていただいたわけでありますが、これからのふるさと振興でありますとか人口減少を考えるときに非常に重要な切り口になるのではないかと思っているわけであります。いわて留学が平成27年から始まっているようでありますが、平成27年度は5名、その後、上限はありますけれども、数の変化はありますが、令和5年で25名、それから間もなく、あすの入試では32名の県外の留学生希望の方が受験をされるという話を聞いているところでございます。
 ただ、県教育委員会も定員の問題など、さまざまな問題が当然あるわけであります。県内の子供たちの入学機会の確保という観点もあり、これをどう進めていくのかという方向性がなかなか定まっていないのかという気がしているわけであります。
 そんな中で、まさに新年度は小規模自治体の伴走型支援ということをしっかりと打ち出している中で、先ほどの特定地域づくり事業協同組合であれ、小規模校におけるいわて留学であれ、まさに人口減少地域の中で地域の生き残りをかけて何とかしたいという事業で進められているわけです。そこにしっかりとふるさと振興部が関与していく仕組みということが必要なのではないかと私は強く考えております。
 この留学制度を始めたのは島根県が有名です。海士町から始まって、今、島根県全体として、しまね留学という取り組みを始めておりますし、特定地域づくり事業協同組合事業も、実は海士町の事業協同組合が第1号です。島根県選出の国会議員が中心となって議員立法でつくられた法律だと思っておりますが、そういった中で、海士町は小さな自治体ですけれども、人口が2010年で2、370人だったのが2020年で2、239人ということで、ほぼ人口減少が見られないという状況です。こういった留学制度であるとか特定地域づくり事業協同組合事業であるとか、さまざまなことを島根県と一体となって取り組んでいるという成果だと思います。
 そういった中で、この留学制度についても、島根県では教育委員会が中心となりながら、商工労働部やふるさと振興部、あるいは大学といったところがネットワークを組んで推進をしていると理解しているわけでございます。そういった意味で、この両事業について、これからふるさと振興部としての本気のかかわり方ということを強く期待申し上げたいと思うのですが、これについての御所見をお伺いしたいと思います。
〇熱海地域振興室長 特定地域づくり事業協同組合、それから、いわて留学制度などを初めとした関係人口の取り組み、これらいずれの取り組みにつきましても、いわて県民計画(2019〜2028)におきまして、新しい時代を切り拓くプロジェクトの構成事業の一つとして位置づけまして、全庁的に取り組みを進めております。
 それぞれ制度につきましては、例えば、事業協同組合制度は複数分野の仕事を組み合わせて地域の雇用を生み出す、それから、関係人口の取り組みも、県内各地でさまざまな主体が取り組みを実施してきているものでございまして、どちらも庁内各部を初め県内市町村との連携が不可欠だと思っております。
 プロジェクトにつきましては、当部が主体となりましてワーキングチームを動かしております。その中で、プロジェクトの方向性、取り組み内容の共有を図っております。また、市町村、民間団体とも連携しまして、情報発信、理解の醸成などにも取り組みを進めております。
 今後、人口減少が進行する中で、地域の担い手の確保、地域活性化の課題解決をしていくために、これらの取り組みは重要なものと認識しておりますので、引き続き、一層の連携支援に努めてまいりたいと思っております。
〇関根敏伸委員 どうぞよろしくお願いいたします。
 3点目に、外国人の受け入れ体制の充実についてお伺いいたします。
 今般、次期いわて国際戦略ビジョンの最終案をいただいて、拝見させていただいております。在留外国人数の推移と今後の見通し、それから、生産年齢人口不足が続く中、この必要性への認識、受け入れ体制の整備と課題についてお伺いいたします。
〇菊池国際室長 在留外国人の動向でございます。平成10年には3、708人だったわけでございますけれども、その後、増加に転じまして、東日本大震災津波の影響を受けた期間、それから、コロナ禍の期間など、落ちた期間はありますけれども、全般として増加に転じておりまして、去年の6月末現在では9、112人となっております。
 今後の見通しでございますけれども、国では人手不足の解消のための特定技能といった新しい在留資格の創設などを行っているところでございまして、目下の人手不足の状況などに鑑みますと、今後とも増加していくものと見込んでいるところでございます。
 そして、必要性の認識、課題でございますけれども、こうした人材確保が課題となっている状況でございますので、外国人材の受け入れを積極的に進めていくことが求められる状況だろうと思っております。
 そのための課題としましては、多文化共生社会の実現ということでございまして、具体的には、相談体制をどうするか、あるいは医療機関の受診の際、あるいは災害時の対応、それから、日本語教育といった言葉の壁の問題、それから、外国人県民を地域で支える人材の育成といったものが課題と考えております。
〇関根敏伸委員 このいわて国際戦略ビジョンの中には、人口減少が進む岩手県において、増加傾向にある外国人県民は、地域づくりに取り組む重要なパートナーという位置づけをされておりまして、まさに本当にそうなのだなと思っております。
 そんな中、ある統計によりますと、岩手県の生産年齢人口は、2050年度には半分以下に減ってしまうという見通しが示されている中、そしてまた、技能実習制度の見直しなども今、どんどん進んでおりまして、今国会で育成就労などの法律改正が出てくるのだと思います。そういった中、このような法改正も見据えて、外国人材がどの程度岩手県にとって必要なのか、その必要数も踏まえる、あるいは、必要な指標をしっかりと位置づけて、それに対して具体的な取り組みを進めていくといういわて国際戦略ビジョンにおける位置づけをもっと進めていただきたいと思いますが、最後に所感をお聞きさせていただきます。
〇菊池国際室長 今後、関根敏伸委員御指摘のとおり、技能実習制度の見直し等で今後とも外国人材の受け入れを進めていくことになろうと思います。次期いわて国際戦略ビジョンの中では、こうした見直しを踏まえまして受け入れを促進するともに、働きやすく暮らしやすい環境整備に取り組むことにしております。
 ただ、指標につきましては、いわて県民計画(2019〜2028)の上位指標で人口10万人当たりの在留外国人の数を掲げておりまして、いろいろな施策を総合的に進めて、目標の達成に向けて頑張ってまいりたいと考えているところでございます。
 来年度におきましても、関係部局と連携して受け入れに係る課題などを具体化した上で、ともに地域づくりを担う重要なパートナー、外国人材に選ばれる地域になるように取り組んでまいりたいと考えております。
〇村上貢一委員 私からは、地域公共交通施策について、何点かお伺いします。
 まず初めに、岩手県地域公共交通網形成計画です。この計画は、計画期間2019年4月から2024年3月までの5カ年とするということでございます。今年度末が最終年度でございます。これまでの施策、事業実施をどのように総括、最終評価しておりますか。
 また、次期岩手県地域公共交通網形成計画策定への現時点の方針と御所見をお伺いいたします。
〇山田地域交通課長 岩手県地域公共交通網形成計画の総括についてでありますが、本県の地域公共交通につきましては、コロナ禍の影響によりまして、令和2年度から利用者数が大きく減少し、徐々に回復の兆しを見せているものの、コロナ禍前の水準までには戻っていないところであり、その回復が課題と考えているところでございます。
 また、運転士の確保につきまして、この計画の指標には届く見込みではあるものの、同じくコロナ禍の影響によりまして離職者数がふえておりまして、総数としての運転士数は減少しており、その確保が課題と考えているところです。
 次に、次期岩手県地域公共交通網形成計画の現時点における考え方でございますけれども、このような課題を踏まえまして、バス事業者や市町村等とも意見交換を重ねながら、他分野との連携も含め、令和元年度の水準まで公共交通の利用状況を回復していくとともに、運転士の確保に向けた支援策も盛り込みながら、持続可能な地域公共交通の確保に向けて取り組んでまいります。
〇村上貢一委員 三つの基本方針がございましたけれども、もしよければ、その三つの基本方針それぞれの総括をしていただいて、そしてまた、次期岩手県地域公共交通網形成計画にどのように生かしていくのかもお伺いできればと思います。
〇山田地域交通課長 三つの基本方針でございますが、もともと広域的なバス路線などにつきまして、維持確保を図っていくといったことや、それから、接続拠点の形成、利用促進をしっかりと頑張っていくということで基本方針を掲げていたところでございます。
 今回、まず1点目といたしまして、バス路線につきまして、維持が少し難しくなってきているところがあるといったところもございまして、利用者数を回復させていきながら、バス路線の維持をしていくということで努力はしてまいりますけれども、それが少し難しい路線も出てきているところでございます。したがいまして、基本方針につきましては、次期岩手県地域公共交通網形成計画につきまして、広大な県土の移動を実現するような移動手段の確保という形に変えまして、代替交通といったものを事業として組み込んでいくといったことを考えているところでございます。
 また、運転士につきましても、運転士数の確保を掲げていくために、新規事業といたしまして、運転士の確保に対する支援策といったことも盛り込んでいくといった形でございます。
〇村上貢一委員 では、続きまして、令和6年度の地域公共交通施策に伴う新規事業について、改めてお伺いしたいと思います。
〇山田地域交通課長 令和6年度におきます公共交通関係の新規事業につきましては、主なものとして、バス運転士確保対策と三陸鉄道の経営安定化対策の二つがございます。
 まず、乗合バス運転士確保対策費補助につきましてでございますが、運転士の確保等に要する経費に対して3分の1を補助するものでありまして、具体的には、運転士を確保した場合の試用期間の基本給に対し、運転士1人当たり40万円、採用活動及び運転士の育成に要する経費に対し、運転士1人当たり2万円、女性運転士用の更衣室、トイレの整備などの職場環境の改善に対し、1事業者当たり70万円をそれぞれ上限として補助することとしたものであり、この支援により、バス事業者の運転士確保を後押しし、バス路線の維持確保に取り組んでまいります。
 また、三陸鉄道運営支援事業費のうち三陸鉄道経営安定化対策交付金につきましては、沿線人口の減少やコロナ禍の影響の長期化等により厳しい経営状況が続いている三陸鉄道に対し、当面の資金を確保するための支援を行おうとするものでございまして、今後、三陸鉄道と市町村と連携しながら一層の経営改善を行い、地域にとって最大の価値を生み出していけるよう、取り組みを進めてまいります。
〇村上貢一委員 バスは運転士の確保というのが本当にバスにとってのエンジンということになるかと思いますけれども、目指す確保人数をお伺いしたいと思います。
〇山田地域交通課長 県民が必要としますバス路線の維持に向けまして、バス事業者とも意見交換を行っておりまして、令和5年度の運転士数である640名を維持するために、36名を確保するために必要な予算を計上したところでございます。この36名につきましては、過去4年間の実績から算出した離職者見込み数66名から、乗り合いバス事業者3社の令和4年度の採用実績である30名を除いた人数として算定したものであり、この66名を採用確保していくといったことを目標として掲げていくところでございます。
〇村上貢一委員 バスの運転士は、高齢化というところが大きな悩みでございます。そういう中で、若い運転士を何とか確保する。国の制度でいいますと、原則として21歳からしか大型二種免許は取れないところがございますけれども、そういうところも知恵を絞るというか、そういうところまで踏み込んだ上で、何とか若い人たちをふやすということで事業者のため、そして、県民の足のためにもなるような検討もしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
〇山田地域交通課長 できるだけ若い方にも就職していただきたいという御質問だと思いますが、今年度からでございますが、岩手運輸支局とともに高校を回りまして、運転士の魅力等を伝えることに関しましても実施しているところでございまして、来年度以降につきましても、このような取り組みを行っていきたいと考えているところでございます。
〇村上貢一委員 ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 次に、ふるさと振興部内の令和6年度の地域公共交通施策の予算案の総額と、その財源の内訳をお示しいただきたいと思います。
〇山田地域交通課長 地域公共交通施策に係る令和6年度の県予算案の総額と財源内訳についてでございますが、IGRいわて銀河鉄道と三陸鉄道に対する補助金等が10億2、000万円余、沿線自治体等が行うJRローカル線の利用促進の取り組みに対する補助金等が3、300万円余、乗り合いバス事業者に対する補助金等が2億9、000万円余と、総額13億4、400万円余であり、この大半が一般財源となっているところでございます。
 なお、鉄道及びバスにおける国庫補助の大半につきましては、国から事業者に直接補助されているところでございます。
〇村上貢一委員 ありがとうございました。限られた県財政の中において、持続可能な公共交通の維持、活性化は人口減少対策にもつながる一つのファクターでありますから、その施策の実現に向けて地域公共交通を支える税制、(仮称)交通税についての調査、研究、検討をすべきという観点から、当局にこれから御質問させていただきます。
 先月、滋賀県は2024年度から2年を費やし、持続可能な地域公共交通を実現するための(仮称)地域公共交通計画を策定し、財源の選択肢の一つとして、県税制審議会とも連携を図りながら、全国初の交通税の創設も検討するとのことを発表いたしました。
 滋賀県では、地域公共交通計画は、県内を6地域に分け、それぞれのエリアでワークショップを開き、住民らと意見を交換する。その上で最適な移動手段を検討し、必要な費用を算定する。改正地域交通法に基づく国からの補助金を期待するほか、県や交通事業者などの資金も充てる。足りない場合には交通税が選択肢に入るとのことであります。
 そこでお伺いいたします。地域公共交通をめぐる状況は、県土の広大な本県においては滋賀県以上に厳しいとも考えられることから、公共交通を守り、維持していくため、滋賀県と同様に、地域公共交通をみんなで支える税制、(仮称)交通税の導入について、調査、研究をしてはどうかと思慮しますが、当局の御所見、その認識をお伺いいたします。
〇山田地域交通課長 村上貢一委員から御指摘がございました滋賀県の交通税の件でございますが、滋賀県の交通税導入に向けた取り組みにつきましては、滋賀県税制審議会の令和4年4月の答申によりますと、県と市町の役割分担を踏まえた税負担の考え方や税収の使途、課税方式などさまざまな検討事項が示されて、これを受けて、滋賀県において検討が行われているということで、その動向を注視してきたところでございます。
 今後におきましては、財源確保の一つの方法として、例えば交通税のようなものがあればどういう社会になるのかということを示しながら、丁寧に議論を重ねていくということでございまして、滋賀県からも話を聞いておりますが、まだその検討は続くということで聞いているところでございます。
 県といたしましては、引き続き、その動向を注視していきたいと考えているところでございます。
〇村上貢一委員 国内では公共交通を維持するための交通税を導入しようという提案が過去にもございました。例えば、1997年、当時の自由民主党は国鉄の長期債務を賄うため、鉄道、バス、航空機全てに交通税を課すことで財源を確保する案を出しましたが、立ち消えとなり、その後、2004年には名古屋鉄道の路面電車など4路線の廃止問題、2005年には土佐くろしお鉄道の赤字問題で導入が検討されましたが、いずれも実現には至っておりません。
 しかし、今、時代は変わり、急激な少子高齢化社会、コロナ禍が及ぼす社会変化、人手不足、燃油高騰、2024年問題といい、当時とは社会の様相が一変しております。
 他国の状況を見ますと、フランスでは1982年に国内交通基本法が制定され、交通権の保障が明記されました。これに基づき、公共交通の財源を確保する目的で交通税が導入され、現在に至り、成功しているという事例もございます。
 本県では、岩手県立大学の岩田智先生が2022年に、岩手県における地方公共交通維持税という学術論文を発表しており、その内容は大変示唆に富むものであり、時宜を得たりと感銘を受けております。また、その作成にはふるさと振興部の職員の方々も御尽力、関与しているということですから、すばらしく思いますし、感謝を申し上げる次第でございます。
 ぜひともその素地を生かして、超過課税として地域公共交通をみんなで支える交通税の導入について、早急に調査、研究、検討していただきたいと思いますが、ふるさと振興部長の御所見をお伺いしたいと思います。
〇熊谷ふるさと振興部長 公共交通の維持のために財源の確保というのは重要な課題であると思っております。これまで県全体の財源確保の御質問をいただいた際に、総務部が中心になりまして、超過課税を含め、さまざま検討に着手したというお話を申し上げていると思います。そういったことで、幅広く財源確保の中で検討されるものと、いろいろ森林税の関係とか少子化の対策税とか、そういう部分を含めて、総務部で検討を始めるという話もございます。
 私どもとしては、公共交通の維持は、まず国が公共交通をどう維持していくか、そのための財源をどうするのか、そこの議論がまずは必要なのではないかと思っておりまして、各年の要望においては、国においてきちんと地方の公共交通を守っていただくような財源確保をお願いしたいと要望しているところでございます。そういったこともあわせながら、財源の確保については、幅広く検討してまいりたいと思います。
〇村上貢一委員 ぜひとも頑張ってもらいたいと思います。公共交通は子供たちから高齢者まで、さまざまな障がいを持った方々、誰もがいつでもどこにでも行ける公共交通を目指していただきたいと思いますし、公共交通を推進することは、脱炭素社会の実現へ向けての一助ともなると思いますし、人口減少対策の一つにもなると思います。ぜひとも気合いを入れて、導入に向けて検討していただきたいということをお話しして終わります。
〇城内愛彦委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
午後0時7分 休 憩
午後1時2分再開
〇千葉盛副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、当職から報告いたします。
 3月5日の政策企画部審査において、執行部に対して提出を求めることとした資料につきましては、お手元に配付しておりますので御了承願います。
 この際、千葉地域企画監から発言を求められておりますので、これを許します。
〇千葉地域企画監 午前中に関根敏伸委員から御質問のありました特定地域づくり事業協同組合事業における採用者の属性についてでございますけれども、葛巻町の組合における2名の派遣職員につきましては、1名がUターン者、もう1名が県内のほかの市町村からの移住者を雇用しております。
 それから、市町村の負担額についてでございますけれども、令和5年度の国からの交付金の交付決定時点になりますが、派遣が行われている自治体の負担額は、葛巻町においては288万円余、大槌町においては66万円余となっております。
〇千葉盛副委員長 質疑を続行いたします。
〇福井せいじ委員 私からは、まず最初に、行政書士がかかわるべき各種許可申請の状況について伺いたいと思います。
 盛岡広域振興局の1階の玄関のところには、行政書士でない者が官公署に提出書類の作成を業として行うことは法律で禁じられていますと、そこには岩手県と行政書士会からの看板が出てありました。
 そこでお聞きしますが、廃棄物処理法、あるいは農地関連法など許可にかかわる行政書士による申請の状況について伺います。よろしくお願いします。
〇中村参事兼市町村課総括課長 行政書士がかかわる申請状況についてでございますけれども、当課といたしましては、行政書士等の代理申請の状況について、調査は実施しておりませんが、岩手県行政書士会が過去に行った調査結果について聞き取りをいたしましたので、その状況についてお答えいたします。
 県の行政書士会では、調査対象とする事務を2年ごとに変えながら、関係機関の担当部署の協力のもとに毎年調査を実施しております。
 例えばですけれども、福井せいじ委員が今おっしゃいました産業廃棄物処理業許可申請における行政書士等による代理申請につきましては、平成26年度の調査では、全体で557件の申請のうち158件、割合は28.4%、平成27年度の調査では、全体が515件のうち157件で、その割合は30.5%になっております。
 また、農地法許可申請における行政書士等による代理申請につきましては、平成30年度は、全体で672件の申請のうち137件で、割合は20.4%、令和元年度は、全体1、516件のうち332件で、割合21.9%となっております。
〇福井せいじ委員 この一連の許可申請においては、本人または行政書士が行うこととされているのではないでしょうか。そうであれば、先ほど市町村課総括課長がお話しした28.4%なり30.5%以外は、全て本人が申請していると考えてよろしいのでしょうか。
〇中村参事兼市町村課総括課長 具体の許認可事務の受付等については、当課では把握しておりませんけれども、行政書士法においては、行政書士等でない者が他人の依頼を受け、報酬を得て官公署への提出書類を作成することは、一定の例外を除いて禁じられております。基本的には、本人等が申請していることだと思います。
〇福井せいじ委員 私は、何件か例外があったと伺ったことがあります。例えば、これは車を購入する場合の駐車場の許可証とかといった場合、業者が行っているとか、あるいは、農地の関連法なども開発業者が行っているとか、そういったことを聞いたことがあるのですけれども、それでは、先ほど言った法令では、本人または行政書士が行うことになっていますが、そういった場合に、本人または行政書士以外の者が申請した場合、どのような問題があるのかということは当局は把握しておりますか。
〇中村参事兼市町村課総括課長 先ほども申しましたが、当課では具体の許認可事務の受付状況については把握しておりませんので、仮に許認可事務の処理に当たって行政書士でない者が、いわゆる違法という形で代理で申請しているかどうかという部分については、それぞれのルールに従って適切に確認等がなされるべきと考えておりまして、仮に違法な代理申請がなされたことを把握した場合には、申請者等に法令を遵守するよう指導するなど、担当部署において適切に対応すべきものと考えております。
〇福井せいじ委員 私は、行政書士法という法律で本人または行政書士が申請すべきと定められているのであれば、それを遵守する必要があるのではないかと思うのです。そういった意味では、なぜ本人または行政書士が申請しなければならないのか、この意味を考える必要があるのではないかと思いますし、受理する側の行政当局がそれを看過できないのではないかと私は思うのですが、いかがでしょうか。
〇中村参事兼市町村課総括課長 行政書士法に基づいて基本的には申請等を行ってもらうということにはなりますけれども、こういう問題につきましては、従来から県の行政書士会といろいろやりとりする中で課題認識等があるということは理解しております。そういうこともございまして、毎年度、先ほど申し上げました調査等を行いまして、制度の周知、広報を図っているところでございます。
 最初に福井せいじ委員がおっしゃったとおり、私どもでも県民に対しては、申請窓口において行政書士でない者が報酬を得て、本人にかわって書類作成を行うことは違法である旨の掲示等を行いながら啓発を行ってきたところでございます。
 今後も県の行政書士会と連携しまして、必要な取り組みを行っていきたいと考えております。
〇福井せいじ委員 私は、行政書士、あるいは本人以外の者が申請した場合の不利益はどのようなものかということを考えてみましたし、本来であれば、当局もそういったことを考えるべきではないかと思います。例えば、通常の業者がやった場合には、書類の不備があったりする上において審査の過程がおくれるとか、あるいは、それによって行政当局の手間や作業もふえる可能性があります。そういったことを避けるためにも、本来であれば専門家である行政書士または本人が申請すべきだということを考えます。
 そしてまた、もう一つ、例えば書類を受け付ける場合に、それは当局では確認をしないのですか。
〇中村参事兼市町村課総括課長 当課におきましては、個別の担当課の具体の許認可事務の処理方法については把握しておりませんけれども、仮に確認をしなければならない旨の法律なり要領なりということがあるとすれば、それはもちろん確認して対応していただくということだと思います。
 先ほど申しましたとおり、その確認等によって違法な申請がなされたことを把握した場合につきましては、担当部署において適切に対応していただくということが必要かと思います。
〇福井せいじ委員 行政書士、あるいは本人以外の者が申請する場合の不利益がある、それから不都合もあると思いますし、今の答弁については、事故が起こってからそれを正すというのではなく、事故が起こる前にそういったものを防止する手だてを講じるのが本来の申請を受け付ける側の役割ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
〇中村参事兼市町村課総括課長 繰り返しになりますけれども、法の趣旨等の認識の周知等につきましては、我々も県の行政書士会と連携して、毎年通知を出したり、あるいは、先ほど申しました県民への周知の部分についても行っているところでございまして、そういう取り組みを通じて、申請者、あるいは県民に対して法の趣旨等については周知啓発をしていきたいと考えております。
〇福井せいじ委員 いずれにしても、いろいろな事故が起きてからそれを正すというよりは、前もって事前に事故を防止するという姿勢で臨んでいただきたいと私は思いますので、よろしくお願いいたします。
 次に、JRローカル線活性化事業対策費補助について伺います。
 国土交通省からローカル鉄道をめぐるさまざまな対応策が示されました。国鉄改革から35年がたっております。当時は都市部路線などの収益による内部補助、不採算路線を含めた鉄道ネットワークの維持は可能であるということで、さまざまな形を得て今の鉄道ネットワークが構築されていると思いますが、人口減少時代にふさわしいコンパクトでしなやかな地域公共交通の再構築が必要だということも示されました。
 そこで、県でもJRローカル線維持確保連絡会議というものをつくりまして、県内6路線の沿線首長とさまざまな対策を練っていると伺っております。このJRローカル線維持確保連絡会議のメンバー構成、それから、取り組みの内容についてお知らせいただきたいと思います。
〇中嶋地方路線対策監 JRローカル線維持確保連絡会議の概要でございますけれども、令和4年11月8日に開催されております。
 出席者でございますが、県側は八重樫副知事、ふるさと振興部長、各広域振興局長、それから、県内六つのJRローカル線の沿線市町の首長となっております。
 主な内容といたしましては、JRローカル線の維持確保に向けた県と市町村で鉄道を維持していくべきという基本的認識を共有するとともに、それに向けて、さらなる利用促進の取り組みを実施していくことを確認しているところでございます。
〇福井せいじ委員 今後、沿線の状況が異なるということで、各路線についてさまざま取り組みをなさっていくと伺っておりますけれども、この取り組みの中で、例えば、事業計画を設定したり、乗車人数、輸送密度の目標とか、あるいは期間の定め方、目標の定め方などはこれから検討していくおつもりでしょうか。
〇中嶋地方路線対策監 今、福井せいじ委員御指摘のとおり、現在、沿線ごとに沿線自治体首長会議等を開催いたしまして、具体的な取り組み等を検討しているところでございます。全てのローカル線というわけではございませんが、数値目標というものをきちんと立てようということで立てている路線もございます。それから、沿線自治体会議の中で、単年度の取り組みだけではなくて、複数年度にわたるロードマップのようなものを作成したほうがいいのではないかといったような意見も出ておりますので、そういった計画的取り組みが進められるようにしていきたいと考えております。
〇福井せいじ委員 数値目標がなければ、JR東日本に対する維持をするという根拠がなくなると思いますので、私は数値目標がなければいけないと思います。
 今、八戸線、大船渡線、釜石線、花輪線、北上線、山田線の平均通過人員を調べますと、1987年には9、788人、2021年には2、273人と23%に減少しています。これからさらにそういった減少が考えられると思いますので、ぜひ数値目標を立てて、それに向かって取り組んでいただきたいと思います。
 そこでもう一つ、そういった中で、人口減少、あるいはほかの交通機関の状況などを見ていくと、今、新しい交通体系をつくる時期に来ているのではないかと思っています。JR東日本の鉄路ありきではなく、さまざまな交通機関のネットワークを使って移動の自由を確保していく必要があると思うのですが、私は今、立てた連絡会だけではなく、沿線市町村とか県とか、あるいはJR東日本、そしてまた、ほかの交通事業者も交えた形での新しい交通ネットワークをつくる会を設立したらいいのではないかと思うのですが、このような提案に対してはどう思いますか。
〇中嶋地方路線対策監 今、福井せいじ委員からお話があったように、県としても持続可能な地域公共交通のネットワークの確保ということを目標に掲げて取り組んでいるところでございます。
 今、御提案のあった交通事業者ですとかさまざまな方が参画する協議の場としましては、県の公共交通会議もございますので、必要があればそういった会議等の活用も考えられるのではないかと思っております。
〇福井せいじ委員 さまざまな交通事業者の方々と新たな交通ネットワークをつくる方向でぜひ取り組んでいただきたいと私は思います。
 2月29日にJR東日本が山田線の利便性向上のために106急行とJRが連携をしながら利便性の向上を図るという発表をし、これから実証実験に入るということですから、そういった意味では、多くの方々がその交通手段をいかに構築していくか、知恵を寄せ合って、そしてまた、自分の機能を発揮しながらつくっていただきたいと思っています。
 例えば、JR東日本と県北バスの106特急の連携ですけれども、盛岡駅─宮古駅間、そしてまた、上盛岡駅、山岸駅、上米内駅を除く各駅に停車していくという形になっていますけれども、例えば、上米内駅と盛岡駅間については、LRT―次世代型路面電車の導入なども考えて利便性の向上を図っていき、乗車数をふやしていくという考え方もあると思いますが、このようなLRTの導入については、何か県としては考えていらっしゃいますでしょうか。
〇中嶋地方路線対策監 今、福井せいじ委員から御紹介のありましたLRTでございますけれども、昨年10月に、LRTを提唱している市民団体が盛岡市に対してそういった要望をされているということは承知しているところでございます。
 LRTにつきましては、新たな公共交通体系の一つとして注目を浴びており、さまざまなメリットがあるということですので、まずは先進事例などを研究していきたいと考えております。
〇福井せいじ委員 さまざまな可能性を探りながら、地域内の移動、それから、地域と地域を結ぶ移動といった考え方も交えながら、ぜひ今後の公共交通の維持に向かって取り組んでいただきたいと思います。
 最後に、関係人口創出・拡大事業についてお伺いしたいと思います。先ほど関根敏伸委員からもそういった話がありましたが、私は少し違う観点からお話をさせていただきます。
 関係人口について、株式会社ブランド総合研究所が2022年に調査したところ、関係人口というのは、出身者、私たちの岩手県から県外に出ていった方々、それから応援者、つまり、出身地、あるいは、今住んでいるところ以外で応援したい県があるという二つがあると聞きました。全国で出身者は4、230万人、応援者が7、497万人、岩手県では出身者が76万5、000人、そして応援者が120万1、000人いるということです。
 応援したい理由の一つとしては、観光体験、そしてまた、あるいは、家族、親戚がいる。それから、居住体験があるということでありますが、私が注目したいのは、まず、出身者に対しては、Uターンの意欲があるのが22.4%、それから、応援者が移住したいという意欲があるのが20.6%でありました。そうすると、岩手県へのUターン希望者が17万人、移住希望者が24万人、つまり、31万人の人が岩手県に関心を寄せているということであります。
 そういった意味では、観光客、あるいは家族、親戚、それから、転出者に対する移住、定住の働きかけをすべきと思いますが、いかがでしょうか。当局の考えをお聞かせください。
〇山本特命参事兼地域振興課長 ただいま御紹介いただきました本県の出身者でありますとか、応援したいと感じていただいている方につきましては、本県への関心も高く、まさに関係人口として期待できるものと考えております。
 こういった方々については、事情はさまざまですので、将来的な移住、定住までつなげることは難しい場合もあるものと承知はしておりますけれども、観光による訪問、ふるさと納税を含めた県産品の販路拡大など、さまざま形でかかわりを深めていくことができるものと考えております。
 このため、引き続き、関係人口の質的、量的な拡大を図る取り組みを進めるとともに、本県出身者や観光客を含めまして、県外居住者に対する情報発信を進めていくことによりまして、いつでも、どこでも岩手県とつながる環境の創出を目指していくという考えでございます。
〇佐藤ケイ子委員 私は、バス交通関係、路線バスの関係についてお伺いをいたします。
 私の地域でも、あちこちでもですけれども、路線バスが運転士不足により廃止、縮小、減便というような事態が続いておりまして、この先、地域住民は不安を抱えている状況でございます。新年度の予算関係に絡めてお伺いをしたいと思います。
 一つ目は、バス運行対策費ですけれども、新年度は1億8、880万円計上されておりまして、前年度比1、180万円の増額であります。これは国庫補助であります。令和4年度実績では、40路線の補助と車両購入費補助を行ったということでありましたけれども、令和6年度、新年度の補助見込みはどういうふうに積算されているのでしょうか。
 路線数も変更になったのではないかと思いますし、国の補助要件が変わったことはあるのか、ないのか。私もあちこち資料を見ているのですけれども、乗車密度の関係とか、県の基準と国の基準と合っているのかと思ったり、今までは乗車密度が達していなくても、震災特例とか新型コロナウイルス感染症の特例とかで国の補助要件に達していたということだったと思うので、今後はどうなっていくのかお伺いいたします。
〇山田地域交通課長 令和6年度のバス運行対策費についてでございますが、35路線に対しまして1億8、225万円を補助するほか、車両購入に対する補助といたしまして、4車両分、641万円余を補助する見通しとなっております。
 次に、令和6年度の補助路線につきましては、令和5年度当初予算に見込まれておりました44路線からは1路線増加、10路線減少いたしまして、計9路線が減少することになっているところでございます。
 その内訳でございますが、1路線が収支の改善によりまして補助対象外となったほかに、1路線は他路線と統合、2路線が減便によりまして国庫補助要件を満たさなくなりまして、県単補助路線に移行、6路線が路線の廃止によりまして代替交通へ移行したことによるものでございます。
 それから、補助要件の関係でございますが、被災地特例の激変緩和措置や新型コロナウイルス感染症の影響に対する補助事業の補助要件につきましては、平均乗車密度ではなく輸送量が要件となっております。こちらの緩和の特例措置につきましては、引き続き講じることといたしまして、令和6年度当初予算案に計上しているところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 わかりました。そうすると、前は、国庫補助を受けるときに乗車密度5人というのがあったのですけれども、それは関係ないということで、1日当たりの輸送量15人から150人というのが基準になるということでよろしいのかと確認したいと思います。
〇山田地域交通課長 国庫補助につきましては、輸送量15人以上150人以下ということが要件となっております。ただ、先ほど申しましたように、特例措置が講じられているところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 そうすると、補助要件があるのですけれども、新型コロナウイルス感染症の特例ということで、今のところ、本当は補助要件を満たしていないけれども、国庫補助が受けられるという解釈でよろしいのですか。うなずいているので、そういうことにします。
 それでは、次の項目ですけれども、地域バス交通支援事業費補助ですが、新年度は5、130万円計上されておりまして、前年比1、280万円増ということで県単補助であります。この事業も路線が今までよりもふえていくのかと思います。国庫補助の分が県単補助に回ってきたりするということで、ふえていくのかと思ったりするのですけれども、でも、廃止路線もあるということで、新年度の路線数はどういうふうになっていくのかお伺いいたします。
〇山田地域交通課長 地域バス交通支援事業費補助が増額となっております主な理由についてでございますが、必要な代替交通を確保する市町村に対する補助である人口減少対策路線確保事業におきまして、令和5年度当初予算ベースと比較いたしますと、対象路線が6路線増加し、11路線となったことによるものでございます。
 県単補助路線の数につきましては、令和5年度、15路線が対象となっておりましたが、そのうち2路線が代替交通に回るということで13路線になっているところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 そうすると、県単補助の分がどんどんふえていくということで、450万円の上限ということでいいのですか。国庫補助の対象外になっていくのは大変だと思っていまして、そういった中で廃止路線が今回もあるわけですけれども、北上金ケ崎線と水沢金ケ崎線が廃止になる。猊鼻渓線、土沢線、一関花泉線、陸前高田住田線ということでありますけれども、今後の運行計画、そして県の補助はどうなるかお伺いいたします。
〇山田地域交通課長 御質問のあった6路線のうち、昨年9月30日に廃止されました猊鼻渓線につきましては、一関市が代替交通を運行しております。また、3月31日に廃止予定の残り5路線につきましても、沿線自治体による代替交通が確保される見通しとなっているところでございます。
 これらの路線に係る県の支援といたしましては、北上市内の運行に見直しされる北上金ケ崎線を除きます5路線が人口減少対策路線確保事業の補助対象となる見通しでありますほか、代替交通を確保するまで路線廃止日を延長するための運行欠損額を市町村がバス事業者に支援する経費に対しまして、2月補正において、新たに補助対象とする予算を措置したところでございます。
 引き続き、廃止路線を代替路線で確保する市町村に対する支援を行い、県民にとって必要な移動手段の維持、確保を図っていきたいと考えております。
〇佐藤ケイ子委員 そうすると、どんどん市町村が主体でバス交通を実施していかなければならないという状況になってきているわけですけれども、市町村も大変な中でありまして、地域公共交通再編・活性化推進事業費1、442万円、これは前年度比980万円減少するわけです。市町村へ2分の1補助ということになるわけですけれども、令和6年度当初予算案の積算はどういうふうになっているのでしょうか。上限500万円ということだったと思うのですけれども、市町村の負担はどんどん大きくなってくるわけですが、この500万円というのも変更がないのかどうか伺います。
〇山田地域交通課長 地域公共交通再編・活性化推進事業費についてでございますが、令和4年度の実績と比べますと、令和4年度におきましては、新型コロナウイルス感染症が長期化し、公共交通の利用者数の回復がおくれるなど、地域公共交通にとって厳しい状況が続いていたことから、予算を増額いたしまして、市町村の地域公共交通体系の再編や利用促進の取り組みに対する補助を行ったところでございます。
 次期岩手県地域公共交通網形成計画の策定費やJRの利用促進の取り組みに対する支援を除きまして、令和5年度からは通常ベースの水準の予算とし、令和6年度当初予算案も同水準で計上したところでございまして、引き続き、市町村の取り組みに対する支援に取り組んでいきたいと考えております。
 なお、補助上限額につきましては、これまでと同様に、原則1市町村当たり500万円で、今のところ変更はございません。
〇佐藤ケイ子委員 上限額500万円というのが妥当なのかどうかということですけれども、コロナ禍で大変だった令和4年度は補助を増額したけれども、令和5、6年度は通常ベースにする。コロナ禍からは回復していない。ますます人口減少で乗車も厳しいという中であります。地域公共交通活性化協議会ということで、その地域ごとに協議会で議論をして、バス交通に対してどういう要望があるのか、どういう課題があるのか、やりとりしていたはずなのですけれども、この協議会負担金というのは、新年度の予算案を見るとないみたいですけれども、そこは、この協議会はどうなるのでしょうか。
〇山田地域交通課長 令和5年度当初予算におきまして計上しておりました地域公共交通活性化協議会の負担金につきましては、これは次期岩手県地域公共交通網形成計画の策定に係る経費といたしまして880万円余を計上していたものでございますが、この計画につきましては、今年度内に策定する見通しとなることでありますことから、令和6年度当初予算案では負担金としては計上していないものでございます。
 令和6年度当初予算案におきましては、この協議会において、地域公共交通計画の評価等を行う予定としておりまして、そちらの協議会の開催に要する事務費等につきましては、計上しているところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 わかりました。地域公共交通活性化協議会は存続して実施するということですか。この協議会の中の議事録のようなものを見ますと、本当に切実に要望する声がありまして、ですが、利用者を増大させるのは本当に難しい話だと思っております。広域での路線運行というのはなかなか難しくて、市町村単位で代替交通を今、全部の市町村でやっているという実態になってきておりまして、県も市町村も含めて交通対策はどうすればいいのか、JR問題も含めて、大きな議論を巻き起こしていかなければならない。住民の意識もできるだけ公共交通を使いましょうとか、脱炭素のCO2削減の運動も進めましょうとか、そういったこともやはりやっていかなければならない。さまざまな活動があるのだろうと思っておりまして、ぜひこの協議会の活性化もお願いをしたいところです。
 次に、乗合バス運転士確保対策事業費補助については、先ほど村上貢一委員が取り上げましたので割愛いたします。
 交通系ICカードシステム整備費補助というのもあるわけですけれども、令和5年度事業で600万円余の予算がありましたけれども、令和6年度当初予算案には計上されていないように見えました。ICカードシステムの整備状況はどうなったのでしょうか。全ての路線で整備されたのかどうか、お伺いいたします。
〇山田地域交通課長 交通系ICカードシステム整備費補助についてでございますが、乗り合いバス事業者のうち、岩手県北自動車株式会社とジェイアールバス東北株式会社におきましては、導入を計画していた分の整備については終了していると聞いているところでございます。岩手県交通株式会社におきましては、今年度までに盛岡地区、花巻地区、北上地区に導入したということでございまして、来年度に導入を予定している他の県南地区や沿岸地区で導入を完了する予定と聞いているところでございます。
 来年度における整備につきましては、令和5年12月補正予算で措置した本事業予算を繰り越しいたしまして対応する予定としているところでございまして、令和6年度当初予算案には計上していないところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 わかりました。令和5年度予算を繰り越しするということで了解いたしました。
 こういう交通体系、本当に難しいと思っております。ぜひ県民の足を守るために、また、地域の活性化のためにも御努力をいただきたきたいと思います。ありがとうございます。
〇臼澤勉委員 それでは私から、新しい三陸振興推進費についてお伺いいたします。
 まず、三陸振興を総合的にプロデュースするまちづくり会社と、新しい三陸振興推進費との関連についてお伺いいたします。
〇森沿岸振興課長 新しい三陸振興推進費につきましてお答えします。
 三陸防災復興ゾーンプロジェクトの推進に向け、三陸の地域資源と防災学習を活用して多様な魅力を発信することにより交流人口の拡大を図るとともに、三陸地域の総合的な振興を図る推進体制の検討等の取り組みを実施するものでございます。
 まちづくり会社につきましては、現在、公益財団法人さんりく基金や三陸DMОセンターが果たしている役割をさらに発展させ、地域の知恵と力を結集し、交流人口の拡大を促し、さらなる三陸振興に資するようにする方向で検討を進めようとしております。
 今後、こうした考えを踏まえ、三陸地域の総合的な振興体制の具体化に向けた検討を進めてまいりますが、検討に当たりましては、三陸地域の市町村や関係団体のほか、さまざまな分野の専門家の御意見を伺う必要があると考えておりまして、新しい三陸復興推進費には、これに要する経費を計上しているものであります。
〇臼澤勉委員 知事も記者会見でそういった趣旨のお話をされておりました。一方で、マニフェストプラス39では、地域密着型のディベロッパーとして公共性と企業性をあわせ持って、行政とか民間会社だけでは難しい、できない開発に取り組む、こういったまちづくり会社をつくっていくのだというようなことをお話ししておりますが、改めて、こういったまちづくり会社はこれから検討だということでありますが、知事からもどのような組織をイメージして検討するように指示が来ているのかお伺いいたします。
〇森沿岸振興課長 マニフェストプラス39におけるまちづくり会社につきましては、復興後の三陸地域の魅力を高めるため、地域密着型のディベロッパーとして公共性と企業性をあわせ持つものとして掲げられていますが、現在、公益財団法人さんりく基金や三陸DMОセンターが果たしている役割をさらに発展させ、地域の知恵と力を結集しまして、交流人口の拡大を促して、さらなる三陸振興に資するよう検討を進めているものであります。
 今後、公益財団法人さんりく基金や三陸DMОセンターが市町村や関係団体、事業者等と連携して取り組んでおります観光地域づくりや地域振興、交流人口の拡大等の取り組みを基軸といたしまして、三陸地域の総合的かつ広域的な振興に向けて、さらにどのような機能、体制が必要か、市町村を初め関係団体の御意見を承りながら、具体化に向けた検討を進めてまいります。
〇臼澤勉委員 確認ですけれども、ディベロッパーという言葉は、いわゆる開発事業者とかそういったものをイメージしており、まちづくり会社というのは、昔で言う、さんりく・リアス・リゾート構想とか、そういった構想を打ち上げながら具体的な開発を手がけていく会社をイメージしているように、私は文面を読むとイメージするのですけれども、そういったイメージで間違いないでしょうか。簡潔にお願いします。
〇森沿岸振興課長 官民連携のもと、幅広く地域の価値を高めるまちづくりに取り組む団体といたしましては、都市計画、都市開発的なもののほかにも、各地のDMОでありますとか、NPО、公益法人などさまざまな団体が商品開発、マーケティング調査、各種イベントの開催等を通じたにぎわいの創出等、広い意味でのまちづくりに取り組んでいるところでございます。
 マニフェストプラス39では、ディベロッパーという表現も出てまいりますが、知事からその後の答弁で、現在、公益財団法人さんりく基金や三陸DMОセンターが果たしている役割をさらに発展させ、地域の知恵と力を結集していくというふうに御答弁したところでございまして、この観光地域づくり、地域振興、交流人口の拡大を基軸としていくものでございます。
〇臼澤勉委員 そういうDMОとか地域づくりとか、地域資源を磨いていく取り組みというのはこれまでもやっている話でございまして、あえてマニフェストプラス39で地域に密着したディベロッパーとしてという言葉がありましたので、先ほどの答弁では、都市計画、あるいは開発、さらには魅力あるまちづくりの取り組みを含めてというような事例の紹介もありましたので、そういったことにつなげていくのかと有権者や我々は理解しているところです。
 それでお伺いしますけれども、行政とか民間会社だけでは実施が難しいとされる開発というのは、具体的にどのようなプロジェクトを指しているのかお伺いします。
〇森沿岸振興課長 基軸となるDMОということで、県内、三陸地域でも各地で観光地域づくりの取り組みが進んでいるわけでございますが、これらの多くは、市町村の単位でやっているものでございまして、県といたしましては、それぞれの取り組みをより広域な範囲で連携させていく、こういった部分に果たすべき役割があるものと考えております。
〇臼澤勉委員 私は理解が難しかったのですけれども、行政とか民間会社だけではなかなかできない、それは具体的にどんなものをイメージしているのかという問いにだけ答えていただければと思います。
〇菅原副部長兼ふるさと振興企画室長兼県北・沿岸振興室長 行政、あるいは民間だけでは取り組めない分野について、どういったものがあるのかということでございますけれども、具体的にどのような分野があるということではなくて、行政、あるいは民間力といったものを生かしながら機動的に動けるような、柔軟に対応できるような体制という意味合いだと私は捉えておりまして、知事が答弁で申し上げましたように、三陸DMОセンターをさらに発展させたものというようなことで、まずは今、現在取り組んでいる三陸地域の地域振興、あるいは交流人口の拡大というものを基軸にしながら、どういった領域を取り組んでいけばいいのか、さらに皆さんの御意見を伺いながら検討を進めてまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 これまでの防災学習だとか交流人口の拡大だとか、DMОの取り組みといった部分をベースにしながら、発展形に持っていこうということかと認識いたします。
 今後、設立に向けたスケジュールと予算規模などについて、具体的にどのように計画して進めていくのかお伺いいたします。
〇森沿岸振興課長 スケジュールと予算でございますが、人口減少の進行を初め三陸地域の厳しい状況を踏まえますと、早期に体制の検討をする必要があると認識しております。
 まちづくり会社は現在、公益財団法人さんりく基金や三陸DMОセンターが果たしている役割をさらに発展させまして、さらなる三陸振興に資するような方向で検討を進めております。まちづくり会社の検討に当たりましては、公益財団法人さんりく基金のあり方検討とあわせまして、市町村、関係団体等との意見調整が重要ということでありますので、具体化に向けて早期に取り組んでまいります。
 予算につきましては、専門家の御意見を承る必要もございますので、そういった専門家にお願いする際の報償費でありますとか会議等の費用等を考えているところでございます。
〇臼澤勉委員 今後、そういった細かい予算はそうだと思いますが、事業規模とかどのくらいのまちづくり会社のイメージなのか。具体的には今後の検討だという答弁になるのかとは思いつつも、これまでもDMО、それぞれ各地域で取り組んできておりますし、今後、これまでにないような取り組み、難しい開発に取り組むのだというお話をうたっておりました。私がイメージしていたのは、まさに昭和から平成に変わったころに、さんりく・リアス・リゾート構想とかを打ち上げながら、具体的には、モビリアのオートキャンプ場などもつくったりしながら、いろいろ市町村、自治体の取り組みを県としても引き出しながらやってきたと見ていまして、そういうことをやろうとしているのかと思って受けとめたものですから、非常に期待しているのです。
 県北、沿岸地域の振興を図る。きのうも岩手県の人口減少の問題、そして、沿岸地域、県北地域からの人口減を食いとめなければいけない、これが岩手県の本質的な人口減対策の核になると思っているからこそ、きょうここで、具体的にどんなイメージのものを知事から指示を受けながら、一緒に共有しながら、来年度予算案の審査ですから、具体的な検討を進めていくのかということを確認したくて質問しているのであります。改めてその辺の答弁をお願いいたします。
〇熊谷ふるさと振興部長 臼澤勉委員御指摘のとおり、全体像についてはこれからの議論になりますが、知事との検討の場におきましては、先ほどから沿岸振興課長から答弁しているとおり、三陸DMОセンターと公益財団法人さんりく基金を発展させた形というイメージであります。我々はそのほかに三陸鉄道という三陸地域の財産がございます。それから、ジオパークという、これまで県行政の中で洗い直し、生み出してきた財産があります。それから、みちのく潮風トレイルは、外国人の方々からもかなり評判の高い状況でございます。そういった三陸地域の魅力を発信し、そして、お客に来ていただき、交流人口の拡大につながり、そういったものを総合的にプロデュースできるような形も一つのイメージとして持っているところでございますが、具体的な部分については、今まさにそこを検討しております。今後また市町村と連携を深めながら、進めてまいります。
〇臼澤勉委員 ぜひ今後、地域を巻き込んだ検討が進められていくということですし、今もふるさと振興部長から三陸鉄道やジオパークの活用に関するお話もありました。
 そして、時間も限られていますので最後にいたしますが、私は三陸沿岸地域の課題解決には、電力系統の脆弱性が地域振興の根本的な問題の解決につながっていくのではないかと思っております。今回のまちづくり会社においても、そういった部分での産業振興だとか農業、イチゴをハウス栽培するだとか、あるいは、三陸鉄道の活用の部分についても、電力系統の導入は非常に大きな課題だと思っておりました。マイクログリッドの構築も含めた検討を今後どのように考えているのかお伺いいたします。
〇森沿岸振興課長 三陸地域は、久慈市などの沿岸北部における陸上及び洋上の風力発電など、再生可能エネルギーに関するポテンシャルの高い地域と認識しております。
 先月25日に宮古市で開催された第12回グリーンILCセミナーにおいて、高エネルギー加速器研究機構名誉教授の吉岡正和氏から、送電網が脆弱な沿岸部、南北をつなぐ三陸鉄道に沿った送電網設置など、三陸地域への新しい電力系統の導入についての御提案があったと伺っております。
 三陸地域の振興を担当する立場から、三陸鉄道の活用でありますとか地域産業の振興に資する取り組みの一つといたしまして、今後の進展について注目してまいりたいと考えているところでございます。
〇臼澤勉委員 吉岡先生の講演もあったというお話でありますし、こういった電力系統の強靭な体制といった部分も、まちづくり会社の所掌になるのかはまた別な問題かもしれませんけれども、ただ、こういった三陸のまちづくりを、まさに民間と行政ではできないような取り組みを地域密着型でやっていくのだと、まさに開発していこうという強いメッセージだと私は思って、それを多くの県民が期待しているのだと思います。今までの既定路線の延長の話ではなくて、今までにないような取り組み、新しい取り組みをぜひチャレンジしていただきたいと思います。最後にふるさと振興部長に、その点に関する所感を聞いて終わりたいと思います。
〇熊谷ふるさと振興部長 先ほど沿岸振興課長が答弁したとおり、吉岡先生がそういった御提言を、私は、実際のお話を聞いていませんので、詳しいところはわかりませんが、再生可能エネルギー、地域地域でみずから生み出し、みずから消費する、あるいは、外に出して外貨を稼ぐ、そういったものは地域振興にとって非常に有益なものと思っております。そうした中で、系統の存在が一番大事なところ、基盤となるところでございますので、どういった形で三陸地域にそういったものが検討できるのか、さまざまグリーンILCの考えや、そういった部分を注目してまいりたいと思っております。
〇畠山茂委員 私から、まず初めに、新規事業の乗合バス運転士確保対策費補助1、700万円についてお聞きしたいと思います。先ほど村上貢一委員、佐藤ケイ子委員も触れましたけれども、私なりに何点かお聞きしたいと思います。
 バス事業を公共交通機関と位置づけて、住民の通院、通学、通勤など、あるいは買い物などの生活の足のためであると、この事業を理解するところであります。新聞報道によりますと、昨年に続き、ことしも4月から岩手県交通株式会社が1割を超える減便を公表していますし、岩手県北自動車株式会社でもバスの料金値上げを実施すると公表しています。
 そこで、今回の乗合バス運転士確保対策費補助の提案に当たって、先ほども触れていましたけれども、バス事業者とお話し合いもしたと聞いていますので、事業者からはどのような声があって、どのような状況であるのか、どういった要望を受けているのかお伺いしたいと思います。
〇山田地域交通課長 乗合バス運転士確保対策費補助の検討に当たりましては、乗り合いバス事業者と意見交換を行い、運転士確保には待遇改善が必要であること、女性運転士をふやすための環境改善が必要であること、求人に力を入れる必要があるとの意見があったほか、公益社団法人岩手県バス協会からも、運転士不足対策に県、市町村としても一層取り組んでほしいというような要望があったところでございます。
 これを踏まえまして、県と市町村で構成いたします地域内公共交通構築検討会で検討を行いまして、令和6年度当初予算案において、乗合バス運転士確保対策費補助を新たに計上させていただいたところでございます。
〇畠山茂委員 よろしくお願いします。私の地元の岩手県北自動車株式会社にお話を聞きますと、やはり人手がなくて、常時募集をしているのですけれども、なかなかいない。特に盛岡地域での人手がいなくて、今の状況は、盛岡地域に人がいないので宮古地域で働いている職員を盛岡地域に異動させて、路線バスなり、この時期だとスキーということで路線バス、あるいは貸し切りバス、観光バスに人手を回すなど、そういった面も含めて一生懸命事業者もやっているようなので、これからも県として配慮を願いたいと思います。
 2点目にお聞きしたいのは、バス事業者等が撤退したときに、先ほど佐藤ケイ子委員も触れていましたけれども、市町村が地域バスを運行させたり、あるいは、地域住民の皆さんがデマンド型の交通運行を実施している地域も今、どんどん出ています。
 ここで聞きたいのは、県、市町村でも公共交通網形成計画を立てていると思うのですが、これをどのように連携させて、広い県土の県民の移動の確保と公共交通の維持をしていくのかということで、先ほど午前中のやりとりを聞いていると、代替手段も確保しながら維持していくのだという説明もありましたけれども、改めて、この点の県の認識をお聞きしたいと思います。
〇山田地域交通課長 市町村と連携いたしました公共交通の維持や県民の移動確保についてでございますが、県では、広域バス路線の運行欠損額や市町村が必要な代替交通を確保する取り組みに対する補助を行っていますほか、地域公共交通活性化推進事業費補助によりまして、市町村が公共交通の再編に伴うデマンド交通やコミュニティバス等の実証運行に要する経費に対する補助を行ってきたところでございます。
 今年度中に策定する県の次期地域公共交通計画では、市町村の計画と整合性を図りながら、これらの取り組みを盛り込むこととしておりまして、引き続き、市町村と連携し、持続可能な地域公共交通の確保を図ってまいります。
〇畠山茂委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。今、過疎地では公共交通の空白地というのも出始めているのが現実ですので、各自治体も頑張ってはいるのですけれども、これからも連携をしてやっていただきたいと思います。
 次の質問に移ります。
 2点目は、いわて地域おこし協力隊活動推進事業1、600万円についてお聞きしたいと思います。全国では6、000人を超える地域おこし協力隊が活躍をしています。県内の多くの自治体でも、地域おこし協力隊を募集して、地域の課題、さまざまな課題解決に向けて、あるいは定住促進につながる取り組みを今しています。私も新聞報道で初めて知ったのですけれども、岩手県では初めて地域おこし協力隊を三陸ジオパーク推進協議会に採用したという記事も見ました。私の感想は、はっきり言って、今ごろ初めて募集するのかという思いはあったのですけれども、そこで、地域課題や移住、定住促進に向けて、よそ者とか若者の活用をこれからもどんどん推進していくべきだと思います。
 そこでお聞きしたいのは、この新年度予算案ではどのような事業に何名の募集をかけて、どのような効果を求めて取り組んでいくのか、この1、600万円の事業費についてお聞きしたいと思います。
〇山本特命参事兼地域振興課長 いわて地域おこし協力隊につきましてお答えいたします。
 県では、地域の実情をより深く理解している市町村が採用する地域おこし協力隊の活動や定住に向けた支援を行っており、また、行ってきたところです。令和4年度の総務省の集計となりますけれども、県内で230名の協力隊員が活動しております。
 加えまして、国では令和8年度までに協力隊員を1万人にふやす目標を掲げ、任用や活動経費等の財源措置などを講じていることや、13の県で本制度を活用して直接県が採用していることなどを踏まえまして、本県におきましても、人口減少対策や広域的な地域課題解決に向けた取り組みとして、協力隊の採用を直接行うこととしたものです。
 令和5年度は4名の採用予定に対しまして、これまで2名を採用し、三陸ジオパーク推進協議会におきまして、世界ジオパーク認定に向けた調査や普及啓発活動などをしていただいているところです。
 令和6年度は、この2名と、現在も募集を行っております三陸観光、移住、定住関係の2名の計4名の活動経費について予算計上しているところです。
 三陸観光の関係につきましては、三陸地域への観光入込客数の増加に向けた情報発信などの活動、移住、定住関係におきましては、ポータルサイトによる情報発信やイベントの企画などの活動に取り組んでいただくこととしております。
〇畠山茂委員 これからも県としても拡大しながらやっていくと認識しました。
 そこで、地域おこし協力隊も、今、物価高騰とか賃上げムードによって新年度から処遇改善がされると聞いておりますけれども、どのような改善がされるのかお聞きしたいと思います。
〇山本特命参事兼地域振興課長 地域おこし協力隊の処遇につきましてお答え申し上げます。
 地域おこし協力隊の給与につきましては、県の給料表を参考に、所属するいわて定住・交流促進連絡協議会の他の職員との均衡を図りながら設定しております。
 また、隊員が働きやすい環境を整備し、任期終了後の活動に向けた準備期間も確保したいということで、勤務時間について柔軟な設定を選択可能としたところであります。
 引き続き、国の財源措置、他の自治体の状況なども踏まえまして、隊員が業務をしっかりと遂行することができるよう対応してまいります。
〇畠山茂委員 金額なども聞きたかったのですけれども、いずれ、新聞報道によると報酬も上げるというようなお話もあったと聞いております。そこはもう一度、金額も含めて確認したいと思います。
〇山本特命参事兼地域振興課長 現在採用しております地域おこし協力隊につきましては、月額20万200円となっております。
 県内市町村の状況を見ますと、勤務形態はさまざまですけれども、14万6、000円余から27万5、000円まで、さまざまな範囲で報酬が定められてございます。
〇畠山茂委員 わかりました。状況によって、約15万円から約27万円というお話を聞きました。地域おこし協力隊について、任期は大体1年から3年ですけれども、全国的な今までの実績からすると、約65%の隊員が定住しているということです。県はその後の定住に向けたフォローについて、昨年度から始まって、そろそろ来年、再来年には任期が終わってどうするかということになると思うのですが、どのような対策を考えながら、定住に向けたフォローをしていく予定なのかお伺いしたいと思います。
〇山本特命参事兼地域振興課長 定住促進のためには、任期中の活動の充実による隊員の満足度の向上に加えまして、任期終了後を見据えました具体的な準備を進めていくことが重要であると認識しております。
 このため、市町村が採用している協力隊と同様に、県が実施している初任者向けの研修会や起業・就業セミナーへ参加していただくとともに、日常のコミュニケーションを活発に行うことでありますとか、隊員のOB、OG等に設置をお願いしております相談窓口を活用していただくことなどによりまして、任期後も県内に定住し、引き続き活躍していただけるように支援してまいります。
〇畠山茂委員 わかりました。
 次の質問に移りたいと思います。
 3点目が地域経営推進費4億7、000万円についてです。県議会ではたびたび、県と市町村との連携が話題になります。きのうの総括質疑でも市町村連携の枠を拡大する、それから、特に5、000人以下の自治体枠を確保するということ、それから、人口減少対策について調査を行った振興圏別の分析をもとに三つの自治体のモデル事業などの説明がありました。今回は各広域振興局に特命課長を配置して取り組むという説明もありました。先ほどの話だとワーキンググループを設置してということもあったのですが、改めて、この特命課長はどのような役割、目的を持って配置するのかお伺いしたいと思います。
〇千葉地域企画監 広域振興局に配置する特命課長の設置目的についてでありますが、この特命課長は、広域振興局を拠点として、市町村と一体となった集中的かつ効果的な人口減少対策を推進するために新設したものであり、市町村ごとの取り組み状況や課題等の把握、分析のほか、地域経営推進費で新たに設けました市町村連携枠も活用しながら、市町村の実情に応じた実効性のある人口減少対策の取り組みを推進していくものでございます。
〇畠山茂委員 そこで、この事業費は、今回拡大ということなのですけれども、メーンは人口減少対策に取り組むのだということで、では、具体的な取り組み計画といったときに、午前中の岩崎友一委員の答弁で、各市町村で詳細な多くの事業を行っているという説明がありましたけれども、継続的な事業は別にして、これから新たな事業については、一から市町村と話し合いながらスタートさせる中身なのか、それとも、ある程度具体的な計画がもうできているのか、そこら辺の内容、どのような進め方なのかお伺いしたいと思います。
〇千葉地域企画監 地域経営推進費の来年度事業についてでございますが、地域経営推進費を活用して実施する事業につきましては、市町村からの要望や圏域の課題などのほか、本庁事業の内容を踏まえて決定しているところでございます。各広域振興局では、現在、今まさに来年度事業について調整しているところでございますが、その中には、広域振興局におきまして、今年度から市町村と検討を進めている市町村との連携事業でありますとか、人口減少対策に関する事業も含まれております。
 市町村との検討につきましては、来年度以降も引き続き継続していきますので、市町村の実情や要望を踏まえた取り組みを実施していきたいと考えております。
〇畠山茂委員 具体的な話はなくて、大きな話で終わったのですけれども、これからも市町村と膝を詰めながらやっていくのだというふうに理解したいと思います。
 次に移ります。
 四つ目の質問は、新規事業で、市町村行財政事務調査費についてです。これに関連してお聞きしたいのですけれども、人口減少や少子高齢化が進む中で、市町村連携は本当に重要度を増すと私は考えていまして、先ほども触れておりましたが、2025年までには行政デジタル化の推進ということで、標準化、共通化が図られるわけですけれども、盛岡市や釜石市などで間に合わないという新聞報道もあります。
 そこでお聞きしたいのは、私は、将来的には、今の各自治体完結型ではなくて、公共交通や行政サービスなどは近隣した自治体で共有化を図れるところは図って、地域で安心、安全な暮らし、地域社会を残していく、総務省でやっています定住自立圏構想を各分野で発展させていくことが過疎化が進んでいる地域、自治体を守っていく手法だとずっと市議会時代から訴えてきました。
 県は今回の新規事業において、将来的にどのような成果を求めて、どのような方向性を考えているのかお聞きしたいと思います。
〇中村参事兼市町村課総括課長 市町村行財政事務調査費では、市町村間連携支援事業費を新規事業として計上しております。現在、県の市町村では、先ほど畠山茂委員から御指摘のありました四つの定住自立圏ですとか盛岡連携中枢都市圏など、圏域での連携による取り組みが進められております。
 こうした市町村間連携の取り組み拡大に向けまして、令和6年度から、主に連携が進んでいない市町村などを対象として、広域連携の必要性ですとか関連する法制度、具体的手法や取り組み事例等の理解促進を図るための講演会や勉強会を実施し、市町村間連携への関心を高め、さらなる連携を進めていきたいと考えております。
 今後、人口減少等による人材不足、インフラの老朽化などに伴いまして、それぞれが有する資源を共同で活用していく視点がますます求められると考えておりまして、まずは近隣の市町村間で連携しながら、必要な行政サービスを提供できるよう、県としても必要な助言や支援を行ってまいりたいと考えております。
〇畠山茂委員 ぜひ近隣自治体で共通の認識の醸成をしていただいて、2040年問題とか2050年問題とか今いろいろ出ていますけれども、それに対応した自治体のあり方をこれからも検討していただきたいと思います。
 最後の質問をしたいと思います。県と市町村間の人事交流についてお聞きしたいと思います。
 人口減少、少子高齢化対策の中でも、目の前のさまざまな解決に向けて県と市町村との連携、これはたびたび出てきます。そこで、要望を受けたのは、市町村職員からなのですが、若いころの経験で県への出向がとてもよかった。その後の仕事に役に立ったという声をいただいて、ぜひ県と市町村間の人事交流をしてほしいという要望を受けてきました。現在、県と市町村間の人事交流の状況、行っているのかどうかお聞きしたいと思いますし、もし実施しているのであれば、どのような効果を求めて、どのような取り組みの成果があるのかお伺いしたいと思います。
〇中村参事兼市町村課総括課長 県と市町村間の人事交流についてでございますけれども、県では、職員の資質向上を図るとともに、県と市町村との相互理解、連携の強化を目的といたしまして相互交流を行っております。今年度は副市町村長を含めて県から14市町村に15名を派遣しているところでございます。
 また、市町村職員の資質向上を図ることなどを目的といたしまして、市町村からの要請に基づいて、職員を研修生として受け入れる取り組みも行っておりまして、現在、12名の研修生を受け入れております。
 このような人事交流によりまして、異なる経験や視点を持つ職員が相互に交流することで双方の職員の資質向上につながるとともに、相互理解の進展による県と市町村との連携強化、人的ネットワークの形成による円滑な事務執行に貢献していると考えておりますので、引き続き、各市町村のニーズに応じた職員の交流を進めていきたいと考えております。
〇畠山茂委員 今、15名とか12名という話があったので、これからもよろしくお願いしたいと思います。
〇佐々木宣和委員 同じような内容になるところは省きながら質問したいと思います。
 まず、今も畠山茂委員から人事交流の話、また、小規模町村に対する支援の話がありました。答弁の中で、小規模町村を重点的に支援するということで、本当に期待しているところでもあるわけですけれども、まず、人事交流に関して、過去を見ていくと、県から市町村に行っている人数として、令和元年が15人、令和2年は12人、13人、13人、14人という形で、これを強化するということは人数を多くすることなのかと、これは余り変わらないようなことで考えられているのか、まず伺いたいと思います。
〇中村参事兼市町村課総括課長 佐々木宣和委員御指摘のとおり、県と市町村との相互交流の部分につきましては、市町村からの要請に基づいて、市町村の課題等に対応した職員を交流したいという要請により、関連部局と協議して交流を図っているところでございまして、基本的に、ここ数年、同じぐらいの人数で推移していますし、来年度の要望につきましても、大体同じぐらいの人数で来ているところでございます。
〇佐々木宣和委員 そして、地域連携推進費のところに関してですけれども、改めてですが、人口減少対策のところで枠を確保する、小規模自治体分の枠を確保するというところで、これまでも地域連携推進費に関してはさまざま議論があったところでもありますし、金額としても、私の記憶にある中では6億円ぐらいまであった、東日本大震災津波の関係でもふえていたような気もしますけれども、そのころから5億円ぐらい、4億5、000万円となり、今回は2、000万円ふえたという形かと思うのですが、新しい枠を確保したということは、これまでやってきた事業から新しい事業をやるように枠を新しくつくったということで、新しい事業を市町村と組み上げていくような話ということでいいのでしょうか。
〇千葉地域企画監 地域経営推進費につきましては、額は2、000万円増額しておりますし、それから、運用の見直しを行いまして、県事業につきましては、市町村と連携する枠を新たに設けましたし、市町村事業に対しては、事業費を拡充するとともに、小規模町村支援枠を新たに設けているという形になります。
〇佐々木宣和委員 では、聞き方を変えて、今までこういった見直しはここ何年か、東日本大震災津波の前あたりから考えられて、変えられたことはあるのか。地域連携推進費の使い方に関して、こういった新しい発想でやられたことはあるのかということを聞きたいと思います。
〇千葉地域企画監 地域経営推進費につきましては、その時々の情勢に応じて、例えば、ラグビーワールドカップ2019岩手・釜石開催のときでありますとか、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会のときはそういった部分を拡充した経緯もございますし、来年度につきましては、喫緊の課題である人口減少対策といったところを重点的にやっていきたいということで増額しているものでございます。
〇佐々木宣和委員 人口減少に力を入れるために枠を確保したということでいいのかと思います。
 もう一つは、事務の共同処理というところで、税金の滞納だったり森林管理制度だったり、除雪だったり、市町村と県で協働して取り組んでいるものがあるのですけれども、令和6年度、何か新たに取り組むことがあるか伺いたいと思います。
〇中村参事兼市町村課総括課長 事務の共同処理につきましては、佐々木宣和委員から御紹介がありました滞納整理機構ですとか、あとは、今、計画をつくりました岩手県水道広域化推進プランの策定に伴う水道事業の広域化の取り組みなど、あと、下水道の関係も計画をつくっておりますので、そういう取り組みを進めていくこととしております。
 先ほども申しましたけれども、こうした連携の部分につきましては、新規事業を設けておりまして、それによって、今後、今やっていない市町村を対象としたいわゆる啓発の事業をやりながら、少しずつ連携を進めていきたいと考えております。
〇佐々木宣和委員 ありがとうございます。進めていただきたいと思います。
 次に、県北・沿岸振興に関して伺いたいと思います。
 岩手県人口問題対策本部会議で出た数字ですけれども、沿岸地域から年間800人から900人が転出している。県北地域からは年間400人から500人、県北・沿岸地域で年間1、200人から1、400人が転出しているのが現状というところでございます。私もその地域に住んでおりますので、どんどん人が減っているということは実感として感じているところでもあります。
 県北・沿岸振興は、十数年前から取り組んでいるところでございますけれども、人口が減るのを、急激な減少を食いとめるというところでも取り組んでいるわけですけれども、なかなかこのスピードは弱まっていないところでもあります。
 私も一般質問においても、県北・沿岸振興が図られたということはどういった状態なのかということを質問させていただいております。所得格差の是正なのか、人口の社会減の解消か、どういった状況なのかというところを聞いておりますけれども、具体的な県北・沿岸振興に取り組むことに対しての目標を伺いたいと思います。
〇竹花県北振興課長 県北・沿岸振興の目標についてですが、県北・沿岸振興本部において、4年ごとに基本方針を定めており、現在の第5期においては、持続的に発展する地域をテーマに、県北沿岸地域の豊かな地域資源を基盤に、地域の産業や社会におけるDXやGXを推進することで、新しい成長を実現するエリアを目指しているところです。
 具体的には、四つの基本方針としまして、市町村など多様な主体の参画と協働による先進的な地域づくりの推進、スマート農林水産業などデジタル技術を活用した産業振興や再生可能エネルギー資源を生かした地域振興、世界遺産や三陸ジオパーク、新たな交通ネットワーク等を生かした交流人口の拡大、東日本大震災津波の伝承や環境、地域の学習を通じた地域の未来を担う人材の育成を定めているところです。
 これらの基本方針に基づき、本庁の各部局、広域振興局が方向性を共有し、事業化を図り、全庁を挙げて県北・沿岸振興の取り組みを展開しているところです。
〇佐々木宣和委員 方向性とすれば、いわて県民計画(2019〜2028)の三陸防災復興ゾーンプロジェクトや北いわて産業・社会革新ゾーンプロジェクトに掲げている目標感も持ちながら、全庁的に取り組むというところであります。先ほど申し上げたとおり、社会減等は解消するように頑張っているわけですけれども、成果が見えづらいところもあるというところでございます。改めて、現状の認識に関して伺いたいと思います。
〇竹花県北振興課長 県北・沿岸振興の現状認識についてですが、県北・沿岸圏域は、人口減少と高齢化が全県に先行して進展しているほか、物価高騰や沿岸部の主要魚種の不漁などの課題も加わり、厳しい状況が続いていると認識しています。
 また、最新の令和2年度の市町村民所得を見ると、全ての圏域で減少しておりますが、沿岸圏域では5.2ポイント、県北圏域では1.4ポイントの減少となっています。
 県北・沿岸圏域は、三陸沿岸道路の建設などに伴う建設業の総生産の減少が大きな影響を与えており、今後は、県北圏域でもこの減少幅が拡大していくものと予想しています。
 こうした人口減少や市町村民所得の減少などの観点からも、なお一層の産業振興や若者の定着に向けた取り組みが必要と認識しています。
〇佐々木宣和委員 建設業の話も触れていただきましたけれども、東日本大震災津波のピークのときと比べて、今、2分の1ぐらいの発注量、発注金額なのかと思っておりまして、ゆり戻しというか振れ幅がすごい状況の中で、地域で頑張っていただける建設業の方々も大変つらい状況にもなっているところでありますし、先ほど申し上げたとおり、全体的に人口減少も進んでいる中で、どうやってその方向性を見出していくのかということを考えていかなければいけないと思っているところでございます。
 2つのゾーンプロジェクトに関して伺いたいと思います。これは推進の方向性として、まとめていただいているのは非常にありがたいと思うところですけれども、2つのゾーンプロジェクトにおける県庁と広域振興局の関係に関して、きのうの政策企画部でも話したのですけれども、北上川バレープロジェクトは広域振興局の事業も入っているような書き方になっているという現状ですけれども、地域振興のために、地域の未来像を掲げているプロジェクトでありますので、現場で頑張る広域振興局の方々にも携わっていただきたいと思っているところですが、本局と広域振興局の関係、2つのゾーンプロジェクトに関して伺いたいと思います。
〇竹花県北振興課長 広域振興局と本庁の関係でございますが、2つのゾーンプロジェクトにつきましては、ワーキンググループということで、全庁に加えて広域振興局もワーキンググループに入りまして、政策の検討並びに事業化につきましての話し合いをしています。
 また、北いわて産業・社会革新ゾーンプロジェクトを私は担当しておりますけれども、その中でも広域振興局との連絡、連携はしっかりとしておりますし、さらに、市町村との連携ということで、市町村と広域振興局と県庁ということで、一緒に取り組む体制で現場は当たっているところでございます。
〇佐々木宣和委員 その中で、一つ、今回、北いわて産業・社会革新ゾーンプロジェクトの中で非常にいいなと思ったのは、高校での脱炭素・未来ワークショップの開催、COI―NEXTというところで、プラチナ社会というもので、エコで資源の心配がなく、老若男女全員が参加し、物も心も豊かで雇用がある社会を目指すということで、理念的なものが強いことをどうやって広げていくのかというと、やはり共感、共有を広げていくことが重要だと思っていますけれども、この脱炭素・未来ワークショップはどんな内容で取り組まれるのかということを伺いたいと思います。
〇竹花県北振興課長 脱炭素・未来ワークショップは、COI―NEXTの取り組みの一環として実施しています。今、県立大学が中心となりまして、昨年度から一戸高校と葛巻高校におきまして、地域の未来像を、30年先、40年先の未来像を描いて、そこからバックキャストでこの地域にとって今何をすべきかということを皆さんでワークショップで検討しまして、SDGsとかその辺も学びながら、これから地域の未来をどういうふうに切り開いていったらいいのかということを教育するプログラムということで、今、2校で展開しているところでございます。
〇佐々木宣和委員 非常にすばらしい取り組みだと思います。若い世代もそうですけれども、これは今、仕事をされている現役の企業をやられている方々などにも、その理念なりビジョンを広めていく必要もあるのだろうと思うのですけれども、そういった部分の話はどういう取り組まれ方をしているのか伺いたいと思います。
〇竹花県北振興課長 脱炭素・未来ワークショップにつきましては、特に一戸高校においては、市町村からの提案で、地域の社会人の皆さんも参加していくようなプログラムを組もうということで、今年度から、試験的ではございますけれども、実施をしています。
 今後につきましては、高校だけではなくて、地域の特に若い世代の社会人に教育を広げていけるように取り組んでいこうと考えています。
〇佐々木宣和委員 ありがとうございます。前向きな取り組みが広がっていけばと思っているところでございます。
 最後に、社会減の話をしたので、一つ、一般質問のときに政策企画部に質問したのですが、第2期岩手県ふるさと振興総合戦略の中の社会減の数字を組み上げる上で、県は県で、令和8年に社会減をゼロにする。市町村は市町村で、それぞれの考え方で社会減をゼロにするということから人口の目標感を組み上げていく、人口ビジョンからやっているわけですけれども、2040年目標というのが平成27年に立てた人口ビジョンでは2万人ぐらいのずれだったという答弁だったかと思います。
 社会減の目標感としてはずれて、それぞれの計画が優先されるというか、つくるのはすごく大事なことなのだと思うのですけれども、要は、将来的にその地域をどうしていくのかというのを一緒に考えていくという面で、2つのゾーンプロジェクトも県が立ち上げている話でありますので、市町村がやりたいと言ったものではないのだけれども、県が主導して、市町村がこれはいいなと盛り上げていくような形にしていかなければいけないと思っているのですが、この2つのゾーンプロジェクトを盛り上げていくに当たって、県と市町村の連携をどうやって強化していくのかということを改めて伺いたいと思います。
〇竹花県北振興課長 市町村との関係でございますけれども、例えば、現在取り組んでいるバイオ炭による収益性の高い農林業の確立という取り組みの中では、民間企業と農業者に加え、市町村もこの中に加わりまして、一緒に取り組みをしています。
 今の段階では、今、私たちで基幹産業である農林水産業と再生可能エネルギー資源を活用した地域振興をやろうということで、県がリードをしてやっていく形になっておりますけれども、市町村もしっかりとそこについてきています。
 今後は、市町村の中から、実はいろいろな新しい取り組みは市町村が先行している場合も多いと、この2年間ですごく感じているので、そういった市町村の取り組みをしっかりと逆に吸収して、それを横展開するとか、そういったあたりもしっかりと考えていきたいと思います。
〇佐々木宣和委員 結局、人口減少対策に成功しているのは、市町村単位でないとなかなか成功例は見えないというところでもあるので、市町村としての特筆すべき取り組みをしっかり応援していくというのが大事かと思っております。
 その観点で、最後に、市町村要望への知事の出席に対する意味について伺いたいと思います。
 昨年、14年ぶりに知事が市町村要望に出席されたというところで、それ以前の答弁の中では、地域事情に精通する職員が対応するほうが合理的であるという理由で14年出席していなかったというところであります。合理的という表現も、私は何とも言えない部分もあるのですけれども、これから地域づくりをしていくに当たっては、それぞれの自治体のモチベーションをより高めていくということが非常に重要なのかと思っておりまして、改めて、この市町村要望に関して、知事が出席する意味をどう捉えているのか伺います。
〇中村参事兼市町村課総括課長 御指摘のとおり、今年度から広域振興局長とともに知事が要望の場に出席したところでございます。2団体を除き31市町村の要望に出席しております。
 市町村からも、知事が出席することに対しては好意的に受けとめていただいておりまして、当日も市町村長の挨拶などでもそのことに触れられていただいております。
 県と市町村が課題や方向性を共有して、連携してさまざまな政策課題の解決等に取り組んでいく上では、市町村と県との組織的な相互理解の実現に加えまして、知事が市町村長、あるいは幹部職員から直接要望を聞く機会も大事だと考えておりますので、令和6年度も継続していくこととしております。
〇佐々木宣和委員 効率的ではなくて、思いを持って仕事をしていくことが大事なのかと思いますので、マニフェストプラス39もなかなか難しい部分もありますし、先ほどのまちづくり会社の話なども、おもしろいのですけれども、どう実装していくのかということを御一緒に考えていけるといいのかと思います。
〇千葉盛副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後2時36分 休 憩
午後2時57分再開
〇千葉盛副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇菅原亮太委員 私からは、地域バス交通支援事業費補助、また、乗合バス運転士確保対策費補助について伺いたいと思いますが、先ほど先輩議員からもいろいろ質問が出ておりましたので、かぶらないところを質問させていただきたいと思います。
 まず、バス路線の維持を図るため市町村が行う路線の確保に要する経費を補助します地域バス交通支援事業費補助でございますけれども、私の地元の奥州市や金ケ崎町の話をさせていただきますと、奥州市は岩手県交通株式会社の水沢金ケ崎線廃止に伴って、地元の観光バス事業者に委託しまして代替バスを運行し、運賃についても、赤字分1、600万円を市が補助金として交付しておりますが、これについては、先ほどの御答弁にもありましたが、事業費補助の対象となるということでございましたので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 一方、金ケ崎町ですが、岩手県交通株式会社の北上金ケ崎線の廃止に伴う代替交通はなくて、岩手県交通株式会社が社用車で金ケ崎高等学校生を送迎するという方針をとるという形になりました。これについて、高校生以外の一般利用者は鉄道の利用を促すという形で、これも町議会でも、町も財政負担して代替交通の運行をという意見は出たそうでございますが、一から市町村が代替交通を確保するというのは、財政負担もあってなかなか難しいところもあるのかと感じております。市町村も2分の1の負担がありますので、一から代替交通を確保するという意味では、市町村と県が連携して、そういった代替路線の確保の支援といったところも必要かと思いますけれども、中には全額補助をという声もありますが、その辺について所見を伺いたいと思います。
〇山田地域交通課長 広域的なバス路線やその代替路線の維持確保につきましては、県と市町村で構成いたします地域内公共交通構築検討会や、国や県、市町村、バス事業者で構成し、広域補助路線ごとに開催しておりますバス路線活性化検討会におきまして、支援のあり方も含めて検討を行ってきたところでございます。
 また、代替交通の確保を含めまして、市町村における公共交通の維持確保に向けた財政負担は増しているものと認識しているところではございますが、広域的なバス路線について、県においても支援しているところであり、また、市町村が代替交通を確保する場合に県が補助いたします人口減少対策路線確保事業を令和5年度に創設するなど、支援に取り組んでいるところでございます。
 加えまして、住民の移動手段の確保に取り組む市町村に対しましては、特別交付税が8割交付されるところでございまして、引き続き、財政面も含めまして、県と市町村の役割分担のもと、公共交通の維持、確保に取り組んでいきたいと考えております。
〇菅原亮太委員 続きまして、デマンド交通についての取り組みについて伺いたいと思います。
 紫波町ではデマンド交通で、スマートフォンのアプリで出発地と目的地を予約して、AIで路線を決めてやっている。年中無休で8時から5時半まで運行して、収益の赤字分については町で負担していますが、年々利用者も増加している傾向で、負担分についても減少傾向にあると伺っております。
 一方で、ある市では、デマンド交通、電話で予約して、ファクスでタクシー会社に運行経路を連絡して、バス停も仮設で決められたところになっている。そこは1路線当たり乗車数も1.0を切っている路線もあると伺っております。
 こういうふうにデマンド交通をとっても、市町村ごとにそれぞれでデマンド交通に対する取り組み方に差があると感じております。これについて、県として、よい事例だったり、周知、共有という取り組み、またはICT機器、アプリ導入など、そういった経費補助について、どういった取り組みをされているかお伺いしたいと思います。
〇山田地域交通課長 デマンド交通でございますが、県内におきましては、19市町村におきまして、小型バスやタクシーによるものなどさまざまな形態で運行されているところでございます。
 そのうち、今、菅原亮太委員からも御指摘ございましたが、紫波町におきまして、令和2年度からAI配車システムを活用したデマンド型乗り合いバスを運行しているほか、九戸村におきましては、令和6年度からバス事業者によりましてAIデマンド交通を本格運行すると聞いているところでございます。
 菅原亮太委員御指摘のとおり、他の市町村における取り組みや先進的な取り組みを市町村と共有することは重要であると考えているところでございまして、市町村担当者向けの研修会等を活用しまして、優良事例等の共有も行ってきたところでございまして、引き続き、そのような取り組みをしていきたいと考えているところでございます。
 また、県におきましては、紫波町が行うデマンド型乗り合いバスの実証実験に対しまして、地域公共交通活性化推進事業費により支援をしてきたところでございまして、引き続き、市町村の取り組みを支援していきたいと考えているところでございます。
〇菅原亮太委員 そういった優良事例の周知、そして共有、また、必要な経費補助についても、ぜひ市町村と連携して取り組んでほしいと考えております。
 また、バス路線の維持については、人口減少において今後も路線維持のための補填、また、代替交通確保のための補助といったところ、増加の見込みがあるかと感じております。いかに赤字補填を少ない金額で抑えていくかというところも重要だと考えております。
 これまでの公共交通は、行政や交通事業者が担うというのが今まで当たり前だったと思うのですけれども、これからは車依存社会だったり、地域事情だったり、ニーズが異なりますので、これまでの公共交通の考え方でこれを確保、維持するのは難しいだろうと考えています。先ほど福井せいじ委員もおっしゃっていましたけれども、電車、バス、タクシーなど、いろいろな公共交通の組み合わせによる利便性の確保というところが必要になってくると思いますので、新しい交通ネットワークをつくる会、そういった形で住民の方にいろいろな選択肢を提供して、その人に合った公共交通利用というのをぜひ促していただきたい。意見でとどめますので、よろしくお願いいたします。
 次に、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランについて伺っていきたいと思います。いわて県民計画(2019〜2028)の居住環境・コミュニティについて、こちらのいわて幸福関連指標は、バス1人当たりの年間利用回数、そして、政策項目は地域の暮らしを支える地域交通を守る、その具体的推進方策は、広域バス路線の維持確保、地域の実情に応じた効率的な公共交通ネットワークの構築支援、最後に、地域公共交通の利用促進となっております。
 その具体的推進方策の関連目標は、1路線当たりの平均乗車密度と地域公共交通計画策定市町村数、そして、ノンステップバスの導入率となっておりますけれども、1路線当たりの平均乗車密度、地域公共交通計画策定市町村数、ノンステップバスの導入率の令和3年から令和5年までの推移について伺いたいと思います。
〇山田地域交通課長 こちらの指標につきましては、いずれの指標も令和5年度は取りまとめ前でございますので、令和3年度と4年度の結果という形になりますが、広域バス1路線当たりの平均乗車密度につきましては、令和3年度が2.7人、令和4年度が2.9人、地域公共交通計画等策定市町村数につきましては、令和3年度及び令和4年度は、いずれも20市町村、ただ、市町村から現在聞いているところでは、令和5年度中に3市町村が策定済み、もしくは予定ということになると聞いております。また、ノンステップバスの導入率についてですが、令和3年度が37%、令和4年度が40.4%となっているところです。
〇菅原亮太委員 1路線当たりの平均乗車密度とノンステップバスの導入率というのは、民間だったり市営の路線バスについての数値かと感じています。今後、先ほど言ったように、地域デマンド交通という新しい取り組みがふえていくに当たっては、地域デマンド交通に対する数値目標の設定も必要かと思いますが、それについて御所見をいただきたいと思います。
〇山田地域交通課長 デマンド交通などの地域内公共交通につきましては、利用者数の多寡にかかわらず、市町村が地域の実情に応じまして維持、確保してきたところでございます。運行の実情によりましては、指標の設定がなじまないといった場合もあることから、数値目標においては、市町村におきまして、必要に応じて設定するものと考えているところでございます。
 県におきましては、先ほど申し上げました地域公共交通活性化推進事業費補助によりまして、市町村が公共交通の再編に伴うデマンド交通やコミュニティバス等の実証運行に要する経費に対する補助を行ってきているところでございます。
〇菅原亮太委員 いずれにしても、市町村とぜひ連携をして、あらゆる交通政策についての手法について、改めて見直しをいただきたいと思っております。
 先ほどの地域公共交通計画策定市町村数についても、令和5年見込みとして23市町村という御答弁をいただきましたけれども、県が設定している目標としては令和5年は25市町村、令和8年までに33市町村という目標になっていますので、令和5年については未達という状況かと思います。
 地域公共交通計画策定というのは、先ほど言ったデマンド交通も含めたあらゆる公共交通についての公共交通計画でございますので、県として市町村長に対して早めの作成をぜひ指導、助言をお願いしたいと思いますし、また、なぜ策定が進まない市町村があるのかというところについても、改めてお伺いしたいと思います。
〇山田地域交通課長 一時的に、市町村におけます地域公共交通計画の策定につきましては、コロナ禍の時期になかなか実証運行ができなかったり、調査ができなかったりということで、とまっていた時期がございました。今年度あたりから、更新につきましても動き始めているところでもございますし、策定についても、先ほど申し上げましたように、3市町村が既に策定、もしくは策定予定という形になっております。
 また、令和6年度におきましても、ほかに3市町村が策定予定ということで聞いているところでございますし、令和6年度中に策定できるかわからないけれども、策定について動き出す市町村もあると聞いているところでございます。
 動きの鈍い市町村につきましては、計画を策定することによって、例えば、国庫補助を受けられる形になったりとか、そういった利益があるといったところを説明しながら、計画の策定につきましても促していきたいと考えているところでございます。
〇菅原亮太委員 先ほど御答弁いただいたように、国庫補助を受けられるというメリットもございますので、ぜひそこは県、市町村が連携して、策定について、ぜひ助言と指導をお願いしたいと思っております。
 この項目について最後になります。いわて幸福関連指標、バス1人当たりの年間利用回数と設定しておりますが、これについて、今後、上昇するのかというところは疑問には感じております。まず、令和3年から令和5年の推移についてと、また、先ほど申しましたが、デマンド交通と新しい公共交通政策がふえていくに当たって、目標値の設定も、このいわて幸福関連指標自体の設定についても見直し等をする必要があるのではないかと思いますが、御所見をいただきたいと思います。
〇山田地域交通課長 こちらの指標につきましても、先ほどと同じように、三セク鉄道とバスの1人当たり年間利用回数という形になりますけれども、令和3年度は10.2回、令和4年度は11回という形になっております。
 やはりこれは、新型コロナウイルス感染症の影響の長期化によりまして利用者が減少したことが原因でございます。この新型コロナウイルス感染症からの回復に加えまして、関係者と連携し、広域バス路線や鉄道路線の維持確保、地域公共交通の利用促進等、地域公共交通の活性化に取り組むことも見込み、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプラン、令和8年度の計画目標値は、コロナ禍前の令和元年度と同水準16.5回という形にしたところでございます。
 また、デマンド交通につきましては、先ほども申し上げましたとおりでございまして、現状、地域内公共交通で活用されておりまして、利用者数の多寡にかかわらず、市町村が地域の実情に応じて維持、確保してきたところでございまして、運行の実情によって指標の設定がなじまないといった場合もあると思っているところでございまして、県の目標には含めていないところでございます。
〇菅原亮太委員 わかりました。
 次の質問に移りたいと思います。
 乗合バス運転士確保対策費補助についてでございますけれども、改めて確認でございますが、これはバス事業者が新規採用で運転士を確保する際に要する経費を補助するという形でございますが、人材獲得競争が厳しい昨今ですけれども、バス会社さんの新規採用について、見込みがあるかどうかというところをまずお聞きしたいと思います。
〇山田地域交通課長 一部のバス事業者におきましては、基本給のベースアップを行っているところでございまして、従業員の待遇改善を図っております。バス事業者によりますと、コロナ禍で落ち込んだ採用者数は、今年度、大分回復傾向にあると聞いているところでございます。
〇菅原亮太委員 新規採用があるということで、今回の新しい事業である乗合バス運転士確保対策費補助についても、しっかりと新規採用について補助していくということで、わかりました。ありがとうございます。
 少し話は変わりますけれども、今、働き方改革で、休憩時間だったり勤務時間徹底の義務化等で、特に盛岡市などの都市部では、バスが朝から夜まで運行していますので、そうなると、1人で運行というのが2人必要になってくる。人手がさらに必要になってくる傾向にあると感じています。2月22日に政府、自由民主党会合で外国人への特定技能で新たにバス運転士も育成就労として追加する案が提示されまして、バス運転士は非常時の対応もありますので、日本語能力はほかの業種に比べて高い日本語能力検定試験を求めて要件を厳格にするという方針を打ち出しました。
 このように、バス運転士も外国人の方が働けるという流れに今後なっていくと思いますけれども、外国人バス運転士の雇用について、バス会社とそういった内容について、外国人運転士の必要な支援、または体制づくりについて、何か意見交換等はされているかどうか、そこだけお聞きしたいと思います。
〇山田地域交通課長 国におきまして、人材を確保することが困難な状況にあります産業分野において、外国人労働者を受け入れるために、在留資格である特定技能の対象に自動車運送業を追加し、バス等の運転士に一定の専門性、技能を有する外国人を受け入れる方向で検討に入ったということは承知しております。
 ただ、まずは国の動向を注視しつつ、バス事業者と本県の実情を踏まえながら、今後、意見交換を行っていきたいと考えているところでございます。
〇斉藤信委員 それでは最初に、国によるJR東日本のローカル線切り捨て問題についてお聞きします。
 ローカル線切り捨て問題の全国の対応状況、協議状況はどうなっているでしょうか。
〇中嶋地方路線対策監 ローカル線の全国の対応状況についてでございますが、新聞報道等で把握しているもので、網羅的なものではございませんが、まず、JR西日本管内では、改正地域交通法に基づく再構築協議会が、岡山県と広島県にまたがる芸備線において、JR西日本の要請により、本年1月に設置されているというところでございます。
 このほか、富山県にある城端線・氷見線については、JR西日本と沿線自治体の協議により、令和11年を目途に第三セクターのあいの風とやま鉄道に経営移管することが昨年10月に決定されたところです。
 JR東日本管内では、再構築協議会設置の動きは具体化しておりませんが、千葉県にある久留里線においては、令和5年3月にJR東日本が沿線自治体に、沿線地域の総合的な交通体系に関する議論の申し入れを行い、現在、両者で協議が開始されているところでございます。
〇斉藤信委員 JRローカル線維持確保連絡会議、路線ごとの沿線自治体会議の開催など、県内の対応状況について示してください。
〇中嶋地方路線対策監 会議の開催状況等についてでございますけれども、まず、県では令和4年11月に、JRローカル線維持確保連絡会議を開催し、国鉄改革からの経緯を踏まえ、国やJR東日本が当事者として鉄道を維持していくべきこと、路線ごとに沿線自治体首長会議等を立ち上げ、県及び沿線市町が連携を強化し、さらなる利用促進に取り組んでいくことについて、沿線市町と認識を共有しております。
 また、それに基づきまして、令和4年12月には、県と沿線市町と合同で、国やJR東日本に対し路線維持に向けた要望を実施したというところでございます。
 また、JRローカル線維持確保連絡会議での合意を踏まえまして、順次、沿線自治体首長会議等を開催し、路線の維持とそれに向けた利用状況の強化などを確認しているところでございます。
〇斉藤信委員 このJRローカル線維持確保連絡会議は、八重樫副知事が責任者になっていると思いますけれども、国鉄改革からの経緯を踏まえ、国やJR東日本が当事者として地域を支える重要な基盤である鉄道を維持していくべきだと、この基本は私は大変重要なのだと思います。
 そこで、直接の経緯は、コロナ禍で本当に一時期、JR東日本が赤字に転換したということなのです。利用客の減少というのもあるけれども。そこで、JR東日本の経常収支、内部留保はどうなっているか、これを示してください。
〇中嶋地方路線対策監 JR東日本が公表している連結決算の資料によりますと、経常利益は、令和5年3月期決算では1、109億円余の黒字となっております。
 また、利益剰余金、いわゆる内部留保でございますが、同じく令和5年3月期決算では、2兆1、320億円余となっております。
〇斉藤信委員 私がいただいた資料には、2024年3月期第四半期決算というのもあって、それを見ると、経常利益は2、596億円余、内部留保は2兆2、780億円余。どんどん利益、内部留保をふやしているのです。この内部留保というのは極めて限定された連結利益剰余金なのです。内部留保の定義というのは、それ以外にも資本贈与金とか有価証券の評価差額金だとかいろいろありまして、全労連が毎年大企業の内部留保を全部発表しているのですけれども、それによると、これは2023年の決算ですけれども、2兆9、043億円となります。だから、経営危機などという状況では全くない。利益をどんどんふやしている。2兆9、000億円でいいますと、関連会社を含めて1人当たり内部留保は3、109万円です。このぐらいため込んでいる。
 だから、私が最初に紹介したように、国鉄改革の経緯を踏まえて、こうした利益剰余金や内部留保というのは、全国の地域公共交通を維持するためにこそ使われるべきだと、私は強く求めたい。
 そういう立場で、もちろん地元でさまざまな利用促進の取り組みを強化することは大事だけれども、そこをしっかり踏まえて取り組んでいただきたい。
 次に、バス路線の維持、地方公共交通の確保について、さまざまこの委員会でも議論されました。まず第一に、県内のバス路線の廃止、減便の状況はどうなっているでしょうか。
〇山田地域交通課長 乗り合いバス事業者3社におきます県内のバス路線の減便、廃止の状況についてでございますが、一部のバス事業者において、令和6年4月から、主に運転士不足を要因とした減便や路線廃止が予定されており、平日296便、土日、休日177便が減便されますほか、県で把握している補助路線におきましては、国庫補助路線が3路線、県単補助路線が2路線の計5路線が廃止される予定となっております。
〇斉藤信委員 特に、令和6年4月1日ですから来年度ということになると思うのですけれども、平日で1日当たり296便減便になる。土曜日、日曜日、休日は177便ということで、改めてこの具体的な要因は何なのかということを簡潔に示してください。
〇山田地域交通課長 繰り返しになってしまいますが、いわゆる2024年問題を原因といたしました運転士不足が要因で、このような減便等を行うということでバス事業者からは聞いているところでございます。
〇斉藤信委員 それで、今回もさまざまな方から、乗合バス運転士確保対策費補助という取り組みをしようとしている、これは高く評価されていると思います。その背景となるバス会社の経営状況、運転士確保の状況を示してください。
〇山田地域交通課長 バス会社の経営状況についてでございますが、乗り合いバス事業者3社における令和5年4月から令和5年12月までの利用者数は約1、218万人で、コロナ禍前の令和元年度同期比で23.8%の減となっておりますが、令和4年度同期比では10.7%の増となっております。また、同期間の運賃収入は33億1、078万円余と、令和元年度の同期比で21.3%の減となっておりますが、令和4年度同月比では11.8%の増と、コロナ禍前までは戻っておりませんが、回復基調にあるとは認識しております。
 次に、運転士確保の状況でございますが、乗り合いバス事業者3社の運転士は、平成31年の835人から年々減少しており、令和5年には640人と、直近5年間で195人、平成31年同月比で約23.4%減少しているところでございます。
〇斉藤信委員 利用者と運賃収入については、令和4年度と比べれば回復傾向にあるということですが、運転士の確保は835人から640人とかなり大幅な、23.4%の減少、大変厳しい状況だということです。先ほどの答弁を確認しますけれども、運転士確保の補助金は36人分の運転士確保の予算で、全体で何人まで確保するという計画なのですか。
〇山田地域交通課長 県民が必要といたしますバス路線の維持に向けまして、令和5年度の運転士数である640名を維持するために36名を確保するために必要な予算を計上しております。
 この36名につきましては、過去4年間の実績から算出した離職者見込み数66名を乗り合いバス事業者3社の令和4年度の採用実績である30名を除いた人数として算出したものでございまして、66名をバス事業者が採用できるようにということを見込みまして算出したものでございます。
〇斉藤信委員 わかりました。積極的な対策だと私は思います。
 それと、デマンド交通について、私も質問しようと思っていましたが、先ほど答弁がありました。県内19市町村でデマンド交通が行われている。そこで、これは国の補助、県の補助はどうなっているのか、そのことだけ聞きます。
〇山田地域交通課長 デマンド交通に対する国の補助と県の補助でございますが、国の補助におきましては、フィーダー系統補助ということで、幹線路線につながる路線につきましては、新規のものであれば対象となると聞いているところでございます。
 また、計画の策定によりまして、その新規性要件を外すことも可能だということでございまして、国庫補助を取ることも可能な制度となっております。
 また、県におきましては、乗り合いバス事業者の運行する補助路線が廃止された場合には、県単補助である人口減少対策路線確保事業によりまして、市町村が必要な代替交通を確保する取り組みに対しては、補助が可能な制度設計としております。
 また、地域公共交通活性化推進事業費補助によりまして、市町村が公共交通の再編に伴うデマンド交通等を行う場合の実証運行に要する経費に対しまして補助を行っているところでございます。
〇斉藤信委員 わかりました。
 次に、市町村の会計年度任用職員の給与改定について、総務省は4月まで遡及してやりなさいという通知を何度も、12月末にも通知を出しているのですね。必要な財源が確保されていると。県内では11市町村が4月に遡及しなかったということになっていますが、なぜ遡及しないのか。国の財源を確保して4月まで遡及しないのか、これは会計年度任用職員の利益にかかわることです。この点について、市町村の事情、理由、どのように受けとめているか、今後改善される見通しはないのか示してください。
〇中村参事兼市町村課総括課長 市町村における会計年度任用職員の給与改定の状況でございますけれども、斉藤信委員御指摘のとおり、遡って改定しない方針の市町村は11団体となっておりまして、令和6年1月から引き上げ改定を行ったのが1団体、令和6年4月からの引き上げ改定を予定しているのが10団体と聞いております。
 遡及改定を行わない団体の理由といたしましては、多様な任用期間、任用形態の会計年度任用職員がおり、これらを考慮した給与システムの改修に時間を要すること、あるいは、個々の会計年度任用職員ごとに給料や報酬、期末手当、超過勤務手当などに係る増額分を算定する必要があり、多大な時間を要することということで遡及改定を行わないと聞いております。
〇斉藤信委員 極めてこれは残念です。会計年度任用職員というのは1年雇用で、給与、賃金も低いわけです。それを国を挙げて改善しようと。正規職員と一緒になって4月に遡及しなさい、その財源は確保していますと国会では繰り返しやって、12月末にも通知が出た。こういういいことについて、なぜそのとおり実施されないのか。県はどのように援助しているのでしょうか。
〇中村参事兼市町村課総括課長 県におきましては、総務省の通知等を踏まえまして、市町村へのヒアリングですとか市町村人事担当課長会議等の場を通じて、会計年度任用職員の給与改定等について、適切に対応するよう助言してきたところでございます。
 また、遡及改定を行わない11団体に対しましては、個別に人事担当課長等に対して遡及改定の実施に向け検討するよう助言等も行ってきたところでございます。
 しかしながら、市町村の給与改定におきましては、職員団体との交渉、あるいは、最終的には市町村議会で議論されて決定されるものとなっておりまして、いずれにしましても、県としては、今後もさまざまな機会を通じて助言等をしてまいります。
〇斉藤信委員 11団体というのは少なくない数ですよね。例えば、花巻市とか八幡平市とか、市段階でもあるのです。本当にこれは残念なことだと指摘をしておきたいと思います。
 最後の質問です。マイナンバーカードの問題について、マイナンバーカードの申請、交付状況はどうなっているでしょうか。
〇中村参事兼市町村課総括課長 最新の令和6年1月末現在の申請率につきましては、県全体で86.8%、交付率は、同じく77.8%となっております。
 全国平均につきましては、申請率が88.5%、交付率が78%となっておりまして、いずれも、おおむね全国平均と同程度となっております。
〇斉藤信委員 交付率が出ましたけれども、もっと正確なのは、恐らく保有枚数だと思います。保有枚数でいうと、岩手県は73.2%ということで、もう返したとか、なくなったとか、そういう実態があると思います。
 そこで、私は、マイナンバーカードと特に保険証の一体化については、県内の医療機関でも6割がトラブルが発生しているという告発が最近もありました。県としてどのようにこれを受けとめているのか。
 全国のマイナ保険証の利用状況は4.49%です。どんどん下がっています。厚生労働省の職員は4%ぐらいしか使っていない。とんでもない話です。制度に一番詳しい厚生労働省の職員が4%しか使っていないのだから、使い勝手が悪いということだと思うのです。それを強制する、強行する、今の使い勝手のいい保険証を廃止するというのは許されないと私は思うけれども、いかがですか。
〇古川デジタル推進課長 マイナンバーカードの健康保険証利用の状況ですが、2月29日に新しい数値が厚生労働省から公表されておりまして、全国で4.6%ということです。岩手県が5.78%ということになっております。
 また、医療機関でのトラブルに関してでございますが、12月にアンケート調査を保険医協会でやったということで、回答があったうちの6割ぐらい不具合があったと聞いているところですが、市町村からの具体の情報はいただいていないところでございます。
 いずれにしても、国では令和6年12月に健康保険証を廃止すると閣議決定しておりますが、マイナンバーカードによりオンライン資格審査を受けることができないような方々も一定数いらっしゃいますので、この方たちに対しましては、資格確認証が交付されるといった代替措置が講じられると聞いております。また、発行済みの健康保険証は、廃止日から最長で1年間有効ということで聞いておりますので、このような代替措置もやりながら、健康保険証との一体化については、広く国民の皆様から理解を得られること、あと、メリットや安全性について、国で丁寧に説明していただきたいと考えているところであります。また、県といたしましても……(斉藤信委員「もういい」と呼ぶ)失礼いたしました。
〇斉藤信委員 最後に、参考人の招致についてお願いしたい。自由民主党県連の2022年度政治資金収支報告書の虚偽報告について、私は一般質問で取り上げ、幾つかの課題も提起いたしました。これは事件性のある、政治資金規正法違反にかかわる問題で、会計責任者は現職の県議ですから、現職の県議に参考人として出ていただきたい。よろしくお願いしたい。
〇千葉盛副委員長 今の斉藤信委員の発言については、世話人会で後日協議したいと思います。
〇小林正信委員 私は、沿岸地域へのまちづくり会社の設立について、先ほど臼澤勉委員からも質疑がございましたけれども、先日、私が一般質問した際に知事が答弁いただいたこと、公益財団法人さんりく基金や三陸DMОセンターが果たしている役割を発展させ、三陸振興に資するようにしようというものだという答弁をいただきました。公益財団法人さんりく基金については、これまで交流人口に資するイベントや商品開発、サービス提供事業に助成を実施してきたと理解しております。この公益財団法人さんりく基金のこれまでの取り組みについてお伺いしたいと思います。
〇森沿岸振興課長 県の出資法人であります公益財団法人さんりく基金の取り組みでございますが、三陸地域等の振興を図るため、産学官の研究交流及び市町村等の主体的な取り組みを支援しておりまして、令和5年度におきましては、交流人口の拡大に資するイベントの開催や、新商品、地域サービス開発に対する助成のほか、基金内に設置しております三陸DMОセンターにおいて、三陸地域の観光人材の育成や観光情報等の発信、広域連携によるプロモーションなどの取り組みを実施しております。
〇小林正信委員 この公益財団法人さんりく基金においては、調査事業を実施されているということで、特に平成30年に行われた三陸総合振興推進体制可能性調査については、さまざまな団体、機関との連携の強化、また、それをまとめる中核組織とその組織の行うべき七つの事業についても調査結果において示されている。調査では、今後の取り組みとして、岩手県と連携して推進体制の設置、手順などに関し検討を進めるとしております。
 この推進体制の事業を見ると、知事が目指しておられるまちづくり会社にも通ずるものがあるのかというふうに私は感じました。この調査事業における推進体制について、県としてどのように捉えているのかお伺いしたいと思います。
〇森沿岸振興課長 こちらの調査の結果、報告がございました七つの取り組みにつきましては、公益財団法人さんりく基金、三陸DMОセンターが現在果たしている役割をさらに発展させる際の基本となるような考え方であると考えております。
〇小林正信委員 県としても、この平成30年の調査結果についてはしっかりと把握をして、それを生かしていこうというふうには考えておられたということでよろしかったでしょうか。
〇菅原副部長兼ふるさと振興企画室長兼県北・沿岸振興室長 三陸総合振興体制の検討につきましては、県におきまして、平成27年度ぐらいから検討を進めてきておりまして、その目的といいますのが、復興の先を見据えた三陸地域の総合的な振興ということでございます。それは復興需要が減少していくという一方で、三陸沿岸地域につきましては、復興道路の整備でありますとか、三陸鉄道が山田線が移管されて一貫経営ということで一つにつながるといったことで、三陸地域が縦に一本で広域的につながるということがありますので、こうした三陸地域の魅力を高めて、全体として発信をして、三陸地域全体で人を呼びこんでいこうという考え方によるものでございます。
 そういう観点から、平成27年度には観光庁でDMОの候補法人登録制度というものが打ち出されまして、直ちにそれを活用して設置したのが三陸DMОセンターという形になります。
 また、交流人口の拡大という形では、令和元年度に三陸防災復興プロジェクト2019を開催いたしまして、三陸地域の魅力の発信、交流人口の拡大ということで取り組んでまいりまして、段階的には総合振興体制ということを検討してきているところでございます。
 また、今回、知事のマニフェストプラス39でも、まちづくり会社というところがありますので、知事からは公益財団法人さんりく基金、そして三陸DMОセンターをさらに発展させていくものということで、現在担っているような地域振興、あるいは交流人口の拡大といったところを発展させていくということでございますけれども、調査研究の中には七つの領域ということで、プロモーションや商品開発などいろいろなことがあったと思いますけれども、まずは、現在担っている交流人口の拡大というところを基軸にしながら、どういった事業を展開していけばいいのかということで、さらに市町村とも議論を深めながら検討を進めてまいりたいと考えております。
〇小林正信委員 わかりました。
 新しい三陸振興推進費について、具体的な内容については、先ほど臼澤勉委員から詳しく質疑がございましたので割愛いたしますけれども、1点、この事業は、ここ数年は三陸地域の総合的な推進を図る事業内容ということでございました。そして、令和6年度からは推進体制の検討の文言が入ってきた。これまで推進体制の検討というのは、新しい三陸振興推進費においてはなされたのかどうかということをお伺いしたいと思います。
〇森沿岸振興課長 新しい三陸振興推進費でございますが、こちらの中身といたしましては、三陸地域の市町村と関係団体による協議の場であります三陸振興協議会の運営の経費も盛り込まれているところでございまして、こういった場を通じまして、市町村、関係団体と意見を交換し、今後の三陸振興体制についても意見交換をしてきていたところでございます。
〇菅原副部長兼ふるさと振興企画室長兼県北・沿岸振興室長 新しい三陸振興推進費でございますけれども、三陸防災復興ゾーンプロジェクトを推進するということで、主に交流人口の拡大に向けまして、三陸の地域資源の活用ということで、特に、三陸地域の特徴として、防災学習をメーンにして、企業や大学生などを誘致する取り組みを進めてきたところでございます。これによりまして、三陸地域の総合的な振興を図る推進体制の検討ということで、令和6年度につきましては、専門家から意見を聴取したり、先進事例の調査をするといった経費を新たに盛り込んでいるところでございます。
〇小林正信委員 先ほど申し上げた平成30年のさんりく基金の調査ですけれども、これにはかなり具体的に七つの事業が示されていて、その一部分にDMОとか観光の部分も入っている。三陸地域の総合的な推進には、この調査が示したような体制の整備が重要だったのだろうと思います。その取り組みは、もっと早い段階で進められるべきではなかったかと思います。先ほど平成27年からさまざま考えてこられたということ、あるいは、それを受けてDMОの登録もしたということでしたけれども、ただ、ふるさと振興部長も先ほど、全体像はこれから議論という答弁をされておられましたけれども、新しい三陸振興推進事業は数年にわたって計上されてきた事業で、その中である程度の形をつくっていくべきではなかったかと思います。
 先ほど来も、県北・沿岸地域の人口減は待ったなしの状況という非常に厳しい質疑がございました。体制の検討というお話をされましたけれども、令和6年度で体制を整備するぐらいのスピード感を持ってやっていかなければ、三陸地域の人口減に対応はできないのではないかと思います。スピード感を持ったまちづくり会社もそうですけれども、目指しての取り組みというところの決意というか、方向性、スピード感を持った取り組みにしていただきたいと思いますけれども、御答弁をお願いしたいと思います。
〇熊谷ふるさと振興部長 まちづくり会社の検討スケジュール等につきまして、方向性につきましては、先ほど御答弁申し上げたとおりでございます。
 三陸地域の総合的な体制につきましては、平成27年から調査研究ということで報告が出され、逐次、やれるところからやってきたところでございます。それが三陸防災復興プロジェクトになり、そして、防災学習における三陸地域の振興、交流人口の拡大、そういったことで可能なところからやってきているところでございまして、小林正信委員御指摘のとおり、早くということはそのとおりだと思います。まずは市町村、関係団体と議論を進めたいと思います。
〇小林正信委員 よろしくお願いします。
 海洋再生可能エネルギーの導入促進について、昨年、ふるさと振興部の科学・情報政策室が中心となった部局横断の検討チームを設置して、海洋再生可能エネルギー、当面は久慈市の洋上風力発電の実現に向け力を入れていかれると思いますけれども、検討チームにおける会議の開催状況とか協議の内容について、お知らせいただければと思います。
〇佐藤科学技術課長 この検討チームにつきましては、海洋再生可能エネルギーの導入に向けまして、庁内の関係部局による推進体制を構築して、施策の検討や取り組みの強化を図ることを目的として、昨年9月に設置したところでございます。これまでチーム員会議を2回開催しております。
 この会議におきましては、海洋再生可能エネルギーの導入の推進に向けた取り組み経過及び今後の取り組みについて共有したほか、オブザーバーとして参画していただいております資源エネルギー庁から洋上風力発電の案件形成に係る現状と課題等について講演いただいたところでございます。
〇小林正信委員 国もオブザーバーとして参画して、資源エネルギー庁が講演も行ったということで、これまでも国との連携は十分行ってきたと思いますけれども、今後、さらに国との連携が充実されるものだろうと期待をしております。
 また、地域住民、あるいは、漁業者に対する丁寧な説明と十分な理解、これも重要だと思います。今後は、県としても久慈市沖における実現に向けて、久慈市とも連携をしていかれると思うのですけれども、県としての導入促進に向けた今後の取り組みについて、どのようにお考えなのかお伺いして終わりたいと思います。
〇佐藤科学技術課長 久慈市沖の洋上風力発電の実現に向けては、やはり漁業者の理解というところが非常に重要になってきますので、これまでも継続してやってきたのですけれども、久慈市と共同で県内の漁業者に対する説明会の開催、あるいは、関係省庁と相談しながら、全国規模で操業する漁業団体との協議を行いまして、合意形成に努めていきたいと思っております。
 また、知事許可漁業者、地元の漁業者だけではなくて、全国規模の大臣許可漁業者といったところも対象になってきますので、引き続き、国の協力も得ながら、漁業者の理解を深められるよう、県として取り組んでいきたいと考えております。
〇田中辰也委員 私から3点お尋ねをいたしたいと思います。
 まず、デジタル人材の育成についてお尋ねをいたします。
 二戸地域デジタル人材育成研究会の報告によりますと、地域内でのデジタル人材の育成が急務であるとしております。デジタル人材の育成については、県内各地で行われるものと思っておりますが、県北地域におきましては、北いわてプラチナシティ推進事業費があります。この構想も踏まえながら、どのように進めていくのか県のお考えを伺います。
〇竹花県北振興課長 二戸地域デジタル人材育成研究会ですが、本研究会は、地域に人と産業を残すために必要な企業等のDXの推進とそれを担うデジタル人材の育成を検討することを目的に、これは市町村からの提案で、二戸地域の行政や企業など18機関が参画し、令和5年4月に設置し、活動してきました。
 この研究会においては、令和5年12月21日の最終報告会で、企業経営の革新につながる生成AIに関するリスキリングや学校教育に地元企業が参画することで、実践的な知識習得とキャリア教育を担う、カシオペア地域まるごとマイスタースクール構想などの提言をいただいたところです。
 県では、この提言を受け、令和6年度の北いわてプラチナシティ推進事業費の中に、企業向けに生成AIリテラシー研修と、北いわて企業経営DX促進費補助を新たに盛り込んだところです。
 また、学校向けには、地域企業の学校教育への参加などについて市町村間での話し合いが始まっており、現在、県としては広域連携や支援のあり方を検討しているところです。
 今後につきましては、この二戸地域の実証をまず早期に進めるところに注力いたしまして、その成果、課題を踏まえて県内各地へ展開していけるよう、関係部局と連携して進めていきたいと考えています。
〇田中辰也委員 御答弁ありがとうございます。せっかくこういう地域が盛り上がってというか、自分たちが将来をこういう形にしていきたいという発想が出ているときにこそ、県が適切なサポートをしながら進めていくことが大事だと思いますし、そういう成功例をつくっていくことで、またほかの地域に進めていくことができると思いますし、その強みを地域の振興に生かしていくことが大事だと思っていますので、具体的には企業間の取り組みとかその辺までしか決まっていないということです。その辺をもう少し、市町村、また企業さんの意見等も組み入れながら、鋭意進めていっていただきたいと思います。
 続きまして、地域交通の確保についてお尋ねをしたいと思います。
 先ほどから路線バスとかローカル線の話が出ておりましたが、その中でデマンド交通の話も出ました。今、市町村単位でデマンド交通を運行しているわけです。それは地域公共交通会議とかさまざまな問題があって、エリアが限定されているというのが実情であります。その中においても、例えば、橋を渡ると隣町になって、そちらの人がなかなか使えないという状況もあります。しかしながら、生活圏は一体なのです。そういうところの利便性をしっかりと高めていくことが地域交通を確保していくためには必要なのではないか。そのためには、もう少し広域的な活動をしていかなければならないと思うところでございます。
 生活圏をともにする地域の利便性向上を図るために、デマンド交通の現状の課題と今後の対策について伺いたいと思います。
〇山田地域交通課長 広域的な地域交通の確保ということでございますけれども、課題といたしましては、人口減少や新型コロナウイルス感染症の影響の長期化によります利用者の減少、運転士不足などを要因としました減便等が課題と認識しているところでございます。
 県では、広域的な移動ができますよう、広域的なバス路線を維持、確保するため、補助路線に対する運行欠損額を補助しておりますほか、乗り合いバス事業者の運行する補助路線が廃止された場合に、県単補助である人口減少対策路線確保事業、これはデマンド交通でも対象とすることが可能でございます。こういった事業によりまして、市町村が必要な代替交通を確保する取り組みに対する補助を行っているところでございます。
 加えまして、新たな運転士確保策として、令和6年度当初予算案に乗合バス運転士確保対策費補助を計上したところでございます。
 また、新しくデマンド交通等を運行したいということであれば、地域公共交通活性化推進事業費補助によりまして、市町村が公共交通の再編に伴いますデマンド交通やコミュニティバス等の実証運行に要する経費に対する補助を行っているところです。
 個々のバス路線の課題に対しましては、国や県、市町村、バス事業者で構成し、広域補助路線ごとに開催しておりますバス路線活性化検討会において検討を行ってきているところでございまして、引き続き、関係者と連携し、県民にとって必要な移動手段の維持、確保に取り組んでいきたいと考えております。
〇田中辰也委員 私の質問が悪かったのだと思いますが、広域の移動は、基本的には、県としてバスでやるという形なのでしょうか。私が今言っているのは、デマンド交通はそれぞれの市町村でやっているのだけれども、相互に入り合いができないわけです。入り合いをできるように県が調整をしたり、そういうことをやっていったほうが、現実的には、バスだって空の箱を運行しているようなものなので、それよりもオンデマンドでしっかりとつないでいったほうが利便性は高くなるし、経費もかからないと思うわけですが、そういうことは検討できないのでしょうかという意味の質問です。
〇山田地域交通課長 広域的なデマンド交通ということでの御質問だと思います。それがなぜ普及しないかという原因だと思いますが、以前、少し聞いたことがございますが、広域的な区域を運行するデマンド交通となりますと、広くなればなるほどルート設定などが難しく、特に、ドア・ツー・ドアのようなものになりますと、非効率なルート設定になったりとか、地域内公共交通であってもなかなか難しい状況だということを聞いたことがございます。
 一方で、今、橋を渡ったらというお話もございましたけれども、狭い区域で市町村間で事情があるといった場合には、デマンド交通をやるという方法はあるかと思われます。
 それが補助路線の代替交通であれば、先ほどから申し上げております代替交通への補助ということは可能でございますし、有識者を派遣することによりまして、どのような方法でうまくやっていくことができるだろうかということで、助言を受けながらルート設定をするとか、あるいは区域の設定をするといったことも可能でございます。そこのところは公共交通活性化推進事業費補助による支援も可能でございます。
 実際、市町村をまたいだ形での広域的な観点での公共交通を維持していく必要があるということで、盛岡地区におきましては、盛岡市と滝沢市、矢巾町におきまして、広域的な都市圏で公共交通計画を策定しようという動きがございますし、ほかの市町村におきましても、広域的な観点で計画を策定してはどうかというような動きが出てきているところでございます。
 県としましては、そういったところにつきまして支援をしてまいりたいと考えているところでございます。
〇田中辰也委員 広域的な視点でやっていくことが非常に大事で、路線バスの廃止だ、存続だという話については、市町村間をまたいだりするので、各首長間とか担当間で協議しながら進めていくということはよくある話なのですが、それに加えながら、デマンド交通的な運用についても、一緒に取り組んでいくという形で、地域公共交通会議とかそういうのは広域化しながら、県も間で骨を折ってもらいながらやっていただいたほうが、非常にうまく回るのではないかというのが実感です。
 地域公共交通会議なのですけれども、事業者がふえればふえるほどまとまらなくなるので、その辺を一番苦慮するところなのです。そこをしっかりと県でも骨を折っていただくことが大事なのかと思いますが、どうでしょうか。
〇山田地域交通課長 意見調整等、大変なところがあるということは我々も重々承知しているところでございますが、そういったところには、県としましてもしっかり参画しながら、地域公共交通を守っていくということにつきましては、積極的に参加はしていきたいと考えているところでございます。
〇田中辰也委員 ぜひとも地域に有用な形で、利便性を高めた交通体系ができるように、また、県でも骨を折っていただきたいと思います。
 最後に、市町村支援について、昨日の総括質疑でもお尋ねをいたしましたけれども、またお聞かせ願いたいと思います。
 市町村行政デジタル化支援事業や市町村間連携支援事業においては、真に市町村に寄り添った事業でなければ効果が発揮できないと思うところでございます。これまでの成果を踏まえまして、来年度の取り組みについて伺います。
〇古川デジタル推進課長 まず、市町村行政デジタル化支援事業についてでございます。こちらは、市町村における行政手続のオンライン化を推進するために、県で現在利用しております電子申請システムを市町村にも共同で利用いただくという内容でございます。
 令和5年度におきましては、希望する市町村が参加して昨年6月から実証実験を行ってまいりました。諸課題の検証や利用に向けた研修会等も行って、最終的に九つの市町村から共同利用への参加申し込みが寄せられております。費用負担の割合など共同利用の開始に必要な事項を整理したところでございます。
 これを踏まえ、令和6年度は、希望のあった9市町村と県との間で協定を締結いたしまして、共同利用を開始するところとしております。
〇中村参事兼市町村課総括課長 市町村間連携支援事業についてでございますけれども、これは先ほども若干説明しましたが、現在、県内の市町村におきましては、盛岡連携中枢都市圏ですとか、あるいは、一関・平泉定住自立圏など四つの定住自立圏が行われておりまして、例えば、図書館の相互利用ですとか、あるいは、入札参加資格の共同審査システムの導入、あるいは、広域でのごみ処理施設の整備に向けた検討など、さまざまな共同の連携の取り組みを進めております。
 こうした市町村間連携の取り組み拡大に向けまして、令和6年度から、主に連携が進んでいない市町村を対象といたしまして、広域連携の必要性ですとか、あるいは取り組み事例等の理解促進を図るための講演会ですとか勉強会を実施いたしまして、市町村間連携への関心を高め、さらなる連携を進めていきたいと考えております。
〇田中辰也委員 デジタル化支援につきましては、本当に喫緊の課題で、市町村も、特に町村部は人が少なくなってきておりますし、職員の確保も大変になってきているというところで、有効なデジタル化を進めていくことが行政運営に有効だと思っていますので、ぜひとも積極的に支援をしていただきたいと思います。
 その中で課題と思っているのが統計業務です。さまざまな統計がいろいろなところから来て、本当に手間がかかるのです。これを統一化というか、例えば、県で同じようなフォームをつくって、そこにデータを入れてしまって、あとは勝手に吸い取ってくれという形にすれば、行政事務が非常に楽になるのですけれども、そのようなことを考えるお考えはないでしょうか。
〇古川デジタル推進課長 今、お話のあった内容というのがオープンデータの取り組みに共通してくる内容だと認識しております。オープンデータというのがデジタル庁で行政機関の持っている情報を積極的に公開して、みんなで利用していきましょうということで、標準的なフォーマットなども示されております。そういう考えにのっとって、時代の流れが市町村の事務で同じものは共同で、同じようなフォーマットでというのがはやりでございますので、いずれ、連携して取り組みを進めていくための手段として、そういうことは重々認識して取り組んでいきたいと思います。
〇田中辰也委員 そういう形で、デジタル庁でも進めていくという方向はある程度出てきたと理解してよろしいかと思います。できる限り、そういう無駄なと言ってはいけないけれども、労力をかけなくていいところはかけないような形でやっていかないと、今後ますます大変になると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 その次に、市町村間連携支援事業という形で、今、市町村課総括課長からいろいろ答弁いただきましたけれども、非常に大事な視点だと思いますし、公共施設もそうですし、いろいろなものについて、特に小さな町村部は維持するだけでも大変なことになってきていますので、その辺を広域でさまざま運用していくということは、今後、非常に大きなことだと思っておりますので、そこをしっかりとサポートしていただきたいと思います。
 しかしながら、各市町村とも文化やこれまでの動き方がさまざま違うので、なかなかうまくまとまることと、まとまらないことがありますので、そこは間に県がコーディネーターとして入りながら、しっかりとやっていただきたいという思いをしているところです。
 そこで、この間、県北広域の行政連絡会議でも各首長から、県が我々のことをわかっているのかという声が大きく出ていました。そこは市町村側としては欲求不満がたまっているのだろうという思いをしています。私は、いろいろな問題を県も理解しています、市町村も県の考え方を理解しています、相互理解が必要だろうと思っています。
 その中で、いろいろな議論が出ていましたけれども、人事交流で、例えば、企画部門とか政策部門に県の職員が行って、逆に、県にも、例えば広域振興局に市町村の職員が行って、その地域政策について、共通のテーブルで議論していくという形は考えられないのか。そういうことをやっていかないと、なかなか理解が進んでいかないのではないか。広域振興局単位でそれをやることであれば、そんなに負担にもならないでやれるのではないかという思いをしているのですが、いかがでしょうか。
〇中村参事兼市町村課総括課長 田中辰也委員御指摘のとおり、市町村によってさまざまな意見がございまして、なかなか調整が難しいということを私も理解しております。
 今回、こういう事業を立ち上げまして、その事業の実施に当たりましては、本庁と各広域振興局に新たに配置される特命課長、人口減少対策ですけれども、自治体連携についても連携して取り組んでいただくという形にしておりますので、今回新たに配置する特命課長を活用しながら、いわゆる市町村のニーズや課題を把握していただいて、あるいは、市町村のやりたいこともありますので、そういう意向を確認していただいて、効果的な連携の支援につなげていければと考えております。
〇田中辰也委員 先ほど御答弁いただいたように、県のやりたいこと、市町村のやりたいことの方向性がばらばらになってしまうと非常にまずい。方向性を同じくしてやったほうが力が2倍にも3倍にもなっていくということだと思いますので、しっかりとその辺の連携をとるための政策につきまして、まず市町村と意見交換しながら進めていっていただきたいと思います。
〇飯澤匡委員 それでは、私は2年前ですか、県立大学理事長の高過ぎる報酬について指摘をさせていただいて、もうそろそろ、この件についてはやめたいのです。しかし、御当人並びにその所属する機関からさまざまな動きがありまして、それに対しては、私の感じているところを指摘せざるを得ないということで質問させていただきます。
 常任委員会でもこの件については質問させていただきましたが、今日まで、この問題については、ふるさと振興部長もしくは知事が答弁をしていただきましたので、その流れをしっかり保つ意味で、今回質問をさせていただきたいと思っております。
 まず、さきの決算特別委員会で、新聞報道があった問題について、河北新報社が取り上げて波紋を呼んでいるという件について、五味監査委員にもコメントをいただきましたし、その内容については、大きく波紋を呼んでいる問題であるから説明責任が必要であろうというようなお話でありましたし、そのとおりだと思います。
 まず第1点として、この説明責任という点において、県はこの間、何をやってきたのか。突然の質問ですけれども、やってきたことを言えばいいわけですから、この点について明らかにしていただきたいと思います。
 それからもう一つ、ふるさと振興部長も私の指摘に対して、成果物という点については、なかなかはかれない。要は、1.5倍強になっている部分に対する費用対効果といいますか、その根拠を示すもの、成果物を示せと言った場合に、なかなか示せないという答弁でありましたが、現時点で県内就職率でありますとか結果が出ておりますので、その点も含めて、成果物について、主張することがあれば教えていただきたいと思います。
〇本多学事振興課総括課長 まず1点目、さきの9月定例会の決算特別委員会において、増額について、丁寧に説明を尽くしていく必要があると答弁した件につきまして、その後、県で行った行動といたしましては、代表監査委員からも報酬が増額した事実に対し、丁寧に説明を尽くすべきとの答弁があったことなどについて、県議会での議論とあわせ、県立大学にその内容を通知しているところでございます。
 また、成果についてでございますけれども、これまでも御答弁申し上げているところではありますけれども、大きく大学全体の成果といたしましては、県立大学は知の拠点としての地方創生でありますとかDXに関する取り組みを着実に推進している。
 その中で、具体的にはということで、例えば、地域政策研究センターでは、令和5年度から新たにウェルビーイング研究部門を開設して行政への政策展開への助言等を実施している。さらに、県との連携協定を踏まえまして、北いわて産業・社会革新ゾーンプロジェクトでは、北いわての地域課題解決や産業振興への研究活動を強化してきた。
 さらに、この特別委員会でも出ておりますが、東京大学との連携によるCOI―NEXTの取り組みでは、県北地域の市町村を中心に学びの拠点整備やまちづくり学習などを推進している。さらに、令和5年4月に設置した防災復興支援センターでは、県や市町村等と連携した調査研究や人材育成に取り組んでいるところでございます。
 さらに、大学以外と連携した取り組みといたしまして、いわて高等教育地域連携プラットフォームにおきましては、県立大学が中心になりまして、岩手医科大学や岩手保健医療大学などの看護系大学と連携して医療看護検討部会を立ち上げて、高等教育における看護系人材のあり方や地元定着について調査研究を行っているというところでございます。(飯澤匡委員「わかりました。いいです」と呼ぶ)よろしいですか。もっとあるのですけれども。
〇飯澤匡委員 わかりました。いっぱいあると。大変よく探したのでしょう。その努力は認めます。時間がかなり食われちゃったから、ひどいのだよ、これ。
 その後、きのうも質問しましたが、いきなり質問書を3回にわたって報道された河北新報社に送っているわけです。その内容はマスコミ各社にも1月12日に投げ込みされて、多くのメディアの方々が知るところとなったわけでございます。
 その感想は、ほとんどのメディアの方から失笑を買ったというような内容でありまして、極めて自分たちが報道されるのが気に入らない、要は、取材もちゃんとやっているのかということの答弁では、ちゃんと2回やっていますよというような回答が出ていますし、それから、自分たちの意に沿わない学識経験者に対しても、なぜ私たちを肯定することも載せないのかと。普通では考えられない、新聞社はメディアの責任において、県議会でも起こった問題提起をしっかり取材してやったものと私は思います。この間の常任委員会の答弁では、学校法人格において質問書を送っているわけですが、ふるさと振興部副部長の答弁では、当事者間でやっている問題ですから、当該部局については関知をしないというような答弁でしたが、ふるさと振興部長はそのような認識でよろしいのですか。
〇熊谷ふるさと振興部長 常任委員会で当部副部長が御答弁申し上げたとおり、法人として適切なプロセスで理事長報酬が決定されたにもかかわらず、公式コメントを求めることがないまま記事が掲載されたことについて、当事者間で確認を行ったものであると認識しております。
〇飯澤匡委員 法人格でやったということで、いいのですか。県立大学と河北新報社でやったということで、もう一回確認します。
〇熊谷ふるさと振興部長 10月20日、10月25日、11月29日の質問書の送付は、法人格として行ったと認識しております。
〇飯澤匡委員 そこで、新たな事実として、きょう新聞報道もされましたけれども、2月27日付けで千葉茂樹氏の代理人が同じような質問書を、今度は河北新報社の社長宛に送っているわけです。その内容についても、肖像権の問題であるとか、呼称の問題であるとか、なぜ自分の名前だけフューチャーアップするのかという内容であります。
 以前にも質問書の回答として投げ込みをしたときには、記事の訂正を求めるというような行動を起こしているわけですが、個人でまた質問書を送るということについて、これはこれでおもしろくないからやったのでしょうけれども、それ以前に法人格でやったということは、個人が思っていることを県立大学の法人を利用してこういうことをやっているという一つの査証ではなかろうかと思うわけです。要するに、県立大学の理事会のマネジメントとして、こういう体制でいいのかという問題意識を私は持っています。
 理事会等でこういうのが諮られて、県立大学の法人格でこういう質問書を送ったかどうか。その経過については、あなた方は把握していますか。
〇熊谷ふるさと振興部長 今朝の河北新報の朝刊で私も読みまして、代理人弁護士が2月27日付けで文書を送ったという事実につきましては、これは初めて伺ったところでございます。新聞報道を通じてわかったところでございます。
 さきの法人格として質問書を送った部分については、大学法人として適切な決裁を得て行われたものと理解しております。
〇飯澤匡委員 理解ではなくて、あなた方は監督する部門でありますので、個人名が出て、さらに追いかぶせたように質問書を送ったということは、要するに、個人の怨恨と言ったらいいか、適切かどうかわかりませんけれども、悔しくてしようがないので、またやりましたという感じを、さきに法人格でやったということ、この流れは、まさしく法人が利用されたと私は思っております。この件については、もう一回調査してください。
 それから、私が最も懸念するのは、このように執拗に3回も送付されたということ。これは県立大学の教育機関としての格が問われる事態になってしまったのではないか。要するに、県立大学の理事会に対する運営が本当にうまくいっているのかどうか。今回、個人で質問書を送ったということは、理事会の理事長の整合性というものが、まさに明らかになったのではないかと思います。
 この点については、以前から、私は県職員の方々からの投書によっていろいろな懸念材料を本会議でも申し上げました。まさに同じような状況が起こっていると思っております。
 心配すべきは、県立大学が本当に公立大学の主体として、県立大学の目的を達成するための運営主体になっているのかどうか、期待されるものになっているのかどうかというのが私の問題提起です。今回の執拗なまでの3回の質問の送付とかを見ていて、私は非常に心配しています。大学でこういう運営がされて本当にいいのかどうか。
 それから、成果については、今、るる述べられましたけれども、この間の常任委員会でも質疑が交わされたところですが、12月時点で県内の就職率は、コロナ禍前と比べても落ちているわけです。成果が上がっていないわけです。県立大学理事長に前副知事を充てたというのは、もちろん県立大学のこともよくわかっているし、自分に対する使命感というのもしっかりわかった上で行っているし、皆さん方もそれを期待して行っているのに、コロナ禍が明けて、ことしは5類感染症に移行して初めての就職率が出たわけですから、まさに真っ当な数字が出たのではないか、正確な数字が出たのではないかと思うのです。全く結果が出ていないのです。結果が全てですから。
 要するに、増額をしたプロセスについても非常に不透明であるし、結果について、出ていないということに対して、監督部局であるあなた方は、そしてまた、3回にもわたって自分たちの意に沿わない、みずからの地位を保全するためだけの質問書を送ったということに対して、あなた方はこれからどういう行動を起こすのか。私は、大学の内部のガバナンスについて、もっとしっかりとした調査をすべきだと思いますが、いかがですか。
〇熊谷ふるさと振興部長 まず、就職率の関係でございます。就職率向上のためにどういう取り組みを行ってきたかというところでございますが、令和2年度から早期に学生が県内企業への理解を深めるために、低学年次向けの地域学習科目を開講したほか、令和3年度から公務員志望の学生をサポートするために、県職員OBを講師とした筆記試験、面接、グループディスカッションの指導等を実施しております。そのほか、キャリアコンサルタントの有資格者を増員するなど、さまざま取り組みを行っています。
 また、県内の高等教育機関の学長等が参画する、いわて高等教育地域連携プラットフォームと連携いたしまして、県内企業や学生を対象としたアンケート、ヒアリング調査の実施、それから、企業採用担当者と大学の就職支援担当者との情報交換会に参加して連携強化するなど、県内就職率の取り組みの強化を行っていただいております。
 就職率の低下の理由は、やはりコロナ禍の影響が大きいと思っておりますが、いずれ、県立大学だけでなくて県内企業の取り組み、それをサポートする県の取り組み、そういったものが相まって就職率につながってくると思いますので、今後とも関係部局、そして、大学と連携しながら、引き続き取り組みを行ってまいりたいと思っております。
 それから、河北新報社に対する質問書の関係ですが、先ほども答弁したとおり、いずれ当事者間で確認を行ったものというのが私たちの見解でございます。
〇飯澤匡委員 いや、それで済まないと思うので質問しているわけです。非常に心配です。
 それから、今回、3回も送ってこういうことをやっているわけです。自分の地位の保全のためです。これに尽きると私は思うわけですが、実際、理事長というのはそんなことをやっている暇はあるのですかね。もっと学生のために身を挺してやるということが私は理事長たる職だと思うのです。こういう報道があったことに対して執拗に反応するというのは、片腹を探られているのが気に入らないのではないか。何か気にさわらない、給料を上げて入ったことに対して本人自身も自信を持ってやっていないというか、そういう査証ではないですかね。私はそう思います。
 いずれにしても、理事会の内容が後々に個人からさらに質問書を代理人を通じてやっているということは、理事会の正常な運営がされているか、私は非常に不安に思いますし、県立大学にとって、あなた方は随分調べて、成果は出ましたけれども、結果的に結果が出ていないわけだから、これについてもしっかり監督をすべきだと私は思います。しっかり調査してください。その件について、もう一回聞きます。
〇熊谷ふるさと振興部長 就職率の関係につきましては、県立大学の取り組みもそのとおりでございますけれども、やはり私ども県の施策、それから市町村の施策、地元定着のための取り組み、そして、県内企業、高等教育機関といったところの連携、そして共同事業実施の作用が大きい。それから、社会情勢の変化によりましても、その時々でいろいろ影響があろうかと思います。いずれ、先ほど御答弁申し上げましたとおり、私ども連携して取り組んでまいりたいと考えております。
〇飯澤匡委員 調査してくださいということに対する答弁を求めます。
〇本多学事振興課総括課長 調査につきまして、今回の質問書を送ったことについて、県立大学の中のガバナンスがどうなっていたかということを調査ということで答弁させていただきますけれども、まず、法人の中でどういう意思決定をしたかということについて、先ほど答弁申し上げましたとおり、決裁を得てというところですけれども、具体的には、最初の報道がされた後に役員会議があったのですけれども、その役員会議が終わった後に、メンバーの中でこういう報道がされたことに対してどう対応していくかということを相談して、その上で、方向性を決めて進めたと理解しております。
 最初の質問書につきましては、法人としては意思決定のプロセスに対して報道されたことについて、取材のプロセスでありますとかを確認したということで理解しておりまして、本日報道されました理事長個人の部分については、私どもも報道された中身でしか承知していないのですが、個人としての取り扱いということを質問したものなのだろうと理解しております。
〇千葉盛副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇千葉盛副委員長 質疑がないようでありますので、これでふるさと振興部関係の質疑を終わります。
 ふるさと振興部の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
   午後4時28分 休 憩
午後4時47分再開
〇城内愛彦委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 次に、ILC推進局長にILC推進局関係の説明を求めます。
〇箱石ILC推進局長 令和6年度のILC推進局関係の歳出予算について御説明申し上げます。
 初めに、ILC推進局の予算編成に当たっての基本的な考え方について御説明いたします。
 ILC─国際リニアコライダー計画につきましては、昨年、国内外の研究者により2030年ごろを建設開始とするタイムラインが示され、現在、研究者によりILCテクノロジーネットワークの枠組みによる国際協働の研究開発や政府間協議に向けた環境醸成などの取り組みが進められているところでございます。
 また、昨年12月には、米国の今後10年の素粒子物理学の方向性を示す報告書に、米国が貢献するヒッグスファクトリーのプロジェクトの選択肢として、日本のILCと欧州のFCC―ee―次世代円形衝突型加速器の二つが多額の予算規模とともに示されました。改めて、ILCが世界的に実現性の高いプロジェクトであると評価されていると考えております。
 その実現に向けましては、研究者の取り組みの進展とともに、政府によるタイムリーな誘致判断が不可欠であり、これを後押しするため、ILCの有する多様な意義や価値を発信し、国民的な機運の醸成を盛り上げていくことが重要であります。
 県といたしましては、引き続き、ILCの多様な価値を広く発信する普及啓発の取り組みを県内外の推進団体とともに実施し、国民的な機運の醸成を図りながら、国に対する働きかけを強化してまいります。
 また、ILCの実現を見据え、県内企業に対する加速器関連産業への参入支援や技術指導等の取り組み、建設候補地における持続可能なエコ社会の形成を目指すグリーンILCの理解促進など、ILCによる地域振興ビジョンに基づく建設候補地として必要な受け入れ体制の整備等の取り組みについても着実に推進してまいります。
 次に、歳出予算について御説明いたします。お手元の議案その1、10ページをお開き願います。
 ILC推進局関係の予算は、2款総務費のうち2項企画費の一部、2億4、300万円余であります。これを前年度の予算と比較いたしますと、1、690万円余、約7.5%の増となっており、これは国民的な機運醸成を図るための普及啓発の取り組みの強化に伴う増などによるものでございます。
 予算の内容につきましては、予算に関する説明書に記載のとおりであり、説明を省略させていただきますので御了承願います。
 以上で説明を終わります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
〇城内愛彦委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇臼澤勉委員 ただいま箱石ILC推進局長からも丁寧な御説明がありました。現在のILC誘致の現状の部分について、国際科学者チームが2030年ころ建設開始を目標とする計画表をまとめ、具体的なスケジュールが示されている趣旨のお話もございました。県としてこの歴史的なプロジェクトの誘致に向けて、現在どのような役割を担っており、今後どんな役割を果たすべきと考えているのか、現状と役割についてお伺いいたします。
〇佐々木副局長兼事業推進課総括課長 県の取り組みと役割というような質問だと思います。
 県の取り組みにつきましては、いわて県民計画(2019〜2028)のILCプロジェクトの取り組みといたしまして、受け入れ準備の取り組みですとか研究者の支援、政府に向けた働きかけなどの取り組みを鋭意行ってきたところでございます。先ほど局長からも申し上げたような状況がございますので、今後、重点的に取り組むべき課題は、やはり政府の誘致判断に向けた機運醸成等の取り組みを強化すべきだろうという認識を持っております。
 さまざまな状況を踏まえますと、政府にはILCの実現に向け、早期に前向きな態度表明と国際的な議論をリードしていただくということが大変重要になってくると考えておりまして、県といたしましては、県内外の関係団体とともに、これを後押しするための国民的な機運の盛り上げを図りながら、一体となった効果的な働きかけを行っていくことが必要であると認識しております。
〇臼澤勉委員 先ほど箱石ILC推進局長からも、CERNにおけるFCC―eeの実現可能性調査、来年2025年にまとめられる予定だというようなお話もございました。この結果を受けた誘致判断に向けて、県として着実に準備を進めていくべきと思っておりますし、この誘致判断のタイミングについての見解についてもコメントいただければと思います。
〇佐々木副局長兼事業推進課総括課長 誘致判断のタイミングということでございますが、研究者の示したタイムラインというのが2030年度建設開始ということでございますけれども、それに至るまでのプロセスもあわせて示されております。2023年にタイムラインが示されましたけれども、ここからテクノロジーネットワークの段階が2年から4年程度、それから、準備段階として、以前言われておりましたプレラボ―ILC準備研究所による段階、それとあわせて、国際的な政府間の協議が行われる段階が大体4年程度と見込まれております。これを合わせて6年とか7年という時間がかかると見込まれておりまして、うまくいった場合という前置きはありますけれども、2030年度あたりに建設を開始したいということでございます。
 それから、FCC―eeの実現可能性調査が2025年までに進められるということで、現在、検討が行われていると承知しておりますけれども、FCC―eeの建設にはILCの数倍とも言われる巨額の費用がかかると言われておりまして、当面、実現可能なものはILCのほうに分があるだろうという研究者の見立てもございます。
 したがいまして、当面進めていく加速器としてILCとして力を入れていくべきだというような声が高まるのではないかという見解が高エネルギー加速器研究機構―KEKの機構長などから示されておりまして、このタイミングが政府の誘致判断の一つの節目になるであろうという説明がなされております。したがいまして、2024年、2026年が大事な時期になっておりまして、これはどのタイミングということはなかなか申し上げにくいのですけれども、政府の前向きな表明というのは、このあたりにはぜひ行っていただきたいものだと我々としては考えているところでございます。
〇臼澤勉委員 本当に今、2024年から2026年、この期間、非常に大事な時期に来ているというような答弁をいただきました。今は予算特別委員会ですのでお伺いしますが、来年度の予算編成に向けて、ILC誘致に向け、大事な時期でありますので、どのように取り組みを計画しているのか、具体的な予算配分や支援策についてお伺いします。
〇佐々木副局長兼事業推進課総括課長 ILCの予算につきましては、先ほど局長からも御説明いたしましたけれども、人件費などの管理費を除くILC推進事業費には、前年度比で約14%増となる1億1、500万円余を計上したところでございます。
 これは、昨年示されたタイムラインですとかP5レポートなどの動きを踏まえた日本政府によるタイムリーな誘致判断をしていただけるように、後押しとなる国民的な機運醸成を図るため、普及啓発の取り組みを強化することとしたものでございます。
 具体的には、これまで培った多様な人脈や著名人などを活用し、首都圏など県外を含めたイベント開催、効果的なメディア展開などを行うための予算を増額計上いたしましたほか、ことし7月に東京都で開催されるリニアコライダーワークショップ─LCWS対応に要する経費を計上したところでございます。
 こうした予算を効果的に活用いたしまして、さまざまな機会を捉えた情報発信を行いながら、関係者が一体となって国民的な機運の盛り上げを図る取り組みを推進したいと考えております。
〇臼澤勉委員 次に、地域社会との連携についてもお伺いいたします。昨年も質問させていただいておりますが、岩手ILC連携室・オープンラボで陽電子源等の評価機器を整備して、今年度、活用して研究者による企業向けの指導を強化していくというような答弁も昨年いただいておりましたけれども、地域社会、あるいは地元の県内の産業としっかりと連携を図りながら取り組んでいく必要があると思いますが、この辺の支援の取り組み状況についてお伺いいたします。
〇佐々木副局長兼事業推進課総括課長 ILCの実現によりまして地域には国際研究都市が形成され、関連企業が集積するなど、東日本大震災津波からの創造的復興にもつながる大きな変革をもたらすものと考えております。
 こうした効果につきましては、これまでも県が主催する講演会やILC解説セミナーなどを通じて、地域住民に向け発信を行ってきたところでございますし、地域の企業に対しましても、研究、開発の支援、参入の橋渡しとなるような取り組み、それから、受注のマッチングの取り組みを推進といった取り組みを続けてきたところでございます。
 先般、一関市で実施いたしましたILC解説セミナーでは、地域にもたらす効果についての質問が相次いだところでございまして、実現を期待する意見が寄せられたところでございます。改めて地域理解が推進の後押しとなるという思いを持ったところでございます。
 こうした期待のもとに周辺の市や町、企業、住民等とも連携して、まちづくりの検討、グリーンILCの推進など、ILCの理解を深め、地域の将来を考えることにもつながるさまざまな取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 県内からの機運醸成が本当に大事になってくると思います。
 最後に、国際的な連携と情報共有についてお伺いいたします。
 改めて申すまでもなく、国家プロジェクトであり、国際的な取り組み、多くの国との連携が求められてくると思っております。岩手県において、国際的なパートナーとの連携、情報共有をどのように進めていくのか、今後どのような戦略を立てておられるのか、お伺いいたします。
〇佐々木副局長兼事業推進課総括課長 国際的な連携と情報共有ということでございます。IDT―ILC国際推進チームでございますけれども、これが協働研究や政府間の協議に向けた取り組みを推進しておりますし、P5レポートなどの動きがあるところでございますけれども、こうした国際的な取り組み、連携の多くは、高エネルギー加速器研究機構―KEKが日本を代表する研究機関として関与しておりますし、日本人研究者もIDTでありますとか米国素粒子物理学プロジェクトの優先順位決定委員会、いわゆるP5の議長などとして国外の研究者との連携のもとに取り組みが進められているところでございます。
 我々が直接国際的な連携ということはなかなか難しいところではございますけれども、こうした状況は、KEKや関与した研究者との良好の関係のもとに定期的な意見交換等の取り組みを通じて入手が可能となっているものでございまして、引き続き、県からも、政府要望の状況ですとか推進団体などの関心や期待の状況をしっかり伝えながら、着実な国際連携の取り組みを推進していただけるよう努めたいと考えております。
〇臼澤勉委員 重要な時期に今、差しかかってきているという認識のもと、本県の子供たちに未来の夢というか、先をぜひ一緒に見せていけるように取り組んでいきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いします。
〇飯澤匡委員 それでは、質問させていただきます。各般にわたって理解を深めるための活動、ILC推進局にはいろいろと頑張っていただいているということは認識しておりますし、これからも頑張っていただきたいと思います。
 今回、たっそ拓也マニフェストプラス39の34番についても、ILCの実現に向けた活動をしっかりやるということが明記されていますが、関連指標、KPIについては、現在のところ、ILC講演会、イベントの参加人数、それから、2点目として、加速器関連産業における共同研究開発の件数、非常に蓋然的なことがKPIで示されておりまして、知事がせっかく有権者に対する約束として、実現するためにみずから動くということですから、このKPI指標についても、新しい項目として何らかのマニフェストプラス39の内容に対応した形で示すべきだと考えますが、その件に対する見解はどうですか。
〇佐々木副局長兼事業推進課総括課長 ILCの実現に向けた取り組みに関するKPIということでございます。
 飯澤匡委員御紹介の、特に参加者数に関しましては、ILC実現に向けた機運醸成の取り組みのアウトカムとして、県の取り組みの推進状況の一面を評価できる指標と考えて設定したものでございます。
 ただ一方で、誘致実現には多様な要素が関連いたしますので、そこに至る取り組みの進捗管理が可能な、より的確なアウトカム指標の設定は、現時点ではアイデアを持ち合わせておりませんけれども、より適切な指標の設定の可能性については、継続して検討させていただきたいと思います。
 御指摘の、国等に対する働きかけにつきましては、ILC推進局の基本的な行動目標でもあります。県内外の推進団体とも連携を図りながら、さまざまな機会を捉えて実施に努めているところでございまして、引き続き、御指摘の趣旨に沿った取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇飯澤匡委員 検討いただけるということですので、期待をしております。
 次に、2点目ですが、2月26日に日経ビジネスにKEKの山内機構長のILCに対する、これは広告という形で記事が掲載されました。私は非常にびっくりしたのです。状況を大体わかっている人はわかっていると思うのですが、山内機構長は、推進を余り一生懸命という状況ではなかったのですが、このような記事の中で、最後に、今後もILC計画の推進とともに、日本が世界から尊敬される科学大国になるための一翼を担うことを目指してまいりますと。山内機構長はことしの3月いっぱいで退任をされるということですが、ようやく最後の最後になって、このような主管の機構としてのコメントを出したのかと思っています。このことに対して、私は意外な感じがしたのですが、当局の受けとめはどうでしょうか。
〇佐々木副局長兼事業推進課総括課長 御紹介の記事では、ILCを目指した産学官を含めたサポートについて、AAA―先端加速器科学技術推進協議会を例に挙げて紹介しております。それから、学術的な意義以外の効果に関しても、建設地における地方創生への貢献も期待できると記載されております。
 それから、実現に向けた取り組みとして、現在進められている取り組み、テクノロジーネットワークの枠組みによる国際協働の研究開発など、技術的な取り組みを行いながら、実現に向けて取り組んでいくという方向性が示されておりまして、広告という形ではありますけれども、AAAと東北ILC推進協議会が山内機構長の思いを最後に表明する機会としてお金を出して掲載したものと考えておりまして、これについては、前向きなことが述べられているものと思っております。
〇飯澤匡委員 今、御紹介があったように、記事の提供としては、AAAと東北ILC推進協議会がわざわざネーミングされて出ているわけです。これは山内機構長の名前で出ているということなので、三者が意思を通じてこの記事を掲載した。これはある意味、画期的なことではなかろうかと思っています。
 なぜかといいますと、皆さん方御案内のとおり、まだ日本国内の研究者間でILCの推進に対する考え方が、若干どころかかなりくい違っている部分がありまして、文部科学省の内部にあっても、なかなか慎重な方もいらっしゃいますので、こうした形で山内機構長が記事を出したということは、ある意味、今後の展開について光明の一筋になったのではないかと思っております。
 それから、4月からKEKの機構長に就任する予定の、現在、東京大学の浅井教授もこのP5の議論に参加しているわけです。参加して、日本での研究プロジェクトと補完できる内容だということで、直接的にはヒッグスファクトリーのP5に選ばれた主要プロジェクトのILCに関しては、直接的な言明は日本経済新聞に出ている記事ではないわけですが、いずれP5の議論にも参加したということであり、なおかつ、KEKの次回の機構長になるということですから、この点はしっかり見逃さないで、本県も科学者の意見の対立を超えて、前者の質問にあったように、KEKはILCを推進する原動力ですから、そこはピンポイントでしっかりと刺さっていく必要があると思うのですが、その点について、来年度の行動について示していただきたいと思います。
〇佐々木副局長兼事業推進課総括課長 飯澤匡委員が御懸念を指摘していたとおり、いろんな方面で研究者が一体となっていないのではないかということについては、我々も懸念を持っていたところでございます。そういった懸念もございましたので、さまざまな意見交換などの場を捉えて、県のほうからも提言を行ってきたところでございます。
 御紹介のとおり、KEKの機構長がこの春からかわられる。それから、同時に、有識者会議でもその活動が期待されておりましたILC―Japanの代表にも新たな代表が就任するものと伺っておりまして、新たな体制のもとに一体的な活動が行われるように、KEKとの意見交換でありますとか研究者の参加する会議などで、地域の期待として繰り返し提言をしてまいりたいと考えております。
〇飯澤匡委員 この記事を紹介したのは、ある意味、非常に好機だと思って紹介をしているわけでありまして、せっかくILCを実現するために設置された部署でありますから、もう実現かどうかという、ずっと瀬戸際にあるわけですけれども、しっかりそこは状況を把握しながら行動していただきたいと思います。
 それから、ILC通信によりますと、先ほど少しお話がありましたが、ことしLCWSが7月に東京都で開催されるということでありまして、本県もそれに呼応した何らかの具体的な動きが私は必要不可欠だと思いますが、その点について、いかなる準備をされているのか。ただ参加してというわけにはいかないと思うのです。この期に及んで、吉岡正和先生や鈴木厚人岩手県立大学学長などとも連携をしながら、岩手県がILCにこれまでかかってきたことだとか、いろいろアピールする場であったり、そういうことを積極的に推進すべきだと考えますが、いかがですか。
〇佐々木副局長兼事業推進課総括課長 LCWSでございますけれども、毎年、ヨーロッパ、アメリカ、日本の持ち回りで実施されておりまして、昨年はアメリカのカリフォルニアで4年ぶりにリアル開催されたと伺っております。日本での開催は2019年の仙台市以来の5年ぶりの開催となります。ことしは7月8日から11日の4日間にわたり、東京大学を主会場に開催されることが予定されております。
 県の対応ということでございますけれども、令和6年度の当初予算案には、岩手県の魅力発信のためのブース出展、それから、イブニングレセプションの対応、北上サイトのエクスカーション、加速器関連産業施策の紹介などを今、想定しながら、プログラムコミッティー、プログラムを検討している委員会と調整を図っているところでございます。
〇飯澤匡委員 研究者の間では北上高地が一番適しているということですので、それに対する積極的な対応が必要かと。エクスカーションの話が出ましたけれども、それに対してはもっと具体的に、積極的な対応をすべきと考えますが、その点については、何か具体的に今、考えていますか。
〇佐々木副局長兼事業推進課総括課長 LCWSのプログラムコミッティーとの調整にもかかわってくることでございますので、可能な限り、研究者には岩手県においでいただくということを考えたいと思っておりますし、それと前後いたしまして、サスティナビリティーのワークショップも行いたいという研究者の意向がございます。そういったことと絡めまして、県として可能な限りできることをしっかり準備をして取り組んでまいりたいと考えております。
〇飯澤匡委員 1月に宮城県と合同のILCの推進議連で枢要なところを要望してまいりました。私の印象は、要望先それぞれにコメントが異なっておりまして、国会議員の議連の活動がなかなか正常に動いていない。要するに、統一的な見解が国会議員の中でなされていないということに非常に残念な思いをしました。これも、特に地元の国会議員、党派を問わず、しっかりと動いていただきたいと思いますし、今から思えば、プレラボが出た段階で時期尚早というふうに判断をされて、そこから新型コロナウイルス感染症が出て、すっかり針が逆戻りしてしまった。これを急激に盛り返していかなければなりませんので、そういう強い思いを本県のあらゆる関係者は対応していかなければならないと思っております。
 国会議員の中でなかなかキーパーソンが見出せないというのが残念でありまして、泥をかぶってもこれをやり遂げるのだという人が早く出ることを期待したい。本県のみならず東北地域の国会議員、全国どこでも結構ですから、世界の中で日本が行う国際プロジェクトですから、ぜひともなし遂げるために、ことしはLCWSの日本開催がありますので、当局はしっかりその辺も対応していただくようにお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。
〇松本雄士委員 このILCは、実現に向けてしっかり進めていただきたい。本当に歴史的事業であると思っております。これまでの質疑、やりとりの中で、いろいろと対応のところを聞いてまいりましたけれども、改めて、今一番重要なのは、政府への誘致判断を求めるというところかと思います。そこをもう少し具体的に、政府にどういったアクション、働きかけをしていくのか、その対象であったり取り組みについてお伺いいたします。
〇佐々木副局長兼事業推進課総括課長 政府への働きかけでございますけれども、県の働きかけといたしましては、基本的には、例年6月の政府予算提言・要望において、重点事項として、研究者の取り組みを促進する予算措置、国家プロジェクトとしての誘致、国際的な議論の主導について要望を行っているところでございます。
 それから、全国知事会でありますとか北海道東北地方知事会の要望にもILCの実現を求める内容を盛り込んでいただき、働きかけを行っているところでございます。
 同じような働きかけは、ほかにも多くの推進団体が実施しておりますけれども、政府の誘致判断を促す力となるよう、国民的な機運の醸成を図りながら、多様な主体による取り組みが重層的に展開されることが重要と認識しておりまして、こういった団体との調整活動などにも取り組んでいるところでございます。
〇松本雄士委員 6月の要望であったり知事会というところは、これまでもやってきたところであるかと思いますし、また、そういった機運醸成であったり、いろいろ重層的にということはあるのですけれども、2024年から2026年が重要な年だという認識のもと、さらに加えて、政府への働きかけ等で考えているところはございますでしょうか。
〇佐々木副局長兼事業推進課総括課長 基本的な要望というのはしっかり続けていかなければいけないということが一つございます。それから、期成同盟会などの新たな団体もございます。こういったところの連携が重要だと考えておりまして、そういった団体等としっかり連携をした効果的な働きかけのあり方というのはどういったものがいいのかということは、議論を重ねながらやっていく必要があると思います。
 それから、経済団体への働きかけなども重要だと考えておりまして、そういった取り組みにつきましては、岩手県国際リニアコライダー推進協議会、東北ILC推進協議会など経済団体が中心となった団体でもございますので、そういったところとの連携もしっかり深めていきたいと考えております。
〇松本雄士委員 国家間、政府間の交渉も大切でありますけれども、我々は岩手県、東北地域、足元の組織、市町村、大学、各種協議会、期成同盟等の連携、そういったものが非常に重要になってくるかと思いますので、ぜひともしっかりお願いしたいと思います。
 そして、機運醸成に向けて、いろいろ普及啓発活動であったりイベントを予定されているということでありますけれども、現時点で具体的に何か予定しているものがあれば教えていただきたい。
〇佐々木副局長兼事業推進課総括課長 機運醸成の取り組みにつきましては、基本的には、従来型の取り組み、今まで行ってきたのは、イベントの機会を捉えたものですとか、あとは講演会を行うといったようなものが中心になっております。特に、コロナ禍以降はなかなかその域を出るものができなかったという状況がございます。コロナ禍前にILCの機運が盛り上がっていた2019年あたりの取り組みは、著名人などを使った、少しまとまったお金を使った機運醸成の取り組みが行われていたところでございますし、その当時、ILCの百人委員会ですとかILCサポーターズのような著名人を結びつけた活動も行われていたと聞いております。
 そういった取り組みを活性化して、そういった方々による効果的なメディア展開などを行うというのがひとつヒントになるのではないかという思いを持って、今年度当初予算案に必要な経費を増額して計上したという状況です。
〇松本雄士委員 新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後、その前の状態に戻して、さらにもっと機運を盛り上げていく。そして、県民、国民の中でもILCという機運がまだまだ足りないのではないかと思っておりますので、ぜひとももっと露出を高く、そして、イベントをやるときにはもっと早めに、一人でも多くの人に知ってもらう、参画してもらうという感じで取り組んでいっていただければと思います。ぜひともよろしくお願いいたします。
〇斉藤信委員 最初に、ILCをめぐる国内外の最近の動向について示してください。
〇佐々木副局長兼事業推進課総括課長 国内外の動向ということでございます。
 ILCの実現に向けましては、現在、IDT―国際推進チームにより国際協働による研究開発や政府間協議に向けた取り組みが進められております。
 また、昨年春には、研究者による2030年ごろを建設開始とするタイムラインが公表されたほか、12月にはアメリカの今後10年の素粒子物理学の方向性を示す報告書、P5レポートにアメリカが貢献するプロジェクトの選択肢としてILCが具体的な予算規模とともに示されたところでございます。
 国内においても多様な主体によって講演会などの開催が相次いでおりまして、ILCをめぐる動きは国内外ともに活発化してきているものと考えております。国内外にILCを期待する動きがある中、政府には一日も早い誘致に前向きな態度表明が求められているものと考えております。
〇斉藤信委員 少し立ち入ってお聞きしたいのですけれども、確かに、昨年4月27日の超党派国会議連の拡大総会で、山内機構長が、最もうまくいった場合、2030年建設開始、これを念頭に進めたいと発言した。タイムラインが示されたのは私は前向きなことだと思いますが、2030年建設開始と提起をされた具体的根拠はあるのでしょうか。
〇佐々木副局長兼事業推進課総括課長 さまざまな説明がなされているところではございますけれども、今、ヨーロッパにあるCERNの加速器による研究が2030年代まで続けられるという見通しでございます。切れ目のない素粒子物理学の研究を続けていくためには、2030年代の稼働が最も理想的なものと見られているということは一つの背景としてあると聞いております。
〇斉藤信委員 二つ目に、昨年5月に開催されたLCWS2023リニアコライダー国際ワークショップ、ここのステートメントは、日本でのILCの建設を支持する。一方、他の可能性のある欧米サイトや技術を調査するとなっているのです。今、CERNについても触れられましたが、他の可能性のある欧米サイトや技術、これは今の動向をどのように把握されているでしょうか。
〇佐々木副局長兼事業推進課総括課長 これはリニアコライダーのワークショップということでございまして、直線の加速器に関する研究者のワークショップであります。現在、ヨーロッパでの選択肢とすれば、FCC―eeという巨大な円形加速器の調査研究が進められておりまして、その後の情報でございますけれども、CERNの所長の御発言などからは、直線の加速器に関する可能性というのは、なくなるに近いぐらい大分低くなっているのではないかという感触を持っています。
〇斉藤信委員 今、直線の加速器の研究の可能性は低くなっているというのは、これはCERNでという意味ですか。
〇佐々木副局長兼事業推進課総括課長 少し舌足らずで失礼いたしました。ヨーロッパにおける直線加速器の可能性は低くなっているのではないかという感触を今、持っているところでございます。
〇斉藤信委員 CERNは新たな加速器の研究の構想を出していました。これは今、どういう進展状況なのでしょうか。
〇佐々木副局長兼事業推進課総括課長 CERNの巨大加速器、FCC―eeと通常呼ばれておりますけれども、現在、可能性を探るための調査―フィジビリティスタディが進められているところでございます。これは2025年に調査報告書を出すようにということをミッションとして与えられておりまして、現在、鋭意調査が進められているものと承知しております。
〇斉藤信委員 わかりました。
 もう一点、米国高エネルギー物理学諮問委員会―HEPAPが昨年12月8日、9日に開催されて、優先順位に関するレポート、P5レポートが出された。先ほど若干触れられましたけれども、もう少し立ち入って、P5の内容について示していただきたい。
〇佐々木副局長兼事業推進課総括課長 P5といいますのは、アメリカの予算の中でどういった素粒子物理の研究を進めたらいいのかという今後10年間の方向性を示すための政府の下部の諮問機関であります。そこの委員長が村山斉先生ということで、村山先生の記事は岩手日報にも掲載されているところでございます。
 P5レポートのうち、ILCに関するポイントは何点かあると考えておりますけれども、一つは、ヒッグスファクトリー、ILCの目指すヒッグス粒子を多量に生産するというヒッグスファクトリーというのは、アメリカの素粒子物理の研究の中でも最重点事項の項目のうちの一つであるということが明記されたということ。
 それから、二つ目といたしまして、ヒッグスファクトリーはアメリカ国内では実施せず、FCC―ee、ILCに積極的に参加して主導権を握れるような体制をつくるというような提言がなされているというのがもう一つでございます。
 それから、現在、今御紹介したFCC―eeとILCにつきましては、明確に実施が決まっていないという状況にございますので、これらのプロジェクトに新たな動きが出てきたときに10年間の中間的な時期に新たな検討委員会を設置して決断をするということが盛り込まれたというのがILCに関するポイントであったかと考えておりまして、前回、2014年よりもかなり踏み込んだ報告書であって、現状では最良の報告書になったというふうに村山先生は御紹介しているところでございます。
〇斉藤信委員 よくわかりました。
 それで、私は決算特別委員会で聞いたときに、ILCの経済波及効果は2.4兆円から2.6兆円、8、000億円の建設費に比べて大きい経済波及効果があるということも答弁の中で紹介されましたが、この2.4兆円から2.6兆円の経済波及効果、その内容をわかりやすく示してください。
〇佐々木副局長兼事業推進課総括課長 詳細な資料については手元に持ち合わせておりませんけれども、ILC東北マスタープランの中で紹介されているものでございまして、建設の直接的なコスト、それから、間接的な波及効果も含めたものであると承知しております。
 申しわけございませんが、そういった状況でございます。
〇斉藤信委員 少しその内容では数字だけで、本当に我々にどういう波及効果があるかというのは、後でわかりやすく示していただきたい。
 来年度の県予算案では、県のILC推進事業費1億1、520万円ですが、一部新規となっていますが、この内容を示してください。
〇佐々木副局長兼事業推進課総括課長 新規の内容ということですけれども、前の委員への説明の繰り返しにもなりますけれども、機運醸成の取り組みを強化するといったような考え方のもとに、これまで培った多様な人脈や著名人などを活用して、首都圏など県外を含めたイベントの展開ですとか効果的なメディア展開を行うための普及啓発の予算、それから、ことし東京都での開催が予定されておりますLCWSの対応の予算を増額計上したところでございまして、こういった予算を効果的に活用して、関係団体とともに一体となった取り組みを進めていくということにしているものでございます。
〇斉藤信委員 最後ですけれども、私はILCの意義というのはよくわかるし、研究者が強く熱望しているということも根拠のある話だと思います。ただ、一番の障害は何かというと国の姿勢、特に財源です。12月6日のILC実現建設地域期成同盟会の講演会で、笹川平和財団の理事長がこういう話をしています。これはメモですけれども、科学技術立国を掲げてきた日本の存在感が低下している。ILCは何とか実現しなければいけない。国民理解を得た上で、最後は政治で決める。科学技術立国を掲げてきた日本の存在感が低下している。私はそういう中で、この巨大なILCの計画を政府が決断するという状況から見れば、後退しているのではないか。
 もっと重要なのは財源問題です。今、政府は何に一番力を入れようとしているのか。軍事費です。年間で43兆円も軍事費に投入する。その財源を実は国立病院関係の基金とか、年金にかかわる基金とか、医療、社会保障、本来充実しなくてはならないところから全部軍事費に吸い上げて、国の決算剰余金も軍事費に回すと。この決算剰余金というのは、今まで経済対策に使われていたのです。そういうものまで軍事費に回して、今、目玉の子育て支援策は財源がない。医療保険制度から天引きするという話です。
 私は、この国の政策が変わらなかったら、この巨大なILC、我々は期待しているのだけれども、ますます遠ざかるということになってしまうのではないかと大変危惧をしていますが、どのように受けとめているでしょうか。
〇佐々木副局長兼事業推進課総括課長 政府の誘致決定には財源問題は避けて通れない課題であると認識しておりますけれども、現在、IDT―ILC国際推進チームが主催する国際有識者会議において、その前提となります国際的な費用分担などの政府間協議に向けた取り組みが進められておりまして、その動向に注目しているところでございます。
 先ほどは十分な御説明がしきれませんでしたけれども、さまざまな価値を生むILCでございます。ホスト国としての負担は学術研究の枠を超えた日本の将来に向けた投資と位置づけることも可能と考えておりますので、引き続き、国に対し、省庁横断による国家プロジェクトとして誘致を推進するよう強く働きかけてまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 ILCを実現するためには、大軍拡から軍縮へ、戦争の準備から平和の準備、そして、技術立国を本気で目指すべきです。私は、その道でこそILCの大きな計画の見通しは出てくるのではないか、このことを指摘して終わります。
〇城内愛彦委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇城内愛彦委員長 質疑がないようでありますので、これでILC推進局関係の質疑を終わります。
 ILC推進局の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 次に、出納局長に出納局関係の説明を求めます。
〇木村会計管理者兼出納局長 出納局関係の予算について御説明申し上げます。
 まず、議案第1号令和6年度岩手県一般会計予算のうち出納局関係は、予算に関する説明書91ページをごらん願います。
 2款総務費1項総務管理費1目一般管理費のうち、出納局関係の予算は8億1、084万円余であり、職員の人件費等の管理運営費及び県営建設工事入札業務に係る経費でございます。
 93ページ下段の5目会計管理費2億762万円余は、財務会計システム運営費等でございます。
 次に、議案第9号令和6年度岩手県証紙収入整理特別会計は、同じく予算に関する説明書385ページの歳入と、386ページの歳出をあわせてごらん願います。
 歳入歳出予算額は、それぞれ33億8、179万円余でございます。歳入は387ページ、1款証紙収入1項証紙収入は、1目県税11億2、905万円余、2目使用料及び手数料17億8、618万円余、3目軽自動車税環境性能割は4億6、654万円余でございます。
 歳出は389ページ、1款繰出金1項一般会計繰出金は、1目県税、2目使用料及び手数料に係る証紙収入と同額を一般会計に繰り出すものでございます。
 390ページ、2項歳入歳出外現金繰出金は、1目軽自動車税環境性能割に係る証紙収入を所在市町村に払い込むため、歳入歳出外現金に繰り出すものでございます。
 以上で出納局関係の説明を終わります。よろしく御審議を賜りますようお願い申し上げます。
〇城内愛彦委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇柳村一委員 証紙収入についてお伺いします。
 令和5年度予算より1億3、000万円余の増ということで、歳入を見ますと、県税と軽自動車税環境性能割が伸びて、使用料及び手数料が減ということですけれども、ここの詳しい内容についてお伺いします。
〇佐藤副局長兼総務課総括課長 証紙収入が令和5年度当初予算と比較し増となっている要因についてでございますが、まずは、使用料、手数料でございますけれども、運転免許に係る高齢者講習等について、実施主体が県から県内の自動車教習所に変更になったことにより手数料収入の減額が見込まれる一方、県税でございますが、地方税制改正において、自動車税及び軽自動車税に係る環境性能割の各税率区分における燃費基準達成度を段階的に引き上げる見直しが令和6年1月から行われていることにより、増額を見込むものでございます。
〇柳村一委員 今定例会で令和5年度岩手県の証紙収入の補正予算で減額の補正でしたけれども、証紙収入においては1億6、666万円の減ということですが、この理由と、減の要因を勘案して令和6年度予算を試算したのかお伺いします。
〇佐藤副局長兼総務課総括課長 令和5年度2月補正の証紙収入の減額の要因についてでございますけれども、使用料、手数料のうち、こちらも今回の使用料、手数料の減額と同じように、運転免許に係る高齢者講習等について、実施主体が県から県内の自動車教習所に変更になったことによる警察手数料の減などにより、使用料及び手数料が当初の見込みより減となったことなどによるものでございます。
〇柳村一委員 では、説明書の中身の減というのが加味されているから、令和6年度はほぼほぼ予算内でいけるということですね。知事はあらゆる歳入確保策により約14億円の財源を確保したということで、証紙収入についても、あらゆる歳入のうちの一つだと思うので、できるだけ減額補正などをしないような試算をしていただかないと県の事業が回っていかないと思って質問しました。
 次は、シリーズ化した内容について伺いたいと思います。キャッシュレス決済について、今までさまざま事例とか研究しながら検討をしていくとおっしゃっていましたけれども、その後どうなっているかお伺いします。
〇今雪会計課総括課長兼会計指導監 キャッシュレス決済の導入についてでございますが、県民の利便性の向上に努め、多様な納付方法を提供するため、令和5年3月に策定しました岩手県DX推進計画によりまして、県の手数料の納付について令和6年度までに行政手続のオンライン化などに対応したキャッシュレス決済の検討、導入を進めることとしております。
 その推進を図るため、関係部局と連携しまして、手続所管課に対し電子申請手続によるキャッシュレス決済の導入を伴走支援する体制を今年度整備したところでございます。
 また、令和6年度内には、オンライン申請でのパスポート更新に関しまして、キャッシュレス決済を導入することを承知しております。
〇柳村一委員 できるところからやっているという感じだと思うのですけれども、前のお答えですと、キャッシュレス決済をやっていない方もいらっしゃるので、導入はなかなか難しいということですけれども、今後も範囲を広げて導入する考えなのかお伺いしたい。
 あと、ペイジーを利用した電子納付、前に聞いたときは6割を超えていたかと思うのですけれども、その普及割合はわかるでしょうか。
〇今雪会計課総括課長兼会計指導監 まず、前半の御質問で、キャッシュレス決済の拡大の方向というところでございます。今、お話がありましたとおり、まずはできるところからなるべく広めていきたいという考えは変わりございません。その中で、行政手続のオンライン化に対応したキャッシュレス決済の導入というところをまず先行してやっていきたいと考えておりまして、今般、関係部局との連携体制を組んだところでございます。こちらの体制の中で、出納局としましても、出納手続のサポートといったことを働きかけながら、オンライン化に対応したキャッシュレス化を推進してまいりたいと考えております。
 続いて、2点目の質問に関しまして、ペイジーの話でございました。電子収納システムを利用した公金の収納件数ですけれども、令和4年度におきましては、約36万1、000件で、県の公金の収納総件数の66.3%を占めているところでございます。
〇柳村一委員 前も64%ぐらいだったということで、電子決済の限界がこの辺なのかなという気もしますけれども、例えば、使用料とかそういう部分では、キャッシュレス決済したほうが利用者も利便性が上がると思うので、そこも今後検討していただきたいと思います。
 最後に、いつも言っています、証紙の廃止へどのような情報収集をされているのか。それを分析した上で、廃止についての検討はどう考えているのかお伺いして終わります。
〇今雪会計課総括課長兼会計指導監 証紙の関連についての情報収集というところでございます。
 他都道府県の情報については、令和6年1月の調査結果によりますと、証紙制度を廃止しているところが7都府県、廃止を予定しているところが8県、収納証紙収納とクレジットカード等のキャッシュレス決済を併用していくとしているところが10道県、残り22県が検討中になっております。
 こうした情報収集もしているところで、当県の方向としましてですけれども、これまで県民に証紙制度自体は広く認識されている経緯ですとか、キャッシュレス決済を利用されない県民の方もいらっしゃると想定されることもございます。また、仮に収入証紙を廃止した場合には現金の取り扱いが出る、そういった課題もございますので、当面は収入証紙制度は維持しつつ、一方で、先ほど申し上げたとおり、県民の利便性の向上というところも大事だと考えておりますので、オンライン化に対応したキャッシュレス決済ができる手続といったものを拡大することとしたいと考えております。
〇斉藤信委員 それでは、私は、入札制度の改善の課題について質問いたします。
 この5年間、落札率はどのように推移しているでしょうか。全国との比較ではどうなっているでしょうか。
〇千葉入札課長 5年間の落札率の推移についてでありますが、県営建設工事における一般競争入札の加重平均による平均落札率は、平成元年度から平成3年度まで(後刻「令和元年度から令和3年度まで」と訂正)がそれぞれ91.6%、令和4年度が92.1%、令和5年度が12月末までで92.1%となっております。
 国の入札契約適正化法等に基づく実施状況調査結果によりますと、単純平均による全国の落札率は、令和元年度が93.7%、令和2年度が93.8%、令和3年度が93.5%、令和4年度が93.9%、単純平均による岩手県の落札率は、令和元年度が92.6%、令和2年度が92.4%、令和3年度が91.8%、令和4年度が92.0%となっております。
〇斉藤信委員 全国との比較で見ますと、残念ながら、岩手県のほうがずっと低くなっている。令和4年度は全国が93.9%に対して92.0%です。岩手県の落札率が2%弱、低くなっている。これは事実として確認をしておきたいと思います。
 そこで、予定価格の事前公表制度について、全国、東北地域の状況はどうなっているか。公共工事の品質確保の促進に関する法律の改正における運用指針を踏まえ、事後公表とすべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
〇千葉入札課長 予定価格の事前公表の状況についてでありますが、全国では事前公表は一部に事後公表との併用を含みますが、令和5年7月1日現在、29都府県で採用されており、東北地域では、本県を含む5県で採用されています。
 なお、事後公表のみとしている自治体数18団体には、予定価格は事後公表としているものの、設計金額を事前公表としている自治体が含まれていることを確認しています。
〇斉藤信委員 答弁漏れだな。
〇千葉入札課長 予定価格の事前公表について、県では、入札の透明性の向上、発注者、受注者双方の事務効率の向上、さらには、予定価格に係る不正防止の観点から有効として導入し、国の指針に基づき、十分検討を行いながら運用しております。
 制度導入以降、予定価格の事前公表による弊害は確認されていないところでありますが、引き続き、入札動向や他県の状況等を見ながら適切に対応してまいります。
〇斉藤信委員 正確に言いますと、東北6県では事前公表が3県、事後公表が1県、併用が2県ということです。国はやっていないのです。県内市町村も、宮古市を除いてやっていません。だから、全体としては事後公表になっているのです。なぜ岩手県が事前公表にこだわるのか。
 公共工事の品質確保の促進に関する法律の改正における引用指針では、必ず実施すべき事項として、ダンピング受注を防止するため、低入札価格調査制度または最低価格制度の適切な活用を徹底し、予定価格は原則として事後公表とするとして国は指導しているのではないですか。
〇千葉入札課長 国が示す指針では、予定価格の事前公表により懸念される事項として、落札価格が高どまりになること、くじ引きによる落札の増加、建設業者の見積もり努力を損なわせるなどがあります。
 本県の入札の状況を見ますと、落札価格の高どまりについては、直近3カ年の平均落札率が91から92%台であり、全国平均と比較して著しく格差が生じていないこと、また、くじ引きによる落札の増加については、その発生割合が1%程度と非常に低い状況であります。
 さらに、適切な積算を行わなかった入札参加者が受注する事態を避けるため、入札書と同時に工事費内訳書の提出を義務づけ、入札価格が積算によるものであることを確認しており、現時点では弊害は確認されていないものと考えております。
 指針で事後公表というお話がありましたけれども、地方自治体においては、予定価格の事前公表を禁止する法令の規定はないということを参考までにお示しします。
〇斉藤信委員 言いわけですよね。実際に、事前公表で2ポイント落札率が下がっているのです。建設業者の生の声は、95%ぐらいでないと元が取れない、これが切実な声です。予定価格の事前公表は適正な積算による価格競争ではなく、予定価格から幾ら値引きして入札するかということだけを助長していると。これは建設業者の声です。適切な積算をさせてくれという要望にしっかり応えるべきだと思いますけれども、なぜ業者のまともな、切実な声に応えられないのですか。
〇千葉入札課長 国が示す指針で事前公表による弊害が示されております。現時点で弊害がないということを確認していることから、事前公表という制度を利用しているところでございます。
〇斉藤信委員 国もやっていない、圧倒的市町村もやっていない、県だけがそれにこだわっている。弊害があったら国がやらないでしょう。圧倒的多数の市町村が事後公表でやっているのです。そのことになぜこだわるか、その答弁からは全然示されない。
 次に、失格基準の引き上げと最低限価格制度の導入について、全国、東北地域の実施状況を示してください。私は岩手県も導入すべきだと思いますけれども、いかがですか。
〇千葉入札課長 済みません、一番最初の落札率の答弁のところで、平成元年度から平成3年度と申し上げましたけれども、令和元年度から令和3年度の誤りでした。大変申しわけございませんでした。
 失格基準価格の引き上げと最低制限価格制度の導入についてでありますが、失格基準価格の引き上げについては、県営建設工事入札では、競争性、透明性、経済性等にすぐれた一般競争入札を原則としつつ、総合評価落札方式を導入し、その拡大を図ってきたところであり、また、品質確保等の観点から低入札価格調査制度を運用しております。
 失格基準価格については、国の通知で失格基準価格と調査基準価格に適切な幅を設けることとされており、制度の趣旨に即して一定の価格幅を確保しているものです。
 次に、最低制限価格制度についてでありますが、令和5年7月1日現在で全国では44都道府県で制度があり、東北地域では、青森県、宮城県、秋田県、山形県、福島県で制度を設けています。なお、宮城県では、制度は廃止していないものの、適用しておらず、秋田県でも令和4年度から適用しないこととしたと聞いております。
 現在、県が採用している総合評価落札方式及び低入札価格調査制度は、ダンピング防止を図りつつ、企業の技術力や企業努力、地域貢献活動等を適切に評価し、価格と品質が総合的にすぐれたものを契約の相手方としようとするものであり、最低制限価格を下回った入札を一律に排除する最低制限価格制度よりもすぐれたものと考えております。
 競争性、透明性、経済性を確保しつつ企業の地域活動等が適切に反映されること等の観点から、現行の低入札価格調査制度を運用し、また、総合評価落札方式も効果的に活用しながら、ダンピング防止にも適切に取り組んでまいります。
〇斉藤信委員 少し立ち入ってお聞きをします。失格基準価格の算定に当たって、県は5者未満でやるのです。入札価格の低い順に8割の者を算定対象としているのです。全ての入札者を算定対象者とすべきではないか。
 それと、調査基準価格を下回った場合、調査基準価格に0.95を乗じるということをやっているのです。これは落札率を下げることになります。建設業者は、係数の0.95を削除していただきたいと求めています。一般管理費は0.68となっているけれども、0.9に引き上げていただきたいと。この要求というのは、私はまともなものだと思いますけれども、いかがですか。
〇千葉入札課長 低入札価格調査制度において、失格基準価格、入札額がこの価格を下回った場合、契約内容に適合した工事の履行がなされないとして失格となる価格を設定しています。
 本県では、入札金額の低い順に8割のものを算定対象者とし、その合計金額に0.95を乗じて算定対象者数で乗じた金額とすることを基本としています。
〇城内愛彦委員長 答弁は簡潔にお願いします。
〇千葉入札課長(続) 失格基準価格についてですけれども、失格基準価格を引き上げた場合、調査基準価格に近づくこととなり、最低制限価格制度と同様の内容となってしまい、調査基準価格と失格基準価格の幅が少なくなり、企業の技術力、企業努力等が価格に反映される余地が限定されてしまうものと考えております。
〇斉藤信委員 あなた方の今の制度で、結果的には全国と2%の落札率が下がっているという事実を見て、私は改善すべきだと。例えば、一般管理費は0.68だけれども、0.9に引き上げれば落札率は約95%になる、建設業者はそう言っています。一般管理費が低過ぎるのではないか。いかがですか。
〇千葉入札課長 繰り返しになりますけれども、失格基準価格については、国の通知で、失格基準価格と調査基準価格に適切な幅を設けるとされておりまして、制度の趣旨に即して一定の価格幅を確保しているものでございます。
〇斉藤信委員 私は具体的に言っているのだから、そういう私の提案は道理があるのではないか。そして、元を取るためには95%ぐらいの落札率が適切だと、こう言っているのです。今のさまざまな物価上昇、その他の状況の中で、一般管理費を引き上げればそうなりますよ。私の提案が一番説得力があるのではないですか。違いますか。そういうことを検討したことはありますか。
〇千葉入札課長 先ほどの繰り返しになりますけれども、失格基準価格を引き上げた場合、調査基準価格に近づくこととなり、最低制限価格と同様となってしまい、調査基準価格と失格基準価格の幅が少なくなり、企業の技術力、企業努力等が価格に反映される余地が限定されてしまうものと考えております。
〇斉藤信委員 同じ答弁を二度してはだめでしょう。それは答弁にならないのですよ。私は検討しているのかと聞いたのです。検討していないということですよね。検討しないで同じ答弁をする。とんでもない話です。
 先に進みます。資材、労務単価等の高騰対策など各種の施工確保対策を専門工事を含めて全ての工事並びに資材供給を対象に拡大すべきではないかと思いますが、いかがですか。
〇千葉入札課長 公共工事積算における物価高騰対策については、工事所管部局がそれぞれ対応することとなるため、県土整備部の取り組み状況を取り上げて説明させていただきますと、県では、毎月、単価改定を実施するなど、資材価格の急激な変動に柔軟に対応しているほか、国と連携しながら、毎年、公共事業労務費調査を実施し、適切な労務単価を設定しているところでございます。
 また、平成25年3月以降に発注する工事では、当初契約締結後に受注者からの請求を受けて、単価適用年月を変更し、最新の単価をもとに変更契約することを可能としているほか、その後に生じた物価変動に対しては、従前からいわゆるスライド条項によって適切に対応していると聞いています。
〇斉藤信委員 最後二つまとめて聞きますから、簡潔に答えてください。
 被災3県の土木工事を対象にした積算を割り増す、いわゆる特例措置、これは継続される見通しかどうか。
 地元企業への優先的な発注の対策はどうなっているか、実績はどうか示してください。
〇千葉入札課長 国土交通省では、岩手県を含む被災地域に適用してきた特例制度について、一部を見直した上で令和6年度も継続すると発表したところです。
 継続が決定した特例措置、復興係数は、被災地域において機材の調達が難航すること等により間接工事費が増大している実態を踏まえ、公共工事の円滑な施工体制を確保するために、共通仮設費及び現場管理費に係数を乗じて設計金額を割り増しするものであり、令和6年度は令和5年度と同様の係数が適用されると伺っています。
 特例措置の県営建設工事への適用については、工事所管部局において適切に判断していくものと認識しています。
 地元企業への優先的な発注についてでありますが、県営建設工事の発注に当たっては、県内企業の育成、地域経済の活性化、雇用確保の観点から、県内企業で施工可能と認められる工事は、県内企業への優先発注を原則としております。
 復旧、復興工事の円滑な施工の推進のため、入札参加資格要件の緩和措置を講じたこと等により、県外企業の受注割合が高くなった時期もありましたが、平成29年度以降、県内企業の受注は、件数、金額ともに8割を超え、震災前の水準に戻っています。
 令和5年度は12月末時点で発注件数が687件、割合が94.9%、金額では346億円余、割合が93.6%と、県内企業への発注割合は、件数、金額ともに9割を超えています。
〇城内愛彦委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇城内愛彦委員長 質疑がないようでありますので、これで出納局関係の質疑を終わります。
 出納局の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 次に、人事委員会事務局長に人事委員会関係の説明を求めます。
〇山村人事委員会事務局長 人事委員会関係の予算につきまして、予算に関する説明書により御説明申し上げます。
 115ページをごらん願います。
 2款総務費9項人事委員会費のうち、1目委員会費の663万円余は、委員3人分の報酬など、委員会の運営に要する経費でございます。
 次に、2目事務局費の1億7、097万円は、事務局職員の人件費、事務費など事務局における任用関係事務、公平審査事務、給与関係事務等の管理運営に要する経費でございます。
 以上で人事委員会関係の予算の説明を終わります。よろしく御審議を賜りますようお願い申し上げます。
〇城内愛彦委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇斉藤信委員 できるだけ簡潔にお聞きします。
 令和5年度実施の労働基準及び労働安全衛生に関する事業場調査結果について、一つ、月平均30時間を超える超過勤務を行う職員のいる事業場が増加していましたが、どう改善が図られているでしょうか。
〇及川職員課総括課長 今年度行いました事業場調査で、月平均30時間を超える超過勤務を行った職員がいる事業場の数、令和4年度実績ですが、41事業場でございました。令和3年度の38事業場から増加したところでございます。
 この41事業場に対しましては、超過勤務の縮減に向けて文書指導を行ったところでございますが、その改善状況につきましては、来年度行う調査の結果を踏まえ、精査することになるものでございます。
 なお、昨年度指導対象となりました38事業場の状況について申し上げますと、5事業場について改善が見られた一方、33事業場が継続して指導対象となったところでございまして、引き続き、事業場への指導を行っていく必要があると考えているところでございます。
〇斉藤信委員 今の答弁で、33事業場は継続して指導の対象になったと。この原因、要因は何ですか。
〇及川職員課総括課長 33事業場の要因ということでございます。33事業場は月30時間超、年間にすれば360時間超えということでございますが、この要因といたしましては、事業場調査、事業場を単位として行っておりますので、例えば、新型コロナウイルス感染症対応ですとか物価高騰対策等を行っている本庁、広域振興局ですと、豪雨災害等に対応している場合もございます。あと、事件の捜査等を行っている警察署などもございます。こういった事業場が月30時間超というところになっているものでございます。
〇斉藤信委員 今の理由だと改善されないという感じですね。やはりそういう状況があっても、どう改善していくかということを考えないと、余裕のない体制でやっているからそうなるのだと思います。コロナ禍の教訓もそうです。病院などもそうですけれども、ギリギリの人員でやっていて、新型コロナウイルス感染症のような大きな問題が発生すると対応できなくなる、そういうことだと思います。
 次に、県職員の超過勤務で、1人当たり平均で年間100時間を超えている部局等の実態と要因を示してください。
〇及川職員課総括課長 県職員の月100時間超えの超過勤務の状況でございますけれども、今年度調査いたしました令和4年度実績におきましては、実数で88人となっております。この主な要因といたしましては、オミクロン株によります新型コロナウイルス新規感染者の急増に係る対応ですとか、物価高騰対策の実施等によるものと承知しております。
〇斉藤信委員 100時間を超える事業場は、令和4年の17事業場から、令和5年の調査では12減っているということは評価したい。ただ、100時間というのは、これは本当に過労死ラインなので、あれこれの理由にしないで改善していくことが必要なのではないかと思います。
 次に、教育職員の場合、月100時間を超える調査を行っていますが、80時間を超える時間外在校等時間についても今後は調査をすべきと考えますが、いかがでしょうか。
〇及川職員課総括課長 教育職員につきましては、時間外在校等時間が月100時間を超える教育職員がいる事業場を把握しているところですが、これは過去に面接指導の対象となります月100時間超の教育職員がいる県立学校が相当数あったということから、重点的に指導してきたところでございます。
〇斉藤信委員 私は教育委員会でも聞いたので、100時間超はかなり減りました。それは評価をしたい。ただ、80時間超が変わっていない、減っていないのです。今までは学校の現場で100時間を超えるのはかなりの規模であったので、超異常な事態。しかし、80時間を超えるというのも異常な事態なので、そういう意味でいけば、教育委員会も80時間超をゼロにするという働き方改革の目標を示しましたので、ぜひ人事委員会としても、80時間超をなくすという調査と指導をやっていただきたい。
 最後ですけれども、全体として超過勤務縮減の取り組みはどうなって、どういう成果があらわれているか示してください。
〇及川職員課総括課長 超過勤務縮減の取り組みでございます。人事委員会といたしましては、事業場調査の結果を踏まえまして、先ほど申し上げましたとおり、文書での指導を行っているほか、毎年10事業場程度の事業場を訪問いたしまして、業務の実態を踏まえた超過勤務の縮減について、直接助言いただくとか指導を行っているところでございます。
〇城内愛彦委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇城内愛彦委員長 質疑がないようでありますので、人事委員会関係の質疑を終わります。
 人事委員会事務局の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 次に、監査委員事務局長に監査委員関係の説明を求めます。
〇藤澤監査委員事務局長 監査委員関係の予算について御説明を申し上げます。
 予算に関する説明書の117ページをお開き願います。
 2款総務費10項監査委員費のうち、1目委員費の予算額2、005万3、000円は、委員4人の報酬、給与及び監査等に要する経費でございます。
 次に、2目事務局費の予算額2億2、588万4、000円は、事務局職員21人の人件費等、事務局の管理運営に要する経費でございます。
 以上で監査委員関係の説明を終わります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
〇城内愛彦委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇城内愛彦委員長 質疑がないようでありますので、これで監査委員関係の質疑を終わります。
 監査委員事務局の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
   午後6時23分 休 憩
午後6時52分再開
〇城内愛彦委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 次に、警察本部長に警察本部関係の説明を求めます。
〇高水警察本部長 それでは、令和6年度の警察本部関係予算について御説明をさせていただきますが、初めに、令和5年中における警察業務の推進状況について説明をさせていただきます。
 県警察は、令和5年の基本姿勢に、県民の期待と信頼に応える力強い警察を掲げ、東日本大震災津波で被災された方々の心に寄り添う活動に取り組むとともに、全国植樹祭の開催に伴う警衛警備、子供、女性、高齢者が犯罪等の被害に遭わないための活動の推進など、県民の安全、安心の確保に努めてきたところであります。
 県内の治安情勢を見ますと、殺人や強盗等の凶悪事件が発生しているほか、特殊詐欺害は認知件数、被害額ともに減少しているものの、高齢者の被害割合が依然として高水準で推移するなど、厳しい情勢が続いております。
 また、交通事故につきましては、発生件数、傷者数ともに減少し、死者数は35人と記録が残る昭和23年以降、令和3年と並び過去最少でありましたが、死者の6割以上を高齢者が占めるなど、なお憂慮すべき状況にございます。
 こうした情勢を踏まえ、県警察では、令和6年の基本姿勢を、昨年に引き続き、県民の期待と信頼に応える力強い警察とするとともに、活動重点として、被災者に寄り添う警察活動の推進を初めとする7項目を掲げ、各種施策を着実に推進し、県民の皆様が安全、安心を実感できる地域社会の実現を目指してまいります。
 次に、令和6年度岩手県一般会計予算のうち、歳出予算について御説明をいたします。
 議案その1の12ページをごらんいただければと思います。
 警察本部が所管する予算は、9款警察費298億3、848万円余でございます。これを令和5年度当初予算と比較いたしますと、24億271万円余、8.8%の増となっております。
 増額の主な要因は、信号灯器のLED化等に係る交通安全施設整備費の増によるものであります。
 その他の内容につきましては、予算に関する説明書に記載しておりますので、説明は省略させていただきたく、御了承をお願いいたします。
 次に、予算関係条例について御説明いたします。
 議案その2の48ページでございます。
 岩手県公安委員会の管理に属する事務手数料条例の一部を改正する条例でありますが、別表第6、銃砲刀剣類所持等取締法関係事務手数料について、標準政令に準拠し、技能講習手数料を増額するものであります。
 次に、別表第9、警備業法関係事務手数料について、同法の一部改正に伴い、警備業認定証再交付手数料、書換え手数料を廃止するものであります。
 次に、49ページの別表第10、自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律関係事務手数料について、同法の一部改正に伴い、自動車運転代行業認定証再交付手数料、書換え手数料を廃止するものであります。
 次に、別表第11、探偵業の業務の適正化に関する法律関係事務手数料について、同法の一部改正に伴い、全ての手数料を廃止するものであります。
 以上で警察本部関係の予算についての説明を終わります。よろしく御審議くださいますようお願いいたします。
〇城内愛彦委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇小西和子委員 それでは、よろしくお願いいたします。私からは1点のみであります。
 男性職員の育児休業等の取得状況について伺います。
 岩手県の最重要課題であります人口減少、少子化対策につきまして、意識と慣習を家庭と職場と地域が一体となって変えていくこと、そのための手段の一つが男性の育児休業取得で、一番重要な課題だと考えます。男性の家事時間割合が変わらずに低く、女性に家事の負担がのしかかっている現状を打破しない限り、少子化には歯どめがかかりませんと一般質問で県職員の男性育児休業取得について質問したところ、男性育児休業取得率が全国第2位となったこと、それから、職場環境づくりや職員本人の不安解消に継続的に取り組んでおり、具体的には、育児支援制度の周知に向けたハンドブックや収入面の影響額を試算できるシートの作成、育児等に関する相談窓口の設置など、各般の取り組みを展開しているところでございます。
 そして、次、驚きました。特に、警察本部におきましては、本部長の強いリーダーシップのもと、取り組みを進め、男性職員の育児休業の取得率が警察部門の都道府県順位第1位となるなど、そこが申しわけないですけれども、全然予想していなかったので非常に驚きました。失礼だなと言われていますけれども、すばらしい。本当に敬意を表したいと思います。
 私は、学校現場にいたものでありまして、学校現場は昨年度、県立学校においては19.0%、小中学校において7.8%、非常に低いです。実は、県職員、知事部局も低かったのです。4年前は7.8%、それが16.7%、36.8%、46.8%、78.8%というふうにぐんぐんと取得率を上げてきたのです。
 そこでお伺いいたします。警察本部の直近5年間の取得状況、取得率と期間についてと、次年度の目標についてもお伺いいたします。
〇天野警務部長 初めに、県警察における男性職員の育児休業取得状況についてでございますが、令和元年度以降、県警察における男性職員の育児休業取得者数及び取得率は年々上昇しております。平均取得日数につきましても増加傾向にございます。
 令和5年度は、1月末現在で、取得者数77人、取得率90.6%、平均取得日数は21.1日となっております。
 令和6年度の目標についてでありますが、育児休業取得率や取得日数の向上はもちろんでありますが、その大もととなります育児休業と関連制度に関する正しい理解の全職員への浸透と定着、男性職員の育児休業取得は当たり前という職場環境づくりに取り組んでまいります。
 直近5年間の令和元年度以降の具体的な数値につきましては、この後、警務課長からお答えさせていただきたいと存じます。
〇加藤参事官兼警務課長 直近5年間におけます県警察における男性職員の育児休業取得状況の推移についてでございますが、直近5年間、これは年度ごとの集計となります。
 初めに、平成31年、令和元年度につきましては、取得者数が1人、取得率1.0%、平均取得日数も7日と低くなっております。令和2年度、取得者数が10人、取得率10.5%、平均取得日数が19.1日、令和3年度、取得者数が22人、取得率20.6%、平均取得日数33.1日、令和4年度、取得者数85人、取得率107.6%、平均取得日数13.2日、令和5年度は1月末現在、取得者数が77人、取得率90.6%、平均取得日数が21.1日となっております。
 このうち、令和4年度におきまして取得率が100%を超えている理由でございますが、令和3年度に配偶者が出産した職員が年度を超えてから育児休業を取得したことによるもので、この数を計上したことから107%ということで100%超えになっているところでございます。
〇小西和子委員 107.6%とはどういうことかと、そういうことだったのですね。取れる方は全て取っていたということ、すばらしいと思います。
 次、産後パパ育児休業の今年度の取得状況、取得率、期間についてと、次年度の目標もあわせて伺います。恐らく100%ではないかと思いますが、お願いします。
〇天野警務部長 初めに、いわゆる産後パパ育休の令和5年度の取得状況についてでありますが、速報値、手集計ではございますけれども、令和5年度中に配偶者が出産した職員のうち、いわゆる産後パパ育休を取得した男性職員につきましては、ことし1月末の段階で、取得者数39人、取得率57.4%、平均取得日数20.7日となっております。
 次に、令和6年度の目標についてでありますが、産後パパ育休の取得率や取得日数の向上はもちろん、育児休業と関連制度に関する正しい理解の全職員への浸透と定着、男性職員の産後パパ育休取得は当たり前という職場環境づくりに取り組んでまいります。
〇小西和子委員 産後パパ育休の制度ができて年数が短いということもあろうかと思いますし、母親の産前産後の間の部分の休業だけでございますので、取り組みの強化をお願いいたします。
 先ほどの107%、衝撃的な数字でございました。すばらしいと思います。取得しやすい職場環境づくり等について、具体的にどのような取り組みを行っているか。それから、改めて、次年度の取り組みについても伺います。
〇天野警務部長 男性職員が育児休業を取得しやすい職場環境づくりについてでありますが、取り組みの大きな柱は二つございます。
 一つ目は、育児休業等の制度の周知であり、これまで施策推進の鍵を握ります警察署長等の幹部職員を対象としまして、会議や研修会等、多くの機会を利用して制度の周知指示、教養を継続してまいりました。また、配偶者の妊娠が判明した段階から、幹部職員との継続的な面談を通じた各種制度の計画的な利用の勧奨、それから、関係制度の内容や実際の利用事例等を掲載したパパ手帳の配付、子供が生まれた職員に対する本部長からのメッセージカードの送達、それから、育児世代の職員で構成する検討チームでの働き方改革等の検討と提言、岩手県警察次世代パパ支援セミナーの開催、また、育児参加体験談の周知、警察署の課長等幹部職員の取得実績の積み重ね等を推進してきたところであります。
 二つ目は、業務の合理化や人事面での配慮と必要に応じて組織的支援の推進でございまして、育児休業期間中の業務をサポートするために、所属内での担当業務の兼務や配置がえ、また、警察本部所属からの職員の応援派遣等の柔軟な運用によって業務への支障を解消し、育児休業を取得しようとする職員の負担感の解消に努めてきたところであります。
 県警察におきましては、令和6年度も引き続き、これらの取り組みを継続してまいりますとともに、職員の意見や要望、社会情勢の変化、民間企業の取り組み等も視野に入れながら、取り組みのさらなる充実に努めてまいります。
〇小西和子委員 幾つもの取り組みをなさっていますし、それから、それを受け入れる体制づくりといったことにも力を入れていることがすばらしいと思います。それから、働き方改革もしっかりと進んでいらっしゃるということを実感いたしました。
 教育現場は、小中学校でいいますと、在校等時間等が、月平均80時間近いのです、過労死ライン近いのです。ですから、男性が育児休業を取りたくても取れない、そしてまた、取れるような職場体制ではないといったことが大きなハードルになっていると実感しております。
 最後でございますけれども、育児休業の取得は男性職員にとって、育児に主体的にかかわる契機となるだけでなく、育児を応援する職場風土の形成に資する重要な機会と捉えております。岩手県の最重要課題であります人口減少、少子化対策に率先して取り組むためにも、警察本部のように、男性職員の育児休業等の取得促進が重要と考えております。
 最後に、次年度に向けて警察本部長の意気込みをお伺いして終わります。お願いいたします。
〇高水警察本部長 お褒めの言葉、ありがとうございます。施策を引き続き頑張っていきたいと思いますが、今、答弁にもありましたように、県警察の男性職員の育児休業取得者数、それから取得率は令和3年度以降大きく伸びておりまして、全国トップクラスとなっております。
 ただ、その一方で、全職員に関連制度の理解がまだ浸透しきれていないところがあります。それともう一つ、将来のキャリア形成に及ぼす影響を不安視している若手職員もまだいるということがございます。
 警察職員のワークライフバランスの確立につきましては、今後の有能な人材の確保、それから、職員のモチベーションの向上につながっていくと思っています。これが、ひいては組織の活性化や県民の安全、安心を確保するという我々警察業務の効果的な推進につながるものと考えているところでございます。
 私自身、警察というところは人間力が問われる職場であると考えておりまして、一人一人の職員が一社会人として、また、一家庭人としてそれぞれの責任をしっかりと果たすことが県民の立場を理解することにもつながるものと考えておりますので、これらの制度のより一層の浸透に意を用いていきたいと考えております。今後とも御指導よろしくお願いいたします。
〇高橋但馬委員 私からは、警察官の不祥事についてお伺いいたしたいと思います。
 昨年の全国の警察官等の懲戒処分を受けた人数は266人とのことであります。特に飲酒中、または飲酒後の処分対象の事案を起こしたのは前年よりも倍増とのことでありました。県警察においても、昨年12月に男性巡査部長が職場の忘年会後に泥酔をして他人の住宅敷地内に侵入し処分を受けております。こういうことが多々あるのかと思うのですけれども、処分理由別を示してもらいたいと思います。
〇熊谷参事官兼首席監察官 警察職員の非違事案に関する御質問ということで、令和5年中の岩手県警察における懲戒処分の状況について申し上げますが、令和5年中は、二日酔いによる酒気帯び運転事案で戒告処分としたもの1名という状況でございました。
 なお、懲戒処分に至らない訓戒、あるいは注意といった措置につきましては10名でございまして、措置理由別では、道路交通法違反が4人、不適切交際が2人、証拠物件の不適切な取り扱いが1人、パワーハラスメントが1人、セクシャルハラスメントが1人、失踪事案が1人ということで措置しておりまして、前年比では21人少ないという状況でございます。
 なお、高橋但馬委員から御指摘のありました12月の泥酔事案につきましては、発生が12月でございますけれども、処分は本年1月になりますので、令和5年中には含まれないという状況になっております。
〇高橋但馬委員 処分理由別としては納得いたしました。
 それで、警察庁が令和5年2月9日に公表した懲戒処分者の数の推移を見ると、令和4年は平成28年以降最高となっております。県警として独自調査はどのようになっているのか、また、階級別ではどうなっているのかお伺いいたします。
〇熊谷参事官兼首席監察官 令和4年中の状況についての御質問でございますが、県警察における令和4年中の懲戒処分につきましては、2人でございまして、前年比でマイナス2人という状況でございました。
 階級別としましては、警部が1人、巡査部長が1人という状況でございました。
 なお、岩手県警察の過去の懲戒処分の推移について申し上げますと、過去5年では、令和5年、昨年が1人、巡査です。令和4年は2人、警部と巡査部長、各1人です。令和3年は4人、警部と巡査部長と巡査と事務職員、各1人です。令和2年と令和元年は、処分を受けた者はございません。過去5年の推移を見ますと、減少しているという状況です。
〇高橋但馬委員 過去5年の推移を見ると、全国に比べると、全国はふえているのに減っているということで理解いたしました。
 それでは、そういう問題に対する公安委員会の管理機能はどうなっているのかお知らせください。
〇熊谷参事官兼首席監察官 公安委員会の管理機能についてでありますけれども、公安委員会は、県警察の民主的な運営と政治的中立の確保を図るため、住民の良識を代表する者による合議制の機関といたしまして、県警察を管理するという機能、役割を担っております。
 公安委員会が行う管理とは、個々の事務執行は含まずに、大綱方針を定めて、これによる事前事後の監督を行うことを意味するということで承知しております。
 なお、非違事案の発生に際しては、その都度、発生状況を公安委員会に報告しているところでございます。
〇高橋但馬委員 国家公安委員会では、警察の監察を市民の代表である公安委員会がチェックする機能を抜本的に強化していく必要があるということがホームページに書かれてありましたので、今後また何か変化があるかもしれませんので、推移を見届けていただければと思います。
 私の地元にあります駐在所の署員さんが、学校が統合した関係でスクールバスが出ているのですけれども、晴れている日も、雨の日も、雪の日もスクールバスに子供たちがしっかり乗ったかというのをチェックしていただいております。日ごろより県民の日常生活の安全と平穏を守るため、尽力されていることは十分私も理解しておりますし、一部の警察官の不祥事によって県民も不安に感じていると思うのであります。信頼回復へ向けたコンプライアンス体制の再構築に向けては、どう取り組んでいくのかお知らせ願いたいと思います。
〇熊谷参事官兼首席監察官 信頼回復に向けた取り組みについてでございますけれども、法令遵守の模範となるべき立場の警察職員が職務倫理意識、自覚の欠如によって規律違反を発生させて県民の信頼を損ねているということにつきましては、重く受けとめているところでございます。
 県警察といたしましては、再発防止のために警察署長会議における再発防止をテーマとした協議でありますとか、あるいは、警察職員の使命感と誇りを醸成させるための各警察署に対する服務監察に際して、職員での座談会を開催しておりまして、そこに公安委員会から委員に陪席いただきまして、指導、助言なども行っているところでございます。
 こうした取り組みを通じまして、全職員に対して職務倫理意識の保持、綱紀粛正の徹底を図ってまいりまして、本来の警察がやるべき業務に全力を挙げて取り組めるように信頼の確保に努めてまいりたいと考えております。
〇高橋但馬委員 それこそ岩手県警初の女性ヘリコプター操縦士が誕生したというニュースも見まして、希望を持って県警察に入っている人もおりますし、ある保育園の園児が悪い人をつかまえるごっこ遊びをしていて、園長が、将来何になるのと聞いたら、警察官と答えたそうです。子供たちの憧れの職業の一つであると思いますし、ぜひともそういう人たちの気持ちを裏切らないように、先ほど示していただいた再発防止の取り組みをしっかりと進めていきたいと思うのですけれども、最後に警察本部長の一言をいただいて、終わりたいと思います。
〇高水警察本部長 今、首席監察官のほうからも答弁させていただきましたが、法令を遵守すべき警察職員の非違事案の発生というのが、まさに御指摘のとおり、県民の方に不安を与えることになってしまうと思います。ただいま申し上げました施策に加えまして、職員一人一人のコンプライアンス意識の向上に向けて、丁寧な対策、指導を続けていきたいと考えておりますので、今後とも御指導をよろしくお願いいたします。
〇郷右近浩委員 私からも何点か質問させていただきたいと思います。
 まず、令和6年度当初予算案におきまして、運転免許証・マイナンバーカード一体化事業費1億6、900万円余が計上されておりますけれども、この運転免許証とマイナンバーカードの一体化をどのようにしていくのか、概要についてお伺いしたいと思います。
〇吉田交通部長 運転免許証とマイナンバーカードの一体化についてでありますけれども、道路交通法の一部改正により、運転免許に係る情報のマイナンバーカードへの記録に関する規定が整備されまして、マイナンバーカードのICチップ内に免許証の情報を搭載するもので、令和6年度末までに運用を開始する予定であります。
 本県におきましても、これに対応するため、マイナンバーカードに運転免許情報を書き込み、読み取りを行う機器など、必要な資機材を自動車運転免許試験場、各運転免許センター及び各警察署に整備するものであります。
〇郷右近浩委員 運転免許証とマイナンバーカードの一体化というのは前からも言われて久しいものでありますけれども、そうしたときに、運転免許証とマイナンバーカードが一体化されると、現行の運転免許証はなくなるといった考え方でよろしいのでしょうか。
〇吉田交通部長 運転免許証とマイナンバーカードが一体化されると、現行の運転免許証はどうなるのかという御質問ですけれども、本制度が運用された場合、現行の運転免許証のみを所持、運転免許証と一体化したマイナンバーカードのみを所持、それから、一体化したマイナンバーカードと現行の運転免許証の両方を所持のいずれかの形態を選択することとなります。
 なお、マイナンバーカードとの一体化は任意でありまして、この切りかえは運転免許証の更新時に限らず、申請者の任意のタイミングで行うことができ、現行の運転免許証のみに戻すこともできるものであります。
〇郷右近浩委員 だとすると、今回計上されている1億6、980万円については、全部をそうするための予算というわけではなくて、例えば、それをするための設備であったりとか、どのぐらいの方々が一体化をやろうとされるのか、想定されていることがわかれば教えていただければと思います。
〇吉田交通部長 先ほど御答弁差し上げたとおり、本事業につきましては、マイナンバーカードの一体化に伴いまして、マイナンバーカードに運転免許情報を書き込み、それから、読み取りを行う機器など、必要な資機材を自動車運転免許試験場、各運転免許センター及び各警察署に整備することとしております。
 県民の多くは免許証を持っていますけれども、更新時等において、マイナンバーカードの一体化という選択もあり得るものでありまして、先ほど御答弁申し上げたとおり、マイナンバーカードの一体化は任意でございます。そのときの更新時において御判断するものと考えております。
〇郷右近浩委員 わかりました。任意というのであれば、運転免許証とマイナンバーカードを一体化することのメリット、それはもちろん、行政としてのメリットの部分もあろうかと思いますし、ただ、そのときに免許証を持っておられる方がメリットがあればこそという部分になると思うのですけれども、その点はどのようにお考えかお伺いしたいと思います。
〇吉田交通部長 運転免許証とマイナンバーカードを一体にすることによる県民のメリットについてでありますけれども、運転免許証と一体化したマイナンバーカードのみを所持する方は、市役所等でマイナンバーカードの住所変更を行うことで、警察での住所変更手続が不要となるワンストップ化が可能となります。
 また、これまで岩手県外で免許更新を行う場合には、岩手県公安委員会から更新された運転免許証が郵送されるのを待つ必要がございましたが、一体化したマイナンバーカードであれば、申請した日に岩手県外の運転免許センター等で更新された運転免許の情報をマイナンバーカードに書き込むことが可能となりまして、迅速な運転免許証の更新手続が可能となるものでございます。
〇郷右近浩委員 わかりました。私は、ポイントにつられてマイナンバーカードをつくりましたけれども、多くの国民がそうであったと思うのです。その後、マイナンバーカードの信頼性というか、それで返却したという話もある中で、信頼性がどうかという部分が若干残っているものに対して免許証の情報を載せていくということ自体が果たしてどうなのかという思いもあります。
 そうした中で、今度は先日、報道にあったように、政府においては、12月に現行の健康保険証を廃止することが決まっている中で、来年度にもスマートフォンで利用できるようにするとしておりますけれども、運転免許証もそれにひもづけになって、さらにスマートフォンで使えるような形になっていくことになるのでしょうか。
〇吉田交通部長 運転免許証は、今後、スマートフォンに搭載できるようになるのかという御質問でございますけれども、国におきまして、令和5年6月に定めましたデジタル社会の実現に向けた重点計画に基づきまして、警察庁がデジタル庁と連携し、検討を進めることとされております。今後、国の動向を見ながら適切に対応してまいりたいと考えております。
〇郷右近浩委員 わかりました。自分がどうするかはともかく、内容としては大体理解いたしました。ありがとうございます。
 それでは、先に進ませていただきます。今度は県内における犯罪の状況についてお伺いしてまいりたいと思います。
 令和5年度におきましては、2件の殺人、そして、さらには、外国人の組織的窃盗事件など4件の捜査本部を岩手県警察内に設置するなど、県内における大きな犯罪が最近、多く目立ってきているように感じております。
 県内における犯罪の認知件数、検挙件数、検挙率をお示しいただければと思います。
〇中屋敷刑事部長 県内における刑法犯の認知件数等でございますけれども、認知件数は、平成9年の約1万6、000件をピークに減少を続け、現在、2、000件台で推移しております。
 検挙件数については、認知件数と連動した形で減少しておりますが、検挙率については、平成14年の20%台から上昇し、ここ数年は50%を超えております。
 なお、令和5年12月末の刑法犯の認知、検挙状況は、認知件数が2、856件、検挙件数が1、534件、検挙率は53.7%、検挙人員が1、039人であり、前年比で認知件数、検挙件数及び検挙人員は増加、検挙率は減少しております。
〇郷右近浩委員 今回、先ほど4件の捜査本部を設置という話をさせていただきましたが、先ほどの繰り返しになりますが、殺人事件であったり、組織的窃盗事件であったり、これは全て解決、検挙という形になったと認識はしておりますけれども、特殊詐欺事件であったり、なかなか顔が見えないような犯罪であったり、この地方においてもどんどんふえてきているのかという思いを持っております。
 現在、全国的にも治安の悪化が懸念されている状況において、県内でも問題になっている特殊詐欺事件が広域化、巧妙化の一途をたどっている中、特に最近では、私も先日、資料請求して初めて聞いた名前ですが、SNS等を利用した実態の把握しづらい、匿名・流動型犯罪グループによる特殊詐欺事件が話題となっているようでありますけれども、このような犯罪はしっかりと検挙していくことが県民への安心を与えるためにも必要であり、県警察ではどのような対策、活動を行っているのかお伺いしたいと思います。
〇中屋敷刑事部長 近年、暴力団とは異なり、SNS等を通じるなどした緩やかな結びつきで離合、集散を繰り返す犯罪グループが特殊詐欺事件等を広域的に敢行する状況が見られ、治安上の脅威となっております。
 こうした情勢から、警察では準暴力団を含むこのようなグループを匿名・流動型犯罪グループと位置づけ、その動向を踏まえ、繁華街対策、侵入窃盗対策、暴走族対策や少年非行対策など、部門の垣根を越えた実態解明を進めるとともに、あらゆる法令を駆使した取り締まりを進めてまいります。
〇郷右近浩委員 先ほど検挙率の話もお聞きいたしましたけれども、検挙するのが難しいような事案が確かにふえてきているのかと思います。
 そうした中にあって、先日、警察庁の2024年全国優秀警察職員表彰におかれまして、県警組織犯罪対策課組織犯罪特捜第二係長の田中耕運警部補が表彰されたという報道については、組織犯罪等に対してもしっかりと対応しているということを感じさせていただいたものであります。田中耕運警部補におかれましては、ずっと長く刑事畑をやってこられた中にあって、中屋敷刑事部長におかれましてもこれまでずっと刑事畑を歩まれてこられたということで、これからいろいろな捜査が難しくなってくる中、岩手県民の安全、安心をしっかり守っていただきたいということにおいて、中屋敷刑事部長から後輩に対して、そして、私たちに対してしっかりとお言葉をいただければと思います。
〇中屋敷刑事部長 ありがとうございます。これまでの捜査経験を踏まえて後輩に伝えたいことということですが、後輩へのエールの意味も込めまして、特殊詐欺の捜査について若干お話しさせていただきます。
 特殊詐欺と呼ばれるものが登場して、もう20年余を経過するわけですけれども、根絶どころか年々多様化、巧妙化し、全国的には増加傾向にあります。これまで長年にわたって捜査に携わってきた者の一人としては、このような現状に本当にじくじたる思いであります。
 しかし、本年は警察庁のリードで、新体制の特殊詐欺連合捜査班というものを発足させて、都道府県の枠を超えた総力戦に乗り出そうとしております。特殊詐欺は地方の高齢者をだまして、首都圏でATMで現金を引き出すのが典型でございますけれども、この場合ですと、当県だけで、いわゆる出し子等を検挙しても上部被疑者にたどり着くのは難しかったわけですが、新体制では、首都圏に各県警察から捜査員を集めて、リアルタイムで上部被疑者への突き上げ捜査を可能にしようとするものであります。
 表現は悪いかもしれませんけれども、ようやく警察庁が重い腰を上げて、本気になって組織の壊滅に取り組もうというわけでありますから、県警察としても決して乗りおくれることなく、一人でも多く末端の被疑者を検挙して、組織の壊滅に寄与することを期待するものであります。
〇柳村一委員 私からは、県警察の地球温暖化対策について、まずお伺いします。
 県有施設等の脱炭素化に向けた基本方針では、2030年までに2013年度比60%削減の目標を掲げておりますけれども、岩手県警察の施設の地球温暖化対策はどのような形で進んでいるのかお伺いいたします。
〇天野警務部長 警察施設の地球温暖化対策についてでありますが、岩手県において、県有施設等の脱炭素化に向けた基本方針が策定されましたことから、県警察としましても、新築建築物のZEB化、太陽光発電やLED照明の導入、公用車のEV導入に向けて取り組み、温室効果ガスの排出削減を図るものです。
 まず、新築建築物のZEB化につきましては、新築する紫波警察署等庁舎を、県の基本方針を踏まえまして、ZEB Ready相当以上として建築する方針で設計を進めております。
 次に、太陽光発電の導入につきましては、警察署等では警察学校と釜石署、久慈署の2警察署に、また、交番、駐在所につきましては、23カ所に整備をしておりまして、そのうち6カ所は防災拠点として蓄電機能を有する設備を設置しております。
 次に、LED照明の導入につきましては、平成29年度以降に新築した警察施設には既に導入をしており、警察署にあっては、宮古署、釜石署、久慈署の3警察署に整備をしております。
 また、今後20年以上供用が見込まれる施設への対応も必要となりますことから、県と足並みをそろえて、導入に係る検討を行ってまいりたいと考えております。
 なお、信号灯器のLED化につきましては、令和6年度から5カ年で県内全ての信号機をLEDに更新整備する計画としております。
〇柳村一委員 結構頑張っていらっしゃるということで安心しましたけれども、その中で、公用車のEV化は今、お話にならなかったようですけれども、県警のホームページを見ると、パトカーが290台、白バイが40台と載っていましたけれども、バイクのEVは難しいかもしれないですけれども、公用車についての御検討はどういう形で行われているのでしょうか。
〇天野警務部長 警察車両の脱炭素化に向けた取り組み状況についてでございますが、現在、警察本部が所有している県有車両145台のうち、EV関連車両は、ハイブリッド車両が2台となっております。
 県警察といたしましても、脱炭素化の取り組みの重要性は重々認識をしておりまして、電気自動車の導入に向けた不断の検討を進めているところであります。
 しかしながら、ハイブリッド車を除きまして、現状の電気自動車の性能は、事件や事故の即応能力や稼働可能時間等の面で、導入を進めた場合には、現場の警察活動に重大な支障が及ぶことが明らかであるため、当面の間、導入を見送らざるを得ない状況にあります。
 なお、今後、電気自動車が現状のハイブリッド車と同等の走行距離、活動可能時間等の性能を備えることとなりました場合には、当然ながら、積極的に導入を進めていくことになるものであります。
〇柳村一委員 パトカーに関してはなかなか難しいということですけれども、2台のハイブリッド車があるということで、ハイブリッドに変えていくのも一つの方法ではないかと思うのですけれども、そういう導入の計画等はおありでしょうか。
〇加藤参事官兼警務課長 ハイブリッド車の導入でございますが、更新の時期からいきますと、普通車の場合、全てハイブリッド車としております。ただ、なかなかハイブリッド車になじまない大型バスでありますとか、そういったものになれば除かれますけれども、基本的には、ほぼハイブリッド車を導入することで、県費の車両はもちろん、国費の車両も含めて、普通車であればハイブリッド車を選んでいるところでございます。
〇柳村一委員 わかりました。ありがとうございます。本部長の車もハイブリッドカーだそうですね。
 県の基本方針の中で、再生可能エネルギーの電力使用量の導入というのもその他の部分であるのですけれども、その辺は交番とか警察署とかで検討をされたことはあるでしょうか。
〇菊地参事兼会計課長 太陽光発電の部分だと思いますけれども、現在、交番駐在所等に太陽光発電を設置しているところ、売電しているところもございますし、あとは蓄電機能を備えているところもございます。蓄電機能がある場所は、大体、幹部交番ですとか、例えば、見前幹部交番、八幡平幹部交番、高田幹部交番というようなある程度大きめの交番となっておりますけれども、今後、脱炭素化ということで、太陽光も有効な一つだと思いますので、交番、駐在所等の設置においても進めてまいりたいと考えております。
〇柳村一委員 例えば、久慈市ですと地域電力があるので、そこの電力を使ってやっているという感じでしたけれども、わかりました。
 次に、警察官の採用についてお伺いします。
 まずは、昨年の決算特別委員会で佐藤ケイ子委員が質問したのですけれども、年々、採用試験の申込者が少なくなってきているということなのです。大学卒業者を対象とした警察官Aと、その他のBというのがありますけれども、それぞれ減少しているのかどうか、まずお伺いしたいと思います。
〇加藤参事官兼警務課長 警察官A、Bのそれぞれの応募状況でございますが、前回、佐藤ケイ子委員に答弁したとおりでございますが、大きく減少を続けておりまして、令和5年度におきましても、受験者総数が全部で254人でございまして、倍率の低下も相まって、採用サイドとしましては危機的な状況にある現状にあります。
〇柳村一委員 今年度から、警察官は1カ月早く試験をやるということですけれども、早くやるのはいいのですけれども、内定辞退者も結構いるわけで、影響があると思うのです。早く内定をもらっていてもほかの県の警察に行ったりとか、あと、自治体や消防に行くという形があるのですけれども、今回、早めてどのような効果があるとお考えでしょうか。
〇加藤参事官兼警務課長 警察官への採用試験を早めることについてでございますが、人事委員会からの格別の御協力を得まして、従来よりも2カ月以上早くしている状況にございます。現在のところ、3月1日から22日までで、今、募集を続けているところでございますが、3月5日夕方の時点で65名、男性警察官が49名、女性警察官が16名の受験申し込みを受けているところでございます。
 非常に快調な出だしとなっておりますが、内容を精査しますと、こういう言い方はなんですけれども、岩手県に全く縁故のない警察官の受験者数が相当数ありまして、これがいわゆる逃げでありますとか採用辞退につながることが懸念される状況にあります。
 人事委員会とも協議を進めておりますけれども、本当に岩手県の治安維持のために、岩手県のために汗を流す警察官の確保と、それから、採用試験に合格した場合、採用辞退によるほかの職業選択というものがないように、人事サイドの担当者が合格者と面接を密にする、あるいは、去年から取り組んでおりますけれども、警察学校入校体験を通じて同期生とのきずなを深めていく、それから、学校生活に入ってからのミスマッチといいますか、アレルギー反応を抑えるために体験入校を通じてなじみを早くしていく、こういった取り組みを進めていくこととしております。
〇柳村一委員 早めたことの効果は出ているけれども、それをとどめておく施策みたいなものを今後考えていかないといけないということですね。他県の方々が岩手県警察に入るということは人口の社会減対策にもつながりますので、県警察は人口問題に関しても積極的に関与していただければと思います。
 警察官はブラックだというのも結構言われていて、それで応募の数が減ってきているのではないかとも思うのですけれども、職場の環境について、有給休暇の取得率、超過勤務の実態、サービス残業はあるのか、その辺、お答えできるであればお聞きしたいと思います。
〇加藤参事官兼警務課長 勤務環境の関係でございますが、超過勤務実績につきましては、これまでも各委員から御指摘などを賜っておりまして、各所属の業務の合理化、あるいは効率化によりまして、年々減少を続けているところでございます。
 令和3年度以降につきましては、超過勤務も、事件、あるいは、昨年ありました植樹祭等の警衛警備で若干の上下はございますけれども、総体的には減少傾向でございます。
 それから、先ほど佐藤ケイ子委員(後刻「小西和子委員」と訂正)からの御質問にもありましたけれども、職場環境を整えるための育児休業のハイレベルでの取得でありますとか……
〇城内愛彦委員長 小西和子委員です。
〇加藤参事官兼警務課長(続) 申しわけございません。小西和子委員でございます。失礼いたしました。
 育児休業の取得でありますとか、そういったところで職場環境の改善に努めているところでございます。
 あと、超過勤務につきましては、ずっと減少傾向で推移しております。
 年次休暇の取得日数、手元に数値がございませんが、基本的には、どんどん取得を推進しているところでございまして、マンスリー休暇といいまして、月1日取得しようという取り組みでありますとか、あるいは、夏季休暇などの特別休暇、それから、配偶者の出産、先ほど答弁漏れしてしまいましたが、育児休業とは別に、配偶者が出産した場合の特別休暇、育児参加休暇と配偶者出産休暇につきましては、100%の取得実績となっておりますし、いわゆるソフト面での環境充実に努めているところでございます。
〇柳村一委員 最近の就職を決める条件の中で、休暇が取れるか、残業はないか、そういうところは結構ウエートを占めていると思うのです。県警察本部はそういう努力をして有給休暇の取得率も上がっているし、残業も減ってきていますと、その辺も採用試験のときに説明してあげれば、今までのブラックなイメージから払拭できてくると思うのです。学校の先生はいまだに苦労しているのですけれども、警察官はそうではないというところを見せるとか、そういう部分で、少しでも受験者がふえる方策をしていただければと思います。よろしくお願いします。
〇上原康樹委員 私の知り合いの警察官の家庭に4人目の赤ちゃんが生まれまして、この少子化、人口減少という荒波の中で、県警察本部の警察官の方は、家庭でも、父親としても頑張っていらっしゃる、感じ入った次第でございます。これもひとえに本部長のおかげでございます。ありがとうございます。
 早速、本部長にお話を伺います。テーマは、駐車禁止解除許可、許可証、許可制度についてでございます。この言葉でどういう制度なのかということがわかるわけでございますけれども、本部長はこの制度の意義について、どういう認識を持たれているのか伺います。
〇高水警察本部長 今、御指摘の制度でございますけれども、これは許可制度と除外制度とございまして、そこに駐車をしなければ生活や業務といったものが達成できない、もしくは、歩行困難な方が目的地に達するのに車でなければいけないといったことを考慮いたしまして、公安委員会といたしまして、除外制度をつくったり、今、御指摘の件は許可制度でございますので、警察署長の許可になりますが、必要な許可を認めるということで、道路交通の円滑と安全に配慮しながら、社会の動きの中で有効に車を使ってもらうという趣旨で、この制度を運用しているところでございます。
〇上原康樹委員 ありがとうございます。ルールや法律で一くくりに対処できないということがたくさんあります。世の中には社会に貢献しているからこそ、その法律だけでは対処できない特別な事情を持たれる方も大勢いらっしゃるわけです。とりわけ、今、高齢化が進んでいる中で、認知症ですとか、あるいは障がいを持たれている方ですとか、そういう方々を支えている有資格介護従事者、こういう方々は車がなければ全く活動ができないということで、駐車禁止解除許可証、許可制度というのは、仕事の命になっているわけでございます。
 交通部長にお話を伺うことになると思うのですが、この許可証の申請と交付の状況はどうなっているでしょうか。また、今後の見通しについて、どうごらんになっているのか伺います。
〇吉田交通部長 御質問がございました駐車禁止解除許可の現状でございますけれども、県内における駐車禁止解除許可の件数と、それから、そのうち訪問介護車両に対する件数でございます。令和5年中は29件で、全てが訪問介護車両であります。令和4年中は30件で、全てが訪問介護車両であります。令和3年中は37件で、全てが訪問介護車両であります。令和2年中は45件で、全てが訪問介護車両でございます。令和元年中は6件で、この年は訪問介護車両に対するものはございませんでした。
 県内は高齢化が進んでおりまして、訪問介護事業の需要は今後高まっていくことを認識しております。今後、このような駐車禁止解除許可の申請も、訪問介護従事者、または事業者から申請がふえてくるものと認識しております。
〇上原康樹委員 これからますますこういう介護サービスを必要とする皆さんがふえてくるということになりますので、さらにこの制度を使おうという人たちはふえてくると思います。
 今回の制度は、どのように機能しているのか、問題や課題を抱えている部分はないのか、実際はどうなのか、現場での警察官お一人お一人での対応が知見となって蓄積されていると思うのですが、そうした問題、課題があればお聞かせください。
〇高橋交通規制課長 現状の許可制度に対する課題というふうにお伺いいたしました。現状の許可制度に対する課題につきましては、法令、各種規定などに基づき制定、運用しているところでございますので、県警察としましては、なかなかコメントできる立場にございませんで、回答は困難になろうかと思っております。
 ただ、上原康樹委員からお話のありましたとおり、社会的需要の高い公共性のあるお仕事ということで、平成31年以降、訪問介護の車両、訪問看護、訪問診療など、それらの車両に対する申請の事務の合理化、そして、柔軟な運用を図るように警察庁からも指示がありまして、県内各所に通知しているところでございます。
〇上原康樹委員 これは利用する方々は、待っていましたというような制度許可証だと思うのです。ですから、御自分たちの夢や思いというものを思い切り投影させようとするのは人情でございます。当然のことでございます。そこに警察と利用者の間にすれ違いが生まれていないかどうか、これが心配されるところです。十分にこの制度、仕組み、ルールは理解されているのか、それが共有されているのか、そこがポイントとなると思うのですけれども、この制度の周知徹底に向けて、新年度の取り組みはどうでしょうか。
〇吉田交通部長 訪問介護事業者、もしくは従事者の方の中には、先ほど申し上げた駐車禁止除外許可制度について、まだ御理解していない方も多くいらっしゃると思います。駐車禁止解除許可制度の周知でございますけれども、平成31年に警察庁から厚生労働省に対し、全国の医療、介護関係機関、団体への周知を依頼しているほか、県警察のホームページに申請手続を掲載し、周知に努めているところでございます。
 他方で、上原康樹委員の御指摘のとおり、まだ周知が足りないのではないかということも踏まえまして、訪問介護従事者や事業者の皆様が、よりわかりやすい内容となるよう、例えば、県警察ホームページの内容の見直しを図るですとか、それから、県や市町村の訪問介護事業担当部署の皆様の御協力を得ながら、訪問介護従事者や事業者の皆様に対する駐車禁止解除許可制度の周知に努めてまいりたいと考えております。
〇上原康樹委員 ありがとうございました。私なりに勉強させていただいたのですが、この制度の細かいルールを見ていくと、都道府県によって違うのです。ですから、県境を越えるとルールが変わるという現象も起きるわけでございます。この辺、やはりかなり正確な情報を提供しなければいけないことになるわけですけれども、ホームページを見てくださいと言われても、当事者はほとんどが高齢化しています。介護する人も、介護される人も。そういう人たちは、やはり親しんでいる紙媒体、ハンドブックのようなものをきちんとお渡しするということも有効な手だてだと思いますし、あと、取り締まりをしている警察官の方、これはどう考えても介護に従事している方の車両であっても、交差点の周辺に駐車してはいけないということもあります。そういうときに、駐車標が万能である、絶対的なものであると思い込んでいる人は、また同じ違反をするわけです。ですから、その現場で、いや、これはだめですよという指摘、指導を行うということが二度目、三度目のミスを防ぐためにとても大切なことだと思うのです。簡単なパンフレットでもいい、1枚の紙でもいい、そこに基本的なことを印刷して車に残してあげるということも大切な努力ではないか、それが血の通った警察活動につながるのではないかと思います。いかがですか。
〇吉田交通部長 先ほど上原康樹委員から御指摘がございましたけれども、やはり紙媒体での周知というのは有効だと考えております。先ほど申し上げましたが、県や市町村の訪問介護事業担当部署の皆様の御協力を得ながら、紙媒体での周知徹底というのも努めてまいりたいと思いますし、現場警察官の指導、教養も徹底してまいりたいと考えております。
〇上原康樹委員 今回の私の質疑のきっかけというのは、実は請願が出されておりました。ただ、これは実現はしなかった請願でございますけれども、どういうものかというと、この方は、お母さんがアルツハイマーで、介護サービスを受ける方だったわけです。そして、駐車禁止解除許可証を申請する場合、また複雑な話になりますけれども、介護者がどんどん変わっていく傾向があって、そのたびに申請をしなければいけないということがあるわけです。そういう煩雑さを避けるために、介護を受ける人に許可証の申請をさせてほしい、許可証を与えてほしい。そうすれば、一回許可証があれば、介護を受ける人にとっても利便性が高まるだろうという意見をお持ちだったようです。それでそういう請願を出されて、私も勉強させていただくことになったわけでございます。
 それで、その方は今度、請願が通らなかった、無理があったのかもしれないということはおわかりになったようです。なぜかといえば、もしそういうことをすれば、介護を受ける人にまで介護車両の管理の義務が生まれる、大変なことになっていく、法律を相手にするということは大変なことである。岩手県警察一つで対処できない問題だということは私も理解いたします。その方もそういうことを聞いて、態度を変えることにされたようで、請願から陳情に変えられました。この件について、もっと使いやすい便利な制度にならないかという陳情だと思いますけれども、これについて、どのような感想をお持ちですか。
〇吉田交通部長 先ほど上原康樹委員からお話がございましたとおり、訪問介護を受ける方が申請するということになりますと、やはり煩雑となりますし、それから、例えば、車両の管理ですとか違反行為といったものもその方に行くこととなりますので、そこまで介護を受ける方に責任を負わせることになるものでございますので、現行制度である駐車禁止解除許可制度をよく理解していただいて、訪問介護事業者、それから従事者の方が適正に申請をしていただいて、こちらで判断をいたしまして、個別に審査を行いまして、必要な条件を付した上で許可証を交付しておりますので、申請が必要な事業者、従事者の方にこの制度をよく理解していただいて御申請をしていただきたいと考えております。
〇上原康樹委員 これは全国で行われている制度でございますので、ほかの都道府県の警察と情報を共有するなど、この制度がよりよく活用されるための努力が期待されるところだと思うのです。案外そういう知見の中に、よりよい制度にするヒント、答えがあるように思います。
 この件に関して、最後、本部長の所見を伺いたいと思います。
〇高水警察本部長 御指摘ありがとうございます。交通部長からも答弁させていただきましたが、現時点におきましては、今ある制度を十分に活用していただくということで、今の制度におきましても、交通の安全と円滑にしっかり配意した上で駐車をしていただくという仕組みになっておりますので、まさに、さきに御指摘がありましたように、制度そのものが余り周知されていない部分もあるのではないかということがございますので、まず、いろいろなツールを使ってしっかりと理解をしていただく。そして、十分に活用していただくということに配意したいと思います。
 一方で、そもそも道路における駐車禁止規制は、我々としては交通の安全と円滑に配意をした上で規制を実施しているわけでありますが、これは本当に安全と円滑上必要なのかというところをしっかりと確認しながら、解除できるところは解除するという作業も進めておりますので、それと相まって、県民の方が生活の中でしっかりと車を安全、円滑に活用できるように配意をしていきたいと思いますので、また御指導をよろしくお願いいたします。
〇上原康樹委員 血の通った、体温のある警察活動に期待するところでございます。最後に本部長、ありがとうございました。
〇斉藤信委員 それでは、警察官の不祥事案、特に、私が一般質問で取り上げた上司のパワーハラスメントと暴行によって若い警察官が自殺した事件について、本部長注意の軽い処分になった対応はなぜなのか、懲戒処分の指針と異なった対応となったのはなぜなのか、改めてこれをお聞きいたします。
〇熊谷参事官兼首席監察官 パワーハラスメント行為を行った上司に対する措置についての御質問でございますが、平成31年当時の調査で明らかになった事実に基づきまして、その当時の指針の基準に基づいて対処したものでございまして、判明した事実の中で、平手で頭をたたくといったような行為が確認されましたことから、これは暴行に当たるということで、パワーハラスメント行為の一態様として認定し、暴行の規律違反を参考に措置を行ったものでございます。
 平成31年当時は、懲戒処分の指針において、まだパワーハラスメントに関しての直接的な分類とか規定が示されていないという状況もございまして、暴行という規律違反行為を参考にして措置したものでございます。
 また、暴行の原因につきましては、業務の指導に関するもので、指導が必要な場面、相応の理由があった中で行き過ぎた指導となったものと認められたものでございます。
 そして、処分量定につきましては、個別具体的に行為の動機、対応、職責の有無などを総合的に考慮して当時の過去の先例等に照らして適正に処分したものでございます。
 指針と異なる処分がどうして行われたのかということに関しましては、懲戒処分の指針の基本的事項を定めておりまして、これには実際の処分に当たっては、行為の態様などを総合的に考慮するものとし、事案の内容によっては、指針に定める懲戒処分の種類とは異なる処分を行うこと。懲戒処分とせずに訓戒、注意といった監督上の措置を行うこともあり得ると明記されております。こうしたことから、当時、そのような措置をしているという状況でございます。
〇斉藤信委員 立ち入って聞きます。あなた方は詳細な調査をしたと言いました。その詳細な調査でパワーハラスメント、暴力、暴行がいつからいつまで、どのように行われたか示してください。
〇熊谷参事官兼首席監察官 調査の結果で、どのようなパワーハラスメント行為を認定したかということでございますけれども、期間は一定程度の期間を認定しております。つまり、単発的な行為という状況ではございませんで、平成30年5月ころから同年12月ころまでの間、当該職員に対して立たせたままの叱責、先ほど申しました平手でたたくなど、指導の中において行き過ぎたパワーハラスメント行為ということの調査結果でございます。
〇斉藤信委員 余りにも不十分な話です。あなた方は詳細な調査をしたと言っているではないですか。そんなずさんな。それが詳細な調査の結果ですか。あなた方はこの調査の結果、パワーハラスメントが自殺の一因となったと認定しましたね。
〇熊谷参事官兼首席監察官 当時はパワーハラスメント行為が自殺の一因となったことは否定できないという判断でございます。
〇斉藤信委員 一因となったことは否定できないと今、極めて重要な発言がありました。一因となったということですよね。それで、その後、遺族が公務災害の申請をしました。この公務災害が認定された理由は何ですか。
〇熊谷参事官兼首席監察官 公務災害が認定されましたのは、県警察において措置をした後の令和2年になってから、地方公務員災害補償基金において認定したものでございまして、答弁できる立場にはないということで御理解いただきたいと思います。
〇斉藤信委員 それも逃げですね。公務災害認定は元巡査部長からのパワーハラスメントにより精神疾患を発症し、自殺に及んだ。公務と精神疾患の発症に相当の因果関係が認められ、かつ、精神疾患と自殺に相当の因果関係が認められる事案ということで公務災害が認定されたのではないですか。
〇熊谷参事官兼首席監察官 その事案が発生した平成31年当時、関係者、警察職員、10名から詳細な聞き取り調査等を実施いたしまして、そのような措置をとったわけでございますけれども、公務災害認定がなされましたのは、あくまでもその後の令和2年になってからの地方公務員災害補償基金の認定でございまして、県警察としては公務災害認定の内容の確認ができるような当時の調査は確認できていないということでございます。
〇斉藤信委員 警察の捜査権のあるあなた方の調査が公務災害の認定よりもお粗末だったと、こういうことになりませんか。
 そして、去年の12月に損害賠償請求8、310万円余、これを認めた理由は何ですか。
〇熊谷参事官兼首席監察官 さきの12月県議会定例会におきまして、亡くなった職員の御遺族から損害賠償請求がなされまして、これを県警察といたしましては、賠償すべき責任があると判断いたしました。この和解に応じるべく交渉を進めてまいりまして、さきの議案提出に至ったという状況でございます。
 県警察といたしまして責任を認めた理由はいかにということでございますけれども、確かに、平成31年当時の調査結果を踏まえた措置はございましたけれども、その後、地方公務員災害補償基金におきまして公務災害認定がなされ、これはすなわち、県警察において安全配慮義務違反があったということで認定されたと受けとめまして、これについては、しかるべく県警察としても和解に応じるべきという判断でございます。
〇斉藤信委員 損害賠償請求、和解について、あなた方の説明資料にはっきり書いてあるのです。本件は、盛岡東警察署に勤務していた巡査が、元巡査部長からのパワーハラスメント行為により精神疾患を発症し、平成31年1月28日に自殺に及んだものであり、公務と精神疾患の発症に相当因果関係が認められ、かつ精神疾患と自殺に相当因果関係が認められる事案に関し、損害賠償請求がなされたと。これは認めたわけですよ。いいですか、公務災害と精神疾患の発症に相当の因果関係が認められた。精神疾患と自殺に相当の因果関係が認められる事案だった。間違いないですね。
〇熊谷参事官兼首席監察官 ただいまの斉藤信委員の御指摘、御質問に関してでございますが、繰り返しになりますが、その認定はあくまでも地方公務員災害補償基金で行ったものでございまして、その認定に対しまして、県警察としては答弁できる立場にないということを御理解願います。
〇斉藤信委員 とんでもないです。これは損害賠償請求で和解をしたあなた方の説明文書です。こういうあなた方の受けとめがなかったら、8、310万円なんて払えないでしょう。あなた方が、どんなずさんな調査だったか。若い22歳の警察官がパワーハラスメント、暴行によって自殺に追い込まれているのです。こんな重大な案件を本部長注意で済ませたから公務災害認定が出て、損害賠償が出されたのではないですか。本部長、違いますか。
〇高水警察本部長 まず、当時の調査でございますが、これは一般質問をいただいたときにも申し上げましたが、詳細に調査をいたしております。それは職員からの聞き取りだけでなく、その他の方法を用いて調査したわけでございますが、その当時の結果からは、ハラスメントと自殺を直接結びつけた唯一の原因であると断定できなかったということでございます。
 その後、公務災害が認定されたということを受け、新たな事実と捉えまして、我々としてはそれを事実と認め、今回の損害賠償について、12月定例会の本会議で議決をお願いしたところでございます。
〇斉藤信委員 いいですか、あなた方、詳細な調査をして処分したと言うのです。その詳細な調査でも12月定例会でこう答えているのです。パワーハラスメント行為が自死の一因になっていることについて否定できないとの判断。直後の調査でここまで言っているのです。一人が死んでいるときに。パワーハラスメントが自死の一因だと、それは否定できないと。
 不十分な調査でここまで言っているのに、あなた方の懲戒処分の基準、セクシャルハラスメント、またはパワーハラスメントをすること、重大なものは免職または停職です。それがなぜ本部長注意になるのですか。おかしいでしょう。公務災害認定でそれが覆されてしまった。それぐらいあなた方は本当に不十分な調査で処分してしまったということなのです。だから損害賠償請求される事態になったのではないですか。本部長、そうではないですか。
〇高水警察本部長 調査が不十分との御指摘でございますが、平成31年当時の調査は、職場の中だけの調査ではなくて、あらゆる面から調査を行っております。その結果をもちまして、パワーハラスメントが一因であるということは否定できないという結論には達しておりますが、そのパワーハラスメントが唯一の、その原因でもって自殺に至ったかどうか、これは当時の調査で断定できなかったわけでございます。
 懲戒処分というのは職員に対する不利益を課すものでございますから、憶測に基づいて処分することはできませんので、当時の事実関係を厳格に調査いたしました結果をもって処分を判断したわけでございます。
〇斉藤信委員 言いわけにもならないですよ。一人死んでいるときに、そして、不十分な調査でもパワーハラスメントが自死の一因だと否定できない、ここまで言っていて、同じ3月25日に暴行で送検しているのです。暴力行為も認めていた。なぜ慌てて懲戒処分にもならない本部長注意になるのですか。ならないでしょう。一因だと言っているときに、考えられないですよ。
 もう一つ確認します。パワーハラスメントによる精神疾患を発症していた。あなた方はこれを確認できませんでしたか。確認したのですか。いつ確認したのですか。
〇熊谷参事官兼首席監察官 そのパワーハラスメントによって何らかの精神疾患を発症したかどうかを警察として確認したのか否かという御質問だと思いますけれども、当時の調査におきまして、当然その点も考慮いたしまして、亡くなった職員がどこのメンタル系のクリニックに通院した経歴があるとか、あるいは、御遺族の了解を得まして、本人のスマートフォン等の内容等も確認して、詳細は申し上げられませんけれども、そのようなことまでいたしております。その結果の判断でございます。
〇斉藤信委員 いやいや、パワーハラスメントによって精神疾患を発症していたということをいつ把握したのですかと聞いたのです。いつ把握したのですか。
〇熊谷参事官兼首席監察官 当時の調査では確認できませんでした。あくまでもパワーハラスメント行為と精神疾患の発症、精神疾患の発症と自死との関係については、先ほどもお答えしましたとおり、地方公務員災害補償基金において認定した事実となります。
〇斉藤信委員 だから、あなた方は職場の同僚、上司から聞いたと言うけれども、かばったのではないですか。上司も処分されていないでしょう。そんな不十分な調査だったのではないですか。結果が全てを物語っているのです。最終的に8、310万円、どういう理由で支払うことになったか。パワーハラスメントにより精神疾患を発症して、公務と精神疾患の発症に因果関係が認められ、精神疾患と自殺に相当因果関係が認められる、あなた方はこう最終的に認めた。だから、結果として、あなた方の調査は極めて不十分だった。不十分だったら時間をかけるべきなのです。それを自殺事件が起こった1月、処分されたのは3月25日です。なぜこんなに慌てて処分したのですか。そして、この職員は退職金をもらって3月末にやめているのです。結果的には、この職員をあなた方は救済したと言われても弁解しようがないではないですか。
 本部長、もう一回聞きます。8、310万円の損害賠償請求の理由、そこから見たら、あなた方の対応が極めて不十分だったと。私は公安委員長にも聞きました。公安委員長は最後、こう言いました。今後、警察本部と公安委員会できちんと議論していきたいと。検証というところまでいかなかったけれども、議論していきたいと。これは検証すべきです。
 去年処分されたパワーハラスメントも、実は本部長注意なのです。あなた方はパワーハラスメントに本当に甘い対応しかしていない。
 最後に、本部長、この結果から見て、それでもまだまともな対応だったと言えますか。
〇高水警察本部長 再度の御指摘でございますが、繰り返しになってしまいますが、当時の調査の結果をもって、当時の指針に基づいて判断をしたものでございます。また、今回、パワーハラスメントに認定した行為につきましては、あくまでいじめとか虐待とかそういった趣旨ではなくて、指導の中で、そのやり方がハラスメントに及んでいた。その暴行というところを捉えてハラスメントと認定して処分をしたわけでございます。
 そして、この職員について、健康状態等、当時のこと等も確認しております。個人情報になりますので細かいことは申し上げられませんけれども、そういったところも勘案した上での当時の判断でございます。ですから、今の段階から改めて検証するということは、現時点で考えておりません。
〇城内愛彦委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇城内愛彦委員長 質疑がないようでありますので、これで警察本部の質疑を終わります。
 警察本部の皆さんは御苦労さまでした。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後8時28分 散 会

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