令和6年2月定例会 予算特別委員会会議記録

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令和6年3月5日(火)
1開会 午前10時1分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 昆野岳晴
議事管理担当課長 藤 平 貴 一
主任主査 佐 藤 博 晃
主任主査 増 澤 綾 子
主任主査 及 川 雄 也
主査 阿 部 真 人
主査 堀 合 俊 彦
主査 三 浦 訓 史
1説明員
知事 達 増 拓 也
副知事 菊 池   哲
副知事 八重樫 幸 治

企画理事兼
保健福祉部長 野 原   勝

復興防災部長 佐 藤 隆 浩

ふるさと振興部長 熊 谷 泰 樹

ILC推進局長 箱 石 知 義

議会事務局長 小 畑   真
次長 安 藤 知 行
総務課総括課長 米 内 敏 明
政策調査課長 金 森 一 恵

総務部長 千 葉 幸 也
理事兼副部長兼
総務室長 村 上 宏 治
参事兼
管財課総括課長 和 田 英 樹
総務室管理課長 柳 原   悟
法務・情報公開課長 草 木 秀 二
人事課総括課長 内 城   仁
職員育成課長 藤 原 ひろみ
財政課総括課長 佐 藤 直 樹
特命参事兼
調査担当課長 岩 間 吉 広
行政経営推進課
総括課長 高 橋 幸 司
税務課総括課長 今 野   浩
総務事務
センター所長 藤 村   朗

政策企画部長 小 野   博
副部長兼
首席調査監 小野寺 宏和
参事兼
秘書課総括課長 村 上   聡
政策企画課
総括課長 加 藤 真 司
政策課長兼調査監 荒 澤 秀 昭
評価課長兼調査監 八重樫 倫 子
秘書課管理課長
兼儀典調整監 千 葉 絵 里
広聴広報課
総括課長 菊 地 亮 弘
特命参事兼
報道課長 星 野 俊 一
総括調査監 畠 山 直 人
総括調査監 高 橋 秀 司
〇城内愛彦委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入ります。
 千葉秀幸委員及び吉田敬子委員は欠席とのことであり、御了承願います。
 議案第1号から議案第20号まで、議案第27号から議案第38号まで、議案第40号、議案第41号、議案第44号、議案第47号、議案第48号、議案第52号、議案第54号から議案第67号まで、及び議案第69号から議案第76号まで、以上60件を一括議題といたします。
 本日は、昨日に引き続き総括質疑を行った後、議会、総務部及び政策企画部関係の質疑を終わるように進行したいと思いますので、御協力をお願い申し上げます。
 また、議会運営委員会の決定及び世話人会の申し合わせにより、基本的感染対策として、換気のため、午後はおおむね1時間半ごとに休憩いたしますので、御協力をお願いします。
 これより、昨日に引き続き総括説明に対する総括質疑を行います。佐々木努委員。
   〔佐々木努委員質問者席に着く〕(拍手)
〇佐々木努委員 いわて県民クラブ・無所属の会の佐々木努でございます。会派を代表して質問いたします。よろしくお願いいたします。
 今定例会に令和6年度予算案が示されました。今年度当初予算から392億円少ない7、322億円から成る希望郷いわてその先へ予算とのことであります。
 新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行に伴う国からの新型コロナウイルス感染症地方創生臨時交付金の減少や県税等の減少が見込まれる中、県の最大の課題である人口減少対策、知事のマニフェストプラス39実現のための予算の確保や物価高騰による経費の増加等で、財政当局においては例年以上に厳しい予算編成を強いられたと思います。まずは、そのことに敬意を表します。
 さて、知事は、先日の所信表明演述において新年度に取り組む政策を列挙され、希望郷いわて、その先へを示して議会や県民に理解を求めました。知事が描くそのような社会が実現すればすばらしいことであり、私もそのような理想郷になることを期待していますが、さまざまな難題を抱えた今の岩手県の現状を見れば、並大抵の努力では実現不可能と感じます。
 そこで伺います。知事は、実現のために今何が必要であるとお考えでしょうか。あわせて、実現のために市町村、県職員、そして県民に何を期待するのかお聞きいたします。
〇達増知事 いわて県民計画(2019〜2028)に掲げます東日本大震災津波の経験に基づき、引き続き復興に取り組みながら、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわては基本目標であり続けますが、その実現をより確かなものとし、さらにその先に歩みを進めていくためには、現下の危機である原油価格、物価高騰対策や本県の最重要課題である人口減少対策を推進し、県民生活や地域経済を支えながら、県民一人一人の生きにくさを生きやすさに変えていくことが重要であります。
 その実現には、県や県職員のみならず、県民、企業、団体、NPO、市町村など地域社会を構成するさまざまな主体が、目指す姿を共有し、それぞれ主体性を持って、ともに支え合いながら行動していくことが必要です。
 そのため、いわて県民計画(2019〜2028)のもと、多様な主体と連携、協働しながら、県民や岩手県にかかわる全ての人をエンパワーしていくとともに、さらに、各市町村、そして岩手県の価値や魅力を共有、発信し、岩手とつながりながら、県民、また岩手県とかかわりのある方一人一人が、希望の道を進むことができるようオール岩手で取り組んでまいります。
〇佐々木努委員 市町村に対して、県の職員に対して、そして県民に対して、知事が何を期待するのかということをお聞きいたしました。それぞれに対して、知事から知事のお考えをお伺いしたいと思います。
〇達増知事 県や県職員のみならず、県民、企業、団体、NPO、市町村など、さまざまな主体が、それぞれ主体性を持って行動していくことが必要と述べました。
 それぞれがしなければならないことは非常に膨大な量に上りますので、その中からどれを選んで効果的に表現するかということを今考えているところでありますけれども、まず、県職員が何をすべきかということをお尋ねいただきました。
 県職員は、まず、採用されたときに憲法を守ることを誓います。まずは憲法を守るところからスタートし、地方自治法の趣旨を理解するところから始まることで、個人の尊厳、県民一人一人を起点とした県政というものを進めていくことができると思います。その上で、いわて県民計画(2019〜2028)全体についての理解を深めながら、みずから担当していることについて、上司としっかり相談、報告、連携をしながら、県民一人一人の福祉の増進を念頭に仕事をしてもらえればと思います。
 それから、企業、団体についてでありますけれども、それぞれの企業、団体に法律に基づく定款やルールがありますので、まず、それらを遵守しながらやってほしいというのが基本的にあります。企業にせよ団体にせよ、顧客の、あるいは所管する会員の、団体構成員の幸福、ウエルビーイングを高めることが求められていると思いますので、そこを県と共有してもらえればと思います。
 それから、市町村について、これもまた憲法、地方自治法という基本からまずスタートしていくわけでありますけれども、県が県民一人一人を見ていく以上に、市町村はそれぞれの市町村民をより身近なところで見ていくことができる。それが基礎自治体でありますから、基礎自治体として、住民福祉の増進を法令条規に従って追求してほしい。それが、必然的に県との連携や企業、団体との連携にもつながっていくと思いますので、それぞれ主体性を持って、ともに支え合いながら行動していこうということだと思います。
〇佐々木努委員 少し抽象的な質問で大変申しわけなかったと思いますが、御丁寧な答弁ありがとうございました。私は別なお答えを期待していたのですが、今、知事のお考えをお話しいただいたので、それをもとにお話をさせていただきます。
 るるお話をいただいたわけでありますが、それでは、市町村との関係性、あるいは職員が頑張って仕事ができるように、あるいは県民が一体感を持ってさまざまな課題に取り組むために、知事自身は、これからどのような行動をとられようと思っていらっしゃいますか。
〇達増知事 これもまた、今いただいた質問に対して、どういう答弁をしていけばいいかということで、今この瞬間もそういうことをしているわけでございまして、目の前の人を相手に、そして憲法、地方自治法を原点とする法令条規の趣旨をきちんと踏まえながら、ちなみに、それらの法令条規を強調し過ぎると、余りに形式主義的ではないかとか、しゃちこばっているのではないかとか思われるかもしれませんが、実は、日本国憲法や地方自治法は、物すごく自由や民主主義を求める歴史の中で、多くの血と汗の上に成り立っているものでありますので、やはり、そこを原点にすることが非常に大事だと思っております。
 そのように普遍的に共有できる価値観をベースにしながら、目の前の個別具体的なことに対してきちんと当たっていくことが、まず第一かと思います。
〇佐々木努委員 そんなに難しくお話しされなくても、私は、市町村との関係については、知事と市町村長がコミュニケーションを図りながら、お互いの共通の課題についてしっかり話し合い、取り組んでいく。その先頭に自分が立っていくというお話をしていただければありがたかったし、職員も同様に、自分が先頭に立って、事務事業を初め、さまざまなものをしっかり遂行できるように取り組んでいくとか、県民に対しても、一体感の醸成が図られるよう自分がリードしていくという強い意志をお話しいただければ、私はそれだけで十分だったと思います。
 市町村との一層の連携、強化は県にとって非常に大事なことだと思うわけでありまして、今申し上げましたが、知事と市町村長の意思疎通は、これまでも岩手県の課題だと私は思っておりました。
 知事は、今年度から市町村要望に出席されています。すごくよいことだと私は評価しているわけでありますけれども、ただ、私も出席しましたが、市町村からの要望を聞いて、知事が最後にコメントを出すというやり方は、市町村の要望を知事が理解するということについては非常に効果があることだと思いますが、それでコミュニケーションが図られるとか、問題を深くお互いに議論し合うということはできなくて、もったいないと私は感じています。
 ですから、その辺を少し変えていっていただきたい。ある程度決まった時間の市町村要望ですから、その場でどれだけ深くやりとりできるかわかりませんが、いずれ、そのスタイルを変えないとしても、例えば、終わったら1時間とか2時間、お酒を入れながらでもいいと思うので、水入らずでじっくりと話し合うとか、そういう場所をつくっていただきたい。それが市町村長との一番の連携を強める機会だと思うのですが、知事、そういうお考えはないでしょうか。
〇達増知事 人間同士の腹を割ったつき合い、ある意味、憲法も地方自治法も忘れて、そのときそのときの感興の赴くままに素のおつき合いをすることは大事なのだと思います。
 一方、私の前任の知事の期間中、官官接待、食糧費問題など公務員同士の飲み食いが問題視され、それは、一つは税金の使い方というのもあったのですが、ただ、日本の政治改革、行政改革の話の流れの中では、さまざまな意見交換や意思決定過程は極力オープンであるほうがよく、会食の場など密室でものが決まるようなことがあってはならないということも、非常に強く言われてきているところもあります。
 県民、さらには岩手県の意思決定というのは、もはや岩手県外の人たちにもかかわることでもありますので、世の中全体に対して疑問を持たれないように公明正大に仕事を進めていくためには―密室での会食をやらないという趣旨ではありません。そういうものもたまにはいいと思う一方、やはりフルオープンな場での正式なやりとりを基準にしながら、行政としての意思決定を進めていくのがいいかと思っております。
〇佐々木努委員 わかりました。これは考え方の相違なのでどうしようもありませんけれども、いずれ私が言いたいのは、これからお話ししますが、例えば給食費の無償化の問題とか少子化対策、それ以外のものについても、どうしたらいいだろうということを直接首長同士で話をするような機会をつくっていくことは大事なことだと思います。ぜひ、そういう機会を積極的につくっていただきたいと思います。これ以上は申し上げません。
 次に、歳入確保策について伺います。
 中期財政見通しにおいて、財政調整基金の枯渇等、歳入不足が危惧されています。県民サービスの維持、向上のためにも、ありとあらゆる手段で財源を確保していかなければならないのは、言うまでもありません。
 さきの一般質問、そして、きのうの総括質疑でも議論がありましたが、改めて、新年度における歳入確保の見通しと今後どのような手段で財源を確保していこうとお考えか伺います。
〇千葉総務部長 令和6年度当初予算案におきましては、デジタル田園都市国家構想交付金や脱炭素化推進事業債を初めとする有利な地方債などの地方財政措置を最大限活用しながら、基金の長期運用により1.1億円、ふるさと納税のさらなる魅力化により3億円、電気事業会計からの繰り入れにより7.5億円、岩手競馬再生推進基金の取り崩しにより2.4億円、一般財源ベースで14億円の財源を確保したほか、退職手当基金、県債管理基金の有効活用により148億円、合計で162億円を確保しているところであります。
 また、今後の財源確保につきましては、これまでの取り組みに加え、いわての森林づくり県民税の使途拡大や、超過課税のあり方なども含めたさらなる財源確保策について検討に着手しているところでございます。
 引き続き、あらゆる歳入確保策を講じつつ、さまざまな選択肢を検討の俎上に乗せ、継続的かつ安定的な財源の確保に努めてまいります。
〇佐々木努委員 今お話のあった資産運用を初め、さまざまな取り組みについては敬意を表しますし、これからも積極的に継続していってほしいと思います。
 私は、最終的に借金に頼らない、借り入れに頼らない自主財源をしっかり確保していくことが岩手県の生き残る道だと思いますので、特に県税収入をふやしていくことは大事だと思います。
 今、総務部長から超過課税の話も少し出たようでありますが、我々も、この超過課税は積極的に考えていくべきだということで、いわての森林づくり県民税の制度の見直しとか、あるいは独自に少子化対策県民税をつくるべきだということを以前からずっと提案してきたところでありますが、来年度、少子化対策県民税について導入するお考えはないか、お伺いいたします。
〇野原企画理事兼保健福祉部長 新たな超過課税の導入につきましては、県民生活に影響を及ぼすものであり、県民の十分な理解が必要であると考えており、現在、国において、少子化対策の財源として、医療保険の保険料などと合わせて拠出される子ども・子育て支援金の制度化が議論されていることから、こうした国の動向も注視しながら、慎重な検討を要するものと認識しております。
 県といたしましては、少子化対策の財源につきましては、先ほど総務部長からも御答弁申し上げましたとおり、引き続き、あらゆる歳入確保策を講じつつ、国の動向も注視し、さまざまな選択肢から検討を行い、継続的かつ安定的な財源の確保に努めてまいります。
〇佐々木努委員 毎回同じ答弁でありまして残念なわけですが、これも何度もお話ししていますが、いわての森林づくり県民税と同じような形でやったらどうかと。そうすれば、一月当たり県民1人80円の負担で数億円のお金が生み出せるということで、これが県民生活にどれだけ重大な影響を及ぼすのか、私には少し理解できません。何よりも、県民の理解が得られるかどうかということを心配なさっていると思いますが、私は、しっかり目的が決まっていれば理解していただけると思います。岩手県民はそんなに冷たくないと思いますし、私は、もっと県民を信用していただいたほうがいいのではないかと思うわけであります。これは積極的に取り組むべきことだと思います。
 きょうは、この辺でやめておきます。
 次に、事務事業の見直しについて伺いたいと思います。
 行財政運営において、歳入不足に対応した歳出の抑制は当然ながら必要でありまして、そのための時代の流れあるいは社会の変化に即した事務事業の内容、質、量の見直しは不可欠であります。
 費用対効果がどうなのか、県民が本当に必要としていることなのか、これまでの慣例にとらわれずに見直しを行っていくことは必要であり、急激な社会の変化に対応し、より先を見通したスピード感ある取り組みが求められると考えます。
 私は、病院事業もその一つであると思っています。今定例会において、令和5年度の県立病院等事業会計に対し47億円余を繰り出す補正予算が追加提案されました。これで、今年度の一般会計から県立病院等事業会計への繰出金が256億円になり、過去最大の繰出額となりました。
 新型コロナウイルス感染症の拡大によって患者数が減少したこと等が大きな要因であるとのことですが、知事は、今回の多額の繰り出しについて、どのような所感をお持ちか伺います。
〇達増知事 今年度の県立病院等事業会計への一般会計繰出金256億円余につきましては、国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を財源としたものが26億円余り含まれており、これは、新型コロナウイルス感染症対応のための看護師の増員や物価高騰による電気代や燃料費等、例年にはない支出に対し、特定財源を充当して対応したものであります。
 こうした特定財源を除きますと一般会計繰出金は229億円余と、コロナ禍前の令和元年度決算における繰出額とおおむね同水準となっているところであり、必要額を支出しているものと認識しております。
〇佐々木努委員 その答弁は一般質問等でもお聞きしています。私は、知事から深刻さが余り伝わってこない、そのような気がします。多分知事は、県立病院に対しては幾ら出しても構わないという思いがあると思います。それだけ医療が大事だと思っていらっしゃるからだと思いますが、それはそれで、県民から選ばれた知事の考えでありますから尊重されるべきなのかもしれませんし、私も、医療資源の乏しい岩手県においては、県民の医療を守っていく県立病院をしっかり維持していくことは大事だと思っています。ですから、この間の補正予算も私は賛成しました。
 ですが、これも何度も申し上げておりますが、県立病院事業等会計への多額の繰り出しが、これまで県の財政あるいは県民サービスに与えてきた影響も非常に大きいものがあるということ、そして、これから人口が減って、医療需要も見込まれる中にあって、今の県立病院の体制を維持していくことは、それだけ繰出金がふえていくことにつながっていく。これが、これからどれだけ県民生活に影響を与えるのかということを、もっと深刻に受けとめていかなければならないと思います。
 知事は、今回このような繰り出しになったわけでありますが、コロナ禍の影響がなかったとしても、これからこの繰出金はふえていくものと私は思います。それをしっかり解消していくために県立病院事業等会計の健全化を図っていく必要があると思いますが、そのためには何が必要だとお考えか伺います。
〇達増知事 県立病院等事業会計の健全化ということでありますが、県立病院が、今後も安定的に地域医療を提供していくために、病院事業における持続可能な経営基盤の確立は極めて重要なことであり、限られた医師や看護師等の専門人材や高度医療器械等の医療資源を最大限、効率的、効果的に活用しながら、経営強化を図っていくことが求められていると思います。
 県立病院では、来年度、次期経営計画を策定することとしており、次期保健医療計画の疾病・事業別医療圏等も踏まえ、高度医療を安定的に提供していくために各病院が担うべき役割や機能を改めて見直し、医師や医療器械等の人的、物的資源の集約等を検討していくことが必要と考えます。
 こうした中期的な取り組みとともに、入院患者の積極的な受け入れ、上位、新規施設基準の取得等による診療単価の向上等収益確保の取り組みや、病床機能、病床数、病棟数の見直しやエネルギー消費量の削減等費用面の見直しを不断に進めながら、持続可能な経営基盤の確立を図っていくことが必要と考えます。
〇佐々木努委員 県民はみんな、今のまま県立病院があり続けてほしいと思っていると思いますし、私もそう思っていますが、近い未来、そうはいかなくなるような事態が必ずやってくると思っていて、そこに向けてしっかりとこの二次保健医療圏の見直し、それから、病院の数が本当に今のままでいいのかということは、もっと深く切り込んで議論を進めていく必要があると思います。
 残念ながら、次期保健医療計画の中にも、医療圏の見直しについて余り積極的な内容は盛り込まれないようでありました。これは、きのうまでの議論でも皆さん御承知のとおりだと思います。私は、もっと先を見た県立病院の統合、再編、そして、医療圏ももっと大きくするような取り組みをしていかないと、本当に病院事業会計はもたないし県の財政ももたないと思います。
 この医療圏の見直し、そして県立病院の統合、再編も含めた議論を進めていくお考えはないか、知事に改めてお伺いいたします。
〇達増知事 本県におきましては、これまで県立病院は高度医療や救急医療の提供のほか、医療資源の状況から初期医療等の役割も担うなど、県民福祉の増進のため最も重要な社会基盤を県が直接県民に提供しております。
 現在、策定を進めている次期保健医療計画では、人口減少に伴う患者数の減少、医療の高度、専門化などの環境の変化を踏まえて、地域において身近な医療を受けられる体制を確保するとともに、二次保健医療圏とは別に、広域的な疾病・事業別医療圏の設定を検討しているところであります。
 今回の保健医療計画の内容を踏まえ、県立病院では、そのネットワークを生かしながら、環境の変化に応じた役割や機能の見直しを図って、県全体の医療提供体制の中で主要な役割を果たしていく必要があると考えております。
〇佐々木努委員 これまでどおり行くということなのだと思います。それはそれで知事のお考えでありましょうし、わかりました。いずれ、私は、積極的に統合、再編の議論を進めていくべきだという考えでありますので、また、ぜひ議論をお願いしたいと思います。
 次に、県有種雄牛造成事業の必要性についても伺います。
 私はこれまで、県が行う種雄牛造成事業について、廃止も含め見直すべきと述べてきました。先日も我が会派のハクセル美穂子議員が、種雄牛造成に費やしている4、000万円を超える予算に対して、凍結精液の販売収入が半分以下であることを問題視し、事業のあり方をただしましたが、私は、凍結精液の販売収益もそうでありますが、何よりも県有種雄牛産子の販売価格が他市場よりも非常に低いこと、そして、市場評価が低いことを問題視しております。何年続けても評価が上がらないにもかかわらず、それでも毎年多額の予算を使って造成を続けることにどれだけの意義があるのか、疑問に思っています。
 改めて、県有種雄牛造成事業の必要性について、知事のお考えをお聞きします。
〇達増知事 国内の肉用牛産地においては、独自に造成した種雄牛を、基本的にはみずからの県内のみで利用し、産地力を高めており、こうした中で、本県が肉用牛産地として評価を高めていくためには、産肉能力にすぐれた本県独自の種雄牛を造成していくことが重要と考えております。
 県ではこれまで、全国和牛能力共進会岩手大会で内閣総理大臣賞を獲得した第5夏藤や、全国肉用牛枝肉共励会で名誉賞を獲得した菊福秀など、73頭の種雄牛を造成してきました。
 また、産肉能力の早期把握に有効なゲノム解析技術を活用するとともに、牛肉のおいしさの指標とされるオレイン酸に着目し、こうした要素も加え種雄牛の造成に取り組んでいるところであります。
 このような中、県有種雄牛の利用実態を踏まえ、肉用牛の改良に取り組む生産者やJA等と、県有種雄牛のあり方について意見交換を行ってきたところであります。生産者からは、県有種雄牛は、産肉能力や市場性が低く、全国トップレベルとなるのは難しいのではないかとの意見があった一方で、肉用牛産地として評価を高めていくためには、すぐれた県有種雄牛が必要との意見が多数あったところです。
 また、県内では、岩手県立水沢農業高校が、県有種雄牛の子牛を肥育し、全国の農業高校生が和牛の肥育技術を競う和牛甲子園において最優秀賞を獲得するなど、意欲的な若い生産者のためにも県有種雄牛の造成は必要と考えております。
 さらに、今年度は、これまでの種雄牛の中で、枝肉重量やロース芯面積の成績が最も高く、脂肪交雑も12段階中10.5と、本県では初めて10を超える極めてすぐれた産肉能力が期待される種雄牛の選抜を予定しており、今後とも、本県が肉用牛産地として高い評価が得られるよう関係団体と一体となって取り組んでまいります。
〇佐々木努委員 おっしゃることはわかりますし、同様の答弁をこれまで何度もいただいていますが、私は、やっぱり現実はどうなのかということをしっかりと直視する必要があると思います。
 本当に、県内の繁殖農家は今、県有種雄牛には期待していません。そのあらわれが、1月の県内の子牛市場で県有種雄牛の産子はわずか5%です。それしか県内の繁殖農家は種をつけない、つけたがらないという状況です。
 なぜかというと、販売価格が異常に安いのです。これも1月の市場の成績ですが、全国の平均が54万8、000円です。岩手県の平均が52万円と全国より下回っていて、では、県有種雄牛の産子は幾らかというと、39万4、000円です。県の平均よりも2割以上安いという状況です。39万4、000円で子牛を売ったら繁殖農家はもうかりません。今、物価高騰で大変な状況の中で、この価格ではもうやっていけない状況です。
 それでも、種雄牛を造成しなければならないという思いを持って種をつけている方々がたくさんいらっしゃる。私は、そういう方々のこともしっかり考えていかなければならないと思うわけでありますが、改めて知事から、県有種雄牛を使わない方に対して、そして、仕方なくというか、何とかしようと思って県有種雄牛の種をつけていて、その結果、価格が安くて大変な状況にある方々に対して、何か知事のお考え、メッセージを送っていただければと思います。
〇達増知事 ウクライナとロシアの戦争という異常事態の中、畜産にかかわる飼料や資材が高騰し大変なコストがかかっているにもかかわらず、牛肉価格は、市場、スーパーマーケットでも、あるいはレストランでもそれほど高くはなっていない中、今、肥育をしてもコストばかりかかって売れないということで、ロシアのウクライナ侵攻以降、異常な子牛価格の低迷状況が進んでいると承知しております。
 そういう中で、少しでも子牛を高く売ろうという中、全国的に人気のある種雄牛の活用に、ある意味、異常な集中が起きていると推測いたします。
 他方、先ほども述べましたように、各県独自の種雄牛の種は、基本的に県外には出さないというところがありますし、県外に流通するような、県境を越えて全国的に流通するような種であっても、それが常に岩手県内で安定的に利用できるかというと、そうとは限らないこともあり、基本的に岩手県の畜産生産者は、肥育であれ、また子牛出産であれ、県有種雄牛がよくなってくれれば、いいものができ上がってくれればと望んでいますが、ただ、それは、いいものがどんどんできる時期もあれば、いいものがなかなかできない時期もあるなど、上がり下がりもある中、できれば常に県産種雄牛を使って、県産種雄牛を盛り上げたいけれども、今この時期は、一円でも高く売らないと畜産をやっていけないという非常事態の中で、県産種雄牛離れが極端に出ているという推測もいたします。
 そういった状況を全体的に考えてみますと、まずは、畜産農家への支援が国を挙げて大々的に行われなければならない状況が今も続いているということがあり、プラス全国有数の畜産県においては、種雄牛の開発は基本的に行ったほうがいいのではないかと考えるところであります。
〇佐々木努委員 知事、今は県有種雄牛をつけたことによって、不利益をこうむっている人たちがたくさんいるということについてです。もし続けたいのであれば、そういう人たちの利益になるような、せめて損をしないような取り組みをするべきだと思います。それぐらいの覚悟を持って種雄牛造成をしなければ、私はやっている意味がないと思うのです。
 ですので、もっとその分も予算をつけて、ここは確実に種雄牛造成を続けていくのだということを、しっかりと繁殖農家の方々にアピールできるような対策をとっていただきたい。
 細かいことは、あとは部局審査で行いますので、以上でこの件は終わりたいと思います。
 最後に、少子化対策について伺いたいと思います。
 昨年9月の一般質問において、岩手県においても学校給食の無償化に取り組むべきと実施を求めてきました。しかし、令和6年度岩手県一般会計当初予算案に関係する予算が盛り込まれなかったことは、残念でありました。
 そんな中、青森県が令和6年度から学校給食費の無償化に取り組むというニュースを目にしました。正直、先を越されたと思いました。
 改めて知事に伺います。知事は、今回、青森県が給食費の無償化に踏み切ったことにどのような所感をお持ちか、また、令和7年度からの実施に向け市町村と調整に入るお考えはないか、お聞きします。
〇達増知事 学校給食費の無償化は、長期的な視点で、切れ目なく行うことが必要であることから、国全体として学校給食費の負担のあり方を抜本的に整理した上で、国の責任で財源を含め具体的な施策を示すよう、全国知事会として国に申し入れてきたところです。
 国においては、こども未来戦略方針に従い、現在、学校給食の実態調査を行っており、小中学校での実施状況の違いや法制面などを含めた課題を整理して、結論が出されるものと承知しております。
 学校給食費の無償化については、本来、自治体ごとの財政力に応じて格差が生じることのないよう同等の水準で行われるべきものであることから、県としては、国の動きを注視しながら、全国知事会等とも連携し、引き続き必要な働きかけを行ってまいります。
〇佐々木努委員 これまでの答弁、9月の答弁と全く一緒でありますが、知事、やるお考えは全然ないですか。予算が確保できれば県でも独自にやりたいという思いはないですか。
〇達増知事 さまざま子育て世代の意見、実際に子育てしている方々の意見などを伺いながら、県としては、生まれてすぐの子供、赤ちゃん、3歳未満児の、まずは第2子以降の保育料無償化と育児支援金給付というところで背中を押していこう、生きにくさを生きやすさに変える助けになればということで取り組んでおります。来年度の岩手県一般会計当初予算案では、さらに、産んですぐの産後ケアの充実強化に力を入れているところであります。
 学校給食の無償化については、困窮家庭に対しては、就学援助制度による支援で学校給食費は無償とされておりまして、そういうところからも、まず、来年度予算案として、3歳未満児保育料、育児支援金の継続と産後ケアの充実強化を軸に提出させていただいているところであります。
〇佐々木努委員 少しやってみたいと思わないですか。
〇達増知事 恐らく、まさに今、出産、子育て、生まれてすぐのところにかなり若い皆さんの心配はあるのではないか。そこが出産控え、ひいては婚姻につながり経済活動、社会活動控えというところも、今、コロナ禍の残存影響も相まってあるところで、県として何を今大事と思っているかということを県民にきちんと示していく必要があると思っております。
 やはり、県としてやりたいと考えていることについては、予算案の形で出させていただいているということであります。
〇佐々木努委員 では、予算案に出ていないので、やりたくないということなのだと思います。私は、青森県の例を出すのはどうかと思うのですが、ああいうことを県主導、知事主導でできる県は、やはりすごいと思います。市町村をみんなまとめてしまったというところがすごいと思って、少しうらやましく感じました。
 知事は、お金のことをかなり心配されていると思いますけれども、冒頭お話しした県民税を、超過課税を活用して、それをそっくり回すことだって可能なわけでありますし、他県にできて岩手県にできないはずがないと私は思っています。県内では10市町村が取り組んでいます。ほかの市町村も、県が幾らか出してくれるのであればやりたいというところが、多分、首長同士で話をしていれば出てくると私は思いますので、ぜひ、これは知事の政治判断、知事がやると言わない限り絶対にできないことですから、知事は考えていただければと思います。
 次に、最後になりますが、次世代育成支援対策推進法上の一般事業主行動計画を、100人未満の企業にも義務づける条例制定をすべきということを我々は訴えてきました。
 知事は、マニフェストプラス39にそれを実現させると盛り込みましたが、いつ実現するのか、その見通しについてお伺いいたします。
〇達増知事 本県では、一般事業主行動計画の策定が努力義務とされている従業員100人以下の企業等を対象として、いわて子育てにやさしい企業等認証制度を実施しておりますが、認証企業等は、昨年12月末現在で237社と年々増加しております。
 この認証制度によって、本県において多数を占める中小企業等での計画の策定が促進され、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律を上回る休暇制度等の導入が図られており、仕事と子育ての両立に向けた環境整備の推進に一定の効果があるものと考えられます。
 このような効果をさらに波及させるために、従業員100人以下の一定規模の企業等にも計画策定を義務化することが意義あることであり、計画策定のメリット等を対象とする企業等と共有できるよう、関係機関、団体と協議、調整していきたいと思います。
 次世代育成支援対策推進法でありますが、来年3月に期限を迎えます。国では、期限の延長とあわせ、育児休業取得率など数値目標の設定の義務づけなどによるPDCAサイクルの導入など内容の変更を検討しているところであり、法改正があるとすれば、その内容を踏まえた協議や検討が必要になると考えておりますが、できるだけ早く条例化できるよう努めていきたいと思います。
〇佐々木努委員 終わります。ありがとうございました。(拍手)
〇城内愛彦委員長 次に、高田一郎委員。
   〔高田一郎委員質問者席に着く〕(拍手)
〇高田一郎委員 日本共産党の高田一郎でございます。
 まず、こども未来戦略について伺います。
 こども未来戦略は、少子化について我が国最大の危機と位置づけて加速化プランを打ち出しました。まず、知事はどのように評価されているでしょうか。
〇達増知事 こども・子育て支援加速化プランに基づいて、今後3年間の集中取り組み期間の中で、次元の異なる少子化対策の実現に向けて、児童手当の拡充や保育士等の配置基準改善など、全国知事会として提言してきた内容について、こども未来戦略において道筋が示されたことは、評価するものであります。
 一方で、加速化プランの財源について、歳出改革による社会保険負担の軽減効果や賃上げの効果とあわせて、実質的な負担を生じさせないようにすることとされておりますが、国会の場で十分議論されることを期待しております。
 今後は、戦略に示された施策を着実に実行していく段階であり、国においては、地方が円滑に実効性ある取り組みを展開できるよう、実務レベルも含め丁寧な調整や意見交換を行うとともに、子供、子育て政策のさらなる強化に向けて、地方の意見を反映させるよう全国知事会等を通じて要望してまいります。
 また、効果的な対策の実現のためには、全国一律で行う施策と地方の実情に応じてきめ細かに行う施策の両方が重要でありますことから、県としては、令和6年度当初予算案に計上した子供、子育てにかかわるさまざまな事業を実施しながら、市町村などあらゆる主体と連携して、結婚、子育てなどのライフステージに応じた支援を行っていく考えであります。
〇高田一郎委員 今度のこども未来戦略については、高等教育の無償化が盛り込まれておりません。兵庫県では、県立大学の学費無償化を行おうとしております。岩手県も検討すべきと考えますが、財源規模も含めて示してください。
〇熊谷ふるさと振興部長 高等教育の無償化については、国において、真に支援が必要な低所得者世帯の学生を対象に、授業料等の減免などの支援を行っているところであります。令和6年度からは、対象に中間所得層の多子世帯や私立理工農系進学者を加えるなど、制度の拡充が図られる予定となっております。
 また、高田一郎委員御指摘のとおり、兵庫県において検討されている県立大学の無償化の内容については、県内在住者を対象に、所得にかかわらず入学金及び授業料を無償化するものと聞いております。
 岩手県立大学では、独自の取り組みとして、国の制度に加え対象及び減免額を拡充した支援を行っているほか、東日本大震災津波により甚大な被害を受けた学生を対象とした減免制度等を実施しております。
 授業料等の無償化を進めるには、仮に大学、大学院及び短期大学部の全ての授業料及び入学金を全額免除した場合、本当に単純な試算でございますが、年間約11億円余の追加負担が生じるところでございますし、県内の他の大学等の学生との均衡等、慎重な検討が必要であると認識しております。
 教育の無償化は、本来、自治体の財政力の差などによらず、全国で同等の水準で行われるべきものであり、県といたしましては、引き続き、政府予算要望の場を通じて、国に対し、授業料等の減免や給付型奨学金のさらなる拡充を要望するとともに、対象者の所得要件の緩和など制度の充実を要望してまいります。
〇高田一郎委員 兵庫県では、学生の生活実態調査を行っております。こういう中で、学生の3割が大きな学生ローンを抱えて人生設計に大変不安を抱いているという実態調査の結果を受けて、食料支援などさまざまな支援を行っています。
 今、ふるさと振興部長がおっしゃったように、本来、国の責任で無償化すべきだと思いますけれども、兵庫県の取り組みにしっかり学んで、今でも行っているのですけれども、岩手県の学生の支援をさらに拡充してほしいと思います。これは要望だけにとどめておきたいと思います。
 今度のこども未来戦略では、保育所の配置基準が76年ぶりに見直しされました。4歳児、5歳児の最低基準に対応する加算措置を設け、しかし、一方では、経過措置として、当分の間、従前の基準での運営も妨げないとなりました。つまり対応できる保育所だけが対象になるという中身であります。
 どの地域でも、公立、私立問わず基準どおりの保育士を確保できるようにする必要があると思いますけれども、今回の配置基準の見直しに伴う県の対応について伺います。
〇野原企画理事兼保健福祉部長 本県の保育士の確保の状況につきましては、各施設とも保育士の配置基準は満たしているものの、受け入れ児童数の拡大や勤務環境改善などのため、地域や施設によっては、さらに確保に取り組んでいるところもあると認識しております。
 配置基準の見直しにより、4歳児、5歳児については、令和6年度から30対1から25対1に改善されますが、各施設の利用定員の状況を見ますと、現状でも、おおむねこの改善に対応できるものと考えております。
 県では、引き続き保育士修学資金の貸し付けや潜在保育士の再就職を促す岩手県保育士・保育所支援センターによるマッチング支援などにより、保育士の確保と育成に取り組んでまいります。
〇高田一郎委員 今回のこども未来戦略による見直しについては、4歳児、5歳児の加算だけが対象となって、基本的には、あとは先送りになっているのです。やっぱり国の対応は非常に曖昧になっていると思っています。
 期限を切って、この加速化プランの3年間で実現してほしいとか、そういうことを国にしっかり求めていくべきではないかと思いますが、どうでしょうか。
〇野原企画理事兼保健福祉部長 加速化プランにおきましては、四、五歳児については来年度から、また、1歳児以降については令和7年度以降ということで、今後検討が進むものと考えております。
 本県におきましても、先ほど御答弁申し上げた四、五歳児については、今の定員の状況を見ますと、おおむね対応できるのではないかと考えていますが、やはり1歳児に関しましては、配置基準が6対1から5対1に見直されるということで、この部分については影響も想定されるところでございますので、国に対して、きちんと要望を申し上げますとともに、県内の状況もきちんと把握しながら、必要に応じて要望してまいりたいと考えております。
〇高田一郎委員 国にしっかりと声を上げていただきたいと思います。
 保育現場に行きますと、多くの保育士から、多くの子供を見なければならず、やりがいが奪われている、あるいは地震が起きたら預かった命を本当に守れるのだろうかという不安の中で保育に頑張っているといわれます。
 新潟県では、例えば、1歳児については3対1と独自の基準を設けています。岩手県もそういった配置基準の見直し、改善が必要ではないかと思いますが、これについてはいかがでしょうか。
〇野原企画理事兼保健福祉部長 高田一郎委員御紹介の新潟県におきましては、1歳児について、国の配置基準の6対1を基本としつつ、3対1とする場合は、補助による支援を行う取り組みであると承知しております。
 国では、昨年末に閣議決定いたしましたこども未来戦略におきまして、保育士の配置基準の改善を行うこととし、先ほど御答弁申し上げましたとおり、令和6年度から四、五歳児について改善し、また、1歳児について、令和7年度以降に改善を図る方向性を示しているところでございます。
 県といたしましては、国の配置基準の見直しに係る周知などの対応を行っていきますほか、先ほど御答弁申し上げましたとおり、四、五歳児については、現状でもおおむね改善に対応できるものと見込まれますが、今後予定される1歳児への改善も含め、順次、国の基準を満たしていけるように市町村や施設の取り組みを促すとともに、保育士の確保に引き続き努めてまいります。
〇高田一郎委員 今、保育士の確保に努めていくという答弁がありましたけれども、本当に保育士の確保も大事だと思うのです。
 今、保育士の勤務年数によって補助金を出したり、あるいは家賃補助などの取り組みを行う自治体が全国的にふえています。やはり働きやすい環境をつくって定着率を高める支援も大事だろうと思いますが、本県の保育士の定着率と支援策について示してください。
〇野原企画理事兼保健福祉部長 本県の保育士の定着率につきましては公的な統計はありませんが、国の社会福祉施設等調査から試算いたしますと、国全体の離職率は令和4年度で9%程度となっており、安定した保育サービスの提供のためには、保育士の継続就業は重要な課題と考えております。
 県ではこれまで、就業を継続するための施策として、現役保育士の就業継続のための研修の実施や保育士・保育所支援センターによる相談対応、処遇改善加算への対応や処遇改善につながるキャリアアップ研修の実施などの取り組みを行ってまいりました。
 一方で、保育士の負担軽減についても重要であると認識しており、今年度、県が保育所、認定こども園に行ったアンケート調査によりますと、保育士の労働環境改善につながる保育補助者等の配置や業務のICT化を推進している施設は、ともに全体の約6割にとどまる結果となっております。
 県といたしましては、今後、こども未来戦略に盛り込まれた保育士の処遇改善加算への対応を行っていきますほか、市町村による保育補助者等の雇い上げや保育業務のICT化の推進などへの支援を行うなど、市町村等と連携して、保育士の負担軽減や保育の質の向上に向けた勤務環境改善に取り組んでまいります。
〇高田一郎委員 今、保健福祉部長から、定着率については国の統計上という答弁でありました。私は、やはり岩手県における定着率の実態をもっと深く把握するべきだと思います。
 今回の質問でいろいろ調査したのですけれども、潜在保育士の実態を全体として把握されていないという状況を伺いました。これから配置基準の見直しをされていく中で、保育士を確保することが非常に大事なテーマだと思います。
 東京都など、潜在保育士も含めて要求を聞いて、実態調査をして、保育行政に反映している自治体もあります。岩手県でもそういう実態調査を行って必要な対策をとっていくべきだと思うのですけれども、この点についてはいかがでしょうか。
〇野原企画理事兼保健福祉部長 看護職員もそうですが、資格を持った潜在保育士を各地域できちんと把握していくことについては、課題もあるところではありますが、高田一郎委員御指摘のとおり、保育士の資格を持ちながらも、保育業務以外に勤めている方は、県内にも多数おられると認識しております。
 保育士確保を進めるに当たりましては、潜在保育士の方々の復職支援、そういった方の活用は極めて重要な取り組みでございますので、高田一郎委員から東京都の取り組みなども御紹介いただきましたけれども、他県の取り組みなども研究しながら検討を進めてまいりたいと考えております。
〇高田一郎委員 医療的ケア児や障がい児の保育園への受け入れ環境も整備すべきと思います。保護者の要望や県内の実施状況、課題などについて示してください。
〇野原企画理事兼保健福祉部長 県が昨年度設置いたしました岩手県医療的ケア児支援センターでは、保育所入所を希望する医療的ケア児の相談が増加しており、保護者の方々からは、集団の中で育てたいので検討しているや、仕事復帰に伴い入所させたいなどの相談が寄せられております。
 医療的ケア児保育支援事業を活用した医療的ケア児の受け入れ状況は、令和4年度は6市町、6施設であり、令和5年度は10市町、12施設が見込まれ、年々受け入れ市町村数や施設数が増加しているところであります。
 課題といたしましては、医療的ケアを実施できる看護師の確保が難しいことや、市町村において、医療的ケア児受け入れのためのガイドラインの策定が進まないことなどが挙げられます。
 県といたしましては、今年度、国で創設いたしました巡回による看護師の配置を行う医療的ケア巡回型事業の活用を促すほか、ガイドラインの策定に向けまして、先行市町村や全国の事例等を情報提供するなどにより、市町村の取り組みを支援してまいります。
〇高田一郎委員 今、野原保健福祉部長からガイドラインの問題がありましたけれども、大変おくれています。ただ、ガイドラインを策定しなくても受け入れ体制は可能でありますので、ぜひ、そうした保護者の要望に応えて対応していただきたいと思います。
 次に、訪問介護の課題について質問いたします。
 今回の介護報酬改定では、基本報酬が2%から3%の減額となります。利用者や事業者への影響について、知事はどのように把握されているのでしょうか。訪問介護事業所の廃止状況について、この10年間の推移とその要因も示してください。
〇達増知事 国の社会保障審議会において、人口構造や社会経済状況の変化を踏まえ、地域包括ケアシステムの深化・推進などの四つの基本的な視点で議論が行われ、去る1月22日に厚生労働大臣に対し介護報酬改定に係る答申が行われ、改定率は全体で1.59%のプラス改定となりました。
 訪問介護事業所については、介護職員等処遇改善加算が他の介護サービスよりも高い加算率とされたところですが、経営状況が他のサービスに比べて安定していること等から、基本報酬についてはマイナス改定となったものであります。
 本県の訪問介護事業所数は、令和5年4月1日現在で349事業所、10年前と比較すると41事業所増加していますが、この間、年15件程度の事業所が廃止しています。
 廃止した事業所のうち約半数が人材不足を理由としていますが、近年の物価高騰や新型コロナウイルス感染症の流行など、事業所の経営を取り巻く環境は厳しい状況にあったことから、県では、社会福祉施設等物価高騰緊急対策支援金等による支援を行ってきたところであります。
 今回の介護報酬改定の影響については、現時点では把握は困難でありますが、県としては、今後、介護施設や事業所における介護報酬改定の影響把握等に努め、適切な水準の介護報酬を設定するよう、必要に応じて国に要望を行ってまいります。
〇高田一郎委員 介護職員等処遇改善加算という話もありましたけれども、現場の話を聞きますと、介護報酬改善加算があっても、基本報酬が下がっているので経営的には赤字になってしまうということです。あるいは処遇改善加算それ自体も、ハードルが少し厳しくてとれないというのが現場の声であります。
 先ほど紹介があったように、県内でも訪問介護事業所が毎年15件前後なくなっている状況を考えますと、事業を継続できる支援のあり方を検討していくべきと思いますが、いかがですか。
〇野原企画理事兼保健福祉部長 国の調査によりますと、事業所における介護サービスの収益状況は、多くのサービス種別において前年度を下回る結果となっておりまして、全サービス平均の利益率についても、令和3年度の2.8%から0.4ポイント低下しております。
 今回の介護報酬改定では、介護現場で働く方々の処遇改善を着実に行うためにプラス改定となっており、加えて、介護職員等処遇改善加算については、令和6年度に2.5%、令和7年度に2.0%のベースアップへと確実につながるよう配分方法の工夫を行うとされております。
 先ほど知事から御答弁申し上げましたとおり、介護事業所の経営を取り巻く環境は、近年の物価高騰や新型コロナウイルス感染症の流行などにより厳しい状況にあったことから、県では、物価高騰支援金等によりまして数次にわたり支援を行ってきたところであり、今回の補正予算で介護職員処遇改善支援補助金により、月額6、000円の賃上げに要する経費について措置させていただいたところであります。
 県といたしましては、3月中に事業所を対象とする介護報酬改定説明会を開催するほか、介護職員等処遇改善加算については、新規取得や、より上位区分の加算取得に向けた働きかけを継続し、事業所の運営を支援してまいります。
〇高田一郎委員 介護職員処遇改善支援補助金は直接介護事業所に入るのですけれども、実際、基本報酬が減っていますので経営的には厳しくなる、現場も、そういう状況だということを言っているのです。今まで地域包括ケアや在宅サービスを支援するといいながら、在宅サービスの基本となる訪問介護を減らそうという、こういうことはあってはならないと思います。日本ホームヘルパー協会などは抗議の声を上げています。
 私は、県も国にしっかりこの問題点を指摘して、報酬改定を見直すように強く求めていくべきではないかと思うのですけれども、いかがですか。
〇野原企画理事兼保健福祉部長 訪問介護につきましては、県土が広いため、県民にとって非常に重要なサービスでございます。知事から御答弁申し上げましたとおり、訪問介護事業所は県内に約350カ所ございまして、処遇改善につきましては、今回国が手当てをしておりますが、介護報酬については、全体としてはプラス改定したという中にあって、訪問介護事業所に関しましてはマイナスになっていると承知しております。
 訪問介護に関しては、都会では、比較的密集した中でのサービスですので収益性が高いのですが、本県のように非常に面積が広くてアクセスに難があるところについては、一般論として、都会と同じような報酬で大丈夫なのかどうかという課題があると認識しております。先ほど御答弁申し上げましたとおり、県としても、今後、県内の訪問介護事業所の状況などの十分な把握に努めまして、必要に応じて国に対して要望を行ってまいます。
〇高田一郎委員 了解しました。
 今、議論になった介護職員処遇改善支援補助金ですけれども、月額6、000円程度の賃上げに要する経費について措置されています。これは確実に賃上げに結びつくことが必要だと思いますけれども、物価上昇分をカバーできているのか、他の産業との賃金格差を埋めることができているのか。前回は月額9、000円程度の賃上げに要する経費について措置されたものでしたけれども、この実績も含めて示してください。
〇野原企画理事兼保健福祉部長 国の調査結果によりますと、介護職員の月額平均賃金は、県内では22万4、000円余と全産業平均よりも約2万7、000円低く、全国平均では24万2、000円余と全産業平均よりも約7万円低い状況となっております。
 国が構造的な賃金格差の解消を進めていく観点から、本年2月から5月までを対象期間として、処遇改善に取り組む事業所に対し支給することとした補助金や、今回の介護報酬プラス改定により、今後、介護現場における処遇改善が進むものと期待しているところでございます。
 県では、令和4年にも、2月から9月を対象とした介護職員処遇改善支援補助金を実施しておりまして、介護事業所を運営する468法人に対しまして、総額9億2、600万円余を交付したところであります。
〇高田一郎委員 福祉・介護職員処遇改善臨時特例交付金は、結局、介護報酬で対応すれば利用料にはね返るのです。だから、利用料にはね返らないような支援が必要だと思いますし、全ての介護事業所が賃上げとなるようにすべきだと思います。
 この間の物価高騰を経験して、物価高騰に対応できない公定価格になっているのだと思います。そういう公定価格ではなく、毎年度、実態に合った改定になるように公定価格のあり方を国に求めていくべきだと思いますけれども、いかがですか。
〇野原企画理事兼保健福祉部長 他業種の賃上げが進んでいる中、介護分野において良質なサービスを確保し人材不足を解消するためには、職員の処遇改善が喫緊の課題となっております。
 本年6月からは改正後の介護職員等処遇改善加算が実施されますが、県では引き続き、適切な水準の介護報酬を設定すること、処遇改善加算に関しては、対象外となっているサービス事業所も含め介護サービスの提供にかかわる全ての従事者を対象とすること、処遇改善の継続に当たっては、新たな財源の創設も含め、利用者の負担増や地方負担が伴わない適切な財政措置を講じることなどを国に対して要望してまいります。
〇高田一郎委員 次に、後期高齢者医療制度について質問いたします。
 制度が始まって15年、この間の保険料や医療費の負担、そして加入者数、所得状況はどのように推移しているのでしょうか。
〇野原企画理事兼保健福祉部長 後期高齢者医療制度は、75歳以上の高齢者を対象とした医療制度として平成20年度に創設されたものであり、全市町村の加入により、岩手県後期高齢者医療広域連合が運営を行い、保険料率は県内均一となっております。
 制度が開始された平成20年度の1人当たりの保険料は平均で年額3万9、123円、1人当たり医療費は平均で年額71万5、606円でありましたが、保険料、医療費ともに増加傾向にあり、令和4年度は、保険料が年額4万9、474円、医療費は年額77万4、779円となっております。
 一方、被保険者1人当たりの平均所得額は、この15年間において大幅な増減はなく、33万円台から38万円台で推移しております。
 なお、被保険者数は、高齢化の進展により年々増加を続け、この15年間で18.8%の増となっております。
〇高田一郎委員 窓口負担は、2割になっている方、3割になっている方もいます。全国の保険医協会の調査でも、2割負担となった高齢者のうち1割が受診抑制をしていると。2割から3割が預金を取り崩しているとなっております。
 既に重い負担となっておりますけれども、新年度、県内の保険料や窓口負担はどのようになるのでしょうか。
〇野原企画理事兼保健福祉部長 後期高齢者医療制度における窓口負担は、令和4年10月1日から、一定以上の所得がある場合、これまでの1割負担から2割負担に引き上げとなっており、運営主体である岩手県後期高齢者医療広域連合の調査によりますと、令和4年10月1日現在で、被保険者21万7、691人の13.8%に当たる3万39人が対象となっております。
 保険料については、令和6年度に2年に1度の改定が行われる予定であり、1人当たりの平均保険料額は、年額で5万6、088円、6、614円の増となる予定となっております。
〇高田一郎委員 つまり、この15年間、実質の年金がふえない中で、窓口負担は2割負担、3割負担となって、そして、保険料も5万6、088円と、この間1.4倍になっています。そして、同時に介護保険料についても、この間2倍です。年間7万2、000円にもなっているという状況です。
 こういう物価高騰、受診抑制が強いられている中で、高齢者への新たな負担はやめるべきだと思いますけれども、この点についていかがですか。
〇達増知事 国では、少子化対策の財源に充てる子ども・子育て支援金制度を令和8年度から段階的に導入し、年齢にかかわりなく能力に応じて支え合うという全世代型社会保障構築の観点から、国民健康保険や企業の健康保険のほか、高齢者医療保険の保険料からも徴収することとしており、医療保険や所得によって金額は異なりますが、1人当たり平均月500円弱の負担になると聞いております。
 支援金の導入に当たっては、低所得者に対して軽減措置を設けるとされておりますが、後期高齢者医療の保険料は、平成20年の制度創設時から1.26倍に増加しているほか、令和4年度から、一定以上の所得がある方の医療費窓口負担が引き上げとなっており、新たに支援金が加わることで、さらに負担が増加するものと認識しております。
 少子化対策財源については、社会全体として子育てをするという理念のもと、国民的に納得感が得られるような制度とすべきであり、制度の詳細についてはまだ国から示されていませんが、県では、今後の国の動き、検討状況などを注視し、特に高齢者の適正な受診が確保されるよう、必要に応じ国に対して働きかけを行っていきたいと考えております。
〇高田一郎委員 高齢者の適切な受診という話もありましたけれども、これでは受診抑制がどんどん拡大していくのではないかと私は懸念しております。
 今、この後期高齢者医療制度は、所得が変わらなくても、2年ごとに保険料を上げる仕組みが導入されました。そして、窓口負担は、15年前は1割負担だったものが、2割負担、3割負担となり、一方では国庫負担金をどんどん減らしていくということです。今、知事がお話ししたように、少子化対策の財源としても社会保険料をこれから使おうとしていると。徴収額は年500円、600円と言われており、よくわかりませんけれども。
 国保も構造的な問題がありますけれども、後期高齢者医療制度も構造的な問題があると思いますので、ぜひ、こういった問題は見直しをするように強く求めていただきたいと思います。
 最後に、エアコン設置について伺います。
 昨年の熱中症による緊急搬送は実に1、280件ありました。その中で高齢者は822件、その半数が自宅から搬送されたということであります。ことしも猛暑が予測されていると言われております。昨年の教訓も踏まえて、エアコン設置についてぜひ支援を行うべきだと思います。
 低所得者が、購入できなかったり使用を控えることが予測されます。これまでも何度も求めてきましたけれども、ぜひ検討していただきたいと思いますが、いかがですか。
〇野原企画理事兼保健福祉部長 高齢者世帯や低所得者世帯のみを対象とした補助制度を設けることに関しましては、既に設置している世帯との公平性の課題があること、また、市町村からの要望等も受けていないことなどから、まずは、エアコンの設置などが可能な生活福祉資金等現行制度の周知や、熱中症対策としてのエアコン利用の有効性の周知が必要と考えております。
 市町村の地域包括支援センター等を通じた介護サービス相談、社会福祉協議会における生活福祉資金窓口、生活保護世帯に対する日ごろのケースワークなどのさまざまな機会を捉えて、周知を図っているところでございます。
 県といたしましては、引き続き、関係機関等と連携いたしまして、いわゆる熱中症弱者と言われる方々に対する積極的な見守り、声がけなどによりまして、夏の間の熱中症予防に取り組んでまいります。
〇高田一郎委員 前向きな答弁を期待したのですけれども、なかなかそうならなくて残念でありました。
 保健福祉部長の答弁では、エアコン設置はなかなか進まないと思います。市町村から要望がなかったというのであれば、市町村と協議をして、熱中症対策に何が必要なのかという議論が大事ではないかと思いますし、生活保護世帯は、制度上、一部の生活保護世帯しか対象にならないのです。それは保健福祉部長もおわかりだと思うのですけれども、これを購入する際には借金をしなければならない。これは、最低生活を保障するという点では問題だと思うのです。
 生活保護世帯あるいは低所得者世帯を含めて支援をしないと、これは進まないと思いますけれども、改めてお伺いしたいと思います。
〇野原企画理事兼保健福祉部長 高田一郎委員から御紹介ありましたとおり、低所得者、また生活保護の方々、生活保護の方々に対しましては、国が示す規定のもとではありますけれども、例えば令和4年度は、生活保護費での一時扶助によるエアコン等の購入は25件、令和5年度は猛暑の中、4月から11月で46件と、対応の件数はふえております。
 現場といたしても、こうした非常に猛暑の中で、いわゆる熱中症弱者の方々に意を配して、こういった対応が行われたものと認識しております。
 また、生活福祉資金貸付につきましても、令和4年度は12件の実績に対しまして、令和5年度は18件という形で、同様に、働きかけがあったものと認識しております。
 全ての方々を対象とすることについては課題もあります。むしろエコ対策で市町村で実施しているといったような施策面もございますので、そうした施策等の状況も十分見据えながら検討すべき課題であると考えております。
〇高田一郎委員 終わります。(拍手)
〇城内愛彦委員長 次に、木村幸弘委員。
   〔木村幸弘委員質問者席に着く〕(拍手)
〇木村幸弘委員 それでは、人口減少問題について3点ほど伺います。
 一つは、令和6年度の組織・職員体制の概要に示されました市町村と一体となった人口減少対策の推進として、広域振興局を拠点として市町村ごとの重点的な人口減少対策に係る支援策を検討、実施するため、地域振興室及び広域振興局経営企画部に市町村人口減少対策支援特命課長を設置し、小規模自治体における行政機能の安定的な維持、確保に向けた取り組みと一体的に推進するとしています。
 そこで伺いますが、小規模自治体における行政機能の安定的な維持、確保について、具体的にどのような課題を捉えて支援しようとしているのか、また、特命課長はどのような役割を担っていくのか伺います。
 さらに、小規模自治体という考え方を踏まえ、今後の県内対象自治体についてどのように検討されているのか、あわせて伺います。
〇熊谷ふるさと振興部長 人口が少ない小規模な自治体は、財政面や人員体制の制約から単独の人材確保や事業実施が困難な場合など、重要課題の解決や住民サービスの維持、確保等のため、県が重点的に支援を行っていく必要があると認識しております。
 県ではこれまで、相互交流の枠組みを活用した技術職員の派遣や市町村行財政コンサルティングの実施による行財政運営への支援などに取り組んできました。各広域振興局においては、地域経営推進費などを活用した地域課題の解決に向けた取り組みを支援してきたところであります。
 こうした取り組みに加えまして、令和6年度から、新たに本庁と各広域振興局に人口減少対策の推進を支援する特命課長を配置し、相互に連携しながら、広域連携を含めた行政機能の安定的な維持、確保に向けた取り組みを推進することとしております。
 なお、小規模自治体支援の対象につきましては、まずは、人口がおおむね5、000人以下の町村を想定しているところでございます。
〇木村幸弘委員 次に、小規模自治体の支援に当たって、当該自治体と広域的連携を図っている周辺の自治体などとの関係に加えて、人口減少を見据えた行政機能や公共施設の複合化あるいは共有、共同化による新しい維持、管理体制のあり方や、財政力の厳しい小規模自治体と周辺自治体間における地域共存体制のガバナンスとマンパワーの相互協働を模索するなど、単なる行政組織や機能の統合、廃止という対症療法的な発想によらない形を示していく必要があると思いますが、知事の所見を伺います。
〇達増知事 国の地方制度調査会による令和5年12月の答申では、急速な人口減少による人材不足の深刻化やインフラの老朽化などにより、自治体の経営資源が制約される中、さらなる自治体相互間の連携、協力、県の助言や調整、支援の役割の重要性が指摘されています。
 市町村では、定住自立圏や連携中枢都市圏など圏域での連携を進めており、図書館の相互利用や入札参加資格の共同審査システムの導入、広域でのごみ処理施設の整備に向けた検討などが進められています。
 県では、岩手県水道広域化推進プランの策定により水道事業の広域化の取り組みを進めているほか、新たな発想による自治体間連携の取り組みとして、盛岡市と連携し、きたぎんボールパークを民間の活力を活用するPFI方式で整備するなどの取り組みを進めてきました。
 市町村が限られた行財政資源の中で持続可能で安定的な行政サービスを提供していくためには、こうした自治体間の連携の動きを加速させていく必要があり、新設した特命課長を活用しながら、地域の特性を踏まえた連携、協働を推進してまいります。
〇木村幸弘委員 次に、若者の認識についてですが、若者たちが、自身に訪れる人口減少社会の近未来の姿をどれほど認識しているのでしょうか。
 令和6年2月4日の新聞報道に、子供欲しくない学生19%との見出しで、民間事業者が大学や大学院を令和7年に卒業する見込みの学生に調査をした結果が報じられました。令和6年卒の前回調査が13.1%と、その率は大幅に増加し、特に女子の子供欲しくないとする回答が23.5%で、男子の12.1%を大きく上回っています。その主な理由として、育児への不安、自分の時間がなくなること、そして、経済的不安という理由が挙げられています。
 こうした若者たちの認識について、本県の人口が全国3位の水準で減少していくとの国立社会保障・人口問題研究所の公表を踏まえて、例えば、二十歳の集いに参加した学生や社会人などを対象に、本県独自に人口減少や少子化問題に対する認識を把握する必要があると考えます。
 今、若者たちが何を感じているのか、そして何を求めているのか問いかけ、若者たちの問題意識を県が共有し、これまでの政策を検証するとともに、今後の政策へと生かしていくべきだと思いますが、知事の所見を伺います。
〇達増知事 若者からの意見を聞く機会としては、県政懇談会やいわて希望塾、いわてネクストジェネレーションフォーラムなどにおいて、私が直接、若者との対話を行っているほか、青少年なやみ相談室やいわて若者カフェなどでも、さまざまな若者からの意見が寄せられているところです。
 御指摘の家事、育児時間の男女格差については、2月9日に開催した、いわて女性の活躍促進連携会議で活発な議論が行われたところであり、来年度から民間企業等と連携した啓発キャンペーンを行う予定としています。
 現在の若者世代の特徴としては、そのようなジェンダー感覚のほかにも、デジタルネーティブであること、縦よりも横の関係を重視すること、タイムパフォーマンスを重視すること、労働面ではジョブ型志向が強いことなどがあると言われています。
 今後、アンケート形式で若者の意見を聞くのがよいかどうかについては、岩手県青少年問題協議会の専門家の意見も伺ってみたいと考えていますが、若者世代が生きやすい地域社会を実現する施策のあり方については、岩手県人口問題対策本部会議の枠組みでさらに検討を進めていきたいと思います。
〇木村幸弘委員 県の政策の検証とつなげる意味でも、ぜひ、そのような調査も必要ではないかと思います。
 次に、文化、スポーツ振興についてですが、新しい時代を切り拓くプロジェクトである、文化・スポーツレガシープロジェクトの推進においては、誰もがスポーツを楽しむことができる環境の整備、各地域の特色を生かしたスポーツ拠点づくりの推進、最新のスポーツ医・科学の知見を生かしたアスリートの育成、健康増進を掲げております。
 本県出身のアスリートの取り組みとして、現在、各地に届けられていますドジャース大谷翔平選手からのグローブのプレゼントという活動に続き、このたび、ブルージェイズ菊池雄星選手による最新機器を備えた屋内スポーツ施設、キング・オブ・ザ・ヒルが着工され、ことし11月にはオープンとのビッグニュースが県民に夢と希望を与えてくれています。
 大谷翔平選手や菊池雄星選手のこのような活動について、整備予定の屋内スポーツ施設に対する期待も含めて、知事の所見を伺います。
〇達増知事 県では、日常的にスポーツに親しみ、活力ある地域づくりを目指すため、文化・スポーツレガシープロジェクトを推進するとともに、世界で活躍するアスリートや指導者など、スポーツを担う人材の育成にも取り組んでいます。
 このような中、世界の舞台で活躍している本県出身の菊池雄星選手や大谷翔平選手が、生まれ育った地域や野球界の発展を願いながら、地域の人々や子供たちに新たな夢や希望を届ける取り組みを進めていることは、大変誇らしいと感じております。
 現在、菊池雄星選手が整備を進めている施設は、世界最先端の機器を備え、専門スタッフによるトレーニングを行うことを予定していると伺っており、この施設を子供たちが利用することにより、菊池雄星選手、大谷翔平選手に続いて世界で活躍する人材の育成につながるものと考えております。
 また、この施設では、メジャーリーグを体感できる展示エリアやカフェテリアなど地域交流の場となるコミュニティースペースをあわせて設けると伺っており、それらを通じて、スポーツの力による交流も一層進むことを期待いたします。
〇木村幸弘委員 今、御答弁いただいたとおり、今度の新しい施設も大変期待が大きいわけであります。報道によると、同施設は、ブルペンと打撃レーンが二つずつあり、投球の軌道や回転数を計測する機器や動作を解析するカメラなど、最新設備を完備し、さらに、専門スタッフやトレーナーによる指導も受けられるとしています。また、大リーグ関係の展示ギャラリーや地域イベントにも活用できる中庭の整備などが考えられているとのことです。
 そこで、文化・スポーツレガシープロジェクトに掲げた特色あるスポーツ拠点、そして、県民誰にも親しまれ誇れる拠点の一つとして、キング・オブ・ザ・ヒル施設との利活用の連携を図ることについて、県の考えをお伺いします。
〇八重樫副知事 当該施設は、菊池雄星選手の、岩手県の子供たちに、今まで見たことがないような景色を見せたい、そして、子供たちが本物に触れて夢を膨らませ、羽ばたき、純粋に野球を楽しんでほしいという思いを具現化すべく、ことし11月のオープンに向けて整備が進められていると伺っています。
 県では、市町村と連携した特色あるスポーツ拠点づくり等を推進することとしており、例えば、金ケ崎町では、トヨタ自動車東日本岩手工場の硬式野球部室内練習場を町との共同事業として整備中であり、地域の子供たち等に開かれた施設として、本年4月にオープンする予定です。
 花巻市に整備されるキング・オブ・ザ・ヒルが、世界最先端の機器を備えたトレーニングの拠点として、本県のアスリート育成や合宿誘致など交流人口の拡大に生かされることを期待しており、今後、施設関係者や花巻市とも意見交換しながら、活力ある地域づくりに向けて、県としてどのようなかかわりができるか検討してまいります。
〇木村幸弘委員 次に、新年度予算に措置されました世界遺産価値普及事業費について。
 県内三つの世界遺産である平泉、橋野鉄鉱山及び御所野遺跡に係る価値や魅力の理解増進を図ることと、中尊寺金色堂建立900年を契機とした特別企画展示を実施するとしています。
 この特別企画展示に関連して、現在、東京国立博物館特別展中尊寺金色堂が1月23日から4月14日まで開催されていますが、中央壇上の国宝阿弥陀三尊像を初め、地蔵菩薩像、二天像の仏像11体がそろって中尊寺外で公開されるのは初めてであり、また、単独展示により360度の観覧ができるため、現地で見るより間近に拝観することができます。
 さらに、金色堂堂内空間を高精細CGで再現し、黄金の空間を体感できるなど大変話題となっておりますが、この東京国立博物館での特別展と同じ内容で本県でも展示を実施するということなのか、あるいは岩手県に来なければ観覧できないような本物を見せる、東京国立博物館とは違う特別な企画なども検討されているのか伺います。
〇八重樫副知事 中尊寺金色堂が建立900年を迎え、東京国立博物館の特別展が開催される中、実際に現地を訪れてみたいという声も多く聞かれるなど大きな話題となっていることは、世界遺産平泉と本県の魅力を発信し、本県への来訪を促進する絶好の機会であると考えています。
 県では、この機運を捉え、平泉世界遺産ガイダンスセンターを会場として、世界遺産平泉を初め、地域の歴史、伝統文化を体感できる展示や体験イベントなどを行う特別企画展示を実施することとし、その経費を令和6年度当初予算案に計上しているところであり、幅広い世代の方々に本県を訪れていただきたいと考えています。
 この特別企画展示は、東京国立博物館の特別展とは異なるものですが、東京国立博物館の特別展で展示された仏像や工芸品は、展示が終了した後、中尊寺でこれまでどおり拝観できることから、特別展をごらんになった方々にも、実際に現地を訪れ、世界遺産平泉や関連資産を体験していただくことを期待しています。
 また、平泉町や中尊寺、毛越寺などでは、900年事業として多くの行事が予定されており、岩手県世界遺産保存活用推進協議会を構成する一関市、奥州市や県観光協会等と県の関係部局が連携し、文化遺産を守り伝える機運の醸成と世界遺産への来訪促進、交流人口の拡大に取り組んでまいります。
〇木村幸弘委員 八重樫副知事は、今週8日にこの特別展の視察に行かれるようですから、しっかり見てきていただいて、岩手県の特別企画展示に生かしてほしいと思います。
 次に、有害鳥獣対策についてですが、このたび、達増知事が会長を務める北海道東北知事会として、昨年11月に要請された熊の指定管理鳥獣への追加について、環境省は、都道府県の捕獲事業に国が交付金支援を行う指定管理鳥獣として、4月から追加する方針を明らかにしました。
 この方針決定を受けて、県の新年度の対応方針を伺いたいと思います。
〇達増知事 クマ類の指定管理鳥獣への追加については、昨年11月に、私が北海道東北地方知事会長として緊急要望を行った結果、伊藤環境大臣に大変重く受けとめていただき、環境省の検討会において、指定管理鳥獣に追加する方向性が先月8日に示されました。
 今後、環境省において省令の改正やガイドラインの改定などの手続が進められ、その上で県のツキノワグマ管理計画を改定することとなりますが、被害防止に向けた実効性のある対策が国の交付金で支援されることが重要であります。
 ツキノワグマによる被害の防止に向けては、人と熊の共存を図る中でも、捕獲による個体数管理、誘因物の除去や刈り払いによるゾーニング管理、将来にわたって捕獲を担う人材育成、このような総合的な対策が欠かせないと考えております。
 そのため、国の交付金による支援メニューを早期に提示することなどについて、先月16日にも環境省に追加の要望活動を行ったところであり、被害防止に向けた実効性ある対策を講じることができるよう国に働きかけてまいります。
〇木村幸弘委員 ただいま知事から答弁いただいた中身を、より具体的に取り組んでいく必要があると思いますけれども、指定管理鳥獣の追加に当たっては、過度な捕獲などによる個体数の激減や絶滅への危惧を含めて、適切な個体管理が一層求められております。
 猟友会の関係者からもお話を聞きましたが、熊は、鹿やイノシシに比べ捕獲しやすいとのことです。なぜなら、里に下ってくる熊は、柿の木などの餌のある周辺での対処ができるからとのことでした。それと比較して、鹿やイノシシのほうが駆除が厄介なため、熊の捕獲が過剰になる危惧があるとの意見がありました。
 一方で、熊の餌がないとする原因は木の実の不作などがありますが、今、問題なのは、鹿やイノシシの繁殖能力の高さにより熊の餌が不足し、餌を求めて人里に侵入せざるを得ないことだと指摘されています。
 したがって、従来からの鹿やイノシシの適正管理の強化も重要であり、そのための新たなインセンティブの検討や、さらに、生息状況のモニタリングの徹底、生活圏とのゾーニング対策など、環境省の専門家検討会で論じられた課題とともに、本県としての生態系や地理的条件、広葉樹等の拡充も含めた森林構成のあり方など徹底して取り組むべきと考えますが、お伺いします。
〇八重樫副知事 野生鳥獣対策については、被害の防止と適正な個体数管理に向け、それぞれの鳥獣管理計画のもと、当該種の特徴を踏まえた捕獲や被害防除対策に取り組んでいます。
 農業分野を中心にその被害が拡大しているニホンジカやイノシシ対策では、国の方針に沿って可能な限り捕獲を強化しているところであり、特に鹿対策では、捕獲目標頭数を2万5、000頭から2万7、000頭にふやし、その個体数の縮減に努めているほか、市町村要望も踏まえ、市町村が行う捕獲個体の処理施設整備に対する補助事業を令和6年度当初予算案に計上したところであります。
 また、ツキノワグマ対策についても、国の指定管理鳥獣への追加の動きなどを踏まえながら、生息数把握に向けたモニタリングや被害防止対策を引き続き強化していくこととしています。
 木村幸弘委員御指摘のとおり、人と野生鳥獣とのあつれきを解消するため、生活圏との間に緩衝帯を設けるなどの対策が重要であることから、今後においては、ツキノワグマの個体数管理とあわせてゾーニング管理の対策を進めるなど、市町村のほか隣県を含む関係機関との連携のもと、野生鳥獣の適正管理に取り組んでまいります。
〇木村幸弘委員 終わります。(拍手)
〇城内愛彦委員長 次に、小林正信委員。
   〔小林正信委員質問者席に着く〕(拍手)
〇小林正信委員 全国トップレベルの子育て支援に向け、令和6年度当初予算案では、産後ケアに関し、産前・産後サポート等利用促進事業を実施するとしております。
 妊産婦の経済的負担の軽減は重要と考えますが、私が伺ったある産婦人科からは、産後ケアの取り組みを行うため施設の改修を行いたいが、費用が心配でなかなか踏み出せないとの声をいただきました。
 地域における産後ケアの充実のため、産後ケアに取り組む市町村、施設、団体に対する支援も充実させる必要があるものと考えますが、県の御所見をお伺いします。
〇野原企画理事兼保健福祉部長 産後ケアにつきましては、妊産婦が身近な地域できめ細かなケアを受けられる環境の整備が重要でありますことから、県ではこれまで、保健所単位で開催している連絡調整会議などでの意見交換や県内における産後ケア事業の事例集の作成、配布などを行ってきたほか、令和4年度から産後ケア利用料の無償化を開始し、市町村の取り組みが拡大するよう支援してきたところであります。
 産後ケア事業の実施に当たっては、委託先となる産科医療機関や助産師等の人材の確保のしにくさや、産婦の数が少ない小規模市町村における単独での事業実施の難しさなどの課題があると認識しております。
 こうしたことから、令和6年度当初予算案におきまして、市町村が実施する産後ケア利用時の子供の一時預かりや交通費の支援に要する経費への補助、産後ケアに係る人材確保のため、県内の助産師の活用促進支援などの事業を新たに盛り込んだところであります。
 県といたしましては、事業実施主体である市町村の意向を踏まえながら、医療機関や民間事業者との調整、助産師等産後ケアに従事する人材の確保など、地域の実情に応じた産後ケアの提供体制の具体的な整備に向けて支援を行い、産後ケアの充実が図られるよう取り組みを進めてまいります。
〇小林正信委員 私に相談いただいた産婦人科は、宿泊型の産後ケアを行いたいということでした。先日、本会議でも高橋こうすけ議員から、岩手県は全国でも宿泊型が最も少ないというお話がありました。市町村少子化対策支援事業の中で、既存資源を活用した子供の遊び場整備事業はすばらしい取り組みだと思うのですが、例えば、この事業のような形で産後ケアのための整備事業みたいなものも準備できれば、産後ケア事業を実施しようと考えている方々あるいは市町村の大きな後押しになるのではないかと思うのですけれども、御所見をお伺いしたいと思います。
〇野原企画理事兼保健福祉部長 小林正信委員から御紹介いただきました既存施設を活用した子供の遊び場整備事業につきましては、未就学児などが安心して遊ぶことができる遊び場を確保することを目的としておりまして、子供から高齢者まで、幅広い世代が集まる施設での整備を目的としております。産後ケア施設については、国が定めるさまざまな施設基準などもありますので、現時点では、基本的には想定していないところでございます。
 なお、産後ケア施設整備については、産後ケア事業を行う施設の創設、増築、改築に当たりまして、国から、母子保健法による設置主体である市町村に対しまして、補助率3分の2の交付金が活用できることとなっております。
 また、既存施設の配線工事や幼児用トイレなどの設備に係る修繕に対しましても、賃貸物件も含めまして、国から市町村に対し、補助率2分の1の整備事業補助が実施されているところでございます。
 県としては、これらの国の施設整備等に係る事業の積極的な活用を促していきたいと考えております。
〇小林正信委員 産後ケアの充実に伴い、困難を抱える妊婦に対する支援も必要と考えます。以前も取り上げました、にんしんSOSいわては、予期せぬ妊娠をした女性を初め困難な状況にある女性に対し、相談支援や病院、公的機関への同行、産前産後の居場所の提供、関係機関との連携など包括的な支援を行っております。
 国は、特定妊婦の支援を強化するため妊産婦等生活援助事業を創設し、また、こうした事業を支える目的で、安心こども基金の活用を促しております。
 県としても、こうした国の事業を活用し、困難を抱える母子の命と健康を守る取り組みを充実していただきたいと考えますが、知事の御所見をお伺いします。
〇達増知事 特定妊婦は、妊娠届が提出された際、妊娠に対する感情についてのアンケートの実施や保健師等による面談を通じて把握されているところであり、市町村の要保護児童対策地域協議会に登録され、個別のケース検討や家庭訪問等による支援が行われています。
 妊娠届の提出には至っていない妊娠不安や予期せぬ妊娠等に関しては、乳児院を運営する盛岡市の社会福祉法人が、にんしんSOSいわてを開設し、相談対応や医療機関への同行支援、一時的な居場所の提供等を行っているほか、婦人相談所による相談支援や一時保護、婦人保護施設による居場所の提供や自立支援等を行っています。
 小林正信委員御紹介の国の妊産婦等生活援助事業は、困難を抱える特定妊婦等に対する支援の強化を図るため、乳児院や婦人保護施設等において、一時的な住まいや食事の提供、自立に向けた相談支援等を行う事業であり、にんしんSOSいわてや婦人相談所、婦人保護施設の取り組みとも同一の方向であると考えます。
 本事業の活用については、県や市町村、民間団体における既存の支援体制の現状やニーズなどを十分に把握し、検討してまいります。
〇小林正信委員 非常に前向きな答弁をいただいて、これは生きづらさを生きやすさに変える本当にいい取り組みだと思うので、ぜひ前向きに進めていただきたいと思います。ありがとうございます。
 知事は、相談支援の充実について、東日本大震災津波からの復興への取り組み、新型コロナウイルス感染症対策を通じて県や市町村の力が高まってきていると感じているとおっしゃっておりますけれども、相談支援の質の向上を数値化することは難しく、どれだけの相談が解決に至ったのか、あるいは相談者が自立できたのかという結果が重要であり、そのための予算が十分に確保されたのかが、評価の基準になるのではないかと私は思っております。
 令和6年度の予算編成において、知事は、相談支援の充実にどのような意を用いられたのかお伺いします。
〇達増知事 個人の価値観や生き方が多様化し、住民の悩みや不安が複雑化する現代社会において、県民の相談ニーズに的確に対応するためには、住民の身近な相談窓口である市町村と専門的、広域的な機能を担う県とが、緊密な連携のもと、それぞれの役割を果たしながら、住民に寄り添った相談支援体制を構築していくことが重要と考えております。
 そのため県では、住民に身近な市町村において生活上の課題に幅広く対応し、介護や子育て、生活困窮など、属性や世代を問わない支援を一体的に実施する重層的支援体制整備事業への取り組みを支援するため、研修会の開催やアドバイザー派遣等によりその取り組み拡大を図っており、令和6年度には新たに釜石市で開始され、5市町で事業が展開されることとなったところであります。
 令和6年度当初予算案において、これまでの福祉職員のスキルアップを目的とした研修事業に加え、福祉・消費生活関連相談拠点施設の整備に係る経費を新たに盛り込んだほか、児童虐待などの相談に迅速かつ的確に対応するため、児童福祉司、児童心理司を増員するとともに福祉総合相談センターの組織体制の充実を図るなど、来年度に向けて必要な措置を講じたところであります。
〇小林正信委員 県の福祉総合相談センターについては、令和6年度では6、800万円が拠点施設整備事業として計上されています。関係機関、民間団体からも十分にヒアリングを行っていただきつつ、各地の先進事例を踏まえ、県民がより利用しやすい施設になるよう期待するものです。
 岩手県立県民生活センターとの一体的な整備により多くの機能を有する施設となりますけれども、県民のさまざまな不安に応える拠点として、どのような相談にも対応し、支援につなげることができる、断らない相談ということもございますが、このワンストップの相談支援拠点としての役割に期待するところでございます。
 相談支援拠点の機能について、県のお考えをお伺いします。
〇野原企画理事兼保健福祉部長 相談支援拠点の機能についてでございますが、これまで両センターには、福祉と消費生活分野の連携による支援が必要となる相談も寄せられておりまして、多様化、複雑化する県民ニーズに対応するため、従来の属性別、リスク別の支援体制に加え、より包括的な相談支援体制の充実が必要であると認識しております。
 お尋ねの施設につきましては、本年2月に、仮称でございますけれども、岩手県福祉・消費生活関連相談拠点施設整備基本計画を公表したところであり、本県の福祉、消費生活分野における相談支援業務の中核的な機能を担う拠点として整備を進めてまいります。
〇小林正信委員 ぜひ、よりよい施設になるように期待するところです。
 県の福祉総合相談センターには、県のひきこもり支援センターが設置されております。ひきこもり支援においては、身近な地域におけるアウトリーチを含めた伴走支援が重要な効果を発揮するものと考えますけれども、県内で独自の支援センターの設置やサポート事業に取り組んでいる自治体は、北上市、滝沢市、洋野町、野田村のみです。
 県内各市町村への支援センター設置の後押し、市町村の取り組みに対する後方支援が必要であり、同時に、県内全域からの相談を受け付ける県の支援センター自体の充実も必要と考えます。
 ひきこもり支援の充実について、県のお考えをお伺いします。
〇野原企画理事兼保健福祉部長 ひきこもり支援の充実についてでございますが、令和4年度に、国は、ひきこもり支援のロードマップを示し、市町村がひきこもり支援を総合的に担う、ひきこもり地域支援センターの設置や、ひきこもりサポート事業の実施を促しております。
 本県では、令和3年度までに全ての市町村にひきこもり相談窓口が設置され、令和5年度には、16市町村が居場所づくりを、4市町村が支援センターの設置やサポート事業を実施しているほか、4市町が重層的支援体制整備事業を活用したひきこもり支援に取り組んでおります。
 県では、市町村におけるひきこもり支援の拡充に向けまして、令和6年度当初予算案におきまして、保健所圏域ごとの研修会の開催や、県ひきこもり支援センターの巡回支援を拡充する経費を盛り込んだところでありまして、市町村が行う地域の実情に応じたひきこもり支援体制を促進してまいります。
〇城内愛彦委員長 この際、小林正信委員の質疑の途中ではありますが、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
 小林正信委員、御了承願います。
   午前11時59分 休 憩
午後1時2分再開
〇城内愛彦委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇小林正信委員 午前中に引き続き、質疑を続けさせていただきます。新しい時代を切り拓くプロジェクトの一つ、健幸づくりプロジェクトについてです。
 岩手県の長年の課題でもある脳卒中の予防に関して、令和6年度は、脳卒中患者データの抽出システムの運用状況の情報収集を行うとされておりますけれども、脳血管疾患対策の推進のためにも、早期に県民の健康に資する事業を展開すべきではないかと考えております。
 健幸づくりプロジェクトに関し、今後、県はどのような具体的な施策を行うお考えか、お伺いします。
〇野原企画理事兼保健福祉部長 健幸づくりプロジェクトは、健診データや医療、介護のレセプトデータなどを連結するビッグデータの連携基盤を構築し、その活用を通じまして、健康寿命が長く、生き生きと暮らすことができる社会の実現を目指すものであります。
 これまでは、主に県人口の約7割に当たる被保険者の医療データ等約4、100万件について、地域の健康課題の見える化に活用できるよう、基本となる分析を進めまして、令和5年度は、その分析結果を市町村などに提供したところであります。
 今後は、データの有効活用に向けて、脳卒中などの疾病なども含めて、専門家の協力のもと分析手法の充実を図るとともに、分析結果が市町村において保健指導等に有効に活用されるよう、データ活用人材の育成に係る支援や、いわて健康情報ポータルサイトなどを活用した県民への情報発信等に取り組み、県民の健康づくりを積極的に推進してまいります。
〇小林正信委員 ソーシャル・インパクト・ボンドは、主に社会課題の解決のための官民連携の手法の一つであり、サービス提供事業者に業務を委託する際に、金融機関等から資金調達を行い、事業者は、その資金をもとに委託事業を実施、行政は、サービスの効果を測定し、成果に応じて行政から資金提供者へ報酬が支払われる仕組みです。行政のコスト削減につながる点、また、事業評価を可視化できる点、高い事業効果が期待できる点等がメリットとして挙げられております。
 全国では、広島県が、がん検診受診率の向上の取り組みを行い、成果を上げている。県内でも、遠野市が全国の4市町と連携し、ヘルスケア事業を実施したと伺っております。
 このように、ヘルスケア分野での実績があるソーシャル・インパクト・ボンドの導入は、健幸づくりプロジェクトの推進に資するものと考えますが、御所見をお伺いします。
〇野原企画理事兼保健福祉部長 ソーシャル・インパクト・ボンドは、平成29年に閣議決定されました未来投資戦略2017において、保健福祉分野での取り組みの拡大について言及されており、行政コストの削減や、より高い成果の創出が期待される取り組みであると認識しております。
 本県では、小林正信委員から御紹介いただきました遠野市及び金ケ崎町が、ソーシャル・インパクト・ボンドを活用し、全国の他自治体との連携により、医療費、介護給付費の抑制に向けた取り組みを実施しており、全国の先進事例におきましては、一定の成果を上げていると伺っております。
 一方で、全国の自治体を対象としたアンケートでは、導入に当たっての課題として、的確なサービス提供者の見つけ方、選定の仕方や成果を判断する指標の設定などが挙げられていることから、先行事例の成果や課題などについて情報収集を行いながら、本県での活用のあり方について研究していきたいと考えております。
〇小林正信委員 よろしくお願いいたします。
 救急医療について、2点お伺いします。
 ドクターヘリの運用について、天候やその他さまざまな状況によって運航が難しい場合、例えば、青森県または宮城県のドクターヘリの出動を要請する場面も多くあることかと思います。
 かつて、ドクターヘリの広域連携についてお伺いした際は、県北地域の自治体等から臨機応変な運用について要望が出ているということでした。
 この要望の具体的な内容について、また、要望を踏まえ隣県との広域連携について、どのような協議を行ったのかお伺いします。
〇野原企画理事兼保健福祉部長 北東北3県のドクターヘリ広域連携につきましては、自県ヘリの要請を基本としつつ、多数の傷病者が発生した場合、気象条件により自県ヘリが対応できない場合、自県ヘリの搭乗医師が判断した場合などに、他県ヘリを要請できる運用を行っておりまして、昨年度の実績については、岩手県の要請による青森県ヘリの出動が16件、秋田県からの要請による岩手県ヘリの出動が7件などとなっております。
 ことし1月に岩手県北地域などで構成する北奥羽開発促進協議会から、運航距離や時間を勘案して、自県ヘリの搭乗医師の判断を経ずに、消防本部から直接他県ドクターヘリを要請できる体制の構築について要望をいただいたところであります。
 ドクターヘリの運航に当たりましては、運航距離や時間のほか、着陸するための視界確保や飛び石防止を行う地上支援部隊の作業―これは、ランデブーポイントに着陸するのですが、そこの安全のために事前に準備が必要だということでございますが、こうした作業や傷病者を搬送する救急隊との到着時間の調整などの連携が必要でありまして、着陸までの時間短縮を図るなど、より効果的な運用について、3県の実務担当者による実例を踏まえた検討を進めているところであります。
 今後も、ドクターヘリの広域連携について、効果的な運用となるよう取り組んでまいります。
〇小林正信委員 県北地域の自治体からの要請はかなり急迫したというか重要な要請だと思いますので、それを踏まえて協議を進めていっていただければと思います。
 救急安心センター事業#7119は、救急車を呼ぶかどうか迷った場合にアドバイスを受けられ、救急車の適正利用、救急医療機関の負担軽減の効果が期待されると、全国でも導入する自治体が広がっており、国においても、地方交付税による財源措置が行われるものと承知しております。
 先ほど述べたような効果が期待されることから早期の導入が望まれますが、導入の検討状況についてお伺いします。
〇野原企画理事兼保健福祉部長 県では、令和5年6月に、岩手県救急業務高度化推進協議会におきまして、医師、看護師及び救急救命士を委員とする専門部会を設置いたしまして、#7119の導入に向けて検討を進めてきたところであります。
 この専門部会では、#7119が設置されることで、急なけがや急病の際にも適切な助言を得られ、県民の安心につながることや、医療機関への電話相談が減少し、医療従事者の負担軽減につながることなど、事業導入の効果が期待できることから、本県においても導入すべきとの意見をいただいたところであります。
 県では、次期保健医療計画におきまして、医療機関の適正受診や救急車の適正利用を推進するとともに、医療機関の負担軽減を図るため、#7119の設置に向けて検討することとしておりまして、今後、初期救急や消防本部の運営を担う市町村や関係機関と調整しながら、導入に向けて検討を進めてまいります。
〇小林正信委員 現場にとっても、また、相談する側にとっても非常に有用な取り組みかと思いますので、ぜひとも早期の導入を望むものであります。
 続いて、文学の国いわて推進事業費についてです。
 昨年は、直木賞作家の門井慶喜さんをお招きして講演会を実施したということで、令和6年度当初予算案にも同事業が盛り込まれております。
 岩手県のまちを訪れると本が読みたくなるとの感想を述べた方もいたそうですけれども、岩手県のまちが持つ雰囲気、これは一つのブランドなのだろうと思います。小説や文学のみならず、漫画やアニメ、映画、音楽など、岩手県の持つ多層的な文化の魅力をさらに磨き上げ、観光や関係人口の増加にもつなげる取り組みが今後必要なのだろうと思います。
 県民や、また民間あるいは書店とか、そういったところの意見も取り入れながら、岩手県の文学や文化といった側面をさらにブランド化し、県外に発信していく取り組みについて、知事のお考えをお伺いします。
〇達増知事 本県では、石川啄木や宮沢賢治を初め、これまで多くのすぐれた作家を輩出し、近年では、沼田真佑さんや若竹千佐子さんなど、本県ゆかりの作家が文学賞を受賞しているほか、県内の高等学校が、全国高等学校文芸コンクールにおいて毎年上位入賞を果たすなど、文学の国いわてにふさわしい活躍が続いています。
 本県は、学校を中心とした読書活動、文士劇や短歌甲子園など各地域における活動も盛んであり、また、本県の歴史や先人、自然や景観などのほか、東日本大震災津波の経験もあり、多くの文学作品に取り上げられるなど、文学に親しむ風土や文化が根づいているものと考えております。
 本県のこのような文学的土壌を生かして、書店などの民間事業者、教育機関や外部有識者のほか、若い世代の意見も取り入れながら、文学や漫画、映像などを活用した情報発信や創作活動の支援に取り組んでいるところであります。
 本県には、このほか民謡や合唱等の音楽活動、世界遺産や民俗芸能など多様な文化芸術や、まだまだ隠れたローカルな魅力もあることから、岩手県ならではのソフトパワーとして高めながら、国内外に発信し、岩手ブランドとして展開することにより、文化に親しむ豊かな暮らしの実現や関係人口の拡大につなげてまいります。
〇小林正信委員 どうかよろしくお願いいたします。
 食品ロスの削減について、2019年、食品ロスの削減の推進に関する法律が施行され、県においても岩手県食品ロス削減推進計画に基づき取り組みを進めているところです。
 東京都東大和市では、市内11の協力店が、廃棄する可能性のある食品を専用サイトに定価あるいは値引き価格で出展、購入者を募るサービス、東大和タベスケを開始して、好評を得ているそうです。
 県も、計画の中で食品ロスアプリの開発支援を行うとしておりますが、今後、計画に明記された指標達成に向け、さらなる具体的な取り組みが必要と考えます。県の御所見をお伺いして、終わりたいと思います。
〇八重樫副知事 県では、食品ロス削減推進計画を策定し、指標に食品ロス発生量の削減と、その削減に取り組む消費者割合を掲げ、食品ロス削減の取り組みを推進しているところです。
 これまで、食べ残しを減らす取り組みを行う飲食店を登録、認定し、特に優良な取り組みを行う事業者を表彰するなど意識啓発を図るとともに、産業・地域ゼロエミッション推進事業により、食品製造工程における食品残渣の発生抑制に取り組む事業者への支援等を行ってきたところです。
 令和6年度においては、岩手県立県民生活センターが、人や社会、地域、環境に配慮した消費行動であるエシカル消費の普及啓発活動として、すぐ食べる場合には、賞味期限が近く手前に陳列された商品を選択する、てまえどり行動の啓発に取り組むこととしています。
 引き続き、消費者、事業者、行政等の多様な主体が食品ロス削減を我がこととして捉え、フードサプライチェーン全体で食品ロス削減を推進していけるよう、市町村や関係機関と連携して鋭意取り組んでまいります。
〇小林正信委員 終わります。(拍手)
〇城内愛彦委員長 次に、田中辰也委員。
   〔田中辰也委員質問者席に着く〕(拍手)
〇田中辰也委員 それでは、お時間をいただきまして質問をさせていただきます。
 知事は、小規模町村の支援について表明されていますので、まずは、それからお聞きしたいと思います。
 昨年12月に公表されました国立社会保障・人口問題研究所の将来人口推計によりますと、岩手県の2050年人口は78万人余りで、2020年比64.7%に減少するとされました。県平均よりも減少率が高い市町村が33市町村中26に上り、さらに減少率が50%を超える市町村が14あり、その大半が町村であります。
 知事は、施政方針において小規模町村の支援を表明しておりますが、有効かつ持続的な支援となることを望むものであります。
 支援される側から言いますと、求められることを継続的に支援してもらうことが一番効果的であると思います。腰かけで猫の目のように変わるようでは、支援される側が疲れ切ってしまい、有効な支援とはならないと思います。
 県には、町村の本質的支援となるようお願いいたしたいのでありますけれども、現時点においてどのような支援をお考えか伺います。
〇達増知事 県ではこれまで、行政のデジタル化に対する支援や滞納整理機構による事務の共同処理、職員の相互交流など、市町村が必要とする分野への人的、技術的な支援を行ってきたほか、各広域振興局では、人口減少対策を進めるためのワーキンググループの開催や、地域経営推進費などを活用した地域課題の解決に向けた支援を実施してまいりました。
 令和6年度から、本庁と各広域振興局に新たに特命課長を配置し、市町村の人口減少対策等への支援に取り組むほか、特に、小規模町村に対しては、従来からの相互交流などの人的支援に加え、地域経営推進費を活用した財政支援を一体的に行う仕組みを新たに設けるとともに、専門職員が不足する分野への広域振興局を拠点とした支援を検討しているところです。
 市町村が、限られた行財政資源の中で持続可能で必要な行政サービスを提供していけるよう、本庁と広域振興局が一体となって必要な支援を機動的に行ってまいります。
〇田中辰也委員 支援についてですけれども、町村会からの要望書で、専門職の人的なところで派遣等もお願いしたいということで、回答も、人事交流等で何とかやりたいという表現でありました。実際のところ、県でも、専門職の中身によっては採用がなかなか難しいという話はお聞きしましたけれども、町村の場合は、さらに専門職がなかなか採用できないという状況があります。
 今、広域振興局を中心にサポートするという話ですが、それは、広域振興局からの派遣になるものなのか、それとも広域振興局から行って支援するという形になるのか、どのような形になるのでしょうか。
〇熊谷ふるさと振興部長 田中辰也委員がおっしゃられているとおり、小規模町村に専門的人材が不足しているという認識は我々も持っております。保健福祉分野、農業分野といったところで、昨今、求める声が強く出てきております。土木職もやはりというところですが、県でも土木職は採用が難しい状況もありまして、そこは工夫が必要だと思っています。
 県と市町村の間でこれまでやっておりました相互交流を基本としながら、重点的に支援しなければならないところ、あとは、県の専門職の充足状況によって、1年間決まった人を派遣するのが難しい場合には、いわゆる県の組織として業務応援をするとか、さまざまやり方があると思っています。
 人的派遣につきましては、現在まさに検討しているところでございますが、そういう相互交流の職員派遣、あとは業務応援等、広域振興局もそれにかかわっていただきますが、そういったことを含めまして、地域経営推進費の支援とあわせまして、町村の人口減少対策等さまざまな課題解決に一緒になって取り組んでいきたいと思っております。
〇田中辰也委員 支援を受ける町村の状況をしっかり把握しながら、協力をしていただければと思います。
 次に、魅力ある企業育成についてお尋ねしたいと思います。
 岩手県が若者に選ばれる県となるために、その一つとして、魅力的な企業を育てていくことが必要だと思うところでございます。県内には、長年優秀な実績を上げている企業も数多くありますし、また、魅力的な戦略をもってチャレンジしている企業もあります。しかしながら、その知名度は高くなく、全国的に優良企業に挙げられることが少ないように感じます。
 その原因として、企業のPR不足もあるとは思いますが、上場企業の少なさも要因の一つになっているのではないかと思うところでございます。全国の株式会社数242万8、048社に対し、上場企業数は4、027社、上場率は0.166%。岩手県は、昨年12月に上場企業が1社ふえましたので上場企業数は7社、株式会社数は1万543社ですので、上場率は0.066%。全国と同じ上場率であれば十七、八社あってもおかしくないと思われますが、県内企業の実力から見れば、まだまだ上場企業をふやしていくことが可能であると思います。
 県としては、企業の魅力度向上のために、上場を目指す企業をふやしていったほうがいいというお考えをお持ちでしょうか。また、そのためにはどのような支援が必要であるとお考えか伺います。
〇菊池副知事 企業は、上場することにより多様な資金調達が可能となることはもちろんのことですが、知名度や信用力の向上に伴い、いわゆる企業力とその魅力が高まることとなります。したがって、そこで仕事をしたい、就職したいと考える方々がふえてくるなど、幅広い効果が期待できるものでございます。
 一方、企業が上場を実現するまでには、大きく三つの成長フェーズ、ステージがあるとされているところです。
 その三つのステージを申し上げますと、まずは、初期段階であるアーリーステージがあります。ここでは、上場を意識した事業計画の作成や今後の株主構成の計画、見通しなどを詰めたりする資本政策の策定、組織体制の整備などが重要となってきます。次の段階のミドルステージでは、上場に必要な諸規程の整備や予算管理体制の整備、そして最終段階、これはレーターステージと呼ばれていますが、上場申請書類の作成、そして上場審査への対応など、高度かつ専門的な知見を有する専門機関と連携しながら、これら多くのハードルといいますか、当面対応を重ねながら、信用力等を高め対応していく必要があります。
 こうしたことから、本県では、岩手イノベーションベース、TOLIC、さらには、県内の産業支援機関、商工指導団体、金融機関等96の主体が参画して展開しております、いわてスタートアップ推進プラットフォームの事業と連携しながら、起業、スタートアップ時点の段階からもちろんフォローしますし、先ほど申し上げましたような成長ステージに応じたそれぞれの対応について、いわゆる伴走型の支援を強力に展開しているところでございます。
 特に、上場を目指す企業においては、公認会計士や監査法人などの参画、協力が必須でございます。そうしたことから、それらの機能も十分に支援、強化させながら、本県企業のさらなる飛躍を重層的に支援していきたいと考えているところでございます。
〇田中辰也委員 県としても、チャレンジする企業を全面的にバックアップしていきたいという御答弁と承りました。やはり今、先ほどお話が出ましたTOLIC等では、かなりベンチャーが立ち上がってきています。これがさらに大きく成長していく、本当に小さな芽が出てきたところかもしれませんが、それを岩手県の宝として大きく育てていくためには、そういう思いを持った人たちをどう育てていくかが大事だと思いますので、継続的な支援となるようにお願い申し上げる次第でございます。
 続きまして、鉄道貨物の利用についてお伺いいたします。
 モーダルシフトが叫ばれる中で、鉄道貨物の利用を検討すべきと思います。IGRの一戸駅には旧操車場が残っております。県営街路上野西法寺線の工事に伴い、駅北側の踏切の移設工事を予定しておりますので、その際に上り線への渡り線を整備することで、鉄道コンテナの積みおろし作業ができるような形になろうかと思います。
 県北部のみならず、青森県南部や秋田県北部からの需要も見込め、さらに、IGRが貨物取扱業務を受託することで営業利益を見込むことができますし、何といっても、高速道路との結節点でもありますので、物流の拠点として、県北地域の振興、発展のためにも非常に有益なものではないかと思うところでございます。
 県北部の鉄道貨物の拠点整備について検討するに値すると考えますが、いかがでしょうか。
〇熊谷ふるさと振興部長 物流の停滞が懸念される2024年問題などの課題に対応するため、国は、多様な輸送モードの活用を推進することとしており、鉄道による輸送量の増加に向け、大型コンテナの導入支援などにより、モーダルシフトの一層の推進を検討しているところです。
 田中辰也委員御提案の一戸駅への鉄道貨物の拠点整備については、盛岡貨物ターミナル駅と八戸貨物駅の間に新たな拠点を整備することとなり、採算性の面など、一義的にはJR貨物の経営判断によるものと考えております。
 また、IGR側としても、その荷受けを受託する場合、厳しい経営が続く中、フォークリフトやクレーンなどの荷役を行うための設備投資や荷役を担う人員確保等が新たに必要となるなど、経営上の判断が必要となることから、さまざまな観点から検討が必要になると想定されます。
 今後とも、モーダルシフトに係る国の検討状況を踏まえつつ、IGRの安定的な経営に向けて、さまざまな角度から、県、沿線自治体、IGRが連携して研究、検討を進めてまいります。
〇田中辰也委員 今、答弁でおっしゃられたとおり、IGRの経営は、これから乗降者数、旅客数が飛躍的にふえることはまず考えられませんので、それ以外のところで鉄道をしっかり利用してIGRの経営をしていくのも一つの判断だと思います。
 ただ、クリアするためにはさまざまな課題はありますし、容易にできることではないと思います。やはり県北地域にそういう拠点があることで、企業を誘致したりということも一つとしてはあると思いますので、さまざまな課題を検討しながら、こういうことも一つ頭に入れて検討していただきたいと思うところでございます。
 続きまして、中山の園の後継施設の整備についてお伺いします。
 昭和54年開設の障がい者支援施設中山の園は、施設、設備の老朽化とともに入所者の高齢化が進み、新たな課題が出てきております。そのため県は、令和元年度に中山の園整備基本構想・基本計画検討委員会、令和3年度にワーキンググループを設置し、今後のあり方検討を進めてきたところでございます。
 一戸町奥中山地区においては、開設以来、住民との交流などによりインクルーシブ社会を形成し、障がい者と共生することができてきております。また、開設以来、従業員の確保や物資納入等、多方面にわたり地域社会が貢献してきた経緯を深く考慮していただきたいと思うところでございます。
 国では、軽度障がい者は、社会生活の中での自立支援に重点を移しているように思われます。しかしながら、重度障がい者は、入所での支援が引き続き必要だと思いますので、後継施設整備に当たりましては、これまでの経緯等も考慮した上で、現在地での整備が適当と考えますが、いかがでしょうか。
〇野原企画理事兼保健福祉部長 中山の園につきましては、これまで行われてきた住民との交流や地域とのさまざまなつながりを生かしまして、地域移行した障がい者への地域生活支援を継続していくためには、現地での整備が適切と認識しておりますが、利用者の高齢化、重度化の影響によりまして、救急搬送や通院対応が年々ふえている状況にあり、そうした課題にも対応する必要があるものと考えているところでございます。
〇田中辰也委員 入所者が高齢化していることによりまして、心身機能の低下や障がいの重度化等、新たな課題が出ているとお聞きしているところでございます。
 このような障がいのみならず複数の疾患を持っている方におきましては、医療サービスが求められると思います。例えば、県立一戸病院の空き病棟を活用して、障がい者支援を医療サービスを受けながらやることは考えられないでしょうか。一戸病院の5階では、既に一戸町が借り受け、老人福祉施設として活用しておりますので、他のサービスと医療との区分も同じ施設内でもできると思いますけれども、高齢者の対応についてどのようにお考えでしょうか。
 また、高齢入所者の施設を介護老人福祉施設として整備すると、介護保険事業者が大きな影響を受けると思いますので、適切ではないと思います。
 いずれにしろ、早々に計画を定め、着手しなければならないと思いますけれども、入所者の状態が悪くなりサービス低下につながらないよう、現在の検討状況と今後の見通しについて、あわせて伺います。
〇野原企画理事兼保健福祉部長 中山の園につきましては、昭和54年に設立されまして、当時の状況に比べて入所者の方々はかなり高齢化しているといったことで、先ほど御答弁申し上げたように、高齢化、重度化といった部分についての医療との連携が重要と考えております。また、地元とのこれまでの経緯もございますので、そうしたものを十分踏まえる必要があると認識しております。
 こういった状況を踏まえまして、整備予定地の選定に当たりましては、安全で安心な周辺環境や医療機関へのアクセスなどの諸要件なども勘案し、現在地を中心とし、医療機関との連携も視野に入れつつ検討を進めているところでございます。
 現在、施設の機能や整備予定地、施設規模などを定める中山の園整備基本計画の検討を進めておりまして、医療機関との連携を含め、入所利用者や家族会からの意向調査や関係機関、団体等の御意見を伺いながら検討を進めてまいります。
〇田中辰也委員 それでは、最後に観光政策の強化について伺います。
 岩手県の魅力を多くの人に理解してもらうためには、観光により岩手県を訪れ、体感してもらうことが一番効果的であると思います。
 日本に観光に訪れる国として、今後、ベトナム、インドネシア、フィリピンが注目すべき国とも言われているところでありますが、これらの各国に対してのアプローチが、岩手県としてはまだ少ないと思います。
 また、国内も含め岩手県のよさを理解してもらうためにも、さらに観光に関する予算や人員をふやしながら、攻めの態勢を築くべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
〇達増知事 昨年、ニューヨークタイムズ紙に盛岡市が掲載されたことなどから、特に、欧米や東南アジアからの宿泊者数が、コロナ禍前と比較して大きく増加しており、今後、これらの地域を含め、より多くの国々から本県を訪れる外国人観光客を増加させ、地域経済の活性化に結びつけていく必要があると考えております。
 田中辰也委員御指摘のベトナム、インドネシア、フィリピンといった国々は、東南アジアの中でも特に人口規模が大きく、かつ、さらなる経済成長が見込まれるほか、本県には、これらの国々出身の外国人県民も多くいますことから、これらの方々の協力もいただきながら、本県への誘客拡大に向けて積極的にアプローチしていく必要があると考えます。
 現在の外国人観光客は、東北地方、さらに日本国内を広く移動して観光を楽しむ傾向にあることから、独立行政法人国際観光振興機構や一般社団法人東北観光推進機構といった広域的な組織と連携し、東北各地の四季折々の自然や景観、豊かな食、地域に根づく生活文化などの観光資源を一体的に情報発信していくことが効果的であると考えております。
 また、市町村や観光協会等の関係団体はもとより、宿泊施設を初めとした観光関連事業者においても、誘客拡大に向けたさまざまなプロモーションを実施しており、これらの取り組みと連動することで、よりマンパワーを強化していくことも重要であります。
 このような考え方のもと、広域的な組織が実施する事業の活用や観光にかかわる団体や事業者との連携のさらなる強化を図りながら、誘客拡大に向けて積極的に取り組んでまいります。
〇田中辰也委員 最後に、知事、県民に対して、岩手県はこれからこういうことをやるのだということの思いのたけをしっかり伝えていっていただきたいと思いますが、それを求めて、終わります。
〇達増知事 まず、世界に打って出るということに関しては、今、ベトナム、インドネシア、フィリピンという国々を例に出していただきましたけれども、チャンスのあるところから積極的にアプローチをしていきたいと思います。
 おとといの日曜日にも、岩手県沿岸地域の自然や海の幸の魅力を発信する香港のテレビ局の番組収録に私も出演しまして、実際に岩手県の自然や海の幸をアピールしたところであります。そういったことをやればやるほど、この岩手県のよさ、各市町村や各地域の魅力というものが世界に通用すると、出していけば出していくほど、どんどんこの需要もふえていくという実感を得ているところであります。
 そうした岩手県の可能性をどんどん発掘するためにも、前提として、今、目の前のコロナ禍の残存影響プラス物価高騰というこの危機を乗り越えていかなければなりません。
 また、人口減少対策にあらわれているような、目の前にある生きにくさというものを生きやすさに変えていき、困っている人たち、弱さ、課題に直面している人たちを下支えしていくことで、可能性としては、大谷翔平選手、菊池雄星選手、さらに、今度、高等学校を卒業してスタンフォード大学に進学する佐々木麟太郎選手と、岩手県というのは、そういう人材を輩出することができる県だということを、県民と共有し、県外に発信していきたいと思います。
〇田中辰也委員 終わります。(拍手)
〇城内愛彦委員長 以上で総括説明に対する総括質疑を終わります。
 知事を初め執行部の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 これより各部局別の審査に入るわけでありますが、委員席の移動を行いますので、その間、暫時休憩いたします。
   午後1時39分 休 憩
午後2時7分再開
〇千葉盛副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 これより各部局別の審査を行います。
 質疑につきましては、議会運営委員会の決定及び世話人会の申し合わせのとおり、質疑項目が複数ある場合、関連する事項はできるだけまとめて質疑を行うこと、ほかの委員と重複した内容の質疑は極力避け、どうしても必要な場合には、関連質疑として短時間かつ簡潔に行うことを基本とすること、数値の確認のみの質疑や要望のみの発言は原則として行わないこととなっております。
 また、議会運営委員会において、基本的感染対策として、部局別審査においては、各日の質問予定人数に応じて、その都度、世話人会で協議の上、質疑の目安時間を決定するとされたところです。
 本日は、この後、議会、総務部及び政策企画部関係について、延べ14人の質問者を予定しており、世話人会の協議により、本日の質疑の目安時間は20分といたしました。
 また、関連質疑については目安時間を10分とすること、同一部局の審査において質疑と関連質疑を行う場合は、その日の質疑の目安時間の範囲内とすることにいたしましたので、議事の進行に御協力をお願いします。
 初めに、議会事務局長に議会関係の説明を求めます。
〇小畑議会事務局長 令和6年度の議会関係の歳出予算について御説明申し上げます。
 お手元の議案その1の10ページをお開き願います。議会関係の歳出予算は、1款議会費の14億2、320万円余であります。これを前年度の当初予算と比較しますと3、650万円余の増、率にして2.6%の増となっております。
 予算の内容につきましては、便宜、予算に関する説明書により御説明申し上げますので、予算に関する説明書の89ページをお開き願います。
 なお、金額の読み上げにつきましては省略させていただきます。
 1款議会費1項議会費のうち1目議会費は、議員の報酬、旅費等の議会運営に要する経費であります。次に、89ページから90ページにかけてでありますが、2目事務局費は、議会事務局職員の人件費及び事務費等、事務局の管理運営に要する経費、並びに議会改革の一環として、タブレット端末の活用によるペーパーレス化の推進等、議会活動の充実、向上を図るための経費であります。次に、3目議員会館費は、議員会館の管理運営に要する経費であります。
 以上で議会関係の予算についての説明を終わります。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
〇千葉盛副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇斉藤信委員 それでは質問します。
 最初に、都道府県議会における喫煙所の設置状況についてお聞きします。全国、東北各県の状況はどうなっているでしょうか。
〇米内総務課総括課長 全国の都道府県議会におけます喫煙所の設置状況についてでございますが、令和5年9月時点の調査では、敷地内全面禁煙は8道府県、敷地内禁煙で敷地内に喫煙専用場所ありとするものが12府県、建物内禁煙が7都県、建物内禁煙で喫煙専用室ありとするものが20県となっております。
 また、東北各県議会におけます喫煙所の設置状況についてでございますが、敷地内全面禁煙は青森県、秋田県の2県、敷地内禁煙で敷地内に喫煙専用場所ありとするものが宮城県、山形県、福島県の3県、建物内禁煙で喫煙専用室ありとするものが本県の1県となっております。
〇斉藤信委員 全国でも建物内禁煙で喫煙専用室ありは20県で、ここに岩手県が残念ながら入っていて、一番おくれています。東北6県を見ますと、秋田県、青森県は敷地内全面禁煙、宮城県、山形県、福島県は敷地内禁煙で敷地内に喫煙専用場所ありということで、私は、東北6県の中でも岩手県が一番受動喫煙防止に背を向けた状況になっているのではないかと思います。
 この間、県職員の利用の問題が議論になって、張り紙が出されて、私は、県職員の利用はかなり激減したのではないかと思っていますが、この状況はどのように把握されていますか。
〇米内総務課総括課長 県職員の利用についてでございますが、議会事務局といたしましては、令和5年10月20日付けで県議会棟喫煙室の職員の利用禁止等についてという総務部長通知が発出されまして、これに基づきまして適正に利用されているものと認識しております。
〇斉藤信委員 県職員は、敷地内全面禁煙で徹底されている。残念ながら、最近までは結構、課長クラスも含めて議会棟の喫煙室が使われていた。これを私たちは本当に大問題だと思うのです。県庁が敷地内全面禁煙をやっているときに、逃げ場所を県議会が提供したみたいな形になっていた。私は、これは激減して基本的にはなくなり、改善されたのではないかと思います。
 そうなるとどうなるかといいますと、議会棟の喫煙室は、議員だけが利用できる特権的な施設になってしまう。何よりも受動喫煙防止というのは、がん対策の最も中心的な課題なのです。本来、その先頭に立つべき議員が、自分たちだけが利用できる喫煙室を置いている。私は、それは県民から見て異常な事態だと思いますけれども、議会事務局長はどう受けとめていますか。
〇小畑議会事務局長 議会棟の喫煙専用室の関係でございますけれども、いずれ、改正健康増進法によりまして、望まない受動喫煙の防止を図るために、多数の者が利用できる施設の管理について、権限を有する者が講ずべき措置について定めており、喫煙専用室は、その第2種施設ということであります。
 それに基づいて事務局といたしましては管理しているところでございますけれども、喫煙専用室のあり方につきましては、これまでも議員の皆様方の協議の上で現在の使い方ということで来ておりますので、今後におきましても、そのあり方につきましては、御協議の上で決定されていくべきものと認識しております。
〇斉藤信委員 私は、県内の市町村議会について前にも聞いたことがありますけれども、恐らく、今、市町村議会でも議会内に喫煙所を持っているところはないと思いますが、わかりますか。
〇米内総務課総括課長 県内市町村議会におけます喫煙所の設置状況についてでございますが、令和5年10月時点になりますが、敷地内全面禁煙は17市町、敷地内禁煙で敷地内に喫煙専用室ありとするものが16市町村となっております。
〇斉藤信委員 ですから、喫煙所は建物内にはないということになりますね。そういう県内の市町村議会と比べても、岩手県議会は大変異常な特権的な喫煙室をそのまま温存しているということで、これは解決を図っていただきたいと思います。
 次に、議会のデジタル化、DX―デジタルトランスフォーメーションにかかわってお聞きしますが、政務活動費の収支報告書について、私は、これはもうインターネット、議会のホームページで領収書を含めて公開すべきではないかと思います。実は、選挙管理委員会が整理している政治資金収支報告書は、ネットで公開しているのですよ。だから、政治資金収支報告書でさえそういう形になっているときに、議会のDX化というのだったら、政務活動費のホームページ、ネットでの公開を進めるべきだと思いますけれども、全国の公開状況はどうなっているでしょうか。
〇米内総務課総括課長 政務活動費の領収書も含めましたホームページでの公開の状況についてでございます。令和5年7月28日現在にはなりますが、都道府県議会では、24都府県において公開しております。
〇斉藤信委員 半分以上の県議会が公開している。
 実は、議会の情報公開というのは、最初は岩手県が一番進んでいたのです。しかし、今やもう本当に全国の後塵を拝している。デジタル化というのだったら、県民に、どこからでもアクセスができて状況がわかるような公開をすべきではないか。
 これは事務的に全然問題ありません。政治資金収支報告書でさえ、今ネット公開ですから、私は事務的な問題は一つもないと思うけれども、いかがですか。
〇米内総務課総括課長 領収書も含めました全添付書類等のホームページでの公開を実施するに当たりましての課題、障害についてでございますが、ホームページで公開するためには、議員の皆様から提出されました全ての書類につきまして、PDFデータファイルを作成することが必要でございます。例えば、A4のフラットファイルでおおむね50冊、8、500枚のPDFデータファイルの作成業務が増加すると見込んでおります。
 なお、他県におきましても、同様の課題があると認識しているところでございます。
〇斉藤信委員 そういうことを含めて24都府県が情報公開しているわけです。デジタル化というのだったら、県民に利便性があるというのが一番大事なことなのです。県議会の情報が本当にリアルタイムで把握できる、そういうデジタル化こそ県民の立場に立って岩手県議会は進めるべきです。必要なら、議会改革検討委員会で検討すべきだということを指摘しておきたいと思います。
 次に、県議会議員の今年度の海外視察、来年度の海外視察の状況、全国の実施状況を示してください。
〇米内総務課総括課長 令和5年度におけます全国都道府県議会の海外行政視察の実施状況についてでございますが、令和6年1月25日現在、実施が25県、実施せずが本県を含めまして12府県、未定が10都道県となっております。
 次に、令和6年度におけます全国都道府県議会の海外行政視察の実施予定についてでございますが、現在、各都道府県におきましても予算編成に向けた審議が行われているところでございますので、大変恐れ入りますが、現時点では把握しておりません。
〇斉藤信委員 この時期に未定というのは実施しないということですから、22道府県が実施しないということが全国の状況だと思います。岩手県も実施をしておりません。
 来年度については意向調査もこの県議会でやっていると思いますが、来年度の海外視察の意向調査の状況はどうなっていますか。
〇米内総務課総括課長 令和6年度につきましては、現時点で海外行政視察議員派遣提案書は提出されておりません。
〇斉藤信委員 私は、海外視察を一律に反対するものではありません。議会として必要だと決めたら、そういう目的に沿って、県政の課題と結んで海外視察をやるということはあってもいい。ところが、今の仕組みは、県議会議員になったら、4年のうち1回は90万円を上限にして視察できるという、これも議員の特権みたいなもので、私は、制度の改革が必要なのではないかと思います。本当に議会が県政課題と結んで、必要性がしっかり議論されてやられる海外視察に改革をすべきではないかと考えていますが、全国で実施しているそういうやり方はわかりますか。みんな岩手方式ですか。
〇米内総務課総括課長 岩手県につきましては、議員派遣の運用でこれまで対応されてきているところでございますが、令和6年1月時点での各県でのそういった運用の回数等を規定している例は、3議会ございます。それから、回数の規定がないのは11議会。大変恐れ入りますが、それ以外は非公表等となっております。
〇斉藤信委員 わかりました。いずれ、岩手県議会の場合には、今の段階で申請はないということは確認いたしました。
 最後です。私は、県議会の活性化にとって一番大事なのは、やはり活発な審議だと思うのです。特に、予算、決算特別委員会は、部局の審査で質問者もかなり多いので、きょうも20分という制限があり、これは仕方がないと思います。しかし、常任委員会というのは、その常任委員会の所管事項について調査し、提出された議案、請願などについてしっかり審議をする。これは当然のことだと思います。
 そこで、常任委員会での質問について、発言時間などの規制があるところ、ないところについて、どのように把握されているか示してください。
〇小畑議会事務局長 都道府県によって、常任委員会の日程ですとか運営方法等が異なりますので、詳細な実態把握までは行っていないのですけれども、一つの例として、令和5年11月にほかの県で行った調査がございまして、発言時間について明確に何らかのルール化をしている都道府県は、7府県とされているところでございます。
 ただ、この調査におきましては、本県のように慣例によりまして運用している議会については、調査対象となっていないものでございます。
〇斉藤信委員 わかりました。今のは恐らく議会規則等、明文化された形で発言の規制があるところで、それにしても7議会あるということだと思います。
 最後ですけれども、本来、常任委員会というのは、所管する課題について調査し、付託された案件について徹底して審査する機関だと受けとめていますが、これは、地方自治法その他の法令上、どういう位置づけになっているか。岩手県議会が、常任委員会についてはわざわざ2日間の日程をとっている、これはどういう趣旨でそうなっているかお聞きいたします。
〇小畑議会事務局長 地方自治法上でございますけれども、常任委員会は条例で置くことができるとされておりまして、その部門に属する当該普通公共団体の事務に関する調査を行い、議案、請願等を審査すると規定されているところでございます。
 それを受けまして、本県議会におきましては、岩手県議会基本条例におきまして、委員会は、県の事務等の調査、付託された議案、陳情等又は事件の審査等を行うと規定しており、岩手県議会委員会条例におきましては、総務委員会など五つの常任委員会の名称、委員定数、所管を規定しているところでございます。
 それから、各定例会における常任委員会の日程でございますけれども、本県におきましては、2月定例会における補正予算等の審査のため開催する常任委員会を除きまして、2日間の日程を確保しているところでございます。これは昭和20年代からそのような日程となっておりまして、理由は明確には不明ですけれども、十分な審査時間を確保するためと考えられるところでございます。
〇千葉盛副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇千葉盛副委員長 質疑がないようでありますので、これで議会関係の質疑を終わります。
 議会事務局の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 次に、総務部長に総務部関係の説明を求めます。
〇千葉総務部長 それでは、総務部関係の議案につきまして御説明申し上げます。
 議案の説明に入ります前に、令和6年度当初予算の編成に当たりまして、当部の基本的な考え方について御説明いたします。
 令和6年度当初予算は、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランのもと、四つの重点項目を中心に、現下の喫緊の課題である人口減少対策に最優先で取り組み、県民の幸福度向上を図る10の政策や新しい時代を切り拓くプロジェクトを着実に推進する予算として編成したところであります。
 また、令和6年度は、県税の滞納整理の強化による収入未済額の縮減や課税対象の適切な捕捉などに努めるほか、引き続きグリーン/ブルーボンドなどの発行や県債管理基金等の運用など、あらゆる歳入確保策を実施し、持続可能な行財政基盤の構築に向けた取り組みを進めてまいります。
 続きまして、議案第1号令和6年度岩手県一般会計予算のうち、総務部関係の歳出予算について御説明申し上げます。
 議案その1の10ページをごらん願います。第1表歳入歳出予算の表中、総務部関係の予算は、2款総務費のうち156億1、700万円余、13ページに参りまして、12款公債費のうち910億4、000万円余、13款諸支出金のうち588億7、900万円余、14ページに参りまして、14款予備費3億円を合わせまして総額1、658億3、700万円余であり、前年度と比較し16億8、400万円余の減額となっております。
 なお、予算の内容につきましては、予算に関する説明書に記載されており、説明は省略させていただきますので、御了承願います。
 続きまして、議案第8号令和6年度岩手県公債管理特別会計予算について御説明申し上げます。
 少し飛びまして、43ページをごらん願います。第1表歳入歳出予算にありますように、歳入歳出それぞれ1、751億6、200万円余であり、前年度と比較し80億1、100万円余の増額であります。
 続きまして、総務部の予算以外の議案につきまして御説明申し上げます。
 議案その2の22ページをごらん願います。初めに、議案第28号新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時基金条例の一部を改正する条例について御説明申し上げます。これは、本基金条例の有効期限を令和11年3月31日まで延長しようとするものであります。
 次に、25ページをごらん願います。議案第31号岩手県県税条例の一部を改正する条例について御説明申し上げます。これは、地方自治法及び地方自治法施行令の一部改正に伴い、従来の公金事務に係る私人委託制度を見直し、新たな制度として指定公金事務取扱者制度が創設され、また、児童福祉法の一部改正に伴い、児童発達支援に係る区分の見直し等が行われ、本条例で引用している条項に移動が生じたため、その整備を行おうとするものであります。
 次に、27ページをごらん願います。議案第32号岩手県産業廃棄物税条例の一部を改正する条例について御説明申し上げます。これは、前回の一部改正条例の施行後5年をめどとして、条例の施行状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずることとしており、本年度がその5年目に当たっていることから、引き続き現行の税制度を継続することと、この条例の施行後5年をめどとして、岩手県産業廃棄物税条例の施行状況について検討を加えようとするものであります。
 最後に,28ページをごらん願います。議案第33号特定非営利活動法人に係る県税の課税免除に関する条例の一部を改正する条例について御説明申し上げます。これは、児童福祉法の一部改正に伴い、児童発達支援に係る区分の見直し等が行われ、本条例で引用している条項に移動が生じたため、その整備を行おうとするものであります。また、本改正に伴い、その他所要の整備を行おうとするものであります。
 以上で総務部関係の議案の説明を終わります。よろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。
〇千葉盛副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇岩崎友一委員 初めに、知事のマニフェストプラス39の実現に向けた財源の関係でお伺いしたいと思います。
 去る12月定例会での私の質問に対しまして、総務部長から、このマニフェストの実現に向けては、詳しい金額をはかるのは厳しいとしても、数百から数千億円が必要になるとの御答弁をいただきました。今回、新年度当初予算案に反映されている事業も多くあると、これは政策企画部から説明を受けておりますけれども、箱物や道路などは具現化に至っていないものが多いように感じております。
 当然、このマニフェストの作成者であります知事も、財源確保については責任を持って努力をしなければならないと思いますけれども、改めて、総務部として、今回予算を組んでみて、現段階におけるマニフェストプラス39の実現性についてお伺いしたいと思います。
 もしわかれば教えていただきたいのが、令和6年度の予算要求に係る総務部長通知の2番に、後年度負担を伴う事業等補助制度の創設、複数年度にわたる施設整備等については、翌年度以降の歳出化経費として予算の硬直化の原因となるため、その必要について慎重に検討するとともに、総務部に協議を行うこととあります。
 まさに知事の道路であったり箱物は、複数年度にわたって債務負担行為を組む必要があると思いますが、その辺、総務部にお問い合わせがあったかどうかもあわせて、わかればお示しいただきたいと思います。
〇佐藤財政課総括課長 マニフェストプラス39の実現性についてですが、先ほど岩崎友一委員から御紹介ありましたとおり、さきの12月定例会で数百から数千億円規模という答弁をしております。いわゆる箱物、普通建設事業については、県債によって財源調達した上で、30年程度の間、その30分の1の額を毎年度償還していくことになりますので、長期にわたって安定的に償還に関する予算を確保することが必要となります。
 具体的には、毎年度の予算編成において、国費や基金の活用、有利な地方債の活用に加え、新たな手法についても不断に検討しつつ、さまざまな財源確保の取り組みを地道に積み重ね継続していくことが重要であり、そういった取り組みにより、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランやマニフェストプラス39に掲げる施策の推進を図っていきます。
 それから、2番、総務部長通知の後年度負担を伴う施設整備等については、総務部に協議することということで、これに関しては、予算のときもそうですが、予算の協議の前に、例年9月ぐらいですか、大規模事業といったものを事前に総務部に協議しております。そのときにある程度道筋をつけて、予算協議の際にさらに詰めるといった形で行っております。
〇岩崎友一委員 まず、二つ目の大規模事業の関係ですが、これに関しては、知事のマニフェストプラス39に掲げられている箱物がさまざまありましたけれども、そういったものとか、道路関係でマニフェストプラス39には具体的な名前を書いています。リハビリテーションセンターもそうだし、あと道路関係も3路線ありましたし。そういったものに対しての協議はあったのかどうか、お示しいただければと思います。
〇佐藤財政課総括課長 マニフェストプラス39関係ですと、箱物関係では、今回予算計上しました岩手県福祉総合相談センターと県立県民生活センターの合築や、あと、これはこれからなのですけれども、中山の園があります。大規模事業で、道路とか新しい補助の創設については、予算協議ですと時間がかかりますので、その前に早目に総務部に協議しています。
〇岩崎友一委員 そうすると、今回、道路関係に関しては具体的には協議がなかったという理解でよろしいですか。
〇佐藤財政課総括課長 道路に関しては予算要求時に行っていまして、具体的というのは、債務負担行為などを設定して後年度の予算を確保しているといったものです。
〇岩崎友一委員 だから、具体的に設計だったり調査だったりの費用は不明だけれども、事業を入札にかけるとか債務負担行為を組むあたりまでの相談はなかったという理解でよろしいですね。
〇佐藤財政課総括課長 済みません、ちょっと説明が申しわけなかったです。マニフェストプラス39に関するものですと、例えば国道281号久慈市案内―戸呂町口工区とかは予算要求のときに来て、債務負担行為を組んでいるものです。
〇岩崎友一委員 マニフェストプラス39に書いたものは3路線あるではないですか。北・北道路、笹ノ田のトンネル化であったり、あと国道107号線・国道340号線と三つ具体的に載っているのですが、それに関しては、今回、具体的な相談はなかったということでよろしいですか。
〇佐藤財政課総括課長 3路線ですが、調査事業ということで計上して、債務負担行為を組んでいない笹ノ田等はあります。
〇岩崎友一委員 わかりました。
 それで、今回、代表質問、一般質問、そして総括質疑でも、歳入確保策について議員からさまざまな質問がございました。総務部長から答弁もあったところでありますけれども、知事のマニフェストプラス39をこの4年間で実現すると考えた場合に、今まで聞いてきた答弁ですと、財源の確保という部分がこのままでは厳しいのではないかと思うのです。
 実際、マニフェストプラス39の実現に向けて、さらにこういったこともやっていこうという検討を例えば内部でしているとかございましたら、お知らせいただきたいと思います。
〇佐藤財政課総括課長 まず、前提としてですけれども、歳入の硬直性が強い地方公共団体においては、多額の支出を伴う建設事業については、償還年限を設定した建設地方債の発行によって財源を賄うということで、その場合、建設事業費の30分の1程度を、先ほど言いましたように安定的に確保するか否かが、財政運営において大切と考えております。
 仮に、毎年度20億円程度の財源を確保できた場合ですと、これを償還財源にすることで、30年償還で単純計算した場合、総額で600億円程度の自己負担分が確保できる。国庫等を活用した場合だとさらに大きな投資が可能ということで、今回、ふるさと納税のさらなる魅力化等を載せていますけれども、新たなものとして伸び代があるということであれば、ふるさと納税といったところが大きいかと思っています。
〇岩崎友一委員 わかりました。もっと聞きたいのですが、それは次の一般質問で本会議場で聞きたいと思います。
 二つ目に、財政調整基金を初めとした財源対策3基金の活用についてお聞きしたいと思っていますが、新年度予算案策定後の財源対策3基金の年度末残高は572億円になるかと思いますけれども、今後の活用の方針についてお伺いします。
〇佐藤財政課総括課長 それぞれについて目的に応じた活用を想定しておりまして、財政調整基金残高230億円については、災害発生等、不測の事態における財政需要に備えつつ、現時点では、毎年度の予算編成で収支不足を解消できていませんので、まさに財源対策として活用しております。
 県債管理基金321億円については、今後の県債償還、具体的には過年度の臨時財政対策債の交付税措置の終了に伴う実質的な公債費の増に対応することを想定しております。
 地域振興基金21億円については、地域振興施策の実施のための財源として、有効に活用していくことを想定しております。
〇岩崎友一委員 それでは、その財源対策3基金の一つであります財政調整基金の関係について取り上げたいと思いますけれども、新年度予算の編成に当たりまして、副知事の依命通知を見ますと、行財政改革の報告書を踏まえ、四つの財政目標の達成に向けて取り組むという方針が示されております。
 その財政目標の一つに財政調整基金の現行水準177億円の維持があると思いますけれども、現在、財政調整基金は230億円で、副知事の依命通知を見ますと177億円のラインはしっかり堅持しようということです。
 ただ、今回もかなり議論になっておりますけれども、一方で人口減少対策であったり物価高の対策など待ったなしの課題解決に向けて、補正予算の編成等も新年度以降必要になってくるかと思います。総務部の見解として、177億円は堅持しながらも、こういった必要な補正予算等に関しては財政調整基金を崩して対応していくというお考えでよろしいのかどうか、方針をお伺いします。
〇佐藤財政課総括課長 先ほど答弁申し上げたとおり、財政調整基金は、災害発生等不測の事態に対応すべく積み立てており、臨機の補正予算の編成に対応するための財源として活用することを想定しております。
 岩崎友一委員御指摘の喫緊の課題として対応が求められている物価高騰対策等については、まずは国費や地方財政計画での対応を求めつつ、財政調整基金の性格や毎年度発生する収支不足、今後の課題等に対応するための財政需要等を勘案しながら、その取り崩しについては、適時、慎重に判断していきたいと考えております。
〇岩崎友一委員 難しいな。ただ、177億円は持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会の報告を受けて、堅持はすると。ただ、今、財政調整基金は230億円あって、別に無駄に使えとかという話ではないですが、やはり今回の議会でもいろいろ、こういった事業をやったらいいのではないか等、指摘もあるわけであって、そういった部分に関して、財政調整基金も活用しながら補正も考えるというのは、頭の中にはあるということでよろしいですか。
〇佐藤財政課総括課長 緊急的な課題に対しては、財政目標にとらわれることなく臨機に補正予算を編成し、財源としての活用も検討していきます。
〇岩崎友一委員 いずれ、本当に人口減少は、今手を打たなければ、1年過ぎるごとに少子化の克服は厳しくなっていくというのは、今議会のこれまでの議論にもあるとおりで、しっかりと柔軟に対応していただきたいと思います。
 三つ目が、総務部長依命通知に対する東日本大震災津波からの復興の考え方についてであります。
 令和6年度の総務部長通知で、全般的事項ということで、1番目に復興を掲げていただいておりますことには、感謝したいと思います。また、8番目にも復興に触れていただいているということで、1番目にあるということは、それなりに総務部としても震災復興は重要であると考えているかと思います。
 その内容を見ますと、1番が、被災者の心のケア等、継続が必要な事業について引き続き実施するとともに、いわて県民計画(2019〜2028)及びその実施計画である第2期アクションプランを着実に推進するため、全ての事務事業をゼロベースで見直し、施策の選択に当たっては、事業効果、効率性を重視し、優先度、緊急度等による厳しい選択を行うこと。これは副知事の依命通知にも若干似たようなことがあります。
 また、8番には、東日本大震災津波からの復旧、復興に係る件に関しては所要の額の要求とすること。なお、といろいろあるのですが、こういった通知が先に出てしまうと、予算要求する側としては、今回、議会でも取り上げました被災地の経済対策の部分で予算要求しづらいのではないか、結構厳しい文言ではないかと私は捉えるのですが、その辺の真意といいますか考え方についてお示しください。
〇佐藤財政課総括課長 まず、大前提ですが、東日本大震災津波からの復興は、依然として県政の重要課題であり、他に優先して取り組む必要があると認識しております。
 そういった観点から、総務部長依命通知では、一番初めに復旧、復興事業について言及するとともに、要求の上限額を設けない、いわゆるシーリングを設けない所要額での要求とすることで、必要な取り組みを着実に推進する姿勢を明らかにしているところです。
 岩崎友一委員御指摘の経済対策など地域振興的な側面を有する事業については、復旧、復興の枠にとどまることなく、全県的に大きな視点で事業立案することがより効果的である場合もありますので、重点事項に係る3倍要求等の仕組みを活用するなど、積極的な予算要求を促しているところです。
〇岩崎友一委員 私の読み方が少し間違っていたのかもしれませんけれども、県のウオッチャー調査でも、経済の回復度だけがずっと下落し続けている現状がありますので、総務部の考えというのはまさにそのとおりだと思います。
 少し確認ですけれども、全て復興防災部の事業、あとは農林水産部であったり、復興に関するような事業も全部見せていただきましたが、被災地の経済を回復または震災前より強い経済をつくるという観点で見たときに、この事業はおもしろいとか、これは斬新だという事業がなかなか見当たらなかったような気がします。
 そういった経済対策、これはいいぞというような事業の予算要求があったのかどうかお示し願います。
〇佐藤財政課総括課長 例えば、新規事業で言えば、海業の推進モデルや、議会でも御提案ありました水産加工業者が経営課題解決に向けて取り組む活動に対する経費の支援、あとは、既存事業の拡充になりますけれども、クルーズ船の誘致や県北、沿岸地域へのインバウンド誘客拡大といった事業も盛り込んでおります。
〇岩崎友一委員 そのとおりなのですけれども、海業もたしか500万円の事業だったと思っていまして、被災地全体の経済を回復させる、盛り上げるのにはどうしても規模が乏しいかと思います。必要な事業ではあると思うのですけれども、インパクトとして弱いかと思っています。これは歳出にかかわる部分であると思いますので、復興防災部で質問いたします。
 最後に、市町村への人的支援に対する考え方についてお伺いいたします。
 知事のマニフェストプラス39の中に、市町村と連携した県政といった項目があります。知事のマニフェストプラス39ですと、35番の市町村と連携した県政ということで、これは関連するのが行いわて県民計画(2019〜2028)第2期行政経営プランだと思います。税務、環境、保健福祉、農林水産、土木など小規模自治体において専門職員が不足している分野においては、広域振興局からの業務支援による事務の共同処理や、県、市町村間における人事交流を図る。また市町村が必要とする専門職員を県が一括採用し、共同で人事管理するなど、市町村が特色あるまちづくりを進められる体制づくりを進める云々とございます。
 それを受けて、予算の考え方にも同様のことが示されているわけでありますが、これは認識を一にするために確認します。先ほども総括質疑で田中辰也委員から町村への支援が取り上げられて、熊谷ふるさと振興部長の答弁も聞きましたが、若干私たちが考えている認識と違うのかと思います。
 今、首長などの話を聞きますと、町村、特に村になれば、保健師1人確保するのも厳しいという状況があるやに聞いています。町村長などからは、このマニフェストプラス39はいい、困っても助かるということですが、市町村で、先ほど申し上げました税務部門や土木部門といった、専門職員が不足した場合に、県がきちんと市町村と連携して、県が採用して割愛で出すのかも含めて、どういった形でこのマニフェストプラス39の実現に向かおうとしているのか。認識を一にするために確認させていただきたいと思います。
〇内城人事課総括課長 まず、市町村への人的支援についてでございますけれども、県ではこれまでも、さまざまな形での人的な支援、また人事的な交流などを行ってきているところでございますが、近年、岩崎友一委員御指摘のとおり、特に専門職員の少ない小規模な自治体におきましては、退職のつど職員を募集してはいるものの、応募自体がないといったことなどで、人員の確保に苦慮していると承知しております。一自治体としての行政機能を維持するためには、県による人的支援の必要性が高いものと考えているところでございます。
 このため県では、小規模自治体からの要請に応じまして、専門職員を派遣する仕組みを新たに構築いたしまして、来年度は、県北、沿岸地域の町村を対象に、保健師や農学職の職員を派遣する方向で現在調整を進めているところでございます。
〇岩崎友一委員 ぜひ、そういった支援を丁寧にやっていただいて―県自体も足りないと思うので、県も大変だと思うのですよ。ただ、こういったしっかりした県民との約束もありますので、実現に向けて努力をお願いしたいと思います。
   〔「関連」と呼ぶ者あり〕
〇福井せいじ委員 私も、収支均衡あるいは財政調整基金について質問を予定しておりましたので、関連でここで質問させていただきます。
 私も代表質問で中期財政見通し、予算の収支均衡については質問しました。ここで、また改めて状況を聞きたいのですけれども、まず、歳入の内訳を見ますと、令和6年度予算では県税は27億4、700万円ほど減額している。これは定額減税の影響もあるということで、やむを得ない部分もありますが、それから、繰入金が43億7、700万円ふえている。そしてまた、県債の国庫支出金は320億円ほど減額されている。国庫支出金はコロナ禍対策などもありましたが、歳入を見ると、ふえる要素はないのではないかと。―うなずいていらっしゃる。
 うなずかれると、こちらも質問しにくくなってしまうのですけれども、短期的に、令和6年度を見ると、何となく収支均衡はされているのですが、今後、5年、6年、10年後を見ますと、歳入でふえる要素が余りないという中にあって、一方で、歳出の内訳を見ていきますと、今後ふえる要素としては人件費が増加していくだろうと思います。そしてまた、県債の公債費の償還も延ばしていこう、増加していこうという方向で動いているのですが、こうなると行き詰まってしまうのではないかと思います。
 今、総括的に見ると、ある意味、自転車操業に陥りかねない状況にあると思います。今後、この歳入歳出の見通しについて、収支均衡を図る上で、歳入の上でどのようなプラス要素があるのか、あるいは歳出の上でどのような形でマイナスにしていくのか、その観点で収支均衡についてお聞かせいただきたいのですけれども、いかがでしょうか。
〇佐藤財政課総括課長 収支均衡予算についてですが、まず、総体の話からしますと、令和4年度に121億円の収支ギャップがあったのですが、これを2年かけて80億円にしました。今後も、一気に縮めることはできないので、20億円ずつ縮めてゼロまで進んでいくといったものです。
 そういった中で、歳入に関しては、先ほどお話ししましたふるさと納税が、今、伸ばして3億円程度ですが、他県とか県内の自治体ですと数十億円を稼ぐところもありますので、そういった伸びは期待できると思います。
 それから、歳出は、本当に地道に、なかなか特効薬はないと思うのですが、毎年度の予算査定を通じて節減、経費を精査していくといった形になります。
〇福井せいじ委員 ふるさと納税は期待できるという、非常に大きな期待感のあらわれかもしれませんが、私は、ここの収支構造を見ていますと、やはり財政調整基金に頼らざるを得ないのではないかと思います。ことしで、80億円補填して何とか収支均衡を合わせた。約200億円少し残っているのですけれども、80億円ずつ財政調整基金を取り崩していくと、いずれ枯渇していくのではないかと思うのです。
 そういった意味では、先ほど総括質疑で超過課税という言葉も出てきましたけれども、そういった何かしら歳入に占める大きなエンジンというか、あるいは歳出においては、ここで話すべきかどうかわかりませんが、先ほど佐々木努委員も言いましたが、県立病院等事業会計の見直しであるとか、あるいは高校再編といった構造的な変革がなされなければ歳出も抑えられないのではないかと私は思うのですけれども、こういった大きな考え方で、総務部長いかがでしょうか、
〇千葉総務部長 まず、歳入からお話ししますけれども、国の地方一般財源の総額ルール、これは令和6年度まででありまして、これが恐らく大きく変わらないだろうということで、これについての特効薬は、国からの交付金ということでは恐らくないだろうと思っております。
 歳出のカットについては、先ほど財政課総括課長からもいろいろ申し上げましたけれども、これはしっかり引き続きやっていくということであります。
 それから、歳入確保策でありますけれども、これは、超過課税のお話が先ほどもありましたが、超過課税については、森林づくり県民税の使途拡大でありますとか、新たな超過課税といったものは、短期的に検討するものと、国も絡んできますので、中長期で、岩手県で条例をつくったから、すぐどうぞということではないので、少し時間がかかるということはあるのですけれども、そういったことについては総務部の中でも勉強会を始めております。
 一方、財政調整基金ですけれども、177億円の水準で言えば余裕があるではないか、少し使ってみてもいいのではないかという声がないわけではない。ですが、これは、財政目標設定時に想定していなかった事態が生じることもあって、残高を理由に追加で何かやってみろということでもないと思うので、それはそれでしっかり守っていきたいと思うのですが、いずれ、特効薬がないのは間違いないわけであります。
 歳入の確保、先ほど言いました超過課税、ふるさと納税を含め、議会で電気事業会計からの繰り入れの話も大分議論されましたけれども、そういったものを組み合わせ、かなり大変な財政運営でありますが、我々もしっかり頑張っていきたいと思っております。
〇福井せいじ委員 なかなか大変だということだけはわかったのですけれども、私が代表質問したときに、知事が、行財政基盤の構築が不可欠でありますので、現在、施設の適正管理、組織のあり方、歳入の確保などの具体の検討に着手していてという答弁をされ、組織のあり方というのは、先ほども少し県立病院の話あるいは高校再編の話もありましたが、この組織のあり方について伺います。
 もう一つ、先ほどもありましたが、さまざまな広域振興局のあり方も考えなければいけないと思うのですけれども、その辺については、総務部長は何かお考えはありますでしょうか。
〇千葉総務部長 組織のあり方ということで、総務部でございますので、知事部局の話にさせていただきたいと思いますけれども、今の職員体制ということで申し上げると、専門職を初め、なかなか採れないというようなことであります。これは、決して平成10年代にやった行財政改革、三位一体改革のときの職員の規模縮小をやろうということではないのですが、採れないというところの現実を我々もしっかり受けとめなければいけないのではないかと考えています。
 職員が採れない、いないというところで、職員に負担がかかり、あるいは県民サービスが落ちてしまうことがあってはならないということで、組織体制については、今いる職員あるいはこれから補充できる職員の中で、どういうふうに行政を回していったらいいのかということで、例えば本庁組織でいいますと、大くくり化です。10人とかの小さい課もありますけれども、少しそれを大きくすることでスケールメリットが出るのではないか、あるいは出先機関においても、守備範囲を少し大きくすることで人が少ないところをカバーできないかといったことを、組織的には検討しているということであります。
〇福井せいじ委員 その方向は間違いではないと私は思います。小さい課を統合して、さまざまな役割分担を大きくしていく、範囲を広げていくといったことも考えていかなければいけないし、あるいは外部委託ということも、一つ考えていかなければいけないのではないかと思います。
〇畠山茂委員 それでは、私からは、県職員の職場環境について4点ほどお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
 まず、職場環境ですが、働き方改革については、今回の議会でも話題になっていますが、どんな職場でも、子育てあるいは介護しやすい職場、生きがい、働きがいを感じるなど、ワーク・ライフ・バランスの実現が求められると思います。そしてまた、一方では、職場改善をして、先ほども話題になった生産性の向上も求められると思います。
 そこで、まずお聞きしたいのは、県職員の超過勤務時間の改善傾向について、超過勤務がどんどん減っていっているのか、ふえているのか、その動向をお聞きしたいと思います。
 あわせて、生産性向上という意味では、DX―デジタルトランスフォーメーションだったりロボティクスだったり、各部署の様式の統一など効率的な職場改善は行われているのか、状況をお伺いしたいと思います。
〇高橋行政経営推進課総括課長 まず、超過勤務時間ですが、令和5年4月から令和6年1月までの1人当たりの月平均超過勤務時間数の速報値においては、全庁で13.5時間であり、前年度同期の15.9時間から2.4時間の減となっております。
 これは、新型コロナウイルス感染症の5類移行等に伴う業務量の減少が主な要因ではありますが、コロナ禍前の令和元年度同期との比較においても2.0時間の減となっております。
 次に、効率的な職場改善についてでありますが、繰り返し行う定型的な作業を自動化するRPAやAI会議録システムを従来から運用しているほか、令和4年度から、庁内の問い合わせ対応を効率化するためのAIチャットボットを運用しているところであります。
 また、様式の関係では、予算要求に係る事業概要説明書などについて、ペーパーレス化への対応、職員の負担軽減のための改訂が行われているところであります。
 引き続き、職員ニーズの把握に努めながら、こうした取り組みを拡大してまいります。
〇畠山茂委員 今の説明では、改善がどんどん進んでいると理解いたしました。
 今説明があったとおり、RPA、ロボットの導入というのは、今、全国的に進んでいまして、岩手県庁も入れているということです。先進事例を見ると、業務時間が50%削減できたり70%削減できたりというような事例も全国的にはあって、そういったことも多分県庁でもやられているのだろうと想像いたしました。ぜひ、効率的にやれるものはどんどん導入してやっていただきたいと思います。
 きょうの新聞では、久慈市が週休3日制を導入するという見出しもありましたし、先日のIT企業のお話では、今は在宅勤務が基本になっていて、会社には週に1日か2日しか出勤しないというような時代にもなってきているということなので、これから、県庁もいろいろな形で、さまざまな働き方を考えていただきたいと思います。
 それでは、2点目に移ります。現代社会では、心身の疲労やストレスによる精神的な病気での休職がふえていると言われています。県職の職場では増加傾向にあるのかないのか、現状をお伺いいたします。
〇藤村総務事務センター所長 精神的な病気での休職職員の状況についてでありますが、精神疾患による療養者は全国的に増加傾向にあり、それは本県も同様で、対策が急務となっております。
 具体的には、令和4年度における14日以上の継続療養者数は、延べ人員で105人でございまして、10年前の55人と比較して約1.9倍となっておりますが、近年は110人前後で推移しております。
 こうした状況を踏まえまして、総務事務センターへの臨床心理士の配置や、新採用職員との個別面談などのほか、本年度、県南広域振興局に健康サポート専門員を配置するなど、職員に身近なところでの相談体制の充実を図っているところでございます。
〇畠山茂委員 理解いたしました。これは、全国的な職場の流れもあるのですけれども、その対策はきちんとやっていただきたいと思います。
 3点目に移ります。予算説明書の中では、知事部局職員は、きのうのお話でも出ていましたけれども、前年比で80名程度減少して4、230名ほどという数字となっています。県の行政には、人口減少、少子高齢化、産業振興等、本当にさまざまなニーズ、地域からの要望がある中で、新年度も新たな事業が数多く提案されています。
 そこで、県職員の各職場での定員定数の充足状況は満たされているのか危惧するのですが、その状況をお伺いしたいと思います。
〇内城人事課総括課長 まず、定数に関する職員の充足状況という観点でお答え申し上げたいと思います。
 職員のうち事務職につきましては、昨年の採用試験において必要な人員を確保できたことから、政策企画部でありますとかふるさと振興部など、事務系職員が多く配置される職場の定数は充足される見込みでございます。
 また、保健師や環境化学、食品衛生職など、民生、衛生分野の職種についても、同様に必要な人員を確保できておりまして、保健福祉部や環境生活部においても、おおむね定数を充足する見込みでございます。
 一方で、獣医師でありますとか林学職で不足が生じているほか、総合土木職においても欠員が生じておりまして、農林水産部でありますとか県土整備部の一部の職場においては、定数の充足には至らないものと見込んでいるところでございます。
〇畠山茂委員 先ほども話題になっていましたけれども、専門職とか技術職がなかなか大変だと理解いたしました。
 次に、4点目が、これは最近の新聞報道で連載で出ているのですけれども、自治体職場での非正規労働者の官製ワーキングプアの問題がよく取り上げられています。私が宮古市議会議員時代は、宮古市の職員は900人ぐらいいて、正社員が600人で非正規の方が300人ぐらいいて、3分の1が非正規労働者という感じでした。
 まずお聞きしたいのは、岩手県の県職員全体に占める会計年度任用職員の割合、人数をお聞きしたいと思います。あわせて、新年度から、会計年度任用職員の方々にも勤勉手当が支給されるということをお聞きしました。2019年の国の働き方改革では、同一労働同一賃金と長時間労働の是正がポイントでしたけれども、新年度から会計年度任用職員の方々の処遇はどのように改善されるのか、あわせてお聞きしたいと思います。
〇内城人事課総括課長 会計年度任用職員についてでございます。
 知事部局における令和6年度当初予算案上の会計年度任用職員の数は1、394人でございまして、一般職員の総数5、624人のうち約4分の1となっているところでございます。
 また、会計年度任用職員の処遇についてでございますけれども、これまで、報酬水準の見直しでありますとか特別休暇の新設、有給化など、随時、勤務条件の見直しを行ってきておりまして、畠山茂委員御指摘の来年度からの勤勉手当の支給によりまして、パートタイム会計年度任用職員のモデル年収は、制度導入前と比べまして約70万円の増額となるなど、処遇面の改善を進めているところでございます。
〇畠山茂委員 平均して70万円ぐらい上がるということで、わかりました。新聞記事では、所得が200万円以下のワーキングプアの課題あるいは雇いどめのこととかが出ていましたけれども、いずれ同じ仕事をする職員の方々でございますので、処遇改善、俗に言う同一労働同一賃金という観念は、これからも目指して取り組んでいただきたいと思います。
 それでは、大きな2点目の県職員の女性活躍推進についてです。
 これも2月15日の新聞記事ですけれども、令和5年のデータで、都道府県の職員給与の男女差のデータが初めて公表されました。岩手県は、男性の収入に対し女性の年収割合は7割台ということです。
 格差の要因の一つに、給与が高い管理職への女性登用が少ないと指摘されています。男女共同参画推進では、指導的地位に占める女性の割合を30%とする目標が掲げられています。岩手県の県職員の女性の管理職登用の現状はどうなっているのか、お伺いしたいと思います。
〇藤原職員育成課長 女性管理職の登用についてでございますが、総括課長級以上の管理職に占める女性の割合は、令和5年4月1日時点で11.8%となっております。令和4年4月1日時点と比較しまして1.7ポイント上昇し、いわて県民計画(2019〜2028)第2期行政経営プランに掲げる年度目標値11.6%を達成できている状況であります。
 女性管理職の登用の推進に当たりましては、将来の昇任への意欲を高めていくことが必要であることから、引き続き、職階ごとに女性職員を対象とした研修の実施やメンター制度の促進により自身の将来のキャリアを考える機会をふやすなど、キャリア形成支援やロールモデルとなる女性職員の育成などに取り組み、女性職員の活躍をさらに推進していきたいと考えております。
〇畠山茂委員 今の説明では、推進の目標は達成しているという説明でしたけれども、しかし、目標は、男女共同参画基本計画では30%を早期に目指すというのが私の認識なのですけれども、目指すべきシミュレーションというか計画は、もちろん念頭にはあると思うのですが、その点をもう一度お聞きしたいと思います。
〇藤原職員育成課長 現在の目標でございますが、特定事業主行動計画において定めております。この策定当時の女性割合を勘案いたしまして、現在は、令和7年度までに15%という目標を定めております。
 現在、実際の職員の構成状況を見てのところでございますので、この実現に向けて、まずは頑張っていきたいと考えております。
〇畠山茂委員 まずは15%を目指して頑張っていただきたいと思います。
 最後に、3点目です。男性の育児休業取得率についてです。
 こちらも、この間話題になりまして、報道によれば、県職員の男性の育児休業取得率は52.4%で、全国で2位だということで、期間も2週間から1カ月が47.9%と最も多いと報じられました。
 育児休業の取得は本当に県職場全体に波及しているのかという疑問もあるのですけれども、そこでお聞きしたいのは、部署間の格差などはないのか、あるいは今後、この取得率をどのように数字なり質を上げて求めていくのか、目指すべき目標等があればお伺いしたいと思います。
〇藤原職員育成課長 男性職員の育児休業の取得状況でありますが、まず、全体の取り組み状況についてでございます。各任命権者におきまして特定事業主行動計画を策定し、男性職員の育児休業の取得促進に取り組んでいるところでありまして、庁議の場で育児休業等の取得状況を四半期ごとに定期的に共有するなどして、取得促進に向けた組織的な推進を働きかけているところでございます。
 また、お話のありました部署間での差異でございますが、知事部局に関して申し上げますと、現時点で、取得状況においては、部局間で目立った差異は見られないところでございます。職員アンケートによりますと、業務の多忙化あるいは職場の雰囲気により取得をためらったとする職員がありますけれども、部署の別は見られなかった状況であります。
 目指す目標につきましては、特定事業主行動計画におきまして、育児に伴う特別休暇等を含めた取得率100%を目標に掲げております。男性育休経験者の体験談の共有など、主体的に育児にかかわる意識の醸成にも取り組みながら、育児休暇、育児休業の合計期間ですけれども、1カ月以上の取得を働きかけているところでございます。
〇畠山茂委員 今でも全国で2位という高い取得率なのですけれども、100%を目指すということで、これからも職場改善のために頑張っていただきたいと思います。
〇飯澤匡委員 大きく2点ですが、先ほど岩崎友一委員から、知事マニフェストプラス39にかかわって質疑がありましたので、それに関連する事項ですので、そちらを先にさせていただきます。
 先ほどの答弁を財源に関して聞いておりますと、各部局にシーリング枠は広げたということです。予算化するに当たっては、いずれ各部局から上がってきたものを、総務部財政課は、今年度予算についてはそこで審査したという答弁だったのですが、先ほどのやりとりの中でも、社会資本整備については、今まで言及してこなかったことについても思い切って書いているわけです。本来であれば、政策企画部がこれをどうするかということになるのだろうとは思いますが、しょせん予算づけというのが大きな壁になってきますので、そこのところは総務部でどういうマニフェストプラス39に対する意識なのか、この点を明確にしておかなければならないのではないかと思っております。
 まず、具体的にお聞きしますが、社会資本整備の優先順位、先ほど出た三つの大きな社会資本整備については、1回にはできないと思うのです。先ほど言ったように、調査費等でちょろちょろやるという話もあり、これは後ほど話しますが、これは完成を目指してやらなければならないわけですから、その点について、総務部の基本的な考え方はどうなのか示していただきたいと思います。
〇佐藤財政課総括課長 社会資本の整備については、毎年度の予算編成過程において、その緊急性、重要性、費用対効果等をはかりながら、国庫採択や地元との合意形成の状況等を踏まえ、その優先順位を勘案して予算計上しております。
 マニフェストプラス39に掲載された社会資本整備においても、基本的には、先ほど申し上げたとおり優先順位を判断していくものではありますが、いわゆる箱物については、来年度、岩手県公共施設等総合管理計画の改訂にあわせ、その優先順位についても検討を進めていきたいと思います。
〇飯澤匡委員 財政課的にはそういう答弁なのでしょうけれども、このマニフェストというのは有権者との約束なのです。それが約束ですから、この1期4年間でやらなければならないのです。それで当選されたのですから、ぜひやっていただきたいと思うわけです。ここが皆さん方の意識と我々県民の意識の乖離があるところだと思います。
選挙で選ばれた知事が指導力を発揮する場面ですから、私は、マニフェストは必ず実現するもの、絶対やらなければならないという思いでやっていますが、今の答弁だと財政状況を見ながらということですが、そこの意識のギャップです。皆さん方は、それが全てなのかということになると、これは大変なことになるのではないかと思うのですが、総務部長、いかがですか。
〇千葉総務部長 まず、知事のマニフェストに書かれたものについて、県として政策として取り入れるということがあると思いますので、いわて県民計画の中にどう取り組んでいくのか、そして、それを毎年度の計画の中でどう事業化していくのかということが必要だと思っております。
 総務部としては、それをもって、毎年の予算要求の中で精査していくことになろうかと思いますが、社会資本の整備につきましては、繰り返しになるかもしれませんが、毎年度の予算編成過程において、緊急性とか重要性、費用対効果をはかりながら、国庫採択とか地元との合意形成の状況を踏まえて、その優先順位を勘案して予算計上しているものであります。
 事前に優先順位を示してやるのは難しいところではありますけれども、そういったところを総務部としても、マニフェストの実現に向かってしっかり進めていきたいと考えております。
〇飯澤匡委員 わかりました。きょうの時点はそのように理解します。ただ、県土整備部でも、調査費をつけましたということが、すなわちやっているということになっているのです。これは困るわけです。ですから、有権者としては、確実な進捗を図って、何年度までにはこれはしっかり目の前にその完成物ができてくるということが一番重要なことですので、そこはしっかり皆さん方も胸に刻んでいただきたいと思います。
 2点目です。県立大学への交付金は、ことしも昨年より増して400億円余となっています。そのうち自主財源が350億円余です。かなりの一般財源を割いて県立大学に予算化しているわけです。当該部局の内容ではありませんが、予算議会ですから、予算全体のことを考えて、これは予算に資する問題なので取り上げさせていただきます。
 県立大学の県内就職率が一向に上がらないわけです。この成果が上がらないことに対して、この支出について、予算編成においてどのような検討をされたかお知らせください。
〇佐藤財政課総括課長 県内就職率の向上も重要な要素の一つであると認識しており、予算編成過程においては、県立大学の4年制学部の県内就職率は42.5%となっており、厳しい状況にあること、それから、県立大学と同規模の東北他県の公立大学においても、県内就職率の平均値は36%程度となっており、東北他県も同様に厳しい数値であるということは確認しております。
 県立大学への運営費交付金ですが、6年間の中期目標期間に要する人件費や教育費、研究費などの費用と授業料などの収益について見積もった上で、その差額を交付金として措置することとしており、これは東北各県の公立大学も同様の算定です。そういった算定ですので、県内就職率の増減が交付金に影響する仕組みにはなっていないものです。
〇飯澤匡委員 財政課ではそういう答弁だと思います。
 実は、この何年かの県内就職率の推移を見ますと、コロナ禍前では看護学部が40%から45%、社会福祉学部が60%、ソフトウェア情報学部は20%から25%、これはかなり前から指摘されていますが、低い状況です。総合政策部が60%から65%。新しい理事長になってから一気に落ち込んでいるわけです。コロナ禍の影響はありますが、ことしはさらに悪い。このことは、私は、県立大学のマネジメントについても大きな影響が出ているのではないかと危惧するものです。
 さて、次の質問ですが、10月8日に河北新報社が、県議会でも大分議論になりました県立大学の理事長報酬に関する記事を掲載いたしました。すかさず県立大学は、10月20日、10月25日、11月29日、河北新報社に対して質問書を送付しています。要するに、この中身を見ますと、自分たちが気に入らない内容だから難癖をつけている、こういうことなのです。きちんと取材しているのかという問いに対して、河北新報社は、きちんと2回ほど総務室に行ってコメントを求めているということです。
 それから、少しだけ例を言いますと、ここでは余り詳しくは申しませんけれども、いずれ、否定的な内容が多くを占められているので、これについては看過できない、そういう自分たちに都合の悪いことを質問書に上げております。なおかつ、1月12日には、この質問書の内容について、かなり不服だということで訂正記事を求めることを同社に訴えると、このようなこともマスコミ各社に投げ込みを入れているわけです。
 このような自分たちを正当化するだけのために、こういうことに固執する、こういう大学機関でいいのかという思いを私はしていますが、この件について総務部はどのように把握しているか。それから、独立教育機関がこのようなことをやって、果たして本当に意味がある行動なのかどうか、私は甚だ疑問なのですが、その辺もあわせて見解を示してください。
〇千葉総務部長 お尋ねの新聞記事に対する県立大学の行動につきましては、ふるさと振興部が大学から状況を確認しており、2月29日の文教委員会において、同部と質疑が交わされたと承知しております。
 今回の件でございますが、大学が記事の内容に対する疑義を照会あるいは大学の見解を伝えたものと推察しますが、一方で、河北新報社の側でも、編集方針に基づいて取材を行った結果の記事の掲載だと思っております。それぞれの立場に立って行動したものと受けとめをしております。
   〔「議事進行」と呼ぶ者あり〕
〇斉藤信委員 今の問題は、総務部の審査に当たらないのではないかと思います。県立大学の所管はふるさと振興部ですから。ここは総務部の審査に当たらないのではないですか。
〇千葉盛副委員長 今、議事進行が出されましたけれども、後日、世話人会で協議したいと思いますので、御了承願います。
〇飯澤匡委員 冒頭に言ったではないですか。これは交付金を出している都合上、県立大学のマネジメントにかかわる問題ですから、総務部が予算化をして、これを予算に積み上げたものですから……(発言する者あり)少し静かにしてください。こういうことは重大な問題だと思うのですよ。
 なおかつ、県立大学のマネジメントにかかわる問題についてふるさと振興部でもやりますが、あなた方が、支出する部としてそういうことをきちんと把握してやっておかないとまずい、こういう問題提起です。
 このメディアへの異常な介入は、私は、教育機関としての資格が問われるのではないかと思います。それから、自分たちを正当化して、理事会のガバナンスに対する信頼感について、これは県内外に、改めて自分たちはこういうことが正しいのだということを執拗に繰り返しているわけです。これは学生にも非常に影響が出ると思っています。
 それから、公立大学法人の岩手県立大学の定款によると、第9条は、理事長は、法人を代表し、その業務を総理する、こういう職務にあるわけです。総理するという中身において、こういう意に沿わないことについて攻撃的な質問書を送りつけるということは、私は職務についても非常に疑義が生じると思っております。
 理事長報酬についてはあすやりますけれども、これは歳出の件についても、きちんと効果が上がっているかどうか、皆さん方も精査をしてやっていかなければならない。というのは、4年間の報酬で、1年間差し込んだので1、620万円の余計な支出がこの時点で出ているわけですから。私はこの点についてもしっかり総務部でも把握しておかなければならないと思います。
 気に入らないから質問書を送りつけて訂正しろなんていうのは、悪いけれども、非常に幼稚な内容です。こんなのでいいのですか。
 もう一つ質問しますが、いわゆる専務理事兼副学長兼事務局長の方が質問書を送っています。これは法人格として送りつけているわけですから、このような状況が起こっていることに対する総務部の所感を求めたいと思います。
   〔「議事進行」と呼ぶ者あり〕
〇斉藤信委員 私が議事進行をかけたのに、その同じような質問がずっと続くというのはあり得ないでしょう。必要だったら、今、世話人会をやってください。副議長ともあろう人が、ガバナンスはふるさと振興部でしょう。そういう理論だったら、総務部だったら何でも質問しなくてはならない。部局審査というのはそういうことではないと思うのです。
 きちんと議事進行を受けとめてやってください。何か議事進行をかけても同じ質問が続くというのは、おかしいでしょう。世話人会をやってください。
〇千葉盛副委員長 暫時休憩いたします。
   午後3時36分 休 憩
午後3時44分再開
〇千葉盛副委員長 休憩前に引き続き会議を再開いたします。
 斉藤信委員の議事進行でありましたけれども、ただいまの質問は、総務部所管の範囲内という世話人の協議の結果でありましたが、斉藤信委員の、ふるさと振興部のほうにも少し中身が入っているのではないかという疑義が生じたということでありまして、まず、答弁は求めたいと思います。その後、ふるさと振興部の所管ではないかという疑義が生じるのであれば、また、そこは協議になろうかと思いますが、今のところ、世話人会での協議としては、続行ということで決まりましたので、御了承願いたいと思います。
〇千葉総務部長 今回の質問書の送付、それから、県政記者クラブへの通知ということで受けとめておりますけれども、新聞記事の掲載内容についての当事者間での確認、それから法人としての見解や要請等を述べたものでありまして、県立大学の判断により行われたものと認識しております。
〇飯澤匡委員 わかりました。県立大学の判断で行ったという認識で、あしたたっぷりやりますから。
 この件については、なぜここで取り上げたかというのは、予算化するに当たって、財源が厳しいと言っているわけでしょう。そこは総務部できちんと見ていかなければならないのです。やっぱりタックスペイヤーである県民が、県立大学に対するどういう期待があるか、そして、その税金が有効に使われているか、これは細部にわたって―だって、こういう事象が起きているわけですから。これをスルーして何もなかったら、私も取り上げることはなかったけれども、こういう執拗なやり方というのは、何回も言いますが、私は教育機関の中ではいかがかと思っております。
 では、あしたやりますので。これは、実は常任委員会でも聞いたのですが、常任委員会ではふるさと振興部長も出席しません。副部長並びに所管の課長だけですから。あした、常任委員会の委員でありますが、やらせていただきますので、よろしくお願いします。
〇千葉盛副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
   午後3時46分 休 憩
午後4時7分再開
〇千葉盛副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇神崎浩之委員 先ほど福井せいじ委員からも広域振興局も含めた組織再編の話がありました。まず、私は総務部長に聞くのですけれども、私は総務省が出した自治体戦略2040構想研究会の報告書関係でよく質問するのですが、自治体職員は、今後、2040年までに半分ぐらいになるだろうという言われ方もしておりました。
 総務部長に、この所感について、あとは県としての対応について、まずお聞きしたいと思います。
〇千葉総務部長 県の体制が半分でいいのかというところについては、私も申し上げられないところでございますけれども、DXの推進等による業務の効率化は必要なのかと思っておりますし、先ほども申し上げましたが、限られた人員体制で、将来にわたって持続可能な行政サービスを提供できる体制をしっかり検討しなければいけない、そういう時期に来ているという認識でございます。
 そういうことから、本庁組織、広域振興局ともに、どうやって県民サービスを維持、向上させるのかといったところをしっかり検討してまいりたいと考えております。
〇神崎浩之委員 広域振興局体制に再編されて15年ということであります。私も県南広域振興局を含めて、本庁と広域振興局体制についてはずっと質問させていただいておりました。県の組織体制の見直し、特に広域振興局体制の見直しですが、広域振興局の業務についてはふるさと振興部であります。一方、県全体の組織編成は総務部の人事課ということで、総務部に聞いていくわけですけれども、今のように、今から組織の考え方を、それから、県職員の仕事の考え方について変えていかないと、あと15年しかないので、今からやらないと間に合わないのではないかと思っております。
 そこで、県本庁から広域振興局への権限移譲という質問を出しているのですけれども、本庁が地域の状況、県民の暮らし、現場の状況をよく把握されていないのではないかということを、コロナ禍の中でよく感じました。
 一方、県の施策を考えるには、まず本庁で考えますので、そういうことで現場、地域の状況について、そういう状況を補完するのは誰なのか、この辺についてお伺いしたいと思います。
〇内城人事課総括課長 現場の状況を本庁がしっかり知っているのかということでございます。
 まず、現場、エリアを所管する広域振興局において、市町村でありますとか各種団体、地域の事情について精通しておりますので、そういった情報については、随時、本庁サイドにも提供し、共有しながら、県として整合性がとれるように業務を行っているものと考えております。
〇神崎浩之委員 ところが、意外と出先の先端にいる広域振興局が、実はよく地域を回っていないということをコロナ禍で私は感じるのです。一方で、前はよく本庁の人間が地域に出向いて、現場に出向いて、そして、話を聞いて施策に反映させていたと感じるのですけれども、今どういう状況なのか。
 この一つの要因は、本庁から広域振興局に権限移譲して、その権限移譲のせいでそれが進まないのではないかと考えるわけです。本庁から広域振興局に権限移譲する。その権限移譲にはどういうものがあって、そのメリット、デメリットについて、あわせてお伺いいたします。
〇内城人事課総括課長 権限移譲についてでございます。
 広域振興局が設置されて以降、さまざまな権限が移譲されてきております。例えば、収集運搬業の許可でありますとか中小企業における経営革新計画の承認といったこと、地域に密着した多くの業務を順次移管してきたところであり、現在300を超える事務が、広域振興局長の権限のもとで執行されているところでございます。
 基本的には、県民サービスのことを考えれば、地域で、地元でできることは地元でやるというのが総論としてはあろうかと思いますが、一方で、当初と状況が変わって、例えば、件数が減ってくるとかで、広域振興局でやることが逆に非効率になってしまうということもケースとしては想定されるところでございます。そういったものについては、毎年毎年、見直しを図りながら、必要に応じてまた本庁に戻すといったことも行いながら、全体として効率的な事務執行に努めたいと考えております。
〇神崎浩之委員 平時はそれでいいと思うのですけれども、今回コロナ禍を経験して、例えば介護施設が今どうなっているかというのを本庁に聞いても全然わかっていない。広域振興局でもわかっていない。それからあとは、商工関係もそうなのですけれども、地元の疲弊している中小企業、中小小売店の話を聞いていない。本庁も直接、商工会議所等に問い合わせするような感じなのです。本来であれば、広域振興局が地域の商工指導団体に行くとか、直接、中小企業を回って声を聞いて、それを本庁に上げるという仕組みが重要だったと思うのです。
 事ほどさように、本庁ではなかなか現場の状況が把握できていない。特にコロナ禍の場合は、本庁は忙しいから、その分、広域振興局がこまめに回って情報を上げるべきだと思っているのです。平時はいいですよ。こういう非常時には、権限移譲が弊害になったと思っております。
 そこで、本庁から広域振興局へ権限移譲する、それはどこで誰が決めていくのか。この業務についてはこっちにおろすとか、これは本庁に残すとか、そういうのは誰が決めていくのか教えてください。
〇内城人事課総括課長 権限移譲につきましては、個別の事務につきましてはそれぞれの所管の部局がございまして、その中でいろいろな現場の状況等を踏まえて議論されているところではありますが、県庁全体として見た場合には、ふるさと振興部地域振興室で所管しています。
〇神崎浩之委員 コロナ禍のときにも、とにかく現場、現地、地域の状況を把握しろと本庁が言うのですけれども、それは、自分たちは忙しいからできないのはいいですが、それを広域振興局にやらせたらいいのではないかと言っても、なかなか命令ができないということがあって、何もたもたしているのかと思ったのです。何かいろいろおきてがあるのか、権限移譲なのかどうもわからない。
 それから、本庁から今度、広域振興局に移っていく職員も、私がいろいろ聞いても、本庁から何も連絡が来ていない、指示がないと言われるのですよ。おまえ逆だろうと言っているのです。本庁は、例えば国の制度を見ながら、そして岩手県に対応できるような施策を考える。一方、広域振興局の職員は、地域の声を聞いて、それが間違いのない県の施策になるように、地域の声を本庁に上げるのが広域振興局の職員の仕事だと思っているのです。
 どうも本庁から行った人間は上のほうしか見ていなくて、あなたの仕事は現場から本庁に上げるのだ、そして、間違いのない県の施策を考えるのだと言っているのですが、仕事の姿勢と権限移譲が邪魔して、おきてになって、現場の声がなかなか県政に反映できなかったという感情を持っております。あと15年なので、今からでも、この県の大きな意味での組織の改編について検討していただきたいと思っております。
 それから、広域振興局体制の見直し、特に県南広域振興局ですが、15年で、本庁はちょこちょこ組織再編をするのですけれども、広域振興局はほとんどやっていないです。広域振興局は、例えば県南広域振興局みたいなところもあるし、それから、沿岸広域振興局とか県北広域振興局とか、また、少し体制とか決裁の流れとか仕組みも違うわけです。
 前々から県南広域振興局の仕組みを見直すべきだと思って言ってきているのですが、今、県全体の組織再編を考える総務部とすれば、この広域振興局体制の課題、特に県南広域振興局の課題について、どう捉えているのか教えていただきたいと思います。
〇内城人事課総括課長 広域振興局でございますけれども、地域のニーズに即した施策の展開が可能となるように、市町村への支援でありますとか広域的なサービスの提供を目的に設置しているところでございます。御存じのとおり、四つの広域圏ごとに、本局と各分野のセンターを設置し、職員もそれぞれ配置しているところでございます。
 一方で、総務部長からもお答えしておりますが、全国的な労働力不足を背景といたしまして、本県の職員の確保も困難性が増している状況にあり、専門的な知識を有する県職員の派遣など、市町村、特に小規模市町村に対するさらなる支援を展開していくためには、マンパワーの確保とあわせて、これまで以上に効果的、効率的な拠点の配置が必要だと我々としても考えているところでございます。
 こうした認識のもと、今後も、4広域振興局体制を基本としつつ、社会情勢の変化などを勘案しながら、本庁との役割分担、各所管区域内の出先機関を含む組織体制の拠点、規模のあり方について、柔軟に見直しを検討していく必要があると考えております。
〇神崎浩之委員 農林分野や土木分野は現場をよく回っているような気がします。保健所もです。ところが、特に県南広域振興局は、商工関係が水沢地区に行ってしまった、観光分野も水沢地区に行ってしまった、介護、福祉分野も水沢地区に行ってしまったということで、特に、今回のコロナ禍で一番大変だったのは医療の問題です。医療、介護の問題、それが一関地区から水沢地区に行ってしまった。それから商工分野ですね。コロナ禍で疲弊したのは中小の商店ですが、それもまた水沢地区に行ってしまったということがある。そういう県南広域振興局の課題を私は感じております。
 今回、コロナ禍で大変だった保健福祉分野、それから商工分野、これが一関地区から水沢地区に行ってしまった。その声が本庁に届いていないということです。
 あと、県際、県境事業についても、かつてはよくやっていたのですけれども、これもなかなか弱くなっている。これは恐らく県北広域振興局もそうだと思いますけれども、こういう弱いところを、今後、再編して見直していただきたいと思っております。
 今回、県職員の市町村への応援という話があって、特に専門的、技術的な職員が足りないから派遣ということもあるのですけれども、私は、実は専門的、技術的人材の支援を通しながら、情報交換をしながら、俺たちが応援してやるということではなくて、地域で一緒に地域のことを勉強させて、組み立てて、仕事をさせてくださいというスタンスで行っていただきたいと思うのです。ただ単に、専門職が足りないから小さい自治体を応援するということではなくて、そういうことを通して、地域の状況、現場のことを理解するような、それが県の本庁に届くような気持ちでやっていただきたいと思います。
 先ほど冒頭でお話ししました自治体戦略2040構想研究会報告にも、都道府県と市町村の二層制の柔軟化とあるのです。県と市町村の二層制の柔軟化ということです。この中にも、人口減少が先行して進んできた県では、道路、インフラ長寿命化、県が市町村の事務を受託する取り組みや、県と市の職員が働く場を共有して地域の課題解決に取り組む事例など、県が市町村と一体となったさまざまな施策を展開して、地域を守ろうとする動きができてきたということで、県と市町村の二層制を柔軟化し、それぞれの地域に応じて取り組むということが出ているわけです。
 したがいまして、ただ単なる専門職の派遣ということではなく、今後、先ほどの議論にもあったのですが、広域振興局の見直し、その場合に、県庁に引っ込むのではなくて、逆に市町村の職場で仕事をするというような考えで進めていただきたいと思いますが、最後に総務部長に聞いて、終わりたいと思います。
〇千葉総務部長 市町村の職員と県職員が一緒に仕事をすることについては、おっしゃるとおりかと思います。私も水沢地区と宮古地区の地方振興局に2回行ったことがありますけれども、個人的なところで申しわけありませんが、外に出て非常に楽しかったという記憶があります。
 市町村の職員と一緒にやる、あるいは現場を見て、今で言うと地域経営推進費ですけれども、地域経営推進費を使ってどのように地域振興につなげたらいいのかを考えるのが、非常に楽しかったということであります。
 今、そういったことがもし余り行われていないということであれば、それは私としても重く受けとめたいと思っております。特に、これから市町村と一緒にやらなければいけない仕事がますますふえてきますし、特に人口減少対策などについては、今回の議会でもいろいろ議論がありましたけれども、市町村と一緒になって、それぞれ市町村ごと、地域ごとの課題をしっかり共有して、それに手を打っていくことが、まさに必要になってくるということであります。
 市町村に行って仕事をするのかどうかということはまた別ですけれども、一緒に仕事をして成果を上げていかなければいけないということについては、神崎浩之委員おっしゃるとおりだと思いますので、我々としても、そこは、ふるさと振興部等、関係部局と相談しながら進めてまいります。
〇神崎浩之委員 そのとおりで、今後は組織再編を考えると思うので、出先を引っ込めるのではないのです。出先を引っ込めるのではなくて、逆に市町村に攻めて出ていく、そういう組織再編を気持ちの上でも形の上でもやっていただきたいと思います。
〇福井せいじ委員 先ほど質問しなかったプライマリーバランス等についてお聞きしていきたいと思います。
 まず初めに、グリーン/ブルーボンドの発行について、昨年の50億円に続いて、令和6年度も60億円の発行予定になっていると思いますけれども、これは今後も、令和7年、令和8年も続けて発行していく予定なのでしょうか。少しお聞きしたいのですけれども、いかがでしょうか。
〇佐藤財政課総括課長 グリーン/ブルーボンドの発行ですけれども、来年度60億円というのは、県として50億円、それから総務省が発行するのが10億円という形で60億円になっています。
 令和7年、令和8年というと少し長いスパンになるのですが、今年度発行したグリーン/ブルーボンドについては、先進的な取り組みが表彰され、需要も、50億円の6倍の300億円ということで、利率も一般の県債と比べて非常に低いものでしたから、そういった有利なところと、GX―グリーントランスフォーメーションにつながる施策なので、できるうちは続けていきたいと考えています。
〇福井せいじ委員 もちろん、事業があるのであればそういった発行を続けていく必要性はあると思いますけれども、一方で、5年満期で一括で償還を始めなければいけないのですが、こういった償還が始まったときの償還財源も確保していかなければいけない。通常であれば、償還財源を積み立てしながら確保していくということですけれども、この予定というか見通しについては、どういった形で求めていくのか教えてください。
〇佐藤財政課総括課長 福井せいじ委員が言われましたいわゆる満期一括償還地方債については、そのとおり県債管理基金に積み立てていますので、いきなり5年後にどんとやるわけではないので、それに関しては問題ありません。
〇福井せいじ委員 このグリーンボンド、ブルーボンドについては、そういった方向性でしっかりと償還財源も確保しながら運営していくということですけれども、一つ、プライマリーバランスについてお聞きしたいのですが、今、四つの財政目標の中で、プライマリーバランスの黒字維持ということで、今は402億円の黒字になっております。償還が800億円余で、そしてまた、発行額が400億円余という形で400億円の黒字になっているのですけれども、私は、ある意味、このプライマリーバランスというのは、投資的な要素があって、これもかつかつになるのではなくて、ある程度の公債費の残高があってもいいという考え方もあるのではないかと考えます。
 先ほど収支均衡の話で少し厳しいことを言ったのですが、公債を発行して有効な投資を続けていくことも一つの財政運営の必要なことだと私は考えるのですけれども、黒字にとらわれることなく、柔軟な対応も必要ではないかと思うのですが、いかがなものでしょうか。
〇佐藤財政課総括課長 福井せいじ委員御指摘のとおり、投資は必要でして、先ほども答弁しましたが、建設事業等の場合は、償還年限を通じて県債を発行して、世代間の負担の公平化も図っていかなければいけませんので、県債発行については、ある程度は必要だと思います。
 過去、我が県も、実質公債費比率が今12.8%ですが、18%を上回って地方債の協議制度許可団体になったときがあります。今は、そういったときから比べればどんどん下げていっているということで、プライマリーバランスもよくはなっているのですが、まだ全国と比べれば若干高いので、ある程度のところまで行けば、福井せいじ委員が言われたとおり、投資とのバランスをとっていけるかと思います。
〇福井せいじ委員 今おっしゃったとおり、ある程度のバランスまではそういった抑制が必要だと思いますが、今後、県債発行の考え方として、今までは、例えば建設投資とか、さまざまなそういった投資があったのですけれども、これから時代が変わっていく中にあっては、県内法人の事業者の生産性を高めるような形での、例えば、そういった時代に即応した県債発行の考え方はあるものですか。
〇佐藤財政課総括課長 令和6年度予算でも、実行予算ベースで公共事業については900億円を超えるということで、前年度に比べて増としています。そういった経済を考えながらやっていかなければならないというのは、そのとおりだと思います。
〇福井せいじ委員 いずれにしろ、事業の目的をしっかり捉まえて、投資的な費用だということを考えながら、先ほどの答弁にもありましたが、プライマリーバランスと財源の黒字を確保しながら、私は、投資という面でも考えていっていただきたいと思います。
〇臼澤勉委員 それでは、私から大きく3点。まず初めに、副知事2人体制についてお伺いします。評価のみで結構ですので、端的にお答え願います。
〇内城人事課総括課長 多岐にわたる行政課題に迅速かつ的確に対応していくためには、トップマネジメント体制の強化が必要でございまして、多くの都道府県と同様に、本県におきましても、副知事2人体制を採用してきたものと考えております。
 これまでは2人の副知事がきめ細かく全庁に目を配り、また、国や市町村、関係団体や企業等との意見交換などを行いながら、適時適切な取り組みを進め、知事を先頭とした県政運営を支えてきたものと認識しております。
〇臼澤勉委員 達増県政になってから、ちょうど上野副知事が財務省からいらして、平成22年から平成25年まで東日本大震災津波の復興に大きく貢献していただきまして、本当に評価するものでございます。
 そういった中で、今の人口減少という我が県が抱えている危機についても、私は、この国の人材を積極的に活用することが必要なのではないかと思うのですけれども、国から派遣されていた副知事の評価をお伺いいたします。
〇内城人事課総括課長 副知事の人選につきましては、その時々の課題に応じまして知事が選任しているものでございます。
 国から招聘した場合はこれまでもございまして、いずれ、国とのさまざまな情報交換でありますとか、あるいは我々プロパーにはない視点での行政運営といったことも行われてきたと考えております。
〇臼澤勉委員 ちなみに、今回は佐々木淳理事の名前が出ていましたが、国に、あるいは民間も含めて要請とか、そういった活動をされているのでしょうか。
〇内城人事課総括課長 副知事の人選につきましては、先ほどの答弁と重なりますが、本県を取り巻く社会経済情勢などを踏まえて、また、適材適所の考え方によりまして、知事において判断されているものと認識しております。
 その上で、人選につきましては、国、県、民間を問わず幅広く検討されているものと考えておりまして、県が直面する人口減少などのさまざまな課題の解決に資する、豊富な経験と十分な知見を有する人材を選定されているものと考えております。
〇臼澤勉委員 同じ答弁は結構ですので。国に当たっているかどうか、イエスかノーかでお答え願います。
〇内城人事課総括課長 知事において選定されているものでございまして、国に要請したかどうか、具体のところについては承知していないものでございます。
〇臼澤勉委員 ちなみに、いただいた資料で、全国で副知事2人制を敷いている県は、本県を含めれば28県、全体の6割程度かと思います。ちなみに、人口規模100万人から150万人ぐらいの12県においての選任状況を見ると、2人制を敷いているのが4分の3、75%の9県です。これらの県の副知事は、プロパーか国から派遣していただいているという状況になっております。
 副知事2人制については、岩手県が、千田県政のときに全国に先駆けて導入した制度でもあります。この2人制についての当初の思いは、国から1人、そしてプロパーからというもので、国の方を副知事に置くことのメリットをお話しされていました。さまざまなネットワークあるいは視点、我々にない視点を持っているというようなこともあったわけです。
 その辺を含めて、今後の副知事、国からの、あるいは沖縄県は、1人は民間からも採用されています。ですから、国にこだわらず、あるいは民間でも、そういったさまざまな視点、ネットワーク、チャネル、そしてそれが、私も上野前副知事と一緒に仕事をしたときに、大いに参考になったし、刺激を受けた職員時代を思い出します。ぜひ、前向きに御検討いただければと思います。
 次に移ります。私も、岩手県立大学の運営費交付金についてお伺いいたします。
 今回は、予算審議でございますので、県財政と報酬決定の整合性についてお伺いさせていただきたいと思います。
 県立大学の運営について、福井せいじ委員が9月の決算特別委員会でも取り上げていました。三十数億円の赤字運営というところで運営費交付金を充てているわけですけれども、その辺の県財政との整合性について、所感をお願いいたします。
〇佐藤財政課総括課長 まず、運営費交付金についてですが、他の公立大学や国立大学と同様、基本的には、中期目標計画期間における費用と収益の差額を運営費交付金として算定する仕組みとなっております。
 経常費用に占める運営費交付金の割合についても、東北他県の公立大学と比べて妥当な水準でありますし、あとは大学費、岩手県立大学の支出に係る学生1人当たりの大学費は150万円程度と、全国平均とおおむね同程度となっているということで、適正な規模と考えております。
〇臼澤勉委員 これまで私も、昨年6月県議会定例会の一般質問で、この理事長報酬の決定の過程について、県から指示を含め何らかの働きかけがあったのかどうなのか、事実関係について聞かせていただきました。あのときは知事が答弁を避けて、熊谷ふるさと振興部長からということで、県としては指示とか働きかけといったものはしておりませんとの答弁を、県の関与を全面的に否定した答弁をいただいておりました。
 改めてお伺いさせていただきますが、現理事長の報酬増額に際して、県から指示とか働きかけ、相談等も含めて何らかのそういった県の関与があったのかどうなのか、総務部としての御所見をお伺いいたします。
〇内城人事課総括課長 公立大学の理事長を含む役員の報酬につきましては、地方独立行政法人法の規定によりまして大学での報酬等の支給の基準を定め、設立団体の長―これは知事でございます―に届け出ることとされております。
 大学みずからが検討、決定するものでございますので、県立大学理事長の報酬を決定するに当たって、そのプロセスにおいて県が関与することはございません。
〇臼澤勉委員 県から県立大学に対して、令和2年の年明け、1月から2月ごろに、理事長の報酬を増額するよう働きかけ、あるいはそういった指示があったという証言をいただいているから、私はこれまでもずっと議会で聞かせていただいておりました。
 人事も絡んでまいります。OBの人事は、私の知る限りでは、総務部の副部長とかが中心になってやったりしながら、あとは担当課が行ったりするのですけれども、こちらにいらっしゃる方々で、令和2年の年明けあたりに、県立大学に行って報酬の増額等について働きかけとかお願い、あるいは御相談でもいいですが、そういった関与があったのかどうか、改めてお伺いいたします。
〇内城人事課総括課長 ただいま臼澤勉委員からお話しいただいたような内容について、当方では承知していないところでございます。
〇臼澤勉委員 承知をしているかどうかを聞いているのではなくて、人事も含めて県の財政も絡む話でございますから、いるのかわかりませんけれども、その当時、こちらにいらっしゃるどなたかが、働きかけやそういった関与があったのか、イエスかノーかで、総務部長、お願いいたします。
〇千葉総務部長 先ほど人事課総括課長からお話ししたとおり、こちらとしては承知していないところでございます。
〇臼澤勉委員 財政課には、理事長報酬増額に関する協議や相談、意見照会が普通であれば行われるのだと思います。通常であればです。例えば、今回のように理事長の報酬額、私は高い安いを言っているのではないのです。県からそういった働きかけがあるのかどうか、ここを確認しているのです。62万6、000円から99万7、000円と5割ぐらい上がるということでしたが、仮に、これを倍に上げるといったときも、財政課には一切協議なく、勝手に大学で決めるのですか。御所見をお伺いします。
〇佐藤財政課総括課長 まず、理事長の就任初年度ですけれども、そのときには、平成29年度から令和4年度までの第3期中期目標計画で算定した運営費交付金をもとに令和2年度当初予算を計上しており、理事長報酬の増額は予算に計上していません。
 運営費交付金は使途を限定しないものですから、具体的な支出項目は大学において決定できるものです。
〇臼澤勉委員 資料要求で役員会議の議事録などもいただきました。本当にこの報酬決定の過程に―経営者会議は決定機関ではありませんから。あくまで協議、相談する機関と私は理解していますし、経営会議もそうです。そういった中において、議事録を見る限りでは一切何も意見がなかった。非常に不思議な感じでした。
 経営会議においても、例えばこういった給与改定による人件費あるいは物価上昇の要因によって、運営費交付金が今後どうなっていくのだとか、あるいは大学の運営においてどういう影響があるのか、人件費は、あるいは職員がカットされないかとか、さまざまなそういった議論が普通は出てきます。
 こういった中において、もう一回聞きますけれども、総務部財政課を含め、あるいは人事課においても、何らこの大学の報酬決定において、相談とか協議も含めてないという答弁ですが、最後、改めて再度お伺いいたします。
〇内城人事課総括課長 県として、理事長の報酬決定にかかわることはないところでございます。
〇臼澤勉委員 委員長に、議事進行を求めたいと思います。時計をとめていただきたいと思います。
 いろいろと私も時間をかけてこのテーマをお話しさせていただきました。先ほど飯澤匡委員からも記者クラブへの投げ込みということもあったりして、いろいろと決定過程については、大学の自治の問題でもあり、そういった部分では決定してきたということなのかもしれませんけれども、私が、いろいろと関係者から聞いている話と県当局の答弁が全く矛盾しているというかかみ合わない。
 そういったことから、ぜひ、委員長にお取り計らいをお願いしたいのでございますけれども、前理事長を参考人にお呼びいただきまして、委員長のもとに、この事実関係を確認させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
〇千葉盛副委員長 今の臼澤勉委員の議事進行については、後日、世話人会で協議したいと思います。
   〔「議事進行」と呼ぶ者あり〕
〇斉藤信委員 今の提案をするのだったら、具体的な事実を示して、根拠を示してやるべきです。否定しているのだから。私は、そんな参考人招致を求める根拠がないと思うのです。参考人招致を求めるのだったら具体的な事実を示すべきだ。そのことを含めて世話人会で議論していただきたい。
〇千葉盛副委員長 今の斉藤信委員の意見も含めて、世話人会で協議したいと思います。
 臼澤勉委員、御了承願います。
〇臼澤勉委員 ありがとうございます。ぜひ、よろしくお願いいたします。
 続きまして、最後に、パワーハラスメントの実態把握について、県の実態把握はどのようにされているのかお伺いいたします。
〇内城人事課総括課長 今年度、ハラスメントの防止等に関する基本方針に基づきまして、職員から、当課、それから人事委員会を経由して寄せられたものを合わせて、計4件の相談があったところでございます。
 当方で事実関係を調査した結果、パワーハラスメントに該当するものはありませんでしたが、所属長からの指導や担当がえを行ってハラスメントの未然防止に努めるなど、適切に対応しているところでございます。
〇臼澤勉委員 4件の相談があったということです。ただ、パワーハラスメントに該当する事案はなかったということですが、少しお伺いいたしますが、職場におけるパワーハラスメントは、そもそも、まず、あるという認識に立っているのか、やはりないという認識に立っているのか。これは、いじめの事案についてもそうなのです。いじめも、ないという前提に立っていれば、なかなか出てこない。ただ、これは、あるという前提に立てば、今回の教育委員会を含めたさまざまないじめ案件というのは出てくる。
 改めて、ここをお伺いいたします。
〇内城人事課総括課長 ハラスメントに関しましては、国などでも定義が設けられておりまして、パワーハラスメントにつきましても、例えば職務に関する優越的な関係を背景として行われる業務上必要かつ相当な範囲を超える言動であってといった規定がございますので、それらに照らして、実際に現場で起きていることが該当するかどうかを判断しているところでございます。
〇臼澤勉委員 私の経験上、例えば、書類を投げるとか、あるいは起案を机の引き出しにずっとしまって置いておくとか、あるいは机の前で―経験の話ですからね―例えば、長時間ずっと立たされてお話を何かされてしまうとか、あるいは言葉のハラスメントをさまざま私も経験しておりますし、実際、先輩とかからも聞くと、書類が飛んできたとかという話も過去にはありました。
 最近もなくなっていないといううわさはちらっと聞いているのですけれども、ただ、そういった部分についても、ぜひ実態把握をすべきだと思います。
 そして、常任委員会の総務部でも政党機関紙の購入について話題になっておりました。私も経験上、購入した一人ではありますけれども、同僚の仲間とかでは、議会対応とかで断りにくいとか、あるいは人事異動でかわってきたときに、お誘いというか紹介を受けて、なかなか断りにくいというような、そういった精神的なストレスを感じている職員がいらっしゃいました。
 その辺の実態をどう捉えているかお伺いします。
〇内城人事課総括課長 政党機関紙の件でございますけれども、総務委員会でもお答え申し上げましたが、昨年11月に共同通信社からアンケートがございまして、各部局に聞き取りをしたところ、政党機関紙購入の勧誘があったことを確認しているところでございます。
 一方で、何らかの圧力があったとか、そういったところについての相談は、今のところ我々としては確認していないところでございます。
〇臼澤勉委員 声がないからないのだではないのですね。やはり聞こうとしないと、ハラスメント、パワーハラスメントも相談窓口を設置していますね。相談窓口に対しても声がなかなか届かない。なぜかというと、怖いからです。相談に行くと、誰が相談に来たとか、どういったという上司との関係性とかがわかるので怖いということがあると思います。
 いずれ、その辺では何らかの把握をすべきだと思いますし、思想信条の自由のもとに、しっかりと、私は機関紙は結構ですということも自由なわけですから、そこは本当に、ぜひ職員の皆様の、もし仮に心理的ストレスを感じて、自分の意思に反して購入しているというような実態は改善すべきだと私は思っております。改めて、今後の対応方針についてお伺いいたします。
〇内城人事課総括課長 政党機関紙の購入につきましては、自主的な判断で職員が行っているところでございますので、どこまで踏み込んで我々が調査していいのかといったところは、慎重に判断せざるを得ないかと考えているところでございます。
 一方で、臼澤勉委員からお話がありましたとおり、何らかの苦情といいますか悩みというか、そういったものが、我々の相談窓口あるいは人事委員会の相談窓口もございますが、そういったところに寄せられ、それが、やはり支障があるということであれば、適正な服務環境確保の観点から必要な対応を検討してまいりたいと思います。
〇臼澤勉委員 ぜひ、職場環境の改善、そして職員の健康、それは精神的な部分も含めて総務部として御対応をぜひ検討して、職員を守っていただきたいと思います。
〇松本雄士委員 私から大きく2点お聞きしたいと思います。まず1点目でありますけれども、県庁舎の耐震診断結果を踏まえた改修、建てかえ検討についてでございます。
 昨年10月に、総務常任委員会において県庁舎の耐震診断結果が示されております。そこにおいては耐震改修の必要性が報告され、特に議会棟、渡り廊下棟においては、震度6強で倒壊や崩壊の危険性が高い旨もあわせて報告されています。そして、その報告の最後には、当面のスケジュールとして、県庁舎のあり方を整理し、改修、建てかえを判断していくという報告になっております。
 まずもって、当該報告を受けての県庁舎改修に係る緊急性の認識と今後の検討体制、検討スケジュールについて伺います。
〇和田参事兼管財課総括課長 県庁舎の改修、建てかえの検討についてでございます。
 県庁舎は、松本雄士委員から御紹介がありましたとおり、昨年7月の耐震診断の結果から、早期に耐震改修が必要であること、そして、この庁舎は今後30年程度継続使用が可能であることが判明したところでございます。そうは言いつつも、早期に耐震改修が必要だということを示されましたので、それには対応していかなければならないと感じております。
 そうしたことから、現在、中長期的な視点での県庁舎のあるべき姿や改修と建てかえの比較検討パターン等について、有識者懇談会を開催し、さまざまな御意見をいただいているところでございます。
 今後、県庁舎のあり方案の取りまとめに当たりましては、先ほど来御議論がありますように、デジタル化とか働き方改革への対応、そしてまた、職員体制とか県の財政見通しといったものを踏まえる必要があるほか、盛岡市で進めております内丸プランとの調整など庁内外で調整すべき事項も多いことから、現段階で具体的な全体スケジュールをお示しすることは難しい状況でありますが、先ほど緊急的だと申し上げましたとおり、できる限り早期にこのあり方案を取りまとめていきたいと考えております。
 あと、検討体制についてでございますけれども、今、御紹介申し上げました庁内外の調整を行うため、来年度、管財課に特命課長を配置することとしたほか、有識者懇談会を立ち上げておりますので、引き続き開催しながら、あり方案の取りまとめを行っていくこととしております。
 なお、次回の有識者懇談会は、来週、3月13日に予定しております。
〇松本雄士委員 その検討の推進に係る予算は、令和6年度当初予算案には計上されているのでしょうか。検討とか懇談会とかです。
〇和田参事兼管財課総括課長 微々たるお金ですけれども、懇談会開催に要する経費はございますが、改修とか建てかえ、調査設計するとかといった予算については、一切計上しておりません。
〇松本雄士委員 わかりました。また、第3期岩手県耐震改修促進計画を見ますと、公共建築物の耐震化率はほぼこの県庁舎を残すばかりとなっております。早急に対応しなければならないという認識のもと、進めていただきたいと思っております。
 そして、昨年の総務常任委員会で報告された中に、改修パターンが7パターン示されておりまして、そこにはコストが、最少で121億円から最大で581億円までかかり、また、工期も8年から10年にわたるという長期の工期期間も示されております。
 現在、世界的なインフレ基調がかなり進んでいく中で、典型的な例として、大阪万博の例では、資材価格と人件費の高騰で当初よりコストが527億円も上振れした。近いところでは、盛岡市庁舎も、最大200億円の見積もりが25%上振れするという中で、事業規模の見直しが迫られているといった報道がございます。
 さらに、先ほど来各委員からあるように、今後、本県の財政がかなり厳しくなっていくといった中で、検討体制については、今、懇談会と特命課長を置かれるということでありましたけれども、体制の構築と、さらにはエンドを決めた検討スケジュールの策定が必要かと考えています。というのは、どんどんコストも上がっていきますし、県庁舎のあり方は可及的速やかに検討していくべきものだと考えておりますので、その辺の、より前倒しでスピード感を持った検討、そして県庁舎のあり方をどうしていくのかというところに対して、再度、県の見解を伺います。
〇和田参事兼管財課総括課長 県庁舎改修、建てかえに係るコスト意識でございます。
 改修と建てかえのいずれの場合においても、多額の財政負担が見込まれているところでございます。したがいまして、上振れすることのないよう、その積算に当たっては、物価上昇による影響を考慮しながら、改修、建てかえ費用を初め、さらに後年度の維持管理費あるいは地方債の償還といったものなど、将来にわたる費用も含め適切にコストをはじいていくことが必要だと感じております。
 このため、現在、改修と建てかえの比較検討パターンをさらにつくっておりますけれども、作成に当たっては、初期コストである工事費等は、国の建設工事の物価上昇指数を掛ける指数があるのですが、建設工事費のデフレーターを踏まえて積算するほか、後年度の維持管理費も直近の事業実績に照らして算定するなど、物価上昇による影響を適切に反映していく考えでございます。
 さらに、地方債の償還額も含めた、30年から50年程度先の財政負担のシミュレーションのようなものも現在行っております。そういった観点で、長期的な観点からコスト意識を持って検証してまいりたいと考えております。
〇松本雄士委員 いろいろそういった計算式もあるということでしょうけれども、ましてや物価上昇が続いていくことを前提とすれば、やはり早目にやっていったほうがいい。
 まずもって、働く県庁職員の方々の安全性確保といった観点が大切かと思っております。さらには、昨年10月にこの報告がなされてからここに至るまでの検討のスピード感を考えますと、もっとスピード感を持って取り組んでいっていただきたいと思うところでありまして、よろしくお願いいたします。
 続いて、大きな2点目でありますけれども、県有の未利用公共資産の状況について伺います。
 現在の県の未利用資産の保有状況について伺います。
〇和田参事兼管財課総括課長 県有未利用資産の状況でございます。
 令和5年3月末現在の状況でございますけれども、職員公舎跡地、そして、県立学校の統廃合などにより未利用となっている土地が106件、約107万平米、庁舎や職員公舎、学校施設などの建物が40件、7万7、000平米余りとなっており、県有資産全体に占める割合は、土地1.4%、建物2.9%となっております。
〇松本雄士委員 未利用となっている土地は大体107万ヘクタールで、建物も7.7ヘクタールあると。県全体に占める割合は小さいとしても、相当あるということであります。
 その未利用資産の現在の活用、処分方針について伺います。
〇和田参事兼管財課総括課長 未利用資産の活用、処分方針でございますけれども、未利用資産については、県有未利用資産等活用・処分方針に基づきまして手続を進めております。それでは、まず、県における有効活用を検討します。県が利用する予定のないものについては、地域振興の観点から地元自治体による活用を照会し、希望がない場合は一般競争入札により売却を行う手順で、活用、処分を推進しているところでございます。
〇松本雄士委員 その処分方針に基づく最近の活用、処分状況について教えていただきたいと思います。
〇和田参事兼管財課総括課長 令和5年度、今年度の例でございますけれども、旧盛岡短期大学跡地については、県福祉総合相談センターと県民生活センターの移転先として県による活用をしておりますし、あと、盛岡市には県立盛岡短期大学の跡地を売却しているほか、そのほかの財産についても、旧紫波総合高校の教職員公舎、それから、旧宮古高校川井校、旧久慈湊駐在所を今年度、一般競争入札等により売却しております。
〇松本雄士委員 今、令和5年度の活用、処分状況について御報告いただきましたけれども、先ほどの、未利用となっている土地が大体100町歩であるとか、7町歩ぐらいの面積の未利用となっている建物に対して、処分の状況は進んでいると評価していいのか、塩漬けとして大部分残っているということなのか、教えていただきたいと思います。
〇和田参事兼管財課総括課長 未利用資産については、先ほど申し上げましたように、処分方針に基づいて処分を進めております。ここ二、三年ですと、売却価格で2億円から3億円程度で推移している状況でございます。
 毎年度、一般競争入札は行っておりますけれども、一般競争入札を行って全てが売却されるわけではございませんで、結局、売れ残る未利用資産も、年度年度で売れては残るというのが繰り返されている状態ですので、割合は、おおむね先ほど申し上げました割合で推移しているという状況でございます。
〇松本雄士委員 わかりました。そういう感じで処分を進めていっていただきたいと思うのですけれども、大部分残っている。その残っている物件の安全性の確保といいますか、近隣に何か影響が出てしまうような、土砂崩れであったり、草木の視界不良のことであったり、急に道路から子供が飛び出してくるような状況をつくってしまったりとか、安全性の確保に対してどういったメンテナンス、管理がなされているのかと、管理コストは年間どの程度かかっているか、もし把握しているものがあれば教えていただきたいと思います。
〇和田参事兼管財課総括課長 未利用資産の管理ということでございます。
 未利用資産とはいえ県が抱える財産でございますので、所有者として、先ほど松本雄士委員から御紹介あったように、事故が起こらないよう必要最小限の範囲内で必要な維持管理を行うことが重要でございます。
 あと、周辺の生活環境とか景観、防犯に悪影響を及ぼすことのないよう、私どもとしては、管理者責任を果たしていく必要があると考えております。そのため、それぞれの財産を所管する部局ごとに、定期的に現地を確認しに行ったり必要に応じて草刈りなどをやって、必要な管理を行っております。また、著しく老朽化して建物が倒壊しそうだとか、危険性のあるものについては、取り壊しの検討なども進めております。
 維持管理費用がどれだけかかっているかというところですけれども、これはそれぞれの財産部局で行っていて、それを積み上げているものはないのですが、総務部の例で申し上げますと、管財課が所管しております未利用資産としては、盛岡市山王地区にある山王分庁舎や、先ほど御紹介申し上げました旧盛岡短期大学跡地とかがありますけれども、これは草刈りなどを毎年しております。大体数万円程度でやっています。
 そのほか、ほかの財産なども、立ち木など、木が生い茂って邪魔になったりするようなものは、通行に影響のないよう木を切ったりするような費用も発生しているところでございます。
〇松本雄士委員 わかりました。今、各部局の管理ということでありますけれども、管理の効率化のためであったり処分を促進していく上でも、部局横断のデータベース化と情報共有していく体制はどうなっていますでしょうか。
〇和田参事兼管財課総括課長 未利用資産については、毎年度、未利用資産の状況を確認して未利用資産処分計画をローリングしております。そういう中で、それぞれ部局横断で検討すべきもの、あるいは過去売れ残ったけれども、売却を進めるもの、そういったものを計画的に載せながらやっております。
 県有資産そのものをオープンにするという観点で言えば、毎年度、固定資産台帳で、現在使っているもの、それから未利用資産も含めた全ての財産をホームページで公表しており、そういう形で管理をしております。
〇松本雄士委員 わかりました。いろいろやっていらっしゃるということでありますけれども、県財政も非常に厳しくなっていく中で、管理コストを抑える意味もありますし、あらゆる歳入確保策を尽くすというときに、未利用資産をどんどん処分していくのもその方策の一つになるかと思います。
 また、処分方針に基づいてやっているということですけれども、もっと幅広くいろいろ、民間の知恵というか活力みたいなものを活用できるものがあれば、そういうものも幅広く検討していただいて、この処分、活用を進めていただきたいと思います。
〇斉藤信委員 最初に、先ほどパワハラにかかわって政党機関紙の問題がありましたが、これは一般論でお話ししておきますけれども、総務委員会でもそういう質問があったというのを聞きました。政党機関紙の購読は、個人がみずからの意思で購読しているものでありますから、誰が購読しているかとかしていないとか、そういう調査をしたら、これはまさに思想信条の自由を侵害するものになる。このことは率直に指摘しておきたいと思います。
 もう一つ、今、全国的な動きにあるのは、統一協会が、全国の規模で政党機関紙の購読問題の調査を求める陳情を出しています。岩手県議会にも2月に出されました。今、反社会的な集団で解散命令まで出されて審議されているところから同趣旨のものが出ているということも、軌を一にした動きだということは率直に指摘しておきます。
 そこで、質問に入ります。歴代自由民主党政権のもとで失われた30年、賃金が上がらない国、経済が成長しない国ということになりました。
 ピーク時と比べて、実は労働者の実質賃金は74万円も下がった。県職員の場合は、このピーク時と比べて賃金はどれだけ下がったのかをまず示してください。
〇内城人事課総括課長 県職員の賃金についてでございます。
 40歳の主査級の職員を例に、年収ベースで最も水準の高かった平成11年度の改定前の給与額と現時点での給与額を比較いたしますと、年収額で約76万円の減となっているものでございます。
〇斉藤信委員 今の76万円というのは名目賃金ですね。ですから、恐らく実質賃金で比べたら、物価がかなり上がっていますから、もっと大きな差になるのではないかというのは指摘をしておきますが、名目でも県職員の給与は76万円下がっている。これが、失われた30年の県職員の実態だということを率直に指摘しておきたいと思います。
 そこで、コロナ禍対応によって、今年度も保健師は10人増員した体制で取り組まれました。看護職員も19人増員して令和5年度は取り組まれた。5月8日に、新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行ということがありましたけれども、私は、これを契機に保健所の体制をしっかり拡充、強化すべきではないかと思いますが、来年度の保健所を中心にした体制の強化はどう図られるのか、示していただきたい。
〇内城人事課総括課長 これまで新型コロナウイルス感染症対策に当たるために、保健師10名を各保健所に対して追加配置してきたところでございます。新型コロナウイルスの5類感染症への移行後、関連の業務は縮小している一方、新たな感染症への備えなど健康危機管理体制の強化を図るため、保健師の役割は引き続き重要であると認識しております。
 こうしたことから、来年度におきましては、コロナ禍対応により追加配置した保健師を、精神通報対応など体制強化が必要な保健所に再配置するほか、冒頭御答弁申し上げましたが、県北、沿岸地域の小規模自治体からの要請に応じて派遣する方向で、現在調整を進めているところでございます。
 さらに、来年度は、本庁の健康国保課に保健推進課長を新設いたしまして、増員した保健師の保健活動の総合調整や技術面での指導など、組織横断的なマネジメントの充実を図りまして、地域保健の推進体制を強化することとしているところでございます。
〇斉藤信委員 今回の増員分をそうして全県的な体制の強化に結びつけるということで、これは高く評価したいと思います。
 それで、昨年度の県職員の80時間、100時間を超える超過勤務の実態はどうなっているのか、その改善にどう取り組まれているか示してください。
〇内城人事課総括課長 令和5年4月から令和6年1月までの1人当たり月平均超過勤務時間数の速報値におきましては、全庁で13.5時間となっておりまして、前年度同期の15.9時間から2.4時間の減となっているところでございます。
 また、今年度、全庁で月80時間以上の超過勤務を行った職員は158名でありまして、前年度同期の230名から72名の減となっているところでございます。また、月100時間以上で見ますと62名となっておりまして、前年度同期の129名から67名の減となっているところでございます。
 こうした形で超過勤務自体は減る傾向にはありますが、依然として超過勤務がございますので、我々といたしましては、引き続き、所属長における事前事後の確認でありますとか業務の平準化などを行いまして、超過勤務の縮減に当たってまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 80時間、100時間を超える超過勤務の実態が減少していることは評価をしたい。しかし、80時間、100時間というのは過労死ラインと言われますから、必ず改善するという課題なのだと思うのです。そういう点で、引き続き、新型鳥インフルエンザの対応とか、新型コロナウイルス感染症の対応の場合はずっと続いて今も第10波なので、これからどう推移するか、専門家もいろいろ意見が分かれています。そういう意味でいけば、まだまだ体制が必要だと思いますけれども、しっかりそういう状況に対応して超過勤務の縮減に取り組んでいただきたい。
 次に、会計年度任用職員の現状と待遇改善についてお聞きいたします。
 会計年度任用職員の制度が実施されて丸4年となりました。正職員と会計年度任用職員の実態が、先ほど4人に1人と示されました。4人に1人というのは、会計年度任用職員の比率が高過ぎるのではないか。本来、正規で配置すべきものを会計年度任用職員にしているのではないかと思われますが、4人に1人が会計年度任用職員ということをどう受けとめているか。それと、フルタイム、パートタイムの状況、比率、男女比はどうなっているか示してください。
〇内城人事課総括課長 まず、任用数についてでございますが、知事部局における令和5年5月1日時点の実人員で申し上げますと1、434人となっており、一般職員の総数5、723人のうち、会計年度任用職員の占める割合は約4分の1ということでございます。
 多いか少ないかといったところにつきましては、なかなか比較が難しいところではありますが、いずれ、業務の運営につきましては、任期の定めのない職員で行うというのが原則でございますので、我々としても、必要数については随時見直し、精査をしてまいりたいと考えております。
 また、令和6年度当初予算案上の会計年度任用職員数について申し上げますと1、394人で、全体に占める割合も同じく約4分の1ということでございます。
 次に、フルタイム、パートタイム別、男女別の人数でございますけれども、来年度の任用手続の途上であるため、今年度の実人員で申し上げますと、フルタイムが41人で約3%、パートタイムが1、393人で約97%でございます。また、男女比ですが、男性が約42.2%、女性が57.8%というところでございます。
〇斉藤信委員 今の答弁を聞いて、会計年度任用職員の男性の比率が全国と比べて高いのです。全国的には8割が女性なのですよ。岩手県の場合は生活を支える―男女で支えているのですけれども、男性が42.2%を占めるというのは、私は岩手県的な特徴だと思います。それだけに、この待遇が問われていると思います。
 これまで継続して任用されてきた職員数はどうなっているか。会計年度任用職員の賃金、年収別職員数、経験年数別職員数について示してください。
〇内城人事課総括課長 継続任用の状況でございます。令和6年度の任用の確定は今後になりますので、今年度の状況で申し上げますと、令和5年5月1日時点で知事部局において任用した職員1、434人のうち、令和4年度から引き続いて任用されている方が約88.1%の1、263人、さかのぼって令和3年度からで見ますと80.8%の1、158人、それから、令和2年度からで見ますと73.4%の1、053人となっているところでございます。
 また、給与、職員数ということでございます。会計年度任用職員の職種、勤務形態は多種多様でございますので、体系的に分析することが一部難しいところもございますが、高校卒業後、そのまま県に任用された職員の場合、フルタイムで月額は約16万円、年収ベースでは約270万円、週30時間のパートタイムで見ますと月額は約13万円、年収では約210万円となっているところでございます。
 令和5年度において、一般行政職に相当する会計年度任用職員は1、051人おりますけれども、そのうち約99.5%を占める社会人経験が6年以上の職員の方で見ますと、フルタイムで月額は約20万円、年収ベースでは約330万円、週30時間のパートタイムで見ますと月額は約15万円、年収は約250万円となっているところでございます。
〇斉藤信委員 今年度は、週30時間のパートタイムで見ますと月額約12万円、年収では約170万円でありました。これが来年度、賃上げもあって勤勉手当も出るということで、パートタイムで年収252万円余、これは7年勤務ということになるのですけれども。だから、来年度はかなり改善される。今年度までは200万円を切るワーキングプアだったのです。しかし、250万円になるといっても、それで生活を支えられるかといったら、とてもではないけれども支えられない、そういう賃金レベルです。
 例えば、高卒の正規職員7年目だと336万円になるのです。だから、高卒の正規職員7年目と比べると、80万円ぐらいの差がついてしまうということになります。
 時給でいいますと、来年度は上がって1、215円です。そういう意味でいけば、生活を支える賃金に上げていかないと、1年雇用で継続、いつ首を切られるかわからない状況なのです。結果的には、結構な比率で継続勤務を岩手県はしていますけれども、しかし、1年雇用ですから保障がないのです。3年目には公募という制度になっています。一部の自治体では、もう公募をやめているところもありますから、もう少し継続的に安心して働ける状況をつくること。
 もう一つは、目いっぱいで年収250万円ですから、これでは生活が支えられない。それこそ、今、人口減少、少子化が問題になっていますけれども、一番の障害になっているのは低賃金なのです。とてもではないけれども結婚する気になれない最大の理由は、生活の不安定なのです。
 県職員の4人に1人を占める会計年度任用職員が、それでいいのか。これは少子化にも逆行するのではないかと思います。思い切った改善が継続雇用という点でも賃金のレベルを上げるという点でも必要だと思いますけれども、いかがですか。
〇内城人事課総括課長 会計年度任用職員の給与につきましては、一般職の職員との均衡なども見ているところでございます。また、一般職の給与の水準につきましては、御存じのとおり、地方公務員法に定める均衡の原則もございまして、他県の状況でありますとか国の状況などを見ながら、適切に判断をしてきているところでございます。
 いずれ処遇を改善していくというスタンス、適切な処遇を確保するという点は非常に重要な点でございますので、我々としても,今後、周りの状況も踏まえながら適切に対応してまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 もう一つ、消費生活相談員は専門職員です。この待遇が、報酬月額15万9、900円なのですね。これは週29時間ということになっているのだけれども、弁護士に聞いても、本当に専門職で貴重な仕事をやっているにもかかわらず、昨年度から上がって報酬月額15万9、900円。これでは貴重な人材を確保できないと思います。
 専門職員は他の都道府県と比べてどうなのか。盛岡市と比べても大幅に低かったと私は記憶しているけれども、そこの比較はわかりますか。
〇内城人事課総括課長 済みません、他との比較の資料が手元にございません。申しわけございません。
〇斉藤信委員 では、後でお願いします。
 最後です。グリーン/ブルーボンドの販売実績が50億円、公募した途端に即日完売ということです。一方で、104件、300億円を超える応募があったということで、大変大きな反響を呼んだと思います。表彰もされたようです。
 これは即日完売なのですけれども、104件の応募があって、どういう基準で50億円分を完売したのか。そして、これからの活用についてはどう検討されるのか。
 あと、法人事業税の推移と赤字で対象とならない中小企業の数はどうなっているか。定額減税による個人県民税の減収、定額減税の対象となる人数、減税額の推定を示してください。
〇岩間特命参事兼調査担当課長 グリーン/ブルーボンドの販売、50億円の発行に対して300億円の申し込みがあった。104件の投資表明を獲得するに至って、どういう形で選定したかという問いでございますけれども、基本的にはアロケーション、分配については、幹事を担当する証券会社と打ち合わせしながら、発行体としての方針を表明していきます。今回の場合は、初めての発行ということもありまして、今回初めてお買い求めいただく投資家の皆さんも多かったということですが、たとえ小ロットでも県内の投資家に多く買っていただきたいということで、この104件の7割ぐらいは、県内のいわゆる諸法人と言われる大口ではない投資家です。そういった皆様にグリーン/ブルーボンドをお買い求めいただくことで、県内におけるGXの流れを加速化させていこうという意図で起債運営をしたところでございます。
〇今野税務課総括課長 本県における法人事業税の税収の推移と赤字で対象とならない中小企業数についてのお尋ねですが、まず、法人事業税の税収について、令和4年度決算額は287億2、328万5、000円となっており、令和5年度最終予算額は277億9、600万円、令和6年度当初予算額は264億9、700万円と推移するものと見込んでおります。
 次に、赤字で対象とならない中小企業数ですが、所得割が生じていない法人の状況で御説明しますと、直近の令和4年度で赤字法人数は1万1、183社で法人全体の65%、うち資本金1億円以下の中小企業は1万1、150社で赤字法人の99.7%を占めており、過去5年ではほぼ同様の状況となっております。
 次に、定額減税による個人県民税の減収額と減税対象者数についてのお尋ねですが、定額減税額については、総務省で公表している地方財政計画における全国の道府県税分の減収見込み額3、252億円に、同省で公表している直近の人口推計である令和4年10月時点における本県の人口の割合を乗じまして、約30億4、800万円と積算しております。
 定額減税の対象者数につきましては、個人住民税の所得割の税率から、県分としまして1人当たり4、000円を減収額と見込み、定額減税の対象者を約76万8、000人と積算しております。
〇千葉盛副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇千葉盛副委員長 質疑がないようでありますので、これで総務部関係の質疑を終わります。
 総務部の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
   午後5時30分 休 憩
午後5時52分再開
〇千葉盛副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 次に、政策企画部関係の審査を行います。
 なお、上和野理事は、療養のため欠席となりますので、御了承願います。
 政策企画部長に政策企画部関係の説明を求めます。
〇小野政策企画部長 令和6年度の政策企画部関係の歳出予算につきまして御説明申し上げます。
 初めに、政策企画部の予算編成に当たっての考え方について御説明いたします。
 政策企画部は、総合的な政策の企画立案、推進、知事、副知事の秘書業務及び広聴広報を担当しております。
 政策企画関連では、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランの推進に当たり、全庁的なマネジメントサイクルを確実に機能させながら、各部局と連携して、四つの重点事項を初めとした政策を着実に進めてまいります。
 広聴、広報では、引き続き、県政懇談会などを通じて県政に関する意見、提言を把握し、施策への反映に努めてまいります。
 また、県政広報誌や県政番組、SNSなどを活用して、東日本大震災津波からの復興を初め、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げた主要施策を県民の皆様に適時的確に伝えるとともに、県外に向けては、震災を風化させず、復興への継続的な支援につなげるよう、復興の歩みを進める岩手県の姿や岩手県の魅力を発信してまいります。
 それでは、政策企画部関係の令和6年度の歳出予算につきまして御説明いたします。
 議案その1の10ページをごらん願います。政策企画部所管の歳出予算は、2款総務費2項企画費13億7、209万円余のうち7億4、500万円余となっております。
 予算の内容につきましては、予算に関する説明書に記載されておりますが、説明は省略させていただきますので、御了承をお願いいたします。
 以上で説明を終わります。よろしく御審議を賜りますようお願い申し上げます。
〇千葉盛副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇臼澤勉委員 それでは、私からは1点、全体的な話も含めて確認させていただきます。
 まず、岩手県が抱える人口減少対策の取り組み、令和6年度予算配分の規模感、妥当性、そして、長期戦略をどのように捉えて組み立てているのかお伺いいたします。
〇加藤政策企画課総括課長 予算配分の妥当性と規模感、長期戦略でございます。
 厳しい財政状況のもと、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランを着実に推進していくためには、限られた財源を重点的かつ効果的に活用するめり張りのある予算配分が重要と考えております。
 このため、令和6年度当初予算案においては、第2期アクションプランのもと、本県の最重要課題である人口減少対策に最優先で取り組むため、自然減・社会減対策を初めとする四つの重点事項を中心に、事業費で840億円程度、このうち新規事業で26億円程度を重点措置したところでございます。
 また、長期的には、いわて県民計画(2019〜2028)に盛り込まれております人口ビジョンの見通しのもと、三つのゾーンプロジェクトなどを通じて、地域の強み、特徴、イノベーションの力を生かして、地域の特性や課題を踏まえた長期的な観点に立った事業を展開しております。
 これらにより、人口減少の背景にあるさまざまな生きにくさを生きやすさに変えていくことを目指してまいります。
〇臼澤勉委員 2月14日に、令和6年度当初予算案におけるマニフェストプラス39関連事業ということで資料をいただきまして、本当にありがとうございました。この中でも、まず、第1項目の子育て支援策とか、そういった部分での人口減対策をやっているのですけれども、新たな視点、手法を取り入れたものなどを整理してやっていったということでありました。
 先ほど人口減少対策関連の予算は840億円で、新規事業で20億円程度ということでお話がありました。参考までに、隣の秋田県は、女性や若者の県内定着、回帰を促すため、未来の秋田を支える人への投資ということで87億9、000万円を計上し、あるいは、大卒の県内就職率を上げるための新たな奨学金助成制度も盛り込んできていました。
 改めてお伺いいたしますけれども、今までの政策では効果がなかなか上がってこなかったというのが数字で出ておりますが、ここの反省をどう捉えて、改めて今回の令和6年度の新機軸なり、どういった事業に取り組み効果を上げようとしているのかお伺いします。
〇加藤政策企画課総括課長 社会減対策について申し上げますと、今年度、少子化要因に関する分析を行いまして、出生数の減少の要因としまして、有配偶率あるいは有配偶出生率の低下によって出生率が低下することに加え、女性の出生の減少と転出による女性人口そのものの減少があることが明らかになったところでございます。
 このため、人口問題対策本部会議におきまして、少子化対策3本の柱として、有配偶率や有配偶出生率の向上に加え、女性の社会減対策を強化する方向を打ち出したところでございます。
 こうした方向性を踏まえまして、令和6年度当初予算案では、有配偶率につきましては、いきいき岩手結婚サポートセンター―i―サポの機能充実あるいは利便性向上といったところ、あとは、新婚家庭に対する10万円の県単補助の充実などをやっております。
 これらに加えまして、女性の多様で柔軟な働き方の推進、女性や若者が生き生きと活躍できる環境づくりなどに係る事業を拡充したほか、所得向上を図るためのスキル取得や就労に向けた支援、性別に基づくアンコンシャスバイアス解消に向けた啓発に係る新規事業を盛り込んでいるところでございます。
〇臼澤勉委員 さまざまな事業を組み込んで提案してくるのはわかるのですけれども、ただ、これが社会減ゼロあるいは合計特殊出生率の向上にどう効果をもたらすのかが、実はみそでございます。
 前に本会議でもお話しさせていただきました出生率の減少率13.8%、全国ワースト1位という状況で、婚姻件数の減少率も10.5%、全国ワースト3位、社会減も4、373人ということで、非常に厳しい数字があらわれている。ですから、それぞれの事業がどういう効果を、ここのポイントを上げていく、あるいは下げどまりの効果をもたらすのかといったところを、今回、新規事業も20億云々という話もありました。あるいは既存継続事業もあるでしょうけれども、どういった視点でこれを総合的に組み立てているのか、その考え方をお伺いいたします。
〇加藤政策企画課総括課長 事業の効果測定というところかと思われますが、有配偶率あるいは有配偶出生率などにつきましては、この間、一般質問で御答弁申し上げましたとおり、個人の選択にかかわるところもありまして、目標設定して管理するのはどうかというところがございます。
 そういったところもございまして、現在、先ほど申し上げました事業効果の測定に当たりましては、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランの具体的推進方策指標の、例えば結婚サポートセンター会員における成婚者数、あるいは年次有給休暇取得率、いわて働き方改革推進運動参加事業者数などの達成を図ることで、いわて幸福関連指標であります合計特殊出生率あるいは総実労働時間の減少、共働き世帯の男性の家事時間の割合などの向上を目指していくこととしております。
〇臼澤勉委員 さまざまな要素が絡むのはわかるのですけれども、ただ、それ全部を手広くあれもこれもやっていこうとすると、やはり予算効果が軽減されていくと思うのです。
 ある程度、合計特殊出生率と、例えば女性の社会減の因果関係というのは相関関係があるとも言われております。詳しくそういった分析も必要であり、例えば地域アプローチということで、出生数の減少、女性の人口減少についても、沿岸、県北地域の減少率が非常に高く、あるいは有配偶率の減少も、地域性で見ると、沿岸、県北地域が高いというような分析もされている。そうだとするならば、そういったある程度重点的なエリアを対象にするのだとか、あるいは今回の特殊出生率であったり婚姻率を上げていくための具体的な政策を、この事業をやることによって0.1ポイント上げるのだとか、これを複合的に絡めると1ポイントぐらい上がっていくような、そういった仮説を立てながらやっていくのがEBPMだと認識しております。
 達増県政の1期から5期の数字を私も分析しながら見ています。そういった中では、やはり全国順位も年々、残念ながら下がってきている。これは、私は各都道府県間の地域間競争だと思っていますので、そういった意味で、アイデアを出しながら、総力戦で岩手県民の豊かな暮らし実現のために進めていただきたいと思います。
 データに基づく政策の見直しと改善、どのような手法を今回導入する予定なのか、そして、その効果測定の方法についても具体的に教えていただきたいと思います。
〇加藤政策企画課総括課長 データを活用した事業立案についてとの問いかと思いますが、臼澤勉委員御紹介のとおり、仮説を立ててというのは、まさにそのとおりでございます。それで、今年度、少子化対策につきましては、データをもとに、地域分析あるいは経年の分析等を行いまして、寄与度を算出した上で、有配偶率あるいは有配偶出生率、女性の社会減が出生数、出生率減の原因だというところを上げているところでございます。
 これらをはかる指標といたしまして、先ほどと重複いたしますが、有配偶率などは個人の選択にかかわるものでございまして、数値を目標で管理するのはどうかというところもありますので、これは人口減少問題対策本部会議で随時明らかにしながら、きちんとウオッチしていきたいと考えております。
〇臼澤勉委員 さまざまな仮説を立てながら取り組んでいくということで、本当に御努力は評価もしますし、簡単な問題ではないというか、これをやったらすぐ上がるということでないのも重々わかっております。
 ただ、今回の新規事業の中でも、例えば婚姻率を上げるため、i―サポを活用したお食事券の配布事業も出てまいりました。知事も記者会見で、心を動かす対策だということで、具体的な取り組みとして、やはり心を動かさなければ、こういった解決にならないと言っておりました。ただ、その一つがこの食事券なのかというのが、きのうも総括質疑でいろいろありました。
 私も、さまざまな若者たちの意見とかも聞くと、この辺がどう寄与度に貢献するのかといったところを、非常に疑問視する声もありまして、先ほど、さまざまな新規事業についても、指標の数値を上げるために貢献する事業として組み立てているのだというお話もありました。
 改めて、これは、担当部署は違うのかもしれませんけれども、政策を組み立てている、あるいは全体的な枠組みをつくっている政策企画部として、この事業の寄与度をどのように評価して予算を提案しているのか、お伺いします。
〇加藤政策企画課総括課長 お食事券配布の寄与度でございますけれども、こちらにつきましては、寄与度というものは出しておらないのですが、実態といたしまして、i―サポでマッチングしましても、その後、実際に会わないといったケースが非常に多いということがございまして、これを解消する一つの方策として、食事券を配布してきっかけづくりをするということです。それによって、結婚支援につなげていくという考えであると聞いております。
〇臼澤勉委員 さまざまな評価はあるかと思いますけれども、ただ、額も少額ではあります―少額という言い方ではないですが、ほかの事業に比べて限定的な額にとどめておりますが、それぞれの政策、事業効果をぜひ検証しながら、予算あるいは枠組みをつくっていっていただきたいと思います。
 最後に、市町村との連携について聞いて、終わりたいと思います。今回も特命課長をそれぞれ配置するということでありました。これまでも広域振興局には文化スポーツ部所管の特命課長を配置していたものを、あえて言うならば、今度それを組みかえたというようなものなのかというところもありますけれども、これがどのように効果を上げていくのか。本庁とそれぞれの広域振興局の特命課長を含めた役割分担についてお伺いします。
〇加藤政策企画課総括課長 市町村との連携についてでございますが、人口減少対策の推進に当たりましては、市町村それぞれ人口減少の要因等が異なっておりますことから、その状況を共有し、県と市町村が連携して対策を講じることが重要と考えております。
 このため、市町村に近い広域振興局に特命課長を配置しまして、機動的な事業執行などができることを狙っているところでございます。
 加えて、少子化分析や対策の検討を行う伴走型支援も、町村支援としてモデル的に実施する予定としておりまして、これらによりまして、市町村の人口減少対策の重点的な支援につなげてまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 今回はこの程度にいたしますけれども、先ほどのi―サポの取り組み、あるいは県主催の縁結びイベントの令和5年度の実績も見せていただいております。盛岡市、北上市、久慈市、宮古市でそれぞれ開催してはおりますけれども、先ほどもデータでお話ししましたが、少子化の地域分析の中で、やはり沿岸地域、県北地域の減少率、有配偶率の減少というような、これが極めて大きなポイントになっていると思います。ならば、やはりこういった沿岸地域、久慈市とか宮古市といった部分についても、同じように開催するのではなくて、さらに重点化した取り組み、具体的な事項を組むべきだと思いますし、そういった予算のつけ方を進めるべきだというところを指摘して、終わりたいと思います。
〇大久保隆規委員 それでは、私からは2点ほどお尋ねさせていただきます。
 まず、最初の1点目が、令和6年度当初予算案におきまして、自然減、社会減対策では、コロナ禍による婚姻数の急減とこれに伴う出生数の減少を踏まえ、新婚世帯に対する支援金の県独自の上乗せを行うほか、コロナ禍後の社会減の再拡大を踏まえ、ニューヨークタイムズ紙掲載を契機とした交流人口、関係人口の拡大を進めることと示されております。
 この交流人口、関係人口の拡大を目指しまして、今後、政策をどうデザインされていくのか、その方向性について教えていただきたいと思います。
〇荒澤政策課長兼調査監 交流人口、関係人口の拡大に向けた取り組みについてでございますが、令和6年度は、魅力ある雇用の場の確保やU・Iターンの促進などこれまでの取り組みに加え、昨年、ニューヨークタイムズ紙掲載を契機に見直された地方の持つ価値や魅力を最大限に発揮して、交流人口、関係人口の拡大を図ることとしております。
 交流人口、関係人口の拡大に向けては、地域の財やサービスの需要の増加や地域のにぎわい、コミュニティーの活力の創出など直接的な効果に加え、地域の価値や魅力の認識を通じて県内定着の促進につながると考えられることから、これらを通じて本県への新たな人の流れを生み出してまいります。
〇大久保隆規委員 自然減、社会減対策で、いわゆる自然増、社会増は一朝一夕にいかないわけですから、やっぱり交流人口、関係人口の拡大にしっかり取り組んでいくこと、これからの県の政策のデザインをきっちり深めていく必要があると思いますので、今後も、具体的なメニューの厳選も含めまして、お取り組みをよろしくお願いいたします。
 続きましては、もう一点でございますけれども、限られた行財政資源の中で、多様化、複雑化する行政需要に対応している小規模町村に対して、柔軟に対応できる伴走型の支援体制を構築し、実効性のある事業を展開しながら地域課題に立ち向かうことが示されております。
 この伴走型の支援体制を具体的にどこまでお考えなのか、お示しいただければと思います。
〇荒澤政策課長兼調査監 小規模町村に対する伴走型の支援体制についてでありますが、今年度、実施した本県の少子化要因の分析において、圏域ごとの出生動向や人口移動状況等についての分析を行っており、女性人口や有配偶率の減少の度合いなどに地域差が見られたところです。
 こうした状況から、市町村がそれぞれの地域事情に応じた結婚、出産、子育てなどの自然減対策に加え、若者の転出など社会減対策も含めた取り組みが必要となりますが、特に、小規模な町村においては、少子化対策の立案等に携わるマンパワーが不足していることなどが課題であると考えています。
 このため県では、令和6年度当初予算案において、小規模な町村を対象として、地域課題の詳細な分析に基づく施策立案に向けて、専門家等と連携しながら伴走型支援を行う、地域課題分析型少子化対策支援事業を新たに盛り込んだところです。
 令和6年度においては、モデル的に3町村程度へ支援を実施する予定としており、取り組みの中で得られた知見やノウハウ等は、ほかの市町村にも共有し、取り組みの横展開を図っていくとともに、地域振興室及び各広域振興局に市町村人口減少対策支援の特命課長を配置し、市町村の課題等に沿った人口減少対策を支援していく考えです。
〇大久保隆規委員 わかりました。誰ひとり取り残さないという言葉もございましたし、また、どこの町村も取り残さないということから、これは非常に大切な取り組みになってくると思います。新しい時代を切り拓くプロジェクトを着実に推進されるためにも、しっかりとお取り組みいただくことをお願いして、終わります。
〇佐々木宣和委員 私は、ふるさと振興総合戦略に関して伺っていきたいと思います。
 平成26年からスタートしたものでございまして、人口ビジョンを平成27年に立てて総合戦略をスタートさせたということです。5年間取り組んで今2期目の途中というところですけれども、国の約款の変更もありまして、デジタル田園都市国家構想の要素を踏まえて、2年プラスして7年間の計画の途中というところでございます。
 地方創生に関してのポイントとして、今回、この議会でもKPIと重要指標に関してさまざまな意見があるところですけれども、地方創生に関してのポイントは、KPIとPDCAサイクルを回すということだったと思っています。
 これをどのように評価しているのかというのをまず伺いたいと思います。要は、KPIを設定してPDCAサイクルをしっかり回していくということで、政策のサイクルが速くなったということなのか、改善件数が多くなっているのか。また、それによって予算の割り振りをどんどん展開できているような形になっているのか。要は、KPIとPDCAサイクルを回すことに関して、どう評価しているのか伺いたいと思います。
〇荒澤政策課長兼調査監 ふるさと振興総合戦略の進捗と評価についてでありますが、第2期岩手県ふるさと振興総合戦略では、例えば、岩手で働くにおいて、社会減ゼロといった施策推進目標を掲げた上で、商工業振興戦略など、それぞれの取り組みにKPIを設定しているところです。
 このうち施策推進目標につきましては、各年度の実績値を把握するとともに、KPIにつきましては、各年度の達成状況を評価し、今後の方向性を明らかにした上で、毎年、第2期ふるさと振興総合戦略の取り組み状況として、総合計画審議会や議会に報告し御意見等を伺うという形で、PDCAサイクルを回しています。
 予算への反映ということでございますけれども、このPDCAサイクルの中で、実態を把握した上で今後の方向性を明らかにして、それを次年度の予算に反映するという作業をしているところです。
〇佐々木宣和委員 少し質問の仕方が悪かったような気もしますけれども、要は、政策を更新していくスピードが速くなったということではないという感じなのですか。それまでも1年間に1回という政策評価というのはずっとしていると思いますけれども、地方創生のキーポイントとしてKPIとPDCAサイクルを回そうということでした。私も初めの議員研修で伺ったような気がするのですけれども、それをやることによって、精査することに関しては、今、どういう影響があるような状態になっているのかをわかりやすく。
〇加藤政策企画課総括課長 KPIとPDCAサイクルについてでございますが、一応、基本的には佐々木宣和委員御指摘のとおり、政策評価と同じようなサイクルでございまして、実績を踏まえて、その上でということになります。
 ただ、自然減、社会減対策について申し上げますと、全庁の部局横断的な人口問題対策本部会議を設置しておりまして、春に、まず人口データでどうなったかの確認をいたします。その上で、秋に分析をしまして、その分析を踏まえた次年度の方向性を出します。それを踏まえて、各部局で予算要求、事業化するというプロセスとしておりまして、それによって、社会減ゼロあるいは合計特殊出生率向上に資するような事業を事業化していくというプロセスでやっております。
〇佐々木宣和委員 そして、総合戦略で地方への人の流れをつくるですとか人口減少に歯どめをかけて、岩手県がより個性を伸ばすような計画にしていくものだと思っているのですけれども、岩手県が立てている総合戦略の特徴は何なのかを伺いたいと思います。
 平成26年、27年のときにスタートした際には、総合戦略を立てるのがかなり難しいというか労力がかかるというところで、コンサルに頼んでとか、大体同じような内容で金太郎飴なのではないかという話もあったと記憶しています。個性を出すためには、戦略の特徴を岩手県としてもしっかり把握していかなければいけない部分だと思いますけれども、この点に関して教えていただきたいと思います。
〇加藤政策企画課総括課長 戦略の特徴についてでございますが、ふるさと振興総合戦略自体は、いわて県民計画(2019〜2028)から人口減少に係る対策を抜き出してまとめているものでございます。
 それのもととなりますのが、どちらかというと、特徴的なところといたしましては人口ビジョンでございまして、人口ビジョンにおきましては、超長期の人口の見通しといたしまして、あらゆる世代がバランスよく安定化する定常状態を将来の姿として掲げております。
 この定常状態に移行するに当たって、まず、若年層の転出の社会減ゼロが大事だということ、あとは、新しく生まれてくる子供がふえ安定化するように、合計特殊出生率の向上が大事だという、これを特徴といたしまして人口ビジョンを掲げております。この社会減ゼロと合計特殊出生率の向上を目指した形で、ふるさと振興をまとめているところが特徴でございます。
〇佐々木宣和委員 どこの県も同じようにやると、結果も同じような動態になるのではないかというところで、何か差分を、要は人口予測も繰り返しだと思うので、それを変えるために特徴的な産業なりを伸ばそうということをやっていくものなのではないですか。違うのですか。
〇小野政策企画部長 今、政策企画課総括課長からお話し申し上げましたように、基本的には、国の総合戦略も踏まえつつ、勘案しながらつくっているものでございます。例えば、現行のデジタル田園都市国家構想総合戦略ですと、さまざまデジタル関係もあるんですが、大きな人口減少対策ですと、地方に仕事をつくる、それから、人の流れをつくる、結婚、出産、子育ての希望をかなえる、そして、魅力的な地域をつくるというような4本柱になっています。
 岩手県は、これを勘案しますので結構近いのですけれども、御承知のような4本柱になっておりまして、その中で特徴的といいますと、岩手とつながるといったところかと思います。これは、交流人口、関係人口ですね。
 特に、今回の改訂に当たりましては、やはりニューヨークタイムズ紙の効果がございましたので、これを積極的に、その効果を全県に波及させていくのだといったことについて、岩手県として独自色を出しているといったことがございます。それから、四つの柱、そして13の戦略に基づいてつくっておりますけれども、その中に、いわて県民計画(2019〜2028)で進めております三つのゾーンプロジェクトに該当するような戦略もこの総合戦略の中にも位置づけておりまして、いわて県民計画(2019〜2028)が大きな傘といたしますと、その中で人口減少対策に特化した総合戦略といったことで、いわて県民計画(2019〜2028)の流れも入れつつ総合戦略をつくっているという特徴がございます。
〇佐々木宣和委員 次に行きたいと思います。
 この総合戦略の計画期間の中で、岩手県の特異性とすれば、東日本大震災津波の復旧、復興に取り組んでいるさなかに、台風も来たり、新型コロナウイルス感染症の流行もあったというところかと思っています。
 これは、一般質問で知事にも質問させていただいたような話ですが、結局、台風災害等もたくさんあって大変だったのですけれども、ふるさと振興に関して言えば、いろいろな裁量もあったのではないかとも思っております。単純に言えば、予算がたくさんあったという感覚もあって、地域を活性化させるためのいろいろな仕掛けもできることもあったのではないかと思っております。
 ただ、それもなくなってきて、これからどんなことをしていこうかというときに、9年連続で予算が少なくなっていることもそのとおりですけれども、結局、裁量があったときに、どんな種をまいていたのかというところ、それがつながっているのかということを伺います。
〇加藤政策企画課総括課長 ふるさと振興総合戦略につきましては、佐々木宣和委員御指摘のとおり、国の予算措置が充実していた面もございまして、例えば、地方創生拠点整備交付金を活用しまして、岩手県工業技術センターに大型電波暗室という現在のものづくりを支える基盤を整備したり、あるいは医療関係の研究室、TOLICの貸し研究室をつくったり、あるいは、一時、復興のための仮設住宅建設用地としていて使えなかったのですが、民間活力を入れまして、最近ですと陸前高田市のオートキャンプ場をリニューアルして再オープンした、こういったところに国の財源も活用して、現在につながっていると考えているものでございます。
〇佐々木宣和委員 そういったところでさまざま取り組んできたところでありますけれども、デジタル田園都市国家構想に変わってきて、よりデジタルのほうにシフトするような形でその交付金等も終えられるような形かと思っています。いわゆる国の計画が変わったものに対して、県としてどう捉えているのかということと、どう戦略を傾けていこうと考えられているのかを伺いたいと思います。
〇加藤政策企画課総括課長 国の方針変更に伴い、どのような対応をしていくかというところでございますが、佐々木宣和委員御指摘のとおり、デジタル田園都市国家構想交付金などは、本当に大分デジタルに寄って活用しなければならないといったところもありまして、それに応じたような形で、ドローンの活用あるいはスマート農業といったもので獲得を目指しているところでございます。
 あわせて、先ほど申し上げましたとおり、本県は関係人口、交流人口にニューヨークタイムズ紙の効果も見込まれるところでありまして、そういった関係人口、交流人口拡大に向けた取り組みなども、国の方針も踏まえまして、獲得に向けてチャレンジしているところでございます。
〇佐々木宣和委員 次に、ゾーンプロジェクトでございます。
 先ほど政策企画部長からも、ゾーンプロジェクトというものが、一つ将来への期待ともなるのではないかというお話がありました。今回、予算に関する説明書のポイントでも、それぞれ事業を整理して掲載いただいているところですが、私も、上げられた事業を足し合わせてみたところ、前年もやりましたけれども、北上川バレープロジェクトが7億7、400万円、三陸防災復興ゾーンプロジェクト3億6、100万円、北いわて産業・社会革新ゾーンプロジェクト1億円少しというようなところでした。
 今後の展開等にしても,北上川バレープロジェクトは、働く場所があるから、今度は人材育成にシフトして力を入れていこうという内容だったり、三陸防災復興ゾーンプロジェクトに関しては、道路を使ってしっかり活用していこうという内容です。北いわて産業・社会革新ゾーンプロジェクトは、もちろん書いている内容はすごくいいのですけれども、実装するのにまだまだ時間がかかるかと思っているところです。要は、人口減少が非常に進んでいる地域で、こういう理念的なものをやると、それよりも何か、道路をつくってくれとか、そういう話もあるかと思うのですが、北いわて産業・社会革新ゾーンプロジェクトの話は、地元の方々とどういう整理をして今回こういった組み上げになったのかというところと、ほかのプロジェクトに関しても伺いたいと思います。
〇加藤政策企画課総括課長 ゾーンプロジェクトにつきましては、それぞれプロジェクトごとにワーキンググループを設置しておりまして、その中で事業の立案等をやっているところでございます。
 北いわて産業・社会革新ゾーンプロジェクトにつきましては、現在、推進体制が整ったところでの今回の予算計上となっております。これを基盤に、これから事業の具体化のステージに入っていくものと考えております。
〇佐々木宣和委員 北いわて産業・社会革新ゾーンプロジェクトの場合は、プラチナ構想ネットワークの方々だったり、COI―NEXT等の知見を生かした地域振興など、おもしろそうな話がかなりあるようなところですけれども、これは、ゾーンとしてこうやって方向性をつくっていくときに、地元の人がどのぐらいかかわっているのか。受ける組織体ももうできているとは思うのですけれども、中長期的にどういう発展が見込めるのかというのは、まだ見えていないのではないかとは思っています。ただ、進めていただいているのは見えているところでもあります。
 人口減少問題に関して、かなり中長期の話で、それこそ、いろいろな政策をやって人口が安定するのが2115年と超長期目標で、今の社会保障・人口問題研究所の目標は、予測がかなり下回っている、今まで立てた予測より人口減少が進んでいる中で、人口減少に関する対策云々と言っている時点で守りというか対応策が多いような感じを持っています。人口が減る中での社会地域づくりを楽しんでやるような形がいいかと思っているところでもあります。
 そういう報道がさまざま出ると、苦しいなという言い方しかないようなところですけれども、前向きに取り組んでいくような取り組みを期待したいところですが、きょうの全般的な所感を政策企画部長に伺って、終わりたいと思います。
〇小野政策企画部長 ただいま佐々木宣和委員からお話がございました人口減少対策、それから人口減少社会を踏まえた前向きな取り組みといったこと、両方必要と考えております。
 まずは足元、そして、今後七、八年ですか、2030年あたりがラストチャンスというようなやりとりは国でもございますし、さまざまな有識者のお話でもありますので、ここについては、岩手県としても、議会でもさまざま御議論いただいている内容のとおりでございます。しっかりと人口減少対策をやっていかなければいけない。
 加えて、人口減少は、先ほどお話がありましたように、定常状態に向かう過程の中で、どうしても人口減少は受け入れなければいけないといったところがございます。そういう中で、先ほどございました三つのソーンプロジェクトでございますが、特に、北いわて産業・社会革新ゾーンプロジェクトに関しては、イノベーションといいますか、さまざまな技術革新を地域の中でしっかり生かしていこうという考え方の取り組みでございます。
 まだ、COI―NEXTを初めとして具体的なところが見えないではないか、あるいは再生可能エネルギーのところも緒についたところではないかといった御意見もございますけれども、地域にどういう効果があらわれるのかをしっかり御説明しながら、あるいは意見交換をしながら進めていくことによって、より市町村、そして地域の企業、事業者の皆さんを初め多く方々の御理解と参画をいただいて、ゾーンプロジェクトを展開していくことが重要と考えております。
 引き続き、このゾーンプロジェクトの見える化について、意を尽くしてまいりたいと考えております。
〇松本雄士委員 私からは、これまでの委員もそういった観点だったかと思うのですけれども、政策評価とマネジメントの仕組みについて、私からもお伺いします。
 自然減・社会減対策、GX―グリーントランスフォーメーション、DX―デジタルトランスフォーメーション、安全・安心な地域づくり、この四つの重点事項を実践していくための政策評価とマネジメントについてお伺いします。
〇加藤政策企画課総括課長 いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランの推進に当たっては、いわて幸福関連指標の状況、県民意識調査等で把握した県民の幸福に関する実感、社会経済情勢等を勘案して政策評価を行い、全庁的なマネジメントサイクルを確実に機能させながら、次年度の施策に反映させることで実効性を確保することとしております。
 このような中、四つの重点事項につきましては、今年度からスタートした第2期アクションプランに初めて掲げたものでございまして、実績が明らかになります来年度の政策評価結果を踏まえて、施策の必要性、緊急性等を見きわめ、次年度の施策展開へとつなげていくこととしております。
〇松本雄士委員 そういった答弁になるかと思います。これまでの方々に対しても、そういった答弁でありました。いわて県民計画(2019〜2028)、岩手県ふるさと振興総合戦略等ですね。
 私の単純な思いとしますと、四つの重点事項は本当に大切だと思うのですけれども、この四つの重点事項に対して、県は何を目玉にやっていって、それをどう評価し、よかったのか悪かったのかというのは、どういった指標で見ていくのか。もしそれがだめだったら、どう軌道修正を、どういった体制で、どういうスケジュール感でみたいなものがもっとシンプルにあっていいのではないかと思います。
 私だけかもしれませんけれども、非常にわかりづらいと思っております。それは県民もそうなのではないかと思っております。ここでのやりとりで、皆さん納得される方も多いのかもしれませんけれども、県民のはどう思っているのかということに対して、県当局の見解について伺います。
〇加藤政策企画課総括課長 四つの重点事項ごとに評価すべきではといった問いかと思いますが、県の総合計画でございますいわて県民計画(2019〜2028)では、政策、施策の方向性を示した上で、その下に年度年度の予算で事務事業を位置づけるという政策の体系になっております。
 四つの重点事項につきましては、この事務事業レベルを強化するものでございまして、予算要求において削減額の3倍までの要求を認めることで、上位の施策の効果を高めて、ひいては幸福関連指標の向上を目指そうとするものでございます。
〇松本雄士委員 県当局の方は一生懸命、緻密につくり上げているのだなと思います。私が問うていることも、いわて県民計画(2019〜2028)、岩手県ふるさと振興総合戦略を見ればいろいろなところにばらばらにあるのだと思います。ただ、やはり印象というか感想は、わかりづらいです。
 本当に大切なことなのですが、広く県民にそのことを理解してもらって一丸となって取り組んでいくためには、指標であったり目標とすべきところを共有できなければなりませんし、そこに向かって歩みを進めていって、その結果がどうなのだというのも、わかりやすく公表、検証できる体制が必要なのだと思います。
 どうしてわかりづらくなっているか。もともといわて県民計画(2019〜2028)みたいな本館があるところに、別館、新館、渡り廊下みたいになってきて、どこが本体なのか、目玉は何だったのかが非常にわかりづらくなっている。
 小野政策企画部長も、ロジックモデルのあたりをいつも説明を丁寧にされるのですけれども、それはパーツパーツを見れば確かにあると思うのですが、それがいろいろなところにちりばめられていて、せっかくのロジックモデルが台なしかなという印象を受けております。
 ぜひとも、県民にわかりやすく、県民と一体となってこの四つの重点事項を実践していただきたい。特に人口減少対策、そしてGX、世界のいろいろな環境変化でGXも不可避なのです。人口減少対策とGXは本当に取り組んでいかなければならないのですけれども、そういったところを軸にした政策分野や指標の再設定、いわて県民計画(2019〜2028)の再編成が必要と考えますけれども、その見解をお願いします。
〇小野政策企画部長 今、松本雄士委員からお話がございましたが、県民にとってもなかなかわかりにくい形になっているのではないかといったことです。
 計画の体系につきましては、先ほど加藤政策企画課総括課長から説明申し上げたとおりですけれども、過去のアクションプランに、実は政策推進目標という幾つかの、10以内の大きな目標がございまして、政策体系がそれとパラレルにあって、その関係性が極めてわかりづらかったというような反省が、前の前の計画のときにございました。
 それを踏まえて、今回のいわて県民計画(2019〜2028)については、10の政策分野、そして具体的推進方策、指標、そこを明確にロジックで位置づけているのです。一方で、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランは、やはり人口減少対策に集中するといったことで、選択と集中ということで、四つの重点事項を10の政策分野から特出しする形で設けているという考え方でございます。ですので、10の政策分野と四つの重点事項は別々ではなくて、10の政策分野の中から四つの重点事項に関連するものを取り出したという考え方でございます。
 ただ、一方で、おっしゃるとおり、なかなか見えづらいといったことはあると思います。四つの重点についても、その取り組みレベルで申し上げますと、指標がついております。ですから、御理解いただく中で、そういった指標を再掲のような形でピックアップして見やすくするといった工夫ができると思いますので、これについては検討させていただきたいと思います。
〇松本雄士委員 本質を捉えて、皆さんが本当に理解していれば、簡にして要を得た表現であったり取り組みになると思っております。ぜひ、そういったものを突き詰めていただきたいと思います。
 今のいわて県民計画(2019〜2028)であったり、指標、政策分野の再設定というのは、現段階では難しいということだと思います。そういったことで、当面このスタイルの計画で進めていかざるを得ないということであれば、実務的な細かい要望というか質問になるのですけれども、今回の予算特別委員会に対して政策評価結果の政策等への反映状況報告一覧が資料提供されました。こういった事務事業をやってきて、活動成果指標で拡大、継続、廃止みたいなものが見られる資料ですけれども、それによりますと、令和6年度の当初予算案において、事務事業評価結果と反映結果に相違が生じた事業が157あったということであります。Aと評価していたのに、事業が縮減になったり廃止になったり、その逆であったりと、評価結果と反映結果に差異があった。
 これにはいろいろ県財政を踏まえた整理、統合や重点事項に係る戦略的な考えもあったでしょうし、国の制度変更等もあったと思うのですけれども、この評価と反映結果に相違が生じる事業について、活動指標や成果指標の見直しであったり、また、どうして差異が出たのかというあたり、これらの対応についての考えをお伺いします。
〇八重樫評価課長兼調査監 先ほどありましたとおり、157事業に相違が出ているということで、その内訳としましては、継続と評価したもので拡充としたものが63事業、継続と評価したが、廃止、休止として計上している事業が23事業ということで、その割合が多くなっております。
 例えば、継続から拡充に至った事業としましては、認知症対策等総合支援事業費などがございまして、令和6年1月に法が施行されたことで、法の趣旨に基づいて取り組みを強化した事業などもございます。あとは、継続から廃止、休止に至った事業といたしましては、中小企業被災資産復旧事業費補助などのように、沿岸市町村の要望を受けて実施する事業でありますけれども、こちらについては、現時点で要望がなかったということで計上していないものなどがございます。
 こちらにつきましては、事業の実施に当たっては、やはり評価と反映状況が結びつくことがまずは大切だと思っておりますので、評価の時点で、国、関係機関の取り組み状況の把握に努めますとともに、施策、事務事業が本当に成果につながっているのかということをしっかり検討しまして、評価から事務事業と予算編成過程につなげていきたいと考えております。
〇松本雄士委員 先ほど来、KPIとかPDCAとかロジックモデルといった片仮名語が飛んでいますけれども、いずれ狙いとしたところに対して、どういう結果で、それがどうだった、よかったのか悪かったのか、だからこう見直すのだという経過をわかりやすく、もっと狙いに対してシンプルであっていいのだと思います。
 制度設計は、当然これだけ多様、複雑になってくれば、より高度なものが求められてくるのでしょうけれども、本当にみんなが一体となって向かっていく先はシンプルにあらわしていってほしいと思います。そういうふうに、いわて県民計画(2019〜2028)等のつくりをさらに検討していただきたいと思います。
   〔「関連」と呼ぶ者あり〕
〇高橋穏至委員 今、佐々木宣和委員と松本雄士委員と続けて、私が総括質疑で取り上げたことに関連したような質問だったのですけれども、今のやりとりを聞きながら、私が総括質疑のときにも問題視したKPIの設定の仕方については、去年の予算特別委員会のときに、そもそもKPIの数値はどう設定しているのかお聞きしたことがありました。要は、大体8割以上が目標を達成できるけれども、幸福関連指標には結びついていない、さっきの出生率とかがあるけれども、KPIの設定そのものがどうなのだというのを取り上げたことがあるのです。
 今のやりとりを聞いていても、今こういった状況になって、事業をしっかり評価して、見直して、そして、次の事業を組み立てるというPDCAサイクルの中で、今回、令和4年度の結果一覧でもKPIにしているのが254指標あるのです。
 令和4年12月、たしか令和5年に入るときに見直しをかけて、総合戦略が2年ずれたことによって、事業も変わって、名前が変わったりして、KPI自体も、継続してあるものもあるけれども、実はなくなったものもあるし、また、出てきたものもあるしという形で整理されているのですが、KPIの設定が、数値化しやすいようにということで、大体事業に張りついたような形の数字が結構あるものですから、その事業のKPIを評価しながら、次の事業を見直すときに、KPIにとらわれて、大胆な、要は、廃止して新しいものをつくるという作業ができていないのではないかと思いました。それが妨げにもなっているのではないかという気がしながら、今のやりとりを聞いていたのですが、そういうことはないでしょうか。
〇加藤政策企画課総括課長 我々の指標設定、KPI設定のアプローチとしましては、通常解決すべき課題がありまして、その課題を解決した状態をシンプルに、客観的に状態をあらわした上で、それに該当するデータを探すというアプローチをとります。ですので、基本的には、事業の課題の解決した状態を踏まえた上でのKPI設定になっているかと思います。
〇高橋穏至委員 大もとの幸福関連指標があって、それを達成するために、どういう戦略でいくかというので、それの下にKPIが張りついていてという構造にはなっていると思うのですけれども、先ほどの、では、評価と反映のそごがあった理由の中に、例えば国の方針が変わったから評価が変わったという表現があったのですが、でも、事業の評価は国の方針とは全く別物ですね。事業の成果が上がっていることを評価したのかどうかの部分にはならないのではないかと思います。要は、事業を評価する部分において、何かKPIにとらわれてというか、数値だけで、本体の事業の改廃とか拡充とかといった評価にきちんと結びついているのかというのが、今のやりとりの中で疑問に思いましたので、質問しました。
〇小野政策企画部長 今、高橋穏至委員からお話がありました、国の制度が変わったとか、そもそも国のさまざまな補助とかがなくなったからといったことで廃止というような形でやったものもございます。これは、KPIにとらわれてというよりは、KPIに基づく評価とは別の要素として廃止が行われたといったことですので、それは評価とはまた少し別な話ではないかと思います。
 基本的に、評価を行うときには、先ほどお話ししたようにシンプルといいますか、その事業あるいは施策の効果を一番しっかりとあらわせる指標を設定しているということでありまして、今回、廃止が多かったものですから、そこについて改めて確認したところ、そういった要素が多かったといったことでございます。
〇高橋穏至委員 それはそれでわかりました。
 あと、もう一つ気になったのが、今回、新しく設定した四つの柱の部分があったということですが、事業そのものは継続している事業がほとんどで、結局、その割り振りといいますか、今まである事業だけ、これはこれに当たるというくくりが新しくできたのかなと思います。今回、要は、今まであった事業を再分類したような形で4本に整理して、岩手県ふるさと振興総合戦略で分野ごとの位置づけを再分類して、今回重点で令和6年度でこうしましたという内容で、それに対する評価は来年度にならないと出ませんというのはそのとおりだと思うのですが、事業そのものは、新規はあるけれども、継続が結構いっぱいある。その中でしっかり見直ししていかないといけないと思います。
 わかりづらいというのは、結局、計画がいっぱいあって、事業は同じなのだけれども、分類が変わっているから余計わからなくなるのかと思います。私も総括質疑の質問の準備をしながら、これはどこで、この事業に関してはと、再掲がいっぱい出てくるものですから、この事業は一体どれの部分にどう効果があったのかを評価するのが難しくなっているのではないかという気がするのですけれども、その辺はいかがでしょうか。
〇加藤政策企画課総括課長 四つの重点事項の取りまとめ方、評価ということでよろしいでしょうか。
 四つの重点事項につきましては、先ほどわかりやすくまとめるということで、関連する幸福関連指標や具体的推進方策指標がございますので、それを抜き出した形で、それに関連する事業を整理するといった見せ方を今後検討していきたいと考えております。
〇高橋穏至委員 それはそれでいいですけれども、要は、どれがメーン事業ですかと聞かれたとき、再掲とかそういうもので事業をいっぱいくっつけているから、わかりづらくしているのではないか。要は、項目に対して、上位の目指すべきものに対する寄与度で、これが1番、これが2番ぐらいに整理されていると、もっとわかりやすくなるのではないかという意味ですけれども、どうですか。
〇小野政策企画部長 再掲事業が多いというのは、特に人口減少対策の中では、それこそ自然減対策の中に女性の社会減対策といったものも盛り込まれているように、シンプルにこれはこれと割り振れないところがありまして、どうしても再掲、関係するものがあるので、そこはどうしても複雑になってしまうということは、なかなかいかんともしがたいところかと考えております。
〇高橋穏至委員 その事情は察しますけれども、いっぱい事業があるとやっている感が出るのですが、限られた予算ですので見直しをしっかりしてほしいと思います。要は、サイクルを回しながらしっかり中身を見てほしいという思いで話しております。
〇斉藤信委員 私は、最初に知事のマニフェストプラス39について。
 先ほども議論がありましたが、2月14日付の令和6年度当初予算案におけるマニフェストプラス39関連の事業についてという資料をいただいて、9月4日に選挙が終わったばかりで、半年もたたない中で、39の公約のほとんどの項目が予算に盛られたことについて、私は高く評価したいと思います。
 そこで、全体像と、特に新規事業、拡充した事業を示していただきたい。
〇荒澤政策課長兼調査監 知事のマニフェストプラス39についてでございますが、令和6年度当初予算案では、希望郷いわてのその先へ歩みを進めるため、四つの重点事項を中心に据えつつ、マニフェストプラス39の内容を踏まえ、新機軸の事業を盛り込んだ予算編成を行ったところです。
 新機軸の事業につきましては、国内外への岩手県の強みや魅力の積極的な売り込み、相談支援を初めとする公的福祉の拠点整備、いじめ、不登校対策の強化、県北地域の農業人材の育成などを具体化しているほか、関連する事業も含め10の政策分野や11のプロジェクトなどに位置づけているところでありまして、全体で364事業、約977億円の予算規模となっているところでございます。
〇斉藤信委員 このマニフェストプラス39の具体化で、新規事業、事業を拡充したものは出ますか。―では、後で。せっかく褒めたところだから、そこもリアリズムで示していただきたい。
 達増知事が知事選挙で圧勝して、その公約を部局の方々が真剣に受けとめて来年度予算案に最大限組み込む。これの熟度は、もちろん出たばかりの新しい政策ですからわかりませんが、私は、それは本当に大変な努力だと思っております。
 先ほど聞いたものは後で聞くことにして、次に、二つ目に人口減少対策についてお聞きいたします。
 2023年の出生数は速報値ですが、全国で過去最少となる75万8、631人と発表されました。人口減少は全国的な大問題ですが、実はこの数は予想より13年早かったのです。そういう大変深刻なものです。この主な要因についてどう受けとめていますか。
〇荒澤政策課長兼調査監 人口減少の主な要因についてでございますが、高齢化が進行する中での長年にわたる少子化の継続が要因と考えており、有識者によりますと、社会経済の変化に伴い晩婚化、晩産化が進み、出生率が減少し、その後の生み戻し、いわゆるキャッチアップ、おくれて結婚、出産する動きが起こらず、少子化につながったものとされています。
 また、1990年代後半から2010年代前半の第3次ベビーブームが期待された時期に、経済危機が発生する中で、晩婚化の進行、未婚者の急増により出生率が過去最低に落ち込んだことなど、これまで少子化から脱却するチャンスがあったものの、適切な対応がなされなかったとの指摘もあります。
 本県の人口の自然減は、高齢化の進行に加え出生数の減少が大きな要因であり、出生数の減少は、若年女性人口の減少、有配偶率の低下、有配偶出生率の低下によって引き起こされていると分析しております。
 さらに、近年では、コロナ禍による婚姻件数の急減や妊娠、出産控えが出生数の減少につながるなど、新たな要因も顕在化しているという認識でございます。
〇斉藤信委員 今のお話は現象的な理由なのです。
 もう一つ、最近の重要なニュースで見ますと、韓国の出生率が0.72まで落ち込んだと。ただ、報道を見ますと日本との共通性が指摘されているのです。
 朝日新聞によると、大都市部で特に出生率が低くなっていると。ソウルに人口の約半数が集中しているのです。少子化の背景には、長時間労働などによる子育てと仕事の両立の難しさ、子育ての負担の女性への偏りなど日本とも似通う。初婚年齢の平均は男女とも30歳を超えた。日本以上と言われる学歴社会と教育熱も少子化を加速させる大きな要因だと。
 読売新聞によると、少子化の原因としては、高騰する不動産価格や教育費など子供に伴う経済的負担に対する若者の懸念が大きい。子育てに関する経済的不安を挙げた人は58%という、何か日本の話と同じなのです。私は、このまま推移したら本当に韓国の二の舞になりかねないと思います。一言で言うと、失われた30年でこの深刻な少子化がもたらされたということです。
 皆さんの分析の中で特に注目して対応しなくてはならないのは、これは少子化対策についてというものですけれども、構造的アプローチといって、若い世代の非婚意識が急速に高まっている。男女とも家庭、子育ての両立を望む人が多いが、家事、育児の負担が女性に偏りがちとなり、仕事を続けたくても難しいと考える女性も多い。結婚を諦める、結婚はするけれども子供は持たないと、さっきの韓国の話と全く同じなのです。
 だから、今は少子化というよりは、少ない若者、女性の中で、結婚を諦めるというところまで来ている。ここの打開を真剣に考えなければならないと思いますが、この点はどう検討されていますか。
〇加藤政策企画課総括課長 出生数の減につきましては、ニッセイ基礎研究所のシニアリサーチャーの天野馨南子先生から、ことしアドバイスを受けたのですが、上流であります若年女性の問題が大きいだろうということで、その背景には、20代がどんなライフスタイルを描いているかを地方自治体がきちんと把握していないことがあるのではないかと言われております。
 一例として申し上げますと、今の50歳以上の女性が考える理想の家族は専業主婦だったのに対して、今の若者は両立コースが主流ということでございまして、両立できるような環境整備なり若い未婚女性が活躍できる場が必要ではないかということで、ことしの少子化対策の強化に向けましても、女性の社会減対策を掲げて少子化対策を進めているところでございます。
〇斉藤信委員 私はもう一つ手前の話をしたのです。皆さんの資料の中でヒントがあるのです。合計特殊出生率の減少率が小さい他県の特徴として、一つは、子育て支援サービスを利用して正規雇用の職についている女性が多い。二つ目は、雇用環境が安定して共働き世帯の所得水準が高い。その結果、家計に経済的余裕が生まれ子供を産み育てやすい環境となっている。ここなのだと思うのです。そういう条件がないから、厳しい生活の中で結婚を諦めるという傾向が今出ている。
 正規雇用の職についていない女性が多い。非正規は全体で4割ですけれども、女性は6割ですから、ここの改善をしなかったら、女性が本当に結婚しようと思わない。
 もう一つは、雇用環境の安定です。家計に経済的余裕が生まれなかったら、子供を産み育てるという気にもならないわけです。やっぱり根本に安定した雇用というものがあると思います。
 しかし、賃金水準がすぐ東京都と競うわけにいかないから、根本となる安定した雇用に本気になって、岩手的な雇用の安定というイメージも示していく必要があるのではないか。そこを本気でやり、今の若い女性の結婚を諦める意識を変革していかなくてはならないのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
〇小野政策企画部長 長期的な観点から見ますと、やはり所得、生活、子育て、教育等に要するコストとの関係でのそれぞれの可処分所得の問題といったこと、それから、地域の社会的なアンコンシャスバイアスといったこともございます。そして、所得、コストの関係の背景と見ますと、若者、特に女性が安定した仕事を得られる地域の状況をつくっていくことが重要と考えております。それは、所得面もそうですし、心理面といいますか安定的に仕事ができるといったことも重要と考えております。
 先ほど政策企画課総括課長も答弁いたしましたけれども、そういった意味もありまして、女性の社会減対策を柱の一つとして上げているところもございまして、女性が働きやすい環境づくりに向けたさまざまな取り組み、セミナーもございます。あるいは会社、事業所を巻き込んだ取り組み、デジタル分野でのスキル取得に向けた、より幅広い仕事を選択できるようにといったことでの取り組み等を来年度予算に盛り込んでいるところでございます。こういったところにも力を入れながら、取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 私は、自然減・社会減対策で少子化対策の三つの柱、社会減対策の三つの柱はそのとおりだと思います。ただ、皆さんがせっかく分析して、減少率が少ない他県の特徴までつかんでいるのだから、そこを根本にして、そして、岩手県で安定して働き、経済的余裕が生まれるように、子育て支援にしても労働環境にしてもつくっていかなくてはならないと思います。そういう岩手県で女性、若者が働くイメージ、姿をわかりやすく示していく必要があると思います。
 さらに、きょうはわかりやすくという話もよく議論になったので、若者が岩手県で働きたい、結婚したいと思うような、そういうイメージが持てるような対策をあわせてしっかり進めていただきたい。
 最後になりますけれども、県政懇談会についてです。
 10回開催されて、そのうち、ほぼ半分は若者、女性との懇談ということで、私はここもすごく大事な取り組みだと思います。
 この県政懇談会で寄せられた県民、若者、女性の要望、意見の特徴、そして、県政への反映状況について示していただきたい。
〇菊地広聴広報課総括課長 ただいま斉藤信委員から御紹介ありましたとおり、今年度、知事による県政懇談会は10回開催済みでございます。その中では、参加者を若者、女性とする会としましたり、以前からですけれども、県内の大学等を訪問しての懇談ということで、ことしは岩手県立二戸高等技術専門校を訪問して、学生たちと懇談したということもございまして、できるだけ多様な立場や年齢の方々から御意見をいただけるように工夫しております。
 今年度の懇談会の中で、特に若者や女性の方々からいただいた意見、提言と県政への反映状況ということで、例示という形で御紹介いたしますと、代表質問で知事も答弁いたしましたが、県営住宅を活用したお試し居住体験事業について、期間が1年ではちょっと短いという御意見がありましたけれども、これにつきましては、令和6年度からは最長2年まで可能ということで施策の拡充を図ろうとしている例もございます。
 あと、富士大学の学生の方々から、学内で積極的に脱炭素に向けた取り組みをやっているけれども、なかなかそれが地域の中でPRしにくい。そこを何とか行政でもサポートをしてくれないかというような御意見がありまして、これにつきましては、富士大学以外の複数の大学も含めた参画によるプロジェクトチームの立ち上げですとかSNSを活用した情報発信を、県としても支援するというような事例もございます。
 いずれ、参加者の方々からは、それ以外にも、子育て支援や教育環境の充実など、幅広く意見、提言をいただいておりまして、それらについては全庁で共有し、県としての施策の検討等に当たって参考としております。
〇斉藤信委員 10回の県政懇談会、特に、これだけ若者、女性の意見を聞いている知事は全国にいないのではないかと思うぐらいですよ。本当にこれからを担う若者、女性の意見、要望、実態をつかんで県政に生かすというのは、大変重要なことだと思って、これを高く評価をして、継続、強化していただきたい。
〇千葉盛副委員長 この際、荒澤政策課長から発言を求められておりますので、これを許します。
〇荒澤政策課長兼調査監 先ほど斉藤信委員から御照会のありました新規事業、拡充事業についてでございます。
 令和6年度は、少子化対策強化3本の柱、社会減対策強化3本の柱で、新たな事業、拡充した事業も含めて取り組むこととしておりまして、少子化対策の強化に向けましては、有配偶率の向上として、29歳以下の新婚世帯に対する支援金について県独自に10万円上乗せ、あとは、産後ケア等の利用促進や子供の遊び場整備など市町村が行う少子化対策への支援、有配偶出生率の向上として……(発言する者あり)
〇千葉盛副委員長 答弁できますか。
 斉藤信委員、よろしいですか。後でということで。
 では、後日、全委員に資料を配付願うこととしたいと思いますので、よろしくお願いします。
 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇千葉盛副委員長 質疑がないようでありますので、これで政策企画部関係の質疑を終わります。
 政策企画部の皆さんは御苦労さまでした。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後7時14分 散 会

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