令和6年2月定例会 予算特別委員会会議記録 |
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令和6年3月4日(月)
1開会 午前10時2分 1出席委員 別紙出席簿のとおり 1事務局職員 事務局長 小 畑 真 議事調査課 総括課長 昆 野 岳 晴 議事管理担当課長 藤 平 貴 一 主任主査 佐 藤 博 晃 主任主査 増 澤 綾 子 主任主査 及 川 雄 也 主査 阿 部 真 人 主査 三 浦 訓 史 1説明員 知事 達 増 拓 也 副知事 菊 池 哲 副知事 八重樫 幸 治 企画理事兼 保健福祉部長 野 原 勝 総務部長 千 葉 幸 也 財政課総括課長 佐 藤 直 樹 政策企画部長 小 野 博 復興防災部長 佐 藤 隆 浩 ふるさと振興部長 熊 谷 泰 樹 ILC推進局長 箱 石 知 義 〇小畑議会事務局長 御承知のとおり、委員長が互選されるまでの間、委員会条例第7条第2項の規定により、年長の委員が委員長の職務を行うこととなっております。 出席委員中、千葉伝委員が年長の委員でありますので、御紹介申し上げます。 千葉伝委員、委員長席にお着き願います。 〔年長委員千葉伝君委員長席に着く〕 〇千葉伝年長委員 ただいま紹介ありました千葉伝であります。何とぞよろしくお願いいたします。 それでは、ただいまから予算特別委員会を開会し、直ちに本日の会議を開きます。 千葉秀幸委員は欠席とのことでありますので、御了承願います。 これより委員長の互選を行います。委員会条例第7条第2項の規定により、委員長互選の職務を行います。 お諮りいたします。委員長互選の方法につきましては、先例に基づき指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 〇千葉伝年長委員 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。 お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 〇千葉伝年長委員 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。 予算特別委員長に城内愛彦君を指名いたします。 お諮りいたします。ただいま当職において指名いたしました城内愛彦君を予算特別委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 〇千葉伝年長委員 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました城内愛彦君が予算特別委員長に当選されました。 ただいま当選されました城内愛彦君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。 城内愛彦委員長、委員長席にお着き願います。 〔予算特別委員長城内愛彦君委員長席に着く〕 〇城内愛彦委員長 ただいま予算特別委員長に選任されました城内愛彦でございます。御推挙いただき大変光栄でございます。 委員各位の御協力をいただきまして職責を全うしてまいりたいと考えておりますので、御協力よろしくお願い申し上げ、御挨拶とさせていただきます。(拍手) 引き続き、副委員長の互選を行いたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 〇城内愛彦委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。 これより副委員長の互選を行います。 お諮りします。副委員長の互選方法につきましては、先例に基づき指名推選の方法によりたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 〇城内愛彦委員長 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることと決定いたしました。 お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することとしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 〇城内愛彦委員長 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することと決定いたしました。 予算特別副委員長に千葉盛君を指名いたします。 お諮りいたします。ただいま当職において指名しました千葉盛君を予算特別副委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 〇城内愛彦委員長 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました千葉盛君が予算特別副委員長に当選されました。 ただいま当選されました千葉盛君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。 千葉盛副委員長、御挨拶を願います。 〇千葉盛副委員長 ただいまは副委員長に選任いただきましてありがとうございます。 委員長をしっかりと補佐いたしまして委員会の円滑な運営に努めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。(拍手) 〇城内愛彦委員長 お諮りします。当予算特別委員会に付託されました議案60件の審査の方法についてでありますが、お手元に配付してあります日程案のとおり、本日及び明日は知事、副知事、企画理事及び関係部局長等の出席を求め総括質疑を行い、明日の総括質疑終了後、5日から8日まで、及び12日から15日までは、関係部局長等の出席を求め部局ごとに質疑を行うこととし、議案60件に対する意見の取りまとめと採決につきましては、15日の県土整備部関係の質疑が終わった後、世話人会での意見調整を経た上で行いたいと思います。 なお、14日の農林水産部の審査については、第1部を農業関係、第2部を林業、水産業関係とし、それぞれ区分して審査することとしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 〇城内愛彦委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。 これより議事に入ります。 議案第1号から議案第20号まで、議案第27号から議案第38号まで、議案第40号、議案第41号、議案第44号、議案第47号、議案第48号、議案第52号、議案第54号から議案第67号まで、及び議案第69号から議案第76号までの以上60件を一括議題といたします。 総務部長に総括説明を求めます。 〇千葉総務部長 令和6年度当初予算の概要等につきまして、総括的に御説明申し上げます。 令和6年度の当初予算は、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランのもと、四つの重点事項を中心に、喫緊の課題である人口減少対策に最優先で取り組み、県民の幸福度向上を図る10の政策や新しい時代を切り拓くプロジェクトを着実に推進するとともに、希望郷いわてのその先へ歩みを進めるための新機軸の施策を盛り込んだ予算として編成したものであります。 それでは、予算の概要につきまして御説明申し上げます。 議案その1の5ページをごらん願います。議案第1号令和6年度岩手県一般会計予算であります。 第1条は、歳入歳出予算の総額をそれぞれ7、322億1、711万円と定めるものであります。前年度当初予算と比較しますと5.1%の減となっております。第2条は、債務負担行為の限度額等を、第3条は、地方債の限度額等をそれぞれ定めるものであり、第4条は、一時借入金の最高額を1、000億円とするものであります。第5条は、職員給与について同一款内での予算流用を定めるものであります。 次に、歳入について御説明いたします。便宜、予算に関する説明書により説明いたしますので、予算に関する説明書の10ページをごらん願います。 まず、1款県税のうち、1項県民税は376億8、200万円となっておりますが、これは、個人県民税の定額減税や法人県民税の減収が見込まれることなどによるものであります。 11ページの2項事業税は277億700万円となっておりますが、これは、法人事業税の減収が見込まれることなどによるものであります。 12ページの3項地方消費税は235億9、500万円を見込んでおりますが、これは、県内に本店等を有する事業者に係る国内取引の減少が見込まれることなどによるものであります。 13ページの4項不動産取得税は43億5、600万円となっておりますが、これは、大規模家屋の建築が見込まれることなどによるものであります。 14ページの5項県たばこ税は14億7、800万円、15ページの6項ゴルフ場利用税は、最近の課税実績等を勘案し2億5、400万円を計上しております。 16ページの7項軽油引取税は132億800万円と見込んでおります。これは、引き取り数量が堅調に推移することにより増収が見込まれることなどによるものであります。 17ページの8項自動車税は181億4、300万円と見込んでおります。 18ページの9項鉱区税は、最近の課税実績等を勘案し1、600万円を計上しております。 19ページの10項狩猟税は、狩猟者登録の見込み数により1、400万円を見込んでおります。 20ページの11項産業廃棄物税は、最終処分場の年間埋立量などを勘案して8、300万円を計上しております。 21ページの12項旧法による税は、令和元年9月以前の自動車税に係る分など200万円を見込んでおります。 以上、県税の合計額は1、265億3、800万円で、前年度当初予算に比べ27億4、700万円、2.1%の減となるものであります。 次に、22ページの2款地方消費税清算金は637億5、700万円で、前年度当初予算に比べ2億300万円、0.3%の増となっておりますが、これは、全国的には消費税収が増加すると見込まれることによるものであります。 次に、23ページの3款地方譲与税のうち、1項特別法人事業譲与税は222億5、900万円となっておりますが、これは、全国に占める本県のシェアの増加を見込んでいることなどによるものであります。 24ページの2項地方揮発油譲与税は31億4、100万円、25ページの3項石油ガス譲与税は8、900万円、26ページの4項自動車重量譲与税は2億400万円、27ページの5項森林環境譲与税は1億9、300万円、28ページの6項航空機燃料譲与税は3、600万円をそれぞれ計上しております。 以上、地方譲与税の合計額は259億2、200万円で、前年度当初予算に比べ7億600万円、2.8%の増となるものであります。 次に、29ページの4款地方特例交付金は37億2、300万円余で、前年度当初予算に比べ30億5、100万円余、453.8%の増を見込んでおりますが、これは、定額減税に伴う個人県民税の減収が補填されることなどによるものであります。 次に、30ページの5款地方交付税は、国の地方財政計画の内容や、震災からの復旧、復興事業費等を勘案して2、216億9、900万円余で、前年度当初予算に比べ4億100万円余、0.2%の増で計上しております。 次に、31ページの6款交通安全対策特別交付金は3億4、600万円で、前年度当初予算に比べ2、100万円、5.7%の減を見込んでおります。 次に、32ページの7款分担金及び負担金のうち、1項分担金は、経営体育成基盤整備事業等に係るものであり2億8、400万円余、33ページから34ページまでの2項負担金は、民生費の後期高齢者医療財政安定化対策などの負担金等を計上しており10億4、600万円余となっております。 以上、分担金及び負担金の合計額は13億3、000万円余で、前年度当初予算に比べ3億1、300万円余、19.1%の減となるものであります。 次に、35ページの8款使用料及び手数料でありますが、1項使用料の主なものを申し上げますと、36ページの産業技術短期大学校授業料、37ページの道路及び河川の占用料、県営住宅使用料、県立学校における授業料などであります。これら使用料の総額は、38ページの計欄53億7、300万円余となっております。 次に、39ページからの2項手数料の主なものは、40ページのと畜検査に係る手数料、41ページの豚熱予防的ワクチン接種に係る手数料、42ページの運転免許に係る手数料などでありまして、これら手数料の総額は、43ページの計欄18億7、100万円余となっております。 以上、使用料及び手数料の合計額は72億4、500万円余で、前年度当初予算に比べ3億2、400万円余、4.3%の減となるものであります。 次に、44ページの9款国庫支出金でありますが、1項国庫負担金の主なものを申し上げますと、生活保護に要する経費のほか、46ページの小中学校教職員の人件費や県立学校の授業料に充てるための就学支援交付金、河川等災害復旧事業などであります。これら国庫負担金の総額は、47ページの計欄406億1、900万円余となっております。 次に、48ページ、2項国庫補助金の主なものは、54ページの強い農業づくり交付金、55ページの経営体育成基盤整備事業、57ページの道路環境改善事業や地域連携道路整備事業に係る国庫補助金などであります。これら国庫補助金の総額は、61ページまで進んでいただきまして、505億2、000万円余となっております。 次に、62ページの3項委託金でありますが、63ページの就職支援能力開発事業などにより、総額は、64ページの計欄13億500万円余となっております。 以上、国庫支出金の合計額は924億4、500万円余で、前年度当初予算に比べ320億6、200万円余、25.8%の減となるものであります。 次に、65ページの10款財産収入でありますが、1項財産運用収入は、土地や家屋の貸付収入など1億8、600万円余、66ページから67ページの2項財産売払収入は、県有未利用地や生産物の売り払いによる収入など7億100万円余を計上しており、これら財産収入の合計額は8億8、800万円余で、前年度当初予算に比べ3億3、900万円余、27.6%の減となるものであります。 次に、68ページの11款寄附金は、ふるさと岩手応援寄付など3億6、800万円余で、前年度当初予算に比べ3億4、600万円余、48.5%の減を見込んでおります。 次に、69ページの12款繰入金のうち、1項特別会計繰入金は、電気事業会計などからの繰入金であり、9億9、700万円余であります。 70ページ、2項基金繰入金は、財政調整基金や退職手当基金、地域医療介護総合確保基金などからの繰入金であり228億6、700万円余を計上しております。 以上、繰入金の合計額は238億6、500万円余で、前年度当初予算に比べ42億9、600万円余、22.0%の増となるものであります。 次に、71ページの13款繰越金は、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の国庫返還に伴い18億円を計上しております。 次に、72ページの14款諸収入のうち、1項延滞金、加算金及び過料等は1億2、400万円余、73ページの2項預金利子は300万円余を計上しております。 74ページの3項公営企業貸付金元利収入は103億円余を計上しておりますが、これは、県立病院等事業会計への貸し付けの償還金であります。 75ページの4項貸付金元利収入は、各行政部門における貸付金に係る元金及び利子の収入で、76ページのとおり1、010億4、400万円余となっております。 77ページの5項受託事業収入は、基幹河川改修事業などの受託事業収入であり、78ページのとおり7億800万円余となっております。 79ページの6項収益事業収入は、宝くじ発売収益金で29億3、600万円余となっております。 80ページの7項雑入は、82ページのいわてニューファーマー支援事業や83ページの派遣職員給与費負担金などの収入であり、雑入の総額は、83ページの計欄31億9、600万円余と見込んでおります。 84ページの利子割精算金収入は廃止科目でございます。 以上、諸収入の合計額は1、183億1、400万円余で、前年度当初予算に比べ155億6、300万円余、11.6%の減となるものであります。 次に、85ページの15款県債でありますが、その総額は、88ページの計欄のとおり439億7、200万円余であり、道路橋梁維持事業などの土木債等の増額により、前年度に比べ20億6、800万円、4.9%の増となっております。 この結果、県債の現在高見込みでありますが、303ページをごらんいただき、一番右下の欄になりますが、令和6年度末現在高見込額は1兆1、611億1、600万円余と、前年度から402億円余の減を見込んでおります。 以上で歳入についての説明を終わります。 次に、歳出についてでありますが、主要な事業につきましては、それぞれ所管部局の審査の際に担当部局長から御説明申し上げますので、説明を省略し、私からは、性質別の主なものについて申し上げます。 予算に関する資料で御説明いたします。7ページをごらん願います。第2表令和6年度一般会計歳出性質別内訳表でございますが、この表の右端の前年度当初予算からの増減率の欄を中心にごらんいただきたいと存じます。 令和6年度当初予算の特徴的なところを何点か申し上げますと、1人件費につきましては4.9%の増となっております。これは、退職手当の増加等によるものであります。2物件費につきましては24.8%の減、8ページに参りまして、5補助費等につきましては8.7%の減となっておりますが、新型コロナウイルス感染症対応の事業費の減等によるものであります。次に、9ページに参りまして、9積立金につきましては、退職手当基金への積み立ての減等により58.5%の減、11貸付金につきましては、新型コロナウイルス感染症対策の貸付金の減等により11%の減、13予備費につきましては、新型コロナウイルス感染症に関する不測の事態への対応に備え増額していたところ、令和6年度は令和2年度以前と同額の3億円を計上するものであります。 令和6年度岩手県一般会計予算の概要は、以上のとおりであります。 なお、特別会計につきましては、所管部局において御説明申し上げますので、私からは省略させていただきます。 以上で総括説明を終わります。よろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。 〇城内愛彦委員長 ただいまから総括質疑に入るわけでありますが、議会運営委員会の決定に基づき、総括質疑は、各会派及び会派に所属しない委員に質疑時間を配分して行うこととなっております。 質疑時間につきましては、まず、自由民主党が54分、次に、希望いわてが54分、次に、いわて新政会が24分、次に、いわて県民クラブ・無所属の会が21分、次に、日本共産党が12分、次に、会派に所属しない委員は、社民党木村幸弘委員、公明党小林正信委員、無所属田中辰也委員の順に、それぞれ9分となっております。 各会派は、配分された時間の範囲内で複数の委員が質疑することができること、また、この場合におきましては、会派として続けて行うこととされておりますので、御了承願います。 また、議会運営委員会の決定及び世話人会の申し合わせにより、基本的感染対策として、換気のため、午後はおおむね1時間半ごとに休憩いたしますので、御協力をお願いいたします。 なお、本日の総括質疑は、世話人会の申し合わせにより、午後5時前に質疑に入った会派の質疑が終了するまで議事を継続することとしたいと思いますので、あらかじめ御了承願います。 これより総括質疑に入ります。高橋穏至委員。 〔高橋穏至委員質問者席に着く〕(拍手) 〇高橋穏至委員 自由民主党の高橋穏至でございます。 達増知事5期目のスタートとなる岩手県予算について、通告していた5項目について、会派を代表して質問いたします。 初めに、人口減少対策に関して、令和6年度事業の目指す成果について質問いたします。 昨年12月、国立社会保障・人口問題研究所により、令和2年国勢調査をもとにした日本の地域別将来推計人口が公表され、本県の2045年の推計人口は、前回、平成30年の推計と比べ3万1、398人減少し85万3、120人となっています。 県では、これまでの人口減少対策に加え、今年度、第2子以降の3歳未満児を対象とした所得制限のない保育料無償化や在宅育児支援金の創設など、全国トップレベルの子供、子育て支援策をスタートいたしました。 また、社会経済面の対策として、中小事業者等の賃上げ促進に向けた支援対策の創設や生活困窮世帯に対する灯油購入費等の支援などの施策を講じております。 2月5日、議会に示された令和6年度一般会計における当初予算案の考え方では、希望郷いわてその先へ予算と題して、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランのもと、四つの重点事項を中心に、現下の喫緊の課題である人口減少対策に最優先で取り組み、県民の幸福度の向上を図る10の政策や新しい時代を切り拓くプロジェクトを着実に推進するとともに、希望郷いわてのその先へ歩みを進めるための新機軸の政策を盛り込んだ予算を編成。 全国トップレベルの子育て支援や交流人口、関係人口の拡大などの自然減・社会減対策、脱炭素化や再生可能エネルギーの導入等を図るGX―グリーントランスフォーメーションの推進、デジタル技術を活用し、あらゆる分野で利便性や生産性の向上を図るデジタルトランスフォーメーションの推進等の取り組みを強化として、四つの重点事項にまとめています。 令和6年度の予算の考え方による四つの重点事項のうち、人口減少対策、自然減・社会減対策について、145事業、211億円に取り組むとあり、たっそ拓也マニフェストプラス39に関連すると考えられるものとして14項目140事業、334億円が示されました。 いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランのいわて幸福関連指標では、合計特殊出生率の目標値が令和5年度1.35、令和6年度1.42となっていますが、これらの事業で目指す来年度の成果について、合計特殊出生率のほか、有配偶率、有配偶出生率、出生数、社会減及び転入者、転出者または男女別の内訳など、令和6年度事業の成果として目指す目標を伺います。 〇達増知事 令和6年度当初予算案では、自然減・社会減対策として、結婚支援のさらなる充実、全国トップレベルの子供、子育て支援の継続、拡充、新たな人の流れの創出に向けた事業の充実、東京圏への若年女性の転出対策の強化を図るとともに、マニフェストプラス39の内容を踏まえ、市町村が取り組む個性や特色を生かした地域づくりへの支援など、新機軸の事業を盛り込んだ予算編成を行ったところであります。 令和6年度は、これらの事業を通じて、県民一人一人の生きにくさを生きやすさに変え、第2期アクションプランにおけるいわて幸福関連指標の合計特殊出生率1.42、県外からの移住、定住者数2、030人、女性の全国との賃金格差87.0%、また、具体的推進方策指標の結婚サポートセンター会員における成婚者数115人、U・Iターン就職者数2、000人などの達成を目指すこととしていますが、人口減少問題は、短期的な対策に加え、中長期的な視点、対策が重要であり、実効性を高めるためには、多様な主体との連携、協働が不可欠であります。 そのため、国の施策に呼応しつつ、市町村との重層的な連携体制を生かした総合的かつ効果的な事業展開を一層進めながら、着実に成果が上がるようオール岩手で取り組んでまいります。 〇高橋穏至委員 全体的な目標としては出生率の1.42という数字、あと、転入、転出の差が2、030人という数字が出たのですが、それ以上細かい、例えば実際、男性がどれくらい出て、そしてどれくらい入ってくるとか、そういった数字については、そこまではやっていないということです。これは昨年の予算特別委員会でも米内紘正委員から、差し引きだけ見ていても、実際の政策を組み立てるには、細かい数字まで目標としては持ったほうがいいのではないかという指摘がありました。 ぜひ、そういった部分については、精度を高めるという意味では、政策サイクルを回すためにはそういった数字が必要ではないかと思うのですが、その辺について、政策企画部長はどう考えますか。 〇小野政策企画部長 ただいま高橋穏至委員御指摘の指標項目でございますけれども、いずれも人口減少対策を政策として進める上で、非常に重要な指標と考えております。 主に合計特殊出生率や社会減ゼロ、これらは、分解してといいますか人口減について考える際の要素ということでございますので、そういった指標でありますので、人口減少対策本部会議等において毎年度その動向を注視しております。 また、御指摘のございました有配偶率、有配偶出生率ですが、5年間隔で毎年把握できないもの、あるいは議会の中でもさまざま御議論いただきました、個人の選択の自由に関するものといった要素があるものも含まれております。目標値として新たに設定するといったことではございませんけれども、やはりこれはウオッチしていかなければいけない重要な指標ということで、毎年度見られるものについては把握し、また、人口問題対策本部会議などの資料の中で明らかにしてまいりたいと考えております。 〇高橋穏至委員 ぜひ、発表はしないにしても、とれる数値はしっかり分析してもらいたいわけです。 次に、結婚行動、出生行動、就職行動に関するニーズ調査や分析について質問いたします。 2月14日、いわぎんリサーチ&コンサルティング株式会社が東京圏へ転出した若者に関するアンケート結果の速報を発表しました。これは、特別調査として、若年層の社会動態から見る本県の人口減少問題の現状と方向性の一環として、地方から東京圏などへ転出した若年層に対し、出身地以外で就職した理由や若者が東京圏などへ出ていく理由などについてのアンケートでございまして、仙台市及び東京圏の18歳から34歳までの岩手県、青森県、秋田県、北東北3県の出身者を対象としてインターネットで調査し、384人から回答を得たものであります。 詳しい内容は省略しますが、2月14日及び28日の岩手日報、本県出生数最少5、681人、2023年見通し、コロナ禍、婚姻数減が影響という記事の中で、達増知事は、人口減の要因分析が深まり、それぞれの政策もそろってきた。就職、結婚や妊娠、出産、子育てといったライフステージに応じた支援が重要だと述べております。 子育て世代へのアンケート調査を行ったとしておりますが、これまでに行った調査はどのようなものでしたでしょうか。時期、対象者、調査内容、方法などについて伺います。また、令和6年度の調査はどのような内容で、どのように行うのかお伺いします。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 県では、今年度実施いたしました少子化要因の分析において、有配偶率の低下に影響を与える結婚行動の分析と、有配偶出生率の低下に影響を与える出生行動の分析を行うためのアンケート調査を実施いたしました。 結婚行動については、昨年7月から8月にかけ、いきいき岩手結婚サポートセンター―i―サポの会員を対象としたウエブ調査を実施し、260名の有効回答を得て、結婚に関する意識や結婚支援施策に対する意見などを把握したところであります。 出生行動については、昨年7月から8月にかけて、子育てサポートセンターといわて子どもの森の来場者を対象としたヒアリング調査などを実施し、132名の有効回答を得て、子育て世代の出産、子育てに関する意識や子育て支援施策に対する意見などを把握したところであります。 令和6年度は、地域の実情に応じた少子化対策を推進するため、新たに市町村と連携した地域課題の分析や少子化対策の立案などに取り組むこととしており、その取り組みにおいて、住民等に対するアンケートやインタビューなどの実施を検討しているところであります。 〇高橋穏至委員 今、市町村と連携した調査というお話がありましたけれども、これは、県がフォーマットをつくって全市町村にやってもらうスタイルなのか、それぞれの市町村が取り組む調査を支援するという内容なのか、その辺はいかがでしょうか。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 来年度当初予算案に計上しております、主に小規模町村を対象としたモデル事業を今検討しておりまして、その中で、小規模町村は人口減少が大きな課題でありまして、子育て施策に関しては、小規模な町村はかなり進んでいる中にあって、今後、少子化対策をどのようにしていくのかという形で、伴走型で有識者とともに支援を検討しているところでございます。 その中で自然減対策と社会減対策を総合的に組み合わせた施策を実施するため、町村におけるニーズ把握のための調査を県が実施し、県や有識者がアドバイスすることを想定しているものでございます。 〇高橋穏至委員 今、御説明いただいた質問については、後半にまた触れますので、そちらでやりたいと思います。 ただ、全体の傾向としてつかむために、やはり県が全部の市町村と連携したある程度のデータは持っておいたほうがいいかという思いでおります。それについても後でまた触れたいと思います。 次に、自然減対策の主な事業について質問いたします。 初めに、保育料無償化等、第1子への拡充について質問いたします。 たっそ拓也マニフェストプラス39で、第1番目に子育て支援策の展開と充実を掲げ、2023年度から3歳未満児の保育料を第2子から所得制限なしに無料とするなど、全国トップクラスの子育て支援策がスタートします。第1子から第2子へ、そして、経済的な制約等にとらわれず、2人目の壁を越え全ての人の希望がかなうように、必要な財源を確保し、市町村の現状把握にも努め、政策のフル稼働と一層の充実を図りますとしております。 10月の一般質問で私も取り上げましたが、第2子以降の3歳未満児に限定している保育料の無償化と在宅支援について、第1子に拡張した場合に必要な予算、本県で実施できない要因、課題等について、改めてお伺いします。 〇達増知事 保育料無償化等の第1子への拡充についてでありますが、保育料無償化や在宅育児支援金については、国の調査によりますと、子育てや教育に係る経済的負担が出生数減少の主な要因であり、複数の子供を養育するには、さらに負担が増すこと、夫婦の理想の子供数2.25人に対して、最終的な出生子供数は1.90人とギャップがあることなどから、県民が希望する子供数を実現できるよう、今年度から第2子以降を支援することとしたところであります。 保育料の無償化と在宅育児支援金を第1子まで拡充した場合は、粗い試算になりますが、令和6年度当初予算案と比較して、保育料無償化については、追加で県は6億8、000万円余、市町村は9億3、000万円余の、在宅育児支援金については、追加で県は1億2、000万円余、市町村は1億円余のさらなる財政負担が生じることとなり、その実施に当たっては、市町村の意向を伺うなど十分な検討が必要であると考えております。 全国的に子育て支援策の拡充が進む中、保育料の無償化などの政策は、本来、どこの自治体においても同等の水準で行われるべきものであり、全国の自治体から全国一律の制度の創設が強く求められており、全国知事会としても、今後も粘り強く国に働きかけてまいります。 〇高橋穏至委員 県内の令和5年度の状況で、3歳未満児の保育料の無償化を第1子から行っている市町村が、もう既に12市町村あります。そして、令和6年度から、さらに雫石町がまた始めると。そして、第1子半額は、私の地元ですが、北上市。そして、在宅育児支援金は、県との連携で行っているのは26市町村で、独自に3市町村がやっているというような状況でございます。 本来、今、知事がおっしゃられたとおり、市町村間の争いではなく、全国一律の支援が必要なのはそのとおりだと思います。ただ、今日の緊急性に鑑みて、財源をどう確保していくのかが問題ではないかと思います。 この財源については、また後ほど、最後のところで触れたいと思います。 次に、学校給食費の無償化についてです。 2月22日の新聞に、青森県が県内の小中学校で提供する給食を10月から無償にする方針を決め、当初予算に関連経費約20億円を盛り込んだ。都道府県として一律無償化に取り組むのは全国初となると報道されました。この20億円は10月からですので、年間では40億円ほどの経費と見込まれます。 現在、県内で学校給食の無償化事業に取り組んでいる市町村は、全額無償化している市町村は葛巻町、金ケ崎町、陸前高田市、宮古市、山田町、田野畑村、洋野町、普代村、軽米町、九戸村の10市町村。第3子以降で無償化しているのは釜石市、矢巾町の2市町ですが、本県で同様の無償化に取り組んだ場合に必要な所要額はどれほどになるのか、また、本県で実施する上での課題や今後の方針について伺います。 〇達増知事 学校給食費の無償化についてでありますが、県内全ての市町村立学校及び県立学校において、学校給食費の全額無償化を実施する場合の所要額は約42億円と試算しており、実施には、継続的、安定的な一般財源の確保が必要となります。 学校給食費の無償化は、長期的な視点で切れ目なく行うことが必要であることから、国全体として学校給食費の負担のあり方を抜本的に整理した上で、国の責任で財源を含め具体的な施策を示すよう、全国知事会として国に申し入れしてきたところであります。 国においては、こども未来戦略方針に従い、現在、学校給食の実態調査を行っているところであり、小中学校での実施状況の違いや法制面などを含めた課題を整理し、結論が出されるものと承知しております。 学校給食費の無償化については、本来、自治体ごとの財政力に応じて格差が生じることのないよう同等の水準で行われるべきであることから、県としては、国の動きを注視しながら、全国知事会等とも連携し必要な働きかけを行ってまいります。 〇高橋穏至委員 これも先ほどの議論と同じことかと思います。子育て支援の拡充については国で全部やるべきだというのが基本にあって、ただ、国でも今検討中だということもあるのですが、問題なのは、各市町村の現状の緊急性といいますか重要度合い、やはり小さい町村では、もう切実な問題として待っていられないというところで進めているかと思います。 岩手県を見ても、全国と比較して人口減少のスピードが非常に速いわけで、そこの緊急性をどう判断するか、そして、その財源をどうするかが一番の課題ではないかと。これについてもまた、最後に財源の問題で触れたいと思います。 続いて、マッチング機会の提供について質問します。 岩手であい・幸せ応援事業でマッチングシステムの機能充実が計上されておりますが、事業内容を見直す前提として、i―サポの利用者や若者のニーズ把握をどのように実施したのか、その内容や反映状況について伺います。 また、新たな取り組みとして、お見合い成立カップルに食事券5、000円を贈呈する内容ですが、その効果をどのように見積もっているのか、あわせてお伺いします。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 来年度以降のi―サポの取り組みの検討に当たりまして、先ほども御答弁申し上げましたとおり、会員を対象に、希望する支援についてアンケートを実施したところ、男女とも、マッチング機能の充実強化や自宅からのアクセスの充実を挙げる方が多かったことから、他県の導入事例なども参考に、趣味、嗜好等を踏まえたマッチング機能の追加、自宅閲覧機能の導入などに取り組もうとするものであります。 また、i―サポは、他県の同事業と比較しても、お見合いから交際へ発展させた割合は高いものの、交際経験の不足による不安などから、マッチング成立後に相手に一度も会わない事例もあるため、食事券の贈呈により交際初期の活動を後押しし、その利用状況を把握しながらフォローアップの充実を図ることで、成婚率の増加につなげていこうとするものであります。 〇高橋穏至委員 狙いはわかりますが、要は、実際その食事券があれば会うのではないかというような情報は、会議の中では出たと思うのですけれども、いろいろな若い人から直接聞いたりしたのかと。市場調査ではないですけれども、そういったものが大事ではないかと思うのです。 つい最近のテレビで、新しい民間の企業がやっているのですが、同じような出会いというかマッチングにおいても、マッチングするときに、特に相手の情報として職業とか職種とかといった仕事につながる内容があって、それに企業が連携して、企業とともにお勧めすることで成婚率が高くなっているというテレビ番組があったのです。 マッチング機能の追加という部分については、そういった情報を集めることが大事だと思うのですけれども、いかがでしょうか。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 高橋穏至委員御指摘のとおり、相性であるとか趣味とかというところはニーズが高いということでマッチングを導入しています。そして、それを発展させていくことについては、例えば、i―サポについては市町村などとも連携している部分もございますし、また、企業との連携した取り組みというのは、来年、広域振興局事業で企業と連携した地域での事業をさらに拡充することにしております。こうしたi―サポの機能を拡充した部分と地域レベルでの企業と連携した取り組みをしっかり連動しながら、成婚数の増加に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えております。 〇高橋穏至委員 この財源について、5、000円で250組を見込んで125万円。財源が諸収入であるからという安易な動向ではないと思いながら、しっかりとした政策をつくってもらいたいと思うところであります。 今、企業との連携、そして、特に若者たちのニーズ調査という視点だったのですが、今度は結婚支援策として、いわてで家族になろうよ未来応援事業費について質問いたします。 この事業は、市町村が取り組む事業への上乗せを拡充する事業で、結婚新生活に伴う引っ越しや新居費用などに助成するため、1世帯当たり10万円の上乗せ助成を創設するとありますが、この拡大に当たって、市町村の要望、意向はどうだったのか、また、今後の活用見込み、これらについてお伺いします。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 いわてで家族になろうよ未来応援事業費は、国の地域少子化対策重点推進交付金を活用し、結婚に伴う新生活の経済的負担を軽減するため、新婚世帯の住宅費用や引っ越し費用などを支援するものであり、令和4年度は17市町村、令和5年度は22市町村と徐々に実施市町村数が拡大しているところであります。 一方、今年度、市町村宛てに調査を行い、この事業に対する意見等を伺ったところ、必ずしも家賃や引っ越し費用が発生しない世帯もあること、補助対象とされていない家具、家電等の購入費の負担が大きいことなどから、補助対象経費の拡充を求める声が寄せられたところであります。 こうしたことから、令和6年度当初予算案において、経済的負担のさらなる軽減により、結婚を希望する方が、希望する時期に結婚できるよう支援を拡充するため、県独自の支援金10万円の上乗せ給付に取り組むこととしたところであります。 令和6年度は、29市町村において結婚新生活支援事業の実施を見込んでいるところであり、県独自の上乗せ補助も含めて事業の活用がさらに進むよう、県内市町村等で組織する結婚新生活支援事業推進連絡会などの場において、事業実施のノウハウやメリットなどを共有していく考えであります。 〇高橋穏至委員 わかりました。ぜひ、そういった連携をさらに進めていただきたいと思います。 次に、社会減対策の主な事業について質問します。まず初めに、岩手県内の企業の特徴についてであります。 いわぎんリサーチ&コンサルティング株式会社の調査結果では、地元外の就職、転職先、起業場所を選んだ理由に関して、まず、希望する就職先がその場所になかったが46.5%で最も多く、次いで、賃金が地元より高いが31.8%、やりたい仕事、業種などが、地元、出身都道府県になかったが29.4%となっております。 特定の企業や業種などへの就職希望をかなえるために地元外へ転出しているケースが多いものと考えられますが、若者が地方から首都圏などに行く理由について、自身の考えに近いものを尋ねたところ、やはりやりたい仕事、業種などが地元では見つからないが、先ほどのものと同じく48.4%で最も多く、次いで、賃金が高い、公共交通機関などのサービスが充実しているが39.6%などと続いております。 男女別で見ますと、男性は賃金が高いという回答をした割合が女性に比べて高く、やりたい仕事、業種が地方では見つからないと賃金が高いが突出していますが、女性は、公共交通機関などのサービスが充実していると文化、芸術、娯楽などが充実しているの2項目が、男性に比べて10ポイント以上高い割合となっています。自己実現の機会、起業する環境、組織内の処遇、仕事のやりがいなどに恵まれているも、より多くの回答を集めています。 年代別で見ますと、全ての項目で30歳から34歳の回答割合が高くなっており、中でも、やりたい仕事が地方では見つからない、賃金が高い、スキルアップの機会が多いの三つの項目では、20代と比べて30代は10ポイント以上の差が見られております。仕事の経験やライフステージの変化を踏まえて、自身の経験やスキルを生かせる仕事、それに合った処遇を求める傾向が出ているものと考えられます。公共交通機関や文化、芸術、娯楽の充実についても、同様に仕事や社会生活の経験を積み重ねる中で、その重要性を認識するようになったものと考えられます。 この結果から、まず、若者に岩手県内を選んでもらおうと思うための事業として一番大切な要素は、まず、やりたい仕事が岩手県内にあることとなりますし、30代になると10ポイント以上その割合が高くなるということは、早い段階で対応しなければならないということになります。 若者に選んでもらうために、地域の事業者の実態を把握した上で施策を展開する必要がありますが、若者に対して魅力ある企業が県内にあるのに周知できていない企業、逆に、若者のニーズが多いのに岩手県内にない企業など、本県の企業の実情をどのように捉えているか、また、そのためにどのように対応していくのか伺います。 〇菊池副知事 県内の最近の企業の状況についてという観点からお答えしたいと思いますが、県内には、研究開発拠点を新たに立ち上げる企業、フレックスタイム制やリモートワーク、在宅勤務を取り入れながらも、情報のクラウド集約や個人のスキルアップ支援などにより、労働時間が変わらないまま売り上げを1.5倍に伸ばした企業、また、農業分野におきますと、循環型農業を通じて引退競争馬の居場所づくりを目指している企業といった、自身の経験や自分が学んだこと、あるいはそれぞれの能力を生かせるさまざまな職場を求める、また、待遇面のよさについても高橋穏至委員御指摘されましたが、若者が望むワーク・ライフ・バランスに配慮した魅力ある職場環境が、県内にふえてきているものと捉えております。 また、小学校段階からの出前講座や企業見学等に取り組むとともに、高校生には、いわゆるインターンシップ型の職場体験なども展開しておりまして、就労の場として考えている若者もふえてきているものと受けとめております。 このため、各企業の働き方改革を促進するとともに、就職後のキャリアアップや働きやすく働きがいのある職場など、県内に魅力的な就労の場があるとわかってもらうことで、若者の県内就職が進むものと捉えているところです。 こうしたことから、いわてで働こう推進協議会を核とし、働き方改革アワードを実施するとともに、受賞企業への現場見学会を開催し、すぐれた取り組みの普及拡大を企業などに進めていくとともに、柔軟で多様な勤務制度の導入、オフィス環境の改善や生産性向上に取り組む企業に対する支援などにより、若者や女性に魅力ある雇用、労働環境の構築を進めていきます。 〇高橋穏至委員 それでは、続けて質問します。情報発信、魅力発信についてですが、広い県土の岩手県では、地域によって産業の状況が異なり、県としてもいわて県民計画(2019〜2028)に掲げるゾーンプロジェクトで取り組んでいるわけですが、若者に対してどのように岩手県の魅力を伝えていくのか。県内定着や県外からのU・Iターンに向け、この広い岩手県の特徴をどうやって届けていくのかお伺いします。 〇菊池副知事 若者の県内定着やU・Iターンの促進に向けた情報発信等の取り組みについてでございますが、若者に岩手県内の産業の魅力を伝え、県内定着やU・Iターンを促進していくためには、先ほども申し上げましたが、小学生段階といった早い時期から、地域の産業や特徴を知ってもらうことが重要であると考えております。 このため、まず、県内にいる若者に対しましては、小学校段階から、先ほど来申し上げたような取り組みをするとともに、大学の授業の枠を活用した企業の魅力を伝える講座などの取り組みを進めているところでございます。 また、進学等で一旦、岩手県を離れてしまうこととなる若者に対しましては、岩手県を離れる期間を通じて本県とのつながりを継続させることが重要であると考えており、就職マッチングサイト、シゴトバクラシバいわてや岩手U・Iターンクラブ加盟大学を通じた情報提供のほか、東京都と仙台市においては、毎年、U・Iターンフェアを開催するなどの取り組みを行っているところでございます。 加えて、特に、県内のさまざまな産業分野で活躍する若者や女性の姿を高校生や大学生等に知ってもらい、また、直接交流する機会を設けるなどの取り組みを強化してきておりまして、シゴトバクラシバいわてのサイトに就活応援メディア、みんなの想職活動を新たに開設し、県内各地の各産業分野で働く若者のライフスタイルを紹介しているほか、企業の若手社員と高校生等の意見交換の場を設けるなどの取り組みを進めております。 こうした取り組みを通じ、若者や女性の県内定着やUターン、さらには移住の促進にも結びつけることにより、若者や女性の社会減の減少を図っていきたいと考えております。 〇高橋穏至委員 今いろいろそういった事業に取り組んでいるというお話がありましたし、私も、予算、決算特別委員会で毎回これは取り上げておりまして、さまざまな事業をやっていることは承知しているのですが、実際にそれがなかなか結果に結びついていないというのが問題でして、それをここでどう実現していくかが課題ではないかと思うわけです。 先日、2月19日に、18歳から20歳の一関工業高等専門学校の学生6人と若者活躍、U・Iターン、地元定着、地元就職、魅力ある岩手県などをテーマに意見交換する機会がありました。そこで学生から、どうして岩手県内で働かなければならないのか、岩手県の魅力って何ですかと質問されましたが、知事でしたらどう答えますか。 〇達増知事 一関工業高等専門学校は、ロボットコンテストなどでは全国優勝したり、オールジャパンが活躍の場となっていますので、そういう中での岩手県の位置づけ、半導体産業集積、自動車産業集積、それぞれ世界と競争する最先端を岩手県にいて切り開くことができること、また、インパクトスタートアップ、障がい者福祉でありますとか、地方の農林水産物をどう都会に売っていくか、そういう社会問題を解決するようなスタートアップに先端の技術が必要で、そういういわば市場経済の現実と人類こうあるべきという理想をともに目指すことは、岩手県内でこそできるというようなことを訴えたいと思います。 〇高橋穏至委員 私は、なぜ岩手県内で働くのかという素朴な問い、やはり岩手県に来たいと思える動機が根本にないといけないのではないかと常々思っております。私は、岩手県暮らし、生活空間の豊かさ、自然の豊かさや身近にある民俗芸能の魅力とか、祭りや暮らしの中の人々とのつながりから、ふるさとというのは、人間らしい暮らし、楽しさがあるとそのときは伝えました。そして、私は議員になる前、そのことを伝えるために、さまざまなイベントを企画して、青少年を対象とした事業に取り組んできたことを紹介いたしました。 私の住むまちでは、楽しさの経験や誇りがなければ、大人になって、全国に数多くの企業や職場環境がある中、自分のふるさと岩手県を選択してもらうためには、選ばれる根底の条件として、やはり少年、青年時代の体験とか経験が大事だと思って活動してきました。 青年会議所時代には、青少年でふるさとの問題集をつくって、回答もつくって、それを事前に配布した上で、当時はやっていたウルトラクイズをやったりとか、この事業では、北上地方振興局の活性化調整費にお世話になりました。また、青年会や子供たちを巻きこんだ北上の鬼をテーマとしたキッズフェスティバル、小学生に身近な環境に触れてもらおうと企画した環境スクールとか、さまざまな事業に取り組んできました。 しかし、この取り組みは、一つの地域だけでは人口問題の解決にはなりません。ですから、できるだけ多くの地域で取り組みが必要です。そして、市議会議員、今、県議会議員としても、地域教育とかふるさと教育、祭りや地域のイベントの充実が非常に大事ではないかと訴えてまいりました。 そこで、その問題に入るわけですが、いただいている第2期岩手県ふるさと振興総合戦略におけるKPI令和4年度実績一覧の中で、自分の住む地域が好きだと思っている児童生徒の割合が、小学校71%で達成度C、中学校が54%で達成度D、高校43%で達成度Dと。要は、年代が上がっていくにつれて、自分のまちが好きだと答える割合がどんどん下がっているというのがKPIで出ております。自分の住む地域や社会のために何とかしたいという思いについても、やはり小学校58.2%、中学校49.6%、そして、高校では少し高まりますけれども、いずれ、どちらにしても50%台で、なかなか目標は達成していない状況です。 そこで、地域教育、ふるさと教育の充実と展開についてお伺いします。 私の昨年10月の一般質問で、小学校段階での地域教育、ふるさと教育の取り組みについて、県教育委員会の状況を質問しました。岩手県教育振興計画では、郷土に誇りと愛着を持つ心を育み、岩手県内で、世界で活躍する人材を育成することを掲げており、各学校において、社会科、総合的な学習などを中心に、地域資源を積極的に活用し、創意工夫しながら地域にかかわる学習に取り組んでいるという答弁がありました。 しかし、学校の先生は転勤もありますし、小中学生に対する地域教育、ふるさと教育を目的とした取り組みを継続的に行うことが難しいので、やはり学校と連携する地域活動を充実させるべきだと考えますけれども、所見をお伺いします。 〇菊池副知事 学校における地域教育、ふるさと教育の充実と展開という観点での御質問でございますが、まず、現状、各学校におきましては、社会科や総合的な学習の時間を中心に、地域資源を積極的に活用し、地域に関する学習を進めているところでございまして、これは高橋穏至委員もよく御案内のとおりでございます。その実施に当たっては、地域の方々や地域企業の協力をいただきながら、充実した学びとなるよう努めているところでございます。 例としましては、住田町の小・中・高等学校で平成29年度から実施されている地域創造学では、町の主要産業である林業に従事する方が、子供たちとともに実際に山に入り、森林整備作業の体験活動をサポートするなど、手厚い協力をいただいております。 また、洋野町においては、小中学校で平成29年度から実施されている海洋教育ひろの学で、ウニの栽培やサケとばづくりなどの体験活動を通じて、海にかかわる学びを深めるに当たり、生産、加工、流通などの各プロセスにおいて漁業関係者から多くの協力をいただいています。 このように、県内各地域において、地域と学校が組織的、継続的に連携、協働し、長期にわたって特色あるカリキュラムが展開されるなど、地域に根差した学習が地域の方々の協力によって円滑に実施されていくことが必要であると思いますし、そうなってきているものと認識しているところです。 こうした取り組みを継続して展開していくためには、高橋穏至委員御指摘のとおり、学校と連携する地域活動の充実を図ることが何より重要であるとも考えております。 こうした認識のもと、県教育委員会では、次代を担う子供に対してどのような資質を育むのかという目標を地域と共有し、地域社会と学校の協働を図る目的で、地域学校協働本部の整備を推進しており、本県の整備率は全国的にもかなり上位となっております。 この本部は、各市町村において中学校区や行政区等の区域ごとに整備するものでありまして、まちづくりや学習支援、放課後活動など、地域と学校が連携した多様な活動が行われているものと承知しています。 また、学校と地域住民等が力を合わせて学校の運営自体にも取り組むコミュニティ・スクールにつきましては、県内の約8割の小中学校で導入が進んでいるところでございます。全国平均を大きく上回っている状況となっておりますが、このコミュニティ・スクールは、各市町村において学校区ごとに導入するものであり、学校運営に地域の声を積極的に生かし、地域と一体となって特色ある学校づくりが進められているものと承知しております。 こうした地域学校協働本部やコミュニティ・スクールによる取り組みも生かしながら、地域教育、ふるさと教育の一層の充実、発展が図られ、地域とともにある学校づくりが実現していくことを期待しております。 〇高橋穏至委員 私も長く話したから長く答弁いただいたのですけれども、そういう取り組みをしているのにもかかわらず、なかなか思った成果が上がっていない、目標に達していない原因をどのように分析しているのかをお伺いしたいと思います。 〇菊池副知事 まず、成果が上がっているか上がっていないかという観点は、もう少し時間が経過してこないと、地域にしっかり定着した安定的な活動になっていくには時間を要すると思います。何よりも、学校と地域の主体である方々が、本当によく理解し合い、そして、しっかりと役割分担をシェアし、その上で、それぞれが創意工夫を重ねて充実した地域教育、ふるさと教育の展開につながっていくと思いますので、体制ができてすぐというわけにはなかなかいかないのは、高橋穏至委員も御案内のとおりだと思います。 そのプロセスの中で、本当の主体である子供たちがいろいろなことに気づいていく。気づいた結果が、彼らの生き方、人生の中でさまざまな場面でそれらが想起され、また、新たな地域との向き合い方あるいは地域との関係の中で、自分のやりたいことをどう実現していくかといったことをいろいろ考えていただける大きな機会となっていくと思います。 今後、そうした子供たちがどんどんふえてきて、地域がそういった意味での活力ある地域社会を維持、形成していっていただくことを願っているところです。 〇高橋穏至委員 当然、一朝一夕に成果は出ません。それは重々承知しておりますが、以前からいろいろな取り組みをしているけれども、結果が上がっていないことに対して、しっかり原因を考えなければいけないと思うわけです。 若干話は変わりますけれども、PTA活動も長らくやらせていただきました。その中で、子供が感じるメッセージは、やはり家庭から感じるメッセージが多いと思います。大人が楽しく祭りに行ったり地域に参加しているのを見れば、いいなと思うのですけれども、なかなかそういった余裕のない家庭が最近ふえておりまして、PTA会費すら、なぜ払わなければいけないのという時代になってきました。そういった中で、もしかしたらゆとりがなくなっている家庭が多いのかと思います。 それを改善する一つの方策としても、先ほどの給食費の問題ですとか、さまざまな課題を少しでも解決してあげて、生きやすさというか子育てのしやすさを応援しないと、こちらにも影響していくという気がしているということを、一関工業高等専門学校の学生にも話しました。ですから、しっかりと子育て支援と一緒にこれを取り組まなければならないと思いますけれども、どうでしょうか。 〇菊池副知事 まず、いわゆる学校定着度状況調査のデータもありまして、昨年度のデータでは、児童生徒の質問に対する答えとしては、自分の住む地域にはよいところがあると思いますかという質問には、小学校93%、中学校は88%の子供たちが肯定的な回答をしているという状況もございます。 また、地域や社会をよくするために何かしてみたいと思いますかという別途の調査につきましても、小学生81.9%、全国比でいうと5.1%上位、中学校でも71.9%、これも全国比では8%ほど上位になっているようなことなどから、子供たちが地域とどう向き合うかについて、高橋穏至委員がおっしゃるような肯定的な方向には向いてきているのではないかと思います。 一方、学校任せとなっているようなところも多々あって、これは学校運営上、先生方の負荷も多くなっておりまして、多分、教育現場それぞれにおいて、学習あるいは教育の意味がどう浸透しているかについては濃淡があると思います。 子供、子育て施策の中では、負担の軽減措置をいろいろ講じていこうということで、高橋穏至委員も御理解いただきながら質問いただいていますが、そうした経済的な環境についての改善はもちろん進めていきますし、学校と地域の関係においては、先生任せにしない、地域任せにしない、そういったわかり合える、ともに共通認識を持って、わかり合って、まさに協働、共創するような地域の取り組みが、今の教育ではさらに求められてくることが多いと思います。 そういった意味で、高橋穏至委員のような方々が、さまざま地域に入って、サジェスチョンもいただきながら、まさに地域の方々全員で教育を支え、それは、イコール子供たちを支えることになると思います。ますますそういった御理解が進むよう、教育委員会でも地域との話し合いあるいはさまざまな具体的なアクションの中で、そういった理解醸成と行動化が進むよう努めてもらいたいと願っているところです。 〇高橋穏至委員 今説明いただいたとおり、学校だけでは到底できることではありませんし、そのためにも、地域の取り組みを行政としてどう支援していくかが課題になると思います。 そういった意味で、次に、社会減対策の最後に、地域経営推進費について質問します。 地域経営推進費では、広域振興局が、各地域の地域振興や地域課題の解決に向け、きめ細やかな事業を実施するとともに、現場主義に立脚した完結性の高い広域行政等に向けた市町村の取り組みの支援に加え、予算を増額し、本年度は、市町村とさらなる連携を図り、市町村が行う人口減少対策等の取り組みを支援するとあります。 昨年、私は一般質問で、全市町村が人口減少に取り組めるようにと提案したものですが、その具体的な支援内容と対象となる市町村はどこか、今時点での見通しを伺います。 〇熊谷ふるさと振興部長 令和6年度の地域経営推進費は、市町村が行う人口減少対策の取り組みへの支援や小規模町村に対する重点的な支援を行うため、今年度より2、000万円増額するとともに運用の見直しを行ったところでございます。 具体的には、広域振興局が行う事業に充てる県事業においては、市町村連携枠を新たに設け、広域振興局と市町村が連携して人口減少対策等に取り組むこととしております。 また、市町村が行う事業に対し補助する市町村事業におきましては、人口減少対策を推進するための事業費を拡充するとともに、おおむね人口5、000人以下の町村を重点的に支援する小規模町村支援枠を新たに設け、相互交流などの人的支援と地域経営推進費による財政支援を一体的に行うこととしております。 地域経営推進費の対象は全市町村でございます。それで、個別の事業に関しましては、昨年から広域振興局とワーキンググループ等を開きながら市町村と意見交換し、今まさに事業構築、企画、それから市町村からの地域経営推進費の新年度の申請を受けており、年度が明けてから事業が固まるという流れになろうかと思います。 〇高橋穏至委員 今、前の項目で出てきました地域課題分析を行う、市町村少子化対策支援事業費では、新たな少子化対策にチャレンジする意欲のある町村が、国の少子化対策地域評価ツール、少子化に関する課題分析を実施し、対策を検討するためのツールを活用して、地域の事情に合わせた政策を展開できるよう、県が専門家等と連携を図りながら伴走型支援を実施するとあります。 この少子化対策は、どの市町村も最重要課題と考えているのではないかと思います。少子化対策にチャレンジする意欲がある町村としているのですけれども、この対象を限定した意図、それから、具体的に何件の採択を見込んでいるのかをあわせて伺います。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 少子化は、県内全ての市町村に共通する課題であり、これまでも、それぞれが創意工夫により、独自の結婚、子供、子育て支援施策を実施しておりますが、いまだ少子化に歯どめがかかっていない状況にございます。 少子化対策に当たっては、結婚、出産、子育てなどの自然減対策に加え、若者の転出など社会減対策を含めた取り組みが必要となりますが、特に、小規模な町村においては、少子化対策の立案等に携わるマンパワーが不足していることなどが課題であると考えております。 このため県では、令和6年度当初予算案において、小規模な町村を対象として、地域課題の詳細な分析に基づく施策立案に向けて、専門家等と連携しながら伴走型支援を行う地域課題分析型の市町村少子化対策支援事業費を新たに盛り込んだところであります。 令和6年度におきましては、モデル的に3町村程度へ支援を実施する予定としており、取り組みの中で得られた知見やノウハウなどは、他の市町村にも共有し、取り組みの横展開を図っていくこととしております。 〇高橋穏至委員 モデルで3町村ぐらいということですが、これは手上げ方式で、もう手上げは行われているのでしょうか。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 本事業への参加意欲について県内の全町村に確認しましたところ、複数の町村から参加を希望する旨の回答をいただいたところでございます。 今後、各町村の少子化の現状や取り組み状況、事業実施準備状況なども踏まえましてモデル町村を選定する予定としております。 〇高橋穏至委員 これをモデルでやるのは3町村。先ほどの地域経営推進費は全市町村を対象にということですけれども、冒頭申し上げたとおり、時間との勝負になってきているのかという気がしております。 そういった中で、具体的には、ふるさと振興部といいますか広域振興局で取り組む数は、どれくらいになるのかお伺いします。 〇熊谷ふるさと振興部長 広域振興局で取り組む数ですけれども、かなり細かい、地元に根差した事業ということで小規模な事業が中心になると思います。数的な部分は、県事業で広域振興局がどれぐらいあるかというのは、具体的な数字を持ち合わせておりませんが、かなりの数になります。 〇高橋穏至委員 数と聞いたのは事業数ではなくて市町村数でして、全部の市町村が取り組むのかということを聞いたわけです。 〇熊谷ふるさと振興部長 基本的には、どこの市町村も地域経営推進費の活用の希望があると思います。ただ、年度によって、やはり市町村の事業の中身、それから財源の問題等もあって、毎年必ず全市町村というわけではないですが、基本的には全市町村に御活用いただいているものと思っております。 〇高橋穏至委員 私は、地域経営推進費の活用というよりも、人口減少対策に全市町村が地域経営推進費を使って取り組んでいるかということを聞きたかったのです。 〇熊谷ふるさと振興部長 先ほど申し上げましたとおり、さまざまな事業に取り組んでいただいております。移住、定住の関係とか、首都圏に行ってPRとか、それから、地域の物産を首都圏、都市部においてPRするとか、さまざまな事業を展開していただいております。 そういったものも人口減少対策だと含めれば、数多い市町村で展開していただいているものと思っております。 〇高橋穏至委員 県でも人口減少対策は膨大な量があるのですけれども、それをどういうふうに成果に結びつけているかを見ながら、本当に実効性あるものにするためにも、むしろ県が人口減少対策だと言っているので、事業にも連携しながら、アドバイスしながらといいますか、先ほどの伴走型支援では、ノウハウとか、そういうものも支援するという事業なのですが、それに近いような形で地域経営推進費の人口減少対策について、ぜひ連携してやってもらいたいという思いで聞いておりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。 次に、持続可能で希望ある医療体制の構築について伺います。 令和4年9月に発表された持続可能で希望ある岩手を実現するための行財政改革に関する報告書―行財政改革に関する報告書では、希望ある岩手を実現するための重点テーマ等の推進の方向性の章で、県立病院のさらなる充実について、今後の取り組みの方向性について提言しています。 そして、病院施設を計画的に更新すると同時に、それにあわせて基幹病院を統合し、症例数や手術数が多い病院―ハイボリュームセンターを整備していくことを検討すべきであるとの記述があります。 昨年9月の知事選挙において示されたたっそ拓也マニフェストプラス39では、この持続可能で希望ある医療体制を構築するため、周産期医療やがん、脳血管疾患など、重要な疾病対策を初め、全県的な医療提供体制と県立病院体制等の一層の充実を図ります。また、県立病院の計画的な更新とあわせて、症例数や手術数の多いハイボリュームセンターの整備を進めますとあります。 このハイボリュームセンターの整備については、私もさきの一般質問で取り上げ、私以外にも多くの質疑が交わされたところです。ハイボリュームセンターの整備は、新たな病院を整備するのではなく、まずは県内で高度、専門的な医療を安定的に提供できる体制を確保していくため、疾病や事業別医療圏の設定等に対応して機能集約を図り、将来の施設整備については、こうした取り組みを進めながら、更新のタイミング等を見計らいつつ総合的に判断するという答弁をいただいております。 令和4年9月に発表されたこの一般会計繰出金の状況は、提言の内容の一つでありますけれども、この人口減少社会を迎える岩手県の医療体制について2点伺います。まず、繰出金の状況についてであります。 行財政改革に関する報告書では、本県は、県民の医療を守るために、限られた財源を重点的に投資し、多額の一般会計からの繰出金により県立病院を支えている。しかし、この原資となる実質的な一般財源は、国勢調査人口などの減に伴う普通交付税や県民税等の減少により、毎年度減少していく見込みであり、歳出面では、高齢化の進行による社会保障費関係の増加や公債費が高水準で推移することから、今後、県の財政状況は一層厳しさを増すと見込まれる。このような中で、県立病院等事業会計への一般会計からの繰出金の水準を維持しようとすれば、他の分野の政策的経費への影響は避けられない。県民の医療を守りながら、多様化する行政需要に十分に対応していくためには、繰出金について、人口や財政規模等の動向を踏まえながら見直しを進めていく必要があると提言しております。 毎年200億円を超える繰出金を支出してその経営を支え、その中で効率化の努力をしてきておりますが、燃料費高騰等の事情があるとはいえ、今般の2月補正において、県立病院等事業会計が過去最大となる38億円の赤字となっており、県立病院等事業会計への繰出金も250億円を超えています。この負担は、人口1人当たりでは全国平均で突出しており、東北地域の中で人口1人当たりの繰出金が高い山形県の2倍であり、県土が広いことを考慮しても、面積当たりの金額も山形県の1.3倍となっております。 一般会計からの多額の繰出金が県立病院を支えている現状ですけれども、今後もこの繰り出しを継続するのか、県立病院の安定的かつ継続的に経営していくための方針を伺います。 〇達増知事 医療は県民の生活に不可欠なものであり、直近の県民意識調査においても、必要な医療を適切に受けられることを重要と感じる県民が9割を超えるなど、県民の関心や期待も非常に高く、主要な県政課題の一つであります。 県立病院等事業会計への一般会計繰出金は、こうした県民の期待に応えるため、民間医療機関では担うことが困難な高度、先進医療や政策的な対応が求められる救急、周産期、精神医療等を担う県立病院に対し、地方財政計画で定める基準で算定した額を毎年度負担しているものであります。 県立病院が、県民に引き続き安定的に地域医療を提供していく上で、持続可能な経営基盤の確立は不可欠であり、入院患者の積極的な受け入れや令和6年度診療報酬改定に対応した上位、新規施設基準の取得等、まずは、みずからの経営改善を進めることが重要であります。 その上で、国に対しては、県立病院等事業会計に対する一般会計繰出金の公共的必要性に鑑み、本県のように広大な県土を有し、多数の過疎地域を抱える地方の実情が、地方交付税の算定に適切に反映されるよう、引き続き訴えてまいります。 〇高橋穏至委員 この状況については、繰出金はやむを得ないけれども、まず、しっかりこの水準を維持し、継続していくのだという決意はわかるのですが、ただ、全体の中で、やはり人件費は上がっていきますし、苦しくなるのは、少子化、高齢化の進行とともにますます厳しくなっていくのは紛れもない事実でもある。これにどう対応していくかということになろうかと思います。 その中で、医師不足に関して、達増知事は、医師の少ない県が合同して国に対して要望するという活動をしておりますけれども、先ほどの面積が広いとかといった地理的条件に関して厳しい県と一緒になって行動するとか、そういった活動もなさっているのかどうかお伺いします。 〇達増知事 医師偏在、医師不足を解消する知事の会のような組織的なものはありませんけれども、人口密度が低い地方での必要な行政ニーズに対する医療や学校など、地方交付税交付金をしっかり必要に応じて措置するようにということは、全国知事会としてほぼ毎年、国に要望しているところであります。 病院ということでは岩手県は県立病院の数で突出しているのですけれども、ほかにさまざま共通した地方交付税の算定というところに対しては、組織的に複数県で国に要望しているところであります。 〇高橋穏至委員 この特殊事情に関して、一般ルール下で加算してもらうのはなかなか難しい部分もあるかと思う中で、効率化を進める観点から、岩手県保健医療計画を今つくられていると思います。 人口減少時代を迎えて、本県の医療提供体制をどのように構築していくのか。病院だけではなくて、現在検討が進められている次期岩手県保健医療計画の方向性や具体的な方策について伺います。 〇達増知事 現在策定を進めている次期岩手県保健医療計画は、限られた医療資源のもと、県民により質の高い高度、専門的な医療の提供と症例数や手術数の確保による医師の確保、定着を目指し、がんや脳卒中など疾病・事業別医療圏を広域的に設定し、複数分野の専門医や手術ロボット、高精度リニアックなどの高度医療機器の配置の重点化について、関係機関と連携し取り組むこととしております。 二次保健医療圏の設定に当たっては、治療開始までの時間が重要であるという考えから、交通外傷などの救急医療を迅速かつ円滑に提供するとともに、地域に密着した身近な医療を提供する範囲として圏域設定の考え方を見直した上で、来年度公表予定の新型コロナウイルス感染症流行後の最新の受療動向や疾病・事業別医療圏における医療連携体制の状況などを踏まえ、計画期間内に見直しについて検討することとしております。 地域密着で安心して身近な医療を受けられる体制を確保するとともに、県民により質の高い高度、専門的な医療が提供できるよう、県立病院や民間医療機関、関係大学などの医療関係者を初め、介護関係者、市町村等と連携し、県民が居住する地域で必要なときに適切な医療が受けられる医療提供体制の構築を進めてまいります。 〇高橋穏至委員 医療圏の体制ということで、やはり求められるのは、人口減少を迎えて、地域の住民は関心が高く、できるだけ身近なところでいち早く受けるような体制を望むのですけれども、その中で、先ほどの繰出金ではないですが、費用の問題とかといった可能性がどう見えてくるのかがまだわからない状況ではないかと思います。そこをわかるように、しっかりと、こうすれば効率よいことができるというような、今回の見直しに当たって、例えば、DX―デジタルトランスフォーメーションを使うとかということもかなり要素には入ってくると思うのですけれども、その辺の検討はいかがでしょうか。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 県土が広くて医療人材が限られている岩手県におきましては、今後の人口減少を見据えて医療のDXの推進が不可欠であろうと考えております。 そうした意味では、今般の令和6年度当初予算案におきましても、オンライン診療に係る部分の充実、また、在宅医療に関しましては、各圏域に在宅医療の連携する拠点を1カ所以上設ける、また、在宅医療を担う医療機関を複数設置し、そうした医療機関に対して支援する取り組みなども盛り込ませていただいたところであります。 いずれにいたしましても、ICT、DXは、今後の医療を推進する上で不可欠でございますので、人材の確保とあわせましてDXの推進に努めてまいりたいと考えております。 〇高橋穏至委員 それでは次の項目、農業に移ります。 たっそ拓也マニフェストプラス39では、燃油・肥料・飼料等の生産資材の価格高騰に対し影響緩和対策を実施します。また、食料安全保障への意識の高まりなどを踏まえ、海外依存度の高い麦・大豆・飼料用作物等の生産拡大などに取り組むとともに、農業生産基盤の着実な整備を進めますとあります。 そこで、初めに、令和6年度の農業生産基盤の着実な整備のための取り組み方針として、これまでの圃場整備の実績、今後の見通しについて伺います。 〇菊池副知事 農業生産基盤整備の関係ですが、県では、農作業の省力化や効率化、高収益作物の導入等による生産性の高い農業の実現に向け、地域から要望の高い圃場条件の改善を望む声なども踏まえ、農地の大区画化や汎用化などを進めているところでございます。 これまでの取り組みにより、例えば、北上市の二子地区では、圃場整備による農地の大区画化等を契機に農業法人が設立され、農地の集積、集約化が進むとともに、水稲、大豆、サトイモのブロックローテーションによる高収益作物の導入拡大が図られているところでございます。 今年度は、国の補正予算を積極的に活用し、圃場整備事業に、過去10年間で最も多い約116億円を確保するとともに、整備面積は300ヘクタールを上回る見込みとなっております。 令和6年度においても、資材価格の高騰等により事業費が増嵩する中にあって、建設コストの縮減を図りながら、予算のさらなる重点化に努めるとともに、引き続き、国に対しては十分な予算を措置するよう求め、地域ニーズに応じた生産基盤の整備が早期に着実に進むよう取り組んでまいります。 〇高橋穏至委員 それでは次に、畑地化の促進についてでありますけれども、畑地化促進事業費補助は令和5年度の補正からの継続でありますが、畑地化の進捗と目標について伺います。 〇菊池副知事 畑地化の進捗と目標等についてでございます。 本県では、水田での小麦や大豆、野菜等の転換作物の生産は、水稲とのブロックローテーションを基本としつつ、収益性、作業性等の観点から畑地としての利用が望ましい場合においては、畑地化を推進しているところでございます。 水田の畑地化について、今年度、国事業の活用を希望した面積は約2、300ヘクタールで、うち約400ヘクタールが事業採択され、未採択となった約1、900ヘクタールは、来年度以降に改めて国事業の活用を希望すると聞いているところでございます。 水田の畑地化は、生産者の意向や経営内容、地域の実情等を踏まえて実施していく必要があり、目標設定は難しいところでございますが、県としては、引き続き、畑地化に取り組む生産者に対し、希望する畑地化の取り組みと転換作物の定着が円滑に進むよう、市町村、関係団体と連携しながら取り組んでまいります。 〇高橋穏至委員 今、転換作物の話が出ました。海外依存度の高い麦、大豆、飼料用作物の生産拡大に関する今後の取り組み方針を伺います。 〇菊池副知事 麦、大豆、飼料用作物等の生産拡大に関する取り組みということでお答え申し上げます。 本県では、県、農業団体等で組織する県農業再生協議会で策定した水田農業の推進方針に基づき、海外依存度が高く需要の高まっている小麦や大豆を重点推進品目として、また、子実用トウモロコシなどの飼料用作物を飼料価格高騰対策として、水田等での作付拡大を進めているところでございます。 今年度の水田での作付面積は、資材高騰前の令和2年度に比べ、麦、大豆で約1.1倍、子実用トウモロコシで約3倍となっております。 令和6年度の当初予算案には、麦、大豆の生産拡大に向けた機械、施設の整備や排水対策等の営農技術の導入とともに、環境負荷を低減した自給飼料の生産拡大に向けた堆肥を有効活用した牧草生産の実証に要する経費を盛り込んでおり、県としては、引き続き、関係機関、団体と連携しながら、需要の高まっている麦や大豆、自給飼料の生産拡大を進めてまいる考えであります。 〇高橋穏至委員 一連のこの質問の最後ですけれども、本県農業の生産性向上というか全体の畑地化も含めて全てなのですが、その取り組みについて伺います。 昨年11月、岩手県議会のエネルギーを考える議員連盟で紫波町のみくまるっと脱炭素化モデル事業の現地調査を行ってきました。 令和4年度及び5年度に岩手県企業局のクリーンエネルギー導入支援事業を活用して、環境省の脱炭素先行地域選定を受けて取り組んでいる事業ですが、この中に子実用トウモロコシ産地化プロジェクトが組み込まれており、これは紫波町内の地域を限定した取り組みですけれども、県内全体の気候特性を踏まえた生産、循環の仕組みによる低コスト、高収益農業のビジョンづくりに取り組む必要があると考えます。 このような単独の市町村や地域単位の取り組みとは別に、市町村やJAのエリアをまたがるような県全体の戦略を策定するなど、本県農業の生産性向上に向けた取り組みについて、県が主体的な役割を果たすべきと考えますが、県の方針を伺います。 〇菊池副知事 御質問の趣旨として、本県農業の生産性向上に向けた取り組みにおける県の主体的な役割についてと受けとめて、お答えしたいと思います。 経済のグローバル化、食料安全保障への意識の高まり、燃油、資材等の価格高騰など農業を取り巻く環境が変化する中、本県農業は、地域経済を支える基幹産業として、将来にわたり持続的に発展していくことが重要であります。 このため、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランに基づき、市町村やJAなどの農業団体と連携し、環境負荷を低減する持続的な生産活動のもとで、生産性、市場性が高く、安全・安心で高品質な農作物を安定的に生産する産地づくりを推進しているところでございます。 高橋穏至委員の御案内のとおりですが、広大な県土を有する本県においては、変化に富んだ気象や立地条件に適した営農が行われており、例えば、二子さといものような、地域特有のポテンシャルを最大限に生かしたブランドの戦略がある一方で、広域的な産地としての産地形成、産地拡大としての戦略もあるところでございます。 これらの戦略は、それぞれ地域の地元の農業者を初め、市町村やJAなど関係機関との合意形成を図りつつ策定しているものでありまして、さまざまな戦略を重ね合いながら、それぞれの地域において持続的に発展していく農業が展開されてくことが大原則でございます。 こうした状況の中、県が主体的な役割を果たし、市町村と共同で策定してきた計画として、例えば、県環境負荷低減事業活動の促進に関する基本的な計画が挙げられます。これに基づき、有機農業などの環境保全型農業を推進しているところです。 また、生産性、市場性の高い産地づくりに向けては、まさに全県レベル、広域的レベルの取り組みにつながるものですが、人工衛星のいわゆるリモートセンシング技術を活用した水稲の適期収穫や品質管理、環境制御技術を活用したトマトやピーマン、キュウリなどの超多収生産、自動操舵農機を活用したタマネギなどの土地利用型野菜の生産性向上、AI技術を活用したリンドウの省力型栽培体系の開発、実証、DNAマーカーを活用した地球温暖化に適応する米やリンゴなどの新品種の開発などを進めているところでございまして、今後とも、市町村や関係団体と連携しながら、本県農業が持続的に発展していくよう取り組んでいくところでございます。 〇高橋穏至委員 地域ごとに連携しながらやっていくという話は知っていますし、推進協議会の取り組みも知っております。ただ、その取り組みがエリアの中で完結されているのです。紫波町の子実用トウモロコシの例ですと、これは畜産経営体からの堆肥でバイオマス発電し、その発電に使った残渣からトウモロコシの肥料をつくって、お互いに循環するという仕組みなのですけれども、問題は、設備に非常にお金がかかると。そういった初期費用に環境省から補助金があるのでできる。でも、そういった取り組みを全市町村でやろうと思ったら、これは到底無理であります。 岩手県は、広大な県土を有して、その地域に適した収穫がある。一方で、県北地域のブロイラーですとか、さまざまな畜産経営体が県内にある。その中で大きく取り組んで、大きな生産体制をつくっていく。そういったことがないと、安心して、例えば、先ほどの生産者の意向ということもありますけれども、本当にこの事業に取り組んで将来やっていけるのかというのは、大きい絵がないとできないと思うのです。大きい絵を描く必要があるのではないかと思うのですが、その辺についてはいかがですか。 〇菊池副知事 高橋穏至委員御指摘の事業の展開の形につきましては、いわばプロジェクト型の展開の事例だと思っております。一方で、全県的あるいは県北地域、県央地域、県南地域、沿岸地域等の広域的なブロックなどを視野に入れた、農業者の、あるいは市町村、そしてJA等の関係団体と一緒になってつくった、いわゆる部門別計画もさまざまございます。お米のブランド化や野菜生産振興、果樹、農業など、それぞれの品目あるいはゾーンごとに着目した計画を一緒になってつくってきています。 そういう中で、産地化あるいは持続的な営農を維持、継続し発展させていくための営農計画の共有化と実践など、さまざまな観点から、計画の対象範囲の規模は大小さまざまで、それらを一つではなくて、重ね合わせながら、農家の方々が持続的に安心して営農ができていくような状況をつくっていこうとしているものでございます。 〇高橋穏至委員 積み上げ型でそれぞれの事業を組み上げているのも考え方としてはあると思うのですけれども、岩手県として、これが農業大国岩手だというような大きい絵がないと、やはり継続していける目標ができないのではないかと。やはりこれには調整するトップマネジメントが大事だと思うのですけれども、その辺は、知事いかがでしょうか。 〇達増知事 大きなビジョン、大きな絵ということをよく伺うわけですけれども、それはどういうことが想定されているのか。例えば、岩手県では農林水産業で毎年1兆円稼ぐ。だから、それぞれ何億円ずつというノルマを各分野、各市町村にかけていくのか、あるいは岩手県はやはりお米がこれからいいので、とにかく米をふやすのだ、ほかの作物はやめて米にするというようなビジョンを求めているのか。 もしそうではなく、それぞれの地域の特性に合わせて、地域の皆さんが、農業者、生産者と農協などの団体とさまざまな専門家、そして自治体が協力しながら、果樹は果樹としてさまざま新しい品種を開発したり、そして、園芸であれば、IT、デジタルをどんどん取り入れて新しい技術をと。 そのように、それぞれの地域や分野に合わせ、今、担い手となっている人たちを中心にして、岩手県の農業全体をよりよいものにしていこうということであれば、それは今まさにそういうやり方で、それぞれの地域や分野に着目した、それぞれの個別の計画や目標を分野ごと、地域ごとにつくっていることになります。そういう意味では、恐らく大きなビジョン、大きな絵が欲しいと言っている方々が実質的に求めているものは、既に行われているのではないかと考えています。 〇高橋穏至委員 マニフェストプラス39であった燃油、肥料、飼料等の高騰対策、今よく言われている食料安全保障の部分で、輸入に頼らない、要は、岩手県の場合、広大な農地があります。その中で、海外からの輸入ではなくて、一方で畜産とかブロイラー等、さまざまなものもあります。域内で強い農業をつくるためには、大きく取り組まないと、小さいエリアでやっていたのではコストがかかって回りません。そういったものを大きくやるためには、生産者の意向、地域ごとの意向もありますけれども、大きい絵で、一緒にこういったビジョンというものがないと、なかなか進めないだろうと。そのためにもつくったらいいのではないかという意味ですけれども、いかがですか。 〇達増知事 おっしゃっていることが、具体的に市町村の枠を超えた土地改良を進めていこうということなのか、市町村の枠を超えてというか、それはJAの枠を超えてやっていこうということであるのか。必要に迫られて、個々の生産者は、もうお米の生産など、市町村やJAの枠を超えてやっている方々もいらっしゃるとは思うのですけれども、ただ、それはどちらかというと例外的で、やはり各地域、JAの主体性や計画性、また東京圏の市場での知名度の高さ、実績など、そういった枠組みを生かしながら、必要に応じては、JAの枠を超えたり市町村の枠を超えたりした取り組みも行っていくということでよろしいのではないでしょうか。 〇高橋穏至委員 そういうことではなくて、市町村の枠を超え、あるいはJAの枠も超えて、岩手県の広大な土地利用の中で岩手県の農業がどうなったらいいかというような絵を一緒に描いていく、そのビジョンづくりから一緒にやっていくという意味でございます。そうすると、このエリアだったら、今までは米しかやっていなかったけれども、この形でやるのだったら畑地化してもいいとか、先ほど、畑地化に対しては生産者の意向という回答もありましたけれども、その意向をつくる上でも、目標となるビジョンがないと、なかなか踏み切れないのではないかという意味でございます。 〇城内愛彦委員長 この際、高橋穏至委員の質疑の途中ではありますが、昼食のため午後1時まで休憩いたします。 高橋穏至委員、御了承願います。 午前11時57分 休 憩 午後1時2分再開 〇城内愛彦委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。 〇高橋穏至委員 続いて、道路ネットワークの整備について質問します。 たっそ拓也マニフェストプラス39では、沿岸部と内陸部を結び、安全・安心を支え産業の基盤となる道路ネットワークの整備の項目で、北・北道路―久慈内陸道路、国道343号線新笹ノ田トンネル、国道107号線、国道340号線大船渡市から遠野市におけるトンネル整備や道路改良など、具体的な路線名があるため地域住民から大きな期待が寄せられております。 今回の代表質問や一般質問でも何回か取り上げられておりますが、具体的に路線名が示された事業について、令和6年度における予算措置状況と今後の見通しを伺います。 〇八重樫副知事 マニフェスト掲載路線についてでありますが、令和6年度当初予算案において、地域連携道路整備事業費では、国道281号久慈市案内―戸呂町口工区におけるトンネル整備に向けた道路改良工事費等を、国道107号大船渡市―住田町間の白石峠工区における構造物の詳細設計等に必要な予算を盛り込み、事業進捗を図ることとしています。 また、地域道路整備事業費では、国道343号笹ノ田峠など、マニフェスト掲載路線も含む県全体の道路ネットワークにおける道路整備に必要な調査費等を盛り込んだところです。 これらの予算を活用して事業中工区の整備を着実に進めるとともに、調査の熟度を高めながら、産業の基盤となり災害に強い道路ネットワークの構築が進むよう取り組んでまいります。 〇高橋穏至委員 今もありましたが、これまでの質疑の中でも、令和6年度はどれくらいの取り組みが進むかという質問に対しては、よく熟度を高めるという答弁が多数聞かれております。 そこで、知事にお伺いしますけれども、マニフェストに記載された路線について、今期、知事の任期内4年間でどれくらいの進捗を考えているのかお伺いします。 〇達増知事 マニフェストに掲載した路線については、いわて県民計画(2019〜2028)において、物流の基盤となる道路の整備や緊急輸送道路の通行危険箇所や隘路の解消等を推進することとしており、現在、国道281号久慈市案内―戸呂町口工区や国道107号大船渡市―住田町間の白石峠工区においてトンネル整備等に取り組んでいるところです。 これらの取り組みを着実に進めていくために、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランにより目標値を設定するなど、早期に効果が発現されるよう事業を推進するとともに、国道343号笹ノ田地区技術課題等検討協議会などでの検討を進めてまいります。 任期中においては、引き続き、沿線の市町村と丁寧に意見交換しながら、産業の基盤となり、災害に強い道路ネットワークの構築に取り組んでまいります。 〇高橋穏至委員 具体的に4年後にはこれくらいになるというのはなかなか見えなくて、多分、地域住民はやきもきしているかと思います。しっかりとした見える形になってほしいというのが地域の望みではないかと思います。 これ以上言ってもしようがないので、次の項目に移ります。最後に、希望郷いわてを実現するための財源確保についてであります。 まずは、歳入確保について質問します。初めに、地方交付税の拡充についてであります。 マニフェストプラス39や人口減少対策を実行するために財源確保が重要なのは言うまでもありません。持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会の報告書によれば、森林づくり県民税の使途拡大に触れておりますが、大都市を中心とした宿泊税や滋賀県の交通税など、他自治体でも超過課税の動きがあり、さきの代表質問でも子育て支援に関する税の提案がされております。 当該行財政研究会の報告において、県独自の財政需要として、いわゆる保有財源での対応をしている旨が示されております。さきの代表質問で福井せいじ議員から、人口ではなく、広い県土を有する地理的条件にも配慮した制度を要望すべきとの提言もありましたが、本県の地方交付税の配分、算定結果を踏まえた課題認識と地方交付税制度の充実、拡充に向けた県の取り組み方針を知事にお伺いします。 〇達増知事 国のいわゆる骨太の方針において、令和6年度までの地方一般財源総額は、令和3年度と実質的に同水準とすることとされており、令和3年度の62.2兆円から令和6年度では62.7兆円と微増しております。 一方、本県の標準財政規模は、令和3年度の4、056億円から令和5年度では3、906億円と150億円減少しており、同水準が確保されていると言いがたい状況にあります。 これは、大宗を占める地方交付税の算定において、人口を基礎とする割合が高いため、人口減少や少子高齢化の進行が速く、広大な県土を有し、多数の条件不利地域を抱える本県のような地域の財政需要が、適切に反映されていないという問題に起因すると認識しております。 県ではこれまでも、県立病院や小規模高等学校のかかり増し経費等について、地方交付税算定に適切に反映するよう国に要望してまいりました。 地方が直面する課題に、より的確に対応していくために、地方交付税制度の財源保障機能と財源調整機能が十分に発揮されるよう、現在の算定方式の問題点を明らかにしながら、制度の充実、拡充について提言してまいります。 〇高橋穏至委員 次に、ふるさと納税の強化について伺います。 県の裁量、努力で歳入をふやす可能性を秘めているものに、ふるさと納税があります。全国、そして全市町村が、歳入確保に向け知恵を絞っています。近年、商品の魅力化などに取り組み、令和6年度は3億円を見込んでおり、その内訳は主に個人版ふるさと納税と思われますが、市町村でも独自に取り組みを進める中で、県として大きな金額を確保するためには、集めた資金をどのように活用するかを明確にしたクラウドファンディング型ふるさと納税や企業版ふるさと納税の取り組みが重要と考えますが、これらの実績と今後の方向性を伺います。 〇熊谷ふるさと振興部長 ふるさと納税の強化についてでございますが、まず、クラウドファンディング型ふるさと納税につきましては、これまで、令和3年度から令和4年度にかけて二つのプロジェクトを対象に寄附の募集を行い、合わせて210万円余の御寄附をいただいたところであります。 クラウドファンディング型ふるさと納税は、県内外を問わず幅広く共感を得られるような情報発信に取り組むことが重要であると認識しており、訴求力の高いプロジェクトを選定するとともに、事業担当部局や広報担当部局などとも連携したPRを行うなど、活用に向けた検討を進めてまいります。 また、企業版ふるさと納税につきましては、令和4年度は4社から110万円余、令和5年度は、1月末現在でありますが7社から1、600万円余の御寄附をいただいております。 企業版ふるさと納税は、企業における理念や事業内容、社会貢献への考え方を踏まえて行われることが多いと承知しております。引き続き、岩手県公式ホームページで寄附対象事業をわかりやすくPRするなど、企業が寄附しやすい環境を整備するとともに、包括連携協定企業や誘致企業等に対する働きかけなどを行ってまいります。 これらふるさと納税制度は、岩手ファンの拡大や県の施策のPRなどに対して有効な取り組みであり、今後も引き続き、活用拡大に向けて取り組んでまいります。 〇高橋穏至委員 次に、有利な地方債の活用についてです。 予算公表資料において有利な地方債を有効活用するとあり、これは地方債の元利償還金に交付税措置があるものを指していると思われます。近年、国では公共施設の統廃合、集約化などを促進するための公共施設等適正管理推進事業債、公共施設等の脱炭素化の取り組みを推進する脱炭素化推進事業債など、地方の財政負担を軽減する有利な地方債を創設しています。 将来の公債費の実質的な負担軽減を図るため積極的に活用すべきと考えますが、令和6年度当初予算案で新規に発行する県債のうち、有利な地方債の活用見込みを伺います。あわせて、今後の県債発行に関して、有利な地方債の活用に向けた県の考えを伺います。 〇千葉総務部長 有利な地方債の活用についてでありますが、令和6年度の建設地方債の発行予定額約429億円のうち、発行規模について県の裁量が乏しい災害復旧事業債は除いて、元利償還金に交付税措置がある地方債の発行予定額は278億円程度と、昨年度と比べて34億円程度増となっております。 このうち、例えば、高橋穏至委員御指摘の脱炭素化推進事業債につきましては、公共施設等のLED化や公用車へのEV導入等の事業に活用するため、令和5年度の10倍以上となる8.5億円程度を発行する予定としております。 今後とも、有利な地方債の活用を念頭に置きながら事業の企画立案を行い、これらの積極的な活用に努めてまいりたいと存じます。 〇高橋穏至委員 今、LED化の話が出ましたが、歳入確保の最後に、GXの関連施策の資金調達について質問します。 政府は、2050年のカーボンニュートラルに向けて脱炭素に向けた取り組みを加速しており、県でも四つの重点項目の一つとしてGXを掲げています。 国においては、令和5年度から脱炭素化推進事業債を創設。さっきありましたけれども、県では、全国初となるグリーンボンド/ブルーボンドを発行するなど、先進的な取り組みを評価するところです。 そこで、脱炭素化推進事業債を積極的に活用することで、カーボンニュートラルと財政負担軽減の両面で効果が期待できることから、例えば、先ほども紹介しましたけれども、紫波町の取り組みでは、脱炭素化先行地域選定を受けて農業課題の解決につなげているなど、GX関連施策を推進することで他分野への波及効果も期待できます。 国庫補助や外部資金等を積極的に活用しながら、GXの推進に向けて今後どう取り組むのか、県の方針を伺います。 〇八重樫副知事 県では、国の地域脱炭素移行・再エネ推進交付金を活用し、事業者の自家消費型の太陽光発電設備や省エネ設備の導入補助を行っており、来年度当初予算案では、個人向けのZEHプラス住宅への補助に要する経費を計上しています。 また、県有施設の脱炭素化については、再エネ推進交付金のほか脱炭素化推進事業債も活用し、今年度からLED照明の導入やバイオマスボイラーの更新に取り組んでいますが、来年度は、これに加え、太陽光発電導入のための設計や公用車へのEV導入を予定しています。 地域脱炭素の取り組みに対しては、各省庁の交付金や地方財政措置の充実による施策横断的な支援のほか、民間事業者には、GX経済移行債による投資促進が図られていることから、県、事業者、県民が、オール岩手で、あらゆる財源を十分に活用しながらGXの取り組みを推進してまいります。 〇高橋穏至委員 歳入確保に続いて、次は、歳出抑制について質問します。 初めに、評価制度の成果についてであります。 人口減少対策を初めとした四つの重点事項に予算投入を集中させるためには、既存事業の見直しによる財源捻出が必要です。このためには、県民、団体への説明責任を果たし、その理解を得るためにも、当初想定した目標、指標に対する効果測定から客観的に判断すべきと考えます。具体的には、事業効果が乏しいものは事業内容を抜本的に見直す、あるいは廃止して優先度の高い分野に予算を配分するなどの対応が必要です。 そこで、政策評価や事務事業評価制度がしっかり機能しているのか、これまでの評価制度が県の政策、事業を決定する上でどのように機能していたのか、生かされてきたのか、改めて県の認識を伺います。 〇小野政策企画部長 いわて県民計画(2019〜2028)の推進に当たりましては、いわて幸福関連指標等の状況や社会経済情勢などを勘案し、効率性、有効性の観点や政策形成過程における透明性の確保を目的として毎年度評価を行い、これらも踏まえ、施策等の必要性や緊急性等の見直しを行っているところです。 また、政策評価等の仕組みに基づくマネジメントサイクルを確実に機能させていくため、評価の前提となりますいわて県民計画(2019〜2028)第2期政策推進プランの策定に当たりましては、これは県議会でもさまざまな意見を頂戴したところでございますが、ロジックモデルをしっかり構築し、これに基づき政策体系や指標を整理するとともに、関係部局で構成する政策推進クロスファンクショナルチームにおいて、政策分野の評価や翌年度以降の政策立案の検討を行っております。 予算編成におきましては、これらの評価等を踏まえ、新規事業の創設や既存事業の拡充などを施策、事業等に反映しておりまして、今後におきましても、評価と政策形成、予算編成の連動を図りながら、政策手段の検証を不断に行い、計画の着実な推進に向けて取り組んでまいります。 〇高橋穏至委員 今、説明があった評価制度を活用した事業の選択と集中について質問いたします。 今定例会に提出された報告書によれば、合計863事業を対象に事務事業評価を実施し、純粋な廃止、休止は17事業で29億円にとどまっています。 本県の純粋な廃止、休止の17事業は、評価対象863事業のたった2%。98%は、一部に制度拡充などが含まれるものの、実質的には継続事業と認識しております。達増県政は5期目となり、政策、事業が硬直化しているのではないかと危惧するものであります。 初当選の平成18年から本県を取り巻く社会環境は大きく変化しており、医師不足などの継続的な課題もありますが、人口減少や公共交通の維持など、政策の優先順位が高くなった課題もあると思われます。 都道府県レベルで初めて学校給食費の無償化を打ち出した青森県は、275件の既存事業を廃止、見直ししたことで60億9、000万円を捻出しているとの報道がありました。この財源があれば、岩手県でも給食費の無償化や第1子からの保育料無償化に取り組めます。 既存事業を大胆に見直し、緊急度の高い政策分野に資源を集中させ、先例にとらわれず大胆な見直しを図るべきではないでしょうか。例えば、本県独自色の継続事業の代表例として、漫画の取り組みがあります。コミックいわても年1回の発行を重ねて今年度で13巻目。マンガ大賞の表彰区分など、内容は違えど同じような取り組み内容になっている印象があります。また、いわて若者文化祭と若者会議を統合したいわてネクストジェネレーションフォーラムなど、名称は変わっても事業の本質は変わっていないように見える事例もあります。 政策評価や事務事業評価を通じ、政策の優先順位を見きわめ、効果が乏しい継続事業は大胆に見直すなど、選択と集中を強力に進めるべきと思いますが、知事の見解を伺います。 〇達増知事 政策等の評価に当たっては、効果的かつ効率的な行政の推進を目的として、政策推進プランの体系に基づき、政策、施策及び主な事務事業について総合的に評価しており、事務事業評価においては、指標の状況や上位施策との関係も踏まえながら、必要性、有効性等を考慮し今後の方向を取りまとめております。 政策的な事務事業においては、これらの評価をもとに事業の課題等を明らかにし、事業の立案や見直しを行っています。 一方で、達成度が低い事業であっても、例えば、公共交通ネットワークの構築支援や働き方改革推進のように、県民ニーズや全国的な社会経済情勢等を踏まえ、取り組みの継続により定着を図っていく必要があるなど、事業を取り巻く状況も勘案しながら予算編成過程につなげているところです。 令和6年度当初予算案では、四つの重点事項の推進に十分に配意し、シーリングにより捻出した財源の3倍まで要求を認めることにより、新規事業の創設や既存事業の拡充を図ったところです。 高橋穏至委員御指摘のとおり、人口減少の影響等により、地方交付税を含む実質的な一般財源が減少する中、社会経済情勢に的確に対応した政策形成が重要でありますことから、政策評価等を確実に機能させ、政策推進プランの着実な推進に取り組んでまいります。 〇高橋穏至委員 今、成果あるいは事業の達成度が低くてもという話がありました。決算特別委員会のときもお話ししたのですけれども、そもそも事業達成の目標数値をどうやってつくっているのですかという質問に対して、これまでの実績を見てつくっていますという回答がありました。これはどういうことなのでしょうかというやりとりをした記憶がございます。 要は、達成すべき到達目標、例えば、いわて幸福関連指標ですとか、そちらに結びつかない指標もあるのではないか。やはり達成すべき目標に対して効果はどうだという視点で検証すべきと思いますけれども、いかがですか。 〇小野政策企画部長 いわて幸福関連指標、そして具体的推進方策指標の目標設定に当たりましては、昨年度でございますけれども、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプラン策定に当たりまして、これまでの成果や課題を踏まえましてかなりのところ、まず、先ほど一つお話ししたロジックモデルをしっかり組み上げましょうと。その上で、目標設定について、どういう形で設定していくのかということでは、まず、4年後を見て、これを達成するために何をすればいいのかという基本的な考え方に立ってやっていきましょうと。 それからもう一点、つながりがなかなかないのではないかという、いわて幸福関連指標と具体的推進方策指標との関係につきましても、目的、成果、具体的な取り組みが、一つにはロジックとしてきちんとつながっているように、これを各事業、取り組みとも相当吟味して議論し、設定いたしました。また、議会におきましても、かなり御意見も頂戴し、必要な修正も行いながらアクションプランを見直して策定してまいりました。 外部的な要因として、新型コロナウイルス感染症の影響、それから、近年の円安、物価高といったこともあります。こういう外部的な要素が入ってきますと、アクションプランを策定いたしましても、また、そこに外的要因が入ってしまってなかなか説明が困難になるといった状況もあります。そこについても、評価を通じて、どういった要素によってそこが達成できなかったかをきちんと課題として整理した上で、来年度予算につなげていく取り組みを行っております。 また、もしも必要であれば、ここは柔軟にアクションプランの見直し等も行ってまいりたいと考えております。 〇高橋穏至委員 社会の課題、特に人口減少に対する重要度、いろいろ状況が変わってきております。その中で、当初予定された事業のロジックで目標を達成するのが、果たしてそれが全部できるのかということも、選択と集中の中では検討材料の中に入ってくるのではないかと思われます。ぜひ、そういったところでしっかりと見直しながら進めていきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。 〇小野政策企画部長 第2期アクションプランを昨年度策定し、今年度から動き始めております。今回の政策評価におきましては、アクションプランの1年目といったことで、まだ指標の成果が出てきておりません。この評価につきましては来年度行うことになります。その成果も見ながら、もしも必要であれば、ここは柔軟に見直してまいります。 〇高橋穏至委員 ぜひ、しっかりと継続してみながらいきたいと思います。 続いて、県組織、職員体制のスリム化について質問します。 人口減少が避けられない中で、行政サービスの対象者が減少することから、県組織、職員体制のスリム化を検討し筋肉質な体制にしなければなりません。賃上げの動きは今後も継続することが見込まれ、給与、ボーナスの引き上げ、定年の引き上げ、会計年度任用職員の処遇改善など、今後も人件費の増加が見込まれます。 DXの推進等により業務の効率化、推進化を図り、サービスの質を落とすことなく県組織、職員体制のスリム化をすることで、浮いた財源を県民サービスの向上に振り向けることを検討すべきと思いますが、知事の認識を伺います。 〇達増知事 人口減少下にあっても県民サービスを安定的、持続的に提供していくためには、行政需要に応じた機動的な組織体制の整備や柔軟な人員配置とあわせて、より効果的、効率的に業務を推進できる体制を構築することが必要であります。 人口減少により職員の確保が困難になる中、さまざまな手法によるマンパワー確保に引き続き努めていくとともに、今後は、労働力不足を前提として、限られた人員で持続可能な行政サービスを提供できる体制を検討することが重要な視点と考えております。 こうした認識のもと、業務の一層の効率化を図るため、行政におけるデジタル技術の積極的な活用を進め、今後も、電子契約の導入や行政手続オンライン化を拡大するとともに、復興道路等の整備による移動時間の短縮等の環境変化を踏まえた柔軟な拠点配置など、DXの効果を最大限発揮できる組織体制の整備に取り組んでいく必要があると考えております。 こうした取り組みにより、今後、財源や人的資源などの行政経営資源が縮小する中にあっても、持続的に県政の重要課題に対応し得る最適な組織体制の構築を進めてまいります。 〇高橋穏至委員 これは職員体制にも関係するわけですが、最後に、広域振興局体制について質問します。 現在の広域振興局体制に移行してから約15年。管内人口が減少する中で、県の総合出先機関としての役割も見直す時期ではないでしょうか。 広域自治体である県と基礎自治体である市町村の役割分担、権限移譲の進捗と人口減少が進む小規模町村の住民サービスの補完などを踏まえ、より広域的かつ効率的な体制に見直すため、例えば、行政センターから本局に資源と財源を集中させることも考えられると思いますが、広域振興局体制の見直しに対する県の認識を伺います。 〇熊谷ふるさと振興部長 広域振興局は、産業振興による地域経済への活性化を主眼とし、地域ニーズに即した施策展開が一層可能となるよう、市町村への支援や広域的、専門的なサービスの提供などを目的に設置したものであり、広域性と専門性を旨とする県が、市町村と連携しながら地域経営を担うことを基本的な考え方としてきたところでございます。 令和6年度には、広域振興局を拠点として、市町村ごとの重点的な人口減少対策に係る支援策を検討、実施するため、各広域振興局経営企画部に特命課長を配置するなど、行政需要の変化に応じて必要な体制の見直しを図っております。 また、現場機能を担う各センターは、県民に身近な行政サービス提供の拠点とし、環境生活や福祉の相談業務、農林水産業の普及指導や道路、河川等の維持管理などの現場業務、災害対応業務などを所管し、県民や事業者の利便性を維持、確保できるよう配置しているところですが、行政需要の変化やDX進展による業務の効率化、道路交通網の整備による移動時間の短縮などの社会情勢の変化、職員配置の視点も総合的に勘案しながら、地域課題に的確かつ柔軟に対応できるよう、広域振興局の体制を不断に見直してまいります。 〇高橋穏至委員 今、社会インフラの状況とかがさまざま変わってきている中で、これに関して各市町村からの要望的なことは何か出ているのでしょうか。 〇熊谷ふるさと振興部長 広域振興局の体制に関する市町村からの御意見と承りましたが、私には特段、広域振興局の体制を改めてほしいといったお話は、直接伺ってはおりません。 〇高橋穏至委員 体制については直接言えることもないかと思いますけれども、各市町村からの、例えば先ほどの人口減少対策にしても、小さい市町村ほどマンパワーがなかなかとれないということで、県への人的、技術的な支援についての要望はありますでしょうか。 〇熊谷ふるさと振興部長 市町村、特に小規模な町村におきましては、やはり専門的人材が不足していることもございまして、技術職員の派遣というお話は来ております。 現在、人的配置につきましては検討中でございますが、市町村の御希望に添えるよう人的配置を検討するとともに、先ほども地域経営推進費のところで御説明しましたが、人口減少対策と派遣をセットにした新しい人的、財政的支援を立ち上げております。そういったことで総合的に市町村の人口減少対策に、県と市町村一緒に連携して取り組んでまいりたいと考えております。 〇高橋穏至委員 最後に、人口戦略会議副議長の増田寛也前岩手県知事は、2月21日の新聞で、人口減少対策についてこのように述べています。 若年人口がさらに急激に減少する2040年がラストチャンスだと言っていますが、遅ければ遅いほど厳しくなる。今が最後のチャンスだと考えたほうがいい。この先、仮に出生率が上昇しても、2040年に現役世代の人口が今の8割に減る社会の到来はもう避けられません。確かに人口増の努力はかなり先にならないと効いてこない。一方で、人口減少社会への適応は、今後、少なくとも2100年ごろまでやり続けなければいけない。どちらも取り組みが遅くなるほど困難さが増します。これから数十年ほどが最も苦しい時代になるでしょう。この厳しい時代を切り抜ければ、次第に若い世代がふえて、高齢化リスクも下がり、人口減少が穏やかになって正常化に向かう。そこを目指していくしかありませんと書いてありますが、これに関する知事の所見をお伺いします。 〇達増知事 人口減少問題は、今目の前にある課題でもあると思っておりますので、今この瞬間にも待ったなしといいましょうか、結婚や妊娠、出産、そして子育てということを考えている若者、また考えたいと思っている若者が、この日本経済の30年間の、賃金が上昇しないとか、実質賃金は下がっているとか、増税や社会保険料の上昇で可処分所得がさらに下がり、かつ、特に大学の学費が上がり、奨学金返済の重荷がさらに重なって、プラス生活費もアルバイトで稼がなければならない。自分の学生時代や、その少し後ぐらいの若かった人たちの学生時代と比べますと、若い人たちの今の生活は非常に圧迫されているように思います。 ぜひ、少しでも岩手県として下支えをし、また、背中を押して、経済活動、社会活動を積極的に行う中で、結婚、出産、子育てに夢と希望を持ってもらいたいと思っております。 一方、転出超過の問題に関しましては、かつてと違って、岩手県内で就職を希望する人たちの数以上の雇用の場は、もう岩手県内にある時代になっております。そして、交通と情報通信の一定の発達によりまして、21世紀に入ってからは、岩手県内にいながらにして、全国と勝負したり世界に挑戦したりすることができている。大谷翔平選手に象徴されるような時代に入っているわけでありまして、これは岩手県内の若い人プラス岩手県外の若い人もそうですが、岩手県の中の経済情勢、産業状況、そして、個々の企業のすばらしさをよく知ってもらえば、これもまさに今すぐそうした転出超過にブレーキをかけていけるものと考えております。 ただ、女性の伝統的なアンコンシャスバイアス、女性差別的な状況は、やはりそう思われているというところは一定程度岩手県にもあると思っております。これもまた、今すぐどんどん解消していくべきところと考えております。 〇高橋穏至委員 いろいろ説明いただいたのですが、私が聞きたかったのは、今がラストチャンスの時期だという認識について伺いたかったのです。そうすると限られた時間の中で選択と集中を今強めないといけないのではないか。 先ほどアクションプランの見直しの件もありましたけれども、これまで流れでつくってきている4年間とかを積み上げてきたわけですが、その中で、やはり今、危機感を持つべきではないかという意味で、このラストチャンスというのをどう捉えているかについてお伺いしたいと思います。 〇達増知事 今こここそ全力を尽くすべき瞬間であって、先送りできないという意味では、何十年後かにラストチャンスがあるとか何年後かにラストチャンスがあるとかという場合ではなく、例えば、この3月に卒業して、4月に就職するような人たちも、きちんと必要な情報、いい情報を得た上で賢明な判断をしてくれたものかどうか。また、コロナ禍の中で社会活動、経済活動を遠慮して、結婚とか出産を先送りして、また今、それができないでいるような人たちのことを考えれば、過去にもっとやっておかなければならなかったぐらいに感じるほどであります。 その意味で、決して先送りできないという意味で、今がラストチャンスだと思っております。 〇高橋穏至委員 ぜひ、ラストチャンスという意味で、危機感を持ちながら全力で取り組んでいくというのは、そのとおり大事なことだと思います。 先ほどは少し議論がかみ合いませんでしたけれども、例えば農業政策で大きい絵が欲しいと。要は、先のビジョンがあって、それに対して安心して向かっていけというようなビジョンが描けるのかということが非常に大事ではないかと。そして、個々の政策についても、その先の形が見えるかどうか。 今、このラストチャンスの部分で、残された時間もなくなってきました。そういった事業評価をしっかりして、スクラップ・アンド・ビルドでつくらなければいけないという視点で、しっかりと予算審査をしながら今後の事業を見ていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。 以上で終わります。(拍手) 〇城内愛彦委員長 次に、佐藤ケイ子委員。 〔佐藤ケイ子委員質問者席に着く〕(拍手) 〇佐藤ケイ子委員 希望いわての佐藤ケイ子でございます。会派を代表いたしまして、令和6年度の予算特別委員会総括質疑をさせていただきます。前半は私が、そして、後半は柳村委員が行います。 これまでの一般質問で触れられた項目もございますが、私なりの観点で質問いたしたいと思います。よろしくお願いいたします。 令和6年度一般会計予算案は7、322億円で、令和5年度当初予算から392億円減少。新型コロナウイルス関連や震災対応分が減少し、震災前ベースの財政規模ということであります。 新年度予算のポイント1は、四つの重点事項として、自然減・社会減対策、GX推進、DX推進、安全・安心な地域づくりを掲げ、その重点事項の予算は、新型コロナウイルス感染症対応を除き765億円から840億円と75億円の増加が示されました。 ポイント2は、市町村との連携強化、そして、ポイント3は、希望郷いわてその先へ歩みを進める新機軸の取り組み。海外展開関連事業、そして、福祉消費生活関連相談拠点施設の整備などということであります。さらには、たっそ拓也マニフェストプラス39の具体化に向けて、364事業に977億円が盛り込まれているとの資料が示されております。 このような中で、2月13日には、知事を本部長とする人口問題対策本部会議が開催され、いわてで生み育てる支援本部会議といわてで働こう推進会議もあわせて行われたということであります。 2023年の自然減は1万4、269人、社会減は4、653人と減少に歯どめがかからない状況で、特に、出生数はこの時点では5、500人程度ということでしたけれども、過去最少になる厳しい見通しで、全庁で人口減対策の推進を確認したとの報道でありました。 国立社会保障・人口問題研究所は、5年ごとに人口の将来推計をまとめており、2050年には日本の人口は1億400万人余りになり、東京都を除く全ての道府県で2020年より減少する見通しということです。全国的にも大変な問題であります。 岸田首相は、異次元の少子化対策を講じると言いますが、内容も財源も不透明な状況です。また、保険料1人当たり月500円程度支援金を徴収するということも報道されておりますが、その是非についても議論が深まっておりません。 GDPは世界4位に下がり、失われた30年間と言われるように、成長もせず、賃金も上がらず、生活苦、不安定雇用で将来不安の中で出生率を上げるというのは至難のわざであります。国の根本的な政策転換が必要ですが、裏金問題で国会が紛糾し、政策を議論できるような環境ではありません。知事選挙では刷新というキャッチフレーズがありましたけれども、国政こそ刷新してほしいと思うものであります。 それでは、質問に入ります。令和6年度当初予算案について何点か伺います。 予算案に込められた思いについてですけれども、知事選挙を経て、新年度予算案は、希望郷いわてその先へ予算とネーミングされましたが、財政健全化や人口減少の課題が山積する中、選挙で県民の期待を感じた後での初めての予算編成でありました。 知事は、この予算案で何を実現しようとされているのか、初めにお伺いいたします。 〇達増知事 令和6年度当初予算案は、5期目の知事として、いわて県民計画(2019〜2028)や第2期アクションプランのもと、四つの重点事項を中心に人口減少対策に最優先で取り組み、県民の幸福度向上を図る10の政策や新しい時代を切り拓くプロジェクトを着実に推進することとしております。 また、施策の推進に当たっては、これまでの市町村長との意見交換等を踏まえ、少子高齢化が進む市町村が、個性や特色を生かした地域づくりを進められるよう、広域的な視点に立ち、必要な支援を機動的に行える予算案を編成したところです。 特に、小規模町村に対しては、柔軟に対応できる伴走型の支援体制を構築し、実効性のある事業を展開しながら地域課題に立ち向かうこととしております。 第1期アクションプランでは、具体的推進方策指標の達成度がB以上の割合は、安全分野で約90%、仕事・収入分野で約77%、社会基盤分野で約88%などとなっており、県の取り組みがかなりの程度進んでいるところでありますが、第2期アクションプランのもとで、さらに強力に推進し、県民一人一人の生きにくさを生きやすさに変えるため、岩手県にかかわる全ての人をエンパワーしていくとともに、各市町村、そして岩手県の価値や魅力を共有、発信し、岩手県とつながりながら希望の道を進むことができる事業をつけ加え、希望郷いわてのその先へと進んでいけるようにしたものであります。 〇佐藤ケイ子委員 御答弁いただいたように、ともにエンパワーメントしていこうということで、具体的にこのマニフェストプラス39も掲げられたわけであります。 昨年の知事選挙では、全国トップクラスの子育て支援策をスタートさせるとともに、わかりやすい政策目標を39項目示し、県民の共感と、そして、その期待の得票を得たと思います。新年度からは具体的に取り組みを進めることになり、決してマニフェスト詐欺ではなく、新規と拡充など計364事業、977億3、000万円と積極的な取り組みと受けとめております。すぐに成果を出せるかということはなかなか難しいことですけれども、種をまかなければ芽が出るわけもない。さまざまな種類の種をまくことにより、あちこちから芽が出てくるものと期待しております。 そこで、知事個人の公約であるマニフェストプラス39をどのように県全体の政策に落とし込み、また、予算案にどのように反映して実現を図っていこうとしておられるのかお伺いいたします。 〇達増知事 令和6年度当初予算案では、希望郷いわてのその先へと歩みを進めるため、四つの重点事項を中心に据えつつ、マニフェストプラス39の内容を踏まえ、新機軸の事業を盛り込んだ予算編成を行ったところであります。 新機軸の事業については、国内外への岩手県の強みや魅力の積極的な売り込み、相談支援を初めとする公的福祉の拠点整備、いじめ、不登校対策の強化、県北地域の農業人材の育成などを具体化しているほか、関連する事業も含め、10の政策分野や11のプロジェクトなどに位置づけております。 また、ハイボリュームセンターの整備やリハビリテーションセンターのサテライト施設の整備など、実現に時間を要する取り組みについては、市町村を初め、関係団体等とも連携、調整を行いながら、さまざまな検討を経て進めてまいります。 今後、これらの事業を推進する中で、新たな事業の追加や拡充を図り、マニフェストプラス39に掲げる施策を実現しながら、いわて県民計画(2019〜2028)の基本目標の実現をより確かなものとし、希望郷いわてのその先へと歩みを進めていきたいと思います。 〇佐藤ケイ子委員 確実に進めるということで、次の質問ですけれども、財政の関係であります。 四つの財政目標を掲げられました。収支均衡予算、プライマリーバランスの黒字、公共施設の1人当たり負担額、基金の維持と、全て達成見込みとなっております。そして、健全財政の推進に努められております。 その中で、基金の取り崩しについては、令和5年度当初予算は目標の100億円に対し実際の取り崩しが86億円でした。一方、令和6年度当初予算案は、目標ぎりぎりの80億円となっております。 令和10年度までにこの取り崩しゼロを目標としておりますけれども、目標達成のためどのように取り組もうとしているのか、また、今後の道筋をどのようにお考えになっているかお伺いいたします。 〇千葉総務部長 収支均衡予算の実現に向けましては、事務事業評価等を踏まえた歳出水準の見直しとともに、あらゆる手段による歳入確保に取り組む必要がございます。 令和6年度当初予算編成におきましては、歳出面では、事務事業評価を活用して33億円を縮減した一方、歳入面では、基金の活用やふるさと納税のさらなる魅力化、電気事業会計からの繰り入れなどにより162億円を確保するなど、めり張りある予算を編成したところでございます。 その結果、財源不足額を前年度から6億円程度圧縮し、いわて県民計画(2019〜2028)第2期行政経営プランの令和6年度における目標額80億円の水準を達成いたしました。 今後におきましても、収支均衡予算の実現に向け、不断の行財政改革に取り組んでまいります。 〇佐藤ケイ子委員 そこで、公共施設に係る県民1人当たりの負担額についてお伺いします。 県民1人当たりの負担額は1万2、000円以下に抑制しようという目標でございました。令和5年は1万500円程度でしたけれども、令和6年は1万1、400円程度と900円上昇する見込みとなっております。 昨今の物価高騰などもあろうかと思いますが、その要因をどのように分析しているでしょうか。また、1万2、000円の目標を立てた令和4年度と現在とでは、社会経済情勢が短期間で大きく変化していることを踏まえた対応も必要ではないかと考えますが、見解をお伺いいたします。 〇千葉総務部長 公共施設に係る県民1人当たりの負担額についてでございますけれども、増加要因につきましては、施設の老朽化に伴い更新を必要とする施設、設備の増加や維持管理経費の増嵩に加え、佐藤ケイ子委員御指摘のとおり、目標設定時には想定していなかった建設資材物価の高騰や労務費の上昇等の影響を大きく受けているものと分析しております。 令和6年度は、現行の公共施設等総合管理計画の最終年度であることから、中長期的なコスト縮減や有利な地方債の活用に加え、公共施設等適正管理推進基金の活用も視野に入れながら、財政負担の平準化に努めつつ、直近の社会経済情勢を次期計画に反映させていくことも検討してまいります。 〇佐藤ケイ子委員 それでは、自然減・社会減対策について何点かお伺いいたします。 岸田首相は、異次元の少子化対策を実施するとしておりますけれども、児童手当を少し増額する程度で、微々たる少子化対策など低次元の対策との批判の声があります。さらには、国民負担を保険料からの支援金と言いかえ―これは支援ではなくて負担なのです―500円弱で実質負担なしとPRしています。しかし、加藤鮎子こども政策担当大臣は、1カ月の徴収額は1、000円より高くなるケースがあると衆議院予算委員会で示しました。これで少子化対策になるのか疑問だらけであります。 そこで、1点目は、令和5年の出生数の受けとめについてです。 コロナ禍で婚姻数の減少や社会経済活動全てで自粛の影響もあったと言われるように、本県の出生数が過去最少の5、681人となる見通しということです。これは将来が不安になる深刻な状況だと思いますが、県はどのように受けとめているか、また、要因をどう分析しているのかお伺いいたします。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 まず、本県の出生率減少の要因としては、若い女性の社会減を含めた女性人口そのものが減少しているほか、男性は50歳時の未婚割合が高く、女性は30歳以上の有配偶出生率が低い状況にあることから、出会いや結婚を取り巻く環境と仕事と子育ての両立の難しさなどが影響していると考えております。 さらに、コロナ禍の影響として、行動制限などにより生活意識や行動が変化する中で、若者や子育て世代の結婚、子育てに関する意識も変化している可能性が指摘されており、本県においても、令和2年に婚姻件数が急減し、その後回復が見られないことが、令和4年以降の出生数の減少につながったものと考えております。 出生数のさらなる低下は、労働階級や地域、社会の担い手の減少など社会経済に大きな影響を及ぼすことから、さまざまな主体と連携し、結婚支援や子供を産み育てやすい環境の整備など施策の充実を図ってまいります。 〇佐藤ケイ子委員 少子化というのは本当に大変なことだと思っております。この間もニュースで、Z世代の結婚観、子供を授かることの価値観というのが出ていまして、将来、結婚もしたくない、子供も欲しくないというのが36%、結婚はしたいが子供は欲しくないが9.6%、計45%が子供は不要と報道されました。また、ロート製薬の調査では、55.2%が子供を欲しくないということで、国を挙げた根本的な政策転換が必要と感じております。 全国が厳しい中で、岩手県が全国で第何位とか最低ランクだというレベルでもなくて、少子化対策は、何をすればいいのか、何が功奏するのか本当に悩ましいことだと思っています。全国の自治体が一生懸命取り組み、そして、本県もさらなる子育て支援策に取り組もうというわけであります。 それで、質問ですけれども、子育て支援策のさらなる充実についてでございます。 県議会の中では、全国トップレベルということを疑問視する声もよく聞きますけれども、改めて、トップレベルの意味するところをお示しください。 また、国では、令和6年度地方財政計画で、ソフト事業分として一般行政経費の単独分を1、000億円増額、ハード事業分として、新たなこども・子育て支援事業費500億円を創設するということですが、こういった動きも踏まえた本県の子育て支援策のさらなる充実策について、あわせてお伺いいたします。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 本県の子供、子育て支援策については、昨年2月の令和5年度当初予算案の公表時におきまして、第2子以降の3歳未満児に対する保育料の無償化や在宅育児支援金の支給、市町村と連携いたしました医療費助成の高校生等への現物給付拡大などの施策を通じまして、全国トップレベル水準の子供、子育て環境の実現を目指すとしたものであります。 こうした取り組みに加えまして、令和6年度当初予算案では、さらなる支援の充実に向けまして、全国でも例の少ない産後ケア利用時の子供の一時預かりや交通費の支援、市町村が実施いたします既存施設等を活用した遊び場の整備に要する経費の補助、地域課題の分析や少子化対策の立案等に取り組む町村への専門家等と連携した伴走型支援の実施など、県独自の新たな支援策を盛り込んだところであります。 県といたしましては、市町村等と連携しながらこれらの施策に取り組み、結婚、出産、子育てなどのライフステージに応じた支援を行ってまいります。 〇佐藤ケイ子委員 わかりました。 県は今年度、令和5年度に新たな子育て支援策を実施しておりますけれども、県の取り組みを拡充したり、新たに取り組みを開始した市町村があるということであります。県内全体の状況はどうでしょうかお伺いいたします。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 県では、今年度新たな子育て支援策を実施しておりますが、市町村では、こうした取り組みを活用して新たな支援を行っており、例えば、県の妊産婦アクセス支援事業につきましては、本年度からリスクの有無にかかわらず全ての妊産婦を対象としたことで、これを活用して支援を実施する市町村は、昨年度の11市町村から24市町村まで拡大したところであります。 また、第2子以降の3歳未満児に係る保育料無償化については、今年度から全市町村で取り組まれているほか、さらに拡充した取り組みとして、第1子からの無償化などについて、昨年度までの7市町村から13市町村まで拡大されるなど、県事業を活用して、市町村の取り組みに広がりが生まれているものと認識しております。 〇佐藤ケイ子委員 このように県が積極的な姿勢を示すことによって、市町村も動きが出てきたと思っております。この3歳未満児の保育料無償化、県は第2子以降ということで打ち出したわけですけれども、町村は、自治体間競争ということもあって、差別化を図るために第1子からの無償化を積極的にやっておりますし、また、宮古市も以前から行われています。北上市は、県の方針を受けて、さらに第1子からの保育料軽減を打ち出したり、やはり県が動くことによって市町村も動いていくということで、今回そういうふうに示してくれたことによって非常によかったと思っております。 そして、妊産婦アクセス支援も打ち出したところもあると今、保健福祉部長がおっしゃいましたので、出産環境の整備についてお伺いします。 まず、妊産婦支援事業についてです。自然減対策として出産環境を整備することも重要ですけれども、妊産婦支援事業は4、420万円余りと令和5年度から3、000万円ほど事業費が増額になっています。新たに分娩取扱診療所へのモバイル型妊婦胎児遠隔モニター貸与に取り組まれるということですけれども、この事業の詳細をお示しください。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 モバイル型妊婦胎児遠隔モニターの整備についてでありますが、救急搬送等における妊婦や胎児の計測データをリアルタイムで搬送先の医療機関に送信するモバイル型妊婦胎児遠隔モニターは、現在、県内の周産期母子医療センター等11カ所において整備しており、搬送先の医療機関での迅速な医療提供につながっているところであります。 この機器の活用による効果に鑑み、周産期医療関係者からは、全ての分娩取扱医療機関への配備が必要であるとの御意見もいただいており、令和6年度当初予算案において、既に整備してきた11カ所に加えて、県が機器を購入の上、県内全ての分娩取扱診療所11カ所に貸与するための経費を計上したところであります。〇佐藤ケイ子委員 この妊産婦への支援もそうですし、そして、助産師の確保のことについてですけれども、産婦人科医師が非常に少なく、限られている中で、助産師の確保も大変重要だと考えております。 助産師の確保、育成に対して県の取り組みをお示しいただきたいと思います。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 県では、助産師確保に向けて、潜在助産師の復職研修、看護職員修学資金への助産師特別枠の設定や、中高生を対象とした進学セミナーでの助産師の魅力の発信を行っているほか、首都圏のU・Iターンイベントでの県内就職希望者への就職相談等に継続的に取り組んでおります。 また、県立病院におきましても、勤務する看護師を助産師養成所に派遣し、助産師の育成に取り組んでいるところであります。 令和6年度当初予算案では、新たに、正常分娩の経験が少ない周産期母子医療センター等に勤務する助産師の産科診療所等への派遣や、産後ケア等の事業を実施する市町村へのアドバンス助産師等の紹介に取り組むこととし、必要な経費を計上したところであります。 県としては、引き続き、助産師の確保や資質向上に取り組み、産前から産後までの切れ目のない支援体制の構築に努めてまいります。 〇佐藤ケイ子委員 次に、女性活躍の促進と社会減対策についてでございます。 人口減対策は女性の社会減をいかに減らせるのかということであります。新聞報道によりますと、本県の20歳から24歳までの女性の転出超過が毎年1、000人を超え、2022年は1、086人と同年代の男性の1.4倍とのことです。 新規事業として、いわて女性デジタル人材育成プロジェクト事業費1、600万円、いわてアパレル若者女性活躍推進事業費1、000万円、いわて家事・育児シェア普及推進事業費280万円を計上しておりますが、その狙い、ターゲットと事業の内容などをお示しください。 〇八重樫副知事 令和6年度当初予算案に新たに計上した女性活躍を促進する事業についてでありますが、いわて女性デジタル人材育成プロジェクト事業費については、ITスキルの獲得が賃金の向上だけではなく,在宅勤務など多様で柔軟な働き方が可能になることを踏まえ、県内の無就業や困窮されている女性等を対象に、デジタル分野で即戦力として活躍できるスキル習得と習得後の就労マッチングまでの支援を行うものであります。 いわてアパレル若者女性活躍推進事業費については、女性従業者の割合が多いアパレル産業において、若者や女性の感性を生かして縫製業で活躍している姿や、働きやすい職場環境等の取り組みを進めている事業者を紹介するほか、高校生や大学生等を対象としたインターンシップのマッチングを行うものであり、これらを通じて、若者や女性を対象に岩手県内で働く場としての選択肢を提示しようとするものです。 いわて家事・育児シェア普及推進事業費については、家事や育児に費やす時間の男女間の隔たりが、女性登用のおくれや男女間の賃金格差を生じさせている大きな要因となっていることを踏まえ、県民、特に家事、育児参画に関心の低い男性に向けて、男女が協力して家事、育児を行う意識醸成を図るため、公民連携による家事・育児シェアシートの普及等により普及啓発キャンペーンを展開するものであります。 〇佐藤ケイ子委員 それでは、職場における女性の活躍についてでございます。 2022年に女性の職業生活における活躍の推進に関する法律が改正され、一定以上の規模の企業に、女性の活躍に関する情報として男女の賃金の差異の公表が義務づけられました。これまでも、労働基準法第4条では男女の賃金について差別的取り扱いを禁止しておりますが、男女で異なる業務を担当させることによって事実上の賃金格差が生じているのが実情です。 職場における取り組みが重要と考えますが、いわて働き方改革加速化推進事業、魅力ある職場づくり推進事業費の内容、取り組みを示してください。 〇菊池副知事 家事や育児に費やす時間の男女間の隔たりが大きいため、短時間勤務や非正規を選択せざるを得なくなること、また、アンコンシャスバイアスなどを背景に女性の管理職登用が進まないことなどが、男女間の賃金格差を生じさせている大きな要因でありまして、こうした状況を改善していくことが重要であると捉えております。 県では、平成28年度から、いわて働き方改革推進運動を展開し、仕事と育児の両立支援や女性活躍の推進を含めた働き方改革を推進してきたところでありまして、今年度も、新たに106事業者が運動に加わるなど、本年1月末現在で928事業者が参画し、運動は着実に広がりを見せているところです。 そうした中にあって、佐藤ケイ子委員御質問の、いわて働き方改革加速化推進事業費は、事業者の働き方改革の一層の推進を図る事業であり、今年度もいわて働き方改革アワードを実施し、69社がエントリーするなど、優良事例の普及拡大を進めたところであります。 来年度も引き続き、働き方改革の取り組みを支援するためのアドバイザー派遣やアワードの開催などの支援を継続してまいります。 次に、魅力ある職場づくり推進事業費は令和5年度の新規事業でありますが、柔軟で多様な働き方の実現やオフィス環境改善等の中小企業の取り組みを支援するものであり、今年度は10者に対し補助金を交付することとしております。 来年度は、この補助要件に、新たに配偶者出産休暇の導入や育児短時間勤務制度の適用拡大など、中小企業の子育てしやすい環境整備の取り組みに加え、若者や女性に魅力ある職場環境の構築に対する支援の強化を図ることとしております。 今後も、これらの事業により中小企業における働き方改革の取り組みを促進していくことを通じ、男女間の賃金格差の解消や女性の働きやすい職場環境の構築に取り組み、女性がやりがいと生活を支える所得を得られる仕事につくことができる岩手の実現に向けて努めてまいります。 〇佐藤ケイ子委員 女性活躍の促進についてですけれども、地方こそが、性別による役割意識、無意識の偏見―アンコンシャスバイアス、固定観念を変えなければ生きにくさを変えることができない。女性の社会減を改善させる方策は、こうしたところも大きいのではないかと思っております。 今までは男性の職場と思われがちな製造業や建設、消防などで、女性が資格を取り昇進し、生き生きと働いている事例も多いこと、賃金格差の解消や男女平等などすばらしい実績を出している事業所があり表彰されておりますが、もっとそういう事業所をアピールするべきだと思っております。 本県の男女の賃金格差の推移や女性活躍に取り組んでいる事業所数、事例をお示しください。また、今後、県としてどのように女性活躍を促進させていくのか、あわせてお伺いいたします。 〇八重樫副知事 本県の男女間の賃金格差については、厚生労働省による賃金構造基本統計調査によると、賃金格差は年々縮小傾向にあるものの、令和4年調査においては、男性の給与額を100とした場合の女性の給与額が78.0となっており、女性の平均賃金は男性の4分の3程度にとどまっています。 女性活躍に取り組んでいる事業所数については、いわて女性活躍企業等認定制度の認定数は令和6年1月末時点で496社となっており、国のえるぼし認定企業数は32社と東北地域で1位となっています。 本県のえるぼし認定企業の中には、特に優良なプラチナえるぼし認定に東北地域で初めて認定された企業もあり、当該企業では、短時間正社員等柔軟な勤務形態を選択できる雇用タイプ選択制の導入や休暇の取得促進を行うなど、さまざまなライフステージの女性が柔軟に働けるような取り組みが進められています。 県としては、来年度当初予算案において、これまでの取り組みに加え、女性デジタル人材の育成により、女性の多様な働き方の実現と所得向上を図るほか、家事、育児時間偏在を見直す公民連携による啓発キャンペーンも予定しており、女性が活躍できる環境の構築に積極的に取り組んでいく考えであります。 〇佐藤ケイ子委員 えるぼし認定の企業もこの間、視察させていただきました。本当に柔軟な働き方を尊重して、生き生きと働いていると。そういうところがどんどんふえてくればいいと思ったところでありました。 そして、いろいろ進める上で、市町村との連携についてお伺いいたします。 新年度から、新規で市町村少子化対策支援事業費として8、170万円が計上されております。産後ケア等の利用促進や子供の遊び場整備補助等、少子化対策に取り組む市町村が行う地域課題分析等に対して、伴走型支援を実施するとのことであります。 この事業のように、人口減少対策において市町村との連携が欠かせませんが、それを担保する体制はどのようになっているのかお伺いいたします。 〇熊谷ふるさと振興部長 人口減少対策の推進に当たりましては、県と市町村の連携が重要であるとの認識のもと、さまざまな取り組みを進めております。これまでも、岩手県人口問題対策本部を中心に、自然減対策と社会減対策に一体的に取り組んでいるところです。 これらの取り組みに関しましては、県・市町村トップミーティングや県・市町村連携推進会議の開催等により、市町村長、副市町村長などのトップレベルによる重要施策の情報共有や意見交換を行うとともに、各施策の実施においては、部局単位での課長会議等の開催によりまして、市町村と連携して施策を推進してきたところでございます。 令和6年度からは、市町村と一体となった集中的かつ効果的な人口減少対策を一層推進するため、本庁と各広域振興局に、市町村ごとの重点的な人口減少対策に係る支援策を検討、実施する特命課長を配置し、自然減対策と社会減対策を一体的に推進してまいります。 〇佐藤ケイ子委員 今おっしゃった地域経営推進費のことですけれども、事業費が増額されている上に、新たに人口減少対策枠の新設等があるということですが、その意図をお伺いいたします。 〇熊谷ふるさと振興部長 地域経営推進費についてでございますが、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランにおきましては、人口減少対策を県政の最重要課題に位置づけております。その推進に当たっては、県と市町村が連携して対策を講じていくことが重要と考えております。 そのため、令和6年度の地域経営推進費においては、今年度より2、000万円増額するとともに、運用を見直し、県事業においては、広域振興局と市町村が連携して人口減少対策等に取り組むため、市町村連携枠を新たに設けました。 また、市町村事業においては、人口減少対策を推進するため事業費を拡充するとともに、おおむね人口5、000人以下の町村を重点的に支援するため、相互交流などの人的支援と地域経営推進費による財政支援を一体的に行う小規模町村支援枠を新たに設け、市町村と一体となった集中的かつ効果的な人口減少対策の取り組みを推進していこうとするものでございます。 〇佐藤ケイ子委員 それで、市町村と連携して取り組む中で、産後ケア事業についてお伺いいたします。 産後ケア事業は市町村によって取り組みの差がありますが、令和4年の利用状況を伺います。また、来年度は全市町村でサービスが利用できる見込みかどうか、取り組みの拡充内容等も含めてお伺いいたします。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 令和4年度は31市町村で産後ケア事業を実施し、実人員で966人の方が利用しておりますが、県の独自事業として開始した産後ケア事業利用促進事業費補助を活用し、新たに無償化を実施した市町村においては、利用件数が4割以上増加するなど、産後ケア事業の利用促進に一定の効果があったものと考えております。 令和5年度は、実施市町村数は32まで拡大しておりますが、事業の実施に当たりましては、委託先となる産科医療機関や助産師等の人材の確保のしにくさや、産婦の数が少ない小規模市町村における単独での事業実施の難しさなどの課題があると認識しております。 こうしたことから、県では、令和6年度当初予算案において、市町村が実施する産後ケア利用時の子供の一時預かりや交通費の支援に要する経費への補助、産後ケアに係る人材確保のため、県内の助産師の活用促進支援などの事業を新たに盛り込んだところであります。 また、県としては、市町村の意向を踏まえながら、医療機関や民間事業者との調整、助産師等産後ケアに従事する人材の確保など、地域の実情に応じた産後ケアの提供体制の具体的な整備に向けての支援を行い、全ての市町村での事業実施を目指して取り組みを進めてまいります。 〇佐藤ケイ子委員 産後ケアは、この間、新聞に出ていました。新聞の声の欄にありました。花巻市の産後ケアありがとうということで、このケアが全てのママに届くようにという思いを込めた投稿でありました。 デイサービス型のニーズは非常に高いわけでありますけれども、なかなか全部でできていないということもあります。拡大できるよう市町村へのアプローチをお願いしたいと思っております。 次に、子供の遊び場の整備についてです。 北海道・東北六県議会議員研修会で山形県の事例が出されました。山形県では、多くの市町村で子育て支援施設、屋内遊具施設を整備しておりました。移住のPRポイントとしているようです。 本県で、県及び市町村の施設整備の状況はどうでしょうか、新年度に事業化する予定のところはあるのかどうかお伺いいたします。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 子供の遊び場についてでありますが、県においては、大型児童館として、いわて子どもの森を一戸町に設置しているほか、12市町村において、未就学児向けの屋内遊び場が設置されているものと承知しております。 県では、令和6年度予算案におきまして、市町村が実施する既存の公共施設や民間施設を活用した遊び場整備に対する補助事業を新たに盛り込んだところであり、複数の市町村から本事業を活用して遊び場を整備する意向が示されているところであります。 そのほか、今後の整備を検討中としている市町村も複数把握しているところであり、市町村と連携しながら、子供たちが伸び伸びと遊び過ごせる環境づくりを進めてまいります。 〇佐藤ケイ子委員 やはり雪が多いところですので、室内の遊びを求める声は非常に大きいといつも感じております。北上市にも遊び場があって、えづりこ古墳公園といって、私の家のそばにあるのですけれども、屋内ではないのですが、親子連れが平日でも土日でも来て遊んでおります。本当にニーズが高いのだと思っております。県内でこういった遊び場が広まることを期待しております。 次の質問に移ります。地域公共交通についてお伺いいたします。JRローカル線についてでございます。 知事は、過去の答弁でJRローカル線について、移動手段のみならず災害時の代替性、補完性、観光、物流など重要な役割、地域の活力を維持、発展させる基本的な社会基盤であるとの認識を示し、鉄道の維持について、沿線市町や関係道府県と連携して国やJR東日本に強く働きかけていくと答弁しております。 この間、沿線市町村は、利用促進策を模索しながら要請活動を行っております。JR北上線は、11月に4日間無料乗車を実施し、大盛況で話題になりましたが、乗車率の向上は厳しい状況であります。 改めて、知事にJRローカル線についての現状認識をお伺いいたします。また、市町村との連携した取り組みが必要と考えますが、令和6年度の取り組みについてお伺いいたします。 〇達増知事 ローカル線は、地域住民の移動手段としてのみならず、災害時における代替性、補完性を有するとともに、観光、物流など地域経済を支える重要な社会基盤であります。県内のJRローカル線の利用状況は、回復基調にあるものの、コロナ禍前の水準の回復には至っておらず、路線維持に向け利用促進の取り組みが重要であります。 JRローカル線については、国鉄改革からの経緯を踏まえ、国やJR東日本が当事者として鉄道を維持していくべきことについて、沿線市町と認識を共有するとともに、路線ごとに沿線自治体首長会議等を順次開催し、路線維持とそれに向けた利用促進の強化を確認しているところです。 県としては、引き続き、国やJR東日本に対し路線の維持を働きかけていくとともに、さらなる利用促進を図るため、来年度当初予算案に沿線自治体等への補助制度の拡充を盛り込んだところであり、沿線自治体と連携し、鉄道の維持に向けた取り組みを一層強化してまいります。 〇佐藤ケイ子委員 JRローカル線ですけれども、私は個人的に、北上駅から盛岡駅まで行って、盛岡駅から宮古駅に行って、宮古駅から釜石駅を回って、釜石駅から花巻駅に向かって、また北上駅にというローカル線の一人旅をしてきました。非常に新たな発見がございました。やはりローカル線を知って、そして盛り上げてもらいたいと、皆さんにもお願いしたいと思っておりました。 次の質問に行きます。バス事業者に対する支援について。 路線バスは、利用者減、経営難、運転手不足で厳しい状況であります。盛岡地区での減便、県南地区や沿岸地区での広域バス路線の廃止など、市町村にとっても地域の足をどう確保するか頭の痛い問題であります。 連携の体制についてですけれども、この特例措置の維持について、市町村やバス事業者から補助要望が出ておりますが、どう対応するのかお伺いいたします。 〇熊谷ふるさと振興部長 バス路線に対する国庫補助や県単補助については、東日本大震災津波や新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、補助要件を緩和する特例措置等を講じているところであり、国や市町村と連携し、本来の補助要件を満たさなくなった路線に対しても支援を行っているところであります。 この特例措置の終了時期は明示されておりませんが、仮に終了した場合、令和5年度の実績値で国庫補助が11路線、県単補助が14路線で補助要件を満たさなくなる可能性がございます。 県としては、国に対して、これまで政府予算要望などにより特例措置の継続や要件の緩和等を求めてきたところでありますが、今後も要望していくとともに、県単補助の特例措置を継続してまいります。 一方で、利便増進実施計画を市町村が策定した場合には、国庫補助要件の緩和や補助額の減額調整の適用除外がなされることから、この計画の策定に取り組む市町村に対して引き続き支援をしてまいります。 バス路線の維持、確保については、市町村との連携が極めて重要であり、県と市町村で構成する地域内公共交通構築検討会等におきまして、必要な支援策等を検討してまいります。 〇佐藤ケイ子委員 バス交通については、部局審査でもお伺いしたいと思っております。 それで、新たな支援策についてですけれども、新年度は、新規で乗合バス運転士確保対策費補助1、700万円を行うということですが、社会基盤としての路線バスの重要性について、知事の認識をお伺いいたします。あわせて、新たな支援策を講じようとする意図をお伺いいたします。 〇達増知事 県においては、地域の暮らしを支える公共交通を守ることが重要と認識しており、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランにおいて、持続可能な地域公共交通の維持、確保に取り組むこととしております。 このため、継続的にバス事業者に対する支援を行い、路線の維持、確保に取り組んできたほか、代替交通やデマンド交通の運行を行う市町村に対して支援してきたところであり、引き続き、県民の移動手段の確保に取り組んでまいります。 また、2024年問題を控え運転士確保が課題となっており、運転士不足に伴うバス路線の減便等を防ぐため、令和6年度当初予算案に、バス事業者が行う運転士確保の取り組みに対する新たな補助を計上したところです。 今年度中に策定する県の次期地域公共交通計画においては、こうした取り組みを盛り込み、引き続き、国や市町村等と連携し、持続可能な地域公共交通の維持、確保を図ってまいります。 〇城内愛彦委員長 この際、佐藤ケイ子委員の質疑の途中ではありますが、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。 佐藤ケイ子委員、御了承願います。 午後2時27分 休 憩 午後2時47分再開 〇城内愛彦委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。 〇佐藤ケイ子委員 次から、医療、福祉施策について何点かお伺いいたします。これから先は、時間の関係もありまして項目だけ申し上げるところもあり、割愛するところもあろうかと思います。よろしくお願いいたします。 それで、最初に医療局の収支の件でございます。 新年度予算で県立病院の18億円赤字予算ということとか、今年度も赤字が35.8億円ということで、一般会計からの繰り出しも256億円と過去最大、さらに資金枯渇も懸念されているということでございますけれども、他県の公立病院の状況はどうなっているでしょうか。また、現在の経営状況をどう認識しているのか、あわせてお伺いいたします。 〇八重樫副知事 収益を左右する患者数の動向について、厚生労働省で取りまとめた県立病院を含む全国の病院の1日平均入院患者数は、令和5年11月期で4年前の同じ時期と比較して92.1%と、およそ1割程度減少したままであり、患者数は全国的に依然としてコロナ禍前の水準に戻っていない状況です。 このような状況から入院収益等の医業収益が伸び悩む中、燃料費等の物価高騰や人事院勧告等を踏まえた給与の引き上げ改定等により支出の拡大が続いていることに加えて、空床確保等の新型コロナウイルス感染症関連補助金が減少するなど、他県の公立病院も非常に厳しい経営状況と伺っております。 本県の県立病院においても同様の状況となっており、本年度39億円余の赤字を見込む大変厳しい経営状況と認識しております。 引き続き、収支改善に取り組みながら、持続可能な経営基盤の確立に努めてまいります。 〇佐藤ケイ子委員 県立病院の維持、確保は非常に大変なところでありますけれども、県民の思いは本当に強くて、ニーズも高いというこの事業を大事にしていきたいものだと思っております。 それで、医師確保の状況でございます。奨学金の返還理由と専門研修体制の充実について伺います。 新年度当初予算案で配置される奨学金養成医師は166人と前年度より15人多く、配置が始まった2016年度以降で最多ということです。医師不足が顕著な県北地域・沿岸地域は前年度比5人増の66人となり、達増知事になってから開始した奨学金養成が着実に成果を出しているものと評価されます。 ただ、気になるのは、配置調整対象医師289人のうち、進学や研修など猶予が99人、奨学金返還12人、未定7人ということです。ということは、県内の医療機関では先進的医療の研修を受けられないのかどうなのか疑問が起きてきます。 返還理由をどう分析し、どのように対応しようとしているのか伺います。また、専門研修の体制の充実策にどう取り組もうとしているのかお伺いいたします。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 県では、奨学金養成医師の配置に重点的に取り組んでおりまして、佐藤ケイ子委員から御紹介ありましたとおり、現時点におきまして、来年度は県全体で166名の配置を予定しております。 佐藤ケイ子委員御指摘のとおり、配置対象医師のうち、今年度、奨学金を返還した者は12名となっておりまして、そのうち県外医療機関でのキャリアアップ等による者が8名、結婚による県外移住や家庭事情による者が4名となっております。 また、義務履行猶予となる99名のうち、研修を県内で行う医師は59名、県外は40名となっておりまして、症例数が多い県外の病院で研修を行う医師が一定数いるといった状況になっております。 県におきましては、これらを踏まえまして、令和6年度から県内での臨床研修を原則義務化することに加え、次期岩手県医師確保計画におきましては、専門人材や高度医療機器の配置の重点化などにより症例数や手術数を確保し、専門教育機能が充実した研修体制を整備するなど、県内での研修を選択する医師がふえる環境を整えることによりまして、医学奨学生の着実な義務履行と定着の促進に取り組んでまいります。 〇佐藤ケイ子委員 今の保健福祉部長のおっしゃるとおりなわけですけれども、次期岩手県医師確保計画の目標、そして取り組みの具体策をお伺いいたします。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 県では、次期岩手県医師確保計画におきまして、医師数を令和2年の2、509人から、令和8年度までに181人増の2、690人とする目標を掲げたところであります。 この目標を達成するため、奨学金養成医師の計画的な配置や即戦力医師の招聘などに加えまして、先ほど御答弁申し上げましたとおり、症例数や手術数の確保により研修体制を整備し、より多くの研修医の確保に努めることとしております。 また、医師が出産、育児などを行いながら働き続けられるよう、院内保育所の運営支援や短時間勤務制度の利用促進など、仕事と子育ての両立を実現できる職場環境の整備に取り組むこととしております。 さらに、診療科偏在対策として、現在の産科及び小児科に加えまして、新たに放射線科及び病理を選択した養成医師についても特例配置の対象としたところであります。 こうした取り組みなどによりまして、引き続き、医師の確保とともに地域偏在、診療科偏在の解消を目指してまいります。 〇佐藤ケイ子委員 在宅医療、それから介護人材確保も通告しておりましたけれども、常任委員会での質疑にさせていただきたいと思います。 次に、賃上げ施策と産業人材育成について伺います。中小企業の賃上げについてです。 2月の月例経済報告で景気の判断が下方修正されました。新藤経済再生担当大臣は、賃金の上昇が物価に追いつかず、消費が振るわないことが要因だと指摘した上で、この春闘で去年を上回る賃上げに向けた動きが見られることに期待と述べたということです。 本県では、最低賃金が全国最下位だったこともあり、12月補正で物価高騰対策賃上げ支援費21億円を計上し、中小企業の賃上げ支援策を示しました。国の取り組みを待たずに先進的な取り組みだったと評価したいと思います。 2月から支援金の申請受け付けが行われていますが、申請状況はどうでしょうか、また、県内の中小企業の賃上げ動向をどのように把握しているか伺います。 〇菊池副知事 物価高騰対策賃上げ支援金の関係でございますが、先月、2月5日から受け付けを開始しておりまして、2月26日までの約3週間におきまして、その申請件数は789件でございます。 このうち、すぐに集計できるオンラインによる申請は494件、内訳は、法人441件、個人事業主53件という状況でございまして、申請額の総額は、現在では1億9、000万円余となっております。 これを従業員規模別で見ますと、5人未満は97件で20%、5人以上20人以下は201件で41%、21人以上50人以下になりますと105件の21%、51人以上100人以下では51件で10%、そして、101人以上になりますと40件で8%でございます。 業種別では、件数の多いものの順から、建設業が117件の24%、製造業が101件の20%、卸売業、小売業が50件の10%となっております。 また、県内の中小企業の賃上げ動向についてでございますが、東京商工リサーチが先月22日に公表した岩手県2024年度賃上げに関するアンケート調査によりますと、県内企業の賃上げ実施予定率は80.2%となっております。昨年同期の77.8%と比較し増加が見られるところでございます。 〇佐藤ケイ子委員 次に、通告しておりましたのは賃上げ環境整備支援事業費補助ですけれども、割愛させていただきます。 それで、中小企業に対する賃上げ支援をしているわけですけれども、県が持っている県指定管理施設の人件費について伺います。 民間企業の賃上げは労使交渉で行われ、地方公務員は人事委員会勧告で賃上げが進められ、さらに、地場中小企業は、最低賃金の動向などから賃上げが実施されています。 しかし、県や市町村などの公共施設を指定管理している団体は、独自に収益を上げられるような施設でもなく、賃上げができない状況になっています。具体的には、体育施設や文化施設、障がい施設、療育センター、子どもの森など、さまざまな公共施設で働いている方々は、基本は県職員準拠や市町村職員準拠となっていますが、指定管理料に人事委員会勧告は反映されておりません。中小企業の賃上げ支援補助も適用されません。 総務省は、労務費の適正な転嫁のための価格交渉に関する指針を1月12日付けで都道府県担当部局長宛てに通知し、労務費上昇分について受注者と協議することを示しました。 この通知に対する所感を伺うとともに、県人事委員会勧告を踏まえ、県指定管理施設の人件費も準拠して増額すべきと考えますが、当局の見解をお伺いいたします。 〇千葉総務部長 まず、佐藤ケイ子委員御指摘の総務省通知に対する所感でありますが、当該通知では、労務費の転嫁に係る価格交渉について取りまとめた国の指針を踏まえ、情報サービス業や技術サービス業を初めとする地方公共団体の発注について、労務費の適切な価格転嫁について依頼があったところでございます。 この指針では、発注者に求められる行動指針として、発注者側から定期的に協議を実施すること、説明、資料を求める場合は公表資料とすること、要請があれば協議のテーブルに着くことなど6項目が示されておりまして、いずれも取引の適正化に必要な項目と認識しております。 次に、指定管理施設は、施設利用者からの利用料金と指定管理料、独自事業収入により管理運営を行っておりますが、県では、利用料金について毎年、施設使用料の上限の見直しを行っているほか、指定管理料についても、働き方改革関連法の施行に伴う人件費の増額や新型コロナウイルス感染症による利用料収入減、原油価格高騰による光熱費増に伴う増額補正など適時適切に対応しているところでございます。 職員の賃金水準につきましては、昨今の社会情勢の変化等も踏まえながら指定管理者が職種や経験などに応じて定めているものであり、適切なものと承知しておりますが、県においても、指定管理者の職員配置計画書により、毎年度、雇用、労働条件が適切なものかを確認しており、今後におきましても、国の指針を尊重しながら適切に対応してまいります。 〇佐藤ケイ子委員 適切に対応しているという答弁でございますけれども、どうでしょうか。 知事も商工労働観光部関係でも、所得を上げなければならない、県民所得の底上げを図っていかなければならないと言うわけでありますけれども、公共サービスにかかわっている方々も非常に多いウエートで人数があります。そういった方々に対して、今、官製ワーキングプアと言われているように、少し厳しい状況であります。燃油、物価高騰対策とかといったものは補正で対応していただいておりますけれども、物価高騰に打ちかつ賃金アップは、指定管理料に反映されているとは言えません。 事例でいいますと、社会福祉法人岩手県社会福祉事業団などは、障がい施設や療育センター、いわて子どもの森などの指定管理を行っています。そして、そういった施設はなかなか賃上げできない。利用料で独自に収入を上げようといっても、そういう施設でもありません。本当に厳しい状況になっております。この人件費アップ分を契約変更で見るべきではないかと私は思っておりますし、現場の方々からも声が出されております。 それから、総務省通知では、労務費が適切に価格転嫁されているのか、県と各市町村に対してフォローアップ調査をすると言っておりますけれども、それも報告期限がもう少しかかるだろうと思っております。総務部は財政の観点から契約額を抑えたいと思うのでしょうけれども、教育委員会や、文化スポーツ部、福祉関係など、どこの部署にもかかわるこの指定管理料のアップについて、財政措置するべきだと思っております。 このフォローアップ調査は大丈夫でしょうか。 〇千葉総務部長 今、御指摘いただいたことを含め、それから、先ほどの指針を踏まえて全体的に申し上げたいと思いますけれども、急激な物価上昇に対して賃金の上昇がなかなか追いついていないということでありまして、持続的な構造的賃上げを実現するということで、我が国の雇用の7割を占める中小企業が、その原資を確保できる取引環境を整備することが重要だということであり、労務費の適切な転嫁を促す趣旨で策定されたものと思っております。 指定管理者制度のみならず、県が発注する業務委託や工事など、契約全般にかかわる内容であると思っております。 今後、県契約において適正な労働条件の確保を掲げる、県が締結する契約に関する条例がございますので、こうした条例の理念も踏まえて、関係部局で連携し、指針を踏まえた、あるいは先ほどいただいたお話も踏まえて、これからしっかり検討してまいりたいと思います。 〇佐藤ケイ子委員 わかりました。しっかり検討していただきたいと思います。文化スポーツ部でも取り上げていきたいと思っております。 次に、半導体関連人材の育成についてでございます。 公益財団法人いわて産業振興センターに対して、半導体関連人材育成施設の整備に要する経費を補助するという発表がございました。来年4月にオープン予定であり、産学官が連携して半導体製造装置の技術者の育成、確保に取り組む施設は、全国で初めてとのことです。 事業費のうち半額は国の交付金を活用し、土地は北上市から無償貸与されるとのことです。研修は、関連企業や参入を目指す地場企業、学生らの利用を想定し、指導員も含めたスタッフが常駐して、基本的に利用料収入で運営を賄うということであり、人材育成の種をまくことになり期待したいと思っております。 そこで、運営主体、運営経費、指導員の確保、研修生の確保などはどのように想定されているのかお伺いいたします。 〇菊池副知事 半導体関連人材育成施設の概要についてでございます。いろいろ御質問のポイントがありますので、少し長くなりますが、御容赦願います。 本施設は、半導体製造工場の生産性を高めるために重要な半導体製造装置エンジニアを育成するほか、学生等の次世代を担う若者向けに、ものづくりへの興味を喚起し、半導体関連人材の育成、確保を図ることを目的としております。 まず、施設の運営は、これまで企業人材を対象とした半導体装置・システム技術者育成事業や学生等を対象としたいわて半導体アカデミーなど、人材育成に豊富な実績を有するいわて産業振興センターが担うこととしております。 次に、研修等の実施に当たっては、大手半導体関連企業、地場企業、大学等高等教育機関、産業支援機関で構成する産学官連携組織いわて半導体関連産業集積促進協議会―I―SEPが全面的に協力することとしておりまして、運営経費については、水道光熱費、通信費や半導体製造装置の修繕費など施設維持に必要な経費として、年間約1、200万円を見込んでいるところでございます。 本施設は、主たる利用者となる県内の半導体関連企業の人材育成につながるものでありますことから、経費負担につきましては、利用する企業からの応分の負担により賄っていこうとしているものでございます。 そして、指導員については、県内半導体関連企業の協力のもと、当該企業の社員が担うとともに、豊富な経験と確かな技術力を有する半導体関連企業のOB人材の活用も計画しているところでございます。 本施設により育成する人材は、半導体関連企業や半導体産業への参入を希望する地場企業等の従業員であり、主な企業とは、既に利用に関する調整を行っているところでございます。また、工業高等専門学校や大学といった高等教育機関の学生などの利用も想定しておりまして、今後、大学等と調整してまいります。 半導体関連人材の育成は喫緊の課題でございます。引き続き産学官が連携して取り組みを推進し、本県半導体関連産業のさらなる集積と高度化を図ってまいる考えでございます。 〇佐藤ケイ子委員 非常に期待しております。そしてまた、一方では、北上市にはデジタルエンジニア育成センター―DEセンターがありまして、そこも人材育成で県が立ち上げたのですけれども、年々県の運営費補助が薄くなってきて、運営するのは大変だというお話をいつも聞いているのです。この半導体関連の人材育成についても、しっかりと県の関与をお願いいたします。 次の項目に行きます。農林施策についてでございます。 食料・農業・農村基本法の改正関連法案でございますけれども、食料供給困難事態対策法案も中に入っておりまして、米、小麦、大豆などが不足する食料危機時に政府が供給目標を設定、そして、農家に増産計画の届け出を指示。従わない場合は20万円以下の罰金を科すということです。また、農地転用の手続厳格化も盛り込まれているということであります。 今まで農産物の輸入依存政策を進めてきましたけれども、農家の苦境を放置し、離農と耕作放棄地の増大に何ら対応を示さずにいたにもかかわらず、このような法案を提出することは問題だと私は思っております。そもそも、土、肥料、資機材、営農技術と全てが異なるほかの作目の農家に芋や米を強制的につくらせることは現実的ではなく、農家の尊厳を逆なでするものだと思っております。 農地転用の手続厳格化は、地域住民に身近な自治体の裁量で土地利用を進めていくべきであり、国による土地利用規制は問題があるのではないかと思っております。 今回公表された食料・農業・農村基本法の改正及び関連法案について、知事の所見をお伺いいたします。 〇達増知事 食料・農業・農村基本法の制定から20年以上が経過し、世界的な食料需要の増加や供給の不安定化など情勢が大きく変化する中、国民に対し食料を安定的に供給できるよう基本法の改正を行うとされたことは、一定程度評価できると考えています。 一方、農地法制の見直しについては、これまでの地方分権の経緯を踏まえつつ、地方公共団体の自主性、自立性に配慮した対応を行うよう、国に対し、全国知事会の農林商工常任委員長として要請したところです。 また、佐藤ケイ子委員御指摘の食料供給困難事態対策法案には、食料が不足する事態の深刻度に応じた食料の安定供給の確保のための措置と措置に従わない場合の罰則などが盛り込まれていますが、国には、農業者が、意欲を持って将来にわたって生産活動に取り組むことができる環境整備に意を用いてほしいと考えます。 県では、国に対し、食料供給の現場である地方の実情に応じた施策の充実強化を図り、国と地方の連携による持続可能で強固な食料供給基盤を確立するよう要望しており、引き続き、さまざまな機会を捉え要望してまいります。 〇佐藤ケイ子委員 杉人工林伐採重点区域の関係については、部局審査で行わせていただきます。 それでは、最後の質問、県職員について。これも何項目か通告しておりますけれども、専門職員の確保状況だけ取り上げたいと思います。 令和6年度の知事部局職員数は4、230人と、昨年の予算編成時に比較し80人減と示されました。特徴的なものは、市町村人口減少対策特命課長など7人の特命課長配置、増員では、児童福祉士3人、児童心理士、薬剤師、生活保護、道路担当、農業研究所各1人ずつなど、それから、東日本大震災津波からの復興の進捗を踏まえて職員定数を52人とし13人減少させるとのことです。増員部分が強調されているものの、全体では80人の減員となり、各分野で業務量が増加する中で不十分な体制ではないでしょうか。 超過勤務の解消にも取り組んでいるものの、改善は難しく、現場から悲鳴が上がっていると聞いております。欠員解消、業務削減、業務に応じた人員配置を望みます。 特に懸念されるのが土木職や獣医師などの専門職の確保についてでありますが、令和6年度の専門職の充足状況をお示しください。 〇千葉総務部長 保健師や環境化学、食品衛生職などの職種では採用予定数以上の人員を確保する見込みでございますけれども、佐藤ケイ子委員御指摘の土木職、獣医職などの職種において、採用予定数の確保に至っていない状況でございます。 具体的には、保健師、心理職、水産職、環境化学、食品衛生職は、充足率が100%を超える一方で、獣医師は50%、林学職や土木職は40%を下回るなど、特に厳しい状況となっております。 こうした状況を踏まえまして、県では、これまで実施してきた通年募集や他県などで職務経験を有する方を対象とした選考試験などの取り組みに加え、来年度の民間経験者等を対象とした技術系職種の採用において、受験上限年齢の引き上げや対象職種の拡大を図るなど、専門職員の確保に向けた取り組みを一層強化することとしております。 〇佐藤ケイ子委員 次に、教職員の働き方改革について伺います。 岩手県教職員働き方改革プランは、2021年度から3カ年の計画期間となっており、今年度が最終年度です。この間、新型コロナウイルス感染症の流行や学校内外でのDXの進展など学校を取り巻く環境はさまざま変化していますが、教職員の多忙な状況に変化はありません。むしろ多忙化は増すばかりだといった現場の声が聞かれます。 そこで伺います。これまでの岩手県教職員働き方改革プランの成果をどのように評価していますでしょうか。次期プランでは、より現場の実態に即した取り組みが求められるところですが、具体的にどういった取り組みにより働き方改革を実現しようとしているのか、お示しください。 〇菊池副知事 まず、現在の岩手県教職員働き方改革プランに基づく取り組みを総合的に推進してきたことによりまして、その結果の状況についてということでございますが、県立学校における時間外在校等時間が月100時間以上の教員は、令和3年度の延べ71人から、令和5年度第3・四半期時点で7人となり、令和元年度には1、857人だったことを踏まえると大幅に減少してきており、一定の成果は出てきているものと承知しております。 一方、教職員へのアンケート調査結果では、業務にやりがいを感じているか、授業等に集中できているか、健康で生き生きと業務を行っているかとの項目における肯定的回答が減少してきております。次期岩手県教職員働き方改革プランでは、そうしたことから、負担軽減や業務改善の実感を伴った、より実効性のある取り組みを進めていく必要があると認識しております。 このため、次期岩手県教職員働き方改革プランにおいては、家庭のための時間や自分自身の自由な時間を確保することにより、日々の生活の質や教職員人生を豊かにするウエルビーイングの確保を重視し、例えば、令和6年度から県内統一統合型校務支援システムを市町村立学校に順次導入することにより、通知表作成などの校務負担の大幅な削減を図ること、スクールロイヤーを配置し、全ての学校で法務相談ができる体制を整備することにより、学校における諸課題への速やかな対応と教職員の負担軽減を図ること、産業医の保健指導の対象者を時間外在校等時間月80時間以上の者に拡充することにより、教職員の健康を確保することなど、量的、質的な負担軽減を実感できる取り組みを進めていくものと承知しております。 子供たちによりよい教育を行うためには、教職員みずからのワーク・ライフ・バランスの確保が何よりも重要であり、県教育委員会には、引き続き、市町村教育委員会と連携し、県全体の教職員の働き方改革の取り組みを推進してもらいたいと考えております。 〇佐藤ケイ子委員 菊池副知事には、私の最後の質問に答弁いただきましてありがとうございます。大変お世話になりました。これからも、どうぞお元気でお過ごしいただきたいと思います。 それでは、次に柳村一委員と交代いたします。ありがとうございました。(拍手) 〇城内愛彦委員長 次に、柳村一委員。 〔柳村一委員質問者席に着く〕 〇柳村一委員 佐藤ケイ子委員に引き続き質問を行います。 初めに、財源の確保についてです。 最近の政府の政策は、財源の部分が非常にないがしろにされているように感じます。毎年度の経済対策を初め、防衛費の増額や子育て支援の強化など、大きな支出を伴う政策が次々打ち出される一方、その根拠となる財源については、丁寧な議論が尽くされないまま、最終的には、安易に国民に負担を求めるということがなし崩し的に繰り返されています。 政策の是非も無論重要ですが、政策の実現を担保する財源の確保については、切り離せない論点であることは言うまでもありません。そういった観点から県の歳入確保策についてお聞きします。 昨年9月の知事選挙以来、達増知事の掲げたマニフェストプラス39を初めとした政策の実現、とりわけ建設投資のための財源確保についての議論が繰り返されております。 令和6年度当初予算案においては、資料によると、あらゆる歳入確保策により約14億円の財源を確保となっており、一見すると、一般的な建設投資の規模としてイメージされる数十億円から数百億円といった額には遠いように思えます。しかし、建設投資に当たっては、当該年度に投資額全額を一般財源で一括確保する必要はないはずで、一般財源以外のさまざまな財源の活用と財政負担の平準化や世代間の公平性等を勘案した地方債の発行などによって必要な財源を確保し、長期的に財政運営を行っていくことが重要であると考えますが、建設投資に当たっての財源確保について、知事の御所見をお伺いします。 〇達増知事 歳入の硬直性が強い地方公共団体においては、一時に多額の支出を伴う建設投資を行う場合、国費等を最大限活用した上で、地方負担分については、施設の耐用年数に応じて償還年限を設定した地方債の発行によってその財源を賄うことになります。 施設の耐用年数が30年の場合、当該地方負担分の30分の1程度を地方債の償還に伴う公債費として30年間計上することとなります。そのため、地方公共団体に求められるのは、毎年度、その財源を安定的に確保していく取り組みを地道に積み重ね、継続していくこととなります。 そうした観点から、まずは、交付税措置のある有利な地方債を積極的に活用することで地方負担分の圧縮に努め、その上で、各種基金の有効活用、ふるさと納税や使用料の見直しなど、あらゆる歳入確保策を講じていくことが必要と考えております。 〇柳村一委員 なかなか難しい時代になってきていますけれども、地方自治体の財源確保が厳しい中、建設投資に当たっては、広域連携による施設の共同設備や共同活用、PPP、PFIなどの手法を積極的に導入するべきと考えますが、これからの建設投資の方向性について伺います。 〇千葉総務部長 岩手県公共施設等総合管理計画では、令和10年度以降に更新需要の増嵩が見込まれており、こうした中で、県民サービスの充実、確保の観点から新規整備の必要性についても検討していく必要がございますが、これらの更新や新規整備に当たっては、多額の財政負担が見込まれるところであります。 公共施設の整備を計画的に進めていくためには、財源確保策とともに、岩手県公共施設等総合管理計画に基づく類似施設の集約化や統合、財政負担の縮減、平準化が必要であることから、柳村一委員から御指摘がございました市町村との連携等により、いわて盛岡ボールパークの整備を行ってきたほか、当該施設や陸前高田オートキャンプ場モビリアなどにおいては、PPP、PFIによる施設整備、運営を行ってきたところであります。 令和7年度からの次期岩手県公共施設等総合管理計画の策定に当たりましては、市町村等との連携や民間活力の導入にも考慮しつつ、施設の更新や新規整備等を効率的かつ効果的に行えるよう、個々の施設の必要性、施設整備の優先度、更新の時期や費用見込みについても具体的な検討を行い、これらの結果を個別施設計画にも反映させることで、公共施設の適正管理をより一層推進してまいります。 〇柳村一委員 市町村が同じものを全部持つ時代ではないと思いますし、これから人口減少になってくると、やはり広域で同じ施設を使う工夫も必要になってくると思いますので、県が率先してそういう音頭取りをしていただければと思います。 次に移ります。まず、基金の長期資金運用について伺います。 昨年度の決算特別委員会で、千葉秀幸委員の質問に対し、当局から、令和5年度は運用額140億円余、利息収入は令和4年度の8倍の5、500万円を見込むとの答弁がありました。当局の前向きな取り組みに対して評価する反面、基金の長期資金運用については、その性質上、慎重さも求められます。 県として、どのように安全性を保ちつつ利息収入を得ようとしているのか、運用方針をお示しください。あわせて、令和6年度の運用額と利息収入の見込みをお示しください。 〇千葉総務部長 基金の長期資金運用についてでありますけれども、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプラン行政経営プランの指標に財源対策基金における有価証券運用額を設定しているところでございまして、あらゆる歳入確保策の一つとして、令和6年度も、安全性と利息収入の最大化の両立に努めながら、財政調整基金、県債管理基金及び公共施設等適正管理推進基金において債券運用を行うこととしております。 基金の運用につきましては、地方自治法の規定により、確実かつ効率的に運用しなければならないと定められておりますので、本県においても、地方債や財投機関債など、一般的にリスクが極めて低いとされている債券により運用しているということでございます。 なお、令和6年度の運用額でございますが、行政経営プランの目標額150億円を上回る200億円余を予定しておりまして、利息収入は1億円を超える見込みとなっております。 〇柳村一委員 あらゆるものを活用してということで、今回また、倍増までは行かないですけれども上がるということですが、しっかりとその辺のリスク管理をしながら進めていただければと思います。 次に、競馬再生推進基金からの繰り入れについてです。 先日、岩手競馬の令和5年度の黒字が3億2、000万円、県など構成団体への融資返済額が1億1、000万円となる見込みといった内容が公表されました。実現すれば融資の返済は4年連続となります。 令和6年度当初予算案には基金からの繰入金2億4、000万円が計上されていますが、これは盛岡市と奥州市からの償還分とのことで、組合からの償還分は、決算確定後、補正予算なりで計上されることになると思います。1億1、000万円のうち県への償還分は55%になりますが、この分を加えても、県からの貸付額181億円余に対し、組合からの償還額は計3億円程度にとどまります。 競馬事業を継続していくためには、設備改修等、必要な投資が欠かせないことは当然です。他方、県としとは、当時、県債管理基金217億5、000万円、公共施設等整備基金60億円をそれぞれ取り崩して措置した貸付金であり、将来の財政需要などを踏まえれば、当然償還を求めるべきと考えますが、今後の償還の見通しについて伺います。また、県として安定的な償還に向けて、償還計画の作成等の道筋をつけるべきと考えますが、あわせて伺います。 〇達増知事 競馬再生推進基金については、これまでの奥州市や盛岡市等からの償還により60億円を一般会計に繰り入れ、公共施設等適正管理推進基金の財源に充てたほか、今年度末までに、県債管理基金の積立財源として9億9、500万円を一般会計に繰り入れることとしています。 また、競馬組合や両市からの償還を踏まえ、来年度は約3億円を、令和7年度は約2億8、000万円を一般会計に繰り入れることを見込んでいます。 組合の経営は、近年、好調なインターネット販売などに支えられ、3期連続で構成団体融資の償還を可能としていますが、水沢競馬場の老朽化した厩舎等の修繕、整備や競馬業務運営のための財務基盤の強化などが必要となっています。 このため、組合からの計画的な償還は重要な課題でありますが、必要な施設整備や財務基盤の強化を図りながら、組合の安定的な競馬事業の運営を確保し、着実な償還につなげていかなければならないと考えております。 県としては、組合が一定の見通しを持って安定的に償還ができるよう、引き続き、他の構成団体とともに組合の事業運営を支援してまいります。 〇柳村一委員 まだ償還計画の作成時期ではないということの解釈でよろしいわけですか。―はい、わかりました。 次は、ふるさと納税についてお伺いします。 昨年度、当局は、納税額から経費を引いた増収額が1億3、000万円余、減収額が2億2、000万円余、差額9、000万円の赤字であり、そのような状況を踏まえて、返礼品の質量の充実やさらなる魅力化に取り組むと答弁されました。 そこで、直近のふるさと納税の収支の状況と令和5年度に取り組みを強化した成果と、来年度に向けた取り組みについて伺います。 〇熊谷ふるさと振興部長 まず、ふるさと納税の収支というお尋ねでございますが、直近ということで、令和4年度の実績となります。本県が受け入れた寄附額1億6、000万円余から、募集に要した経費約5、000万円を除いた増収額は1億1、000万円となっております。 一方、県民が行ったふるさと納税に伴う県民税の減収額でありますが、前年度減収額に対する普通交付税措置額を加味しても3億円余となっており、差し引きで約1億9、000万円の減収となっていると推計されるところであります。 令和5年度におきましては、前年度に利用を開始しました県内の対象宿泊施設等で利用可能なポイントを返礼品として付与するサービスが好調に推移したことや、ポータルサイト事業者との連携による返礼品の新規開拓を行ったことなどにより、寄附額は前年度から増加しております。 ふるさと納税は、岩手ファンの拡大や県産品のPRに対し有効であると認識しております。来年度も、返礼品の開拓や寄附者に対する県の施策や観光、県産品等の情報発信などの取り組みにより、交流人口、関係人口の拡大につなげるよう積極的に活用してまいります。 〇柳村一委員 昨年より1億円赤字がふえたということで、ポータルサイトの運営とかクラウドファンディング型の導入など、さまざま連携してやりますということの割には、やはり県民のふるさと納税に対する意識が少し違うところに行っているような気がします。できるだけこの赤字幅を削減するような取り組みをしっかりやっていかないと、どんどん赤字がふえていくと思いますので、その辺、しっかり対応していただければと思います。 次に、いわての森林づくり県民税についてです。 令和6年度から国の森林環境税の課税が始まります。1人当たり1、000円の課税であります。 森林環境税は、市町村が間伐など森林整備に関する施策と人材育成や木材利用の促進など森林の整備の促進に関する施策に充てること、都道府県は市町村の支援等に充てることとされております。一方、平成18年に創設の本県のいわての森林づくり県民税も、間伐や人材育成、県産木材の活用等に利用されてきました。 一見すると違いがわかりにくいのですが、まずは、森林環境譲与税の本県及び本県市町村における使途と、いわての森林づくり県民税との役割分担についてお示しください。 〇菊池副知事 森林環境譲与税と県民税との役割分担等についてという御質問です。 森林環境譲与税は、林業経営の効率化と森林管理の適正化を一体的に促進することを目的とし、市町村では、現在、所有者にかわって森林を適正に経営管理していくため、まずは、航空レーザー等を活用した森林の現況調査や森林所有者への経営意向調査などの取り組みに活用しているところであり、いわば調査段階にあるということで、その先には、間伐等の実施者に対する支援などもありますが、当面は、これらの調査結果等を踏まえ、森林経営管理制度に基づく間伐等の森林整備に活用のための準備を進めていくことになろうかと思います。これが当面の対応だと思います。 また、県では、市町村の取り組みを支援するため、技術的な助言を行う専門職員の配置や、市町村等が森林情報を効率的に利用できる森林クラウドシステムの整備などに活用することとしておりますし、実際に活用を進めております。 一方、いわての森林づくり県民税は、本県の豊かな森林環境を次の世代に良好な状態で引き継いでいくことを目的とし、公益的機能の高い森林へ誘導する間伐、地域住民等が取り組む森林づくり活動への支援など、森林環境保全に関する取り組みに活用しているところです。 このように、譲与税は森林の適切な経営管理を、県民税は森林環境の保全を行うことを主たる目的としておりまして、それぞれの税の目的に沿って事業を実施しているところでございます。 〇柳村一委員 市町村であると、この譲与税が余り高額なわけではなくて、最近ですと、市町村では業者を使って自伐型林業、県は県で、7億円ありますので大きい業者を使う。そういうすみ分けみたいなことも、今後、市町村と連携しながらやっていかないといけないような気がします。 それで、令和6年度予算案では、いわての森林づくり県民税が7億2、000万円余、森林環境譲与税が岩手県に1億9、000万円余、市町村に17億1、000万円の合計約19億円余が、森林整備促進に関する施策に充てられることになります。 いわての森林づくり県民税に関しては、基金残高についてもさまざま議論されているところでありますけれども、昨年度、菊池副知事から、使途拡大を含めた今後のあり方について検討を進めていくといった答弁がありました。その後の進捗はどうなっているのかお伺いします。 〇菊池副知事 令和5年度は第4期いわての森林づくり県民税の中間年となることから、外部有識者等で構成する、いわての森林づくり県民税事業評価委員会や市町村等にこれまでの実施状況を報告するとともに、今後の取り組み方向について意見を伺ってきたところでございます。 評価委員会等の検討の中においては、現在の森林の状況を踏まえた植栽や保育、森林資源を守るための病害虫対策や山火事予防対策、熊の出没増加を踏まえた里山整備など、使途拡大についての御意見をいろいろいただいたところでございます。 こうした意見を踏まえ、令和6年度からは、森林環境の再生に向けた植栽や病害虫対策のほか、野生動物の被害防止対策にもつながる里山周辺の整備への支援などの拡充を予定しているところでございます。 また、令和6年度は、森林環境保全に関する県民へのアンケート調査や地域懇談会なども計画しておりまして、使途拡大を含め、県民税のあり方について検討していくこととしているところでございます。 〇柳村一委員 お隣の宮城県では、森林環境税ということで地球温暖化対策に使ったり、さまざまな使途があるようですので、根本的な目的から議論して森林づくり県民税を活用していただきたいと思います。 次に移ります。次は、電気事業会計についてです。 電気事業会計は、本県の有する再生可能エネルギーのポテンシャルを活用しつつ、全国の公営電気事業者の中でも有数の規模の発電出力を確保するなど、産業振興と県民福祉の向上に大いに寄与しています。 令和5年度からは、県の重点政策の一つであるGXの推進について、財源の繰り出しという形で支えるなど、その存在感は大きくなっており、一層の発展が期待されています。 そういった観点から、昨年の予算特別委員会総括質疑で今後の経営の見通しについてお尋ねしたところ、中期的には、各年度平均すれば令和5年度当初の6億円余と同程度の純利益が見込めるといった答弁でしたが、今回提出された令和6年度の当初予算案では、純利益が1.3億円余となっており、令和5年度から大きく減少する見込みとなっています。 地方公営企業法では、地方公営企業について、常に企業の経済性を発揮するとともに、その本来の目的である公共の福祉を増進するように運営されなければならないと定めています。 企業局には、その趣旨にのっとった事業活動を大いに期待していますし、それに応える実力も有していると考えていますが、令和6年度に純利益減を見込む要因と、改めて、今後の純利益の推移の見通しをお伺いします。 〇菊池副知事 電気事業会計の収支についてでございます。 この前のお話と違って、令和6年度に利益減を今見込んでいる要因についてですが、電気事業における令和6年度の収入は令和5年度よりは増加しているところでございますが、一方、現在、複数年度で計画し工事を実施しております入畑発電所及び胆沢第二発電所の再開発事業に伴う発電機などの撤去費用が大幅に増加したこと、加えて、発電所の大規模な修繕工事が計画されていることなどによりまして支出が大幅に増加してきており、純利益は令和5年度より減少することとなりそうだというのが、柳村一委員御指摘の状況でございます。 一方、今後の純利益の推移についてでございますが、企業局は、工事の進捗状況等を勘案しまして、事業運営に要する経費全体を10カ年分計算した上で、毎年度、見通しを立てて経営しているところでございます。 再開発や修繕工事等を計画的に実施していくことで、各年度の利益水準に変動が生じます。このため、令和6年度は一時的に利益が減少する見込みではありますが、現在策定中の第2期中期経営計画の取り組み期間であります令和6年度から令和8年度の3カ年においては、平均すると約6.7億円程度の利益を見込んでいるところでございます。 〇柳村一委員 ということは、昨年度の答弁と変わりがないということで、ただ、でこぼこがあるということで、わかりました。あらゆる歳入を活用してという部分で、企業局が一番優秀な部局だと思いますので、しっかりと支えていただきたいと思います。 令和5年度包括外部監査結果報告書に企業局について監査が行われておりますけれども、その中で、想定より多額の利益が計上された場合の財政的貢献の内容及び保有流動資産の有効活用は、検討の余地があると現状の問題点で示されていますけれども、これについての見解を伺います。 〇菊池副知事 現状の利益還元策については一定の評価ができる水準であるとされた一方で、企業局で今後発生する必要な費用として、各年度で留保しなければならない額を利益から控除した残額である企業局が想定した利益を超えた、いわゆる想定より多額の利益が計上された場合の財政的貢献の内容及び保有流動資産の有効活用は、検討の余地があるという意見をいただいたところです。 この解決の方向性として、財政的貢献につきましては、再生可能エネルギーの維持、拡大や地球温暖化対策と関連性が高い一般会計の事業に充当することが優先されるべきであり、それ以外の本来税金で行うべきさまざまな事業に対し電気料金として徴収した資金を充当することは、特段の説明を要するという意見が示されました。 また、保有流動資産については、将来発生する費用の見積もりや他団体との比較からも、残高が不適当なほど多額ではないが、資金繰りの目途が立つ範囲で積極的な運用を検討すべきとの意見も示されているところでございます。 企業局においては、こうした意見を踏まえ今後の対応を真摯に検討することとなりますが、財政的貢献につきましては、今後とも、将来の経費や純利益の状況を勘案しながら、いわば企業局と総務部、両サイドで調整を図り、一般会計への繰り出し額や充当する事業を適切に決定することとなると考えているところでございます。 〇柳村一委員 今の菊池副知事のお話を踏まえて、震災復興、ふるさと振興、そしてGXと政策を推進していく上で、企業局の貢献はもはや欠かせないものであり、今後もますますその存在感を発揮してほしいと考えます。 令和6年度当初予算案における繰入金の活用に当たっての考えと企業局に対する期待を知事にお伺いします。 〇達増知事 脱炭素社会に向けた取り組みが国際的に進められ、再生可能エネルギーの重要性がますます高まる中、これまで、電気事業は、クリーンエネルギーを安定的に供給しつつ、地域貢献施策を通じて県民への還元を図り、地域社会の発展と県民福祉の向上に寄与してきました。 令和6年度当初予算編成においても、GX―グリーントランスフォーメーションの推進などの財源として、利益の一部、7.5億円を繰り入れ、運輸部門の脱炭素化やGXに係る先進的な研究開発への支援などに有効活用することとしております。 クリーンエネルギーの安定供給とGX推進のための財源確保は、本県におけるグリーン社会実現のいわば両輪であり、電気事業がこれまで以上に重要な役割を果たしていくことを期待しております。 〇柳村一委員 私は知事以上に期待しております。応援しております。 県有施設の脱炭素化について伺います。 温室効果ガス排出削減に当たっては、事業体としての県が率先的に取り組むことが不可欠です。そういった観点から、昨年10月に、県が県有施設等の脱炭素化に向けた基本方針を策定し、率先的な取り組み姿勢を示したことについて評価いたします。 当初予算案のポイントによると、令和6年度は、県有施設の脱炭素化に対し10億円余の予算措置がなされています。大きな額の投資と言えますが、脱炭素化の目標にどのように資するのか、今後も継続的な取り組みが必要と考えられますが、最終的にはいかほどの投資と成果を見込んでいるのか伺います。 〇八重樫副知事 2030年度までに県の事務事業に関する温室効果ガスの排出量を60%削減するため、来年度は、信号を含めたLED化、公用車へのEV導入、太陽光発電の導入に向けた所要経費を当初予算案に計上し、これらによる温室効果ガスの排出削減効果は約2、000トンと見込んでいます。 削減目標を達成するためには、2030年度までに温室効果ガス排出量を約10万トン削減する必要があり、その道筋を明らかにするため、今月中を目途に工程表を作成し、計画的にLED照明や太陽光発電などの導入を図ることとしています。 最終的な投資額は毎年度の予算編成過程の中で明らかになっていくものであることから、現時点でお示しすることは困難でありますが、基本方針に基づく整備を進めた場合、例えば、LED化では2万トン余の温室効果ガス削減が図られ、従来の照明に比して消費電力量で60%減、投資額を約9年で回収できるなど、十分な効果が見込めるものと考えています。 今後、再エネ電力の調達なども組み合わせながら計画的に県有施設の脱炭素化を進め、目標達成に向けて取り組みを加速させていきます。 〇柳村一委員 費用対効果を考えても、脱炭素化することによってかなりいいですという形だと思います。 続いて、安全・安心な地域づくりについて伺います。 元日から、石川県を中心に大きな地震災害がありました。被害に遭われた方々に心からお見舞い申し上げるとともに、一日も早い現地の復旧と復興をお祈りいたします。 発災から1カ月半、達増知事は、現地を訪問され、被災地の状況を御自身の目で確認されました。東日本大震災津波との共通点や違い、また、今後の日本全体の地震、津波防災についてなど、現地を視察された知事御自身の所感をお伺いします。 〇達増知事 私が訪問した能登町の白丸地区では、東日本大震災津波で被災した本県沿岸部と同様、地震後に津波が襲来し、火災が発生しました。 一方、津波が到達しなかった地区では、地震によって相当数の家屋が倒壊したほか、道路の著しい損傷、上下水道の広域的な被害など甚大な被害が発生しており、東日本大震災津波とは異なる被災状況と感じたところであります。 また、石川県庁を訪問した際、馳知事からは、高齢化率が高い被災地での住宅再建のほか、輪島塗など伝統工芸の復興も課題と伺ったところであり、東日本大震災津波からの復興と同様、暮らしの再建やなりわいの再生が被災地復興の柱になると感じました。 近年、大規模な自然災害が頻発しており、本県を初め、被災した自治体等が復旧、復興の取り組みで得た知見や教訓を広く共有し、今後起こり得る災害に備えていく必要があると改めて認識しました。 本県も国内外の防災力向上に貢献できるよう、東日本大震災津波の事実と教訓の伝承、発信に積極的に取り組んでいきたいと思います。 〇柳村一委員 復旧、復興に対する岩手県の貢献度についてお伺いします。 本県が、職員派遣を初めとしたさまざまな支援にいち早く着手されていたという点については、今定例会でも答弁がありました。東日本大震災津波を経験した岩手県の経験は、必ず能登地域の皆さんの力になる部分があるはずであり、かつて国内外から大きな支援を受けた岩手県の責任と言ってもいいかもしれません。 今般の能登半島地震の復旧、復興に当たって、本県が果たすべき役割、貢献していくべき点について、どのように考えているのかお伺いします。 〇達増知事 県では、1月5日に岩手県応援本部を設置し、人的支援や物的支援を行っているほか、東日本大震災津波からの復旧、復興に関する経験や知見として、復興計画の策定手法や避難所運営、被災水道の応急復旧、災害廃棄物処理等に関する資料を提供するなど、本県だからこそできる支援も行っております。 また、今後、応急復旧から復興へと局面が変わっていく中で、公共土木施設等の復旧、復興に当たる技術職員を中心に多くの人的支援が必要と見込んでいます。東日本大震災津波の経験や知見を踏まえ、災害査定に向けた道路、漁港等の被害調査の方法や復旧計画の策定手法について助言していくことなどで、被災地の復興に貢献できるものと考えております。 本県は、東日本大震災津波からの復興に当たり、国内外から多くの支援をいただき、その支援が復興の大きな力になりました。能登半島地震からの復興に当たっても、全国の自治体と一体となって、東日本大震災津波の教訓を生かしながら、被災地のニーズに応じた支援を行っていきたいと思います。 〇柳村一委員 盛岡市もいち早く上下水道局が現地に行ったようですけれども、最初に行って、その後の応援職員の交換のときに、車で移動するとすごく大変だといって、今回は新幹線が通っていたりしてスムーズに交換できたというお話も伺っております。被災地だけではない、その過程なども、岩手県は道路がぐちゃぐちゃになった経験をしているので、ぜひとも被災地に支援できる部分をしっかりやっていただきたいと思います。 次に、ツキノワグマの被害防止対策についてお伺いします。 国によると、今年度、熊による全国の人身被害は1月までで218人となっており、過去最悪だった令和2年度の158人を既に更新している状況です。死者も、本県の2人を含め計6人に上っています。こうした状況や専門家による検討会の熊を指定管理鳥獣に追加し、国が捕獲支援を行っていくべきといった提言も踏まえ、環境省は、ことし4月に、ヒグマ、ツキノワグマを指定管理鳥獣に追加することを表明しました。 ツキノワグマが指定管理鳥獣になることで、具体的にどういった点が変わってくるのかお伺いします。また、捕獲対策等、県の令和6年度当初予算案において計上されている事業費の範囲で対応することができるのか、あわせて伺います。 〇八重樫副知事 現在、国において支援制度を検討しているところであり、詳細は不明ですが、既に指定管理鳥獣である鹿やイノシシの対応を踏まえれば、ツキノワグマが指定管理鳥獣となることにより、これまで支援対象とされていなかった捕獲やモニタリング、捕獲従事者の人材育成などに環境省からの交付金の活用が見込まれます。 ツキノワグマ対策については、令和6年度当初予算案において、個体数推定のためのヘアトラップ調査や熊の捕獲効率を向上させるための捕獲技術向上研修等の経費を県単独経費で計上しているところであり、新設される交付金の内容が明らかとなった時点で活用を検討してまいります。 今後、国において、指定管理鳥獣への追加に向けた省令改正や支援メニューの制度設計が行われることから、引き続き、国からの情報収集に努め、早期の事業実施に向けた支援制度の弾力的な運用を働きかけてまいります。 〇柳村一委員 指定鳥獣になったことについては、この間、達増知事は、北海道東北地方知事会の会長として、直接、環境大臣や農林水産副大臣など、国の関係者に地方の声を伝えるなど、さまざま力を尽くされてきました。こういった行動が実を結んだとも言える今回の一連の流れ、熊の指定管理鳥獣への追加であったのではないかと私は捉えています。 地方の実情を伝え、地方から国を動かしていくことは、分権型社会においても地方自治体に期待される役割の一つであり、国にはこれを真摯に受けとめる姿勢が求められるのではないかと考えますが、知事の御所見を伺います。 〇達増知事 今般の北海道東北地方知事会における熊類の緊急要望については、我が国がかつて経験したことがないような熊類の出没や人的被害の急増に対し、政府としてどのように対応するか検討が佳境に差しかかる段階で、よいタイミングで地方から現場の声を提示することにより、環境省のクマ類保護及び管理に関する検討会において、地方の実情を踏まえた的確な議論をしていただき、クマ類の指定管理鳥獣への追加の動きにつながったものと考えております。 地方から国を動かした事例として、国の新型コロナウイルス感染症対策に全国知事会の総意を反映させたことや、全国知事会農林商工常任委員長として、唐突に国の概算要求に盛り込まれた新規就農対策の地方負担に対し、財政力による支援の差が生じないよう地方負担を撤回させたことなどの成果が挙げられると思います。 国と地方の関係について、国は、地方自治の本旨に基づき、地方自治体の自主性及び自立性が十分に発揮されるよう、地方の実情を真摯に受けとめる姿勢が求められます。 このため、今後においても、全国知事会や北海道東北地方知事会とも連携し、地方の実情を踏まえた提言、要望を行ってまいります。 〇柳村一委員 今回は、たまたまタイミングがよかったということですけれども、地方の自立、自主性はしっかり捉えていただかなければいけないことだと思いますので、これからも声を上げ続けていただければと思います。 令和5年12月に第33次地方制度調査会が岸田総理に手交した、ポストコロナの経済社会に対応する地方制度のあり方に関する答申について、全国知事会は、1月23日、国の補充的な指示の創設についての提言に係る要請活動を行いました。 国の指示権拡充、自治への介入と言える国の補充的な指示の創設について、知事の所見をお伺いします。 〇達増知事 大規模な災害、感染症の蔓延等の国民の安全に重大な影響を及ぼす事態では、速やかな国の行動が求められる場合と、地域の状況に応じて主として地方自治体が対応すべき場合が想定されます。 このような中、今回の答申にあった国の補充的な指示権については、指示が現場の実態に合わない場合や、むしろ地方自治体の権限を強化したほうが効果的な場合も想定されますことから、国の補充的な指示権よりも、個別法ごとに丁寧に国と地方の役割分担を検討していくことが大事だと考えます。 県としては、引き続き、国の検討状況を注視するとともに、地方分権に逆行しないよう全国知事会と連携してまいります。 〇柳村一委員 この指示権については、コロナ禍の全国一斉学校休校が混乱を招いたような事例もありますので、しっかり声を上げていただきたいのと、これについては、3月1日に地方自治法改正案が閣議決定されたようでありますので、自治への安易な介入を招きかねない改正案をしっかり注視していく必要があると思います。 最後に、議会運営委員会で説明を受けましたが、今回で任期満了により退任される菊池副知事、大変お疲れさまでございました。また、県政への御尽力に対しまして敬意と感謝を申し上げます。ありがとうございます。 菊池副知事のこれまでの県政へのかかわりとその先への所感をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございます。 〇菊池副知事 このとおり、あほなテッちゃんで生きてまいりまして、議会の先生方には本当に心温かい御指導をいただき、また、いろいろな困難な時期がありましたが、御理解いただきながら、御相談した際には、本当に皆さん真摯に受けとめていただきまして、さまざまな困難も乗り越えてこれたものと思っております。 知事は、こういう副知事を使っていただきましてありがとうございました。 そして、何よりも新型コロナウイルス感染症の対策は、私は、どちらかというと産業振興とか地域振興の分野の人間と思われていたところですが、あの4月1日以降、まさに全庁的な新型コロナウイルス感染症対策を組んでいくということで、部局を超え、あるいは県庁や市町村やいろいろな主体を、領域を超えた連携をしていくということで、毎日延べ100人以上の職員が出入りして対処方針とかいろいろなことを練ってまいりました。 そのときに感じたことは、やはり組織力、これはいろいろな困難な事案に対応するに当たって、当然のことですが、小さな単位ではチーム、あるいは部、課という組織体、そして、さらには横断的な組織、全庁的な組織など、いろいろな各層にわたる組織による組織力が発揮されて、まさにそれは東日本大震災津波の教訓、経験から、岩手県庁に、いわば組織のDNAとして染みついてきたことだと思います。そういったことでいろいろな困難を乗り越えてこられたと思います。 そうしたことを振り返って、役に立てるものは何があるのかわかりませんが、微力ではありますが、どんな形かであれ、県政には何か応援、支援できるものがあれば、役に立つことがあればしていきたいと思いますが、今のところは何も考えていません。 そして、その中で感じたことは、やっぱりひとりにならないこと、ひとりにしないことが重要だと思っています。組織の根底には、そうした人を大事にする対応をしていただければ、よりよい県政の展開になると思っておりますので、引き続き、そういった県政の状況などについては見詰めていきたいと思っております。 済みません、まとまりのない答えで、あほなテツでございました。ありがとうございます。お世話になりました。(拍手) 〇城内愛彦委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。 午後4時4分 休 憩 午後4時22分再開 〇城内愛彦委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。次に、佐々木朋和委員。 〔佐々木朋和委員質問者席に着く〕(拍手) 〇佐々木朋和委員 いわて新政会の佐々木朋和でございます。3人目ですので、重複する部分も多々あるのですけれども、休憩も入りましたので、ぜひとも新たな気持ちでフレッシュな答弁を期待したいと思いますので、よろしくお願いいたします。 まず1問目、聞かせていただきます。令和6年度歳入歳出当初予算案は総額7、322億円となり、前年度当初予算を392億円余り下回りました。平成24年度当初予算から令和2年度当初予算までは、災害廃棄物処理分を除く震災分が4、000億円台から2、600億円程度通常分に乗り、1兆円から9、000億円台をキープしてきました。 令和3年度から震災分は大きく減少しましたが、かわりに新型コロナウイルス感染症対応分が乗り、当初予算では900億円程度の上乗せ、補正予算を含めれば倍以上の上乗せが見られ、県の予算執行総額を支えてきました。 国には、今後、物価高騰対策分の措置を期待しますが、令和6年度は、平成22年度以来の特別な上乗せのない通常運転が予想される年となります。県の予算執行の総額の縮小が及ぼす県経済への影響をどのように認識しているのか伺います。 〇小野政策企画部長 県の予算事業は、県民に対する行政サービスの提供や地域経済の活性化など、さまざまな県の施策推進を目的に執行しているものですが、本県の県内総生産の支出面に着目いたしますと、県や市町村などの地方政府等最終消費支出の割合は2割程度を占めております。このことから、県の予算執行の縮小は、県内経済に一定程度の影響を及ぼすものと認識しております。 また、県内総生産における民間最終消費支出の割合は約6割、公共投資を含む総資本形成は約3割となっていることから、令和6年度当初予算案では、中小企業の賃上げ支援など民間消費の喚起につながる事業を盛り込んだほか、公共事業について前年度比1.05倍のプラスシーリングとしたなど、県内経済も考慮しながら予算を編成したところでございます。 〇佐々木朋和委員 さまざま工夫をしていただいておりますけれども、令和6年度の当初予算案では税収見込みを1、265億円余、前年比で2.1%の減としております。これは、令和5年度の決算見込みや過去3年間の伸び率、また、令和6年度地方財政計画などのデータからの積算であり、定額減税による個人県民税の減が原因の一つであることは承知しておりますが、現在の県内の経済状況に対して、今のままでの経済対策で前年比2.1%の落ち込みで済むのかという懸念もございます。 試算は試算として、マイナス予想分をプラスにするために、県民税や事業税などの増収を目指し、産業振興や所得の向上のために積極的な予算を組む考え方もあると思います。 震災需要の少なかった隣県の青森県では、本県のふるさと振興総合戦略に当たる、まち・ひと・しごと総合戦略の柱の1番目に経済を回すを掲げています。本県においても、震災関連、新型コロナウイルス感染症関連予算が上乗せされた規模感の県予算に支えられた県経済から、産業振興に力点を置いた民間の活力を引き出していく予算組みに変わっていくべき時期ではないでしょうか。 積極的な産業振興、県民所得の向上施策による県税収のアップについて、知事のお考えを伺います。 〇達増知事 県税収入の増加に向けては、県内経済の拡大を通じた税源の涵養を図っていくことが重要であります。 第2期岩手県ふるさと振興総合戦略の4本柱である岩手で働くにおいて、国民所得に対する県民所得水準の乖離の縮小を施策推進目標に掲げ、商工業、観光産業、農林水産業、建設業等あらゆる産業のDXを促進し、さらなる生産性向上や高付加価値化に取り組むとともに、地域内経済循環を拡大していく総合的な産業施策を積極的に展開していくこととしております。 また、いわて県民計画(2019〜2028)に基づき、ものづくり産業等の集積を生かした産業の高度化や生活環境の充実を図る北上川バレープロジェクト、復興の取り組みにより進展したまちづくりや交通ネットワークを地域産業の振興に生かす三陸防災復興ゾーンプロジェクト、北岩手地域の豊かな地域資源を高度に活用し、産業の創出と社会の革新を一体的に推進する北いわて産業・社会革新ゾーンプロジェクトにおいて、それぞれの地域の特性や資源を生かした施策を積極的に展開しているところであります。 これらによって、産業全体の底上げと地域経済の持続的な成長を促し、県民所得の向上に努めながら、県内経済の拡大と安定的で持続的な財政基盤の構築を図ってまいります。 〇佐々木朋和委員 ただいま御説明いただきました。では、これから、産業振興、また地域内経済循環というキーワードも出てまいりましたけれども、その施策が十分であるか検証させていただきたいと思いますが、その前にもう一点、歳入についてお伺いしたいと思います。 先ほど柳村一委員からもお話がありましたけれども、県の企業局の電気事業会計にある有価証券の120億円余りの流動資産を活用すべきという話であります。新たな気持ちで聞きますので、よろしくお願いしたいと思います。 私は、全県的な視点に立った産業振興や賃上げなどの所得向上につながる、ある意味、税収が返ってくるような施策に活用すべきだと思っておりますけれども、所見を伺いたいと思います。 〇達増知事 産業振興や所得向上、GXの推進等は、希望郷いわてのその先へ歩みを進めるために重要な施策でありますが、電気事業は、公共の福祉増進のために独立採算制により経営される公営企業であることを踏まえ、佐々木朋和委員から御指摘のありました資産の活用については、その本旨に沿って検討すべきものと考えます。 電気事業は、これまで、経営を通じて生じた利益の一部について一般会計に繰り出しを行うことで、震災復興、ふるさと振興、グリーン社会の実現を推進し、地域貢献、県民への還元を図ってまいりました。 再生可能エネルギーの重要性がますます高まる中、電気事業が、クリーンエネルギーを安定的に供給しつつ、その経営を通じて地域社会の発展と県民福祉の向上に、これまで以上に大きな役割を果たすことを期待しております。 〇佐々木朋和委員 私は、そういったグリーン等の取り組みも重要でありますけれども、誘致企業は、これから再生エネルギーを求めて我が県に来ていただける、事業を拡大していく。その恩恵を県内全体に、産業振興に広げていくという意味でも、そういった産業振興や県民所得の向上につながる施策をするべきだと考えております。 例えば、資産の運用もしていかなければいけないというのであれば、県内地域企業やベンチャー企業に対するファンドなども検討すべきではないかと思いますので、提言させていただきたいと思います。 次に、非製造業を含めた企業誘致、地場企業の増設支援の拡充などについてお伺いしたいと思います。 県は、2025年4月の開設を目指し北上市に半導体人材育成の新拠点を整備すべく、補正予算で3億9、897万円余を計上いたしました。産学官が連携して半導体製造装置の技術者の育成、確保に取り組む全国初の施設だということで、佐藤ケイ子委員からも御指摘があったところでございます。半額が国からの予算措置でありまして、国の交付金を活用しつつ、将来にわたって人と民間投資を呼び込める施策であると評価いたしております。 一方で、新しい半導体工場が稼働した熊本県では、人口増、新駅の決定、建設ラッシュ。建設業や不動産業での業績にプラスの影響がある半面、人手不足や製造業では業績にマイナスの影響もある状況のようで、変化に負けない全県的な企業誘致、地場企業の振興策の必要性が高まっていると認識しています。 県内沿岸住民の復興実感調査では、経済回復していないが5.5ポイント増。知事も、津波被害を受けた沿岸部の立地環境は改善しており、産業集積を目指すと述べています。さらに、両磐地域においては、宮城県北地域への半導体関連工場の誘致も決定しており、人材の流出が懸念されます。 令和5年度10月の一般質問において、津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金の終了が見込まれるタイミングで、全県的に企業誘致が進むように、企業立地促進奨励事業費補助金の対象業種を非製造業などへも広げる、地域を限定せずに地場企業の増設支援を認めるなど、誘致企業の支援の仕方、地場企業の支援の仕方を抜本的に見直すべきと指摘をし、引き続き検討するとの御答弁をいただきました。 先ほどまとめをされたところ、恐縮でございますが、菊池副知事にお伺いしたいと思います。 〇菊池副知事 企業立地促進奨励事業費補助金制度の見直しに当たっては、非製造業を含めた企業誘致や地場企業、誘致企業それぞれに対する支援のあり方について、市町村の御意向や企業ニーズなども十分に踏まえつつ、全県的な視点に立って、限られた財源の中で最大限の効果が発揮できるものとすることが重要であると考えているところです。 こうした考え方のもと、市町村の産業振興戦略との整合性を図るため、全市町村を対象として見直しに関する説明会を開催するとともに、現在、市町村に意見照会を行っているところでございまして、これらの意見等を踏まえ、見直しの内容について具体化を進めていこうという考えでございます。 この中で、御指摘の国の津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金、いわゆる津波補助金の公募が終了したことを踏まえまして、まずは、当該津波補助金の採択を受けることで、企業立地促進奨励事業費補助金の対象としておりました沿岸地域の取り扱いについて、先行して見直しを進めていく予定としております。 高度な基盤技術を有する本県の地場産業は、サプライチェーンを下支えする重要な役割を担っております。令和5年度補正予算において、国が新たに制度化した中小企業省力化投資補助事業や、ものづくり補助金、IT導入補助金などの活用も促しながら地場企業の成長を支援していくとともに、若者や女性の希望を踏まえた幅広い業種を対象とした企業誘致について検討を進めていきたいと考えております。 〇佐々木朋和委員 しっかりと動いていただいていまして、感謝申し上げたいと思います。卓球のプレースタイルと同様のフットワークだと感服いたしました。 今、見直しは、沿岸地域の分については先行してという話もありましたし、全市町村に照会をかけて、今、意見集約中だということでございました。 この方針は、来年度中に出て、新しい予算の中で執行していけるものなのか、改めて確認させていただきたいと思います。 〇菊池副知事 いわゆる津波補助金への対応は急務でもございますし、検討を進めて、できるだけ早期に新しい方針、そして、その対策を練っていくことになると思います。 〇佐々木朋和委員 よろしくお願いしたいと思います。 次に、賃上げや価格転嫁の取り組み等の中小企業振興策について伺いたいと思います。 先ほどの議論の中で、岩手県物価高騰対策賃上げ支援金の現状についてはお話をいただきました。今、1億9、000万円余の申請状況だということでございました。県は、このスタートをどのように見ているでしょうか。 事業者からは、設備投資への支援ではなく、引き上げた賃金に対する補助であることが今までにない支援であると評価する一方で、時給は下げるわけにはいかないので、賃金と物価の好循環が実感できるまで継続的な支援が見えないと活用しづらいとの声もあります。 大同生命サーベイ2023年12月の中小企業の賃上げの調査によりますと、岩手県で賃上げをした企業が6割と全国平均より4.7ポイント高い一方で、2023年の業績がよかった企業は22.2%の全国43位、営業利益が赤字48%で、全国で悪いほうで2位、価格転嫁できていないが55.6%と全国平均と比べて12.9ポイントも高い、全国で悪いほうで2位という結果であり、苦しい中での人手不足感に押された賃上げ状況であったことが推察されます。 連合岩手の24年春闘目安は7.39%と2000年以降最高水準となります。企業の約9割を中小企業が占める本県において、最低賃金全国単独ワーストという不名誉な称号から脱却を果たすためにも、中小企業における賃上げ支援や価格転嫁の後押しに継続して取り組まなければなりません。 マニフェストに関連する事業の事業数と事業費総額によると、中小企業の振興の事業数は17、6億1、400万円と決して十分ではありません。ゼロゼロ融資の返還が始まる中、再建計画作成など伴走型支援も不足しています。 令和6年度補正の予定も含めた県の中小企業における賃上げ支援や価格転嫁の後押しなど、中小企業振興策について伺います。 〇菊池副知事 今後、県内中小企業者の経営を維持し、県内経済を活性化させていくためには、物価高騰に負けない県民の安定した暮らしの実現に向けて、中小企業者の賃上げを促進していく施策がより求められていると認識しております。 そして、県内の中小企業者の賃上げにおいては、いわゆる防衛的な賃上げを含む当面の賃上げ原資確保に対する直接的な支援と持続的な賃上げのための生産性向上に向けた取り組みへの支援、さらには、適切な価格転嫁の実現が重要であり、これは佐々木朋和委員が御指摘いただいたとおりでございます。 こうした考えのもと、さきの12月定例会で、賃上げを直接支援する物価高騰対策賃上げ支援金21億円を予算化し、先月から受け付けを開始しているところでございます。 また、生産性向上の取り組みを支援するため、今年度に新たに制度化した中小企業者等賃上げ環境整備支援事業費補助についても、来年度当初予算案に1億円を盛り込んだところでございます。 また、適切な価格転嫁の実現につきましては、昨年7月、国や経済団体、労働団体等が参画し、価格転嫁の円滑化による地域経済の活性化に向けた共同宣言を行い、参画機関において、価格転嫁促進に向けた説明会の開催やパートナーシップ構築宣言を要件とする、先ほど御説明申し上げました補助制度の創設などに取り組んでいるところでございます。 今後は、比較的価格転嫁が進んでいないとされる労務費を含めた適切な価格転嫁の実現がより重要であると認識しており、昨年11月に国が策定した労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針の活用促進について、国との連携のもと、引き続き、経済団体等を通じた県内企業への周知などの取り組みを進めてまいるところでございます。 佐々木朋和委員御指摘のように、本県のみならず、全国の中小企業者が持続的に賃上げを行っていくためには、当然のことながら、国の強力なリーダーシップのもと、確かな財源とともに強力な支援策の展開が相当の期間にわたって継続されることが不可欠であると認識しており、国に対してしっかりと要望していきたいという考えでございます。 〇佐々木朋和委員 賃上げ支援金は令和5年4月から令和6年9月までの期間であります。今年度、先ほどの調査では、6割の中小企業が賃上げをしているということであれば、もしこの支援を使っていれば、来年度は9月まで使えないということになります。10月には最低賃金も上がると予想されますので、ぜひとも継続的な支援をするという姿勢を見せることが大事だと思います。ぜひ、早い段階で補正の意気込みを出していただければと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。 次に、予算編成について伺いたいと思います。 令和6年度当初予算要求においては、政策的な事業に0.95のマイナスシーリングが課されており、その削減分につき、四つの重点事項について3倍の予算要求を認める方針が出されておりました。しかし、令和5年度政策評価等の政策等への反映状況報告書によれば、縮減または廃止、休止が41事業、32億円のマイナス、構成比4.7%。拡充が76事業、1億9、400万円、構成比8.8%。新規事業が67事業、13億900万円となり、大胆な振りかえはなく、拡充、新規より廃止、休止が多い状況です。 現在の予算要求の方法は財政目標の達成のためには安全運転で効果的ですが、事業が硬直化してしまい、各事業の規模も小さいものばかりになる懸念があり、実際にそうなっているのではないでしょうか。 予算規模の適正化については数年間の平均で達成するようにし、各年ででこぼこがあってもよいのではないでしょうか。小規模の事業を毎年度羅列するのではなく、特定の事業を目的として、あらかじめ基金を積み立てるなど財源を確保しておき、国の有効な事業などが出た際にまとめて使うなど、より県政にインパクトを与えるような予算編成をするべきではないかと考えますが、所見を伺います。 〇千葉総務部長 予算編成についてでありますが、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランのスタートに合わせ、四つの重点事項について、シーリングによる財源捻出の3倍相当の額の予算要求を認めることで、令和6年度は、前年度比実質75億円増となる840億円を措置するなど、めり張りある予算編成を行っているところでございます。 佐々木朋和委員御提案の基金の積み立てでございますけれども、複数年度にわたり一定の財源が確保されることで、柔軟に県政課題に対応できるというメリットがあると認識しております。 一方、本県財政を取り巻く環境が厳しさを増す中で、将来の財政需要に備えた基金積み立てを行うに当たっては、どのような目的で、どの程度の期間と規模の基金を設置するかといった論点を明確にして基金の設置条例を議会に諮る必要があるなど、慎重な検討が求められるということであります。 基金の活用も含めて財源を確保しつつ、財政健全化の取り組みを着実に推進しながら、引き続き、めり張りある予算編成に取り組んでまいりたいと存じます。 〇佐々木朋和委員 次に、マニフェストプラス39についてお伺いしたいと思います。 知事は、マニフェストプラス39について、おおむね37項目に予算が計上され、事業化されているとコメントしております。初年度ということで、少ない財源を分散して事業の頭出しをしたという印象でありますが、4年間の事業計画や予算の裏づけを含めた道筋を議論した上での頭出しなのでしょうか。 マニフェストプラス39の達成までの総予算推計と4年間での達成度の目標をお示しください。 〇小野政策企画部長 マニフェストプラス39に掲げた各項目は、いわて県民計画(2019〜2028)や第2期アクションプランの内容を踏まえ、これら県民計画のもとに行われる政策として掲げられたとのことであり、その具体の施策として位置づけることができると考えております。 このような考えのもと、令和6年度当初予算案では、マニフェストプラス39に掲げた各項目につきまして、10の政策分野や11のプロジェクトなどの施策の中で、さまざまな事業を盛り込んだところでございまして、さきの議案等説明会における御発言等も踏まえて、その内容をアクションプラン、プロジェクトとの関連も含めて資料を提供させていただいたところでございます。 第2期アクションプランの推進に当たりましては、中期財政見通しのもと、各年度の予算編成の中で事業の具体化を図っており、マニフェストプラス39に関連する事業も同様と考えております。 例えば、ハイボリュームセンターの整備やリハビリテーションセンターのサテライト施設の整備など、さまざまな検討に時間を要する項目も含まれておりますことから、全体の事業費を推計することは困難でございますが、これらの事業も含めまして、第2期アクションプランの政策体系の中で、他の事業の効果とあわせ、具体的推進方策指標の計画目標値の達成、ひいてはいわて幸福関連指標の向上を目指して取り組みを進めてまいる考えでございます。 〇佐々木朋和委員 ただいま御説明いただきました、資料もいただきまして、各37項目に予算が計上され、事業が計上されているのですけれども、新規の事業は、事業数としては1割程度なのかと。新機軸の事業としては、やや物足りないのではないかと感じたところであります。 その中で、大規模事業もありますので、先ほど指摘させていただいた基金のあり方も含めて検討いただいて、ぜひとも県民には、その達成までの道筋を見せていただきたいと思います。 その中で、具体的に一つ知事に聞いていきたいと思います。岩手県保健医療計画、ハイボリュームセンターの整備についてであります。 知事は、マニフェストプラス39において、持続可能で希望ある医療提供体制を構築するため、周産期医療やがん、脳血管疾患などを初め、全県的な医療提供体制の一層の充実とハイボリュームセンターの整備を掲げています。 今般、公表された次期保健医療計画における中間案では、がんや脳血管疾患等について疾病・事業別医療圏を設定するとされております。この疾病・事業別医療圏の設定によって、全県的な医療提供体制がどのように変わるのか伺いたいと思います。 〇達増知事 今回、新たに設定する疾病・事業別医療圏については、二次保健医療圏とは別に、がんを5圏域、脳卒中を7圏域、心血管疾患を8圏域とし、広域的な医療圏として、複数分野の専門医や高度医療機器の配置の重点化などにより、限られた医療資源のもと、県民に、より質の高い高度、専門的な医療の提供を目指すものとなっています。 二次保健医療圏については、治療開始までの時間が重要であるという考えから、救急医療を迅速かつ円滑に提供するとともに、地域に密着した身近な医療を提供する範囲として設定の考え方を見直した上で、計画開始時には現行の9圏域として設定し、最新の受療動向などを踏まえ、計画期間内に見直しについて検討することとしています。 引き続き、県立病院や民間医療機関、関係大学などの医療関係者を初め、介護関係者、市町村等と連携し、県民が居住する地域で、必要なときに適切な医療が受けられる医療提供体制の構築を進めてまいります。 〇佐々木朋和委員 知事に再質問させていただきます。 マニフェストプラス39では、がん、脳血管疾患についても一層の充実と言っております。一方で、県民にとっては、拠点病院が遠くなるということで、これは集約ではないかという見方もあると思います。 そういった中で、先ほど二次医療圏はスピードが重要と言っていただきましたけれども、心疾患や脳血管疾患も、やはりスピード重視だと思うのです。そういったところについても、しっかりと県民に説明しなければいけないのではないかと思います。 今回の疾病・事業別医療圏についての捉え方、充実なのか集約なのか、二者択一ではありませんが、知事の考えをもう一度お聞きしたいと思います。 〇達増知事 脳卒中、心血管疾患の医療圏の設定については、緊急に治療を要することが多いなどの疾患特性や対応する救急医療機関、交通アクセスなどの取り巻く環境を踏まえ、専門医や罹患を経験した方、市町村等の関係機関で構成される岩手県循環器病対策推進協議会において検討を進めてきたところです。 その検討を踏まえ、既に医療連携体制を構築して対応している気仙・釜石圏域のほか、新たに胆江・両磐圏域を脳卒中医療圏として設定するものです。 胆江・両磐圏域における脳卒中医療圏の設定に当たっては、地域メディカルコントロール協議会において搬送基準の見直しに向けた検討を進めるとともに、初期対応医療機関と専門医療機関におけるCT画像のデータ共有や医療機関と消防機関における心電図のデータ共有など、デジタル技術を活用し、専門的治療開始までの時間短縮による医療連携体制の構築に取り組むこととしています。 ICTの活用やドクターヘリの効率的な運用などにより、適切な医療が受けられる環境整備を進めてまいります。 〇佐々木朋和委員 今、ICTの活用、また、ドクターヘリについても言及いただきましたけれども、県民としては、まだ不安感もあると思っております。やはり急迫性のある脳卒中や心血管疾患等については、広い医療圏で取り扱うということで、道路の整備も含めた岩手県の保健医療計画内の対応ではおさまらないところもあると思います。そういった部分についてもしっかり県民に示すべきではないかと思いますけれども、所見を伺いたいと思います。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 脳卒中や急性心筋梗塞につきましては、やはり時間との関係がございます。先ほど知事から御答弁申し上げましたとおり、今回の二次保健医療圏の考え方としては、単に搬送時間ということではなくて、医師が最初に治療に当たるまでの時間に着目しています。 例えば、搬送して病院に着いたとしても、そこから画像診断を行って、休日とか夜間は脳外科医とか心臓内科医が365日いるわけではありませんので、そこから医師を呼んで治療の開始に当たるのですけれども、例えば、心電図など、救急隊が12誘導心電図をはかります。それを専門医に電送して、専門医が診て、これは心筋梗塞だと判断した場合は、どこどこ病院に送ってくださいと。その間に、専門医も自分の病院に行きます。それで、患者が到着する前に、例えばPCIカテーテルの治療をもう準備している。そして、搬送と同時に、もう治療を開始できる。搬送時間だけではなく、ICTを活用してきちんと質の高い医療を提供したいという考え方です。 脳卒中も、同じように脳卒中のCT画像を県内の専門医、県立中央病院でありますとか大学病院の先生が診て、例えば、出血性のものであればどこどこの病院、梗塞であれば内科的治療であるのでその病院という形で、きちんと適切な医療機関と連携して、適切な医療を提供する、そういったような考え方でございます。 こういった、単に距離とか搬送時間だけにとどまらず、県民の方々が質の高い医療をきちんと受けられるような形で拠点化も進め、医師の働き方改革が進みますから医療の安全性も質も高まります。こういったことを合わせて、県民の皆様方に丁寧にこれからも説明に努めてまいりたいと考えております。 〇佐々木朋和委員 よろしくお願いしたいと思います。 同じく中間案では、釜石・気仙保健医療圏などについて見直しに向けた検討を進めるということでありますが、そのほかの保健医療圏の検討も進めるのかを含め、今後、どのように検討を行うのかお示しいただきたいと思います。また、今回の疾病・事業別医療圏の設定は、将来における保健医療圏の統合を見据えたものなのか、あわせて見解を伺いたいと思います。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 今回新たに設定する、がん、脳卒中、心血管疾患の疾病・事業別医療圏につきましては、先ほど御答弁申し上げましたとおり、ICTなどをきちんと活用しながら進めていくということ、また、今般、次期岩手県保健医療計画を検討するに当たり、来年度公表予定の新型コロナウイルス感染症流行後の最新の受療動向を分析したのですが、最新のものが令和2年のコロナ禍における受療動向だったと。コロナ禍前は、平成29年ということで6年前の状況でございました。 コロナ禍後の最新の受療動向、また、令和2年には復興道路も開通いたしましたので、そうした部分もきちんと見据えた最新のデータを用いて、釜石・気仙圏域のみならず、全9圏域について、計画期間内に改めて検討することとしているところでございます。 また、二次保健医療圏については、医療と保健サービス、福祉との連携を推進するため、保健所所管区域や高齢者福祉圏域、障がい者保健福祉圏域の設定の基本となっておりますことから、医療のみならず、保健や介護、福祉の関係者との協議を進めるとともに、県民や市町村の意見も伺いながら医療審議会において総合的に検討を進めてまいります。 〇佐々木朋和委員 それでは、知事に伺いたいと思います。ハイボリュームセンターの整備についてです。 マニフェストプラス39は4年間の県民との約束だと思いますが、ハイボリュームセンターの整備は、この4年のうちに進めるという認識でよろしいのでしょうか、伺いたいと思います。ハイボリュームセンターによる医療資源の集約と地域病院や診療所の維持や地域医療をどう両立させていくのか、あわせて伺いたいと思います。 〇達増知事 ハイボリュームセンターの整備についてでありますが、人口減少や医療の高度、専門化等、県立病院を取り巻く環境は大きく変化しており、限られた医療資源を効率的に活用し、県内で高度、専門的な医療を安定的に提供できる体制を確保していくことが重要であります。 こうした観点から、県立病院の計画的な更新とあわせて、症例数や手術数が多い病院、ハイボリュームセンターの整備を進めることをマニフェストプラス39に掲げました。 医療局では、今後、令和7年度を初年度とする次期岩手県立病院等の経営計画の検討を始めることとしており、次期岩手県保健医療計画における疾病・事業別医療圏に対応し、まずは、がんや脳卒中などの疾病ごとに、既存の中核的な病院に高度、専門的な手術機能等を集約し、症例数の確保を図りながら、ハイボリュームセンターとしての機能や役割を果たしていくことを検討することとしています。 こうした取り組みを着実に進めながら、症例数や手術件数の推移、患者動向の変化等の状況を分析し、将来の施設整備について検討してまいります。 ハイボリュームセンターについては、県内で高度、専門的な医療を安定的に提供できる体制を確保していくため、まずは、中核となる病院に、疾病・事業別医療圏等に対応して一定の機能集約を図り、症例数や手術数を確保していこうとするものです。 また、地域病院等については、これまで採算性や人材確保の面から民間医療機関の立地が難しい地域において、初期医療を含め地域医療を担ってきたことから、今般のハイボリュームセンターの議論とは別に、引き続き、地域密着の医療を提供していくものであります。 医療局では、来年度、次期岩手県立病院等の経営計画の策定を予定しており、高度、専門的な医療を提供する中核的な病院と地域密着の医療を提供する地域病院等が連携しながら、地域医療を確保する体制を検討していく必要があると考えております。 〇佐々木朋和委員 しっかりと注視していきたいと思いますので、議論を深めていきたいと思います。よろしくお願いしたいと思います。 次に、家族・子育て分野、少子化対策の取り組みについて伺いたいと思います。 産後ケアの無料化、子供の医療費無償化に加え、令和5年度から第2子以降の3歳未満児に係る保育料無償化などにも取り組み、県は、全国トップレベルの子育て支援を展開していると認識を示しています。 一方で、いわて幸福関連指標の合計特殊出生率は令和4年度1.21、全国39位と下降線をたどり、県民の幸福感に関する分析部会、令和5年度年次レポートによる子育てに関する追加分析でも、令和5年は40代、30代、20代と若い世代になるごとに実感が悪化しています。 岩手県の合計特殊出生率を上昇させ自然減に歯どめをかけていくためには、144億円余を投じて推進する子育て支援策と県民の実感とのギャップを埋めていく作業が必要です。 この追加分析の詳細を見ると、子育てしやすいと感じるプラスの項目は、子供を預けられる人、場所の有無、配偶者の家事への参加。子育てをしやすいと感じないマイナスの項目は、教育、子育てに係る費用、医療機関の充実との調査結果が出ていました。また、子供のいない人の子育て環境に対する評価が、20代、30代の子供を持つことへ影響を与えている可能性についても言及されています。いずれも重要な指摘であり、今後の施策の重点化のヒントになり得るものと感じました。 また、県は令和5年度岩手県ふるさと振興総合戦略第2期アクションプランにて、自然減の原因を有配偶率の低下、有配偶出生率の低下、若年女性の減少と推定し、少子化対策強化の三つの柱として、有配偶率の向上、有配偶出生率の向上―妊娠、出産、子育て支援、女性の社会減対策を掲げました。 令和6年度当初予算案においては、四つの重点項目の第1に自然減・社会減対策を置き、重点事項については、事務事業の縮減分の3倍の予算要求を認める方針を出しており、これら分析に沿った大胆な組みかえを期待いたしましたが、結果として、政策推進プランにおける家族・子育ての構成事業の新規は4にとどまり、継続は49、廃止は1にとどまりました。 県は、家族・子育て分野あるいは少子化対策の取り組みと合計特殊出生率や県民の実感とのギャップをどのように捉えているか。また、令和6年度に向けての政策評価は、詳細分析を踏まえたものだったのかについてもお示しいただきたいと思います。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 少子化対策は息の長い取り組みが必要であり、合計特殊出生率の向上などの効果の発現には一定の時間を要するものと認識しており、また、子育てに関する実感を高めるためには、子供の成長に伴う子育て環境の変化も考慮し、ライフステージに応じた総合的な取り組みが必要であると考えております。 また、今年度実施した少子化要因の分析においても、子育てや教育への経済的負担感や仕事と子育ての両立の難しさなどが、結婚行動や出生行動に影響している可能性が認められたところであり、こうしたことが、佐々木朋和委員御指摘の県民の実感にもつながっていることも考えられます。 こういった分析などを踏まえまして、政策評価において、子育て世帯の負担軽減や子育てにやさしい社会を目指す機運の醸成、若い世代のライフデザインの形成、産後ケア実施市町村の支援の充実、地域のニーズに応じたさまざまな子育て支援の充実、民間企業等における子育てにやさしい職場環境づくりの推進などを課題として掲げ、安心して子供を産み育てられる環境をつくるための取り組みの一層の充実を図っていくこととしたものであります。 〇佐々木朋和委員 ただいまの分析の中で私が気になったのは、子育て世代への情報発信はプッシュ型でやっているのですけれども、子供のいない人への子育て環境に対する評価を上げる取り組み、県民への情報発信が見えないと思っておりました。取り組みをお聞きしたいと思います。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 佐々木朋和委員に御指摘いただきました県民の幸福感に関する分析部会のレポートでは、子供がいる人に比べて子供がいない方が子育て実感が低く、特に子育て世代に該当する30歳から39歳において、子供がいない人の実感が大幅に低いことが明らかになっております。 このことは、子育て環境に対する評価が子供を持つことに何らかの影響を与えている可能性が示唆されていると認識しております。 県では、来年度当初予算案において、地域社会全体、これは子育て世代も、子育て後の世代も、子育てをしていない方々も含めて、地域社会全体で子育てを応援していく機運を醸成するための、いわてで生み育てる県民運動に引き続き取り組むとともに、若者が、さまざまなライフイベントを積極的に考え、将来のライフデザインを希望を持って描く機会を提供するためのセミナーなどを実施する予定としているところでございます。 〇佐々木朋和委員 もう一つ、先ほど子育て支援は息の長い支援が必要だということでしたけれども、だからこそ、結果が出ているのか、きいているのか、評価が難しいと思います。 給付無償化型事業の政策評価と見直しについて、県の考え方を伺います。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 県が実施いたしました調査によりますと、子育てがしやすいと感じているかとの設問に、感じないと回答した方は、その理由として、子供がいる方、いない方とも、子供の教育、子育てに係る費用が高いことを挙げる方が最も多くなっております。 また、国の調査では、幼児教育や保育の無償化により、予定する子供の数をふやしたいとする保護者の割合が2割強との結果もあり、子育て世代における経済的負担の軽減は、最優先の課題であると認識しております。 こうしたことから、県では、他県でも例の少ない、第2子以降の3歳未満児の保育料無償化や在宅育児支援金、産後ケア利用料の無償化や利用時の交通費支援など、新たな給付、無償化事業の実施により、安心して子供を産み育てられる環境整備に取り組んでいるところでございます。 コロナ禍の行動制限により婚姻件数が急減し、その後の回復が見られないことが出生数の減少につながっている影響も残る中、また、先ほどから御答弁しているとおり、佐々木朋和委員からも御指摘あるとおり、少子化にはさまざまな要因が関連していることから、その政策効果の発現を見きわめるには一定の時間を要するものと考えておりますが、引き続き、岩手県人口問題対策本部会議やいわてで生み育てる支援本部会議におきまして、事業の評価と見直しを不断に行いながら、子育て施策の一層の充実を図っていく考えであります。 〇佐々木朋和委員 大規模事業については、ぜひ、ある一定期間のところでしっかりした見直しも必要だと思いますので、よろしくお願いいたします。 知事は、2月13日に行われた2023年度岩手県人口減少問題対策本部会議において、事業規模が大きいほど効果もあるが、人口減少対策は、結局、人の心を動かさなければならないと発言されました。全く同感でございます。財源に乏しい本県においては、事業規模の足らざるところは事業のディテールにこだわり、子育て世帯や若年世代に刺さる施策を提案していかなければなりません。 ここからは、時間の限り、私なりに刺さると考える事業の提案や、これは刺さらないのではないかと思う事業の指摘をしてまいりたいと思います。 岩手であい・幸せ応援事業費については令和6年度予算に5、500万円計上されておりますが、i―サポのマッチングシステムへの自宅閲覧、性格診断、趣味検索などの機能の追加を行うとされています。 現在は、結婚するカップルの出会いの15%がマッチングアプリと言われており、盛岡市には大手結婚相談所各社が事務所を構えております。今般示された機能の追加は、これら民間サービスに登載されている機能の追従であり、令和5年度の会費無料キャンペーンに続き、令和6年度提案のお食事券の配布は、i―サポを気軽に活用していただくための手法かもしれませんが、本来i―サポに期待された県主催であるがゆえの真面目さやかたさ、安心感を毀損しないか要らぬ心配をしております。 i―サポのこれまでの成果と民間サービスとのすみ分け、想定するターゲット、存在意義をどのように捉えているか、今後の機能拡充の方向性とともにお示しください。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 県では、i―サポを開設して以降、順次マッチング支援策を拡充してきたところであり、これまでに141組が成婚し、会員以外と成婚した方も含めると成婚者は累計で388人となっております。 i―サポは、県などの公的な機関がかかわることにより、低廉な登録料で安心して利用できるサービス提供を行うという趣旨で設置されたものであり、入会条件を、県内に居住または勤務する方並びに結婚後岩手県内に居住できる方としていることから、結婚後も岩手県内に住み続けたいと思う県民の方が、安心して気軽に結婚相手探しができるという点において、民間サービスとの差別化が図られているものと認識しております。 一方で、利便性に欠けるとの会員からの意見もあることから、より多くの成婚につなげるため、こうした意見や他県の取り組みなども参考に、趣味、嗜好などを踏まえたマッチング機能の追加や自宅閲覧機能の導入、食事券の贈呈など、成婚に向けたフォローアップなどに取り組むこととしたところであります。 i―サポの特徴である安心感などは維持しながら、県民の結婚したいという希望をかなえられるよう、会員の利便性の向上やフォローアップの強化などに努め、会員の積極的な婚活を支援していく考えであります。 〇佐々木朋和委員 その御説明いただいたお食事券ですけれども、発行予定枚数や行うに至った経緯、また、他県ではこのようなことをやっているのかお伺いしたいと思います。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 食事券については、これまでの交際組数や令和5年度の会員増などを踏まえまして、250組のカップルへの配布を予定しております。食事券により交際初期の活動を後押しするだけではなく、食事券の使用報告なども求めますので、交際継続中もi―サポ職員へ気軽に相談できるきっかけにもなりまして、交際を発展、後押しさせることにつながるものと期待しているところでございます。 他県の事例としては、栃木県において、とちぎ結婚支援センターの会員カップルに対して、デート応援チケットとして、飲食店のチケットのほかに、スポーツ観戦チケットやテーマパークのチケットなどをプレゼントする取り組みを行っていると承知しております。 〇佐々木朋和委員 先ほど私の前の質問の中に、なれていないのでという話もありましたけれども、それとこの食事券とのロジックがつながらなかったと思います。少し違和感があるということを指摘させていただきたいと思います。 次に、第2子以降の3歳未満児に係る保育料の無償化についてです。 子育て世代に第2子、第3子へと心を動かしていただくためには、運用面の工夫も必要だと思います。晩婚化の状況や仕事面でのキャリアを考えた場合、上の子と下の子の間隔をあけずに出産したいと考える子育て世帯の懸念材料が、育休退園です。 全国の自治体では、上の子の継続入所を出産した子の年齢が生後1年まで等の期間制限を撤廃し、無条件での在園を可とする自治体がふえています。また、専業主婦家庭でも、保育施設に預けられるようにした自治体も出てきています。 知事は、人口減少対策において、市町村長と十分にコミュニケーションをとり一緒に取り組んでいく体制ができていると認識を示されています。その強みを生かし、本県において育休退園の事例が実際になかったとしても、市町村と連携して継続入所要件の緩和、専業主婦世帯への対象拡充に取り組み、見える化することが重要です。 国は、令和8年度をめどに子ども誰でも通園制度の本格運用を目指す方針ですが、人材の確保や県内でのモデル事業の誘致など積極的に準備を進めるべきです。 本県の育休退園、継続入所の条件の状況、市町村と連携しての今後の取り組みを伺います。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 いわゆる育休退園とは、保護者が下の子のために育児休業を取得すると、保育所に通う上の子は継続利用が認められない取り扱いですが、市町村からは、令和4年度に育休退園となった子供はいなかったと伺っております。 育休中の上の子の継続利用には、市町村から保育の必要性の認定を受けることが必要となりますが、既に32市町村が、育休中であることを理由に上の子の継続利用を認定する取り扱いとしております。 その利用可能期間については1年から1年6カ月程度までの間としているのが12市町村、期間の定めはないとしているのが20市町村となっていますが、期間を定めている市町村においても、保護者のニーズや家庭状況、保育所の受け入れ枠などの状況を踏まえ、期間延長しているケースもあると伺っております。 育休中の上の子の継続利用は、保護者の不安や子育ての大変さを軽減する取り組みでもありますことから、県としては、各市町村の実施状況などの情報提供によりまして、必要に応じて見直しの検討が行われるよう市町村の取り組みを支援していく考えであります。 〇佐々木朋和委員 いなかったとしても、やはり心を動かすのが重要と知事もおっしゃっていますので、ぜひとも見える化をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。 最後の質問になるかと思います。女性の社会減対策として、国の財源である地域女性活躍推進支援金のデジタル人材・起業家育成支援型を活用し、いわて女性デジタル人材育成プロジェクト事業費1、600万円を予算計上しております。こちらは女性のIT関係のリスキリングを支援するものですけれども、一方で、国のハロートレーニング、ひとり親世帯対象の高等職業訓練促進給付金制度などがありまして、こちらは無料で、あるいは10万円の給付をもらいながらリスキリングができるというものであります。 本事業は、これら制度を活用しながら受けられる研修なのでしょうか、それとも補完関係にあるのでしょうか。本事業のターゲット、国の事業とのすみ分けや活用について伺いたいと思います。 〇八重樫副知事 佐々木朋和委員から御紹介のありました国の求職者支援制度は、求職者が、ハローワークを通じて給付を受けながら県等が受託して実施する国指定の職業訓練を受講するもので、ひとり親世帯対象の給付金制度は、みずから資格取得を目指して学ぶ場合に生活費相当が給付されるものと認識しています。 一方で、県のいわて女性デジタル人材育成プロジェクト事業は、県内に居住する主に非正規の女性やシングルマザー等、経済的に困窮されている方を優先的に対象とし、受講期間が比較的短いこと、eラーニング中心の受講など、国の事業で対象とならない方も受講可能となるよう柔軟な対応としています。 デジタル分野で即戦力として活躍できるスキルを習得していただき、習得後は、リモートによる時短就労や副業など希望するスタイルによる就業マッチングまでを一貫して行うことで、女性の多様な働き方と所得向上を図っていくこととしています。 出産、育児等により時間制約がある女性でも受講できるよう選択肢をふやすことも必要であるとの考えのもと、このような事業スキームとしたところであり、実施に当たっては、希望に合った研修や制度を選択できるよう、周知方法等を工夫するなど、関係機関と調整を図りながら進めていく考えであります。 〇佐々木朋和委員 ただいまの説明では、国の制度に当たらない人という話もありましたけれども、逆に、これは国の給付を受けながら活用できるとなれば、さらに活用者も多くなると思うのですが、こういった部分も検討すべきと思いますが、いかがでしょうか。 〇八重樫副知事 県の当該プロジェクト事業で実施する研修は、国指定の職業訓練ではないこと、資格取得を目指す研修ではないことから、国の高等職業訓練促進給付金等を活用できない、対象外であります。 〇佐々木朋和委員 終わります。ありがとうございました。(拍手) 〇城内愛彦委員長 お諮りします。続く総括質疑は明日行うこととしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 〇城内愛彦委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。 明日以降は、毎日午前10時から開会いたしますので、よろしくお願い申し上げます。 本日はこれをもって散会いたします。 午後5時18分 散 会 |
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