平成16年6月定例会 第8回岩手県議会定例会 会議録

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〇35番(小野寺好君) 公明党の小野寺好であります。
 発議案第6号に関し、反対の立場で討論いたします。
 去る6月28日、イラクに主権が移譲され、暫定政権が発足し、復興支援も新段階に入りました。我が国政府は、新たな国連決議に基づく多国籍軍の中で、自衛隊による人道復興支援の継続を決めたところであります。
 今後、イラク暫定政府は、来年1月末までに国民議会選挙を行い、その後、新憲法の起草作業が始まるなど、イラク国民自身による国づくりが動き出します。しかし、いまだ治安は不安定で、社会的・経済的基盤は復興途上であり、まだまだ国際社会の支援が必要であります。そのため、国連安全保障理事会は6月8日、加盟国にイラク復興支援を呼びかける決議1546を全会一致で採択いたしました。
 我が国はこの決議に応じ、これまでサマワで実施中の陸上自衛隊による給水などの人道支援と、クウェートを拠点に航空自衛隊が実施中の支援物資の輸送を継続させることを決めました。これは、昨年7月に成立したイラク人道復興支援特別措置法の内容に即したものであります。
 主権移譲後、多国籍軍は、イラク暫定政府の要請で、治安維持と人道復興支援のために引き続きイラクに駐留することになりましたが、我が国も、イラク暫定政府の要請のもとで、自衛隊が6月28日以降も人道復興支援活動を継続しています。多国籍軍の任務に人道支援も正式に加えられたため、多国籍軍の中で自衛隊が人道支援活動を継続できることになったことから、政府は6月18日の閣議で、自衛隊を多国籍軍の中で活動させることを決定いたしました。
 軍という語感から、自衛隊も治安維持活動をするのではないかとの不安の声もありますが、政府は、憲法とイラク特措法が禁じている武力行使を自衛隊は行わないと明言しているところであり、自衛隊が実施するのは、これまでの人道復興支援活動と安全確保支援活動であります。人道復興支援活動として、医療、給水、公共施設の復旧、整備、復興関連物資の輸送等の実施に当たり、安全確保支援活動として、医療、輸送、保管、通信、建設、修理、整備、補給、消毒等の実施に当たるとされており、いずれも日本の人道復興支援に支障のない範囲で、しかも非戦闘地域で行われます。
 自衛隊の担ってきた医療技術支援、日量100トンの給水支援、学校補修、輸送業務などのほか、小学校での音楽演奏による文化交流等に対し、イラク暫定政府のヤワル大統領からは、イラクで駐留する外国部隊の中で、日本の自衛隊が最も歓迎されていると高い評価を受けていると報道されております。
 多国籍軍は治安維持を主要な任務としていますが、日本の自衛隊は、武力行使はもちろん、多国籍軍の武力行使と一体となるような活動も行うことはありません。多国籍軍の中心となる米英両国政府に対し、自衛隊の指揮権は我が国にあるという公式の了解を得ており、多国籍軍指令部から人道支援以外の任務を命令されても、これを拒否できることになっています。
 自衛隊の任務は、人道復興支援活動と安全確保支援活動に限定された人道支援であります。以上の活動が不可能になったとき、または我が国政府の判断によってイラクから自衛隊を撤収させることができますが、現状は、国連安保理決議1546に基づき、また、イラク暫定政府の要請もあることから、自衛隊が人道復興支援活動を継続すべきものと考えます。
 以上のとおり、意見書案提出者とは認識が大きく異なりますので、発議案第6号には反対いたします。
 以上です。(拍手)

〇議長(藤原良信君) 次に、斉藤信君。
   〔26番斉藤信君登壇〕


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