平成16年6月定例会 第8回岩手県議会定例会 会議録

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〇26番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 発議案第6号イラク多国籍軍への自衛隊の参加に反対し、速やかな撤退を求める意見書に賛成の討論を行います。
 小泉内閣は国会にも諮らず、6月の日米首脳会談でブッシュ大統領にイラク多国籍軍に自衛隊を参加させる重大な約束を行い、その後、閣議で決定しました。
 そもそも政府はこれまで、武力行使を伴う多国籍軍への参加は憲法上許されないと繰り返し言明してきたものであります。憲法と平和にかかわる重大な問題について、国会にも、国民にもまともに説明せずに強行することは絶対に許されないことであります。
 自民党と公明党は、自衛隊は日本の指揮下で活動する、武力行使はしない、非戦闘地域に限る、イラク人道復興支援特措法の枠内の活動だから、多国籍軍の一員として参加できるとしています。しかし、これは全くの欺瞞であります。自衛隊が日本の指揮下で活動するという問題は、日本の公使が米英の政府高官と口頭で了解したものだと言われていますが、いまだに双方とも氏名さえ明らかになっていません。英文の、了解したという文書も出されていません。憲法にかかわる重大問題について、こんないいかげんな説明は全く成り立ちません。それどころか、ロドマン米国防次官補は、多国籍軍は米軍の指揮下に入ると明言しているのであります。武力行使はしないというのが憲法上当然のことですが、派兵された航空自衛隊は、既に武装した米兵をクウェートからイラクに輸送しています。これは国際的には事実上の武力行使に当たるものであります。
 非戦闘地域に限るという問題でも、連日の爆弾事件や砲撃など、イラク全土に非戦闘地域が存在しないことは明らかであります。非戦闘地域という言葉、概念は、日本だけで使われているあいまいなものであります。国際的にはローマ字です。既にサマワから帰還した自衛隊員は、宿営地への砲撃などで緊張した毎日で、3カ月の間で宿営地から出て活動することは数日しかなかった、人道復興支援をやっている実感はなかったと述べています。人道復興支援活動というのも、400億円もの税金を使いながらわずかの給水活動を実施しているだけで、少ない資金でサマワの住民の中で給水しているNGOと比べると、全く非効率なものであります。こうしたごまかしで、憲法を踏みにじる多国籍軍への自衛隊の参加は絶対に行うべきではありません。
 そもそも、イラクに対する米英の戦争は、全く理由のない侵略戦争であったことは、今では明らかであります。イラクは大量破壊兵器を持っている、フセイン政権はアルカイダと関係があるという口実は、アメリカ自身の調査団によって明確に否定されています。アメリカ国民の54%が、イラクに対する戦争は価値がなかったと答えています。この戦争によって、1万8、000人を超える罪のない子供やお年寄りなど、イラクの市民が殺されています。最近でも、アメリカ占領軍はファルージャで無差別爆撃を繰り返し、700人以上の犠牲者を出しています。アメリカ占領軍が多国籍軍と名前は変わりましたが、実態は何も変わっていません。連合国暫定当局の世論調査でも、70%が、暫定政府に連合軍がイラクから撤退するよう命令することを求めています。こうした多国籍軍に参加することは、米軍の残虐行為に共同の責任を負う立場になるということであります。イラクに全面的に主権が移譲され、自主的な復興と再建が行われるためには、米軍の撤退こそ求められています。そうしてこそ、国連の主導のもとに、世界各国が協力して支援する条件がつくられるのです。
 岩手県民にとって重大なことは、県出身者の8割を占める岩手駐屯地の陸上自衛隊第9師団が、8月にはイラクに派兵されようとしていることであります。一層危険で泥沼化したイラクへの自衛隊の派兵は、絶対に許されるものではありません。岩手の青年・県民の犠牲者を絶対に出してはなりません。また、イラク国民に対し、銃を向けることがあってはなりません。
 最近、小泉首相は、集団的自衛権を認めるために、憲法9条を改悪する必要があると繰り返し発言しています。集団的自衛権とは、同盟関係にあるアメリカの戦争に一緒に参加するということであります。この背景には、アメリカの強い圧力がありました。日本が憲法を改悪しアメリカの横暴、勝手な戦争に武器を持って参加することは、世界の平和の流れに逆行する道であると同時に、アジアから決定的に孤立する道となることは明らかであります。
 今必要なことは、自衛隊の海外派兵と戦争への道ではなく、アメリカ言いなりの政治をやめることであります。なし崩しに憲法をじゅうりんし、自衛隊のイラク多国籍軍への参加と自衛隊の派兵に強く反対し、発議案第6号への賛成討論といたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)

〇議長(藤原良信君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより、発議案第6号イラク多国籍軍への自衛隊の参加に反対し、速やかな撤退を求める意見書を採決いたします。
 本案は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(藤原良信君) 起立多数であります。よって、発議案第6号イラク多国籍軍への自衛隊の参加に反対し、速やかな撤退を求める意見書は、原案のとおり可決されました。
   
   閉 会

〇議長(藤原良信君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 これをもって本日の会議を閉じ、第8回県議会定例会を閉会いたします。
   午後2時9分 閉 会


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