平成16年6月定例会 第8回岩手県議会定例会 会議録

前へ 次へ

〇36番(伊沢昌弘君) 社会民主党の伊沢昌弘でございます。
 ただいま上程されました発議案第6号イラク多国籍軍への自衛隊の参加に反対し、速やかな撤退を求める意見書についての提案理由を説明いたします。
 本発議案は、当初、共産党の斉藤信議員が提出者となり、我が会派と無所属の阿部富雄議員が賛同者となって提出したものでありますが、意見調整の上、文言整理がなされ、民主党木戸口英司議員が賛同者に加わり、私が提出者となったものであります。
 イラクは去る6月28日、当初の予定を2日早めて、CPA(連合国暫定当局)からイラク暫定政府へ主権が移譲されました。イラク人によるイラク国家の再建に一歩を踏み出したものと言えますが、イラクの情勢は、いまだにテロが発生し、米軍兵士やイラク国民の命が奪われている状況にあります。
 私は、イラク戦争によってこれまでにとうとい命を落とされた日本人を含む多くの方々に哀悼の誠をささげるとともに、一日も早くイラクの人々が平穏な日々を送ることができるよう心から望んでいるものであります。
 さて、イラク支援特別措置法により自衛隊をイラクに派遣している小泉内閣は、6月18日に政令の改正を行い、継続して駐留させるためにイラク多国籍軍への自衛隊参加を決定いたしました。このことは、政府がどんなに言い繕うとも、多国籍軍は武力行使を念頭に置いた軍隊であり、ここに参加することは、憲法が禁止した集団的自衛権の行使にほかならないものであり、決して認めることはできないものであります。なし崩しの参加決定は、まさに憲法をもなし崩し的に空洞化させるものと言えます。
 これまで政府は、海外での武力行使を禁じた憲法に抵触する可能性があるとして、多国籍軍への自衛隊参加について見送ってきていたものであります。しかし、小泉首相がブッシュ大統領に対して多国籍軍参加を約束して以来、これまでの政府見解は、小泉首相の約束を追認するために強引にねじ曲げられてきました。安全保障政策の大きな転換であるにもかかわらず、開会中の国会を軽視し、国民不在のまま、国会閉会後に閣議だけで参加を決めたことも、シビリアンコントロールの崩壊を招くものとして多くの国民が指摘しておるところであります。
 また、多国籍軍参加を決めるに当たっての政府の統一見解は、多国籍軍は統一した指揮下にあるとした国連新決議1546の内容を統合された司令部に置きかえ、自衛隊は我が国の指揮に従う、他国の武力行使と一体化しないなどとしております。しかし、米国防次官補が下院軍事委員会に提出した文書では、統一された指揮権とは、現状においては米軍の指揮権を意味すると明言しており、独自の指揮権を主張する政府の説明は成り立たなくなるものであります。道理を欠き、無理に無理、詭弁に詭弁を重ねた説明は、逆に自衛隊の多国籍軍参加が、従来の政府見解に違反し、憲法を侵していることを浮き彫りにするものと言えます。
 米国にひたすら追随する小泉首相の認識自体が間違っていることは、新決議が採択されても、依然としてフランス、ロシア、中国、ドイツなどの諸国が多国籍軍参加を見送っていることに示されているのではないでしょうか。
 自衛隊がこのままイラク多国籍軍に参加し続けることは、岩手県民にとってもまた重大な意味を持ちます。岩手駐屯地の陸上自衛隊第9師団が、8月にもイラクに派兵されようとしているからであります。
 岩手県議会は昨年12月議会で、イラク支援特別措置法に基づくイラクへの自衛隊派遣に反対する意見書を採択しました。私は、イラク支援特別措置法に照らしてみても、自衛隊のイラク派兵は根拠を失っているものと考え、自衛隊のイラクからの即時撤退を改めて主張するとともに、自衛隊ありきではなく、日本が、国連を通じた非軍事の人道支援に徹するべきことを強く求めるものであります。
 以上、イラク多国籍軍への自衛隊の参加に反対し、速やかな撤退を求める意見書について御説明申し上げました。議員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
 御清聴いただきましてありがとうございました。(拍手)

〇議長(藤原良信君) これより質疑に入るのでありますが、通告がありませんので、質疑なしと認め、質疑を終結いたします。
 お諮りいたします。ただいま議題となっております発議案第6号イラク多国籍軍への自衛隊の参加に反対し、速やかな撤退を求める意見書は、会議規則第34条第2項の規定により、委員会の付託を省略いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(藤原良信君) 御異議なしと認めます。よって、発議案第6号イラク多国籍軍への自衛隊の参加に反対し、速やかな撤退を求める意見書は、委員会の付託を省略することに決定いたしました。
 これより討論に入ります。
 討論の通告がありますので、発言を許します。小野寺好君。
   〔35番小野寺好君登壇〕


前へ 次へ