平成16年6月定例会 第8回岩手県議会定例会 会議録

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〇24番(阿部静子君) 社会民主党の阿部静子でございます。今一般質問のトリを務めます。
 通告に従い順次質問いたしますので、よろしくお願い申し上げます。
 初めに、平和の問題につきまして知事の御見解を賜りとうございます。
 私たち社民党は、これまで有事関連3法、イラク支援特別措置法、そして今回の国民保護法制など有事関連7法に強く反対してまいりました。このたび、戦場化しているイラクに派遣されている自衛隊の交代要員として、岩手駐屯地からの派遣が伝えられております。加えて小泉首相は、イラクにおける多国籍軍に自衛隊を参加させることを国民や国会を無視して一方的に表明するなど、極めて独裁的であり、危険な道を選択しております。教え子が岩手駐屯地に配属しており、心配でなりません。しかし、教え子だけではなくて、子供たちを戦場に送りたくはございません。増田知事は、このような最近の国の動向について、特に自衛隊駐屯地を抱える本県の知事としてどのような御所感をお持ちなのか、また、この間、国からどのような説明を受け、どのような御意見を述べられたのでしょうかお伺いいたします。
 次に、財政問題について質問いたします。
 まず、2004年度国の地方財政計画において、約14兆1、000億円の地方財源不足が生じたことによる本県財政への影響についてでございます。本県における県単独事業費のここ数年の推移と本年度の特徴的な取り組みについてお示しいただきたいと思います。
 地方交付税についても大幅減額となりましたが、現段階において、本県における地方交付税の交付の見通しをどのようにお持ちでしょうか。
 また、臨時財政対策債の増発分については、公債費比率、負担比率との関係から一定の制約を受けることになると思われますが、心配はないのでしょうか。市町村の状況と市町村合併特例債への影響についてもあわせてお示しいただきたいと存じます。
 次に、指定管理者制度について質問いたします。
 今議会に提案されました公の施設に係る指定管理者の指定の手続等に関する条例案は、平成15年6月の地方自治法の一部改正を受けた、いわば基本条例とでも言うべきものと理解いたしておりますが、今後、個別施設のあり方を含めた検討がなされるとお聞きいたしております。県立施設を利用する県民の不安を取り除く意味からも、検討に当たってのスケジュールをお示しいただきとうございます。
 また、県立施設の多くが福祉、文教等の分野で県民に密接なサービスを提供してきた役割は、公共の利益確保であると言えます。したがいまして、今後、制度が導入されたといたしましても、県としての設置責任と公共の利益の追求はいささかも変わらないものと思います。指定管理者制度が効率性にのみとらわれ、県民にとっての有効性が失われることのないよう、県としての行政責任を今後も維持していくことが求められると考えますが、御所見をお聞かせください。
 続いて、地方独立行政法人化について質問いたします。
 県におきましては、県立大学や試験研究機関の独立行政法人化が検討されておりますが、その具体的状況をお示しください。
 また、国の試験研究機関では、弾力的な財務運営や評価制度の確立等を目的に独立行政法人化が先行されました。しかし、依然として国に縛られた財政の硬直化や評価制度の不安定化等が見られるのが現状であり、組織の指揮命令系統の混乱や優秀な人材の確保が困難といった問題も指摘されてございます。独立行政法人化の目的の一つはコスト削減ですが、経費は逆にかさむといった推計も出されております。本県の地場産業を守るとともに、県民サービスを維持する観点からも拙速な独立行政法人化は本県にはなじまないと考えますが、このことに対する御見解をお聞かせください。
 次に、男女共同参画社会の実現に向けての取り組みと期待する成果についてお尋ねいたします。
 昨年8月、県議会におきまして岩手県男女共同参画社会を目指す議員協議会が結成され、及川幸子議員が会長に選任されました。そして、その研修会及び交流会が本年3月、会員37人を初め、県内の女性議員18人の出席のもとに華々しく開催されました。まさに画期的な集まりでございました。増田知事が岩手流男女共同参画社会へと題して講演され、新妻二男先生が身近な生活を例にとりながら、制度が変わったにもかかわらず、従来の慣習を安易に受け入れる姿勢は男女平等社会に逆行することに加担しているのではないかと言われたことが強く心に残っております。大変有意義な会でございました。
 一方、県におきましては、本年度の事業の1ページを飾る第5回いわて男女共同参画フェスティバルを6月20日、県立大学において開催いたしました。私も参加いたしました。分科会16、展示団体10、販売12店舗。降りしきる雨の中、県内各地からの参加者の多さに目をみはりました。そして、参加している女性たちがそれぞれに輝いているのには大変驚きました。
 そこでお伺いいたします。昨年度長い間続けてまいりました研修体系を見直しましたが、その経緯について、また、昨年度の実績にあわせて、今年度の取り組みと期待する成果についてお知らせいただきとうございます。
 また、増田知事は、全国知事会に設置されている委員会の中で、4人の女性知事を含む8人の知事による男女共同参画研究会の委員として御活躍と伺っておりますが、その具体的な内容についてお知らせいただきとうございます。
 次に、改正ドメスティックバイオレンス防止法への対応について質問いたします。
 改正防止法が平成16年6月2日公布されました。改正の内容では、暴力の定義の拡大、保護命令の拡充、被害者の自立支援、地方公共団体の責務の明確化等が重要な柱になっております。今回の改正では、今まで配偶者に限られていた保護命令の対象を元配偶者にも広げ、接近禁止の対象を被害者だけでなく同居している子供にも適用できるように拡大されました。また、期間が短過ぎると指摘されていた加害者に対する家からの退去命令をこれまでの2週間から2カ月に延長し、必要なら再度の申し立てもできるようになりました。そして、これまで都道府県が所管しておりましたDV相談支援センターを市町村でもできるようになり、被害者の自立支援のための基本方針、基本計画の作成など、地方公共団体の責務を規定し、そのほかには、警察本部長の援助、外国人、障害者等の人権尊重などが注目されるところでございます。改正防止法の第2条では、国及び地方公共団体の責務について、第3条では、当該市町村が設置する適切な施設において配偶者暴力相談支援センターとしての機能を果たすようにすることができると規定しております。
 そこでお伺いいたします。第2条において、国は基本方針を策定し、都道府県は基本方針に即して暴力の防止及び被害者の保護のための施策の実施に関する基本的な計画を定めなければならないと明示してありますが、県はどのようにこれに対応なさるおつもりか御見解をお示しください。
 また、第3条にかかわって、市町村がDV相談支援センターの業務を実施することができるということについて、県としてどのように対応なさるお考えなのかお尋ねいたします。特にも、担当する相談員の育成について、二次被害を与えないための研修内容の配慮が不可欠と思いますがいかがでしょうか、御所見をお願い申し上げます。
 次に、介護保険制度について質問いたします。
 平成12年4月に新たな制度として発足した介護保険制度は5年目を迎え、県内における要介護認定者も本年3月末で4万9、900人余りとなり、発足当初の3万人に比べ1万9、000人も増加し、サービスの受給者もふえている状況にございます。このことは、介護保険制度が定着してきていることのあらわれでもあると考えられます。しかし一方では、特別養護老人ホーム入所希望待機者が1、900人いることや、保険料、利用料に対する低所得者対策が不十分であることを指摘する声もございます。
 そこでお伺いしますが、この間の県内における介護保険制度の運営状況に対する評価と課題について、計画と実績をもとに県としてどのように分析していらっしゃるのかお示し願います。
 次に、介護保険事業者に対する県の指導状況について伺います。
 先月、不正請求を行った釜石市の介護保険事業者の指定を岩手県が取り消したとの報道がありました。貴重な県民の介護保険料と税金で運営している介護保険事業から不正に介護報酬をだまし取るという、このような事件を引き起こす事業者が存在することに怒りを覚えるものでございます。この事件に係る経緯と再発防止に向けた対策についてお示し願います。
 また県は、介護保険事業者を指定し、サービス提供の実態について実地指導や監査を行う責務を有していると思われますが、これまでに実施してきた実地指導等の状況について、指導対象事業所数と指導体制を含めお示しいただきとうございます。
 次に、命の誕生への保健行政の充実について質問いたします。
 岩手県には産婦人科のお医者さんが約100人という超医師不足に高齢化が加わり、まさに深刻な状況と伺っております。全国的に見ましても、年間約8、000人の医学部卒業生の中で、産婦人科を志すのはわずかに300人ぐらいとか。少ないと言われている小児科医でも3万人いる中で、全国の産婦人科の総数は約1万1、000人とのことです。命の誕生を支えるすばらしい職業であるはずの産婦人科医師がどうしてこんなに少ないのでしょうか。広大な面積と希薄な人口密度の診療圏における岩手県においては、医師の充足率が低い中、さらに本年度に入ってから各地の病院から医師引き揚げによる診療科の休・廃診が相次ぎ、特にも妊産婦や関係者に激震をもたらし、出産への不安の悲鳴が大きくなってございます。
 そこでお伺いいたします。岩手県における周産期医療の充実、安心・安全なお産の場の確保についてどのような対策を県はお持ちでしょうか。また、お産を扱える専門職としての助産師は、今後、病院はもちろん、地域の母子保健、思春期、周産期、更年期など女性の生涯にわたる健康支援にとっても重要であると考えます。本県が命の誕生に優しい県であるために、医師の確保と同時に助産師養成確保を図るべきと考えますが、助産師の現況と対応について御見解をお聞かせください。
   〔副議長退席、議長着席〕
 次に、IGR青山新駅開設についてお伺いいたします。
 過日、開設に向けての住民説明会が盛岡市やIGRいわて銀河鉄道株式会社、岩手県によって行われました。従来の説明会で課題とされておりました森永前交差点と厨中前交差点並びに青山踏切、馬頭踏切の改善に着手されるとのことであり、地域住民からも大変喜ばれているところでございます。しかし、バスターミナルやタクシーの待機所がないこと、雨天時に子供たちを駅に送迎するときの待合所がないことから、さらなる善処を要望する声が多くございます。また、踏切の遮断による交通渋滞なども心配されております。
 そこで県は、これら住民の声にどのように対処なさるのかお伺いいたします。さらに、懸案になっております市道上堂鵜飼線について、県道昇格へのめどはどうでございましょうか、お聞かせいただきとうございます。
 次に、県立高等学校新整備計画後期マスタープランについて質問いたします。
 2004年1月15日にマスタープランを発表後、県教育委員会は県内9カ所にわたるパブリックコメントを実施し、さらに2度にわたり関係市町村から意見を聞く会を実施するなど、県民からの意見を聞く姿勢に敬意を表するものでございます。しかし、県教育委員会は、後期マスタープランへの説明はあるものの、平成12年から実施され今年度完成する前期計画への総括が見られません。前期計画では、学校不信や不登校、中途退学などの問題を解決することが高校教育の課題としておりますが、前期計画を実施してその課題は解決の方向に向いているのでしょうか、お伺いいたします。
 さらに、前期計画で再編された学校においても施設整備の不都合が生じております。部活動を遠く離れた場所でやらざるを得ないとか、全校で卒業式が挙行できない体育館などが建設されていることに対しての御見解をお聞きいたします。
 また、後期マスタープランでは、四つの分校や2学級80人の定員を満たしていない学校は統廃合の対象とするとあり、それが実施されれば県内20校近い学校がなくなることになります。このことは、学校の統廃合のみの問題ではなく地域全体の問題であり、過疎化にますます拍車をかけることになります。さらに、小規模校は、小規模校でなければできない教育を実践しております。都市部の大規模中学から小規模高校に入学したことで不登校が克服できた生徒も実際にあるのです。このような成果があっても画一的な統廃合に県教委は踏み切るのですか、御見解をお示しください。
 県立高校の再編については、平成11年10月8日、県議会におきまして県立高等学校の整備に関する決議が全員一致で採択され、その中で、広く県民に意見を求め、その合意を図った上で取り組むことが決議されております。地域住民の合意がない限り、画一的、一方的な統廃合は行わないとした県議会決議について、県教育委員会の御見解を求めるものでございます。
 さらに、小・中学校では少人数学級が全国的に実施され、本県でも今年度から試行されております。全国的には高校での少人数学級を実施している県もあります。本県において高等学校における少人数学級のお考えはないのでしょうか、御見解をお伺いいたします。
 県教育委員会は、学校の適正規模を4から8学級としておりますが、1学級の定員を現在の40人ではなく30人や35人とすれば、小規模校が適正規模の学校に十分なり得ると考えるものです。他県と違い広大な面積を持つ岩手県では、地域の高校がなくなれば地域全体の地盤が沈下し、ますます過疎化が懸念されます。画一的、一方的な統廃合ではなく、地域の意見を十分聞いた高校再編を考えていただきたいと願うものでございますがいかがでございましょうか、重ねてお伺いいたします。
 次に、義務教育費国庫負担制度について質問いたします。
 義務教育費国庫負担制度は、教育の内容とその水準の確保を基本とした国の政策であります。まさに国庫負担制度は、義務教育無償制、完全就学を保障することを理念として明記された教育基本法に基づいての財政的基盤であることから、この制度を廃止し、一般財源化することは絶対に認めることができません。それは、教育の機会均等という高邁な意義が崩れてしまうことへの危惧があるからでございます。具体的に申し上げますと、一般財源化では義務教育財源の制度的保障がなくなるため、義務教育の水準の低下や地域間格差が生ずることが心配されます。また、税源の偏在によって地域間格差が明らかに生ずるからでございます。
 そこでお伺いいたします。知事は、先ごろ定例記者会見において、国庫負担の縮減にかかわって、義務教育費が一番バッターでよいのか疑問があると述べられたようですが、来月には全国知事会でこの問題が協議されるとのこと、この際、知事の率直な御見解を承りたいと存じます。
 次に、学習定着度状況調査と4県統一学力テストについてお伺いいたします。
 昨年度から県下一斉の学習定着度状況調査が小学校3年生から中学校3年生までの全員を対象に実施されました。結果については教育事務所ごとに学級規模別にまとめられ、公表されております。県教育委員会は、この調査の目的を、子供たちの学力の確かな状況を的確に把握して、教育課程及び指導方法の充実、改善を進めていくことが重要とさきの県議会で答弁されております。私は、この学習定着度状況調査が県内一斉に行われること、悉皆に行われ、全員を対象に行われることに至った理由として、学習定着度の著しい低下が明確になったとか、新たなる施策のために調査が必要になったとか、その必然性について聞いてはおりません。したがって、今まで抽出等の調査を行ってきた県教育委員会のこれまでの調査の分析や対策についての総括は一体どういうことであったのか疑問に思うところでございます。
 そこでお伺いいたします。昨年度実施され、結果が公表された学習定着度状況調査についてどのように県教委は総括をされたのですか、教育長に御所見を伺いたいと存じます。
 私は、もう一つの4県統一学力テストの実施も同様に目的がはっきりせず、テストの実施のみが目的化されていないかと危惧いたしております。他県との比較がテストのねらいとして公言されたのでありますが、数字だけを比較したのでは人間教育につながっていきません。調査の必要性がないと言えると私は思いますが、教育長の御所見をお伺いいたします。
 次に、民間協力による治安対策と運転代行の二種免許義務化等の2点についてお伺いいたします。
 まず、民間協力による治安対策についてですが、さきの県民意識調査の結果、多くの県民の方々が治安の低下を憂え、犯罪に対する不安を感じていることが明確になりました。このような状況下におきまして、県警察では、限られた体制ながらさまざまな工夫を凝らして対策に当たっておられ、その一環として民間との協力体制を進めておられると聞いております。
 先日、私、タクシーを利用いたしました際に耳にしたことでございますが、警察からの事件情報が無線で流れるそうです。これは、SOS110番協力タクシーという協定に基づくもので、県警への犯罪情報の提供や子供や女性の保護等に協力するという内容のようでございます。また、女性・子ども110番の家というステッカーを掲げたコンビニなどを見かけることもございます。こうした方々には何らかの危害が及ぶおそれもあり、例えば、さきに申し述べましたタクシーに犯人が乗車していた場合とか、想定外の事態も起こり得るわけでございます。こんなリスクを伴いながらも協力を惜しまない民間の方々を心強く感じております。
 そこでお伺いいたしますが、現在このような民間協力による治安対策はどのような状況にあるのでしょうか。
 最後に、運転代行の二種免許義務化等についてお伺いいたします。
 本年6月から運転代行業に二種免許取得が義務づけられましたが、この背景にはさまざまな要因があろうと思っております。この義務化に至った背景や経緯、そして県内における運転代行事業者の実態と不法行為に対する県警察の対応について具体的にお聞かせ願います。
 以上で私の質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 阿部静子議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、自衛隊員のイラク派遣、また、多国籍軍への参加表明などについてのお尋ねでございます。
 私が主張しております国と地方の役割分担を明確にすべしと、そして国は、国民の生命・財産を守るなど、国家としての存立の基本でございます外交・防衛問題などに専念すべきであると、このような立場からいたしますと、こうした自衛隊員のイラク派遣あるいは多国籍軍への参加の問題などは、まさしく国政上の問題でございまして、政府がさらには総理大臣が、責任を持って国会などの場におきまして議論し、国民を納得させる責任があると、このように考えております。また、国民はそれについて意思表示できる国政選挙の場などを通じて、その是非を判断し意思を表明していくべきものであると、このように思います。
 陸上自衛隊員の岩手駐屯地からのイラク派遣につきましては、私は説明を受けておりません。仮にそのような場合には、派遣される隊員の方々におかれては、大変過酷な任務でございますけれども、その使命を達成した上で、ぜひ無事に帰還していただくように願うものでございます。
 航空自衛隊山田分屯基地の隊員の方が1名、クウェートに派遣されるということで私のところにあいさつに来られたわけでございますが、この方にも同様のお話をしたところでございます。
 いずれ、こうした自衛隊員のイラク派遣につきましては、国の安全保障の大きな枠組みの中で決められていく話でございますので、国の責任であるいは政府の責任で、国民に対してきちんとした議論をし説明をしていただきたいと、このように考えております。
 全国知事会に設置されております男女共同参画研究会でございますが、これは昨年の12月19日に、今議員からお話がございましたとおり8道府県の知事、北海道、千葉県、大阪府、熊本県の4県の女性知事さん、そしてあと新潟県、鳥取県、佐賀県、岩手県という4県の知事、8道府県の知事により構成されまして、昨年12月19日に設置をされたものでございます。実際の活動はことしになって動き始めたばかりのものでございますが、一つはドメスティックバイオレンス対策、それから、二つ目は自治体における女性職員の登用と働きやすい職場づくり、三つ目は女性の健康支援、こうした三つの問題について調査を本年の5月に実施をいたしまして、現在取りまとめ中でございます。そして、こうした内容を取りまとめた上で、2週間ぐらい先の全国知事会がございますが、7月の半ばに予定されております全国知事会でその調査結果を報告し、それに幾つかの内容も付加をいたしまして、そして全国知事会から国等に対して法律制度の充実などに向けた提言に結びつけていくと、このようなことを今予定しているところでございます。
 それから、つい先日でございますが、堂本知事さんから――これは座長が堂本知事さんでございまして――つい先日相談がございまして、合計特殊出生率1.29という数字が出ましたので、この研究会の場で、次世代育成支援対策についてぜひ調査を実施した上で取りまとめをしたいと、こういうお話もありまして、この問題もこの研究会のテーマにいたしまして、そして、できれば提言などに結びつけて国に働きかけをしていきたいと、今、このように考えております。そして、こうした国などに対しての提言と同時に、各地方自治体みずからが男女共同参画に積極的に取り組んでいく、そういうきっかけといたしたいと考えております。
 次に、義務教育費国庫負担制度についてでございますけれども、まず、私は、これからの地方分権時代において、国が地方の事業のやり方を事細かに決めるのではなくて、地方がみずからの判断と財源によって、地域の実情に応じて物事を決定し実施できるようにしていくことが何より重要であると考えておりまして、これはすべての補助、負担金などにも通じる話でございます。
 こうした中で、義務教育費国家負担金のような義務的経費でございますけれども、これも今申し上げましたような原則の中で考えていくべきと思います。そして、これは義務的経費でございますので、100%地方に税源移譲した上で、地方で必要とされる財源を確実に保障すべきであると、このように考えております。これは、私は、財源の種類が国費かどうかということを問題にするよりも、地方で本当に教育のために必要な財源を確実にすべて保障するという、ここの点が大変大事であると。そして内容については、地方がみずからの判断と意思によって物事を決定していくような、そういう仕組みであるべきと考えているものでございます。今後、この義務教育費国庫負担金制度も含めて、全国知事会の中で国庫補助負担金のあり方が議論されていくわけでございます。既に、いろいろな議論が今その中でなされておりますが、こうした義務教育費国庫負担金や、昨日も申し上げました公共事業費につきましても、それも含めてこれから議論をしていくべきだと考えております。
 私は、義務教育費だけをねらい撃ちのような形にしてもいかんと思っておりまして、全体の中でやはり地方の裁量や自由度が拡大されるようにこの問題については考えていくべきであると、このようにとらえております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長に答弁をさせますので、御了承をお願いいたします。
   〔総務部長時澤忠君登壇〕

〇総務部長(時澤忠君) まず、県単独事業の推移と本年度の特徴的な取り組みについてでございます。
 普通建設事業費のうち県単独事業費につきましては、普通会計の決算ベースでこれを見てみますと、平成9年度が1、817億円、これがピークでありまして年々減少してきております。直近の決算ベースでございますが、平成14年度は1、168億円という数字になっているところでございます。
 本年度の特徴的な取り組みでございますが、行財政構造改革プログラムに基づきまして、多額の事業費を要します大規模施設整備事業につきましては、それぞれの事業ごとに必要性や緊急性を検討した上で事業費や実施時期の見直しを行いまして、花巻空港新空港ターミナルビル整備事業の完了年度の繰り延べ、盛岡駅西口複合施設整備事業に係る事業費の年度間調整、こういったことを行いまして、全体として抑制をしつつ、高等学校の耐震診断・改修工事、そして県境不法投棄現場環境再生事業、こういった緊急性の高い事業につきましては、優先的に予算配分を行うというような取り組みを行ったところでございます。
 それから、地方交付税の見通しにつきましては、国の平成16年度の予算編成におきまして、地方財政計画の規模の抑制が前倒しで行われたと、こういうようなことで、地方交付税の総額は前年度比6.5%の減となっております。これを踏まえまして、本県の交付税額につきまして、当初予算編成時点で総務省が指示伸び率等を示してきますので、その伸び率等によって推計をした結果、約2、372億円と見込んだところであります。これは、昨年度、15年度の交付税額に比べまして6.1%の減となるものでございます。具体的な普通交付税の交付額の決定につきましては、7月下旬ごろになると見込んでいるところでございます。
 それから、次に臨時財政対策債につきまして何点か御質問がありました。
 この臨時財政対策債は、地方財源の不足を補うために地方財政法第5条の特例として発行される地方債で、地方交付税から振りかえられた地方一般財源というような位置づけになるものでございます。
 お尋ねのありました公債費比率につきましては、その算定におきまして臨時財政対策債償還費は除算される、含まれないということになりますので、その発行が公債費比率に影響を及ぼすことはないということでございます。
 一方、公債費負担比率の算定におきましては、その償還額が算入されることになりますので、臨時財政対策債の発行が後年度の公債費負担比率を押し上げる要因となるものでございます。その公債費比率、公債費負担比率につきましては、財政構造の健全性を図る指標でございますので、制度上、その比率のいかんによりまして、地方債の発行の制限が行われるというような財政運営上の実質的な制約を受けるということはありませんが、ただ、それぞれの指標が示す状況、そして、これらの指標におけます臨時財政対策債の影響分も十分考慮して、適切な財政運営に取り組んでいくということが必要になるかと思っております。
 市町村分につきましてもお尋ねがありました。
 本県市町村分の臨時財政対策債の発行残高は、15年度末で約649億円になる見込みであります。これは県内市町村の15年度末地方債発行残高見込み8、109億円余の約8%を占める状況になっているものでございます。
 それから、合併特例債への影響についてでございますが、合併特例債の発行を認める基準につきましては、これは起債制限比率というものがございます。この起債制限比率の算定におきましては、先ほどの公債費比率と同様に、臨時財政対策債元利償還費は除かれるとなっております。算定に考慮されないということになっておりますので、合併特例債の発行がこの臨時財政対策債償還費によって影響を受ける、制約を受けるということはございません。
 次に、指定管理者制度につきまして、今後のスケジュールについてお尋ねがありました。
 現在、各部局におきまして所管をしております個別の施設の管理のあり方について検討しているところでございまして、今回上程をしております指定管理者の指定の手続等の条例、これが制定されますと、指定管理者制度の導入に向けた環境が整うということになりますので、条件が整った施設から個別の施設設置条例の改正を行いまして、順次、指定管理者制度に移行していくということとなります。最も早く移行するものにつきましては、平成17年度、来年の4月からになるのではないかというふうに見込んでおります。
 この指定管理者制度の導入と県としての行政責任でございますが、指定管理者の指定に当たりましては、複数の申請者に事業計画書を提出してもらいまして、最も適切な管理を行うことができる者を選定することが望ましいということで、原則として公募をするということを考えております。多様なノウハウを持った民間法人等が参入することができる環境を整備することによりまして、利用者に対するサービスの向上が図られると、このようなことを期待しているものでございます。
 また、指定管理者の選定に当たりましては、公の施設の性格そして設置目的、機能など、個別の施設の特性を踏まえた上で、効率性のみでなく、公平性、効果性それから安定性について、選定基準を設けまして総合的に審査することを予定しておりますので、管理経費の縮減を図りつつ、さらにその施設の効用を最大限に発揮するような施設運営ができる団体を選定すると、このようなことが可能になってくるのではないかと考えております。
 県としての行政責任の維持でございますが、正当な理由がないのに利用者の公平な施設利用を拒んだり、あるいは施設の形質を勝手に変更したり、あるいは経営効率を重視する余り、要員の配置や施設の管理が設置目的を効果的に達成するために適切なものになっていないと、こういったものにつきましては指定管理者に対する調査を行い、必要な指示をしたり、場合によっては指定の取り消しを行うというようなことによりまして、施設の設置者としての責任を維持していきたいと考えております。
   〔商工労働観光部長酒井俊巳君登壇〕

〇商工労働観光部長(酒井俊巳君) 地方独立行政法人についてのお尋ねでございます。
 まず、県立大学につきましては、来年4月に法人化をするということにしてございまして、現在、その法人化に向けまして、法人評価のシステムや法人の組織運営の基本となります定款、法人組織としての目標などについて検討を進めているところでございます。
 試験研究機関の独立行政法人化につきましては、平成14年10月以降、各試験研究機関の長で構成します研究開発推進連絡会議、さらにその下に職員等で構成しますワーキンググループがございますが、その連絡会議等で、国の試験研究機関についての聞き取り調査を含めまして、本県の試験研究機関に導入する場合の効果等につきまして、鋭意検討をしてきたところでございます。
 議員御指摘のとおり、こうした国の機関からの聞き取り調査などによりますと、評価手法が確立していないなどの課題があるということは承知してございますが、国と地方は違うという面がありますが、一方で、独立行政法人の機能を生かした効率的な運営、これは独法化することによりまして、人事や財政運営の自由度、裁量度が高まるというメリットがございますが、それを生かしまして効率的な運営が行われているという例や、産業系の研究所では、独法化によりましてベンチャーの設立がふえた、あるいは特許収入の大幅な拡大などの具体的な成果を出しているという例もございます。
 いずれ、現在、各試験研究機関の所管部局におきまして、個別に詳細な検討を行っているところでございまして、本年9月までには、それぞれの法人化の可否の決定をしたいと考えてございます。
 いずれ、拙速との批判を受けることのないよう、十分な検討を行った上で決定をいたしたいと考えてございます。
   〔環境生活部長中村世紀君登壇〕

〇環境生活部長(中村世紀君) まず、男女共同参画社会関係、研修体系の見直しの経緯についてでございますけれども、従来、女性洋上セミナーなどを通じまして、自己啓発や連帯感の醸成を図り、地域活動に結びつくような研修を実施してきたところでございますけれども、男女共同参画のテーマも、教育、労働あるいは女性への暴力防止等々、多岐にわたってまいりました。それから、女性洋上セミナー等の終了後に地域活動を実践しておられる方がいらっしゃるわけですが、これらの方々からも、さらに継続してレベルの高い実践的研修に参加したいというような要望もございました。これらのことから、段階的に学習ができますように、初級から上級までの新たな研修体系を整備・充実しようということで、研修体系を見直したものでございます。
 15年度の研修の実施状況でございますが、初級の研修といたしましては、あすばるエンパワーメント研修というのを実施いたしました。中級の研修としては、男女共同参画サポーター養成講座というのを開設しました。上級ということで、いわて男女共同参画ヌエック研修、もう一つは男女共同参画海外派遣研修ということで、四つの研修を実施いたしまして延べ160人の方に参加をいただいております。特徴として、この中に9人の男性の参加もいただいておるところでございます。
 16年度、本年度でございますけれども、昨年度と同様、初級から上級まで四つの研修を実施する予定でございまして、これらの研修を体系的に実施することによりまして、参加者の知識や活動経験に応じた研修への参加が可能となります。効果的な人材育成が図られるであろうということと、それから研修を修了した方々が地域における活動に積極的に取り組み、県内各地域に男女共同参画に関するさまざまな活動が広がっていくことを期待しているものでございます。
 次に、改正されましたドメスティックバイオレンス防止法への対応でございますけれども、まず、県が策定する基本計画でございますが、これは国が策定する基本方針に即して定めるということになってございます。国は、法律の施行日、予定でありますが、ことしの12月2日に合わせて基本方針を公表すると聞いてございますので、この基本方針、これに即した形で方針を見きわめながら、県の基本計画も策定していくということになろうかと思います。
 それから、市町村がドメスティックバイオレンスの相談支援センターを設置できると今度なったわけでございます。現在の岩手県のDVの相談への対応でございますけれども、県の福祉総合相談センター、ここが配偶者暴力相談支援センターということになってございます。ここを中心といたしまして、県では県内各警察署、それから地方振興局の保健福祉環境部、さらには市の福祉事務所、これらが連携・連絡を取り合いまして、全県的なネットワークによって対応しているところでございます。
 今後、市町村におきまして、相談支援センターを設置するという場合におきましては、情報提供それから必要な助言を行うなどの支援をしてまいりたいと考えてございます。
 それから、そういう相談体制の整備と合わせまして、相談員の資質の向上ということが重要であると認識しておるわけでございまして、いろいろな研修を通じまして、相談業務の質の向上を図っていきたいと考えてございます。現在、ドメスティックバイオレンス担当の専門職員研修、これは県の担当職員それから市の福祉事務所の相談員の方、警察の職員の方のほかに町村の担当職員の方、調停委員の方々を中心として年2回開催してございます。そのほかに、婦人保護事業担当者の方の研修会というものも実施してございますが、これらの研修におきましては、相談に見えられた方々に2次被害を与えないために業務対応マニュアルあるいは個別事例、そういうものをもとにいたしまして、実践的なカリキュラムを編成いたしまして内容の充実を期しているところでございます。
   〔保健福祉部長佐藤敏信君登壇〕

〇保健福祉部長(佐藤敏信君) 最初に、介護保険制度の評価についてでございますが、制度の施行以来、要介護認定者数、介護サービスの利用者数、介護給付費ともに増加いたしまして、全体として岩手県介護保険事業支援計画の目標値に沿う形で順調に推移しております。また、介護保険事業運営等調査、これは平成15年の10月に調査をしたものですが、この調査による利用者満足度を見てみますと、サービスの量、内容とも、満足それからほぼ満足というものをあわせて9割程度となっておりまして、これらの状況を見ましても、制度が順調に定着してきているものと評価しております。
 それから課題でございますけれども、たくさんあろうかと思いますが、最大のものは、在宅介護サービスの利用が全国平均と比べて低調であるということでございます。こうした中で、私どもも要援護高齢者が身近な地域で生活することを可能とするような多様な介護サービスを創出し、また、これを支援していくことが重要であると考えているところでございます。このため、県でも、本年度からサービスの拠点となりますご近所介護ステーション設置支援事業、それに介護サービスに配慮された共同住宅を提供するモデル介護支援ハウス整備事業といったものをスタートさせまして、今後、県内各地に展開してまいりたいと考えております。
 それから、介護報酬不正請求事件についての事件の経緯でございます。
 まず、県に対して不正な請求がある旨の情報が寄せられたことから、2月18日に釜石地方振興局が実地指導を行いました。その結果、書類の不備などの不適切な事業運営が確認されたことから、3月16日に監査を実施したものでございます。監査の結果、不正請求それから書類の改ざんなどの不正な事業運営が認められましたので、5月10日に事業者指定の取り消しを行ったところでございます。
 再発防止に向けた対策でございますけれども、これまで介護報酬の事務にかかわります電算処理というものが未整備でございまして、そのために給付費の請求状況、事業所の体制、サービス提供の偏りなど、事業者の情報についてはこれを迅速に把握するということが困難な状況でございました。ところが、本年度から国民健康保険中央会によります介護給付適正化システムという電算システムが稼動しまして、ただいま申し上げましたような事業者の情報が迅速に処理・分析できるようになりました。その処理結果につきましては、岩手県国民健康保険団体連合会を通じまして、県や保険者でございます市町村にも情報提供されるようになりました。
 そこで、今後は、県としてもこのようなシステムを活用しながら、不適切な運営を行っている事業所の絞り込みを行うというようなことによりまして、重点的に指導・監査を行っていきたいと考えております。
 不正が明らかな場合においては、適正かつ適切に処分を行うこととしておりまして、こうした一連の取り組みが、ひいては不正事件の再発防止や抑止にもつながるものと考えております。
 次に、ただいまも申し上げました事業者の実地指導の現状でございますが、指導対象事業所数は、平成15年度時点で1、313でございまして、そのうち指導を行った事業所数は947と、72.1%となっております。指導の体制ですが、体制は各地方振興局それから保健所で実施をしております。
 本県におきましても、事業所は増加してきていることから、保険者である市町村や県国保連と連携しながら、先ほども申し上げましたがシステム、こうしたシステムを活用しながら迅速に対応してまいりたいと考えております。
 また、指導・監査にかかわる職員の研修を充実するなど、適切な指導体制の確保にも努めてまいりたいと考えております。
 次に、命の誕生への保健行政の充実ということで、周産期医療の充実、安全安心なお産の場の確保についてお尋ねをいただきました。
 県では、平成13年に岩手県周産期医療システムという病院間の協力連携のネットワークを構築いたしました。これは総合周産期母子医療センター、これは岩手医大に1カ所ということですが、それから地域周産期母子医療センター、これは県立病院を中心に県内に3カ所、それから地域周産期母子医療センター協力病院、これは9カ所ということでございまして、合計13カ所の医療機関からなる協力ネットワークでございますけれども、それぞれの施設の協力連携によりまして、母体や胎児、新生児の状態に応じまして、搬送などの対応を行っているところでございます。
 また一方、個々の県立病院におきましても、保健医療圏の核となるような病院につきましては、医師や助産師などを重点的に配置することによりまして、各圏域ごとの周産期医療のレベルの充実を図っているということでございます。
 なお、議員の御質問の中にもありましたが、本県では特に産婦人科、小児科の医師不足が非常に深刻となっておりまして、県としても、御存知のように、本年度から新たに市町村医師養成事業をスタートさせておりまして、これまで以上にその確保に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
 それから、助産師の現状と対応についてでございます。
 県内におきましては、県立大学等を中心に毎年30名程度の助産師を養成しているところでございます。その方々の就業の状況ですけれども、平成14年度末の時点で365人おられまして、そのうち助産所に勤務しておられる方は39人、これは就業助産師全体の10%強となります。一方、病院、診療所に勤務している方は300人ということで、全体の82.2%ということになります。近年、前者、つまり助産所に勤務している方は漸減傾向、つまり少しずつ減少している傾向でございますけれども、後者、つまり病院や診療所に勤務している助産師の方というのはほぼ横ばいで推移しておりまして、全体として見ればおおむね充足されている状況ではないかと考えております。
 なお、日本助産師会の岩手県支部では、会員である開業助産師や未就業助産師の方が妊産婦の方を対象にいたしまして無料による電話相談とか訪問相談を実施しているということでございまして、平成15年度にはこれが4、000件を超えておりまして、大変に好評を得ていると聞いております。
   

〇議長(藤原良信君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   
   〔地域振興部長山口和彦君登壇〕

〇地域振興部長(山口和彦君) IGR青山新駅開設についてでございます。
 IGRが行うホームや跨線橋などの鉄道施設整備、盛岡市が行う駅舎や駐輪場などの駅周辺施設整備、岩手県と盛岡市が行う周辺道路の改良の案を一つにしまして、いわて銀河鉄道線青山新駅及び周辺施設整備基本構想というものをつくっておりまして、それを先般の住民説明会で公表いたしました。盛岡市におきましては、今月18日から来月9日までを意見の募集期間としましてパブリックコメントを今実施しているところでございます。先ほどお話ししましたように、新駅周辺の施設整備につきましては、このパブリックコメントにより寄せられた意見を踏まえて、盛岡市において整備を進めることになるものと認識しております。県といたしましては、その動向を踏まえながら適切に対応してまいりたいと考えております。
 また、踏切の遮断による交通渋滞につきましては、交差点の改良が基本構想案に盛り込まれており、その効果が期待されるほか、自家用車から自転車や公共交通機関への転換や公共交通機関におけるダイヤ編成上の連携などにより、青山新駅の設置が交通渋滞の緩和につながるよう努めてまいりたいと考えております。
   〔県土整備部長橋本義春君登壇〕

〇県土整備部長(橋本義春君) 市道上堂鵜飼線の県道昇格についてのお尋ねでありますけれども、県道の認定に当たりましては、道路法の規定及び県道認定基準等を満たす路線につきまして、道路の整備状況や県道として早期に整備、管理する必要性等を総合的に判断の上、認定することとしてございます。現在、平成17年12月のIGR青山新駅開業に向けまして、県と盛岡市とが施行区分を定めまして、地域住民の御理解と御協力を得ながら、現在変則的になっている同路線と県道との交差点改良を進めているところでございます。本路線は、青山新駅の設置に伴いましてIGRとの立体交差計画を再検討し、都市計画を見直す必要があるなど大きな課題が残されておりまして、現状におきましては、県道として新たに認定することは難しい状況にあると考えております。
   〔教育長佐藤勝君登壇〕

〇教育長(佐藤勝君) 県立高等学校新整備計画後期マスタープランについてでありますが、まず初めに、前期計画を実施してみて、不登校、中途退学などの教育課題は解決しているのかということについてでありますが、統合した高校、学科改編を実施した高校においては、総じて不登校、中途退学ともに減少傾向となっております。また、花北青雲高校や久慈東高校など15年度、16年度に整備した高校では、学校に活力が生まれた、生徒の学習意欲が向上している、ほか、入学を希望する中学生が多いなどの報告が寄せられているところであります。
 次に、施設・設備の不都合はないかについてでありますが、高等学校における学習環境の充実や特別活動のためのグラウンドなどは、高校教育の活性化のため十分な整備を図る必要があります。一部未整備の学校にありましても、この観点に立って、財政事情も考慮し、順次整備することといたしております。
 なお、体育館についてでございますが、教育課程あるいは生徒の活動に必要な基準により設置されておりますので、卒業式などの儀式的行事に際しては、各学校それぞれ工夫をしながら実施しているものであります。
 次に、分校や2学級を満たしていない学校を画一的に統廃合に踏み切るのかについてでありますが、高等学校は、生徒の発達段階に応じて、高校教育にふさわしい活力のある教育環境を準備することが大切であると考えております。こうしたことから、望ましい高校教育のため、分校や2学級80人に満たない学校は統合することを基本的な方向性として示したものであります。
 なお、具体の計画を策定するに当たりましては、地域から寄せられた意見を勘案しながら進めてまいりたいと考えております。
 また、平成11年10月の県議会決議についてでありますが、議員から御指摘のあったとおり、広く県民に意見を求め、その合意を図った上で取り組むことが肝要であるとされております。さらには、整備計画の策定に当たっては、課題の議論を適切に進め、県民の理解を得られる計画の策定に特段の努力を求めるものであるとも述べられております。後期計画策定に当たりましても、この決議の趣旨に沿って、マスタープランの公表以来広く県民の皆さんから意見をいただくとともに、各地域に出かけ、十分に説明して理解が得られるよう努めてまいりました。また、計画案の公表後におきましても、同様に説明し、理解をいただくよう努める所存であります。
 次に、本県の高等学校において少人数学級の考えはないかについてでありますが、学習機能集団としての学級は、単に学科、教科の学習のみならず、学級活動を通じ社会性や協調性をはぐくんでいく場でもあります。現行の1学級40人規模がそういう観点から適当であると考えておりまして、一方、生徒の興味、関心、進路希望が多様化しているという実態から、学習指導においては、学級の枠とは別に、幅広い選択制を取り入れた少人数指導や国の加配を活用した習熟度別指導などを行っており、今後ともさまざまな工夫をしながら教育効果をさらに上げるように努めてまいりたいと考えております。
 次に、学習定着度状況調査についてでありますが、昨年度に実施いたしました調査の結果によれば、正答率80%台後半を一つの目安としたわけでございますが、この場合、基礎・基本が身についていると評価できる部分ももちろんありますが、内容によってはそうではない部分もございます。このようなことから、全体として調査対象の全教科について基礎・基本の定着状況が必ずしも満足できる状況にはないと認識いたしております。学力向上は岩手県にとって大きな課題であります。引き続き学習定着度状況調査を行って、児童生徒の学力の実態を把握しながら、一層の指導の改善に努めていきたいと考えております。
 次に、統一学力テストについてでございますが、4県による統一学力テストは、いたずらに学校間や市町村間の比較をするものではなく、どうすれば子供たちの確かな学力をはぐくむことができるのかを明確にし、それを推進することを前提に具体化に向けて現在検討を進めているところであります。
 このテストは、児童生徒一人一人の学習定着状況を把握し、指導の改善につなげることはもちろんですが、参加県においてこれまで行われてきた指導行政等の教育施策を評価し、各県相互のベンチマーキングを促し、次なる教育施策や各校の授業改善に反映させる上で有効であると考えております。
   〔警察本部長山内正和君登壇〕

〇警察本部長(山内正和君) まず、民間協力に基づいて実施している治安対策についてお答えいたします。
 犯罪抑止のためには、警察のみによる努力には限界があり、民間の自主的な防犯活動を促し、社会全体として犯罪を抑止するシステムを構築していくことが重要だと考えているところでございます。
 現在、その一環として、犯罪被害弱者である女性、子供、高齢者などの緊急避難場所あるいは犯罪等の警察通報の協力をお願いしている女性・子ども110番の家やSOS110番協力タクシー等の制度がございます。本年5月末現在、県内では、一般家庭、商店、銀行、コンビニ、ガソリンスタンド、郵便局、理容店など9、029カ所、タクシー2、305台、郵便車両等745台、宅配車両82台の計1万2、161カ所に御協力をいただいているところでございます。
 また、一般治安対策として、事件容疑情報の相互提供を内容とする岩手県警備業協会との覚書、地域安全情報を折り込みとして提供する新聞販売所との覚書がございますし、事件等が発生した際に、被害の拡大防止と犯人検挙を目的として、タクシー、警備業協会、金融機関など多くの業界に事件手配として御協力をいただく協定等がございます。
 民間の御協力による効果といたしましては、下校途中の男子高校生が不良グループに恐喝されそうになり、女性・子ども110番の家に駆け込み、被害を免れた例や、広域自動車盗・車上ねらい容疑者が情報提供を受けていたタクシーに乗車したとの通報により逮捕に至った事例などがございます。
 県警察といたしましては、御協力いただいている方々の安全への配意も含め、さまざまな声に耳を傾けながらさらなる連携の強化を図り、犯罪に強い社会の構築を目指してまいりたいと考えております。
 次に、運転代行自動車の運転手に対する第二種免許の義務づけについてでございますが、これは、運転代行業が有償で顧客を運送する業務であること、交通死亡事故の発生率が高いことなどにかんがみ、平成13年、自動車運転代行業の適正化に関する法律の制定にあわせ道路交通法の一部を改正する法律により措置されたものであり、3年間の猶予期間を経て本年6月1日から施行されたところでございます。
 続いて、運転代行業者の実態と違法行為に対する県警察の対応についてでございますが、本年5月末現在、県内では認定業者数144業者、従業員数約1、500人、随伴用自動車544台となっております。県警察では、随時運転代行業者に対する立ち入りを実施するとともに街頭における指導取り締まりを行っており、これまでに無認定営業及び白タク営業事案の2件を検挙しているところでございますが、今後とも、交通の安全と利用者の保護を図るため、関係機関と連携をとりながら運転代行業に対する適切な指導取り締まりを行ってまいりたいと考えております。

〇議長(藤原良信君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
   
日程第2 議案第1号平成15年度岩手県一般会計補正予算(第8号)の専決処分に関し承認を求めることについてから日程第24 議案第23号岩手県障害者施策推進協議会条例の一部を改正する条例まで

〇議長(藤原良信君) この際、日程第2、議案第1号から日程第24、議案第23号までを一括議題といたします。
 これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、発言を許します。斉藤信君。


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