平成16年6月定例会 第8回岩手県議会定例会 会議録

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〇26番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案に対する質疑を行います。
 議案第2号岩手県県税条例の一部を改正する条例の専決処分について、これは、均等割の納税義務を負う夫と生計を一にする妻が100万円以上の給与収入がある場合、妻にも均等割の課税をするものであります。新たに課税対象となる対象者と増税額はどう見込まれているでしょうか。また、市町村民税の増税額を含めるとどれだけの増税となるか示していただきたい。こうした県民に新たな増税を強いる法改正が県税条例の改正を待たずに専決処分で4月から実施されていることは無法なやり方だと思いますが、いかがでしょうか。
 また、自動車取得税については、一定の排出ガス性能と燃費性能を有する自動車について取得額から20万円から30万円を控除するとしていますが、どれだけの減税が見込まれるか示していただきたい。15年度の実績も含めて示していただきたい。
 議案第7号岩手県県税条例の一部改正は、地方税法の一部改正に伴い、県民税の老年者控除48万円を廃止しようとするものであります。単純には2万4、000円の増税となるものですが、県民の増税額は全体でどう見込まれるのか。県の増収額はどうか。11年が経過した自動車への重課税の見込みはどうでしょうか。
 議案第6号公の施設に係る指定管理者の指定の手続等に関する条例は、公の施設に係る指定管理者の指定の手続等に関し必要な事項を定めようとするものであります。公の施設の公共性はどのように守られるのか。養護老人ホームなど第一種社会福祉事業も含め、指定管理者についての制限はないのか。3条による選定基準は具体的にどのように明らかにされるのか。指定管理者となった場合、県の監査の対象となるのか示していただきたい。
 議案第10号看護師養成所授業料等条例の一部改正は、看護師養成所に入学しようとする者から新たに入学料と寄宿舎料を徴収しようとするものであります。これまで無料としていた理由、目的は何だったんでしょうか。今回徴収しようとする理由は何でしょうか。新たな徴収による収入増はどう見込まれるでしょうか、全国、東北各県の状況を含めて示していただきたい。
 議案第14号循環型地域社会の形成に関する条例の一部を改正する条例は、使用済み自動車の再資源化等に関する法律の施行等に伴うものであります。使用済み自動車の再資源化にかかわる事業者の実態はどうなっているでしょうか。今後、自動車リサイクル施設は廃棄物処理施設等の設置等事前協議の対象となりますが、具体的にどういうチェック、規制がなされるのでしょうか。再資源化の名のもとに使用済み自動車が放置されている状況について県はどう把握されているでしょうか。
 議案第17号農業大学校条例の一部を改正する条例は、入学する学生から新たに授業料年額11万5、200円、入学検定料2、200円、入学料5、650円、合計12万3、050円、2年間では23万8、250円を徴収しようとするものであります。これまで授業料等を徴収してこなかった理由、目的は何でしょうか。その目的は達成されているのでしょうか。徴収額の総額はどう見込まれるでしょうか、全国、東北各県の状況を含めて示していただきたい。
 議案第20号は、大船渡漁港岸壁工事の請負契約案件であります。契約金額が10億4、559万円となっていますが、これは、設計金額に対してどうなっているでしょうか。この工事は、大船渡漁港整備事業に伴うものでありますが、全体の事業費と国、県、市のそれぞれの負担額はどうなっているでしょうか。多額の投資が見込まれますが、費用対効果は検討されているでしょうか。新たに埋め立てて漁港を整備する事業でありますが、海の汚染、環境への影響など環境アセスメントはどう行われ、その結果はどうなっているでしょうか。
 以上でありますが、答弁によっては再質問いたします。

〇総務部長(時澤忠君) まず、議案第2号に関しまして、均等割の納税義務を負う夫と生計を一にする妻に対する均等割の非課税の廃止でございますけれども、昨年度の課税状況から推計をいたしますと約10万人が対象となる見込みでございます。また、これに伴う県民税の増収額は、平年度で約1億200万円、市町村民税の増収額を含めますと約4億800万円と見込んでいるところでございます。
 県税条例の専決処分についてでありますが、この条例改正は、地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律が本年3月31日に公布されまして、翌日の4月1日から直ちに施行することとされたことによりまして、条例改正について御審議をいただくための議会を召集する暇がないと認められたことから、地方自治法第179条第1項の規定に基づき専決処分を行ったものでございます。
 次に、自動車取得税のいわゆる低燃料自動車特例についてでありますが、これにつきましては、約2億4、900万円と推計しております。また、平成15年度の軽減額は2億7、300万円と積算しているものでございます。
 議案第7号の関係でございます。県民税の老年者控除の廃止についてでありますが、他の各種控除との兼ね合いもありまして県民の負担の増加額について正確に見積もることは難しいものがありますが、昨年度の課税状況から単純に推計いたしますと、個人住民税全体で約8億3、500万円の増、うち県税の増収額につきましては約2億8、800万円の増と見込んでおります。
 次に、自動車のグリーン化のうち11年が経過した自動車に対する重課の見込みについてでありますが、平成17年度に新たに重課が適用される自動車の税額は、通常税率では約2億2、600万円でありますが、これに約2、200万円の重課が行われまして、合計で約2億4、800万円となる見込みでございます。
 次に、議案第6号関係であります。公の施設の公共性の保持についてでありますが、まず、指定管理者の選定に当たりましては、公の施設の性質、設置目的、機能など個別の施設の特性を踏まえた上で、効率性のみでなく、公平性、効率性、安定性についての選定基準を設けまして総合的に審査をすることによりまして、管理経費の縮減を図りつつ、その施設の効用を最大限に発揮するような施設運営ができる団体を選定する必要があると考えております。正当な理由がないのに利用者の公平な施設利用を拒んだり、施設の形質を許可なく変更したり、経営の効率性を重視する余り職員の配置や施設の管理が設置目的を効率的に達成するために適切なものになっていないときにつきましては指定管理者に対する調査を行い必要な指示を行ったり、あるいは場合によっては指定の取り消しを行うことによりまして施設の設置者としての責任と公の施設の公共性を保持していきたいと考えております。
 なお、第一種社会福祉事業につきましては、社会福祉法におきまして、国、地方公共団体または社会福祉法人が経営することを原則としているということでございますので、指定管理者を導入する場合におきましても、公募の対象をあらかじめ社会福祉法人に限定したり、選考段階で社会福祉法人を指定することが考えられるものでございます。
 また、指定管理者の選考基準につきましては、公の施設の性質、設置目的及び機能から判断いたしまして、募集の際に、個別に募集要綱等により明らかにすることとしております。
 それから、指定管理者の監査でございます。地方自治法第199条第7項におきまして、監査委員が必要があると認めるとき、または普通公共団体の長の要求があるときは、公の施設の管理を行わせる者について監査をすることができる旨の規定がなされているところでございます。

〇保健福祉部長(佐藤敏信君) 議案第10号看護師養成所授業料等条例の一部改正についての御質問です。
 これまで入学料及び寄宿舎料を無料としていた理由、目的についてでございますが、本県は御存じのとおり、これまで慢性的に看護師不足の状態にありましたので、そのための人材の確保という観点から無料としていたものでございます。
 それから、入学料及び寄宿舎料を徴収する理由でございますが、こうした状況にあったんですけれども、最近ようやく看護師の需給見通しに改善が見られてまいりまして、恐らく平成14年度の時点で県内の需給というものはほぼ均衡したようでございます。こうした中で、民間立の養成所の入学金の状況等も勘案しながら相応の負担をお願いしようとするものでございます。
 それから、徴収による収入増についてでございますが、県立の看護師養成所は全部で県内に4校ございます。入学料につきましては、この4校を合計いたしまして134人分になりますが、その合計が年間で約75万円、それから寄宿舎料につきましては、同じく4寄宿舎を合計いたしまして154人分になりますが、年間で約557万円でございます。したがいまして、あわせて約632万円を年間の収入増として見込んでおります。
 それから、全国、東北各県の状況でございます。まず、入学料の徴収でございますが、そもそも県立の看護師養成所を設置している県は37県ということでございますが、設置をしている37県のうち、入学料を徴収している県が16県、また、東北6県の中で県立養成所を設置しているのは4県でございますが、そのうち福島県が3、000円を徴収しているところでございます。
 それから、寄宿舎料の徴収につきましては、寄宿舎を設置している県が21県あるわけですが、そのうち、約半分になりますが、徴収は10県、それから東北6県については、福島と秋田、それに岩手県のみが寄宿舎を設置しているわけですが、福島県、秋田県は徴収していないと聞いております。ただし、東北各県につきましては、問い合わせいたしましたところ、入学料、寄宿舎料とも検討はしているというお答えをいただいております。

〇環境生活部長(中村世紀君) 議案第14号関係でございます。使用済み自動車の解体、破砕を行っている事業者は、現在、140事業者あると承知してございます。このほかに、自動車を取り扱う事業者といたしましては、整備工場、板金塗装工場あるいは中古自動車販売業者等がございまして、県内に約1、300事業者あると承知してございます。
 次に、事前協議の対象となる施設でございますが、解体業におきましては、保管施設、解体施設でございます。破砕業におきましては、前処理施設、破砕施設、保管施設でございます。これらそれぞれの施設につきまして、法に規定する構造基準、維持管理基準に基づきまして、囲いや飛散、流出防止装置の状況などを審査するものでございます。
 次に、使用済み自動車の放置状況でございます。使用済み自動車が野積みされているなどの状況につきまして、平成15年度末の調査では、県内225カ所に約1万6、500台あると把握しております。

〇農林水産部長(今泉敏朗君) まず、議案第17号関係ですが、授業料等を徴収してこなかった理由、目的は何かについてでありますが、農業大学校は、本県の基幹産業である農業の担い手や指導者養成を役割としていたことから授業料等は徴収してこなかったものであります。
 次に、その目的は達成されているかについてでありますが、近年の卒業後の進路を見ますと、就農する者が約2割、進学する者が約2割、その他が市町村、農業団体、農業関連企業への就職等となっており、その役割は変化しております。
 次に、授業料等の徴収総額についてでありますが、平成17年度は約1、000万円、学年が進む平成18年度以降は約1、800万円と見込んでおります。
 全国、東北各県の状況についてでございますが、全国では、授業料を徴収している道府県は、農業大学校を設置している42道府県のうち25道府県でございます。なお、東北では5県で農業大学校を設置しておりますが、授業料の徴収等を検討している県があるとは聞いておりますが、現時点ではいずれも徴収しておりません。
 次に、議案第20号に関しましてですが、まず、大船渡漁港岸壁工事の落札額と設計額の比率についてでございます。設計金額に対する契約予定額の比率は92.88%となっております。
 次に、全体事業費と負担額についてですが、全体事業費はおおむね74億円と見込まれており、その負担金額は国が約37億円、県が約30億円、大船渡市は約7億円と見込まれております。
 次に、費用対効果についてでありますが、水産物生産コストの縮減効果及び労働環境改善効果などによる費用便益比率は3.16と見込まれております。
 最後に、環境影響への評価についてでありますが、本事業は事業規模等から環境評価の対象とはなりませんが、湾内の流況への影響などについて自主的に環境評価を実施しております。その結果、自然環境、社会環境などへの影響が極めて少ないとの総合評価となっております。

〇26番(斉藤信君) 私、まとめて再質問は知事にお聞きします。
 今、答弁が各部長からありましたが、特に農業大学校、看護師養成所の授業料、入学料、これは全国的にも徴収をしているのは半分以下で、東北の中ではほとんどないという中で、岩手県が先駆けて県民に徴収を、負担するというのはいかがなものかと。
 というのは、例えば農業大学校の場合、農業の担い手指導者養成だと。私はこの役割というのは、今の農業情勢の中でますます重要になってきていると思うんですよ。そういうときに新たに負担を押しつけるという形では、窓口を狭めてしまうんではないか。特に、例えば国の悪政ですけれども、均等割で4億800万円ですよね。老年者控除で8億3、500万円の新たな増税を強いられると、年金もどんどん負担がふやされると、こういう中で、県まで便乗してこういう県民への負担増を押しつけていいのかと。なぜ東北に先駆けてこういう負担増をしようとしているのかということを知事にお聞きしたい。
 もう一つは、私は一方で、大船渡漁港整備の契約案件について聞きました。今回の契約案件は10億4、000万円程度ですけれども、総事業費は74億円です。巨大なプロジェクトです。私は大船渡漁港の整備については反対しないけれども、これだけの規模になると本当に事前の調査、そして実際に実施する段階での厳密な調査が必要だと思うんです。地元のさまざまな議論を聞いても、もっとやり方があるのではないかと。実際に大船渡港の水揚げ金額なんか見ますと、水揚げ量も水揚げ金額も残念ながら後退しているんですよ。大船渡魚市場は日曜日も開設するなど、独自の努力をしていることを私は知っていますが、それでもそういう厳しい中で74億円の大規模事業を進めなければだめなのか。私はこういうところこそしっかりとしたメスを入れて、細かいところで県民に負担を押しつけるということをやるべきではないと思いますが、知事、いかがでしょうか。

〇知事(増田寛也君) 今、御質問ございましたのでお答え申し上げますが、まず、授業料の関係でございますけれども、これは両部長から申し上げましたような施設の設置目的ですとか社会経済情勢の変化といったようなことがあって、それで他との負担の公平ですとか受益者負担を適正化するといったようなことからやっているものであって、恐らく主張は、一方で多額の財源不足といったようなこともありますから、それを埋め合わせるものではないかというようなお話だと思うんですが、決してそういうものではなくて、負担の公平を図るですとか、受益者負担を適正化するということで行おうとするものでございます。
 この大船渡漁港の岸壁工事ですけれども、これは大変お金がかかる事業でございますので、より慎重にやらなければいけないということで、大規模事業評価などにもかけたものでございます。これは確かに工事の性格上大変お金がかかるわけですが、こういったことを通じて、本当にそこには零細な漁民の方も多くおられるわけですが、生産コストがそのことにより縮減されたり労働環境が改善するといったようなこともありますので、これは私は大規模事業評価などによる評価をしっかりと行った上で、ゴーのサインが出たものについては、そうしたことによって漁業振興につなげていくということが今一番必要なことではないかと思いますし、また、先ほどお話がございましたような、こういった授業料などについても、これは十二分にこれからまた関係の方々にもさらに御説明申し上げたいと思いますけれども、こうした負担の公平という観点からぜひ御理解をいただきたいと、このように考えております。

〇議長(藤原良信君) これをもって質疑を終結いたします。
 次に、ただいま議題となっております議案第1号から議案第23号までは、お手元に配付いたしてあります委員会付託区分表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
   
〔参照〕
委員会付託区分表
(第8回県議会定例会 平成16年6月30日)
総務委員会
1 議案第1号
2 議案第2号
3 議案第3号
4 議案第5号
5 議案第6号
6 議案第7号
7 議案第8号
8 議案第9号
9 議案第12号中
   他の委員会付託分以外
10 議案第19号
環境福祉委員会
1 議案第10号
2 議案第13号
3 議案第14号
4 議案第15号
5 議案第23号
商工文教委員会
1 議案第16号
農林水産委員会
1 議案第17号
2 議案第20号
3 議案第21号
県土整備委員会
1 議案第4号
2 議案第11号
3 議案第12号中
   別表第6の改正関係
4 議案第18号
5 議案第22号
   

〇議長(藤原良信君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時31分 散 会


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