平成16年6月定例会 第8回岩手県議会定例会 会議録

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〇2番(中平均君) 民主・県民会議の中平均であります。
 先輩・同僚議員の御配慮により、2回目の一般質問の機会をいただきましたことを感謝申し上げます。
 一般質問最終日でもあり、重複する点も出てくるかと思いますが、知事初め執行部の率直な御答弁をお願いいたします。
 増田県政も3期目、10年目に入りました。10年前、平成7年4月は私は社会人2年目であり、当時のことを私なりにたどってみました。
 知事は平成6年末に、当時の建設省建設経済局建設業務課紛争調整官を最後に退官され、翌平成7年春の統一地方選挙で初陣を飾られました。そのときは、東京都は青島幸男氏、大阪府においては横山ノック氏がそれぞれ新知事として当選された年で、当時の報道に、我が国二大拠点都市での無党派候補の勝利は既成政党全体を激しく揺さぶった。政策理念放棄のツケの結果とあり、また、政党政治への不信が募って、官僚出身の各党相乗り候補が拒まれたとありました。それとは対照的に、増田知事の談話はオーソドックスに、市町村の選挙のように地域にくまなく足を運ぶ戦術をとった、県勢発展の基礎づくりを一生懸命やるので期待してほしい、岩手の個性を引き出せるような行政を進めたいとあります。また、知事は、選挙戦中決まって、今までの延長ではなく、新しい発想と大胆に挑戦する勇気が必要、地方間の競争が激しい中、岩手が負けるわけがないと話しています。そして今日まで、いわば県政のリーダーとして行財政多端の真っただ中を歩まれてまいりました。
 平成8年6月に、久慈市で増田知事を迎え、北岩手を語る会が開かれた際のパンフレットにおけるあいさつ文には、平成8年度県予算総額8、071億円余、厳しい財政状況の中、財源を積極的に活用され、県土の均衡ある発展を視野に入れた新知事の心意気が示され、県北・沿岸部と内陸の格差解消問題は本県の宿命的課題であり、久慈広域圏6市町村の連携と交流に一層弾みがつくものと期待されますとありました。
 当時、知事を熱狂的に応援した人の言葉によれば、選挙戦での知事の演説の柱に、県北開発は従来のペースではおぼつかないと訴える建設省出身の知事に厚い期待が膨らんだものだと回顧する声が、今なお聞かれるところです。
 県北の底上げが県土の均衡ある発展の要諦とは、増田知事初め先輩各位の訴えてきたところでありますし、私も当然に、議員としての柱の一つであります。
 今現在、3期目の増田県政が進行中であります。知事は、あれもこれもではなく、緊急度の高い施策を厳選し、かつ、効率的な予算配分、すなわち選択と集中を行い、借金体質を脱却し、目指す夢県土いわてをつくり上げようとしておられるのでしょう。そのために、霞が関スタンダードからローカルスタンダードへ、ひもつき補助金に代表されるような中央集権的な社会構造から、地方分権社会を目指しているのではないかと考えます。そういった点を踏まえながら、選択と集中をメーンに、率直に質問をさせていただきます。
 昨年の統一地方選挙、知事はマニフェストを発表し、いわゆるマニフェスト選挙の先駆けともなりました。昨年11月の衆議院選挙におきましても、各党がマニフェストを掲げました。今回の参議院選挙においても同様に、各党がマニフェストを掲げています。衆議院選挙の際には、報道機関に知事のマニフェストの論評が掲載されました。今回の参議院議員選挙は、直接的な政権選択の選挙ではないにしても、その結果が大きく今後の政治のあり方、特にも地方分権の進行に影響してくると考えています。今回の各党のマニフェストに対しての知事の見解をお伺いします。
 次に、参議院議員選挙に対して投票率の低下が懸念されています。先般の岩手県選挙管理委員会での有権者調査では、政治に不満を表明したのは7割、そのうち5割が選挙で投票に行かないとの調査結果が出ているとのことです。また、全国的にも政治・選挙に関心のない層がふえており、特に若年層にこうした傾向があることは、世論調査等の結果で御承知のことと存じます。知事はこの傾向を分析し、どのように受けとめておられるのか、忌憚のない所見を伺います。あわせて、県政を預かる知事の立場から、対策をどう考えておられるのかお聞きします。
 次に、知事みずからのマニフェストの進捗状況についてお聞きします。
 昨年の選挙で知事が示したマニフェスト。ちょうど1年と3カ月ほど経過した今、進捗状況についてお伺いします。特にも、二つの重点項目としました雇用問題と県境産業廃棄物不法投棄の撤去について、ともにおくれぎみではないかと感じているところでありますが、いかがでしょうか。両問題とも重点という割には、スタッフの数は総合雇用対策局が6名、産業廃棄物不法投棄緊急特別対策室が15名であります。総合雇用対策局に関しては、3月の予算特別委員会において伺ったところ、各部局との連携を密にし、成果を上げているとの回答をいただいてはおります。しかし、人数が多ければいいというものではないことも理解できますが、重点項目に対応するには非常に不安を覚えます。
 2月に会派で千葉県のNPOとの協働事業について視察調査を行った際、千葉県では、当初5名の担当職員が翌年には30人にふやしているとのことでありました。これに照らしてみると、県境大規模産業廃棄物不法投棄、雇用という問題を抱える岩手県の場合、心もとない感じを覚えてきました。もちろん単純に人数をふやせばいいというものではないでしょうが、緊急度を見きわめた対応を求めるものであり、知事に所見をお伺いします。制約された予算の中で効果的業務の執行を行うための選択と集中というのであれば、重点の2項目に関してスタッフの人数を充実させ、より効果を上げていくべきではないでしょうか、進捗の状況とあわせてお伺いいたします。
 先ほどの高橋雪文議員の質問にもありましたが、今回の執行部提出の議案第6号の公共施設の管理に係る指定管理者制度についてお伺いします。
 現在の県または市町村の公共施設の利用時間帯等、年々生活のサイクルに合わなくなってきている分野が多く見てとれます。とかく県の直接管理は、民間より効率性、サービスが悪いと言われるのが常であり、管理者をNPO等を含む外部に委託することにより実態のニーズに合った供用が可能となり、利用率の向上が図られると考えられます。そういった意味において、今回の地方自治法の改正に伴う条例案は実態に合ったものであると言えます。
 その上で質問いたしますが、県議会の議決を得て管理者を決めるとあります。その際、法令上の判断は議会にゆだねられるとしても、審査の段階での客観性、公平性をどのように確立するのか。また、何らかの事情により、委託業者の委託年度途中での撤退があったような場合、県としてどのように対処しようと考えているのかお伺いします。
 知事は、県内各地においてふれあいトークを各種団体、NPO等と行っています。私も何度か勉強する機会を得ましたが、地域に密着した活動の実態に接し、感銘を受けています。その際に知事にさまざまな提言や要望が出されていますが、これらに関しては地方振興局で対応していると伺っています。中には、実現性に疑問を感じる提案、提言、要望が出ております。また、そうしたケースは、県の担当ではなく、市町村にわたることも含まれているように思われます。実際に回答した後の追跡調査をしているのか。あわせて、市町村の分野についても調査もしくは指導が必要ではないかと思いますが、知事の御見解をお伺いします。
 NPOと県との協働事業についてお伺いします。
 NPO活動に対しては今後さらに注目され、かつ組織化が進むものと考えられます。きのうの一般質問に対する回答でも、県との協働事業は、昨年度が59件、今年度は目標として71件の事業を協働で行うと伺いました。
 そこで質問します。各事業における事業費の枠は決まっており、しかもコスト縮減や民間活力の導入が主たる目的でNPOと協働しているわけですから、毎年行う事業においても、その時々によって協働するNPO団体が違うことも考えられます。また、事業打ち切り等も当然予想されることであります。県の補助、委託等によりNPOの主体性が損なわれないよう、独自性を尊重するための施策について当然の配慮が求められるところであります。加えて、協働で事業を実施する際に、NPOの選択に対しての公平性が求められます。NPOを育成し、健全な発展を期すためにきめ細かな対応が必要でありますが、県としての考え方をお伺いします。
 市町村合併について、改めて知事の基本姿勢をお伺いします。
 県は、合併特例法の趣旨に沿い、岩手県広域行政指針を各市町村に示したのが平成12年5月のことでした。公表するまでには識者による委員会を設置し、市町村の意向聴取、調査等を踏まえたところと承知しております。指針が公表されてから既に4年が経過しております。当初より、どこの自治体においても避けては通れない問題との認識でしたが、結果として、岩手県は他県に比べて合併論議は低調でありました。昭和の大合併と言われた昭和30年前後のころより既に50年の歴史を経ており、しかも先人から伝承され培われた風土、文化にはかけがえのない執着があることは当然のことであります。しかし、当時の合併がそうであったように、今回の合併問題も、出発点は、半世紀を経て経済規模の拡大に伴う生活様式の変化等による制度疲労が顕在化したところにあり、究極には財政問題が基調にあることは言うまでもありません。
 以上の前提に立ってお伺いしますが、合併特例法は時限法という制約もあることから、県内各地域の動きが急を告げております。
   〔議長退席、副議長着席〕
 つい先週末には、岐路に立つ普代村に関しての財政指標をむき出しにした報道がありました。小規模とならざるを得ない自治体に対し、知事は財政的な支援は行わないと発言しています。市町村合併は、知事が主張している道州制への足元固めにも通じるものであり、本気になって対応するべき時期に来ていると思いますが、合併の現況と課題をどのように認識され、知事のリーダーシップ、責務についてどのように考えているのかお伺いします。
 IT施策についてお伺いいたします。
 昨年来再三にわたって伺ってまいりました携帯電話等の不感地域の解消でありますが、情報技術の革新的普及に伴い、県民の関心の強い問題であると認識しております。年々予算措置をし、携帯電話の不感地域が解消されているのは評価しますが、選択と集中と言うのであれば、ほかの公共事業に比べて予算投資額が比較的少なくても行政効果が得られる点をもっと考慮すべきではないでしょうか。そのことにより、地域住民はもとより、岩手県に観光を目的として訪れた人にも評価されると考えます。携帯電話のエリア拡大についての予算は、平成16年度の地域振興部IT推進課所管予算の12.1%という現状です。県民本位の行政投資にもっと目を向けるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 また、地上波デジタル放送の2006年開始も迫ってきております。3月の予算特別委員会でも質疑が行われていましたが、県内の民放各社の取組状況、また、県が担うべき、難視聴地域発生が予想される地域にどのように対処していく方針でしょうか。また、国に対して、国策である以上、責任を持って適切に対応するよう要望していくとの予算特別委員会での答弁がありましたが、現実問題として国の対応が不十分な場合、県としてどのように対処していくのか。国の対応を見てからということでは予算措置等の面で厳しいところがあると考えますが、御見解を伺います。
 東京など都市部において公共事業不要論が言われ始めて久しいですが、岩手県の現状を見るとき、社会基盤整備のおくれは事実であります。いかに厳しい財政環境にあるとはいえ、将来に負担をかけることなく良質な整備を進めていかなければなりません。例えば、主要幹線道路の安全な運行という面で見ますと、久慈地方振興局管内で落石危険箇所721カ所のうち、今まで解消したのが89カ所、約12%の解消率です。これに対し公共事業予算は、平成13年度と比較して約42%の配分であります。これが地方振興局でさらに細分されていくわけですから、解消までの長期間、不便をかこつことになります。事業の発現効果、緊急度等を勘案されて選択と集中という観点から事業選択に万全を期すべきだと考えますが、現状についてどのように考えているかお伺いいたします。
 地産地消についてお伺いします。
 地産地消の推進により、全国どこでも一律であったものが、地域の独自性が出てきています。あわせて地元学をより徹底させることにより地域への理解が深まることになり、一人一人が地元のアピールが行えるようになると考えます。そのためには、地場産品に理解度を深める学習等、低年齢からの教育が必要だと考えます。そのためには、学校給食の場で、より地元の食材を認識してもらうため、どのように取り組んでいくかが大切だと考えております。現在の学校給食の地元食材使用率は約47%程度と伺っていますが、地元の産品をいかに覚えてもらうか、覚えてもらう方法が必要だと考えますが、いかがでしょうか。
 また、学校給食に限らず、地元食材の使用率を上げていくのも大切だと考えます。しかし、国内の食料自給率が約40%、うち水産物自給率が53%という現実を考えるとき、すべてを地場産で100%にするのは至難であるのが現実であります。最近の産直施設等におけるにぎわいは、地産地消の普及により、いわゆる顔の見える農業が普及してきたものと考えます。しかし2次産品になったとき、例えば豆腐でいえば、地元産の大豆を使おうと考えても、生産量に限りがあるためなかなかすべてを地元産にできない状況にあります。ふれあいトーク等を通じての県の回答は、生産者との結びつきや生産体制の整備が図られるよう支援していくとのことでありました。行政として、具体的にはどのように取り組む予定であるのかお伺いします。
 港湾の利活用についてお伺いします。
 県では、港湾アクションプランも作成し、今年度から実行していくところであります。この点を踏まえ質問させていただきます。
 北上川流域の岩手県内の工業地帯からの出荷に対して県内港湾の使用量は約2割しかない現状を見ますと、いかに積極的に県内港湾を使用してもらうかが重要な課題の一つであります。港湾使用料の低減はもとより、ポートセールスの充実を初めとした各種活動の取り組みをしていかなければなりません。
 例えば、八戸港から積み出ししている荷物は岩手県全体の港湾からの出荷数とほぼ同数であるのに対し、久慈港、北上川流域から来ている荷物はゼロであります。私が東京にいた当時の運輸省の先輩からの情報では、久慈港は、バックヤードの広さ、高速道路へのアクセス、盛岡、八戸という都市部への距離等を勘案すると岩手県内重要4港湾の中でも一番可能性があり、整備を進めていかなければならないと伺ったことがあります。つまり、バックヤード等資源の利活用をどのようにしていくかが重要だと考えます。このことは久慈港に限ったことではなく、重要4港湾各港湾の特徴、優位性を生かし、港湾の荷役取り扱いをふやしていくことが必要であり、それを実現させるためのアクションプランであると考えます。堅実な、そして迅速な実行に向けての取り組みをお伺いします。
 次に、補助事業に関してお伺いします。
 2月定例会において森のトレー事業に関しての補正予算成立の際に、二度とかかる事態がないよう計画段階においてあらゆる角度からの検討を行い、完成後の維持管理運営の状態を見きわめるほか、関係諸法令を遵守することはもとより、進行管理を徹底するなど事業執行に万全を期すことを議会の附帯意見といたしました。これを受け、県として、具体的に今年度以降に施行する事業に関しどのような対応を行っていくのかお伺いします。
 公共事業の連携のあり方についてお聞きします。
 公共事業を行うに当たり、各事業主体で調整連絡会議を行っていると聞いています。しかしながら現実には、例えば昨年は側溝の工事を行う、ことしは公共下水道、来年は電線共同溝といったように同じ箇所での工事の繰り返しが見受けられ、とかく批判の的となっています。調整会議の意味合い、公共事業の連携のあり方に疑問を覚えるものであります。
 事業主体の問題、工事施工の問題、予算措置の問題があるのは承知した上であえてお伺いいたします。各事業主体が調整を図り、トータルの工期の短縮、費用の削減を行うことは不可能なのでしょうか。また、例えば電線共同溝の工事にあわせて歩道のバリアフリー化を行うといった、施工上、工事箇所等で関連のある工事を一括して行うことは無理なのでしょうか。予算執行に重点を置いた縦割り行政の弊害を改善していくことこそが財政状況の厳しい国、県、市町村には求められているところであり、選択と集中の趣旨にも合致していると考えますが、県の御見解を伺います。
 次に、県北観光振興にかかわってお伺いします。
 新幹線開業から1年6カ月過ぎました。新幹線を利用する観点に立てば、確かに利便性が向上いたしました。しかし、観光的な面での効果はいまだ実感としてないのが現実であります。また、各地区において各種イベントの開催を行うなど観光客誘致に必死になっているところでありますが、先ほどの港湾利用の増進でも触れましたが、乗降客数の多い八戸から岩手県への波及効果があらわれていません。90分構想の実現や八戸地区との交通アクセスの整備は、単に地域の利便性を高めるだけではなく、産業振興や観光振興に大きく寄与するところであります。県として、八戸駅からの岩手県への観光人口をふやすために、アクセス道路等の環境整備と魅力ある地場観光商品の開発のための施策を官民が一体となって取り組む環境づくりが行政として必要と考えるものでありますが、いかがでしょうか。
 関連しまして、八戸久慈自動車道も、青森県内の整備状況と岩手県側を比べると格段の差があります。早期着工に向けての支援体制等県の取り組みをお伺いします。
 次に、中心市街地の活性化についてお伺いします。
 現在、在来の中心商店街と言われている地域の状況は惨たんたるものがあります。中心商店街の地盤沈下については、車社会の発達、顧客の購買行動の変化による郊外店の進出に加え、多様化するライフスタイル等々の原因が挙げられますが、このことに対する調査結果の資料を拝見いたしますと、消費者サイドのものは商店街の実態を踏まえた具体的な調査となっていない状況にあります。消費者側の立場からの調査を充実させることにより具体的な振興策に反映させることができると考えますが、いかがでしょうか。
 最後に、1点質問させていただきます。
 昨年来知事並びに執行部の答弁には身の丈という言葉が多用されています。身の丈に合った政策を実行していくのは当然のことだとは思います。また、知事のがんばらない宣言についても、理念としては理解できます。経済人によれば、景勝や緑、農林水産業など市場原理にゆだねられないものを市場化しようとする流れがあるとも言われております。私なりに申し上げるならば、頑張るためのよりどころとなる産業、文化、行政基盤の整備を怠ってはならないものと考えます。夢を持ち、行動力を誘導する施策の上に立って、資源を生かすための知恵を絞り、努力し、頑張っていかなければ発展もまたあり得ないのではないでしょうか。夢を見た果てが借金県土で、身の丈に合ったという行政を強いられるのは県民であります。今の身の丈が力を蓄えるためにかがんでいる状態であり、いずれ大きく夢に向かってジャンプをする、霞が関スタンダードから脱し、地方分権社会の実現とともに夢県土を実現させるための我慢の時期という認識でよろしいのか、知事にお伺いいたしまして質問を終えさせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 中平均議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、各政党が今回の参議院選挙におきまして発表しておりますマニフェストについてのお尋ねでございます。
 それぞれのマニフェストを拝見しますと、全体的には、3年前の参議院選挙のときに出されました公約に比べて数値目標、期限等が示されるようになってきている、このように考えておりますが、依然として内容が抽象的であいまいなものもその中に含まれている、このように思います。このため、国民が各党の政策を容易に比較判断できるように、数値目標や期限などをできる限りその中に盛り込んで、そして政策の内容を明確にすることが必要ではないか、このように考えます。
 もう一つ、自治体の立場から申し上げますと、やはり三位一体の改革を大きな争点にしていただきたい、このように考えております。例えば与党の三位一体改革案を見ますと、昨日も申し上げました3兆円の税源移譲というその金額が明示されたことにつきまして一定の評価をしているわけでございますが、平成18年度までの改革像にとどまっておりまして、19年度以降を見通した改革の全体像が不透明であるという部分がございます。一方、野党第一党の民主党の改革案は、18兆円の補助金廃止については評価できるものでございますが、その実現の工程がはっきりしないと見られます。
 全国知事会の中に政権公約評価研究会という私が座長をしております研究会がございまして、この中で、今回の参議院選挙に向けて各政党が発表いたしました公約についても評価して今週中には発表したい、このようなことを今予定しているわけでございます。三位一体改革は、単に税財政の改革にとどまらず、国と地方のあり方そのものを問う構造改革にほかなりませんので、各政党におかれても、今度の参議院選挙におきまして、こうしたそれぞれの公約を踏まえて大いに議論していただきたい、このように考えております。
 次に、投票率の低下についてのお尋ねでございますが、県の選挙管理委員会が行いました意識調査を見ておりますと、過半数の方が政治に少なからず関心を持っているとその調査では出ておりますけれども、年代別にこれを見ますと、年代が高いほど政治への関心が高くなる傾向にあるため、逆に若年層については政治・選挙に関心のない方がかなり高い、そちらの割合が非常にふえていることがうかがわれます。
 このような若年層の政治・選挙への無関心の増加傾向というものは、こうした若年層が次の世代を担う皆さん方であるだけに、非常に憂慮すべきと考えております。選挙を棄権するということは、政治に対して発言する権利を失うことにもつながるわけでございますので、若い人たちには、今の社会、またはこれからの社会は自分たちの力で築いていくものであるという意識を強く持っていただきたい、このように考えております。
 この無関心の層をできるだけ少なくするためには、いろいろな地道な努力が必要であると思います。学校教育や社会教育の場で、こうした選挙の仕組みですとか政治の重要性というものを十分教えることも大変重要だと思いますし、また、私も含め、今、政治に携わっているすべての関係者が、国民あるいは住民に対して政治をより身近なものに感じさせるための努力をすることも必要ではないか、このように考えます。
 次に、私が昨年の統一選挙の際に発表いたしましたいわゆるマニフェストの進捗状況について二つお尋ねがございました。
 一つは、雇用対策についてでございます。スタッフの人数についてお尋ねがございましたが、総合雇用対策局は今お話しのとおりの体制で行っております。昨年6月に設置したわけでございますが、この総合雇用対策局の体制としては、私は、局長ともいろいろ話をしておりますが、組織のミッションは十分に果たしておりまして、現体制で十分行っていける、このように判断しております。これは、従来、雇用問題について地方振興局が積極的に取り組むということは余りなかったんですが、最近は地域の総力を挙げて取り組むということで、地方振興局の職員も含めて全体で雇用対策に取り組む、こういう体制になってきておりますので、総合雇用対策局、本庁の局としては今の体制で十分行っていけるのではないか、このように判断しております。
 それから、進捗状況でございますが、平成15年度の実績でございますが、これは、サービス関連の新規雇用創出で、目標の3、000人に対して3、340名、新規高卒者の就職率が目標の90.5%に対して91.8%、新規大卒者の就職率が目標の83.5%に対して86.9%と、いずれも15年度の目標は達成されておりますが、しかし、内容によってはまだ不十分な点もある、このようにとらえております。今後、特に若年者の就職支援をさらに強化するなど一層の努力をしていきたい、そして雇用創出につなげていきたい、このように考えます。
 それから、県境の産業廃棄物不法投棄事案でございます。
 まず、そちらのスタッフの関係でございますが、本年度から撤去作業が本格化して業務量もふえてくるだろう、こういうふうに思っておりますので、4月から担当課長制度を導入したり、現地の二戸地方振興局に駐在する職員を1名増員するなど体制を強化いたしました。また、今後も必要に応じてそうした措置をとりたいと思います。
 それから、進捗状況についてでございますが、これは以前議会でも御質問いただいた点がございますが、マニフェスト作成当時は、特別管理産業廃棄物は約2万7、000立方メートルと推定しておりました。3年程度の撤去を目標としてあそこで書きましたが、その後、詳細に現地を調査しましたところ、こうした特別管理産業廃棄物に相当するものは、その当時わかっておりましたものの6倍近くの約15万8、000トンに上るということがわかりましたので、具体の実施計画をつくった段階では修正をして、撤去期間として6年程度を要すると変更いたしました。また、事業推進の根拠となる産廃特措法に基づく実施計画案に対する国の同意が本年1月となりまして、本格的な撤去が16年度――今年度からということになりましたので、特措法の期限でございます平成24年度までには全量撤去できる見通し、こういうことになっております。
 それから、知事のふれあいトークについてのお尋ねでございますが、県政懇談会ふれあいトークでさまざまな提言や要望をいただきます。それにつきましては、まず提言者にその段階での回答をいたしますと同時に、それを年度ごとに取りまとめて、毎年3月に予算の措置状況も含めてその後の検討結果を公表し、すぐに実現できないものもいろいろ含まれておりますので、さらに引き続き検討を重ねて、その結果をその翌年の3月にまた公表する、こういうことにしております。それから、市町村に関係する分野がありますが、それについても、市町村に対してその趣旨に沿って検討していただくようお願いしております。
 確かに、お話しのとおり実現可能なものばかりではないわけですけれども、特に重要と思われるものにつきましては、地方振興局が市町村と十分連携をとって、お互い知恵を出し合いながらその実現に向けて努力をしております。大分時間がたちましてから実現にこぎつけ制度化したものとして、例えばいわて短角牛認証制度などについてはことし制度化しましたけれども、大分前のふれあいトークでお話をいただいたものでございました。今後も、寄せられた提言や要望は、市町村が直接関係するものも含めてしっかりとフォローしていきたい、このように考えております。
 それから合併についてです。これは今までお答えしたことと少しダブりますけれども、改めて申し上げますと、市町村合併の今の状況でございますが、法定協議会が6組織、15市町村が参加という状況でございまして、そのほか任意協議会も立ち上がっておりまして、合併特例法の施行期限、すなわち、来年の3月末を控えて市町村合併に向けた機運が県内において急速に高まってきていると、こう認識をしております。
 それから、当面の課題につきましては、合併特例法の施行期限までの合併を目指す市町村が、とにかく円滑に合併できることであると、このようにとらえておりまして、こうした市町村に対して県の支援プランに基づき、全庁を挙げて支援をしていくということであります。また、枠組みを今構築している最中、あるいはまだきちっと決まっていない地域が県内に幾つかございます。そこでは、方向性を見出してもらうように、地域からの要請に応じて県も議論に加わるなど、助言や情報提供をしっかりと行っていきたいと思っています。
 この特例法の施行期限内の合併が困難な市町村があるわけですが、これは引き続く合併新法に基づいて自主的な合併を推進していただくということになるわけですが、自立が困難な市町村というのは当然出てくるわけで、これに対しては昨日申し上げましたが、何らかの補完措置が必要だと考えております。今後、今行われております地方制度調査会の議論なども踏まえながら、この合併新法が施行される来年度4月以降、その補完措置の内容について明らかにしていきたいと思います。
 最後に、私がよく身の丈に合ったといったようなことを申し上げる関係で、そのことについてのお話でございます。身の丈に合ったというのを使っておりますその趣旨は、いわゆるげたを履かせた高さということではなくて、本当の身長といいますか、身の丈ということで使っているわけで、例えばこれまでのような、いわば予算と言っても量的な拡大を前提として進めてきた行財政運営というのがあって、これはバブル期あるいはその後も行財政運営というのがあったわけですが、それを抜本的に見直すと。例えば歳出規模も、その中で国の経済対策があるとその分が全部かさ上げになっていまして、いわばげたを履かせたような状況です、かさ上げになっていました。その経済対策が始まる以前の水準に戻すと。この経済対策というのは、緊急的な時限を区切った措置でありますので、それ以前の恒久的な時期の水準に戻して歳入の規模におおむね見合ったものにすると、こんな趣旨で使っているものでございます。
 今の行財政構造改革プログラムにいろいろ県民の皆様に痛みをお願いしなければならないものもいろいろ入っているわけでございまして、説明責任をしっかりとした上でそうしたことをお願いしていかなければならない、今それを実行しているわけでございますが、そうしたプログラムとそれから例の40の政策がありますので、それを着実に推進することによって、県民の皆さんが本当に豊かさを感じられるような地域社会を実現すると、その目標に向かって進んでいきたいと思っております。
 私は、そういうしっかりとした自分の身の丈といいましょうか、その置かれている位置といいますか、そういったものをしっかりとそれぞれの人たちに認識していただくということがあれば、必ずこれは将来の飛躍につながっていくものと考えているわけでございまして、今の時期は、こうした地域社会の実現、安心して過ごしていただける、そうした地域社会の実現に向けて大きく飛躍するためのいわば準備や助走期間と、このように位置づけているものでございます。
 その他のお尋ねは、関係部長に答弁させますので、御了承をお願いいたします。
   〔総務部長時澤忠君登壇〕

〇総務部長(時澤忠君) 指定管理者の選定に係る客観性、公平性の確保についてでありますが、この指定管理者の指定に当たりましては、複数の申請者に事業計画書を提出していただきまして、最も適切な管理を行うことができる者を選定することが望ましいということで、原則として公募するということを考えております。また、指定管理者の候補者を選定する際には、選定委員会というようなものを設けることを想定しておりまして、これによりまして、客観的、公平的な立場から候補者の選定をするということを予定しております。
 なお、指定管理者の選定審査の段階での客観性、公平性を確保するために、その選定委員会には、単なる指定管理者の候補者の選定というものだけではなくて、審査基準の策定あるいは募集要項の策定段階からかかわっていただくというようなことも想定して、現在作業を行っているところでございます。
 次に、指定管理者が撤退した場合の対応等でございます。
 指定管理者が指定を取り消された場合や業務の一時停止を命じられた場合など、指定管理者が万が一何らかの事情により管理体制が整わなくなるというような理由によりまして、撤退するというようなことも考えられるわけでございますけれども、そういった場合につきましては、施設の一時閉鎖あるいは一時的に県が直営で管理するというようなことが考えられます。しかしながら、公の施設というものは一般県民の平等な利用に供される施設でありますし、また、入所者のある施設、こういったものもありますので、閉鎖ということは事実上不可能でございますので、施設の公共性、利用者に対するサービスの維持向上を図るということを第一に考えますと、速やかに再募集を図るというようなことを行うことが必要になるのではないかと考えております。したがいまして、このようなことがないということが一番望ましいことでございますので、指定管理者の選定に当たりましては、管理計画に基づく施設の管理を適正かつ確実に実施する能力があるか、これを十分に審査する必要があるというふうに考えております。
 指定管理者に対して担保の提供を求めるということがございました。
 指定管理者の指定に当たりましては、相手からあらかじめ担保等の提供を求めるということにつきましては、地方自治法上根拠規定がないということから、できないと考えられております。
   〔地域振興部長山口和彦君登壇〕

〇地域振興部長(山口和彦君) まず、NPOの将来的な展望についてでありますが、NPOの育成については、県では運営基盤の強化を図ることを目的として、平成15年度から3カ年間を集中的に支援することにしております。NPOには、行政にはないさまざまな特性がありまして、それらの特性を県政に取り入れることによって、行政サービスの質の向上が図られることが期待されており、官から民への行財政構造改革等の流れもあり、今後とも、県としてNPOとの協働を推進するべきと考えております。そのことによりまして、NPOの自主性、自律性がさらに高まるものと考えております。
 現在146ほどのNPOがございます。その中で、NPOというのは最終的には自立していただきたいと思っておりまして、そのために、税制とか財政とかさまざまな面で今一生懸命支援しておりますが、そういうことで、いずれ3年間は集中期間で、一生懸命支援してまいりたいと思っております。
 次に、IT施策についてのお尋ねでございます。
 携帯電話の不感地域解消につきましては、これまでも県では市町村の要望を踏まえ、通信事業者に対してサービスエリアの拡大を要望してきているところでございます。また、採算性などで通信事業者が参入しない条件不利地域のうち、県では一定以上の居住人口を有する地域や観光地を有する地域で、かつ、通信事業者との調整を図られたところについては、国庫補助制度を活用して不感地域の解消に努めてきたところでございます。ちなみに、過去5カ年間の国庫補助による整備は10地域となっておりますが、平成13年度からのこの3年間では8地域、今年度も3地域と、着実に整備を進めてきているところでございます。
 携帯電話につきましては、現在、県内でも約半数の方が所有しており、単に通話利用のみならず、手軽にメールやインターネットを利用できることから、情報の受発信手段としてますますその重要度を増してきているところであり、今後とも通信事業者との調整を図りながら、不感地域の解消に努めてまいりたいと考えております。
 昨年6月に、地方単独事業というものをつくったわけですが、これにつきましては、昨年11月に地方単独事業の制度改正がちょっと行われておりまして、現在まだ最終的には調整がとれておりませんので、それが総務省との間で決まった段階で、その後に単独事業についても実施したいと思っております。ことしは5カ所ぐらい考えております。
 次に、地上波デジタル放送についてでありますが、地上波デジタル放送については国の政策として進められているものであり、本来、国と放送事業者において全国あまねく受信できるよう、適切な対策を講じるべきものと考えております。県内民放各社の取り組みとしては、現在、岩手県地上デジタル放送推進協議会を中心に、2006年末――平成18年でございますが――に予定されているデジタル放送開始に向けて、親局や中継局の整備計画の調整が行われているところでございます。
 なお、県では、2011年7月――平成23年ですが――に予定されておりますアナログ放送の停止までに、県内の地上波デジタル放送網の整備の状況やデジタル波の特性などから、新たな難視聴地域が発生するおそれもありますので、4月に開催された全国知事会情報化特別委員会の場で問題提起するとともに、去る6月21日には、国、全国知事会、民放連に対し、速やかに地上放送デジタル化の整備計画に関する情報を公表すること、また、本県のように地理的条件が不利な地域については、国において政策的な配慮を行うよう提言したところでございます。
 今後も、機会あるごとに、国、放送事業者が責任を持って対策を講じるよう、働きかけていくこととしております。
   〔県土整備部長橋本義春君登壇〕

〇県土整備部長(橋本義春君) まず、社会基盤整備における選択と集中についてでありますけれども、県財政が非常に厳しい状況にありますことなどから、行財政構造改革に取り組んでいるところでございまして、公共事業についても、限られた予算の中で投資効果が最大限発揮できるよう、より一層の選択と集中によりまして、県民にとって真に必要な事業に重点化を図ることが重要であるというふうに考えてございます。このため、平成16年度においては、早期完成、投資効果の早期発現に向けまして継続箇所を重点的に整備することといたしまして、また、新規箇所の採択に当たっては、公共事業評価をもとに必要性等を勘案しまして箇所を厳選し、緊急性の高いものから優先的に予算措置を行ったところでございます。その結果、公共事業費全体が削減される中にありまして、重点化を図った結果、継続箇所が完了したことなどによって、他と比べまして公共事業費が減少となった地域も生じたところでございます。
 厳しい財政状況は今後も続くことが予想されまして、限られた財源の中で県民の要望のすべてにこたえることは難しい状況ではございますが、今後の社会資本の整備に当たりましては、従来のハード事業に加え、ソフト的な対策もあわせて実施するほか、地域の実情に応じたいわゆるローカルスタンダードを導入するなど、事業内容や実施のあり方を不断に吟味しながら、より県民に満足していただけるよう、事業の推進に努めてまいりたいと考えております。
 次に、港湾の利活用についてでございますが、港湾の利活用については、官民一体となった組織的な取り組みが必要であることから、本年5月に岩手県港湾ビジョン・アクションプラン推進協議会を設置したところでありまして、今年度は内陸部における集荷体制の確立と物流ネットワークの構築に向けて、市場調査や主要道路の現地調査を行うなど、本協議会を中心としてアクションプランを着実に推進していくこととしております。
 なお、久慈港においては、久慈地方振興局、久慈市並びに地域の産業界で構成いたしますアクションプラン推進協議会久慈港部会が、ケイ石や建設用石材等の鉱産物や新たな貨物の発掘によりまして取扱貨物量の増大に取り組むこととしておりまして、県としても一体となって推進してまいりたいと考えてございます。
 次に、公共事業の連携のあり方についてでありますが、公共事業の実施に当たりましては、これまでも事業の計画及び実施段階において、関係機関との情報共有や具体的な調整に努めてきたところでございますが、事業主体の違いやそれぞれの工事の特性などから、調整が困難な場合もありまして、一連の工事が複数年にわたるなど、利用者である住民にとって必ずしも納得のいく内容とはなっていない場合があると認識しております。特に、ふくそうする市街地などにおきます工事に当たりましては、御指摘のありましたように、各事業者が連携して効率的な事業の執行に努めることが、ひいては工期の短縮や相互の費用の削減につながるということから、今後、さらに一層調整に努めますとともに、住民の方々に対しても十分な説明を行うなど、御理解をいただけるように取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、八戸地区との交通アクセスの充実についてでありますが、八戸と久慈地区のアクセス道路としては、計画路線であります八戸久慈自動車道や国道45号、主要地方道八戸大野線等がございます。このうち主要地方道八戸大野線につきましては、順次隘路区間の解消に努めてきたところでありまして、現在、大野村明戸地区や向田地区において道路改良工事を行っているところでございます。県としては、快適な道路環境を確保し、交流促進や観光振興にも資するため、これらの箇所の整備を進めてまいりたいと考えております。
 次に、八戸久慈自動車道の早期着工に向けた取り組みについてでありますが、八戸とのアクセスで最も重要な路線であります八戸久慈自動車道は、久慈市の3.2キロメートルが供用されているものの、残る本県側の27キロは基本計画区間のままとなっております。県といたしましては、この区間の整備計画区間への格上げに向けて、関係市町村で構成されております八戸・久慈自動車道建設促進期成同盟会と連携を図りながら、引き続き国に対しまして積極的に働きかけてまいりたいと考えております。
   〔農林水産部長今泉敏朗君登壇〕

〇農林水産部長(今泉敏朗君) 地産地消の推進についてでありますが、加工食品における地産地消を推進するためには、食品加工に携わる人と生産者との間で地元産原料が安定的に確保されるという、そういう仕組みをつくり上げることが必要であります。そのためには、やはり集落の中で原料生産者と食品加工を営む者とが相互に結びつきを強化し、創意工夫を凝らした原料生産から加工・販売までを一体的に取り組んでいくことが大事だと考えております。したがいまして、県といたしましては、市町村や農業団体等と連携を図りながら、こうした取り組みが関係者の頻繁な話し合いにより、早期に軌道に乗るようにコーディネートし、その実践のための条件が整った地域に対しては、必要な生産体制整備等を支援してまいるというふうに考えております。
 いずれ、こういった取り組みを通しまして、地元産原料の安定確保のための仕組みをつくり上げる支援をしてまいりたいと考えております。
 次に、補助事業のあり方についてであります。
 森のトレー事案に係る林業構造改善事業につきましては、計画予備段階協議において、幹部職員を含む複数により総合的なチェックを行うとともに、生産技術面、事業規模、販路及び収支計画がすべて適正であることが確認されるまで、繰り返し審査・指導することとしました。また、特殊な機械施設等の製造や設置に当たっては、事業主体に中間検査を行わせること、また、完成検査については、施設等が仕様書どおりの性能を有していることを確認させることとしました。事業終了後におきましても、地方振興局や市町村による事業体への事後指導を徹底するほか、主要な事業体には本庁職員が直接経営指導を行うこととしました。また、事業で導入した施設は、一般金融機関の担保設定が認められないことについて周知徹底を図りました。
 いずれ、マニュアルができたからよしということではなく、そこにある精神そのものが、きちんと職員の自主行動の中に刷り込まれることが重要だろうと思っておりまして、日々そうした観点に立って職員の指導を行っております。
 これ以外の農林水産部所管の補助事業につきましても同様な取り組みを行うよう、周知徹底を図っているところであります。
 なお、過般、農林水産部所管の事業のうち、一定額以上の規模について点検を行いましたところ、いずれも適切な取り組みがなされていると認められたところでありますが、今後におきましても、議会の附帯意見の趣旨を踏まえ、より一層、適切な事業執行に努めてまいりたいと考えております。
   〔商工労働観光部長酒井俊巳君登壇〕

〇商工労働観光部長(酒井俊巳君) まず、魅力ある地場観光商品の開発についてでありますが、県では、これまで官民連携して、魚彩王国事業あるいは三陸夢紀行創造事業などの取り組みを行いまして、三陸地域における観光資源の発掘、広域観光ルートの設定等を行ってまいりました。現在はこれらの取り組みを引き継ぎながら、三陸ならではの魅力ある旅の提案として、ゆったり・ぬくもり岩手の旅推進事業において、例えば、久慈琥珀博物館や天然塩づくり体験、平庭高原トレッキングなど、地域の魅力ある資源を盛り込んだ新しいモデルコースを設定しており、旅行エージェントに対し、これらのコースの商品化を働きかけているところであります。
 また、八戸駅など新幹線主要駅から本県に観光客を誘導するという観点からは、こうした商品の開発とともに、特にそういった主要駅と観光地を結ぶ2次交通を確保した商品の開発が必要だというふうに考えてございまして、昨年度は鉄道と周遊バスを利用した八戸から久慈、田野畑を経由して宮古駅まで結ぶコースの商品化を支援したほか、本年度は宮古駅から田老、田野畑、久慈を経由して八戸駅までを観光バスで結ぶコースなどの商品化が、民間ベースで実現をされているところでございます。
 今後も、こうした取り組みを官民協働のもと進めながら、東北新幹線の開業の効果が県北・沿岸地域に広く普及するように努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、中心市街地の活性化に関し、消費者サイドからの調査を行うべきというお尋ねでございますが、県では新たな中心商店街の活性化対策について検討するため、本年度中に地域ごと、具体的には各地方振興局単位になると思いますが、消費者や生活者あるいは地域外からの転入者――これは地方振興局の職員と考えてございますが――を対象としたアンケートを行うこととしているところでございます。現在、これらのアンケートに先立ちまして、県内各地の商店街の商店主の方にヒアリングやアンケートを行ってございますが、実施予定の消費者を対象とした意識調査とこれらの調査を分析、比較検討することによりまして、より売る側の論理ではなく、買う側、消費者の側に立ちました商店街づくりを進めるための参考になるものと考えてございます。
   〔教育長佐藤勝君登壇〕

〇教育長(佐藤勝君) 学校給食における地産地消についてでありますが、学校給食は健康教育の一環として、食育の中の重要な位置づけにあります。学校給食の食材は、いわば生きた教材ということで活用できるわけでございますが、地元農協、地域婦人団体、産直組合などと連携いたしまして食材購入を進め、学校給食用食材として利用している状況にあります。さらに、地元食材を利用した郷土食あるいは行事食を献立に取り入れるなど、県内各学校におきましてはそれぞれ地域の特性を生かし、工夫を凝らしながら、学校給食を通して、特色のある積極的な地産地消の取り組みを進めている状況にあります。
 また、学校給食の場での児童生徒への認知方法はどのように行われているのかについてでありますが、各教科ごとの授業の中などにおきまして、地域の食文化それから食料の生産・流通及び消費についての学習が行われております。特に給食の時間にありましては、例えば食材として使用されている農林水産物、これを子供たちにどうやって価値観を認識させるかということで、どこのだれがつくった農作物なのか、あるいはどこでとれた水産物なのか、これを放送で説明いたしましたり、あるいは学校栄養職員が作成した一口メモ、これを担任がその学年に合った言葉で紹介するといった例、また、場合によっては、生産者の方が直接学校においでいただいて説明するという、こうした食材へのこだわりや親近感を持たせるような工夫した取り組みが行われている状況にあります。さらに、親子で地元食材への関心を高めるため、学校給食の献立を1カ月ごとに各家庭に配布し、地元食材については説明を加えるなど、地元食材への理解を深める取り組みも学校におきましては行っている状況にあります。

〇2番(中平均君) 簡潔に1点お伺いします。
 先ほど補助事業のあり方について農林水産部長より御答弁いただきました。農林水産部内での取り組み、まさにそのとおりやっていっていただくと思いますが、知事に対してお伺いいたしますけれども、補助事業、農林水産部所管だけではなく各部局あると思うんですが、その全般に関して、前回2月のときの附帯意見を受けて、今、県としてどのようにやっているか、確認の意味も込めまして質問させていただきます。

〇知事(増田寛也君) この森のトレー事件の補助事業執行は大変遺憾なことでございまして、私どもその反省に立って事業を進めていくわけでございますが、そもそも私はこうした補助事業、林業構造改善事業のみならず、農林水産省所管あるいはそのほかの省庁所管の補助事業がさまざまございますが、こうしたものはすべて廃止をすると、そして一般財源化をするということが一番地域に合った生きた使い方になるので、まずそのことを強く国の方に主張したいと思っております。その上で今年度も、現実にはさまざまな補助事業を執行しておりますので、その事案の反省に立ちまして、具体的には、先ほど申し上げました農林水産部長の話も含めまして、一般的に言いますと、そもそも事業に対するこうした社会的な要求が本当にあるのかどうかといったようなこと、それから、そうした事業をやり遂げる人材がしっかりといるかどうか、それから幹部職員を初め、管理・監督の立場にある人間が事業執行にしっかりと当たっているのかどうか、そして、もちろん事業をやるについては法令に基づいて行っているわけでございますが、そうした法令に違反していないかどうか、的確なチェックがなされているか、それぞれの事業の執行の段階、節目節目というのがございますので、それぞれの業務執行の段階ごとに一つ一つ確認をして進めていくように、繰り返し繰り返し県庁内でそのことを徹底しているわけでございます。私の方から研修などで話もしておりますし、それから実際にさまざまな事業がございますので、所管部長がそれぞれの課長なりあるいは担当者の方に話をし、また、課長あるいはそれぞれの現場で今言ったようなことを繰り返し繰り返しやっておりまして、先ほど農林水産部長が言いましたけれども、単なるマニュアル化をしてそれでやるということではなくて、意識の中までしっかりとそれが刷り込まれるように取り組んでいるところでございます。
 今後も引き続きしっかりとした取り組みを確実に進めていきたいと、このように考えております。
   

〇副議長(菊池勲君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時36分 休憩
   

出席議員(47名)
1  番 亀卦川 富 夫 君
2  番 中 平   均 君
3  番 ザ・グレート・サスケ 君
4  番 木戸口 英 司 君
5  番 関 根 敏 伸 君
6  番 野 田 武 則 君
7  番 平 野 ユキ子 君
8  番 高 橋 雪 文 君
9  番 嵯 峨 壱 朗 君
10  番 平   澄 芳 君
11  番 工 藤 勝 子 君
12  番 平 沼   健 君
13  番 柳 村 典 秀 君
14  番 飯 澤   匡 君
15  番 田 村   誠 君
16  番 大 宮 惇 幸 君
17  番 千 葉 康一郎 君
18  番 新居田 弘 文 君
19  番 工 藤 大 輔 君
20  番 川 村 農 夫 君
21  番 樋 下 正 信 君
22  番 照 井 昭 二 君
23  番 柳 村 岩 見 君
24  番 阿 部 静 子 君
25  番 阿 部 富 雄 君
26  番 斉 藤   信 君
27  番 田 村 正 彦 君
28  番 佐々木 順 一 君
29  番 佐々木   博 君
30  番 及 川 幸 子 君
31  番 阿 部 敏 雄 君
32  番 吉 田 昭 彦 君
33  番 小野寺 研 一 君
34  番 千 葉   伝 君
35  番 小野寺   好 君
36  番 伊 沢 昌 弘 君
38  番 吉 田 洋 治 君
39  番 佐々木 一 榮 君
41  番 渡 辺 幸 貫 君
42  番 高 橋 賢 輔 君
43  番 藤 原 良 信 君
44  番 佐々木 大 和 君
45  番 藤 原 泰次郎 君
46  番 菊 池   勲 君
47  番 工 藤   篤 君
48  番 小 原 宣 良 君
51  番 佐々木 俊 夫 君

欠席議員(2名)
40  番 伊 藤 勢 至 君
50  番 佐 藤 正 春 君
   

説明のため出席した者
休憩前に同じ
   

職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   

午後3時54分 再 開

〇副議長(菊池勲君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。阿部静子さん。
   〔24番阿部静子君登壇〕(拍手)


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