平成16年6月定例会 第8回岩手県議会定例会 会議録

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〇8番(高橋雪文君) 自由民主クラブの高橋雪文でございます。
 通告のとおり、順次質問をいたしますので、関係当局の明るい、わかりやすい答弁をお願いいたします。
 平成17年3月末日までの合併特例法も大詰めを迎え、問題を抱えながらも全国的な市町村合併が進んでいるところであります。また、増田知事を中心とする北東北の知事による道州制への発言は、これからの日本の形を示す重要な提言を与え、国会でも少しずつ声が高まっております。この流れは、国や地方自治体の財政状況を打開するという後向きな理由での議論が活発ですが、中央集権または中央依存から、まさしく地方分権、地方の自立を真に築き上げるための議論でなければならないと感じます。市町村合併や道州制による自治体の広域化は、権限や財源の移譲が大きな論議の中心であり、現行の財源確保策では県民サービスの低下は目に見えております。自主財源が3割程度しか確保できない岩手県の実情を考えれば、もっと財源の確保を強く国に訴えるべきであります。
 そこでお尋ねいたしますが、いまだ経済事情の見通しが立たない本県の実情や人口減と高齢化率の高まりの中で、岩手県の財政見通しをどのように考え、どのような財源確保策が必要と考えているのか。そして、どのように岩手県の声を国や県民に訴え、県財源に結びつけていこうとするのかお聞きいたします。
 また、合併によって自治体が広域化されることで懸念される問題を解決するために、住民参加と小地域化によって行政サービスを補う必要があると考えます。地方分権時代に必要なものは、自分のことは自分でする自助、自分だけではできないことを地域で支え合う互助、そして、地域住民の力だけではできないことを行政機関などに付託する扶助、これらがしっかり連動して取り組む環境づくりが求められています。
 これまでの日本は、ごみ問題を初め高齢者福祉、子育て支援など、予算と制度を整え行政に依存する形でサービスの充実を図ってまいりました。しかしながら、経済発展が著しく伸びる要素が少ない日本の経済状況や大きく改善することができない財政状況、そして、少子・高齢化社会に対応していきながら住民サービスの質を低下させない施策は、まさに住民の意識改革と住民参加のまちづくりをいかに図るかによると言えます。増田県政においても、岩手県の農村部で見られた結、てまがえなどを取り上げ、盛んに住民参加を呼びかけておりますが、さらに住民参加を促進する施策と、行政と住民活動をつなぐコーディネーターの育成に力を入れるべきだと考えます。
 まず、これまでの既存の自治組織を生かす取り組みが必要でしょう。その最も頼るべきものは、町内会や自治会、消防団ではないでしょうか。しかしながら、都市部を中心に町内会や自治会、消防団の活動は参加者の減少や高齢化によって活動が低下し、維持すらも難しくなっている現状があります。特に若年層の参加率は低く、公共に対する意識は危機的だと言えます。この打開策は、これからの地方分権の意義を伝えながら、岩手県や市町村が明確な支援を行うことです。そして、自治体職員が積極的に、町内会員としてまたは消防団員として参加することだと言えます。これら既存組織について、増田県政はどのように考えているのか、県職員の参加実績をどのように把握しているのでしょうか。また、職員が参加することの意義について、増田県政はどのように考えるのか。さらに、各自治体に参加促進を呼びかけるべきと考えますが、どのようにすべきだと思いますか。市町村単位で行われている各助成制度が削減の傾向にあります。その育成には応分の支援が必要と思いますが、どのように考えておられるのでしょうか、お知らせください。
 次に、NPOに対する支援と人材育成について質問をいたします。
 NPO法人格の取得が増大しておりますが、ボランティア活動に対する育成支援もさらに強化すべきと言えます。特に、盛岡を中心に紹介しますと、コミュニティ・ビジネスという新しい概念を利用した松園ライフサポートや地域通貨――エコマネーを利用した事業も広がり始めております。また、同じく西松園地域では、住民と企業そして自治体が一体となって公共施設をつくるグランドワークという手法で公園づくりが行われています。平成12年5月にはなかよし公園、平成14年には手がた公園がつくられ、地域ニーズが反映された温かい公園づくりが行われております。行政がこれまで手がけてきた予算の3分の1以下で施設整備ができるのも魅力の一つです。このような新しいシステムは、まちづくりに大きな活力と住民参加を積極的に促す役割があります。しかしながら、これらをサポートし、普及させ、完成に導く人材が余りにも少ないと言えます。まさに地域に根を張ったコーディネーターの人材育成が急務であります。
 そこで質問いたしますが、ボランティア活動をどのように支援していくのか、多様な活動に対する支援をどのように行う考えなのか。NPOサポートルーム並みの支援体制で十分と考えるのか。また、新しい手法や制度を活用させるために、人材育成をどのように図り、どのように確保していかれようとするのでしょうか。また、住民参加を図るためには、行政職員が積極的に土日などを有効に利用して、地域活動のリーダー役として参加することが理想と考えます。また、そのような活動をしている人材は積極的に評価していくべきだと考えます。このような積極参加を促進することに対して、どのように考え、どのように啓発するべきでしょうか。また、社会活動を評価すべきと考えますが、この点をどのように考えているのか、お示しください。
 また一方で、NPO法人格の信頼性を利用した犯罪まがいの活動も全国的に報告され始めているようです。このような問題に対してどのように対応していかれるのでしょうか。
 次に、NPO法人の指定管理者制度への参入について質問をいたします。
 法人格を取得したからといって、特に実績のないNPO法人は信頼を確保することが難しく、また、通常の法人と比べ、その参入のハードルは高いと言えます。しかしながら、その業態に精通し問題意識を持つ集まりであることから、新たな価値観を創造できる可能性も秘めており、大いに期待したいところです。指定管理者制度の適用施設に対して、NPO法人へどのような姿勢で臨むのかをお聞かせいただきたい。
 なお、NPO法人の事業に対する税への対応は国ではこれからの議論のようでございますが、その整合性をどのように図っていくお考えなのでしょうか。選定は入札などによると思われますが、民間企業との条件緩和などを考えているのかをお知らせください。
 次に、NPO法人によるスポーツ育成事業についてお聞きいたします。
 岩手県内で釜石シーウェイブスが、単独社会人チームから地域を巻き込んだクラブチームとなり、子供から大人まで、地域とともに歩む西欧型のスポーツクラブとして出発し、浸透してまいりました。また、この岩手県は、Jリーガーの小笠原満男を初め、第一線で活躍する人材を育てている全国でも屈指のサッカー県でもあります。昨年12月にJリーグチームを盛岡に作る会がNPO法人に認定され、2月にも、遠野市ではFCとおのがNPO法人格を取得し、サッカーの活性化を図るために動き始めました。このJリーグチームを盛岡に作る会が母体となり、東北社会人2部リーグからグルージャ盛岡がJリーグ入りを目指し、スタートを切っております。このリーグを勝ち残り、東北社会人1部リーグ、次にJFL、そしてこの上のJ2を目指し、現在のところ、順調に負けなしで進んでおります。
 日本サッカーは、プロリーグ化そして日韓でのワールドカップを経て徐々にスポーツ人口を拡大させ、サッカーは野球に並ぶメジャースポーツになりました。そんな中で、同世代の若手との会話の中でも、この岩手からもJリーグチームをつくりたい、そんな声を聞くことも多くなっていた時期でありました。そんな多くの声に支えられて、全国初のNPO法人母体のJリーグチームづくりが開始されたわけであり、私も大変期待しているところでございます。全国では、まちづくりの柱に、地元のサッカーチームを生かしている地域がふえております。新潟の勢いは御存知のとおりですが、草津など地方都市で、まちの活性化を考えた事業が報告されるようになってまいりました。活力を失いつつある今こそ、夢が必要なのであります。
 そこでお尋ねいたしますが、国体の成績が低迷する本県ではございますが、県民の健全な体力づくり、健康づくりにも、このように地元に根ざしたクラブチームの育成が不可欠と思いますが、このような動きをどのように考えておられるのか、また、クラブチーム育成の支援をどのように考えておられるのでしょうか。さらに、プロなどを目指す選手育成のための施設使用要件の緩和や県の体育関係団体との連携も不可欠と思いますが、いかがでしょうか。
 また、サッカーだけではなく、手軽に競技を楽しめるフットサルの競技人口も年々増加しております。特に、既存の体育施設などでの使用も求められているようですが、利用できる施設に制限があると聞いております。使用要件の緩和を図るべきと思いますが、いかがでしょうか。
 また、壁やガラスなどを守るための網などの必要な措置をしなければならない場合、1施設当たりどれほどの経費がかかるものでしょうか、あわせてお聞きいたします。
 また、順当にグルージャ盛岡が勝ち進んだ場合、3年から4年でJリーグ入りをすることになります。Jリーグに昇格するためにはさまざまな要件がありますが、自治体にかかわるものとして最も大きなポイントは、1万5、000人を収容できるスタジアムの施設整備があります。県内には、この規定を満たす施設はなく、現在のところ、Jリーグの試合そのものを岩手県に誘致することすらできない状況であります。
 そこでお尋ねいたしますが、全国でこの規定を満たせない都道府県はどれだけあるのか。また、サッカー人口や社会的な需要の高まりに比べると、とかくソフトが先行している一方で、ハード面のおくれを感じます。サッカー関連施設整備などの要望がないものか、質問をいたします。
 また、あわせて、東北の最大の問題は冬季間の雪であり、スポーツの南北格差を生んでいると長年言われ続けております。野球、サッカーの室内での試合はもちろん、練習ができないのも岩手県だけとも言われております。屋外型のメジャースポーツに対するドーム型の競技施設の要望が体育協会からあると聞いておりますが、そのほか、民間ではその要望があるのかどうかを質問いたします。
 続きまして、オストメイトに対する支援について質問いたします。
 さきの議会で、県内自治体施設にオストメイト対応のトイレの導入を推進してもらいたいという趣旨の請願が、全員賛成で可決いたしました。その後も県内の各地でオストメイト対応トイレの導入が図られ、認知度も増してまいりました。
 そこで、まず県内の公共施設整備に対しましてどのような指導をなされているのか質問いたします。さらに、今後の取り組みについてもお聞かせください。
また、盛岡駅西口の複合施設が徐々に形となっておりますが、ノーマライゼーションの考えのもとに、バリアフリーの考えがかなり行き渡っているとお聞きしております。特に、トイレ施設は、さまざまな障害に対応し寝たまま排便などの処置ができるなど、先進的なアイデアが生かされていると聞いております。どのようなトイレを設置し利便性を高めようとするのか、概要をお知らせください。
 先日、オストメイトの方と話す機会がありまして、県内の前向きな設置に感謝の言葉があり、少しずつではあるが、外に出ることに不安が少なくなったということをお伺いしました。その一方で、今後改善されてほしい要望も多く聞かされました。その一つが、長時間利用することが多い高速道路のトイレが、全くオストメイトに配慮されていないということでした。道路公団管轄ということで、国まで話を持っていかなければならないのではと話したところ、各都道府県の声を重視しながら改善されると聞き、ぜひ岩手県から障害者の声を上げていただきたいと要望されました。この要望に対し、県はどのようにこたえていくのかお知らせください。
 また、災害時のストーマ用装具の配備も検討してほしいとのことです。日本オストミー協会の調査によりますと、災害時の医療機器にこのストーマ用装具を含めている都道府県は六つあり、今後検討していくとしている自治体も九つあると明らかにいたしました。本県において、オストメイトが利用するストーマ用装具の配置はどのようになっているのでしょうか。また、今後は配置を検討する意思があるのでしょうか。さらに、配置を妨げる障害がある場合、それはどんなことなのか御説明ください。
 また、オストメイトは高齢者が多く、介護の対象になっている方も多いようです。しかしながら、介護保険制度下では、オストメイトのパウチ交換は医療行為とみなされ、ヘルパーがパウチ交換をできないことになっております。ところが、自治体の一部では介護保険制度の運用を工夫し、ヘルパーによるパウチ交換を認めているところもあり、対応はまちまちであるとされています。岩手県内の実情はどう把握されているのか。また、顕在化している今日、介護保険利用者の声を聞きながら、パウチ交換を認めていく方策を提言すべきと思いますが、いかがでしょうか。
 また、関連しまして、介護保険制度でほかの障害への支援業務においても、比較的簡単な業務でも医療行為とみなされ実情に合わない介護になっており、ヘルパーが離れていく事例もお聞きしております。どのような報告がなされているのか、まずお知らせください。そして、その報告などに対して今後どのような改善策で臨むのでしょうか。
 次に、有料老人ホームについて質問いたします。
 高齢化社会に対応してさまざまな施設が増設されておりますが、高齢者福祉の向上とともに、地元建設業界の新たな取り組みとして注目を浴びているのは周知のとおりであります。その中で、助成を受けずに施設整備を行う有料老人ホーム施設が、東北地区の他県では少しずつ認められているようであります。青森県は19カ所、宮城県7カ所、秋田県、山形県、福島県も2カ所から4カ所ずつ認められておりますが、岩手県はいまだにゼロの状況であります。先日訪問しました八戸市では、数件の施設が建設され運営も良好であり、サービスの多様化にも貢献していることを学んでまいりました。
 そこでお尋ねしますが、岩手県の有料老人ホームの取組状況についてお知らせください。また、民間で有料老人ホーム施設の問い合わせや相談がどれだけあるのでしょうか。また、今後、既存の補助金対象の施設整備と有料老人ホームとの関連をどのように図り、育成を支援していく考えなのかお示しください。さらに、県の既存福祉施設を民間に払い下げや委託をすることを検討していると聞いておりますが、具体的に、いつからどのような形で行おうとしているのか。また、払い下げなどの県のメリットは何なのか、そして業者のメリットは何なのか。さらに、懸念される利用者の影響などをどのように考えているのか、お知らせください。
 次に、県境の不法投棄について質問いたします。
 二戸市と田子町の不法投棄のキャッピング作業も終了し、若干のおくれを生じながらも、全面処理に向けて御尽力されている関係当局に深く感謝いたします。その一方で、排出事業者の責任追及が調査され、段階的に賠償請求など行われているようであります。追及されるべき排出業者は1万600社に上り、現在9割の調書が回収されているということです。その中で、東京都の業者が33%、次いで埼玉県が24%であり、首都圏の1都6県の排出業者は、全体の80%に上るとの調査結果が報告されております。今回の処理費用は約220億円、そのうち特例法で110億円余り補助されることになっておりますけれども、巨額の損害をこうむっているのは明らかであり、ひいては県民の税金が投入されることは理不尽でなりません。排出業者に賠償請求などを行い、幾らかは資金を回収できるとしても、関連して賠償請求作業などにかかった時間や金、人材など、目に見えない損失もはかり知れません。こうした排出都県の行政に対して、我々のようなところが一方的に被害県となっている現状に、憤りを感じている県民は多数おります。財政難の今日、この予算を建設業界の削減分に分配できれば、どんなに倒産する会社が削減できるだろうと、残念にも感じております。増田知事は、我が県が一方的な被害県にならないよう、原状回復制度の創設を考えているとしておりますが、具体的にどのようなものになるか、お知らせください。
 また、他都県へ責任追及または賠償請求する場合はどのような手続で行われるものなのか、また、実施はいつごろを見込んでいるのかをお知らせください。
 さらに、今の段階では、まず第一に排出業者に対しての行為が先になると明示しておりますが、具体的にどの時期でどのように責任追及を行い、どのように賠償請求を行ってお金を回収するのか。また、その回収金額の見込みとある程度の解決はいつごろになる見通しなのか、お示しいただきたいと思います。
 次に、教育問題について質問をいたします。
 全国の有識者で組織し、県立大学の西澤潤一学長を会長とする新しい教育基本法を求める会が、平成12年9月に、国に要望書を提案してから教育基本法の改正の動きが活発化し、さきの衆議院選挙では自民党が改正を訴え、ほか最大野党も改正の動きを主張するなど、教育基本法への改正の動きが本格的になってまいりました。今回、与党の中間報告によりますと、これまで反対意見を述べていた公明党も、国を愛する心や宗教的情操の涵養を組み入れた教育基本法改正にほぼ同意し、その骨子が明らかになってきております。この背景にあるものは、今回長崎で起こった事件を初めとして犯罪が低年齢化し、小・中学生でも大きな事件が起こっていることや、余りにも個人や自由が尊重され公共性が希薄になり、社会全体に悪影響を及ぼす事件が多くなっているからだと言えます。
 現在、日本は世界有数の経済大国でありますが、それは間違いなく先輩方の努力のたまものであり、その恩恵を今もって受けております。しかしながら、これからの時代は、その恩恵だけでは後世に健全な資産を受け、伝えられないところまで人間力や教育力の低下が起きていると、私自身も感じております。だからこそ、イギリスの抜本的教育改革が1988年の教育基本法改正から始まったように、この改正論議が憲法改正とともに高まっているのだと思います。この教育基本法改正の動きに対して、知事はどのように考えておられるのでしょうか。また、県民に深く議論の場を与えるべきと感じますが、いかがでしょうか。
 次に、教科書並びに副読本について質問いたします。
 学校現場の有力な教材となるのが教科書であります。この教科書をめぐって、前回の中学校の教科書採択は日本じゅうの話題となりました。特に、歴史教科書は日本の歴史にもかかわらず、多くの部分でアジアや西欧の視点で記載されており、自虐的な記載が目立つとして問題になりました。誇張された南京事件の虐殺問題、軍や政府の強制連行の事実がないにもかかわらず、強制的に慰安婦にされたとして記述された従軍慰安婦問題など、社会問題にまで発展いたしました。現行の歴史教科書では、誇張された南京の虐殺数はあいまいな表現になり、慰安婦問題を取り上げている教科書も減少しております。しかしながら、いまだに歴史問題は政治や外交の手段とされ、子供たちに健全な日本の歴史を伝えるに至っていないと感じます。
 そこでお尋ねいたしますが、岩手県の教科書採択の方法はどうなっているのでしょうか。前回の採択には、一部の政党や組合または外交筋などから採択妨害が行われたと言われておりますが、その事実はどうなのでしょうか。また、この影響を受けている採択はあるのかどうか、お知らせください。
 また、文部科学省の指導によりますと、教科書選定は各採択区の教育委員に責任があるとされています。しかしながら、全国的には学校票と呼ばれる形式で学校側の意向が強く、教育委員の教科書採択業務が形骸化し、適正な権限が行使されていないという実情が報告されています。その点はいかがでしょうか。
 また、この点を調べるために、採択時の審議会の議事録などを取り寄せようといたしましたが、審議内容は公表されず、議事録もないとのことでした。このことに非常に疑問を持ちましたので質問をいたしますが、審議内容はなぜ公表されないのか、また、国民的な関心がある中、議事録を作成しない理由は何か、また、情報公開が進んでいる中、審議過程が公正に行われているかを精査するために審議内容の公開は必要と思いますが、いかがでしょうか。
 いずれにせよ、教科書採択業務は文部科学省指導のように、教育委員の見識のもとに教科書を実際に手にとって協議し、適正な採択を行っていただきたいと思います。また、審議の透明さを確保し、県民、特に父兄に信頼を与えられる教科書採択を心から望むものであります。
 最後に、教科書検定外の副読本について質問をいたします。
 盛岡市では、中学校用、小学校用と、盛岡市出身の偉人を紹介した本が小・中学校の現場で副読本として活用されています。内容もさることながら、すばらしい取り組みであると感じております。郷土の偉人を知ることは、健全な地元への愛着や郷土の誇りを育てることになります。また、偉人伝によって、人生いかに生きるべきかなど人の生き方を学ぶ意味もありましょう。そして、何よりも本を読むことは、言葉の数をふやし、思考や情操などあらゆる面で人間としての完成に付与することだと言えます。
 そこで質問いたしますが、このような取り組みが他市町村でもあるのでしょうか。また、今後このような副読本の取り組みを支援するべきと感じますが、いかがでしょうか。
 いずれ教育は、学校だけではなく、家庭も地域も関心を持って取り組む必要があります。私たちは、問題が続出している今だからこそ、20年後、30年後を目指し、まずは日本の風土と伝統、文化に根差した日本人づくりに取り組まなければならないと思います。
 以上で一般質問を終わらせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 高橋雪文議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、本県の財政見通しと財源確保策、そしてまた、私の県財源の確保のための基本認識ということでございます。
 まず、財政見通しでございますが、ことしの2月の推計に基づく数字でございますけれども、昨年末の地方財政計画の内容が我々の想定を当初よりもはるかに超えた地方いじめの内容でございました。財源不足が拡大しておりまして、17年度から18年度の2カ年間で約440億円から680億円程度の――幅がございますが――財源不足というものを見込んでいるわけでございます。この財源不足額の解消に向けて、国に対して、国の財政再建を優先させるのではなくて、もっと抜本的な見直しに取り組むように強く働きかけをしております。内容としては、偏在の大きい地方税を地方交付税の財源とするなど、税制度の抜本的な改正が必要だろう、さらに、地方の実情を踏まえた地方財政措置に基づく所要の財源の確保、こうしたことが必要である、こういうことを申しあげておりまして、今後も機会あるごとに強く働きかけていくこととしております。
 また、現実にこのような大幅な財源不足が生じておりますので、県としても、地域経済の活性化策の推進を行いまして中期あるいは長期的な税源の涵養に努めていくのは当然でございますが、今の県行財政構造改革プログラムの一層の見直しを行うことが当面必要でございまして、県有未利用地の処分や資産株の売却の推進、特定目的基金の一層の見直しなどを行いまして自主財源の確保に努めていくこととしております。
 また、歳出全般につきましても、一切の聖域を設けることなく削減策の検討を行ってさらに歳出削減に努めたいと考えておりますが、今後の行財政運営の目指すべき姿、基本認識について申し上げますと、今まで自治体というのは、住民の期待に最大限こたえるためにということで、国に頭を下げてでも国から金を引き出すことに努力してきたわけでございますが、今後、人口の減少、そして高齢化の進展といった時代の趨勢の中で、そうしたことがさらに国家財政を悪化させることにもつながるわけでございまして、また、結局は地方の負担増につながってきた、こういう反省、認識がございます。これからは、税財源を地方に移管した上で、それぞれの自治体が住民と真正面に向き合い、限られた財源の中でサービスを提供する場合、住民が何を求めているかということを十分見きわめて施策を構築していくことが必要であろう。したがいまして、国に対して真の地方財政自立改革の実現を強く求めることと、我々自身も県民の皆さんと真正面に向き合って、受益と負担についてしっかりと議論しながら、施策の選択と集中を進めて質の高い行政サービスを提供していく考えでございます。
 次に、町内会、自治会、消防団についてのお尋ねでございますけれども、町内会、自治会は、老人福祉、交通安全、環境美化、広報活動などさまざまな分野で地域の住民が自主的に取り組んでいる地域コミュニティーでございまして、かつては、個人では解決できないことや地域のことというのは地域で支え合う中で解決をしていった、こういうことがございますので、自然発生的な地域コミュニティーで実にさまざまな取り組みが行われてきたわけでございます。まさにこれが住民自治の原点ということであろうと思いますし、今、議員の方から、自助、互助、扶助の話がございましたけれども、基礎的自治体である市町村よりももう一段階前の段階である町内会や自治会等の活動が大変重要である、このように考えております。市町村も、行政への住民参画という視点からこうした組織を大いに活用していくべきと考えておりまして、そのことによってより一層受益と負担の関係も明確になりますし、行政の透明性も図られる、このように考えております。
 また、消防団は消防組織法に基づいて設置されているものでございますが、その目的に従って、各種災害から住民の生命、身体、財産を守る、こういう使命のもとに住民有志で組織されているわけで、平常時の予防活動から初期の消火活動あるいは大規模災害時の防災活動など、実に多様な活動に取り組んでおります。こうした機関として、今後とも災害に強いまちづくりのため、地域に密着した活動の展開を期待しているわけでございます。
 こうした住民自治活動でございますけれども、これは基本的には個々の住民が自由な立場で参加すべきものと考えておりますが、県では、職員が業務を離れて自発的に地域貢献活動に取り組むことは、地域の一員として行政を現場から見詰め直すという意味でも行政の品質の向上を図る上で意義があるもの、このように考えておりまして、ボランティア休暇取得を制度化するなどの措置を講じておりまして、職員が地域貢献活動に取り組む環境の整備に努めているわけでございます。
 また、消防団につきましても年々高齢化が進んで団員数の減少が見られるということがございまして、その対応策の一つとして、県職員も含めた公務員の入団も有効でございます。また、住民の一人として地域防災活動に参加することは意義あることでございまして、県でもこれまで職員に消防団への入団について働きかけを行ってきたところでございますが、今後も入団についてさらに理解を求めるようにしていきたい、このように考えています。
 次に、県境の産廃の不法投棄事案につきまして、原状回復制度のことについてお尋ねがございました。
 県が行政代執行により原状回復を行う場合の国の支援措置というのは、いずれも県が相当額を負担するものとなっておりまして、これらの国の支援ではいまだ十分と言える状態ではない、このように考えております。
 そこで、公平な費用負担の観点からの望ましい原状回復制度としては、次の二つのことがあるだろうと思います。すなわち、国の調整により、被害県だけでなくて排出元の都道府県を含めて原状回復に要する費用について応分の負担を行う制度、これが一つでございます。もう一つは、原状回復費用を確保するため、排出事業者及び産業廃棄物処理業者が強制加入する保険制度、この二つの創設が必要だ、このように考えております。これらは、制度化する際には全国統一の制度として検討すべきと考えておりまして、我々としては、国に対して制度創設について提言活動を最近ずっと続けているものでございます。
 教育基本法改正の動きについてお尋ねがございましたが、これまでの我が国の教育は、教育基本法のもとで教育の機会均等や教育水準の向上などを実現してきたわけでございますが、社会環境が大きく変化しているということもございまして、私は、新しい教育のあるべき姿につきまして、ここでもう一度原点に立ち返って問い直してみることも必要、このように考えているわけでございます。この場合大事なことは、原点に立ち返って問い直す背景を十分に見きわめて、幅広い視点から国民的な議論が尽くされることである、このように考えております。
 こうした国の根幹にかかわる教育基本法の問題につきましては、国で教育フォーラムや教育改革タウンミーティングというものが再三にわたって開催されているところでございますが、県内におきましても、それぞれの立場、いろいろ考えがあると思います。それぞれの立場立場で積極的に議論がなされることを望んでおります。
 その他のお尋ねは関係部長に答弁させますので、御了承お願いいたします。
   〔地域振興部長山口和彦君登壇〕

〇地域振興部長(山口和彦君) まず、町内会や自治会、消防団への県職員の参加実績についてであります。
 町内会や自治会への参加状況等については把握しておりませんが、町内会等の地域貢献活動につきましては、自主的、自発的な参加であることを踏まえつつ、職員の取組状況を今後調査してまいりたいと思っております。
 消防団につきましては、平成15年4月1日現在60人の県職員が入団しております。
 各自治体への参加促進の呼びかけについてでございます。
 各自治体において、それぞれの職員が自発的に町内会等の地域貢献活動に取り組むよう、その機運を醸成すべきものと考えております。
 消防団につきましては、平成15年4月1日現在1、343人の市町村職員が入団しているところであり、全体の消防団員が減少する中、年々増加しております。市町村職員の消防団への入団は機会あるごとに市町村に対し働きかけを行ってきたところでありますが、今後においても入団について理解を求めてまいりたいと考えております。
 町内会や自治会に対する助成につきましては、基礎的自治体である市町村において、それぞれの町内会等の組織や活動内容、位置づけ等を勘案して判断すべきものであり、県としては特段の支援は考えておりません。
 消防団につきましては、消防組織法に基づき、市町村条例で設置することとされている機関であり、その費用は市町村が負担することとなっております。
 次に、ボランティア、NPOの活動支援についてであります。
 ボランティア、NPOは、自律性を損なわないように自主的に活動してもらうべきと考えており、県では、これまでいわてNPOサポートルームを設置し、NPOの組織運営や法人設立のためのアドバイス、県民へのNPO活動の啓発、NPOに関する情報の収集・提供を行うとともに、地方振興局単位で出前相談会を開催するなど積極的に地域に出向き、支援する体制をとってきております。また、県社会福祉協議会ボランティア活動振興センターにおいてもボランティアに関する相談等に対応しております。そのほか、活動への支援としてNPO基金による助成を行い、県民の参画と協働による地域づくりを推進するため、多くの県民がNPOやボランティア活動などの社会貢献活動に参画できるよう、その環境整備を進めてきたところでございます。特に、平成18年度には、NPOが自律した運営ができるよう、平成15年度から3カ年間を集中支援期間と定めて運営基盤の強化に取り組んでいるところでございます。
 次に、新たな手法の活用を進めるための人材の育成確保についてであります。
 近年、住民と企業、そして自治体が一体となって公共施設をつくるグランドワークの手法やコミュニティ・ビジネスの概念を利用した手法による取り組みが見られるところでございます。人材については、議員御指摘のような協働事業を実施する中で、住民が参加することによってはぐくまれていくものと考えております。また、これらの協働事業の成果や活動状況を情報誌等を通じて情報提供しながら、人材の育成確保に努めてまいりたいと考えております。
 次に、NPO法人格の信頼性を利用した犯罪まがいの活動への対応についてでございます。
 これまで本県ではそのような事例は報告されておりません。NPO法では、NPO法人について、みずからに関する情報をできるだけ公開することによって市民の信頼を得て、市民によって育てられるべきであるとされたところでございます。県としては、国の運用方針に準じ、認証段階では、市民から情報提供等により何らかの法令違反に該当することが推認されるなどの場合、また、認証取得後の監督段階で、報告徴収、立入検査、改善命令の対象となり得る要件が認められた場合には、当該法人等に対し市民への説明を要請するなど適切に対応していくこととしております。
   〔総務部長時澤忠君登壇〕

〇総務部長(時澤忠君) まず、職員の地域活動への参加促進と評価についてでございます。
 県職員の場合は、地域に身近な地方振興局では業務として地域活動や地域課題に対しまして住民の方と一体となって取り組んでいるものの、業務を離れての職員個人としての地域貢献活動についてはまだ弱い面があると考えております。この背景には、一般的に地域活動に対する考え方が多様化しておりまして、そのため、価値観の対立等から生ずる批判等を恐れるということで、一種の萎縮作用が働きまして地域の活動には積極的に参加しなくなってきているという実態、あるいは、これまでは地域への貢献活動が社会人として当然の務めであるという組織風土が弱い面、こういったことがあると考えております。
 しかしながら、県では行政品質向上運動を展開しておりまして、その中で業務を通じて社会貢献、地域活動を行うとともに、業務を離れましても、個人として、組織としても社会貢献活動や地域貢献活動に取り組むことを推奨しておりますので、今後、これまで以上に業務を離れた職員個人の自発的な地域活動について組織的に奨励・支援するとともに、このような職員の地域活動に対する積極的な取り組みにつきましても評価する方向で展開していきたいと考えております。
 次に、指定管理者制度導入に当たってのNPO法人に対する姿勢等でございます。
 指定管理者制度の導入に当たりましては、さまざまなノウハウを持った民間法人等が参入することができる環境を整備するなど、競争原理を導入することによりまして利用者に対するサービスの向上が図られることを期待しているところであります。また、指定管理者につきましては、それぞれの施設の性格、運営形態等を総合的に勘案いたしまして、民間会社やNPO等も含めまして対象施設ごとに現在所管部局で検討しているところでありますが、この指定管理者の選定に当たりましては、原則として公募することを考えておりまして、管理経費の縮減を図りつつ、その施設の効用を最大限に発揮するような施設運営ができる団体を選定することになると思っております。NPO法人には、指定管理者として個別の施設の管理運営を行うとした場合にどのような創意工夫を図ることができるかを含めまして、民間感覚を取り入れた事業計画を積極的に提案、応募していただきたいと考えているところでございます。
 税についてのお話もございましたが、NPO法人に対する税制上の取り扱いにつきましては、国におきましては、NPO法人に対して寄附を行う場合にのみ優遇措置を定めているわけでございますが、県では、平成14年3月に特定非営利活動法人に係る県税の課税免除に関する条例を制定いたしまして、法人県民税など4税目の課税免除制度を設けているところでございます。この課税免除制度は、NPO法人が指定管理者となる場合も含めまして、その活動の健全な発展を促進する役割を果たしていくものと認識してございます。
 次に、指定管理者の選定に係るNPO法人に対する条件緩和についてでございます。
 指定法人の選定に当たりましては、先ほど申し上げましたように原則として公募することを考えておりまして、事業計画等の提案を受けまして、価格面という効率性のみではなく、その施設の効用を最大限に発揮するような施設運営ができる団体を選定することを想定しておりますので、NPO法人に対してだけ条件を緩和することは困難だと考えております。ただし、それぞれの施設の性格及び運営形態から見まして、多様なノウハウを持ったNPO法人が参入できる可能性は十分にあると考えております。
   〔保健福祉部長佐藤敏信君登壇〕

〇保健福祉部長(佐藤敏信君) まず、オストメイトについてのお尋ねですが、人工肛門や人工膀胱を装着しておられる、いわゆるオストメイトと言われる方々に安心して社会参加していただくためには、特別な排せつ処理設備を持つトイレの整備が重要でございます。このため、公共施設のトイレ整備においては次のような対応を行っています。
 まず、平成13年度から、公共交通機関を含めまして通称バリア発見隊による点検と改善提言を実施してきているところでございます。この中で、オストメイト対応設備、これは汚物流しとかハンドシャワーなどが含まれるんですが、こうした設備の状況についても調査・点検を実施してきているところです。また、トイレをテーマにしましたセミナーとか、あるいは市町村職員ユニバーサルデザイン研修会の開催、技術的な手引書の配布などの啓発も行っているところです。このような取り組みの際にはオストメイトの方にも実際に参加していただきまして、助言をいただくなど、当事者、利用者の意見も十分伺っているところでございます。
 御質問にもございましたように、昨年12月に請願採択いただいたわけですが、以降、県の本庁舎を含めまして4カ所にオストメイト設備を持つトイレを整備済みでございます。今年度も5カ所で整備中でございまして、県としてもこのように率先して推進しているところでございます。市町村に対しましても、施設の点検調査や事例の情報提供等を通じまして、引き続き指導助言をしていきたいと考えております。
 次に、高速道路のトイレの改善に関する要望でございますが、道路公団主催の利活用の促進に向けた有識者懇談会かたるハイウェイネットワーク岩手というものがございますが、こうした場で県としても整備促進を働きかけていきたいと考えております。
 それから、盛岡駅の西口複合施設についてでございますが、障害者や高齢者、乳幼児、それに小さなお子さんを連れた親子連れなども使いやすいような多機能トイレと言われるものを各階に1カ所以上、計15カ所設置することとしております。このうち、先ほどから申していますオストメイトの対応設備を備えましたトイレを1階の共用部に1カ所設置する予定でございます。
 なお、ただいま申し上げました多機能トイレと言われるものには、センサー照明とか小荷物棚、折りたたみシートあるいはベビーチェア、それから視覚障害者用には誘導鈴など、多様な利用者の利便性を高める備品等を設置しております。
 次に、災害時のストーマ用装具の配備についてでございますが、まず最初に医療資機材全般の話を申しておきますと、まず災害時には、地域内の医療機関が相互に融通し合う仕組みとなっております。それでもなお不足する場合に備えて、県は、卸業者の団体である東北医療機器協会岩手県支部と協定を締結しておりまして、大規模な災害時にはこうした協定に基づく流通備蓄を活用いたしまして調達することとしております。
 御質問にありますストーマ用の装具につきましても、ただいま申し上げましたような仕組みや協定によりまして速やかに調達することが可能であると考えておりまして、通常想定されるような範囲の災害であれば、確保について当面障害はないと考えているところでございます。
 次に、オストメイトのパウチ交換についてでございますが、厚生労働省の公式見解によりますと、オストメイトのパウチ交換をやることにつきましては医療行為と考えているようでございまして、現状ではホームヘルパーは実施できないということのようです。したがいまして、運用による実施というものも、緊急時など特別な場合を除きまして、当面は公式には容認できないものであろうと考えております。こういう状況でございますから、実情については特別に把握しておりません。
 それから、パウチ交換を認めていく方策の提言についてですが、ただいま申し上げましたような厚生労働省の解釈を踏まえるならば、県としては、こうした医療ニーズの高い要介護者については、当面は看護師による訪問看護や医師による往診などで対応していただくべきなのだろうと考えております。
 それから、どのような報告がなされているかということですが、岩手県介護サービス事業者連絡会等からは、ホームヘルパーに対し比較的簡単な医療行為を行うことを利用者が希望することがあるという報告は受けております。そういうことですから、介護支援専門員がケアプランを策定する際には、ただいま申し上げましたような訪問看護を組み合わせるなど、適切なサービス提供が必要と考えます。今後とも、こうした方向で関係機関を指導してまいります。なお、介護サービス事業者の方々からのこうした報告については、必要に応じ、国に対しても情報提供していきたいと考えております。
 岩手県における有料老人ホームの取組状況についてですが、そもそも有料老人ホームは、老人福祉法上の届け出があれば設置できるものとされておりますが、高齢者に配慮した生活環境を確保するため、県として平成15年3月に岩手県有料老人ホーム設置運営指導指針というものを定めまして、この指針に沿って指導しているところです。有料老人ホームが介護保険の適用を受けますいわゆる特定施設というものになる場合には、各市町村策定の介護保険事業計画との整合を図る必要がありますことから、市町村と十分協議をするよう指導しているところです。
 有料老人ホームの設置に係る問い合わせ、相談は最近増加しておりますが、集計はしておりません。
 既存の補助金対象の施設整備と有料老人ホームとの関連等についてでございますが、ただいま申し上げました特定施設となる有料老人ホームについても、既存の補助金対象施設同様、岩手県介護保険事業支援計画の中で入所定員目標数を設定しているところでございます。平成17年度にこの岩手県計画の見直しを行うこととしておりまして、この中で特定施設となる有料老人ホームの位置づけ等についても検討してまいりたいと考えております。
 県立社会福祉施設等のあり方についての御質問ですが、平成14年度に岩手県社会福祉事業団を対象に包括外部監査が実施されましたが、ここでは、主として運営の効率性という観点から御報告をいただきました。また、平成15年度に設置しました外部有識者による県立社会福祉施設等あり方検討委員会におきましては、主として利用者の処遇面や官と民との役割分担、こういう観点から意見をいただきました。それらの監査や検討の過程で、養護老人ホームなどの入所型施設につきましては民間移管を進めてはどうかなどの提言もあったところでございます。
 これらの提言を受けまして、現在、部内において、運営の効率性はもちろんですが、利用者の視点に立ったサービスの維持向上や障害者の地域生活支援、こういった観点をも一層重視しまして、個々の施設ごとに具体的な検討を進めている最中でございます。それから、その運営形態については、社会福祉事業団を含む民間への移管、あるいは県立として引き続き維持する場合にあっても、例えば指定管理者制度の導入などが考えられるところであるということです。いずれにいたしましても、これらの方法のメリットや課題といったものを総合的に検討し、年度内を目途に、県立社会福祉施設等の改革プランをお示しする中で明らかにしていきたいと考えております。
   〔環境生活部長中村世紀君登壇〕

〇環境生活部長(中村世紀君) 県境不法投棄事案に係る他都県への責任追及についてでございますけれども、排出地域の自治体の負担に向けまして、全国的な制度面からの改善についての提言を行っているわけでございますけれども、この活動と並行いたしまして、被害県である本県と排出元の各自治体間における合理的な費用負担のあり方をどのような形で定めていくのか。実は、不作為者に対する責任の挙証というのは法律の実務上はなかなか難しいのでございますけれども、難しいのではございますけれども、その上で、なお、どのような手法がとれるのか、現在さまざまな角度から具体的な方策を検討しているところでございます。
 次に、排出事業者に対する責任追及、及び費用の回収についてでございますけれども、今まで原因者でございます廃棄物処理業者及び違法性が認められた排出事業者に対しまして措置命令を発出いたしまして、行為者みずから原状回復に当たらせているというところでございましたが、これまで判明している約1万600の排出事業者等につきましては、事業者からの報告徴収及び立入検査等に基づきまして、排出状況等について違法性の有無の分析を行っているところでございます。この分析の結果、違法性が確認され次第、その都度、措置命令手続を行っているものでありまして、今後とも、廃棄物処理法それから産業廃棄物に係る特別措置法の規定に基づきまして、排出事業者の責任追及を徹底して行っていく考えでございます。しかし、調査対象が何分膨大でございます。それから首都圏などに広域に所在しておりますので、今のままの方法をこのまま続けました場合には、なお、長時間を要する見込みでございます。
 このような状況でございますので、措置命令によります原状回復の規模や負担させる費用の額の全容につきましては、まだ調査途上でございまして、確たる形、全体の形が出てくるというところまでは至っていないところでございます。
 このような状況にございますので、今後、より効率的な調査手法等、これを検討いたしまして、早期に措置命令などによります責任追及を行いまして、県費負担の軽減を図ってまいりたいと考えてございます。
   〔教育長佐藤勝君登壇〕

〇教育長(佐藤勝君) NPO法人によるスポーツ育成事業についてでありますが、地元に根ざしたクラブチームの育成とその支援及び選手育成のための施設利用・使用の緩和や県の体育関係団体との連携についてでありますが、地域に根差したクラブチームの活躍は、地域の一体感の醸成や地域の活性化などに大いに役立つものと認識しておりますが、クラブ育成のためには、釜石シーウェイブスラグビーフットボールクラブの例を見ましても、まずもって、クラブみずからの努力が必要であるとともに、加えて、地域住民の熱意とあわせて、県民の理解と協力が不可欠であると考えております。
 また、県営体育施設におきましては、スポーツの振興や競技力の向上を図るため、県または県体育協会が行う選手強化事業について使用料を全額免除するなど、広く利用者の利便を図るとともに、クラブチーム所属の選手の強化育成などにつきましても、県体育協会が主体となり競技力の向上を中心に、関係競技団体との連携を積極的に推進しているところであり、県といたしましては、今後におきましても継続して支援してまいりたいと考えております。
 次に、フットサル競技に係る体育館での使用要件の緩和及び防球ネット等整備経費についてでありますが、県営体育館につきましては特に使用制限は設けておらず、従前からフットサルにも利用されております。さらに、今年度はフットサルゴールを整備いたしました。その結果、6月現在、既に34回の利用に供されているところであります。また、市町村立の体育館につきましては、フットサルにも利用できる体育館が8割を超えている状況であります。防球ネットや防護さく等の設置については、おおむね順調に整備が進んでいるものと認識しているところであります。
 なお、防球ネットや防護さくの整備に要する経費につきましては、施設の規模あるいは構造や窓の数などによって当然に差が生じているわけでございますが、主な市町村立体育館の整備経費を平均してみますと、1施設当たり38万5、000円程度となっております。
 Jリーグ用のスタジアムがない都道府県の数、それからサッカー関連施設整備の要望についてでございますが、Jリーグの試合開催のためには、収容人員や照明施設などに関する基準が設けられております。この基準を充足する施設を有していない県、これは本県も含めまして21県となっております。また、本県において、これまでサッカー関連施設の整備について競技団体から打診はありましたが、正式な要望がなされたとは承知していないところでございます。
 ドーム型の競技施設の要望でございますが、この整備につきまして、これまでのところ、県民の方々からはインターネットなどを通して個々に要望はあるものの、組織立って要望されたことは今のところございません。
 なお、民間によるドーム型の施設整備計画についても聞き及んでいないところであります。
 次に、岩手県の教科書採択の方法についてでありますが、公立小・中学校の教科書の採用につきましては、義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律、それから文部科学省からの指導に基づきまして、岩手県教科用図書選定審議会を設置いたしまして、国の検定を通ったすべての教科書を対象に調査研究を行い、採択権限を有する市町村教育委員会に対しまして選定資料を送付し、指導、助言、援助を行っているところであります。
 本県の地区ごとの採択協議会、これは市町村教育委員会におきましては、県が例示した規約によりまして、県内10地区に採択協議会を設置し選定資料を参考にするほか、採択協議会が独自に調査研究した上で、各教科ごと1種類の教科書を採択しているものでございます。
 採択に当たっては、すべての採択協議会の選定委員会において、教科の専門的知識を有する指導主事、学校の校長、教頭、教諭からなる教科用図書調査員を委嘱し、各教科用図書の専門的な調査研究を行い、教科書採択のための調査報告書を作成いたしております。
 採択協議会におきましては、この調査報告書を参考としながら、みずからの調査結果をもとにいたしまして採択のための協議が行われており、議員御指摘の採択妨害、いわゆる学校票といった事実があったとの報告はございませんで、適切かつ公正な採択が行われているものと認識いたしております。
 採択時の審議会の議事録の取り扱い等についてでありますが、県における教科用図書選定審議会におきましては、文部科学省からの指導もありまして、会議そのものを公開することによって、適切かつ公正な採択が妨げられるということがないように公開することを控えておりますが、採択事務終了後、これは採択基準あるいは審議委員名、調査員名、選定資料、各地区の採択の結果などを、直ちに公表するように努めているところであります。
 一方、地区ごとの採択については、市町村教育委員会の権限に属する事項でございますので、議事録の作成や審議内容の公開については、市町村教育委員会が自主的に判断するべきものであると認識いたしておりますが、県教育委員会といたしましては、各市町村教育委員会に対して、教科書採択に関する県民の皆さんの関心にこたえるため、採択の結果や事由、これらについて速やかに周知、公表するように引き続き指導を行っていきたいと考えております。
 次に、県内市町村における偉人を紹介した副読本の作成状況についてでありますが、政治、経済、教育、文化など、さまざまな分野において、我が国や地域社会の発展に尽くした先人の働きについて学習することは、先人の生き方に触れることによって、郷土やさらには我が国に対する誇りと愛情をはぐくむことにつながるということで、大変大事なことと認識をいたしております。県内市町村では、地域の歴史や地域の生んだ偉人を取り上げた特色ある社会科の副読本、これを作成し、各学校において積極的にそれぞれ活用されている状況にあります。
 副読本の取り組みの支援についてでございますが、県教育委員会におきましても、これまで郷土の先人や特色ある行事等を取り上げた道徳の教材、これを作成したほか、それらの教材を授業でよりよく活用するための指導の手引を作成して、各小・中学校に配布し指導の充実を図ってきたところでありますが、今後とも、市町村が行っている副読本作成の取り組みや、それからその活用についても積極的に支援をしてまいりたいと考えております。

〇8番(高橋雪文君) 3点にわたって再質問をさせていただきたいと思います。
 一つは、不法投棄のごみ問題について、ほかの都道府県に対してある程度ペナルティーを求めていくべきではないかということに関してでございますが、石原都知事などは、東京都という土地柄もあるでしょうけれども非常に独自な政策を提言されていると。増田知事も、全国的には非常に優秀な知事の一人として、知名度も抜群でありますし、知事会などでも発言権が非常に強いということを聞いております。知事会などでもこういう問題に対して、岩手県の実情を踏まえて、埼玉とか東京都に要請をしていくということも必要だと思うんですけれども、その点について知事はどのようにお考えなのかをひとつお知らせください。
 また、町内会、自治会そして消防団について、各市町村にゆだねられているというところでの部分でございますが、岩手県とするとNPOとかそういう新しい活動にとかく目が行きまして、そして支援体制を構築するというところでありますが、これは既存の産業も、ベンチャーの育成などに目が行って既存の建設業界のところには何となく手が行かないというような事情がありますけれども、これも同じだと思うんです。実は既存の組織をどうやって活性化していくかということが根底にあって、その上で新しい取り組みがあるというのであればわかるんですが、各市町村にゆだねられるべきということであるんですけれども、やはり増田県政の中で一番訴えていかなければならないのは、これからは住民参加だと思うんです。この住民参加を一番考えるときに、やはり町内会、消防団活動が有益に、有意義に活性化していくことが、実は新しい時代の要請にこたえることではないかというふうに思います。ぜひ、この点についてはいま一度、県が積極的に市町村にも関与していく、もしくは指導していくという立場を発揮していただきたいと思うのであります。ぜひその点について考えをお知らせいただきたいと思います。
 最後になりますが、教科書採択に関して、おおむね適正であるということをおっしゃっておりました。しかし、審議内容について把握していない、理解していないというのに、適正であるということは果たして言えるのかということであります。各市町村の教育委員が教科書を見る時間というのは、おおむね2、3分だということであります。非常に多岐にわたっている内容にもかかわらず、教育委員が1分、2分、もしくはぱらぱらと教科書を見ただけで、果たして適正な採択ができるのか、これもやはり問題だと思うんです。審議内容も果たしてどんな審議がされているのか、これがわからなければ、それが適正であるかどうかというのはわからないんじゃないかと思うんですけれども、教育長いかがでしょうか。

〇知事(増田寛也君) 産廃の不法投棄の関係でお尋ねがございましたが、この関係につきまして、排出元の各自治体の理解やあるいはそうしたところの負担というものを私は求めていかなければならないと考えております。そのときに、どういう理屈、どういう理論構成をするかということが大変大事でございまして、先ほど部長の方で、さまざまな角度から具体方策を検討していると申し上げたんですが、今、法律学者などのところにもいろいろと相談に行っておりますし、こうした問題全部を理論構築のために、原点に立ち返って今そこのところを検討しているところでございます。まず、そこをしっかりと構築した上で、その次に、では、どういう具体的な行動をしていったらいいのかということを考えたいと思いますが、まだいろいろな論点がございまして、具体的な理論構築、どういうふうに相手に求めていくかのところをもう少しお時間をいただきまして、私どもの中でしっかりと検討していきたいと考えております。

〇地域振興部長(山口和彦君) 町内会や自治会、消防団に対するお尋ねでございましたけれども、これにつきましては、先ほど県は特段の支援は考えていないという話をしたところでございますが、いずれ、基礎的自治体である市町村において、町内会等の組織や活動の内容とか位置づけ等について、やっぱり勘案して判断していただきたいと思っておりまして、例えば盛岡市では町内会連合会に、1年間に400万円ほどの補助を交付しておりますし、それから岩泉町では各自治組織のコミュニティー活動に対して、年間5万円ぐらいの上限で補助している、あるいは、住田町では自治公民館活動の補助に大体1公民館当たり年額4万5、000円、それにあとは加入世帯分で補助しているという状況でございまして、それにつきましてはぜひ市町村でお願いしたいと思っております。

〇教育長(佐藤勝君) 教科書採択についてでありますが、先ほど御答弁申し上げましたとおり、本県におきましては教科書採択に係る図書選定審議会、これは県の審議会でございますが、ここに審議をお願いし、その中でさらに吟味し、選定委員会といいますか各教科ごとの選定の委員を委嘱し、その中で吟味しながら選定資料というものをつくりまして、それを各市町村の、これは県内10地区につくられている採択協議会がございますが、その協議会にお示しし、その採択協議会で、さらに委員にその地域にとってふさわしい教科書はどれかということで、専門的な立場からいろいろ議論をし決めていただくというようなことで、私ども、そういう専門的な目を通した形での選択の教科書を採択しているというようなことから、そこには当然ながら公正であり、かつまた、適切であるというふうに受けとめておりますし、また、その後において、各現場からそれらに対してのいろいろ疑問点であるとかそういうことを聞いていないということから、受けとめ方としては適切ではないかとお答え申し上げた次第です。

〇8番(高橋雪文君) 一つだけ、市町村の自治体と町内会、その支援に関してですけれども、お話を聞いておりますと、各市町村がお金を出しているからそれでいいじゃないかというような聞こえ方で、お金で全部解決しているような、そんな雰囲気もありますけれども、私はそうではなくて、これからはまさしく地方分権なんだと。そのときに、キーワードになるのは住民参加なんだと。そのための育成を岩手県は考えていかなければならないんじゃないか。これはNPO支援とまさしく同じなんですよ。そのかかわりを今述べているのであって、お金をどれだけやればいいと、こういう議論ではないと思いますので、もう一度答弁をお願いします。

〇地域振興部長(山口和彦君) 高橋議員のお話のとおり、町内会、自治会というものは地域住民が主体的に取り組んでいる地域のコミュニティーでございますので、これにつきましては委員御指摘のように、これからそういう意味での検討をさせていただきたいと思います。

〇議長(藤原良信君) 次に、中平均君。
   〔2番中平均君登壇〕(拍手)


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