平成16年6月定例会 第8回岩手県議会定例会 会議録

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〇31番(阿部敏雄君) 民主・県民会議の阿部敏雄でございます。
 昨年5月の選挙で2期目の当選をさせていただきました。今議会では、先輩・同僚議員の高配により一般質問の機会をいただきましたことに心から感謝申し上げます。
 それでは、通告に従いまして順次質問いたします。
 最初に、県政の運営について知事にお伺いします。
 昨年5月の選挙で、県民の圧倒的な支持のもとに増田知事の3期目がスタートしました。平成7年に全国最年少知事として43歳で初当選して以来、知事の夢県土いわての実現に向けた取り組みは、今、各地域や各分野で着実な成果を上げております。生活者主権や現場主義の理念を掲げた中央集権社会から地域主権社会への変革の取り組みは着実に実践され、その確かな流れが岩手から中央に向かって発信されていると言っても過言ではありません。また、三位一体改革については、各県知事の先頭に立って地方の立場から改革案を提言するなど、地方から国を変えていこうという知事の信念と行動力に敬意を表するものであります。厳しい財政状況の中で、昨年知事は行財政構造改革プログラムを策定し、この難局を乗り越えるべく県の進むべき方向を示しました。厳しい道のりではありますが、夢県土いわての実現に向けてなお一層のリーダーシップの発揮を期待するものであります。
 さて知事は、2月議会の演述で、郷土の先人後藤新平の改革の姿勢をたたえながら、この美しい岩手を将来の子供たちに引き継いでいくために私たちは何をなすべきか、そして何を残すべきかという視点を大事にしたい。また、一人一人が今何をすべきか、そして次世代に何を残せるかを考えていただきたいと呼びかけ、さらにこの視点に立って、子供たちが将来に夢を持ち、その実現に希望が持てるような社会をつくるとの決意を述べられました。知事が描いておられる、子供たちが将来に夢を持って、その実現に希望が持てるような社会とはどのような社会でしょうか。また、そのような社会を実現するため、県のなすべきことは何でしょうかお伺いいたします。
 次に、行財政構造改革プログラムの推進と三位一体改革について伺います。
 この危機的な状況の中で、夢県土いわての実現のためには、知事のもとに職員が一致団結して難局を乗り越えんとする心意気と姿勢を共有することが重要と考えるものであります。知事は、組織や職員の資質向上等のため組織改編や意識改革等に真摯に取り組まれておりますが、特にも行政品質向上運動の成果はいかがでしょうか。
 先般、行財政構造改革プログラムが組織内において共有されていないとの趣旨の報道がありました。私は、激変する世の流れや改革の取り組みの過程で、混乱し、自信を喪失している職員はいないか、今何が大事で取り組むべきことは何か、職員の中には選択の視点を見失っている状況があるのではないかと危惧するものであります。改革の連続性と成果主義は組織の宿命であり、重要であると思いますが、その一方で、過程や真摯な取り組みを評価する組織としての柔軟性も必要ではないかと考えるものであります。今成果が出ていなくても、個々の職員の自信ややる気を育てていく、そのことによって組織としての活力も生まれるような気がするのであります。行財政構造改革プログラムの取り組みの成功を期すためにも、知事のもとに職員が結集し、この難局を乗り越えるという熱い思いを共有化していただきたいと考えるのであります。知事の御所感をお願いいたします。
 次に、骨太改革について知事に伺います。
 小泉内閣が財政構造改革を掲げてスタートしたとき、国民はエールを送りました。改革の柱は、民間にできることは民間に、地方にできることは地方にということで、国を小さくし、地方を強くするための三位一体改革であったように思います。しかし、今の国における議論を見ていますと、関係省庁の利権が先行して、国の業務は何か、地方が何をすべきか、国と地方のあるべき姿、国と地方の関係を示す全体像に係る議論が欠落しているように感じられます。ベースとなる国と地方の関係の青写真がないため、改革のための手段である補助金の縮小、地方交付税の削減、税源の移譲が省庁間のエゴイズムに翻弄されているように思われます。知事は、三位一体改革に関する国の論議をどのように認識されておるのでしょうか。また、真の三位一体改革実現のために、国と地方の間で論議されるべき重要な視点は何でしょうかお示し願います。
 次に、三位一体改革の柱であります税源の移譲等についてお伺いいたします。
 税源の移譲は、補助金を縮小した財源を地方税に転換するものですが、都市と地方とでは税源の偏在等の格差がありますので、きめ細かな制度設計でなければならないと考えます。財政的に弱い本県の持続的発展を確保するためには、税源の移譲に比重を置くことも重要ですが、財政調整機能を有する交付税制度についても地方の存立を踏まえた検討がなされなければならないと考えます。交付税制度は、自治体や地域コミュニティーの存続あるいはナショナルミニマムの維持を図るためにも堅持されなければならない制度であります。知事の認識をお伺いいたします。また、三位一体改革の中で、本県として強く主張していかなければならない点は何かをあわせてお示し願います。
 次に、障害者福祉の現状と本県の取り組みについてお伺いします。
 障害の有無にかかわらず、住みなれた地域の中で普通に生活し、ともに生き生きと活動できる社会を目指すノーマライゼーションの理念の実現に向け、昨年4月に支援費制度がスタートしました。この制度は、障害者の自立と社会参加を促進するため、自己決定、自己選択を基本とし、個人の尊厳を重視した21世紀にふさわしい福祉サービス制度として期待されております。本県においては、居宅介護やデイサービス、さらには短期入所やグループホームなど確実にニーズは拡大し、地域での生活を支援するための施策が広がりつつあると聞いております。
 そこで伺います。支援費制度発足後1年が経過し、県としてこの制度の成果と課題をどうとらえているのか、支援費の支給状況やサービス基盤の整備状況を踏まえてお示し願います。
 また、障害者福祉は、かつては施設サービスが中心でありましたが、ノーマライゼーションの理念の浸透とともに施設入所から地域生活への移行が課題となり、障害者の社会参加を支援するサービス提供体制が極めて重要になってきております。このためには、仕事や住居の確保、ケア、相談体制の整備が不可欠と考えますが、県としてどのように推進しようとしているのか、その方策についてお伺いいたします。
 次に、景気の動向についてお伺いいたします。
 本年3月の日銀の企業短期経済観測調査によりますと、企業の景況感は、多くの地域で昨年12月の前回調査に比べ改善を示しているものの、景況の地域間格差は拡大しているということでありました。また、5月31日、内閣府が発表した地域経済動向でも景気の地域間格差が一段と鮮明になっているというものでありました。この中で地域別の景気判断が示され、東北は、北陸、四国と同様に景気が持ち直しぎみとのことであります。しかし本県では、松下電器産業グループ2社の花巻工場が撤退を表明し、また、つなぎ温泉を代表するホテル紫苑が民事再生手続の申請を行うなど残念な状況が発生しております。県には、従業員の皆さんの雇用対策等に全力を投入していただくことを強くお願いいたします。
 そこでお伺いいたします。東北地域は景気が持ち直しぎみとの判断ですが、本県の状況はどうでしょうか。
 また、本県の経済状況から見た格差拡大の原因はどこにあるのでしょうか。今後の見通しも含めてお答え願います。
 また、地域間格差を解消するためには、基本的にはグローバルな視点から、国が主導的に取り組みを進めることが重要であると思いますが、県として、この景気回復の流れを岩手にも引き寄せるべき努力が必要ではないかと考えます。県のお考えをお聞かせ願います。
 次に、雇用対策についてお伺いいたします。
 金時持ち、退衆消費という言葉が時代を象徴する言葉として紹介されておりました。団塊の世代が退職の時期を迎え、お金と時間を持ったいわゆる金時持ち、つまり退職集団が消費を高めるという意味であります。団塊の世代の大量退職で新たな雇用の場が生まれ、また、消費が大幅に拡大する。これが景気回復の両輪になるものというものであります。企業等では、大量退職に備え、若年者の人材確保や若年者への技術の移転、継承に力を注いでいるとのことであります。
 そこでお伺いいたします。県の最近の雇用情勢はどうでしょうか。私の地元であります大槌、釜石地域においては、建設業等の業績低下により離職するという状況を目の当たりにし、心を痛めております。県では、建設業の他分野への参入を促進するなど積極的に取り組んでおりますが、建設業関係者の雇用状況はどうでしょうか。取組状況等見通しを含めてお答え願います。
 また、若者の雇用確保は、未来の岩手を支える原動力になる若者に夢と希望の実現の場を確保するという意味合いからも、県政及び地域社会が積極的に支援すべき重要な課題と考えております。現在の雇用状況と今後の取り組みについてお答え願います。
 次に、エコタウン構想についてお伺いいたします。
 釜石市は、かつて漁業などの水産業と製鉄を中心とした製造業を基幹産業として、人口約9万人余りを有する沿岸随一の拠点都市として繁栄しておりましたが、現在では約半分程度にまで減少し、衰退の一途をたどっております。産業においても、漁業については後継者不足などの要因から活力が低下し、また、製造業においても長引く景気の低迷により、企業の撤退やリストラが進み、本年4月現在の釜石地域の有効求人倍率も0.43倍と低水準にとどまっており、当地域の活性化と雇用の確保を図っていくためには、新たな産業の創出が必要であると考えております。
   〔議長退席、副議長着席〕
 こうした背景のもと、釜石市においては、資源循環型社会に対応した産業の育成、鉄の歴史と環境を生かす地域づくりなどの施策を推進し、これまで鉄の歴史とともに蓄積してきた人材や産業基盤を活用した産業の集積を図ることとし、特にもリサイクルなどの地域特性や資源循環型社会の要請にこたえた取り組みを推進していくために、エコタウン構想が進められております。
 エコタウン構想につきましては、現在釜石市が新たなリサイクル産業の拠点としての産業の集積を図るために、各種産業廃棄物等のリサイクル施設の建設計画を進めておりますが、こうした取り組みを推進していくためには、国、県からの絶大なる支援と協力が不可欠であると考えており、今後も官民一体となった取り組みを推進していく必要があると認識しております。同構想は、釜石地域ひいては沿岸全体の地域活性化とともに、今後環境と資源の循環を切り口とした新たな地域産業の創出に寄与するものであり、また、環境首都いわてを目指す本県にとって大きな意義を持つものと考えておりますが、同構想の推進と今後の見通しについてお伺いするとともに、今後も同構想の推進に当たっては、県の力強い支援もお願いしたいと考えておりますが、県の考え方をお伺いいたします。
 次に、漁業の振興についてお伺いいたします。
 県では、本県漁業の振興を図るため、つくり育てる漁業の推進、資源管理型漁業の推進等諸施策を実施しているところであります。しかしながら、平成10年から平成14年度までの5カ年の本県漁業の状況を見ますと、経営体は6、080経営体から5、520経営体まで減少するとともに、就業者の高齢化が進んでおります。また、生産金額も518億円から425億円まで減少しております。特にも本県漁業の基幹的魚種であります秋サケの漁獲金額が、昨年度、最盛期の5分の1の50億円にとどまっており、漁業はもとより、関連産業に深刻な影響を及ぼすなど、厳しい状況となっております。県ではこうした課題に対応するため、今後どのような漁業振興策を講じようとしているのか、具体的にお示し願います。
 特にも、ワカメ養殖業は、兼業も含めると本県漁業経営体の約4割を占める重要な業種として漁業者の生活を潤してまいりましたが、安価な輸入ワカメの急激な増加による価格暴落、生産者の廃業や高齢化等を背景として、生産量、額ともに減少を続け、産業としての維持が危惧されるまでに立ち至っていたことから、私は平成13年12月定例会において、生産から流通まで各段階で現状を大胆に見直し、根本的な構造改革を行っていくことが重要であると指摘したところであります。これを受けて県では、平成14年3月にワカメ養殖業構造改革アクションプログラム2002を策定し、各種施策を展開してきたわけでありますが、ワカメ養殖業の構造改革は現在どのような状況にあり、県では現在の状況をどのように評価し、今後どのように展開していくつもりなのか、お考えをお示し願います。
 次に、漁協の経営状況について伺います。
 前段で申し上げましたように、輸入水産物の増大により、水産物の価格が依然として低迷する中で、沿岸漁業の不振、漁業就業者の減少や高齢化の進展、水産資源の減少など、本県漁協を取り巻く環境は、まことに厳しいものがあります。こうしたことから、漁協の購買事業や販売事業の取扱高も低落傾向にあるなど、漁協の経営基盤は年々脆弱化していると伺っておりますが、県はこうした漁協の厳しい経営状況をどのように認識しているのか伺います。
 一方、漁協は、地域の水産業振興の中核組織として重要な役割を担っており、営漁指導や各種の経済事業の積極的な展開により、組合員の所得増進と生活の向上に、一層その機能を発揮することが期待されているところであります。多くの漁協が経営状況の悪化により、こうした役割を十分に果たすことができない状況となれば、本県の漁業、さらには沿岸地域の活性化にとっても大きな支障を来すものと懸念されるところであります。県はどのように漁協の経営基盤の強化を図っていこうとしているのかお示し願います。
 次に、観光の振興についてお伺いいたします。
 本年5月、釜石市の和山牧場を中心とした貞任、新山の丘陵地帯に43基という日本最大規模の風力発電の設置が開始されました。先般、現地視察の折、太平洋を見おろす1、000メートル級の雄大な草原地帯に展開される、環境首都いわてにふさわしい、シンボリックな風車と自然環境が調和する景観を新たな地域観光の資源として活用すべきではないかと感じたのであります。当地域では、美しい景観を誇る三陸海岸を中心とした観光振興が展開されてきておりますが、観光客の入り込み数は減少の一途をたどり、また、世界有数の三陸漁場もサケやワカメ等の不振続きで、観光と漁業の低迷は地域経済にも大きな影を落としております。私は、この新たな観光資源の出現を契機として、豊かな自然環境や漁業や三陸の食文化など既存の資源をブラッシュアップして、三陸観光の新たな展開を図るべきではないかと考えるのであります。風力発電を例にとりましたが、新たな観光資源と既存の観光資源とをリンクさせ、面的広がりを持った観光を進めるなど、県の積極的なかかわりが必要ではないかと考えますが、県のお考えをお伺いします。
 次に、道路整備に関してお伺いいたします。
 私は、平成14年12月議会で、地方における道路整備不要論に対する知事のお考えを伺いました。これに対して知事から、地方における道路整備は、我々のニーズを一番把握している我々自身が主体となり、自己決定、自己責任の原則のもとで必要性や優先度を決めるべきであると御発言をいただき、心強く感じた次第であります。
 そこで、最初に、三陸縦貫自動車道釜石山田道路と大船渡-釜石間の整備促進についてお伺いいたします。
 三陸縦貫自動車道については、山田道路が平成14年8月に開通し、また、釜石山田道路についても、両石町水海地区の用地買収が平成16年度も引き続き進められているとともに、一部土工・埋設工事等も着工されたと聞いております。厳しい財政状況の中における県の御努力に感謝を申し上げる次第であります。当該道路は、釜石市と三陸沿岸地域や仙台、首都圏とを結ぶ大動脈であると同時に三陸沿岸の各都市間の連携強化を図るための生命線でもあり、その早期整備は、道路、港湾を核とした三陸沿岸の物流の充実や観光開発につながる重要な課題でもあります。釜石・大槌地域の切実な願いであります三陸縦貫自動車道釜石山田線の早期整備、特にも交通渋滞が慢性化している鵜住居-両石間の早期整備及び大船渡-釜石間の整備計画区間への早期格上げについて、特段の御努力を願いますとともに、現在の進捗状況と今後の見通しをお示し願います。
 次に、土坂トンネルの整備についてお伺いします。
 前段、柳村典秀議員からの配慮、本当にありがとうございました。県におかれましては、主要地方道大槌川井線が大槌町内から国道340号及び国道106号を経由して盛岡市に至る重要路線であるとの認識のもと、平成12年度から地質調査や用地測量を行うとともに、毎年度、予算を計上され改良工事等に鋭意取り組んでこられているところであり、その御努力に対し心から感謝を申し上げます。この土坂トンネルは、大槌町民が50年にわたりまして国に陳情し、町民の長い間の念願でありました。県におかれましても、厳しい財政状況の折でありますが、大槌町町民の長年の悲願であります土坂トンネルの整備に関し、なお一層の御努力を願いますとともに、現在の取組状況及び今後の見通しについて御教示願います。
 次に、釜石市内の市道平田上中島線の県道昇格と早期の整備についてお伺いいたします。
 この線は、上平田ニュータウン地区や研究開発施設が集積しているエコタウン構想が推進されている平田埋立地区への広域的アクセス道路として、重要な路線となっております。また、現在整備が進められている東北横断自動車道釜石秋田線や三陸縦貫自動車道が開通した場合、交通量の増大による市街地の渋滞緩和の役割を担う路線ともなるものであります。釜石市では、平成10年度から測量及び現地調査を進めるなど早期着工に向けた取り組みを積極的に進めております。つきましては、市道平田上中島線の県道昇格と早期整備について、特段の御理解をお願いいたします。県当局の御所見をお伺いいたします。
 次に、幹線市道片岸箱崎線の県代行事業による整備促進についてお伺いいたします。
 当路線は、振興山村地域の幹線道路として、国道45号の片岸地区と箱崎半島の集落を結ぶ生活・産業路線であります。しかし、長年にわたる海からの侵食により、早期の改良が必要となっております。釜石市では、平成5年度から用地買収や移転補償を進めてきており、また、平成15年度は跨線橋の設計委託を実施しておりますが、沿岸部特有の地形のため、当該路線の整備には、技術的に難工事が伴うとともに事業費も膨大となることが予想されるなど、大きな課題となっております。ついては、幹線市道片岸箱崎線の山村代行事業導入による整備促進に特段の御理解を願いますとともに、県当局の御所見をお伺いいたします。
 最後に、選挙管理委員会委員長に参議院議員通常選挙岩手選挙区投票啓発用ポスターについてお伺いいたします。
 選挙は民主主義の根幹をなすものであり、いわば一種の聖域であります。したがいまして、その事務を執行する選挙管理委員会の役割は、他の行政委員会以上に、厳正かつ公正、中立の立場が要求されるわけであります。一部の政治的抗議により参議院選挙の啓発ポスター及びテレビ、ラジオのCM放送を取りやめたことは極めて遺憾であります。しかも、選挙公示の直前の対応であることから、現在進行中の参議院選挙の管理の公平さに不安と疑問を投げかけたことは否定できず、選挙管理委員会に対する県民の信頼を著しく損ねたことは明白であります。選挙管理委員会の権威をみずから失墜させた責任は極めて重いものがあり、猛省を促すものでありますが、前代未聞の今回の事態についてどのように受けとめているのか、まず御見解をお聞きいたします。
 また、どのような意図のもとにポスターなどを作成されたのでしょうか。根拠となる考えとねらいについてお伺いいたします。
 あわせて、どういう手続で決裁に至ったのか、事務手続上の経緯についてもお知らせ願います。
 また、県民の信頼回復のため、今後どう取り組まれるのかお伺いいたします。特に次の点につきましては県民も注視しておりますので、明確にお答え願います。すなわち、使用中止の判断は政治的抗議に屈したことによるものなのか、それ以外の理由によるものなのか、納得のいく御答弁をお願いいたします。
 以上で私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 阿部敏雄議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、私の県政運営についてのお尋ねでございますが、私が一番に思っておりますことは、次世代に何を残すのか、また、次世代に対して現在の我々がどのように貢献をすべきなのかということでございます。子供たちが、将来に夢を持って、その実現に希望が持てるような社会ということを2月の知事演述で申し上げましたけれども、それは大きく二つに分けて申し上げられるかと思います。一つは、子供たちの豊かな心がはぐくまれ、一人一人の個性が尊重され、その持てる能力や適性が遺憾なく発揮できる社会、子供たちが持っております無限の将来の可能性を大きく開かせるという意味で、そのような社会でございます。もう一つは、若者が希望する仕事につくことができるとともに、地域づくりや社会貢献活動等にも積極的に参画することによって、自己実現が図られ、生きがいを持って生活できる社会、このように言いかえることができるかと思います。
 県としてそうした社会を実現するためになすべきことは次のようなことがあろうかと思います。一つは、このような子供たちが将来の夢に向かって行動することを応援するとともに、豊かな心をはぐくみ、すぐれた才能を伸ばす教育を推進していくこと。二つ目が、福祉・医療サービスを初めとした社会保障制度を充実するなど、いわゆるセーフティネットの構築を進めていくということ。3番目が、美しい岩手のかけがえのない環境の保全に努めること。4番目が、多額の県債残高などの負の遺産を子供たちに残さないよう、行財政構造改革に努めること。5番目が、岩手が有しております産業技術や産業集積、そして豊かな自然環境や地域、地域で特色のある農林水産資源などを生かして、魅力ある産業の振興を図っていく、また、そのための基盤となる社会資本の整備を行うということ。そして、最後の6番目が、県民が地域づくりや社会貢献活動へ積極的に参加できるよう支援をしていくということでございまして、こうした県のなすべきことをしっかりと行うことによりまして、子供たちが将来、強く、明るく、そして生き生きと暮らしていけるような社会の土台をつくっていくことが、私の責務と考えているところでございます。
 次に、行財政構造改革プログラムの推進に当たって、まず、行政品質向上運動についてお尋ねがございました。
 行政品質向上運動につきましては、全庁的に平成12年度から実施をしてきておりますが、先般、職員の意識調査というものを行いまして、その中でわかりましたことは、これまで以上に、従来以上に県民満足度の向上のためにという意識が職員に定着をしてきている。依然に比べまして県民満足度の向上のためにという意識が職員に定着をしてきている。それから、各職場におきまして、コスト削減の実践など具体的な改善への取り組みが広く行われてくるようになってきておりまして、改革や改善発表会などを通じてより一層職員の改善、改革への意欲が高まってきている。それから、私と部局長等との意見交換を年に何回か開いておりますが、そのことによって私の思いや考えが部局長と共有され、部局においてそれを踏まえて、従来にも増して創意工夫を凝らした業務の展開がなされるようになってきているということでございます。
 一方で、同じ職員調査でわかりましたことは、トップの方針とそれからそれを受け取る職員の間の認識のギャップがある。あるいはトップの方針を伝える側の管理職とそれから受け取る側の職員との間にも、伝えたはず、あるいは伝わってこないという認識のギャップがある。いずれにしても、こうした私あるいは上層部と受け取る職員との間に認識のギャップが依然として存在をしているということでございます。それはとりもなおさず、言い方を変えれば、実際には私の方針が必ずしもすべての職員に十分に浸透し切れていないということでございまして、そのことも同じ職員意識調査で明らかになったところでございます。
 したがいまして、この問題を解決するためには、私がこれまで以上に職員との対話、触れ合いを重ねるということしかないだろうと思っておりまして、直接的に職員に対して私の思い、考えが伝わるよう一層努力を重ねていきたいと思っております。本年度、より多くの職員との一層の意思疎通、それから意識の共有を図るために、私と部局長との意見交換には他の管理職も参加させたり、新任総括課長研修での私との対話を充実させたり、それから一般職員までに思いが伝わるように、本庁や地方振興局での職員との意見交換会、これも数多く実施をしたいと思って今始めているところでございます。
 また、個々の職員の自信ややる気を引き出すために、ワーキンググループの取組成果を、これは部局横断的な政策形成ワーキンググループでございますが、若手職員で構成をさせまして、その取組成果を施策に積極的に反映をさせたり、それから総括課長、担当課長といったいわゆる組織をフラット化した新たな職制を導入させて、そこに大幅な権限委譲を行ったところでございます。やり方はまだまだ工夫が必要かと思いますが、そうしたことを通じて改革の方向性やその目指す姿をしっかりと共有して、全職員一丸となってその目的実現に向けて努力をしていきたいと考えております。
 次に、三位一体改革についてのお尋ねでございますが、この三位一体改革と言いますのは、これは繰り返しこの議会でも申し上げておりますが、単に財政上の問題、財政上のつじつま合わせという問題ではございませんで、国と地方のあり方そのものを問う真の構造改革にほかならない。まず、この認識から出発することが大事である。だからこそ国から地方への考え方のもとに、地方の権限とそれから責任を大幅に拡大することによって、自主・自立の地域社会の実現を目指すということは大変重要な問題だと思っているわけでございます。
 しかし、これまでのこの三位一体改革の進め方を見ておりますと、そうした本質的な議論を先送りしたり、あるいは基本的な認識が間違っていたりして、ただ単に通常の予算編成の過程で従来のその予算編成過程と同じようなやり方で、その予算編成上の問題というふうに落とし込んでしまっている。そして、各省と財務省がその予算編成の中で単にせめぎ合って、各省の権限を温存したまま数字のつじつま合わせに終わるということが初年度の昨年の暮れの結果として見えてきた。大変不本意な結果となってしまったわけでございます。このことは大変残念なことでございまして、いわゆる補完性の原理に基づいて、基礎的自治体の市町村、そして広域的自治体である都道府県、そして国の果たすべき役割というのを再構築して、そしてその上で自主的な税財源を確保するということ、そういう視点から取り組む必要があると思いますし、さらにもう一つ忘れてならないのは、やはり国の業務のスリム化に伴う国から地方への人材の移管ということも念頭に置いてこの改革を進めていかなければならない。あわせて、したがいまして三位ではなくて四位一体の改革という視点も大事ではないかということでございます。
 その三位一体改革のことしのこれからについては、去る6月4日に閣議決定をされたいわゆる骨太の方針2004の中で税源移譲についてこのようなことが書かれております。平成18年度までに、所得税から個人住民税への本格的な税源移譲の実施、それから応益性や偏在度縮小の観点を踏まえ、個人住民税所得割の税率をフラット化する方向での検討、こういうことが示されていますが、しかし、この税源移譲が実施された場合でも、税収の地域的な偏在というのは依然として避けられないで、団体間の財政力格差というのは依然として課題として残るだろうと予測されます。したがいまして、税制度の中で、できるだけ税源帰属の適正化に取り組む必要がある。まずそこをしっかりと行う必要がある。地方消費税の配分基準や法人事業税の分割基準の見直しなどが必要だろうと思います。
 その上で、なお解消できない税源偏在について、あるいは財政力格差について、地方交付税等の財源調整制度によって、適切な措置を講じていくということが必要であろうと思っております。もちろん現在の地方交付税制度についても、補助金化などによってその機能が著しく肥大化をして、制度としての規律や健全性を喪失しているといったような問題点があると思っておりますので、この財源調整機能を柱とする透明でシンプルな制度に見直していくべきものと認識をしてございますけれども、やはりその交付の決定過程に、当事者である地方を参画させることによって適切な配分を行うことが不可欠だと考えておりますので、このことを国に対して強く求めていきたいと思います。
 最後に、この三位一体改革に対する本県の主張ということでございますが、今申し上げました税源移譲の際の地域的な税源偏在の問題、このことを強く指摘しておかなければならないと思います。また、それに関連して私が重要だと考えておりますのは、まず住民に最も身近な基礎自治体である市町村が、その果たすべき役割や業務をしっかりと遂行できるような仕組みを確保する。この三位一体改革を進めるに当たって、やはりそういう市町村の役割がしっかり遂行できるような仕組みを確保する。この観点が特に重要だと思っておりまして、これから廃止リストをつくったり、それから都道府県と市町村との税源配分のあり方を検討したり、さらには、地方交付税制度の見直しということが行われるわけでございますが、その中では、とりわけ市町村の意向に十分配慮していく必要があると考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長より答弁させますので、御了承お願いいたします。
   〔保健福祉部長佐藤敏信君登壇〕

〇保健福祉部長(佐藤敏信君) まず、支援費制度の成果ですが、制度開始の1年間でサービス利用が進んでおります。とりわけ在宅サービスの利用が、利用人員、支援費支給額とも大きく伸びております。また、指定事業者数が確実にふえるなど、サービス提供基盤の整備も着実に進んできております。例えば、知的障害者や障害児のホームヘルプサービスが提供されていた市町村数は、平成14年度は28市町村でしたが、平成15年度には45市町村と相当程度増加しております。こうした状況を裏づけるように、平成16年3月に実施いたしました利用者アンケートにおきましても、自分の希望が言いやすくなったとか事業所を選択できるなど、支援費制度導入以前と比べよくなったと回答している方が悪くなったと回答している方を大幅に上回っております。
 今後の課題ですが、まず1点目は、市町村や事業所においてニーズの把握や適切な支援が行われるよう相談窓口体制の強化や支援計画の策定を進めることだと思います。2点目は、圏域における指定事業所の偏在を解消するため、デイサービスなどのサービス提供基盤の一層の整備を図ることです。3点目は、意思確認が困難な利用者の契約を支援するために、成年後見制度や地域福祉権利擁護事業の効果的な利用を促進することです。最後に、市町村の所要額に対応して確実に国庫補助金が確保されることだと考えております。
 次に、障害者の社会参加ですが、これは大きく三つの施策によって推進しております。一つ目は、生活支援です。相談支援体制の充実を図るため、障害者ケアマネジメント実施体制の整備とその従事者の養成に努めております。二つ目は、在宅サービスの充実です。グループホームなどの住まいの確保のほか、各種在宅サービスの充実に努めております。三つ目は、就労支援です。障害者福祉作業所や通所授産施設の拡充と商品やサービスの受注開発等による安定的な運営を図り、十分にその機能を果たすよう支援してまいります。
 今後とも、岩手県障害者プランに基づき、障害者が住みなれた地域において自立し、就労しながら生活していくことができるよう環境の整備に努めてまいりたいと考えております。
   〔総合政策室長照井崇君登壇〕

〇総合政策室長(照井崇君) まず、本県の景気の動向ですが、鉱工業生産はこのところ緩やかな増加基調で推移し、情報通信、電子部品や自動車など一部業種の好調さに支えられ、22カ月連続して前年水準を上回るなど、持ち直しの動きが続いています。雇用情勢は、有効求人倍率が昨年3月を底に徐々に上昇を続けてきましたが、ことし4月の有効求人倍率は0.52倍と2カ月連続して低下しており、このところ改善の動きが鈍っております。大型小売店販売額は23カ月連続して前年水準を下回り、乗用車販売も3年連続して前年度水準を下回るなど、個人消費の低迷が続いております。住宅建設は2年連続で前年度水準を下回り、平成15年度の公共工事は前年度比20.4%減となるなど、建設投資は依然として低い水準にあります。このように、県内景気は一部に持ち直しに向けた動きが見られるものの、低迷状態が長引き、厳しい状況が続いております。
 次に、地域間格差拡大の原因と今後の見通しですが、今回の我が国の景気回復の動きは、製造業が先行、牽引していると言われておりますが、特に自動車産業やデジタル機器関連産業、そして、中国特需の鉄鋼などの素材産業が好調さを維持しております。これら好調な産業の占める割合が高い地域では雇用や所得の改善が進むなど景気が順調に回復しており、それら産業の恩恵の薄い地域との地域間格差を生み出す原因になっていると考えられます。また、公共投資依存度が高い地域においては、公共投資削減の影響が出ているものと考えられます。
 政府の6月の月例経済報告によれば、我が国の景気は、世界経済の回復とともに企業部門の改善が進み、着実な回復を続けているとされており、今後の県内経済は、こうした世界経済の回復、国内企業部門の改善の動きが続くことにより、本県鉱工業生産の持ち直しの動きが力強いものとなり、それが雇用や所得の改善につながっていき、やがては非製造業部門にも波及していくことを期待しているところでございます。
 次に、景気回復に向けた取り組みについてですが、県では、誇れるいわて40の政策の中でも、特に地域の有する産業技術や産業集積、さらには特色のある農林水産資源などを生かした飛躍するたくましい産業の振興に重点的に取り組み、地域経済の活性化と競争力の強化を図っていくことにしております。
 具体的には、政策形成プロジェクトなどの実施によりまして誘致企業と地場産業の連携を強化し、自動車産業を中心としたものづくり産業の集積を促進するほか、本県の強みである産学官連携を一層推進し、研究の成果が実用化されるよう、新産業やベンチャー企業の創業などを支援してまいります。
 観光については、経済波及効果が高いことから、平泉の世界文化遺産登録に向けた運動や平成17年放映予定の大河ドラマ義経と連動した取り組みなどを進めてまいります。農林水産業については、安全で質の高い県産農林水産物のブランド化やリンゴなどの輸出促進に向けた取り組みを進めてまいります。
 また、地域経済を支えてきた意欲のある中小企業に対する融資や経営指導を充実強化するほか、建設業の農業や福祉など新たな分野への進出を支援してまいります。さらに、国の地域再生や構造改革特区制度を活用した取り組みを積極的に進めてまいります。このようなさまざまな取り組みにより、県民が景気回復を実感できるように努めてまいります。
   〔総合雇用対策局長上村俊一君登壇〕

〇総合雇用対策局長(上村俊一君) 本県の最近の雇用情勢についてでありますけれども、平成15年度の本県の完全失業率は5.4%と前年比で0.4ポイントの改善が見られますが、有効求人倍率を見ますと、本年4月は0.52倍と前月を0.05ポイント下回っているなど一進一退を繰り返している状況にあり、全体として見れば雇用情勢が改善されたと言える状況には至っていないと認識しております。
 建設業の他分野参入推進の取組状況と建設業関係者の雇用状況についてでありますけれども、県建設業協会に設置しました経営支援センターに経営指導コーディネーターを配置して、経営基盤の強化や新分野・新市場への進出などについて相談に応ずるなど、建設業の雇用創出を支援しているところであります。その結果、昨年8月のセンター設置以来、71件の新分野進出に関する相談が寄せられました。また、同センターが実施する新分野・新市場開拓講座や各種フォーラムなどにも多数の企業の参加が見られたほか、既に菌床シイタケやホウレンソウ栽培等農業分野に参入し雇用を生み出している例もあり、業界全体に新分野・新市場への展開に向けた動きが出始めていると考えております。農業参入につきましては、これまで7社、予定が7社となっております。今後とも、新たな雇用が生み出されるよう支援してまいりたいと考えております。
 次に、若年者の雇用対策についてでありますけれども、本年3月の新規学卒者の就職率は前年度を上回っておりますが、依然として厳しい状況にあると認識しております。このため県といたしましては、新規学卒者を対象としました就職面接会やインターンシップ事業などを行ってきたほか、若者の就職のためのワンストップサービスセンターを設置して就職相談等の支援サービスを行ってきたところであります。さらに、このたび本県が国の若年者就職支援事業であるジョブカフェのモデル地域に選定され、この7月1日から盛岡市菜園において、就職に対する動機づけから適性診断、スキルアップ、就職あっせん、さらには就職後のフォローアップまで、若年者就職支援に係る一貫したサービスを行うこととしております。
 若年者の雇用問題は、将来の産業人材の育成確保という側面があり、今その対策を確実に行っていくことが必要であるため、当面の最重点課題として取り組んでまいる考えであります。
   〔商工労働観光部長酒井俊巳君登壇〕

〇商工労働観光部長(酒井俊巳君) まず、エコタウン構想の推進と今後の見通しについてでありますが、県では、環境首都いわての実現と産業廃棄物の再利用・再資源化による環境関連産業の創出と育成を推進するため、これまでエコタウン構想の実現を目指す釜石市の取り組みを支援するとともに、かまいしエコタウンプランを共同で取りまとめ、国のエコタウンプラン地域承認に向けて国との事前協議を行ってまいりました。
 釜石市においては、エコタウンプランの具体的な取り組みとして、水産加工廃棄物を医薬品や健康補助食品等にリサイクルする施設を設置したいとして国に補助申請を行っており、先日――6月14日でございますが、国――経済産業省の本申請についての最終ヒアリングを終えたところでございます。
 プランの地域承認が実現されますと、バイオ技術を用いた水産加工廃棄物のリサイクル施設の設置等各種リサイクル施設の集積や酵素活用技術等の地域が有する研究ノウハウと未利用水産資源の活用などによる岩手ならではの新たな産業と雇用の創出に向けた取り組みが促進されるとともに、地域の環境保全と水産振興にも大きく寄与するものと考えております。
 今後の見通しにつきましては、プランの地域承認及び現在申請しております国庫補助事業の採択については、国からも十分な理解を得られているものと認識しております。県といたしましては、今後もエコタウン構想の実現に向けて積極的に支援し、国に対して働きかけを行っていくとともに、釜石市を初めとした関係機関と連携して、事業の円滑な推進に向けて適切に対応していきたいと考えております。
 次に、三陸観光の新たな展開をという御質問についてでございます。
 地域の活性化を図るには産業の振興が不可欠でございますが、特に三陸地域の活性化のためには、ホテルや旅館等のいわゆる観光産業のみならず、農林水産業を含め、広く地域経済への波及効果が高い観光振興を図ることが必要不可欠と認識いたしております。
 三陸海岸を中心とした観光振興につきましては、これまで官民連携して魚彩王国、三陸夢紀行創造事業などの取り組みを行い、観光資源の発掘、観光客受け入れ態勢の整備、広域観光ルートの設定を行ってまいりました。県では、これらの取り組みの成果を引き継ぎながら、本県が持つ魅力ある地域資源を発掘、活用して、岩手ならではのゆったり・ぬくもり感のある旅を提案し、旅行商品化の促進を図ることとしておるわけでございますが、都市住民を含め、他地域の住民、観光客の視点で見ますと、三陸地域は、地域の生活文化そのものが観光資源となり得る可能性を秘めているのではないかと思っております。例えば、漁村の原風景である番屋あるいは昔ながらの直煮製法による天然の塩づくり、魚市場での水揚げや競りの様子などが考えられるところでありますが、まずもって、観光産業に携わる方々はもちろん、地元の方々みずからがこうした見過ごされてきた地域の宝を見つけ復活させたり、あるいは、先ほどお話にもございました風力発電などインパクトの強い新たな地域資源も含めてこれを磨き上げ、観光資源化することが特に大切と考えております。
 県といたしましては、このような地域で進められる取り組みを既存の観光資源と組み合わせ、それらを観光ルート化するなどして全国への情報発信、旅行エージェントへの商品化の働きかけなどの支援を行い、官民協働による観光振興に積極的に取り組んでまいります。
   〔農林水産部長今泉敏朗君登壇〕

〇農林水産部長(今泉敏朗君) まず、漁業振興策についてでありますが、漁業不振の要因としては、資源の減少、魚価の低迷、就業者の減少等が考えられますが、中でも大きな問題は担い手の減少ではないかと認識しており、今後、効果的な担い手対策を講じていくことが重要と考えております。
 その担い手対策として考えられることは、一つには所得の確保・向上が挙げられるわけでありますが、その方策としては、漁業総生産額の約6割を占め、漁家経営の安定にも貢献しているつくり育てる漁業が有効であることから、今後におきましてもその充実強化に努め、所得の確保・向上を図ってまいります。
 二つ目として、担い手が参入しやすい環境づくりが考えられるわけでありますが、これにつきましては、昨年度から取り組んでいるいわて養殖漁業ステップアップ事業及び水産経営総合改善事業を通しまして養殖漁場の再編やワカメやカキ等の養殖施設の強化を促進し、担い手が参入しやすい環境づくりを一層推進してまいります。
 こうした施策の積極的な推進により担い手の確保・育成が促進され、それが生産量、生産額の増大に結びつき、さらに漁業全般の振興につながっていくように努めてまいりたいと考えております。
 次に、ワカメ養殖業の構造改革の現状と今後の展開についてでありますが、平成14年3月に策定したワカメ養殖業構造改革アクションプログラムに基づき、生産から流通に至る各段階で、生産者、関係団体、市町村及び県が連携し、ブランド化の推進と生産性の向上等に取り組んできたところであります。
 これまでの成果といたしましては、ボイル塩蔵ワカメにつきましては、作業工程の改良により各工程における労働の集約化が図られ、経営規模の拡大が進んでおります。また、早どりワカメにつきましても、商品化に努めた結果、平成15年には約6トン、16年には150トンと、しゅん限定商品として定着しつつあります。さらに、消費者に安心を提供するとともに、外国産などとの差別化を進めさらなるブランド化を図るため、平成15年10月に創設した三陸岩手わかめ認証制度につきましても現在11企業が参加し、認証シールを添付した25製品が市場に流通しております。
 このように、現行のアクションプログラムは所期の成果を一定程度果たしたものと考えておりますが、さらに平成17年から19年度までを実施期間とする新たなプログラムを策定し、引き続きブランド化の一層の定着と、こうした成功事例の他地域への横展開により、ワカメ養殖業の構造改革をさらに促進してまいりたいと考えております。
 次に、漁協の経営状況についてでありますが、本県の漁協は、収益の大部分を依存してきた自営定置漁業が近年の秋サケの魚価安等の影響を受け不振となっているほか、漁業就業者の減少や漁業生産額の低迷等により購買や販売事業の取扱高が減少傾向にあり、平成15年度は県内33漁協中25漁協が赤字決算の見込みとなるなど極めて厳しい経営環境にあると認識しております。
 次に、漁協の経営基盤強化についてでありますが、漁協経営が一段と厳しくなる中で、漁協が漁村地域の活性化など漁業・漁村における中核的な役割を果たしていくためには、まずもって漁協自身が経営の合理化や効率化などにより経営基盤の強化に取り組むことが重要であると考えております。
 県としては、こうした漁協の自助努力とあわせて漁協の経営改善を積極的に支援するため、特に多額の繰越欠損金を有し財政状況が厳しい漁協の財務改善計画の作成とその着実な実行を指導するとともに、漁協信用事業の統合や欠損金見合いの借入金に対する利子補給、研修会の開催等による漁協役職員の資質向上に取り組んできたところでありますが、さらにその経営基盤を強固なものとし、自立した漁協の経営体制を確立するため、関係団体、市町村と連携を図りながら、漁協系統が策定した岩手県漁協組織強化計画に基づく平成19年度末までの県1漁協体制の構築に向けた合併の取り組みを強力に推進していくこととしております。今後とも、こうした施策の積極的な展開により漁協の経営改善を支援してまいりたいと考えております。
   〔県土整備部長橋本義春君登壇〕

〇県土整備部長(橋本義春君) 道路整備についてでありますが、まず、三陸縦貫自動車道釜石山田道路の進捗状況と今後の見通しについてでありますが、特に渋滞の著しい水海地区から鵜住居地区の約4.5キロメートル間を優先的に整備することとしておりまして、今年度から水海地区の用地取得済みであります一部区間について工事に着手すると伺っているところであります。
 県といたしましては、引き続き、事業中の区間の整備促進はもとより、基本計画区間の整備計画区間への格上げにつきましても関係市町村と連携を図りながら積極的に国に働きかけてまいります。
 次に、主要地方道大槌川井線土坂トンネルの整備についてでありますが、整備計画延長約5.2キロメートルの区間のうち、早期に整備効果が発現できる現道拡幅区間の約600メートルについて現在整備を進めているところであります。残るトンネル部分を含む区間の整備については、県全体の道路整備計画の中で、公共事業予算の動向をも見きわめながら検討してまいりたいと考えております。
 次に、市道平田上中島線の県道昇格による早期整備についてでありますが、県道の認定に当たりましては、道路法の規定及び県道認定基準等を満たす路線につきまして、県道として早期に整備、管理する必要性等を総合的に判断の上、認定することとしております。一方、道路整備につきましては、道路整備プログラムに基づき進めてきたところでありますが、昨今の厳しい財政環境から、事業進捗の速度を抑制せざるを得ない状況となっております。このようなことから、現状におきましては県道の新たな認定は難しい状況にあると考えております。
 次に、釜石市道片岸箱崎線の山村代行事業導入についてでありますが、市町村道整備代行事業の採択につきましては、山村振興法などの特別立法対象地域で、事業の必要性、緊急性、重要性が高く、原則として用地取得や物件補償が完了した箇所の中から総合的に検討し、採択することとしております。
 御質問の釜石市道片岸箱崎線の整備につきましては、トンネルや長大橋等の大型構造物が予測されますこと、また、県が厳しい財政状況にありますことなどから、現状におきましては県代行事業による整備は困難であると考えております。
   〔選挙管理委員会委員長岩崎康彌君登壇〕

〇選挙管理委員会委員長(岩崎康彌君) まず、今回の事態についてどう受けとめているかとのお尋ねについてでありますが、啓発用ポスター等について疑義の申し入れや取りやめが全国的な話題となったことに驚き、選挙管理委員会の公平、中立性が議論の対象となったこと自体を遺憾に感じております。
 次に、ポスターなどの制作意図、その根拠及びねらいについてでありますが、昨年春の統一地方選挙後6月に実施しました選挙に対する意識等についての実態調査から、政治に対する関心や不満がありながら、個人の意見が政治に生かされることがないから、投票率低下は構わない、やむを得ないとする有権者意識が浮かび上がりました。この調査結果を踏まえて、投票率の特に低い20代、30代の有権者を対象に、意見や不満を抱きつつも投票に行かない有権者の意識に訴えかけるものとしたところであります。
 次に、ポスター決定の事務手続上の経緯についてでありますが、ポスター決定の手続は、県内の広告会社に企画を募り、応募のあった7社の企画について事務局内で検討し、さきの実態調査で得た有権者像を勘案して、投票率の向上を図る目的から見て適当と考えるものを選び、選管事務局代決専決規程に基づき書記長が決裁したものであります。
 次に、県民の信頼回復のために今後どのように取り組むかというお尋ねについてでありますが、当面は既に公示された参議院議員通常選挙の適正な管理執行に努めることが第一と考えておりますが、今後の啓発活動に関しましては、一層公平、中立の意識を高く持ち続けながら業務に精励することが県民の信頼にこたえることになると考えております。
 次に、ポスター使用中止の理由についてでありますが、ポスターの内容が選挙管理委員会の公平、中立性を逸脱したものとは考えておりませんが、その内容が当委員会の公平、中立性の議論の素材とされ、さまざまな御意見が寄せられましたことから、これをそのまま掲出し始めることが、投票啓発という本来の意図とは異なる議論の拡大を招き、当委員会への県民の信頼を損ないかねないと懸念し、取りやめることにしたのであります。

〇31番(阿部敏雄君) 再質問させていただきますけれども、私はこの問題については何も知りませんでした。新聞を見てびっくりしました。しかし、委員長が、自分の本業は弁護士ですよね。そうすると、私は思うのには、弁護士である委員長が、やはりだれより以上にこの問題には詳しいはずではなかったのではないですか。例えば、決定した段階で、法的根拠でこれは大丈夫だという、それくらいの認識はなかったのでしょうかね。異議申し立てで、それによってそれを覆すということは、今の答弁を聞いていますと、一方にはいいように、これには公平さがある、しかしというようなことでは、やはり選管としての私は意味をなさないと思いますね。ただ、私は、ただの一般人の委員長であれば何とも言いませんけれども、弁護士という、本当にこういう場合にこそ私は委員長に勇気を持って胸をたたいて、どうぞと、それくらいの私はあれがあってほしかった。ですので、もう一度その信念とあれをお聞かせ願います。

〇選挙管理委員会委員長(岩崎康彌君) 私が弁護士という本業から、この点についての判断が不十分ではなかったかという御質問ですよね。ただ、これにつきましては先ほど申し上げましたように、これを決める、どういうものをそういうポスターにするかということにつきましては、いわゆる選管事務局代決専決規程に基づきまして書記長が決裁したものであります。それで、私もこの点につきましては、これが問題になるまでは知らなかったことであります。ただ、それは、これが非常に不適切なものであるということの責任を負わないということではもちろんないわけで、ただ、実際の事実を申し上げたわけであります。そういう意味では阿部敏雄議員の御質問、ちょっと御納得いただけないかもしれませんが、事実はそういうことであります。
 それで、今まで私も18年以上も委員長を務めさせていただいて、選挙も何回かやっていますが、ポスターのことにつきましては常に選管の事務局で討議し、書記長が専決しておるわけで、現在まで1回もそういうことが問題になることはなかったのですが、今回だけこういうことになったものであります。

〇31番(阿部敏雄君) 委員長の今の答弁、書記長が決めたということは、やはりその上に委員長の立場があるわけですよね。これは国庫補助で作成されたものですね。もし国の方から国庫の返済が来たときはどうなるのですか。そのとき委員長はそういうことも知らないということを言えるのですかね。こういう選挙は公平さを持ってやるわけです。職員は、やはりよしとしてやったものに対して、ある一部のあれによって取り下げるということは、これは重大なものなんですよ。やるときにみんなが、県民100万人いれば100万人がみんな納得する掲示ポスターというのはないんです。一方ではこれに絶えず反発もあるだろうし、しかし、県選管は一人でも多く投票させたいという、いろいろなデータのもとに作成したものが、たった一晩か何時間の間に、朝の新聞に中止というのか張らないというのか、そういうことでは私は本当に、今後あらゆるものがこの職員の、これは選管だけではなく県の職員のやる気がなくなりますよ。だから、私は岩崎さんに、私は今、責めるわけではありませんけれども、今後やっぱり委員長としてこういうことに目を通して、やはり公正を期するためにも勇気を持ってこれは対処してほしいと思います。
 以上です。

〇副議長(菊池勲君) 要望ですか。(31番阿部敏雄君「はい、いいですよ。答弁してほしいです」と呼ぶ)答弁してほしいの。(31番阿部敏雄君「はい」と呼ぶ)

〇選挙管理委員会委員長(岩崎康彌君) このポスター等を選んだということが、いわゆる書記長の代決専決でありますけれども、今回このポスター等を取りやめるということにつきましては、これは書記長の代決専決にはなりません。それで、これにつきましては事務局と私たち選管の委員が打ち合わせといいますか、相談をした結果、これは取りやめるということにしたものであります。
   

〇副議長(菊池勲君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時40分 休 憩
   

出席議員(47名)
1  番 亀卦川 富 夫 君
2  番 中 平   均 君
3  番 ザ・グレート・サスケ 君
4  番 木戸口 英 司 君
5  番 関 根 敏 伸 君
6  番 野 田 武 則 君
7  番 平 野 ユキ子 君
8  番 高 橋 雪 文 君
9  番 嵯 峨 壱 朗 君
10  番 平   澄 芳 君
11  番 工 藤 勝 子 君
12  番 平 沼   健 君
13  番 柳 村 典 秀 君
14  番 飯 澤   匡 君
15  番 田 村   誠 君
16  番 大 宮 惇 幸 君
17  番 千 葉 康一郎 君
18  番 新居田 弘 文 君
19  番 工 藤 大 輔 君
20  番 川 村 農 夫 君
21  番 樋 下 正 信 君
22  番 照 井 昭 二 君
23  番 柳 村 岩 見 君
24  番 阿 部 静 子 君
25  番 阿 部 富 雄 君
26  番 斉 藤   信 君
28  番 佐々木 順 一 君
29  番 佐々木   博 君
30  番 及 川 幸 子 君
31  番 阿 部 敏 雄 君
32  番 吉 田 昭 彦 君
33  番 小野寺 研 一 君
34  番 千 葉   伝 君
35  番 小野寺   好 君
36  番 伊 沢 昌 弘 君
38  番 吉 田 洋 治 君
39  番 佐々木 一 榮 君
40  番 伊 藤 勢 至 君
41  番 渡 辺 幸 貫 君
42  番 高 橋 賢 輔 君
43  番 藤 原 良 信 君
44  番 佐々木 大 和 君
45  番 藤 原 泰次郎 君
46  番 菊 池   勲 君
47  番 工 藤   篤 君
48  番 小 原 宣 良 君
51  番 佐々木 俊 夫 君

欠席議員(2名)
27  番 田 村 正 彦 君
50  番 佐 藤 正 春 君
   

説明のため出席した者
休憩前に同じ
   

職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   

午後3時58分 再 開

〇副議長(菊池勲君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。樋下正信君。
   〔21番樋下正信君登壇〕(拍手)


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