平成16年6月定例会 第8回岩手県議会定例会 会議録

前へ 次へ

〇13番(柳村典秀君) 政和会の柳村典秀です。
 質問に先立ち、一言お礼を申し上げたいと思います。
 私は、12月議会で国体のユニホームがダサいという話を申し上げました。このたび、そのユニホームのデザインが一新され、選手にもおおむね好評ということで、私も安心いたしております。そこで、佐藤教育長初め、国体ユニホーム検討委員会の皆さんの御苦労に感謝を申し上げ、ことしの岩手県選手団の活躍を期待するものであります。
 それでは、通告に従い順次質問いたしますので、よろしくお願いいたします。
 まず、行財政構造改革プログラムと中期財政見通しについてお伺いいたします。
 昨年の10月に増田知事は、行財政構造改革プログラムと40の政策を発表いたしました。その中で知事は、平成15年度から18年度まで4年間の厳しい財政状況を克服して健全化の方向に持っていくと同時に、これからの行政の質をより高め、持続した行政サービスを県民に安定的に供給すると述べておられます。このことにより、補助負担金の削減、県職員や教職員の定数削減、県出資等法人の見直し、県立病院改革、県立高校の再編など県民に痛みを強いる施策が次々と打ち出されました。私が思うに、この施策は、効率性と採算性を重視する余り、岩手県の中における地方切り捨てにつながっているのではないかと大変心配いたしております。
 そこでお伺いしたいのでありますが、平成16年度予算を編成した段階での40の政策の進捗状況と、さまざまな行財政改革がもたらす地域格差をどのように考えているのか御所見をお聞かせください。また、10月策定時点との計画に大きなギャップが生じることになった中期財政見通しですが、平成18年度までに不足する443億円から681億円の財源を今後どのようにして確保するのでしょうか。職員給与の削減は来年3月までですが、これをどうするかも含めてお尋ねいたします。
 次に、中期財政見通しのローリングとプライマリーバランスについてお伺いいたします。
 知事は、4年間の厳しい財政状況を克服すれば後は安定するという言い方をしていますが、果たしてそうでしょうか。私が思うに、厳しさはこのまま続くと見ていますし、行財政改革プログラムは平成19年度以降も進めていかなければならないと考えています。このことについて知事はどのような御所見をお持ちでしょうか。
 また、平成18年度にはプライマリーバランスの均衡が達成される見込みとのことでありますが、平成19年度も同様に均衡を保つとなれば、それまでの財源不足は幾らと推計されるのでしょうか。そして知事は、任期中の4年間だけに責任を持つのではなく、その後のことについても責任を負う必要があると思うのであります。したがって、中期財政見通しのローリングは、任期を越える部分であっても推計して毎年公表すべきではないかと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、市町村合併に関する諸情勢についてお尋ねいたします。
 市町村合併関連3法案が先月の国会を通過し、現行法にかわって平成17年4月1日から5年間の時限立法として施行されることになりました。今回の合併特例法は、合併特例債の廃止や合併算定がえの特例期間の段階的短縮など、財政面の優遇措置では後退するものの、合併特例制度の創設や合併協議会設置などに関する知事の勧告制度が新たに設けられています。この知事の勧告は現行法にも規定されているのですが、今回新たに設けられた制度によりますと、知事の合併協議会設置の勧告を受けた市町村長は議会に付議することが義務づけられました。そして議会が否決した場合には、6分の1以上の有権者の署名によるか、または市町村長が請求することにより住民投票ができるというものであります。これは、住民発議と知事の勧告を同様に扱っているのが特徴であり、合併に関する知事の権限を拡大させたと言えます。
 さて、この知事の合併勧告ですが、共同通信社で法案成立前に全国の知事を対象に調査を行いました。それによりますと、行使しないが7人、なるべく行使しないが21人、場合によって行使するが11人、その他8人という結果になっています。行使しない、あるいはなるべく行使しないと回答した理由の大半は、合併は、地域住民が自主的、主体的に判断すべきだというもので、中には、勧告は合併の進捗状況を踏まえ、慎重に対処すべきだとの意見も出されています。一方、場合によっては行使するとした理由の中には、合併を望んでいるのに行き場のない小規模町村がある場合、相手先の市町村に口添えする必要があるというものもあります。増田知事は、合併は市町村の自主性が基本との考えで、なるべく行使しないという回答でありますが、地域からの要請を踏まえ勧告の要否を検討すると述べられ、含みも残しておられます。
 さて、そこでお伺いしたいのでありますが、増田知事は、首都圏を除けば市町村合併が最もおくれていると言われる本県の現状をどのように分析されているのでしょうか。そして、県の役割は助言と環境整備としていますが、市町村合併を進めるために具体的にどういうことをしようと考えておられるのでしょうか。また、今回の勧告制度は合併論議を促す意味でも有効な手段と考えますが、あくまで地域の要請がなければ行使しないおつもりでしょうか、御所見をお聞かせください。
 続いて、最近県内で行われた合併に関する住民投票についてお尋ねいたします。
 この合併に関する住民投票は、4月の平泉町に続き、5月に入ってから野田村、大野村と立て続けに3回ほど行われています。増田知事は記者会見で、平泉町の住民投票に関連し、県内の他の地域で住民投票の動きがあることについて次のように話しておられます。それぞれの地域の選択であるが、基本は、やはり議会が民意を代表する場なので、その中で十二分な議論を執行部と議会が本会議などでオープンな形でやっていくことを積み重ねていくことが必要。要は、一律に住民投票ということではなく、そういう過程を経てどうしても決着がつかないときには住民投票ということはあるでしょうが、議会制のルールも尊重する必要があるのではないかと述べて、合併に関する住民投票の実施には慎重な姿勢を示しておられます。
 私は、これらの知事の発言について、一般論としての住民投票に関する考え方ならばそのとおりだと思います。しかし、事合併に関する住民投票ということであれば、膠着状態を打開する手段として、あるいは自分たちのなれ親しんだ市町村の枠組みを変え、将来を大きく左右する意思決定過程に主体的にかかわるという点で、住民が求めるならば大いに実施すべきと考えるものであります。
 そもそも合併特例法の住民発議制度は、市町村の合併について、これまでの行政指導だけでなく住民の立場からも進められるよう平成7年に新設され、平成11年の改正を経て、14年には新たに住民投票制度が創設されたという経過をたどっています。平泉町の場合、まさにこの法律に沿った形で住民投票がなされたものであります。ちなみに全国では、6月22日現在、住民発議によって法定協議会が設置された地域が53カ所に上っています。これまで直接請求による条例でしかできなかった住民投票が合併特例法の中に盛り込まれたという意義は尊重すべきだと思いますし、合併協議の進まない自治体にとって、住民発議制度は住民の側から議論を促すという意味でも有効な手段と考えますが、知事の御所見をお聞かせください。
 また知事は、野田村の住民投票が行われた後の記者会見で、平泉町、野田村とも議会の意向と民意が違っていることに、地方自治を考える上で非常に深刻な問題ではないかという新聞記者の質問に対して次のように話しておられます。住民投票は最終的には大変重たい結果をもたらしますが、住民の意識、与えられている情報がどういうものかによっても投票の結果は左右されます。一般的には当然起こり得る事態であり、個々の事情によって違うと思いますが、それにしても議会も常に民意を吸収するという努力を継続していく必要があるということを両方の結果が示したのではないかと思いますと述べられております。そもそも情報によって投票結果が左右されるとはどういう意味でしょうか。今回の住民投票に関して、与えられた情報に問題があるということでしょうか。また、議会が民意を吸収する努力が必要であるということを両方の結果が示したとはどういう意味でしょうか。
 議員として民意の把握に努めることは議員活動をする上で大変重要なことであります。しかし、住民の意向に沿った判断ばかりするのは真の議会人とは言えないと思います。時には住民が反対するような負担を強いる判断をする場合もあるでしょう。その議員をもって組織された議会の判断と住民投票の結果が違ったからといって議会を非難するのはおかしいと思うのですが、知事の発言の真意をお聞かせください。
 次に、公共事業評価と道路整備の状況についてお伺いいたします。
 まず、公共事業評価についてでありますが、本年度の道路整備予算は、行財政構造改革プログラムによる公共事業費30%削減の影響で、かなり減額されています。当初予算ベースで平成16年度と14年度を比較してみますと道路橋りょう費で27.9%減少となっていますが、これを補助事業と県単独事業に分けて比較しますと、補助事業が19.6%減少、単独事業が35%減少ということになります。また、維持費と投資的経費に分けた場合、維持費が1.9%減少、投資的経費が30.6%減少となっています。このことから道路整備に関しては、なるべく県単独事業を削って補助事業を優先し、維持費が削減できない分、投資的経費を削っているという現状が浮き彫りになっています。また、事業箇所数にしても、平成14年度には583カ所あったものが本年度は336カ所と42.4%減少していて、新規の事業採択が難しいのもうなずけます。
 このような中、県では、農林水産部と県土整備部が所管する公共事業を対象に事業評価が実施され、本年1月からは条例に基づいた制度のもと評価を行っています。これは、必要性、重要性、緊急性、効率性、熟度の5項目にそれぞれ点数を配分し、合計を100点として事業ごとに点数をつけ、評価するというものであります。
 そこでお伺いしたいのでありますが、事業評価の点数が同じ場合、どのようにして優先順位を決めるのでしょうか。また、この評価方法では、知事が事業を決定する余地は残っているのでしょうか。そして、市町村や地域住民からの要望活動はどのように考慮されるのでありましょうかお尋ねいたします。
 続いて、道路整備の状況についてお伺いいたします。
 国道に関する道路改良事業は、本年度11カ所、事業費66億1、000万円で実施されていますが、最も早く完了するもので平成19年度となっております。予算規模が今と同程度に推移したとすれば、現在進行中の事業が完了しないと新規事業に着手できないと考えるのですが、今後の計画はどうなっているのでしょうか。
 また、現在、PIを実施して調査を進めている箇所に土坂峠、室根バイパス、平庭道路があります。この進捗状況と今後の予定もあわせてお尋ねいたします。なお、土坂峠につきましては、この後地元の阿部敏雄議員が詳しく質問されますので、その部分を除いてお願いいたします。
 次に、警察官増員による治安体制と少年犯罪対策についてお伺いいたします。
 まず、警察官増員による治安体制についてでありますが、警察庁は、昨年8月に緊急治安対策プログラムを策定し、その中で新たに今後3年をめどに地方警察官約1万人の増員を図るという方針を打ち出しました。その手始めに、平成16年度の増員要求を、進行中である1、500人に次の計画分の3、000人を加え4、500人として要求しました。しかし財務省は、都道府県庁の職員を減らして人件費を圧縮することで地方財政を悪化させない配慮が必要だとしました。このように抑制を促した結果、3、150人の増員を認めるということになりました。このことから本県では本年度新たに20人の増員が認められたわけですが、これで十分な治安体制が整ったとは言えないのが実態ではないでしょうか。
 昨年の12月議会における決算審査で伊沢昌弘議員の交番・駐在所の勤務形態に関する質問に対し、県警本部からの説明では、空き交番を全部解消するためにはおおよそ30名の人員が必要になるということでありました。このことからしても警察官の増員は今後も必要と考えているのですが、県警としては、今回の増員をどのような部署に配置し、治安体制の強化を図っていかれるおつもりなのでしょうか。また、新年度からこれまでの組織体制の見直しを行い、新たに刑事企画課や捜査二課組織犯罪対策室を発足するなどしていますが、このことが治安体制の強化にどのように生かされていくのでしょうか。そして、県民にとっては身近な存在の交番や駐在所の充実強化が最も望まれていると思うのですが、このことに対する対応策もあわせてお尋ねいたします。
 続いて、少年犯罪の対策についてお伺いいたします。
 平成15年度の全国における刑法犯の認知件数は279万136件と、前年度に比べ2.2%減少しました。しかし、殺人や強盗などの凶悪犯罪を起こして補導された14歳未満の少年は前年対比47%増加となり、14歳以上の少年も11.4%増加しました。また、虐待で死亡した18歳未満の子供は3人ふえて42人に上るなど、少年が被害に遭った凶悪犯罪は3.1%増と、8年連続で増加しています。さらに、性犯罪の被害者も7、376人と、過去最悪になっています。最近、少年が加害者、被害者となる衝撃的な事件が相次ぎ、警察庁は、少年犯罪の凶悪化は予断を許さない状況であり、非行防止、保護の両面が国民的課題として危機感を訴えています。
 本県でも、昨年の刑法犯認知件数は1万3、686件と前年を8.8%下回り、過去10年間で、平成11年に続いて2番目に低い件数となっています。一方、少年犯罪は、凶悪犯が昨年の22人から5人へと減少、刑法犯少年も1、431人で4.4%減少しています。しかし、不良行為少年が1万2、361人で15.5%増加し、犯罪少年の再非行率が上昇傾向にあり、初めて30%になるなど依然として危惧される状況にあります。
 県警では、昨年度、本県の特性に合った総合的な対策を進め、少年犯罪の総量抑制を目指すとして独自の事業を進めております。この事業では、有識者による岩手県少年非行防止対策検討委員会を発足させ、本県独自で少年非行防止に向けたアンケート調査を行いました。また、その科学的分析を岩手大学に委託し、その分析結果を検討委員会で協議検討、提言を行うということでありました。そして、このほど、今後2年間で刑法犯少年を1、000人以下にすることを目標とした総合的な対策であるいわて非行防止チャレンジ1000作戦に取り組むとして報道されております。
 そこでお伺いしたいのですが、いわて非行防止チャレンジ1000作戦の概要と、さきに述べたアンケート調査の分析結果がこの作戦にどのように反映されているのでしょうかお尋ねいたします。また、県民挙げての少年非行防止に向けた運動を展開しなければならないと思いますが、県警としての推進方策等どのようになっているのでしょうかお尋ねいたします。
 次に、家畜排せつ物処理施設の整備とその後の対応についてお伺いいたします。
 畜産農家に対して家畜排せつ物処理施設の整備を義務化する家畜排せつ物法の適用がことしの11月と迫っております。こうした中、県内の畜産農家における整備率は、平成15年度末で78%にとどまっているという新聞報道がなされました。私は、昨年の2月議会でもこの問題を取り上げましたが、そのときの答弁によりますと、整備率は平成14年度末で60%を超える程度であり、15年度は、県単独の支援対策である地域有機物資源活用促進事業の予算を大幅に増額しました。さらに、個別農家ごとに進捗状況を調査し、確認しながら猶予期限までの施設整備を促進してまいりますということでありました。それから1年以上が経過しているわけですが、新聞報道によりますと、現在約880戸の未整備農家のうち、国、県などの補助金活用でめどが立っているのは530戸余りという内容であります。
 最近、畜産農家を訪ねて歩いたとき、そのうちの2軒がちょうど処理施設の工事中であり、補助金について尋ねると、どちらも活用していないということでありました。その理由は、この先いつまで続けられるかわからないのに、補助金を使えば返さなければならなくなるということでした。聞くところによると、施設の耐用年数を経過しないうちに廃業すれば、残存年数に応じて補助金を返還しなければならないと話していました。これでは、後継者のいない畜産農家や先行きに不安を感じている人にとっては補助金つきの施設整備にちゅうちょしてしまうのもうなずける話だと思いました。
 そこでお伺いしたいのですが、今の段階で施設整備のめどが立っていない畜産農家は一体何戸ぐらいあるのでしょうか。また、もし法律が適用される11月以降に未整備のまま命令に従わないと50万円以下の罰金が科せられるということですが、このことについては県としてどのように対応されていくおつもりでしょうかお尋ねいたします。
 続いて、施設整備後の支援策についてお尋ねいたします。
 これまで国も県も猶予期限内の施設整備を目指してさまざまな支援策を講じてきましたが、これからは、整備された施設の適正な運用が行われるための支援策が必要ではないでしょうか。今、施設を整備した畜産農家ではさまざまな問題に直面しています。それは、実際にやってみると施設の容量が足りない。わらやおがくずを入れないとふんが流れ出てしまう。堆肥化するのに手間がかかる。また、堆肥は自分のところで処分しているが、それもいつまで続けられるのか。あるいは、施設整備の負担はともかく、これからの方が大変だなどの声がありました。このようにさまざまな問題がある中で、緊急かつ共通の問題として対策が必要とされているのが堆肥流通の支援策ではないかと思います。つまり、地域ごとに畜産農家と稲作・畑作農家との堆肥の流通が行われるように県として支援する必要があると思うのですが、いかがお考えでしょうかお尋ねいたします。
 最後に、IGRいわて銀河鉄道の経営安定化についてお伺いいたします。
 先ごろIGRの平成15年度決算が発表され、当初見込みを7、306万円改善して4、188万円の赤字となったことが報告されています。今回が開業以来初めての年間営業を通じての決算ということで、赤字が少なかったことに関係者はひとまずほっとしていることと思います。しかしIGRでは、この決算のコメントで、善戦してはいるが、少子化に伴う今後の通学者の減少など、中長期的に見ると厳しい状況に変わりないとしており、利用促進に努力が必要なことを強調しています。一方、県と沿線6市町村で組織するいわて銀河鉄道利用促進協議会は、これまでIGRが独立採算を目指すために必要なJR対比1.99倍の通学定期の運賃水準を1.35倍に抑制していました。この激変緩和措置は本年度までのため、9月上旬をめどに来年度以降の方針を決めるとしています。
 そこで、お伺いしたいのですが、この激変緩和措置を廃止すれば、それこそ急激な値上げになります。利用者のことを考えれば、段階的に運賃水準を引き上げる新たな緩和措置が必要かと思いますが、どのような御見解をお持ちでしょうか。
 また、利用促進の一環として新駅の設置が平成17年12月に予定されています。IGRではこの青山、巣子の新駅開業に伴う利用客増加を見込み、平成19年度には単年度黒字を目指すとしています。県では新駅の設置に関し補助金を支出していますが、私は新たに厨川駅西口通路に対しても県として補助金を出し、早期設置を図るべきではないかと思います。この厨川駅西口通路は盛岡市議会、滝沢村議会でそれぞれ何度も取り上げられ、みたけ地域の住民はもとより、滝沢村の住民からも要望が出されており、新駅設置と同様の効果をもたらすものと思いますが、いかがお考えでしょうかお尋ねいたします。
 以上でこの場からの質問を終わらせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 柳村典秀議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、40の政策の進捗状況についてでございます。
 16年度予算編成を行った段階でということでございまして、まず、具体的には、政策形成プロジェクト経費として平成15年度には約83億円、うち一般財源ベースで約43億円を措置しております。そして、平成16年度におきましては約92億円、うち一般財源ベースでは約48億円の予算措置を行いまして、現在この経費を中心に40の政策のすべてについて今鋭意推進をしているところでございます。とりわけ、その中でも雇用対策と青森県境の産廃不法投棄事案への取り組みにつきましては、緊急課題として前期2年間に最優先で取り組んでいるという状況でございます。
 この40の政策につきましては、その進捗状況を県民の皆様方に目に見える成果として示していく必要がございまして、政策ごとに目標を一つ一つ定めてございますが、そのそれぞれの目標について政策評価においてしっかり評価、検証していくこととしてございまして、初年度でございます平成15年度の実績については、現在その作業を行っておりますので、8月上旬を目途にその結果を公表したいと考えております。
 次に、行財政構造改革プログラムと中期財政見通しで、特に財源不足の解消策についてのお尋ねでございますが、中期財政見通し、これは当初は昨年6月に推計したものでございますが、これをことし2月推計でもう一度やり直してございます。その際に財源不足額が拡大をしておりますけれども、その拡大の主な要因は、国の平成16年度予算におきまして、地方財政計画の規模の抑制が当初の計画より前倒しで行われて、地方交付税などが平成15年10月推計時の想定を超えて、一方的に大幅に削減をされたということ。これは2月議会などでも何度も申し上げましたが、そうしたことがございますのと、国庫補助負担金の廃止・縮減に見合った額の税源移譲がなされなかった。これは三位一体改革の中で必要額の税源移譲がなされなかった。この二つが原因であると考えております。こうした財源不足額が拡大したことに対して、まずもって国への働きかけが必要だと考えておりまして、国に対して、国の財政再建を優先させるのではなくて、真の地方財政自立改革が実現できるように、地方の実情を踏まえた地方財政措置に基づく所要の財源の確保を、機会あるごとに国に対して強く働きかけをしていきたいと考えております。
 また、このような大幅な財源不足が現実にもう既に生じておりますので、昨年10月につくりました行財政構造改革プログラムの見直しを行う必要が今生じております。そこで、県有未利用地の処分や資産株の売却の推進、それから特定目的基金の一層の見直し、それから他会計資金――電気事業会計などでございますが――のさらなる活用などによりまして、より一層の歳入確保に努めていくこととしてございますし、これらに加えまして人件費も含めた歳出全般について、一切の聖域を設けずに、さらなる削減策の検討を行って、歳出削減になお一層努力することによりまして、拡大いたしました財源不足額の解消に努めていく考えでございます。
 それから、中期財政見通しのローリングについて幾つかお尋ねがございますが、この中期財政見通しでございますけれども、これに基づいた行財政構造改革プログラム、昨年10月に発表いたしまして、それに基づく取り組みを着実に進めるということ、それから国の方で三位一体改革、いわゆる地方財政自立改革ですが、これを真の意味での三位一体改革、正しい姿での三位一体改革を進めていただければ、私は財政再建の道筋がつくと考えております。先ほど申し上げましたように、2月時点で大幅に交付税を当初の約束以上にカットするといったような、ああいうようなことさえ行われなければ財政再建の道筋がつくと考えておりますが、現実には今後の国の財政運営や景気の動向がどのようになっていくか不透明なところがございます。
 地方いじめとも言えるようなああした財政運営が現実に行われておりますので、平成19年度以降もさらなる行財政構造改革についての取り組みが必要となることも想定されるわけでございます。これに伴う中期財政見通しのローリングの継続実施についても、私は平成19年以降についてもやはりそうしたローリングを行っていく必要があると認識しておりますが、この平成19年度あるいは平成19年度以降の財源不足額やその財政見通しというのは、これはもう国の今後の財政構造改革の動向、財政運営のハンドリングに大きくかかわってくることでございまして、不確定要素が今の段階では余りにも大き過ぎるということがございまして、現時点では正確に見通すことは極めて困難であると認識しております。
 先般、骨太の方針2004が発表されましたが、あれも平成18年度までの全体像をことしの秋に明らかにするということで、平成19年以降については全く触れておりません。そういったこともあるので、もう少しその動向を見ていく必要があると考えておりますが、いずれにしても平成19年度以降の国の三位一体改革の方向性が明らかになれば、それを踏まえて我々の中で可能な範囲で適切な推計を行い、それを発表していきたいと考えております。
 それから、市町村合併について何点かお尋ねでございます。
 まず、市町村合併が進まないという認識に立っての現状分析でございますが、御指摘のとおり、県内の市町村合併についての協議は、他の県に比較してこれまで非常に少なかったという認識をしてございますが、現在、県内では法定協が6組織で、15市町村が参加しております。また、任意協が4組織で、11市町村が参加しておりまして、これは来年の3月末に合併特例法の施行期限を控えてございますが、そうした期限をにらみながら、地域の自立の道を探るために、市町村合併に向けた機運が県内においても急速に高まってきた結果であると分析をしております。
 この市町村合併を進めるための具体的な方策でございますが、県の方では既に合併自立支援交付金を用意しております。それから、本年度から市町村合併支援についての特命課長を五つの地方振興局に配置をして、市町村と密接な連携をとりながら、そうした市町村への助言に努めております。また、合併市町村の自立を促すために平成15年3月――昨年の3月には合併市町村への県事務の権限移譲方針も定めたところでございますので、こうしたものを使っていただきながら、市町村の方で将来について考えていただくことが適当だと考えております。県としては現行の合併特例法期限内、すなわち来年の3月の期限内の合併を目指す市町村に対しましては、期限内合併が円滑に進むように全庁挙げて県の合併支援プランに基づき支援をしていく考えでございます。それから、まだ枠組みが決まっていない地域もあるわけでございまして、そうしたところでの議論を深めるために、地域からの要請に応じて県も議論に加わるなど、助言や情報提供に努めていく考え方でおります。
 それから、合併新法の中で勧告制度が盛り込まれるわけでございますが、これについての見解を問われておりますけれども、合併新法で、知事の勧告を受けました市町村は、合併協議会設置協議について、議会に付議をしなければならない規定になっておりまして、知事の勧告は市町村を拘束する効果が付与されているわけでございます。このような効果を伴う新法の知事の勧告については、県と市町村が対等協力の関係であるというその地方自治法の精神、また、これまで市町村合併があくまでも住民合意を前提として市町村が自主的に選択すべきものと申し上げてまいりましたし、そのような考え方であるべきと考えておりますので、市町村の判断を最大限尊重しながら、地域からの要請を踏まえてこの勧告の有無について慎重に検討すべきものと考えております。
 それから、合併についての住民発議制度についてでございますけれども、これは我が国の地方自治制度が間接民主制を採用しているという大原則がございますので、市町村合併についても、私はまず市町村議会で十分に議論してそして方向性を出す、決定すること、これが大原則であると考えております。そのことをまず申し上げておきたいと思います。しかし、現実に合併の是非や枠組みをめぐって、住民活動と市町村当局の目指す方向が一致しない場合もございますし、それから市町村長と市町村議会の間で合併の相手方をめぐって意見が分かれる場合もございます。平泉などそうだと思います。それから、市町村当局と市町村議会、または住民との間で協議が調わない場合といったような場合もございます。こうした際に住民発議制度というのは、合併議論を高める上で有効な制度と考えているところでございます。
 それから、住民投票のことと住民の皆さんに対しての情報の提供ということでございますが、これは住民投票の前に、大前提として住民の皆さんに情報提供が十分に行われる必要があると考えておりまして、そのことを申し上げております。情報提供の不足などによって住民の判断が左右されないように、住民に対して市町村から財政状況や将来展望などについてわかりやすい資料が提供される。これは市町村の当局や議会というのはそうしたことについて情報も多く持っておりますし、いわば専門家のような立場でありますから、一般の住民の人とは格段に情報量も違いますので、一般の住民の皆さんが住民投票をする際には、やはりわかりやすい資料の提供ということが大前提でございまして、そうしたわかりやすい資料が提供されること、それから議会においても十分な議論を尽くしていただきたいという趣旨でこのことを申し上げたところでございます。
 最後に、議会と住民投票の関係でございまして、野田村の住民投票について私も記者会見で申し上げたところでございますが、この内容については野田村あるいはそのほか住民投票を行った議会について、当然議会の判断と住民の判断が分かれるということは、こうした場合に当然あるわけでございまして、私も、記者会見の議事録をお読みいただければわかると思いますけれども、議会を全く非難はしておりません。議会の判断と住民の判断が当然分かれることはあるわけですが、合併についてもその後、議会の手続が必要になってまいります。ですから、投票結果を踏まえて市町村議会におきましても民意を酌み取った十分な議論を尽くしていく必要がございますので、そうした議会とそれから民意の反映、そしてこうした合併の際のこの住民投票ということにつきまして、そのことを申し上げたものでございます。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁させますので、御了承お願いいたします。
   〔地域振興部長山口和彦君登壇〕

〇地域振興部長(山口和彦君) まず、行財政構造改革がもたらす地域格差についてでございます。
 行財政構造改革は、自立した地域社会の形成を目指すものであり、具体的には、今後の財源不足を解消しつつ、これまで以上に質の高い行政サービスができる行政経営体に進化させようとするものでございます。県内には、地域の状態をあらわすさまざまな指標がありますが、生活あるいは生産の基盤、その根幹にかかわるような部分、この数値の開きはやはり格差と考えられます。行財政構造改革プログラムなどの実施により、全体の事業規模はどうしても縮小されることとなりますが、県政の重要課題として、その格差解消に向けて、今後とも最大限努力していく必要があると考えております。
 一方、これからは、それぞれの地域が有する自然空間や農林水産資源、歴史、文化などは地域の特性や特色ととらえ、大いに伸ばしていくべきものと考えております。行財政構造改革プログラムに掲げました40の政策は、コミュニティ・ビジネスやグリーンツーリズム、都市と農山漁村との交流など、地域の個性、長所を大いに伸ばす方向で取り組みを重点化したものであり、県内各地でこうした展開が進められることにより、県全体が活性化していくものと考えております。
 次に、IGRいわて銀河鉄道の経営安定化についてでございます。
 まず、現行の通学定期の運賃水準の激変緩和措置につきましては、来年3月末で期限を迎えますことから、その後の取り扱いについては、先ほど議員から御指摘のように、県と沿線市町村とで組織しておりますいわて銀河鉄道利用促進協議会で協議を進めているところでございます。これまでの協議の中では、激変緩和措置の継続が必要との意見、あるいは対応を検討中とするものもございまして、今後いわて銀河鉄道経営安定化基金の収支状況、あるいは花輪線からいわて銀河鉄道線に乗り継いでいる通学生の運賃に及ぼす影響なども踏まえながら、さらに検討を進めていくこととしております。今後の見通しといたしましては、先ほども議員からお話しありましたように、本年9月上旬を目途に結論を得て、それを明らかにすることができるよう、意見の集約に努めてまいりたいと考えております。
 次に、厨川駅西口通路についてでございます。盛岡市におきましては、現在、盛岡駅の地下自由通路に取り組んでおりまして、それに引き続き事業に着手したい意向と聞いております。平成13年3月に策定された並行在来線経営計画概要におきましては、新たな乗降口や東西自由通路の設置については、沿線市町村が主体的に取り組むべき方策とされておりまして、また、地域の利便性向上につながるものであることから、今後、盛岡市の意向をお聞きしながら、適切に対応してまいりたいと考えております。
   〔県土整備部長橋本義春君登壇〕

〇県土整備部長(橋本義春君) 公共事業評価と道路整備の状況についてでありますが、まず、公共事業評価において事業評価の点数が同じ場合、どのように優先順位を決めているかについてでありますが、道路事業においては、災害発生時におけるライフラインの確保など、その事業の特性を踏まえたさらなる緊急性を考慮し優先順位を決めております。
 次に、この評価方法では知事が事業を決定する余地は残っているかについてでありますが、公共事業評価においては、評価の透明性、客観性を高めるため、必要性、重要性等の五つの観点について評価基準を明確に定めており、これに基づき、まず所管部局において自己評価を行っております。また、すべての公共事業の再評価と総事業費50億円以上の大規模公共事業の事前評価につきましては、政策等の評価に関する条例に基づき、第三者機関である岩手県政策評価委員会において審議いただくこととしております。したがって、いずれの評価においても、その客観性を担保するため、その過程において知事の意向が入る仕組みとはなっておりません。
 なお、新規箇所など市町村等からの知事への要望につきましては、地方振興局から担当部局に要望として上がってくることになりますが、担当部局においてその他の箇所と同様に事業評価を実施し、評価点の高い順に、予算の状況等を勘案しながら選択することとしております。
 次に、市町村や地域住民からの要望活動について、どのように考慮されているかについてでありますが、事業評価において熟度の評価項目で考慮し、地元が要望する要因やその背景となっている、例えば道路が狭い、歩道がないことなどにつきましては、必要性の項目の中で評価しているところであります。
 次に、国道等に係る今後の事業計画についてでありますが、道路整備については、これまで平成11年度に策定公表いたしました道路整備プログラムに基づいて事業を進めてきたところでありますが、その後、行財政構造改革プログラムを実施することになり、事業進捗の速度を抑制せざるを得ない状況になっております。このため、継続事業活動について重点投資を図り、事業効果の早期発現に努めているところであります。
 また、新規箇所の事業化については、事業箇所の完了状況を見ながら、関連する事業等との調整を行うとともに公共事業評価を行い、優先順位を定め取り組むこととしております。
 次に、室根バイパス、平庭道路の進捗状況と今後の予定についてでありますが、これらの工区につきましては、平成12年度から平成13年度にかけてパブリックインボルブメントにより調査ルートを決定し公表しているところでありまして、今年度も引き続き環境影響評価調査等を行うこととしております。今後につきましては、当該箇所も含めまして、県全体の道路整備計画の中で、公共事業予算の動向も見きわめながら、整備のあり方を検討してまいりたいと考えております。
 次に、厨川駅西口通路の整備についてでありますが、整備の手法といたしましては、国庫補助事業である道路交通環境改善促進事業の導入が考えられますので、県土整備部としては盛岡市の意向を聞きながら、適切に対応してまいりたいと考えております。
   〔農林水産部長今泉敏朗君登壇〕

〇農林水産部長(今泉敏朗君) 家畜排せつ物処理施設整備の進捗状況についてでありますが、本年3月末未整備の農家880戸のうち、補助制度などを活用し整備する農家530戸を除いた残りの350戸につきましても、地方振興局、市町村、農協等で構成する地域たい肥生産利用推進協議会が実施した巡回指導などにおいては、自己資金などにより期限までに整備する意思を確認しているところであります。今後も堆肥舎やシート利用の簡易堆肥処理施設など、個別の経営状況に応じた整備をきめ細かに指導してまいりたいと考えております。
 次に、11月1日以降における未整備農家への法律の対応についてでありますが、法律では、野積み等不適切な状態で放置されている農家がある場合は、まず、自発的に管理の改善を図る観点から指導及び助言を行い、その上で改善が見られない場合は、勧告や罰則を伴う命令といった措置をとることとなっております。いずれ11月1日以降、未整備農家が出ないように、精いっぱい努力することをまず優先していきたいと考えております。
 次に、堆肥流通の支援策についてでありますが、県では耕畜連携による土づくりを進めるため、岩手県たい肥センター協議会や地方振興局ごとに設置している地域たい肥生産利用推進協議会を中心に、堆肥散布作業への助成など、堆肥の利用促進に取り組んでおり、その中では、例えば養豚法人と小麦産地などでの堆肥の広域利用が軌道に乗った事例などの成果も出てきております。しかしながら、平成14年度における本県の堆肥の施用状況を見ますと、水田で約4割という数値にとどまっていることなど、依然として堆肥の流通が課題と認識しており、こうした事例をモデルにしながら、今後、耕畜連携による地域内での円滑な堆肥流通システムの充実強化に向けた具体的な方策の検討にさらに力を入れてまいります。
   〔警察本部長山内正和君登壇〕

〇警察本部長(山内正和君) まず、増員に関する御質問ですが、本年度増員された20名につきましては、今後、来日外国人犯罪対策、街頭犯罪対策などのため、本部、交番など、県下全域の治安情勢を勘案し、県民の安全と安心確保のため適正に配置する方針でございます。しかしながら、依然として警察官1人当たりの負担が高い状況にあり、引き続き警察官の増員が必要と考えております。
 次に、本年度の組織改編についてでありますが、刑事企画課につきましては中長期的な刑事施策の構築や捜査員の能力の向上などを通じ、捜査力の一層の強化を図る目的で設置したものでございます。また、捜査第二課組織犯罪対策室につきましては、情報の集約、分析及び共有を推進することにより、暴力団や来日外国人犯罪組織などに打撃を与え、壊滅するために新設したものでございます。これら新組織につきましては効果的に運用し、県警察の体制強化を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
 次に、交番・駐在所の充実強化の対応策についてのお尋ねでございますが、交番・駐在所については県民が一番身近に感じ、また、安心のよりどころとしている施設であり、地域住民の皆様からもパトロールを強化してほしい、あるいは交番に常にいてほしいなど、さまざまな要望が出されているところでございます。県警察としてはこれらの要望も踏まえ、交番・駐在所の配置や配置人員の見直し、交番相談員の動員などの施策を実施することにより、空き交番を解消し、警察力のより適正な配置を行うなど、県民が安全で安心して暮らせる社会の実現にこれまで以上の努力をしてまいる所存でございます。
 次に、いわて非行防止チャレンジ1000作戦の概要についてお答えいたします。
 この作戦は、今後2年間で刑法犯少年を1、000人以下に抑制することを目標に、大人が子供のよき手本になることが健全育成の原点という考えから、大人が変われば子どもも変わるをサブタイトルに掲げ、実施中のものでございます。
 本作戦の内容につきましては四つの柱から成り立っており、第1は地域対策として、地域に顔の見える関係を築き、地域における非行防止機運の高揚を図る活動、第2は家庭対策として、家庭が子供に責任を持って規範教育を行うよう保護者の意識を高める活動、第3は学校対策として、児童生徒の規範意識の向上を図る活動、第4は管理者対策として、防犯対策の徹底により犯罪を発生させない環境づくりを掲げ、各警察署管内の非行実態等実情に即した取り組みを推進するものでございます。
 次に、過般実施いたしましたアンケート調査についてでございますが、これに基づいていわて非行防止チャレンジ1000作戦の方向づけをしたところでございますが、今後引き続き分析結果等に基づく各委員からの意見、提言を集約し、いわて非行防止チャレンジ1000作戦に具体的に反映させていくこととしております。
 また、県民挙げての少年非行防止に向けた運動についてでございますが、いわて非行防止チャレンジ1000作戦はまさにその点に配意したものであり、関係機関などとの連携を密にすることにより積極的な働きかけと支援を行い、県民の自主活動を促し大人の意識改革を進めることとしており、地域対策においては、毎月第4金曜日をいわて少年ボランティア最大動員の日に指定しての朝のあいさつ運動など、家庭対策においては、警察官などの家庭訪問による保護者及び少年に対する立ち直り支援、学校対策においては、モデル校の指定による非行防止活動や生徒会など主体の初発型非行防止活動、管理者対策においては、防犯点検などの実施により、管理者などの意識改革の促進や駐輪場などの環境対策といった施策を強力に推進し、地域の犯罪抑止機能の回復を図り、少年非行防止に努めているところでございます。

〇13番(柳村典秀君) ありがとうございました。
 先ほど聞いた中でちょっと確認をとりたいんですけれども、聖域を設けず人件費についてもというお話がありました。先ほど私は、来年3月までで終わる今の削減、これをどうするかと実は聞いたわけです。知事は、昨年10月にそれを発表したときには、この人件費の削減は例外的なもので、今回限りというお話をしておりました。それを含めて今回はどうするのかというお尋ねをしたわけですが、聖域を設けずということですので、それについても当然延長があり得ると判断していいのかという点をまず確認したいと思います。
 もう一点は、昨年は4年先まで出してこのぐらい財源不足だという話をしましたが、今回は、19年度まで延ばしたら幾らになるんですかという質問に対しては不透明なので答えられないというお話がありました。私たちは、出された情報をもとに将来どうなるかということを考え、また想定していくわけで、去年出したものがなぜことし出せないのかというあたり、そこをまずお願いします。
 昨年10月に、人件費については4年間で8、452億円と見積もっていました。ことし2月発表時点では8、419億円と、減っているのは33億円です。ところが10月時点で知事は、今後この行革プログラムの中で職員は10%、300人削減する、教職員については5%、800人削減する、あわせて1、100人、そして職員定数の縮減を反映しているというのが今回の2月なんですが、1、100人を削減して、たった33億円の効果しか出てこないのかという点を御説明いただきたいと思います。
 先ほど19年度予算についてはっきりとした数字は出せないという話でしたが、実は私、今の状況でいった場合、19年度以降に元金償還額はどのぐらいになっていくのかという資料をつくっていただきました。それによりますと、平成19年度は1、320億円返す、20年度は1、360億円と、実は24年度までの推計というのはできるんですけれども、ということは、このプライマリーバランスを保つということは、発行する県債はこれ以下に抑えなければならないということになります。そうなりますと、必然的に公共事業は大体どのぐらいで推移するのかというのがわかると思うんですが、この点について幾らぐらいになるとお考えなのか、その点をお願いします。

〇知事(増田寛也君) まず、人件費の関係でございますが、人件費については、来年度のものについては、ことしの秋に出ます人事委員会の勧告を待つというのがまず基本的な考え方でございます。昨年度行いましたものについては、期間を区切った例外的な措置として、今議員からお話がございましたとおり来年の3月までの減額措置ということでございましたが、これはあくまでも例外的な措置でございます。それから来年度につきましては、人事委員会の勧告に基づくという原則に立っておりますので、その上でということになるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、平成17年4月以降にありましても、一層の歳出削減や歳入確保の取り組みが必要になるということがことしの2月時点で新たな問題として出てまいりましたので、そのことにつきましては、全体の人件費の中で抑制を検討していく、このように先ほど申し上げたところでございます。
 それから、何ゆえ平成19年以降の数字が出せないのかというお話でございますが、これは前提を幾つか置けば当然計算として出せるわけでありますが、ことしの2月あるいは1月、正確に言うと昨年の暮れでございますが、三位一体改革の名のもとに行われましたいわゆる交付税等の削減は、それまでに行われましたような財政運営とは全く違う考え方で行われてきているということがございます。本県だけでも300億円を超えるような大幅なカットで、昨年の骨太方針で掲げられた方針をさらに前倒してカットする、こういうことが現実に行われたのであれだけ全国の自治体が騒いで問題にしたわけでございます。したがって、ことしの暮れ、あるいはその数字が正確にわかるのは来年2月でございますが、そういったときに、平成17年度の予算を国が財政運営としてどういうことを行うのかといったことを見ないと19年の数字などについては予測できない。これは昨年の秋の状況とは全く違う状況が出てきていますので、機械的に条件を置いて計算はできますが、今申し上げましたとおり、三位一体改革の名のもとに大変な地方いじめとも言えるような交付税カット等が行われておりますので、その状況をもっと見ないといけない。あるいは、ことしの秋に少なくとも18年度までの三位一体改革の全体像を出すと言っていますが、そういったものを見ないと19年以降のことにつきましては安易になかなか予測できない、こういうふうに思って先ほど申し上げたところでございます。

〇総務部長(時澤忠君) まず、人件費の推計につきまして御質問がありました。
 人件費につきましては、知事部局でプログラム期間中に300人、それから教職員数で800人という削減の目標を立てているわけでございまして、これによる推計でございますが、16年2月におきましては3年間の定数の縮減効果を127億円と推計しているところでございますが、16年度当初予算におきます16年の2月推計を行う際には、当初予算の職員構成を基礎としまして人件費を算定したところでございます。これは、当初予算の編成時におきましては、退職者とその補充をする新規採用者との具体的な数字の把握が難しいということでありまして、その時点に在職します職員の給与水準を基礎として積算を行っているということで、そういうことから新陳代謝分が含まれていないということがございます。職員の採用と退職による変動要因が考慮されていないというところが一つございます。
 もう一つは、事業費支弁人件費として投資的経費に含まれている給与費というのがございます。これが公共事業費の縮減に伴いまして一部が人件費の方に振りかわってきているということがございますので、こうしたことによりまして昨年10月推計時よりも増額という要因も生じているところでございまして、トータルで昨年10月推計に比べまして33億円程度の減少となったところでございます。
 なお、この新陳代謝分につきましては現在精査をしておりまして、次の推計時には反映をさせたいと考えているものでございます。
 それから、プライマリーバランスにつきましての御質問がございました。
 財源不足の解消策といたしまして歳出全般につきまして見直しを行うと考えておりまして、公共事業の投資規模につきましてもその中での検討ということになるわけでございますので、19年度以降の公共事業につきましては現時点では推計はできないというものでございますが、ただ、将来にわたり持続可能な財政運営を行っていくためには、やはり県債発行の抑制に努めるということが必要でございますし、19年度以降もプライマリーバランスの均衡の達成を図ることが重要であると考えておりますので、まず、この点に留意していくことが必要だということであります。
 その際にもう一つ留意点がありまして、現在の公共事業につきましては、財源が起債だけではなくて一般財源も入っている。その一般財源と起債との組み合わせによりまして公共事業を行っているわけでございます。その起債につきまして、国の方の財源がないということで充当率が上がっております。これがどうなるかということを1点考えなければ、プライマリーバランスの要素の中でも大きなものでありますので、考慮する必要がある。
 もう一つは、地方の財源不足として赤字債が出されております。臨時財政対策債というのが出されておりますので、これもそのプライマリーバランスを考える上での圧迫要因となりますので、こういったものがあるのかないのかによりましても、そのプライマリーバランスを考え、なおかつ公共投資規模を考える際も変わってきますので、そういった要因の動向も踏まえながら公共投資規模の見直しも行っていきたいと考えておるものでございます。

〇13番(柳村典秀君) 最後にいたしますが、今説明がありましたように、県でさえ中期財政見通しというのは非常に見通すことが難しいという話です。いわんや市町村において、合併に関して将来展望を住民に示すべきだという話をされても、2年後、3年後、財政がどうかということすらわからないと思うわけです。それを住民がどうやって判断するのか。私は、幅があったとしても、あるいは推計がこういう条件だということであっても出すべきだと思いますし、そのことからまたたたき台にして、より精度の高いものということを年度ごとに繰り返していけばいいと思うわけです。そういうことからしても、やっぱり県として、合併に対してこういう情報が提供できます、支援できますということも含めた形で各町村に対して客観的な情報を出すべきではないかと私は思います。そのことが第1点。
 それと、先ほど公共事業評価におきまして知事の関与はないと断言されました。私は疑問に思うんですけれども、統一要望においては、知事への統一要望ですから知事が出席なさるのは当然でしょうが、やはり各地域は、知事にお願いすれば何とかなるという淡い期待を持ちながら必死に訴えているわけです。ところが、知事に訴えても公共事業評価では一切関与しませんよということであれば、むしろ各地方振興局ごとに地方振興局長が今の公共事業評価でこの事業についてはこうですよという説明をした方がより親切ではないのかと私は考えるんですけれども、これまでどおりやっぱり知事が現場に出向いてお話を伺うのか、あるいは私とすれば、地方振興局長の権限を強くするためにも、地方振興局単位にそういった要望については説明あるいは受けるという形をとった方がいいのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

〇知事(増田寛也君) 2点ありましたのでお答えいたしますが、まず、市町村に合併の際の情報提供、あるいは県としても、これは直接という意味かと思いますけれども、情報提供したらどうかということかと思いますが、いずれにしても将来像をしっかり住民の皆さん方に見通していただく必要がありますので、県で可能な限り市町村に対してさまざまなサジェスチョンをしたり、県の持っている情報を市町村に伝えたりして、さらにそれを市町村の中でこなしてもらって情報を提供するといったようなことがこれからも必要になってくるだろうと思います。これは、県が市町村を無視して直接頭ごなしというわけにはいきませんので、財政の見通しについても、それを予測する簡易な方法などを市町村の方にお示ししておりますが、市町村としての財政見通しは、市町村がどういう分野に力を入れるかといった将来の行政の重点化の方向とも密接に関係してくるのでやはり市町村に判断していただく必要があると思いますが、今まで以上に密接にこうしたことをやって、結局住民の皆さんがどういう判断をするのか、より情報量を多くしていくということは今議員がおっしゃったとおりだと思います。
 それからもう一つ、統一要望のやり方ですが、統一要望については、第一義的にはどういう内容を盛り込むかは市町村の判断でございますので、その中でどういう項目を入れるのか、公共事業のことについても触れるのか、あるいは公共事業のことも入れながらもほかのこともいろいろ触れるのか市町村の判断ですので、そこは市町村の方にお任せしたいと思いますが、先ほど部長が答弁した趣旨は、知事の恣意的な分野は入らない、こういうことで答弁をしたわけでございます。私が順序を無視してどれかを上に上げるとか、そういうことではなくて、全部客観的な基準を決めてやっていまして、これは地方振興局長であろうとだれであろうと、とにかくできるだけ客観性のあるものでやらせていただいておりますので、そういう仕組みになっております。もちろん場所によっては地方振興局長に別途そういうことでより詳しく説明している市町村もあるようでございますし、また、公共事業の評価の中でどういう数値になっているか、これは、市町村の方に客観的に伝えられるものはどんどん伝えたらいいと思うんです。お互いにそういったデータをもとに、例えばどうしてもそれが必要だというときに、順位を上げるためにはどうしたらいいかということをいろいろやっていただければいいんだろうと思います。
 私は、どういう項目をお話しになるか、それはそれぞれの市町村長あるいは市町村の判断に任せたいと思いますけれども、いずれにしても私は、そういった市町村の生の声を正確に聞く。それから、全体の公共事業量をどの程度確保したらいいのかといったことがあって、もちろん公共事業について余り優先度が高くないと判断されるところもあると思いますけれども、いずれにしても公共事業も含めて一体どの程度地域で要望があるのかというのを頭に入れておいた方が後の全体的な判断にも役立つと私自身は思っています。それから、執行体制などについても、地方振興局ごとにどういう執行体制を組んでいくか、職員をどう配置するかといった際には、地域でどんな事業があるのかを念頭に置きながらいろいろやっていきます。ですから、統一要望の中にどういう項目を入れるかは市町村の方にお任せしますけれども、そこでこのことは優先度が高いということでいろいろお話しになったことについては県政全般の中にできるだけ生かしていきたい、こういうことで考えております。

〇議長(藤原良信君) 次に、阿部敏雄君。
   〔31番阿部敏雄君登壇〕(拍手)


前へ 次へ