令和4年12月定例会 第23回岩手県議会定例会会議録

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〇13番(高田一郎君) 日本共産党の高田一郎でございます。
 議案第1号、議案第7号から議案第10号、議案第20号から議案第42号について質問いたします。
 議案第1号は、岩手県一般会計補正予算(第6号)であります。
 中小企業等復旧・復興支援事業費補助2億4、800万円は、福島県沖地震により被災した施設の復旧などに要する経費を補助する事業であります。今回の被災事業者には、東日本大震災津波でも被災し、現状でもかかる負債を負い、さらに、新型コロナウイルス感染症の影響も受けて必死になって再建に取り組む被災事業者もおります。特定被災事業者に認定されれば10分の10補助ともなります。災害が重なる被災事業者の実情を踏まえ、迅速かつ柔軟な対応を行って早期の再建につなげるべきであります。
 令和4年3月16日の福島県沖地震による被災事業者の被災状況、また、グループ補助金の申請と認定状況を示してください。
 次に、議案第7号から議案第10号は、県人事委員会の勧告に伴う条例の一部改正であります。
 ことしの県人事委員会の勧告は、初任給及び若年層の月例給を0.29%引き上げ、期末手当、勤勉手当は0.1カ月を勤勉手当に配分するものであります。
 県職員は、この3年間、新型コロナウイルス感染症への対応を初め、県民の命と暮らしを守るために全ての職員が奮闘しており、これらの労苦に報いることが必要であります。しかし、今回の引き上げ額は0.29%と物価上昇率3.6%にも満たず、生活の改善には遠く及ばず、実質賃金の低下につながるものであります。
 そこで、4点伺います。第1に、今回の改定は、中高年齢層や再任用職員の月例給を見送りましたが、賃上げの対象となるのはどの程度でしょうか。3年ぶりの月例給の引き上げとなりましたが、ピーク時からの給与はどの程度になっているでしょうか。
 第2に、会計年度任用職員の期末手当は、一般職との均衡を考慮し、支給は0.1カ月の引き上げとなりました。しかし、一般職が12月1日施行であるにもかかわらず、会計年度任用職員は令和5年4月1日となっております。正職員との格差をつくることになるのではないでしょうか。影響を受ける会計年度任用職員数はどの程度でしょうか。
 人事委員会の勧告は、他の県職員もこれに準じて給与改定が行われてきました。医療局では、多くの会計年度任用職員に支えられ、長く勤務する職員もあり、医療サービスには欠かせない職員であります。令和5年4月支給としたその理由を示してください。
 第3に、長時間労働の解消について、県の人事委員会勧告では、業務量に応じた定員、人員の確保について言及しています。新型コロナウイルス感染症対応で残業の上限を超える職場や過労死ラインを超える働き方が行われている職場は、直ちに職員増と時間外上限規制を厳格に運用する取り組みが必要ですが、どう取り組まれるのでしょうか。
 第4に、県職員の精神疾患の長期療養者が増加しており、県の人事委員会の勧告でも、若年層が気軽に仕事の悩みを相談できる環境づくりやハラスメント相談の強化などを指摘しています。どのように対応されるのでしょうか。
 最後に、議案第20号から議案第42号は、公の施設の指定管理者の指定にかかわる議案であります。
 県の公共施設は、地方自治法244条にあるように、住民の福祉を推進する目的を持ってその利用に供するための施設であります。つまり住民の福祉の増進という本来の目的と、それぞれの施設が由来する根拠法の精神を堅持することが大前提と考えます。したがって、指定管理者を活用する上で、民間のノウハウを活用し、住民サービスの質の向上を図ることが必要だと思います。
 そこで伺います。第1に、指定管理者の指定によって、これまで県民サービスの向上にどう貢献されてきたのでしょうか。実績とその評価を示してください。
 第2に、いわてリハビリテーションセンター及び陸前高田オートキャンプ場を除く21の施設の今年度の実績は、正規職員59人、有期採用の非正規雇用は113人、非正規雇用率は65.7%になっております。今後5年間の延長となるものでありますが、正規職員数、非正規職員数の計画と率はどのようになっていくのでしょうか。
 物価上昇による実質賃金の目減りの中で、公的施設の賃上げこそ必要であります。県が委託する事業でワーキングプアをなくしていかなければなりません。次年度からの指定により、月収や年収はどう改善されてくるのでしょうか。
 陸前高田オートキャンプ場は、事業の公募により設計者及び施工者、指定管理者を一括で選定する公民連携手法でこの間整備されてきました。民間のノウハウを生かした提案を募り、デザインビルド方式による初めての整備となりましたが、その効果はどうだったでしょうか。事業者からの提案及び今後の職員体制と給与を含めた労働条件についても示してください。
 以上で質問を終わります。答弁によっては再質問いたします。
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) まず、本年3月の福島県沖地震に伴うグループ補助金についてでありますが、この地震による被災状況につきましては、花巻市、北上市、一関市、矢巾町及び平泉町の5市町、41事業者から、少額の被害なども含めて総額3億5、186万円余の被害報告があったことから、この金額をもとに、去る6月定例会において予算措置を行ったところです。
 この後、6月上旬以降、順次公募を実施し、2グループ8事業者の認定を行うとともに、直近で申請があった1グループの申請内容等の精査を行う中で、事業費ベースで総額5億9、963万円余の所要額となったことから、その差額2億4、770万円余を補正予算案として計上したものです。
 次に、陸前高田オートキャンプ場の指定管理についてでありますが、当該施設は、既存の施設の原状復旧だけではなく、ニーズの多様化に対応した施設とすることや収益性の高い施設となる整備、運営方法とすることなどとして、デザインビルド方式により、利用者ニーズに対応したフリーサイトの拡大やグランピング施設の充実などを図った整備を進め、整備後は、指定管理者の運営収入のみで管理、運営を行うこととしているところです。
 指定管理後の職員体制につきましては、当初の職員数を5名とし、その運営状況を見ながら10名までの増員を見込んでおり、そのうち4名が正職員とされております。
 収支計画における人件費は、初年度1、600万円余を計上しており、単純に5名で除した場合、1人当たり300万円余となっているところです。
 さらに詳細な労働条件等については、今後、指定管理者が指定され、施設の再開に向けた職員採用の中で決定されるものと承知しております。
〇総務部長(千葉幸也君) まず、給与改定についてでありますが、今回の改定により月例給が引き上げとなるのは、行政職給料表適用者の状況で申し上げますと、おおむね30歳代半ばまでの約38%の職員が対象であります。
 また、40歳の主査級の職員を例に、年収ベースで最も水準の高かった平成11年度の改定前の給与額と今回の改定後の給与額を比較しますと、年収額で約83万円の減となっております。
 次に、会計年度任用職員についてでありますが、条例が適用される知事部局や教育委員会、警察本部等の会計年度任用職員のうち、本年12月の期末手当が支給される職員は約2、000人となっております。
 条例の施行時期については、昨年度の期末手当の引き下げを内容とする条例改正においても、常勤職員と異なり翌年度からの施行としたものでありますが、これは、会計年度任用職員は職員ごとに任用期間が異なるため、12月の期末手当が出る職員と出ない職員が混在し、常勤職員と同様に12月の期末手当で年間分の較差調整を行った場合、調整される職員とされない職員との間で任用時期による不公平が生じること、また、会計年度任用職員の期末手当の改定を行う他県の状況を見ますと、本県と同様に翌年度からの施行とする団体が多数であることを考慮したものでございます。
 次に、長時間労働についてでありますが、新型コロナウイルス感染症対策に当たっては、状況に応じ、緊急的、専門的な対応を要することから、保健福祉部、保健所職員の負担が増加しており、会計年度任用職員として保健師、看護師を任用しているほか、全庁からの業務支援や機動的な人員配置により職員負担の軽減に努めているところでございます。
 超過勤務命令の上限は職員の健康保持の観点等から導入されたものであり、また、県民ニーズに的確に対応し、持続的かつ効果的に県民サービスを提供していくためには、超過勤務の時間及び人員は必要最小限の範囲にとどめるとともに、職員一人一人が、仕事と生活を両立できる職場環境づくりが重要であると認識しております。
 このため、部局の枠を超えた弾力的な人員配置に取り組んでいくとともに、追加募集の実施や県等を退職した保健師の継続任用など、会計年度任用職員を含め専門職員の確保を進めてまいります。
 あわせて、超過勤務の多い所属に対する業務の平準化や業務支援の活用等の促進、調整を行うほか、本年度から導入している電子決裁・文書管理システムの定着など、行政事務の効率化の一層の推進を図り、超過勤務の縮減に取り組んでまいります。
 次に、職場環境の整備についてでありますが、県では、若手職員が働きやすい環境づくりに向けて、全ての新採用職員に対して、保健師及び臨床心理士による個別相談など、若年層向けのメンタルヘルス対策を強化しているほか、初めて本庁勤務となる若手職員への指導担当者の配置やメンター制度によるきめ細かな助言、指導など、個々の職員の不安を軽減する取り組みを進めております。
 また、ハラスメント対策では、令和2年度に制定したハラスメントの防止等に関する基本方針に基づき、相談窓口を設置し、被害者やその周囲の職員からも幅広く相談を受け付ける相談体制を整備しているほか、今年度から、新任管理職の研修にハラスメント対策を盛り込み、管理監督者が率先して対策を講じることの重要性について意識づけを行っております。
 今後も、こうした取り組みを一層推進し、職員一人一人が、心身ともに健康で生き生きと働き、意欲を持って能力を最大限に発揮できる職場環境の整備を図ってまいります。
 次に、指定管理者の指定による県民サービスの向上についてでありますが、毎年実施している指定管理施設の管理運営評価において、施設ごとに運営業務や利用者サービス、利用者アンケートなどからサービスの質を評価しており、前回5年前の指定管理者を指定した平成29年度と比較しても、A評価の割合が年々向上し、現在は、施設の約半数を占める57.5%でA評価となっております。
 その具体の内容について今回提案している施設の中から幾つか例を申し上げますと、県民会館については、施設のウエブ予約の導入や利用者の要望に応じた使用時間の延長、県営運動公園、県営体育館、県営武道館等のスポーツ施設については、利用者ニーズに合わせた利用料金の設定や開館時間の弾力的な運用、さまざまな自主事業による幅広い層への利用機会の提供などを行っており、それぞれの施設ごとに利用者目線に立った県民サービスの向上に努めております。
 こうした取り組みにより、令和3年度の利用者数は、半数以上の25施設において前年度から増加しております。
 次に、正規職員と非正規職員の配置計画等についてでありますが、いわてリハビリテーションセンター及び陸前高田オートキャンプ場を除く21施設の令和5年度の配置計画は、正規職員が56名、有期採用の職員数が111名で、職員全体のうち有期採用職員の割合は66.5%となっており、令和4年度の実績と比較して、正規職員が3名、有期採用職員が2名それぞれ減少しております。
 これは、県において業務範囲を見直したこと、指定管理予定者による雇用形態の変更や勤務シフトの効率化による従事時間の減少等によるものであり、指定管理予定者が適正と考えて提案した人員配置となっており、県としても適切にサービスが提供されるものと考えております。
 職員の月収、年収については、雇用条件等により月収、年収の統一的な把握は困難であるため、受託自治体の職員給与条例に基づくものを除き、1時間当たりの平均単価または平均月収で試算してみると、前回の提案時と比較して、正規職員は、月収で約3万8、000円、年収で約46万円増加しているものの、有期採用職員については、月収で約1万4、000円、年収で約17万円減少しております。
 有期採用職員の月収や年収が減少している主な要因は、職員の新陳代謝や労働時間等の勤務条件の変更などによるものであり、それぞれの待遇が後退したものではないと考えております。
〇13番(高田一郎君) それでは、簡潔に再質問いたします。
 まず、会計年度任用職員の件ですけれども、期末手当は0.1カ月の引き上げとなりましたが、その実施については令和5年4月からであります。他の会計年度任用職員との不公平にならないようにという答弁でありましたけれども、しかし、一般職はこの12月であります。これは、正規職員と比べると明らかに不利益ではないかというのが1点です。
 同時に、今、物価高騰の中で全ての労働者の賃上げが求められているときに、遡及ができないのは二重に問題があるのではないかと思うのですが、この点についてはいかがでしょうか。
 指定管理者の件については、私たちは、これまで二つのことを強調してきました。一つは、民間のノウハウを活用して県民サービスの向上につながるものでなければならないということと、県の施設で働く労働者がワーキングプアになってはならないという二つの視点で、この間いろいろ質問してきました。
 しかし、今回の提案を見ても、引き続き、非正規の雇用率は3分の2、これはほとんど変わりません。しかも、21の施設の労働条件の資料をいただきましたが、3分の2が非正規労働者だけではなく、給与自体も、時給が800円台から900円台の施設が3割近くになっている。ここは、これでよかったのかどうか、今後改善が必要ではないか、この点についてはいかがでしょうか。
〇総務部長(千葉幸也君) まず、会計年度任用職員も今年度からの施行とすべきではないかということについてでありますが、常勤職員の給与の引き下げ改定においては、これまで、12月期の期末手当を調整することによって、年度途中で既に支給済みの給与等も含め、年度ベースで見直す運用を行ってきたところであります。
 これは、年1回行われる民間給与実態調査を踏まえた公民較差の是正においては、情勢適応の原則の趣旨や公民均衡の観点から、引き上げ、引き下げの別にかかわらず、職員給与への反映は1年間とすることが適当であると考えられることによるものであります。
 同じく、地方公務員法が適用される会計年度任用職員についても、引き上げ、引き下げの別にかかわらず、同じタイミングで施行すべきところでありますが、昨年度の引き下げ改定において、会計年度任用職員は、個々の任期が異なることから、年度内施行とした場合に任期期間による不均衡が生じることから、会計年度任用職員の給与改定は翌年度からの施行としたものでありまして、今年度の増額改定においても、同様の施行時期としたいと考えているところであります。
 続きまして、正規職員の割合が少ないのではないかということで指定管理の話でありましたが、職員の配置につきましては、それぞれの機能、性質、設置目的に応じ運営に必要な職員数を確保しており、正規職員の占める割合は、指定管理の受託内容、業務の形態によって、それぞれ割合が異なるものと認識しております。
 今回、職員数が減少したところがございましたけれども、これは、県による業務範囲の見直し、指定管理予定者による雇用形態の変更や勤務シフトの効率化による従事時間の減少によるものであります。
 それから、経済状況を踏まえているのかということでありましたけれども、職員の賃金水準につきましては、指定管理候補者が職種や経験などに応じて定めるものでありまして、適切なものと承知しております。
 なお、県においても、毎年度指定管理者から提出される職員配置計画書により、最低賃金や社会保険への加入が適切に行われているかなど、雇用、労働条件が適切なものかを確認しているところであります。
 また、原油価格高騰に伴う指定管理料の補正につきましては、9月定例会において予算措置されたところでありまして、今後とも、社会情勢や経済状況の変化に応じて、必要な対応をとっていくこととしたいと思っております。
〇議長(五日市王君) これをもって質疑を終結いたします。
 次に、ただいま議題となっております議案第1号から議案第44号までは、お手元に配付いたしてあります委員会付託区分表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
   
〔参照〕
        委員会付託区分表
  (第23回県議会定例会 令和4年12月5日)
                 総務委員会
1 議案第1号
   第1条第1項
   第1条第2項第1表中
    歳入 各款
    歳出 第11款第6項
   第2条第2表中
    追加中 20
2 議案第2号
3 議案第3号
4 議案第4号
5 議案第5号
6 議案第6号
7 議案第7号
8 議案第8号
9 議案第9号
10 議案第10号
11 議案第11号
12 議案第12号
   他の委員会の付託分以外
13 議案第15号
14 議案第17号
15 議案第18号
16 議案第43号
                 文教委員会
1 議案第1号
   第2条第2表中
    追加中 1〜8、21、22
2 議案第14号
3 議案第19号
4 議案第20号
5 議案第30号
6 議案第34号
7 議案第36号
8 議案第37号
9 議案第38号
10 議案第39号
11 議案第40号
12 議案第41号
13 議案第42号
14 議案第44号
                 環境福祉委員会
1 議案第1号
   第2条第2表中
    追加中 9
2 議案第21号
                 商工建設委員会
1 議案第1号
   第1条第2項第1表中
    歳出 第11款第3項
   第2条第2表中
    追加中 10、16〜19
2 議案第12号
   別表第7の改正関係
3 議案第13号
4 議案第16号
5 議案第22号
6 議案第23号
7 議案第31号
8 議案第32号
9 議案第33号
10 議案第35号
                 農林水産委員会
1 議案第1号
   第2条第2表中
    追加中 11〜15
2 議案第24号
3 議案第25号
4 議案第26号
5 議案第27号
6 議案第28号
7 議案第29号
   
〇議長(五日市王君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後6時29分 散 会

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