令和4年12月定例会 第23回岩手県議会定例会会議録

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〇37番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。県民の切実な要求、県政の重要課題について、主に達増知事に質問します。
 第1に、新型コロナウイルス感染症の感染拡大から県民の命と暮らしを守る課題について質問いたします。
 令和4年11月29日の新規感染者数は2、248人となり、第7波のピーク2、017人を3回更新しました。
   〔副議長退席、議長着席〕
 11月の感染者数は3万4、126人となり、10万人当たりの感染者数は846.4人となっています。11月のクラスター発生は199件と8月の131件を大きく上回り、高齢者施設のクラスターが94件と半数近くを占めています。医療施設でも8月の16件を上回る28件のクラスターが発生しました。特に重大なことは、死者数が66人と、8月の54人を超えて増加していることであります。
 岸田自公政権は、第8波を迎える新型コロナウイルス感染症の感染拡大に対し、行動制限は行わないと成り行き任せに終始し、感染が拡大したら医療機関への受診抑制を求める無為無策と言うべき対応であります。
 知事は、第8波の感染拡大の状況をどう認識されているでしょうか。第7波の教訓をどう受けとめ、感染拡大の抑止と新型コロナウイルス感染症から県民の命と健康を守る取り組みを進めているのでしょうか。
 以下の質問は、質問席から行います。
   〔37番斉藤信君質問席に移動〕
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 斉藤信議員の御質問にお答え申し上げます。
 新型コロナウイルス感染症の感染拡大の状況等についてでありますが、10月に入り全国的に感染が拡大し、県内においても感染者数の増加が続いており、現在は、8月の第7波のピーク時に匹敵する水準となっています。
 第7波では、オミクロン株の高い感染力により、本県でも、高齢者施設や医療機関でのクラスターが複数発生し、また、医療従事者の感染などにより医療機関に大きな負荷がかかったところです。
 こうした状況を踏まえ、重症化リスクの高い方が、必要な検査や診療を円滑に受けられるよう、いわて陽性者登録センターやいわて検査キット送付センターの設置、高齢者施設や保育園などにおける集中的検査を拡充し、第8波に備えてきたところです。
 現在、第8波の感染拡大により医療現場の負荷が再び高まっていることから、岩手県新型コロナウイルス感染症対策本部本部員会議などを通じて、県民の皆様に対し、希望する方へのワクチンの早期接種、県の専門委員会からのアドバイスに基づく基本的感染対策の徹底、可能な限り平日日中の相談、受診への協力などを重ねてお願いしてきたところです。
 今後においても、患者が適切な医療を受けられるよう、関係機関と連携し、引き続き、診療・検査医療機関や検査体制の充実、ワクチン接種の推進に努めてまいります。
〇37番(斉藤信君) それでは、具体的な感染防止対策の徹底についてお聞きします。
 厚生労働省の専門家会議は、年末に向けて、社会経済活動の活発化による接触機会の増加等が懸念されると増加要因を指摘するとともに、基本的な感染対策の再点検と徹底について、飲食店での忘年会、新年会は、第三者認証店等を選び、できるだけ少人数で、大声や長時間の滞在を避け、会話の際はマスクを着用する。できる限り接触機会を減らすために、職場では、テレワークの活用等の取り組みを再度推進するなどに取り組む。イベントや会合などの主催者は、地域の流行や感染リスクを十分に評価した上で開催の可否を含めて検討し、開催する場合は、感染リスクを最小限にする対策を実施すると提起しています。
 県として、こうした専門家会議の提起を踏まえて、具体的な感染防止対策を県民にわかりやすく提起すべきと考えますが、いかがでしょうか。
〇復興防災部長(佐藤隆浩君) 新型コロナウイルス感染症に係る具体的な感染防止対策についてでありますが、県では、県内の感染状況を踏まえ、岩手県新型コロナウイルス感染症対策本部本部員会議を随時開催し、県民の皆様と感染状況を共有するとともに、県民一人一人が、場面場面に応じた感染対策を徹底していただくよう呼びかけているところです。
 11月18日に開催いたしました第65回本部員会議では、岩手県新型コロナウイルス感染症対策専門委員会からのアドバイスをもとに、県対策本部として、感染対策の徹底と事前の備えのお願い、そして、感染防止のための効果的な換気について、わかりやすくまとめたチラシを作成し、県民や事業者の皆様に実践していただくよう呼びかけたところであります。
 また、この本部員会議の結びには、毎回、知事から、県内の感染状況を踏まえた感染対策についてメッセージを発表するとともに、県ホームページ、SNSなどのほか、新聞、テレビによる報道等を通じて、わかりやすい情報発信に努めているところです。
 今後も、感染状況を踏まえ、適時に岩手県新型コロナウイルス感染症対策本部本部員会議を開催し、県民の皆様に対し、感染状況に応じた感染防止対策を丁寧に呼びかけてまいります。
〇37番(斉藤信君) 政府が成り行き任せで何もしないと、全国的にそういう雰囲気なのです。そういう中で、感染抑止を徹底するということを特別に知事を先頭に強調しなければ、本当に県民のものにならないと。そのことは指摘しておきたいと思います。
 必要な医療提供体制の強化について質問します。
 現在確保されている新型コロナウイルス感染症対応病床はどうなっているでしょうか。県立病院、公立、公的病院の確保病床と割合、実際の入院患者の状況と割合を示してください。
 県立病院での感染、濃厚接触等による欠勤の状況はどうなっているでしょうか。発熱外来の検査、診療機関の拡充が求められていますが、発熱外来の現状を含めて示してください。
〇保健福祉部長(野原勝君) 現在確保している新型コロナウイルス感染症対応病床については、最大確保病床が435床、そのうち県立病院は280床で64.4%、公立、公的病院は125床で28.7%となっております。
 また、確保病床への入院患者については、10月以降の第8波においては、12月2日現在、延べ829名のうち、県立病院は593名で71.5%、公立、公的病院は192名で23.2%となっております。
〇医療局長(小原勝君) 県立病院での感染、濃厚接触による欠勤の状況についてでありますが、10月下旬から欠勤者数が増加に転じ、11月22日現在の1日当たりの欠勤者数は219名、11月29日現在では201名となっており、第7波のピークであった8月23日の欠勤者数210名と同程度となっています。
 発熱外来の現状についてでありますが、県立中央病院を除く19病院と沼宮内及び花泉の2地域診療センターが、診療・検査医療機関として県から指定され、発熱患者等の診療、検査を行っているところでございます。
 検査件数で見ますと、職員へのスクリーニング検査も含めてですが、11月14日の週は平日1日平均で約600件の検査を実施しており、第7波のピークであった8月15日の週の約540件よりも1割ほど上回っている状況であります。
〇37番(斉藤信君) 発熱外来については、全体の、当初414医療機関でしたが、保健福祉部長も今どうなっているか、どれだけ増加しているか示してください。
 もう一つ、病床使用率についてですけれども、厚生労働省の専門家会議が毎週公表している病床使用率と10ポイント違っています。厚生労働省は先週の会議で、岩手県は45.9%、県の発表は35.9%なのです。これは空床補償ともかかわっていると思うので統一すべきでは、国が発表するものと県が発表するもので違うのはおかしいのではないでしょうか。
〇保健福祉部長(野原勝君) 診療・検査医療機関につきましては逐次拡大を図っておりまして、毎日状況は変わっておりますので、今、約420を超える医療機関となっているところでございます。
 また、国が公表する病床使用率と県の使用率の差でございます。国の公表につきましては、現在、医療のフェーズ2でございますので、確保病床の435床は最大確保病床数ですので、今用意している病床数に対する使用率という形で公表していますが、県の使用率は、最大確保病床数を分母とさせていただいており、これは、最大確保病床が県の実態をあらわしておりますので、そういう形で評価させていただいているところでございます。
〇37番(斉藤信君) 県と国が発表する病床使用率が10ポイントも違ったら、問題じゃないですか。そして、国の発表は、空床補償の対象ベッド数だと思うのですが、違いますか。
〇保健福祉部長(野原勝君) 実態として、今確保している病床に対して補助金が対応しておりますので、そういった側面はございますが、当然我々は、感染が拡大してくれば、いろいろな制度を速やかに転換して対応するわけでございますので、県で確保している病床と、それに対応する数という形で、これは第5波以前からもこのような形で公表させていただいております。やはり数値の一貫性という意味で、県民の皆様方に今の状況で公表させていただきます。
 あとは、そういった意味では、斉藤信議員から御指摘いただいた点については、丁寧に説明に努めてまいりたいと考えております。
〇37番(斉藤信君) ぜひ、わかりやすく、二重基準にならないようにやっていただきたい。
 高齢者施設での感染対策についてお聞きします。
 高齢者施設のクラスターが増加しています。第8波のクラスター発生と感染者数を示してください。その要因は何でしょうか。高齢者施設で療養中に亡くなった方はどうなっていますか。厚生労働省の専門家会議は、高齢者施設等における頻回検査等の実施と医療支援のさらなる強化を提起していますが、どう取り組まれているか示してください。
〇保健福祉部長(野原勝君) 県内における新型コロナウイルス感染症新規感染者数は、10月が1万2、222名、11月が3万4、126名となっております。
 また、高齢者施設のクラスターは、10月が35件、11月が94件となっております。
 12月4日までに新型コロナウイルス感染症で亡くなった285名のうち、高齢者施設で療養中の死亡者数は42名となっているところであります。
 感染者の増加要因については、ワクチン接種等で得られた免疫の低下や気温の低下に伴い換気が十分に行われないことなどが、国のアドバイザリーボードなどで指摘されているところであります。
〇37番(斉藤信君) 今、施設内療養で亡くなったのが42名、これは死者の14.7%なのです。7人に1人です。私は施設長からもお話を聞きましたが、最大限入院させてほしい、これが施設の責任者の切実な声なのです。
 もっと高齢者施設でのクラスター対策を徹底することとあわせて、施設内療養で亡くなることがないような手だてをしっかりとるべきじゃないでしょうか。
〇保健福祉部長(野原勝君) 高齢者施設でのクラスターが、第8波、オミクロン株の高い感染力を背景に、非常に多くなってきているのは事実でございます。
 県といたしましては、施設の状況に応じまして、いわて医療福祉施設等クラスター制御タスクフォースを派遣いたしまして、感染管理の徹底の支援、また、入院調整などのさまざまな支援を行っているところでございます。
 患者の状況に応じまして、当然、医療が必要な方については入院対応とする、また、患者の状況に応じては、むしろ転院させることによって負担が増す、その介護施設の場で、医療従事者が出向いてその場で治療を行うほうが、むしろ療養環境としては適しているといった判断もあることから、患者の状況に応じまして、今後とも適切な支援、療養環境の整備、また、高齢者の方々が亡くなることがないようにという視点で取り組みを進めてまいります。
〇37番(斉藤信君) 施設内療養で42人が亡くなっている。亡くなった方の7人に1人です。クラスターが発生した高齢者施設というのは、職員も感染しているのです。そういう中で感染した入所者をみるという状況ですから、本来医療施設ではないので、本当に、高齢者施設に対する医療支援を強化することとあわせて、施設内で42人亡くなったということをもっと厳しく受けとめて対策をとっていただきたい。
 次に、後遺症対策について質問いたします。
 新型コロナウイルス感染症の後遺症対策について、後遺症の実態調査結果はどうなっているでしょうか。山形県では、専用相談窓口を設置するとともに、専門外来等の医療機関を県のホームページで紹介しています。
 県としても、専用相談窓口と専門外来を設置すべきではないでしょうか。
〇保健福祉部長(野原勝君) 令和3年度に実施いたしました県内の罹患者への調査では、約1割の方が倦怠感、気分の落ち込みが約6カ月以上継続したと回答するなど、症状や有病期間の状況は、国が行った全国調査と同様の結果となっております。
 この調査結果も踏まえまして、県医師会と調整し、県内の医療機関に対しまして、罹患後の症状が疑われる方が受診した際には、国が作成した診療の手引きに基づき対応すること、また、症状を有する方については、かかりつけ医または最寄りの内科で対応し、必要に応じて専門医を紹介するよう依頼しているところでございます。
 罹患後症状については、現在、国において研究が進められておりますが、いまだ治療法が確立されておらず、現状では対症療法とならざるを得ないことなどから、県内の医療機関に専門外来等は現時点ではまだ設置されていない状況ではございますが、保健所や一般相談窓口であるコールセンターにより、症状に応じて医療機関の受診を案内するなどの対応をしているところでございます。
 また、県医師会及び医療機関と連携して、罹患後症状の診療を行う医療機関の情報の取りまとめを進めておりまして、今後、医療機関の意向を踏まえながら、周知、広報についても調整を図っていく考えであります。
〇37番(斉藤信君) 私は山形県の取り組みを紹介しました。専用相談窓口、専門外来を設置しているのです。岩手県は何もやっていないではないですか。河北新報に出ましたけれども、これは宮城県の患者ですが、どこに行っても診療してくれなかった。これは岩手県内もそうです。私は後遺症のある方々からお聞きしましたけれども、宮城県の人は山形県まで行って診察を受けているのです。
 後遺症というのは、感染した方の大体1割から3割発症しているのです。中には、仕事ができなくなった、退職せざるを得なくなった。諸外国では労災の対象にまでしています。そういうしっかりした対策をとるべきではないでしょうか。
 これは知事に聞きましょう。真剣に後遺症対策をとっていただきたい。
〇知事(達増拓也君) 今、県内の医療機関に専門外来等が設置されていない状況の中で、悩みを抱えている方の相談窓口については、保健所や一般相談窓口のコールセンターが担っている状況ではあるのですけれども、先ほど保健福祉部長の答弁にあったような、罹患後症状の診療を行う医療機関の情報の取りまとめ等、県医師会や医療機関における対応が進んでいくよう、県も協力をしながら、いわば受け皿といいましょうか、そちらの体制の状況に応じながら、相談体制もそれにあわせて強化していきたいと思います。
〇37番(斉藤信君) よろしくお願いします。こういう対策をとってこそ、県民が安心して暮らせるわけだから。
 次に、物価高騰から県民の暮らしと営業を守る課題について質問します。
 安倍政権以来のアベノミクス、異次元の金融緩和によって、異常な円安と物価高騰が引き起こされています。労働者の実質賃金が10年間で24万円も減少し、賃金が上がらない国、経済が成長しない国になってしまいました。あらゆる分野で物価が高騰し、1世帯当たり年間13万円の負担増となっています。
 物価高騰から県民の暮らしと営業を守り、持続可能な成長を実現するためには、物価高騰を上回る賃金の引き上げと消費税の5%への減税こそ必要と考えますが、知事の認識を伺います。
〇知事(達増拓也君) まず、物価高騰対策としての賃上げについてでありますが、日本銀行盛岡事務所による直近の岩手県金融経済概況では、県内経済は、緩やかに持ち直しているとされ、また、10月末現在の影響調査結果においても、売り上げ状況に改善傾向が見られるものの、燃料費や原材料価格の高騰の影響などにより、盛岡市の消費者物価指数が前年を上回って推移し、事業者からも利益が減少しているといった声が多く寄せられております。多くの事業者は、厳しい経営環境を強いられている状況です。
 このため、全国知事会を通じて、生産性向上への支援や価格転嫁の円滑化による取引適正化等を進め、地域の企業の賃上げを可能とする環境整備の推進を図ることについて、国に要請しているところです。
 県としても、企業の生産性向上など、賃上げにつながる取り組みに対する支援を進めてまいりたいと思います。
 次に、物価高騰対策としての消費税減税についてでありますが、コロナ禍において、さまざまな国で、落ち込んだ需要を喚起するため、消費税の減税などの経済対策がとられていると承知しており、経済回復の途上にあって物価高に見舞われている我が国においても、地域で生活する人々の消費する力が維持され、活力が損なわれることなく経済が動いていくことが、何より重要と考えています。
 消費税は、国民が日常的に消費する財やサービスに課税されており、物価が高騰している中、その軽減は国民生活の負担を減らすものと考えておりますが、地方において、子育て支援や介護人材確保などの社会保障財源として不可欠なものであることから、消費税軽減に当たっては、代替財源の確保が必要であります。
 県としては、これまで、全国知事会等を通じて、物価高騰対策の拡充やさまざまな産業分野の事業者、生活困窮者への支援等について要請してきたところであり、今後も引き続き、県民の暮らしとなりわいを守るため、国に対し、大胆かつ強力な財政出動と地方重視の経済財政政策の必要性について提言等を行ってまいります。
〇37番(斉藤信君) 消費税の減税、付加価値税の減税は、世界約100カ国で実施されています。これは世界の常識なのです。
 各国の最低賃金、日本は平均で961円ですが、岩手県は854円です。ドイツは1、734円で、ことしは3回引き上げています。イギリスは1、596円、フランスは1、598円と、ここもことし3回引き上げています。オーストラリアは2、005円です。日本の最低賃金の低さが全体の労働者の賃金の低さを規定しているのです。私は、最低賃金を年内にも引き上げよと強く県から求めていただきたいと思います。
 きょう、令和4年度岩手県一般会計補正予算(第7号)の説明がありました。福祉灯油助成は、基準額を6、000円に引き上げて、2分の1補助、3億2、679万円、また、農業の肥料価格高騰対策は、配合飼料価格対策、それぞれ3億6、000万円、7、200万円余の予算案ということが紹介されました。
 また、介護施設については、高齢者施設物価高騰対策で3億8、000万円、医療施設物価高騰対策で4億2、500万円、障害者施設等も、令和4年度岩手県一般会計補正予算(第7号)が最終日に提案されるということなので、質問しようと思いましたが、紹介だけにとどめて、この提案は評価をしたいと思います。
 残念ながら欠落したのが中小企業対策でありました。中小企業、小規模事業者は、長引くコロナ禍、物価、原材料高騰、過剰債務という三重苦に苦しんでいます。無利子、無担保のいわゆるゼロゼロ融資の残高は全国で42兆円となっています。
 県内の融資残高、過剰債務の実態はどうなっているでしょうか。物価高騰の影響を含めて示してください。
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) 昨年5月末まで実施していた新型コロナウイルス感染症対応資金、いわゆるゼロゼロ融資の貸付実績は、累計で1万2、110件、1、944億790万円余となっており、多くの事業者に利用されております。このうち、令和4年10月末までに全体の6割となる6、673件について返済が開始され、残高は1、512億6、381万円余となっているところです。
 県内の中小企業者の過剰債務の実態については、東京商工リサーチ盛岡支店が、ことし6月2日に公表した第21回新型コロナウイルスに関するアンケート調査結果によれば、コロナ前から過剰感があるが17.8%、コロナ後に過剰となったが20.8%となっており、合わせて38.6%、4割弱が過剰債務と回答しているところです。
 多くの事業者は、いまだコロナ禍前の売り上げ回復までには至っておらず、加えて、最近は原油価格や原材料価格の高騰、円安の影響を指摘する声がふえている状況にあります。
〇37番(斉藤信君) 具体的な提案を含めて質問します。
 県内経済と雇用を支えている中小企業、小規模事業者はつぶさない、この立場で昨年度70億円規模で実施された地域企業経営支援金を今年度も実施すべきではないでしょうか。QRコード決済ポイントに11億円という令和4年度岩手県一般会計補正予算案がきょう説明されました。こういうものはやめて、中小企業支援策を実施するべきです。中小企業支援策は、今年度は全くやられていません。物価高騰支援金の実績も含めて示してください。
 新型コロナウイルス感染症対応資金、いわゆるゼロゼロ融資を別枠債務にして、事業継続に必要な新規融資が受けられるように対策を講じることが必要だと考えますが、県としてどう対応されているでしょうか。
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) 燃料費や原材料価格の高騰により、製造業や建設業を初め幅広い業種の事業者が厳しい経営環境にあることから、国において、より多くの事業者を対象とした大胆な支援を行っていくべきと考えております。
 また、10月に国が公表した総合経済対策においても、物価高騰、賃上げへの取り組みが盛り込まれており、今後、これらの取り組みの具体化の動きや県内の経済状況の推移を見きわめつつ、必要な対応についての検討を進めてまいります。
 物価高騰対策支援金の実績でございますが、物価高騰対策支援金につきましては、申請手続の簡素化等の見直しを11月下旬に行っておりますので、その前のものでの状況になりますが、審査が終了して支給した実績で、11月28日現在で、物価高騰対策支援費が20件、205万円、物価高騰対策家賃支援費が112件、988万9、000円、合計で132件、1、193万9、000円となっておりまして、その見直し後に、事務局に対して問い合わせや申請辞退も多く届いているという状況を確認しております。
 それから、いわゆるゼロゼロ融資を別枠債務にするなどの対応についてでございますが、県では、ゼロゼロ融資の取り扱い終了後においても、低利の新型コロナウイルス感染症対策資金の取り扱いを継続しており、このうち、ゼロゼロ融資の借りかえや事業継続に必要な新規融資にも活用可能な伴走型支援金について、ことし10月1日以降、融資限度額を従来の6、000万円から1億円に引き上げて対応しているところです。
 さらに、先ほどもありましたが、10月に国が公表した総合経済対策におきまして、ゼロゼロ融資を含めた既存の債務の返済期間をさらに繰り延べることを可能とし、加えて、新たな資金需要にも対応した貸し付けを可能とする信用保証制度の創設が検討されていると承知しており、その詳細が明らかになり次第、県としての必要な対応を行うとともに、いわて中小企業事業継続支援センター会議構成機関の金融機関や商工指導団体等と緊密に連携しながら、引き続き、事業者からの相談にきめ細かく対応してまいります。
〇37番(斉藤信君) 知事にお聞きします。私が質問で紹介したように、昨年度は70億円規模で実施された地域企業経営支援金が本当に県内中小企業に喜ばれたのです。一番利用された事業でもありました。ことしは物価高騰対策支援金しかないのです。これは13億円の予算でした。1、000万円しか使われていない。失敗した制度だった。それしかないのです。一部の人へのQRコードの還元などというのではなくて、今本当に困っている中小企業に対する支援を物価高騰対策としてもやるべきだと思いますが、知事、いかがですか。
〇知事(達増拓也君) この中小企業、小規模事業者対策は非常に重要なところでありまして、先ほど担当部長が答弁したように、約30兆円規模の国の総合経済対策の中で、物価高騰、賃上げへの取り組みが盛り込まれておりますので、その具体化の動きを見ながら、県としても必要な対応をしてまいりたいと思います。
 また、年末の中小企業、小規模事業者向けの緊急電話相談については、ことしもしっかり対応して、中小企業、小規模事業者が、きちんと年を越えて、来年も持続可能な形で進んでいけるように対応してまいります。
〇37番(斉藤信君) 最終日に提案される令和4年度岩手県一般会計補正予算案を私は評価するのだけれども、中小企業対策が欠落しているということは厳しく指摘したい。昨年度と大変な違いなのです。
 次に、東日本大震災津波からの復興の課題についてお聞きいたします。
 被災者の心のケアの取り組みがいわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランに位置づけられたことは、高く評価します。現在52人の体制で取り組まれていますが、今年度の実績と今後の方向を示してください。
 困難を抱えている被災者への伴走的支援を実施している、いわて被災者支援センターの取り組みも重要です。9月定例会でも複数の県議から取り上げられました。
 わずか4人の人員配置という不十分な体制を強化して、全国に誇れる被災者支援の取り組みとして強化、継続すべきと考えますが、いかがでしょうか。
〇保健福祉部長(野原勝君) 私から、心のケアについて御答弁させていただきます。
 こころのケアセンターによる令和4年10月末現在の相談支援件数は4、634件で、前年同期に比べ31件少なくなっていますが、依然として多くの相談に対応しているところであります。
 また、市町村保健師等への助言などを行った件数は1、611件で、前年同期比で98件増加するなど、こころのケアセンターが果たすべき役割は、依然として高いと認識しております。
 県としては、こうした状況を踏まえ、引き続き、こころのケアセンターを中心とする相談支援体制を堅持し、被災者に寄り添った対応を継続するとともに、地域の保健師などの人材育成、スキルアップの支援や心の健康の普及啓発などを行い、関係機関、団体と連携しながら、被災者の心のケアに包括的、中長期的に取り組んでいく必要があると考えております。
〇復興防災部長(佐藤隆浩君) いわて被災者支援センターでは、恒久的住宅への移行後のローン返済や家賃負担など、経済面や生活設計の面などで複雑かつ多様化した相談内容に対応するため、市町村や市町村社会福祉協議会といった関係機関と連携を図りながら、伴走型の支援を行っています。
 また、専門的な支援が必要なケースについては、弁護士やファイナンシャルプランナーとも連携しながら、一人一人の状況に応じたきめ細かな支援を行っています。
 今後とも、いわて被災者支援センターの特徴を十分に生かしていくため、引き続き、弁護士会などの関係機関との連携を図るとともに、介護や子育て、生活困窮など、さまざまなニーズに対応した包括的な支援に取り組む市町村や、市町村社会福祉協議会などとも一層の連携を図っていくこととしています。
 こうした取り組みを第2期復興推進プランに位置づけながら、被災者一人一人に寄り添い、支援してまいります。
〇37番(斉藤信君) 復興防災部長、私は体制の強化を求めたのです。わずか4人の体制で、釜石市と内陸の盛岡市に二つの事務所を抱えて、NPO法人は独自に人を派遣してやっているのです。そういうところをよく鑑みて対応していただきたい。
 次に、緊急の子育て支援策の課題について質問します。
 高校生までの医療費助成の現物給付化については、知事が本会議で、高校生までの医療費助成の現物給付化について、来年度実施に向けて検討を進めると答弁いたしました。知事の決断を高く評価いたします。
 来年8月からの実施ということになるのか、お知らせください。
 もう一つ、高過ぎる国保税の引き下げは、県民の切実な要求であります。特に、国保税と中小企業の労働者が加入する協会けんぽには2倍の格差があります。
 この格差是正は国の責任であり、地方自治体の課題でもあります。どう格差是正に取り組むか示してください。
 緊急の課題として子供の均等割の免除を実現することは、格差是正という点でも子育て支援という点でも重要な課題であります。宮古市では、ふるさと納税の寄附金を活用して1、260万円を繰り入れ、1人2万9、200円の子供の均等割を免除しています。
 知事は、この取り組みをどう評価しているでしょうか。この取り組みを県内市町村に積極的に紹介し広げるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 現物給付の対象拡大についてでありますが、現物給付の高校生までの拡大については、市町村等と協議しながら検討を進めることとしており、その時期については、中学生までの拡大の経緯を踏まえれば、最短で来年度の受給者証の更新時期である令和5年8月と想定されますことから、当面、これを念頭に、市町村や関係機関と具体的な協議を進めてまいります。
 次に、国保税と協会けんぽの保険料の格差是正についてでありますが、国民健康保険は、構造的に被保険者の年齢構成が高く、医療費水準が高いことに加え、年金生活者や無所得世帯の割合が高く、所得水準が低いことが、保険税負担が協会けんぽよりも重くなっている原因と認識しております。
 現在の国保制度においては、国の財政支援の拡充により財政基盤の強化が図られ、保険税負担の伸びの抑制が図られているものの、構造的な課題の解決に対応したものとなっているとは言えないと考えております。
 このため、県の政府予算提言・要望や全国知事会を通じて、国に対し、国庫負担率の引き上げなどさまざまな財政措置の方策を講じ、構造的な課題を解決し、医療保険制度間の公平性を確保するとともに、今後の医療費の増加に耐え得る財政基盤の安定化を図るよう要望してきたところであり、今後も、財政措置の拡充について、さまざまな機会を通じて国に働きかけてまいります。
 子供の均等割免除の取り組みについてでありますが、宮古市では、子供の均等割の免除について、子育て支援施策の一環として、独自の判断により対象年齢及び軽減額を拡大していると承知しております。
 本来、子供の均等割軽減措置等は、個々の市町村が財政負担を行いながら導入するものではなく、また、各自治体の財政力の差などによらず、全国どこの地域においても、同等な水準で子育て世代の負担解消が行われるべきであると考えております。
 県としては、県の政府予算提言・要望や全国知事会等を通じて、子供に係る均等割軽減措置の対象年齢及び軽減額の拡大を国に要望しているところであり、さまざまな機会を通じて今後も働きかけてまいります。
〇37番(斉藤信君) 国保の子供の均等割の免除は、本来、国がやるべきですよ。就学前の子供について、2分の1に減免したのは本当に中途半端。本気で子育て支援に取り組んでいるか疑われます。
 私は宮古市の例を紹介しましたが、一般会計からの繰り入れは1、260万円です。例えば子供が2人いたら約6万円なのです。それだけでも大きな負担軽減になると思うので、今できる市町村のこういう取り組みを県が大いに応援していただきたい。
 次に、行財政改革に関する報告書について、懸念すべき課題について質問いたします。
 この報告書は、持続可能で希望ある岩手を実現する持続可能で希望ある岩手を実現するための行財政研究会の議論等を踏まえ、岩手県総務部が取りまとめたものとなっています。
 なぜ研究会の報告書ではなく、庶務を担当した岩手県総務部が取りまとめた報告書になったのか。報告書の性格と意義について示してください。
〇総務部長(千葉幸也君) 持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会は、県が定めた開催要綱にのっとり、本県のこれまでの行財政運営の状況等における中長期的な課題や特徴の分析、人口減少や少子高齢化といった構造的課題への対応策、持続可能な行財政基盤の構築に向けた方策の方向性について、客観的かつ多角的な視点から御議論いただいたところであります。
 その上で、本報告書につきましては、この研究会が諮問、答申という形式をとっていないことに加えて、研究会の構成員の皆様の御意向も尊重して、庶務を所管する総務部において研究会における議論を取りまとめたものであり、その取りまとめに当たっては、座長を初め、構成員の皆様から内容の確認をいただきました。
 これらの内容については、人口減少、少子高齢化という構造的な課題に対するあるべき施策の一つが示されていると認識しており、今後の行財政運営にとって参考になるものと考えております。
〇37番(斉藤信君) 今後の行財政運営について参考になるものという性格ですね。わかりました。
 県立病院のさらなる充実の課題として、新しい時代の良質な医療の均てんに向けてと提起されています。県立病院の創業の精神は、県下にあまねく良質な医療の均てんをであります。
 なぜ、県下にあまねくの言葉が削除されたのか、どういう議論があったのか示してください。
〇総務部長(千葉幸也君) 持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会におきましては、本県の県立病院について、県民の健康や暮らしの安心・安全を守ることを重視してきたこと、全国的にも例を見ない数の県立病院を維持しながら、毎年度、一般会計からの繰出金でその経営を支え、経営効率化の努力をしていることなどについて評価する意見をいただきました。
 その上で、さらなる充実に向けた今後の方策等について、まずは、この状況を県民や市町村等に理解していただく必要があること、この特性を生かし、デジタル化等への対応の必要性や医療の高度、専門化を踏まえた二次医療圏の見直し、ハイボリュームセンターの整備など、これまでの歴史的経緯も踏まえ、引き続き、県立病院を中心として、県民によりよい医療を提供していくための検討の必要性等について議論があったところでございます。
 本報告書においては、これらの議論を踏まえて取りまとめたところであり、県下にあまねく良質な医療の均てんをという県立病院の創業の精神は、引き続き尊重されているところでございます。
〇37番(斉藤信君) 県立病院の創業の精神を堅持することについて、知事の受けとめをお聞きします。
〇知事(達増拓也君) 県立病院は、昭和の初期に県内各地に開設された協同の医療施設から始まっており、県下にあまねく良質な医療を均てんさせるため、苦心、努力された先人の考えや行動は、県営医療における創業の精神として一貫して受け継いできたものであります。
 県立病院の事業運営においては、この創業の精神を受け継ぎながら、県全体の医療提供体制の中で、県立病院に求められる役割を引き続き果たしていってほしいと考えております。
 また、今後行われる次期保健医療計画や県立病院の次期経営計画の検討においても、このような精神のもと、人口減少、少子高齢化、医療の高度化、専門化といった、求められている課題に的確な対応がなされるよう、医療従事者、関係機関、市町村、地域住民等との丁寧な議論が重ねられることを期待しております。
〇37番(斉藤信君) 県立高校における学びの質の向上として、現在の学区やブロックといった圏域を越えて県全体で学校の適正規模や適正配置について検討し、より充実した学びの環境を進めていくことが必要と提起されています。
 この報告書で目指している高校では、地域の高校はなくなるのではないでしょうか。どのような議論があってこうした提起がされたのでしょうか。これでは、現在進めている地域に必要な高校を維持する取り組みを否定するものになるのではないでしょうか。地域と結びつき、地域に支えられ、進学も就職の希望もかなえられる高校こそ、目指すべき姿ではないでしょうか。
〇総務部長(千葉幸也君) 持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会においては、本県の15歳未満人口が2045年までに半分程度まで減少する見込みであること、県立高等学校の小規模校化が全国と比較しても進行していることなどについて、客観的なデータに基づき分析が行われたところであります。
 その上で、今後、生徒数の減少に伴い現在の学校規模の維持が困難となるおそれがあることを踏まえ、一定程度の学校規模の維持を前提として、県全体で学校の適正規模や適正配置について検討し、現在の学区やブロックといった圏域を越えて、安定的に外部からの学生を確保できる体制を構築すべきではないかとの意見があったところでございます。
 また、生徒にとって魅力的な学校となることで、生徒が持つ多様な選択肢に応えることができるよう、ハード、ソフト両面における学びの環境を充実させていくための施策の必要性などについても御議論いただきました。
 これらの生徒視点に立った、より質の高い学びの場の創造に向けた取り組みの必要性については、現行の少子化による生徒数の減少への対応や地域との連携等の考え方とおおむね共通していると受けとめており、今後、本報告書も参考としながら、教育委員会等において、さらなる充実に向けた施策の議論等が行われるものと承知しております。
〇37番(斉藤信君) 岩手県が学校を維持しているのは、地域の高校を守るためであります。小規模校でも地域に必要な高校は維持する取り組みを進めている教育長は、どう受けとめているでしょうか。
〇教育長(佐藤博君) 中学校卒業予定者数の減少が進行していくことが避けられない状況にあって、教育の質の確保やよりよい教育環境の整備を図っていくことは重要であります。
 新たな県立高等学校再編計画後期計画は、少子化による生徒数の減少への対応や地方創生に寄与する人材の育成など、高校に期待される役割の変化を踏まえ、生徒の希望する進路の実現と地域や地域産業を担う人づくりの二つの基本的な考え方のもと、各地域における学びの選択肢の確保や地域の産業教育の拠点となる専門高校等を整備することとして、令和3年5月に決定したものです。
 新たな県立高等学校再編計画後期計画に掲げる学校施設の整備の考え方については、既に地域との連携、協働を目指した共創空間の整備も盛り込んでいるところです。
 県教育委員会といたしましては、この後期計画を着実に推進するとともに、この後期計画期間後を見据えた県立高校のあり方についての検討に令和5年度から着手してまいります。
〇37番(斉藤信君) 私は、今求められているのは、進学にも就職の希望にも応えられる地域に必要な高校だと思います。そういう方向をぜひ堅持していただきたい。
 次に、気候危機打開の取り組みについてお聞きいたします。
 第2次岩手県地球温暖化対策実行計画の見直しで、県は、温室効果ガス排出削減目標を2013年度比で2030年度までに41%から57%に引き上げる目標が掲げられています。このことを高く評価するものであります。
 この目標の引き上げは、昨年開かれたCOP26での2030年までに2010年比で45%削減目標を達成するために、各国がさらに目標を引き上げることを呼びかけたことに対応するものであります。57%削減の目標は積極的なものですが、実際に実行することになると、発想の転換、県民、事業者の意識の変革と具体的な行動が問われる問題であります。
 知事は、どういう決意でこの目標を掲げ達成しようとしているか、お聞きいたします。
〇知事(達増拓也君) 今後、地球温暖化のさらなる進行に伴い、猛暑や豪雨のリスクが高まることが予測されており、本県においても、台風や豪雨による甚大な被害の発生や、秋サケ、サンマなどの漁獲量の減少など、県民の生活や本県の産業に深刻な影響が出ていることから、脱炭素社会の実現は喫緊の課題であります。
 このような危機に対応するため、本県の温室効果ガス排出量を2030年度に2013年度比で57%減、そして、2050年度までに実質ゼロとすることを目指して取り組みを進め、国際的な目標達成に向け地域から貢献していく考えであります。
 目標の達成に向けては、エネルギー、産業・経済、交通・運輸、農林水産業、家庭など、各分野において地球温暖化防止に資する施策を総合的に推進することが、温室効果ガス排出削減だけではなく、エネルギーコストの削減やエネルギーの地産地消による地域経済の活性化、さらには、快適さや便利さなどの生活の質の向上にもつながる側面があることを示しながら、県民や事業者に、前向きで主体的な行動変容を促していくことが必要であります。
 このような取り組みを進めるため、知事を本部長とした岩手県地球温暖化対策推進本部を中心とした全庁的な施策推進体制の強化や、温暖化防止いわて県民会議への金融機関の参画、県市町村GX推進会議の新設等により、地域経済と環境に好循環をもたらす持続可能な脱炭素社会の実現に取り組んでまいります。
〇37番(斉藤信君) 本当にこの目標を達成するためには、あらゆる分野で意識の変革が求められます。私は、産業界との本当に膝を交えた協議なども含めて、県民の意識を変えて、この気候危機打開に取り組む県政にしていただきたい。
 具体的な課題について質問します。県が率先して取り組む上で、県有公共施設への太陽光発電の設置は重要な課題です。当初200施設の導入可能性調査の計画が40施設に縮小したのは、残念なことであります。
 40施設の内容と今後の見通しを示してください。災害公営住宅等にも設置すべきと考えますが、どう検討されているでしょうか。
 太陽光発電については、メガソーラーではなく、住宅や事業所に設置する取り組みを進めるべきと考えますが、推進方策を示して下さい。
〇環境生活部長(福田直君) 現在、合同庁舎や県立学校、県立病院など、その面積や耐用年数等から導入効果が見込まれる県有施設40カ所を対象として、日照時間や積雪の状況なども踏まえた太陽光発電設備の導入可能性調査を行っております。
 今後、年度内を目途に調査結果を取りまとめ、それぞれの施設における最適な導入手法や優先順位などを吟味した上で、来年度には具体的な導入計画を作成し、関係部局と連携しながら、順次導入を図ってまいりたいと考えております。
 また、お尋ねの災害公営住宅等については、既に太陽光発電設備が導入されている災害市営住宅も県内にあるところですので、別途、関係部局と研究を進めてまいります。
 さらに、県有施設以外では、被災代替家屋等での太陽光発電設備の導入支援も行っているところですが、今後、住宅や事業所での導入をより一層促進していくための方策について考えてまいります。
〇37番(斉藤信君) 東京都は、新築住宅について太陽光発電の設置を義務づける方向が示されております。そういう全国の先進的な取り組みをしっかり学んで、実効性ある取り組みを進めていただきたい。
 家庭部門での削減目標は57%となっています。高断熱で省エネルギー住宅の建築と改修は重要な課題であります。鳥取県や長野県の取り組みを参考に、ヨーロッパ並みの高断熱の住宅整備と県産木材の活用を一体にして推進し、省エネ基準のランク別に補助を行う制度を創出すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 電化製品等の省エネルギー化も重要です。長野県で実施されている省エネルギー性能の高い電化製品の普及を推進するために、費用対効果を含め販売業者に説明の努力義務を課すなどの取り組みも進めるべきではないでしょうか。
〇県土整備部長(田中隆司君) 省エネルギー住宅についてお答えいたします。
 省エネルギー住宅の普及に向けて、県ではこれまで、新築やリフォーム住宅を対象に一定量の県産木材を利用した住宅への補助を行い、さらに、岩手型住宅の規定を満たした住宅に上乗せ補助を行い、木材利用の促進と省エネルギー住宅の普及に取り組んできたところです。
 国は、本年10月、地方公共団体が地域の気候、風土の特殊性を踏まえ、独自に設定するZEH基準を上回る住宅性能を評価するための二つの断熱性能の基準を示したところです。
 県といたしましては、この国の基準や鳥取県や長野県などの先進自治体の取り組みを参考にしつつ、本県の基準の方向性について、岩手県住宅政策懇話会で意見を聞いてまいります。
〇環境生活部長(福田直君) 省エネ家電についてでありますが、省エネ家電への買いかえは、電気代の節約や温暖化の防止になるばかりでなく、新しい家電は便利な機能も向上しているため、人々の生活をより豊かで快適なものにするといった効果も期待できます。
 これまで、省エネ家電への買いかえの効用については、いわてわんこ節電所のウエブサイトを通じて啓発を行ってきており、昨今の物価上昇で省エネルギーに対する関心がより一層高まる中、このことは、県内自治体による省エネ家電への買いかえ促進キャンペーンにもつながっているところです。
 さらに、省エネ家電への買いかえは、倫理的な消費、いわゆるエシカル消費として捉えることもできるものであり、これまでの本県の消費者教育はトラブル防止にやや偏っておりましたが、省エネ家電などを含むエシカル消費の側面から、どのような取り組みを行うことができるのか、この点も前向きに考えてまいります。
〇37番(斉藤信君) 盛岡市が省エネ家電の購入に補助をする取り組みも県内で始まっていますので、ぜひ、岩手県が具体的、実効的な政策を示して取り組んでいただきたい。
 次に、県警察本部における不祥事と公安委員会のあり方について質問します。
 ことし3月下旬、被害関係者の供述調書を改ざんする事件が発生しました。これは公用文書毀棄罪に当たる重大な事件で、岩手弁護士会が7月29日、冤罪の大きな原因にもなり得る極めて重大な違法行為として、詳細な事実の公表と再発防止策の明示を求める要請書を県警察本部長宛てに提出し、8月18日までに回答を求めました。
 県警察本部長は、この岩手弁護士会の要請書にどう回答したのでしょうか。
〇警察本部長(森下元雄君) お尋ねの事案につきましては、非常に重く受けとめており、再発防止に取り組んでいるところであります。
 御質問の岩手弁護士会からの要請書に対する回答についてでありますが、県警察本部の担当者が、回答を求めた岩手弁護士会の方にお会いし、丁寧に説明しているところであります。
〇37番(斉藤信君) これは12月3日付に、岩手弁護士会が県警調査改ざんで公開質問状を提出したと。これについては、書面回答がなく口頭説明も不十分なため、今回、公開質問状を出すことになったと。刑事手続に関する信頼を根本から揺るがすもので、冤罪を引き起こすおそれのある極めて重大な違法行為だ、こう記者会見をいたしました。
 これを県警察本部長はどう受けとめているのですか。
〇警察本部長(森下元雄君) 繰り返しになりますけれども、本件の事案につきましては、非常に重く受けとめているところであります。
 本事案に関しては、まず、事件化をしっかりと行い、速やかに処分を行い、再発防止に取り組んでいるところで御理解いただきたいと思います。
〇37番(斉藤信君) 県警察本部長は、10月20日の決算特別委員会の審査で私の質問に、この事案については非常に重く受けとめております。県警察本部としては、しっかり事件化したという認識でおりますと答弁しました。しかし、6月1日付で示された処分は、改ざんした巡査部長は所属長訓戒、改ざんを許可した上司の警部補は本部長訓戒と、懲戒処分に当たらない極めて軽いものでした。県警察本部に真剣な反省がないあらわれではないでしょうか。
〇警察本部長(森下元雄君) 先ほど斉藤信議員がおっしゃったように、9月定例会においても答弁しておりますけれども、事案については非常に重く受けとめているところでありまして、県警察本部としても、しっかり事件化をし、また、処分を行い、再発防止策をとっているということであります。
 具体的には、事件化については、本事案が4月下旬に発覚した後、約1カ月後の5月20日に、関係職員2名を公用文書毀棄の被疑事実で盛岡地方検察庁に送致しております。
 また、それに続いて6月1日付で行った関係職員の処分については、事案の内容並びに全国及び県内におけるこれまでの先例を踏まえて、厳正に対処しているところであります。
 さらには、再発防止策として、管理する幹部職員に対する指示を初め、教養資料を発出するなどして、職員に対する公文書の重要性に関する認識及び管理のあり方について徹底を図り、再発防止に努めているところであります。
〇37番(斉藤信君) 警部補が供述調書を改ざんして、上司がそれを容認したと。岩手弁護士会は、県警察の体質ではないかと厳しく批判して、第三者委員会での調査を求めているのです。
 公安委員長に質問します。この被害関係者の供述書改ざん事件と処分について、改ざん事件の発生時、処分がなされた時期、岩手弁護士会から要請書が提出された時期、その都度、公安委員会に報告されるべき問題だと考えますが、公安委員会には、いつ、どのような報告がなされたのでしょうか。公安委員会でどのような議論があったのか。県警察本部をどう指導したのか。なぜ軽い処分で済ませたのか。公安委員長の認識を伺います。
〇公安委員会委員長(小野公代君) 県警察本部からは、適宜、必要な報告を受けております。いつ、どのような報告がなされたかという個別のお尋ねについては、お答えを差し控えさせていただきます。
 公安委員会では、事案の背景、経緯及び要因等について報告を受け、発生要因等を踏まえながら議論を行い、県警察本部に対しましては、本件事案の発生要因等を踏まえた再発防止対策の徹底について指示したところであります。
 措置につきましては、県警察本部から、事案の内容並びに全国及び県内におけるこれまでの先例を踏まえた措置内容であると報告を受けており、適正な措置であると考えております。
〇37番(斉藤信君) 小野公安委員長、そのような答弁はだめなのです。私は、県警察本部から公安委員会にいつ報告されたか聞いています。令和4年6月8日、令和4年8月24日の2回ですよ。ところが、私は公安委員会の議事録を見ましたが、何にも書いていません。何でですか。どのような議論がされたか書いていないではないですか。公安委員長、答えてください。あなたは、この公安委員会の議事録を見ていますか。
〇公安委員会委員長(小野公代君) 本件公安委員会の会議録についてでありますが、岩手県公安委員会運営規則において、会議の日時、出席者及び会議の概要を会議録に記録することになっており、これに基づき適正に記録されていると認識しております。
〇37番(斉藤信君) いつの議事録か見てください。私は議事録をもらったのです。書いていないのです。この改ざん事件について報告があったとも書いていない。だから私は、あなたが議事録を読んでいるかと聞いたのですよ。読んでいるのですか。本当に書いてありますか。簡潔に答えてください。読んでいないでしょう。
〇公安委員会委員長(小野公代君) 繰り返しになりますが、県警察本部からは、適宜、必要な報告は受けております。いつ、どのような報告がなされたかという個別のお尋ねについては、お答えを控えさせていただきます。会議録については、適正に記録されていると認識しております。
〇37番(斉藤信君) これは事実の問題なのでね。改ざん事件についての報告については一言もないです。議論された中身もないです。2回の議事録をいただきました。そんなことで、あなたは市民の目線で県警察本部を指導できるのですか。
 そういう中途半端な答弁をしないでいただきたい。
 ことし9月に、ある警察署の警部補が首つり自殺したのは事実でしょうか。なぜ首つり自殺に追い込まれたのでしょうか。背景にパワハラやいじめがなかったでしょうか。調査はされたのでしょうか。
〇警察本部長(森下元雄君) 本年9月、警察職員が自室で自殺する残念な事案が発生したことは、事実であります。
 本件につきましては、斉藤信議員がお尋ねのような背景があるのかないのかも含め、調査を行った結果、御指摘のような不正行為等はないということを確認しております。
 なお、自殺事案については、個人のプライバシー及び死者の尊厳にかかわることでございますので、死亡の原因、動機、その他につきましては、答弁を差し控えさせていただきます。
〇37番(斉藤信君) 首つり自殺というのは、追い詰められた自殺なのです。本当にパワハラやいじめがなかったかという、これはこれ以上議論しませんが、徹底した調査をして、隠すようなことをしないでいただきたい。
 次に、統一協会と自由民主党の癒着問題について知事に質問します。
 統一協会―世界平和統一家庭連合と自由民主党との癒着は、日本の政治と社会の前途にとって極めて重大な問題であります。この間の新聞各紙の報道で、県内でも統一協会と自由民主党との癒着の一部が明らかになっています。
 特に重大なことは、7月の参議院議員選挙に当たって、自由民主党公認の広瀬めぐみ氏が、参議院議員選挙公示前の5、6月に、統一協会を訪ねて責任者に会ったことが明らかになったことであります。自由民主党の県議も、6月に統一協会を訪ねて広瀬めぐみ氏の話をしたとのことです。
 参議院議員選挙は、自由民主党と統一協会一体の選挙だったのではないか。統一協会の応援を受けた選挙だったのではないか。こうした自由民主党と統一協会との癒着が明らかになっていれば、選挙の結果も変わっていたのではないでしょうか。知事の受けとめをお聞きします。
〇知事(達増拓也君) 旧統一教会の非人道的な金集めや非人道的な信者の処遇に対し、お墨つきを与えることに利用され得る、関係する団体との政治活動や選挙運動は、厳に戒められるべきものであります。
 先般の参議院議員選挙後、旧統一教会の問題が次々と明らかにされ、マスコミによる世論調査では、内閣支持率が下がり内閣不支持率が上がるという傾向が続いています。今、改めて何らかの国政選挙を行えば、5カ月前とはかなり違った結果になるのではないかと思います。
 国政選挙において、主権者国民が、必要にして十分な情報をもとに、自由に議論して、投票日に主体性を持った投票ができるよう、政治にかかわる者は努力すべきものと考えます。
〇37番(斉藤信君) 統一協会と自由民主党の県議会議員との癒着の事実も明らかになっています。6人の自由民主党県議が、統一協会―世界平和統一家庭連合そのものの会議や集会に参加しています。県議会議員選挙に立候補する際に、統一協会を訪ね挨拶をしたという県議会議員もいました。癒着は深刻なものであります。しかし、この12月定例会でも、統一協会とかかわりがあった県議会議員が一般質問に立ちましたが、一言も反省がありませんでした。
 また、昨年8月1日に統一協会の関連団体が主催したピースロードジャパン2021in岩手には、県議会議員、市議会議員が参加したとありましたが、参加したと明らかにしている議員は誰もおりません。
 岸田首相は、国会での答弁で、自由民主党と教団との関係を断絶する方針を地方議員を含めて徹底すると述べています。関係を断絶するというなら、これまでのかかわりを全て明らかにすることが大前提であり必要ではないかと考えますが、知事の見解を求めます。
〇知事(達増拓也君) 旧統一教会と政治家とのこれまでのかかわりが、非人道的な金集めや非人道的な信者の処遇に対し、お墨つきを与えることに利用されないようにするには、かかわりがあった政治家の側が、旧統一教会の非人道的な行いを批判する姿勢を示すとともに、過去のかかわりのそれぞれについて、事実関係を踏まえて深い反省の意を表明し続けることが必要と考えます。
 そのような非人道性の批判とこれまでのかかわりに関する反省の表明は、国会議員であれ地方議員であれ、求められると考えます。
〇37番(斉藤信君) 統一協会の問題は、第1に、正体を隠した伝道活動、霊感商法と高額献金、当事者の意思を無視した集団結婚など、数々の反社会的活動は、どれも司法によって法律違反と断罪されたものであり、日本国憲法に保障された思想・信条の自由、信教の自由を初め、基本的人権をじゅうりんするものであります。
 第2に、半世紀にわたって、自由民主党は統一協会を反共と反動の先兵として利用し、統一協会は、自由民主党の庇護のもとに反社会的活動を拡大してきました。統一協会と政界との癒着を一掃することは、憲法に保障された基本的人権を守り、日本の平和と民主主義を守り抜く重大な意義を持つ課題だと考えますが、知事の認識を伺います。
〇知事(達増拓也君) 旧統一教会がこれまで行ってきた非人道的な金集めや非人道的な信者の処遇は、日本国憲法が保障する基本的人権の侵害であると考えられ、被害者の救済や再発防止に政治が力を尽くそうとするのであれば、旧統一教会と利害をともにすることは、政治家にせよ政党にせよ問題であると考えます。
 日本国民を守り国の誇りを失わないためにも、日本の政治が、旧統一教会問題についてけじめをつけ、被害者を救い、被害の再発を防ぐことを期待します。
〇37番(斉藤信君) 私は、自由民主党に、みずから責任を持って統一協会との癒着を解明する、そのことを強く期待したいと思います。
 最後の質問であります。岸田自公政権の軍事費の2倍化を目指す大軍拡は、平和と暮らしを脅かす危険な道であります。このことについて知事に質問します。
 政府の有識者会議は、11月22日、反撃能力イコール敵基地攻撃能力の保有と増強が必要、今後5年を念頭に反撃能力を持てるようにするとの報告書を提出。岸田首相は、28日、浜田防衛大臣と鈴木財務大臣に対し、防衛費など関連予算を5年間で国内総生産―GDP比2%にするよう指示しました。
 こうした大軍拡を進めることは、相手国に脅威を与えるような能力を保有することは憲法上できないとしてきた従来の憲法解釈を踏みにじる、憲法違反の暴挙であります。同時に、東アジアで戦争を起こさせない外交の方針を持たず、軍事力を拡大することは、軍事対軍事の悪循環をもたらし、戦争の危険を増大させるものと言わなければなりません。
 また、軍事費を2倍化する財源は、有識者による報告書では、幅広く国民の負担によるとしていることも重大であります。結局は、消費税の増税とこれまで以上の社会保障費、教育費の削減ということになりかねません。
 平和と暮らしを脅かす大軍拡を絶対に許すことはできないと考えます。憲法第9条に基づいて、東アジアで戦争を起こさせない外交こそ必要ではないでしょうか。知事の見解を求めます。
〇知事(達増拓也君) 今般の防衛費倍増の議論については、個人的な印象としては、唐突感を否めないと感じております。
 一国の防衛のあり方を予算倍増という規模で変更するのは、他の国々から見れば重大な現状変更であり、国際的な緊張を高め、歯どめのきかない軍拡競争に陥り、果ては、不測の事態から全面戦争が始まるという、誰も望んでいない結果を招き得るものであります。
 我が国の防衛のあり方については、防衛費倍増ありきのような極端な議論ではなく、国際情勢や近隣諸国との軍事バランスを調査、分析しながら、慎重な議論が進められるべきであります。
 個人的には、今、東アジアで求められるのは、むしろ軍縮であり、アメリカ、中国、ロシア、韓国、北朝鮮と日本の6カ国協議で、軍縮や緊張緩和について協議すべき局面と考えます。
 東アジアにおいては、新型コロナウイルス感染症対策、災害対策、気候変動対策などで協力し、経済活性化や公正な社会の実現などに向けて連携すべきときであると考えます。
〇37番(斉藤信君) この軍事費の2倍化、大軍拡というのは、これまで憲法の立場から専守防衛という原則を政府は守ってきましたが、この専守防衛には三つの限定的要素があります。1970年5月8日の衆議院本会議で、当時の中曽根防衛庁長官がこう答弁しています。目的において防衛に限る、地域において本土並びに本土周辺に限る、手段において核兵器や外国に脅威を与える攻撃兵器は使わない。
 今回の軍拡は敵基地攻撃能力です。相手の国を先制的に攻撃する、文字どおり、憲法上許されないとしたこの専守防衛の原則を踏みにじるものではないでしょうか。
 もう一つ、今、アジアの本流はどこにあるか。11月18日、19日、アジア政党国際会議が開催されました。これには30カ国1地域から69の政党が参加しました。どの政党でも参加できる会議です。日本からは日本共産党だけが参加しました。志位委員長が発言をして、そして、イスタンブール宣言が採択されました。
 このイスタンブール宣言は、ブロック政治の回避を打ち立てました。ブロック政治の回避というのは、軍事同盟による軍事対軍事の対立を避け、包摂的な枠組みをつくるということです。いわば、中国や北朝鮮を敵に回して相手にしないということではなく、中国も北朝鮮も包摂をする、そういうアジアの平和の体制をつくろうとするものであります。
 既に、アジアにはASEAN―東南アジア諸国連合の協力条約がありまして、国際紛争を外交で平和的に解決する原則が打ち立てられています。イスタンブール宣言は、東アジアの本流は軍事対軍事ではない。中国も包摂した、東アジアに戦争の心配のない平和の体制を構築する、このことを打ち出したという意味で、大変重要な内容を持つものであります。
 輸出入では一番の相手国は中国です。軍事対軍事で、これを敵にして、ここと外交しない、話し合いをしない、そういうやり方では、私は東アジアの平和は守れないと思いますけれども、この専守防衛の原則を踏みにじるこの動きを知事はどのように受けとめているでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 冷戦時代には、ソ連とアメリカが、お互いを滅亡させるような戦争もあり得るという全面核戦争まで覚悟して、そして、地球規模の勢力争いの中、アメリカにとっては、日本を失えば、そこがソ連の拠点になれば西側の不利に大きく傾きますし、また、ソ連も、当時は北海道への上陸や3海峡の占拠などといったことが極めて現実的にあった中でも、当時、日本はアメリカと連携しながら、あの程度の防衛力でやってきたということがあります。
 今、中国とアメリカの関係は、そのような全面核戦争を覚悟するところまでは行っておりませんし、中国あるいは北朝鮮も、北海道を占領するとか日本の3海峡を占拠するとか、そういったシナリオを現実のものにはしていないわけでありまして、冷戦のころに比べれば、はるかに潜在的な脅威はお互いに低い状態にあるわけです。
 そういった現実の、緊張が全くないわけではないのですけれども、それぞれ兵器を一定数持ち、一触即発ということはあり得るわけですが、例えばベトナムでも、中国の公船がベトナムの船と何か小競り合いになったときも、放水だけで対抗して、自動的にそこに兵器や、軍による攻撃をしたりはしないという自制が働きましたし、思えば、今ウクライナも、ロシアの侵略に対して、兵器による攻撃をロシア側にしないということで、むしろ国際的な信頼と支持をかち得ているというところもあります。
 いずれ、武器使用というものは、戦時であれそこに至る過程であれ、できるだけしないほうがいいものでありまして、できるだけせずに済むような国際関係を東アジアにつくるために、それこそ死に物狂いで責任ある人たちは努力すべき局面なのだと思います。
 そういう中で、むしろ東アジアには、経済の発展でありますとか災害対策での協力でありますとか、気候変動対策の協力など、そのような協力から得られるメリットの可能性が非常に多いわけですから、そういったメリットから、少しでも日本の国民の暮らしがよくなるように持っていくことが現実的と考えます。
〇37番(斉藤信君) 外交官の経験のある達増知事らしい見解だと受けとめました。
 私が紹介したように、アジアには、東南アジア諸国連合があり、これによる国際紛争を対話や外交によって解決する平和の枠組みがあって、その体制を今、東アジアに広げようと東アジアサミットの体制もつくられているのです。私たちは、そういう方向こそ、アジアで戦争を起こさせない体制だと。今こそ憲法第9条を生かし、東アジアに平和の体制をつくるべきだ、このことを強調しておきたいと思います。
 特に、今、岸田政権は、新型コロナウイルス感染症対策での無策、物価高騰対策での無策、統一協会問題で、どの世論調査でも支持率30%で過去最低、不支持率は50%を超える。こういう行き詰まった岸田政権が、軍事費2倍化を国会でも国民にも説明せずに強行するなどということは、絶対あってはならない。
 そういう意味で、私は、この軍事費2倍化の大軍拡は、平和を脅かし、国民の暮らしも破壊する。このことを許さない国民的大運動の先頭に日本共産党が立つことを表明して、私の質問を終わります。(拍手)
〇議長(五日市王君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
   
   日程第2 議案第1号令和4年度岩手県一般会計補正予算(第6号)から日程第45 議案第44号公立大学法人岩手県立大学に係る中期目標を定めることに関し議決を求めることについてまで
〇議長(五日市王君) この際、日程第2、議案第1号から日程第45、議案第44号までを一括議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の通告がありますので、発言を許します。高田一郎君。

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