令和4年12月定例会 第23回岩手県議会定例会会議録

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〇29番(軽石義則君) 希望いわての軽石義則でございます。
 質問に入る前に、新型コロナウイルス感染症の新たな感染拡大の波が大きくなっている中で、県民の命と健康を守るため、昼夜を問わず懸命に努力されている医療従事者並びにその方々を支えている関係者の皆様に心から感謝を申し上げます。
 また、コロナ禍に加え、物価高等による厳しい経済状況の中で懸命に事業を継続し、雇用を守っている事業者の皆様に対しまして、心から敬意を表します。
 こうした厳しい状況の中で、力を尽くされている県民の皆様に伝わる答弁をお願いし、通告に従い質問をさせていただきます。
 まず初めに、新型コロナウイルス感染症対策について伺います。
 知事は、新型コロナウイルスの感染状況について、第8波と言える段階との認識を示されました。去る11月29日には、新規の新型コロナウイルス感染症の感染者が過去最多の2、248人となり、11月末までの累計の感染者数は15万4、952人となり、また、2、000人を超えたのは8月21日以降、今回で4回目となります。また、人口10万人当たりの直近1週間の新患感染者数は800人を超えて推移し、新規クラスターの発生件数も増加しております。
 感染防止対策や医療の提供、県民への啓発など、さまざまな対応をされている担当部局や医療機関等におきましては、県民の健康を守るため、惜しみない努力を続けておられますが、こうした状況にあることも踏まえて、現在の感染状況をどのように分析し、今後の推移をどう予測されるのか、知事にお伺いいたします。
 あわせて、今冬の新型インフルエンザの同時流行も懸念されておりますが、同時流行が発生した場合の県内の医療体制への影響をどう捉えているのかについてもお示し願います。
 次に、救急医療体制についてお聞きします。
 新型コロナウイルスによる感染者の急増により、県内各消防本部では救急搬送が増加しているのではないかと推測されるところでありますが、その中で、救急隊による医療機関への受け入れ照会回数が4回以上、かつ現場滞在時間30分以上とされる救急搬送困難事案の増加が懸念されます。
 総務省消防庁の調べによりますと、盛岡地区広域消防組合消防本部の救急搬送困難事案については、令和2年の困難事案189件のうち新型コロナウイルス感染症疑いは3件、令和3年は、困難事案266件のうち新型コロナウイルス感染症疑いは5件、令和4年は、1月から10月までの困難事案は、507件のうちコロナ疑いは30件となっており、年々、救急搬送困難事案件数が増加している現状にあります。
 救急車が到着しても受け入れできる医療機関が決まるまでに長時間を要する場面に直面した患者やその家族としては、病状悪化などへの不安や救急患者の受け入れ体制に対する怒りが高まる状況になると考えます。
 医療機関が救急搬送患者を速やかに受け入れできない理由は、新型コロナウイルス感染症の影響のためなのか、あるいは別の原因にあるのか、現状を把握して、速やかにその対策をとる必要があると考えますが、その把握状況と見解を伺います。
 次に、新型コロナウイルス感染症対策の新たな対応方針の運用について伺います。
 政府は、新たな対応方針を11月18日から運用することに決定しました。その内容は、第8波に備えて、感染状況の指標は現在の5段階から4段階に見直され、2段階の対応強化策が盛り込まれております。
 医療体制の負荷を増大させるような感染者数が発生した場合は、2番目に深刻なレベルとしてレベル3、医療負荷増大期として県が対策強化宣言を発令、さらに、対策強化宣言後も感染拡大が続く場合は、一番深刻なレベルのレベル4、医療機能不全期として県が医療非常事態宣言を発令し、慎重な対応を求めるなどの要請が可能とされております。
 これらの宣言は法的拘束力を持たないものであり、自粛要請にとどめている理由は、社会経済活動を著しく制限する懸念がある。緊急事態宣言やまん延防止等重点措置ではなく、新型コロナウイルス感染症と共存するウィズコロナの浸透を図るためであるとのことです。
 そうであったとしたら、現状を見ますと、感染拡大によって企業では企業活動を維持するために、ある程度の感染防止策は徹底されているところであり、今後、宣言が発令されることがあれば、その内容が企業の行動自粛の基準となることは当然予測されます。
 医療逼迫を招かない対応は必要でありますが、一方で、年末年始を目前にしている中で、宣言を発令するような事態が起これば、社会経済活動に大きな影響があるものと考えます。
 今後、県として宣言を発令する事態をどのように判断していくのかお伺いいたします。
 あわせて、レベルに達したと判断する基準をお示しください。
 次に、感染症対策予算について伺います。
 一つ目は、ワクチン接種についてです。
 これから厳冬期を迎え、また、現在、第8波と呼ばれるほどの大きな感染の波が訪れており、オミクロン株対応ワクチン接種の加速化や万全の医療供給体制の備えが強く求められています。
 これまでに計上されたワクチン接種体制の確保に要する予算額75億6、000万円に対し、10月末時点では23.3%の執行率、入院施設の確保等については、予算額224億2、000万円に対し、同じく22.3%の執行率と伺っております。予算額には余裕があるようにも見えますが、今後の感染動向は不透明な点も多く、また、既にオミクロン株対応ワクチン接種を受けたくても受けられないという声も聞かれ始めています。
 これらの状況を踏まえ、県として、厳冬期を迎えるこれからの備えについて、どのように対応していくと考えているのかお伺いいたします。
 二つ目は、いわて子育て世帯臨時特別支援金給付事業について伺います。
 この事業は、コロナ禍における物価高騰の影響を強く受ける児童手当受給世帯に対して1万5、000円を上乗せして支給する事業として実施され、これまでに2度、合計3万円の支援金を13万人の対象児童に給付する事業で、44億7、000万円の予算が計上されております。
 県では既に33市町村全てに交付決定し、9割に迫る予算執行率と聞いておりますが、実際に県民の手元に届いている給付金の割合はどの程度になっているのでしょうか。
 支給事務を担うのは市町村ですが、せっかくすばらしい事業を計上しているのに実際の執行が伴わないのは、心待ちにしている皆様の期待に沿えない上、何とももったいない話です。仮に支給が滞っているのであれば、その原因を把握した上で、例えば、市町村に対し早期の給付を勧奨するなどの具体的アクションを起こすべきと考えますが、見解を伺います。
 三つ目は、新型コロナウイルス感染症対応資金貸付金についてであります。
 この貸付金の予算は272億2、000万円ですが、執行率は99.5%という極めて高い数字となっています。この貸し付けは、国の保証制度を活用した、いわゆるゼロゼロ融資と呼ばれる資金繰り支援の貸し付けであり、制度そのものは令和3年5月31日に終了しています。令和2年度からの貸付額の累計は1、950億円に迫り、初期の貸し付けを利用した事業者では、来年の5月以降に利払いの開始、元金償還の本格化が迫っています。
 制度終了時には、感染拡大や対策の長期化、円安やウクライナ紛争に伴う原材料価格、燃油の高騰は想定されておらず、制度が見込んでいた市況の回復とは著しくかけ離れた状態が続いています。
 現実的に、ゼロゼロ融資の借りかえには、新型コロナウイルス感染症対策資金のうち、伴走支援資金の活用が可能でありますが、厳しい条件が課される上、一定の金利負担は避けられません。
   〔議長退席、副議長着席〕
 この1、950億円に上るゼロゼロ融資の残高についての当局の認識と、返済の円滑化に向けてどのような対策が必要と考えているのか伺います。
 次に、県内の経済状況と今後の経済対策について伺います。
 初めに、燃油高、物価高騰による県内経済への影響についてでありますが、新型コロナウイルス感染症の影響による県内経済の落ち込みからの回復への期待があったものの、第7波による感染拡大があり、収束する間もなく、また感染拡大の局面に来ております。
 また、ロシアによるウクライナ侵略を背景とした国際的な原材料価格の上昇に加え、円安の影響など、日常生活に密接なエネルギー、食料品等の価格上昇が続いており、実質所得の低下や消費マインドの低下による消費への影響、企業の設備投資の減退などの影響が懸念されておりますが、こうした中において、県内経済への影響をどのように捉え、今後どのように対応していくお考えなのか伺います。
 また、次期アクションプランへの反映をどのようにされていくのかもあわせてお示し願います。
 次に、県施設への影響についてであります。
 原油価格、物価高騰等による影響は、県内経済はもちろんのこと、県財政にも大きな影響を与えるものと考えます。とりわけ光熱水費の上昇は、県庁舎を初めとした施設の管理運営費に大きく影響してきますが、現状をどのように把握し、令和5年度の当初予算にどのように反映させる考えなのかお伺いいたします。
 次に、物価高騰等への支援対策について伺います。
 長引くコロナ禍に加えて、原油価格や物価高騰等により、県内経済は厳しい環境にあると認識しておりますが、企業間で取引される物の価格水準を示す日銀発表の企業物価指数は、2020年を平均100とした場合、本年9月時点で116.3となり、19カ月連続で上昇しております。
 2022年9月の日本帝国データバンクによる企業の価格転嫁の動向アンケートでは、自社の主な商品やサービスにおいて、仕入れコストの上昇分を販売価格やサービス料金に全く価格転嫁できていない企業は18.1%であり、5月調査の15.3%を上回っております。また、価格転嫁率は36.6%で、5月調査の44.3%を下回っており、これは仕入れコストが100円上昇した場合、36.6円しか販売価格に反映できていないことであります。特に、一般貨物自動車運送などを含む運輸、倉庫の価格転嫁率は17.7%であり、5月調査の19.9%から悪化しております。
 このような状況の中、商工労働観光部が実施した10月分の新型コロナウイルス感染症等に伴う事業者の影響調査結果でも、景気回復支援66.7%、原油高に対する支援53.3%、原料、資材高騰による支援59.0%、電気料値上げに対する支援48.7%等の要望が出されておりました。
 当局として物価高騰対策支援金支給事業に係る運用変更を11月16日に始めておりますが、その運用状況についてお伺いします。
 あわせて、今後さらなる支援策が求められてくることも予想されますが、このような現状を踏まえての所見をお示し願います。
 次に、中小企業支援の取り組みについて伺います。
 政府は、令和3年12月27日にパートナーシップによる価格創造のための転嫁円滑化施策パッケージを策定し、中小企業などが労務費、原材料費、エネルギーコスト上昇分を適切に転嫁できるようにし、賃金引き上げの環境を整備するため、転嫁対策に向けた集中取り組み期間を設定し、取り組みを進めております。
 また、官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律に基づく中小企業者に関する国等の契約の基本方針では、中小企業者、小規模事業者向け令和4年度の契約目標は、比率61%、金額が5兆2、738億円であり、新規中小企業者向け契約目標は3%以上を目指すとされております。
 また、新型コロナウイルス感染症の影響を受けている中小企業者、小規模事業者に対する配慮として、入札参加機会の確保のための柔軟な対応や、契約締結後において感染拡大防止に係る業務等が追加発生した場合の契約変更の対応など、適切な対応に努めるよう求められております。
 中小企業を取り巻く経営環境は厳しさを増しており、事業継続や雇用の維持に懸命に取り組んでいる事業者の経営努力の限界を超える状況にあります。県としても、県が締結する契約に関する条例第3条の基本理念にのっとり、条例の目的達成のために総合的な施策を推進されておりますが、岩手県中小企業振興第2期基本計画において設定した、2022年度までの契約件数割合91.5%について、現在はどのような状況にあるのか伺います。
 あわせて、今後の取り組みについてもお示し願います。
 次に、各種団体からの要望についてでありますが、このような経済状況が厳しい中、各業界団体から、現場の声として切実な状況を踏まえたさまざまな要望がされているとお聞きしております。全ての要望が解決することは難しいことは理解しておりますけれども、地場中小の事業者は、雇用の確保、人材育成、事業継承など、県に対する貢献はもとより、幸福を実現できる岩手県とするために日ごろから努力をされており、その皆様からの要望は、本県の課題解決に向けた貴重なものであると考えております。
 例えば、本県では、県営建設工事に係る入札において、予定価格の事前公表を2005年から実施しております。一方、事前公表については、公表された予定価格を基準とし、下請企業の適正な労務単価を考慮しない、採算性を度外視した低価格入札となり、そのしわ寄せが下請企業などに及ぶダンピング入札となるおそれが指摘されております。
 中小企業者に関する国等の契約の基本方針でも、国は地方公共団体の工事等の発注に際し、予定価格等の事前公表の取りやめが促進されるよう努めるものとされております。予定価格の事前公表は、県内中小企業者、小規模事業者の維持や育成につながらないのではないかと考えます。
 これまでも何度となく団体から要望されている事項であり、事前公表のメリット、デメリットがあるものと承知しております。今後、予定価格事前公表の廃止の可能性も含め、県営建設工事の入札制度において、公正、公平な入札の実施と地元の優良な中小企業の維持、育成の視点を絡めていく必要があると考えますが、県としてどのような対応をされるのか伺います。
 次に、本県の雇用対策と労働環境について伺います。
 県内企業における労働力の確保については、これまでも、いわてで働こう推進協議会で取り組みを進めてきております。その実績の一つは、県内高卒者の県内就職率が令和2年度71.4%から、令和3年度74.1%となり、実績を伸ばしております。また、正社員の有効求人倍率は、令和2年度0.73倍から令和3年度0.88倍となり、若干の改善はされております。令和4年10月末の一般及びパートの合計の月間有効求人数は2万8、457人。月間有効求職者数が2万820人で、月間有効求人倍率1.37倍となっております。
 しかし、職業分類別に見ますと、かなりのばらつきがあり、今後の働き方改革を推進する上で、労働力の確保は避けて通れない課題であると認識しております。地域の企業が持続的に発展していくため、特に地域の暮らしを支える企業や県民の日常生活を支えるエッセンシャルワーカーの職業をどのように守っていくか、どのように就業促進に取り組んでいくかが必要であると考えます。若者や女性活躍に加えて、高齢者雇用、障がい者雇用、外国人労働者雇用の現状を踏まえた上で、いわてで働こう推進協議会として、県民の暮らしを支える地場の中小企業が必要とする労働力を確保できるようにする取り組みを進めていくべきと考えますが、知事のお考えを伺います。
 次に、厚生労働省の発表によりますと、令和3年度の全国における精神障害の労災補償は、支給決定629件のうち、自殺の支給決定が79件となっております。精神疾患による労災認定は増加傾向にあり、労働環境の悪化が社会問題として浮き彫りになってきております。
 加えて、コロナ禍におけるエッセンシャルワーカーへのカスタマーハラスメントは大きなストレスを与える精神疾患を招くだけでなく、働く魅力を阻害し、人材不足の原因にもなっております。
 2022年2月に厚生労働省が公表したカスタマーハラスメント対策企業マニュアルの実効性を高めるためにも、いわてで働こう推進協議会等において岩手県における実態調査をすることにより、人と接するあらゆる産業で起きている社会的問題解決に取り組む必要性について所見を伺います。
 次に、生活困窮者への支援として、生活福祉資金貸付制度について伺います。
 生活福祉資金貸付制度におけるコロナ禍での特例措置として、緊急小口資金、総合支援資金が平成2年3月25日から受付が開始され、令和4年9月末をもって終了いたしました。この間、岩手県における貸付実績は、緊急小口資金が6、410件、11億5、463万3、000円、総合支援資金が3、944件、23億5、835万3、000円、合計で1万354件、35億1、298万6、000円となっております。据置期間は、貸し付けから1年以内となっておりますが、令和4年12月末以前に償還時期を迎える予定の貸し付けは、令和4年12月末まで延長され、償還は令和5年1月からとされております。
 長引くコロナ禍と物価高などにより償還が困難な借受人が今後ふえてくることが推測されます。償還免除や償還猶予の制度もありますが、それに対応していくためには、借受人一人一人の事情に寄り添って対応していかなければならないと考えますが、借受人の現状をどのように把握されているのか伺います。
 あわせて、今後の支援についてもお示し願います。
 次に、支援体制についてでありますが、借受人の年齢別を見ますと、20代11.6%、30代20.2%、40代25.6%、50代21.8%、この中には、一定程度子育て世代も含まれていると思いますので、こうした困窮する子育て家庭は、物価高騰等でより厳しい家計状況にあると考えられます。
 借受人の生活が困窮している状況では、償還や自立支援を図っていくための対応は、貸付時の対応を超える労力が必要と思われます。一方で、社会福祉協議会に配置されている相談員は、会計年度任用職員として採用されていると聞いております。継続した雇用が厳しい状況も考えられ、相談員が必要な資格や経験を有していることにより、スムーズに問題解決が図られる体制の維持は不可欠と考えますが、今後の支援体制のあり方について所見をお伺いいたします。
 次に、危機管理の現状と今後の取り組みについて、2点お伺いいたします。
 1点目は、人員体制についてであります。
 今後予測される日本海溝、千島海溝沿い巨大地震津波等や気象変動による豪雨災害など、予想を上回る自然災害が発生する可能性は高まっております。災害が発生した際に初動態勢が大切であることは、東日本大震災津波によるとうとい命の犠牲と経験が貴重な資料として残されております。教訓と知見を今後の防災、減災から復旧、復興につないでいくためには、必要な人員体制を整える必要があります。危機管理の観点からの人員確保の状況をどのように認識しており、また、今後どのように対応するのかお伺いいたします。
 さらに、知事部局全体の職員体制に目を向けると、本年11月1日時点の職員数は4、343人、休職者21人、欠員は17人となっております。また、退職者数も年々増加をしており、令和3年度151人と増加傾向にある一方で、令和4年度採用は、受験者数707人、採用は114人でした。さらに、令和4年11月1日時点での育児休業者数は48人とのことですが、今後、男性の育児休業の取得の増加が考えられますので、さらに人員の不足が生じることも考えられます。受験者数の減少や退職者の増加の要因分析と今後の対応について、あわせて伺います。
 2点目ですが、去る11月3日午前7時50分に、北朝鮮による弾道ミサイル発射に伴うJアラートが宮城県、山形県、新潟県に発令されました。これまで何度も繰り返し、ミサイル発射により、岩手県でも万が一の緊急事態が発生した場合に身を守る行動を意識していかなければならないと改めて考えさせられました。
 着弾したときなどの対処事態発生時に備えた具体的な取り組みや、県警察本部や市町村等の連携を含めた初動態勢と、緊急一時避難施設の現状と今後の対応について伺います。
 また、県民の命を守るべき警察においては、このような事案発生時にどのような対応をすることとし、そして、それに係る体制は確保されているのか伺います。
 次に、ハロウインターナショナルスクール安比ジャパンへの県の支援について伺います。
 令和4年8月29日、450年の歴史がある英国の名門私立学校ハロウスクールの提携校であるハロウインターナショナルスクール安比ジャパンが八幡平市安比高原に開校いたしました。アジアでは10校目で、日本では最初の開校となります。岩手県において世界のリーダーを育てることは、国際交流による情報発信と次世代につながる効果が期待されます。地域振興に関する連携協定を締結したと聞いておりますが、今後はどのような連携を図り、支援等について取り組まれるのか伺います。
 以上、答弁によっては再質問いたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 軽石義則議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、新型コロナウイルス感染症対策についてでありますが、10月に入り全国的に感染が拡大し、県内においても感染者数の増加が続いており、現在は8月の第7波のピーク時に匹敵する水準となっています。
 年代別では、10代が約20%、10歳未満、30代及び40代がそれぞれ15%前後となっており、子供とその親世代が流行の中心となっています。
 クラスターは、高齢者施設、医療施設を中心に報告されており、11月の報告件数は199件と、8月の131件を上回っています。
 今後の流行については、国のアドバイザリーボードによると、増加の速度は比較的緩やかなものになっていますが、増加の継続が見込まれ、年末に向けて社会経済活動の活発化による接触機会の増加等が感染者数の推移に影響するとされています。
 本県においても、年末年始に向けて接触機会がふえることから、新型コロナウイルス感染症対策本部の本部員会議などの機会を通じて、県民へ基本的な感染対策の徹底などを呼びかけてまいります。
 また、季節性インフルエンザと新型コロナウイルス感染症は、発熱やせきなどの症状が類似し、その判別が難しいことから、検査や診療体制の整備が重要と考えており、県ではこれまで両感染症に対応する診療・検査医療機関の確保に努めてまいりました。
 あわせて、同時に検査が可能なキットの調達について、関係機関と調整を図っているほか、ワクチン接種についても希望する方が実施できるよう体制を整備しているところであります。
 次に、燃油高、物価高騰などによる県内経済への影響についてでありますが、県が先月公表した岩手県の景況では、県内の景気は緩やかな持ち直しの動きが見られるとしているものの、盛岡市の消費者物価指数は、昨年の6月以降、前年を上回って推移しています。今年度に入ってからは、食料品や光熱水費等の上昇の影響を受け、前年同月比、プラス2.0%を超える高い水準となっており、直近の10月は、プラス3.2%の上昇となりました。
 また、県が商工指導団体と連携して実施している事業者調査でも、電気代や原材料費の高騰で利益が減少しているといった声が多く寄せられるなど、県民や事業者への影響は非常に大きいものと認識しております。
 県ではこれまで、国に対して、全国知事会等を通じて強力な経済対策を講じるよう要請するとともに、数次の補正予算編成により、生活者や中小事業者等の支援を行ってきたところであり、引き続き、機動的に対応してまいります。
 現在策定中の第2期政策推進プランにおいても、中小事業者や農林漁業者への支援を盛り込むとともに、燃油高、物価高騰等の進行が短期的かつ急激であることを踏まえ、価格高騰などの現下の危機については、臨機応変に対応する旨を明記して、県として状況を見極め、随時必要な対応をとってまいります。
 次に、地場の中小企業が必要とする労働力の確保についてでありますが、いわてで働こう推進協議会は、若者や女性の県内就職の拡大を通じて本県の産業振興と人口減少に歯どめをかけることを目的に、平成28年2月に設置したものであり、この組織を核としたさまざまな取り組みが、高校生の県内就職率の向上や、自動車、半導体関連産業を中心とした産業集積の加速などにつながっています。
 こうした中、人口減少の進展などによる全国的な労働力不足は岩手県にも及び、人材確保に向けた競争が激化し、県民の暮らしを支える地場の中小企業においては、労働力確保が大きな課題となっていると受けとめています。
 このため、就職マッチングフェアなどを通じた地場の中小企業の紹介や企業の採用力向上に向けた支援など、若者、女性の地元定着やU・Iターンの促進に向けた取り組みを進めていくとともに、生産性向上や職場環境の改善に取り組む中小企業に対する支援を強化し、県民の暮らしを支える地場の中小企業を含めた若者や女性に魅力ある雇用労働環境の構築を推進してまいります。
 加えて、コロナ禍におけるデジタル化の急速な進展や職業人生の長期化などの社会環境の変化を踏まえたリスキリング教育等の充実を図るなど、いわてで働こう推進協議会のもと、中小企業が必要とする労働力の確保に努めてまいります。
 次に、ハロウインターナショナルスクール安比ジャパンへの支援等についてでありますが、令和4年8月に、ハロウインターナショナルスクール安比ジャパンが八幡平市安比高原に開校し、県は学校法人と地域の振興に関する連携協定を締結いたしました。
 連携協定では、教育、文化、スポーツの振興、地域資源の活用、国際化の推進、東日本大震災津波からの復興を連携事項として掲げ、教員や生徒の学習を通じた交流等によるグローバル人材の育成、スポーツや文化活動の交流を通じた多文化共生等への理解、震災について学び世界に発信していただく取り組みなどを展開していくこととしております。
 これまで、ハロウ安比校の生徒と地元の中学生によるスポーツを通じた交流、教職員による地域イベントへの参加、食堂でのローカル食材コーナーの設置による県産食材の提供、教育活動への導入に向けた校長や教員による、平泉世界遺産ガイダンスセンターや東日本大震災津波伝承館、釜石鵜住居復興スタジアムの視察を実施しております。
 今後は、伝承館等での防災学習や体験交流、県内の世界遺産に関する学習、岩手の伝統工芸に触れる機会の提供、スキーなどを通じた県内生徒との交流などについて具体的な調整を進め、ハロウ安比校の生徒に広く、岩手県を学びの場として活用していただくとともに、地域との交流、連携を深めることにより、本県の地域の振興、国際化の推進等に資するよう、連携協定を通じた支援を行ってまいります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔保健福祉部長野原勝君登壇〕
〇保健福祉部長(野原勝君) まず、救急医療の受け入れ体制についてでありますが、盛岡地区消防本部管内において、受け入れ先の照会回数4回以上、かつ現場滞在時間30分以上の救急搬送困難事案が増加傾向にある理由について、同本部と盛岡市医師会からは、人流の回復により負傷や交通事故等による搬送が増加したこと、医療機関において新型コロナウイルス感染症の院内感染を防ぐための措置が必要となり、受け入れ可能な人数が減少していること、病院職員の感染や濃厚接触による出勤困難で欠員が生じたことなどが主な要因と聞いております。
 救急患者の搬送先については、救急業務の関係者で構成される、岩手県救急業務高度化推進協議会において、傷病者の状況に応じて対応可能な医療機関が各圏域ごとにリスト化されており、例えば、脳卒中や心疾患が疑われる場合には、治療可能な医療機関が限定されることから速やかに搬送先が決定されますが、比較的軽症であったり分類不能の症状を訴えている場合には、受け入れ先照会回数が増加することが多いと聞いております。
 県としては、救急患者の受け入れが円滑に行われるよう、岩手県救急業務高度化推進協議会等の場を通じて必要な調整を行っていくほか、コロナ禍における救急を担う医療機関の負担を軽減するため、診療・検査医療機関の拡充や受診・相談センターの体制強化などに加え、平日、日中の医療機関等への相談、受診への協力など、症状に応じた医療機関の受診を県民に呼びかけてまいります。
 次に、新型コロナワクチン接種体制の確保についてでありますが、現在、県内各自治体でオミクロン株に対応したワクチン接種を進めておりますが、最終接種からの接種間隔が3カ月に短縮されたことなどにより、高齢者を中心に接種を受ける方が着実にふえており、12月1日現在の県内人口に占める接種率は23.6%で、全国の18.6%を上回っております。
 一方、議員御指摘のとおり、一部の市町村では予約が定員に達し、早期に接種が受けられない場合もありますことから、希望する方が年内に接種を受けられるよう、市町村との連絡会議を通じ、接種の前倒しと予約枠の拡大を働きかけてきたほか、医師会などの関係機関に対しても、市町村への支援を要請したところであります。
 また、12月に実施する県の集団接種は、医療従事者や接種日程を追加で確保の上、予約枠を2、400回から6、000回まで拡大したほか、市町村の体制拡充を支援するため、医師会との連携による医療従事者の広域派遣や接種医療機関に対する財政支援などにも取り組んでまいります。
 次に、いわて子育て世帯臨時特別支援金給付事業についてでありますが、本年5月臨時会で議決いただいた1回目の支援金給付については、全市町村において給付を実施しているところであり、県から市町村への補助金交付決定額、19億5、000万円余に対し、11月末時点で17億7、000万円余、率にして91%が既に給付されております。
 また、9月定例会で議決いただいた2回目の支援金給付についても、全市町村で給付が実施される予定であり、これまでに6市町において、新たな申請等の必要のない児童手当の受給者に対してプッシュ型による給付が行われ、残りの市町村においても、今後、順次給付が開始される予定となっております。
 なお、1回目の支援金給付状況が約9割となっている理由については、プッシュ型による給付はほぼ完了しているものの、申請方式となる公務員への給付が未完了であることによるものであり、県としては、給付の加速化に向け、未申請者への重点的な広報などについて、市町村への助言や支援を強化してまいります。
 次に、生活福祉資金貸付制度の現状についてでありますが、特例貸付分については、新型コロナウイルス感染症の影響を考慮した償還措置期間が設定され、早いものでは令和5年1月から順次償還が開始されることとなっており、また、住民税非課税世帯は償還免除の対象となっているところであります。
 本県における償還免除の状況については、1万354件の債権のうち、今年度が償還免除の判定時期となる8、406件の債権について、社会福祉協議会において償還免除申請の受付事務等を行っており、本年10月末現在で、緊急小口資金、総合支援資金、合わせて3、095件の申請があったところです。
 また、免除の対象とならない方に対しては、貸付金の返済が生活再建の妨げとならないよう、社会福祉協議会に資金相談員を配置し、償還が困難な世帯への相談支援や生活困窮者自立相談支援機関との連携により必要な支援につなぐこととしており、さらに、県では、地域の実情に応じた生活困窮者支援の連携体制等を検討するプラットホームを整備することとしております。
 県としては、引き続き、市町村、社会福祉協議会、生活困窮者支援に取り組む民間団体等と連携して、家計の見直しや就労に向けた取り組みなど、一人一人の状況に応じ、生活困窮者自立支援制度などさまざま方策を組み合わせた重層的なセーフティーネットによる支援に取り組んでまいります。
 次に、今後の支援体制のあり方についてでありますが、新型コロナウイルス感染症、物価高騰等は借受人の生活再建にも大きな影響を及ぼしており、社会福祉協議会の資金相談員等による中長期的な伴走型の支援が一層重要になるものと認識しております。
 償還免除申請を行っていない方の中には、免除要件を満たすのに申請を失念している方や、免除に至らないものの償還が困難な方などさまざまなケースが考えられることから、例えば、案内の再送付や電話による確認などプッシュ型による免除申請の勧奨、償還猶予、少額返済の適切な活用の案内など、きめ細やかなフォローアップを行うこととしております。
 こうした対応をするため、現在、県内の社会福祉協議会に合わせて約60名が資金管理や相談支援に従事しており、県としては、必要な人員体制を確保するため、国に対し事務費の全額国庫負担を償還期間が終了するまで継続するよう要望しているほか、社会福祉協議会や自立相談支援機関の職員を対象とした研修会を開催し、具体的な連携のあり方や支援技術の習得等を推進してまいりました。
 県としては、引き続き、人員体制の確保や相談対応力の向上を支援しながら、生活に困窮する方一人一人の状況に応じた適切な支援に取り組んでまいります。
   〔復興防災部長佐藤隆浩君登壇〕
〇復興防災部長(佐藤隆浩君) まず、新型コロナウイルス感染症に関する新たな国の対応方針についてでありますが、今般、国からオミクロン株対応の新レベル分類が示され、各レベルへの移行に関する事象及び指標については、都道府県がそれぞれの実情に応じて設定するとされたところです。
 このため、県では、11月30日に岩手県新型コロナウイルス感染症対策本部員会議を開催し、国の例示を参考に、県のレベル判断に関する事象及び指標を決定しました。
 具体的には、例えば、医療ひっ迫防止対策強化宣言の発出の目安となるレベル3の医療負荷増大期においては、保健医療の負荷の状況が、発熱外来、救急外来に多くの患者が殺到したり、救急搬送困難事案が急増していること。社会経済活動の状況が、職場で欠勤者が多数発生し、業務継続が困難になる事業者が多数発生していること。感染状況が、医療の負荷を増大させるような数の感染者が発生していることをレベル判断に関する事象として設定したところです。
 また、病床使用率または重症病床使用率がおおむね50%を超えることをレベル判断に関する指標として設定しました。
 こうしたレベルの判断に当たっては、病床使用率が設定した指標値を超えたことをもって機械的に判断するのではなく、保健医療の負荷の状況や社会経済活動の状況などの事象を勘案し、必要に応じて専門家等の意見も参考にしつつ、総合的に判断することとしています。
 次に、ミサイル発射など武力攻撃事態等に対する対応についてでありますが、県では、国民保護法や国の基本指針に基づき国民保護計画を作成し、この計画に、県民の保護のための措置を的確かつ迅速に実施するために必要な平時における備えや武力攻撃事態等への対処などを定めています。
 具体的には、平時における備えとして、全国瞬時情報伝達システム、いわゆるJアラートの全国一斉情報伝達訓練や、Jアラートにより緊急情報が発信された際に直ちに取るべき県民の行動の周知、避難施設の指定の促進に向けた市町村説明会の開催などに取り組んでいるところです。
 また、ミサイル発射時における県の初動態勢については、夜間や休日を含め、職員が県庁内に常駐し、自然災害や危機管理全般に対応する24時間危機管理警戒体制により情報収集等を行うとともに、例えば、ミサイルが本県の上空を通過するとの情報があった場合には、復興防災部内に情報連絡室を設置し、さらに、本県や隣接県の地上に落下した場合には、知事を本部長とする対策本部を設置して、県警察本部や市町村等と連携して対応に当たることとしています。
 国民保護法に規定する避難施設は、本年4月1日現在、県内で1、535施設を指定しています。そのうち、爆風等からの直接的な被害を軽減するコンクリート造などの堅牢な建物等の緊急一時避難施設は、地下フロアにも避難可能な1施設を含め614施設にとどまっていることから、地下道や地下駐車場などの活用を検討するなど、今後、市町村や関係機関と調整を図りながら、緊急一時避難施設のさらなる指定に向けて取り組んでまいります。
   〔商工労働観光部長岩渕伸也君登壇〕
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) まず、新型コロナウイルス関連の貸付金についてでありますが、昨年5月末まで実施していた新型コロナウイルス感染症対応資金、いわゆるゼロゼロ融資の貸し付け実績は、累計で1万2、110件、1、944億790万円余となっており、多くの事業者に利用されております。
 このうち、令和4年10月末までに全体の約6割となる6、673件について返済が開始され、残高は1、512億6、381万円余となっているところです。
 ゼロゼロ融資の条件変更は延べ370件にとどまっていますが、今後、燃料費や原材料価格の高騰に円安の影響なども相まって、業績が回復しない状況が継続する中で、手元資金が減少し、多くの事業者が借入金の返済に支障を来す可能性もあると認識しております。
 このような状況の中、10月に国が公表した総合経済対策において、ゼロゼロ融資を含めた既存の債務の返済開始をさらに繰り延べることを可能とし、加えて、新たな資金需要にも対応した貸し付けを可能とする信用保証制度の創設が検討されていると承知しており、その詳細が明らかになり次第、県として必要な対応を行ってまいります。
 さらに、返済の円滑化に向けて、いわて中小企業事業継続支援センター相談窓口できめ細かな対応を行っていくとともに、金融機関や岩手県信用保証協会とも連携しながら、条件変更や借りかえ等への柔軟な対応はもとより、借り入れや事業再構築補助金などの資金調達に必要となる事業計画の策定支援など、事業者の実情に応じた金融面の課題解決を支援してまいります。
 次に、物価高騰対策についてでありますが、県内経済は、10月末現在の影響調査結果などにおいて改善傾向が見られるものの、燃料費や原材料価格の高騰などにより、幅広い業種の事業者が引き続き厳しい経営環境を強いられていると受けとめております。
 こうした状況を踏まえ、現在実施している物価高騰対策支援金の支給について、燃料費を初め物価高騰の前年度比較を確認するための添付書類の省略や簡素化を図るとともに、一部の商工会議所や商工会でも申請を受け付けることができることとし、申請手続における事業者の負担軽減を図ったところです。
 あわせて、11月30日までとしていた申請受付期間を12月20日まで延長し、これらの対応の周知を図っているところであり、事務局に対する問い合わせが増加しているとの状況を確認しております。
 10月に国が公表した総合経済対策においても、物価高騰、賃上げへの対応が盛り込まれており、今後、これらの取り組みの具体化の動きや県内経済の状況を見極めつつ、必要な対応について検討を行ってまいります。
 次に、本県の官公需契約の状況についてでありますが、県では、官公需契約において、これまで県内企業への発注を優先する地域要件の設定や、少額工事における参加要件を小規模な事業者とする条件つき一般競争入札を実施するなど、中小企業に対する配慮に努めてきたところであります。
 直近の令和3年度の状況については、中小企業との契約実績の割合が87.4%と平成30年度以降、やや減少傾向となっております。
 県内の中小企業は、3年近くに及ぶコロナ禍の影響に加え、燃料や原材料価格の高騰、急激な円安の進行などにより厳しい経営環境にあることから、官公需契約における中小企業への契約割合を高めていくことが強く求められております。
 このため、国が示した令和4年度中小企業者に対する国等の契約の基本方針を踏まえ、各市町村に対し、事業協同組合等で共同受注体制が整っている官公需適格組合の活用や分割発注の推進により中小企業者の受注機会の増大を図られるよう要請しているところであり、中小企業以外を相手方とする個々の契約について、再度点検等も行いながら、中小企業の受注機会の確保に努めてまいります。
 次に、カスタマーハラスメントについてでありますが、顧客による店舗の販売員等に対する著しい迷惑行為、いわゆるカスタマーハラスメントにつきましては、国が作成したマニュアル等を活用し、ホームページや各種セミナー等を通じて企業に対し、カスタマーハラスメントを含めたハラスメント対策を講じるよう周知を図っているところです。
 一方で、カスタマーハラスメントをなくし、労働者がやりがいを持って安心して働くことができる環境を構築していくためには、ハラスメントを行う者に対する働きかけや、気づきを促していくことが必要であると考えているところであります。
 このため、関係部局と連携して、消費者向けの出前講座を活用した倫理的消費行動の啓発などの取り組みを行っているところであり、こうした取り組みを継続していくことがより大切であると考えておりますが、今後、県内企業におけるカスタマーハラスメントの実態調査を含め、さらに必要となる取り組みについての検討も進めてまいる考えであります。
   〔総務部長千葉幸也君登壇〕
〇総務部長(千葉幸也君) まず、電気料金等の高騰による県の施設への影響についてでありますが、直近では、県内の光熱水費について、消費者物価指数が前年同月比10%以上の上昇となっており、県有施設の光熱水費についても、特に電気料金高騰の影響が生じております。
 令和4年度においては、当初予算において計上した県有施設関連の光熱水費に対し、電気、ガス料金の高騰を受け、9月補正予算において5億6、000万円を計上したところでございます。
 令和5年度においてもこの傾向が続くものと見込まれることから、今後の予算編成過程において適切に所要額を精査し、予算計上してまいります。
 次に、危機管理に係る職員体制についてでありますが、近年、全国各地で大規模な自然災害が頻発するとともに、今後、日本海溝、千島海溝沿いの巨大地震による被害も想定される中、県民の生命や生活を守るためには、議員御指摘のとおり、東日本大震災津波等で培った教訓、知見を生かし、ハード、ソフト両面から防災、減災、国土強靱化の取り組みを進めていくことが一層重要であると認識しております。
 このため、令和3年度に設置した復興防災部においては、東日本大震災津波からの復興を着実に推進するとともに、危機管理から復旧、復興までの総合的な調整を一元的に所掌し、分野横断で対策を検討、推進していく体制を構築しているところでございます。
 今後においても、平時から組織対応力の向上に取り組むことはもとより、危機管理事案の発生時に、切れ目なく適時的確に施策を展開し、被害の防止、軽減を図っていくため、業務支援の積極的活用や部局の枠を超えた弾力的な人員配置に加え、長期的な視点に立った専門職員の確保、育成など、あらゆる手段を講じ、危機管理上の課題に迅速かつ的確に対応できる体制の構築に取り組んでまいります。
 次に、職員の人員確保についてでありますが、本県における採用試験の受験者数は、少子化の進行や民間企業の採用意欲の高まりなどを背景として減少傾向が続いており、また、退職者は、近年、若手職員の年度途中退職者が増加傾向にあり、これらへの対策が喫緊の課題と認識しております。
 こうしたことから、県では、必要な人員を確保するため、OB、OG訪問制度を新たに導入し、出身大学の先輩から直接、県の仕事や働き方について話を聞く機会を設定するとともに、結婚や介護、子育てなどにより退職した元職員やU・Iターンを希望する他県職員などの職務経験者を対象とした選考採用を先月から開始するなど、取り組みを強化しているところでございます。
 また、若手職員の早期離職に歯どめをかけるため、全ての新採用職員を対象とした、保健師及び臨床心理士による個別相談の実施や、初めて本庁勤務となる若手職員への指導担当者の配置、メンター制度によるキャリア形成支援など、若手職員が生き生きと働きやすい職場環境づくりに力を入れております。
 今後も、あらゆる機会を捉えて受験者確保を進め、ワークライフバランスに配慮しながら、若手職員が高いモチベーションを持って活躍できるよう、適切な人員体制を確保してまいります。
   〔会計管理者兼出納局長木村久君登壇〕
〇会計管理者兼出納局長(木村久君) 県営建設工事の入札制度についてでありますが、県では、競争性、透明性、経済性等にすぐれた一般競争入札を原則としつつ、価格と品質が総合的にすぐれた契約がなされるよう留意するとともに、総合評価落札方式の導入拡大により、ダンピング防止を図りつつ、地元企業の技術力、企業努力、地域貢献活動等を適切に評価し、地元企業の受注機会の確保にも配慮した制度の運用に努めてきたところであります。
 また、毎年、事業担当と入札担当が連携して、県内13地区の地域懇談会等の場において、関係団体の皆様からさまざまな御意見を伺い、県内の入札状況の実情を把握しております。
 令和3年4月から、震災工事の減少に伴う入札環境の変化等を踏まえ、震災特例制度の見直しやダンピング防止対策の強化を図っており、今後とも、関係団体の意見等を伺いながら入札制度の適切な運用に努めてまいります。
 また、予定価格の事前公表につきましては、県では、入札の透明性の向上、発注者、受注者双方の事務効率の向上、さらには予定価格に係る不正防止の観点から有効として導入し、国の指針に基づき十分検討を行いながら運用しており、制度導入以降、予定価格の事前公表による弊害は生じていないところでありますが、引き続き、入札動向や他県の状況等を見ながら適切に対応してまいります。
   〔警察本部長森下元雄君登壇〕
〇警察本部長(森下元雄君) ミサイル着弾等の事態が発生した場合の警察の対応についてでありますが、初動段階では、警察官職務執行法や災害対策基本法等に基づき、また、武力攻撃事態等に認定された場合には、県警察国民保護計画を踏まえ、住民の避難、被災者の捜索、救助活動、交通の安全と円滑の確保、犯罪の予防や住民の不安解消といった社会秩序の維持など、県、市町村及び関係機関と緊密に連携しながら必要な措置をとることとしております。
 また、体制についてでありますが、初動段階での初期的な対応に加え、武力攻撃事態等に認定された場合には、県警察国民保護計画に基づき、県警察本部及び各警察署において、任務の内容に応じた体制をとることとしているほか、被害の規模に応じて広域緊急援助隊など、他の都道府県警察から必要な人員の派遣を受けるなど、弾力的に体制を構築することとしております。
〇29番(軽石義則君) 何点か再確認をさせていただきます。
 カスタマーハラスメントの調査を検討するというお答えをいただきましたけれども、いつやってくれるのかということを職場、現場では期待しております。これからますますコロナ禍、物価高によって環境が厳しさを増してくる中で、そういうところに手を差し伸べるというよりも、実態をしっかり把握した上で、早急な対策をとるべきものは早急に対策をとっていくということが大事だと思っておりますので、調査、検討のスケジュール感等があればお示しを願いたいと思います。
 もう一点は、ミサイルが着弾したときの避難の関係で、具体的な指定箇所の数字を、私も今、聞いたのですけれども、地下がある施設は1カ所となると、どこに行っていいかもわからないような状況ではないか。まずは、指定されているところをしっかり県民の皆さんに地域地域で理解してもらうような周知が必要だと思いますし、それで間に合うかどうか。
 加えて、地下に逃げる、そういうところに隠れるとなると、これまでの避難行動の行動指針といいますか、津波や集中豪雨によれば、これまで高いところに逃げましょうと周知してきていると思うのです。沿岸のほうは特に高いところという意識は皆さん非常に持っているのではないかと思うのです。
 ところが、今度は逆の対策ですので、その意識の持ち方、周知の仕方はかなり難しいと思うのですが、いつあるかわかりませんし、あってはならないことだと思っておりますけれども、しかし、平常時こそ対策が大事だというお話もありましたので、その部分について、これからどのように進めていくか、県民に対してどう周知をしていくかという部分についてお示し願います。
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) 先ほど答弁申し上げましたとおり、まずは、カスタマーハラスメントをなくしていくためには、カスタマーハラスメントを行う者に対する働きかけや気づきを与えることが重要と考えておりますので、倫理的な消費行動の啓発を行うような取り組みをしっかりと継続的にやっていきたいということが考えとしております。
 それから、実態調査についてでございますけれども、国でも実施しておりますので、実施する場合に、県として調査の仕方でどこまで深掘りしたような調査が必要なのかとか、その辺、国の実態調査の中身との整合性なども含めて、しっかりと検討した上で、やり方によって、すぐできるようなやり方と、しっかり検討して詰めてやる場合と出てくると思いますので、その辺、さまざまいろいろな意見を聞きながら調整させていただきたいと考えております。
〇復興防災部長(佐藤隆浩君) ミサイルの関係の避難の関係でございます。弾道ミサイルは、発射されてから着弾までは10分以内ということで、非常に時間がない中の避難という格好になりますので、まずは、県民みずから自分の安全を守るということが一番大事だと思っております。
 Jアラート等により情報伝達された場合は、屋外にいる場合は、近くの建物の中か地下に避難する、屋外、近くに建物がない場合は物陰に身を隠すか、地面に伏せて頭部を守る。それから、屋内にいる場合は、できるだけ窓から離れるか、窓のない部屋に移動するといったような対応をとることが必要とされております。
 これにつきましては、国の広報の資料にもこういった形でミサイル着弾した場合の行動ということで、ホームページ等にも記載されて、周知を図れるという格好になっております。
 県といたしましても、国が作成いたしました広報資料を県のホームページ等において周知をしているところでございますが、議員御指摘のとおり、どうしても避難という関係になりますと、自然災害のほうに目が向いているというのが実情でございまして、住民だけでなく、自治体としての市町村もやはりそういう傾向がございます。特にことしに入りましてから、北朝鮮がミサイルを相当発射しているということで、そちらのほうも危機意識を持っていかなければならないということになっておりますので、県といたしましても、市町村と協力しながら、県民の理解を進めてまいりたいと考えております。
   
〇副議長(小野共君) この際、暫時休憩いたします。
   午後4時3分 休 憩
    
出席議員(45名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 上 原 康 樹 君
3  番 小 林 正 信 君
4  番 千 葉   盛 君
5  番 千 葉 秀 幸 君
6  番 岩 城   元 君
7  番 高橋 こうすけ 君
8  番 米 内 紘 正 君
9  番 高 橋 穏 至 君
10  番 山 下 正 勝 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 佐々木 朋 和 君
16  番 柳 村   一 君
17  番 佐 藤 ケイ子 君
18  番 岩 渕   誠 君
19  番 名須川   晋 君
20  番 佐々木 宣 和 君
21  番 臼 澤   勉 君
22  番 川 村 伸 浩 君
23  番 千 葉 絢 子 君
24  番 ハクセル美穂子 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 吉 田 敬 子 君
27  番 高 橋 但 馬 君
28  番 小 野   共 君
29  番 軽 石 義 則 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 小 西 和 子 君
32  番 高 橋 はじめ 君
33  番 神 崎 浩 之 君
34  番 城内 よしひこ 君
35  番 佐々木 茂 光 君
36  番 佐々木   努 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 中 平   均 君
39  番 工 藤 大 輔 君
40  番 五日市   王 君
41  番 関 根 敏 伸 君
42  番 佐々木 順 一 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 岩 崎 友 一 君
45  番 工 藤 勝 子 君
46  番 千 葉   伝 君
47  番 工 藤 勝 博 君
48  番 飯 澤   匡 君
欠席議員(1名)
15  番 菅野 ひろのり 君
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   
午後4時27分再開
〇副議長(小野共君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。米内紘正君。
   〔8番米内紘正君登壇〕(拍手)

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