令和4年12月定例会 第23回岩手県議会定例会会議録

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〇8番(米内紘正君) 自由民主党の米内紘正でございます。通告に従い、順次質問してまいります。
 さきの9月定例会において、達増知事は、さきの参院選について、次のような発言をされました。今回の参議院議員選挙は、いわゆる安倍一強体制と呼ばれた過去10年の政権の政策や政治姿勢を問う選挙であるべきと考えておりましたが、そのような論争が深まらないまま進行し、最終日前日の安倍元首相の遭難により、過去10年の政策や政治姿勢を問うことができない状態で投票日を迎えてしまった。城内よしひこ議員の質問に対する答弁でございました。
   〔副議長退席、議長着席〕
 知事が論争が深まったかどうかをどういった立場で判断されているのかはわかりませんが、もし仮にそうであったならば、岩手県内の選挙においては、論争が深まらないまま投票日を迎えるようなことは決してあってはならないと思っております。
 来年は統一地方選挙の年であり、岩手県においても9月に県知事選挙及び県議会議員選挙が執行されます。達増知事におかれましては、1期目の当選から15年が経過していますが、来年選挙を迎えるに当たって、達増知事が出馬するのか、しないのかはわかりませんが、いずれにしても、今後の岩手県政の方向性を明確にするためにも、この15年間の達増知事の政策や政治姿勢について、十分に論争を深め、県民への浸透を図っていくことが必要であります。
 平成19年の就任当初においては、2期8年の任期、いわゆる多選批判や広域圏ごとに自立性を高めるとする岩手四分の計などをマニフェストに掲げ、人口減少問題や医療体制の構築、地方分権を推進すると訴えていましたが、それから15年が経過し、当初の公約に対する現在の考え方及び現状と成果をどのように考えているかお聞かせください。
 以降は質問席にて行います。
   〔8番米内紘正君質問席に移動〕
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 米内紘正議員の御質問にお答え申し上げます。
 知事就任当初の公約についてでありますが、平成19年、最初の県知事選挙に臨むに当たり、希望王国マニフェストとして、新地域主義戦略と、岩手ソフトパワー戦略の2大戦略と、6本の政策の柱を掲げたところであります。
 就任以来、これらを実現し、危機を希望に変えていくため、いわて希望創造プラン、いわて県民計画、そして、いわて県民計画(2019〜2028)などの計画を策定し、県政の諸課題に取り組んでまいりました。
 その結果、人口の社会減については、就任当時の6、000人台から4、000人台まで縮小、県民所得については、国民所得の8割弱から9割弱まで水準が上昇、雇用環境については、正社員の有効求人倍率が0.31から0.96まで上昇、人口10万人当たりの病院勤務医師数が186人から223人に増加などの成果が挙げられております。
 また、新地域主義戦略は、4広域振興局体制の実現や地域の特徴、資源を生かした地域振興に、岩手ソフトパワー戦略は、希望郷いわて国体・いわて大会の開催や、三つの世界遺産の登録などに結実していますが、現在も復興を含め、県政のあらゆる分野の根底に共通して流れているものと考えております。
〇8番(米内紘正君) 多選批判の件についてはお答えをいただけなかったのですけれども、るる成果のお話をいただきました。県民所得に関して、病院の医師数について、また、有効求人倍率等ですけれども、これも数字のマジックというか、全国的な傾向を捉えずに岩手県がこれだけ伸びましたというのは、やはりよくないと思っております。有効求人倍率ももちろん全国的に上がっていますし、病院の医師数も全国と比べたら差は広がっているわけでございます。あと、県民所得に関しては、東日本大震災津波のときに復興で多額の予算が入ってきたところがあります。また、社会減に関しては、6、000人台から4、000人台と言いましたけれども、これは波があって、一定の傾向を示しているものではございません。
 それは後ほど問うてまいりますけれども、まず、2期8年の任期については、今はどういうふうにお考えなのでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 1期目の県知事選挙に当たり、原則2期8年という公約をいたしましたが、東日本大震災津波という未曽有の非常事態が発生し、岩手県として総力を挙げた復興に取り組む中、3期目を目指す県知事選挙において、引き続き、知事として県政を担わせていただきたいと考えました。その後は、何期目という数字を意識せずに知事の仕事に取り組んできたところであります。
〇8番(米内紘正君) 平成19年の議会答弁を読み上げさせていただきます。知事の答弁でございます。私がマニフェストで知事の任期を原則2期8年としたことの真意についてでありますが、地方分権の進展に伴い、首長の権限はこれまでと比較し、強まっていると言えます。その中で、多選は行政の硬直化やマンネリ化を招くおそれがあること、実際、各地の自治体で談合事件に絡み首長が逮捕される事件が続発し、その要因の一つに首長の多選問題が挙げられていることなど、私も多選の弊害を強く認識しているところであります。私自身、知事の任期は原則2期8年が適当であると考え、県民と県行政との信頼関係を構築する上でもマニフェストに明示し、県民の皆様とのお約束としたところであります。このように約束の弁をこの議会で述べているわけでありますが、多選の弊害については、現時点でどのようなお考えでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 今、多選の弊害の中で、硬直化、マンネリ化、また、腐敗で逮捕されることもあるということをおっしゃられましたけれども、東日本大震災津波からの復興、さらに今、新型コロナウイルス感染症対策の中で、硬直化やマンネリ化などということはございませんし、また、私は逮捕されないでいるところでございます。
〇8番(米内紘正君) マンネリ化していないと、この15年間なってしまっているところが、やはり多選の弊害なのだと思っております。平成19年の知事演述、あるいは答弁を読みました。多分、平成19年の答弁を今しても、そのまま通用します。というのは、同じことをずっと言っているのです。医師確保に対してもそうですし、地方分権を推進していきますというのもそうですし、全く変わっていないのです。私もずっと見ていてずっと同じ答弁が続いていて、それを感じました。
 確かに、その間に東日本大震災津波があって、そこではいろいろな取り組みがあったのだと思います。それはもちろん評価するところであります。
 ただ、震災前の現状の課題、後ほどやりますけれども、県立病院についても、全く同じ議論をしている。これこそまさにマンネリ化と言わないで何なのだろうか。私はこれが多選の弊害と思っておりますし、知事自身のことではなくて一般論として、多選の弊害というのは今、知事はあると思っていますか、ないと思っていますか。
〇知事(達増拓也君) 20年ほど前ですか、知事の多選が弊害ということで、2期までだ、3期までだということが当時言われていたのですけれども、東日本大震災津波があり、コロナ禍があり、そういう中で、知事や全国知事会の役割が増しているということもあると思うのですけれども、現在、全国知事会の役に就いているところの知事、また、東北地方の知事は、4期、5期務めて、来年の春に6期目かという方々もいらっしゃり、そういうところに弊害というよりは危機に対する県民の力を結集していく、そして、それぞれ喫緊の課題に対応し、全国知事会として連携しながら取り組んでいるという状況だと思います。
〇8番(米内紘正君) ということは、15年前と違って、今、達増知事は多選については、現状、弊害はないというお考えということで、それは4期やろうが5期やろうが、全く問題ないというお考えだということだと思います。
 ただ、世界的に見ても、アメリカにおいてもそうですけれども、基本的に任期が決められているわけでございます。これは歴史的な経緯があるわけでありまして、かつて知事も国会で答弁されていました。民主的な手法によって独裁政権が生まれることもあると。まさにそれでありまして、現職の圧倒的な有利さというのがあって、埼玉県のかつての上田知事もそうです。3期で自粛するという条例をつくっているのですけれども、みずから4期目に出たりしているわけでございます。そのときは周りから勧められたからと、それが民意だと思ってしまうのですけれども、基本的に、勧める人しか話しかけませんから、それはそういうふうになるのです。それで私は、多選の弊害というのは確実にあるのだろうと思います。知事は最初はそういう思いを持って、15年前、県知事に立ったのであろうと思いますけれども、そのときの気持ちというのは、今、失われてしまっているのかと思います。
 次に、広域振興局体制の成果と今後についてお聞きいたします。
 達増知事は、1期目のマニフェストに新地域主義戦略を掲げ、地域の自立性や独立性を高めていくために、4広域振興圏へより多くの権限を移譲し、行政の完結性を高めるとしていましたが、この15年の4広域振興局体制の歩みにおいて、具体的にどのような政策を講じて、どのように完結性が高まったのか。県民本位の地域主権の実現に向けて、4広域振興局体制がどのような役割を果たしてきたのかお聞かせください。
 また、達増知事自身、今後においても4広域振興局体制が最善と考えているかについてもお聞かせください。
〇知事(達増拓也君) 広域振興局は、産業振興による地域経済の活性化を主眼とし、地域ニーズに即した施策展開が一層可能となるよう、市町村への支援や広域的、専門的なサービスの提供などを目的に設置されたところです。
 東日本大震災津波やその後の台風災害においては、被災地の広域振興局は、現地対応に専念するとともに、内陸部から被災地等への迅速な人的支援や物資の供給を行ったほか、新型コロナウイルス感染症への対応では、保健所への職員派遣や検体輸送、患者輸送等の応急体制を講ずるなど、広域振興局のスケールメリットを生かした機動的な対応を図ったところであります。
 また、圏域内の広域行政の責任者である広域振興局長が、庁議や政策会議など県政の重要な政策形成過程に常時参画することにより、地域ニーズを踏まえた実効性の高い施策を展開してまいりました。
 産業振興の面では、ものづくりや食産業、観光などの分野において連携組織を構築し、地域産業の強化やビジネスマッチングの促進、人材育成など、地域の特性やニーズを踏まえた広域的な施策を展開してきたところであり、1人当たり県民所得は、広域振興局体制がスタートした平成22年度と比較して、直近の令和元年度は約20%の増加となったほか、各圏域間の格差も縮小しております。
 今後におきましても、独自性や機動性が発揮できる現在の4広域振興局体制を基本としながら、地域課題等に的確かつ柔軟に対応してまいります。
〇8番(米内紘正君) 知事が当初言っていた4広域振興局体制と新地域主義戦略というのは、市町村の意見は聞きながらと言いながらも、最終的にはそれが市町村単位になっていくような、広域の市町村になっていくような、それぐらいの自立性を強くお話しされているのです。そのときに、自立性とか完結性というのは、当初、何を目指していたものなのか。政策決定の過程に広域振興局長がいるとか、そういうことなのか、あるいは、知事がよく国から地方への分権のときにお話しされるような、結局、予算と権限、つまり、意思決定をそこでできる。本庁と一緒にではなくて、その場である程度の裁量があって、その場でいろいろできるというところが自立性、完結性なのかと思ったのですけれども、予算についても、平成23年度にできた地域経営推進費も、令和3年度当初予算が5億円だったものが令和4年度当初予算で4億5、000万円と減っているわけでございます。そして、この規模の中でやっていく。これは果たして自立性、ただ、本庁と市町村との仲介機関の役割として、震災のときとかは聞こえているのですが、その辺はどうでしょうか。
〇知事(達増拓也君) まず、私の最初の知事選挙の際の希望マニフェストにおいては、日本全国を300程度の基礎的自治体に分ける。その際、岩手県であれば四つに分けるのがちょうどよくということを述べ、広域振興圏については、将来の自治体と位置づけますと述べておりました。
 しかし、東日本大震災津波を経験し、その後の復興に取り組む中で、地域の力を振り絞り、救難、避難、そして、復旧、復興と進んでいくのに今ある市町村が非常に大きな役割を果たし、また、県もその市町村と連携しながら、国と一緒になって復興を進めていくのに非常に大きな役割が果たされるということで、2回目の選挙以降は、広域振興圏を将来の自治体と位置づける基礎自治体にしていくということは、もう公約にはしないようになりました。
 そして、市町村と県が連携していく際の鍵になるのが広域振興圏でありまして、案件によっては広域振興圏が主体的に判断をし、御指摘があったような地域経営推進費、広域振興事業予算などにより、裁量で執行できる予算も措置し、また、権限についても、商工、保健、農林部門など4事務、10事務、13事務、事務移管をいたしまして、291事務を局長権限で処理できるようにしたところから、現在では317事務まで局長権限で処理できるようにしております。
〇8番(米内紘正君) わかりました。2期目から考え方が変わったということで、そこまで自立性、完結性を広域振興局に持たせるというのはできなかったと。1期目に掲げたところは、やっていく中で、任期のところもそうですけれども、そちらのほうもなかなかできなかった中で、変わっていったと。権限の移譲といっても事務の移管になっているというところでございます。
 希望マニフェストで、就任当初に四つに分けることを訴えたのですけれども、四つに分けるという構想自体は、その前の増田寛也知事のときに決まっていたものではないのでしょうか。
   
〇議長(五日市王君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   
〇知事(達増拓也君) 実際、どう四つに分けるかとか、また、地方振興局のどこに県の事務所を置くかといったことについては、私になってから検討して決めたと記憶しております。
〇8番(米内紘正君) ただ、資料をいただいたところによると、既に四つに分けること自体は増田寛也前知事のときに決まっていたというところで、自立性、完結性が、そこまで完全に自治体になるというところは私もそれは難しいとは思いますけれども、意思決定ができるようになっていない。ものすごく顕著に感じるところは、人口減少のところです。
 人口減少でいつも社会減の話になると、東京への一極集中という話が出てくるのですけれども、もし広域振興局がもっと自分たちの地域を見て、人口の社会減に関しても自分たちの地域として分析していれば、東京一極集中というのが県央域だけだということはわかるはずなのです。全部数字を丸めてしまうと、確かに東京都への流出の割合が高くなりますけれども、私はいつも出させていただいていますが、令和2年から令和3年の社会減の動きを見ても、確かに県央域は、マイナス1、190人のうち1、139人なので、ほとんどが関東圏への転出でございます。ただ、これが県北地域になると、関東圏への転出超過は150人。東北地方のほかの県への転出が277人です。つまり倍なのです。これは県北広域圏においては東京への一極集中が問題ではないのです。そこではまた別の対策をとらなければいけない。また、沿岸地域も関東圏がマイナス258人、東北地方のほかの県がマイナス233人ということで、これも極端に関東圏が多いというわけではありません。ほぼ五分五分です。これも東京一極集中とは言えません。県南地域は関東圏がマイナス364人で、東北地方に関してはマイナス114人なのですが、宮城県に絞るとマイナス268人、つまり、関東圏へ流出した人口の7割ぐらいは宮城県に流れている。つまり、東京への一極集中の議論というのは、県央域で原因分析をして政策を出していけばいいですけれども、これを県全体の課題として出して、それに対する対応策というと、余りにも雑になってしまう。これは広域振興局が機能していない証左なのだろうと思います。機能していれば、この辺の状況は出てきて、それぞれの課題の解決策が出てくると思っておりますので、私は広域振興局体制については、最初、自立というところを掲げた、完結というところを掲げたところからかなり弱まってしまったと思います。
 そして、きのうの一般質問の中で、これまで最高のシステムだと言っていた、広域振興局が地域の要望を聞いて本庁に上げるというものに、これまではかたくなに出なかった知事が出席するという話をされていましたけれども、これはまさに失敗のところをあらわすものではないのでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 人口減少問題で、それぞれの市町村から見れば、同じ県内に就職するでも、その市町村を出て盛岡市に就職するということについては、やはり自分の市町村に就職してもらいたいということはそれぞれの市町村にありまして、県もそれを支援する姿勢ではあります。
 そして、岩手県全体で見たときに、東京都への人の移動が多いというのも、これはこれであることでありまして、それに対する対策も講じていかなければならないと感じております。
 そして、各広域振興局では、ハローワークごとの求人、求職、有効求人倍率などそれぞれ把握し、また、それぞれの広域振興圏内における新しい企業の進出、そこで何人新たに雇われるといったことをきちんと把握し、それを県全体での雇用、経済関係の会議の際には、広域振興局長から報告できるような仕組みになっておりまして、広域振興局ごとにそれぞれ国の労働局とも連携をしながら、それぞれの広域振興局における各市町村の就職支援、人口流出への歯どめということに取り組むことができております。
〇8番(米内紘正君) 東京一極集中以外の政策は、私は見たことはないのです。例えば、県北地域だったら青森県、八戸市への流出はこうですとか、沿岸地域の南のほうだったら、宮城県への流出はこうです。それが出てきたことがないのにそれを言われても、それはただの机上の空論というか、知事の頭の中だけにあることなのかと捉えざるを得ないところであります。
 次に、地方分権と民主主義についてお聞きします。
 国から県への地方分権について、就任当初より知事は国会と内閣で決めてきたことを地方の議会と首長で決める真の分権国家の実現、政治の分権を訴え、地方分権の進まない中で推し進められた市場原理優先型の経済財政政策などが大都市圏とその他の地方との経済格差や地方の疲弊をもたらしたとしていますが、国から県への地方分権を進めるために、知事はこの15年間どのような行動をして、どのような結果に結びつけてきたのかお聞かせください。
〇知事(達増拓也君) 地方分権を進める上では、その基盤となる地方財政の充実が不可欠であり、知事就任直後の平成19年から、地方の窮乏と財政格差について視覚に訴える独自の資料も用いながら、全国知事会の委員会や政府要望の場において、地方交付税の充実や税の偏在是正の必要性について訴えてまいりました。
 このような取り組みと、全国知事会の要望活動などを通じ、地方交付税の別枠加算や法人税のさらなる交付税原資化など地方財源の充実が図られたものと認識しております。
 また、東日本大震災津波からの復興に当たっては、被災した企業の修繕補助や水産業の施設復旧補助などを国に先駆けて予算化し、その後、グループ補助金の創設につなげたほか、用地取得迅速化のための法改正を訴え、その実現を図るなど、国との対等なパートナーとして地方から政策を発信してまいりました。
 このほか、国の地方分権改革に関する提案募集に対し、これまで138件の提案を行い、事務手続の見直しや事務権限の移譲などの実現につなげてきたところであります。
〇8番(米内紘正君) その提案募集につきましては、共同提案も含めてだと思うのですけれども、138件というのは多いのですか、市町村との共同の分というのがどれぐらいあるのか、もしわかればお聞かせください。
〇政策企画部長(小野博君) ただいま御質問がございました、岩手県からの提案ということですけれども、これにつきましては、県からの提案といったことで138件行ったところでございます。
〇8番(米内紘正君) 共同提案は含まずということですね。それは全国的に見て多いのですか。
〇政策企画部長(小野博君) 他県の数字について、申しわけございません。現在把握しておりませんので、多いかどうかについては、お答えいたしかねます。
〇8番(米内紘正君) 最初の議論のときもあったのですけれども、数字を出すときに、自分のところだけ出して、138件ですと言われても評価できないのです。それが一体どうなのかというところで、例えば、兵庫県は742件、徳島県でも467件なのです。これは総務省の資料から引っ張ってきておりますけれども、最初も言いました、数字のマジック的なところを内部で許してしまうと、これが多いのか少ないのかという議論が会議の中で出なかったのかどうか。これが実績ですといったときに、岩手県は知事を筆頭に地方分権を強く進めてきました、138件です。それはほかと比べない限りわからないのです。ぜひ、その辺は数字を出すときに、余りまやかしにならないように出していただけたらと思っております。
 地域主権の確立に向けた選挙時の知事の行動のあり方についてお聞きします。
 地方分権と民主主義という点において、選挙に対する知事のこれまでの行動のあり方は、日本における地方分権の推進及び岩手県内の域内分権、地域主権の確立にどのように結びついてきたのかお聞かせください。
〇知事(達増拓也君) 選挙における行動と地方分権についてでありますが、日本で問題とされているような地方分権は、諸外国においては余り問題になっていないと思われるのですが、それは、国政と地方政治を貫く政党政治が相当程度確立していれば、国と地方の役割分担は政権与党内における国会議員と地方議員の間の役割分担、言いかえれば、政権与党の中央組織と地方組織の間の役割分担の問題であり、政権与党内でその役割分担を定めれば、それがそのまま国と地方の役割分担となるからだと考えます。
 したがって、日本においても国政と地方政治を貫く政党政治が確立できれば、国と地方の行政上の役割分担という意味での地方分権問題は解決すると考えておりまして、選挙を含む政治に関する活動を通じて、日本における政党政治の確立に少しでも役に立てばという思いで活動してきたところであります。
〇8番(米内紘正君) 知事のその御答弁は、平成19年から地方における政党政治の確立ということでお話をされているのを私も読んでおります。その中で、知事は政党に今、所属していないわけで、政党に所属せずに政党政治を確立するというのは、一体どういうことなのでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 岩手県の知事選挙、知事を選ぶというプロセスや、そのほかのさまざまな選挙といったところで民意を形にしていく上で、岩手県内で政党がよい役割を果たして、政党が県民とともに新しい岩手県をつくっていく、また、新しい日本をつくっていくことに貢献していくような形になればと思いながら、さまざま行動してきたところであります。
〇8番(米内紘正君) 私は、知事の言っている地方における政党政治というのは、どちらかというと、維新の会だったり、都民ファーストの会がやっていることなのだろうと思います。知事自身がしっかり政党に所属して、そこから仲間をふやしていく、地域に波及させていく、議員をふやしていく、それによって国政に対して影響力を持っていく。今の知事のスタンスだと、考え方がどうなっているのかよくわからないので、仲間がふえていかない、周りに波及していかないのではないかと思われるのが1点。
 政党に所属していないのに政局に巻き込まれる、これも知事が平成19年にお話しされたことですけれども、結局、政局に巻き込まれる弊害があるということなのです。これはまさに今、岩手県が直面しているのではないかと思うのですけれども、地域主権、選挙に携わって域内分権を進めていく、地域主権を進めていく中で、さきの滝沢市長選挙では、記者会見の中で、結果に対して大変残念でありますということをお話しされたと思いますが、それは民意に対して少し乱暴なのではないかと思いましたし、参議院議員選挙の前の6月21日にもこのようにお話しされました。今回の参議院議員選挙の結果次第では、日本がおよそ野党という存在が認められないような一党独裁専制主義国家にさらに向かっていくという、結構、日本の歴史的な危機的状況であると記者会見の場でお話しされました。
 選挙の結果、民意のところ、意に沿わないものを認めないというのは、これこそ危険な考えなのではないかと思っておりまして、仮に知事が5期目に出られて、5期目で例えば当選されたとしたときに、こちら側が、いや、これは一党独裁専制主義国家への始まりだなどと言ったら、やはりそれはおかしいと思うのではないでしょうか。自分は選挙で選ばれたのだ、民意なのだと思われると思います。これを逆の立場で考えなければいけないと思うのですけれども、その辺はどう思いますか。
〇知事(達増拓也君) 先ほどの答弁で言っていることは、自由民主党が国の役割と地方の役割を明確に分けて地方分権問題というのが諸外国同様、日本でも問題にならないようにすれば、できるのであればそれがいいと思っておりますし、ただ、そういうことができる政党、あるいは、政党グループが日本に二つぐらいあって、片方がうまくできないときはもう片方がうまくやるとか、切磋琢磨しながら、結局はきちんと国民が求めているような、地域の住民が求めているような、国と地方の役割分担ができるような政党政治が日本に確立するよう、私もできる範囲内でさまざま工夫してきたところです。
〇8番(米内紘正君) それには政党というところを前面に出していかないと、選挙のときは、オール岩手です、県民党です。その中で、政党政治を確立しますというのはなかなか難しいと思います。
 民主党政権のとき、地域主権改革で出先機関の整理、統合や地方政府基本法の制定といったいろいろな改革は掲げられていましたけれども、結局、それは全部頓挫したわけで、第2次安倍政権の中で地方分権改革有識者会議ができて、先ほどの提案募集方式、いろいろな事務とか権限の移行についても進んできたわけでございます。私も知事のおっしゃるとおり、切削琢磨して2大政党がしっかりとできていく体制というのは本当に必要だと思っております。
 次に、令和臨調についてお伺いします。
 政治改革の前進や持続可能な財政、社会保障制度など国家的課題について提言する、令和国民会議─令和臨調が本年6月に発足し、それに伴い、宮城県の村井知事を代表世話人、令和臨調の増田寛也共同代表を顧問とする知事連合も発足しました。達増知事も知事連合のメンバーに名前を連ねていると思いますが、知事の令和臨調に対する考え方とかかわり方をお聞かせください。
〇知事(達増拓也君) 令和臨調は、人口減少が急速に進む我が国において、このままでは国全体の活力が失われ、国家としての存立が危ぶまれるという危機感のもと、日本社会と民主主義の持続可能性を基本テーマに、経済界、労働界、学識者など各界有志により、統治構造や財政、社会保障、国土構想等の改革に向けた合意形成活動や世論の喚起に取り組むものとして設立されました。
 新型コロナウイルス感染症の影響等により出生数が大幅に減少するなど、人口減少対策は最優先の課題であり、私もこの令和臨調の趣旨に賛同し、パートナー組織としての知事連合に21人の有志の知事とともに参加したところであります。
 今後、国と地方の役割のあり方や、多様な暮らし方や働き方の促進、定着に向けた新たな社会システム制度のあり方などについて、他の知事メンバーとともに令和臨調との対話を重ねてまいります。
〇8番(米内紘正君) こういう組織に参加するというよりは、村井知事のように引っ張っていく立場であるべきだったのではないかと思います。知事の15年前からのお話を聞いていると、全国知事会に参加して乗っかる、令和臨調の知事連合の中に乗っかるというよりは、あれだけ国に対して常にいろいろ言っているわけでありますから、そういう組織をつくるべきだったのではないか。その知事のスタンスは一体どこに、どうなったのか。いつも立派なことをおっしゃっていると思います。そのとおりだと思うこともたくさんありますけれども、それがどう結果に結びついているかというのを見たときに、私は、国に対して影響力を与えるというスタンスをとるのであれば、先ほど申し上げましたとおり、維新の会みたいに仲間をつくっていって、前回の参議院議員選挙では比例票はたしか多かったですね。立憲民主党より全国でたくさん取っていたと思うのですけれども、知事という実績を残せる、しっかり結果を残せることをあらわして、伝えて、そして、どんどん周りの自治体、県内の自治体に仲間をふやしていく。それが影響の与え方。あるいは、村井知事も自由民主党寄りですけれども、それでも、国に対して党派を超えて提言していくという立場でやっていくわけでありますから、知事も15年間そういうふうに言われてきたのであれば、常に岩手県から国を変えていくとおっしゃられていましたので、全体に影響を与える、分権をこう進めていくのだとか、そういうところを期待されているのではないかと思っております。
 次の大項目にいきます。
 いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランについてお聞きします。
 まず、第1期アクションプランの成果の検証についてであります。県民の幸福を追求していくための計画であるいわて県民計画(2019〜2028)ですが、その中でも、県全体の主観的幸福感を高め、一人一人の幸福を守り育てるための政策を推進する第1期政策推進プランについては、4年間にわたって実行して、どのような結果に結びついたか、具体的な数値を用いながら御説明ください。
 また、第1期の期間の半分以上をコロナ禍に見舞われた4年間であり、指標の見直しも図りながらの実行となったと考えますが、政策推進プランで設定した指標の運用の中で、どのような課題が生じたか、その原因はどのような点から生じているものか御説明ください。
〇政策企画部長(小野博君) 第1期アクションプランの成果についてでありますが、いわて幸福関連指標の進捗状況を基準年と比較いたしますと、健康・余暇の分野においては、自殺対策推進協議会を通じた官民一体の取り組み等により、人口10万人当たりの自殺者数が21.0人から16.2人に減少、家族・子育ての分野において、保育人材の確保や地域の実情に応じた施設整備等の推進により、4月1日時点の待機児童数が178人から12人に減少、また、いわてで働こう推進協議会を核とした働き方改革の展開等によりまして、年間の総実労働時間が1、858.8時間から1、761.6時間に減少、教育の分野におきまして、郷土を愛し、岩手の復興、発展を支える人材や産業人材の育成等の取り組みによりまして、高卒者の県内就職率が65.8%から74.1%に上昇、自然環境の分野におきましては、地域と共生した再生可能エネルギーの導入促進等によりまして、再生可能エネルギーによる電力自給率が28.0%から38.6%に上昇するなど、取り組みの成果があらわれたところでございます。
 次に、指標の課題についてでありますが、政策推進プランの指標は、さまざまな主体の行動によって実現を目指していく、いわて幸福関連指標と、その達成に向けて主として県の取り組みによる効果を測定するための具体的な推進方策に関する指標で構成されております。このため、県に加え、さまざまな主体と一体となって取り組みを進めることで成果があらわれるものや、効果の発現までに時間を要するものなどがございます。両指標の動向に差異が生じることもあると考えております。
 また、専門家や有識者の方々からは、適切なデータがなかなかないなど統計データが制限されている中で、指標を設定するに当たり一定の限界も指摘されているところでございます。このため、政策評価におきましては、政策推進プランに掲げる指標の状況に加えまして、さらに、毎年度実施しております県民意識調査等で把握した県民の実感、それから、社会経済情勢などを勘案して総合的に評価を行うことで、計画の実効性を高めていく必要があるものと考えております。
〇8番(米内紘正君) 具体的な数字を用いながらとは言ったのですけれども、数ある指標の中で、数字がよくなったところだけ話していただいても、それは全体を捉えているとは言えません。それと同じくらい達成できていないものもある中で、いいところだけ見せるというのは、一般の企業ではなかなか通用しないと思うのです。それにだまされてしまうような会社は、多分つぶれてしまうのです。まずは全体のところから説明をいただきたかった。まず、県民の意識です。主観的幸福感を高めるというのが目的であるわけですから、質問に対しては、主観的幸福感がどういうふうになったのかというところを御説明いただきたかったのですけれども、いいですか。
〇政策企画部長(小野博君) 失礼いたしました。主観的幸福感の第1期政策推進プランにおける状況でございます。これは議員の皆様にお配りしております第2期アクションプランの総括のところにも示しておりますけれども、ここでは全体といった形で表記しておりますことについて、初めに申し上げておきます。
 平成31年におきまして、主観的幸福感、これは幸福だと感じますかという一番高いレベルの主観的幸福感でございますけれども、これの県全体の平均値として3.43ですが、令和4年におきましては3.51となっております。
 また、主観的幸福感の推移でございますけれども、平成31年は52.3%の方々が幸福、あるいは、やや幸福とお感じになっておりました。これが令和4年におきましては、56.6%の県民の皆様がそのようにお答えになっているといったことで、やや右肩上がりになっているところでございます。
 一方、そのように感じる要因、どういうふうなことでそのように感じますかといったことについても、あわせて県民意識調査の中で質問しております。そういった中で見ますと、例えば、つながりといった点につきましては、やや下降傾向にございます。また、仕事、収入のところにつきましては、低位で横ばいになっております。
 そういったことがございますので、先ほど申し上げました主観的幸福感全体を見る、これは一つ指標としてあるかと思うのですけれども、なぜそういうふうに県民の皆さんがお感じになっているか、12の分野別実感がございますけれども、それぞれについて、また個別にその要因について見ていくこともあわせて行っていくことが重要と考えておりまして、岩手県総合計画審議会のもとに分析部会といったものを置いておりまして、そこで集中的に分析していただいております。
 こういったものを踏まえながら、第2期アクションプランの作成を進めているところでございます。
〇8番(米内紘正君) おっしゃるとおりだと思います。最初はやはり全体のところ、一番大きなところから話し始めて、その中で分野別がありますよね。分野別のところがどこで上昇してどこで低下したのか。そして、低下したところはその中にどういう項目があって低下しました、上昇したところはどういう項目があって上昇しましたというところがアクションプランの説明になるのかなと思いますけれども、決算特別委員会でも出ておりましたが、分野別の実感が期間中で上昇したのが心身の健康、子育て、子どもの教育が上昇となっている。
 決算特別委員会でハクセル美穂子議員が質問されていましたけれども、県民意識調査の調査対象の年齢の分布、50%以上が60歳以上、20代は5.8%、30代は8.8%しかいない。こういった中で、子育てと子どもの教育が上昇となっても、これは果たしてどうなのかと。誰が答えたものなのかとなってしまいますので、一番最終の目標の主観的幸福を求めるというのがいわて県民計画(2019〜2028)の一番の重要課題なわけでありますから、そこに対しては貪欲にデータをとっていかないと、そこから10の政策分野と具体的アクションプランが全てつながっているわけですよね。だったら、そこだけはしっかり人口比に合わせるのか、あるいは、未来を見据えて、18歳以上が対象ですから、18歳未満の人口も勘案した形で、10代とか20代、30代のところを少し厚めに収集できるようにするとか、5、000通出しました、返ってきた結果がこうです、60代以上が50%を超えてしまいましただと、一番大事な計画の一番大事な指標であるわけでございますから、ここはもう少し考えていただけたらと思っております。
 指標の再構築における考え方ですけれども、第2期アクションプランの具体的推進方策指標については、大幅な変更が見受けられます。これほど多くの指標を見直したのは、どういったルール、あるいは方針のもとに見直されたものなのか。また、指標を見直したことによって、第1期と第2期でPDCAサイクルの回し方など、運用方法の違いなどはあるかお聞かせください。
〇政策企画部長(小野博君) 第2期政策推進プランの具体的推進方策の設定におきましては、政策の目的と手段を精査したロジックモデルを重視いたしまして、関連する上位目標の進捗に資する指標とすること、できる限り県の施策の成果を適切に体現するアウトカム指標とすること、毎年度比較できる指標とすることなどを設定の基本的な考えとしているところでございます。
 その上で、第1期政策推進プランの取り組みの成果や施策のステージが第1期から第2期に移行するといったことを踏まえまして、施策をさらに前に進めるために変更した指標でありますとか、新たに取り組むべき行政課題に対応した新たな指標等を設定しているといったところもございます。
 例えば、第1期政策推進プランで、健康的な食事推進マスターの養成としておりました指標につきましては、取り組みをさらに進めるため、食事推進マスターによる支援及び指導回数に変更いたしました。また、医師の働き方改革に対応した勤務環境改善計画策定医療機関数を新たに指標として設定したものなどもございます。
 また、ふだんから災害に備えている人の割合など、成果重視の観点から追加した指標もございます。
 第2期政策推進プランの推進に当たりましても、引き続き、政策評価の仕組みに基づくPDCAサイクルを確実に機能させてまいりたいと考えております。これに加えまして、コロナ禍もそうでありましたけれども、社会経済情勢の変化なども踏まえ、必要に応じて、指標の見直しを含め弾力的に対応するとともに、毎年度、政策手段の不断の見直しを行い、効果的な政策評価となるように取り組んでまいりたいと考えております。
〇8番(米内紘正君) 第2期アクションプランにつきましては、私も全部見させていただいて、かなりよくなったと思っておりまして、本当にアウトカム指標になっていて、それがしっかり上がることが県の発展のためにつながっていくものだと思って、これだけ大幅に見直しただけあって、いいものになったという一方で、第1期のアクションプランは、やはりつながらないプランだったのだというところも少し見えてきてしまいました。
 ただ、ここから大切だと思うのは、今、指標の項目が素案で出てきているわけでございますけれども、そこに数値を入れ込んでいく作業です。そこで間違って失敗してしまったら、これはまた同じことが起きてしまうわけで、令和元年12月定例会、選挙後最初の定例会のときにお話ししていることがありまして、読ませていただきます。目標値に対して80%以上の達成をおおむね達成としているわけなので、よほどのことがない限り、4年間で80%を切ることはありません。おおむね達成以上、おおむね順調というのですか、指標が80%以上になりましたという結果が多分4年後に出てくるわけであります。多分、計画1年目に65%から70%ぐらいの計画達成率で出てくると思います。そして、毎年二、三%ずつ上がっていって、最終年度に80%になりましたというものが出てくると思うのですと質問させていただいているのですけれども、大体そのとおりになっていて、具体的方策推進指標の中では、おおむね順調が85%、最後の着地点が見えている数字の設定だったのです。バックキャスト、あるべき姿をまず設定して、そこから逆算して目標値を設定するというよりは成り行き、これまで10%ずつ増加しているから、その10%ずつの増加に合わせて目標値を設定する。そういう目標値の設定の仕方が私は第1期だったと思っています。
 本当に県のいろいろなことをいろいろな分野においてよくすることには、ここはかなり厳しめにつくったほうがいいのだと思います。そうしないと実態が見えないので、もしかしたら4年後にCとかDとか出てきてしまうかもしれないですけれども、それは、目標とするべきところを見据えた上で進んでいくこと。
 例えば、第1期アクションプランに開業率という指標がありました。最初3.2%で、毎年0.1%ずつ上げていきますというのが目標だったと思うのですけれども、0.1%ずつ上がっていったとしても全国のほぼ最下位、ワースト3位ぐらいのレベルだったのです。結局、そこはもう少し上げていくことにしないと、確実に達成できる目標をここに埋め込んでいくのではなくて、バックキャストでやっていくというのが大切だと思うのですけれども、その辺は、目標値の設定の仕方というのは、今、既にあるのですか。
〇政策企画部長(小野博君) 現在、素案を策定し、公表したところでございまして、今後、最終案に向けまして、今度は目標水準を検討、設定していく段階にございます。
 今の段階では、まだどのような形の目標水準を設定するかということにつきまして、きちんとした形でお示しできるものではございませんけれども、一般的に申し上げて、まず一つには、いわて幸福関連指標、それから、具体的推進方策指標、2本の異なる指標がございまして、いわて幸福関連指標につきましては、県だけはなくて、さまざまな主体が一緒になって取り組んでいって達成しようとする目標でございますので、ここについては、設定の仕方として、ある意味、メッセージ的なといいますか、みんなで達成していこうというような目標もあるかと思います。あるいは、この水準を維持していこうといったものもあると思います。指標によってさまざま性質が異なるといったところはございますけれども、県民、あるいは、さまざまな段階で取り組んでいく目標として、適切なものを設定してまいりたいと思います。
 それから、具体的推進方策指標、先ほど米内紘正議員から、結果的におおむね8割ぐらいになるというお話がございましたけれども、具体的推進方策指標につきましては、県が中心となって取り組んでいく取り組みに関する指標ですので、ここは逆に、ある程度の水準が保たれなければ、県の取り組みがまさにうまくいっていないといったことだと思いますので、一概に8割がいい悪いといったことではないと思うのですけれども、単なるトレンドを0.2%ずつ上げていくといったような目標設定ではなくて、4年後にどういう形を達成したいのかというバックキャスティングの考えに基づいて、これにつきましては設定してまいりたいと思います。
 今後、次は目標設定の段階に進んでまいりますので、しっかりと検討を進めてまいりたいと考えております。
〇8番(米内紘正君) ぜひトレンドではなく、バックキャスティングで設定していっていただければと思います。
 次に、持続可能で希望ある岩手を実現するための行財政改革に関する報告書と知事の考え方の方向性についてでありますが、きのうもかなり出ておりましたので、少しはしょりますが、県政にこちらの報告書を反映させて実行させていくのであれば、知事の残り9カ月の任期の中で、これらの課題、特に、県立病院と県立高校に対して、どのような策を講じていくのか。そして、それは継続性を持って、どうなるかはわかりませんが、次期知事に求めていくものなのかお聞かせください。
〇知事(達増拓也君) 報告書には、早期に着手できるものや、中長期的な取り組みを要するものなどございますが、米内紘正議員御指摘の県立病院や県立高校については、県民生活に直結する分野であり、今後、本報告書も踏まえて、将来にわたって、より質の高い医療や学びを県民に提供してために何が最も実効性があるかという観点から、県民を初めとした関係者との丁寧な議論を通じて、とるべき施策を具体化していく必要があるものと認識しております。
〇8番(米内紘正君) 特にまだ、これをこうする、どうするというのは決めていないと。それはどういうスケジュール感で決めていくものなのですか。
〇知事(達増拓也君) 基本的には、それぞれ病院、高校の計画策定のプロセスがございますので、それを軸にしながら、関係者の皆さんと議論を進めていくということであります。
〇8番(米内紘正君) 議論を進めていくということでありますけれども、これまた平成19年の知事のお話の中で、県立病院改革についてでありますが、現在取り組んでいる県立病院改革は、二次保健医療圏を単位とし、圏域の核となる広域基幹病院に医師を初めとするマンパワーとあって、最後、しかしながら、地域や診療科による医師不足が顕著になってきていることから、今後、医療計画などの策定を通じ、地域の医療資源総体の中で県立病院のあり方について、さまざま議論していかなければならないものと考えておりますと書いてありますが、15年前から議論している形になるのでしょうか。その結果は、また15年ぐらいかかるのですか。
〇知事(達増拓也君) 一度この本会議場で紹介したことがあるのですけれども、中村直知事が、たしか国分謙吉初代知事が亡くなるときに枕元に呼ばれて、県立病院は大丈夫かと言われて、それは、国分謙吉初代知事のときに県立病院の体制ができて、農協系の病院、診療所を一気に県がやることになったわけですけれども、その財政赤字が膨らんで、県財政全体を引っくり返す危険性というのは第1代の知事から代々念頭にあることです。いまわの際においてもそれをまだ知事が次の世代に解決を期待しているということで、その時代時代、県民一人一人に医療を提供するためにどのようなあり方がいいかということについては、ある意味、70年前から議論がずっとあるわけでありますけれども、ただ、そのときそのとき最適な議論がなされるように、そのときの県民や専門家、関係者の皆さんの意見をうまく議論していくということが大事なのだと思います。
〇8番(米内紘正君) 15年間議論した結果、行財政報告書でもあるとおり、大きな問題として、このときから大きな問題で、全ての議員が平成19年から質問しているのです。それが変わってこなかった。15年間、16年間やってできなかったら、またその後4年間やってもできないのではないかと思います。
 次に、人口減少に対する目標設定と解決策についてお聞きをいたします。
 第2期アクションプランの中でも最優先事項に取り上げられている人口減少問題ですが、人口減少については、合計特殊出生率が下がり続けていることや、社会減に歯どめがかかっていないことから、第1期政策推進プランで設定した指標の実効性は薄かったと考えておりますが、第2期アクションプランにおいて、どのような目標設定を行い、それにつながる指標どのように設定していくのかお聞かせください。
〇政策企画部長(小野博君) 第1期政策推進プランにおきまして、合計特殊出生率の向上や社会減の縮小を目指して施策を展開したところでございます。新型コロナウイルス感染症の影響などもございまして、合計特殊出生率が低下したとともに、全国的な東京一極集中に歯どめがかからないといったこともありますが、本県の社会減の解消には至っておりません。
 こうした状況におきまして、岩手県総合計画審議会や市町村などからの意見も踏まえ、第2期アクションプランにおきましては、人口減少対策に最優先で取り組むこととし、ライフステージに応じた総合的な支援、それから、U・Iターンの促進に向けた取り組みなどを強化することとしております。
 第2期政策推進プランでは、いわて幸福関連指標といたしまして、引き続き、合計特殊出生率や高卒者や県内大学等の卒業者の県内就職率を掲げ、その向上に向けて、新たに不妊治療休暇制度等導入事業者数や、将来就職したいと思う県内企業がある高校生の割合などを具体的推進方策指標に設定し、取り組みを強化していく考えであります。
 また、施策の実効性を高めていくため、毎年度、政策評価により施策の効果検証を行うとともに、オール岩手で人口減少対策を推進していくため、県・市町村人口問題連絡会議や市町村と県のトップレベルでの意見交換といったことも行いまして、取り組み内容や成果を共有するなど、緊密な連携を図りながら取り組んでいきたいと考えております。
〇8番(米内紘正君) 人口減少、特に合計特殊出生率についてはたびたび出ておりますけれども、これも具体的な目標をしっかり立てて、きのうの議論でも枕言葉に、国同様と出ているのです。国同様、合計特殊出生率が下がりというふうにいつも入っているのですけれども、令和4年の少子化対策白書で、合計特殊出生率、2005年から2019年、2020年と推移が出ているのですが、2005年を基準としたときに、全国の合計特殊出生率は下がっていないのです。0.07上がっている。全国の中でも、下がっているのは7県だけなのです。全国のトレンドと一緒で下がっていますというのは、少し乱暴だと思います。その中でも2005年から2020年で下がっている数値、3番目に下がっているのです。1.41から1.32、これはやはり大きな問題だと思いますので、ここでは詳しくはやりませんけれども、しっかり目標値の設定と、それに対してどうしていくのかというのは、全国のトレンドとは違っているのだということを考えた上で策定してもらえればと思っております。
 次の農産物の輸出政策については、第2期アクションプランの目標値の設定もまだできていないというところなので、次の機会に回させていただきます。
 3番目、DXの推進についてであります。
 岩手県DX推進計画について、いわて県民計画(2019〜2028)でも重要事項として掲げられているDXの推進でありますけれども、DXの前段階であるデジタイゼーションもなかなか進んでこなかった岩手県において、急激かつ一足飛びにDXを進めていくことに関しては、さまざまな困難にぶつかっていくと思います。
 それでも、1周、2周おくれの本県においても、人口減少を初めとするさまざまな社会課題解決のためのDXは必要不可欠であると考えますけれども、岩手県DX推進計画の策定の経緯と計画が目指すものについて、体制の構築とあわせてお聞かせください。
〇ふるさと振興部長(熊谷泰樹君) 岩手県DX推進計画についてでありますが、県におきましては、人口減少や少子高齢化、過疎化などの喫緊の課題を抱える中、その課題解決と県民がより豊かな暮らしを確保するためには、DXの推進により産業や社会の効率化、利便性の向上、新たな付加価値の創出を図ることが重要との考えのもと、現計画を全面的に見直し、岩手県DX推進計画を新たに策定しているところでございます。
 本計画におきましては、DXの推進により県民一人一人が快適に暮らすことができ、幸せを実感できる、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわてを目指す姿に掲げ、行政のDXでは、業務の効率化、行政サービスの向上、産業のDXでは、産業の生産性の向上、高付加価値化、社会・暮らしのDXでは、県民の利便性向上、新しい暮らしの実現、DXを支える基盤整備では、最先端のデジタル技術の活用、誰もがデジタルを利活用できる環境の整備など、四つの方針のもと、取り組みを進めていくこととしております。
 今年度はDXに精通した民間の有識者をCIО補佐官やDX推進専門官に新たに任命し、庁内のDX推進体制を強化したところでございます。計画の策定に当たっては、こうした方々の御助言や外部の専門家の方々からさまざまな御意見をいただきながら検討を進めてまいりました。
 今後のDXの推進に当たりましても、これらの専門家の方々から御助言をいただきつつ、庁内各部で構成する岩手県DX推進本部で政策の共有化を図り、全庁一体となって取り組みを進めてまいります。
 また、産学官金で構成する、いわてDX推進連携会議を通じて、各分野のDXの取り組みを一層充実させ、本県のDXを進めてまいりたいと考えております。
〇8番(米内紘正君) 全庁的な体制で進めるということで、DXの推進に当たって、県庁内のDXが私は何よりも優先であると考えております。県庁内のDXが進まない限り、県内市町村とのやり取り、あるいは取引業者、大きな取引があるのが県庁でありますから、そういったところもなかなか進んでこないという中で、これから基幹系の業務システム、あるいはガバメントクラウドの推進など、具体的にどのように進んでいって、その効果をどのように見込んでいるかをお聞かせください。もしその効果を見込んでいる場合、これまでなかなか進んでこなかった要因についても御説明ください。
〇総務部長(千葉幸也君) 県では、財務会計システムを初めとする庁内の基幹業務システムについて、次年度以降の更新の検討材料とするため、ペーパーレス化やテレワーク対応、業務の大幅な効率化など、システム間連携による最適化の調査を進めております。
 また、ガバメントクラウドの活用については、先般、国の説明会で、都道府県における生活保護及び児童扶養手当の2業務が対象となることが明らかになったことから、令和7年度末までの移行整備に係る計画の検討に着手しております。
 これらの取り組みの効果につきましては、調査結果を取りまとめ中であることや、検討着手から間もないことから、現時点で具体的に示すことは困難でありますが、一般的には、職員一人一人の作業時間の短縮や考える業務への注力のほか、クラウドサービス等の活用による経費削減などの効果が期待されているところであります。
 庁内DXの推進については、これまで安全性を優先した国三層分離ネットワークによるシステム間連携の困難さや、財源手当などの課題があったものの、今般のコロナ禍をきっかけとしたテレワーク等への対応や国のクラウドサービス推進の動きなど、環境整備が図られていることから、行財政資源の最適化に向け、働き方改革と一体的に進めていく考えでございます。
〇8番(米内紘正君) 昨年の一般質問でも質問したと思うのですけれども、岩手県は、国に先駆けて一番早くやっていないといけなかったのだろうと思います。今、具体的なものが出てこない、あるいは、財源の話をされましたけれども、できるところはあるのです。例えば、電子稟議決裁のワークフローなども導入していると思いますけれども、あれだって5年、10年前にできたはずなのです。
 それをなぜ岩手県がやっていなければいけなかったかというと、去年も言いました。知事が国会議員時代から、情報革命についてはものすごく質問をされているのです。去年、全部読みましたということでお話ししましたけれども、平成12年、今から23年前、デジタル革命という言葉を使っていましたが、今のIT革命とほぼ同じ意味、つまり、革命はもう23年前から既に始まっていたというか、やらなきゃいけないということはわかっていたわけであります。その革命というのは、書いてあるとおり、今のシステムではだめだということでありまして、経済社会、そして、政治や行政の大規模なシステムチェンジ、そのためのIT導入、全体としてのIT革命でならなければいけないわけであります。これを23年前に言っているのです。
 これだけ先を見通していたのであれば、菅前首相がDXと言ってからではなくて、そのときには岩手県は全部進んでいますよと。庁内のいろいろなところとの連携、今、システムの全体最適化も進んでいると思いますけれども、それはもっと早く進んでいなければいけなかった。なぜなら、わからなかったならしようがないと思うのですけれども、わかっているわけです。政治や行政の大規模なシステムチェンジと23年前に言っている。
 そして、その質問の中で、その後、こう言っているのです。そのためには、まず、政治がみずから変わって見せて、今までの前例にとらわれ、本質を見失い、そして、やるべきことをやらなくなってしまうということがないように、思い切ったことをやって本質に迫ってやるべきことをやっていくというふうにお話しされているのです。まさに今、そのまま知事に私が言いたいところであります。何で平成12年にやるべきことがわかっていたはずなのに、それが今になってもできなかったのかというところは、先ほど言いましたとおり、立派なことは大変話されていますけれども、それがなかなか結果として出てきていないということは、こういうところからも見受けられると思っております。
 次に、また広域振興局のほうに戻って、DXの進展に伴う4広域振興局体制について質問します。
 DXの進展に伴い、ワ―ケーションの発展など物理的な距離がもたらすコミュニケーションのあり方が変異していく中で、現在の物理的な枠組みを中心とした4広域振興局体制はどのようにあるべきと考えるか、お聞かせください。
〇ふるさと振興部長(熊谷泰樹君) DXの進展に伴う4広域振興局体制のあり方でございます。
 広域振興局は、産業振興による地域経済の活性化を主眼として設置しておりますが、その4圏域は、農林水産業や商工業等の地域の基盤となる産業の連続性、類似性の状況や地域の産業構造の特徴を踏まえ、より成果を上げていく視点で設定されたものでございます。
 DXの進展は、大幅な業務効率化や品質の向上、距離の課題の克服等が期待できますが、現地、現場での対応が求められる農業分野や土木分野のほか、県民の安心、安全を守る医療、福祉、災害対応など、地域事情に精通していることが重要な業務もございます。
 これらの業務は、広域の視点で市町村とも密接に連携することで、より実効性が高まるものであり、新型コロナウイルス感染症や台風災害等への対応に当たっては、広域振興局が機動的にその役割を果たしてきました。
 また、喫緊の課題である人口減少対策の推進に当たりましても、市町村との連携を密にし、ともに取り組んでいくことが重要であり、住民に身近な市町村と力を合わせることで、さらに効果の高い取り組みが期待できると考えております。
 こうしたことを踏まえ、今後においても、4広域振興局体制を基本としながら、DXを積極的に推進し、業務の不断の見直しや働き方改革、県民の利便性の向上を図りながら話、地域課題等に的確かつ柔軟に対応してまいります。
〇8番(米内紘正君) 4広域振興局体制も、直近という話ではなく、先を見据えたときに物理的な距離にとらわれる必要はもうないのだろう。つまり、広域振興局という箱はもう要らない時代になってくるのだろう。例えば、宮古市に住んでいる方だったら、宮古市役所の中に県庁のスペースがあって、そこに行って、きょうは本庁に行ってとか、もっと柔軟性のある働き方がこれからはできるのだろうと思っています。最初はいろいろ考えて四つに分けられたと思うのですけれども、田野畑村と普代村で分かれてしまっているとか、果たして、盛岡市と周辺でどういう差があるのか。だったら、その市町村にダイレクトに入っていったほうが私はいいだろうと思います。今の時代だったら、もうそれができるわけです。
 事務連絡とか情報共有ぐらいだったらオンラインでできますし、週1回ぐらい集まる、そんな形で、これも知事のかつての答弁から、平成9年3月4日、情報通信の高度化により、物理的国土を超えて情報空間をも取り込んだ新しい国土の概念が生まれつつあるとも述べております。こういったところを話されていますので、これまではこれでよかったかもしれないですけれども、これから先を、20年後とかを見据えたときには、いろいろなあり方があるのだろうと思っております。
 続きまして、マイナンバーカードの利用促進についてお伺いします。
 マイナンバーカードの利用促進とデータ連携については、今後の日本社会の発展に必要不可欠であると考えています。現に、コロナ禍において、日本のデジタル化のおくれは顕在化し、主に個人への給付金の支給などの面において、事務手続のおくれや事務に伴う手数料が大きな問題となりました。岩手県DX推進計画(素案)の中でも、マイナンバーカードの活用は前提となっていると見受けられますが、知事はマイナンバーカードの利用促進について、どのように考え、今後の県政運営にどのように活用していこうと考えているのかお聞かせください。
〇知事(達増拓也君) マイナンバーカードは本人確認用の身分証明書として利用できるほか、電子証明書を利用したオンライン手続などさまざまなサービスにも活用できることから、本県のデジタル化を推進する上で重要なツールと考えております。
 県では、テレビや新聞などさまざまな媒体を活用した取得促進の広報や市町村と連携したカード申請支援の実施のほか、新規カード取得者に特典を付与するキャンペーンを実施するなど、マイナンバーカード取得に向けた取り組みを進めております。
 利用促進に当たっては、国ではデジタル田園都市国家構想基本方針において、安全、安心で利便性の高いデジタル社会の実現に向け、マイナンバーカードをデジタル社会のパスポートと位置づけ、健康保険証としての利用を進めるとともに、今後は、運転免許証との一体化など順次取り組むこととしています。
 県においては、現在、全ての県立病院においてマイナンバーカードの健康保険証としての利用が可能になっているほか、新型コロナワクチンの集団接種時やe−Taxによるふるさと納税の確定申告の際の本人確認での利用、県立図書館の利用者カードとの一体化を進めるなど、その利活用拡大に取り組んでいるところです。
 今後も市町村と連携し、子育て、介護、引っ越し等の行政サービスのオンラインによるワンストップ化、一人一人に合ったプッシュ型の行政サービスの情報提供など、マイナポータルの利活用による県民の暮らしの利便性向上を図り、本県のDXを推進してまいります。
〇8番(米内紘正君) 知事がマイナンバーカードに積極的というか、賛成というか、そういうふうに取り組んでもらえるということで大変安心しております。ただ、いろいろこの先のことを考えられたら、知事もいろいろな政党との連携はあると思いますが、DXの根本のところでありますので、そこの意見は一致させた上で主張されると、これからどんどん進んでいくのかと思っているところでございます。
 次に、官民データの利活用とアジャイル型の政策推進についてお聞きします。
 官民データ活用推進基本法に基づく都道府県官民データ活用推進計画の位置づけにある、岩手県ICT利活用推進計画に官民データを活用して政策立案していくための庁内のシステムや体制が現状どうなっていて、これからどのようにしていくかお伺いします。
〇ふるさと振興部長(熊谷泰樹君) 本県の官民データ活用推進計画の推進についてでありますが、県におきましては、官民データの活用を推進するため、岩手県オープンデータサイトを開設し、県が保有する189件のデータを公開しているところでございます。主に介護保険に係る指定事業所や認定保育園の一覧データ、人口、高齢化率などの各種統計データが利用されております。
 また、DXの推進にはデータを有効に活用することが重要でありますことから、これまで県及び市町村職員を対象としたデータ活用に資する研修会等を実施してきたところでございます。
 現在策定中の岩手県DX推進計画におきましては、交通ビッグデータや保健医療データなど各種データを把握、分析、活用するためのデータ基盤の整備、デジタル技術やデータを活用できる人材の育成など、官民データをもとに政策立案に必要な取り組みを盛り込んでおります。
 DXの推進に当たりましては、進歩が早いデジタル技術に素早く対応するため、できることからすぐに取り組みを始めることとし、変化する課題にスピーディーに対応し、改善を図り、品質を高めるアジャイル型で取り組みを推進していく考えであり、DX推進計画に掲げる取り組みにつきましては、岩手県DX推進本部会議におきまして、各分野の取り組み状況を適時適切に確認し、取り組みの見直しや追加を柔軟に行い、計画の進捗管理を行っていく考えでございます。
〇8番(米内紘正君) それでは最後に知事にお聞きして終わります。
 DXが進んだ先の世界において、社会においてさまざまな変革が訪れると思っておりますけれども、前もって社会の変化に対応できるように準備しておくことが必要であります。DXの進展に伴う岩手県の今後の産業構造を予測し、手を打っていくために、岩手県の今後の産業構造をどのように考え、政策を実行していくべきかお聞かせください。
〇知事(達増拓也君) 一次産業では、市場ニーズに的確に対応した農林水産物の生産と、効率的で収益力の高い農林水産業を実現、二次産業では、開発から製造まで生産効率の高い一貫自動生産やものづくり企業とIT企業との連携などによる生産性向上、高付加価値化、三次産業では、多様な生活志向に応じた新たなサービスの創出など、DXの進展により多岐にわたる展開が想定されます。
 こうした動きは、これまで以上に起業に対する機運も高まり、中央と地方という地理的な範囲を超えて、本県での起業も増加するなど、県民一人一人のさまざまな活動範囲が大きく広がることにつながるものと考えます。
   
〇議長(五日市王君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時55分 散 会

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