令和4年9月定例会 第22回岩手県議会定例会会議録

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〇13番(高田一郎君) 日本共産党の高田一郎でございます。県政の緊急、重要課題について、知事に質問いたします。
 まず第1に、新型コロナウイルス感染症から県民の命と暮らしを守る課題であります。
 新型コロナウイルス感染症は、オミクロン株BA.5系統に置きかわり、第7波はこれまでにない感染拡大となり、デルタ株が主流だった第5波と比べて、感染者数は全国で10倍、死者数は4倍にもなりました。
 県内では、第7波のピークとなった8月の感染者数は3万6、524人、死者は54人と過去最高となり、クラスターの発生は131件、うち高齢者施設60件、医療施設は16件となりました。高齢者施設では、感染しても施設内療養が基本となり、医療機関では、確保病床以上に患者を受け入れ、深刻な医療逼迫も起こりました。
 政府は、昨年11月に策定した取り組みの全体像を見直さず、オミクロン株への対策を講じなかった対応にも問題がありました。
 第7波で感染爆発となったその要因と特徴を知事はどのように受けとめているのでしょうか。第8波は必ず起こる可能性が高く、これまで以上の感染拡大の可能性が高いと想定した対策が必要と専門家は指摘しています。これまでの取り組みをしっかり検証し今後に生かす必要があると考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、高齢者施設での感染対策であります。
 クラスターが発生した一関市内のある高齢者施設では、デイサービスやショートステイが休止し、もとに戻るには1カ月間もかかったと伺いました。これによる減収は3、000万円にもなり、利用者もまだ戻らず、介護職員は厳しい業務の中で離職し、職員不足の中で事業を継続している現状にあります。
 クラスターが発生した高齢者施設の減収と経営への影響及び人材不足の実態を県はどう把握されているでしょうか。休業による介護報酬減収分を直接補う制度はなく、事業所の自己負担となってしまいます。介護事業に取り組む献身的努力に応える上でも、また、今後の介護基盤を守る上でも、財政的な支援が必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、全数把握の簡略化について伺います。
 全数把握の見直しが先月26日から行われ、発症届の対象を高齢者及び重症化リスクの高い患者等に限定することとなりました。医療機関及び保健所の業務の負担が軽減されますが、届け出の対象外となる低リスク患者への体調急変時への対応が課題と考えます。
 本県では、希望する低リスク患者への日々の健康観察や食料支援を実施するとしておりますが、その具体的な対応はどうなるのでしょうか。
 次に、ワクチン接種と検査体制の強化であります。
 今季は、インフルエンザと新型コロナウイルス感染症の同時流行になるとも指摘されており、ワクチンの接種率向上が極めて重要であります。
 一関市は、若い世代を含め全世代での接種率が高く、その要因は、学校を通じて保護者に重要性を知らせるなど世代別対策、若者への情報発信、金曜日の夜や、あるいは大学、職場などでの集団接種などにも取り組まれており、さらに、53の医療機関の発熱外来でもワクチン接種に取り組まれていることです。
 一関市の経験に学び、県全体の接種率向上にしっかり取り組むべきであります。特に若い世代への接種率向上に、県はどう取り組まれるのでしょうか。
 県が実施する無料PCR検査は、県民から大変歓迎されています。これまでの実績を示してください。第8波も予想される中、市町村からは、1カ月ごとの延長ではなくて、せめて来春3月まで、高齢者施設、障がい者施設などからは、十分な検査キットの配布の要望が出ております。今後の検査強化にどう取り組まれるのかについても、あわせて示してください。
 次に、後遺症対策であります。
 新規感染者が減る一方で後遺症に苦しむ方が増加しております。特にオミクロン株による第6波以降に急増しており、軽症、無症状でも発症し、発症率はデルタ株に比べて20代から50代までの働き盛りが多いというデータもあります。感染に気づかず後遺症に悩む事例も少なくありません。ある50代男性は、強い脱力感と倦怠感があり、複数科を受診したものの、原因不明と診断され、無理をして働いていたという話を伺いました。医療につなぐための丁寧な周知が必要です。
 山形県では、後遺症診療が可能な85診療所を周知し、より高度な医療や診療が必要な場合は県指定の病院に紹介、また、コロナ後遺症コールセンターも設置しております。
 後遺症専門外来あるいは後遺症コールセンターを設置すべきと考えますが、本県の対応はどうなっているでしょうか。
 次に、物価高騰から県民の暮らしとなりわいを守る課題であります。
 コロナ危機に加えてガソリン、食料品、電気料金を初め、物価高騰が襲いかかり、暮らしと営業は深刻な打撃を受けています。10月からの食料品の値上げは6、700品目となり、後期高齢者医療費の負担増ものしかかります。県民生活はもはや一刻の猶予もできない状況にあると考えますが、知事は、物価高騰による県民と事業者への深刻な影響をどう把握されているでしょうか。
 物価高騰対策支援金の申請が8月8日から始まりました。物価高騰対策支援金は、新型コロナウイルス感染症の拡大や物価高騰により厳しい状況にある中小事業者の事業継続のために支援するもので、原材料等支援金は最大20万円、家賃等支援金は15万円支給するものであります。しかし、9月29日現在の原材料等支援金の支給件数はわずか5件、家賃等支援金も13件となっております。
 13億円の事業費にもかかわらず、わずかな支給となっている要因を示してください。県内事業者からは、単価の比較が面倒だ、物価が上がって、売り上げが上がっても利益が下がり全く対象にならない、こういう声も出ており、事業者には全く不評であります。面倒な申請とせず、困っている事業者への確実な支援となるような抜本的な見直しが必要と考えますが、知事の見解を伺います。
 物価高騰は、子供のいる世帯の生活を直撃しております。9月補正予算案には、子育て世帯への県独自支援として児童1人当たり1万5、000円の追加給付が提案されています。これは評価したいと思いますが、子育て支援というのであれば、子育てで一番お金のかかる高校生18歳まで拡大すべきであります。
 県内の15市町村が18歳まで広げて実施しております。新たな新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用して拡充すべきと考えますが、必要な財源を含め示してください。
 介護事業所からも支援を求める声が上がっております。一関市内の高齢者施設では光熱水費で年間400万円の負担増となり、施設長からは、食事に1円でも安い代替品を探して栄養バランスを保った食事となるよう努力しているけれども、限界だ。盛岡市内の医療機関では、3、000万円規模の負担増となり赤字決算見込みだ、このように訴えられました。介護、高齢者施設などでは公定価格で運営されており、物価高騰で大きな影響を受けても利用料への転嫁は難しく、サービスの質を確保するための経営努力も限界になっています。
 県施設や学校給食に補正予算を組んで支援したように、医療、介護、福祉等の事業所へも光熱水費と食事代の高騰分に対する支援に取り組むべきでありますが、いかがでしょうか。
 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金は、本県には53億円交付されております。エネルギー、電力、ガス、食品価格など物価高騰を受けた生活者、事業者に対して幅広く活用できるものであります。
 県民の暮らしや中小業者などへの支援が緊急に求められており、今定例会中に補正予算案が提案できるような対応が必要と考えますが、知事の見解を伺います。
 日本世論調査会が行った調査では、物価高騰で必要な政策は、第1位が消費税減税、2位が賃上げであります。実質賃金は年収で61万円も減少し、この25年間、名目賃金が伸びておりません。政府の賃上げ促進税は賃上げをした企業への減税であり、企業の7割を占める赤字企業には何の恩恵もありません。
   〔議長退席、副議長着席〕
 日本共産党は、法人税減税や大企業優遇税制で2012年以降ふえた内部留保に年2%、5年間で10%の時限課税を行って、総額10兆円の税収で中小企業への直接的支援を行って大幅な賃上げを提案しております。
 ことしの岩手地方最低賃金審議会では、初めて中小事業者への直接支援を求める附帯決議も上がりました。物価が上がり続けても30年間も実質賃金が上がらない、この構造を脱却することが必要であると思います。
 消費税減税は、コロナ禍の中でも世界98カ国が実施しております。消費税の緊急減税とともに中小企業への支援を行って、国の責任で賃上げができるよう対応することが必要と思いますが、知事の見解を伺います。
 第3に、ケア労働者の賃上げ、処遇改善事業について質問いたします。
 介護、保育、医療など高い専門性と責任が求められるケア労働者が、社会に必要なエッセンシャルワーカーとされる一方、その役割に見合った処遇でないことが大きな問題となっております。新型コロナウイルス感染症感染拡大などで厳しい仕事を強いられる中で、職員の使命感が薄れ離職する職員も少なくありません。これは、他産業と比べて保育、介護職では月額6万円を超える格差があり、これが離職につながる大きな要因となっております。
 こうした中で政府は、ケア労働者の処遇改善を図ることを表明し、2月から9月まで介護、保育などで月額9、000円、看護では月額4、000円の処遇改善事業を実施いたしました。しかし、申請期間が短く、看護職では対象が限定的、10月以降の制度が不透明なこともあって十分な取り組みにならなかった等、課題も指摘されております。
 県内の処遇改善事業の状況、実績はどのようになっているのでしょうか。
 次に、10月以降の処遇改善に係る県の対応について伺います。
 今月からの処遇改善事業は、これまでの補助金から、保育は公定価格による措置、介護と医療は介護報酬、診療報酬への移行となります。介護事業所では利用者と被保険者に、医療機関では保険者や患者の負担になってしまいます。
 処遇改善事業の見直しによる利用者、患者、県民への影響と負担はどのように試算されているのでしょうか。患者などに負担を求める処遇改善となる制度は見直しを国に求めていくべきでありますが、いかがでしょうか。
 県立病院では、20病院中15の病院だけが月額1万2、000円の処遇改善事業を計画しております。職場での分断と格差、病院間での患者負担にも格差が出るような処遇改善事業は見直し、昨年度の43億円余の利益を活用して全ての看護職員が平等な処遇改善となるように改善をすべきでありますが、いかがでしょうか。今回の処遇改善対象とならない人員数、処遇改善の対象とした場合の財源を示してください。
 次に、子供の医療費助成事業の拡充について伺います。
 子供の医療費助成は、盛岡市、久慈市、滝沢市が、来年度から高校生まで助成することとなり、県内全ての市町村で高校生まで広げることとなりました。これまでは中学生までが現物給付となっていますが、高校生は、後日還付を受ける償還払いとなります。
 来年度からは高校生まで現物給付を広げるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 子供の医療費に助成する自治体が広がる中で、政府は、自治体の取り組みを応援するどころか、小学生以上の現物給付にペナルティーを科し、国民健康保険に対する国庫負担の減額措置を続けています。それでも自治体が努力しているのは、お金の心配なく安心して子育てができるようにという保護者や住民の願いがあるからであります。
 全国知事会など地方6団体が、ペナルティーの廃止や全国一律の医療費助成制度の創設による少子化対策の抜本強化を繰り返し国に要請しています。
 国の動向はどうなっているのでしょうか。高等学校まで現物給付を広げた場合の増加額も示してください。
 第5に、東日本大震災津波からの復興の課題であります。
 被災者の医療費、介護保険利用料の免除措置は11年間継続し、11年目は非課税世帯に限定し実施し続けたことは、被災者の命綱となり大きな役割を果たしました。しかし、残念なことに昨年12月で終了いたしました。
 岩手県保険医協会が免除を打ち切った後に行った被災者医療費窓口負担実態調査では、通院回数が減った、通院できなくなった、この合計が、国保世帯で55.9%、後期高齢者医療では42.2%となっております。6月県議会定例会では、被災者が経済的な理由で受診できないことがないよう、より踏み込んだ対策を講じるという請願が採択となりました。
 被災者の実態と請願採択を受けた対応について、知事の見解を伺います。
 次に、災害公営住宅入居者へのコミュニティー支援についてであります。
 先日、私は、陸前高田市の県営栃ヶ沢災害公営住宅の入居者と懇談を行いました。入居者からは、電気代の値上がりが大きく共益費の負担が大変だ。役員が高齢化し、今リーダーが必要で、生活支援相談員が配置されれば大変助かる、このようなさまざまな要望をいただきました。
 市営住宅の場合は、空き住居分や集会所の共益費を支援しており、県営住宅でも同じような対応をすべきですが、いかがでしょうか。
 集会所への相談員配置はこれまで議会でたびたび求めてきましたが、9月末現在、3市町4カ所にとどまっており、多くの集会所は鍵がかかっております。集会所が比較的活用されている栃ヶ沢県営住宅でも、相談員の配置の強い要望がありました。
 相談員配置を改めて求めるものでありますが、配置が難しい理由を含め、その検討状況について伺います。
 昨年4月に開設したいわて被災者支援センターは、困難を抱える被災者、避難者への相談、弁護士による沿岸4地区での説明会、県外及び県内避難者実態調査に基づく避難者への帰還支援などに取り組み、全国からも注目されております。
 令和3年度の相談対応回数は1、288回となっており、今後は、相談を待っているのではなく、アウトリーチ支援が必要になってきます。現体制では相談に即対応できないなどの課題も伺っております。
 4人分の人件費ではなく、こころのケアセンター並みに8人から9人の人件費とすべきでありますが、いかがでしょうか。
 次に、気候危機の打開について質問をいたします。
 県は2030年度の温室効果ガスの排出量について、当初の削減目標から16%引き上げ57%排出削減を進める素案をまとめ、環境審議会に提案いたしました。
 57%削減する目標の根拠とともに、どのような取り組みで達成しようとしているのか伺います。
 引き上げる削減目標を達成するためにも、住宅の新築、改築を含め住宅全体の省エネ性能を底上げすることが重要になっています。WHOでは、各国に住生活の観点から、寒さ対策として冬季室内温度を18度以上とするように勧告しております。
 国の対応は、2030年までに省エネ基準を段階的に引き上げ、ZEH基準を新築建築物に義務化するとしています。新築、改築を含め国の低い基準を超える高断熱の住宅建築を推進し、性能に応じた補助を行うなど思い切った取り組みが必要であります。
 県は、岩手型住宅のガイドラインの見直しの中で検討するとしてきましたけれども、どのように検討されてきたのでしょうか。
 家庭のエネルギー消費で最も多いのが照明、家電製品等による消費であります。県民一人一人に身近な省エネ手法の実践と高効率家電への転換を促し、暮らしの質の向上とエネルギー消費量を削減する必要があります。積極的なPRが必要と考えますが、どう取り組まれるのでしょうか。
 県は、県有施設の再生可能エネルギー導入に向けた調査を行っております。導入に適した施設から積極的に導入すべきでありますが、これらの調査の概要と今後の方針についても伺います。
 次に、農業の諸課題について質問いたします。
 輸入飼料、肥料価格など農業資材高騰がとまりません。生産者への直接支援を抜本的に拡充することが喫緊の課題であります。
 100頭の乳用牛を育てる酪農家は、配合飼料が1.5倍となり、配合飼料価格安定制度の補填も十分ではなく、値上げ分の影響を直に受けている。酪農を続けたいけれども頑張る気持ちが起きない。土地改良区役員からは、今年度の電気代は400万円増だけれども、来年は料金見直しで2、000万円の負担増となり、賦課金を引き上げざるを得ない、このように訴えられました。県内の米農業経営体の95%、5ヘクタール以下の農家は既に採算割れをしており、物価高騰は農業の危機に拍車をかけるものであります。
 政府がこの間示した肥料価格高騰対策事業は、コスト上昇分の7割補填、飼料価格高騰緊急対策事業は1回限りであり、十分ではありません。国の飼料高騰対策に上乗せして独自に支援する自治体が、山形県を含め全国で24県となっております。
 土地改良区への支援を含め県独自の支援策が必要と考えますが、どう検討されているでしょうか。
 飼料価格の高騰は、ウクライナ危機もあり、輸入原料の相場は今後も落ちつきを見通せず、海外からの高騰前のように安定的に確保できる保証はありません。国内生産をふやし自給率向上への体制構築が急務であります。
 子実用トウモロコシの作付拡大にも既に取り組まれておりますが、飼料などの自給率向上に計画的に取り組むべきと考えますが、県の対応策を示してください。
 水田活用交付金の見直しは、自給率向上に逆行するものであります。飼料組合が解散する状況も出ておりますが、今年度の作付状況と影響はどう把握されているでしょうか。飼料自給率に逆行する水田活用交付金の見直しは、改めて撤回を国に求めていくべきでありますが、いかがでしょうか。
 次に、県立高校再編計画について質問いたします。
 高校再編計画後期計画では、盛岡一極集中を緩和して、人材育成など地方創生を担う1学級校や1学年2学級の学校はできる限り維持する、こう明記いたしました。不来方高等学校と盛岡南高等学校の統合の効果が出る前に、周辺校の沼宮内高等学校の学級減を強行することは、後期計画の基本方向にも反するものであります。
 地元岩手町では、今年度予算に1、559万円の予算を組んで、公営塾の開設、通学費の補助、給食支援、沼宮内高等学校では、沼高通信を中学生に配布するなど、地元入学率を高める努力が始まっております。岩手町と町議会、同窓会などからも再考を求める要望が出ており、この計画は見直すべきであります。
 福岡工業高等学校と一戸高等学校の統合は、令和6年度を目指して、学級減は維持したままの計画となっております。これまで、総合学科については、原則3学級以上を確保して、なお生徒数の減少により学校規模の維持が困難な場合は、学科見直しも視野にその方向性を検討するとしてきました。既に学級減の対象検討だった一戸高等学校の検討はされずに、後期計画では、2学級規模が維持できている福岡工業高等学校と統合することは、合理的ではありません。統合しても、総合学科が成り立つかどうかわからない統合で、どのような新しい高等学校ができるのか疑問であります。
 県北唯一の工業高等学校を存続して、総合学科のあり方を検討することが必要と考えますが、教育長の見解を伺います。
 最後に、自由民主党の国会議員の約半数が関係を持ってきた、反社会的集団である統一協会、国際勝共連合について、知事に質問いたします。
 統一協会の重大な問題点は、みずからの正体を隠して信者に取り込み、霊感商法や高額献金、集団結婚式などを強いてきたことです。そうした反社会的行為を覆い隠すために政治家に取り入り、政治家側では選挙の手足となって活動する、こういう癒着がつくられてきました。政治家が祝電、挨拶を行い、また、自治体が後援したことが、多くの被害者を生み出す結果となっています。
 岩手県議会でも6人がかかわっていたと報道されています。県行政はどうだったのでしょうか。
 解散命令について、信教の自由を理由に政府は慎重な姿勢であります。宗教法人格がなくなれば税制上の優遇などがなくなりますが、宗教団体としては活動できます。今後も宗教法人格として特権を付与して優遇することは、県民の理解を得られるものではありません。
 今、大きな政治問題になっている統一協会問題について、知事の認識を伺います。
 以上で質問を終わります。答弁によっては再質問をいたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 高田一郎議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、第7波の感染拡大の要因と取り組みの検証についてでありますが、国の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードによると、第7波の流行の要因は、より感染力の強いオミクロン株BA.5系統に置きかわったこと、ワクチンの3回目接種と感染により獲得された免疫が徐々に減衰したことなどと分析しており、これまで発症が少なかった若い世代を含む全世代への感染と、これに関連した学校、高齢者施設など施設クラスターにより、さらに感染を拡大させたものと考えております。
 県では、関係機関と連携した医療提供体制の強化や介護が必要な高齢者へ対応する宿泊療養施設の拡充、自宅療養者を支援する健康フォローアップセンターの設置、全国を上回るペースでのワクチン接種の推進など、感染拡大防止対策を強力に講じてきたところであり、全国的に感染者が増加する中で、県民の協力のもと、感染者数を一定程度に抑えてきたところであります。
 今後の感染拡大に備え、これまでの対策を検証し対応する必要があることから、県では、BA.5系統の特性等を踏まえた具体的な対応方針を提示するよう、全国知事会を通じて国に対し提言を行っているところであります。
 ことしの冬に向けて、新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザの同時流行が懸念されることから、発熱等の症状を有する患者が適切な医療を受けられるよう、関係機関と連携し、引き続き、診療・検査医療機関や検査体制の充実、ワクチン接種の推進に努めてまいります。
 次に、物価高騰による県民と事業者への影響についてでありますが、県が今月公表した岩手県の景況では、県内の景気は持ち直しに向けた動きが見られるとしているものの、盛岡市の消費者物価指数は、昨年6月以降、前年を上回って推移しており、特に今年度に入ってからは、食料品や光熱水費等の上昇の影響を受け、前年同月比プラス2.0%を超える高い水準となっているところです。
 また、県が商工指導団体と連携して実施している事業者調査でも、食材、水道高熱費、資材の高騰が大きく経営上の負担となっている、値上げが追いつかないといった声が多く寄せられるなど、県民や事業者への影響は非常に大きいものと認識しております。
 次に、物価高騰対策支援金についてでありますが、事業者に対する支給実績が低調な要因については、これまでの地域企業経営支援金や家賃補助に比べて支給額が少額であることや、確認書類が多くなったこと等により事業者の負担がふえ、事務局における審査にも時間を要していること等によるものと認識しております。
 一方で、県が商工指導団体と連携して実施している影響調査においては、多くの事業者が、いまだコロナ禍前の売り上げ回復には至っておらず、今年度に入り、原油高や原材料価格の高騰による影響を指摘する声がふえており、こうした支援金に対するニーズは高いものと考えております。
 このため、商工指導団体等を通じて、事業者に対して支援金の活用についての情報提供を改めて徹底するとともに、多くの事業者に活用されるよう、確認書類の見直し等を含めた検討を早急に進めてまいります。
 次に、さらなる物価高騰対策についてでありますが、ロシアによるウクライナ侵略、世界的な物価高騰など、世界規模で不確実性が高まる中、エネルギー、食料品価格等の物価高騰は、本県においても、現下の危機として県民や中小事業者等に影響を及ぼしていると認識しております。
 そのような認識に立って、県民一人一人に寄り添った支援を実施するため、県ではこれまで、国から示された40億円余の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金に対して、全国に先駆けて、総額93億円余に上る対策を講じてまいりました。
 今定例会においても、影響の長期化を踏まえた追加対策として、子育て世帯に対する県独自の支援金、鉄道事業者に対する燃料費等高騰支援、農家等に対する肥料価格高騰に係る負担軽減策などを盛り込んだ補正予算案を提案しております。
 まずは、これらの支援策を必要な方に迅速かつ確実に届けていくとともに、今後、物価高騰等が実体経済や県民生活へ与える影響や国の総合経済対策の内容を注視しながら、議員御指摘の交付金重点支援分も活用して、必要に応じて追加の支援策の検討を進めてまいります。
 次に、物価高騰対策としての消費税減税についてでありますが、コロナ禍において、さまざまな国で、落ち込んだ需要を喚起するため消費税の減税などの経済対策がとられているものと承知しており、経済回復の途上にあって物価高に見舞われている我が国においても、地域で生活する人々の消費する力が維持され、活力が損なわれることなく経済が動いていくことが重要と考えております。
 消費税については、地方においても子育て支援や介護人材確保などの社会保障財源となっているものでありますが、一方、原油を初めとするエネルギー価格や半導体、農林水産物等のさまざまな原材料、資材価格の高騰が、国民生活や事業者の活動に広く影響を及ぼしている現在の状況を踏まえ、減税が有効であるとする意見もあります。
 県としては、これまで、全国知事会等を通じて、物価高騰対策の拡充やさまざまな産業分野の事業者、生活困窮者への支援等について要請してきたところであり、今後も引き続き、県民の暮らしとなりわいを守るため、国に対し、大胆かつ強力な財政出動と地方重視の経済財政政策の必要性について、さまざまな機会を通じて提言等を行ってまいります。
 次に、中小企業の賃上げについてでありますが、県内経済は、改善傾向が見られるものの、多くの事業者は、いまだコロナ禍前の売り上げ回復までには至っておらず、加えて、最近は原油高や原材料価格の高騰、円安の影響を指摘する声がふえており、引き続き厳しい経営環境を強いられる中で、物価上昇等に伴う賃上げの原資を確保することは、容易ではない状況と認識しております。
 このため、全国知事会を通じて、生産性向上への支援や価格転嫁の円滑化による取引適正化等を進め、地域の企業の賃上げを可能とする環境整備の推進や大胆な経済対策の実施について、国に要請しているところです。
 県としても、引き続き、地域の中小企業の生産性向上など、賃上げにつながる取り組みに対する支援を進めてまいりたいと思います。
 次に、医療費、介護保険利用料の一部負担金免除の終了後の被災者への支援についてでありますが、医療を必要とする方が適切な医療を受けられることは重要であり、議員から御紹介いただいた実態調査結果などの被災者の声に耳を傾け、被災者に寄り添った支援を進めていくことが必要と考えております。
 このため、これまでも高額療養費制度の活用や生活福祉資金の貸し付け、被災者の置かれている状況によっては、生活保護による医療扶助の活用等の各種支援制度や相談窓口の周知と活用に努めてきたところでありますが、今年度、新たに生活支援相談員等に対する被災者への支援強化の要請、各種支援制度を取りまとめたリーフレットの作成と配布、各市町村の国保所管部署と福祉所管部署の連携による相談体制の強化、市町村広報における周知の強化などに取り組んでいくこととしております。
 今後においても、市町村や関係機関との連携を強化し、相談窓口につながっていない被災者にも、必要とする支援制度の情報が届くよう周知に努め、被災者一人一人の状況に応じて着実な支援につなげていくよう取り組んでまいります。
 次に、旧統一教会問題についてでありますが、知事部局、教育委員会、医療局、企業局において、旧統一教会及びその関連団体である国際勝共連合、天宙平和連合、平和大使協議会、世界平和連合、世界平和女性連合、世界日報、全国大学連合原理研究会、国際ハイウェイ財団、日韓トンネル研究会の計10団体からの団体主催行事に係る共催、後援、協賛等の要請、職員の出席、祝辞、その他の協力依頼、県に対する寄附の申し入れの事例は、現時点では、いずれも確認されていないところであります。
 国においては、9月5日から関係省庁による合同電話相談窓口を開設し、政府を挙げて被害者の救済に取り組んでいるものと承知していますが、県民生活センター等にも、入信の勧誘や財産に関する相談が平成24年度から令和4年9月までに20件寄せられており、県としては、今後とも相談内容に応じた窓口での支援など適切に対応してまいりたいと思います。
 いわゆる旧統一教会問題に係る認識については、非人道的な金集めや非人道的な信者の処遇によって、健康で文化的な最低限度の生活を奪われるなど、基本的人権の侵害と言えるような看過し得ない被害を多くの人々が受けており、それら被害者の救済と被害の防止が極めて重要であると考えます。
 そのような被害者を出す活動に権力や権威のある者がお墨つきを与えることは問題であり、国会を中心に、国民的な情報の共有のもと、国民的な決断によって一連の問題が解決されることを期待いたします。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔保健福祉部長野原勝君登壇〕
〇保健福祉部長(野原勝君) まず、高齢者施設での感染対策と減収対策についてでありますが、高齢者施設等でクラスターが多発した令和4年8月に臨時休業を行った事業所は85カ所となっており、対前年比8.5倍となっております。
 休止期間中は介護報酬が得られず、再開後も利用者数が平時の状態に戻るまで減収が続くことから、長期化した場合、経営に大きな影響を及ぼしているものと認識しております。
 また、人材不足の状況については、クラスターによる離職者の全体数の把握は難しいところでありますが、感染した職員がクラスター収束後に離職する事例等があると聞いており、人材不足の一因となっているものと考えております。
 クラスターが発生した施設等に限らず、利用控え等による減収等への支援は全国的な課題となっていることから、国の責任において支援を行うよう、全国知事会から要望を行っているところであり、引き続き、全国知事会と連携し必要な対応を行ってまいります。
 次に、全数届け出の見直しについてでありますが、令和4年9月26日からの全国一律の見直しにより、65歳以上などの重症化リスクの高い患者以外の方は、医療機関による発生届の対象外となったことから、これらの方に対し、医療機関において健康サポートの案内チラシを配布し、みずからいわて陽性者登録センターに登録いただいております。
 また、県で設置した抗原検査キット配布センターに申し込まれた方については、キット送付時に陽性者登録センターの案内を同封しているほか、県ホームページなどでも、陽性になった方への登録について周知を行っております。
 これにより登録された方については、看護師や医師を配置しているいわて健康フォローアップセンターが、24時間体制で対応し、電話等での健康サポートを1日平均280件程度、食料配布については1日平均50件程度行うなど、自宅療養者の支援体制を構築しております。
 また、高齢者施設などでの集団感染の把握についても、これまでの感染性胃腸炎の集団発生などと同様に、所管の保健所への連絡体制を構築しており、見直し後も25件確認し、施設等への感染対策の助言などを実施しているところでございます。
 次に、ワクチンの接種率向上についてでありますが、現在流行のオミクロン株に対応したワクチン接種が、一、二回目接種を終了した12歳以上の全ての方を接種対象とされたことを踏まえ、県内でも、9月24日の県の集団接種を皮切りに早期の段階から接種を実施しており、市町村でも順次、接種を開始しているところであります。
 県では、ワクチン接種の促進に向け、市町村と定期的に連絡会議を開催し、学校等の単位での接種など、県内の先進事例の横展開を図っているほか、県の集団接種会場では、土曜日午前の時間帯での接種や事前予約なしの当日受け付け、さらに、11月からは、企業や団体等を対象とした団体接種を、大学のサークルなどのグループや家族単位でも申し込みができるよう、対象範囲を拡大の上、実施することとしております。
 今後、ワクチン接種を希望する方が速やかに接種を終えることができるよう、引き続き、市町村や関係機関と連携し、医療従事者の確保や県集団接種、職域接種の支援、ワクチン接種の正確な情報の発信などにより、接種の加速に取り組んでまいります。
 次に、検査体制の強化についてでありますが、薬局等での無料検査の実績については、令和3年12月から令和4年9月25日までで、PCR検査は3万7、927件中、陽性が538件、抗原検査は5万5、033件中、陽性が864件で、陽性率はそれぞれ1.4%、1.6%となっております。
 薬局等の無料検査は国の交付金を活用した補助事業であり、感染状況を踏まえ、国との協議において、全国的に1カ月ごとに期間の延長が認められる取り扱いとなっております。
 高齢者施設等への抗原検査キットについては、濃厚接触者となった職員の早期復帰のための検査等に活用するため、希望する施設に配布しているほか、今後、国から配布される抗原検査キットを活用し、入所系のほか、通所系や訪問系の高齢者施設等の従事者等を検査対象とした集中的検査の実施について検討しているところであります。
 引き続き、各市町村とも連携し、重症化リスクの高い高齢者などのクラスターを未然に防止するため、感染状況に応じて有効な検査の実施に努めてまいります。
 次に、新型コロナウイルス感染症の後遺症への対応についてでありますが、県では、令和3年度の調査結果を踏まえ、県医師会と調整を行い、各医療機関に対し、罹患後の症状が疑われる方が受診した際には、国の診療の手引きに基づき対応すること、また、症状を有する方については、かかりつけ医または最寄りの内科で対応し、必要に応じて専門医を紹介することとし、県ホームページにおいて県民向けに周知をしているところであります。
 罹患後の症状については、いまだ治療法が確立しておらず、現状では対症療法とならざるを得ないことなどから、県内の医療機関に専門外来等は設置されていない状況にありますが、その相談については、保健所や一般相談窓口であるコールセンターにより、症状に応じて医療機関の受診を案内するなどの対応をしているところであります。
 今後においても、最新の国内研究の結果や科学的知見に基づき、国において随時更新していく診療の手引きを医療機関へ周知するとともに、罹患後の症状に対応している医療機関の状況も把握しながら、県医師会及び医療機関と連携して、罹患後の症状に悩む方々が、適切な治療を受けられるよう取り組んでまいります。
 次に、子育て世帯への支援の拡充についてでありますが、今定例会に提案している、いわて子育て世帯臨時特別支援金給付事業費補助は、物価高騰が継続している状況に鑑み、その影響に直面している子育て世帯に支援金を給付する市町村に対して、対象児童1人当たり1万5、000円を補助するものであり、本年5月臨時会で議決いただいた支援金給付に続いて、2回目の給付を行おうとするものであります。
 コロナ禍において、依然として若年者の感染が高い水準にある中、中学校修了前の児童を養育する家庭は、保育所や学校の一部閉鎖等により、保護者も仕事を休まざるを得ないことで収入が減少するなど、物価高騰の影響を特に受けていると判断したこと、また、迅速に支援を行う必要があることから、中学校修了前の児童を対象とするプッシュ型の児童手当のスキームを基本として実施することとしたところであります。
 支給対象を高校生等の18歳まで拡大した場合は、対象者数が約2万9、000人の増となり、給付費用約4億6、000万円の増額が必要と見込まれるところであります。
 議員御指摘のとおり、物価高騰は、高校生を養育する家庭等、広く県民に影響を及ぼしており、長期化することも予想されるところでありますが、支援の拡充については、今後の物価の動向やその影響、施策の効果などを踏まえて検討すべき課題であると認識しております。
 次に、医療福祉事業者への支援についてでありますが、議員御指摘のとおり、多くの医療福祉事業者において、燃料代、電気代、食材費等の物価高騰による影響が生じているものと承知しております。
 県内の医療福祉関係団体からは、診療報酬や介護報酬等の公定価格により運営されている医療福祉事業者は、物価高騰による影響を価格に転嫁することができず、経営努力のみでは対応が困難な状況となっており、物価高騰への支援が必要である旨、要望をいただいているところであります。
 施設における物価高騰対策は全国的な課題となっていることから、国において支援を行うよう、県としても国への要望等、必要な対応を行ってまいります。
 次に、介護職員等の処遇改善の状況についてでありますが、今回の処遇改善事業は、看護、介護、保育など、新型コロナウイルス感染症への対応と少子高齢化への対応が重なる最前線において働く方々の収入の引き上げを行うため、ことし2月から9月まで、全額国費により実施したものであります。
 その引き上げ額は、看護職員等が賃金の1%程度の月額4、000円、介護職員や保育士等が賃金の3%程度の月額9、000円となっており、対象となる施設等に対して補助しているところであります。
 本県における実施状況は、今後支給が予定される分も含め、9月末時点で、看護職員は救急医療を担う27病院、2億1、000万円余、介護職員、保育士等は4、106施設、20億3、000万円余の、計4、133カ所、22億5、000万円余となっております。
 次に、介護職員等の処遇改善についてでありますが、議員御紹介のとおり、国では、介護職員等の処遇改善について、10月以降は介護報酬や診療報酬等の改定により実施することとし、介護職員等の賃金は、9月までと同じ月額9、000円、看護職員の賃金は、9月末の月額4、000円から1万2、000円に引き上げることとしております。
 これらに伴う介護施設等の利用者や病院の患者の負担については、各施設の職員数や提供するサービス内容などにより異なることから、その影響額を正確に算出することは困難でありますが、例えば、9月までの処遇改善事業の実支給額をもとに、介護施設等における利用者負担を1割、病院における患者負担を3割と仮定すると、粗い試算ではありますが、介護施設等では、利用者1人当たり月額170円から200円程度、病院では、入院患者1人当たり1日160円程度の負担増となるところであります。
 また、介護保険については、国によると、65歳以上の1号保険料の改定は行われず、40歳から64歳までの2号保険料は、1人当たり月額70円程度の負担増が見込まれるとされております。
 県では、全国知事会とも連携しながら、介護職員、看護職員等の処遇改善に当たり、利用者の負担が伴わない制度設計などについて国に対して要望しているところであり、引き続き、必要に応じて要望を行ってまいります。
 次に、現物給付の拡大についてでありますが、県では、人口減少対策としての総合的な子育て支援施策の一環として、市町村等と協議の上、令和2年8月に全県一律で現物給付の対象を中学生まで拡大してきたところであります。これにより子育て家庭の経済的な負担が軽減され、その置かれた環境に左右されることなく、子供の適正な医療の確保が図られてきたと考えております。
 一方、現物給付の対象の拡大に当たっては、新たに国民健康保険の国庫負担金等に減額調整措置、いわゆるペナルティーが発生することから、国に対し、医療費助成事業の現物給付化による国庫負担金の減額調整措置の撤廃について要望しているところであります。
 議員御提案の高校生までの現物給付の拡大については、新たに発生する国民健康保険の国庫負担金等の減額調整措置などの課題について、市町村と十分に協議を重ねながら検討を進めてまいります。
 次に、子供医療費助成に関する国の動向等についてでありますが、国においては、平成30年度から、未就学児までを対象とする現物給付について、国民健康保険の国庫負担金等の減額調整措置、いわゆるペナルティーを行わないこととしてきたところでありますが、さらなる減額調整措置の廃止については、現時点では具体的な検討には至っていないものと承知しております。
 子供の医療費助成は、本来、自治体の財政力の差などによらず、全国どこの地域においても同等な水準で行われるべきであり、全国一律の制度の創設と減額調整措置の廃止について、引き続き国に対し要望してまいります。
 また、高校生まで現物給付の対象を広げた場合に新たに発生する減額調整措置額は、粗い試算ではありますが、県全体で年間1、000万円程度と見込んでおります。
 次に、災害公営住宅への生活支援相談員の配置についてでありますが、本県では、生活支援相談員を配置して、被災者の見守り等の個別支援やサロン活動等の地域支援を重点的に実施する地域見守り支援拠点の設置を推進してきたところであり、今年度は1カ所新設し、5市町に10カ所の拠点が設置されています。
 これらの拠点は、地域の支援ニーズを踏まえ、4カ所の災害公営住宅のほか、複数の災害公営住宅が立地する地区や防災集団移転先団地、被災者が通いやすい商店街などに設置されており、災害公営住宅の入居者に加え、持ち家を再建した被災者等も対象とした支援ができるよう運営されているものであります。
 県としては、引き続き、市町村や市町村社会福祉協議会等の意向を伺いながら、こうした地域の実情に応じた拠点の取り組みなどにより、災害公営住宅の入居者相互の交流や近隣住民との交流を促進し、地域で暮らす人々が相互に支え合うことができる福祉コミュニティーの形成を推進していく考えであります。
   〔医療局長小原勝君登壇〕
〇医療局長(小原勝君) 県立病院の看護職員の処遇改善についてでありますが、国の看護職員等処遇改善事業については、令和4年度診療報酬改定において、救急搬送件数が年間200件以上で、診療報酬の救急医療管理加算の算定を届け出している病院、または三次救急を担う救命救急センターを有する病院に勤務する看護師、准看護師及び助産師が対象とされており、医療局においては、10月以降、財源が補助金から恒久的な診療報酬に移行したことを踏まえ、この施設基準を満たす15病院の看護師、准看護師及び助産師約3、150人を対象に、月額1万2、000円の特殊勤務手当を支給する予定であります。
 これに係る年間所要額は、特殊勤務手当が5億2、700万円余、超過勤務手当等基礎額増加による増加分が7、300万円余、合計で6億100万円余となり、うち医療局の負担は7、300万円余となるのに対し、全病院を対象とした場合は、対象が約300人増加することに伴い、さらに5、400万円を要し、医療局の負担は年間1億2、800万円余となる見込みです。
 今回の処遇改善については、他の都道府県立病院との均衡のほか、先ほども述べた、財源が恒久的な診療報酬に移行されたことを踏まえ、今後の経営への影響等を考慮して決定したものであります。
   〔県土整備部長田中隆司君登壇〕
〇県土整備部長(田中隆司君) まず、災害公営住宅の共益費の支援についてですが、災害公営住宅の共益費については、一般の県営住宅との公平性の観点から、県営住宅等条例において入居者の負担としております。
 なお、空き住戸が多いほど世帯当たりの共益費負担は増加することから、県では、空き住戸の発生を抑制するため、令和2年7月から、被災者以外の入居を認める一般募集を実施するとともに、本年4月から、被災者の収入超過者認定の要件緩和などを行ったところです。
 また、今年度創設したいわてお試し居住体験事業では、災害公営住宅においても、県外からの移住希望者を入居の対象とするなど、災害公営住宅の入居促進に努めているところです。
 次に、住宅の省エネ性能の底上げについてでありますが、改正建築物省エネ法(建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律)において、新築住宅は、2025年度までに現行基準への適合が義務化され、2030年にはZEH基準に引き上げられることとなっております。
 また、今月には、地方公共団体が地域の気候、風土の特殊性を踏まえ独自に設定するZEH基準を上回る住宅性能を評価するための基準が、国から示されたところです。
 県といたしましては、ZEH基準を超える省エネ住宅の普及は、2050年カーボンニュートラルを実現する上で重要な視点と考えており、岩手型住宅ガイドラインの見直しに向けては、国の動向や先進自治体の取り組みを参考にしつつ、本県の基準の方向性について、岩手県住宅政策懇話会で意見を聞いてまいります。
   〔復興防災部長佐藤隆浩君登壇〕
〇復興防災部長(佐藤隆浩君) いわて被災者支援センターについてでありますが、センターでの相談内容は、発災からの時間の経過とともに、恒久的住宅への移行後のローン返済や家賃負担など、経済面や生活設計の面などで複雑かつ多様化しており、これらの相談に的確に対応できるよう、専門的な支援が必要なケースについては、弁護士やファイナンシャルプランナーなどとも連携しながら、一人一人の状況に応じたきめ細かな支援を行っているところです。
 今後とも、弁護士等の専門家と直接相談できるセンターの特徴を十分に生かしていけるよう、引き続き、弁護士会など関係機関との連携を図るとともに、介護や子育て、生活困窮など、さまざまなニーズに対応した包括的な支援に取り組む市町村や市町村社会福祉協議会などとも一層の連携を図ってまいります。
 こうした関係機関とのより一層の連携を図ることなどにより、センターの機能をさらに充実強化し、被災者一人一人に寄り添い支援してまいります。
   〔環境生活部長福田直君登壇〕
〇環境生活部長(福田直君) 温室効果ガスの削減目標についてでありますが、2030年度の温室効果ガスの実質排出量については、昨年10月に政府が2013年度比の削減目標を26%から46%に見直したところであり、現在検討を進めている本県の新たな削減目標も、基本的にこの算定の考え方に準拠しております。
 具体的には、家庭部門で57%、産業部門で41%、業務部門で60%、運輸部門で32%にまで削減目標をそれぞれ引き上げることとし、全体では2030年度の削減目標を41%から57%に見直すことになります。
 この削減目標を達成するためには、省エネ住宅の普及はもとより、省エネ設備の導入、次世代自動車の普及、さらには再生可能エネルギーの導入などに総合的に取り組むことが不可欠であり、温暖化防止いわて県民会議の充実や市町村との連携などを図りつつ意欲的に取り組みを進めてまいります。
 次に、省エネのPRについてでありますが、家庭における省エネの意義や効果をわかりやすく伝えることは重要であり、本県でも、いわてわんこ節電所と銘打ったホームページの中で、家庭のエコチェックとして、こまめな節電や省エネ家電への買いかえなどによるCO2削減効果の目安を把握できるようにしておりまして、これまでに6万人近くの方に参加いただいております。
 その上で、昨今の物価上昇の中で省エネに対する関心がより一層高まっているほか、省エネは快適な生活をもたらし得るといった多面的な効用も見込まれますので、今後、家庭のエコチェックの内容の充実に向けて検討を進めてまいります。
 また、民間企業においても、それぞれのサプライチェーンの中でCO2排出量の可視化を求められる動きが県内でも見られるところであり、地元金融機関と提携した可視化サービスの利用も徐々に広まりつつあることから、今後このような取り組みがさらに広がるよう、温暖化防止いわて県民会議の中で周知を図ることも検討してまいります。
 次に、県有施設への再生可能エネルギーの導入についてでありますが、公共施設で再生可能エネルギーの導入を率先して進めることは重要であり、ことし7月に、県の公共施設等総合管理計画に再生可能エネルギーの導入を含む脱炭素の視点を新たに盛り込んだほか、県有施設の面積や日照時間、積雪の状況などを踏まえた太陽光発電設備の導入可能性調査を今年度中に行うこととしております。
 その上で、県有施設への再生可能エネルギーの導入に当たっては、国の交付金や有利な起債メニューの活用、さらには、PPAによる屋根貸しといった複数の選択肢が存在することから、それぞれの県有施設における最適な導入手法や優先順位などを吟味した上で、来年度には具体的な導入計画を作成し、関係部局と連携しながら、順次導入を図ってまいりたいと考えております。
   〔農林水産部長藤代克彦君登壇〕
〇農林水産部長(藤代克彦君) まず、農業資材高騰対策についてでありますが、県では、国際情勢の変化等により肥料や飼料など生産資材の価格が高騰している状況を踏まえ、国に対し、肥料や飼料等の価格高騰への対応や、農業水利施設の維持管理に係る電気料金への支援などを要望しているところです。
 また、農業経営に及ぼす影響を緩和していくため、配合飼料や肥料のコスト上昇分を補填する国事業の活用を積極的に進めるとともに、県独自に、6月補正予算において、配合飼料価格の上昇や園芸施設の省エネルギー化の取り組みに対する支援策を措置するほか、さらに、本定例会の補正予算案に、肥料コストの低減に向けた機械や設備の導入への支援に要する経費を盛り込んでいるところです。
 こうした支援策を迅速かつ確実に実施していくとともに、引き続き、農業生産資材等の価格や国の動向を注視しながら、生産者の経営安定が図られるよう、県としてどのような支援が可能か検討してまいります。
 次に、飼料自給率の向上についてでありますが、県では、本県の強みである自給飼料の生産拡大に向け、牧草地や飼料畑の整備、水田を活用した飼料用米やホールクロップサイレージ、子実用トウモロコシ等の生産を推進しております。
 さらに、本年度は、牧草地の生産性を高める簡易な整備や飼料用トウモロコシの収穫後にライ麦を作付する二毛作を推進するほか、来年度の子実用トウモロコシ等の作付拡大に向け、現在、畜産農家等の需要を調査しており、今後とも、本県の飼料自給率が向上していくよう取り組んでまいります。
 次に、水田活用直接支払交付金についてでありますが、令和4年産の水田の作付状況は、現時点で公表されておらず、交付金見直しによる影響をお示しすることは難しいところですが、地域において粗飼料の安定供給を懸念する声があると承知しております。
 県では、国に対し、水田を有効に活用した多年生牧草等の生産への支援を拡充すること等を要望しており、国では、現在、粗飼料の安定供給への支援などを検討していると聞いております。
 県としては、国の検討状況を注視するとともに、引き続き、全国知事会とも連携しながら国に対応を求めてまいります。
   〔教育長佐藤博君登壇〕
〇教育長(佐藤博君) 県立高校再編計画についてでありますが、沼宮内高等学校においては、2学級80人の募集定員に対し、平成27年度には入学者42人で、充足率が53%、平成28年度には29人、36.3%となり、その後50%前後で推移してきたところであり、入学者の状況等について岩手町に説明するとともに、高校魅力化の取り組みを推進しながら同校の入学者確保に努めてきたところです。
 しかしながら、令和3年度は、募集定員80人に対し、入学者31人で、充足率39%、本年度は25人で、31%となったこと等から、岩手県立高等学校の管理運営に関する規則により、募集学級数を来年度から1学級減としようとしているものであります。
 なお、同校が行っている県外からの志願者受け入れに係る募集定員80人の1割相当としている8名については、1学級減となっても維持することとし、入学者確保に向け配慮することとしています。
 また、福岡工業高等学校と一戸高等学校の統合については、本年5月に、二戸市長及び二戸市教育長連名による要望書の提出があったことから、その趣旨を踏まえ、工業学科2学級と総合学科3学級により統合を進めることを7月の文教委員会において説明したところであります。
 その後、二戸市及び一戸町において統合に向けた理解と賛同が得られたことから、両校の関係者や両市町の代表者、地元産業界代表者等によって構成される統合検討委員会を設置し、これまでに2回の委員会が開催されているところです。
 県教育委員会としては、二戸地域の産業等人材を育成する新たな学校の設置に向け取り組みを進めてまいります。
〇13番(高田一郎君) それでは、再質問いたします。
 まず、高齢者施設のクラスターの発生状況についてですけれども、8月以降、高齢者施設でのクラスターの発生件数は108件と半数以上になっています。実は、きょうも2カ所の高齢者施設でクラスターが発生して、本当に大変な状況になっています。
 野原保健福祉部長に聞きたいのですけれども、高齢者施設でこんなにクラスターが発生し続けている要因は何か伺いたい。
 今、第7波による7月以降の死者数も100人以上と。これまで、コロナ禍が始まってから3年間での半分以上が第7波になっています。十分な対応ができたのかどうかを真剣に検証し、これを深刻に受けとめて対応していく必要があると思うのですが、この辺について野原保健福祉部長のお考えをお聞きしたいと思います。
 今、クラスターが発生した施設では、前段も御紹介したように、収束まで1カ月以上かかって大変な影響を受けています。そうした経験をした施設長からは、毎日が、きょうも何もなくてよかった、きょうも何もなくてよかったと、本当に緊張しながら仕事に取り組んでいることを伺いました。施設の方々からは、週1回、2回検査できるような検査体制を強化するために抗原検査キットを配布してほしいという要望が、どこの施設に行っても共通して寄せられています。
 クラスターがこれだけ広がっている状況ですから、引き続き、頻回検査をやるとか、抗原検査キットを施設に大量に配布するとか、こういうことをやるべきだと思います。実は、先週10月5日のアドバイザリーボードでは、高齢者に感染拡大が懸念されるということを指摘し、高齢者施設などについては、従事者への頻回検査、週2回から3回実施すると指摘されております。
 私は、今の感染状況を踏まえて、高齢者施設でクラスターが発生し続けている現状を踏まえて対応すべきだと思いますが、この点についても伺います。
 高齢者施設での施設内療養には財政支援があるのですけれども、1人当たり、基本額が15万円という状況です。施設長からは、かかり増し経費の支援も十分ではないし、国や県が施設内療養をお願いするというのであれば、それに見合った対応をしてほしいという声が寄せられています。私も同感です。
 ところが、施設療養に対する国の支援は、実は今月から、基本額1人15万円から、1日当たり1人1万円になったという状況です。これでは、また新たにクラスターが発生して長期化してしまえば、施設の経営も危ぶまれる状況だと思います。こういった見直しは絶対に改めていくべきだと国にしっかり求めていくべきだと思いますが、この点についてもお伺いします。
 次に、物価高騰対策については、知事から、今の物価高騰に対する大変な状況を踏まえて追加対策が必要だし、それを検討していくという前向きの答弁をいただきました。今後の補正予算の内容に期待したいと思います。
 国の対応も非常に後手後手で、国会をやっと召集して、恐らくその予算が通るのは12月以降だと思うのです。そうなれば地方の困っている人に届くのは12月末とか来年とかになります。したがって、補正予算の対応が求められておりますので、ぜひ今定例会中に提案できるような努力をしていただきたいと思います。
 ここで取り上げたいのは、物価高騰対策支援金の問題であります。先ほども佐々木朋和議員から質問がありました。私も同様の問題意識です。これは、知事からいろいろ答弁があり、件数が少ない要因は、申請するときの事務が煩雑で大変だから、関係団体に情報提供してしっかり取り組むという話がありましたけれども、私もいろいろな方に聞くと、確かに事務が大変だという話を聞きます。
 しかし、それだけではないのです。やはり売り上げが上がっても、そもそも利益率が少ない。そして、飲食関係では、お客さんが少なくなっているので仕入れそのものも減らしているのだということで、事務の煩雑とかそういう問題もありますけれども、それだけではなく大体ハードルが高いと言うのです。申請しても、みんなけられてしまうと、みんながっかりしています。事業者が利用できない支援策というのは、大失敗だったのではないかと思います。
 それは、6月定例会で可決されて今日まで努力をしてきた結果、結局18件です。先ほども言ったように、国の対応もどんどん後手後手になっている状況なので、ここでしっかり多くの事業者に活用してもらわないと、物価高騰対策にはならないと思います。
 私は、この支援策のスキームを今こそ見直して、早く支援金が受けられるような対応をとっていくべきだと思います。これを改めて知事に答弁していただければと思います。
 子供の医療費についてもお伺いしたいと思います。先週も議論がありましたけれども、やはりペナルティーの問題があって、市町村の意向を踏まえて対応するということは大事なことだと思います。県だけでは取り組むことはできませんから、それは当然だと思います。ただ、そのペナルティーは1、000万円ということですから、これはこれで問題ですよ。でも、そんなに難しいことではないと思います。
 私は、市町村と協議することも大事ですけれども、県はやりたいのだ、ぜひやりたいのだ、そういう立場で市町村と協議をしていく、こういうことで、ぜひ、来年から実施になるように県の積極的なイニシアチブをお願いしたいということを求めていきたいと思いますが、いかがでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 物価高騰対策支援金については、先ほど、確認処理の見直し等を含めた検討を早急に進めて、多くの事業者に活用されるようにしていきたいと述べたところでありますけれども、具体的には、担当部長から答弁させたいと思います。
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) この物価高騰対策支援金につきましては、先ほど佐々木朋和議員の質問の際にも答弁しておりますけれども、限られた財源を使って、幅広く対象業種を広げて支援していく中で、本来的には、大きな財源を使って国で経済対策として実施していただきたいという観点から、持続化給付金の再給付などを継続的に要望してきたところです。そういう中で、県としてできる範囲でやろうということで、やはり一定の要件が必要であったということでございます。
 今一番感じておりますのは、要件がより難しく事業者の方々に伝わっていて、原材料価格も、単純に価格が高騰していれば、それで要件はクリアするという形をとっています。売り上げ減少についても、これは地域経営支援金でずっとやっておりますので、事業者の方も承知していると思います。
 その中で、例えば光熱水費とかは一定の金額が上がっていますので、そういう確認書類の提出を省略できる部分もあるのではないか、あるいは一般的に上がっているものについても対応を見直していくことは可能だということで、やはり活用していただきたいので、確認書類の見直しを含めて、もう一度、商工団体等を通じて、周知徹底していきたいと思っております。
 その上でまた、どういう形で事業者の方々に支援していけば、より利用できるのかという観点も踏まえながら、どういった形で対策を打っていけばいいのかということを含めて検討を進めていきたいと考えております。
〇保健福祉部長(野原勝君) 議員から、新型コロナウイルス感染症の関係で、高齢者施設でのクラスターの要因、そして、集中的検査の実施の方針、また財政的な支援の3点の御質問、また、子供の医療費助成について御質問いただきました。
 まず、高齢者施設でのクラスターが非常に多かった要因でございます。さまざま絡み合っていますので、これだということは申し上げられないところではありますが、一つ申し上げたいのは、やはり第7波は、非常に感染力の強いオミクロンBA.5に置きかわったということ。これは、これまでの感染症の中でも、実感として感染力が強いと我々も感じています。
 また、県内市町村の協力もあって高齢者施設でのワクチン接種はかなり進んだというか、3回目接種を受けて相当程度たって、やはりワクチン接種により獲得した免疫がちょうど落ちてきた時期とこの第7波のタイミングが合ってしまったと。4回目接種をまさにこれからやろうというタイミングで第7波が始まったといったようなことが、大きな要因として考えられると認識しております。
 また、集中検査でございます。県ではこれまで、高齢者施設の集中的検査について、オミクロン株の感染拡大を踏まえまして、PCR検査により、入所系の施設の従事者を対象として、おおむね週1回の頻度で検査を実施してまいりました。今後は、国からの抗原検査キットの配布見込みが判明後、感染状況が高どまりしている期間におきましては、抗原検査キットにより、入所系のほか、通所系や訪問系の施設の従事者に加え、新規入所者等も対象として、週2回の頻度で検査を実施することを検討しております。
 続きまして、高齢者施設でクラスターが発生いたしますと、やはり施設は休業ということになります。その間、報酬を得られませんので、大きく減収となり、経営に大きな影響を及ぼしているものと認識しております。
 そのほかにも利用控え等による減収等の問題もあり、先ほど御答弁申し上げましたが、これは全国的な問題でございますので、国の責任において支援を行うよう全国知事会から要望を行っているところであり、引き続き、この点については、全国知事会と連携して国に対して要望してまいりたいと思います。
 いずれにいたしましても、重症化率の高い高齢者などのクラスターを未然に防止していく観点から、これまでの取り組みを検証し、今後においても、高齢者をしっかり守っていくという視点に立って取り組みを進めてまいります。
 子供の医療費助成につきましては、これまで、令和2年8月に県と市町村がお互いにさまざま協議を重ねまして、中学生までの現物給付を全県一律で拡大してきた経緯がございます。
 本年度も、一部の市町村から現物給付について御要望もいただいているところでございます。県ではこれまで、小中学生まで全県一律で、県と市町村が足並みをそろえて導入を図ってきた経緯を踏まえまして、市町村と十分協議を重ねながら検討を進めてまいりたいと考えております。
〇13番(高田一郎君) 物価高騰対策支援金について岩渕商工労働観光部長から説明をいただきました。制度をつくってから、3カ月、4カ月たちましたけれども、13億円で始まった事業が、わずか18件、金額は、わずか188万円の支給状況です。岩渕商工労働観光部長から、確認書類の提出の省略とか事務の改善とかいろいろ言われましたけれども、それだけで本当に多くの事業者が利用できるのか。私はそうではないと思います。やはり制度そのもののハードルが高いとみんな言っています。利用されない制度は見直すべきだと。事務の改善とか資料の提出が煩雑とか、そういう次元の問題ではないのではないかと思いますが、その点についても改めてお聞きしたいと思います。
 それと、医療局長にもお伺いしたいと思います。今度の診療報酬改定で、医療局の全看護職員が対象にならないで、1割だけ対象にならないのですね。300人程度が対象外となりました。これは制度上の問題ですから、第一義的には、国に対してこの処遇改善のあり方を見直していくべきだと思うのですが、ただ、2月から9月までのこの間については、そういう国の基準に満ちた補助金だったけれども、県立病院として努力をして、みんな同じ職員としてチームでコロナ禍を乗り切って頑張ってきたということで、全看護職員に月額4、000円だったでしょうか、そういう処遇改善の事業をしたのです。
 残り五つの病院でも、いろいろな病院に行って応援診療をしてきたわけですから、みんなチームで頑張ってきたわけでしょう。そういう人たちの努力に応える上でも、昨年43億円という利益を上げたわけですから、分断と格差が広がるような処遇改善事業ではなくて、この43億円を活用して残りの1割の職員にも処遇改善をやっていく必要があるのではないかと私は思うのですけれども、その点、いかがでしょうか。
 東日本大震災津波についてもいろいろお伺いしたいことがあるのですけれども、時間がないので一つだけ申し上げたいと思います。被災者の医療費の免除措置がなくなってから、本当に通院をためらう方々がふえている実態です。さまざまな努力をしているという答弁がありました。そこには感謝申し上げたいと思いますけれども、私たちがこの間訴えてきた無料低額診療所の問題について、被災地に行って被災者と懇談すると、この制度がわからないと。やはり制度の徹底、知らせることがまず大事だと私は思います。今でもわからない、こういう状況です。
 それと、無料低額診療所の拡大、これは、社会福祉法に基づいて、医療機関が県に申請して、県が地域の実情を勘案して判断することとなっています。税の優遇措置なども行いながら、県が主体になってこの無料低額診療所を拡大していくという取り組みも必要ではないかと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) 物価高騰対策支援金につきましては、物価高騰の影響を受けている事業者に対して、きちっとした支援をしていきたいという考えは共通だと認識しております。そういう中で、物価高騰の影響を受けている事業者を支援していくための今回のこの事業でございますので、例えば、要件を緩和して、撤廃して、一律に広くもらえるようにするというようなやり方は、適切ではないと考えております。
 繰り返しになりますが、きちんとした要件のもとで、まずは周知徹底を図って、使っていただいた上で、さらに、別の形で何か方法があれば、この財源を使いながらできるような方法について、別途検討していくような考え方があるのではないかと考えているところでございます。
〇医療局長(小原勝君) 県立病院の看護職員の処遇改善についてでありますけれども、9月まで補助事業としてやってきたのは、御案内のとおりであります。今回10月から大きく変わりましたのが、診療報酬は恒久的な措置ということで期限が切られていないということと、4、000円の支給であったものが1万2、000円の支給になり、支給額を3倍にしましょうという制度になったということが大きな違いであります。
 先ほど43億円の利益とございましたけれども、キャッシュでそのまま残っているわけではないということは御理解いただきたいと思いますし、今年度、入院患者の減少もございます。それから、新型コロナウイルス感染症の関係の補助金に関しましても、用意する病床をどうしていくか、それから、補助金制度そのものの見直しも予定されているところでありまして、今年度の本業部分はかなり厳しい状況と見ております。それから、中長期的にも、これまでの受診控えなどもありまして、今後の受療動向が見通せないことなどがあります。決して楽観できる状況にないことを考慮しまして、持続的な医療の提供のために、国が示す事業スキームのとおり実施することとしたものでございます。
 連携で成り立っている県立病院でありますので、今後も円滑な応援がなされるように、職員が業務応援や兼務発令で支給対象の病院に業務として従事する場合には、その行った先の勤務実績に応じて、手当を日額で支給する措置を医療局独自で講じているところでございます。
 看護師の処遇等については、今、国において、看護師の俸給表や給与水準について研究を行うとの報道もされています。引き続き、国や他県の動向を注視してまいりたいと思います。
〇保健福祉部長(野原勝君) 医療費一部負担金免除終了後の支援についてでございます。議員御指摘のとおり、国保制度の減免措置でありますとか、生活福祉資金等のコロナ禍における経済対策、そのほかにも、生活困窮者自立支援制度などのさまざまな福祉制度について、制度が複雑であることは、そのとおりでございます。こうした仕組みについて、被災者の方々にきちっとお伝えしていくことが重要だと考えております。
 先ほど知事からも御答弁申し上げましたとおり、県では今年度、新たに、こうした制度をわかりやすく説明したリーフレットを作成し、例えば、生活支援相談員などの被災者の方々を支援する方々や、また市町村の窓口などを通じ、被災者の方々にお渡しできるように取り組みを進めていきたいと考えております。
 また、議員から御指摘がありました無料低額診療所事業については、社会福祉法に基づく社会福祉事業で、県内では六つの医療機関、沿岸地域では二つの医療機関が実施しているところでございます。
 この法に基づきまして事業実施について医療機関から届けることにされておりますので、県としては、申請に基づきまして適切に手続を行うとともに、医療機関に対しましても、こうした制度の周知について努めてまいりたいと考えております。
〇13番(高田一郎君) 残りわずかですので、簡単に最後の質問をしたいと思います。
 物価高騰対策については、13億円の予算を措置したのですけれども、188万円しか予算を執行していないというのは事実です。そして、事業者には不評です。今、多くの事業者が物価高で困っているのですから、活用されるように抜本的な取り組みをお願いしたいと思います。
 最後に、知事に、旧統一教会問題について、残り1分30秒で質問したいと思います。
 岸田首相は、統一協会について、社会的に問題が指摘されている団体と繰り返していますけれども、霊感商法や当事者の意思を無視した集団結婚式とか数々の非社会的行為を行って、そのいずれもが違法と判決が確定している団体です。こういう統一協会に対して、知事はどう認識されているのでしょうか。
 8日付の朝日新聞は、県内の自由民主党国会議員2人、県議会議員6人が、イベントなどへの出席を認め、また、広瀬めぐみ氏が、参議院議員選挙の前の5、6月ごろ、盛岡市の教会を訪れ挨拶をしたと報道されています。
 被害の救済と根絶のために35年間活動してきた霊感商法対策弁護士連絡会は、統一協会と連携することが社会的弊害をもたらすことを考えて対応されるようにと、ずっと前から政治家などに対して要望し続けてきました。国会議員のみならず、全ての地方議員、政治家が、統一協会との関係を全て明らかにして関係を絶つべきだと考えますが、知事の考えを伺って、私の質問を終わります。
〇知事(達増拓也君) 旧統一教会に関しては、刑事事件や民事事件の裁判例もありますし、また、参議院議員選挙の後、さまざま報道されたり、マスコミで紹介されたりしているような例は、先ほども述べましたけれども、健康で文化的な最低限度の生活を奪うようなことであったり、また、議員御指摘のように、基本的人権の侵害と言えるような看過し得ない被害を極めて多くの人々に与えていて、日本経済、日本社会に対する影響という観点からしても、極めて大きいものがあるのだと思います。
 したがって、まずは、そうした被害者の救済、そして被害の防止が重要でありますし、国会議員や地方議員などが、そういった旧統一教会の過去の活動でありますとか、また現在の勧誘活動に対して、いわゆるお墨つきを与えるような形で、こういう人たちが我々のところに来てくださっています、挨拶に来てくださっています、そういったいわゆる広告塔的な材料としてこの団体に利用されるようなことは、基本的にあってはならない。また、既にそういうことをしてしまった場合には、それがいかにして広告塔として利用されないようにするかということで、さまざまなやり方があるのだとは思うのですけれども、絶縁する、関係を持たないということだけでは、教団側のさまざまな記者会見では、時間がたてばまた話ができるようになるとか、一時的にというか、現在関係を持たないというだけでは足りない。やはり広告塔的な利用をされかねないことをした側から、今、答弁で述べたような教団の問題点をはっきり述べて、そうしたことに対する反省、謝罪、そして、今後そういうことがあってはいけないという何らかのけじめをつけることが求められているのだと思います。
   〔「関連」と呼ぶ者あり〕

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