令和4年9月定例会 第22回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇14番(佐々木朋和君) いわて新政会の佐々木朋和です。登壇の機会を与えていただいた先輩、同僚議員に感謝申し上げ、質問をさせていただきます。
 3年にわたり新型コロナウイルス感染症の対応に精励されている達増知事を初めとする県職員の皆さん、大変お疲れさまでございます。そして、コロナ禍にあっても、議会をとめることなく運営の下支えをしていただいております議会事務局の皆様に、改めて感謝を申し上げます。ともに新型コロナウイルス感染症を克服し、人口減少に打ち勝ち、よりよい岩手県を目指してまいりましょう。
 それでは、質問をさせていただきます。いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランについて伺います。
 県は、令和4年9月16日に開かれた岩手県総合計画審議会において、現在の第2期政策推進プランの策定状況として、人口減少対策に最優先で取り組むこと、取り組む上で、今後4年間に強化すべき項目を重点事項として、人口減少対策の強化、GXの推進、DXの推進、安全・安心な地域づくりの四つを置くことを示しました。
 その方向性は既に令和5年度の予算編成方針で具現化されており、主要経費について、政策的経費及び広域振興局予算にシーリング枠を設定するとともに、基礎的経費の厳格な精査を求めた一方、四つの重点事項については、シーリングによる財源捻出の3倍相当額の予算要求を認めております。
 これにより、第2期アクションプラン作成時期に合わせたドラスチックな予算の組みかえや事業のスクラップ・アンド・ビルドを期待したいですが、知事の令和5年度予算編成方針の意図と令和4年度までに比して、どのような変化を期待しているのか伺います。
 また、知事が拡充すべきと考える人口減少対策における重点分野をお示しください。
 第2期アクションプランの作成には、第1期政策推進プランの評価、分析が不可欠です。令和3年度の達成率が80%以上の割合は、いわて幸福関連指標が54%、具体的推進方策指標が77%となっています。
 知事にとっては、いわて県民計画(2019〜2028)の推進は選挙公約でもありますが、任期1年を残し、令和3年度までの進捗をどのように評価し、残りの任期及び第2期政策推進プランの検討にどのように生かされるおつもりなのか伺います。
 さらに、知事は、持続可能で希望あるいわてを実現する行財政研究会を発足させました。7回の検討会を開き、総務部が報告書を作成しましたが、その内容を見ると、重点テーマなどの推進の方向性と第2期政策推進プランの重点事項は重なる内容となっており、加えて、持続可能な行財政基盤の構築に向けた取り組みが書かれています。
 報告書では、さらに踏み込んで、人口減少が進む中、県立病院と県立高等学校の規模の適正化が必要と提言されています。規模の適正化に着手するとなれば、適正化のかわりに医療、教育の質をどのように高めていくのかというグランドデザインとともに、一般財源の縮減によって生まれた財源をどのように活用し県民の幸福につなげていくのか、セットで県民へ説明する必要があります。
 知事の報告書を受けての所感を伺います。
   〔14番佐々木朋和君質問席に移動〕
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 佐々木朋和議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、令和5年度当初予算編成方針についてでありますが、現下の不確実性の増す社会において、県の果たすべき役割は、削減ありきの縮小型の行政運営ではなく、人口減少、少子高齢化という構造的課題に真正面から立ち向かい、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げられた施策等を力強く進めていくことであります。
 そのため、人口減少対策の強化を初めとする県政の重要課題である四つの重点事項については、施策の選択肢を狭めることのないよう捻出した財源の3倍までの要求を認めたほか、安全・安心な地域づくりを推進するため、公共事業費について前年度比1.1倍の増額要求を認めるなど、近年にない水準で施策の重点化を促す予算編成方針としており、この方針に沿って予算の大胆な重点化が進むことを期待しています。
 予算編成に当たっては、それら攻めの施策への大胆な予算措置とあわせ、あらゆる選択肢を排除しない歳入確保や多角的視点からの歳出水準の適正化を進めることで、持続可能な行財政基盤の構築との両立を実現してまいります。
 次に、人口減少対策における重点分野についてでありますが、本県の人口は、自然減と社会減が相まって減少が続いており、未婚化、晩婚化や仕事と育児の両立の困難さなどを背景とした出生率の減少、若年層を中心とした転出超過等が大きな要因となっています。
 令和5年度は、現在策定中の第2期アクションプランの開始年度であり、人口減少対策を最優先に位置づけ、市町村や民間団体等と役割分担や連携しながら取り組みを強化していくこととしており、結婚、妊娠、出産、子育てなどライフステージに応じた総合的な取り組みや、若年層の県内就職やU・Iターン促進などについて重点的に取り組むことで、自然減対策と社会減対策の相乗効果を図ってまいります。
 次に、第1期政策推進プランの進捗と総括についてでありますが、第1期アクションプランの計画期間においては、岩手医科大学における新附属病院の開院や地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会の発足、自動車、半導体関連産業の集積、ラグビーワールドカップ2019釜石の開催、御所野遺跡の世界遺産登録、復興道路の全線開通や新型コロナウイルス感染症への対応を契機としたデジタル化の進展など、さまざまな経過があったところです。
 また、この間のいわて幸福関連指標の進捗を見ますと、例えば、健康・余暇分野の10万人当たりの自殺者数の減少、家族・子育て分野の待機児童数の2年連続での減少、仕事・収入分野の高卒者の県内就職率の2年連続での上昇など、県民の健康や暮らし、仕事にかかわる政策分野等において施策の成果があらわれてきています。
 一方で、家族・子育て分野の合計特殊出生率の低下、居住環境・コミュニティ分野の第三セクターの鉄道・バスの1人当たり年間利用回数の減少、仕事・収入分野の観光消費額の減少など、新型コロナウイルス感染症の影響等が見られている政策分野において、いわて幸福関連指標の達成度が低い状況にあります。
 こうしたことから、第2期政策推進プランの策定に当たっては、第1期政策推進プランの進捗状況や社会経済情勢の変化などを踏まえ、市町村などさまざまな主体からの御意見も広く伺いながら検討を進めてまいります。
 次に、持続可能で希望あるいわてを実現するための行財政改革に関する報告書についてでありますが、本報告書では、人口減少、少子高齢化という構造的な課題に対して、自然減対策を念頭に置いた人口減少対策の強化に加えて、本県の強みである県立病院や県立高等学校について、ハイボリュームセンターの整備の必要性や教育に係るハード、ソフト両面における充実の必要性など、人口減少時代に対応したあるべき施策の一つが示されています。
 これらの分野は県民生活に直結する分野であり、今後、本報告書も踏まえ、将来にわたってより質の高い医療や学びを県民に提供していくために何が最も実効性があるかという観点から、県民を初めとした関係者との丁寧な議論を通じて、とるべき施策を具体化していく必要があります。
 加えて、持続可能な行財政基盤の構築に向けた方策についても、財政目標の達成状況等について、広く県民と共有するなど、県民本位の視点に立って行財政改革の実効性を高めてまいります。
〇14番(佐々木朋和君) 知事、御答弁ありがとうございました。ただいまの答弁に対して、再質問を知事にさせていただきたいと思います。
 先ほど、幸福関連指標の推進にはコロナ禍の影響があったという話がありましたけれども、人口減少に直結するような自然減、教育、社会減、女性活躍等の分野でDとなっている部分については、コロナ禍であっても、相対的に全国的順位が下がったり東北での順位が下がったりしているものもあります。新型コロナウイルス感染症だけで済まされない部分があるなと感じております。
 その中にあって、今回、予算のシーリングの組みかえの中で50億円、60億円という人口減少対策の予算が出てくるのだろうと思いますが、知事の御発言では、ライフステージに応じた子育て等の対策、また、社会減については、若年層の移住、定住を含めた社会減ということで幅広く対策を打とうとしていらっしゃると思うのですが、50億円、60億円の予算を幅広く配分してしまっては、また、これまでと同じようなものになってしまうのではないかという懸念を私は持っております。そういった懸念を払拭するような知事のお考えをもう一度お願いしたいと思います。
 またもう一つ、学校と病院について、質の向上という話がありましたが、一方で、ハイボリュームセンターをつくっていくなどということに関連して、やはり場所的な統合や適正化ということもあり得るのだろうと思います。こういった部分については、ぜひ、県民の皆さんに情報を開示して議論していただきたいと思いますが、いわゆる報告書の中に、グランドデザインの着手というのは、厳密に言ってやっていくものなのか、また、今、第2期アクションプランの策定時期ですが、こういった時期に一緒にやっていくのか、それとも、第2期アクションプランの時期の中で行っていこうという考えなのか、あわせて伺いたいと思います。
〇知事(達増拓也君) まず、人口減少対策関係予算の来年度予算の考え方についてでありますが、自然減、子供の生まれる数が少ないことについては、結婚がしにくい、出産がしにくい、子育てがしにくいといったことを、それぞれその当事者の立場になって考えて、また、当事者一人一人が、これならいい、これなら乗り越えられるというような手応えを感じられるような施策が必要と考えております。
 社会減、岩手県から県外に出ていく、また帰ってくるよりも差し引き出ていくほうが多いということについても、それぞれが働き方、また岩手県での生活、さまざまな環境等、個人の決断で決まっていくことでありますので、やはり個人に寄り添いながら政策を展開していかなければならないということで、今まで以上に、個人との接触機会が多い市町村、関係団体、企業等と、より情報を共有し、また連携しながら対応していかなければならないと考えております。
 基本的には、きめ細かな一人一人に合わせるような施策を県政のあらゆる分野で講じていくような方向性になるかと思うのですけれども、その中で、ある種、多くの人たちにとって共通の課題、多くの人たちにとって共通する支援といったところには、比較的大きなボリュームがついてくると考えます。
〇14番(佐々木朋和君) グランドデザインについて。
〇知事(達増拓也君) 失礼しました。もう一つが、いわゆる希望行財政研究会報告書の内容への対応ということについては、まずは、非常に斬新な視点であったり、岩手県がいかに他の都道府県に比べて県立病院に非常に多くのお金を使っているかでありますとか、他県に比べて岩手県の高等学校に非常に大きい割合のお金が使われていることを県民で共有し、岩手県の行財政の実態をまず知っていただくところから始めて、それが、基本的には、お金をただ削ればいいとか、そういう発想ではなくて、岩手県にとって必要な政策をより強力に、的確に遂行していくために、今後どういうお金の使い方をしていけばいいかということを、当事者も含めて一緒に考えていくような形にしてまいりたいと思います。
〇14番(佐々木朋和君) 時期的な御発言がなかったのは残念ですけれども、時間も限られていますので進ませていただきますが、人口減少対策は、それぞれの分野でなかなか結果が出ていない中で、私は、一つの分野に注力して、やっぱり一つ結果を出していくことも必要なのかなという思いで、この予算の重点化という提案をさせていただきました。
 次に進ませていただきます。幸福関連指標と具体的推進方策指標の関係性についてでありますが、人口減少対策の重点事項については、シーリングによる財源捻出の3倍相当の額の予算要求を認めているということでございました。つまり、人口減少対策を強化していく財源をしっかり確保していくためには、効果の薄い事業を廃止していくことも必要であり、その見きわめが重要であります。その評価をおざなりにし、事業を廃止せずに効率化や規模縮小のみで行おうとすれば、大きな変化のない予算編成になってしまいます。
 例えば、ここに一つの事業があるとします。それにひもづく具体的推進方策指標が全く上がってこないのであれば、それは事業を改善するか、全く別の事業をするべきということは万人がわかることで、県でも活動内容指標、成果指標を用いて判断しています。一方、その事業によって、具体的推進方策指標は上がっているが幸福関連指標が上がっていない場合、その事業はどう評価されるべきでしょうか。
 政策分野ごとに80%以上の達成率を列挙すれば、居住・コミュニティの幸福関連指標は20%、対して具体的推進方策指標が82%。仕事・収入の幸福関連指標は36%、具体的推進方策指標が83%。歴史・文化の幸福関連指標は33%、具体的推進方策指標が100%。自然環境の幸福関連指標は40%、具体的推進方策指標が84%と、実に10の政策分野のうち4分野で、幸福関連指標と具体的推進方策指標でポジティブとネガティブな正反対の評価が出ています。
 具体的推進方策指標は県が行う施策の推進指標であり、この二つの指標の開きは、県とは異なる主体の参画や外部要因が原因という整理となりますが、そう片づけてしまえば、県が事業評価の参考とすべきKPIとして機能しなくなってしまいます。
 幸福関連指標と具体的推進方策指標のずれを県はどのように捉え、次期政策推進プランでどのように改善していくのか伺います。
〇政策企画部長(小野博君) 具体的推進方策指標といわて幸福関連指標の関係についてでありますが、具体的推進方策指標は、10の政策分野ごとに掲げたいわて幸福関連指標の目標を達成するため、県が主体的に取り組む具体的な推進方策の実績を的確に把握するための指標として、政策体系を考慮しながら設定したものです。一方、いわて幸福関連指標は、県はもとより、市町村、団体、企業などのあらゆる主体が一体となって取り組むことを前提とし、10の政策分野に含まれる50の政策項目との対応関係も考慮して設定した指標となっております。
 このため、県に加え、さまざまな主体と一体となって取り組みを進めることで成果があらわれるものや、効果の発現までに時間を要するものにつきましては、両指標の動向に差異が生じることもあり得るものと認識しております。
 計画の指標につきましては、このような性質も持っておりますが、政策評価に基づくマネジメントサイクルを確実に機能させるため、政策手段の検証を不断に行い、可能な限り適切な指標の設定に努めることが重要と考えております。
 現在、作業を進めております第2期政策推進プランの策定プロセスは、指標の再確認の重要なタイミングと考えております。政策の目的と手段の関係を精査したロジックモデルの検討と、これによる適切な指標の設定等によりまして、実効性の高い第2期アクションプランの策定を進めてまいりたいと考えております。
〇14番(佐々木朋和君) 例えば、余暇時間についてですけれども、達成度Dの理由を見ると、総実労働時間が依然として全国と比して高いということが上げられておりますが、それを改善する具体的推進指標は、その事業の項にはありません。
 また、合計特殊出生率については、Dの理由を、経済的な不安定さ、出会いの減少、仕事と子育ての両立、女性の家事負担、婚姻の減少、新型コロナウイルス感染症等を挙げておりますけれども、この政策分野では、福祉政策の関連指標が多く、労働政策、女性活躍施策の指標はわずかというところもあります。
 そういった部分のつながり、具体的な推進方策指標はいいけれども、この事業はどうなのだという議論が議会の場でも随分取り上げられておりますので、ぜひ、このタイミングで改善を求めていきたいと思います。
 次に、若年女性の社会減対策について伺いたいと思います。
 第2期政策推進プランの重点事項1として、男女がともに活躍できる環境づくりを進めながら、結婚、子育てなどライフステージに応じた支援や移住、定住施策を強化することを掲げています。若年女性の社会減、移住、定住の環境整備は、まさに人口減少対策のコア指標です。
 公益財団法人東北活性化センターが2020年に実施した人口の社会減と女性の定着に関する意識調査によれば、地方から若年女性が転出する一番の理由は、やりたい仕事、やりがいのある仕事がないという結果から、一見その解決策は、多種多様な業種、職種の企業を誘致しなければならないとの結論に至りそうですが、女性が地方に求めているものという問いに答えると、女性にとって多様な雇用先、職場を多く創出すると並んで、地方の閉塞感や退屈なイメージを払拭するような取り組みをするという答えが2位となっており、そこから、考えが古く、女性はお茶くみが当然という雰囲気こそが、多種多様な業種、職種確保の阻害要因になっていると分析されています。
 第1期政策推進プランを見れば、若年女性にスポットを当てた項目は少なく、表面的な指標にとどまっているように感じます。
 県は、次期政策推進プランにおいて、男女がともに活躍できる環境整備と若年女性の社会減対策及び移住、定住施策を一体のものと捉え、特出しして見える化した新たな指標の設定や事業の充実に取り組むとともに、家庭や職場での閉鎖的なイメージ改善や岩手県で暮らすことのわくわく感の創出につなげていくべきと考えます。
 人口減少に歯どめをかけるために重要な位置づけとなっている若年女性の社会減対策の方向性を伺います。
〇知事(達増拓也君) 本県の人口社会減は、進学や就職に伴う転出が大きな要因となっているものでありますが、これまで、いわてで働こう推進協議会、いわて女性の活躍促進連携会議などを中心として、官民一体で、魅力ある雇用環境の構築やトップ層の意識改革などに向けた企業への働きかけ、地元就職の理解促進、女子大学生向けの県内企業職場体験プログラムの提供、就職情報マッチングサイトによるマッチング支援、移住コーディネーターによる相談対応の充実などに取り組んでまいりました。
 これらの取り組みにより、過去最高の高卒者県内就職率、U・Iターン就職者や移住、定住者数の着実な増加等の実績につながっているところでありますが、第2期アクションプランにおいても、若年女性の社会減対策は重要であると考えており、従来の取り組みを一層強化、拡充するとともに、デジタル技術等を活用した柔軟で多様な働き方の普及や性別や年齢に基づくいわゆるアンコンシャスバイアスの解消、若者や女性が生き生きと活躍できる環境づくりなどにオール岩手で取り組み、魅力ある地域をつくってまいります。
〇14番(佐々木朋和君) この指標をつくったときは3年前、4年前になると思うのですけれども、そこから社会の状況も変わっておりまして、私も、この計画、また指標を見直したときに、現代と合っているのかと感じるようなところもあります。
 また、女性に限ったことではないですけれども、上の世代が若年世代のためにと考えた指標が多いのではないかと。例えば、若年女性にとって、審議会などの委員に占める女性の割合でありますとか、また女性委員が参画する市町村防災会議の割合が多いということは、長い目で見れば社会を変えていく大きな力になると思うのですけれども、若年女性の立場から見たらどうだろうか。
 また、子供、若者という視点でいきますと、地域行事に参加している生徒の割合、また将来の夢や目標を持っている児童生徒の割合、自分の住む地域や社会をよくするために何をするべきかと考えたことがある児童生徒の割合、自分が住む地域が好きだと思っている児童生徒の割合、こういった指標は、私としてはこうあってほしいと思うのですけれども、それは上から押しつけるものではなくて、今の世の中であれば、また別の指標があるのではないか、そんな感じもいたします。4年前とはまた価値観が変わってきておりますので、ぜひこの時期に現代の価値観に合わせた変更もお願いしたいと思います。
 次に、地場企業の工場等の拡充、非製造業の誘致への支援について伺いたいと思います。
 第2期政策推進プランの策定状況等の重点項目1において、岩手県の社会減は、18歳の進学、就職期、22歳前後の就職期に顕著になっていると記載されており、社会減対策の最も重要な点は就労先の確保です。
 県では、北上川バレープロジェクトを展開し、北上川流域に自動車、半導体の大型工場の集積に成功、県経済の牽引役となっています。現在は、企業所在の学区にとどまらず、県内全域の普通高校からも就職先として選ばれており、若者の県外流出のダム機能を担っている一方、大型工場の誘致は、水資源が豊富な県央、県南の一部地域に限られ、それ以外の地域から見れば若年層流出の要因ともなっています。
 立地に不利な自治体においても、雇用の場を確保できるよう、非製造業を対象とした支援制度の創設、地場企業の工場の拡充にも活用できる支援制度の創設が求められています。
 地域では人手不足も進んでおり、地場企業と誘致企業の中で人材確保の競争も激化しており、誘致企業が優遇される県の指標に不満の声も聞かれます。地場企業は、社会情勢の変化の中でも撤退リスクも少なく、大切にするべき地域の財産です。
 令和4年9月9日付の河北新報の県内首長アンケートによれば、6割超が知事の手腕を評価する反面、人口減少対策は、68%が評価しない、余り評価しないを選択。効果が県央部、県南部に集中しているとの批判のコメントもあります。
 地場企業の拡充支援、非製造業の誘致支援制度の創設について、知事の見解を伺います。
〇知事(達増拓也君) 県では、自動車や半導体など、国際競争力が高く経済成長の牽引役となるものづくり産業の発展を目指すとともに、それぞれの地域資源や特性を生かした産業振興を図るため、ものづくり分野を中心に、誘致企業や地場企業の新設、増設のほか、人材の育成、確保等に対する支援を行っているところであります。
 産業の集積や高度化を推進する上で、地場企業の成長支援は重要であり、その増設等に当たっては、国のものづくり補助金や事業再構築補助金などの活用を支援するとともに、大手企業のサプライチェーンへの参入による取引拡大や人材の育成、確保などの支援を行っています。
 また、企業誘致に当たっての県独自の補助については、全県的な視点に立ち、一定規模の投資や雇用を要件とするなど、地域の経済や他の産業への波及効果が高いものを対象業種としているところであり、製造業のほか、ソフトウエア業などを対象としているところであります。
 こうした支援のあり方については、近年、多様な企業の本県への立地の動きなどもありますことから、産業の動向や企業のニーズ、他県の事例なども十分に踏まえながら、限られた財源の中で最大限の効果が発揮できるよう、引き続き検討してまいります。
〇14番(佐々木朋和君) ありがとうございます。ぜひ検討をお願いしたいと思います。
 やはり県内1カ所に雇用の場があっても、なかなか全県への波及というのは難しいと思っております。ものづくり企業が牽引しながらも、指標を見ますと、正社員の有効求人倍率、高卒者の県内就職も、B評価ではありますが、目標と10ポイントほど差がある。また、年次有給休暇の取得も、人手不足が原因でかえってB評価ということで、人材不足が拍車をかけている部分もあるかと思っております。
 県内の多くが中小企業であり、そこで働く人も多くいます。やはり数値を上げていくには、地場企業の振興に力を入れていかなければいけないと思いますし、また、バランスとして、開業率もD評価ということで、誘致企業頼りとならないように、ぜひバランスのとれた産業振興をお願いしたいと思います。
 次に、高校再編後の後期計画とグランドデザインの関係についてお伺いしたいと思います。教育長に伺います。
 先ほどの質問でも触れました持続可能で希望あるいわてを実現するための行財政改革に関する報告書における取り組みの方向性の中で、県立高等学校における学びの質の向上については、教育の質を高めていくためのグランドデザインを持ちながら、学区やブロックといった圏域を越えて、県全体で学校施設の適正規模や適正配置を検討していくことが必要と提言されました。
 一方で、統合に向けて検討が進んでいる令和3年5月に決定された後期計画に基づく統合とどのように整合性をとっていくのか。特に一関工業高等学校と水沢工業高等学校との統合時期は令和7年度以降となっており、グランドデザインの検討を行う場合、現在進行中の統合校の中身の議論と同時進行となる可能性もあります。いまだ場所の選定も行われていませんが、普通校や他の専門高校の統合、配置の方向性に影響されるのか。また、存続となった千厩高等学校の専門学科の取り扱いも気になります。
 仮にグランドデザインの検討を行う場合、県は、後期計画の統合校のあり方とグランドデザインの統合の関係性をどのように考えているのか、現在の統合に向けた進捗状況とともにお示しください。
〇教育長(佐藤博君) 高校再編計画後期計画は、少子化による生徒数減少への対応や地方創生に寄与する人材育成など、高等学校に期待される役割の変化を踏まえ、生徒の希望する進路の実現と地域や地域産業を担う人づくりの二つの基本的な考え方のもと、各地域における学びの選択肢の確保や地域の産業教育の拠点となる専門高校等の整備などに取り組もうとするものであり、少子化による生徒数の減少への対応や地域との連携等の考え方につきましては、後期計画と報告書は同じ課題認識であると捉えております。
 後期計画の進捗状況につきましては、盛岡ブロック及び二戸ブロックの統合は、両校関係者による統合検討委員会をそれぞれ2回開催し、新たな学校の設置に向けた協議が進んでいます。
 水沢工業高等学校と一関工業高等学校の統合につきましては、現在、立地候補地選定のための基礎調査を行っているところです。また、宮古商工高等学校と宮古水産高等学校の一体的整備につきましては、令和8年度の供用開始に向けて設計作業に着手しているところです。
 盛岡南高等学校校舎を活用した盛岡工業高等学校の移転整備も含め、これら学校施設の整備におきましては、地域や社会と連携、協働し、ともに創造する共創空間を意図しており、報告書の共創の具体化に向けて検討を進めていきたいと考えております。
 引き続き、後期計画の着実な推進を図るとともに、その先を見据えた県立高等学校のあり方について、報告書を参考にしつつ、地域や地域を支える方々の意見、考え方を広く伺いながら、子供たちにとってよりよい教育環境が維持されるよう考えていきたいと思います。
〇14番(佐々木朋和君) 同じく報告書によれば、今度は県立病院ですけれども、保健医療圏域内での完結率は四つの保健医療圏で7割を下回っており、今後さらに低下する見込みとのこと。さらに、基幹病院を統合したハイボリュームセンターの整備、二次医療圏のあり方の見直しにも踏み込んで記載しています。
 一方、医療情報ネットワークは、圏域ごとに違うシステムを現在採用しています。地域包括ケアシステム、医療と介護の連携を重んじた結果であることは認識していますが、久慈圏域等では、県内流出のほかに、2割が県外流出している現状に鑑みれば、隣県の状況も加味した全県統一の医療情報ネットワークの整備が喫緊の課題です。
 今後の整備の方向性を伺います。
〇保健福祉部長(野原勝君) 本県では、住みなれた地域での医療、介護の支援が円滑に受けられるよう、各二次医療圏において、医療機関と介護施設等を連結、連携する地域医療情報ネットワークの構築を推進しており、これまでに5圏域においてシステムが整備されております。
 これらのネットワークは、地域内での医療、介護サービスの提供を前提として構築されておりますが、患者の受療動向や医療資源の有効活用の観点から、例えば気仙圏域では、隣接する圏域や隣県のネットワークと相互接続し、医療圏を越えて情報連携を実施しているなどの事例もあるところであります。
 県としては、こうした先進的な取り組みの地域への情報提供などの技術的支援を通じまして、引き続き、地域の主体的な取り組みを支援していくとともに、国が本年6月に示しました骨太の方針2022において、全国の医療機関等で検診情報や電子カルテ等の医療全般にわたる情報を共有、交換できる全国医療情報プラットフォームの創設が掲げられたところでございます。
 こうした検討状況を注視しながら、現在、県が運用している全県を対象とした病院間の連携システムに加え、地域医療情報ネットワークを含めたさらなる全県的な医療情報連携体制のあり方について検討を進めていく考えであります。
〇14番(佐々木朋和君) よろしくお願いしたいと思います。
 次の話題に進みたいと思います。GXについて御質問させていただきます。
 県は、重点事項2にGXの推進を置き、その内容において、再生可能エネルギーの導入促進や森林資源の循環利用を進めるなど、地域経済と環境に好循環をもたらす持続可能な新しい成長を目指すとしていることは評価いたしますが、省エネルギーへの投資が言及されていません。
 県は今般、住宅の省エネ化に向けた改修を促す1、500万円余の補助事業を9月14日からスタートさせましたが、1件につき最大約150万円補助は大きいものの、わずか10件の予算規模で、断熱、省エネの家の普及啓発につながるでしょうか。
 断熱性のグレードはUA値が岩手県では0.50のZEHを採用しており評価しますが、ドイツでは、グレードが4段階高いUA値0.13のパッシブハウスの普及に努めており、隣県の山形県のやまがた健康住宅基準の三つ星では、UA値0.23以下のグレードの高いものを採用しています。支援策も、県による新築の利子補給と市町村が行うリフォーム支援を連携して行っており、施策に継続性も見られます。
 山形県の特徴は、事業に複数の目的を持たせ、予算を集中させて大きな成果を上げるべく取り組んでいることです。この取り組みの目的をGX、省エネルギーの取り組みのみにせず、ヒートショック対策としても取り組んでいます。さらに、地元工務店が断熱技術を習得すれば、再生可能エネルギー事業以上の地域内経済循環を生み、県産材の利活用にもつながります。
 本県においても、省エネ住宅、より高い断熱性を備えた住宅の普及に部局横断的に取り組んでいくべきと思いますが、所見を伺います。
〇県土整備部長(田中隆司君) 本県を含む東北地方は、冬の寒さが厳しいことから暖房による冬場のエネルギー消費が大きくなっており、これに伴い世帯当たりの年間の二酸化炭素排出量も多くなっております。
 高断熱、高気密な省エネ住宅は、気温を一定に保ちやすくなり、エネルギー消費の抑制やヒートショックの危険性の低減に加え、木材利用による温室効果ガスの吸収など、多様な効果が期待されると認識しております。
 この省エネ住宅の普及に向けて、県ではこれまで、新築やリフォーム住宅を対象に一定量の県産木材を利用した住宅への補助を行い、さらに、岩手型住宅の規定を満たした住宅に上乗せ補助を行い、木材利用の促進と省エネ住宅の普及に取り組んできたところです。
 また、地球温暖化対策を学ぶ機会として、いわて気候変動チャレンジフェスタにおいて、省エネ住宅のメリットを伝えるパネル展示を行うなど、関係部局と連携した取り組みを行ってきたところです。
 持続可能なグリーン社会の実現のためには、省エネ住宅のさらなる普及は不可欠であると認識しており、引き続き、関係部局との連携により普及に取り組んでまいります。
〇14番(佐々木朋和君) 第2期政策推進プランの策定状況等で示されております重点項目としての人口減少対策、GX、DXの取り組みは、今お示しした事業もそうですけれども、部局をまたいで事業が展開されており、部局間の連携が不可欠です。
 省エネ住宅のように、事業が一つでも、その効果を複数設定し、各部局が意見を出し合って制度設計するべき事業も今後ふえてくるものと思われます。県は、そのような場合に、これまで部局横断的な組織を立ち上げて対応してきましたが、そのプロジェクトを引っ張っていく核となる部署が必要で、そこの人材の専門性こそがプロジェクトの推進力となっていきます。
 他自治体の好例を見れば、核となる部署の人材は、異動を最小限にとどめ専門性を蓄積していっています。DXやGXの事業には、もちろん外部専門人材を登用することも重要ですが、他部署との連携を図りながらプロジェクトを推進していく力とはまた別のものです。
 部局横断的な事業の推進のためには、部局横断的な組織とともに専門的な人材の育成も重要と考えますが、知事の所見を伺います。
〇知事(達増拓也君) 本県を取り巻く社会経済情勢が大きく変化する中、直面する県政課題に対応するためには、不断に組織体制を見直し、組織力を強化することはもとより、広い視野と高い専門性を有する人材の確保や職員の能力向上を図ることが重要と認識しております。
 県ではこれまでも、行政経営を支える職員を育成するため、県の政策立案や部局横断的な施策を担うセクションへの計画的な配置のほか、国や関係団体への派遣研修などにより、県政全般を俯瞰する能力や専門性の向上を図ってきたところであります。
 今後においても、議員御指摘の人口減少対策、GX、DXなど県の重要施策の継続性も考慮し、適材適所の人材配置を行いながら、県民視点で全体の利益を追求し、部局横断的な課題に果敢に挑戦する高い専門性を有する職員の育成を図ってまいります。
〇14番(佐々木朋和君) 次に、新型コロナウイルス感染症対策について伺いたいと思います。
 経済対策を中心に全国旅行支援について、まず伺いたいと思います。
 国からの情報も少ない中で、10月11日、きのうですけれども、スタートに間に合わせた県当局の御努力に、まずは敬意を表させていただきます。
 しかし、課題も指摘しなければなりません。国からの交付決定を受け、令和4年3月に82億円の予算措置をした旅行支援ですが、本県では、他県のように利用がストップしなかったので、予算消化が進み、現在、残りが21億円余、泊数にして28万人泊となっています。
 国の示す事業期間は12月下旬となっていますが、10月の県内宿泊延べ人数を見ると、令和2年が52万人余、令和3年が45万人余と、半月分しか予算がもたない状況となっております。
 県は、その予算を宿泊施設直販分3割、OTAを含む旅行事業者配分に7割割り振ったので、各宿泊施設では割り当てが満館の1.5日分しかなく、11日予約開始当日で枠がなくなるのではないかと―文章ではそうですけれども、実際に、今もう枠がなくなっていて、断る電話の対応に追われているというお声を聞いております。また、泊数が少なくてキャンペーンとしての効果に疑問の声も伺えます。
 県は、Go To トラベル時の実績から3対7の振り分けを行ったと聞いておりますが、Go To トラベル時は、直販には第三者機関の介入が必須で、OTAのみ取り扱った宿泊施設も多かったと記憶しています。
 県は、このような実情を十分に事業者や関係団体からヒアリングをして割り振りを決めたのでしょうか。
 また、精算や残り原資を素早く把握するための改善も求めていましたが、改善されず10日まで展開されたいわて旅応援プロジェクト第2弾の残り原資を、新たな事業に積み増しするのも時間を要します。
 県では、国に対して追加予算の配分を要望していただいておりますが、10月から11月上旬で紅葉のピークが終わってしまう本県においては、絶好の観光需要を失うことになり、時間的猶予がありません。
 国の追加配分を要望しつつ、先行して県費を入れて賄うべきではないでしょうか。所見を伺います。
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) 全国旅行支援の財源につきましては、これまで実施してきた県民割と一体的に運用することとされており、本県を初めとして、これまでに、まん延防止等重点措置に伴う事業の停止期間がなかった県などでは、予算残額が少なくなっていると承知しております。
 引き続き、厳しい経営環境を強いられている観光事業者を支援していくに当たっては、大都市圏からの需要喚起が必要であることから、全国旅行支援の実施期間を通じて事業が可能となるよう、国に対し、補助金の追加配分について、直接出向くなどにより国に要望しているところでございます。
 こうした中、先週末に国から、補助金の交付限度額を増額する旨の連絡を受けたところでございまして、宿泊施設等に速やかに追加配分ができるよう早急に準備を進めてまいりたいと考えております。
〇14番(佐々木朋和君) ありがとうございます。大変うれしい答弁をいただきました。また、そのように働きかけを早期からしていただいた当局に感謝を申し上げたいと思います。ぜひ、この情報をいち早く関係者に流して、需要が失われないように早急な対応をしていただきたいと思います。
 もう一つ、次に、物価高騰対策支援金について伺いたいと思います。
 今、全国旅行支援の財源がないという話をしましたが、一方で、予算措置した13億円の活用が思うように進んでいないのもあります。6月定例会で補正予算が成立した物価高騰対策支援金は13億円、9、000件の申請を見込んでいますが、9月29日現在で18件、188万8、000円の支給にとどまっています。
 対象月が4月から9月までであり、申請期間も11月末まででありますので、今後申請がふえることを期待しますが、事業者からは、前年同月の単価と比較して最大5品目の上昇率が10%以上、上昇額10万円以上という要件とそれを示す証拠書類の大変さや、ある一定の仕入れ量がないと対象にならないという事業規模の縛りが、申請をためらわせているとの声が聞かれます。
 また、相談及び申請窓口は、地元の商工団体ではなく盛岡市内に新設された事務局対応となり、相談体制も不十分と言わざるを得ません。
 今回は、飲食店や観光事業者など業種に絞ることなく支援対象としたことは評価いたしますが、各業界団体への情報提供は十分だったのでしょうか。
 私も以前の一般質問で、事業者支援の要件については、関係団体や事業者から直接ヒアリングをして実態に即したものにすることや、国から各県に平等に来ている交付金の活用なのだから、他県に比して本県事業者が損をするような制度設計にならないようお願いしてきましたが、この事業の申請が伸びなければ、申請期間が終わり残余予算が新規事業に割り当てられるまで、本県事業者は、他県で行われている物価高騰対策を受けられていないのと同じことになってしまいます。
 県の物価高騰対策支援金の制度設計に至った経緯と今後の対応策をお示しください。
〇知事(達増拓也君) 物価高騰対策支援金についてでありますが、制度設計に当たっては、コロナ禍を通じての売り上げ減少に加え、ことしに入り、原材料価格や資材価格の高騰が顕著になってきたことを踏まえ、これらの影響を受けている幅広い事業の事業者に対する支援が必要であると考えたところであります。
 一方、そのような支援を行っていくためには多額の財源を要することから、継続的に持続化給付金の再給付などを国に働きかけてきた中で、県として、限られた財源を活用し、売り上げ減少や仕入れ価格の上昇、また、支給額についても一定の要件を設定した上で支援を行うとしたものであります。
 事業者に対する支給実績が低調な要因については、これまでの地域企業経営支援金や家賃補助に比べて支給額が少額であることや、確認書類が多くなったこと等により事業者の負担がふえ、事務局における審査にも時間を要していること等によるものと認識しております。
 今後、商工指導団体等を通じて、事業者に対して、支援金の活用についての情報提供を改めて徹底するとともに、多くの事業者に活用されるよう、確認書類の見直し等を含めた検討を早急に進めてまいります。
〇14番(佐々木朋和君) 山形県においては、この高騰対策に仕入れ等の要件はなく、売り上げ減のみの要件だと聞いております。また、今、限られた財源の中で対象を絞るためということでありましたが、そうであれば、やはり今の制度では小規模事業者を除外するような形になってしまう。しかも、それがわかりにくい形で示されているのです。仕入れの部分を積み上げてみて自分たちが当たらないのだとわかる。また、それもわからずに、提出してみて、盛岡市内の事務局に問い合わせてみてわかる。そういったやり方というのはいかがなものかと。そうであれば、事業規模、働いている人数で枠をつけるとか、事業者ファーストで制度設計していただきたいと思います。ぜひ改善を求めたいと思います。
 次に、東日本大震災津波からの復興について伺いたいと思います。
 なりわいの再生の今後の課題として三陸沿岸道路の利活用が上げられておりますが、三陸沿岸道路のポテンシャルを生かすためのハード整備が重要と考えます。
 県内の事例を挙げれば、国道284号は、室根バイパスも完成し、内陸と沿岸のアクセスは向上しましたが、気仙沼市から三陸沿岸道路への取りつけが悪く、せっかくの機能を生かし切れていません。
 また、国道343号は、渋民バイパスの完成で東北自動車道から大東町大原までのアクセスは向上しましたが、笹ノ田峠の改善がなければ、せっかくの機能が十分に発揮されません。
 あわせて、三陸沿岸道路の機能を十分に発揮し、その恩恵を三陸全域、そして県内全域に波及させていくためには、東北自動車道と三陸沿岸道路を連結する道路の整備について早期事業化を進めるべきです。
 先日、一関市で行われた一関遊水地事業50年の集いにて、岩手大学の平山名誉教授が、地域の建設業者は災害時の地域の大切な守り手であり、存続のためにも、復興事業と遊水地事業の終了後の新たな事業の必要性への言及をされたこともあり、道路整備による地域への波及効果等の重要性を改めて認識したところです。
 知事の考える三陸沿岸道路の効果を高める道路整備についてお示しください。
〇知事(達増拓也君) いわて県民計画(2019〜2028)に掲げた各分野の政策を力強く推進していくためには、あらゆる社会経済活動や県民の安全・安心な暮らしを支える道路等の社会基盤を強化していくことが重要であります。
 広大な県土を有する本県においては、東北自動車道や三陸沿岸道路の縦軸、釜石道や宮古盛岡横断道路の横軸に加え、これらの道路を補完し、または代替となる道路が一体となって機能することが必要であります。このため、昨年6月に災害に強い道路ネットワークの構築や都市間交流を支える道路ネットワークの強化を基本方針とした岩手県新広域道路交通計画を策定したところであります。
 この計画において、県南部では、気仙沼市―一関市間の国道284号、陸前高田市―一関市間の国道343号や主要地方道一関大東線などについて、三陸沿岸と内陸の都市間を連絡する一般広域道路に位置づけたところであります。
 県としては、三陸沿岸道路の効果を高めるためには、岩手県新広域道路交通計画の着実な推進が必要と考えており、道路ネットワーク上の課題や整備効果等の検討を進めながら、必要な道路整備に取り組んでまいります。
〇14番(佐々木朋和君) それぞれの細かい道路については、また決算特別委員会の部局審査でお願いしたいと思います。
 次に、岩手県の教育課題について、自己肯定感について伺いたいと思います。
 令和3年度いわて幸福関連指標の自己肯定感を持つ児童生徒の割合は、小学生が76.4%、中学生が76.2%のD評価となっています。その理由の一つに、県は新型コロナウイルス感染症の影響により機会が喪失されたことを掲げておりますが、コロナ禍が明ければ課題は解決されるという保証もないままに、第2期アクションプランの策定時期において、コロナ禍の中、取り組めなかったで済ませてよいのか。現場の先生方も、コロナ禍の中、工夫しながら体験の機会を児童生徒に与えてくれた事例も多く見られると認識しております。
 国は、新しい学習指導要領等が目指す姿の中で、複雑で変化の激しい社会の中では、固有の組織のこれまでのあり方を前提として、どのように生きるかだけではなく、さまざまな情報や出来事を受けとめ、主体的に判断しながら、自分を社会の中でどのように位置づけ、社会をどう描くのかを考え、他者と一緒に生き、課題を解決していくための力が必要となるとの見解も示しており、長崎県教育委員会では、2020年から2021年までに校則に関する実態調査を行い、人権に配慮した校則への見直しを指示するなど改革を進めています。
 校則の事案は一例であってそれにこだわる意味ではありませんが、本指標の低下をコロナ禍を要因とせず、足らざるところを吟味して第2期アクションプランにつなげるべきと思いますが、所見を伺います。
〇教育長(佐藤博君) 自己肯定感を持つ児童生徒の割合の低下につきましては、全国学力・学習状況調査児童生徒質問紙調査結果にも全国的な傾向としてあらわれており、新型コロナウイルス感染症の影響が特徴的な要因の一つと捉えているところでございます。一方で、令和3年1月にまとめられた中央教育審議会答申におきましては、社会の多様化が進み、画一的、同調主義的な学校文化が顕在化しやすくなったと指摘されておりまして、児童生徒が、多様性を認め合える環境づくりもまた大きな課題であると認識しております。
 県教育委員会では、これまで、道徳教育や人権教育の充実はもとより、児童生徒が参画して校則を見直す取り組みを通して主体性を育むことや、社会や地域における貴重な体験を通して、さまざまな人々とかかわり合いながら、達成感や有用感を得ることができるよう努めているところです。
 第2期アクションプランの策定に当たっては、本県の強みである多様な豊かさや人とのつながりなどを生かし、多様性と包摂性が重視される社会の実現に向け、児童生徒一人一人の豊かな心と可能性を伸ばす教育を推進してまいります。
〇14番(佐々木朋和君) 先ほど若年女性の部分でも触れました、指標も紹介させていただきましたが、ぜひ、それも含めて第2期アクションプランに当たって検討していただきたいと思います。
 次に、部活動の地域移行について伺いたいと思います。
 運動部活動の地域移行に関する検討会議提言で、令和7年度末をめどに、休日の運動部活動から段階的に地域移行していくことを基本とする方向性が確認されています。
 一方、地方では、学校単位の部活動は存続危機の状況であり、例えば一関市の中総体では、ソフトボールの部で、混合2チームが出場するのみで、1試合が行われるなど、国が想定している状況よりも存続の危機は近いです。
 本県では、今年度1市2町で地域部活動推進実践研究事業のモデル事業が行われましたが、一関市では、独自に2校2部で地域部活動をスタートさせました。来年は、より多くの自治体、学校で地域部活動が検討され、実施されるのではないでしょうか。
 都市部に比してクラブチーム等の主体が不足している地方においては、運営もままならない状況にあり、国の部活動指導員制度も対象人数が少ない状況です。
 このような地域事情に鑑み、県では、地域部活動移行について支援を強化し、経費補助制度の創設を検討するべきではないでしょうか。
 また、地域の実情に合わせてさまざまな類型の実施主体が立ち上がることが想定されることから、大会出場要件の整備が必要ではないかと考えます。
 県は、大会主催者と連携を密にし、大会への出場資格を明確にするよう求めつつ、部活動の地域移行の方向性を示していくべきではないでしょうか。所見を伺います。
〇教育長(佐藤博君) 文部科学省の令和5年度概算要求では、運動部活動の地域移行に向けた支援として、コーディネーターの配置や運営団体及び実施主体の整備充実などが盛り込まれていると承知しておりますことから、今後の国の予算編成の動きを注視してまいりたいと思います。
 また、大会への出場資格については、日本中学校体育連盟が、令和4年6月に全国中学校体育大会開催基準を見直しし、地域スポーツ団体等の所属する中学生の参加条件を示しているところでございます。具体的な参加基準につきましては、全国の競技団体や都道府県中学校体育連盟において、現在、検討段階であると伺っております。
 今後、県内で行っているモデル事業や、今後公表される全国各地のモデル事業例を市町村に展開するとともに、県の取り組みとして推進計画の策定などが想定されており、地域の実情に応じ、実施可能な市町村から進めていきたいと考えております。
 岩手県の中学生が、それぞれの興味、関心に応じた多様な活動と大会出場が図られるよう、関係団体と連携して部活動の地域移行を支援していく考えです。
〇14番(佐々木朋和君) 各自治体が主体的に進めるのはいいのですけれども、いざできてみたら、大会の出場要件に合わないような形だったといったことがないように、県としては指導いただきたいと思います。
 また、経費補助については、国の動向を注視するということでありましたけれども、各自治体、国も検討していただいていますが、ボリューム的になかなか難しいのではないか、足りないのではないかという思いがあるようです。
 例えば、沿岸部については特に人口減少が進んでいる地域もありますから、いわての学び希望基金を活用していくとか、あるいは、ふるさと納税などを通じて、母校の自分の部活動に外に出ていった方々に支援をいただく、今それぞれの部活動で寄附金などを集めているところもあるかもしれませんが、そういった形態もいいのではないかと私は思います。ぜひ、いろいろなアイデアを出して地域部活動が成り立つように御指導いただきたいと思います。
 次に、特別支援学校高等部の分教室設置について伺いたいと思います。
 本年度より、一関清明支援学校千厩分教室に副校長先生を配置してくださったことを高く評価いたします。ありがとうございます。それにより看護師の配置が可能になり、千厩分教室において医療的ケア児の受け入れをすることができております。
 こんな事例がありました。医療的ケア児を持つ親御さんが、片道30キロメートル、40分の道のりを送迎し中学部を卒業したのですが、仕事もあり、兄弟もいて、義務教育ではない高等部進学を諦めて家で過ごすことを決断します。しかし、そう決めてレスパイト的に受け入れてくれるデイサービスや福祉施設を探したところ、地域にはなく、結局は、同じく30キロメートル、40分離れたレスパイト施設へ送迎することになったのです。
 医療的ケア児を受け入れてくれる施設は、通常、地域に常設されていません。医療的ケア児の御家族が開拓していくのが現状です。私がこの事例から学んだことは、近くに特別支援学校がなく通えないということが、家族の行き詰まりにつながるということです。
 県は、岩手県立特別支援学校整備計画において分教室における教育環境の充実を掲げており、高等部分教室設置について検討するとしています。現在の検討状況と、ハードルがあるとすれば何かお示しください。
〇教育長(佐藤博君) 特別支援学校高等部の分教室の設置についてでありますが、特別支援学校の高等部につきましては、卒業後の自立や就労の実現に向け、職業教育にかかわる教育環境や、人間関係の広がりなどを育むための一定の学習集団が必要であることから、広域圏を単位として設置しているものです。
 また、分教室の設置につきましては、児童生徒数の動向や全体的な学校配置のあり方等を勘案し、総合的な視点により検討を進めることとしております。
 今後の分教室設置の必要性につきましては、令和6年度からの次期いわて特別支援教育推進プランの作成に当たり、各地域の状況の整理を行うとともに、市町村等からの御意見等を伺いながら検討を進めていきたいと考えております。
〇14番(佐々木朋和君) やはり課題は登下校なわけであります。特に、医療的ケア児の場合は、スクールバスを使ってというと、そこに補助員の方がつかなければいけないということで、なかなか整備も難しいと。そういった中では、やはり医療的ケア児支援法ができたとは言え、親御さんがそこに付き添いをして登校しなければいけない。一方で、学校に行かないとなると、地域でまた、今度は保健福祉分野になりますが、施設を自分たちの手で探さなければいけない、開拓していかなければならないといったような課題があるわけです。
 私も、関係団体の皆さんとヒアリングをさせていただいているのですけれども、分教室がいいのか、それとも本校に対する登下校を手厚くしていただくのがいいのか、この部分については議論の分かれるところでありますが、今の話では、分教室というのもなかなか難しいと。あるいは、その環境として、多くの生徒と一緒にというのがあるのであれば、やはり本校へ交通支援といいますか、スクールバスあるいは単体の福祉タクシーのようなもの、そういった部分で登下校を保障するという考え方もあると思います。
 スクールバスの拡充等について、教育長、もう一度答弁いただきたいと思います。
〇教育長(佐藤博君) 個別のさまざまな課題がそれぞれの学校あるいは分教室のほうであると思います。さらに、医療的ケア児支援法が施行になりまして、私どもでも、直ちに対応できるところは何かないかというようなことで、副校長の配置を図り、看護師の確保、そして、医療的ケア児が学校での学びもできるような形で措置をさせていただきました。
 今後、個別の事情等の解決策はさまざまな手法等があると思います。それに向けては、多くの関係者の方々と、いろいろな事情をどのような形で克服していくか、知恵を出し合いながら、どういったやり方で支援ができるかといったところも含めまして検討していきたいと思います。
〇14番(佐々木朋和君) また、この課題については、保健福祉部とも密接に関係しておりまして、体制ができたとはいえ、やはり看護師が配置できないともとのもくあみということもあります。特別支援学校や分教室にいていただける看護師も、それぞれそのとき、そのときの、正規雇用ではない形だという課題もありまして、学校で体制が整っても看護師が確保できないといった課題もあるとお聞きしております。
 先進地では、公立病院に在籍していて、各年度、必要なところに派遣するといった形をとっているところもあると聞いております。そういったところで教育委員会と保健福祉部と連携して、ぜひ課題解決に向けて取り組んでいただきたいと思います。
 次に、世界遺産の拡張登録について伺いたいと思います。
 平泉の文化遺産拡張登録が大詰めを迎えています。8月18日に行われた第19回平泉の文化遺産世界遺産拡張登録検討委員会では、柳之御所遺跡のみを拡張登録とする案が最も進展しているとの評価が出ました。一方、さらに骨寺村荘園遺跡を加えた案は、推薦書の作成まで時間がかかるとの意見が出されました。
 しかし、委員からも、骨寺村荘園遺跡を構成資産に加えることで、清衡公の生きとし生けるもの全てを平等に極楽浄土に導きたいという願いを具現化したものとして、浄土という理念の幅を表現できる。浄土をあらわす空間としての栗駒山も肉づけされるべきなど、骨寺村荘園遺跡を構成資産に入れることで史跡群の価値が高まるという指摘も出ています。
 この検討委員会の評価は、文化財としての価値を評価するものではなく、登録のためのある意味テクニカルな部分の評価であることは、委員会のまとめにも記されています。過去の事例を挙げれば、富士山―信仰の対象と芸術の源泉の構成資産である三保の松原も、登録除外との指摘を受けていましたが、自治体や地域住民が諦めずに取り組み、逆転とも言える登録をかち取っています。
 先日、知事も出席されておりましたが、平泉町で行われた全国史跡整備市町村協議会の来賓スピーチにて、活用と維持の好循環という話をされた方がおりました。人口減少が進む中にあっても、構成資産を持つ自治体は、後世に資産を維持管理していかなければなりません。そして、そのためには、観光や地域住民のためにしっかりと利活用して、その恩恵を維持管理に回すことが重要という意味です。
 骨寺村荘園遺跡が拡張登録になれば、世界遺産としての価値が高まるだけではなく、周辺の厳美渓や栗駒山を巻き込んで観光需要が喚起され、地域への恩恵は大きくなります。そして、維持の面からも、平泉1町で支えているものが、複数自治体で支える体制が整います。そのような磐石な体制が敷かれてこそ、東北初の国立博物館誘致という大きな望みにもつながると思います。
 県には、テクニカルな面だけではなく、史跡群全体の価値向上と今後の活用や維持、地域振興も見据えた判断を期待します。
 県は、骨寺村荘園遺跡が拡張登録された場合の効果をどのように認識していますか。
〇文化スポーツ部長(熊谷正則君) 骨寺村荘園遺跡の拡張登録の効果についてでありますが、骨寺村荘園遺跡は、古くからの水田景観が周囲の景観とともに良好に残されている貴重な文化財で、中世荘園の雰囲気を今に伝える日本でも希有な場所であります。
 世界遺産登録による一般的な効果としては、世界に誇る遺産として、適切に保護、保存、継承するための体制が確立されること、遺産の調査を継続することにより遺産の価値が深まっていくこと、遺産やその周辺における観光需要が高まり、交流人口の増加や経済効果等による地域振興が期待されることなどが挙げられます。
 骨寺村荘園遺跡についても、地域住民の皆様が、景観の保護や後世への継承のための一体的な取り組みをさらに推進していく動機づけになるほか、国内外における遺跡への関心が高まることにより、周辺地域も含めた来訪者の増加などの効果が期待されます。
〇14番(佐々木朋和君) 私の質問の仕方が悪かったのか、骨寺村荘園遺跡が拡張登録されたことにより、平泉の世界遺産全体に及ぶ効果というものをお聞きしたかったのですが、お答えをいただきたいと思います。
〇文化スポーツ部長(熊谷正則君) 骨寺村荘園遺跡について、平泉の世界遺産全体への効果ということでございます。
 現在、拡張登録は、奥州市、一関市、平泉町の五つの遺産拡張を目指しております。そうなりますと、議員から御指摘ありましたとおり、平泉町内だけの現在の遺産から範囲が広がるというところで、広域的な世界遺産の価値が生まれるものということで効果があると思っております。
〇14番(佐々木朋和君) ぜひ、その効果の面にしっかりと注視していただいて、関係市町と検討を進めて、よりよい結果を出していただきたいと思います。よろしくお願いしたいと思います。
 次に、公共交通施策について伺いたいと思います。
 JR東日本では、令和4年7月に、2019年度実績において、1日当たり2、000人未満の線区の経営状況を初めて開示し、本県では6路線が対象となりました。国土交通省の有識者検討会は、7月、国が主導して鉄道会社や自治体と協議を設け、特に利用状況が厳しい路線について、最長でも3年以内に存廃の結論を出す提言をまとめました。
 県はこれまで、路線バスや第三セクター鉄道の利用状況をKPIに盛り込み、利用促進に努めてきましたが、JR路線が撤退となれば地域への影響は大きく、今後は、路線バスや第三セクター鉄道とともに、JR東日本も含めた利用促進策に、より力を入れていく必要があると思われます。
 JR東日本の協力を得、第2期アクションプランのKPIに盛り込むことも必要ではないでしょうか。
 本県では、通勤時の公共交通内での仕事を勤務時間に入れる取り組みを行っている事業所もあり、働き方改革とともに公共交通利用促進策としても有効と思われます。県庁や各自治体でも取り組めば大きな効果が得られるのではないでしょうか。また、重要項目GXの観点からの取り組みも期待されます。
 県は、今後、JR東日本も含めた公共交通の維持に向けた取り組みをどのように強化していくのか伺います。
〇ふるさと振興部長(熊谷泰樹君) 公共交通の維持に向けた取り組みの強化についてでございますが、人口減少社会において、県民生活の基盤の維持、向上を図っていくため、持続的な地域公共交通の確保は重要な課題であると認識しております。
 JRローカル線については、国土交通省の検討会による提言やJR東日本による地方路線の収支公表など、その取り巻く状況は大きく変化しており、JRローカル線の維持に向け、県と沿線市町が連携した会議を設置し、国等への要請内容、マイレール意識の醸成や鉄道の利用促進について協議するなど、具体的な対応を進めてまいります。
 また、公共交通機関の利用促進に当たっては、県、沿線市町村等で構成する利用促進協議会を通じたマイレール意識の醸成や企画列車の運行支援、県民一人一人の行動変容を促す公共交通スマートチャレンジ月間などに引き続き取り組んでいくほか、人流のビッグデータやMaaS等の新しいデジタル技術を活用し、ダイヤ改正や商品造成等、全ての交通事業者が相互に連携した利用促進策を支援することで基盤強化を図ってまいります。
 今後とも、市町村、公共交通事業者と連携し、公共交通の維持確保に取り組んでまいります。
〇14番(佐々木朋和君) KPIのお話をいたしました。JR東日本は民間企業でありまして、今まではなかなか数字を把握するのも県としては難しかったと思いますが、今般は数字を公開していただいております。
 また、国からも、例えば1日1、000人未満とか、そういった数字も具体的に出てきているところであります。そういった意味では、今を機にJR東日本と密に連携を密にとって、そういった情報提供もいただきながら、三セクや地域バスと同じように、次期アクションプランにKPIも盛り込んでいくことも考えるべきではないかと思いますが、もう一度答弁をいただきたいと思います。
〇ふるさと振興部長(熊谷泰樹君) JR東日本のデータでございますが、現状では、路線の一定期間を区切った平均通過人員を公表はしております。八戸線、花輪線、北上線、大船渡線の4路線は、他県にもまたがった区間になっておりまして、そのまたがった区間の人員が公表されております。IGRいわて銀河鉄道や三陸鉄道のように県内に限った利用人員を把握するのが、今の段階ではちょっと難しいところはございます。
 そういった状況にはございますが、議員御指摘のとおり、先日、赤字路線の収支状況が公表されたところでございますので、なかなか厳しいとは思いますが、JR東日本に対し、さまざま連携させていただきながら、その情報提供が可能かどうか相談してまいりたいと考えます。
〇14番(佐々木朋和君) 冒頭、質問もさせていただきましたが、これから、学校や病院のグランドデザインの検討も始まる中で、地域公共交通、特に鉄道のあるなしは非常に大きな課題ともなっています。学生たちも、鉄道のほうが勉強もできるということで、時間を有効に使えるというのは大きなことなのだろうと思っております。
 ぜひ、そういった声に応えるためにも頑張っていただきたいと思いますし、利用促進策について、一つ提案させていただいてきましたが、今までのようなイベント的なものではなく、私が例を出させていただいたような、ライフスタイルを変えるような、インセンティブが働くような大きなことが必要だろうと思います。第2期アクションプランでは、ぜひ異次元の利用促進策を行っていただきますよう、お願いしたいと思います。
 最後の質問をさせていただきます。栗駒山の須川コースの通行どめの解除について伺いたいと思います。
 栗駒山須川コースは、2018年に基準値の20倍の火山ガスが観測され、2019年から通行どめを余儀なくされてきましたが、観測の結果、昭和湖までの一部が解除されました。来年以降は火山ガスの状況を見て判断するとしており、昭和湖から天狗平までは引き続き通行どめとしています。新聞報道では、須川高原温泉の副支配人のコメントが紹介されており、規制によりお客様が激減している様子が伝えられています。
 国は、近年、国立国定公園について、自然保護の観点に加え積極的に観光資源として利活用し、地域振興と維持管理につなげる方針も打ち出しています。県には、専門家会議の中で、十分な安全配慮はもとより、一刻も早い規制解除への道筋を探る動きが求められます。
 専門家からは新たな須川ルートの模索の意見も出されていますが、県の取り組みをお示しください。
〇環境生活部長(福田直君) 栗駒山についてでありますが、これまで、須川コースは、火山ガスの影響を踏まえて通行どめとしておりましたが、火山ガスの濃度の低下を踏まえ、苔花台から昭和湖までの区間は、先月9日に通行どめを解除しております。
 一方、昭和湖から天狗平までの区間は、引き続き通行どめとなっており、栗駒山の山頂まで行くためには、須川コースの東側にある全く別のコースを通らざるを得ない状況となっております。
 そのような中、栗駒山火山防災協議会の火山ガス対策専門部会においては、須川コースの通行どめを全面解除できる時期を見きわめるため、火山ガスの状況を引き続きモニタリングしており、それと並行して、通行どめとなっている昭和湖から天狗平までの区間の迂回ルートについても検討に着手しております。
 迂回ルートを設けるに当たっては、自然公園の利用促進に加えて、登山者の安全確保といった観点を踏まえる必要がありますので、専門部会の有識者の意見を伺いながら検討を進めてまいります。
〇14番(佐々木朋和君) 検討していただけるということでありがたく思いますが、経済的な部分も、声も紹介させていただきました。県には、安全の確認はもとより、やはり利活用に向けた取り組み、今、別コースの話もありましたけれども、そこは上級者、中級者向けで、一般の観光的には、今の須川コースが改善されないと厳しいという声が出ております。ぜひ、そういった状況もわかっていただいて、専門家会議の中でも利活用についての道筋をしっかりと探っていく、そういった方向で議論に参加していただきたいと思います。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
   
〇議長(五日市王君) この際、暫時休憩いたします。
  午後2時29分 休 憩
   
出席議員(46名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 上 原 康 樹 君
3  番 小 林 正 信 君
4  番 千 葉   盛 君
5  番 千 葉 秀 幸 君
6  番 岩 城   元 君
7  番 高橋 こうすけ 君
8  番 米 内 紘 正 君
9  番 高 橋 穏 至 君
10  番 山 下 正 勝 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 佐々木 朋 和 君
15  番 菅野 ひろのり 君
16  番 柳 村   一 君
17  番 佐 藤 ケイ子 君
18  番 岩 渕   誠 君
19  番 名須川   晋 君
20  番 佐々木 宣 和 君
21  番 臼 澤   勉 君
22  番 川 村 伸 浩 君
23  番 千 葉 絢 子 君
24  番 ハクセル美穂子 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 吉 田 敬 子 君
27  番 高 橋 但 馬 君
28  番 小 野   共 君
29  番 軽 石 義 則 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 小 西 和 子 君
32  番 高 橋 はじめ 君
33  番 神 崎 浩 之 君
34  番 城内 よしひこ 君
35  番 佐々木 茂 光 君
36  番 佐々木   努 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 中 平   均 君
39  番 工 藤 大 輔 君
40  番 五日市   王 君
41  番 関 根 敏 伸 君
42  番 佐々木 順 一 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 岩 崎 友 一 君
45  番 工 藤 勝 子 君
46  番 千 葉   伝 君
47  番 工 藤 勝 博 君
48  番 飯 澤   匡 君
欠席議員(なし)
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後2時48分再開
〇議長(五日市王君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。高田一郎君。
   〔13番高田一郎君登壇〕(拍手)

前へ 次へ