令和4年9月定例会 第22回岩手県議会定例会会議録

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〇19番(名須川晋君) 希望いわての名須川晋でございます。既に登壇されました質問者の皆さんと重複するところが出ておりますが、通告どおりに質問を進めさせていただきますので、御答弁のほど、よろしくお願いいたします。
 まずは、一昨日9日に開催された第89回NHK全国学校音楽コンクール―Nコン小学校の部におきまして、北上市の黒沢尻北小学校合唱部が県勢として初めて最高位の金賞に輝いたとの朗報が届けられました。
 全国から387校が参加、各地の予選を勝ち抜いた強豪11組12校が出場する中、見事頂点に立ったとのことで、児童の皆さんは無論、活動を支えられてきたPTA、指導に当たられた御関係の皆々様に心からお祝いを申し上げ、敬意を表するものであります。
 それでは、質問に入ります。
 まずは、スポーツ施策から、第77回国民体育大会いちご一会とちぎ国体の総括及び第22回全国障害者スポーツ大会いちご一会とちぎについて伺います。
 先ごろ、全国から40歳以上のシニア世代が集い、日本スポーツマスターズ2022岩手大会が開かれました。かつて競技スポーツで活躍された方々のセカンドステージとして、日々みずからの技量を高め、試す機会となる今大会に参加された選手の皆様の御活躍に、心から敬意を表し、各競技団体及び大会運営関係者の皆様の御尽力に深く感謝申し上げます。
 さて、10月1日から本日までの日程で行われている第77回国民体育大会いちご一会とちぎ国体でありますが、本県出場選手へのねぎらいの言葉をいただくとともに、競技成績をどのように総括するか、また、29日から31日まで開かれる第22回全国障害者スポーツ大会いちご一会とちぎに向けた抱負を示していただきます。
 本県のスポーツ振興について伺います。
 国においては、この3月、令和4年から令和8年までを期間とする第3期スポーツ基本計画を策定いたしました。東京オリンピックも開催された第2期計画の総括的評価も踏まえつつ、つくる、はぐくむ、あつまり、ともに、つながる、誰もがアクセスできるという三つの視点を支える施策が盛り込まれました。
 本県が文化スポーツ部を設置したのは平成29年4月と、若干遅い感もありましたが、以降、生涯スポーツや障がい者スポーツの振興に一定の効果が見られたものと確信しております。
 今どきのWeb3という言葉になぞらえて表現するならば、教育委員会が所管していた旧来の時代をスポーツ1.0、文化スポーツ部所管の現在が2.0、デジタル技術を活用したDXの推進、医療、介護とスポーツの連携、スポーツによる地方創生、まちづくり、スポーツ団体における女性役員の増加等、今般の第3期スポーツ基本計画に盛り込まれた内容は、スポーツ3という新たに1段階ステップアップしたと言ってもよろしいのではないでしょうか。
 岩手県スポーツ推進計画は、令和5年度を区切りとし、新たな計画策定が始まる段階にある来年度が、第3期スポーツ基本計画の趣旨にも合致したスポーツ行政を構築していくことになるものと思います。
 今後、当分は文化スポーツ部の所管でありましょうが、かかわる部局が多岐にわたるこれからのスポーツ行政について、そのあり方をどう捉えるか伺います。
 次に、持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会について伺います。
 今般、持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会での議論を受けて、持続可能で希望ある岩手を実現するための行財政改革に関する報告書が取りまとめられました。持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会設置の表明から半年という短期間で、資料も含め150ページを超える報告書を取りまとめたことに、希望ある岩手を実現する知事の強い決意を感じるものです。
 さきの2月定例会で私がこの持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会に込めた知事の思いと狙いについて質問した際、知事は、県が直面する人口減少を背景とした一般財源規模の縮小は中長期的な課題であり、過去の行革で実施した職員数の削減や給与の引き下げ、補助金の見直しなどの短期的な対応とは異なる対応が求められる中、誰ひとり取り残さないという理念のもと、今後も基本的な行政サービスを安定的に提供し、県民福祉を増進していくため、持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会においては、今後の人口構造を踏まえた歳入確保策やあるべき歳出水準、財政目標について議論いただき、成果を令和5年度以降の予算編成等に反映していくと答弁されました。
 持続可能で希望ある岩手を実現する行財政の報告書の冒頭では、削減ありきの縮小型の行政運営ではなく、人口減少、少子高齢化という構造的課題に真正面から立ち向かい、現下に差し迫っている静かなる危機を将来にわたる希望に変えていくと、明確で強い決意が表明されておりますが、知事は、この持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会での議論の意義についてどのように総括されているのか、報告書の内容も踏まえて伺います。
 令和5年度当初予算の編成についてであります。
 報告書では、その構造的課題に立ち向かうためにも、人口減少対策、特に深刻な自然減対策の継続的な実施の必要性、本県の強みとして、県立病院のさらなる充実や県立高等学校における学びの質の向上などについて触れられており、中長期的な取り組みの方針が示されています。
 一方で、同時に発表された岩手県中期財政見通しや令和5年度当初予算編成方針では、令和5年度も100億円を超える収支不足が想定されており、目前に迫る来年度予算をどう編成するかという現実的、短期的な取り組みも求められています。
 持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会での議論を踏まえて設定された四つの財政目標である、令和10年度当初予算までに収支均衡予算を実現、公共施設に係る県民1人当たりの負担額1万2、000円以下の水準を維持、プライマリーバランスの黒字を維持、財政調整基金の現行水準177億円の維持は、いずれも直ちに達成することが難しい高い目標と認識していますが、この収支不足をどのように解消しながら予算編成に臨まれる決意なのか伺います。
 次に、東日本大震災津波からの復興について伺います。
 復興における課題認識について伺います。
 きょうで東日本大震災津波から11年7カ月がたちました。私は、岩手県議会東日本大震災津波復興特別委員会委員長として、先月12日に開催された第32回東日本大震災津波復興委員会に出席させていただきました。
 今回の委員会では、本年度末をもって終了するいわて県民計画(2019〜2028)第1期復興推進プランの取り組みの進捗状況、成果及び今後の課題や、来年度から始まる第2期復興推進プランの策定方針等について議論が行われました。
 出席した委員からは、女性の人口減少についての分析や対策が必要であること、心のケアは命にかかわることであり強い位置づけが必要であること、行政のデジタル化や企業のDX化にとどまらず、地域のDX化にも取り組む必要があることなど、さまざまな意見が述べられたところです。
 本県では、いわて県民計画(2019〜2028)において、いのちを守り、海と大地と共に生きる、ふるさと岩手・三陸の創造を復興の目指す姿として掲げ、安全の確保、暮らしの再建、なりわいの再生及び未来のための伝承・発信の4本の柱に沿ったさまざまな復興の取り組みを実施しておりますが、先ほど述べた東日本大震災津波復興委員会における意見も踏まえ、県として、第2期復興推進プランの計画期間においてどのような課題に取り組む必要があると認識しているのか、知事の御所見を伺います。
 復興における市町村等との連携について伺います。
 いわて県民計画(2019〜2028)においては、復興の推進に当たって重視する視点として、参画、交流、連携が掲げられており、国や市町村、関係団体、企業、NPOなどとの連携の重要性について言及がなされています。
 知事は、東日本大震災津波の発災以降、年始の仕事始めには沿岸被災地に赴くなど、常に被災者に寄り添い、また、沿岸市長村長との連携を密にしながら、これまでも力強く復興を進めてきておりますが、さきに述べた本年9月12日の東日本大震災津波復興委員会においても、委員である釜石市の野田市長から、知事には三陸沿岸に足しげく通い、地元12市町村の首長や事業者、被災者の方々といろいろと話し合いができる場を設置してほしいとの発言があるなど、一層の連携が求められております。
 人口減少が急速に進む被災地において、第2期復興推進プランに基づいて復興を着実に進めていくためには、これまで以上に市町村との連携を深めるとともに、被災地の事業者や被災者の方々の声を直接聞きながら復興に取り組んでいく必要があると考えますが、知事の御所見を伺います。
 地域公共交通の維持確保について伺います。
 まずは、地域バス交通の確保について伺います。
 人口減少の折、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって、バス利用者の著しい減少により、運行事業者の経営状況は急激に悪化いたしました。
   〔議長退席、副議長着席〕
 日常生活に必要不可欠な広域路線維持のため、県及び関係市町村が協力し合って支援し合う体制の構築について検討するとともに、地域バス交通支援事業費補助金の要件緩和の恒久化など、県独自の新たな財政支援策の検討が必要ではないか伺います。
 鉄道路線の確保について伺います。
 赤字が続くローカル鉄道のあり方を議論するため、国土交通省が設置した検討会は、1日に平均何人を運んだかを示す輸送密度が1、000人未満の区間などを対象に、沿線自治体と鉄道事業者が存廃も含めて協議を進めるべきとする提言をまとめました。
 本県で対象となるのは、八戸線、山田線、釜石線、北上線、大船渡線、花輪線の6路線の10区間であることが明らかになりました。
 検討会では、(仮称)特定線区再構築協議会の創設が提案されており、あくまでも廃止ありき、存続ありきの前提ではないとしていますが、沿線自治体は危機感が募るものと推測いたします。県としての対応を伺います。
 人口減少社会への対応について伺います。
 1点目に、令和5年度予算における子育て支援施策の拡充の考え方について伺います。
 東の流山市、西の明石市、子育て支援に力を入れ人口増加が進むまちとして、全国的に千葉県流山市、兵庫県明石市の取り組みが注目されております。
 例えば明石市では、独自の政策として、こども医療費の無料化、中学校給食の無償化、第2子以降の保育料の完全無料化、公共施設の入場料無料化、おむつ定期便の実施と、五つの無料化を行い、いずれも所得制限はありません。子育てに予算をかければ人が集まり、子供がふえるという、至ってシンプルな好事例に学ぶべきと考えます。
 日本の子育て予算はGDP比1%と、OECD加盟国中最低レベルとなっています。参考までに、高齢者向け支出は10.4%と子育て予算の何と10倍以上です。このたびの持続可能で希望ある岩手を実現する行財政行財政研究会の報告書においても、希望する子供数を実現できるよう人口減少対策を喫緊の最重要課題として位置づけ、令和5年度当初予算などを念頭に、あらゆる選択肢を排除せずに検討するよう指摘されました。
 令和5年度当初予算編成の考え方においては、この議論をもとに、シーリングによる財源捻出の3倍相当の額の予算要求を認めるとの方針が示されました。とするならば、真水での予算大幅増を前提とした子育て支援策の拡充を期待したい。ぜひともこれに取り組むべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 2点目に、NPO法人、地域づくり団体等との連携による移住、定住促進について伺います。
 東日本大震災津波におけるボランティア支援を起点とする陸前高田市で活動するNPO法人SETは、コロナ禍で、3年ぶりに修学旅行生の受け入れを開始、本県の交流あるいは関係人口の拡大につなげています。当法人は、これまでも多くの学生や若者たちが活動し、若者が人生を見詰め直す、新たにリセットしてゼロからスタートする機会を提供し、最近では、デンマーク発祥のフォルケホイスコーレと連携し、広田半島を学び舎として、首都圏を中心に県外の若者たちを引きつける顕著な活動を行っております。
 そこで、移住促進事業におけるNPO法人や地域づくり団体等との連携はどうなっておりますでしょうか。いわて県民計画(2019〜2028)や岩手県ふるさと振興総合戦略とも合致することから、県として、さらに連携を深めていくべきではないか伺います。
 3点目は、DAO―分散型自律組織についてであります。
 2004年の新潟県中越地震で深刻な被害を受けた新潟県長岡市山古志地域、旧山古志村は、ニシキゴイの里として名をはせていますが、やはり人口流出が激しく、少子高齢化が進み、限界集落となっています。
 この地域において、Web3時代に必須のブロックチェーン技術をもとにした、改ざん不可能なトークンである山古志電子住民票Nishikigoi NFTを発行し、デジタル関係人口を巻き込んだ地域づくりが展開されています。デジタル村民に一部の予算執行権限を与える山古志DAOという興味深い取り組みが行われていて、直接民主制は新しい試みとして耳目を集めています。
 関係交流人口の創出につなげる一つの事例として導入を研究していくべきではないか伺います。
 ウィズコロナを見据えた観光施策について伺います。
 商工労働観光部が各地の商工会議所、商工会の協力を得て行う新型コロナウイルス感染症に伴う事業者の影響調査を、これまで毎月行ってまいりましたが、8月の調査結果では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による経営への影響が継続している割合はいまだ76%にも上り、原材料の高騰も相まって、経営に厳しさが増しているとの事業者の切実な声が届いております。これまでも、これからも、この内容をしっかり分析し、効果的な施策につなげていく必要があるのは言うまでもありません。
 昨年4月から6カ月間、東北6県でデスティネーションキャンペーンが開催されましたが、ころ合い悪く、延べ宿泊客数は、2019年比59%にとどまったとの結果です。今夏7月からは9月までの間、北東北三県大型観光キャンペーンが開催されましたが、官公庁の統計では、本年7月の県内の宿泊者数は、コロナ禍前の実数にはやはり届いていないとのことです。
 本日、全国旅行支援に伴ういわて旅応援プロジェクト第3弾が始まりました。12月20日までの実施となりますが、観光は恩恵を受ける業種の裾野が広く、割引対象者は全国に拡大するため大きな期待が集まり、約4、500億円の経済効果が見込まれるとのことです。人々の新型コロナウイルス感染症に対するマインドもいよいよ変化しつつある中、ホテル、温泉等の宿泊予約状況も好調と聞きます。
 新型コロナウイルス感染症第8波の到来も予測されるところではありますが、年明け以降において継続的に観光客が本県を訪れるイベントや仕組みづくりが必要と考えますが、どう検討されているか伺います。
 環境施策について伺います。
 1点目に、環境対策を目的とした市場公募債の発行についてであります。
 県は、持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会が示したあらゆる歳入確保策として、市場公募債を発行することとしました。以降の資金調達においては、言葉どおり、持続可能な岩手県をつくるべく、環境対策を目的とした債券であるグリーンボンドの発行に努めることも検討していく必要があるのではないか伺います。
 2点目、県有林J−クレジットについて伺います。
 CO2など温室効果ガスの排出削減量を売買可能にする仕組みであるカーボンクレジットは、本県では平成22年より県有林J−クレジットとして5、594トン発行、令和4年7月末時点で4、831トン、1トン当たり1万6、500円、約7、718万円を主に県内企業に販売してきており、残る販売可能量は763トン、約1、259万円となっております。
 国は本年8月に、伐採後の再造林や伐採木材を木材製品として利用した場合の炭素固定に係る二酸化炭素吸収量を、クレジット算定できるよう認定基準を緩和いたしました。
 さきに触れた持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会の報告書においても指摘がなされていますが、この動向を踏まえ、新たなクレジットの創出をどのように進めていくか伺います。
 また、東京証券取引所においては、先月、カーボンクレジット市場の技術的実証等事業として新たな市場が開設されました。創出と並行して、取引においては、こうした市場の活用も進めていくべきではないでしょうか。
 農林水産業の振興について伺います。
 まずは、鳥獣被害状況と実効ある対策についてであります。
 県内における有害鳥獣による農作物被害はどの程度か、ニホンジカ及びイノシシについては生息地が拡大し農作物に被害を及ぼしておりますが、鳥獣被害防止総合対策の予算を積極的に活用し、一層強力な施策を講じるべきではないでしょうか。
 また、ツキノワグマが人間に危害を及ぼす事例も顕著に増加しており、個体数の適正管理に向けた取り組みや、狩猟従事者の育成と確保策について伺います。
 鳥獣被害の特にカワウ被害対策について伺います。
 川魚の天敵であるカワウは、1日当たり500グラムの魚を捕食するそうであります。特に、北上川水系において、コロニーの分散により生息範囲が拡大してきており、1、200羽程度に及ぶとされる生息数から、1日当たり約600キログラムもの捕食被害があると推測されます。
 内水面の各漁業協同組合は、高齢化、組合員の減少と合わせ、釣果が期待できないことからの釣り人の減少等、経営難にも直面する深刻な問題と受けとめられています。関係団体で組織する岩手県カワウ等被害対策協議会における検討状況や具体的な取り組みについて伺うとともに、実効性のある強力な駆除を要望いたします。
 水田活用の直接支払交付金の見直しについて伺います。
 令和4年産米JA概算金は、主力品種であるひとめぼれを例とすると、前年比1、000円高い1万1、000円と3年ぶりに引き上げられました。作付転換による需給の均衡、資材価格高騰への支援という要素を加味したとのことでありますが、農家にとっては決して朗報ではなく、この程度のアップではさらに離農が進む懸念があります。
 さて、水田活用の直接支払交付金の見直しについて、国の方針が発表されて以来、農家やJA、市町村から大きな疑問と困惑の声がやむことはありません。既に排水対策済みの農地を水田に戻すことは現実的ではありませんし、生産法人が預かっている中山間地等、悪条件にある農地は所有者へ返還せざるを得ないことから、耕作放棄地がふえる可能性があります。また、多年生牧草の助成見直しについて、既にこの影響は顕在化しております。
 国は、いまだ見直しについて撤回する兆しはありませんが、県の対応について伺います。
 教育施策について伺います。1点目は、併設型中高一貫教育校の新設について伺います。
 次世代のリーダーとして将来の岩手県に貢献できる人材の育成を目指すとして、平成21年4月に併設型中高一貫教育校が一関第一高等学校に導入され、県教育委員会は、平成27年4月20日に改定した今後の高等学校教育の基本方向において、一関第一高等学校への導入成果と課題を引き続き検証しながら、今後の方向性について検討するとしております。
 開設から13年、改定からは7年経過いたしましたが、その成果をどう把握、検証し、総括しているか伺います。
 花巻市では、中部地域における進学の拠点校である県立花巻北高等学校を対象に、併設型中高一貫教育校の新設を以前から県教育委員会に要望しております。その背景には、毎年成績上位者20人程度が市外の進学校に流出している現状を憂い、時間的、金銭的にも大きな負担が生じているとして、既に難関大学や医学部など、着実に一定の成果を上げている一関第一高等学校を好事例として求めているものです。
 意欲ある子供たちによりよい学習環境を提供するため、岩手中部地域における併設型中高一貫教育校の設置について、どのように考えるか伺います。
 2点目、不登校児童生徒の状況について伺います。
 県内の不登校児童生徒の推移はどうなっているか。少子化の中で数も割合も漸増しているはずですが、その背景や要因についてどのように分析しているか、まずは伺います。
 3点目、私立高等専修学校に対する運営費補助の拡充について伺います。
 多様な学びの機会を提供し、不登校や発達障がいのある生徒、全日制高等学校中退者の受け入れを行っている私立高等専修学校に対する運営費補助金は、令和4年度当初予算で生徒1人当たり県単独補助による3万5、960円とのことであります。一方で、同じく全日制の私立高等学校に対する運営補助金は、生徒1人当たり34万5、632円となっており、10倍ほどの大きな差があります。
 これは率直に国の制度の不備によるもので、県が限られた一般財源から支出するには限界があることも十分理解いたしますが、大学入学資格が付与される高等専修学校に対する支援を拡充することは、将来、生徒たちが、いずれ納税者として県財政に末永く寄与してくれることで、大きな利益をもたらしてくれるものと確信をするところであります。
 そこで、全日制の高等学校と同様に大学入学資格が付与される私立高等専修学校について、全日制の高等学校と同等に運営費補助を拡充すべきと考えますが、県の考えを伺います。
 福祉施策、ひきこもり対策について伺います。
 県内のひきこもり支援の実態について伺います。
 本県では、岩手県ひきこもり支援センターが整備されておりますが、国では、今年度から、さらに細かく市町村におけるひきこもり支援ステーションの設置を進めています。各地の開設に向けた動向はどうなっておりますでしょうか。
 また、本県は、情報共有や支援体制を検討する官民各機関の連携が弱いとの指摘が現場から上がっておりますが、連携をどう深めていくか伺います。
 最後に、医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律施行1年経過の状況について伺います。
 医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律が施行されて1年が経過いたしました。本県は、先月15日に医療的ケア児支援センターを開設し、矢巾町内の医療型障がい児入所施設みちのく療育園メディカルセンターに業務委託して、相談窓口を設置しました。
 開設間もないところですが、相談等、どのような状況にありますでしょうか。
 また、医療的ケア児支援に当たってはニーズに応じた対応が必要と考えられますが、今後の相談業務において、保育所の利用や医療機関との連携等についてどう進めていくか伺います。
 以上、登壇しての質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 名須川晋議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、第77回国民体育大会いちご一会とちぎ国体及び第22回全国障害者スポーツ大会いちご一会とちぎ大会についてでありますが、3年ぶりとなる国民体育大会が栃木県で開催され、天皇皇后両陛下御臨席のもと行われた総合開会式に、私も岩手県選手団団長として参加したほか、卓球とスポーツクライミング競技の会場を訪れ、本県選手を応援してまいりました。
 選手の皆様には、コロナ禍でさまざまな制約がある中、練習に励み、持てる力を存分に発揮されたことに対し、心から敬意を表します。
 また、スポーツクライミング会場では、日本山岳スポーツクライミング協会役員とともに観戦し、来週から本県で開催されるクライミングワールドカップの成功を期し、選手が最高のパフォーマンスを発揮できるよう、万全の準備をしていくことを確認したところであります。
 本県選手団は、天皇杯成績東北1位を目標に、34競技465名が出場し、天皇杯成績30位、東北順位2位となりましたが、少年種別で多くの入賞があり、ジュニア育成の成果が着実にあらわれてきたものと考えております。
 優勝者は、ボクシング競技成年男子ミドル級、鳥谷部魁選手と、ボート競技成年男子シングルスカル、菅原陸翔選手であり、菅原陸翔選手は、いわてスーパーキッズの取り組みで適性を見出され、ボート競技に転向し、見事才能が開花したものであり、今後、パリオリンピックを初めとする国際大会での活躍を期待いたします。
 また、4年ぶりに開催される全国障害者スポーツ大会いちご一会とちぎ大会には、東北予選で優勝したフットソフトボール競技など9競技103名が出場を決めており、これは、障がい者のスポーツへの参加機会の充実や選手の育成強化など、本県がこれまで障がい者スポーツの振興に重点的に取り組んできた成果であり、各選手が持てる力を存分に発揮し、大会の大舞台で生き生きとプレーすることを期待しています。
 次に、持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会についてでありますが、本研究会では、日本の第一線で活躍する地方行財政の有識者の方々に、本県の行財政構造の特徴や課題について、客観的かつ多角的に分析いただくとともに、未来を見据えた岩手県のあるべき姿について熱心に御議論いただきました。
 これらの議論を踏まえた報告書では、希望ある岩手を実現するための重点テーマとして、人口減少対策の強化に加え、本県がこれまで重点的に予算措置してきた県立病院や県立高等学校を岩手の強みとして捉え、より質の高い医療や学びの提供に向けた推進方策を示すとともに、政策推進に必要となる持続可能な行財政基盤の構築に向けた取り組みの方向性が盛り込まれています。
 これらの内容は、従来型の財政危機を契機とした急進的な行財政改革とは異なり、県民本位、政策本位の視点からの行財政改革の新しいモデルであり、今後、県民の皆さんにもその内容をわかりやすく共有しながら、県民本位の視点に立って、より質の高い行政サービスを提供していくための行財政運営を進めてまいります。
 次に、令和5年度当初予算の編成についてでありますが、さきに公表した中期財政見通しでは、人口減少を背景とした歳入の減少等を踏まえ、歳出改革を織り込まない歳出自然体の姿として、令和5年度に117億円の収支不足が生じると試算しております。
 持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会の報告書等も踏まえて、今般、新たに令和5年度から令和10年度を対象期間として、収支均衡予算の実現や財政調整基金の残高水準の維持など四つの財政目標を掲げたところであり、目標の達成に向けて、早期に着手できるものについて速やかに実施しつつ、中長期的な視点に立った検討や取り組みも進めていく必要があります。
 そのため、令和5年度当初予算編成に当たっては、人口減少対策の強化を初めとする県政の重要課題へ重点的に予算措置をしつつ、あらゆる選択肢を排除せずに歳入確保策を実施していくほか、徹底した歳出水準の適正化を行いながら、めり張りある予算編成を進めてまいります。
 あわせて、中長期的な視点から財政目標の達成状況等の検証、公表等を通じて改革の実効性を高めつつ、県立病院の医業収支改善に向けた経営効率化や、高等学校運営費の実効性の向上等も着実に推進することで、持続可能な行財政基盤を構築してまいります。
 次に、復興における課題認識についてでありますが、第2期復興推進プランは、これまでの復興の取り組みを総括した上で、引き続き、安全の確保、暮らしの再建、なりわいの再生、未来のための伝承・発信の4本の柱のもと、対応すべき課題に的確に取り組んでいくプランとしていくことが重要と認識しております。
 具体的には、完成していない社会資本の早期整備、被災者に寄り添った心のケアといった復興固有の残された課題や、東日本大震災津波伝承館を拠点とした伝承発信に確実に取り組んでいくとともに、新型コロナウイルス感染症や主要魚種の不漁、今後起こり得る巨大地震津波への対応など、復興の進展に影響を与える新たな課題や、県全体の課題である人口減少問題に対しても、あらゆる主体と連携した施策を講じていく考えであります。
 また、災害公営住宅の整備完了、復興道路の全線開通など、計画されたハード事業の多くが完了し、ソフト事業を中心に中長期的に取り組むべき施策を盛り込む第2期復興推進プランにおいては、復興の取り組みをより効果的に進めていくため、政策推進プランに掲げる一般施策と連携した取り組みを一層推進していくことが重要であります。
 このため、人口減少対策に最優先で取り組む第2期政策推進プランに位置づけられる施策との連携も十分に図りながら、第2期復興推進プランを策定してまいります。
 次に、復興における市町村との連携等についてでありますが、現在、令和5年度からの第2期アクションプランの策定作業を進めているところでありますが、策定に当たっては、プラン期間中に取り組むべき重点課題について、4広域振興圏ごとに知事と市長村長との意見交換を開催したほか、今後も、さまざまな機会を通じて市町村から意見を伺うこととしており、いただいた意見はプランに反映させていきたいと考えております。
 また、いわて復興未来塾や県政懇談会いわて幸せ作戦会議などの機会を通じ、被災された方や事業者の皆様と意見交換を行うなど、現地で復興に向けて取り組む方々の声を直接伺ってきたところであり、今後も被災地に積極的に足を運び、現場の声に耳を傾け、被災者に寄り添いながら復興の取り組みを推進してまいります。
 これまでの復興の取り組みにより計画されたハード事業の多くが完了し、今後はソフト事業が施策の中心となっていくことから、現在策定中の第2期復興推進プランは、復興の新たな段階のスタートとなる計画と認識しております。
 第2期復興推進プランの初年度となる令和5年度においては、県と沿岸市町村が、これまでの復興の成果と課題、今後の方向性を改めて共有し、これらを広く発信する機会を設けるなど、新たな三陸の創造に向けた取り組みを、市町村を初め関係者と一丸となって進めていけるよう検討してまいります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔文化スポーツ部長熊谷正則君登壇〕
〇文化スポーツ部長(熊谷正則君) スポーツ振興についてでありますが、県では、希望郷いわて国体大会やラグビーワールドカップのレガシーを継承し、今年度、日本スポーツマスターズ岩手大会を皮切りに三つの大規模大会を誘致、開催し、人的、経済的な交流の拡大に取り組んでいるほか、競技スポーツ、生涯スポーツの分野に加え、パラアスリートの育成強化など、障がい者スポーツの振興にも注力してきたところです。
 本年3月に作成された国の第3期スポーツ基本計画では、多様な主体におけるスポーツ機会の創出、先進技術を活用したスポーツDXの推進、スポーツを通じた共生社会の実現など、今後5年間に総合的かつ計画的に取り組む施策が示され、現在策定を進めているいわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランと、令和6年度を始期とする次期岩手県スポーツ推進計画においても、これら国の基本計画を踏まえる必要があると考えています。
 県としては、今後、県民のスポーツへの関心の高まりを背景に、スポーツを取り巻く環境変化に的確に対応し、庁内関係部局や市町村、関係団体など多様な主体との連携を一層強化しながら、スポーツの持つすぐれた効果や価値が最大限発揮できるよう取り組んでいきます。
   〔ふるさと振興部長熊谷泰樹君登壇〕
〇ふるさと振興部長(熊谷泰樹君) まず、地域バス交通の確保についてでありますが、県では、人口減少などを背景にしたいわゆる公共交通空白地域が生じることのないよう、持続可能な地域公共交通体系を構築するため、県や市町村で構成する地域内公共交通構築検討会を設置し、広域路線の維持、確保等に向け、市町村とともに検討を行っているところであります。
 県単補助である地域バス交通支援事業費補助においては、東日本大震災津波や新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、補助要件を緩和する特例措置等を講じているところです。
 今後とも、新型コロナウイルス感染症の影響や公共交通機関の輸送需要の回復状況、国の特例措置の実施状況等を踏まえながら、市町村と連携し、県民の重要な移動手段である地域バス交通の維持、確保が図られるよう必要な検討を行ってまいります。
 次に、鉄道路線の確保についてでありますが、JR線を含む地方ローカル線は、地域住民の移動手段としてのみならず、災害時における代替性、補完性を有し、観光、物流など地域経済を支える重要な社会基盤であり、沿線市町としっかり連携しながら、その維持、確保を図っていくことが重要であると認識しております。
 そのため、JRローカル線維持確保連絡会議を県、沿線市町で設置し、JR東日本から経営情報が公表された県内のJRローカル6線全てについて、国やJR東日本への要望、鉄道の維持に向けた活動の情報交換などを行っていきたいと考えております。
 また、路線ごとにそれぞれ事情が異なりますことから、JR線沿線自治体会議を沿線市町と設置し、国、JR東日本への要請、マイレール意識など住民意識の醸成や鉄道の利用促進、JR東日本や国の特定線区再構築協議会から何らかの提案がなされた場合の対応などについて検討、協議していくことを考えております。
 現在、これらの会議の開催に向けて沿線市町と準備を進めているところであり、速やかに会議を立ち上げ、沿線市町とともに鉄道の維持に向けた取り組みを進めてまいります。
 次に、DAOについてでありますが、DAOとは、分散型自律組織と言われ、従来の会社組織等とは異なり、インターネットを介して誰でも参加可能な組織であり、取引が自動的にブロックチェーン上に記録されることから、透明性や公平性に富んだものとされております。
 このDAOは、地域振興の分野でも活用が見られており、議員御紹介の旧山古志村におけるデジタルでの関係人口創出に向けた取り組みを初め、県内では、紫波町で地域課題解決に資するDAOの設立に向けた動きがあると承知しています。
 一方、経済産業省が所管する産業構造審議会においては、税、会計、法制度などの国内制度が新たなビジネス実態に追いついていないため環境整備が必要とされているほか、6月に閣議決定されたデジタル社会の実現に向けた重点計画においては、自然人が介在しない自動処理による署名行為について、安全性を確保するための課題、関係法上の位置づけについて整理する必要性について言及されております。
 こうしたことから、国の動きを初め、他の自治体の取り組み事例などについて、引き続き情報収集を行うとともに、本県での活用のあり方について研究してまいります。
 次に、私立高等専修学校に対する運営費補助の拡充についてでありますが、私立専修学校については、私学助成について定めた私立学校振興助成法において、経常的経費を補助することができる旨の規定がなく、その運営費に係る国庫補助制度がないことから、県単独で運営費補助金を交付しているところであります。
 その一方、県の一般財源だけでは限りがありますことから、本年6月、政府予算要望において、大学入学資格が付与される私立高等専修学校に対し、高等学校に対する支援と同様の支援が得られるよう、国に対して国庫補助制度の創設と普通交付税措置を要望したところでございます。
 引き続き、国に対して制度改善を要望していくとともに、今後、他県の支援状況等も踏まえながら、県として可能な支援について検討してまいります。
   〔保健福祉部長野原勝君登壇〕
〇保健福祉部長(野原勝君) まず、子育て支援策の拡充についてでありますが、県では、自然減対策として、子供を生み育てやすい社会を目指し、昨年12月に、いわてで生み育てる支援本部を立ち上げ、各部局のさらなる連携のもと、総合的、効果的な子育て支援施策を推進しているところであり、今年度は、県民運動の展開、産後ケア利用料の無償化を行う市町村への補助、いわて幼児教育センターの設置など、県独自の新たな取り組みを進めております。
 持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会の報告書では、本県独自の取り組みとして、全ての世代が多様なライフスタイルの中から、経済的、身体的な理由や制約等にとらわれず、自由に希望する子供数を実現できるよう、人口減少対策を喫緊の最重要課題として位置づけ、さらなる充実策を検討する必要性が示されております。
 こうした提言も踏まえ、令和5年度当初予算における支援策については、他の自治体の取り組みなども参考にしながら、結婚、出産、子育ての各ライフステージに応じた総合的な取り組みの強化を図るため、さらなる充実について検討してまいります。
 次に、ひきこもり対策についてでありますが、国では、今年度から、市町村がひきこもり支援を総合的に担うひきこもり支援ステーションやひきこもり地域支援センターの設置を促しているところであります。
 本県では、令和3年度までに全ての市町村にひきこもり相談窓口が設置されたほか、16市町が居場所づくりに取り組んでいるものの、現時点では、ひきこもり支援ステーション等の設置は2市町となっております。
 県では、市町村におけるひきこもり支援の拡充に向けて、説明会の開催や県ひきこもり支援センターによる訪問支援などを実施してきたところであり、今後も、ひきこもり支援ステーション等の設置に向けて支援に取り組んでいくこととしております。
 また、効果的な支援のためには、地域のネットワークづくりや民間団体との連携が重要であり、先進事例の紹介や岩手県ひきこもり対策連絡協議会における意見などを踏まえ、地域の実情に応じた体制づくりを支援していく考えであります。
 次に、医療的ケア児支援センター開設後の状況についてでありますが、県では、令和3年9月の医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律の施行を受け、関係機関や家族会等で構成する岩手県重症心身障がい児及び医療的ケア児・者支援推進会議による検討などを踏まえ、各専門機関のノウハウや専門性を生かし、県と民間機関が協力、連携して、本年9月15日に岩手県医療的ケア児支援センターを開設したところであります。
 これまで、本県に転入する世帯からのサービス情報の提供依頼や、相談支援事業所からの福祉サービス提供計画の作成方法の問い合わせへの対応など7件の相談対応を行ったほか、地域支援として、医療的ケア児支援会議への参画や支援機関への訪問などを10件実施したところであります。
 医療的ケア児支援センターは、開設後間もないことから、引き続き周知に努めるとともに、市町村等支援機関や医療的ケア児及びその家族からの相談に丁寧に対応してまいります。
 次に、関係機関との連携についてでありますが、医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律においては、市町村は、日常生活や保育所利用、学校への通学支援などの役割を担い、県は、医療的ケア児支援センターを設置し、医療的ケア児及びその家族へ情報提供や助言を行うとともに、地域の関係機関との連絡、調整などの役割を担うこととされております。
 こうした役割分担のもと、医療的ケア児支援センターがニーズに応じた適切な支援を行うためには、医療、保健、福祉、教育など関係機関との連携が重要であると認識しております。
 このうち、医療機関との連携については、保護者の同意のもと、主治医として医療的ケア児とのかかわりを持つ新生児集中治療管理室―NICU設置医療機関と医療的ケア児支援センター、市町村等の関係機関が、心身の状況を共有し、支援に生かすこととしております。
 こうした連携により、医療的ケア児とその家族が、お住まいの地域において安心して暮らせるよう、引き続き取り組んでいく考えであります。
   〔商工労働観光部長岩渕伸也君登壇〕
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) まず、移住、定住を推進するに当たってのNPO法人等との連携についてでありますが、全国的に人口減少が進む中、本県においても、各地でNPO法人や地域づくり団体などの中間支援組織が、交流人口や関係人口の拡大、移住、定住の促進に向けたさまざまな取り組みを展開しており、こうした取り組みと連携して移住、定住を推進していくことが重要と認識しております。
 このため、県として、平成28年度から、これらの団体等が移住者の受け入れ環境の整備や、移住者間の交流促進事業を行う場合に要する経費に対する補助を行っており、議員御指摘のNPO法人やその関連法人を含め、これまで延べ18団体に活用いただいているところです。
 コロナ禍を通じて地方への移住に対する関心が高まっており、これらの法人や団体の果たす役割はますます高まっていくと考えており、県、市町村、中間支援組織等がそれぞれ果たすべき役割などを踏まえ、さらなる連携強化のあり方などの検討を進めながら、本県への移住、定住を促進してまいります。
 次に、年明け以降の観光振興についてでありますが、本県の冬期間の観光入り込み客数は、コロナ禍前から1年を通じて少なくなる期間となることから、全国旅行支援の終了による反動も視野に入れた対応が必要になると考えております。
 このため、1月から3月まで県や市町村、観光関係者が連携して、スキーや温泉などのウインターリゾートや食などをテーマに冬季観光キャンペーンを展開することとしており、例えば、いわて銀河プラザと本県のスキー場などをオンラインで結び、首都圏の方に岩手の魅力を発信するイベントの開催や、県内を周遊、滞在する旅行商品造成支援などを実施することとしているところです。
 さらに、来年2月に開催されるいわて八幡平白銀国体で来県する選手や関係者に、平泉などの世界遺産や本県ならではの体験コンテンツや食などの魅力を発信し、県内を広く周遊する取り組みなども展開することとしております。
   〔総務部長千葉幸也君登壇〕
〇総務部長(千葉幸也君) 本県でのグリーンボンドの発行についてでありますが、グリーンボンドは、事前に外部機関による認証を取得した上で、資金の使途を環境問題の解決に資する事業にあらかじめ特定し発行する債券であり、令和4年度においては、兵庫県や仙台市等の11団体が発行済みまたは発行予定と承知しております。
 本県は、その高いポテンシャルを生かし、地域経済と環境に好循環をもたらすグリーン社会の実現を重点分野に位置づけており、その取り組みのPRや資金調達の手段としてグリーンボンドの発行は有効なものと認識しております。
 具体的には、今月、本県で初めて発行する全国型市場公募地方債の販売状況や市場の動向、他団体の発行状況等も注視しつつ、実効性の高い財源確保の手段の一つとして、本県におけるグリーンボンドの発行について検討してまいります。
   〔農林水産部長藤代克彦君登壇〕
〇農林水産部長(藤代克彦君) まず、県有林J−クレジットについてでありますが、県では、県有林の間伐による二酸化炭素吸収量をクレジットとして販売する県有林J−クレジットに平成22年度から取り組んでおり、これまで県内の金融機関と連携し企業等への販売を行い、発行量の約9割の販売を完了しております。
 また、これまで国の森林由来クレジットの認証要件では、伐採木材を木材製品として利用した場合の炭素固定量が、クレジット算定の対象外とされていたこと等から、国に対して、その見直しを要望し、認証要件に反映されたところです。
 今般の認証要件の見直しを踏まえ、県有模範林のうち、どの程度の面積がクレジットの対象となるかなど、現在精査を進めており、こうした精査を踏まえ、新たなクレジットの発行を検討していくこととしております。
 また、先月開設されたカーボンクレジット市場は、実証期間が令和5年1月末までとされており、県としては、この成果等を踏まえながら、市場の活用について検討していくこととしております。
 次に、野生鳥獣対策についてでありますが、本県の野生鳥獣による農作物の被害額は、令和3年度で約4億1、000万円となっており、このうち、ニホンジカが約2億1、000万円と前年度に比べ約1、000万円の減となる一方で、イノシシは約5、000万円と前年度に比べ約2、400万円の増となっております。
 県では、農作物被害を防止していくため、有害鳥獣の捕獲とともに、侵入防止柵の設置や、里山周辺の除間伐などの地域ぐるみの被害防止活動を支援しており、特に捕獲の強化に向け、ニホンジカを対象としたドローンによる効率的な追い込みと捕獲の実証、イノシシの生態やわなの使用方法等を習得する研修会の開催などに取り組んでいるところです。
 こうした取り組み等により、令和3年度の捕獲頭数は、ニホンジカで約2万6、000頭と前年度より約6、000頭多く、イノシシでも約950頭と前年度より約300頭多い実績となっております。
 今年度は、昨年度を上回るペースで捕獲が行われており、県としては、引き続き関係機関、団体等と連携しながら、野生鳥獣による被害が低減するよう取り組んでまいります。
 次に、カワウ対策についてでありますが、県では、市町村や水産関係団体と組織した岩手県カワウ等被害防止対策協議会において、カワウの生息実態や駆除の状況等を情報共有するとともに、駆除や追い払い等の技術を高めていくための技術研修会を開催するなど、被害防止対策を推進しております。
 また、地域においては、ドローンを活用した効率的な生息場所の確認や、釣り糸等を活用したカワウの餌場となるアユの放流場所への飛来防止、銃器等による駆除などを行っており、こうした取り組み等により、昨年春のカワウの羽数は約1、300羽と平成25年春の約2、400羽となったピーク時の約50%に減少したところです。
 一方、北上川水系では生息域が拡大しており、これまで以上に広域的な対策が重要であることから、生息域の市町村等に対し協議会への参加を呼びかけるとともに、関係市町村等が連携した広域的な駆除や追い払いなど、より効果的となるカワウの被害防止対策を推進してまいります。
 次に、水田活用の直接支払交付金についてでありますが、県では、水田活用の直接支払交付金について、生産者が安心して転換作物の生産に取り組むことができるよう、国に対し、5年に1度の水張りは地域の実情を十分に踏まえた運用とすること、水田を有効に活用した多年生牧草等の生産への支援を拡充することなどを要望するとともに、生産者から寄せられている懸念の声や本県の実情を、さまざまな機会を捉え伝えているところです。
 国では、全国の地域農業再生協議会を対象に、5年間での水張りを困難とする課題等の調査を行い、この調査結果を踏まえ、現在、5年に1度水稲を作付するとしていた水張りの要件や、粗飼料の安定供給への支援などを検討していると聞いております。
 県としては、こうした国の検討状況を注視するとともに、引き続き、地域の実情を十分に踏まえた運用とするよう、全国知事会とも連携しながら国に求めてまいります。
   〔環境生活部長福田直君登壇〕
〇環境生活部長(福田直君) ツキノワグマの人的被害の対策についてでありますが、県のツキノワグマ管理計画では、個体数の削減に向けた方針を掲げており、昨年度は546頭であった捕獲上限数を、今年度は626頭としておりますが、来年度はさらに686頭にまで引き上げることで、一昨年度末は約3、700頭であった推定個体数を令和8年度末には約3、400頭にまで減少させることを目指しております。
 また、狩猟免許所持者については、全国的に減少傾向にある中、本県では予備講習会の開催などを通じて積極的な取得促進を図っており、平成28年度末には2、995名であった県内の免許所持者を、昨年度末には3、735名にまで引き上げることができました。
 そのほか、人的被害対策としては、熊を寄せつけないためのやぶの刈り払いなどの取り組みも行われているほか、今年度は市街地出没時の対応訓練を新たに実施しております。
 今後も市町村や猟友会などとの連携、協力を図りながら、引き続き被害防止に向けた総合的な対策に積極的に取り組んでまいります。
   〔教育長佐藤博君登壇〕
〇教育長(佐藤博君) まず、併設型中高一貫教育校についてでありますが、平成21年度に設置した一関第一高等学校附属中学校では、中高一貫した6年間で計画的、継続的に探究的な学びに取り組むとともに、令和元年度からは、文部科学省によるSSH、スーパー・サイエンス・ハイスクールの指定を受け、大学等と連携した探究学習等を行うことで、科学的素養を備えた人材育成にも取り組むことにより、医学部医学科や難関大学等への進学実績が出てきており、県政課題となっている医師等の確保につながっていることから、今後も期待しているところです。
 新たな併設型中高一貫教育校の設置については、同校の成果のほか、児童生徒数の推移や中高一貫教育校を導入した際の地域の義務教育への影響等を十分に見きわめるとともに、今後の高校再編のあり方等も含め、方向性を検討する必要があると考えております。
 次に、不登校児童生徒の状況についてでありますが、令和2年度児童生徒の問題行動、不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査の結果によりますと、不登校児童生徒は、小学校356人で前年度比37人増、中学校1、016人で58人増、高等学校516人で1人増、全体では1、888人で96人の増加となっており、小学校、中学校での増加が顕著となっています。
 不登校の要因でありますが、小中高いずれの校種においても、無気力や不安が最も多い状況であり、次いで、小学校においては、生活リズムの乱れ等親子のかかわり方、中学校においては、生活リズムの乱れ等に加え、友人関係をめぐる問題、高等学校においては、これに学業の不振が加わるなど、多様化、複雑化していると分析しています。
 このように、不登校の要因にはさまざまな背景があり、一人一人の状況は異なることから、個に応じた不登校支援が大切であると認識しています。
〇19番(名須川晋君) 御答弁ありがとうございます。何点か質問させていただきます。
 まず、子育ての財源でございます。シーリングによる財源の3倍までは認めるという中身でした。持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会の報告書についてですが、国では、このたび児童手当が、一部の高所得者は廃止になり、1万5、000円から、これまで9月までは5、000円あったのですが、それが廃止となったということでございます。
 ここで例を挙げるのは申しわけないのですけれども、菅野ひろのり議員に、この前双子の4人目、5人目のお子さんが生まれまして、大変いいことだと思っておりますが、私の計算だと児童手当を5万5、000円ぐらいもらえたのではないかと思いますが、これがゼロになるのです。
 これはどういうことかというと、これから非常にお金がかかるのにもかかわらず、ここには私を含め子育て世代がたくさんおりますけれども、そういう子育て世代にゼロということですけれども、国はこの予算、370億円の部分を保育園の待機児童解消、整備に向けるということで、結局その予算の総枠は変わらないという状況にあるわけです。しかも、保育園落ちた、日本死ねという状況から5年、6年たったにもかかわらず、その状況が変わっていなかったということについては、非常に遺憾であると思います。
 結局、子育て施策の額というのは、国は変えてこないわけです。ですから、今回の来年度の予算については、積極的な子育て予算を真水で多くしてほしい。この配分によって変えるのではなくて、真水をもっと多くしてほしいというのが私の考え方ですので、これは知事に、その辺のお考えについてお聞かせいただきたいと思います。
 それと、教育長にお伺いいたしますが、一関第一高等学校の併設型中高一貫教育ということで、開設から十数年たっておりますけれども、実際に、まとめて総括をした経緯というのはあるのかどうかを確認させてください。ここがよかった、悪かったということを検討する組織があって、検討して、何かまとめた書類、結果があるものかどうかを確認させてください。
〇知事(達増拓也君) 人口減少問題の関連で、子供を産み育てることに関して、さまざま意見調査、アンケートなどをしますと、お金がかかるということがやはり大きい問題でありまして、そういう中で、国による児童手当というのは、非常に重要な政策だと考えております。
 特に、今、新型コロナウイルス感染症の流行による景気の減退に、国際的な貿易や為替の影響による物価高問題も重なって、生活が苦しい、お金が足りないという状況が出てきていますので、今定例会にも、県内の子育て世帯に対する支援の予算、補正予算案を提案させていただいているところであります。
 国としても、人口減少問題という構造的な問題を解決するためにも、また、今、国民が直面している事態を克服するためにも、思い切った子育て、児童手当の拡充といったことが求められていると考えます。
〇教育長(佐藤博君) 県教育委員会といたしまして、組織的な形での総括等の確認等は行っておりません。先ほど答弁申し上げましたとおり、今後の高校再編のあり方等も含めまして、この方向性を検討する必要があると御答弁申し上げました。
 現在の後期計画が令和3年から令和7年度までの5年間となっております。その先を見据えた検討に着手する必要があると考えておりまして、この次期計画の策定に向けた検討の中で、附属中学校のこれまでの取り組みの成果等について確認していきたいと考えております。
〇19番(名須川晋君) 知事には、真水としてふやしてくれるのかということをお伺いいたしましたので、積極的な御答弁をいただきたいと思います。
 また、教育長については、もう一関第一高等学校・併設型中高一貫教育の開設から相当たっているにもかかわらず、いいも悪いも精査していないということについては、やはり行政評価をしていないということだと思いますので、それをした上で、しっかりと次期高等学校再編計画で検討していただくように、これは地域の要望ですから、しっかりと検討して、前向きに進めて、まずは答えをしっかりと伝えるようにしていただきたいと思います。
 いよいよきょうから全国旅行支援が始まりましたけれども、これは都道府県の上乗せが13都県あるという報道もありますが、岩手県として第4弾を考えているのかどうかです。来年、続けて、あるいは12月21日とか、お正月明けのお客さんが少なくなるころ合いを見計らってまたやるとか、そういうところについて、しっかりと考えて、予算を見通しながら今回は手を打たなかったという認識でよろしいのか伺います。
 それと、ふるさと振興部については、星北高等学園、私立の専修高等学校の補助でございますが、どう考えても私立高等学校とその差は10分の1ということで、教育の機会均等というところからは、例えば、お金がかかるからここに行きたいのだけれども行けないという状況も少なからずあるはずです。
 同じ高校生としまして、同じ年代の子供たちに、1回は挫折したとか、なかなか今までの学校とは合わなかったということでも、別のところでは行けるのだというところを、セーフティネットではないですけれども、ここがだめならこちらもあるよということで、私立の専修高等学校にもしっかりと同じぐらいの補助をしているので、こちらの可能性もあるということを県で示していただきたい。
 ひとえに、私は国の補助の制度の不備だとは思いますけれども、県の頑張りにも期待をいたしたいと思いますが、補助の3万5、000円をとりあえず倍ぐらいに来年度上げても、誰も怒りはせず、喜びます。
 まずはそれぐらいの補助から始めていただいて、徐々に私立高等学校のレベルに合わせていくような形でお取り計らいをいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 令和5年度当初予算における子育て支援策については、先ほど保健福祉部長が述べたとおり、結婚、出産、子育ての各ライフステージに応じた総合的な取り組みの強化を図るため、さらなる充実について検討していくというところまでしかまだ決めていない段階ではありますけれども、一義的には、国の施策として十分な財源を措置すべき事案でありますが、県としても、国にしっかり要請しつつ、また、県としても対応を考えてまいりたいと思います。
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) 全国旅行支援いわて旅応援プロジェクトは、第3弾としてきょうからスタートしておりますが、第4弾ということでございますけれども、この全国旅行支援は、これまでの県民割と同じ補助事業の中で実施されておりますので、その実施期間は、基本的には12月20日までという認識でおりますが、国で実施しようとしているGo To トラベルの予算が、国でまだあると承知しておりますので、年明け以降に国でGo To トラベルとして実施するのかどうかというところも注視しております。
 そういう前提におきまして、また、感染状況等、今後の社会経済情勢を注視しながら、必要に応じて事業の増額とあわせて国への働きかけなどを行っていきたいと考えております。
 それから、13都道府県での上乗せという話がございましたけれども、今回の全国旅行支援にあわせてほかの事業を抱き合わせでやるということだと理解しておりますが、本県におきましても、今定例会におきまして、貸し切りバス、貸し切りタクシーの利用に際しての補助等も予算計上しておりますので、議決いただければ、そういう予算を活用して、この12月20日までの全国旅行支援で、さらに来県していただく方々に有利なように活用いただけるのではないかと考えております。
〇ふるさと振興部長(熊谷泰樹君) 星北高等学園の御質問をいただきました。
 同学園から去る10月4日に、議員にも御同席いただきましたけれども、私立高等専修学校に対して、高等学校と同程度の運営費補助金の確保、充実について御要望いただいているところでございます。
 同校におきましては、小中学校、高等学校等で、不登校、それから学校不適応を経験した児童生徒を県内各地から積極的に受け入れていただいております。議員、セーフティネットというお話をされましたけれども、まさに一般の学校現場ではカバーできない、そういった機能も担っていただいていると思っております。
 そうしたことも踏まえまして、先ほど御答弁申し上げましたが、引き続き国に対して国庫補助制度の創設等要望いたしますし、今後、予算編成過程を迎えますので、そうした中でさまざま検討してまいりたいと考えております。
   
〇副議長(小野共君) この際、暫時休憩いたします。
  午後3時47分 休 憩
   
出席議員(46名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 上 原 康 樹 君
3  番 小 林 正 信 君
4  番 千 葉   盛 君
5  番 千 葉 秀 幸 君
6  番 岩 城   元 君
7  番 高橋 こうすけ 君
8  番 米 内 紘 正 君
9  番 高 橋 穏 至 君
10  番 山 下 正 勝 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 佐々木 朋 和 君
15  番 菅野 ひろのり 君
16  番 柳 村   一 君
17  番 佐 藤 ケイ子 君
18  番 岩 渕   誠 君
19  番 名須川   晋 君
20  番 佐々木 宣 和 君
21  番 臼 澤   勉 君
22  番 川 村 伸 浩 君
23  番 千 葉 絢 子 君
24  番 ハクセル美穂子 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 吉 田 敬 子 君
27  番 高 橋 但 馬 君
28  番 小 野   共 君
29  番 軽 石 義 則 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 小 西 和 子 君
32  番 高 橋 はじめ 君
33  番 神 崎 浩 之 君
34  番 城内 よしひこ 君
35  番 佐々木 茂 光 君
36  番 佐々木   努 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 中 平   均 君
39  番 工 藤 大 輔 君
40  番 五日市   王 君
41  番 関 根 敏 伸 君
42  番 佐々木 順 一 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 岩 崎 友 一 君
45  番 工 藤 勝 子 君
46  番 千 葉   伝 君
47  番 工 藤 勝 博 君
48  番 飯 澤   匡 君
欠席議員(なし)
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後4時8分再開
〇副議長(小野共君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。柳村一君。
   〔16番柳村一君登壇〕(拍手)

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