令和4年9月定例会 決算特別委員会会議記録

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令和4年10月26日(水)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 中 村 佳 和
議事管理担当課長 藤 平 貴 一
主任主査 佐 藤 博 晃
主任主査 糠 森 教 雄
主任主査 増 澤 綾 子
主任主査 及 川 雄 也
主査 阿 部 真 人
主査 刈 屋 江美子
1説明員
文化スポーツ部長 熊 谷 正 則
副部長兼
文化スポーツ
企画室長 中 里 裕 美
文化スポーツ
企画室企画課長 佐 藤 卓 也
文化スポーツ
企画室管理課長 佐 藤 竜 太
文化振興課
総括課長 阿 部 美登利
世界遺産課長 佐 藤 淳 一
スポーツ振興課
総括課長 畠 山   剛
冬季国体・
マスターズ
推進課長 松 崎 雄 一

教育長 佐 藤   博
教育局長 佐 藤 一 男
教育次長兼
学校教育室長 高 橋 一 佳
教育企画室長兼
教育企画推進監 西野文香
参事兼教職員課
総括課長 八重樫   学
予算財務課長 古 川   敦
学校施設課長 佐々木 義 秋
学校教育企画監 度 會 友 哉
首席指導主事兼
義務教育課長 三 浦   隆
首席指導主事兼
高校教育課長 中 村 智 和
特命参事兼
高校改革課長 安齊和男
首席指導主事兼
産業・復興教育課長 菊 池 郁 聡
首席指導主事兼
特別支援教育課長 近 藤 健 一
首席指導主事兼
生徒指導課長 千 田 幸 喜
首席経営指導
主事兼小中学校
人事課長 熊 谷 治 久
首席経営指導
主事兼県立学校
人事課長 木 村   基
保健体育課
首席指導主事兼
総括課長 菊 池 勝 彦
生涯学習文化財課
首席社会教育
主事兼総括課長 久 慈   孝
首席社会教育
主事兼文化財課長 岩 渕   計

企業局長 森   達 也
次長兼
経営総務室長 佐々木 真 一
技師長 藤 原 清 人
経営総務室
管理課長 千 葉 順 幸
経営企画課長 伊 藤 隆 行
業務課総括課長 山 谷 紀 彦
電気課長 高 橋   浩

会計管理者 木 村   久
会計課総括課長兼
会計指導監 今 雪 博 貴

監査委員 五 味 克 仁
監査委員 中 野 玲 子
監査委員事務局長 藤 澤 良 志
監査第一課
総括課長 及 川 博 英
監査第二課
総括課長 佐々木 良 生

財政課総括課長 山 田 翔 平
〇名須川晋委員長 これより本日の会議を開きます。
木村幸弘委員は所用のため欠席とのことでありますので、御了承願います。
 これより議事に入ります。
 認定第1号から認定第15号まで、及び議案第37号から議案第39号までの以上18件を一括議題といたします。
 本日は、文化スポーツ部、教育委員会及び企業局関係について、延べ18人の質問者を予定しており、世話人会の協議により、本日の質疑の目安時間は21分といたしましたので、議事進行に御協力をお願いします。
 また、関連質疑の取り扱い、換気のための休憩につきましては、これまでと同様でありますので御協力お願いいたします。
 初めに、文化スポーツ部長に文化スポーツ部関係の説明を求めます。
〇熊谷文化スポーツ部長 令和3年度の文化スポーツ部の決算について御説明申し上げます。
 初めに、当部所管の主な事務事業に係る取り組みと成果などについて、総括的に御説明いたします。
 文化芸術、スポーツ分野は、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けた分野の一つでありますが、そのような中にあっても、本県アスリートの世界的活躍や、子供たちのスポーツ、音楽、文芸活動での目覚ましい活躍は、岩手県民としての誇り、勇気や希望といった、スポーツ、文化芸術の意義や重要性を改めて再認識する機会となりました。
 引き続き、文化芸術、スポーツの持つすぐれた効果や価値が最大限発揮できるよう、各取り組みを進めていきます。
 初めに、政策推進の取り組みのうち、健康・余暇分野については、文化芸術に親しむ機会の提供や障がい者の文化芸術活動を推進するとともに、県民誰もが生涯にわたってスポーツを楽しむことができる共生社会の推進などに取り組みました。
 教育分野については、文化芸術活動を支える人材の育成や、いわてスーパーキッズ発掘・育成事業では、タブレットの活用によるリモート環境の整備、障がい者トップアスリートを含むアスリートの競技力向上などに取り組みました。
 居住環境・コミュニティ分野については、岩手芸術祭を初めとした文化イベントの開催やスポーツ大会合宿の誘致などを通じ、人的、経済的交流などに取り組みました。
 歴史・文化分野については、御所野遺跡の世界遺産登録が実現し、国内最多となる三つの世界遺産を有することとなりました。平泉世界遺産ガイダンスセンターを整備し、昨年11月開館し、平泉の価値を発信しています。
 今後におきましても、文化・スポーツの振興に向けた取り組みを着実に推進し、デジタル技術も活用しながら、県民の文化芸術活動、スポーツを楽しむ機会の充実を図ってまいります。
 続きまして、令和3年度決算の概要について御説明申し上げます。
 お手元の令和3年度岩手県歳入歳出決算書12ページをお開き願います。2款総務費8項文化スポーツ費でありますが、これらの支出済み総額は44億2、404万円余であり、翌年度への繰越額は1、916万円余。不用額は1億245万円余となっております。
 決算の内容につきましては、お手元の歳入歳出決算事項別明細書記載のとおりでありますが、説明は省略させていただきます。
 以上で文化スポーツ部関係の説明を終わります。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
〇名須川晋委員長 これより質疑を行いますが、質疑答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明に対し、質疑はありませんか。
〇佐藤ケイ子委員 文化、芸術の秋となっております。先ほど熊谷文化スポーツ部長からもお話があったとおり、本県出身のアスリートが世界的な活躍をしているということで、本当に誇り高く、そして、これは応援をしようということで、県民が一つになれる、本当に私たちの暮らしに対しても潤いを与えてくれる、県民の誇りとなる活動をしてくださっているなと思うところです。
 野球の大谷選手の活躍が毎日報道されたり、そして、菊池雄星選手、佐々木朗希選手、本当に目覚ましい活躍をしていますし、またスキージャンプの小林陵侑選手も、これから、また期待のシーズン、そして、岩渕麗楽選手も、また期待をしたい。そして、この間のスポーツクライミングでも、伊藤ふたば選手、思いどおりの成績ではなかったかもしれないですけれども、県民の皆さんが本当に応援していました。
 そして、文化のほうでも、小中学生や高校生の活躍、これまた、すばらしいと思っております。合唱でも、北上市立黒沢尻北小学校、そして、吹奏楽の北上市立上野中学校、それから、合唱の盛岡第四高等学校や、不来方高等学校が大変活躍しています。全国高等学校総合文化祭でも、北上翔南高等学校や、岩泉高等学校など、全国トップレベルの活躍をずっと続けてくださって、本当にありがたいことだと思って、また、皆で応援していきたいものだと思うところです。
 この間、国民体育大会のことですけれども、いちご一会とちぎ国体に派遣をいただきまして、ありがとうございます。3年ぶりに国民体育大会が開催されたということで、感染対策を厳重にされていた大会でありました。開会式などでも選手数をかなり制限して、観客も制限して、本当にコンパクトな大会でありました。
 数年前に開催した希望郷いわて国体は本当にすばらしかったと改めて思いました。スポーツばかりではなくて、岩手県の郷土芸能のすばらしさは、本当によかったと思っています。大会関係者に感謝申し上げます。
 この第77回国民体育大会は、冬は秋田県、秋は栃木県で行われましたけれども、本県の選手団の活躍や成績と、評価、今後の課題についてお伺いいたします。
〇畠山スポーツ振興課総括課長 第77回国民体育大会についてでございます。
 本県選手団は、天皇杯成績東北1位を目標に、冬季大会と秋の本会期を合わせまして37競技587名が出場いたしました。優勝した2競技を含めまして、20競技62種目の入賞があり、天皇杯成績30位、東北順位は2位となったところでございます。
 特に、優勝したボクシング競技の鳥谷部魁選手や、ボート競技の菅原陸翔選手を初め、スピードスケート競技、陸上競技、カヌー競技、フェンシング競技、アーチェリー競技で2位を獲得するなどの活躍があったところでございます。
 コロナ禍で活動の制限が続きまして、厳しい結果になることも予想されましたが、少年種別で多くの入賞があり、最終的には宮城県に39点に迫る東北2位の成績は、3年前の74回大会に続くものでありまして、ジュニア育成の成果が着実にあらわれてきたものと評価しております。
 今後の課題につきましては、競技人口が減少する中での選手強化、特にジュニア期からの育成や、ホッケー、スキー、スケートに代表される本県お家芸種目を中心とした得点力強化、ジュニアから育成した人材の県内定着などが挙げられると考えております。今後、県体育協会や競技体団体等と連携を強化しながら取り組んでいきたいと考えております。
〇佐藤ケイ子委員 今もお話があったように、県内定着ということ、頑張ってもらったのですけれども、課題もあろうかと思います。
 今度2月に開催されますいわて八幡平白銀国体への目標、そして、期待はどうでしょうか。
〇畠山スポーツ振興課総括課長 来年1月から八戸市で始まるスケート・アイスホッケー国体に続きまして、2月17日から20日まで八幡平市で開催されるスキー国体いわて八幡平白銀国体は、本年同様、国体天皇杯成績東北1位を目標とする中、スキー選手団は、74回、75回大会の全国5位を目標として取り組んでいるところでございます。
 特に、アルペン競技・ジャイアントスラロームの成年男子、クロスカントリー競技の成年男子、女子、ジャンプ競技・スペシャルジャンプの成年男子、ノルディックコンバインドの成年男子など、成年種別を中心に入賞が見込まれるほか、少年種別では、クロスカントリー競技の男女リレーに期待が集まるところでございます。
 希望郷いわて国体以来7年ぶりの地元開催となりますので、目標を達成するべく、残された期間、県体育協会あるいはスキー連盟、八幡平市等と連携して、取り組んでまいりたいと考えております。
〇佐藤ケイ子委員 よろしくお願いします。
 アスリートの支援のことですけれども、アスリートの競技力向上のために、県外遠征の活動費の支援や、岩手スポーツアスリート無料職業紹介所の設置など、アスリートの県内定着に向けた、就職マッチングにも取り組んだということも成果の報告書には記載されているのでありますけれども、なかなか課題も多いようだと思っておりました。
 日本代表選手の選出数は、令和3年度目標が58人になっているのですけれども、それが69人とA評価でありました。その内容について、まずお知らせください。
〇畠山スポーツ振興課総括課長 本県関係の日本代表選手数についてでございますけれども、目標値は、令和元年度から令和3年度までの累計値といたしまして、58名と設定したものでございますが、御案内のスキージャンプの小林陵侑選手や、スキークロスカントリーの阿部友里香選手など、オリンピック・パラリンピックを初めとする世界大会に出場した選手が相次ぎまして、結果として、目標を大幅に上回る69名が選出されたものでございます。
 なお、令和3年度の単年度で見ますと、24名の選出となっております。
〇佐藤ケイ子委員 令和3年度の単年度では24名ということでしたけれども、現在の状況はどのようになっておりますか。
〇畠山スポーツ振興課総括課長 今年度―令和4年度につきましては、現在のところ、13名が日本代表として選出されております。
 今後も、ホッケーあるいはハンドボールなど数名の増加が見込まれておりますので、例年並みに推移しているものと考えております。
〇佐藤ケイ子委員 トップアスリートの活動支援事業ということで、指定された選手の方々はいらっしゃるわけですけれども、トップアスリートの海外遠征の活動支援は、どのようになっているのでしょうか。
〇畠山スポーツ振興課総括課長 県外、海外等の遠征も含めました活動に対する支援に関してでございますけれども、いわて競技力向上支援事業におきまして、41競技団体に対しまして、県外遠征や強化合宿、最新競技用具の購入、ジュニア選手の育成、強化指定クラブの活動、アスリート県内雇用などの活動に対する支援を行っております。
 それから、スキー全国大会少年種別特別強化事業におきましても、選手の活動費を支援しております。
 このほか、オリンピック選手等育成強化事業費のうち、トップアスリート活動支援事業では、日本代表や中央競技団体の強化指定選手に選出されましたトップアスリートを対象といたしまして、遠征費を含めた活動費として、1人18万円を支援することといたしまして、令和3年度は24名を指定して、支援したところでございます。
 また、ポテンシャルアスリート活動支援事業といたしまして、前年度、国内主要大会におきまして、これはトップを目指す、その次のポテンシャルアスリートを対象といたしまして、1人9万円を支援することとして、令和3年度は、60名を指定して、支援をさせていただいたところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 アスリートの皆さんが、経済的にもなかなか厳しい中で頑張っていると思って、何とか応援できないものかといつも思っているところです。クラウドファンディングや応援寄付など、さまざまな形で、もっと応援できるような体制はできないのかといつも思うところです。
 それから、アスリートが県内に定着してもらうことも大事なことでありますし、アスリートで、現役で活動していくにつけても、やはり仕事と両立できなければならないというわけで、アスリート無料職業紹介所も行っているようですけれども、まず、その状況はどうでしょうか。
〇畠山スポーツ振興課総括課長 アスリート無料職業紹介所の状況についてでございますが、県内に就職して、競技を続けたいアスリートと、それをサポートする県内企業のマッチングを図りまして、国内外で活躍するアスリートが競技生活を継続できる環境を整え、県内定着を図るとともに、本県から国際的に活躍するアスリートの輩出を目指すものが、アスリート職業紹介所でございます。こちらは、岩手県体育協会内に令和2年10月1日に開設して、活動を続けてまいりました。
 これまでの県内就職者の状況でございますが、令和2年度、3年度におきまして、合計5名就職をしております。その中には、例えば、スピードスケートでは、世界ジュニアスピードスケート選手権大会で優勝いたしました吉田雪乃選手や、いちご一会とちぎ国体で、成年男子1、000メートル優勝の松津秀太選手、体操競技世界選手権床第2位の南一輝選手が含まれております。
 今年度におきましては、4月から新たに、ジョブカフェいわてとも連携いたしまして、アスリートを雇用していただけるように、積極的に企業訪問を行っておりまして、本日現在、登録事業者数が20社、登録アスリート43名と増加しております。
〇佐藤ケイ子委員 応援する企業の登録が少し少ないなと思っておりましたけれども、20社になったということで、少しはふえてきつつあるということです。また、こういった企業からの応援をいただくことは、本当にもっとアピールしていただきたいと思うわけです。
 この間、スピードスケートの小平奈緒選手が、長野県で引退のセレモニーや、競技大会を行ったのですけれども、地元の病院が世界の選手を支えたというようなことで、その病院も大変評価を受けて、また、長野県民も、県民全体で応援するという形があって、感動的な場面だったと思っております。
 県民の応援の仕方です。企業は企業として、そして、個人は個人として、どうやって活動を支えていくか、県民運動的な取り組みをもう少し期待をしたいところです。
〇臼澤勉委員 私からは大きく2点、いわて文化芸術活動支援事業について、お伺いいたします。
 長引くコロナ禍で、地域の郷土芸能や、伝統芸能など、なかなか開催できない状況にあります。最近ようやく開催する団体もふえてきておりまして、ぜひ、こういった団体に対して、何らかの継続や再開の支援は必要だろうと思って、お尋ねいたしますが、まず、岩手文化芸術活動支援事業の実績と評価についてお伺いいたします。
〇阿部文化振興課総括課長 令和3年度においては、文化芸術団体の活動継続再開等を支援するため、17件の支援を行っております。具体的には、民俗芸能の公演会や市民参加による音楽祭などに加え、舞台芸術の活用、向上に係るセミナーなど、郷土芸能、伝統芸能のみならず文化芸術団体が行う活動を幅広く支援しているところでございます。
 令和4年度においても、郷土芸能、伝統文化の体験イベントや、若手育成を目的とした演奏家による指導事業など、29件の採択を行っているところでございます。
 また、令和4年度は、令和2年度からの3年間で最多の申請件数となっており、文化芸術活動の再開が見られることから、一定の効果はあったと感じているところでございます。
〇臼澤勉委員 取り組んでみての課題、今、県内のそういう文化芸術活動を取り巻く課題を、県としてどう捉えているのか、お聞きします。
〇阿部文化振興課総括課長 課題についてでありますが、県内文化芸術団体に対して、新型コロナウイルス感染症による文化芸術活動への影響について、定期的に調査を行っております。直近の9月上旬の結果においては、新型コロナウイルス感染症による文化芸術活動への影響について、影響があると答えた団体が約8割、依然として影響を受けている状況でございます。
 一方で、大きく影響があると答えた割合が減ったことや、影響の内容も、稽古や練習等の自粛、公演、展覧会等の中止を挙げる割合が、過去と比較して小さくなったことから、状況は改善しつつあるとも見られますが、団員、会員等の活動意欲の低下が最も大きい割合を占めたことや、感染対策に係る負担が増加しているという声が寄せられていることなど、依然として影響が続いていることから、調査内容等を踏まえながら、今後も支援を行っていくことが必要であると認識しております。
〇臼澤勉委員 まさに、影響調査というか、今の課題、認識、そのとおりだと思いますし、地元等でも、発表の場がなくなって、次の子供たちの育成にも、大きな影響をもたらしているということで、本当に心配しております。小学生など小さな子供たちも含めて、小学生時代に発表する場もなく、そのまま中学生になる、あるいは中学生がそういった活動の場がなくて、社会人になっていくということで、本当に貴重な時期に、地域の文化芸術、そして練習した成果を見てもらったり、あるいは仲間たちと一緒に磨き合うという交流も非常に限定されていて厳しいと思います。
 そのようなことで、いわて文化芸術活動支援事業ということで、令和3年度、令和4年度に県だけで約1、200万円の予算をとって、これで十分かと言えば、当然、私は限定的な支援だと思っております。
 もっと言うならば、国の事業も、ある程度規模の大きな事業もできますし、あるいは市町村でも取り組んでいるのですけれども、こういったところを、県として、文化スポーツ部で把握をして、そして、今、県内でどういった活動、団体にそのような支援の手やサポートができているのかというのは、把握すべきではないかと私は思うのですけれども、そのお考えについて、お伺いします。
〇阿部文化振興課総括課長 コロナ禍の影響が続く中において、圏域ごとに文化芸術活動支援ネットワーク会議を開催しております。その中で、県や国、民間団体等の支援策の情報を共有しております。そのほか、感染症対策についての情報を共有しております。市町村の文化芸術団体や、文化芸術コーディネーター等と連携しながら、地域における活動の再開の後押しをしているところでございます。
 委員がおっしゃったような文化庁の事業、大きな予算規模で実施しているものさまざまございまして、例えば、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会などを契機とした日本博の事業や、伝統芸術の衣装、備品等を整備する地域文化財総合活用推進事業などもございますので、そういったものを活用しながら、地域、子供たちの育成もありますので、学校等とも連携しながら、活用して盛り上げていきたいと思っております。
〇臼澤勉委員 今も御紹介ありました文化庁の地域文化財総合活用推進事業、こういったものも花巻市なども、2、600万円規模で取り組んでおります。令和3年については、幸せ出ずる国いわて実行委員会でも、さまざまなイベント、あるいはそういった発表の場、そして、これまでも、地域の伝統芸能の用具の新調や、修理、特に震災後などはそういった活用などもしております。
 文化スポーツ部に対しては、市町村、あるいはそういった県内の支援団体に、どういったメニューがあるとか、補助メニューとか、アンテナを立てていただいて、まず、つないでいってほしいというところが一つあります。県だけでは、当然、限定的になりますので、国の事業も、民間が基金を設けて支援するような事業もありますので、そういったところについて、ぜひ積極的に取り組んでほしいと思いますが、今後の方針についてお伺いします。
〇阿部文化振興課総括課長 先ほども申し上げましたけれども、地域の関係団体との会議の場において、情報共有を図り、活用を促進してまいりたいと思います。
 また、民俗芸能の衣装や道具の整備、担い手の育成支援などについても、県の事業に加えて、国、民間等との事業の活用を促していきたいと思いますし、発表の機会の場の提供がやはり大事だと思いますので、そういった点についても、引き続き継続しながら、若い世代の誇りや意欲を高めるような活動を支援してまいりたいと思います。
〇臼澤勉委員 ぜひ、よろしくお願いいたします。
 次に、スーパーキッズについてお伺いします。事業実績と、これまでの評価について、お伺いいたします。
〇畠山スポーツ振興課総括課長 スーパーキッズ事業についてでございますが、スーパーキッズ事業は、世界で活躍する選手の発掘、育成を目指しまして、平成19年度より開始し、今年度で16年目を迎えております。これまでの修了生は452名に上り、現在は136名の在籍者で活動をしております。
 修了生からは、北京冬季オリンピックにおきまして、1期生の小林陵侑選手が金、銀のメダルを獲得、5期生の谷地宙選手が出場するなど、世界大会等へ延べ54名、全国大会等へ延べ361名が出場したほか、中央競技団体強化指定選手が11名、プロスポーツ選手3名を輩出しております。
 また、今回のいちご一会とちぎ国体では、7期生の菅原陸翔選手が、ボート競技シングルスカルで優勝を果たしましたけれども、同選手は、スーパーキッズ事業におきまして、本人の適性を見出して競技種目を変更したものでありまして、注目が集まったところでございます。これらは、長年の取り組みを継続してきた成果があらわれてきたものと認識しております。
〇臼澤勉委員 多くの子供たちを輩出し、そして、成果も出ているということであります。
 先ほど、佐藤ケイ子委員が、大谷翔平選手を初め何名かのアスリートの方々のお話をされましたが、あの方々はスーパーキッズの卒業生でしょうか。そこについてお伺いいたします。
〇畠山スポーツ振興課総括課長 今、御案内ありました野球で申しますと、大谷翔平選手、菊池雄星選手は、スーパーキッズの卒業生ではございませんが、先ほど御案内いたしましたスキーの小林陵侑選手などについてはスーパーキッズの卒業生でございます。
〇臼澤勉委員 なぜ聞いたかといいますと、佐々木朗希選手は違いますよね。伊藤ふたばさんも違うのです。
 大谷翔平選手や菊地雄星選手の場合は、スーパーキッズ制度はたしかまだなかったので……(「ありました」と呼ぶ者あり)あったのですね。そこはいいのですけれども、要は、何を言いたいかというと、今、活躍しているトップアスリートの方々、これは、スーパーキッズの方も小林陵侑選手はいますけれども、そうでない方々もいるということです。
 つまり、このスーパーキッズは、オリンピアンを輩出する事業とは私は捉えていないのですけれども、その辺について、少し気をつけて取り組んでいかなければいけないのかと思います。スーパーキッズはどういう目的の事業なのか、お伺いします。
〇畠山スポーツ振興課総括課長 スーパーキッズ事業でございますが、こちらの事業は、その目的、目標といたしましては、世界で活躍する選手、それから、オリンピックに出場して、メダルにも届くような選手、こちらをまずは目指すという目標を立てて進んできております。いろいろな考え方はございまして、トップを育成する、目指すというところから、そこで最新鋭のトレーニングを積んだことによって、それが、ひいては周りに波及して、子供たち、皆さんに好影響を与えるという副次的な効果ももちろんあると考えております。
〇臼澤勉委員 スーパーキッズの意味は、私も十分理解しておりますし、今、世界から岩手県が注目されている。なぜ岩手県から、こんなにも多くのトップアスリートが、世界で活躍する選手が輩出されているのかということで、アメリカからも調査に入ってきていると聞いておりますけれども、スーパーキッズに入っていない子供、あるいは落選した子供に対しても、こうやって伊藤ふたばさんのように活躍しているわけですから、ぜひ、そういった部分のフォローなどもきちんとやっていっていただきたい。
 そして、何よりもけがや事故防止の面では、スポーツ医科学の取り組みはすごく大事だと思っております。その取り組みについてお伺いをいたします。
〇畠山スポーツ振興課総括課長 スポーツ医科学の取り組みについてでございますけれども、県では、これまで、大学や医療関係などの関係機関と緊密に連携するほか、要請したアスレチックトレーナーの活用などによりまして、スーパーキッズ事業において、スポーツ医科学に基づいた最新のトレーニングプログラムを実施してきたところでございます。
 主なプログラムといたしましては、身体と知的能力の開発を行いますスペシャルスクール、さまざまな競技を体験するトレーニングキャンプ、体力測定、自分に最も適した競技の選択に向けた説明会や面談、保護者に対してのプログラムなどがございます。
 それから、キッズ生にタブレット端末を貸与いたしまして、プログラムや個別トレーニングの配信などを行うことによりまして、遠隔地からの効率的なプログラムの参加や、キッズ生の自己管理能力の向上もあわせて図っているところでございます。
〇臼澤勉委員 そういった科学的な指導も大事ですが、私は、やはりマインド、メンタルを主体的に、意欲的にあるいはつまずいたりすることは多いと思うのです。そういったときに、また立ち上がって、チャレンジしていく、そういうチャレンジマインド、そういった部分をぜひサポートしてほしい。
 そして、最後に、世界からもトップアスリートを輩出している岩手県の今後の施設整備についてはとても大事になってくる。耐用年数がきて、必ず老朽化して使えなくなる。そういった部分に対しての今後の整備方針も含めて、どう考えるのかは、次の時代を担う子供たちに対して、環境を整えていく責務が私はあると思っております。
 県が単独でつくる、あるいは今後の時代において、個々に施設を整備していくのは無理だと思うのです。例えば、陸前高田市にある体育館とプールを集約したような形でホテルの北側に整備したり、防災拠点としても位置づけたりしておりますし、あるいは、今、世界から注目されているこの岩手県に第二の大谷翔平選手、菊池雄星選手、佐々木朗希選手、あるいは小林陵侑選手を育てるならば、我々が資金を出すという、ふるさと納税の応援団も多いと思うのですけれども、財源がないから、もう無理ですという狭い話ではなくて、いろいろな知恵を絞って整備していっていただきたいと思います。あるいは、もう準備をしていかなければいけないと思いますが、最後に御所見を聞いて、終わりたいと思います。
〇畠山スポーツ振興課総括課長 スーパーキッズ事業と絡めました競技の施設、あるいはスーパーキッズ事業の今後を含めました方向、方針ということでございますけれども、スーパーキッズ事業におきましては、先ほど御紹介申し上げましたような、スポーツ医科学に基づくさまざまな効果的プログラムの実施によりまして、御紹介させていただきました全国大会の上位入賞や、数々好成績につながっておりますことから、活動の会場となっている施設もございますけれども、当面は、引き続き、現行のソフト面でのさまざまな取り組みの充実強化を図りながら、事業効果を高めていきたいと考えております。
 今後も、スポーツ医科学の最新知見に基づきまして、その時々のトップレベルの指導を取り入れ、進化させながら、年代に応じて、効果的にプログラムを提供して、取り組んでいきたいと考えております。
〇臼澤勉委員 そういった練習場も含めて、岩手県は雪国でもありますし、1年間を通じて見たときに、トレーニングする場も限定的になりますので、ぜひ、未来を見据えて、準備を進めていただきたいと思います。
   〔「関連」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝子委員 私も、民俗芸能、郷土芸能について、関連して質問いたします。まず熊谷文化スポーツ部長にお聞きしたいと思います。
 岩手県の民俗芸能の関係で、岩手県文化財愛護協会がございまして、その当時、平成2年にまとめたもので、県内290団体ということでありました。今は、それより少なくなっているのか、多くなっているのか、私もわかりませんけれども、そういう中において、ユネスコ無形世界遺産の指定や、国の重要無形民俗文化財の指定、県の指定など、市町村によっても指定があると思います。この指定は、教育委員会の管轄だと言われました。
 その中で、私は、文化スポーツ部が新たにできたのに、こういう文化関係は全部、文化スポーツ部で所管してもいいのではないかと感じたところであります。なぜ、このように縦割りなのかと、質問項目を何回か出して、これは教育委員会だから、これは文化スポーツ部だからと、私は、民俗芸能、郷土芸能は三つにまたがっているのではないかと思います。ふるさと振興部です。中山間地域において、高齢化が進んでいる中でも、遠野市はお祭りになってくると、70歳、80歳の人も笛を持ったり、太鼓を持ったりして出てくるわけです。そして、地域がお祭り、郷土芸能を保存していることに誇りと自信を持って、さらに子供たちは、豊かな人間性を涵養しながら、自己表現できる場でもあるわけです。そして、ふるさとを愛している。遠野市の子供たちが一旦都会に出ても、お祭りには帰ってきて、獅子踊りや神楽に参加しているのです。そして、どうしても踊りたくて、Uターンしてくる大人の人たちもいるわけです。そういう中で、今後、岩手県のふるさとを振興していく上で、郷土芸能、民俗芸能は非常に大きな役割を果たすと思っております。
 そういう中で、文化スポーツ部の限られた予算の中では、こういう団体を支援していくのも非常に厳しいと思っております。だったら、ふるさと振興部、そういうところや、教育委員会が、一体となったものができないのかと思っているのですが、どのように感じているか、所感を伺いたいと思います。
〇熊谷文化スポーツ部長 今、委員からお話がありましたとおり、民俗芸能については、長年地域に根ざす地域コミュニティーの維持においても非常に重要な役割を果たしており、東日本大震災津波からの復興の過程を見ても、その役割は明らかだと思います。
 また、地域の誇り、自信ということが委員からありましたが、地域の独自性や地域の活性化という点。いわゆる地域アイデンティティーを象徴するものが民俗芸能だと感じております。一番身近な市町村が、民俗芸能の状況については把握しているわけですが、市町村、あるいは関係団体との連携はもちろんですし、ただいまお話のあったふるさと振興部の地域振興の面、あるいは教育委員会、残念ながら、文化財指定のところは教育委員会が所管しておりますので、緊密に連携して取り組むということで行っていきたいと思いますが、そういった部局連携、あるいは市町村との連携、民間との連携、資金の面では、企業協賛をいただくなどという手法もあると思いますので、そういった形で郷土芸能を、地元だけではなく、地域外でも披露する場などもつくりながら、民俗芸能が次世代につながっていくように、取り組んでいきたいと思っております。
〇工藤勝子委員 連携という話を県はよくするわけですけれども、私たちは本当に連携ができているのかと疑問を持っているわけです。こういう文化財関係は、しっかりと文化スポーツ部で担当するというようなことを、今後進めていってほしいと思うのですけれども、その点についてはどのように考えますか。
〇熊谷文化スポーツ部長 建物も無形なものも含めて、文化財の指定の関係は、教育委員会で所管しております。
 また、文化スポーツ部に世界遺産担当がありまして、そちらの世界遺産は、県教育委員会出身の職員などが、人事交流しながら行っております。
 現在、そういった形で、人事交流も含めて、連携をとりながらやっているという形ですが、文化スポーツ部で所管するという点については、今後の検討課題とさせていただきたいと思います。
〇工藤勝子委員 それではなかなか進まないのではないかと思っております。私たちでさえ、どこでどのような担当をしているのかということをよく把握できないままに、私は質問をよく出していたところですけれども、そういう中において、例えば国や県に指定された郷土芸能には、確かに光が当たります。ただ、当たらなくても一生懸命やっている地域もあるわけです。踊っている人たちもいるわけです。例えば、令和2年度で190団体とありますけれども、こういう人たちにも光が当たるようなことをして、地域活性化を図っていくべきではないかと思うわけです。
 国や県の指定に関しては、冊子もできています。この愛護協会としては、平成11年につくっているわけであります。追加シリーズとしてつくっているわけですけれども、県でつくらなくても、協会がいらっしゃいます。もう令和4年ですよ。なくなってしまった団体、新たに復活した団体があると思いますので、また新たなこういう冊子を地域から拾って、県内に広く情報発信する必要があると思うのです。そういう中で、予算も必要ですけれども、ぜひ、県教育委員会、ふるさと振興部と連携をとって、こういう資料をつくっている団体に依頼して、そういうものを岩手県としてしっかりと記録保存していく必要があると思うのですけれども、所感をお伺いしたいと思います。
〇熊谷文化スポーツ部長 岩手県文化財愛護協会につきましては、県が行っております県の郷土芸能フェスティバル、これは県内の郷土芸能が一堂に会したフェスティバルでありまして、今年は12月に予定しております。そちらの運営に当たっては、愛護協会と連携して行っているところでもありますので、引き続き、緊密に連携しながら、取り組んでいきたいと思います。
〇名須川晋委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
   午前10時52分 休 憩
午前11時12分再開
〇名須川晋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇工藤勝博委員 いよいよウィンタースポーツが始まります。きのうは、全国のスキー種目の代表のアスリートの方が記者会見を行っておりました。小林陵侑選手もまずは1勝という話もされて、自分の飛んでいる姿を見て、みんなに喜んでもらいたいという思いがかなり強く出ていました。そういうことも含めて、ことし2月の北京オリンピックでは、小林陵侑選手が金、銀、そして、永井秀昭選手は銅ということで、個人種目の金は初めてということでもありました。そういうことも踏まえながら、岩手県の施設、冬季スポーツ、特にスキージャンプの施設について、何点かお伺いしたいと思います。
 まずもって、来年の令和5年2月5日から2月10日までのいわて八幡平白銀国体がありますけれども、それらに向けての施設整備の状況をお聞きしたいと思います。
〇畠山スポーツ振興課総括課長 いわて八幡平白銀国体の会場となります八幡平市所有のジャンプ台、矢神飛躍台の整備については、県においても、その整備に係る財政支援を行っているところでございます。
 整備の内容につきましては、スタートから踏切までの滑走面を冷却する装置でありますクーリングシステムを整備しているところでございます。この整備によりまして、気温の上昇など、天候に左右されずにジャンプが可能となりまして、競技の安全性や公平性が高まりますとともに、準備のための人手や手間も省け、効率化が図れるものでございます。
 整備の進捗状況につきましては、現在、既に、整備工事は終了しておりまして、各種検査を経て、令和5年1月に供用開始の予定であると聞いております。
 今後も、八幡平市を初めといたしまして、万全な体制で運営ができるように準備を進めていきたいと考えております。
〇工藤勝博委員 前回のいわて国体、2016年のときは、矢神飛躍台であったわけですけれども、天候に左右されたり、大変な状況の中で競技運営に当たったと思うのですけれども、このクーリングシステムができたということで、選手の皆さんにとっても、同じ条件で滑走できる。アプローチで、小林陵侑選手が飛んでいるのをよく見ると、踏切で何ミリの差で全然違うとか、そういう微妙な感覚があるということを、大会終了後には言っておりますし、そういう条件がきちんとできたということは、これからのジャンプ台の活用には何より有効だろうと思います。
 一つ、整備に当たっての経費、スポーツ振興くじのtotoが冬季スポーツには大変支援しているというお話を聞きますけれども、その辺の状況、資金の調達は、どういう感じだったでしょうか。
〇畠山スポーツ振興課総括課長 わかりやすく大きなところで申し上げますと、totoの助成につきましては、全体の事業費の中で4分の3はtotoから助成をいただいております。残りの4分の1につきまして、県と八幡平市と折半して整備してきたということでございます。
〇工藤勝博委員 後ほどお伺いしたいと思いますけれども、先ほど来お話がありますように、矢神飛躍台、県の所有がスモールヒル、ミディアムヒルというように小、中あります。それは県有ということで、指定管理制度で、八幡平市が管理しております。その管理を受託している一般財団法人岩手県スキー連盟の皆さんは、地元の田山地区の皆さんがやっているわけですけれども、そういう中でも、県土整備部の意思疎通がなかなかできないので、トラブルもあったということを伺っておりました。
 ことしもサマージャンプ等もやっていますけれども、そういう中で、サマーの場合は、常に散水するという、散水設備が必要なわけです。要は、ランディングバーンに水をまくと。それで、器具といいますか、部品といいますか、飛び出していて、けがをしたということもありました。そういうことも含めて、その管理の仕方、できれば、地元に一切任せてくれという声もあります。それも含めて、70メートル級のジャンプ台は旧安代町、そして、今は、八幡平市の所有ということで、何かちぐはぐになっていると思っています。それらも含めてお聞きしたいと思いますけれども、施設を有効に活用することも含めて、その辺の県の認識はどうなっているのでしょうか。去年も質問したような気がしますけれども、その辺も含めて、お伺いします。
〇畠山スポーツ振興課総括課長 まず、ジャンプ施設の関係でございますけれども、先ほど委員から御紹介をいただきましたけれども、八幡平市の田山地区には、今、二つのスキーのジャンプ施設がございます。先ほど申し上げました矢神飛躍台につきましては、三つのジャンプ台からなっておりまして、設置者が八幡平市、そして、指定管理者が一般社団法人八幡平市体育協会となっております。一方、その下側に位置しております県営のスキージャンプ場につきましては、ミディアムヒルとスモールヒルの二つのジャンプ台からなっておりますが、設置者は岩手県、指定管理者は八幡平市ということで、運営をさせていただいております。
 有効に活用するべく、今回、国体もあるということでございますので、八幡平市とは例年にも増して、頻度を上げて、意見交換をしながら、日々いろいろな方策について検討しているところでございますし、先ほど御案内のあったような事例等、その施設で何かありました場合には、即連絡が入るような体制になっております。今年度に入りましても、何件か御連絡をいただいておりますけれども、迅速に対応させていただきながら、対象の方についても、その後については、特段、大きな支障がないという状況で、気をつけながら管理をさせていただいているところでございます。
〇工藤勝博委員 地元自治体と県との合同体みたいな形で、矢神飛躍台、田山スキー場が成り立っているわけですけれども、その辺はうまく密に連携をとりながら進んでいただければと思っております。
 そういう中で、矢神飛躍台から小林兄弟、永井兄弟、常にあそこのジャンプ台で成長して、世界で金メダルをとるという結果になっているわけですけれども、それらも含めまして、今後、これからの次世代を担う子供たちも、小林陵侑選手みたいに飛んでみたいという思いが強くあります。そういうことも含めて、矢神飛躍台のアプローチの部分は整備できたということです。でも、ランディングバーンはそのまま旧態依然ということで、使用時期が限られた時期しか使えないということです。現実的に、雪が降らないと使えない。それも恐らく1月から2月いっぱいということで、短期間しか活用できないという状況でもあります。それらを考えますと、今の御時世の中では、通年使用できるような形で、ランディングバーンは人工芝を張っていただきたいという声がすごく出ています。八幡平市からも多分出ていると思いますけれども、それがあればこそ、これからますます優秀な選手が生まれてくると思います。きのうの会見でも、小林陵侑選手は、ことしは100本しか飛んでないと話しておりました。いい結果を残すには、何本飛ぶかということが選手のコンディションを仕上げていくという状況のようです。
 それらも含めて、野球では、アメリカのメジャーリーグの大谷翔平選手、岩手県の大谷翔平選手は、岩手県の宝と言われています。冬場のジャンプはヨーロッパです。ヨーロッパで一番人気のあるジャンプですが、岩手県の小林陵侑選手と言われています。それらを含めると、恐らくtotoでも、経費をたっぷり使ってくれというぐらいの気持ちが出てくると思うのです。これからの世界を制する、そういうアスリートをつくる第一歩だと思いますので、その辺も含めて、お考えをお聞きしたいと思います。
〇畠山スポーツ振興課総括課長 ただいま委員から、冬季スポーツを起爆にした盛り上がりや通年での使用に向けた盛り上がりのような御提案もいただきまして、当方といたしましても、その点につきましては全く同感でございまして、盛り上がりを、この機を大切にしていきたいと考えております。
 先ほど御提案のありました矢神飛躍台のランディングバーンの人工芝設置につきましては、今回、クーリングシステムの整備に対しまして、支援を行わせていただいておりますことから、まずは、国民体育大会や各種大会の開催状況や、今後の利活用の状況など、整備の効果を確認、検証していく必要があると考えておりますので、今後の検討課題とさせていただきたいと思います。
〇工藤勝博委員 ぜひ、県としていい方向に検討してもらって、次の世代につなげていただきたいと思います。隣の秋田県鹿角市にもジャンプ台があります。ところが、鹿角市が大会を開くにも、ボランティアがもういないということで、大会を返上するということもあるそうです。東北地方では、蔵王地域のスキー場や、岩手県内のスキー場ということになると思いますので、それらを含めますと、きちんと整備して、スモールから、ミディアムから、ノーマルがあるのは他県ではなかなかないと思いますので、これは有効な施設だと思います。県内のアスリートだけではなく、他県からも当然来ると思いますし、現在も、大学生で頑張っている谷地宙君など、これからまだまだ岩手県からも輩出されると思います。また、今後を考えますと、ハロウインターナショナルスクール安比ジャパンの生徒たちは、ヨーロッパのスキーはジャンプだということです。ほとんどサッカーかジャンプだという根強い人気や、風土、文化があります。それらを鑑みても、ジャンプ台の整備はしっかりやるべきだろうと思いますので、ぜひお願いをしたいと思います。
 スーパーキッズについては、指導者の育成ということでもお話ありました。経験則も含めて、競技者が、自分の持てる技術を次の世代にいかに伝えるかということ、これが岩手県のスポーツを継続的に発展させる大きな力になっていくのだろうと思います。現在も、三ケ田礼一さんがいろいろな形でサポートしてくれています。次に続く、そういう指導者も当然確保しないと途切れてしまうと思うのですけれども、その辺の状況はいかがでしょうか。
〇畠山スポーツ振興課総括課長 ただいま委員から御指摘いただきました指導者の育成についてでございますけれども、今回の国民体育大会を見ておりまして、頑張って成績が出たという背景には、指導者の力というものがかなり大きかったと認識しております。そのようなことから、当方におきましても、指導者の育成、確保はとても重要なものとして認識しております。
 本県では、指導者の養成を総合的に行いまして、指導技術や最新情報の習得を図るため、いわて指導者育成事業におきまして、公認指導者の資格取得支援や、トップコーチの活動支援を実施しておりますほか、指導者の誠実性、健全性、高潔性の確保を図るため、スポーツ・インテグリティ推進事業におきまして、県内競技団体あるいは指導者を対象とした研修会を開催しております。
 さらには、映像データ分析などのデジタル技術を活用できる指導者を育成するために、令和4年度の新規事業でございますが、スポーツアナリティクスサポート事業におきまして、戦術や技術指導におけるデジタル技術活用のための研修会なども実施しております。高度な指導技術や理論を兼ね備えるとともに、選手から信頼される指導者の養成を目指して、取り組んでまいりたいと考えております。
〇工藤勝博委員 実績を残している指導者もたくさんおりますし、それを、逆に受け入れる体制もないと流出するということもあると思いますけれども、先ほども、企業あるいは自治体でも受け入れているところもありますけれども、そういう思いを持っている指導者といいますか、やりたいという方がどんどん定着するような仕組みも、ぜひつくっていただきたいと思います。
 最後に、岩手県でプロスポーツが三つあります。そういう中でも、私は、スポーツも大きな産業だろうと思います。プロ野球もそうですし、大リーグのメジャーリーグもそうです。感動を与える仕事は、本当にスポーツのいい面だと思いますし、岩手県の三つのスポーツチームも、それぞれいいポテンシャルを持っていると言いますけれども、それらを含めて、岩手県にもっと定着できるような仕組みも必要だろうと思います。運営会社といいますか、サポートするのを見ても、まだまだ弱いと思います。行政も含めてもっとサポートをする必要もあるのではないかと思います。一例では、サッカーのモンテディオ山形には、県からも出資しているという事例もあります。これをしっかり支えるということがこれからの岩手県のプロスポーツの発展につながるのだろうと思いますけれども、その辺も含めて、お聞きしたいと思います。
〇畠山スポーツ振興課総括課長 トッププロスポーツチームの関係でございますけれども、先ほど御案内いただきましたトッププロスポーツチームについては、本県を本拠地といたします3チームございます。こちらのチーム、まさに県民の宝と思っておりまして、県民に明るい話題を提供し、元気や希望を与えてくれますとともに、スポーツを楽しむ機会の充実に貢献するほか、子供たちにとっても大きな憧れや目標を与えてくれるものだと認識しております。
 トッププロスポーツチームへの支援につきましては、さまざまな手法があると思っておりますけれども、県といたしましては、まずは、ファンの拡大や、県民的な機運醸成が重要だという認識に立ちまして、これまで、いわてグルージャ盛岡、岩手ビッグブルズ、釜石シーウェイブスと連携いたしまして、スポーツ教室、あるいは試合を通じた県のPR、試合観戦への招待、ボランティアの養成、それから、県庁などでの会員募集―私たちも一緒に立って呼びかけて勧誘しておりました―そのような会員募集の活動なども、取り組みとして行ってきたところでございます。
 今後も、県民のスポーツ活動の推進あるいは地域振興に向けまして、トッププロスポーツチームと連携いたしまして、これらの取り組みを引き続き進めますとともに、各チームからの支援に係る個別の御相談に関しましては、関係市町村や関係者とも連携しながら、いろいろと考えていきたいと考えております。
〇高橋穏至委員 私からは、生涯スポーツ推進費、特に地域スポーツ推進事業費に関連して質問をしたいと思います。
 現在、地域スポーツクラブの現状はどうなっているか、最初にお伺いします。
〇畠山スポーツ振興課総括課長 現在の総合型地域スポーツクラブの状況についてでございますけれども、本県におきます総合型地域スポーツクラブは、本日現在で創設済みが、26市町村、56クラブ、それから、創設準備中が、3市町村、3クラブ、未創設が5町村というような状況になっております。
〇高橋穏至委員 主要な成果の報告書では、総合型スポーツクラブではないということなのかと思いますけれども、スポーツセンターは33市町村、要は、全部の市町村に指導員が回っているという事業の成果で載っているわけですけれども、実際に関係する予算317万円のうち287万5、000円失効になっているのですけれども、この事業の関連する中身は何だったのでしょうか。
〇畠山スポーツ振興課総括課長 地域スポーツ推進事業の中身でございますけれども、地域スポーツ推進事業につきましては、県の総合型地域スポーツクラブをどう活性化、充実させていくかという事業でございまして、例えば、総合型地域スポーツクラブのサポートをするために、県の広域スポーツセンターを県体育協会の中に設置しております。そちらに、クラブの専任の指導員を置きまして、各クラブに巡回して、指導をしていただきましたり、あるいはクラブのマネージャーを対象といたしました研修会などを開催いたしましたり、あるいはそのようなクラブアドバイザーを広域センターの中に配置いたしまして、巡回、あるいは相談も含め、個別の各クラブの支援をさせていただいているような内容でございます。
〇高橋穏至委員 そうしますと、この事業費は、そういった人件費的なものなのでしょうか。お伺いします。
〇畠山スポーツ振興課総括課長 活動費と、それから、人件費も一部含まれるような内容でございまして、全額が県からということではなく、それについては、totoからも支援がございますので、ほとんどがそちらから賄っておりますけれども、県からも一部支援をさせていただいていという状況でございます。
〇高橋穏至委員 そうすると、実際かかっている費用は、もっとたくさんかかっているということの理解でいいのかと思いますが、実は、これを何で聞いているかといいますと、今、県教育委員会で進められている部活動の指導員を外部から入れてやっていて、将来的には、地域の組織に移行するのだという方向性は出ているのですけれども、そうなったとき、受け皿になるのは地域になりますので、この総合型地域スポーツクラブあるいはそれぞれの市町村にある体育協会やスポーツ団体の組織など、そういうものが受け皿になると想定されるのですが、要は、県教育委員会で計画を進めても、受け皿ができなければ、いつまでたっても絵に描いた餅だろうと思って、この受け皿となる部分について、質問をしているわけですが、この県教育委員会で進められている地域部活動推進事業との連携、今のところ、今回の予算では、研究の実態調査や、そういう研究費が盛り込まれているのですけれども、そういった検討等を含めて、この連携はどうなっているか、お伺いします。
〇畠山スポーツ振興課総括課長 地域部活動の推進事業との連携についてでございますけれども、令和3年度は、県教育委員会におきまして、岩手町、葛巻町の教育委員会が運営主体となりますモデル事業を実施したところでございますけれども、その中で、市町村や学校関係者、地域スポーツ団体等の関係機関で構成される運営会議を設置いたしまして、地域移行に向けた課題整理などを行ってきたところでございます。当部もその会議に参画いたしまして、一緒に検討を進めてきたということでございます。
 それから、令和4年度につきましては、昨年度の県教育委員会が実施してまいりました二つのモデル事業に加えまして、当部において、地域スポーツ団体である一般財団法人大船渡市スポーツ協会が運営主体となり、市内中学校の五つの運動部活動を対象としたモデル事業を実施しております。
 連携の状況について、概要は以上でございます。
〇高橋穏至委員 モデル事業で、実際、今、動き始めたということのようでございますけれども、先ほど来、スーパーキッズに関連して、さまざまな質疑のやりとりがあったわけですけれども、これは、地域で受けとめるにはかなりハードルが高いということで、小中学校、特に中学校は全市町村に存在して、部活動も全市町村にあって、総合型ができているのはまだ26しかなくてという状況の中で、地域の偏在を乗り越えて、いかに運営していくかというのは非常に大きな課題になろうかと思いますし、何よりも、指導者をどうやって確保するかというのと、指導者を確保するための費用です。特に人件費をどうやって賄っていくのかというのが、総合型で受けようと思えば、財源は、補助金があるかないかは別として、会費や何か事業をやったときの参加費など、そういうのしかないわけで、これは非常に厳しいだろうというのは、最初から想定されるわけですけれども、今、ある総合型地域スポーツクラブ、成果のほうにも、今回は、コロナ禍で会員数がかなり減少しているということで、D評価になっているのですけれども、そういった、今行っている総合型地域スポーツクラブの運営状況はどうなっているかおわかりになりますでしょうか。
〇畠山スポーツ振興課総括課長 総合型地域スポーツクラブの運営状況につきましては、今、委員から御紹介いただきましたとおり、昨今のコロナ禍でございまして、会員数が減少したことも、今お話しいただいたように、それが影響して、いろいろな参加している行事やそういうものが縮小したことによって、会員数が減ったという状況を聞いております。
 そのような状況でございますので、先ほど申し上げました岩手県広域スポーツセンターと一体となりまして、現在、いろいろな状況を伺ったり、あるいは個別に御相談に乗って、支援の方策等を考えているところでございます。
〇高橋穏至委員 先ほどの答弁で、そういった連携の会議に参加していますという評価になっていますが、将来、受け皿になれば、こっちが主体になると思いますので、そういう気持ちで、特に仕組みをどうつくるか、組織をどうするか、文化スポーツ部がしっかりと主体に将来なるのだという気持ちで、ただ単にお客さんで参加するのではなくて、しっかりとした形で取り組んでいただきたいということを申し上げて、あとは、県教育委員会に質問しますので、よろしくお願いします。
〇上原康樹委員 私は、伝統芸能の継承と、それから瀬戸内寂聴さんの精神をどう受け継いでいくのかという、この二つのテーマでお話を伺います。
 まず、伝統芸能の継承ですが、先ほど来、臼澤勉委員初め皆さんからこの支援の話は出ているところでございますが、私は、今度はどういう人たちを支援していくのかという項目に移りたいと思います。この伝統芸能の宝庫といわれる岩手県、地域の精神的なシンボルになっていますが、ベテランから小さいお子さんまで、その裾野を広げている状態です。
 最近、SNSの発信などを見てみますと、神楽や獅子踊りなどの伝統芸能の各団体、グループの練習の再開の報告が目立っていると感じております。久しぶりの所作、動きに戸惑いながら、本当にうれしいのだという気持ちをかみしめながら頑張っている様子が伝わってきます。その中にやはり才能がある方がいるのです。この子は何だ。取材したその地域の人たちも、この所作は大人でもかなわないというような、子供独特の能力というものが発露しております。こういう才能を大切にしていくべきではないかと思うのです。
 スポーツの世界では、岩手県はスーパーキッズという仕組みがございますけれども、この伝統芸能を守る上でも、やはりこのスーパーキッズ扱いしていいのではないかという、大切に選抜された子供を、大切に育てて、そして、地域の原動力にしていく、模範になってもらう、そして、将来的には優秀な指導者になってもらう、そして、世界に岩手県の真髄を発信する演者になってもらうという、こういう高邁な夢を乗せていく制度になると思うのですけれども、この辺に関しての県の御所見を伺いたいと思います。
〇阿部文化振興課総括課長 才能のあるお子さんの伝統芸能等についてでございますけれども、県で開催しております岩手芸術祭や、郷土芸能のフェスティバル等におきまして、そういったお子さんたちの郷土芸能の披露の場を確保しておりまして、広く皆さんに見ていただく機会を提供しているところでございます。
 また、SNSやユーチューブ等で動画等を配信し、県外、世界の皆さんにもそういったすぐれた郷土芸能の披露を見ていただく機会を提供しているところでございます。
 これからも、子供たちの支援について、取り組んでいきたいと思いますし、指導者の方についても、県の助成金や、基金事業などで、引き続き支援してまいりたいと思います。
〇上原康樹委員 やはり舞台芸術でございますので、まず、見てもらう、評価を受ける、そこで己を知る、己を磨くという、そういう成長の過程がございます。そこをしっかりサポートしていくということで、県ができるということは、見てもらう場を支えていくないしは提供をするということだと思うのです。多くの人に見てもらうということは、これは財産になります。そういう場の提供のために、事業計画を立てていただいてよろしいのではないかと思います。お願いをしたいところでございます。
 もう既にかなり個別の発表の場はあるのですけれども、ほかの団体の力を見る、技を見るという、そういう場は必要だと思うのですけれども、まだまだ少ないような気がいたします。この辺をどういうふうに拡大して、裾野を広げるという構想をお持ちでしょうか、お考えをお聞かせください。
〇阿部文化振興課総括課長 発表の機会をふやすことについてですけれども、県の助成金を活用して、そういった広く披露する場の支援もしているところでございます。また、郷土芸能の東北・北海道ブロック大会もございまして、そういったところへ優秀な団体については推薦し、披露して、広く一般の方に見ていただいておりますし、そういった動画等も発信しているところでございます。
〇上原康樹委員 今、記録として残しているというお話でしたけれども、それはどの程度の内容なのでしょうか。御披露いただけるとありがたいです。
〇阿部文化振興課総括課長 毎年開催しております伝統芸能フェスティバルについては、ユーチューブで同時配信しておりますし、あとは、岩手県のホームページで文化情報大事典がございますけれども、そちらで、郷土芸能の短いものもありますが、動画を100以上配信しております。
〇上原康樹委員 さらに、きめ細かい取り組みをお願いしたいところでございます。いずれにしても、黒沢尻北小学校の合唱部が金賞をとったという、あれはやはり子供たちの潜在能力、パワーだと思うのです。これは、間違いなく舞台芸術にも存在する力だと思いますので、フォローをよろしくお願いいたします。
 次は、瀬戸内寂聴さんです。99歳で昨年11月お亡くなりになって、そして先日、天台寺に分骨になられました。京都府、それから徳島県、この岩手県ということになりますけれども、先日、私、天台寺を訪問してきましたけれども、本当に大切にされているお寺だということがよくわかりました。境内の草木一本一本まで地元の人が丁寧に手入れをしておりました。そして、寂聴さんのゆかりの建物だと思いますけれども、寂庵という看板が出ておりました。夕日を浴びて、縁側が本当にほくほくと気持ちのいい様子を見せておりました。まさに、寂聴さんが残したものは、このように大きく優しいものだったのかという実感を抱きました。
 この瀬戸内寂聴さんの残された大きな遺産というものを、どういうふうに受けとめられているのか。聞かせていただけますか。
〇阿部文化振興課総括課長 瀬戸内寂聴さんについてでありますが、二戸市の名誉市民であり、天台寺の名誉住職である寂聴さん、開山以来、1200年余りの歴史を有する天台寺の復興に尽力をされるとともに、東北最古の古刹である天台寺を広く紹介するなど、本県の文化振興に貢献された方と認識しております。
 天台寺における青空説法には、毎回、県内外から多くの方が訪れ、寂聴さんのお話に心を寄せられております。
 また、寂聴さんが住職就任時に、京都府から株分けして植えられたアジサイの花は、初夏には、参道や境内を彩っているところでございます。
 また、地元成人式での講演や地域づくり活動へのアドバイスなども積極的に行われ、地域活性化にも大きく貢献されていらっしゃいました。
 平泉町の中尊寺で得度し、東日本大震災津波では、被災地を訪れ、被災者を励まされるなど、岩手県全体として、とても御縁が深い方と認識しております。
〇上原康樹委員 そうした寂聴さんの活動に、県はどうかかわっていたのか。財政的な支援などありましたでしょうか。ここで総括してください。
〇阿部文化振興課総括課長 財政的な支援の部分については、文化振興課で把握している部分ではございませんけれども、今まで、寂聴さんが執筆活動を行った寂庵を含む天台寺、瀬戸内寂聴記念館、天台寺例大祭、天台寺あじさい祭りなど、その地域で、俳句コンクールや写真コンテストなど、さまざま寂聴さんにちなむものが文化的資源と考えております。
 こういった文化的資源について、同じく県北地域の漆や、御所野遺跡の縄文文化、県南地域の平泉といった世界遺産ともつなげながら、二戸市や県北広域局と連携して、寂聴さんの精神というものを受け継いでまいりたいと考えております。
〇上原康樹委員 いずれにしましても、寂聴さんが残されたものを、天台寺のこの時期のアジサイのように枯れ果てさせてはいけないと思いますので、何らかの寂聴さんの遺志を受け継ぐ活動を積極的に提案していってほしいと思います。よろしくお願いします。
 以上です。
〇名須川晋委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇名須川晋委員長 質疑がないようでありますので、これで文化スポーツ部関係の質疑を終わります。文化スポーツ部の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午前11時57分 休 憩
午後1時2分再開
〇川村伸浩副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 教育長に、教育委員会関係の説明を求めます。
〇佐藤教育長 令和3年度の教育委員会の決算について御説明申し上げます。
 初めに、教育委員会が所管する事務事業の総括的な取り組みと今後の取り組み方針等について御説明いたします。
 教育委員会におきましては、東日本大震災津波からの教育の復興と、学校教育及び社会教育、家庭教育の充実の二つを大きな柱として、本県教育の振興に取り組みました。
 まず、東日本大震災津波からの教育の復興につきましては、児童生徒の心のサポートや復興教育プログラムに基づく教育活動の推進などを通じて、復興、発展を支える人材の育成に取り組んでまいりました。震災の教訓の次世代への継承のほか、今後起こり得る大規模災害等の備えとして、復興教育、防災教育がますます重要になってくることから、いわての復興教育の推進などに取り組んでまいります。また、児童生徒一人一人に寄り添ったきめ細かな支援に取り組んでまいります。
 次に、学校教育の充実につきましては、新型コロナウイルス感染症対策を一層徹底し、ICTを活用した学習指導等も行いながら、児童生徒の健康、安全を第一に学びの保障等に取り組んできたところです。また、遠隔教育の本格実施や、地域部活動への移行に向けた研究など、教育を取り巻く課題解決に向けた取り組みを推進してきました。
 本年8月には、釜石祥雲支援学校新校舎が竣工し、子供たちが木のぬくもりのある学び舎での生活を始めるなど、ハード面についても計画的な整備を進めています。今後におきましては、ICT機器等の効果的な活用による教育の充実や地域、関係機関との連携・協働による県立高校の学びの特色化、魅力化などの取り組みを推進してまいります。
 次に、社会教育・家庭教育の充実につきましては、新型コロナウイルス感染症対策を講じつつ、教育振興運動と連携した体験活動や、県立博物館、美術館における公開講座の開催等、県民の学びの場の確保に取り組んでおり、引き続き、地域学校協働活動の推進、多様な学習機会の充実などに取り組んでまいります。
 続きまして、決算について御説明申し上げます。
 お手元の令和3年度岩手県歳入歳出決算書の14ページをお開き願います。
 教育委員会関係の一般会計歳出決算は、10款教育費のうち1項教育総務費の一部、16ページ8項大学費及び9項私立学校費を除いたものと、次の11款災害復旧費4項教育施設災害復旧費であり、予算現額の総額は1、366億5、348万円余、これに対する支出済額の総額は1、343億4、468万円余、翌年度への繰越額は9億8、125万円余、不用額は13億2、753万円余となっております。
 決算の内容につきましては、令和3年度歳入歳出決算事項別明細書に記載されておりますが、説明は省略させていただきますので、御了承願います。
 以上で説明を終わります。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
〇川村伸浩副委員長 ただいまの説明に対し、質疑はありませんか。
〇郷右近浩委員 それでは、何点か質問させていただきたいと思います。
 最初に部活動指導員についてお伺いさせていただきたいと思います。午前中も質疑応答があったわけでありますけれども、今後、中学校や高校の部活動をどのようにしていくかということでさまざま大きな議論が起こっていると思います。そうした中において、今、課題の検証等も含めて、これから進めていくことになると思いますが、それに先立って、まず県においても、平成29年からモデル事業、そして、平成30年から今に至るまで、部活動の指導員を配置しながら、学校の中で教職員の負担解消を含めて進めてきていると思いますが、現在までの部活動指導員の配置数や、さらには、今後の課題等が出てきたものをどのように整理しているか、お伺いしたいと思います。
〇菊池首席指導主事兼保健体育課総括課長 部活動指導員の現状と課題についてでございますが、部活動指導員は、平成30年度の導入開始から、着実に配置数をふやしているところでございます。令和3年度については、市町村立中学校は20市町村62校に106名を配置し、県立学校には41校78名を配置しているところでございます。
 今後の課題といたしましては、地域によっては、専門的な指導ができる指導者の配置を希望しても、人材が不足し、配置までに至らないケースがあることから、部活動における専門的な指導のみならず、多様なかかわり方の事例を示し、配置に向けた取り組みを各市町村及び各学校に促してまいります。
〇郷右近浩委員 これまでは、順調にというか、この制度をいろいろ御理解いただく中で、それぞれの市町村においても、複数人等このような依頼というか、部活動の指導員が入って、それで、学校現場の中で子供たちの指導に当たってきていると、そのような認識を持っているわけでありますけれども、ただ、現状として、県内市町村の中で、19の市町村しかそれを導入していないという中にあって、ほかの市町村においては、まだ部活動指導員が入っていないという部分があります。
 この部分は、今、答弁ありましたとおり、それぞれの地域において、指導者をどのようにして見つけていくか。そして、どのような形で受け皿になっていくかということが、まだまだ難しい状況であり、そうしたものも起因していると思うのでありますけれども、現在市町村に配置されている、そして、配置されていないところの考え方については、そのような考え方でいいのか、どのようにまとめているのか、お伺いしたいと思います。
〇菊池首席指導主事兼保健体育課総括課長 配置につきましては、配置を希望しても、地域によっては、専門的な指導ができる人材が不足し、配置に至らないケースがございます。それぞれ地域の事情や、または、学校の組織体制の関係もございます。
 ただ、部活動指導員につきましては、運動部、文化部に対しまして、積極的な部活動指導員を配置することによって、顧問教員の時間の負担軽減や、生徒たちの部活動の充実につながるものがございますので、積極的な働きかけを今後も引き続き行ってまいります。
〇郷右近浩委員 そうした意味では、まだこれからいろいろと対応しながらということでありますが、しかしながら、そうした中にあって、いよいよ令和5年度から3カ年計画というか3カ年以内にという部分で、国は、部活動について、地域移行を進めていくということで方向性を出しております。
 これは、もちろん文部科学省のみならず経済産業省でもそうした考え方で、そして、どのようなあり方がいいのかといった検討が進められていると認識しておりますけれども、それを県教育委員会はどのように進めていくのか。今のこの部活動指導員という、現在の現場、現場だけの話のみならず、全体として、どのように進めていくか見えてこないとなかなか難しいのではないか。
 その一つには、文部科学省の方向性は、まずは休日の部活動から段階的に地域移行といった形での方向性を出されているのに対して、経済産業省では、これは土日だけでは話としては進まない。保護者のそうした不安も取り除くためには、全体像を見せるべきだといったことで、全体としてどのようにしていくかということが求められていると思います。
 学校現場においても、現在、部活動は、それぞれその学校によって、まずは、必ずどこかの部活動に入るといった形でやってきたものが、これからは任意であるということで、任意であった場合、入らない子と入る子、そして、今、学校現場でそれぞれ部活動に対しての遠征費等をPTAから徴収している、集めたりしている部分、そうしたものが部活動に入って、遠征に行く子だけにそれが使われるのか。受益者負担という考え方なのか、全体としての考え方なのか、本当に部活動に対して学校はどのような位置づけになっていくのか。そうしたことが見えないと、これから部活動は地域移行していきますと言っても、なかなか難しいのではないか。はい、そうですかというような形にはならないのではないかということも危惧されるわけであります。
 そうした中で、県教育委員会としては、現場である中学校等を管理している市町村教育委員会に、どのような形の説明をして、そして、進めようとされているのかお伺いしたいと思います。
〇菊池首席指導主事兼保健体育課総括課長 地域移行に向けた取り組みについてでございますが、スポーツ庁及び文化庁の外部有識者における提言では、公立中学校等における部活動を対象に、まずは、休日の部活動から段階的に地域移行していくことを基本としております。
 目標時期といたしましては、令和5年度の開始から3年後の令和7年度を目途としているところです。令和5年度からの具体的な進め方について、現時点では、国から示されていないところでございますが、国の提言では、県の取り組みとして、推進計画の策定などが想定されているところでございます。
 今後におきましては、地域の実情に応じ、実施可能な市町村、実施可能な競技と、できるところから進めていきたいと考えております。
 また、市町村教育委員会への周知についてでございますが、地域移行の具体的な進め方につきまして、現時点では、国から示されていないところでございますので、市町村教育委員会の依頼を受けて、担当職員を派遣し、現時点において把握している国からの情報をもとに説明を行っているところでございます。
 今後、文化スポーツ部と連携して、市町村教育委員会等を対象として説明会を開催し、国が検討した施策の説明などを行う予定としております。
〇郷右近浩委員 現在、県教育委員会としては、そのような形で対応されていくということであります。これまでやってきた部活動指導員であったり、学校の中での部活動のあり方といった部分で、さまざまな活動時間など、いろいろなものをやってきたと思います。ただ、それを今度は一気に変わるような、そうした形の方針が出されていると私は思っているところであります。
 特に、経済産業省で考えているのは、日本におけるサービス業としての地域スポーツクラブの可能性であったり、そうした中に部活動の負担をお願いするなど、それでは、学校における部活動の持続可能性は一体どうなのだと、そうしたような考え方であるという中にあっては、さきにお聞きしました地域の受け皿等ですね。
 先ほども19市町村というお話をさせていただきましたけれども、地域型スポーツクラブや、その受け皿となるところ、そうしたところのある市町村や、地域については、何とかそこで受け皿となり得るものができるかもしれませんけれども、そうしたものがまだまだ全く機能していないところについて、ここから3カ年でなどということであれば、3カ年のうちに進める努力もあると思いますけれども、しかしながら、子供たちにさまざまな経験をさせたいという保護者の方々や、そうしたところにしっかりと応えていくような形により、果たして、不安を解消しながら、進めることができるのかという部分を私は危惧しております。
 その点について、これが地域スポーツクラブなど、学校から出したときに、受益者負担となると、部活動についても月額1万円では足りないなどという試算も出ています。どこかで引き受けていただくためには、月額2万1、250円ぐらいは必要だということです。そうした試算もその地域スポーツクラブ等では出ているということであります。もはや、お金がなければ部活動もできないところにまで行ってしまうのではないかといった危惧もあるわけです。これまで教育の一環としてやってきた部分と、子供たちがやりたいスポーツ、そうしたものに真剣に取り組んでいく、そこの部分の整合性というか、そこをどのように持っていこうとしているのか、どのように前へ進めていこうとしているのか、お伺いできればと思いますが、これは佐藤教育長にお伺いします。
〇佐藤教育長 今、委員御指摘のとおり、受け皿の確保ということで、経済産業省も、サービス業などを活用しての受け皿をということが話題になってきております。ただ、これは、御案内のとおり、都市部でさまざまなスポーツ関係施設など充実している地域にあっては可能だと思いますけれども、本県の場合、なかなかそういった施設も少ないということがございます。
 実は、全国の教育長協議会の中でも、こういったことを協議する場がございまして、そういった同じような危惧、懸念の発言が多いのが実情でございます。また、県内の市町村の教育長とお話をする機会があるのですが、その際にも、実際にどのような形で受け入れしたらいいのか、地域移行と言いますけれども、受け皿の確保、人材の確保、さらには、運営に係る財源などの課題があるということ。さらには、指導する方々の研修や、さまざまな課題がまだまだ多いという指摘もございます。
 そういった意味でも、文部科学省から具体的な進め方等についてまだ示されてはおりませんが、私どもは、文部科学省にもそういったことを伝えながら、これは、基本的には市町村教育委員会が進めていくわけでございますので、年に数回、県教育委員会と市町村教育委員会の意見交換する場がございます。来月も今年度2回目の会議を予定しておりますので、そういったところで意見交換を行いながら、国に伝えるべきところはしっかり伝えていきたいと考えております。
〇郷右近浩委員 子供たちにとって最善は何かというところが一番の目標であって、そのような形をつくるのに、混乱のないように、ぜひ進めていただければと思います。市町村教育委員会などでも、部活動はもう入らなくてもいいような、そこは任意になったり、それがいつからやるのか、さらには、学校の部活動が変わっていく、どのようになっていくのか、かなり不安というか、そうした形で受けとめているように私は見受けさせていただいておりました。ぜひ、しっかりと一緒になって、いいものをつくり上げるといった方向で頑張っていただければと思います。
 次に、GIGAスクール構想についてお伺いします。おおむね令和3年度中に、県内小中学校及び高校においては1人1台端末の整備が完了していると認識しております。そうした中で、成果ももちろん出ていると思いますが、さらには、課題も出てきているように見受けられます。県内の状況をどのように捉えられているか、お伺いしたいと思います。
〇度會学校教育企画監 小中高等学校における1人1台端末の整備の成果と課題についてでございますが、小中学校においては、各市町村によって状況はさまざまであるものの、1人1台端末の整備が進み、活用が進められているところと承知しております。いずれの市町村におきましても、授業支援ツールの活用やデジタルドリルの活用など、授業での活用に、児童生徒、教員ともに慣れてきていると伺っているところでございます。
 県立高校におきましては、1人1台端末等のICT機器を活用した事業について、全教職員の準備が整うのを待たずに進めていくこととしており、1人1台端末を効果的に活用した事業も見られるところでございます。また、県で整備いたしました端末を自宅に持ち帰らせ、家庭学習等に活用している学校もございます。このように、ICTを活用することへの意識が高まってきており、授業を効果的に進めるツールとして定着してきていることが、成果として受けとめているところでございます。
 また、課題といたしましては、小中学校では、地域により、不安定な通信環境が改善していない学校もあると報告を受けているところでございます。また、小中高を通じて、教員のICTを活用した指導スキルの向上が必要不可欠であると認識しているところでございます。引き続き、研修の充実やICT活用事例の発信等を通じて、学校の取り組みを支援してまいりたいと考えているところでございます。
〇郷右近浩委員 今、御答弁いただきましたとおり、例えば通信環境や、さらには、教員の指導力、それをどのように研修等を行っていくか。県でも、GIGAスクール運営支援センターなど、さまざまな形でいい使い方や情報を出しているということは、現場からも聞いておりますけれども、しかし、実際、通信環境については、特に、私の知っている市などでも、結局、モバイルルーターは買って準備はしたものの、そもそも通信環境のベースがないなど、それがそろうまでは全体としてなかなか使えないということで、格差が出るのはということもあり、持ち帰り等はしていない市町村等もあるということで聞いております。
 今回も、コロナ禍という中で、学校の休みなどがあったわけですけれども、そうしたときに、きちんと使っているところ、使ってないところ、そうしたものが出てきますし、どのように使っていくか、全体の計画として、これができる、あれができる、そうした中で、有用な部分があれば、しっかり使えるような環境をつくっていかなければいけないと思います。
 ましてや、冒頭に話しましたとおり、令和3年度中もしくは令和4年度の初めごろに、どこの市町村でも導入した、1人1台端末をそろえたという中にあっては、大体5年ぐらいで買いかえ時期が来るのかと思います。そうすると、これで1年間は過ぎてしまったということです。あっという間に、今度は更新をどのようにしていくかなどという問題も出てこようかと思います。利用できる、利用しているといったような部分はしっかりとつくり上げていくべきと考えますが、今後、さらにしっかりと御指導いただきながらやっていただきたいと思いますが、御所見を賜れればと思います。
〇度會学校教育企画監 委員御指摘のとおりでございまして、ICTは、今までの授業をより効果的に進めるツールとして、非常に有効だと考えているところでございます。
 また、おっしゃるとおりで、市町村によっては通信環境に差があるのは承知しておりまして、一時的には、各自治体において、それぞれの実情に応じて検討していただいているところもございますし、自治体によっては、独自にその調査研究やモデル校を設定して、どういった活用の仕方がいいか、持ち帰りも含めてですけれども、そのあり方を検討し、その成果を今後普及していくことを考えているということも聞いているところでございます。
 ICTは、ただ使えばいいというものではなくて、当然ながら、ICTでなくても、紙のほうがいい場面もあり、それぞれの学習場面や単元に応じて効果的に使っていかなければいけないので、そのあたりは、各学校、自治体ないし我々としても引き続き模索していかなければいけないと思っております。
 我々としても、県において、学校教育ICT推進協議会を設置しておりまして、家庭への持ち帰りや、環境整備、効果的な事例も含めて、市町村教育委員会と連携を図りながら、取り組んでいるところでございますし、来月にも、また、ICT推進協議会がございますので、そのあたりで引き続き検討しながら、各学校の取り組みを支援してまいりたいと考えているところでございます。
〇神崎浩之委員 コロナ禍における学校運営について2点お伺いいたします。
 最初に、コロナ禍における児童生徒、教職員の影響についてということでありますが、私は、この間、本当に学校関係者には大変御努力をいただいたと思っております。学習についても、生活指導についても、学校行事でも、特に運動会は、学年を区切って、親が密集しないように、授業参観も、クラスを前半、後半に分けて親御さん対応をした。それから、修学旅行についても、通常は東京方面に行っているのだけれども、中止にすることなく、県内や東北地方の旅行に急遽切りかえて、子供たちの思い出をつくってあげたという、そういう努力に大変感動しているところであります。
 仙台育英高校の野球部監督の、青春はすごく密だという、あの挨拶の中にさまざまな御苦労が学校現場であったということも含めて、あのスピーチで私もこの3年間を振り返ったところであります。
 そこで佐藤教育長に、生徒、保護者、教職員のこの間の努力を振り返って、所感をいただきたいと思います。
〇佐藤教育長 新型コロナウイルス感染症でございますが、この感染が確認されました当初時から比較しますと、科学的知見や、ワクチン接種等の対応が進んでまいりましたけれども、それでもまだ、学校現場では、計画していた行事の中止や、縮小、それから、部活動を含めた教育活動の制限など、子供たちの学びに大きな影響を与えていると思います。
 学校現場では、児童生徒、それから、保護者の理解と協力をいただきながら、また、関係機関の皆さんと連携して、感染拡大防止に努めてきたところでありますし、そうした中で、教職員や児童生徒が、さまざま工夫を凝らしながら、教育活動や、部活動、それから、地域での活動に取り組んできております。そして、日ごろの活動の成果を発表できるように、各種大会等につきましても、感染拡大防止の対策を講じながら、生徒たちが活躍できる場をしっかり確保をするよう努めてきておりますし、それを受けて、子供たちが大変すばらしい取り組み、成果を出してきております。本当に岩手県の子供たちが、その文化・芸術、それから、スポーツの分野、あるいは産業や地域とのかかわりの中でも、さまざまな活動を通じて、目覚ましい活躍をしていただいております。
 直近では、北上市立黒沢尻北小学校の合唱部が全日本合唱コンクール全国大会で最優秀賞を受賞し、日本一になったということで、本当にすばらしい活躍をしてくれております。これは、生徒、保護者、教職員のほか、地域の皆様、それから、医療従事者の方々、そして、生活の安定等に従事されている全ての方々の御努力、御支援があるからこそと思っております。この場をお借りして、深く感謝を申し上げたいと思います。
〇神崎浩之委員 合唱も、やはりマスクをつけなければいけないのかと思いながら、感動して聞かせていただきました。
 それでは、具体的にお伺いいたしますけれども、令和3年度を含め、新型コロナウイルス感染症関連で、これまでの欠席者の数、実人員で、分母も含めて、小学校、中学校、高校、教員、そして、うち陽性者、濃厚接触者、その他の理由、感染が心配だという内訳もあれば、教えていただきたいと思います。
〇菊池首席指導主事兼保健体育課総括課長 これまでの欠席者数についてでございますが、学校保健安全法において、感染症等により出席停止とした児童生徒等について、学校設置者に報告することとされています。したがって、県教育委員会においては、県立学校の出席停止者数は把握しておりますが、市町村立学校の小中学校については把握していないところでございます。
 また、人数については、実人数では把握しておりませんので、延べ人数で答弁させていただきます。まずは、令和3年度ですが、県立高校と中学校、特別支援学校合わせて、児童生徒数2万4、363人、出席停止者数延べ2万1、678人、そのうち感染者588人、濃厚接触者延べ1、257人。その他の理由延べ1万9、833人。令和4年度につきましては、県立高校と中学校、特別支援学校合わせて、児童生徒数2万3、400人、令和4年10月24日時点の出席停止者数延べ2万3、521人、そのうち感染者3、104人、濃厚接触者延べ8、111人、その他の理由延べ1万2、306人でございます。
 なお、感染者数については、学校における感染状況を把握するため、市町村教育委員会から情報提供をいただき、把握しているところであり、県立学校と市町村立学校合わせて、令和3年度は3、611人、令和4年度は、令和4年10月24日時点で1万7、117人となっております。
 また、登校が不安で欠席した場合の取り扱いについては、地域の感染状況を踏まえ、同居家族に高齢者や基礎疾患がある者がいるなどの事情があって、ほかに手段がない場合など、合理的な理由があると校長が判断する場合は、欠席扱いとしないこととされております。
〇八重樫参事兼教職員課総括課長 県内公立学校における教職員の状況についてでございます。学校における教職員の部分についての把握のために、感染者数につきまして、県立学校につきましては、県教育委員会が設置者として報告を求め、そして、小中学校につきましては、市町村教育委員会が設置者となりますので、市町村教育委員会から情報提供をいただく形で、把握しているところでございます。
 一方で、濃厚接触者につきましては、学校の負担等も考慮いたしまして、人数の報告や、情報提供につきましては求めていないところでございます。県立学校及び小中学校を合わせた教職員の感染者数でございますけれども、令和3年度におきましては、教職員、5月1日時点で、1万2、648人のうち215人の感染が、そして、今年度は教職員1万2、362人のうち、10月24日時点で、1、167人の感染が報告されているところでございます。
〇神崎浩之委員 できれば、実人員で拾わないと、実態がよくつかめないと思います。小中学校についてもです。これは別に責めるわけではないのです。どれだけの影響、御負担があったのかということを、それに対して、我々は、予算も含めて、人の手当も含めて、どういう支援ができるのかというためにも、小中高別、教員別、実人員で報告をいただきたかったと思っております。
 それから、その他の理由ということで、感染が心配だという方がいらっしゃって、これについても、今後も含めて、どういうふうな対応を我々がすればいいのかということも、そういう材料にもなるので、今後、ぜひ前向きに検討していただきたいと思います。
 それから、生徒、家庭への休校等の連絡方法についてですが、例えば、その方法については、LINEの活用や、その他のICTの活用、あとは、携帯電話が苦手という親御さんもいると思いますけれども、どのような努力をなさったのかということをお聞きします。
〇中村首席指導主事兼高校教育課長 児童生徒や家庭への休校等の連絡方法についてでございますが、多くの学校では、マチコミやeメッセージproなどといった、学校からメール等により、一斉連絡を可能とするサービスを導入して、活用しているところでありまして、県立学校におきましては、県教育委員会で導入しておりますMicrosoft Teamsを活用しているところもあると承知しております。
 また、県立高校におきましては、生徒や保護者からの欠席連絡や、健康観察につきまして、マイクロソフト社のアンケートサービスであるFormsを活用している学校もあるところでございます。
〇神崎浩之委員 さまざまなICTもあるのですが、それが苦手な親御さんもいると思うので、その辺も漏れのないようにやっていただきたい。
 それから、二つまとめて質問しますが、コロナ禍で、いじめ、誹謗中傷等の状況、子供より親がいろいろ騒いだりしたこともあるのですけれども、この辺の状況について、逆に、これは偏見と差別の教育のチャンスでもあるのかと思ったりしているのですが、その辺の状況とあわせて、各学校から今の課題、それから、要望についてあれば、お聞かせいただきたいと思います。
〇千田首席指導主事兼生徒指導課長 県内のいじめ誹謗中傷等の状況についてでございますが、令和2年度の県内のいじめの認知件数は、小中高校、特別支援学校、全ての校種合わせまして8、146件、前年度より142件増加しております。
 いじめの内容で最も多いのは、いずれの校種においても、冷やかしやからかい、悪口やおどし文句、嫌なことを言われること。次いで、小中学生においては、軽くぶつかられたり、遊ぶふりをしてたたかれたり、蹴られたりするが多く、高校生においては、パソコンや携帯電話等で誹謗中傷や嫌なことをされるが多い状況となっております。
 文部科学省による、いわゆる問題行動等調査においては、新型コロナウイルス感染症による誹謗中傷を区別して調査していないところでございますが、状況によっては、そのような誹謗中傷が発生する可能性もあるのではないかと懸念しているところでございます。
 県教育委員会では、令和3年4月に文部科学省から示された、新型コロナウイルス感染症の感染者等に対する差別や偏見の防止にのっとり、各市町村教育委員会及び各学校へ通知したところでございますが、今後においても、各種会議や研修会等において、徹底と周知を図ってまいりたいと考えております。
〇中村首席指導主事兼高校教育課長 各学校における課題等といったことについてでありますが、新型コロナウイルス感染症の影響によって、教育活動が制限され、今の子供たちはコロナ禍での学校生活を送っており、学習や学校行事等で、思っていたとおりには活動できていないところでございます。
 各学校では、学校行事の運営などにつきまして、その時点における新型コロナウイルス感染症の感染状況を確認しながら、計画を立てたり、変更したりしており、そのようなことがさまざまな負担となっているものと捉えております。
 一方で、そのような困難な状況の中にありまして、生徒も主体的にかかわりながら、学校行事等が創意工夫して実施されるなど、効果的な教育活動が展開されているものと承知しております。
 今後も、家庭や地域と連携して、生徒一人一人に寄り添いながら、未来社会において、みずからの人生を主体的に切り開いていけることができるように、各学校の教育活動を支援してまいりたいと考えております。
〇神崎浩之委員 それこそ生徒指導も密です。コロナ禍で大変だったと思っています。
 それでは最後に、ICTの活用についてということであります。令和3年度を含めて、1人1台タブレット等の導入について、小学校、中学校、高校、教員について教えていただきたいと思います。
〇西野教育企画室長兼教育企画推進監 児童生徒用、また、教員用の端末の配備状況でございます。GIGAスクール構想による国庫補助制度なども活用いたしまして、県では、県立一関第一高等学校附属中学校及び特別支援学校の小中学部の全児童生徒の1人1台端末を令和2年度中に完了しました。そして、市町村におきましては、それぞれの市町村で配備を進めまして、令和3年度中に完了しています。
 そして、県立高等学校につきましては、県予算による段階的な整備を進めておりまして、全生徒数の7割となる約1万6、000台の端末の整備が令和3年度中に完了しております。生徒個人が所有している方もいらっしゃいまして、それが約3割の方がいらっしゃいますので、それを併用することで、1人1台端末環境ということで、整備が終了しております。
 また、教員用の端末でございますが、市町村立学校の詳細は把握しておりませんが、県立学校については、教員が職員室で使用する校務用、生徒情報や成績などが入っているものは、既に端末が入っておりますし、授業で使う端末についても、現在、全員分整備を進めております。
〇神崎浩之委員 たまたまGIGAスクール構想と新型コロナウイルス感染症が合ったからよかったのだと思っているのですけれども、これを活用する問題です。それから、端末はいいのですが、例えば、コロナ禍で休校や欠席などがあった場合のオンライン環境です。例えば、オンライン授業や、ライブ配信、オンデマンドなど、そういうことは、どのように活用されてきたのかを教えていただきたい。
〇度會学校教育企画監 臨時休業中なども含めて、同時双方向でオンライン授業をするなど、小中学校でも行われていますし、高等学校でも実際のところは行われているところでございます。
 例えばある高校での事例ですけれども、受験期が近いときに、欠席で家にいなければいけないとなったとき、オンラインで面接指導や、小論文指導などを行うといった優良事例もあるところでございます。
 今は、臨時休業とまではいかない状況になってきて、大体平常運転になってきているところではございますけれども、その学びをとめないという観点から、そのようなことも想定して、各学校においてはノウハウなどを蓄積していただきたいと考えているところでございます。我々としても、GIGAスクール運営支援センターなどを設置して、事例を収集するなど、各市町村に対しても、訪問指導などをし、事例を集めているところでございますので、そういったものを集積して、そういったノウハウも、還元していくような取り組みを進めてまいりたいと考えているところでございます。
〇神崎浩之委員 ぜひ、活用をお願いします。コロナ禍で大変だったのですが、これをきっかけに、未来に教育の充実に持っていくチャンスと思っております。コロナ禍にかかわらず、10年前からも、私の同級生が白血病で長期にわたって岩手医科大学附属病院に入院して、高校生ですから出席日数が足りなくて、2年生をもう1回やったとか、大学検定もあったということもあって、先ほどの欠席の配慮など、例えば岩手医科大学附属病院のどこかの病室で、オンライン授業で資格を取ることができるような活用にもやっていただきたいと思います。そういうことも含めて、端末は整備されてくるのですけれども、問題は、その使い方等、あとは許認可の問題もあるでしょうけれども、ぜひ、そこまで含めて考えていただきたい。
 そして、今、高校再編という話がありますけれども、例えば専門教員が足りないということで、そういう場合に、こういう遠隔授業を通して、人手不足をカバーするようなことで、高校を残していくということにもつながっていくと思いますので、ぜひ、コロナ禍だけではなく、今後の未来について検討していただきたいと思っております。
 最後に、新型コロナウイルス感染症の感染の不安から自主休校を選ぶ家庭が増加し、文部科学省も、オンラインで学習支援をしなさいと言っているけれども、格差が心配だということであります。
 例えば、小学校の高学年は、機器が使えるからオンラインでもいいけれども、一、二年生は、機器が使えないので、学習プリントで対応したということもあったそうであります。オンライン学習は、学校や教員により習熟度の差が大きくなることもありますので、ぜひとも、そういうことも含めて取り組んでいただきたいと思います。
〇工藤大輔委員 それでは質問をさせていただきます。
 最初に、令和3年度の主要施策の成果に関する説明書を見ますと、教育分野は、達成度はD項目が非常に多いなという感じがしたのです。実際に、この調査は比較的A評価やB評価が出やすい傾向にある指標ですけれども、D評価が多いということは、教育環境の現場はどうなっているのかということで、少し心配な思いを持っています。
 そこで、この評価受けて、学校、児童生徒の実態をどのように認識し、評価しているのかお伺いします。
〇西野教育企画室長兼教育企画推進監 委員御指摘のとおり、政策分野III、教育のいわて幸福関連指標などですが、幸福関連指標につきましては、18指標あるうち、達成度がDであった指標が七つありまして、全体の39%を占めることになっております。さらに、その下の具体的推進方策指標につきましても、未確定な指標を除く113指標のうち37指標、33%の達成度がDという状況になっています。
 県教育委員会として、さまざまこれを検討するに当たって、Dになった要因といたしましては、例えば、いわて幸福関連指標の意欲を持ってみずから進んで学ぼうとする児童生徒の割合のように、これは非常に高い目標値を設定しています。全国的に見ても、東北上位という高い目標値を設定して、取り組みを進めてきているという要因のほか、将来の夢や目標を持っている児童の割合というように、それらは活動などを踏まえて育成される部分ということもありまして、新型コロナウイルス感染症の影響で、さまざまな教育活動が当初計画されたようにできなかったという制限が影響しているのではないかと分析しております。
〇工藤大輔委員 これはことし始まったものでもなく、去年始まったわけでもない、これは継続して実施されていることですね。確かにコロナ禍の影響があって、さまざまなことについて影響したという感は大変あります。
 例えば、学校の授業がわかる児童生徒の割合を見れば、これは小中高全て達成度Dです。平成29年の計画の現状値と比べても、それをも下回るような状況になっていたり、それを補うために、弱点を克服するための学習や発展的な学習に、みずから取り組んでいる児童生徒の割合も、小中高全てDでした。
 これらを見ていると、一つの要因とすれば、コロナ禍の中で、休校や、学級閉鎖、出席停止となったことでフォローアップが十分に行われていないのではないか。あるいは授業の確保は、学校等の努力によって、後々確保はしたけれども、学習の定着、基礎・基本の定着や、授業はこなしたけれども、実際、生徒に定着していなかったのではないかということが、ここ数年間続いているのではないかということを心配するところなのです。
 各学年は、それぞれ生徒は進級していっていますから、次の新たな学びになると、また、少し学ぶ範囲が広がり、基礎・基本の定着が進まない中で進級している実態、これがあるのではないかと思うのですが、それについてどのような所感を持っているのか。また、それに対する対応・対策をどのように進めようとしているのかお伺いします。
〇度會学校教育企画監 御指摘のとおり、コロナ禍の影響や、十分な基礎・基本の定着がままならないままに進級しているという状況は、少なからずあるのではないかと認識しております。
 その上で、御質問いただきました、学校の授業がわかる児童生徒の割合につきましては、現状値と設定した平成29年度―調査自体は平成30年度の数字を使っております―と比較すると、御指摘のとおり、数値が下回る学校種もあり、今年度提出させていただいたところではD評価でございますけれども、これは学習指導要領の改訂に伴い、重要視されている資質・能力の育成に向けまして、これまでの1単位時間、要は1コマの授業展開から、単元や題材等のまとまりで資質・能力を育成していこうと。そうしていくための学校の組織的な取り組みによる授業改善が当然ながら進んできてはいるのですけれども、十分ではないためではないかと考えられます。
 このため、県教育委員会では、その単元の時間のまとまりでの授業改善のポイントを示しておりますし、確かな学力の育成に向けて、授業研究の活性化を推進しているところを、今後は、学校訪問を通じた、授業づくりに関する指導に加えまして、市町村教育委員会と連携しながら、授業研究の中心となる主任層への支援を通しまして、学校の組織的な取り組みによる授業改善を一層推進してまいりたいと考えております。
 続きまして、御指摘いただいております、弱点を克服するための学習や、発展的な学習に取り組んでいる児童生徒の割合につきましても、現状値として設定した当初の数値と比較すると、こちらについても、御指摘のとおり、数値が下回っている学校種もあり、今回はD評価となっておりますが、これは、子供たちが自主的に学習内容を工夫して、家庭学習を行う習慣を定着させるための学習計画の立て方や、学習方法を改善させる取り組みが効果的に進められなかったことなどが考えられますので、発達の段階に応じた学習計画の立て方や、学び方を促すための指導を行う必要があると考えております。
〇工藤大輔委員 一例がここにも書いてあるのですが、つまずきを積み残さないための対応ということで、これは非常に大事なことだと思います。その学年、学年でできることを、つまずきがないような形で進級させることは、本来、非常に大切ですが、コロナ禍の影響もあったということで、現場の先生方も御苦労されながらやってきたのだと思いますが、先生方にとってみれば、例えば40年近い教員生活の中の1年2年なのかもしれませんが、児童生徒にとってみれば、1年生、2年生、3年生は、そこしかない、たった1年の学びの時間でもあります。
 そのフォローアップをとっていただいて、例えば、全国学力・学習状況調査を見ても、県の位置づけは、全国の中位から下のほうに、また、特徴的に課題となっているものがあるわけであります。改善する授業をということで進めていただいていますが、なかなかその成果も十分出てきてないという感がしています。
 これについても、岩手県の教育のことを見れば、基礎・基本の定着を中心にうたっているのですが、学力向上ということを明確に宣言しながらやっている感がしないのです。他の都道府県を見れば、授業としてそういった取り組みを積極的に実施しているところも見受けられます。そういった分野にも、方向転換していきながら、みんなで学ぼう、学びを高め合おうという高い目標を設定しながら進む段階にもあるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
〇度會学校教育企画監 御指摘はごもっともでございまして、基礎・基本の定着は当然必要なことでございまして、応用的なものを進めていくに当たっても、その基礎・基本がしっかりしていないとその先はございません。御指摘いただいております全国学力・学習状況調査につきましても、本県の特徴といたしましては、国語は結構いい点数で、いい位置を示しておりますが、算数・数学については弱い部分があると重々認識しております。
 一方で、点数や正答率の割合から見ていくと、だんだんと全国平均との差は縮まってきているという傾向は見てとれます。学力向上に力を入れている姿が外から見たらそういうふうに受けとめられてないのは、我々も反省すべきところはあると思いますので、そこは力を入れてやっていきたいですし、学校訪問や研修などを含めてやっておりますけれども、組織的に、学校全体としてモチベーションを高めていくための取り組みを進めていかなければいけないと思っております。
 テストの点数ありきではなくて、当然ながら、全国学力・学習状況調査に関しては、今後、課題となったところを授業改善に生かしていくというところですので、そういった取り組みを中心に進めてまいりたいと考えているところでございます。
〇工藤大輔委員 この間、全国都道府県別の上位十二、三校ぐらいの高校の偏差値が掲載されているサイトを見たところ、全国的に60を超える高校が非常に多いのです。岩手県の状況を見ると、約60を超えるところは幾つかあって、十二、三校のうち四、五校は50台で掲載されていました。大体似ている県はどこかと見ると、高知県や、島根県などあちらのほうだったのです。そのほかは、大抵人口同規模の自治体の高校を見ても、70を超えるところが非常にふえていたり、以前に比べても、偏差値が上昇しているのではないかという感を持ちました。
 いずれ、全国それぞれ偏差値を出しているところの全国的な一つの学校の評価ですけれども、それに対して県教育委員会としては、どのような所感を持っているのか伺います。
〇中村首席指導主事兼高校教育課長 今、偏差値ということで御指摘いただきました。偏差値と言われる数値は、業者による模擬試験で提供されるデータの中にありまして、それが進路指導の参考として用いられているものでございます。行う試験によりまして、異なる値となるものでもあり、一概に評価することは難しいと捉えているところではありますが、一方で、例えば大学進学率につきましては、全国の状況から比較すると、低い傾向にあることを鑑みれば、高校生の学力についても、改善の余地はあるものと、そういった認識をしているところでございます。
 現在、大学進学に向けた県教育委員会の取り組みとして、進学支援ネットワーク事業において、最難関大学や難関大学への進学を希望する県内の生徒を対象とした合同授業を実施したり、各学校の特色に応じた大学進学の課外授業や講座等の取り組みを支援しているところでございまして、今後、事業内容のさらなる充実を図ってまいりたいと考えているところでございます。
〇工藤大輔委員 全国のそれぞれの高校と比べても、上位校の引き上げは、一部の上位校だけが上がっていくわけではなくて、全ての高校の総体的な引き上げにつながるのだと思います。
 一つのそういった指標も参考にしながら、他の都道府県に劣ることのないような形にしていかないと、全国学力・学習状況調査では中位よりちょっと下、でも、高校の評価はもっと下だということになると、生徒のモチベーションにも大きくかかわってくると、私は、これはもう少し改善の余地があるのではないのかと思いますので、学力においても、もっと重きを置いて、取り組んでいただきたいと思います。
 過去に中平均委員の質問にあったのが、県北・沿岸地域人材育成支援事業ということで、久慈高等学校にスーパーティーチャーと呼ばれる先生を出して、これは盛岡第一高等学校の進路指導主事経験者2名を副校長にしました。たしか上原校長先生だったと思いますけれども、そのときの取り組みでかなり成果を残していた時期がありました。これは、県北・沿岸地域への人材育成のテコ入れという目玉事業で行われていたと思います。
 何年おきにでもそういった事業等もつくりながら、ぜひ人材育成を果たしていただきたいと思います。
 私、今回質問するに当たって、各県立高校のホームページを結構見たのですけれども、おもしろいと思ったのが黒沢尻北高等学校です。これは、校長先生が出している遠大励志という校長通信の中で、中学生の皆さんにお知らせです。黒陸生の東大合格を支援する東大励志プロジェクトが始動しましたという見出しで、これは、ドラゴン桜を描いた三田紀房さんが卒業生だということもあって、これに連動して、このようなプロジェクトを計画し、同窓生の方の支援があってやっていることですけれども、こういった取り組みで、中学生の皆さん方ということで、黒沢尻北高等学校はこういう学校だから入ってほしいということを明確にうたって行動しようとしています。こういった取り組みがあってもいいのではないかとも思うのです。
 そこで、今、いわての高校魅力化グランドデザインとして、各高校では、スクール・ポリシーをつくっていると思いますが、そういった中にも含めるいろいろな取り組みを入れたほうがいいのですが、大体、一般的な形におさまっているという感がします。この策定状況について、各校で全部つくったかどうか、お知らせいただきたいことと、評価についてもお示しいただきたいと思います。
〇安齊特命参事兼高校改革課長 各学校で、今、グランドデザインに基づいて、スクール・ポリシーの策定を進めているところでございます。令和4年度中に策定を目指し、検討、策定をしているところでございまして、数字は後ほど答弁させていただきたいと思いますけれども、統合を予定している学校以外の学校につきましては、今年度中に策定する見込みでございます。
〇工藤大輔委員 わかりました。県教育委員会としても、新しい目玉な取り組みだと思います。地域の拠点となっている、例えば県北地域で言えば久慈高等学校や福岡高等学校、例えば進学においても、非常に優秀な生徒も入っています。ただ、スクール・ミッション、スクール・ポリシーの政策の中で、地域との協働や地域の何かというだけで埋もれさせるべきではなくて、そういったこともするけれども、個々の進学志望に対して、ここに入れば必ず目指せる、合格できる、そういった体制があるということも同時にPRしていただき、黒沢尻北高等学校の特徴的な取り組みも一つの参考にし、各校競争し合ったりしながら、それぞれの学校の魅力を高めていただきたいと思っての質問でもあります。
 佐藤教育長からの所見を聞いて、終わりにしたいと思います。
〇佐藤教育長 まず、学力向上の報告から入らせていただきますけれども、県教育委員会では、学力育成プロジェクトということで、学校教育指導指針の中に、確かな学力の育成という取り組みをしております。ただ、それが表に学力向上という形では余り露出していないかもしれませんが、各学校現場では、確かな学力の育成に向けた取り組みの方向性、共通した方向性を共有して、そして、委員が御指摘されましたつまずきについて、これをしっかり克服しながら、児童生徒一人一人の資質・能力の向上につながるように取り組んでいるところでございます。高校につきましても、今後の取り組みのさらなる強化ということも視野に入れながら対応してまいりたいと思います。
 それから、県立高校の取り組みですが、いわての高校魅力化グランドデザイン for 2031ということで、昨年度10年後を目指したデザインをつくっております。その中で、それぞれの学校がスクール・ポリシーをつくるということで、今年度取り組んでいるところでございまして、また、それぞれ地域の進学者が多い学校に対しましても、進学支援ネットワークなど、近年、大学の入学試験等も難しくなっているということもございまして、どういったところが弱いかということも調査し、特に理数教科が弱点だというようなことで、ここ3年ほど、理数探究プログラムということで重点的に予算措置等もしてきたところでございます。
 これは、今年度で事業が一旦完了になりますけれども、今後の取り組みにつきましても、今、難関大学もどんどん困難さを増してきております。そこに岩手県の高校生たちが全国の優秀な生徒たちと差が生じないように、この入試をしっかり乗り越えて、そして、それぞれ希望する進路の実現につながるよう、学校への支援、それから、生徒への支援、ひいては、大学入学、大学進学率も、今、全国的には岩手県は低いところにございますので、これをどうやって上げていくかというところにも力を注いでいきたいと考えております。
〇臼澤勉委員 私からは、大きく2点お伺いいたします。
 まず、文部科学省で出しております令和2年度の不登校生徒指導上の諸課題に関する調査によると、全国小中高の不登校児童生徒23万九千何がしということで過去最多を記録しているということであります。特に、本県の中学校、高校についての状況をお伺いしたいのですけれども、不登校の現状、推移、要因分析についてお伺いします。
〇千田首席指導主事兼生徒指導課長 中学校、高校の不登校の現状、推移と要因分析についてでありますが、令和2年度の不登校児童生徒数は、中学校は1、016人で、前年度より58人増加しており、過去5年間の推移を見ますと、最も多い人数となっており、高等学校は516人で、前年度より1名増加で、過去5年間の推移を見ると、平成30年の531人よりも少ないものの、ほぼ横ばいという状況でございます。
 不登校の要因分析につきましては、中高いずれの校種におきましても、無気力や不安が最も多い状況であり、次いで中学校においては、生活リズムの乱れなどに加え、友人関係をめぐる問題、高等学校においては、これに学業の不振が加わるなど、多様化、複雑化していると分析しております。
 このように、不登校の要因にはさまざまな背景があり、一人一人の状況は異なることから、個に応じた不登校支援が大切であると認識しております。
〇臼澤勉委員 中学校は過去最多ということでありましたが、1、000人当たりの不登校生徒数を見ますと、中学校で1、000人当たり33.2人、高校では16.6人ということであります。
 私が中学校時代を過ごした私の中学校も、約1、000人以上いた学校でありましたが、自分の中学校時代を考えると、本当に学校で数人ぐらいです。本当に数えるくらいであります。ただ、33.2人という今の岩手県のこの現状を見ますと、私、中学校のとき10クラスぐらいありましたから、3学年で30クラスだとすれば、各学級に1人いるような、そういう現状に今あるという事実。それから、高等学校は16.6人ですけれども、岩手県の場合は、小中学校は、1、000人当たりで見ますと、全国平均より低いのです。ただ、この岩手県の高校においては、全国平均1、000人当たり13.9人に対して16.6人ということで、2.7人ほど多いような状況になっています。岩手県においても、不登校対策は本当に待ったなしの課題だと、数字があらわしていることは指摘をしておきたいと思います。
 なぜ、これを言うかというと、ふるさと振興部でも、先週、高校の問題のところで取り上げておりましたけれども、今の時代を生きている子供たちの、教育環境をどう整えていくのかというのは、まさに県教育委員会としても日ごろ取り組んでいるのは重々承知しております。ただ、今までの対策では少しおぼつかないような状況になっているという認識は、この県議会の中でも共有したいと思っております。
 それで、お伺いいたしますが、県内市町村にも教育支援センター含めて配置して対応しておりますけれども、この対応状況と課題についてお伺いいたします。
〇千田首席指導主事兼生徒指導課長 教育支援センターを含めた対応状況と課題についてでございますが、教育支援センターを配置している市町村は、令和4年8月現在、33市町村中22市町村で、センターの数は24か所と把握しております。
 在籍している児童生徒数につきましては、小中学生合わせて121名となっており、教育支援センターにおける実施内容といたしましては、不登校の児童生徒の悩みを受容し、支援員等が教科学習、体験学習などを通して、学習意欲の向上を促し、学校復帰を支援したり、相談員が不登校児童生徒と一緒に宿題や学習を行ったり、料理づくりやスポーツ等を行ったり、交流の場を設けていると把握しております。また、学校で数時間過ごした後、教育支援センターに通うなどの対応もしており、学校との連携を密に図り、支援を行っているところもあります。
 課題といたしましては、現在、高校生の利用がないことから、今後は、多様な教育ニーズへの対応の一つとして、教育支援センターを活用するなど、県立学校にもセンターの利用を促してまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 高等学校にはないということで、そこについても考えていくということでございましたが、不登校の要因や支援ニーズは多岐にわたってきているのは、共通認識だと思っております。ただ、そこに全ての学校や県教育委員会のみで対応していくのは難しい現状にあり、限界があるのも、一方で事実だと思っております。
 そういった中で、今の市町村の教育支援センターの取り組み、あるいは県内のフリースクールにおける連携みたいなところも大事になってくるのですが、フリースクールにおける対応状況について、どのぐらいの規模を受け入れて取り組んでいるのかも含め、お伺いいたします。
〇千田首席指導主事兼生徒指導課長 県内のフリースクールにおける対応状況と課題についてでございますが、県教育委員会が市町村教育委員会への紹介等により把握しているフリースクール等の民間団体の数は10施設であります。不登校の児童生徒だけでなく、放課後の学習支援も行っているところもあり、フリースクール等の民間団体からの報告によりますと、通っている児童生徒数は、令和4年5月現在、小中高合わせて300名ほどと認識しております。
 フリースクール等の民間団体では、児童生徒の学習や取り組み状況について、市町村教育委員会と情報共有を図ったり、学校のケース会議に参加したりしているところもあり、児童生徒の状況等に合わせて連携を図っているところが多いと承知しております。
 学校外における学習活動やICTを活用した学習活動については、一定の要件のもと、指導要録上の出席扱いとなる制度について、これまでも周知を図ってきたところではございますが、学校や関係団体等の理解が十分ではない状況もあり、課題であると捉えております。
 今後は、この制度について、校長を初め教職員への理解が進むよう、研修等において、さらなる周知徹底を図ってまいります。
〇臼澤勉委員 教育支援センターでの受け入れが120名、フリースクールについては三百何がしということで、ここら辺で合わせて500人ぐらいの子供たちに対応しているという感じであります。
 先ほど、今の実態の中で、小中高合わせて今の不登校児童数は、令和2年度において1、900人ぐらいいらっしゃるのです。1、900人の不登校の子供たちに対して、今、そういった対応ができているという部分は500人程度と理解するのですが、それ以外の教育支援センターあるいはフリースクールにも行けないでいる子供たちもいます。今回は、中高生の状況についてお伺いしたいのですけれども、今、そこら辺の現状を教育委員会としてどう把握して、今後、どう対応していこうとしているのかお伺いいたします。
〇千田首席指導主事兼生徒指導課長 今後の対策等についてでございますが、不登校児童生徒支援連絡会議などにおきまして、支援のあり方を検討しているところでございます。今年度9月20日に開催いたしました会議では、市町村が設置しております教育支援センターの参加も促し、昨年度の会議よりも充実した意見交換を行ったところでございます。
 会議の中で、フリースクール等の民間団体が児童生徒の取り組み状況を報告書として学校に提供したり、学校側からの訪問により情報共有を深めたり、また、学校のケース会議に参加したりするなど、学校や市町村教育委員会との連携を密に図っている状況を把握するとともに、民間団体相互の連携についても話題になったところでございます。
 県教育委員会といたしましては、不登校対策等に向けた具体的な取り組みとして、この10月から、いじめ対応・不登校支援等アドバイザーを新たに配置し、各学校におけるいじめや不登校の初期対応が適切に行われるよう、支援の強化に努めているところでございます。
 今後も、学校と地域、関係機関と連携を図りながら、魅力ある学校づくりや、個々の状況に応じた学びの機会を確保するなど、地域の資源を生かした教育環境の整備に努めてまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 いずれ、具体的な対応を検討するという段階よりも、今現実に、学びたくても学べない、そういう子供たち、あるいはその中学生、高校生の親御さんが大変苦しんでいる部分があります。不登校の子供は別に困った子供ではないというのはそのとおりだと思うのです。そういう岩手県の教育や学びのセーフティネットをいかに対応して構築していくのか。アドバイザーの配置よりも、今引きこもっていたり、学校に行きたくても行けないような子供たちがおります。先日、専修学校の高等課程の支援について取り上げましたけれども、県教育委員会でできなければ、そのような学校との連携、そしてフリースクールも含めて、岩手県の教育のあり方として、これからの時代を担う子供たちの教育をどう整えていくのか。これは検討していく、検討していくではなくて、もう今、対応として早急に、100点の対応はできないかもしれないけれども、今できる範囲の取り組みを少しずつでもやっていく必要があるということを、まず述べさせていただきます。
 次に、高校再編に移りますけれども、高校の1学区当たりの生徒数、あと1人当たりの決算額、平成22年との比較、あと全国順位も含めて、今、岩手県はどのような形になっているのかお伺いします。
〇古川予算財務課長 公立学校1校当たりの生徒数の推移でございますが、平成22年度は468人でありましたが、令和3年度は356人と減少しておりまして、全国平均よりも209人少なく、全国で2番目に少ない状況となっております。
 高等学校費の生徒1人当たりの決算額については、平成22年度は99万1、000円でございましたが、令和2年度は141万8、000円と増加しておりまして、全国で3番目に高い状況ということが、報告書でうたわれているところでございます。
〇臼澤勉委員 全国で3番目に高い生徒1人当たりの決算額であったということであります。先ほど、不登校の話でもありましたけれども、岩手県の高等学校における1、000人当たりの不登校生徒数、全国よりも高い16.6人というお話もさせていただきました。
 例えば高校の話でいきますと、予算は十分にかけています。ただ、不登校の子供たちが全国よりも高いということについては、このお金のかけ方の部分についても、教育委員会だけでは解決できない部分だというのは、そういう前提のもとでお話しさせていただきますけれども、ここら辺の組み方、そして、先ほど来言っている学びのセーフティネットの話についても、少し心を配るというところは必要になるのではないかということで、ぜひ検討していただきたいと思っております。
 そして、時間もないので進めますが、今、県立学校は、3学級を下回る小規模化が進んでいます。先日の持続可能で希望ある岩手を実現するための行財政改革に関する報告書にもありましたけれども、令和7年の見込みを含めて、評価と今後の対応についてお伺いいたします。
〇安齊特命参事兼高校改革課長 県立高校の小規模化の評価と今後の対応についてでございますけれども、令和4年度―今年度の募集学級数における全日制の県立高校62校を規模別に見ますと、1学年3学級以下の小規模校は30校、率にして48.4%となっておりますが、後期計画の終期でございます令和7年度では、全日制県立高校は59校、小規模校は29校、率にして49.2%となる見込みでございます。
 中学校卒業予定者数は今後もさらに減少していく見込みでございまして、高校の小規模化の一層の進行が懸念されることから、今後の高校のあり方の検討においては、重要な視点となるものと捉えております。
 次期計画の策定に向けた検討にあっては、これまでと同様でございますが、外部有識者による検討を行うとともに、地域の方々の意見を広く伺いながら、子供たちにとってよりよい教育環境が維持されるよう、丁寧な議論を進めてまいりたい、そのように考えております。
〇臼澤勉委員 もう一つが、中学校の卒業者数、今後、令和16年には現在の30%も減少していくことが見込まれていく中で、本当に厳しい現状が待ち構えているのではないかということで捉えております。
 県教育委員会として、持続可能で希望ある岩手を実現するための行財政改革に関する報告書の受けとめと、今後の対応についてお伺いします。
〇西野教育企画室長兼教育企画推進監 報告書に関してでございますが、報告書における少子化による生徒の減少という課題認識については、我々も同じ意見を持っておりまして、新たな県立高等学校再編計画後期計画と共通しているところと考えております。
 後期計画を着実に推進し、進捗とあわせまして、子供たちにとってよりよい教育環境の維持向上、今、委員からも御意見いただいておりますことなども含めまして、さまざま検討するに当たって、この報告書の内容も参考としながら、進めていきたいと考えております。
〇臼澤勉委員 いずれにしましても、原則望ましい学級のあり方も、1学年4から6学級というお話もあるわけであります。ただ、先ほどもお話ありましたけれども、3学級を下回る小規模化も一方で進んでいる。そして、中学校に入ってくる生徒も、今後もさらに地域格差が大きく進んでいくのかと思っておりまして、この辺の県の歳出予算についてどう考えていくのか、これは本当に県議会の中でもさまざま議論が出てくるテーマだとは思いますけれども、スリム化を含めた今後の対応策について、改めて、最後に佐藤教育長のお考えをお伺いして、終わりたいと思います。
〇佐藤教育長 今回の報告書で、いろいろと御提言もいただいております。そこに、基本的な認識については、児童生徒数が減っていくという中で、そして、本県のように広大な面積を有する地域にあって、また、山間僻地等、あるいは交通事情の整っていない地域の中で、地元に残って、その地域をいかに守っていくという、地方創生、ふるさと創生の取り組みにかかわっていく人材の確保、育成は非常に大事な観点だと思っております。
 少子化あるいは人口減少が進んで、小規模化が進んでいるのは、本県のみならず、先ほども話題が出ました高知県など、いわゆる充足率の低い地域につきましても、本県と同様の状況にございます。そういった中で、今後の本県を担っていく子供たちの教育環境をいかに維持していくか。そこにさまざまな工夫と取り組み、そして、地元の市町村あるいは地域の方々との連携、それから、競争という言葉も報告書にも盛り込まれております。
 私どもも、県立高等学校再編計画後期計画の策定に当たりましては、この競争ということも意識しておりまして、地域と協働した取り組みをいかに進めていくか。後期計画の中でも、宮古商業高等学校と宮古水産高等学校の一体的整備、その整備の中にも、地域に活用していただくようなスペースも確保したい、あるいは県南地域の工業高校についても同じです。
 それから、盛岡南高等学校と不来方高等学校の発展的統合におきましても、そのような形で地域との競争がいかに図られるか、そこは、今、さまざま検討を進めております。そして、盛岡南高等学校の跡地には盛岡工業高等学校が移転してまいります。そこでのものづくりと地域に開かれた競争のスペースができたらよろしいのではないかということで、そういったことも今後検討を進めながら、いかに効率的な実効性のある高校教育を進めていくか、そういったところを検討してまいりたいと思います。
〇川村伸浩副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
   午後2時36分 休 憩
午後2時52分再開
〇川村伸浩副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇安齊特命参事兼高校改革課長 工藤大輔委員から御質問のございました、スクール・ポリシーの策定状況について答弁いたします。
 全県立高等学校63校中、策定済みが54校でございます。年度内に策定を進めている、策定中のところが5校、統合を検討しておりまして、年度内の策定を不要としている高校が4校といった状況でございます。
〇川村伸浩副委員長 質疑を続行いたします。
〇中平均委員 私からも、ICTの関係でお聞きします。
 機器整備の状況、環境整備は、先ほど来、答弁がございましたので、私から、各校の1人1台端末になって、その中に学習支援システム等を導入していると思うのですけれども、個々の導入はどのような形になっているのかをお伺いします。
〇西野教育企画室長兼教育企画推進監 学習支援システムの導入状況でございます。県立学校においては、1人1台端末で、マイクロソフト社のTeamsを授業支援ソフトとして使用しています。それを基本といたしまして、各学校で、その他のデジタル教材をそれぞれ教員の方々の御判断で工夫しながら利用していただいて、活用に取り組んでいるところでございます。
 なお、県内各市町村において導入している教材の詳細は把握していないところではありますが、聞くところによりますと、授業支援ソフトを利用して、例えば、児童生徒が端末に入力したものを先生に送ってもらい、それを大型提示装置で共有しながら共同学習を行ったり、児童生徒の理解度や習熟度に合わせて問題が出されるオンラインドリルを活用して一人一人の生徒に合わせた個別学習なども行っています。
 そういうことで、教材などもそれぞれ工夫しながら取り組まれているという状況でございます。
〇中平均委員 ことしから岩手県GIGAスクール運営支援センターも運用しています。この話も出ていましたけれども、その中で出ていなかった利用実績とその内容で、さまざまな相談や状況などを分析しているということでありますが、その対応状況を教えてください。
〇西野教育企画室長兼教育企画推進監 岩手県GIGAスクール運営支援センターの利用状況でございます。県教育委員会では、1人1台端末のICTを利用した新たな学びが展開される中で、その円滑な運用、教員の方々の使用などをバックアップする体制として、市町村を超えて広域的に学校を支援する岩手県GIGAスクール運営支援センターを本年6月に設置したところでありまして、今年度は県のみならず、参加希望のあった矢巾町と連携して、ICT機器のトラブルや操作支援に関するヘルプデスクの設置、あとは、求めに応じて訪問指導などを実施しているところです。
 具体的には、9月末時点で、機器の不具合、各種ソフトウェアの操作方法等の問い合わせ対応を136件ほど実施しているほか、県の指導主事、ICT支援員、運営業者のエンジニアなどとも連携して、各学校に赴いて、ICT活用の苦手克服のための基本研修や、一番多いのがセキュリティー研修ですが、そういうものを行っております。また、授業での実践活用事例紹介などの内容で、訪問指導や研修会など、15件ほど行っております。
 そのほか、ウエブサイトの開設、全教員向けのメールマガジンの発行などで、ICT活用事例なども紹介するという取り組みをしておりまして、特に学校に行った際は、研修するだけではなくて、その後、個別相談の時間帯も設けて、教員の方々が、例えばこういうエラーメッセージが出てしまったときというものから、作文指導のときにはどういうことできますかというような相談事例も寄せられているということであります。
〇中平均委員 活用していく中での教員の方々のスキルの向上をどうしていくかというのが課題だという御答弁もありました。
 実際、コロナ禍というところもあって、高校も小中含めて、学校や自治体によって大きく活用の差があるのだというのを感じていまして、例えば、ある自治体の学校だと、コロナ禍で濃厚接触者になって自宅待機というときに、1人1台端末でもって、多分、学校から配信される授業を見ながらやっているということで双方向の授業ではないのです。ある意味、一番わかりやすい1台端末の使い方で行っている自治体もあれば、また、いわゆる紙ベースのプリントを配って、今までと同じやり方をしている自治体もあって、タブレットは廊下に置いたままなど、そういう事例もあり、学校ごとでも、また、活用の方法が違っています。また、小中学校の場合は、自治体によっても、進んでいるところは非常に活用しているし、進んでないところはまだこの段階かというところになっている。
 先ほど郷右近委員からもありましたけれども、せっかく1人1台端末を整備し、大体5年で端末が切りかえとなったときに、結局、何に活用したのだろうということになっては、これは価値がないのだろうと思います。
 そういった点を踏まえて、県教育委員会では、先ほど来の答弁で、事例を収集し、また、それを分散していきながら、ICT教育を進めていくということですけれども、実態として、自治体ごとの差がどれだけあるかというのをどのように認識しているものなのか。そして、それに対して、どう指導をしていくのか。各市町村に教育委員会があって、県から話して、そのままわかりましたという自治体ばかりではないのだろうと思うのですけれども、そういった点を含めて、どういうふうな形での全体の底上げをやっているものなのかをお伺いしたいと思います。
〇度會学校教育企画監 多岐にわたる論点をいただいたと認識しております。まず、それぞれの学校の取り組み状況によって、差が出てきてしまうのはよくないことだと思っておりまして、先ほど、西野教育企画室長から御答弁させていただいたとおり、GIGAスクール運営支援センターでも事例を収集して、ホームページにアップするなど、事例の周知に努めているところでございますし、我々としても、訪問指導をするときに、好事例は周知させていただいているところでございます。
 先ほど、答弁させていただいた中の課題の一つとして、教員のICT活用指導力のお話をさせていただきました。子供たちが使えるようになるためにも、まずは、学校の教員の方々が使えるようにならなければいけないのは、当然必要なものだと認識しているところでございます。今年度、総合教育センターにおいて、学校と同じ環境下で研修できるようにするための、端末や無線LAN、プロジェクターなどの大型提示装置を整備したほか、既存の各種研修において、ICT活用を加えるなど、ICT活用に特化した研修も新規に開設させていただいたところでございます。
 繰り返しになってしまうかもしれませんが、ICTに関するヘルプデスク対応などをGIGAスクール運営支援センターでも設置しておりますし、ICT支援員は県の教育委員会内に専任で配置させていただいておりますので、そのような形で取り組みがより一層進むように支援してまいりたいと考えているところでございます。
〇西野教育企画室長兼教育企画推進監 あとは、市町村での差というようなもの。これからの子供たち、確実にICT情報活用能力が必要になってきますので、そこの部分は等しく一体的に学びを進めていかなければならないと考えております。枠組みのお話をさせていただきますが、岩手県では、県教育委員会と全市町村の教育委員会が入りまして、岩手県学校教育ICT推進協議会を設けております。
 そこで部会などもやりまして、ワーキングなどで、それぞれの市町村の進捗状況、または、困っていることなどを、適宜、情報収集、情報交換などをする仕組みをとっております。そういう枠組みを活用しまして、今の整備の状況でいくと、これからがまさに本番というところで、試行錯誤の段階であり、委員おっしゃるとおり、進んでいるところ、まだルールづくりからというところもあるのが実情でございます。うまく取り組みが進んでいる市町村の状況などを情報提供しながら、こういうルールで持ち帰らせる方法があるようだと、そちらの市町村でもどうかというようなことについても進めていきたいと考えております。
〇中平均委員 ぜひ、進めていきながらというところだと思います。先ほど、コロナ禍の発生状況、きょうの分も報告を見てきましたけれども、またふえてきています。学校も一人、二人と感染すると、今は1クラス全部ではなくて、前後左右でしたでしょうか。そのような感じで、濃厚接触の間は後期期間ということになりますので、先ほど紹介したように、例えば、授業風景のシーンだけを撮影して、自宅でも1人1台のタブレット端末を使ってそれを見てということもあります。また、授業へ行けなくて、その日は新型コロナウイルス感染症で濃厚接触者になって休んだとしても、例えば学校の授業は、自宅でも受けられるということぐらいは、せめて進めていかなければならないと思います。それほど大変なことという感じもしないものですから、何かソフトを使って、送ってやるとなると、専門的にということも出てくるかもしれませんけれども、単純に動画を撮って、それを配信して、それを自宅で待機せざるを得ない生徒たちが見る、そういうことだけでも十分1人1台端末の効果が出てくると思うのです。
 教員の皆さんがやるとなると、初めてのこともあって負担もあり、大変だとは思うかもしれませんけれども、それを続けていくことによって、ICTの利点のほうが出てくると思います。恐らく最初、学校現場は非常に大変だ、今、その時期だと思いますけれども、そこを乗り越えて進めていっていただくことを期待して、質問を終わらせていただきます。
〇高橋穏至委員 私は、地域部活動推進実践研究事業について質問したいと思います。午後の一番で、郷右近浩委員の質問がかなりありましたので、若干省略というか、ポイントだけ質問したいと思います。
 この研究事業ですけれども、予算196万6、000円に対して65万4、000円、3分の1の執行率になっております。ところが、活動指標や成果指標はともにAということで、この実践に向けた研究の成果は、現在どうなっているのかお伺いします。
〇菊池首席指導主事兼保健体育課総括課長 研究の成果と現在の状況についてでございますが、スポーツ庁委託事業で、地域部活動推進実践研究事業では、令和3年度は、岩手町と葛巻町の2町において、実践研究を行ったところでございます。
 研究の成果につきましては、岩手町は、町議会として取り組んでおりますホッケー競技を実践対象といたしまして、比較的容易に実践体制を構築することができたところでございます。
 葛巻町では、学校と地域の競技団体が親密な関係性を築き、学校の部活動顧問と地域の指導者が協力した指導体制の基盤を整備することができたと聞いております。
 これらの成果を加え、昨年度2町で出された課題について分析を行い、今年度、新たに大船渡市を加えた1市2町において実施している実践研究につなげているところでございます。
〇高橋穏至委員 今、課題となっております運動部の地域移行に関して、午前中、文化スポーツ部の審査でも、関連して、この連携はどうなっているのかということで質問をさせていただきました。
 先ほどの教育長の答弁では、国からの明確な方向性がまだ示されてないという答弁がございましたが、いずれ、方向性としては、中央教育審議会でも国会等でも、部活動に関しては地域移行をするという方向はもう出ているわけでして、その中で、今年の6月6日には、スポーツ庁が運動部活動の地域移行に関する検討会議の提言ということで、提言書も出されておりまして、その中で課題等が整理されているわけですが、方向性がしっかり示されなくても、その方向はもう出されていると思います。
 そして、教育長の答弁の中であったのですけれども、都市部では比較的移行しやすい部分はあるけれども、岩手県の場合、広域の中で人口密度が低く、子供の数も少ない、そういった状況においてはかなりの課題がたくさんあるということです。そのような中で、今、答弁いただきました、実践や実験のモデルとして二つ、岩手町、葛巻町、そして、大船渡市と、今回やっているということの中で、移行するのだとなると、受け皿となる文化スポーツ部は、しっかりと力を入れなければならないのではないですかというのを午前中やったのですけれども、その連携状況は、どうなっているかお伺いします。
〇菊池首席指導主事兼保健体育課総括課長 昨年度の2町における課題についてでございますが、2町とも、指導者の確保及び連絡調整、活動場所の確保、生徒、保護者、学校関係者への周知、活動場所までの移動手段などが挙げられたものと聞いております。
 令和3年度は、ともに町教育委員会が直営で事業を行っておりましたが、事業実践確認や謝金の支払い等において、業務の効率化を図るため、今年度は2町とも、町の体育スポーツ協会に業務を委託して、事業を進めているところでございます。
〇高橋穏至委員 今、実践の例では、スポーツ協会、あるいは、それぞれの市町村にある体育スポーツ協会などの組織、市街地であれば、総合型地域スポーツクラブや、さまざま受け皿が中心になっていくと思っております。
 そうした中で、先ほどの質疑の中でも、指導者の育成、確保は、どちらが主体であろうとも、しっかり確保しておかないと進まないというのが喫緊の課題だと思いますので、その課題について、当面は、予算が県教育委員会にございますので、そこでしっかりやらなければならないわけですが、人材確保の達成度が、評価でも低くなっておりますので、さらにその取り組みに力を入れる必要があると思うのですが、いかがでしょうか。
〇菊池首席指導主事兼保健体育課総括課長 指導者についてでございますが、公的資格を取得したスポーツ指導者は、現状では不足している状況でございます。
 今後、部活動指導員やスポーツ推進員、部活動指導を希望する兼職、兼業の許可を得た教員、企業やクラブチーム、大学からの派遣人材等、有効活用が求められているところでございます。さらに、指導者資格の取得や研修の促進が要請されております。
 なお、国におきましては、今後、地域で、指導を希望する教員の兼職、兼業許可が円滑に得られるように、教育委員会に適切な形で進めることが想定されております。
〇高橋穏至委員 今、非常に重要な部分が出たのかと思います。教員の兼職、兼業については、この提言でも、方向性がしっかり示されております。その兼職、兼業は、市町村で許可を出すものなのか、あるいは県が方向性を示して出すものなのか、県がある程度出せないと、市町村でも困るのではないかと思うのですが、いかがですか。
〇菊池首席指導主事兼保健体育課総括課長 地域移行を進める上では、現在、文化スポーツ部と連携をしているところでございます。
 具体的な役割といたしましては、市町村教育委員会や中学校に対する説明については、県の教育委員会が担い、地域での受け皿として想定される総合型地域スポーツクラブや、市町村体育スポーツ協会などの地域スポーツ団体等の体制整備については、文化スポーツ部が受け持ち、地域移行に向けて取り組んでいるところでございます。
〇高橋穏至委員 役割分担しながら進めると言うのですけれども、特に中学校の指導を考えた場合、専門分野ではなくても資格を持っている教員の方はいらっしゃって、私も競技団体に入っていますので、教員の方々には地域の指導にも協力して、来ていただいているのですが、課題になるのは、部活動を地域移行したとき、例えば校務への影響はどうなるのということなど、さまざまなことが出てくると思うのです。その調整は、ここからが文化スポーツ部の担当で、ここからが県教育委員会の担当とした場合、合同でその仕組みをつくっていかなければ、結局進まないと思うのです。午前中の文化スポーツ部でも言いましたけれども、この仕組みづくりは一緒にやらないと、役割分担でやったのでは進まないのではないかと思うのですけれども、いかがですか。
〇八重樫参事兼教職員課総括課長 委員からいろいろ御質問をいただきまして、まず、兼職、兼業の部分につきまして御説明させていただきます。
 兼職、兼業につきましては、県教育委員会では、昨年3月に、国におきまして、地域移行を踏まえた兼職、兼業の取り扱いに関する通知を出したことを踏まえまして、市町村教育委員会に周知しております。通知の中では、兼職、兼業の許可に当たりましては、学校運営や、当該教員の本務に支障がないことなどを確認するほか、労働時間と地域部活動における従事時間を通算した時間が、心身への影響のないように、長時間に及ばないことなどを十分に確認して、判断するように明記されているところでございます。
 これは、先ほどの説明のとおり、実証をしている市町村があるわけですけれども、その市町村からお聞きしたところによりますと、通知に基づきまして、当該職員に係る学校の勤務時間と地域部活動における従事時間を通算するなどして、長時間に及ぶことのないよう確認した上で、許可していることや、許可後におきましても、定期的に実労働時間を把握していることなどを確認していると聞いているところでございます。
 来年度以降、休日の部活動が段階的に地域移行していくことを踏まえまして、改めて、国からの通知を受けまして、市町村教育委員会へ関係通知を発出いたしますとともに、教育事務所長会議などの場を通じまして、周知をしていくこととしております。
〇高橋穏至委員 そのような連携をしっかりしながら、実効性、現実性のあるものをつくっていただきたいですし、教職員だけでなくほとんどの指導員がきちんと生業を持ちながらやっているのがほとんどで、それだけでやっている人はまれだと思います。そういう人たちを含めて、指導体制と報酬の出し方、あるいは事故への対応など、しっかりとつくっていただきたいことを申し上げまして、終わりたいと思います。
〇吉田敬子委員 私からは、まず、自主的、自発的な部活動の推進についてお伺いしたいと思います。
 県内の中学校部活動の参加のあり方、また、部活動の加入率の現状について、全国と比べて、それぞれどう捉えているか、評価しているかをお伺いしたいと思います。
 また、部活動のあり方として、どのような状況がふさわしいと県として考えているのかお伺いします。
〇菊池首席指導主事兼保健体育課総括課長 中学校部活動の参加のあり方と加入率の現状についてでございますが、県教育委員会では、令和元年8月に、岩手県における部活動のあり方に関する方針を改定し、部活動の参加を義務づけたり、活動を強制したりしないことを明記したところでございます。これを踏まえまして、各市町村においても、方針改定が行われているところです。
 また、令和3年度の調査では、全ての中学校における部活動が、自主的、自発的な参加による活動の参加を義務づけしない活動として行われているところです。部活動の加入率につきましては、令和元年度の男子96.5%、女子97.7%と比較して、令和3年度は男子が94.2%、女子が96.0%と、令和元年度と比べ、約2%前後減少となっております。これにつきましては、適切な部活動体制の推進が徐々に進んでいるものと捉えております。
〇吉田敬子委員 部活動の加入率について御答弁いただきましたけれども、全国と比べると、岩手県の部活動の加入率は高い状況です。これまでの委員会等でも、さまざま部活動の加入についての任意だということは、数年前からあったと私は認識しておりますけれども、改めて、最近、私も中学校にお子さんを通わせる御父兄からいろいろ御相談をいただいております。
 主要施策の成果に関する説明書の指針の中で、部活動の活動方針について、学校、保護者、外部指導者等が共通理解を図る部活動連絡会を開催している学校の割合は、一部の小規模校では、日ごろから一定の共通理解が図られていると判断し、連絡会の場を設定しなかったため、中学校の達成度はDとなったとあります。
 これは、共通理解が図られていると誰が判断したのかをお伺いしたいのと、この連絡会開催100%となれば、この3者の共通認識が図れる環境になるという認識でよろしいかをお伺いいたします。
〇菊池首席指導主事兼保健体育課総括課長 部活動の活動方針に係る共通認識についてでございますが、県教育委員会といたしましては、中学校の部活動の活動方針について、共通理解を図るために、保護者、教職員、外部指導者等との情報交換の場である部活動連絡会を開催しているところであり、令和3年度は86.6%の中学校において、部活動連絡会が開催されたところでございます。一部の中学校におきましては、日ごろから一定の共通理解が図られていると判断し、連絡会を設定しなかったと聞いております。
 今後におきましては、全ての中学校に対して、部活動連絡会の開催を促し、保護者、教職員、外部指導者等、多くの関係者が参加し、活動方針について丁寧な説明を行い、共通理解が図られることで、中学生それぞれの興味、関心に応じた多様な活動につながるものと認識をしております。
〇吉田敬子委員 先ほどの一つ前の御答弁でも、令和元年度に、岩手県が全市町村教育委員会を通じて、部活動の参加を義務づけたり、活動を強制したりしないことという通知を令和元年されているわけです。
 私も、どちらかというと小学校から大学まで運動部活動をやっていたので、部活動の意義は、本当にすばらしいものだと思っているのですが、ただ一方で、強制はすべきではないと思っている中で、一定の理解が図られていない現状を、最近すごく目の当たりにしております。それも、各市町村において、部活動に入っている子、入っていない子で、市町村によっては違いがあります。市町村をまたいでスポーツクラブに参加していると、例えば盛岡市はよいけれど、宮古市はだめなのだという、活動の差があって、生徒も含めて保護者が混乱している状況が、ことしになってよく見受けられております。
 先ほど御答弁いただいた、いずれの部にも所属しないことを認めている学校が53.7%、運動部、文化部等への所属はさせるが、学校外の活動を優先させているのが46.3%と、これを足すと100%で、中学校部活動の参加は任意であるということをおっしゃっているのですけれども、結局、いずれの部にも所属しないことを認めているけれども、校外部活動や、地域部活動を設置して、学校外の活動を認めている学校と、それぞれがとてもわかりにくい状況になっているかと思いますけれども、その辺について御認識をお伺いしたいと思います。
〇菊池首席指導主事兼保健体育課総括課長 岩手県におきましては、それぞれの地域、学校におきまして、さまざまな実情がございます。それぞれに合わせた形で、現在、改定等を進めていただいているところでございます。
 部活動におきましては、生徒の社会性や、責任感を育むこと、また、部活動の持つ高い教育的意義を踏まえまして、生徒たちをスポーツや文化芸術にできるだけ親しませようと、そういう学校の思い、考えもございまして、そういうものを酌みながらも、一方で、部活動につきましては、生徒の自主的、自発的な活動であり、教育的な活動の一環であるということがございますので、強制的に行われるようなことがあってはならないと捉えております。
〇吉田敬子委員 先ほどの岩手県における部活動のあり方に関する方針の改定を令和元年度に通知はしているのですけれども、県の方針を踏まえた活動が、令和2年度から全ての学校で開始できるよう指導願いたいと、この通知にも書いてあって、その後、各市町村の現状を捉えているのか。
 そして、部活動の地域移行をうまく進めていくために、そもそもの部活動のあり方が、全市町村でしっかり共通認識がないと、なかなか児童生徒と保護者も混乱すると私は危惧しておりますし、佐々木朋和議員の一般質問の部活動の地域移行のところで、例えば、さまざまな大会主催者と連携を密にして、大会への出場資格を明確にするよう求めなければいけないとありましたけれども、結局、そういうところとの連携も含めて、そもそもの部活動のあり方について、岩手県は、学校が思っているのと、保護者、生徒が思っているのが、しっかり共通認識がまだ図られていないと私は思っております。
 ただただ連絡会開催100%になるだけではなく、任意だということもしっかり通知していただいて、地域移行に進めていっていただきたいと思っております。この件について、御所見を伺うとともに、先ほど、私もこのやりとりの中で、完全に部活動が地域へ移行されたら、地域移行を所管するのが文化スポーツ部になるということですが、令和5年から令和7年にかけて地域移行が進んだ場合、いつから文化スポーツ部が部活動の担当になるかもお伺いしたいと思います。
〇菊池首席指導主事兼保健体育課総括課長 部活動のあり方につきましては、ただいま委員御指摘のとおり、令和2年度から変更を行っておりますけれども、学校、地域によっては、まだ十分に周知されてない部分もあると御指摘をいただきましたので、改めて、さまざまな機会を捉えまして、会議や、地域市町村に直接出向いて、説明し、理解していただくと、そういった機会等も含めて、今後、検討していきたいと考えております。
 また、地域移行につきましては、部活動の大きな変革期でございます。多くの関係者と連携を図りながら、進めていかなければいけません。特に文化スポーツ部と一体となって進めていくわけでございますけれども、平日の部活動が土日に地域へ移行した場合、その活動については、地域との関係、また、総合型地域スポーツクラブや、スポーツ少年団等の関係については、文化スポーツ部が担当となります。
 しかしながら、平日の部活動も維持されておりますので、平日、さらには、休日の部活動についても、学校、市町村教育委員会、県、さらには民間レベルでの関係は、より強固なものにして、一緒になって取り組んでいくといったことが求められると思います。
〇吉田敬子委員 責任の所在です。子供たちを預かるわけですから、ただ縦割りで文化スポーツ部がやればいいとうことでもないでしょうし、地域移行したとしても、しっかり県教育委員会でも、関与のあり方、連携も含めて取り組んでいただきたいと思っております。この辺は、ちょっと時間がないので、今後、私も、また、改めて課題にしたいと思っております。
 もう一つが、不登校児童生徒への学びの場の提供について、先ほど臼澤勉委員から質問がありましたので、不登校の児童生徒の推移についての状況と、教育支援センターの設置の状況等について伺います。数はいただきましたので、小学校、中学校、高校の生徒数のうち、教育支援センターの公的機関を利用している児童生徒数は、全体のどの程度であって、フリースクール等の民間施設を利用している児童生徒は、全体のどの程度と把握しているのかをお伺いいたします。
〇千田首席指導主事兼生徒指導課長 不登校児童生徒数の推移等についてでございますが、令和2年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査の結果によれば、不登校児童生徒は、小学校は356人で、前年度より37人増加、中学校は1、016人で、前年度より58人増加で、過去5年間の推移を見ると、いずれも最も多い人数となっており、高等学校は516人で、前年度より1人増加で、過去5年間の推移を見ると、平成30年の531人よりも少ないものの、ほぼ横ばいという状況でございます。
 また、教育機関を利用している児童生徒数につきましては、市町村教育委員会が設置しております教育支援センターに、令和4年8月末の時点で、小学生が24名、中学生が97名在籍しているものと把握しているところでございます。また、フリースクール等民間施設につきましては、市町村教育委員会への紹介等により把握しているところでございますが、フリースクール等の民間団体の数が10施設で、不登校児童生徒だけでなく、放課後学習支援も行っているところもあり、フリースクール等の民間団体からの報告によりますと、通っている児童生徒数は、令和4年5月現在、小中高合わせて300名ほどと認識しております。
〇吉田敬子委員 臼澤勉委員の御答弁を省いて、その割合について、どのように認識しているかというところだけいただきたかったのですけれども、御丁寧にありがとうございます。
 私が言いたかったのは、不登校児童生徒数のうち、公的機関を使っているのが全体の4割にも満たない子供たちなのかと思います。1割にも満たない子供たちがフリースクールということは、半分以上がほとんど公的機関もフリースクールも利用していないということです。そういった細かいところを県として把握していただきたいと思って、全体の中の占める割合もお伺いいたしました。
 岩手県も、県として教育支援センター、ふれあいルームを設置しておりますけれども、これは高校生のみの対象です。これは数値をいただきましたけれども、今年度は0人、昨年度も0人、教育支援センターに高校生が来ていないわけですね。この状況について、どう把握しているか、お伺いしたいと思います。
〇千田首席指導主事兼生徒指導課長 さまざま不登校児童生徒につきましては、各学校におきまして、アセスメントをしながらよりよい教育機会の場の提供に努めているところでございます。
 しかしながら、不登校児童生徒につきましては、状況がさまざまであり、さまざまな施設を紹介しても、なかなか通うことができない、そういった実態があると聞いております。
 今後でございますが、アセスメントの上でも、スクールカウンセラーあるいはスクールソーシャルワーカーの配置などによりまして、教育相談活動の充実等も含めて、児童生徒、不登校児童生徒への支援が必要であると認識しており、今後も、継続して取り組んでまいりたいと思っております。
〇吉田敬子委員 いただいた資料にフリースクールが10施設あるのですけれども、例えば大槌町のフリースクールは、放課後学習支援に来るお子さんも不登校児童生徒数に数えていて、170人になっているのですけれども、これは、結局、実態把握になってないと思うのです。不登校ではない子供もこの人数に入っているわけで、県教育委員会として実態把握にさらに努めていただきたいと思っておりますし、星北高等学園の件もありますけれども、県教育委員会が、不登校生徒の子供たちの学びを保障するという方針をしっかり示せば、ふるさと振興部に所管がかわり、私立学校でそういった子供たちを支えていこうという考えになるかと思いますので、最後に、御所見を伺って、終わりたいと思います。
〇千田首席指導主事兼生徒指導課長 フリースクールと民間団体にはさまざまな形態がございまして、学習支援を行っている施設、社会体験や自然体験等を行っている施設、相談やカウンセリングを行っている施設など、多岐にわたっており、県教育委員会として、フリースクールを利用している不登校児童生徒数の数を具体的に把握していない状況ではございます。
 今後でございますが、不登校児童生徒の要因や背景を丁寧に寄り添いながら、確認し、多様化、複雑化している状況、一人一人のニーズをしっかりと把握しながら、必要な支援に取り組んでまいりたいと考えております。
〇高橋こうすけ委員 私からは、GIGAスクール構想について、質問させていただければと思います。先ほどの質問と多少重複する部分があるかもしれませんが、御了解いただきたいと思います。
 国では、個別、最適な学びと協働的な学びの一体的な充実など、教育の質を向上させることを狙いとするGIGAスクール構想を推進しているところで、そして、児童生徒1人1台端末のICT環境を活用した新しい学びが全国で開始されているところでございまして、岩手県においては、機材の整備が整ったと認識しておりますが、その中で、ICT機器を効果的に活用するための大学等と連携した実証実験について、現段階での研究の成果、また、途中経過、課題等ありましたら、教えていただければと思います。
〇西野教育企画室長兼教育企画推進監 いわての学びの改革研究事業についてでありますが、豊かな創造性を備え、持続可能な社会のつくり手となる児童生徒の育成を目指しまして、岩手大学、岩手県立大学、県教育委員会、県内の小学校2校、中学校2校、高等学校3校が、研究協力校として、ICTを活用して、主体的、対話的で、深い学びの実現に向けた授業実践と実証研究を、令和2年度から本年度まで3か年計画で実施しています。
 具体的に、研究協力校では、算数、数学や、理科、英語を中心に一斉学習の場合、個別学習、協働学習といった、学習場面に応じた学習支援アプリを活用したり、あとは、NHK for スクールのような、既存のテレビの動画のコンテンツの活用など、児童生徒の一人一人の習熟度に合わせて最適な問題を出すAI型教材の活用の実証を行っておりまして、今年度は、これらに加えまして、さらに、ICTを活用したことによる児童生徒、教員の意識変容というところも、調査を実施している最中でございます。
 今年度は、研究の最終年度であることから、これらの成果につきまして、報告書を作成するとともに、来年2月に、県内の小中高の教員を対象とした教育研究発表会のようなものを総合教育センターでやるのですが、そちらで成果を発表することとしております。
〇高橋こうすけ委員 そういったすばらしい取り組みを、ぜひ、いい事例はいい事例として、どんどん広めていかなければいけないのではないかと思っておりまして、そういった実験のいい事例はどんどん取り入れていくということですけれども、ことし、アンケートなどでどういうものがよかったのかということを調べて、来年発表するという認識で、よろしかったでしょうか。
〇西野教育企画室長兼教育企画推進監 今までも、随時、例えばある実証をしたときに、セキュリティーに関する意識変容など、生徒、教員へのアンケートのようなものは、取り上げていましたが、全体的な取りまとめは、今年度を中心に行っておりまして、来年、その成果発表会を考えております。
〇高橋こうすけ委員 そういう発表会を通して、今後、ほかの学校へそういう事例を紹介して、また、GIGAスクール運営支援センターや、岩手県学校教育ICT推進協議会など、そういったところを通して、ほかの学校へも周知していくということでよろしいでしょうか。
〇西野教育企画室長兼教育企画推進監 今後の普及のところですが、まさに学校現場では、いろいろ取り組みが始まり、この部分はやはり紙のほうがよいという思いもあるようです。
 このように工夫すればできるということも含めて、今、委員から御指摘いただきました、岩手県学校教育ICT推進協議会や、GIGAスクール運営支援センターでの事例紹介、また、先ほど来申し上げている総合教育センターでの研修の教材としての活用や、県及び市町村の指導主事による、学校訪問において、授業改善の指導をするときに、紹介し、広めていけたらと考えております。
〇高橋こうすけ委員 先ほどの質問でもありましたが、通信環境の格差や、オンライン配信のあり方など、まだまだ課題があるところだと思いますので、そういうところも含めて、各課題の改善、そして、周知に努めていただければと思っております。
 次の質問に参ります。GIGAスクール構想が、学習指導要領のもと、主体的、対話的で、深い学びの視点からの授業改善を通して、児童生徒の資質・能力を育成するためには、児童生徒の実情を踏まえながら、教科書、資料集等の教材、書籍、新聞、雑誌、インターネット等を効果的に組み合わせて活用することが大事なことだと思っております。
 このような学習活動の充実のために、授業の内容を豊かにして、その理解を深める学習センターや、児童生徒の情報活用能力等を育成する情報センターとして機能を持っている学校図書館の利活用は、大変有効なものだと考えております。
 ことし、文部科学省から、図書の充実も含め、学校図書館の環境整備を計画的に行っていただくとともに、学習活動における学校図書館の積極的な活用を図っていくようお願いしたいと通達が来ているはずだと思うのですけれども、1人1台端末環境下における学校図書館の積極的な活用について、県の見解を教えていただければと思います。
〇三浦首席指導主事兼義務教育課長 1人1台端末環境下における学校図書館の積極的な活用についてでございますけれども、学校図書館には、いわゆる読書センターとしての機能に加えて、今、委員から紹介がありましたとおり、学習センターや情報センターとしての機能を有しておりまして、この1人1台端末が整備された環境下において、ICTを活用した学校図書館の積極的な利活用は、極めて重要であり、大きな可能性を持つものと認識をしております。
 文部科学省の学校図書館ガイドラインによりますと、図書館資料については、いわゆる図書資料のほかに、雑誌、新聞、視聴覚資料、そして、電子資料として、記録媒体のものやネットワーク情報資源なども図書資料に含まれるとされておりまして、こうした活用について進めていかなければと考えています。
 全国では、一部の自治体におきまして、域内の学校の児童生徒に対して、公立図書館の電子書籍貸し出しサービスのIDを一括して発行している事例もありまして、先ほど、委員の紹介のありました文部科学省の通知を通して、それらの事例を各市町村教育委員会及び学校へ周知をしているところでございます。
 また、本県におきましても、読書通帳や、読書おもいで帳システムなど、公立図書館と学校が連携して、児童生徒の図書の貸し出し体制を整備している市町村の事例も見られてきておりまして、こうした地域や学校を紹介しながら、ICTを活用した事例の普及啓発に、現在、努めているところでございます。
 今後も引き続きまして、全国及び県内のICTを活用した学校図書館の利活用を図っている好事例を、積極的に収集し、市町村教育委員会と情報共有に努めながら、ICTを活用した学校図書館の活用を推進してまいりたいと考えております。
〇高橋こうすけ委員 たしか広島県や大阪市で事例があったかと思うのですが、生徒だけでなく、最終的には県民、市民でも、活用できるような体制になっていければ、すごく便利になっていくのかと思っております。私自身も、学生のときは、図書館に行って勉強することもありましたので、ぜひ進めてほしいと思っております。
 このような取り組みは、各学校における学習活動のほか、今、まさしく新型コロナウイルス感染症で学校に行けない子供たち、また、長期休業期間中の児童生徒、災害の発生等で非常時にやむを得ず学校に登校できない児童生徒の自宅等での学習においても、効果的であると思いますので、こうした取り組みの実施を前向きに、ぜひ検討していただきますよう、お願いを申し上げ、私の質問を終わります。
〇佐々木朋和委員 先ほど来、部活動の地域移行について質疑がありました。吉田敬子委員の質疑に対する答えの中で、国の方針としては、令和7年度以降、土日の部活動を地域に移行するということです。そのときに、平日については、学校で実態が残っているので、県教育委員会としては、そこをグリップしながら、文化スポーツ部と連携して取り組んでいくという話だったと思うのですが、一関市の東山中学校では、卓球部が地域による部活動として、全日の分でスタートをし、千厩中学校でも、柔道部がスタートしているということで、国の流れはそうなのですけれども、岩手県のこの地域の人口減少の実態を見れば、もう少し早く、学校ではない地域による部活動が生まれてくると思うのです。そうしたときに、市町村の大会がそれぞれ開かれて、ルールができていく。それぞれで地域による部活動が生まれていって、いざ、県が、ふさわしい部活動の形を示してももう遅いと思うのです。
 また、部活動の中での経費については、生徒から集めているのですけれども、それが地域での部活動にも使っていいのかどうかということも、学校では、今、迷っているというところがあります。県としては、早くそういった課題を抽出し、市町村に示すべきではないかと思うのですが、私が言ったような課題を、今、県教育委員会では議論をしたり、ピックアップしたりということはやっていらっしゃるのでしょうか。
〇菊池首席指導主事兼保健体育課総括課長 ただいま、委員から御指摘いただいた件でございますけれども、現在、国からの通知を待っている状況でございまして、現在は、提言の中で想定されるものについて進めているところでございますが、具体的なものがございませんので、市町村教育委員会になかなか連絡ができない状況でございます。
 今後、3年間で、令和7年度までに部活動を地域へ移行するということが示されておりますけれども、それぞれの地域、学校等の実情によりまして、柔軟な形で進めていくことも可能であるということも示されておりますので、その点につきましては、それぞれの地域におきまして、地域の強みを十分に生かしていただきながら、進めていくことになろうかと思います。
〇佐々木朋和委員 途中までは大変よかったと思うのですけれども、最後、結局、地域に任せますでは、それぞれの形が出てきてしまうと思うのです。例えば、今、一関市でも、各学校とも、ほかの学校の生徒が入らない形で、卓球部、柔道部ができていますけれども、ほかの学校からも受け入れようかという話になっています。そういったときには、県大会に出られるのかということがあります。また、ほかの学校で部活動があるところから子供が入ってもいいとなると、地域選抜のようなものができてしまい、不公平であったり、大会では同じ学校同士が戦うといったことはどうするのかという話も出ています。
 そういったところを踏まえれば、地域の実情に合わせて、地域にどうぞやってくださいではなく、県としてある一定のルール化を示さないと、結局は、地域大会だけ出て、県大会には出場できないというのはかわいそうなことだと思いますので、佐藤教育長、この部分について、ぜひ、早めに検討いただきたいというところの所感を伺いたいと思います。
〇佐藤教育長 県教育委員会が市町村教育委員会に、基準なり、考え方を示すことは、一つの考え方としてはあると思います。実際、今、具体的にどのような形で移行を進めていくかという、その内容等を、どこまで盛り込んだらいいか、さまざまな課題があるのは御承知のとおりだと思いますし、また、市町村教育委員会でも、それぞれの熟度といいますか、取り組みの対応もあります。今、委員から御指摘のあった、既に先行している一関市内の例もございますが、それぞれの大会、全国にはそれぞれの組織があって、さらに、各競技の部会があって、それぞれの大会運営の仕方等について、今、整理をしている段階であると思います。
 私どもでは、これから計画策定の作業に入ってくると思いますので、県内各地の事例等も把握しながら、また、他県の先進事例、これは先ほど全国の教育長協議会の話もしました。実は、新潟県では、市町村でかなり進んでいるところもあります。そういったことも参考にしながら、取り組みを進めていきたいと思います。
〇佐々木朋和委員 ぜひ、よろしくお願いいたします。
 国の進めている部分よりも、地域では早めに進むのだろうと私も思いますし、ぜひ、市町村教育委員会と相談して、進めていただきたいと思いますし、また、先行し過ぎるときは、グリップしながら、ぜひ、いい方向に進めていっていただきたいと思います。
 次に、高卒者の県内就職率について、県教育委員会としての取り組みについて、伺いたいと思います。
 令和3年度のKPIの達成度、パーセンテージは74.1%となっております。これは、令和元年時点で、平成29年の全国で中位、80%というのを目指して、いわて県民計画(2019〜2028)第1期アクションプランにより進めてきました。その進捗をどのように評価しているのか、令和3年度の全国順位、東北順位は出ておりませんけれども、令和2年度まではどうだったのかということについて、コロナ禍における報道では、各県ともに、県内就職率が上がっているということでしたので、数字は伸びていても、全国と比べてどうなのかというところがやはり気になるところです。
 また、本年度末に、84.5%を目標としておりますが、それに向けて、どのような取り組みを行っているのか伺いたいと思います。
〇菊池首席指導主事兼産業・復興教育課長 高卒者の県内就職率でございますが、令和3年度の74.1%は、いわて県民計画(2019〜2028)初年度の令和元年度の68.5%から、5.6%上昇したものでございます。年々上昇傾向にございまして、令和3年度の値は過去最高となっておりますが、目標値の84.5%とはまだ開きがあると認識しているところでございます。
 コロナ禍による地元志向の高まりとともに、県立高校では、地域や地元自治体、産業界や関係部局等との連携を図りながら、インターンシップや企業見学会等のさまざまな取り組みを行い、地域や地元企業への理解や関心を深めながら、キャリア教育を推進してきたところでございます。それが、県内の就職率向上につながってきたと認識しております。
 一方で、首都圏等県外企業からの求人も多くなってきている状況でございまして、生徒や保護者が職業選択に対するさまざまな思いやあらかじめ示された労働条件などを比較考量し、県外企業への就職を希望する実態があることも聞いているところでございます。
 県教育委員会としましては、引き続き、学校における適切な進路指導等を行うとともに、商工労働観光部等の関係部局と連携を図りながら、さまざまな機会を通じて、高校生の県内就職の実現に向け、学校にも働きかけていきたいと考えております。
 なお、令和2年度の県内就職率は71.4%でございまして、これは全国順位が35位、東北順位が5位であるものでございます。
 続きまして、本年度の目標に向けた取り組みでございます。高校における県内就職率の向上につきましては、本県の産業振興や地域の活性化など、ふるさと振興を推進する上で極めて重要であり、県の重要施策であることから、県立学校長会議等において、各高校に周知しているところでございます。しかしながら、現実として、目標値等はまだ開きがあるのが、現実のところでございます。
 県教育委員会としましては、商工労働観光部を初めとする関係部局と連携しながら、県内就職を後押しするとともに、インターンシップや企業見学会、地元企業を講師としたキャリアガイダンス等を通じて、地元企業の周知に取り組んでいるところでございます。
 加えまして、今年度より、全県立高校で実施しておりますいわて高校魅力化・ふるさと創生推進事業におきまして、地元自治体や企業との連携のもとで、地域課題解決のための探究学習や成果発表会等を行い、生徒や保護者がそれぞれの地域の地元企業に対する関心や理解を高める取り組みを進めているところでございます。
 今後も引き続きまして、地域や産業界、商工労働観光部等の関係部局と連携を図りながら、生徒や保護者が地元企業を十分に理解する機会の充実に努めていくとともに、地元就職に向けた機運の醸成と、進路目標の実現に向けて支援してまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 今、るる説明をいただきました商工労働観光部では、就業支援員を配置して、さまざま企業と学校訪問をしていただいてやっていることはそのとおりであります。
 一方で、適正な進路指導という話の中で、県教育委員会というか、各学校において、生徒の将来の夢の実現であったり、意向や人生のライフプランがあって、その中で、地元就職あるいは域内就職というところをどの程度意識をして、現場での指導をしていただいているのか。学校の役割は、高卒者の県内就職率を高めるというところのどこの部分を担っていらっしゃるのかということを教えていただきたかったのですけれども、追加で、御答弁いただけますでしょうか。
〇菊池首席指導主事兼産業・復興教育課長 生徒の進路といいますのは、第一としましては、生徒あるいは保護者の希望ということもございまして、全てが県内というわけにもなかなかいかないのが現状だと思います。そういった中で、先ほどもお話ししましたが、いろいろな会議の場を通じまして、あるいは、資料を配ったりもありますけれども、県内就職の状況、あるいは人口減少に伴って非常に大事であるというところで、各学校長へ周知をしているところでございます。
 それを受けまして、学校の進路指導の担当の教諭等が、就業支援員等と連携をしまして、生徒の適性や、希望を踏まえた上で、県内就職を進めているという形でございます。
〇佐々木朋和委員 ぜひ、その部分を強化していただきたいと思いますし、あとは、このKPIを見たときに、地元の地域課題についてのKPIです。自分の住む地域についての課題意識など、そういうところについて、キャリア教育や復興教育に取り組んだが、意識づけと関連づけられなかったというところで、D評価となっている一方で、岩手県の復興教育の推進事業費、キャリアアップサポート推進事業費等の事業の評価を見てみると、取り組みの狙いどおりである、Aという評価が出ておりました。
 こういったあるデータによりますと、地元愛が高いとことと地元就職がリンクすると、そういうことであれば、教育現場には、そういうところを頑張っていただきたいと思うのですけれども、この取り組みと評価のずれも課題ではないかと思います。その辺については、どのようにお感じになりますか。
〇菊池首席指導主事兼産業・復興教育課長 先ほど、委員御指摘のキャリアアップサポート推進事業費でございますが、岩手県産業教育振興会に、各学校でさまざまな事業に参加した経費等を、岩手県産業教育振興会から負担しているというところであり、県から支援をしている部分でございます。
 それから、復興教育とのかかわりということでございますが、御指摘のとおり、復興教育を通じて、地元愛を醸成するというところが、高校以前の段階から求められているところかと思いますし、我々としても、そこを注視しているところでございますので、意識づけの強化も含めまして、今後取り組んでいきたいと思っております。
〇佐々木朋和委員 ぜひ、意識づけをもう一度お願いしたいと思います。
 最後に、通学手段についてお伺いをしたいと思います。先日、ある高校の生徒の通学手段についての統計というか、割合を見る機会がございました。その高校では第1位が、親御さんの自動車での送り迎えということで、公共交通の3倍ありました。そこは電車の通っているところであります。
 時代の流れかと思いながら、これからグランドデザインを形成していくなど、学校統合という話も出ている。一方では、公共交通の存続、鉄路の存続が言われている中で、また、教育的にも、この送り迎えで行っているということで、場所的に仕方ないということは別にしても、公共交通で通える中で、通学が親御さんの送り迎えというのは、御本人にも親御さんにもどうなのだろうという思いがしました。
 例えばカリキュラムに合うように公共交通のダイヤが組まれているのか、あるいはカリキュラムがいいにしても、前後の部活動や、朝学習などの機会とマッチングしているのか、そういったところもしっかり見ていかなければいけないのではないかと思うのですが、昨今の通学手段の割合の変化を、県教育委員会ではどのように捉えているのか伺いたいと思います。
〇中村首席指導主事兼高校教育課長 通学手段について、今、委員から御指摘がありましたが、鉄道やバスなどの公共交通機関の接続の悪い中山間地域や郊外にある学校では、自家用車による通学の割合が高い傾向にあるということは承知しております。保護者等の通勤に合わせて送迎したり、公共交通機関の利用経費との兼ね合いなどの事情から送迎をしている場合もあるものと、そういったことで捉えております。
 また、学校によっては、公共交通機関の時間に合わせて、時程表を検討している学校もあるということは聞いているところでございます。
〇佐々木朋和委員 県教育委員会として、今の状況は、全体としては問題ないという思いなのでしょうか。
 また、公共交通で通える、あるいは自転車で通えるといったところは、できるだけ自分で通いましょうという指導は、今はやっているのですか。
〇中村首席指導主事兼高校教育課長 通学にかかわる指導についてというところですが、生徒の通学手段に関して、具体的にこうしてくださいといったようなことにつきましては、行っていないところでございます。
〇佐々木朋和委員 今後、ぜひ高校別に調べていただきたいと思います。
 送り迎えをしてもらえない生徒もいるわけで、全体の公共交通を守っていかなければいけない、生徒の通学のためにということもありますし、また、教育面でも、どうなのかということもあると思います。ぜひ、この部分についてはお調べいただきたいと思いますし、また、次回、私も勉強して取り上げたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
〇川村伸浩副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
   午後4時10分 休 憩
午後4時28分再開
〇名須川晋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇高田一郎委員 それでは私からは、学校における新型コロナウイルス感染症の感染状況と感染対策についてお聞きします。
 先ほどの答弁でも、児童生徒数、教職員の感染状況については答弁いただきました。クラスターの発生状況、臨時休業等について、どうだったのか、今年度も含めて、その特徴について、まず示してください。
〇菊池首席指導主事兼保健体育課総括課長 公立学校における新型コロナウイルス感染症の感染状況についてでございますが、クラスターの発生状況は、令和3年度は90件、令和4年度は85件でございます。臨時休業等の状況につきましては、令和3年度は、学級閉鎖240回、学年閉鎖108回、臨時休業149回、令和4年度につきましては、学級閉鎖287回、学年閉鎖117回、臨時休業42回でございます。
 また、学校での感染の特徴につきましては、感染場面を分析いたしますと、教育、保育施設で、子供が感染し、次に、同居する家族が感染し、兄弟、姉妹が通う学校に感染が広がったケースが多数確認されているほか、中学校や高校においては、同一の部活動内における感染事例が多数報告されているところでございます。
〇高田一郎委員 昨年と比べて、まだ今年度は7カ月しかたっていないのですけれども、感染者数、クラスター、臨時休業等全てで、昨年をかなり上回る勢いで感染が拡大しております。また、今月に入ってからも、特に公立学校の児童生徒が急増しているということで、第8波のような、そういう動きになっております。
 そこで、今後、新型コロナウイルス感染症、インフルエンザ同時流行が予想される中で、さらなる感染対策の推進が必要ではないかと思います。教育長も、冒頭、一層の推進を図っていくという答弁をいただきましたが、どう対策を強化しようとしているのでしょうか。特に、教職員に抗原検査キットをしっかりと配布して、自宅でも検査をやられて、そして、陰性だということで出勤できるという、そういう環境をつくっていくことが今後ますます大事だと思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
 また、冬場を迎える中で、寒冷地では特に常時の換気が困難となって、必要な換気量を確保するために、従来ない対策も必要になってくるのではないかと思います。文部科学省通知において、高機能換気設備の導入も有効であり、それを検討すべきだという通知も出されております。
 この二つの点を含めて、今後の感染対策の強化についての答弁をお願いしたいと思います。
〇菊池首席指導主事兼保健体育課総括課長 さらなる感染対策の推進についてでございますが、文部科学省から、令和4年10月19日付けで、新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザの同時流行も見据えた今後の感染対策について通知があり、体調不良時は、出勤、登校を控える。効果的な換気の工夫など、改めて、感染症対策の一層の徹底を図るよう、10月21日学校等に通知したところでございます。
 この文部科学省の事務連絡では、特にこれからの季節において、窓開け等による換気が困難となるため、換気のための補完的な措置を講じ、可能な限り十分な換気を確保することが重要であることが示されたところでございます。
 また、小学校等における感染拡大を防止するため、小学校及び特別支援学校に、抗原検査キットを配布し、教職員を対象とした集中的検査を実施しているところです。
 さらに、県立学校における感染拡大を防止するため、複数の感染者が発生した場合や、部活動の大会前、修学旅行前などに、学校長の判断で検査を実施できるよう、県立学校に抗原検査キットの配備を進めているところです。
 引き続き、学校における感染拡大防止と学校教育活動の継続の両立に向けて、必要な感染対策に取り組んでまいります。
〇高田一郎委員 今、10月19日の通知の紹介もありましたけれども、私もこの通知を見ました。教職員に十分な抗原検査キットを配布すべきだと思いますし、換気対策についても、高機能換気設備の導入について、学校施設環境改善交付金などでも財政支援ができるという通知になっていますので、今後、しっかりと感染対策への対応をしていただきたいと思います。
 次に、部活動についてお聞きしたいと思います。2018年に部活動ガイドラインが策定されまして、その中で、適切な休養日として、週2日以上休養すべきだと。そして、部活動時間についても、1週間で660分、中学校ですけれども、11時間という条件になっています。
 実は、文部科学省の調査では、昨年―2021年度では、男子が基準以内になっているのは11件、女子が13件、こういう国会での答弁がありました。
 昨年度、このガイドラインに基づく本県の部活動の実態がどうなっているのか、まず示してください。
〇菊池首席指導主事兼保健体育課総括課長 県教育委員会では、岩手県における部活動のあり方に関する方針に基づき、自主的、自発的な参加による活動や部活動休業日及び活動時間の徹底を図ることとしており、令和2年度から全ての学校において遵守するよう、市町村教育委員会及び県立学校に通知しているところでございます。
 本県における中学校の部活動は、週当たり2日以上、平日1日以上、週末1日以上の休養日を設ける。1日の活動時間は、長くとも平日では2時間程度、学校の休業日は3時間程度としており、各市町村教育委員会が策定する、設置する学校に係る部活動の方針や、各学校が設定する学校の部活動に係る活動方針において、県の方針を踏まえた部活動が推進されるよう周知しているものでございます。
 市町村における方針の改定状況につきましては、32市町村において、県の方針の内容を盛り込んだ改定を行っており、改定中の1市町村におきましては、自主的、自発的な参加により行われる部活動のあり方について、検討をしていると伺っております。
〇高田一郎委員 実態はどうなっているかということをお聞きしたのですけれども、実態は把握してないということなのですか。
〇菊池首席指導主事兼保健体育課総括課長 休養日等の設定状況についてでございますけれども、部活動の休養日の設定につきましては、中学校、高校とも、全ての学校で、県の基準に沿って設定をしております。部活動の活動時間の設定は、中学校におきまして、平日2時間以上としている中学校が6校、4%です。学校の休業日、3時間以上としている中学校が8校、5.4%あり、県の基準を上回っている状況でございます。
 なお、高校においては、学校の特色及び種目等を考慮し、各学校において適切に設定しているところでございます。
〇高田一郎委員 令和2年にこの遵守の通知を出したけれども、今の答弁ですと、このガイドラインを十分守られてないという学校もあるということだったと思います。この基準の設定は、スポーツ医科学の観点から設定したものだと思います。教師の長時間労働を是正するという。
 そういう意味では、県教育委員会ももっとしっかりと実態把握をして、なぜ上限を超える活動になっているのか、この実態をよく把握して、必要な対策をとる必要があるのではないかと思います。引き続き、聞く機会があると思いますので、実態をよく把握して、なぜそういう状況になっているのか、それを明らかにしていただきたいと思います。
 部活動の地域移行について、お聞きしたいと思います。スポーツ庁が、2025年までに3カ年で、休日の部活動を地域に移行するという提言を出していることに対して、予算措置も体制もない、こういう中で、3年以内にこれを地域移行するということが、そもそも問題だと思います。
 先ほど、教育長も、国に伝えることはしっかりと伝えていきたいという答弁だったと思います。現時点で、地域移行に対する課題認識、何をどのように課題と捉えているのか、どのように国に対して伝えていくのか、その課題認識について、まず伺いたいと思います。
〇菊池首席指導主事兼保健体育課総括課長 本県におきましては、令和3年度から、継続して地域移行に向けた実践研究をしているところであり、今年度は、これまで岩手町と葛巻町に加え、大船渡市の1市2町において取り組んでいるところでございます。
 部活動の地域移行における課題といたしましては、専門的な指導ができる人材の確保、地域の受け皿となる運営団体の確保、指導者の処遇改善や保護者等の費用負担といった課題が想定されているところです。
 国におきまして、さまざまな地域移行に向けた支援が検討されております。令和5年度からの地域移行に向けた具体的な進め方については、現時点では、国からは示されていないところではございますけれども、岩手県の中学生が、それぞれ興味、関心に応じた多様な活動ができるように、市町村等が取り組む部活動の地域移行について、支援してまいりたいと考えております。
〇高田一郎委員 今の答弁にもありましたし、また、前段、多くの委員から質疑が交わされて、問題点もかなり浮き彫りになったのではないかと思います。
 そこで、費用負担の問題や、あるいは保険料の支払いも発生するなど、そういうことでこの地域移行に参加できない児童も出てくるのではないかという心配があります。経済格差によって、参加できる人、参加できない人がいる。あるいは指導者が決まらずに、結局、教員に委任してしまい、実態は全く変わらないという問題もあると思います。
 3年間という期限を切らないで、地域、保護者、学校などで合意を図って解決していくべきものだろうと思います。合意を前提に、3年間という期限を切らないでそういう議論をしていくべきだと思いますが、この点はいかがでしょうか。
 また、もう一つは、子供たちにスポーツ要求を権利として保障して、全ての子供たちが参加できる、全ての子供たちが参加できるような環境整備を行うことこそ、教育委員会、行政の役割ではないかと思いますけれども、この基本的な考え方について、県教育委員会の考え、見解をお伺いします。
〇菊池首席指導主事兼保健体育課総括課長 ただいまの御質問に対してお答えいたします。令和5年度から3年間かけて、令和7年度末を目途にして、進められている地域移行につきまして、現在、提言におきましては、合意形成や条件整備等のために、さらに時間を要する場合には、地域の実情等に応じ、可能な限り早期の実現を目指すということを示されております。3年での改革を目指すわけでございますけれども、それぞれの実情に合わせて学校、地域、関係団体等の連携を図りながら、丁寧に議論を進めて、地域移行に移行していくものと考えております。
〇高田一郎委員 3年間という期限を切らないで、地域の皆さん、学校保護者の方々の合意を前提として、子供たちが地域で本当に活動できるような、そういう環境をつくっていただくように、県教育委員会もさらなる努力をしていただきたいと思います。
 最後ですけれども、沼宮内高等学校の学級減についてお伺いしたいと思います。来年度から、学級減を行うということで、先週、県教育委員会で決定したということをお伺いいたしました。教育委員会での議論の内容、学級減とした理由、これを詳細に示してください。
〇安齊特命参事兼高校改革課長 岩手県教育委員会定例会において、沼宮内高等学校を学級減と決定した理由等についてでございます。岩手県教育委員会定例会におきましては、議案に理由を付して、採決を諮っておりますので、審議の経緯を含めて答弁させていただきます。
 令和5年度の県立高校の編成に係る教育委員会規則の改正について諮るに当たりましては、沼宮内高等学校の学級減に対し、岩手町や町議会等からの要望書、日本共産党岩手県議団等からの申し入れ及び沼宮内高等学校同窓会やPTA等から要望書の提出があったこと、並びに9月定例会の一般質問及び文教委員会における質問内容も含めながら、教育委員へ説明を行いました。
 その中で、岩手町から、通学費や給食費への補助など、さまざまな支援をいただいており、県教育委員会においても、令和2年度から、高校の魅力化促進事業を実施し、高校の魅力発信等に取り組んできたところであります。志願者の減少に歯どめがかからず、令和3年度の入学者が31人、募集定員80人に対する充足率が39%、今年度は、入学者25人で、充足率31%まで低下しており、岩手県立高等学校の管理運営に関する規則に基づく学級減の対象となっていること。
 また、町内からの入学者が2割程度まで減っている上、今後も、町内の中学校卒業予定者数が減少する見込みでございまして、仮に、町内からの進学率が改善したとしても、厳しい状況が見込まれることなどにつきまして、県教育委員会から回答した旨を説明しまして、教育委員からは、事務局提案に対し賛同する意見が出され、採決の結果、全員異議なく了承されたことから、沼宮内高等学校の学級減が決定されたところでございます。
〇高田一郎委員 どういう意見があったのかということは、紹介もなかったのですけれども、説明だけで、採決になったという、これは残念です。
 私も、改めて、後期計画を読んでみたのですけれども、次のことを明記しています。
 盛岡市以外の県立高校においては、志願倍率の低い学校が多くて、今後も、盛岡市内の学校への入学志願者の集中が継続するということです。こうしたことから、これらの学校には生徒数の減少が加速し、活力を維持することが困難になる。つまり、盛岡市への一極集中を是正するということが、県立高等学校再編計画後期計画のいわば盛岡ブロックの中心だと思います。そのために、盛岡南高等学校と不来方高等学校の統合、学級減が行われたのではないかと思います。周辺校を守ると言いながら、統合の成果も見ないうちに学級減というのは、慎重であるべきだと思いますけれども、それらの議論はどの程度されたのでしょうか。先ほどの議論だと、説明を県教育委員会がして、異議なし、賛成ということで受けとめておりますけれども、そういった議論はなかったのでしょうか。
〇安齊特命参事兼高校改革課長 盛岡一極集中の関係でございますけれども、要望をいただいた中で、日本共産党岩手県議団等から、盛岡一極集中の是正と、支援校の維持、拡充などについて、そういった状況を踏まえ、沼宮内高等学校の学級減の計画を見直すよう強く求めるといったことがあったと説明しております。
 委員からは、盛岡南高等学校、不来方高等学校がそれぞれ1学級減となり、その結果、沼宮内高等学校への入学者がふえることが起こらないとは言えないが、大きくふえることは考えにくい状況であれば、今回、管理運営規則の基準に当てはめることがよいというような意見が出されたものでございます。
   〔「関連」と呼ぶ者あり〕
〇斉藤信委員 沼宮内高等学校の学級減について、先週の10月21日、県議会9月定例会が議論しているさなかに、県教育委員会が決算特別委員会の審査前にこれを決定したということに、私は強く抗議をしたい。
 私は、今回の学級減は、高等学校再編計画後期計画の方針に反するものだと思います。その点で、佐藤教育長に聞きますから、端的に、弁解しないで答えてください。
 昨年の5月末に策定された高等学校再編計画後期計画では、地域を支える人材の育成など、地方創生において重要な役割を担う1学級校及び1学年2学級校の学校については、できる限り維持しつつ、入学者の状況や地域の実情を踏まえながら、そのあり方を検討しますと提起しました。できる限り維持する。この努力をなされてないのではないですか。去年の5月に決まった方針ですから。そのことをまず答えていただきたい。
〇佐藤教育長 これは、一般質問の際にも、斉藤信議員が関連質問されまして、その際にも御答弁申し上げています。(斉藤信委員「答えてないじゃないですか」と呼ぶ)いえいえ、私どもの考え方は答弁申し上げたとおりでございます。そして、先ほど安齊特命参事から10月21日の岩手県教育委員会定例会で、それらの質疑内容等も全て説明をさせていただいた上で教育委員に説明をし、その上で全会一致での議決となったところでございます。
〇斉藤信委員 私の質問に何も答えてないではないですか。できる限りどう努力したのかと。岩手県教育委員会定例会で、何人発言したのですか。できる限り努力したかどうかの議論はあったのですか。そのことを答えてください。
〇佐藤教育長 岩手県教育委員会定例会では、委員3人から発言がございました。その内容についてお答え申し上げます。
 一つについては、先ほど安齊特命参事から答弁がありましたとおり、盛岡南高等学校、不来方高等学校が、それぞれ1学級減となり、その結果、沼宮内高等学校への入学者がふえることが起こらないとは言えないが、大きくふえることは考えにくい状況である。そうであれば、今回、管理運営規則の基準を当てはめることがよいということになる。
 そして、もう一つです。例えば1学級校となって、何年か経過する中で、応募者がふえて、仮に1学級をはるかに超えるような応募者数が続くようになったときに、1学級校を見直すか、見直さないか、それは、今後そうなりそうなときに検討することになるだろう。全国的には、1学級校になった後に、2学級校に上げていった例もないわけではないので、仮に、岩手県でそういう事態が生じそうになった場合は、検討課題になるだろう。一旦、1学級校になったということに固執するわけではなく、状況次第では検討課題になる。全国的にはそういう例もあるというように、今後、検討する場合があるということでよいかという発言があり、これについては、そのとおりと皆で確認したところです。
 また、お二人目の方は、仮に、2学級に戻した後、状況が変わり、次の年から生徒数が減少したとしても、すぐに学級減をするのではなく、長期的な生徒数の推移を見据えた上で判断することとなるのかという御発言もありまして、これについても、そのように全員で確認したところでございます。
 3人目の委員の方は、生徒数の減少が今後も続く。そのため、5年後、10年後、県教育委員会として、そこを見据えて、授業の質の向上、生徒の部活動など、生徒によりよい教育環境を第一に考えて、市町村と連携を密にしながら、進めていけばよいのではないかという意見がございました。その上で、全会一致で決定されたところです。
〇斉藤信委員 私が聞いた、できる限り維持しつつの努力の姿は残念ながら見えませんでした。去年の5月に決めたばかりの立派な方針がしっかり議論されてない、努力もされてない。そのことを私は指摘したいと思います。
 盛岡ブロックの方針は、盛岡一極集中の是正なのです。日本共産党岩手県議団は申し入れただけの話ではないのです。これは12ページに明記されています。そして、一極集中是正のために、来年度、盛岡南高等学校、不来方高等学校の学級減が実施される。令和7年度までに5学級減になるのです。一極集中を是正するのだったら、周辺校を守らなくてはならない。いいですか。教育の質を確保するためには、1学年2学級以上の学校規模が必要だ。高等学校再編計画後期計画の方針ですよ。2学級から1学級に減るのは、学校の維持にとって決定的な意味を持つのです。残念ながら、そういう議論もされていない。
 葛巻高等学校は、もう20人、30人の卒業生だけれども、2学級を維持しています。そういう努力が実は岩手町で始まったのです。公営塾、通学費の補助、そして、沼宮内高等学校と岩手町との連携協定まで結んで、今年度1、559万円の予算も計上した。遅まきながらだけれども、今、本気で、沼宮内高等学校の魅力化を進めようというときに、それを応援するのが県教育委員会の仕事ではないのですか。それに水差すようなことだったら、私は、本当に教育委員会に背を向ける、地方に背を向けるということになるのではないか。大きな問題は、確かに、町内から沼宮内高等学校への進学率は2割程度です。逆に行けば、4割、5割に引き上げる可能性はあるということなのです。
 一番の問題は、沼宮内高等学校が中学生の保護者を対象にアンケート調査をやりました。進学校ではないのではないかというイメージ、もっと進学に力を入れてほしい。実際には、国公立大学にも入学している。本格的に公営塾で国公立大学に入学できる沼宮内高等学校をつくろうとしている。この魅力が伝わったら、私は、岩手町で、地域に根ざして、進学も修学もできる、魅力のある高校ができると思います。高校間格差が固定されているから、盛岡市に行くのです。沼宮内高等学校で進学もできる、修学もできるようになったら、地元に行く中学生が、4割、5割必ずふえると思います。そういう努力が始まったのだから、佐藤教育長、それに水をかけるのではなくて、支援することが県教育委員会の仕事ではないでしょうか。
〇佐藤教育長 県教育委員会の努力が見えないという御指摘でございますが、私どもは、令和2年度から、小規模校の魅力化促進事業ということで、3学級以下の学校に対しての支援をしてまいりました。沼宮内高等学校についても、そのような形で活動をしてまいりました。そして、それを今年度から全県展開をするという形で、今、取り組みを進めているところでございます。(斉藤信委員「私の質問に答えて」と呼ぶ)一極集中の是正についても、これまでも何度も答弁しているとおりでございますし、私どもは、先ほど、岩手県教育委員会定例会の中での議論についても御紹介申し上げました。2学級に戻ることもあり得るということで、それは、これからの取り組みの成果で、あるいは一極集中の是正の効果が出てきたときには、そういうことについてもしっかり検討しましょうということを確認しております。
〇斉藤信委員 2学級規模に戻る可能性まで議論されたら、なぜ、今急いで学級減するのか。地元の進学に水を差すようなものです。そういうことまで教育委員が考えるのだったら、盛岡一極集中是正の効果を見ながら、岩手町の取り組み、沼宮内高等学校の取り組みを、県教育委員会が支援する。それが当たり前でしょう。水をかけておいて、後から2学級規模になったらという、現実に立脚しない、そういう議論が県教育委員会でされたということは、私は大変残念でならない。地域に根ざした進学も就職もできる魅力ある高校をつくる。ここに、私は高等学校再編計画の方向性があると、このことを指摘し、抗議をして、終わります。
〇千田美津子委員 私からは、いじめ、不登校についてお伺いいたします。きょうも多くの委員からの質疑がありましたので、できるだけ重複しない範囲で質問いたしますので、よろしくお願いいたします。
 いじめ、不登校の過去5年間の資料をいただきましたので、まずは、それに基づいて質問をさせていただきます。いじめについては、その特徴等について、どのように捉えていますか、お伺いをいたします。
 また、不登校については、中学生は微増、高校生は横ばいとなっていますが、私が驚いたのは、小学生の不登校が、この5年間で173人増加しておりますが、これが5年前の約2倍の356人になっているのです。人数的には、中学生よりも少ないのはそうですけれども、
小学生の不登校が5年間で約2倍にふえているのは、これは大変な状況ではないかと思います。県教育委員会は、この点をどのように見ていらっしゃるかお伺いいたします。
 それから、不登校の数は、30日以上の欠席者を集約しているわけですが、最近言われるのは90日以上の欠席者がふえているということですが、この小中高の90日以上の欠席者について、おわかりであれば、お伺いをいたします。
〇千田首席指導主事兼生徒指導課長 まず、いじめの特徴でございますが、かなり多くの件数で、冷やかしやからかい、悪口、おどし文句、嫌なことを言われる、こういった特徴がございます。
 そして、いじめはどの学校にも起こり得るとの前提のもと、初期段階のいじめであっても、積極的に認知することが重要であり、近年のいじめ認知件数の増加は、いじめ事案が深刻化する前に、学校いじめ対策組織が組織的に対処してきた結果であると捉えております。
 また、不登校の児童生徒がふえている件でございますが、県教育委員会といたしましても、この状況を大きな課題であると捉えております。何よりも、未然防止という観点から、魅力ある学校づくりの取り組みについて、これまでの成果を広く県内の学校に周知しながら、取り組み内容を浸透させ、各学校の実践につなげてまいりたいと考えております。
 90日以上の児童生徒については、若干お時間をいただきたいと思います。
〇千田美津子委員 不登校がふえているのは、本当に大きな課題であるということで、共通認識に立っているわけですけれども、その中で、先ほど来の答弁の中で、今年度10月から、いじめ対応・不登校支援等アドバイザーが配置をされたということですが、こういう専門家の配置は非常にいいのですが、これまでのスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーと、どのように分担して、対応をしていくのか、その点についてお伺いをいたします。また、アドバイザーは実際何人配置をしたのかお聞きいたします。
〇千田首席指導主事兼生徒指導課長 まず、いじめ対応・不登校支援等アドバイザーにつきましては、1名配置したところでございます。県教育委員会では、いじめ対応、不登校支援の取り組みとして位置づけたものでございます。
 特に、いじめ、不登校につきましては、初期対応が非常に大事であると認識しております。校長等の相談に対して、いじめ対応・不登校支援等アドバイザーが助言等することにより、初期段階における適切な対処とともに、児童生徒の健全育成に努めてまいりたいと考えております。
 なお、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーも、大変重要な役割を担っております。チーム学校としての組織マネジメントやリーダーシップが校長に求められているところでございますが、その校長を支える意味でも、このいじめ対応・不登校支援等アドバイザーは重要であると認識しております。
〇千田美津子委員 初期対応が非常に重要だということで、校長先生の相談等に初期の段階からしっかり対応するという点では、非常に大事な役割で、配置をされたということはいいと思うのですが、1名で本当に足りるのかと思います。本当にその効果をあらわすためには、最低でも複数の配置が必要ではないかと思いますので、その点もお聞きいたします。
 それとあわせて、いじめ、不登校関連の指標についてまとめて三つ続けてお聞きをいたします。
 いじめはいけないと思う児童生徒の割合が、小中学校ともD評価でした。その理由として、児童生徒への周知と理解に課題が見られるとなっていますが、どのような現状にあるのか、御説明をお願いしたいと。
 二つ目は不登校関連の指標で、学校が楽しいと思う割合が、小学校、中学校でD評価となっています。その理由で、不登校を未然に防止することを狙いとした、具体的な実践の手だてが学校に浸透していなかったとありますが、何が不足して、何が課題とお考えでしょうか。
 三つ目は、いじめや不登校にかかわるもので、自殺対策にもつながる大事な指標と考えるべきなのが、悩み相談ができる学校以外の相談窓口を知っている児童生徒の割合が、小学校、中学校、高校ともB評価になっています。私は、これは早急に改善して、本当にみんなが相談するかしないかはともかく知っている状況をつくる、これが必要だと思いますが、これについてもお聞きいたします。
〇千田首席指導主事兼生徒指導課長 まず、1点目のいじめ対応・不登校支援等アドバイザーにつきましては、1名でございまして、年度途中ではございますが、いじめ、不登校の対応について取り組んでいるところでございます。今後、その成果等も含めまして、検討してまいりたいと考えております。
 2点目は、各指標についてでございますが、まずは、いじめはいけないと思う児童生徒の割合でございますが、令和3年度の実績値において、小学校84%、中学校は85%という結果でございました。さまざまな取り組みを学校では行っているところでございますが、コロナ禍ということの制限等もあり、十分に活動できていないということでございます。今後、引き続き、道徳教育や人権教育の充実に、粘り強く取り組んでいく必要があると認識しております。
 二つ目の学校が楽しいと思う児童生徒の割合でございますが、令和3年度の実績値において、小学校87%、中学校84%であり、不登校を未然に防止することを狙いとした、魅力ある学校づくりの考え方や手だてにつきまして、研修や発表会等で取り上げているところではございますが、より具体的な周知を図ることが十分ではなかったということで、目標達成のおくれの要因になっているものと考えております。県教育委員会といたしましては、魅力ある学校づくりの取り組みということで、今後もさまざまな機会を捉え、学校に周知してまいりたいと考えております。
 悩み相談にかかわってでございます。県内の児童生徒に、相談窓口を周知するカードを、例年5月に配布し、配布とあわせて、各学校で相談窓口の活用方法について指導するとともに、年間を通じて、意図的、計画的に、SOSの出し方に関する教育を実践してきたところでございますが、機会を捉えて、継続的に周知を図っていくことが足りなかったものと認識しております。
 県教育委員会といたしましては、自殺予防の観点からも、重要な取り組みであると認識しており、日常から、SOSの出し方に関する教育を推進し、悩みを抱えたときに相談することの大切さを指導するとともに、児童生徒が学校以外の相談窓口を確認することで、いつでも相談ができるよう、取り組みの推進に努めてまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 いじめはいけないと思うという評価についてですけれども、これはいじめ防止という点もありますが、コロナ禍という制限があった中という、そういう言いわけする中身ではないと思います。粘り強く取り組むと言われておりますが、幾らコロナ禍であっても、これをしっかり子供たちに教えていくことは、これからもぜひ力を入れていただきたいと思います。
 それから、悩み相談ができる相談窓口について、カードは5月にいつもは配布しているということですが、令和3年度は配布したのですか。
 そして、実は、文部科学省の調査で、不登校児童生徒のうち、学校内外の機関に相談や指導を受けた子供たちは全体の65.7%にとどまっており、残りの35%の子供たちは、どこにもSOSを出せていないという調査結果がありました。どこかにSOSが出せるように、そのためのツールをしっかり子供たちに届けるということが非常に大事だと思いますので、この点、もう一度お聞きいたします。
〇千田首席指導主事兼生徒指導課長 カードについてでございますが、昨年度も配布したところでございます。さらに、SOSを出すことは本当に重要なことであり、大切なことであると認識しております。相談窓口のさらなる周知に向けて、ことし2月に、各学校の教室等に掲示する生命尊重ポスターを新たに配布するとともに、このポスターにはQRコードをつけ、学校以外の相談窓口やSOSの出し方に関するメッセージを閲覧できるよう工夫したところでございます。
〇千田美津子委員 引き続き、よろしくお願いいたします。
 それでは次に、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置の現状についてお尋ねをいたします。
 この間、スクールソーシャルワーカーについては、県内六つの教育事務所に18名が配置され、さらに、スーパーバイザー1名が配置されたようでありますが、その成果をどう評価しているのか。
 そして、私は、スクールソーシャルワーカーをもっと増員すべきと考えますが、いかがでしょうか。
〇千田首席指導主事兼生徒指導課長 まず、スクールカウンセラーの配置でございますが、令和4年度、定期訪問する学校のスクールカウンセラーの配置率は、小学校では49%、中学校、高等学校では100%となっているところでございます。
 なお、配置のない小学校につきましても、緊急時には派遣しており、全ての学校に対応できる体制を整えております。
 スクールソーシャルワーカーの配置でございますが、令和4年度は、県内六つの教育事務所に計24名配置し、市町村教育委員会の要請を受け、各学校に派遣しているところでございます。
 また、今年度、盛岡教育事務所にスーパーバイザーを1名配置し、各教育事務所に配置するスクールソーシャルワーカーの要望に応じて、関係機関との連携のあり方や、学校への働き方などについての助言等を行っており、スクールソーシャルワーカーの活動の支援につながっております。
 今後でございますが、国や他の都道府県の動向等を注視しつつ、関係部局とも連携しながら、国に対し、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置の充実や処遇改善など、人材確保に向けた施策の充実に働きかけてまいります。
〇千田美津子委員 引き続き、よろしくお願いいたします。
 それでは次に、義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律に伴う不登校特例校など子供たちへの支援の拡充について、お聞きをいたします。2017年に施行された教育機会確保法は、不登校の子供たちの教育の機会を十分に保障しますという法律です。教育機会確保法第13条は、不登校児童生徒が、学校以外の場において行う、多様で適切な学習活動の重要性に鑑み、個々の不登校児童生徒の休養の必要性を踏まえ、当該児童生徒の状況に応じた学習活動が行われることとなるよう、当該児童生徒及びその保護者に対する必要な措置を講ずるとされております。私は、県教育委員会としても、この視点でしっかりと取り組む必要があると考えますが、今後の対応についてお聞きをいたします。
〇千田首席指導主事兼生徒指導課長 教育機会確保法に伴う子供たちの支援の拡充でございますが、法律の趣旨を踏まえた取り組みは、まさに大切なことであると認識しております。研修会あるいは会議等におきましても、誰一人取り残さない学校づくりということで、教育機会確保法の学校現場への周知、浸透に向けた取り組みを進めているところでございます。
 今後におきましても、引き続き、こういった取り組みをしながら、児童生徒一人一人に寄り添って支援してまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 本当にその立場で進めていただきたいわけですが、先ほど来の質疑の中で、岩手県の小学校、中学校、高校の不登校児童が1、900人に対して、フリースクールや教育支援センターに通っている子供たちは25%ぐらいしかおりません。言葉だけで頑張るということではなくて、そういう子供たちのためになる施策をしっかりやるべきだと思います。そういう意味でも、不登校特例校などをきちんと設置していくことが大事です。
 宮城県は、今、富谷市に1校ありますけれども、来年度、仙台市に小学生の特例校ができるそうであります。私は、それらにしっかり学んで、子供たちの悩みや苦しみをしっかり支える、そういう教育行政を行っていただきたいと思うわけですが、佐藤教育長にお尋ねいたします。
〇佐藤教育長 本日、多くの委員の皆さんから、いじめ、不登校等の質疑が交わされてまいりました。特に、相談につながりにくい児童生徒へのアウトリーチが本当に求められると思います。実際に、教育支援センターやフリースクールに通えない子供たちもおります。そういった児童生徒へどうやってつながりをつくっていくか、アウトリーチは本当に大事なことだと思っております。
 文部科学省が、不登校に関する調査研究協力者会議を設置しておりまして、ことし6月10日に報告書が出されております。個々の不登校児童生徒の状況を適切に把握し、多様な支援を実施すべきだと提言がなされておりまして、そして、そこにはICTを活用した学習や体験活動、あるいは相談活動を一括して行う新たな組織として、(仮称)不登校児童生徒支援センターの設置について提言がなされております。
 文部科学省で、こういった提言を踏まえて、今後の施策として、例えば、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、これらの配置に努めておりますが、そこにはきちんとした財政支援を伴って、そして、多くの児童生徒がこのような状況に至っており、本県でもふえているという状況に鑑み、そういった支援のあり方について、これは全国的な課題だと思っております。そういったことに取り組んでいけるよう、私どもも国に対して積極的に要望し、積極的に考えていきたいと思います。
〇名須川晋委員長 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇千田首席指導主事兼生徒指導課長 先ほど、千田美津子委員から御質問のあった件でございます。県内における、90日以上の欠席の状況でございますが、小学校162人、中学校567人、高等学校106人という状況でございます。
〇上原康樹委員 県指定有形文化財の守備範囲は、県教育委員会ということでございまして、陸前高田市の旧吉田家住宅主屋の修復について伺います。
 東日本大震災津波で全壊した陸前高田市気仙町の大肝入屋敷旧吉田家住宅の主屋の復元工事が昨年7月から始まりました。この住宅は、仙台藩村方役人の最上位の職で、大変貴重な文書も残している歴史的な価値のある家屋だったわけでございます。
 流された家屋の散乱する木材を地域の人たちも力を合わせて拾い集めて、そして、これはどこの部材だったのかということを特定し、洗って塩を抜くという大変根気強い作業の末に、ようやく昨年、組み立て作業が始まったわけでございます。
 この工事の概要、進捗状況、工期、完成の見込み、総事業費における県からの補助金について伺います。
〇岩渕首席社会教育主事兼文化財課長 陸前高田市の旧吉田家住宅の復旧にかかわることについてでございます。
 委員御指摘のとおり、東日本大震災津波で部材が全て流出いたしまして、その後、復旧の工事が進められております。復旧の工事につきましては、平成30年に基本設計が策定され、令和6年度末に主屋の復旧、及び外構工事が終了する予定となっております。
 陸前高田市の事業費についてですが、陸前高田市の概算額としては7億4、600万円になっております。それに対して、陸前高田市で復旧の基金や寄付を募っておりまして、それも使われるということでございますが、岩手県の支援といたしましては、昨年度につきましては、2、930万6、000円の事業費に対して、県から1、465万3、000円の補助を行っております。ことし4月に上棟式が行われまして、陸前高田市の皆さんにとって非常に希望となるような、工事が行われることを願っているところでございます。
〇上原康樹委員 主屋は、県指定の有形文化財に指定されているわけですけれども、このほかにも建物が幾つかあるのです。土蔵味噌蔵、納屋もあります。ところが、津波で流された建材を集めてみると、その回収率が3割以下にとどまったために、文化財の指定が解除されたということでございます。
 これは、どの棟も重要な建物の痕跡を残すあかしだと思うのですけれども、その辺は、もうこれは指定ではないからいいのだということでよろしいのでしょうか。その辺の受けとめをお願いいたします。
〇岩渕首席社会教育主事兼文化財課長 流出した後に、これは文化財の指定についてどうしようかということについて、岩手県文化財保護審議会でもさまざま検討してきたところでございました。
 本来であれば、流出したのでありますので、県指定を解除するのが普通なのでございますけれども、その部材が残っているということを非常に重要視いたしまして、今後、復旧して、そのまま文化財指定を続けていく方向で検討してまいったところですが、主屋以外のものについては、どこでどういうふうな部材が使われているのか、残された部材についてはっきりしない部分もありますので、その価値が非常に少なくなってしまったという結論に至りまして、主屋は文化財指定を継続しますが、その他の建物は解除したという、そういう経緯があったものでございます。
〇上原康樹委員 前向きな御答弁をいただいた気がいたします。失ったもの以上に残ったものの価値を大切にしていただきたいと思います。欠落した、失われた部材、いわゆるパーツを新しく補うために、つくり直すという作業がありますけれども、これは木材を大量に使うことになるかと思います。木材価格などの高騰の影響などはございませんでしょうか。
〇岩渕首席社会教育主事兼文化財課長 文化財の修復の工事につきましては、材料が高騰していること、そのほか、人件費も高騰しているということがございます。また、新型コロナウイルス感染症の影響もありまして、その工事がなかなか進まないという状況がございます。
 ただ、効率的な工事をお願いすることなど計画を修正していただいて、修復をしていただくというお願いをしているところでございます。
〇上原康樹委員 これは、主屋、土蔵味噌蔵、納屋と修復していきますと、周辺の環境も整えなければいけない、人が集まると思います。駐車場などの環境整備が必要になるかと思います。当然、当初の予算を上回ってくる可能性がありますが、その辺の見通しはいかがですか。
〇岩渕首席社会教育主事兼文化財課長 その辺については、陸前高田市から詳しいことを聞いているわけではないのですけれども、工事費が上回った場合でも、その計画を修正しながら、県も支援していきたいと考えております。
〇上原康樹委員 これは200年前に建てられた家屋なのです。気仙大工が腕を振るったわけでございます。そうしますと、修復も気仙大工というイメージになっていくわけですけれども、古い民家というのは、古くから伝わる家を建てる技術の集大成だと思うのです。その修復のプロセスには、記録し、伝え残すべき場面もたくさんあるかと思いますけれども、職人の皆さんとのコミュニケーションの中で、県は、その修復の過程を残していく、記録していくということはお考えですか。
〇岩渕首席社会教育主事兼文化財課長 修復については、地元の陸前高田市の建設業界に施工をお願いしておりまして、いわゆる気仙大工の皆さんにやっていただいているところでございます。回収した部材も無傷で残っているわけではないので、失われた部分は、新しい部材を補強したりなどしなければいけないということで、その新しい部材と古いものの継ぎといいますか、その部分について、非常に難しいというお話もされているのですが、昔から培われていた技術を発揮していただいておりまして、何とか進めているところでございます。
 その継ぎ足した部分の部材などについては、写真あるいは図面で記録しておりますので、その部分についても、構成についてはしっかり再検討できるという、そんな状況を陸前高田市にはつくっていただいているところです。
〇上原康樹委員 このプロジェクト、旧吉田家住宅を広く県民に伝えることも大切になってくると思うのですが、その際、県立博物館と連携して、効果的な企画を展開するお考えはおありでしょうか。
〇岩渕首席社会教育主事兼文化財課長 県立博物館の展示等に、吉田家住宅についても展示するということができるのであれば、大変すばらしいと思います。それについては、修復完成するのが先の話ですので、今後、検討していければよろしいかと思っております。
〇上原康樹委員 ぜひ実現してください。
〇名須川晋委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇名須川晋委員長 質疑がないようでありますので、これで教育委員会関係の質疑を終わります。教育委員会事務局の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 執行部席の消毒のため、しばらくお待ち願います。
 次に、企業局長に企業局関係の説明を求めます。
〇森企業局長 企業局の決算について御説明いたします。
 令和3年度の事業運営に当たりましては、長期経営方針、それから、第1期中期経営計画に基づきまして、引き続き、電力と工業用水の安定供給に取り組むとともに、梁川発電所の新規開発や稲庭高原風力発電所の再開発、新たな工業用水事業に対応する新浄水場の整備を行いました。
 また、震災復興、ふるさと振興へ寄与するため、いわて復興パワーの取り組みによる電気料金の割引や一般会計への繰り出しを行うなど、地域貢献にも積極的に取り組んだところでございます。
 まず、電気会計につきまして御説明申し上げます。恐れ入りますが、認定第13号令和3年度岩手県電気事業会計決算書の1ページをお願いいたしたいと思います。
 (1)の収益的収入及び支出でございますが、収入第1款電気事業収益の決算額は右から3列目76億6、094万円余、支出第1款電気事業費用の決算額は右から4列目59億9、094万円余となりました。
 次のページをお願いいたします。資本的収入及び支出につきましては、収入第1款資本的収入の決算額は右から3列目1、397万円余、支出第1款資本的支出の決算額は右から6列目18億6、600万円余であり、欄外に記載しておりますとおり不足は減債積立金等で補填しております。
 次に3ページの損益計算書でございますが、下から6行目になりますけれども、経常利益は16億8、332万円余、下から3行目の当年度純利益は15億6、093万円余となり、黒字決算となったものでございます。
 恐れ入りますが、4ページ以降の剰余金計算書等につきましては、説明を省略させていただきます。
 恐れ入りますけれども、別冊の議案その3の1ページをお開きいただければと存じます。1ページでございます。議案第37号令和3年度岩手県電気事業会計未処分利益剰余金の処分に関し議決を求めることについて御説明いたします。
 電気事業会計の未処分利益剰余金23億3、798万円余のうち7億7、705万円余を資本金に組み入れるとともに、6億円を減債積立金に、2億1、093万円余を建設改良積立金に、7億5、000万円を震災復興・ふるさと振興パワー積立金にそれぞれ積み立てようとするものでございます。
 続きまして、工業用水道事業について御説明いたします。認定第14号令和3年度岩手県工業用水道事業会計決算書の1ページをお願いいたします。
 (1)収益的収入及び支出でございますが、収入第1款工業用水道事業収益の決算額は右から3列目14億436万円余、支出第1款工業用水道事業費用の決算額は右から4列目8億937万円余となりました。
 次のページをお願いいたします。(2)資本的収入及び支出についてでございますけれども、収入第1款資本的収入の決算額は右から3列目58億9、566万円余、支出第1款資本的支出の決算額は右から6列目59億9、702万円余となり、欄外に記載しておりますとおり、不足は過年度分損益勘定留保資金等で補填しております。
 次のページの損益計算書をお願いいたします。下から7行目の経常利益は9、091万円余、下から2行目の当年度純利益は8、814万円余となり、黒字決算となったところでございます。
 なお、4ページ以降の剰余金計算書等につきましては、説明を省略させていただきます。
 恐れ入ります。再び、議案その3の2ページをお願いいたします。
 議案第38号令和3年度岩手県工業用水道事業会計未処分利益剰余金の処分に関し議決を求めることについて御説明いたします。工業用水道事業会計の未処分利益剰余金8、814万円余につきましては、全額を減債積立金に積み立てようとするものでございます。
 以上で、企業局関係の決算等についての御説明を終わらせていただきます。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
〇名須川晋委員長 ただいまの説明に対し、質疑はありませんか。
〇斉藤信委員 それでは最初に、企業局における地球温暖化対策、温暖化防止対策についてお聞きいたします。
 令和2年度は、CO2排出削減量が約35万トンということでありましたが、令和3年度はどうだったでしょうか。
〇高橋電気課長 令和3年度の再生可能エネルギーによるCO2排出削減量についてでございますが、供給電力量は約5億6、000万キロワットアワーであり、供給電力量をCO2排出削減量に換算した値は約27万トンでございます。
 令和3年度は、発電の中心となる水力発電の出水率の減少や、仙人発電所で国道107号災害復旧工事のためダム水位を低水位で運用したことに伴い、供給電力量が減少したことなどから、令和2年度と比較して約2割の減少、過去10年間の平均と比較して約1割の減少となっております。
〇斉藤信委員 さまざまな条件のもとで減少したのは大変残念なことであります。
 次に、今年度中に岩手県は、第2次岩手県地球温暖化対策実行計画を見直します。CO2削減量は57%という積極的な目標が提起されています。企業局としての目標、計画はどのように検討されているでしょうか。
〇伊藤経営企画課長 企業局では、地球温暖化防止に向けたCO2削減量に通ずる目標として、第1期中期経営計画に再生可能エネルギーの維持拡大に係る新規開発、再開発による供給電力量1、269万9、000キロワットアワーの供給目標値を掲げ、梁川発電所の建設や稲庭高原風力発電所の再開発などに積極的に取り組んでいるところです。
 今後も、第2次岩手県地球温暖化対策実行計画の見直しや、今年度実施している水力発電所の新規開発可能性調査の結果などを踏まえ、温室効果ガス排出量2050年実質ゼロを見据え、引き続き、開発に取り組んでいきたいところです。
〇斉藤信委員 県の地球温暖化対策実行計画の見直しは、12月定例会に素案として提案されるということですから、もう具体的な計画、事業を含めて、検討されていると思います。
 そこで、具体的にお聞きいたします。企業局の再開発事業について、発電量、CO2排出量削減はどうなるか示してください。
〇高橋電気課長 再開発事業の発電量とCO2排出削減量についてでございますが、企業局では、本年7月に運転開始した稲庭工業用風力発電所のほか、令和7年度には入畑発電所、それから、令和8年度には胆沢第二発電所で、運転開始を目指して再開発事業を行っております。
 この再開発終了後、これら3発電所が1年間に供給する電力量は約4、500万キロワットアワーの見込みであり、CO2排出削減量に換算しますと約2万1、000トンでございます。
 このうち、再開発により増加する電力量は約200万キロワットアワーであり、CO2排出削減量に換算しますと、約1、000トンでございます。
〇斉藤信委員 再開発事業の中身をもう少し具体的に、発電量はどういうふうに引き上がるのか、そして、最終損益はどういう見通しなのか、そのことも含めて示してください。
〇高橋電気課長 まず、発電量でございます。それぞれ言いますと、稲庭高原風力発電所は、既設が410万キロワットアワーに対して、再開発後は554万キロワットアワーでございます。入畑発電所は971万キロワットアワーに対して、再開発後は983万キロワットアワー。胆沢第二発電所が2、879万キロワットアワーに対して、再開発後は2、922万キロワットアワー。済みません。合計はちょっと計算してなかったのですが、仕上がりが三つで年間、先ほど申し上げました約4、500万キロワットアワーで、増加分が200万キロワットアワーという状況でございます。
〇斉藤信委員 これは再開発事業ですから、既設のいわゆるリフォームみたいなものだと思いますけれども、ただ、稲庭高原風力発電所は既設の35%増になるということです。入畑発電所は既設の1.3%、胆沢第二発電所も既設の1.5%ということで、現状維持プラスアルファぐらいのところなのだと思います。
 それでもう一つ、企業局の新規水力開発の取り組みについて示してください。
〇山谷業務課総括課長 新規水力開発の取り組みについてでありますが、今年度は、新たな開発候補地点としまして、6地点の可能性調査を実施しているところです。
 この可能性調査におきましては、現地踏査のほか、収集した資料をもとにしまして、水の取り入れ口から発電所予定地となるところまでの水路のルートとか、あとは、発電所の最大出力等の発電計画諸元を整理した上で、概算工事費の算定と経済性の評価を行うこととしております。
 また、今回実施する調査の結果、開発の可能性が高いと評価された地点につきましては、来年度、概略設計を行いまして、さらに精度を高めた開発の評価を行う予定としています。
 なお、今回、可能性調査を行います6地点以外にも、企業局としては、県内に六十数カ所の開発候補地のデータを所有しておりますので、引き続き、この可能性調査に取り組んでいくという所存でございます。
〇斉藤信委員 6カ所の調査については、今年度中の3月10日に報告書を受領する予定だということですので、それを踏まえて、可能性があれば来年度から始まるということです。今は60カ所ぐらいの調査対象もあるということですから、企業局としてはノウハウのある水力発電で再生可能エネルギーに取り組むということだと思います。
 実は、県境産廃の予定地ですね。253億円もかけて、もうごみを処分したのですけれども、私は、お金をかけてもとに戻しただけでは本当は済まないのではないか、あの予定地で太陽光発電や風力発電の可能性はないのかという気がするのですけれども、その点については、環境生活部との意見交換や情報交換はないのでしょうか。
〇伊藤経営企画課長 企業局におきましては、再生可能エネルギーの次期拡大に向けて、新規開発の調査、検討を進めているところであります。県境産廃の処理地域につきましては、情報を認識しているところとしましては、地盤の脆弱性や送電網の空き容量などの課題があると認識しているところになります。
〇斉藤信委員 最後の質問です。新北上浄水場建設事業の進捗状況、今後の見通しについて、キオクシア岩手株式会社の工場増設にどう対応するか含めて示してください。
〇山谷業務課総括課長 まず、新北上浄水場の建設工事の進捗状況についてであります。新北上浄水場は、北上工業団地における複数のユーザー企業から提出された工業用水の使用計画等に基づきまして、中長期的な工業用水の需要量を予測し、平成30年度から令和8年度までの9年間を3期に分けて整備する計画であります。
 現在、第1期工事を進めているところです。令和3年度は、浄水場や取水口のコンクリート構造物の築造、管理棟及び脱水機棟の建築、電気機械設備の機器製作等を実施したところです。
 今年度は、第1期工事の最終年度としまして、現在、浄水場建設に係る場内整備や取水口建設に係る電気機械設備の据えつけ、浄水場から工業団地までの配水管敷設、こういったものを進めておりまして、おおむね順調に進捗しているところです。
 今後は、令和5年4月の一部給水開始に向けまして、浄水場及び取水口の電気機械設備の試験調整などを行う予定としております。
 次に、キオクシア岩手株式会社の工場増設への対応についてでございます。キオクシア岩手株式会社の現在の需要に対しましては、既設浄水場から給水しているところでありますが、キオクシア株式会社が令和4年3月に公表しました工場増設計画によりますと、今後、キオクシア岩手株式会社を含めたユーザー企業の給水要望が既設浄水場の給水能力を超える見通しです。このため、段階的に新北上浄水場の整備を進めまして、令和5年4月からは、給水量を日量約2万立方メートル増強して、各ユーザー企業の給水要望に応えていく計画としているところです。
 キオクシア岩手株式会社を初めとする各ユーザー企業とは、年数回の訪問を通じまして、工業用水の使用計画を確認するなど、綿密な情報交換を行っておりまして、今後におきましても、中長期的な各ユーザーの工業用水の需要に的確に対応していきます。
〇名須川晋委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇名須川晋委員長 質疑がないようでありますので、これで企業局関係の質疑を終わります。企業局の皆さんは御苦労さまでした。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時57分 散 会

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