令和4年9月定例会 決算特別委員会会議記録

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令和4年10月25日(火)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 中 村 佳 和
議事管理担当課長 藤 平 貴 一
主任主査 佐 藤 博 晃
主任主査 糠 森 教 雄
主任主査 増 澤 綾 子
主任主査 及 川 雄 也
主査 阿 部 真 人
主査 刈 屋 江美子
1説明員
農林水産部長 藤 代 克 彦
技監兼農村整備
担当技監兼
農村計画課
総括課長 千 葉 和 彦
技監兼林務担当
技監兼全国植樹祭推進室長 橋 本 卓 博
副部長兼
農林水産企画室長 佐 藤 法 之
農政担当技監兼
県産米戦略室長 照 井 富 也
参事兼団体指導課
総括課長 中 野 文 男
技術参事兼
農業振興課
総括課長 中 村 善 光
技術参事兼
農村建設課
総括課長 佐々木   剛
技術参事兼
林業振興課
総括課長 工 藤   亘
競馬改革推進室長 大 坊 哲 央
水産担当技監
心得兼水産振興課
総括課長 森 山 拓 也
農林水産企画室
企画課長 高 橋 真 博
農林水産企画室
管理課長 臼 井   宏
指導検査課長 小野寺   修
流通課総括課長兼
県産米販売推進監 似 内 憲 一
担い手対策課長 村 上 勝 郎
農業普及技術課
総括課長 竹 澤 利 和
企画調査課長 茂 田   剛
水田農業課長 吉 田 正 博
畜産課総括課長 米 谷   仁
振興・衛生課長 高 橋 真 紀
森林整備課
総括課長 鈴 木 清 人
整備課長 砂子田   博
森林保全課
総括課長 安 藤   薫
漁業調整課長 太 田 克 彦
漁港漁村課
総括課長 佐々木 雅 章
漁港課長 佐 藤 一 彰
競馬改革推進監 鈴 木   忠
県産米戦略監 佐 藤   実
全国植樹祭推進室
企画総務課長 柏 葉 保 行

会計管理者 木 村   久
会計課総括課長兼
会計指導監 今 雪 博 貴

監査委員 五 味 克 仁
監査委員 中 野 玲 子
監査委員事務局長 藤 澤 良 志
監査第一課
総括課長 及 川 博 英
監査第二課
総括課長 佐々木 良 生

財政課総括課長 山 田 翔 平
〇名須川晋委員長 これより本日の会議を開きます。
 城内よしひこ委員は、所用のため欠席とのことでありますので、御了承願います。
 これより議事に入ります。
 認定第1号から認定第15号まで、及び議案第37号から議案第39号までの以上18件を一括議題といたします。
 本日は、農林水産部関係について、延べ22人の質問者を予定しており、世話人会の協議により、本日の質疑の目安時間は20分といたしましたので、議事進行に御協力をお願いします。
 また、関連質疑の取り扱い、換気のための休憩につきましては、これまでと同様でありますので、御協力をお願いします。
 委員各位御承知のとおり、本日の農林水産部の審査につきましては、議会運営委員会の決定に基づき、第1部、第2部に分けて審査することとし、第1部では農業関係分野について、第2部では林業関係分野及び水産業関係分野について審査することになっておりますので、御了承願います。
 なお、本日、佐々木農産園芸課総括課長は、療養のため欠席となりますので、御了承願います。
 初めに、農林水産部長に農林水産部関係の説明を求めます。
〇藤代農林水産部長 令和3年度の農林水産部関係の決算について御説明申し上げます。
 初めに、事務事業に係る取り組みなどについて御説明申し上げます。
 当部では、いわて県民計画(2019〜2028)の基本目標である東日本大震災津波の経験に基づき、引き続き復興に取り組みながら、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわての実現を目指し、計画に掲げる施策の推進に取り組んできたところです。
 まず、復興推進については、サケの回帰率向上に向けた取り組みや漁協等が行うサケ、マス類の海面養殖試験への支援、漁港施設の機能強化に取り組みました。
 次に、政策推進関係では、意欲と能力のある経営体の育成、収益力の高い食料・木材供給基地づくり、農林水産物の付加価値の向上と販路の拡大など、四つの政策項目に基づき、農林水産業の核となる経営体の育成や新規就業者の確保、金色の風、銀河のしずくを核とした県産米の評価向上、県産木材の安定供給体制の構築、ウニ資源の有効活用に向けた蓄養と出荷モデルの構築、農林水産物の輸出拡大、地域コミュニティーの活動をリードする人材の育成などに取り組みました。
 さらに、令和3年度は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響等による米や牛肉等の県産農林水産物の価格下落や需要低下に対応するため、米や牛肉の消費拡大、需要の減少している主食用米から野菜等への作付転換の促進などに取り組みました。
 今後とも、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる政策の着実な推進を図るとともに、昨今の国際情勢の変化に伴う燃油や資材の価格高騰の影響緩和対策や経営体質の強化に取り組んでまいります。
 続きまして、当部関係の令和3年度の決算について御説明申し上げます。
 令和3年度岩手県歳入歳出決算書の14ページをお開き願います。一般会計歳出決算の農林水産部関係は、6款農林水産業費のうち県土整備部が所管するものを除いたもの、及び16ページに参りまして、11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費、12款公債費の一部及び13款諸支出費の一部であります。
 特別会計の決算につきましては、32ページが県有林事業特別会計、34ページが林業・木材産業資金特別会計、36ページが沿岸漁業改善資金特別会計となっております。
 一般会計及び特別会計を合わせた当部全体の予算現額は1、216億6、674万円余、これに対する支出済額は878億1、212万円余であります。また、翌年度繰越額の合計は280億8、510万円余、不用額の合計は57億6、952万円余であります。
 以上で農林水産部関係の説明を終わります。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
〇名須川晋委員長 これより質疑を行いますが、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明のうち、第1部農業関係について質疑はありませんか。
〇軽石義則委員 それでは、大きく2点質問いたします。
 1点目は、花卉の振興について現状把握をさせていただきたいと思いますので、本県の花卉の生産状況、産出額、栽培面積、担い手など、先ほど全体的に担い手不足の話もございましたけれども、その状況をどのように把握されているのか、まずお聞きいたします。
〇吉田水田農業課長 本県の令和2年の花卉の産出額は、令和元年から3億円増の44億円で、このうちリンドウが約半分を占めております。
 本県花卉の栽培面積につきましては、令和3年、花卉全体で394ヘクタール、うちリンドウが223ヘクタールとなっております。
 担い手の関係でございますけれども、生産者数になりますが、主な上位品目はリンドウから小菊等ございますが、主要な品目の生産者数でございますけれども、延べで約1、000戸となっております。
〇軽石義則委員 リンドウが約半分の産出額を占めているということで、推移を見ても20億円前後で推移しておりますし、花卉全体でも40億円前後で推移しているということで、生産者が減れば、産出額が維持されているとすれば個別の収入は上がっているように思うのですけれども、その状況はどうでしょうか。
〇吉田水田農業課長 リンドウの販売額でございますけれども、先ほども申し上げましたが、花卉全体の約半分がリンドウということで、販売額にしますと20億円ということで、生産者数が約50戸ございますので―すぐ出てこなくて申しわけございませんが……。
〇照井農政担当技監兼県産米戦略室長 リンドウの生産額と生産者数でございますが、軽石義則委員がおっしゃるとおり、リンドウの産出額は約20億円で推移しているような状況でございます。一方、リンドウの生産者は年々減ってきておりまして、令和2年度で518名、令和3年度で500名程度となっておりますので、1人当たりにしますと拡大しているような状況でございます。
〇軽石義則委員 リンドウは特に、そういう意味では主力として生産者も意欲を持って取り組んでいるということだと思いますけれども、今、日本国内の花卉の市場を見ますと、温暖化、気候変動、あと、この円安の影響等で花の確保が非常に難しくなってきていると聞いていますが、それらの状況についてどのように把握されているでしょうか。
〇照井農政担当技監兼県産米戦略室長 全国の花卉の状況でございますが、ピーク時3、080億円ほどあったのですけれども、現在はピーク時に比べますと65%程度まで減少しておりまして、全国的に見ましても、花卉の消費マーケットは、どちらかというと縮小傾向にあると捉えております。
〇軽石義則委員 これから、コロナ禍を乗り越えて、いろいろな意味で需要も拡大してくるのではないかと思いますけれども、輸入の切り花もこれまでは結構入ってきているのですが、今は輸入の切り花もかなり減少していて、値上げが深刻な状況、入手するのもかなり困難になってきているということで、やはり国内に回帰してくる、いわゆる国内産を求めてくるだろうとも言われています。
 そういう状況を見れば、令和2年度、44億円ですけれども、それをさらに大きくしていくことは、この岩手県の気候が、この温暖化の中にあっても花の栽培にもかなり適してくるのではないかという可能性も言われています。さらに、リンドウも主力ですので、当然拡大していくことは大事ですけれども、そういう意味では、さらに意欲を持って、生産者、担い手をつないでいく、ふやしていくことに持っていくのが大事ではないかと思いますが、その部分はどのようにお考えでしょうか。
〇吉田水田農業課長 県では、平成30年度に策定しました岩手県花き振興計画に基づいて、産地の中核を担う経営体の育成等を進めているところでございます。
 具体的には、JA花き生産部会による、ベテラン農家が指南役として、新規栽培者等へきめ細かに指導する取り組みへの支援などを行っているところでございます。
〇軽石義則委員 まさに世の中が大きく変化している状況ですので、そういう意味では、花卉も、輸出戦略に今、特に輸出は利益が高いので、国内産も輸出に回したほうがいいのではないかということで、国内で調達しづらくなってきているというのも徐々に広がってきているそうでございます。岩手県の売りとして、リンドウだけではなくて、そういう花卉の生産も含めて、さらに力を入れていくことが大事だと思います。
 なぜかというと、今必要なものがすぐできるものではないと思います。やはり一定の経験やいろいろな技術開発を含めて進めていった上で、生産額につなげていくのが大事だと思います。ものづくりの中でも、1次産業は自然が相手ですので、そういう中で、戦略としてどう進めていくかが大事だと思います。その部分についてどうでしょうか、具体的なものがあれば教えてください。
〇吉田水田農業課長 先ほどもお話しいたしました岩手県花き振興計画に基づきまして、国庫事業等による担い手等へのハウス、防除機など生産性を向上させる施設、機械の整備の支援でありますとか、盆、彼岸向けリンドウ、それから八重咲き等の新たな形質を持った鉢花リンドウの品種開発、消費ニーズが高い品種への作付転換、また、県立花きセンターでの小菊などの新品種、それからダリアなど新品目の栽培展示などに今取り組んでいるところでございます。
 県としては、引き続きこうした取り組みを進めるとともに、今後、トルコギキョウにおけるLED電照を活用した開花調節技術など、需要期の安定出荷に向けた新たな技術の導入を進めながら、本県の花卉の生産が拡大し、生産者の所得が確保できるよう取り組んでまいります。
〇軽石義則委員 今取り組んでいることもあるということですので、それは生産者のほうにもしっかり反映されていくように持っていくことも大事だと思いますし、新規にそういう仕事もふやしていきたいというような考え方につながるような取り組みが大事だと思いますので、引き続きお願いしたいと思います。
 2点目ですけれども、馬事振興についてお聞きいたします。
 ことしはチャグチャグ馬コも開催されまして、多くの皆さんも期待、喜びを感じていると思うのですけれども、馬事振興の現状と課題について、まずお聞きいたします。
〇鈴木競馬改革推進監 馬事文化の振興の現状と課題についてでありますが、県におきましては、平成29年度から、馬事文化プロモーション推進事業によりまして、シンポジウムや馬に触れ合うイベントの実施、専用ホームページによる情報発信などに取り組んでいるほか、馬に関係する団体や市町村で構成する岩手県馬事文化地域連携連絡協議会を組織し、馬資源の効果的な利活用、担い手の確保のあり方などについて意見交換を進めております。
 このことによりまして、馬事文化に関する県民理解に一定程度の役割を果たしていると考えているほか、馬事に関する関係者間のネットワークの構築が図られたものと認識しております。
 一方、生活様式や産業構造の変化、後継者不足などを背景として、県内における馬の生産農家や生産頭数、本県の代表的な馬事文化イベントであるチャグチャグ馬コの参加頭数などが減少を続けております。また、新型コロナウイルス感染症の影響で馬と触れ合う機会が減っております。
 これからも、馬事文化の振興に向けて一層の取り組みが必要であると認識しております。
〇軽石義則委員 馬事文化の必要性は十分承知しているつもりですけれども、今課題の中にもありましたとおり、馬事文化を進める上では、まさに馬そのものをどう確保していくかが大事だと思うのですが、決算書を見ますと、馬産に関する予算、決算の数字が具体的に見えなくなっているのですが、馬産に対して、馬産振興は具体的にどのぐらいの予算で、どのような取り組みをしているのでしょうか。
〇高橋振興・衛生課長 県では、一般社団法人岩手県馬事振興会が行う後継者、指導者の育成や生産振興のため、馬産振興総合対策事業、こちらは令和3年度決算で90万円となりますが、この事業により、馬の繁殖管理技術研修会の開催、優良な基礎雌馬の補充に対する奨励金2万円の交付、種馬の登録促進による優良馬の改良のほか、チャグチャグ馬コ等の馬事文化行事などに補助しているところであります。
〇軽石義則委員 年間90万円の予算で岩手県の馬をふやそうという非常に効率的な事業をしているのだと思うのですけれども、本当にこの取り組みで、ずっと馬事文化を守るとか馬の頭数を確保するのは、生産者とか担い手の確保を含めて非常に厳しいのではないかと思うのですが、その点はどうでしょうか。
〇高橋振興・衛生課長 県の事業とはまた別に、地方競馬全国協会の畜産振興補助事業のうち、農用馬を対象とした導入などの事業がありまして、こちらで繁殖雌馬の導入や自家保留、種有馬の種つけ、子馬の生産などの取り組みに奨励金を交付する事業を活用いたしまして、一般社団法人岩手県畜産協会と盛岡畜産農業協同組合が、生産振興に取り組んでいるところであります。
〇軽石義則委員 地方競馬全国協議会からも支援していただいていると。それは乗用馬ということですけれども、馬1頭を飼育するために、どのぐらいの経費がかかると把握されているでしょうか。
〇高橋振興・衛生課長 現時点で手元にその生産費の数値がございませんので、把握しておりません。
〇軽石義則委員 では、把握されたら教えていただきたいと思います。
 やはり生産者の皆さんというか飼育されている皆さんは、私財を投入して、みずからの時間をかけてかわいい馬を育てているわけですので、そこに90万円の予算で支援しているというのでは、なかなかその支援している力が伝わっていかないような思いがあって、きょうは聞いているのです。岩手県のチャグチャグ馬コも、全て県外からリースした馬がお祭りを支えるような時代にならないように、どうしたらいいかということもあると思うのです。
 そういう部分をこれまでも考えて対応されてきたと思うのですが、ぜひもう一度見直すこと、そして、県民を含めて多くの皆さんがかかわっていけるような体制づくりや事業にしていくこと等、馬事文化の継承だけではなくて、実際、馬の確保にもみんなが参加できるやり方があるのではないかと思うのですけれども、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
〇鈴木競馬改革推進監 本県の馬事文化を将来にわたり継承するため、この貴重な馬事文化を地域資源と位置づけまして、さらに活用を進め地域の活性化につなげていくことが重要であると考えております。
 このことから、先ほどお話ししました岩手県馬事文化地域連携連絡協議会を通じまして、会員相互の連携をさらに強化しながら、県内各地で行われる馬事イベント等を支援するとともに、減少しつつある馬資源を有効に活用するための仕組みづくり、馬事文化の観光面での利活用や国内外に向けたさらなる情報発信などを検討し、取り組みを進めていきたいと考えております。
〇軽石義則委員 ぜひ、私は何回もこのことは聞いて、やってきていただいているとも思って、きょうは改めてまた確認させていただいたのですけれども、最初に質問したときも年間90万円だったのです。いまだに90万円なのです。ということは、中身を整理してきているとは思うのですけれども、このままで岩手県からチャグチャグ馬コに出る馬がいなくなっては大変だと思うのですが、最後、藤代農林水産部長の思いを聞いて、終わりたいと思います。
〇藤代農林水産部長 馬事の振興についてでございますけれども、本県の馬の飼養状況の内訳を見てみますと、大きくは乗用馬と農用馬と分かれるわけですが、乗用馬につきましては、5年前に比べて戸数はやや増、頭数は横ばいという状況になっております。
 一方で、農用馬を見ますと、戸数、頭数とも大体8割あるいは8割弱ぐらいということで、農用馬のほうが減少しています。チャグチャグ馬コなどですと、一応、農用馬が使われる形になるのですが、ここのところは、産業振興に馬を使うという観点で見た際に、なかなか今、肉で使う、あるいは子馬という部分の採算が難しい状況があって、生産される方も少なくなってきているかと思っています。
 最近の馬の取引を見ますと、年2回ぐらい馬の市場が開催されますけれども、1頭当たり100万円ぐらいで取引されているというところがあります。子馬をつくる繁殖には専門的な技術が必要で、なかなか難しいところがあるのですけれども、そこをしっかり子馬をとれるような状態にして、生産者の方が子馬生産で所得を上げられる、あるいはそういった経費を賄えるようなことをしっかりやって、皆さん本当にかわいがって馬を飼っていらっしゃいますので、そういったところで農用馬をふやしていく形に展開できればと考えております。
   〔「関連」と呼ぶ者あり〕
〇千葉伝委員 ただいまの軽石義則委員の馬事振興の件に関連して、お伺いしたいと思います。
 今、高橋振興・衛生課長あるいは藤代農林水産部長からも、本県の馬事振興を図る上でさまざまなことをやっていただいているとお聞きしました。このことについては、私は今、馬事振興会の会長を務めている関係もありまして、敬意を表するし、感謝申し上げたいと思います。
 問題は、例えば乳用牛とか肉用牛あるいは豚、鶏というそれぞれの畜種の中で、馬が本当に、昔は軍用馬から始まって、役用馬としてさまざま使われてきた。そういった時代とは今は全然違って、何のために飼っているかということが問題でありまして、ほとんどの人たちは趣味に近い格好で、いわゆるチャグチャグ馬コとか、あるいは平泉の東下りに、義経の役を含めて馬を使ってということで、行事等に使われているのが現状です。
 最近は、遠野市で馬搬というか切った木を山から切り出す、昔やっていたものを少し広めているということで、この間はフランスまで出かけて、いわゆるチャグチャグ馬コも宣伝してきているということであります。
 言いたいのは、馬というのは繁殖がかなり難しいということで、生まれてくる分が、分娩率が7割とかそのあたりまでしかならないということで、やっている人たちは、今何で馬を飼うかというのは、先ほど言った、趣味でチャグチャグ馬コに使う馬、それから肉用馬としてです。ところが県内は少ないので、県外から肉用に市場から買っていくということで、九州地方の大口が入ってくれば、そのときの市場が100万円を超えるような馬が買われていくという状況です。それを目指して生産者たちはいろいろ頑張ってはいるのですが、そういうことでなかなか難しい飼養だということです。
 私から言いたいのは、これから生産者、飼養している人たちが、少しでも継続して経営していけるような状況をつくっていくということで、県からも、あるいは地方競馬全国協会を通じながら、日本馬事協会からも支援いただいて、さまざま頑張っているところです。
 ぜひ県には、馬という部分を、岩手県の馬というと、遠野馬の里の乗用馬もあるわけですけれども、先ほど軽石委員が言ったとおり、チャグチャグ馬コを継続してやっていけるような、そこの部分を何とか県からも支援していただきたいし、地方競馬全国協会あるいは国にもお願いしてまいりたいと思っています。
 そういったあたりの意気込みを、再度、藤代農林水産部長からお聞きしたいと思います。
〇藤代農林水産部長 改めて、馬事振興の考え方ということでの御質問でございますけれども、せんだって、土曜日ですか、遠野市で馬フェスが民間の方が中心になって開催されたようですけれども、農用馬を使って、御家族の方と一緒に楽しむイベントも開催されたようでございます。
 また、先ほど千葉伝委員から御紹介ありました馬搬ということも遠野市でやられていて、この間、海外でもそういった技術をお示しされたことも伺っております。
 先ほど鈴木競馬改革推進監からも答弁させていただきましたとおり、繁殖のほうをしっかりやることとあわせて、やはり観光などと結びつけて、地域で馬に親しんで、それがある程度収入にもつながる仕組みづくりを行いながら、馬事文化を広める、あるいは馬についてのいろいろな経済を回せるようなものを、時間はかかりますけれども、つくるように努力していきたいと考えているところでございます。
〇千葉伝委員 馬事振興会の会長として、1頭でも岩手県から馬を減らしたくないという気持ちで、私自身も実は馬を1頭飼っております。農用馬をですね。毎年、何とか生産して市場に出している。市場価格が今、平均60万円、70万円ぐらい、100万円まではなかなか、年によって違いますが、北海道から買ってくるとか、そういった場合は100万円に近い値段になるのですけれども、いずれにしても、しっかりと私自身も頑張るつもりでありますので、県からの御支援もよろしくお願いして、終わります。
 今度は、馬の話ではなくて牛のほうの話で、県の畜産関係の中で、さまざまやっていただいているのはそのとおりであります。県全体の農林水産業の振興ということでは、藤代農林水産部長以下、県の職員の皆さんが大変頑張っていると理解しております。敬意を表したいと思います。ありがとうございます。
 そういうことを踏まえながら、これからの質問は畜産の振興についてということで、大きな観点で一つはお伺いして、その後には、先般行われた全国和牛能力共進会の件で質問したいと思います。
 御案内のとおり、本県の畜産関係というか農業生産額全体では、令和2年度で2、741億円、うち畜産部門の占める割合は1、628億円と農業生産額の約60%を占めているという状況であるのは、御案内のとおりであります。
 ただ、今、その畜産において、昨年来というか、穀物市場の上昇、世界的な金融市場、中国の穀物の大量買いつけ、コンテナの海上輸送費の高騰、さらには、ロシアによるウクライナ侵攻による小麦、トウモロコシの輸出ストップ等、いろいろな要因によって穀物市場の急騰を招いている状況にあると認識しております。
 その中で、特に畜産に関係する飼料もですし燃料もそうですが、飼料コストが上昇して、私の知っている右左の畜産農家のいろいろな人たちから、何とか畜産経営を安定して継続できるような対策をやっていただかなければ、このままのコスト高が続けば経営をやめざるを得ないという深刻な話も聞いているところであります。
 そこでお伺いしたいのは、この飼料高に対して、県はどのような対策を講じているのかお伺いします。
〇米谷畜産課総括課長 餌高対策についての御質問でございますが、県では、国際情勢の変化等によりまして配合飼料価格が高騰している状況を踏まえまして、配合飼料価格安定制度を所管する国に対しまして、この制度の基金が枯渇した場合にあっても、生産者への補填金が満額交付されるよう国が基金の積立金を拠出すること、あるいは配合飼料価格が高どまった場合にありましても、十分な補填金が交付されるよう制度を拡充することなどを要望してきているところでございます。
 また、生産コスト削減や飼料自給率向上に取り組む生産者に対しまして、配合飼料のコスト上昇分を補填する国の事業がございます。この国の事業の活用を積極的に進めるとともに、県独自に、6月補正予算におきまして、配合飼料価格の上昇分に対して補助する配合飼料価格安定緊急対策費補助を措置したところでございます。
 こうした支援策に迅速に取り組んでいくとともに、引き続き、飼料価格や国の動向等を注視しながら、生産者の経営安定が図られるよう、県としてどのような支援が可能か検討していきたいと考えているところでございます。
〇千葉伝委員 国からの支援も含めてさまざまな対策をやっていただいていることは承知するところでありますが、なかなか今の状況の畜産農家からすれば、まだまだずっと続けていく状況には足りないということを聞いております。
 国でも、10月12日、この間の全国和牛能力共進会で岸田総理大臣が最終日に御挨拶した中で、経済対策に畜産を支援していくということも含めて、国産の飼料等に、今月策定する総合経済対策の中で支援制度を創設して、畜産の支援を盛り込むことで考えているということです。この分がこれから県のほうに下がってくるということでしょうから、今の状況を考えれば、その分に合わせて県も少しでも独自の分で支援していくといった姿勢もぜひ必要だなと思います。ぜひ、そのことはよろしくお願いしたいと思います。
 次に移ります。次は、先般、10月6日から10日に第12回全国和牛能力共進会が鹿児島県で開催されたわけですけれども、関連してお伺いしたいと思います。
 この分は和牛ということで、本県の和牛の生産振興をお聞きするわけですけれども、和牛の質向上を図る上では、高い遺伝能力を有する種雄牛づくりが重要なことは、御案内のとおりであります。
 そこで、県の進めている種雄牛造成の状況について、現在、精液を供給している県有牛のナンバー1からナンバー3までの名号、そしてまた、県内における供給シェアはどうなっているのか。最後に、県有牛全体で県のシェアはどの程度かということをお伺いしたいと思います。
〇米谷畜産課総括課長 県有牛の利用状況ということでの御質問かと思います。
 最初に、県の種雄牛の全体供給数の中でのシェアということでお話しさせていただきますと、令和3年度で、県内で供給されている凍結精液約6万4、000本で、そのうち県有種雄牛では5、000本ということで、シェアとすれば約8%となっております。
 その中の上位の種雄牛3頭ということでございますけれども、多い順に、平成26年度選抜いたしました花金幸、令和2年度選抜の百合雲、平成30年度選抜した安久勝晃、この3頭で県有種雄牛の供給本数の約半分を占めているところでございます。
〇千葉伝委員 いずれ、県有種雄牛は種山で一生懸命、毎年いい種牛をつくるというので、1年、2年でできるものではないということで、最近は、早目に能力を診断しながらつくるというようなことも含めて頑張っていただいているのは、頑張っている割には、先ほどの精液の供給シェアがトータルで8%というのは、私からすればかなり低い数字だという理解をするところであります。ほかの県というか九州は、そのとおり、自分の県有の牛がほとんど使われているということで聞いているところでありますので、県有種雄牛のシェアを上げる努力、いわゆる種牛づくりについて、ぜひ、これから県内のみならず県外にも、岩手県の種牛をPRできるような種雄牛づくりを進めていただきたいと思います。
 次に、いわゆる全国和牛能力共進会のこの間行われた分でありますが、第12回を数えた鹿児島大会で、私も含めて県議会畜産議員クラブの会員を代表して9人が霧島市に出向いて、会場において、牛舎には岩手県畜産議員クラブという横断幕まで掲げて応援してまいりました。その折には、県の畜産担当の皆さんにもお世話になったところでありますので、この分については感謝申し上げます。
 ところで、全国和牛能力共進会の本県牛の最終的な結果について、どう評価しているのかお伺いしたいと思います。
〇米谷畜産課総括課長 先日開催されました第12回全国和牛能力共進会鹿児島大会の本県の成績についての評価ということでございますけれども、今回の鹿児島大会における本県の成績ですが、出品いたしました九つの区のうち七つの区で、上位入賞に当たる優等賞を受賞し、そのうち第1区の若雄の部、あるいは水沢農業高校が出品いたしました特別区におきまして、全国3位となる優等賞3席を受賞するなど、前回、五つの区で優等賞を獲得しました宮城大会の成績を上回る結果となったところでございます。
 これは、今回の大会に向けまして、生産者や関係者が一丸となって、候補牛の育成や飼養管理、調教技術の向上などに取り組んできたことに加え、出品牛の造成に向けては、性判別精液による計画的な交配等、あるいは長距離輸送による体重減少などの影響を緩和する対策を講じたことなどが、今回の成績につながったものと考えているところでございます。
 一方、本県より上位の県と比較いたしますと、種牛の部、体型を審査する部でございますけれども、五つの区で優等賞には入賞したのですが、まだまだ体の大きさが不足している、あるいは肉牛の部では、枝肉重量の不足や肉質がちょっとふぞろいであったことが課題と考えているところでございます。
 今回の成績、要因をしっかり分析しまして、次回の大会に向けて検討していきたいと考えているところでございます。
〇千葉伝委員 そういった結果、評価を踏まえた上で、次回の全国和牛能力共進会は北海道ですか、5年後ということになるわけですけれども、本県の和牛づくりに今回の結果をどう生かして取り組んでいくつもりか、簡潔にお願いします。
〇米谷畜産課総括課長 今回の第12回全国和牛能力共進会鹿児島大会で、全ての区で上位入賞するということで目標を掲げているところでしたけれども、全部では入賞できませんでしたが、種牛の部におきましても、前回よりは体の大きさとバランスが改善されてきている、あるいは肉牛におきましては、今回から脂肪の質評価群ということで、牛肉のおいしさをはかる区が新設されました。その中でのオレイン酸の含有量だけをはかりますと、本県の成績が出品牛の中では2番目という高い成績を示しております。
 こういったことで、本県の和牛の改良が着実に進んでいるものと考えておりますが、まだまだ引き続きそういったものを検証しながら、優秀な種雄牛を造成していきたいと考えているところでございます。
 いずれにしましても、今回の成績をしっかり分析した上で、次回に向けた対策を検討していきたいと考えているところでございます。
〇千葉伝委員 ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 最後に、本県の畜産、特に和牛の将来に向けて、藤代農林水産部長から、その取り組み、意気込みをお聞きして、終わります。
〇藤代農林水産部長 本県の和牛振興についてでございますけれども、今回の第12回全国和牛能力共進会につきましては、私は残念ながら参加できなかったところでございますが、ユーチューブで配信されていましたので、部長室でユーチューブを見ながら応援させていただいたところでございまして、水沢農業高校などが入賞したときは、一緒にいた副部長などとガッツポーズをしたところでございます。
 いずれにいたしましても、本県の牛が、後追いですけれども、九州地方にかなり近づいてきている部分はあるかと思います。また、前回の宮城大会以降取り組んでいる、牛そのものもそうですけれども、取り組む際に、チームで取り組む、生産者の負担がかなり大きいので、それを関係者が全員で支えながら参加する体制もかなり定着して取り組んできたところでございます。いい牛をつくることと、生産者を盛り上げながら関係者が一丸となって取り組む、こういった形で本県の和牛がさらに元気になるように頑張っていきたいと考えております。
〇吉田敬子委員 私からは、県産農林水産物の県内での利用拡大を図る取り組みの一つである、給食施設における県産農林水産物の利用の取り組みについてお伺いしたいと思います。
 県では、2年に1回、給食施設、これは学校だけでなく、保育所、県立病院、公立病院、社会福祉施設等での県産食材の利用について実態調査をしておりますけれども、令和2年度の県産食材の利用割合は59.4%でした。その前の平成30年度の調査の61.4%より微減ということでありました。
 品目ごとの利用状況は、米と牛乳の利用割合が100%に近い一方で、施設ごとの利用状況を見ると、学校は66.5%ですけれども、保育所が44.5%、県立病院になると34.5%となっております。
 この調査結果をどう分析しているのかお伺いします。令和4年度の取り組みにもどのように反映されたのかお伺いします。
〇似内流通課総括課長 令和2年度の県産食材の利用状況調査結果の分析と令和4年度の取り組みについてでありますが、品目ごとの利用割合は、畜産物、水産物、野菜、加工品などが全体平均よりも低くなっており、その要因としては、冬期間の野菜等の安定供給が困難であること、県産食材の価格が外国産、他県産と比べて高いこと、県産食材や納入業者の情報不足等が挙げられると分析しております。
 また、施設ごとの利用割合は、委員から御紹介いただいたとおり、学校と比較すると、保育所や県立病院、社会福祉施設が低い結果となっており、その要因としては、例えば給食業務を外部委託している施設が多いこと、価格面などから県産食材が優先的に納品されていないことなどが挙げられると分析しております。
 このため県では、令和4年度、新たに給食事業者、県学校栄養士協議会との定期的な意見交換の開催、県産野菜、果物のマッチング交流会の開催による商談機会の提供、県内加工事業者等との協力による小学校での地産地消給食と食育授業の実施などに取り組んでいるところであり、今後とも、関係機関と緊密に連携を図りながら県産食材の利用促進に取り組んでいきます。
〇吉田敬子委員 先ほどの御答弁にもありましたけれども、各施設における県産食材の利用状況を品目で詳しく見ると、畜産物は、学校が64.3%達成できているのに、県立病院は33.9%、加工品も、学校は27.6%で、県立病院が6.6%、牛乳に関しては、特に疑問なのが、学校は100%とほぼ県産品でできるのに、県立病院は53.9%。特に牛乳だと県産で100%行けるのではないかと。私は、県立病院でなぜこんなに県産食材が利用されていないのか、県立でありますから、ここをまず高めていくことが私は必要だと思っております。
 病院の食事は確かに一般のものとは違うかもしれませんが、ただ、すりおろすなど加工は必要かもしれないですけれども、原材料は変わらないと私は思っております。
 そういった意味で、県立病院でのさらなる利用拡大促進を図るべきだと思っております。これまで、さまざまずっと給食施設における県産食材への取り組みをしています。先ほども令和4年度の取り組みを伺いましたが、では、例えば県立病院ではどうしてこんなに解消できないのか、それに対して具体的に何か取り組んだのかお伺いしたいと思います。
〇似内流通課総括課長 学校と県立病院での県産食材の利用状況についてということの御答弁をさせていただきます。
 学校給食における食材は、市町村が設置している給食センターが直接発注していることが多く、県産食材を比較的多く取り入れやすい環境になっていると認識しております。
 一方、県立病院では、給食業務を外部委託している病院が20施設のうち10施設ということで半数になっております。給食業務受託者が持っている既存の購入ルートにより食材調達が行われるなど、県産食材が優先することが困難な場合もあると聞いております。
 県立病院におきましては、給食業務を委託する場合、地産地消の観点から、地元食材の利用に留意することや米は岩手県産米とすることを仕様書に盛り込むなど、県産食材の利用拡大に取り組んでいる事例もあると聞いております。
 こうした取り組み事例も参考としながら、県立病院における県産食材のさらなる利用拡大に努めていきたいと考えております。
〇吉田敬子委員 確かに外部委託しているところのさまざまな理由はあるかと思いますけれども、ただ、課題として挙げられている中の生産と流通システムを新たにしっかり確立してあげれば、最初はハードルが高いとは思いますが、そこは農林水産部から、あるいは医療局からなのか、プッシュしていただいて、そこを確立していくことが、私は県産食材の利用拡大につながる大きなところではないかと思って、ここを取り上げさせていただいております。
 平成30年度調査時の今後の取り組みの中で、交流会を通じて、産直施設と給食事業者のマッチングによる食材供給ルートの開拓を支援するとありました。令和2年度調査の今後の取り組みにも、同じように、学校や保育所だけでなく、県立病院や社会福祉施設等の栄養士の職員を対象とした研修会等で県産食材の利用拡大をPRとありました。それについては、先ほど、今年度も栄養士との意見交換ということでやられてはいるかと思いますが、流通課で、この指標の中にも取り組みの一つに書いてあります、商品開発等の支援による6次産業化件数ということで指標をとっておりますが、そういった新しいルートの開発を給食施設でもひとつ取り組んでもいいのではないかと。新しい開発がなかなかできない中で、そういったことを考えられてもいいのではないかと思っております。
 地産地消促進計画等策定の市町村が令和4年度には100%になるということで、各市町村も地産地消に一生懸命取り組んでいるわけです。であれば、そういったルートなどを、納入業者の情報不足ということが常に課題として挙げられていて、課題がわかっているのであれば、そこに県が改めてもっと踏み込んで開発支援等をしていただければいいかと思いますが、御所見を伺いたいと思います。
〇似内流通課総括課長 委員からルートの確立というようなお話がございました。おっしゃるとおり、県産食材の利用拡大に向けては、県産食材に関する生産者あるいは価格、ロットなどのきめ細かな情報提供のほか、年間を通じた安定供給体制の構築、あるいは県内加工事業者とのマッチング機会の創出が必要であると認識しております。
 これらに引き続きしっかり取り組んでいきたいと思います。
〇吉田敬子委員 きょう、たまたま国の資料を見たときに、矢巾町では、給食施設とJAと生産者と3者を結んで、しっかり生産流通システムを確立しているという好事例の資料を拝見しました。結局、市町村でやれるところもあるわけですから、そこを県の他市町村にも御紹介いただいたり、県立病院はまた別ですが、ぜひそういったことを進めて、県産食材の利用拡大に努めていただきたいと思います。
 最後に、国の進めるみどりの食料システム戦略の出口として、今後は、給食施設における有機農産物の利用についても振興を図っていく必要もあるかと思いますが、現在の状況と今後の取り組み方針についてお伺いしたいと思います。
〇似内流通課総括課長 有機農産物の利用についてでありますが、県内の給食施設における有機農産物の利用状況については、済みません、詳細なデータを持ち合わせておりませんけれども、県有機農業連絡協議会からの聞き取りによることを答弁させていただきます。
 一関市の一関地方有機農業推進協議会では、田んぼの学校を開催し、子供たちが参加して、田植えから生き物調査、稲刈りまで、年間を通じて自然環境の保全につながる有機農業の体験を通じた食育活動のほか、生産した有機栽培米を管内の学校給食センターに供給する取り組みを行っております。
 また、今年度、山田町の生産者が、パウダーに加工した有機栽培ホウレンソウを学校給食センターへ供給する計画があると伺っております。
 給食施設における有機農産物を含めた県産食材の利用拡大は、生産者の所得向上や地産地消につながる重要な取り組みでありますから、栄養教諭など給食関係者に対する県産食材の利用促進に加え、新たに県学校給食会や学校給食センターなど、関係機関との食材供給に向けた連携体制の構築に取り組んでいきたいと思います。
〇吉田敬子委員 一関市と山田町でいろいろ取り組みが開始されているということを伺いました。県でも、今後のアンケート調査で食材の有機野菜の活用についての項目も追加していただけるということで、期待しておりますけれども、そういったところで調査しつつ、県内食材を含めて有機農産物も振興を図っていただきたいと思います。
〇名須川晋委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
   午前11時0分 休 憩
午前11時17分再開
〇名須川晋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇佐々木努委員 私も畜産振興について1点伺いたいと思います。
 先日、全国和牛能力共進会が終わったわけでありますけれども、これまで、令和3年度までの取り組みの成果がどのような形で全国和牛能力共進会の成績にあらわれたのか、それを最初にお聞きします。
〇米谷畜産課総括課長 第12回全国和牛能力共進会鹿児島大会に向けての取り組みと、その取り組みの成果についての御質問です。
 第12回全国和牛能力共進会鹿児島大会に向けまして、これまで県では、候補牛の育成や飼養管理あるいは調教技術の向上などに生産者の皆様と一緒になって取り組むということで、現地機関、関係機関等と一緒にチームをつくりまして指導に当たりました。定期的に巡回をしながら、出品候補牛の飼養管理あるいは調教技術の向上等に取り組んできたところでございます。
 これに加えて、それらの生産者あるいは指導者を対象といたしまして、技術向上のための研修会等を開いております。これにつきましては、出品区、農業高校、岩手県立農業大学校の学生たちにも来ていただきまして、一緒になって研修等に参加していただいて、出品技術の向上に努めてきたところでございます。
 また、あわせて、今回は鹿児島県での大会ということもありまして、先ほど答弁申し上げましたけれども、遠距離輸送に耐えるように、長距離で、1、900キロメートル離れているところまで持っていくということで、その影響を緩和するための対策を講じたところでございます。
 種牛、肉牛それぞれ、添加剤、栄養剤等を加えることでストレス緩和、体重減少等を抑えるといったことも確認し、それを用いまして、まず、今回の鹿児島県に行った出品者の方々からは、前々回の長崎県のときとは牛の状態が全然違う、ベストな状態で審査にも臨めたというお言葉をいただいているところでございます。そういった取り組みが今回の成績につながったものと考えているところでございます。
〇佐々木努委員 冒頭言い忘れましたが、大変お疲れさまでした。
 先ほどの千葉伝委員の質問の中で、どのような評価をされたのかということで、九つの区のうち七つの区で優等賞を獲得したということで、前回を上回ったということで、聞くと何となく評価が高かったと思うわけでありますけれども、私も、いただいた資料のほかに全体の成績表を見せていただきました。やはり九州勢が圧倒的に強い。特に鹿児島県、宮崎県が強いということで、この差が果たしてこれから埋まるのかなという思いで成績表を見ていました。
 米谷畜産課総括課長も鹿児島県に行かれていろいろと見てきたと思いますが、上位入賞は果たしましたけれども、1等というのですか最優秀、1席、2席はとれないということ、この差はどういうものなのか。何でこのような差がついているのかということについて、どのような感想を持って帰られましたでしょうか。
〇米谷畜産課総括課長 優等賞はとりましたけれども、まだまだ上位の県、特に九州勢が強いということで、私も現地で九州勢の取り組みというか牛を見た感じですけれども、感覚といたしますと、岩手県の牛も、前回はちょっと体が小さかったということで、その部分を改善しようということで取り組みました。その辺の体型あるいは体の大きさは向上してきておりますが、やはり九州勢の牛の大きさとか体型のバランスがいいとか、そういったところは、まだまだ九州地方の鹿児島県、宮崎県の牛のつくりが大きいかと思っておりました。
 ただ、やはりそれは群を抜いて九州地方の牛が他道県よりもレベルが高過ぎるのではないかという見方をしております。
〇佐々木努委員 その差はどこから来るのですか。
〇米谷畜産課総括課長 済みません、そこまでわかりかねますけれども、多分、選抜の段階で大きい牛が選べるのではないかと思います。選抜の母集団が鹿児島県、宮崎県は大きいので、母集団が大きい中から選抜できるということがあるのだと思います。
〇佐々木努委員 私もそのとおりだと思います。岩手県が3万2、000頭ぐらいですか。鹿児島県は12万頭に届こうとしておりますし、宮崎県も8万頭を超しているということ。母数が多ければ、それだけいい牛が選べるというのは当然のことでありまして、私も、その差が非常に大きいのかなと。だから、頭数での差を埋めるためには、よほどの努力をしていかないと、岩手県はトップには立てないだろうということを改めて思いました。
 それから、生体だけではなく、肉の部門については、私は正直、岩手県は今回は惨敗と言ってもいいのではないかと思います。生産者の方は頑張ったと思いますし、それは認めますけれども、成績だけ見れば非常に残念な結果に終わったということで、これは大いに反省しながら、今後のことについても考えていかなければならないと思います。
 この差は、私は頭数ではなく、やはり種雄牛の差だと思います。優秀な種雄牛、あと優秀な雌牛ですね。それの差が、やはり肉の部においては出てしまうのかなということで、これも何とか改善していかなければならないと思います。
 そのためには、一般質問のときにも取り上げましたけれども、優秀な種雄牛をどのようにつくっていくか。私は、全国和牛能力共進会が目標ではないと実は思っています。全国和牛能力共進会でトップになっても、市場評価が低かったりいい肉ができないのであれば、それは全体的な評価にはつながらないし、繁殖農家のためにも全然ならないと思います。コンスタントにいい牛が岩手県から生産されて、そして肉になって評価される、そのための取り組みを―取り組みが一番だとは思いますが、それにつけても、種雄牛造成、そして、優秀な繁殖雌牛をいかにして残していくかが、本当に大きな課題として見えた全国和牛能力共進会ではなかったかと、私は総合的に評価しているわけであります。
 この間の一般質問では、繁殖雌牛の導入について藤代農林水産部長から答弁をいただいたので、引き続きそれはやっていっていただきたいと思いますし、私は、もっともっと予算を投入して、優秀な繁殖雌牛の保留に取り組んでもいいと思っています。財政的なことで厳しいのは承知していますけれども、また5年後に、今度はもっと上位という思いがあるのであれば、この5年間、他県に負けないような取り組み、繁殖雌牛の確保についての取り組みを進めてほしいと。私も応援しますので、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。
 そして、問題の種雄牛造成でありますけれども、何度も申し上げておりますとおり、岩手県の種雄牛造成のあり方が、生産者の方から言わせると、かなり周回おくれになっていて、これ以上頑張っても、なかなか他県には追いつかないだろうという状況に今あると指摘されています。
 そのことから、県の血統が入った種雄牛をつくりたいという思いは私も同じでありますけれども、やはり、それにこだわり過ぎて他県との差がどんどん開いていくようなことにならないように、そこは、さまざまな生産者団体の方々とも話をしながら、いかにこだわりを捨てて、新たな取り組みによっていい種雄牛をつくっていくかということを真剣に議論していってほしいと思っています。
 二つ目の質問は、いわて牛産地育成革新技術推進事業の強化についてということで通告しておりましたが、これは、優秀な種雄牛をつくるために、県の種雄牛の血が入った優秀な雌牛を選抜して、ゲノム解析をするという事業でありまして、昨年度は484頭のゲノム解析を行ったということであります。
 私は、もちろん今、ゲノム解析というのは全国で主流になっていますので、これはもう多分500頭の枠しかないと思うのですが、その頭数にこだわらず、県内で生産される繁殖雌牛の全頭ゲノム解析をするぐらいの取り組みをするべきだと思います。そして、いいものを残して、残念ながら余り成績のよくないものはどんどん更新していくという形で、優秀な雌牛群をまずはつくっていく取り組みをしてほしいと思います。
 優秀な育種価を持っていても、結局、県種が入ったものしかこの事業ではゲノム解析をしていないという今の状況でありますから、生産者の中では、ほかから連れてきたいい牛で、育種価が非常に高いけれども、結局、県のこの事業の対象にならないから、じゃ、自分でゲノム解析をするかということもありますし、本当に優秀な牛だけれども、ゲノム解析をしないままずっといるというもったいないことも起きている可能性があると私は思います。
 この事業は、種雄牛をつくるための事業ではあると思いますけれども、一方で、優秀な繁殖雌牛を保留するための事業でもあるという認識に立って、この枠を拡大することも必要だと思いますが、いかがでしょうか。
〇米谷畜産課総括課長 現在のいわて牛産地育成革新技術推進事業につきましては、まず、種雄牛造成を目的に、交配する雌牛を選ぶ手段としてゲノム解析を使っております。
 そういう目的で今まで3、500頭ほど県内の繁殖雌牛のゲノム解析を行ってきているところではございますが、まず、目的といたしましては、種雄牛造成のための雌牛交配ということで、今事業を組んでいることを御理解いただきたいということでございます。
 ゲノムで育種価がわかることによって、保留の判断基準として使えるということもありますので、今後、それにつきましては検討させていただきたいと考えているところでございます。
〇佐々木努委員 一般質問でも申し上げましたが、やはり他県との子牛市場の差を埋めるには、先ほど千葉伝委員からも質問があったとおり、県種がなかなか使われない、それだけ評価が低いということでありますから、そういう状況にあっても、子牛は高く買ってもらう努力を、生産者はもちろんですが、県にもやっていただきたい。この事業については、今回の全国和牛能力共進会の結果を受けて、また次を目指す観点からも、新たな事業展開という考え方でやってほしいと思っております。
 最後に藤代農林水産部長に、今回の第12回全国和牛能力共進会鹿児島大会の結果に満足されているのかどうかと、5年後に向けて、私は、農林水産部にはやってほしいことがたくさんあるわけでありますけれども、岩手県が他県に負けないよう、九州勢に負けないような産地にするために、どのような思いを持ってこれから取り組んでいかれるのかをお聞きして、終わりたいと思います。
〇藤代農林水産部長 和牛振興についてでございますけれども、今回の第12回全国和牛能力共進会鹿児島大会についてどう捉えているかというところですが、前回と比較すれば、今回、着実に5年間の成果が出たかとは思っておりますが、委員御指摘のとおり、種牛のほうでは上位に行った部分もありますが、肉牛のほうで、これは県有種雄牛の実力不足が如実に出たのかとも捉えております。
 何が実力不足かといいますと、例えば、脂肪交雑の部分では、BMSで8番以上は同じ評価というくくりになりますので、例えば枝肉とした際の体の大きさですとか、あるいはロース芯面積というのがあるのですけれども、そういったところで九州勢と本県とは如実に大きく差が出たと思います。そこが和牛の遺伝的能力の大きな差ではなかったかと捉えております。
 これについては、先ほど佐々木努委員から、例えばゲノム解析を雌全部にやるべきではないかという話がありましたが、県でも予算枠がありますので、改良の分と、あとは子牛をつくるための分を分けた形で、県がやる分、あるいは地域には育種組合がございますので、どういう役割分担ができるかについても、これからいろいろ検討していきたいと思います。
 また、全国和牛能力共進会で上位に入ることも大事ですけれども、生産者が収益を上げていただくことが一番大事ですので、県では、もうかる牛をつくっていただけるような素地を関係者と一緒につくり上げていくことが大事かと思います。そういったところで、生産者の皆さんが元気の出るような、あるいはいい牛がつくれて、高く売れたなといった状態になれるように努力していきたいと考えております。
〇佐藤ケイ子委員 私からは、まず、水田収益力強化ビジョンについてお伺いいたします。
 市町村要望などでお伺いしますと、水田活用直接支払交付金の見直しに対しては大変不安を持っていらっしゃいますし、そして、この制度の維持を要望する声が大変多かったと思っております。今、こういう制度が変わることによって、生産意欲が減退したり、また、耕作放棄地がふえてくるのが目に見えているということで、大変心配されているわけです。
 そんな中で、岩手県では、令和4年度岩手県水田収益力強化ビジョンをつくっているようでありまして、その中で水田の活用が出ているようであります。本当は、令和3年の産出額の実績などをお伺いしたかったのですけれども、それは集約されていないということなのでいいのですが、農業所得がどうだったかということです。令和3年産米は、米価の下落もありまして、そして、5ヘクタール以下の農家の経営体は全て赤字だということだったわけですけれども、平均的な経営体、米農家の面積分類ごとの標準的なところで、農業所得は実際どうだったのかお伺いいたします。
〇吉田水田農業課長 農業所得の状況についてでございますが、令和4年産のひとめぼれの相対取引価格と、最新の令和2年産の生産費から算出したものを御説明させていただきます。
 令和4年産のひとめぼれの9月の相対取引価格をもとに、9月25日現在の国の作柄概況で示されました本県の10アール当たりの予想収量であります537キログラムを用いまして、10アール当たりの収入額を試算いたしますと、11万7、925円となっております。
 生産費ですが、最新の値となります令和2年産の東北地方の米生産の作付規模別の自作地地代等を含む全算入生産費は、県の平均作付規模に当たる1ヘクタールから3ヘクタールの作付規模で、10アール当たり13万1、271円、3ヘクタールから5ヘクタールの作付規模で、10アール当たり11万4、664円、5ヘクタールから10ヘクタールの作付規模で、10アール当たり10万1、455円となっており、3ヘクタール以上の規模で収入額が生産費を上回る状況となっております。
〇佐藤ケイ子委員 何か前に聞いていたのと少し違うなと思ってお聞きしました。今の答弁ですと、3ヘクタール以上は何とか収益が出ているという答弁ですね。そうなのですか。私が農家の皆さんから聞いているの少し違うと思ってお聞きしました。
 それはそれとして、今度は飼料のほうですけれども、転作をして飼料作物をふやしていこうという話になるわけですが、飼料が今、輸入は非常に価格が高騰していたり、また、国際情勢で入ってこないとか、中国に買い負けているとか、さまざまな状況があって、飼料も本当に大変な状況です。国内で、県内で自給率を高める施策が必要だと言われているわけですけれども、飼料作物の作付面積、その中でも子実用トウモロコシの作付はどうなっているのでしょうか。
 子実用トウモロコシは、前に岩手県農業研究センターでも見せてもらったのですけれども、これからの飼料は子実用トウモロコシが有力だということでありまして、大豆や麦との連作障害が緩和できるとか、労働時間が少なくて時間当たりの収益が高いとか、さまざまな利点が出ているようなので、岩手県もそれに取り組み始めたということですが、どういう状況でしょうか。
〇吉田水田農業課長 飼料作物でございますけれども、先般、国が公表いたしました令和4年産の水田における作付状況によりますと、飼料作物の作付面積は7、315ヘクタールとなっております。
 このうち、子実用トウモロコシの作付面積は公表されておりませんので、お示しするのは難しいところですけれども、県では、来年度の子実用トウモロコシ等の作付拡大に向けまして、現在、畜産農家等の需要を調査しているところでございます。
 今後とも、本県の飼料自給率が向上していくよう取り組んでまいります。
〇佐藤ケイ子委員 それが幾ら作付しているかまだ集約できていないというのも、ちょっとよくわからないのですけれども、令和4年度岩手県水田収益力強化ビジョンの中では、飼料作物は本県で7、612ヘクタールの目標、そのうち子実用トウモロコシは27ヘクタールの予定だという資料になっているのですが、これはホームページからなのですが、その意味が私にはよくわからなかったのです。
 それから、今度、実需者とのマッチングということですけれども、飼料用米とか飼料作物を生産して、県内でというか国内でというか、きちんと循環させられているのかよくわからないということがあります。前の前の一戸町の町長にお聞きしたときに、県南地域では耕作放棄している田んぼもあるのだけれども、県北地域の畜産農家では飼料が足りないのだ。だから、どんどん飼料を県南地域でつくってもらって、そして、県内で回せるような仕組みをつくってほしいということをおっしゃったことがあって、私はずっとそれが気になっていたのです。
 県内で生産された飼料が回っていないのではないかという声があって、では、そのマッチングはどうなっているのかお伺いいたします。
〇米谷畜産課総括課長 飼料作物全般の県内での自給というお尋ねかと思います。
 まず1点目です。今回、子実用トウモロコシにつきましては、来年作に向けまして、改めまして畜産農家、特に中小家畜、豚、鶏の農家等で、どのくらい使いたいかという需要調査を現在、園芸課と一緒に取り組みを進めているところでございます。
 また、県内で子実用トウモロコシ以外、牧草等も含めて、今回の餌高等もございまして、では、県内でどれぐらい供給、他の地域に回せるかというところを毎月情報提供していただくようにしております。それを今度、不足しているところがあれば、それの情報を持って調整するということを、広域振興局の現地機関を中心に取り組んでいるところでございます。
 今年度、取り組み始めましたけれども、今年度は天候不順で、なかなか牧草の余剰なところが出てこないところもございまして、全体的に他の地域に回すところまではまだ行ってはいませんが、そういった取り組みはこれからも続けていくことにしております。
〇佐藤ケイ子委員 水田のフル活用ということでさまざまな施策があるのですけれども、何か昔から国の農政に協力すると損をする、国に追従しないほうが成功するのだという農家の方の声を聞いたことがあるのですが、どうも今の国の農業政策は、どんどん作付させないような取り組みになっている。その割には奨励金も絞るというようなことです。
 海外でも、農業を応援するということで、アメリカでもヨーロッパでも、直接払いのほうに農業政策がどんどん移行しているわけですけれども、どうも日本は、国内の米価の維持だけにとらわれていて、作付を制限するような農政だと思って、私はこの農業政策はどんなものか、これでは農家は生きていけないといつも思っているのです。
 どうやったら農家の収益が上がるか。農家の収益が上がると、やはり若い人が農業に従事する。この人口問題にも影響する話になりますので、本当に農家の所得を上げることに、とにかく国の制度改正も要望しながら取り組んでいただきたいと思っております。
 農家の所得向上について、藤代農林水産部長はどのような所感を持っているでしょうか。
〇藤代農林水産部長 農家の所得向上についてでございますけれども、農林水産部は、農業振興を含めた1次産業を振興する部でございますので、また、ここ数年、収益力向上を部のスローガンに掲げて、さまざまな施策に取り組む、あるいは現地機関の普及センターで農家の皆さんの指導に当たるというようなことを行っています。
 国の施策はいろいろありますけれども、これをうまく使いながら、自分の経営内でもうかる経営をしていただくような経営体をつくっていくというところで、農林水産部は取り組んでいるところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 では、次の質問に移ります。鳥獣被害対策についてでございます。
 これも、市町村要望では、鳥獣被害対策を強化してほしいという要望があちこちからかなり出るわけです。捕獲の取り組みもそうですし、鳥獣被害対策の助成制度の充実強化を求めたり、焼却施設、個体の広域処理の設置とかといったさまざまな要望が各市町村から出るわけです。
 では、鳥獣被害の状況はどうだったのか、被害額、件数など、改めてお伺いいたします。
〇村上担い手対策課長 本県の野生鳥獣における農作物の被害額についてでございますけれども、令和3年度におきましては約4億1、000万円となっておりまして、このうちニホンジカが約2億1、000万円、イノシシが約5、000万円となっている状況でございます。
 なお、農家の件数につきましては、NOSAIとか農協が詳細な調査もやっておりますので、把握はしていないところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 被害額とか、これも表に出た件数、被害額はそうかもしれないですけれども、実際は、申告されていない被害もたくさんあるのではないかと思っていて、これも本当に深刻な状況だと思っています。
 前に雫石町にお邪魔したときに、役場総ぐるみで、役場職員も狩猟免許を取って、地域の方々と一緒にイノシシを捕獲する、駆除する取り組みをしていたのを見せてもらいました。大変すばらしいことだと思いましたが、それでも苦労なさっていると思って見てきました。
 さらにこういった取り組みを進めてほしいと思うのですけれども、鳥獣被害対策事業の実績、捕獲の状況、助成制度の活用状況はどうだったかお伺いいたします。
〇村上担い手対策課長 令和3年度の鳥獣被害対策事業に係る実績ですけれども、捕獲状況につきましては、ニホンジカが約2万6、000頭で、このうち、この事業を活用した捕獲は約1万2、000頭でございます。イノシシが約950頭で、このうち、この事業を活用した捕獲は約500頭となっております。
 本事業につきましては、鳥獣被害防止計画を策定した市町村において有害捕獲などの経費を支援するものでございます。令和3年度におきましては、この事業の活用は、25市町村で約2億円が活用されているところでございます。
 県では、市町村に対しましても、本事業を積極的に活用してもらうことをいろいろな場を通して周知している状況でございます。
〇佐藤ケイ子委員 わかりました。それでは、次の質問に行きます。
 農業団体の女性役員の登用についてですけれども、農業委員会における女性委員の状況はどうだったでしょうか。3割が全国的な目標になっているのですけれども、農林水産省の調べでは、2021年度末で12.4%だったということであります。本県の状況、人数、割合、空白委員会があるかどうかお伺いいたします。
 あと、JAの状況についてもお伺いいたします。
〇中村技術参事兼農業振興課総括課長 私からは、女性農業委員の状況についてお知らせいたします。
 本県の女性農業委員につきましては、直近の国の公表データによりますと、令和4年3月31日現在でございますが79名ということで、農業委員の総数がこの時点で423名でございましたので、その占める割合は18.7%といった状況になっております。
 また、空白委員会というお尋ねでございますが、女性農業委員が登用されていない農業委員会は、このデータの時点では1市町村となっておりましたけれども、先般、各市町村に確認いたしましたところ、当該市町村におきまして、本年9月1日から女性委員が任命されたということでございまして、現在は解消されている状況にございます。
〇中野参事兼団体指導課総括課長 本県のJAにおける女性理事の状況についてでございますが、御質問のあった理事に、理事会の上位機関である経営管理委員会の委員を含めると、県内全てのJAにおいて女性が理事等に就任しており、その総数は、令和4年度通常総代会終了時点において21名で、全体に占める割合は約14%となっているところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 各団体でも女性の登用を意識づけてもらっているはずですけれども、まだまだだなと思ってお伺いしました。来年度は、全農業委員会の7割が改選期を迎えることになります。これで女性委員の登用の推進、そして3割を達成するということの取り組みを広めていただきたいと思っているところです。
 今、消費者側の委員の方々も農業委員に選出されておりますので、ぜひ、各市町村委員会にも意識づけを図っていただきたいということを申し上げて、終わります。
〇名須川晋委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午前11時55分 休 憩
午後1時2分再開
〇川村伸浩副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇臼澤勉委員 それでは、私からは、まず飼料価格高騰に関する質問をさせていただきたいと思います。
 午前中も各委員から質疑がありましたけれども、現在、畜産業を取り巻く環境は、生産資材価格の高騰や飼料の高騰等、今、生産現場では甚大な影響を受けているという認識でございます。先般、農業団体からも御要望をいただいているかと思うのですけれども、やはり畜産県岩手として、万全な対策に取り組んでいかなければいけないということで質問させていただきます。
 まず、購入粗飼料の価格上昇の評価、そして、畜産経営に与える具体的な影響をどう把握しているのかお伺いいたします。
〇米谷畜産課総括課長 購入粗飼料の価格上昇の評価と畜産経営に与える影響についてでございますが、輸入乾草価格は、国際情勢の変化等によりまして令和3年4月以降上昇が続いております。令和4年8月の価格ですが、1トン当たり6万584円、前年同月に比べ約45%上昇しておりまして、畜産経営体への負担が増しているものと認識しているところでございます。
 県では、飼料等の高騰による畜産経営体への影響等を把握するため、本年5月に畜産経営体等にアンケート調査を行っております。そのアンケートの結果、飼料や燃料等の高騰により資金繰りが悪化するなどの厳しい状況にあり、国の配合飼料価格安定制度の見直しや、自給飼料生産への支援を要望するといった回答が多く寄せられていたところでございます。
〇臼澤勉委員 本当に畜産経営においては、この飼料価格の高騰は日々のことでありますし、ダイレクトに響いてくる問題というふうに思います。
 今、前年同期比で45%上昇というお話がありました。そして、今の原油高とのダブルパンチというか二重苦の状況の中で、畜産経営において、原油高とか飼料価格というのはどう影響を及ぼしているのか、県の評価、御認識を改めてお伺いいたします。
〇米谷畜産課総括課長 資材高騰によりまして、経営に大きく影響を及ぼしているとは認識しております。いずれにしても、例えば、販売価格が大きく変わらない中にあって経費等がかさんでいるということで、収益等が低下しているものと認識しております。
〇臼澤勉委員 聞き方がちょっと言葉足らずだったかもしれないですけれども、我が県の農業生産額が約2、600億円で、畜産が50何%を占める、御案内のとおり畜産県ですね。そういった中で、やはり価格の高騰は、岩手県の農業全体にも大きな影響を与えるものだと私は捉えております。
 そういった中で、粗飼料に係る支援を初め、畜産県岩手としての県独自の影響緩和対策を講ずるべきと思いますが、いかがでしょうか。
〇米谷畜産課総括課長 県独自の影響緩和対策ということでございます。
 午前中の答弁でも申し上げましたけれども、まず、配合飼料価格安定制度につきましては、国に対して、満額交付されるようにということで要望しているところでございますし、また、県独自に、令和4年6月補正予算で、配合飼料価格安定制度を補完する制度ということで予算措置をさせていただいたところでございます。
 あと、自給飼料、粗飼料の関係でございますけれども、粗飼料確保に向けては、現在、水田を活用いたしました稲ホールクロップサイレージ、あるいは飼料用米、子実用トウモロコシの生産を推進しているところでございます。
 さらに、今年度からですが、私どもとしましては、牧草地の生産を高めるということで、簡易な草地更新あるいは飼料用トウモロコシの収穫後にライ麦を作付する二毛作など、あと、豆科牧草、アルファルファ等の作付を改めて推進することで、4月には生産者向けのリーフレット等を作成いたしまして、現地機関を通じて作付等を推進してきているところでございます。
 それにあわせまして、生産者を指導するための普及員等の技術指導等の研修会、二毛作あるいはアルファルファの作付に向けた指導のための研修会を開催しております。現在、そういったことで、まず自給飼料の生産を拡大していきましょうということで、現地機関には推進をお願いしているところでございます。
〇臼澤勉委員 県でことし6月に、3号補正だったかと思いますが、配合飼料安定緊急対策費を2億8、900万円ぐらいだったですか、予算措置していたかと思うのですけれども、ここら辺の執行状況が今どのような形で使われているのか、改めてお伺いしたいと思います。
〇米谷畜産課総括課長 令和4年6月補正予算で措置しました配合飼料価格安定・高騰緊急特別対策事業についてでございますが、この事業につきましては、本年度の4月から6月までの第1・四半期を事業対象期間といたしまして、国の配合飼料価格・経営安定対策制度が発動してもなお、その補填金が十分に餌代の差額を埋め切れないところを補完するということで措置したものでございますが、第1・四半期に急激な円安等が進みまして、輸入飼料・原料価格がかなり高騰いたしまして、国の制度の補填金が予想以上に出たものでして、県の制度は第1・四半期には発動しなかったところでございます。
〇臼澤勉委員 つまりは、この2億8、900万円の予算措置は、余り使うことなく今に来ていると理解いたします。
 それで、全国の都道府県の対策を私なりに調べてみましたところ、新型コロナウイルス感染症対策の地方創生臨時交付金を活用している各県で畜産県と言われている県は、それなりのボリューム、億単位というか、そういった措置をしながら、飼料価格の高騰対策や配合飼料の安定制度に向けての取り組みなども行っているわけであります。
 ほかの自治体との単純な比較はできないのは重々わかっております。ただ、やはり畜産県岩手という冠を掲げている以上、今の緊急事態といいますか、現場の畜産農家の生産者の方々の声を聞くと、もう喫緊の課題というか、本当に悲鳴を上げているような状態になっております。当然、県にも届いているとは思うのですけれども、10億円単位とかは言いませんが、やはり岩手県の今の状況に応じたそれなりの予算規模を確保して対策を講じる必要があると思うのですが、改めて、そこら辺の御所見をお伺いいたします。
〇米谷畜産課総括課長 飼料価格が高騰しており、畜産経営に大きな影響を与えていることは重々認識しておりますので、私どもといたしましては、国等の対策も活用しながら、その動向等も注視しながら、それに加えて、県としても今後どのような対策が打てるのかということを、対応が可能かどうか検討していきたいと考えております。
〇臼澤勉委員 財政当局との交渉というか折衝が当然あるわけでございますから、担当部局では今は軽々には言えないと思いますが、ただ、担当部局としての思いをぶつけてほしいと思います。
 それで、県内の畜産農家の方でも、畜産クラスター事業における資材価格の急激な高騰で、本当に20億円で応募しようと思ったら、価格が高騰して、もう20億円では補助を受ける意味がなかなかないというような声も聞いております。
 ぜひ、ここら辺の資材価格の急激な高騰に対する万全な対策もお願いしたいと思いますが、御所見をお伺いいたします。
〇米谷畜産課総括課長 畜産クラスター事業についてでありますが、補助率が事業費の2分の1以内とされておりますけれども、補助金交付対象事業費に上限が定められております。平米当たりの単価の上限が定められていることで、現在のように建築資材単価が上昇しておりますと自己負担割合がふえるということで、事業を活用して施設整備を希望している生産者にあっては、施設整備規模の縮小とか資金計画の見直し等を余儀なくされているというお話も聞いております。
 このため県では、国に対して、畜産クラスター事業につきまして、建築資材の価格上昇を踏まえた補助金交付対象事業費の上限の見直しをしていただきたいと要望しているところでございます。
〇臼澤勉委員 今は畜産クラスター事業を例に挙げましたけれども、県の農林水産部が所管する事業において、ほかにも資材価格の高騰によって事業費等の見直しが必要なものも出てくるのかもしれません。ぜひそこら辺は、ここは質疑にはいたしませんが、少し検討をしていただきたいと思います。
 そして、この飼料価格高騰対策に関する最後の質問にいたしますが、岩手県の場合は、やはり耕畜連携、土づくりも含めて、ここが岩手県の農業のブランド化において最も重要なポイントになると捉えております。
 そういった意味で、化学肥料の軽減、脱却を含めて、有機肥料や循環型の施肥栽培、環境保全型農業といったものを推進していく時期かと思います。こういった環境の変化を受けて改めて取り組むべきと思いますが、御所見をお伺いいたします。
〇竹澤農業普及技術課総括課長 県では、化学肥料等による環境への負荷を低減し、自然循環機能を維持、増進する環境保全型農業を推進しており、これまで、高品質な堆肥の生産や堆肥を活用した土づくりなど、耕畜連携による堆肥等の活用を進めてきております。
 また、最近の肥料価格の高騰等を踏まえまして、本年1月に作成しました肥料コスト低減技術マニュアルに基づきまして、農業普及員が、土壌診断に基づく適正施肥や化学肥料に代用できる堆肥の利用方法など、化学肥料コストの低減につながる技術を指導しているところでございます。
 さらに、本定例会において、肥料コストの低減等に向けた機械や設備の導入への支援に要する経費を盛り込んだ補正予算を可決いただいたところでございまして、こうした支援策を迅速かつ確実に実施していくとともに、今後とも、本県の強みであります畜産由来の豊富な有機物資源を活用した土づくりを進めるなど、関係機関、団体と連携しながら、資源循環型の環境保全型農業を推進してまいります。
〇臼澤勉委員 ぜひ、みどりの食料システム戦略に基づき、また、次の質問にも絡むのですけれども、食育の取り組みにもかかわってくるのですが、そういった安全・安心、そして、岩手県の農畜産物は安全だというようなことで取り組んでいっていただきたい。
 そして、今度、令和4年11月1日から乳価がキログラム当たり10円引き上げられるということで、牛乳、乳製品の消費拡大対策もしっかり取り組んでいかなければいけないと思うのですけれども、県としてどのように対策を講じるお考えかお伺いいたします。
〇似内流通課総括課長 酪農家が安心して生乳を供給するためには、牛乳や乳製品の消費拡大の取り組みは重要であると考えております。
 県ではこれまで、県牛乳普及協会など関係団体と連携し、牛乳、乳製品などの栄養に関する知識の普及や酪農に対する理解を醸成し、牛乳、乳製品の消費拡大を図るため、ミルクフェア、牛乳、乳製品利用の料理コンクールの開催とともに、県内20の小学校を対象に、酪農に関する授業やバターづくりの体験を行う酪農出前教室の開催などの取り組みを支援してきたところであります。
 さらに、今年度は、県からの働きかけにより、県内量販店で6月、10月に開催いたしましたいわてうまいもの市において乳製品の販売コーナーを設置しており、今後とも、量販店、乳業メーカーなどと連携しながら、牛乳、乳製品の消費拡大を図る取り組みを進めてまいります。
〇臼澤勉委員 牛乳、乳製品の需要が非常に減退している中で、生産費がキログラム当たり25円とかと上昇しているとも聞いているわけでございまして、ここら辺、具体的な消費拡大対策、イベントとかという部分も大事だとは思うのですけれども、需給ギャップをしっかりこの消費拡大対策が縮める、ギャップを埋める取り組みに、ぜひ関係団体ともしっかり連携して取り組んでいただきたい。
 最後に、午前中、吉田敬子委員からも質問がありました内容ですが、私は、規格外の農林水産物を地域で集荷して、県立病院に限らず、岩手医科大学附属病院、あるいはそういった施設等で提供する仕組みを岩手式として取り組むべきだと思います。収益力向上に向けてどう取り組むお考えかお伺いいたします。
〇似内流通課総括課長 規格外あるいは未利用の農林水産物の利用は、これまで廃棄していたものから収入を得ることができるため、御紹介あったとおり、生産者の所得向上につながる有益な取り組みの一つと認識しております。
 県では、規格外の三陸産カキ等をフレーバーに使用した米粉スナックや収穫段階で傷ついたトマト等を活用した野菜ドレッシングなど、これまでは廃棄せざるを得なかった農林水産物を活用した商品の開発を、専門家派遣などにより支援してきたところであります。
 臼澤勉委員から御紹介いただきました病院あるいは施設での利用拡大に当たっては、安定供給体制の構築や給食事業者とのマッチング機会の提供などが必要であるということであります。
 県としては、利用側の施設、供給側の施設のニーズを十分に聞き取りしながら、生産者の所得向上に向けて効果的な仕組みを今後研究してまいりたいと思っております。
〇臼澤勉委員 ニーズのある病院あるいは施設においても、地元のものをしっかり使っていただきたい。ただ、当然流通経路の流れの中でなかなか入り込めないという部分も重々承知しております。
 ただ、そこら辺の集荷あるいはそういった加工施設に向けても、それぞれ各地域地域でそういった対応ができるような制度とか仕組みをぜひ検討していただきたいと思います。
〇佐々木朋和委員 私からも、午前中に議論がありましたけれども、鳥獣被害対策についてお伺いしたいと思います。
 具体的推進方策指標のニホンジカの捕獲数ですけれども、毎年1万頭を計画しております。この根拠は、平成29年の推定生息数を3万9、977頭として、令和5年度までに半減、2万頭程度にするということで行われております。令和2年度までの推移を見ますと、捕獲数は目標を上回る進捗となっておりますが、この推定頭数から見た進捗はどのようになっているのか伺いたいと思います。
〇村上担い手対策課長 令和3年度に県が公表しました岩手県における平成30年度秋時点のニホンジカの推定個体数は10万7、000頭でありまして、それを踏まえて令和4年3月に策定しました第6次シカ管理計画では、当面2万5、000頭以上の捕獲目標を設定しているところでございます。
 令和3年度のニホンジカの捕獲頭数は約2万6、000頭となっておりまして、捕獲目標の年間2万5、000頭を上回る実績となっております。
〇佐々木朋和委員 このKPIで見たときに、令和5年度に2万頭程度ということでしたけれども、それと比べると今の進捗は、全体のニホンジカの個体数を目標としたときに、県としてはどのように評価しているのでしょうか。
〇村上担い手対策課長 先ほど申し上げましたとおり、平成30年度秋時点での推定個体数が約10万7、000頭とされておりまして、それを踏まえて第6次シカ管理計画で年間2万5、000頭以上の捕獲ということで、実績として2万6、000頭を捕獲しているので、それを上回る実績なので、進捗としては計画どおりの捕獲になっているという形なのではないかと思っています。
〇佐々木朋和委員 そのときの推定頭数10万頭余りから毎年2万5、000頭ずつとっていけば、これって総数からそのまま減っていくということですか、それとも、また生まれたりしているので、現在としてはどのぐらいになっているというところは出しているのですか。
〇村上担い手対策課長 推定個体数が約10万頭ということで、内的自然増加率というものがございまして、それが大体21%ぐらいだということは聞いています。ですから、生まれたりとか、そういうことで徐々にふえていくという形ですけれども、第6次シカ管理計画においても自然増加率を踏まえながら設定しておりますので、2万5、000頭はその21%よりも下がる形で設定しておりますので、若干減ってきている形であるとは考えられております。
〇佐々木朋和委員 若干減りつつある。ただ、この計画をつくった時点と比べると、やはりコントロールがなかなか難しい状況だと思いますし、きのうの環境生活部での審査でも、これ以上頭数をふやしていけるのかというと、なかなか厳しいという話もありました。
 そういった中で、ニホンジカのみならず、農業団体からの要請書等には、熊、ハクビシン、イノシシ、猿の要望も上がってきております。そういったときに、ほかの鳥獣の捕獲数について、今、第2期アクションプランに臨むわけでありますけれども、こういったもののKPI化の進捗のコントロールの必要性について、どのように認識していますでしょうか。
〇村上担い手対策課長 国では、農林業や生態系等に深刻な被害を及ぼしている鳥獣につきまして、平成25年度に抜本的な鳥獣捕獲強化対策を開始いたしまして、ニホンジカとイノシシの生息数を10年後までに半減させる目標を掲げております。それで捕獲強化に取り組んでいます。
 県においても、農業被害額の約半数を占めて、推定個体数を把握しているニホンジカを対象に、捕獲頭数をKPIとして設定しているものでございます。
〇佐々木朋和委員 我々も会派で国の施設に行って勉強させていただいてきましたけれども、やはりイノシシとニホンジカを比較して、イノシシのほうが1頭当たりの農業被害が何倍も多いというようなお話も聞いてきました。今後、イノシシについて、早目に手を打たないと大変なことになるという専門家の認識でもあるともお聞きしてきました。
 先ほどの議論の中では、鹿の農業被害が2億円で、イノシシは現在は5、000万円という話もありましたけれども、1頭当たりを比較したときにどの程度の影響度があるのか、数値化しているものがあればお示しいただきたいと思います。
〇村上担い手対策課長 本県において、イノシシの捕獲頭数は少なくて、生息地域に偏りがあることから、県全域での個体数推定は困難とされております。
 イノシシの農業被害の影響度につきましては、イノシシの個体数の推定は困難でありますから、数値化とかニホンジカとの比較はちょっとできないということになります。
〇佐々木朋和委員 専門家の話で言えば5倍とか6倍とかといった話もお聞きしておりました。なかなかまだ地域的に限定的で把握が難しいということでありますけれども、だからこそ今のうちにやっておかないと、鹿で頭数をとるのは手いっぱいという話でありますから、イノシシをこのまま放っておいていいのかという話になると思うのです。
 そういった計画は環境生活部の担当かもしれませんけれども、やはり農林水産部から積極的にこういった危機感をお伝えして、次期アクションプランが始まる時期でもありますので、今、わからないということでしたけれども、イノシシの推定頭数を調べたり、あるいは捕獲目標も設定して取り組むべきではないかと思いますが、所見を伺いたいと思います。
〇村上担い手対策課長 イノシシの捕獲目標につきましてですけれども、令和4年3月に策定しました第3次イノシシ管理計画においては、イノシシの個体数の推定は困難であること、かつ農業被害の発生地域に偏りがあることなどから、捕獲目標は設定せずに、積極的に捕獲を実施して、生息域の縮小や生息数の低減を図ることを目標としております。
 県におきましても、今までイノシシが生息していなかったことから捕獲技術が十分に定着していないところもありますので、イノシシのわなの捕獲マニュアルや、あとは、専門家を講師に呼んだ研修会などを活用しながら、捕獲向上に努めていきたいと思います。
〇佐々木朋和委員 全県的にイノシシが広がってからでは遅いというのは、鹿の経験でわかっていることですし、また、このKPIを設定した時期から4年間で、ニホンジカが中心だったのが、イノシシの被害が出てきています。専門家の話ですと、次は猿だという話もしておりました。今度猿がふえていくと、捕獲や銃で撃つことは心理的にもかなりプレッシャーもあってなかなか大変ではないかという話も出ておりました。
 ぜひ、KPI化は難しいという話をいただいてしまいましたが、やはり設定もしてほしいと思いますし、また、4年間で自然の状況も変わってきますので、柔軟にKPI値も変えられるような仕組みも必要なのではないかと思います。
 次に、基盤整備事業についてお伺いしたいと思います。
 本県においては、整備率が東北地方の中でもなかなか伸びない中ではありますが、予算獲得に皆様には頑張っていただいて、ありがとうございます。
 一方で、今、地域では、手をつけるのが容易な平地から、中山間地域に整備地域が変わってきておりまして、予算がついても、今度は受け手の事業者から、単価が合わないとか手を上げるのもちゅうちょするというような声も聞かれてきております。
 来年度は、今の燃料や資材高騰の影響もあって、今後、予算がついても、事業者に受けてもらえるのかという懸念が地域ではあります。県は、実態をどのように把握しているのか伺いたいと思います。
〇茂田企画調査課長 基盤整備事業についてでございますが、委員御指摘のとおり、中山間地域等におきまして、標準施工歩掛かりが現場条件と合わない事例がありますことは承知しておりました。
 このため県では、これまで中山間地域も平場地域も共通であった圃場整備の標準施工歩掛かりを、国の基準改定を踏まえて、令和3年10月から、中山間地域等の狭い区画に適応した新たな歩掛かりを制定いたしました。
 また、標準施工歩掛かりが適さない現場につきましては、歩掛かりを見積もりにより定められるように実施要領を制定しまして、令和元年度から運用を開始しておりまして、より現場の施工条件に見合った積算を可能としているところでございます。
 また、燃料、資材価格の高騰への対応につきましては、本年7月から、価格変動をより迅速に反映した単価とするために、従来は単価が5%増減した場合に改定していたものを、増減の割合にかかわらず毎月改定するとしております。
 さらに、工事契約時の単価と資材購入時の単価との間に乖離が生じないように、工事契約の単価スライド条件を改正しまして、請負業者の実際の購入価格により請負代金額を変更することを可能としたところでございます。
 引き続き動向を注視し、適正な価格算定に努めてまいります。
〇佐々木朋和委員 その積算根拠については国で定めているということで、県としてはどうしようもないところがある。国も積算根拠の改定はしていただいておりますけれども、まだまだ不安が残る状況です。
 そういった中で、物価スライドであったり、あるいは進めていくうちに新たな問題が生じたりということで、契約変更になる事例も多くなってきていると聞いております。そういったときに、地域によっては予算内で終わらなくて契約変更事案が相次いで、それで事業者も待たされたり次年度に繰り越したりという事例もあるようです。そういった部分をどうするかは、県で差配できるところなのかと思っております。
 ぜひ、国に制度もさらに変えていただくように要望いただきたいと思いますし、運用面でも工夫をして、この基盤整備事業が進むように御配慮いただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 最後に、全体的なところで藤代農林水産部長にお聞きして終わりたいと思います。
 決算特別委員会が終わりましたら、こういった議論も踏まえて来年度に向けての予算の検討に入るのだろうと思います。農業団体関係者との懇談の中で、毎年、予算編成のときに、予算が各県から出てきたときに、農業新聞に東北各県の施策の記事、それぞれの県がどういうことをやるのか出るのですけれども、各県で特徴的な施策が見出しとして出る反面、岩手県は総合的だというようなお声をいただきます。県が本県農業をどの方向に向かわせようとしているのか、各農業団体からも県と方向を合わせたいのだけれども、どういう方向に進みたいのかが見えないというお声をいただきます。
 第2期アクションプランの大きな検討過程の中でもありますし、今後力を入れていくべき施策はどういった方向性を持っていらっしゃるのかお聞きして、終わりたいと思います。
〇藤代農林水産部長 今後の県の農業施策の方向性についてでございますけれども、本県の農業は、地域経済を支える基幹産業であり、国際情勢の変化等により食料の安定供給に関心が高まる中、本県は、我が国の食料供給基地としての役割をしっかり果たしていくことが重要と考えております。
 また、肥料、飼料価格の高騰、農業従事者の減少、高齢化が進む中、喫緊の課題への対応とともに、担い手の確保、育成、生産性、市場性の高い産地づくりを、これまで以上に関係者が一丸となって進めていかなければならないと考えております。
 このため、次期アクションプランでは、地域農業の核となる経営体の育成や新規就農者の確保、育成のほか、化学肥料の使用量低減や畜産用飼料の生産拡大など、資材価格の高騰、環境負荷の低減に対応する持続的な農業生産活動の推進とともに、スマート農業技術のさらなる拡大といった、生産性が高く、効率的で収益力の高い農業の実現に向けた取り組みを現在検討しているところでございます。
 今後とも、生産者の皆さんが意欲を持って働き、暮らすことができる農業、農村の実現に向け、職員一丸となって取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
〇菅野ひろのり委員 先ほど臼澤勉委員から畜産関係の影響額とその評価ということがありました。その答弁を、なかなか答えられないのだなと思って聞いていました。今の物価対策は、国の交付金の中で県が事業メニューを組んでいるというのが背景にあって、畜産農家全体の影響がどのぐらいあるのかという生活を見た上での事業設計ではないのだろうと思っています。
 やはり今回、肥料とか飼料とかの値上がり分を単品で補助するだけではなくて、軽油、肥料、飼料、電力と幅広く影響が出ているわけですから、まずは、県は本県の農業生産者の方々の影響額をしっかり把握した上で、事業設計を考えながら国のメニューを活用するという、現場を見ながらの事業設計をしなければいけないのではないかと思っております。
 本県の物価高による農業への影響額を試算すべきと思いますが、どう考えていますでしょうか。
〇中村技術参事兼農業振興課総括課長 物価高の影響額ということでございますが、これにつきましては、それぞれの経営体によって、つくっている作物あるいは個々の経営規模などによりまして、使用する燃料や肥料あるいは生産資材が大きく異なってくるものだろうと思います。また、個々の経営努力といったものも加味しますと、影響額という形でそのものを試算することは、なかなか困難であろうかと思っております。
 そうした中でも、一方で、配合飼料を多く利用する畜産農家、あるいは野菜、花卉の生産に暖房を使用するような生産者などの経営には、影響が出ているという認識はしております。
〇菅野ひろのり委員 TPPの影響額のときもそうでした。県は、影響額を調査するのが現実的に難しいところもあったと思いますが、行いませんでした。私は、引き続きこの影響額を、アンケートあるいは単協からのヒアリングでもいいと思うのですが、しっかりと農業者の実情を調査していただきたいと思っています。
 それで、物価高騰、これから電力が値上がりします。そうなってくるときに、水田活用の直接支払交付金の関連として土地改良区、そして土地の関係も非常に大変になってくるのだろうと思っています。例えば水田活用の直接支払交付金で、もう田んぼをやめたという方が生じれば、これは当然賦課金にはね返ってくるわけですし、電力の値上げに伴って、水をくみ上げているポンプの使用料も当然上がってくる。さらに、それは受益者の方の負担にはね返ってしまうと思っております。
 電力値上げに伴う賦課金増加への懸念、実態把握、県の認識をお伺いします。
〇千葉技監兼農村整備担当技監兼農村計画課総括課長 電気料金の値上げに伴う賦課金増加等についてでございますけれども、県内の大規模な揚水機場を管理いたします土地改良区から、令和4年度の電気料金、燃料費調整単価がことし非常に高騰しているということで、その影響が令和3年度の約2割から4割上昇すると確認しております。さらに、ことし11月、来月からでございますが、特別高圧による受電などが必要な揚水機場における電気料金単価が約4割から6割上昇すると聞いております。
 こうした電気料金の値上げは、揚水機場など農業水利施設の維持管理経費の増嵩につながることから、管理する土地改良区の運営上、大きな負担になると認識はしております。
 資材高騰などによりまして農家の所得向上が見込まれない中にあって、電気料金の増嵩分を賦課金に上乗せすることは、農家所得の低減を招きまして、生産意欲の減退につながることも懸念されると思っております。
 このため県では、国に対しまして、本年6月、それから9月に、農業水利施設の維持管理に係る電気料金への支援について要望したところでございまして、生産者の経営安定が図られるよう、国が創設しました地方交付金あるいは来年度の概算要求などの状況もこれから見えてくると思いますので、それらの状況を踏まえつつ、どういった対応が可能かについて検討しているところでございます。
〇菅野ひろのり委員 電力値上げに伴う影響は、まだまだ表面化していない部分だと思いますが、これが農家に直結するときは既に問題が大きくなってからですから、事前に対応をしっかりと、どのようにするのか改良区と調査しながらやっていただきたいと思っています。
 根本的には、やはり稲作の中では米価の下落、米価の価格が保障されないというところが非常に大きい問題だと思っています。ことしは概算金が1、000円程度値上がりしました。一方で、米の価格を決定する目安になる民間在庫量が200万トンを上回っている中で、物価高騰も加味した上での値上げなのだろうと思っています。
 では、県内の米の状況はどうなのかと見ると、例えば、県南地域のひとめぼれは、3年連続で特Aを逃しているだけではなく、評価が下がっているという問題があります。いわてっこも下がってしまいました。この原因をどのように分析して取り組んできたのかお伺いします。
〇佐藤県産米戦略監 県南地域のひとめぼれの特A奪還は、生産者の意欲向上を図る上でも重要と考えているところでございます。
 このため、各地域の生育診断法、ひとめぼれ、金色の風、銀河のしずく、それぞれ100カ所程度において、栽培内容が食味にどのような影響を示すか、分析を続けているところでございます。
 その結果、四つの要因が食味に与える影響が大きいと考えておりまして、それは、適期移植、中干しの確実な実行、移植後から登熟期の水管理、適期刈り取り、これを重点管理項目として位置づけております。
 そして、農協指導員、普及員等を対象としました技術対策会議を開催し、指導するとともに、各地域の指導会等において、生産者に徹底しているところでございます。
〇菅野ひろのり委員 私は、気候変動の問題もあるかと思って東北地方の状況を調べてみましたが、令和2年から評価が下がっているのは、県南地域のひとめぼれといわてっこだけです。そう考えると、やはり技術の問題なのかわかりませんが、先ほど答弁いただいたような問題もありますし、あとは、地元から聞こえてくるのは、これはそれぞれの地域がありますけれども、検査にどこの米を使っているのだと。やはりそういう懸念をしている、心配しているところもあると思いますので、標準的なお米を見ながらも、しっかりと評価に適したものをやっていただきたいと思っています。
 それで、岩手県は金色の風、銀河のしずくとフラッグシップ米をつくりながらやってきましたが、最初の目的は、金色の風は少量生産といいますか限定しながらやっていく、銀河のしずくは、県央地域より北のほうでやっていくのだというような考え方でいたと思います。それに伴って、フラッグシップ米が評価を上げることによって、県産米全体の底上げが図られるという考え方で行っていたと思いますが、その当初の役割を果たしているのか、岩手県の米戦略の見直しは現段階において必要ではないのか伺いたいと思います。
〇佐藤県産米戦略監 県では、いわてのお米ブランド化生産・販売戦略に基づきまして、県内外でのトップセールスや食品関連企業と連携したキャンペーンの実施など、積極的なプロモーションに取り組んできたところでございます。
 その結果、金色の風につきましては、高価格を維持し、確保している、あるいは、銀河のしずくについては、着実に面積が増加しております。また、大手の米卸売業者からは、岩手県は、主力のひとめぼれに加え、高品質、良食味のオリジナル品種が加わり、高級ブランドから業務用仕向けの米をそろえる全国有数の産地と信頼をいただいており、県オリジナル品種は、県産米全体に対する評価向上に貢献していると考えております。
〇菅野ひろのり委員 では、いわてのお米ブランド化生産・販売戦略ビジョンからお伺いしたいのですが、この戦略ビジョンでは、生産戦略と販売戦略、コミュニケーション戦略と大きく三つの軸で行っているわけですが、それに伴って、金色の風、銀河のしずくのオリジナル品種がどのように成長していっているのか伺いたいと思います。
 まず、作付というところでは、銀河のしずくには作付面積をふやしていくのだという考えがあったと思いますが、それがどうなっているのか。また、県産米の輸出量、あとは取扱専門店の実績、ここら辺がどうなっているのか、端的で結構でのでよろしくお願いします。
〇佐藤県産米戦略監 最初に面積でございますけれども、銀河のしずくにつきましては、今年度2、500ヘクタールほど作付がございまして、昨年度より約700ヘクタールほど増加しているということで、この傾向は今後も続くものと思っております。
 それから、金色の風につきましては、高価格帯の米ということでして、ある程度面積は維持している状態ですので、250ヘクタールぐらいで今推移しているといったところでございます。
 それから、輸出の関係でございますけれども、県産米の輸出量につきましては、令和3年産で大体737トンで、2年産が618トンでございましたので、これも上昇しているということでございます。
 それから、金色の風、銀河のしずくの取扱専門店でございますが、令和3年におきましては、金色の風が135、これも昨年度より3店舗ほど、それから、銀河のしずくについては157店舗ということで、これは17店舗ほど増加しているところでございます。
〇菅野ひろのり委員 今お伺いした数字ですと、目標に対して結構いい進捗といいますか、頑張っていらっしゃるなという数字が聞こえてきました。私の肌感ですと、まだ価格が上がってこないという中、あとは、まだまだ知名度が足りないのかなと思っていたのですが、銀河のしずくの数字などは、今まで、令和元年とかは1、500ヘクタールぐらいだったのが、今は2、500ヘクタールと、これは、恐らく県当局あるいは農協等の御努力が拡大になっているのだと思っています。
 一方で課題は、やはり金色の風だなというのがありまして、銀河のしずくに比べて全ての伸びがなかなか足りていないのではないかと思っております。これは、やはり生産が難しいお米でもありますから、食味のよさ、あとは栽培技術の確立をさらにお願いしたいと思います。
 そして、やはり今さまざまな品種がある中で、私は、気候の変動も大きいかと思っていた中で、品種改良、新たなお米も継続的に考えていかなければいけないと思っております。岩手県では生物工学研究センターがその技術開発を担っておりますが、その取り組み内容と実績をお伺いします。
〇佐藤県産米戦略監 地球温暖化等の影響で夏場の高温傾向が続いているわけでありますが、米の登熟期間に高温になりますと、白未熟粒の増加など品質、食味に悪い影響を及ぼす年も出てきているところでございます。
 公益財団法人岩手生物工学研究センターでは、DNAマーカーを活用し、高温登熟耐性遺伝子を持つ個体を効率的に選抜できる手法を開発し、通常10年程度を要する品種改良の期間を3年程度短縮し、現在、高温登熟耐性が強い金色の風系統を育成し、生産力検定試験を実施しているところでございます。
〇菅野ひろのり委員 やはり技術を活用しながら、高温ということは、幅広い地域あるいは倒伏の問題もありましたので、そこら辺を工夫しながら、さらに岩手県のお米の価値が上がるように取り組んでいただければと思います。
 お米の質問については最後になりますが、やはりこれは岩手県だけでは完結しない、お米の値段の価格安定対策が求められていると思います。今回、我々は33市町村の要望を聞いてきましたが、農林水産業で言えば、お米の価格安定対策、下落対策の要望が一番多くございました。そういった中で、県は、市町村の要望をどのように受けとめて、何に力点を置いて国へ要望を行うのか。私自身は、やはり市場の在庫隔離政策、あとは、生産費を賄える新たな価格の仕組み、そして戸別所得保障や所得政策―価格政策、所得政策が一体とならなければ安定したお米の生産はできないだろうと思っております。県のお考えをお伺いします。
〇佐藤県産米戦略監 市町村からの要望でございますけれども、見てみますと、余剰米の市場隔離あるいは転作作物への恒久的な支援、米の消費拡大などが要望されているところでございます。米の生産、流通は県単位では完結せず、国全体で対応が必要であることから、県では、国主導による実効的な過剰米への対策や、加えて、主食用米の消費喚起あるいは米粉用米等の利用促進などの需要拡大対策を推進するよう、国に対して要望しているところでございます。
〇菅野ひろのり委員 米というのは岩手県の農業の礎、国の礎でありますので、引き続き県には注力をお願いしたいと思います。
 最後に畜産について2点でございます。
 家畜診療所の関係でございます。請願でも過去に上がっておりましたが、県北地域、沿岸地域の家畜診療所の配置が、国の法律改正に伴って変更になっております。その中で、釜石市、西和賀町、田野畑村、岩泉町、洋野町から、診療所の廃止に伴って獣医師がいないため、他県から来ていただいたりという状況が訴えられております。
 これは、やはり医者がいればいいということではなく、経営体と一体になって家畜の状況を理解している、まさにコミュニケーションが必要な仕事だと思っております。
 この家畜診療所の廃止に伴う獣医師の不足、配置状況、今後の確保策について伺います。
〇高橋振興・衛生課長 家畜診療所の廃止の件につきましては、ただいま鋭意御紹介がありましたとおり、国の家畜共済制度が平成30年度に改正されたことに伴い、岩手県共済組合の家畜診療所の運営見直しが行われ、家畜診療所が独立採算制になったこと、また、獣医師が共済から相次いで退職しており、県全体を対象とする信用体制の維持が困難となったことを受けまして、岩手県農業共済組合が、宮古地域、釜石・大槌地域、気仙地域、久慈地域を家畜診療を行わない地域と決定したものでございます。
 岩手県としましては、昨年3月に策定しました獣医療を提供する体制の整備を図るための岩手県計画におきまして、牛などの産業動物獣医師の令和12年度の確保目標を155名と設定しておりまして、令和2年12月末現在では150名と5名少なくなっている状況であります。
 先ほど申し上げました農業共済組合が家畜診療を行わないと決定した地域においては、現在、地元の自治体、農業協同組合等とともに、地域の獣医療の確保に向け、検討の場を設置して検討を進めて、具体的な対策を検討しているところであります。
 県では、引き続き、全県で安定的に獣医療が提供できますよう、これまでの獣医学生に対する修学資金の貸し付けなど県全体の獣医師確保に取り組むとともに、市町村や関係団体と連携しながら各地域の実情に応じ具体的に検討してまいります。
〇菅野ひろのり委員 獣医師の不足、今82名に貸し付けされているということでございますが、年齢層に分けて、どの世代がどのぐらい退職されるから補充できるというような計画を推進いただきたいと思います。
 最後に、全国和牛能力共進会についてでございます。
 今回で一番大きいのは、水沢農業高校が非常に頑張ったと思っています。私は、これは県知事からしっかりと表彰あるいは敬意を表する行動を起こすべきだと考えておりますが、最後に県の考えをお伺いして、終わります。
〇米谷畜産課総括課長 今回の全国和牛能力共進会鹿児島大会での水沢農業高校の活躍についてでございます。
 今回の鹿児島大会において新設されました特別区は、和牛生産の担い手の育成、確保を目的としておりまして、全国から24の高校や農業大学校の生徒、学生が生産、育成した出品牛と共進会に向けた取り組みについて、総合的な審査が行われたものでございます。
 本県の代表となりました水沢農業高校では、教員の指導のもと、生徒たちが出品牛の生産と飼養管理に鋭意取り組みまして、牛の体を引き締めるための追い運動、きれいな姿で牛を立たせるための調教にも日々取り組んだところでございます。
 生徒たちは、神経質な出品牛の調教に苦戦したと聞いております。そういったところに、水沢農業高校のOBの方々あるいは地域の生産者の方々の助言をいただきながら本番に臨みまして、見事に全国3位となる優等賞3席を受賞しまして、県民の皆さんに明るい話題を届けていただいたと考えているところでございます。
 このように、高校生が一生懸命取り組みまして輝かしい成績をおさめたことは、地域の生産者の方々により励みとなりますし、今後の担い手確保にもつながっていくものと期待しているところでございますので、県といたしましても、何らかの形で、水沢農業高校の功績に報いたいと考えているところでございます。
〇山下正勝委員 それでは、私は、今まで皆さん方がいろいろ議論していまして、農業は大変だという話でございますので、がらっと話題を変えて質問したいと思います。
 まず初めに、成果に関する説明書の農業保険加入促進支援事業について。
 収入保険の加入者数は2、930人の目標に対して3、325人で、評価Aとなっています。これは大分努力したなと思っています。収入保険とは、原則全ての農産物を対象に、自然災害や価格低下だけでなく、農業者の経営努力では避けられない収入減少を広く補償しますと説明にあります。
 そこで、過去3年間の状況と地域別の加入者数がどうなっているのかお伺いします。
〇中野参事兼団体指導課総括課長 収入保険の過去3年の加入状況、加入件数についてでございますが、県農業共済組合に確認したところ、令和元年12月末時点では、県全体で1、521件となっており、広域振興圏ごとに見ると、盛岡広域振興圏は473件、県南広域振興圏は956件、沿岸広域振興圏は28件、県北広域振興圏は64件となっております。
 続きまして、令和2年12月末時点では、県全体で2、373件、うち、盛岡広域振興圏は662件、県南広域振興圏は1、542件、沿岸広域振興圏は49件、県北広域振興圏は120件となっております。
 令和3年12月末時点では、県全体で3、332件、うち、盛岡広域振興圏は867件、県南広域振興圏は2、223件、沿岸広域振興圏は64件、県北広域振興圏は178件となっており、県全体で、広域振興圏ごとに見ても、加入件数は年々増加しているところでございます。
〇山下正勝委員 スタートは令和元年からだそうですので、3年のうちに大分収入保険に入ったなということです。
 それで、保険方式の保険料―これは掛け捨てです―には50%、積立金には75%、付加保険料には50%の国庫補助があります。県内一部の市町村では、現在、花巻市、遠野市、一関市、大槌町、山田町、一戸町において、令和4年度に加入申請した方への保険料補助が決定しております。これは農業共済組合のデータでございます。
 また、令和3年9月10日に岩手県議会議長へ、岩手県農業協同組合中央会から、異常気象や気象災害に対して、以下の対策を講じられたいとして、収入保険加入に係る保険料の助成措置の要請書が提出されましたが、県は、助成措置についてどのように考えているのかお伺いします。
〇中野参事兼団体指導課総括課長 県ではこれまで、農業共済等の他の制度加入者の保険料に対する補助等は行っていないため、他の制度加入者との公平性の観点から、収入保険のみへの支援は難しいものと考えているところでございます。
 また、本県における収入保険の加入件数につきましては、最新の令和4年6月末時点の実績が3、378件で、既に全国の農業共済組合連合会で設定している令和4年の加入目標である2、930件を達成しており、本県は、北海道、青森県に次いで全国3位の加入件数となっているところでございます。
 このような状況から、県といたしましては、引き続き、青色申告や保険制度の研修会の開催等を通じまして、収入保険の加入促進に向け、周知等に取り組んでいきたいと考えているところでございます。
〇山下正勝委員 私は、全国1位になるまで頑張ってもいいと思います。やはりこれは、恐らく県南広域振興圏が多い状況は、令和2年12月、県南地域で大雪がありました。あと、令和3年4月から6月15日あたりまでは果樹のひょう被害があったのです。県北地域もありました。そういうときに、やはりそういう意味では、収入保険に入っていたほうがいいという感じを私は受けるのです。
 実は県北地域のサクランボ農家が2年間被害を受けたのです。2年間ですよ。これはもう来年やめますという話なのです。そのときに、収入保険に入らなければならないということが実感でございます。というのは、私は一般質問でやったのですけれども、今回の8月の大雨災害で、野菜価格安定補償制度があるのですが、それは、出荷すれば安値のときにも価格安定補償がつくのです。ところが、農協でも市場でも出荷しないと価格安定補償がつかないのです。それはやはり考えなければならないということで、これは慎重にやってもらわないとだめだと思っていました。
 それで、農業共済の中にはこのような対策があるのです。これは奥州市の例でございます。水稲を6ヘクタールやっているのですけれども、米の価格下落で収入が2割減少したので保険金を受け取れて安心したのを覚えています。近年は、新型コロナウイルス感染症の影響で米の消費が減り、市場に米が余って価格がさらに低下しています。自然災害や価格の変動などは個人ではどうすることもできませんので、収入保険はさまざまなリスクから経営を守ってくれよかったという加入者の声があるのです。
 そうすると、これは、全国3位で自慢しないで、全国1位までやるように県独自で助成してほしいと私は思っております。
 それで、参考までに、一戸町も6月議会の補正予算で助成を決定したのです。そのときに、掛け捨てで、収入500万円の場合、保険料が4万2、426円です。その半分を町が助成しますということで2万1、000円です。これを7月に決定して、まさか8月に災害が来ると思わなかったのです。だけど、ことしやっても来年度なのですよ。これは大変だということで、これは実際にこういうふうに被害にならないとわからないのです。
 そういう意味でもう一つ、これは大変だということで、一戸町で今度の9月議会に、一戸町の大雨と農作物被害農家緊急支援事業をやりました。ことし7月15日から8月13日までの被害が対象でございます。
 これは役場もよく考えたと思ったのですけれども、事業の説明の最後に、その他の注意事項とあるのです。今後、自然災害や異常気象等により収入が大幅に減少した場合にあっても、農業者が経営を継続することができるよう、本事業により支援金の支給を受ける方は、岩手県農業共済組合が行う収入保険に加入するように努める必要があると、これをつけ加えているのです。そこまでやっても、一戸町のような小さな行政が2億円の予算を出して野菜農家を守っているのです。
 そういうものを考えると、県内には33市町村あります。やはりこれは、県もこれに対して、私は全額とは言いませんが、その辺、再度収入保険加入に係る保険料の助成措置を考えてもらわないと、全農家、岩手県の基幹産業がなくなります。その辺についてどういうお考えでしょうか。
〇中野参事兼団体指導課総括課長 収入保険の長所につきましては、委員御紹介のとおりのような形で、農業者の収入安定に非常に資する制度だと考えております。昨年度は、リンゴ等の凍霜害や、あとは米価等の価格低下などの状況がございました。その中で、やはり収入保険のメリットの部分について、広く農業者の方にも周知する機会になったと考えております。
 その中で、県や市町村、農業共済組合で構成する農業保険加入推進協議会がございます。その中で積極的に加入促進の取り組みが行われたことが、加入件数が伸びてきた要因にもあろうかと思います。
 先ほどお話をしたとおり、なかなか単年度の補助の部分については、効果の部分がちょっと厳しいところもあろうかと思います。そういう中で、収入保険の加入部分について、保険料の部分についてもそういう要望があるというところも踏まえまして、私どもとしては、国に保険料の引き上げ等の見直しの部分について要望しているところでございます。
 そういう取り組みや、あとは制度の加入促進の周知等を続けながら促進を図っていきたいと考えております。
〇山下正勝委員 どうぞよろしくお願いします。
 あと、これを見ると、令和3年度の保険金を21億円も支払っているのです。1、712件でございます。21億円といえばすごいお金です。ただ、半分の12億円ぐらいは国から出ていると思うのです。そのことを考えると、今のコロナ禍で大分大変だと思うのですけれども、農業を守るためには、こういうものも進めながらやっていかなければならないと思います。
 あとは、これから、担い手もそうですけれども、新規就農の方にも補助してこういう制度をやっていかないと、なり手がいないと思うのです。その辺、お願いしたいと思います。そういうものを考えていかないと、これからの、農家以外の方でも、恐らく保険金は大変ですけれども、幾らでも助成しながらやってもらえばいいと思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、令和3年度の事務事業評価における農地中間管理事業推進費について、世界指標となっている担い手への農地集積面積の目標2、300ヘクタールに対して、実績数が1、657ヘクタールで、評価がCとなっていますが、その要因はいかがでしょうか。
〇村上担い手対策課長 担い手への農地の集積につきましては、県におきまして、農地中間管理機構を核としまして担い手への農地集積に取り組んでおり、事業が開始された平成26年度から令和3年度までの農地集積は、貸付面積で約2万ヘクタール、新規集積面積で約1万ヘクタールと、ともに全国トップクラスの実績となっております。
 一方で、事業の主たる対象が平場から中山間地域などの条件不利地に移行しておりまして、条件不利地における農地の受け手となる担い手の確保が難しくなっていることのほか、新型コロナウイルス感染症拡大によりまして、集積に向けた十分な話し合いができなかったことなどにより、令和3年度は目標達成できなかったものと捉えております。
〇山下正勝委員 次に、県において担い手の農地集積にどのように取り組んでいるのかお伺いします。
〇村上担い手対策課長 県では、農地の受け手や出し手を明確化した地域農業マスタープランに基づきまして、農地の受け手と出し手のマッチングを図るなど、関係機関、団体と密に連携しながら、農地中間管理機構を核とした担い手への農地集積に取り組んでいるところでございます。
 これまでの取り組みによりまして、担い手への農地集積面積は、県全体で約8万ヘクタールとなっております。
〇山下正勝委員 今後、担い手への農地集積のため、どのように取り組んでいくのかお伺いします。
〇村上担い手対策課長 担い手へのさらなる農地集積に向けては、平場地域では農地の集約化、中山間地域では農地の受け手の確保が課題となっております。
 県では、地域の実情に応じまして課題を解決できるよう、県内の市町村に集中支援モデル地区を設置いたしまして、地域における担い手の将来の農地利用の意向把握だったり、個々の課題に応じた助言のほか、農地中間管理事業等の活用の促進など、市町村や農業委員会、関係団体等が密に連携した重点的な支援によりまして、担い手への農地集積等を推進しているところでございます。
 今後も、この集中支援モデル地区の取り組みを波及させまして、担い手への農地集積等を推進していくこととしております。
〇山下正勝委員 私は、データを見てですけれども、盛岡地域で57.9%、県南地域が59.4%で、県北地域が39.5%と、基盤整備とやや似ているような数字だと思っております。
 次に、農業者の減少や高齢化等により、今後さらに担い手が減少していく中、地域の担い手に対して農地の集積を進めていくためには、農地中間管理機構の事業の制度を、通称農地バンクと言われるのですが、その制度をもっとPRすべきと考えますが、その取り組みについてお伺いします。
〇村上担い手対策課長 制度のPRについてでございますけれども、県では、広域振興局や普及センターの職員が、地域の話し合いの場に出向きまして、農地中間管理事業制度の説明や、地域農業マスタープランの実践に向けた地域の取り組み事例を紹介するなど、事業の積極的な活用を促進してきたところでございます。
 さらに、今年度は、新たにSNS等を活用した情報発信に取り組んでいるほか、プラン通信の発刊を予定するなど、農業者を初め、農業者以外の農地所有者などにもプラン実践の重要性等の理解を醸成していくこととしております。
〇山下正勝委員 基盤整備などいろいろな事業をやるときに、必ずこの農地中間管理機構という名前が出てくるのです。そうすると、これからは、そういった意味では、この制度をうまく活用しながら、出し手とか借り手もいろいろ含めながら、そういう制度をうまく活用して、手当てしてもらっていかないと大変だと思っていました。
 先ほども言ったとおり、いずれ集積状況は基盤整備と同じようなパーセントだと思っていて、これは私なりの考えですが、そういった意味ではなるほどと思っていました。県南地域はそうだし、県北地域もそうだし、まだまだ県北地域は頑張ってもらわなければならないと思っています。
 藤代農林水産部長に最後に聞きます。前段に言いました収入保険、これはがっちり力を入れて組んでもらって、この農地集積、農地中間管理機構がやれば、私は岩手県の基幹産業は捨てたものではないと思っていますけれども、その辺どうでしょうか。熱い思いでお願いします。
〇藤代農林水産部長 収入保険制度なり農地集積の取り組みについてでございますけれども、収入保険制度につきましては、全ての農作物を対象に、自然災害による収量減少ですとか価格低下といったさまざまなリスクに対応できる保険制度でございます。委員から御指摘もありましたとおり、一昨年の県南部での凍霜害ですとか、ことしの一戸町の豪雨災害でも、入っていらっしゃった方は、そういったところでしっかり収入保険というものがきいております。こういったことについては、引き続き、県としても加入促進を図っていきたいと考えております。
 また、農地集積につきましては、残念ながら、農業従事者の方の減少、高齢化は今後も続くという傾向にございますので、そういった中で、いかに将来にわたって農地を有効に活用して本県の農業生産を高めていくかということも課題になります。地域の担い手の方で十分話し合いをしていただきながら、有効に農地を活用あるいは集積して大規模な経営をしていただくことについて、引き続き積極的に進めていきたいと考えているところでございます。
〇千葉秀幸委員 私からも、既に出てきたところは割愛しながら質問させていただきたいと思います。
 まず、野生鳥獣による農作物被害対策についてということですが、これは、先ほど農業被害額についてもお示しいただいたところでございます。私が着目する点といたしましては、特にイノシシ被害であります。なかなか歯どめがかかっていないどころか、令和2年度に比べて倍増しているという農業被害の数字を示していただきました。
 農林水産部としては、鹿に対する防止柵等の対策は講じていることから一定程度成果が出ているかと思っておりますが、私は、イノシシ被害に対する対策が弱いと思っておりますが、まずは被害対策を含めてお示しいただきたいと思います。
〇村上担い手対策課長 イノシシの被害対策についてでございますけれども、県においては、有害鳥獣の捕獲とともに、侵入防止柵の設置あるいは里山周辺の除間伐による生息環境管理など、地域ぐるみの被害防止活動を支援しているところでございます。
 特にイノシシにつきましては、近年、生息域が拡大しまして、農作物の被害が増加していることから、イノシシの生態やわなの使用方法等を習得するための研修やイノシシに対応した電気柵等の侵入防止柵の設置方法の研修など、捕獲や侵入防止のための技術向上に向けた取り組みを行っております。
 また、ICT等を活用しました箱わなの効率的な捕獲技術の実証や、ドローンによる上空から撮影した画像を活用したイノシシの侵入経路の確認とか、わなや防止柵の設置場所をマップ化する集落環境点検の実証などに取り組んでいるところでございます。
〇千葉秀幸委員 先ほど侵入防止柵の設置ということをお話しされていましたが、これは鹿には有効ですが、イノシシにおいては、掘りますから、さほど有効ではないということが猟友会の方等からもお話をいただいているところでございます。
 岩手県内全てで目撃されておりますが、特に高速道路よりも西側、一関市から奥州市の西側、あとは雫石町などということでまだ限定されております。鹿のように広域での対策が必要になって対策をとるのも非常に困難になる前に、ぜひとも多く目撃されているところ、被害あるところに特化して、具体的な対策に絞って重点的に力を入れていくほうが有効かと思っておりますが、お考えについてお聞きします。
〇村上担い手対策課長 イノシシの被害、生息域については、やはり奥羽山脈沿いでかなり北上しているところは認識しております。
 イノシシの進入防止柵については、まずは電気柵につきましては、動物が触れると電気ショックが与えられて、学習させて柵に近づけないということもありますし、あとは、金網柵の整備もあります。最近では、電気柵と金網を組み合わせたような形で、鹿の防止柵として取り組みの活動をしているところもありますので、そういった取り組みも入れながら防止柵の設置については進めたいと思います。
 あと、電気柵については、下から20センチ、それ以上になるとイノシシは下からくぐって入ってしまうというところもあります。20センチであると、下草がかなり邪魔をするところもありますけれども、防草シートをかけながら、20センチの段の形で電気柵の設置の指導もやっております。
〇千葉秀幸委員 防止するという観点ではそうかもしれませんが、やはり一定の駆除もしていかなければいけない。個体管理になると環境生活部になるところではございますが、いずれ、わな猟の免許も多く取得していただくなどして、本当に1回に5頭も6頭も産むのでどんどん拡大しているという懸念を持っておりますので、対策をよろしくお願いしたいと思います。
 次です。令和3年度のいわてモーモープロジェクト推進事業についての取り組みと内容と評価についてお伺いいたします。
〇米谷畜産課総括課長 いわてモーモープロジェクトの評価についてでございますが、畜産課の全国和牛能力共進会に向けての取り組みということで答弁させていただきます。
 令和3年度いわてモーモープロジェクト推進事業によりまして、第12回全国和牛能力共進会鹿児島大会での上位入賞に向けまして、出品候補牛の調教技術や育成管理、サシを入れるための肥育管理の強化に対する出品牛を飼養している農家へのかかり増し経費の支援をしたものでございますし、鹿児島県までの牛の遠距離輸送試験を行いまして、輸送ストレスによる体重減少などの影響を緩和する対策について検討を行っております。また、県、関係団体等で構成する第12回全国和牛能力共進会鹿児島大会出品候補者支援チームによりまして、牛の飼養管理等の定期的な個別巡回指導を行ったところでございます。
 これらの取り組みによりまして、出品者からは、出品牛が順調に発育し、前回に比べて牛自体の体型もよくなった、また、前々回の長崎大会の出場者からは、鹿児島県に着いたときの牛の状態が、長崎大会のときよりも格段によいという声もあり、取り組みの成果が上がったものと考えております。
〇千葉秀幸委員 わかりました。多くは、第12回全国和牛能力共進会鹿児島大会に向けて、それぞれ育成強化あるいは長距離移動等の影響調節等に活用されながら今回の成果に至ったということで了解いたしました。そういったことから第11回全国和牛能力共進会宮城大会よりもいい成果をおさめることができたかと、私も同じ認識でおります。
 そこで、今回、6区の総合評価群ですが、出品牛結乃宝の種牛については高く評価いただきました。これについては後でまた触れさせていただきます。一方で、肉牛の評価がいま一つというところで、総合評価という観点から成果を上げられなかったと理解いたしております。
 肉牛の評価がさまざま相対的に評価をいただく中で、どこに課題があったのか。MUFA、いわゆるうまみ成分等の観点も踏まえて、どのように分析されているのかについてお伺いいたします。
〇米谷畜産課総括課長 今回の鹿児島大会の成績につきまして、種牛の部では、全出品した区で評価をいただいて、優等賞に入っておりましたが、肉牛の部で一部成績が振るわなかったところでございます。
 午前中等にも御答弁いたしましたけれども、まず、肉質につきまして、若干ふぞろいな点があったということもありました。これにつきましては、全国和牛能力共進会の出品条件が24カ月肥育と通常の肥育期間よりも短いこともございますので、そういったところが影響していると考えております。それにつきましては、これから再度、他県の取り組み等も踏まえ、実際にやった農家等の聞き取りをしながら課題を整理していきたいと考えております。
 一方で、先ほど委員からお話がありましたMUFA、牛肉のうまみの指標とされております不飽和脂肪酸の値につきましては、それを審査項目とされる出品区の中では、その数値でいけば、その指標でいけば出品牛の中で2番目の数値ということもありますので、それにつきましては、今まで取り組んできた成果が出てきているものかと。あと、種雄牛についても、菊勝久という種雄牛でその出品区に臨んだわけですけれども、それにつきましては、まずいい成績であったと感じているところでございます。
 いずれにしましても、肉牛の部につきましては、これからいろいろと課題を整理していきながら、次の全国和牛能力共進会に向けて対策を検討していきたいと考えているところでございます。
〇千葉秀幸委員 よろしくお願いいたします。
 先ほど言った6区の種牛が高い評価をいただいたというところについてでございますが、重要なのは、今後この成果をどう生かしていくかということが必要だろうと私は考えております。
 まずは、結乃宝の凍結精液の供給本数と県内外への販売実績についてもお伺いしたいと思います。
〇米谷畜産課総括課長 結乃宝の凍結精液の供給実績でございますが、平成31年から供給を開始しておりまして、令和3年度で578本、本年度4月から9月までで約123本供給しております。平成31年からですと、累計で819本となっております。
〇千葉秀幸委員 わかりました。全体で6万4、000本という中においての令和3年度までで500本で、令和4年118本というところでございますが、まだ若い牛ということもあって、恐らく今回の成績も踏まえて、これからだろうと思っております。
 結乃宝の特徴あるいは優位性をどうアピールしていくのかということが重要であります。体が小さい等の課題もあったというところでございますが、くっつける牛によっては大きな成果を得ることもあると思います。そういうことで、結乃宝の種を必要としている生産者もきっといるだろうと思っております。
 今後、どう市場に出回るのか、優良な牛をしっかり残しつつ、効果ある販売戦略を立てる、そして、岩手県の評価を高めていかなくてはいけないと考えますが、今後の販売戦略についてもお伺いしたいと思います。
〇米谷畜産課総括課長 今後の県有種雄牛の利用拡大についての御質問かと思いますが、今回の全国和牛能力共進会の出品牛の結乃宝あるいは百合雲なども含めまして、若い県有種雄牛の利用拡大を図っていくことにつきましては、まず、市場に出荷された枝肉の成績を早期に把握して、広く情報発信していくことが重要と考えております。
 まだまだ若い牛ですので、実際に枝肉になってからの成績は、流通がまだまだ少ないので出ておりません。そういったものを早目に情報を把握しながら、それを確実に生産者の方々に周知していくことも重要かと考えているところでございます。
 県では、令和3年度から、県有種雄牛の産子に限定いたしました枝肉共励会を開催いたしまして、若い県有種雄牛の枝肉成績を生産者にPRするとともに、和牛専門誌や県のホームページ、あとSNSを活用しながら広く情報発信しているところでございます。
 種山畜産研究室に県有種雄牛のPR活動を行う専門職員を配置いたしまして、県有種雄牛の産肉能力などの情報収集と、それを集めたリーフレット等を作成しながら、凍結精液の配送業務に随行しながら、人工授精師の方々とか生産者の方々に、広く若い県有種雄牛のPRを行っているところでございます。
 今後も、県内外の生産者の方々にPRを強化しながら、若い県有種雄牛の利用拡大を図っていくこととしております。
〇千葉秀幸委員 次に、令和3年度の水田の活用状況と主食用米の面積についてお伺いいたします。
〇吉田水田農業課長 令和3年産の主食用米の作付面積でございますが、令和2年産と比べて2、000ヘクタール少ない4万6、200ヘクタールとなったところでございまして、転換作物につきましては、飼料用米、ホールクロップサイレージ用稲、大豆等が増加したところでございます。
〇千葉秀幸委員 今、飼料作物という話がございました。それでは、令和3年度と本年度の飼料作物のうちの牧草の面積についてはどうなっているのか、お伺いしたいと思います。
〇吉田水田農業課長 飼料作物のうちの牧草の面積でございますが、国から公表されていない状況でございます。
〇千葉秀幸委員 私は、既に内陸の市町村を中心に、見込みというところもありますが調べさせていただきました。ちょっとだけ紹介させていただきます。
 奥州市においては、令和3年度、1、308ヘクタールから、今年度は1、120ヘクタールに減少。紫波町においては、169ヘクタールから156ヘクタールに減少。そして、一関市においては、1、384ヘクタールから1、282ヘクタールと、減少が非常に顕著にあらわれております。
 今の紹介の話も聞いて、今回、完全に減っていると私は評価しているわけですが、以上の数字を申し上げた上で、減っていることは明らかであることから、この減少と水田活用の直接支払交付金の関連性は高いと思いますが、どう考えますでしょうか。
〇吉田水田農業課長 ただいま委員からお話がございました数字もございますけれども、令和4年産の飼料作物の作付面積の減少幅につきましては、これまでの年に比べて大きくなっていること、それから、地域において粗飼料の安定供給を懸念する声があること等から、一定の影響があるものと考えております。
〇千葉秀幸委員 では、近年の高齢化により、法人や大規模農家は、牧草が3万5、000円から1万円になったということで、合わなくなった、やっていけないという声があって、所有者に返還されたという声が私には入っておりますが、県では認識されておりますか。
〇吉田水田農業課長 県南部の牧草生産組合等で解散があったということにつきましては、承知しております。
〇千葉秀幸委員 私もそう思います。以前から本当に懸念しておりましたが、既にもう所有者に土地が返されたということで動きが出てきております。
 これらも含めて、ぜひ早急に、先ほどの面積でも県としても把握していただくことを希望するわけですが、把握される予定はございますでしょうか。把握されるのであれば、いつごろまでに把握されるかお伺いいたします。
〇吉田水田農業課長 現状のところ、把握する予定はございませんけれども、地域から懸念の声、実情等、いろいろと上げられておりますので、そちらを国に伝えてまいりたいと思っております。
〇千葉秀幸委員 今回、希望いわてでもヒアリングをしながら、水田活用の直接支払交付金の問題については非常に影響が出ているということ、今、私も数字をもって示させていただきましたが、本当に大変な被害が出てきております。
 今後、ことしこれだけ出ておりますから、来年、再来年ということでどんどん牧草のほうに影響が出てくると思っておりますし、水張りにおいても、5年間の猶予があるので、まだ多少は続けられる方もいらっしゃいますが、このままで行くと、5年後、一気にやめる方も出るのではないかと心配いたしております。
 最後に藤代農林水産部長にお伺いしたいと思います。今、データや面積、影響についてもお示しいたしました。数字だけではなくて、岩手県の現状も踏まえて強く国に要望していくべきだと思っておりますが、所見をお伺いしたいと思います。
〇藤代農林水産部長 水田活用の直接支払交付金見直しの関係についてでございますけれども、今、千葉秀幸委員から御指摘がありましたとおり、また、吉田水田農業課長から答弁したとおり、飼料作物の作付面積が昨年度に比べて480ヘクタールほど減というような状態になっております。
 ただ、一方で、より有利な作物に転換したケースもあろうかと思いますので、一概にこの480ヘクタールが牧草の作付減につながるかどうかは、これから若干現地等の確認が必要かと思っています。
 いずれにしても、国に対しましては、本県として、水田を有効に活用した多年生牧草への支援について充実することを要望しておりますし、また、現在、国では水張り要件、粗飼料の安定供給の支援といったことを検討していると聞いていますので、県といたしましては、全国知事会とも連携しながら、引き続き、地域の実情を踏まえた運用とするように国に対して求めていきたいと考えているところでございます。
〇川村伸浩副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
   午後2時40分 休 憩
午後2時57分再開
〇川村伸浩副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇高橋振興・衛生課長 先ほど軽石義則委員から御質問のありました農用馬の生産費について答弁いたします。
 現在、農用馬の生産費については国等で調査が行われていないところですが、馬の改良を実施しております独立行政法人家畜改良センター十勝牧場に聞き取りを行いましたところ、冬場の飼料費、夏場の放牧料と種つけ料を合わせて約50万円かかっていると聞いております。
〇名須川晋委員長 質疑を続行いたします。
〇高橋穏至委員 私から2項目通告していましたが、今までの議論の中でもたびたび出てまいりましたので、その議論を踏まえて質問したいと思います。
 まず1項目めは、農業の基盤整備事業について、これは総括質疑で再質問しましたら、知事が、部局別審査でということで、資料がないという答弁でございました。水田の整備率が東北地方で最下位であり全国でも下位にあるということで、その理由で、農業用水等の安定確保に向けたかんがい排水事業等に力を入れてきた。では、そのかんがい排水事業は、東北地方では、全国ではどのような感じなのかという質問をしたのですが、その答弁をお願いします。
〇茂田企画調査課長 本県におきましては、新規の水源確保のためのダム造成など基幹的な水利施設を整備する国営事業が、昭和20年代から昭和30年代にかけて11地区で実施されておりまして、東北各県の3から5地区と比較しましても、基幹的農業水利施設の整備が先行して行われてきました。
 その後、地域の要望を踏まえまして、国営事業の下流部においても県営かんがい排水事業等を順次実施しまして、昭和40年代には県内各地で、受益面積でいいますと約3万2、000ヘクタールに及ぶ水利施設の整備を進めてきたところでございます。その面積は東北地方で最も多く、東北全体の約3割を占める状況でございます。
 なお、地域から要望のあった基幹的農業水利施設については、全てが整備済みでありますけれども、その整備率につきましては、国において公表されているものがないということで、他県との比較は困難でございます。
〇高橋穏至委員 わかりました。比較する材料がないということで、やむを得ないと思うのですが、ここで私が質問したかったのは、要は、国営の事業にしても基盤整備をするにしても、国が大半を出していただけるのですけれども、県の負担がある。今、圃場整備等が進められているわけですが、要は、予算を獲得するに当たって、地域からも、合意が調いましたのでなるべく早くやってほしい、予算確保を重点的にやってほしいという要望が出ております。時間がかかればかかるほど、実際に作業する人が年をとっていくということで、早く完成させたいというのが地域の要望であります。
 その要望に関して、県では、例えばこのくらいの面積が用意できましたので、それについて要望するけれども、国に採択されなくてやむを得ずその金額になっているということなのか、その状況はいかがなものでしょうか。
〇茂田企画調査課長 圃場整備事業等を進めるに当たりましては、その前段に、地域で合意形成を図ってもらって調査を進めるということを行っております。ですので、ある程度地域で話し合いを進めてもらって、調査で熟度、確度、その後の営農計画などを高めてもらった地区から採択に進むというような形で手続を進めているところでございます。
〇千葉技監兼農村整備担当技監兼農村計画課総括課長 圃場整備につきましては、本県で地域の方々の要望を踏まえて、どの程度の整備の需要があるか毎年その面積等を見定めて、それを国に対して、この程度の要望があるということで要求する形をとっております。
 したがいまして、国から、予算がこれぐらいの限定だということでその採択を絞り込むという形ではなく、あくまで我々のほうから、地元からの申請を踏まえて、これぐらいの整備であれば採択に持ち込めるのだということを県で見定めた上で国に申請しているということでございます。国からの予算の縛り等については、特にそういった形で事業費を決めているということではございません。
 限られた農業農村整備の公共事業の事業費の中で、できるだけ圃場整備の予算に今は重点化を図りながら事業を執行している状況でございますので、今後も引き続き、要望の多い圃場整備への予算の重点化を図りながら推進してまいりたいと考えております。
〇高橋穏至委員 地域の状況が整って事業化が決まったとしても何年もかかるというのは、やはり進捗状況を結局はどっちがリードするのかというのが問題でございます。私も市議会議員の時代に促進協議会とかに出て、ことしはこれぐらいの予算しかありませんでした、そのような話をずっと聞かされておりました。では、それは、国がそれで絞ってきているのか、あるいは県が出していないのか、どっちなのだという話になろうかと思います。
 その中で、今、国の縛りとかそういうものではないということであれば、ぜひ、県としてどんどん進めないと、担い手がどんどん高齢化して農業全体が衰退していくことになろうかと思いますので、ぜひそういったところを、現状としては県の都合なのかと受け取ったのですけれども、それでよろしいですか。
〇千葉技監兼農村整備担当技監兼農村計画課総括課長 最近、圃場整備に係る事業費は、先ほど来からの中山間地域で要望が大分多くなっている状況でございまして、やはり整備に係る事業費の単価が非常に高くなってきているのが現状でございます。平場に比べまして中山間地域は1.5倍程度するのではないかと思っております。そういった中でも、やはり現在の農業農村整備事業の予算については、5割程度については圃場整備のほうへということで注力しております。
 とにかく、お金のかかる地域については、中山間地域は、例えば等高線上の圃場整備、お金のかからないような手法、あるいは維持管理に適切な、のり面を少し緩くするとか、そういった将来の維持管理も易しいような整備に心がけていこうと考えております。
 できるだけ経費の低減を図りながら、継続した地区については、できるだけ早期に完了させられるように、我々も努めてまいりたいと考えております。
〇高橋穏至委員 全体的な予算が決まっていますので、限られた中でぜひ頑張ってほしいと思います。
 もう一項目は、有害鳥獣、要は鹿とかイノシシですが、先ほど来かなりの質疑がありました。私も環境生活部できのう質疑をしました。その中で、一番最後には、もうどれぐらい捕獲していくかという目標設定と事業費をどれぐらい確保するかではないかと思っております。
 第6次シカ管理計画では、10万頭を基準にして、令和5年度までに半減させるということで、2万5、000頭を2カ年でこれからやることになるのですが、先ほど来のやりとりで、いや2割は増加するよと。そうすると1年に5%しか減らないです。この6次の計画そのものは全然計画になっていないというのが現状ではないかと思います。イノシシに関しては、生息域の調査とか、そこから始めなければならないということですけれども、さらに繁殖力が強いので、これは本当に本気で捕獲していかなければならないということだと思います。
 そうした場合に、令和3年度の決算でほぼ満額の予算を使っております。来年度に向けて、生活環境部の質疑の中では、従事者は今の数が限界だというようなニュアンスの答弁がありました。でも、目標数をさらにやって予算を確保しないと、今、満額使っていますので、しっかりそうした計画値を、頭数じゃなくても、予算ベースで確保しておかないと、とてもじゃないけれども被害軽減には結びつかないと思うのですが、どう考えますでしょうか。
〇村上担い手対策課長 野生鳥獣の被害についてでございますけれども、捕獲については、環境生活部サイドの答弁にもありますとおり、新規の狩猟者確保のために、各種研修会、講習会を開きまして、徐々に狩猟者の人数がふえてきている現状にあります。
 一方で、予算につきましてですけれども、農林水産部関連の予算につきましては、令和3年度は約2億円の予算で取り組みを行っておりまして、その中で、有害捕獲に要する経費が、2億円のうち1億1、000万円で、鹿であれば1万2、000頭の実績だったということでございます。
 本年度、令和4年度の当初予算では3億2、000万円の予算を当初で積んでおりまして、これについては、有害捕獲に要する経費の補助が約1億2、000万円ということで、大体1万3、000頭分の予算を今確保しているところでございます。
 鹿とイノシシにつきましては、この上期の実績では、昨年同時期に比べれば160%、111%と前年を上回る捕獲になっている状況です。
〇高橋穏至委員 今年度も計画以上に進んでいるということですが、数字を見ただけで、繁殖力を見ると、とてもじゃないけれども、今ちょっと気を緩めたらもう取り返しのつかないことになってしまうのが容易に想像できるかと思っております。
 そこで、来年度予算獲得に向けてしっかり取り組んでほしいのですが、実は有害鳥獣捕獲は4月から10月、そして、環境生活部でやっている指定鳥獣は11月から2月ということで、片方が頑張ればいいというものではないので、両方で頑張るということは部長間の調整が必要だと思います。そこをしっかりやってほしいのですが、最後に藤代農林水産部長にそこを伺って、終わりたいと思います。
〇藤代農林水産部長 有害鳥獣捕獲の環境生活部との連携についてでございますけれども、ちなみに、私もわなの捕獲免許を持っていますし、隣の千葉技監は猟銃の免許を持っておりますので、環境生活部と連携して、こういった免許取得もしまして有害捕獲を推進していきたいと考えております。
 高橋穏至委員御指摘のとおり、4月から10月までは農林水産部関係の有害捕獲、11月から2月までは環境生活部の指定管理あるいは狩猟という形で、これはあくまで補助金上、やはり整理が必要だと。とった鹿がどちら側の補助金をもらうのかというところの整理が必要だということでそういった期間を設けているものでございますので、ここについては、とった鹿なりイノシシが、国の補助制度みたいなものが使えるように、あるいは県の支援が使えるように、しっかり連携して取り組んでいきたいと考えているところでございます。
〇斉藤信委員 それでは、令和4年産米の米価と水田活用の直接支払交付金の問題についてお聞きいたします。
 令和4年産米の概算金が示されました。ひとめぼれで前年比1、000円増、しかし、これは60キログラム当たり1万1、000円ですね。これは5年間で2番目に低い米価であります。先ほど議論がありましたけれども、生産費を償える農家の状況についてパーセントを含めて示してください。
〇吉田水田農業課長 生産費を償える農家の状況についてでございます。
 最新の値となります令和2年産の東北地方の米生産の作付規模別の自作地地代等を含む全算入生産費は、1ヘクタールから3ヘクタールの作付規模で、10アール当たり13万1、271円、3ヘクタールから5ヘクタールの作付規模で、10アール当たり11万4、664円となっております。
 令和4年産のひとめぼれの9月の相対取引価格をもとに、9月25日現在の国の作柄概況で示された本県の10アール当たりの予想収量であります537キログラムを用いて10アール当たりの収入額を試算すると11万7、925円となり、3ヘクタール以上の規模で生産費を上回る状況となっております。
 この3ヘクタール以上の規模の農家戸数の割合は11%となっております。
〇斉藤信委員 これは令和2年産米の生産費なのですね。令和4年度は、議論があったように、飼料、肥料が、私がいただいた資料だと肥料代で144.5%、1.4倍以上に上がっているので、これは生産費が上がるのだと思います。
 それで、実は昨年産米の米価が一番下がったのですけれども、9月10日付の日本農業新聞では、2021年産米の大幅な米価下落で、全国農業協同組合中央会、全国農業協同組合連合会の試算では、15ヘクタール以上の農家でもコスト割れしているとありました。議会で聞いたときには、5ヘクタール未満みんな赤字で、これは95%でした。しかし、全国農業協同組合中央会、全国農業協同組合連合会の試算だと15ヘクタール以上の農家もコスト割れしていたとありますが、試算は承知していますか。
〇吉田水田農業課長 全国農業協同組合中央会、全国農業協同組合連合会の試算につきましては、承知しておりませんでした。
〇斉藤信委員 知っているというか、新聞報道で、あなた方も知らないわけがないと思うのです。これは9月10日付の日本農業新聞です。
 だから、実際は昨年ももっと深刻だった。そして、令和4年産米は、この肥料代等の高騰分は生産費に入っていないので、3ヘクタール未満は89%になるのですけれども、それどころではないのだろうと思います。そこの深刻さをしっかり受けとめていく必要があるのではないかと。
 ちなみに、あなた方の試算で10ヘクタール、100ヘクタール規模の農家の減収はどうなるか、県全体ではどれぐらいの減収の見込みなのか。これは令和元年と比べて示してください。
〇佐藤県産米戦略監 御指摘のとおり、令和4年産のひとめぼれは1、000円引き上げられたところでございますが、コロナ禍前の令和元年産米と比較しますと2、100円低くなっております。これを国が公表しました本県の10アール当たり収量537キログラムで試算した場合には、10ヘクタール規模では約188万円、100ヘクタール規模では約1、880万円下回ることになっております。
 また、県全体につきましては、ナラシ対策や収入保険による補填額を除くことが必要ではございますが、仮に、令和3年産米の民間流通量に掛けて試算いたしますと56億円となっております。
 ただ、きのう、令和3年産米のナラシ対策の補填額が公表されておりまして、約18億円が補填されているということでございますし、それから、先ほど来、収入保険の話がございましたが、収入保険につきましては、農作物全体での補填ということで、米だけのものはわからないわけでございますけれども、相当額が補填されていると思っております。
〇斉藤信委員 いずれにしても、米の生産費が令和2年産米、これは物価高騰前の価格で比べて今の減収規模です。だから、昨年に匹敵するような減収の規模になるのではないかということは、指摘をしておきたいと思います。
 そこで、水田活用の直接支払交付金の減額の推計は出ますか。
〇吉田水田農業課長 先般、国が公表いたしました令和4年産の水田における作付状況によりますと、転換作物につきましては、令和3年産と比較して、牧草等の飼料作物が減少している一方で、飼料用米やホールクロップサイレージ用稲、大豆、加工用米などが増加しております。
 飼料作物については面積が減少しましたが、飼料用米や大豆などは面積が大幅に増加しておりまして、加えて、収量に応じて交付単価が変わる作物もあることから、交付金の減額についてお示しすることは難しいところでございます。
〇斉藤信委員 実は、主食用米が2、500ヘクタール減っているのです。そして飼料作物が479ヘクタール減、飼料米は1、147ヘクタール増。ただ、これだって、ふえた分は主食用米の半分以下なのです。全体として作付が減っているのではないか、いわば耕作放棄地がふえているのではないか。それは試算できるのではないですか。2、500ヘクタール水田が減った分、転作されていないでしょう。
〇吉田水田農業課長 この数字につきましては、国が公表している水田活用の直接支払交付金の対象となる面積と理解しておりまして、ほかにも、申請をしていなくても作付をしている場合もあると思いますので、試算につきましては難しいところと考えております。
〇斉藤信委員 毎年毎年同じ基準で公表されているのだから試算できるのではないですか。水田は昨年度2、000ヘクタール減ったのですよ。ことし2、500ヘクタール減っているのですよ。では、その分が転作されているかと。転作するどころか、転作助成金、水田活用の直接支払交付金を減らすというのだから、ますます耕作放棄地がふえているのではないかと聞いているのです。それは明らかになったこのデータで示してください。どうなのですか。転作面積は総面積でふえているのですか減っているのですか。減っているとすれば幾ら減っているのですか。
〇吉田水田農業課長 主食用米の面積につきましては2、500ヘクタールの減少ということでございまして、その一方で、飼料用米、加工用米、大豆、小麦等については増加している状況でございます。(斉藤信委員「プラスマイナスで知りたいのですよ。それを聞いているのではない。それは私が言っている。私がそれを指摘して聞いているのです」と呼ぶ)全体で1、000ヘクタールの減少ということになっておりますけれども、その内容につきまして……。
〇照井農政担当技監兼県産米戦略室長 水田の作付状況でございます。斉藤信委員の御指摘のとおり、主食用米につきましては2、500ヘクタール減っているところでございます。一方、先ほどありましたように、増加している面積もございますが、全体としては1、070ヘクタールほど減っております。この状況につきましては、自己保全管理とかいろいろあると思いますが、実態の詳細については、まだ把握していないところでございます。
〇斉藤信委員 そういう答弁をきちんとやってください。2、070ヘクタール減っているのです。この分が作付されないとしたら減収分でしょう。作付しても減収するのが水田活用の直接支払交付金ですから。私は、後でぜひ2、070ヘクタール減という……(「1、070」と呼ぶ者あり)1、070ヘクタール減というのだったら、この減収分は幾らか、すぐ出ないでしょうから、後でいいから示してください。
 そして、飼料作物は、先ほど言ったように479ヘクタール減です。飼料作物のほとんどは牧草ですよ。これは昨年のデータでその比率が出ていますから、牧草で減った分で、そして作付した分でまた減収がありますから、そういうことを後で示していただきたい。すぐ出ないでしょうから。
 そういうことで、水田活用の直接支払交付金については、農林水産省も最終取りまとめをやりました。かなり切実な声が全部網羅されています。主にどういう中身になっているか示してください。
〇吉田水田農業課長 国が取りまとめいたしました5年間での水張りを困難とする課題等についての主な内容でございますけれども、ブロックローテーションにつきましては、品目によってはブロックローテーションになじまないものがある。6年以上の間隔で輪作体系を組んでおり、今後5年間では水稲作付を行う予定がない。水張りの確認につきまして、水稲以外に水張りを行う品目をどう扱うのか。それから、畑地化の取り組みについては、現行の畑地化支援では不十分だ。牧草関係では、交付金の対象外となれば粗飼料の安定供給の継続ができなくなる等の意見が出されております。
〇斉藤信委員 これは本当に農家の、地方の声がしっかり出ていると思うのです。ところが、新聞報道を見ると、水張り1カ月程度でどうかなどという話です。全然違うではないですか。ブロックローテーションになじまないというのは、大豆、野菜、牧草ですよ。6年以上の間隔でローテーションをやっているところも少なくない。
 牧草関係でいけば、牧草の経営が成り立たず粗飼料の安定供給が継続できなくなる、切実な声ではないですか。土地改良関係では、交付対象水田から除外されれば賦課金の支払いが困難となる。水利施設の維持管理、土地改良区の運営に影響が出る。全くこのとおりです。抜本的に見直しをしなかったら、物価高騰の中で農家がつぶされる。私は、腹をくくって、東北6県、北海道が団結して全国知事会を動かして、水張り1カ月ぐらいでお茶を濁すなどという見直しでは絶対終わらせないということを藤代農林水産部長に求めたい。
〇藤代農林水産部長 水田活用の直接支払交付金の見直しの関係につきましてですが、今、斉藤信委員から御指摘がありましたとおり、地域からさまざまな声をいただいていることと、また、そういった影響があると捉えているところでございます。
 このため県では、国に対し、6月あるいは機会あるごとに、5年に1度の水張りにつきましては、地域の実情を十分に踏まえた運用とするようなこと、それから、水田を有効に活用した多年性牧草の生産への支援を拡充するといったことなどを要望しているところでございます。
 引き続き、全国知事会とも連携しながら、国に対して、こういった地域の実情に沿った運用とするよう要望していきたいと考えているところでございます。
〇斉藤信委員 米価が下落し、物価高騰で農家が本当に今もう先の見通しが立たないような状況の中で、水田活用の直接支払交付金を削減するなどという悪政、暴政を絶対許してはならないと強く求めておきたいと思います。
 次に、物価高騰による影響について。
 時間がないので、全国都道府県、県内市町村で、どのような農家への直接支援の取り組みが行われているか簡潔に示してください。
〇高橋農林水産企画室企画課長 現時点で把握している状況で申し上げますと、本県を含めまして全ての都道府県におきまして、燃油や肥料、飼料といった生産資材の価格高騰に対応しまして、例えば、省エネルギー化や肥料コスト低減に向けました取り組み、さらには、配合飼料価格の上昇分に対する支援などが行われているものと承知しております。
 また、県内の26の市町村におきましても、燃油や生産資材の価格高騰に対する支援が実施されておりまして、それぞれの市町村の実情に応じた取り組みが行われていると承知しております。
〇斉藤信委員 農家に対する直接支援がどう行われているか。全国の都道府県は、ほとんど直接支援をやっています。北海道は、農業従事者に燃油、飼料、肥料高騰対策に係る経費を助成、24億4、800万円。青森県、原油、原材料価格の高騰に対応するための経営の継続、発展に向けた取り組みを支援、7億5、400万円。山形県は、肥料価格上昇分の7割を支援する政府対策への上乗せ、これが6億4、900万円。福島県も、肥料などの値上がり分の一部を助成、6億500万円。
 岩手県は農家に対する直接助成がないのです。県内の市町村もほとんど直接助成です。岩手県の物価高騰対策は、今、厳しい中で、省エネの施設を整備したら補助するなんて少しピントが外れている対策になっているのではないでしょうか。農家に対する直接支援を全国並みにやるべきじゃないでしょうか。
〇中村技術参事兼農業振興課総括課長 農家への直接的な支援ということでございますけれども、県は県で、さまざまな国の制度も活用しつつ、県独自の支援策も講じているところでございます。
 また、現金給付であるとか、そういったものをどうかという話もあるかもしれませんが、個別具体な話でいきますと、それぞれの経営状況等も異なってきておりますので、なかなか直接的な支援というのは現時点ではどうかということもございますが、その必要性等も含めて検討してまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 ほとんどの都道府県は、先ほども私が紹介したように、農家に直接補填なのです。県内の市町村もそうです。例えば盛岡市は、上限100万円の飼料購入費13%支援、八幡平市も限度額100万円、配合飼料購入1トン当たり600円。大体上限100万円とか200万円規模で農家支援をしています。
 そういう意味でいけば、岩手県の支援はなぜ全国と比べてこんなに低いのか。県内市町村が頑張っているのに岩手県の支援がないのはなぜなのか。これは最後、藤代農林水産部長にお聞きしましょう。私は、ちょっと見劣りするのではないかと思います。53億円の新たな交付金も出ているわけだけれども、せめて全国並み、県内市町村並みの支援を岩手県もやるべきではないでしょうか。
〇藤代農林水産部長 今、斉藤信委員から御紹介のありました全国あるいは県内の市町村で直接補填するということについては、県でも承知しておりますし、また、有効な方策の一つとも考えているところでございます。
 一方で、資材価格の高騰につきましては、円安がまだ歯どめのかかっていない状況ということもありますので、引き続き、まだまだ続くかと見ているところでございます。
 こういった中で、県としましては、まずは国の支援策がしっかり農家に届くようにということで、これは側面的な支援になるかもしれませんが、農業改良普及センターなりが入りまして、そういった取り組み項目をサポートしながら、農家の方に支援金が届くようなこと、あるいは県独自で措置しました令和4年6月補正予算、省エネ対策ということで、将来には当然コスト減という形でつながってきますので、まずはこういったような対策を講じて、その上で、またさらに県としてどのような対応が可能かということは、引き続き検討してまいりたいと考えているところでございます。
〇千田美津子委員 私からは、大きく分けて二つお伺いいたします。一つは畜産振興と獣医師の確保策についてお聞きいたします。
 まず一つは、岩手県酪農・肉用牛生産近代化計画がありますが、これが目指す岩手県の畜産振興の現状等についてお聞きいたします。あわせて、二つ目に、県の肉用牛、酪農経営の実態についてお聞きいたします。
〇米谷畜産課総括課長 岩手県酪農・肉用牛生産近代化計画についてでありますが、県では、国の酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針の策定を受けまして、令和12年度を目標とする本計画を令和3年3月に策定したところでございます。
 計画の中では、酪農につきましては、総飼養頭数4万2、000頭から3万9、000頭へ減少を見込みますが、県全体の生乳生産量は21万トンを維持すると。肉用牛につきましては、総飼養頭数8万8、000頭から10万4、000頭へ増頭、約120%とすることを目標としております。
 この目標の達成に向けまして、牛舎整備や飼料生産機械等の導入支援、県や農協等で組織する酪農・肉用牛サポートチームの活動等によります飼養管理技術の改善、コントラクターや酪農ヘルパー組合などの外部支援組織の育成、ICT機器の導入支援等の取り組みを進めているところでございます。
 続きまして、県の肉用牛、酪農経営の実態についてでございます。現在、本県の令和3年度の肉用牛の飼養頭数、戸数、和牛の繁殖経営と肥育経営を合わせまして約3、800戸、5万900頭と、酪農・肉用牛生産近代化計画の現状年であります平成30年度に比べ、戸数で約84%、頭数で約95%となっております。
 酪農の飼養戸数、頭数につきましては、約770戸、4万100頭と、平成30年度に比べまして戸数で87%、頭数で95%となっているところでございます。
〇千田美津子委員 ただいま答弁があったように、令和12年度の目標として、酪農においては、総飼養頭数は減少するけれども、生産量は維持するのだということでありましたし、肉用牛については、飼養頭数そのものの拡大、120%を目指すということがわかりました。そのために必要なさまざまな牛舎の整備とかサポートチーム等の活用で、いろいろ大変だと思いますが、ぜひ、引き続きよろしくお願いしたいと思います。
 それから、経営実態についてですけれども、この間、5年間で飼養頭数もですが、資料を見ますと、例えば和牛繁殖農家が740戸減っています。それから肥育が約100戸、乳用牛が170戸減少しております。ただ、全体で見ますと1戸当たりの飼養頭数はそれぞれふえているということで、農家の頑張り、それから、さまざまな指導や支援がこのような状況を生み出しているかと思います。
 きょういろいろ議論があったように、畜産を取り巻く環境は、飼料の高騰など本当に大変な状況だと思いますが、引き続き、この計画の達成を目指して力を入れていただきたいと思います。これは要望です。
 三つ目ですけれども、先ほど菅野ひろのり委員から質問がありました家畜診療所の縮小の問題です。先ほども答弁があったと思いますが、これは、家畜共済制度が改正されて、それに伴って岩手県の農業共済組合が家畜診療業務を見直したということで、令和6年4月から、農業共済組合の家畜診療業務が対象外となることが決定したと私も聞きました。
 先ほどもありましたが、大きく懸念されるのが、大家畜を対象にした開業獣医師がいない釜石・大槌地域だと私も思います。先ほどの答弁では、最終的に県全体の獣医師を確保していくことなどの答弁がありましたし、現在、地元の自治体、それから農協等と検討されているということでありますが、この間の検討で、今どのようなことをやられているのか、その状況についてお聞きいたします。
〇高橋振興・衛生課長 釜石・大槌地域における地域獣医療の確保に向けた検討状況についての御質問でありますが、釜石・大槌地域につきましては、県、広域振興局、釜石市、大槌町、農業協同組合とともに、地域の獣医療確保に向け、本年1月13日に検討の場を設置し、これまでに4回の検討会を開催し、具体的な対策を検討してまいりました。
 そして、牛飼養農家の診療状況ですとか将来の経営意向を飼っている方々にお聞きし、地域の飼養頭数が10年後もおおむね維持されるという調査結果を得まして、現状と同程度の獣医療を確保する必要があることから、現在は、近隣の獣医師、開業獣医師などに診療を依頼することの条件について整理しているところでございます。
〇千田美津子委員 さまざま検討されたり農家の皆さんの意向を聞いたりされているということはわかりました。それで、この間、特に釜石・大槌地域の現在の飼養戸数と頭数、それから5年後、10年後の農家の皆さんの見込み、この間の診療実績についてお尋ねいたします。
〇高橋振興・衛生課長 令和4年度現在は、33戸、約300頭の牛が飼われている状態です。10年後には、33戸のうち戸数は減少しますけれども、約300頭の飼養頭数は維持されると意向調査で把握されたところです。
 現在の診療件数については、内部限りとして取りまとめており、詳細な数値の答弁は差し控えたいと思います。
〇千田美津子委員 結局、飼養農家戸数、頭数もさることながら、どれだけの診療実績があるのかは、これからの対策を練る上で非常に大事なことだと思うのです。関係者には資料が渡っているのでそれを見ているのですが、例えば事故外ということで、釜石・大槌地域では200件のレセプトがあるようです。1件のレセプトというのは1回のことではなくて、何回行っても1件という取り扱いのようなので、例えば、獣医師が500回、1、000回行っているかもしれません。そういった意味での200のレセプトということのようです。
 やはりかなりの診療実績があるわけで、そういった意味では、今、周りの獣医師を含めて対応を検討されているということですが、農家の皆さんは、5年後、10年後、飼養戸数は減っても頭数は拡大していくという意向が、先ほど答弁があったように示されておりますので、ここを励ますような取り組みをできるだけ早急に明らかにしていくことが大事だと思うのですが、いかがでしょうか。
〇高橋振興・衛生課長 ただいま千田美津子委員から御指摘のありましたとおり、地域の意向を把握して、地域の獣医療確保に向けて検討、対策を進めていくことが重要であることは認識しております。
 現在、検討会において地元の自治体ですとか農協などが十分議論を重ねているところでありまして、対策の方向性を決めているところでございます。引き続き、この検討会で市町村、農協とも連携し、県も一緒になって検討を進めてまいりたいと思います。
〇千田美津子委員 一つ、私がどうしてもわからないのが、確かに、家畜共済制度改正に伴って農業共済組合が見直しをしたわけですが、この独立採算制度となったために今回のようなことになっているというのですが、どのような経過が現実的にあったためになったのか、それから、この間、県に対しては農業共済組合等から具体的な相談等はなかったのでしょうか。
〇中野参事兼団体指導課総括課長 家畜共済制度が平成30年度に改正されまして、平成31年4月から施行されて、家畜共済勘定から家畜診療所勘定が分離するような形で独立採算制となりました。
 農業共済組合の家畜診療所の赤字が顕在化いたしまして、農業共済組合としても、家畜診療所の効率的な運営が一層求められたところがございました。そういう中で、令和2年に県にも請願が出されたという内容もございました。そのような状況の中で、農業共済組合の家畜診療所も、いわゆる収支改善の取り組みを進めてきたところでございます。
 県といたしましても、家畜共済と家畜診療所の収支が改善、均衡するように、家畜診療所が維持できるように、国に対しては要望を行ってきたところでございます。
〇千田美津子委員 大体のところはわかりました。
 それで、きょうもいろいろ議論がありましたけれども、畜産県として、本当に頑張っている、飼養戸数は減ってはおりますけれども、飼養頭数をふやすために頑張っているわけですから、農家の皆さんが本当に安心して経営できる状況に持っていくことが県としても非常に重要だと思います。
 そういった意味では、これまでの家畜診療所の運営体制がいろいろありますけれども、やはり横の連携をもっと深めながら、それから、獣医療体制の地域区分の見直しなど、もう少し展望が見えるような形でやっていただきたい。
 それから、今、関連する獣医師にアンケートをとられているとお聞きいたしました。全体の獣医師が決して多くはない中で、人の医師不足だけではなくて、大家畜の獣医師も少ないというイメージになっていくと大変なので、やはりこれについては、獣医師をもっとふやす取り組みを県としても引き続き頑張っていただきたいと思うわけですが、藤代農林水産部長にお聞きいたします。
〇藤代農林水産部長 獣医師確保についてでございますけれども、畜産を行っていらっしゃる農業者の皆さんが安心して経営を行っていくためには、地域で安定的に獣医療を提供できる、診療が受けられる体制は大変重要だと考えております。
 ただ、一方で、人の医者と違い、医者ですと、患者が医者のところに行けばいいのですが、獣医師の場合は、それぞれの農家を訪問して診療しなければいけないというところもございますので、今、県内の農業共済組合から獣医師がかなり退職した部分がありますが、それはそれで、県内に残っていただいて獣医師の仕事をしていただいています。ただ、一方で、家庭の事情なりで、生活しやすいところにいらっしゃるような傾向もあります。
 そういった中で、牛の頭数とかが余り多くないところで、収入の確保も含めてどういった獣医療を構築できるかというところもありまして、今、地域でさまざま議論いただいているところです。それぞれの地域に応じた形で獣医師を確保できる、あるいは獣医療の提供が受けられるように、県としては、引き続き、地元と一緒にそういった取り組みを進めていきたいと考えているところでございます。
〇千田美津子委員 よろしくお願いいたします。
 それでは二つ目、農業用ため池の安全管理についてお尋ねいたします。
 7月23日に金ケ崎町のため池で、草刈り作業をしておられた男性2人が、ため池に落ちて溺れ、亡くなるという重大事故が起きました。農業をしている男性が誤って転落し、助けようとした別の男性も溺れて亡くなったという大変痛ましい事故であります。このような事故をなくすために今後どうあればよいのか、以下についてお聞きいたします。
 一つは、県内の農業用ため池及び防災重点農業用ため池の現状についてお聞きいたします。
〇佐々木技術参事兼農村建設課総括課長 県内の農業用ため池でございますが、全県で2、365カ所ございます。所有者別では、国または地方公共団体が524カ所、土地改良区が206カ所、個人が1、446カ所、その他水利組合などが189カ所となっております。
 管理者別では、国または地方公共団体が86カ所、土地改良区が654カ所、個人が1、375カ所、その他水利組合などが250カ所となっております。
 そのうち、決壊した場合に、家屋や公共施設が存在し人的被害を与えるおそれがある防災重点農業用ため池は県内に881カ所ございます。所有者別では、国または地方公共団体が295カ所、土地改良区が103カ所、個人が475カ所、その他水利組合が8カ所となっております。
 また、管理者別では、国または地方公共団体が63カ所、土地改良区が308カ所、個人が421カ所、その他水利組合などが89カ所となっております。
〇千田美津子委員 全体で2、365カ所、防災重点農業用ため池が881カ所ということで、非常に多いわけですし、またその所有者もいろいろありまして、それらの方々が、連携して防災のために取り組むことが必要です。
 それで、二つ目ですが、数年間の農作業中のため池での事故発生状況及び事故防止策についてお尋ねいたします。
 あわせて、農業用ため池保全サポートセンターの設置が国から指導されておりますけれども、市町村との連携をする上でこれが非常に重要だと思いますが、設置見込み等についてお聞きいたします。
〇佐々木技術参事兼農村建設課総括課長 ため池での事故の発生状況及びその防止策についてでございます。
 過去5年におきましては、農作業中のため池での事故は、委員御案内のとおり、ことし7月に発生した農業用ため池でののり面草刈り作業中の転落死亡事故1件のみとなっております。
 県内では毎年度、営農開始時期ですとか梅雨期及び台風時期前に、農業用施設の管理作業時における安全管理の徹底について通知を発出しております。これらに加えまして、ことし7月に起きました先ほどの事故を受けまして、翌8月に、県が、農業用ため池の保全安全管理に係る市町村との意見交換会を開催しておりまして、安全管理の徹底について再度周知させていただいたところでございます。
 引き続き、施設管理者及び作業従事者の皆さんに対しまして、急なのり面など危険な場所にはむやみに立ち入らないこと、やむを得ず立ち入る必要がある場合におきましては、命綱の装着でありますとか複数名での監視体制強化を行うなど、管理作業の安全を確保するよう注意を喚起してまいります。
 次に、農業用ため池サポートセンターに関するお尋ねでございます。
 県では、農業用ため池の管理及び保全に関する法律の施行を受けまして、令和元年8月に、岩手県土地改良事業団体連合会及び一般社団法人岩手県土地改良設計協会を構成員といたしました農業用ため池対策チームを設置いたしております。このチームが、市町村と連携の上、ため池の届け出など、法に基づく手続の周知でありますとか、ため池の防災、減災対策の推進を図ってきたところでございます。
 この対策チームの3年間の活動状況を踏まえまして、本年8月に市町村との意見交換を実施したところ、ため池の適正な管理をさらに普及啓発するためには、管理者及び所有者に対しまして、ため池の漏水でありますとか堤体の変位を確認する定期点検の着実な実施など、これまで以上に指導、助言を強化する必要があるのではないかという意見が挙げられたところでございます。
 これを受けまして、県では、ため池サポートセンター―委員から御案内がありました、全国で設置されている事例が多くございますが―を既に設置している他県の活動状況等を調査いたしまして、本県におけるため池サポートセンターの必要性について検討を行っているところでございます。
〇川村伸浩副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇川村伸浩副委員長 質疑がないようでありますので、これで第1部農業関係の質疑を終わります。
 執行部席の消毒のため、しばらくお待ち願います。
 次に、第2部林業、水産業関係について質疑はありませんか。
〇高橋はじめ委員 私からは、山地におけるメガソーラーの立地についてお尋ねしたいと思います。
 先般、中央防災会議から、日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震についてのマスコミ報道がありました。岩手県関係では、津波高の推計結果は、マグニチュード9クラスの地震により発生する津波は、宮古市で30メートル、岩泉町で27メートルのほか、隣県の八戸市で27メートルとなっております。
 巨大地震であることから、沿岸部だけではなくて内陸部でも震度6強から6弱と甚大な被害が出ることが想定され、さまざまな部門で防災対策を進めなければならないと思っております。
 山なら巨大地震でも問題は起こらない、山は安全ということでもないことは、平成20年岩手・宮城内陸地震や平成30年北海道胆振東部地震による山間部の大規模崩落は記憶に新しいところであります。
 県内でも、山間地に再生エネルギーの導入でソーラーや風力発電施設が建設されており、この日本海溝沿い地震でも問題がないのか、そのことを県として検証しているという動きがなかなか伝わってきておりません。早急に農林水産部や県土整備部、復興防災部など、県を挙げて検証することを求めていきたいと思っております。
 そこで、山間部でのメガソーラー発電について何点か伺います。
 産地へのメガソーラー立地に関し、山地の傾斜角度と地形や土質、希少植物等の保護など、立地条件はどうなっているかお尋ねします。
〇安藤森林保全課総括課長 山地におけるメガソーラーの立地条件についてでございますが、林地開発許可制度では、メガソーラーに限定した斜面勾配等の立地条件を定めた基準はございません。切り土や盛り土について、土質等に応じた勾配、あとは施工の高さや施工方法などを確認しまして、災害の防止、水害の防止、水の確保、環境の保全の四つの許可要件に照らし合わせた林地開発に基づき審査をしているところでございます。
 また、希少植物等の保護につきましては、申請に際し有識者等から意見を徴することや関係部局からの意見照会結果を踏まえ、生育環境等に影響のない事業計画とするよう、事業者を指導しているところでございます。
〇高橋はじめ委員 立地計画書の内容、現地の適、不適判断等における県の関与はどのようになっているのか。それから、伐根して、その伐根した土地の使用、あるいは非伐根地域の区分といったものはどうなっているのかお尋ねします。
〇安藤森林保全課総括課長 立地計画書の内容確認における県の関与についてでございますが、まず、林地開発許可制度では、森林の無秩序な開発を規制するため、森林法に基づきまして四つの許可要件、この四つを申し上げますと、一つ目としては、土砂の流出または崩壊、その他の災害を発生させるおそれがないこと、いわゆる災害の防止。二つ目としては、水害を発生させるおそれがないこと、いわゆる水害の防止でございます。三つ目として、水の確保に著しい支障を及ぼすおそれがないこと、いわゆる水の確保。四つ目として、環境を著しく悪化させるおそれがないこと、いわゆる環境の保全。この四つを満たしている場合につきましては、許可しなければならないとされております。
 このことから、計画書に不備があった際は修正を求め、また、事業者から申請された区域の適否につきましては、関係する開発規制等法から見て適正か否かを判断するとともに、必要に応じまして、事業者に開発規制に沿った対応を求めているものでございます。
 また、伐根利用や非伐根地の区分についての基準についてはございませんが、伐根した場合は、林地の条件に応じて、降雨などにより災害が発生しないよう、岩手県林地開発許可制度実施要綱の技術基準に沿った事業計画とするよう指導しているところでございます。
〇高橋はじめ委員 工事内容の点検等、現地確認は行われているか。計画書が出されておりまして、計画書に基づいて工事がされるわけであります。その完成工事の確認とか、それから、計画どおりになっているのかどうか、まず点検が必要だと。それから、問題発生時について今ほどありましたけれども、例えば、この間の伐根の事件の場合もあるわけですが、そういう問題が出たときの改善指導等はどのようになっているのかお伺いします。
〇安藤森林保全課総括課長 現地確認と改善指導等についてのお尋ねだと思います。
 まずは、林地開発許可制度では、一般的に事業地の造成工事までを対象としております。造成工事期間中は、防災施設や重要構造物の施工状況など、事業計画に沿った開発となっているか定期的に現地確認を行っているところでございます。
 また、現地確認時に事業計画と相違した開発が確認された場合には、一定の期間を定め、現地の復旧等、必要な措置や事業計画の見直しなどを求め、適正な開発となるよう指導しているところでございます。
〇高橋はじめ委員 今、基本的なことをお尋ねしまして、そこで、一時問題となりました件についてお尋ねしたいと思います。軽米町の東ソーラーであります。
 県北軽米町では、里山にメガソーラーが5カ所立地されております。この用地は、軽米町民の方々の協力を得て、その山林地を開発してメガソーラーが設置されております。これは、農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律に基づき策定された軽米町再生可能エネルギー発電の促進による農山村活性化計画に基づいて立地されたものでした。この事業により、発電から20年間、年額500万円の寄附を受けることとなっておりまして、町にとっては大変大きな収入源でもあります。
 メガソーラー設置場所は里山でありますが、この地域には、青森県五戸町から本県葛巻町まで折爪活断層が存在しており、また、山地表面も、地層が比較的浅く、地震で山地に亀裂が入れば深層崩落する可能性も指摘されているところであります。山地開発は、その上で慎重に行わなければならないと思うところであります。
 何点か心配されることがありますので、お伺いいたします。
 平成30年8月、匿名者から、軽米東ソーラー建設において、非伐根地で伐根され自然災害の懸念があるとの投書があったとお伺いしております。これについてどう対処したか、自然災害の懸念はあるのかないのか、伐根した箇所の復元状況の点検等は行っているのか伺います。
〇安藤森林保全課総括課長 軽米東ソーラー建設地における自然災害の可能性についてでございますが、県では、軽米町及び事業者とともに現地調査を実施いたしまして、事業計画と相違し伐根の事実が確認できましたことから、事業者に対し、水害や土砂流出防止対策を実施するように求めました。
 事業者は、県の指導に従い復旧対策工事を実施し、自然災害のおそれがなくなったと判断したことから、その後、引き続きの開発を認めたところでございます。
 復元箇所の点検等につきましては、復元後に完了確認を実施したほか、復元箇所を含めた全体の開発工事が完了するまで、定期的に現地調査を実施しているところでございます。
 また、全体の造成工事の完了以降は、事業者において防災管理計画を策定いたしまして、監視カメラ、降雨計などを設置しまして、場内や工事調整池、河川などを監視するほか、災害のおそれがある場合には、巡回するなど防災管理体制を構築、管理していると聞いております。
〇高橋はじめ委員 それでは、適切な処置をなされているということでよろしいですか。
 この投書があったこと、それから、県としてこういう対応をしたこと、これらについては議会に対して余り報告がされていないのです。できれば、こういうことは常任委員会で遅滞なく報告していただいて、今、何が現地で起こっているのか、それぐらいの報告はあってしかるべきだと私は思います。今後同じような事案が発生したら、ぜひ議会にも報告をお願いしたいと思います。
 それで、計画書には、発電施設の配置については急傾斜地を避けるようにしますとあります。また、許可を受けた林地開発行為について、計画変更する際に、事前に林地開発計画変更届け出書を提出する必要があったと思われます。伐採する計画のないところを伐採、あるいは、その後、伐根した木の根をどう処分するのか、マニフェストの提出もされていないということであります。
 私は、これに対する行政処分等も考えていく必要があるのではないかと思います。軽微なことにしっかり対応しなければ、法も条例もルールも成り立っていかない、このように私は思いますが、この点についてはいかがですか。
〇安藤森林保全課総括課長 行政指導につきましては、監督処分までは行かなかったのですが、適切にしているところでございます。行政指導につきましては、私どもの内規がございまして、事業者のほうで、こちらの指導に対して素直に応じる場合、相手は応じるということでやってくれましたので、その際には、指導、注意ということで処理しておりますので、その分、何も問題はなかったと考えております。
〇高橋はじめ委員 伐根しないということで計画書を出していて、部分検査をやった後に伐根したことは何となく意図的なものを感ずるところなのです。そういったことを含めてやはり反省しなければならない。それから計画書も、変更があれば計画書を出さなければならないということで、変更計画書の用紙も添付して出しているわけです。それらが出ていないことについても、やはりこれはおかしいのではないかということを考えていかなければならないと私は思います。
 それから、伐根された木の根は産業廃棄物となります。5工区で大量の伐根材が発生した模様でありますが、伐根面積及び伐根量はどのくらい出ているのか、どのように処理されたか、廃棄物処理マニフェストはどうなっているのか、その伐根処理は確認をしたのか、この点について伺います。
〇安藤森林保全課総括課長 軽米東ソーラーの廃棄物処理、伐根の処理でございますが、伐根された区域面積につきましては約24ヘクタールでございます。伐根量につきましては、推定できる資料がないためお示しできない状況になっております。
 また、廃棄物処理マニフェストにつきましては、廃棄物の処理及び清掃に関する法律を所管する部局において事業者に確認していると聞いております。
 それから、根株等の処理につきましては、完了確認調査で、施工状況写真などにより盛り土内に処理されていないことを確認しております。
〇高橋はじめ委員 いまだにマニフェストの提出がないということは存在しない可能性もあるわけでありますが、またさらに、議会としてもこういう質問があったということで、強く提出を求めていただければと思います。
 山地開発ということで林業としての捉え方もありますが、メガソーラー建設は山林土木、土木工事であり、通常の建設工事と同等の取り扱いとなっていくと思います。伐根で出た木の根は産業廃棄物としての扱いとなり、産業廃棄物の処理及び清掃に関する法律のもと、適正に処理されなければなりません。
 地元建設業者に見積もり依頼がなされ、実際に発注されたのが見積もりの2割弱とも聞いております。あとはどうなったのか。現場で不法に投棄されたのか、いまだに野積みされているのか、伐採処理のマニフェストを点検する必要があるのではありませんか。
 それから、廃棄物の定義として判断基準の5要素、物の清浄、排出の状況、通常の取り扱い形態、取引価値の有無、専有者の意思といったものがあり、排出物を取り扱う当事者の意思だけではなく、五つの判断要素を用いて総合的に判断する必要があります。
 本事案はそのような判断基準に従って適切に行われたか、そのことを地域住民は今危惧をいたしております。ただいまの回答では、県では実施を把握していないということであります。私のところに昨夜届いた資料によると、先ほどは全体で24ヘクタールということでありましたが、5工区のうちの3工区で伐採面積は15.4ヘクタール、推定9、400立方メートル、処理費用が概算で約1億2、000万円。そして、あと2工区を加えれば24ヘクタールになると。また、処分料も、こうした計算をすると2億円以上かかっていると。それほどの費用がかかる処理、そしてまた、事業者は経費削減したいと考えれば、許認可した県としての立場上、しっかりと検証していかなければならないと私は思います。
 森林保全策として相当な面積に柵が持たれております。このような柵です。これは工事業者がホームページに出している資料ですが、これを見ただけでも相当朽ち果ててきつつあるのです。一部崩れかかっているところも見受けられまして、これで建設工事上認められるのかどうか。そして、ソーラー発電の事業者がほかにも2者あるのですけれども、ここのところだけこのような処理の仕方がされているということで、これはまた違うところの思惑があったのではないかということをおっしゃる方もあるわけであります。
 そういう意味で、これらについてしっかりと今後のことも含めて取り組みをしていかなければならないと思っています。時間がありませんので、最後に藤代農林水産部長のこの件についての所感を伺って、終わりたいと思います。
〇藤代農林水産部長 山地におけるメガソーラーの立地の件についてでございますけれども、これにつきましては、自然災害の未然防止という観点から、先ほど森林保全課総括課長も答弁しましたけれども、森林法に基づく四つの許可要件に従って適切に許可が与えられるべきもの、あるいは開発が行われるべきものと捉えております。
 それがきちんと守られるように、引き続き事業者を指導していくとともに、こういった法律の運用につきましては、適切に運用されるよう取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
〇川村伸浩副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
   午後4時18分 休 憩
午後4時42分再開
〇名須川晋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇臼澤勉委員 それでは、私からは、令和3年度が初年度であった第4期いわての森林づくり県民税についてお伺いいたします。
 まず、令和3年度のいわての森林づくり県民税の執行状況の評価、それから、累積繰越残高の課題と分析についてお伺いいたします。
〇工藤技術参事兼林業振興課総括課長 令和3年度のいわての森林づくり県民税の執行状況の評価についてでございますけれども、令和3年度の決算額は、ハード事業でございます公益的機能の高い森林へ誘導する間伐や、公益上重要な伐採跡地に植栽などを行ういわて環境の森整備事業で4億7、700万円余、ソフト事業でございます地域住民が主体となって里山での間伐などを行う県民参加の森林づくり促進事業で2、100万円余など、11の事業で合計6億5、700万円余を執行したところでございます。
 また、いわての森林づくり基金の令和3年度末の残高は24億375万7、000円となっております。この残高につきましては、環境の森整備事業で、今の林業の流れの中で主伐等に労務がとられてしまったということで、間伐などに作業員を割くことができなくて累積してきたという部分がございます。
〇臼澤勉委員 私も、ちょうど2年前の令和2年7月に質問させていただいていました。当時は、たしか22億5、000万円の累積残高だったかと思います。それについては適正に今後執行していっていただきたいとは思いますけれども、いわての森林づくり県民税の名称を県民に周知というか認知がどの程度されているのかというところをお伺いしたいと思います。
 以前、2年前に聞いたときは、いわての森林づくり県民税の名称は知っているけれども、税額を知らないとか、使い道がわからないという方々が、たしか75%程度あったかと思うのですが、今の状況がおわかりになりましたら、教えていただければと思います。
〇工藤技術参事兼林業振興課総括課長 直近の認知度でございますけれども、令和3年度で42.5%となっております。直近の持っているデータでいきますと、平成27年で35.3%でございましたので、伸びは緩やかでございますけれども、少しずつではありますが上がっているところでございます。
〇臼澤勉委員 過半数にまだ行っていないというようなところで、やはりここら辺は重要なポイントではないかと思います。しっかりそこら辺は、CMもやっているようですけれども、ただ、やはりこの中身とか税額が、どの程度自分が払って、何に使われているか、そこら辺はしっかりと周知していっていただきたい。
 それで、第4期の使途拡大した事業がさまざまあったかと思いますけれども、その事業実績と評価、それから、広げた事業の具体的実施状況等、どのようになっているのかお伺いいたします。
〇工藤技術参事兼林業振興課総括課長 第4期に使途拡大した事業の実績と評価でございますけれども、まず、ハード事業でございますが、公益上重要な伐採跡地への植栽あるいは林野火災予防対策、ソフト事業におきましては、木育の推進等につながる県産木材の活用や岩手県森林公園の機能強化などの使途の拡大に取り組んだところでございます。
 これら使途拡大した取り組みの令和3年度の実績でございますけれども、伐採跡地への植栽が171ヘクタールの施工地を確保して整備を進めておりますほか、林野火災予防対策では、消火活動に活用可能な作業道を図上に記載した路網マップを釜石市で作成したところでございます。
 また、木育の推進につながる県産木材の活用では、保育所や認定こども園、いわて子どもの森など28の施設に、木製玩具や木製遊具などの県産木材製品を導入しましたほか、岩手県森林公園の機能強化では、大船渡市の大窪山森林公園に木育スペースを整備するなど取り組んだところでございます。
〇臼澤勉委員 全国植樹祭等も控えておりまして、こういった県民への木育の普及というか森林との共生といった部分についても、しっかり取り組んでいただきたいと思いますし、何よりも、やはり環境重視の森林づくりのこういった整備を着実に進めていっていただきたい。
 それで、私が歩くと地元の方々からも、事業実施後の20年間の皆伐禁止の要件緩和を結構言われておりましたけれども、その検討状況はどのようになっておりますでしょうか。
〇工藤技術参事兼林業振興課総括課長 20年間の皆伐禁止の要件緩和についてでございますけれども、まず、この強度間伐は、手入れが行き届いていない森林で実施しておりまして、そのような森林に下層植生を侵入させて、水源の涵養でありますとか山地災害の防止など、森林の持つ公益的機能の効果を一定期間発揮させるために、20年間の協定締結を条件としております。
 森林の持つ公益的機能の効果は多くの県民に広くもたらされるということで、特別に徴収している県民税を投入して、県が所有者にかわって整備をしてきたものでございます。
 このことから、20年間の皆伐禁止の協定期間を短縮することは、この環境の森整備事業の目的である公益的機能の安定的な発揮を十分に果たせないままに伐採してしまうことになりますので、これに関しましては、引き続き、これまでと同様に、協定期間を20年として事業を進めていきたいと考えております。
 ただ、この20年間の伐採制限につきましては、間伐でありますとか択伐などの通常の森林管理までも制限するものではございません。これもきちんと所有者の方に説明しますほか、それでもなお、20年間の皆伐禁止の要件にいろいろお求めになられる方に対しましては、事業の活用の段階で、国庫補助事業でありますとか、それ以外の事業の導入を進めていきたいと考えております。
〇臼澤勉委員 ぜひ、そこら辺については丁寧な説明等をお願いしたいと思います。
 人材育成と確保対策についても伺っていきたいと思いますが、間伐を担う作業員の日当等も1、000円程度とかいろいろ聞いたりもするのですけれども、そこら辺の対策についてお伺いいたします。
〇工藤技術参事兼林業振興課総括課長 今お話がありました日当の件でございますけれども、まず、このいわての森林づくり県民税事業の作業員の労務費につきましては、労務単価を建設業と同等としていますほか、社会保険料を事業費に計上するなど、適正な給与が支払えるような対策を講じているところでございます。
 これまでもいわて林業アカデミー等でそういった担い手を育成してきたところでございますけれども、そういったいわて林業アカデミーを修了した方々などは、いろいろな会社の給与の状況等を見ながら就職先を決めたりするところがございます。こういったいわての森林づくり県民税事業の活用であるとか、あるいはこの事業の趣旨を経営者の方々にきちんとお伝えして、働いている方々にきちんと給料が払われるような情報共有とか、そういった取り組みもしてまいりたいと思います。
〇臼澤勉委員 ぜひ、しっかりとした労務単価でというか、そういった部分をしながら人材確保に努めていただきたい。
 そして、針広混交林への誘導実績も進めているかと思いますけれども、この実績と評価についてお伺いいたします。
〇工藤技術参事兼林業振興課総括課長 針広混交林化への誘導実績と評価でございますけれども、平成19年度から岩手県林業技術センターが、混交林誘導伐の施工地11カ所につきまして、毎年度、下層植生の変化などについてモニタリング調査を実施しております。さらに、それを補完する形で、県内約100カ所の施工地におきまして、おおむね5年ごとに下層植生の生育状況を調査して、岩手大学の専門の先生に分析をお願いしております。
 この分析の結果につきましては、全体として、間伐後おおむね10年が経過した段階で、約9割の調査地において下層木の侵入が見られます。鹿の食害を受けない限りは低木層が形成されるということでございますので、県としては、この混交林誘導伐が有効に機能していると捉えております。
〇臼澤勉委員 順調に行っているというお話でしたけれども、いずれ現場を、5年置きというか、ぜひ検証していっていただきたいと思います。手を加えたけれども、そのまま放置するような形になると、やはり植生についても非常に影響を及ぼしてきますので、そこら辺については、広域振興局等と連携しながらぜひ進めていただきたいと思います。
 続きまして、森林環境譲与税について伺います。
 市町村ごとの執行状況、事業化率、評価についてお伺いします。
〇工藤技術参事兼林業振興課総括課長 森林環境譲与税の市町村ごとの執行状況についてでございますが、令和3年度の市町村への譲与額は10億3、296万7、000円に対しまして、執行見込み額は7億1、160万5、000円で、事業化率は69%となっております。
 令和4年度は、市町村の森林環境譲与税の活用が活発化しておりまして、譲与見込み額は13億3、600万円余に対しまして、執行見込み額は12億4、500万円余で、事業化率は93%と増加しております。
 これは、市町村におきまして、森林環境譲与税を財源とした取り組みを着実に進めていることによるものと捉えております。
〇臼澤勉委員 市町村ごとによっても事業化率はそれぞれだと思って見せていただいておりますが、具体的な支出内容は、ホームページ等でも報告の義務づけがされておりますけれども、ここら辺の支出内容はどんな特徴があるのか、どういったところに活用されて進められているのかお伺いいたします。
〇工藤技術参事兼林業振興課総括課長 市町村における具体的な支出内容でございますけれども、市町村に対しまして、森林環境譲与税の執行状況について調査を実施しましたところ、森林整備を目的としまして、森林現況調査や森林所有者に対する経営意向調査を31の市町村が実施しております。また、林道や作業道の整備、あるいは維持補修を12の市町村が実施しております。
 また、人材の育成及び確保を目的としまして、高校生を対象にした林業体験会の開催などの担い手確保を八つの市町村が実施しております。
 また、木材利用の促進あるいは普及啓発を目的としては、まきストーブの導入支援など木質バイオマス利用の推進を五つの市町村、市民を対象とした森林体験会の開催など普及活動を五つの市町村が実施しているところでございます。
〇臼澤勉委員 確認ですけれども、いわての森林づくり県民税とこの環境譲与税の使途とか役割分担みたいな部分は、何か整理されていたと私は理解しております。やはりその役割の部分については、県はこういった形で進めていきます、市町村については、県と市町村の役割分担みたいなところで、大枠としてこういった部分について進めていくから、岩手県の森全体が整備されたり、あるいはカーボンニュートラルの取り組みとか、そういったものが図られていくみたいな感じで整理されていくと思うのです。
 今、県内の山の所有者の実態とかといった部分が、例えば、まだ不透明だとか境界が未確定だとか、震災のときにもそういった部分で、所有者がわからなかった部分もあったりして非常に難しい部分があったり、今さまざまな課題があると思うのです。そういった部分の解消に向けて県が今の市町村別の使途の状況を、県としてある程度誘導するというか、主導的に取り組んでいく、そういうお考えはあるのかお伺いします。
〇工藤技術参事兼林業振興課総括課長 市町村における森林環境譲与税の活用につきましては、制度ができ上ってから、具体的な使い方がなかなか示されてこなかったということで、県では、まずもって森林経営管理制度を着実に進めましょうということで、先ほど御説明いたしました森林の現況調査でありますとか森林所有者の経営に対する意向調査をずっとやってきたところでございます。
 ことし6月に、市町村における活用率を高めるために、こういったものに使えますという資料を国で示しました。それを見ると、なかなかたくさん使えるのですけれども、実際にどうするかという部分が非常にわかりづらいということも御意見として伺いましたので、県でことし7月に県内全域を回りまして、市町村の課長たちでありますとか、そういった方々といろいろ話をしまして、国でこういう資料を用意してはいるけれども、まずもって一番の根っこの部分、経営管理制度をきちんと進める部分について使っていきましょうというお話をしております。それがこの数字として、31の市町村が使っていると。実際、金額的に見てもその部分に非常に使っておりますので、県としては、市町村ではやりたいことがさまざまあるだろうけれども、まず、これに重点化して取り組んでほしいというお話をしているところでございます。
〇臼澤勉委員 ぜひ、市町村ともしっかり連携して取り組んでいただきたい。
 次、いわて木づかい住宅について、細かいところに入っていきますけれども、県事業においても、いわて木づかい住宅普及促進事業ということで令和3年度取り組まれておりますが、ここに対する実績評価、重点化、今後拡大していくお考えはあるのかないのかお伺いします。
〇工藤技術参事兼林業振興課総括課長 いわて木づかい住宅普及促進事業の件でございますけれども、まず、令和3年度の実績につきましては、新築が116件、リフォームが10件、合わせて126件となっております。また、今年度は、9月26日をもって受け付けを終了しておりますけれども、申請受け付け件数は、新築が129件、リフォームが18件、合わせて147件となっております。
 この事業の評価につきましては、令和3年度に、この事業を活用した施主に対するアンケートを行いまして、回答のあった61名のうち、この事業を知って住宅の新築に県産木材を使うことを決めたという回答が約6割となっておりますので、本事業が住宅建築での県産木材の利用促進につながっていると認識しております。
 また、本事業の重点化につきましては、予算の上限もございまして、森林環境譲与税を財源としている森林クラウドシステムの整備でありますとか、いわて林業アカデミーの運営など、市町村における森林整備の取り組みを支援するほかの事業への影響もありますので、なかなか難しいと思っておりますけれども、令和4年度は、PR経費を減らして補助枠をふやすなどといった工夫をしております。
 現在、県内の主な工務店に対しまして、住宅着工戸数でありますとか、あるいは県産木材の利用状況についてアンケート調査をしているところでございます。この結果等を踏まえて、今後の対応については検討したいと思っております。
〇臼澤勉委員 この事業は、結構メーカーからも期待する声も非常に強いです。ぜひ、ここら辺については、県産材の活用を普及させるということで積極的に取り組んでいっていただきたいと思います。
 林業の成長産業化とカーボンニュートラルに向け、県が市町村を先導する仕組みを創設すべきだと私は思いますけれども、最後にそこら辺の御所見を聞いて、終わりたいと思います。
〇橋本技監兼林務担当技監兼全国植樹祭推進室長 林業の成長産業化とカーボンニュートラルについてでありますけれども、令和3年度に見直しが行われました森林・林業基本計画におきましては、森林を適正に管理し、林業、木材産業の持続性を高めながら成長、発展させることで、2050年カーボンニュートラルを見据えた豊かな社会経済を実現することとして、森林、林業、木材産業によるグリーン成長に向けた取り組みが今進められているところでございます。
 この計画につきまして、県ではこれまでも、森林経営管理制度の適切な運用のために、専門職員の広域振興局への配置、同じく、市町村が配置する地域林政アドバイザーの養成研修、それから、いわて林業アカデミーによる将来の林業経営の中核を担う人材の育成、県民に広く県産材への関心と理解を深めていただくことを目的としたいわて木づかい運動の展開のほか、令和3年度から、県内の民有林全体の森林情報をデジタル化し、市町村を初め、広く林業関係者が森林情報を効果的に利用する森林クラウドシステムの整備に取り組んでおり、令和5年度から運用開始を目指しているところであります。このように、政策を実現するに当たり、市町村を先導するさまざまな取り組みを行ってきたところでございます。
 このことから、今後におきましても、県全体や地域の実情を十分に把握した上で、どのように対応し取り組んでいくのがよいのか、市町村はもちろんのこと、関係機関、団体ともしっかり協議した上で、各種政策に対する仕組みについて検討してまいります。
〇工藤大輔委員 それでは、秋サケについてお伺いしたいと思います。
 まず先に、放流尾数の関係をお伺いしたいと思います。
 昨年、種卵を5、800万粒程度確保したと認識しておりますけれども、最終の放流量は実際どうだったのか、過去5年ぐらいの実績とあわせてお示し願いたいと思います。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 まず、放流尾数でございますが、平成29年は3億6、700万尾、平成30年は4億1、100万尾、令和元年は1億7、900万尾、令和2年は2億3、200万尾、令和3年は5、200万尾でございます。
〇工藤大輔委員 令和3年はやはり極端に少なかったなと。実際、それを補填するために海産親魚や他県からの移入も目指しながら、本来であれば4億尾の目標でしょうけれども、漁獲が相当少なかったということで、かなり苦戦した状況であったと思います。
 それで、先ほど平成29年の実績をいただいたわけですが、そこから4年余となるのが昨年だったはずです。約3億6、900万尾放流して、実際の回帰数が13万9、000尾、重量にして413トンという結果で、これはかなり放流した割には、回帰した数は記録的な悪さだったということでした。この要因をどのように分析しているのかお伺いします。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 不漁の要因でございますが、国の不漁問題に関する検討会の報告によりますと、全国的なサケの不漁が言われているわけですが、要因といたしまして、海洋環境の変化に伴います春先の海水温の上昇や餌となるプランクトンの減少等によりまして、放流されたサケ稚魚が十分に成長できず、生き残る割合である生残率が低下したとされているところでございます。
〇工藤大輔委員 たしか2021年度ということで、昨年の回帰予測を、これは毎年出しているわけですが、昨年の回帰予測は62万尾、それに対して13万9、000尾だったということで、重量にしても1、970トンに対して413トンだったということでした。
 それで、ことしはどうかと見てみると、回帰尾数の予測は11万尾ということなのですね。それで、重量にしても354トン。先ほど数値をいただいた放流数、このときは目標数に対して、目標の4億尾以上放流している中で、4年たったことしは11万尾ということですけれども、これが、実際こうなると岩手県の秋サケは壊滅的な状況になるのではないかと考えられます。
 半面、去年少なかった分、5年魚として帰ってくるのではないかという期待もしたいところですけれども、ただ、予測からすると11万尾、実際13万から14万尾の間ではないかという予測になっています。早期群が今帰ってきていますけれども、現状どのような状況になっているか示してください。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 10月10日現在の秋サケの沿岸漁獲量でございますが、31トンでございまして、前年同期比54%、金額といたしまして2、200万円で、前年同期の61%となっております。
〇工藤大輔委員 そうなると、前年が13万9、000尾ですから、今のペースでいくと半分ということになると、予測の11万尾も大幅に下回ることも推測されます。昨年よりも、ことしのピークは12月上旬から中旬にかけてではないかとも予測されていますので、少しこの後にぐぐっと上がってくればいいのですけれども、ただ、早期群の水揚げ状況を見ると相当厳しいと思います。
 そこで、回帰率を見ると、この6年連続して1%を切っている。昨年は、ちなみに0.04%ということで、青森県とか宮城県が放流している数と比べても、割合にしても、岩手県の回帰率は極端に悪いということが言えます。北海道は1%、ほとんどは2%を超えたりしていますけれども、青森県よりも、宮城県と比べても岩手県が極端に悪いということの要因が何か別にあるのではないかとも思うのですが、その辺についてお伺いします。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 岩手県だけが極端に悪い要因というものは明らかにはされておりませんが、ただ、特異的な例といたしましては、平成28年に台風第10号の被害がございまして、それに伴いまして稚魚の放流数が1億尾程度少なくなったという状況がございますので、もしかしたらそういうことが原因となっている可能性はあると考えています。
〇工藤大輔委員 いずれ、ことしも限られた漁獲の中から放流量をしっかり確保しながら進めていかなければならない。そして、2028年の目標とするところが、漁獲で3万トンでしたか。そこが目標だということの中で、なかなかこの先、それを進める上では放流尾数を相当数確保しなければならないわけですが、今後の放流数確保の方針を示していただきたいのと、さらに、適期放流についても意を用いていただきたいと思います。
 従来は8度から13度が適期とされる水温帯の中で、あとは海峡の状況、プランクトンの状況等も見ながら放流をしていたと思いますが、その8度から13度、魚にしてみれば1度の違いというのも相当大きいです。2度、3度違うとまたかなり違ってくるということで、適期の中のさらなる適期放流を見出しながら、分散放流等も進め、効果の検証をしながら回帰率を高める取り組みも必要かと思いますけれども、今後の方針を伺いたいと思います。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 今後の方針ということでございますが、サケ、マスの増殖団体では、ふ化場の再編策といたしまして、現在ある19ふ化場の生産機能を四つの拠点ふ化場に集約し、稚魚の放流計画を7、500万尾とするなどを決議し、今漁期から取り組みを開始しているところでございます。
 県といたしましても、種卵の確保をしていくために、定置網で漁獲されたサケを親として積極的に活用していくほか、他道県からの種卵の移入についても、これまで以上に積極的に働きかけを行っているところでございます。
 また、生残率が高いとされている大型で強靭な稚魚の生産に向けまして、今年度の事業によりまして、改良した餌等を本格的に現場に投入することとしております。
 また、適期の放流につきましても、近年言われているのは、春先の海水温が急上昇するということで、急上昇する前に放流するのが妥当だという考えもありまして、ことしの春の放流につきましては、比較的大型の種苗を、例年よりも1巡ほど前倒しして実施しております。今後についても、その適期放流については努めていきたいと考えております。
〇工藤大輔委員 秋サケは岩手県の水産業にとってかなり大きなシェアを占めている本来重要な魚種ですので、あらゆる手段を通じながら対策を講じていただきたいと思います。
 次に、定置網漁について伺いたいと思うのですが、秋サケの低迷もあり定置網等も厳しい状況にあるかと思います。近年の漁獲の動向について伺います。
〇太田漁業調整課長 定置網の漁獲動向でございますが、定置網による水揚げ量につきましては、令和元年度は4万3、119トン、令和2年度が3万2、236トン、令和3年度は4万834トンで、いずれも震災前の平均の5万1、517トンを下回る水準で推移しております。
 なお、令和4年度につきましては、10月20日現在ではございますが、水揚げ量は3万1、395トンとなっておりまして、こちらにつきましては、震災前同期比の117%となっております。
〇工藤大輔委員 全漁業に占める割合からすれば、全漁業では震災前と比べて50%、49%の状況だという資料をいただいていますが、そのうち定置網を見れば、全漁業に比べれば、まだ数字的にはいいということですが、震災前と比べても79%ということで、定置網の数も全体的に減っているのではないかとも思います。
 資材高騰や原油高騰等の影響もあって、定置網漁は非常に管理、運営が厳しいようであります。現状についてと、あわせて、定置網漁業の漁獲向上に向けた取り組みということでも、新たに、感覚ではなくデータ等を用い調査をしながら、適切な場所に設置してあるのかどうか。あるいは漁具の改良をしながら成功している事例等もありますが、そういった取り組みも必要ではないかと考えます。今後の県の取り組みについてお伺いします。
〇太田漁業調整課長 定置網の統数の増減につきましては、5年ごとに行われる漁業権の切りかえごとに減少傾向にありまして、現在の定置網は119カ統となっております。これは震災前の漁業権の切りかえのときに137カ統ございましたので、それに比べると87%ということで低下しているところでございます。
 また、先ほどお話がありました定置網の場所とか技術改良につきましてでございますが、定置網の場所につきましては、漁業権免許希望者の希望場所と近隣の漁業権希望者の希望場所を調整して設定することになっておりまして、これまでの調整の経過を含めまして、漁業権の切りかえ前と大体同じ場所に設置される事例が多くなっているところでございます。
 ただ、免許された区域内での場所の移動ですとか漁具の向きを変えることはできますので、そういった部分での検討を進めていただければと考えているところでございます。
 また、技術的な部分ですと、私は県で定置網のそういう技術的な部分の研究に取り組んでいる事例というのは把握していないところでございますが、水産庁では、現在、定置網漁業の技術研究会を設置しておりまして、こちらの中で、定置網に係る現状ですとか課題、今後の可能性等について検討していると聞いているところでございます。
 また、その研究会として、令和3年度に中間の取りまとめを報告しているところでございます。その中には、まだ開発段階の技術もございますが、ICTとかAI、水中ドローンなどを使いました、一部は実用段階まで至っている技術もあると聞いております。この研究会に本県は所属しておりませんが、今後の技術開発の過程などを注視しながら、県内での情報共有等に努めていきたいと思います。
〇工藤大輔委員 定置網の統数については、休眠定置もありますから、今いただいた数字よりも実際動いている定置網は少ない可能性もあると感じました。
 そして、漁獲の向上に向けてですが、やはり新しい技術を活用するのも非常に効果的だと思います。各漁協や県漁連と情報共有しながら、やれるモデル事業等を国とも調整して、ぜひそれを実践しながら成果を見出していただき、全県に広げていただきたいと思うところでもあり、今後ともよろしくお願いしたいと思います。
 そして、最後ですが、岩手県栽培漁業協会の関係についてお伺いしたいと思います。
 電気料がかなり上がっています。この10月の値上がり前でも電気料が2割ぐらい増しでかかっている。そして、10月以降もさらに2割上乗せになるのではないかということで、生産コストが非常に上がっていて経営的に厳しいという声も聞こえてきます。これが実際そのままの生産単価で来年販売単価に転嫁されると、各漁協の購入が非常に厳しいわけです。
 まだ県でもその対策について対応の手を打っていないわけですけれども、今後どのように対応していくのかお伺いします。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 岩手県栽培漁業協会につきましては、栽培漁業の根幹をなす重要な役割を担っているということでございまして、種苗の生産に当たっては、海水のくみ上げに要する電気料ですとか海水を温めるための重油代等、多額のコストがかかるものでございます。昨今の燃油、電気代や資材等の高騰が、今後の安定的な事業運営に影響を及ぼすことが懸念されているところでございます。
 県では、本年8月に、水産関係団体等で構成します岩手県漁業用燃油・資材等価格高騰対策会議を設置いたしまして、この中で価格高騰に係る諸対策の検討を行っているところですが、構成員からも、県栽培漁業協会の種苗生産コストの軽減策を求める意見が出てきております。
 現在、岩手県栽培漁業協会の生産状況を把握しているところでありまして、今後、国あるいは他県の支援状況も参考にしながら、本県の栽培漁業の推進に影響が生じないように、どのような対応が可能か検討していきたいと考えております。
〇工藤大輔委員 これも年内にはしっかり対応していかないと、来年になってからということでは非常に遅いと思います。
 また、これは岩手県栽培漁業協会だけではなくて、農林水それぞれ県の機関があるわけで、同様にそういった声を聞いています。生物工学研究所等でも、電気代はかなり節約しながら、研究に充てるものは最低限確保しながらやっているようです。いずれ他の機関も含めて早期の方向性を示し、調査研究とか開発に影響がないようにしていかなければなりません。
 これは農林水全体の話を聞きたいと思いますので、藤代農林水産部長かどなたかお答えしていただければ、この対応をどうするか示してください。
〇藤代農林水産部長 農林水産分野に係る資材高騰への対応についてでございますが、今、工藤大輔委員からさまざま御指摘がありましたけれども、農林水それぞれの部分に分かれまして、それぞれの分野ごとにこういった資材高騰について、どういった影響があるかについて、先ほど森山水産担当技監からも言いました対策会議なるものを設置いたしまして、それぞれの情報を集めているところでございます。
 そういった中で、先ほど土地改良の話も出ておりますけれども、いろいろなところで電気代あるいは生産者の肥料、飼料、あるいはこういった種苗に非常にコストがかかるということで、特に水産分野につきましては、非常に極端な不漁という中で、漁協経営あるいは漁業者の皆さんの負担が非常に大きくなるということもあります。繰り返しの答弁になりますけれども、県として、どのような対応が可能かということは引き続き検討して、早期に対策を講じられるように取り組んでいきたいと考えているところでございます。
〇軽石義則委員 それでは、大きく1点ですけれども、お聞きします。
 岩手県には日本一というのはいろいろあると思いますが、木炭も岩手県は日本一ということで、生産量、品質含めて非常に自信を持って勧められるものでありますけれども、現状、かなり厳しい環境にあるのではないかと思っております。
 現段階での生産者数、生産量等含めて、現状をどのように把握されているのか、まずお聞きします。
〇工藤技術参事兼林業振興課総括課長 本県の木炭生産の現状と課題についてでございますけれども、まず、本県の木炭生産者でございますが、令和3年で237人でございまして、平成29年が469人でございましたので、結構少なくなっている状況でございます。
 また、木炭生産量は、令和3年時で1、818トンでございまして、これは全国に占める割合が24%となっており、全国第1位の生産量となっております。
〇軽石義則委員 平成29年から比較して半分ぐらいの生産者になっている。生産量もそのぐらい減っているのですけれども、ただ単に生産者が減って生産量が減っているという数字のことではなくて、なぜそういう形で生産者が減ってきているのか、後継者がなぜつながっていないのか、その部分についてはどのように分析されているのでしょうか。
〇工藤技術参事兼林業振興課総括課長 生産者の減でございますけれども、まず、これはやはり山間地域に住まわれる方々が少なくなっているということが一つございますし、もう一つ大きな要因としては、シイタケにも同じことでございますが、やはり原木が非常に入手しづらくなっているという部分もございます。県北地域は県南地域に比べればまだいい状況ではございますが、そういったものが重なって非常に苦労されている、それで減っていると捉えております。
〇軽石義則委員 原木が足りないから減っているというのであれば、その原木をどう確保して、その生産に結びつけていく支援をどうしていくか考えなければならないのではないかと思うのですけれども、その部分についてはどうでしょうか。
〇工藤技術参事兼林業振興課総括課長 原木につきましては、やはりシイタケと木炭は同じナラを使いますので、この辺については競合する部分ではございますけれども、本県の場合は、まず、シイタケに関して言えば、他県にも生産者がいらっしゃるわけで、その方々に原木を供給する役割を持っております。
 また、その一方で、県内の生産者に対しましても供給する役割が当然ございますので、その辺につきましては、放射性物質の影響を受けている生産者の方々に対しては、国の補助事業を使いながら支援しているところでございますし、あとは、そうではない区域につきましても、やはり資源として豊富にあるという部分を捉えれば、いかにして生産者にその木材を届けるかという部分で、例えば生産者に対して、国庫補助を使って木炭の原木をより効率的に生産できるような機械、設備を導入する支援をするでありますとか、あるいは森林整備事業等でも、ナラを更新しながら、たくさん切って新しく更新していくという事業もございますので、そういったものを有効に活用しながら、木材をお届けできればいいかと思っております。
〇軽石義則委員 では、具体的に聞きますけれども、その支援をするために木材の確保とかの部分で、シイタケの部分、そして木炭に活用する部分、いろいろ割り振りがあると思うのです。シイタケのほうに手厚く対応されているのは当然でしょうけれども、木炭のほうには支援が薄いようなお話もいただいているのですが、なぜそうなっているのか。その現状、具体的な数字、決算額は、令和3年度はどのようになっているのでしょうか。
〇工藤技術参事兼林業振興課総括課長 まず、シイタケと木炭の違いでございますけれども、国の支援制度の中で、食品というかシイタケに対して支援するという条件になっておりまして、そこがまず一つあります。
 あとは、事業の活用についてでございますけれども、まず、木炭の振興でいきますと、高性能林業機械とか炭窯は5基ほど平成30年に導入しているのですが、これに対する事業費が3、900万円ほどに、1、800万円ほど補助しております。あと、令和3年にも同様に、木炭を運ぶためのトラックでありますとか機械に対して、事業費7、100万円、あと補助で2、300万円ほど支援しているところでございます。
〇軽石義則委員 しいたけ等特用林産振興対策事業費は県で対策しているのですけれども、そのうち木炭には、どのぐらいの支援をされているのですか。
〇工藤技術参事兼林業振興課総括課長 国のシイタケの事業でございますけれども、そちらで木炭には支援されておりません。
〇軽石義則委員 県単独でもやられていると思うのですけれども、どうですか。
〇工藤技術参事兼林業振興課総括課長 県単独の事業でございますと、地域経営推進費で販売戦略に向けた事業のほかに、木炭関係の技術研修会の開催で、シイタケ含みでございますけれども2、500万円ほど、うち、木炭はその一部でございますが、それを使いながらやっているところでございます。
〇軽石義則委員 2、000万円ちょっとの中で木炭が一部という、具体的に私が聞いたところでは、2、500万円の中の1万9、000円しか木炭の支援はないのですけれども、それでは、やはり産業振興といいますか木炭の技術をどう継承していくかという部分についてもなかなか難しい。まさに担い手を育成しようというのがその部分からも伝わっていかないと思うのですが、それはどうでしょうか。
〇工藤技術参事兼林業振興課総括課長 事業費が非常に少ないということでございますけれども、まず、木炭につきましては、今のお話にもありましたとおり、今後、例えば生産者の技術研修という部分につきましては、チャコールマイスターという資格がございますが、これも木炭協会と連携しながらこれまで育成してきたところでございます。
 技術の高いチャコールマイスターがつくった木炭が高く売れるという部分もございますので、こういった技術者の育成については引き続ききちんと取り組んでまいりたいと思いますし、予算の部分については、岩手県木炭協会あるいは生産者の方々と意見交換しながら、可能な限り必要な予算をとっていければと思っております。
〇軽石義則委員 やはり岩手県の木炭がすばらしいというのは、これまでの長い歴史の中で確立されてきております。ただ、木炭生産専業で生計を成り立たせるのはなかなか厳しいと思います。林業全体のトータルで、その一部で木炭にもある程度付加価値を高めることによって、その技術の継承なり仕事としてつないでいくことも可能だと思いますけれども、そういう意味で、まさに現場の皆さんの実情をしっかり把握する。それは、岩手県木炭協会を通して聞くということも大事でしょうが、まさに生産者の皆さんから、実際に、直接お話を聞いたり現場を見たりということもあるのでしょうか。
〇工藤技術参事兼林業振興課総括課長 生産者の方々との意見交換、その要望への対応でございますけれども、これは本庁の職員が現地でやる技術研修会に参加しております。この中で生産者の方々からいろいろなお話を聞いておりますので、この辺を生かしながら事業化につなげていければいいかと思っております。
〇軽石義則委員 ぜひ、そういう意味で担い手の皆さんの声を聞いていただいて、先ほどもありましたけれども、原木の確保が難しいことによって生産量が、また担い手が減っているということだとすれば、原木を確保するための対策、支援策をより具体的に示していくことによって継続した仕事になっていくのではないかとも思いますが、その部分はどうですか。
〇工藤技術参事兼林業振興課総括課長 まず、原木の確保につきましては、県北地域の方々が大量に原木を生産していろいろなところに販売している、あるいは生産者に供給しているという事実がございます。それはシイタケと同じでございまして、関係者が集まった需給調整会議の中で、必要な方に必要な原木が届くように、そこは調整しつつ、あとは、実際に原木を生産されている方々からもその辺のお話を聞きながら、必要な原木を供給できるように、確保できるようにしていきたいと思っております。
〇軽石義則委員 確保できるようにするためには、やはりシイタケの原木には支援金がついて、それをもとに仕事として成り立たせている。炭をつくる原木については、なかなか支援金もないという実情もあるようですが、その部分はどうですか。
〇工藤技術参事兼林業振興課総括課長 まず、使える事業につきましては、先ほどお話しいたしました森林整備事業、国の事業のほかに、いわての森林づくり県民税を活用した、ナラ枯れに備えるというかナラ枯れにならないような森林をつくっていくために行っている事業がございます。それを活用しながら木炭の原木に利用する例もありますので、それを活用していくということをまず一つしていきたいと思います。
 あとは、原木の確保に係る国の制度等の部分につきましては、国といろいろ情報交換しながら、そういった事業があるかないか、あるいは使えるものはどういったものがあるのかという部分をいろいろ相談しながら、対応してまいりたいと思います。
〇軽石義則委員 国の支援も必要だと思いますし、県単独でやっている現在の事業もあるわけですので、そういうことも含めれば、検討しているうちに生産者がいなくなって、日本一だと言われた岩手県の木炭が、まさに消えてしまっては取り返しがつかないと思うわけです。そのことをつなぐために、やらなければならないことは早急にしていくことが大事だと思って、きょうもお聞きしているところなので、具体的に、では、これからもっと支援していくと。
 先ほど言いましたけれども、ナラ枯れ対策は、大きい事業者であれば数の中で消化できると思うのですけれども、実際、個人でやっている生産者は、そのことを十分活用できるかといったら、なかなか活用できないのではないかと思うのです。その部分についてはどう考えていますか。
〇橋本技監兼林務担当技監兼全国植樹祭推進室長 原木の関係のお話ですけれども、先ほど工藤技術参事からお話ししましたが、やはり木炭生産者に対しては、原木が一番大事だというのは我々もわかっております。いろいろ検討している中で、先ほど出てきましたいわての森林づくり県民税を活用したナラ林健全化事業で、それは、健全な林といいますか森林を更新して、森林の強さを強めていこうという取り組みを今やっています。実際、現場でこの事業を活用して広葉樹を伐採して、使えるところはシイタケ原木だったり、それから木炭の原木ですとかに使い、また、森林の中で、例えば単価の高い木が見つかった場合は、ケヤキですとか栗といったものは市場に回したり、そういった取り組みをする方も、その事業ができたおかげでふえてきています。
 やはりそういったすぐできる、今できるような事業を使って対応していくのが非常に大事だと考えておりますので、プラスアルファも考えますけれども、いずれ、今できることをまずやっていこうというのが、今の考え方で、そういった考え方で取り組んでいきたいと考えております。
〇軽石義則委員 いろいろ工夫して進めていただいているのは理解しますけれども、ただ、実際、生産者の数も生産量も減ってきているのは事実ですし、これが上向きになっていく傾向が見られるかどうかというと、今の状況では、それを成長させるのは厳しいのではないかと思ってきょうはお聞きしていました。
 日本一と言われている岩手県の木炭が、さらに、主力とはならなくても、それを活用してトータルで岩手県の林業の仕事として成り立つような支えもしていかなければならないという思いでお聞きしていますので、ぜひ、藤代農林水産部長から、日本一をずっと継続していくように支援していくのだというような心意気をお聞きして、終わりたいと思います。
〇藤代農林水産部長 岩手木炭につきましては、先ほど答弁しましたとおり、生産量日本一という形で、また、最近のアウトドアブームの中でそういった雑誌を見ますと、岩手切り炭という形で、岩手県の木炭が非常にアウトドアに有効だというところも、PRという中ではなくて雑誌の記事として、写真として取り上げられているようなところもあります。
 しっかり需要を捉えながら、それに対応できる生産体制を確固たるものにしていくことが大事だろうと思いますので、どういった事業対応が可能か、引き続き検討していきたいと考えております。
〇佐々木宣和委員 林業の関係で伺っていきたいと思います。
 まず初めに、森林整備事業について伺います。
 国の予算の推移、今、国は4分の3、10分の3負担と、県の負担が10分の1、4分の1というところかと思いますけれども、県の負担の状況を伺いたいと思います。
〇鈴木森林整備課総括課長 森林整備事業の予算についてでありますが、令和3年度の県の当初予算額は5億2、590万4、000円、令和4年度の当初予算額は5億2、563万4、000円となっております。
 県の負担状況については、森林整備事業は国の公共事業でございます。その当初予算のうちの国庫を除く分が実質県の負担額となりまして、県の負担額につきましては、令和3年度及び令和4年度とも1億3、327万6、000円となっております。
〇佐々木宣和委員 決算書の中で、森林整備事業費補助というもので数字を拾いますと、令和3年度が11億円ほどとなっているのですけれども、これは公共の部分の事業費ということでしょうか。決算ですので、この金額が正しいかどうかを確認したいのです。
〇鈴木森林整備課総括課長 決算額につきましては、前年度からの繰越予算も含まれております。そのために単年度と予算との相違がございます。
〇佐々木宣和委員 決算額の森林整備事業費補助を拾っていきますと、令和元年が12億4、000万円、令和2年度が13億6、000万円と、令和3年度が11億円というところなので少しずつ減っているような形になっています。これに関して、市町村や団体から、森林整備の安定財源の確保について要望でも出されているところですけれども、この要望額とこの差分をどう埋めようとして取り組んでいるのかを伺いたいと思います。
〇鈴木森林整備課総括課長 森林整備の事業の要望についてでございますが、実際事業を行う森林組合、また林業事業体等から森林整備事業の要望というのはございます。私どもも必要な予算を確保するため取り組んでいるのですが、結果的に、佐々木宣和委員がおっしゃるとおりになっております。
 ただ、森林整備事業全般は、今説明している国の森林整備事業のほかにも、例えば、森林・林業・木材産業グリーン成長総合対策事業、さらには、木材産業国際競争力強化対策事業の国庫補助事業、通称これは非公共事業と言っております。国の事業でも公共、非公共ございますので、このトータルで事業をやっていこうという考えで、県内の森林組合関係者等にも御説明しているところでございます。
 ちなみに、令和4年度の状況を申し上げますと、これら先ほど言った森林整備事業、また、森林・林業・木材産業グリーン成長総合対策事業、さらには、令和3年度からいわて森林づくり県民税で森林環境再生造林事業が開始されておりますので、令和4年度でいいますと、この三つの予算で22億8、000万円ほどで、令和3年度の実績は全部で17億9、000万円なので、これを上回る予算を確保している状況でございますので、これで対応してまいりたいと考えております。
〇佐々木宣和委員 実行予算を確保するというイメージのお話なのかと思います。ただ、要望としてあるという話もさせていただきましたけれども、その成長対策事業だったり、いわて環境の森整備事業、いわての森林づくり県民税の事業だったり、既存のものと補助対象事業だったり補助率等を活用しにくい面、違いがあるという話もありまして、この森林整備予算を確実に確保していただきたいというような話でもあります。
 11月ですので林業団体からの要望もあるかと思いますけれども、再度になりますが、この森林整備予算の確保、令和4年度は22億円を確保ということですが、令和5年度の予算もそろそろいろいろ詰めていかなければならない時期ですので、この森林整備予算の確保ということをもう一度伺いたいと思います。
〇鈴木森林整備課総括課長 森林整備事業予算の確保についてでございますが、県内の森林組合、また林業事業体の要望も強いと認識しております。私どももこの予算を積極的に活用したいと思っていますので、予算確保に向けて取り組んでまいりたいと思っております。
〇佐々木宣和委員 次に、ナラ枯れについて伺いたいと思います。
 二つの事業があるかと思いますけれども、その決算と取り組み状況について伺います。
〇砂子田整備課長 ナラ枯れについてでございます。
 ナラ枯れ対策事業の決算と取り組み状況についてでございますが、松くい虫等防除事業によるナラ枯れ対策につきましては、令和3年度松くい虫等防除事業決算額1億5、900万円余のうち、ナラ枯れ被害木駆除に係る決算額は3、300万円余となっております。これにより、新たにナラ枯れ被害が発生した市町村を中心に、約1、600立方メートルの被害木の駆除を実施したところでございます。
 いわて環境の森整備事業によるナラ枯れ対策につきましては、令和3年度いわて環境の森整備事業決算額4億7、700万円余のうち、ナラ林健全化に係る決算額は800万円余となっております。これによりまして、約26へクールのナラ林について、ナラ枯れ被害を受けにくい森林への若返りを図ったところでございます。
〇佐々木宣和委員 決算額が、松くい虫防除事業費の中で、ナラ枯れ駆除のものが3、300万円ほどと、そして、ナラ林健全化県民税事業が800万円ほどというところであります。
 沿岸地域を歩いていますと、かなりこのナラ枯れの進行が進んでいるのが見えるようなところもあります。具体的にこの決算額が出ているわけですけれども、この予算のトレンドがどうなっているのか。予算は多くなっているのか、松くい虫よりナラ枯れのほうに向いているのかというところや、また、ナラ林健全化に関しては、前回質問させていただいたときは、8ヘクタールぐらいしか伐採されていないという話も伺ったような気がします。少しずつ面積もふえているかと思っておりますが、その要因について伺いたいと思います。
〇砂子田整備課長 ナラ枯れ対策の予算のトレンドというお尋ねでございました。
 平成30年度におきましては、松くい虫等防除事業予算全体が約17億円余(後刻「1億7、000万円余」と訂正)ございますけれども、松くい虫被害対策には1億1、100万円、ナラ枯れ対策につきましては1、400万円余を配分しているところでございます。
 令和3年度におきましては、松くい虫等防除事業関連約1億6、100万円余のうち、松くい虫被害対策に8、900万円余、ナラ枯れ被害対策に3、300万円余と予算を配分しているところでございまして、全体に占める比率から申し上げますと、平成30年には、ナラ枯れに占める比率が9%であったものが、令和3年度には21%まで増加しているところでございます。
 もう一つ、ナラ林健全化についてでございます。
 ナラ林健全化につきましては、いわての森林づくり県民税の第3期、平成28年度から開始しておりますけれども、平成28年度から令和3年度末までで事業が完了しているものは9件ありまして、50.11ヘクタールを事業完了したところでございます。第3期の令和2年度までに、そのうち約24ヘクタールの実施であったものが、昨年度、第4期が始まりました令和3年度には、単年度で約26ヘクタールが実施されたところでございます。事業体にもこの事業が大分普及してきて、ナラ林健全化に対しての事業が促進されているものと認識しているところでございます。
〇佐々木宣和委員 繰り返しになりますけれども、ナラ枯れが非常に進んでいるところでありまして、市町村も心配に思っているところでもあります。しっかりとその要望などに対応できるように取り組んでいただきたいと思います。
 また、ナラ林健全化に関しては、1、000円から2、000円になったというところでも、非常に効果があるものと思っているところでございまして、しっかりと活用していっていただきたいと思います。
 三つ目、森林管理システム、森林環境譲与税について質問させていただきたいと思います。
 先ほど臼澤勉委員からも質問がありましたけれども、森林経営管理制度が2018年5月に成立して、2019年4月から施行され、3年が経過しているのですけれども、なかなかこの地域へのかかわりを実感するところまでは行っていないように思いますし、林業をやっている方の現場でも反映は薄いのかなと思います。
 ただ、それこそ作業道整備に使ってとかという話はされるようになってきたのですけれども、これはなかなか市町村としても主体性が低位だったかと思っています。先ほど、令和3年度は予算執行率が69%で、令和4年度は93%の予定というところで、少しずつ盛り上がってきていると思ったようなところでもあります。
 そしてまた、新しく森林管理システムというものを運用していくに当たって、やはり森林、林業だけではなくて、この施行の枠組みを広げていくことが重要であると思っておりますし、前に進めるためには、岩手県全体として統合的な構想を前提として、それぞれ一緒に進めていくことが重要だと考えております。
 森林環境譲与税について、支出内容の市町村ごとの整備タイプというところで、先ほど臼澤勉委員の答弁にもありましたけれども、市町村を超えたエリアで何か具体的にいい取り組みをされている例がありましたら伺いたいと思います。
〇鈴木森林整備課総括課長 森林経営管理制度のお話がありましたので、市町村の取り組みをお話しさせていただきます。
 県内の市町村が森林経営管理制度により森林整備を着実に進めておりまして、現在、経営意向調査の対象である森林所有者の選定、森林の状況などの準備作業を進めております。
 経営意向調査の調査面積は3万4、000ヘクタールで、県内で24市町村が実施しているところでございます。これは、私有林の人工林面積の17%に相当するものでございます。
 意向調査から次のステップとなる経営実施権の集積計画を策定している市町村もございますので、この辺、市町村の取り組み状況に応じて、しっかり指導してまいりたいと考えております。
〇佐々木宣和委員 先ほど答弁がありましたけれども、意向調査が進めば、次は具体的な作業レベルにつなげていくフォレストプランナーなり、こういった方が必要になるかと思っておりますけれども、市町村でも確保するのがなかなか難しいと思っておりますが、これに関する取り組みを伺いたいと思います。
〇鈴木森林整備課総括課長 森林経営管理制度の適切な運用を支援するため、林業普及指導職員等の専門職員に加え、森林、林業関係業務に精通した森林管理システム構築推進員を広域振興局に配置して、市町村に対しての技術的な助言を行っております。
 市町村におかれましては、やはり技術面で悩んでいる部分がございますので、必要な林業技術に関する指導、助言を行いながら、取り組みが広がるように支援してまいりたいと考えております。
〇佐々木宣和委員 質問の意図は、広域振興局にいる方が市町村の支援をするというのはそのとおりだと思うのですけれども、要は、市町村にお願いしますとまとまったものを交通整理していくような人が必要なのではないかというような意味合いで聞いたのです。譲与税で人も雇えるようになったという話も聞いているのですが、その辺の話を伺いたいと思います。
〇鈴木森林整備課総括課長 市町村をコーディネートする人材の育成のお話だと存じ上げます。同じ話を岩手県の林政企画参与、富士大学の岡田学長からもいろいろ御提言を受けております。
 県と森林所有者、また森林組合と市町村をつなぐ役目を果たす人が必要だと。それは、地域でそれに関係する人たちが、みんなで意識を共有して一つの目的に従って進むべき、そういう体制が必要ではないかというお話を頂戴しております。まさしく、そういう人材があって地域が一つになれるのかと思っております。
 それについては、今度どういう体制がいいのか、広域振興局単位がいいのか市町村単位でいいのか、そういうことを検討する機会を設けようとしておりますので、その中でいろいろな専門家の方々からも意見を聞きながら、どういう人材育成体制を構築していくか考えてまいりたいと思います。
〇佐々木宣和委員 それこそ林業に関しては既存の事業はさまざまあって、これをどうつなげていくのかというところと、それに地域といろいろな事業体とをくっつけていくというようなことが、この森林管理システムなり森林環境譲与税を使ってやっていくべきことかと思っているところであります。
 それぞれ把握できるようにしなければいけないわけですけれども、最後に、森林クラウドシステムについて、4、000万円ぐらいの決算だったかと思いますが、これを新たに整備することで現状とどう変わっていくのか、また、現状の進捗と見込みについて伺います。
〇鈴木森林整備課総括課長 森林クラウドシステムについてのお話でございますが、これまで県、市町村、林業経営体でそれぞれ管理していた森林情報を、新たにクラウド上に構築したサーバーにおいて、インターネット回線等を通して相互提供することで、森林情報を一元的に管理するものでございます。これにより、森林整備に必要な最新の情報を関係者間で即時に共有できる新たな仕組みの構築、また、効率的な森林整備に必要な高精度な森林情報の整備をすることが可能になっております。
 今のシステムは県と市町村に固定されたパソコンの中で情報があっただけで、仮に林業経営体の方が使う場合には、県から許可を得て、例えばカラー写真でプリントして現場で活用していたのが、今度は、山でインターネット回線を通して、情報をその山で、その場で活用できる。その場で現場を見ながら活用できるというメリットがございますので、これを今、着実に整備しております。
 令和5年度からの本格運用を目指して、先週ですが、関係者に対しての操作説明会を行いました。いろいろ新しいことができるシステムになっておりますので、これもさまざまな皆さんの意見を聞きながら、よりいいものにして、現場で効率的に活用できるよう整備してまいりたいと考えております。
〇名須川晋委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
   午後6時1分 休 憩
午後6時22分再開
〇名須川晋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇砂子田整備課長 先ほど、佐々木宣和委員への答弁の中で、平成30年度の松くい虫等防除事業予算を17億円余と申し上げましたが、正しくは1億7、000万円余となりますので、訂正させていただきます。
〇名須川晋委員長 質疑を続行いたします。
〇中平均委員 通告の順番を若干変えまして質問させていただきます。
 さきに工藤大輔委員から、ことしのサケの漁獲量についてのお話もありました。主要魚種のサケがこの数年低迷している中で、漁協経営も大変厳しい状況になっていると考えておりますが、令和3年度の経営状況、また今年度の状況とそれに対する対応をどのようにしているかをまずお伺いします。
〇小野寺指導検査課長 漁協経営の状況等についてでございますが、県内の漁協は、主要魚種の不漁によって、漁業自営事業や販売事業で十分に収益を確保できず、昨年度の決算において、24漁協のうち16漁協が当期損失金を計上したところでございます。
 国では、不漁などにより経営が悪化した漁協が、経営基盤の強化に必要な資金を円滑に調達できるよう、利子や保証料の助成などを行う金融支援を措置しております。
 県では、岩手県漁業組合連合会等で組織するJF経営指導岩手県委員会に参画し、漁協の経営基盤の強化に向け経営改善計画の策定を指導しており、現在、県内の漁協は、策定した経営改善計画に基づき、国の金融支援の活用など経営基盤の強化に必要な資金の調達を進めていることから、県としては、引き続き、漁協の経営安定と強化が図られるよう支援してまいります。
〇中平均委員 ことしの種苗は、来年度の放流数も恐らく厳しいだろうという先ほどの答弁がある中で、やはり漁協を維持していける体制をどう構築していくかということが、今、大きな課題になっているのだろうと思います。
 県内の漁協ごとに当然体質の強い弱いもあるのだと思いますが、そういった中で、どうしても主要魚種不漁で漁協の収入も落ちてきているという中で、持続可能な体質をどのようにつくっていくのか。国の方針を踏まえて今やっているということですけれども、恐らくそれは、魚のとれる量がまた復活してくれば別ですけれども、すぐの復活が正直見込めない中で、それを踏まえた具体的な方向はどのような形なのかを教えてください。
〇小野寺指導検査課長 本県の漁協でございますが、事業総利益のうち、販売事業利益の占める割合が全国平均より低い状況でございます。それら不漁の影響を低減するためには、販売事業の強化が必要と考えております。
 また、令和2年12月に改正施行された水産業協同組合法では、組合員に利益のある事業運営を図るため、販売事業担当理事の設置が義務化されていることなどを踏まえまして、県では今年度、漁協の販売事業の強化に向けて、漁協役職員を対象に、消費者の視点を踏まえた商品開発やマーケティング、ウエブを活用した販売などに関するセミナーを開催し、延べ45名が受講したところでございます。
 こうした取り組みによって、漁協の販売事業において、各漁協の強みを生かした高付加価値化と販路拡大を支援し、組合員の利益を確保し、ひいては漁協の経営改善につなげていくこととしております。
 また、県による金融支援でございますが、漁協が行う設備投資を対象とした制度資金として企業近代化資金が設けられ、資金を融通した金融機関に対して県が利子補給を行っております。
 今年度、経営改善に向けた新たな設備投資に、国の金融助成事業の申請とあわせて当該資金の活用を見込む漁協があるところでございます。
 また、漁協等が経営状況により企業債務の借りかえが必要な場合の制度資金として漁業経営維持安定資金が設けられ、資金を融通した金融機関に対して県が利子補給を行っております。
〇中平均委員 次のスマート水産業についてですが、漁協経営がこういう厳しい中において、令和3年度のスマート水産業の導入実績等を教えていただきたいです。というのは、スマート水産業等のいろいろな補助の要件を見ていくと、県を通して漁協に補助するものもあれば、国が直接漁協に補助するものがあります。いわゆるスマート経営とかに関連すれば、どちらかというとそちらのほうが多いかと思います。
 そうなると、今これだけ漁協経営が厳しいという中で、今回の総合経済対策等でも、恐らく1次産業にもスマート経営に関連するのも出てきますけれども、それに乗ろうとした場合に、正直、漁協の経営がそれだけ厳しいところであると、漁協が負担する分、地元負担分が出せない、結果、スマート化に進めない。そうでなくても高いスマート経営の機材ですので、そういったところをどのように分析しているのかまず聞きたいところですが、最初に、令和3年度の導入実績を教えてもらえればと思います。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 スマート水産業の導入実績でございますが、本県といたしましては、漁場の探索に有効な人工衛星のデータを活用した水温分布図ですとか、リアルタイムな魚市場の水揚げ状況、それから、沿岸定点での水温データなどを広く漁業者等に提供するいわて大漁ナビを運用しておりまして、新たにスマートフォンなどにも対応できる事業の導入に取り組んだところでございます。
 また、近年では、サケ、マス類の海面養殖に取り組んでいる山田地区、大槌地区において、養殖生けすに自動給餌機を導入いたしまして、給餌に係る作業の省力化によりまして生産性の向上を図っているところでございます。
〇中平均委員 漁協が厳しい中でこれからスマート水産業を入れてやっていこうとしていますが、補助をとるのになかなか厳しい状況も出てくるだろうと思うのです。その点について、今後どのように考えていくのか教えてください。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 本県では、生産者の高齢化ですとか減少による生産量の回復には、操業を効率化するなどの取り組み、あるいは生産性を高めていくことが必要だろうと考えております。そういった意味で、スマート漁業を導入していくことは必要だろうと考えております。
 スマート漁業に関しましては国の事業がございまして、新規漁業就業者に対します研修制度、若手漁業者のICT活用に係る経営技術の向上支援などの事業、あるいはスマート機器の共同購入、それから、カスタマイズの取り組みなどを支援する事業がございます。それらについては、県としても導入を支援していきたいと考えております。
〇中平均委員 そういった中で進めていっていただきたいと思います。
 では、その中で主要魚種が低迷して、また、磯焼けが非常に進んでいて、ウニ、アワビ等非常に厳しい状況で推移してきましたけれども、岩手県藻場保全・創造方針を令和3年3月から実行してきていると思うのですが、その内容等について教えていただければと思います。
〇佐々木漁港漁村課総括課長 磯焼けの実態と対策についてでありますけれども、令和2年度に県が実施した藻場の分布状況等に関する調査結果では、アワビなどの餌となる昆布等の大型海藻類の藻場面積が、平成27年度環境省調査結果と比較し約4割減少しており、アワビ等の資源回復に向けて、藻場の再生を図る必要があると認識しているところでございます。
 このため県では、ウニの食害等により衰退が著しい藻場の再生に向けて、昨年3月に策定しました岩手県藻場保全・創造方針に基づきまして、ブロック投入等による藻場造成のハード対策と、ウニの間引きや昆布の養殖技術を活用した海中林の設置などのソフト対策を一体的に進めることとしております。
〇中平均委員 その岩手県藻場保全・創造方針を策定してやっていくということですけれども、来年度以降の取り組みについてお知らせください。
〇佐々木漁港漁村課総括課長 今後の取り組みについてでございますけれども、今年度は、久慈市侍浜地区など3地区におきまして、地元漁業者と連携しながら本格的な藻場造成に着手しております。藻場造成に必要な生物調査や測量設計などを行っているところでございます。
 今後におきましては、地元のニーズを踏まえながら、ブロック投入などのハード対策とウニの間引きなどのソフト対策を一体的に進めまして、海域の状況に応じた藻場の再生が着実に図られるよう、関係機関、団体と一丸となって計画的に取り組んでまいりたいと考えております。
〇中平均委員 進めていきながら、この厳しい状況の水産業を何とかしていくということだと思っております。
 そうした中で、岩手県水産業リボーン宣言が出されております。一般質問等でもありましたけれども、改めて、具体的に何を今やっているのかをお伺いしたいと思います。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 岩手県水産業リボーン宣言の具体的な取り組みでございますけれども、この宣言は、県と水産関係団体とが主要魚種の回復、増加している資源の有効利用、新たな漁業、養殖業の導入を三つの柱といたしまして、重点的に施策を進めていくこととしているものでございます。
 本年度の主な取り組みにつきましては、主要魚種の資源回復といたしまして、サケ種卵の確保に向けて、これまで以上に他道県への積極的な働きかけを行っているほか、改良餌によるサケの大型稚魚の生産をとり行っているところでございます。
 また、増加している資源の有効利用といたしまして、県内9地区におきましてウニの蓄養、出荷に取り組んでいるところです。また、新たな漁業、養殖業の導入といたしまして、県内5地区でのアサリの養殖試験に向けた種苗生産を行うほか、サケ、マス類の海面養殖では、新たに釜石湾内の漁場を加えまして、県内4地区で事業化したところでございます。
〇中平均委員 そのとおりだと思いますが、水揚げがこれだけ低迷している中でどうしていくのだという中で出した岩手県水産業リボーン宣言であるわけですから、来年度、その中でさらに強力に、では、岩手県の水産物をどのようにして消費拡大していく等、もっと大きく実行していくべきだと思うのです。
 そういうものがないと、収量は少ない、販売金額は低迷したままで、価格が高くなるものも出てくるということではありますけれども、そういった点を総合的に踏まえながら、やはり岩手県水産業リボーン宣言に見合った事業を実行していくことが必要だと思いますが、その点をお伺いして、終わりたいと思います。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 岩手県水産業リボーン宣言に対しますさまざまな取り組みを多方面で取り組むこととしておりますが、すぐに効果があらわれるもの、あるいは時間がかかるものがあると思います。効果があらわれるものについては、横展開なり、より一層の発展をしていきたいと考えていますし、効果に時間がかかるものについては、いろいろと視点も変えながら取り組んでいきたいと思います。
 販売の関係につきましても、まず、ウニの二期作等の取り組みもございますが、どういった形でどういうところに売っていくかということが非常に重要になると思いますので、関係機関と連携しながら取り組んでまいりたいと考えます。
〇佐々木朋和委員 私から、原木シイタケについてお聞きしたいと思います。
 具体的推進方策指標の乾シイタケの植菌本数、令和3年度、54万7、000本のD評価でした。もともと東日本大震災津波後88万2、000本から毎年2万本ふやしていくという計画でしたが、74万6、000本、60万1、000本、54万7、000本と毎年減少しています。
 このKPIの進捗率はマイナス341.8%ということで残念な数字になっておりますが、まず、この状況をどのように受けとめているのかお伺いします。
〇工藤技術参事兼林業振興課総括課長 原木干しシイタケの植菌本数の減少についてでございますけれども、干しシイタケ市場価格の低迷あるいは原木価格の高騰などによる生産コストの上昇を受けた生産者の植菌の見送り、あるいは植菌本数の減少によるものと分析しておりまして、当初設定した目標を達成できなかったことにつきましては非常に残念でございますけれども、原子力発電所事故の影響が想定よりも大きかったと捉えているところでございます。
〇佐々木朋和委員 原木高騰対策等支援策については評価させていただきたいと思います。一方で、やはりこの評価と市場価格について、先日の復興特別委員会で、価格の低迷は市場価格よりも仲買において顕著だと、その点について生産者から声が上がっておりました。今、一番改善していただきたいのはそこだということです。
 この点について、県ではどのように認識されているのか伺いたいと思います。
〇工藤技術参事兼林業振興課総括課長 原木干しシイタケの価格低迷についてでございますけれども、原木シイタケは、そのほとんどが干しシイタケとして加工、出荷されますが、総務省の家計調査によりますと、干しシイタケの1世帯当たりの年間購入量が、平成20年の86グラムから令和2年は43グラムと減少しておりまして、需要量の大幅な減少が全国的な価格低迷の要因の一つと捉えております。
 また、現在、干しシイタケが出荷されている県外の市場は、JAと森林組合二つの系統によって入札が行われておりますけれども、令和3年度実績では、キログラム当たり平均3、000円台半ばで取り引きされております。
 本県の干しシイタケの平均価格は全国平均を上回っておりましたけれども、原発事故以降、全国の平均価格を下回っておりまして、市場関係者の声も踏まえますと、価格低迷の要因は、需要の減少に加えて原発事故による風評被害の影響もあると捉えております。
〇佐々木朋和委員 本県でさまざまな支援策も行っていただいていて、そういった支援策については、今、予算が足りないというよりも減額決算となっている部分もあります。やはり意欲の部分で、植菌をしても、なかなか市場が見えないところが課題であり、大きくなってきているのだろうと思います。
 当初は、原木の購入に当たって、なかなか手元に届かないとかあったのですけれども、やはり今後、第2期アクションプランに向かっていくには、産地を守っていくためにも、個々の市場に対してもっとアプローチしていかなければいけないのではないかと思います。
 県でもさまざま、県南広域振興局とかで直接販売の販売先を探していただいたり、直接販売をやっていただいているのはありがたく思っておりますけれども、やはりこの仲買問題を解決しないと、なかなかKPIの向上につながっていかないのではないかと思います。
 これは復興という中にあっても、沿岸地域とともに県南地域の原木シイタケについても、なりわいの再生という枠の中で力を入れてやっていかなければいけないと思います。
 そういった意味で、今後、より踏み込んだ市場への対策をとっていただきたいと思いますけれども、今後の方向性を伺いたいと思います。
〇工藤技術参事兼林業振興課総括課長 原木シイタケ価格対策の今後の方向性についてでございますけれども、原木干しシイタケの市場価格につきましては、令和3年度から上昇傾向にあります。品質の高いものは高価格で取り引きされているということでございますので、品質の高いシイタケを生産するためのほだ場の管理でありますとか、乾燥後のシイタケの管理、こういったものを徹底するように、種菌メーカーと連携した指導強化をしていく必要があると考えております。
 また、2年前に集出荷団体と連携しまして、原木干しシイタケの市場に参加する卸売業者に実施したアンケート結果によりますと、毎年1回目の入札会に出品が集中することが価格の低下を招いているという回答もございましたので、その辺につきましては、集出荷団体と連携して、入札会の出品数の調整についても検討していきたいと考えております。
 今後は、集出荷団体と連携しまして、入札会の開催の前に卸売業者にことしの作柄の状況を提供するなどしまして、入札会への参加を促すなど高価格での販売につながる取り組み、先ほどもお話ししましたけれども、生産現場の管理でありますとかとったものの管理も含めて、いいものを市場に出荷するような形で対策を講じていきたいと思っております。
〇佐々木朋和委員 ぜひお願いしたいと思います。1回目に集中するという話も聞いておりました。そこを県でもしっかりと前に出て改善に向けてやっていただくということですし、また、今、施設整備には予算もつけていただいているのですけれども、一方で、この原木シイタケの販売力アップ事業は、決算額では220万円程度ということでした。
 よいものをつくることはもちろんですが、やはり今そういった生産者の方が前向きになれるようにしていくためには、この販売力強化のところにより予算をつけて、ぜひ取り組んでいただきたいということを申し上げて、終わりたいと思います。
〇斉藤信委員 それでは、水産業の再生の取り組みについてお聞きいたします。
 昨年度の主要魚種、サケ、サンマ、スルメイカの生産量、生産額はどうか、震災前との比較を含めて示してください。魚市場ごとの生産量、生産額も示してください。さらに、今年度の状況についてどうなっているかも示してください。
〇太田漁業調整課長 令和3年度の主要魚種の水揚げ量、魚市場の水揚げ量、水揚げ金額についてでございますが、主要魚種の水揚げ量としまして、サケは413トンで、これは震災前の2%、サンマは、暦年の集計になりますが2、883トンで震災前の6%、スルメイカは1、102トンで震災前の6%となっております。
 また、県内魚市場の総水揚げ量につきましては8万6、000トンで、これは震災前の49%でございまして、水揚げ金額につきましては116億円で震災前の50%となっております。
〇斉藤信委員 先ほどの答弁でサケは61%という話がありましたので、あわせてサンマ、スルメイカのことしの状況を後で教えてください。
 それで、今の答弁にあったように、震災前と比べるとサケが2%、サンマは6%、スルメイカが6%と本当に激減という状況です。そして、魚市場全体の生産量は49%ということで半減した。これは生産額も半減ということですね。
 そこで、先ほどの答弁にもちょっとかかわるけれども、先ほど定置網では余り減っていないとお聞きしました。サケがこれだけ減っているときに定置網は減っていないというのは、何が今、定置網に主にかかっているのか示してください。
〇太田漁業調整課長 現在、魚としてはマイワシの水揚げ量が非常に伸びておりまして、これが震災前の同期で比較しますと1万400倍(後刻「100倍」と訂正)になっているところでございます。
〇斉藤信委員 マイワシでは余り金にならないということだと思います。だから、定置網にマイワシがかかっても、サケのかわりにはならないということだと思います。
 本当に大変深刻な状況で、私も漁協の状況を聞こうと思ったのですけれども、これは聞かれましたので、24漁協中16漁協が赤字ということについて、私は角度を変えてお聞きします。黒字となっている8漁協は、何が黒字の要因なのか、そこを示してください。
〇小野寺指導検査課長 先ほど答弁させていただいたのですが、当期剰余金を計上した8漁協のうち、事業利益を計上しているのは三つの漁協でございました。それは通常の事業利益で、残り5漁協でございますが、不動産資産の売却による特別利益などによって当期剰余金を計上しております。
〇斉藤信委員 事業利益を上げているのは3漁協ということで、全体として本当に厳しい。恐らく中心は定置網だと思うのです。今まで漁協の経営を支えていたのはサケを中心とした定置網漁でしたから、ここが本当に屋台骨というか、それが今揺らいでいるというのが大変重大な問題だと思います。
 そこで、先ほど漁協の改善で販売事業を強化するということでしたが、販売事業は何をどう販売強化するのですか。
〇小野寺指導検査課長 各漁協によって取り組みは違うと思いますが、例えば、インターネットを使用した販売を実際にもう取り入れているところもございますが、実は漁協によって、そういう取り組みがおくれているところがほとんどでございます。そういった現在のニーズに合わせた販売事業の強化に取り組んでいただけるように、研修、セミナーを行ったところでございます。
〇斉藤信委員 それで、岩手県水産業リボーン宣言について、今年度の成果と来年度の強化方向はどうなのか。ちょっと立ち入って聞きますけれども、例えば増加している資源の有効利用と、先ほど私がもらった資料もウニ資源の有効利用しかないのです。増加している資源はまだあると思うけれども、それはどうなっているのか。
 あと、新たな漁業、養殖業でいけば、いわゆるサケ、マス類の海面養殖の生産拡大について私は2月のときにも聞いたのですけれども、これはもう経営的にも見通しが立ってきたという話でしたが、これの今の取り組みと来年度の見通しも合わせて示してください。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 増加している資源の取り組みということでございますが、先ほど答弁がありましたマイワシについては、震災前から相当量ふえているということで、これを加工原料に使えないかということで、岩手県水産技術センターでは、マイワシの落とし身を有効活用する、加工原料として使うことに取り組んでおります。こういったものを、加工業者の方々に利用していただくような取り組みをしているところでございます。
 それから、サケ、マス類の養殖については、今年度、新たに釜石市で漁場の新設がございまして、今、事業化しているのは県内で4カ所ございます。そのほかに2カ所試験中のところがございますが、これらについては、来年度生産数量をふやして、さらに拡大していく予定にしております。令和4年度の実績でいいますと、県内6地区での生産実績で約1、200トンでございましたが、これを来年度は1.5倍の1、700トン程度まで拡大する計画になっております。
〇斉藤信委員 私は、本当に岩手県の水産業は、復興、再建という現状なのだと思うのです。そういう意味でいけば、岩手県のまさに基幹産業、とりわけ沿岸地域の基幹産業ですから、本当に知恵を出してやっていただきたいし、今は燃油高騰もあるので、燃油高騰対策を、ほかの県では水産業への支援もやっているので、これはこれでしっかり手だてをとってやっていただきたい。
 次に、気候危機打開と林業分野の課題についてお聞きいたします。
 第2次岩手県地球温暖化対策実行計画について、今年度は目標を見直して57%に削減量を引き上げると。これは16%引き上げるのです。かなり大幅な引き上げで、林業分野ではどういう課題を持ち、削減量をどのように引き上げようとしているか示してください。
〇鈴木森林整備課総括課長 現在見直しを進めている第2次岩手県地球温暖化対策実行計画改訂案での目標は、現計画を6%上回る141万6、000トンとしているところでございます。
 森林吸収量の目標達成に向けては、利用期を迎えた人工林の伐採跡地での再造林や間伐などの適切な森林整備を促進していくことが重要と考えております。
 このため、伐採から再造林までの一貫作業システムの普及や低密度植栽の導入などによる造林コストの低減、さらには、森林経営計画の作成などによる森林施業の集約化、こういう取り組みを進め、引き続き林業関係団体等と一体となって再造林等の森林整備を推進してまいります。
〇斉藤信委員 森林吸収量目標を141万6、000トンとするということですが、今までの計画は133万9、000トンだったのです。これは何を根拠に決めたかというと、この間の平均値です。余り根拠がないのです。だから私は、これを引き上げることはいいことだけれども、141万6、000トンの根拠は何ですか。
〇鈴木森林整備課総括課長 森林吸収量の根拠でございますが、斉藤信委員がおっしゃるとおり、2015年度から2019年度までにおける本県の森林吸収量の平均値を見込んだものでございます。
 この平均値の設定の理由でございますが、森林吸収量は森林の成長量をもとに算定していますが、森林の成長量は、通常、1年単位で見た場合は年ごとの変動はそんなに多くないのですが、一方、国が本県に示している森林成長量は、例えば2016年度と2019年度を比較しますと2倍以上開きがあるなど、年によって変動が見られる傾向にございます。
 このようなことから、将来にわたり長期的な計画を立てるに当たっての現状値の設定の考え方としては、単年度の数値に基づくものではなく、一定期間の数値の推移を見ながら、その動向を踏まえた上で算定することが必要かということで、平均値を採用してきたものでございます。
〇斉藤信委員 いずれにしても、再造林を思い切って強化しないといけないと思うのです。森林は今、成長を超えて高齢化しているというのが皆さん方の評価だから、それを超えるような再造林、これは予算も伴うので、本当に県民の合意を形成しながらしっかり取り組んでいただきたい。
 時間がないので、あと一つだけお聞きします。いわて木づかい住宅普及促進事業のこれまでの実績はどうなっているでしょうか。
〇工藤技術参事兼林業振興課総括課長 いわて木づかい住宅普及促進事業の実績でございますけれども、令和3年度は、新築が116件、リフォームが10件、合わせて126件となっております。
 また、今年度は、9月26日をもって受け付けを終了しましたが、申請受け付け件数は、新築が129件、リフォームが18件、合わせて147件となっております。令和3年度の実績と比べまして、新築で13件の増、リフォームで8件の増、合計で21件の増となっております。
〇斉藤信委員 令和4年度は増加しているのはいいのだけれども、予算の枠内で結局9月26日に申請が終了してしまったということは、本当に残念です。恐らく昨年度もそうだったのでしょう。だから、本来ならもっと活用される事業だと思うのです。県民のためにもなる、また、温暖化ガスの削減にもつながることだと私は思うので、普通なら補正予算に計上して、そういう取り組みが必要なのではないかと。9月26日といったら半年で予算の上限が来たから終わりで、大変残念です。
 もう一つ、私は住宅の断熱化と結んだ岩手型住宅を統一化して、県産木材も使う、住宅の断熱化もヨーロッパ並みのレベルに引き上げると。鳥取県とか長野県がそれをやっているのです。私は2月の予算特別委員会ときにも言ったのだけれども、県土整備部と農林水産部と、環境生活部も入ると思いますが、やはり一体の岩手型住宅の推進を図る必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
〇工藤技術参事兼林業振興課総括課長 木づかい住宅普及促進事業の成果としては、確かに、斉藤信委員からお話しありましたとおり、途中で終わってはいるものの、住宅に県産木材を使う事例がふえてきていることは、非常にうれしいところでございます。
 これにつきましては、予算のこともありますけれども、市町村においては、県の仕組みを参考にしまして、独自の支援制度をつくったりしている市町村がございますので、予算の足りない分については、市町村にそういうお話をしながら同様の取り組みをしていくのが一つ。
 あとは、先ほどの断熱性能の話でございますけれども、これは今、県土整備部ともこれから検討しなければならないのですが、国の新しい住宅の支援の部分も非常に手厚くなっておりますので、県土整備部と一緒になって、そういった新しい断熱性能を持った岩手型住宅をどのように支援していけばいいのかという部分を、これから検討しながら取り組んでいきたいと思います。
〇斉藤信委員 市町村の同じような事業については、後でお知らせください。願わくば、岩手県の補助に市町村が上乗せする、そうするともっと大きな効果が出ると思うのです。そういう意味で、やはり岩手県の補助事業が半年で終わるというのでは、これはもっともっと、県産材も活用される、住宅の断熱化も推進される、そういう意味でいけば、来年度のグリーンの予算は3倍まで広げるということでした。だから、目玉になってくると私は思うので、そういう意味で、半年で終わるような事業ではなく、基本的には通年で使えるような事業に、そして、県土整備部と一体化して、さらに市町村がそれに上乗せするとなれば、この取り組みは本当に全国で最も進む事業になるのではないかと思いますがいかがでしょうか。
〇工藤技術参事兼林業振興課総括課長 予算のお話につきましては、ここでこうですとなかなか言えないところもございますけれども、どのような仕組み、あるいはどのような予算を使ってそれが実現できるのかという部分については、関係する部局と一緒になって考えながら取り組んでまいりたいと思います。
〇名須川晋委員長 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇太田漁業調整課長 済みません、先ほどお尋ねがありました主要魚種の今年度の水揚げ状況でございますが、秋サケにつきましては81トンということで、震災前の同期比4%、マイワシにつきましては9、694トンでございまして、こちらにつきましては、先ほど間違えましたが、震災前同期の100倍でございます。スルメイカにつきましては234トンで、震災前同期比7%でございます。サンマにつきましては、現在1、480トンということですが、サンマにつきましては震災前同期の数字を押さえていなかったので、こちらにつきましては、後ほどお知らせしたいと思っております。
〇小野寺指導検査課長 済みません、先ほど斉藤信委員からの質問に対しまして、当期剰余金を計上した8漁協のうち、事業利益を計上しているのは3漁協と私は回答いたしました。4漁協(後刻「3漁協」に訂正)の誤りでございました。申しわけございませんでした。
〇小林正信委員 私は、林業の振興についてお伺いしたいと思います。
 日本の木材自給率が2020年に半世紀ぶりに4割台を回復しました。ウッドショックを契機にして、木材の安全保障を確保する観点から国産材に注目が集まっているものと思います。
 まずお伺いしたいのは、県産材の価格はここ数年どうなっているのか、また、ウッドショックの影響について、どう捉えていらっしゃるのかお伺いしたいと思います。
〇工藤技術参事兼林業振興課総括課長 県産木材価格の推移とウッドショックの影響についてでございますけれども、本県の原木価格は、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして木材需要が減少したため、令和2年は価格が下落しましたが、その後のウッドショックの影響によりまして、令和3年の秋以降、価格が上昇しまして、本年4月の杉の価格は前年同期比39%増となっております。
 しかしながら、ことしの夏以降、アメリカの住宅需要が低下したことなどによりまして輸入木材の入荷量がふえまして、逼迫していた国内の木材需給が緩和されたことから、原木価格の下落傾向が見られ始めております。新型コロナウイルス感染症の影響を受ける前よりは高い水準を維持しておりますけれども、ウッドショックのときのような需要の高まりは、今はない状況でございます。
 また、木材製品価格でございますけれども、ウッドショックの影響によりまして輸入木材の代替需要が発生しまして、全国的に国産材製品の価格は上昇しましたが、現在は、全国的に木材需要が落ちつきまして、価格は下落傾向となっているものの、やはり原木と同様に、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける前よりは高い水準を維持しており、本県でも同様の状況となっております。
 県内の事業者は、ウッドショックを契機とした輸入木材から国産材への転換を見据えまして、高性能林業機械の導入でありますとか木材加工施設の整備、あるいは輸入製材品の代替となる新たな木材製品の開発などを進めておりまして、ウッドショックを契機に、県産木材の供給力向上を目指す取り組みにつながったものと捉えております。
〇小林正信委員 ウッドショックがいい影響をもたらしているという部分もありつつ、また、少し木材原価が下落しつつあると。世界の情勢とかもあって、木材価格の安定がなかなか難しい部分もあるかと思いますけれども、県としても、ぜひさまざまな努力をしていただければと思います。
 林業・木材産業改善資金についてお伺いします。
 支出済額が23万円余で、不用額が1億3、700万円余となっております。この資金の概要、また、予算現額に対してほぼ不用額になった要因など、活用の状況についてお伺いしたいと思います。
〇中野参事兼団体指導課総括課長 林業・木材産業改善資金の活用状況についてでございます。
 令和3年度末時点において、この資金造成額が4億5、695万円となっておりまして、うち貸付残高が3億2、637万円でございます。資金造成額に対する貸付残高の割合は約71%となっているところでございます。この資金で林業従事者等への貸し付けを通じまして、木材産業の経営の改善が図られると認識しているところでございます。
 この資金の概要でございます。この資金につきましては、林業、木材産業従事者の経営改善を図るために、林業従事者等が行う先駆的な取り組みに対して貸し付ける無利子の資金となっておりまして、貸し付けの限度額は1、500万円から1億円、償還期間は10年という形になっているところでございます。
 先ほどの不用残の部分でございますけれども、事務費等の部分で残額が出た部分を計算した形になっているところでございます。
〇小林正信委員 報道によると、林野庁は、この貸し付けが見込まれない資金に対して自主返納すべきという額を提示しています。この1億3、000万何がしという部分は、確実に自主返納しなければならない額なのかお聞きします。
 先ほども予算の確保という重要なお話が佐々木宣和委員からありましたけれども、岩手県も森林県として、せっかくの資金にこれだけ不用額が出るというのは、非常に厳しいのではないかと考えております。これを十分に活用する努力、やはりこういう細かいところにも目を向けて、しっかりとこの資金の活用の取り組みをしていただきたい。これは努力していただきたいということをお願いしたいと思います。
 森林環境譲与税についてもお伺いしようと思いましたけれども、臼澤勉委員、佐々木宣和委員から質疑がありましたので割愛します。
 人材の必要性について、これも佐々木宣和委員からお話がありました。岩手県としても、いわて林業アカデミー等により努力されていることと思いますけれども、令和3年度の人材育成、確保の状況、また、林業人材の確保については労働環境の改善も必要だと思います。林業に携わる方の所得についてどう捉えているのかお伺いしたいと思います。
〇鈴木森林整備課総括課長 林業の人材育成、人材確保の状況についてでございますが、県では、林業従事者を継続的に確保するため、先ほど小林正信委員がおっしゃられましたいわて林業アカデミーにおいて、林業に関する知識や技術の体系的な習得を支援し、平成29年の開校から令和3年度までの5カ年で81名の現場技術者を養成しております。
 また、岩手県林業労働対策基金におきましても、国の緑の雇用事業等を活用し、新規就業者の技術レベルに応じたきめ細かな研修を行っているところでございます。
 こうした取り組みにより、令和3年度の新規就業者数ですが、第1期アクションプランに掲げる目標110人を上回る113人を確保したところでございます。
 所得の状況についてのお尋ねもございました。全国データになりますが、林野庁で作成した資料によりますと、全国の林業従事者の平均給与は343万円となっており、全産業の平均は432万円となっておりまして、林業のほうが89万円少ない状況となっております。
〇小林正信委員 この人材確保もしっかり取り組んでいただいていると思いますし、また、大変な危険を伴い働いていただいている中で、なかなか所得が上がらないというところを県としてもしっかりと手当てをしていただければと思います。
 この森林の持つ多面的機能を発揮するには、森林の整備が必要ですので、路網の整備、林道、森林作業道について計画的に行っていくことが重要と思います。
 岩手県の路網の整備状況、また、取り組みについてお伺いしたいと思います。
〇安藤森林保全課総括課長 林道、路網整備の状況についてでございますが、森林内の基幹的な路網である林道につきましては、令和3年度には24路線、7キロメートルを整備し、令和3年度末の林道整備延長は4、563キロメートルとなっております。
 また、林道の支線となります森林作業道については、令和3年度、国の国庫補助事業等の活用により99キロメートルを整備し、令和3年度末の整備延長は7、430キロメートルとなっているところでございます。
 林内路網につきましては、造林、保育、素材生産等の施業を効率的に行うための林業生産基盤として極めて重要であることから、林道と市町村や森林組合等が整備する森林作業道等を組み合わせた効果的な路網の整備を進めていくこととしたいと考えております。
〇小林正信委員 この路網の整備につきましては、林業の生産性向上、また、災害に強い森林という点で重要ですけれども、近年、路網の整備が行き当たりばったりになっているのではないかといったお声も伺っております。しっかりとした計画的な取り組みをお願いします。
 再造林については、先ほど斉藤信委員からお話がありましたので割愛いたしますけれども、岩手県の森林は多様性に富んでいる、バランスがいいと言われておりますが、再造林についても、切ったら植えて育てる、こういうサイクルに沿って計画的に進めていっていただきたいと思います。
 近年の集中豪雨や地震等により、大規模な土砂崩れ、林道の寸断、間伐した木がほったらかしになって、これが流木となって流れてくるとか、山林にかかわるさまざまな被害が出ております。
 先ほど申し述べました路網の整備もそうですけれども、災害に対応した森林整備を促進すべきと考えております。国土強靱化の観点から見た森林整備についてのお考えをお伺いします。
〇鈴木森林整備課総括課長 国土強靱化のための森林整備についてのお尋ねと存じます。
 県では、令和2年12月に策定しました第2期岩手県国土強靱化地域計画におきまして、森林の有する国土保全や洪水緩和等の多面的機能の維持、増進を図ることとしております。
 このため、市町村等との連携により森林施業の集約化を促進し、再造林や間伐などの適切な森林整備を進め、災害に強い森林づくりに取り組んでいくこととしております。
 また、近年の記録的な豪雨による災害等が全国各地で頻発しておりまして、県ではこれまで、伐採等森林施業のあり方に関する指針に基づき関係者等を指導してきましたが、これを見直しまして、令和3年3月に、伐採・搬出・再造林ガイドラインを策定したところでございます。
 このガイドラインにつきましては、森林組合や民間事業体が参加する会議等において丁寧に内容を説明しており、引き続き、このガイドラインの周知ということで、森林施業に伴う流木被害等の未然防止に取り組む活動を積極的に推進してまいりたいと考えております。
〇小林正信委員 流木の対策も、災害のときにさまざま、橋桁に流木が詰まったりというのも多いように感じておりますので、ぜひ取り組みを進めていただきたい。
 これまで少なかった木造の中高層建築物が各地に建てられております。耐火性、強度にすぐれた合板CLTなどの建築材の開発が進んできたため等のことです。特にCLTに関しては、コストも、また強度、加工のしやすさ等、建材としての期待が大きいとされておりまして、県では、岩手県林業技術センターにおいて、アカマツのCLTの実証試験とか、建築士、建築事業者へのCLTの周知等も行ってきたところと思います。
 県産材のCLTの活用状況がどのようになっているのかをお伺いして、終わりたいと思います。
〇工藤技術参事兼林業振興課総括課長 県産木材のCLTの活用状況についてでございますけれども、県ではこれまで、先ほど小林正信委員からお話がありましたとおり、中大規模建築物での木材利用拡大が期待できるということで、県内の建築士等を対象としたCLT建築物の設計、工法等に関する研修会を複数年続けてきておりますし、全国の施工事例の紹介などにも取り組んできたところでございます。
 県内における県産木材のCLT活用状況は、令和2年度に完成しました県立福岡工業高等学校の壁の一部に使用しましたほか、県内の民間の集合住宅の壁に使用された事例がございます。
 CLT建築物は、コンクリートを使用する場合と比べまして工期が短縮できるなどのメリットがある一方で、このCLTを使用するための知識でありますとか設計、施工技術が必要になるということが、積極的な活用に当たっての課題となっております。
 今後は、県内の建築士を対象とした研修会を通じまして、CLT活用技術の習得支援や普及啓発に引き続き取り組みますほか、県が委嘱する岩手県木造建築アドバイザーを、市町村など建設を計画しているところへ派遣するなど、県内におけるCLTの活用が進むように取り組んでまいります。
〇名須川晋委員長 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇小野寺指導検査課長 大変申しわけございませんでした。先ほど斉藤信委員への答弁で訂正させていただきましたが、最初の答弁のとおり、3漁協でございました。1漁協は赤字でございましたので、3漁協が正しいです。済みません。
〇名須川晋委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇名須川晋委員長 質疑がないようでありますので、これで農林水産部関係の質疑を終わります。
 農林水産部の皆さんは御苦労さまでした。
 以上で、本日の日程は全部終了いたしました。
 本日は、これをもって散会いたします。
   午後7時21分 散 会

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