令和4年9月定例会 決算特別委員会会議記録

前へ 次へ

令和4年10月20日(木)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 中 村 佳 和
議事管理担当課長 藤 平 貴 一
主任主査 佐 藤 博 晃
主任主査 糠 森 教 雄
主任主査 増 澤 綾 子
主任主査 及 川 雄 也
主査 阿 部 真 人
主査 刈 屋 江美子
1説明員
ふるさと振興部長 熊 谷 泰 樹
副部長兼ふるさと
振興企画室長兼
県北・沿岸
振興室長 鈴 木 俊 昭
地域振興室長 小 國 大 作
国際室長 菊 池   孝
交通政策室長 渡 辺 謙 一
科学・情報
政策室長 藤 原 由喜江
ふるさと振興
企画室企画課長 大 越 治 仁
学事振興課
総括課長 米 内 靖 士
調査統計課
総括課長 岡 部 春 美
地域企画監 高 井 知 行
地域振興課長 山 本 洋 樹
県北振興課長 竹 花 光 弘
沿岸振興課長 及 川 有 史
地域交通課長 山 田 智 幸
空港振興課長 山 本 章 博
科学技術課長 佐 藤 光 勇
デジタル推進課長 木 村 幸 地

ILC推進局長 箱 石 知 義
副局長兼事業
推進課総括課長 佐々木   哲
企画総務課
総括課長 鈴 木 俊 昭
企画総務課
企画課長 大 越 治 仁
企画総務課
管理課長 金 野 賢 治
計画調査課長 藤 島   謙

会計管理者兼
出納局長 木 村   久
副局長兼総務課
総括課長 宮   昌 隆
特命参事兼
入札課長 安 倍   均
会計課総括課長兼会計指導監 今 雪 博 貴
審査課長 佐 藤 政 幸

人事委員会
事務局長 菊 池 正 勝
職員課総括課長 藤 村   朗

監査委員 五 味 克 仁
監査委員 中 野 玲 子
監査委員事務局長 藤 澤 良 志
監査第一課
総括課長 及 川 博 英
監査第二課
総括課長 佐々木 良 生

警察本部長 森 下 元 雄
警務部長 長谷川 信 栄
生活安全部長 菅 野 一 也
刑事部長 玉 澤 賢 一
交通部長 阿 部 裕 一
警備部長 田 村   剛
警務部参事官兼
首席監察官 金田一 正 人
警務部参事官兼
警務課長 吉 田 知 明
警務部参事兼
会計課長 藤 齋   司
生活安全部
参事官兼生活
安全企画課長 渡 辺 利 美
刑事部参事官兼
刑事企画課長 熊 谷 秀 一
交通部参事官兼
交通企画課長 南 部 一 成
警備部参事官兼
公安課長 金 崎 将 樹
総務課長 黄 川 誓 二
交通規制課長 三 浦 義 明

財政課総括課長 山 田 翔 平
〇名須川晋委員長 これより本日の会議を開きます。
 これより議事に入ります。
 認定第1号から認定第15号まで、及び議案第37号から議案第39号までの以上18件を一括議題といたします。
 本日は、ふるさと振興部、ILC推進局、出納局、人事委員会、監査委員及び警察本部関係について延べ16人の質問者を予定しており、世話人会の協議により、本日の質疑の目安時間は23分といたしました。
 なお、関連質疑については目安時間を10分とすること、同一部局の審査において質疑と関連質疑を行う場合は、その日の質疑の目安時間の範囲内とすることにしておりますので、あらかじめ御了承願います。
 また、これまでと同様に、換気のため休憩いたしますので、御協力をお願いします。
 初めに、ふるさと振興部関係の審査を行います。
 なお、大森市町村課総括課長は療養のため欠席となりますので、御了承願います。
 ふるさと振興部長にふるさと振興部関係の説明を求めます。
〇熊谷ふるさと振興部長 それでは、令和3年度のふるさと振興部関係の決算につきまして御説明申し上げます。
 初めに、ふるさと振興部が所管する事務事業の総括的な取り組みと、今後の取り組み方針について御説明申し上げます。
 当部では、東日本大震災津波からの復旧、復興に最優先で取り組むとともに、いわて県民計画(2019〜2028)のもと、ふるさと振興や社会基盤の整備など、県民の幸福度向上を図る10の政策分野に基づく施策を推進してまいりました。また、三陸や北いわてを初めとする新しい時代を切り拓くプロジェクトの関連事業のほか、デジタルトランスフォーメーションの推進や関係人口の創出、拡大を図る取り組みなどを積極的に推進してまいりました。
 事業実施に当たりましては、必要に応じ、新型コロナウイルス感染症対策を講じながら、効果的な取り組みとなるよう努めてまいりました。
 また、感染症への対応として、市町村が地域の実情に応じ実施する新型コロナウイルスワクチン接種輸送事業への補助や、公共交通事業者に対する公共交通の安全や安定した運行の維持の支援等を行ってまいりました。
 今後におきましても、引き続き、政策評価制度に基づきまして、各施策の成果や課題等の検証を行い、その結果を新規施策の展開や既存施策の見直し等に適切に反映させていくなど、より効果的な政策の推進に努めてまいりたいと考えております。
 また、政策の着実な推進のため、新型コロナウイルス感染症への対応についても、引き続き取り組んでまいります。
 続きまして、決算の概要について御説明申し上げます。お手元の令和3年度岩手県歳入歳出決算書の12ページと13ページをお開き願います。
 ふるさと振興部関係の決算につきましては、2款総務費のうち2項企画費、4項地域振興費の一部、5項選挙費及び7項統計調査費、それから、14ページと15ページにまいりまして、10款教育費のうち1項教育総務費の一部、それから、16ページと17ページにまいりまして、8項大学費、9項私立学校費でございます。これらの支出済総額は188億476万円余でございまして、翌年度への繰越額は1億541万円余、不用額は3億9、303万円余となっております。
 決算の内容につきましては、令和3年度歳入歳出決算事項別明細書に記載されておりますが、説明は省略させていただきますので、御了承をお願いいたします。
 以上で説明を終わります。よろしく御審議のほどお願いいたします。
〇名須川晋委員長 これより質疑を行いますが、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇佐藤ケイ子委員 私は公共交通、バス、タクシーの関係についてお伺いをしたいと思っております。
 今、JR東日本から赤字路線の問題で、今後、鉄道のあり方がどうなるのかということを大変心配するところです。さまざまな手法もあるのだろうと思いますが、今度はバスへの転換というのも視野に入ってくるのだろうと思うのですけれども、現在のバス路線の維持、確保はどうなっていくか。バスの経営は、今でも大変厳しい状況ですけれども、昨年度の県の取り組みについてお伺いをいたします。
 まず、バス運行対策費補助、2億7、665万円余があります。これは国と県と2分の1補助ですけれども、この運賃収入、路線数、乗車密度などの状況、そして、課題認識についてお伺いいたします。
〇山田地域交通課長 バス運行対策費補助についてでございますが、令和3年度におきましては、補助対象となる乗り合いバス事業者3社、岩手県交通、岩手県北自動車、JRバス東北の38路線の運賃収入が5億2、279万4、000円となっております。また、1路線当たりの平均乗車密度が2.9人となっているところです。
 人口減少に加えまして、現在は特に、新型コロナウイルス感染症の影響により乗車人数が大幅に減少していることが最大の課題だと認識しておりまして、バス路線の維持を図る必要があることから、国庫補助に準じまして、補助要件の緩和や補助対象経費の減額調整を行わないことの特例措置を講じたところでございます。
 これらの特例措置につきましては、国におきまして、現時点では令和3年度までとされているところでございますが、引き続き、新型コロナウイルス感染症の影響が見込まれるところでもございますので、国に対しまして、特例措置の継続を働きかけていきたいと考えております。
〇佐藤ケイ子委員 乗車密度が低い、2.9人という答弁ですけれども、今でさえ維持するのが大変な状況ということで、この制度がこのままでいけるかどうか、これは大変厳しいと思うところであります。そしてまた、国の補助以外で、県が市町村補助をしている地域バス交通等支援事業費補助、3、262万円余ですけれども、市町村補助2分の1、上限450万円という補助でありますが、これについての運賃収入、路線数、乗車密度などの状況、そして、課題認識はどうでしょうか。
〇山田地域交通課長 県単独補助の地域バス交通支援事業費補助についてでございます。こちらにつきましては、令和3年度におきまして、補助対象となる10路線の運賃収入合計が2、029万1、000円、1路線当たりの平均乗車密度が1.7人となっているところでございます。
 バス運行対策費補助と同様に、人口減少に加えまして、新型コロナウイルス感染症の影響によって乗車人数が大幅に減少していることが課題と認識しておりまして、バス路線の維持を図るということで、平均乗車密度要件を適用しない特例措置を講じているところでございます。
 この特例措置につきましては、バス運行対策費補助と歩調を合わせまして、適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 これも特例措置で、何とか支援をしていただいているということです。あとは、地域公共交通活性化推進事業費補助、これは1、577万円余でございますけれども、これも市町村補助2分の1、上限500万円、3年間程度の補助要件になっていますが、交付内訳、平均事業費と平均補助額はどうなっているのでしょうか。限度額を超えている市町村はあるかどうかお伺いいたします。
〇山田地域交通課長 地域公共交通活性化推進事業費補助についてでございます。令和3年度におきましては、地域公共交通計画の策定や再編に伴うデマンド交通、それから、コミュニティバス等の実証運行などの13事業に対しまして、1、575万円を交付したところでございます。
 平均事業費につきましては、559万7、000円であったのに対しまして、平均補助額が121万2、000円となっておりまして、市町村から予算額を超える補助要望があったことから、予算額に応じて調整を行ったところでございます。
 限度額500万円を超えているのは2市町であったところでございます。
 なお、令和4年度におきましては、市町村の要望に対応できるように予算額を増額したところでありまして、調整は行っていないところです。
〇佐藤ケイ子委員 バス路線の維持、確保については、市町村要望も何カ所からか出ていまして、ますます人口減少時代になってきて路線の維持が厳しい、そして、市町村の持ち出しが非常に大きいし、住民の生活そのものにかかわってくるということで、大変深刻な状況だと受けとめております。
 県民意識調査などでも、公共交通機関の維持、確保の重要度は25位、満足度は54位と満足度が低い。ニーズ度は6位ということで、ニーズは高いけれども不満が多いというのが現状であります。ますます利用ができなくなりそうな状況になっています。利用が少ないから今度は便数を少なくする。ますます利用者が少なくなるということ、それから、今度はJRのローカル線が廃止の流れなのかということで、地方で生活をしていく中で、私は国は何を考えているのだろうといつも思うのです。国は地方の衰退に拍車をかける、地方の人口減少は野放しではないかと思うくらい、地方の暮らしが打撃を受けることに無策だと思ったりすることがあります。
 そういった意味で、バス、タクシーを維持したい思いは強いわけですけれども、今度はバス運転士の状況です。県の地域交通網計画では、バス運転士確保として、2023年度までに208人の確保を目標としていますけれども、どのような状況になっているでしょうか。
〇山田地域交通課長 バス運転士の状況についてでございます。地域公共交通網形成計画における令和5年度までの5年間の目標値である乗合バス事業者3社の運転士の確保人数は、令和4年9月末時点で164人となっており、目標の約8割となっております。ただ、バス事業者のほうからは、やはり運転士が不足し、営業所間で調整する場合があるとも聞いておりますし、人手不足の厳しい状況の中で、必要な人数の確保に努力していただいていると聞いているところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 わかりました。バス運転士がいなくて大変だと。それから、地域交通を委託するにしても、バスの運転士がいなくて市町村が運営するコミュニティバスとかの運転士確保も大変だということで、交通政策において抜本的な制度改正などを国に求めていきたいと私はいつも思うところでございます。
 それから、タクシー事業者の支援の件でございます。タクシー事業者運行支援交付金は、1億300万円の交付だったわけですけれども、コロナ禍のタクシー事業者の経営状況が大変厳しいということで、交付したと思っておりますが、交付内訳、そして、事業者の経営状況の認識はどうでしょうか。
〇山田地域交通課長 タクシー事業者運行支援交付金についてでございますが、1億300万円の交付内訳につきましては、法人事業者が133事業者、個人事業者が78事業者、計211事業者の合計で2、060台に1台当たり5万円を交付したところでございます。
 県内タクシー事業についての状況ですけれども、岩手県タクシー協会によりますと、令和3年度の運賃収入は、コロナ禍前の令和元年度に比べまして31%、約27億5、200万円の減少になっております。今年度、令和4年4月から8月においては、令和元年度同期比で28.7%、約11億1、200万円の減少となっておりまして、依然として厳しい状況が継続していると認識しております。
 こうした状況を踏まえまして、県としましては、タクシー利用の需要動向を把握しながら必要な支援を行うことといたしまして、令和4年度6月補正予算及び9月補正予算におきまして、予算措置を行ったところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 わかりました。タクシー事業者も大変な経営状況であります。コロナ禍の影響もありますが、その前からタクシー事業者は大変なわけで、運転士の確保も大変な状況ということであります。タクシー会社で働いている方にお聞きしましたけれども、県の支援金は非常にありがたい。ぜひまたお願いしたいけれども、厳しいだろうという思いもあるとおっしゃっておりました。
 ただし、他県と比べると、岩手県の補助支援額は低いのではないかということも言われておりました。例えば、今回、秋田県の地域公共交通の燃料高騰対策事業などでいいますと、タクシー1台につき13万4、000円、岩手県はこの間、2万5、000円で、ことしは5万円ですけれども、大幅に違っているという例があったりしております。
 さらに、市町村でも補助をしたりしながら、何とか支えているわけですけれども、地域の足を守るということについて、県にはさらなる御支援をいただきたいと思っているところですがどうでしょうか。
〇熊谷ふるさと振興部長 鉄道、バス、そしてタクシーの地域公共交通は、県民の方々の交通手段としてその維持、確保は非常に大事なことだと思っております。地方鉄道、JRの関係につきましては、これまでも一般質問、それから、決算特別委員会で御答弁申し上げてきたとおりでございます。バス等につきましても、コロナ禍でかなり経営が厳しくなってきております。コロナ禍の初期に比べましたら若干よくはなってきていますが、やはり依然として厳しい状況だと思っております。タクシーについても同様だと思っています。
 引き続き、県民の方々の交通手段が確保できるように、私どもも業界の方々といろいろ意見交換をさせていただきながら、さまざま検討してまいりたいと思います。
〇臼澤勉委員 私からは、1点お伺いいたします。
 この9月定例会でもさまざまな委員から、専修学校高等課程の運営費補助について、さまざま質疑が交わされてきたところであります。改めて決算特別委員会において、私のほうからも確認させていただきたいと思います。
 まず初めに、全日制私立高等学校と私立専修学校高等課程への運営費補助の実績に対する県の評価をお伺いいたします。
〇米内学事振興課総括課長 全日制私立高等学校と私立専修学校高等課程への運営費補助実績に対する評価でございますが、令和3年度の全日制私立高等学校に対する一般分の運営費補助の実績は、県内13校、生徒数6、485人に対しまして22億3、490万円余の補助実績となっております。なお、生徒1人当たりの補助単価にしますと、1人当たり34万4、000円余、前年度比で1.15%の増でございます。これは国庫補助及び交付税措置の額の伸びとともに、生徒1人当たりの補助単価も伸びている状況でございます。
 次に、令和3年度の私立専修学校高等課程に対する運営費補助の実績でございますが、県内1校、生徒数47人に対しまして218万5、000円でございます。生徒数の増加とともに運営費補助額の実績額は伸びております。なお、国庫補助及び交付税措置はない状況でありまして、1人当たりの補助単価は3万5、960円の据え置きとなっております。
 これは、全日制の私立高等学校に係る運営費補助については、私立学校振興助成法におきまして、県が当該学校における教育に係る経常的経費について補助する場合には、国は県に対しましてその一部を補助することができることとされており、これを受けまして、県では高等学校を設置する学校法人を対象として、国庫補助のほか、県負担分の一般財源も交付税措置を受けて補助しているものでございます。
 これに対し、私立専修学校につきましては、私立学校振興助成法において、経常的経費を補助することができる旨の規定がございません。また、その運営に係る国庫補助制度もございません。また、交付税措置もないという状況でありまして、東北各県の補助単価等を参考にしながら、県単独で運営費補助を行っているものでございます。
〇臼澤勉委員 県内の私立専修学校の高等課程は、今1校ということでした。学校の運営状況や課題の把握についてお伺いしたいと思うのですけれども、ふるさと振興部長は、学校に様子を見に行ったことはありますか。
〇熊谷ふるさと振興部長 学校に行ったことがあるかということでございますが、大変申しわけございません。まだ行ってはおりませんが、先月末に星北高等学園から補助単価の引き上げの要望をいただいたところでございます。そういったことで、学校の方々ともお話しさせていただきましたので、近いうちに学校に行ってまいりたいと思っております。
〇臼澤勉委員 ぜひ行っていただきたいと思うのですけれども、まず、私立専修学校高等課程の運営状況、課題について、県ではどの程度把握しているのか伺います。
〇米内学事振興課総括課長 私立専修学校高等課程の運営状況と課題についてでありますが、県内唯一の大学入学資格が付与される専修学校である星北高等学園におきましては、過去3年間の生徒数は、定員60名に対して令和元年度が31人でございます。令和2年度は定員60人に対して36人、令和3年度は定員60人に対して47人でございます。令和4年度は定員を90名に変更いたしまして、現在、生徒数は56人となっております。
 教員の配置につきましては、令和元年度は専任教員5名、兼任教員5名の10名で、基準は3名ですので、基準は当然上回った配置をされております。令和2年度におきましても、同じく専任教員5名、兼任教員5名でございます。令和3年度は専任教員5名、兼任教員3名の8名でございます。今年度の状況は、専任教員6名、兼任教員4名の10名でございます。
 同校におきましては、文部科学省の大学入学資格付与校の指定を受けておりまして、設置基準を上回る教員を配置するなど多様な教育の機会を提供できるよう自助努力を行っておりますけれども、その取り組みには限界があるというお話は伺っております。
 また、教職員が確保できるように、県内の公立、私立高等学校並みの処遇改善をすることが課題だとお伺いしております。
〇臼澤勉委員 この唯一の私立専修学校高等課程には、北は九戸郡、岩泉町、南は一関市、奥州市、あるいは遠野市、北上市という全県下から、中学時代で少し学びにつまずいたというか、何かあったようなさまざまな経験のある子供たちが今、通っているところであります。この学校の果たす役割というものが私は非常に高まっていると思うのですけれども、そこら辺の認識はどのように捉えているかお伺いします。
〇米内学事振興課総括課長 県内私立専修学校高等課程の果たす役割についてでありますが、学校教育法上、私立専修学校高等課程は、中学校等を卒業した者に対しまして、中学校における教育の基礎の上に心身の発達に応じて職業、もしくは実際生活に必要な能力を育成し、または教養の向上を図ることを目的としております。
 また、大学入学資格が付与されます私立専修学校高等課程は、修業年限が3年以上であること、卒業に必要な授業時間数が2、590時間以上であることなどの要件が定められておりまして、実態としましては、高等学校全日制に近い状況でございます。
 星北高等学園におきましては、さらに、不登校経験、それから、発達障害のある生徒、高等学校の中退者など、高等学校卒業を希望しながらも高等学校では自分にふさわしい教育環境に恵まれなかった生徒を積極的に受け入れて、高等学校にかわって教育の機会を提供している学校であると我々も承知しております。
〇臼澤勉委員 仮に、私立専修学校高等課程にほかの私立学校と同様の運営費補助をしたとした場合、どのくらいの事業規模が想定されるのでしょうか、お伺いします。
〇米内学事振興課総括課長 私立高等学校と同様の運営費補助をした場合の事業規模についてでありますが、まず、全日制の私立高等学校の令和4年度当初予算における生徒1人当たりの補助単価は、34万5、632円でございます。大学入学資格付与校に対して補助を行うとした場合、生徒数を令和4年度当初予算で見込んでおります60人と仮定した場合、私立専修学校高等課程に対する補助額は2、070万円余が見込まれます。普通交付税措置のない一般財源となりまして、1、850万円余の負担増となると見込んでおります。
〇臼澤勉委員 2、000万円ぐらいの事業規模になるということで、単純に比較できませんが、今回、ハロウインターナショナルスクール安比ジャパンとかも、ふるさと振興部が担当ですけれども、数億円規模の予算措置もしながら、そういった新たな学びの場への補助もやっております。私は、岩手県として、今を生きる子供たちの学びのセーフティネットをしっかりと確保していく必要があるのだろうと思います。それが今、生きているというか、今の子供たちに向き合う環境を整えていくのはすごく重要なポイントになってくると思っております。
 先ほど普通交付税の話がありましたけれども、普通交付税措置の状況に関するふるさと振興部としての課題認識をお伺いいたします。
〇米内学事振興課総括課長 普通交付税の措置状況に係る課題認識についてであります。私立学校振興助成法第9条におきましては、都道府県がその区域内にある幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、または幼保連携型認定こども園を設置する学校法人に対し、当該学校における教育に係る経常的経費について補助する場合には、国は、都道府県に対しその一部を補助することができると規定されております。この規定によりまして、県では、普通交付税措置及び国庫補助を受けまして、私立の高等学校等に運営費補助を行っております。
 一方で、私立専修学校高等課程につきましては、法律上、このような規定がございません。運営費に係る普通交付税措置も国庫補助もないために、県では一般財源による県単独の補助を行っておりますが、県の一般財源だけでは限度がございますので、国庫補助、それから、普通交付税措置がないことが課題と認識しているところでございます。
 こうしたことから、県では国に対しまして、高等学校に対する支援と同様の支援ができるように国庫補助制度の創設と普通交付税措置を内容とします、大学入学資格が付与される私立専修学校高等課程に対する支援の創設を要望しているところでございます。
〇臼澤勉委員 御丁寧な説明ありがとうございました。私立学校の運営費補助は学校の幼児、児童、生徒の数を測定単位として算定されている一方で、私立専修学校の補助については、基準財政需要額に算定しておりますけれども、生徒数に比例していないですよね。令和3年度の本県措置額2、737万6、000円、1人当たりに換算すると6、440円ということで、就学支援と普通交付税の算定における取り扱いに非常に乖離がある。
 そういった意味で、今回、岩手県議会からも国への意見書は出されるのですけれども、この改正については、国のほうに要望はするものの、学校教育法第1条の改正とか、法改正を要する取り扱いになってくると、相当なエネルギー、時間がかかる。今を生きている、今、現実に悩んでいるというか、通っている、岩手県の子供たちの学びのセーフティネットをいかに我々が確保していくのかというのが現実問題として求められていると思っております。
 ぜひここについては、他県においても独自の措置、先ほど1、800万円とかそういった予算額が必要になってくるというお話もありましたけれども、現場の先生、あるいは生徒、親御さん、そういった部分のお話もぜひ聞いていただきながら、当然、県教育委員会のほうとの調整、岩手県の学びのセーフティネットをいかに我々が確保して守っていくのかというような視点から、ぜひ前向きに検討してだきたいと思いますが、部長、最後にそこら辺の心意気をお伺いしたいと思います。
〇熊谷ふるさと振興部長 先ほども申し上げましたが、先月末に星北高等学園の皆様においでいただき、臼澤勉委員にも御同席いただいて、運営費補助の確保、充実について御要望をいただいたところでございます。また、星北高等学園につきましては、小中学校、高等学校等で不登校、それから、学校不適応を経験した児童生徒について、県内各地から積極的に受け入れていただいております。多様化する本県の教育現場に対応いただいております。臼澤勉委員がおっしゃったとおり、一般の学校現場ではカバーできない児童生徒たちにとっての、セーフティネットとしての役割、機能を果たしていただいていると認識しております。
 そういった意味で、米内学事振興課総括課長が答弁申し上げましたとおり、運営費の拡充ができるよう、引き続き国に対して、国庫補助制度の要望を継続してやっていきたいと思っておりますし、また、冒頭申し上げたとおり、私も今度、学校に行ってまいりたいと思っております。よくお話を聞きながら、今後、学校関係の皆様とも話をしながら、必要な支援について、どういったことができるのか、これから予算編成も始まりますので、検討してまいりたいと思っております。
〇臼澤勉委員 県内の不登校児童生徒、あるいは児童生徒の自死等々もありますので、課題は深刻化しています。岩手県の教育における現状をしっかりと認識していただきながら、果たすべき役割というのはますます重要化していると思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
〇佐々木朋和委員 私から2点、お伺いしたいと思います。
 まず、PPP/PFI地域プラットフォームの形成についてお伺いしたいと思います。本県では、盛岡市や紫波町などにおいて公民連携事業が行われ、全国的な先進地として知られています。また、県もボールパークや陸前高田市でのオートキャンプ場など公民連携事業を進めている一方で、全県的にはまだ広がっていないという状況です。自治体からは、ノウハウの習得や市町村を超えた枠組みでの公民連携事業を望む声があり、県主導で広域的なPPP/PFI地域プラットフォームの形成を要望する声があります。東北6県でも既に3県がつくっているということでした。
 国の地域プラットフォーム形成支援事業を活用して、県と市町村が構成員となった地域プラットフォーム形成に取り組むべきと思いますが、所見を伺いたいと思います。
〇鈴木副部長兼ふるさと振興企画室長 PPP/PFI地域プラットフォームの形成についてでございます。県といたしましては、PPP/PFIの手法につきまして、民間事業者のノウハウや技術力を活用することで、低廉かつ良質な公共サービスが提供されることから、自治体が効率的かつ効果的な公共施設の整備を進めるに当たり、この手法は有効な手段と認識しているところでございます。
 一方で、地方公共団体におきましては、PPP/PFI活用に係るノウハウ、人材が不足しているということで、今、佐々木朋和委員から御指摘がありましたように、国のほうではPPP/PFIの推進に向け、その支援策として地方公共団体、金融機関、企業等の関係者が参画するPPP/PFI事業のノウハウの習得、ネットワークの構築に取り組みます地域プラットフォームの形成を推進しているところでございます。
 県におきましては、市町村に対して、こういった国の支援策や先行事例について情報提供を行っているほか、市町村のPPP/PFIの推進の希望に応じまして、現在、行財政コンサルティングの一環として市町村に助言をするなど取り組みを行っているところでございます。
 今後も、市町村の意向を踏まえつつ関係部局とも連携しながら、市町村におけるPPP/PFI導入に取り組んでまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 今の御答弁ですと、県は助言やアドバイスをするという立場にとどまっているようにお聞きいたしました。私がお願いをした、または、市町村から要望として出ているのは、県が主導的にこういったプラットフォームの形成をしてほしいという声であります。PPP/PFI、また、公民連携は、まちづくりや人口減少対策にクリエイティブな形でのインパクトもある反面、国のほうの資料を見ますと、例えば、水道事業の広域化など、今あるインフラを将来につないでいく手法としても必要だという形で記載をされております。
 先日、環境福祉委員会でも水道の広域化についての案が示されたところでありますけれども、再度お聞きしますが、県としてこういったプラットフォームの形成に向けて、県が主導的に、そして、全県下の市町村が入った形でのプラットフォームをつくるつもりはないか、再度お聞きしたいと思います。
〇鈴木副部長兼ふるさと振興企画室長 現在、県では東北各県等で構成する東北ブロック・プラットフォームコアメンバー会議、また、盛岡市が金融機関と構成しております、もりおかPPPプラットフォーム会議に参画しております。これについては、県の複数市町村とともに参加しておりまして、当面はこういった枠組みの活用も図りながら、導入案件の形成能力の向上でありますとか、実務的な知見の集積といったものに取り組んでいくとともに、市町村のPPP/PFI導入に向けた支援を必要に応じて行ってまいりたいと考えているところでございます。
〇佐々木朋和委員 東北各県でつくっているということでしたけれども、今、宮城県、青森県、秋田県は独自に県内でつくっているわけであります。そういった意味からしても、私は、今の取り組みにとどまらず、第2期アクションプランも始まるわけでありますし、今あらゆる手法を使って財源を確保していくというお話も出ているところでありました。そういった意味で、この手法というのは有用でありますし、先日来、軽石委員や臼澤委員からも、県の遊休資産の利活用という話も出ておりました。そういったものを進めていく上でも、この手法は重要であると思っております。
 きょうの答弁では、現状の取り組みにとどまるということでしたので、また予算特別委員会でも取り上げさせていただきますから、そのときには前向きな方向に行くように、私も勉強を進めますので、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。
 次に、ふるさと岩手応援寄付について伺いたいと思います。
 令和2年度が1、420件の9、085万4、821円でありましたが、令和3年度は3、958件、1億4、436万7、353円に上昇しております。その要因をどのように分析しているのか、また、制度や手続、対象事業等、工夫した点をお示しいただきたいと思います。また、本年度の見込みはどのようになっているでしょうか。
〇山本地域振興課長 ふるさと岩手応援寄付についてでありますが、令和3年度は新型コロナウイルス感染症の影響を受けました県内事業者の販路確保を支援するために、返礼品目の数を約4倍にふやしたほか、ふるさと納税ポータルサイトを一つから四つにふやしてきたことによりまして、幅広い寄附者に共感を得ることができまして、件数及び金額の増加につながったものと認識しております。
 特に返礼品につきましては、県産品のPRや販路拡大に向けて、県アンテナショップでの売れ筋商品ですとか、県が実施する特産品コンクールで入賞した商品など、岩手ブランドの情報発信等に資する県産品を選定しているほか、買うなら岩手のものバーチャル物産展と連携いたしまして、県産食材や工芸品の中から選定したところです。そのほか、定期便型返礼品の試行的な実施などの取り組みを行ってまいりました。
 今年度は、これまでの実績を踏まえまして、当初予算計上額として1億3、000万円余の寄附を見込んでいるところでございます。
〇佐々木朋和委員 取り組みを評価させていただきたいと思います。令和3年度が1億4、000万円で、目標が1億3、000万円というのはちょっと気になりますが、ぜひまた上を目指してやっていただきたいと思います。コロナ禍で事業者支援という思いを込めて返礼品をふやしたということでありました。私はコロナ禍ということでなくても、ふるさと納税が県産品の需要の拡大ということ、あるいは、アピールの場だと思いますので、私はこの方向性を、もちろん事業の目的として、ふるさとへの思いを大切にということもありますが、ぜひ返礼品の充実は続けていただきたいと思います。
 その中で、令和3年度から始まりましたクラウドファンディング型のふるさと納税ですが、どのように評価をしていますか。また、令和4年度はどのように運用しているのか伺いたいと思います。
〇山本地域振興課長 クラウドファンディング型のふるさと納税についてでありますが、これまで二つのプロジェクトを対象に寄附の募集を行ってきたところです。
 昨年12月から本年2月までは、いわて子どもの森の水の広場の再整備に要する経費を募集いたしまして、本県を含む全国16都道府県66名の方から、90万6、000円の御寄附をいただいたところです。
 また、本年3月から6月までは、沿線の観光地や被災箇所等の動画の制作や、その動画を車内で視聴するモニター等を設置する三陸鉄道の取り組みを支援するための寄附を募集いたしまして、本県を含む15都府県の65名の方から124万5、000円の御寄附をいただいたところです。
 いずれのプロジェクトとも、残念ながら、目標額を達成することはできませんでしたが、全国の皆様から御寄附とともに心の込もった数多くのコメント等もいただきまして、事業の趣旨に一定の理解と共感をいただいたものと考えております。
 これまでの経験を踏まえますと、プロジェクトへの寄附の募集に当たりましては、テーマに沿った主体と連携をしながら、より多くの方から共感を得られるような情報発信に取り組むことが重要であると感じております。
 今後は、これまでの募集の経験を生かしまして、対象とするプロジェクトを選定いたしますが、クラウドファンディング型ふるさと納税を活用いたしまして、県の施策のPRを行い、多くの方々に共感をいただくとともに、寄附を契機といたしまして、末永い岩手ファンになってもらえるように取り組んでまいります。
〇佐々木朋和委員 ふるさと納税ではないクラウドファンディングは、目標額を達成しなかったら寄附はもらえなかったりするのだと思うのですけれども、ふるさと納税ではどうなっているのか。あと、主体との連携という話がありました。例えば、いわて子どもの森や三陸鉄道でのPR等、もし行ったのであれば、取り組みを教えていただきたいと思います。
〇山本地域振興課長 目標額を達成できなかった場合の取り扱いですけれども、県が行うクラウドファンディングの場合には歳出予算を計上しておりますので、目標額を達成しなかった場合でありましても、予算を補正しない限り事業実施に変更はございません。しかしながら、目標額を定めた上で御寄附をいただいたわけでありますので、一定程度の反省は必要なのだろうと思っております。
 また、主体と連携した取り組みでありますけれども、いわて子どもの森の場合には、いわて子どもの森のほうにチラシを配架するといった取り組みを行ってまいりました。三陸鉄道につきましては、三陸鉄道のほうでPR動画を作成いたしまして、そちらを三陸鉄道及び岩手県のホームページ等で掲載し、PRをしたところでございますし、あとは、東京都、大阪府の岩手県人会のほうで実際にチラシをお配りして寄附につなげたという取り組みを行っております。
〇佐々木朋和委員 ぜひ取り組みをブラッシュアップしながら進んでいただきたいと思いますけれども、さまざまな主体と連携をすることによって、アピールの場が県発信だけではなく、その主体からもあるということは非常に有用だと思います。他県を見ても、NPО法人の取り組みをふるさと納税のクラウドファンディングにして行っているところもあります。
 今、コロナ禍にあって、先日の一般質問でも名須川晋議員が陸前高田市のSETというNPОを取り上げておりましたが、いろいろな支援の仕方として、県がNPОのすばらしい活動についてお墨つきを与えながら、ふるさと納税という形で資金集めのお手伝いをするといった形もあるのではないかと思います。ぜひ御検討いただきながら進めていただきたいと思います。
 次に、今まで私もふるさと納税について、質問させていただいている中で、金額、あるいは件数等を目標値として据えればどうかという話をしてきました。ただ、納税といういただくものですから、なかなか目標値にはという話もありましたが、今、時代も進んできて、ふるさと納税制度というのは県の指針の中でも重要な歳入の一つだという話にもなっておりますし、関係人口を拡大していく、岩手県のことを知っていただく、そういった関係人口は人口減少対策としても重要なキーになる取り組みだと思っております。そういった意味で、件数や支援額について、第2期アクションプランへKPIとして盛り込むことも検討すべきと思いますが、御所見を伺いたいと思います。
〇山本地域振興課長 指標としての設定でありますが、佐々木朋和委員が先ほどおっしゃったとおり、ふるさと納税は寄附金という性格でございますので、行政側の意図により決まるものではないことから、目標を設けることは難しいものと考えております。
 ただし、ふるさと納税は本県の歳入確保につながるとともに、さまざまな政策を実現する手段として重要な役割を有する制度であると認識しております。今後におきましても、制度を活用した県の施策の理解促進、県の魅力発信、事業者の販路確保に努め、岩手県を応援したいとする方々の裾野の拡大につなげてまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 県の取り組みとしては、目標値としてふさわしくないという話でしたけれども、県がアピールや、あるいは返礼品、設定事業などを工夫して行うわけでありますので、私は、県の努力というのがそこにある。そうであれば、具体的推進方策指標の一つとして盛り込んでいいのではないかと思いますけれども、ふるさと振興部長、この辺の御所見はいかがですか。
〇熊谷ふるさと振興部長 ふるさと納税についてでございます。山本地域振興課長が答弁いたしましたとおり、寄附金という性格から目標は設定しておりませんが、毎年度の予算編成の中で、財政当局とさまざま議論しながら、当該年度の目標ということではないのですが、歳入の予算として計上しているところでございます。制度につきましては、県の施策の理解でありますとか県の魅力の発信、事業者の販路の拡大等々、佐々木朋和委員御指摘のとおり、効果があるところでございます。岩手県を応援したいとする方々、いわゆる交流人口の拡大にもつながるところでございますので、引き続き、積極的に同制度の運用を図ってまいりたいと思っております。
〇佐々木朋和委員 ふるさと振興部長の御説明を聞きますと、アクションプランの中に参画という政策体系の分野もありまして、まさにそういったところの一つの指標としてふさわしいのではないかと、私は説明を聞いて改めて思いました。ぜひ御検討いただきたいと思います。
 最後に、企業版ふるさと納税の近年の実績についてお示しをいただきたいと思います。また、協力企業の発掘に向けて、どのような活動を行っているのかも伺いたいと思います。
〇山本地域振興課長 企業版ふるさと納税についてでありますが、令和2年度税制改正等によりまして、国の認定手続が簡素化されております。それを受けまして、本県では、第2期ふるさと振興総合戦略全体を地方創生プロジェクトとして認定を受けているところです。
 岩手県としての令和2年度以降の受け入れ状況ですけれども、令和2年度は、1件100万円、令和3年度は受け入れがなく、令和4年度におきましては、これまでに2件94万5、000円の御寄附をいただいているところです。
 これまで県外企業から、ふるさと岩手応援寄付への寄附申し出があった際に、企業版ふるさと納税の御案内を行っているほか、地方創生プロジェクトを構成する事業を実施している各部局に対しまして、制度の周知、利用促進に向けた取り組みの働きかけなどにより活用促進を図ってきたところです。
 今後は、寄附の拡大に向けまして、引き続き各部局に対して企業との協働で実施する事業の実施を促していくとともに、企業に対しましては、効果的な広報等を行うために、企業版ふるさと納税の広報用パンフレットを作成、活用いたしまして、ふるさと岩手応援寄付へ御寄附をいただいたことがある企業や本県とかかわりがある企業などに対しまして、本県の地方創生プロジェクトの取り組みをPRすることなどによりまして、制度の活用拡大に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 実績値をお聞きしますと、少し寂しいという思いがいたします。一関市では東京ガールズコレクションに対して、ふるさと納税を使って企業から寄附があったといった報道がありました。企業版ふるさと納税で、例えば1億円の寄附で、企業としては実質負担が1、000万円だという話もあります。そういった中にあっては、誘致企業や、あるいは関連の東京都に本社がある企業等に積極的に働きかけていくべきではないかと思います。
 ホームページを見ますと、普通のふるさと納税はさまざまな事業が並べてあって選択できるのですけれども、企業版ふるさと納税の場合は、どういった事業があるかは当局にお問い合わせくださいというような文言になっていて、どういった事業があるのか明示されていない。もしかしたら、問い合わせがあったら、どういう事業にしましょうかと、そこからなのではないかという感じもして、そういった受け入れについても課題があると思います。そういったホームページの内容について、どういった流れでそういう形になっているのかお示しいただきたいと思います。
〇山本地域振興課長 ホームページでありますが、佐々木朋和委員御指摘のとおり、本県の企業版ふるさと納税のホームページにつきましては、若干寂しいものとなっております。また、その結果といたしまして、企業のほうから申し出をいただいた後に事業とのマッチングを行いまして選定するような状況でありまして、決算時期等の都合から、マッチングの時間がとれずに通常版のふるさと納税に切りかえていただいた企業もございます。
 研修会等で得た情報ですと、企業は寄附先の検討に当たりまして、連絡する前にホームページ等の公表されている情報をもとに検討する場合が多いと伺いました。他県では主な寄附対象事業をあらかじめ選定いたしましてホームページに掲載する等、企業が寄附を検討しやすい環境を整備しておりますので、本県においてもそのような事例を参考にしながら、今後、解消を図ってまいりたいと思っております。
〇佐々木朋和委員 貴重な御答弁だったと思います。これはふるさと振興部だけではなくて、新たな財源を得るためにも各部からしっかりと事業を出してもらうということが必要だと思います。我々も声を上げていきたいと思いますし、また、ふるさと振興部としても頑張っていただきたいと思います。よろしくお願いします。
〇名須川晋委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
   午前11時1分 休 憩
午前11時17分再開
〇名須川晋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇ハクセル美穂子委員 私からは、市町村要望への対応状況についてお伺いしたいと思います。
 令和3年度の対応状況と令和4年度、何か改善点等を施しているところがありましたら教えていただきたいと思います。
〇鈴木副部長兼ふるさと振興企画室長 市町村要望につきましては、広域振興局が各市町村から要望を受理した後、市町村や広域振興局において、特に重要と考える要望につきまして、広域振興局長が知事に直接、関係部局長の同席のもと説明を行いまして、内容に応じて次年度の当初予算編成に反映させる取り組みを行っているところでございます。
 令和4年度の要望状況につきましては、各広域振興局におきまして、全33市町村から要望を受理しているところでございます。
 今年度に関しましては、9月15日に各部局ごとに知事に説明しているところでございます。
 令和3年度の市町村要望の状況の件数でありますが、1、086件、令和4年度におきましては、1、142件となっているところでございます。
〇名須川晋委員長 質問された分だけ答えてください。
〇鈴木副部長兼ふるさと振興企画室長 要望の仕組みに関しましては、各広域振興局でそれぞれ日程設定した形で各市町村長の要望に対応する方式を去年、ことしととっているものでございます。
〇ハクセル美穂子委員 特に変化はないということで、市町村要望以外にもふるさと振興部でやっているのは市町村トップミーティングだと思います。こちらについてはどういった状況で、改善点等はあるのか、これもあわせてお伺いしたいと思います。
〇鈴木副部長兼ふるさと振興企画室長 市町村連携の中の県市町村トップミーティングの御質問でございます。県では毎年、知事と全市町村長との意見交換である、県・市町村トップミーティングを行っておりまして、今年度は5月に1回意見交換を実施したほか、ことしに関しましては、現在、第2期アクションプランを作成中でありますので、そのプランの成案化に向けた意見交換のため、2回目の県・市町村トップミーティングの開催を検討している状況でございます。
〇ハクセル美穂子委員 県・市町村トップミーティングに関しましては知事が対応している。そして、市長会、町村会からの要望にも知事は対応していますが、市町村単独での要望には広域振興局長が対応するという対応の仕方については、まだ改善というか、それでよいという認識でよろしいでしょうか。
〇鈴木副部長兼ふるさと振興企画室長 市町村要望につきましては、日常的に地域の実情といったものをより近い場でニーズを把握している、地域課題に精通している各広域振興局長が各市町村の意向を踏まえつつ、迅速かつ柔軟に要望を受ける場として設定しておりまして、その受けたものを含めまして、直接知事が県庁の幹部同席のもと、市町村の要望について広域振興局長から報告を受ける機会を設けているものでございます。
 その際、市町村や地域の課題を全庁的に把握、共有して、要望について具体的に県政に反映するよう組織的に努めているところでございまして、引き続き、本庁、広域振興局が一体となりまして市町村からの要望に対応してまいりたいと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 私はいろいろ市町村の課題とかを県の皆さんに御相談するときに、県と市町村は対等な立場でというのをよく言われます。対等な立場であっても、県からお願いするときは知事が出るのだけれども、市町村長がお願いしに行くようなときには知事は対応しないというのは、私は対等というふうに思えないといつも思っているのですけれども、その点についての御見解を伺います。
 それから、これは今回、私もあれっと思ったのですが、市町村長が特に重要とする要望項目、それから、広域振興局として重要と考える地域課題等を後ほど要望を受けた上で知事に説明という対応をされている。私は、市町村長の皆さんは、全部重要だから要望していると思っているのですけれども、その中で特に重要というのは押そうとしたということだと思うのですね。市町村にはどれを報告したのか伝えていらっしゃるのでしょうか。その点について、確認したいと思います。
〇鈴木副部長兼ふるさと振興企画室長 当然、県と市町村は対等な関係のもと、それぞれ地域の課題、行政課題の解決に向けて連携しながら取り組んでおります。先ほど御答弁申し上げた要望の中で、特に重要と考えるものについて、組織の中で各広域振興局、また本庁担当部局の中でもみながら、より重要なものが上に上がっていく形になります。市町村からは、これが特に重点的なものということは、項目として該当させていただきながら、広域振興局とコミュニケーションをとりながら、その重要項目について選定しながら、県庁内でのオーソライズを図りながら、段階を経て上に上がっていく仕組みになっているものでございます。
〇ハクセル美穂子委員 どれを重要として知事に報告しているのかということについては、3月末に文書で回答している中で、これについては知事に言っているとか言っていないとか、そういったことは伝えているのでしょうかという質問をしたのですが、その点についてお願いします。
〇鈴木副部長兼ふるさと振興企画室長 県庁内での要望対応の中身の回答の仕組みについては、最終的に知事まで判断が要る中での意思形成過程でございますので、県庁内部での取り扱いとなっているものでございます。
〇ハクセル美穂子委員 ということは、市町村はどれが重要だと選ばれた内容かについては、全く把握してないということでよろしいでしょうか。私はそのように受けとめましたので、伝えていないということでよろしいですか。
〇鈴木副部長兼ふるさと振興企画室長 要望事項の重点事項につきましては、事前に要望があった段階で、市町村と広域振興局、また県の中ですり合わせをしながら、その要望事項の重点事項の選定を進めながら、その取り扱いについて対応しているものでございます。
〇ハクセル美穂子委員 私は要望にも出席させていただいているのですけれども、それについても重要だということで、丸とか新規とかつけていますけれども、その市町村にとってみれば、どれも重要だから出しているということだと思います。1番から10番ぐらいまである中で、1番が一番重要だから1番にしていますというのもあるのですけれども、ただ、課題はたくさんある。そういうところをきちんと、広域振興局長が受け取る形をしているとしても、どうなのかというのはきちんと伝えていただきたいのと、そういう点があったので、今までも、いつもすれ違いの感じがするのだというのが判明したと思っていました。
 私も一般質問で何回も聞いていることですが、なかなか知事は、うんとおっしゃらないし、この形がいいという御答弁をされるので、知事がそう言われている中で部局で対応するのは大変だと思います。これについては、知事に対してこれからも私は訴えていきたいのですけれども、県内市町村が密接に意見交換し、問題意識を共有した上でというふうにトップミーティングの趣旨に書いてあるにもかかわらず、そのほかに、そういった時間をもてる市町村要望で、時間を設けないというのは本当に一方的だと思います。それについては、市町村との信頼関係がなかなか構築されないというのはそこなのではないかと思っていますので、ぜひこの仕組みを変えるような形で働きかけていただきたいと思うのですが、その点についてお伺いいたします。
〇鈴木副部長兼ふるさと振興企画室長 今年度につきましては、第2期政策推進プランの策定の年度でありましたので、本年8月に4広域振興圏ごとに知事と市町村長の懇談会を実施しておりまして、その際、各市町村と意見交換などを行っております。
 また、要望対応につきましては、それぞれ一個ずつの要望について、県の内部でその要望に対してどう対応するべきかという要望対応検討表をつくりまして、それぞれ要望内容に対する県の対応については、丁寧に返しているような形の仕組みになっているものでございます。
 いずれ、ハクセル美穂子委員の御指摘にありましたとおり、市町村の連携の強化については重要な視点と考えておりますので、さまざま工夫、見直しを図りながら、連携の強化については努めてまいりたいと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 今お話をいただいた第2期アクションプランの策定に向けた市町村長との意見交換についても、私は会議録をいただいて、どんな発言があったのか、33市町村の首長の発言の大体のところを見させていただきました。今回の新型コロナウイルス感染症対策に係る補助金等について、市町村が補助の上乗せなどを行う判断を求められたと。そういうことがケースとしていっぱいあったのですけれども、判断を求められる案件が急に来る、突然そういったものをやりますか、やりませんかみたいに求められるケースが多かったという意見があるのです。これは市町村との連携がきちんととれていないからこういう意見が出てくるのではないかと私は思うのです。
 ほかにも、ものすごくたくさんの御意見とか地域課題を第2期アクションプランの策定のところでおっしゃっている。これまで機会がなかったから、これだけ皆さん話をされているのではないかと思うのですけれども、それは毎年きちんと市町村の御意見、地域課題ですから別々かもしれませんし、一緒かもしれません。一緒のところは県がしっかりと広域的にやっていくべきという判断をしなければならないところですから、そこは首長である、県のトップである知事がしっかり受けて、それについて判断をしていくというような体制を私はとるべきだと思っておりますので、その点について、広域振興局長だけではなく、知事がもっと市町村との連携の強化をとれるような、信頼関係の構築ができるような形の連携のあり方、懇談のあり方について考えていただきたいと思っています。もう一度、その点、今後についてお願いします。
〇熊谷ふるさと振興部長 ハクセル美穂子委員から御指摘がありましたとおり、市町村と県の連携は非常に重要だと思っております。広域振興局だけではなくて、我々本庁の職員も、さまざま日常の業務について、市町村と連携、協力しながら進めているところでございます。そういった日常的な市町村とのやり取りは、これからも大切にしていきたいと思っています。
 新型コロナウイルス感染症の関係で緊急の対応を求められたと。国のほうからの連絡が時間がない中であったとか、さまざまな事情があると思いますが、我々はそれぞれの機関の中で、日ごろから市町村の担当とさまざま連携をとりながら進めさせていただくことによりまして、できるだけ御迷惑をかけないように努めてまいりたいと思っています。
 連携は大事でございますので、先ほど鈴木副部長が答弁いたしましたとおり、これでいいということはございませんので、どういった形が一番市町村の意見を吸い上げ、それを県政に反映させていくか、それは今後も引き続き検討してまいりたいと思います。
〇ハクセル美穂子委員 ふるさと振興部長だけでできることではないので、ぜひ知事に対してふるさと振興部長から、こういう意見がありましたよと言ってほしいのですけれども、群馬県の山本知事が自治体通信というインタビューの中で答えている中に、これだと思った言葉がありました。知事として大切にしている三つのことのうちの二つ目に、県内市町村との連携強化というのを挙げられているのです。知事というのは強い権限を持っていると思われがちだけれども、県が事業を進める上で基礎自治体の協力がなければ、それは絵に描いた餅に終わってしまうのが現実だと。私は、これは全国の知事にとっても同じことだと思うのです。岩手県だけはこれは違いますというのではないと思います。岩手県であっても、やはり県が事業を進めるというのは、広域振興局で行っている事業費はそんなに多くないわけです。そうであれば、県の本庁の皆さんの事業をしっかりと進めていく。県の事業を進める上でも市町村との連携というのは非常に大切なことですから、県の事業をつかさどるトップである知事と一緒に話をしたりしていくという機会を積極的にぜひつくっていってほしいと思っています。今後の展開を見ていきたいと思いますので、これはお願いで終わります。
 もう一つ、気になったことがありまして、追加で質問をさせていただきます。
 県民意識調査についてでございます。6月ごろに出されている令和3年県の施策に関する県民意識調査の結果を拝見しておりました。ちょっと気になるところがあったのでお聞きしたいのですが、この調査は5、000人に出して3、400人ぐらいから回答が来ているという調査なのですが、属性のところ、年齢別のところを見ましたらば、60歳以上が50%を占めているのです。もちろん、それがどうだということではないのかもしれませんが、例えば、安心して子供を産み育てられ、子育てがしやすい環境であることという設問とか、子供たちの学力が向上する教育がされていることということに対しての回答、60歳以上の方が50%の回答を意識調査として取り扱っているということ、これは県民の意識として捉えていいものなのかというのをすごく疑問に思ったのです。
 もう一つ、参考にお話をさせていただくと、外国人に対する理解が進み、外国人も暮らしやすい社会であることという設問があるのですが、これは多分、ほぼ日本人に聞いているのですね。外国人の気持ちもわからないかもしれない。わかる方もいらっしゃるかもしれませんが、このデータのとり方とか調査の仕方が的確な政策判断ができるものとして、参考にできるものと捉えているのかについて、お伺いしたいと思います。
〇岡部調査統計課総括課長 県民意識調査の調査対象者でありますが、ハクセル美穂子委員御指摘のとおり、5、000人に対しての調査になっておりまして、これの抽出方法につきましては、選挙人名簿から2段無作為での抽出ということになっておりまして、その段階では、若い方々にも回答をいただけるような仕組みになっておりますけれども、回答の段階になりまして、どうしてもハクセル美穂子委員御指摘のとおり、高齢の方々からの回答が多いという状況になっております。
 ただ、各層それぞれに御意見を求めているという形になっております。
〇ハクセル美穂子委員 これは要望というかお願いですけれども、きのう総務部の審査でもお話をさせていただきましたが、DXも来年度は重点的に推進する政策に入っていましたが、そういったデータ分析とかツールが今、出てきている世の中ですから、的確に、多分、この調査に対してたくさんの県職員の方がたくさんの時間をかけてこの冊子をつくっていらっしゃると思うのです。優秀な皆さんですから、そういった方々の頭脳とか時間をもっと効果的に使うという方法をぜひ構築してほしいと私は思っています。多くの人が時間をかけるということは、そこにお金がかかっているということでありますので、ぜひとも政策判断に有効なやり方というのを積極的につくっていっていただきたいと思っております。これはこれからのことでございますけれども、ぜひとも働いている方も、自分の労力の割に何だろうなと思う結果ではなくて、これだけの時間をかけて、これだけの精度のいい調査を出したから、これを使って各部局がきちんとすばらしい政策をつくってくれるはずだと思えるようなものをぜひつくっていってほしいと思っていましたので、その点について、最後、ふるさと振興部長にお聞きして終わります。
〇熊谷ふるさと振興課長 ただいまハクセル美穂子委員から大変有意義な御提案をいただきました。私どもはDXを進めております。その中で一番大事なのは、基盤となるデータをどう有効活用していくか、そこがDX推進の基礎だと思っております。お話がありましたとおり、今の時代、SNSとかさまざま広い層に向かって発信し、御回答いただく。紙ベースではなくて、いわゆる省力化も含めてそういうことが可能になると思います。どういった形で、今後、DXを進める中で紙の部分をできるだけなくし、人の手を煩わせないといいますか、コンピューターでできることはそれを活用して集計をかける、必ずそういう方向になっていくと思いますので、意識調査等々も含め、SNSを活用して広い範囲の方々に気軽に御回答いただけるような仕組みを引き続き検討してまいりたいと思います。
   〔「関連」と呼ぶ者あり〕
〇岩崎友一委員 県と市町村の連携の関係で、何点か気になりました。
 まず、各市町村が各広域振興局単位で要望を聞く機会が毎年1回あります。私もできる限り出席をしていますけれども、市町村から事前に広域振興局に要望書が上がって、答弁をつくってそういった会議の場に臨むわけですが、答弁をつくっているのは本庁なのか、広域振興局なのか、どちらでしょう。
〇鈴木副部長兼ふるさと振興企画室長 要望対応への件かと思いますが、要望対応の内容につきましては、広域振興局と本庁、両方調整しながら最終案をつくっている形になります。
〇岩崎友一委員 広域振興局の現場の意見といったものも反映されているということかと思いますが、私は、ことしもすごく感じましたけれども、出先機関、広域振興局があるわけですけれども、広域振興局がどちらを向いて仕事をするかというのは、県と市町村をつなぐ役割として重要だと思っています。私が見ている限り、広域振興局の局長や部長にもよるのですが、本庁を見て仕事をしている方々も多い。ですから、我々は県で、市町村でということで上下関係が既にできている中で日々のやり取りが行われているというのを懸念しておりまして、私は出先機関である以上、市町村側にとってしっかりと市町村の課題を拾ったり、市町村の気持ちになって本庁とかけ合うような広域振興局でなければならないと思うのですが、広域振興局の位置づけ、あり方について、どのような認識をお持ちでしょうか。
〇熊谷ふるさと振興部長 広域振興局につきましては、4広域振興圏の地域経営を担っていただく機関として設置しているものでございます。県の機関ではありますが、その広域振興圏がどうあるべきか、日ごろから市町村と連携を密にし、どういったことを展開していかなければならないかという部分について、市町村と一緒に施策を考え、そして、本庁とやり取りをする。そういうことを常日ごろから私は各広域振興局長にお願いしていますし、そういったことで努めていただきたいと思っております。
〇岩崎友一委員 ただ、実際はそうなっていない部分があると私は思います。要は、ふるさと振興部長の思いがしっかりと広域振興局長や、広域振興局の部長に伝わっていないという現実があると感じております。市町村長が役場の職員も交えて市町村の要望をできる機会は年に1回、広域振興局に対してなので、やはり広域振興局のあり方は非常に重要であると思いますので、よろしくお願いをしたい。
 もう一つ、先ほど県と市町村長との意見交換の場があるとのことですが、市町村の議長と知事との意見交換の場もあるかと思いますけれども、出席された方々からは、部長などが答弁をして、知事はずっと聞きっぱなしで、最後に少し話をして終わるということで、知事がそれぞれの課題に関してどういった課題認識を持っているかわからないという声があります。その辺のやり方も変えていただく必要があると思うのですが、いかがでしょう。
〇熊谷ふるさと振興部長 年に何回か市議会議長会、それから町村議長会と知事との懇談を開催しておりますが、こちらの主催は市議会議長会であったり町村議長会の仕切りで、いわゆる要望事項をそれぞれ市議会議長会、町村議長会のほうで選択した上で私どもに要望をいただき、それに対して回答するというような形で進めているところでございます。
 やり方の工夫というのは必要だと思いますので、そういったお話がございましたことを市議会議長会、あるいは町村議長会のほうとも情報共有して、工夫をしてまいりたいと思います。
〇岩崎友一委員 多くの出席者から私が今伝えたような声がありますので、やり方も含めて、本当にリアリティのある意見交換がされる場にしてほしいと思いますので、よろしくお願いします。
〇飯澤匡委員 ただいまのハクセル美穂子委員の質疑のやり取りの中で、市町村と県との政策要望会について、私は欠かさず出ていますけれども、年々劣化しています。ふるさと振興部になって今、3年目ですか、何のためにふるさと振興部ができて組織再編したのか、非常に疑問に思います。率直な疑問です。
 岩崎友一委員も触れましたけれども、最近の広域振興局の県側の考え方を示すときには、必ずこう言うのです。本庁に照会しましたところ、このような回答でございますので御理解願います。これって本当に広域振興局として市町村に寄り添って、要望に沿って課題解決しようとしているか。
 他の広域振興局はわからないけれども、ことしは一関市長も新しくなって、広域振興局長も新しくなったので、何らかの新しい動きが出ると思ったら全然、さらに悪くなった。僕も最後、コメントを求められたから、キレました。こんな形式的なことをやっていたのでは意味がないのではないですかと。そこの中でディスカッションが起きて、もし実現するならこういう取り組みも一緒にやっていく必要がありますねとか、そういうのだったらこの要望会も非常に実のあるものだと思うのです。ただメッセージを伝えるだけだもの、やる意味がない。これはどういう改良をしてきたのか。
 特にふるさと振興部になって3年目でしょ。何か改善点、私は常任委員会でこのことについてずっと言っている。何ら改良されていないというのは、あなた方の怠慢ではないですか。これは市町村側に全然気持ちが通っていないですよ。何を改良したのか明確に示してください。
〇鈴木副部長兼ふるさと振興企画室長 広域振興局は地域の実情を把握し、地域の課題に寄り添った形で、より地域課題の把握に常日ごろから接する機会が多いということで、広域振興局長におきましては、市町村に寄り添いつつ、県庁とのすり合わせをしながら、そういった課題解決に向けての取り組みを常日ごろお願いしているところでございます。要望については、飯澤匡委員御指摘のように、今の形でやっているところでございますが、そういった御意見を踏まえまして、より市町村に寄り添った要望対応ができるような形で、引き続き検討してまいりたいと考えております。
〇飯澤匡委員 これでやめますけれども、それ、全然だめだ。答えになっていないもの。最後だけ捉えれば、これからやるという話でしょ。今までやってこなかったのでしょう。これ、本当に残念なのですよ。政策要望会の空気も非常によくないの、一関市に限って言えば。(「どこもだよ」と呼ぶ者あり)どこもですか。だから、もう最初から諦めのムードなの。予算も少ない、でも、これだけは一緒に頑張ろうという会になっていないわけですよ。
 いろいろつらいところもわかりますよ。知事は全然興味がないのだから。今まで出たのはたった2回だから。そこの中であなた方が板挟みになって大変な苦労をされているのはよくわかる。よくわかるけれども、それでも何らかの工夫はするべきだと思います。本当に対等な関係なので、地域の首長は課題解決のためにどれだけ苦労されているかを本当に心から感じてほしいと思います。それが県政に対する信頼。最初から諦めムードみたいな空気になっているのだもの、そこら辺を感じ取ってやってほしいと思います。
 来年改良しなかったら、来年は選挙があって僕もどうなるかわからないけれども、少し大変だと思いますよ。
 以上、申し上げて終わります。意見があれば言ってください。
〇熊谷ふるさと振興部長 広域振興局と市町村の関係ということでお話しいただきました。私も若いころ、広域振興局に勤務をしまして、さまざま広域振興局事業を進める上で市町村のほうに出向きまして、地域を回っていろんな要望をくみ取り、そして、一緒に事業をやりませんかということで働きかけて、それを本庁につなげるという仕事をやっておりました。
 繰り返しになりますけれども、要望だけではなくて、広域振興局の職員は地元を回っていただいて、市町村の方々とさまざま話をしていただきたいと思っております。そうした中で、県と市町村が連携した事業も生まれていくと思いますので、引き続き、そういうことを広域振興局長にお話し申し上げていきたいと思いますし、要望のあり方等についても、一番いい方法に向けて、さらに私どもも考えてまいりたいと思います。
〇千葉絢子委員 私も6月にいただいた県民意識調査結果の報告書を拝見していて気になるところがありましたので、お伺いしたいと思います。
 ことしの1月から2月の間に県内5、000人を対象に調査を行ったものなので、昨年度までの政策に対しての県民意識調査の結果だと私は認識しておりますので、この場で関連質問をさせていただきます。
 まず、報告書などはどの程度、主要施策やいわて県民計画(2019〜2028)のアクションプランの方向性や決定に影響しているのかお知らせください。
〇岡部調査統計課総括課長 調査項目につきましては、アクションプランの政策の中から関連するものについて抽出し、関係部局が設定しているものでございまして、それらの結果につきましては、各部局で参考とされていると考えております。
〇千葉絢子委員 では、報告の結果がしっかりと政策に反映しているかどうかについて、採用する、しないという裁量は部局に任せてあるという理解でよろしいですか。
〇岡部調査統計課総括課長 私どものほうは、県民意識調査を実施するというところと分析結果を公表するという役割でございまして、その結果につきましては、各部局のほうで参考にしていただく、活用していただくという役割分担になっていると考えております。
〇熊谷ふるさと振興部長 少し補足させていただきます。
 調査統計課はそういう役割を担っておりますけれども、私どもふるさと振興部、それから、各部と県民意識調査の結果で、何を県民が求めているのか、不足しているのか、そういう部分をしっかりと受けとめ、政策をつくる事業の取捨選択、さらに充実する際にそういった部分も十分配慮し、政策をつくっていくように心がけているところでございます。
〇千葉絢子委員 では、お尋ねしたいと思います。属性につきましては、先ほどハクセル美穂子委員からも指摘がありました。令和4年は3、324人から回答があったわけですけれども、実際、回答した方のばらつきについてですが、改善が必要ではないかと思うのです。60歳から70歳以上の方を含めると51.4%になるわけで、この意識調査の結果が各部局での政策形成に影響しているというのであれば、これは大分偏っていると思います。事前に回答として得られるサンプル数のようなものを年代別に設定して、回答が来る傾斜配分をしたほうがいいのではないかと思います。これについては後ほどコメントをいただければと思います。
 私が気になっているのは、あなたは今の生活全般についてどのように感じていますかという問いに対して、ふるさと振興部の分析では、満足が4割弱、不満を若干上回ると書いてあるのです。ただ、これを詳しく見ていきますと、18歳から19歳、20代、30代の不満が令和3年に比べて9.9ポイント上昇いたしまして、1年間でおよそ10ポイント悪化しているというようなデータが出ているわけです。これは不明、わからないというのが減って、しっかり満足しているか、不満かというような回答がふえたのです。
 それで、30代から60代まで働き盛りの年代は、不満が満足を上回っているにもかかわらず、全体では満足が上回っている結果は何かというと、回答者の3割を占める70歳以上が満足と答えているからなのです。
 この属性のうち、私が一番気になったのが、職業別で見ると、常用雇用者26.8%の割合に対して、次に多いのが無職ですよね。これが22.6%もいらっしゃる。そして、びっくりしたのは、子供の数も70歳以上の方まで、全員に聞いているのです。何人答えたのかなと思ったら、3、324分の3、285人が回答しているのですね。ほぼ全世代で子供の数を答えているのですけれども、70代以上の方の子供の数というのは、意識調査のどんなところに影響してくるのかというところをお伺いしたい。
 これが本当に有効な施策として判断する資料になるのかというところを、私は報告書の中身を見て、少し信憑性に欠けるなというところが実感なのです。ふるさと振興部長の所感をお聞かせいただきたいと思います。
〇熊谷ふるさと振興部長 今、千葉絢子委員からお話をいただきました。調査の結果、無作為抽出でやって、その回答率が高いのが高齢層ということで、それを取りまとめた結果でございます。確かに、施策立案には十分活用させていただいているところでございますが、先ほどハクセル美穂子委員の御質問に対して御答弁させていただきましたとおり、これからDXの社会でありますので、より多くの方々から回答をいただけるような工夫をしてまいりたいと思います。
 確かに、70代の方に、子供の数に満足かというような回答を求めて何の役に立つのだと、おっしゃるとおりだと今、思っております。そういった面も含めまして、どういった見直しができるのか、研究、検討させていただければと思っております。
〇千葉絢子委員 県民生活の基本調査というのも同じ時期に冊子でいただいていますけれども、これを見ても、やはり驚きの結果になっているわけです。回答者の属性というのも、やはり70代、60代の方が多いというせいもあるのか、県民の一番関心があるのが健康であるかどうかなのです。地域の子育て活動にかかわっているかということで、かかわっていると答えた方は2割だったのです。さらに、地域の伝統芸能などの活動に関与しているかというような設問に対しては、かかわっていると答えた方はたった1割なのです。本当にこの調査内容でいいのか。
 そして、仕事、収入にかかわる面では、県産の工芸品を利用しているか否か、これに対しては、半分以上の方が利用していない。理由は、価格が高いからと答えています。農林水産物の利用に関してはどうかというところで、ここは半分以上の方が利用していると答えていますけれども、この二つの項目しか仕事、収入に関連する調査がないのです。本当にこれが県の施策に影響を及ぼしていいのかというのがちょっと私は気になっているところでありました。
 ことし8月に県内市町村長との意見交換が実施されていますけれども、これは第2期アクションプランに向けたいわて県民計画(2019〜2028)の関係でですけれども、県が作成するいわて幸福白書には、県民意識調査結果や政策評価結果等が掲載されているが、これらのデータをしっかり分析、総点検を行って、県と市町村が連携、協働して幸福を守り育てることが非常に大事と矢巾町の高橋昌造町長はおっしゃっています。この発言は非常に重いと私は思っております。
 これからの第2期アクションプラン策定に向けた市町村長との意見交換で、特に県が受け取ったメッセージはどういうところだったのか、最後にお聞かせをいただきたいと思います。
〇熊谷ふるさと振興部長 第2期アクションプラン策定に向けた市町村長との意見交換におきまして、全県で共通した意見として、子供を産み育てる女性の支援でありますとか、市町村と県が連携した移住、定住政策、それから、経済の好循環につながる取り組み、大規模自然災害への対応等々、共通した課題としては各首長が申されていたところでございます。
 それから、広域振興圏ごとの課題としてもそれぞれ、県央広域振興圏では観光資源の関係でありますとか、県南広域振興圏では製造業のほか農林水産業の人材育成とか、4広域振興圏の固有の課題等について意見が出されたところでございます。
 千葉絢子委員からお話がありましたとおり、データに基づく県民意識はきちんと把握をした上で、さまざま市町村長と意見交換をしていく必要があると思いますし、矢巾町長のおっしゃられることはもっともだと思いますので、私どももそういったところを心がけてまいりたいと思います。
   〔「関連」と呼ぶ者あり〕
〇伊藤勢至委員 ただいまの私の前のお三方の質問に関連をして、県知事と広域振興局、あるいは当局の関係について、私なりの思いがありましてお伺いをしたいと思います。
 江戸時代末期の話でありますけれども、徳川家は400万石でありました。石川県の元の前田、加賀藩は120万石、伊達藩は46万石、南部藩は20万石、南部藩の支藩の遠野藩は1万石でありまして、こういう関係の中にあって、我々県会議員というのはどういう位置にあるのかということを私はずっと考えて行動してきたつもりであります。
 そういう中で、私たちは家老の位置にあるのではないか。首長と、あるいはいろんな藩の、あるいは支藩との間に立って、なかなか表では話せない、例えば、8時から5時以外のアフターファイブの時間を使って、あるいは、議員として拘束される定例会プラスいろいろな委員会等をくるめますと約5カ月拘束があるものと思っていますが、残りの7カ月は私たちを支持していただいた方々の間のいろいろな気持ちを汲み取って、それを広域振興局長、あるいは県の各部長、そして、副知事、知事、こういうルートで届けるのが県議会議員としての我々の役目だと思ってきました。
 したがって、今のような、一方的に知事がさっぱり出てこないとか、話が伝わらないとか、そういう言い方は自分の役目を果たしていないということになるのではないかと私は思っておりました。
 そういう中で、意外と首長さん方を集めて、そこにポンと上級な人を呼んできても、なかなか話ができないというか、岩手県民性なのでしょうね、いきなり、はい、どうぞと言っても、なかなか手がつかないというか、そのうち時間ばかりがたっていくということになりますので、私としては、今後も県議会議員というものは、各城代家老、あるいは江戸詰めの家老としての、庶民と言っては失礼ですが、有権者が何を思っているかをおもんぱかってそれを伝えていくのが我々議員としての役目だと思っていまして、そういうことをやりもしないでトップだけを批判するのはおかしいのではないかと思っておりますが、ふるさと振興部長、何か感じることがあればおっしゃっていただきたいし、なければ言わなくてもいい。
〇熊谷ふるさと振興部長 県と市町村の関係でございますけれども、対等な関係というのはそのとおりでございますが、事務の執行に当たりましては、市町村と連携をとって、地域経営、そして県行政全体を進めていく必要があると思っております。そうした中で、さまざま委員の皆様方からも御指導、御助言をいただきながらサポートをお願いできればと思っていますし、よりよい市町村との関係が築けるよう、私どもも努めてまいりたいと思います。
〇名須川晋委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午後0時7分 休 憩
午後1時2分再開
〇川村伸浩副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇千葉秀幸委員 私からは、2点通告をさせていただいておりました。一つがマイナンバーカードについて、それから、いわて花巻空港の促進についてということですが、まずは、順番を入れかえさせていただいて、いわて花巻空港の促進についてから伺いたいと思います。
 まず、この間、コロナ禍が長引いていることに鑑みまして、先ほど佐藤ケイ子委員からもお話がありましたが、公共交通を中心に、飲食店のみならず非常に影響が出ていると認識しておりました。そういったことから、いわて花巻空港についても同様だと思っております。まずは、令和3年度のいわて花巻空港の収支に対する、いわて花巻空港の促進という観点からふるさと振興部の所感についてお伺いしたいと思います。
〇山本空港振興課長 いわて花巻空港の2021年度の収支に対する県の認識と評価についてでございます。
 空港施設を所管しております県土整備部において取りまとめました内容によりますと、2021年度の空港収支は、キャッシュフローベースで14億3、000万円の歳出超過となっているところでございます。
 安心、安全な空港の維持管理のためには、相当程度の費用を要するものではございますが、経費節減などにより費用を抑えつつ、利用促進により、より多くの収入を確保していく必要があると考えているところでございます。
 また一方で、いわて花巻空港は国内外との人的、経済的な交流拠点でございまして、また、災害時には支援拠点としての役割を果たすなど収支上ではあらわし切れない効果があると認識しているところでございます。
 空港利用促進を所管しております当部といたしましては、この空港の安定的な運営に資するように、引き続き、航空会社などの関係機関、関係部局と連携しながら、空港の利用促進に取り組んでまいります。
〇千葉秀幸委員 ウィズコロナ、アフターコロナというところで、これから国でも国際線を徐々に緩和していくということも言っております。それから、当初は2020年に4、000万人を受け入れたいとしており、これは新型コロナウイルス感染症の影響もあって実現しなかったわけですが、国の方向性としては、引き続き、2030年度までに6、000万人を受け入れたいということで方向を変わりなく示しているところでございます。そういったことから、国際線の早期再建に向けた取り組みが必要だと思いますが、その取り組み内容についてもお示しいただきたいと思います。
〇山本空港振興課長 国際線の早期運行再開に向けた現在と今後の取り組みについてでありますが、現時点では、国際線を運航する各航空会社からは、運行再開に関して具体的な予定は示されていないところでございますが、今月11日から水際措置の見直しが行われておりまして、各地方空港におきましても、国際線の受け入れ再開に向けた動きが加速されるものと期待しているところでございます。
 県といたしましては、このような機運を捉えまして、国際線の早期の運行再開に向けて、引き続き、航空会社、現地旅行会社に働きかけを行いますとともに、税関、出入国管理、検疫などの関係機関と調整し、空港での受け入れ体制の整備を進めていきたいと考えております。
〇千葉秀幸委員 花巻市からの要望にでもあるとおり、いわて花巻空港の国際定期便や国際チャーター便の就航をさらに推進をする施策を講じることということで、県にも要望が上がってきていると思います。ぜひ積極的な促進をお願いしたいと思っております。
 そこで、今度、国内線についてでございますが、国内線においても、新たに令和3年度から神戸線もふえたというところでございますが、国内線においても促進を促すための県の取り組みについて、どういった内容があるかお示しをいただきたいと思います。
〇山本空港振興課長 いわて花巻空港の国内線の利用促進に向けた県の取り組みについてでございますが、まず、現状を申し上げますと、令和4年4月から9月までの国内定期便の利用者数でございます。コロナ禍前の令和元年度同期比で比較しますと、国内定期便の利用者数は約7割という状況でございまして、依然としてコロナ禍の影響が見られるところではございますが、昨年度、令和3年度の同期比では2倍強となっております。航空需要が緩やかな回復基調にあるものと受けとめているところでございます。
 このため、国内線につきましては、引き続き、コロナ禍により大きく落ち込みました航空需要の回復に向けまして、航空会社等とも連携し、旅行会社に対する旅行商品の造成支援、就航地先での路線PR、また、令和3年3月に新規就航いたしました神戸線のプロモーションなどを中心に利用促進策に取り組んでいくところでございます。
〇千葉秀幸委員 今、なかなか待っていても来ていただくのは非常に難しい時代だと思っておりました。さまざまふるさと振興部としても旅行商品の造成支援でありますとか、路線のPR等々も行っていると思いますので、これからも引き続き取り組みいただきまして、コロナ禍で利用者数が落ち込んだいわて花巻空港に対して、今後も積極的な取り組みをしていただきたいと思っております。
 それから、マイナンバーカードについてでございますが、マイナンバーカードの取得率については、この前お示しがあったとおり、本県の取得率は42.9%、全国平均が49.0%ということでお示しをいただいたところでございます。そもそも国のほうが打ち出した政策でありますので、国の責任においてこれからも進めていただきたいということを私の思いとして大前提にある中において質問させていただきたいと思います。
 これまで、さまざまマイナンバーカードのお話が出ておりますが、普及した際には県民へのメリット等も高いと聞いておりました。また、県、あるいは市町村に対しても、どういったメリットがおありなのか、まずは伺いたいと思います。
〇鈴木副部長兼ふるさと振興企画室長 マイナンバーカード取得に伴うメリットでございます。DXを推進する上でマイナンバーカードの取得は基本となるものでございまして、マイナンバーカードを取得することによりまして、例えばでありますが、今であれば、新型コロナウイルス感染症の予防接種のワクチン証明の発行でありますとか、引っ越した際の住民票といったものの一括的な発行、住民票につきましても、コンビニ等行政サービスの身近なところでの発行など、住民な身近なところで便利に利用できるところでございます。
〇千葉秀幸委員 その他行政においても手続が簡略されるということで、働き方改革等々にも直結すると伺っているところでございます。
 掘り下げさせていただきたいと思うのですが、第1弾はマイナポイント5、000円を付与するというところから、今回、コロナ禍の影響もあってかわかりませんが、通帳とひもづけたりすると最大2万ポイントもらえるようになるということで取り組みが始まって、今、延長されているところでございます。
 そのポイントを使って促進を促すかについて、いいかどうかは別として、改めて最大2万ポイントもらえるということで、コロナ禍でダメージを受けている方々もいらっしゃいますから、第2弾が行われてから非常に普及率も伸びたのではないかと推察されますが、最大2万ポイントもらえるようになってからの普及率に変化があったのかについて伺いたいと思います。
〇鈴木副部長兼ふるさと振興企画室長 マイナンバーカードの取得の状況でございます。マイナポイントに伴う普及率の変化でございますが、最大2万ポイントをもらうことができるマイナポイント第2弾は、令和4年6月30日から開始されております。暫定値でございますが、マイナンバーの申請率につきましては、令和4年4月から6月、この間につきまして、毎月、前年度と比較して0.5ポイント程度の増加で推移しているところでございますが、これが令和4年4月末時点で43.4%であったものが7月、要するに、マイナポイントが始まった後、7月時点では前月に比べ1.2ポイント、同じく8月末時点では3.2ポイント、9月末時点では4.7ポイント、それぞれ増加しているということで、9月末時点では県全体で53.5%と見込んでいるところでございます。
〇千葉秀幸委員 少なからず効果があったと理解いたしました。さらに、岩手県内を見たときに、葛巻町が63.4%、盛岡市が50.1%ということで、全国平均を超えているのがこの2市町になっているというところでございます。この2市町の普及が進んでいるのはさまざまな対策があると思いますが、市町村の普及に取り組んでいる内容について、県の認識、それから、進まないところにあっては、どういったハードルがおありかお知らせいただきたいと思います。
〇鈴木副部長兼ふるさと振興企画室長 市町村におけるマイナンバーカードの普及に係る取り組み状況についてでございますが、市町村それぞれの実情に応じまして、さまざま工夫を重ねながら取り組んでいただいているところでございます。一つには、土日、夜間の申請受付、選挙時の期日前投票でありますとか税の申告会場などでの申請受付、あと、人が多く集まるショッピングモールなどで申請受付をやっているところもございます。また、小規模な市町村におきましては、市町村長と住民との懇談会でのカード取得の呼びかけ、公民館単位での出張申請受付、個別訪問、回覧板を活用した取得の呼びかけなど、さまざまな取り組みを工夫してやっていただいていると伺っているところでございます。
 一方、マイナンバーカードの普及に向けて、市町村の意見交換を通じて伺ったところによりますと、マイナンバーカード取得の必要性、メリットが住民に伝わっていない、高齢の方には交付申請の手続が煩雑と感じている方もいらっしゃる。市町村においてはマンパワー不足しているなどの課題を認識していると伺っているところでございます。
 県といたしましては、こうした課題を踏まえまして、いわてグラフへの掲載など県民に対する広報のほか、県内16市町村における申請支援会の開催でありますとか行政書士による申請サポート等を行っております。
 令和4年9月補正予算における新規事業も含めまして、今後とも国と連携しつつ、市町村の取り組みに対して支援を行ってまいりたいと思います。
〇千葉秀幸委員 そういったことからすると、そもそも国の政策だということですから、市町村が抱える要望において、マンパワーが不足している等々、今、課題を御説明いただきましたので、こういった課題があるということをしっかり国に伝えていただいて、国レベルでしっかり進めていただくように要望していただきたいと思っているところでございます。
 最後に、今回、令和4年9月補正予算に計上されました、いわてデジタル化推進費は、マイナンバー取得キャンペーンの予算が組まれております。そもそも新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金で対応することなのか私は疑問を持っていますが、まずはこれを行うということになったところで、この狙いについてお示しいただきたいと思います。
〇木村デジタル推進課長 今回、9月補正予算で措置いただきましたマイナンバーカードの取得促進キャンペーンについてでございますが、マイナンバーカードの普及促進とともに、新型コロナウイルス感染症により影響を受けている県内事業者を支援するため、新規カード取得者2万人に対しまして3、000円相当の県産品を提供しようとするものでございます。
 本事業の実施におきましては、キャンペーンのPRとあわせまして、マイナンバーカードの取得の意義、それからメリット、そういったものが県民に十分に伝わるよう、広報を行うことでカード取得の県民の機運醸成を同時に図る考えでございます。
 こうした取り組みによりまして、各市町村で今、重点的に取り組んでいるマイナンバーカードの取得促進の取り組みを後押しし、県全体の交付率の向上を図っていく考えでございます。
〇千葉秀幸委員 マイナンバーカードの取得については任意だとは言っておりますが、先ほどからお話があるとおり、県民、あるいは市町村に対するメリットもあると私も理解はしておりますので、引き続き、こちらのキャンペーン等とも通じて普及されればいいなとは思っているところでございますが、この事業の遂行も11月からというところであったので、できるだけ早く進めていただいて、あくまでも国主体ではあるのですが、普及されることを願っているところでございます。何か御所見があればお聞きして、終わりたいと思います。
〇木村デジタル推進課長 今、千葉秀幸委員からお話しいただきましたとおり、速やかにこの事業を執行できるように、今、準備を鋭意進めているところでございます。いずれ国のほうでは、今年度中にほぼ全国民に行き渡るということを目指しておりますので、県としましても、それについて連動して取り組んでいくということ、それから、とにかく市町村も支援しながら連携して早期に取り組んでまいります。
   〔「関連」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木順一委員 それでは、千葉秀幸委員の今のマイナンバーカードに関連して質疑をさせていただきます。
 政府は現行の健康保険証を2024年に廃止、そして、マイナンバーカードと一体化したマイナ保険証に切りかえることを表明しております。一方において、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律、いわゆるマイナンバー法にはカードの取得は任意と定められております。いずれにしろ、年限を切った、それから、国民皆保険という性格上、これは事実上の義務になるわけでありますが、このことについて問題があると私は思いますが、熊谷ふるさと振興部長の認識はどうでしょうか。
〇熊谷ふるさと振興部長 報道によりますと、国では10月13日、現行の健康保険証を2024年秋に廃止し、マイナンバーカードと一体化したマイナ保険証に切りかえる方針を正式に発表したところでございます。ただ、厚生労働省や総務省、デジタル庁など関係省庁による具体的な検討はこれから行われると承知しております。
 従来の国の説明におきましては、加入者が希望する場合には、引き続き、紙の保険証を交付する選択制を検討していると伺って、そう理解しておりましたが、現時点で国から県に対して、10月13日の方針を踏まえた説明はないところでございます。
 今後、国において詳細な制度を検討していく際には、関係省庁の間で十分協議していただきたいと思っております。やはり、マイナンバーカード取得は強制ではないというところで、取らない人、取ることを希望しない人がおられること、それから、赤ちゃんでありますとか福祉施設に入っている高齢の方で、なかなか自分の意思で取得できない方とか、そういった問題もあろうかと思います。それから、医療機関ではマイナカードを保険証として読み取るカードリーダーなどの十分な整備も並行して必要になってくる、さまざまカードを取らない人とか基盤の整備も必要なのではないかと思っております。
 いずれ国の検討状況を注視させていただきたいと思いますが、国民、県民が必要な医療が適切に受けられるようにしていただかなければならないと思っておりまして、必要に応じまして、他県とも連携して制度のあり方等について国に要請してまいりたいと思っております。
〇佐々木順一委員 熊谷ふるさと振興部長の今の懸念事項等々、そのとおりですが、特に健康保険ですから医療機関がある程度整備、受け入れ態勢を整えないと問題だと思うのです。国ではことしの9月に厚生労働省が保険利用の規制を改正しました。マイナ保険証などを読み込み、健康保険の利用資格があるか調べるオンライン資格確認を来年4月から実施するよう各医療機関に義務づけたと伝えられております。ついては、これについて、今の申し込み状況、本県において各医療機関の整備状況がどうなっているのか、それをお示しいただければと思います。病院とか、あるいは開業医、クリニックとか、あるいは歯科、薬局、こういうところについて、申し込みの状況について御報告いただきたいと思います。
〇鈴木副部長兼ふるさと振興企画室長 オンライン資格参加者の医療機関の状況の御質問でございました。令和4年8月28日時点の厚生労働資料によりますと、県内の病院、機関数92のうちカードリーダー申し込み機関数は87、94.6%でございます。このうち県立病院につきましては26機関、20病院6地域診療センターでございますが、全て整備済みでございます。
 続きまして、医科診療所、いわゆるクリニックでございますが、688機関数に対しまして397ということで57.7%、歯科診療所につきましては、600に対して465、77.5%、薬局につきましては、624に対して580、92.9%ということで、全体2、000余に対しまして1、529、76.3%でございまして、これにつきましては、全国を上回る数値となっているものでございます。
〇佐々木順一委員 開業医、クリニックは低いですね。これは来年の4月まで間に合うような、どういう段取りでこれを100に持っていくように努力されるのでしょうか。その辺、御答弁いただきたいと思います。
〇熊谷ふるさと振興部長 先ほど御答弁申し上げたとおり、まだ国からどういう工程で保険証に切りかえていくのか、具体的な手順といいますか、関係省庁のほうで検討を開始したとは聞いておりますが、具体的な部分はまだ見えてきておりません。その辺、アンテナを高くいたしまして、保健福祉部の医療担当部門とも連携しながら対応等については考えてまいりたいと思っております。
〇佐々木順一委員 全国の保険医団体連合会では、マイナンバーカードの強制は許されないと会長が抗議声明を出しております。さらに、今、コロナ禍で医療機関が疲弊しております。さらにマイナカードの体制を整えるということをやるとなれば、さらに負担がふえます。医師不足の中で、地方では開業医等は高齢の先生方が医療を支えております。本県でも同様のことと思いますが、マイナ保険証の体制整備を迫ることによって開業医が廃業を決断することもあるかもしれませんが、こういう懸念はないですか。
〇熊谷ふるさと振興部長 繰り返しになりますけれども、どういう工程、どういう国の支援によってカードリーダー、病院での対応をやっていくかということはちょっとまだ明らかになっておりません。委員御指摘のとおり、確かに、開業医の先生方、高齢の先生もおりますし、電子カルテではなくて紙カルテでやっている高齢の先生もおります。そのようなところでマイナンバーカードが保険証と一元化になってどういう処理になるのか、そういった部分もこれからになるところもあると思いますので、その辺は医療政策部門のほうとしっかりと情報共有して、どういう支援が可能か、いろいろと研究してまいりたいと思います。
〇佐々木順一委員 まず、読み取り機を買わないとなりません。それから多分、これは保守管理料とかがかかると思います。あわせて、一定の年数がたてば機器の更新も必要かと思います。そういうところに対しての財政支援というのはどういう状況になっているのでしょうか。開業医が全部、自前でやれということになっているのですか。
〇熊谷ふるさと振興部長 私は前、医療局におりましたので、2年前の状況で御説明して、今はどうなっているかというのは正確に把握しておらないですが、当時、カードリーダー、読み込む機械に対してたしか国庫補助制度があり、補助率が3分の1程度、ただ、一定の上限で打ち切りです。どちらかというと開業医向けの、小規模な医療機関に対してのカードリーダーの読み取りについて国庫補助があったと記憶しております。
〇佐々木順一委員 いずれ医療にかかわることでありますので、不便が生じないように、財政支援も含めて国に要請をしていただきたいと思っております。
 最後に、この前の総括質疑でも話題になりましたが、地方交付税の交付率を、算定基準を財政需要の算定に反映させるかもしれないというような方向づけがされております。これは交付率の低いところに交付税が厚く手当されるならば問題はないわけでありますが、基本構想の交付金のほうは、厚いところには手当をして、低いところについては申請をすることができないような条件を設定するようなことがありますが、こういうことについては、ないようにお願いしたいと思いますが、もしあった場合は、意見書か何かを地方交付税の制度にのっとって、交付税の算定に関して意見書を出すべきだと私は思いますが、財政課長、最後に御答弁をいただきまして、質問を終わります。
〇山田財政課総括課長 交付税のマイナンバーカードの普及率の算定というところですけれども、まだ子細が示されておりませんので、どうなるかというところは今から注視していかなければならないところでございますけれども、先ほども委員がおっしゃったとおり、マイナンバーカードの普及に伴ってカードリーダー等で財政支出が伴うところを適切に反映していくというのは、一定の理解ができる方向性かと思っておりますけれども、一方で、普及が進んでいないところにおけるペナルティーとしての減額というようなことはあってはならないと思っておりますし、この点は、地方交付税法第17条の4における意見申し出制度等も活用しながら、しっかりと反映させてまいりたいと考えております。
〇佐々木宣和委員 午前中もさまざま質疑がありましたけれども、市町村との連携、また、広域振興局について伺いたいと思います。
 まず初めに、1人当たりの所得に関して、それぞれの地域の状況を把握できるものだと思っていますが、岩手の幸福に関する指標の状況においては、令和3年実績値は全国を100として87.4、達成度がB。県政の重要課題として、県北沿岸振興等々に取り組んでいるところでございますけれども、内陸部と沿岸部の所得の推移というものがどうなっているのか伺いたいと思います。
〇岡部調査統計課総括課長 内陸部と沿岸部の所得の推移についてでありますが、市町村民経済計算による1人当たり市町村民所得について、最新の令和元年度と比較できる平成23年度からの推移で御説明申し上げます。沿岸部の12市町村とそのほかの内陸部21市町村については、平成23年度は、沿岸部が211万6、000円、内陸部が250万2、000円、令和元年度は、沿岸部が275万6、000円、内陸部が278万8、000円となっており、この間の推移につきましては、内陸部、沿岸部とも増加傾向にございます。
〇佐々木宣和委員 2011年は内陸部が250万円ぐらい、沿岸部が211万円だったのが、令和元年は内陸部278万8、000円、沿岸部が275万6、000円、大体同じくらいの水準になっている。この要因、理由について、どう分析しているのかということと、これを市町村と関係部局とどう連携しているのか、共有しているのか伺いたいと思います。
〇岡部調査統計課総括課長 分析と情報共有についてでございます。1人当たり市町村民所得の増加傾向の要因といたしましては、沿岸部、内陸部ともに、おもに製造業の総生産の伸びが寄与しています。そのほか、沿岸部におきましては、復興需要による建設業が寄与しているものと考えております。
 また、情報共有についてでございますが、1人当たり市町村民所得を含む市町村民経済計算の推計結果につきましては、市町村、関係部局に、公表のタイミングに合わせて情報提供を行っているほか、内容に関する市町村等からのお問い合わせがございまして、それにつきましては、随時対応を行っているところでございます。
〇佐々木宣和委員 製造業が好調だったということと、沿岸部の復興需要、復興工事の関係が非常に強いのではないかというような話でございます。これから復興需要、令和元年がこのくらいですけれども、これから沿岸部のほうはかなり、また下がっていくのではないかという予測がされるような内容ということでもありますし、分析をなるべく自動的に共有できるような仕組みが非常に重要ではないかと思っています。
 例えばですけれども、こちらのほうだと平成30年の市町村内総生産の話で、県南部が6.3%上がっているとか、こういったところも沿岸部の人間も知る必要もあると思っているところでありまして、DXという話もありますけれども、市町村の状況、ブロックとしての状況というのをなるべく共有するスピードを速くしていただきたいと思っているところでございます。
 それを踏まえた上で、市町村とどう連携していくのかということで伺います。人事交流について伺いたいと思います。一般質問に対する答弁で知事がおっしゃっていることで、県と市町村との人事交流については、これまでも異なる経験や視点を持つ職員が相互に刺激を受けることで双方の職員の資質向上につながるとともに、相互理解の進展によって県と市町村との一層の連携、強化が図られてきた。いわて県民計画(2019〜2028)の行政経営プランでも、地域課題に取り組むために人事交流を推進する。また、ふるさと振興総合戦略においても、市町村の意向を踏まえながら人事交流を進めていくことというふうに答弁をしているところでございます。
 特に、小規模自治体では優秀な県職員の方に非常に期待をしているという声も聞いておりますけれども、市町村との人事交流の状況について、また、その意図と考え方について伺いたいと思います。
〇鈴木副部長兼ふるさと振興企画室長 県と市町村の人事交流の状況等の御質問でございました。県では、職員の資質向上を図るとともに、県と市町村の相互理解、連携を一層推進することを目的といたしまして、平成11年度に人事交流の制度を創出しております。今年度までの累計で192件の交流を実施しております。
 内訳としては、県の本庁と市町村との交流が69件、広域振興局と市町村の交流が123件となっております。今年度におきましては、11人の人事交流を行っておりますし、2町村に対しましては、副町村長を2名派遣しているところでございます。
 このほか、市町村職員の資質向上を図ることを目的といたしまして、市町村の職員を研修生として受け入れる市町村職員実務研修を昭和34年度から行っておりまして、今年度までの累計で719人の研修生を受け入れているところでございます。今年度におきましては、17人の研修生を市町村から受け入れております。
〇佐々木宣和委員 累計値で示していただいたのですけれども、人事交流をより力を入れていくという印象の答弁だったと思っていまして、令和3年と令和2年を比較では、令和3年は11人ということだったかと思いますけれども、お答えいただければお願いします。
〇鈴木副部長兼ふるさと振興企画室長 令和3年度が13人、先ほど言いましたように、令和4年度、今年度につきましては、先ほどの11人プラス2人の副村長で、同じ13人という結果になっております。
〇佐々木宣和委員 横ばいというところという話でございました。政策的にもかなり複雑になっている中で、入っている人が県の計画への反映、また、その接点から市町村からの要望や、具体的なアクションにつながっているかということを伺いたいと思います。市町村と県との考え方のすり合わせなど、県職員として市町村でどういうことをやっているのかというようなイメージで聞きたいと思います。
〇鈴木副部長兼ふるさと振興企画室長 県と市町村の人事交流によりまして、職場経験、異なる経験、異なる視点を持つ職員が相互に刺激を受けるということで、双方の職員の資質向上につながってまいるということでございますし、それぞれの組織の相互理解、県と市町村の一層の連携強化が図られてきたと考えておりますし、また、それぞれ派遣されることに人的ネットワークも形成されますので、県、市町村相互における質の高い政策形成にも資するものと考えております。
 また、現在、策定を進めています第2期アクションプランにおきましても、県、市町村の人事交流については重要と考えておりますので、それについても記載し、取り組みを進めていくと考えておりますし、引き続き、県、市町村の連携強化に向けて人事交流を進めてまいりたいと考えております。
〇佐々木宣和委員 人事交流はすごく大事だと思うのですけれども、交流したことによって、相互理解をしてどういう方向性に進むのかということを固めていくような動きがいいと思っているところでもあります。
 広域振興局の裁量に関してということで伺いたいと思いますけれども、令和3年度の地域経営推進費、5億円の予算だったかと思いますけれども、具体的にどのようなものに使われたのか、また、過去との比較で特筆すべき点、その他、広域振興局で取り組む地域振興にかかわる予算の執行状況、土木、農林水産を除くというところの特徴を伺いたいと思います。
〇高井地域企画監 令和3年度の地域経営推進費の状況についてでございますけれども、この地域経営推進費でございますが、県事業の枠と市町村事業の枠で構成しているところでございますが、県が実施する事業では、4圏域合計で132事業、1億1、479万円でございまして、具体的には、観光や農林水産業など産業振興分野で89事業、次いで、福祉や環境などの安全安心な地域社会の分野といったもので20事業となっておりまして、市町村が実施する事業では、4圏域合計で159事業、2億5、028万円余でありまして、具体的には産業振興分野で52事業、その他市町村独自の課題の解決に向けた取り組みで81事業となっているところでございます。
 地域経営推進費はその時々の特定の行政需要に応じて用途を特定した枠を設けておりまして、令和3年度においては、オリンピック、パラリンピックの聖火リレーなどへの対応として予算の枠を設定したところでございます。
 またもう一つ、このほかの地域振興に関する事業でございますけれども、戦略性が高く圏域全体の振興を図る広域振興事業といったものを令和3年度はAIやIоTによる産業振興や観光振興など13事業を実施したところでございます。
〇佐々木宣和委員 非常にたくさんの事業をやっているということで、例えばですけれども、使い方に、それこそ広域振興局から何か要望なり要請なり出ているものなのか。また、市町村から、もう少しこの部分でつけてほしいのだけれどもというような要請があったというようなことはないのか伺いたいと思いますが、いかがでしょう。
〇高井地域企画監 広域振興局と連携して取り組み、細かいところもすり合わせをしながらやっております。市町村からの要望といいますか、そういった点でございますけれども、地域課題に対応する重要な事業ということで、ぜひ適切な財源確保をしていただきたいというような要望を例年受けているところでございます。
〇佐々木宣和委員 きめ細やかにやっていただくのは大変ありがたいのですけれども、細かいというようなことも思って、エリア全体でこれをやろうということで一本の事業でやるのは難しいと思うのですけれども、そういうイメージのものなのかと思っているのです。使い方を考えてほしいというよりは、何か市町村と一緒にやる枠を広げていただきたいと思っているところでございます。
 市町村との連携が非常に重要だということはそのとおりですけれども、人口減少の問題などは、かなり複雑多様化で、それぞれいろいろな部局も連携してやらないといけないということなのですが、市町村が考えていることと県の考えていることをすり合わせながら、財政的にも非常に苦しい中で、政策実行力、政策効果を高めていく取り組みが必要であると思っております。
 人事交流の話で、計画等々に反映の話の質問もしているのですけれども、これらの話を含めて熊谷ふるさと振興部長の所感を伺いたいと思います。
〇熊谷ふるさと振興部長 広域振興局におきまして、本庁、市町村との役割分担のもと、地域経営推進費、それから、広域振興事業などを活用して、人口減少対策を初めとする地域課題の解決に向けて、地域、特色ある取り組みを展開しているところでございます。各圏域におきましては、地域の方々で構成する圏域懇談会でありますとか、地元自治体で構成する三陸協議会、あとは、北いわてのコンソーシアムにおきましては、市町村、地域団体、産学官連携して取り組んでおりますが、DX、GXなど社会、経済の情勢を踏まえた喫緊の課題、地域の抱える課題を共有して意見交換、検討、そして、連携して取り組みを行う、そういう動きをしているところでございます。
 人事交流につきましては、市町村と県の職員がお互いを知り、施策を共有し、行政課題への対応に連携していく上で有効な手段と考えております。市町村と県がそれぞれの施策推進、課題解決に向けまして、円滑な情報共有や認識の共有など、有益となり得る人事交流によるメリットも生かしながら、政策効果を高めた取り組みをさらに進めていく考えでございます。
〇斉藤信委員 それでは最初に、マイナンバーカードの取り組みについて質問をいたします。
 今までも幾つか議論がありました。9月末現在で、県全体のマイナンバーカードの交付率は42.9%、実はマイナンバーカードというのは、2016年1月から交付が始まったのです。6年9カ月がたちました。きょうの新聞を見ると、全国的にやっと50%を超えたという報道もありますが、6年9カ月です。何でこれが進まないのか。その進まない要因について、どう受けとめているか答えてください。
〇鈴木副部長兼ふるさと振興企画室長 現状におきましては、住民に取得の必要性やメリットが十分に伝わっていないでありますとか、高齢者の中には交付手続が煩雑と感じている方などもいるという話を住民への交付事務を担当する市町村から伺っております。また、こういったことに関しては、取得に関するメリット、申請における手続の支援などを進めながら、交付が進むように取り組んでいるところでございます。
〇斉藤信委員 今、二つだけ挙げられました。メリットがないのです。だから交付手続しないのですよ。メリットがなく、マイナンバーカードがなくても生活できるから。そして、煩雑だということです。それよりもっと重大なのは、デジタル庁の調査では、国民がカードを取得しない理由の第1位は、情報流出が怖いから。これが35.2%で第1位です。いわば国に対して信頼がないのです。マイナンバーカードの最大の問題は、個人の情報を国が一括して掌握して管理する。個人の情報は国が活用する。物事によっては企業に活用させる、こういうものなのです。歯どめがないのです。
 そして、地方自治体にとってはどうかというと、地方自治体はさまざまな独自事業をやっていますので、本当はマイナンバーカードの枠内で地方自治体の仕事はできないのです。だから、欧米では地方自治体レベルのマイナンバーカードの仕組みがつくられている。これは国家統制です。こんなことを進めたら、中国の監視社会になってしまいます。そういう不安を国民は感じている。この不安を払拭しない限り、私はこのマイナンバーカードの普及は進まないと思います。
 進まないから何をやってきたか。2万円のポイントだとか、県産品を送るとか、岩手県はこれまでにどれだけのことをやってきましたか。
〇木村デジタル推進課長 マイナンバーカードの普及について、県で取り組んできたこれまでの実績でございますが、県では、国の交付金を活用しまして、令和元年度から令和3年度までの3年間、国が実施するマイナポイント第1弾及び第2弾の新聞広告やチラシ配布などを実施してきたところであります。また、今年度につきましては、県内16町村を会場にマイナンバーカードの交付申請、それから、マイナポイントの申し込み、スマートフォンの操作講習会などを開催しておりまして、マイナンバーカードの普及促進に取り組んでいるところでございます。
〇斉藤信委員 河野デジタル大臣が何と言ったか。ポイントの効果に懐疑的で政策として邪道だと。デジタル担当大臣が、ポイントなんかでやるのは邪道だと言っているのです。私、全く真理だと思います。それに私は地方自治体が悪乗りしてはだめだと。今度の1億4、000万円は悪乗りですよ。新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を使って、こんな邪道なやり方をしていいのか。困ったところにこそお金をかけるべきだと、私は本会議の議案に対する質疑でもそのことを指摘しました。
 結局、こういうことなのです。あめでマイナンバーカードの交付を上げようとしたけど上がらなかった。だから、今度は何をやろうとしているか。健康保険証と一体にする。これはむちなのです。しかし、そもそも法律では、マイナンバーカードの取得は任意になっているのです。法律違反ですよ。国民の申請は任意だとなっているのに、健康保険証に無理無理一体化させて、これをやらせようとする。これは本当に邪道中の邪道ではないかと私は思うけれども、熊谷ふるさと振興部長、どう思いますか。
〇熊谷ふるさと振興部長 報道によりますと、10月13日に現行の健康保険証を2024年秋に廃止しまして、マイナンバーカードと一体化したマイナ保険証に切りかえる方針を発表いたしましたが、厚生労働省、総務省、デジタル庁など関係省庁による具体的な検討はこれからだと伺っております。先ほど申し上げたとおり、マイナンバーカードは義務ではなくて希望制でございます。引き続き、紙の保険証を御希望される方もいらっしゃると思いますし、高齢者、それから乳児、みずから取得できない方、さまざまな事情がある方もありますので、医療が国民に等しく提供されるように、そういったマイナンバーカードを取得できない人、しない人に対しても、そういうことがないように適切な処置が必要だと思っております。そういった意味で、国において、そこは責任を持って検討していただきたいと思っております。
〇斉藤信委員 全国紙も地方紙も厳しい批判の社説を上げています。これは昨日の河北新報の社説ですけれども、法的には任意のはずのマイナンバーカード、強引なやり方で大きな政策転換を図るのは拙速で乱暴ではないか。政策転換の背景には、カードの普及が進まないことへの焦りがある。本当に今、統一教会問題で追い詰められた政府が迷走していると、私はそういうことなのではないかと思います。マイナンバーカードの本質をしっかりつかんだ上で、よく見定めながら、この取り組みを岩手県としては進めていただきたいと思います。
 次に、JR東日本のローカル線切り捨てへの対応についてお聞きをいたします。
 赤字ローカル線の現状はどういうふうになっているでしょうか。
〇山田地域交通課長 赤字ローカル線の現状についてでございますが、本年7月、JR東日本から平均通過人員、いわゆる輸送密度というものでございますが、2019年度実績におきまして、1日当たり2、000人未満の線区の経営情報が開示されたところでございます。
 本県では大船渡線、釜石線、北上線、八戸線、花輪線、山田線の6路線10区間が対象となっておりまして、開示された情報によりますと、いずれの線区も収支は赤字となっておりまして、赤字額は山田線の上米内─宮古間の18億9、500万円が最も大きく、次いで、大船渡線の一ノ関─気仙沼間で15億7、500万円という形で開示がなされているところでございます。
 また、平均通過人員でございますが、秋田県にまたがる花輪線の荒屋新町─鹿角花輪間が1日当たり78人と最も少なく、次いで北上線のほっとゆだ─横手間の132人となっているところでございます。
〇斉藤信委員 この時期にJRがわざわざ赤字ローカル線の赤字の状況を打ち出して切り捨てようとしている。これはコロナ禍のもとで、確かに2年間、JR東日本は赤字でした。赤字はたった2年間です。その前の3年間はもっとたくさんの黒字を出しているのです。惨事便乗型のローカル線廃止の国とJR東日本と一体となった、私は本当に驚くべきことではないのかと思います。
 そこでお聞きしますが、JR東日本の経常利益について、この2年間とその前の3年間、どうなっているか示してください。
〇山田地域交通課長 JR東日本の経常利益についてのお尋ねでございます。2017年度におけますJR東日本単体での経常利益でございますが、3、589億4、300万円となっておりまして、2018年度が3、548億5、200万円、2019年度が2、601億3、600万円の黒字となっております。2020年度と2021年度の状況でございますが、5、177億1、500万円、2021年度につきまして、1、777億1、800万円の赤字となっております。
〇斉藤信委員 ちょっとたどたどしい答弁で心もとないけれども、実はこの2年間の赤字というのは、新型コロナ禍のもとで6、954億円でした。その前の3年間の黒字は9、738億円です。この5年間で見たら黒字です。だから、騒ぎ立てて、今、ローカル線が赤字だから何とかしようなどという情勢では全然ない。
 もう一つ聞きましょう。JR東日本の内部留保はどうなっていますか。
〇山田地域交通課長 JR東日本の内部留保、いわゆる利益剰余金の部分でございますが、こちらも過去5年間で申し上げますと、2017年は2兆146億8、400万円でありました。これが現在、2021年で1兆5、348億8、100万円となっているところでございます。
〇斉藤信委員 利益剰余金だけで今、1兆5、348億円あるのです。全国労働組合連合会は春闘白書で毎年、大企業の内部留保一覧表を出しています。この資産は利益剰余金だけでなくて資本剰余金その他を含めて、そうして内部留保を出しているのですけれども、それで見ますと、2兆9、518億円です。これだけの内部留保を持っているのです。びくともしないです。これだけの利益と内部留保があるのだったら、公共交通機関として赤字地方ローカル線を守るというのが私は公共交通を担う責任なのではないかと思いますけれども、熊谷ふるさと振興部長にその見解をお聞きします。
〇熊谷ふるさと振興部長 JR線を含むローカル鉄道でございますけれども、地域の住民の足という移動手段のみならず、災害時の代替性、それから補完性、そのほか観光、物流など地域経済を支える重要な社会インフラだと思っております。JR東日本は収支や平均通過人員のみで存廃を判断するのではなく、まずは、交通事業者の使命としてJRローカル線を維持し、引き続き、安定的な運行をしていただきたいと考えております。
 また、鉄道ネットワークは国の交通政策の根幹として維持されるべきであり、国においては、JRローカル線を維持するための支援を行うべきだと考えております。
〇斉藤信委員 新幹線を整備するときに、一つは地方負担があった。もう一つは、在来線が切り捨てられた。この地方の負担額、岩手県の負担額、ぜひ後から出していただきたい。いわば黒字を出すところだけ、JR東日本はうまいところだけ、おいしいところだけを取って、ほかの赤字になりそうなところは地方に転嫁させてきた、これを私たちは絶対忘れてはならない。新幹線というのは全体の鉄道ネットワークの中で成り立つものなのです。新幹線だけでは成り立たないのだから。
 私はそういう意味で、鉄道ネットワーク全体で、地方ローカル線を含めて公共交通を維持する。これは政府、JR東日本との交渉となると思うので、大義を掲げて堂々とこれは交渉しなくてはならない。赤字だけど、大変だけど残してくれと、そういう戦いではない。莫大な利益を上げ、地方の犠牲で上げてきたJR東日本の責任で公共交通機関を守るという取り組みをぜひ進めていただきたい。
 それで、今度、JRのローカル線維持確保連絡会議を設置するとなっていますけれども、その構成メンバー、いつごろ設置されるのかをお聞きしたい。また、路線ごとにJR沿線自治体会議を沿線市町と設置するとしていますけれども、その目的、取り組み、構成メンバーはどうなっているでしょうか。
〇山田地域交通課長 JRローカル線維持確保連絡会議についてでありますが、構成メンバーにつきましては、県と、それから、JR東日本から経営情報が公表されました県内6路線の沿線市町の首長を構成メンバーとする予定としております。
 また、開催時期につきましては、現在、沿線市町村と調整を進めているところでございまして、年内のできるだけ早い時期に開催したいと考えているところでございます。
 次に、JR沿線自治体会議、路線ごとの会議でございますが、今回、JR東日本から収支が公表されました6路線は、路線ごとに状況が異なりますことから、地域住民の意向を把握しつつ、今後想定されるJRとの協議や国が設置する特定線区再構築協議会(仮称)への対応について検討することを目的として設置するものでございます。
 取り組み内容といたしましては、国やJR東日本への要請内容の検討、それから、マイレール意識など住民意識の醸成や鉄道の利用促進、それから、JR東日本や国の協議会のほうから何らかの提案がなされた場合の対応などについて、路線ごとに検討、協議をしていく予定でございます。
 構成メンバーにつきましては、県と沿線市町の首長等を想定しているところでございます。
〇斉藤信委員 それでは、最後の質問になりますけれども、赤字地方ローカル線問題というのは岩手県だけの問題では当然ない。全国の地方自治体の問題であります。ですから、そうした東北地方、全国の地方自治体と連携をする。全国知事会も本当に声を上げる、そういう取り組みが私は必要ではないかと思います。これを最後に熊谷ふるさと振興部長に聞いて、質問を終わりたいと思います。
〇熊谷ふるさと振興部長 全国との連携というお話でございました。ローカル線の問題、本県だけではなく多くの道府県に共通する課題でございます。ことし5月に本県を含む28道府県連名で、国に対しまして、国の交通政策の根幹として鉄道ネットワークを維持すべきこと、それから、JRを含めた鉄道事業者の経営基盤の安定化への支援を行うこと、それから、鉄道事業者側の判断によって鉄道廃止が可能な手続を見直していただきたいことといったことなどについて共同で提言を行ったところでございますし、本県の単独の政府要望におきましても、同様の要望を行っております。
 また、JR東日本から収支が公表された県内6路線のうち、4路線については隣県にまたがる路線となっております。隣県の沿線市町村も含めた沿線自治体が連携を密にして対応を検討していく必要があると思っております。
 これから県内自治体と会議を持つということでございますが、他県との連携のあり方についても、それぞれ沿線自治体と協議してまいりたいと思っております。
 引き続き、同様の課題を抱える他の自治体、他県等とも連携いたしまして、地方ローカル線の確保に向けまして、国やJR東日本等への働きかけなど、さまざま取り組んでまいりたいと考えております。
〇小林正信委員 私からは1点だけ、企業版ふるさと納税について、先ほど佐々木朋和委員からも御質問がございまして、令和3年度の企業版ふるさと納税の寄附状況については、わかりました。
 そこで、ふるさと納税の活用状況については、先ほどの答弁で、たしか令和2年が100万円、令和3年度はゼロとのことでしたけれども、寄附をどう活用したのか。また、寄附してくださった企業に対しては、このように寄附いただいた部分を活用しましたという説明等は行ったのか、そういった点をお伺いします。
〇山本地域振興課長 企業版ふるさと納税の活用状況でありますけれども、令和2年度におきましては、1件100万円の寄附を頂戴しております。こちらは環境学習交流センターの環境企画展の実施に活用しております。令和4年度につきましては、2社から寄附を頂戴しておりまして、こちらは沿岸地域における海洋エネルギーを活用した新産業創出を目的とした海洋エネルギー関連産業創出推進事業に活用しているところです。
 どのような事業に活用するかにつきましては、寄附企業と寄附の際に打ち合わせを行いまして決定しておりますし、各企業に対しましては、どのような事業に活用したのかお知らせをして、かつ、県のホームページでも活用事業について公表しているという状況です。
〇小林正信委員 企業とどうやって活用しようという話し合いをしていらっしゃるというのはすばらしい取り組みだと思いますし、また、これをしっかり地道にいろんな企業と行っていけば、さらに企業版ふるさと納税の寄附額もふえていくのかなと思いますので、ぜひ待ちの姿勢ではなく攻めの姿勢で寄附額を伸ばしていただけるようにお願いしたいと思います。
 他県の状況も気になるのでお伺いしたいと思います。東北6県の企業版ふるさと納税の取り組み状況、あるいは、寄附額はどうなっているのかお伺いしたいと思います。
〇山本地域振興課長 東北6県の状況につきましては、令和3年度の各県の受け入れになりますけれども、こちらは内閣府の公表資料によれば、青森県は6社から1、267万3、000円、宮城県は14社から4、262万6、758円、秋田県は16社から755万円、山形県は5社から1、232万円、福島県は13社から3、390万円となっております。
 いずれも企画担当部局のほうで窓口となりまして事業を進めているような状況でございます。
〇小林正信委員 各東北6県は結構取り組みを充実させていると感じました。岩手県は令和3年度はゼロということでしたけれども、ゼロという課題、どういった課題認識を持っていらっしゃったのか。なぜゼロになったのかというところも含めてお伺いしたいと思います。
〇山本地域振興課長 令和3年度まででありますけれども、県の取り組みとして消極的だった部分があったものと考えます。財源確保という意味でありますとか、あるいは、企業との協働という意味で、企業版ふるさと納税の活用については、しっかりやっていかなければならないと考えておりまして、先ほども御答弁申し上げましたけれども、今後は寄附拡大に向けて、さまざまな取り組みにつきまして、他県の状況等も参考にしながら取り組んでまいりたいと考えております。
〇小林正信委員 既に他の東北6県は1、000万円を超えるような寄附額を得ています。一歩遅かったのかなという危機感をもう少し持って、財源確保の危機感という部分をしっかり持ってやっていただきたいと思います。
 企業版ふるさと納税は全国でもかなりふえてきておりまして、令和3年度は前年度の2倍、寄附額も225億円と過去最大になっています。例えば、受け入れ額が最多のところは静岡県の裾野市、ここは市長が直接企業にトップセールスを行って、企業版ふるさと納税を集めている。また、群馬県太田市はプロスポーツチームのホームアリーナ整備というところを大きく掲げて10億円を超える寄附を集めた。県としてもこういった具体的な事業、まず大きい事業を掲げるとか、あるいは、トップセールス、しっかりと職員、知事が連携して危機感を持って財源確保に取り組むといった姿勢を持って、今後やっていただきたいと思いますけれども、御所見をお伺いして終わりたいと思います。
〇山本地域振興課長 今後におきましても、PRツール等をしっかり活用しながら、企業訪問の際にしっかりと本県の施策をPRするなど、力を入れて取り組んでまいりたいと思います。他県で多くの金額を寄附いただいていることは承知しておりますので、十分、取り組み方法につきましても参考にしながら、取り組んでいきたいと思います。
〇上原康樹委員 私は、公共交通の確保、質の向上について、とりわけバス路線について、これから質疑をさせていただきます。
 岩手県のバスといいますと、昭和の香りがそのまま走っているという、ある種、郷愁を求めるファンも多いのですが、郷愁だけで走り続けているものは、やがてとまります。新しい盛岡バスセンターの運用が始まりました。10月5日に落成式をして、翌日からバスの運行が始まっていますが、ふるさと振興部はこれを機に、盛岡地域を初め県全体のバスの運行管理など、新しいシステムへの更新整備の予定はあるのでしょうか、お示しください。
〇山田地域交通課長 バスの運行管理など新しいシステムの更新等の状況についてでありますが、バスのリアルタイムな運行状況の確認が可能な、いわゆるバスロケーションシステムにつきましては、岩手県交通、岩手県北自動車、ジェイアールバス東北の乗り合いバス事業者3社が個別にスマートフォンなどから検索できるようなサービスを提供しているところでございます。
 また、岩手県バス協会におきましては、これらバス事業者ごとのバス運行情報を一元的に確認できる表示機を盛岡バスセンターに設置しておりまして、今後、盛岡駅など盛岡市内の主要な交通結節点に順次設置していくと聞いております。
 県といたしましては、これまで岩手県バス協会が表示機を設置するための積み立てに対し、運輸事業振興費補助により支援を行ってきたところでございまして、今後も必要に応じまして、支援を実施していきたいと考えております。
〇上原康樹委員 御答弁の中にも出てきましたけれども、リアルタイムで情報を利用者に伝えるという、これは非常に大きいと思います。私、バスセンターを拝見しまして、やはり驚いたのはその点だったのです。もちろん、バスセンターのターミナルの広さ、そして、見通しのよさ、安全性の高さということは高く評価いたしますけれども、とりわけ大きなデジタル表示でバスの運行状況が一目でわかる、これはすばらしいと思いました。
 しかし、これは盛岡バスセンターという突出して新しい都市の中心に据えられた場所だからこそ現在利用できているのでありまして、これが少し町外れに行ったらバスの利用者はどうなるのだろう。まるで原野の中に立たされた非常に寂しい状態に置かれる状況が想像できるわけでございます。盛岡バスセンターのクオリティーを、たった一人、寂しいバス停に立っている利用者にも手当できるようなお気持ちはありますか。
〇山田地域交通課長 バスのリアルタイムなバスロケーションシステムにつきましてですが、繰り返しになってしまいますけれども、現在、バス3事業者につきましては、スマートフォンから検索できるようなシステムを構築しているところでございまして、こちらのほうで検索が可能となっているといった形でございます。
〇上原康樹委員 今、バスがどの辺を走って、間もなくこのバス停にやってくる、知らせる、そういう装置は確かにありましたし、あります。けれど、最近はうまく作動しないということで、全くそこに明かりが灯らない、そういう状況を御存知ですか。それはいいですが、早く直してほしいということです。
 この情報を伝える装置というのは、バス運行状況だけでなく、バス路線の渋滞、事故、気象の急変、さらに言いますと、災害、津波が迫っているなど、非常に多くの分野にわたると思うのです。そうした内容の多様な情報をどう提供していくのか、それは想定されていますか。
〇山田地域交通課長 現在のところ、当方で確認できているところは、バスのルート運行情報、どういったところを走っているかといったようなところで確認が可能なシステムになっているといったところでございます。
〇上原康樹委員 この取り組みは昭和のまま、とまったままであるということが今の答弁で少しわかりました。もっと考えてほしいです。
 バス路線、昔から使われている公共交通機関ですけれども、時代は進化しているのです。それが相変わらず昭和のまま、ないしは、昭和を少し出た時代のままでは、利用者は取り残されていくと思います。特に岩手県は広いですから、これは町の中のバス停の話ではないのですね。いろんな状況があります。星空の下で一人ポツンと待っていないといけない利用者だっているのです。そういう人々に対してどういうサービスを提供していくのかということを、今、具体的に考え始めないと、岩手県のバス路線というのは浮かばれません。
 それから、いろいろな施設の問題もありますけれども、特に豪雪地帯などでのバス停、見るたびに古くなっていく、ボロボロになっていく、たてつけが悪くなっていく、岩手県の冬は大変寒いので、凍りつきます。こういうバス停にたたずむ利用客を守ろうというお気持ちはありますか。その先、そういうバス停を更新していくという計画はあるのでしょうか。バス会社との相談もあると思いますけれども、そういう提案はございますでしょうか。
〇山田地域交通課長 豪雪地帯などにおけますバス停の設置ということだと思いますが、例えば、待合室といった内容でございますけれども、こちらにつきましては、設置数については把握できておりませんけれども、主に乗り継ぎ拠点となるような場所に待合室が設置されている事例が多く、例えば、北上市や花巻市などにつきましては、商業施設の建物の一部を活用しまして、駅前や道の駅などにつきましては、待合室が整備されていると承知しているところでございます。
 また、同じように、雨風をしのげるようにということでございますと、乗り合いバス事業者3社から聞き取った内容でございますが、上屋つきのバス停留所は335カ所整備されていると聞いております。
 県におきましては、運輸事業振興費補助によりまして、バス協会を通じて、バス事業者が行う各種施設整備への助成というメニューがございますので、引き続き、こちらを利用しながら、利用者の利便性向上を図る取り組み等を支援していきたいと考えております。
〇上原康樹委員 快適なバス停というのは大切です。厳しい気候条件の岩手県では、バスを待っているうちに遭難しかねないという状況もあり得ますから、よく考えてください。
 それから、通告はしていないのですけれども、利用者優先のためのバスを用意できるかどうかという話の一つとして、バリアフリー化というのはどうしても避けては通れない問題だと思います。乗車の際の階段の高さ、お年寄りや体の不自由な人には非常に厳しい場面です。元気な人ならいいのです。ひょいひょいと上がれます。ただ、そうはいかない人もいるのです。そうしたバリアフリー化、低床バスというのもありますけれども、もっとバリアフリー化を進めるという構想はございますでしょうか。お考えをお示しください。
〇山田地域交通課長 バリアフリーについてでございます。こちらにつきましては、今年度につきましては、紫波町の紫波中央駅につきまして、エレベーターを設置するということで紫波町のほうでJR東日本が事業を進めているところでございます。
 失礼いたしました。バスにつきまして言いますと、ノンステップバスにつきましては、各事業者におきまして、購入を進めていると考えておりまして、少しずつではありますけれども、改善傾向にある。少しずつノンステップバスの率が上昇していると認識しております。
 また、国庫補助でございますが、車両購入費補助というのがございまして、新車を購入する場合には国庫補助等、県で協調補助をいたしまして、購入費補助という形で補助ができるメニューが存在しているところでございます。
〇上原康樹委員 新しいものに更新していこう、より強靭なバス路線にしていこうという話をしてまいったわけでございますけれども、今度は、古いものも大切にして、岩手県のバス路線をにぎやかにしようという話でございます。
 岩手県北バスのボンネットバスが大人気です。ごらんになったことがありますでしょうか。地元の人の生活の足であるとともに、完全に観光の目玉にもなっています。そのバスの様子を見て走り出す県議会議員もここにいます。
 今走っている老朽化したバスも月日を重ねれば、これは立派なレトロバスなのですね。もう既に現在走っているバスを見て、レトロバスだといって見た、目撃したと喜ぶ都会の若い人たちが本当にいるのです。彼らにとってはもう感動なのです。私たちにとってみれば、なんか古いな、岩手県はどうしてこんなおくれているのだろうと思っている対象のバスが、これは立派な価値あるものです。古いものへの郷愁ではなくて、これは新しい感覚ですね。盛岡市に来る、岩手県に来る、バスがすばらしいとおっしゃる皆さんは、立派な関係人口になり得る人々だと思うのです。ここだと思います。
 古いバスというのは構造がシンプルです。頑丈です。丁寧に保守点検していれば長生きできるものなのです。現代的な町を半世紀前、60年、70年前のバスが走るという場面を想像してみれば、盛岡市ならでは、岩手県ならではの観光の表舞台に立てる存在です。それこそふるさと振興ではないでしょうか。
 今でも十分古い岩手県のバスたち、機械的に代がえするだけでなく、地域の求心力アップの武器にする県政のゆとりを披露していただきたいと思います。熊谷ふるさと振興部長に御所見を伺います。
〇熊谷ふるさと振興部長 先日、バスセンターの開業式に参加させていただきまして、その際、開所式の冒頭に、昔のバスセンターの映像が流れまして、私は北上市出身でございますが、盛岡市にも時々参っておりまして、非常に懐かしく思った次第でありますし、感慨深く思いました。
 それから、バスではなくて鉄道でも乗り鉄とか撮り鉄とか、昔の車両に非常に興味を持って、全国各地に旅行に行っています。いろいろ弊害もあるような報道もありますけれども、交流人口の拡大という面では非常に有力な手段だと思います。今までバスについてそういう発想がなかったのですけれども、御提言いただきましたので、バス協会、バス会社とかと意見交換する場面がありますので、そういった部分で新たな地域振興に使えるのではないか、そういった部分も含めて、さまざま意見交換、研究をしてまいりたいと思います。
〇上原康樹委員 お約束ということでよろしくお願いいたします。終わります。
〇川村伸浩副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇川村伸浩副委員長 質疑がないようでありますので、これでふるさと振興部関係の質疑を終わります。
 ふるさと振興部の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
   午後2時27分 休 憩
午後2時47分再開
〇川村伸浩副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 次に、ILC推進局にILC推進局関係の説明を求めます。
〇箱石ILC推進局長 令和3年度のILC推進局関係の決算について御説明申し上げます。
 初めに、ILC推進局所管の事務事業に係る総括的な取り組み状況と今後の取り組み方針について御説明いたします。
 ILC・国際リニアコライダー計画については、昨年6月にIDT、ILC国際推進チームでございますが、IDTが提案したILC準備研究所に関し、本年2月、文部科学省のILCに関する有識者会議(第2期)から、これを時期尚早とする議論のまとめが公表されたところでございます。
 これを受け、KEK―高エネルギー加速器研究機構では、準備研究所にかわる国際的な枠組みの創設をICFA―国際将来加速器委員会に提案し、ICFAでは、本年4月、日本でのILCの実現を引き続き奨励するとともに、今後1年間の進展を注意深く見守るとするステートメントを公表いたしました。
 現在はIDTがKEKやILC推進のための国内研究者の組織であるILCジャパンと連携し、国際的な共同研究を推進する枠組みの立ち上げの準備や、国際有識者会議を設置して国際的な費用分担等の政府間協議に向けた検討を進めており、来年度の文部科学省概算要求においても、これに沿った要求が行われております。
 ILC推進局では、これまで県民、国民理解の増進に努めつつ、県内、東北、全国のILC推進団体や関係者と連携を図りながら、国に対してILC計画を国家的プロジェクトとして政府全体で推進するよう働きかけを行ってきたほか、ILCによる地域振興ビジョンに基づき、産学官共同によるまちづくりモデルケースの策定、県内ものづくり企業の加速器関連産業への参入支援や技術指導、グリーンILCの理念の普及や取り組みの理解促進など、受け入れ体制の整備の取り組みを東北ILC事業推進センター等とも連携しながら推進してきたところです。
 今後も、引き続き、ILC関連予算の確実な確保を含め、国への働きかけを強化するとともに、建設候補地として必要な受け入れ体制の整備等の取り組みを推進してまいります。
 続きまして、決算の概要について御説明申し上げます。お手元の令和3年度岩手県歳入歳出決算書の12ページ、13ページをお開き願います。
 ILC推進局関係の決算は、2款総務費のうち2項企画費の一部、1億7、773万円余、不用額は723万円余であります。
 決算の内容につきましては、令和3年度歳入歳出決算事項別明細書の記載のとおりであり、説明を省略させていただきますので、御了承願います。
 以上で説明を終わります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
〇川村伸浩副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇臼澤勉委員 私からは、ILC誘致の取り組みについてお伺いいたしますが、ことしの4月に国際将来加速器委員会―ICFAが今後の活動方針についてという声明を出しております。こちらにその当時のレポートがありますけれども、まず、改めて県の受けとめについてお伺いいたします。
〇佐々木副局長兼事業推進課総括課長 4月のICFAのステートメントでございますが、これはKEK―高エネルギー加速器研究機構が本年2月に公表されました第2期有識者会議の議論のまとめを受けまして、3月のICFA会議にILC準備研究所にかわる国際的な枠組みの創設などの提案を行ったことを踏まえて発出されたものと承知しております。
 このステートメントでは、日本でのILCの実現を引き続き奨励するとともに、今後1年間の進展を注意深く見守るとされたところでございまして、ICFAによります日本におけるILC計画の指示が改めて確認された一方で、ILCの実現に向けては、この1年が大変重要な年になるものと認識しているところでございます。
〇臼澤勉委員 まさにこの1年が正念場ということになります。令和3年度の決算審査ではありますけれども、そういったこれまでの取り組み、もっと言うならば、1980年代後半、あるいはKEKができてから50年近くになっておりますけれども、今までのそういった長い歴史、県政においてもさまざまな方々がこのILC誘致に取り組んできた結果、今、ここにあるというように私は理解しております。
 そういった中で、これは通告しておりませんけれども、ILC計画の中で、この7月にスノーマスプロセス、サマースタディというようなものも行われて、現在10月中の取りまとめみたいなところで動いているかと思うのですけれども、そこら辺の取りまとめ状況みたいなところがもしおわかりになったら教えていただければと思います。
〇佐々木副局長兼事業推進課総括課長 スノーマスでございますけれども、スノーマスのプロセスといいますのは、アメリカの素粒子物理学の今後10年の戦略的な計画を策定するためにボトムアップのプロセスとして研究者からさまざまな提案を受けて、それを整理するためのプロセスということで伺っております。その最後の全体会議が7月にシアトルで行われたスノーマスプロセスのサマースタディということで理解しておりまして、そのサマースタディにおきましては、日本からもKEKやILCジャパンなどのメンバーが出席をして、日本の現状、これからの取り組み方針などについて説明したと聞いております。
 その結果につきましては、意見交換の状況によりますと、アメリカの研究者には大変御理解をいただいたと聞いております。10月までの取りまとめの期間があるということで、まだ取りまとめ結果は公表されておりません。その状況についても、KEKのほうには情報がないということでございまして、これについては、我々としても注目しているところでございます。
〇臼澤勉委員 いずれ本当に国際プロジェクトなものですから、さまざまな日本政府、あるいは地元、我々は岩手県でございますけれども、多くの方々の参画なり調整が必要な難しいプロジェクトと理解しております。
 そういった中で、我々岩手県、地元としてしっかりと誘致が実現した先を見据えながら準備を進めていかなければいけませんけれども、現在の東北ILC事業推進センター、鈴木学長をリーダーとした地質調査等の、例えばそういった進捗状況等々、どのような状況になっているかお伺いします。
〇藤島計画調査課長 地質調査等の進捗状況についてでありますが、これまで県と東北大学との共同研究などにより、施設計画に向けた地表踏査やボーリング調査、弾性波探査などの地質調査を行ってきたところであり、令和2年10月に東北ILC事業推進センターが地形、地質の状況や施設配置計画案をまとめた東北ILC施設計画を公表したところでございます。
 昨年度からは、東北ILC事業推進センターの事業として、それまでの地質調査成果をもとに加速器トンネル付近の地質状況を整理し、設計、施工にかかわる土木地質的考察、留意点等を取りまとめた地質縦断図の作成等を行い、現在は、施設配置計画案との整合等を進めているところでございます。
 県は、こうした取り組みに対する関係市との調整を行うなどの支援を行っているところであり、引き続き、こうした調査、検討が円滑に進むよう支援していきます。
〇臼澤勉委員 進捗状況のパーセントを仮に示すとしたら、どの程度になっているでしょうか。
〇藤島計画調査課長 研究者のほうで地質調査のほうは中心的に行っているのですが、進捗状況については、私のほうでは把握していないところでございます。
〇臼澤勉委員 着実にやるべきことは進めていると捉えております。そういった中で、自然環境とか社会的、経済的影響等々について、戦略的環境アセスの検討状況、これも大変重要なポイントになってまいりますが、そこら辺の検討状況等についてお伺いします。
〇藤島計画調査課長 環境アセスメントの検討状況についてでございますけれども、ILCに関しては、トンネルなどの地下構造物等の大部分が環境影響評価法や条例の対象外となりますが、自然環境への影響が懸念されますので、平成30年の日本学術会議においても、実質的な環境アセスの必要性について言及されているところでございます。
 令和元年9月にKEK―高エネルギー加速器研究機構では、ILC環境アセスメント評価アドバイザリーボードを設置しまして、ILCの事業特性を踏まえた環境アセスのプロセス等について検討が行われまして、令和2年12月のILC計画の戦略的環境アセスメントの実施について、議論のまとめにおいて、実施段階の環境アセスメントに先立ち、自然環境のみならず、社会的、経済的影響についてもカバーする戦略的環境アセスメントの手法を導入することが望ましいとされています。
 現在、こうした状況を踏まえまして、KEK、有識者、研究者による勉強会が開催され、戦略的環境アセスメントの手法等について検討が進められています。
 県としては、建設候補地として、環境アセスに関する必要な情報提供などの協力を行ってきたところでございまして、引き続き、KEK等に対して必要な協力を行っていきます。
〇臼澤勉委員 先般、9月6日に、国際経済政策調査会が主催した第110回加速器科学研究会が東京で開催され、私、あるいは箱石ILC推進局長も出席しました。あのとき甘利衆議院議員が講師として招かれ、グローバル・スタートアップ・キャンパス構想というテーマで講演をされておりました。あと、鈴木財務大臣のメッセージも紹介されておりました。改めてお伺いいたしますが、このILC実現の意義を県としてどのように捉えているのかお伺いいたします。
〇佐々木副局長兼事業推進課総括課長 御紹介いただきましたように、9月6日に加速器科学研究会での甘利衆議院議員の講演は、ILC直接ということではなくて、グローバル・スタートアップ・キャンパス構想と経済安全保障戦略というタイトルございました。これに関しましては、これも御紹介ございましたが、鈴木財務大臣からも、ILC実現は経済安全保障に寄与するプロジェクトである、大いに参考にしてほしいというようなコメントが寄せられております。
 こうしたILCの国際的な価値に関しましては、多くの関係者の講演や発言などにおきましても多数取り上げられておりまして、ことし5月の加速器科学研究会における鈴木県立大学学長の講演の中でも、世界の中での日本の地位と国家安全保障、世界に好まれる国から尊敬される国ナンバーワンにといったような言葉で紹介をされているところでございます。
 このような経済安全保障を含めましたILCの国際的な価値やその意義につきましては、ILC計画の推進を強力に訴える力となることを改めて認識したところでございまして、今後の各界への働きかけなどに十分生かしてまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 私もいろいろ地元、県内、あるいは首長さんたちとの意見交換とか、地元を歩きながらILCの話題を取り上げることもあるのですけれども、正直、まだまだこのILC誘致の意義というか、そういった部分、あるいは、ことしがまさに重要な正念場を迎えているという割には、まだ少し岩手県の中でも、ここの意義、効果みたいなところが、まだまだ浸透していないのかと思います。改めてこのILCのイノベーションの創出について、要は、ILCが実現したら岩手県内にとってどういう効果があるのか、あるいは、もっと大きな意味での先ほどの経済安全保障に寄与するプロジェクト、そういった部分の県内波及効果を含めて、今後、しっかりと市町村に普及していく必要があると思いますが、改めてそこら辺の取り組みについてのお考えをお伺いします。
〇佐々木副局長兼事業推進課総括課長 ILC誘致の意義や効果の県内市町村への普及ということでございます。
 国への働きかけにおきましては、ILCの意義について、その実現で波及効果は広く世界に及び、特に、建設候補地である東北では、国際的なイノベーションの拠点の整備が進むことで世界に開かれた地方創生、東日本大震災津波からの創造的復興にもつながるというふうに訴えてまいったところでございます。
 一方、県内市町村に対する情報発信という意味におきましては、本年2月の有識者会議の議論のまとめ以降、ILCの展望等に不安を感じる方も多いものと考えておりますが、御指摘のとおり、現状においては、必ずしも十分な発信になっていなかったという反省もあるところでございます。
 県におきましては、これまでSNSなど各種媒体を活用した情報発信、それから、県内外のイベント出展、講演会等による機運醸成を図ってきたところでございまして、そうした取り組みの中で、例えば、建設候補地以外への波及という意味では、グリーンILCの取り組みがございますが、こうした取り組みは民間企業や建設地以外の自治体も参加する活動として広がりを見せてきているところでございます。
 県といたしましては、ILC計画の動向とともに、その意義や効果についてわかりやすく発信していくことが地域の機運醸成、理解促進につながるものと考えておりまして、岩手県ILC推進協議会などとも連携し、工夫を凝らしながら取り組みを推進してまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 まさに吉岡先生を初め、今の御紹介があったグリーンILCの取り組み、一関市や、あるいは西和賀町のほうとか、この前は一戸町の奥中山だとか、いろいろ県内各地で民間ベースも含めて、今、取り組みを進めていますし、あとはクアオルト事業みたいな形で健康保養地のような、今後2、000人クラスの世界の頭脳が岩手に集積して、あるいは、人口交流も含めて出てくる中において、さまざまな効果、あるいは、医療現場にしても新たな機器の開発だとか、生まれてくるのだと思っております。
 私、今回なぜ取り上げてきたかというのを冒頭に言いましたとおり、岩手県が建設候補として今、動いている中で、そもそも候補地の決定過程というのも、最初はハワイにつくろうというような動きもあった。そういった中で、最終的には日本、そして、九州地方とかあちらのほうから岩手県のほうに絞られてきたという中で、きのうも飯澤匡委員から総括質疑で話がありました。椎名先生、名古屋市の物理の先生といいますか、知識もありながら、あとは当時の西澤先生、県立大学の初代学長、当時の東北大学の学長のかかわりだとか、工藤巌知事、そして増田知事とか、歴代のそういったバトンがどんどんつながってきて、今ここにあるのだと。
 せっかく岩手県がこのILCを実現することによって、次の未来に向けた大きな可能性を秘めているというプロジェクトであり、もっと言うならば、アジアの中でどういう位置づけを持っていくのかというような、これからの岩手県にとっても、日本にとっても、すごく大きなプロジェクトというのは、議会の中でも当局も、そこは十分理解しているものと私も思っております。
 ですから、ことし、正念場に向かって、国のほうでも先般、文部科学省では予算要求も倍増、9億7、000万円ということで進めてきております。ぜひそこら辺の評価を県は受けとめて、今後どのように取り組んでいくのか、お伺いさせていただきたいと思います。
〇箱石ILC推進局長 ILCの意義とその発信についてでございます。今、臼澤勉委員からお話がありましたように、ILCには非常に大きく、そして、多様な意義、価値があると考えております。世界から数千人規模の研究者がこの岩手県に集って、アジア初の大型国際科学技術の拠点となるということで、その施設そのものが国際貢献、そして、平和構築の場としての役割も果たすという大きな期待があると思います。また、そういった世界最高水準の研究施設が身近にあることによって、子供たちに夢や勇気を与え、挑戦する意欲を与えるというさまざまな分野で活躍するグローバル人材の育成にも資するものと考えております。
 大谷翔平君や菊池雄星君、それから、小林陵侑君など、岩手県から世界に羽ばたいておりますけれども、科学の分野で、学術の分野で世界から岩手県にという大きな流れが生まれて、将来、ノーベル賞のようなことも期待できればと考えております。
 このほかにも、繰り返しになりますが、イノベーションの創出、産業の発展、国際都市エリアの誕生による多文化共生、新たな地方創生、グリーンILCによる地域循環社会の実現、そして、東日本大震災津波からの復興と本当に数えきれない意義と価値があると思っております。
 こうした価値、効果を国民、県民の皆さんにしっかりと発信し、その理解と応援をいただきながら、県議会を初め関係者の皆さんと引き続き、国のほうにしっかり働きかけて、その実現に向けて一生懸命取り組んでまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 ありがとうございました。まさにキーワードは、Science for Peaceという言葉があるとおり、今回のアジア初の大型国際科学技術拠点になり得るILC、これが岩手県にとっても、あるいは日本にとっても、平和と発展のための拠点になると思いますし、今、日本から世界に知的頭脳が流出している中で、また戻ってくるための頭脳流入のインテリジェントコスモスパークのような地域にこれから岩手県、東北地方とか日本がなっていくように私は位置づけております。ぜひ、ともにしっかりと取り組んでいきたいと思いますので、よろしくお願いします。終わります。
〇斉藤信委員 令和4年2月14日に有識者会議が議論をまとめて、準備研究所段階への移行は時期尚早、立地問題、一旦切り離して段階的に研究開発を展開すべきと、こうした議論のまとめを行いました。その後の取り組みについてお聞きしますが、まず第1に、研究者コミュニティによる再検討は今、どうなっているでしょうか。
〇佐々木副局長兼事業推進課総括課長 斉藤信委員御紹介のとおり、再検討につきましては、本年2月に公表された有識者会議の議論のまとめにおきまして、ILC準備研究所段階の移行は時期尚早とされ、ILC計画の進め方についても再検討する時期に来ているとされたものでございます。
 これを受けまして、KEK―高エネルギー加速器研究機構では、準備研究所にかわる国際的な枠組みの創設をICFA―国際将来加速器委員会に提案し、ICFAでは本年4月に日本でのILC実現を引き続き奨励するとともに、今後1年間の進展を注意深く見守るとするステートメントを公表したという流れでございます。
 現在でございますが、IDT―ILC国際推進チームがKEKやILCジャパンと連携いたしまして、ILC準備研究所にかわり国際的な共同研究を推進する枠組みの立ち上げの準備、それから、国際有識者会議を設置いたしまして、国際的な費用分担等の政府間協議に向けた検討を進めているところでございます。
 文部科学省の令和5年度の概算要求においても、この方向に沿って本年度当初予算比で倍増となる9.7億円の予算が盛り込まれたところと承知しております。
〇斉藤信委員 二つ目に、関係国による協議はどうなっているでしょうか。CERNのFCCの計画、検討状況を含めて示してください。
〇佐々木副局長兼事業推進課総括課長 有識者会議の議論のまとめにおきましては、ILCのような巨額のプロジェクトを実現させるためには、関係国の政府関係者が議論できる環境を醸成することが重要とされたところでございます。
 これを受けまして、IDTでは、国際有識者会議を設置し、大型加速器を国際的な事業として実現する際の課題、注意点を整理し、実現に向けての台本のようなものを作成することとして議論を進めております。この議論は来年春を目標に、関係国の政府間における理解の共有を図るための取り組みとして進められているところでございます。
 また、御紹介がありましたCERNのFCC―将来円形衝突型加速器でございますが、これに関しましては、現在、実現可能性調査の段階にありまして、2025年の報告書の取りまとめに向けた検討が進められているものと承知しております。
 現時点でICFAが4月のステートメントで表明している日本でのILC実現を奨励する状況に変わりはないものと考えております。
〇斉藤信委員 国際的な費用分担、協議について、ヨーロッパでは大変消極的というような状況もありましたが、その後、進展はあるのでしょうか。
〇佐々木副局長兼事業推進課総括課長 ILCに関する費用負担でございますが、今後のILC計画の進展に向けた最重要事項の一つでございまして、IDTが設置した国際有識者会議の場において、国際的なプロジェクトにおける費用負担のあり方として議論されるものと聞いております。
 国際有識者会議は既に2回の会合が開かれ、10月中にも3回目の開催が予定されていると聞いておりますが、具体的な状況につきましては、公表されていないことから、引き続き、情報収集に努めるとともに、その動向を注視してまいります。
〇斉藤信委員 政府は来年度の概算要求として、今年度の倍増となる9.7億円の概算要求を行った。倍増された概算要求の中身は何なのか。この概算要求について、どのような評価がなされているか示してください。
〇佐々木副局長兼事業推進課総括課長 概算要求の9.7億円の内容ということでございますが、これにつきましては、7億円部分が補助金として措置をされるための経費ということでございまして、国際共同研究を推進するための経費と聞いております。それから、残りは交付金の一部として2.7億円が措置されるということで、KEKの中での研究の底上げを図るようなものだろうと推測しております。これをもとにしまして、今、IDTで進められているILCテクノロジーネットワークで行われるべき研究が行われると考えておりまして、この国際的な共同研究を進めるという方向性に沿ったものということでございまして、かつてない増額が行われますので、ILCの進展に寄与するものと期待しているところでございます。
〇斉藤信委員 ことし9月6日に第110回加速器科学研究会が開催されました。甘利衆議院議員が講演したとなっていますが、鈴木財務大臣からのメッセージでは、ILC実現は経済安全保障に寄与するプロジェクトとありましたが、これはどういう意味でしょうか。
〇箱石ILC推進局長 ILCについては、先ほども御説明しましたけれども、科学技術外交、その存在が世界平和に資するという意味合いも含めてのメッセージだったのではないかと思います。経済安全保障につきましては、法律で別の意味合いもございますけれども、私も出ておりましたけれども、そのメッセージの意味合いとしては、私の受けとめとしては、平和に資するアジア初の国際研究施設というふうに受けとめたところでございます。
〇斉藤信委員 経済安全保障、今、政府が進めようとしているのは、対中国対策の色彩がすごく濃いですね。私はあまり経済安全保障に絡めないで、本当に純粋に科学技術の進歩、発展、そういう発想で進めないと、本当の意味で国際的な協力を得られないのではないかという感じがいたしました。
 そこで、国際的な状況も国内状況も丸3年を迎える新型コロナウイルス感染症による危機、そしてウクライナ危機を契機とした物価高騰問題など、私は経済的には世界も日本も大変厳しい情勢にあるのではないかと受けとめております。その際、私は日本政府の対応というのはすごく大事で、そういうときに科学技術立国を本気で進めるのか、軍事費を2倍にして軍事大国の道を進めるのか、私は全然方向が違ってくると思うのです。今、厳しい経済情勢、財政危機の中で軍事費を2倍にふやすなんていう軍事大国の道を進むなら、ILCにかける中長期的な財政の見通しは出てこないのではないか。私はこのことを一番危惧するのですけれども、その点、箱石ILC推進局長はどう受けとめているでしょうか。
〇箱石ILC推進局長 ILCの日本誘致につきまして、まず一番は、宇宙の誕生の謎を解明するという大きな学術的な意義を持ちますけれども、繰り返しでございますが、それ以外の多様な価値があるということを強く訴えていきたいと思っております。したがいまして、国に対しましては、当然、文部科学省が中心になるかとは思いますけれども、文部科学省を中心としつつ、省庁横断、連携の体制を強化していただきまして、まさに国家的プロジェクトとして将来、中長期的に投資額が何倍にもなって返ってくるようなプロジェクトとしてぜひとも前に進めていただきたいと思っておりますし、その方向に向けて、ことしの予算でまた国際的な研究者のコミュニティーで新しい取り組みが動き始めましたので、その動きをさらに加速させるように取り組んでまいりたいと考えております。
〇川村伸浩副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇川村伸浩副委員長 質疑がないようでありますので、これでILC推進局関係の質疑を終わります。
 ILC推進局の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 執行部席の消毒のため、しばらくお待ちください。
 次に、出納局長に出納局関係の説明を求めます。
〇木村会計管理者兼出納局長 出納局関係の決算につきまして、お手元の歳入歳出決算事項別明細書により御説明いたします。
 まず、一般会計について御説明いたします。170ページをお開き願います。
 2款総務費、1項総務管理費、1目一般管理費のうち出納局関係の支出済額は、171ページ備考欄に記載のとおり、8億2、015万円余であり、これは職員の人件費などの管理運営費及び県営建設工事入札業務に係る経費であります。
 次に、174ページをお開き願います。5目会計管理費の支出済額は、175ページに記載のとおり、1億7、757万円余であり、その内容は、管理運営費、収入証紙売りさばき手数料などでございます。
 次に、岩手県証紙収入整理特別会計について御説明いたします。ページを少し飛んでいただきまして、428ページをお開き願います。
 まず、歳入でございますが、収入済額の合計は、429ページに記載のとおり、32億8、739万円余でございます。
 続きまして、430ページをお開き願います。歳出でございますが、支出済額の合計は、431ページに記載のとおり、31億8、627万円余であり、これは一般会計及び歳入歳出外現金への繰出金でございます。
 次に、461ページをお開き願います。実質収支は、歳入総額から歳出総額を差し引きました1億111万円余でございます。
 以上で出納局関係の説明を終わります。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
〇川村伸浩副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇川村伸浩副委員長 質疑がないようでありますので、これで出納局関係の質疑を終わります。
 出納局の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 執行部席の消毒のため、しばらくお待ち願います。
 次に、人事委員会事務局長に人事委員会関係の説明を求めます。
〇菊池人事委員会事務局長 人事委員会関係の決算につきまして、御説明申し上げます。
 お手元の歳入歳出決算事項別明細書、202ページをお開き願いたいと存じます。
 第2款総務費のうち、9項人事委員会費でございます。予算現額1億6、867万円余に対しまして、支出済額は1億6、512万円余でございます。
 内訳でありますが、1目委員会費の支出済額643万円余は、委員3人分の報酬など委員会の運営に要した経費でございます。
 2目事務局費の支出済額1億5、868万円余でございますが、これは事務局職員19人分の人件費及び事務局における任用、公平審査、給与関係事務等の管理運営に要した経費でございます。
 以上で人事委員会関係の決算の説明を終わります。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
〇川村伸浩副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇斉藤信委員 それでは、令和3年度実績の労働基準及び労働安全衛生に関する事業場調査結果の概要を踏まえて質問しますが、超過勤務の実態調査の結果はどうなっているでしょうか。
〇藤村職員課総括課長 超過勤務の実態調査の結果でございますが、本委員会が労働基準監督機関として行う事業場調査では、教育職員以外の職員で月平均で30時間を超える超過勤務を行った職員がいる事業場は、令和3年度は前年度と同数の38事業場となっているところでございます。
 また、教育職員につきましては、超過勤務を命じることができる業務が、いわゆる超勤4項目に限られておりますので、それ以外の業務を含めた時間外在校等時間で申し上げますと、月100時間を超える教育職員がいる県立学校は、令和3年度は前年度から5事業場が減少し、17事業場となっているところでございます
〇斉藤信委員 事業場の数は示されましたけれども、それこそ月30時間を超える県職員の人員、月80時間、100時間を超える教育職員の実数はどうなっているでしょうか。
〇藤村職員課総括課長 月30時間を超える職員につきましては、その職員がいる事業場につきまして調査させていただいておりますので、調査自体には数字というのはございません。申しわけございません。
 ちなみに、80時間を超える、100時間を超える職員について申し上げます。教育職以外の職員について申し上げますと、令和3年度、月80時間を超えた職員は、実人数で前年度から33人増加して294人に、100時間を超えた職員は、前年度から3人増加して132人となっております。(「教員は」と呼ぶ者あり)失礼いたしました。
 教員につきましては、時間外在校等時間が月80時間を超えた職員は、実人数で前年度から162人増加して627人に、月100時間を超えた職員は、前年度から21人減少して52人となっております。
〇斉藤信委員 教育職員以外のところで時間外在校等時間が月80時間を超えた職員が132人、前年度プラス3、時間外在校等時間が月100時間以上の超過勤務を行った人が294人でプラス33となっておりますけれども、この要因はどのように把握されているでしょうか。
 教育職員の場合は、時間外在校等時間が月80時間を超えた職員が162人も増加して627人になっていますけれども、これはどういう要因なのか示してください。
〇藤村職員課総括課長 まず、教育職員以外の職員について申し上げますと、令和3年度増加した要因といたしまして、新型コロナウイルス感染症対応に加え鳥インフルエンザ対応等により業務量が増加したもの、また、教育職員につきましては、令和3年度増加した理由といたしましては、新型コロナウイルス感染症対策のために制限しておりました教育活動が緩和されたことによるものと聞いております。
〇斉藤信委員 県職員の場合は人事課でもお聞きしましたので、教育職員で時間外在校等時間が月100時間を超えた職員は減っているけれども、時間外在校等時間が月80時間以上という職員を合算しますと、これまた前年度と比べて161人増加しているのです。部活動を再開したということでありますけれども、これに対する対応はどうなっているのか。
 あわせて、この調査では、県立学校教育職員の時間外在校等時間の調査で、時間外在校等時間が月100時間を超えた職員が52人ということで、これは減っているけれども、この点についても、面接指導は98%まで行われたということで、この点は大変改善はされているなと私は思います。ただ、時間外在校等時間が月80時間超という職員で見ると、これはどういう形の指導がなされているのか、人事委員会としての改善指導、現場での改善の取り組み、これはどうなっているでしょうか。
〇藤村職員課総括課長 まず、県教育委員会におきましては、岩手県教職員働き方改革プランにおきまして、時間外在校等時間の月100時間以上の者をゼロとするといった目標を掲げております。それに加えまして、時間外在校等時間が月100時間以上の教職員にかかわらず、時間外在校等時間を減らすといった形のものをあわせて取り組むということで取り組んでいると承知しております。
 時間外在校等時間が月100時間以上につきましては、人数が減っているという状況もございますが、御指摘のとおり、時間外在校等時間が月80時間超の職員が実数としてもふえているといった部分につきましては、やはり引き続き、時間外在校等時間が月80時間を超える職員も含めて学校現場における管理職員等々の取り組みといったものも必要になってくるかと思います。
 そういったことにつきましては、県教育委員会とも連携を密にいたしまして、認識を共有して、縮減の取り組みに指導、助言を果たしてまいりたいと思っております。
 また、面接指導におきましても、県教育委員会におきましては、これまで時間外在校等時間が月100時間を超える職員について重点的に行ってきました。時間外在校等時間が月80時間を超える職員につきましては、申し出に基づくものということで進めていくということを聞いております。引き続き、この状況を踏まえまして、人事委員会としても意見交換等を図っていきたいと思っております。
〇斉藤信委員 一般的には時間外在校等時間が月80時間以上というのは過労死の危険ラインと言われていますので、時間外在校等時間が月100時間というのは本当に異常なので、これは直ちになくす。あわせて、過労死ラインと言われる80時間を超えるこうした超過勤務も解消、根絶していくという思い切った取り組みを進めていただきたいと思います。
 次に、県職員の処分に対する審査請求の問題についてお聞きをいたします。県職員の処分に対する審査請求があった場合、人事委員会はどう対応するのか、審査の基準、プロセスを示していただきたい。
〇藤村職員課総括課長 御質問の審査請求への対応についてでありますが、処分に対する審査請求を受理した場合、処分者からの答弁書及び請求人からの反論書の提出を受けた後、当該事案の事実や処分者及び請求人の主張、証拠の整理を行い、処分の承認や取り消しなどの裁決を行うものでございます。
 なお、審査は不利益処分の手続や量定などが地方公務員法などの法令に適合してなされたかどうかの視点から行われるものでございます。
〇斉藤信委員 これまで県職員の処分に対する審査請求というのがどれだけ出されて、どういう裁決となっているか、これは示せますか。
〇藤村職員課総括課長 昭和30年以降の件数だけお答えさせていただきたいと思います。
 これまで過去に県職員関係のストライキ等の審査請求がございましたので、そちらのほうは件数が多いものですから、それを除いた数字でございます。昭和30年以降、43事案でございます。
〇斉藤信委員 昭和30年ということでかなりさかのぼられましたので、2000年以降ということでいけば何件あるか。
 そして、この審査請求に係る期間、結論が出るまでの期間、これまでの例としてどのぐらいの期間がかかっているかを示してください。
〇藤村職員課総括課長 失礼いたしました。先ほど申し上げたものにつきましては、本委員会が市町村からの公平委員会事務を受託していることもございますので、市町村職員からの審査請求といったものも含めた数字でございます。
 今、私の手元にある数字で御説明させていただきますと、昨年度は5件、今年度は4件の審査請求を受理しております。
 県職員及び市町村職員の関係の内訳につきましては、申しわけございません。総数で申し上げさせていただきました。
 それから、期間についてでございますが、審査請求の審査は職員の権利利益の救済を図る見地から、簡易迅速な審理を行うことを原則としております。ただ、事案によっては期間はさまざまでございまして、これまでの例で見れば、6カ月程度のものや1年を超えるものもございます。
〇川村伸浩副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇川村伸浩副委員長 質疑はないようでありますので、これで人事委員会関係の質疑を終わります。
 人事委員会事務局の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 執行部席の消毒のため、しばらくお待ちください。
 次に、監査委員会事務局長に監査委員関係の説明を求めます。
〇藤澤監査委員事務局長 監査委員関係の決算につきまして、御説明申し上げます。お手元の歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げますので、202ページをお開き願います。
 第2款総務費のうち10項監査委員費、1目委員費の支出済額は2、432万円余でありますが、これは監査委員4名の報酬、給与及び監査等に要した経費であります。
 次に、204ページをお開き願います。2目事務局費の支出済額は、2億1、827万円余でありますが、これは事務局職員の人件費等、事務局の管理運営に要した経費であります。
 以上で監査委員関係の説明を終わります。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
〇川村伸浩副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇川村伸浩副委員長 質疑はないようでありますので、これで監査委員会関係の質疑を終わります。
 次に、警察本部長に警察本部関係の説明を求めます。
〇森下警察本部長 令和3年度の警察本部関係の決算について御審議をいただくに当たり、初めに、東日本大震災津波に伴う当県警察の取り組みにつきまして、御説明を申し上げます。
 東日本大震災津波の発災から11年7カ月が経過いたしましたが、いまだ1、100名を超える方々が行方不明のままであり、身元の判明しない御遺体が47体ございます。県警察といたしましては、行方不明者の御家族からの御要望を踏まえながら捜索活動を引き続き継続して実施をしていくほか、各種鑑定の活用による身元の割り出しを引き続き推進するとともに、今後も被災地の安全、安心を確立するためにしっかりと活動を推進してまいります。
 それでは、警察業務の推進状況について御説明を申し上げます。
 県警察では、令和3年の運営重点において、県民の期待と信頼に応える力強い警察を基本姿勢とし、被災者に寄り添う警察活動の推進を活動重点として、必要な各種施策を推進してまいりました。
 昨年中の県内の治安情勢を顧みますと、刑法犯の認知件数は2、507件でありまして、前年より46件減少いたしております。特殊詐欺につきましては、認知件数、被害額ともに前年よりも減少したものの、いわゆるサイバー犯罪の相談が増加しておりまして、平成26年以降、約2、000件を超える水準で推移しております。
 一方、交通事故の状況につきましては、発生件数、負傷者数ともに18年連続で減少してきておりまして、死者数35人というのは、記録の残る昭和23年以降最少となりましたが、人口10万人当たりの死者数においては、全国平均をなお上回っているという状況でありまして、東北管内では2番目に多いという数字であります。
 こうした中、本年2月の県民意識調査における重要度が高い項目の中では、交通事故の少ない社会づくりが第1位、犯罪への不安の少ない社会づくりが第2位と上位にランクされており、県民が切望する安全、安心を実感できる地域社会の実現に向け、県警察の総力を挙げて各種施策に取り組んでいるところでございます。
 続きまして、令和3年度の警察本部関係の決算について御説明申し上げます。お手元の令和3年度岩手県歳入歳出決算書の14ページをお開き願います。
 警察本部関係については、下段の9款警察費でございまして、歳出予算現額の総額につきましては、303億8、050万円余で、これに対する支出済額の総額は294億8、224万円余であります。
 なお、令和4年度への繰越額は2億1、048万円余であります。
 決算の内容につきましては、説明を省略させていただきますので、御了承をお願い申し上げます。
 以上のとおりでございます。どうぞよろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。
〇川村伸浩副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇郷右近浩委員 1点、質問をさせていただきたいと思います。
 この間、岩手県警察におきましては、被災した庁舎や宿舎を計画的に順次更新、そして新築ということで行ってきたと認識しております。その中にあって、例えば、庁舎の同じ敷地内に宿舎を設けたりとか、いろいろな形で建てられてきました。新しい庁舎は、沿岸地域に行くたびに拝見させていただきながら、そこが安心、安全の起点になって、地域の、そして、さまざまな活動につながっていくということを感じさせていただいているところであります。
 その中において、数字を追いかけたのですけれども、令和3年度の決算の中で、できれば直近も含めて教えていただきたいのですが、施設の改修費等はどのようになっているのか、まずお聞きしたいと思います。
〇長谷川警務部長 警察施設の改修費についてのお尋ねでございましたけれども、警察署等修繕費、待機宿舎修繕費、財産管理費の合計額になりますけれども、令和3年度は2億5、700万円余、令和2年度は1億5、000万円余、令和元年度は2億3、500万円余となっております。
〇郷右近浩委員 交番、駐在所等の建設事業等も進めてきた中で、沿岸地域の被災したさまざまな施設の建てかえであったり、そうしたものはこれで大体進んできたと私自身には見えているわけでありますけれども、ただ、翻って、内陸地域などでもかなり経年劣化がひどい施設がまだまだあります。私の地元の奥州市におきましても、何とか屋敷と言われるぐらい物すごく古い、50年以上の建物が多いといった中で、今後どのような形で庁舎であったり、宿舎であったり、そうしたものを管理していくのか、この点についてお知らせいただきたいと思います。
〇長谷川警務部長 まず初めに、警察署庁舎についてでありますが、県内で最も古い紫波警察署庁舎について、同じく老朽化の著しい警察本部交通機動隊本隊庁舎等と現在の位置に一体整備する方針で計画を進めており、令和10年度の完成を見込んでいるところであります。以降、建築年次の古い庁舎を対象に、順次、建てかえ整備を図ってまいりたいと考えております。
 次に、職員宿舎についてでありますけれども、警察本部が所管する有料の職員宿舎は、現在106棟1、082戸ございますが、築40年以上の宿舎が約65%を占めておりまして、老朽化が進んでおります。当面は緊急性の高い修繕等を優先的に実施しつつ、効率的、効果的な長寿命化対策に取り組むこととしております。
 また、利用状況が低調な職員宿舎につきましては、エリア単位で必要数を整理し、老朽化の状況等も加味しながら維持、保全を図ってまいります。
〇郷右近浩委員 今、御答弁の中で、築40年以上の宿舎が65%とお示しいただきましたけれども、以前、資料をいただいた中では、計算に間違いがなければ、50年以上に至るのが28宿舎ほどあるということで、その中に先ほど話をさせていただきました奥州市水沢の宿舎があったり、さらには北上市の宿舎があったりといった中で、私の認識ではありますけれども、これまで警察の宿舎は警察署に近いところで、そして、すぐに出動体制がとれるといったような形で設置されてきた。それはもちろんそのとおりだと思うのですけれども、逆に言えば、そこの部分を建てかえるのかどうするのかという形になっていくと、それはそれでなかなか困難になってくるのかなと思っているところであります。
 ましてや、今、岩手県公共施設等総合管理計画においては、やはり公共施設の施設規模であったり、総量の適正化の取り組みなどというような形で2040年度までに庁舎などの公共施設の延べ床面積を令和2年度比で85%程度になるように見直しを進めるという方向になっている中にあって、これからどのようにしていくのかといった課題があろうかと思います。
 そこでですけれども、先ほど内陸部にもこれから庁舎等を整備していくといったような、全部ができるかどうかは別ですけれども、そうしたようなお考えを示していただきましたけれども、今後、宿舎等はどのようにしていくのか、新築等を考えているのか、それとも何か違う手法を考えているのか、その点についてお伺いしたいと思います。
〇長谷川警務部長 職員宿舎の新築整備につきましては、厳しい財政状況から、先ほど委員御指摘の、例えば、岩手県公共施設等総合管理計画には、長寿命化とか施設の総量抑制といったことも記載されておりまして、そういったことも念頭に置きつつ、今後、県自前の整備は極めて困難であると考えておりまして、PFIを初め民間資金の活用ですとか、あるいは民間住宅の借り上げ等、さまざまな手法を柔軟に検討しながら必要数を確保していく必要があると考えております。
〇郷右近浩委員 令和元年度に釜石警察署の庁舎を新築した際に、釜石警察署の職員、警察官の増員ということで、釜石警察署において借り上げ宿舎整備ということで、民間のアパートを借り上げるといった手法をとった事例も聞いております。これから建てかえはなかなか難しい時代でもあるとすると、これまで警察署があって、その近くに宿舎があるということでは、割といい立地条件のところであれば、取り壊してどのような形で処分するかを含めて、例えば、民間のアパートを借り上げるだとか、そうした方向は考えられるものではないかと思うわけであります。
 ただ、これは公務員宿舎というか、県庁の職員であったりとかとまた違って、警察の場合は、ある程度近場で、なおかつ、同じアパートにあまりいろいろな人が混在しないような、まして借り上げであったりとか、いろいろな配慮は必要かと思いますが、常に有事の際に飛び出していけるような安心、安全の体制をつくり上げていただければと思います。これに対して森下警察本部長、何か所感をいただければと思います。
〇森下警察本部長 郷右近浩委員から御指摘いただいたように、警察施設の整備方針については、さまざまな長寿命化、あるいは、施設の総量抑制なども念頭に置きながらではありますけれども、執務環境、あるいは住環境の整備というものが業務の効率化であったり、職員の士気の高揚であったり、さらには、将来にわたる優秀な人材確保、そういった観点で極めて重要だと私どもも認識しているところであります。ぜひさまざまな手法を検討しながら、計画的な整備に努めていきたいと考えております。
〇川村伸浩副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
   午後4時4分 休 憩
午後4時22分再開
〇名須川晋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇斉藤信委員 最初に、ことし3月に発生した供述調書改ざん事件についてお聞きいたします。
 県内の警察署に勤務する30代男性巡査部長が、被害関係者の供述が証拠上の事実と違っていたため、調書をつくり直した上、保管すべき変更前の調書を破棄するなど、正式な手続を経ずに差しかえた。上司の40代男性警部補が改ざんを許可した。極めて不適切な事件がありました。なぜこのような供述書を改ざんするようなことが起きたのでしょうか。
〇金田一参事官兼首席監察官 本事案につきましては、事件の被害関係者を供述人とする供述調書につきまして、内容が一部、事実と異なっていたため、正しい内容に訂正する必要があり、本来は正しい内容に訂正する旨の供述調書を新たに作成するなどすべきところ、供述人が遠隔地にいたことなどから、正規の手続によらず修正を行ったことが原因であります。
〇斉藤信委員 これは極めて重大で、岩手弁護士会が、冤罪の大きな原因にもなり得る、極めて重大な違法行為だと、弁護士会として7月29日に声明を出して、なぜこうしたことが起こったのか、再発防止を含めて8月18日までに文書で回答を求めましたね。しかし、回答していませんね。なぜ回答しないのですか。回答できなかったのですか。そのことを詳しく述べてください。
〇玉澤刑事部長 岩手弁護士会への回答についてでありますが、文書での回答はしておりませんが、回答を求めました岩手弁護士会の方にお会いして説明をさせていただいております。
 それから、詳しくという御質問でしたけれども、先方の岩手弁護士会の担当の方とのやり取りも含めまして、個別具体の内容となりますので、答弁は差し控えさせていただきます。
〇斉藤信委員 弁護士会は、回答はなかったと。8月18日までの回答を求めて、19日に回答はなかったと会見しているのですよ。連絡だけあったと。説明を受けたとも言っていません。弁護士会というのは被疑者などの弁護に当たる方々ですよ。こういう方々が冤罪の危険性を、こんなことをやったら本当に冤罪がどんどん広がってしまうという重大な危機感を持って、第三者の調査も求めたのです。弁護士会の要請にことごとく背を向けているのではないですか。
 回答していませんね。説明したというけれど、どういう形で説明したのですか。連絡を受けたとは言っているけれども、説明を受けたとも言っていませんよ。何でこんな不誠実な態度を取るのですか。
〇玉澤刑事部長 繰り返しになりますが、岩手弁護士会の担当の方々と直接お会いして説明をさせていただいております。
〇斉藤信委員 岩手弁護士会は、内輪でもみ消すのではなく第三者で調査すべきだと。これは本当に重大だと私は思うのです。被疑者が遠隔地にいたから勝手に供述書を変えたと、前の供述調書は破棄したのですよ。どういうことになりますか。そんなことで済まないでしょう。こんな例は県警察本部に今まであったのですか。
〇金田一参事官兼首席監察官 文書の改ざんの関係につきましてですが、平成23年に1件、差し押さえた証拠品の文書の中の1枚を誤って裁断してしまって、一時的に発覚をおくらせる目的で模造文書を作成したという事案がございます。これ以降、文書の関係で改ざんに係る事案というのはございません。
〇斉藤信委員 平成23年、震災が起こった11年前ですね。誤って裁断した、すぐにそのことを報告しなかったということは私は重大だと思うけれども、今回は、被疑者の供述調書をいわば改ざんしたわけですよ。上司がそれを認めたと。これは本当に重大な犯罪ではないですか。供述書の改ざんというのはどういう犯罪になりますか。
〇玉澤刑事部長 恐れ入ります。確認をさせていただきたいのですが、被疑者が調書を改ざんした……
〇斉藤信委員 いやいや、被疑者が改ざんするわけないではないですか。取り調べた人が改ざんをしたということは法律に反するのではないか。どういう犯罪になるかと聞いているのですよ。
〇玉澤刑事部長 正確に答えるために確認させていただきました。被疑者の調書でしょうか、被害者の調書でしょうかというところの確認でございました。
〇斉藤信委員 被疑者ですよ。被疑者でしょう。
〇玉澤刑事部長 的確な表現ではないかもしれませんが、新聞報道等、あるいは報道機関で報道された内容を引用させていただきますと、被害者調書の一部ということでございます。
〇斉藤信委員 私は先ほど正確に新聞報道を引用したつもりなのですけれども、被害関係者の供述が証拠上の事実と違っていたため調書をつくり直した。保管すべき変更前の調書を破棄したと、このことですよ。このことは何に違反する、どういう犯罪になりますか。
〇金田一参事官兼首席監察官 改めて再度確認させていただきますが、今回、改ざんに至るものというのは、被害関係者の調書ということでございますので、よろしくお願いします。
 それから、ただいま御質問にございました犯罪の関係でございますけれども、今回の事案につきましては、公用文書等毀棄罪に該当するということでございます。
〇斉藤信委員 それで、県警察本部も盛岡地方検察庁に送検したのです。これは最終的には不起訴になったようですけれども、そういう事件だったということです。ところが、処分が6月1日付で警部補、上司は本部長訓戒、巡査部長は所属長訓戒、こんな甘い処分で済む問題なのですか。何でこんな甘い処分になるのですか。訓戒なんていうのは処分に入らないではないですか。何でこんな甘い、処分でないような処分になるのですか。
〇金田一参事官兼首席監察官 本件事案につきましては、事案の内容並びに全国及び県内におけるこれまでの先例を踏まえて、厳正に対処しているものでございます。
〇斉藤信委員 公用文書等毀棄罪でしょう。法律に反するということですよね。それが処分にもならない訓戒で済むのですか。あなた方は、この程度は処分に当たらない程度の犯罪なのだと、本部長、県警察本部はそういう認識ですか。公用文書等毀棄罪に該当しても、これは本部長訓戒とか所属長訓戒で済むような誤りだったのですか。私は、弁護士会の要請を本当に正面から受けとめていないのではないかと思いますけれども、いかがですか。
〇森下警察本部長 委員御指摘のとおり、この事案については非常に重く受けとめておりまして、県警察本部としてはしっかり事件化をしたという認識でおります。また、再発防止に向けて、さまざまな取り組みを行っているところでありまして、委員御指摘のとおり、この事案について重く受けとめているところでございます。
〇斉藤信委員 重く受けとめていると言うけど、軽い、処分にもならない処分で済ませている。これがあなた方の本音が透けて見えるのですよ。重く受けとめるのだったら厳しく処分しないとだめではないですか。供述調書を改ざんしてもこの程度で済むのだなとみんな思ってしまうではないですか。だから、弁護士会は危機感を感じているのですよ。こんな雰囲気が県警察に蔓延したら冤罪が広がってしまう。あってはならない事件でしょう。あってはならない事件が起きたら、やはり厳しくやらないと。再発防止なんていうのは、そういう厳しい処分なしに魂は入らないのですよ。再発防止策を述べてください。
〇金田一参事官兼首席監察官 本件の再発防止策についてお答えいたします。
 本件につきましては、事案の調査結果等を受けて、管理する幹部職員に対する指示を初め、教養資料を発出するなどして職員に対する公文書の重要性に関する認識及び管理のあり方について徹底を図り、再発防止に努めているところでございます。
〇斉藤信委員 その程度では、残念だけど本当に重く受けとめて再発防止をするというあなた方の決意が全然伝わってこないです。弁護士会も厳しく指摘しているように、これは極めて重大な事件だと私は思います。この事件については、そして、県警察本部の対応については、県警察本部を管理する公安委員会に報告したでしょうか。公安委員会でどのような議論があり、指導を受けたのか、受けなかったのか示してください。
〇金田一参事官兼首席監察官 本事案につきましては、公安委員会に対して報告を行い、委員からは、あってはならないことであり、再発することのないよう指導を行うことについて、厳しく指導を受けているところでございます。
〇斉藤信委員 公安委員会は厳しく指導したと言うけれど、こんな甘い処分でいいということになったのですか。
〇金田一参事官兼首席監察官 公安委員会に報告した際に、この処分の内容についても御説明いたしております。
〇斉藤信委員 公安委員会の対応については、私は12月に一般質問の予定がありますので、その場で直接、公安委員長にお聞きしたいと思います。
 次の問題に入ります。警察官の不祥事案について。昨年度の不祥事案の状況、処分の状況、そして、免職処分者が複数出たというのは異例のことだと私は思っています。これをどう受けとめて再発防止に取り組んでいるか示してください。
〇金田一参事官兼首席監察官 年度で申しますと、令和3年度中に懲戒処分を受けた職員は5名となっております。また、懲戒処分に至らない訓戒、注意の措置を行った職員は24名であす。
 懲戒処分の状況でありますが、令和3年度中の懲戒処分は、大麻取締法違反及び特別公務員暴行陵虐事案で2名を免職、セクシャルハラスメント及び留置管理業務の不適切事案で2名を減給、道路交通法違反で1名を戒告といたしております。
 斉藤信委員御指摘の免職者を複数出しているということにつきましては、県民の県警察に対する信頼を大きく損ねる極めて重大な事態であり、非常に重く受けとめるとともに、県民の皆様には深くおわび申し上げます。
 県警察本部といたしましては、このような事案の未然防止のため、職務倫理教育の推進、職員の特性や特徴を踏まえた多角的な身上把握と指導の徹底、加えて、非違事案の発生リスクの高い業務に重点を置いた監察の実施などについて組織全体で取り組み、県民の信頼回復のため非違事案の絶無に努めてまいるとしているところでございます。
〇斉藤信委員 県警察の不祥事の中で、私は予算特別委員会のときにも指摘したのだけれども、セクハラ事案が大変多い。これへの対策はどうとられているか。
 もう一つ、これはことし6月7日に処分された案件ですけれども、泥酔暴行事案、これはかなり深刻なのではないか。泥酔、暴行ですから。これが所属長訓戒です。暴行事案ということになったら本来なら傷害罪に問われる。それが所属長訓戒で済むということでいいのでしょうか。
〇金田一参事官兼首席監察官 2点御質問を受けました。
 1点、セクシャルハラスメントについてでございますけれども、セクシャルハラスメントにつきましては、職場の環境を非常に悪化させるというところで、職員の士気高揚を含め、非常に悪影響を及ぼすものでございます。県警察といたしましては、セクシャルハラスメントを含むハラスメント事案全体を捉えまして、発生した場合の報告の窓口を設定するとともに、情報が上がってきたところで調査を徹底いたしまして、その原因、背景等を把握した上で適切に指導を行うことにしております。また、未然防止の関係につきましても、各種教養を通じまして、セクシャルハラスメントの防止に努めているところでございます。
 また、先ほどお話がありました職員による泥酔暴行事案でございますが、これにつきましては、泥酔して路上に寝込んでいたところ、一般人から声をかけられ、その肩口を押したというような事案でございまして、けが等はございませんが、暴行事案ということで捉えております。
 処分が軽いということでございますけれども、これにつきましても、事案の対応、詳細を調査、確認した上で、全国、あるいは県内の先例に沿って対応しているものでございます。
〇斉藤信委員 私は、身内に甘い対応であってはならないと。逆に、警察職員だからこそ厳しく対応しなくてはならないと思います。
 最後に、飲酒運転事故の根絶について。飲酒運転の摘発数、飲酒運転事故件数はどうなっているか。根絶の取り組みとこの間の成果はどうなっているか示してください。
〇阿部交通部長 飲酒運転の摘発数についてでございますが、酒気帯び運転と酒酔い運転を合計した過去5年の県内における検挙状況は、平成29年359件、平成30年341件、令和元年330件、令和2年338件、令和3年320件です。本年は、9月末で208件と前年同期に比べて1件減少となっております。
 続きまして、飲酒運転を伴う人身事故ですが、平成29年30件、平成30年25件、令和元年22件、令和2年27件、令和3年14件、本年9月末で9件と、前年同期に比べ3件減少しております。
 続きまして、飲酒運転の根絶の取り組みについてですが、昨年の飲酒運転の検挙状況を分析した結果、飲酒運転は夜間だけでなく通勤通学時間帯を含む朝や夕方にも検挙があることから、本年は毎月実施しております飲酒検問について、夜間に限らず日中にも実施しております。
 また、春と秋の全国交通安全運動期間中、全国一斉で行われます通学路取り締まりや自転車取り締まりにおいても、飲酒運転を重点とした検問や交通指導取り締まりを実施しております。
 このほか、コンビニエンスストアや酒類販売業者に対する飲酒運転の通報協力依頼や岩手県小売酒販組合連合会主催の研修会における飲酒運転根絶に向けた講習を実施しております。
 成果につきましては、本年9月末現在で飲酒運転による交通事故の発生件数は9件と前年比で3件減少しておりますが、死者数が3人と前年比で1人増加しているなど、いまだに飲酒運転が後を絶たない現状から、引き続き、飲酒運転を根絶するための取り組みを推進してまいります。
〇千田美津子委員 私は、大きく分けて3点お聞きいたします。
 一つは、横断中の事故をなくす取り組み、交通安全対策であります。県内でも横断歩行を歩行中の小学生などが巻き込まれる交通事故が先月も今月も発生しております。そこで、交通事故及び横断中の事故の発生状況はどのようになっているかお聞きいたします。
〇阿部交通部長 交通事故の発生状況の推移につきましては、令和元年から、発生件数、傷者数は減少しており、死者数については、令和2年に増加しておりますが、昨年は35人と昭和23年以降で最も少なくなっております。
 また、信号機のない横断歩道での事故ですが、令和元年は発生件数が34件、死者2人、傷者32人、令和2年は発生件数33件、死者1人、傷者32人、令和3年は発生件数22件、死者ゼロ、傷者24人と減少傾向にあります。
 本年9月末では、発生件数15件、死者1人、傷者14人となっております。
〇千田美津子委員 今、御答弁いただきましたように、事故発生件数もどんどん減っている。冒頭に森下警察本部長から御説明いただいたときには、18年連続で事故件数が減っているというお話で、この間の取り組みが功を奏しているのかなと思いますが、ただ、死亡者数が全国平均を上回っているというお話がありました。表にしてみると少なくはなっているのですけれども、やはりもっともっと死者をなくしていく、悲惨な状況をなくす、これはもっと力を入れていかなければならないのではないかと思います。
 それで、横断歩道の横断中の事故も少なくなっているとはいっても、まだまだ多いわけです。横断歩道というのは本来、歩行者優先というのが当たり前ですけれども、そこが事故が多いということで、この点については何が足りないと感じますか。お聞きします。
〇阿部交通部長 千田美津子委員がおっしゃるとおり、横断歩道は歩行者が安全に渡れる安全施設でございます。そこで先ほど申し上げたような事故が起きているというのは非常に残念なことで、対策をとっていかなければならないと感じております。やはり大切なのは、車を運転する方も、歩道を横断する方も、意思疎通といいますか、共通認識を持って安全に対する取り組みを進めていくことが大切だと考えております。
〇千田美津子委員 今、お互いの意思疎通が大切だというお話でございました。私もそうだろうと思いますけれども、具体的には、運転手についてはこういうところを注意すべきだとか、歩行者はこうあるべきだという、今、それぞれどういう指導をなさっているか、交通事故防止対策について改めてお聞きをいたします。
〇阿部交通部長 横断歩道の安全対策ですが、歩行者とドライバーに分けて御説明を申し上げます。
 まずは歩行者ですが、信号機のない横断歩道における交通安全対策につきましては、令和元年から毎年、通学路や横断需要の高い横断歩道を安全モデル横断歩道に指定し、本年は県内102カ所を指定して、関係機関、団体と連携した目立つ街頭活動や横断歩行者妨害等の交通指導取り締まりを強化しております。
 また、本年から毎月第2水曜日を横断歩道の日に指定し、信号機のない横断歩道で歩行者の保護、誘導活動を実施するなど、歩行者の安全確保と遵法意識を高める活動を強化しております。
 続きまして、ドライバーの対策でございますが、横断歩道・チェック・ストップ運動というのを推進しております。ドライバーの方は、横断歩道を通る際は手前で減速する。横断歩行者がいないかを確認する。次に、横断歩行者がいる場合は必ず停止することにより、運転者に対する歩行者優先意識の徹底を図っております。
 また、広報活動でございますが、警察による街頭活動や交通指導取り締まりのほか、県内のテレビ放送局やラジオ放送局のアナウンサーなどを交通安全アドバイザーに委嘱しまして、広報啓発活動を行っていただくなど、運転者を初め県民の方に広く呼びかけているところでございます。
〇千田美津子委員 毎月第2水曜日の横断歩道の日ということで取り組まれているのがちょっとわからなかったわけですが、そういう取り組み、あるいは、安全モデル横断歩道ということで、県内で102カ所でしたか、やられているようですが、それで、選定数を見ますと、例えば、千厩警察署管内だと11カ所の選定、遠野が10カ所、宮古が10カ所、警察署管内で非常に差があるわけですが、これはどういう選定でやられているのか。人的な体制などもあるのかもしれませんが、どういう基準でこれが選定されているのか、一つ教えてください。
 それから、交通安全アドバイザー制度というのをお聞きしました。実は私も今朝、ラジオで、ドライバーの皆さん、横断歩道は歩行者優先でいきましょうとか、そういうのがアナウンサーのきれいな声で呼びかけがあって、それが交通安全アドバイザー制度ということでお聞きしました。さまざまな紙媒体のチラシもいいのですけれども、そういう耳から入ってくる広報は非常に効果があると私は思います。これはできればもっともっと広げていただいて、県民みんなの身につくような広報を引き続きお願いしたいと思います。
 それから、もう一つですが、ちょっとお答えになかったのが、ハンドコミュニケーションを推進しているというところがあったのですが、それについても御説明いただきたいと思います。
〇阿部交通部長 それでは、安全モデル横断歩道について、交通安全アドバイザーについて、ハンドコミュニケーションについて、お答え申し上げます。
 まずは、安全モデル横断歩道の選定基準でございますが、これは信号機のない横断歩道のうち、通学路等横断需要が高い横断歩道で横断歩行者の安全を確保することが特に必要と認められる場所から警察署の事情に応じて選定しております。令和元年が59カ所、令和2年が94カ所、令和3年が98カ所、本年が102カ所と年々増加する傾向にございます。
 続きまして、交通安全アドバイザーにつきましては、平成22年から開始した取り組みでございまして、県民の安全意識高揚による交通ルール遵守を図るため、警察本部長が県内テレビ放送局、ラジオ放送局等で勤務されるアナウンサーの方に委嘱しております。アドバイザーの皆様には、みずから出演する番組や各種イベント等において適宜、交通安全に関するワンポイントアドバイスを行っていただいております。令和4年度は19局38名の方を委嘱しております。
 最後に、ハンドコミュニケーションについてお答え申し上げます。信号機のない横断歩道での交通事故を防止するためには、歩行者と運転者が意思疎通を図り、横断する意思を確認することが重要であると考えております。
 ハンドコミュニケーションとは、信号機のない横断歩道において、歩行者は手を挙げるなど運転者に横断する意思を示す。運転者は、横断歩道の手前で一時停止後、手を前に差し出して歩行者に横断するように意思表示をすることを行うことをいいます。
 引き続き、交通安全教育の場などにおいて、ハンドコミュニケーションの広報啓発を行い、事故防止に努めてまいります。
〇千田美津子委員 今お答えいただいたハンドコミュニケーション、なるほどと思いましたが、運転していて横断歩道に行ったときに、渡るのだろうか、渡らないのだろうか、わからない。むしろ逆に、とまってもそっぽを向くような人もいたりして、手を挙げるのは、大人だと恥ずかしいということもありますが、安全対策という点では、思い切り手を挙げて意思表示をするということが本当に大事だと私も思いました。こういう点で、県民運動として、特に信号機のない横断歩道ではしっかり意思表示をしましょうと、これをやる必要があると思います。
 それから、私たちが横断歩道で子供さんたちが手を挙げて通ったときに、通った後から子供さんたちが会釈をすることがあるのですね。そうすると、とまったほうも非常に心が温かくなって、一日がすごく気持ちいいという、まさに歩行者と運転手の意思疎通が図られるというのはそういうことだなと思います。
 さまざまな取り組みをされていますけれども、こういう取り組みで温かな県民性というか、それを交通安全の部分でも発揮するために、ぜひこれまでの取り組みを前に進めていただきたいし、そういう県民性を発揮して、岩手県はいいところだなと、本当にみんなが望む、交通事故のない岩手県にという地域づくりにぜひ前進していただきたいわけですが、その点、もう一度お伺いいたします。
〇阿部交通部長 そのとおり、ハンドコミュニケーションにつきましては、令和3年に公安委員会の告示の交通の方法に関する教則、あとは交通安全教育指針が改訂されまして、信号機のない横断歩道の横断については、横断するときは手を挙げるなどして意思表示をしましょうというのが追加となったもので、それを岩手県に合わせた形で進めているものでございます。
 あとは、横断歩道を渡った後に会釈をするというのも非常にいいことで、意思疎通を図る上ではいいことでございますが、なかなかこれも県警察本部としてお願いするものでもございませんので、意思疎通がうまくいくような形で安全教育を進めてまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 引き続き、人に言われなくてもそういう行為がすんなり出るように、私たちも県民運動として取り組めるようにやっていかなければならないなと改めて痛感したところです。よろしくお願いいたします。
 二つ目は、児童虐待への対応状況と関係機関との連携についてお聞きしたいと思います。児童虐待で県警察への通報が年々ふえているようであります。県警察における児童虐待の通報や取り扱い件数はどのような状況にあるでしょうか。また、通告状況、児童虐待への警察全体の取り組み、対応がどのようになされているのかお聞きいたします。
〇菅野生活安全部長 先ほど2点御質問をいただいております。
 まず、1点目の児童虐待の取り扱い状況について説明をさせていただきます。令和3年中の児童虐待の取り扱い状況について、取り扱い件数は、前年比48件増の558件となっております。
 児童虐待通報を受けた際の対応についてでありますが、児童虐待を認知した場合には、警察官が現場に早期に臨場して、直接、児童の安全確認を行い、虐待の事実が確認された場合や虐待が疑われた場合には、速やかに児童相談所へ通告するほか、暴行や傷害など具体的な法令違反の疑いがあった場合には、所要の捜査をしっかりと行うこととしております。
〇千田美津子委員 御答弁いただいたように、虐待件数が年々ふえている。ただ、これはどちらかというと潜在化している部分が警察の皆さんに伝えるという状況が出てきているということで、実態はまだまだ多分多いと思いますけれども、ぜひそういう中で、さまざまな早期臨場や児童の直接の安全確認などをやっていただいているわけですので、ぜひそういう部分でお願いしたいと思います。
 それで、この後、児童相談所への通告とかいろいろ出てくるわけですが、その辺については、どのようになっているでしょうか。
〇菅野生活安全部長 児童相談所を含めた関係機関との連携ということで説明をさせていただきます。
 県警察では、虐待を受けている児童の安全確保を最優先とした迅速、的確な対応を図るために、県であるとか児童相談所、市町村を初めとした関係機関と連携を図っております。特に、児童相談所の連携につきましては、個別の事案の情報共有を確実に行っておりますほか、児童相談所による立ち入り調査等を想定した合同訓練も実施しているものでございます。
 また、平成30年9月に県保健福祉部との間で締結いたしました、児童虐待に関する児童相談所と警察の相互連携に係る協定に基づきまして、児童相談所が取り扱う事案情報の提供を受けるなど、事案対応における連携や情報共有を強化しているところでございます。
〇千田美津子委員 児童相談所との合同研修や、それぞれの援助の要請等があったときにも、多分、そういう部分でしっかりなされている。それで、他の児童相談所とかを見ますと、警察OB等の配置などもあるようですが、岩手県警察ではどうでしょうか。
 さらに、児童虐待対策官を設置しているところもあるようですが、そういうのは岩手県においてはどのような状況でしょうか。
〇菅野生活安全部長 警察ОBの児童相談所への配置につきましては、現在、1人(後刻「4名」と訂正)児童相談所で勤務をされているということでございます。
 それから、児童虐待対策官というお話がありましたが、現在、生活安全部の中に人身安全少年課という所属がございまして、その中に安全対策室というものを設けまして、そこに警視の室長を配置しております。(後刻訂正あり)ですから、安全対策官という名称ではございませんが、そういう室を設けて、ストーカーであるとか、配偶者暴力であるとか、しっかりと対応しているところでございます。
 もう一点だけ。先ほど委員から通告人員についてお話があったと思うのですが、答弁をするのを失念しておりまして申しわけございません。令和3年中の児童相談所に対する通告状況については、通告人員は前年比14人減の769人となっております。大変失礼いたしました。
〇千田美津子委員 引き続き、関係機関との連携のもとで、子供たちの安全が守れるように取り組みをお願いしたいと思います。
 それでは3点目、配偶者からの暴力の根絶についてお聞きしたいと思います。
 内閣府が2021年3月に公表した男女間における暴力に関する調査報告書によれば、暴力被害があった方は、女性が25.9%、男性も18.4%となっています。ただ、女性の約4人に1人が被害経験があると答え、女性のほうが被害経験者の割合が高くなっています。さらに深刻なのは、女性の約10人に1人は何度も配偶者からの暴力の被害を受けているという結果もありました。しかも、コロナ禍にあって、配偶者等からの暴力が潜在している可能性があり、暴力の背景も複雑化、多様化しているとの指摘もありますが、どのような状況にあるでしょうか。
 また、配偶者暴力相談支援センターとの連携が行われていると思いますが、どのような状況になっているかお聞きいたします。
〇菅野生活安全部長 最初に、令和3年中の配偶者からの暴力事案の取り扱い状況について説明をさせていただきます。
 配偶者暴力事案の取り扱いについては、前年比で12件増の417件でありまして、検挙人員は前年比7人増の38人となっております。
 次に、配偶者暴力事案の状況についてでありますが、委員御指摘のとおり、外部からの発見が困難な家庭において行われるために潜在化しやすいとされているほか、配偶者からの暴力の背景についても、暴力に至った原因、動機などさまざまあることから、個別に対応しているところでございます。
 次に、配偶者暴力事案への対応ということで、配偶者暴力相談支援センターなど関係機関と連携して被害者の保護であるとか、一時避難の措置を講ずるとともに、被害者の安全が確保されるまでの間、必要に応じてしっかりと対応しているところでございます。
〇上原康樹委員 私は、社会を脅かす準暴力団について伺います。暴力団とはまた違った形なのですね。
 先日報道がありました。東京都池袋の高層ビル、サンシャイン60の58階のレストランで準暴力団と呼ばれる人々100人が乱闘騒ぎを起こしたことが報道されました。その名前から、反社会的な性格を持つ集団が表に躍り出たという印象を与えました。この準暴力団というのを警察本部はどういう位置づけにして捉えているのでしょうか。お願いします。
〇玉澤刑事部長 準暴力団についてでありますが、暴力団と違い、法律上、明確に定義づけられたものではありませんが、警察では、暴力団と同程度の明確な組織性は有しないものの、これに属する者が集団的に、または常習的に暴力的不法行為等を行っている、暴力団に準ずる集団と位置づけ、実態解明や取り締まりを強化しています。
〇上原康樹委員 準暴力団がかかわる犯罪として、現状ではどのようなものがあるのでしょうか。
〇玉澤刑事部長 準暴力団がかかわる犯罪としてどのようなものがあるかについてでございますが、全国で見ますと、繁華街、あるいは歓楽街等において、集団的または常習的に暴行、傷害等を敢行している例が見られるほか、特殊詐欺や組織窃盗などの違法な資金獲得活動によって蓄えた資金をさらなる違法活動やみずからの風俗営業等の事業資金に充てるなど、活発な資金獲得活動を行っていることがうかがわれる集団も見られます。
〇上原康樹委員 岩手県における準暴力団の実態、存在について、どうごらんになっていますか。
〇玉澤刑事部長 岩手県における実態、存在、あるいは状況というふうに置きかえさせていただきます。それについてでありますが、準暴力団は犯罪ごとにメンバーが離合集散を繰り返すなど、そのつながりが流動的なものでございます。
 このようなことから、当県警察におきましても、暴力団はもとより、そこまで明確な組織構造を有しない準暴力団についても、さまざまな警察活動を通じて、その実態把握に努めているところでございます。
〇上原康樹委員 聞いていますと、アメーバー的な活動をすると感じました。今後、県警察本部として、実態の把握及び対応、さらには課題、これをどういうふうにごらんになっていますでしょうか。
〇玉澤刑事部長 実態の把握、課題、どのように受け止めていくかということでございますけれども、先ほど全国の例で申し上げたのですけれども、全国で見ますと、準暴力団はあらゆる犯罪において活発な資金獲得活動を行っております。その中には、資金の一部を暴力団に上納するなど暴力団と関係を持つ実態も認められるほか、暴力団構成員と共謀して特殊詐欺事件等の犯罪を行っている事例もございます。暴力団と準暴力団の結節点の役割を果たす者が存在すると思われます。
 御指摘のとおり、その他の犯罪といたしましては、薬物犯罪、あるいは、賭博を含みますあらゆる犯罪において、暴力団との関係をさらに深めるなどして犯罪行為の対応をより悪質化、巧妙化していくことも懸念されます。岩手県警察といたしましては、準暴力団だけではなく、暴力団等も含めた犯罪組織の実態等に関する情報の収集、集約、分析を徹底いたしまして、各種法令を駆使した取り締まりを強化するとともに、関係機関と連携して、犯罪組織により敢行されるあらゆる犯罪に対する被害防止広報もあわせて推進して、県民の方々に周知を図っていきたいと思っております。
〇上原康樹委員 犯罪は社会状況を反映するとも言われております。現在、コロナ禍につけ入る犯罪というのが報告されております。特に助成金不正受給詐欺などがありますね。それから、先ほどもありましたけれども、インターネットを使った違法薬物などの販売、賭博、闇金融など、いろいろなことが見られております。
 さらなる凶悪化、巧妙化の懸念に対する県警察本部としてこれをどう受けとめ、そして、どう対応していくのか、もう一度伺います。
〇玉澤刑事部長 繰り返しになるのですけれども、先ほどあらゆる法令を駆使して取り締まりの強化、それから、あらゆる関係機関と連携して情報共有を図って、県民の方たちにも周知して対応していくという話をしたのですけれども、具体的には、部門の垣根を超えて、刑事部、生活安全部、交通部、あるいはその他の分野の方たちとも定期的にとは申しませんけれども、会合等を持ちまして、持っている情報を共有して、少しでもそういった、やからとあえて申し上げますけれども、そういう者を把握して、実態を解明しながら、法律に抵触するような場面があれば、法と証拠に基づいて適正に検挙、あるいは、そういった活動をしていきたいと考えております。
〇上原康樹委員 犯罪も時代とともに形を変えてきます。これに対して、警察も新しい対応をとっていくことも迫られるのだと思うのです。森下警察本部長はその辺、今、どういうふうにお考えですか。
〇森下警察本部長 委員のおっしゃるとおり、その時代、その時代で犯罪、また犯罪グループ、そういったものはどんどん変化していくということでございますので、例えば、指定暴力団であれば、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律といったようなしっかりとした法的な枠組みに基づいて取り締まり、対処をしっかりしていくということでございますけれども、準暴力団のような時代の変化に伴って生じてきた犯罪グループにつきましては、関係部門が一体となって取り組んでいく必要があると認識しています。
〇名須川晋委員長 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇菅野生活安全部長 先ほど、千田美津子委員からの質疑の中で、児童相談所で活動するОBの数を1名ということで説明をさせていただいておりますが、正しくは4名の誤りでございましたので、訂正させていただきます。
 それから、もう一点、人身安全対策室の話をさせていただきましたけれども、この人身安全対策室については、これまで生活安全企画課の中にあったものを所属に格上げをして、現在は人身安全少年課ということの中でやっておりますので、この点も含めておわびし、訂正をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
〇名須川晋委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇名須川晋委員長 質疑がないようでありますので、これで警察本部関係の質疑を終わります。
 警察本部の皆さんは御苦労さまでした。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時19分 散 会

前へ 次へ