令和4年9月定例会 決算特別委員会会議記録

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令和4年10月19日(水)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 中 村 佳 和
議事管理担当課長 藤 平 貴 一
主任主査 佐 藤 博 晃
主任主査 糠 森 教 雄
主任主査 増 澤 綾 子
主任主査 及 川 雄 也
主査 阿 部 真 人
主査 刈 屋 江美子
1説明員
知事 達 増 拓 也
副知事 菊 池   哲
副知事 八重樫 幸 治
会計管理者 木 村   久
会計課総括課長兼
会計指導監 今 雪 博 貴

ふるさと振興部長 熊 谷 泰 樹

保健福祉部長 野 原   勝

ILC推進局長 箱 石 知 義

議会事務局長 小 畑   真
次長 安 藤 知 行
総務課総括課長 米 澤   勉
政策調査課長 金 森 一 恵

総務部長 千 葉 幸 也
副部長兼
総務室長 村 上 宏 治
参事兼
人事課総括課長 加 藤 勝 章
総務室管理課長 柳 原   悟
法務・情報
公開課長 草 木 秀 二
特命参事兼
職員育成課長 熱 海 淑 子
財政課総括課長 山 田 翔 平
行政経営推進課
総括課長 加 藤 真 司
税務課総括課長 今 野   浩
管財課総括課長 和 田 英 樹
総務事務
センター所長 小笠原 祐 喜

政策企画部長 小 野   博
理事 上和野 里 美
副部長兼
首席調査監 菊 池 芳 彦
参事兼
政策企画課
総括課長 竹 澤   智
参事兼
秘書課総括課長 佐 藤 益 子
特命参事兼
政策課長 本 多 牧 人
評価課長 高 橋 幸 司
儀典調整監 高 橋 利 典
秘書課管理課長 藤 原 ひろみ
広聴広報課
総括課長 村 上   聡
報道課長 星 野 俊 一
総括調査監 内 城   仁
総括調査監 佐 藤 直 樹
調査監 高 橋 秀 司

復興防災部長 佐 藤 隆 浩
副部長兼
復興危機管理室長 大 畑 光 宏
副部長 工 藤 直 樹
総括危機管理監 吉 田 陽 悦
復興危機管理室
企画課長 高 橋 正 志
復興危機管理室
管理課長 高 橋 新 吾
特命参事兼
放射線影響
対策課長 武 蔵 百 合
復興推進課
総括課長 澤 田 彰 弘
被災者生活
再建課長 和 田 英 子
防災課総括課長 戸 田   新
防災危機管理監 駿 河 芳 典
消防安全課
総括課長 田 端 政 人
県民安全課長 多 賀   聡

監査委員 五 味 克 仁
監査委員 中 野 玲 子
監査委員事務局長 藤 澤 良 志
監査第一課
総括課長 及 川 博 英
監査第二課
総括課長 佐々木 良 生
〇名須川晋委員長 これより本日の会議を開きます。
 これより議事に入ります。
 認定第1号から認定第15号まで、及び議案第37号から議案第39号までの以上18件を一括議題といたします。
 本日は、昨日に引き続き、総括質疑を行った後、議会、総務部、政策企画部、復興防災部関係を終わるように進行いたしたいと思いますので、御協力をお願いいたします。
 また、議会運営委員会の決定及び世話人会の申し合わせにより、新型コロナウイルス感染症対策として、換気のため、午前は1回、午後はおおむね1時間半ごとに休憩いたしますので、御協力をお願いいたします。
 これより、昨日に引き続き、総括説明に対する総括質疑を行います。小林正信委員。
   〔小林正信委員質問者席に着く〕(拍手)
〇小林正信委員 まず、長引くコロナ禍によって深刻化している孤独、孤立の問題についてお伺いします。
 政府による孤独、孤立の実態調査では、16歳以上の約1万2、000人から回答を得て、そのうち孤独を感じている人の割合が36.4%、およそ3人に1人との結果が報告されました。政府は昨年12月、孤独・孤立対策の重点計画を策定し、あらゆる主体が連携しての取り組みを求めております。
 令和3年度において、孤独、孤立の県内における実態をどのように捉え、対策を行ってきたのかお伺いします。
〇八重樫副知事 小林正信委員御紹介のとおり、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の長期化により、社会に内在していた孤独、孤立の問題が、より一層深刻な社会問題として顕在化してきたものと考えています。このような社会環境の変化により、孤独、孤立を感じざるを得ない状況にある方に対して、社会全体で対応していく必要があると考えているところであります。
 県においては、令和3年度の主な相談支援機関への相談件数は、生活困窮者自立支援機関への相談が4、035件、こころの相談電話等への相談が8、713件、岩手県ひきこもり支援センター等への相談が798件となっています。
 県では、望まない孤独や社会的な孤立により悩みや困難を抱えている方への対応として、自立相談支援機関等での相談支援を行ってきたところでありますが、令和2年度は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大などに伴って相談件数が増加したことから、令和3年度は、生活困窮者自立相談支援機関等の体制強化、生活保護決定の体制強化、自殺対策に係る相談支援体制の強化や自殺予防に関する人材養成などに取り組んできたところであります。
〇小林正信委員 孤独、孤立は自殺や生活困窮の背景となっているとの指摘もありまして、国では、官民連携プラットフォーム事業を創設し、自治体の対策を後押ししております。
 他県では、こうした国の事業等を活用し実情に合わせた対策の充実を図っていると伺っておりますけれども、岩手県としても、コロナ禍、物価高の影響を受け、孤独、孤立化している方たちへの具体の支援を検討すべきと考えますが、知事のお考えをお伺いします。
〇達増知事 長引くコロナ禍や物価高騰等が続く中で、国では昨年12月、孤独・孤立対策の重点計画を策定し、これまで官民連携プラットフォームの設立や統一的な相談窓口体制の推進、地方自治体における連携強化の実証事業等に取り組んでいます。
 本県では、これまでも自殺対策やひきこもり支援、生活困窮者支援、被災者の見守り支援など、悩みや困難を抱えた方が支援を求める声を上げやすい環境づくり、切れ目のない相談支援体制の整備や居場所の確保等の取り組みを推進してまいりました。
 今般のコロナ禍や物価高騰の状況においては、従来の支援体制では対応が困難なヤングケアラー、ダブルケア等、複雑化、複合化した課題が顕在化していることから、こうした方々の社会的孤立が生じないよう、市町村やNPO等関係団体と連携して、既存の相談支援事業や地域における関係機関の連携体制の構築を充実させていくこととしています。
 今後も、望まない孤独や社会的な孤立により、悩みや困難を抱えている方一人一人に寄り添った支援ができるよう、さまざまな取り組みを組み合わせた包括的な支援を進めてまいります。
〇小林正信委員 先ほども述べたように、孤独、孤立は自殺の背景となる可能性があります。令和2年の岩手県の自殺死亡率、10万人当たりの自殺者数は21.3人で全国ワーストでしたが、令和3年は16.2人、全国26位となっております。
 県として、この結果について、要因をどう捉えているのかお伺いしたいと思います。
〇八重樫副知事 令和3年の本県の自殺死亡率は16.2人で、全国平均の16.5人を下回り、県自殺対策アクションプランの令和3年度目標値である17.0人を達成したところであります。
 自殺は、多様かつ複合的な原因や背景を有しており、今回の結果について特定の要因を挙げることは難しいところでありますが、新型コロナウイルス感染症の感染者数が他都道府県に比べて少なく、社会経済的、心理的影響が少なかったと考えられること、全国に比べて若者や女性の死亡数がふえなかったこと、官民一体となった継続的な自殺対策への取り組みが成果としてあらわれてきたことなども関係しているものと考えています。
 一方で、コロナ禍の長期化による自殺リスクの高まりが懸念される中、いまだに200人近くの方が自死されていることをしっかりと受けとめて、引き続き、多様な主体が連携し、官民一体となった取り組みを推進していくことが重要であると考えています。
〇小林正信委員 今、官民一体の取り組みというお話もありましたけれども、お隣の秋田県で行っている自殺対策は、秋田モデルとも言われまして、その特徴として、先ほども言われましたが、民学官の連携を基盤とした、特に民間主導の取り組みが充実していると。行政の手が届かない部分への支援が充実していると言います。
 県としても、今後、さらにこの自殺対策にかかわる民間団体やボランティア育成の充実に取り組んでいくべきと考えますけれども、御所見をお伺いします。
〇八重樫副知事 本県で傾聴や相談支援に取り組んでいるボランティア団体や民間団体等は、令和4年3月現在で37団体と把握しています。
 県では、相談支援団体が実施する相談支援や傾聴ボランティアの人材養成などの事業に対して補助を行っているほか、保健所や県精神保健福祉センターが、それらの活動を担う支援者の資質向上を図るためのスキルアップ研修等を行い、支援しております。
 今後においても、ボランティア団体等との交流会等を通じて、支援者の方々の声を丁寧に伺いながら、民間団体等の活動が一層促進されるよう、育成や活動支援に努めてまいります。
〇小林正信委員 ぜひ、よろしくお願いいたします。
 この孤独、孤立の問題においては、当事者が自身の困り事などを打ち明けられず、むしろ隠してしまい、支援につながらないという課題もあります。近年問題となっているヤングケアラーも同様な課題があると考えます。
 現在、県においてヤングケアラーの実態調査を行っていると思いますが、調査と並行して、ヤングケアラーの発見、支援も充実させる必要があります。令和3年度におけるヤングケアラーに対する支援、相談体制についてお伺いいたします。
〇八重樫副知事 県では、ヤングケアラーと思われる子供について、市町村要保護児童対策地域協議会における対応状況を調査し、令和3年度は34人のヤングケアラーを確認したところであり、今年度も同様に実態把握を進めているところであります。
 この子供たちへの支援については、要保護児童対策地域協議会を中心として、市町村担当者による家庭訪問、教員やスクールカウンセラーによる相談のほか、ケアを必要とする家族に対して、在宅サービスの活用を促すなどの対応を行ったところです。
 また、問題が顕在化したケースのほか、相談には至らない潜在的なヤングケアラーも多く存在していると思われることから、子供の身近な支援者が、ヤングケアラーについての理解を深め、その存在に気づくことが重要であると考えています。
 そのため、令和3年度は、市町村担当者や教員、民生委員等を対象に、ヤングケアラー支援を実践している学識者やヤングケアラーの当事者であった方を講師としたセミナーを2回開催し、約300名が受講したところであり、ヤングケアラーの理解促進に努めているところであります。
〇小林正信委員 ヤングケアラー支援の先進地と言われている愛知県半田市では、ヤングケアラーを発見するために、相談する方法が幾つもあること、相談先の敷居が低いことを重視し、小学校に子ども食堂や相談窓口を開設したりして、気軽に来てもらえる体制を整えているそうです。また、愛知県では、ヤングケアラーへの理解を広める目的でシンポジウムの開催を行っていると伺いました。
 岩手県としても、今後、学校現場における具体的なヤングケアラーの把握、支援、また教育や福祉、自治体関係者への研修―先ほど、やっていらっしゃるということをおっしゃっていましたけれども、さらにこれを充実、また啓発を充実させるべきと考えますが、御所見をお伺いします。
〇八重樫副知事 ヤングケアラーへの支援においては、要保護児童対策地域協議会と学校との連携による支援を充実させるとともに、潜在的なヤングケアラーを早期に発見して必要な支援につなげていくため、さらなる実態把握や気軽に相談できる環境づくりが必要と考えています。
 県では、今年度、新規事業としてヤングケアラー支援体制強化事業を実施しており、市町村と学校が連携して実態把握を行うほか、学校関係者に加え、新たに介護、障がい、医療等の関係者も対象としたセミナーを開催することとしています。
 また、ヤングケアラー本人への相談支援が必要であることから、メールやSNSを活用した相談窓口を開設するとともに、ヤングケアラー同士が交流できるサロンを開催することとしており、潜在的なヤングケアラーを含め、必要な支援につなげていけるよう、引き続き、関係機関や支援者等への研修や啓発、相談支援の充実に努めていきます。
〇小林正信委員 このヤングケアラーの早期発見においては、学校現場と連携しながら、児童生徒や家庭の状況を把握し、支援につなげるスクールソーシャルワーカーの存在は重要と考えます。岩手県において、現在24名のスクールソーシャルワーカーの方が活動されていると認識しております。
 令和3年度におけるスクールソーシャルワーカーの取り組み状況についてお伺いします。
〇菊池副知事 令和3年度のスクールソーシャルワーカーの状況でございますが、令和3年度は21名を配置し、不登校への対応や家庭への支援に加え、学校と福祉機関、医療機関等との連携、調整を行ったりするなど、児童生徒を取り巻く環境に働きかける活動を担っておりまして、その対応数も年々増加していると承知しております。
 令和3年度の支援児童生徒数については、小中学校で735人、令和2年度は、同じく645人であり、スクールソーシャルワーカーが支援したケースの中には、いわゆるヤングケアラーの状態にあるのではないかと思われる事案も含まれていると聞いております。
〇小林正信委員 児童生徒を包括的に支援するスクールソーシャルワーカーの存在は、今後ますます重要となってくるものと思います。しかしながら、現状は、先ほどの御答弁にもありましたとおり、1人で何十件もの担当を抱えているような状況もある。多い方だと80件以上担当している方もおられるようです。
 岩手県におけるスクールソーシャルワーカーの配置数は、東北地方では秋田県に次いで2番目の低さであり、賃金についても、勤続年数あるいはスキルアップに従って賃金を上げる等、改善が必要と考えます。
 今後のスクールソーシャルワーカーの充実について御所見をお伺いします。
〇菊池副知事 県教育委員会では、平成21年度から10名を任用して事業を開始し、段階的に増員を進め、今年度は24名を県内六つの教育事務所に配置し、支援の拡充に努めてきたものと承知しております。
 また、今年度から新たにスーパーバイザー1名を配置しており、スクールソーシャルワーカーからの相談を受けたり、教育事務所との会議において助言を行ったり、支援体制の強化を図ってきていると聞いております。
 他県の状況について、県教育委員会が確認したところによりますと、退職した教員等を任用している県もあるとのことでございますが、本県においては、福祉の専門家である社会福祉士や精神保健福祉士の資格を有する人材を積極的に登用し、その専門性をより一層生かした支援体制の構築に努めてきていると聞いております。
 今後、県教育委員会では、教育相談体制の充実の観点からも処遇等の見直しは必要なことと考えておりまして、フルタイム任用も視野に工夫、改善をし、学校や地域、児童生徒の実情を踏まえた配置の充実に努めていくこととしていると聞いております。
〇小林正信委員 このスクールソーシャルワーカーの賃金が、時給で宮城県の約2分の1。これではモチベーションがなかなか保てないとか、二、三年するとスクールソーシャルワーカーをやめてしまうような方もいらっしゃるということ。ぜひ、このスクールソーシャルワーカーの充実の取り組みを進めていただきたいと。
 続きまして、コロナ禍においては、特に、若い女性が影響を受けて困窮状態に陥りやすい現状があります。そうした中、昨年は花巻市で、また、本年8月には大船渡市で、出産直後の乳児の遺体が遺棄されるという悲惨な事件が起こりました。
 岩手県における支援を必要とする妊婦、いわゆる特定妊婦の把握数は、平成29年の47件から、令和2年には174件とふえており、把握できていない困難を抱えた妊婦の数はさらに多いものと推察されます。令和3年度における特定妊婦の把握、また支援の状況についてお伺いします。
〇八重樫副知事 市町村要保護児童対策地域協議会で支援対象となっている本県の特定妊婦の数は、国の調査によりますと、令和元年度が140件、令和2年度が174件となっており、令和3年度は現在調査中でありますが、さらに増加することが予想されます。
 市町村においては、妊娠届が提出された際、窓口において妊婦の精神状態、育児支援の状況、妊娠に対する感情に関するアンケートを実施するほか、保健師等が面談し、既に養育に問題のある妊婦、望まない妊娠をした妊婦、若年妊婦、経済的に困窮している妊婦などを特定妊婦として把握するとともに、要保護児童対策地域協議会に登録し、個別のケース検討や家庭訪問等による支援を実施しています。
 県では、岩手県周産期医療情報ネットワークシステムいーはとーぶにより、妊婦健診などを実施する周産期医療機関と市町村の母子保健担当との情報共有を行い、支援を要する妊婦の相談支援につなげているところであります。
〇小林正信委員 この特定妊婦もヤングケアラーと同様、非常に発見しづらいというか難しいところがあります。予期せぬ妊娠により悩んでいる女性の相談支援を行う目的で、盛岡市においては、この8月から民間支援団体が、にんしんSOSいわてを開設しております。
 今後、こうした民間支援団体との連携も含めて、特定妊婦の把握、相談支援を充実させる必要があると考えますが、知事の御所見をお伺いします。
〇達増知事 特定妊婦など困難を抱える妊婦の状況を把握するため、家庭訪問等によるアウトリーチ型の相談支援など、市町村における支援機能の充実を図るとともに、民間団体等と連携した支援が重要と考えております。
 このような中、国においては、本年6月に児童福祉法等の一部改正を行い、支援を要する妊産婦等に対するサポートプランの作成を市町村の業務として位置づけ、令和6年度から施行されることとなったところです。
 また、思いがけない妊娠などで悩んでいる方の相談窓口として、小林正信委員御紹介のとおり、県内では、民間で初めて、本年8月に、盛岡市の社会福祉法人が、にんしんSOSいわてを開設したところでありますが、既に複数件の相談が寄せられ、看護師や相談員が対応に当たっていると聞いています。
 予期せぬ妊娠は、女性の心身に大きな影響を及ぼし、重篤な結果をもたらすおそれもあるため、支援のきっかけとなる相談の選択肢をふやしていくことが重要と考えており、県としては、特定妊婦の早期把握や相談支援のさらなる充実が図られるよう、市町村や民間団体との連携強化に努めてまいります。
〇小林正信委員 ぜひお願いしたい。本来であれば行政が行うべきこういった支援をやっていただいているこのにんしんSOSいわてと、ぜひ連携を深めていただきたいと思います。
 また、特定妊婦に対しては、安心して出産して、産後の不安を除くことができるような居住支援も重要と考えます。
 盛岡市には母子生活支援施設がありますけれども、例えば、盛岡市と連携しながら整備を行って、出産後の特定妊婦が一時的にでも活用できればと考えますが、県の御所見をお伺いしたいと思います。
〇八重樫副知事 特定妊婦に対する居住支援等についてでありますが、特定妊婦が出産前後に一時的な居所を必要とする場合、県では、婦人相談所において、支援の必要がある妊産婦を一時保護し、相談支援を行っているほか、民間では、先ほど御紹介のありましたにんしんSOSいわてにおいて、一時的な居場所の提供ができるよう準備を進めていると聞いております。
 また、国においては、新たな補助メニューとして、支援が必要な妊産婦等に出産までの間、安心して生活を送ることができる居場所の提供等を行う特定妊婦等支援事業を実施しており、その実施場所として、母子生活支援施設、乳児院、婦人保護施設、医療機関等が挙げられているところであります。
 特定妊婦への居住支援については、まず、県内における現状やニーズ等を把握した上で、県と市町村、民間団体との連携も含めた支援のあり方について、十分な検討を行う必要があると考えております。
〇小林正信委員 ぜひお願いしたいと思います。
 続きまして、コロナ禍の影響によりまして、抑鬱、不安障がいなどの精神疾患は増加しております。また、精神障がいがある方やその御家族も、診療の短縮や当事者の集いの場などの減少により、さまざまな影響を受けております。
 令和3年度における精神障がいがある方、精神疾患の患者への県の支援、対応についてお伺いします。
〇八重樫副知事 令和3年度末時点における精神障害者保健福祉手帳の所持者は1万3、332人で、鬱病などの精神疾患の患者数の増加を背景として、この5年間で3、297人の増加となっています。
 精神障害者保健福祉手帳を持っている方々には、精神障がい者の自立と社会参加の促進を図るため、県内の公共交通機関に働きかけを行い、バスや電車の運賃割引を実施しているほか、税金の控除、減免などの支援策が講じられているところであり、県では、当事者や御家族を支援するため、県精神保健福祉センターに相談窓口を設置し電話相談や来所相談に対応しており、令和3年度は、新型コロナウイルス感染症に関連する相談93件を含め8、498件の相談対応を行ったところです。
 これらの対応のほか、精神障がい者や心の健康に関する正しい知識や精神障がい者の権利擁護等についての普及啓発を図るとともに、当事者やその御家族等を対象とした社会復帰や自立等を支援するための教室などを、感染対策にも留意しながら42回開催したところであります。
〇小林正信委員 コロナ禍の影響もあって、精神疾患や精神障がいは誰にでも起こり得るものとなっております。当事者と家族に寄り添い、孤立を防ぐ相談体制の整備は急務であると。特に、精神障がいにおいては、家族への支援が本人の支援につながると言われており、当事者の家族に対する情報提供、相談支援も重要と考えます。
 岩手県において、精神障がい、精神疾患の当事者、またその家族のため、一元的な情報提供を行ったり、居場所を提供する、また、相談支援の中心拠点の整備が必要と考えますけれども、知事の御所見をお伺いして、終わります。
〇達増知事 メンタルヘルスの不調や精神疾患が誰もが経験し得る身近な疾患となっている中、精神障がい者とその家族が、地域の一員として安心して生活ができるよう、さまざまな支援機関が参画する重層的な連携による支援体制を構築していくことが重要と考えております。
 このため県では、医療や福祉に加え、社会参加などが包括的に確保された精神障がいにも対応した地域包括ケアシステムの構築を推進しており、現在、盛岡圏域、気仙圏域、久慈圏域の障がい保健福祉圏域をモデルとして、関係機関、団体等による協議の場を設置しながら、家族相談会の開催などに取り組んでいます。
 国では、今後、市町村を中心とした相談支援体制を整備していくこととしており、県精神保健福祉センター及び保健所が、市町村に対して技術的援助等を行うことなどを新たに盛り込んだ精神保健福祉法の改正を予定しています。
 県としても、法改正の動向を注視しながら、モデル地域での取り組みなどを踏まえ、家族団体の御意見も伺いながら、市町村における相談支援体制の構築を支援し、身近な地域において相談を受け、適切な支援につなぐことのできる体制を整備していく考えであります。
〇小林正信委員 終わります。(拍手)
〇名須川晋委員長 質問者席の消毒のため、しばらくお待ち願います。
 次に、上原康樹委員。
   〔上原康樹委員質問者席に着く〕(拍手)
〇上原康樹委員 無所属の上原康樹でございます。よろしくお願いいたします。
 初めに、地域鉄道の存続について伺います。
 コロナ禍で鉄道利用者が減少傾向にある鉄道経営は一段の厳しさを増し、全国で赤字を抱える地域鉄道の廃線の論議が加速しようとしています。
 国土交通省の有識者検討会がことし7月にまとめた地域の将来と利用者の視点に立ったローカル鉄道の在り方に関する提言では―ゆっくり読みます。聞いてください。
 危機的状況にあるローカル鉄道について、単なる現状維持ではなく、真に地域の発展に貢献し、利用者から感謝され、利用してもらえる、人口減少時代にふさわしいコンパクトでしなやかな地域公共交通に再構築していくことが必要としています。さらに、国が中心となって検討するべきとしています。言葉の限りを尽くしてハードルを思い切り高くしています。
 鉄道に頼ってきた岩手県にとっては、地方自治体である岩手県が、地域鉄道の存続の意義を表明し、具体的な存続策を提示できるかどうかが存続の鍵になります。
 地域鉄道を存続させるためには、施設の保有、保守整備を地方自治体などが担い、事業者は運行、営業に集中するという上下分離方式という仕組みもありますが、県は、どのような仕組みによる存続の将来像を構想しているのか伺います。
 また、この問題に、県はどのような所存で臨まれるのか伺います。
〇熊谷ふるさと振興部長 JR線を含むローカル鉄道は、地域住民の方々の足といった移動手段としてのみならず、災害時の代替性や補完性、観光、物流など地域経済を支える重要な社会的な基盤であると認識しております。
 JR東日本には、収支や平均通過人員のみで存廃を判断するのではなく、まずは、交通事業者の使命として、JRローカル線を維持し、引き続き安定的な運行をしていただきたいと考えております。
 また、鉄道ネットワークは、国の交通政策の根幹として維持されるべきであり、国においては、JRローカル線を維持するための支援を行うべきだと考えております。
 県といたしましても、沿線市町村と連携して、路線ごとにJR線沿線自治体会議を設置し、国やJR東日本への要請、マイレール意識など住民意識の醸成や鉄道の利用促進、JR東日本や国の特定線区再構築協議会から何らかの提案がなされた場合の対応などを協議、検討し、鉄道の維持、確保に向けた取り組みを行ってまいります。
〇上原康樹委員 これは県土の骨格を守る闘いだと思います。強靱な理論武装をお願いいたします。
 次に、ALPS処理水です。
 東京電力福島第一原子力発電所の事故で発生したALPS処理水の海洋放出が、刻一刻と迫っています。
 東京電力と国は、汚染水からトリチウム以外の放射性物質を規制基準以下まで取り除いたものがALPS処理水であり、海洋放出は安全で問題はないとしています。規制基準以下とはいえ、決してゼロにはできない放射性物質が含まれているALPS処理水の何が安全で何が安全でないのか徹底的に認識することが、今回の教訓を未来に生かす道であると考えます。
 ALPS処理水に含まれる問題点をしっかりと把握して、県民に周知し、可能な限り実害が発生しないよう取り組む努力は、同時に、原発に対する人々の意識を喚起する契機、きっかけにもなります。
 原発に一たび問題が起きれば、人や環境の安全を完全に補償することは困難であるということを突きつけているこの問題を、海洋放出で水に流してはいけません。
 ALPS処理水の海洋放出について、県は安全性をどう認識し、今後どのように対応していくのか伺います。
〇佐藤復興防災部長 ALPS処理水についてでありますが、その安全性については、県としては、専門的知見に基づき中立、公正な立場で独立して職権を行使する国の原子力規制委員会において、科学的根拠をもって判断されるべきものと考えており、その判断においては、安全性が確保される方法により確実に処理が行われること、原子力安全分野における国際的な基準の策定等に関する権限を有するIAEA―国際原子力機関による安全性の確認、評価と情報発信が行われることが重要であると考えています。
 県内では、ALPS処理水の処分に関し、漁業関係者などから安全性への不安や新たな風評が生じることを懸念する声が上がっておりますことから、国が責任を持って、科学的根拠に基づく丁寧な説明はもとより、安全に関する客観的で信頼性の高い情報の発信や安全性をさらに高める処理技術の研究開発の継続などを行うよう、さまざまな機会を通じて繰り返し求めてきたところです。
 また、これまでの東日本大震災津波からの復興の取り組みや、本県の自然、産業に影響を及ぼすことがないよう、徹底した安全対策と、あらゆる分野に対応した実効性のある風評対策が講じられる必要があると考えておりまして、ALPS処理水の安全性や風評影響への懸念の声に真摯に対応し、県民の安全・安心と理解が得られるような具体的な取り組みを行うよう、引き続き、さまざまな機会を通じて国に要望してまいります。
〇上原康樹委員 県民の危機感を肌で感じる対応をお願いします。
 次は、有機農業の推進について。
 世界的に化学農薬を使わずに生産された農産物への消費者意識と需要が高まっています。消費者の健康と安全への意識に応えられれば、もうかる農業の実現が可能であるにもかかわらず、日本の農業は、この世界的な潮流におくれる状況にあり、他国が使用を禁じたり制限している化学農薬の一部において、残留基準値がかなり高く設定されています。
 岩手県内にも、例えば、安全性が懸念されるネオニコチノイド農薬の問題を強く認識し、土づくりを徹底するなどして有機農業で成果を上げている農家が存在します。しかし、地域の農業関係者の中においては少数派、異端者として見られることもあり、減農薬への機運は鈍い状況です。岩手県の農産物が健康と安全を保障するものという実態を伴えば、立派なブランドが確立するはずですが、もどかしい限りです。
 県は、化学農薬の使用について、課題をどう認識し、取り組んできたのか、県農業研究センターなどの研究機関における取り組みも含めて伺います。
 また、化学農薬を使わない、いわゆる有機農業に取り組む農家への支援をどのように行うのか、今後の方針を伺います。
〇菊池副知事 化学農薬等による環境への負荷を低減し、自然循環機能を維持、増進する有機農業を初めとした環境保全型農業の推進は、地球温暖化の防止や生物多様性の保全への対応など、本県農業の持続的な発展に向け重要でございます。
 県では、化学農薬の適正使用に向け、農薬管理使用アドバイザーの育成や正しい取り扱いの指導のほか、県農業研究センターにおいては、天敵昆虫の活用など化学農薬に過度に頼らない防除技術を開発し、農業普及員が、こうした技術の指導や普及に取り組んでいるところでございます。
 また、有機農業は、高温多湿な日本の気象条件のもとでは、病害虫や雑草の発生により従来の栽培方法に比べて収量が低い傾向にあることから、生産者からは、栽培技術の指導や安定した販路確保を求める声が上がっているところでございます。
 このため県では、有機農産物等アドバイザーによる栽培技術の指導のほか、販路確保に向けた実需者との商談会の開催や消費者との交流などに取り組んでおり、今後とも、関係機関、団体と連携しながら、有機農業など環境保全型農業を推進してまいる考えでございます。
〇上原康樹委員 子供たちを育む食物と思えば、これでよいということはないと思います。安全には安全をという姿勢でお願いいたします。
 最後に、地震、津波に対する構えです。
 県は、岩手県防災会議で検討を進めてきた地震・津波被害想定調査報告書を公表しました。大変な想定になっています。東日本大震災津波の犠牲者を上回るものです。
 この報告書では、県民一人一人の避難意識の向上や迅速な避難などの自助の取り組みによって、人的被害を大幅に減らすことができるとしています。これは、令和5年度予算編成方針の重点事項の一つ、安心・安全な地域づくりによるソフト面からの防災対策の強化というところにつながっていくところです。人間の知恵、判断、行動、つまり人間力に頼っていくという部分です。したがいまして、コミュニケーションが重要です。
 小西和子議員の一般質問の中で、市町村と実務レベルでの新たな検討組織を立ち上げるとの答弁がありましたが、これは、いつごろ立ち上げ、その検討結果をいつまでに取りまとめるお考えなのでしょうか、伺います。
〇佐藤復興防災部長 県と市町村の実務レベルでの検討組織は、来月中に第1回目の検討の場を設ける予定としており、まずは、あす、沿岸各市町村の担当者との打ち合わせを開催することとしております。
 検討に当たっては、避難方法の見直しや避難場所、避難所の確保などについて先行して検討するほか、国、県、市町村等による東日本大震災津波の検証報告書等に記載された課題や教訓を踏まえた対策についても検討することとしておりまして、状況や必要に応じて、中間報告といったことも考慮しながら、遅くとも令和5年、来年夏ごろまでには取りまとめたいと考えております。
〇上原康樹委員 私も沿岸地域の漁港や新しい水門などを実際に見て回り、地域の方の声を聞いておりますが、いざというときどう行動するのか、それぞれの状況があります、それぞれの不安があります。その声を聞きます。犠牲者ゼロの実現は、徹底して地域の実情に向き合うことから始まるものだと思います。
 ことし6月の一般質問でも、私は、県民を守り、支え、励ます県の決意について伺いましたが、改めて、犠牲者をゼロにする防災対策を進めるに当たって、知事の決意をもう一度伺います。お願いします。
〇達増知事 県では、ハードとソフトを適切に組み合わせた多重防災型まちづくりを進め、被害をできるだけ最少化するという減災の考え方によって地域の安全の確保を図ることを津波対策の基本としてきたところでありますが、このような考え方のもと、本県最大クラスの地震・津波による被害想定調査報告書を取りまとめたところであります。
 この報告書には、犠牲者ゼロを目指した減災対策の基本的方向性を盛り込み、県と市町村が一体となって具体的な減災対策を検討することとしたところであり、検討した減災対策については、住民参加型の避難訓練などを通じて、地域の実情に応じた、より実効性のあるものとなるよう、市町村とともに取り組んでいくことが重要であると考えております。
 このハードとソフトの組み合わせによる減災ということで、その地域にある防潮堤や水門などの特性を理解し、そして、避難の経路の特性を理解しながら、実際に訓練を重ねていくことが重要と考えております。
 本県は、これまで何度も大きな津波被害に見舞われてまいりましたが、県民が一丸となってこれらの苦難を乗り越えてきたところであり、再び津波による犠牲者を出さないという強い決意を県民、市町村、関係機関と共有し、あらゆる主体と連携しながら、何としても命を守るための地震・津波防災対策に取り組んでまいります。
〇上原康樹委員 現場に立って込み上げる思いを大切にしてください。
 以上、終わります。(拍手)
〇名須川晋委員長 以上で、総括説明に対する総括質疑を終わります。
 知事を初め、執行部の皆さんは退席されて結構です。ありがとうございました。
 これより各部局別の審査に入るわけでありますが、委員席の移動を行いますので、その間、暫時、休憩いたします。
   午前10時47分 休 憩
午前11時12分再開
〇川村伸浩副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 これより、各部局別の審査を行います。
 質疑につきましては、議会運営委員会の決定及び世話人会の申し合わせのとおり、質疑項目が複数ある場合、関連する事項はできるだけまとめて質疑を行うこと、ほかの委員と重複した内容の質疑は極力避け、どうしても必要な場合には、関連質疑として短時間かつ簡潔に行うことを基本とすること、数値の確認のみの質疑や要望のみの発言は原則として行わないこととなっております。
 また、議会運営委員会において、新型コロナウイルス感染症対策として、各日の質問予定人数に応じて、その都度、世話人会で協議の上、質疑の目安時間を決定することとされたところです。
 本日は、この後、議会、総務部、政策企画部、復興防災部関係について延べ17人の質問者を予定しており、世話人会の協議により、本日の質疑の目安時間は20分といたしました。
 なお、関連質疑につきましては、目安時間を10分とすること、同一部局の審査において質疑と関連質疑を行う場合は、その日の質疑の目安時間の範囲内とすることにいたしましたので、議事進行に御協力をお願いいたします。
 初めに、議会事務局長に議会関係の説明を求めます。〇小畑議会事務局長 令和3年度の議会関係の決算について御説明申し上げます。
 便宜、お手元の歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げますので、166ページをお開き願います。166ページから169ページまでにかけてでございますけれども、第1款議会費第1項議会費の支出済額は13億5、938万円余であります。内訳でございますけれども、第1目議会費の支出済額は9億883万円余であり、これは、議員の報酬及び費用弁償等の議会運営に要した経費であります。次に、第2目事務局費の支出済額は4億2、483万円余であり、これは、事務局職員33名分の人件費及び事務費等、事務局の管理運営に要した経費並びに議会改革の一環として、ICT化を推進するためタブレット端末及びペーパーレス会議システムを試行的に運用するために要した経費であります。次に、第3目議員会館費の支出済額は2、571万円余であり、これは、議員会館の維持管理等の管理運営に要した経費であります。
 以上で議会関係の決算についての説明を終わります。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
〇川村伸浩副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇斉藤信委員 それでは、質問させていただきます。
 最初に、コロナ禍における都道府県議会での質問発言規制の状況について、全国の状況をどのように把握しているでしょうか。
〇小畑議会事務局長 コロナ禍における都道府県議会での質疑時間の状況についてでございますけれども、令和2年度の全国都道府県議会議長会の調査によりますと、新型コロナウイルス感染症対策のため、本県と同様に質疑時間等を短縮している都道府県は、大阪府議会あるいは群馬県議会など4府県あったところでございます。本県を含めると5府県となっております。
 ことし8月に、その4府県に改めて確認したところ、常任委員会において質疑時間の短縮を行っている都道府県議会は、本県議会のみの状況ということになっております。
〇斉藤信委員 今の答弁のとおり、常任委員会における質問発言規制をやっているのは岩手県議会だけになってしまったと。私は大変残念で、議会運営委員会でこの発言質問規制の見直し、撤廃を求めました。残念ながら全ての会派の賛成が得られなかった。全国で唯一、発言規制していると。コロナ禍の危機のもとだから、県議会が活発に議論をして、その打開のために取り組むことこそ求められているのではないか。
 とりわけ常任委員会というのは、岩手県議会でも2日間、予備日を含めて日程をとっているのです。常任委員会というのは、付託された案件、県議会の場合には、この際を含めまして徹底した審議ができる、しなければならない、常任委員会というのはそういう使命、役割があると私は思いますけれども、どう規定されていますか。
〇小畑議会事務局長 常任委員会の役割に関する規定でございますけれども、地方自治法におきまして、常任委員会は、条例で置くことができるとされ、その部門に属する当該普通地方公共団体の事務に関する調査を行い、議案、請願等を審査すると規定されているものでございます。
 これを受けまして、岩手県議会委員会条例におきましては、本県では、総務委員会など五つの常任委員会の名称あるいは委員定数、所管を定めておりまして、岩手県議会基本条例におきまして、委員会は、県の事務等の調査、付託された議案、陳情等又は事件の審査等を行うと委員会の意義といいますか役割を規定しているところでございます。
〇斉藤信委員 常任委員会というのは、全部局を分担して審議する最も重要な委員会だと思います。だからこそ予備日を含めて2日間の日程をとっている。こういうときに、全国で岩手県議会だけわずか20分に発言規制している。私が当選してしばらくは、発言規制はそもそもありませんでした。本当に自由な徹底した審議がされた。20分というのは、実質質問10分以内ですよ。きょうだって、特別委員会は20分でしょう、17人質問するのに。あしたは23分ですよ。特別委員会より常任委員会の質問時間が短いという、私は、こういう異常な事態は早急に見直し、撤廃されるべきだということを強く求めておきたいと思います。
 次に、都道府県議会における喫煙所の設置状況について。全国の状況はどのようになっているでしょうか。
〇小畑議会事務局長 全国の都道府県議会における喫煙所の設置状況についてでございますけれども、令和4年9月時点の調査では、敷地内全面禁煙は6道府県、敷地内禁煙で敷地内に喫煙専用室ありとするものが12府県、建物内禁煙が10都県、建物内禁煙で喫煙専用室ありとするものが19県という状況になっております。
〇斉藤信委員 建物内に喫煙室があるのは19県で、半分以下ですよ。東北地方では岩手県議会だけです。受動喫煙防止の先頭に立つべき県議会がこれでいいのかと。特に、コロナ禍のもとで、政府の分科会からも、喫煙所というのは感染拡大のリスクが高いところだと指摘されているのです。
 コロナ禍のもとで、私は、こういう使用の規制をすることは当然だと思うけれども、重要なことは、この喫煙所は、県議会議員が出勤していなくても、県職員が自由に使っている。私はほぼ毎日来ていますからチェックしていますけれども、いわば県職員の逃げ込み寺になっているのです。
 そこで、この県議会棟にある喫煙所の管理責任は議会事務局にあると思うけれども、そういう異常な事態をきちんと管理して、是正する努力をしていますか。いかがですか。
〇小畑議会事務局長 議会棟の喫煙所は、いわゆる分煙施設として設置しているわけでございますけれども、この理由につきましては、その設置の経緯あるいは改正健康増進法上の位置づけ等から、議員及び議会棟に用務があって来訪した方々が利用するものというところでございまして、特段、職業に関係なく利用できると認識しているところでございます。
 事務局といたしましては、喫煙室の日常的な管理を行っておりますけれども、個々の利用状況までの確認は行っていないところでございますので、ただいま申し上げたような考え方のもとに利用いただいていると考えているところでございます。
〇斉藤信委員 県議会の喫煙所というのは、私は、本来あってはならない議員の特権だと思うのです。ただ、その中でも、議会に用事がある場合に一緒に使えるという、それは合意事項です。しかし、全庁敷地内禁煙の県職員が使えるわけないでしょう。それも、県議会議員がいないときに、幹部職員を含めて毎日のように使っているのです。私は、こういう異常な事態を管理責任がある事務局が見過ごしていていいのかと。これは人事課と連携して、職務専念義務違反だと人事課は議会で答えています。だったら、そういうことを許すような、奨励するようなやり方でいいのかと。人事課としっかり協議して、しっかり管理することが必要なのではないか。
 私は、せめて会議室と同じように、議員が必要なときにあける、そうでないときには閉めておく。このぐらいのことをしなかったら、県職員の皆さん、どうぞ使ってくださいということになるのではないか。いかがですか、事務局長。
〇小畑議会事務局長 喫煙室の管理につきましては、議会事務局といたしましては、その喫煙室の施設の機能に異常がないかどうか、あるいは修繕を要する箇所がないかどうかの日常の管理を行っているところでございます。
 仮に、喫煙室の利用を制限するといった利用の根本を変更する必要がある場合には、設置の経緯は、議会運営委員会で設置が決定されておりますので、改めて、議会運営委員会等において御決定いただくことが必要ではないかと考えているところでございます。
 県職員の利用に関しましては、総務部から、服務規律に関する通知が繰り返し発せられていると思っておりますし、また、昨年の決算特別委員会でも、総務部から、服務規律の徹底あるいは喫煙室の利用の形について、必要に応じて議会とも調整していきたいという答弁もございましたので、そういったことも踏まえて、引き続き連携して対応してまいりたいと考えているところでございます。
〇斉藤信委員 県庁職員は、基本的には敷地内全面禁煙ですから、それが守られるように、人事課と議会事務局が提携をして、必要な管理ができるようにやってください。
 最後に、統一協会問題への議会の対応についてお聞きいたします。
 全国の都道府県議会の統一協会問題での対応状況をどのように把握しているでしょうか。
〇小畑議会事務局長 旧統一教会及びその関連団体との関連に係る各都道府県議会での対応状況についてでございますけれども、現時点におきまして、当事務局で、何らかの対応を行うという他の都道府県議会の情報は、承知をしておらないところでございます。
〇斉藤信委員 日本共産党の県議団は、ことし9月20日に県議会議長に対して、県議会における統一協会―世界平和統一家庭連合及び関連団体等のかかわりの有無に関する調査と公表を求める申し入れを行いました。
 各会派代表者会議で協議がされていると伺っておりますけれども、この間、8月29日付の岩手日報、10月8日付の朝日新聞、これは各社のアンケート結果で、岩手県議会議員の統一協会との関連も一部明らかになりました。私は大変深刻だと思うのです。
 岩手日報では6人の方が、自主申告で明らかにした。世界平和統一家庭連合の会議に出席した。世界平和統一家庭連合の会議に出席して挨拶をした。2020年から昨年夏まで数回、集会のような場面で県政について話した。これは集会と言っても教会ですよ。立候補に際して集会で演説した。これも教会です。いわば、統一協会の教会に行って、また統一協会そのものの主催する会合に参加して挨拶をしている。私は極めて重大なのではないかと。
 本会議の私の関連質問では、広瀬めぐみ氏が、参議院議員選挙直前に統一協会の教会を訪ねて責任者に会ったと。別の県議も、参議院議員選挙の直前に広瀬めぐみさんの話をしたと。本当に参議院議員選挙は、統一協会ぐるみの選挙だったのではないかという重大な疑惑を指摘しました。
 しかし、県議会ですから、岸田首相が、地方議員含めて関連を明らかにして関係を断絶すると言っているわけですから、私は、各会派が責任を持って統一協会との関連を明らかにすべきではないかと思います。
 議会事務局として、県議会議員の統一協会とのかかわりについてどう把握されていますか。
〇小畑議会事務局長 旧統一教会及び関連団体との県議会議員との関連というようなお話ですが、その関係につきましては、新聞報道等により、今、斉藤信委員がおっしゃったとおり、関係団体のイベント等に参加していたことですとか、あるいは教会に挨拶に行ったことがあるといったことの報道がなされたことは承知をしております。
〇斉藤信委員 今、国会でも予算委員会が開催されていて、やっと政府もこの統一協会問題、いわば統一協会に対する解散請求を前提にした調査を行うという態度を明らかにした。今こういう重大な政治社会問題です。そして、この統一協会による被害者の方が、今、連日のように告白、訴えております二世問題、こういうものも明らかになっております。
 そうした被害を広げている統一協会問題について、私は、岩手県議会の各政党、会派が、責任を持ってこのかかわりを明らかにして関係を断ち切ることが、今、県議会にとっても求められていると思いますが、代表者会議における協議状況はどのように把握されていますか。
〇小畑議会事務局長 斉藤信委員のお話にもございましたが、ことし9月20日付で議長宛てに申し入れがありました申し入れ事項についてですけれども、まず一つは、県議会の各議員が、これまで旧統一教会及び関連団体等とのかかわりがなかったか、集会への参加や書籍等の購入に政務活動費を充当していなかったか、県議会が調査し公表すること。それから、県議会として各政党、会派に対し、所属する議員の旧統一教会及び関連団体とのかかわりについて調査し、公表することを求めること。それから、三つ目として、関係団体等とのかかわりがあった議員は、その理由と内容について明らかにするとともに、反社会的団体との関係を断ち切ることを明らかにすることの3点を要請されていると認識しております。
 いずれも議会全体にかかわることでございますので、各会派において、その取り扱いを御検討いただいているところでありまして、現在、その意見集約に努めているところでございます。いずれ、その意見集約の結果を踏まえまして、最終的には、議長の御判断もいただきながら御回答申し上げるというようなことだろうと考えております。
〇斉藤信委員 岩手日報、朝日新聞のアンケート調査、これは自主申告のようなものですよ。私は、きちんと報告された議員は、それなりの決意を持ってなされたと。
 ただ、例えば昨年、2021ピースロードジャパンin岩手が開催された。これは統一協会関連団体主催で、県議会議員も参加したとなっているけれども、これに参加したという人は名乗り出ていない。
 2016年12月に、日韓トンネル推進岩手県民会議創設大会が開かれました。会長には元副議長の県議がなっていました。これは、この会議に参加したのは元副議長だけなのかということがあるのです。だから、まだまだ一部しかこの統一協会とのかかわりは明らかになっていないのではないのか。そのことも含めて、政党、会派の自浄作用がしっかり果たされるように強く求めて、私の質問を終わります。
   〔「関連」と呼ぶ者あり〕
〇伊藤勢至委員 先ほど分煙室の件でまた話が出ましたが、議会事務局長に、改めてその意義をお伝えしておきたいと思います。たばこを吸うことによって受動喫煙、つまり、たばこを吸わない人も健康被害に遭うのではないかという議論があったときがありまして、それであれば、たばこを吸う人の入るところを分けて設置しよう。簡単に言えば、これが分煙という言葉であります。
 そして、我が岩手県にありましては、特に所得の低い県北地域の有力換金作物でございます。それと、県内、岩手県を含めて全市町村で、このたばこ税が入っています。恐らく全部で100億円を超えているでありましょう。このお金は、例えば日本共産党の控室の調度品にも使われているのです。全部の議員に使われています。この岩手県の建物は県庁丸という船でありますから、ここに乗り組んだみんなは同じ船に乗った目的を持っているので、あれが悪い、これが悪いと言うのはやめたほうがいいと私は思っております。実は県民に広く開放してこそ、むしろ分煙室の効果があるのではないかとさえ思っております。
 そういう中で、水清ければ魚すまずということわざもあります。誰ひとり取り残さない政策をしていくという話を今やっている中で、喫煙者だけを排他するような、むしろ納税に貢献している喫煙者を大事にするというのも考えにあっていいと思います。そういう声の数が多いということを御理解いただいて今後当たってもらいたいと思うのですが、事務局長、この件での質問は初めてでしょうから、正当だと思っている人間が多いということも考えた上での答弁をいただければありがたい。
〇小畑議会事務局長 喫煙室のあり方につきましては、議会運営委員会で設置が決定されたものでございますけれども、それまでにもさまざまな議論がなされまして、また、設置にも幅広い観点から御意見があるところでありまして、最終的に現在の運用形態になっていると認識しているところでございます。
 事務局といたしましては、そのような状況も踏まえまして、この喫煙室、分煙室を健康増進法に規定する喫煙専用室として維持管理しているところでございまして、議員の皆様の議論を踏まえつつ、今後も適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。
 喫煙をめぐりましては、当然、受動喫煙をなくすという基本的な考え方のもとで対応しているわけでございますけれども、個々具体の話になりますと、喫煙者の方と非喫煙者の方の意見の相違に加えまして、伊藤勢至委員から指摘がありました葉たばこ産業の振興ですとか、たばこ税の税収確保といったこと、それから、喫煙場所の減少による喫煙マナーの問題といった幅広い観点からさまざまな御意見があるところでございます。いずれ、そういったものも含めて総合的な議論がなされまして、そのあり方が検討されていくべきものと認識しているところでございます。
〇川村伸浩副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇川村伸浩副委員長 質疑がないようでありますので、これで議会関係の質疑を終わります。
 議会事務局の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 執行部席の消毒のため、しばらくお待ち願います。
 次に、総務部長に総務部関係の説明を求めます。
〇千葉総務部長 令和3年度決算の概要につきましては、昨日、会計管理者から説明がありましたので、私からは、歳入歳出の構造、歳入全般及び総務部関係の決算の内容につきまして御説明申し上げます。
 まず、歳入の構造について御説明いたしますので、お手元の令和3年度歳入歳出決算説明書をごらんいただきたいと思います。
 決算説明書の44ページをお開き願います。第3表一般会計の財源別収入状況でありますが、県税、地方交付税等の一般財源収入の決算額は、この表の一番上の行に記載しておりますが5、595億5、851万円余であり、前年度と比較し153億333万円、率にして2.7%の減となっております。また、国庫支出金、県債等の特定財源収入の決算額は、中段の行になりますが4、375億4、110万円余と、前年度と比較し1、033億6、655万円余、19.1%の減となっております。
 続きまして、歳出について御説明申し上げます。少し飛びまして、56ページをお開き願います。第8表一般会計性質別経費の決算額と一般財源充当状況について御説明申し上げます。
 まず、歳出決算の性質別の状況であります。左側の区分のとおり、義務的経費の計は2、839億6、561万円余、右のページに参りまして、決算総額に占める割合である決算額構成比は30.2%、前年度と比較し2.5ポイントの増、決算額の対前年度増減率は0.3%の増となっております。
 続いて、左のページの投資的経費の計は1、982億8、048万円余、同様に構成比は21.1%、前年度と比較し4.7ポイントの減、決算額の対前年度増減率は24.9%の減となっております。
 次に、総務部所管の事務事業に係る取り組み及び今後の取り組み方針について御説明申し上げます。
 令和3年度の予算は、東日本大震災津波からの復興を力強く進めるとともに、県民の幸福度の向上を図るいわて県民計画(2019〜2028)に基づく施策を展開し、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわての実現を推進するため、財源確保や人的資源の確保に向け取り組んでまいりました。
 また、新型コロナウイルス感染症に対応するため、保健所等に対する支援体制を構築したほか、庁内DXの推進と働き方改革に資する取り組みを推進したところであり、具体には、ノート型パソコンへの更新によるペーパーレス会議の実施や、働く場所を選ばない柔軟な働き方の推進に取り組んだところであります。
 今後とも、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる政策の実効性を高めるため、現在策定を進めている第2期行政経営プランや働き方改革ロードマップに基づく取り組みを推進させ、将来にわたって安定的な財政構造の構築が図られるよう、中長期的な視点に基づき、歳出の重点化や行政の効率化を推進してまいりたいと考えております。
 それでは、当部の決算につきまして、お手元の令和3年度歳入歳出決算書により御説明申し上げます。
 歳入歳出決算書の12ページをお開き願います。まず、一般会計についてでありますが、2款総務費1項総務管理費の一部、3項徴税費、16ページに参りまして、12款公債費の一部及び13款諸支出金の一部であり、予算現額の総額は2、122億231万円余、これに対する支出済額は2、114億1、537万円余であります。
 以上で、一般会計の説明を終わります。
 続きまして、所管する特別会計について御説明申し上げます。
 少し飛びまして、24ページをお開き願います。一番上の公債管理特別会計でありますが、収入済額は1、431億3、210万円余であり、その主なものは、一般会計及び県債管理基金からの繰入金、借換債であります。
 26ページをお開き願います。中ほどの支出済額ですが、1、431億3、210万円余となっており、その主なものは、県債償還元金及び利子、県債管理基金への積立金であります。
 以上で説明を終わります。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
〇川村伸浩副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇小西和子委員 私からは、人件費にかかわりまして、男性職員の育児休業等の取得についてお伺いいたします。
 特定事業主行動計画に、目標値100%として掲げている男性職員の2021年度の育児休業等の取得率と期間を伺います。
〇熱海特命参事兼職員育成課長 令和3年度の男性職員の育児休業等の取得率と期間でありますが、令和3年度は取得率97.5%となっております。
 それから、取得期間の傾向ということですが、各部局から聞き取りしたものになります育児休業期間ということでお答えさせていただきます。令和3年度は、最も多く取得した期間ということでは、1カ月以下が62.2%、半年以上とった方の割合は2.7%という状況になっております。
〇小西和子委員 それでは、もう少しで100%にはなるわけですけれども、達成できなかった要因をどのように分析しているか。ただし、すごい短期間ですよね。あわせて、2022年度の直近の取得率と期間についてお伺いいたします。
〇熱海特命参事兼職員育成課長 初めに、令和4年度の状況を申し上げます。令和4年度は、9月末時点ということで途中経過になりまして、今後変動する可能性もあるところですが、男性の育児休業等取得率100%の状況になっております。
 それから、令和4年度の取得期間の状況ですが、令和3年度とほぼ同じ傾向にございまして、1カ月以下で取得された割合が48.5%、半年以上だと12.1%となっておりまして、やはり1カ月以下の取得期間に集中する傾向が見られるところであります。
 それから、令和3年度97.5%ということで、100%達成できなかったわけですが、この要因といたしましては、一部職員の中には、自分以外に家族に面倒を見てくれる人がいるとか、あとは、休むと職場に迷惑がかかってしまうと思う方もまだいらっしゃるようでして、育児参加意識の低さ、業務遂行への不安というものがまだあると考えられるかと思っております。
〇小西和子委員 令和4年は100%ということでよかったなと思っております。ただ、やはり取得期間が、幾分長くはなっていますが、まだまだ短いということが課題ですね。
 ことし10月から、民間にあわせ公務員の育児休業は、取得できる回数が1回から、原則2回まで可能になりました。子供の生後8週間以内に男性が別途休業できる回数も1回から2回にふえました。この制度の周知や取得しやすい職場環境づくりなど、どのように進めているのか伺います。
〇熱海特命参事兼職員育成課長 今お話がありましたように、ことし10月から制度が改正されまして、職員のニーズに対応できるような制度の柔軟化を図っているところであります。
 この新しい制度につきましては、職員向けに、仕事と家庭の両立ハンドブックを準備しております。この内容のリニューアルをいたしましたし、この中で、育児休業中の給与が試算できるように給与等影響試算シートを準備いたしました。そのほか、子育て支援セミナーを来月から実施いたします。広域振興局ごとに開催いたしまして、新しい制度の制度説明、利用促進などを職員に呼びかけて、周知を図っていきたいと考えております。
〇小西和子委員 新制度の周知については、該当の方だけではなく、全職員ということでよろしいでしょうか。
〇熱海特命参事兼職員育成課長 新しい制度につきましては、全職員向けのハンドブックで周知を図ってまいります。
〇小西和子委員 私はすごく心配していることがあるのです。一般質問でも質疑の中で言いましたけれども、昨年度3月時点での14日以上の精神疾患の療養者は延べ114人、それから、療養平均日数が133.2日と長期化して、世代別では29歳以下の若年層が増加傾向と報告されておりますね。加えて、長時間労働による健康障がい防止、つまり過労死ラインを超えている方々が、2022年3月末時点で延べ919人で、昨年同時期よりも184人もふえている。つまり、この数値を足しますと延べ1、033人になると、すごいことです。本当に倒れそうになって働いている人たちがこんなにも大勢いるわけです。つまり恒常的な長時間労働は一向に是正されていません。まだ新型コロナウイルス感染症対策等にも対応しなければならない、職場で全く余裕がない中でハラスメントの発生も聞こえてきています。
 この欠員等の人員不足が職場環境の悪化に拍車をかけているのではないかということで質疑をしたところ、知事からは、業務の優先度に応じた弾力的な職員体制を編成し、さまざまな危機管理上の課題に迅速かつ的確に対応できる体制の構築に最優先で取り組んでまいりますという答弁をいただきましたけれども、この職員体制をしっかりと構築しなければ、幾ら新しい制度になっても、期間を長くしようというようなことを言っても、なかなか改善されないのではないかと心配しております。
 国の第5次男女共同参画基本計画等、皆さんもう御存じだと思うのですけれども、第2分野の雇用分野、仕事と生活の調和というところのポイントに、二つしかないポイントの一つが、男性の育児休業取得率の向上となっています。これは、国でも少子化対策にはこれが欠かせないということで上げているわけですね。ですから、本県のいわて幸福関連指標にも加えるべきだと思います。
 そして、昨日、人口減対策へ新ポストという大変うれしい答弁がありましたけれども、その議論の中でも、ぜひ男性の育児休業取得率の向上についても議論していただきたい。これは要望にとどめておきたいと思います。
 ちなみに、国家公務員の男性の育児休業に伴う休暇や休業は、1カ月以上取得することを目指しております。取得期間の長期化が課題ということですので、ぜひ、次はそのような取り組みをしていただきたいと思います。
 三つ目ですけれども、宮城県は、県職員が、孫の育児のため取得できる孫休暇制度を来年1月に導入する方針を明らかにしました。知事は、率先してとりますと言っています。秋田県は、子らの看護休暇等という公務員のさまざまな権利があるわけですけれども、そこに孫休暇が含まれていると最近聞きました。ということは、もう今導入すると3番目ぐらいになるのではないかと思いますけれども、岩手県も、県職員が孫の育児のため取得できる孫休暇制度を検討してはいかがでしょうか。
〇加藤参事兼人事課総括課長 職員の孫に関する休暇制度についてでございます。
 宮城県におきましては、職員の配偶者の出産時などに取得できる配偶者出産休暇や育児参加休暇の特別休暇の対象に、職員の孫が生まれた場合も拡充する方向で検討していると聞いております。
 また、小西和子委員から秋田県の事例の紹介がございましたけれども、子等の看護休暇において孫も対象としている都道府県につきましては、令和4年7月時点で11県となっております。
 本県の休暇制度につきましては、仕事と家庭の調和がとれた職場環境づくりの観点から、これまでも必要に応じ拡充してきたところでございますけれども、地方公務員法の規定において、国や他の地方公共団体との均衡を考慮することとされておりまして、国等における措置状況等を踏まえながら検討することが必要と考えております。
 孫を対象とした休暇制度につきましては、現時点で国は導入しておらず、全国的にも少数ということでございますけれども、今後における国等の状況を注視いたしまして、職員のニーズについても把握に努めながら、必要な対策を講じていきたいと考えております。
〇小西和子委員 最後です。全ての職員がその能力や経験等を十分に発揮できるように、仕事と家庭の両立を支援する制度が利用しやすい職場環境を整備して、職員に制度を周知するなどの取り組みについて、引き続き推進していくことを要望して、終わります。
〇川村伸浩副委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午後0時0分 休 憩
午後1時2分再開
〇川村伸浩副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇臼澤勉委員 それでは、私からは、まさにこの決算特別委員会は、新年度の予算編成過程においても重要な意味を持ってくる審査になると思っておりますので、まず、県の今後の行財政運営の視点についていろいろ質問させていただきたいと思います。
 先日、持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会の報告書が取りまとめられておりまして、そこにおいては新たな財政目標を設定されておりますが、令和3年度決算を踏まえた場合、どのようになるのか、まずお伺いいたします。
〇山田財政課総括課長 新たに設定いたしました財政目標の令和3年度の達成状況等についてでございますけれども、今回、財政目標につきましては、令和5年度から令和10年度を対象としておりまして、あくまでも参考値というような扱いとはなりますが、まず1点目の収支均衡予算の実現に関しましては、令和4年度の当初予算では121億円の財政調整基金の取り崩しが発生しておりまして、これは達成できていないというような状況になります。公共施設に係る県民1人当たり負担額につきましては、決算ベースで1万5、300円、目標としては1万2、000円を水準として掲げさせていただいておりましたけれども、こちらも達成できていない状況がございます。
 プライマリーバランスの黒字化ですと、当初予算では71億円の黒字を達成しております。財政調整基金の年度末残高につきましても347億円というところで、目標として掲げている177億円の水準を達成している状況でございまして、未達成が二つ、達成しているものが二つというような状況となっております。
〇臼澤勉委員 今、県が抱えるさまざまな政策課題、子供、子育てであったり人口減対策といった重要課題に対して本当に取り組んでいるし、今後も引き続き取り組んでいかなければいけないのですけれども、この四つの財政目標は、令和10年度までが対象期間とは言いますが、これをそういった政策課題実現に向けてどう捉えたらいいのか、改めてお伺いいたします。
〇山田財政課総括課長 今回の財政目標の立ち位置、位置づけといったところでございますけれども、今回、この行財政研究会の議論等を踏まえまして、まさに平成16年の地財ショックのときに行われたような、急進的な、地域を切り捨てるような改革はよくない。そういったものではなく、中長期的な視点に立った持続可能、そして希望ある岩手を実現するための施策をしっかり充実させていく。それを支えるための財政状況であったり財政基盤を築くというようなところが掲げられております。
 今般の当初予算編成方針等でもお示しさせていただきましたとおり、重点事項については大胆な重点措置を行う。それを支えるための財政基盤を築くというところで、今回このような四つの目標を掲げさせていただいたと考えております。
〇臼澤勉委員 収支均衡あるいはプライマリーバランスをしっかりと黒字化しながら、さまざまな政策課題に取り組んでいくということは理解いたしますが、この四つの捉え方を一言で言うとどういう捉えなのかというところを、私なりにももう少し理解しなければいけないとは思っているのですけれども、私なりに言葉を一言に変えれば、入るをはかりて出るをなすという考え方、それから、出るを制して入るをはかる、これは似たような話だけれども、微妙に違うわけです。どっちの視点でこの予算編成を考えているのか、今のそこら辺の考えをお伺いします。
〇山田財政課総括課長 今後の当初予算編成に向けてでございますけれども、まさしく今言及いただいたような、出るをはかりて入りを制すというところで、まず、必要な歳出、どのような歳出を組まないといけないのか、どういった予算を組まないといけないのかといったところの、歳出としてどれぐらいの事業費がかかるのかをしっかり見きわめた上で、それに必要となる財源を確保していくという考えで編成に向かってまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 出るを制するというところをまずしっかり抑えるのだということで、この2番目の公共施設に係る県民1人当たりの負担額1万2、000円ということも示されておりますけれども、これを、令和3年度の公共施設の管理実績と照らし合わせたときに、先ほど1万5、300円でしたか、令和3年度ではそうだということでしたが、ここの1万2、000円の水準というのは、まず、そもそも何なのか、これはどう捉えているのか、そして、この意味するところは、今後の公共施設の統廃合とか集約とか、どう捉えるのか、そこら辺の解説をお願いします。
〇山田財政課総括課長 財政目標の一つでございます公共施設に係る県民1人当たり負担額1万2、000円以下の水準というところですけれども、まず、設定の考え方としては、これまで過去の決算平均である1万2、000円という水準を一つの目標として掲げさせていただいております。
 考え方に当たってでございますけれども、今後、公共施設等を集約化もしくは適正化していくに当たりまして、例えば、県民が利用される施設でありましたり、県庁舎のような公用施設、職員が働くような場所というもので、施設によって性質が異なるところですけれども、それらの適正管理を推進していくに当たって、県民の方々に今まで以上の負担を求めないというところを目指して、コストの平準化等を図っていく必要があるだろうということで、このような目標を設定したところでございます。
〇臼澤勉委員 私は、この出るを制するといった考え方は大きく三つあるかと思うのですけれども、まず、最大の支出、歳出の見直し、無用なというか無駄なところは削除というか落としていきますよ。あるいは、どんどん切り詰めるという考え方だと、やはりマインドも縮小していきます。県の職員のモチベーションも下がっていくと思うのです。
 そういった意味では、やはり国の補助事業とか有効な事業、それはハード、ソフトも含めた国の事業の活用とか、あるいは民間のファンドといった部分の活用も二つ目の大きなポイントになってくる。あるいは、スクラップ・アンド・ビルドの考え方も出てくるかと捉えております。
 ただ、この前の行財政研究会のいろいろな議論の中でも、このスクラップ・アンド・ビルドのところについては、注意したほうがいいのではないかという御発言もありました。主に、県の事業のスクラップ・アンド・ビルドをやろうとすると、ソフトの県単事業が中心になってきて、私も経験がありますが、100万円の事業予算をとるのに、いろいろな資料をつくって、どんどん頑張ってやるけれども、最終的にはゼロ査定みたいな、カットされて、頑張った割には新規事業が余り出てこないという職員の感覚もあると思うのです。
 この行財政研究会の中で、そういったところの組織の士気というか夢と希望がなくなるようなところは、十分注意して取り組むべきではないかというような御意見がありました。改めて、その辺の考え方をお伺いいたします。
〇山田財政課総括課長 今後の行財政運営に当たってのスクラップ・アンド・ビルドの考え方でございますけれども、まさにこの行財政研究会でも御議論いただきましたが、財政状況、財政制約にとらわれて重要な施策の選択を狭めてはならないというところは、我々も同じ思いでございます。今後の予算編成に当たっては、必要となる事業、重点事項等でございますけれども、こちらに対しては、しっかりと大胆に重点措置をしていくと考えております。
〇臼澤勉委員 そこで、入るをはかるのほうに入るのですけれども、昨日の軽石義則委員の総括質疑の中でも、歳入確保対策について答弁がございました。新たに50億円程度の予算をシーリング等をかけながらも生み出して、取り組んでいくのだというお話がありました。
 その中で、新たな財源確保対策として、電気事業会計からの繰入金、土地開発公社の準備金の活用、ふるさと納税のさらなる魅力化、県保有基金の長期資金運用の拡充など、あらゆる選択肢について検討を尽くして、実現可能なものから取り組んでいくのだという答弁でしたけれども、これはどの程度の規模の財源を目標というかイメージしているのか、その辺の考えをお伺いします。
〇山田財政課総括課長 新たな財源確保策、歳入確保策の規模感といったところでございますけれども、こちらは、まさに先ほど臼澤勉委員から御指摘のあった、出るをはかりて入るを制すというところで、今後、具体的な予算の事業の内容であったり事業の規模が決まるというようなところでございますので、幾らの財源を確保していくべきかは、年末年始の予算編成に向けて検討していかなければならない課題だと考えております。
〇臼澤勉委員 そこで、先ほどの財源確保対策の中に、ふるさと納税のさらなる魅力化というようなところも提示されておりました。非常に大事なポイントだと思っております。
 参考までに、令和3年度の岩手県の実績、評価についてお伺いいたします。
〇山田財政課総括課長 ふるさと納税に係る令和3年度の実績でございますけれども、令和3年度におきましては、本県の受け入れ額は1.7億円となっております。
 ここの評価でございますけれども、全国47都道府県のうち14位という状況となっておりまして、ほかの県と比べれば比較的高い水準にあるかと考えております。
〇臼澤勉委員 全国14位、1.7億円ということですが、全国的にもこのふるさと納税の寄附額はどんどん伸びております。平成26年度の岩手県が8、000万円という納税額、ただ、全国シェアは0.2%という中において、これが今、令和3年度の1.7億円は全国シェアが0.02%ということで10分の1程度の水準になっていると。
 山形県が非常に多くやっておりますから、そこまで目指すかどうかは別にしても、いろいろ市町村の取り組みもありますので、そこは市町村と県との競合する部分も出てくるでしょうから、うまく連携しながらやっていくと思うのですが、この辺は、ふるさと振興部が担当しているかもしれませんが、健全な財政を確保するという意味で、財政課がある程度グリップして主導するようなお考えはあるのかお伺いします。
〇山田財政課総括課長 臼澤勉委員から御指摘いただきましたとおり、ふるさと納税の市場規模は年々拡大しておりまして、1兆円規模に迫るような状況となっております。
 ここにつきましては、持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会の議論におきましても、地域づくりであったり政策への理念を広く提示して、共感をいただく、それによって歳入を確保することが有効ではないかと言われております。こういった報告書等を受けて、総務部としても、その組織体制の拡充等を含めて、ふるさと納税の魅力化はその報告書でもやるべきだと示されておりますので、そこの点については、検討を深めてまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 新たに、県は市場公募型地方債100億円規模の資金調達に取り組むと聞いておりますが、まさに、岩手県の魅力あるいは県が今後どのような未来、希望がある県なのかというところを投資家の皆さんに情報発信していくことが、非常に重要になってくると思います。
 先般、その辺の説明会というか、投資家の皆様に言ってきたと思うのですけれども、投資家の反応、あるいは100億円規模の調達のめどはついたものなのかお伺いします。
〇山田財政課総括課長 全国型市場公募債の発行についてでございますけれども、この市場公募債を発行するに当たりまして、今の金融市場、足元のマーケットでいいますと、まず、グローバルな金利変動の影響を受けておりまして、先行きがかなり不透明な状況であるところで、今回、本県初となる市場公募債の発行になりましたという状況です。
 その上で、投資家に対するIR活動―インベスターリレーションズ、PR活動でございますけれども、こちらを今週17日、全国の投資家が集まる合同IR会において、本県の財政状況等を初めとした魅力について情報発信をさせていただいたところです。
 その結果でございますけれども、投資家からの意見聴取を実際に発行する前に行うことになっておりまして、プレマーケティングといいますけれども、そこでの反応はかなり良好なものでございました。その結果として、発行条件につきましては、発行利率ですけれども、他県と同じ利率になりましたし、本県が発行する100億円を超える規模の申し込みが今あるところとなっております。
〇臼澤勉委員 100億円を超えるということで、先ほどのふるさと納税にもまさに係るのですけれども、岩手県の魅力をしっかりと発信しながら、その辺の財源確保対策、行財政運営に取り組んでいただきたい。
 次の、県と市町村との連携強化に移りますが、県内の首長さんたちのお話を聞く機会をいただいておりますが、県内の自治体から、市町村との実質的な連携、協働事業を県に非常に期待していると。地域課題解決に向けて、一緒に、ボトムアップ型の機関として、県庁にはそういう役割を期待するという声をいただいております。
 今後の県の取り組みについてのお考えをお伺いします。
〇加藤参事兼人事課総括課長 県と市町村との連携強化についてでございます。
 県におきましては、いわて県民計画(2019〜2028)の行政経営プランに、市町村との連携・協働の推進を掲げまして、県民サービスの持続可能な提供を確保していくため、市町村との連携、協働の取り組みを一層進めるとしておりまして、総務部といたしましては、必要に応じて、職員派遣等も含めた支援を行ってきたところでございます。
 このような中で、令和4年度は、12市町村に計13名の職員を派遣しているところでございます。
 県といたしましては、人口減少の進展が見込まれる中で、持続可能な行政サービスの確保など、市町村単独では解決が困難な県政課題にともに立ち向かっていくために、職員の派遣、交流等の取り組みを一層推進して、さらなる市町村との連携強化を図ってまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 13人を市町村に派遣しているということで、これが十分かどうか私はわかりません。ただ、今後、職員の管理というか働き方において、例えば広域振興局とかそういった部分にずっと職員がいるという働き方、昭和型というか今までのやり方と、テレワークがどんどん進んでいる時代の中で、まさに県のフィールドは地域にあるわけですから、そこに職員が入っていって、職員、市町村とも同じ目線でやりながら、広域的な課題は県でやる、もっと踏み込んだ地元のところは市町村というような役割のあり方というのはあるかと思います。
 時間もないので、広域振興局のあり方について、私は、市町村長あるいは住民からの評価、検証をする時期に来ていると思うのですけれども、その辺のお考えをお伺いします。
〇加藤参事兼人事課総括課長 市町村からの評価という点でございますが、広域振興局におきましては、管内の市町村長方との意見交換でありますとか、圏域での各分野を代表する方々で構成される圏域懇談会等、行政分野ごとの意見交換を随時行うなど、地域の状況やニーズの把握に努めているところと伺っております。
 市町村からの意見については、具体的な施策に反映させることで広域振興局内で共有等しているほか、総務部といたしましても、広域振興局が、市町村との緊密な連携のもとに、それぞれの圏域の目指す姿を共有しながら、独自性、機能性を発揮した取り組みを一層展開できるように、広域振興局、ふるさと振興部と連携して、ボトルネックとなっている部分について、その解決に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 私からは、端的に1点だけお聞きしたいと思います。自動車税の減免についてです。
 令和3年度の障がいのある方の通学、通所、通院、なりわいのための自動車使用に関する減免の申請状況について、まずお聞きしたいと思います。
〇今野税務課総括課長 令和3年度の障がいのある方の通学、通所、通院、生業等のための自動車使用に関する減免の申請状況ですけれども、本人運転が6、961件、これは前年度に対しまして155件の減少です。それから、生計同一者が運転する自動車に係る免除件数は、これも定期賦課時ですけれども1、542件、前年度より68件の減少となっております。
〇佐々木朋和委員 この減免については、生計を同一にするということで、例えば医療的ケア児の保護者の方の自動車も減免されるわけでありますけれども、これには回数制限等要件がありまして、1週間に1回以上、また月に4回以上、これが3カ月続けて初めて認められるということで、関係団体の方から声が出ておりました。
 学校に通いたくても、体調などによって週1回以上行けなかったり、月に4回以上行けなかったり、そういった方々が減免の対象にならないのはいかがなものかと。他県においては、この回数要件を撤廃するところがあるということで、県には、市町村と情報共有しながら検討いただけるということで、1年間かけて検討していただいたと思うのですけれども、この検討状況について、どのような進捗があるのかお伺いしたいと思います。
〇今野税務課総括課長 要件緩和の検討状況についてでございますが、昨年度の決算特別委員会におきましての佐々木朋和委員からの御指摘を踏まえ、関係団体等の実態調査及び他県の状況調査を実施したところでございます。
 その実態としまして、継続的に自動車を使用している場合でも、現行の要件として定めている使用目的、回数要件を満たせずに免除にならない事例が確認されております。
 また、使用回数を月4回以上としているのは、本県を含めまして11団体ございます。そのうち、本県と同様に使用目的まで限定しているのは、本県を含め6団体のみとなっておりました。
 これらの調査結果を踏まえまして、使用目的、回数要件等の見直しに向けて、現在、検討、調整を進めているところでございます。
〇佐々木朋和委員 今調整を進めているということだったのですけれども、1年間がたっている状況でありまして、そろそろ結論を出すべきではないかと思います。また、今年度どういう要件になるのかということで、関係者の皆様もその結論を待っている状況だと思います。
 今後のスケジュール感はどのようにお考えなのか、また、結論を出して、要件を緩和していくとなった場合には、いつからスタートできるのか、そういったところをお知らせいただきたいと思います。
〇今野税務課総括課長 要件緩和の現在の検討状況ですけれども、はっきりしたことを申し上げることはできませんが、現在では、現行週1回、月4回としている条件を月1回に緩和すること、それから、今は第三者の証明書の添付を求めているのですけれども、これにつきましても、病院等によっては手数料等を徴しているという声も聞こえてきますので、それらについて、申請者本人の誓約書という形に改めることも今検討しております。
 いずれ、東北各県と比べまして、東北地方で回数要件のないところもございますけれども、一般の使用されている方との均衡も図りながら、その辺は決めていきたいと考えております。
 それから、いつから適用するかということですけれども、調整の中身にもよりますが、早ければ新年度、令和5年度からできればと考えております。
〇佐々木朋和委員 今、要件緩和に向けて進んでいるということは評価したいと思いますが、一方で、この月1回程度というのは、他県では主な、例えば通学の手段としてはこれを使いますよという登録でオーケーというところもあると思います。その中で、月1回程度ということが妥当なラインだとお考えになられた根拠はどういったことでしょうか。
〇今野税務課総括課長 月1回という要件ですけれども、佐々木朋和委員がおっしゃるとおり、回数要件なしという県があるのも承知しております。ただし、やはり身体障がい者の方のために使用するということで見た場合、所有しているだけで免除するのもどうなのかということが、議論の対象になっているところでございます。
 やはり最低限月1回の使用というのは、どうしても確認させていただければと考えております。
〇佐々木朋和委員 所有するだけでと、また、例えば特別支援学校に通うといったときに、その主な手段として登録するということは段階が違うかと思うのですね。例えば、都会みたいにほかの交通手段があるとか、福祉タクシーに介助者を頼むことができて、そういったことも使えるというのであればまた別だとは思うのですけれども、東北地方の岩手県にあって、そういった方はほとんどいないのだろうと思います。
 そういった中で、回数要件、月に1度はそんなに高くないハードルだと思われるかもしれませんが、やはり体調によって、今月は通えなかったという方もいらっしゃると思うのです。そういったときに、そのラインが妥当なのかというところは、疑問が残るところであります。
 それについてもう一度御答弁いただきたいのと、あとは、決算特別委員会で、1年間かけて検討するということだったわけですね。それで、令和5年から始めるとなれば2年後なのかなという思いもあるわけです。申請時期あるいは税金を納める時期はいつだったでしょうか。今から決定して、間に合わない時期だったですかね。
〇今野税務課総括課長 免除の時期ですけれども、毎年5月末までが期限となっておりますので、それらに申請期間ないし周知期間を含めまして、遅くても年明けまでには方針を決めなければいけないと考えております。
〇佐々木朋和委員 確認します。では、次の5月末の申請までにはその結論を出して、皆さんに提示できる。ことし12月までには、周知期間を含めて、その辺は確定して出せるということでよろしいですか。
〇今野税務課総括課長 鋭意努力したいと思います。
〇佐々木朋和委員 端的にと思ったのですが、10分たってしまいます。部長、最後に、課長も答えづらい部分もあるでしょうから、お話をしたいと思いますが、この部分については、議論について部長もお聞きになっているかと思います。今後、これから冬場にかけて、やはり体調に気をつけながら、医療的ケア児のお父さん、お母さん方も、学校に通わせなければいけないという中にあって、安心して通えるような部分を早目に示していくことも大事だろうと思います。ぜひ、もう少し踏み込んだ御答弁を期待して、部長に最後、お聞きしたいと思います。
〇千葉総務部長 佐々木朋和委員御指摘の点は、本当に一つ一つごもっともかと思います。私も保健福祉部に3回いたことがありますので、医療的ケア児の関係とか、冬、風邪をひいて外に出られないとかということで、要件4回すら満たせないというのは、御指摘のとおりだと思っております。ただ、一方で、税収を永遠に失うということでもありますので、そこはしっかり慎重に検討しなければいけないということでの先ほどの課長からの答弁であります。
 前向きに検討しているところでございまして、きょう全部お話しすることはなかなかできませんけれども、しっかり検討していきたいということで、きょうは御勘弁いただければと思います。
〇ハクセル美穂子委員 私からは、まず、個人県民税と法人事業税の関係について御質問したいと思います。
 令和3年度の個人県民税は、若干ですけれども減少しています。これは人口減少の影響によるのか、それとも所得自体が下がったための減少なのかというところについて、どのように分析されているのか伺います。
 また、その一方で、法人事業税については、ちょっとですけれども増加しています。法人事業税については、どんな影響によって増加しているのか、この辺の分析の状況を伺うとともに、今後の税収の見通しについてもお伺いしたいと思います。
〇今野税務課総括課長 まず初めに、個人県民税額の減少の分析についてでございますが、令和3年度の個人県民税のうち、均等割額は、納税義務者数、税額ともに前年度と比較しまして0.7%の減少となっております。
 また、所得割額は、令和2年度の所得をもとに課税しておりますが、納税義務者数は前年度と比較しまして0.2%、税額は1.8%の減少となっております。
 これらのことから、納税義務者数よりも税額の落ち幅が大きくなっており、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた給与所得の減少等が、個人県民税の減少につながったものと認識しております。
 次に、法人事業税の来年度の見通し等についてでございますけれども、まず、令和3年度決算額におきましては、業種によって、新型コロナウイルス感染症の影響を受けたものの、各企業の経営努力でありますとか各種経済対策の効果などによりまして、全体としましては前年度決算比39億2、500万円、率にして16.1%増の283億1、500万円となったところでございます。
 また、令和4年度の状況ですけれども、9月末におけます現年課税分の調定額は、前年度比で7億858万円、率にして4.7%の増となっているところでございます。
 今後も、円安や原油価格、原材料費高騰等が税収に与える影響について注視していく必要があると認識しており、令和5年度の税収につきましても、経済情勢等を踏まえまして適切に算定してまいりたいと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 今お話をいただいたように、個人県民税とか法人事業税の中身をしっかり見ていくと、県内の経済情勢とか、個々の皆さんの収入とかがどういった状態になっているのか、データとしていろいろな分野に活用できるのではないかと私は思っております。
 こういった税の状況等のデータを匿名性をもって、ビッグデータではないですけれども、県庁内での各部局での政策立案とかに活用できるような形で利用していくことも非常に大切なことではないかと思っているのですが、そういった方向性は今後考えていかれるというようなところはあるのでしょうかというのをまずお伺いしたいと思います。
〇山田財政課総括課長 税収の動向といったところのデータの活用でございますけれども、ハクセル美穂子委員から御指摘いただきましたとおり、社会経済情勢が県内においてどういった趨勢をたどっているかにつきましては、税収の動きも一つ大変重要なデータになるかと考えております。
 ただ、ビッグデータのような活用の仕方というところは、まだ検討には至っていないところではございますけれども、こういった事業者の方々もしくは県民の方々が、どういった状況に置かれているのかを適切に酌み取りながら、予算編成であったり事業立案をしていきたいと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 次の質問等にも関連するので聞かせていただきました。
 このように個人県民税とか法人事業税は、増加したり減ったりとその時々によって変わりますけれども、まず、円安の影響等で若干は上がっても、なかなか大きく上がるような状況にはないかと感じています。
 その結果、自主財源の確保がなかなか厳しいと。県税のほうでもふえる余地がない形で、自主財源をふやしていくのは厳しい。そして、人口減もしていますので、地方交付税も減少傾向にあるのは、皆さん御存じのとおりです。
 その中で、県内の地域の特性にあわせた事業をさらに展開していくときは、一般財源がないと事業に対して投資していくこともなかなかできない。そういった岩手県独自の特性にあわせた事業に重点的にどういった形で財源を活用していくのか、その考え方についてお伺いしたいと思います。
〇山田財政課総括課長 事業の重点化という点でございますけれども、令和5年度当初予算編成方針におきましては、人口減少対策の強化、特に子供、子育て環境の充実でございましたり、DXの推進、GXの推進、安全・安心な地域づくりの実現を重点事項として掲げさせていただいております。その上で、これらの事業については、シーリングにより捻出した財源の3倍までの要求を認めるとともに、安心・安全な地域づくりというところは、前年度比1.1倍の要求を認めることにしまして、50億円程度の予算要求枠を設けているところでございます。
 これらの内容につきましては、年末年始の予算編成に向けて、具体的な事業であったり規模であったりを検討してまいりたいと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 その内容については、令和5年度の当初予算編成に当たっての基本的な方針でも示されていますが、このシーリング等で50億円捻出してくださる予定であるのですが、その中で減額されているのが、政策推進費プロジェクトとか広域振興局のところが抑えられた上で、そういった重点事業のところに財源を確保しているという方針のようです。
 これはこれで、もちろん努力されてこういう形にしていただいているのは理解するのですけれども、やはり一般行政経費のところ、これはほぼ人件費というか、県職員の方、教育に携わる方々の行政経費の部分になるのですが、これが前年度当初予算額5、040億円中、1、604億円を占めていると表の中にあります。やはり人口も減していますので、ここの部分について、人件費を増していくこともできないし、減っていくなら減っていくに従って、一定程度の適切な人件費のバランスをとっていくことが重要ではないかと私は感じています。
 そのためには、県庁内のDX推進に対する投資もきちんと確保して進めていくことで、単純事務を、いわゆるAIとかさまざまありますけれども、DXの技術で効率化を図って、人間にしかできないきめ細やかな政策とか市町村と国などとの調整など、人がしっかりと考えていくべきところに人材を重点的に配置するようなバランスについても考えていくべきではないかと思っているのです。その点について、一般行政経費の中での人件費と経費の投資のバランスについては、今後どのように進めていくお考えか、お伺いしたいと思います。
〇加藤行政経営推進課総括課長 庁内のデジタル関係の投資についてでございますが、現在、県は働き方改革を進めまして、考える業務に注力できるようにということで進めているところでございます。
 令和3年度決算におきましては、主にモバイル環境の整備に向けまして、ノート型パソコンの一斉更新、あるいはモバイル閉域網―閉じたネットワークでございますが―の構築、あるいはセキュリティー強化のための自治体情報セキュリティクラウドへの移行といったものを実施しておりまして、場所にとらわれない働き方ができるような取り組みを進めているところでございます。
〇ハクセル美穂子委員 モバイルでのテレワークができるような環境ということですが、そこからさらにもう一歩踏み込んで、データの分析とか、そういう今、人がやっているところを、きちんと大きいデータもしっかり扱えるような体制もこれからはつくっていくべきだと思います。ノートPCを皆さんに配付した次の段階ではあるのですが、一般行政経費のところ、これは人口減少を食いとめるのか、それとも進んでいったら、人件費もきちんとそれなりに、地方交付税が下がるのもありますので、しっかりと考えて見ていかなければいけない部分だと思います。投資のバランスについて、さらに踏み込んでこれから検討していっていただきたいと思います。これはお願いで、終わります。
 次に行きたいと思いますが、職員の労働環境の関係について御質問します。
 マミートラックという言葉がございます。これは、子供を産んだ女性が走る仕事上のコースという意味で使われる言葉で、最近耳にしたのですが、子育てしやすいありがたい職場を提供してもらっているのだけれども、その分、やりがいが持てない仕事であったり、昇進と無縁になってしまうというリスクをあわせ持つという意味での、ちょっとネガティブな部分も入った言葉です。育児休業とか、そういった支援策も進んではいるのですが、これがこの中に入ってしまって、自分の仕事のやりがいとの板挟みになって悩んでいる女性職員の方々もいるとお聞きしています。
 県で、現在では女性も男性も育児休業がとれるように推進してくださっているのですけれども、こういった状況にある方もある一定程度いる可能性があるのではないかと私も思っています。
 また、男性が育児休業を長期でとっていないと、先ほどの小西和子委員の質問の中でありました。半年以上は2.7%ということで、こういったマミートラックではなくてダディートラックに入ることをおそれている可能性もあるかと思っています。
 そういった方々に対して、マミートラックから脱出する希望がある職員をどのように発見して、また、フォローアップ等をするような動きがあるのかどうか伺いたいと思います。
〇加藤参事兼人事課総括課長 マミートラックの関係での御質問でございますけれども、出産、育児によりましてキャリアに格差が生じることは望ましいことではないということで、解消する必要があるものと認識しております。
 本県の現状でございますけれども、出産、子育てを行う女性職員が、キャリア形成上の不利益をこうむることがないよう必要な配慮を行っておりまして、ハクセル美穂子委員御指摘の、いわゆるマミートラックの状態に本人の意に反して陥っているという申し出でありますとか周囲からの情報提供などは、把握していない状況でございます。
 具体的な女性職員に対する配慮といたしましては、面談等で職員個々の希望や業務内容、育児等の生活面での配慮を考慮した上で人事配置等をしているほか、女性職員に関しては、女性キャリアデザイン研修等を通じまして、ワーク・ライフ・バランスの動機づけを行って、キャリア形成を支援する取り組みも行っております。
 県といたしましては、引き続きこうした取り組みを着実に進めて、男女かかわらず、性差にかかわらず、公平、公正なキャリア形成が図られる人事制度の構築を図って、女性職員、男性職員が仕事と家庭を両立して、その個性と能力を十分に発揮できる労働環境の実現に向けて取り組みを推進していきたいと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 今のところはそういう方はまだ申し出がないというかいない予定だということで、わかりました。ただ、男性の育児休業を半年以上とらない理由がどうなのかという分析はまだしていないと思うのですが、こういったことがないのですよと言うことで、さらに育児休業推進、そして育児休暇をとっている間の経験についてもきちんとキャリアの一つとして捉えるという、これは欧米の感覚でもあるのですが、そういうような意識啓発をしていくことで、育児休業が進んでいくのではないかと私は思っておりますので、ぜひ進めていただきたいと思います。
 また、先ほどの庁内のDXの推進にかかわる部分ではあるのですが、人事異動にAIのマッチングを使うというのも海外ではいろいろ出ていますし、最近では国内でも進んできたようでございます。アメリカの例ですけれども、お医者さんのマッチングとか教員のマッチングにAI技術を使って、過疎地等になかなか行ってもらえない、お医者さんが来てくれない地域に対して、どういった方を配置するといいかというのをやっている事例もあるようです。
 日本でも、最近のを見ましたら、防衛省とか生命保険会社でも、AI技術を人事異動に導入して、適切な人事配置の推進をサポートするような取り組みを始めるというところもございました。ぜひ、先ほどの投資の話の部分にも係ってきますが、単純な事務作業のところは、しっかりこういった技術を活用して、その次の職場での配置等、時間を要して人間がやるべきところについて、時間をかけて人間がやっていくような組織のあり方についても今後考えていくべきではないかと思っているのですが、この点について、今後の方向性について部長にお聞きして、終わりたいと思います。
〇千葉総務部長 さまざま御提言いただきましてありがとうございました。答えにならないかもしれませんが、私も、職員研修を年間20回近くやっておりまして、担当課長や総括課長になった女性職員の話を聞きますと、育児した期間で、30代、40代で、企画立案とか人事管理といった課長になると必要なスキルみたいな一部があるのですが、そういったところになかなか苦慮するというか、経験がなくて不安だという声がよく聞かれます。
 今、私も企画しようと思っているのですが、課長になったら、所属長になったら、1年間、毎月毎月こういうことが必要になるのだというような研修を企画しているところであります。
 それから、職員の労働環境などにつきましても、女性職員が非常にふえております。採用試験などをやりますと、もう半分以上は女性だったりするのですけれども、県政推進のためには、さらなる活躍というか、男女それぞれ、高齢者の方々もいれば若い方、障がい者の方もいるのですが、それぞれがそれぞれの持ち場でしっかり活躍していただくような環境づくりを進めていきたいと思っております。
 AI技術の活用の関係などもございましたが、これから民間企業などのやり方も勉強しなければいけないかと思いますので、いろいろ研究させていただきたいと思っております。
 いずれにせよ、働きやすい職場、働き方改革をしっかりやらなければいけないと思っておりますので、これからもしっかり頑張っていきたいということでございます。
〇郷右近浩委員 私からは、いわての森林づくり県民税の県民税均等割の税率の特例、超過課税であるこの税についてお伺いしたいと思います。
 この内容につきましては、先日、農林水産委員会でも数字等はお聞きしたので、一応確認のためにそこから入らせていただきたいと思います。
 いわての森林づくり県民税については、令和3年度の税収実績としては7億5、725万円余、令和3年度末の基金残高が24億375万円余、また、さらに平成28年度から令和2年度までの税収合計は36億3、806万円余、そして、第3期末時点での基金残高としては24億8、605万円余。
 また、この間、森林環境譲与税が令和3年度からいただいている中で、そちらの令和3年度分の県に対して交付されている部分が1億8、228万円余、また、令和3年度の市町村分の配分が、見込みとして10億3、600万円余。森林環境譲与税でおよそ12億1、800万円余が交付されているというような形になっております。
 この第3期末におきまして、県としても25億円ぐらいの基金残高があって、これは3.3年分の税収に近い金額になっており、また、税収に対して事業執行率が低いために基金が増加している、そのような形に見えても仕方ないような形になっていると捉えております。
 そのような状況の中で、今回第4期が開始されているわけでありますけれども、使途の拡充であったり、また、今回、全国植樹祭の準備経費のために収入と歳出のバランスがとれているように見えてきている中にあっては、基金残高に大きな増減はないように見えてくる。
 今回、農林水産委員会で質問した際にも、使途の拡充については、植林等、さらに力を入れていって、これからもその部分はかかってくるといったお話もいただきました。ただ、反面、全国植樹祭については、ことしの準備、そして来年の本祭というか、そうした中にあって、そこまでやってしまえば、では、その後はどうなっていくのだといった部分も出てくるかと思います。
 一方、令和元年度から譲与が開始された森林環境譲与税については、確かに県の配分自体は少ない形になっていますけれども、市町村分も合わせた県全体では県民税の1.6倍ほどに上って、そして、税の趣旨を踏まえ有効に活用していくとなると、これは県、市という部分をいろいろな形で乗り越えながら一緒になってやっていくといったことが求められてくるかと感じております。
 令和6年度から、県民がさらに森林環境税を納めるようなことになる。これまでは復旧、復興のために臨時的な税制上の措置として個人住民税均等割の1、000円を納めていた部分が令和5年度までとなって、令和6年度からは森林環境税へスライドしていくといった流れになる中で、これが森林環境税を納めることになってくると、県民税と同額の1、000円であることを考えても、税の使い道等いろいろな整理が必要である。この点も聞きました。いろいろな形で区分けしていると。ただ、それはどう聞いても、どっちも使えるような、乗り合いができるような形にしか見えないと私自身も捉えております。
 そうすると、先ほど言ったように今度は県民税の1.6倍ほどの森林税が入ってくるとなると、またさらに、これから国でも今いろいろこれまでの中で制度を検討している中で、森林面積やいろいろな要素を考えていくとなってくると、岩手県に対してはもっともらえるのではないかといった観測もある。そういう中にあって、この多額の基金残高がまたどんどん積み重なっていくようなことになれば、今度、令和6年度以降は、二重課税ではないかという指摘がさらにふえてくるのではないかと考えるものであります。
 県民税の使途拡大は、これまでも県議会でさまざまな形で皆さん方が求めてきましたけれども、その使途拡大だけで解決できるような話ではなくて、地方が先取りして制度化してきたこの森林関連の税が、いよいよ国税として措置されることを考えると、県民税としての一定の役割は果たしたものという部分の考え方もあろうかと。とすると、令和7年度以降は、さらに県政の重要課題に振り向ける県民税、例えば、さまざまな目的の別の税として組みかえしていくことも検討できるのではないかと考えるものであります。
 質問通告でいうと、1、2を飛ばして3に行ったような形になりますけれども、この点について県の御所見をお伺いしたいと思います。
〇山田財政課総括課長 いわての森林づくり県民税を初めとする税のあり方でございますけれども、先ほども御議論が少しありましたが、税のあり方は地方自治の根幹にかかわる部分でもございますし、税に対してどのような政策インセンティブの機能を持たせるかでありましたり、住民に対する行政サービスの受益と負担という考え方をどうとるか対応関係を明確にしなければならないというところで、まず非常に丁寧な議論が求められるだろうと認識しております。
 いわての森林づくり県民税の森林保全分野に限らない使途拡大につきましては、今般開催させていただきました持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会の報告書におきましても、岩手県の強みである県立病院であったり、県立高等学校であったりという人への投資に超過課税として課税するというのも、今後の検討課題としてあり得るのではないかと言及されております。
 その上で、今後の進め方ですけれども、今後、住民負担のあり方や超過課税のあり方といったところは、先ほどのとおりですが、受益と負担がどのようになっているのか、まずはしっかり県民に丁寧な説明責任を果たす、その上で検討を深めていきたいと考えております。
〇郷右近浩委員 いわての森林づくり県民税については、今お答えいただいたような形でいろいろお考えいただければと思います。そうでなくても、これから国の森林環境税の譲与分で入ってくる部分、あとは、これをこれからどのように使っていくのか、どのようにしていくのか、市町村とどういう連携をとりながらやっていくのか、そうした課題ももちろん出てくるかと思います。
 ただ、規模感で言えば、内部での森林関係だけでも、使途の拡大はかなりいろいろな方面にできるかと思うわけであります。そうした中で、森林関係への使途の拡大や、さらには、これまで県民税として森林環境保全その他に使っていた部分を、今後どのようにしていくか、いろいろな議論が必要かと思われますので、ぜひ、また御検討いただきながら進めていただければと思います。
 次の質問に入ります。指定管理者制度についてお伺いしたいと思います。
 指定管理者制度については、公の施設の管理に民間事業者の能力を活用しつつ、住民サービスの向上や経費の削減等を図ることを目的に創設されて、令和4年4月1日現在、45施設の向上や経費の削減等を図ることを進めてまいりました。
 今年度は、半数以上の25施設が指定管理期間の満了を迎えることから、現在、次期指定管理者の選定手続が進められていることと承知しております。
 令和2年度の次期指定管理者の指定の際は、9施設全てで応募団体が1団体であったと認識しておりますし、現在、選定手続が進められている施設の中には、応募者がなかった施設もあったと聞いております。
 このように現在の指定管理者制度の導入施設は、応募を検討する民間事業者にとっては必ずしも魅力のあるものとなっておらず、結果として、指定管理者制度が目指す民間事業者の能力を活用したサービスの向上が十分に果たされていないのではないかと思われますが、こうした現状について、要因をどのように分析しているのかお伺いいたします。
〇和田管財課総括課長 指定管理者の選定についてでございますけれども、郷右近浩委員から御紹介がありましたように、指定管理者制度を現在45の施設で導入しておりますが、直近の指定管理期間において複数団体が応募した施設は、県営屋内温水プール及び陸前高田復興祈念公園の2施設のみであります。残りの施設は、前指定期間と同じ者が引き続き指定管理者となっており、指定管理者が固定化している現状となっております。
 応募者の少ない要因としては、施設の管理運営ノウハウを有する民間企業等が少ないこと、それから、施設、設備の老朽化により民間事業者にとって魅力に乏しいことなどがあると考えております。
〇郷右近浩委員 今御答弁がありましたけれども、そのとおり、応募者が低調であったり指定管理者が固定化している要因の一つとして、県が指定管理者に求める管理水準に見合った適切な指定管理料が確保されているのかどうかという部分は、かなり大きい要素でもあろうかと思います。
 民間事業者の方々が、施設の管理運営に関する高水準のノウハウやすばらしいアイデアを持っていたとしても、県から提示される指定管理料が低ければ、そうした能力を発揮する前に応募自体を断念していることも考えられると思います。
 県ではこれまで、指定管理料も含め指定管理者制度の見直しにどのように取り組んできたのかお伺いしたいと思います。
〇和田管財課総括課長 指定管理者制度の見直しについてでございますけれども、管理水準に見合った指定管理料の確保については、過去の管理運営実績に応じて指定管理料を算定しているところでございますが、法令変更や社会情勢の変化に応じて、適時、増額や補正などの見直しを行っております。
 具体的には、令和3年度の働き方改革関連法の施行の際には、同一労働、同一賃金の観点から、法令変更に伴う人件費の増額相当分の指定管理料を増額しており、令和元年度からは、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う利用料収入の減少分に係る増額補正も行っているところでございます。
 また、今定例会においては、原油価格高騰に伴う光熱水費の増額に係る指定管理料の増額補正も提案しているところでございます。
 なお、平成31年度の消費税増税の際には、消費税が適正かつ円滑に使用料に転嫁されるよう、各施設の条例を改正し使用料の上限額を増額しており、また、指定期間についても、従前は3から5年間としていたところを、指定期間が短く計画的な展望に立った施設の管理運営ができないといった声を受けまして、各施設の指定管理者の更新のタイミングで、順次、指定期間が3年だったものについては5年間とするよう見直しなども行っているところでございます。
〇郷右近浩委員 今お話がありましたとおり、消費税が上がったとき、また、さらには新型コロナウイルス感染症対応、そしてまたさらに働き方改革、今回、それも補正予算で441万円計上していただいたという部分については、そういう対応をされてきたことは認識しております。
 ただ、働き方改革もそうですけれども、人件費の高騰であったり、これまでさまざまな経費がどんどん上がってきている中にあって、さらに、先ほどお話もありましたとおり、施設、設備の老朽化であったりといった問題もある。そうした中で、燃料費の高騰といったもの、運営経費がどんどん高くなっている、上がってきている。そうしたものを指定管理者の自主努力だけで、また、さらに収入の増加であったり経費削減だけで、利益を生み出すにはそれでももう限界の中で何とか、県が応援してくれているものを足しても足りないといった悲鳴も聞こえてきているのは事実であります。
 しかも、これが逆に、これまでは3年間というスパンで委託していたものが5年間になるということでは、そこまで先は見通せない。このまま管理委託を受けても、5年後まで見通せないといった不安もさらに出てくる可能性もあるということを私は感じているものであります。
 そうした中では、応募者の増加を図って競争性を拡大し、民間事業者等の経営ノウハウにより、さらなる住民サービスの向上と効果的、効率的な施設管理を行うためには、公の施設がより魅力ある施設になる必要があって、そして、指定管理者の創意工夫等が発揮される仕組みを構築しなければいけない。
 さきに県が公表いたしました持続可能で希望あるいわてを実現するための行財政改革に関する報告書においても、使用料を徴収している県民利用施設を念頭に、それぞれの施設における創意工夫によって来客者数等を増加させ、維持、補修費等の支出を賄う構造を構築する必要があるとされているように、県の持続可能な行財政改革の観点からも必要な取り組みであろうと思うものであります。
 例えば、民間事業者等の強みを生かした提供サービスの充実について検討し、それに見合った適切な利用料金の見直しを行うことで、施設利用者にとっても指定管理者にとっても、双方がウイン・ウインの関係となる望ましい結果になることも考えられるかと思いますが、県の見解をお伺いしたいと思います。
〇和田管財課総括課長 指定管理者制度のあり方についてでございますけれども、指定管理者の経営努力へのインセンティブとしては、使用料がそもそもない施設、それから、使用料はあるのですけれども、学芸業務委託に関するものとか教育行政を担う施設など、利用料金制になじまない施設を除きまして、利用料金を指定管理者の収入として収受させる利用料金制については導入しているところでございます。
 また、今年度手続を進めておりますけれども、新しい取り組み事例として、東日本大震災津波により通常営業ができなくなっていた陸前高田オートキャンプ場について、令和5年度の施設再開に向け、設計、施工を一括発注する、いわゆるデザインビルド方式による公民連携手法により現在改修を進めているところでありまして、設計、施工者に加えて指定管理予定者を一括で選定し、整備後の運営、管理を見据えて指定管理予定者の意向も踏まえた設計とするなど、民間の創意工夫を生かす取り組みも行っているところでございます。
 郷右近浩委員から御提案がございました民間の活力を生かした提供サービスの一層の向上と、それに見合った利用料金の見直しについては、まさに重要な取り組みの一つであるものと認識しております。
 今後の持続可能な公共施設を実現していくため、個々の施設を取り巻く環境や具体のサービスの内容など、実施に向けた課題を整理しながら検討を進めてまいりたいと思っております。
〇郷右近浩委員 指定管理者制度については、もちろん総務部所管であったり、また教育委員会所管であったり、農林水産部所管であったり、さまざまな形で、それぞれの施設の管理委託業者を選定しながら進めているということだと思います。
 しかしながら、やはりその中にあって、収益性のある施設であれば、いかようにもですし、もちろん県で、今回の新型コロナウイルス感染症の状況を受けて、補填ではないですけれども、そのような形で委託したことも存じ上げております。しかし、やはりそれが収益性のないような施設、例えば森林公園など、そうしたところに関しては、受託したお金の中でやっていく中にあっては、さまざまな資材の高騰、燃料の高騰、そして人件費のこのたび重なる高騰の中で、とても大変な形でやっている。そして、今回また新たな選定の中で、手上げすらもしないところが出てくるのではないかと危惧しているところです。
 もとより、この間ずっと1者しか手を上げていないような施設にとっては、まさに、では、どうするといった部分も出てくるかと思うので、そうした部分は、ぜひ県でもいろいろなものを考えながら、いい形で県有財産をしっかり活用してもらえる形をとっていただくように進めていただきたいと思います。要望で、終わります。
〇米内紘正委員 私は、県庁内のDXの推進状況についてお尋ねいたします。
 まず、令和3年度にDX推進のために取り組んだ事業の内容あるいは導入した設備を金額の規模感とあわせてお聞かせください。
〇加藤行政経営推進課総括課長 昨年度導入した設備等についてでございますが、令和3年度決算におきましては、モバイル環境の整備に向けまして、先ほどの答弁と重なりますが、情報化設備整備費事業によりますノート型パソコンへの一斉更新―これは備品の購入でございます―あと、電子県庁運営費事業におきますモバイル閉域網の構築、情報セキュリティクラウド構築費事業におきますセキュリティー強化のための自治体情報セキュリティクラウドへの移行を実施したところでございます。
 それぞれ金額的なところを申し上げますと、パソコンの更新が4億1、000万円余、モバイル閉域網の構築が、これは通信費込みとなりますが4、100万円余、自治体セキュリティクラウドへの移行が1億100万円余となっているものでございます。
〇米内紘正委員 情報システム最適化事業費においては、どういった内容になっておりますでしょうか。
〇加藤行政経営推進課総括課長 情報システム最適化事業費におきましては、令和3年度、庁内ウエブ会議システムの保守、運営等のほか、ウエブDBいわて更新というデータベースなどの運営費となっておりまして、特に新しいものはないものでございます。
〇米内紘正委員 県庁のDXの推進に当たって、昨年度の決算、そして今年度、来年度と、先ほどハクセル美穂子委員からもありましたけれども、結構投資が必要になってくると思っております。特に、事務作業を軽減するという意味で、基幹系業務システムのリプレースというか最適化のところが成功するかしないかが、これからの岩手県庁における働き方改革の成功、失敗に係ってくるものだと思っています。
 現時点で基幹系業務システムの仕様書の入札が行われているところだと思います。その前にこの基幹系業務システム最適化に向けた調査が行われたと思いますが、こちらにおいて、今、県庁で使っているこの基幹系業務システム、総務事務システムや給与、予算編成、財務会計、職員DBとか、この辺において、今どういう課題があると認識しているかお聞かせください。
〇加藤行政経営推進課総括課長 今御紹介ございました令和4年度に実施しております庁内基幹業務システムの最適化の状況でございます。
 財務会計システムを初めとする庁内基幹業務システムにつきましては、これまで紙ベースでの処理を前提としてつくり上げられた制度、情報システムであること、あるいは個別事務の作業効率を前提として開発された情報システムでありまして、システムごとにデータ構築構造がまちまちであること、あるいは独自開発によるシステムのため、機能改良などにコストがかかる、あるいは制度改正などへの柔軟な対応ができないといった課題が明らかになっているところでございます。
〇米内紘正委員 私も、この基幹系業務システムの調査の内容を全部見たのですけれども、これは想像以上におくれているなと。世界からおくれていると言われている日本のデジタル環境の中でも、そこから3周おくれぐらいかなというぐらい大変だなと。財務会計システムに関しては、これに書いてあるものを見ると、1994年に導入されたものをいろいろ改修しながら使っているとか。これは、例えて言うならば、いまだにポケベルを改造しながら使っているみたいな―私はポケベルを使ったことがないですけれども、そういうイメージなのかなと思っています。
 読んでいると、各システムでそれぞれIDとパスワードがあると。つまり、何かのシステムを使うたびに、一個一個サインインして、もしかしたら、その中で時間経過でログアウトされてしまうものは、またサインインしてとか、あるいはサインインしっ放しになっている。これはセキュリティー上問題ですね。こういうものとか、見ていると、相当手作業でやっているのかなと。紙媒体もそうですけれども、手作業でエクセルにいろいろな数字を打ち込んで連携しているとか、あるいは、もうCSVで吐き出して、それをまた読み込ませてみたいなものとか、言い出したら切りがない。
 予算編成システムと財務会計システムに関しては、シームレスな連携ができていないですし事業がイコールではない。これの作業をしている方が今いらっしゃるわけですね。あと、この膨大な業務量ということでいうと、議案構成のレイアウトが物すごく大変だと。もしかしてこれ、エクセルとかで手作業で全部枠とかをやっているのかなと。余り信じられないですけれども、そのようなことがあるかは、私は県庁で働いたことがないのでわからないですが、かなりガラパゴスというか、もう独自の中でやっているのかなと思うのですが、簡単にDXの推進と言っても、これは簡単に進まないと思うのです。これを推進していく庁内の体制がどうなっているのかお聞かせください。
〇加藤行政経営推進課総括課長 現在進めております庁内基幹業務システムの最適化でございますが、働き方改革の一環として我々やっておりまして、庁内的には、各部局の副部長で構成される働き方改革推進会議を設けまして、こちらの会議でDXを推進する体制としているところでございます。
 最適化のほうは最適化のほうで別に、それぞれ各システムを持っているもの、所属から出しているメンバーで構成されるチームがございまして、そちらはそちらで、現場での検討を進めるといった体制になっているものでございます。
〇米内紘正委員 その体制が分かれているのも少し怪しいと思うのですけれども、現場のこのシステムを変更する体制が一番大切なのです。そちらのトップは誰がやっているのですか。
〇加藤行政経営推進課総括課長 最適化業務の現場でございますが、こちらは当課を筆頭にやっておりまして、システムを保有する各所属の複数名の職員と、あと委託先の業者でございますが、こちらも部門を超えたDX推進チームを立ち上げておりまして、ここと定期的にやり合って進めているものでございます。
〇米内紘正委員 このシステムは本当に全ての業務の根幹にかかわるシステムで、そのシステムを変更する、最適化するに当たって、いろいろな変更点、業務を見直さなければいけなくなってくるので、トップにはある程度の権限が必要なのです。トップに権限が必要であることと、あと、そのメンバーに、できれば入って間もない若手が入ってこないと絶対に失敗するのです。というのは、例えば副部長とかが入っていたとしても、現時点でこういう細かい作業はしていないですよね。エクセルに文字を打ち込むとか、いろいろな細かい作業をしていないと、いいやとなってしまうのです。
 やはり現時点でこの業務をしている方が、多分いろいろなもやもやを抱えながらやっている。これは意味あるのかな、これは今の時代自動でできるのではないのかなと思っている方がいっぱいいるわけです。でも、もうその業務から解放された上の方々は、まあいいや、俺らやってきたからと。自分たちがやってきたのだから、これをやればいいのだというので、ここ15年ぐらい、20年ぐらいかな、おくれをとってしまっていると思うのです。
 ですので、この推進体制は一度見直さないといけない。例えば共通職員DBとかになると、権限の付与の問題とか、各部局の慣習によるものを変えなければいけない。業務を変えるようにしなければいけないというのは、もう少し上のところに権限がないと多分変えていけないのです。そうすると、これまでの焼き直しみたいな、結局変わらない、これまでの慣習どおりの、正直、使いづらいシステムができ上がってしまう。
 本当は、入ってきた1年目、2年目の方でも、すぐ、感覚的に使えるシステムになるのが一番いいです。そうしないと、これもわからないですけれども、今起こっているのかなと思うのは、難しいシステム、これを把握している方はいないと思うのですが、この財務会計システムなども、科目コードをシステム上で検索できない。つまりコードがわかっている人はすぐできるけれども、わからない人は、今度、科目コードを検索するシステムみたいなものがあって、そっちで調べてから入力するみたいな。そうすると、このシステムに精通した人、熟練した人が偉いみたいな、出世していく。これは、申しわけないですけれども意味のないスキルですね。この独自化されたガラパゴスにおけるシステムができるかどうかなんていうのは。
 そうすると、先ほどハクセル美穂子委員が言っていたような、本当にクリエーティブな、本当に県民の幸福の向上につながるような事業に行けずに、もしかしたら若いうちにやめてしまう人も出てくるかもしれない。そういうところを一度体制のところで話し合ってもらったほうがいいかと思いますけれども、どうでしょうか。
〇加藤行政経営推進課総括課長 推進体制のところにつきましては、言葉足らずのところがございまして申しわけございません。まず、働き方改革全般のところは副部局長というところでやっておりまして、最適化業務は、まさに現場に近い各所属の職員が入る形でやっております。
 また、第三者的な目で、米内紘正委員御指摘のようなことが起こらないように、外部のIT系のコンサルにも入ってもらっておりまして、そういった方々の助言をいただいて、何とかいいものをつくり上げていきたいと考えているところでございます。
〇米内紘正委員 今まだ調査を終わった段階で、仕様書の入札というところなので、まだないかもしれないですけれども、構想として、これだけの全ての基幹系業務システムをアップグレードしていく、リプレースしていく中で、スケジュール感だったり疲労感は出てこないと思いますが、その辺、今後についてはどう考えていますでしょうか。
〇加藤行政経営推進課総括課長 リプレース、更新についてでございますが、実は、こちらはまだ定まっていない状況でございます。今回の仕様書発注も、建築に例えますと基本設計的な、次の更新が来たときにこういう視点でやっていこうといったものを今回つくるというものでありましたので、それぞれのシステムの更新時期あるいはシステム更新に係る期間、このあたりを見据えて平準的にやっていく、入れかえていくような流れになろうかと思います。
〇米内紘正委員 今この調査書を見たら、多分皆さんも見て、結構めまいがするぐらいの内容というか、これを変えていくには、これを変えない限りは、やはり業務の軽減、それこそ本当に働き方改革とか残業の問題とかを考えていったときに、ここが根幹になる。
 私も計算していないのでわからないですけれども、本当に、下手したら、これで業務がそのままなくなる、ほかのことができる人が100人単位で出てくるのではないかとか、3割ぐらいなくなるのではないかというレベルの業務内容です。削減できるのかなと。本当に大きな話になってくると思うのです。
 そのときに、外部コンサルタントとか、今回、仕様書をまず発注して、それを、システム開発になったら、その仕様書をつくった業者はもちろん入らないですけれども、そのときに、自分たちの業務を軽減するのだという思いがないと、例えば何億円払いました、あとはシステム、お金を払っているのだから使いやすいようにつくってくれよ、このマインドでやると、これは絶対失敗するのですね。それは、システム会社は、ベンダーは業務がわからないので、そこはしっかりコミットしていくというところは、一つ絶対にやっておいてほしいと思います。
 先ほどの推進体制のところ、システムの最適化のところには現場が入っているけれども、では、そのチームのトップにはいろいろな権限が与えられているのですか。
〇加藤行政経営推進課総括課長 トップに権限というものは正直ないですが、一応基本方針を定めておりまして、ペーパーレスを前提としたプロセスの見直しと執務環境の整備、データ連携の強化あるいはシングル採用による一体化、効率化、職員の利便性と県民サービスの向上に向けたクラウドサービスを前提とした永続的な機能拡張といったものを方針に掲げております。これは部としても方針としておりますので、一応そのもとで、現在、最適化の作業を進めているところでございます。
〇米内紘正委員 このプロジェクトが本当に成功するかしないかは岩手県庁の未来に係っていると思いますので、私も少し反省しているのは、これまでデータ分析とかEBPM―エビデンス・ベースド・ポリシー・メイキングとかという質問をしてきたのですけれども、よく考えみたら、例えれば、野球しようぜとずっと言ってきたら、ふと見たら、バットもグローブも球も靴もなかったみたいな、そういうような状態だったのだというのを今回、この調査書でわかりました。
 まずは、ここのデータをしっかり活用できる体制、今、属人的なノウハウの蓄積とかが必ずあると思うのです。下手したらシステム開発の会社の側も、その担当者がいなくなったら誰もこのシステムをいじれなくなってしまうみたいな、みずほ銀行みたいな問題も顕在化してしまうかもしれないので、ここは、私も定期的に聞いていきますけれども、しっかりよろしくお願いいたします。
〇川村伸浩副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
   午後2時30分 休 憩
午後2時47分再開
〇川村伸浩副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇佐藤ケイ子委員 私からは、税収確保についてお伺いいたします。
 県税収入ですけれども、1、342億円余りなわけです。前年度と比較して62億円余り増収となっておりますけれども、個人県民税は373億円ということで微減、そして、今度は事業税と地方消費税の伸びが税収を支えたというわけであります。日本全国でも、世界に比して給料が上がらない国というので二、三十年、実質賃金が上がっていない。やはり県民も所得が上がっていない状況だなとこの数字を見て思ったところです。
 それで、コロナ禍に入って二、三年になるわけですけれども、個人県民税の昨年の収納率はどうだったか。コロナ禍の影響があったのかなかったのか、また、コロナ禍で徴収猶予の制度が設けられたはずですけれども、徴収猶予されても、それが免除になるわけではないので、後々影響していくのではないかと大変心配しているのですけれども、この個人県民税の状況について伺います。
〇今野税務課総括課長 個人県民税の収納率についてでございますが、令和3年度における個人の均等割、所得割の合計では97.49%となっておりまして、前年度を0.14ポイント上回ったところでございます。
 次に、徴収猶予の状況ですけれども、新型コロナウイルス感染症に係る徴収猶予の特例制度が令和3年2月1日に終了したこともございまして、収入未済額のうち徴収猶予額は、令和2年度の768万円から令和3年度は273万円となったところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 今度、滞納整理のことですけれども、個人県民税は市町村が徴収しておりますので、県が直接収納するわけではないわけで、市町村の徴収体制が大きな要素になっているわけです。全体の滞納処分の状況、不納欠損の処理の状況はどうだったでしょうか。コロナ禍が続いて滞納処分も大変になってくるのではないかと思って、お聞きします。
〇今野税務課総括課長 滞納整理の状況についてでございますが、令和3年度は、県税全体で、差し押さえは712件、5、600万円余で、前年度より1、500万円余の増となっております。交付要求及び参加差し押さえは53件、1、500万円余で、前年度より300万円余の減少となっております。
 次に、不納欠損額ですけれども、239件、8、100万円余で、前年度より2、100万円余増加しております。
〇佐藤ケイ子委員 私は、不納欠損処理しているということは、積極的にやってもらったかと思うのです。税の滞納をずっと残しておいても、もう実態的に団体が解散したり、個人の担税力がなかったり、もう納付できない状況がわかっているのであれば、執行停止をかけて、3年、5年で不納欠損処理するとか、そういうことをしっかり実態調査をしなければならないわけですので、不納欠損処理することはいいのだろうと思っているのです。先ほども、それなりにしっかりやっていただいているなとお聞きしました。
 それで、滞納整理機構のことですけれども、市町村から職員を派遣してもらって滞納整理機構で職員研修も兼ねてやってきたわけですが、3年ごとの見直しということで、ことしの職員録を見たら、その職員が非常に少ないわけですけれども、この滞納整理機構の市町村派遣の見直しの経過、課題と評価、そして、市町村支援強化にどのように取り組んできたのか伺います。
〇今野税務課総括課長 滞納整理機構についてでございますが、平成18年10月に個人県民税及び市町村民税の共同徴収対策チームとして総務部税務課内に設置された後、3年ごとに組織の必要性について検証してきたところでございます。昨年度、全市町村の意向によりまして、令和6年度まで継続することとされております。
 これまで収入未済額の縮減や徴収技術の向上などの一定の成果を上げておりますが、一方で、個人住民税の収入未済額のさらなる縮減や滞納整理のノウハウの継承、情報の共有が必要と認識しております。
 次に、市町村支援としましては、派遣職員の受け入れのほか、全市町村を対象としました各種研修や個別に滞納事案相談会を開催するなど、市町村と共同で取り組んでおります。
〇佐藤ケイ子委員 税収確保は、県も市町村も大事な課題ですので、ぜひ、こういった仕組みで県も市町村職員もレベルアップできるような体制をとっていただきたいと思います。
 次に、税外収入のことですけれども、諸収入です。収入未済額が238億円と多いわけですけれども、そのほとんどを占めているのが、岩手・青森県境産業廃棄物不法投棄事案の案件で、それが236億円と、この収入未済額のほとんどになっているわけです。それでも、そのほかも、全体として毎年収入未済額が微増しているのです。
 この収入未済額の中には、税外収入による滞納債権が含まれております。その縮減に向けて全庁的な取り組みが必要と考えますけれども、徴収体制はどのようになっているか、また、外部委託による徴収状況はどのようになっているかお伺いいたします。
〇和田管財課総括課長 まず、一つ目の税外収入債権の徴収体制でございますけれども、岩手・青森県境産業廃棄物不法投棄関係の債権については、環境生活部において対策室を設置しておりまして、そこで債権回収に取り組んでおります。
 それ以外の一定規模以上の件数、金額の債権については、平成20年度から、滞納債権対策関係室課連絡会議という全庁的な連絡会議を設置しまして、3カ年を取り組み期間として、岩手県滞納債権対策基本方針を策定しまして、削減に向けた回収目標とか具体的な取り組みを共有しながら、全庁的な取り組みを推進してきたところでございます。
 その対象となる債権についてですけれども、前年度収入未済額ベースで、件数が10件以上、かつその総額が100万円以上の債権、それから、件数が10件以上かつ1件当たりの平均額が1万円以上の債権を対象債権としておりまして、令和3年度は、一般会計で県営住宅使用料など9債権、特別会計で中小企業振興資金など3債権、それから、公営企業会計で県立病院診療費1債権、計13債権をその対象債権として取り組みを行っております。それで、その9室課から成る連絡会議を設置しまして、滞納債権の整理及び徴収の強化を図っているところでございます。
 次に、外部委託の状況でございますけれども、本県の滞納債権対策の取り組みとして、平成21年度から、一部の滞納債権について、弁護士法人等の民間事業者へ債権回収業務を委託してきたところでございます。
 令和3年度から現在の弁護士法人に回収を委託しておりますけれども、令和3年度の実績といたしましては、母子父子寡婦福祉資金貸付金や県営住宅使用料など6債権、6、400万円余を委託しまして、700万円余の回収実績がございました。
 これまで委託期間を単年度としていたところ、令和3年度から最長で3年間とする長期継続契約に見直したことで、年度ごとの契約切りかえによる回収未実施期間がなくなったことで、回収率が2%ほど上昇したところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 わかりました。私が気になっていましたのは、中小企業に昔、貸し付けがありまして、それで、なかなか担税力というか納付能力がもうない、団体ももうないわけですけれども、それでも毎年請求書は来る。これは時効になるのを防ぐということだろうと思いますが、請求書は来るけれども、それだけだと。実際にもう納付能力がないのであれば、実態調査をしっかりやって、不納欠損もせざるを得ない事案はたくさんあるのではないかと思うのです。ですから、いつまでも収入未済額を積み上げていくよりは、滞納整理をはっきりさせたほうがよろしいのではないかという案件がありましたので、触れさせていただきました。
 次は、職員体制の件でございます。人員確保、そして職員定数についてであります。
 2019年度から4年間で80人から100人の定数増が示されたはずでありますけれども、どのような状況でしょうか。そして、採用試験の受験者、採用辞退者はどのような状況になっているでしょうか。
〇加藤参事兼人事課総括課長 人員確保と職員体制についてでございます。まず、職員数につきましては、令和元年度からほぼ横ばいで推移いたしまして、令和4年4月1日時点では4、343人となっておりますが、復興事業の進捗に伴い、復興業務から通常業務に従事する職員が相対的に増加しており、令和4年度の通常業務に従事する職員数は、令和元年度に比べて150人程度増加しております。
 次に、採用試験の受験者数につきましては減少傾向が続いておりまして、令和4年度実績は584人と、前年度と比較して132人減少しております。
 また、採用辞退者数についてはおおむね横ばいとなっておりますが、直近の実績であります令和3年度の辞退者については72人となっておりまして、令和2年度と比較して7人減少しております。
 県では、引き続き、あらゆる機会を捉えて受験者の確保に向けた取り組みを進めるほか、内定者へのきめ細かなフォローなどを通じて辞退者の減少に努めて、職員体制の確保を図ってまいりたいと考えております。
〇佐藤ケイ子委員 職員採用はされているようで、職員確保の実績は上がっているという答弁でございましたけれども、職員団体の資料によると、今も13人の欠員があるという報告ももらっているわけです。そしてまた、超過勤務の状況など厳しいと伺っております。
 それで、採用辞退になるということですけれども、昨年よりはちょっと改善しても、72人も辞退するというのは結構大きいことだなと思います。やはり県職員の働き方、それから広域異動がネックになっているのではないかと思っております。市町村職員と県職員と国家公務員とか、どの職種も合格しても市町村職員を選ぶ傾向がある。これは、やはり広域異動の問題がかなり重視されているのではないかと思うのですけれども、県職員の広域異動、それから超過勤務、これはやはり改善が必要だと思っているのですが、そこに対してのお考えはないですか。
〇加藤参事兼人事課総括課長 広域異動と超過勤務の質問でございましたけれども、広域異動に関しましては、基本的に、本庁と出先でのジョブローテーションの関係で、一定程度経験していただくというのを考えております。いずれ、個々の職員の希望等につきましては、人事面談等を通じて希望聴取した上で、個々の実情に合わせて配属している状況でございます。今後におきましても、職員の実情に応じて、そういった人事配置に努めてまいりたいと考えております。
 超過勤務につきましては、依然多い状況というのは、そのとおりでございます。いずれマンパワーの確保でありますとか、業務支援でありますとか、事務分担の見直しとか、所属のマネジメントを通じてさまざま見直しをしているところでございますけれども、引き続き、そういったところの取り組みについて、総務部としても主体的にかかわりながら、超過勤務の縮減に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
〇佐藤ケイ子委員 保健所の超過勤務の状況はどうでしょうか。コロナ禍で大変だということ、そして、部局横断の応援体制ということでございますけれども、もう限界になっている、通常業務に対しても影響があると現場の声があるのですが、その保健所の状況。
 あと、他律的業務に該当する職場が非常に多いと思っているのですけれども、超過勤務の制限を外すという他律的業務の部署数、割合、超過勤務の状況はどうでしょうか。
〇加藤参事兼人事課総括課長 まず、保健所の超過勤務の状況でございますが、各広域振興局の保健所、保健福祉環境部でございますけれども、令和3年度の1人当たりの月平均超過勤務時間は21.9時間となっておりまして、全庁平均と比較して6.3時間の増であるほか、昨年度と比較いたしましても10時間の増となっております。
 令和3年度においては、新型コロナウイルス感染症の新規感染者数が年間を通して発生したことに加えまして、第6波による新規感染者数の増加に伴いまして、積極的疫学調査でありますとか健康観察等の業務量が大きく増加したことなどが要因と考えられるところでございます。
 続いて、部局横断の応援体制でございますけれども、こちらについては県政の最重要課題であるということで、新型コロナウイルス感染症への対応については、業務に応じた柔軟な職員体制の構築が必要であるという認識のもとに、部局の垣根を超えた業務支援体制を組んで、本庁の医療政策室や各保健所に対して業務支援を行ってきたところであります。
 こうした体制の構築に当たっては、業務継続計画―BCPを実行して、これに基づいて中核業務や新型コロナウイルス感染症対策を優先的に実施していただいておりまして、それ以外の通常業務については、実施方法の変更や縮小、中止等を行ってきたところであります。
 今後におきましても、こうした業務の見直しを進めて、職員負担の軽減に努めながら、適時適切に新型コロナウイルス感染症対応に当たることができる業務推進体制を確保してまいりたいと考えております。
 最後、他律的業務の該当部署の件でございますけれども、これまで超過勤務の状況や当該年度における業務内容等をもとに指定を行いまして、令和3年度の指定数は85部署、全体に占める割合は39.9%ということで、令和2年度に比べて14部署、6.1%の減となっております。
 令和3年度の指定部署における1人当たりの月平均超過勤務時間につきましては22.7時間となっておりまして、鳥インフルエンザ対応業務でありますとか豚熱対応業務、あとは道路災害復旧業務などによりまして、令和2年度と比較して3.6時間の増となっております。
 超過勤務命令の上限時間の設定については、職員の健康保持の観点等からも導入されたものでありまして、今後も、この趣旨を踏まえて、超過勤務の時間及び人員は必要最小限の範囲にとどめるという観点で、業務の見直しなどについて周知徹底を図って、引き続き超過勤務の縮減に取り組んでまいります。
〇佐藤ケイ子委員 最後になります。女性職員の登用のことですけれども、目標は達成しつつありますが、令和7年度までに15%の管理職登用を目指しているようですが、目標を見直す考えはありませんでしょうか。
〇熱海特命参事兼職員育成課長 女性の管理職割合目標値15%につきまして、この15%の数値の考え方ですが、計画策定当時の女性割合などから勘案しまして設定した数値となっておりまして、実情を踏まえた現実的な数値と捉えておりますことから、まずは、令和7年度15%というこの目標達成に向けて、種々取り組んでまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 それでは、私も新型コロナウイルス感染症対策について、県職員の超過勤務の状況についてお聞きいたします。
 昨年度の保健所等への応援体制はどうとられたか、今年度の対応状況はどうだったか示してください。
〇加藤参事兼人事課総括課長 令和3年度の保健所等への応援体制についてでありますけれども、新型コロナウイルス感染症対応に当たりましては、国の動向ですとか感染状況を踏まえながら、機動的に業務支援体制を構築していくことが重要と認識しておりまして、昨年度は、保健福祉部、保健所の負担軽減を図るために、弾力的に医療政策室等への業務支援を拡充したほか、いわて健康観察サポートセンターへの保健福祉部以外からの業務支援職員を増員して、必要に応じた食料品の提供等の業務を担ったところであります。
 また、大規模なクラスターの発生等によりまして業務が逼迫した保健所に対しましては、本庁の総括課長級職員をリーダーとする保健所支援チームを派遣いたしまして、初期課題への集中的な対応を行ったところです。
 加えて、各広域振興局単位におきましても、各部の職員が、検体、患者搬送業務のほか、地方支部会議の運営とかシステム入力とか、全庁が一体となった応援体制を構築してきたところでございます。
 今年度の応援体制についてでありますけれども、今年度、第7波の感染拡大時においては、本庁に設置している保健所支援本部への業務支援体制を拡充いたしまして、最大で44名の体制を組んで疫学調査等の業務に対応してきたほか、各広域振興局においても、各公所が一体となって、9保健所の合計で1日当たり最大70名の支援体制を確保してきたところであります。
 保健福祉部においては、外部委託も導入して適宜業務の見直しが行われているところでありますけれども、バックアップ体制を整えて、迅速に業務支援に当たることができる体制を構築してきております。
 今後においても、引き続き、退職した保健師を会計年度任用職員として任用するなど、専門職員を初めとする必要な職員の確保に取り組むとともに、業務の効率化にも配慮しながら、保健福祉部、保健所職員の負担軽減に資するように、弾力的な職員編成に取り組んでまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 言葉は丁寧だったけれども、リアリズムに欠けました。
 昨年度は、例えば、広域振興局単位の業務支援で54名、保健所支援派遣チームで86名、バックアップ体制で49名など272名の応援体制だと。今年度8月のいわば感染爆発の状況では、保健所支援本部で44名、いわて健康フォローアップセンターは、今年度は運営業務委託になりましたから、これはゼロで、逆に保健所支援派遣チームが86名、こういう体制で、全体では226名の応援体制。これは、委託があったということでこういう数になっていると。さらに、その後、9月26日に全数届け出の見直しがあって、現在は212名の応援体制ということになっている、こういうことですね。こういう資料をいただいているのです。そういうリアリズムでしっかり答えていただきたい。
 それで、県職員の超過勤務について、月80時間以上と、月100時間以上、この実態は昨年度、今年度どうなっているでしょうか。新型コロナウイルス感染症対応による超過勤務の状況は昨年度、今年度、特に保健所、医療政策室の状況を含めてリアルに示してください。
〇加藤参事兼人事課総括課長 超過勤務の状況についてでありますが、令和4年4月から8月までの今年度の状況でありますけれども、1人当たりの月平均超過勤務時間数の速報値につきましては、全庁で16.7時間となっておりまして、前年度同期の14.5時間と比較いたしまして2.2時間の増となっております。
 また、今年度4月から8月の全庁で月80時間以上の超過勤務を行った職員は155名、月100時間以上は100名いるところであります。
 昨年度につきましては1年間の実績でございますが、月80時間以上が325名、月100時間以上が179名となっておりまして、令和3年度、令和4年度ともに、保健福祉部のほか農林水産部や県土整備部等で多い状況にあります。これは、新型コロナウイルス感染症対応に加えまして、鳥インフルエンザ対応や災害対応に伴う業務量の増加などが要因と考えられるところであります。
 次に、保健所、医療政策室の超過勤務の状況でありますけれども、こちらも令和4年4月から8月までの1人当たりの月平均超過勤務時間数の速報値でいいますと、各広域振興局の保健福祉環境部は37.4時間となっておりまして、前年同期と比較いたしまして17.6時間の増となっております。
 これは、新規感染者数が過去最多を更新するなど急激な感染拡大に伴いまして、積極的疫学調査や相談対応、連絡調整等の業務量が大きく増加したことが挙げられます。
 また、医療政策室においては、今年度8月までの月平均超過勤務時間の速報値では47.5時間となっておりまして、前年同期と比較して22.8時間の減となっているものでありますが、感染動向に応じた県の感染防止策の検討、実施等によりまして超過勤務時間の多い状況は続いております。
 今後におきましても、全庁による業務支援体制を構築して、引き続き、業務に応じた弾力的な職員編成に取り組むとともに、不断に業務の見直しを促進して、超過勤務の縮減に取り組んで参りたいと考えております。
〇斉藤信委員 昨年度、そして今年度も、特に保健福祉部、保健所、医療政策室は100時間を超える状況、80時間を超える超過勤務の状況は大変深刻な状況で、新型コロナウイルス感染症対策は丸3年目ですね。そして今、専門家は、これを上回る第8波、これも年末年始にかけて、新型コロナウイルス感染症で45万人、インフルエンザで30万人、最大75万人と想定して、政府はその対応をとると言っているのです。だから、これはどうなるかわかりませんけれども、私は、本当にもう疲弊しているので、しっかり業務を継続して職員の健康が守られるように対応していただきたい。
 次に、持続可能で希望ある岩手を実現するための行財政改革に関する報告書について質問します。
 この行財政研究会に何を委託したのか、なぜこの行財政研究会の報告書ではなく、岩手県総務部の報告書となったのか示してください。
〇山田財政課総括課長 持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会に何をお願いしたかという点でございますけれども、まず、この行財政研究会につきましては、県が定めた要綱にのっとり、本県のこれまでの行財政運営の状況等における中長期的な課題や特徴の分析、また、人口減少、少子高齢化といった構造的な課題に対応していくための施策の方向性といった議論についてお願いして、開催したものでございます。
 また、本報告書に係るクレジットという点でございますけれども、今回御議論をいただいた行財政研究会の構成員の皆様の御意向等も尊重してこのような形となったものでございますが、その取りまとめに当たりましては、座長を初め構成員の皆様から内容の確認をいただいているところとなっております。
〇斉藤信委員 この行財政研究会は、取りまとめを含めて7回開かれているわけですね。現地視察が1回あります。現地視察と最初の会議以外はみんな東京都で開かれたと。私は、現場感覚が少し欠けたのではないかと思います。
 それで、庶務は財政課です。この行財政研究会に県からどういうメンバーが参加したのですか。
〇山田財政課総括課長 まず、開催状況のところの現場感覚、県のかかわりというところでございますけれども、今回議論させていただいた先生方ですが、まず、座長である一橋大学教授の辻先生におかれましては、岩手県の県立病院は全国に先駆けた先進的な事例であるという論文を書かれているような形でかかわりがありますし、そのほかの先生方も、フィールドスタディーを県内の市町村でされているところで、全くかかわりがない方々ではないということは、まず前提として御認識いただきたいと思います。
 その上で、どのような部局が参加したかというところですけれども、県立病院であったり県立高等学校であったり、あとは政策、人口減少対策の強化といったところを議論させていただきましたので、それに関連する部局等は、説明であったり意見交換であったりというところをさせていただいたところでございます。
〇斉藤信委員 庶務は財政課というから、部長、副部長とか、財政課から何人参加したのかと。実質の議論は取りまとめを含めて6回です。私は簡単な議事録も見ました。詳細な議事録があるのかどうか確認しますが、箇条書きのような議事録を見て、こういう報告書がまとまるとは想像できない。そういう意味で、大体構成メンバーではないのだから。財政課は庶務でしょう。だから、どういう形でかかわったのかということを聞いているのです。どういうメンバー、部長、副部長は参加したのですか、何回参加したのですか。示してください。
〇山田財政課総括課長 総務部財政課の参加の状況でございますけれども、全ての回において、副知事以下、総務部長、そして私、財政課総括課長といったところ、あと、回に応じてその内容がそれぞれ違いますので、財政課職員も適宜参加させていただいているところとなっております。
〇斉藤信委員 それぞれの回ごとに、いずれ会合は6回ですから、副知事が出ている、総務部長が出ている、後から明らかにしてください。
 それで、持続可能で希望ある岩手を実現するための行財政改革に関する報告書、これはどこが出したかわからない。これが、例えば県全体の方針なのか総務部の研究会報告のまとめなのか、性格がはっきりしないのではないかと思いますよ。このテーマからいくと、行財政改革の構造的課題、中長期的な課題を明らかにするということです。しかし、提起されている問題はかなりドラスチックなことが提起されています。これは次に聞きますけれどもね。
 そういう点で、私は、行財政研究会というのだったら、この行財政研究会がきちんと提言を出すなり報告書を出す。それを受けて、県がそれを県の施策としてどうやるかというのが本来の筋ではないか。部長、簡単に答えてください。これは総務部という形で出ているから。
〇千葉総務部長 今回の取りまとめでございますが、先ほど財政課総括課長から申し上げたとおりでございますけれども、いろいろな要素がありますが、一つこちらでまとめるときに気になったことで申し上げると、諮問、答申の形態をとっておりません。ですので、研究会という形でやらせていただきましたけれども、そういった形でございませんでしたので、取りまとめということで、研究会構成員の方々の御了解もいただきながら、総務部で取りまとめをしたということになっております。
〇斉藤信委員 そうだとするなら、私は、この行財政研究会の詳細な議事録を明らかにすべきだと思いますよ。私は、本当に簡単な概要のような議事録をいただきましたけれども、いろいろな議論をされたということはわかりますが、私が読んだ範囲では、こういうまとめがなされるというふうには直接結びつかない。そこを明らかにしてほしい。
 次に、大事な問題提起もたくさんあると思うけれども、これは問題だというところを指摘しておきたいと思います。
 この報告書の27ページです。県立病院にかかわってどういうことが提起されているか。27ページの最後の段ですけれども、病院事業は、72年前に「県下にあまねく良質な医療の均てんを」を創業の精神として誕生したものであるが、今求められているのは、これまでの歴史的経緯を踏まえながら、人口減少や医療の高度・専門化の時代に適合した新しい時代の「良質な医療の均てん」のあり方の検討であると。
 何が抜けていますか。県下にあまねく、これが抜けているのです。何のために県立病院がつくられたのか。医療過疎の時代に、県下どこでも必要な医療が受けられる、そういう形で県立病院はつくられた。ところが、今回の報告書では、県下にあまねくがなくなっている。これはどういう意味ですか。
〇山田財政課総括課長 斉藤信委員から御指摘いただきました、県立病院の精神が変容しているのかどうかというような質問かとお受けとめいたしましたけれども、まず、先ほどの答弁と重複いたしますが、この報告書においては、県立病院には、まず現状として高い評価をしているというところからスタートしていると。かつ、この内容につきましても、これまでの創業の精神にのっとり、デジタル化への対応であったり新しい時代の医療の均てんであったりといったところの実現に向けた方策が書かれていると承知しております。
〇斉藤信委員 肝心なことが聞かれていない。なぜ県下にあまねくが抜けたのかということを聞いているのです。
 総務部長に聞きましょう。総務部の報告書に何で県下にあまねくが抜けたのですか。私は、これは変質に近い問題だと思いますよ。
〇千葉総務部長 考え方としては、あまねく良質な医療の均てんというところの趣旨については、変わらないものと考えております。
〇斉藤信委員 わざわざ県下にあまねくを欠落させているのだから、変わらないというのだったら変わらないように表現すべきです。
 それで、次のページに、ハイボリュームな病院の統合というのが提起されているのです。これは500床規模だと。今500床規模というのは県立中央病院しかないです。県立大船渡病院は精神科を入れてですからね。そして、現地調査はどこに行ったかというと、県立大船渡病院、県立高田病院、県立釜石病院、県立大槌病院を見ているのです。この統合を考えているのではないのかと。
 ただ、この気仙地区は、ハイボリュームな病院の対象にはならないと私は思うのです。なるとすれば磐井病院と胆沢病院の統合ですね。規模的に考えれば。どこを想定してこういう視察になったのか、ハイボリュームな病院というのはどこを想定して議論されたのか。総務部長。
〇千葉総務部長 視察先につきましては、やはり被災地ということもありまして、沿岸地域という御希望もございました。それから、その中で、やはり医療の資源として、むしろ充実していないところもごらんいただくという形で、そこの場所を選定したということでございます。
 それから、ハイボリュームセンターの件でございますけれども、これは、中長期的な課題を方向性として出していただいたといったようなことでありますので、今御指摘いただいたような、ここじゃないか、あそこじゃないかというところについては、特にそういうことなく述べられているものと理解しております。
〇斉藤信委員 部長は、県下にあまねくという精神は変わっていないと、先ほどそういう答弁をしましたので、私はこれは重要な答弁だと。ただ、この報告書と一致しないと。
 時間がないから、あと一言だけ聞きます。実は県立高等学校も、評価はしているのだけれども、学校を見直すべきだとか。今、地域と結びついた学校というので、1学級規模でも2学級規模でも頑張って維持しているのです。地域に支えられた高校、県立大槌高校が評価されていますが、地域と結びついた高校だからあの魅力化というのがうまくいっているのです。私は、今、県教育委員会が進めている方向とこの方向は少し違うのではないかと思うのですけれども、簡単に答えてください。
〇山田財政課総括課長 昨日の副知事の答弁と重複いたしますけれども、今、県教育委員会で進めようとしております後期計画につきましては、生徒の視点に立った取り組みをする必要があるだろうというところではこの報告書も共通しておりますし、より質の高い学びの場の創造をどうしていくかという点で、人口減少、少子化による生徒数の減少への対応や地域との連携の考え方というところも、おおむね共通していると認識しております。
〇川村伸浩副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇川村伸浩副委員長 質疑がないようでありますので、これで総務部関係の質疑を終わります。
 総務部の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 執行部席の消毒のため、しばらくお待ち願います。
 次に、政策企画部長に政策企画部関係の説明を求めます。
〇小野政策企画部長 令和3年度の政策企画部関係の決算について御説明申し上げます。
 初めに、政策企画部所管の事務事業に係る総括的な評価及び今後の取り組み方針について御説明いたします。
 まず、いわて県民計画(2019〜2028)の推進につきましては、各部局と連携し、10の政策分野やプロジェクトに掲げる取り組みを着実に進めるとともに、いわて幸福白書2022の作成など、計画に対する理解醸成を図り、県民の積極的な参画、協働の促進に取り組みました。
 次に、広報関係についてでありますが、復興支援に対する感謝や復興に取り組む岩手の姿、岩手の魅力を国内外に発信し、震災の風化防止や復興への継続的な支援、岩手ファンの拡大を目指す取り組みを進めました。
 さらに、新型コロナウイルス感染症対策に係る周知、広報について、新聞、県広報誌等、各種媒体での県民への情報発信を行いました。
 今後の業務推進に当たりましては、政策評価制度に基づく各施策の成果や課題等の分析、施策への反映などにより、効果的な政策推進に努めますとともに、これらの評価結果や社会経済情勢の変化等を踏まえ、第2期アクションプランを策定してまいります。
 また、震災からの復興の発信や新型コロナウイルス感染症に係る県民へのメッセージを含め、適時適切な広報の展開を目指してまいります。
 こうした取り組みを通じて、各部局とも密接に連携を図りながら、いわて県民計画(2019〜2028)の基本目標であります東日本大震災津波の経験に基づき、引き続き復興に取り組みながら、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわての実現を目指してまいります。
 続きまして、当部関係の決算について御説明申し上げます。
 お手元の岩手県歳入歳出決算書の12ページと13ページをお開き願います。政策企画部に係る決算は、2款総務費2項企画費の一部であり、予算現額の総額12億3、537万円余に対する支出済額11億9、904万円余のうち、7億6、342万円余となります。
 決算の内容につきましては、令和3年度歳入歳出決算事項別明細書に記載されておりますが、説明は省略させていただきますので、御了承願います。
 以上で政策企画部関係の説明を終わります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
〇川村伸浩副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇斉藤信委員 それでは、質問します。いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランについて。
 人口減少対策に最優先で取り組むとしていますが、これまでの取り組みの評価、何が課題だったのか、今後の対策はどうなっているか示してください。
〇竹澤参事兼政策企画課総括課長 人口減少対策に対するこれまでの取り組みでございますけれども、自然減対策、社会減対策を進めるために、産業振興によります安定した雇用の確保、地元就職の理解促進、また、出会いの機会の創出、子育て環境の整備等の取り組みを進めてまいりました。
 具体的には、農林水産業の振興や担い手の確保・育成、自動車・半導体関連産業の集積、魅力ある雇用環境の整備、待機児童数の解消に向けた保育環境の整備、i−サポによるマッチング支援等を行ってきたところでございます。
 こうした取り組みによりまして、昨年度は過去最高の高卒者県内就職率、また、移住、定住者数の増加等の実績につながったところでありますが、一方で、新型コロナウイルス感染症の影響等もあり、合計特殊出生率が低下しているところでございます。
 取り組みといたしましては、人口減少対策は、国を挙げた東京一極集中の是正や少子化対策等が重要でありますことから、政府予算提言・要望や全国知事会等の機会を通じて、子育てしやすい雇用労働環境の整備、地方重視の経済、財政政策等について、国に対し働きかけを行ってきたところであり、今後も強く訴えていきたいと考えております。
 今後におきましては、第2期アクションプランにおいて、人口減少問題に最優先で取り組むこととしており、結婚、妊娠、出産、子育てなどライフステージに応じた総合的な取り組みの強化や、若年層の県内就職やU・Iターンの促進に向けて、市町村や民間団体等と連携を図りながら取り組みを強化していきたいと考えております。
〇斉藤信委員 今、今後の対策としては、子育てしやすい雇用環境の整備ということもありました。私は、やはり根底に若者の労働条件、生活の悪化があるのではないかと。
 実は、ことしの10月20日から岩手県の最低賃金が854円になるのです。30円ちょっと上がるのですけれども、この最低賃金のために引き上げなくてはならない労働者が23%だと。だから、最低賃金以下で働いているのです。私は、本当にこれは深刻な話だと思って聞いてきたのですけれども、やはり生活のめどが立たないので結婚を諦めてしまうという大変重要な根本問題があるのではないかと思います。
 そういう点で、私たちは、もう時給1、500円に中小企業も含めてやるべきだと。そのためには中小企業に10兆円の支援をして、内部留保に課税してと財源まで示しています。欧米は、時給1、500円、1、600円です。1、500円になればどうなるかというと、実収入で月20万円を超えるのです。ですから、年間でも二百数十万円、ワーキングプアは基本的にこの日本からなくなると。そういう思い切った若者の生活を守る対策がないと、私は、これはなかなか行かないのではないかというのをまず根本的な問題として提起します。
 同時に、先ほど高校生の県内就職率が高まったということです。74.1%です。確かに着実に上がっていることは私も評価したい。しかし、県の目標は84.5%です。これは東北地方でトップクラスを目指すと。そこから見ると、まだ10ポイント違うのです。だから、私は、宮城県、山形県並みに、本当に思い切ってこれを高めることが必要なのではないかと思うのです。
 この点で議論もされていますけれども、やはり魅力ある県内中小企業の実績とか現状が十分に中学生、高校生に知らされていない、このことが大きな課題としてある。いわば、一定の確保できる雇用労働条件があるにもかかわらず、それが生かされていないことが、私は大変重要な課題だと思いますけれども、この点について、これを進めるさらなる対策が必要だと思いますが、いかがですか。
〇竹澤参事兼政策企画課総括課長 高校生、また県内にあります大学の卒業生の方々が、さらに岩手県内に就職していただけるように、そういう取り組みはこれからも進めていかなければならないと思っております。そのためには、まず、県内の大宗を占めます中小企業の振興、そのための支援、さらに、県内の企業について若い方々により知っていただきたい、また、その父兄の方々にも知っていただきたいと思っております。
 関係部局でそういった取り組みは進めておりますけれども、第2期アクションプランにおいても、その取り組みは強く進めていく必要があるものと考えております。
〇斉藤信委員 知事が県立産業短期大学高で講演するとか、高校でも講演するとか、先頭に立ってやっていることは、私は評価したい。そういう取り組みをもっと本格的に、岩手県は本気だ、岩手県にこういうすばらしい企業があるという取り組みを強化すべきではないのかと思います。
 それで、第2期アクションプランの重点事項は4項目、4課題です。一つは、男女がともに活躍できる環境づくりを進めながら、結婚・子育てなどライフステージに応じた支援や移住・定住施策を強化しますと。この重点課題については思い切った予算措置もする、こういうことでありました。
 本会議の一般質問で高田一郎議員も提起し、ほかの議員も提起しましたが、子供の医療費は、来年度は全ての市町村が高校まで助成すると。だったら、来年度からもう現物給付化を速やかに実施する、この程度のことは速やかにやる必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
〇竹澤参事兼政策企画課総括課長 子育て世帯の方々の経済的な負担を軽減する取り組みは、国、県を挙げてやっていかなければならない取り組みであると考えております。県といたしましても、そういう方向で国に対してこれまでも要望してきたところでございます。
 今、斉藤信委員から御指摘がありました医療費の関係につきましては、恐れ入りますけれども、所管しておりませんので、申しわけございません、ここでの答弁は控えさせていただきたいと思います。
〇斉藤信委員 本会議でも議論になったし、あなた方が第1の課題に提起しているから、私は具体的な問題を指摘したのでね。こういうことなのです。高校生まで現物給付化をやれば、私は、全国で最初になるのではないかと思うぐらいのインパクトがあると思いますよ。
 問題はペナルティー、これが1、000万円です。県と市町村で半分ずつ今まで持っていましたから、500万円の県の負担でできるのです。あとはシステム改修費だけです。だから、その気になったらすぐできる。そして、私はインパクトも大きいと。そのことは、担当部は保健福祉部ですから。ただ、第2期アクションプランの重点事項なので私はここで聞いたので、大いにそういう方向で前に進めていただきたい。
 重点事項の2、3は、GX推進、DX推進ですね。これを見て、県民はわからないと思います。GXって何だ、DXって何だと。グリーントランスフォーメーションと言ってもわからない。まず、前提の問題として、何かわかりやすい日本語で県民に訴えられないかと。DX、GXというのは、庁内では通用するかもしれないけれども、県民のレベルでは通用しませんよ。国が使っているからなんて、そんな話じゃなく、わかりやすい表現を県民の立場でやる必要があるのではないかと思いますが、これはいかがですか。
〇本多特命参事兼政策課長 四つの重点事項のうち、GXの推進とDXの推進についてでございますが、改めて御説明申し上げますと、GX―グリーントランスフォーメーションにつきましては、化石燃料中心の経済社会、それから産業構造をクリーンエネルギー中心に移行させることによりまして、経済社会システム全体を変革しようとするものでございまして、特にこの重点事項におきましては、誰もが住みたいと思える岩手県を次世代に引き継いでいくため、温室効果ガス排出量の2050年実質ゼロという目標も踏まえ、再生可能エネルギーの導入促進や森林資源の循環利用を進めるなど、地域経済と環境にも好循環をもたらす持続可能な成長を目指してまいりたいと考えているものでございます。
 また、DX―デジタルトランスフォーメーションにつきましては、デジタル化を手段といたしまして、既存の価値観や枠組みを見直す変革を行って、課題解決や新しい価値を創造していこうとするものでございまして、DXを支える基盤整備を行いながら、行政、産業、社会、暮らしのDXを進めようとするものでございます。
 斉藤信委員御指摘のとおり、GXやDXといった用語については、国の骨太の方針などの場で使われているものでございますけれども、やはり県の計画は、つくるだけではなくて、県民の皆さんに理解いただいてこそのものだと考えておりますので、これから素案を策定する中で解説を加えたり、あとは、素案策定後、地域での説明会なども予定しておりますので、そういった場で、ただいま御説明申し上げたような背景もあわせて説明しながら、理解が進むように努めてまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 私は何度も言っているのですけれども、やはり片仮名とか英数文字とかを使うときは、ごまかすときなのです。県民にわかってもらう、こういう思いで美しい日本語を使ってほしい。それも文化です。私は政策的能力と言ってもいいと思いますけれどもね。何かわけのわからない言葉を使って自己満足することであってはならない。
 それで、GX―グリーントランスフォーメーション、これもわかりませんから、わかるようにやってほしいのですけれども、岩手県地球温暖化実行計画でCO2削減を57%に引き上げるということで、具体的な計画も方針も示そうとしていますから、私はこれを高く評価したいと思います。
 震災復興の次の戦略的課題は、やはり地球温暖化防止、それに基づく産業と社会の改革なのだと思うのです。これは、専門家が、貧しい生活ではないのだ、新たな雇用を拡大して、命と暮らしを守る新しい社会の創造なのだと具体的な根拠も示して提言しております。そういう意味でいけば、復興のためにこの取り組みが10年間おくれた。出発点はおくれましたけれども、戦略的課題にしてこれを大いに進めるということは、大変大事なことだと思っています。これは聞きません。
 それで、先ほど総務部のところで持続可能で希望ある岩手を実現するための行財政改革に関する報告書の議論をしました。私は、今回の第2期アクションプランというのは、率直に言えばリンクしていないと思います。それでいいと思っています。あちらは、正確に言えば中長期的な方向を示したということです。問題点も指摘しましたけれどもね。総務部の行財政改革の報告書との協議、関連があったのかなかったのか、これにどう対応しようと考えているかを示してください。
〇竹澤参事兼政策企画課総括課長 持続可能で希望ある岩手を実現するための行財政改革に関する報告書に対するかかわりと今後についてでございますけれども、この行財政研究会の議論に当たりまして、当部といたしましても、総務部と連携いたしまして必要な資料を提供したほか、県の施策等の説明を行ってきたところでございます。
 この報告書の中には、最終的に人口減少対策の強化といった子供、子育て環境の充実など、安心・安全に暮らせる基盤の強化ですとかグリーン社会の実現、DXの推進といった内容が盛り込まれております。
 現在、第2期アクションプランの策定作業中でございますけれども、これまでの社会経済情勢の変化ですとか市町村等の皆様からいただいた御意見、また、今回の報告書の内容も参考にしながら策定を進めていきたいと考えております。
〇斉藤信委員 この第2期アクションプランの今後の策定のプロセス、もう来年度から始まる計画ですから、そのプロセスをお聞きしたいのだけれども、この間の経過を見ると、知事と市町村長との意見交換を4ブロックごとにかなり丁寧にやられたと。今後もやられるのではないかと期待はしています。各団体、委員会など106団体から意見を伺ったと。これも、その概要についてはお聞きいたしました。
 今後、本当に県民の知恵と総意を結集して第2期アクションプランを策定するという点で、今後の具体的なプロセスを示していただきたい。また、この行財政研究会としても、もう少しまとまった段階で議論する場が必要だと思いますけれども、そのことも含めてプロセスはどうなりますか。
〇本多特命参事兼政策課長 第2期アクションプランの素案に向けたプロセスについてでございますが、第2期アクションプランの素案につきましては、本年11月に開催する総合計画審議会で御審議いただいた後、12月定例会の提出予定議案等説明会の場におきまして、議員の皆様に改めて御説明させていただく予定としております。
 その後、素案に対するパブリックコメントや広域振興圏ごとの地域説明会を開催いたしまして、また、各種団体等からの意見徴収も改めて行う予定としております。
 それらを踏まえまして素案の修正を行い、令和5年2月に次の総合計画審議会で最終案を御審議いただいた後、2月定例会の提出予定議案等説明会の場において最終案を御説明し、年度内の策定を目指しているものでございます。
〇斉藤信委員 もう時間もなくなりました。我々に示された、総合計画審議会に示された内容も柱だけで、中身はこれからということですので、12月定例会の提出予定議案等説明会に示すということですから、それに期待したいと。ぜひ、引き続き、素案の段階で大いに市町村長や各団体等の意見をしっかり踏まえて練り上げるようにお願いして、終わります。
〇川村伸浩副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇川村伸浩副委員長 質疑がないようでありますので、これで政策企画部関係の質疑を終わります。
 政策企画部の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 執行部席の消毒のため、しばらくお待ち願います。
 次に、復興防災部関係の審査を行います。
 なお、森田復興くらし再建課総括課長は、所用のため欠席となりますので、御了承願います。
 復興防災部長に復興防災部関係の説明を求めます。
〇佐藤復興防災部長 令和3年度の復興防災部関係の決算について御説明申し上げます。
 初めに、当部所管の事務事業に係る総括的な取り組み状況と今後の取り組み方針について説明いたします。
 当部では、復興推進プランに掲げる安全の確保、暮らしの再建、なりわいの再生、未来のための伝承・発信を着実に進めるとともに、政策推進プランに掲げる自助、共助、公助による防災体制づくりなどに取り組んでまいりました。
 まず、東日本大震災津波からの復興の推進についてでありますが、待望の復興道路が昨年12月に全線開通するなど、各分野で復興が着実に進んできたところです。
 また、陸前高田市に整備した県の東日本大震災津波伝承館は、本年4月30日に来館者数50万人を、9月12日には60万人を達成いたしました。これまでの復旧、復興の取り組みにより、ハード面の事業など計画された事業の多くは完了したところでありますが、一方で、被災者の心のケアやコミュニティーの形成支援、コロナ禍により大きな影響を受けている事業者への支援など、引き続き中長期的に取り組むべき課題については、被災地の状況に応じ重点的に対応するなど、引き続き、安全の確保、暮らしの再建、なりわいの再生、未来のための伝承・発信の四つの柱に沿った取り組みを進めてまいります。
 次に、地域防災力の強化についてでありますが、地域防災サポーターの派遣により、地域における防災の担い手である自主防災組織の組織化、活性化を促進したほか、自主防災組織のリーダーを対象とした研修会や防災士養成研修の開催により、防災における地域の中核人材の育成を推進してきたところです。引き続き、自助、共助、公助による防災体制づくりを進め、地域防災力の強化に努めてまいります。
 続きまして、決算の概要について御説明いたします。
 当部関係の一般会計歳出決算は、お手元の岩手県歳入歳出決算書12ページと13ページの2款総務費のうち、1項総務管理費の一部、6項復興防災費、3款民生費のうち、2項県民生活費の一部、5項災害救助費、16ページと17ページに参りまして、12款公債費の一部ですが、これらの支出済総額は62億7、218万円余であり、翌年度繰越額は3億7、788万円余、不用額は6億2、387万円余となっています。
 決算の内容につきましては、お手元の歳入歳出決算事項別明細書に記載されておりますが、説明は省略させていただきますので、御了承願います。
 以上で説明を終わります。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
〇川村伸浩副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇佐藤ケイ子委員 私は、はまなすサポートセンターのことについてお伺いいたします。
 性暴力、性犯罪の状況についてですけれども、コロナ禍になってから、性犯罪、性暴力の相談件数が全国的に急増しているという資料が出ているのですが、岩手県の性犯罪、性暴力被害者支援のはまなすサポートセンターの相談状況はどうなっているでしょうか。相談件数、被害者の状況、加害者との関係など、それから、被害者から被害があって相談するまでの期間や性被害の類型などについては、どうなっているでしょうか。
〇多賀県民安全課長 はまなすサポートセンターの相談状況についてでございますけれども、本県の性犯罪、性暴力被害者のワンストップ支援センターであるはまなすサポートセンターの令和3年度の相談件数は、電話相談227件、面接相談41件、メール相談75件、その他相談13件で、計356件となっております。
 次に、被害者の性別割合については、女性が291件、79%、男性は62件、21%、性別が確認できなかった方が3件となっており、年齢別では、10代から30代までの方が221件、62.1%、40代以降が135件、37.9%となっております。
 また、加害者との関係では、知人が最も多く227件、63.8%、次いで、SNSで知り合った者が34件、9.5%、身内、近親者が31件、8.7%、見知らぬ者が22件、6.2%となっております。
 被害を受けられてから相談するまでの期間については、被害直後から半年以内が145件、40.1%である一方で、数年前の被害を相談される方もいます。
 性被害の類型については、強制性交等が155件、43.5%、強制わいせつが134件、37.6%、DV、虐待、ストーカーが21件、5.9%、監護者性交等が11件、3.1%などとなっております。
〇佐藤ケイ子委員 加害者との関係ですけれども、知人や身内などが結構あるのです。それで、なかなか相談することや被害を申し立てることができなくて、ずっと長い間苦しんでいるという状況がこの性被害、性暴力の関係であって、なかなか根深い問題だと思っております。
 そこで、付き添い支援については、医療機関や裁判など、さまざまな支援をするわけですけれども、付き添い支援の状況はどうなっているでしょうか。
〇多賀県民安全課長 はまなすサポートセンターの付き添い支援の状況についてでありますが、令和2年度の付き添い支援等の総件数は72件、令和3年度は41件となっております。
 主な内容としては、弁護士相談等への付き添いが6件、警察関連手続支援が3件、病院付き添いが2件となっているほか、自宅訪問による支援が10件となっております。
〇佐藤ケイ子委員 この付き添いをしてくださる方のスキルというか、人に寄り添った対応がとても難しく、全国では支援員の確保が難しいということです。支援員の確保や専門性、そして、会計年度任用職員や非常勤体制の相談員、支援員が多いことのほか、夜間休日の体制の問題、予算が少ないなど、本当にさまざまな課題があるとお聞きしておりますが、支援体制の課題について、どういう認識でいるのか伺います。
〇多賀県民安全課長 はまなすサポートセンターの支援体制の課題についてでありますが、はまなすサポートセンターでは、令和3年11月から24時間365日の相談体制とし、夜間休日の対応が必要な緊急案件が発生した場合は、電話相談対応のほか、相談者の近隣の警察署への引き継ぎや病院等への付き添い支援を行っております。
 現時点では、実際には夜間休日の対応が必要な緊急案件は発生しておりませんが、今後、案件が発生した場合の対応状況を検証しながら、必要に応じ、支援方法等の見直しも行ってまいります。
 また、専任相談員については、警察官退職者や福祉職として相談対応の経験がある者などを採用しておりまして、さらに、全国被害者支援ネットワーク主催の研修会等を受講し、専門性を高めながら対応しているところであります。
 法律、医療等の専門的な支援については、岩手弁護士会や協力医療機関等のはまなすサポーターと連携して支援を行っておりますが、医療機関や弁護士の少ない地域もあることから、広域的な連携の仕組みづくりについて今後検討してまいります。
〇佐藤ケイ子委員 さまざまな課題があり、取り組みの指標が出ているのですが、主要施策の成果に関する説明書の中には、指標として、講演会などの参加者数や、はまなすサポートのホームページのアクセス数などが指標になっています。それは適切なのかと思うところです。これまで本当に相談に適切に対応してきたのか、被災者支援の立場からすると、この指標はどうなのかと思うところです。そういう指標の検討もするべきではないかと思うのですけれども、どうでしょうか。
〇多賀県民安全課長 主要施策の成果に関する説明書の指標についてでございますけれども、性犯罪、性暴力被害者への支援を進めるためには、被害を受けられた方が、相談機関につながり、相談などをされることが必要でありまして、その上で十分な支援を受けられることが重要であると考えております。
 そのため、まずは、多くの方々にはまなすサポート等の相談機関の支援があるということを知っていただくことが大切であると考えておりまして、その観点で、講演会等の参加者数、はまなすサポートのホームページアクセス数などを指標としているものであります。
 また、委員から御指摘のありました、被害を受けられた方が、相談機関に相談された上で、さらに適切かつ十分な相談対応が行われていることが重要であります。現在、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランの策定を行っているところでありますので、どういった指標が適切なのか検討してまいりたいと思います。
〇佐藤ケイ子委員 よろしくお願いします。その検討の中に加えてほしいと思うのですけれども、犯罪被害者等支援条例がほとんどの都道府県であるのです。39都道府県、11政令都市ということですけれども、岩手県はないわけです。条例化することによって、普及啓発の推進や被害者のさまざまな負担軽減に資するなど、被害者を社会全体で支える意識の浸透を図ることにより、施策の促進につながっていくのではないかと思うところです。
 岩手県にはその条例がないので、その条例化についても検討していただきたいと思っておりますが、いかがでしょうか。
〇多賀県民安全課長 条例についてでございますけれども、9月現在で40の都道府県が策定して、また新たに5府県において制定に向けて作業中と聞いております。現在、岩手県の場合は包括条例で対応してきたところでございますが、確かに、誰もが犯罪に巻き込まれる可能性が高まっておりますし、また、理不尽で凄惨な事件等、全国、いつどこで発生するかわからないということもあります。県民が万が一、そのような事態に巻き込まれるようなことも考えられますので、被害者等への支援、取り組みを充実強化していくことが重要と考えております。
 本県と同じような包括条例を制定した他の都道府県が、犯罪被害者等支援を目的とした特化条例等を検討していることも踏まえまして、被害者の視点に立って、より被害者等に寄り添った支援ができるように、条例の制定も含めた検討が必要と認識しております。
〇佐藤ケイ子委員 必要と認識しているということであれば、ぜひお願いいたします。
 次の質問です。女性消防士の件でございます。
 女性消防士の状況はどうなっているかですけれども、何年か前に、全国でも女性消防士の割合を5%に引き上げなければならないということが各県に通知され、各県から各消防本部にも連絡を入れているはずですけれども、現在の女性消防士の人数、割合、そして、女性消防士が空白の消防本部の状況、近年の採用状況はどうなっているでしょうか。
〇田端消防安全課総括課長 女性消防士の状況についてでありますが、女性消防吏員の採用は、令和3年度が7名、令和4年度が6名でございまして、令和4年4月1日現在、県内全12消防本部のうち、二戸地区広域行政組合消防本部と陸前高田市消防本部を除く10消防本部に、計61名の女性消防吏員が在職しております。
 ここ数年の女性消防吏員の採用者数は、おおむね6名前後となっておりまして、新規採用者全体の約10%前後で推移しております。
 佐藤ケイ子委員から先ほどお話がありましたとおり、国は、令和8年度までに、消防吏員に占める女性消防吏員の率を5%に引き上げることを目標としておりますけれども、令和4年4月1日現在、本県では約3.0%となっております。
 なお、全国では、1年前の数字でございますけれども、令和3年4月1日現在は3.2%となっております。
〇佐藤ケイ子委員 わかりました。まだまだ目標に達する状況ではないというわけですけれども、なかなか女性消防士の採用は、一気に採用できないです。1消防本部1人、2人、それを積み上げていくという形になって、二、三年で改善できるものではないので、しっかりと各消防本部にも意識づけをしていただけないかと思っております。
 また、女性の教官もいらっしゃるわけですけれども、その育成も時間がかかるわけです。きちんと階級がありますので、消防士長やその階級にならないと教官にもなれない。そうすると、やはり女性消防士のレベルアップもなかなか難しいということがあります。人材育成の状況はどうなっているかお伺いいたします。
〇田端消防安全課総括課長 女性消防士の人材育成の状況についてでございます。
 消防学校の教官には、先ほど委員がおっしゃいましたとおり、消防士長以上の階級を有し、かつ教官として適した方を各消防本部から派遣いただくこととなっております。
 消防士長以上の階級の女性消防吏員は毎年増加しておりまして、現在は14名となっております。そのうち1名を現在、消防学校の教官に派遣いただいているということでございます。
 県では、女性の活躍を推進するための官民連携会議として設置しているいわて女性の活躍促進連携会議に防災部会を設けて、女性消防吏員同士が、仕事と家庭の両立や職場における悩みなどの意見交換を行える場の設定や、全国の先進事例を学ぶための全国女性消防吏員交流会への県内消防吏員の派遣などを実施しているほか、消防学校においては、女性消防吏員同士の強固なつながりの構築や専門的見識及び技能の習得促進のため、女性活躍推進講習を実施しております。そういったことを通じて、女性消防吏員のキャリアアップのための支援を行っているところでございます。
 今後におきましても、キャリア形成に資する取り組み等を推進して、女性消防吏員の活躍推進が図られるように取り組んでまいりたいと考えております。
〇佐藤ケイ子委員 わかりました。今の答弁ですと、女性消防吏員の講習会、研究活動とかをやられているということで、それはよろしいわけですが、女性が意識するということもだけれども、男性を含めた職員全体として周りがどういう意識を持っていくかということも大事なことです。
 例えば、自衛隊の中で性犯罪が行われたということですが、それもずっと隠蔽されてきたという問題があって、これは大きな問題になったわけです。割と消防署も閉鎖的な部分もあるようです。ほとんどが男性の消防士ですので、消防署全体でのハラスメント研修会やそういった取り組みも必要だろうと思っています。ぜひ、全体的な底上げ、そして、女性が普通に活躍できるような体制整備をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。所感はありますでしょうか。
〇田端消防安全課総括課長 ただいまの件につきましては、委員御指摘のとおりでございまして、県としましても、女性消防吏員の活躍促進や女性消防職員の募集等について、消防本部の人事担当者会議等を通して、ハラスメントや受け入れのこと等について意見交換等をしております。
 また、先ほど申し上げました全国の女性消防吏員交流会につきましては、もともと男性吏員も参加可能だったのですけれども、今年度からは、県から毎年2名ほど派遣している中に男性吏員も参加していいこととしまして、男性も含めた理解の促進にも取り組んでいるところでございます。
 今後ともそういったことを継続、拡大しながら、女性消防吏員等の活躍、受け入れ体制の充実に取り組んでまいりたいと考えております。
〇川村伸浩副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
   午後4時20分 休 憩
午後4時42分再開
〇川村伸浩副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇神崎浩之委員 令和3年度と言えば、復興防災部の誕生元年ということでありますので、その復興防災部の評価についてお伺いしたいと思います。
 復興局が10年ということもありまして、部の組織改革が行われました。この統合した目的はどういう意図でこういう組織になったのか、また、この目的どおり今進んでいるのか、これについてまずお聞きしたいと思います。
〇高橋復興危機管理室管理課長 復興防災部の設置目的についてでございますが、当部は、復興推進の司令塔としての役割を引き続き担っていくほか、消防、防災対策の総合調整に加え、災害救助法に基づく避難所の設置や応急仮設住宅の供与に関する業務などを一元的に所管し、迅速な復旧、復興につなげていくとともに、自然災害以外の危機事案発生時においても、当部の統括のもとで、各部局が専門性を発揮しながら、迅速かつ的確な施策が展開できる体制を構築するため設置したものでございます。
 次に、復興防災部設置に伴う現状の認識についてでございますが、当部は、昨年4月の発足以降、第1期復興推進プランに基づく取り組みの推進や、第2期復興推進プランの策定に向けた取り組みなど、復興推進の司令塔として引き続き全庁を牽引するとともに、自然災害のほか、新型コロナウイルス感染症や高病原性鳥インフルエンザ等の危機事案に対しても、全庁を統括しながら対応しているところでございまして、引き続き、当部の役割を十分に果たしていけるよう取り組んでまいります。
〇神崎浩之委員 1年間やってみて、1年半なりで、今回の組織再編のメリットは、部のほうではどう把握していらっしゃいますでしょうか。
〇高橋復興危機管理室管理課長 組織統合のメリットについてでございますが、復興と防災業務の統合によりまして、東日本大震災津波や台風災害等からの知見、教訓を次の自然災害に生かし、防災分野に係る専門性をこれまで以上に発揮できる体制を構築できることや、食の安全・安心や感染症などの危機事案に対し、対策本部の運営や経済、雇用対策を含む分野横断的な対処方針など、全庁の統括業務を担うことで、関係機関との連携により進めていく専門性の高い業務につきましては、引き続き各部で対応するといった機能分担を図りながら、それぞれが職務に注力できる体制とすることができるなどのメリットがあると考えております。
〇神崎浩之委員 新たな津波の心配も起こっているわけですけれども、本県は震災復興という中で、新たな防災という意味では、これがくっついていることは非常によかったのではないかと思っております。
 一方、この組織再編について、デメリットやふぐあいはどうでしょうか。
〇高橋復興危機管理室管理課長 デメリットについてでございますが、当部につきましては、発足してまだ1年半余りということでございまして、今のところ明確なデメリットは見出せていないところでございますが、業務を推進していく中で、組織運営上の課題が出てきた場合には、解決に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇神崎浩之委員 今回は環境生活部から、例えば暮らしの安全とか放射能関係が移動してきたということであります。放射性物質の影響への対応ということで、原発事故による放射性物質影響対策の総合的な企画及び調整という位置づけがあるわけですけれども、いまだに、先日も東日本大震災津波復興特別委員会で、一関市大東町のシイタケ生産者、それから一関地方森林組合にお邪魔したのですが、やはり深刻な課題を受けました。シイタケの価格は高いですが、仕入れはたたかれるという本当につらい話を聞きました。
 そういうことで、東京電力との折衝は復興防災部になりますけれども、実際に生産者は農林水産部で直接対応していかなければならないのですが、やはり東京電力の賠償によるところも大きいものがあります。それは小規模生産者や森林組合ではなかなかできないことですので、改めて我々の役割や県の役割は重要だと思います。
 実際にシイタケ農家への対応は誰がやっていくのかということです。復興防災部でやっていくのか、それから農林水産部でやっていくのか。
 もう一つ、環境関係の原発の影響が大きいわけであります。いまだに道路側溝汚泥の処理も進んでいないということで、これは環境省です。だから環境生活部のほうがいいのかという気もするのですけれども、いまだに道路側溝汚泥が撤去できない。そうすると側溝が詰まって水害になるということ。また、学校にもまだ汚染された校庭の土が残っているということ。こういうことは忘れ去られてしまいそうなところですけれども、これを強く環境省などに求めなければならないと思うのです。
 こういうところも、実は東京電力だけの問題ではなくて、学校や生産者、建設部などがかかわってくるのですけれども、こういうものの現場の連携などについては、東京電力だけではないのです。直接、県民や団体の状況については、現地のことを把握されて、それを前に進める努力をされているのか、お聞きしたいと思います。
〇武蔵特命参事兼放射線影響対策課長 原発事故に伴います放射線対策への県庁内での体制、それから現場の課題の吸い上げについての御質問でございます。
 まず、復興防災部においては放射線影響対策本部を所管しておりまして、全庁的な課題の取りまとめ、また対策の遂行状況についても一元的に管理しております。
 先般、東日本大震災津波復興特別委員会の現地調査にも同行させていただきましたが、そちらでお伺いしたシイタケ農家の現状についても、その後、農林水産部に情報提供いたしまして、個別の支援の状況や活用可能な補助金の状況、また、東京電力からの賠償が十分受けられないといったお話もございましたので、その内容については東京電力に確認を行うなど、全庁的な部局と連携しながら対応しております。
 また、汚染重点調査地域となっています県南部の3市町の状況についても、環境生活部と同行して、市役所にお邪魔して状況などをお伺いするなど、連携して取り組んでいるところです。
〇神崎浩之委員 いずれ、日本一のシイタケのまち大東という看板があるくらいでありまして、このままだと本当に生産者がいなくなるのではないかということです。10年たっておりますが、非常に大変な状況を見てもらったので、ぜひそういうことも、いまだにこうなのだということでぶつけていただきたい、一緒にやっていきたいと思います。
 次に、防災課のほうでありますが、大中小とさまざまな災害がここ1年、2年起こっているわけですけれども、その情報の把握と情報の一元化と、県民に対する発信について聞きたいのですが、防災課では、災害や大規模な事故等の危機事案発生時における情報収集や応急対策を、市町村と連携しながら県の防災対策を推進していますということでスタートしているわけです。大きい災害は、もちろん対策本部も立ち上げて、その都度、報告があったりするわけですが、小さい災害であったり局所的な災害については、なかなか県民に対して情報提供、発信が遅いと思っております。このあたりはどうお考えでしょうか。
〇戸田防災課総括課長 防災情報の共有化についてでございますけれども、県は、災害発生時に、県、市町村のほか、警察、自衛隊、消防等の防災機関と情報を共有するために、岩手県災害情報システムを平成27年度に整備しまして、平成28年4月1日から運用を開始しております。
 このシステムは、庁内の各部局や広域振興局、県内市町村、警察、自衛隊、消防等の防災関係機関が利用できるシステムになっておりまして、このシステムに各機関で得た災害に関する情報を集約することとしております。
 このシステムに集約された災害に関する情報は、このシステムを利用できる全ての機関が閲覧できることとなっておりまして、このシステムにより県庁内、市町村、防災関係機関の情報の共有化を図っているところでございます。
〇神崎浩之委員 大きな災害は動いていると思うのですけれども、先ほど言ったように、小さい災害や局所的に、例えば県南地域や一関市で地震が起きたなど、そういう場合には、まずホームページを見るのですが、なかなか出ていない。3月の地震も、夜の10時ぐらいだったので、なかなかそれを集約してホームページに載せることは物理的に難しいとは思っておりますが、ただ、やはりテレビでテロップが出るようなものについては、こういうことがありましたよ、現在調査中です、わかり次第連絡しますぐらいの県民に対するお知らせは、あってもいいのではないかと思っていました。
 私も含めて、県民の皆様も、まずホームページを見るのです。そうしたときに全然、平和なことばかり書いていると、きちんと把握しているのかという気になります。夜中のことや盛岡市にいてさまざまわからないことが多いのですが、今DXをやっていますけれども、そういう市町村や広域振興局から上がってくるものをタイムリーに県民に発信できるような仕組みをぜひ進めていただきたいと思っています。
 24時間356日の業務は大変ですよね。でも、防災室にはいるわけでありまして、できるところで、県民視点でさまざまな災害、特に小さいものを、情報を一元し発信していただきたい。
 幸福の指標も、縦割りに横串を刺すということです。私は、復興防災部もそうだと思うのです。例えば、山の崩れや川、道路など、さまざまな縦割りの部があります。そういうものに横串を刺してもらって、県民に素早く提供するのが復興防災部の役割だと思っておりますので、その辺の整備をこの機会にお願いしたいと思いますが、最後にこれを聞いて、終わります。
〇戸田防災課総括課長 中規模や小規模の場合の災害対応、情報発信についてでございますけれども、例えば1市町村であっても、大雨警報が出ますと、県では警戒本部を立ち上げることになっております。立ち上げた場合には、ホームページにすぐに、警戒本部を立ち上げて警戒をとっておりますというところまでは情報提供しておりますが、その後の被害状況の発信につきましては、基本的には午前6時、午前10時、午後3時現在の情報を県のホームページで取りまとめて、防災情報ポータルで公開して情報提供しているところでございます。それから、防災課のツイッターにおいても、いわて防災情報ポータルで公開した情報を掲載しているところでございます。
 取りまとめる時間がありますので、定期的に午前6時、午前10時、午後3時といったことになるのですけれども、それ以外の時間帯で何か、例えば運行の情報や道路の状況などを確認されたいといった場合は、同じく、いわて防災情報ポータルの中に関連サイトリンク集というページを設定しておりまして、例えば交通情報についていいますと、JRや花巻空港、三陸鉄道やIGRいわて銀河鉄道といった交通機関のホームページのリンクを貼っております。それから、ライフラインに関する情報としましては、東北電力やNTT東日本などのホームページのリンクを設定しているほか、道路の関係でいいますと、道路環境課で道路の通行状況をリアルタイムで出しているページがございますけれども、そちらにもリンクを貼っておりますので、一々それぞれのところに入るわけではなくて、私どもで設定している防災情報ポータルに入っていただきますと、そこからいろいろなところの情報を入手できるような状態になってきております。
 今そういう状態になっておりますけれども、また、住民の方々のニーズなども踏まえながら、より充実した形で、適時適切に県民の方に防災に関する情報を提供していきたいと考えております。
   〔「関連」と呼ぶ者あり〕
〇千葉絢子委員 ただいまの防災情報や災害情報の提供のあり方についてですが、震災のとき私はメディアに勤めておりまして、その際、どんどん新しい情報が追加になっていくようなペーパーでの提供があったと思います。
 県議会に来てから、最近、小規模な災害なども多いせいか情報提供いただいていないというのがあります。人的、物的、あとライフライン関係のものなど、一覧でメディアに提供しているようなものを今もしていらっしゃるのか。それは、例えばタブレットなどに配信できるようなものであればいただけるのか、そういったところを整理したいと思うのですが、いかがでしょうか。
〇戸田防災課総括課長 恐らく定時の取りまとめた報告のことだと思うのですけれども、こちらにつきましては、データ化し、レリーフにしてホームページに貼りつけておりますので、県議会にも提供することは可能だと思います。もし御要望があれば、そちらについては対応させていただきたいと思います。
 あと、マスコミの方には、一応、夜中ですとファクスなどで提供するということは今もやっております。いずれ、取りまとめたものを提供することは可能でございますので、県議会に提供することについては検討したいと思っております。
〇佐々木朋和委員 先ほど神崎浩之委員から放射線関係の質疑がありました。
 私も東日本大震災津波復興特別委員会に出席いたしまして、その場でも東京電力の賠償の話がありました。先ほどの答弁の中で、早速、東京電力に問い合わせをいただいたということでしたけれども、賠償についてどのような問い合わせをいただいて、どのようなお答えをいただいたのか教えていただきたいと思います。
〇武蔵特命参事兼放射線影響対策課長 先般、御同行させていただきました一関地方における東日本大震災津波復興特別委員会のシイタケ農家の調査に関して、東京電力に問い合わせた事項について御報告いたします。
 その調査では、シイタケ農家の高齢化が進んで、事業承継をしたいけれども、東京電力からの損害賠償の額あるいは補償の要件によって、息子以外の方に事業を譲り渡そうとすると十分な補償を受けられないというような事情があって、自分の代で終わりにしてしまわなければならないといった課題を抱えている農家が多いというお話を頂戴したと承知しております。
 この件に関しましては、東京電力に事業承継に関する、例えば何親等以内といった要件があるのか否かといった条件について確認を行っております。実際には何親等といった明確な線引きは行っておりませんで、個別の農家の事情に応じて補償しているということでございましたので、その旨については、先ほど申し上げましたように、農林水産部とも共有いたしまして、必要に応じて東京電力からも説明に伺うというような話もお伝えしているところです。
〇佐々木朋和委員 早速、迅速に対応していただいてありがとうございます。これまでも、賠償の問題というのは、個人と個人の関係と捉えられがちで、なかなか農林水産部でも把握していないというところも多かったかと思います。ただ、視察にも来ていただいておわかりだと思うのですけれども、支援策と賠償の進みぐあいは一体だと思うのです。賠償のやり方が変われば、それにあわせて支援策も変わらざるを得ないほど、今、生産者にとって賠償がある、なしというのは大きな課題だと思っております。ぜひ、今後ともその部分に心を砕いていただいて、連携と、また東京電力との交渉とお願いしたいと思います。
 それでは、いわての学び希望基金の部分についてお聞きしたいと思います。
 令和4年3月発行の活用状況の御報告によりますと、令和3年12月31日までで2万6、318件、104億4、804万円の受け付け状況でありまして、令和2年度までのその活用実績は42億3、367万円と記載されておりますけれども、令和3年度の寄附受け付け状況と現在の未活用額―残高と言っていいのでしょうか―をお示しいただきたいと思います。
 また、令和2年度までの奨学金としての活用状況は22億4、818万円ということでありましたけれども、孤児が94人、遺児の方が490人に対する今後の奨学金等の給付額の見込みをお示しいただきたいと思います。
〇澤田復興推進課総括課長 いわての学び希望基金に係る寄附状況等についてでございますが、令和3年度は1、017件、1億6、084万円余の御寄附をいただいておりまして、令和3年度末の基金現在高は63億8、620万円余となっております。
 また、今後の修学支援等での活用見込みにつきましては、震災による遺児、孤児が大学院を修了するまで奨学金を給付する前提とし、また、現在実施している事業のうち、今後も継続が見込まれる事業を現行の形で継続するものとして試算した場合、令和17年度までの間におきまして、震災による遺児、孤児の奨学金給付約10億8、000万円のほか、教科書等購入費給付や通学定期券購入補助などの事業で、全体としては約60億5、200万円の活用を見込んでいるところでございます。
〇佐々木朋和委員 現状、この報告書によりますと、令和2年度末で42億円の活用額があって、うち奨学金が22億円だということでありました。今後の見込みが、この奨学金が10億円の中で、それに付随する事業、必要なものもあると―必要なものなのでしょうけれども、それをやると6倍の60億円になるというのはどうなのかと思っております。
 もちろん必要なものというのはそのとおりなのですけれども、当初の目的は遺児、孤児の奨学金に必要な額を集めようということで始まったと思うのですが、それが集まった上でも、ありがたいことに、今、支援金が集まり続けている。一方で、震災当初よりも減少傾向にはあるというところだと思います。
 午前中の総務部の審査で、岩手県のふるさと納税は全国14位という話があったのですが、その3分の1は、このいわての学び希望基金なのです。そういったことを考えると、政策的により有意義に使っていくべきだと思います。
 もちろんこの遺児、孤児の方、被災をした方々ファーストでやっていくのですけれども、今、平成29年末で未就学児の方への奨学金は終了しているということです。そうすると、震災当時に生まれていなかったお子様との兼ね合いもだんだんクローズアップされてくるかとも思います。
 今、いわて学び希望基金条例でこの目的が定められていますけれども、今後、継続的にこの支援をいただきながら、いわての学び希望基金を継続していくといったときには、今行っている事業をそのまま続けて60億円という考え方も一つですが、新たな目的の追加や活用範囲の拡大と申しますか、限定と申しますか、どういったことに使っていこうということなど、震災から10年以上たった今、この目的をもう一度考える時期に来ているのではないかと思います。
 そういったことの検討のハードルや現状の所見を伺いたいと思います。
〇澤田復興推進課総括課長 いわての学び希望基金の目的等についてでございますが、いわての学び希望基金は、その条例におきまして、東日本大震災津波により著しい被害を受けた幼児、児童、生徒、学生等の修学の支援、教育の充実等のための事業に要する経費の財源に充てることとされておりまして、基金には、こうした条例の趣旨に賛同した多くの方々からの御寄附を積み立て、活用しているところでございます。
 基金を充当する事業につきましては、こうした御寄附をいただいた方々の御意向を十分に尊重すべきものと考えておりまして、被災地の子供たちの教育の充実や復興教育に関連した事業を中心に有効に活用させていただきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 少し指摘させていただきましたが、今の条文解釈の中で、震災当時にまだ生まれていなかった子供たちは、この対象には入るのですか、入らないのですか。
〇澤田復興推進課総括課長 構成事業がさまざまございまして、それによって取り扱いがいろいろ変わるところもあるのですが、基本的には、震災前に生まれていた子供たちを対象とした事業ということで設定しております。基本的には、震災によりまして住宅が流出したとか、保護者の方がお亡くなりになったとか、そういった形で、教育を受けるに当たって非常に困難な状況になっている子供たちを支援するという形で立ち上げた基金でございます。
〇佐々木朋和委員 先ほど答弁がありましたけれども、要は、実際に被害のあった方への支援ということとはまた少し違う毛色なのかとも思うわけです。例えば、いわての復興教育の中では、ちょっと抽象的だと話題にもなりましたけれども、てとてをつないでという絵本をつくって全県に配布してというのも、このいわて学び希望基金が活用されています。
 そのような中で、事業を選定する基準がどうなのだろうと曖昧な部分もあると感じるわけですけれども、その辺についてはどのように検討されているのですか。
〇澤田復興推進課総括課長 さまざまな事業を今行っているところでございますが、その事業を企画、立案して実施するに当たりましては、大前提となりますのが、いわて学び希望基金条例に記載しております目的でございます。震災により大きな被害を受けられた幼児、児童、生徒、学生等の修学支援、教育の充実といった形に資することを前提として事業を行っているところでございます。
〇佐々木朋和委員 いわての復興教育というカテゴリーは、そこに当たるという解釈で進めていらっしゃるのですか。
〇澤田復興推進課総括課長 基本的には、復興教育というものにつきましても、沿岸地域の児童生徒を中心に事業を構築して進めているところでございまして、そういった中で、修学の支援、教育の充実に取り組んでいくところでございます。
〇佐々木朋和委員 私もこの目的そのものの焦点をずらそうということではなく、これから、だんだんに遺児、孤児の皆さんも大人になっていく中で、未就学児の方は、奨学金を受け取る方もなくなってきた、今度、小学校もなくなってくる。こういった方向性の中にあって、このいわての学び希望基金は、被災されたお子さんが22歳になったときには、これは全部使い切って完全終了という形なのか、それとも、こうやって長く支援をいただいている中で、これを継続的に沿岸地域の教育環境の充実のために使っていこうというような方向性になっていくのか。そのようなことも、22年たってから検討したのでは遅いかと思うのです。やはり今のタイミングでそういう部分も検討しながら、今後のいわての学び希望基金で集まった全国からの支援のお金を有効に未来に使っていくべきということで提案させていただいたところであります。
 最後に、ぜひ、もう一度内部で再検討するべきと思うのですけれども、佐藤復興防災部長の所感をいただいて、終わりたいと思います。
〇佐藤復興防災部長 いわての学び希望基金の関係でございます。今いろいろ澤田復興推進課総括課長からも答弁いたしましたけれども、寄附いただいている状況、残額の見込み、いろいろ考える要素はあろうかと思っております。
 いずれ、今の基金自体は、東日本大震災津波により著しい被害を受けた幼児、児童、生徒等の修学の支援が大きな目標になっておりますが、いずれ、年齢がある程度に達すれば、該当の方がいなくなるという状況も当然あり得ることだと思っております。
 一方で、いわての学び希望基金の趣旨に賛同して、だんだん減っておりますが、いまだに御寄附をいただいている状況になっておりますので、基金条例は、その時々の状況等に応じて、さまざまな、そして十分な議論を踏まえて、改正することは十分あり得ると思っております。
 いずれ、そのときが来てから決める、考え方を整理するということではなくて、近い将来、余り遠くない将来に、そういうことも含めて検討を進めてまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 私からは、まず、県立消防学校の整備計画についてお伺いいたします。
 令和3年度の消防職員、消防団員等の教育訓練実績、それから、実践的訓練をする上での課題認識について、お伺いいたします。
〇田端消防安全課総括課長 県消防学校の教育訓練実績と実践的訓練をする上での課題についてでございます。
 まず、教育訓練実績につきましては、令和3年度は、消防職員に対する初任教育、幹部教育及び火災調査や救急、救助等の専科教育として、延べ318日間開講し、267人が修了したところでございます。
 次に、実践的訓練をする上での課題についてでございますが、近年、災害の態様は大規模化、複雑化、多様化しておりまして、このような状況に対応する消防活動のニーズもこれまで以上に高度化しているほか、幸いにも、近年は火災発生件数が減少傾向にあることもございまして、現場で経験を積む機会が減少している状況にもございます。したがいまして、そういったことから、より実践的な訓練を行う環境が必要と認識しております。
 消防庁の告示、消防学校の施設、人員及び運営の基準が平成27年に改正されておりますけれども、これでは、消防学校は実践的訓練施設を備えることとなりました。本県の消防学校では、敷地内に、家屋を模した建物を作成、延焼させて行う模擬火災訓練や土砂災害現場を模した状況を構築して土砂災害消防活動講習を実施するなどにより対応しているところでございます。
〇臼澤勉委員 また、新型コロナウイルス感染拡大によって、感染症対策物資の備蓄あるいは寄宿舎の改善事項等、さまざまそういった課題への対応が求められておりますけれども、その辺の状況についてはどのようになっておりますか。
〇田端消防安全課総括課長 感染症対策の関係でございます。
 まず、最初の御質問のほうですが、消防学校は、県の広域防災拠点のうち県央部に配置しておりまして、県内全域で発生する大規模災害に対応する広域支援拠点となっており、物資の備蓄を担う機能が付与されております。現在、岩手県災害備蓄指針に基づきまして、マスクや消毒液、非接触型体温計などを備蓄しているところでございます。
 次に、寄宿舎につきましては、8人部屋を県内の感染拡大状況に対応して、1部屋当たりの人数を減らして、生活時の感染防止対策を行っているほか、寄宿舎の各部屋の出入り口への消毒液の設置、全室への加湿空気清浄機を設置するなどの対応を行っているところでございます。
 その他、手洗い、手指消毒等の基本的な感染対策を徹底して、感染症防止対策に万全を期しているということでございます。
〇臼澤勉委員 そういった中で、女性隊員等もふえてきておりまして、そういった環境の整備も求められているわけですが、先ほども御質問がありましたけれども、私は昨年の委員会等で、整備計画の検討状況についてお尋ねいたしました。その際、令和3年度については、整備方針に基づいて、基本計画の策定、概算事業費の算定、教育訓練への影響も考慮した整備スケジュールの策定を進めるという答弁がありましたが、今の状況についてお伺いいたします。
〇田端消防安全課総括課長 消防学校の整備計画の検討状況についてでございますが、消防学校の老朽化に伴う再整備等を検討するため、昨年3月に消防関係者や建築関係の有識者等で構成する岩手県消防学校整備基本構想策定委員会を設置したところでございます。
 これまでに計4回の会議の開催や他県の消防学校施設の視察などを行いまして、消防学校に求められる必要な施設、設備の内容や規模、付与する広域防災拠点機能等について検討を行ってきたところでございます。整備基本構想の策定に向けまして、これらの検討事項について、年度内を目途に整理することとしております。
〇臼澤勉委員 確認ですが、年度内にそういった基本構想が策定されるということで、今後、具体的な整備スケジュールが進んでいくと理解いたしますが、よろしいですか。
〇田端消防安全課総括課長 若干言葉足らずで申しわけありませんでした。繰り返しになりますけれども、今年度内にこの委員会で、必要な施設や設備の内容、付与する機能等の条件を整理し、それを受けまして、来年度以降に整備基本構想を作成すると考えております。
〇臼澤勉委員 わかりました。了解いたしました。
 次に、犯罪被害者の支援についてお伺いいたします。
 先ほど佐藤ケイ子委員からは、性犯罪被害のほうではまなすサポートセンターの状況等の質問がありました。私は、先般、いわて被害者支援センターもお訪ねしてきましたけれども、全体の状況等について、かぶらないように聞いてまいります。
 まず、県内の犯罪被害の現状に対する県の評価をお伺いいたします。
〇多賀県民安全課長 県内の犯罪被害の現状に対する県の評価でございますけれども、本県では、刑法犯の認知件数全体で見ますと、人口当たりの刑法犯の認知件数は全国でも1番目あるいは2番目に低く、また、全国と同様に年々減少しておりますけれども、殺人、強盗、性犯罪等の重要犯罪件数は、ここ数年おおむね横ばいで推移しておりまして、減少していない状況にあります。
 また、いわて被害者支援センター及びはまなすサポートセンターでの相談状況を見ますと、犯罪被害等の相談件数全体及び性犯罪被害等の相談件数は、増加傾向にあります。
 このように、全体の事故発生件数は減少しているものの、重要犯罪の認知件数は減っておらず、また、被害相談が増加しており、その中には、事件から時間が経過しても犯罪被害者や御家族、御遺族の心の傷が癒えず、苦しみ、相談する事例もあることから、こういった方々に対する相談や支援をしっかり行っていく必要があると考えております。
〇臼澤勉委員 まさに、このいわて被害者支援センターに寄せられる今年度の相談件数も、まだ年度途中ですけれども、500件近く入っていて、そのうちの4分の3が、性犯罪に関するその他重大事件であり、そういった部分の相談が寄せられている状況にあります。
 それで、犯罪被害者の支援条例の話も本会議、あるいは先ほどの佐藤ケイ子委員のところでもありましたけれども、ちょっと聞き方を変えますが、今、全国で制定に着手していない県はどこなのか、お伺いいたします。
〇多賀県民安全課長 現在着手していないということになりますと、本県と鳥取県ということでございます。
〇臼澤勉委員 各都道府県においては、もう既に条例化して、包括条例でなくて、本当に特化条例を制定してきていると。以前、資料提供いただいたときには、まだまだ検討もしていない県が結構あるというお話でしたけれども、この1年の中で既に検討に着手して、もう動いてきております。そのような中で、本県におきましても、今後、この条例制定は重要な意味を持つのだろうと捉えております。
 それで、犯罪被害者等給付金の支援制度についてでございますけれども、被害直後の経済的支援に対していかに対処していくかという部分についても、一人一人に寄り添っていく対応が求められていると捉えております。
 また、見舞金制度を創設している県も多数ございますけれども、県のお考えについてお伺いいたします。
〇多賀県民安全課長 見舞金制度の創設などについての考えでございますけれども、全国の状況を見ますと、犯罪被害者やその御家族、御遺族等に対しまして、国の犯罪被害者給付金のほかに、独自の見舞金や貸付金などを制度化している自治体がありまして、市町村で設けている例が多いですが、都県でも制度化しているところがあると承知しております。
 県としては、他県等における制度創設の背景や給付内容などを研究するなどしながら、どのような取り組みが犯罪被害者等への適切な支援につながるのか、関係者も含めて検討してまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 ぜひ、よろしくお願いいたします。
 そして、二次被害防止、誹謗中傷とか偏見、差別といった部分についても対策が重要になってくると思っておりますし、被害者やそういった家族に対する二次被害防止の実効性ある取り組みの部分についても、この条例化の取り組みは重要になると思いますが、県の御所見をお伺いいたします。
〇多賀県民安全課長 犯罪被害の二次被害防止の実効性を高めるための条例制定ということでございますけれども、委員御指摘のとおり、被害を受けた方への被害回復のための法的支援などのほか、第三者による誹謗中傷などの二次被害を防止するための支援が必要と考えております。
 このようなことから、県としては、被害者の視点に立った、寄り添った支援ができるよう、条例の制定も含めて、関係者の意見も聞きながら検討を進めていきたいと考えております。
〇臼澤勉委員 県がこの条例を制定することによって、これは、県だけではなくて、やはり市町村の取り組みも非常に重要な意味を持ってくると思っております。
 残念ながら、全国の都道府県を見て、市町村条例を制定している率がゼロ%の都道府県が、私の手元に、調べた中では全国で5県ほどあるのですけれども、東日本の中で見れば、市町村条例がない都道府県はこの岩手県だけなのです。そういった意味で、市町村についても、条例化の取り組みは非常に重要な役割を持ってくると私は思います。
 そして、この条例化が、県、市町村に広がることによって、犯罪抑止といいますか、広い意味での抑制にもつながっていくと私は捉えておりますけれども、県として、市町村への働きかけをどう考えているのかお伺いします。
〇多賀県民安全課長 市町村への働きかけについてでありますが、県のほか、全市町村でも犯罪被害者等支援のための総合的相談窓口を設置しており、設置に当たっては、県も市町村担当者研修を開催したほか、現在は、毎年度、市町村の担当者会議を開催しまして、さまざまな情報提供、情報交換を行うことにより連携して取り組んできたところであります。
 被害者支援の推進に当たりましては、関係機関と県、市町村が連携し、それぞれの支援が円滑に被害者に届くようにしていくことが重要であると考えており、まずは、市町村、関係機関、関係団体と意見交換などをしながら、一層の連携の強化に取り組んでいきたいと考えております。
〇臼澤勉委員 ぜひ進めていただきたいと思います。最後にお聞きしますが、県条例制定の必要性は認識しているという答弁でございますが、必要性を認識するのはそのとおりかと思います。私が聞きたいのは、やるかやらないかです。全国で条例をつくっていないところが2県ありまして、そこは、我々、県議会と当局、しっかりといろいろと連携しながらやっていきたいと思いますけれども、これをやるかやらないか、あるいはいつまでを目標に進めるか、最後、覚悟を佐藤復興防災部長に聞いて、終わりたいと思います。
〇佐藤復興防災部長 この件につきましては、本会議の一般質問でも御質問いただきました。いずれ、県といたしましては、他県の状況等も踏まえて、今、質疑いただきましたけれども、もう着手していない、ないところが岩手県と島根県(後刻「鳥取県」と訂正)だけだという状況でございますので、繰り返しになりますけれども、被害者支援等について、被害者の視点に立って寄り添った支援ができるよう、条例制定も含めてしっかりと検討してまいりたいと考えております。
 時期等については、今の時点ではいつまでということは申し上げられませんが、しっかり前向きに検討してまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 それでは、昨年度は11年目を迎えた復興の取り組みについて、復興の現状と課題についてどう捉えているか示してください。
〇澤田復興推進課総括課長 復興の現状と課題についてでありますが、ハード面では、復興道路が昨年12月に全線開通、災害公営住宅の整備が令和2年12月までに完了、商業施設等が順次再開されるなど、計画された多くの事業が完了するとともに、ソフト面では、新たなコミュニティー形成の支援などによる生活の再建、事業者の販路開拓支援等によるなりわいの再生などを支援してきたところでございます。
 一方、完成していない社会資本の早期整備、被災者に寄り添った心のケアといった復興固有の残された課題や、東日本大震災津波伝承館を拠点とした伝承、発信に、引き続き取り組んでいく必要があると考えております。
 また、新型コロナウイルス感染症や主要魚種の不漁、今後起こり得る巨大地震、津波への対応など、復興の進展に影響を与える新たな課題への対策を講じつつ、復興の取り組みにより大きく進展した交通ネットワークや港湾機能を生かした施策を展開していくことが重要と考えております。
〇斉藤信委員 今後の課題として、心のケア、災害公営住宅等のコミュニティーの確立ということが提起されていると思います。
 災害公営住宅のコミュニティーという点でいけば、9月末現在で5、293戸、9、177人が入居しています。いろいろなところから被災した方々が集まって、そして、新型コロナウイルス感染症が2年、3年と継続する中で、私はこのコミュニティーの確立は大変切実だと思いますけれども、どのように取り組まれているでしょうか。
〇和田被災者生活再建課長 心のケア、災害公営住宅等のコミュニティーの確立の現状についてでございますが、いわて被災者支援センターでの相談対応におきまして、経済面や生活面などへの支援のほか、心のケアへの対応が必要と判断される被災者の方につきましては、専門的ケアを実施している岩手県こころのケアセンターにつなぐなどの対応をしているところでございますが、これまでのところ、両センターが連携して対応した事例は、実績としてはないところでございます。
 次に、災害公営住宅等のコミュニティーの確立の現状についてでございますが、被災者が恒久的住宅など新しい住環境で生活するためには、住民が、お互いに支え合うコミュニティーの形成が重要と認識しているところでございます。
 このため県では、市町村社会福祉協議会への生活支援相談員の配置や災害公営住宅等への地域見守り支援拠点の設置、市町村及びコミュニティー支援を行う民間団体等の調整役となるコーディネーターの配置などにより取り組んできたところでございます。
 こういった取り組みによりまして、令和4年4月末現在で、災害公営住宅184カ所中172カ所、全体の93.5%で自治会が設立されるなど、コミュニティー形成が進んでいると認識しているところでございます。
〇斉藤信委員 心のケアは、県のセンターが沿岸部に4地区あって、全体で52名の体制でしっかりやられていると思います。
 災害公営住宅のコミュニティーの確立は、自治会はつくられたものの、集会所がほとんど月に1回や2回程度しか使用されていない。コミュニティーの形成が進んでいないというのが大変切実な課題ですから、これは直接配置するのは保健福祉部ですので、そことしっかり連携をして―支援員が配置されている災害公営住宅は、月に20回、30回と集会所が使われて、いつでも入居者がそこで集える状況がつくられています。だから、4カ所程度にとどめないで、しっかり配置するようにしていただきたい。
 次に、なりわいの再生の現状と課題、あわせて、この間、岩手県は若者、女性などの起業支援で164件支援してきました。昨年度から、こうした起業した事業者へのフォローアップ事業を進めていますけれども、その取り組み、実績はどうなっているでしょうか。
〇大畑副部長兼復興危機管理室長 まず最初に、なりわいの再生に係る現状と課題ということでございます。
 水産加工業者に定期的に訪問して御意見をお伺いしているところでございますけれども、業者の皆さんからは、主要魚種の不漁に伴いまして国産原料の確保がなかなか難しくなっているという話や、確保が難しい上に原材料価格も高騰している、それから、近年、電気料金や資材費が高騰しているということ、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして需要が減少しているというような声を頂戴しております。
 このような声を踏まえまして、関係部局、関係機関と連携しながらではありますけれども、商品開発への支援や商談会の開催による販路開拓への支援、人材確保への支援などに取り組んでいるところでございます。
 次に、起業した方々へのフォローアップの状況でございます。
 委員からお話がございましたとおり、沿岸地域における起業、新事業への支援につきましては、平成25年度から令和2年度までの8年間で、計164者に対しまして、初期費用に対する補助金を交付してきたところでございます。
 令和3年度からは、これらの補助金交付先のうち、起業から間もない方など、おおむね100者程度を対象に、事業の継続と成長をサポートするため、事業を創設いたしまして、県商工会連合会に専門経営指導員1名を配置して、事業者を訪問しヒアリングなどをしながら、経営課題を抱えている方や事業拡大に取り組む方などへの経営指導を実施いたしますとともに、より専門的な支援が必要な方には、専門家を派遣して対応しているところでございます。
 令和3年度におきましては、41事業者を訪問し、助言、指導を行うとともに、専門家を29事業者に延べ49回派遣し、事業者の取り組みを支援してきたところでございます。
〇斉藤信委員 わかりました。
 次に、いわて被災者支援センターの取り組みと体制の強化について質問します。
 この課題は、本会議でも高田一郎議員、小西和子議員からも取り上げられ、東日本大震災津波復興特別委員会では釜石地区のいわて被災者支援センターを視察してまいりました。
 その上で、一つは、昨年度の取り組みの実績はどうか、今年度の実績は、直近まででどうなっているかをまず最初に示してください。
〇和田被災者生活再建課長 いわて被災者支援センターの取り組み実績についてでございますが、令和3年度は、4月の開設から本年3月までの間に、沿岸各地を初め、県内陸部や県外部を含め243人からの相談に対して、延べ1、288回対応したところでございます。
 また、本年度は9月末までに105人からの相談がありまして、昨年度から継続する相談者への対応と合わせて延べ1、358回対応しているところでございます。
 相談内容としましては、住宅ローンや家計の見直し、家族間のトラブルなど、経済面や生活面に関するものが多く、市町村、市町村社会福祉協議会などと連携して対応するとともに、専門的な支援が必要なケースについては、弁護士やファイナンシャルプランナーと連携し、一人一人の状況に応じたきめ細かな支援を行っているところでございます。
〇斉藤信委員 今、いわて被災者支援センターの活動実績を聞きました。相談対応状況については、昨年度は1、288回、今年度は9月30日現在で1、358回と、もう既に去年のレベルを超えて、特に専門家派遣、これは主には弁護士相談ですけれども、去年は107回でしたが、9月30日までに既に70回開催されているということです。大変頑張られていると思います。
 ただ、訪問同行支援が9回にとどまっているのです。困っている方というのは、なかなか相談機関に届かないというのが特徴です。ですから、訪問、アウトリーチが必要だと私たちは考えているのだけれども、この間の相談対応の中で、いわば個別支援計画を作成して支援した、そして支援完了した状況はどうなっているでしょうか。
〇和田被災者生活再建課長 個別支援計画の作成状況でございますが、開設から本年度9月30日までの間に策定したのは、348件中225件となっております。そのうち141件が支援を終了している状況となっております。
〇斉藤信委員 いわて被災者支援センターは、そもそも目的が、複雑で困難を抱えた被災者を支援するということです。専門家や弁護士の相談会をやっても、1回で解決するわけではないのです。そこで解決の方向が示されれば、フォローして解決まで支援するということになるわけです。
 そういう支援が必要な方たちに、個別支援計画を立てて継続的に支援するということをやっているわけです。今までに141件、62.6%が支援完了したということですから、これはすばらしい成果だと思いますが、そういう点ではまだまだ、もっと困難な方々に届いていないのではないか。例えば、ことしの相談人員は105人です。本当にまだ限られた人にしか手が届いていない。もっともっとこれを広げる必要があるのではないか。
 それで、去年の取り組みをお聞きしたいのですが、去年、被災者の実態調査をやりました。それで、地元に戻りたいという被災者が県内外で78世帯ありました。これに対する支援、そして現状はどうなっているでしょうか。
〇和田被災者生活再建課長 帰郷希望のある被災者への支援と現状についてでございますけれども、昨年度、避難者が県外、県内含めてでございますが1、073世帯を対象に、帰郷の意向などを確認するアンケート調査を実施したところでございます。
 調査の結果、620世帯から回答がございまして、うち帰郷希望のあった78世帯に対して、いわて被災者支援センターから電話で連絡を行いまして、個々の状況をお聞きしながら、災害公営住宅の募集案内であるとか沿岸市町村への移住、定住支援の情報を送付するなど、帰郷に向けた支援に取り組んでいるところでございます。
 帰郷意思のある方に対しましては、引き続き、市町村とも連携しながら情報把握に努めてまいりたいと思っておりますし、必要な支援も行っていきたいと考えております。
 また、今年度におきましても、令和3年度の調査で回答いただけなかった世帯などを対象としたアンケートを実施しているところでございます。今後、調査結果を取りまとめの上、支援を希望する方に対しては適切に対応してまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 これは最後の質問になりますけれども、今、大変貴重な被災者に対する支援を続けている、そして成果も上げているということです。しかし、まだ対象が狭くて届かない。
 そこで、このいわて被災者支援センターは、私たちが現地調査に行ったときもそうでしたけれども、今配置されているのは7名なのです。ところが、県の委託条件は人員4名です。私は、これが大きな制約になっていると思うのです。人員4名の予算で、NPO法人が独自に7名配置して、それでもまだまだ届かない被災者が多いということです。
 これは高田一郎議員も提案したのだけれども、岩手県こころのケアセンターは全体で52名、沿岸4地区にそれぞれ8名から9名配置しているのです。達増知事は、この体制は維持すると確固とした姿勢を示しているのです。私は、いわて被災者支援センターも全国に誇れるような活動だと思うのです。それにしては体制が弱過ぎる。これは、本当に私だけではなくて、たくさんの県議会議員がそれを感じて本会議等でも取り上げてきた。
 佐藤復興防災部長、私は、せめて沿岸地域の岩手県こころのケアセンター1カ所分について、最低でも8名、9名ぐらいの体制が必要なのではないかと思います。そうすれば105名ではなくて、200名、300名という困難な方々に手が届く、そういう取り組みになるのではないかと思います。
 被災者の医療費免除も昨年12月で打ち切られました。医療が受けられないという切実な声が、岩手県保険医協会のアンケートでも浮き彫りになりました。そういう方々に本当に相談に乗って支援を強化する、こういうことも含めて体制の強化が必要だと思いますが、佐藤復興防災部長、どうですか。ここまでさまざまな県議会議員から提案されているときに、しっかり受けて立つべきではないですか。
〇佐藤復興防災部長 岩手県こころのケアセンターのお話がございました。
 岩手県こころのケアセンターは、精神科の医師や保健師、看護師、そして精神保健福祉士などの専門職の方々を内部で配置いたしまして、被災者の相談に応じて、精神的負担を軽減するためのケアを継続して実施していると承知しております。
 一方、いわて被災者支援センターは、被災者からの経済面とか生活面等の相談について相談支援員が対応しておりますし、住宅ローンの返済とか生活設計の見直しといった専門的な支援が必要なケースにつきましては、先ほど来答弁しておりますが、弁護士やファイナンシャルプランナーといった外部の専門家と連携して対応しているという状況になっております。
 両センターでは支援対象者とか支援方法が異なりますので、体制とか事業規模を単純に比較することはできないものと考えておりますけれども、いずれ、被災者のニーズに沿って、どういう体制で臨んでいけばいいかは、引き続き検討させていただきたいと考えております。
〇斉藤信委員 少し前向きな雰囲気がありました。実は、個別支援計画というのは10枚にわたるような支援計画を立てているのです。本当に克明に被災者の状況をつかんで、必要な支援を継続してやっている。このスキルは、まさに専門家と言ってもいい。だから、弁護士と連携しながらそういうことでやっているので、ぜひ、来年度には体制がしっかり強化されるように期待して、終わります。
〇川村伸浩副委員長 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇佐藤復興防災部長 先ほど、臼澤勉委員からの質問の際に、犯罪被害者等の特化条例の条例制定に着手していない県ということで、答弁の中で本県と島根県と申しましたが、正確には本県と鳥取県の誤りでございましたので、おわびして、訂正させていただきます。
〇千田美津子委員 私は、地震、津波、豪雨災害への対応について、1点に絞ってお聞きいたします。
 一つは、要支援者の避難場所の確保と避難訓練についてお聞きしたいと思いますが、この間、県が発表した最大クラスの地震、津波想定は、日本海溝モデルで東日本大震災津波を上回る大変厳しい結果となりました。そして、昨今では、多発する豪雨災害等への対応が求められており、重要となってくるのは、避難場所をしっかり確保すること、そして避難意識の向上、さらには、高齢者や障がい者などの要支援者を安全な場所に導くための個別避難計画を早急に作成していくことではないかと考えます。
 そこで、まず、津波対策でも豪雨災害でも早期の適切な避難が最大の課題でありますけれども、要支援者の避難場所の確保と避難訓練については、どのような状況にあるか教えてください。
〇和田被災者生活再建課長 要支援者の避難場所の確保と避難訓練の状況についてでございますが、高齢者福祉施設、障がい者福祉施設、児童福祉施設など、避難行動要支援者が避難生活を送るために特別な配慮がなされた福祉避難所につきましては、市町村がこれらの施設と協定の締結を進めているところでありまして、本年5月1日現在、県内全市町村で合計391カ所が確保されているところでございます。
 また、個別避難計画に基づき、要支援者と避難を支援する方が実際に一緒に避難する訓練を実施しているのは、一部作成を含め計画のある22市町村のうち、4市村となっているところでございます。
〇千田美津子委員 市町村が確保しているところが391カ所だという答弁がございました。それで、実はこの場所は洪水浸水想定区域内ではないと思いますが、もしそうであれば、指定避難場所がそういう状況であれば、それを別のところに移転するなど、それらが必要になってくるわけですが、それはどう把握されているでしょうか。
〇大畑副部長兼復興危機管理室長 福祉避難所を含めました指定避難所につきましては、災害の種別ごとに法律、施行令等の基準に従いまして設置することとなっております。
 市町村におきましては、例えば大雨や地震、津波という災害の種別ごとに避難所を指定しております。あるいは津波でありますと、一時避難場所的なところを指定もしたりしております。
 福祉避難所もそのような形で指定されているとは認識しておりますけれども、そういったところも含めまして、今後、市町村との情報共有を進めていきたいと考えております。
〇千田美津子委員 ぜひ、実態把握も含めて調査をお願いしたいと思います。
 それから、訓練についてでありますけれども、計画を持っている市町村が22、そのうち訓練を実施しているところが4カ所ということで、これは少な過ぎると思っています。
 いつ災害が起きるかわからない、津波ももちろんですが、そういった意味で、特に、要支援者となれば実践的な訓練が非常に重要となってくると思うのです。多分努力されているとは思うのですが、どのように取り組まれているか。市町村との話し合いや施設との話し合い等が進んでいるかと思いますが、その辺についてお尋ねいたします。
〇和田被災者生活再建課長 まず、避難訓練を実施している数が少ないことの要因からお話をさせていただきたいと思います。要支援者に係る個別避難計画の作成というものがございますが、これが、令和3年度に作成が努力義務化されたところがございます。そこで、そういった個別計画が作成途上の市町村も今多くなっておりまして、訓練の実施による避難支援の実効性の確保まで、まだ取り組みが至っていないことが大きな要因と考えているところもあります。
 一方で、そういったこともございまして、個別避難計画の作成を先に進めていくという取り組みも優先して行う必要がありますが、本年度は、県の総合防災訓練におきまして、新たに住田町で個別避難計画に基づいた訓練の実施を予定しているところであります。
 今後におきましても、こうした訓練の実績等を市町村に紹介しながら、計画作成にあわせて訓練の実施を市町村に働きかけていくようにしていきたいと考えております。
〇千田美津子委員 それでは、個別避難計画の話が出ていますので、要支援者名簿に基づく個別避難計画の状況についてお聞きしたいと思います。
 高齢者、障がい者などの要支援者名簿に基づく個別避難計画の作成でありますが、いただいた資料によれば、県内の現状は、要支援者名簿人数が9万3、432人に対して、作成率が20.9%にとどまっております。これが努力義務になったのもありますけれども、私は、いざというときに、避難訓練もさることながら、この計画がないというのは、置き去りになる危険性があって、これはできるだけ早く改善すべき事項ではないかと思いますが、それについてお聞きいたします。
〇和田被災者生活再建課長 避難行動要支援者の個別避難計画についてでございますが、災害時に自力で避難することが難しい高齢者や障がい者等が安全に避難できるようにするためには、やはり個別避難計画が作成された要支援者の割合を高めていくことが重要であると考えております。そこで、県としましても、市町村における取り組みをより一層促進していく必要があると認識しているところでございます。
 市町村におきましては、高齢化等により避難を支援できる方が不足しているといったものや、避難を支援する側に心理的な負担があるというような理由から、地域における避難支援者の確保が難しいという課題もあって、個別避難計画の作成が進んでいないのが現状であります。
 このため県では、平成22年度から、市町村職員を対象とした計画作成に係る研修会を開催するとともに、令和元年度からは、取り組みが進んでいない市町村を個別に訪問して、それぞれの実情に応じた助言を行うなど、早期の作成を促してきたところでございます。
 今後においても、取り組みが先行している全国の事例を参考とするなど、市町村とともに、課題の把握と解決を図りながら、個別避難計画の作成を進め、要支援者の安全な避難の確保に取り組んでまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 この計画が進まないのは、今答弁があったように、計画作成率を高めていくことは本当に重要だと、行政のほうはそう思っても、現場で支援する方が不足している、特に沿岸被災地とかはそういうことがあったと思います。
 それから、津波が来れば、現実、自分も避難しなければならないということで、心理的な面で迷うというか、そういうことでなかなか進まないというのはあると思います。
 ただ、先ほども言いましたように、本当に、いざとなったときに自分一人で逃げられない、そういう方々を置き去りにすることになってしまいかねないので、これは、これまで市町村職員を対象にいろいろ検討したり、個別に訪問して指導なさっているとのことでありますが、ぜひ、もっともっとこれを進めていただきたいと思います。
 また、個別避難計画を活用した訓練の状況の表をいただきましたが、実施中は4市村、検討中が7市町村、ここまではまだいいのですけれども、未策定、全く検討されていないところが11市町村あります。未策定と未検討ということですが、未策定というのは、検討はしているけれども策定に至っていないということなのかと思いますが、いずれ、盛岡市を初め未検討というのが、私は驚いたのですが、今言ったような解釈でいいのでしょうか。
〇和田被災者生活再建課長 千田美津子委員からお話のありましたとおり、その理解で正しいものでございます。
 未検討というところもありますし、個別避難計画さえもできていないところがそれぞれあって、それを合わせるとといった趣旨でございます。
〇千田美津子委員 いずれ、これらをぜひ高めるために、引き続きの取り組みをお願いしたいと思います。
 みんなで取り組む防災活動促進条例に基づいて、毎年これがどうなっているかというのが公表されて、ことしは9月20日付でいただきました。これは部局を横断した条例であり、県民を守るという観点で、さまざま部局が取り組んでいることがきちんと書かれております。本当に確かな事業実施計画がまとめられておりますけれども、頑張っているなと思う反面、やはり、先ほどのような状況にとどまっているということで心配は尽きません。
 何回も繰り返してしまいますが、いつやってくるかわからない災害や地震に対応するために、庁内担当部だけではなくて、横の連携をもっともっと深めながら、例えば、保健福祉部の協力も得ながら福祉的なサイドの協力などをもっと強めて、この策定率を引き上げ、そして実践的な訓練が行われるようになってほしいと思うのですが、その点、最後に佐藤復興防災部長にお聞きして、終わります。
〇佐藤復興防災部長 個別避難計画の関係、策定率がおくれている状況等を申し上げますと、市町村とすれば、実態的に体制的なところが追いついていないのかと思っております。
 県といたしましては、引き続き市町村へは働きかけもいたしますし、県も今までいろいろ指導等はしてまいったのですが、今回、未策定の状況ということが新聞報道等で大々的に取り上げられることで、県が一方的に話しているところよりは、改めて、市町村もその重要性について、相当理解が深まるのではないかと思っております。
 いずれ、人の命を守る、自助、公助、共助による防災体制づくりが非常に重要だと思っておりますので、紙に書いた計画だけで終わらないよう、実践的な訓練もきちんとして、一人でも多くの命が救えるような形にしてまいりたいと考えております。
〇川村伸浩副委員長 再開後、おおむね1時間半が経過いたしましたが、復興防災部の審査において、この後、質疑を表明している委員があと1名となっていることから、質疑を続行したいと思いますので、御了承願います。
〇小林正信委員 私からも、いわて被災者支援センターについてお伺いしたいと思っていまして、また、先ほど斉藤信委員との質疑の中で、令和3年度の活動状況についてはわかりましたので、割愛させていただきます。
 ここまでも議論がございましたけれども、いわて被災者支援センターの充実という部分、人員体制の確保の部分と、また、市町村との連携をしっかり行うことでこの充実を図っていくというような御答弁もあったかと思います。
 このセンターのノウハウを伝えるという点で市町村との連携は重要と考えますけれども、令和3年度は具体的にどのような連携がなされたのか、また、今後どのような形で連携を深めていくのかお伺いします。
〇和田被災者生活再建課長 各市町村との連携状況でございますけれども、いわて被災者支援センターでは、令和3年度は、被災者からの相談内容に応じまして、市町村等の関係機関との連絡調整を232回行ったところでございます。市町村等の関係機関から紹介された相談が15件あったところでございます。そして、その後に、弁護士等による専門家相談を実施するなどの対応を行ってきたところでございます。
 また、市町村等が開催する被災者支援に取り組む会議にセンターの職員が参加するなど、相談対応の状況などの情報共有に取り組むほか、センターの利用を促進するために、市町村や市町村社会福祉協議会と連携した広報にも取り組んでいるところでございます。
 そのほかに、活動状況ということで申しますと、先ほど斉藤信委員のところでもお話ししましたが、センターにおいて、県内外の避難者への帰郷の意向を確認するアンケートを実施したところでございます。今年度は、その帰郷希望のあった78世帯に対して、センターから電話連絡を行って、個々の状況を聞きながら、帰郷に向けた支援に取り組んだところでもございます。
 あわせて、センターでは、市町村や社会福祉協議会の方々を対象とした包括的な支援についてといったテーマでの研修会を年2回開催することになっておりまして、第1回を7月に開催したところでございます。
〇小林正信委員 わかりました。連携もしていただいているということだったのですけれども、多分、市町村からさまざまな相談がいわて被災者支援センターに行く。そして、センターはそれに対応されていると思うのですけれども、センターのノウハウがどれだけ市町村や社会福祉協議会に伝わっているのかというところを私も危惧しているところです。せっかくすばらしいセンターなので、この取り組みをしっかり市町村や社会福祉協議会が把握できるような、セミナーみたいなものを開くということでしたけれども、常日ごろからの連携をしっかりやっていただきたいというところが、まず1点あります。
 そして、先ほどもございましたけれども、センターの今の活動状況は、本当に大変忙しい状況なのだということは感じました。また、明年は、新型コロナウイルス感染症関連の貸し付け、緊急小口資金や総合支援資金の償還が始まるところであります。そして今、被災者は災害援護資金の償還もあります。中には二重の償還、ダブル償還といいますか、重い負担が被災地、また被災者にのしかかる懸念があり、そういったことでセンターへの相談も明年はかなり増加するのではないかと考えられます。現体制でのセンターで対応し切れるか、私も心配しているところでございます。
 市町村との連携という部分もあるかと思いますけれども、センターには、市町村に助けを求める余裕もないというか連携する余裕もない。市町村はセンターを頼るのだけれども、センターは市町村を頼れないというような状況になっているのではないかと思います。
 そのあたりをしっかりと、県としても、委託しているから、お願いしたままということではなく、例えば、センターに対して、何か大変な状況はないですか、何かお手伝いできることないですかと県がコーディネートする、あるいは市町村との連携のコーディネーター役を県が務めるなど、そういった支援も必要なのではないかと思うのですが、そのあたりの県の役割、センターに対する支援についてお伺いしたいと思います。
〇和田被災者生活再建課長 市町村とセンターとのつなぎが県の役割ということにはなります。県では、センターに仕事を任せ切りということではなく、実際には、今年度になりまして毎月1回、必ずその月に受け付けた相談の内容の共有であるとか、あるいは過去から支援してきた方々は、そろそろ支援を終了できるかできないかといった状況の把握ですとかといったことを、複数の人たちで集まりながら、確認をしながら、判断に迷うことのないような支援を毎月するようにしているところであります。
 それから、研修会を開催するに当たりましても、どういう講師をお呼びしようか、どういうニーズがあるかといったところも、きちんと打ち合わせを行いながら研修内容を考えるということもしております。できるだけセンターが効率的に業務を進められるように、県としても、一緒に支援させていただいているところでございます。
〇小林正信委員 ぜひ、よろしくお願いします。いわて被災者支援センターでは、非常に先進的な個別伴走支援をやっていただいておりますので、県のほうがセンターから学んでいただいて、それを県もしっかり包括的に、体系的にこのセンターの取り組みをまとめるなど、そういったこともぜひやっていただきながら、予算もふやしていただいて、人員の充実もぜひ図っていただきたいと思います。
 続きまして、毎年のように全国どこかで豪雨災害が発生しております。この夏は東北各県でも、また岩手県でも県北地域で大変な被害がございまして、ハード面の整備と同時に、ソフト面として、予測や情報提供、住民の共助等の充実も大事だと思います。特に、逃げおくれを防ぐための取り組みを県としてはどのように進めてきたのかお伺いします。
〇戸田防災課総括課長 豪雨災害時の避難の取り組みについてでございますけれども、本県では、平成28年の台風第10号災害の教訓を踏まえ、平成29年6月から、市町村における風水害対策を支援するため、国、県、有識者から構成される風水害対策支援チームを設置しております。
 風水害対策支援チームは、台風等による風水害が予測される場合に招集し、市町村に対して早目の警戒体制の確立や明るい時間帯に避難を完了するための避難指示等の発令など、県から市町村に対する助言内容を検討し、必要に応じ、県から市町村に対し、避難指示の発令などについて助言を行っております。
 なお、平常時につきましては、盛岡地方気象台と連携して、市町村職員を対象とした研修会や図上訓練を実施するなど、市町村長が気象情報等を踏まえて、適時適切に避難情報を発令できるように取り組んでおります。
〇小林正信委員 風水害から身を守るさまざまな取り組みをしていただいているということですけれども、風水害から身を守る備えとしてタイムライン―防災行動計画の活用があります。風水害を想定して、行政や住民がとるべき行動を、いつ、誰が、何をという視点で時間軸に整理したものがタイムラインであります。5月には、全国の首長が参加する国民会議も設立されました。
 住民個々人が作成するマイタイムラインや自治会や自主防災組織単位で、地域の防災行動を示すコミュニティータイムラインの活用が各地で進んでいます。
 このコミュニティータイムラインは、特に地域の要支援者の避難にも有効かと考えられておりまして、県として、このタイムラインを活用した防災の充実について、お考えをお伺いしたいと思います。
〇戸田防災課総括課長 タイムラインは、主に洪水災害を対象に作成したものでございますけれども、本県においては、国及び県が管理している河川の流域の31市町村において、タイムラインを作成、運用していると承知しております。
 県では、各家庭において、一人一人がどのタイミングで、どのような避難行動をとるか時系列に整理したマイタイムラインや、自治会などのコミュニティーにおけるコミュニティータイムラインの作成を促進するため、各地域の自主防災組織等のリーダーを対象とした自主防災組織リーダー研修会等において、マイタイムラインの作成キットを配布し、作成の重要性について講義をしております。
 引き続き、県による研修の場などを通じまして、マイタイムライン及びコミュニティータイムラインの作成を促進していきたいと考えております。
〇小林正信委員 6月に閣議決定した政府の骨太の方針にもタイムライン防災の充実強化が明記されておりましたので、ぜひこの取り組みをさらに進めていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 また、風水害に対しては、気象のプロの視点から自治体に助言等を行う気象防災アドバイザーが各地で活躍しているとのことです。気象庁は、全国の気象予報士を対象とした育成研修を行っているとのことですが、岩手県としての気象防災アドバイザーの活用、充実について、御所見をお伺いして、終わります。
〇戸田防災課総括課長 気象防災アドバイザーの活用についてでございますけれども、気象防災アドバイザー制度は、気象庁退職者や気象庁が実施する育成研修を修了した気象予報士の有資格者など、地元の気象に精通し、地方公共団体の防災対応を支援することができる人材を気象庁が委嘱する制度でございます。
 地方公共団体は、災害時における防災気象情報の詳細な解説や平常時における職員研修の講師を依頼するなどといった制度の活用方法が想定されております。
 本県では、先ほど答弁させていただきましたとおり、台風等による風水害が予測される場合において、国、県、有識者から構成される風水害対策支援チームの一員として、盛岡地方気象台の職員の方に参加いただき、市町村に対する助言内容の検討のため、防災気象情報の詳細な解説など専門的な助言をいただいているところでございます。
 また、先ほども同じく答弁させていただきました市町村職員を対象とした県主催の研修会においても、盛岡地方気象台の職員の方に派遣依頼をして、防災気象情報の利活用に関する講義を実施していただいているところでございます。
 なお、県内に在住する気象防災アドバイザーは現在いらっしゃらないと聞いておりまして、災害時の緊急対応に課題があることから、気象防災アドバイザーの活用が、現時点ではなかなか難しいのではないかと考えております。
〇川村伸浩副委員長 ほかに質疑はありませんか。
〇伊藤勢至委員 私は議案等説明会の際に説明いただいた岩手県地震・津波被害想定調査報告書(案)の概要という資料について、その中に防災会議の了承をもって正式に報告書となるものと書いてありましたので、済みませんが、お時間をいただいて、お願いしたいと思います。
 大きく1点ですけれども、2回に分けて質問いたします。まず1回目です。東日本大震災津波から早いもので11年がたとうとしておりますが、実は、その10年ぐらい前に岩手・宮城内陸地震がありまして、十数名の犠牲者、行方不明者を出したかと思っています。祭畤大橋は落橋したままでありますが、実はそのころ、全国的に地震予知の話が沸騰しておりまして、岩手・宮城内陸地震のころは、その後は宮城県沖地震が50年以内に60%の確率で来るであろうということであったような気がします。それが、岩手・宮城内陸地震の後、30年以内に80%の確率ということに上がって、そして東日本大震災津波が来たと記憶しております。
 今回のこの想定調査報告書によりますと、情報が集まらなかったのかどうか、岩手県に関係するポイントが3ポイントあるのでありますけれども、そこについての、例えば確率は何年以内に何%、そういったものは集められなかったものかどうか、それについて、まずお伺いします。
〇戸田防災課総括課長 巨大地震発生の確率の話でございますけれども、今回取りまとめさせていただきました被害想定の中で、特に本県の場合、大きな被害が生じるのは日本海溝の三陸日高沖の地震の場合ということですが、そちらにつきましては、文部科学省の機関であります地震調査本部で長期地震の評価をやっておりまして、その被害想定を出させていただいたマグニチュード9クラスの地震が起こる確率が、30年以内で30%以上という形で公表されております。
〇伊藤勢至委員 今回の対象となるポイントは、日本海溝(三陸日高沖)地震モデルが一つ、それから、千島海溝(十勝根室沖)地震モデル、そして三つ目が、東北地方太平洋沖地震ということで、これは北から順番ですけれども、そして、これによる津波の高さですが、日本海溝(三陸日高沖)地震モデルですと27メートルという数字が出ています。そして、千島海溝(十勝根室沖)地震モデルで11メートル、東北地方太平洋沖地震で何と33メートルと出ております。
 しかし、今、岩手県が進めてまいりました防潮堤の高さは15メートルと記憶しておりますけれども、これは当然越波すると。こういう図面もいただいていますが、浸水域を示したもの、これは防潮堤が崩壊したというか、そういうものを想定してのことなのか、越波した部分だけによる被害なのか、まず、これがどちらなのか教えていただきたいと思います。
 あわせて、防潮堤に二つの型があるようでありまして、一つはピラミッド型、そしてもう一つは鉛筆型といいますか、ローマ字で言うとI型、その二つあるようであります。高さはいずれも同じ。
 これは、当時の国土調査が終わっているかどうかの問題もあったと思うのですが、この強度が同じなはずはないと思うのです。33メートルもの津波が来たときに、本当にこれで耐え得るのかどうか。仮に耐えられなかった場合、浸水域がどこまで行くのか、また、どちらで示したらいいのかということ、そして、大事なことは津波の到達時間です。
 東日本大震災津波の場合は、宮城県沖ということで、宮古湾に襲来するまで40分という時間がありました。しかし、今回の北海道の前の二つの拠点ですと、宮古湾あるいは山田湾は、ちょうど根釧地方のほうを向いていますので、その間に障害物が何もないということで、時間が東日本大震災津波のときよりも早まって20分で到達するのではないかと言われています。これを見ますと、そういう部分がどうも書いていないように私は見ました。これでは、県民が避難しようとするとき、どうしても東日本大震災津波の際の40分という頭があって、すぐ逃げなければ間に合わない、助からないというところにつながらないのではないかと思うのですけれども、その点はどのようにお考えですか。
〇戸田防災課総括課長 まず最初に、この被害想定の防潮堤について、津波が来たときに、越流した場合にどういう想定なのかというところでございますけれども、そこにつきましては、越流した場合には堤防は破堤する、壊れるという最悪の想定で浸水想定がつくられておりまして、その浸水想定をもとに被害想定を出しております。そのため、越流しても壊れないということではなくて、越流してしまったら、全ての防潮堤が破堤して壊れるという想定で浸水想定がつくられておりまして、その浸水想定の浸水域を踏まえてこの被害想定をつくっているところでございます。
 次の御質問ですけれども、津波の到達時間の形ですが、概要版のほうは、確かに浸水の深さの部分の図面しか載せておりませんが、本体版には、同じように重ね図の中で、浸水区域と浸水深のほかに到達時間を表示した図面もあわせて表示しております。そちらに全ての沿岸市町村をつけておりますので、ごらんいただきますと、この市町村のこの区域がどれぐらいの時間で津波が到達するかがおわかりいただけるかと思います。
〇伊藤勢至委員 最大の被害を想定して7、100人の命が失われると書いてありますけれども、今、人口減少が問題になっている本県にとりまして、1回の津波で7、100人も失うようなことがあってはいけない。したがって、40分の世界で頭が回っている人たちに、どうこの考えを変えてもらうかということをまず最初にやるべきだと思うのです。地震が来たら、まず自分の身を守って、地震がおさまったらすぐ逃げる、これでないと間に合わないと思うのです。
 したがいまして、沿岸地域の人たちに、30年以内に30%かどうかわかりませんが、必ず来るよ、来たときには、夜、昼、夜中と想定がありますけれども、とにかく逃げる。書いていますように、冬場の場合は衣類をしっかり着て逃げる、これしかないと思うのです。
 東日本大震災津波の死者の半分以上は、溺死ではなくて、実は低体温症だったと学会の先生方が発表していますから、冬場の場合、やはり暖房を考えてまず逃げることが大事だと思うので、その点を一緒に強調して、私たちも命を助ける行動をともにやっていかなければならないと思います。
 これがいつその会にかかって、防災会議なるものがいつあるのかわかりませんが、40分がしみ込んだ人は、20分と言ってもなかなか変わらないのです。特に沿岸地域の人はいろいろな意味で頑固な人が多いです。そういうところを変えるのは、言ってきかせて、してみせると言いますけれども、何回も何回もやっていかないと変わらないと思いますので、その点を頭に置いて対応していただきたいと思います。
〇川村伸浩副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇川村伸浩副委員長 質疑がないようでありますので、これで復興防災部関係の質疑を終わります。
 復興防災部の皆さんは御苦さまでした。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後6時32分 散 会

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