令和4年9月定例会 決算特別委員会会議記録

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令和4年10月18日(火)
1開会 午前10時3分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
事務局長 小 畑   真
議事調査課
総括課長 中 村 佳 和
議事管理担当課長 藤 平 貴 一
主任主査 佐 藤 博 晃
主任主査 糠 森 教 雄
主任主査 増 澤 綾 子
主任主査 及 川 雄 也
主査 阿 部 真 人
主査 刈 屋 江美子
1説明員
知事 達 増 拓 也
副知事 菊 池   哲
副知事 八重樫 幸 治
会計管理者 木 村   久
会計課総括課長兼
会計指導監 今 雪 博 貴

政策企画部長 小 野   博

総務部長 千 葉 幸 也
財政課総括課長 山 田 翔 平

復興防災部長 佐 藤 隆 浩

ふるさと振興部長 熊 谷 泰 樹

保健福祉部長 野 原   勝

ILC推進局長 箱 石 知 義

監査委員 五 味 克 仁
監査委員 中 野 玲 子
監査委員事務局長 藤 澤 良 志
監査第一課
総括課長 及 川 博 英
監査第二課
総括課長 佐々木 良 生
〇小畑議会事務局長 御承知のとおり、委員長が互選されるまでの間、委員会条例第7条第2項の規定により、年長の委員が委員長の職務を行うこととなっておりますので、年長の委員を御紹介申し上げます。
 出席委員中、工藤勝子委員が年長の委員でありますので、御紹介申し上げます。
 工藤勝子委員、委員長席にお着き願います。
   〔年長委員工藤勝子君委員長席に着く〕
〇工藤勝子年長委員 ただいま紹介のありました工藤勝子であります。何とぞよろしくお願いいたします。
 それでは、ただいまから決算特別委員会を開会し、直ちに本日の会議を開きます。
 これより委員長の互選を行います。
 委員会条例第7条第2項の規定により、委員長の互選の職務を行います。
 お諮りいたします。委員長の互選の方法につきましては、先例に基づき、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝子年長委員 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
 お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝子年長委員 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 決算特別委員長に名須川晋君を指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名いたしました名須川晋君を決算特別委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝子年長委員 御異議なしと認めます。御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました名須川晋君が決算特別委員長に当選されました。
 ただいま当選されました名須川晋君が委員会室におられますので、本席から当選の告知を行います。
 名須川晋君、委員長席にお着き願います。
   〔決算特別委員長名須川晋君委員長席に着く〕
〇名須川晋委員長 ただいま決算特別委員長に選任されました名須川晋でございます。
 御推挙をいただき大変光栄に存じております。委員各位の御協力をいただきまして職責を全うしたいと考えておりますので、御協力をよろしくお願い申し上げます。(拍手)
 引き続いて副委員長の互選を行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇名須川晋委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 これより副委員長の互選を行います。
 お諮りいたします。副委員長の互選の方法につきましては、先例に基づき、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇名須川晋委員長 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることと決定いたしました。
 お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇名須川晋委員長 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 決算特別副委員長に川村伸浩君を指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名いたしました川村伸浩君を決算特別副委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇名須川晋委員長 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました川村伸浩君が決算特別副委員長に当選されました。
 ただいま当選されました川村伸浩君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 川村伸浩副委員長、御挨拶をお願いします。
〇川村伸浩副委員長 ただいま決算特別副委員長に選出をいただきまして、まことにありがとうございます。
 名須川晋委員長を補佐いたしまして、決算特別委員会の円滑な運営に努めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
〇名須川晋委員長 お諮りいたします。当決算特別委員会に付託されました決算15件及び議案3件についての審査の方法でありますが、お手元に配付してあります日程案のとおり、本日及び明日は、知事、副知事、会計管理者及び関係部局長等の出席を求め総括質疑を行い、明日の総括質疑終了後、19日から21日まで及び24日から27日までの7日間は、会計管理者及び関係部局長等の出席を求め部局ごとに質疑を行うこととし、決算15件及び議案3件に対する意見の取りまとめと採決につきましては、10月27日の県土整備部関係の質疑が終わった後、世話人会の意見調整を経た上で行いたいと思います。
 なお、6日目の農林水産部の審査については、第1部を農業関係、第2部を林業、水産業関係とし、それぞれ区分して審査することとしたいと思いますが、これに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇名須川晋委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 これより議事に入ります。
 認定第1号から認定第15号まで、及び議案第37号から議案第39号までの以上18件を一括議題といたします。
 これより、会計管理者に決算の総括説明を求めます。〇木村会計管理者 令和3年度歳入歳出決算の概要について御説明いたします。
 お手元に令和3年度歳入歳出決算書、歳入歳出決算事項別明細書など8件の法定書類のほか、説明資料として、令和3年度歳入歳出決算説明書をお配りしておりますので、便宜、この説明書に基づき御説明いたします。
 それでは、説明書の1ページをお開き願います。
 第1、令和3年度歳入歳出決算の概況、1、決算の状況でございますが、令和3年度の当初予算は、新型コロナウイルス感染症対策の徹底、東日本大震災津波からの復興を着実に進め、県民の命を守り、いわて県民計画(2019〜2028)が目指す希望郷いわての実現につなげていく命を守る幸福希望予算として8、104億7、679万円が措置され、前年度の当初予算に比べ1、218億3、658万円、13.1%の減となりました。
 また、その後12回にわたる補正予算において、新型コロナウイルス感染症対策として、感染拡大防止を図りつつ社会経済活動を支えるため、医療提供体制の拡充やワクチン接種体制の強化に要する経費、中小企業、飲食業、観光業等の支援に要する経費及び国の補正予算に呼応した国土強靱化緊急対策に要する公共事業等の経費の措置により898億3、589万円の増額補正が行われております。
 これに前年度からの繰越額1、983億7、767万円を加えた最終予算額は1兆986億9、035万円となり、前年度に比べ1、820億3、530万円、14.2%の減となりました。
 次に、この予算に対する決算について、一般会計の収支の状況を御説明いたします。3ページをお開き願います。
 下段の2、決算収支の項目中、一般会計歳入歳出決算収支の状況の表をごらんください。
 令和3年度一般会計の歳入総額は9、970億9、961万円余、歳出総額は9、395億4、667万円余であり、前年度比で歳入歳出とも減少いたしました。
 歳入総額から歳出総額の差引額は575億5、294万円であり、この差引額から翌年度へ繰り越すべき財源をさらに差し引いた実質収支額は176億1、624万円余の黒字となりました。
 次に、歳入決算状況を御説明いたします。少し飛びまして、42ページと43ページをお開き願います。
 第2表、一般会計歳入決算状況の表中、一番下の合計欄をごらん願います。左から三つ目、令和3年度の収入済額は9、970億9、961万円余となり、その右に二つ参りまして、収入未済額は、主に諸収入でございますが254億4、343万円で、この結果、43ページ左から二つ目、対調定収入率は97.5%となりました。
 また、右の、収入済額の前年度との比較増減額は1、186億6、988万円余、10.6%の減少となりました。
 続いて、歳出決算状況を御説明いたします。少し飛びまして、50ページと51ページをお開き願います。
 第7表、一般会計歳出決算状況の表中、一番下の合計欄をごらん願います。左から二つ目、令和3年度の支出済額は9、395億4、667万円余となり、その右隣の翌年度繰越額は、主に土木費や農林水産費などで1、114億766万円余、その右隣の不用額は、主に商工費や衛生費などで477億3、600万円余となりました。この結果、右隣の対予算執行率は85.5%となり、51ページ、左から二つ目、支出済額の前年度との比較増減額は824億4、910万円、8.1%の減少となりました。
 次に、決算の特色を御説明いたします。恐縮でございますが、1ページにお戻り願います。
 ページ中段の2、決算の特色をごらんください。なお、前年度比較につきましては、便宜、増減率で御説明させていただきます。
 まず、第1は、決算規模が前年度を下回ったことです。
 歳入は、地方交付税や国庫支出金等の減により、前年度に比べ10.6%減少し、歳出は、商工費や土木費等の減により、前年度に比べ8.1%減少しております。この結果、決算規模は、平成22年度以来11年ぶりに、歳入歳出ともに1兆円を下回ったものであります。
 第2に、県税収入の増加であります。
 製造業等の企業収益の回復に伴い、法人事業税が16.1%増加したほか、地方消費税譲渡割が14.2%増加したことなどにより、前年度に比べ4.9%増加し1、342億4、783万円となったところです。
 第3に、投資的経費の減少です。
 投資的経費の普通建設事業費は、直轄道路事業費負担金等の減により、前年度に比べ18%減少し、また、災害復旧事業費は、復旧、復興事業の進捗に伴い、前年度に比べ47.1%減少いたしました。この結果、歳出総額に占める投資的経費の割合は、前年度に比べ4.7ポイント減少し21.1%となったところです。
 第4に、翌年度繰越額の減少です。
 復興関連事業や災害復旧事業が進捗したことにより、前年度に比べ43.8%減少し1、114億767万円となりました。
 第5に、県債残高の減少です。
 県債残高は、県債発行額が県債償還に充てられる公債費の元金償還額を下回ったことから、前年度に比べ0.6%減少し1兆2、543億243万円となりました。
 続きまして、特別会計の決算を御説明いたします。33ページをお開き願います。
 ページ中段の特別会計歳入歳出決算収支の状況の表により、御説明申し上げます。
 特別会計全10会計の令和3年度歳入総額は2、738億109万円余で、前年度に比べ184億7、686万円余の減少となり、歳出総額は2、705億835万円余で、前年度に比べ154億240万円余の減少となりました。
 増減理由の主なものは、歳入歳出ともに、公債管理特別会計の減によるものでございます。
 また、実質収支につきましては、全特別会計とも黒字または収支均衡となっております。
 以上で、令和3年度歳入歳出決算の概要説明とさせていただきますが、決算内容の詳細につきましては、審査日程に従いまして、担当の部局長から御説明申し上げることとなっております。
 なお、監査委員から御意見のありました事項につきましては、関係部局において所要の措置を講じております。
 説明は以上でございます。よろしく御審議くださいますよう、お願いいたします。
〇名須川晋委員長 ただいまから総括質疑に入るわけでありますが、議会運営委員会の決定に基づき、総括質疑は、各会派及び会派に所属しない議員に質疑時間を配分して行うことになっております。
 質疑時間につきましては、まず、希望いわてが35分、次に、自由民主党が31分、次に、いわて新政会が19分、次に、いわて県民クラブが15分、次に、日本共産党が11分、次に、会派に所属しない議員は、社民党木村幸弘委員、公明党小林正信委員、無所属上原康樹委員の順に、それぞれ7分となっております。
 各会派は、配分された時間の範囲内で複数の委員が質疑をすることができること、この場合におきましては、会派として続けて行うこととなっておりますので、御了承願います。
 また、議会運営委員会の決定及び世話人会の申し合わせにより、新型コロナウイルス感染症対策として、換気のため、午前は1回、午後はおおむね1時間半ごとに休憩いたしますので、御協力をお願いいたします。
 なお、総括質疑は、明日の遅くとも正午までに終了することを目途にしたいと思いますので、御協力をお願いいたします。
 これより総括質疑に入ります。軽石義則委員。
   〔軽石義則委員質問者席に着く〕
〇軽石義則委員 希望いわての軽石義則でございます。現任期前半の2年間、議会選出の監査委員をさせていただきました。しばらくぶりの決算特別委員会での質疑となりますので、よろしくお願いいたします。
 既に一般質問で質疑を交わされておりますけれども、さらに確認をさせていただく事項もありますので、わかりやすい答弁をよろしくお願いいたします。
 初めに、令和3年度決算全般の中で、趣旨にのっとりまして、まず総括的に伺いますけれども、令和元年12月に最初の感染者が確認されて以降、新型コロナウイルス感染症の影響は世界に拡大し、県内でも令和2年7月以降、今日に至るまで何度となく感染の拡大と収束を繰り返す状況が続いております。
 そのような状況の中で編成された令和3年度予算は、知事みずから、命を守る幸福希望予算と命名され、徹底した感染拡大防止や医療提供体制の強化が盛り込まれた予算となりました。
 また、県民の社会生活、経済活動を支えるため、東日本大震災津波への臨機、迅速な対応として多くの補正予算を編成した平成23年度に並ぶ12回もの補正予算を組み、我々県議会も3度の臨時会を開会し、この未曽有の感染症に立ち向かってきた1年でもありました。
 令和3年度の歳出決算額は9、395億4、668万円、令和2年度から824億4、910万円、率にして8.1%の減少となっておりますが、この決算額のうち、新型コロナウイルス感染症対策の決算額と知事が効果的であったと考える施策をお示し願います。
 あわせて、国制度を初め、改善が必要だと考えられる点についてお示し願います。
〇達増知事 令和3年度の新型コロナウイルス感染症対策分の決算額は、991億円余となっています。
 県では、市町村や関係団体、そして県民と目標を共有しながら、学校や福祉施設等における感染拡大防止対策、医療機関の設備整備や入院施設、軽症者の宿泊療養施設の確保、ワクチン接種体制の確保、相談体制の強化、充実など、徹底した感染拡大防止や医療提供体制等の強化と、収入が減少し生活に困窮している方や子育て世帯への支援、事業者の資金繰り対策や事業継続支援、飲食業や観光業等、コロナ禍において大きな影響を受けた産業への支援など、社会生活、経済活動を支える取り組みなどについて、きめ細かく踏み込んだ対応を重ねてまいりました。
 今後とも、地域の実情に応じた取り組みを進めていく必要があることから、現場の最前線で実務を担っている地方自治体の意見を踏まえながら対策を進めるとともに、十分な地方財政措置を講じるよう、全国知事会等とも連携して国に訴えながら、県民の命を守る取り組みを続けてまいります。
〇軽石義則委員 各市町村とも連携して進めてきたという御答弁でありましたけれども、同決算額につきまして、県内市町村の分を含めるとどのぐらいの規模になるのか。また、全体として最も決算額の大きかった事業は何だったのでしょうか。
〇小野政策企画部長 市町村分の決算額は659億円余となっており、県分と合わせますと1、651億円余となっております。
 決算額が多いものについてですが、県事業分では、新型コロナウイルス感染症対応資金貸付金289億円余、市町村分では、子育て世帯への臨時特別給付関係165億円余となっているところであります。
〇軽石義則委員 それらの決算によって効果がしっかりあらわれてきているものということで評価をしていると思います。この第7波も収束に近づいているとは言われながら、安心する状況ではございませんので、引き続きの対応をよろしくお願いいたします。
 次に、復興事業の評価についてお伺いいたします。
 東日本大震災津波から11年を迎えた令和3年度は、国の第2期復興・創生期間の初年度でもあります。県内の大規模なハード事業による復旧についてはおおむね完了のめどが立ち、県でも、被災者の心のケア等、必要な取り組みを着実に実施していくこととしています。
 震災の記憶の風化が叫ばれる中、県が9月22日に公表した日本海溝沿いなどを震源とする巨大地震の被害想定によれば、東日本大震災津波を上回る最大7、100人の死者が想定される衝撃的な内容であり、県内でも大きな動揺をもって受けとめられていると感じます。県内で6、000人以上もの死者、行方不明者を出してしまった東日本大震災津波の教訓、対策を活用することがまさに求められています。
 令和3年度の復興事業の決算額とその評価をお示しいただくとともに、日本海溝沿いなどを震源とする巨大地震への対策に、これまでの知見をどのように活用していくつもりなのかをお伺いいたします。
〇佐藤復興防災部長 まず、令和3年度の復興事業の決算額とその評価についてでありますが、令和3年度における県の復興事業の決算額は約1、181億4、600万円余となっており、県立野外活動センターひろたハマラインパークや砂浜再生工事が完了した海水浴場がオープンするなど、ハード面では、計画された復興事業の多くが完了したところです。
 ソフト面では、いわて被災者支援センターでの被災者の相談支援や岩手県こころのケアセンターでの被災者の心のケア、事業者の販路開拓支援などによるなりわいの再生の支援など、復興の取り組みを着実に進めてきましたほか、震災の事実と教訓の伝承、発信に取り組み、令和3年度の東日本大震災津波伝承館の来館者は16万8、000人余となり、この9月には60万人を達成したところであります。
 次に、東日本大震災津波の教訓等の活用についてでありますが、東日本大震災津波については、国、県、市町村等による検証報告書等が数多く作成されており、本年9月に公表いたしました岩手県地震・津波被害想定調査報告書では、これら検証報告書に掲載された課題、教訓を踏まえ、今後の対策を検討することとしているところでございます。
 今後、新たに立ち上げる県と市町村との実務レベルの検討組織においては、東日本大震災津波の教訓等を十分に踏まえ、積雪寒冷を考慮した避難対策など、ハード、ソフト両面にわたる具体的な対策を検討することとしています。
〇軽石義則委員 今後の対策にしっかり生かしていきたいということだと思いますが、これまでも、災害時の命の道路をどう確保するかというようなことも教訓としてあったわけであります。関係市町村では、特に、今回の巨大地震の被害想定を踏まえますと、大きな被害が想定されますので、沿岸北部と内陸を結ぶ道路をさらに充実していくことも大事だと考えております。この部分についてはどのようなお考えなのか、見解をお伺いいたします。
〇八重樫副知事 ことし9月に公表した地震・津波被害想定においては、久慈市などで大きな被害が想定されていることから、迅速な救急活動のため、沿岸北部と内陸を結ぶ道路ネットワークの強化が重要と認識しています。
 このため、災害に強い道路ネットワークの構築などを基本方針として、昨年6月に策定した岩手県新広域道路交通計画においては、国道281号を一般広域道路に、さらに、これに重なる形で(仮称)久慈内陸道路を将来的に高規格道路としての役割を期待する構想路線に位置づけたところであります。
 こうしたことから、国道281号については、将来的な高規格道路化を見据えた規格により、久慈市案内―戸呂町口工区など、必要性の高い区間から順次整備を進めています。
 また、(仮称)久慈内陸道路については、全国的な高規格道路ネットワークにおける必要性の検討とあわせて、久慈―盛岡間の大まかなルートや道路構造等の調査を進めています。
 今後とも、県北地域においては、国道281号を規格の高い道路として着実に整備を進めるとともに、(仮称)久慈内陸道路の調査の熟度を高めながら、巨大地震等による災害発生時にも機能する道路ネットワークの構築に取り組んでまいります。
〇軽石義則委員 災害はいつやってくるかわからないわけであり、その準備、できることをすぐやっていくことが大事だと思いますので、ぜひ、引き続きお願いいたします。
 加えて、私は初当選して最初の一般質問のときにもお伺いいたしましたけれども、今後予想される首都直下型地震や東南海・南海地震などの減災対策として、首都機能の移転や、国会を初め、省庁の分散、サブ機能誘致などをぜひ岩手県として、東日本大震災津波で経験したものを生かすべきではないかというお話をしました。当時は、まずは復旧、復興ということで、それ以降、どのような取り組み、考え方をしてきたのかお伺いいたします。
〇小野政策企画部長 首都機能の移転につきましては、平成4年に施行されました国会等の移転に関する法律に基づいて国において検討が進められ、これまで、地方創生の流れの中で一部の省庁等の移転はありましたが、現在は新たな動きがない状況となっております。
 軽石義則委員御指摘の減災対策の観点とあわせまして、今般の新型コロナウイルス感染症の首都圏における感染拡大により、東京一極集中の是正の必要性が国民に再認識されているものと考えております。
 まずは、国が国家戦略といたしまして、分散型国土の形成などの抜本的な対策を実施することが不可欠でございます。
 本年7月に議決されました全国知事会のコロナ後に向けた地方創生・日本創造への提言におきましても、ひとをつなぎとめ、新たな流れをつくるといたしまして、政府関係機関の移転の着実な推進等について提言しているところでございます。
 同時に、地方におきましても、地方への新たな人の流れを創出、拡大していくことが重要でございます。県といたしましては、岩手県の魅力や安全・安心に暮らし、働ける環境を広くPRしながら、デジタル技術を活用した移住相談会の実施やテレワーク等のさまざまな働き方を実践する県内企業の紹介など、本県への人の流れをつくる取り組みを進めてまいります。
 また、国に対しましては、引き続き、政府関係機関の移転について求めてまいります。
〇軽石義則委員 そういう意味では、岩手県は東日本大震災津波の経験、新型コロナウイルス感染症対策の対応を含めてPRのポイントも非常に高いのではないかと思いますので、ぜひ、国にもしっかりそのことを伝えて、新たな岩手県の発展に向けた取り組みにしていただければと思います。
 次に、政策評価結果を踏まえた来年度以降の施策についてお伺いいたします。
 令和3年度主要施策の成果に関する説明書・いわて県民計画(2019〜2028)実施状況報告書によれば、現時点で達成度が確認できる73の幸福関連指標のうち、40指標、約54%が達成、おおむね達成と評価されており、昨年度の同報告書における約58%に比較して微減、具体的推進方策指標517のうち、おおむね達成以上の割合は約77%と、こちらは昨年度の約69%を上回る達成水準となっております。
 居住環境・コミュニティの分野でおくれが目立つほか、教育分野では、実績値の確定により達成度の低い指標が明らかとなりました。
 これらを詳細に見ますと、例えば居住環境・コミュニティの分野では、三セク鉄道・バスの一人当たり年間利用回数、地縁的な活動への参加割合、文化・スポーツ施設の入場者数が低い評価となっており、コロナ禍において、接触機会を減らそうとする県民の意識が評価として顕在化しています。
 今年度は第1期アクションプランの最終年度であり、現在、第2期アクションプランの策定に向けて議論が進んでいると認識しておりますが、今回の政策評価結果をどのように反映し策定が進められているのか、また、今回の政策評価結果を踏まえた来年度以降の重点施策についてお示し願います。
〇小野政策企画部長 政策評価結果を踏まえた来年度以降の施策についてでございます。
 さきに公表いたしました令和3年度主要施策の成果に関する説明書によりますと、高卒者の県内就職率の上昇、省エネ活動を実施している県民の割合の上昇、光ファイバーサービスの拡大支援エリア数の増加など、仕事、環境、情報にかかわる分野等におきまして、施策の成果があらわれてきております。
 一方で、合計特殊出生率の低下、三セク鉄道・バスの一人当たり年間利用回数の減少、観光消費額の減少など、新型コロナウイルス感染症の影響が見られている施策等におきまして、達成度が低い状況にあります。
 今年度の取り組みの成果も含めました政策評価につきましては、ことし11月に政策評価レポートとして公表する予定でございますけれども、これらの成果と課題、地球温暖化の進行やデジタル技術の進展など社会経済情勢の変化、また、知事と市町村長との意見交換や各種団体からの意見聴取結果等を踏まえまして、第2期におきましては、人口減少対策に最優先で取り組むこととし、自然減、社会減対策の強化、GXの推進、DXの推進、また安全・安心な地域づくりを重点的に推進してまいりたいと考えております。
〇軽石義則委員 その成果の中で、私が深刻に考えているところが教育です。
 生徒の意欲や自己肯定感などの指標が低い評価となっております。特に、将来の夢や目標を持っている児童生徒の割合は、指標を設定した平成30年度の数値から減少しており、新型コロナウイルス感染症による影響について報告書には記載されています。
 出口が見えてきたと言われるコロナ禍ですが、既に3年を迎えようとするその影響が生徒の心に大きな影響を与えているとしたら、そのリカバリーも含め、これまでとは異なる対応が求められるのではないでしょうか。
 先般の全国高等学校野球選手権大会で、仙台育英高校須江航監督が優勝時に、入学どころか、恐らく中学の卒業式もきちんとできなくて、高校生活も、僕たち大人が過ごした高校生活と全く違うのです。青春というのはすごく密なのですが、そういうこともだめだと言われて、活動していてもどこかでストップがかかってしまう。そんな苦しい中でも諦めないでやってくれました。それをさせてくれたのは、全国の高校球児の努力のたまもので、ただただ最後に僕たちがここに立ったというだけなので、ぜひ全国の高校球児に拍手をしてくださいと語っております。
 まさに、この言葉にあるとおり、中学校、高校の多感な時期に失った青春をどうするのかが重要ではないかと考えております。令和5年度以降、どのようにその取り組みを進めていくのか伺います。
〇菊池副知事 いわゆる全国学力・学習状況調査の児童生徒の質問紙調査における、将来の夢や目標を持っている児童生徒の割合については低下している状況で、これは、本県を含め全国的な傾向であると認識しております。新型コロナウイルス感染症の影響が、要因の一つとなっていると捉えております。
 各学校においては、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、部活動を初め、教育活動がいろいろと制限される中、児童生徒及び教職員が、さまざまな工夫や努力の積み重ねにより、文化、芸術やスポーツなどの各分野で輝かしい成果を上げ、県民の皆さんに勇気と感動を与えてくれているものと承知しております。
 一方で、軽石義則委員がお話しのとおり、例えば、今の高校3年生は、高校生活の3年間をコロナ禍の中で過ごしてこられました。思いどおりの活動ができないつらさがある中で、さまざまな苦労や不安があったと思います。
 振り返りますと、東日本大震災津波はもとより、これまで幾多の社会的、経済的困難が時代時代の子供たちに降りかかってきた歴史があります。そして、そこにはしっかりとした教育の積み重ねが行われてきたと受けとめております。
 今般のコロナ禍のような予測困難な状況の中でも、児童生徒が学ぶことと、自己の将来を見通し目標を持てるようになることが重要であると認識しております。
 教育に求められるのは、将来、喜びとともにさまざまな困難も伴う社会の一員となって、よりよき世の中をさまざまなところでつくっていけるよう、活躍していけるよう願っておりますし、そして、何よりもみずからの人生を主体的に切り開いていく、そういう若者たちを育てていくのが教育の大きな使命であろうと思っております。
 今後も、学校や児童生徒の実情、社会の状況に応じ、さまざまな工夫と新しい生活様式の中で、教育活動が適切に展開され、児童生徒一人一人の思いに寄り添いながら、家庭、地域、関係機関、団体等と連携を図り、変化の激しい未来を力強く生き抜く力を育んでもらいたいと思っております。
〇軽石義則委員 ぜひ、そういう気持ちが子供たちにも伝わっていくことが大事ですし、やはり自然条件や環境や周りのことは自分ではどうしようもできない。しかし、そこで自分自身が努力することによって報われるのだということが実感できるような環境づくりは、我々大人がしていかなければならないと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
 次に、県の財政についてお伺いいたします。
 令和3年度の財政健全化の取り組みについて伺います。
 平成24年度決算において実質公債費比率が18%を超えてから、県では、公債費負担適正化計画に基づく財政健全化の取り組みを着実に進め、平成30年度決算で実質公債比率が18%を下回って以降も、安定的に健全化判断指標は改善を続け、令和3年度決算を受けた実質公債費比率は13.3%、将来負担比率は200.6%と、いずれも昨年度から改善しております。
 また、令和3年度の中期財政見通しでは、令和3年度末の財源対策基金残高は391億円と見込まれ、令和6年度では101億円まで減少し、基金の枯渇が懸念される状況が明らかにされたのに対し、後ほど詳しくお聞きしますけれども、今回公表された中期見通しでは、令和3年度末で678億円、令和6年度でも415億円と大幅に税源対策基金残高が回復しています。
 健全化判断比率について言えば、東北6県の平均では、それぞれ11.8%、177%と岩手県の水準はまだ高い状態にあり、財政健全化の取り組みを緩める状況にはないと認識しておりますけれども、財源対策基金残高だけを見れば、この1年間で財政健全化の取り組みが大きく前進したようにも見えます。
 令和3年度、財政健全化の取り組みをどのように進めたのか、あわせて現時点での県の財政状況についてどのようにお考えを持っているのか、知事に伺います。
〇達増知事 財政健全化に向けては、毎年度の予算編成等を通じた不断の取り組みが必要であり、これまで、予算の重点化や産業振興等による県税収入の増加など、財政健全化に向けたさまざまな取り組みを着実に進めてまいりました。
 特に、令和3年度においては、持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会を開催し、中長期的な視点に立った取り組みについて検討したほか、財源対策基金への積み立て、県債の繰り上げ償還や発行抑制による県債残高の引き下げなど、370億円を超える規模で財政健全化を進めました。
 このような取り組みの結果、私が知事に就任する前の平成18年度当時と比較しますと、企業立地を初めとする産業振興やこれらに伴う個人所得の増加等もあって、県税収入が1、291億円から1、603億円と24.2%増加し、全国平均11.7%と比較して10ポイント以上高い増加率を実現し、当初予算における財源不足額も約240億円から57億円に大幅に縮小させたところであります。
 また、11年連続で当初予算におけるプライマリーバランスの黒字化を達成し、臨時財政対策債を除く県債残高を1兆2、000億円から7、500億円と約4、500億円減少させたほか、財政対策基金の残高も282億円から678億円に倍増させるなど、財政健全化に向けて着実な成果を上げてきたところであります。
 一方で、本県財政を取り巻く環境については、人口減少等を背景とした歳入の減少や高齢化等に伴う社会保障関係費の増加により、当面厳しい状況が続くことが見込まれており、今後、新たに設定した収支均衡予算の実現、財政調整基金の残高水準の維持など四つの財政目標のもと、行財政改革の実効性を高めつつ、財政健全化を着実に推進してまいります。
〇軽石義則委員 人口減少も含めて環境も非常に大きく変わってくると思いますけれども、引き続きの取り組みをお願いいたします。
 財政健全化の取り組みとしては、本9月定例会で議決された公共施設等適正管理推進基金の創設、積み立てもその一つと理解します。
 令和3年度決算に伴う実質収支176億円から60億円を、岩手競馬再生推進基金から60億円をそれぞれ拠出して120億円という規模で創設されたものですが、ことし7月に改訂された岩手県公共施設等総合管理計画によれば、今後30年間で6、050億円、年平均202億円と、これまでの平均投資額の1.4倍、約1、500億円の財源を新たに確保する必要があるとのことです。
 これまでも議論されておりましたが、整備されてきた施設の多くが人口減少下において老朽化していくというステージでは、単なる更新ではなく、有効活用を前提とした県有施設の譲渡、統合等、これまでと全く異なる対応が求められると考えます。一方で、これらの取り組みを進めたとしてもなお、同基金の120億円という積立規模では、今後の財政需要に対し大きく不足している状況です。
 今後の公共施設等適正管理推進基金積み立ての考え方、目標額、活用方針についてお示し願います。
〇千葉総務部長 公共施設等適正管理推進基金は、ことし7月に改訂した公共施設等総合管理計画において、公共施設等の維持、更新等に係る経費の見込みが今後大幅に増加することが見込まれているところであり、安定的な財源を確保していく必要があることから、その財源として公共施設等適正管理推進基金を創設するものであります。
 この基金創設に当たって、今般、120億円を積み立てることといたしましたが、公共施設等総合管理計画では、令和10年度以降に更新需要の増嵩が本格化することを見据え、まずは、令和10年度までの期間を対象として、財政状況を勘案しつつ、決算剰余金等を活用し、可能な限り基金の増額を行っていきたいと考えております。
 現時点におきましては、当該基金について、どの施設に幾ら充てるか具体的に決めているものではありませんが、施設の更新に当たっては、老朽化の度合いや利用状況、必要性等を勘案しながら事業実施を決定していくこととなりますが、その時点での財政状況等に応じて、その都度、基金を取り崩し充てるか判断し、県民にとって必要な行政サービスが持続的に提供できるよう、公共施設等の適正な管理を推進してまいります。
〇名須川晋委員長 この際、軽石義則委員の質疑の途中ではありますが、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
 軽石義則委員、御了承願います。
   午前10時55分 休 憩
午前11時12分再開
〇名須川晋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇軽石義則委員 それでは、持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会についてお伺いします。
 今般の持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会の報告書について、知事は、さきに一般質問に登壇した当会派の名須川晋議員への答弁で、従来型の財政危機を契機とした急進的な行財政改革とは異なり、政策本位、県民本位の視点からの行財政改革の新しいモデルであるとこの研究会の議論を総括されています。
 改めて今回の研究会のメンバーを見ますと、地方自治、地方行財政、地方分権に精通された先生のみならず、社会保障やDXに深い識見を有する方々も含まれており、その議論は、毎回規定の時間を超えるほど白熱したものであったと聞いております。
 また、知事は、先日の記者会見において、これまでありがちだった政策破壊型の改革ではなく、この報告書は、県立病院や県立高等学校に他の都道府県以上にお金を使ってきたことが岩手県の強みになっているという政策本位、県民本位の視点から、その強みを維持するためにも、今までのやり方から変えて、中長期的に行財政を持続可能にしていくというかなり新しいやり方を提示しており、岩手県にとってありがたい報告書をいただいたと同報告書を高く評価しております。
 その評価を踏まえ、知事は、今後の行財政運営に同報告書の内容をどのように反映していくのか、また、その具体的手法及び報告書が射程とする時間軸についてもお伺いいたします。
〇達増知事 持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会の報告書には、人口減少、少子高齢化という構造的な課題に対するあるべき施策の一つが示されており、早期に着手できるものや中長期的な検討や取り組みを要するものなど、それぞれの性質に応じて時間軸が異なるさまざまな内容が盛り込まれています。
 このうち、実施可能なものについては速やかに実現することとしており、これまでにない新たな財源確保策として、公共施設等適正管理推進基金の創設を今定例会に提案しましたほか、今月中には、本県初となる全国型市場公募地方債も発行します。
 また、令和5年度当初予算編成については、新たに財政目標を設定した上で、人口減少対策の強化等の重点事項について予算の大胆な重点措置を行う方針としており、これからの予算編成過程において、子供、子育て環境の充実など施策の具体化を図ってまいります。
 一方、例えば県立病院や県立高等学校等のさらなる充実に向けた施策については、今回の報告書を契機として、それぞれの枠組みの中で県民や関係者等との丁寧な議論を積み重ね、進めるべき施策を具体化していく必要があります。
 今後においても、本報告書に示された内容を参考にしながら、予算編成や次期行政経営プランへの反映の検討等も含め、より質の高い行政サービスを提供していくための、県民本位の視点に立った行財政運営を進めてまいりたいと思います。
〇軽石義則委員 それでは、強みとされている部分についてお伺いいたします。
 同研究会の報告書では、本県の強みとして県立病院と県立高等学校が取り上げられています。いずれについてもかなり踏み込んだ記載がありますので、まず、県立病院について伺います。
 病院事業会計への繰出金は、令和2年度は約227億円、人口1人当たりで1万8、715円であり、2位の山形県の1万3、237円の1.4倍という突出した水準であり、同研究会の報告書の文字どおり、県民福祉の増進のための最も重要な社会基盤の多くを県が直接県民に提供してきた実態を裏づけています。
 一方、昨今の医師不足が拍車をかけ、医療資源が潤沢な中で安心して生活を送っているという実感に乏しいのも実態ではないでしょうか。
 本報告書では、各保健医療圏内での完結率が7割を下回る医療圏の存在を踏まえた医療圏の見直し、県が地域診療センターを運営することの特殊性、基幹病院の統合による医師に選ばれるハイボリュームセンターの整備、オンライン診療等のデジタル技術の活用など、現在の課題への処方箋としての記述も目立ちますが、地域住民の意向を踏まえて設定されている現行の医療供給体制を踏まえれば、直ちにドラスチックな医療供給体制の見直しを図ることは困難ではないでしょうか。
 本報告書において、中長期的に慎重な議論が必要な事項が含まれていることは承知しておりますが、この分野において、直ちに取り組むべきもの、中長期に取り組むべきものの峻別をどのように進めていくつもりなのかお伺いいたします。
〇八重樫副知事 本報告書では、持続可能で希望ある医療提供体制を構築するための取り組みとして、疾病、事業別の柔軟な医療圏設定や二次保健医療圏のあり方についての見直し検討のほか、基幹病院の統合や市町村の介護保険事業との連携などの方向性が盛り込まれるなど、中長期的な視点に立ったあるべき施策の一つを示していただいたものと認識しています。
 今後、本報告書で提言いただいたさまざまな視点を参考にしながら、早期に取り組むべき課題への対応として、令和6年度からの6年間を計画期間とする次期保健医療計画の策定に向け、次の感染症危機に備えた対応や保健所の機能強化などに加え、疾病、事業別の医療圏のあり方のほか、オンライン診療の活用等について検討を行っていく考えであります。
 また、将来の医療需要や令和18年度までの偏在解消を目指している医師確保等の状況を踏まえながら、急性期医療から在宅医療に至る切れ目のない医療提供体制の構築を進めていく必要があると考えております。
〇軽石義則委員 切れ目のない体制が求められておりますけれども、ただ、広い岩手県で、地域ごとにどう確保していくかということも課題であると思います。
 公立病院の運営というものは、やはり民間ができないからこそ公的にそれを支えていかなければならないということだと思います。行政の役割はそこにあるのではないかと思いますが、その部分はどうでしょうか。
〇八重樫副知事 本県において、県立病院が県民福祉の増進のための最も重要な社会基盤ということで、これを県が直接県民に提供してきたということであります。
 軽石義則委員御指摘のとおり、今後、県立病院のあり方を議論していくほか、それぞれの地域医療の現状、地域保健や市町村の介護事業との連携など、地域において安心して必要な医療が受けられる体制を確保していくことが必要であり、関係者等と丁寧に議論を進めていく必要があると考えております。
 今、求められているのは、人口減少や医療の高度、専門化の時代に適合した新しい時代の良質な医療の均てんのあり方の検討でありますので、そうした医療を県民に提供していくために、何が最も実効性があるかという観点から議論を進めていきたいと考えております。
〇軽石義則委員 ぜひ、行政がやるべき役割というものもしっかり踏まえた上で、今後も対応していただくようにお願いいたします。
 続いて、県立高等学校について伺います。
 本報告書では、県内のどの地域に居住しても高等学校教育を受けられる機会の保障等を実現するための県のこれまでの取り組みや、新たな県立高等学校再編計画後期計画における地元産業との連携、令和4年度から開始された、いわて高校魅力化・ふるさと創生推進事業などが高く評価されており、いわばその取り組みに有識者からのお墨つきを得たものと言えます。
 一方、厳しい少子化の現実も突きつけられており、令和3年度の高等学校進学者数が平成元年度の半分以下となり、学校の小規模化が顕著に進む中で、教員の働き方や指導体制等の課題への対応が求められるとしております。
 その処方箋として、オンライン授業の運用、指導体制の実効性を向上させるための学校規模の維持に向けた学区やブロックの見直しも含む適正規模、適正配置に向けた取り組みなど、かなり具体的で地域の意向も踏まえた慎重な検討が求められる内容が盛り込まれております。
 県立病院の各種の取り組みと同様に、本報告書において、中長期的に慎重な議論が必要な事項が含まれていることは承知しておりますが、この分野において、直ちに取り組むべきもの、中長期に取り組むべきものの峻別をどのように進めていくつもりなのか、また、取り組みを進めるに当たって、当事者である子供たちの考えをどのように聞いていくのか、あわせてお伺いします。
〇菊池副知事 まずもって、本県の県立高等学校は、地域や地域産業を支える人材、また、岩手県のみならず、世界で活躍する人材の育成において重要な役割を担っており、これからもその役割を担っていくことを期待しております。
 そのためには、将来にわたってより質の高い学びを提供していくために、何が最も実効性があるかという観点から、それぞれの地域の実情や住民ニーズ等を踏まえ、関係者等と丁寧に議論を進めていく中長期的な検討が必要であろうと考えております。
 その検討の中心に置くのは、もちろん子供たちでございまして、県教育委員会では、例えば、県立高等学校の再編等の検討に当たっては、中学生へのアンケートをその都度実施しており、引き続き、同様の取り組みに努めていくことが重要であろうと認識しております。
 なお、県教育委員会では、今般の報告書と少子化による生徒数の減少への対応や、地域との連携等の考え方がおおむね共通しております新たな県立高等学校再編計画後期計画の推進に取り組んでいくと聞いております。
 軽石義則委員御紹介のいわて高校魅力化・ふるさと創生推進事業のほか、県外からの入学者受け入れ、小規模校における遠隔授業の本格実施、岩手メディカルプログラムなどの大学進学支援など、現在取り組んでいる学びの質の向上に向けた施策に加え、人口減少対策にも資する施策の充実を図っていくものと期待しております。
〇軽石義則委員 しっかりとその対応もしていただきたいと思います。ただ、不登校や特別な教育的支援を必要とする児童生徒等、現状の公立学校の教育支援体制では不十分な点があると思われ、その点をどう補っていくのかという現実的な視点も重要であると考えております。
 その際、県教育委員会としても、特徴的な取り組みを行っている私立学校を活用することを公的な枠組みで検討するべきと考えますが、その見解を伺います。
〇菊池副知事 不登校の背景や要因は多岐にわたりまして、個々の児童生徒の状況も多様である中、各学校においては、児童生徒一人一人の状況に応じてきめ細かに対応してきているところであり、県教育委員会は、魅力ある学校づくりによる不登校の未然防止やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーを配置しての不登校対策に取り組んでいるところでございます。
 また、文部科学省では、ことし6月、今後の不登校児童生徒への学習機会と支援のあり方に関する通知におきまして、民間団体その他関係者相互の密接な連携のもとで施策を実施することや、その実施に係る補助事業の活用について示しているところでございます。
 県教育委員会では、不登校児童生徒に対する多様な教育機会の確保に向けて、昨年度からフリースクール等の民間施設との連絡会議を開催してきております。今年度は、この連絡会議に新たに市町村教育委員会の教育支援センターの担当も加え、不登校児童生徒の支援や学校との連携のあり方等について議論を行ってきていると聞いております。
 今後は、国の補助事業を活用しながら、より充実した連携体制の構築に向けて、まずは検討を進めていくと聞いております。
 もちろん、不登校対策は重要な課題でございまして、今後も、児童生徒一人一人の支援ニーズを的確にアセスメントするとともに、児童生徒の居場所が確保できるような仕組みの構築に向けて、県教育委員会が、フリースクールや私立学校を含めた関係機関との連携のかなめとなっていくよう期待しているところでございます。
〇軽石義則委員 ぜひ、現場の状況、実態をしっかり把握していただいて、連携をさらに深めていただければと思います。
 これらの国を代表する研究者が集まった議論の中で、岩手県の特殊性やこれまでの歴史を踏まえた議論がなされたことは大変有意義であると思いますが、これほどのメンバーが集まる中で仕上げられた報告書の中に、実態を踏まえた国による財源措置の必要性が盛り込まれたことは、さらに重い意味を持つのではないかと考えております。
 本報告書では、県立病院については、運営経費や県立病院間での医師派遣に関する財源措置の充実を、県立高等学校については、寒冷、積雪地域の割り増し、小規模校の実態を踏まえた地方交付税の算定方法の改正を求める記載があります。
 このような内容を踏まえて国に対して提言していくことは、これまで県が単独で行ってきた要望、提言とは違う重みを持つと考えますが、どのように活用していくつもりなのでしょうか。
〇千葉総務部長 軽石義則委員御指摘のとおり、本県の強みである県立病院や県立高等学校につきまして、その実態を踏まえた地方交付税の算定方法の見直しなど、本県がこれまで行ってきた要望は、本研究会における多角的な分析のもと、その必要性について一定程度根拠づけられたと認識しております。
 今後、県立病院や県立高等学校等につきまして、より質の高い医療や教育の提供という観点から、他の自治体にとっても参考となるような先進的な取り組みを着実に実施することにより、国に対して、これまで以上に説得力を持った提言、要望が可能になるものと考えております。
 また、人口減少対策の強化やGX、DXの推進についての報告書で示された国制度の改善の必要性は、他の自治体にとっても共通する部分が多いと考えられますことから、全国知事会を初め、他の自治体とも連携して、国に対し提言をしてまいります。
〇軽石義則委員 この研究会に関して最後の質問をしますけれども、この報告書そのもののPDCAサイクルについて伺います。
 特に、中長期的な取り組みが必要なものについては、第三者からの意見等も踏まえた上で軌道修正の必要性が強調されておりますが、現段階でどのような枠組みを想定しているのか伺います。
〇千葉総務部長 先ほど知事から御答弁申し上げましたとおり、本報告書で示された施策につきましては、早期に着手できるもの、中長期的な検討や取り組みを要するものなど、時間軸が異なるさまざまな内容が盛り込まれております。多角的かつ客観的な分析のもと、今後の行財政運営にとって、大いに参考になる有意義な議論を尽くしていただいたと認識しております。
 これらの内容の行財政運営への反映の仕方については、それぞれの取り組みの性質に応じて、予算編成や次期行政経営プランへの反映など総務部としても検討を深めていく必要がございます。特に、県立病院や県立高等学校等の中長期的な検討や取り組みを要するものにつきましては、県議会におけるこれまでの議論や、それぞれの枠組みの中で行われる県民や関係者等との丁寧な議論を踏まえて、まずは進めるべき施策を具体化していく必要がございます。
 その上で、今般の研究会において新しい行財政改革のモデルが示されたことも踏まえて、進めるべき施策の性質に応じて、第三者的視点も取り込みながら、実効性あるPDCAサイクルのあり方についても検討を進めてまいります。
〇軽石義則委員 それでは、よろしくお願いいたします。
 岩手県中期財政見通しについて伺います。
 今回公表された見通しは、令和8年度、すなわち次期アクションプランの最終年度までを対象としており、令和8年度末の財源対策基金残高は197億円と先ほど答弁がありましたが、財政健全化の取り組みが奏功し、昨年度の危機的状況からは一息ついたように見えます。
 一方で、昨年度初めて明らかにされた人口減少による財政影響額は、令和8年度末でマイナス48億円、傾向としては毎年度マイナス幅が拡大しており、長期的な県財政の持続可能性に大きな影響があることが改めて浮き彫りになりました。将来世代が安心して生活できる基盤を構築していくことは、現役世代である我々の責務です。
 昨年度の決算特別委員会で当会派の柳村一委員の同様の懸念に対し、地方を重視した経済財政政策の実施や高等教育機関の地方分散などの国による抜本的な対策にあわせ、県独自の取り組みの充実も必要との当局の答弁がありましたが、令和3年度の取り組みの成果、及び来年度以降どのように取り組みを充実させていくのか伺います。
〇達増知事 本県の人口は自然減と社会減が相まって減少が続いており、未婚化、晩婚化や仕事と育児の両立の困難さなどを背景とした出生数の減少、若年層を中心とした転出超過等が大きな要因となっています。
 こうしたことから、県はこれまで、企業への働きかけによる魅力ある雇用環境の整備、待機児童数の解消に向けた保育環境の整備、自動車、半導体関連産業の集積、県営住宅の活用等による移住、定住の促進などの取り組みを推進し、過去最高の高卒者県内就職率、U・Iターン就職者や移住、定住者数の着実な増加等の実績につながったところでありますが、一方で、新型コロナウイルス感染症の影響等もあり合計特殊出生率が低下しています。
 第2期アクションプランにおいては、人口減少問題を最優先で取り組む重点事項と捉え、結婚、妊娠、出産、子育てなど、ライフステージに応じた総合的な取り組みや、若年層の県内就職やU・Iターン促進などについて、市町村や民間団体等と役割分担や連携をしながら取り組みを強化することとしており、今後、令和5年度当初予算にしっかり反映させてまいります。
〇軽石義則委員 それでは、令和5年度当初予算編成方針について伺います。
 今回の予算編成方針では、シーリングによる削減一辺倒ではなく、公共事業における1.1倍のシーリングを初め、人口減少対策、GX等の重点事項にシーリングによる財源捻出の3倍の要求を認めるなど、事業立案のインセンティブの面からも県民ニーズの面からも、一定の配慮がなされていると評価するものであります。
 しかしながら、中期財政見通しで示されている令和5年度の収支ギャップはマイナス117億円、その中で、重点事項にどの程度予算措置するのか裏づけとなる財源がなければ、単に財源対策基金をその分多く取り崩してしまう結果にしかなりません。
 新たに掲げた財政目標の達成と重点事項への予算措置は、財政的には相反する部分もあることから難しいかじ取りが求められるものと思います。
 重点事項にどの程度の予算を配分するのか、財源をどう確保するのか、令和5年度当初予算編成に当たり、知事の考えを伺います。
〇達増知事 令和5年度当初予算編成に当たりましては、子供、子育て環境の充実を初めとする人口減少対策の強化、GX、DXの推進、安全・安心な地域づくりの実現に向けて、シーリングにより捻出した財源の3倍まで要求を認め、公共事業についても前年度比1.1倍の増額要求を認めることとしました。これにより、新たに50億円程度の予算要求枠を設けるなど、近年にない水準で予算の大胆な重点化を進めます。
 今後、その事業規模や具体的な内容については予算編成過程において検討してまいりますが、これらの施策はいずれも中長期的な取り組みを要するものであり、安定的な財源確保策についても、あわせて検討していく必要があります。
 そのため、令和5年度当初予算編成においては、多角的視点から歳出水準の適正化を進めると同時に、新たな財源確保策として、電気事業会計からの繰入金の拡充、土地開発公社の準備金の活用、ふるさと納税のさらなる魅力化、県保有基金の長期資金運用の拡充など、あらゆる選択肢について検討を尽くし、実施可能なものから実現してまいります。
 これらの取り組みを通じて、人口減少対策を初めとする県政の重要課題への予算の大胆な重点措置と、持続可能な行財政基盤の構築との両立を実現してまいります。
〇軽石義則委員 中期財政見通しの中で特に注目しているのは、今後の取り組み等のうち、あらゆる選択肢を排除せず、あらゆる手法により歳入確保に努めると、知事も今答弁いただきましたけれども、これまで私は、県議会の場におきまして、県有未利用資産の賃貸借契約による継続的な歳入確保、民間事業者による公共資産の運用による地域内での新たな収入確保などの手法を取り入れ、県庁全体で稼ぐ体質への転換を進めるべきと提言してきました。
 中期財政見通しには、ふるさと納税や使用料の見直しが示されておりますけれども、あらゆる選択肢、あらゆる手法と強調されていることの意図、また、これまで私が提言してきたこれらの手法についても、その対象に含まれるのかどうかお伺いいたます。
〇千葉総務部長 令和5年度当初予算編成に向けましては、歳入確保策として、あらゆる選択肢について検討を尽くしていく必要があり、これらの検討については、軽石義則委員御指摘の稼ぐ体質への転換につながるものと認識しております。
 具体的には、先ほど知事が御答弁申し上げた新たな財源確保策に加え、比較的中長期の取り組みとして、公共施設のさらなる魅力化に向けた全庁的な使用料の見直し、J−クレジットのさらなる活用や超過課税のあり方等を想定しており、これらについては、課題等の抽出も含めて検討していく必要がございます。
 その中で、軽石義則委員から御提言のあった県有施設のさらなる活用についても歳入確保策の重要な手法と考えており、これまでの未利用資産の民間等への有償貸し付けやネーミングライツ事業などの取り組みに加えて、今後、あらゆる選択肢を排除せずに検討し、実施可能なものから実現してまいります。
〇軽石義則委員 まさに、あらゆる手法を検討していかなければならない時代になってきているのではないかと思いますので、引き続き、さらに実施できるような方向で検討をいただければと思います。
 これらを進める上では、やはり県職員の確保、育成も大事なところでありますので、そのことについて伺います。
 厳しい財政状況の中でも、前向きに、果敢に県政の重要課題へトライしていく人材の確保、育成は不可欠です。幾ら知事を初め、幹部の皆さんが予算を重点配分しても、実際に事業を執行するのは現場で働く多くの職員であることは、間違いないわけでございます。
 私自身、監査委員として各現場の状況をヒアリングしてきましたけれども、社会保障の現場を初め、県民と直接向き合う出先機関の若手職員は、強いプレッシャーやストレスを感じる中で、なれない職場の人間関係にも悩んでいるケースが多いと聞いております。
 事実、本定例会においても、当会派の小西和子議員が、本年3月時点で14日以上の精神疾患の療養者が延べ114人に上り、29歳以下の若年層が増加傾向であること、長時間労働による保健指導対象者は919人と昨年度から184人増加していることを指摘しています。
 今後、長きにわたって県政を担い、支えていく若年層の精神疾患が増加することは、県政運営上、大きな課題であり、また、こうした状況を放置すれば、人口減少が進む中で優秀な人材の確保が困難となる事態も想定されます。
 まずは、現状をどのように認識しているのか見解を伺うとともに、実態を踏まえてどのような対策を講じていくつもりなのかお伺いいたします。
〇千葉総務部長 精神疾患による療養者は近年増加しており、特に若年層の割合が高くなっていることから、軽石義則委員御指摘のとおり、有為な人材を確保する観点からも、その対策を講ずることが喫緊の課題であると認識しております。
 このため、昨年度、県庁内の健康サポートルームに心理相談専門員を配置し、全県の新採用職員への健康指導を行うなど若年層向けのメンタルヘルス対策を強化したほか、初めて本庁に配属となった若手職員に指導担当者を配置し、個々の職員が抱える不安の軽減を図りながらOJTを進めております。
 また、学生向けの説明会、インターンシップ、大学父母会等において、こうした若年層へのさまざまなフォローアップの取り組みについて広く情報を発信しているほか、獣医師、薬剤師、心理職、化学職及び建築職など採用が困難な職種について、部局横断的に受験者確保の取り組みを進めるとともに、採用試験の時期の見直しや新たな選考採用の実施についても検討しております。
 県としては、引き続き、若年層向けのメンタルヘルスケアや職員育成を着実に推進するとともに、あらゆる機会を通じて、県の若手職員支援の取り組みを広く発信しながら職員の確保策を強化してまいります。
〇軽石義則委員 ぜひ、その対策をしっかりとっていただきたいと思いますし、業務量に対する人員、この差をどう埋めていくかということも、一部考えていかなければならないと思います。
 やはり管理職であっても一担当職のような業務をこなさなければならないことによって、職場において指導的立場にあってもなかなか思うような指導に至っていない現実もあるのではないかとも考えますので、その部分も含めて、あわせて検討をお願いしたいと思います。
 次に、個別課題として、県営野球場について伺います。
 来年4月には、県と盛岡市が共同で整備している、いわて盛岡ボールパークが盛岡南公園に完成します。プロ野球1軍公式戦の規格を満たすすばらしい施設の完成を、野球ファンの一人としても心待ちにしております。
 一方、1970年に開場した岩手県営野球場は、9月26日、第75回秋季東北地区高等学校野球岩手県大会の決勝戦、花巻東高校と専大北上高校の試合が最後の公式戦となりました。今や世界最高の野球選手の一人である大谷翔平選手を初め、大リーグで活躍する菊池雄星投手、今シーズン、史上最年少で完全試合を達成した佐々木朗希投手が160キロメートルを計測するなど、球史を彩る多くの名選手の活躍の舞台となった野球場がその役目を終えることを寂しく思うのは、私だけではないと思います。
 施設の集約化により財政負担を軽減する地方債を活用して整備した経緯から、施設の用途廃止が必要であることは聞いておりますが、県出身選手の活躍により大きな付加価値を持つこととなった岩手県営野球場を、民間利用施設として活用するなどの手法も考えられるのではないかと思います。
 岩手県から世界に発信するこの絶好の機会をどう生かすのか、現時点でどのような見通しを持たれているのか、知事の見解を伺います。
〇達増知事 県営野球場は、県民に長年愛され、高校野球やプロ野球など数々の名勝負やドラマが繰り広げられ、メジャーリーガーを初め、多くの名選手を輩出するなど、本県野球の聖地として大きな役割を果たしてきたものと認識しております。
 しかしながら、施設整備から50年以上が経過し、老朽化が著しく、毎年の修繕費も高額となり、安全管理上支障が生じてきていることから、盛岡市と共同で新野球場の整備を進めており、現野球場は、県立野球場条例に基づき、令和5年4月1日から野球場としての用途は廃止され、跡地の利活用が検討されることになります。
 なお、いわて盛岡ボールパークには、本県出身のメジャーリーガーやプロ野球選手にちなんだ展示や高校野球の歴史、記録などを展示するメモリアルコーナーを設け、これまで県営野球場で繰り広げられてきた本県野球史を広く情報発信する予定であります。
〇軽石義則委員 新しい球場をつくることは、私もこれまで提案してまいりましたし、それが日本で最初の県と市との共同での設置ということになったわけですので、そのことについては私も非常にうれしく思うわけですが、県内の多くの野球ファンの皆さんからは、さらに、これまでの歴史を大事にしていくことも大事だという声が高まっていることも事実でありますので、引き続き御検討をお願いしたいと思います。
 9月30日に、岩手県知事に対する令和5年度岩手県私学団体関係予算要望が実施されました。その中で、私立幼稚園運営費補助について、今後、出生数の大幅な減少が見込まれる中、園運営への大きな影響を懸念する声が聞かれたところであります。
 特に、子ども・子育て支援新制度に移行し、施設型給付の対象となる施設と、新制度に移行しておらず、引き続き私学助成の対象となる私立幼稚園では、職員の加配や処遇改善に係る加算に大きな差があり、そのような私立幼稚園では職員の確保についても大きな課題を抱え、少子化の影響と職員確保の困難さから、閉園を余儀なくされている施設もあると聞いております。
 県は、このような私立幼稚園を取り巻く現状をどのように認識し、この出生数の減少という現実に対し、県独自の支援策の創設も含め今後の施策をどのように展開するのか、その考えをお伺いします。
〇熊谷ふるさと振興部長 私立幼稚園の運営についてでございますが、ことし8月、県が実施した調査におきまして、私学助成を受けている私立幼稚園12園のうち6園は、令和5年度末までに新制度に移行する方向で検討しており、残る6園は、令和5年度末時点では新制度に移行しない予定と伺っております。
 新制度に移行しない主な理由といたしまして、建学の精神に基づいた独自の教育を継続できるか不安であること、新制度における必要な配置基準の職員数が確保できないこと、施設の収入面―公定価格の水準等でありますが―で不安があること、新制度への移行に伴う事務の変更や増大等に不安があるといったようなことが挙げられているところでございます。
 これらを踏まえまして、移行を希望している私立幼稚園につきましては、市町村や関係部局とも連携しながら、新制度に円滑に移行できるよう適切に対応してまいりたいと考えております。
 また、移行を予定していない私立幼稚園につきましては、私立学校運営費補助のほか、特色ある幼児教育等振興費補助事業などにより、引き続き、建学の精神に基づく特色ある取り組みができるよう支援するとともに、個別の状況を把握した上で、個々の幼稚園の課題の解決に向け、丁寧に対応してまいりたいと考えております。
〇軽石義則委員 個々の課題について適切に対応していくという答弁でございましたけれども、やはり現場の声を、実態をしっかり把握していただきたいと思います。人材確保の観点で私も今お話ししましたけれども、ニュース等で、バスでの通園の送り迎えによりまして悲しい事故が起きている現実を見ますと、人材不足がそこには大きな影響があるのではないかということも指摘をされております。バスそのものを機械化しても、最後はやはり人で、きっちり確保していかなければならないというのが事実だと思います。
 ぜひ、そういうことも踏まえた上で、今後しっかり対応していただくことをお願いして、終わります。(拍手)
〇名須川晋委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午前11時52分 休 憩
午後1時2分再開
〇名須川晋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。次に、高橋穏至委員。
   〔高橋穏至委員質問者席に着く〕(拍手)
〇高橋穏至委員 自由民主党の高橋穏至でございます。会派を代表して、決算特別委員会総括質疑をさせていただきます。
 今定例会開会に当たり、持続可能で希望ある岩手を実現するための行財政改革に関する報告書が発表されました。この報告書では、本県の現状を次のように述べています。
 これまで、本県は県民福祉の増進を図るため―中略しますが、―人口動態や社会情勢等の変化に対応して、その時代時代に応じて大きな役割を果たしてきた。一方で、本県の人口減少と少子高齢化は、全国を上回るペースで進んでおり、それぞれの地域における少子化とともに、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年も間近に迫っている。
 人口減少は、これまでの行政サービスのあり方やその財政運営にとっても長期間にわたって少しずつ影響を与え、また、県央、県南、県北、そして沿岸それぞれの圏域で人口減少に伴い徐々に地域活力の低下を招く可能性があるなど、岩手県は、まさに静かなる危機とも言える状況に立たされているとし、今後、県に求められるのは、現状維持を前提とした削減ありきの縮小型の行政運営ではなく、人口減少、少子高齢化という構造的課題に真正面から立ち向かい、現下に差し迫っている静かなる危機を将来にわたる希望に変えていくことである。そのために、いわて県民計画(2019〜2028)等に掲げられた目標の達成に向けた施策を力強く進めるとともに、未来においても希望を持てる岩手県を実現するために、本県のこれまでの強みを生かした攻めのグランドデザインを描き、必要となる施策を着実に推進していく必要がある。
 積極的施策の必要性を述べる一方で、持続可能な行財政基盤の構築という守りの姿勢の必要性も述べております。
 まさに、人口減少対策は、持続可能で希望ある岩手を実現するためには最重要課題と言えます。現在取り組んでいる令和4年度当初予算編成方針でも、人口減少対策が重点テーマの1番目となっております。
 そこで、令和3年度決算の総括質疑では、主に人口減少対策に着目して質問します。また、来年は県議会議員とともに県知事選挙も迎える年となります。令和3年度決算における事業の成果とともに、これまでの達増県政4期15年間の成果について質問いたします。
 令和2年3月改訂された岩手県人口ビジョンでは、本県では、ふるさと振興を進め、合計特殊出生率の向上と社会減ゼロを実現することによって、2040年に100万人程度の人口を確保することを目指していますとし、合計特殊出生率は地方ほど高いとして、本ビジョンにおいては、国の長期ビジョンを勘案し、合計特殊出生率が2040年に2.07まで向上することを前提としています。
 岩手県においては、2018年は全国平均を下回りましたが、これまでおおむね全国平均を上回る状況が続いてきました。過去に全国平均の合計特殊出生率が2程度であったときの岩手県の合計特殊出生率は2.3程度であり、全国平均の合計特殊出生率が2.07であれば、岩手県においては、より高い合計特殊出生率になることは十分考えられるとしています。
 また、国立社会保障・人口問題研究所が2015年に行った調査によると、夫婦の理想の子供数は2.32と人口置換水準を上回っている状況が続いており、合計特殊出生率向上の望みは十分にあるとしております。
 そして、目指すべき将来の方向について、岩手県人口ビジョンは、本県の人口の現状等を分析し、今後の人口の展望を示すとともに、さまざまな生きにくさを生きやすさに転換し、岩手県への新しい人の流れを生み出すふるさと振興の基本的な方向を示しております。
 本定例会初日の一般質問で、佐々木努議員から結婚、出産、子育て支援についての質問があり、知事がこれまで取り組んできた事業の中での一番はどれかとの問いに、人口減少や合計特殊出生率の向上対策については、さまざまな要因が複雑に絡み合って、どれが一番の事業だったかとは言えないとのやりとりがありました。まさにそのとおりで、人口減少にかかわる問題については、人口の自然増減や社会増減、地域間格差、合計特殊出生率など、さまざまな視点から人口減少のファクターを分析し、政策の立案及び実行に当たっていかなくてはなりません。
 そこで、人口減少にかかわる幾つかの視点から、令和3年度の岩手県の施策の成果について質問いたします。
 まずは、合計特殊出生率について質問します。
 合計特殊出生率は、岩手県人口ビジョンの中で、2018年、すなわち平成30年は1.41で、全国平均1.42を下回り、その時点でも2040年に2.07の合計特殊出生率はハードルが高いと述べていますが、その3年後の令和3年は1.30とさらに低下しております。
 今定例会の佐々木朋和議員の一般質問でも指摘しておりましたが、令和3年度主要施策の成果に関する説明書・いわて県民計画(2019〜2028)実施状況報告書では、いわて県民計画(2019〜2028)政策推進プランの家庭・子育ての分野は、いわて幸福関連指標7指標のうち、合計特殊出生率の達成度がDで、残りの6指標はAとBになっています。
 そして、特記事項として、合計特殊出生率は、経済的な不安定さ、出会いの機会の減少、男女の仕事と子育ての両立の難しさ、家事・育児の負担が依然として女性に偏っている状況、子育て中の孤立感や負担感、子育てや教育に係る費用負担の重さなどの理由に加え、新型コロナウイルス感染症の影響が続く中、婚姻件数が減少傾向にあることなどによるため、達成度はDとなりましたとあります。
 この分野に係る政策項目は5項目あり、具体的推進方策指標は50設定されています。そして、関連する事業は59事業、再掲30事業を加えると89事業であります。
 この事務事業の成果指標が112の令和3年度の達成度は、Aが59指標、Bが25指標、Cが16指標、Dが12指標となっていますが、合計特殊出生率の達成度がDにとどまっていることについて、家庭・子育て分野全体としての令和3年度の総括を伺います
〇八重樫副知事 県では、安心して子供を産み育てられる環境をつくるため、妊娠、出産、子育て期にわたる切れ目のない支援体制の構築や子育てに優しい職場づくりに向けて、さまざまな取り組みを総合的に推進してきたところでありますが、本県の合計特殊出生率は、全国と同様に依然として低下傾向にあります。
 令和3年度の取り組み状況として、いわて県民計画(2019〜2028)政策推進プランに掲げる具体的推進方策指標のうち、いわて子育て応援の店協賛店舗数や、いわて子育てにやさしい企業等認証の認証数が目標値を上回って推移するなど、社会で子育てを応援する取り組みや仕事と子育ての両立に向けた環境整備の取り組みについて一定の成果があった一方で、結婚サポートセンター会員における成婚者数などが目標値を下回ったところであります。
 また、令和3年度においては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、結婚支援における直接対面する機会の減少や子育てサポーターを対象とした研修会の縮小、中止など、各事業にも影響を及ぼした側面もあるものと認識しています。
 合計特殊出生率の低下にはさまざまな要因が絡み合っているものと認識しており、結婚、妊娠、出産、子育てのライフステージに応じた切れ目のない支援が必要であることから、令和3年度の取り組み実績を踏まえ、成果や課題を検証しながら、引き続き、合計特殊出生率向上に向けた取り組みを推進してまいります。
〇高橋穏至委員 今答弁いただきましたが、さまざまな成果指標について、ある程度成果は上がっているが結果は伴っていないということで、成果指標の設定の仕方にも問題があろうかと思いますし、また、そういう実態の中で、全国の中でさらに成果が上がっていないということをしっかり見るべきだと申し上げたいと思います。
 次に、岩手県においては、人口の自然減、社会減ともに全国ワーストレベルにあり、県内市町村の均衡ある発展を考えた場合、地域ごとの要因分析が不可欠であることは言うまでもなく、その上で地域事情に対応する的確かつきめ細やかな政策を遂行していかなければなりません。
 しかしながら、岩手県政においては、それらの政策が成功しているとは言いがたく、人口減少は着実に進行しています。
 達増知事就任以前、岩手県の人口は長らく140万人程度で推移しておりました。その後、達増知事就任時には人口が約136万人でありましたが、令和3年には119万人まで減少しています。達増知事就任以降、岩手県の人口は約17万人の減少を見せています。このことのみならず、令和3年と平成19年の人口の減少を比率で見ても、令和3年の岩手県の人口は、平成19年比では87.7%と12.3%減少しており、全国ワースト5に入っています。日本全体で同様に人口の比率を見た場合、98.2%程度と1.8%の減少率であることを鑑みると、岩手県の人口減少率12.3%がいかに大きなものかうかがい知れます。
 人口減少問題は日本全体の問題とはいえ、ここまで大きく全国平均とかけ離れた数字が出てしまっては、岩手県が特有の原因を抱えていると考えざるを得ません。そして、その人口減少の大半を引き起こしている現職就任以降の政策については、客観的に検証していく必要があります。
 以下、幾つかの指標から岩手県の人口減少について検証します。
 岩手県の出生数は、知事が就任した平成19年には1万人を超えていましたが、令和3年には6、481人と62.7%まで落ち込んでいます。一方、全国の出生数減少割合は、平成19年と令和3年を比べると74.5%にとどまっています。
 東北大学の研究グループが2020年に発表した論文の中で、全国45都道府県で合計特殊出生率が過去最低を記録した2005年を基準として、2019年までに合計特殊出生率がどのように回復したかをあらわした2005年から2019年の合計特殊出生率回復ランキングが発表されています。このランキングでは、2005年より合計特殊出生率が下がっている県は全国に6県しかなく、その中でも岩手県は全国最下位の数値となっています。
 これは、2007年に知事に就任した達増知事が差配する岩手県の子育て支援や結婚支援策の実効性が低く、岩手県の子供を産み育てる環境が全国で最も悪化しており、他の都道府県からおくれをとっていることのあらわれではないでしょうか。知事の所見をお伺いします
〇達増知事 本県では、平成19年度に策定したいわて希望創造プランにおいて、いち早く人口減少対策を進め、国の動きに先駆けて、平成26年度には人口問題に関する報告を取りまとめ、翌平成27年度には、この報告をもとに岩手県ふるさと振興総合戦略を策定し、人口減少対策に取り組んでまいりました。
 ふるさと振興の柱の一つに岩手で育てるを掲げ、結婚サポートセンターによる結婚支援、保育人材の確保、仕事と育児の両立に向けた環境整備などの取り組みを進めてまいりましたが、本県の合計特殊出生率は全国と同様に低下傾向が続き、令和3年は全国平均と同じ1.30となっています。
 令和2年の国勢調査データによりますと、20代女性の有配偶率は全国平均より上位にあるものの、30歳以上の有配偶出生率は全国平均を下回っており、この背景としては、全国に比べて年間総実労働時間が長い中にあって、共働きの世帯の妻に家事、育児の負担が偏っていることなどが影響していると考えられます。
 このような出産や子育てに関連するさまざまな生きにくさを生きやすさに転換し、子供を産み育てたいと思える岩手にしていくため、県の総力を結集して取り組む必要があると考えております。
〇高橋穏至委員 全国と同じように減少傾向にあるというのはそのとおりなのですが、ただ、全国より、より速いペースで出生率が下がっているというところ、それは、やはり全国の例を見ながら、どのような取り組みが足りないのかもっと詳しく分析する必要があるのではないかと思います。全国平均並みの減少だったらわかるのですが、そうではないという現実をしっかり見るべきではないかと思います。
 今答弁の中に一部触れられておりますが、次に、未婚率について質問いたします。
 いわて統計白書2022では、男女別、年齢階級別ごとの未婚率の推移が示されており、平成17年から令和2年にかけて、全ての階層で男女とも未婚率が増加しております。特に、合計特殊出生率に大きく関係する女性は、25歳から29歳が51.1%から58.9%へ、30歳から34歳が28.3%から34.7%へ、35歳から39歳が18%から24.4%へ、40歳から44歳が11.1%から19.7%に増加しております。
 これまで多くの議員が出会いサポート、結婚支援に関する事業を取り上げ、その充実の重要性を訴えております。令和3年度のいわてで家族になろうよ未来応援事業や、岩手であい・幸せ応援事業の達成度はAとなっておりますが、果たしてその成果や実効性はどうだったのでしょう。
 先ほども答弁いただきましたが、令和3年9月の定例会において、達増知事は平成27年の国勢調査のデータでは、本県の20代の女性の有配偶率は全国上位にあるものの、30歳以上の有配偶出生率は全国下位となっており、このような世代を初め、働きながら子供を持ちたいと希望する方々が、その希望をかなえることのできる環境づくりが重要であると述べております。
 有配偶出生率が低い上に未婚率が高いということは、合計特殊出生率が低いのは当たり前の結果でございます。知事の就任以来の結婚支援事業の取り組みに関する所見を伺いたいと思います。
〇達増知事 県では、結婚支援を強化するため、平成27年度に“いきいき岩手”結婚サポートセンター―i−サポを設置し、開設以降、拠点の増設や出張サービスおでかけi−サポの順次拡大、AIを活用した新たなマッチングシステムの導入などによりマッチング支援を拡充してきたところであり、令和4年3月末現在で108組が成婚に至っていますが、政策推進プランにおける令和3年度の目標値には達しなかったものであります。
 その要因としては、会員数の伸び悩みやコロナ禍において直接対面する機会が減少したことなどが考えられるところであり、昨年度末からオンラインお見合いを開始したほか、今年度は、地域の企業や団体と連携したi−サポの周知や出会いの場の創出、いわてで生み育てる県民運動と連動した広報などに取り組むこととしております。
 また、県内市町村では、出会いイベントの開催やi−サポへの入会金助成、新婚家庭への住宅費用や引っ越し費用を支援する結婚新生活支援事業を実施するなど、結婚支援の取り組みが広まってきており、市町村や関係団体等で組織する結婚新生活支援事業推進連絡会において、結婚支援の取り組みにおける連携について意見交換を実施しているところであります。
 県としては、引き続き、市町村、関係団体等の取り組みと連携を図りながら、県民の結婚したいという希望をかなえるため、総合的な結婚支援に取り組んでいく考えであります。
〇高橋穏至委員 今答弁にありました、できなかった部分で、コロナ禍というのはわかるのですが、問題は、登録会員数がなぜ減少したのかというところの原因をしっかり追求し、対策を打たなければ、結局のところ、人口減少に対する最終的な目標の成果があらわれないということで、要因分析、そしてその対策は、やはりこの15年間足りなかったのではないかと言わざるを得ないと思います。ぜひ、そういったところを取り組むべきと考えます。
 次に、人口の社会減、特に若年層の社会流出について質問します。
 達増知事就任以降、岩手県では、毎年おおむね1万人以上の人口が減っています。これは自然減だけでなく、社会減によるところも大きく、県外への転出者数は平成24年以降、2万2、000人前後で横ばいでありましたが、転入者数は平成24年以降減少傾向にあります。岩手県への転入者が減少してきたことが、社会減の大きな要因となっていることがわかります。
 令和2年、令和3年は、新型コロナウイルス感染症の影響により社会減の減少幅は多少小さくなっておりますが、全国の社会減少率で見た場合、全国で9番目に大きな社会減少率となっています。
 岩手県人口ビジョンでは、本県の自然増減の推移のほか、合計特殊出生率と15歳から49歳女性人口の推移、年齢階級別、男女それぞれの未婚率の推移など、その他数多くのデータが示されています。
 また、いわて統計白書2022には、男女別未婚率の推移がさらに詳しく多くの年代別に、年齢階級別の人口移動の状況、地域ブロック別の人口移動状況、広域振興圏別移動先別人口移動差引一覧など、データが載っております。
 岩手県人口ビジョンでは、ふるさと振興の4本の柱の一つとして、岩手で働く、やりがいと生活を支える所得が得られる仕事を創出し、岩手への新たな人の流れの創出を目指すを掲げ、岩手県の社会減は、18歳の進学、就職期、22歳前後の就職期に顕著であり、この傾向は1980年代から一貫した傾向です。一方、近年の本県の有効求人倍率は1.0を超える状況が続いており、仕事自体は一定程度確保されている状況にありますが、こうした状況にもかかわらず、岩手県から東京圏に向かう若者が増加し社会減となっている現状を食いとめるには、雇用の量だけではなく、質を伴う仕事を確保していく必要があります。
 雇用の質を重視するには、県内企業の労働生産性を上げることにより、やりがいと賃金の向上を図ることが重要です。国による東京一極集中の是正に呼応し、若者が仕事に求めるやりがいや満足に生活するための所得の向上などにより、より生きがいを感じる、働きやすい、住みやすい岩手を実現し、若者を初め多くの方々が岩手に向かう人の流れを生み出していく必要がありますとあります。
 岩手県の人口の社会減少を年代別に見た場合、15歳から24歳の若年層が減少数のほぼ全てを占めており、令和3年においては、岩手県の15歳から24歳の社会減少数は、男女合わせて約3、200人となっています。
 令和3年度主要施策の成果に関する説明書・いわて県民計画実施状況報告書で、人口の社会源に関する主な幸福指標と達成度は、県内大学等卒業者の県内就職率D、県外からの移住・定住者数B、高卒者の県内就職率Bとなっています。これに対応する政策分野は、教育、居住環境・コミュニティ、仕事・収入の分野がありますが、令和3年度の事業の成果の総括はどうだったか伺います。
〇小野政策企画部長 社会減対策に関する教育、居住環境・コミュニティ、仕事・収入分野の総括についてでありますが、令和3年度におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響がある中、事業の実施方法等を工夫しながら、大学生等に対してのウエブによる合同企業説明会の開催、移住コーディネーターによる相談対応の充実、魅力ある雇用環境の構築や経営トップ層の意識改革などに向けた企業への働きかけなどに取り組んだところでございます。
 その成果を見ますと、高校生の県内企業の認知度割合など達成度に課題のあるものも見られますが、高卒者県内就職率、U・Iターン就職者や移住、定住者数の着実な増加等の実績につながっているところでございます。
 この三つの分野では、コロナ禍の影響等もございまして、観光消費額やグリーン・ツーリズム交流人口など、達成度がCやDとなったいわて幸福関連指標もありますが、県内大学等卒業生の県内就職率や正社員の有効求人倍率など、数値が改善してきているものもございまして、令和3年の社会減は2、738人と、前年の3、872人と比較して縮小しているところでございます。
 11月に御報告する政策評価レポートにおきましては、総合的な評価と課題、今後の方向等を取りまとめることとしておりまして、現在、作業を行っております。その内容を踏まえ、社会減対策も含む人口減少対策につきまして、次期アクションプランや令和5年度当初予算案にしっかりと反映させてまいります。
〇高橋穏至委員 先ほど岩手県人口ビジョンの中で、仕事の質を向上させなければならないと書いてあったのですが、質の向上、生産性の向上、やりがい、あるいは賃金向上、これらに対する取り組みはいかがだったでしょうか。
〇小野政策企画部長 人口ビジョンの中でも仕事の質の向上といったところがございます。やはり生産性の向上といったことでございますので、一つには、県内のさまざまな企業あるいは事業所におきまして、それぞれの生産活動がより活発になるような取り組みを進めることが重要でございます。そのために、一つは経営の問題がございます。
 それから、技術の関係がございます。近年は、特にDXを活用して生産性の向上を図っていくといったこともございますし、一方で、働き方改革といったところを通じまして、社員の皆様の働く意欲をより高めていくといったこともございますので、いわてで働こう推進協議会等でも御議論いただきながら、県内の生産性の向上に努めているところでございます。
〇高橋穏至委員 今、この取り組みが企業の生産性を上げて、企業の満足度を上げるとともに、若い世代にこういう状況になっているというのを伝えなければ、若者を呼びとめることにはつながらないと思いますので、そこはしっかりとやる必要があるのではないかと思います。
 次に、私は、令和元年9月に県議会議員となり、初めての一般質問で取り上げた第1項目が、人口減少社会の対応についてでした。3年前の質問では、平成31年度にスタートしたいわて県民計画(2019〜2028)と計画をつくる上での基礎となる人口に関する岩手県ふるさと振興総合戦略〜岩手県まち・ひと・しごと総合戦略〜及び岩手県人口ビジョンから質問しました。
 その当時、目標達成の見込みについては、平成31年3月に改定された岩手県の計画では、施策推進目標として、若者の仕事や移住に関する願いに応え、2020年には社会減ゼロを目標にしています。これまでに社会減が最小だったのは、バブル崩壊後、都市部に仕事が少なかった平成7年が最少でありましたが、それでもプラスではありません。それ以降は2、000人を下回ったことがないのが現状であります。2040年に人口100万人を目指していますがと、目標の実現可能性について質問いたしました。
 これに対し達増知事からは、議員御指摘のとおり、平成7年は岩手県からの人口流出は329人にとどまっていて、ほとんどゼロであり、岩手県からの人口流出をゼロにすることは不可能ではないと思っています。あのときは、特に岩手県でも電気関係の民間投資があり、全国的に民間投資がふえ、そして国も地方交付税を手厚くし、また公共事業をふやすなど、地方財政を豊かにして地方の経済を活性化させるような手を打った結果、岩手県は329人のマイナスでしたが、流入がプラスになった県もそのころはありまして、平成7年―1995年のような状況をつくれば、国、県、市町村、日本全体が目標としていることは可能になるのだと思っておりますとの答弁がありました。
 先ほど申し上げましたとおり、達増知事が就任以降、岩手県では毎年おおむね1万人以上の人口が減っており、岩手県への転入者が減少していることが社会減の大きな要因となっていることに加えて、全国で9番目に大きな社会減少率となっています。
 達増知事は、社会源の要因については東京への一極集中のためという議会答弁を繰り返していますが、いわて統計白書でもわかるように、広域振興圏ごとの社会増減数を見た場合には、首都圏への大きな転出超過は県央圏域が顕著ですが、ほかの圏域では必ずしも東京への一極集中とはなっていません。にもかかわらず、詳細な分析をせず、間違った要因を繰り返し答弁する姿勢が、実効性のある政策につながっていない要因ではないでしょうか。その結果として、人口の社会減、ひいては人口減少を深刻化させたのではないでしょうか。知事の所見を伺います。
〇達増知事 令和3年の本県の社会減は2、738人で、そのうち関東地方が1、911人と最も多く、次いで東北地方が619人となっており、本県の社会減の約7割が関東地方となっています。
 一方、県北・沿岸圏域では県内の他圏域への転出超過が多くなっており、県内が進学や就職先として選ばれているものと考えられますが、こうした圏域においても、地域で活躍することを希望する人がふえ、その望みがかなえられるよう、県としては、さまざまな地域資源を生かした産業振興、地元就職の促進等に積極的に取り組んできたところであります。
 また、東京一極集中は、本県を初め全国的な傾向でありますことから、その是正に向け、地方への移住、定住の推進や地方重視の経済財政政策の実施等を強く訴えてきたところであり、今後も、全国知事会や政府予算提言・要望等の機会を通じて働きかけてまいります。
〇高橋穏至委員 やはり、しっかりとした要因分析を細かくしないと、全体的なところでは、結局今までも成果が上げられてこなかったということだと思いますので、その点は見直す必要があるのではないかと思います。
 次の、農業政策について質問します。
 農業は、岩手県の主要産業の一つであり、農業分野の成長を促すことは、岩手県民の豊かな暮らしに寄与するものであります。
 昨今、食文化の変容や人口減少など時代の変化に対応する農業を構築するためには、岩手県が、地域事情に合った農業政策、そして地域の未来を見据えた農業ビジョンを提示する必要があります。
 農業政策と一口に言っても多岐にわたるため、人口減少による需要の縮小に対してどのように対応するか、特に、岩手県の基幹作物の一つである米政策をどのように考えるのか伺います。
 言うまでもなく、人口とは人の口と書きます。人口減少は、すなわち食糧消費の減少に直接つながります。国内の需要を補い産業として成長させるには、海外への輸出にマーケットを求めていかなければなりません。また、海外との競争に打ち勝つために、特に生産効率の向上のための条件となる、農業基盤整備について質問します。
 人口減少に伴い、岩手県の農林水産物の出荷先及び販路の拡大を進めていかなければなりませんが、日本における農林水産物及び食品の海外輸出は、2021年は前年比2、522億円増で、過去最高となる1兆2、382億円、今年度も上半期1月から6月の農林水産物・食品輸出額は、過去最高ペースの6、500億円超となっております。
 なお、今年度上半期に輸出額の増加が最も大きかったホタテガイでは、67.8%増の387億円となっています。
 一方で、岩手県の農林水産物及び食品の輸出額を見てみると、2010年から2020年にかけて倍増はしているものの、輸出額は2020年においても約40億円にとどまっています。これは、日本全体の農林水産物輸出額における0.4%にすぎず、さらに、近年は、日本全体の伸び率に対して岩手県の輸出額が伸び悩んでいる状況がうかがえます。
 隣の青森県の農林水産物輸出額は毎年200億円前後であり、岩手県の輸出額の5倍近い数値となっています。近年のホタテガイの増加等、水産物の輸出額増加を鑑みた場合、岩手県の得意分野である水産物においても、輸出額で隣県青森から大きくおくれをとり、日本全体の輸出額の増加、それに占める割合においても低迷していることは、岩手県の輸出促進の取り組みが不十分であるためと言わざるを得ません。
 達増知事は、議会答弁において、自県の農林水産物の輸出額の動向のみにフォーカスし伸び率の上昇を説明しています。しかし、県政のトップである知事は、全国の状況や隣県の試みや結果を冷静に分析した上で、岩手県の目標と政策を講じなければなりません。岩手県は強みである農林水産業のマーケットの拡大、販路拡大をするべきであります。
 輸出の販路を開き拡大するためには、全農を初め、企業や関係機関との連携が欠かせず、トップのリーダーシップが必要になります。まずは、岩手県の農家の所得向上のために、知事みずからのトップセールスを初め、県外、海外に農林水産物を売り込むことが重要ではないでしょうか。実際、令和元年から令和3年の間に米穀分野における知事のトップセールスは、東京都での新米フェアやCM発表会への出席のみ、畜産酪農分野で県外に行ったのは、令和元年、東京都で行われたいわて牛の集いのみ、さらに、園芸分野に関しては、そのような実績はゼロであります。
 知事のトップセールスの不足など輸出促進の取り組みが不十分であることにより、岩手県の農林水産物の輸出額が伸び悩んでいるのではないでしょうか。知事の所見を伺います。
〇達増知事 本県では、アジアや北米地域等をターゲットに、米、リンゴ、牛肉、水産物等を重点品目として、海外でのトップセールスやフェアの開催を初め、バイヤー招聘による産地商談会など、県産農林水産物の輸出拡大を積極的に進めてまいりました。
 また、米、リンゴ、牛肉について、輸出に対応した産地づくりに向けた輸出事業計画を策定し、カナダなど新規有望市場の販路開拓を進めております。
 こうした取り組み等により、県産農林水産物等の令和3年の輸出額は、速報値で約48億円、震災前の平成22年比253%と、全国と同程度の伸びとなっており、着実に増加しています。
 新型コロナウイルス感染症の影響等により、この3年間は海外でのトップセールスを中止せざるを得ませんでしたが、自宅で食事の機会が増加していることを踏まえ、新たな試みとして、SNSの活用による現地販売事業者と連携した牛肉等のライブ販売会や、料理教室と連携した県産米のレシピ動画の配信などに取り組んでまいりました。
 今年度は、県産農林水産物の輸出拡大に向け、在外公館と緊密に連携し、カナダで最大規模となるレストラン業界向けの食材、飲料の総合見本市において、米、牛肉、水産物等のPRを行ったほか、先月には、来県した著名な外国人シェフに対して、牛肉や水産物等のトップセールスを行ったところであります。
 今後とも、県産農林水産物の魅力を発信し、輸出がさらに拡大していくよう、関係機関、団体と連携しながら積極的に取り組んでまいります。
〇高橋穏至委員 最近はコロナ禍で外にもなかなか出られなかったということではありますが、例えばコロナ禍以前、実際には販路開拓のために海外、特に東南アジア近辺の近いところだと思うのですが、そういったところを訪問したりという機会はなかったのでしょうか。
〇達増知事 イオンがあるアジア各地におきまして、いわてフェアを開催し、岩手県の農林水産物を特に売り込んだところであります。また、岩手県の牛肉を輸出し始め、県内で株式会社いわちくの設備を輸出対応型に変え、香港に、また、アメリカに輸出を始めるときには、私もそれぞれ現地に行きまして、現地関係者へのセールスなどを行ったところであります。
 また、岩手県のリンゴの輸出については、タイに販路を確保し、バンコクでのフェアで私もトップセールスを行いましたし、また、カナダについては、今後、機会があれば、私も行ってリンゴの宣伝をしてまいりたいと思います。
〇高橋穏至委員 フェアに同行というようなことが何度かあったということですが、いずれ関係機関とともに、開拓の部分ではしっかりとトップセールスを他県ではそれやっているのです。他県でやっていることをしっかりとやっていないためにというか足りないために、他県から大きなおくれをとっているというのが現状ではないかと思います。
 もう一つ、基盤整備について伺うということでしたが、海外輸出を進めるためには、生産効率を向上させ、価格競争力をつけることが欠かせません。また、人口減少に伴う農家の担い手不足やたび重なる台風、豪雨災害に対応するためにも、圃場整備事業を促進することが重要であります。
 しかしながら、岩手県の農林水産部の資料では、岩手県の水田整備率は53%で、全国平均の67%を大きく下回り、東北地方では最下位となっています。水田整備率が低い原因は何なのか伺います。
〇菊池副知事 本県の30アール区画以上の水田整備率は、最新となる令和元年度のデータで53%と、全国や東北地方の平均と比べ低い状況にあります。
 この主な要因ですが、本県では、昭和30年ごろまで10アール区画程度の水田整備が中心に行われました。その後、農業用水の安定確保に向け、国営かんがい排水事業等による大規模な基幹的な農業水利施設の整備に重点的に取り組んできたこと、中山間地域の農地が多く、30アール以上の区画整理が難しかったことなどと捉えております。
 農業従事者の減少、高齢化、国内外での産地間競争が激化する中にあって、農作業の省力化や効率化、スマート農業の導入等による生産性の高い農業の実現に向け、地域からは圃場条件の改善を望む声が多く寄せられておりますことから、農地の大区画化や汎用化など、基盤整備の着実な推進が重要であると考えているところでございます。
 このため県では、国の補正予算などを積極的に活用いたしまして、昨年度にあっては、事業費を5年前に比べ約2倍の100億円とするなど、圃場整備に大きく予算を配分してきているところでございます。
 今後も、国に対し、農業農村整備事業予算の十分な措置を強く求めながら、計画的に整備を進めていきたいと考えております。
〇高橋穏至委員 今、水利施設の整備に力を入れてきたという答弁がありましたけれども、それでは、水利施設の整備率は、全国的には、あるいは東北地方の中ではどうだったのか伺います。わからなければ後でいいです。
〇菊池副知事 申しわけございませんが、手元にはそのデータがございませんので、農林水産部審査のほうでよろしくお願いします。
〇高橋穏至委員 最後に、10月9日の新聞報道に、民間調査会社ブランド総合研究所による都道府県の魅力度ランキングが掲載されました。この調査は、ことし6月下旬から7月上旬にかけて、インターネットで20代から70代を対象にアンケートを実施。約3万5、000人から回答を得て、都道府県に対する魅力度を5段階評価で尋ね点数化したもので、北海道が14年連続1位となっています。岩手県は、昨年の30位から一つ順位を落とし31位となっていました。
 魅力ある岩手県の実現なくして人口減少に打ち勝つことはできません。その実現のためには、精細な現状分析と緻密な計画、そして大胆な政策実行が必要であり、そこには知事の強力なリーダーシップが欠かせません。
 今回の質疑では人口減少問題を中心に取り上げましたが、これまでの知事は、社会減の原因について、東京一極集中が要因であるとして、県の政策について要因分析を怠り、国が経済対策等をとれば解決するとの答弁を繰り返してきました。知事は、就任以来、国の政策にできない原因を求めて、みずからの努力を怠っているうちに、岩手県は全国から取り残されている状況になっております。
 今回の有識者により構成される行財政研究会における多角的視点による議論から取りまとめられた持続可能で希望ある岩手を実現するための行財政改革に関する報告書では、人口減少の原因を東京一極集中が原因とは一言も入っておりません。知事のできない理由を外部に求めて、事業の内なる改善を怠る姿勢やリーダーシップに問題があるのではないでしょうか。
 外に原因ばかり求めていては、自力で解決することは不可能になってしまいます。そういった岩手県に未来はありません。しっかりと原因を内に見つけ、そして対策を講じていき、希望郷いわての実現をしなければならないということを申し上げまして、私の総括質疑を終わります。(拍手)
〇名須川晋委員長 質問者席の消毒のため、しばらくお待ち願います。
 次に、千葉盛委員。
   〔千葉盛委員質問者席に着く〕(拍手)
〇千葉盛委員 いわて新政会の千葉盛でございます。会派を代表して総括質疑をさせていただきます。
 東日本大震災津波からの復興と三陸沿岸地域振興についてを中心に質問いたしますので、よろしくお願いいたします。
 まず、令和3年度の普通会計における歳出決算額は9、166億円余となっておりますが、そのうち三陸沿岸地域の振興を図るためにどのような事業が重点的に展開されたのでしょうか。また、その事業効果についてどのように捉えているのか、知事の御所見を伺います。
〇達増知事 令和3年度は、東日本大震災津波から10年の節目を迎え、三陸地域のさらなる発展を目指し、県北・沿岸振興本部を中心として、いわて県民計画(2019〜2028)の10の政策分野や復興推進プラン、地域振興プラン、また、三陸防災復興ゾーンプロジェクトによる多様な取り組みを推進してまいりました。
 特に、全国の防災関係者が一堂に会する、ぼうさいこくたい2021を本県で開催し、復興への支援に対する感謝や防災、復興に力強く取り組む地域の姿を国内外に広く発信するなど、三陸地域を防災を学習する場とする取り組みを進めたところであり、東日本大震災津波伝承館の来館者数は、教育旅行の増加と相まって、令和4年9月末時点で61万人以上となっており、三陸鉄道の震災学習列車の乗客数も、昨年度はコロナ禍前を上回る約9、500人となるなど、三陸地域への関心の高まりと交流の広がりが一層図られたところであります。
 また、三陸地域が1本の道路でつながる復興道路の開通は、大幅な移動時間の短縮や輸送効率の向上をもたらしており、企業立地の推進、水産物や農畜産物の迅速な輸送や販路拡大、周遊観光エリアの拡充等につながっています。
 令和3年度は、コロナ禍でさまざまな制約があった中、三陸の多様な資源を生かし、積極的に三陸振興に取り組み、東日本大震災津波から10年の節目として、次なる発展の基盤の形成を図る取り組みを進めたと考えております。
〇千葉盛委員 次に、復興推進プランについて伺います。
 9月12日に第32回岩手県東日本大震災津波復興委員会が開催され、その中で第1期復興推進プランの取り組みの総括について示されましたが、今後の課題として、主要魚種の資源回復、増加している資源の有効利用、新たな漁業・養殖業の導入などの不漁対策、復興道路や釜石港におけるガントリークレーン等、新たに整備された交通ネットワーク等を活用した物流体制の構築や産業集積、企業誘致の促進などが挙げられておりますが、県は、これまでの第1期復興推進プランに係る取り組みについて、どのように総括しているのか伺います。
〇達増知事 ハード面では、復興道路が昨年12月に全線開通、災害公営住宅の整備が令和2年12月までに完了、商業施設や水産加工施設が順次再開されるなど、計画された事業の多くが完了するとともに、ソフト面では、新たなコミュニティー形成の支援などによる生活の再建、事業者の債権買い取りや販路開拓支援によるなりわいの再生などを支援してきたところであり、これまで復興の取り組みを着実に進めてまいりました。
 一方、完成していない社会資本の早期整備、被災者に寄り添った心のケアといった復興固有の残された課題や、東日本大震災津波伝承館を拠点として伝承、発信に引き続き取り組んでいく必要があります。
 また、新型コロナウイルス感染症や主要魚種の不漁、今後起こり得る巨大地震、津波への対応など、復興の進展に影響を与える新たな課題への対策を講じつつ、復興の取り組みにより大きく進展した交通ネットワークや港湾機能を生かした施策を展開していくことが重要と考えております。
 このような成果と課題を踏まえ、第2期復興推進プランを策定し、引き続き、誰ひとり取り残さないという理念のもと、三陸のビルド・バック・ベター―よりよい復興を進めてまいります。
〇千葉盛委員 次に、さきの岩手県東日本大震災津波復興委員会では、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプラン、復興推進プランの策定方針が示されました。その基本的な考え方の中で、復興道路を生かした新たな産業振興が示されましたが、現時点でどのような考え方なのか伺います。
〇佐藤復興防災部長 復興道路を生かした新たな産業振興についてでございますが、三陸沿岸道路の全線開通により、久慈市と陸前高田市間の所要時間は約2時間15分となり、震災前から約1時間45分短縮されたほか、釜石自動車道など沿岸部と内陸部を結ぶ新たな交通ネットワークが構築されたところでございます。
 第2期復興推進プランにおいては、復興道路の整備による経済圏の拡大や移動時間の短縮等による利便性の向上を生かし、鮮度の高い水産物等の販路の拡大、アクセス性が向上した港湾のさらなる利活用、東日本大震災津波伝承館をゲートウエーとした広域的な観光振興など、人や物の交流の活発化につながる取り組みを具体化していきたいと考えております。
〇千葉盛委員 さらに、水産業の再生に向けた施策、国内外との交流を活発化する施策を盛り込むとされておりますが、現時点での施策の方向性についてお伺いいたします。
〇佐藤復興防災部長 水産業の再生については、これまで、漁船や養殖施設等の復旧支援、漁業就業者の確保、地域水産業のリーダーとなる担い手の育成等に取り組んでまいりました。
 第2期復興推進プランにおいては、大型で遊泳力の高い強靱なサケ稚魚の生産等による主要魚種の資源回復、静穏域を活用したサケ、マス類の海面養殖やウニの畜養など、新たな漁業、養殖業の取り組みの推進のほか、専門家の派遣等による水産加工業者の経営力の向上支援などを進め、本県の水産業が持続的に発展していくための施策を盛り込んでいくことを考えております。
 国内外との交流の活発化については、これまで、いわて復興未来塾や復興フォーラムなど、さまざまな機会を通じた復興の姿の発信を初め、三陸鉄道や三陸ジオパーク、三陸の豊かな食など、三陸ならではの多様な魅力の発信により、交流人口の拡大等に取り組んできたところであります。
 第2期復興推進プランにおいては、震災学習を中心とした教育旅行の誘致等による復興ツーリズムの推進や、高品質な食や宿などを組み合わせた高付加価値型の旅行商品の造成、県内外の震災伝承施設や大学、海外津波博物館等と連携した防災文化の伝承など、国内外との交流の活発化を促進する施策を盛り込んでいきたいと考えております。
〇千葉盛委員 第2期復興推進プランについては、新しい三陸の創造に取り組むとされておりますが、現時点で目指す姿はどのような姿なのか伺います。
〇佐藤復興防災部長 第2期復興推進プランにおいては、これまで御答弁申し上げました新たな交通ネットワークを生かした産業振興や水産業の再生に向けた施策、それから、国内外との交流を活発化する施策に加え、復興の姿や三陸地域の多様な魅力の発信、産業振興や地域振興を担う人材の育成など、三陸地域の振興につながるさまざまな施策を盛り込みたいと考えております。
 世界にも誇れる魅力的な自然環境や豊かな食材、そして、食文化に恵まれた三陸地域において、これらの施策を着実に推進していくことにより、多くの人々を引きつけ、多様な人材が育まれるなど、あらゆる世代が希望を持って生き生きと暮らし、将来にわたって持続可能な新しい三陸地域の創造を目指していきたいと考えております。
〇千葉盛委員 昨年は東日本大震災津波から10年という節目の年でありましたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、大きなイベントは開催できませんでした。本来であれば、復興10年という節目の年は、多くの人が三陸沿岸地域を訪れる機会になったはずであり、その機会を逃したことは非常に残念であります。
 改めて三陸沿岸地域の今の姿を発信するイベントなどを実施すべきと考えますが、知事の御所見を伺います。
〇達増知事 県ではこれまで、いわて復興未来塾や復興フォーラムなどを県内外で開催し、復興で育まれたさまざまなつながりを大切にしながら、震災の事実と教訓の伝承、発信に取り組んでまいりました。
 また、三陸防災復興プロジェクト2019やラグビーワールドカップ2019岩手・釜石開催、防災推進国民大会2021、いわゆるぼうさいこくたいなど、さまざまな機会を通じ、復興支援への感謝や復興の姿、三陸地域の多様な魅力を国内外に発信してきたところであり、このような取り組みは、交流人口や岩手ファンの拡大につながったものと考えております。
 現在策定中の第2期復興推進プランは、ハード事業の多くが完了する中、ソフト事業が施策の中心となっていくことから、第2期復興推進プランの初年度となる令和5年度は、復興の新たな段階のスタートになると認識しております。
 こうしたことから、令和5年度において、県と沿岸市町村が、これまでの復興の成果と課題、今後の方向性を改めて共有する場を設けることについて、市町村を初め、関係機関と意見交換しながら検討してまいります。
〇千葉盛委員 第2期復興推進プランをつくるに当たって、市町村とそういう話し合いの場をつくっていくということですので、しっかりと連動して進めていってほしいと思います。
 次に、港湾の利活用について伺います。
 県内の重要港湾の取扱貨物量は、令和元年が627万1、064トン、令和2年が515万5、425トンと減少しており、令和3年の速報値では495万2、255トンとさらに減少する見込みとなっていますが、県は、これらの状況をどのように捉えているのか伺います。
〇八重樫副知事 重要港湾4港合計の取扱貨物量は、震災直後の平成23年は約211万トンとなっておりましたが、その後、増加傾向となり、令和元年には震災後最高の約627万トンとなったところであります。
 その後、令和2年には約516万トン、令和3年には約495万トンと減少傾向となっていますが、その要因は、復興事業の進捗による砂利等の建設資材の取扱貨物量の減少や、コロナ禍における世界的な物流混乱等が挙げられます。
〇千葉盛委員 県のポートセールスについては、令和元年度に東京都でいわてポートフォーラム2020を、令和2年度には花巻市でいわてポートフォーラム2021〜企業ネットワークいわて〜を開催し、本県港湾の機能、利用メリットなどを紹介するとともに、企業訪問数も令和3年度には137件と、港湾利用の拡大に向けて取り組まれております。
 県内重要港湾の取扱貨物量の拡大を図るには、県土整備部だけで取り組むのではなく、企業との連携ができていて企業情報が豊富な商工労働観光部が、港湾所在市や企業に情報提供や紹介などをしていく形を構築すべきだと考えます。
 企業や港湾所在市、そして県の関係部局が連携し、取り組みを進めるべきと考えますが、どのように考えているのかお伺いいたします。
〇八重樫副知事 県ではこれまで、県内港湾の取扱貨物量の拡大を図るため、内陸部の企業の小口貨物を混載して輸出する実証実験や、首都圏に本社を有する荷主企業や物流事業者に向けて港湾利用を呼びかける、いわてポートフォーラムなどを実施してきたところです。
 今年度は、関係部局及び県内市町村との共同により、企業誘致とポートセールスを融合した、いわてフォーラム2022を東京都内において11月に開催することとしており、知事がトップセールスを行い、企業に対して県内港湾の利便性や本県の魅力をPRすることとしています。
 県としては、今後も取扱貨物量のさらなる増加に向け、関係部局間はもとより、港湾所在市、産業集積が進む内陸部の市町村とも一層連携を深め、県内重要港湾の特徴を企業にPRするなど、港湾の利用拡大に取り組んでまいります。
〇千葉盛委員 港湾のさらなる利活用のためには、港湾施設使用料の負担軽減や貨物量確保のための支援策が必要だと考えますが、県の御所見を伺います。
〇八重樫副知事 港湾の利用促進に向けては、ハード、ソフト両面からの支援策が必要と認識しており、これまで港湾所在市との間で役割を分担し、それぞれ取り組んできたところであります。
 県においては、港湾管理者の立場から、冷凍コンテナ用電源設備の増設や夜間の荷役作業に必要な照明塔の整備など、荷主企業等のニーズに応じた港湾機能の充実に努めるとともに、コンテナの野積み場やガントリークレーンの低廉な使用料の設定などに取り組んできました。
 釜石市や大船渡市等においては、地域の産業振興を推進する立場から、コンテナ貨物の荷主企業等に対する奨励金制度を設けていると承知しています。
 県としては、今後とも、船会社や荷主企業の意向、企業の物流動向等を踏まえ、港湾所在市と一層の連携を図りながら、港湾利用の促進に向けた必要な取り組みについて検討してまいります。
〇千葉盛委員 連携もより一層深めていただきたいと思いますけれども、こういった港湾施設使用料の負担軽減とか奨励金への県のプラスアルファの支援策とかを考えていけないものか、再度お伺いいたします。
〇八重樫副知事 県では、企業訪問等によりまして、船主や荷主企業への聞き取りにより要望を伺っておりまして、港湾利用の理解が不足している、あるいは輸送コストや環境コストの削減を検討していることなどを把握したところであります。
 また、企業の物流動向からは、県内のコンテナ貨物が、輸出は約70%、輸入は約88%が京浜港などの県外港湾へ集荷されていることを把握しております。
 これらの結果から、県内港湾へのコンテナ貨物の集荷拡大を図るため、荷主企業等に県内港湾等への理解を深めていただくことや、CO2削減の社会的要請などを周知しながら、県外港湾から県内港湾への転換を促していくことなどを含め、港湾所在市等と連携して取り組んでいく考えであります。
〇千葉盛委員 次に、外国船社クルーズ船の誘致について伺います。
 外国船社クルーズ船の寄港は、インバウンド観光の振興に大きく寄与するものであり、地方創生の推進にも寄与するものであります。港湾所在市と連携して外国クルーズ船の誘致の強化を図っていくべきと考えますが、これまでの取り組みと今後の方向性について、県の御所見を伺います。
〇八重樫副知事 県ではこれまで、フロリダで開催された世界最大級のクルーズ見本市に出展し、外国船社3社と商談を行ったほか、港湾所在市等と連携して、外国船社の寄港地決定のキーマンを招請して、寄港に向けた商談や県内観光地の視察に取り組んできたところです。
 これらの取り組みにより、令和元年度には外国船社による2回の寄港が実現したところであり、また、令和5年度までに大船渡港3回を含む計24回の寄港が予定されておりましたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、16回の寄港が中止となったものであります。
 現在、国等から外国船社クルーズ船の受け入れ再開への道筋は示されていないものの、今月には入国に際しての水際対策が緩和されたことなども踏まえ、今後、港湾所在市等と一層の連携を図り、外国船社に対して、三陸沿岸道路などの全線開通による港湾からのアクセス性の大幅な向上や県内の魅力ある観光資源等について、PRを行っていく考えであります。
〇千葉盛委員 次に、防潮堤の活用について伺います。
 10月6日の岩手日報の報道では、大船渡市のキャッセン付近の県土整備部管理の防潮堤を彩るタイルアートが期間限定の展示となったことに、市民や観光客から残念だという声が上がっているとの記事が掲載されておりました。宮城県七ヶ浜町では、恒久的な防潮堤アートが観光の目玉となっています。また、防潮堤の活用は、交流人口拡大など地域性活化につながる可能性が高いことから、津波防災との上手な両立が必要だと考えます。
 防潮堤に限らず、港湾区域などの公園や他部局管轄の防潮堤など、海周辺の復興によって整備された施設には、世界中から人が来訪する無限の可能性を秘めており、どのように活用していくかという視点は重要であると考えますが、施設の活用を図るための柔軟なルールづくりについての県の認識を伺います。
〇八重樫副知事 県では、完成した防潮堤に絵画などを展示したいという沿岸市町村や地域などからの要望があったことも踏まえて、平成31年3月に、海岸防潮堤等への絵画等に対する基本的な考え方をまとめ、海岸管理上支障がないことを確認の上、着脱可能な構造であれば展示を可能としています。
 これまでの展示においては、海岸管理者として定期点検や地震発生後の緊急点検において、防潮堤表面のひび割れや変状などを確認する必要があることから、その展示期間は、おおむね1カ月程度を基本としてきたところであります。
 千葉盛委員御指摘のとおり、防潮堤などの施設を活用することにより、にぎわいの創出や交流人口の拡大につながることから、県としては、防潮堤の適切な管理を前提としつつ、今後、沿岸市町村の御意見も伺いながら、防潮堤の活用に係る柔軟な運用方法について検討してまいります。
〇千葉盛委員 柔軟に対応していっていただけるように、よろしくお願いしたいと思います。
 復興を契機としたつながりの強化、交流人口や岩手ファンの拡大につながる三陸地域の多様な魅力の情報発信の成果がまだまだ見えていないと感じております。
 その要因として、県の取り組みと市町村や地域の取り組みが連携できていないのではないかと考えますが、県はどのように評価しているのか伺います。
 また、日本だけではなく、世界中の富裕層や大手企業は、社会貢献のため、いまだに被災地に強い関心を持っていることから、県としてももっとアプローチをしていくことが必要ではないかと考えますが、どのように考えているのかお伺いいたします。
〇熊谷ふるさと振興部長 県では、三陸地域の情報に関係するホームページのほか、関係人口の創出、拡大につながる情報を発信するいわてのわ、復興状況や三陸の魅力を発信する三陸防災復興プロジェクトなどのSNSを活用した情報発信に取り組み、三陸地域の魅力の発信に努めてきたところでございます。
 東日本大震災津波伝承館には、令和4年9月末時点で61万人以上の方々に御来館いただいております。また、三陸鉄道の震災学習列車の乗客数も、昨年度はコロナ禍前を上回る約9、500人となるなど、三陸地域への関心の高まりも見られております。
 今後も、さらに三陸地域への交流人口の拡大を図っていく必要があると考えており、現地を訪れ、震災の事実と教訓の伝承に取り組む姿を見ながら、防災を学習する場づくりの取り組みを重点的に進めているところでございます。
 具体的には、三陸のそれぞれの地域で行っている防災学習の取り組みを、東日本大震災津波伝承館を拠点とした広域的な取り組みとしていくため、沿岸13市町村や関係団体で組織する三陸振興協議会において取り組みを進めるなど、一層連携して進めていきたいと考えております。
 また、今週末、神戸市で開催予定となっております、ぼうさいこくたい2022に本県からも参加いたしまして、三陸地域の魅力、それから、すぐれた防災学習の場であることを発信することとしております。被災地に関心を持つ大学生、企業の方々に訪れていただくように、働きかけてまいりたいと考えております。
 今後とも、市町村を初め、関係団体と連携いたしまして、三陸地域の多様な魅力を発信し、交流の拡大に向けて取り組んでまいります。
〇千葉盛委員 次に、新型コロナウイルス感染症対策、物価高騰対策について伺います。
 いわて県民応援プレミアムポイント還元事業が今月20日をもって早期終了することとなりましたが、県は、県内経済の活性化にどのような効果があったと現時点で分析しているでしょうか。
 また、QRコード決済が使える方だけが対象であり、限られた方々しか恩恵を受けられない事業設計になっていたと感じておりますが、県の認識を伺います。
〇菊池副知事 事業の効果につきましては、キャンペーンとあわせて実施しているアンケート調査の途中集計を見ますと、日常の生活用品の購入に利用され、また、ふだんより多く買い物をしている状況が確認されております。物価高騰の影響を受けている県民生活の支援や、消費喚起による県内経済の活性化につながっているものと受けとめているところでございます。
 スマートフォンを利用できない、利用しない県民がキャンペーンを利用できないといった声は承知しております。大方の方々に対して、早急に緊急的な経済対策の一手法としてこの手法をとったわけでございますが、何よりも、事業者の精算等に当たって事務処理が簡便であったこと、1万3、000を超える事業者の参画がそうしたことから生み出されました。例えば、商品券方式を採用した場合の利用者の負担感や行列、買い占め等の混乱も避けられたと受けとめております。さらに加え、今後、キャッシュレス決済の普及にもつながっていくなど、限られた財源の活用策としては、一定程度の効果が生まれたものと認識しております。
 今後、アンケート調査の結果をしっかりと受けとめながら、キャンペーンを利用した年代や地域、業種などを分析し、今後、国が予定しております経済対策の動向も踏まえながら、より効果的な物価高騰への支援策について検討してまいりたいと考えております。
〇千葉盛委員 次に、物価高騰対策支援費、物価高騰対策家賃支援費について伺います。
 原材料等支援金及び家賃等支援金を創設し、11月30日まで申請を受け付けていますが、9月29日現在で合計18件、188万円の支給決定にとどまっております。これは、申請要件が厳しく、活用のハードルが高いということではないでしょうか。
 もしそうであれば、要件の緩和なども含め、物価高騰の影響により本当に困っている事業者に支援が届く仕組みに見直していくことが必要だと考えますが、いかがでしょうか。
〇菊池副知事 県が商工指導団体と連携して実施しております産業活動への影響調査においては、多くの事業者がいまだコロナ禍前の売り上げ回復には至っておりません。今年度に入り、原油高や原材料価格の高騰による影響を指摘する声もふえてきております。そうしたことから、緊急的にこうした物価高騰に対する支援策を講じることについては、ニーズは高いものと受けとめているところでございます。
 支給実績が低い要因については、仕入れ価格の上昇の確認書類の提出が難しいことが大きいと事務局等を通じて承知しております。このため、今後、商工指導団体を通じて、事業者に対して今回の支援金の活用についての情報提供を改めて徹底するとともに、多くの事業者に活用されるよう、確認書類の見直し等を含めた検討を早急に進め、あわせて物価高騰の影響を受けている事業者に対するより効果的な支援策について、検討を進めてまいる考えでございます。
〇千葉盛委員 今回の支援金については、昨年度まで実施されていた地域企業経営支援金とは異なり、商工会議所、商工会では申請の受け付けを行っていないことから、事業者がふなれな中で申請書を作成しなければならず、負担が大きくなっております。
 事業者の立場からすれば、商工会議所、商工会の支援がこの支援金の申請に大きな役割を果たしていたと考えられますが、事業スキームを変更した理由をお示しください。
〇菊池副知事 いわゆる地域企業経営支援金の支給などに当たりましては、これまで、商工指導団体の人員体制の強化等を行いながら、商工会議所や商工会等を窓口として実施してまいりました。
 これら商工指導団体におきましては、複数の経済対策の窓口を担っており、一方では、本来の中小企業者の経営力強化のための取り組みなども進めていく必要がありますことから、業務運営が錯綜してきたことに鑑みまして、支援団体としての事務の効率化を考慮いたしまして、今般の事業につきましては、申請受け付けから支払い、相談対応まで一元的に実施する専門の事務局を設置して、この事業を実施することとしたものであります。
 当然のことでございますが、中小企業者が最寄りの商工指導団体に問い合わせする場合には、円滑な事業申請等々に向けて、指導団体が寄り添い型の事業支援を今もしっかり継続しているところでございます。
 今後は、さらに中小事業者の支援を円滑に進め、より使い勝手がよくなるよう、現体制を維持しつつ、事業者に対する事業内容や申請方法等の周知について、引き続き、商工指導団体の協力を得ながら工夫してやっていきたいと考えております。
〇千葉盛委員 この支援金について、説明動画のネット配信など、今も商工指導団体と連携してということでしたけれども、商工会議所等で配信や説明も行っていくと聞きましたが、それについてはどうなっているでしょうか。
〇菊池副知事 個別具体の対応については、私はまだ説明を受けておりませんで、この段階でお答えできる状況にありませんが、先ほど、さまざまな工夫をしながら、この物価高騰対策はいわば緊急事態でございますので、商工指導団体とさまざま連携しながら、事業者の皆さんによく御理解をいただきたい。
 二つの事業で成り立っていることなどもなかなか御理解いただいていないようでございまして、いわゆる物価高騰対策支援金の支給要件を満たさない場合、低廉なレベルにおきましては、例えば、簡便な申請手続で支援金を受け取れるように、家賃と地代等の支援金制度も並走して一緒になって事業を構成してやっているものですから、そうした御理解もいただきながら、まずは、緊急的にこの物価の高騰、原材料費の高騰に対して、速やかに対応できる資金を提供することがこの制度の趣旨、支援の趣旨でございます。そこをよくよく御理解いただきながら実施してまいりたいと思っております。
 まだまだ周知の度合いは十分でないと思いますので、そちらにも鋭意、力を注いでいきたいと考えているところです。
〇千葉盛委員 広く必要としているところに支援が行き渡るようにお願いしたいですし、具体的なことはわからないということですけれども、1点だけ、結局、商工会議所を頼らざるを得ないという話も聞いております。そうであれば、やはりまたそういった商工会議所等の運営費等の補助も必要としてくるかと思いますが、その辺についてお伺いいたします。
〇菊池副知事 千葉盛委員御指摘のとおり、商工会議所、商工会等、商工指導団体の果たす役割は本当に高まっておりますし、時間的な余裕もない中で、次々と人員、マンパワーなどを回しながら対応されているのは、よく存じております。
 国にも、こうした寄り添い型の支援体制がしっかり用意できるような財源の措置は求めていかなければならないと思いますし、可能な限りマンパワーを回していけるような体制の工夫についても、相談しながら対応していきたいと考えているところでございます。
〇千葉盛委員 県ではこれまで、さまざまな事業者支援策を展開してきておりますが、本当に支援が必要なところに届くような支援策にはなっていないのではないかと考えます。
 事業者からの要望や事業者へのニーズ調査はどのようになっているのでしょうか。
 また、ことし3月の予算特別委員会のときに、いわて飲食店安心認証制度の認証店訪問の際の情報収集については、支援策の検討に当たり、事業者の状況や課題などの把握が必要不可欠であることから、アンケート調査に加え、いわて飲食店安心認証制度の認証店に訪問調査する際に事業者の生の声を聞くようなことができないか、環境生活部と相談していきたいとしておりましたが、その後どうなっているのかお伺いいたします。
〇菊池副知事 ここ2年半以上にわたるコロナ禍を通じて、商工指導団体はもとより、さまざまな業種の多くの関係団体などから、資金繰り支援や需要喚起策の実施など、多岐にわたる要望が寄せられているところでございます。
 また、令和2年3月から商工指導団体と連携し、新型コロナウイルス感染症に伴う事業者の影響調査を継続して実施しているほか、いわて中小企業事業継続支援センター会議などを開催し、金融機関を初めとする関係機関と事業者の現状やニーズ等について共有してきているところでございます。加えて、事業者の方々が集まる会議の場や、飲食業界団体との懇談の場など、さまざまな場面で、コロナ禍における効率的な支援策等について御意見を伺っているところでございます。
 事業者団体や個々の店舗から寄せられた要望やニーズにつきましては、関係部局間で共有し、連携を図っているところでございまして、例えば、いわての食応援プロジェクト食事券の飲食店への精算回数でございますが、これは、資金調達から代金決済までの間の資金繰りのショートが生じないように、月1回であったものを月2回にするなど、制度運用面での改善に努めているところでございます。
 なお、御指摘のいわて飲食店安心認証制度の認証店訪問の際の意見聴取につきましては、店側に余計な手間暇をかけてしまうというような声もありまして、直接の意見聴取にかえて、新たにいわての食応援プロジェクトに参加している飲食店約2、100店舗を対象としたアンケート調査を実施しておりまして、現在、調査結果の取りまとめ行っている状況にあります。
 今後も、これらの要望や意見を踏まえて、事業の円滑かつ効率的な運用が図られるよう努めてまいります。
〇千葉盛委員 さまざまな機会を捉えて意見を聞いているということで、引き続き、できればもう少し細かくできるのであれば、よろしくお願いします。
 次に、持続可能で希望ある岩手を実現するための行財政改革に関する報告書について伺います。
 9月27日に、持続可能で希望ある岩手を実現するための行財政改革に関する報告書が公表されました。人口減少に伴って、県立病院や県立高等学校の維持が困難になっていくという状況は理解するものの、それは岩手県人口ビジョンの策定時から言われていたことであり、議論に目新しさがないように思えました。
 この報告書のとおりなのであれば、県は人口減少率が大きいところから、県立病院も県立高等学校も集約していくという考え方なのか伺います。
〇千葉総務部長 持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会では、日本の第一線で活躍する地方行財政の有識者の方々に、本県の行財政構造の特徴や課題について客観的かつ多角的に分析いただくとともに、未来を見据えた岩手県のあるべき姿について熱心に御議論いただいたところであります。
 その中で、県立病院や県立高等学校について、人口減少率に応じた一律の集約化等とは異なり、住民や生徒の目線に立って、人口減少時代に対応したより質の高い医療や教育を提供するための施策や、それらを支えるための行財政基盤の構築に向けた取り組み等について、議論が尽くされたものと承知しております。
 例えば、県立病院については、医療圏域内の完結率が低下していること等を踏まえ、医療の高度、専門化に対応した最新医療を居住地域から至便な範囲で確保すべきとして、ハイボリュームセンターの整備の必要性等が言及されております。
 また、県立高等学校については、今後、15歳未満人口の推移を踏まえつつ、生徒にとって魅力的な学校となるよう、一定程度の学校規模の維持を前提として、ハード、ソフト両面における学びの環境の充実の必要性等が言及されております。
 今後、報告書を契機として、県立病院や県立高等学校のさらなる充実に向けた施策について、それぞれの枠組みの中で県民や関係者等との丁寧な議論を積み重ね、進めるべき施策が具体化される必要があると認識しております。
〇千葉盛委員 三陸沿岸地域は、東日本大震災津波もあった中で、将来的な人口減少率が県内の中でも大きいと見込まれておりますが、この予測をそのまま今後の政策に反映させて議論していこうというのはいささか乱暴ではないかと思いますが、この報告書を今後の政策立案にどのように活用していくのか、県の考え方を伺います。
〇千葉総務部長 今後の行財政運営に当たっては、政策効果の測定に重要な関連を持つ情報や統計等のデータを活用しつつ、県民や関係者等との丁寧な議論も含め、多角的な視点を踏まえた検討を行っていく必要がございます。
 今般の研究会におきましては、人口統計情報はもちろんのこと、本県独自の医療ビッグデータや地方財政状況調査、学校基本調査などの分析データを活用しつつ、三陸沿岸地域での視察や現地での意見交換など、有識者の方々に熱心に御議論いただいたところでございます。今後の行財政運営にとって非常に有意義であったと認識しております。
 今後、この報告書の内容を参考にしながら、県議会におけるこれまでの議論等を踏まえて、予算編成や次期行政経営プランへの反映など、取り組みの性質に応じて対応していく必要があります。
 また、この報告書等も踏まえ、人口減少対策の強化について、令和5年度当初予算編成において予算の大胆な重点措置を行う方針としており、今後、子供、子育て環境の充実など施策の具体化を進めていくことになりますが、このような方向性は、特に出生率の低下が課題として顕在化している地域においてこそ、大きなメリットが期待できるのではないかと考えております。
〇名須川晋委員長 この際、千葉盛委員の質疑の途中ではありますが、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
 千葉盛委員、御了承願います。
   午後2時32分 休 憩
午後2時48分再開
〇名須川晋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇千葉盛委員 次に、人口減少対策について伺います。
 人口減少を背景とした実質的な一般財源規模の縮小が、今後の行財政運営の最大の課題であります。県の財政規模の縮小は全ての政策に影響を及ぼし、その結果、行政サービスの縮小という形で県民の暮らしにも多大な影響を及ぼすことが危惧されるものであります。
 そのため、人口減少対策に本気で取り組むというなら、効果的な対策を講じていくために、各部署が自分の関連する問題だけを個別に考えている今のような縦割りの組織ではなく、人口減少対策や少子化問題全体のことを総括する部局や課などの部署をつくるべきではないかと考えます。
 少子化を食いとめることはすぐには難しいかもしれませんが、少子化によって生じる問題を解決するために組織の見直しも必要だと考えますが、県の見解を伺います。
〇千葉総務部長 行政課題が複雑化、多様化する中、効果的に施策を展開していくためには、千葉盛委員御指摘のとおり、司令塔となる組織のもとで、関係する各部署が緊密に連携しながら対応していくことが重要と認識しております。
 人口減少対策に当たっては、政策企画部の主導により岩手県人口問題対策本部を運営し、いわてで生み育てる支援本部における自然減対策と、いわてで働こう推進本部における社会減対策の総合調整を図りながら、全庁を挙げた取り組みを推進しているところでございます。
 さらに、令和5年度は現在策定中の第2期アクションプランの初年度であり、人口減少対策を最優先に位置づけ、取り組みを一層強化していくこととしており、市町村や民間団体等も含めたオール岩手での推進体制を構築するため、新たな職を設置する方向で検討を進めております。
 今後におきましても、人口減少対策を初め、さまざまな県政課題に柔軟かつ的確に対応できるよう、適時適切に部局の枠を超えた組織、人員体制の構築に努めてまいります。
〇千葉盛委員 先ほどの持続可能で希望ある岩手を実現するための行財政改革に関する報告書もそうですけれども、県の最優先課題が人口減少問題だと言っているのであれば、やはり組織の再編も必要だと思うのです。今のその部局横断、枠を超えてと言ってもなかなか実効性が薄いのではないかと思いますけれども、再度お伺いしますが、組織再編して、そういった人口減少対策に特化した総括する部局をつくっていくべきだと思いますけれども、いかがでしょうか
〇千葉総務部長 人口減少対策でございますが、社会保障制度や経済活動、社会生活などにさまざまな影響を及ぼしており、この克服のためには、自然減対策と社会減対策の相乗効果を発揮した取り組みを一層進めていく必要があると考えております。
 このため、県庁内の各部署が連携して施策を推進していくとともに、市町村や民間団体等とも緊密に連携を図りながら、全県的な人口減少対策を強力に進めていくため、先ほど申し上げた取り組みの推進力となる職の設置というものを想定しております。これから、組織体制、人事異動の作業をしてまいりますので、職の設置につきましては、詳細を今後検討してまいります。
〇千葉盛委員 現状では、県の少子化対策には大きな強みがないのではないかと感じております。そこで、まずは妊娠から出産まで母子に寄り添う、お金のかからない県ということをアピールできる取り組みから始めていくことが必要だと考えます。
 例えば、妊婦健診、出産、産後ケアなどへの経済的支援、出産に伴う諸費用の軽減を図るためのお祝い金10万円の支給、妊産婦医療費助成の期間を母子手帳交付から産後1年間にするなど、県独自に実施できるところから始めてみてはと思いますが、いかがでしょうか。
〇八重樫副知事 出生数の減少は、さまざまな要因が複雑に絡み合っており、出産や子育てに係る経済的負担の重さも主な要因であると考えています。
 県ではこれまで、4県のみで行っている妊産婦医療費助成を全国に先駆けて実施してきたほか、今年度から独自の取り組みとして、産後ケア利用料の無償化を行う市町村への補助を実施し、安心して妊娠、出産できる環境の充実と経済的負担の軽減に取り組んでいるところです。
 国においては、妊娠、出産に係る費用について、出産育児一時金を大幅に引き上げる方針を表明しているほか、低所得世帯の妊産婦の初回受診の無料化について、来年度予算の概算要求に計上するなどの動きがあることから、その動向について注視する必要があると考えています。
 令和5年度当初予算編成方針においては、人口減少、少子高齢化という構造的課題に真正面から立ち向かい、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げられた施策等を力強く進めていくこととしており、少子化対策に係る施策については、妊娠、出産も含め、子育てに至る各ライフステージに応じた総合的な取り組みの強化を図るため、他の自治体の取り組み等も参考にしながら、さらなる充実に向けて検討してまいります。
〇千葉盛委員 一つの例示として示させていただきましたけれども、国でも新たな子育て支援策が打ち出されてきましたが、少子化対策を実効性の高いものにしていくためには、やはり市町村との施策の連動が重要であると思います。それぞれの市町村は、いろいろな独自策をやっていますけれども、そこに県がどういった施策を展開すれば市町村と連動が図れるのか、しっかり考えて今後の施策の展開を行ってほしいと思います。一応、知事の御所見をお伺いいたします。
〇達増知事 きょうの決算特別委員会でさまざま答弁してまいりましたけれども、女性20代での結婚率、出生率は全国平均より高いのですが、30代になって結婚率も出生率も全国平均より低くなっていくというところ、そのあたりは、一人一人の働き方や暮らし方など、さらに県民に寄り添うような人口減少対策が求められてきております。そういった働き方の現場である経済関係、企業や団体、そして生活の場である市町村等との連携がますます重要となりますので、そういう方向で取り進めてまいりたいと思います。
〇千葉盛委員 よろしくお願いします。
 次に、いわて旅応援プロジェクトと観光振興について伺います。
 昨年4月からいわて旅応援プロジェクトが開始され、新型コロナウイルス感染症の影響により売り上げが落ち込んだ観光事業者を支えてきましたが、これまでの利用実績はどのようになっているでしょうか。
〇菊池副知事 国の地域観光事業支援を活用したいわて旅応援プロジェクトですが、令和3年4月から継続的に実施してきておりまして、令和3年4月から令和3年8月までの第1弾の利用実績は、延べ約45万人、約25億円であり、令和3年10月から令和4年10月10日宿泊分までの第2弾につきましては、8月分までの時点における精算実績ですが、延べ105万人、約61億円の利用があったところでございます。
 なお、この後、第2弾の精算が進むことにより、第1弾と第2弾を合わせた総事業費は118億円程度になると見込んでおりまして、国から配分があった139億円からこの額を差し引いた21億円を第3弾の事業費として、令和4年10月11日から全国旅行支援を実施しているものでございます。
〇千葉盛委員 いわて旅応援プロジェクトについて、三陸沿岸地域の事業者への割引原資の配分額が少ないのではないかと思われます。事業者への割引原資の配分方法がどのようになっているのか伺います。
 また、宿泊施設によっては、すぐに割引原資がなくなってしまうので、利用実績に応じた追加配分を行うなどの対応策を考えるべきではないでしょうか、伺います。
〇菊池副知事 いわて旅応援プロジェクトの実施に当たりましては、第1弾においては、宿泊施設を初めとした登録事業者の利用額に制限は設けず、また、第2弾においては、登録事業者に対して配分希望額調査を実施した上で、その結果に基づき配分することを基本としてまいりました。
 また、第2弾の実施過程におきまして配分予算額が少なくなった際には、沿岸地域の宿泊施設に配慮した配分も行ってきたところでございます。これまでの割引原資の配分実績及び利用実績を地域別に見ますと、おおむね宿泊施設の収容可能人数と同程度の割合となっていると把握しているところでございます。
 今回、国から補助金の交付限度額の増額について連絡がありましたことから、その配分につきましては、今週の全国の旅行事業者の販売状況も勘案して検討し、宿泊施設等に早目に追加配分できるよう準備を進めてまいります。
〇千葉盛委員 県は、これまでのいわて旅応援プロジェクトの事業効果をどのように捉えているでしょうか。また、今月11日から、いわて旅応援プロジェクト第3弾となる全国旅行支援が実施されておりますが、どのように全国から三陸沿岸地域への誘客を図っていくお考えなのか伺います。
〇菊池副知事 岩手県民の県内の宿泊施設の宿泊者数は、コロナ禍前の令和元年度と比較いたしますと、令和2年度はマイナス10%でありましたが、いわて旅応援プロジェクトを実施した令和3年度にはプラス7%に転じているところでございまして、県民割として実施したいわて旅応援プロジェクトの効果があったものと受けとめております。
 しかしながら、県外の方々を含む国内の宿泊者数は、対令和元年度比で、令和2年度はマイナス30%、令和3年度においてはマイナス21%となっており、回復基調にはございますが、引き続き、観光業を取り巻く環境は厳しいものがあると把握しております。
 このため、今定例会におきましては、貸し切りバス、貸し切りタクシーの利用に際しての補助等を予算措置いたしますことから、この予算を活用して岩手県へ旅行に来られる方々にも、三陸沿岸地域まで足を運んでいただくことに加え、1月から3月まで県や市町村、観光関係者が連携し、三陸沿岸地域の冬の食やウインターリゾートなどをテーマとして展開する冬季観光キャンペーンなどを通じて、復興が進んだ新しい三陸沿岸地域の姿や本格化する秋冬の味覚などの魅力を発信しながら、市町村の取り組みとも連動し、三陸沿岸地域への誘客を図っていく考えであります。
〇千葉盛委員 今答弁があったとおり、観光業は引き続き厳しい状況であると。その中で国から追加配分があって、早目に配分していきたいというお話でしたけれども、その配分は、すぐにというのは、いつを考えているのか、そして、どのような配分方法で配分すると考えているのかお伺いいたします。
〇菊池副知事 配分については、できるだけ早期にという考えでございます。配分額の内訳については、現在、私の手元にはそういう資料がございませんので、御容赦願いたいと思います。
〇千葉盛委員 できるだけ早くにというところをもう少し具体的にお聞きしたいですし、できれば―やはり、全国旅行支援が始まってこの割引がすぐに終了してしまった。現場、宿泊施設は、対応に追われてかなり混乱しました。やはりこうなることは想定できたと思いますが、混乱を招かないようなこともできませんでした。宿泊施設への事前の対応もできないし、また、さまざまなものでアナウンスをして、広く県内外に、全国旅行支援の枠がすぐなくなってしまうのですよというような話もできたと思いますが、それで今、宿泊施設は困っているわけです。なので、その早期に配分するというのはいつなのか、もう少し具体的におっしゃることができればお願いいたします。
〇菊池副知事 予定されていた質問ではありませんでしたので、私の不勉強もございまして、そこまで掘り下げたスケジュール感等は持ち合わせていないことを申しわけなく思います。
 また、旅行支援関係の予算につきましては、御指摘のとおり、いつかはなくなる、しかも、本県の場合は、いわゆる緊急事態措置等がございませんでしたので、他県に比べれば早くなくなるといいますか消化してしまうことは当初から見えておりまして、そういった観点から、早期に国に対していろいろ働きかけをいたしまして、今般の配分等々もあったところでございます。
 今後におきましても、国に対し、地方の実情をよくよく理解していただきながら、業界あるいは県民生活にもさまざまな好影響をもたらすであろう効果的な交付金等の活用について提案していきたいと思いますので、御理解いただければと思います。
〇千葉盛委員 想定できる質問だったと思いますので、しっかりとお答えしていただきたいのですが、配分がなくて今困っているということでかなり報道もされていますし、岩手県全体の宿が困っています。どういう考え方でこれから配分されるのか、そしていつ配分されるのか、これはみんな関心を持っていますので、お答えください。
〇菊池副知事 再度おわび申し上げます。手元にはそうしたスケジュール等について明確なものを持っておりませんので、早々に皆様のところに配分できるように努力してまいりますので、どうかよろしくお願いいたします。
〇千葉盛委員 理解できませんけれども、次の質問に移りたいと思います。しっかりと早く配分して、宿は本当に混乱しましたので、さまざまな想定をしながらしっかりとやっていってほしいと思います。
 新型コロナウイルス感染症の影響により本県を訪れる観光客が減少する中で、三陸沿岸地域の観光を支えているのは教育旅行であります。
 そこで伺いますが、三陸沿岸地域への教育旅行の実績と今後の見込みはどのようになっているでしょうか。また、県は、教育旅行誘致のためにどのような支援策を講じているのか、あわせて伺います。
〇菊池副知事 まず、令和3年1月から12月までの本県の教育旅行の入り込み状況は、県全体で4、555校、対前年比で312校、7.4%の増となったところであります。このうち、沿岸地域は596校、対前年比で214校、56%の増となっております。
 なお、コロナ禍前の令和元年の実績と比較すれば、県全体で1、312校、40.4%の増であり、沿岸地域は262校、78.4%の増となっており、コロナ禍において、県内の小中学校等の教育旅行の行き先が県外から県内に変更されたこと、沿岸被災地の復興が大きく進んだことによる影響が大きいものと受けとめております。
 このため、新型コロナウイルス感染症による移動制限の解除等により、今後の教育旅行先を県外とすることも考えられるところでございますが、復興教育の重要性を御理解いただき、県内小中学校等の三陸沿岸地域への教育旅行の定着や、県外からの誘致に向けた取り組みを強化していく必要があると考えております。
 今年度は、三陸地域の教育旅行に際しての貸し切りバスの利用に対する支援や、三陸DMOセンターと連携した震災学習などを含めた教育旅行向けSDGsプログラムの作成、周知、県観光協会等と連携した誘致説明会でのPRなどの支援を行っているところでありまして、今後、さらなる支援策の強化に向けた検討を進めてまいります。
〇千葉盛委員 三陸DMOセンターが令和4年4月に宮古市に移転し、三陸沿岸地域の事業者と連携しながら観光地域づくりを行っていくことが期待されておりますが、三陸沿岸地域へのインバウンドの取り組み実績はどのようになっているでしょうか。
 また、新型コロナウイルス感染症の水際対策が緩和されましたが、今後どのように三陸DMOセンターと連携してインバウンドの誘客を図っていく考えなのか伺います。
〇菊池副知事 三陸沿岸地域へのインバウンドの誘客に当たっては、三陸DMOセンターと連携し、自然や食、伝統文化などの体験メニューを盛り込んだ外国人観光客向け旅行商品の造成やモデルコースの構築、海外メディアの招請などの取り組みを進めるとともに、観光関連施設のWi−Fi整備や外国語表示等の受け入れ環境整備を進めてきたところでございます。
 東日本大震災津波発災以降、震災学習や復興の視察を目的とした海外からの来訪や、平成24年から始まりましたサイクリングイベント―ツール・ド・三陸、ラグビーワールドカップ2019の釜石開催などの機会もございまして、三陸沿岸地域において、外国人観光客も多く見受けられるようになってきたものと受けとめております。
 今後においては、コロナ禍を経て、外国人観光客のニーズが、密を避けるアウトドアアクティビティーや自然環境の保全を前提とした持続可能な観光振興へと変化し、欧米諸国でトレッキングやシーカヤック、自転車などが人気になっていることを踏まえ、みちのく潮風トレイルと連動したこれらの体験コンテンツを盛り込んだ旅行商品の造成や、情報発信を強化していく必要があると考えております。
 このため、今後の三陸沿岸地域のインバウンドの拡大には、現地をコーディネートする人材が極めて重要な鍵を握ることから、三陸DMOセンターが開催する三陸観光プランナー養成塾による人材育成等を通じて、沿岸市町村、観光関係者と一体となって、さらなる人材育成に努めてまいる考えです。
 なお、令和4年10月からの新型コロナウイルス感染症の水際対策の緩和を契機とし、コロナ禍以前に最重点市場であった台湾等のアジア圏をターゲットとした旅行会社等へのセールスプロモーションも行っていく考えでございます。
〇千葉盛委員 三陸観光のゲートウエーである東日本大震災津波伝承館や高田松原津波復興祈念公園から陸前高田市の市街地や他市町村の市街地、震災遺構などへの人の流れができていないのではないかと感じております。
 広域的な観光周遊ルートの形成には、地域の枠組みを超えた取り組みが必要になるため、三陸沿岸地域では、そのコーディネートを県や三陸DMOに期待しており、これまでに築いてきた世界中の方々とのつながりを今こそ生かして来訪してもらうことや、八戸市や気仙沼市など県外も含めたルートを考えていくことが必要だと感じております。
 具体的には、イベントやお祭りなどを市町村の枠を超えて上手に結びつけて人の流れを生み出し、宿泊、体験、買い物をつなげたパッケージを一緒になってつくっていくことを市町村や地域の観光事業者は期待しております。そして、それぞれのイベントには、県の職員が積極的に参加することにより、さまざまな取り組みを連携させながら三陸沿岸地域の多様な魅力を発信していくことが可能になると考えておりますが、県では、どのように三陸観光の周遊ルートの形成に取り組んでいくお考えなのか伺います。
〇菊池副知事 東日本大震災津波伝承館の県外からの来館者は、特に宮城県が多くなっており、これらの方々は、主に仙台圏から三陸沿岸道路を利用し、南三陸町や気仙沼市を経由して陸前高田市を周遊していると見込んでおります。こうした誘客促進や、さらに釜石市や宮古市まで足を延ばしてもらうようなルート構築が、今後も重要になってくると考えております。
 こうした考えのもと、沿岸広域振興局と宮城県気仙沼地方振興事務所が主催した、みやぎ・いわて三陸道ドライブスタンプラリーのほか、宮古市と仙台市、宮古市と八戸市のそれぞれの区間を周遊するバスツアーの旅行商品造成などに取り組んでいるところでございます。
 また、三陸の新たなまちの景観や三陸の食などに触れるまち歩きは、三陸沿岸地域での滞在時間や観光消費の増加が期待されることから、三陸DMOセンターとも連携し、各市町村で開催されるさまざまなイベントや地域の魅力的な特産品などと組み合わせた地域内の周遊を進め、それぞれの地域の強みを生かしながら、三陸観光の魅力ある周遊ルートの形成に取り組んでいきたいと考えております。
〇千葉盛委員 次に、マイナンバーカードについて伺います。
 政府は、マイナンバーカードの取得率を地方交付税の配分額に反映させる方針であり、デジタル田園都市国家構想交付金についても、その一部で全国平均以上のカード交付率に加えて、全住民への交付を目標として掲げていることを申請要件とすることを打ち出しました。
 マイナンバーカードが普及しないことを自治体の責任にするのは国の責任転嫁であり、岩手県が県の独自予算で県産品を配ったり、市町村の職員が交付率を上げるために出張サービスを行うなど、余計な予算と時間を費やさなければならないのは大変迷惑な話です。
 マイナンバーカードの取得率が地方交付税や国の補助金などに影響を与えることは全くの筋違いではないかと考えますが、県の見解を伺います。
〇熊谷ふるさと振興部長 本県のマイナンバーカードの取得率は、令和4年9月末現在で、全国平均49.0%に対し、本県全体で42.9%となっております。
 普通交付税算定へのカード取得率の反映については、現時点では詳細は明らかになっておりませんが、国は、カード取得率によって普通交付税が減額されるような趣旨ではなく、地域のデジタル化に係る財政需要を的確に反映するという考え方に立ち、令和5年度からの算定に反映させるよう検討を進めるとしております。
 地方交付税は、地方自治体が標準的、計画的な行政運営を行っていくための基礎的な財源であり、DXの推進を含め各自治体が直面する課題に対応していく上でも、国には、地方交付税を含めた地方一般財源総額の確保に努めていいただきたいと考えております。
 また、デジタル田園都市国家構想交付金にあっては、全国的なモデルケースとなるような先進的な取り組みについて、カード取得率が全国平均以上かつ全住民への交付を目標として掲げていることを申請条件とするなどの方向性が示されております。
 この交付金は、地方創生やデジタル化推進など、地方が抱える喫緊の課題に対応するための重要な財源であり、こうした課題は、カード取得率にかかわらず地方が対応していかなければならないことから、国においては、制度本来の趣旨に立ち返り、地域の実情を踏まえて制度設計していただきたいと考えております。
 県といたしましては、こうした国の動向を踏まえ、県、市町村が安定的で持続的な財政運営を行うための必要な財源の確保について、全国知事会等とも連携しつつ、時期を失することなく、国に対して要望を行ってまいります。
〇千葉盛委員 観光のところで、本当はもう少しいろいろ突っ込んだ話をしたかったのですが、復興、三陸沿岸地域の振興について主に質問させていただきました。人口が減っている地域を―もともと沿岸地域は人口が少ない地域でありますので、政治として、人口が少ないとか減少率が大きいとかだけでなく、さまざまな政策でしっかりと守るところは守っていってほしいと思いますので、最後に知事の御所見を聞いて終わりたいと思います。
〇達増知事 高齢化率の高い岩手県においては、亡くなる方の数が多く、それが人口減少全体を加速といいますか大きな数字にしているところがあると思っております。思い出せば、震災の直前、陸前高田市が社会増減でプラス、差し引きで入ってくる人のほうが多い年があったと記憶しておりまして、岩手県沿岸地域は、それぞれのまちの魅力、そして、地域資源の潜在的な可能性など、今住んでいる人以上の人数が働いて稼いで食べていけて、そしてそれぞれの幸福度を高めていくことが十分可能な地域と考えておりますので、ぜひ、そのような地域の潜在力をどんどん発揮できるような人口減少対策を進めていきたいと思います。
〇千葉盛委員 終わります。(拍手)
〇名須川晋委員長 質問者席の消毒のため、しばらくお待ち願います。
 次に、飯澤匡委員。
   〔飯澤匡委員質問者席に着く〕(拍手)
〇飯澤匡委員 いわて県民クラブの飯澤匡です。よろしくお願いします。
 私はいつもタイムテーブルで何分までにはこの質問とやるのですけれども、きょうはちょっと深掘りするために反応を聞きながらやりたいと思います。
 まず1問目ですが、ILC実現のための知事の活動について伺います。
 まず、現状の課題認識について、知事はどのように考えているかお示しください。
〇達増知事 本年2月の文部科学省の有識者会議の議論のまとめにおいて、ILC準備研究所への移行は時期尚早と述べられ、また、国際的な費用分担の議論に直接影響を及ぼす立地問題を一旦切り離すと述べられたところであります。
 一方、このまとめを受けて、KEK―高エネルギー加速器研究機構では、準備研究所にかわる国際的な共同研究の枠組みの創設をICFA―国際将来加速器委員会に提案し、ICFAでは、本年4月、日本でのILCの実現を引き続き奨励するとともに、今後1年間の進展を注意深く見守るとするステートメントを公表しました。
 現在、IDT―ILC国際推進チームにおいて、国際的な共同研究開発を推進する枠組みの立ち上げの準備が進められ、また、国際有識者会議を設置し、国際的な費用分担等の政府間協議に向けた検討も進められています。
 また、文部科学省の令和5年度の概算要求において、この方向に沿って、加速器に係る国際共同の研究開発費について、本年度当初予算比で倍増となる9.7億円の予算が盛り込まれたところであります。
 ILC実現に向けては、ICFAのステートメントにあるように、この1年が大変重要な1年になるものと認識しております。IDTの二つの取り組みを着実に進展させ、国際的な理解を得てILCの実現につなげていくには、日本政府の前向きな態度表明が重要と認識しており、概算要求に盛り込まれた研究開発費を確実に確保するとともに、ILCを日本の国家的プロジェクトとして省庁横断で推進するよう、機会を捉えて国に働きかけていきたいと思います。
〇飯澤匡委員 私もILC推進局からいただいた資料は大体そのとおりでありまして、実はもっと中身の濃い話をしますと、どうも研究者間で意見の対立とも言えるような考え方の違いが明らかになって、吉岡先生や、そしてまた鈴木厚人岩手県立大学学長などが、それを地ならしするために大変なダメージコントロールをして、ようやくそれがきいてきたというようなお話です。政府関係者や国会議員も、研究者の中で意見が対立した中では全く何も進めないということで、その推移を見守っているわけですが、この間の鈴木学長の御尽力には、私は大変頭が下がる思いです。
 技術的には、プレラボについてはすぐに決定をしないということになったのですが、18のワーキングパッケージのうち、専門的な話になりますけれども、磁場収束と捕獲空洞においては、もう既に産学官共同によるILC陽電子源の開発が国内で確保の見込みとなっているということで、技術的にはもう既に確立していると。あとは政府間協議の中でしっかりと日本政府の立場を明らかにするということですね。今回、概算要求で約200%の要求をしたということは、これを受け入れるかどうか非常に注目すべきところだと思います。
 概況はそのとおりなのですが、問題は、この間の達増知事の岩手県知事として国に対する働きかけ、また、岩手県がこれから将来どういうあるべき姿を持ってILCを迎え入れ、それをもっともっと発展させるような思いを伝えているかどうか。これは、宮城県も達増知事の行動を随分気にしています。
 そこでお伺いします。2問目の質問ですが、令和2年から令和4年まで、知事自身の活動を御自身でどのように評価しているか、まず自己評価を伺いたいと思います。
〇達増知事 毎年度県が行う政府予算等に関する提言・要望においては、私が先頭に立ち、ILCの実現を重点項目として、関係省庁や与党・自由民主党への要望活動を行っているところであり、また、全国知事会や北海道東北地方知事会が行う要望においても、国の積極的な対応を求める内容を新たに盛り込むなど、全国知事会等と一体となって要望を行っているところであります。
 また、これまで政府関係者が来県した際の懇談の機会にも、ILCの意義について積極的に発信し、協力をお願いしているところであります。特に、東日本大震災津波被災地の知事として、歴代の復興大臣、副大臣、政務官に対して、ILC計画が震災からの創造的復興にもつながるプロジェクトとして、その実現を強く訴えてきたところであり、昨年10月に岸田首相が来県し被災地を視察された際にも、東日本大震災津波からのさらなる復興に向け、ILC実現にもお力添えをいただくようお願いしたところであります。
 こうした取り組みの中で、本年度も、これまでに鈴木財務大臣や秋葉復興大臣などに対して直接要望を行っており、その結果、文部科学省の概算要求に、本年度当初予算比で倍増となる9.7億円が盛り込まれたところであります。
 また、これまで県内外のILC推進団体や研究者の皆様との連携についても意を尽くしてきたところであり、引き続き、このような団体や研究者とも連携を図りながら、あらゆる機会を捉えて国への働きかけを行い、ILC関連予算が確実に確保され、ILCの実現に向けた取り組みが加速するよう全力で取り組んでまいります。
〇飯澤匡委員 御自身の活動によって倍増になったというようなお話がありましたけれども……(「よし」と呼ぶ者あり)よしじゃないのだけどね。
 河北新報社が県内首長を対象に行ったアンケート回答率33分の24、72.3%によると、ILCに関して評価していない3、余り評価していない10、24分の13、54.2%が評価しないという結果になっています。これとは別に、国との連携については75%が評価しないと、かなり高い率でそういう評価を得ています。
 その書き込みの中で、国との関係が良好でないように見え、権益を大きく損なっているのではないか、知事の行動によって、県職員が各省庁との連携がとりやすいよう配慮すべきではないか、知事がみずから国に働きかけるなどのリーダーシップが見えない、このように評価しているわけです。
 私は、このILCというのは、東北地方の歴史の中にあっても、12世紀ですか、平泉が滅ぼされて以来の大きな出来事だと捉えております。知事は、これを実現したいという思いがどれだけありますか。自分自身の言葉で表現していただきたいと思います。
〇達増知事 これは、実現以外あり得ないと思っています。
〇飯澤匡委員 それにしては、ただいまの知事みずからの行動の中身を見ますと、来県したときに対応するとかという対応がほとんどでしたね。ILC推進局からいただいた資料によっても、令和4年2月14日から9月9日までの行動について、知事の活動が出たのは令和4年6月16日の政府予算提言と要望だけなのです。
 実現するだけだと思ったならば、なぜ取り組みをもっと国のほうに働きかけられないか。岩手県はこういう準備をしている。居住環境整備、グリーンILC、その技術を使った二次展開をもっとこうやっていますよということをなぜもっともっと訴えられないのか。だから、県内首長からこういうような評価が出ているのではないかと思いますけれども、この点についてはいかがですか。
〇達増知事 鈴木財務大臣も含めて、関係する皆さんと調整しながら、その中で、岩手県の動き方、また知事の動き方を調整しながら決めてやっているところでありまして、それぞれ関係者の御理解をいただきながら動いていけていると思っております。
〇飯澤匡委員 僕は、調整ではだめだと思うのですよ。今の状況だとILCの30キロメートル、ほとんどが岩手県ですね。岩手県は主張する権利があると思っているのです。だから、岩手県がどんどんアピールをする。知事がもっと人と会って、いろいろな懇談の中でいろいろなヒントをつかんでいく、情報を得る、これが絶対必要だと思うのです。それが足りないから、県内首長からもこういう評価になっている。恐らく知事の受け取り方も、そうなっていないのだと思います。
 私は、持論として、首長たる者は自分で扉を開いて、ただの要望だけではなくて、私はこう言ってきたから、後に続く職員はこれについてフォローアップしろ、それぐらいやらなければだめだと思いますよ。それは岩手県の知事だから私は許されると思う。だけど、それを期待されるだけでやっていないというのは、非常に残念であり、とても悔しい思いです。私は、何でもやる、タブーなしというのはここで発揮すべきだと思うのです。いかがですか。
〇達増知事 繰り返しますけれども、鈴木財務大臣を初め、政府、また国会関係のILC関係の方々や、そして、研究者の皆さんともすり合わせながらやっておりまして、これ以上岩手県知事が突出すべきとか岩手県が目立つべきだということは、そういった方々からは全然いただいていないところであります。
〇飯澤匡委員 いただけるほどやったほうがいいのではないですか。私はそう思いますよ。
 次の質問に行きますね。ILCについては、椎名素夫先生から授かった大事なプロジェクトだと私自身は自分勝手に思っていますので、これは絶対実現しなければいけないと思っていますから、私自身も一生懸命頑張りたいと思います。
 次に、岩手県立大学理事長に係る諸問題と県庁内のマネジメントについて伺います。
 まず1問目、前任者の任期途中で現理事長を選任した明確なる根拠を示していただきたい。
〇熊谷ふるさと振興部長 現理事長の任命についてでございますけれども、前理事長から知事に、令和2年2月に一身上の都合で辞職願の提出があり、その後、県では後任の理事長の選任作業を進めたものでございます。
 県は、県立大学と北いわての地域課題の解決及び産業振興に向けた連携協定を平成31年4月に締結し、共同の研究部門を設置するなど、県と県立大学の連携の重要性が増していたところでございます。
 そうした中で、現理事長は、令和2年2月をもって副知事の職を退任したところであり、県行政の幅広い分野に精通し、また、国や市町村などの自治体を初め、産業、医療、福祉、学術、文化など幅広い分野の見識を有していることから、こうした経験を生かし、県立大学の運営を通じて本県のさらなる発展に貢献していただくことを期待し、理事長として任命したものでございます。
〇飯澤匡委員 多くのタレントを持っているということですね。
 そこで、これは県民からの投書によって初めて私はわかったのですけれども、千葉理事長を迎えるに当たり、月額の給与が、前任者が62万6、000円、その前の年は62万円だったのですが、令和2年からいきなり99万7、000円になっている、大幅アップになっているのです。これは、さきの常任委員会では、特別職を迎えるに当たっては、それなりのルールになっているのだと。
 ところが、これが決定したのは令和2年3月の理事会で決まったのですけれども、コロナ禍で日本全国、岩手県も経済状況についてかなり厳しい状況が続いている中で、こういう県庁ルールの中で果たしてこういうことは許されるのかどうか。これは一般県民からしてみれば、やはり疑問に思うわけですね。仕事もしていないのに庁内のお手盛りと思われても仕方ないやり方というのはおかしいのではないですか。これは看板料ですかね。
 この37万円分のふえた成果というのは、この令和3年でどういう成果が出たか。これは追加の質問だから、熊谷ふるさと振興部長には1回でいいと言ったけれども、もう1回頼みます。それはどういう成果があったのか。
 その前に、この上積みになった部分について、どのような積算根拠なのか、それもあわせて答えてください。
〇熊谷ふるさと振興部長 県立大学理事長の職務状況を説明させていただきたいと思っております。
 現在、県で中期目標を策定し、県立大学ではそれに基づいて第四期中期計画を策定していただいているところでございます。
 県立大学では、現在、第四期中期計画策定委員会を設置し、理事長を委員長としてその計画策定を行っております。特定の教職員による目標設定ではなくて、全ての教職員及び教員が計画策定に携わるというプロセスをつくっていただいております。
 それから、新型コロナウイルス感染症対策ということで、危機管理対策本部会議を設置しているところでございます。理事長は、本部長として陣頭指揮を務めていられます。
 学生に対する経済支援につきましては、相談窓口の設置でありますとか授業料納期の延期等々、さまざまな学生への支援を行っているところでございますし、授業等の面では、遠隔授業等の実施でありますとか、補講、追試、再試験など、学生に応じた、コロナ禍でなかなか勉強できない学生に対して、きめ細やかな対応を行っていただいております。
 それから、研究、地域連携関係では、現在、JST―国立研究開発法人科学技術振興機構の共創の場形成支援プログラムを県立大学と東京大学で連携して行っております。プラチナ構想ネットワークとの連携といったことで、東京大学を代表機関として進めている共創の場形成支援プログラムへの県立大学の参画が実現したところでございます。そういった実績を上げられております。
 報酬の関係でございます。30万円ほどという、その金額でははかれない部分がございますけれども、いずれ、官民を問わず有用な人材を県立大学役員には任用してきたところでございます。地方独立行政法人法に基づき、国、地方公共団体の給与、それから、他の一般地方独立行政法人の役員の報酬、民間事業の役員の報酬等を踏まえて決定してきたところでございます。
〇飯澤匡委員 この給与の妥当性については、知事はどのような感想ですか。
〇達増知事 理事長の役員報酬については、県立大学の役員会議での協議を踏まえ、大学が決定することとされており、そして、大学が決定しているわけであります。
 この報酬については、地方独立行政法人法に基づき、国及び地方公共団体の職員の給与、他の一般地方独立行政法人の役員の報酬、民間事業の役員の報酬等の状況を踏まえて決定してきているところであり、現理事長の報酬額についても、こうした考えを基本としながら、これまでの経歴等も考慮して決定したものと聞いておりまして、妥当なものと考えております。
〇飯澤匡委員 今、一般地方独立行政法人の他県の例も参考にしたと言っていますけれども、学生数が大体似ている大学を見てみたら、確かに大体100万円前後というのがあるのです。しかし、ほかの大学は、ほとんど理事長と学長を兼任しているのですよ。
 それと、鈴木厚人学長は97万4、000円で理事長より少ないのですよ。これはどういうことですか。これはかなりバランスを欠いていると思いますよ。そうしたら、鈴木厚人先生は頑張っているのだから、もう少し上げてもいいと思うけれどもね。これは県民感覚からしたらおかしいじゃないですか。だから、おかしいのではないかと投書があったのですよ。いかがですか。
〇達増知事 県立大学の役員会議での協議を踏まえ大学が決定した、その決定を尊重したいと思います。
〇飯澤匡委員 その感想については、また後のまとめのところで聞きます。
 それで、私は学内への影響が心配です。やはりこういうアンバランスな結果になっているということは、知らず知らずのうちに学内に知れ渡るし、仮に副知事級の特別職じゃない人が来たならば、これは減額するのですか。そういう方針なのですか。お聞きします。
〇熊谷ふるさと振興部長 これまでの県立大学の理事長につきましては、民間企業出身者を任命した例もございます。必ずしも県退職者の任用に限定したものとは考えておりません。
 理事長の任用に当たっては、民間企業出身者も含めて幅広く検討されるものと考えております。その際には、県立大学が任用予定者の経歴等、それから、国及び地方公共団体の職員の給与、他の公立大学法人の理事長、民間事業の役員の報酬等を総合的に勘案して、報酬額を決定するものと考えております。
 それから、補足させていただきますが、先ほどの質問でございました学長の給料でございますが、今の考え方といたしまして、学長の給与は公表されております。公立大学法人岩手県立大学職員給与規程の指定職給料表において、給与月額は、飯澤匡委員御指摘のとおり97万4、000円とされております。学長には、給与以外に、県に準じた期末特別手当が別途支給されております。
 なお、学長の給料の考え方として、国立大学法人が適用する指定職俸給表を参考にいたしまして、国、県の給与改定の状況、他の大学の学長給料、学内のバランス等を考慮して決定しているところでございます。
 近年、我々公務員の給与改定もそうなのですが、民間と一致させ、均衡をとるために給与改定作業が行われます。その際、上げるという民間給与実態調査結果になった場合に、その給与配分の原資が、初任層の給料が安いということで、そちらのほうに重点的に配分されまして、高い給料の額の職員には配分されない、現行維持という格好になっておりますことから、近年、学長の給与について改定されていないところでございます。
〇飯澤匡委員 本来、学長の給与は問題にしていないから、余り参考にならない答弁はいいです。
 もう一つの質問ですが、現理事長は、令和4年4月1日から某民間飲料メーカーの非常勤顧問等に就任されています。ここでお断りしておきますけれども、私は、決して雇用側について問題にするものではなくて、民間は必要な人材を求めるためには、当然有為な人材を雇用すると。その人がどういう人物かどうかはまた別にして、問題は、その受け手が受けてしまったと。これが公告されていることを問題にしたいと思います。
 これについては、知事はどういうお考えですか。質問の3ですね。その波及する影響について知事の認識を伺います。
〇達増知事 今般の民間企業の非常勤顧問就任については、会社法上の役員に当たらず、また、取締役会への出席もなく、経営に参画するものではないことから、任命権者である知事の承認が必要ないものであり、県立大学の理事長みずからが、大学の業務に支障のない範囲で引き受けたものと理解しております。
 非常勤顧問等への就任は、当該企業のみに限定するものではなく、他の企業から要請があった場合にも、理事長みずからが適切に判断するものと考えております。
 大学の運営については、新型コロナウイルス感染症対応や第四期中期計画の策定など、リーダーシップを発揮してさまざまな課題に取り組んでいると認識しておりまして、引き続き、県立大学の運営を担って活躍していただきたいと考えております。
〇飯澤匡委員 県立大学は一生懸命やってほしいのですよ。ただ、それにかかわる波及、影響については、私も少し懸念する部分があります。飲料メーカー、雇用側については問題にするものじゃないですよ。これはきちんと言っておきますからね。これは他社メーカーとのフェアな競争を妨げる可能性はないでしょうか。岩手県内には、まだ有数の他社メーカーがあります。公告されたということは、岩手県印がついてしまっているわけですね。これが狙いかもしれませんけれども、これは岩手県がお墨つきを与えたようなものですね。これについてはどういうお考えですか。これでいいのですか。
〇達増知事 あくまで推測でありますけれども、非常勤顧問就任を依頼し、実際、顧問として雇った民間企業においては、岩手県の経済、岩手県の社会全体について責任を持った対応を、会社としてか、あるいはその会社の会長個人としてか、さまざまなやり方はあるのだと思うのですけれども、岩手県の未来に対して責任を持って対応していこうという中で、知恵と力を県立大学理事長からかりられればという趣旨で非常勤顧問に採用したのではないかと。あくまで推測ですが、そう思っておりまして、これは、基本的に岩手県の公共の利益に資するものと理解しております。
〇飯澤匡委員 私の質問は、フェアな競争を妨げる可能性はないかと。私はそう思っているのですよ。それについてはどうですか。可能性はないというなら、ないと言ってください。
〇達増知事 そういうことをしようとしてやっているわけではないということを、先ほどの答弁で答えたところであります。
〇飯澤匡委員 先ほど総合的にと言いましたけれども、とりようによっては、私も民間会社にいますから、そういうところに行政にかかわった重要人物の名前が出てくると、おや、これは何だということになるわけですよ。
 知事のおっしゃる意味はそのとおりだと思います。しかし、あたりがどういう判断をするかということですよ。これは岩手県がどのような目で見られるかということも意識しなければならない。そういう点が欠けているのではないですかと言わざるを得ないです。
 多分このまま行っても堂々めぐりなので、私はもう一つ、大学内外への影響もあると思うのですよ。県立大学は教育機関です。教育機関の中で、非常勤といえども民間会社の顧問ということになってしまうと、どうなのだろうと思う人も少なからずいると思います。恐らく県の職員にもいると思いますよ。よく聞いてみたらいいと思います。不必要な予断を与える可能性がある。
 選挙管理委員会の委員の選任のときも同じような議論がありました。やめたばかりでそういう平の委員になるのか、行政委員になるのはどうなのかと。ちょうど2年前の今ごろでした。
 そしてもう一つ、今の答弁の中で、公立大学法人の岩手県立大学の第四期の中期計画の策定中というようなお話でした。私は、これにしっかり専念すべきだと思います。そして、私は、そういう中であるからこそ、理事長はその策定中にみずから動いて、教育の質の向上、地域貢献、国際社会への貢献、人材の確保に専念すべきだと思うのです。
 県立大学の令和3年の決算から言うと、大学生の県内就職率、目標51.5%に対して49.6%、評価Cです。そういう何か実力を認められたというだけじゃなくて、みずから動いて37万円分のことを払拭するような行動をしなければならないと思うのです。やるのだったら、各企業を回ったり、学生の未来のために何をすべきかを真剣に考える姿勢を県内外に示すということが一番大事じゃないですか。知事、いかがですか。
〇達増知事 まず、民間企業の非常勤顧問を兼職することについて、県職員等もどう思うかという趣旨のことを質問の中でおっしゃられたかと思うのですけれども、これはあくまで推測なのですが、当該企業の非常勤顧問に県立大学理事長を招聘した理由としては、岩手県の経済、岩手県の社会をよくしようという高い志からであるというのは、当該企業の会長の経済団体のリーダーとしての今までの活動ぶりや、また、県の公安委員会委員としての活動ぶりなどを見れば、そこは当然、私の推測と同じようなことを職員も、また県民の皆さんも考えていただけるのではないかと思っております。
 理事長の県立大学における活躍としては、まず、千葉理事長は、鈴木学長が高エネルギー加速器研究機構の機構長をしていたころから鈴木学長と面識があり、鈴木学長のILC関係の仕事を支える大学理事長としては、非常に期待できるということがあります。
 また、県立大学、県との連携がますます重要になっているのですけれども、千葉理事長は、保健福祉部長在職時から副知事在任期間中まで、県立大学における主要な教授とさまざまな仕事に共同で取り組んできた実績がありますので、それを生かしてほしいと思っております。
 また、千葉理事長は、日本の大学の動向や著名な学者たちの動向に詳しく、県外のさまざまな分野における有識者と面識があり、その個人的なネットワークの大学運営等への活用も期待できます。
 そして、国立大学法人岩手大学の経営協議会の学外委員を千葉理事長は8年間務めていて、地方大学を取り巻く環境や課題、それらの対応と法人経営、大学運営にも精通している、そして、県内の大学との連携にも期待ができる、そういったところを期待しています。
〇飯澤匡委員 一生懸命やってほしいのですよ。だけど、県民に疑いを持たれるような行動は、やはり李下に冠を正さずで、特に、副知事というのは議会の承認を得てなったわけでしょう。やはり報酬であったり民間の企業の就職を受ける部分であったり、そこら辺はもっと慎重に考えてやらないと、これは岩手県の損になる可能性もあるということを私は指摘したかったのです。知事がおっしゃったように、民間企業ですから、有為な人材を求めるのはそのとおりだと思いますよ。だけど、受け手の側なのですよ。
 知事は、行政は公平中立と言っていますけれども、私の捉え方は、これは少し違うのではないかと。中立じゃない。他の飲用メーカーとのフェアな競争を妨げる可能性は否定できないですからね。
 いずれにしても、私はこのような暴走をこのまま許してはいけないと思っています。これは多くの県の職員からも激励を得てきょうの質問はやっていますので、そのことを最後にお伝えして、私の質問を終わります。(拍手)
〇名須川晋委員長 質問者席の消毒のため、しばらくお待ち願います。
 次に、千田美津子委員。
   〔千田美津子委員質問者席に着く〕
〇千田美津子委員 日本共産党の千田美津子です。会派を代表して質問いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 一つ目は、新型コロナウイルス感染症への対応と地域医療の充実、医師確保策についてお聞きいたします。
 まず、感染症病床と保健所体制等の実態についてお聞きします。
 コロナ禍によって医療崩壊が現実化した背景には、医療費抑制政策を続けてきた国の医療費政策があり、その中心は、病床数の削減と医師数の抑制にあります。もともと国は、実際は微減だったのでありますけれども、感染症の患者が減ってきたことを理由に、指定医療機関や感染症病床を削減し、国内の感染症病床は1998年の9、060床から2019年には5分の1の1、871床まで減らし、重症患者のための集中治療室も、2013年の全国で2、889床から2019年には2、445床に444床も削減しております。
 また、保健所が1994年の848カ所から2020年には469カ所に激減したため、この間の新型コロナウイルス感染症の感染爆発によって、救える命が救えなかった大もとは、新自由主義的医療改革による医療費抑制政策の弊害だと指摘されています。
 これらの指摘について、知事はどのようにお考えでしょうか。また、岩手県内の感染症病床数や集中治療室、保健所体制等の実態について、どのようにお考えかお聞きいたします。
〇達増知事 保健所法が1994年に地域保健法に改正され、保健所業務の多くが市町村に移管されたこと、1999年に伝染病予防法等が廃止され、感染症法が施行されたことに伴い、感染症指定医療機関や感染症病床の要件が変更になり、感染症に対する保健、医療体制が大きく変化したことを背景に、千田美津子委員御紹介のような意見があることは承知しております。
 本県の感染症病床の確保に当たりましては、限られた医療資源のもと、一般医療との両立を図りながら、感染フェーズに応じた病床を確保するとともに、重症患者のための集中治療に対応するため、岩手医科大学附属病院の感染症対策センター設置への支援等を行ってまいりました。
 保健所体制については、新型コロナウイルス感染症の感染急拡大時に対応するため、保健師の増員や保健所支援本部を初めとする全庁的な業務支援体制の構築により、必要な体制の確保を図ってきたところであります。
 今般の新型コロナウイルス感染症への対応を通じて、保健所の重要性や医療の公共性が改めて明らかになったところであり、国における体制整備等が求められていると考えております。
〇千田美津子委員 まさに、知事が今お話しされたように、保健所やそういう関係者の体制をきちんと国が整備していくことが必要だと思います。この間、先ほども、全国では5分の1まで感染症病床を減らしたとありますが、岩手県内でも7分の1まで、実は279床から38床まで減らしたために、今回さまざまな手だてが必要だったわけです。
 感染症病床を減らすということは、当然そこで働く方々の体制も弱まっている、少なくなっているということなので、ぜひ、知事がおっしゃったように、国が今回の感染症の拡大をしっかり検証して対応していくことが必要だと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは次に、公立、公的病院の充実についてお聞きいたします。
 新型コロナウイルス感染症による危機の経験を踏まえ、感染症対策を考慮しない地域医療構想による公立、公的病院の統廃合、病床削減は中止すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 例えば、胆江地域の新型コロナウイルス感染症への対応では、医師会や開業医の皆さんの協力や努力も相当ありますが、地域医療構想でこの間名指しされた奥州市総合水沢病院がその中心的な役割を果たしており、発熱外来や入院の大半を担っている状況にあります。
 新型コロナウイルス感染症が、きょうは645人の陽性者となったようでありますが、今後どのようになっていくか全く見通しが立たない中で、減らしてきた感染症病床をしっかり確保していくことは大変重要であり、また、岩手県においては、どの圏域においても公立、公的病院が果たしている役割は大変重要だと考えますし、充実こそ必要だと考えますが、知事はいかがお考えでしょうか。
〇達増知事 地域医療構想の背景となる高齢化の進展に伴う医療需要の変化等、中長期的な状況や見通しはコロナ禍にあっても変わらないことから、地域医療構想における必要病床数等の基本的な考え方を維持しつつ、将来の医療需要を見据えた病床機能の分化や連携についての議論を進めることは、持続可能な医療提供体制を構築していく上で重要と考えております。
 一方、本県では、今般の新型コロナウイルス感染症への対応において、全国有数の公的医療機関ネットワークを核として、検査体制の拡充や病床の確保を図り、多くの入院患者を受け入れるなど、公立、公的医療機関は、本県の医療提供体制において重要な役割を果たしているものと認識しております。
 国においては、次の感染症危機に備えるため、公立、公的医療機関等が担うべき医療の提供の義務づけや保健所機能の強化等が盛り込まれた感染症法等の改正を予定していますことから、県としてはこの動向を注視しつつ、本県の強みである公的医療機関ネットワークや関係機関との連携を生かし、新興、再興感染症等の発生にも柔軟に対応できる医療提供体制のさらなる充実に向けた検討を進めてまいります。
〇千田美津子委員 それでは、次の質問に移ります。医師、看護師の確保策についてお聞きいたします。
 日本の医師数は、人口1、000人当たり2.43人で、OECD加盟国のうち、データがある29カ国中26位、G7主要7カ国の中で最低の医師数となっています。また、日本の入院患者1人当たりの看護師数は0.86人であり、ドイツの1.61人、フランス1.75人、イギリス3.08人、アメリカ4.19人など、欧米諸国の2分の1から5分の1の水準にすぎません。
 実態は、長時間、過密労働、低処遇の中で、年間10人に1人の看護師がやめており、現場では深刻な看護師不足が続いております。
 これらから、まず、医師については、医師不足解消のため、国の責任で医学部定員を1.5倍化し、OECD並みに11万人―あるいは13万人と言われておりますが―に医師を増員すべきと考えますが、知事はどうお考えでしょうか。
〇達増知事 国においては、平成19年度までの医学部定員抑制策を転換し、平成20年度以降、臨時定員増や恒久定員増を行い、令和4年度全国の医学部定員は9、374名と、最も少なかった平成19年度と比較して1、749名、1.23倍の増加となっています。
 本県においては、岩手医科大学医学部の入学定員が、県による医学奨学金枠の積極的な拡大などにより、当初の80名から、現在、臨時定員増35名を含む130名まで順次拡大が図られてまいりました。
 一方、国の医療従事者の需給に関する検討会においては、定期的な医師需給推計を行った上で、働き方改革や医師偏在の状況等を考慮しつつ、将来的な医学部定員の減員に向け医師養成数の方針について検討することとしており、令和6年度以降の医学部定員、臨時定員の減員が懸念されます。
 本県においては、県医師確保計画に基づく取り組みを進めておりますが、医学部定員増が継続する場合であっても、計画最終年である令和18年度においても医師不足の状況が見込まれ、医師不足や偏在解消を図る上で医学部定員増の維持、恒久化が必要であることから、医師少数県で構成する地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会等の活動を通じて、国に対し、引き続き強力に要請してまいります。
〇千田美津子委員 今お話がありましたが、岩手県医師確保計画についてお聞きいたします。
 全国最下位にある医師偏在指標に基づく都道府県順位を、下位3分の1のレベルから脱却させることを目標に岩手県医師確保計画が策定されておりますが、この間の取り組みにより、医師偏在がどう改善され、目標の達成見込みはどのような状況なのか、知事にお聞きいたします。
 また、依然として看護師不足は深刻ですが、この対応についてもあわせてお聞きいたします。
〇達増知事 県では、令和2年3月に策定した岩手県医師確保計画において、奨学金養成医師の配置や即戦力医師の招聘等により、令和5年度までに266人の医師を確保する見込みとしており、令和3年度までの実績は、奨学金養成医師の県内従事者162人、即戦力医師招聘25人の計187人となっています。
 奨学金養成医師については、令和4年度は過去最多の122人を配置するなど、これらの取り組みにより医師確保は着実に進んでいるものと考えておりますが、今後とも、年々増加が見込まれる奨学金養成医師の計画的な配置や即戦力医師の招聘の取り組みを重点的に行ってまいります。
 看護職員については、いわて看護職員確保定着アクションプランに基づく進学セミナーや看護職員修学資金貸付制度などの取り組みにより、県内就職率は、平成22年度から上昇に転じ、近年は60%後半で推移し、就業看護職員数も徐々に増加しています。
 一方、高度先進医療に対応した手厚い看護体制を維持し、今後の働き方改革にも対応していくためには、さらなる看護職員の育成、確保が必要と考えていることから、引き続き、このアクションプランに基づき、県内就職率の向上や離職防止、潜在看護師の再就職支援などに取り組んでまいります。
〇千田美津子委員 さまざまな施策によって医師が着実にふえているということは、本当にすばらしいなと思います。
 ただ一つ、この新アクションプランを見させていただいて、岩手県は、臨床研修指導医講習会を全国で初めて開催したと。そのために指導医と研修医の比率が3.8対1と全国有数の指導体制となっていることを知りました。これは本当に大いに評価いたしたいと思います。
 しかし、残念ながら、研修後の県内への定着率が年々落ちていると思います。これを今後どう打開していくかが課題だと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
〇八重樫副知事 平成30年度から始まった新専門医制度は、臨床研修後の専門研修の指導体制やプログラムが充実していると見られる大都市の病院での研修を志向する若手医師がふえるなど、地域間、診療科間の医療偏在を助長しているとの指摘もあり、近年の研修医の県内定着率低下の要因となっているものと認識しています。
 こうした中で、県では、奨学金養成医師との面談を通じて、県内医療機関でのキャリア形成支援を図ることなどにより、臨床研修後の県内定着率は、平成30年度の73.7%から令和元年度は87.7%、同2年度は82.8%と復調傾向にあるところです。
 今後も、若手医師のキャリア形成支援につながる魅力ある専門研修プログラムの充実強化に取り組むとともに、臨床研修医の段階から積極的な周知に努めるなど、さらなる定着促進を図ってまいります。
〇千田美津子委員 引き続き、よろしくお願いいたします。
 それでは次に、周産期医療体制の充実強化策についてお聞きいたします。
 この間、日本共産党として、産婦人科医師の養成、確保に今まで以上に取り組み、地域周産期母子医療センターの機能を維持すること、二次医療圏でお産ができる体制を目指すこと、院内助産を進めることを知事に申し入れてまいりました。
 今、県内どこにいても安心してお産ができるように、周産期医療体制の確立は、県民誰もが願う喫緊の課題であり重要施策でありますが、これまでの実績と今後の取り組みについて、知事はどうお考えかお聞きいたします。
〇達増知事 県内の周産期医療は、全県的に産科の医師が不足している中、産科診療所についても、医師の高齢化の進行や高齢者不足等により分娩取り扱いを断念せざるを得ない施設の増加が懸念されるところであり、地域における産科診療体制を確保していくことは重要な課題です。
 県ではこれまで、四つの周産期医療圏を設定し、医療機関の機能分担と連携のもと、分娩リスクに応じた適切な医療提供体制の整備を進めてきたほか、令和2年度からは、産科等を選択した地域枠養成医師に対する新たな特例措置の開始や、医療局奨学金に特別貸付枠を設定するなどにより、病院に勤務する産科医数は横ばいとなっており、引き続き、産科医のさらなる確保に取り組んでまいります。
 令和6年度からの次期保健医療計画の策定に向け、周産期医療実態調査を行い、圏域をまたいだ妊婦の受療動向等の分析を進めるとともに、医師の負担軽減にもつながる院内助産などにおいて、妊産婦へのきめ細かなケアを行う助産師の育成、確保と、一層の活躍促進に向けた取り組みの検討を進め、安心して妊娠、出産ができる周産期医療の充実に努めてまいります。
〇千田美津子委員 今、御答弁にあった次期計画に向けた周産期医療実態調査を実施されたようなのですが、私は、今の妊産婦だけではなくて、中高生やその親世代にも、どうあるべきかという意向調査が一つは重要ではないかと考えます。
 また、市町村の取り組みも把握されるようですが、実はこの間、民間の医療機関に沖縄県から赴任されたお医者さんに、花巻市がさまざまな支援を行っているとお聞きしましたけれども、医師が赴任するかどうかを決定づけるために重要なのが、自治体の取り組み姿勢であり、医師招聘の鍵を握っていると感じました。今回の調査は、市町村の意向も聞かれるということでありますが、これを十分に生かしていただきたいと思います。
 それから、今も話があった岩手県の周産期医療は、どちらかというと、今の時点では医師が不足しているために資源の集約化が進められておりますけれども、花巻市のお医者さんとの懇談の中で、周産期医療センターはハイリスク分娩のとりでであるべきで、正常分娩やリスクの低い分娩は一次医療機関が担うことが望ましい。医師がいればでありますけれども。一次医療機関は、残念ながら奥州市でも全くなくなりましたし、釜石市とか、県内にはいっぱいあるわけです。奥州市については、若い世代の地域離れが一層加速する可能性がある。一次医療機関の再開が望ましいと花巻市に赴任した先生は語られたようです。
 私は、次期保健医療計画には、ぜひ一次医療機関の再開に力を入れていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
〇野原保健福祉部長 周産期医療の実態について御質問いただきました。先ほど知事から御答弁申し上げましたとおり、周産期医療実態調査による受療動向の分析のほか、妊産婦のニーズ等についても把握することとしております。
 また、小児・周産期医療協議会における市長会、町村会からの意見聴取や、千田美津子委員から御紹介ありました花巻市の取り組みなど、市町村から医療機関との情報連携や妊産婦支援に係る取り組み状況等の聞き取りを行っているところでございます。
 また、産科診療所への支援という視点もいただきました。県では、限られた医療資源のもとで、効率的かつ質の高い周産期医療を提供するため、地域で分娩を取り扱う診療所と周産期母子医療センター等の機能分担と連携のもと、分娩リスクに応じた適切な医療提供体制の整備を進めております。
 そのため、分娩取扱医療機関がない市町村において、新規に開設または新たに常勤の医師を確保して分娩取り扱いを再開する場合のほか、既存の分娩取扱医療機関の継続等を支援するため、施設整備等に対する事業費の補助を実施しているところでございます。
〇千田美津子委員 それでは次に、地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会についてお聞きいたします。
 この間、医師少数県で構成されたこの知事の会は、随分さまざま実績を上げてきていると思いますが、知事は、この間の活動の成果、手応えをどう評価され、今後の取り組みについて、どのようにお考えかお聞きいたします。
〇達増知事 令和2年1月の発足以来、医師少数県12県の連携のもと、地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会は、医師不足と偏在の解消を目指し、国に対して、医学部臨時定員の継続や恒久化、臨床研修制度や専門研修制度の見直し、医師の働き方改革と医師確保、偏在対策の一体的な推進等について提言を行ってまいりました。
 地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会の提言内容は、厚生労働省の医師需給分科会において取り上げられたほか、自由民主党の医師養成の過程から医師偏在是正を求める議員連盟から要請を受けて説明を行うなど、各方面から大きく注目されています。
 提言内容のうち、医学部臨時定員増の継続や専門医資格更新時に地域での勤務を促す制度の検討、医師の働き方改革に関する継続的な実態調査等が、国の具体的な施策や取り組みとして実現しております。
 現在、国において、次期医師確保計画のあり方等について検討が行われているところであり、この議論を注視しつつ、地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会参画県と情報交換を行いながら、今後のさらなる活動の展開について検討を進めてまいります。
〇千田美津子委員 本当にさまざまな取り組みの中で、今、最後にお話がありましたが、国のワーキンググループが必要医師数の算定のあり方、医師確保のあり方等も検討されているということで、これは医師少数県のみならず、本当に具体的な提案をしっかりOECD並みにふやすべきというような提言がますます重要になってくると思いますが、いかがでしょうか。
〇野原保健福祉部長 千田美津子委員御指摘のとおり、国では、今、第8次医療計画等に関する検討会のもとに、医師確保計画等のワーキンググループが設置されまして、千田美津子委員御紹介の医師偏在指標のあり方等について、今議論が重ねられているところでございます。
 こうした場においては、私も実は委員として参加させていただいているのですが、医師少数県の立場で、臨時定員でなく、医学部定員増の恒久化等についても意見を申し上げているところでございまして、そうした視点で国に対して意見を申し上げて、議論を進めてまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 時間がありませんので、最後に、子供の貧困と児童虐待への対応で1点だけ。
 児童福祉司等を大幅にふやして、児童相談所の体制を強化してほしい。それから、遠野市や盛岡市の取り組みを踏まえて、総合支援拠点施設の整備に取り組んでほしいということを求めてまいりましたが、どのような状況かお知らせください。
〇八重樫副知事 児童相談所の児童福祉司については、国の児童虐待防止対策体制総合強化プランに基づき、平成30年度の37人から今年度には57人へと20人の増員を図り、里親支援や市町村支援を専門に担当する児童福祉司を配置するなど、児童相談所の体制強化を図ったところであります。
 市町村の体制強化については、県では、平成29年度から毎年度、市町村要保護児童対策地域協議会の調整担当者となる専門職員を養成するための講習を実施してきており、これまでに56人の市町村職員が修了したところであります。
 また、市町村の子ども家庭総合支援拠点については、平成30年度に盛岡市が、平成31年度に遠野市が開設したところでありますが、国のガイドラインやアドバイザー派遣事業の活用を促進するなど、現在までに合計12市町村に開設されたところです。
 県としては、児童虐待防止対策をさらに強化していくため、職員の専門性や対応力の向上のための研修や市町村への技術的助言を行うなどにより、今後も引き続き、児童相談所と市町村の体制強化を図ってまいります。
〇千田美津子委員 職員の充実はそのとおりでいいと思うのですが、相談所の数をふやすこと、それから、施設の老朽化に対してどのように対応するお考えかお聞きいたします。
〇八重樫副知事 児童相談所のさらなる充実強化について、年々増加する児童虐待相談に対応するため、相談対応件数の状況に応じた児童福祉司等の配置を進めてまいります。
 さらに、いわゆるスーパーバイザーの養成を進めるとともに、警察等関係機関との連携強化による対応力の向上によって、児童虐待対応の充実強化を進めてまいります。
 また、岩手県宮古児童相談所につきましては、新しい児童相談所ということで整備させていただきました。老朽化している児童相談所について、今後、整備等を順次検討してまいりたいと思います。
〇千田美津子委員 終わります。(拍手)
〇名須川晋委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
   午後4時21分 休 憩
午後4時42分再開
〇名須川晋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。次に、木村幸弘委員。
   〔木村幸弘委員質問者席に着く〕(拍手)
〇木村幸弘委員 それでは最初に、第2期アクションプラン、政策推進プランの四つの重点事項の設定に当たって、新型コロナウイルス感染症の影響、人口減少の進行、デジタル化の進展、温室効果ガス排出量の2050年実質ゼロといった直面する課題に的確に対応することを基本的な考え方としておりますが、令和3年度に実施した事業の実績及び第1期アクションプランに掲げる各政策分野の実績から、その成果と課題をどのように捉え、重点事項を推進していく考えなのか、知事に伺います。
〇達増知事 令和元年度からの第1期政策推進プランの計画期間においては、自動車、半導体関連産業の集積や高校生の県内就職率の上昇、新型コロナウイルス感染症への対応を契機とした、学校におけるICT機器の前倒し整備、再生可能エネルギーによる電力自給率の上昇など、さまざまな成果があったところであります。
 一方、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、婚姻件数や出生数の減少など人口減少への影響が懸念されており、また、観光消費額の落ち込みや公共交通機関の利用者数の減少などの影響が生じています。
 これら第1期政策推進プランの成果と課題、地球温暖化の進行やデジタル技術の進展など社会経済情勢の変化等を踏まえ、第2期政策推進プランにおいては、人口減少対策に最優先で取り組むこととし、自然減、社会減対策の強化、GXの推進、DXの推進、安全・安心な地域づくりの4項目を重点的に推進してまいります。
〇木村幸弘委員 第2期アクションプランの策定に当たって、さまざまな主体や各種団体等からの意見聴取を行っておりますが、まずは、本年8月を中心に行われた知事と市町村長との意見交換で寄せられた意見について伺います。
 各広域振興圏における共通した意見や、それぞれの広域振興圏ならではの特徴的な意見をお示しください。
 さらに、第1期アクションプランの成果も踏まえ、第2期アクションプランの重点事項の設定に当たって、これらの意見交換の中で、県が重視した意見あるいは内容等についてもお示しいただきたい。
 また、各種団体等からの意見について、令和4年9月16日の総合計画審議会資料には8項目にまとめられておりますが、第2期アクションプラン策定に向け、県はどのような意見をポイントとして捉えているのか、その理由についてもあわせて知事に伺います。
〇達増知事 市町村長との意見交換においては、全県で共通した意見として、子供を産み育てる女性への支援や、市町村と県が連携した移住、定住施策の展開、豊かな地域資源を活用した地域内経済の好循環につなげる取り組みの推進、日本海溝、千島海溝沿いの巨大地震など、今後起こり得る大規模自然災害への対応、地域医療体制や教育の確保、地域公共交通の維持などが出されました。
 広域振興圏ごとの特徴的な意見としては、県央圏域では、観光資源などを生かした都市との連携、県南圏域では、製造業に加え農林業における人材の確保、沿岸圏域では、主要魚種の不漁への対応、県北圏域では、洋上風力発電などエネルギーの地産地消の推進などが出されたところであります。
 また、各種団体等からも、自然減、社会減対策の強化や、若者や女性の活躍支援、中小企業のデジタル化への支援や県内企業の認知度向上など、市町村長と共通した意見を多くいただいたところです。
 これらの意見も踏まえ、第2期アクションプランにおいては、人口減少対策に最優先で取り組むこととし、今後4年間に取り組みを強化すべき重点事項を掲げたものであります。また、医療や教育、地域公共交通の確保などの意見についても、10の政策分野にしっかりと反映させ、取り組みを進めてまいります。
〇木村幸弘委員 総合計画審議会資料においては重点事項1から4までの考え方が示されましたが、例えば、重点事項1に掲げた男女がともに活躍できる環境づくりを進めながら、結婚・子育てなどライフステージに応じた支援や移住・定住施策を強化しますという点について、社会減のうち女性の減少が大きいという実態を捉え、ともに活躍できる環境をどのように整えていくのか、さらに具体的な施策を示していただくことがまさに重要となります。
 一方、自然減対策として、婚姻数や出生数の減少が見られると、その認識しか示されておらず、後述の多様な働き方の加速、産業政策の総合的な展開や能力が発揮できる多様な雇用の確保というだけでは、課題の関連性など、自然減対策の重要施策に係るポイントが、不明確かつわかりにくいものとなっております。
 社会減対策と同様、自然減対策も大変重要であり、第2期アクションプランの肝となるものとして施策の方向性を示すべきですが、県の考えを伺います。
〇小野政策企画部長 第2期アクションプランにおきまして、人口減少対策に最優先に取り組む上で、県民のライフステージに着目し、社会減対策とともに、これとも連動いたしまして、自然減対策を進めていくことが極めて重要であると考えております。
 現在、第2期アクションプランの策定に向けまして、先般、まずは四つの重要事項案を総合計画審議会にお示しし、審議会におきまして意見をお伺いし、第2期アクションプランの策定作業を進めているところでございます。
 ことし11月にお示しする素案の中で具体的な内容につきまして明らかにする予定ではございますけれども、先ほど木村幸弘委員から御指摘ございましたとおり、人口減少対策、特に自然減対策におきましては、結婚、妊娠、出産、子育てといったそれぞれのライフステージに応じた総合的な取り組みの強化を図るとともに、市町村や関係団体等と連携して、取り組みをオール岩手で進め、安心して子供を産み育てられる環境の充実に取り組んでいくことが必要と考えておりますので、この方向で、第2期アクションプラン素案を肉づけしてまいりたいと考えております。
〇木村幸弘委員 ぜひしっかりと肉づけした考え方を十分に練り上げてほしいと思います。
 次に、重点事項2に掲げた、GXを推進し、カーボンニュートラルと持続可能な新しい成長を目指しますという点について、地域資源としての再生可能エネルギーの導入促進、森林資源の循環利用を、これまで以上にどのように強化を図っていくのでしょうか。
〇八重樫副知事 地域資源としての再生可能エネルギーの導入には、地域に身近な市町村の取り組みを後押しすることが不可欠であり、仮称でありますが、知事の指示のもとで新たに設置する県市町村GX推進会議の指揮を私がとらせていただき、市町村の促進区域の設定や脱炭素先行地域の選定に向けた取り組みなど、地域の特性を生かした再生可能エネルギーの導入を全力で支援していきます。
 また、森林資源の循環利用については、二酸化炭素の吸収、固定など、森林の多面的機能の持続的な発揮に向けて、間伐や再造林等の森林整備を促進するとともに、担い手となる林業就業者の確保、育成や、公共施設、民間施設での県産木材の利用拡大を推進してまいります。
 このような取り組みに加え、あらゆる分野で県民や事業者の脱炭素に向けた行動につなげていくため、温暖化防止いわて県民会議に、地元金融機関に加わっていただくなどして充実強化を図り、オール岩手で地域経済と環境に好循環をもたらす持続可能な脱炭素社会の実現を目指していく考えであります。
〇木村幸弘委員 そこで、やはりGXの推進による持続可能な新しい成長を目指すためには、オール岩手という言葉もありましたけれども、産業振興が不可欠だと思っております。関連産業の振興策や、あるいは関連企業の誘致といった具体的な施策の方向性について、もう一歩踏み込んだ意思を明確にするべきですが、県の考えを伺います。
〇菊池副知事 まず、国では、カーボンニュートラルが産業構造や社会経済に変革をもたらし、次の大きな成長につながるとの認識のもと、令和2年に2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン戦略を策定したところであり、この戦略において、今後、産業として成長が期待される14の重要分野を設定し、企業のニーズに沿った大胆な投資を後押しする取り組みを進めているところです。
 本県ものづくり産業を牽引する、例えば自動車産業においても、電動車への生産移行等カーボンニュートラルに向けた動きが加速しております。県内の複数の大手自動車部品メーカーが電動化に対応した部品を製造しているほか、今年度、いわて産業振興センターが、自動車産業のカーボンニュートラルを推進する地域支援拠点として、東北地方で唯一、国の事業に採択されました。地場の関連企業等への支援を展開してまいります。
 また、カーボンニュートラルの実現に当たって、再生可能エネルギーの活用は、企業が将来にわたって持続可能な事業活動を展開するための基盤となるものでありまして、再生可能エネルギーのポテンシャルが高い本県にとって、企業誘致等の大きなアドバンテージになるものであり、既に本県に関心を示している企業も出てきているところでございます。
 また、すぐれた基盤技術を有する本県の地場中小企業においても、世界的なカーボンニュートラルに向けた動きは、新たな事業分野への参入機会になるなど、今後の成長の大きなチャンスとなりますことから、今年度、金融機関や商工指導団体等とともに立ち上げました、いわて中小企業事業継続支援センター会議において、GXに関する具体的な事例やさまざまな支援策も共有し、より多くの県内地場企業の成長を支援してまいります。
 県では、国のGX推進の動きに歩調を合わせ、引き続き、市町村や関係機関と連携し、県内企業の成長分野への参入の取り組みを支援するとともに、GX関連企業も視野に入れた誘致活動を展開するなど、次なる大きな成長につなげていくため、環境と経済の好循環に向けた取り組みを推進してまいります。
〇木村幸弘委員 次に、新型コロナウイルス感染症対策について伺います。
 今年度においては、オミクロン株の流行によって感染者が急拡大する中、医療現場の業務量増大などから、令和4年9月26日、患者情報について全数把握としていたこれまでの仕組みを見直し、全国一律で簡略化されました。
 全数把握から仕組みを見直されることとなった自宅療養を基本とする重症化リスクの低い患者については、医療機関を受診しても情報共有システム、HER−SYSへの入力は行わず、患者自身の責任でインターネットや電話を活用し、いわて陽性者登録センターに患者情報を登録することとなりました。
 この全数把握の見直しに伴い、医療現場や保健所業務においては、見直し前と比較し、業務量や患者対応がどのような状況になっているのか、成果と課題をあわせてお示しください。
 また、患者自身がみずから登録手続を行うことによって、申告が適切に行われているのかセンターが把握できているのかが特に懸念されるところであり、この点についての対策や指導の徹底について、どのように行っているのか伺います。
〇野原保健福祉部長 全数把握の見直しによる成果等についてでございます。
 医療機関においては、患者情報登録システム、HER−SYSによる発生届作成が約8割削減され、保健所においても、この発生届に基づく疫学調査などの業務負担が軽減されたことから、65歳以上など重症化リスクの高い方に対して、速やかに必要な対応ができるようになったものと考えております。
 一方で、発生届の対象とならないリスクの低い患者についても適切な支援を行う必要がありますことから、陽性者登録センターにみずから登録していただくことで、看護師や医師を配置しているいわて健康フォローアップセンターによる24時間体制の健康サポート、希望される場合の宿泊療養施設や食料配送、パルスオキシメーターの貸与などを行っております。
 県では、陽性となった方に確実に陽性者登録センターに登録していただくことができるように、医療機関において、患者にお渡しする案内チラシの配布や県ホームページでの案内を行っていますほか、電話による案内のサポートも行っているところであります。
 また、いわて健康フォローアップセンターでは、自宅療養している患者の症状が悪化した場合は、症状に応じて、医療機関への受診や保健所を通じて入院調整を行うよう対応しているところでございます。
〇木村幸弘委員 いわゆる登録の実態が、報告から見ると、本当にこれが100%しっかりと登録されているものなのかどうかがなかなかわからないわけです。そういう意味で、実態というのは、実際に直近のデータとしてはどのくらいになっているのかおわかりでしょうか。
〇野原保健福祉部長 今、医療機関から重症化リスクの高い高齢者等の2割の方は、HER−SYSで全数登録いただいています。残りの8割の方は、陽性者登録センターに御登録いただいております。残り2割の方も、先ほど御答弁したとおり、全員医療機関を通じてチラシを配布しておりまして、症状が悪化した場合は24時間いつでもいいですから、この番号に御連絡くださいというチラシは全員に配布しております。
 そのほかにも、県では、検査キット送付センターを設けておりまして、検査キットを希望する方に配っているのですが、その配る際にも案内チラシを同封しておりまして、陽性になった場合には、何かあった場合には必ずここに御連絡くださいという形で対応しております。そういった方々に対しても、御連絡いただいて、きちんと対応している状況でございます。
〇木村幸弘委員 それでは最後に、オミクロン株による感染が、その特性である軽症患者の爆発的な感染拡大のみならず、実は死亡者数についても私は強い関心を持って見守っているわけであります。
 去る令和4年8月23日、岩手日報論壇に掲載された盛岡市内の医師の投稿記事を拝見し、重症者数はふえていないのに死亡者数がどんどんふえているとの指摘について、私も全く同感であります。医師の方ですから、具体的に感染患者の重症度分類の定義のあり方について問題提起されています。
 さらに、8月28日の産経新聞のネット記事においても、死因について、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の進展で肺炎の悪化が防がれ、重症者は第6波の半数程度にとどまる一方、持病や全身状態の悪化による衰弱死が多いこと、また、肺炎症状を基準とした初期の分類と実態が乖離しており、分類の見直しによって、重症者対策を行い死亡者の抑制につなげるべきとの指摘がありました。
 そこで、国の方針を含めて、県として医療現場や従事者の業務軽減につながる全数把握の見直しだけではなく、本来の使命である患者の命をいかに守るかという原点に立った重症度分類のあり方と、その対策についても見直すよう行動すべきですが、知事に伺います。
〇達増知事 新型コロナウイルス感染症の重症度分類は、令和2年5月の流行初期に、呼吸器症状などの重症化により亡くなる方が多かった際に設定されたものでありますが、オミクロン株に置きかわった現在では、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の進展やオミクロン株の特性などにより、呼吸器症状の重症化により亡くなる方は減少し、感染による持病の悪化等で亡くなる方が多くなっています。
 こうしたことから、全国知事会の場においても、新型コロナウイルス感染症は重症化しにくいといった誤ったメッセージになりかねないことから、分類を見直すべきという意見が出ているほか、感染症の専門家からも、重症化を経ずに亡くなる高齢者が多く、状況を的確に把握し、これまでの重症者の定義をオミクロン株に合ったものに変えるべきといった声もあると承知しています。
 重症度分類は、医療介入における基準を示すために策定しているものであり、国の専門家会議において、重症化の定義の見直しについて検討するとされており、早期の結論を期待しております。
 県としても、現在、医療機関等において全数届け出することとされている高齢者や基礎疾患のある方については、届け出されたHER−SYSの内容を確認して、全例健康観察を行っているところであり、今後においても、リスクの高い方に適切な保健、医療サービスが提供されるよう取り組んでまいります。
〇木村幸弘委員 終わります。(拍手)
〇名須川晋委員長 お諮りいたします。午後5時も過ぎましたので、続く総括質疑は明日行うこととしたいと思いますが、これに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇名須川晋委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 明日以降は、毎日午前10時から開会いたしますので、よろしくお願いいたします。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時4分 散 会

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