令和4年6月定例会 第21回岩手県議会定例会会議録

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〇13番(高田一郎君) 日本共産党の高田一郎でございます。
 発議案第3号物価高騰対策の強化を求める意見書に、賛成の討論を行います。
 発議案3号は、今日の物価高騰を招いた要因である異次元の金融緩和についての見直しを進め、実体経済をよくするために、第1に、消費税率の5%への時限的な減税、第2に、中小企業への公的助成を行って最低賃金の引き上げを行う、第3に、年金生活者を支える必要な対策を講じること、これを政府に求める意見書内容であります。
 異次元の金融緩和は、2012年に就任した安倍元首相が経済政策アベノミクスの第1の柱として、日本銀行に共同声明を結ばせて導入した政策であります。日本銀行が国債を大量に買いとって金融市場にお金を供給したことで、投機が活発となり株価は上昇いたしました。また、外国為替市場では、円安が進み、輸入物価を押し上げました。今日の物価高は、新型コロナウイルス感染症による危機からの経済回復による需要増、ロシアによるウクライナ侵略に伴う国際市場の混乱とともに、この異次元の金融緩和が相まって引き起こしたものであります。
 政府は、異次元の金融緩和によって大量の資金を供給すれば、インフレ期待によって物価が上昇し、経済の好循環が生み出され、デフレ対策につながるとしてきました。
 異次元の金融緩和で実際に起きたのは、大企業、大株主の大もうけだけでありました。株価は9年間で2倍となり、大企業の内部留保は130兆円も増加して466兆円にもなりました。一方、賃金はこの24年間、年収で61万円も減収し、消費は一層冷え込みました。この異次元の金融緩和で実際に起きたのは格差の広がりであり、日本経済の低迷であり、トリクルダウンは起きなかったのであります。
 物価高騰のさなかに、さらなる円安を加速させるこの金融政策は、国民を苦境に立たせるだけであります。 金融頼みではなく、実体経済をよくすることを最優先にする政策への転換が必要であります。
 発議案にあるこの三つの対策は、物価高騰から暮らしを守る大きな力になるものであります。
 第1に、消費税5%減税は、税の不公平をただして、成長がとまった日本の経済を立て直すために欠かせない課題であります。
 総務省の家計調査では、年収200万円以下の層では、物価上昇による家計の負担が年収比で4.3%ふえ、消費税5%増税したのと同等の影響となっております。一方、年収1、500万円を超える世帯では0.7%増であり、家計に占める消費税負担も低所得者層に重くのしかかっています。それだけに、全ての物価を一気に引き下げる消費税減税は、最も効果的な物価対策であります。世界ではこの間、消費税、付加価値税の減税などを実施した国、地域は91カ国になっており、日本ができないはずはありません。
 消費税の税収は、導入以来34年間で476兆円となりました。一方、この間、法人税については324兆円、所得税、住民税は289兆円の減収となりました。これが消費税の穴埋めのために消えたのは紛れもない事実であり、社会保障の安定財源などではありません。
 大企業、富裕層は、この危機の中でも資産を大幅にふやしました。ここに応分の負担を求めることは、税の再分配機能を強化して格差を是正する上で避けて通れない課題であります。
 安倍政権のもとで2度の税率引き上げは、その都度、個人消費が落ち込み、日本経済の成長をとめる要因になっています。消費税減税は、この流れを転換させる大きな一歩になるものであります。
 第2に、最低賃金の引き上げは、物価高騰の中で国民の生活を守る上でも、日本経済全体を底上げさせる上でも最大の力となります。
 2021年度の本県の最低賃金は時給821円、年収で148万円、これは、まさにワーキングプアの水準であります。いわて労連の生計費調査では、若者単身では1カ月22万8、664円が少なくとも必要であり、時給に換算すれば1、524円となります。
 また、内閣府は、年収200万円台の低所得層の増加の原因が非正規雇用の増大だと認めております。そして、25年間で35歳から44歳の働き盛りで、所得中央値が92万円もこの間減少しております。非正規雇用労働者の賃上げは、消費をふやし、そして地域全体を活気づけるものであって、日本経済の底上げにとっても焦眉の課題であります。
 既に、主要国では最低賃金を大幅に引き上げています。イギリスは1、520円、フランスは1、521円、政権がかわったドイツではこの10月から1、683円、オーストラリアは今月から5.2%引き上げて2、000円を超える大幅な引き上げが行われています。アメリカでは、バイデン大統領が1、950円への引き上げを打ち出しています。
 政府の賃上げ支援策は、賃金を引き上げた企業の法人税を減税する、この施策では全体の7割を占める赤字企業には何の恩恵もありません。その引き上げの鍵は中小企業への直接支援であります。全ての企業で賃上げできるようにするには、赤字企業も負担している社会保険料を、賃上げに応じて軽減することが最も効果的であります。
 日本共産党は、アベノミクスでふえた内部留保に年2%、5年間で10%の時限的課税を行って、総額10兆円の財源で中小企業への直接支援を行い、また、賃上げや気候危機打開のための設備投資を控除することを提案しています。大企業が利益をふやしても内部留保が積み上がるだけという経済のゆがみをただす上でも、大きな力となります。
 第3に、物価高騰は高齢者の暮らしにとっても大きな痛手となっており、年金生活者への対策を講じることは不可欠な課題であります。物価高騰にもかかわらず、6月支給分から0.4%削減となりました。この10年間で物価上昇分を差し引けば6.7%も減らされております。自公政権が100年安心の名で年金の支給水準を減らし続ける仕組みを導入したことが、異常事態を招いています。
 年金は、高齢者の生活を支える命綱であります。内閣府の高齢者白書では、60歳以上の67%が、公的年金が収入源と答えています。しかし、高齢者の就労を希望する理由で最も多いのが、収入が欲しい、こう述べております。
 もともと年金だけでは生活できない実態があります。岩手県内の家計消費支出に対する年金支給総額は10%超となっており、年金削減は、消費を冷やし、地域経済にも深刻な打撃となります。この10月からは、後期高齢者の医療費窓口負担の2倍化で、多くの高齢者が不安を抱えています。
 物価高騰が長期化することが予想される中で、年金生活者の生活を支える必要な対策をとることは、政治の責任だと思います。
 以上の理由でこの発議案に賛成するものであります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(五日市王君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより、発議案第3号物価高騰対策の強化を求める意見書を採決いたします。
 本案は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(五日市王君) 起立少数であります。よって、発議案第3号は否決されました。
   日程第30 発議案第4号県議会議員の定数等に関する条例の一部を改正する条例 
〇議長(五日市王君) 次に、日程第30、発議案第4号県議会議員の定数等に関する条例の一部を改正する条例を議題といたします。
 提出者の説明を求めます。岩渕誠君。
   〔18番岩渕誠君登壇〕
〇18番(岩渕誠君) 希望いわての岩渕誠です。
 発議案第4号県議会議員の定数等に関する条例の一部を改正する条例案につきまして、提出者を代表して提案理由の説明を行います。
 本条例改正案は、議員定数等検討会議の検討結果を踏まえ、次回の一般選挙に向け、県議会の選挙区及び各選挙区において、選挙すべき議員の数を改正するとともに、あわせて所要の整備をしようとするものであります。
 本条例改正案の提案の前提として、総定数については、総定数が減少する場合、議員1人当たりの面積が広くなり有権者の声が届かなくなる懸念があること、平成23年まで地方自治法で定められていた法定上限定数に基づく本県議会の議員定数49人を下回っていることを主な理由として、現行の48人を維持することとした上で、選挙区及び選挙区ごとの定数を検討したものであります。
 初めに、選挙区についてでありますが、選挙区の設定に当たっては、公職選挙法第15条の規定により、行政区画や地勢等を総合的に考慮して合理的に行うこととされており、広域振興圏など圏域を参考としながら検討してきたほか、1人区は無競争の傾向があり、無投票により住民の関心が薄れるおそれがあることから、できるだけ1人区を解消することとして検討を進めてきたところであります。
 その結果として、大船渡選挙区及び陸前高田選挙区については、それぞれ1人区であり、同じ気仙地域として一体的なつながりを保つことが期待できることから合区し、名称を大船渡・陸前高田選挙区とする。
 久慈選挙区、二戸選挙区及び九戸選挙区については、選挙区の見直しを行わない場合、それぞれ定数が1人、3選挙区で定数3人となることから、県北地域の選挙区の定数を一定数確保するため見直しを行うこととし、九戸選挙区を分割し、洋野町を久慈選挙区、軽米町及び九戸村を二戸選挙区とするものであります。
 なお、遠野選挙区につきましても1人区でありますが、配当基数が1以上で、配当基数1を下回っている陸前高田市とは合区できますが、生活圏が異なり適当ではなく、他の市と同じ選挙区となれないことから、現状維持とするものであります。
 これらの見直しにより、現行の16選挙区から14選挙区とするものであります。
 次に、選挙区ごとの定数についてでありますが、公職選挙法第15条第8項では、各選挙区において選挙すべき議員の数は、人口に比例して定めなければならないと規定されており、見直した選挙区により、令和2年国勢調査結果に基づき原則どおり配分したものです。
 なお、公職選挙法第15条第8項ただし書きには、特別の事情があるときは、おおむね人口を基準とし、地域間の均衡を考慮して定めることができると規定されておりますが、本県は、東日本大震災津波や台風災害からの復興途上ではあるものの、災害公営住宅や防災集団移転住宅団地の整備も完了し、一定程度、人口動態は定まっており、今回は、特別な事情がないと考えられることから、ただし書きは適用しないとしたところであります。
 その結果として、盛岡選挙区は1人増の11人に、大船渡・陸前高田選挙区、久慈選挙区及び二戸選挙区は、それぞれ2人となるものであります。
 次に、選挙区の区域の表記についてでありますが、平成27年に施行された公職選挙法の一部改正により、選挙区について、郡市の区域を単位としていたものが、市町村の区域を単位として設定することとされたことを踏まえ、選挙区の区域に町村名まで表記しようとするものであります。
 次に、施行期日等でありますが、次の一般選挙から施行するものとし、経過措置として、現に議員の職にある者について、その任期が終わるまでの間、なお従前の例によるとするものであります。
 以上が改正しようとする内容であり、県議会議員の定数等に関する条例の一部を改正するため、条例改正案を提案しようとするものであります。
 若干、この条例改正案の提出に至る経緯をお話しいたしますと、今回設置された議員定数等検討会議は、21回と異例とも言える回数を重ね、慎重かつ広範にわたって課題の検討が行われたものです。改めて、佐々木順一座長を初めとする検討会議のメンバー各位に、敬意と感謝を申し上げます。
 検討課題の具体的内容についてはさきに述べたとおりでありますが、民主主義国家において最も大切なものの一つは住民意見の反映であり、選挙制度は、その意味において、有権者の政治参加、権利行使を担保すべく不断の見直しが必要なものであります。
 今回の改正案は、いわば民主主義の基本と岩手県内の均衡ある発展、とりわけ県北・沿岸部における地域振興への配慮を現行法令の枠組みの中で両立させようとしたものであります。
 御承知のとおり、自治体議会の定数については、第三者機関の勧告ではなく、もっぱら議会の自治に委ねられており、パブリックコメントへの対応も含め、真摯な議論と見識に基づいて、議員の良心と議会の自治が発揮されたものと考えております。
 本来であれば、議員定数等検討会議に参加した全ての会派の理解を得ての提案となるべきものでしたが、こうして議員発議となったことは極めて残念であります。しかし、我々の共通の価値観である民主主義の発展を願う者として、議会の自治を発揮して、有権者と後世に対して責任を果たすべきときが来ました。議員各位の御理解と御賛同を賜りますようお願い申し上げまして、提案理由の説明といたします。
〇議長(五日市王君) これより質疑に入るのでありますが、通告がありませんので、質疑なしと認め、質疑を終結いたします。
 お諮りいたします。ただいま議題となっております発議案第4号は、会議規則第34条第3項の規定により、委員会の付託を省略いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(五日市王君) 御異議なしと認めます。よって、発議案第4号は、委員会の付託を省略することに決定いたしました。
 これより討論に入ります。
 討論の通告がありますので、発言を許します。佐々木朋和君。
   〔14番佐々木朋和君登壇〕

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