令和4年6月定例会 第21回岩手県議会定例会会議録

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〇2番(上原康樹君) 無所属の上原康樹でございます。1年ぶり3度目の登壇です。
 私ごとではありますが、昨年秋、医療現場に身を託し、多くの皆様のお力でこの壇上に帰ってくることができました。病院勤務というすさまじい御苦労の中で、決して笑顔を忘れない医療従事者の皆様との出会いは、生涯の記憶となりました。改めて深く感謝を申し上げる次第です。
 では、通告に従い質問をさせていただきます。答弁によっては再質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 まず、平和教育についてです。
 ロシアによるウクライナへの軍事侵攻は、多くの命を犠牲にして、とどまる気配がありません。ウクライナのことは、岩手県にとっても日々重い体験となっています。耐えがたい不幸を目撃しながら、岩手県の子供たち、若い人たちは、戦争をどんな思いで受けとめ、平和についてどう考えているのか思わずにはいられません。
 このような状況だからこそ光が当たる平和教育ですが、その精神は、繰り返される過去の戦争の歴史の中から生まれました。ユネスコ―国連教育科学文化機関は、1945年ユネスコ憲章の前文において、戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならないと述べ、その目的の達成のために、教育に大きな役割を託しました。
 日本は、太平洋戦争敗戦の翌年、昭和21年、日本国憲法の制定に当たってこう宣言しています。日本国民は、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意し、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふと。
 そして翌年、昭和23年には、この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものであるとする教育基本法が制定されました。
 そのような理念が示されながら、教育の現場は困難に直面しています。昨今、子供たちの間で、他者への暴力的な衝動が高まってきているのではないかという不安の声が上がっています。つまり、いじめなどの暴力です。他者への共感、豊かなコミュニケーション、相互に理解する能力を形成することは、民主主義の基本となるものですが、平和教育の道筋の模索は、なお続くようです。
 教育長に伺います。今、岩手県の学校では、平和の原点とも言える互いを尊重しながら相互理解を深める教育は、どのように行われているのでしょうか。現状と課題、今後の対応についてお聞かせください。
 さて、岩手県は、きょうも平和な風に包まれています。宮沢賢治が思い描いた理想郷は、この岩手県から生まれました。岩手県こそ平和教育がふさわしい場所ではないかとさえ思えてきます。
 それは理想論だという声も聞こえます。世界の厳しい現実、一触即発の緊張関係。しかし、だからといってその現実に応じて、私たちも態度をかたくし対話に背を向けるのでしょうか。武力には武力をもって均衡を保って平和になるのでしょうか。
 憎しみと破壊と殺りくの果てに待つものは、もう取り返しのつかない世界です。この国は学んだはずです。戦争は絶対にやってはいけないと。あの8月15日に気づいたはずです。
 私たちは、絶えず正気を保ち、理性を握りしめ、争うことない日々、平和な世界のとうとさを思い続ける精神を養い、育み続けることが求められています。その土台こそが平和教育です。政治思想ではありません。人間にとっての普遍のテーマです。若く初々しい心に平和の種をまき育てるという至極当たり前な、しかし、大変に難しい活動です。私たちは、地上に生きる者として、この使命をしっかりと受け継ぎ、憂いのない未来にしたいと願います。
 教育長に伺います。岩手県の県立高校を初め公教育の現場で、平和教育はどのように行われているのでしょうか。今後、若い人々への平和の心を継承する取り組みは、どのように進めていくのかお聞かせください。
 そして、達増知事は、かつて外務省で活躍されていました。外交官は、戦争を回避し、平和的に課題を解決するために存在します。軍備の競争が平和をもたらしたことはありません。一人一人の心の中に平和のとりでが求められているのです。
 知事に伺います。今だからこそ、その意義がとうとさを増している平和教育について、お考えをお聞かせください。
 次は、津波への備えと心のケアについてです。
 東日本大震災津波から11年がたちました。歳月を重ねても、あの痛手、心の傷は消えません。そこへ大災害の想定です。北海道から岩手県を想定震源域とする千島海溝と日本海溝で巨大地震と津波が発生した場合の国の想定によりますと、最悪の場合、死者は、千島海溝型で10万人、日本海溝型で19万9、000人と発表されています。
 想定される新たな津波の被害から県民をどう守るのか。真冬の場合の大きな問題の一つに、被災直後の体温の維持が挙げられます。3.11でも、低体温症による死亡例が報告されています。まして、本州最寒冷地の岩手県においては深刻です。
 冬の被災者の低体温症に対し、県はどのような対策を講じようとしているのか伺います。
 東日本大震災津波の後、防潮堤などハード面の備えや防災、減災の仕組みは確かに強化されています。しかし、どうしても強化し切れないことがあります。それは住民の心です。新たな大津波の想定に精神的に耐え切れるかということです。
 あの3.11の被災者の皆さんは、復活のためにどれだけの精神的なエネルギーを費やしたことでしょう。想像を絶する苦しみを伴ったはずです。そこへ3.11を超える津波被害の想定です。冷静に受けとめられるものではありません。諦めや無関心が生まれ、地域の空気となり、防災の意識が低下するおそれが指摘されています。しかし、ここで立ちどまるわけにはいきません。心を一つにして備えるほかありません。
 その活動を支え背中を押すのは、まさに県の役割だと思います。最悪の状況のもとであっても、県は、被災者をどう救い、支えるのか。迅速で的確な復興はどう進めるのか。岩手県をいかに再生するのかという大きな覚悟と構想を県民に示しておくことが大切ではないでしょうか。それは、自然災害への意識を全体的に高め、地域を守る原動力になるものです。
 私には、ふと、心の防波堤という言葉が浮かぶのです。絶望的な想定にのみ込まれず、未来に向き合い、対処しようという意思を持ち続けること。心を大きく立てる心の防波堤が必要なのです。
 人は絶えず厳しい現実の波を乗り越えて生きています。次に待ち受けるかもしれない困難に恐れおののくばかりではなく、県民を守り、支え、励ます県の決意を具体的にはっきり伝えておくべきときではないでしょうか。重ねて県の御所見を伺います。
 岩手県の漁業について伺います。
 岩手県の漁業を支え続けてきたサンマやサケ、イカなどの漁獲量は、急激に減少しています。特に、三陸地方の人々の暮らしに密接に結びついていたサケの不漁は深刻です。その一方で、イワシやサバ、ブリなど新しい魚の豊漁に沸いています。しかし、その状況を受けて、三陸の漁業は急ハンドルを切って体制を変えられるものでしょうか。
 サケ漁は、岩手県の産業、経済を支える柱であると同時に、三陸の漁業者の心意気であり、誇りであり、生きがいでもあったなりわいです。サケに全身全霊で向き合う漁師の方々の人生は、サケなくして語れないものです。同時に、地域の暮らしにもサケはなくてはならないもので、サケの存在は、もはや三陸の地域文化そのものと言ってよいものです。
 そこで伺います。県は、サケの資源回復に向けた取り組みを続けていますが、現在、昨年より前進している点は何か、課題は何か、その課題に対しどのように取り組んでいくのか伺います。
 また、三陸の漁業の後継者を育てるいわて水産アカデミーに提案いたしますが、このアカデミーの講座の中で、サケなど一時代を築いた三陸の漁業について語り伝え、伝統の継承を目指していただきたいと願います。サケ復活の日に、あわてずに対応できる漁業者であってほしいと願うからこその提案ですが、県のお考えを伺います。
 岩手県の地熱発電について伺います。
 脱炭素社会の実現が求められるとともに、二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギーに注目が集まります。世界第3位の地熱資源量を誇る日本の中でも、岩手県は、日本初の地熱発電所である松川地熱発電所を初め、現在稼働中の発電所の出力を合計しますと、大分県、秋田県に次いで日本で3番目。堂々の地熱先進地です。
 この岩手県ならではの資源を有効に活用することは、岩手県が脱炭素社会を目指すに当たって意義のあることだと思います。再生可能エネルギーの普及、促進は、岩手県が次の時代を切り開く県として全国に認知されることにもつながると思います。
 国では、地熱発電について、2030年度の出力を2019年度の約3倍に増加させるべく、導入促進策を実施するとしています。一方で、県内では、葛根田地熱発電所1号機をことし10月に廃止する方針が東北電力から示されるなど、岩手県の地熱発電も新しい局面を迎えています。
 県では、地熱発電の現状をどう認識し、今後の地熱利用の方向性をどう考えているのか伺います。
 地熱は、岩手県のさまざまな場面で活躍しています。例えば、八幡平市では、地熱発電所から供給される熱水を暖房に利用して、離農で放棄されたビニールハウスを活用したバジルの栽培に取り組むなど、地域のエネルギーとして定着しています。
 地熱発電が、水力、風力、太陽光などと並ぶ有力な再生可能エネルギーであるとともに、地域経済の発展にも貢献している存在であることは、県民にもっと広くアピールする価値があると思いますが、県のお考えを伺います。
 風にせよ、水にせよ、太陽にせよ、そして大地が宿す熱にせよ、自然から与えられたエネルギーを大切に役立てるという伝統を築くことは、岩手県の未来を築く上で大きな土台となるはずです。地熱を初めとする岩手の再生可能エネルギーのさらなる利用促進に向けて、県としてどのように取り組んでいかれるのか伺います。
 また、先ごろニュージーランドの政府と企業が、日本で地熱エネルギーに関する調査、研究を行い、将来的に新しい事業を起こしたいという意向を表明していますが、県は、再生可能エネルギーをめぐる海外の国や企業との連携、協力の提案がある場合にはどうかかわるおつもりか、方針をお尋ねいたします。
 日本語教育の充実について伺います。
 意思の疎通は社会生活の基本ですが、外国の方が日本で暮らすとき、仕事をするとき、言葉は大きな壁になります。現在、岩手県には外国の方が7、782人、平成元年から30年ほどの間に約3.8倍にふえています。そのような皆さんに、より正しい日本語を学んでいただき、地域社会に溶け込んでいただくことは、岩手県にとってますます大切な課題となります。
   〔副議長退席、議長着席〕
 そこで、外国人に向けた日本語教育ですが、現実は、日本語を学ぶ人も教える人も課題を抱えています。まず、日本語を学ぶ場の確保です。現在、県内で日本語教室がある市町村は15の市と町。半分以上の市町村には日本語教室は存在しません。厳しい財政事情は、言語の教育にも影を落としています。
 地域の日本語教室は無料の教室が多いものの、有料の教室があります。その授業料は、1回ごとに100円から500円、月ごとに100円から1、000円の範囲と聞いています。生活をかけて懸命に日本語を学んでもらっているのです。無料であってもよいことだと思いますが、いかがでしょうか。
 そして、日本語を教える先生の確保です。理論と知識、技術に裏づけられた授業を行えること。資格が必要になります。使える日本語を正しく教える先生をどう確保するか対策が求められます。
 また、若い指導者が少ないという課題があります。大きな社会変化の時代を迎えて、言葉の世界も急速に変化しています。若い指導者の言葉の感覚が、若い外国人の生徒にも通じることもあると思います。さまざまな世代が日本語教育を支える姿が理想ではないでしょうか。
 県は、地域における日本語教育を推進するため、これからの課題に対しどのように取り組んでいくのか伺います。
 日本語教育は、一つの国際交流でもあります。それぞれの外国人の事情を理解し、互いの風土、文化、価値観を尊重し、理解し、心の交流を重ねることができて初めて、日本語教育は完成するのではないでしょうか。
 また、生徒の皆さんは、日本に来て、それぞれに悩みを抱えています。例えば、家族で日本に来られた場合、小さなお子さんはすぐに日本語をしゃべるようになりますが、お父さん、お母さん、ましてやおじいさん、おばあさんの世代は、そうはいきません。子供は、本来の母国語を忘れていき、家族の間で気持ちを通い合わせることがうまくいかなくなることもあると聞きました。切ない話です。
 さらに、コロナ禍でのマスクの着用が、表情や口の動きを隠してしまい、外国人の皆さんの学びの妨げになっている可能性もあると指摘されています。
 語学の指導とあわせて、外国の方々がそれぞれに抱える問題、課題、悩みにも耳を傾け助言するトータルな生活支援が必要であり、そのための人材の配置も求められると思います。そうした人材の育成を県はどのように進めようとしているのか伺います。
 岩手県の魅力についての質問です。
 世界経済フォーラムが発表した2021年版の旅行・観光開発ランキングで、日本が初めて1位になりました。観光地としての魅力、各国の競争力を総合的に比較した世界的な調査の結果です。しかし、ランキングを項目別によく見ていきますと、航空インフラ、文化資源が4位と高い評価である一方、自然資源は12位にとどまっています。貴重な自然資源に人の手が多く加えられて価値が損なわれていないか、ありのままの自然の美しさを価値あるものと認識できているか、課題が見えてきます。
 このことを岩手県に照らしてみます。美しい自然は岩手県の財産です。三陸の変化に富んだ海岸線、自然豊かな山岳地帯、高原地帯、牧草の丘、ブナの森、酪農の風景などなど、観光地という枠を超えて、その場にたたずむだけで感動できる大地のドラマです。このすばらしい世界が県民の暮らしと隣り合わせです。ともすると、憧れは遠い世界にあるもので、身近な生活圏のことは評価の対象になりにくく、暮らしの一部として、あって当たり前とされがちなものです。ところが、北東北、岩手県を旅した県外、国外の方々には、強い印象、感動となるようです。心に住みついた岩手県にまた通いたくなるのです。
 岩手県のこの不思議な魅力とは何か、私も考え続けていました。それは、広大なありのままの自然と心地よい静けさ、天地のはざまに生きて立つ実感です。現代社会の複雑で慌ただしい流れの中にあって、岩手県は素朴で深い癒しに満ちています。そのような場所では、お金をかけて特別の観光地に仕立て上げる取り組みとは別次元のおもてなしが求められるはずです。
 そこで伺います。自然あふれる岩手県のありのままの姿を守り、静かで穏やかな旅を提供するために、どのような工夫、心配りをされていますでしょうか。交通網やトイレなども含めて旅を支える取り組みについて、県のお考えを伺います。
 また、暮らしや自然の中で育まれた祭りや芸能を体験することも、岩手県ならではの魅力です。地域を代表する祭りや芸能を絶やさぬよう、担い手の確保、育成、わざの継承などについて、県はどのように取り組んでいるのか伺います。
 そして、旅人を迎える地域づくり、旅する人を受け入れる宿の皆さんにも、やりがい、生きがいを持ってもらえる支援策を用意できないものでしょうか。地域をよく知り、旅をよく理解する宿の主人、マスター、おかみは、旅行者にとって重要な登場人物となります。地域の魅力を向上させる努力に報いる支援について、県のお考えを伺います。
 最後に、達増知事に質問させていただきます。県政運営と政治姿勢についてです。
 現在4期目も後半に入られました。平成19年の知事就任から15年。ここまで東日本大震災津波からの復旧、復興に力を尽くされ、また、コロナ禍という困難の中で県政のかじ取りを担われていること、敬意を表すものであります。
 具体的にお尋ねいたします。折しも参議院議員選挙の真っただ中、達増拓也知事も注目されています。
 そこで伺います。達増知事が支持する野党勢力は、これまでどおり県民の支持を得られているとお考えでしょうか。その根拠は何でしょうか。その状況は、岩手県政にどう反映され、県民の暮らしをどう豊かな方向へ導けるのか、明確に御説明願います。
 さらに伺います。今般のロシアによるウクライナ侵攻を受け、憲法改正に向けて、与党ばかりか一部の野党も積極的な姿勢を見せています。平和憲法を実情に合わない古いものであるとみなし、軍備には軍備をもって力の均衡を目指す意向のようです。平和教育への質問にも重なるところですが、かつて外務省職員として、平和を外交でかち取るすべを学ばれた達増知事ですが、現在の緊迫した国際情勢の中にあって、とりわけ大国の力による現状変更にどう対応すべきとお考えかお聞かせください。
 そして原発問題。東日本大震災津波で原発事故の恐ろしさを目の当たりにしながら、原発推進の動きはなお活発です。岩手県も至近距離に原発が存在しており、一たび事が起きれば、その影響から逃れることはできません。原子力発電に対する知事のスタンス、その理由を県民にお示しください。
 そして、野党の結束について。現在の政治の刷新のためには、野党の大同団結が絶対条件であるにもかかわらず、連携をめぐって足並みはそろっていないように見えます。今回迎えた参議院議員選挙は、岩手県知事であり、一つの党派に立ち位置を決めた知事の存在の根底にかかわる大きな山に違いありません。正念場のお気持ちをお聞かせください。
 希望郷いわて、いい言葉です。深い響きです。その希望をつかみ取るためには、戦うこともあるでしょう。ある者には鋭くノーを突きつけ、また、ある者にはイエスと叫び肩を組む、明確な精神と哲学が求められていることを確認し、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   
〇議長(五日市王君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 上原康樹議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、平和に関する教育についてでありますが、第二次世界大戦後、二度とこのような悲惨な戦争を繰り返さないように定められた国連憲章においては、国際の平和及び安全を維持することが国際連合の目的の第一とされており、戦争を避け、平和を求めることは広く世界で共有されています。
 また、教育基本法においては、教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならないとされており、平和な社会の維持、構築に向けて教育が果たす役割は極めて重要と考えます。
 次代を担う児童生徒が平和で民主的な国家や社会の形成者として必要な資質や能力を身につけられるように、学校教育では、教科の授業を通して国際平和や人権の尊重について理解を深めていくとともに、学校行事や学級活動などにおいて、協調性や社会性、生命を尊重する道徳性などを養う取り組みを一層進めていくことが重要と考えます。
 なお、本県の世界遺産の一つである平泉は、奥州藤原氏の初代清衡公が、11世紀の激しい戦乱で荒廃した国土を復興し、戦乱のない平和な理想郷を実現するために、この地にこの世の浄土をつくろうとしたものであり、平和を求める普遍的な精神が中尊寺供養願文の宣言に込められています。この平泉の歴史や文化を発信していくことも、多くの方々が平和について考えを深めることにつながるものと考えます。
 次に、政治姿勢と県政についてでありますが、現在、参議院議員選挙が行われており、各候補者や各政党が改めて政策や政治姿勢を県民に訴えている最中であり、県民も改めてそれらを吟味しているところだと思います。今回の参議院議員選挙の結果から、県民の政治に関する支持の状況が一定程度判明するのではないかと考えております。
 私は、過剰な軍備拡張は控え、国民の生活を第一に、減税を含む積極的な財政出動で我が国が直面する危機を乗り越えようとする主張を、志を同じくする皆さんとともに機会を捉えて訴えているところであり、広く県民の支持を得られるよう努力しているところであります。
 私個人の政治的な考えは、県政にある種の色合いとして反映されることはあるかもしれませんが、県行政については、公正中立を旨とし、県職員に助けてもらいながら、県民の知恵と力を結集し、東日本大震災津波の経験に基づき、引き続き復興に取り組みながら、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわてを目標に進んでまいります。
 次に、ロシアのウクライナ侵攻と平和についてでありますが、今般のロシアによるウクライナ侵略は、国連憲章に反する行為であり、全く認められるものではなく、ロシアは、直ちに武力行使を停止し、部隊をウクライナから引き揚げるべきであります。
 一方、ロシアが暴挙に及んだ背景には、NATOの東方拡大にロシアが強い脅威を感じていたからであり、事態の平和的解決に向けては、いわゆる東西の対立が際立たないようなNATO側の工夫と、ロシアを国連の枠組みのもとで国際社会に復帰させる工夫が必要と考えます。
 大国の力による現状変更と呼ばれる事態には、それ相応の利害関係が背景としてあることから、まずは、そのような利害関係を外交で調整することが、平和維持の基本であると考えます。
 なお、大国も含め世界中の国々が力を合わせて違法な軍事力行使を防ぐためにつくられたのが国際連合であり、国連の枠組みを生かした平和外交の発展が求められると思います。
 次に、原子力発電に対するスタンスについてでありますが、東日本大震災津波による原発事故の影響によって、本県でも、放射性物質に汚染された農林業系副産物の処理、原木シイタケの出荷制限、風評被害対策などの大きな問題が生じ、現在もそれらの課題に対処しているところであります。このような原発事故の影響を経験してきた本県においては、原子力発電やエネルギー政策に対する県民の思いを十分に踏まえた対応が必要と認識しております。
 県としては、2050年度の温室効果ガス排出量の実質ゼロの実現に向け、第2次岩手県地球温暖化対策実行計画に基づき、省エネルギー対策の推進や森林吸収源対策とともに、地域と共生した再生可能エネルギーの導入を促進してまいります。
 次に、野党の結束と今回の参議院議員選挙の意義についてでありますが、現在、日本で野党の結束が形としても力としても一番できている県の一つが岩手県だと思います。そこには多くの党派が参加しているだけではなく、いわゆる無党派の県民も大勢参画しています。
 今回の参議院議員選挙は、コロナ禍、物価高騰、ウクライナ戦争の中で行われる、いわば非常事態のもとでの参議院議員選挙であり、その重要性が極めて大きいということは、議員のおっしゃるとおりと思います。
 日本独特の円安、賃金安、景気の低迷など、我が国のここ10年の政策、そして政治のあり方が問われており、まさに正念場であります。岩手県民も含め、国民の生活が少しでもよくなるように、私も力を尽くしてまいりたいと思います。
 その他のお尋ねにつきましては、企画理事及び関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔企画理事兼環境生活部長白水伸英君登壇〕
〇企画理事兼環境生活部長(白水伸英君) まず、地熱発電の現状と今後の方向性についてでありますが、地熱発電は、再生可能エネルギーの中でも安定した発電が可能なベースロード電源という長所を有し、県内では、豊富な地熱資源を活用して、現在、3カ所の地熱発電所が稼働しておりまして、さらに2カ所で建設が進められております。
 稼働中の発電所のうち、議員御指摘の葛根田地熱発電所1号機の廃止ですけれども、地熱蒸気量の減衰に伴い、蒸気を2号機に集約させ効率的な運用を図るものであり、発電電力量は現状と変わらないものと事業者である東北電力から聞いているところです。
 地熱発電は、発電事業者が効果的な地熱蒸気を効率的に掘り当てられるかどうかといった地下資源特有のリスクがあるほか、開発には多額の費用と時間を要するなどの課題があると認識しております。
 県としては、低利融資制度による県内企業への支援や、開発計画が地域の理解を得て進められるよう、地元市町村と連携し、事業者が開発を進める上で必要な技術的助言を行うなど、地熱発電の導入を支援してまいります。
 次に、地熱発電の地域貢献についてでありますが、地熱発電は、発電の際に発生する熱水を周辺地域に供給することで、農業や観光など地域の産業にも活用されています。県内でも、議員御紹介の熱水を活用した八幡平市におけるバジル栽培のほか、マッシュルームの栽培、ホテル、旅館での利用など、地域振興につながるさまざまな取り組みが行われています。
 県ではこれまで、いわて地熱フォーラムやいわて気候変動チャレンジフェスタなどの普及啓発イベントにおいて、地熱発電に対する理解促進を図ってきたところでありますが、今後も引き続き、環境人材を育成するいわて環境塾における地熱の知識習得など環境の教育を進めるとともに、地熱発電の観光資源としての活用など、地域資源としての地熱発電の価値を積極的に発信してまいります。
 次に、再生可能エネルギーの利用促進と国際連携についてでありますが、県では、第2次岩手県地球温暖化対策実行計画に掲げる目標達成のためには、全国の中でも潜在力の高い風力、地熱を初め、太陽光、水力、バイオマスなどの再生可能エネルギーについて、自然環境との調和に配慮しながら、地域住民の理解のもと、地域経済や地域の特性に応じ導入、利用拡大を図ることとしております。
 具体的には、国に対し、導入の課題となっている送配電網の強化等を要望するとともに、市町村に対しては、地域新電力を設立、運営する際の助言や、国の脱炭素先行地域の選定を受け、再エネ設備の導入を目指す際の支援等を行いますほか、事業者に対しては、本定例会に提案しております補正予算案に、太陽光発電設備や蓄電池設備、電気自動車の購入を一体的に行う場合の補助事業を盛り込んだところであります。
 また、国際連携については、国等では、再生可能エネルギー開発に向けた海外との技術提携などの動きも見られるところでありますが、県としては、開発リスクの低減など国際的な開発技術の動向を注視しながら、地域と共生する再生可能エネルギーのさらなる導入を促進し、地域経済と環境の好循環をもたらすグリーン社会の実現を目指してまいります。
   〔復興防災部長佐藤隆浩君登壇〕
〇復興防災部長(佐藤隆浩君) まず、被災者の低体温症への対策についてでありますが、本年3月に国が公表した日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震対策検討ワーキンググループの報告書に、積雪寒冷地特有の課題として、冬季は、屋外や寒い屋内での避難は低体温症のリスクが生じることが上げられており、具体的に実施すべき対策として、避難時や避難所における防寒対策が示されたところです。
 避難時における防寒対策については、避難する県民一人一人の備えが重要であり、市町村や報道機関等の協力を得ながら、防寒着やカイロ等を非常時の持ち出し品に加えることなどについて、県民への周知、普及啓発を強化していきます。
 また、避難所における防寒対策については、寒さから命を守るために必要な物資の備蓄等が重要と考えており、市町村に対して、毛布や防災アルミシートなどの防寒具、暖房器具などの備蓄を進めるよう強く働きかけるとともに、県においても、市町村における備蓄を補完するため、岩手県災害備蓄指針の見直しを検討していくなど、積雪寒冷地である本県特有の課題に的確に対応できる防災体制の構築に努めてまいります。
 次に、県民を守り、支え励ます県の決意についてでありますが、本県においては、東日本大震災津波の経験を踏まえ、最大クラスの津波を想定しつつ、さらに想定を超える可能性や整備された防潮堤や湾口防波堤では防ぎ切れない規模の津波も前提としながら、ハードとソフトを総動員した多重防御の考え方により、住民の避難を軸に減災に結びつけることとしています。
 本年3月に県が公表した津波浸水想定では、場所によって、東日本大震災津波を超える浸水域が生じるところもありますが、現在、検討を進めている地震・津波被害想定においては、定量的な被害想定に加え、減災に向けたソフト対策も示すほか、津波避難計画策定指針の改訂も行うなど、今後、津波避難対策が着実に実施できるよう、鋭意検討を進めているところです。
 本県はこれまで、明治、昭和の三陸大津波やチリ地震津波、そして、東日本大震災津波など、何度も大きな津波災害に見舞われてきましたが、決してくじけず、県民が一丸となってこれらの苦難を乗り越えてきたところであり、再び津波による犠牲者を決して出さないという強い決意を県民や市町村等としっかりと共有し、あらゆる主体と連携しながら、何としても命を守ることを主眼とした津波避難対策に全力を挙げて取り組んでまいります。
   〔農林水産部長藤代克彦君登壇〕
〇農林水産部長(藤代克彦君) まず、サケ資源の回復についてでありますが、国の不漁問題に関する検討会の報告書によれば、サケ不漁の要因は、海洋環境の変化に伴う春先の海水温の上昇や、餌となるプランクトンの減少等により、放流後のサケ稚魚が十分に成長できず、生き残る割合である生残率が低下したことなどとされております。
 県では、サケ稚魚の生産に必要な種卵の確保に向け、定置網で漁獲されたサケの活用や県外からの確保に努めるほか、生残率が高いとされる大型で強靱な稚魚の放流に向け、生産技術の普及に取り組んできたところです。
 昨年度にあっては、極端なサケの不漁により計画どおりの種卵の確保に至らなかったことから、今年度は、定置網で漁獲されたサケの活用はもとより、県外からの確保に向け、国に対し、全国的な調整を要望するとともに、これまで以上に他県への積極的な働きかけを行っております。
 また、昨年以上に大型で強靱な稚魚を確実に生産し確保していくため、改良した餌等を本格的に導入することとしており、こうした取り組みにより、サケ資源の早期回復に向け、漁業関係団体と連携しながら全力を挙げて取り組んでまいります。
 次に、三陸の漁業についてでありますが、本県の漁業は、世界有数の漁場である三陸の海を生かしながら、サケ等の沿岸漁業とワカメ等の養殖業を主体に発展してきたところであり、こうした歴史を、就業を希望する若者等へ伝えていくことは、本県漁業への理解を深め、意欲を高める重要な取り組みと考えております。
 いわて水産アカデミーでは、漁業の知識や技術を学ぶ座学研修と漁業指導者から実技指導を受ける現場実習を行っており、研修生は、これまで漁業指導者から実技指導を受ける中で地域漁業の歴史等を学ぶほか、地域行事への参加を通じて漁村の歴史や文化に触れてきたところです。
 こうした中、漁業関係者から、漁業の歴史を学ぶ取り組みをこのアカデミーのカリキュラムに取り入れてはどうかとの提案があり、本年度から、ベテラン漁業者を講師として、本県漁業の歴史を学ぶ研修を来月行うこととしております。
 県としては、引き続き、カリキュラムの充実等を図りながら、本県の漁業を牽引する担い手の育成に取り組んでまいります。
   〔ふるさと振興部長熊谷泰樹君登壇〕
〇ふるさと振興部長(熊谷泰樹君) まず、日本語教育の推進についてでありますが、外国人県民が不便を感じることなく暮らしていくためには、県内のさまざまな主体が連携して地域日本語教育に取り組んでいくことが必要であり、令和3年度に岩手県における日本語教育の推進に関する基本的な方針を策定するとともに、産学官で構成する、いわて地域日本語教育推進会議を設置の上、全県的な地域日本語教育の推進を図っているところであります。
 県ではこれまでに、日本語サポーター養成研修などの事業を推進してきたところでありますが、今年度は、新たに地域日本語教育コーディネーターの派遣による新規の日本語教室の開設支援やオンラインによる日本語学習講座の実施など、さらなる学習機会の拡充に取り組んでいきます。
 また、県内各地の日本語教室に対しては、コーディネーターによる専門的な指導、助言を行うほか、県国際交流協会が運営費の助成を行うなど、関係団体と一体となったバックアップを行っております。
 日本語教育の推進には、指導者の養成、確保が重要と認識しており、これまで、やさしい日本語普及セミナーなどを通じた人材の掘り起こしや資質向上に取り組んでまいりました。これに加え、今年度、新たに岩手県、秋田県、山形県の3県の大学と国際交流協会等が連携して地域日本語教育人材の養成を行う取り組みが開始されており、こうした動きとも連動しながら、若い方々を含めた人材の育成、確保に努めてまいります。
 次に、外国人の生活支援についてでございますが、県では、外国人県民等からの各種相談を一元的に受け付ける相談窓口として、いわて県民情報交流センターアイーナに、いわて外語人県民相談・支援センターを設置し、多言語での対応を行っております。相談に当たる職員は、各種研修等への参加により多文化への理解や対応スキルの向上を図っておりますほか、複雑な事案については、事情をよく伺った上で、弁護士等の専門家による相談も実施しているところであります。
 また、地域で外国人が生活する上で最も身近な窓口となる市町村や地域の国際交流協会等の職員を対象とした人材育成研修会を開催し、災害時の多言語による外国人支援等について学ぶ機会を設けるなど、地域において支援を担う人材の育成にも取り組んでおります。
 外国人県民が地域社会の一員として共生していくためには、受け入れる側においても、相手の文化や考え方、個々の事情を尊重する姿勢が求められますことから、県といたしましては、多文化共生理念の普及啓発にも取り組みながら、今後も、市町村や国際交流協会等の関係機関と連携し、各地域で外国人県民を支える人材育成を図ってまいります。
   〔商工労働観光部長岩渕伸也君登壇〕
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) まず、ありのままの姿を守り、静かで穏やかな旅を提供することについてでありますが、岩手県は、三つの世界遺産や二つの国立公園など、知名度の高い観光資源を有するとともに、人混みを離れ、個人の嗜好に合った自然や文化をゆっくりと体感できる場所も数多く有しております。
 こうした資源を大切にし、旅を楽しむ一人一人が、自分の考えで旅を自由に組み立て、本県の多彩な魅力を満喫できるようにしていくことは、とても重要なことと考えております。
 そうした旅の提供に当たっては、旅マエ、旅ナカの情報発信が大切であることから、交通網、道の駅などのレストランやトイレを初めとしたさまざまな情報を、SNSなどにより情報発信を的確に行い、多くの方々に岩手県のありのままの魅力に快適に触れていただけるように努めてまいりたいと考えております。
 次に、地域の魅力を向上させる支援についてでありますが、観光産業を持続的に発展させていくためには、魅力的な観光地域づくりはもとより、宿泊施設の従事者を初め、旅人を支える方々の満足度を向上させていくことも重要であると考えております。
 県では、こうした考え方のもと、県観光協会と連携して、観光業務に従事する職員の意欲の高揚と資質の向上を図ることを目的とした表彰の実施や、おもてなしの実践力を高めるための研修会の開催などを行っているところです。
 今後も、宿泊施設や市町村観光協会、DMOなどを初め、地域が一体となって誇りと愛着を持った観光地域づくりが進められるよう、研修会の一層の充実のほか、ウエブやSNSなどを活用した情報発信の支援に取り組んでまいります。
   〔文化スポーツ部長熊谷正則君登壇〕
〇文化スポーツ部長(熊谷正則君) 祭りや民俗芸能の継承についてでありますが、本県には、地域に長く伝わる祭りや民俗芸能が数多くあり、ユネスコ無形文化遺産の早池峰神楽を初め、神楽、鹿踊、剣舞、田植踊など、多種多様な芸能が継承されています。
 このため県では、伝統芸能、伝統行事の公開、後継者育成等の取り組みに対し、文化庁事業や岩手県文化振興基金事業を活用した支援を行っているほか、岩手県民俗芸能フェスティバルの開催や、県外の民俗芸能団体と交流を行い、若い世代の誇りや意欲を高める機会とするなど、担い手の確保、育成、継承に向けた取り組みを行っているところです。
 さらに、民俗芸能フェスティバルのインターネットによる映像配信やいわての文化情報大事典のユーチューブチャンネルにおきまして、100を超える民俗芸能の動画を収集、公開するなど、文化芸術のDXも進め、岩手県の誇る祭りや民俗芸能が次世代に着実に引き継がれていくよう取り組んでいきます。
   〔教育長佐藤博君登壇〕
〇教育長(佐藤博君) まず、互いを尊重しながら相互理解を深める教育についてでありますが、教育基本法に掲げられた教育の目的と目標を踏まえますと、平和に関する教育は、人格の完成を目指す教育の根幹であると認識しており、互いを尊重しながら多様な生活や文化を理解する教育は、極めて重要であると捉えています。
 県教育委員会では、岩手県教育振興計画において、豊かな心の育成を重点として掲げ、自他の生命を大切にし、他者の人権を尊重する心を育成する道徳教育や人権教育の充実に取り組んでいるところであり、各学校では、道徳を初めとした各教科等の授業のほか、例えば、学校行事などで、互いの立場を尊重して話し合い、協力し合うことの大切さを指導しているところです。
 一方で、インターネットやSNSなどの情報化社会の急速な変化により、世界中のさまざまな情報を瞬時に得ることが可能となることや、多様な人々とコミュニケーションを行うことができるようになった反面、誤った情報や偏った意見、批判等にも触れてしまうことで、自分自身が傷ついたり、他者を容易に傷つけてしまったりする危険性が生じるなど、新たな課題への対応が求められていると捉えております。
 今後は、多様な文化や価値観の違いを超えて他者の人権を尊重し、互いに思いやる豊かな心の育成に資するよう、引き続き学校現場において丁寧に指導を行うとともに、社会の変化に対応した教員研修を充実させ、道徳教育や人権教育の一層の充実に努めてまいります。
 次に、公教育の現場での平和に関する教育についてでありますが、本年度入学者から本格実施となった新しい高等学校学習指導要領において、地理歴史科や公民科の目標は、平和で民主的な国家及び社会の有為な形成者としての資質、能力を育成することとされており、地理歴史科の授業では、国際理解について諸資料に基づいて考察する学習を行ったり、公民科の授業では、幸福、正義、公正などに着目しながら現代の諸課題について主体的に考える学習活動が行われています。
 また、国語や英語の授業では、広い視野から国際理解を深め、国際協調の精神を高めるのに役立つ教材を用いて学習し、平和な共生社会を築き、国際社会に貢献しようとする態度を育成するとともに、学校行事では、修学旅行で広島や沖縄を訪れた際に、原爆投下や沖縄戦に関係する史跡や資料館を見学し、戦時中の体験について話を聞くなど、学校の教育活動全体で平和に関する教育に取り組んでいるところです。
 さらに、全国の高校生が平和について訴える高校生平和大使の活動に、岩手県からも生徒が参加し、国連欧州本部への訪問や平和に向けた署名活動などを主体的に行っており、今後も、平和に関する教育の一層の充実に努め、各学校や生徒の取り組みを支援していきたいと考えております。
〇2番(上原康樹君) 津波対策、心のケアについて再質問でございます。
 一度大きな津波を体験してしまいました。被災された方が、また新たな津波の予想に対して今どのような思いでいるのか、特にどういうところに不安を抱えているのか、どうしようとしているのか、細かく意向を調査する必要があると思います。県のお考えをお示しください。
〇復興防災部長(佐藤隆浩君) 津波浸水想定に関する被災者の状況についてでございます。いろいろな相談の場を通じて、被災者の意向等、あるいはどのようなことを経験したか、どのようなことを思っているのかということは、いろいろな場で情報等を集めて調査しております。
 それを体系的にまとめることも必要かと思っておりますので、今まで、どのような相談が寄せられて、どういう状況になっているのか、集めた相談の内容等を整理することが必要かと思っております。そういう作業をした上で、改めて追加で調査等する必要があるかどうかも含めて、今後、その辺についても検討させていただきたいと思っております。
〇2番(上原康樹君) きめ細かく調査して、活用できる声にしていただきたいと思います。お願いします。
 次は、ありのままの岩手県の自然についての再質問です。
 昨今、レジャーも大変多様化しまして、いろいろな旅の楽しみ方が出てきておりますが、いかがなものかという場面も少なからずあるようでございます。
 例えば、八幡平の山の上のほうに残雪がきれいな形を見せまして、竜の目のような、ドラゴンアイと言われる景観がございます。昨今、スノーボードでその周辺を滑るという風景も見られてきておりまして、そこで静かに竜の目を楽しむ人と、それから、竜の目を見ながら豪快に雪を滑る人たちと、楽しみ方が全く正反対の人たちが一緒の場にいるという現象が起きております。
 この辺、私から見れば、現場で本来の楽しみ方とは大きくかけ離れたレジャーというのはいかがなものか、その辺の規制まで含めて、県はどう考えているのかお知らせいただければ幸いです。
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) ドラゴンアイにつきましては、ここ五、六年だと思うのですが、非常に人が集まるようになっています。その前には私もよく行っておりましたが、そんなに人がいなかった場所が、今、車をとめる場所もないくらいの状況になっています。そういう場所で1回人が集中的に集まると、どうしてもマナー違反とか、そういう者が出てくるのは、ほかにも多々事例があるかと思っております。
 規制についてですけれども、規制の仕方を含めましてどのようにしていけばいいのかというあたりは、関係部局とも連携しながら、きちんと考えて、そういうものが失われないように、しっかりとやることはやるといったスタンスで考えていきたいと思います。
〇2番(上原康樹君) めり張りをつけて対応していただきたいと思います。
 最後に、教育長に伺います。平和教育というものについては、いろいろな考え方の方がいらっしゃいます。戦争に反対すると言うと、何か国を守るにはどうしたらいいのか、では、どうするのかという厳しい意見もあります。いろいろなものにぶつかると思うのです。
 その中で、先ほど御紹介いただいた平和教育というものは、決してたやすいものではないのではないかと思いますけれども、現実的に、今課題と思っていらっしゃること、問題と思っていらっしゃることがあれば御説明ください。そして、どうしようと思っていらっしゃるのか、お願いします。
〇教育長(佐藤博君) 平和教育についてでございますけれども、SDGsの目標の一つにも平和というものがありまして、これが道徳であるとか総合的な学習の時間の題材としても取り上げられて、そして、よりよい社会の実現について子供たちが考えを深めていくといった取り組みもしております。
 また、昨日、6月29日は平泉世界遺産の日でもありました。地元平泉の小学生たちが、平和への願いが歌詞に込められた平泉讃歌を合唱したり、それから、平泉ユネスコ協会文化財愛護少年団の子供たちが、世界平和を願うメッセージを読み上げたといった取り組みもしております。
 子供たちが、このように主体的な取り組みもしておりますし、それから、NIE教育にも力を入れております。新聞等を活用して、さまざまな考えやいろいろな報道等に触れながら、そこから、さまざまな考えがあるということも理解しながら、自分たちが主体的に、どのような形で平和に向けてかかわっていくかといったところにも取り組んでいるところがあります。
 岩手県、そして日本の未来を担って、そして、国際社会の中で平和と発展に寄与する、そういった人材になっていただきたいと考えておりまして、教育に携わる全ての関係者が、岩手県の子供たちに、しっかりそういったことを支えて、そして育んでいきたいと考えております。
〇議長(五日市王君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
   
   日程第2 議案第1号令和4年度岩手県一般会計補正予算(第3号)から日程第23 議案第22号野球場の管理等に関する事務の委託の協議に関し議決を求めることについてまで
〇議長(五日市王君) この際、日程第2、議案第1号から日程第23、議案第22号までを一括議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の通告がありますので、発言を許します。斉藤信君。

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