令和4年6月定例会 第21回岩手県議会定例会会議録

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〇3番(小林正信君) 公明党の小林正信です。
 一般質問の機会をいただいたことに感謝申し上げ、これまでの皆様の御質問と重複する部分もございますが、通告に従って質問させていただきます。
 東日本大震災津波からの復興についてお伺いします。
 本年3月11日をもって、東日本大震災津波から11年が経過しました。まずもって、震災により亡くなられた全ての皆様の御冥福を心よりお祈り申し上げるとともに、被災された全ての皆様にお見舞いを申し上げます。
 私の所属する公明党岩手県本部におきまして、本年1月から2月にかけ、被災者の皆様から聞き取り調査を行い、その内容を要望書としてまとめ、県に提出させていただきました。この中で浮き彫りになったのが、被災者の孤独、孤立化、生活困窮、コロナ禍による沿岸被災地の経済の冷え込みによる影響などであり、ハードの復興はほぼ整ったものの、依然、沿岸被災地は厳しい状況にあると実感いたしました。
 現在、県では、岩手県社会福祉協議会と連携して生活支援相談員を配置し、東日本大震災津波の被災者に対する戸別訪問による見守り等を行っておりますが、今後を見据えたとき、地域の高齢者や生活困窮者、課題を抱えた方たちの相談支援を行うコミュニティーソーシャルワーカーの育成が必要と考えます。
 そこでまず、いわゆる断らない相談支援である重層的支援体制整備事業の沿岸被災地における充実について、また、この事業を担うコミュニティーソーシャルワーカーの育成について、県のお考えをお伺いします。
 複合的な困難や課題を抱えた相談者に対して、いわて被災者支援センターは、令和3年度の開設より包括的な支援を行っております。相談件数も増加傾向にあり、取り組みの充実が必要と考えます。また、これまでのいわて被災者支援センターの取り組みを一過性のものとして終わらせないためにも、事業をしっかりと振り返り、今後に生かしていくことが重要です。
 センターの取り組みの充実強化についてのお考えと現在の取り組みを継続していくため、また、次なる取り組みにつなげるために、県はどのようにお考えかお伺いします。
 いわて被災者支援センターの行っている取り組みは、被災者の状況にあわせた支援という点で、災害ケースマネジメントに近いものと考えます。
 災害ケースマネジメントは、2005年にハリケーンカトリーナで甚大な被害が出たアメリカで始まったとされています。人を制度に合わせるのではなく、その人の課題に合わせて、あらゆる手段を尽くして生活再建をサポートする取り組みであり、その特徴として、世帯でなく個人を対象にする、アウトリーチによる申請主義の克服、住宅から就労、福祉までを総合的、計画的に支援する、多職種、官民連携で支援を行うといった点が挙げられます。
 鳥取県では、2016年10月に発生した鳥取県中部地震から2年後の2018年、災害ケースマネジメントの手法による被災者支援を全国の自治体で初めて条例に位置づけました。鳥取県の事業の一環として設置された震災復興活動支援センターの職員らが、被災した世帯約480世帯を訪問、聞き取り調査を行い、災害ケースマネジメントを県内全域で展開できるよう、県災害福祉支援センターを昨年4月に設立、各市町村と連携して体制整備を進めているとのことです。
 東日本大震災津波を経験した岩手県こそ、災害が発生した際に災害ケースマネジメントを展開できるよう、平時より準備を行い、また、さまざまな主体との連携を行っていくべきと考えますが、知事の御所見をお伺いします。
 次に、脱炭素社会の実現についてお伺いします。
 創造的復興という言葉は、阪神・淡路大震災を受け、兵庫県が用い始めたものと言われております。東日本大震災津波においても、当初から、この創造的復興という考え方が各方面から示され、県としても、震災前を上回るよりよい復興を目指して力を尽くしてきたものと思います。
 しかしながら、先ほども述べたように、被災地は依然として厳しい状況と考えます。県では、ILCの誘致実現が創造的復興につながるとの観点をお持ちかと存じますが、一方で、海により甚大な被害を受けた岩手県が、その海の力を活用して地域の振興に取り組んでいくことも、創造的復興につながるのではないかと考えます。
 そこで、特に沿岸地域の資源を活用した脱炭素社会実現の取り組みについてお伺いします。脱炭素社会実現の鍵を握る再生可能エネルギーの中でも、四方を海に囲まれた日本の強みを生かせる洋上風力発電は、各方面から大きな期待が寄せられております。
 洋上風力発電については、県としても、海洋エネルギー関連産業創出推進事業において、事業化に向けた関係者との合意形成を図るとしております。
 また、同事業においては、釜石市沖における波力発電の研究開発支援を実施するとしております。同事業は今年度からの新規事業ではありますが、今後、沿岸海域における再生可能エネルギーの推進において、大きな可能性を含んだ事業と考えております。
 そこでまず、岩手県沿岸地域における洋上風力発電、また波力発電の今後の方向性について、県のお考えをお伺いします。
 報道では、東北電力株式会社とフランスの民間企業が、久慈市沖における浮体式洋上風力発電の共同事業化に向けた実現可能性調査を開始したとの報道がございました。
 政府のグリーン成長戦略では、洋上風力発電の導入へ官民の協力体制をつくることが盛り込まれており、今後、岩手県の沖合にも、産業界から多くの企業が参入することも考えられます。洋上風力は産業の裾野が広いと言われており、数万に及ぶ部品の組み立てや設置作業に携わる関連企業を育てることは、地域経済の活性化、沿岸被災地の創造的復興にも寄与するものと考えます。
 今後、県として洋上風力発電の実現を見据えて、国内、海外の先進事例を調査し、県内において洋上風力にかかわる産業を創出できるよう準備を整えていくべきと考えますが、御所見をお伺いします。
 沿岸域の海草や藻類など、海洋生物に吸収、貯留されたCO2はブルーカーボンと呼ばれます。
 普代村と横浜市は、再生可能エネルギーに関する連携協定を締結し、2020年、横浜ブルーカーボン・オフセット制度に基づき、普代村の養殖ワカメと養殖昆布の水揚げ高から算出されたCO2の吸収、固定量をもとに、令和2年に横浜市からクレジットとしてCO2吸収量58トンの認証を受けたとのことです。
 こうした普代村の取り組みを踏まえ、令和3年に策定されたいわてゼロカーボン戦略においては、ブルーカーボンの有効性の検討や普及啓発に取り組むと明記されております。令和4年度からは、県内において、ICTを活用し藻場の炭素吸収量を試算する国のモデル事業にも取り組むとのことであり、取り組みの進展に期待するものであります。
 また、国土交通省では、脱炭素社会の実現に向けて、ブルーカーボンを活用した港湾、沿岸域における環境課題解決の検討を進めており、今般、横浜港等において、NPOが藻場や干潟の保全活動により創出したCO2について、企業との間で試行的にクレジット取引されることとなったそうです。
 岩手県としても、試算した炭素吸収量について、将来的には、企業等とクレジット取引をすることも考えられ、今後、国を初めとするあらゆる主体との連携も必要になってくるかと考えます。また、ブルーカーボンの取り組みを進める上では、藻場の再生、磯焼け対策も重要であります。
 国のモデル事業の今年度の取り組みについてお伺いするとともに、藻場の再生について、県として今後どのように進めていくのかお伺いします。
 ブルーカーボンの取り組みは、県の取り組みを基本にしながらも、先ほども述べたような国との連携、また、地域で藻場の再生に取り組むNPOなどの民間団体との連携も必要になると考えます。
 多くの県民にブルーカーボンの考え方を共有していただくため、海による脱炭素社会の形成について県民意識の醸成に取り組むべきと考えますが、知事のお考えをお伺いします。また、あわせて、今後の沿岸被災地の海洋資源を活用した脱炭素社会の形成についてのお考えをお伺いします。
 県は、現在休止している陸前高田市のオートキャンプ場モビリアについて、来年の再開に向け整備事業に取り組んでいます。この整備に当たっては、設計施工を一括発注するデザインビルド方式を採用し、公募型プロポーザルを実施したと伺いました。民間のノウハウを十分に活用し、さらに事業費の圧縮も期待できることから、今般のデザインビルド方式によるモビリアの整備は、今後の岩手県における公民連携にとって重要な事業であると考えております。
 特に、沿岸被災地の復興を考えたとき、沿岸地域におけるさらなる民間活力の導入、PPP、PFIの推進が必要ではないかと考えます。また、岩手県としても、財政状況の厳しい中、老朽化した施設の更新、新たな施設整備の必要性を考えたとき、民間のノウハウを積極的に活用すべきであり、市町村に対する助言、支援も積極的に行っていくべきと考えます。
 岩手県では、既に各自治体において民間活力導入が先行的に進んでいる状況と思いますが、県として、もう一歩進んだ公民連携への取り組みが必要ではないでしょうか。
 今後の岩手県における公民連携の具体的な方向性をお示しいただくとともに、沿岸被災地におけるPPP、PFIの推進についてのお考えをお伺いします。
 以上、沿岸被災地の復興の観点から、脱炭素社会の形成、民間活力の導入について取り上げさせていただきましたが、いずれにいたしましても、沿岸被災地の本当の復興なくして、幸福を守り育てる岩手の実現はないものと考えます。岩手県が日本の、また世界の復興のモデルケースとなるよう、さらなる取り組みの充実を望みます。
 県民の幸福を守り育てる上で、第1に重要である点が健康増進施策の推進であると考えます。しかしながら、岩手県においては、特に脳血管疾患については、令和3年1月から12月までの脳血管疾患、いわゆる脳卒中の死亡者数は1、862人で、前年に比べて14人減少しているものの、10万人当たりの粗死亡率は156.6と、全国の85.2に比べ大幅に高い値となっております。
   〔議長退席、副議長着席〕
 国では、脳血管疾患を含む循環器病に対し、迅速かつ適切な医療を提供できる体制を全国に整え、予防策の充実や研究の推進を目指す脳卒中・循環器病対策基本法(健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法)が、2018年に成立しております。
 岩手県としても、本年3月に岩手県循環器病対策推進計画を策定し、本県の状況や地域特性を踏まえ、循環器病の予防、早期発見、早期治療、再発の予防等を推進していくこととしており、今年度は、循環器病等予防緊急対策事業によって、事業所を対象とした血圧管理など、生活習慣病の予防に係る取り組みを推進しております。
 また、毎月28日をいわて減塩・適塩の日とする取り組みや、企業における健康経営の促進など、県民の健康意識の醸成に取り組んでおりますが、先ほど述べたような全国との比較を考えたとき、県としても、より踏み込んだ取り組みが必要と考えます。
 デジタル社会・DX推進調査特別委員会において、八幡平市のAP TECH株式会社の大西代表のお話を興味深くお伺いいたしました。現在、アップルウォッチをウェアラブル端末として高齢者の見守りアプリを提供しておりますが、今後、アップルウォッチで取得したバイタルデータを活用し、脳血管疾患の前駆症状を捉え、利用者に対しアドバイスを行う事業を進めていると伺いました。
 今後、県としても、まずはモデル的にデジタル技術等を活用した循環器病対策、脳血管疾患対策を進めていくべきと考えますが、御所見をお伺いします。
 循環器病対策基本法では、患者の搬送や治療、リハビリ、後遺症への福祉サービスに関する体制整備についても、循環器病対策の基本理念として掲げていると理解しております。
 ドクターヘリが県内に導入されてから10年、救急患者の救命率は向上してきたものと思います。脳血管疾患においては、症状が出てからの速やかな処置が重要とされており、例えば脳卒中の7割を占める脳梗塞の場合、血栓を溶かす薬を投与するt-PA療法を直ちに行えば、症状が改善する確率が高くなるとされております。横浜市では、同療法に対応した救急搬送体制を整え成果を上げていると伺いました。
 岩手県におきましても、脳血管疾患に対応した救急医療体制については、十分な整備がなされているかとは思いますが、現在の整備状況及び課題についてお伺いします。
 先ほど紹介したAP TECH株式会社のように、デジタルトランスフォーメーションとヘルスケアを組み合わせ、住民の健康を守る取り組みが各地で進んでおります。
 岩手県においても、昨年度、県民総参加型健幸度アップ支援事業として、委託先が開発したアプリを活用し、利用者がウオーキングに積極的に参加し、健康を維持する取り組みを実施しました。健康寿命の延伸のためには、こうした予防の取り組みは重要と考えます。
 大阪府の国立循環器研究センターでは、吹田市と連携して、特定の市民を対象に、健康情報を一元化し、データ解析を通じて新たな病気の予防策や治療法の開発につなげるデジタルヘルスケア構想を推進しているとのことです。将来的には、病院や事業所などの各機関が、独自で保存している診療や健診、健康データに関する情報を一元化するデータサーバーを構築し、蓄積されたデータをもとに、病気の予防や予測医療の進展に寄与していく方向性を示しております。
 こうした取り組みは、矢巾町においてもスーパーシティ構想を前提に進められていると認識しておりますが、県としての医療分野におけるデジタルトランスフォーメーションについて、今後の取り組み、また、方向性についてお伺いいたします。
 次に、子育て支援についてお伺いします。
 さきの国会において、こども家庭庁設置法案が成立、全国の市区町村に子育て世代包括支援センターと子ども家庭総合支援拠点を一体化したこども家庭センターの設置を進めるなど、子育てをめぐる政策が進む中、岩手県においても、知事を本部長とする、いわてで生み育てる支援本部が設置されました。急速な少子化への対応、また、出産、子育てをめぐる岩手県の環境整備が急がれる中、支援本部の取り組みは重要と考えます。
 支援本部では、設置からスピード感を持って子育て施策の立案、実施に取り組んでこられたことと思いますが、本部長として、知事はどのような課題意識を持って取り組んでいかれるのかお伺いします。
 県は今年度より、新たに産後ケア事業利用促進事業費補助金を創設し、県内における産後ケアの無償化を実施しております。県内各市町村における産後ケア事業の実施、充実を促す点で重要な取り組みであり、財政状況の厳しい中、予算を確保されたことは評価できると思います。しかしながら、支援本部を設置し、さらなる子育て環境の充実を期する岩手県としては、より一層の取り組みが必要とも考えます。
 山梨県では、県と県内全市町村の連携による山梨県産前産後ケア事業を学校法人健康科学大学が受託、健康科学大学産前産後ケアセンターとして運営し、宿泊型ケア、日帰り型ケア、健康教室、個別相談などを実施しているとのことです。
 本県としても、支援本部における議論を深めながら、山梨県など他県の取り組みも参考に、さらなる産後ケアの充実を図っていくべきと考えますが、御所見をお伺いします。
 先日、母子健康手帳に関して、我が党の県本部女性局から、知事及び県に要望書を提出させていただきました。母子をめぐる状況が変化する中、これまでは母子保健の利用者のニーズを把握する機会が少ない状況であり、要望では、県として、利用者の声を聞きながら、母子健康手帳の改定を行うよう求めさせていただきました。
 特に、早産などにより小さく生まれた赤ちゃんと保護者のために、リトルベビーハンドブックの作成が必要と考えます。通常の母子健康手帳の記入欄は体重が1、000グラムからであり、身長は40センチからと、それ以下の体重、身長を書くことができません。
 静岡県では、低出生体重児を持つお母さんを励まそうと、当事者のグループと自治体が、低出生体重児向けの母子健康手帳、リトルベビーハンドブックを作成しました。成長曲線のグラフも、身長は20センチから、体重は何グラムからでも記入できるように工夫されており、こうした取り組みは、神奈川県を初め全国に広がりつつあります。
 本県においても、リトルベビーハンドブックを導入するなど、低出生体重児のための支援を拡充するべきと考えますが、知事の御所見をお伺いします。
 続いて、産業振興についてお伺いします。
 国においてデジタル庁が設置され、デジタル社会の形成に向けたデジタルトランスフォーメーションの推進に係る取り組みが進んでおり、県においても、いわてIT産業成長戦略を策定し、産学行政が一体となってIT産業の振興を進めることとしております。
 滝沢市IPUイノベーションパークは、IT産業の集積を目的として、県と滝沢市、岩手県立大学の連携により整備され、現在多くのIT企業が入居しており、岩手県立大学のソフトウェア情報学部の卒業生の受け皿として、さらなる拡充が期待されるところと考えます。また、イノベーションパーク内には、滝沢市IPUイノベーションセンターから独立し、自社のビルを構える企業もふえております。
 今後、岩手県のIT産業の振興を考えたとき、イノベーションパーク全体のさらなる拡充が必要であり、県としても、積極的に連携、協力していくべきと考えますが、御所見をお伺いします。
 医療機器関連産業に関しては、これまで何度か質問をさせていただいておりますが、やはり岩手県で生まれた新しい動き、あるいは産業を育てていくことが、岩手県全体の発展にとって重要と考えております。県の医療機器等関連産業イノベーション創出戦略では、2028年の医療機器の生産金額を575億円とする目標を掲げておりますが、2020年の生産金額はおよそ280億円と、前年に比べて100億円ほど減少しております。
 今後、コロナ禍の影響もあり、世界的にも医療機器関連産業への注目が増すものと考えますが、県としても、さらに岩手発の医療機器を他地域に、また世界に発信していく後押しをしていくべきと考えます。
 既に、毎年ドイツで開催されている世界最大の医療機器の見本市MEDICAを初め国内外の展示会へ岩手県の企業が出展しているところでありますが、県としても、さらに県内外、また国内外へ岩手県発の医療機器のアピールを、県民への宣伝も含めて後押しをし、充実させていくことで、生産金額の増、また産業のブランド化にもつながると考えますが、御所見をお伺いします。
 先日、法政大学イノベーション・マネジメント研究センターの田路則子教授の講演を伺う機会がございました。講演の中で教授は、企業における1、000イコール、20掛ける50の発想、つまり、地域において1、000人規模の大企業が1社あるよりも、50人規模の中小企業が20社あるほうが、地域の持続的発展に寄与するとの考え方を述べられておりました。
 この考え方のメリットとして、企業経営者が多くなることで多様性が増し、また、企業や経営者、人材の交流によってイノベーションが起こりやすくなる、あるいは、仮に1社が撤退、倒産したとしても、地域経済への影響が少なく、人材も他社に残ることができるなどを挙げられておりました。
 岩手県においては、県南地区において大企業の誘致、集積が進んでおり、これまでの県の御努力を評価するものではありますが、同時に、中小ベンチャー企業の振興、起業家の支援についても、より一層充実させるべきと考えます。
 県では、岩手イノベーションベース等において起業家の育成、交流等を行っておりますが、今後におけるベンチャー企業や起業家に対する支援の充実について、県のお考えをお伺いします。
 次に、就労支援についてお伺いします。
 現在、コロナ禍によって第2の就職氷河期世代が生まれるかもしれないと言われている中、心身の障がいを抱えている方やひきこもり状態の方、生活困窮者など働きづらさを抱えている方々は、さらに厳しい状況に置かれており、こうした方々に対し、個々人に合った丁寧な就労支援が今後必要となってくると考えております。
 陸前高田市が運営するユニバーサル就労支援センターは、働きづらさを抱えている全ての人に対する支援を目的に、当事者だけでなく、雇用する側の企業、団体への雇用支援、中間的就労導入支援なども行い、企業も利用者もともに安心して働くことのできる環境づくりを行っています。
 ユニバーサル就労という考え方は、静岡県富士市において生まれたものです。その基本理念は、さまざまな理由で働きたくても働くことができない状態にある方でも、本人の個性や意欲に合わせて多様な働き方をつくり出し、社会を構成する一員として、みずからの意思により社会経済活動に参加することとされており、県がいわて県民計画(2019−2028)の理念に掲げる社会的包摂にも通ずるものと思います。
 県としても、今後、ユニバーサル就労の考え方を踏まえながら、働きづらさを抱えている人々に対するより丁寧な就労支援の充実、拡充を図っていくべきと考えますが、御所見をお伺いします。
 兵庫県伊丹市においては、県から認定を受けた事業者が、生活困窮者や長期離職者、ひきこもりの方などを対象に、きめ細やかな就労支援を行い、伊丹モデルと呼ばれる模範的な取り組みを行っております。この伊丹モデルの特徴としては、県認定の就労訓練事業者に対する伊丹市の優先発注制度を通じて、公園の清掃や建物の管理、害獣の駆除などの業務を安定的に受託できる点が挙げられております。
 岩手県においても、二つの法人が就労訓練事業者の認定を受けておりますが、県内におけるこれらの事業者に対する優先発注の状況についてお伺いします。
 次に、新型コロナウイルス感染症対策についてお伺いします。
 新型コロナウイルス感染症の新規感染者数が全国的に増加する中、懸念されているのが、感染症の後遺症で苦しむ方の急増です。新型コロナウイルス感染症の後遺症は、発生のメカニズム等、不明な点も多く、治療法も確立していない現状で、WHOでは、新型コロナウイルス感染者の10人に1人が後遺症になる可能性があるとの見解を示しており、倦怠感や息切れ、記憶障害、嗅覚障害、集中力の低下など、その症状は多岐にわたります。
 厚生労働省は昨年、医療機関向けの手引、罹患後症状のマネジメントを公表しましたが、この手引は暫定的なもので、今後、さらなる実態を踏まえた改定が望まれております。
 埼玉県では、昨年から後遺症専門外来を開設し、県と医師会が、受診した方の症例をもとに、診療の指針となる症例集を作成、今後も地域の診療体制の整備を進める方針とのことです。
 岩手県においても新型コロナウイルス感染症患者が急増しており、後遺症で苦しむ方もふえることが懸念されます。今後は、かかりつけ医や各地域の総合病院、岩手医科大学等が連携し、診療体制の構築、診療のための指針等の作成も必要になるかと考えますが、新型コロナウイルス感染症の後遺症の取り組みの予定についてお伺いします。
 長期化する新型コロナウイルス感染症の影響により、多くの方が生活困窮状態に陥り、政府においては、緊急小口資金や生活困窮者自立支援金等、経済面の支援を中心に行ってきたと承知しております。
 しかしながら、今後は、経済的な支援と同時に、今回の質問でも述べさせていただいた世帯、また個人に合わせた伴走型支援、寄り添った中長期的な自立支援が、生活に困窮する方やさまざまな困難を抱える方にとって必要と考えます。
 政府は、令和3年度の補正予算と令和4年度の予備費を活用し、多様な支援ニーズへの対応、支援体制の強化を目的とした新型コロナウイルス感染症セーフティネット強化交付金を用意しましたが、県における同交付金の活用状況と今後における困窮者自立支援、また、支援に携わる団体への支援について、取り組みの予定をお伺いいたします。
 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 小林正信議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、災害ケースマネジメントについてでありますが、被災者が抱える多様な課題を解決するため、一人一人の被災者の状況を丁寧に伺い、関係者が連携して必要な支援を行う災害ケースマネジメントは、被災された方々が、一日も早く安心して暮らせる環境を取り戻すための有効な取り組みの一つと認識しております。
 県では、東日本大震災津波の後、被災者に対する迅速かつ的確な支援につなげるため、市町村が被災者一人一人の被害状況や支援の実施状況などを管理できるよう、被災者台帳システムを整備、運用するとともに、令和2年度までの間、沿岸地域4カ所に被災者相談支援センターを、盛岡市にいわて内陸避難者支援センターを設置し、相談員や弁護士などの専門家による被災者個々のケースに応じた相談対応を行ってきたところであります。
 また、経済面や生活設計の面などで複雑かつ多様な課題を抱える被災者を支援するため、令和3年度から、釜石市にいわて被災者支援センターを、盛岡市にサブセンターを設置し、専門家や市町村、市町村社会福祉協議会などと連携して、被災者一人一人の状況に応じた支援を行っています。
 県としては、こうしたこれまでの被災者支援への取り組みの成果と課題を踏まえるとともに、他県等の取り組み事例や、国が今年度作成、公表を予定している災害ケースマネジメントの標準的な手引書などを参考にしながら、住宅再建や生活資金、健康面など、被災者が抱える多様な課題に対応できる総合的な支援体制について検討を進めてまいります。
 次に、沿岸被災地の海洋資源を活用した脱炭素社会の形成についてでありますが、2050年度の温室効果ガス排出量の実質ゼロの達成に向けては、全国有数の再生可能エネルギーのポテンシャル等、地域の強みを生かした取り組みが必要と考えています。
 ブルーカーボンは、二酸化炭素の吸収源としての大きなポテンシャルが期待されており、国において、二酸化炭素の吸収、貯留量の計測方法確立に向けた取り組みが行われていると承知しております。
 本県は、ワカメや昆布等の海藻類の養殖が盛んであることを生かし、ブルーカーボンを活用した脱炭素の取り組みについて、議員御紹介の自治体間ブルーカーボン連携によるクレジット取引の拡大や、新聞等メディアへの効果的な発信などにより、市町村と連携しながら、ブルーカーボンの認知度向上や県民意識の醸成に取り組んでまいります。
 今後においても、ブルーカーボンに加え、洋上風力発電や波力発電といった沿岸地域の豊かな海洋資源を活用した脱炭素に向けた技術や制度を導入し、温室効果ガス排出量の削減にとどまらず、水産業を初めとした地域経済と環境の好循環をもたらすグリーン社会の実現を目指します。
 次に、いわてで生み育てる支援本部の取り組みについてでありますが、県ではこれまで、いわて県民計画(2019〜2028)や第2期岩手県ふるさと振興総合戦略を策定し、市町村などさまざまな主体と連携し、結婚、妊娠、出産、子育ての支援に取り組んできたところでありますが、本県の合計特殊出生率は、全国と同様に低下傾向にあり、危機的な状況にあります。
 その背景には、結婚、出産等を望む県民の皆さんが、さまざまな経済的、社会的困難に直面し、これらを諦める、いわゆる生きにくさが解消されていない状況があるものと認識しております。こうしたことから、いわてで生み育てる支援本部においては、生きにくさを生きやすさに変え、安心して子供を産み育てられる環境の充実に向けた政策に取り組むこととしており、今年度は、産後ケアの利用料無償化を行う市町村への補助、いわて幼児教育センターの設置、妊娠、出産や不妊に関する知識の普及啓発などの新規事業に取り組んでいるほか、民間企業などと連携した出会いの場の創出、県営住宅の収入要件の緩和などの事業や制度の拡充を進めているところであります。
 また、安心して子供を産み育てられる環境の充実に向けて、市町村、企業、関係団体、県民と一体となって、いわてで生み育てる県民運動を展開し、子供の誕生や成長をともに喜び、子育てを応援していく地域社会の実現を目指してまいります。
 次に、低出生体重児のための支援についてでありますが、本県においては、令和2年に生まれた低出生体重児のうち、体重が1、500グラム未満の子供は64人であり、出生数全体に占める割合は約1%となっています。
 低出生体重児が生まれる原因はさまざまですが、出生後に医療的ケアが必要となる場合が多く、保護者は育児上の困難を抱える傾向にあることから、低出生体重児及びその保護者に対し、丁寧な切れ目のない支援が必要であると認識しております。
 このため、市町村の母子保健施策の中で保健師による家庭訪問や育児相談などの支援が行われているほか、国、県、市町村の負担により養育医療として医療費助成を行っているところであります。
 議員御紹介のリトルベビーハンドブックについては、低出生体重児の成長や発達に寄り添った記録が可能となることや、保護者の心理的な負担の軽減といった効果が期待されること、また、県内の低出生体重児を持つ保護者の育児サークルからも御要望をいただいていることから、県としては、他自治体の先行事例も参考にしながら、当事者の方々からいただいた意見も踏まえ、作成について検討してまいります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔保健福祉部長野原勝君登壇〕
〇保健福祉部長(野原勝君) まず、沿岸被災地における重層的支援についてでありますが、重層的支援体制整備事業は、さまざまな支援ニーズを抱える地域住民に対する相談支援や参加支援などの個別支援に加え、住民同士が支え合う関係性を育み、社会的孤立を防止する地域づくりに向けた支援を一体的に実施するものであり、被災地における中長期的な支援体制を構築する上でも、有効な取り組みと考えております。
 現在、岩泉町など4市町が事業に取り組んでおり、実施市町村のさらなる拡大を図るため、県では、研修会の開催やアドバイザーの派遣などのノウハウ面の支援に加え、地域福祉における専門人材として、事業の中核を担うことが期待されるコミュニティーソーシャルワーカーの育成などにより、市町村の体制整備を支援しているところでございます。
 昨年度は、新たに沿岸市町村の5名を含む27名のコミュニティーソーシャルワーカーを養成したところであり、今後も、ノウハウ面での支援と専門人材の養成の両面から市町村の取り組みを支援し、実施市町村の拡大を図っていく考えであります。
 次に、デジタル技術を活用した脳血管疾患対策についてでありますが、議員御紹介の八幡平市における取り組みについては、遠隔見守りなどの取り組みがスタートしておりますが、今後は、取得したバイタルデータをもとに重篤化する前の予防活動に力点を移していくとともに、将来的には、脳卒中発症予測AIの開発も視野に入れて検討されていると伺っております。
 こうしたウェアラブル端末を活用した取り組みについては、全国的にも、高齢者の健康管理支援や不整脈の把握などの取り組み事例がございますが、脳血管疾患予防施策への反映や実装については、研究段階にあるものと承知しております。
 県としては、岩手県循環器病対策推進計画に基づき、事業所を対象とした血圧管理や健康経営の促進などの予防に係る取り組みを進めるとともに、デジタル技術を活用した先進事例についての情報を収集し、効果的な活用策の検討を進めてまいります。
 次に、脳血管疾患の救急医療体制についてでありますが、脳血管疾患は、発症後、早急に適切な治療を開始する必要があり、限られた医療資源の中で、広大な県土を有する本県においては、より円滑かつ効率的な救急搬送体制が求められていると認識しております。
 このため県では、傷病者の搬送及び受入れの実施に関する基準を定め、脳卒中が疑われる患者については、その基準に基づいて、県内20医療機関で受け入れを行っているところであり、脳の血管に詰まった血栓を点滴で溶かすt-PA療法については、県内13医療機関で実施する体制が整備されているところであります。
 また、高度な緊急治療を要する患者については、ドクターヘリによる搬送も行っており、令和3年度は52名の搬送を行ったところであります。
 議員から御紹介のあった横浜市の取り組みなど、他自治体の事例なども参考としながら、引き続き、県内の消防機関、医療機関と連携し、脳血管疾患に対応した救急医療体制の充実に努めてまいります。
 次に、医療分野におけるDXの推進についてでありますが、県では、いわて県民計画(2019〜2028)に健幸づくりプロジェクトを掲げ、健康、医療、介護のデータを連結するビッグデータの連携基盤の構築を進めてきたところであります。具体的には、国民健康保険などの県内各医療保険者などが保有する健診や医療、介護のレセプトデータなど、匿名化した上で集積する岩手県独自のシステムの構築を進めてまいりました。
 今後は、これまでに構築したシステムを活用した分析により、地域の健康課題の見える化を進め、市町村等が行う健康づくりの取り組みを支援するとともに、分析結果を踏まえ、SNSなどを活用して健康づくりに向けた情報発信を行い、県民の健康づくりを積極的に推進してまいります。
 次に、産後ケアの充実についてでありますが、産後ケアについては、妊産婦が身近な地域できめ細やかなケアを受けられる環境の整備が重要でありますことから、県ではこれまで、保健所単位で開催している連絡調整会議などでの意見交換や県内における産後ケア事業の事例集の作成、配布などを行ってきたほか、本年度は、新たに産後ケア利用料の無償化を開始し、市町村の取り組みが拡大するよう支援してまいりました。
 こうした取り組みを進める中、産後ケア事業に取り組む市町村は年々増加し、現在29市町村となっており、地元の宿泊施設を利用してデイサービス型事業を始めるなど、地域資源を活用した新たな取り組みも進んできております。
 議員からは、全県を対象とした産前産後ケアセンターの事例を御紹介いただいたところでありますが、広い県土を有する本県の地理的状況なども踏まえ、まずは、顔の見える身近な地域での産後ケアの充実に向けて、地域資源を活用した取り組みや、単独で実施が難しい市町村には広域での連携を提案するなどにより、市町村による取り組みが促進されるよう、引き続き支援してまいります。
 次に、働きづらさを抱える人々に対する就労支援の拡充についてでありますが、生活困窮者自立支援法に定める就労訓練事業は、雇用による一般就労を継続して行うことが困難な生活困窮者に、就労機会の提供及び訓練などを行う事業であり、県内では、盛岡市と一関市内にある計2法人が認定事業者となり、自立相談支援機関との連携により、いわゆる中間的就労の取り組みを実施しております。
 また、福祉ニーズの多様化、複雑化により、既存の福祉的就労制度では支援が困難なケースへの対応が求められている中、県内の社会福祉法人が共同で実施しているIWATE・あんしんサポート事業において、社会福祉施設を活用した中間的就労に取り組んでおり、さまざまな理由により安定して働けない方などの事情に応じ、軽作業の場を提供するなどの就労支援を行っています。
 こうした取り組みは、ユニバーサル就労の考え方と通じるところがあり、引き続き、市町村や社会福祉法人等と連携して、生活困窮者を初め、働きづらさを抱えている方々に対する就労支援に取り組んでまいります。
 次に、就労訓練事業者に対する優先発注についてでありますが、兵庫県伊丹市では、市内の認定就労訓練事業者2法人を地方自治法施行令の随意契約可能な者として取り扱い、優先発注制度により受注機会の増につなげているものと承知しております。
 本県の認定事業者2法人については、就労訓練事業者としては県や市からの優先発注対象とはなっていないところでありますが、1法人については、運営する障がい者就労支援施設が県からの優先調達の対象となっており、就労支援を推進しているところであります。
 また、県内の関係団体による中間的就労支援の実施状況を踏まえ、今後、生活困窮者支援の連携体制を検討するため、県と市が構築することとしているプラットホームにおいて、他県における事例も参考にし、多様な方々の支援ニーズにきめ細かく対応した就労支援に取り組んでまいります。
 次に、新型コロナウイルス感染症の後遺症対策についてでありますが、県では、令和3年度に、県内で新型コロナウイルス感染症に罹患した方に、罹患後の症状について調査を実施し、218名から回答を得たところであります。
 この調査結果では、6カ月以上継続した主な症状として、11%の方が倦怠感、気分の落ち込み、9%の方に嗅覚障害があったと回答しており、症状や有病期間の状況は、国の行った全国調査と同様の結果となっております。
 こうした調査結果を踏まえ、県では、岩手県医師会と調整を行い、各医療機関に対し、罹患後の症状が疑われる方が受診した際には、国が取りまとめた診療の手引に基づいて対応すること、こうした症状を有する方については、かかりつけ医または最寄りの内科で対応し、必要に応じて専門医を紹介することとしたところであります。
 また、調査結果や後遺症が疑われる場合の受診について、県ホームページにおいて県民向けに周知しているところであります。
 今後においても、最新の国内研究の結果や科学的知見に基づき、国において随時更新していく診療の手引を医療機関へ周知しながら、岩手県医師会及び医療機関と連携して、罹患後の症状に悩む方が適切な治療が受けられるよう取り組んでまいります。
 次に、新型コロナウイルス感染症セーフティネット強化交付金の活用についてでありますが、本県では、コロナ禍の影響により生活に困窮している方々の支援ニーズに対応するため、令和3年度は、生活困窮者自立支援機関の機能強化、生活保護決定の体制強化、自殺防止対策などに取り組んだところであります。
 令和4年度においては、コロナ禍が長期化する中、多様な支援ニーズに対応するため事業メニューが拡充されたことを受け、これらの取り組みに加え、令和4年度一般会計補正予算第2号において、生活困窮者支援の連携体制を検討するプラットホームの新たな整備等に要する経費を措置したところであります。
 このプラットホームの整備については、各地域において、生活困窮者支援の実情や課題を整理し、支援方法等を検討した上で、NPO法人等関係団体の活動に対する一定の経費の支援など、地域の実情に応じた取り組みができることとしております。
 今後とも、生活に困窮する方への支援に当たっては、市町村や地域の関係団体等と十分に連携し、さまざまな方策を効果的に組み合わせながら、一人一人の状況に応じた支援を行ってまいります。
   〔復興防災部長佐藤隆浩君登壇〕
〇復興防災部長(佐藤隆浩君) いわて被災者支援センターの取り組みの充実についてでありますが、センターでは、昨年4月の開設から本年5月末までに、沿岸各地を初め、県内陸部や県外を含め265人からの相談に、延べ1、802回対応しています。
 相談内容は、住宅ローンや家計の見直し、家族間のトラブルなど、経済面や生活面に関するものが多く、市町村や市町村社会福祉協議会と連携して対応するとともに、専門的な支援が必要なケースについては、弁護士やファイナンシャルプランナーと連携して対応しているところです。
 県としては、弁護士等の専門家と直接相談できるいわて被災者対策センターの特徴を生かしていけるよう、弁護士会など関係機関との一層の連携強化を図るとともに、重層的支援体制の構築など、包括的な支援に取り組む市町村等とも連携を図り、被災者が身近な地域で伴走型支援を受けられるよう取り組んでまいります。
   〔ふるさと振興部長熊谷泰樹君登壇〕
〇ふるさと振興部長(熊谷泰樹君) 沿岸地域における洋上風力発電、波力発電の今後の方向性についてでありますが、県では、海洋エネルギーの実用化は、地球温暖化対策や脱炭素化社会の実現のみならず、エネルギーの地産地消、関連産業の創出やその波及効果により地域経済の活性化が図られ、県北・沿岸地域の振興に資すると考え、その導入に取り組んでおります。
 まず、洋上風力発電でありますが、久慈市沖については、国に対し、促進区域の指定に向けて有望な区域として整理されるよう、本年4月に情報提供を行ったところであり、今年度は、引き続き、浮体式発電設備を設置するための環境調査等が行われることになっております。
 洋野町沖につきましては、久慈市と同様に、風況等の自然状況等について国に情報提供を行ったところであり、今年度は、国の事業により漁業実態調査等が行われることとなっております。
 また、波力発電については、国の実証フィールドに選定されている釜石市沖において研究開発が行われており、来月7月20日から、地元民間企業と東京大学先端科学技術研究センター等による実証試験が開始されることとなっております。
 引き続き、国や関係自治体等と連携を図りながら、洋上風力発電及び波力発電の早期の実用化に向けて取り組んでまいります。
 次に、洋上風力に関する産業創出についてでありますが、県では、昨年12月に策定した第2期岩手県海洋エネルギー関連産業創出ビジョンに基づき、研究開発の推進や産業化及び企業参入、人材の育成等に取り組むこととしております。
 国のグリーン成長戦略では、今後、洋上風力産業を育て競争力を強化するため、2040年までに、洋上風力発電の導入量を3、000万キロワットから4、500万キロワットとすること、風車の製造に係る国内調達比率を60%にすることなどの目標を掲げているところでございます。
 洋上風力発電やそれに伴う基地港湾の整備は、産業の裾野が広いことから、関連産業の集積や地元企業の参入による雇用の増加のほか、漁業や水産加工業での電力の活用、観光振興等への波及効果も期待され、県北・沿岸地域の振興に大きく寄与するものと考えております。
 こうしたことから、これまで蓄積してきた国内外の調査結果に加え、秋田県など最新の事業化事例の調査を行うほか、地元企業等の一層の関心を高めるため、釜石市での取り組み事例の共有や勉強会、人材育成セミナー等を行い、地元自治体等と連携し、洋上風力に関する産業の創出に向け取り組みを進めてまいります。
   〔農林水産部長藤代克彦君登壇〕
〇農林水産部長(藤代克彦君) モデル事業の取り組みについてでありますが、先ほど知事から御答弁申し上げましたとおり、国では、海洋植物が吸収する炭素、いわゆるブルーカーボンの吸収、貯留等を評価するため、昨年度から、大学等と連携し、藻場等による炭素吸収と貯留等を算定するモデルを開発するための調査研究を行っております。
 この研究に参加している岩手県水産技術センターでは、本年8月から、陸前高田市の広田湾において、ドローン等を活用し、海藻の一種であるアマモの分布等を調査することとしております。
 また、藻場の再生について、県では、岩手県藻場保全・創造方針に基づき、ウニの間引きや昆布の養殖技術を活用した海中林の設置などのソフト対策と、ブロック等の投入による藻場造成のハード対策を一体的に進めており、これまで、宮古市田老地区において昆布の種苗を付着させたブロックを試験的に投入したほか、陸前高田市など5地区で海中林の設置等を支援しております。
 今年度は、大槌町など3地区で、地元の漁業者と連携したウニの間引きやブロックの投入による藻場造成に取り組むこととしており、引き続き、ソフト対策とハード対策を一体的に進めながら、藻場の再生が着実に図られるよう取り組んでまいります。
   〔総務部長千葉幸也君登壇〕
〇総務部長(千葉幸也君) 公民連携についてでありますが、公民連携には、民間のノウハウ、資金の活用や公共施設等の維持管理、更新の効率化、サービスの質の向上などが期待されますことから、今後も、岩手県PPP/PFI手法導入指針に基づき、公共施設の整備事業でのPPP、PFI手法導入の優先的検討や民間事業者との意見交換等を通じ、事業に対するさまざまなアイデアや意見を把握するサウンディング型市場調査の実施、将来的に公民連携の可能性のある事業等を取りまとめ周知を図るロングリストの作成などを通じ、積極的に推進してまいります。
 議員御指摘の陸前高田オートキャンプ場モビリアでは、設計施工一括発注に加え、運営予定者である指定管理予定者の選定もあわせて行っており、テントの大型化やソロキャンプ、グランピングなど新たなキャンプ需要に対し、民間ノウハウを最大限に生かした整備、運営が期待されるところです。
 こうした手法は、被災地における効率的で効果的な公共施設の整備はもとより、地域経済の活性化や交流人口の増加等にも資するものと考えており、今回の事例を全庁的に共有するほか、もりおかPPPプラットフォーム会議等を通じ、市町村にも広く紹介しながら、公民連携を一層進めてまいります。
   〔商工労働観光部長岩渕伸也君登壇〕
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) まず、岩手県立大学に隣接する滝沢市IPUイノベーションパークの拡充についてでありますが、国際競争力の高いものづくり産業の集積を実現するためには、ITなど幅広い産業集積を図っていく必要があると考えております。
 こうした中、盛岡市や滝沢市を中心にIT産業の集積が進んでおり、中でも滝沢市IPUイノベーションパークには、30社もの企業が立地しております。
 このIPUイノベーションパークの今後の運営方針につきましては、滝沢市、岩手県立大学及び県の3者で策定した滝沢市IPUイノベーションパーク運営計画2022において、目標を上回るIT関連企業の集積が図られる一方で、実践的な技術開発力を備えた高度技術者の育成や、岩手県立大学との新たな共同開発などをさらに進める必要があるとしており、滝沢市IPUイノベーションパークの拡張については、技術力や競争力を支えるICT開発拠点としての確立を図った上で、長期的な視点で検討を行うとしているところであります。
 全国的にIT人材の確保が求められる中、滝沢市IPUイノベーションパークは、岩手県立大学ソフトウェア情報学部の卒業生の県内定着を高めるための重要な受け皿であると認識しており、企業の動向や学生の意向も確認しながら、さらなる展開に向け、3者による運営計画の実行を着実に進めてまいります。
 次に、医療機器関連産業の振興についてでありますが、県では、岩手県医療機器等関連産業イノベーション創出戦略に基づき、ヘルステック・イノベーション・ハブを核としたイノベーションの創出、岩手発の新製品の開発促進、医療機器関連産業の集積促進、医療機器等関連産業を支える人材の育成、確保、定着などの取り組みを進めているところであります。
 県内企業や技術の情報発信としては、関係機関や市町村と連携した医療機器関連の専門展示会や学会への出展支援など、海外を含めた医療機器関連企業や医療関係者への技術、製品のPRのほか、ホームページやマスコミを活用した県民向けの情報提供などに取り組んでいるところであります。
 こうした中、昨年度、医療機器関連企業の連携活動組織であるTOLIC―東北ライフサイエンス・インスツルメンツ・クラスターが、東北ニュービジネス大賞を受賞し、すぐれた取り組みが広く認知されたほか、高い技術力で集積を急激に伸ばしている企業、また、産学官連携による岩手発の製品開発で医療機器分野への新規参入に取り組む企業もあるなど、戦略に基づく取り組みの成果があらわれており、これら企業の今後一層の成長が期待されるところであります。
 こうした動きが医療機器関連産業の着実な成長につながるよう、県として、引き続き、市町村や関係機関と連携し、情報発信も含めた支援の充実強化に努めてまいります。
 次に、起業等に対する支援の充実についてでありますが、コロナ禍におけるデジタル化の急速な進展は、時間や場所にとらわれない柔軟で多様な働き方の可能性を広げ、地方を舞台にした新しい挑戦の機会が生み出されており、こうした環境の変化を生かし、起業、スタートアップ支援を強化していく必要があると考えております。
 令和2年9月に開設した起業支援拠点、岩手イノベーションベースにおきましては、定期的に開催している先輩起業家を講師とした講演会をこれまで17回開催、延べ706名の参加を得ております。
 また、起業家教育プログラムは、令和3年度は35名が修了し、起業準備を進めている卒業生や在学中に起業している学生もいるところであります。
 今年度は、岩手県にゆかりのある起業家と県内の起業を目指す若者をマッチングするメンタリングプログラムや、起業に関心を示す高校生、大学生に交流の場を提供する取り組みなどを新たに実施しており、地域経済の新たな担い手となる起業家やその予備軍を継続的に生み出すシステム形成を図っております。
 今後も、岩手イノベーションベースを核に、市町村や金融機関、産業支援機関、大学を初めとした県内のさまざまな主体との連携を強化し、起業、スタートアップ支援の充実を図ってまいります。
〇3番(小林正信君) では、再質問させていただきます。
 まず、いわてで生み育てる支援本部について、設置からいまだ日がたっていない状況とは言えますが、この支援本部は、全庁的な情報共有とか部局の連携を深める、進めるということだったと思いますけれども、これまで、どのような形で連携や情報共有がなされてきたのかをお伺いしたいと思います。
 そして、もう一点、滝沢市IPUイノベーションパークについてですけれども、長期的なスパンでというようなお話もありましたが、壇上でも述べたように、また、県当局も御理解しているように、IPUイノベーションセンターの入居企業がふえておりまして、パーク内に自社のビルを建てるような企業もふえております。県としても、今のタイミングが、IT産業をさらに集積するチャンスなのではないかと考えております。
 IPUイノベーションパークの西側の農地となっている部分が県の所有と認識しておりますけれども、この土地の活用による産業用地の拡張を望む意見もあるように伺っております。県としては、こうした意見は認識されているのかということ、また、用地の拡張に協力していくべきだと考えますけれども、御所見をお伺いしたい。
 あと、リトルベビーハンドブックにつきましては、今定例会でも請願が出されておりまして、本当に、お母さんたちの切実な声を県でも伺っていただいていると思います。この作成についてのスケジュール感、やはりこれは一刻も早く作成していってほしいという思いがあるのですけれども、そのスケジュールはどうなっているのかお伺いしたいと思います。
〇保健福祉部長(野原勝君) まず、いわてで生み育てる支援本部での取り組み、連携状況でございます。
 いわてで生み育てる支援本部については、これまで、いわゆる自然減に着目した部局間連携を進めていこうとしておりました。これまで、医療であるとか母子保健といった保健福祉部の専門的な分野が中心だったのですが、実は、人口自然減対策は、働き方改革でありますとか、移住、定住対策など社会減対策とも密接に施策が関連しております。
 したがいまして、この社会減対策を行う本部、また、人口減少そのものの対策本部といった三つの本部がございますけれども、密接に関連しております。自然減対策、結婚、妊娠、出産、子育てに主に取り組んでいる保健福祉部、移住、定住対策、働き方改革などを行っている商工労働観光部、女性の活躍を担っている環境生活部の主要3部、また、そのほか関連する部局と、この関連するそれぞれがこれまで行ってきた取り組みをどのように連携し進めていくのかという共有を、まさに始めたところでございます。
 いわてで生み育てる支援本部会議は2回実施して、部局長レベルでの検討を行ったほか、それぞれのワーキンググループなども設置いたしまして、それぞれの部局の担当者同士で、今、具体の検討、分析を行い、今後の政策について進めているところでございます。
 具体の取り組みについては、先ほど知事から御答弁申し上げたとおり、速やかに施策の実行に向けて取り組んでいるところでございます。
 次に、リトルベビーハンドブックでございます。
 議員からも御紹介があったとおり、静岡県での取り組みなど、他県でも先行している取り組みがございます。こうした事例について我々も既に情報を収集しておりますので、あとは、やはり県内の当事者団体の方々から、どのようなものがあるのかといったお声をいただき、また、県内医療関係団体、特に小児科医会の先生方にもお目通しいただいて進める必要があると思っています。できるだけ早く策定できるように進めてまいりたいと考えております。
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) IPUイノベーションパークの拡張についてでございますけれども、拡張の前提といたしまして、先ほど答弁申し上げたとおり、実践的な技術開発力を備えた高度技術者の育成、岩手県立大学との新たな研究開発などを進めていく必要があるという認識は、3者で共有できていると思います。
 単純に、拡張して、そこに企業がどんどん入居してくればいいというだけではなく、やはり岩手県立大学を核とした研究機関のような一体性を持った発展をさせたいと我々は思っておりますので、そういう前提のもとで検討していきたいと考えているところです。
 議員御指摘の場所は、パーク西側の牧草地となっている部分の拡張だと思うのですけれども、これについては、滝沢市から私も直接話を伺っております。そこの方向性は共有できていると思いますので、あとは、時期の問題とか、そういうことをきちんと3者で検討してまいりたいと思います。
〇3番(小林正信君) いわてで生み育てる支援本部について、2回ほど開催した会議の内容がもしわかればお聞かせいただきたい。どういう内容で、そして、どのような方向性が示されたのか。あと、ワーキンググループというのは、どれぐらいのワーキンググループを持っていらっしゃるのかというあたりについて、もしわかればお伺いしたい。
 IPUイノベーションパークにつきましては、入居者数も結構いっぱいになっているような状況で、滝沢市も早く拡張したいという思いも持っていらっしゃるかと思います。やはりIT産業の拡充という点では重要な取り組みだと思いますので、滝沢市の御意見も伺っているということで、できるだけ、もっと密接に滝沢市とも連携していただきたいと思います。ここは要望でお願いしたいと思います。
 もう一点、いわてで生み育てる支援本部では、私の所属する公明党岩手県本部でも、産科の先生とか助産師、産後ケアを行っている皆さんからお話を伺ってきまして、産科の問題を取り上げるのが20年遅いというお叱りを受けたりしてきました。知事としても、常々、答えは現場にある、現場を起点とするとおっしゃっておりますけれども、これは重要な視点であると考えております。
 支援本部の本部長として、現場の意見を伺う機会を知事はどれくらい持っていらっしゃったのか、そういった部分をお伺いしたい。あと、起業家支援については経済的な部分の支援も大事かと思っております。北欧とか、たしかフィンランドとかだったと思うのですけれども、起業家に、借りやすいソフトローンみたいなものを投下して、どんどん起業家に起業してもらう、そこから成長するような企業をさらにピックアップして支援していくといった、経済的なローンのような支援も非常に重要かと思います。そのあたりの経済的支援の相談とか支援体制みたいなものがあれば、教えていただきたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 周産期医療の現場とのやりとりということで言えば、県立病院の周産期医療関係の話は毎年聞く機会がありますし、あとは、岩手医科大学や東北大学の産婦人科の教授との意見交換などもしていたところです。
〇保健福祉部長(野原勝君) いわてで生み育てる支援本部は2回実施したわけですけれども、まず、本県の合計特殊出生率の最近の動向、また、結婚や妊娠する年齢でありますとか、そういった分析、全国との傾向といったものを共有して、課題認識を共有したところでございます。
 それに基づいて、例えば自然減対策として、妊娠、出産、子育て支援の施策として産前産後サポートの充実の方向性、不妊治療への支援、また、女性、子供、家庭を支える基盤等の整備として情報発信をどうしていくのか、普及発信をどうしていくのか。生活社会基盤の整備といった施策の方向性を確認し、具体的な中身として、産後ケアの推進、不妊治療の支援、いわて幼児教育センターの運営、また、県民運動として、いわてで生み育てる県民運動を実施していこうということを会議で合意したところでございます。
 また、いわてで生み育てる支援本部のワーキンググループという形で組織として設置はしていないですが、こうした取り組みの中で、各部局の担当者がかなり密接に情報共有しております。関連するワーキンググループとしては、環境生活部が主に行っています若者女性サポート活躍推進緊急タスクフォースも、広い意味で言えば、本当に自然減対策や社会減、人口減少対策とも密接に関連しておりますので、こうした関連する施策を多部局で連携、協働して進めていくものが同時多発的に立ち上がって、進めている状況でございます。
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) 起業支援の件ですけれども、岩手イノベーションベースの組織体には金融関連機関も入っておりますので、そこで有望なものとかがあれば、自然と民間の支援がついていくシステムにはなっているのですが、広く一般的な支援としては、いわて起業家育成資金の融資がございます。コロナ禍で実績が落ちているのですが、またふえつつある傾向にあります。
 起業支援、スタートアップ支援は、全国的にも、知事会でも大変推進している取り組みでございまして、国に強い働きかけを行っておりますので、そうした資金面での支援も、今後、具体的に国への要望にも含めながら、充実させるようなものとしていきたいと考えております。
〇3番(小林正信君) いわてで生み育てる支援本部について、2回会議が行われたとのことで、4カ月たって2回ということは、2カ月に1回ぐらいやられているのかと思います。また、連携も深まっているというお話ですけれども、2カ月に1回が十分な回数なのかどうか、さらに力を入れていく必要もあるというような気もいたしました。
 また、知事におかれましても、この現場の声をさらにしっかり聞いていただくような機会を多く持っていただく。やはりリーダーが現場を知ることは非常に重要なことだと思いますので、産科、また病院に直接お伺いしていただいて、聞くような機会もぜひ持っていただきたいと考えております。お願いいたします。
 そして、この支援本部は知事の強い思いがあって設置されたもので、本部長も知事が務めていらっしゃいます。知事がリーダーシップを発揮していただかないと、ただのかけ声の支援本部に終わってしまう危惧もございます。
 これまでの支援本部に係る議論を見ておりますと、ことし3月の吉田敬子議員の質問への答弁で、元厚生労働省官僚の山崎史郎さんがおっしゃっていた子ども保険という構想について知事が取り上げられています。これは、子育ての財源を広く国民から集めるという構想で、知事は、これに近いものをイメージしているという答弁をされております。
 この支援本部の取り組みが小さくまとまってしまうのか、大きくまとまるのかというあたりは、財源の問題が非常に大きくかかわってくるかと思います。令和2年2月定例会で佐々木努議員がおっしゃっていた少子化対策県民税という考え方、これも子供ローンに近いのかなと思います。私も、盛岡市の子ども未来基金のような形の子育て支援のための基金を県もやるべきだというような提言もさせていただきましたけれども、いずれ、この財源の問題は、子ども保険のような形で財源を確保していかれる、このような答弁をされておりますが、そういうおつもりがあるのかという点を知事にお伺いしたいと思います。
 そして、もう一点は、働きづらさを抱えた方の支援について、保健福祉部長から丁寧に御答弁いただきましたけれども、これは、環境生活部においても、若者支援という観点から、ぜひ、困難を抱えた若い世代の方の就労支援を充実させていっていただきたい。
 県としても、子ども・若者総合相談センターを設置しておりますけれども、これが相談をただ受けるだけで、さらに、その相談をくださった方への伴走型支援みたいなところまでつながっているのかというような心配もしております。
 困難を抱えた若い世代に対する就労、さっき私が話したユニバーサル就労とか中間的就労といった支援を、保健福祉部あるいは商工労働観光部と連携して行っていっていただきたいと思いますけれども、そのあたりもお伺いしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 個人的な考えになって恐縮でありますけれども、子ども保険的な子育て支援に関する財源は、やはり日本全体で、また、非常に成績のいい大企業でありますとか個人の富裕層といった余裕のある負担できる主体から特にたくさん集めて、国を挙げて財源を確保する必要があると思います。
 きっかけは防衛費の倍増という議論からですけれども、年間5兆円規模の財源を5年以内に毎年ふやすことが可能という議論が自由民主党の中で行われているようでもありますし、それが子育て予算のほうに使われるとなれば、かなりの可能性が出てくると思っております。
〇企画理事兼環境生活部長(白水伸英君) 私からは、困難を抱える若者女性のための政策、対策について御答弁させていただきます。
 先ほど保健福祉部長からも紹介がございましたけれども、この5月に若者女性サポート・活躍推進緊急タスクフォースを立ち上げました。これについては、特に、コロナ禍においてさまざまな困難を抱えておられる若者女性の対策をしっかり講じていかないといけないという趣旨で立ち上げておりまして、メンバーについては、私、環境生活部長をトップとして、商工労働観光部、保健福祉部、政策企画部等の職員を構成員として活動しております。
 その中で、議員から御指摘がございました観点、コロナ禍で雇いどめされたさまざまな非正規雇用の、特に若者女性の方がたくさん出てきておりますし、あるいはひとり親家庭の方等がございますので、その方たちへの就労支援についても、このタスクフォースでしっかり取り上げて検討していきたいと思っております。
 議員にも事例で触れていただきましたけれども、例えば、事業として、若者無業者等の就業支援ということで、いわて若者ステップアップ支援事業をやっております。これは、国事業もあるのですけれども、国事業に加えて県の事業もありまして、これは訪問支援まで踏み込んでやっていたり、あるいは、女性のためのつながりサポート事業もやっていたりします。
 こういったものの取り組みの課題等をまずしっかり分析しながら、そして、部局横断の視点に立って、さらなる施策の拡充、新たな施策が必要なのかどうかという点について、しっかり検討していきたいと考えております。
   
〇副議長(小野共君) この際、暫時休憩いたします。
   午後4時1分休憩
   
出席議員(47名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 上 原 康 樹 君
3  番 小 林 正 信 君
4  番 千 葉   盛 君
5  番 千 葉 秀 幸 君
6  番 岩 城   元 君
7  番 高橋 こうすけ 君
8  番 米 内 紘 正 君
9  番 武 田   哲 君
10  番 高 橋 穏 至 君
11  番 山 下 正 勝 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 佐々木 朋 和 君
15  番 菅野 ひろのり 君
16  番 柳 村   一 君
17  番 佐 藤 ケイ子 君
18  番 岩 渕   誠 君
19  番 名須川   晋 君
20  番 佐々木 宣 和 君
21  番 臼 澤   勉 君
22  番 川 村 伸 浩 君
23  番 千 葉 絢 子 君
24  番 ハクセル美穂子 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 吉 田 敬 子 君
27  番 高 橋 但 馬 君
28  番 小 野   共 君
29  番 軽 石 義 則 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 小 西 和 子 君
32  番 高 橋 はじめ 君
33  番 神 崎 浩 之 君
34  番 城内 よしひこ 君
35  番 佐々木 茂 光 君
36  番 佐々木   努 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 中 平   均 君
39  番 工 藤 大 輔 君
40  番 五日市   王 君
41  番 関 根 敏 伸 君
42  番 佐々木 順 一 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 岩 崎 友 一 君
45  番 工 藤 勝 子 君
46  番 千 葉   伝 君
47  番 工 藤 勝 博 君
48  番 飯 澤   匡 君
欠席議員(なし)
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後4時23分再開
〇副議長(小野共君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。上原康樹君。
   〔2番上原康樹君登壇〕(拍手)

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