令和4年6月定例会 第21回岩手県議会定例会会議録

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〇4番(千葉盛君) いわて新政会の千葉盛でございます。
 このたびの定例会において一般質問の機会を与えてくださいました先輩、同僚議員各位に心より感謝申し上げます。
 それでは、通告に従い一般質問をさせていただきます。
 まず初めに、コロナ禍における原油価格、物価高騰対策について伺います。
 新型コロナウイルス感染症、円安、ウクライナ情勢、原油価格高騰、物価高騰、電気料金の値上げなどにより、県民の生活への不安が日々増大しています。ただでさえコロナ禍で苦しい状況にある家庭や事業者が多い中、急激な物価高騰や原材料高騰が、さらに追い打ちをかけています。
 そのような中、県では64億円規模の岩手県原油価格・物価高騰対策パッケージとして、子育て世帯支援や運輸、交通事業者への支援、いわて県民応援プレミアムポイント還元事業、中小企業への建築資材や原材料の価格上昇に応じた支援金や家賃補助、水産業者や農家への省エネ設備導入補助、飼料代補助などを実施し、県民の生活支援、事業者支援等を行っていくこととしておりますが、物価高騰などは、急激な速さで県民生活に影響を及ぼしており、県民の暮らしを守っていくためには、事業の速やかな実施が必要であります。
 県民の暮らしを守るために切れ目のない支援策が必要ですが、今後さらなる追加対策を講ずる考えがあるのか、知事に伺います。
 原油価格、物価高騰対策の中で、いわて子育て世帯臨時特別支援金給付事業は児童手当の給付世帯が対象となっていますが、ほとんどの子供が高校へ進学する中で、新型コロナウイルス感染症の影響の長期化に加えて、急激な物価高騰に直面し、特に、子育て世代は負担が大きくなっていることを鑑みれば、青森県のように支給対象を18歳までとすべきだったのではないかと思いますが、どのように考えているでしょうか。
 また、今回の支援金の給付は、コロナ禍での原油価格、物価高騰対策のための支援であり、制限を設けず、岩手県の全ての子育て世帯を支給対象とすべきだったと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、震災復興と沿岸振興について伺います。
 令和4年6月4日、プロ野球イースタンリーグの東北楽天ゴールデンイーグルス対読売ジャイアンツ戦が、陸前高田市の楽天イーグルス奇跡の一本松球場で行われました。同市でのリーグ公式戦は、東日本大震災津波とコロナ禍で2度中止されており、11年越しの実現となりました。試合は、花巻市出身の堀田賢慎投手が先発した読売ジャイアンツが、5対1で勝利しました。
 また、6月7日には、4月に史上最年少で完全試合を達成した大船渡高校出身の佐々木朗希投手が所属する千葉ロッテマリーンズの本拠地ZOZOマリンスタジアムで、岩手県政150周年記念事業、大船渡市制施行70周年記念事業として、黄金の國いわて・大船渡ナイターが開催され、岩手県と大船渡市のPR活動が行われました。球場内には特設ブースが設置され、岩手県の観光PRや銘菓かもめの玉子、酢の素などの大船渡市の特産品の販売も行われました。
 また、始球式が行われ、佐々木朗希投手がバッターとしてサプライズ登場し、大いに盛り上がりました。この日は、千葉ロッテマリーンズ対中日ドラゴンズの交流戦が行われ、6対2で千葉ロッテマリーンズが勝利したことから、山口航輝選手とエチェバリア選手には、黄金の國いわて・大船渡ナイターMVP賞として、八重樫副知事から、いわて牛五ツ星の目録が贈呈されました。
 このように、岩手県や陸前高田市、大船渡市にゆかりのある選手の活躍や球団とのつながりにより、プロ野球の試合が行われたりイベントが開催されることは、復興の大きな後押しとなり、沿岸地域のPRや地域振興につながっています。特にも、岩手県と大船渡市が連携して記念事業を行ったことは、非常に評価されており、大変すばらしいことであったと思います。
 今後も、県内自治体などと連携した岩手県政150周年記念事業の推進に期待しておりますが、今後の方針について、知事に伺います。
 岩手県では、令和3年6月に岩手県新広域道路交通計画を策定し、大船渡市から釜石自動車道宮守インターチェンジまでの国道107号を一般広域道路として、さらに、国道107号に重ねる形で、将来的に高規格道路としての役割が期待される構想路線として、(仮称)大船渡内陸道路を位置づけました。
 そうした中で、国道107号については、大船渡市と住田町間に位置する白石峠区間の改良整備が、令和4年度に事業化されました。さらに、令和4年5月には、関係自治体や関係機関が、これまで以上に強固に連携、協力を図ることにより、国道107号の整備促進と(仮称)大船渡内陸道路の高規格化を実現していくため、一般国道107号大船渡―遠野間整備促進並びに(仮称)大船渡内陸道路高規格化実現期成同盟会を設立しました。
 気仙地域と宮守インターチェンジ間の道路の整備は、新たな企業立地、港湾の利活用、物流の効率化による農林水産業の振興、交流人口拡大による観光振興、災害時の円滑な支援活動、救命救急医療の拡充などに資するとともに、ILC誘致実現の際にも重要な役割が期待されるものであり、復興や三陸沿岸地域の振興発展、持続可能な社会の実現に必要なものであります。
 県は、気仙地域から宮守インターチェンジへの道路の整備について、どのように取り組んでいくのか、知事に伺います。
 東日本大震災津波からの復旧、復興工事がおおむね完了し、復興特需が収束したことにより、沿岸地域の建設業者からは、仕事がなく企業活動を継続していくには大変苦しい状況だとの声を多く聞きます。
 信用調査会社帝国データバンクの2021年の調査によると、岩手、宮城、福島の3県に本社を置く建設業者1万9、180社についての財務データなどを分析し、3県で1年以内に倒産するおそれが高いとされる建設業者は2、187社に上り、全体の11.4%を占めることがわかりました。これは全国平均の10.1%より1.3ポイント高く、2、187社のうち、岩手県では392社が倒産リスクが高いとされました。
 復興需要の収束により県内の建設投資額が大幅に減少しており、特に沿岸地域の建設企業に倒産リスクが強くあらわれていると思いますが、県としてどのように把握しているのか伺います。
 また、県として、震災復興後を見据えた対策として、どのように取り組んでいるのか伺います。
 令和4年4月に、安心して子どもを生み育てられる環境づくりについてをテーマとして、県民と県議会との意見交換会が開催されました。沿岸地域には、公園など子供を遊ばせる場所が少なく、特にも、雨天時に子供を遊ばせるような屋内施設がないことから、内陸部など遠くに出かけざるを得ないといった意見が出されていました。
 現状において、やはり県立施設は内陸部に多く、沿岸部には少ないと感じます。沿岸地域に、一戸町にあるいわて子どもの森のような、子育てや子供の遊び場の拠点となる県立の屋内施設や屋外施設の整備が必要と考えますが、見解を伺います。
 岩手県議会東日本大震災津波復興特別委員会現地調査において、大槌町観光交流協会を視察しました。協会からは、体験観光を推進する上で、体験プログラム開発を地域の人々と協働できる人材、地域内及び地域外で交渉、調整ができるコーディネーター、観光客を呼ぶために地域を営業できる外交マンが必要との提言がなされ、岩手県では観光産業人材が育成できていないとの御指摘を受けました。
 県は、この指摘を踏まえ、どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
 また、岩手県は、観光地というイメージがまだまだ弱く、沿岸の市町村がそれぞれPRしても、その波及効果は小さいことから、岩手県がもっと強力に観光アピールをして観光客の底上げを図るべきであるとの意見も出されました。
 県としての発信力の弱さ、PR不足が要因と考えられますが、今後、県の発信力強化について、どのように取り組まれるか伺います。
 さらに、大槌町観光交流協会によると、沿岸市町村は、宿泊を受け入れる規模が小さく1度に大勢受け入れることができないため、市町村と県が連携して観光客を受け入れる窓口やコーディネートをする役割が必要であるとしています。例えば、教育旅行で300人、400人で来られても、一つの自治体で受け入れることが難しく、それだけの人数を受け入れられる宿泊施設もほとんどありません。
 これらの課題を解決し、沿岸地域の観光振興のためには、県と沿岸市町村の連携、協力が必要です。また、三陸沿岸地域の観光誘客には県の取り組みも重要であるし、岩手県観光協会や宮古市に移転した三陸DMOセンターの機能、役割も重要になってきます。沿岸市町村の自治体の枠を超えた調整や観光PR、東日本大震災津波伝承館をゲートウェーとした沿岸地域への誘客など、三陸DMOセンターが果たすべき役割は非常に重要であると思います。
 移転後の三陸DMOセンターは、復興や三陸振興にどのように寄与していくのか、また、県は、沿岸市町村や三陸DMOセンターとどのように連携して観光誘客に取り組むのか伺います。
 人口減少、少子高齢化が進む中で、本県においては、産業集積等に伴う新規雇用が増加しています。本県の産業人材の確保に向けて、若者等の県内就職のさらなる推進とともに、効果的なU・Iターン対策が求められています。さらに、地方創生の動きや新型コロナウイルス感染症拡大の影響による地方移住への関心の高まりを受け、全国的に移住、定住の取り組みが強化されており、受け入れ態勢の整備や機運の情勢を図るほか、移住希望者に対する本県の認知度を高める必要があります。
 これらの県内外の人材確保の取り組みに加え、女性、就職氷河期世代、高齢者、障がい者などの就業支援や若者等の起業、創業支援のさらなる強化も課題となっています。
 県内企業の雇用条件や待遇面について、労働時間が長く賃金水準が低いなどの県外企業との差異により人材が県外に流出していることから、賃金等の労働条件や雇用形態などの雇用の質の向上を図る必要があるほか、新しい生活様式に対応した柔軟な働き方を促進し、企業の人材確保につなげていく必要があります。
 県では、人口減少が続く中で、地域経済を支える中小企業、地域経済を牽引するものづくり産業や地域経済に好循環をもたらす観光産業、基幹産業である農林水産業などの産業政策を総合的に展開し、一人一人の能力を発揮できる多様な雇用の確保を進めており、働く意欲のある全ての人が、希望する仕事につき、仕事にやりがいやプライドを持って働くことが実感でき、また、経済基盤の高度化や生産性の向上を図ることにより、仕事に相応した所得が得られることが実感できる岩手県を目指しています。
 以上のような県の雇用政策と同様の考え方の中で、例えば、気仙地域では、震災後の雇用情勢などに対応するために、ジョブカフェ気仙とともに、関係自治体、雇用開発協会、ハローワークなどが一体となって連携、協力し、幅広い雇用獲得に向けた体制を築き上げてきたところであり、現状からすれば、地域ジョブカフェを市町村へ移管し役割分担をするのではなく、地域の実情に応じて、県が運営を継続しながら、ジョブカフェ等を拠点とした就業支援サービスの提供を推進し、市町村や商工団体などとさらに連携、協力体制を強くしていくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、水産業の振興について伺います。
 漁業協同組合は、各地の漁業者による協同組織として、組合員のために販売、購買、共済等の事業を実施しています。また、漁業権の管理や組合員に対する指導を通じて、水産資源の適切な利用と管理に主体的な役割を果たしているだけでなく、浜の清掃活動、海難防止活動などにも積極的に取り組んでおり、地域経済や社会活動を支える中核的な組織としての役割を担っています。
 近年の海洋環境の変化に伴い、本県の主要魚種であるサケ、サンマ、スルメイカ、アワビ等の漁獲量が大きく減少しているほか、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う外食需要の変化、原油価格高騰に伴う燃料コストの増加により、漁業を取り巻く環境は大変厳しい状況であります。特に、定置漁業に依存している本県沿岸地域の漁業協同組合等の経営は、漁業者数や漁業産出額が減少傾向にある中で、かつてない厳しい状況にあると思われます。
 今後とも漁業協同組合が地域の中核的組織としての役割を果たしていくためには、組織及び基盤を強化し、事業を効率的かつ効果的に運営していく必要がありますが、県は、漁業協同組合の経営状況についてどのように捉え、漁業協同組合の経営安定のためにどのような取り組みを行っているか伺います。
 また、水産庁では漁業協同組合の合併を推進していますが、県は、合併の推進についてどのように考えているのか伺います。
 国は、新たな漁港漁場整備長期計画を令和4年度から令和8年度までの5年間を計画期間として、令和4年3月に策定しました。新たな長期計画においては、三つの重点課題として、産地の生産力強化と輸出促進による水産業の成長産業化、海洋環境の変化や災害リスクへの対応力強化による持続可能な漁業生産の確保、海業振興と多様な人材の活躍による漁村の魅力と所得の向上に取り組むこととしています。
 本県においても、海洋環境の変化などにより、大型漁船によるマイワシ等の水揚げが大船渡漁港で増加していることから、漁港機能を再編、強化し、産地としての生産力を向上させることが必要となっているほか、日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震津波などの災害リスクに備えた漁港の防災、減災対策が重要であると認識しています。
 また、復興道路の全線開通など震災復興が進んだ沿岸地域において、海や漁村そのものを観光資源に活用した海業の振興を目指すことが重要と考えます。
 国では、水産業と漁村を取り巻く状況の変化等を踏まえ、三つの重点課題に取り組む新たな長期計画を策定したところであり、本県が抱える課題と重複するところも多いですが、今後、県では、国の新たな長期計画を踏まえ、どのように水産基盤の整備を進めていくのか伺います。
 次に、環境施策について伺います。
 国土交通省では、我が国の輸出入の99.6%を取り扱い、CO2排出量の約6割を占める産業の多くが立地する港湾において、脱炭素化に配慮した港湾機能の高度化等を通じてカーボンニュートラルポートを形成し、我が国全体の脱炭素社会の実現に貢献していくこととしています。
 カーボンニュートラルポート形成計画は、国際戦略港湾、国際拠点港湾及び重要港湾の港湾管理者が策定することを基本としており、また、地方港湾の港湾管理者においても、この形成計画の策定は推奨されています。
 脱炭素社会の実現に向けてカーボンニュートラルポート形成に取り組んでいくべきと思いますが、県として、この形成計画の策定について、どのように取り組んでいくのか伺います。
 住宅を含む全ての新築物件に、2025年度から省エネ基準適合を義務づける建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律の改正が成立しました。政府は、2030年度までに省エネ基準を引き上げていくこととしているようですが、鳥取県や長野県、山形県のように、国の基準を上回る独自の基準を設定し、健康で快適な省エネ住宅の普及を進めているところもあります。
 このような積極的な取り組み事例を見習い、より高い省エネ住宅の推進を図るため支援を行うなど、住宅の省エネ対策について、今後、県はどのように取り組んでいくのか伺います。
 プラスチック資源循環促進法が本年4月に施行されました。プラスチック類は、日常生活や産業活動において幅広く使用されていますが、天然素材にないさまざまな特性により、マイクロプラスチックなど深刻な環境問題をもたらしています。
 岩手県においても漂着ごみに含まれる廃プラスチック類が問題となっており、市町村や住民は、その回収に苦慮しております。また、海洋中の廃プラスチック類が、2050年までに魚の重量を上回ると公表されています。
 プラスチック資源循環促進法では、従来の一般廃棄物や産業廃棄物の枠組みを超えた総合的な対策を目指していますが、県内の市町村や事業者の状況はどのようになっているのか。また、それらの状況を踏まえ、県において、取り組みをどのように進めていく方針なのか伺います。
 次に、医療、福祉政策について伺います。
 令和3年度の医療局職員満足度調査において、看護部門の満足度は、前回より4.9ポイント肯定的回答率が増加しているものの、これまでと同様に、他部門と比較して最も低く、特にハラスメントの項目が低くなっており、給与や業務環境も低くなっています。
 地域規模別の満足度については、基幹病院が地域病院と比較して満足度が低く、特に沿岸基幹病院の満足度が低い状況となっています。
 また、県立病院の看護職員の退職者数は、令和2年度末は125人、令和3年度末は147人であり、採用数は、令和3年度は163人、令和4年度は146人となっています。
 岩手県全体として見ると、令和2年度に県内の看護師学校養成所を卒業し、看護師または准看護師として就業した人のうち、県内に就業した人の割合は、いわて統計白書によると63.8%であり、全国平均の75%を下回っており、全国順位は43位となっている状況であり、2025年には、看護職員供給数が需要数に対して440人から、最大1、805人不足する推計となっています。
 県立病院においては、家庭の事情や転職、健康上の理由の退職者が見られます。人手不足で仕事量が多く、満足に休暇がとれないことなどを理由に、仕事をやめたいと思っている職員も多いと聞きます。人手不足による忙しさは、医療、看護事故を起こしてしまう大きな原因となる可能性もあります。
 人手不足や過重労働など厳しい環境での仕事を強いられている状況があるように思いますが、看護職員の確保や離職防止、過重労働の軽減など環境整備が急務であり、しっかりと実態を把握し実情に応じた方策を講じていくべきと考えますが、調査結果を踏まえ、どのように改善に取り組んでいくのか伺います。
 令和元年度から令和3年度の県立病院における死亡退院患者数は1万3、604人、医療事故調査・支援センター報告件数は5件、遺族から医療事故調査を求められた件数は2件となっています。
 令和3年度に限れば、死亡退院患者数は4、504人、遺族から医療事故調査を求められた件数は1件ありますが、これは実施には至っておらず、病院が制度に該当すると判断して実施した件数は1件となっています。
 また、遺族から説明の求め等があり、複数回対応した件数は4件で、3件は解決し、対応継続中は1件、訴訟件数は2件で、死亡事案はなしとなっています。
 県立病院では、医師、医療提供者による治療のかいがなく患者が死に至った場合、主治医は、患者の遺族に対して、患者の死因や生前の病状、治療内容等を説明した上で死亡診断書等を交付し、また、遺族から求めがあれば、診療記録等の開示にも応じるなどして、遺族への説明や情報提供に努めていることと思います。
 平成27年から開始された医療事故調査制度においても、遺族への事故原因の説明が求められているように、近年、遺族に対する説明の重要性は強く認識されつつあると思います。通常の医療においても、死因や最期の状況を家族や遺族に丁寧に説明することによって、その患者に対する医療は完結すると言えるのだと思います。
 県立病院における医療相談にはさまざまな意見が届いているようですが、どこに相談すればいいのか、どのような制度があるのかわからない患者や家族も多くいることから、医療局や県立病院においては、患者や家族、遺族に寄り添った丁寧な説明とともに、相談機関の紹介や医療事故調査制度の普及などに積極的に取り組んでいくべきと思いますが、見解を伺います。
 ゼロから中学生の子供がいる世帯に支給される児童手当が、6月から手続や制度内容が一部変更され、これまでは、所得が制限を超えている場合は特例給付として月5、000円が支給されていましたが、所得制限に上限額が設定され、6月分より、所得が一定の上限額を超えると支給対象外となり、児童手当が廃止になる世帯は、6月支給分が最後の児童手当になりました。
 現行の児童手当の原形となっているのが、民主党が2009年夏の衆議院議員選挙で公約の一つに掲げた子ども手当であり、子育てを未来への投資として、次代を担う子供の育ちを個人の問題とするのではなく、社会全体で応援するという観点から実施するという理由で、2010年6月から制度がスタートし、2012年度と2015年度に法改正が行われ、金額や所得制限などが見直され現在に至っています。
 所得制限が設けられているため金額は変動しますが、これまで、中学生以下の子供のいる家庭では原則現金が支給されている状況が続いていましたが、ついに支給されない世帯が発生することとなりました。
 国によれば、これにより約61万人もの子供に対する支給がなくなり、浮いた財源、年間370億円により、新たな保育所整備など約14万人分の保育の受け皿の確保を図るとしていますが、岩手県にとっても保育所整備促進になるのか伺います。
 また、児童手当や特別児童扶養手当、障害児福祉手当等にも所得制限が設けられていますが、日本で生まれ育つ全ての子供たちには、ひとしく支援が行われるべきであり、所得制限は必要ないと思いますが、知事の考えについて伺います。
 以上、壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 千葉盛議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、コロナ禍における原油価格、物価高騰対策についてでありますが、ロシアによるウクライナ侵略などの影響により、世界規模で不確実性が高まり、原油や穀物等の国際価格が変動を伴いつつ高い水準で推移していること等を踏まえ、国は4月に、コロナ禍における原油価格・物価高騰等総合緊急対策を策定したところであります。
 本県では、全国に先駆けて県独自に総額64億円余の岩手県原油価格・物価高騰対策パッケージを取りまとめ、子育て世帯や中小企業者等への幅広い生活者、事業者支援など累次の補正予算を編成したところであり、まずは、必要とされる方にこれらの支援策が迅速かつ確実に届くよう、着実に執行してまいります。
 今後、物価高騰等に伴う消費マインドの悪化や実質購買力の低下を通じて、長期的に民間消費や企業活動の減退を招く可能性がありますことから、県民の暮らしに与える影響を注視し、必要に応じて追加の支援策の検討を進めてまいります。
 次に、岩手県政150周年記念事業についてでありますが、盛岡県から岩手県に改称され令和4年1月に150周年となり、また、現在の岩手県の県域が確定してから令和8年5月に150周年を迎えることから、令和4年度から令和8年度までを県政150周年記念期間と位置づけ、さまざまな記念事業を実施するものであります。この記念事業を通じて、県民の皆様とともに、岩手県のことをよく知り岩手県のあり方を考える機会としたいと思います。
 記念事業の実施に当たっては、県域確定150周年となる令和8年度に向け、今年度は、県政や産業等の歴史等について特設ホームページやパネル等により紹介するほか、今月行われた黄金の國いわて・大船渡ナイターに続き、来月には、釜石市と連携した、いわてまるごと科学・情報館in釜石を開催することとしています。
 今後も、関連イベントの開催のほか、民間等と連携した関連商品の開発など、機運の醸成を図る取り組みを行ってまいります。
 また、来月には、各界の代表に参画いただく岩手県政150周年記念事業実行委員会を設置することとしており、今後とも、関係機関や団体、市町村、県民の皆様とともに、オール岩手で記念事業を盛り上げるようなさまざまな取り組みを実施していきたいと考えております。
 次に、気仙地域から宮守インターチェンジへの道路の整備についてでありますが、大船渡市から宮守インターチェンジ間の国道107号は、重要港湾大船渡港とものづくり産業が集積する内陸部を結び、産業振興を支える上で重要な路線と認識しています。
 このため、おおむね20年から30年間の中長期的な視点で必要となる道路ネットワークの検討を行い、岩手県新広域道路交通計画を昨年6月に策定いたしました。この中で、国道107号を一般広域道路に、さらに、これに重ねる形で(仮称)大船渡内陸道路を将来的に高規格道路としての役割を期待する構想道路に位置づけたところであります。
 こうしたことから、国道107号については、今年度、大船渡市と住田町間の白石峠工区を新たに事業化し、将来的な高規格道路化を見据えた規格により整備を進めていくこととしています。また、大船渡内陸道路については、全国的な高規格道路ネットワークにおける必要性の検討とあわせて、大まかなルートや道路構造等の調査を進めてまいります。
 今後とも、大船渡市から宮守インターチェンジ間の国道107号を規格の高い道路として着実に整備を進めるとともに、大船渡内陸道路の調査の熟度を高めながら、円滑な物流や産業振興に資する気仙地域と宮守インターチェンジ間の連絡強化に取り組んでまいります。
 次に、児童手当等の所得制限についてでありますが、将来世代が希望をかなえられる社会を目指すには、子育てに対する不安や経済的な負担を軽減することが重要であり、全ての子供の健やかな成長のために、適切な環境がひとしく確保されるよう、支給する児童手当などの各種給付制度については、所得制限は設けないほうがよいと考えております。
 全国知事会としても、国に対し、昨年6月の令和4年度国の施策並びに予算に関する提案・要望において、児童手当の支給額拡充や所得制限の廃止を含めた(仮称)家族手当の創設や、児童扶養手当額の増額及び所得制限限度額の引き上げを求めたところであります。
 その他のお尋ねにつきましては、企画理事及び関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔企画理事兼環境生活部長白水伸英君登壇〕
〇企画理事兼環境生活部長(白水伸英君) プラスチック資源循環促進法についてでありますが、この法律は、プラスチック製品の設計から廃棄物の処理に至るまでの各段階において、あらゆる主体におけるプラスチックの資源循環の取り組みを促進することを目指しておりまして、県といたしましても、法に基づく取り組みを進め、岩手県の豊かな森、川、海などの自然環境を保全していくことが重要と考えております。
 現在、市町村では、これまでの容器包装プラスチックに加え、ポリバケツやおもちゃなど全てのプラスチック製品の廃棄物の回収に向け、分別収集の方法や処理費用の負担等についての検討が行われているところであります。
 また、事業者においては、小売店での店頭回収や使い捨てスプーン等の配布数の削減に加え、新たに、宿泊業では、歯ブラシやくしなどのいわゆるアメニティーグッズを必要な場合だけ宿泊客が受け取る方法に変更するなどの取り組みの広がりも見られるところであります。
 県においては、このような環境に配慮した事業活動を行う小売店等の周知、使い捨てプラスチック製品の3Rの普及啓発、市町村への助言等のほか、市町村のプラスチック資源回収による新たな財政負担が軽減されるよう国に対し要望を行っておりまして、引き続き、市町村や関係事業者と連携し、プラスチック資源循環の促進に取り組んでまいります。
   〔保健福祉部長野原勝君登壇〕
〇保健福祉部長(野原勝君) まず、いわて子育て世帯臨時特別支援金給付事業についてでありますが、本事業は、国のコロナ禍における原油価格・物価高騰等総合緊急対策を踏まえ、子育て世帯に対し、支給対象が中学生までである児童手当のスキームを活用し、新たな申請等を必要としないプッシュ型により、迅速に支援する目的で行ったものであります。
 これにより、全市町村が子育て世帯への支援金を支給することとしており、そのうち約6割の20市町村が、8月までに支給開始を予定しているほか、県の補助事業を呼び水として、地域の実情に応じて独自に支援額の上乗せや、高校生を養育する世帯などへの支給対象の拡大を予定している市町村が相当数あるところであります。
 県としては、子育て世帯に支援金が早期に確実に行き渡るよう、引き続き市町村への働きかけを進めてまいります。
 次に、沿岸地域の子育て支援施設の整備についてでありますが、児童に健全な遊びを与え、その健全育成を図る目的で設置される児童館のうち、都道府県が設置運営の主体となる大型児童館については、要件として面積や機能に一定の基準があるところであります。
 本県の大型児童館として一戸町に設置しているいわて子どもの森は、全県的な子供の遊びの場を提供するだけではなく、県内の児童館や児童センターへの指導や助言を行うなどの所定の機能を担っており、本県の児童健全育成活動を支援する中核的施設として位置づけているところであります。
 県が新たに大型児童館を開設するためには、いわて子どもの森の機能分化や事業規模の見直しも含めた全県的な子育て支援拠点のあり方に関する議論が不可欠であるほか、整備費用やその後の維持管理経費などの財政的な課題もあり、慎重な判断が必要と考えております。
 次に、保育所整備促進についてでありますが、国は、待機児童の解消を目指して、全国各市町村の整備計画を踏まえて新子育て安心プランを策定し、令和3年度から令和6年度までの4年間で約14万人の保育の受け皿を整備することとしており、その財源の一部に、児童手当の特例給付の見直しにより生ずる財源等を充当するとしております。
 本県においては、岩手県子ども・子育て支援事業支援計画に基づき、令和6年度までの4年間で313人の定員増を図ることとしており、こうした国の財源等を活用しながら、引き続き、市町村が地域の保育ニーズに応じて計画した受け皿の整備が促進されるよう支援してまいります。
   〔県土整備部長田中隆司君登壇〕
〇県土整備部長(田中隆司君) まず、建設業対策についてでありますが、震災前の3年間で年間20件を超えていた県内建設業の倒産件数は、直近3年間では1桁台となっており、このうち、沿岸地域においては1件程度で推移しております。
 一方で、財務省の資料によれば、県内の公共事業の受注金額の目安となる前払い金保証請負金額は、平成29年度の5、190億円から、年々減少し、令和3年度には2、007億円となっているほか、建設資材も高騰するなど、県内の建設企業を取り巻く環境は厳しさを増していると認識しております。
 県としては、引き続き必要な公共事業予算の確保を国に働きかけていくとともに、設計単価の適切な設定等により、資材価格の急激な変動に柔軟に対応してまいります。
 また、次期いわて建設業振興中期プランの策定作業の中で、建設業団体と意見交換を行いながら、建設企業が期待される役割を将来にわたって果たすことができるよう、対策について検討してまいります。
 次に、カーボンニュートラルポートについてでありますが、国では、令和2年12月に、2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略を策定し、この中で、物流・人流・土木インフラ分野の施策として、カーボンニュートラルポートの形成を位置づけております。
 これを受けて、国土交通省では、港湾地域の面的、効率的な脱炭素化を図るため、港湾管理者による形成計画の策定を促進することとしております。この計画は、港湾利用者や港湾所在市などと連携し、温室効果ガスの削減目標や2050年カーボンニュートラルに向けたロードマップ等を内容とするものと承知しております。
 物流拠点であり産業拠点でもある港湾において、脱炭素化の取り組みは重要と認識しており、今後、先進事例を収集するとともに、港湾所在市と意見交換しながら、各港湾の利用特性を踏まえた計画のあり方について研究してまいります。
 次に、省エネ住宅についてでありますが、国では、省エネルギーと再生可能エネルギーを組み合わせてエネルギー収支をゼロにする住宅、いわゆるZEH基準による住宅を、既存ストックも含めた平均で2050年に確保する方針を示しております。
 この方針の実現に向け、新築住宅については、現行の省エネ基準の2025年までの適合義務化に係る法改正が行われたところであり、さらに、2030年には、現行基準を上回るZEH基準が適用される予定となっております。
 このような国の動きに対して、県としては、県内建築士等の省エネ基準に対する知識、技術の向上や既存住宅の省エネ化が当面の課題と捉えております。
 このため、今年度から、建築士や工務店を対象とした省エネ基準に係る県主催の講習会の開催、既存住宅の省エネ化に係る設計、改修等への補助を実施することとしております。
 ZEH基準を上回る省エネ住宅については、2050年カーボンニュートラルを達成する上で重要な視点と考えており、先進自治体の取り組み状況等を参考としながら研究してまいります。
 あわせて、国では、ZEH基準を上回る基準の設定について検討を進めており、その動向を注視してまいります。
   〔商工労働観光部長岩渕伸也君登壇〕
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) まず、観光産業人材の育成についてでありますが、これまで、三陸DMOセンターに観光産業に精通した専門人材を観光プロデューサーとして配置し、地域資源を生かした旅行商品の造成やマーケティング調査、分析、商談会などによるプロモーションを行ってきたところであります。
 また、地域の観光人材の育成や高い商品化に向けた実践力のある人材を育成するため、三陸観光プランナー養成塾を開催するとともに、観光プロデューサーや観光地域づくりコーディネーターが中心となって、養成した三陸観光プランナーのフォローアップなどの人材育成の取り組みを進めてきたところであります。
 コロナ禍を背景に観光を取り巻く環境も大きく変化しており、観光振興に携わる専門人材の育成、確保がますます重要となっており、これまでに養成した三陸観光プランナーの専門性のさらなる向上を図るとともに、観光関連事業者が有しているすぐれた人材とのネットワークや連携の強化を進めていきたいと考えており、こうした取り組みにより県内の観光産業人材の育成を図り、復興が進んだ新しい三陸に国内外の多くの方々が訪れ、自然、文化、食など、旅行者に満足してもらえるおもてなしにより、何度も訪れたくなる観光地域づくりにオール岩手で取り組んでまいります。
 次に、発信力の強化についてでありますが、本県は、二つの国立公園と時代の異なる三つの世界遺産、震災の経験や教訓を学ぶことができる東日本大震災津波の遺構や、雄大な自然とその成り立ちを実感できるジオパークなど、観光振興を進める上で、全国の中でも優位となる多くの資源を有しております。
 こうしたすぐれた観光資源を最大限に生かしていくためには、効果的な情報発信が重要であり、県、市町村、観光関連団体、民間企業などで構成する、いわて観光キャンペーン推進協議会を設置して、国内外に向けたプロモーションを集中的に行っているところであります。
 デジタル化の進展やSNSの急速な普及などにより、観光情報の入手方法や発信方法も多様化しており、こうした環境変化に的確に対応するとともに、デジタルマーケティングの取り組みの強化を図りながら、岩手県の多岐にわたる魅力が、国内外のより多くの方々に的確に伝わるようなプロモーションを展開してまいります。
 次に、市町村との連携、協力と三陸DMOセンターの役割についてでありますが、人口減少が進む中、新しい三陸の創造を進めていくためには、三陸ならではの地域資源を生かした観光振興によって交流人口の拡大を図っていくことが重要と考えております。
 こうした考えのもと、今年度、これまで県庁内に置いていた三陸DMOセンターを宮古市に移転するとともに、推進体制の強化を図ったところであり、三陸DMOセンターを核とした観光データを活用した商品開発や受け入れ態勢の整備を進めているところであります。
 今後、三陸DMOセンターを司令塔とした県、市町村及び観光関連事業者などとのしっかりとした連携体制を構築し、本年10月ごろに立ち上げを予定しているデジタルマーケティングを活用したプラットホームなども有効に活用しながら、三陸地域が一体となって観光振興を進めることにより、地域経済の活性化につなげていく考えであります。
 次に、ジョブカフェいわてについてでありますが、ジョブカフェいわて及び地域ジョブカフェについては、県と市町村が連携して若者の就業支援を行うことを目的に、平成16年度以降、順次整備を図り運営を行ってきたところであり、特に地域ジョブカフェについては、将来的に市町村がより強いかかわりを持っていくことを期待しつつ、当面は、県が主体となった運営を行うこととしていたところであります。
 人口減少が進む中、若者や女性の就業支援は引き続き重要な取り組みとなることから、こうした設置経緯を踏まえ、市町村を中心とした地域ジョブカフェの運営を実現することにより、地域の実情に応じた若者や女性の地元定着支援を展開し、各市町村の人口減少対策の取り組みと効果的に連動させていきたいと考えております。
 このような考え方のもとで、現在、令和5年度以降の地域ジョブカフェのあり方について、各地域において、市町村など関係者の意向を酌みながら議論を重ねているところであり、市町村主体の地域ジョブカフェとして、引き続き、地域の実情に応じたきめ細かい支援体制が確保されるよう努めてまいります。
   〔農林水産部長藤代克彦君登壇〕
〇農林水産部長(藤代克彦君) まず、漁協経営についてでありますが、県内の漁業協同組合は、主要魚種の不漁により、定置網などの漁業自営事業や販売事業で十分に収益を確保できず、令和3年度の決算において、24漁協のうち16漁協が、当期損失金を計上する見込みとなっております。
 県では、漁業協同組合の経営状況を踏まえ、資金需要の増加も想定し、令和4年度当初予算において、漁業協同組合等の資金繰り改善に活用可能な借りかえ資金への利子補給に要する経費を増額したほか、漁業関係団体と連携しながら、経営改善に必要な指導、助言を行っております。
 また、漁協合併について、県内では、ことし4月に洋野町内の3漁業協同組合が合併しており、県では、漁業関係団体とともに、合併に向けた手続等を支援してきたところでございます。
 漁業協同組合が、将来にわたり組合員の負託に応えることができる経営基盤を構築するためには、合併も選択肢の一つと考えており、今後とも、漁業協同組合が本県の水産振興の中核的な役割を担っていくことができるよう、経営基盤の強化を支援してまいります。
 次に、水産基盤の整備についてでありますが、県ではこれまで、国の漁港漁場整備長期計画を踏まえ、本年度までを計画期間として策定した県水産基盤整備方針に基づき、働きやすい漁業地域づくりに向けた、釜石市箱崎漁港など21漁港での浮き桟橋等の整備のほか、災害に強い漁業地域づくりに向けた、宮古市重茂漁港など8漁港での岸壁等の耐震、耐津波対策を実施してきたところです。
 本年度策定を予定している新たな県水産基盤整備方針においては、魚種の変化や台風の大型化に伴う異常な高波の発生など、本県水産業を取り巻く環境の変化のほか、国の長期計画に掲げる産地の生産力強化や災害リスクへの対応力強化などを踏まえ、具体の内容を検討していくこととしております。
 また、方針の策定とあわせ、増加しているマイワシ等の水揚げへの対応が急務となっておりますので、今年度、大船渡漁港での大型漁船に対応した岸壁整備のための調査に着手したところであり、今後とも、地域の実情に応じた水産基盤の整備を計画的に推進してまいります。
   〔医療局長小原勝君登壇〕
〇医療局長(小原勝君) まず、看護職員の確保及び職場環境の整備についてでありますが、看護職員の確保については、職員配置計画に基づき、患者数や業務量等を踏まえ必要な職員の確保を行っているところであり、体制や機能の強化のための人員配置や育児休業取得者等の代替職員の配置、新型コロナウイルス感染症に対応する看護師の確保を行ってきたところであります。
 また、職場環境の整備については、採血業務の臨床検査技師への移管などのタスクシフティングや、外部コンサルタントを活用した業務の見直しを行ってきたところであり、今年度は、これらの成果を県立病院全体に横展開するなど、業務負担軽減の取り組みを進めているところであります。
 さらには、幼児保育を導入し院内保育の充実を図るとともに、多様な勤務形態の運用や計画的な年次休暇取得の促進など、ワーク・ライフ・バランスの充実にも努めているところであります。
 加えて、職員満足度調査の結果等を踏まえ、ハラスメントのない職場づくりへの意識を醸成するため研修会等を開催しているほか、昨年度から、相談員に弁護士を加え、相談体制を強化しているところです。
 引き続き、職員の率直な意見や思いを酌み取り、具体的な改善策につなげることで、業務負担の軽減や離職防止を図りながら、働きやすい職場づくりに努めてまいります。
 次に、患者や御家族への対応、相談機関の紹介についてでありますが、各病院に設置している医療相談コーナーが中心となって、関係する診療科と連携をとりながら対応しているところであり、特に、御遺族に対しましては、そのお気持ちに寄り添って、わかりやすい表現を用いた説明や、疑問点がある場合は再度説明の場を設けるなど、できる限り御理解をいただけるよう努めているほか、死亡原因が特定できない場合などには、御遺族から承諾を得た上で、死亡時画像診断や病理解剖を実施するなど、病院組織として死亡原因の究明を行い、より丁寧な対応になるよう努力しているところであります。
 また、必要に応じて、県民医療相談センターや保健所等の相談機関を紹介しております。
 医療事故調査制度の普及についてでありますが、医療局におきましては、制度の概要や対象事案発生時の対応等について、組織として適切な対応が図られるよう、職員に対し研修等を通じて周知を図ってきたところであり、また、各病院におきましては、患者や家族への周知が図られるよう、目にしやすい場所に制度に関するポスターを掲示しているほか、医療相談コーナー等にリーフレットを配架しているところであり、今後も引き続き、国が行います普及活動と協調して、制度の適正な運用と普及に努めてまいります。
〇4番(千葉盛君) それでは、再質問させていただきます。
 まず、物価高騰対策でありますけれども、この物価高騰、原油高とかさまざまな要因で、県民の暮らしが日々苦しくなっていくような状況が続いています。その中で、議会で審議して、これから事業がそれぞれ実施されていくことと思います。令和4年5月の臨時会でも、今定例会でもスピード感を持ってやっていくという答弁でしたが、やはり本当に今急がれる対策だと思いますので、一日も早い執行がなされることを願います。
 先ほどの臨時会での子供世帯への給付金の話ですけれども、早いところで8月支給開始だということでした。それで、児童手当のスキームを活用したのは早い支給を支援する目的だということでしたけれども、結局は、あとは市町村の対応になってしまう部分もあります。市町村によっては18歳まで支給するところもあるし、いろいろな考え方を持って上乗せするところもあるということですけれども、やはり、早く実行されることが大事でありますし、臨時会まで開いて議決された部分については、本当に早い執行を求めます。
 また、今月のこの定例会の後、これまでコロナ禍でいろいろな支援もやってきましたけれども、どういう形態で支給されていくのかわりませんが、また一からやるのか、しっかりとそういう体制も含めて検討されているのか、この辺、速やかに実行されるような体制が整っているのだというところをお聞かせいただければと思います。
 それと、随時、状況に合わせて必要に応じて対策を講じていくということでしたけれども、本当に急がれることだと思います。具体的に何か対策をしていこうというお考えがあるのであれば、お聞かせいただければと思います。
 次に、三陸DMOセンターについてでありますけれども、先ほど御答弁があったとおり、沿岸地域への観光誘客を目指して、さまざまな取り組みをしているということで、まさに三陸DMOセンターの役割はそのとおりだと思うのですが、大槌町に視察に行ったときの御指摘等を踏まえ、やはり三陸DMOセンターの活動がまだまだ足りていないのではないかと感じました。最近、宮古市に移転したばかりですけれども、以前から設置されているものでありまして、ましてや、その間に、例えば東日本大震災津波伝承館であれば50万人以上の方々が来館しておりますので、この方々をしっかり沿岸市町村や県内に、自治体と組んでとにかくいろいろあちこちに誘客するというのはできるわけです。
 ただ、全部の市町村には聞いておりませんが、市町村や観光協会から聞くと、やはり三陸DMOセンターは、さんりく基金等予算については、もちろん大分感謝しているようですけれども、活動の姿がちょっと見えないと言われます。
 自治体の枠を超えた部分でのコーディネートが一番重要視されているのではないかと思いますので、しっかりと沿岸市町村をつなぐ役として、そして、観光パッケージ、観光旅行といったものをしっかり結びつける役割、本当に三陸DMOセンターにとっては活躍できる場所だろうと思っておりますので、ここをしっかりやってほしいと思います。この辺について、岩手県と一緒になってやってほしいのですけれども、その辺についてお聞かせいただければと思います。
 もう一つ、地域ジョブカフェのところですけれども、私の捉え方だと、地域の実情に応じてこれもやっていくのだという捉え方をしたのですが、そうなのでしょうか。それとも、やはり移管を今後も進めていくということなのか。
 これも全部聞いたわけではないのですが、沿岸地域の地域ジョブカフェの移管について難色を示しているようなところでは、やはりそのままの運営体制でいてほしいと言われます。それで、私は地元なので、ジョブカフェ気仙については、東日本大震災津波前の県の考え方はそうだったのでしょうけれども、東日本大震災津波があり、いろいろな雇用情勢の中で10年以上やってきた中で、ジョブカフェ気仙を拠点として、商工団体とか関係自治体とか、いろいろな団体で、また新たな体制がつくり上げられてきたところで、県が運営から離れられるのは、今の状況だとこれが壊れてしまうのではないかという危惧があるようですので、その辺についてまたお聞かせください。
 最後に医療局の看護師の体制についてです。離職者数と採用数が大体同じで、人手不足というところはないような答弁だったのですけれども、私は、ちょっと人手が足りないのではないかと感じています。その中で忙しくて大変だという声が聞こえているのではないかと思ったのですが、人手不足はないような答弁でしたので、看護師の確保にもう少し力を入れて、しかも離職者数が減っていくように対応していくべきだと思うのですけれども、その辺の実態をしっかりお聞かせいただきたい。
 岩手県全体として、県内で養成所から看護職につくのが63.8%なので、県立病院に限らずですが、県立病院としても、岩手県内から県外に流出してしまっている看護師が多いということで、県内で確保できるように、県立病院、医療局としてもしっかり対応してほしいところであります。
 それから、患者、家族への対応ですけれども、死亡退院患者数がこの3年間で1万3、600人いるということで、その中で、やはり医療制度の周知もできているし、きちんと丁寧な説明ができているということであります。その中でも、病院で家族が亡くなったときに、そういった行動になかなか移せなくて、後で悩んで、悩んで、でも、結局相談できないとか、その制度も知らなかったという方々もいるので、これまで以上にしっかり周知徹底していただきたいと思います。これについてお答えいただければと思います。
〇総務部長(千葉幸也君) 原油価格・物価高騰対策パッケージについてでございますけれども、これは、5月臨時会33億円、それから、6月定例会31億円、予算総額64億円ということで、先ほど知事からも申し上げましたが、全国に先駆けて編成した予算でございます。
 国におきましても、原油価格・物価高騰等総合緊急対策に係る緊急閣僚会議が行われておりますけれども、自治体が実施する対策の財源支援をきめ細かく行うというようなことでありまして、国に対して、今後も追加の配分などについて強く要望してまいるとともに、県としても、生活者、事業者に対する追加の支援策に対して、状況をしっかり把握しながら、適時適切に今後もしっかり対応してまいりたいと思います。
 先ほど申し上げましたけれども、累次の予算を編成していまして、かなり早い対応をしたと思っておりますが、まずは、必要とされる方々に支援が迅速に、確実に届くように、しっかり着実に執行するということをやっていきたいと考えております。
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) 初めに、三陸DMOセンターについてでございますけれども、御承知のとおり、多くの人員を抱えた大組織ではございません。答弁でもお話ししたとおり、司令塔の役割を果たすのが第一だと思っております。結果的には、その司令塔のもとで実際に事業などを展開するのは、県の広域振興局の観光振興担当であったり、市町村の観光振興担当であったり、あとは民間であったりということになります。
 まずは、そこの連携構築の体制をとらないと、三陸DMOセンターが何かやってくれるのだという期待ばかりされるとなかなか前に進まないので、4月に移したばかりですが、そこの連携体制の構築を強くするために実際に現場に置いたわけですので、そこは強くしていきたいと思います。
 もう一つが、いろいろな市町村間あるいは民間間の調整役をしっかり果たしていきたいということだと思います。それをつないで、そこのミッションとかをきちんと的確に伝えて、三陸地域の一体的な観光振興を行っていくことになりますので、そういう体制をしっかりとって、そこの御理解をいただいて進めていきたいと思います。
 それから、地域ジョブカフェでございます。これにつきましても、仮に市町村が主体となった運営が難しい場合においても、全く何もしなくなるということではなく、県の地域振興支援センター等に就業支援員等を配置しておりますので、そこで引き続き、ジョブカフェいわてと連携した相談対応などを図ってまいります。
 ただ、やはり市町村に中心となっていただいて主体的にやっていただくことで、活動内容が、その地域によってより充実してくると思います。全て県だけでやるとどうしても薄くなりますので、市町村が主体となることによって、市町村に協力してもらうことによって、きめ細かい支援ができるようにしたいので、市町村主体となった運営について協力をお願いしているところです。引き続き、そこの理解をもらえるように、我々も働きかけながらやっていきたいと考えております。
〇医療局長(小原勝君) まず、看護師の確保についてのお話でございました。現在の岩手県立病院等の経営計画で職員配置計画を定めております。これは、先ほど申し上げましたように、業務量などをよく見て策定していく考え方でありますが、近年では、病床の適正化で減員を行いつつ、医療の質の向上、例えば、救急体制を充実させるとか夜勤体制を充実させるとかといった面で55名配置しておりますし、育児休業取得者の代替要員として62名を配置するなど、全体で44名増員の配置を行ったところです。
 短期的に見ますと、やはり今回のコロナ禍で休まなければならない人が出たといった状況などもありますから、確かに完全に埋め切れるわけではないですが、病院側と本庁との間で連絡を密にしまして、さらに採用するとか、応援を行うとかといったことの対応を行っております。
 病院内で調整していただけるか、あるいは圏域内で調整していただけるか、さらに難しい場合には、病院のネットワークをフルに生かして迅速に対応しているところでありますので、恒常的に人員体制が不足するような事態には陥らないように努めてまいりたいと思います。
 県外に出ている方々に県内就職していただくためにも、職場環境の改善に努めているというところをしっかりアピールしてまいりたいと思います。
 それから、医療事故等、患者、御家族との間では、少なからず納得いただけないケースなどがさまざま生じているものでございますが、こちらがどれだけわかりやすく説明を行ったとしても、患者側で御納得いただけなければ、進展しないということはあろうかと思います。
 特に、医療事故調査制度については、対象の事例をかなり慎重に見ているといった定義もありますので、なかなかその制度にのらない場合も多いものでございますけれども、対象外となる事案にあっても、できるだけ丁寧な説明を行って、いろいろな方法で解決に努めてまいりたいと考えております。 
   
〇議長(五日市王君) この際、暫時休憩いたします。
   午後2時18分休憩
   
出席議員(47名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 上 原 康 樹 君
3  番 小 林 正 信 君
4  番 千 葉   盛 君
5  番 千 葉 秀 幸 君
6  番 岩 城   元 君
7  番 高橋 こうすけ 君
8  番 米 内 紘 正 君
9  番 武 田   哲 君
10  番 高 橋 穏 至 君
11  番 山 下 正 勝 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 佐々木 朋 和 君
15  番 菅野 ひろのり 君
16  番 柳 村   一 君
17  番 佐 藤 ケイ子 君
18  番 岩 渕   誠 君
19  番 名須川   晋 君
20  番 佐々木 宣 和 君
21  番 臼 澤   勉 君
22  番 川 村 伸 浩 君
23  番 千 葉 絢 子 君
24  番 ハクセル美穂子 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 吉 田 敬 子 君
27  番 高 橋 但 馬 君
28  番 小 野   共 君
29  番 軽 石 義 則 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 小 西 和 子 君
32  番 高 橋 はじめ 君
33  番 神 崎 浩 之 君
34  番 城内 よしひこ 君
35  番 佐々木 茂 光 君
36  番 佐々木   努 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 中 平   均 君
39  番 工 藤 大 輔 君
40  番 五日市   王 君
41  番 関 根 敏 伸 君
42  番 佐々木 順 一 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 岩 崎 友 一 君
45  番 工 藤 勝 子 君
46  番 千 葉   伝 君
47  番 工 藤 勝 博 君
48  番 飯 澤   匡 君
欠席議員(なし)
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後2時38分再開
〇議長(五日市王君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。小林正信君。
   〔3番小林正信君登壇〕(拍手)

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