令和4年6月定例会 第21回岩手県議会定例会会議録

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〇27番(高橋但馬君) いわて新政会の高橋但馬です。このたびの6月定例会において登壇の機会を賜り、先輩、同僚議員各位に心より感謝申し上げ、通告に従い質問させていただきます。
 初めに、県庁舎の建てかえについて伺います。
 先日、知事は記者会見において県庁舎の建てかえについて言及されました。現在の県庁舎は昭和40年4月竣工の築57年となり、鉄筋鉄骨コンクリート造の知事局棟、鉄筋コンクリート造の議会棟及び渡り廊下棟の3棟からなる構造となっています。
 平成7年1月発生し、多くの犠牲者を出した阪神淡路大震災を契機として、同年12月にいわゆる耐震改修促進法が施行され、現在の新耐震基準を満たさない建築物について、積極的に耐震診断や改修を進めることとされました。また、平成17年10月には改正耐震改修促進法が成立し、翌年の1月に施行、大規模地震に備えて学校や病院などの建築物や住宅の耐震診断、改修を早急に進めるため、数値目標を盛り込んだ計画の作成が都道府県に義務づけられました。
 県庁舎は平成9年に耐震診断が行われ、震度6弱から6強の地震が起きても崩壊する危険性は低いと診断されたと伺っています。また、平成23年の東日本大震災津波では、盛岡市の震度5強の地震でも被害がなかったとのことですが、現在の耐震基準は満たしていない状況にあります。
 既に現庁舎は50年以上使用され、コロナ禍で企業のみならず行政の働き方も変化し、対面主義、書面主義で行われてきた行政事務は大きく変わってきています。また、ゼロカーボン(温室効果ガス排出量定質ゼロ)に向けた取り組みも始まってきており、さらには、昨今の財政運営を取り巻く厳しい状況が続く中にあっては、県庁舎の建てかえも現在と同じ規模ではないものと考えます。完成後の行政を取り巻く環境変化を見据えた検討が必要と考えます。建てかえに当たり、今後のあるべき県庁舎の機能や規模をどのように考えているのかお示しください。
 次に、内丸地区将来ビジョンへの影響についてですが、内丸地区将来ビジョンの策定に当たり、盛岡市においては、令和3年7月に内丸地区とその周辺の企業、団体等で構成する内丸地区将来ビジョン懇話会を設置しており、岩手県も盛岡市の要請に応じて、この懇話会に参画しているものと理解しております。
 その中で、県庁舎を配置する内丸地区が県行政の中枢を担う機能を有していることから、県からの主な意見として次の二つを挙げているとのことです。
 一つ目は、他の地域のモデルケースとなり得るまちづくりとなるよう、広域的な視点もこのビジョンに盛り込んでいくべきというもの。二つ目は、さまざまな分野の専門家や県民等の意見、提案を広く聴取するなど、かかわりのある多様な主体による合意形成に努めるようにしてほしいというものです。
 また、盛岡市ではこのビジョンの具体化に向けて、今年度以降、内丸地区将来ビジョンをもとに具体的な事業手法を盛り込んだ(仮称)内丸プランを策定する予定と伺っています。
 今回の知事の発言により、内丸地区将来ビジョンの取り組みの方向性への影響も非常に大きいものがあるのではないかと考えますが、このことについて、知事はどのように考えているのか伺います。
 次に、庁内の情報セキュリティーについて伺います。
 広島県では、ことし2月、断続的にサイバー攻撃を受けているため、県などのホームページが閲覧しにくくなっていると発表しました。内容は、クラウドと呼ばれる外部のサーバーを使ったシステムが16日の午前9時過ぎから、30分から1時間置きにサイバー攻撃を受けているというものです。この攻撃はサーバーに大量のデータを一斉に送りつけ、システムをダウンさせようとするディードス攻撃と呼ばれるものです。
 この影響で、広島県や広島県内23全ての市や町のホームページが断続的に閲覧しにくくなったほか、自治体とやり取りするメールの送受信に影響が出る可能性があるとのことでしたが、攻撃を受けているクラウドは重要な情報などが入ったサーバーにはつながっていないということで、広島県は警察と連携して対応に当たっているとの報道がありました。
 民間企業も含めて、サイバー攻撃を受ける脅威が高まっている中、いつ岩手県にサイバー攻撃が起こってもおかしくない状況にあります。
 また、最近では、コロナ禍における働き方の変化により、都心では企業が大規模なオフィスを引き払い、オンライン会議やリモートワークが一般化しており、東京一極集中が減速し、関東近郊を中心とした地方への移住が増加をしています。岩手県も在宅勤務等を可能とするノートパソコンの配備や電子決裁、文書管理システムが稼働するなど、業務のデジタル化が加速しています。
 一方では、ロシアによるウクライナの侵攻や中国の海洋進出など、国際情勢が急激に悪化し、アメリカではロシアの情報セキュリティー企業や中国の情報通信企業のリスクを懸念し、排除の動きが見えます。
 また、国会では経済安全保障推進法が可決成立し、半導体や医薬品など国民生活に欠かせない重要な製品、特定重要物資が安定的に供給されるよう、企業の調達先を調査する権限を国に与えていることや、サイバー攻撃を防ぐため、電力や通信といったインフラを担う大企業が重要な機器を導入する際に国が事前審査を行えるようにすることが規定されました。
 こうした昨今の情勢から、サイバー攻撃事案の潜在的なリスクが大きく高まっている中、県として現状のリスクをどう認識しているのか、また、リスクに対する有効な対策への考え方を伺います。
 次に、有害鳥獣対策について伺います。
 私は、昨年の一般質問で、ツキノワグマの被害対策について、捕獲頭数の引き上げや人との共生、共存の実現に向けた県の取り組みについてお聞きしました。県当局からは、生息数調査結果等を踏まえ、捕獲上限数を引き上げたこと、本県の熊による人的被害が全国的に見ても高水準にある中で、今後、専門家の意見も踏まえながら策定する次期管理計画で、個体数管理や被害の防止対策のあり方について総合的に検討していくとの御答弁をいただいたところであります。
 本年3月には、令和8年度までの5年間を計画期間として第13次鳥獣保護管理事業計画が策定され、あわせて、第二種特定鳥獣管理計画として、ツキノワグマ、ニホンジカ、イノシシ、カモシカとそれぞれの管理計画が策定されました。
 こうした中、5月には熊による人身被害件数が5件、被害者は6人発生し、今後とも人身被害や農畜産物被害の増加が予想されるとのことから、県では今月1日付でツキノワグマの出没注意報を発表して県民に注意を促したところですが、まさに今般策定した管理計画を関係機関、団体と連携しながらしっかりと実行し、評価していくことが求められていると考えます。
 鳥獣の捕獲には持続的な狩猟者の確保、育成が重要ですが、聞くところによると、狩猟の免許、登録の猟銃の所持、更新などの経費は1人当たり年間平均で約4万3、000円かかるとされています。そのほかにも活動経費として、弾薬、車両燃料などの消耗品等の購入経費が年間平均30万7、000円、捕獲した鳥獣の処分等に係る経費が年間平均6万円、これらを合わせると41万円です。これに対して狩猟者に支払われる金額は、国や地方公共団体等の交付金や市町村の有害鳥獣捕獲報奨金、わなの見回り手当等であり、1人当たり年間平均約38万9、000円となっています。単純に収支を比較すると支出が約2万円上回り、自己負担が発生していると考えられますが、実際には狩猟者は猟銃やわな、車両等の維持管理費用もあるため、自己負担はもっと大きくなっているのではないかと考えます。
 さらには、狩猟免許所持者の約6割が60歳以上と高齢化している中で、有害鳥獣捕獲等ではわな猟の割合が高く、わな猟は見回りが大変で体力的に限界との意見が出ています。また、捕獲した鳥獣の埋設や焼却処理が大きな負担との意見も聞いております。
   〔議長退席、副議長着席〕
 狩猟者の方々はこのような状況下で有害鳥獣等の捕獲に従事していただいているわけですが、こうした狩猟者の方々の高齢化は、本県の野生鳥獣の円滑な保管管理に支障を来すおそれがあります。有害鳥獣捕獲等のための担い手の育成、確保のために、県としてどのように対応していくのか伺います。
 先日、会派で国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所東北支所を訪問し、動物生体遺伝チーム長の大西さんから話を伺いました。その内容は、本県でイノシシの生息域が拡大していることを受け、国の森林総合研究所と岩手県立大学の研究グループがイノシシの出没を予測するハザードマップを作成したというものです。
 岩手県でも2007年に目撃されて以来、現在では既に県全域で確認されているイノシシですが、イノシシの出没の変遷をまとめ、2007年から2010年を移入期、2011年から2017年を拡大期、2018年以降を定着期と呼べるということが示されております。
 さらに、種の分布モデルを用いた機械学習法により、岩手県内の出没予測図の作成を試みたとのことであり、その結果、標高、植生、土地利用の三つの環境データを用いることで精度の高い出没予測図を作成することができたとのことでありました。
 また、この出没予測は、全国各地で分布拡大している鹿、猿、熊類においても同様の手法でハザードマップを作成し、被害防除に活用できると期待されるとのことでありました。
 国の森林総合研究所と岩手県立大学の共同研究でもあり、この研究成果を生かして、県としても鳥獣被害をもたらす種の出没ハザードマップを作成し、被害防除に積極的に役立てていくべきだと考えますが、県の考えをお示しください。
 次に、観光振興について伺います。
 6月15日、岸田総理大臣は、6月中の新型コロナウイルスの感染状況を見極めた上で、7月前半から全国を対象とした観光需要喚起策を実施すると述べました。政府は早ければ7月上旬には全国6ブロックで行われている県民割の予約対象を全国にエリア拡大する方針を固めています。現在、7月14日までとされている地域観光事業支援の期間は7月15日以降も延長されることになりそうです。
 Go To トラベルキャンペーンは国の事業であるため、政府がルールを決定します。また、開始時期なども全国一斉に足並みがそろうのですが、県民割や全国旅行支援は異なります。県民割の実施主体はあくまでも都道府県ですが、ここで厄介なのは、都道府県によって予約方法が違うということです。岩手県ではオンライントラベルエージェントに原資を配分していないので、利用者からすると不便になっていると思いますが、このことについての県の考えを伺います。
 岩手県のある施設の客室アンケートに、いわて旅応援プロジェクトへの意見が記載をされておりました。その内容は、Go To トラベルのときは名前を書くだけで楽だったのに、今回は記入が多く手間がかかった。他県の旅館に泊まったときは事前登録で楽でした。もう少し改善をお願いしますというものです。チェックインの旅行者宿泊手続や割引手続などチェックインに時間がかかり、宿泊事業者は利用者への対応や密を避けるためフロント人員を補強し、人材確保コストが増加している現状です。全国旅行支援が開始された場合の宿泊事業者のオペレーションの破綻が懸念されますが、宿泊事業者の課題に係る県の認識について伺います。
 利用者、事業者それぞれの課題を述べましたが、このような課題の解決に向けたシステムの導入を本県でも検討するべきだと考えます。
 例えばですが、ステイナビというシステムがあります。旅行者はステイナビから宿泊予約施設を検索して予約し、宿泊クーポンを受け取ります。そして、チェックインの際、宿泊クーポンのQRコードをフロントに提示することでフロントでの記入の手間が省け、チェックインにかかる時間は5分以内におさまります。宿泊事業者は稼働率が上がることでチェックイン業務は多忙になりますが、高稼働時のオペレーション体制で対処できます。また、精算作業においても、1カ月分の精算を1日がかりで作業する宿泊事業者でも、ステイナビでは発行されたクーポンはワンクリックで宿泊承認を行うので、作業時間も10分程度あれば1カ月分の精算作業が可能となります。
 全国旅行支援は予算規模がふえ、負担がさらにふえることを想定して、解決に向けて動いている自治体が多くなっています。隣県でもシステム導入の動きが進んでいることを見ると、岩手県としても全国から岩手県に観光客を呼び込む取り組みの手段として、ステイナビのようなシステム導入にかじを切るときが来ていると思いますが、県の見解を伺います。
 次に、ICT機器を活用した学びの保障について伺います。
 県立高校では、生徒約7割に当たる1万5、980台の端末の整備が令和3年度に完了し、今後は生徒個人が所有する端末等と併用することで1人1台端末を実現していくこととしています。また、オンラインでの指導や課題の送受信ができる体制も整い、新型コロナウイルス感染症の影響による臨時休業や分散登校となっても、生徒の学びを継続させることが可能な環境となっています。
 実際に、県立高校において臨時休業等となった場合に、学校から自宅にいる生徒に対して生活や学習についての連絡、学習の課題の配布、回収を行っている例があると伺っております。
 先日、娘の通う県立高校で新型コロナウイルス感染症の陽性者が出ました。娘は同じ部活動だったために濃厚接触者の可能性があるとして10日間の自宅待機となりました。県立高校では生徒1人1台端末を活用した新たな学びや、臨時休業等における学びの保障を進めている中で、自宅待機中の学習は端末で行われるだろうと考えておりましたが、学校からは自宅待機中は自分で教科書を予習しなさいとの連絡でありました。
 先生方に対する学習支援アプリを活用した授業づくりや動画の撮影及びアップロード等の実技を交えた研修は重要ですし、全ての県立高校、全ての教科で準備が整い、端末をフルに活用できるまでには相応の時間もかかります。今は本格実施に向けた過渡期にあると理解しております。しかし、例えば、実際にやっている授業の様子、つまり、生徒と黒板を撮影し、オンライン、もしくはせめて録画映像を配信するなどにより、自宅にいながら授業を受けさせることはできないのでしょうか。不登校となっている生徒も含め、何らかの理由で学校に登校できない生徒に対し、学習のおくれや中断を生じさせないよう、学びの保障への対応を加速させていくべきと考えますが、教育長の見解を伺います。
 次に、スポーツを核とした地域活性化について伺います。
 スポーツ庁では、スポーツ分野と他産業との融合による新事業創出と社会課題の解決を目的とするスポーツオープンイノベーションプラットホーム─SOIPの構築を目指すスポーツオープンイノベーション推進事業を推進しております。
 令和3年度にはスポーツを核とした地域活性化の実現に向け、地域におけるSOIPの構築を目指すスポーツオープンイノベーション推進事業を新たに実施しました。本事業では各地域の特色を反映した新規事業の創出を支援するため、北海道、関西、中国、沖縄の4地域で運営協力事業者を採択し、各地域を拠点とするプロスポーツチーム等とともにスポーツ産業の新たな未来をつくるパートナー企業を選定しております。それぞれが連携し、スポーツの場におけるオープンイノベーションを促進して、スポーツへの投資促進やスポーツの価値高度化を図り、また、スポーツの場から他産業の価値高度化や社会課題の解決につながる新たな財、サービスが創出される社会の実現を目指すものであります。
 スポーツを成長産業と位置づけて他産業と連携することで地域に新たな価値を創出していくことは重要な取り組みと考えますが、本県では、県としてスポーツチームとのかかわりや支援が弱い気がしております。県が積極的にスポーツにかかわっていくことで、スポーツを核とした地域の活性化や新たな価値の創出がより現実化していくと考えますが、本県のスポーツによる地域の活性化に向けた取り組みをどのように進めていこうと考えているのか伺います。
 本年9月に日本スポーツマスターズ2022いわて大会が開催されます。日本スポーツマスターズとは、スポーツ愛好家の中で競技志向の高いシニア世代を対象としたスポーツの祭典であり、オリンピックや全日本の選手として活躍したトップアスリートと各地域で日々練習を積み重ねてきた選手が同じ舞台で日本一をかけて戦うことができる大会です。2001年に宮崎県で第1回大会が開催され、岩手県では初の開催となります。水泳やサッカーを初めとする13競技が実施され、選手、監督等で約8、000人が参加する大きなスポーツイベントとなります。
 このような大きな大会を契機として、スポーツを通じた地域活性化を図っていく必要がありますし、いわてグルージャ盛岡や岩手ビッグブルズ等のトッププロスポーツチームとの連携や、小林陵侑選手のようなアスリート育成などにも持続的、発展的に取り組むことができるよう、県、市町村、県民、スポーツ団体やプロスポーツを含めた民間が一体となった、岩手県独自のスポーツプラットホームの形成が重要と考えますが、県の考えを伺います。
 次に、いわての農業を将来にわたり持続的に発展させていくために必要な担い手の確保と育成についてお聞きします。
 国の農林業センサスによれば、本県の基幹的農業従事者は、令和2年までの直近10年間で約33%減少しています。各年齢の階級で減少していますが、中でも30歳から59歳までの働き盛りの年代で約56%と大きく減少しており、農業就業人口に占める若い世代が大きく減ることは、高齢化による離農や経営規模の縮小が今後も継続していくということにほかなりません。特にも、耕作条件が不利な中山間地域の小規模農家では、若い人が外に出て働き、地域の人口が減り、高齢化していく中で、耕作放棄地とさせないために頑張って農地を守り続けているところもありますが、既に限界状態という声もあります。また、集落営農や農地集約を進めるにしても、既に担い手となるマンパワーが見つからない状況もあります。
 このような状況の中で、本県の農業生産力を将来にわたり持続、発展させていくため、若い世代を中心とした担い手の確保、育成は重要な施策となりますが、本県では新規就農者確保に向け、新規就農総合対策事業のほか、今年度、新たにいわてニューファーマー支援事業に経営発展のために機械、施設導入の支援を盛り込むなど、就農希望者や新規就農者に対する総合的な支援に取り組んでいるところと伺っています。
 そこで2点伺います。
 一つ目は、新規就農者に対する支援についてです。新規就農者は就農する地域に一日も早く溶け込み、顔を覚えてもらう必要がありますし、農業はちょっとした気象の変化にも対応しなければならず、地元の農業者に教えてもらうことも必要で、できれば農地の近くに住んで就農していくことは重要なことと考えます。
 また、地域に地縁、血縁のない新規就農者が就農のタイミングに合わせて全てをそろえるのは現実的に難しく、初期投資を可能な限り抑えるためにも新規就農者に対して、例えば、農地と作業場をセットで支援するような、よりニーズに合う支援があれば、新規就農者を地域に呼び込みやすくなるのではないかと考えますが、県の所見を伺います。
 二つ目は、新規就農者の実態把握と経営の早期安定化についてです。
 新規就農をした場合、特に自営就農者においては、地域や関係団体の支援を受け、また、さまざまな失敗と試行錯誤を重ねながら経営を軌道に乗せていくことになりますが、全ての新規就農者が定着していくわけではないということがあります。
 後に続いていく新規就農者が同じ失敗を繰り返さないように、そして、離農することがないよう、新規就農者が置かれている現状を的確に把握し、分析、情報提供を行い、より実効性ある支援へと改善を図っていくことで経営の早期安定が図られ、定着率も向上していくものと考えます。
 早期の経営安定化は新規就農者確保の好循環を生み出していくことと考えますが、今後さらなる定着率の向上に向けて、新規就農者の経営実態をどのように把握し、分析し、経営の早期安定化につなげていくのか伺います。
 以上で私の一般質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 高橋但馬議員の御質問にお答え申し上げます。
 県庁舎についてでありますが、議員御指摘のとおり、働き方改革の推進、デジタル化の進展など、県行政を取り巻く環境は急速に変化しています。
 こうした中、県では、職員へのノートパソコンの配備や電子決裁、文書管理システムの導入等によるペーパーレス化、執務室外での業務遂行のためのリモートワークの環境整備など、業務プロセスの見直しを図り、多様な働き方や行政のDX化の対応を進めているところであります。
 県庁舎は建築から57年が経過し、老朽化が顕著であることから、建てかえや改修について検討が必要な時期に来ていると認識していますが、さまざまな環境変化への対応に加え、財政面での検討も必要であり、今後、盛岡市が策定する(仮称)内丸プランに参画する中で、県庁舎のあり方を検討してまいります。
 次に、内丸地区将来ビジョンについてでありますが、このビジョンは、盛岡市において内丸地区の行政機関や企業、商店街の代表、大学関係者などで構成する内丸地区将来ビジョン懇話会を設置し、取りまとめたものであり、県もこの議論に参画してまいりました。
 同ビジョンには、内丸地区のあるべき姿として、県都の核として社会経済を牽引すること、城下の風格と都市空間の調和を図ること、英知が集い未来を創造すすることが掲げられているほか、今後の取り組みの方向性として、災害時の対応力強化、にぎわい空間の創出、新たな価値を生み出す拠点の整備などが示されています。
 盛岡市では、このビジョンに基づき、今後、具体的な事業手法等を盛り込んだ(仮称)内丸プランを策定する予定であり、県としても引き続き、関係機関との連携のもと、同プランの検討の場等に参画し、内丸地区のあるべき将来像の実現に県としての役割を果たしてまいります。
 次に、庁内の情報セキュリティーについてでありますが、近年、本県においてもメールアドレスに対して月に100万通を超える不信メール等が送信されるなど、サイバー攻撃のリスクが高まっているものと認識しております。
 県の情報を取り扱う情報システムをさまざまな脅威から守ることは、県民の財産、プライバシー等を守るため、また、行政の安定的な運営のために必要不可欠であります。
 また、近年のデジタル技術の普及、高度化、サービスの拡大により、リモートワークやクラウドサービスを初めとする外部サービスの活用等が進んでいることから、情報漏えいなどのセキュリティー対策の強化を図り、常に情報へアクセスできる状態を確保することが重要であります。
 このため、入り口対策として、高度なセキュリティー監視、情報漏えい対策としてインターネット接続系ネットワークとマイナンバー利用系ネットワークなどの分離、出口対策として、職員利用端末のウイルス対策強化など、多層的な対策を講じているところであります。
 その他のお尋ねにつきましては、企画理事及び関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔企画理事兼環境生活部長白水伸英君登壇〕
〇企画理事兼環境生活部長(白水伸英君) まず、有害鳥獣捕獲等のための担い手の確保、育成についてでありますが、県では昨年度、鳥獣の保護管理の基本方針である第13次鳥獣保護管理事業計画及び有害性のある鳥獣の管理を進める第二種特定鳥獣管理計画を策定し、人身被害や農林業被害が増加している熊、鹿などの個体数の低減を推進するとともに、その担い手となる狩猟者の確保、育成を推進しているところであります。
 具体的には、若手ハンターの技術向上のための研修会や、イベント等における狩猟へ興味や関心を喚起する情報発信などを実施しているほか、今年度は新たに狩猟者の負担軽減を目的にICTを活用した鹿の捕獲通知システムの実証事業を行うこととしております。
 また、市町村によっては、狩猟免許取得やわな等の機材、猟銃の購入にかかる費用を支援している事例もございます。
 今後も、猟友会や市町村など関係機関と連携し、担い手確保に向けた情報発信や若手狩猟者の育成、狩猟者の負担軽減を図る取り組みを進めてまいります。
 次に、ハザードマップを活用した鳥獣被害防止対策についてでありますが、本県のイノシシは、県南部を中心に全域に生息していると考えられますが、学識経験者等で構成する県のイノシシ管理検討委員会においても、県全域での生息数や詳細な生息域が十分に把握できていないことが課題とされています。
 このため、県では、農業集落の代表者を対象とした野生鳥獣の生息状況や農業被害等に関するアンケート調査を実施し、出没状況等をマップ化して公表するとともに市町村とも共有し、鳥獣被害の防止のための活用を促しているところであります。
 今年度はGPS発信機を活用した調査を実施し、地域や季節ごとのイノシシの行動圏を調査することとしております。
 有害鳥獣の管理には、生息数や生息域、被害発生地域等の継続的なモニタリングが重要でありまして、議員から御提案のありましたハザードマップについても先見的な取り組みの一つとして参考としながら、鳥獣被害の防止に取り組んでまいります。
   〔商工労働観光部長岩渕伸也君登壇〕
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) まず、県民割利用者の利便性の向上についてでありますが、県民割の実施に当たっては、オンライントラベルエージェント、いわゆるOTAの方々のシステムが市町村割引等との併用に対応できないなどの課題があったことから、全国的にOTAの事業参画が限定的になっていると承知しております。
 一方で、今後実施が見込まれる全国旅行支援におきましては、全国の旅行会社の登録、審査事務を専門に行う統一窓口が設置される予定であり、この統一窓口を活用することでOTAの参画が容易になることから、OTAにも積極的に参加いただくことで利用者の利便性の向上を図りながら、全国からの誘客を促進していきたいと考えております。
 次に、チェックイン時の手続等についてでございますが、これまで県に対してもチェックインに時間がかかるので、利用者の事前の記載書類を簡略化してほしいといった多くの声を委託先である事務局を通じて、あるいは、宿泊事業者から直接といった形でいただいているところでございます。
 また、他県の記載書類と比べて本県の書類の記載内容が多いこと、さらに、全国拡大等により団体客がふえた場合の対応なども気にとめているところであり、制度が適正に利用されることをしっかりと担保しつつ、全国拡大されるタイミングで可能な限りの見直しを行う必要があると考えております。
 今般、全国旅行支援の開始の方向性が示されましたことから、これまでの声を十分に踏まえながら、引き続き、関係団体等からもさまざまな意見を聞き、工夫できる点については改善を行い、利用する側と利用される側の双方にとって利用しやすい支援としてまいります。
 次に、ステイナビの導入についてでございますが、いわて旅応援プロジェクトは、これまで長期間の中断もなく継続的に実施できていることから、参入要件を含めた大幅な制度の変更は行わずに運用してきたところであります。
 しかしながら、全国的にはステイナビを導入している県が既に7県あり、また、全国旅行支援の実施に合わせて導入を検討している県もあると承知しております。
 本県におきましても、全国旅行支援の開始に合わせて、ステイナビを含めた新たな運用システムの導入について、事業実施期間と照らし合わせた費用対効果なども勘案した上で、早期に検討を進めてまいります。
   〔文化スポーツ部長熊谷正則君登壇〕
〇文化スポーツ部長(熊谷正則君) まず、スポーツによる地域活性化についてでありますが、長引くコロナ禍にあって、夏季及び冬季オリンピック、パラリンピックでの本県ゆかりの選手の目覚ましい活躍を初め、スポーツの力が県民に夢や希望、誇りをもたらし、地域社会の活力や多面的価値を生み出しているものと認識しています。
 県では、これまでスポーツによる地域活性化に向け、三つのトッププロスポーツチームと県民との一体感の醸成、本県の特色あるスポーツ施設を活用したスポーツ大会等の誘致、アスリートの雇用支援などに取り組み、その結果、トッププロスポーツチームの上位リーグへの昇格や大規模スポーツイベントの誘致、県内企業のトップアスリートの雇用などの成果につながったところです。
 今後においても、三つのトッププロスポーツチームや企業など多様な主体との連携を強化するなど、スポーツを生かした人的、経済的交流を一層推進し、スポーツの力が地域の力となるよう取り組んでいきます。
 次に、スポーツプラットホーム、スポーツ推進体制についてでありますが、来月開催されるラグビー女子日本代表のテストマッチを皮切りに、日本スポーツマスターズ2022岩手大会、IFSCクライミングワールドカップ、いわて八幡平白銀国体が相次いで開催されることにより、スポーツへの関心が一層高まり、国内外から岩手県に注目が集まることが期待されます。
 この好機を捉え、本県の強みであるスーパーキッズ発掘、育成の取り組みを初めとした競技力向上、国民体育大会、ラグビーワールドカップ、オリンピック、パラリンピックを通じた経験やレガシー、本県の特色あるスポーツ施設を生かした取り組み等をさらに発展させるため、行政機関やスポーツ関係者、民間企業など幅広いメンバーからなる官民一体のスポーツ推進体制を構築する準備を現在進めているところであり、連携、協働による相乗効果を発揮しながら、一層のスポーツ振興と地域活性化に取り組んでいく考えであります。
   〔農林水産部長藤代克彦君登壇〕
〇農林水産部長(藤代克彦君) まず、新規就農者への支援についてでありますが、就農希望者を地域へ呼び込み、定着を図るためには、農業生産技術の習得はもとより、農地や資金の確保、機械や施設の導入など総合的な支援が重要であります。
 このため、県内11地域において、県、関係機関、団体で組織する農業担い手育成推進協議会が中心となり、就農希望者に対し、ワンストップでの就農相談会を開催するほか、生産技術を習得できる研修受け入れ先のあっせん、年間最大150万円が交付される就農準備資金や経営開始資金等の情報提供、農地や住居等のあっせんなどの取り組みを行っております。
 こうした取り組み等により、昨年度の新規就農者数は、年間の確保目標である260人を上回る277人となっております。
 さらに、本年度新たに、いわてニューファーマー支援事業により、農業経営を開始する新規就農者の経営発展に必要な機械、施設の導入に要する経費に対して、国と県合わせて4分の3を補助することとしており、県としては、今後とも、関係機関、団体と連携しながら新規就農者の確保に積極的に取り組んでまいります。
 次に、新規就農者の経営安定についてでありますが、県では、新規就農者の経営安定に向け、より効果的な指導を行うため、国の農業次世代人材投資資金の受給者を対象に定着状況や経営課題を調査しており、令和3年度の調査結果を見ると、9割以上が定着しているものの、就農5年後の販売目標額の達成割合は約3割にとどまっていたところでございます。
 目標額を達成できていない経営上の課題は、生産管理技術の不足や繁忙期の労働力不足、経営規模を拡大するための農地の確保などとされており、県ではこうした課題の解決に向け、新規就農者の技術レベルに応じた指導や労働力不足に対応する作業体系の見直しへの助言、農業委員会等と連携した農地の情報提供などに取り組んでいるところです。
 さらに、新規就農者同士や新規就農者と地域の農業者とのつながりを深めるための交流会の開催などを行っており、今後とも、新規就農者が早期に経営安定を図り、地域の担い手として定着できるよう積極的に支援してまいります。
   〔教育長佐藤博君登壇〕
〇教育長(佐藤博君) 県立高校におけるICT機器を活用した学びの保障についてでありますが、県立高校においては、昨年度までに無線LAN環境や普通教室等の大型提示装置、生徒用1人1台端末が整備されており、また、オンラインでの指導を可能とするためのマイクロソフトアカウントを全教職員及び生徒に配付しているところです。
 また、昨年8月及び本年2月に新型コロナウイルス感染症の感染状況等を踏まえて、オンラインを活用した学びの保障を強化していく観点から、全県立学校に対して、全ての児童生徒、教員の準備が整うのを待たずに可能な範囲からICTを活用していくよう通知しています。
 生徒貸出し用端末の整備が昨年度末に完了し、今年度から本格的にICT機器を活用していく段階であり、例えば、自宅待機や長期間欠席している生徒に対して授業を配信している学校も既にあることから、全県での活用をさらに進めてまいります。
 県教育委員会といたしましては、オンラインを活用して生徒の学びを保障していくことは重要と考えており、効果的な取り組み事例等の周知に努めるとともに、各学校の指導体制の構築等のために学校の求めに応じて指導主事やICT支援員を派遣するなど、引き続き、各学校の生徒の学びを継続させるための取り組みを支援してまいります。
〇27番(高橋但馬君) 県庁の建てかえに際してですけれども、先ほども質問させていただいたのですが、今の県の財政状況とかそういう部分を考えると、県民に理解される形で建てかえを行っていかないといけないと思います。年内にも技術的調査へという形になっていますが、その辺をしっかりとくんで対応していただきたいと思いますけれども、その辺の考えについて、一点お伺いしたい。
 あともう一点ですけれども、観光振興についてです。今まで私も旅行者、そして宿泊業者のいろいろな苦労をお伝えしてきたのですが、今回、全国に広がった形になりまして、さらに負担がふえるということになると思いますけれども、ステイナビのようなシステムの導入については、前向きに取り組むという形で理解していいか、よろしくお願いいたします。
〇総務部長(千葉幸也君) 県庁舎についてでございますけれども、議員御指摘のとおり、現在の県庁舎は現行の耐震基準を満たしていないものの、平成9年に実施した耐震診断においては、震度6弱から6強程度の地震により、建物の柱やはりなどの構造物に損傷が見られ、修理をしなければ使用できない程度の被害である中破といいますけれども、それ以上の被害が生じるものの、崩壊する可能性は低いということであります。
 ただ一方で、防災拠点としての耐震基準を満たしていないということも事実でありますので、県民の皆様にとっても非常に大事な県庁舎でありますので、今後のあり方を検討するということでございますが、その県庁舎における状況の把握や検証ということにつきましては、県庁所在地である盛岡市の地域特性、それから、地域活性化の観点から、関係者との緊密な連携が必要であること、それから、県庁舎の老朽化に係る詳細な状況把握を進める必要があることなど、多くの課題があると認識しております。それから、財政的にも非常に多額のお金がかかるということでありますので、しっかりと検討しなければいけないということであります。
 まずは今後、これらさまざまな課題を整理しながら、中長期的な視点に立って県庁舎の適正管理、検証、そういったものをしっかりやっていきたいと考えております。
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) ステイナビの導入についてでございますけれども、これを導入するとした場合、答弁で申し上げたとおり、全国旅行支援の開始に合わせてやっていきたいということを考えております。その場合には、宿泊事業者の対応の問題もありますので、ステイナビと従来型と併用する形になるかと考えているのですけれども、まずは全国旅行支援のほうがしっかりと予定どおりに実施されること、終わりだけは8月末と決まっていますので、それがずれ込むと、短期間のためのシステム変更となりますので、そうした状況をきちんと見極めながら対応していきたいと考えております。基本的には前向きに取り組む形であります。
   
〇副議長(小野共君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時31分休憩
   
出席議員(47名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 上 原 康 樹 君
3  番 小 林 正 信 君
4  番 千 葉   盛 君
5  番 千 葉 秀 幸 君
6  番 岩 城   元 君
7  番 高橋 こうすけ 君
8  番 米 内 紘 正 君
9  番 武 田   哲 君
10  番 高 橋 穏 至 君
11  番 山 下 正 勝 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 佐々木 朋 和 君
15  番 菅野 ひろのり 君
16  番 柳 村   一 君
17  番 佐 藤 ケイ子 君
18  番 岩 渕   誠 君
19  番 名須川   晋 君
20  番 佐々木 宣 和 君
21  番 臼 澤   勉 君
22  番 川 村 伸 浩 君
23  番 千 葉 絢 子 君
24  番 ハクセル美穂子 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 吉 田 敬 子 君
27  番 高 橋 但 馬 君
28  番 小 野   共 君
29  番 軽 石 義 則 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 小 西 和 子 君
32  番 高 橋 はじめ 君
33  番 神 崎 浩 之 君
34  番 城内 よしひこ 君
35  番 佐々木 茂 光 君
36  番 佐々木   努 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 中 平   均 君
39  番 工 藤 大 輔 君
40  番 五日市   王 君
41  番 関 根 敏 伸 君
42  番 佐々木 順 一 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 岩 崎 友 一 君
45  番 工 藤 勝 子 君
46  番 千 葉   伝 君
47  番 工 藤 勝 博 君
48  番 飯 澤   匡 君
欠席議員(なし)
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後3時53分再開
〇副議長(小野共君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。木村幸弘君。
   〔25番木村幸弘君登壇〕(拍手)

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