令和4年6月定例会 第21回岩手県議会定例会会議録

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〇20番(佐々木宣和君) 自由民主党の佐々木宣和です。一般質問の機会をいただきました先輩、同僚議員の皆様に心から感謝を申し上げ、通告に従って質問をいたします。
 まず初めに、人口減少対策について伺います。
 私が議員を志した背景には、ふるさとがなくなってしまうかもしれないという危機感が初めにあります。この10年間で人口が15%以上減った自治体は15市町村、10%以上減った自治体は8市町村、ふえているのは矢巾町、滝沢市のみであるのが現状であります。人口減少社会にどう向き合うのか、一議員として最大の課題と認識しています。
 さて、平成27年に岩手県人口ビジョンと岩手県ふるさと振興総合戦略を策定し、いわゆる地方創生の取り組みが始まりました。人口減少の問題は、地域によって状況や原因が異なることから、国のまち・ひと・しごと創生長期ビジョンとまち・ひと・しごと創生総合戦略を勘案した上で、地方人口ビジョンと地方版総合戦略を策定し、地域の特性を踏まえた戦略に基づき、より効果的に人口問題対策に取り組むこととしています。
 今年度は、いわて県民計画(2019〜2028)のアクションプランを練り直し評価するときであり、重なっている総合戦略もあわせて検討するべき時期であると考えます。岩手県としての基本的な考え方は、急激な人口減少のスピードをなだらかな減少にする取り組みを進めると同時に、地域の魅力を磨き、子供を安心して産み育てられる環境を整えるということかと思います。人口減少問題への取り組みについての難点は、その政策範囲が多様で複合的な要素を含むために、その効果を図ることが難しいことにあると感じます。ある意味では全ての政策が人口減少対策につながるとも言えます。
 広大な面積を誇る岩手県において、市町村、県としての取り組みの相乗効果がもたらされるエリアは、やはり人口がある程度固まっている地域になると思います。岩手県として人口減少対策に地域ごとの特性を勘案した上でどのように取り組み、その成果を踏まえた上でどのように計画を更新していくつもりなのか伺います。
 次に、子供子育て政策について伺います。
 より詳細に子供が生まれる環境を考えたとき、日本は婚外子が少ないことから、まず結婚する人がふえること、目に見えない子供が生まれる可能性を上げるものとして特定不妊治療助成の取り組み、また、生まれた子供が安心して成長するための環境が必要であると考えます。
 全国と岩手県との統計値を比較して顕著なものを挙げると、婚姻件数、離婚件数の比較、婚姻件数を離婚件数で割り返すと、1980年、全国が5.47に対しまして岩手県は6.71、そして、それが2005年には全国が2.73に対しまして岩手県が2.57と全国平均に比べて岩手県は離婚割合が高い状況であり、この傾向は今も続いています。
 また、男性の生涯未婚率が高いこと、若い女性が県外に移住していることもそのとおりでありまして、家庭環境を見ると、共稼ぎ世帯の割合が全国平均よりも高く、専業主婦世帯のおよそ3倍あります。岩手県で多くの子供たちが生まれる環境をつくるには、女性に選ばれる県となり、収入面を含めて男女ともに安心して仕事ができ、出産から子育てまで切れ目なく支援の体制が整う必要があります。
 さて、先般、国会においてこども家庭庁設置法案が成立しました。成育基本法(成育過程にある者及びその保護者並びに妊産婦に対し必要な成育医療等を切れ目なく提供するための施策の総合的な推進に関する法律)の制定から菅政権での具体化、岸田政権につながる総裁選の議論を経て、2023年4月の発足を目指すとされています。子供たちの健やかな成長発達を力強くサポートしていくことの重要性がかつてなく高まっており、国、都道府県、市区町村が強力に連携して取り組むべき課題であることはそのとおりですが、地方行政の現場では、子供、子育てに関するさまざまな相談や要望が住民から日々寄せられています。
 妊娠、出産、保育、教育、医療、福祉、児童虐待、非行、貧困、いじめ、事故など多岐にわたる要望や相談に適切に対処すべく、現場の職員は国と連携しつつ尽力していますが、国の一元的な窓口が存在しないため十分な連携がとれず、迅速かつ適切な対応ができないケースもあります。また、必要な施策を進める上で、財政的な制約も深刻であります。子供政策に関しては自治体間での格差もたびたび話題になりますが、こども家庭庁設置法案の成立の受けとめ、岩手県として改めて市町村と連携して子供政策にどのように取り組んでいくのか、知事の考えを伺います。
 求められる学校像について伺います。
 さて、こども家庭庁創設に向けた自由民主党の勉強会で、1万7、000人ほどから回答をいただいたアンケートの結果において一番多い要望は、教育─義務教育、高等教育に関することでした。子供たちが学ぶ環境について、先日も文教委員会の調査で秋田県の小学校、中学校の学力向上の取り組みなどを調査しましたし、教育改革2020などで時代に求められるプログラミング、英語、アクティブラーニングなどにも取り組みが始まっています。また、私学では移住者が殺到する独自の教育方法を展開する学校もあるやに聞きます。両親が学校に求めること、いじめがないことや学力をしっかりつけられること、主体性や自己肯定感などなど、キーワードはさまざまありますが、今、どのような学校が求められているのか、教育長の所見について伺います。
 二つ目に、商工業の振興について伺います。
 コロナ禍での域内経済循環を促す施策について、外出や人の行き来の制限がある中で、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金等を活用し、岩手県としては県民割事業やGo To イート事業、市町村では地域プレミアム商品券など域内経済循環を高める政策に取り組みました。コロナ禍で改めて感じたことは、商工団体や同業組合への加入割合が低くなっており、地域としてのつながりを強くしていくこと、商工業だけではなく、旅館宿泊業と農林水産業とのつながり強化などをしていくことは、新型コロナウイルス感染症のような感染症への対応策にもなりますし、他の地域への売り込みや事業の拡大のための土台ともなることであると思います。コロナ禍で取り組んできた域内経済循環、市町村や岩手県としてのつながりを深めることにつながる事業への評価と、それを将来的にどう生かしていくのか伺います。
 また、中小事業者への支援策について、直接的に補助するものが多くありました。持続化給付金、家賃補助、雇用調整助成金、ゼロゼロ融資など。下支えをしっかりすることが重要なのは言うまでもありませんが、その事業をやる意味合いは、将来的な発展につながるものという前提がなければいけません。大変な状況ではありますが、今までもある課題、経営者の高齢化や後継者に関して、デジタル化や生産性向上、市場の変化にいかに対応するかなどを解決し、将来に向けて希望を持ちながら課題に対して向き合い転換をしていかなければなりません。国の象徴的な事業で事業再構築補助金がありますが、申請件数は全国と比較しても少ない状況であります。事業者を支援していくためには商工支援団体の強化が必要であると考えます。さきの議会で予算の補正が成立した中小企業事業再生・再チャレンジ支援事業費補助は一つの期待でありますが、団体の土台をしっかりと将来に向けて強化する必要があると考えます。コロナ禍での取り組みを踏まえて、中小企業小規模事業者振興をする商工支援団体の強化について、所感を伺います。
 観光業の振興について伺います。
 2月の予算特別委員会において、いわての新しい観光推進体制整備事業について質疑をさせていただきました。岩手県観光協会に外部から専門人材を配置し、観光マーケティングデータを一元化するプラットホームの構築や、データを活用した観光客の分析を行うこととしています。また、分析結果の地域への還元を目的としたセミナーの開催や、地元市町村、観光協会、民間事業者などと連携しながら、データマーケティングを活用して専門人材による地域の戦略策定や推進体制への支援などに取り組んでいくと答弁をいただきました。
 まずは、具体的にデータを分析する専門人材を配置することは高く評価するところでありますし、先日出席した現地復興推進本部会議においては、三陸DMOセンターから同種の説明がありました。データの活用については、継続して分析することと、それをしっかりと活用するフレームをつくることが重要であります。ちなみに、現地復興推進本部会議は、副首長、商工団体、観光協会などが参加している、まさしくうってつけのフレームであり、復興道路の活用やこれから新設されるものもある道の駅の活用等、復興のその先を目指すために民間事業者も含めて実態、そして目標を共有することはすばらしいことになると思います。
 市町村と県においても、人口減少への対応策として交流人口、関係人口の入り口として、統計数値ではなく現在進行形のデータを共有することは、KPI等の目標値を設定、評価するという取り組みをより単純化、簡略化することができるのではと期待しています。そして、それをもとにそれぞれの市町村の政策立案、県としてどのようなサポートが必要かということにも貢献できると考えます。観光データの分析、共有について、タイムスケジュールを含めて具体的なイメージをお伺いいたします。
 三つ目の質問です。地球温暖化対策について伺います。
 世界的な規模で対策をとらなければならないとの声が上がり久しいところです。岩手県の状況を確認すると、最新のデータで、2018年度の温室効果ガス排出量は1、359万7、000トンであり、2013年度の基準年比で84万8、000トンの減少、森林吸収による削減効果マイナス9.9%及び再生可能エネルギー導入による削減効果マイナス1.9%を含めた2018年度の温室効果ガス排出量は1、189万1、000トンであり、基準年比255万4、000トンの減少、17.7%の減、前年度の2017年度との比較では、実排出量は5万2、000トンの減少、0.4%の減少、森林吸収減等を含めた排出量は18万5、000トンの減少でございます。この排出量は統計データをもとに算定したものであり、約3年の時間差があり発表されます。
 政策として排出削減に向けて具体的に取り組むチームと、統計値をまとめるチームがそれぞれにならざるを得ないやに思います。そして、排出量を減らす取り組みについて、環境報告書から低炭素社会の構築に関連する事業費を抜粋して数字を拾うと、平成29年100億円、平成30年65億円、令和元年68億円、令和2年76億円、そして、令和3年が43億円となっており、政策規模はほぼ国の政策に連動しているように見えますし、人口減少対策ではないですが、総合的かつ計画的に推進するとしているものの、他県に比べ削減目標に対する進捗度合いがやや低いのが実情です。地球温暖化対策に積極的に取り組むために、その姿勢を県民にどう伝えるのか伺います。
 次に、再生可能エネルギーについて伺います。
 再生可能エネルギーの導入促進に関しては、目に見えるものであります。これを進めていくためには、場所、系統の課題もあるものと聞いています。県内自治体では再生可能エネルギーに適した地域を先に指定する動きもあるやに聞いていますが、県としても積極的に新しい取り組みを進めていかなければ目標を達成することは難しいのではないかと考えます。再生可能エネルギーの導入促進について、どう取り組むのか伺います。
 四つ目の質問です。農林水産業の振興について伺います。
 まず、林業振興について伺います。林業という産業にかかわる方々は非常に少ないのが現状でありますし、何やらわかりにくいものであるとの認識もあるやに思います。来年はいよいよ全国植樹祭もありますが、県民に対して岩手県の森林林業の現状と地球温暖化対策への貢献度をしっかりとPRする場にしなければなりません。そして、全国植樹祭実行委員会の委員は林業関係団体だけではなく、商工団体やメディア、金融機関等の方々が参加しているものであり、全国植樹祭を契機として林業界とさまざまな主体が連携する機会にもしなければならないと考えます。知事は会議で、これだけの方々が集まることは何か話をしないともったいないとのことも言っていたやに伺っていますが、全国植樹祭をどういう契機とするか、県民に対してはもちろんですが、林業という産業と岩手県各界とのつながりの具体化についても伺います。
 林業振興の取り組みについて伺います。
 木材自給率が48年ぶりに4割を超えました。林業振興について、これまでに何度も質問してまいりましたが、そのたびに意識をしていることは、どのようにして山側にお金を返し、それによって、より多くの方を森林経営、林業にかかわるようにできるかということです。
 近年の林業界の状況を見ますと、コロナ禍による木材需要の減少により生産調整を行った時期には育林事業を強化し、ウッドショックにより輸入木材が入らなくなってからは生産強化を行っているところです。
 木材製品価格は高どまりとなっており、今後、ロシア材の一部輸入禁止の影響により、本県のカラマツ材の不足と価格高騰が一層進むことが懸念されると聞いております。
 それでもなお、立木価格への反映は弱く、製品価格からのはね返りが少ないのが現状であり、素材生産業者や製材業者が設備投資を進める原動力としても強いものにはなっていない状況です。
 今般のウッドショックやロシア材の一部輸入禁止など、輸入木材から国産材への転換の大きな契機にしなければなりません。国産材時代へというフレーズは長らく言われておりますが、今度こそ森林経営管理制度、森林環境譲与税、いわての森林づくり県民税など使えるものを総動員して政策実行力を上げ、林業振興に取り組むべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、水産業の振興について伺います。
 岩手県の主要魚種である秋サケ、サンマ、スルメイカやアワビ、ウニなどの近年の大不漁は、沿岸部の基幹産業である水産業に深刻な影響を及ぼしています。
 令和3年度における秋サケ漁は413トン、3億7、000万円と前年度と比較して金額で29%、アワビは81トン、8億1、700万円と前年度と比較して金額で83%と個々の漁業者の経営に悪影響を与えているほか、自営定置網漁業や販売事業を行う漁業協同組合も厳しい経営状況にあると聞いております。
 この不漁問題は海洋環境の変化等によるものであると言われておりますが、このような状況が今後も続くことになれば、漁業協同組合の財務状況がさらに悪化し、経営に深刻な影響を及ぼすおそれがあります。県として、この不漁による漁業協同組合経営への影響をどのように捉えているのか、また、経営に大きな打撃を受けている漁業協同組合に対しての支援をどのように考えているのか伺います。
 五つ目の質問です。道路の整備と維持管理について伺います。
 復興道路の完成は記憶に新しいところであり、私自身、国道106号や三陸沿岸道路を走るたびに感動を覚えます。これらの道路は史上まれに見るスピードで整備されたものでありますが、通常の予算枠ではなく復興枠で整備されたことを考えると、これから道路を新設していくためには今まで以上の取り組みが必要であります。地域の道路整備を求める多くの声に対して整備が追いついていかない状況となっており、この差分を埋められるように道路整備にしっかりと取り組んでいくべきと考えます。令和元年には東京都に県内の市町村長を集めての道路に関する中央要望を実施したと聞きましたが、それも一度きりで終了していると聞いています。知事は復興道路完成後の道路整備にどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、平成28年台風第10号で被害を受けた国道455号についてですが、この道路は震災後、復興支援道路に指定されたにもかかわらず、復興予算による道路改築は行われませんでした。現在、岩泉町の町内から小本地区までの道路のかさ上げ工事等が鋭意行われているものと承知していますが、道路幅員が狭い区間の拡幅や、天峰山付近の改良については、引き続き要望が出されているところであります。
 高規格化の進む国道106号に合わせて国道455号の整備を進めていくことは、今後の観光振興や地域間連携にも資するものであると考えますが、国道455号についての考え方や取り組みを伺います。
 また、国道340号については、今年度から新たに浅内工区1.4キロメートルが事業化されたことは非常に希望が持てる出来事であり、改めて取り組みに感謝をいたします。しかしながら、押角トンネル前後に残っている道路整備の未着手区間は岩泉町側は7.6キロメートル、宮古市側で2.3キロメートルに及びます。今後、これらの未着手区間を順繰りに整備していった場合、完成までに50年を要する計算になります。ぜひとも早期に未着手部分へ手をつけていただきたいと考えますが、浅内工区やその他の未改良区間に関して、今後の取り組みを伺います。
 道路関係の最後に、県管理道路の維持管理コストについて伺います。
 現在、県が見直しを進めている、岩手県公共施設等総合管理計画(素案)令和4年3月において、県が保有する道路のインフラ施設の修繕、更新等にかかわる経費については、今後30年間で約4、064億円、年平均で約135億円と試算していると聞いています。広大な県土をつなぐ道路を将来もしっかりと維持していくためには、財源の確保、また、コストを下げる努力も必要になると考えますが、県の所感を伺います。
 六つ目の質問です。デジタル化への対応について伺います。
 コロナ禍で改めてその重要性が言われているデジタル化ですが、過去にもIT化をすることで地方でも仕事ができるようになり、我々の地域にも人の流れが来るというような話はありましたが、その逆で、効率化することで大都市に人が集積することになりました。しかし、これからの時代のデジタル化は、人を縛るものをなくすという概念で全ての人に恩恵があるような包括的技術ができていると感じます。高齢者の見守りをするヘルスケアウォッチなどはその一つの例で、今まで使わなかった人が多い分、その可能性は高いとも考えられます。
 技術の進歩に合わせて法制度面でのデジタル対応も加速しています。先ごろ岸田総理は、目視による検査や管理者の常駐などを求めるデジタル社会に合わないアナログ規制の撤廃計画を決定しました。1万ほどある法律や政省令のうち、アナログ規制と判断したものはおよそ5、000条項あり、まずはその8割に当たる4、000程度を改正するとのことであります。国民生活に密接に関連した規則や規定は、むしろ地方レベルにも多いと言われており、デジタル庁では国と強調した地方の取り組みを推進していけるよう、マニュアル整備等を進めるとも聞いています。こうした動きを踏まえて、県の対応について3点伺います。
 初めに、企業間連携についてです。デジタル化を進めるに当たっては、民間のIT企業との連携が肝であり、成功体験が連鎖していくことで広がりができていくと考えます。県では令和3年7月にいわてデジタルトランスフォーメーション推進連携会議を設置し、各分野におけるデジタル化の推進に取り組んでいるものと承知していますが、今後のIT企業と県内企業との連携について、どのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、行政のデジタル化について伺います。行政サービスのオンライン化実施の3原則として、個々の手続、サービスが一貫してデジタルで完結するデジタルファースト、一度提出した情報は二度提出が不要となるワンスオンリー、民間を含む複数の手続、サービスを一元化するコネクテッド・ワンストップ、これらをデジタル庁は示しています。県、市町村それぞれの自主的な取り組みが求められる中、まずは県が率先してデジタル化を進めていくことが重要と考えますが、県の行政事務の効率化に向けて、どのように取り組んでいくのか伺います。
 デジタル化の最後に、ガバメントクラウドの重要性について伺います。
 改めてデジタル社会を形成する10原則として、オープン・透明、公平・倫理、安全・安心、継続・安定・強靭、社会課題の解決、迅速・柔軟、包摂・多様性、浸透、新たな価値の創造、飛躍・国際貢献があり、そして、これらを可能にする共通基盤がガバメントクラウドであります。コロナ禍で改めて見えた課題点として、行政手続、システム設計が自治体ごとにばらばらであること、基礎データと手続システムが分断されていること、自治体間の基礎データがばらばらであること、基礎データが自治体と国とでばらばらであること、マイナンバーで手続データを住民データとひもづけられないこと、以上五つがありますが、その理由としては、住民基本台帳ネットワーク訴訟に対応した歴史などから、物理的な三層分離など極めて保守的な対応がされています。こういった議論をする際には、先にリスクを話しがちになりますが、岩手県としてガバメントクラウドのメリット、行政事務の効率化にどれだけ貢献するものと理解しているのか伺います。
 最後、七つ目、知事の政治姿勢について伺います。
 まず初めに、世界的なベストセラーとなっているファクトフルネス10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣から、人間が陥りがちな三つの習慣をピックアップしてお伝えしたいと思います。
 一つ目は分断本能。人はだれしもさまざまな物事や人々を二つのグループに分けないと気が済まないということ。二つ目はネガティブ本能。世の中はどんどん悪くなっているという思い込み。最後は犯人探し本能。誰かを責めれば物事は解決するという思い込み。こと政治分野においては、どれも大いに当てはまることではないかと思います。
 この解決策として、分断本能を抑えるのは大半の人がどこにいるのかを探すこと、ネガティブ本能を抑えるには、悪いニュースのほうが広まりやすいことを覚えておくこと、犯人探し本能を抑えるためには、だれかを責めても問題は解決しないと肝に銘じることということが書かれています。悲観主義は気持ち、楽観主義は意志という言葉があるように、情報が飛び交う現代社会を前向きに生きるためには非常に重要なことであると思います。政府が悪い、与党が悪いで解決することはない、どうすればよくなるか、そして、多様化する世の中で政策実行力を上げるためには実際に参画し、政治家自身も動き回る必要があると考えています。そして、思い込みに陥らないようにしっかりとした連携を図る取り組みが重要でありあす。考え方の共有と政策実行力を高めるための取り組みが必要であり、例えば、自由民主党岩手県支部連合会では政党としての各分野での考え方を伝える取り組みとして、いわて政治塾の開催や国の方策を踏まえて国会議員が動画で政策講座を行い、それを受けて地方議員がそれぞれの議会で質問し、その答弁を全国の国会議員とも共有する、そういった政策実践プロジェクトにも取り組んでいます。これを踏まえて、知事に二つ質問します。
 参議院議員選挙が始まっています。知事は立憲民主党の候補者に対してタブーなしで応援する種の発言がありました。その候補の政策ビラの折り込みがありましたが、その内容を見ると、消費税の一時的な減税、水田活用の直接支払交付金の見直しの中止、ALPS処理水海洋放出の中止と議会での知事の答弁のトーンとは異なるものであり、また、議会の採決結果とも異なる方向性を示すものでありました。議会の結論として知事が受けとめた内容と異なる方針を持つ候補者をタブーなしで全面的に支援するとはどういうことなのか伺います。
 また、今般参議院議員選挙の野党共闘体制に関して、知事の後援会が政策協定を仲介したとのことですが、政党に対する敬意を払った行為とは政党人としては感じませんし、現職の参議院議員に対しても失礼であると思います。そして、その共闘のアウトプットがさきの政策ビラであるとするならば、国政政党としてそれぞれが考えていること、政党として日本の将来像を踏まえたそれぞれの政策がある中で、それをグループとして混ざり合って実行するために整理をした上で共有しているようには感じられません。
 今回、私が取り上げた質問項目に関しては、こども家庭庁、デジタル化、カーボンニュートラル等のグリーン政策に関しても、岩手県としても政府与党の実行力に期待する部分が大きいと思いますし、それぞれの部分においての政策的な接点を議論するのが選挙であってほしいとも思います。
 主権者に対する選択肢として政党と政策、そして、その実行力がイコールでない中で、選挙をして選んでいただくというのが大変問題であり、これこそねじれであるとも思います。知事は岩手県行政のトップリーダーとして、選挙においてそれぞれの政党が掲げる政策、公約とも言えるものでありますが、そして、それを実行する力についてどう考えているのか、また、後援会を介して野党共闘を促しているわけですが、野党共闘と政策実行力の関係に関して、どう整理をしているのか伺います。
 以上で私の質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 佐々木宣和議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、子供子育て政策についてでありますが、少子化が急速に進行し、子供を取り巻く状況が複雑、多様化する中、子供が自立した個人として等しく健やかに成長することのできる社会の実現に向けて、子供家庭関連施策を一元的に担うこども家庭庁が創設されることは、国を挙げて子供家庭政策に取り組む姿勢が明確に打ち出されたものと受けとめています。今後、財源等が十分に確保され、実効性ある政策が講じられることを期待します。
 県としては、引き続き、“いきいき岩手”結婚サポートセンター─i−サポを通じた結婚支援や新婚世帯に対する引っ越し費用の助成のほか、新たに若年層向けに妊娠、不妊に関する知識の普及啓発や産後ケア利用料の無償化などに市町村等と連携して取り組んでまいります。
 また、県では、昨年12月に、いわてで生み育てる支援本部を設置し、部局連携により総合的、効果的な子育て支援施策を推進しているところであり、今年度は県民運動を展開し、地域社会が一体となって安心して子供を産み育てられる環境づくりを推進してまいります。
 次に、全国植樹祭についてでありますが、本県の森林は針葉樹と広葉樹のバランスがとれ、全国的にすぐれた木材や特用林産物を産出するとともに、水資源の涵養や県土の保全、地球温暖化防止など公益的機能を発揮する県民共通の財産であります。
 本県で開催する全国植樹祭は、こうした岩手県の豊かで多様な森林のすばらしさを全国の皆様に実感していただき、日本全体の林業の未来や森林環境の保全に向けた熱い機運を岩手県からつくり上げていくという大きな意義があるものです。
 また、県民総参加による森林づくりと森林資源の循環利用の推進や、健全で豊かな森林の次世代への継承、東日本大震災津波からの復興の姿の発信、さらに、次代を担う若者が意欲と希望を持って森林、林業分野で活躍する契機としたいと考えているところです。
 全国植樹祭の開催に当たっては、行政を初め林業、商工観光、教育、環境など県内のさまざまな分野から参画を得て実行委員会を組織しており、こうした多様な主体が一堂に会することは大変貴重な機会であります。
 このため、開催機運の盛り上げや大会の開催に連携して取り組んでいくことはもとより、開催後にあっても、県としては、こうした主体とのつながりを生かしながら、本県の豊かな森林環境の次世代への継承や、森林の公益的機能の増進、林業の持続的で健全な発展に向けた取り組みを進めてまいります。
 次に、復興道路完成後の道路整備についてでありますが、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げた各分野の政策を力強く推進していくためには、あらゆる社会経済活動や県民の安全・安心な暮らしを支える道路等の社会基盤を強化していくことが重要です。
 広大な県土を有する本県においては、東北自動車道や三陸沿岸道路の縦軸、釜石道路や宮古盛岡横断道路の横軸に加え、これらの道路を補完し、または代替となる道路が一体となって機能することが必要であります。
 このため、災害に強い道路ネットワークの構築や都市間交流を支える道路ネットワークの強化を基本方針とした、岩手県新広域道路交通計画を昨年6月に策定いたしました。
 これらの道路を初めとする社会資本の計画的な整備には、国費など公共事業費の確保が必要でありますことから、令和5年度政府予算提言、要望において、公共事業予算の安定的、持続的な確保について、直接、国に要望したところであります。
 今後ともさまざまな機会を捉えて国に働きかけていくなど、公共事業予算の確保に努めながら、防災対策や産業振興など幸福の追求を支える社会基盤が整っている岩手の実現に向けて取り組んでまいります。
 次に、知事の政治姿勢についてですが、知事は、判例にもあるように、政治的に活動することによって公共の利益を実現することを職分とする公務員であります。大事なのは、行政における公正中立と政治における自由であると認識いたします。
 私がタブーなしでと申し上げているのは、6月21日の記者会見で述べているように、主として政権与党に対する忖度や過剰な遠慮をしないという意味であります。
 議員御指摘の政策ビラについては、水田活用直接支払交付金とALPS処理水については、県民の声を反映したもので、岩手県の主張や県議会の採決内容よりも踏み込んだ内容であっても、その方向性は同じ方向ではないかと思います。
 また、消費税については、私個人としては民主党政権時代に消費税増税に反対であることを述べていましたし、その後も消費税増税には消極的な意見を述べてまいりました。今、日本国民の消費の力が極めて低下している状況では、消費税の減税は大変有効な政策であると個人的に考えております。
 次に、主権者に対する選択肢についてでありますが、選挙というものは、その結果が時の政権について現状維持の可能性もあれば、政権交代ないし政権交代につながるような与野党の逆転が起こる可能性もあるというように、主権者国民の投票が最大の政治的力を持つところに本質があると思います。
 選挙の主役は主権者国民であり、多くの国民が支持する政党に実行力が与えられるということが民主主義であると考えます。
 今回の参議院議員選挙における政策論ですが、財政出動よりも低金利政策に偏った経済政策が長く続き、コロナ禍のもとでも主要国の中で日本だけ景気が回復せず、円安による物価高に直面しているということから見て、消費税減税などで財政出動に比重を移す政策が極めて重要と考えます。
 多数の国民が消費税減税を訴える候補者や政党に投票すれば、その政策実現の可能性が高まると思います。
 その他のお尋ねにつきましては、企画理事及び関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔企画理事兼環境生活部長白水伸英君登壇〕
〇企画理事兼環境生活部長(白水伸英君) まず、地球温暖化対策に取り組む県の姿勢についてでありますが、第2次岩手県地球温暖化対策実行計画におきまして、2030年度の温室効果ガス排出量を2013年度比で41%削減するとの目標を掲げておりますが、国が目標を46%削減に大幅に引き上げましたことから、今年度、県の削減目標の引き上げを検討するとともに、目標達成のための施策の拡充や新たな施策の検討を行うこととしております。
 加えて、温室効果ガス排出量の削減目標の達成に向けましては、産業、経済、交通、運輸、農林水産業、家庭などの各分野において県内のあらゆる主体が連携、協働して取り組む必要がありまして、産学官や報道、消費者団体等で構成する、温暖化防止いわて県民会議等を通じまして、地球温暖化対策の取り組みをより多くの県民に発信しながら、地域経済と環境の好循環をもたらすグリーン社会実現の取り組みを推進してまいります。
 次に、再生可能エネルギー導入促進についてでありますが、県では第2次岩手県地球温暖化対策実行計画におきまして、2030年度の再生可能エネルギーによる電力自給率を65%に高める目標を掲げておりまして、直近2020年度は41%となっていることから、目標達成のためには、全国の中でも潜在力の高い風力、地熱を初め太陽光、水力、バイオマスなどの再生可能エネルギーについて、自然環境との調和に配慮しながら、地域住民の理解のもと、地域経済や地域の特性に応じ、導入、利用拡大を図ることとしております。
 具体的には、国に対し、再生可能エネルギー導入の課題となっている送配電網の強化等を要望するとともに、市町村に対しては、例えば、久慈地域エネルギー株式会社のような地域内の事業者や住民が参画する地域新電力を設立、運営する際の助言や、国の脱炭素先行地域の選定を受け、小水力、バイオマス等の再エネ設備の導入を目指す際の支援等を行います。
 事業者に対しては、本定例会に提案をしております補正予算案に太陽光発電設備や蓄電池設備、電気自動車の購入を一体的に行う場合の補助事業を盛り込んでいるところであります。
 また、さらなる再生可能エネルギーの導入策につきましては、今年度予定しております、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランの策定過程や、第2次岩手県地球温暖化対策実行計画の見直しの過程において、既存の取り組みの拡充や新たな施策を検討してまいります。
   〔政策企画部長小野博君登壇〕
〇政策企画部長(小野博君) 人口減少対策等についてでありますが、これまで県では、第2期ふるさと振興総合戦略における4本の柱に基づき、市町村や関係団体、企業等と連携して、地域の特性や資源を生かした産業振興を進め、雇用の創出を図るとともに、魅力ある企業や暮らしやすさなどの情報を発信することにより、地域における若者の定着や移住の促進を図ってまいりました。
 具体的に申し上げますと、北上川流域におきましては、ものづくり産業を中心とした企業誘致の取り組み、三陸地域におきましては、震災の教訓の伝承と復興の姿を発信する取り組み、新たな交通ネットワークや港湾機能を活用した企業誘致の取り組み、北いわてにおきましては、アパレルや漆などの地域産業のブランド化、海洋再生可能エネルギーの事業化に向けた取り組みなど、地域の特性に応じた施策を展開しているところでございます。
 また、県では、子供の医療費助成や待機児童の解消など子育て支援の充実にも努めてきたところでございまして、さらに、子育て等に関する社会保障の充実について、自治体の財政力により差が生じることのないように、国に対し提言、要望しているところであります。
 人口減少対策につきましては、もとより、市町村と県の取り組みが相まって効果的な成果が得られるものと考えているところでございます。したがいまして、第2期アクションプランの政策推進プランと地域振興プラン等の策定に当たりましては、知事と市長村長との意見交換会や地域説明会を行い、いただいた御意見やこれまでの成果等を踏まえ、地域特性に応じたより効果的な施策を盛り込んでいきたいと考えております。
   〔商工労働観光部長岩渕伸也君登壇〕
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) まず、コロナ禍において取り組んできた事業の評価についてでありますが、県では、コロナ禍の影響を受けた事業者の事業継続を図るため、融資や家賃補助、支援金の支給を初めとした直接的な支援、また、いわて旅応援プロジェクトやECサイトを活用した販路拡大といった需要喚起策などの取り組みを進めてきたところであります。
 このような取り組みを進めるに当たりましては、市町村や関係団体などを通じて、より現場の声を反映させた取り組みとなるよう努めてきたところであり、そうした中で、県、市町村、商工指導団体、関係団体、さらには事業者とのつながりがこれまで以上に強まってきたと認識しております。
 また、感染拡大防止の観点から、県外移動が制約を受けざるを得ない状況において、県民が地元の事業者を応援するといった意識醸成、域内経済循環の重要性の認識なども広がりを見せていると受けとめております。
 今後、コロナ禍で影響を受けた事業者の経営の立て直しに向けた本業支援が本格化していくことから、行政、商工指導団体、金融機関、産業支援機関、また、これらを通じた個々の事業者との一層の連携のもとで本業支援などに取り組んでまいります。
 次に、商工支援団体の強化についてでありますが、県内中小企業の事業継続と雇用の維持を図るため、これまで、国、県、市町村などにおいてさまざまな経済対策や支援策を講じてきたところでありますが、これらの事業実施に当たって商工指導団体が常に中心的な役割を果たしてきたと受けとめております。
 この間、県では相談対応スタッフの増員などによる商工指導団体の体制強化を図ってきたところでありますが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の長期化に加え、原油高や資材価格の高騰により中小企業を取り巻く環境は複雑化しており、こうした中で、商工指導団体に対する期待はさらに高まっていくものと考えております。
 特に、今後、中小企業の本業支援や事業再構築、DXの推進などを進めていくためには、中長期的な視点で商工指導団体における経営指導員や相談員を初めとした支援スタッフの充実を図っていくことが重要と考えております。
 こうした考えのもと、今月実施いたしました政府予算要望におきまして、経営指導員等の人件費に係る財政措置を複数年にわたり拡充することを国に要望したところであり、引き続き、商工指導団体の体制強化を念頭に、さらに連携を深めながら、中小企業支援を展開してまいります。
 次に、観光振興におけるデジタルマーケティングの活用についてでありますが、現在、岩手県観光協会において、従来の県の観光統計に加え、いわて旅応援プロジェクトなどの最新のデータ登録を進めており、今後も各種イベントやインターネットの検索データのほか、県の施策で得られるデータを蓄積していくこととしております。
 また、データの収集から分析までをタイムラグなく行うことで、情報が持つ本来の価値を生かし、さまざまなデータを柔軟にかけ合わせた多角的で、かつリアルタイムのマーケティングが可能となるようプラットホームの構築を進めているところであります。
 今後、10月ごろを目途に、地域に還元できるまでにデータ分析を進め、地元市町村や観光協会、DMOなど地域のステークホルダーを対象にマーケティング実践塾を開催し、マーケティングへの理解の増進を図るとともに、データに基づく観光戦略の策定や効果的な受入環境の整備などの支援に結びつけていきたいと考えております。
   〔農林水産部長藤代克彦君登壇〕
〇農林水産部長(藤代克彦君) まず、林業振興についてでありますが、本県の森林資源が本格的な利用期を迎える中、県産木材の積極的な利用は森林資源の循環利用を促進し、持続可能な地域社会の実現と山村地域の振興等に寄与するものと認識しております。
 国では、国内の森林資源が充実する中、森林管理の適正化と林業経営の効率化を一体的に促進することを目的に森林経営管理制度を創設し、財源となる森林環境譲与税を県、市町村に令和元年度から譲与しております。
 県ではこれまで、森林施業の集約化や高性能林業機械の導入支援、再造林などの森林資源の循環利用を推進するとともに、いわて林業アカデミーによる将来的に林業経営の中核を担う人材の育成のほか、いわての森林づくり県民税による荒廃した森林の整備、森林経営管理制度の適切な運用に向けた市町村支援などに取り組んできたところです。
 県産木材への需要が高まる中、今後においても、こうした川上から川下に至る総合的な施策を関係機関、団体と緊密に連携して展開するなど、本県の森林資源の適切な管理と林業の成長産業化に積極的に取り組んでまいります。
 次に、漁協経営についてでありますが、県内の漁協は秋サケ等の主要魚種の不漁により、定置網などの漁業自営事業や販売事業で十分に収益を確保できず、令和3年度の決算において、24漁協のうち16漁協が当期損失金を計上する見込みとなっております。
 県では、漁協等の資金繰りの改善に活用可能な借りかえ資金への利子補給を行っており、漁協の経営状況を踏まえ、資金需要の増加も想定し、令和4年度当初予算において、利子補給に要する経費を増額しているところであります。
 また、国では、不漁等により経営が悪化した漁協が経営基盤の強化に必要な資金を円滑に調達できるよう、利子や保証料の助成等を行う金融支援を措置しております。
 県としては、漁協の経営状況に応じて、こうした国や県の支援措置の活用を促すとともに、漁業関係団体と連携しながら経営改善指導を行っており、引き続き、漁協経営の安定化を支援してまいります。
   〔県土整備部長田中隆司君登壇〕
〇県土整備部長(田中隆司君) まず、国道455号についてでありますが、本路線については、平成28年、台風第10号による被害が最も大きかった岩泉町の中島地区や日向地区など6地区において、洪水時においても安全に通行できるよう、小本川の河川改修計画と整合を図りながら、道路の嵩上げやルートの切りかえなど4.8キロメートルの道路整備を行っております。
 このうち、新町地区については令和元年度に完成したところであり、残る5地区については、中島地区など4地区において道路改良工事等を実施しており、袰野地区については、用地補償が完了しております。
 引き続き、河川改修と一体となった整備等を進め、災害に強く信頼性の高い道路ネットワークの早期構築を目指してまいります。
 次に、国道340号についてでありますが、令和2年度に完成した押角トンネルの宮古市側については、トンネル接続する1.7キロメートルを和井内―押角工区として令和2年度に事業化し、これまで刈屋川を渡る仮設道路が完成し、令和3年度から本線の工事を進めているところであります。
 岩泉町側については、通行上の課題が最も多い旧浅内駅付近の1.4キロメートルについて、今年度、浅内工区として事業化したところであり、現地測量を進めていくこととしております。
 国道340号宮古岩泉間は、沿線地域の通勤、通学、北上高地の物流、観光ルートとして重要な路線であることから、宮古市側と岩泉町側双方において着実な整備を図ってまいります。
 次に、県管理道路施設の維持管理についてでありますが、県では、橋梁やトンネルなど多くの道路施設を管理しており、今後、建設後50年を経過する施設の割合が上昇し、維持管理コストの増大が見込まれますことから、より効率的な維持管理を推進するため、施設別の長寿命化計画を策定し、老朽化対策を進めております。
 トータルコスト縮減の観点からは、損傷が深刻化してから修繕を行う事後保全型から、軽度なうちに対応する予防保全型に転換する必要があるため、老朽化対策の加速化が重要と認識しており、令和5年度政府予算提言、要望において、長寿命化計画の推進に必要な予算の確保について、国に要望したところであります。
 今後とも、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策の予算も活用しながら、予防保全型インフラメンテナンスへの転換を着実に進め、施設の長寿命化と中長期的なトータルコストの縮減を図ってまいります。
   〔ふるさと振興部長熊谷泰樹君登壇〕
〇ふるさと振興部長(熊谷泰樹君) まず、IT企業と県内企業との連携についてでありますが、高度な技術やデジタル人材を要する多様なIT企業が他産業と連携することにより、県内産業の高度化、高付加価値化が図られるとともに、本県のDX推進に寄与するものと考えております。
 このため、県では、いわてIT産業成長戦略に基づき、取引拡大に向けた県内のものづくり企業とIT企業のマッチングや、新たな製品、サービスの創出に向けた県内IT企業との連携促進に取り組むほか、今年度、新たに科学、情報技術の活用によるDX推進の取り組みとして、県内企業と大学等研究機関の連携によるAI、ロボティクスなどの研究開発への支援を行うこととしております。
 また、産学官金で構成する、いわてDX推進連携会議では、商工部会の活動を拡充し、関係機関が中小企業のデジタル化のための最適な手法や支援策を共有しながら、個々のニーズに応じた支援を行う体制を強化するほか、県内の団体、企業等による先進的なDXの取り組みを優良事例として表彰する制度の創設を行うこととしております。
 今後とも、すぐれた取り組みを全県で共有し、県内企業のデジタル化や各分野間の連携、分野を越えた展開を広く進めながら、本県におけるDXを推進してまいります。
 次に、ガバメントクラウドについてでありますが、そのメリットとしては、サーバー、OS、アプリケーションを共同で利用することによるコスト削減、ガバメントクラウドが提供する機能の活用による情報システムの迅速な構築と柔軟な拡張、情報システム間のデータ連携や自治体と国とのデータ連携、セキュリティー対策や運用監視の高度化などが考えられるところでございます。
 こうしたメリットは、特に市町村における行政手続のオンライン化、簡素化につながり、行政事務の効率化や住民サービスの向上に寄与するものと認識しております。
 現在、国において、ガバメントクラウドへの移行に向けた先行事業が実施されており、県内でも盛岡市が参加しているところでございます。
 県といたしましては、この状況を注視しながら、各市町村における基幹業務システムのガバメントクラウドへの移行作業が着実に進むよう、全市町村が参画する岩手県電子自治体推進協議会の場等を通じまして、必要な助言や情報提供を行うなど積極的に支援してまいります。
   〔総務部長千葉幸也君登壇〕
〇総務部長(千葉幸也君) 行政事務の効率化についてでありますが、新たな行政ニーズへの対応や県民サービスの質の向上、施策立案等の考える業務に注力できる環境を構築するため、デジタル技術の活用による業務の効率化が不可欠であると認識しているところであります。
 このため、行政サービスのオンライン化の前提となる押印手続について、知事部局における全3、629手続のうち94.7%となる3、427手続を見直しの対象とし、令和3年度末では、このうち3、016手続の見直しが完了したところであります。
 こうした状況を踏まえ、現在、議員御指摘のデジタルファーストなどの視点のもと、県民の利便性を向上するため、電子申請・届出等システムの対象事務の拡大を図っております。
 また、本年度から導入している電子決裁・文書管理システムでは、文書の受付、審査、決裁、書類の保存という一連の業務のデジタル化に取り組んでおり、これらの取り組みを通じ、行政事務を効率化し、より質の高い行政経営を推進してまいります。
   〔教育長佐藤博君登壇〕
〇教育長(佐藤博君) 求められる学校像についてでありますが、急激に進む情報化やグローバル化など、予測困難な社会において、子供たち一人一人にこれからの社会の担い手として必要な資質、能力が育成されることが重要と考えているところです。令和2年度から順次実施されている学習指導要領においては、社会と連携、協働しながら未来のつくり手となるために必要な資質、能力を育むとともに、主体的、対話的で深い学びの実現に向けた授業改善に取り組んでいくこととされています。
 また、令和3年1月の中央教育審議会答申、令和の日本型学校教育の構築を目指してにおいては、新しい学習指導要領に基づいた、一人一人の子供を主語にする学校教育の目指すべき姿として、全ての子供たちの可能性を引き出す個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実により、豊かな人生を切り開き、持続可能な社会のつくり手となることができるようにすることが必要であるとされています。
 本県では、地域ぐるみで子供たちを育んできた教育振興運動や、東日本大震災津波からの復興、発展を支える人材の育成に取り組む復興教育など独自の教育活動が根差しており、こうした土台を生かしながら、学校教育を取り巻く状況や環境の変化に対応するため、ICT活用による教育におけるデジタルトランスフォーメーションや、学校と地域の共創による学びを進めることにより、本県の子供たちに主体的に学び、他者との協働により学びを深め、新たな価値を創造し、地域を活性化する力が育成されることを目指すことが新しい時代におけるいわての教育の方向性であると考えています。
 県教育委員会といたしましては、本県の有する多様な豊かさや人のつながりなどの強みを生かし、時代を超えても変わらない教育の基盤となる不易の部分を守りつつ、ICTの活用など時代の変化に即した教育の一層の創造的な変革も進めながら、一人一人の実態に応じた学びや創造性を育む学びを実践し、岩手県に誇りと愛着を持ち、地域や世界で活躍する人材の育成に取り組んでまいりたいと考えています。
〇20番(佐々木宣和君) それぞれ丁寧な御答弁をいただきまして、まことにありがとうございました。知事の政治姿勢について、1点だけ再質問させていただきます。
 政策の実行力という話をしたのですけれども、質問した理由というのは、まず、主権者教育の関係で、高校生の前で話したり、私も青年局というところで偉い方々とお話をする機会があって、その中で、それぞれの選挙における政策がどのぐらい今、実行されているのかというのを調べたものを持ってこられたことがあって、なっていないではないかとか、言ったことをやっていないのではないかとか、いろいろなことを言われたことがあります。
 今、参議院議員選挙の期間中ですけれども、一つ、政治家の大きな敵は無関心だと思います。グループでそれを何とか実行するために取り組まなければいけないということで、自由民主党でやっていることの話を一つはしたのですけれども、今回は参議院議員選挙ということで、政権選択の選挙ではない中で、どのような意思を発信するのかというよりは、どのような政策を進めるのかということにフォーカスしたほうがいいのではないかと思っています。政策本位で選挙に向き合っていくべきではないか。特に、知事も行政のトップですから、岩手県がよくなる政策が進むように選挙もかかわるとすんなりいくのではないかと思うのですけれども、その点に関して考え方があればお伺いしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 選挙の主役は有権者ですので、その都度、有権者は今回どういうことを考えて、どういう理由で投票行動を決めていくのか、有権者に寄り添いながら当たっていくことが大事で、私も今の選挙期間中、選挙運動にある程度参加しているのですけれども、新型コロナウイルス感染症に対する心配はまだありますし、物価高問題に関する心配、そして、困窮ということがかなりある。ですから、そういう有権者の問題意識に寄り添いながら、どうすればそれを変えていくことができるのか、短期的にはどういう方法があるのか、政策論が大事とおっしゃったのはまさにそのとおりで、そして、今の日本が直面している困窮という大きな課題というものが、実は過去10年間、30年間の政策までさかのぼって変えていかないといけないのだとしたら、そこを変えていかなければならないという主張をしたりとか、そういうことではないかと思います。
   〔「議長、関連」と呼ぶ者あり〕
〇44番(岩崎友一君) 佐々木宣和議員の政治姿勢の関係で、関連で質問いたします。
 消費税の関係と、水田活用直接支払交付金の問題と、ALPS処理水の関係についてであります。それぞれ本会議で知事がこれまで答弁された議事録を調べてみました。消費税は、2年前になるのですが、消費税の関係は令和2年9月定例会の臼澤勉議員の消費税5%から10%への増税、その消費税率の引き上げに対する知事の所見ということで、知事は引き上げ分に関しては、その全額が年金、医療や教育負担の軽減、子育て層支援、介護人材確保など社会保障の充実と安定化に充当されたと答弁されております。一方で、弱い方々に配慮するということが重要だということも述べておりますけれども、ここで増税に関しては反対ではなくて、しっかりと医療、介護、子育ての分野に使われているということで、これは知事も了ととっていると私は解釈しております。先ほど、もともと反対だと言いましたけれども、そうなりますと、本会議の答弁がいかがなものかというふうになってしまいます。
 それと、水田活用の直接支払交付金の関係も、これはことしの2月定例会で多くの議員が取り上げましたけれども、知事は生産者等の声を国に伝えるとともに、丁寧な説明と地域の事情を踏まえて対応するよう国に強く申し入れたところであり、今後とも機会を捉え国に求めてまいります。私もこの答弁のとおりだと実は思っています。
 そして、ALPS処理水の関係もことしの2月、小西和子議員に知事が答えたものでありますけれども、科学的根拠に基づく丁寧な説明はもとより、安全に関する客観的な信頼性の高い情報の発信や安全性をさらに高める処理技術の研究開発の継続など、県民の安心・安全と理解が得られるような具体的な取り組みを国の責任においてしっかりと行うよう、引き続き求めてまいるということで、この段階では撤回という部分には知事は全然触れていないのであります。
 知事の先ほどの答弁ですと、本会議場での答弁自体が全くうそのように聞こえるわけでありますけれども、この整合性について、もう一度説明をお願いします。
〇知事(達増拓也君) 行政の長としての知事としての答弁については、基本的に、答弁検討も行って、担当部局にもじっくり考えてもらい、整理して、主要な幹部全員の意見を反映し、県としての意見を述べるのですけれども、消費税、ALPS処理水に共通することといえば、その決定権限は国の政府にあるわけであり、政府が決定することに関して、地方自治体としてどこまで踏み込んだ意見を言うかについては配慮するところがありますが、政治的な自由として、私が政治家個人、それは一日本国民としてということでもあるのですけれども、一日本国民としては、国が決めること、国の権限があることについて、それは県の代表として発言する以上に踏み込む、また、そもそも立候補している人たちは国政選挙で国会議員に立候補しているわけですから、その方々の政策論は、地方行政としてどのような国の政策に対する意見を持つべきかというよりは、おのずと踏み込んだ議論になるわけでありまして、そこに一個人、一国民として参画する場合には、そういった踏み込んだ議論に参加するわけですけれども、県としての意見を求められた場合には、繰り返しになりますけれども、担当部局によくよく検討してもらって、そして、県の幹部が全員合意するような会議を開いた上で答弁をしておりますので、そこに何ら矛盾はありません。
〇44番(岩崎友一君) 知事、申しわけないですけれども、全くおかしいと思います。選挙の主役は有権者です。知事の今の答弁ですと、有権者がわかりづらいのではないですか。達増知事は、知事のときには県の幹部職員の皆さんと協議をして答弁内容を決める、私の考え方ではない。ただ、自分が政治家として誰かを応援する際には、一個人として、一政治家として自分の考えを述べる。要は、二枚舌ですね。私は、知事がそんなことをやっていたら、知事、政治不信を招くと思います。主権者教育は進まないと思います。私は知事みずからそういった答弁を今日されると思いませんでしたけれども、本当にでたらめだと思います。県民の皆さんは知事の発言は一つだと思っているのです。これは当たり前の話です。ですから、知事は一人で使い分けていると言いますけれども、それはさすがにでたらめだし、有権者をばかにしています。そこはぜひ改めるべきだと思います。何か御所見があればお伺いします。
〇知事(達増拓也君) 当たり前の話なのですけれども、例えば、河野太郎さんは政治家個人としての原発に対する姿勢とか、大臣として法律に基づいて行政の執行をやる立場のときに大臣として行う発言、内閣の一員として行う発言と、内閣から外れたときに政治家個人として行う発言が違うというのは、全く当たり前の話でありまして、したがって、私も県議会の場で質問されたとき、あるいは、県として国に要望、提案をする際には、あくまで法律に基づいた、知事というのは地方自治法上の機関ですから、機関としての仕事をきちんとやるし、また、議会で個人としての答弁を求められることもあるのですけれども、その際は個人としての答弁をする、これは全く当たり前のことです。
   
〇議長(五日市王君) この際、暫時休憩いたします。
   午後2時19分休憩
   
出席議員(47名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 上 原 康 樹 君
3  番 小 林 正 信 君
4  番 千 葉   盛 君
5  番 千 葉 秀 幸 君
6  番 岩 城   元 君
7  番 高橋 こうすけ 君
8  番 米 内 紘 正 君
9  番 武 田   哲 君
10  番 高 橋 穏 至 君
11  番 山 下 正 勝 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 佐々木 朋 和 君
15  番 菅野 ひろのり 君
16  番 柳 村   一 君
17  番 佐 藤 ケイ子 君
18  番 岩 渕   誠 君
19  番 名須川   晋 君
20  番 佐々木 宣 和 君
21  番 臼 澤   勉 君
22  番 川 村 伸 浩 君
23  番 千 葉 絢 子 君
24  番 ハクセル美穂子 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 吉 田 敬 子 君
27  番 高 橋 但 馬 君
28  番 小 野   共 君
29  番 軽 石 義 則 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 小 西 和 子 君
32  番 高 橋 はじめ 君
33  番 神 崎 浩 之 君
34  番 城内 よしひこ 君
35  番 佐々木 茂 光 君
36  番 佐々木   努 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 中 平   均 君
39  番 工 藤 大 輔 君
40  番 五日市   王 君
41  番 関 根 敏 伸 君
42  番 佐々木 順 一 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 岩 崎 友 一 君
45  番 工 藤 勝 子 君
46  番 千 葉   伝 君
47  番 工 藤 勝 博 君
48  番 飯 澤   匡 君
欠席議員(なし)
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後2時38分再開
〇議長(五日市王君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。高橋但馬君。
   〔27番高橋但馬君登壇〕(拍手)

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