令和4年6月定例会 第21回岩手県議会定例会会議録 |
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〇25番(木村幸弘君) 社民党の木村幸弘です。改めて、現下の新型コロナウイルス感染症により亡くなられた皆様に哀悼の意を表しますとともに、入院、療養中の皆様の一日も早い御回復をお祈りいたします。また、医療、保健従事者の皆様を初め新型コロナウイルス感染症対策業務に携わっている関係者の皆様には、県民の命と健康を守るために大変御尽力をいただいておりますことに敬意と感謝を申し上げます。
それでは、通告に従い質問をさせていただきます。初めに、ロシアの軍事侵攻に伴う国内政治、外交、防衛政策のあり方についてお伺いいたします。 2021年末ごろから緊張が高まっていたロシアとウクライナが武力衝突という最悪の事態に至りました。ロシア軍は2022年1月からクリミア沖に黒海艦隊を集結させ、2月中旬にはウクライナ国境近くのベラルーシ南西部で合同軍事演習を実施するなど軍事圧力を強めた後、同年2月24日にウクライナ領への軍事侵攻を始めました。 ロシアはこれを特別軍事作戦と称し、侵攻直前に国家承認したウクライナ東部のドネツク人民共和国とルハンスク人民共和国への集団的自衛権の行使と主張しています。 ロシアに限らず軍事行動の常套手段として、先制攻撃ではなく自衛のためのやむを得ない行動と、いずこの国も先制攻撃による軍事侵略行動を国民向けに正当化するために自衛権の行使が引用され、戦争が行われます。しかし、ロシアの軍事侵攻を正当化するものとは当然なり得ません。 ロシアはウクライナに対する武力行使を即時に停止し、全ての軍隊を無条件に撤退せよと私は強く訴えたいと思います。 また、ウクライナ政府も成人男性の出国を制限し、市民に武器を与え徹底抗戦を呼びかけるなど、戦闘員と民間人を区別し、住民を保護することはジュネーブ諸条約等が定める国際人道法の大原則であり、市民を巻き込み、戦場に向かわせることにも問題があり、国を守るという大義のもとに市民に犠牲を強いるようなことがあってはならないと願っております。 軍事侵攻勃発から4カ月が経過し、欧米からの武器支援によってウクライナの徹底抗戦の中、長期戦の様相を呈しています。こうした中、ウクライナ国外への避難民は6月8日時点で700万人を超え、国内での避難生活を余儀なくされている人々は約713万人とも言われています。そして、国連難民高等弁務官事務所が発表している民間人死者数は、5月段階で3、000人を超え、なお実際の犠牲者数は、さらに数千人を上回ると見られています。さらに、両国の軍人の死者は1万人以上とも見られており、いずれも、しかし、実態は不明であります。 改めて、戦争とはいかに国内法や国際社会が定めた条約等が一般市民の保護と犠牲の排除を訴え、そして定めても、理屈も法律も、きれいごとも通じないのが戦争であり、戦場では兵士や市民、男女、高齢者や子供の区別もなく、無差別な殺りく兵器による命の奪い合いによって、おびただしい兵士や市民の命が奪われ続けます。最も傷つき犠牲となるのは無辜の市民であるという現実を目の当たりにして、戦争がいかに愚かな行為で悲しみと怒りに満ちあふれたものであるか私たちは心に刻み、過去の過ちを繰り返してはならないということをいま一度しっかりと認識すべきであります。 そこで、知事に伺います。この4カ月に及ぶロシアによるウクライナ軍事侵攻という戦争と、その中で失われていくとうとい命と市民の犠牲を目の当たりにして、自衛のためにという大義のもとに武力行使が正当化されるという論理を知事はどう受けとめられているのでしょうか、お伺いいたします。 次に、このロシアの軍事侵攻によって国際社会が決して一枚岩となり、ロシアに対する制裁措置や軍事侵攻を押しとどめる役割や機能が果たせていないことに世界は危機感を強め、不安を募らせています。 こうした世情を踏まえ、国内における外交防衛に対する考え方について、政府与党、とりわけ自由民主党の側から、この機に乗じてこれまでの専守防衛政策の一線を越えるような考え方や、今後の防衛政策に対する言動、方針が参議院議員選挙の国民に対する公然の公約であるかのように布石を打っている姿勢を我が党は看過することができません。 そこで、以下の問題点を指摘し、知事の所見を伺いたいと思います。 第1に、ウクライナ侵攻に関して、ロシアのプーチン大統領は、核兵器の使用について、NATOの介入があれば必要に応じて使うなどと述べ、核兵器の使用をほのめかす発言を繰り返していました。これは核兵器による威嚇または使用は、武力紛争に適用される国際法、特に人道法の原則と規則に一般的に反すると結論した1996年の国際司法裁判所、勧告的意見に反する明確な違法行為であります。 また、ロシアは参加していないものの、2021年に発効した核兵器禁止条約にも違反するものであり、核兵器によるおどしを絶対に許してはなりません。 ところが、事もあろうに世界で唯一の被爆国として非核三原則を国是とし、核兵器廃絶を訴えていくべき我が国の政権与党である自由民主党内から、核共有論について議論すべきとの声が上がり、極めて遺憾な問題だと指摘しなければなりません。被爆地広島出身の岸田文雄首相は、非核三原則を堅持していく立場からも、原子力基本法を初めとする国内法を維持する見地からも認めることはできないと否定していますが、自由民主党内では議論すべきとの声がくすぶり続け、日本維新の会なども核共有論を主張しています。 ロシアの軍事侵攻に乗じてこうした動きを国民に向けて扇動することは断じて許されないことであります。核兵器で威嚇するロシアを強く批判するとともに、核保有国の核兵器禁止条約への参加を求め、核兵器の違法性を強める行動こそ日本の役目であると考えます。 本県は非核平和宣言のもと、核兵器廃絶を求める立場に立って、改めて非核三原則の遵守の要請と核共有論の考え方について、明確に撤回するよう強く求めるときだと思いますが、知事の決意を伺います。 第2に、ロシアの軍事侵攻に伴い、国防費を増額する動きが、いわゆるNATO諸国を中心とした国々に広がっています。ドイツでは2022年に連邦軍予算6.5兆円を倍増することを決め、デンマークは国防費をGNP比1.3%を国防費2%に、スウェーデンはGDP比1.3%から2%に増額し、ポーランドは現在の2%を3%に引き上げ、国軍の規模を倍増する方針です。 このような動きに我が国も便乗する動きが強まっています。先月、5月23日に米国のバイデン大統領が訪日、日米首脳会談が行われ、日米同盟の強化、日本の防衛費の相当な増額や敵基地攻撃能力と言われる反撃能力の保有などが確認されています。 国会議論では、野党の追求に対して、防衛費の相当な増額の内容や具体的な財源について明確な考え方が示されることなく、しかし、与党自民党内からは、安倍元首相などが現在より11%多い6兆円規模にまず増額すべきとの主張があり、自由民主党安全保障調査会は、5年以内に防衛費を国内総生産比2%以上に増額するとの提言がまとめられています。 一方で、軍事ジャーナリストの田岡俊次氏は、防衛費をGDP比2%以上に増額することは平和ぼけのタカ派の空公約だと一蹴しています。そもそも今日においても自衛官の定員割れが課題となっており、防衛費増額に見合う人員確保は難しく、増加枠の大半は米国の武器購入という形で装備費に充てられ、軍需産業とその政界関係者だけが死の商人としてほくそ笑むことになります。 そこで、装備費の内容が問われることになります。例えば、ミサイル防衛として沖縄南西諸島へのミサイル配備計画等を進めようとしていますが、田岡氏によると、敵基地攻撃能力を自由民主党は大合唱しているが、相手の正確な位置情報は偵察衛星で毎日1回、同時刻、同時点を通過し、目標地点を撮影できるのは1日1分程度だということです。無人偵察機は領空侵犯しなければならず、迎撃をされ、さらに先制攻撃とみなされ、逆に自衛権行使の理由を相手に与えることになり、これも非現実的な手段であります。 さらに、レーダーや赤外線探知もミサイル燃料の個体化や発射台の移動能力の向上、ましてや潜水艦等の事前探知は困難であります。また、実際、ミサイルが発射台に確認できたからといって、瞬時に我が国に対する発射準備だと判断のしようがないとして、発射前探知と攻撃は困難であり、発射前提の自衛権行使は机上の空論だと述べています。 6月18日放送の報道特集で、防衛費の増額について問われた自由民主党の岩屋毅元防衛大臣は、軍事だけに特化した議論を危機感にあおられてしていくのは非常に危ういと述べています。さらに、防衛力の整備についても、実力の行使についても、努めて抑制的に日本は振る舞う平和国家なのだと。この姿勢が崩れるというか、イメージが変わってしまうというようなことは望ましくない、あってはならないというふうに私は思いますと述べています。 防衛費をGDP比2%にすると5年後には11兆円から12兆円となりますが、本気で日本を軍事力で守ろうとすれば、日本全国にある原子力発電54基、在日米軍基地131カ所、自衛隊駐、分屯地約160カ所や国家機関、防衛、情報関連施設、民間空港、港湾、高速交通機関、そして、国民生活の維持に必要な社会インフラなどなど、これら全てをはるかかなたからわずか10分足らずで着弾する無数のミサイル攻撃から守ること自体がナンセンスであります。 軍事費第1位の米国が年間約80兆円、第2位の中国が年間約30兆円であり、我が国がこれに匹敵する予算措置など不可能であり、際限なき軍拡競争で緊張を高め合い、我が国が島国という地政学的条件からしても、今日の技術革新著しい精密兵器の発達に伴い、戦争への備えに莫大な予算を浪費することがいかに無意味な努力であるか、推して知るべしであります。よって、軍事専門家のジャーナリストの田岡氏をして、自由民主党の唱える防衛政策が平和ぼけのタカ派の空公約とやゆされたのも、ど素人の私でさえ納得し、理解いたします。 そこで、知事に伺います。今、岸田政権は参議院議員選挙に向けて防衛費の相当な増額と反撃能力をバイデン大統領と確認し、アジア周辺諸国との平和的外交努力に背を向け続けています。米国との同盟強化と軍事力増強という力による安全保障こそが、果たして本当に国民を守るために必要なのでしょうか。 そして、そのためには、戦後77年間、平和憲法という立憲主義に基づく権力の暴走を抑制し、国際社会において戦争を二度としないと非戦を掲げ、国際的信頼と経済的友好関係によってその地位を高め、我が国の発展にこれほど貢献してきた世界に誇れる憲法を改悪し、否定しようとする政治姿勢について、知事はどのような所見をお持ちか伺います。 次に、交通政策について伺います。 本年2月14日に国土交通省からJR6社の総営業距離のうち、1日の平均乗車数が1キロメートル当たり4、000人未満にとどまった路線距離が2020年度は前年度より16ポイントふえ57%になったと示されました。新型コロナウイルス感染症による外出自粛が影響したとのことですが、人口減少で利用者数が減り続ける中、地方鉄道への打撃が大きいことから、地域モビリティーの利便性、持続性の回復に向けて、鉄道事業者と地域の協働による地域モビリティーの刷新に関する検討会を開催し、利用促進策やバスへの転換など交通網の再構築について、本年7月に取りまとめるとしています。 その主な論点は、利用促進や運行の省力化、省人化、公有民営化、バスへの転換、国の制度面、財政面での支援、路線ごとの機能を評価する指標、鉄道事業者、沿線自治体の役割、そして、事業者と沿線地域の円滑な議論に向けた国の関与のあり方などとなっています。 〔副議長退席、議長着席〕 また、路線ごとの対応は鉄道事業者と地元自治体の合意形成が必要として、国土交通省は一律の基準でバス転換などはしないとしています。 さらに、同検討会では、中小私鉄や第三セクター計95社の経常収支の報告や、施設等の老朽化に伴う維持管理費の増大なども指摘されました。 こうした動きを捉えて、ことし3月の県議会2月定例会予算特別委員会で佐々木朋和委員が質疑を行い、県は利用促進への県の対応、第三セクターの市町村連携による利用促進対策や、JR北上線、花輪線の県をまたいだ延伸自治体との利用促進協議会の取り組みなどが述べられ、今後も危機意識を共有してJR東日本と連携して取り組んでいくと答弁されています。 また、本年7月に同検討会において取りまとめられる予定の四つの論点に関する、都道府県に対して行われたアンケート調査結果では、鉄道ネットワークを国の交通政策の根幹として、事業者と自治体に任せきりとせず、国の手厚い支援と主体的な調整の必要性を求めたほか、地方に一方的に負担の強いることのない議論と輸送密度の一律の基準で転換を強いることのないよう国に求めていますが、鉄道事業者と地域の協働による地域モビリティーの刷新に関する検討会の検討状況と今後の予定、本県に関係する動きなどについて、どのような状況にあるのか改めて伺います。 報道等の情報によりますと、4月18日に開催された鉄道事業者と地域の協働による地域モビリティーの刷新に関する検討会にJR東日本の坂井常務が出席し、ローカル線の収支公表について、将来に向けて建設的な議論の材料として提供できるのであれば検討したいと述べ、同社はこれまで1キロメートル当たり1日平均乗客数や路線収入は明らかにしていましたが、収支は発表していなかったことから、その背景として、転換策に含みを持たせた地域の理解を得るための布石として動いているとも考えられます。 JR北海道は2014年からの収支を公表し、JR四国、JR九州も参考資料として収支を明らかにしており、JR西日本では、本年4月11日に輸送密度2、000人未満の17路線30区間の収支が全て赤字だったと明らかにし、その上で、沿線自治体と存廃を含めた運営のあり方を協議するとしています。 さらに、4月22日には、野村総合研究所の試算として、全国JR5社が現状維持した上で2019年度利益水準を確保するためには、単純計算で2割から6割程度の運賃引き上げが必要になると公表しました。特にJR東日本が試算中最も高い6割の引き上げ幅となり、高収益路線で赤字路線を支える内部補填が厳しいとの分析であり、このような動きもあって、赤字路線に対する風当たりは、存廃問題を含めて厳しいものと予測されます。 こうした中、5月11日に本県も参画して全国28道府県の知事が国に対し、鉄道ローカル線の維持を求める緊急提言を提出したと聞いていますが、その緊急提言の内容と本県としての認識、今後の対応、対策について伺います。 そもそも地方のJRローカル線は、コロナ禍以前より公共交通の都市間移動手段のかなめとして重視される一方で、特に民営化以降は乗車密度の問題など、不採算路線として経営効率化を目指す事業者側にとって、存廃について地方の交通政策とのはざまで論議が繰り返されています。 このような中、本県のローカル線維持と観光振興の面から重要な役割を担い、その象徴的な存在として本県の東日本大震災津波からの復興を観光面から応援することを目的としながら、JR東日本が盛岡市県営運動公園で40年展示保存されてきた、C58型蒸気機関車を20億円かけて復活させ、SL銀河として2014年からJR釜石線において運行されてまいりました。 その人気は絶大で、昨年12月5日時点で運転本数約400本、利用人数約5万8、000人、乗車率約8割の成績を上げ、利用者数だけではなく、沿線地域には多くの鉄道ファンや、いわゆる撮り鉄の皆さんなど全国から本県に足を運んでおり、この事業に連携して沿線地域の3市2町の自治体、広域振興局、JR東日本、三陸鉄道を構成員とする釜石線沿線広域エリア活性化委員会を設置し、おもてなしや首都圏での観光PRなどに取り組んでまいりました。 また、各自治体ではそれぞれの独自観光対策事業も運行に合わせて実施するなど、地域振興においても重要な観光資源として活用されてきました。 しかし、昨年11月19日、JR東日本は旅客車の老朽化を理由に2023年、来年春で運行を終了すると発表されました。当時の会見で、久保公人JR東日本盛岡支社長は、断腸の思いだが、老朽化を迎え一定の区切りとしたと説明し、運行終了まで1年半あるので、SL銀河の次につなげることができる釜石線の活性化を沿線の皆さん考えていきたいと述べ、さらに、終了後も新たな観光列車の運行に向けて検討を進め、観光振興に取り組んでいくとのJR東日本盛岡支社の発表も報じられています。 そこで、改めて考えることは、今日の地方ローカル線が一層経営面において厳しくなることが想定される中で、来月には国土交通省の鉄道事業者と地域の協働による地域モビリティーの刷新に関する検討会の取りまとめや報告なども予定されており、県内の存廃問題もさまざまな形で議論が惹起されようとしている中、せっかくの地域観光資源を生かすことなく受け身の姿勢だけでよいのかということです。 SL銀河の運行終了の理由が、4両編成の旅客車が1978年、1980年製で急勾配のある釜石線でのSL運行が可能となるようエンジンつきに改良したものであったが、製造から40年経過し、交換部品も調達ができないことから終了することとしたと述べています。 SL機関車本体の問題ではなく、旅客車の更新に問題があるということであれば、これまでのような宮沢賢治の銀河鉄道の夜をイメージした車内空間の確保とあわせて、新たな旅客車や観光列車を生かしたSL運行について、県並びに沿線自治体が一体となってJR東日本に働きかけるべきと考えますが、所見を伺います。 先ほど指摘したように、JR東日本盛岡支社側でも会見で述べていたように、新たな観光列車の運行について検討するとしており、そうであれば、老朽化した旅客車を一新してSL銀河の運行の可能性を追求することが現実的であると思います。 一方、ローカル線の維持及び運行に対するJR東日本の経営方針は、新たな財政負担の問題を考えると簡単でないことはそのとおりでありますが、このSL銀河の運行に対する利用者の声や鉄道ファンの声、いまだに多くの撮り鉄関係者などがSNSなどへの投稿やSL銀河写真展の開催、時折、地元紙などにも存続を望む投稿も寄せられており、本県の地域振興及び観光振興とともに、地方ローカル線の活用と存続という目的を掲げ、検討すべきであります。 検討に当たっては、これまでの釜石線だけの利用にとどめるのではなく、盛岡―花巻間、宮古、盛岡、花巻、釜石間の広域運行や三陸鉄道、IGR相互乗り入れの検討も含め、連携した誘客など新たな活用策にも取り組むべきと考えますが、県としての対応について伺います。 そして、JR東日本にこれらの負担を一方的に求めるのではなく、例えば、現在、三陸鉄道の支援に向けたクラウドファンディング型ふるさと納税などの寄附金によって支援する仕組みが取り組まれていますが、全国に目を向けると、しなの鉄道株式会社等が新型鉄道車両の導入のために必要となる資金の一部を日本で初めてファンドを活用して募集することが昨年1月6日に発表されました。新型車両は消費電力の削減、沿線地域経済活性化に寄与し、SDGsに貢献する目的で、個人、機関投資家などの法人から導入資金を募集し、体験プランや鉄道ファン向けプランを設定し、資金を募ることにしたものです。 その結果、半年間の募集期間で目標額5、000万円に対して調達額4、500万円、昨年11月に4億円弱の6両の更新経費の一部に活用されたとのことでした。 こうした事例なども参考に、アフターコロナ、東日本大震災津波からの復興の新たなステージに向けた、シンSL銀河の実現について、どのように取り組んでいかれるのか、意気込みを踏まえて知事のお考えをお伺いいたします。 以上で登壇しての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 〔知事達増拓也君登壇〕 〇知事(達増拓也君) 木村幸弘議員の御質問にお答え申し上げます。 まず、ウクライナへの軍事侵攻についてでありますが、今般のロシアによるウクライナ侵略は自衛権の行使を逸脱し、国際の平和と安全の維持を目的とする国連憲章に違反する行為であり、到底許されるべきものではなく、ロシアには一刻も早い停戦を求めます。 国連憲章は、国連憲章に基づく平和の回復が行われないうちは自衛権の行使を認めており、侵略された国は、侵略側の軍事行動をとめるために武力の行使が認められ、それを選択することはあり得ると考えます。 そのような自衛権の行使は、自国民を守るために行われるものであり、侵略側が軍事行動を継続して侵略された側の犠牲がふえていくことは望ましいことではありません。 ウクライナにおける今の状況は、国連憲章に基づく平和の回復に向けて、国連加盟国がさらに努力しなければならないということを意味していると考えます。 次に、非核三原則と核共有論についてでありますが、核兵器や戦争のない平和で安全な社会は人類普遍の願いであり、我が国は平和憲法のもとに、いわゆる非核三原則に基づき、その確保に努めてきたところであります。 岩手県においても核兵器廃絶の声を示すため、平成10年7月には核兵器廃絶平和岩手県宣言が県議会において全会一致で決議されたほか、ヒロシマ・ナガサキの被爆者が訴える核兵器廃絶国際署名、いわゆるヒバクシャ国際署名に対し多くの県民から賛同の意が示され、平成29年2月には私も署名したところであります。 議員御指摘の核共有の考え方は、非核三原則という我が国の国是に反するものであり、岸田首相もことし3月に、政府として議論することは考えていない旨発言しているほか、平和を切に願う県民の思いにもそぐわないものと考えます。 日本は唯一の被爆国であり、政府においては核兵器をなくしていこうという国民の思いをしっかりと受けとめ、核兵器のない平和な世界を構築するための積極的な取り組みを期待するものであります。 次に、憲法改正についてでありますが、日本国憲法は、さきの大戦とそこに至る日本のあり方について、深い反省のもと、過ちは二度と繰り返さないという国民的な決意として平和主義を基本原理に掲げています。 その平和主義を具体化する第9条は、国際の平和及び安全を維持するという国際連合憲章の理念にも合致し、極めて重要な条文であることから、今後とも日本国憲法の原則として維持されなければならないと考えます。 こうした過去の反省と国連憲章もうたう平和の誓いを国民的に共有することなく第9条を変更することは、憲法の改悪と言っていいと思います。 日本国政府に対しては、憲法の趣旨を尊重し、近隣諸国との友好と、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に求めることを期待します。 次に、SL銀河についてでありますが、SL銀河は東日本大震災津波からの復興を進める中で、観光振興のみならず、被災された方々に勇気と希望を与え、東京2020オリンピック競技大会の聖火を復興の火として運ぶなど、復興の象徴として岩手県民のみならず、全国の鉄道ファンに親しまれており、運行終了の発表をとても残念に受けとめたところです。 運行終了の発表に際し、JR東日本では、新たな観光列車の運行に向けた検討を進め、地域皆様と一緒に観光振興に取り組んでいくとしており、多くの方々の意見や先進事例などを参考にしながら、JR東日本、県及び沿線市町等が協力し、地域の魅力や復興が進む三陸の姿を国内外に効果的に発信する新たな観光列車や観光振興のあり方を検討してまいります。 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。 〔ふるさと振興部長熊谷泰樹君登壇〕 〇ふるさと振興部長(熊谷泰樹君) まず、鉄道事業者と地域の協働による地域モビリティーの刷新に関する検討会への対応についてでございますが、検討会はことし2月からこれまで4回開催され、人口減少社会の中で鉄道事業者と沿線地域がローカル鉄道の現状と危機認識を共有し、利便性、持続性の高い地域モビリティーを再構築していくこと等に対して検討がなされており、鉄道事業者と地方自治体が果たすべき役割と責務、路線ごとの機能を評価する考え方や指標、鉄道事業者と沿線地域による対話の機会のあり方と国としてのかかわり方、鉄道事業者と沿線地域が協力して行う活性化、利便性、持続性向上策、他モードへの転換等の取り組みの選択肢と国の支援のあり方等を論点とした議論がなされているものと承知しております。 今後の予定につきましては、7月までに検討結果が取りまとめられると聞いているところでございます。 県といたしましては、同検討会の議論の結果によっては本県の地方ローカル線に大きな影響を与えると予想されますことから、国に対し、地方鉄道路線を含めた鉄道ネットワークの維持に向けた支援を行うよう要望を行ったところであり、今後の検討会や国の動向について、引き続き注視してまいります。 次に、緊急提言の内容や本県の認識等についてでございますが、本県も連名で提出した緊急提言は、国の検討会における議論も踏まえ、地方ローカル線の維持に向けて、国の交通政策の根幹としての鉄道ネットワークのあり方を示すこと、JRを含めた鉄道事業者の経営基盤の安定化への支援を行うこと、鉄道事業の廃止や運行計画の変更に地域の実情が反映されるよう手続を見直すこと、第三セクター鉄道への影響を考慮した慎重な検討を行うこと等を提言したものであり、国が主体的に鉄道を初めとした公共交通機関を維持する枠組みをつくるべきという本県の考え方とも一致しているものと認識しております。 JR線を含む地方ローカル線は、地域住民の移動手段としてのみならず、災害時の代替性、補完性や観光、物流など地域経済を支える重要な社会基盤でありますことから、今後、国の検討会の取りまとめ結果やJR東日本の動向等を注視しながら、関係道府県や沿線市町村等と連携し、国及びJR東日本への働きかけなど必要な対応を図ってまいります。 〔商工労働観光部長岩渕伸也君登壇〕 〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) まず、JR東日本への働きかけについてでありますが、昨年11月のSL銀河の運行終了の発表後、JR東日本盛岡支社、県及び沿線市町による意見交換会を速やかに開催し、JR側の運行終了を判断した考え方や今後の対応方向を共有したところであります。 あわせて、こうした意見交換会を継続的に開催し、JR東日本と沿線自治体が一緒にJR釜石線を活用した観光列車の運行や観光振興の取り組みを検討していくこととしたところであります。 JR釜石線は、内陸と沿線の本県有数の観光地を結ぶ路線であり、重要な地域資源でもあることから、沿線自治体とJR東日本などで構成する釜石線沿線広域エリア活性化委員会とも一体となり、さまざまな立場の方々の意見も十分に踏まえながら、今後のあり方についての検討を進めてまいります。 次に、広域運行等、新たな活用策についてでありますが、本県には三陸鉄道やIGRいわて銀河鉄道のほか、JR東日本が八戸駅と久慈駅間で運行する鉄道レストラン、TOHOKU EMOTION、一ノ関駅と気仙沼駅間で運行するPOKEMONトレイン、盛岡駅と宮古駅間で運行する、さんりくトレイン宮古など特色ある観光列車が多く運行され、一部で相互乗り入れも行われているところであります。 こうした取り組みは、観光振興を進める上での有効な手段となっており、SL銀河の運行終了後の対応を検討するに当たりましても重要な視点となりますことから、三陸沿岸道路などの新たな交通ネットワークを有機的に組み合わせることを含めて検討を進めてまいります。 〇25番(木村幸弘君) いわゆる交通政策としてお尋ねをしたわけでありますけれども、まず、SL銀河の運行についてですが、知事の御答弁、それから、各部長の御答弁を聞いておりますと、これから検討するということも含めて、実態としては白紙の状態と受けとめました。ただ、今日までのSL銀河の運行が果たしてきた役割というものを考えたときに、JR東日本のさまざまな経営の考え方も当然あるのだろうと思いますけれども、しかし、大もとであるそもそも蒸気機関車がまだまだ稼働が可能であるという状況の中で、旅客車だけが老朽化したためにこれを取りやめたということについては、非常に残念だなと思えてならないわけであります。そういう意味で言うと、新たな観光列車であるとか、新たなSL銀河にかわる取り組みなどについて、いろいろな角度から検討していただくことは大いに結構ですけれども、基本的なベースとしては、県並びに沿線自治体としっかりと連携をとって、まずSLを次にも生かせるか、生かせないのかということも含めてしっかりと、これを大前提にした議論をまず進めてほしいと願っております。今後検討協議をするにあたり、当然、JRとのさまざまな意見交換も必要でしょうが、構えとしては今後の復興、あるいは、地方ローカル線の維持、運営、そして地域の振興、さまざまな要素を含めて非常に大きな資源として活用できる存在だという位置づけを県がしっかりと据えて、その上に立った検討協議をぜひやっていただきたいと思いますけれども、改めてその点について御所見をお伺いしたいと思います。 それから、例の鉄道事業者と地域の協働による地域モビリティーの刷新に関する検討会の動きですけれども、来月にどのような形で全国の検討状況を踏まえて、それが本県の第三セクターも含めたJRローカル線に対してどういう方向が示されてくるのかというのは、非常に今後の地域の交通政策にとって大きなインパクトを与えるものになったり、あるいは、課題になる可能性が含まれております。 そういった状況を考えますと、今、具体的に、県内のローカル線の協議の場として設置されているのは北上線と花輪線だけです。釜石線は先ほど言ったSL銀河の関係での協議会が別建てで進められていましたけれども、今の県内のJR線の平均通過人員について、JR東日本盛岡支社がホームページで公表している数字もあるのですけれども、ちょうど国鉄が分割民営化される時点、1987年度比のデータを見ると、現在、どれだけの平均通過人員が各線の状況になっているかというと、大船渡線が当時と比較して32.1%、北上線が19.1%、釜石線が23.7%、山田線が13%、花輪線が20.6%ということであります。利用状況は、廃止基準に当てはめていくと、これはいずれも厳しい実態があるわけであります。 そうしますと、今度の国の検討会の動向をいち早くしっかりと察知しながら、逆に、こちらから沿線自治体それぞれの協議会などもさらに積極的に議論を進めながら、いかにしてローカル線の維持に努め、あるいは、利活用の促進を図っていくのかという取り組みについて、各線の取り組みを県がしっかりと束ねながら、全体として地域交通政策としてどう考えていくべきなのかということについて、さらに積極的な議論が必要ではないのかと感じておりました。そういう点についての今の取り組み状況から言うと、まだまだ県として受け身の感じ、そして、危機感がどこまで共有できているのかという意味でいうと、まだまだ弱いのかなという感じもしますので、そうした点を施策的にしっかりと取り組みを進めてほしいと思うのですけれども、その点についてもお伺いをしたいと思います。 〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) SL銀河についてでございますけれども、昨年、JR東日本から運行終了の発表がありまして、知事も答弁しておりますけれども、復興の火を三陸鉄道とSL銀河両方でつないで運んだというように、本県の魅力そのものなのですが、鉄道の魅力を代表する列車でございましたので、そのことは我々も非常にショックでありましたし、当然、沿線の市町も非常に大きく受けとめておりました。 一方で、JR東日本のほうでも新しい観光列車の運行をしっかりとやっていくという発言をしておりましたので、ただ受け身になるということは考えておりません。沿線もいろいろなことを考えておりますので、受け身になるというのではなくて、ただ一方的に要望だけして対立関係になっていくのも避けたいところもありますので、JR東日本の提案、それから、沿線市町、我々の提案というものを一体の協議の場できちんと話し合っていくことがよいのではないかということで意見交換の場を設置して、きちんと話し合っていきましょうということにしており、今その過程でございますので、これからさらに本格化する中で、働きかけもしっかりしながら、いい形で継続するように、釜石線の運行が継続するようにしていきたいと考えております。 〇ふるさと振興部長(熊谷泰樹君) 国の検討会の動向でありますが、先ほど御答弁申し上げたとおり、7月に結論が出る、その動向を注視しているところでございます。ただ、その結論次第では、かなり私どもも危機感というものも持っております。そういったこともございまして、関係道府県と緊急提言も行いました。それから、県といたしましても、先般、国に対し要望を行ったところでございます。 その要望内容でございますが、地方鉄道路線を含めた鉄道ネットワークの維持に向けた支援といたしまして、地方鉄道ネットワークは国の交通政策の根幹と捉え、その維持、確保の検討に当たっては国がリーダーシップを発揮して、当事者が納得できる手厚い支援を準備しながら主体的に調整していただきたいこと、2点目といたしましては、経営安定化や安全輸送、設備等の整備に向けまして支援制度の充実、強化を図ること、3点目といたしまして、新型コロナウイルス感染症の影響に経営が悪化している鉄道事業者に対して、国の責任において一定の支援を行うこと等々につきまして要望したところでございます。 議員から御指摘がございましたとおり、JR東日本が公表している路線別利用状況、1987年と比較して相当落ち込んでいると私どもも認識しております。現在、北上線、花輪線で利用促進協議会という形で、マイレール意識の向上に向けた取り組みが行われておりますが、こういった取り組みをさらにほかの路線、また、当該路線でも活発化する必要があると思っております。鉄道会社、それから地元自治体等と連携して、利用促進の取り組みをさらに図ってまいりたいと考えております。 〇議長(五日市王君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。 本日はこれをもって散会いたします。 午後4時44分散会 |
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