令和4年6月定例会 第21回岩手県議会定例会会議録

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〇41番(関根敏伸君) 希望いわての関根敏伸でございます。
 約3年ぶりに一般質問の機会を頂戴いたしました。私なりの課題認識をもとに、6項目にわたり質問をさせていただきます。
 まず最初に、日本経済の現状と地方のあり方についてお伺いいたします。
 我が国は、昭和から平成を経て、令和の時代を迎えております。太平洋戦争の敗北から立ち上がり、昭和中期には先進国の仲間入りを果たすなど目覚ましい復活を遂げてまいりました。敗戦の反省から、国としての戦略を一転させ、アメリカとの軍事同盟を基礎に、持てる力を経済に注力させるという吉田ドクトリンが、今日の日本の基礎を築いたとも言えます。
 歴代内閣にもその政策の流れは引き継がれ、昭和の末期から平成にかけて、日本経済はピークを迎えました。しかしながら、約30年を経て、今、日本は失われた30年というワードが似合う国となっております。
 国際通貨基金の統計で、1990年と2020年の名目国内総生産―GDPを見ますと、日本はアメリカ、中国に次ぐ世界第3位を維持しており、経済大国であることには間違いありません。しかし、この30年間で、アメリカは3.5倍、中国が37倍になっているのに比較し、日本は1.5倍にとどまっております。世界第4位のドイツでも2.3倍の成長を見せており、日本のおくれが際立ちます。
 この間の賃金も上がっておりません。経済協力開発機構の調べによりますと、2020年の日本の平均賃金は加盟35カ国中22位で、3万8、514ドル、この30年間の伸びは、日本は4.4%とほぼ横ばいですが、アメリカ47.7%、イギリス44.2%を初め、各国との差は大きく、2015年には、お隣の韓国にも追い抜かれている状況であります。
 この30年間で一時勢いを失ったアメリカは、経済産業構造を大きく転換し、情報や金融、保険、専門的科学技術など高度サービス産業を軸に勢いを回復してまいりました。韓国や台湾も、半導体、電子部品に象徴される産業が、世界的水平分業の流れに乗り、自国通貨の価値を維持しつつ賃金も上げております。
 円安は、確かに輸出産業を中心にメリットが少なくありませんが、安易な円安政策にあぐらをかいて、根本的な日本経済の体質改善、製造業を中心とした国内垂直生産にこだわり過ぎた経営戦略からの転換、新技術の獲得による生産性向上に失敗したことが、日本経済低迷の原因と分析する経済学者もおります。この間の政治の責任は大きいと思われます。
 そこでお伺いいたしますが、知事は日本経済の現状認識とその要因をどのように捉えているのでしょうか。昭和20年の敗戦から平成3年ごろまでの経済や日本のシステムが絶好調だった40年間の政治と、バブルがはじけた以降、現在まで、経済のみならず日本的なシステムのさまざまなものにほころびが見えてきている30年間の政治の何に違いがあったのでしょう。重ねて知事の御認識をお伺いいたします。
 同時期の日本国内における岩手県の相対的な位置を比較してみますと、平成3年の岩手県の経済規模は、県内総生産額約4兆940億円、県民所得3兆2、527億円、人口141万6、000人で、1人当たりの県民所得が229万8、000円で全国39位。全国比較が可能な最新の平成30年度の県内総生産額約4兆7、396億円、県民所得3兆5、250億円、人口124万1、000人で、1人当たり県民所得が284万1、000円で全国順位が31位となり、27年間で、人口は12%減少しておりますが、県内総生産額で16%、県民所得で8%、1人当たり県民所得が24%の増となり、都道府県順位が8ポイント上昇しております。
 この間の県政は、工藤巌知事、増田寛也知事、そして達増拓也知事の3人の知事によって牽引され、県勢の発展と国内における相対的地位の向上に努めてこられたものと拝察いたします。
 岩手県には幸い、良質の生産物を供給する農林水産業と脱炭素社会の中で大きな役割を果たす再生可能エネルギーの潜在的可能性、そして、日本が世界と伍して戦っていける産業の象徴であります自動車産業と半導体産業が立地しております。食料とエネルギーは、国や自治体の戦略的位置づけにとって今後ますます重要性を増してまいります。
 そこで知事に伺いますが、ここ数十年間の相対的な日本国内での岩手県の位置についての所感をお聞きするとともに、日本の経済政策のいわば失敗の検証から、これからの岩手県としての産業政策をどのようにかじ取りされようとしているのかお伺いいたします。
 県では、2008年に岩手県自動車関連産業成長戦略を策定、2021年には、いわて半導体関連産業振興ビジョンを策定し、現在では、両産業で1兆円を超える製造品出荷額となっており、県内総生産額の20%以上を占めるまでになっております。
 両産業の現行ビジョンにおける目標年度であります2028年には、輸送用機械器具製造業の負荷価値額を現状の34.7%増とし、現在の全国順位の25位から20位水準へ、半導体関連産業の付加価値額を現状の4倍強とし、都道府県順位を現在の26位から10位以内を目指すとしております。両産業とも、技術革新が日進月歩の世界です。特に自動車は、脱炭素の流れの中で、電気自動車、燃料電池車等への移行も必至であります。
 そこで伺いますが、県では、岩手県を支える自動車、半導体関連産業の今後の対応をどのように考えておられるのか、長期的視点での戦略をお伺いいたします。
 次に、新型コロナウイルス感染症対策及び原油価格、物価高騰対策についてお伺いいたします。
 急激な円安によって未曾有の原油高、物価高が日本経済と国民生活に大きな影響を及ぼしております。エネルギーを初め、さまざまなものを輸入に頼らざるを得ない日本にとっては、円安によるデメリットが色濃く反映されることは確実で、輸入価格の高騰で日本から海外への所得の流出が、年額相当で11兆円に上るとの試算も明らかになっております。
 経済成長がおぼつかない中、不況下での物価上昇という経済学的に最悪のシナリオであるスタグフレーションへの懸念も示され、経済界からは、円への信頼性が揺らぐことと、日本という国が、いわゆる安い国として認識されつつあることへの警戒感が示されております。
 仕入れや物流コスト、ガソリンや電気料金の値上げを価格転嫁に踏み切れない中小企業、農業や漁業者の状況はかなり厳しいものと推測され、国が示している価格転嫁対応策は実現性に乏しいものと考えます。
 このように混沌とした環境下の現在、企業の構造転換を促す事業再構築補助金は、有用な制度の一つと考えます。国の原油価格、物価高騰対策には、事業再構築補助金の拡充と事業者支援強化が方針として示されておりますが、どのような支援拡充が図られると把握しているのでしょうか。今までの利用実績と課題、今後の利用促進に向けた県の企業体質転換への取り組み方針をお聞かせ願います。
 今後、県内事業者などが仕入れ価格の上昇分を価格に転嫁できたとしても、最終的にその影響は消費者に及んでまいります。県では、既に中学生までの子供のいる世帯に子供1人当たり1万5、000円の支援金支給を決定しており、今後、市町村独自の支援などにより家計への支援につながっていくことは好ましいことであります。
   〔議長退席、副議長着席〕
 また、この状況が長期に及ぶことを想定すれば、家計のやりくりをしのぐための貸付制度も有効な手段の一つではあります。
 コロナ禍で設けられた特例貸付制度は、2年間で約320万件、約1兆3、000億円に達し未曾有の規模となっております。今回、緊急小口資金、総合支援資金の特例貸付が8月末まで延長されることは、評価するものであります。
 一方、新型コロナウイルス感染症の発生から2年が経過し返済時期を迎えている中、自己破産や債務整理の手続をした利用者が、全国で少なくとも約5、000人いるとの報道があります。県では、この状況をどのように把握されているのでしょうか。
 速さ優先の貸し付けに終始し、貸したら終わりで、本来の生活再建につなげる相談支援が不十分との指摘もされております。直接支援にかかわる社会福祉協議会の人員増や総合的、重層的な支援体制の構築を急ぐ必要があると考えますが、県と市町村の取り組み状況をお伺いいたします。
 また、今定例会が終了しますと次の定例会は9月となりますが、その間の原油高、物価高の影響は予断を許しません。国の地方創生臨時交付金を最大限活用することはもちろん、国が原油高対策への地方交付税措置を打ち出している中、県としても状況を見きわめた上で、臨時会の招集などによる果断な対応が求められると思われますが、県の対応方針をお示しください。
 続いて、就職氷河期世代への支援についてお伺いいたします。
 バブルの崩壊は、その後の日本経済に長期的な影響を及ぼす発端となり、その象徴と言えますのが、就職氷河期世代と言われる人たちです。収入や雇用の不安定さから結婚や出産ができづらい環境を生み出し、現在の少子化の流れをつくったとも言えます。この世代は人生設計を描くことが極めて困難な世代とも言え、結果として世代の分断が生まれてきたことは、日本にとって大きな損失と言えます。
 国では、2020年から3年間の支援プログラムを組み、30万人の正規雇用者をふやすことを目指してまいりましたが、報道によると、目標のわずか10%程度の3万人の正規雇用者が増加したにすぎず、政府は、集中的な支援期間を2024年度まで延長する方針を決定しております。
 国は、新型コロナウイルス感染症が大きく影響したとの見解を示しておりますが、生産年齢人口の減少に企業の採用意欲は総じて高いはずで、制度的な原因があるのではないかと考えます。
 現に、岩手県では、いわて就職氷河期世代活躍支援プラットフォームをつくり、県内で非正規など不安定な就労状態にある方を約6、200人、家事や通学もせず長期にわたり無業の状態にある方を約3、498人として、支援対象に定め、そのうちの3、300人を正規雇用者としてふやすことを目標とし、一定の成果を上げていると伺っております。
 そこでお聞きいたしますが、県の3年間の目標達成状況はどのようになっているのでしょうか。県を初め、県内自治体で国にならった中途採用数の状況、民間での正規雇用者につながった職種別の状況とあわせ、国の進捗状況との比較も踏まえた全般的な評価をお聞かせください。
 この計画達成に向けた取り組みの成果は、ニートやひきこもり、不登校といった複合的に絡み合うさまざまな分野での課題解決の糸口につながるものと考え、今後のさらなる取り組みに期待申し上げるものであります。
 次に、いわて県民計画(2019〜2028)とソフトパワーについてお伺いいたします。
 21世紀の国際政治を制する見えざる力としてソフトパワーという概念を提唱したのは、クリントン政権において国家情報会議議長や国防次官補を歴任したハーバード大学のジョセフ・ナイ教授です。圧倒的な軍事力と経済力によって世界をリードしてきたアメリカが、国際社会で真の国力を発揮するためには、軍事力や経済力といったハードパワーにのみ依存するのではなく、ソフトパワーを重視しなければならないと提唱したのが始まりです。ロシアはもちろん、経済発展を背景に覇権主義を進める中国が、世界でどのような評価を受けているのかを見れば、ハードパワー一辺倒の限界は明らかであります。
 ジョセフ・ナイ教授は、ソフトパワーを構成するものとして、その国の有する文学、歴史、高等教育といった文化、国内の民主主義、外交政策での平和と人権の推進などの政治的価値観、国内政策や外交政策が偽善的、傲慢になっていないかなどの政策の魅力の三つを掲げております。
 2004年の著書では、日本に対して、欧米以外で初めて完全な近代化を達成し、所得と技術で欧米と同等である一方、独自の文化を維持できているとして、大きな評価をしております。しかし、そこから約20年を経て、特許件数、GDPに対する研究開発費の比率、書籍と音楽ソフトの市場規模、多国籍ブランド企業の数など、日本のソフトパワーの源泉とされたものの多くが、低迷を続けている状況であります。経済力の低迷とあわせ憂慮すべき状況であります。
 このような中、知事は、平成19年に、いわてソフトパワー戦略をマニフェストに掲げられましたが、そこから時を経て、現状の国際情勢等を見るにつけ、ソフトパワーを地方自治体行政に本格的に取り入れていくべきときではないかと思えるようになっております。
 県庁組織に文化スポーツ部がつくられたことは、その象徴的な例と思われますが、自治体経営の中にソフトパワーを取り入れた意図と目的、そして、今までの県政での政策推進の具体化と評価について、知事にお伺いいたします。
 大リーグで活躍する2人の選手を初め、芥川賞の相次ぐ受賞などに象徴されるよう、岩手県は現在、間違いなく文化やスポーツ面において、国内都道府県屈指のソフトパワー大県です。ソフトパワーは定量的に管理できないとして懐疑的な見方もありますが、県民の幸福度を県民計画の柱に据えた知事であれば、このソフトパワーを、より戦略的に展開していくことが可能だと考えます。
 いわて県民計画(2019〜2028)のアクションプランが第2期目を迎えようとしている中、次期アクションプランにしっかりと戦略を位置づけていく必要があると考えますが、知事のお考えをお聞かせください。
 地域の持っている文化、歴史、政策に共感し、他県の人々が納税という形で応援していくふるさと納税制度は、自治体のソフトパワーを活用した一つの仕組みであると考えます。制度自体に賛否はありますが、結果として、大都市圏から地方への税の移転が図られ、中央一極集中に一矢を報いている現実もあり、痛快でもあります。
 さきの大阪地裁の判決では、ふるさと納税によって得られた寄附金収入を特別交付税の算定に用いることによって、交付税を大きく減額された大阪府泉佐野市の訴えを認め、国の省令変更を無効と判断しており、注目を集めております。仮にこの判決が確定すれば、今後、さらにふるさと納税獲得にかじを切っていく自治体がふえてくると予想されます。
 令和2年度で、岩手県は、県分、市町村分を合わせて受け入れ額約116億円で、前年比1.8倍と大きく伸びてはおりますが、全国的に見れば、北海道の975億円を筆頭に、多くの受け入れ実績を残している自治体があり、返礼品や諸費用を除いても約55%が県や市町村の財源となることを考えれば、もっと寄附獲得に貪欲であるべきと考えます。
 ソフトパワー戦略をさらに進める中で、岩手県に対する全国からの共感性を増していく中、ふるさと納税獲得に、県として県内市町村と連携し、今まで以上にアクセルを踏み込み、ハードパワーの源泉である財源の確保や地域経済の拡充、活性化に努めるべきと考えます。
 県の返礼品の内容充実、ポータルサイトの拡充、人員体制の強化など、取り組みの現状と獲得目標額への考え方についてお聞かせ願います。
 次に、日本海溝・千島海溝沿いで予想される地震津波対策についてお伺いいたします。
 国では、内閣府に日本海溝・千島海溝沖の巨大地震対策検討ワーキンググループを設置し、昨年12月、巨大地震の被害想定を発表いたしました。想定される地震の発生時期、時間帯によって被害量が大きく変わるものの、死者数は、日本海溝モデルで19万9、000人、千島海溝モデルで10万人、経済的被害額は、日本海溝モデルで31兆3、000億円、千島海溝モデルで16兆7、000億円とされ、最も人的被害が大きくなるのは、冬の深夜の時間帯と予測されております。
 県は、津波浸水想定を3月に公表し、反響を呼んでおります。想定される最大津波高は、宮古市小堀内漁港で29.5メートルとされております。災害時の司令塔として機能が期待される市町村庁舎についても、9市町村で浸水が想定されており、県内避難所のうち100カ所程度が浸水地域に立地していることも明らかになっております。
 さらに懸念されるのは津波第1波の到達時間であり、宮古市の姉吉漁港では14分と、避難時間が極めて限られてくる実態が明らかになっております。一方、報告書では、しかるべき対策を講じれば、人的被害は最大で8割が軽減可能ともされております。
 そこでお伺いいたします。限られた時間で避難する際に、避難タワーの建設や避難ビルの活用は不可欠であると考えますが、県内の避難タワー、避難ビルの現状はどのようになっているのでしょうか。民間や県、国の建築物の活用も必要と考えますが、それらは進んでいるのでしょうか。ハザードマップや避難所の見直しに対する市町村への支援の方向性とあわせて、お聞かせ願います。
 国では、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震について、南海トラフ地震と同程度の対策強化が必要と判断し、5月には日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法が改正されました。
 津波対策を特に強化すべき地域を特別強化地域として指定し、指定を受けた市町村では、津波避難対策緊急事業計画を作成することによって、避難場所や避難経路の整備費用に国のかさ上げ補助が認められることになります。
 そこで伺いますが、国で秋にも指定が予定される特別強化地域の見通しはどのようになっているのでしょうか。法改正で自治体への補助はかさ上げされますが、県や市町村の負担をさらに軽減する必要性等について、県ではどのような認識をお持ちでしょうか。
 また、県では8月までに独自の被害想定を公表するとして作業が進められていると思いますが、季節ごと、時間帯ごとの対応など、どのように整理される方向か、現状をお知らせください。
 そして、積雪寒冷地である本県として特有の装備、備蓄の確保、広域的な支援体制の構築など、国の示す特別の配慮をより具体的に進めることが必要と考えますが、対応方針をお聞かせ願います。
 被害が生じたときの回復力の速さも基本的方向性の重点目標となっており、事業継続計画、いわゆるBCPの策定、充実が必要とされております。
 消防庁では、都道府県、市町村のBCPの策定状況を毎年調査し、その結果を公表しております。BCP策定の有無と実効性の高いBCPづくりを進める6要素を満たした計画になっているかどうかによって、都道府県の災害対応力を診断し、全国トップの熊本県では、市町村のBCP策定を手助けするマニュアルを作成し、訪問しながらノウハウを伝授することで県内全市町村の策定につなげ、第2位の岐阜県では、市町村ごとの策定状況のカルテをつくり、アドバイザーチームを市町村に派遣することで助言と支援を実施しているようであります。
 県では、県内市町村における6要素全てを満たしているBCPの策定状況について、どのように把握しているのでしょうか。岩手県の位置づけへの所感とともにお伺いいたします。
 そして、今後、県内自治体全体の災害対応力を高めるために、どのような取り組みをされようとしているのでしょうか。私が以前提言いたしました地域防災力の見える化への取り組みとあわせてお知らせ願います。
 最後に、県庁舎建てかえの方針についてお伺いいたします。
 令和4年5月20日の記者会見において、知事は、老朽化の度合いや今後のニーズ、使われ方を勘案して、どういうタイミングで、どういう手を打つのか、年度内あるいは任期内にどういう作業が必要か確認すると発言されました。
 また、まずは技術的に老朽化の度合い、耐震性の問題等について調査、検討が必要である旨の発言もされております。
 平成9年度に実施された耐震診断では、震度6強までは耐え得るものの、防災拠点として要求される基準は満たしていないという結果が示され、現時点で基準を満たしていない県庁舎は、本県のみという状況であります。
 一方、平成27年度に実施された劣化診断では、躯体はおおむね健全で、2060年ごろまでは使用可能との結果が示されており、比較的低廉な負担で済む耐震改修とするか多額の費用を要する新築とするか、難しい判断が求められると考えます。
 現在、内丸地区では、盛岡市が主導して(仮称)内丸プランの策定が進められており、岩手医科大学附属病院の跡地の活用、盛岡市庁舎の建てかえの方針も含め、この内丸地区の将来をどう描いていくのかという大きな判断も必要であります。
 年度内あるいは任期中にどういう作業が必要になるのか確認するという発言の真意と、今後どのような作業を進めていくのか、知事にお伺いいたします。
 また、方針次第ではありますが、県庁舎の改修、建てかえ、いずれにしても多額の経費を要することが想定され、どのように財源確保を図るかは大きな課題であります。
 岩手県公共施設等総合管理計画の改定素案では、今後30年間の見込みとして、既存の公共施設を適正に管理していくだけでも6、050億円、インフラ施設では8、646億円と多額の経費負担が見込まれております。
 現下の厳しい財政状況のもと、将来にわたって県民が安心して施設を活用するためにも、新たな基金を造成するなど財源確保の取り組みが必要と考えますが、知事の所見をお伺いいたします。
 以上で私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 関根敏伸議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、日本経済の現状についてでありますが、バブル崩壊以降、低い経済成長率が続いていた中、新型コロナウイルス感染症に伴う打撃に加え、ロシアによるウクライナ侵略や、我が国において金融緩和が維持されるもとでの急激な円安の進行等の要因による原油や穀物を初めとする価格高騰などが、家計や企業に大きな影響を及ぼしているものと捉えております。
 戦後、高度経済成長をなし遂げ所得水準が向上した日本でありましたが、都市部のいわゆる通勤地獄、ウサギ小屋住宅と言われた問題や、中央と地方の格差の問題が生じ、多くの国民が、経済成長の成果を実感できなかったところであります。
 それに対して、住宅対策の強化や輸入も含めた消費活動の充実、地方の社会資本整備による経済活性化などの内需拡大政策が主張されましたが、実際には、日本国民が稼いだ資金が、株式や土地などに投機的に投資され、バブル経済とその崩壊が起きてしまいました。
 この間、日本国民の能力が劣化したり国民が怠けたわけではなく、バブル崩壊後の金融危機のもとで、民間部門が投資に対して非常に慎重になり、そこで、国は積極的な財政出動を行うべきでありましたが、逆に、財政健全化を重視し、景気の長期停滞がもたらされたものと認識しております。
 新型コロナウイルス感染症により地方への関心が高まり、物価上昇等で地方経済が危機に直面する今こそ、内需拡大型の経済構造改革、地方重視の経済財政政策を積極的に進めていくことが必要であると考えております。
 次に、日本国内での岩手県の位置と今後の産業政策についてでありますが、平成から令和にかけ、岩手県は民間投資に恵まれ、世界最先端の工場の立地が相次ぎ、日本のものづくりを牽引する高度な基盤整備が進められてきました。加えて、国内最多3カ所の世界遺産などの豊かな観光資源を背景とした外国人観光客の増加や、県産農林水産物の評価の高まりなども相まって、議員御指摘の県民所得の増加等につながったものと考えます。
 また、東日本大震災津波からの復興に当たっては、必要かつ効果的な公共投資が行われました。
 今後の岩手県の産業振興に当たっても、引き続き、国際競争力の高いものづくり産業、地域の特性や資源を最大限に生かした農林水産業や観光産業など、いわゆる域外市場産業について、地元調達や付加価値を高めながら強化するとともに、商業やサービス業を通じて地域内経済循環を拡大していく総合的な産業政策を展開することが重要と考えております。
 また、コロナ禍及び物価高騰に直面する現状にあっては、困窮する分野に適切な公的支援が行われるとともに、岩手県のよいものや強みを生かしていくことがより大事であり、国内外から高く評価される岩手県の工業製品や農林水産物、また、サービス等をしっかり提供していくことが、岩手県の実力の再評価と向上につながるものと認識しております。
 こうしたことから、現在策定中のいわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランにおいても、第1期アクションプランの成果や社会経済情勢等を踏まえ、ものづくり産業の一層の集積と高度化や本県の地域資源や特性を生かしたGXやDXなどの展開、全国有数の食料供給県としての地位をさらに高める農林水産業振興など、効果的な施策を盛り込み、岩手県の産業振興を力強く推進してまいります。
 次に、今後の原油価格、物価高騰対策についてでありますが、議員御指摘のとおり、世界規模で不確実性が高まり、原油や穀物等の国際価格が、変動を伴いつつ高い水準で推移していること等を踏まえ、国は、コロナ禍における原油価格・物価高騰等総合緊急対策として、臨時交付金や地方交付税措置などを講じたところであります。
 この財源を活用して、全国に先駆けて本県独自に総額64億円余の岩手県原油価格・物価高騰対策パッケージを取りまとめ、子育て世帯等への生活者支援、中小企業者や農林水産業者等への幅広い事業者支援など累次の補正予算を編成したところであり、まずは、必要とされる方にこれらの支援策が迅速かつ確実に届くよう着実に執行してまいります。
 今後、物価高騰等による消費マインドの悪化や実質購買力の低下を通じて、長期的に民間消費や企業活動の減退を招く可能性がありますことから、実体経済や県民生活へ与える影響を注視し、必要に応じて追加の支援策の検討を進め、適時適切に補正予算を編成してまいります。
 次に、いわて県民計画(2019〜2028)とソフトパワーについてでありますが、本県は、豊かな自然、先人から受け継いできた伝統、実直な人間性などを源泉とした、平泉の文化遺産や早池峰神楽など世界に誇れる多様な文化資源、そして、東日本大震災津波のような大災害に際しても決して諦めない県民性を有しています。
 ソフトパワーの考え方に基づく施策の展開は、こうした岩手県の文化的魅力や県民の道義的信頼を県政の牽引力とし、岩手県の持つ価値や魅力を地域振興に結びつけ、岩手ブランドとして確立し、さらに高めていこうとするものであります。
 ソフトパワーの祭典でもありました希望郷いわて国体・希望郷いわて大会は、選手の活躍や県民の参画を通じて、やればできるという自信と誇りを内外に示し、岩手県の魅力を発信した大会であり、そのレガシーは、ラグビーワールドカップ2019岩手・釜石開催、御所野遺跡を含む北海道・北東北の縄文遺跡群の世界遺産新規登録などにつながりました。
 また、スポーツでは、大谷翔平選手、菊池雄星選手、小林陵侑選手などの活躍、文化では、沼田真佑さん、若竹千佐子さんの芥川賞受賞など、岩手県関係者の活躍は目覚ましいものがあります。
 さらには、コロナ禍におけるリモートワークの高まりの中で、多くの方から選ばれる県になっています。
 こうしたことから、第2期アクションプランにおいても、この考え方を生かし、本県の地域資源の価値や魅力、県民の底力を地域振興に生かすとともに、岩手県のソフトパワーを積極的に発信し、本県のプレゼンスと県民の地域への誇りがさらに向上するよう県政を推進していきたいと考えております。
 次に、地震津波対策に係る特別強化地域の指定についてでありますが、今回改正されたいわゆる日本海溝・千島海溝特別措置法に規定する特別強化地域について、国では、指定する必要のある地域の範囲を令和4年6月17日に中央防災会議に諮問するなど、指定に向けた手続を進めているところであります。
 県では、国との意見交換の場において、特に著しい津波災害が生じるおそれがあり、津波避難対策を強化すべき特別強化地域として沿岸12市町村全てを指定するよう要請したところでありますが、今般、特別措置法の規定に基づく意見照会がありましたことから、関係市町村の意向を確認の上、改めて、沿岸12市町村全てが指定されるよう国に意見を述べることとしています。
 また、日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震対策については、津波浸水想定や積雪寒冷を考慮した津波避難施設や避難路の整備、避難所における防寒対策などを進めていく必要があり、これらハード、ソフト両面にわたる新たな取り組みは、今なお、東日本大震災津波からの復興に取り組んでいる沿岸市町村等にとっては、さらなる負担となりますことから、その負担を軽減していく必要があると認識しております。
 このため県としては、関係道県と連携しながら、既存交付金の拡充や新たな財政支援制度の創設などを国に要望していくなど、市町村等による津波避難対策が着実に実施されるよう、引き続き取り組んでまいります。
 次に、県庁舎の今後の見通しについてでありますが、議員御指摘のとおり、現庁舎は、防災拠点として必要とされる耐震性能を有しておらず、また、建築から57年が経過し老朽化が顕著であることから、建てかえや改修について検討が必要な時期に来ていると認識しております。
 庁舎の建てかえ、改修には、いずれも多額の経費を要することが想定され、その判断については、科学的な知見に基づく精緻な議論が求められます。
 平成9年度に県庁舎の耐震診断を実施し、震度6強程度の地震で崩壊する危険性は低いと評価されたところでありますが、それから25年が経過し、その間、東日本大震災を含め、盛岡市で震度5を上回る大きな地震に複数回見舞われており、庁舎の耐震性能に一定の影響があると考えられること、耐震技術も大きく進展していること等を踏まえ、改めて技術的な調査を行う必要があると考えます。現在、調査が必要とされる項目、調査方法等について内部で検討しており、おおむね年内の調査着手に向けて準備を進めているところであります。
 次に、財源確保の取り組みについてでありますが、今般の岩手県公共施設等総合管理計画の改定に当たっては、将来の人口減少や今後の財政見通しを踏まえた上で、将来にわたって県民が安全・安心に利用できる質の高い公共施設等を維持していくため、施設の規模や総量の適正化に係る目標を新たに定めたところであります。
 計画の推進に当たっては、県民1人当たり負担額に係る目標を新たに設定した上で、コストの縮減、財政負担の平準化を図りながら、今後見込まれる更新需要の増大等に対する安定的な財源確保が必要であると認識しております。
 そのため、議員御指摘の公共施設等の適正管理を推進するための新たな基金について、9月定例会において提案できるよう、現在、準備を進めているところであります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔商工労働観光部長岩渕伸也君登壇〕
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) まず、自動車、半導体関連産業の長期戦略についてでありますが、北上川流域を中心とした自動車、半導体関連産業の集積が着実に進む中、世界的にカーボンニュートラルやデジタル化の流れが加速しており、今後は、こうした環境変化に着実に対応していくことが求められるとともに、引き続き、地場企業の参入支援や取引拡大によるサプライチェーンの強化、人材の育成、確保などの取り組みを進めていく必要があると考えております。
 具体的には、自動車関連産業では、電動化を初め製造過程においてもカーボンニュートラルへの対応が進められており、県としても、いわて産業振興センターなどと連携し、県内企業の電動車部品製造への対応などを含めたカーボンニュートラルの取り組みを支援するとともに、電動化に対応できる高度技術者を育成しながら競争力を強化し、さらなる産業の集積を進めてまいります。
 また、半導体関連産業では、現在、工場増設や設備増強など生産機能の拡大が相次いでいる状況を踏まえ、フラッシュメモリーやパワー半導体等の最先端の半導体や車載半導体、半導体製造装置など、幅広い関連産業の生産拠点機能を一層強化し、その効果の地域経済への波及を促進してまいります。
 さらに、東北経済産業局が設置する東北広域連携の産学官研究会に県としても積極的に参画し、広域的な人材育成、確保の取り組みを進めるなど、全国有数の半導体関連産業集積地域である北上川流域への技術と人材のさらなる集積と交流を促進してまいります。
 次に、事業者支援に係る国の拡充内容等についてでありますが、今般、国が示した緊急対策において、事業再構築補助金については、新たに、原油価格・物価高騰等緊急対策枠が創設されるとともに、影響を受けている事業者の採択に当たっての加点措置といった拡充が行われたところであります。
 この事業再構築補助金の採択状況は拡充前のものとなりますが、事業を開始した昨年3月以降、第5回の公募までで242件が採択され、採択率は46.4%となっております。
 また、緊急対策における事業再構築補助金以外の内容としては、政府系金融機関による、いわゆるゼロゼロ融資の9月末までの再延長、積極的な賃上げに取り組む中小企業に対する賃上げ促進税制の導入などが盛り込まれております。
 県といたしましては、事業再構築補助金の本県の採択件数が全国的には少ない状況にあることから、より一層、新しい生活様式に対応した新分野展開や業態転換、DXなどを推進するため、商工指導団体への相談対応スタッフの増員など体制強化を図ったところであり、こうした体制のもと、事業継続伴走型支援事業などを有効に活用しながら、県内中小企業の取り組みを支援していく考えであります。
 次に、就職氷河期世代への支援の進捗状況等についてでありますが、令和2年度から令和3年度までの2年間で、ハローワークを通じて県内に正社員として就職した人数は、事業実施計画における令和4年度までの目標である3、300人に対して2、279人となっております。
 また、県及び県内市町村の採用者数は、ハローワークを通じた採用が、同じく2年間で277人となっております。
 したがって、ハローワークを通じた民間の採用は2年間で2、002人となりますが、その職種別の人数の把握までは行っていないとのことであります。
 内閣府が公表した令和3年の正規雇用者数3万人の増加の数値につきましては、総務省の労働力調査における就職氷河期世代の労働者数の増減をベースに算出したものと承知しており、就職氷河期世代活躍支援プラットフォームにおける把握方法とは異なるため一概に比較はできないところでありますが、本県におきましては、職場見学会やe−ラーニング講座などの取り組みにより、実績はおおむね順調に推移しているものと受けとめております。
   〔保健福祉部長野原勝君登壇〕
〇保健福祉部長(野原勝君) コロナ禍における特例貸付制度の状況と今後の取り組みについてでありますが、特例貸付制度に係る県内の実績は、岩手県社会福祉協議会によると、本年3月末時点で貸付件数が9、000件強ある中、本年4月中旬までに160件について債務整理手続が開始されたところであり、こうした方々への早急な支援策が必要であります。
 このため県では、事業主体である社会福祉協議会において、償還が困難な世帯への相談支援や適切な債権管理のために必要な人員体制が確保できるよう、特例貸付の原資と合わせて人件費を含む事務費の補助を実施しており、国に対し、事務費の全額国庫負担を償還期間が終了するまで継続するよう要望しています。
 また、令和4年度一般会計補正予算第2号において、県と福祉事務所設置自治体である市が、地域の実情に応じた生活困窮者支援の連携体制等を検討するプラットホームの整備を行う場合に要する経費や、市における自立相談支援員の加配に要する経費などを措置したところであります。
 今後は、貸し付け終了後の生活再建に向けた支援が一層重要となることから、引き続き、社会福祉協議会等における人員体制の確保を通じて、市町村、社会福祉協議会等と連携して、家計の見直しや就労に向けた取り組みなど、一人一人の状況に応じ、さまざまな方策を組み合わせた重層的なセーフティネットによる支援に取り組んでまいります。
   〔ふるさと振興部長熊谷泰樹君登壇〕
〇ふるさと振興部長(熊谷泰樹君) ふるさと納税の獲得に向けた取り組みについてでありますが、ふるさと納税制度は、生まれ故郷や自身のかかわりの深い地域など、応援したい、貢献したい地方公共団体を支援するものであり、制度を通じて県の施策をPRし、多くの方々から共感をいただく有効な手段として活用を図っているところでございます。
 これまで、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた県内事業者の販路確保を支援するため、返礼品目の数を約4倍にふやしたほか、定期便型返礼品の試行的な実施や、新たに、ふるさと納税ポータルサイトを一つから四つにふやすなど、寄附受け入れの拡大を進めてきました。
 本年度におきましては、寄附者への御礼メッセージの発信など、継続的な寄附につながる取り組みの強化に加え、定期便型返礼品の本格導入を含めた返礼品のさらなる充実などにより、県の施策の理解促進や魅力の発信に取り組んでいくこととしております。
 なお、ふるさと納税は、寄附金という性格から目標額を設けておりませんが、県では、これまでの実績を踏まえ、令和4年度に1億3、000万円余の寄附を見込んで予算を計上しております。
 今後におきましても、制度を活用した県の施策の理解促進や県の魅力発信、事業者の販路確保に努め、岩手を応援したいとする方々の裾野の拡大につなげてまいります。
   〔復興防災部長佐藤隆浩君登壇〕
〇復興防災部長(佐藤隆浩君) まず、津波避難施設の現状とハザードマップ等の見直し支援についてでありますが、本年6月1日現在、沿岸市町村が避難施設または緊急避難場所として指定している津波避難ビルは、3市町10棟で、その内訳は、市町村施設3棟のほか、民間施設4棟、国施設1棟、県施設2棟となっています。
 なお、現時点で津波避難タワーは指定されておりません。
 本年3月に県が公表した本県最大クラスの津波浸水想定や、現在、検討を進めている地震津波被害想定等を踏まえ、今後、沿岸市町村においては、津波避難ビル等の指定の追加や見直しが進められると考えており、民間施設等の活用も含めて、津波避難ビル等の指定が円滑に進むよう、県としても助言等を行ってまいります。
 また、県では、地震津波被害想定の検討の中で、庁舎や既存の避難所など、防災上の重要拠点施設の位置と浸水想定区域を重ね合わせた地図データを作成することとしており、これを市町村に提供することにより、ハザードマップや避難所の見直しが円滑に進むよう支援してまいります。
 次に、被害想定の公表に向けた対応方針についてでありますが、地震津波による被害想定は、季節や時間帯によって被害状況が異なることから、現在検討を進めている地震津波被害想定では、夏や冬などの季節と昼や夜などの時間帯を組み合わせた複数のパターンにより、市町村ごとに被害予測を行うこととしています。
 また、本年3月に公表された国の巨大地震対策検討ワーキンググループの報告書では、本県など日本海溝・千島海溝沿いの地域において冬季に地震が発生した場合、吹雪や積雪寒冷による避難所要時間の増加、屋外や寒い屋内での避難による低体温症のリスクの発生、吹雪、積雪、寒冷等による物資輸送等の遅延などの積雪寒冷地特有の課題が示されています。
 このため、市町村が積雪寒冷により配慮した津波避難計画を策定できるよう、津波避難計画策定指針の見直しを行うこととしているほか、避難所等での低体温症のリスク回避や物資調達に時間を要する場合に備え、備蓄物資の種類や備蓄量、保管場所などを定めた岩手県災害備蓄指針の見直しを検討していくこととしています。
 こうした取り組みにより、積雪寒冷地である本県特有の課題に的確に対応できる防災体制の構築に努めてまいります。
 次に、県内市町村のBCP策定状況と地域防災力の見える化についてでありますが、BCPに定めるべき特に重要な6要素全てを盛り込んだ計画を策定している市町村は、令和3年6月1日現在、10市町村で、その割合は30.3%となっており、全国平均の33%を2.7ポイント下回っています。
 市町村みずからが被災した状況下にあっても、災害対応等の業務を適切に行うためには、応急復旧対策の拠点の確保や、非常時優先業務の明確化などの6要素を盛り込んだ計画を平時から策定しておくことが極めて重要であることから、市町村消防防災主管課長会議などを通じて、市町村で積極的な取り組みがなされるよう働きかけを強めてまいります。
 また、災害対応力を高めるため、県ではこれまで、防災意識の普及啓発や防災教育の推進、自主防災組織の活性化など地域コミュニティーにおける住民同士が助け合える体制の強化、国、県、市町村、防災機関が連携した実践的な住民参加型の総合防災訓練の実施などに取り組んできたほか、地域の中核となる防災人材を育成するため、本年度新たに、地域防災サポーターのスキルアップ研修を実施することとしており、こうした取り組みにより、自助、共助、公助による防災体制づくりを着実に進めていきます。
 地域防災力の見える化については、市町村別の自主防災組織の組織率、消防団員数のほか、防災に関する全国調査結果などを県のホームページで公表しており、こうした客観的データを活用しながら、地域防災力の向上に努めてまいります。
   
〇副議長(小野共君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時53分休憩
   
出席議員(46名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 上 原 康 樹 君
3  番 小 林 正 信 君
4  番 千 葉   盛 君
5  番 千 葉 秀 幸 君
6  番 岩 城   元 君
7  番 高橋 こうすけ 君
9  番 武 田   哲 君
10  番 高 橋 穏 至 君
11  番 山 下 正 勝 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 佐々木 朋 和 君
15  番 菅野 ひろのり 君
16  番 柳 村   一 君
17  番 佐 藤 ケイ子 君
18  番 岩 渕   誠 君
19  番 名須川   晋 君
20  番 佐々木 宣 和 君
21  番 臼 澤   勉 君
22  番 川 村 伸 浩 君
23  番 千 葉 絢 子 君
24  番 ハクセル美穂子 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 吉 田 敬 子 君
27  番 高 橋 但 馬 君
28  番 小 野   共 君
29  番 軽 石 義 則 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 小 西 和 子 君
32  番 高 橋 はじめ 君
33  番 神 崎 浩 之 君
34  番 城内 よしひこ 君
35  番 佐々木 茂 光 君
36  番 佐々木   努 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 中 平   均 君
39  番 工 藤 大 輔 君
40  番 五日市   王 君
41  番 関 根 敏 伸 君
42  番 佐々木 順 一 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 岩 崎 友 一 君
45  番 工 藤 勝 子 君
46  番 千 葉   伝 君
47  番 工 藤 勝 博 君
48  番 飯 澤   匡 君
欠席議員(1名)
8  番 米 内 紘 正 君
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後4時13分再開
〇副議長(小野共君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。千葉伝君。
   〔46番千葉伝君登壇〕(拍手)

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