令和4年6月定例会 第21回岩手県議会定例会会議録 |
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〇46番(千葉伝君) 自由民主党の千葉伝です。
通告に従い順次質問をいたしますので、誠意ある答弁をお願いします。 まず最初に、いわて県民計画(2019〜2028)の第2期アクションプランの策定についてお尋ねします。 今年度は、県民計画のスタートから4年目であり、また、第1期アクションプランの最終年度で、第2期アクションプランの策定が進められているところです。 第1期アクションプランのうち政策推進プランの進捗状況については、プランに掲げる指標の達成状況や県民意識の状況を踏まえた政策評価で測定していると認識しております。例えば、昨年11月に公表された政策評価レポート2021では、仕事・収入の分野は全体としてはBと評価されている一方、一人ひとりに合った暮らし方ができる農山漁村については、やや遅れと評価されております。 さらに、第1期アクションプランの期間中の大きな変化として、新型コロナウイルス感染症による影響が挙げられ、移動の自粛や新たな生活様式への対応など、県民生活に大きな制約をもたらしました。 また、その一方で、急速なデジタル化やオンライン化の進展、地方への意識の高まりといった社会的な変化なども見られるところであります。 このような政策評価の結果、第1期アクションプラン期間中のさまざまな変化を受け、県の政策も柔軟に変えていくべきと考えておりますが、県では、第2期アクションプランの策定についてどのように進めていくのか、知事の考えをお伺いします。 次に、人口減少対策についてお尋ねします。 いわて県民計画(2019〜2028)には、人口減少や少子高齢化の進行を課題として上げているところであり、この計画の人口減少対策に関係する分野を推進するための戦略として、第2期のふるさと振興総合戦略を策定して取り組んでいるところと認識しております。 全国的に東京を初めとした首都圏への一極集中が加速しておりますが、本県の議会でもこれまで何度も議論が交わされているように、これからの岩手県に思いをいたしたとき、人口減少は大きな課題であります。地域を維持し、発展させ、つくっていくには、さまざまな人材が必要で、人口減少対策は、その観点からも喫緊の課題であると言えます。 このような中、県では、さきに人口減少対策本部会議を開催したとお聞きしました。人口減少という喫緊の課題に対し、県を挙げて対応していく必要があると考えますが、知事は、人口減少対策にどのように取り組もうとされているのか、会議の目指すところや今後の見込みも含め、その考えをお伺いします。 次に、県北・沿岸振興についてお尋ねします。 いわて県民計画(2019〜2028)に関するアクションプランには、地域振興プランとして四つの広域圏の振興方策が整理されているところであります。これらの広域振興圏別の1人当たりの市町村民所得の推移を見ると、平成30年度までは、県北圏域、沿岸圏域ではともに上昇傾向で推移してきましたが、令和元年度には、沿岸圏域では減少に転じているところであります。 今後は、復興需要のピークアウトに加え、さらに、新型コロナウイルス感染症による影響や、原材料や原油の高騰など厳しい社会経済情勢に対応するため、改めて、県北・沿岸振興本部を中心に、東日本大震災津波からの復興や、地域の特徴を生かした、地に足のついた県北・沿岸振興を一層推進していく必要があると考えます。 いわて県民計画(2019〜2028)においては、新しい時代を切り拓く11のプロジェクトがあり、それぞれのプロジェクトを構成するさまざまな事業などがあると思いますが、今後、これらのプロジェクトの展開などを通じて、県北・沿岸振興を具体的にどのように進めていくのか、県の考えをお伺いします。 次に、新型コロナウイルス感染症への対応についてお尋ねします。 本県では、令和4年1月23日から発令していた県独自の緊急事態宣言について、5月30日付でその解除が決定されました。今回解除したことは、感染者数の減少傾向が続いていたからと承知しておりますが、全国的にも県独自の緊急事態宣言が余りない中で、宣言中の対策や対応により、まん延防止等重点措置を要請することなく感染者数を減少できたことは、全国との比較では一定の成果を上げたものと推察します。 昨年8月の1回目の県独自の岩手緊急事態宣言は、デルタ株の流行によるもので、約1カ月間の期間となりましたが、オミクロン株が流行した今回は、約4カ月間の期間に及びました。 宣言の解除を決定した5月30日の岩手県新型コロナウイルス感染症対策本部本部員会議では、感染防止に向けた重点的な取り組みとして、宣言解除後の注意点を県民に呼びかけたほかに、岩手県新型コロナウイルス感染症の基本的対処方針を改定し、今般の宣言の解除に対する考え方を見直しておりますが、見直した内容と、今後どのように対応していくのかお伺いします。 さらに、新型コロナウイルス感染症の感染拡大などによる県内経済への影響と対策についてお尋ねします。 まず、県内経済への影響についてでありますが、新型コロナウイルス感染症の発生から2年以上が経過しましたが、依然として収束時期が見通せない状況が続いており、コロナ禍の影響が長期化する中、世界的な物流の混乱や半導体などの資材の品薄に加え、エネルギー価格の高騰等が中小企業の経営を圧迫するなど、幅広い業種に影響が及んでおります。 新型コロナウイルス感染症の影響については、これまで多くの議員に取り上げられ、質疑を交わしているところであります。私自身も、昨年6月定例会において質疑をしておりますが、その際、県内経済については、日本銀行盛岡事務所の公表内容や商工団体に毎月実施している影響調査の結果から、前年同期比の売り上げの減少、業種別に見た影響を示していただき、それらに対する支援策についても答弁いただいております。 しかしながら、その後1年を経過する中、世の中の情勢はますます厳しくなっております。ロシアによるウクライナ侵略は、さらなるエネルギーや資材、農林水産物などの原材料の調達コストの上昇や不安定化を招いており、県内事業者の経営環境は厳しい状況が続いているものと考えます。 県では、岩手緊急事態宣言を解除したところでありますが、直近の県内経済への影響をどのように捉えているのかお伺いします。 また、このような状況下において、私ども自由民主党岩手県支部連合会では、これまで数次にわたって産業経済面への影響を調査するため、現場に赴き、また、それぞれの団体から現状と要望を聞き取っており、その上でこれらの要望を取りまとめ、県へは直接、知事に、国へは関係省庁、関係閣僚、自由民主党本部への要望を実施しております。 県においても、新型コロナウイルス感染症に加え、原油高や物価高騰の影響を大きく受けている事業者から支援を求める声が多く寄せられていると承知しておりますが、これまで、どのような要望がなされ、それに対してどのように対応してきたのかお伺いします。 さらに、このような影響などにより厳しい経営を強いられている県内の事業者に対し、取り巻く環境や状況に応じて、引き続き、きめ細かな対応を行っていくことが必要だと考えます。 盛岡市においては、燃料代や光熱費の高騰に苦しむ中小事業者に一律10万円を支給し、また、農業者には、肥料や飼料購入費に一部補助する方針が示されました。その方針には大いに賛同するものでありますが、むしろ遅きに失した感は否めないと感じております。 県では、今後、中小規模の事業者に対し、どのような支援策を講じていくのかお伺いします。 次に、畜産業の振興についてお尋ねします。 国の統計によると、本県の令和2年の農業産出額は2、741億円であり、このうち畜産は1、628億円で、全体の約6割を占める基幹部門となっております。畜産部門全体では全国4位であり、また、畜種別では、乳用牛が4位、肉用牛が5位、豚が8位、鶏が3位となっており、全国の畜産物の供給を担っていると言っても過言ではないと思っております。 本県の1戸当たりの飼養頭羽数については、豚は5、707頭、採卵鶏は19万羽、ブロイラーは7万1、000羽と、中小家畜では全国でもトップクラスで大規模化が進んでいる一方で、乳用牛、肉用牛はそれぞれ50頭、23頭と、大家畜では全国に比べて低位であり、酪農及び肉用牛生産においては、生産者の高齢化とともに飼養戸数、飼養頭数が減少しております。 そのような中、配合飼料の価格は、中国などでの需要の増加や新型コロナウイルス感染症の影響による海上運賃の上昇に加え、さらにウクライナ情勢や急速な円安が重なり、過去最高値を更新している状況であります。 酪農経営では、原油高や資材高が続いており、生産現場からは、先行きが見通せない状況に不安を抱え、経営の厳しさを訴える悲痛な声が多く聞こえてきております。 このような状況を踏まえ、畜産農家の経営の安定に向けしっかりと取り組んでいく必要があると考えますが、県の畜産業に対する現状認識と支援策についてお伺いします。 次に、豚熱対策についてお尋ねします。 養豚や養鶏においては、家畜伝染病の全国的な発生が問題となっております。 平成30年9月9日に岐阜県において国内で26年ぶりに発生した豚熱は、ことし4月以降も茨城県や群馬県の養豚農場で発生しており、6月15日には、群馬県桐生市で国内82例目となる発生が見られ、約5、000頭の飼養豚が殺処分されたところであり、全国の養豚農場においては、衛生管理の徹底や野生イノシシの侵入を防ぐための防護柵の設置などの対策が行われているところでもあります。 本県の養豚農場においては、令和2年度に全ての農場で侵入防止柵を整備し、豚舎等への出入りの際の消毒の徹底など、ウイルスの侵入対策に取り組んでおります。 さらに、本県は、令和3年6月に宮城県の野生イノシシで豚熱の感染が確認されたことに伴い、国からワクチン接種推奨地域に設定され、昨年7月から県内養豚農場におけるワクチン接種を実施しておりますが、母豚への年2回の接種や子豚への接種などの経費がかさみ、生産者の負担感が増しております。 このような状況下で、生産者の負担を軽減するため、養豚農場におけるワクチン接種の経費について、県として一定の支援をすべきと考えますが、県の考えをお伺いします。 また、ことし4月25日、豚熱に感染した野生イノシシが一関市でも確認されて以降、6月16日までに、一関市、平泉町、奥州市、北上市の県南地域を中心に19例の感染が確認されており、本県において豚熱がいつ発生してもおかしくない状況であり、生産者は、これまで以上に警戒感を強めております。 隣県の宮城県や秋田県では、既に野生イノシシに対する経口ワクチンの散布を実施しておりますが、野生イノシシに対する経口ワクチンの散布に関する県の取り組み状況についてお伺いします。 次に、高病原性鳥インフルエンザ対策についてお尋ねします。 本県の養鶏は、令和2年の産出額が781億円と、本県の畜産産出額の約5割を占める重要な産業であります。 〔副議長退席、議長着席〕 この養鶏産業において脅威となっているのが、高病原性鳥インフルエンザであり、全国的に発生が見られており、本県でも、令和4年2月12日に久慈市の養鶏農場において本県初となる発生があり、飼養鶏4万1、471羽が殺処分され、さらに、5月12日には一関市の展示施設においてエミューの発生があり、殺処分された後、6月4日に全ての防疫措置を終えたと聞いております。 本病が発生した場合、発生農場で飼養される鶏は全て殺処分、埋却されるほか、発生農場から半径3キロメートル以内が移動制限区域に、半径3キロメートルから10キロメートル以内が搬出制限区域に指定されるなど、発生農場のみならず、周辺農場がこうむる経済的損失は多大なものになります。 発生農場への手当金や移動制限により影響を受けた周辺農場への支援については、法に基づき措置されるところでありますが、発生させないことが最も重要であることは言うまでもありません。 本県の養鶏農場では、鶏舎の出入り口の消毒の徹底や野鳥の侵入防止対策の強化に向け、昨年6月の補正予算で措置された防鳥ネット設置などに取り組み、万全を期しているところと認識しております。しかし、昨シーズンは、本県の多くの地点で野鳥の感染が確認されており、養鶏農場へのウイルスの侵入防止に警戒を怠らないよう、これまで以上に取り組んでいく必要があると考えます。 そこで、今後の発生防止に向け、県はどのように対応していくのかお伺いします。 次に、獣医師及び獣医療に関する整備、充実についてお尋ねします。 国民の食生活に直結した安全な畜産物の安定供給が求められる中、近年、近隣国において、地域経済に重大な影響を及ぼすアフリカ豚熱、口蹄疫などの海外悪性伝染病が発生し、我が国へ侵入する脅威が増しております。 さらに、国内では、豚熱や高病原性鳥インフルエンザを初めとした重要疾病の発生リスクが高い状況にあり、畜産経営体の飼養規模の拡大に伴い、予防衛生の考え方による集団管理衛生対策がますます重要となっております。 また、新型コロナウイルス感染症はコウモリに起因する人獣共通感染症と言われておりますが、このような感染症の対応には、人と動物の健康や環境の保全を図るワンヘルスの実践体制の構築が不可欠であり、獣医師が、その中心的な役割を担っているところであります。 獣医師は、産業動物や小動物の診療分野のみならず、家畜衛生、公衆衛生などの公務員分野のほか、学術研究、教育、動物愛護、福祉、野生動物の保護や管理など、幅広い分野において国民生活を支えており、獣医師に対する社会の期待や要請は、極めて高いものになってきております。 本県では、令和3年3月に獣医療を提供する体制の整備を図るための岩手県計画を策定したところでありますが、最近の獣医師の確保、とりわけ産業動物分野の獣医師の確保について、充足状況と対応をお伺いします。 次に、盛岡以北の道路整備についてお尋ねします。 道路整備は、地域間の交流、連携や地域経済の活性化、防災、救急医療、福祉、教育、観光振興など、地域の振興、発展に大きく寄与する重要なインフラ整備の一つであります。 東日本大震災津波の発災後、国の復興道路や復興支援道路に位置づけられた三陸沿岸道路、宮古盛岡横断道路、釜石自動車道は、昨年12月までに全線が開通し、沿線地域では、工場の新たな立地や増設による産業振興、道の駅の新設やリニューアルオープンによるにぎわいの創出など、さまざまな効果が発現されております。 しかし、岩手県全体を見たとき、県都盛岡以北の地域においては、農林水産物や再生可能エネルギーなどの地域資源が多いにもかかわらず、農村、漁村と都市部をつなぐ社会基盤としての道路の整備がおくれており、盛岡以南の地域との道路網の格差拡大が、地域経済や人口減少に他地域よりもより深刻な影響を与えております。 さらに、観光面、災害対策面にも影響が出ているものと思われ、その結果は、県民所得の格差にも通ずるものがあります。 現在、盛岡以北において内陸部と沿岸北部を結ぶ路線は国道281号があり、順次、整備が進められておりますが、山間部を通る路線であり、依然として線形不良や急勾配、急カーブなどの隘路区間が存在し、移動に多くの時間を要する状況にあります。 このような中、県北の内陸と沿岸を結ぶ横断道路は、昨年6月に策定された岩手県新広域道路交通計画に(仮称)久慈内陸道路として位置づけられたところでありますが、この路線は構想路線であり、いわば架空の路線とも言えるものであります。 盛岡以北の地域においては、地方創生、地域の安全確保のため、また、防災、医療などの充実のため、さらには観光振興により地域経済を加速させるためにも構想路線の早期実現が重要ですが、(仮称)久慈内陸道路を含めた内陸部と沿岸北部を結ぶ道路整備の考え方について、知事にお伺いします。 次に、動物の愛護及び管理に関する法律の改正についてお尋ねします。 令和元年6月に動物の愛護及び管理に関する法律が改正されたことにより、動物の所有者等が遵守すべき責務規定の明確化、第一種動物取扱業による適正飼養等の促進、動物の適正飼養のための規制の強化、都道府県等の措置の拡充のほか、マイクロチップの装着等が義務づけられ、段階的に施行されております。 特に、マイクロチップの装着については、本年6月1日に施行され、犬、猫等販売業者には、マイクロチップの装着と情報登録が義務化され、マイクロチップを装着した犬、猫を譲り受けた者については、変更登録が義務化されました。また、犬、猫等販売業者以外の動物愛護団体や一般の買い主についても、マイクロチップの装着が努力義務となりました。 今般の法改正に伴うマイクロチップの装着義務化によって、どのような効果が期待できるのかお伺いします。 また、さまざまな効果があらわれるためには、マイクロチップの装着を推進することが不可欠であります。県では、今後、マイクロチップの装着の推進に向けて、どのように取り組んでいくのかお伺いします。 最後に、私は、過去に知事の政治姿勢について質問しておりますが、改めてお尋ねします。 達増知事は、平成19年4月30日に初めて知事に就任して以来、現在、4期目後半を迎えております。この間の知事の政治姿勢、いわゆる政治スタンスについては、知事がどう考えているのか、そのことが、知事がこの岩手県を、岩手県民をどう導いていくのか、大きな関心を持っているところであります。 知事は、就任直後にあっては、平成19年5月8日の知事の記者会見において、記者から知事と政党との関係について問われ、不偏不党、公正中立で臨むと答えており、望ましい姿と感じた次第であります。 一方、知事は、3期目の出馬表明の際には、政党推薦を求めず、初めて県民党を掲げて知事選に臨みました。しかし、このとき国政野党からの支援に乗ったことから、平成27年8月17日の記者会見では、記者からの、県民党というのは政党と一定の距離を保つとのイメージを持つ県民も多いはずだが、県民党の意味が変質したのではとの問いに対し、知事は、あらゆる政党にこだわりなく、県民党的な枠組みへの参加、勝手連的な参画するスタンスとしては変わりないと答えております。しかし、このことは、知事の県民党の意味の勝手な解釈なのではないかと私は思うところであります。 これに続いて、平成28年7月19日の記者会見では、記者から県民党の意味について問われた際、知事は、達増県政を評価する割合が高く、事前の情勢調査で大きく差が開いていた実態を踏まえ、県民党のスタンスと言えると思うと答えておりますが、このことも、もともとの県民党の意味を自分に都合のよい解釈で答えたと言わざるを得ません。 私の考える県民党的立場とは、特定の政党に偏らず、県民を向き、県民に寄り添い、県民のために仕事をすることであります。 知事は、県民から選ばれた公人であり、また、政治的立場を有することは承知します。しかし、余りにも偏った姿勢は、県政課題の重要な事案の解決に県民に重大な影響を与えかねない、あるいは既に与えていると感じる県民が少なからずいることに配慮した姿勢を示すべきと考えます。 さらに、本年4月15日の知事の記者会見において、知事は、なりふり構わず、タブーなし、禁則なし、何でもやると答えております。しかしながら、その政治姿勢は、私がこれまで述べてきた県民党的立場からますます離れてしまい、県民が泣く結果になると思うのであります。 知事の考える県民党的立場とは一体何なのか、改めてお伺いします。 また、知事は、現在もこれからも県民党的スタンスをもって臨むのか、それとも県民党的スタンスをやめてしまったのか、知事の考えをお伺いします。 以上で私の一般質問を終わらせていただきます。答弁によっては再質問させていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) 〇議長(五日市王君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。 〔知事達増拓也君登壇〕 〇知事(達増拓也君) 千葉伝議員の御質問にお答え申し上げます。 まず、第2期アクションプランの策定についてでありますが、アクションプランは、長期ビジョンの実効性を確保するため、重点的、優先的に取り組むべき政策やその具体的な推進方策を明らかにするものであり、第2期アクションプランは、第1期アクションプランの評価結果や東日本大震災津波からの復興の進捗状況、社会経済情勢の変化などを踏まえ策定することとしております。 特に、新型コロナウイルス感染症の影響、人口減少の進行、デジタル化の進展、温室効果ガス排出量の2050年実質ゼロ、原油価格、物価の高騰など、直面する課題に的確に対応し、施策を強化していく考えであります。 また、アクションプランの推進に当たっては、新型コロナウイルス感染症対策等を通じて培われたさまざまな主体との協力関係をもとに、県と各主体で目標を議論し、共有を図り、目標の達成に向けた各主体の自立的な取り組みを促進しながら、相互の連携、協働を重視していくことが重要と認識しております。 このような考え方に基づき、市町村、企業、団体、県民など、さまざまな主体や岩手県総合計画審議会の意見も伺いながら、第2期アクションプランの策定を進めてまいります。 次に、人口減少対策についてでありますが、県では、平成19年度に策定したいわて希望創造プランにおいて、社会減対策を掲げ、いち早く施策を推進してまいりました。また、国の動きに先駆けて、平成26年度に人口問題に関する報告を取りまとめ、翌年度には、この報告をもとに、岩手県ふるさと振興総合戦略を策定し、人口減少対策に取り組んでまいりました。 また、令和元年度に策定した第2期ふるさと振興総合戦略では、4本の柱を掲げて施策を展開してきており、岩手で働くでは、自動車、半導体関連産業の集積、岩手で育てるでは、仕事と育児の両立に向けた環境の整備などの成果があらわれているものであります。 コロナ禍により婚姻数や出生数の減少などの影響が見られる一方で、大都市における感染症リスクの高さが改めて認識され、地方への移住に対する関心が高まるなど、個人の意識に変化が生じています。 こうした状況を踏まえ、いわてで生み育てる支援本部の自然減対策と、いわてで働こう推進本部の社会減対策の相乗効果を発揮させ、人口減少対策の一層の推進を図るため、6月13日に人口問題対策本部会議を開催し、全庁挙げた取り組みの強化を指示したところであります。 今後、人口問題対策本部会議において、ライフステージに応じた総合的な取り組みの強化や、東京圏からの移住、定住の促進など、重点的に取り組むべき施策について検討を進め、市町村、企業、団体など、さまざまな主体と連携を図りながら、本県の人口減少対策を強力に進めてまいります。 次に、盛岡以北の道路整備についてでありますが、県北地域の道路ネットワークの強化は、災害に強い県土づくりに加え、物流の効率化や人的交流の活性化の面からも特に重要な課題と認識しております。 このため、おおむね20年から30年間の中長期的な視点で必要となる道路ネットワークの検討を行い、岩手県新広域道路交通計画を昨年6月に策定しました。この中で、県北地域においては、国道281号を一般広域道路に、さらに、これに重ねる形で(仮称)久慈内陸道路を、将来的に高規格道路としての役割を期待する構想路線に位置づけたところであります。 こうしたことから、国道281号については、将来的な高規格道路化を見据えた規格により、久慈市案内―戸呂町口工区など、必要の高い区間から順次整備を進めているところであります。 また、久慈内陸道路については、全国的な高規格道路ネットワークにおける必要性の検討とあわせて、久慈市―盛岡市間の大まかなルートや道路構造等の調査に着手したところであります。 今後とも、県北地域においては、国道281号を規格の高い道路として着実に整備を進めるとともに、久慈内陸道路の調査の熟度を高めながら、災害時にも機能し、産業振興や広域観光の推進に資する道路ネットワークの構築に取り組んでまいります。 次に、政治姿勢についてでありますが、知事という特別職に属する公務員は、判例にあるとおり、担当する職務の性質上、その政治活動が職務と何ら矛盾するものではなく、かえって、政治的に活動することによって公共の利益を実現することも職分とする公務員であります。 重要なのは、知事の政治上の自由と行政上の公正中立であると認識しております。私も、この2点を念頭に、行政と政治活動に取り組んでまいりました。 岩手県においては、国政与党に対する支持あるいはそんたくを前提にしなくてもよい、すなわち、知事など地方側が何党支持でも成り立つ政治が育まれてきました。自由な地方政治を基盤とする民主的な政治と言えると思います。 私は、県民的な広がりのある支持をいただきながら、県政を推進する中で、特に東日本大震災津波を経験し、復興に取り組む中で、暮らしや仕事の現場の声を政策にして、県や国を動かすということを重ねてまいりました。答えは現場にありであります。 国政与党に対する知事など地方側の政治スタンス云々にかかわりなく、生活や生産の現場を起点とする筋の通った政策の要望、提案であれば、地方自治体の首長、地方議員、国会議員が連携して取り組んで、県や国を動かすことができると考えます。 私の政治スタンスについては、引き続き、志を同じくする政治家や関係者の皆さんと力を合わせながら、広く県民にも支持を呼びかけて、さらに進めていければと考えております。 その他のお尋ねにつきましては、企画理事及び関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。 〔企画理事兼環境生活部長白水伸英君登壇〕 〇企画理事兼環境生活部長(白水伸英君) まず、犬、猫へのマイクロチップ装着の効果についてでありますが、装着率の向上は、犬、猫の盗難及び迷子の防止に資するとともに、所有者不明や災害等で逃げ出した犬や猫について、買い主への返還が容易になることが期待されます。 また、管理責任の明確化を通じて飼い主の意識向上等につながり、動物の遺棄や逃げ出しの未然防止など、適正飼養の推進に寄与するものと考えております。 次に、マイクロチップの推進に向けた取り組みについてでありますが、県では、県民や動物取扱業者向けの講習会、県ホームページにおいて、マイクロチップ装着と登録の義務化について周知をいたしますとともに、岩手県獣医師会の協力を得て、県や市町村の防災訓練に合わせたペット同行避難訓練や、毎年9月の動物愛護週間行事において、マイクロチップの読み取りや装着のデモンストレーションを実施することなどにより、普及啓発を図ってきたところでございます。 今後は、マイクロチップの装着と登録が義務化された犬、猫販売業者に対して、各広域振興局が行う立入検査において、帳簿等により装着状況を確認いたしますとともに、県民に対しましては、県政番組等、各種媒体を活用した普及啓発を検討してまいります。 〔ふるさと振興部長熊谷泰樹君登壇〕 〇ふるさと振興部長(熊谷泰樹君) 県北・沿岸振興についてでありますが、県としては、DXやカーボンニュートラルの推進など、今後の社会経済情勢の変化に的確に対応し、県北・沿岸のさらなる発展を図っていくため、三陸と北いわてのゾーンプロジェクトの取り組みを一層充実させていく必要があると考えております。 具体的には、これまでの水産業やアパレル産業などの特徴ある地域産業の振興に加え、久慈市沖の洋上風力発電など、官民による再生可能エネルギーへの投資の促進による地域振興や、三陸沿岸道路を活用した農林水産物等の物流システムの構築による産業振興、防災を学習する仕組みづくりによる交流人口の拡大、さらには、昨年設立いたしました北いわて産業・社会革新推進コンソーシアムにおいて、木質バイオマスエネルギーを生かした地域内エコシステム構築プロジェクトへの支援や、葛巻町が先行する特定地域づくり事業協同組合制度の他の市町村への導入支援など、民間力や大学の高度な知見、国の制度等を生かした市町村の課題解決支援に注力してまいります。 こうした新たな投資やインフラ、産学官のネットワークを生かした地域振興に取り組むことで、県北・沿岸振興を力強く推進してまいります。 〔復興防災部長佐藤隆浩君登壇〕 〇復興防災部長(佐藤隆浩君) 県の新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針の改定内容と今後の対応についてでありますが、県は、5月30日の岩手県新型コロナウイルス感染症対策本部本部員会議において、県独自の緊急事態宣言を解除するとともに、基本的対処方針を改定したところであります。 その改定内容は、岩手緊急事態宣言の発出と解除について、県内の直近1週間の対人口10万人当たりの新規感染者数等を基準としていたものを、感染状況や医療提供体制等の状況を踏まえて、県対策本部長が総合的に判断することとしたものです。 この改定の考え方でありますが、現在流行しているオミクロン株は、デルタ株と比べて、感染拡大のスピードが極めて速い一方、基礎疾患等を有しない50歳未満の感染者数の多くは症状が軽いなど、変異株の感染力や重症化リスク等の特性によって、感染者等に対応する医療提供体制や保健所が担う公衆衛生体制が異なることなどを踏まえたものであります。 今後も、変異株の特性などを踏まえ、一定の社会経済活動を維持しながら効果的な感染対策となるよう取り組むとともに、医療が必要な方に適正な医療を提供してまいります。 〔商工労働観光部長岩渕伸也君登壇〕 〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) まず、県内経済への影響についてでありますが、日本銀行盛岡事務所が毎月公表している岩手県金融経済概況を見れば、これまで、県内経済は全国的な感染拡大の状況を反映する形で推移しており、一昨年5月の概況が、新型コロナウイルス感染症の影響などから、悪化していると一番厳しく、その後、変動はあるものの徐々に持ち直し傾向が見られ、直近の令和4年4月の概況は、緩やかに持ち直しているとされ、改善傾向が見られるところであります。 また、商工指導団体と連携して実施している影響調査によると、売り上げが41%以上減少している事業者の割合が最も高かったのが、同じく一昨年5月の44.3%、また、昨年のピークが8月の32.6%であり、その後、12月まで低下傾向となりましたが、オミクロン株の拡大により再度の上昇傾向を経て、直近5月末の結果では18.6%と、コロナ禍を通じても低い水準まで低下しております。 一方、原油高や原材料価格の高騰が経営に影響を及ぼしているという声がふえており、こうした状況に対する支援のニーズが高くなっている状況となっております。 次に、事業者からの要望と対応についてでありますが、この2年以上にわたるコロナ禍を通じて、商工指導団体はもとより、さまざまな業種の多くの関係団体などから、資金繰り支援や需要喚起策の実施などの多岐にわたる要望が寄せられているところであります。 県といたしまして、これらの要望を踏まえた可能な限りの対応を行うべく、地域企業経営支援金の支給やいわての食応援プロジェクトの実施、いわて中小企業事業継続支援センターの設置を初めとした経済対策を講じてきたところであります。 また、令和4年5月臨時会におきまして、原油価格の高騰により影響を受けている運輸事業者への支援を行うこととしたところであり、加えて、予算規模などにより県としての対応が難しいものにつきましては、全国知事会や政府予算要望を通じて、国による経済対策の実施や財政支援についての働きかけを継続しているところであります。 次に、今後の支援策についてでありますが、現在、県内経済は、改善傾向が見られるものの、いまだ多くの事業者がコロナ禍前までの売り上げ回復には至っておらず、加えて、原油高や資材不足による原材料価格の高騰が、幅広い業種の事業経営に影響を及ぼしております。 このため、今定例会におきまして、これまで対象としていない建設業や製造業を含め、仕入れ価格の高騰に対する影響緩和や家賃負担の軽減のための支援金の支給、さらには、物価高騰による県民生活や消費の落ち込みといった影響に対応するため、QRコード決済を行った際のポイント還元事業を実施するための経費について、補正予算案として計上したところであります。 今後におきましても、県内経済の動向を注視しつつ、国に対して、大規模な経済対策の実施や地方創生臨時交付金の増額を働きかけながら、適時適切な事業者支援を行っていくとともに、いわて中小企業事業継続支援センターを核とした金融支援や、新しい生活様式に対応した本業支援を国や市町村と連動して展開していく考えであります。 〔農林水産部長藤代克彦君登壇〕 〇農林水産部長(藤代克彦君) まず、畜産経営の現状認識と支援策についてでありますが、配合飼料については、国の配合飼料価格安定制度において、価格上昇による畜産経営への影響を緩和するため補填金が交付されておりますが、令和4年1月から3月期の価格は前年同期に比べ約2割上昇しており、畜産経営体への負担が増していると認識しております。 このため県では、国に対し、配合飼料価格安定制度の基金が枯渇した場合にあっても畜産経営体への補填金が満額交付されるよう、国が基金への積立金を拠出することや、配合飼料価格が高どまった場合においても畜産経営体の再生産が可能となる十分な補填金が交付されるよう、制度の拡充を要望しているところです。 また、県独自に配合飼料購入費の価格上昇分に対して補助する配合飼料価格安定緊急対策費補助を今定例会の補正予算案に盛り込んでおり、こうした取り組みを通じて、畜産経営体への影響が緩和するよう取り組んでまいります。 次に、豚熱の防疫対策についてでありますが、豚熱の発生防止に向けては、農場内へのウイルスの侵入防止対策を徹底するとともに、飼養する豚に対し適切な時期にワクチンを接種することが重要であり、特に、子豚については、生まれてからの日数等を考慮することが必要であります。 養豚農場でのワクチン接種は、家畜保健衛生所の獣医師等の家畜防疫員により行うこととされており、本県では、1頭当たり310円の手数料を徴収し、実施してきたところです。 こうした取り組みに加え、子豚へのワクチン接種など、より適切な時期に接種を行うことができるよう、本年4月から、国の知事認定獣医師制度を活用し、日ごろから診療等で農場の状況を把握している民間獣医師により、1頭当たり70円の手数料を徴収してワクチン接種を行っており、養豚農場の経費負担の軽減にもつなげております。 本年5月末現在、知事認定獣医師制度を活用したワクチン接種の実績は対象頭数の97%となっており、引き続き、適切な時期に接種を行うなど、本県の養豚農場で豚熱が発生することがないよう全力で取り組んでまいります。 次に、野生イノシシに対する経口ワクチンについてでありますが、野生イノシシに食べさせる経口ワクチンの活用は、豚熱の感染源の一つである野生イノシシに免疫をつけることにより、養豚農場への豚熱ウイルスの侵入リスクを低減させる取り組みであり、本年4月末現在、28都府県で実施されております。 経口ワクチンは、野生イノシシの生息地域を考慮して散布することとされていますが、県内の養豚農場からは、農場周辺への散布により野生イノシシをおびき寄せるのではないかとの懸念の声があったことから、県では、養豚農場に対し経口ワクチンを散布することについて意向を調査した結果、ほとんどの農場が散布意向を示したところです。 経口ワクチンは、気温の高い夏場は効果が低いとされていることから、現在、気温の影響の少ない秋以降の散布に向け、散布体制の構築や散布計画の作成などの準備を鋭意進めております。 次に、高病原性鳥インフルエンザ対策についてでありますが、本県の養鶏は、地域経済を支える重要な産業の一つであり、高病原性鳥インフルエンザの発生は、養鶏産業に及ぼす影響が極めて大きいことから、その発生防止に向けては、農場内へのウイルスの侵入防止対策の徹底が重要であります。 このため県では、渡り鳥が飛来する10月までに、100羽以上を飼養する全ての養鶏農場に家畜保健衛生所の職員が立ち入り、衛生管理の徹底を指導するほか、本年度は、侵入防止対策をさらに強化するため、国の事業を活用し、新たに車両や農場の敷地を消毒する機器等の導入を支援することとしております。 今後も、県内の養鶏農場で高病原性鳥インフルエンザが発生することがないよう、生産者や関係機関、団体等と緊密に連携しながら、防疫対策の徹底に全力で取り組んでまいります。 次に、産業動物分野の獣医師確保についてでありますが、県では、昨年3月に策定した獣医療を提供する体制の整備を図るための岩手県計画において、牛などの産業動物臨床獣医師と農林水産分野の公務員獣医師を合わせた獣医師の令和12年度の確保目標を235名としており、令和2年12月末時点では223名と12名少ない状況となっております。 獣医学生は、全国的に犬や猫などの小動物分野の希望が多く、産業動物分野の希望が少ない傾向にあることから、本県への応募者を確保していくことが重要と考えております。 このため県では、産業動物分野の獣医師確保に向け、獣医学生に対する修学資金の貸し付けや東日本の獣医系9大学での就職説明会の開催、獣医学生のインターンシップの受け入れなどに取り組んでおります。 こうした取り組みにより、この5年間で37名の獣医師が、県内の産業動物分野に就業したところであり、今後とも、大学等と連携しながら獣医師確保に積極的に取り組んでまいります。 〇46番(千葉伝君) 再質問をいたします。知事の政治姿勢についてであります。 知事は、知事就任後の知事と政党の関係について問われた際、不偏不党、公正中立で臨むと答えたこと、また、知事の3期目の出馬に当たっては県民党を名乗ったこと、ここまでは、県民を向いて、県民のために知事の仕事をやるのだなと私は思ったわけであります。 しかし、その後の知事選挙や国政選挙における知事の政治姿勢を見ると、不偏不党とは言えず、また、県民党と呼べるものではなく、どんどん偏った姿勢になっていると思わざるを得ません。 このことは、ことし2月28日の我が会派の山下正勝議員の質問、すなわち、今行われている第26回参議院議員通常選挙に臨むに当たり、立憲民主党の現職議員をマイクを持って応援するのかとの問いに、応援の仕方は関係者と調整すると答え、参議院議員選挙の結果で政治姿勢を改める考えはあるかとの問いには、私の政治姿勢については、安易に変えることがないよう努めると答えております。 この質問の背景にあるのは、今の知事の政治姿勢は、まさに不偏不党とは言えず、また、一般に言われる県民党的立場からは大きくかけ離れ、県民からも大きくかけ離れた姿勢になっていると考えているのは、私だけではないことのあらわれではないでしょうか。 また、このことは、最近の知事の言動において、私の好きにやらせてもらう、立憲民主党候補と一心同体で頑張ると報道されていることから、知事の政治姿勢において、これまで言っていることとやっていることが違い、結果として、私は、県民が不幸になると思わざるを得ません。 この際、あえて言わせてもらえば、知事は、今後、県民党という言葉を使わずに、立憲民主党に入党して今後の政治活動を堂々と行ったほうがすっきりすると思いますが、いかがでしょうか、お答えください。 〇知事(達増拓也君) 先ほども申し上げましたように、知事の政治スタンスについては、政治における自由と行政における公正中立ということが大事であり、例えば、何党支持者であれ、その人に対して生活保護が必要であれば、これは生活保護を行政として不偏不党に行う、そしてまた、災害で困っているある市町村の市町村長が、知事選挙で私ではない候補を応援していたとしても、関係なく、不偏不党で、行政の長としては行政上の公正中立を守るということがまずあります。 一方、政治的自由に関しては、これはもう民主主義の基本原則でありまして、例えば、知事というものは、特定の政党を支持したり、あるいは特定の政党への応援を表立って表明してはならないなどということを言い出しますと、どこの知事であれ、野党を支持してはならず、政権交代に自分の政治力を使ってはならないという、これは、残念ながら極めて非民主的な、大政翼賛、一党独裁的なものに通じていく考え方になってしまうのではないかということをおそれます。 県民党ということで、全ての岩手県民がそこに所属しなければならないというようなものであれば、それはもう全体主義でありますし、また、県民党ということで、全ての岩手県民がそれに従わなければならないということでも、それは非民主的でありましょう。 全ての岩手県民共通の県民党というものはなく、政治の本質、政治で最も大事なのは個人の尊厳であり、一人一人の政治的自由でありますから、それに従って、岩手県民がそれぞれ自由な政治活動を行う。それとともに、知事が、志を同じくする政治家や諸分野のリーダーの人たちと力を合わせて、広く県民とともに一つの方向を目指して運動していくことは、民主主義、日本の政治の進展、進歩にも資することであります。 そして、そこで唱えられている方向性、公約が、公序良俗に反したり、人権あるいは平和等、根本的な日本国憲法の価値でありますとか、そういうものに反しない限りは、それは、基本的に日本のためにもなっていくものであり、私は、今までもそうしてきましたし、これからもそうしていきたいと思っております。 〇46番(千葉伝君) 私は本質問でも聞いていますし、再質問でも、知事がこれまでとってきた姿勢の中の県民党についてはどう思うかと聞きましたが、このことについては特に答えがなかったような気がします。 私からすれば、先ほど言った、もう県民党と名乗る必要はないのではないかと。もうすっかりそっちのほうに傾いているのだから、そっちのほうでおやりになったらどうか、こういうことで先ほど聞いたのです。それに対しても答えがないということは、そういうつもりはないという解釈になってしまうのですが、知事は、今後どのような姿勢で臨むのでしょうか。 〇知事(達増拓也君) 先ほど申し上げましたように、暮らしの現場や仕事の現場を起点として、そこから地方において政策を練り上げて、そして、地域の人たちが力を合わせて県を動かし、国を動かしていくような、そういう政治の運動のあり方を県民党と呼ぶこともできるかと思います。そういうものを私は、志を同じくし、また支持してくださる県民の皆さんと一緒に守り育ててきたところであり、今後もそういう方向性を大事にしたいと思っております。 〇46番(千葉伝君) 私の頭が悪いのか、あるいは、きょう聞いている皆さんはどう聞いているのかわからないですが、どうも知事が言っている中身については、理屈の上にへがつく言い方をしているような感じで受け取ったところであります。 県民のためにやることが知事の仕事です。あなたは岩手県のリーダーであります。ただ、リーダーが、まかり間違って県民を引っ張っていく方向が違ったら、とんでもない話です。 こういうことから、私が言いたいのは、知事は県民のために、県民に寄り添ってと、答弁しているのですから、そういう方向でこれからやったらいいのではないかと、こういうことを先ほど来言っているわけであります。 その政治姿勢がどうもよくわからない。最後に岩手県民にもっとわかりやすい言葉で言っていただきたいと思います。 〇知事(達増拓也君) 非常にわかりやすいことを言っているかと思いますけれども、知事のスタンスについては、行政においては公正中立、そして、政治においては自由であり、また、県民党というのは、私一人だけで党になるはずがないわけでありまして、志を同じくする多くの政治家、そして、さまざまな分野のリーダーの皆さんと力を合わせ、そして、広く県民にも呼びかけながら、県民的な広い支持をいただきながら、暮らしと仕事の現場を起点にしながら、地方において、政治のあるべき姿、また行政に対する政策論を磨き上げて、それで県や国を動かしていくということであります。 そういうやり方に問題があるのであれば、具体的に、例えばこういう弊害が出ている、ああいう弊害が出ているということがあれば、そこは反省していきたいと思います。 しかしながら、岩手県の自由民権運動のころからの、原敬さんの政友会の活動などの政治の活動は、地域に根差した暮らしや仕事の現場本位のものであったと思いますし、また、民主主義の理念から言っても、知事が政党に―私は政党に所属しておりませんけれども―所属して、政党の所属をはっきりさせながら、時の大統領と戦いながら、一方で、行政に関しては、連邦政府と州政府が力を合わせて産業振興も災害対策もやるというようなことが基本的に行われているわけであります。そのような真っ当な、本来あるべき政治を岩手県でも守り育てていきたいと考えます。 〇議長(五日市王君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。 本日はこれをもって散会いたします。 午後5時21分散会 |
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