令和3年9月定例会 決算特別委員会会議録

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令和3年10月22日(金)

1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 中 村 佳 和
議事管理担当課長 藤 枝   修
主任主査 藤 平 貴 一
主任主査 糠 森 教 雄
主任主査 増 澤 綾 子
主任主査 鈴 木 貴 博
主査 阿 部 真 人
主査 刈 屋 江美子
1説明員
農林水産部長 佐 藤 隆 浩
技監兼
漁港担当技監兼
漁港漁村課
総括課長 阿 部 幸 樹
副部長兼
農林水産企画室長 大 畑 光 宏
農政担当技監兼
県産米戦略室長 藤 代 克 彦
農村整備担当
技監兼農村計画課
総括課長 千 葉 和 彦
林務担当技監 橋 本 卓 博
水産担当技監兼
水産振興課
総括課長 山 口 浩 史
技術参事兼
森林保全兼
総括課長 西 島 洋 一
競馬改革推進室長 滝 山 秀 樹
農林水産企画室
企画課長 鈴 木 茂 寿
農林水産企画室
管理課長 安 齊 和 男
団体指導課
総括課長 中 野 文 男
特命参事兼
指導検査課長 佐 藤 宗 孝
流通課総括課長兼
県産米販売推進監 似 内 憲 一
農業振興課
総括課長 中 村 善 光
担い手対策課長 村 上 勝 郎
農業普及技術課
総括課長 小 原   繁
農村建設課
総括課長 佐々木   剛
農産園芸課
総括課長兼
県産米生産推進監 佐々木 誠 二
水田農業課長 工 藤 祝 子
畜産課総括課長 米 谷   仁
林業振興課
総括課長 工 藤   亘
森林整備課
総括課長 鈴 木 清 人
整備課長 砂子田   博
全国植樹祭
推進課長 柏 葉 保 行
漁業調整課長 阿 部 孝 弘
漁港課長 佐 藤 一 彰
県産米戦略監 佐 藤   実

会計管理者 永 井 榮 一
会計課総括課長兼
会計指導監 大 塚 貴 弘

監査委員 寺 沢   剛
監査委員 沼 田 由 子
監査委員事務局長 小 畑   真
参事兼監査第一課
総括課長 小 守 健 一
監査第二課
総括課長 佐々木 昭 司

財政課総括課長 山 田 翔 平


〇小西和子委員長 これより本日の会議を開きます。
 これより議事に入ります。
 認定第1号から認定第15号まで、議案第28号及び議案第29号の以上17件を一括議題といたします。
 本日は、農林水産部関係について延べ19人の質問者を予定しており、世話人会の協議により本日の質疑の目安時間は21分といたしましたので、議事進行に御協力をお願いいたします。
 なお、関連質疑については、その日の質疑の目安時間にかかわらず、関連質疑の目安時間を10分とすることにしておりますので、あらかじめ御了承願います。
 また、換気のため、これまでと同様に休憩いたしますので、御協力をお願いします。
 なお、委員各位御承知のとおり、本日の農林水産部の審査につきましては、議会運営委員会の決定に基づき、第1部、第2部に分けて審査することとし、第1部では農業関係分野について、第2部では林業関係分野及び水産業関係分野について審査することになっておりますので、御了承願います。
 初めに、農林水産部長に農林水産部関係の説明を求めます。
〇佐藤農林水産部長 令和2年度の農林水産部関係の決算について御説明申し上げます。
 初めに、事務事業に係る取り組みについて御説明申し上げます。
 当部では、いわて県民計画(2019〜2028)の基本目標である東日本大震災津波の経験に基づき、引き続き復興に取り組みながら、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわての実現を目指し、計画に掲げる施策の推進に取り組んできたところです。
 復興推進については、いわて水産アカデミーによる地域漁業をリードする人材の育成や、漁協等が行うサケ、マス類の海面養殖試験の支援、漁港、岸壁等の耐震、耐津波強化や漁場の機能回復に取り組みました。
 政策推進関係では、意欲と能力のある経営体の育成、収益力の高い食料・木材供給基地づくり、農林水産物の付加価値の向上と販路の拡大、一人ひとりに合った暮らし方ができる農山漁村づくりの、四つの政策項目に基づいたさまざまな取り組みを展開いたしました。
 具体的には、農地中間管理事業や圃場整備事業による農地の集積、集約化の推進、いわて林業アカデミー及びいわて水産アカデミー等による新規就業者の確保、育成、金色の風、銀河のしずくのさらなる評価向上、県産木材の安定供給体制の構築、サケ資源の回復などの取り組みに加え、スマート農林水産業の取り組みを推進してまいりました。
 さらに、令和2年度は、新型コロナウイルス感染症の影響による牛肉等の県産農林水産物の価格下落や需要低下に対応するため、関係団体等と連携し、農林漁業者の事業継続や消費拡大等に取り組みました。
 以上、当部所管の事務事業に係る令和2年度の取り組みについて御説明申し上げました。
 続きまして、当部関係の令和2年度の決算について御説明申し上げます。
 令和2年度岩手県歳入歳出決算書の14ページをお開き願います。一般会計歳出決算の農林水産部関係は、6款農林水産業費のうち県土整備部が所管するものを除いたもの、及び16ページに参りまして、11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費、並びに12款公債費の一部であります。
 特別会計の決算については32ページが県有林事業特別会計、34ページが林業・木材産業資金特別会計、36ページが沿岸漁業改善資金特別会計となっております。
 一般会計及び特別会計を合わせました当部全体の予算現額は1、528億1、086万円余、これに対する支出済額は958億1、688万円余であります。また、翌年度の繰越額の合計は534億1、504万円余、不用額の合計は35億7、893万円余であります。
 以上で農林水産部関係の説明を終わります。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
〇小西和子委員長 これより質疑を行いますが、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明のうち、第1部農業関係について質疑はありませんか。
〇高橋はじめ委員 私からは、県産米について何点かお伺いしたいと思います。
 令和2年度の稲作関係の歳出額は、日本一の美味しいお米づくり推進事業費6、806万5、000円余、いわてブランド米品種開発推進事業費254万2、000円余を初めとする支出があります。
 令和2年度の豊作に伴い米価が下落し、令和3年度は自主減反、そして昨年初めからコロナ禍での外食の落ち込み等による需要減、備蓄米等の在庫増に伴って、本年も大幅な米価下落は、稲作農家にとって大変厳しい経営環境にあります。加えて、昨年末の大雪に伴い、県南地域で育苗ハウスが多数倒壊しました。リンゴ栽培と複合経営の農家は、本年4月、5月の遅霜で花芽がやられ、あるいはひょうの被害で果実に傷がつき、こちらはダブルパンチの状況のようです。内陸部においても、主力魚種不漁の沿岸部同様、深刻であります。
 稲作農家の現状と支援策、そしてブランド米の課題等について何点かお伺いしたいと思っております。
 まず、水稲の作付面積、予想収量、品質についてであります。令和元年度は農家に笑顔が多かったのですが、そのときを起点として、令和2年、そして本年の作付面積の推移及び収量、自主減反した本年の作況指数、予想収量、品質についてお尋ねいたします。
〇佐藤県産米戦略監 水稲の作付面積、予想収量、品質についてでありますが、農林水産省が公表している主食用米の作付面積は、令和元年が4万8、300ヘクタールで、令和2年が4万8、200ヘクタール、令和3年が4万6、200ヘクタールと、前年に比較して2、000ヘクタールほど減少しております。
 また、同じく農林水産省が公表している主食用米の収穫量は、令和元年が26万7、600トン、令和2年が26万6、500トン、令和3年の予想収穫量が25万6、400トンと、前年に比較して約1万トン減少しております。
 本年の作況指数は、農林水産省の公表している9月25日現在の見込みで昨年同様の103となっており、予想収穫量は10アール当たり昨年より2キログラム多い555キログラムとなっております。
 品質につきましては、令和3年産については新米が出始めたばかりで、まだ一等米比率の公表はありませんが、令和2年産の最終の公表値では94.7%と、全国第1位の高い品質を確保しているところでございます。
〇高橋はじめ委員 作付面積はどんどん減る一方であります。こういう中にあって在庫米がどんどんふえているというのは、非常に残念な状況にあるわけです。そうした中で農家の手取り収入もどんどん減ってきているわけであります。
 県産米の販売についてお尋ねしたいと思います。
 私の地元では、ことしは少し夏場の天候不順がありまして、穂ばらみ期にかかるあたりに、いもち病が若干発生をしておりました。農家個々で10アール当たりの反収にばらつきが出ていたようです。私のところは幸いいもち病にはかからないので、平年並みの収穫ができました。
 まずまずの生育の中、稲刈り前の9月中旬に、主食用米の概算払いの金額が公表となりました。県産主力米のひとめぼれは、60キログラム当たり2、300円減額の1万円と、大変ショッキングな金額でありまして、しかも2年続きの減額ということについては、農家の死活問題となりかねません。米の卸価格が2年連続下落となっておりますが、一昨年比、昨年比、農家の減収額はどのようになっているのか、また、モデル経営体ではどのようになっているのか伺います。
〇佐藤県産米戦略監 一昨年、昨年と比較した農家の減収額についてでありますが、令和3年産米について、ひとめぼれのJA概算金の引き下げ額である60キログラム当たり2、300円と同額で米価が低下したと仮定し、国が公表した本県の10アール当たり収量555キログラムに基づき試算した場合、県の平均規模である2.1ヘクタールでは約44万円、10ヘクタール規模では約220万円の減収と試算されます。
 また、昨年のJA概算金の引き下げ額である800円と本年の2、300円を合わせた3、100円で一昨年と比較しますと、県の平均規模の2.1ヘクタールでは約60万円、10ヘクタール規模では286万円の減収と試算されます。
 また、県内の15経営体で実施しているコスト低減モデル経営体の平均の生産費は、東北地方の平均60キログラム当たり1万2、890円を約3、400円下回る9、485円となっており、本年のひとめぼれのJA概算金である1万円より、コストは低くなっているところでございます。
〇高橋はじめ委員 大変厳しい状況にあるわけでございます。その中で、主力のひとめぼれ、ブランド米の銀河のしずく、金色の風についての価格動向と国内の需要動向、あわせて、これまでの販売戦略とその成果についてお伺いしたいと思います。
〇佐藤県産米戦略監 ひとめぼれ、銀河のしずく、金色の風の価格動向、需要動向、販売戦略についてでありますが、米の価格について、全国農業協同組合連合会岩手県本部が公表した令和3年産米のJA概算金は、ひとめぼれが60キログラム当たり1万円、銀河のしずくが60キログラム当たり1万500円、両品種とも昨年と比較して2、300円減少しております。金色の風については、取引価格が非公表となっておりますが、昨年とほぼ同等と聞いております。
 国内の需要動向について、国の米穀の取引に関する報告によりますと、本年8月末現在の販売数量は、ひとめぼれで前年同月比95%、銀河のしずくで92%となっております。金色の風については、公表されている数値はありませんが、同様の販売状況と聞いております。
 県では、これまで、いわての美味しいお米生産・販売戦略を策定し、県オリジナル品種のブランド化による県産米の販売促進に取り組んでまいりました。これまでの取り組みにより、飲食、宿泊施設などで県産米を常時提供するいわての美味しいお米提供店は、8月末現在、国内外で278店舗と、戦略策定前の約3倍に増加しております。さらに、銀河のしずくの本年の作付面積は約1、800ヘクタールと、前年に比べ約100ヘクタール増加するなど、一定の成果を上げてきたと考えているところであります。
〇高橋はじめ委員 販路の拡大については3倍ということで、大変努力をされているということであります。各都道府県では、それぞれにブランド米をつくって熾烈な販売競争をしておりますので、販路を拡大していくのはなかなか厳しいのかもしれません。そこで、品質がしっかりとできていなければならないわけでございます。ぜひ、引き続き販路の拡大に努めていただければと思っております。
 生産農家の支援についてであります。
 他県との厳しい販売競争など、国内での県産米の販路拡大は大変厳しいものがあり、米の需給そのものが先細りの中、根本的に稲作そのものを見直さなければならない徳俵の位置にありますが、まずは実際に戦略や計画の効果が出るまで耐え忍ばなければならない、そういう状況下にあると思います。
 まずはあしたへ、希望の持てる支援を願うところですが、昨年末の大雪に伴うパイプハウス倒壊や在庫増に伴う本年の減反拡大、そして2年続きの卸価格下落と、三重苦の現状にあります。現状での国や県としての支援はどのようになっているのか、今後どのような支援策を検討していくのか伺います。
〇工藤水田農業課長 米生産農家の支援策についてでありますが、米の需給と価格の安定に向けては、国全体での対応が重要であることから、県では先月、国主導による実効的な過剰米への対策や、消費喚起などの需要拡大対策を推進するよう、国に対し要望したところです。
 県では、生産者の経営安定に向け、経営継続に必要となる資金の円滑な融通や、既往債務の償還猶予等が図られるよう県内の金融機関に対し要請したほか、広域振興局や農業改良普及センターなどに相談窓口を設置し、生産者からの経営相談や活用可能な無利子資金の周知等を行っているところです。
 また、量販店等と連携したキャンペーンなど、県産米の販売促進や消費拡大に向けた取り組みを進めており、引き続き、関係団体と連携しながら、生産者の経営安定が図られるよう積極的に取り組んでまいります。
 さらに、今定例会におきまして追加提案を予定している補正予算において、生産者の経営安定に向けた資金繰り支援や、観光キャンペーン等と連携した県産米の需要拡大に取り組んでいくこととしております。
〇高橋はじめ委員 さまざまな重層的な支援策を講じていかなければならないと思っておりますので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。
 次に、パイプハウス倒壊被害農家の再建及び支援補助の実施状況についてでありますが、昨年12月の大雪により、多くの農業施設が被害を受けました。稲作に限っては、パイプハウスの破損、倒壊は、3月4日の農林水産委員会の資料によると3、891棟と報告がありました。奥州市1、803棟、一関市1、072棟ということで、私の住む北上市においても400棟近い倒壊がございましたし、私の地元の北上市和賀町煤孫地域でも大変多くのパイプハウスが倒壊したところでございます。
 6月下旬ころまで、再建に向けた補助金申請が行われたと承知しておりますが、その審査と受理、補助金交付決定という手続の流れからすると、9月末には交付になっているのではないかと勝手に思っておりましたけれど、現在はどのようになっているのでしょうか。
 それから、パイプハウス倒壊被害農家の再建数及び支援補助の実施状況についてお伺いしたいと思います。
〇中村農業振興課総括課長 まず初めに、大雪等の被害対策事業の実施状況についてお答えいたします。
 水稲の施設も含め、大雪等により被害を受けたパイプハウス、機械は約6、000件ございました。このうち国の事業を活用し再建等を行う件数は約1、900件となっております。その他については、共済や自己資金等で再建されると聞いております。
 この事業を活用する約1、900件のうち、聞き取り調査によると、現時点で65%の再建等が完了しているということで、年度内には全て完了する見込みとなっております。
 また、国庫事業の交付決定状況等については、これまで、国の事業を活用して、3回に分けて国と計画協議等を行ってまいりました。協議が整い事業が完了したものについては、事業数も多く個別の内容が具体的に異なるものですから、市町村も鋭意申請手続を進めていますが、11月から補助金が支払われる見込みとなっております。
 また、県単独事業についても、順次交付決定を行っておりまして、11月から補助金が支払われる見込みとなっております。
〇高橋はじめ委員 農家には、米の出荷とともに概算金が入ってくるわけです。その中で支払い等も考えておりまして、資金繰りも含めて、再建と来年に向けた準備をしていかなければならない状況にあります。そういう意味では、こうした流れを農家にもぜひ何らかの形でアナウンスしてもらいたいと思います。私のところに何件か、いつ出るのかという問い合わせが来ておりまして、私自身もまだ来ないのかと思っておりましたが、いずれ何らかの形で流れを農家のほうにもお知らせいただければと思っております。
 次に、ブランド米の強化についてお尋ねいたします。
 岩手県農業協同組合中央会からの指摘で、いわて純情米のブランド力強化について何点かありました。県が開発したオリジナル品種は順調に作付が拡大し、国内販売も順調に推移しているのではないかと思っております。栽培エリアの拡大や品質、生産技術、食味等での改善の余地があると指摘されております。このような問題、課題について解決を図っていかなければ、市場から岩手県の米は取り残されてしまうのではないかと大変危惧するものであります。指摘事項について県はどのように対処する考えか伺いたいと思います。
 一つ目は、銀河のしずくについて、栽培エリアの拡大が望まれているほか、精米たんぱく質含有率仕分け基準での基準外品が多く出ておりますが、その対応策について。二つ目は、金色の風において、倒伏や低収量、生産者ごとによる品質の格差、炊き上がり時の食味のばらつき等が指摘されていますが、その対応策について。三つ目は、ひとめぼれ特A再取得の課題と対応策について、それぞれ伺います。
 これらでございますが、品種改良は根本的にやり直さなければならないので、かなりの時間がかかるわけです。生産技術を磨いてどれだけ改善できるのか、これらについては皆さん方の手腕の見せどころと思っておりますが、この辺について、どのように取り組まれているのかお伺いしたいと思います。
〇佐藤県産米戦略監 初めに、銀河のしずくの生産拡大や品質向上に向けた対応策についてであります。
 銀河のしずくについては、実需者、消費者からの評価も高く、外食、中食等の需要も拡大しております。
 本年、気象平年値が更新され、例えば盛岡市で平均気温が0.4度上昇したことから、最新のデータを用いて栽培適地の見直しを行った結果、適地が拡大しており、ひとめぼれに次ぐ作付面積となるよう、あきたこまち等から銀河のしずくへの転換を促進することとしております。
 また、ブランド力の向上には、全国トップクラスの品質と食味の確保が不可欠であることから、品質目標と掲げております玄米たんぱく質含有率等が達成されるよう、栽培マニュアルに沿った栽培管理の徹底を初め、栽培研究会の活動などを通じて生産者と連携しながら取り組んでいくこととしております。
 次に、金色の風の収量や品質の向上に関する対応策についてでありますが、安定した収量、品質の確保に向けて、金色の風栽培マニュアルに沿った栽培管理が重要と考えております。このため、各地域において指導会を行うとともに、金色の風栽培研究会活動による圃場巡回や食味向上に向けた生産管理技術の共有、リモートセンシング技術の活用により、栽培管理技術の研さんを図るなど、生産者と関係機関、団体が一体となった取り組みを進めてまいります。
 さらに本年は、調製時に用いるふるい目を、これまでの1.9ミリメートルから2ミリメートルに引き上げ、粒ぞろいを高めた商品をつくり、お米マイスター等のいる米穀専門店に求評してもらう取り組みなどを実施しており、今後も実需者の声を聞きながら、品質の向上を図る取り組みを推進してまいります。
 続きまして、ひとめぼれの食味ランキング特A再取得の課題と対応策についてでありますが、日本穀物検定協会では、令和2年産米の食味ランキングの評価理由について明らかにしていないため詳細は不明でありますが、令和2年産は、7月の長雨、8月の高温など夏季の天候の影響により、米のかたさや粘りのバランスに影響したと考えております。
 令和3年産米の生産においては、稲作技術対策会議や各地域における指導会の実施、夏季の栽培管理や適期刈り取りに関する技術情報の提供など、品質や収量向上に向けて各JA等が行う食味向上の取り組みを支援してきたところでございます。
 今後、本年産米の食味ランキング評価に向け、県内からサンプルを収集の上、品質等の分析を進めることとしており、特A評価を獲得できるよう、関係機関、団体と一体となって取り組んでまいります。
〇佐藤ケイ子委員 今米価の話題になりました。私も農家の所得向上の取り組みのところで米価の質問を通告しておりましたので、関連して質問させていただきたいと思います。
 今の答弁で、米価概算払いでマイナス2、300円、60キログラム当たり1万円の米価という、2年連続の下落なわけですけれども、その中で、今コストに関する答弁もありました。コストは1万2、890円平均で、大規模農家は9、485円であると今答弁があったわけですが、そうすると、平均的な2ヘクタールの農家は、完全に赤字だということでいいのですか。
〇佐々木農産園芸課総括課長 2.1ヘクタール平均ということですが、先ほど御答弁申し上げたとおり、コストと相対取引価格の部分でのみ比べると、収入が経費を少し下回る状況になるものでございます。
〇佐藤ケイ子委員 米農家は、1年経費をかけて働いてきて、収入ゼロということになるわけです。今までも、農家の所得がどれだけだったのか、私も統計を見たりしたのですが、副業的な収入も含めての所得で、米農家の所得を出すのはなかなか難しかったのですが、農業所得の推移という資料をいただきました。そうしましたら、全農業経営体の令和元年の所得は189万円と、大変低いわけです。世帯2人で働いても、1人年90万円にもならないわけです。今年度はさらにもっともっと低くなるということですね。
 今、米価の下落問題で、農業者戸別所得補償制度を復活させなければならないのではないかという議論が出てきているわけです。ナラシ対策や農業共済の類似の制度で収入を補填しようということでやってきたわけですが、その結果、ナラシ対策も収入保険も加入者は伸びておりませんし、認定農業者に限定するなど、一般の農家は何の補填もないというのが現状であります。このような中で、どのように営農を継続していくのかということは大変な問題だと思っております。
 海外では全部、農家に対して補償を行っているわけです。日本は消費者が負担しているわけですが、海外では税金で農産物の価格を安定させて、農家も安心して農業ができる。購入するほうも安く購入できる。そして、さらにそれを海外に輸出するということで、どんどん農業を発展させることができるのですが、日本の農業はちょっとおかしいのであります。農家の意欲も湧かない。ますます新規就農者もふえていかない。所得が上がらない中で、マイナスの中で、若い人にやれと言っても無理な話なわけです。
 農業者戸別所得補償制度を導入しなければならないと私は思うのですけれど、その見解を伺いたい。
 それから、ことしの10月から米価下落に関する相談窓口を開設したようですが、補正予算の中身を見てもかなり限定したような感じであり、支援策として農家は貸し付けを受けてまで営農を継続する意欲が湧くのか、私は本当に疑問なわけですけれど、この相談窓口では具体的にどういう支援策を行っていくのかお伺いしたいと思います。
〇藤代農政担当技監兼県産米戦略室長 農業者戸別所得補償制度の見解ということでありますが、現時点では制度がありませんので、現行のナラシ対策あるいは収入保険について、加入要件もありますし、また、全ての農家がまだ加入できていないのではないかという御指摘はそのとおりでございますが、我々も努力して、農家の皆さんには積極的にそうしたセーフティネットを活用していただくように取り組んでいきたいと思っております。
 また、県内の事例では、例えば10ヘクタールくらいの稲作をしている方ですが、去年まで主食用米を10ヘクタールつくっていて、ことしはなかなか難しいだろうということで25%くらいを飼料用米に変えた。そうすると、去年は主食用米だけで1、100万円の収入を上げられたのですが、ことし全て主食用米をつくっていると950万円ぐらいにしかならず、250万円くらいマイナスになったという方が、飼料用米を作付することによって1、000万円くらいの収入を何とか確保したという例もあります。
 そのように、水田を野菜や高収益作物などに使って収入を確保していただくような取り組みを進めておりますので、御自分に合った経営の方法をいろいろ考えて収入を確保することをお願いできればと思っています。また、先ほど来申し上げております需給の部分で、当面の資金繰り対策あるいは需要拡大ということで、補正予算という形で御提案させていただくことにしておりますので、このような形で、今、需給が緩和傾向ですけれど、取引価格が幾らかでも上向きになるように、県も取り組んでいきたいと考えているところでございます。
〇中村農業振興課総括課長 米価下落に関する相談窓口の件でありますが、県内広域振興局、農業改良普及センター等に経営相談窓口を合計23カ所設置しております。その相談内容については、経営継続に必要となる資金の融通や、つなぎ資金等の情報を提供する相談窓口になっております。
〇山下正勝委員 令和2年6月定例会で一般質問いたしましたが、いわて型野菜トップモデル産地創造事業についてでございます。
 県では、平成30年度に、水田等への高収益野菜の作付拡大により、野菜販売額1億円産地の育成に取り組んでいるところであり、生産者からの期待も大きいと感じておりますという質問に対して、県では、土地利用型野菜に加え、ピーマンやトマトなどの高収益野菜の産地化が図られてきたところであり、さらなる産地力の強化に向け、省力化や単収向上などの生産性向上の取り組みが重要と答弁しております。
 そこで、令和2年度の取り組み実績を伺います。
〇佐々木農産園芸課総括課長 いわて型野菜トップモデル産地創設事業の令和2年度の取り組み状況でありますが、県では、水田等の高収益野菜の作付拡大により、新たな野菜販売額1億円産地の形成や次世代施設園芸モデル経営体の育成を目指す、いわて型野菜トップモデル産地創造事業を平成30年度に創設しまして、これまで県内15地区において、加工、業務用野菜等の生産に必要な機械導入、パイプハウスの団地的整備、そして、ICTの活用により単収を飛躍的に向上させる環境制御装置の導入などを進めてきたところでございます。
 令和2年度までに八幡平市のニンニク、花巻市のタマネギ、奥州市のネギなど、5地区で機械、施設の整備が完了し、現在、野菜1億円産地の形成に向けた取り組みが行われているところでございます。
〇山下正勝委員 そこで、目標値が3に対して実績値が2で、達成度がCとなっていますが、その内容についてお伺いします。
〇佐々木農産園芸課総括課長 令和2年度の目標値ですけれど、6地区、5地区ということで(後刻「3地区」と訂正)目標を立てております。令和2年度までにいずれ5地区完了(後刻「5地区の達成は、推進方策指標である1億円産地の育成者数」と訂正)しておりますので、目標は達成しているという理解でございます。
〇山下正勝委員 6か5かちょっとわからないですけれど、完了しているということで、わかりました。
 それで、私が心配しているのは、野菜は当然そうなので、やることはいいのです。ただ、JAは、契約栽培など、単価を決めていかないといけないと思うのです。契約の面は考えていかないと、幾らやってもその産地は伸びないと思いますが、その辺はどういうお考えでしょうか。
〇佐々木農産園芸課総括課長 契約の部分、単価決めというようなお話かと思いますが、現在、このいわて型野菜トップモデル産地創造事業においては、加工、業務用野菜ということで推進しているところでございます。具体的には、先ほども御答弁申し上げましたが、加工用のタマネギ、ネギということで実施しているところでございます。
 いずれ、今後、需要の拡大が期待されます加工、業務用の野菜を中心に、水田に作付の拡大を図ってまいりたいと思っているところでございます。
〇山下正勝委員 先ほどもありましたけれど、米農家の方々は泣いております。高収益作物の導入を県でうたっているのであれば、県が責任を持って指導しながら、農家の力になるように頑張ってもらいたいと思います。
 次に、いきいき農村基盤整備事業について質問します。1地区200万円という事業予算であり、令和2年度の実施状況は、県南地区で16カ所、盛岡地区3カ所、沿岸地区8カ所、県北地区7カ所の合計11市町村の34地区となっております。今後においても中山間地域の農地整備には必要と思いますが、その考えを伺います。
〇佐々木農村建設課総括課長 いきいき農村基盤整備事業についてでありますが、令和2年度は、事業費5、100万円余、補助金額4、700万円余により、11市町村34地区において、水田の区画拡大8.1ヘクタール、暗渠排水7.3ヘクタール等を実施しております。
 このうち、中山間地域では、事業費の約8割、28地区において実施しており、畦畔除去による営農の省力化や、山間部からの湧水の処理による水田の汎用化を進め、畑作物などの導入が図られているなど、中山間地域の持続的な営農に寄与しているところであります。
 県では、今後も本事業の活用を促しながら、地域の立地条件やニーズに対応したきめ細かな基盤整備を通じまして、農作業の効率化や農地の荒廃防止等の取り組みを支援することとしております。
〇山下正勝委員 今後、農家の希望は結構あると思うのです。経営体育成基盤整備事業は、計画を立てて事業実施から完了までは10年から15年かかるので、今の時代を考えると大変だと思っていました。
 いきいき農村基盤整備事業は、小規模農家や、条件の悪い中山間地域の農地など、この事業でやっていくことは、いいことだと思っていますので、今後、これに対しては5、000万円と言わないで、逆に1億円くらいの、いけいけ農村整備事業を私はやるべきだと思いますが、その辺はいかがでしょうか。
〇佐々木農村建設課総括課長 いけいけ農村整備事業という応援をいただきましたが、県独自のいきいき農村基盤整備事業は、小規模できめ細かな整備を地域ニーズに応じまして、御指摘のとおり機動的に推進することを目的としております。県の限られた財源を可能な限り有効に活用して、委員御指摘のとおり、できるだけ多くの地域ニーズに応えるために、基本的には国庫の活用を最大限図るという方針のもと、一定の事業規模を超える整備については、同様の国庫補助事業がございますので、こちらで対応させていただくという考えでございます。
 今後も、きめ細かな基盤整備に取り組めるよう、農家のニーズに応じた事業制度の適切な選択と導入に向けまして、関係機関、団体と連携しながら支援をしてまいります。
〇山下正勝委員 農家は期待を持って頑張っています。やる以上は、みんな所得を上げたいと思っています。私は、いけいけ農村整備と、ちょっと間違えましたけれども、いきいきでございましたので……(「いけいけでいい」と呼ぶ者あり)そういった意味で、岩手県の第一次産業が希望を持てるように頑張ってもらいたいので、どうかよろしくお願いして、終わります。
〇吉田敬子委員 先ほど来は米価下落等に対する米政策の部分での質疑がありましたが、参考までに伺いたいと思います。銀河のしずくは2、300円の下落で、青森県の青天の霹靂は500円安にとどまり、山形県のつや姫も500円安にとどまっていたのですけれども、この差は何なのか、県の認識をお伺いしたいと思います。
〇佐藤県産米戦略監 ブランド米の価格差についてでありますが、価格を決める際にはいろいろな条件がありますので、一概にこうだからという回答はないのかもしれませんが、ただ、今回のコロナ禍では、業務用が非常に苦戦している状況にあって、家庭用を中心に販売されているつや姫と青天の霹靂等は、業務用よりは影響を受けなかったと伺っています。また、銀河のしずくは、家庭用が中心ですが、業務用にも売っているということもありまして、業務用についてはやはり下落が大きくなっているということもございます。
〇吉田敬子委員 500円安にとどまったのは、青森県と山形県でのブランド米戦略が強化されているのかと思っていたのですが、御答弁のとおり、家庭用と業務用の違いがあるということでありますけれど、2、300円と500円の差はかなり大きいと私は思っております。先ほど質疑がありましたので、しっかり対応していただきたいと思っております。
 サポーター制度と消費拡大やPRの取り組みについてお伺いしたいと思います。
 県では、県産米の消費拡大を目的に、食べよう!いわての美味しいお米サポーター制度を平成27年度から平成30年度まで、また、県産食材全体の消費拡大等を目的に、いわて食財サポーター制度を平成24年度から実施しております。既にいわての美味しいお米サポーター制度は終了していますが、平成30年度までに1、861人が登録され、いわて食財サポーターのほうは、消費者サポーターとして7、181人、事業者サポーターは468人、計7、649人もの方が登録されております。
 こういったサポーター制度のよいところを引き継いでいっていただきたいと思っておりますが、取り組み実績をどのように評価しているかお伺いいたします。
〇佐藤県産米戦略監 いわての美味しいお米サポーター制度の取り組みと評価ということでありますが、平成27年度から平成30年度まで、県産米の消費拡大を目的として、県内の消費者を対象に、食べよう!いわての美味しいお米サポーター制度を実施し、メールマガジンやフェイスブックなどを活用して情報発信をしてきたところでございます。
 サポーター数は、平成30年度には約1、800名となっており、県産米のファンを一定数獲得できたと捉えているところでございます。
〇似内流通課総括課長 私からは、いわて食財サポーター制度の取り組み実績と評価について答弁させていただきます。
 いわて食財サポーター制度は、県内外での県産食材の消費拡大と評価向上を図ることを目的に、消費者サポーター、事業者サポーターと二つありますが、さらに事業者サポーターの中には生産者サポーター、流通加工サポーターということで、三つの種類があるという状況であります。
 本県が運営している食の総合ポータルサイトいわて食財倶楽部において、いわて食財サポーターは、県産食材に関するイベント情報や、自身が生産する食材情報などの発信に取り組んでいただいております。また、事業者サポーターの生産者サポーター、流通加工サポーターと消費者サポーターが、互いに情報交換などに取り組んでいるところであります。
 こうした取り組みにより、いわて食財サポーターの登録人数は年々増加しております。委員から御紹介いただきました、いわて食財倶楽部の月平均のアクセス数は、令和元年度が2万1、330件、令和2年度が3万1、731件と1万件以上増加しており、県内外における県産食材のPRや消費拡大の一助になっているものと認識しております。
〇吉田敬子委員 お米のサポーターは1、800人程度いらっしゃる中で、せっかく立ち上げたサポーター制度は終わっています。一方で、ホームページやフェイスブックはある中で、登録しようと思えば、今まだできる状況にあると確認しております。せっかくいわてのお米サポーターに登録したけれど、なぜ終わってしまったのかと思っております。
 また、いわて食財サポーターについては、ホームページの閲覧数は確かに上がっていると思いますが、私はこのサポーター制度をさらに生産者と消費者をつなぐ取り組みの強化につなげていただきたい、消費拡大とPRの戦略をやはり工夫していく必要があると思っております。
 一般質問でも取り上げましたが、盛岡市では美食王国もりおかということで、実際に収穫体験や料理教室等を行っており、ファンクラブ会員になると、そのつながりをさらに強固なものにする取り組みをされております。
 岩手県として各市町村それぞれ県産食材がある中で、せっかくサポーターとしてたくさん登録いただいている方の中には、県外の方ももちろんいらっしゃるわけですから、観光振興にもつながっていくような取り組みにぜひしていただきたいと思っております。
 現在は、SNSを活用してインスタグラム、ツイッターで、岩手白米百景と、いわて純情米キャンペーンというSNSもありますが、こちらは基本的にはプレゼントをする事業になっていると認識しております。プレゼントはプレゼントでいいのですけれど、サポーターの皆さんがせっかくいらっしゃるので、サポーターになるメリットを、もう少し工夫していただきたいと思っております。
 サポーター制度と消費拡大の取り組みについて、ターゲット戦略も含めて、今後どのように取り組むのかお伺いいたします。
〇佐藤県産米戦略監 委員御指摘のとおり、サポーター制度については、平成27年度から平成28年度にそういう事業がありまして、それについて委託されている代理店のほうで運営したということもございますので、一旦その事業が終了し、今の状態になっているところでございます。
 それから、今後の取り組みについては、先ほど委員からお話がございましたとおり、県産米のインスタグラムやツイッターなどのSNSを活用していくこととしていますので、参加者から県産米の魅力を発信してもらうようPRキャンペーンなどを組み合わせながら、消費拡大の取り組みに結びつけていきたいと考えております。
〇似内流通課総括課長 私からは、いわて食財サポーター制度の今後の取り組みということで答弁させていただきます。
 委員からお話がございましたとおり、県産食材の消費拡大を進めていくためには、生産者と消費者の結びつきを深め、交流を促進することが重要であると考えております。
 委員から御紹介いただいた盛岡市の美食王国もりおかの収穫体験イベントは、私も確認しております。また、県内では、奥州市がJA江刺りんご部会と連携して実施しているリンゴの収穫体験イベント、あるいは、宮古市の観光体験イベントであります農業まるごと体験ツアーなど、県内各地域において、生産者と消費者が交流するイベントが開催されております。このような農業への関心、理解を深める取り組みというものを、例えばいわて食財サポーターの方々に積極的に情報発信していきたいと思っております。
 また、県では、令和2年10月に、北上市において、農業体験とフェアを連動させた食体験イベント、収穫体験×青空ランチを開催し、野菜の収穫体験や、とれた野菜などを使用して、シェフが特製ランチボックスなどをつくり、生産者やシェフによる解説を受けながら、消費者がお弁当を食べるというイベントも行われております。
 このような取り組みなども参考にしながら、今後、いわて食財サポーター制度と消費拡大の取り組みについて検討してまいります。
〇吉田敬子委員 SNSを活用した広報戦略、PRについて、各部局で工夫を一生懸命されている努力を大変評価したいと思いますが、そのときそのときの時代の流れで変わっていく中で、私はふるさと振興部のほうには、どのターゲットにどのSNSがいいかということを部局横断でしっかり行っていただきたいというお話をさせていただきました。そのような機能があると、例えばほかの部でやっているものが有効であれば、それを農林水産部でも使える仕組みにしていただきたいと思っておりますが、情報発信についての所感をお伺いしたいと思います。
〇大畑副部長兼農林水産企画室長 消費者への情報発信については、どういう形で届けるのが一番有効か、そこが一番重要だと思っております。
 先ほど追加補正予算の中で米の需要拡大というお話をさせていただきましたが、それも、観光キャンペーンやアンテナショップと連携して行うことにしています。例えば、観光部門のSNSの活用や、商工労働観光部ではほかに移住、定住もありますので、それらとの連携については、来年度に向けてどういうことができるのか、今検討を進めているところでございます。各部局が持っているSNSにどういうものがあるのか全て私も承知しておりませんので、ふるさと振興部とも確認をとりながら進めてまいりたいと考えております。
〇吉田敬子委員 御努力されていることは重々承知しておりますが、県全体としてターゲット戦略、PR戦略にしっかり取り組んでいただきたいと思っております。
 次に、荒廃農地解消の取り組みについて、県内の荒廃農地の推移、その解消の取り組みの実績について、どのように評価しているのかお伺いいたします。
 県では、いきいき農村基盤整備事業や各市町村での独自事業がありますが、その活用状況等から、課題についてどう認識されているか、今後の取り組み方針についてもお伺いしたいと思います。
〇中村農業振興課総括課長 本県の荒廃農地の推移でございますが、農林水産省の荒廃農地の発生・解消状況に関する調査によりますと、本県の荒廃農地の面積は、令和元年度が4、500ヘクタールと公表されています。これは、5年前の平成26年度に比べ約1、400ヘクタールほど減少しています。
 それから、荒廃農地解消の課題、今後の取り組みについてでございますが、荒廃農地の発生防止とその利活用に向けては、先ほど御答弁もありましたが、令和2年度にいきいき農村基盤整備事業により、農地の障害物除去や土壌改良等の取り組みを支援してきたところでございます。また、国の荒廃農地の再生等に活用可能な事業調査によれば、県内では5市町村で農地の再生を補助する市町村独自の取り組みが行われております。このような取り組みにより、先ほど御答弁申し上げたとおり、荒廃農地の面積そのものは減少しております。
 今後とも、いきいき農村基盤整備事業等による荒廃農地の再生を進めてまいりますし、また、中山間地域等直接支払制度を活用しながら農業生産活動を通じて再生していく、あるいは、農地中間管理事業による農地の集積を進めるなど、市町村等と連携し、荒廃農地の発生防止、解消に取り組んでまいたいと考えております。
〇吉田敬子委員 約1、400ヘクタール減少しているということであります。
 荒廃農地解消の取り組みとして、県内でさまざまな活動が広がっております。例えば羊の放牧、そこからi−woolというブランド化にも取り組んでいらっしゃいます。また、奥州市ではヒマワリ栽培から油を精製してお菓子などに活用されたり、二戸市の漆の植樹など、県内各地で荒廃農地解消に向けた取り組みが広がっており、それぞれの地域の特性に応じた大変有効な取り組みだと思っておりまして、これらをぜひ後押ししてほしいと思っております。
 また、兵庫県では、今年度から、不耕作農地で、次の耕作者が見つかるまで草刈りや耕運を担う取り組みを始めたということを報道で見ました。都道府県単位でこういう取り組みをするのは珍しいということでありました。
 荒廃農地の解消は大変重要なことだと思っておりますが、このようなさまざまな取り組みを後押ししつつ、今後さらなら解消に向けての取り組みをお伺いしたいと思います。
〇中村農業振興課総括課長 荒廃農地対策の今後の取り組みについてでございます。先ほども御答弁申し上げましたけれど、県内では、中山間地域等直接支払制度を活用しながら、荒廃農地にアジサイやシバザクラ等の景観形成作物の作付や、桑の畑の再生と桑を活用した地域特産品の開発など、地域が主体となった農地の維持、活性化を通じて荒廃農地の発生防止、解消の取り組みが行われていると承知しております。
 また、市町村においても、単独事業を使って、荒廃農地に菜種を作付する経費を支援する取り組みも行われております。
 県では、せっかくこうした県内の優良事例がたくさんございますので、こうした優良事例を広く紹介するとともに、集落内の荒廃農地を中山間地域等直接支払制度の協定農用地に取り込むなど、各種支援制度の活用を促しながら、荒廃農地の発生防止、解消に向けて積極的に取り組んでまいります。
〇吉田敬子委員 次に、農業分野における女性の活躍支援についてお伺いします。
 県では、幸せ創る女性農林漁業者育成事業等に取り組んでおります。
 第5次男女共同参画基本計画では、農協の女性役員の割合を2025年度を期限に早期に10%、さらに15%とし、農業委員は女性委員の割合を早期に20%、さらに30%にする目標を、そして今回初めて数値目標を設定した土地改良区についても、2025年度までに女性理事を10%に、認定農業者は2025年度までに女性を5.5%にということで、高い数値を掲げております。
 本県の現状は低い状況ではありますが、県としての取り組みをお伺いしたいと思います。
〇小原農業普及技術課総括課長 農業分野における女性活躍の現状と支援についてでございます。
 農協役員については、各農協で女性枠を設けており、女性の割合は本年3月末で11.7%となっております。
 また、農業委員については、女性農業委員で構成するいわてポラーノの会において、各市町村に対し女性の割合の向上を要望しておりまして、本年4月末でその割合は18.3%と、全国3位となっております。
 土地改良区については、43土地改良区のうち二つの土地改良区で役員登用をされておりまして、その割合は本年7月末現在で0.4%となっております。
 また、認定農業者については、令和2年3月末で、計画認定された約6、600経営体のうち400経営体となっており、その割合は6.1%と、国が掲げる第5次男女共同参画基本計画の目標を達成しているという状況になっています。
 県では、これまで、女性リーダーの育成のためのセミナーの開催のほか、女性グループの活動やネットワークづくりなどを支援しておりまして、今後とも、市町村や関係団体と連携しながら、女性が活躍しやすい環境づくりに取り組んでまいりたいと思っております。
〇小西和子委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午前11時9分 休 憩

午前11時22分 再開
〇小西和子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇佐々木農産園芸課総括課長 先ほど山下正勝委員から質疑のございました、いわて型野菜トップモデル産地創造事業の成果指標について、改めて御答弁申し上げます。
 野菜販売額1億円産地計画の採択数という内容の御質問でございました。これについては、令和2年度の目標値が3地区に対し2地区の採択というものでございます。具体的に申し上げますと、奥州市地域のピーマン、盛岡地域のズッキーニ、この2地区が採択になったというものでございます。
 1億円産地の育成者数が推進方策指標になっておりまして、この部分については5地区ということで、評価Aというものでございます。大変失礼しました。
〇小西和子委員長 質疑を続行いたします。
〇工藤勝博委員 先ほど来、米価の下落ということで多くの委員から質疑がありましたが、私は水田農業の振興という観点から何点かお聞きしたいと思います。
 米価に関しては、令和元年度までは堅調な価格で推移してきました。それが、令和2年、令和3年と、年を追って下落したということで大変な状況になっているのですけれど、昨年から続いたこの米価の下落の要因をどのように捉えているのかお聞きしたいと思います。
〇佐藤県産米戦略監 令和2年、令和3年の米価下落の要因についてでありますが、国の需給見通しによると、全国の米の需要量は、人口減少等を背景に毎年10万トンほど減少しております。加えて、新型コロナウイルス感染症の影響による外食需要の減少に伴い、全国的に米の需給が緩和していることが要因と捉えております。
〇工藤勝博委員 背景にそういう確かな状況が見てとれとるとすると、今後の生産なり販売状況も当然変わってくるのだろうと思います。そういう中で、県のオリジナルブランド米と言われる金色の風、銀河のしずくの栽培と販売状況はどうなっているのか、お伺いします。
〇佐藤県産米戦略監 本県オリジナルブランド米の栽培と販売状況についてでありますが、金色の風については、令和2年産の作付面積が約280ヘクタール、生産量は1、500トンとなっております。令和3年産の作付面積は、ほぼ同程度となっております。
 銀河のしずくについては、令和2年産の作付面積が約1、700ヘクタール、生産量は9、000トンとなっております。令和3年産の作付面積は1、800ヘクタールと、約100ヘクタール増加しております。
 国によると、本年8月末現在の令和2年産の銀河のしずくの販売数量は、昨年同月比92%となっており、金色の風については公表されている数値はありませんが、同様の販売状況と聞いております。
〇工藤勝博委員 ブランド米と言われる新潟県の魚沼産コシヒカリは別格といたしましても、山形県のつや姫、北海道のゆめぴりか、また、本来であればことしから本格的に販売しようとしていた秋田県のサキホコレ、どれをとっても金額の差がかなりあります。それが本来のブランド米ではないのでしょうか。特Aをとった良食味米は、ほとんど横並びの金額です。
 それが、今回の消費減退、新型コロナウイルス感染症の影響もありますが、それらをどう認識しながら、これから岩手県のブランド米と言われる金色の風、銀河のしずくの販売を推進していくのか。その辺をきちんと捉えていかないと、生産者はブランド米という意識はそれほどないと思います。例えば、あきたこまちやひとめぼれは、同じくらいの水準です。その辺をきちんと捉えなければいけないと思いますが、どうお考えでしょうか。
〇佐藤県産米戦略監 ブランド米についてでございます。
 委員御指摘のとおり、新潟県の魚沼産コシヒカリ、山形県のつや姫については、今、取引価格がそこまで落ちていないという状況は、そのとおりでございます。その状況について、どうしてそうなっているのか。先ほども業務用なり家庭用の話をしましたが、それに加えまして、その価格でも買う顧客がいるということが、その価格を維持できるということだと思っております。
 ただ、品質あるいは食味等について、銀河のしずく、金色の風が劣るとは思っておりません。銀河のしずく、金色の風も食べていただいて味を知っていただくことが大事になってくると思っておりますので、ぜひ食べる機会をふやすような取り組みを今後も進めてまいりたいと考えております。
〇工藤勝博委員 確かに、一度食べた消費者の皆さんは、おいしいとは言います。私も実際に栽培して食べていますから、おいしいです。それが一つのブランドだという感覚をいつまでも持っている必要はないのだろうと思います。消費者にとっては、岩手県の米の一番おいしいのは銀河のしずくとかひとめぼれだと、それでよいのではないかと思っています。
 ただ、県内だけの消費ではとても賄えないわけですけれど、大分前から、大手の仲卸では、業務用として複数年の契約という形で販売されていると思うのです。それらもうまく活用しながらやっていかないと、人口が減るから消費は当然減るだろうと思いますし、業務用といっても、家庭で食べようが飲食店で食べようが、1人の1日に食べる量はそんなに違わないと思うのです。そうであれば、県産米の価値をどう高めていくかだろうと思いますが、その辺のお考えはないでしょうか。
〇佐藤県産米戦略監 ブランド米の関係で、業務用ということでございます。コロナ禍の影響により、今、業務用が減少し家庭用が伸びているという話になっておりますが、コロナ禍以前には業務用のほうがどんどん伸びていったという状況もございますので、委員御指摘のとおり、業務用にも積極的に売っていくことは、これから、コロナ禍以降についても必要になってくると考えております。
〇工藤勝博委員 販売戦略の中で、きょう9月補正予算の追加議案の提案もありました。多分消費拡大の予算だろうと思いますが、県産米の消費拡大については、今まで毎年やってきているのだろうと思います。今回の補正予算でどういう戦略を持って消費拡大をしようとしているのかお聞きしたいと思います。
〇佐藤県産米戦略監 追加の補正予算の関係でございますが、消費拡大ということで、県内のお客様に県産米を配って食べていただいても、もともと県産米を食べている方ということですので、その量は変わりませんから、県外の皆様に食べていただくことが基本的な考えでございます。
 県内の宿泊施設に泊まっていただいたお客様や、東京都などにある県のアンテナショップに来ていただいたお客様、あるいは県外にある「黄金の國、いわて。」応援の店等に来ていただいたお客様に、試食用の米を配布しまして、銀河のしずくを中心としたブランド米を食べていただいて、そして購買につなげていくということで、実際に食べていただくことをねらいとしております。
〇工藤勝博委員 そういう販売戦略であれば、従来どおりの形だろうと思います。実際、米の消費量はパンの消費量を下回っており、パン食のほうが消費金額が上回っているわけです。そういう中での米の販売戦略は、従来の発想だと、なかなか消費拡大にはつながらないだろうと思います。
 そうであればどうするかということになると思います。このままで行くと、ことしの生産量の持ち越し在庫が来年までかなりふえるわけです。適正な在庫が180万トンと言われているのが、216万トンと、かなりの量が持ち越しになる。そうなれば、来年産もさらに厳しい。そう思うと、農家にすれば、来年はどうしようか、やめようかという農家も出てくると思います。それらをどう食いとめるかということも、行政の大きな責任だろうと思いますけれども、その辺の生産から販売までのトータルとしたお考えを聞きたいと思います。
〇佐々木農産園芸課総括課長 米の在庫が多くなっている状況の中での水田を活用した方針として、水田農業について御答弁させていただきます。
 水田利活用の部分については、先ほど来、御議論のある消費の減少という中で、全国的に米の需給が緩和しているところでございます。県としては、生産者の皆さんの経営安定に向けて、需要に応じた米生産、水田を活用した高収益作物等の作付拡大、この両輪でもっていくことが重要であると認識しているところでございます。
 このため、国の交付金の活用や、令和3年度においては、県単独で事業を創設し、麦、大豆、野菜のほか、主食用米と同様の栽培管理ができ、今後も需要が見込まれる飼料用米等への作付転換を推進してきたところでございます。引き続き、水田を最大限に活用し、生産者の所得が確保されるよう取り組んでまいりたいと思っております。
 販売の部分について、米については、業務用米も含めた中で、ブランド化の取り組みをしてまいりたいと思います。大豆については、需要が、今、国内産に向いております。そうしたことを好機と捉えて作付拡大を図っていきたいと思っております。野菜については、今は外食用は減少していますが、新型コロナウイルス感染症の収束後のトレンドとしては加工、業務用野菜が伸びていくと見込んでおりますので、そうした作物を米とバランスよく作付推進をして、生産者の所得の向上と収益の確保に努めてまいりたいと考えております。
〇工藤勝博委員 ことしの米価下落を見越して大分転換が進んだわけですけれど、飼料用米にかなりシフトしたという状況は、農家とすれば大変いい誘導策だろうと思います。水田は水田で使うほうが、はるかにコストがかからないし維持管理もはるかにしやすいということで、飼料用米あるいは畜産と関連したホールクロップサイレージなどに、これからもっと力を入れるべきではないかと思っております。
 水田の果たしている役割はかなり大きい機能があると思っていますが、それらの機能が損なわれないように水田そのものを維持していく必要があるのだろうと思います。その辺を含めて、水田の多面的機能や役割をどう捉えていますか、お聞きしたいと思います。
〇佐々木農産園芸課総括課長 水田が果たす役割についてでございます。
 本県の水田は、耕地面積の約6割を占め、米生産とともに野菜、麦、大豆などの生産が行われるなど、地域農業を支える重要な役割を担っていると考えております。
 また、水田は、洪水防止や水源涵養、国土保全など多面的機能を有しておりまして、今後とも、意欲ある農業者の皆さんを核として、本県の水田農業が持続的に発展するよう取り組んでいくことが重要と考えているところでございます。
〇工藤勝博委員 今、農業をしている人たちの年齢は70歳近いわけで、間もなく、2、3年もすると団塊の世代が後期高齢者になり、ほとんどリタイアする年代になるわけです。それらも考えますと、ここでしっかりその対策をとっていかないと、岩手県の水田はかなり心配だと思います。今でも、畦畔の草刈りをしなかったり、田んぼなのかヒエ畑なのかわからないような水田も見受けられます。年々ひどくなると思って見ています。それらがこれからどんどんふえるとすれば、今この米価下落を機に、何らかの対策をしっかり打っていかないとだめかと思っております。
 それとあわせて、先ほど佐藤ケ子委員から農業者戸別所得補償制度の話がありました。数年前の戸別所得補償により、農地の基盤整備に大ブレーキがかかりました。二度とそういうことのないようにしてもらいたいと思います。
 あわせて、これからの水田農業の方向をお聞きしたいと思います。
〇佐々木農産園芸課総括課長 水田農業は、先ほども御答弁申し上げましたとおり、非常に重要な本県の産業であり、農業でございます。農業は御承知のとおり裾野の広い産業で、地域にとって非常に重要な産業と認識しております。水田を活用して売れる米づくりは当然やっていくわけですが、所得の確保に向けて、高収益作物の導入を進めてまいりたいと考えております。
〇工藤勝博委員 先ほど荒廃農地の話もありました。この岩手県の田園風景が未来へ続くようにしてほしいと思います。いずれ県南地区のILCの関係、そしてまた来年は、八幡平市にハロウインターナショナルスクールが開校します。インバウンド以外に、多くの外国人が岩手県に来ると思うのです。日本の現風景、水田、その環境をしっかり守りながら、岩手県のよさを発信できるように、ぜひともしてほしいと思います。
 最後に、農林水産部長に、見解をお聞きしたいと思います。
〇佐藤農林水産部長 本県は農業県でありますし、水稲が非常に大きなウエートを占めているということで、水田の果たす役割、洪水防止とか、水源涵養とか、国土保全とか、そういった意味もございますし、生産活動の基盤そのものというのも、そのとおりでございます。委員から御指摘のありましたとおり、インバウンドの関係等で本県を訪れる方がたくさんいらっしゃるときに、離農する方がどんどんふえて荒れた農地が目につくような状況というのは、好ましいとは思っておりませんので、農地の有効活用がきちっと図られるような施策をいろいろ、関係団体、市町村等と連携しながら取り組んでまいりたいと思っております。
〇佐藤ケイ子委員 先ほど関連で時間を使いましたので、その分を勘案しながら、残っているところの質問をさせていただきたいと思います。
 新規就農者の確保と育成についてでございます。
 新規就農総合対策事業費252万8、000円の決算のようですが、成果は、新規就農者数は312人と、A評価になっています。新規学卒者やUターン、新規参入者というのが自営就農者、それから雇用就農者と分かれるわけですけれど、その内訳はどうなっているでしょうか。
〇小原農業普及技術課総括課長 新規就農者の内訳でございます。自営就農者が124名、雇用就農者が188名となっております。自営就農者のうち、新規学卒者が13名、農家後継者のUターン者が63名、そして非農家等から新たに就農した新規参入者が48名となっております。
 なお、雇用就農者について、新規学卒者等の詳細な内容については、大変申しわけございませんが、把握しておりません。
〇佐藤ケイ子委員 農業も大変厳しい中で、新規農業者も毎年少しずつですが確実にふえているという状況のようで、少し心強いなと思っております。
 この新規就農者の確保、育成は、農業経営継承の促進事業、就農支援資金償還円滑事業、新規就農者研修事業など、さまざまな事業が組み合わされて行われておりますが、その成果と課題はどうでしょうか。
〇小原農業普及技術課総括課長 県では、新規就農者の確保等に向け、県内外における就農相談会や、農業大学校生等を対象とした農業法人等による会社説明会の開催、就農志向者や新規就農者を対象とした農業研修の実施等を行っております。こうした取り組みにより、令和2年度の新規就農者数が312名になるなどの成果が一定程度上がっていると捉えております。
 また、新規就農者が早期に安定した経営を実践していくためには、就農時の機械や施設の導入に係る負担軽減、加えまして、農業技術の早期習得が課題と認識しております。このため、県農業公社の担い手特定資産事業の活用による機械、施設の導入支援や、農業改良普及センターによる農業技術の習得のための重点的な個別指導を行っているところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 そういう県の事業と、農業公社や市町村の事業を組み合わせて支援が行われているわけですが、市町村独自の新規就農支援の実施状況はどうかということです。
 一覧表をいただきましたところ、ほとんどの市町村で何らかの支援事業が行われているのですが、その中でも、国と県の事業を市町村事業に載せていたり、移住、定住の事業や、結婚支援のほうの住宅支援を新規就農者支援の一覧表に載せていたり、市町村の捉え方もさまざまだと思っております。
 市町村の支援事業の中で、これは効果がありいい事業であるとか、これは各市町村で成果を上げているなと、特徴的に思うところはあるでしょうか。
〇小原農業普及技術課総括課長 市町村独自の支援で特徴的なところという御質問でございます。まず現状として、県内の全ての市町村において、委員からも御紹介がございましたが、移住、定住の促進に向けて家賃への支援が行われています。これは、県外からの新規参入の方にとっては生活の基盤になりますので、後押しをするすばらしい対応をしていただいていると認識しております。
 このほか、先ほど申し上げた農業公社の事業と少し重複しますが、市町村によっては、農業をスタートするための農業資材や機械の導入補助や、国がこれまで対象外としておりました親元就農の後継者への給付金の交付など、それぞれの市町村が持っている農業の背景を踏まえて、独自の支援策をしていただいていると認識しております。
〇佐藤ケイ子委員 国や県の事業では、親元就農が余り対象にならなくて厳しいわけですけれど、市町村にとっては、戻ってきて、せっかくある資源を活用して農業を営んでもらうのは、地域づくりにとって大変いいことだと私は思っています。そういう各市町村の好事例なども紹介していただくようにお願いしたいと思っております。
 次に、令和2年度の農業次世代人材投資事業及び令和元年度補正予算の就職氷河期世代の新規就農促進事業で、岩手県の実績は223名というデータが出ていますが、その中に氷河期世代が2人含まれているようです。これは農林水産省の資料です。この氷河期世代へのアプローチを行ったのか、アプローチはしなかったけれどやってくれたということなのか、どのようなアプローチがあったのかお伺いします。
〇小原農業普及技術課総括課長 氷河期世代へのアプローチということで、氷河期世代を対象とした事業を起こしてくれというようなアプローチであれば、それは国が氷河期世代をどのように就職に導くかという大きな課題を持って対応していったと認識しております。その中で、新規就農者として農業に参入される方々も、氷河期世代を対象として、このような事業の中に組み込んだものと承知しております。
 また、この事業を実施するに当たりまして、対象者を広く募集することが必要だということで、県では、ホームページのほか、市町村や農業団体を通じて周知を図るとともに、新規就農に係る相談会やセミナー等々のさまざまな機会を捉えてPRに努めたところであります。
 こうしたこともありまして、令和2年度に2名の応募があったものと考えております。
〇佐藤ケイ子委員 その2名の方はどういう方なのか把握できるのか、継続して農業を営んでいけるのか、フォローできる状況なのか、そのようなことはどうなっているのでしょうか。
〇小原農業普及技術課総括課長 個別の案件でございまして、2名の方の具体的な状況については、この場では恐縮でございますが答弁を差し控えさせていただきます。
 今回の氷河期世代を対象としたこの枠については、条件が非常に有利でございまして、令和2年度の2名に対して、令和3年度分も、2年間分を一括して交付するということで、手厚いサポートができているものと考えております。
 氷河期世代の採用にかかわらず、新規就農者の支援に当たっては、農業改良普及センターが、営農計画の策定から実際の栽培技術の習得、そして、地域に溶け込めるかどうかといったところも、きめ細かな対応をしながら、それぞれが持つ計画達成に向けて支援をしているところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 わかりました。最後になりますが、農業次世代人材投資事業というものがあるわけですが、これは今まで全額国庫負担で、新規就農の促進に活用されてきました。令和4年度予算の概算要求では、この事業が新規就農者育成総合対策事業となって、2分の1の地方負担が唐突に盛り込まれ、全国知事会農林商工常任委員長達増拓也の名前で、農林水産大臣に緊急申し入れが行われたとのことでございます。地方の財政力によって新規就農者の支援に差が生じることが懸念されるということで緊急申し入れをしたようですが、国庫負担が2分の1になることに対しての所感と、その対応というのはどうでしょうか。
〇小原農業普及技術課総括課長 新規農業者の確保、育成に重要な役割を果たしてまいりました国の農業次世代人材投資事業は、これまで事業費の全額を国が措置してきましたが、今回、この事業を見直しした新規就農者育成総合対策については、地方公共団体に対して2分の1の財政負担を求める内容となっております。
 このことは、事前に地方との協議や意見聴取がなく、地方に負担を求める明確な理由の説明がされないままに地方負担が盛り込まれたものであり、受け入れがたいと考えております。
 このため、県では、農林水産省に対し、新規就農者育成総合対策事業について、これまでと同様に全額国費による措置をするよう要望を行ったところでございます。また、委員からも触れられましたが、全国知事会あるいは北海道東北地方知事会からも同様の要望が行われておりまして、県としては、今後の新規就農者の確保、育成に支障が生じることがないよう、引き続き国に対応を求めていくところでございます。
〇小西和子委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
午前11時56分 休 憩

午後1時2分 再開
〇田村勝則副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇武田哲委員 午前中の審議の中で農業者戸別所得補償制度の話が出たので、ちょっと私も当時のことを振り返りたいと思います。
 当時、農業者戸別所得補償制度が始まって、今回のように大きな米価の下落を招きました。そして、私も当時若かったので、農協青年部で卸しを回って歩いたのですが、そのときに卸の方々に、今回の米価の下落に対してなぜですかという話をしたら、消費者の人たちは米を買うために補助金をもらっていないからという話がありました。そして、一生懸命やっている農家の人たちの間からは、お上からお金をもらうような農業生産になってしまう。我々農家は消費者と向き合って米をつくっているわけですから─米、その他のものもです。午前中の審議の中でいけいけ農村整備といった話もありましたが、そういった頑張る農家がしっかりと育成されるような環境を望みたいと思います。
 そこで、質問の順番を変えまして、県の育種の状況から伺いたいと思います。令和2年度において発表された品目あるいは品種数などがありましたら、お知らせいただきたいと思います。
〇小原農業普及技術課総括課長 令和2年度において育種された品目数、品種数についてでございます。
 県では、米、果樹、花卉などのオリジナル品種の開発を行っております。令和2年度には、リンドウの鉢花品種や切り花品種、イチゴの2品目3品種について、登録出願をさせていただいているところでございます。
〇武田哲委員 リンドウから2品目という話がありました。当時、リンドウが安代町で生産されるようになったきっかけがあると思います。その点について、もし知っていましたらお知らせいただきたいと思います。
〇小原農業普及技術課総括課長 私も採用されたころの話ですので、うろ覚えですが、いわゆるお米に頼らずに、中山間地域で何とか自分たちが自立できるような品目を考えましょうということで、当時の農業改良普及員や地元の若い農業者が、当時たまたま園芸試験場に吉池貞蔵先生がおられて、食べるものではないけれども、花を農産物、生活の糧としての販売に取り込もうし、本県のリンドウ販売がスタートした認識しております。
〇武田哲委員 当時、リンドウは、岩手県農村青年クラブのプロジェクト活動の中で始まったと思います。そして、プロジェクト発表の中で当時、リンドウの種を播種するときに、草かリンドウの双葉か全然わからなくて、大変な思いでやったのですけれども、たしか大冷害の年でしたか、全く米がとれなかった。しかし、リンドウは、しっかりと水田から収入を得ることができた。そうした中で、米を植えなくても花で生活できるのだという、雰囲気が当時できたと思います。そうした経緯があって初めてリンドウが栽培されるようになったのですけれど、農家は暮らしの中でしっかりと所得を得ていくという、岩手県の中でできた一つの形だと思うのです。
 そして、今では、リンドウの生産量は全国の中でたしか6位ぐらいだったと思います。ましてや、岩手県のリンドウを買い支えるために、大田市場の人たちは1年に一度2泊3日くらいで八幡平市の生産農家を支えるために来て、市場と農家とがしっかり連携して産地形成を図っている。そういった売り買いもされている状況です。
 そうした中で、育種というのは、新しい品目ができることによって、農家のやる気はどんどんふえていくと思うのです。現在、育種に取り組んでいる県内の農家もあると思います。その農家戸数について、調べている結果があるのであればお知らせいただきたいと思います。
〇佐々木農産園芸課総括課長 県内の育種の農家数でございます、県では主に花やリンゴなどで民間育種が行われていますが、県内の農作物の育種に取り組んでいる農家数全体については把握していないところでございますが、平成20年に、農業団体や民間等と協働で品種開発を進めるために、岩手県園芸育種研究会を設立しております。この研究会には、24名の県内の花やリンゴの育種を行っている農家の方のほか、育種に関心が高い農家が参加しております。
〇武田哲委員 思い返してみると、盛岡市でもイチゴをつくっていた農家の方など、過去にはいろいろな育種家の方もいました。そして、奥州市でもリンゴの育種に取り組まれている農家の人たちがいます。育種も含め、その品種特性をしっかりと伸ばすために、農家の人たちはさまざまな技術研さんに励んできたと思います。
 育種に関して、農家の方々とさまざまな情報交換をしながら、そして、県の目指す育種の体系というものがあると思うのです。その中で、県の育種にかかわる職員の方々の現在の状況についてお伺いいたします。
〇小原農業普及技術課総括課長 本県における育種にかかわる職員の育成状況という御質問でございます。
 研究機関において品種開発などを進めていくためには、職員の知識や経験に応じた研究人材の育成が重要であると考えておりまして、県では、若手から研究リーダーまでの段階的育成目標と育成方策等を内容とする研究員育成プログラムを作成し、職員育成に努めているところでございます。
 また、職員の配置に当たっては、人材の育成に加えまして、研究の継続性や技術の伝承等の観点から、人事異動の基準年数を他の部門と比べて長くするなどの対応を行っているところでございます。
〇武田哲委員 育種に関しては、経験と、育種に携わる人たちの感性も磨いていかなければならないのだと思います。その中で、異動等をなるべくしないことも必要だと思うのですが、育種に関してはチームで取り組むという考え方なのかと思いお伺いいたしました。そして、チームの中でしっかりと議論しながら育種の方向性をつくっていくものなのかと思いますけれど、そのような理解でよろしいでしょうか。
〇小原農業普及技術課総括課長 育種を進めるに当たっての体制ということかと思いますが、現在、県農業研究センターには、水稲育種について、作物育種研究室という育種を専門にする研究室がございます。花については、リンドウが主ですが、花卉研究室で主に育種をしております。そのほか、果樹については果樹研究室の中で、育種にかかわる研究員を担当という形で2名ほど指定して、育種に向けた技術の伝承も含めた取り組んでいるところでございます。
〇武田哲委員 水稲の育種に関するお話がありました。県内で米づくりをしている方々からは、寒冷地に合った優良な米の品種が欲しいという声があります。県央地域でつくるような米に追随して米生産をしていくのではなく、冷涼な地域あるいは日照がしっかりととれないような地域でも、しっかりとつくっていけるような米の育種を望む声がよく聞かれるのですが、その点に関してはいかがでしょうか。
〇佐々木農産園芸課総括課長 水稲の育種の取り組みでございますが、令和3年度は、県農業研究センターにおいて、県北地域に適した早生の良食味品種候補3系統と、業務仕向けにも対応した晩生の高温登熟耐性にすぐれる3系統などについて、現地試験を行っているところでございます。
〇武田哲委員 いずれにしましても、育種に関しては、さまざまな系統選抜の中でよりよいものを選んでいくのだと思います。以前、きらほという米の品種ができたときに、沿岸部でできた米と内陸部でできた米を比べたときがありました。そのとき、沿岸部でできた米の色味ですか、何でこれだけ差が出るのかと思うくらい、色味に差があったことがありました。ぜひ、そういった地域に合った育種をこれからもお願いしたいと思っております。
 それでは、大きな質問の2点目、営農組合や農業法人、農業生産法人、同じように農事組合法人や特定農業法人など、これまでも地域で活躍する営農を支える団体ができたと思います。その中で、各種団体の設立、合併、解散の状況について、令和2年度はどうだったのかお伺いしたいと思います。
〇村上担い手対策課長 まず、集落営農組織の設立等の状況についてでございますが、国の集落営農実態調査によりますと、県内の集落営農組織数は本年2月1日現在で610組織となっておりまして、このうち農事組合法人など法人化した組織は204組織となっております。また、新たに設立した集落営農組織は9組織ございます。解散、廃止した組織は27組織となっておりまして、前年度に比べ18組織が減となっております。
〇武田哲委員 解散に至った理由はどういったものがあるのでしょうか。
〇村上担い手対策課長 解散に至った要因という話でございますが、いろいろ原因はあると思いますけれど、一つは、統合による解散が2組織あることは把握しております。
〇武田哲委員 統合は、後継者がなかなか育たなかった、見つからなかったといった理由で成っていくのかもしれません。そのような大きな団体が耕作している総合的な面積、生産品目、販売額などは現在捉えているのでしょうか、お伺いいたします。
〇村上担い手対策課長 集落営農組織の営農状況等についてでございますが、国の集落営農実態調査によりますと、県内の集落営農組織の耕地面積は、本年2月1日現在で約2万3、000ヘクタールとなっており、1組織当たりの耕地面積は、法人で60ヘクタール、法人化していない組織で26ヘクタールとなっております。
 また、主な生産品目は、米が最も多く、次いで、麦や大豆、野菜となっております。
 販売額については、データが公表されていないので、把握しておりません。
〇武田哲委員 その2万3、000ヘクタールというのは、岩手県の耕地面積の大体何パーセントくらいになるのでしょうか。
〇村上担い手対策課長 今の岩手県の耕地面積でございますが、農地集積の母体となっている耕地面積は9万ヘクタールとなっております。
〇中村農業振興課総括課長 本県の耕地面積は14万5、000ヘクタールで(後刻「14万9、500ヘクタール」に訂正)集落営農組織の耕地面積は2万3、000ヘクタールですので、約16%(後刻「15%」に訂正)という計算になります。
〇武田哲委員 約16%は、大きな指標になる面積だと思います。その中で、国が発表する数字を見て考えるのではなく、県でその辺の数字を押さえていかなければならないのではないかと思っています。詳しいことがわからないのですから、詳しいところをしっかりと追求していく、それを次の農業政策に生かす、そういう姿勢が必要だと思いますが、その点についてお伺いいたします。
〇中村農業振興課総括課長 地域の農業者の高齢化等が進行しております。そうした中で、集落営農組織の果たす役割はますます重要になってくると思います。先ほど言いました農地の集積、集約化もさらに一層進めていかなければなりませんので、そこの基本的なデータ等をしっかり把握した上で、戦略的に集落営農組合の育成を進めてまいりたいと考えております。
〇武田哲委員 いずれにしましても、集落営農組織が農産物を売るに当たって、どのようなルートで売っているのか。JAを通して売っているのか、独自のルートで売っているのか。独自のルートで売った場合、どのような課題が出てくるのか。特に令和2年度、新型コロナウイルス感染症の影響により業務用米の売れ行きがすごく悪かった。当時、田植えに行くと、業務用米が売れなくて大変な状態になっているという声や、集落営農をやっていない個人の農家からもありました。そういった苦しみは早くから出ていたわけです。米だけではありません。野菜も、どういったルートで売られ、価格形成がなされ、農家の手取りにつながっているかというところを解明しない限り、今後の岩手県の農業の将来は見えてこないと思います。そういったところをしっかりと捉えながら、さまざまな施策を打っていただきたいと思います。
 その中で、令和2年度の状況、そして現在の状況を見ながら、今後の県の販売戦略においては、消費者にどのようにして岩手県のもののよさを伝えていくかが重要だと思っております。岩手県の農家の人たちがどういう思いで野菜をつくり、米をつくり、花をつくり、そして消費者のもとに届けていくか、そういったところをしっかりと農産物に乗せながら販売しなければならないと思っております。その点のお考えを聞いて最後の質問といたします。
〇似内流通課総括課長 私から、県産農林水産物全般の販売戦略ということで答弁させていただきます。
 委員からお話がありました、岩手県産のよさを全国の皆様に、県内外に伝えていくことは大事なものでございます。いわて県民計画(2019〜2028)に基づきまして、消費者や実需者の評価、信頼の向上を図り、安全・安心で高品質な本県農林水産物の魅力を県内外に幅広くPRできるよう、量販店、大手飲食店のバイヤーあるいは大手飲食店グループのシェフなどを対象とした産地見学会の開催、あるいは量販店、飲食店でのフェア開催に加えまして、市場関係者向けのトップセールスなど、多様な販路の確保、開拓に取り組んできたところであります。
 新型コロナウイルス感染症の影響により外食などの業務需要が減少しておりますが、緊急事態宣言の解除を受けまして、今後、首都圏などでの需要回復が期待できますので、引き続き、首都圏を初めとする消費地への販路の拡大に意欲的な生産者と実需者とのマッチングをする産地見学会の開催や、県が認定している県産食材の活用に積極的な「黄金の國、いわて。」応援の店と連携したフェアの開催など、JAなど関係団体と連携しながら、県産農林水産物の販売促進に取り組んでまいります。
〇佐々木朋和委員 私から1点、畜産振興について伺いたいと思います。
 具体的推進方策指標の肉用牛農家1戸当たりの飼養頭数の公表については、現在はなしということで評価はなかったのですが、令和2年度の畜産競争力強化整備事業費補助の執行額は、予算が31億円余のうち決算は14.6億円にとどまりました。牛舎整備頭数が目標11棟のところ7棟のC、増頭目標1、190頭のところ792頭のCとなっております。
 以上の執行にとどまった理由についてどのように分析しているのか。また、予算の多くが国庫支出金で本年度に繰り越されておりますが、2年連続繰り越しはできないということで、本年度の執行の見通しをお示しいただきたいと思います。
〇米谷畜産課総括課長 畜産競争力強化整備事業費についてでございますが、これは畜産クラスター事業と呼ばれている事業でございます。この畜産クラスター事業においては、令和2年度は10クラスター協議会において、肉用牛舎や養豚施設等の整備を計画していたものであり、活動内容指標として、肉用牛舎の整備11棟、成果指標として肉用牛の増等1、190頭としていたところでございます。
 このうち1クラスター協議会において、施設用地の造成中に岩石等が確認され、この撤去に時間を要したことから、肉用牛舎の完成が本年度に繰り越しとなったものでございます。令和2年度に整備完了した肉用牛舎は7棟、増頭数はそれで762頭となったところでございます。
 本年度の事業執行については、現時点で工事は順調に進んでいると伺っております。
〇佐々木朋和委員 新型コロナウイルス感染症の影響かと思ったのですけれど、本年度中に執行されるということで、国庫に返還する必要はなさそうだということで、安心したところでございます。
 一方で、令和2年度は豪雪被害もございました。午前中の質疑でパイプハウスや機械の整備が示されまして、多くの牛舎も被害に遭ったと聞いておりましたが、午前中の質疑の中の数は、牛舎も入ったものだったでしょうか。もし入っていなければ、合わせたものもお示しいただければと思います。
〇中村農業振興課総括課長 先ほどの棟数の中には牛舎も含まれております。
〇佐々木朋和委員 先ほどの質疑の中では、国の支援を使ったもの、あるいは共済保険を使ったものということでしたが、被害に遭ったものがさまざまな支援策を使って現状復旧できたのか。被害によって諦めた部分はなかったのかというところだと思うのですが、県として、そのような全体の部分の再生率は押さえているのでしょうか。
〇中村農業振興課総括課長 今回、国庫事業を使って再建したもののほか、いわゆる共済保険を使った方など、いろいろありますが、軽微なものもございますので、国庫事業以外による再建の詳細な状況までは把握しておりません。
〇佐々木朋和委員 畜産の中で聞いておりますので、全体の把握は難しいということですが、頭数等の目標も定めておりますので、その部分でしっかりと見ていって、被害がありましたら、また手当てをしていただきたいと思います。
 次の質問に移ります。具体的推薦方策指標のゲノム解析による県有種雄牛の造成頭数については、令和2年度の目標が2頭のところ達成数も2頭ということでAとなっております。一方で、いわて県有種雄牛利用推進事業費について、目標どおりPRはできているということでしたが、凍結精液の供給本数が2万本目標のところ7、000本にとどまっております。その要因と、本年度の傾向についても、あわせてお示しいただきたいと思います。
〇米谷畜産課総括課長 県有種雄牛の凍結精液の供給状況についてでありますが、令和2年度の県有種雄牛の凍結精液供給本数が約7、000本となった要因としては、まず県内の繁殖雌牛の飼養頭数の減少に伴い、県内で利用される凍結精液の本数が減少したことに加えまして、全国的に利用が拡大している九州地方など民間の家畜人工授精所の凍結精液の利用割合が非常に高まったことによるものと考えております。
 本年度の傾向としては、9月末現在、県内で利用されている凍結精液の本数は前年並みに推移しておりますが、本年度新規種雄牛として選抜した県有種雄牛の百合雲は、昨年度に比べ約3倍、結乃宝は約4倍と、供給本数は大幅に増加しているところでございます。
〇佐々木朋和委員 以前は種つけ時の補助等も行っていたと思いますが、現在は行っていないと聞いております。また、種つけ時の補助があったときにも、生産者からは、他県では、種つけをして生まれた子牛について、売買のときにも補助を行っている県もあるといった指摘もいただいております。
 現在、県内の雌牛も減っている、また九州勢も強いという現状を打破していくため、特色ある市場をつくっていきたいという思いでそもそも始めた事業だと思いますので、そういった生産者の声にも耳を傾けて、ぜひ対応策をとっていただきたいと思うのですが、今後の対策をどのように考えているのかお示しいただきたいと思います。
〇米谷畜産課総括課長 県有種雄牛の凍結精液供給に係る今後の対応策ということでお答えさせていただきます。
 特色ある和牛子牛市場をつくっていくことは大変大事なことでございますので、まずは県有種雄牛の利用拡大をしていかなければいけないだろうということでございます。
 そのためには、県有種雄牛の産子が子牛市場において高い価格で販売されることが大事であることから、今年度から、県有種雄牛のPR活動を行う専門職員を県農業研究センター畜産研究所種山畜産研究室に配置して、県有種雄牛の市場評価や枝肉成績等の情報収集、分析を専門に行いながら、それらの結果について家畜人工授精師への情報提供を実施しております。
 また、市場出荷時に、適正な発育確保に向けた飼養管理指導を徹底していこうということで、指導者向けマニュアルを作成しているところでございます。
 今後、県有種雄牛の利用拡大に当たりましては、委員から御提案のあった支援策や、他県の取り組み状況などを参考にしながら、どのような対策が有効か、研究していきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 研究していただけるということで、ありがとうございます。
 今、PRの話も出ましたが、ある一定程度広がりを見せないと、なかなかデータもとれないし、実績も上がっていかない。そういった意味で、市場に出した最初の部分で販売時の補助などが必要なのではないかという意見もいただいておりましたので、よろしく御検討いただきたいと思います。
 最後に、いわて牛の市場価値を高めていくチャンスである来年10月に鹿児島県で行われる全国和牛能力共進会について伺います。現在、新型コロナウイルス感染症により市場への影響や、県内各地の共進会が中止になったりということで影響がないか心配しております。全国和牛能力共進会鹿児島大会の準備、対応の進捗状況について、どのようになっているのかお示しをいただきたいと思います。
〇米谷畜産課総括課長 第12回全国和牛能力共進会鹿児島大会に向けた取り組みについてでございますが、県では、これまで、平成30年度に策定した第12回全国和牛能力共進会総合戦略に基づき、候補牛の計画的な生産を進めるとともに、県内10地域に、県、関係団体等で構成する鹿児島全共出品候補者支援チームを設置し、分娩前の母牛の飼養管理の指導や、産まれた候補牛の発育状況の確認など、生産者への個別巡回を実施して、きめ細やかな指導を行っているところでございます。
 こうした取り組みにより、候補牛の絞り込みを行う地区選抜会では、発育の良好な候補牛が数多く出品されてきているところでございます。
 今後は、鹿児島県まで遠距離移送になりますので、移送ストレスによる体重減少などの影響を緩和する対策を検討することとしており、次期鹿児島大会での上位入賞に向けて、生産者や関係団体と緊密に連携しながら取り組みを進めていきたいと考えております。
〇田村勝則副委員長 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇中村農業振興課総括課長 先ほど武田哲委員の集落営農組織の耕地面積に占める割合についての御質問の際に、耕地面積を14万5、000ヘクタールと申しましたが、14万9、500ヘクタールでございました。そうしますと、2万3、000ヘクタールで割り戻しますと、16%と申しましたが、15%となります。失礼いたしました。
〇佐々木努委員 2点お伺いしますが、最初に死亡牛の処理について伺います。
 畜産県岩手としては、他県に負けないように、これから牛の増頭対策をますます頑張っていただけるものと思っていますが、牛も生き物ですから、死亡牛が毎年のように発生します。初めに、県内の死亡牛の発生数と処理の状況についてお聞きします。
〇米谷畜産課総括課長 死亡牛の発生数と処理状況についてでございますが、令和2年度における県内の死亡牛の頭数は、県南地域で約2、300頭、県央、県北地域で約4、300頭、県全体で約6、600頭となっております。
 このうち、県南地域の死亡牛は、金ケ崎町にある県南家畜保冷保管施設に搬入され、その後、群馬県内の処理施設において化製処理されております。
 また、県央地域、県北地域の死亡牛については、5カ所の地域保管施設に搬入された後、青森県内の処理施設において化製処理されているところでございます。
〇佐々木努委員 県南地域の死亡牛の受け入れをしていたのは、奥州市にあった株式会社東北油化でありましたが2014年10月に破綻したということで、その後、県にも一生懸命頑張っていただき、3年後に金ケ崎町に先ほどお話があった保冷保管施設ができ、そこから定期的に群馬県に運んでいるという流れができています。そのことについては私も非常に安心しておりますが、これで全ての課題が解決されたとは思っていません。県内の死亡牛の処理について、県ではどのような課題を認識していますか。
〇米谷畜産課総括課長 死亡牛処理の課題についてであります。
 まず、県内で発生した死亡牛は現在適切に処理されておりますが、死亡牛が畜産農家の牛舎内に滞留した場合には、腐敗等により病気の原因になることもありますので、家畜衛生上、死亡牛を農場、牧場の中で滞留させないことが第1だと思います。
 それと、死亡牛の処理に当たって、その処理の費用負担が農家に過度に生じないようにすることが重要と考えているところでございます。
〇佐々木努委員 長く農場に滞留させないように、処理費用が高くならないように、それはそのとおり大きな課題だと思いますが、長く滞留させないという意味で、私は、県内処理が本来のあるべき姿ではないかと思っています。県南地域の死亡牛は、群馬県の化製場の好意によって、今は全頭を受け入れていただいていますが、これが10年後、20年後、30年後、変わらずに受け入れてもらえるという保障はどこにもないわけです。
 それから、先ほども言いました、飼養頭数がふえてくれば死亡牛ももちろん一定程度ふえていく中で、果たして青森県、群馬県でこれからもずっと受け入れてくれるか、私は非常に心配に思っています。何か大きな事故や伝染病の発生などが起きたときに、岩手県の畜産農家は大変な状況になるのではないかと思うわけです。
 以前も、非常に難しい課題ではあるけれども、県内処理ができる施設について、設置を進めるべきではないかということを求めてまいりました。そこで、県はこの場で、県内で処理できる化製場、レンダリング処理施設の設置についての検討チームをつくり関係団体と協議を進めるという話をされました。現在、どのような協議状況になっているのかと、化製場の設置の可能性を県としてどのように見ているのか、お聞きいたします。
〇米谷畜産課総括課長 死亡牛の処理について、県内処理の可能性と、以前検討していた内容についてのお尋ねかと思います。
 まずは、県内で発生した死亡牛を県内で処理することは、畜産振興上、望ましいものと考えております。
 死亡牛については、産業廃棄物でありますので、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の趣旨を踏まえると、排出者である生産者や生産者団体みずからが対応を検討していくことが重要ということで、県としては、畜産振興の観点から、生産者団体とともに、県内における死亡牛処理のあり方について検討を重ねているところでございます。
 これまで、死亡牛について、その処理方法は、埋却、焼却、化製処理の三つの方法がありますが、その処理方法について検討してきました。その中で、畜産農家の経費負担が大きくなること、あるいは、処理施設の設置について地域の理解が得られないなどの課題が挙げられたところでございます。
 県としては、死亡牛の適正処理について、畜産振興上、重要な課題であると認識しておりますので、引き続き、農業団体とともにその対応を検討していきたいと考えております。
〇佐々木努委員 これは原子力発電と一緒で、電気は使いたいけれど廃棄物は要らない、肉は食べたいけれど残渣や死亡牛を処理する施設は要らないということなのだと思いますから、住民の理解を得るのは大変なことですし、農林水産省は見解として、これから新たな化製場をつくることはなかなか難しいと言っています。難しいとは言っていますが、やはりこれはこれからの大きな課題として、畜産課には積極的に議論を重ねていってほしいと思います。10年かかるか、20年かかるか、30年かかるか、それはわかりませんが、諦めないでこの協議を進めて、できる限り早い時期に、県内で安心して住民の理解を得られるような形で処理ができる体制をつくってほしい。その協議を不断に行っていってほしいと思いますので、よろしくお願いします。
 次に、米の消費拡大について伺いたいと思います。
 先ほど来、米価の下落によって大変な状況で、さまざまな支援が必要だという議論がありました。私もそのとおりだと思います。人口減少、食生活の変化、これらが米の消費減退を招いていることは間違いないことで、これからよほど輸出を強化するなどしない限り、米の消費量は絶対に上がっていかないと思っています。
 しからばどうしていくかということですが、県としても、さまざまな米の消費拡大に取り組んでいただいているようです。令和2年度の取り組みと成果、今年度の取り組みの状況について、簡単で結構ですのでお知らせください。
〇佐藤県産米戦略監 米の消費拡大に係る令和2年度の取り組みと成果、令和3年度の取り組み状況についてでありますが、県では、健康的な食生活を支える御飯食への理解増進と県産米の消費拡大を進めるため、岩手県食育推進計画や、いわての美味しいお米生産・販売戦略に、食べよう!いわての美味しいお米運動を位置づけ、令和2年度にあっては、児童生徒等への食育推進を初め、家庭での米消費の増加を捉え、県内外の若者や子育て世代の消費者等に向けて、県内で販売されるこだわりのおにぎりを紹介するおにぎり図鑑や、SNSを活用した岩手白米百景により、県産米と県産食材を組み合わせたメニューを紹介するなど、米の消費拡大につながる取り組みを進めてまいりました。
 これまでの取り組みにより、学校での米飯給食の回数は、5年前の平成27年度は週に3.8回から、令和2年度は週4.1回に増加しております。また、総務省家計調査による盛岡市の2人以上世帯の米購入数量は、令和2年度は年間71.6キログラムで、全国5位となっており、全国平均の64.2キログラムを7.3キログラム上回っているところでございます。
 本年度は、これまでの取り組みに加え、新たに、県内の量販店において、金色の風、銀河のしずくを活用した弁当の販売や、コンビニエンスストアでの銀河のしずくのパック御飯の販売など、県産米の消費拡大に取り組んでいるところでございます。
〇佐々木努委員 県も一生懸命やっていただいていると思います。米飯給食の話が出ました。私は教育委員会の審査のときにも、完全米飯化に向けて県教育委員会も積極的に取り組んでほしいという話をしました。そのためには、農林水産部にも頑張っていただかなければだめだと思います。ただ米飯給食にしてくれと言うだけではなく、週4.1回ですから、残りの0.9の分、県として何か支援を考えるとか、そういうものも検討する余地があるのではないかと思いますので、ぜひ検討していただきたいと思います。
 それから、米を食べてください、買ってください、これはどれだけPR力があるかということも大事だと思います。これまでも、県では、いわて純情米の販売促進のために、さまざまなキャラクター等を使った広報宣伝をしているわけですが、その中に、のんさんという女性を使ったCMがよく流れています。今月の1日からは、新しく、のんさんと子役の人がおコメディアンズになって、米の宣伝をしていますが、のんさんを使うことによって何か効果が上がったことはあるのでしょうか。
 前にも千葉絢子委員が取り上げましたが、正直、私は、のんさんは米の宣伝には合わないと思っているのです。これは私だけの感覚かと思ったら、うちの家族は、のんさんのCMが流れるとみんな顔をしかめるのです。なんかがちゃがちゃして、銀行の宣伝なのか、米の宣伝なのか、印刷会社の宣伝なのか、何の宣伝なのか全く頭に入ってこなくて、ちょっと見るに耐えないというような話をするわけです。私の家族だけかもしれません。皆さんは楽しくていいと思うのかもしれませんが、私は、あれで本当に宣伝になるのかと、最近特に感じました。
 なぜ、のんさんを使わなければならないのですか、その理由を教えてください。
〇佐藤県産米戦略監 のんさんについては、連続してCM等に出演いただいている経緯がございますが、一番は、JA全農いわてとアンバサダーという役職で契約されていることが影響して、いわて純情米のCMでも、のんさんが起用されていると思います。
〇佐々木努委員 それ以上言うといろいろありますから言いませんけれど、県は、いわて純情米需要拡大推進協議会の構成員になっているわけですから、消費者からの意見を踏まえて、CMのあり方をもう少し検討する必要があるのではないかと思います。芸能人の方々を使うことは、どこの県でも行われていますが、それ以外にもっと何かいい方法がないか、いい広告塔がいないかということをもう少し考える必要があるのではないですか。
 平成8年度に、岩手県にすばらしい米の広告塔があったように記憶しているのですが、農林水産部長は記憶にありますか。
〇佐藤農林水産部長 平成8年度ですと、私の記憶が正しいかどうかですが、お米ブラザーズの話でしょうか。そういうことは記憶しております。
〇佐々木努委員 当時、私も公務員だったので、あれを見たときに、すごい人たちがいるものだと、本当に驚きました。まさに体を張って米の消費拡大に頑張っていただいた。私はあの功績は大きかったと思います。芸人を使うことも結構ですが、まさかこの人たちがという方々が、おかしな格好をして、おかしなというか、本当に米を売るために体を張って、さまざまな場所で宣伝をするということ、あれは本当にすばらしい活動だったと思います。
 そういう宣伝の仕方も考えていったほうがよいのではないか。そういう方々が、例えば小学校や幼稚園に行って、お米はとても体にいいよと普及していくことによって、子供たちが家庭に戻って御飯をたくさん食べることにつなげるとか、そういうことをしていかないといけないと思うのです。ただ芸人や女優を使ってCMを流すだけでは、米の消費や地名度が上がるということにはつながらないと思います。
 ぜひそういうことも、これから検討していただけないかと思うのですが、どうでしょうか。
〇藤代農政担当技監兼県産米戦略室長 先ほど学校給食のお話がございました。米飯給食の回数を週4.1とお答えしましたが、中身を見ますと、415校ある小中学校、特別支援学校のうちの92%が4回以上使っているという中身になっていますので、これをどう上げていくか。あるいは、残りの32校は4回未満という形になるので、そこに対してどういうアプローチができるか。給食のない学校もありますので、そういう個別具体のターゲットを見ながら、米の消費をアプローチしていく必要があると思っています。
 先ほど来、のんさんの話も出ておりましたが、JA全農いわてのアンバサダー、あるいは、今回のCMもJA全農いわて独自の取り組みという形で放送されているところでございます。
 どのような方にどういうアプローチをしていくと米消費が伸びていくか、あるいは需要が拡大していくかについては、関係者の方とさまざま議論しながら、より効果的な対応について検討していきたいと考えております。
〇千葉伝委員 佐々木努委員から、死亡牛の処理の関係の質疑がありました。畜産課ではさまざま検討しているということですが、私からも、佐々木努委員一人がこれを頑張っているということではなくて、岩手県の畜産人口を考えたら、どこも同じ状況を抱えていると考えてこれを進めるべきだという観点で質問いたします。
 今、岩手県は、自分の県で処理できない状況になっている。そういう施設がない。だから、他県に持って行って処理をしているという状況です。それで岩手県は畜産県と言えるのかと思うところであります。
 したがって、この件については、県が全部そういうことをやれということではないのです。関係者がいろいろ検討していると先ほども答弁がありましたが、検討はしていても、ほとんど進んでいないのではないでしょうか。確かに難しい問題を抱えているのはわかります。でも、これはどこでも必要なものだという認識は、関係者、団体も含めて持っている。それを、できないで終わらないで、どうすればできるか、ここをやっていくのが行政の指導なりやり方ではないかと思います。
 したがって、最終的に、畜産の死亡牛の処理は、自分のところで生産したものは自分のところで処理をするという原則のもとに、ぜひ関係者で考えていただきたいと思います。
 先ほど伝染病の話が出ました。これは、今処理している県のほうで何か伝染病が発生すると─牛の関係では口蹄疫とかあります─全部移動がストップする。持って行けない。岩手県で出た場合、ほかに移動できない。では、どうするのかという話になるので、処理の施設を早くみんなで考えてつくらなければならないという方向で、ぜひ進めていただきたいと思います。
 そういう観点で、団体、JA、市町村、それから県で、ぜひ早く進めていただきたいと思うのですが、農林水産部長に、これからの考え方を含めてお聞きしたいと思います。
〇佐藤農林水産部長 死亡牛の処理の関係ということで御質問をいただきました。
 畜産課総括課長からも答弁いたしましたが、畜産県岩手でありますので、それだけの畜産を生産しているということで、そちらの最終の処理も、自県内で処理するというのは、畜産振興上、望ましい形はそのとおりと考えております。
 死亡牛自体は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律で定める排出者の責任でありますので、生産者みずからが考えていかなければならないところもございますが、なかなかそちらの話が進んでいないのも、そのとおりでございます。
 平成28年度に一応検討会を設置しまして、内部的には7回開催し、埋却処理ができないか、焼却処理ができないか、化製処理ができないかという詳細な検討をしました。その際は、なかなか具体的な処理の方向性を見出せる状況ではなかったところではございますが、畜産振興を標榜する岩手県として、自県内の処理を考えていかなければならない重要な問題だと考えておりますので、引き続き、関係団体等とも連携を密にしながら、死亡牛処理のあり方について検討を進めてまいりたいと考えております。
〇千葉伝委員 先ほどから言っているとおり、岩手県は畜産県だと胸を張って言える県にぜひしていきたいと私自身も思っております。関係の皆さんも、そういう覚悟でこれを進めていただきたいと思います。
 岩手県はかなり広い面積があって、どこにつくるか。公用地なりいろいろ、場所はいっぱいあるのではないか。ただ、その周辺を含めた環境や水、それから、建物を建てればどうやって運営していくのか、人はどうするのか、いろいろな問題を抱えて、きちんとやらなければならないのは重々わかっています。ほかの県の状況をもう少し勉強もしながら、本県でぜひ早くこれができるように頑張っていただきたいと、これは要望です。
〇菅野ひろのり委員 先ほど死亡牛処理の関係がありました。過去に奥州市江刺にもあったわけですが、その中から、これは非常に専門的、そして特殊な業界であるから、先輩議員から、慎重に検討すべきという御指導をいただいていたところでありました。畜産県であるから必要だということは私も理解しますが、そういった背景も考慮しながら進めていただきたいと思います。
 そして、全国和牛能力共進会の関係について私からも質問します。
 畜産課総括課長が、先ほど、高い価格という言葉をおっしゃられました。それで、今回の全国和牛能力共進会鹿児島大会の目標について、上位3位入賞という答弁があったと思いますが、そもそも何のために全国和牛能力共進会に出品して、上位目標を掲げて、その結果、県はどのような成果を期待するものなのでしょうか。
〇米谷畜産課総括課長 全国和牛能力共進会に出品する目的と期待する成果についてのお尋ねかと思います。
 まず、全国和牛能力共進会は、各県の和牛の状態や肉質などの改良の成果を全国一堂に会してみんなで確認し、それを競い合う場と考えております。それが全国規模の大会でございます。
 この全国和牛能力共進会で上位入賞するということは、まず県有種雄牛の能力の高さ、あるいは県産牛肉の品質の高さを県内外にアピールする絶好の機会だと捉えております。全国和牛能力共進会で上位入賞することにより、その後の県産の子牛あるいは牛肉が市場から高く評価され高く購買されることにつながるであろうと考えておりまして、今回の全国和牛能力共進会に向けましては、上位入賞を目指して鋭意取り組んでいるところでございます。
〇菅野ひろのり委員 県の皆さんには、一生懸命取り組んでいただいておりますが、私の問題意識は、価格に直結する事業をそれぞれ組み合わせながらどのように行っていくのかだろうと思っています。
 先ほど佐々木朋和委員から、補助制度の説明等もありました。やはり、種雄牛の価値が向上し、それを使うメリットをどんどん積み上げていかなければいけないと思っています。しかしながら、先ほどの種雄牛の使用状況では、九州地方の民間の使われ方が非常に多いと言われました。数字は特に結構ですが、県の種雄牛の使用割合は伸びているのでしょうか、下がっているのでしょうか。どういう傾向でしょうか。
〇米谷畜産課総括課長 種雄牛の使用割合でございますが、供給本数では、今10%から15%の間のところでございます。
〇菅野ひろのり委員 力を入れていただいていますが、9割はほぼ県の種雄牛ではないということです。県の畜産農家が求めることは、牛の状態が大きくなって肉質が評価され高値で取引されること、これは誰もがそうだと思っています。私は一般質問でも発言しましたが、それに直結する目標が上位入賞ということでは弱いと思っています。菊福秀が評価され、前沢牛のブランド価値が向上した経緯を踏まえれば、やはり一番をつくっていく体制を考えていかなければいけないと思っています。
 それで、岩手県酪農・肉用牛生産近代化計画がありますが、この計画は、生産基盤を整えるのが主になっているのだろうと思っています。なぜ、これにその付加価値を上げる、あるいは種雄牛の関係、価値を上げていくことを記載していかないのか伺います。
〇米谷畜産課総括課長 岩手県酪農・肉用牛生産近代化計画に改良等の目標を記載していないというお尋ねかと思いますが、岩手県酪農・肉用牛生産近代化計画は、生産性の関係を指標として目標を掲げております。肉用牛であれば増頭と飼養頭数等々を挙げていますが、取り組みとしては、和牛の改良に係る増体、肉質等の改良、消費者あるいは市場のニーズに合った牛肉をつくる取り組みを進めていくということは掲げてございます。
〇菅野ひろのり委員 やはり先ほどの生産基盤、コスト低減、補助制度などを複合的に絡めていかないと、県内の畜産の価値は保たれていかないと思っています。それを行っていきながら数を確保していく。
 そして、もう一点お伺いしたいのですが、数を確保したときに大事なのが、やはりブランド化であります。各単協それぞれに、例えば奥州牛であるとか江刺牛、いろいろなブランドがあるわけですが、令和2年12月定例会の岩渕誠議員の一般質問の中で、いわて牛のブランド化はどのような進捗かということで、必要な環境の整備をしていくという答弁が農林水産部長からありました。岩渕誠議員からは初めてそんな前向きな答弁をいただいたと、驚くような内容だったと記憶しておりますが、今の進捗はどのようになっているかお伺いいたします。
〇似内流通課総括課長 私から、いわて牛のブランド統一の取り組みの現状についてお話しさせていただきます。
 JA、市町村等で構成しているいわて牛の普及推進協議会において、いわて牛のブランド統一に向け、農協系統外の出荷組合や団体の入会促進の取り組みを進めてきたところであります。これまで、農協系統外の出荷組合や団体の入会の意向を確認するとともに、既存の会員団体、主にJAですけれど、意見交換を行いまして、会員を受け入れる環境整備に取り組んできたところでございます。
 具体的には、今般、岩手県家畜商業協同組合、岩手北上肉牛出荷組合が、いわて牛普及推進協議会に入会することになり、ことし10月23日の第24回東北・北海道連合肉用牛枝肉共進会を皮切りに、いわて牛の出荷が農協系統外で始まる予定でございます。
〇菅野ひろのり委員 畜産の質問はこれくらいにしますが、今の流れでは、生産、そしてロットを確保しブランド化して販売していく、さらには輸出に向けて取り組んでいくことになっていくのだろうと思います。一貫性を持ってその取り組みを進めていただきたいと思います。
 そして大きく2点、質問がかなり重複していますので、自然災害対応という観点と水田活用という2点の観点から質問していきたいと思います。
 まず、令和2年の大雪被害について、これはさまざま御答弁がありましたので了解したいと思います。
 その中で、自然災害と言いますと、ことしはリンゴの霜被害があったわけです。4億円近い金額です。この災害復旧の対応というのでしょうか、災害復旧事業が基本となって、今回は品質低下を抑える薬剤散布やスプリンクラーを補正予算で組んでいただいたと記憶しています。ありがとうございました。
 一方で、販売支援、経営支援、これはどうしても農家から要望があります。各単協で取り組んでいるところもありますが、私はここも県において検討あるいは踏み込むことを考えていってもよかったのではないかと思っていますが、御見解を伺います。
〇似内流通課総括課長 被害果リンゴの販売支援策について答弁させていただきます。
 被害果リンゴの販売促進については、県と生産者団体で構成している岩手県青果物生産出荷安定協議会で、消費者に対し食味に変わりがないことを伝える商品ラベルや、店頭でのPRに使用するリーフレットなどを作成し、現在、県内外の量販店やスーパー等において被害禍リンゴを販売していますが、それらにラベル等を添付させていただいております。
 また、県職員向けには、9月29日に県庁内において販売会を始めましたし、本日10月22日には一関地区合同庁舎で、また来週10月26日には奥州地区合同庁舎で、販売会を開催することとしております。
 さらに、県内テレビ局との連携によりまして、10月16日に盛岡市内で、県の、いわて暮らしアンバサダーである天津木村さんによる被害果リンゴの販売会の開催など、積極的な購入を働きかけております。
 今後も、生産者の所得向上が図られるよう関係団体と連携して、被害果リンゴの販売に関する取り組みを支援していきます。
〇菅野ひろのり委員 今度は芸人さんにやっていただくということですか。
 それで、どの災害もそうですが、農業経営においては、収入がいつも問題になるわけです。お米もそうです。リンゴもそうです。今の制度では、農家の収入減少において、必ず収入保険制度の対応になるということですが、この加入状況とセーフティネットの拡充についてお伺いしたいと思います。
 収入保険制度の本県の状況は、加入している方が2、444という資料をいただきました。農林業センサスでは、4万ある中の2、000ちょっとで、まだまだこの制度は限定的だと思っています。生産規模に関係なく、幅広い農家を救済するセーフティネットが必要ではないかと思いますが、県はどのように考えているでしょうか。
〇中野団体指導課総括課長 農業経営においては、農業者が農業共済、米等のナラシ対策、収入保険などのセーフティネット制度を経営形態等に応じて選択、活用し、収量や収入の減少に備えることが重要であると認識しております。特に収入保険については、個別品目の枠にとらわれずに、農業経営者ごとに収入全体を見て総合的に対応し得る制度で、農業共済と連携して加入を推進しているところでございます。
 一方、農業者の皆様からは、収入保険に係る例えば青色申告の実施等の加入要件が、加入に際してのハードルという声もあることは承知しているところでございます。
 このため、県では、国に対して、北海道や東北地方の各県と連携して、総合的かつ効果的なセーフティネット対策のあり方について、農業者個々が経営内容に応じて加入し、みずから災害や農産物の価格低下に備えることができるなど、農業者の視点に立って制度の見直しを図るよう提言しているところでございます。
 引き続き、さまざまな機会を通じ、総合的かつ効果的なセーフティネット対策について、国に対して要望していきたいと考えております。
〇菅野ひろのり委員 リンゴの関係では、佐々木順一議員の一般質問において、保険料の助成なども必要ではないかということがありました。私も独自に他県の事例を調べてみると、東京都は新規加入者が負担する保険料について、2分の1を負担するというような制度の拡充など、いろいろ工夫しているところがあるようです。ぜひ、そのような災害に対する収入保険、収入に対する制度を拡充してもらいたいと思います。
 次に、水田の活用についてであります。
 山下正勝委員から、いわて型野菜トップモデル産地創造事業について質問がありました。この制度のスタートは、減反廃止の中で水田をどう高収益作物の転換につなげていくのかという事業だったと記憶しております。これは、実際に水田から、高収益作物等にどの程度転換されてきたのか、総括的な事業の評価をお伺いしたいと思います。
〇佐々木農産園芸課総括課長 高収益作物への展開についてでございます。
 いわて型野菜トップモデル産地創造事業により、県内では、八幡平市、花巻市、奥州市などで水田等への高収益野菜の作付拡大が行われているところでございます。事業実施地区においては、水田に、ニンニクやタマネギ、ネギなどの野菜が、新たに12ヘクタール作付されたところです。さらに、こうした取り組みの影響を受け、周辺地域においても、水田にタマネギが新たに16ヘクタール作付されるなど、野菜の作付が着実に拡大してきていると認識しております。
 全国的に米の需要が減少する中、引き続き、水田フル活用により農業者の所得向上が図られるよう、いわて型野菜トップモデル産地創造事業で得られた成果を波及させるなど、水田等への高収益野菜の作付拡大を積極的に進めてまいりたいと考えております。
〇菅野ひろのり委員 事業の設計、事業のあり方として、水田から実際に畑作は進むものですか。
〇佐々木農産園芸課総括課長 水田から畑作、野菜等への転換でございますが、まず課題となりますのが、初期投資の話ということでございます。それからもう一つ、排水性の問題がございます。そうした部分を課題認識のもと、県としては、トップモデル地区において、集中支援チームを設置し、排水性等々のきめ細かい指導を実施しているところでございます。初期投資については、既存の国庫事業あるいは県単独事業を活用して、支援してまいりたいと考えております。
〇菅野ひろのり委員 具体的な御答弁をいただけなかったかと思っています。課題意識は、米価下落も、離農も、今は耕作放棄地とは言わないようですが、そのような増加傾向がある中で、岩手県の農地をどう守り、受け継いだものをどう有効活用していくかということが大きな課題だと思います。
 県の事業を見ますと、100%近く国の事業を活用してという内容になっています。これは農林水産部長にお伺いしたいのですが、県でできること、そして国に求めていくことは、きっと切り分けてあるのだろうと思うときに、本県の農地や離農の状況、農村の状況を複合的に考えていただいて、県として国に求める具体的な対策は、今どういうものを求めているのでしょうか。
〇佐藤農林水産部長 国に求める農地の関係の対策ということでございます。
 本県は、農業経営体の約7割が米生産に携わっているということもございますし、農業産出額の約2割ということで、地域農業を支える大事な役割を担っているということでございます。
 米の生産流通については、何回か答弁でも申し上げておりますが、都道府県単位で完結するものではございませんので、国全体で対策を考えていただくことが重要であると思っておりまして、これまでも実効的な過剰米への対応や消費喚起策、需要拡大などを要望してきたところでございます。
 国に対しては、引き続き、農業者が意欲と希望を持ってこの先も営農活動が続けられるような施策を求めていきたいと考えております。
〇菅野ひろのり委員 今御答弁いただいた中で、農業政策というのは国と県、本当につながっていると思います。高齢化と農地の離農は本当に大きな問題で、家族経営にも影響が出ていると思っています。
 先ほど農業者戸別所得補償制度の話が出ました。一つだけ申し添えておきますと、2010年の民主党政権のとき、御指摘いただいたように一時的に価格は下落しました。1万2、500円くらいだったと思います。その後、2012年には1万6、500円というように、ここ10年でも非常に高い価格になっております。また、農業者戸別所得補償制度が廃止になってから大幅に下落したという経緯もあります。大きな米価の下落の要因は、農業者戸別所得補償制度というより、在庫や需給バランスによると思っています。
 いずれ、規模に関係なく、大規模であっても小規模であっても、一般的な収入を支えながら、ある一定の農業経営ができるベースをつくっていかなければ、岩手県のように中山間地域が多い県の農業は守っていけないと思っています。
 平野部の農業、中山間地域の農業、家族の農業、企業の農業、それらをしっかりと見ながら、農業政策を県として組み立てていただいて、必要な部分は国に要望していただきたいと思います。
〇田村勝則副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後2時24分 休 憩

午後2時42分 再開
〇田村勝則副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇斉藤信委員 それでは、コロナ禍による米価の大暴落についてお聞きします。
 まさに今、農村、農業、農家の存亡の危機に直面していると言っても過言ではない事態だと思います。先ほど、米価下落の影響について答弁がありましたから、確認のためにお聞きします。
 2.1ヘクタールの平均的な耕地面積の農家は44万円の減収、10ヘクタールの農家は220万円の減収、令和2年、令和3年の2年間を合わせると、2.1ヘクタールで60万円、10ヘクタールで286万円の減収ということで間違いありませんか。
〇佐藤県産米戦略監 間違いございません。
〇斉藤信委員 そうすると、100ヘクタールの集落営農では、ことしの下落で2、200万円ということになります。2年連続を合わせると2、860万円の減収と、本当にこれは耐えられない減収ですが、昨年度と今年度の農家の減収の総額はどうなりますか。
〇佐藤県産米戦略監 県全体の減収の総額ということでございますが、この減収額については、米価下落による減収額がございますが、ただ、それに対しまして、ナラシ対策とか収入保険とか、そういう生産者に補填される金額を除いたものと捉えるべきと考えております。しかしながら、この収入保険については、米だけの補填額を算定することが困難であるということで、その減収額、影響額についてはお示しできないところでございます。
〇斉藤信委員 収入保険はわからないということですか。ナラシ対策もわからないのですか。今の時点で純粋に減収の総額は幾らになりますか。
〇佐藤県産米戦略監 純粋と申しますと、総額の概算金の減額に対し、民間流通であるお米の量が約19万トン(後刻「17万トン」に訂正)ありました。それに単純に掛けますと、約65億円の金額になるところでございます。これは令和3年度になります。令和2年度については、まだ計算しておりません。
〇斉藤信委員 計算してください。さっき言っておいたのに。
 それでは、純粋な額は後で示してください。今、令和3年度の金額が出ましたが、令和2年度決算なのだから、令和2年度は確定しているのだから、これはきちんと出していただきたい。
 それで、生産費を賄えない農家の現状について、作付規模、農家数、率を示してください。
〇工藤水田農業課長 米生産費が賄えない農家の現状について御答弁申し上げます。
 最新値となります令和元年産の東北地方の米生産の作付規模別の自作地地代等を含む全算入生産費は、3ヘクタールから5ヘクタールの作付規模で10アール当たり11万6、689円、5ヘクタールから10ヘクタールの規模では10アール当たり10万964円となっております。
 令和3年産のひとめぼれの9月の相対取引価格をもとに、9月25日現在の国の作柄概況で示された本県の10アール当たりの予想収量555キログラムを用いて、10アール当たりの収入額を試算すると11万3、809円となり、5ヘクタール以上の規模で生産費を上回る状況となっております。
 それで、件数ですが、5ヘクタール規模未満の経営体数は、2015年農林業センサスの数字ですが、約3万3、000戸となっておりまして、割合は96%となっております。
〇斉藤信委員 5ヘクタール未満の農家は全体で96%です。これが今回の米価の下落で赤字になり、大変深刻です。昨年の米価下落では、たしか3ヘクタール未満でしたが、今回の下落では5ヘクタール未満は全て赤字と、大変深刻な実態だと思います。
 ナラシ対策、収入保険の加入状況、率を示してください。
〇工藤水田農業課長 まず、ナラシ対策の加入状況等について申し上げます。
 ナラシ対策の加入状況については、令和2年産の加入面積は、主食用米の作付面積4万8、200ヘクタールの約36%で1万7、507ヘクタールとなっております。
 令和3年産のナラシ対策の加入面積は、10月中旬に国から公表される見込みでしたが、国によると11月以降に公表を延期するということですので、現時点で答弁を申し上げることは難しいところでございます。
〇中野団体指導課総括課長 主食用米の作付に係る収入保険の加入状況でありますが、令和2年産の収入保険の加入面積は8、950ヘクタールで、その作付面積に占める割合は18.6%。令和3年産の収入保険の加入面積は1万2、046ヘクタールで、その作付面積に占める割合は26.1%となっております。
〇佐藤県産米戦略監 先ほど、令和2年度の減収額ということで、単純に概算金の金額を民間流通に掛けた数値ですと、約22億円ということになります。
 それから、私、先ほど、民間流通が19万トンと申しましたが、17万トンの誤りでございます。済みませんでした。
〇斉藤信委員 わかりました。純粋な減収額は、2年間で合わせると87億円ということになりますね。
 それで、今回、飼料用米への転換をしたわけですけれど、飼料用米への作付状況はどうなっているでしょうか。
 あわせて、飼料用米の場合、国が10アール当たり5、000円、県も今回5、000円を上乗せしました。主食用米の価格と比較するとどうなりますか。
〇工藤水田農業課長 まず、飼料用米の作付状況でございますが、農林水産省が9月15日時点として公表した令和3年産の水田における作付動向によりますと、本県の令和3年産の飼料用米の作付面積は約4、700ヘクタールと、令和2年産と比較して約1、100ヘクタールの増となったところでございます。
 今年度実施した水田フル活用農業高度化プロジェクト事業については、10月14日現在の申請面積として約1、000ヘクタールとなっております。これは飼料用米と野菜、雑穀、この3品目が対象となっており、合計で約1、000ヘクタールという集計をしております。
 この助成額は全体で5、000万円になりますし、別途、国から、都道府県連携型助成として同額が支給されるために、合計で約1億円の助成となる見込みです。
 それで、主食用米との比較は、今、していないところでございます。
〇佐々木農産園芸課総括課長 飼料用米と主食用米との価格の差でございますが、飼料用米においては、今答弁申し上げました都道府県連携型助成のほかに、国の水田フル活用の交付金から、戦略作物助成等々が入ります。我々の試算では、主食用米とほぼ同等の10アール当たり収量が確保できるというものでございます。
〇斉藤信委員 主食用米とほぼ同等ということは、下落した主食用米とほぼ同等ということですか。
〇佐々木農産園芸課総括課長 主食用米と同等というのは、昨年度の主食用米の価格ということでございますので、試算ではありますが、本年度の分より上回る水準と考えております。
〇斉藤信委員 米価の下落によって飼料用米の価格のほうが高くなるという異常な事態だということだと思います。
 そこで、今回の米価の下落は農家の責任ではなく、主に、コロナ禍による需要の減少によってもたらされたものである。しかし、農家に責任がないのに、この需要減の責任を農家に押しつけているのが、今の自由民主党の農業政策である。いわば、そういう点でいけば人災なのです。
 昨年、アメリカは、新型コロナウイルス感染症対策で2兆1、000億円の緊急支援策を決めました。そのうち1兆7、000億円は農家への直接支援であり、3、300億円は食肉、乳製品、野菜の買い上げを実施しました。EUでも、そのようにして余った農産物を買い上げて困った方々に支援する、これを当たり前のように行われているのです。
 日本だけなのです。コロナ禍による需要の減少により米の余剰があっても買い取りもしない。なぜかというと、国民の食糧、主食というものを安全保障という立場で考えていないからなのです。アメリカもEUも、食糧というのは国の安全保障の柱なのです。そういう考え方がないから、今回のような米価の大暴落があっても何の手だてもとらない。
 北海道と東北地方の農業協働組合中央会の会長の連名により、この余剰米を買い上げて市場から隔離すべきと要請しています。全国知事会も備蓄米をふやせと要求しています。農家も要求しています。私は、これは当然の要求だと思います。いわば、市場から隔離しなかったら、在庫米がことしも来年も残るのです。来年も下落するのです。しっかりこれは隔離して私は解決しないといけないと思うけれど、いかがですか。
〇藤代農政担当技監兼県産米戦略室長 米の需給関係でございますが、米の需給と価格の安定に向けては、国全体での対応が重要と考えています。このため県では、先月、国に対し、国指導による実効的な過剰米への対策や消費喚起などの重要拡大対策を推進するよう、強く要望しているところでございます。
〇斉藤信委員 何かあっさりした答弁でしたが、農林水産省と与党は、民間保管に補助金を出すという提案をしております。民間保管に補助金をかけても、在庫米はそのままなのです。これでは全く解決されないと思いますが、いかがですか。
〇佐々木農産園芸課総括課長 与党で言われている制度等については、県として、新聞報道以外に今情報を持っておりませんので、コメントは差し控えさせていただきます。
〇斉藤信委員 総選挙の中でこの米価下落の問題についてしっかりした対策を示さない、こんな無責任なことはないと思います。本当にこれは無責任であり、この米価の下落は改めて人災だと、私は厳しく指摘しておきたいと思います。
 それで、私はこの間、米どころの岩手ふるさと農業協同組合、岩手江刺農業協同組合、JA岩手県中央会の会長、副会長などと懇談をしてまいりました。共通して、こんなときに77万トンのミニマム・アクセス米を全部輸入するなんて考えられないと。ミニマム・アクセス米というのは義務輸入ではないのです。輸入機会を確保するというだけなのです。お隣の韓国は全額輸入などしていないのです。米がこれだけ余っているときに77万トン輸入することは、あり得ないではないですか。余ったお米も、加工や海外支援に回すということは、当たり前のことではないのですか。そう思いませんか。
〇佐々木農産園芸課総括課長 県では、ミニマム・アクセス米について、主食用への仕向け量が増大した場合は主食用米の価格低下が懸念されることから、国に対し、毎年度、国内需給に影響を及ぼさないための対策を講じるよう要望しているところでございます。
〇斉藤信委員 それで、私がもう一つ指摘しておきたいことは、今回の米価下落が引き起こされた直接的な要因は、2018年に政府が生産調整から撤退して農業者任せにしてきたことです。いわば米の需給の責任を放棄してしまった。余ったら農家の責任、これが自己責任の自由主義なのですよ。こういう農業政策の転換が今強く求められていると思います。
 時間がなくなりましたので、二つの問題を最後にお聞きしたいと思います。
 県議会で請願も採択されました。こうした米価下落と農家の減収に対する県の支援策についてお聞きしたい。
 もう一つは、制定された岩手県主要農作物等の種子等に関する条例に基づく取り組みについてお聞かせください。
〇佐藤県産米戦略監 米価下落と農家の減収に対する県の支援策についてでありますが、米価の変動を受けた生産者の経営安定と県産米の需要拡大が重要であることから、県では、生産者の経営安定に向け、経営継続に必要となる資金の円滑な融通や、既往債務の償還猶予等が図られるよう県内の金融機関に対し要請したほか、広域振興局や農業改良普及センターなどに相談窓口を設置し、生産者からの経営相談や活用可能な無利子資金の周知等を行っているところでございます。
 また、量販店と連携したキャンペーンなど、県産米の販売促進や消費拡大に向けた取り組みを進めており、引き続き、関係団体と連携しながら、生産者の経営安定が図られるよう積極的に取り組んでいきます。
 さらに、今定例会において追加提案を予定している補正予算において、生産者の経営安定に向けた資金繰り支援や、観光キャンペーン等と連携した県産米の需要拡大に取り組んでいくこととしております。
〇工藤水田農業課長 岩手県主要農作物等の種子等に関する条例に基づく取り組みということでございます。
 県では、本年8月に、条例第7条に基づき、令和5年産小麦の種子生産補助として約115ヘクタールを指定するとともに、農業改良普及センターにおいて、優良種子の安定生産に向けて、種子生産者に対して、育苗、施肥、病害虫、雑草防除、収穫などを指導しております。
〇斉藤信委員 では、一言だけ。きょう県議会議員に示された令和3年度岩手県一般会計補正予算(第8号)で、銀河のしずく等を主には県外の方にお配りするということですが、どのくらいの米の量を考えているのですか。
〇藤代農政担当技監兼県産米戦略室長 県内の方は日ごろから県産米を食べていらっしゃるだろうということで、今回の補正予算では、主に県外の方を中心に試供品等をお配りして、なるべく試供品を通じて県産米のおいしさを感じていただき、さらに2キログラム、5キログラムのお米を買っていただきたいと考えております。試供品に考えているお米の量は、今時点では約130トンと考えているところでございます。
〇臼澤勉委員 先ほど、米価の影響額が65億円という答弁がございました。これは流通量が17万2、000トンくらいのところで2、300円の下落からはじいたという話もございましたが、この影響額というのは、なかなか単純に数字を試算できないのかと思います。流通経路も、もうJAだけではなく、商社の流通経路も入れての価格だと思いますし、有機栽培米などもあります。私が一般質問をさせていただいたときには、試算は77億円でしたが、県の試算は65億円ということで、どちらが正しいのか、改めてお伺いいたします。
〇藤代農政担当技監兼県産米戦略室長 本県でとれるお米の全体量は、ことしの国の予想収穫量からいくと25万トン程度と発表されています。その中で農家の方が自家消費する分、あるいは縁故米で使う分が7トンから9トンくらいあるかと思います。
 減収額ということでしたので、そういったものを除いて残った17万トンについて、それが全てJAを通るという前提のもと、概算金同等額が下落した場合ということではじいたものでございます。
 17万トンの中には、おっしゃるとおり、今、JAの取り扱い量が12万トンなり13万トン程度だったと思います。若干民間流通の部分を含んでいますので、そういったところはまた違う価格変動をするかというように考えています。
 これはあくまで、そういう前提を置いた中での試算という形で捉えていただければと思います。
〇臼澤勉委員 いずれ流通量全体の中で農家の方が自家消費する分は除いた部分の計画出荷数量といいますか、JA系、商社系も含めた全体の量を掛け合わせて出していると思いますし、その辺の備蓄米も除いた形で、私の試算では77億円ということを指摘します。
 収入保険やナラシ対策で6万6、000トンとか9万7、000トンを引いて、ある程度またその辺の影響額というものが出てくると思いますけれど、数字というのがすごく大事な部分になりますし、その影響額を県としてどのように把握するかによって、今後の対策という部分に大きく影響してくると思いますので、ぜひその辺はしっかりとまた分析を丁寧にしていただきながら、次の対策に取り組んでいただきたいと思います。
〇千田美津子委員 きょうはかなり幅広い議論がなされておりましたので、かぶらない点で質問させていただきます。
 一つは、パイプハウスの大雪被害対策で、午前中の質疑では、被災した6、000件のパイプハウスのうち支援を受けるのは約3割だと思ったのですが1、900件、そしてそのほかは共済と自己資金で対応という答弁がありました。
 それでは、これまでの事業の申請状況、決定状況はどうなっているでしょうか。できれば、国事業の強い農業・担い手づくり総合支援タイプ、県上乗せの産地緊急支援タイプ、県単独事業のいわて型被災農業者支援タイプ、事業ごとにお答えいただければと思います。
〇中村農業振興課総括課長 約1、900件が事業を要望しているということでございますが、中心経営体に支援する国の事業の強い農業・担い手づくり総合支援で約450件、それからパイプハウスの資材等を活用しての関係では約400件、また畜産関係の事業も一部ございますのでこれが数件ございますし、また県単独での事業が約1、000件ということでございます。
〇千田美津子委員 今の数字は間違いないですか。いただいた資料と件数が異なっていたので、確認です。
 それから、申請とあわせて決定の状況、多分もう補助金を支払いされた部分もあると思いますので、これまで決定された分はどの程度なのかお知らせください。
〇中村農業振興課総括課長 先ほどの数字は、全体1、900件のうちの事業ごとの割合でございまして、委員にお示ししたものは、そのうちのパイプハウスということで、パイプハウスは合計約1、200件という状況になっております。
 そのうち要望で事業が完了したものでございますが、国の事業も1回目、2回目、3回目という形の申請で、今、計画、国との協議を進めている段階で、一部完成まで至ったものもございますが、交付決定はされても、まだこれから完了確認をし─事業の中身が適切に整備されているかという完了確認を経た上で、支払いが進んでいくものですから、その状況から言いますと、午前中もお話ししたとおり、11月以降の支払いという形になります。
 実際に復旧したものは1、900戸のうち約1、200件で、約65%の復旧率になっております。支払いは11月以降に随時支払われるということでございます。
〇千田美津子委員 支払いはこれからのようですが、完成が65%ということで、午前中、高橋はじめ委員も言われましたが、米価も下落し、農家としては何重の苦しみの中にあっての被災だったわけですから、ぜひ早く完成すると同時に、これらについても早い支払いがなされるようにお願いしたいと思います。
 そういう中で、1、900件のうち県単独事業が約1、000件ということで、半分近く県独自で頑張ったのではないかと思います。まだ実績にはなりませんが、そのように見ました。そういう意味では、いろいろ大変な状況があったわけですが、農家に寄り添って、県が独自に支援してきたという部分を評価したいと思います。
 一つだけ確認ですが、国事業の第3回目の受付分で、国において妥当性の協議中というものがあるのですが、これは申請が可能だということで受け付けたのではなくて、これから妥当性が検討されるのでしょうか。その辺をお聞きします。
〇中村農業振興課総括課長 第3回目については、県から国に計画を上げておりまして、その内容について、今、国のほうで審査している状況にございます。
〇千田美津子委員 もう一回確認ですが、国でそれらを協議しているということなのですが、見込みとすれば、決定になりそうなのでしょうか。
〇中村農業振興課総括課長 市町村から計画が上がり、県もその内容についてしっかり確認をとっておりますので、ほとんどが承認されるものと考えております。
〇千田美津子委員 それでは、引き続きよろしくお願いいたします。
 次に、水田農業高収益化推進計画についてお尋ねいたします。先ほど来、水田農業の高収益化については、さまざまな質疑がありました。そういう中で、県は、水田農業高収益化推進計画を策定して取り組まれているわけですが、これまでの到達はどのような状況にあるでしょうか。
〇工藤水田農業課長 水田農業高収益化推進計画の策定についてでありますが、県では、水田における高収益作物等の導入、定着を図るため、令和2年度に策定した水田農業高収益化推進計画において、ピーマンと子実用トウモロコシを推進品目として位置づけております。
 令和2年の実績を見ますと、ピーマンでは作付面積、収量、販売額、全てにおいて令和6年の目標を上回っております。また、子実用トウモロコシでは、令和7年の目標に対し6割以上の到達状況となっております。
 引き続き、関係機関、団体と連携しながら、水田農業の高収益化に向けた取り組みを計画的に推進していこうと考えております。
〇千田美津子委員 岩手県ではピーマンと子実用トウモロコシ、いわゆる飼料用のトウモロコシだと思いますが、ピーマンは作付面積、収量、販売額とも目標を突破したということです。そういう点では非常に実績の高い事業になっていると思うのですが、実はピーマンは、作付している農家がかなり多くなって、ことしは価格が下落しているのです。販売額の達成度としては令和2年度で102%になっているのですけれど、作付面積が広がれば広がるほど、岩手県全体の販売額はふえているかもしれませんが、ピーマン農家にとっては、各農家の手取りが多分減っている状況にあるのではないかと思います。新型コロナウイルス感染症の関係も若干あると思いますが、どのように捉えているのでしょうか。
〇佐々木農産園芸課総括課長 ピーマン栽培の価格についてでございますが、御承知のとおり、野菜全般そうなのですが、市況に影響されるものでございます。野菜についても、県段階というよりも全国段階、ピーマンについては周年で全国で供給されていますので、そうした中で、高い年もあれば、やはり少し苦戦する年もあるというものでございます。
 県としては、ピーマンは夏周期が主力になるわけですけれど、品質の高いものを生産してまいりたいと考えているところでございます。
〇千田美津子委員 確かに、今御答弁があったように、周年で供給をしているという部分では、多少の変動があっても最終的にはということだと思うのです。ただ、9月24日に総務省が公表した消費者物価指数の中で、ほかの野菜も落ちているものはあるのですが、ピーマンは、2月から3月にかけては指数が100を超えているのですが、1月が95、4月が89.9、5月が82.4、6月が88.8、7月が82.1で、8月が76.5まで落ちているのです。これはそのまま価格に反映されると思うのです。
 それで、何を言いたいかというと、確かにピーマンは販売額でもすごく大きい額になっていますし、このままふやしていくとなると、最終的には、頑張ってきた農業青年たちのこれからの経営に大きく影響があるということで、その辺を見きわめながら、高収益だということで、このまま推進していいのかと思うのですが、その辺はどのようにお考えでしょうか。
〇佐々木農産園芸課総括課長 ピーマンの価格の動きについてですけれど、野菜の価格については、自然災害等々がありまして、一時期に集中するとどうしても需要が過多になるということもあり、全国の出荷がうまくバランスよく進めばよいのですが、露地栽培が多いものですから、なかなかそういう状況にならないというものでございます。
 ピーマンは、本県が東北地方で一番の生産量でございます。圧倒するような品質、量で産地間競争に勝ってまいりたい、このように考えております。
〇千田美津子委員 わかりました。よろしくお願いします。
 それでは最後になりますが、県産農林水産物学校給食提供緊急対策事業についてお聞きいたします。
 これは、新型コロナウイルス感染症の影響によって消費が減退した県産牛肉や地鶏肉南部かしわ等を学校給食に提供したという事業だと思いますが、改めてこの事業の目的と実績、成果をどのように評価しているかお聞きいたします。
〇似内流通課総括課長 県産農林水産物学校給食提供緊急対策事業についての実績、成果等について答弁させていただきます。
 委員から御紹介いただきましたこの事業は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う緊急対策として、全額国庫で実施したものでございます。
 実績については、県内の小中学校等の学校給食に、牛肉は約15トン、地鶏肉南部かしわは約900キログラム、ホタテは約3、300キログラムを提供し、提供した学校数は延べ788校、人数は延べ約48万人となったところであります。また、これら県産食材の提供とあわせまして、食育動画や食材紹介のリーフレットを作成し、各学校に配布したところでございます。
 本事業の実施により、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響によって在庫が急激に積み上がり、特に緊急的に対策が必要となった牛肉、地鶏肉南部かしわ、ホタテの消費の拡大や、販売価格の回復にもつながり、生産への影響を最小限にとどめたものと捉えております。
 また、県内の小中学校に対しまして、食育動画や食材紹介のリーフレットを配布し、県内の小中学生の本県農業や水産業への理解醸成につながったものと考えております。
〇千田美津子委員 おいしい県産牛肉などが食べられて、子供たちがどんなに喜んだか。子供たちの反応は何か聞いていますか。
〇似内流通課総括課長 児童生徒の感想ということでございますが、事業を実施した小中学校の児童生徒からは、例えば、牛肉はやわらかくとてもおいしかったとか、一生懸命つくってくれている人に感謝したいという声があったと聞いており、大変好評であったと承知しております。
〇千田美津子委員 おいしかったと思います。
 これは新型コロナウイルス感染症対策ではあるのですけれど、この事業は、今後は実施しないのでしょうか。全く単発で終わるのか、今後の見通しについてお聞きします。
〇似内流通課総括課長 この事業の見通しについてでございます。
 令和2年度に実施したこの事業は、国の事業ということで、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う緊急対策として、基準となる価格から2割以上低下しているなどの農林水産物を対象に実施したものであります。
 委員からお話があったとおり、国が同様の事業を行えばやりたいところですけれど、現時点ではないという状況でございます。
〇千田美津子委員 実は仙台市で、姉妹都市の愛媛県宇和島市からの提案で、宇和島産養殖マダイを給食に取り入れるということです。その事業が、国産農林水産物等販路多様化緊急対策事業というものだそうです。
 何かこういうものを活用して、子供たちに、先ほどの米の消費拡大ではありませんが、県産のものを直に味わってもらう。小さいときの印象というのは、後々、大きな影響があるものですから、こういうものを取り入れて、ぜひおいしい給食、県産のよいものを普及させていただきたいと思うのですが、どうでしょうか。
〇似内流通課総括課長 委員から御紹介がありましたとおり、県産食材を使った給食の提供というのは、地産地消あるいは食育の観点から、大変重要な取り組みと認識しております。
 国の事業のお話がございましたけれど、現時点では国の事業を活用できるものがございません。例えば同様の事業を県単独で行う場合は、相当規模の財源が必要でございますので、我々とすれば、国の事業があれば、そういうものを最大限活用しながら、積極的に取り入れるようなことを検討していきたいと思います。
〇小林正信委員 私からは、自給的な農業と各自の才能を生かした仕事、天職などを組み合わせた半農半Xという造語がありまして、半分農業、半分がX、このXの部分にさまざまな仕事が入る。平たく言えば兼業農家ということだと思うのですけれども、政府もこの半農半Xについて、国民の価値観が多様化する中、また高齢化が進む農業現場の労働力を支える農業形態として、後押しをする方針とのことでした。
 規模の大小を問わず、生活の半分を農業、半分はそれぞれの職務に携わるということで、まずは地域でもさまざまな役割を果たしてくださっている兼業農家の県内の状況、また、支援の考え方と取り組みについてお伺いしたいと思います。
〇中村農業振興課総括課長 県内の兼業農家の状況ということでございますが、専業農家あるいは兼業農家については、2020年農林業センサスにおいて調査の対象外となったところでございます。一方で、農業所得等に基づく主業経営体あるいは準主業経営体の調査が行われておりまして、農業所得が主である主業経営体以外のいわゆる準主業型経営体や副業経営体については、約2万7、000経営体ということで、全経営体の約8割となっております。
 このように、本県の農業は、小規模な兼業農家など、多くの農家が生産活動に携わりながら、地域の社会そのものを支えているという実態にございます。こうした多様な農家が参画した農業生産や地域活動の活発化を通じながら、活力ある農業あるいは農村を実現していくことが重要だと考えております。
 このため、県としては、中山間地域等直接支払制度などを活用し、地域特産品の産地化や地域の特色ある農畜産物の加工、直売などの6次産業化、グリーンツーリズムによる都市住民との交流などの取り組みを支援しているところでございます。
〇小林正信委員 国では、食料・農業・農村基本計画において、特に先ほどもお話がありましたが、中山間地域を支える要素として、この半農半Xの取り組みに着目をして、本格的な営農に限らない多様な農業へのかかわり方への支援体制のあり方を今後示していくとしておりまして、農業にかかわりたいと考えているけれど、なかなかハードルが高くて決心がつかない方に対して、何らかの形で農業にかかわってもらうなど、農業に関心を持っていく人をふやしていく、そうしたアプローチの仕方としてこれは有効なのではないかと思っております。
 この考え方が、農業にチャレンジするとっかかりにもなるのかと思うのですが、この半農半Xの県内での状況、また、周知はどのようになっているのかお伺いしたいと思います。
〇中村農業振興課総括課長 半農半Xにつきまして、農業を営みながら他の仕事にも携わり生活に必要な所得を確保する、いわゆる半農半X実践者と呼んでいるわけでございますが、具体的にその半農半Xを実践する実践者の数は把握していないところです。県内では、除雪作業やスキー場での勤務、語学講師など、農業を営みながら農業以外のさまざまな仕事に従事し収入を確保している事例があることは承知しております。
 近年の若い世代を中心とした地方への関心の高まりを踏まえまして、県では、移住、定住のポータルサイトなどを通じながら、移住者の声や、半農半Xの実践事例などを情報発信しているところでございます。
 今後も、若い世代等を対象とした積極的な情報発信に努めるとともに、農業技術の習得支援や、農産物生産に必要となる機械、施設等の導入の支援により、農業の多様な担い手を確保してまいりたいと考えております。
〇小林正信委員 半農半X実践者とおっしゃいましたが、さまざまな人がさまざまな形で農村、農業にかかわってもらうことで、農地の保全や農村コミュニティーの維持に寄与するではないか。そうした緩やかなアプローチの仕方も、今後、県で十分考え、支援をしていただければと思いますので、よろしくお願いします。
 もう一点、営農型太陽光発電についてお伺いします。
 脱炭素社会の実現に向けて、あらゆる場面で再生可能エネルギーの積極的な活用が必要だと思っております。太陽光発電は、これまでも議論がありましたけれど、メガソーラーによる地域への影響が懸念されておりますが、地域における小規模の太陽光発電については、取り組みがある程度進められるべきなのではないかと思っております。
 営農型の太陽光発電は、農地を立体的に活用し、農業と太陽光発電を同時に使える取り組みとして、少しずつ広がりを見せていると思いますが、県内または県外の先進事例があれば教えていただければと思います。
〇中村農業振興課総括課長 農地に支柱を建てて太陽光発電施設を設置し、下部の農地で営農を継続する、いわゆる営農型太陽光発電でございますが、国が公表している営農型太陽光発電に関する資料を見ると、千葉県内でのブルーベリーの生産や、静岡県内でのお茶の生産など、地域の特色ある農産物をうまく活用しながら太陽光発電に取り組んでいる事例が紹介されております。
 営農型太陽光発電は、再生可能エネルギーの利用促進はもとより、生産物の販売に加えて、売電収入など、生産所得向上にもつながる取り組みであることから、制度が適正に活用されるように、引き続き、市町村等に対して指導や助言等を行いながら、優良農地の確保に努めてまいりたいと考えております。
〇小林正信委員 先ほど優良農地の確保ということもおっしゃいましたが、この営農型太陽光発電については、農業収入に加えて継続的な売電収入も得られるということで、脱炭素と持続可能な農業の両立につながると思います。
 県としてのさらなる取り組み、推進について、もし御見解があればお伺いして終わりたいと思います。
〇中村農業振興課総括課長 県内の営農型太陽光発電は、本年6月末現在25件となっておりまして、畑ワサビあるいは小麦などの生産が行われております。
 先ほど、申し上げましたが、売電収入による生産者の所得向上にもつながりますし、また、そこでとれる農産物の販売にもつながるわけでございます。農地は農地として確保しなければならないということもございますので、優良農地を適正に確保しながら、農産物の生産も合わせて行う太陽光発電については、進めてまいりたいと考えております。
〇田村勝則副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇田村勝則副委員長 質疑がないようでありますので、これで第1部農業関係の質疑を終わります。
 執行部席の消毒を行います。しばらくお待ちください。
 次に、第2部林業水産業関係について質疑はありませんか。
〇城内よしひこ委員 それでは、いわて林業アカデミーについてお伺いしたいと思います。実績と課題、あわせて就職状況はどのようになっているのかお伺いします。
〇鈴木森林整備課総括課長 いわて林業アカデミーについてでありますが、令和2年度のアカデミー修了生は16名で、16名全員が森林組合や民間事業体等に就職しております。
 平成29年の開講からこれまで4年間で修了生は65名となっておりまして、全員就職しております。就職先は、森林組合25名、民間事業体等が40名となっております。
 また、令和3年度は、定員15名を上回る16名が研修に取り組んでおります。
 持続的な林業経営を実現するためには、林業就業者の継続的な確保、育成が重要であり、今後とも関係団体等と連携しながら、いわて林業アカデミーにおいて現場技術者を養成し、就職後の定着を支援していくことが必要と考えております。
〇城内よしひこ委員 そこで、お伺いしますが、これまで65人の方が卒業して就職されているということですが、その後、就職先で離職等はあるのでしょうか。また、卒業した方々に対し、いわて林業アカデミーからの連絡を行うなどされているのかどうか、お伺いしたいと思います。
〇鈴木森林整備課総括課長 先ほど就職した人数を65名とお話ししましたが、1名体調不調でリタイアした方がいて、現在64名が、本事業の現場に就業しチェーンソーや、刈り払い機を使用するなど、素材生産や造林の現場の第一線で活躍しております。
 就職後のアフターフォローについては、毎年、職員が修了生と面談もしくは電話で、現在の活動状況や悩みの相談を随時行っております。やはり悩みのある方が何人かおられますので、その方に対しては懇切丁寧にできる限りのアドバイスをして、岩手県の林業のために頑張ってくれというお話をさせていただいております。
〇城内よしひこ委員 過日、岩手県議会森林・林業政策研究会でいわて林業アカデミーを視察させていただきました。その際にも、すばらしい笑顔で、皆さん自信を持って仕事についているのだということを実感したところでありますので、ぜひこの点についてはしっかりと進めていっていただきたいと考えています。
 ただ、今、林業で働く方は大分減ってきているし、高齢化の問題もあるわけであります。また、世界的なコロナ禍においてのウッドショックでにわかに需要があるのですけれど、なかなか裾野の広い産業で、現場のほうには、お金が行き渡っていないという話があるわけです。そのような環境も県サイドとしてしっかりと注視しながら、働いた方々がやりがいを持って、正当な成果が得られるような仕組みづくりをしてほしいと思いますが、今回のコロナ禍におけるウッドショックの状況をそのような観点で見ているのか、お伺いしたいと思います。
〇橋本林務担当技監 ウッドショックへの対応と担い手の確保に向けた取り組みについてですが、ウッドショックの関係では、現在個別の事業体等を回りながら、ニーズの把握に努めているところでありまして、このウッドショックによる国産材の需要をまさに、県産材の利用促進に向けていきたいと考えております。
 また、担い手の確保については、岩手県林業労働対策基金において、新規採用者の説明会などの取り組みをしておりますので、岩手県林業労働対策基金と組んで新規産業の促進に取り組んでいきたいと思いますし、ウッドショックの需要の高まりを県産材利用促進につなげ、本県林業の振興に向けて取り組んでいきたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 ぜひよろしくお願いします。
 次に、いわて水産アカデミーについてお伺いしたいと思います。これも前段のいわて林業アカデミー同様、実績と課題、そして進路の状況についてお伺いしたいと思います。
〇阿部漁業調整課長 まず、いわて水産アカデミーの実績と課題についてでございますが、これまでのいわて水産アカデミーの修了生は、令和元年度が7名、令和2年度が6名の計13名で、その全員が本県漁業に就業し、第一線で活躍しているところでございます。
 また、現在は、第3期生の7名が漁業の基本的な知識、技術の習得を初め、ICT等の先端技術を駆使した高度な経営手法の取得に向け、研修に取り組んでいるところでございます。
 課題としては、漁業就業者の減少と高齢化が進行する中、本県漁業を持続的に発展させるため、引き続き、本県漁業の魅力を広く情報発信し、いわて水産アカデミーを核として、将来の本県漁業をリードするすぐれた人材を県内外から確保、育成し、地域に定着させていくことが必要と考えております。
 続きまして、進路の見通しでございます。いわて水産アカデミーでは、ベテラン漁業者による現場実習を中心としまして、地元密着の充実した研修カリキュラムを提供していることから、修了生はそのままベテラン漁業者のもとで雇用される例が多くなっております。
 これまでにいわて水産アカデミーを終了した13名の就業先は、定置網漁業が6名、養殖業が5名、家業の漁船漁業を継いだ者が2名となっており、いずれも実習先の市町村で就業されているところでございます。
 いわて水産アカデミーの修了生の中には、漁業の組合員資格を取得し、養殖業でひとり立ちするという事例も出始めており、引き続き、関係団体や市町村と連携して、修了生が本県の漁業をリードする人材として活躍できるよう、きめ細やかな支援を行ってまいります。
〇城内よしひこ委員 漁業は本当に厳しい状況下にあるわけで、そういう方々がなりわいとしていけるように、いろいろな側面から、アフターも含めて、アプローチしてほしいと思っております。
 特に漁業は幅が広く、養殖や漁船漁業などいろいろあるわけでありまして、そのようなことも含めて時間をかけて、いろいろな形で収入を確保できる仕組みづくりも支援の中に入れてほしいと思いますが、その辺はいかがでしょうか。
〇阿部漁業調整課長 きめ細やかな支援ということでございますが、いわて水産アカデミーの修了生は、修了後も、国の長期研修制度がありますので、その制度を活用しながら、地元定着や技術の向上に向けた支援を継続して行っております。また、せっかくいわて水産アカデミーに入っていただいたので、研修生同士のネットワークを研修後も長く続けていただけるような工夫をしているところでございます。
〇城内よしひこ委員 いわて林業アカデミーについては、県外からもチャレンジしたいということで来られている方がおりました。いわて水産アカデミーについては、いかがでしょうか。そして、県外からも広く募集して、岩手県で働く環境をつくれるような、そういう仕組みづくりにしっかり取り組んでほしいと思いますが、そういう取り組みをされているのかどうかお伺いしたいと思います。
〇阿部漁業調整課長 県内外から広く研修生を募集するというところでございますが、今年度の7名を含め、研修生、修了生が20名おりますが、県外出身者は7名となっています。研修生の中にも県外出身者がいるわけですが、入り口の部分である情報発信のところで、市町村と連携して─既に市町村は、地元に来てもらって、生活支援のための生活資金の手当や、住居に対する補助事業などを持ち合わせていますので、そういう情報もあわせて発信することによって、県外からの研修生を確保しているという状況でございます。
〇城内よしひこ委員 漁業も高齢化が進んでいますし、厳しい産業の一つでもありますが、何とかこの難局を乗り切っていただくように、よろしくお願いします。
 次に、サケ漁についてであります。
 これまで震災後サケがとれないということで、次につながる仕組みの中で海産親魚を多く活用してきたわけですが、なかなかその実績が数値としてあらわれてきていないところであります。
 そこで、その状況は省いて、ことしの卵の確保状況はどのようになっているのか。これまで県で進めてきたのは、北上川に遡上する温かい水に強いサケをということでありましたが、なかなかサケも中津川に上ってこないような状況、それだけ海の環境が変わっているのだなと感じています。ことしの状況はどのようになるのか伺います。
〇山口水産担当技監兼水産振興課総括課長 サケの種卵の確保状況についてでございますが、今年度、確保しているサケの種卵の数は、10月10日現在で約630万粒と、前年同期比で2倍の数量となっております。ただ、これは非常に少なかった前年との比較でありまして、今後の種卵確保の見通しについては、今年度、岩手県水産技術センターが秋サケ来遊予報を出しておりますが、来遊尾数は前年を上回るものの、震災前と比べ1割未満にとどまると予報しております。よって、河川に遡上するサケのみでは、目標とする4億6、000万粒の種卵の確保は現在のところ難しい状況にございます。
〇城内よしひこ委員 昨年も、新潟県であったりいろいろなところから、卵を融通していただいて放流してきているわけですが、そういう状況下においてもなかなか厳しいということを考えますと、これから後、3年、4年、また5年後の漁獲高も、期待が持てないと思っています。
 温かい水に強いサケの育成も含めて、今後どのような取り組みをされるのかお伺いしたいと思います。
〇山口水産担当技監兼水産振興課総括課長 今年度は厳しい状況が漁期当初から見込まれておりましたので、まず一つは、先ほど委員からも御指摘がありました海産卵を積極的に活用するということで、漁期当初から定置網で漁獲されるサケを積極的に活用する取り組みを始めることにしております。
 また、今までは、その地域である程度充足したら、地域間で種卵を融通するという取り組みでしたが、これも当初から融通しましょうということで取り組みを始めております。
 一方、これだけではなかなか種卵を確保できませんので、今年度も既に北海道に種卵の移出を要請しているところですが、北海道でもことしは去年よりも厳しい状況ですが、一応、調整を進めていきたいと考えております。
 サケの資源の回復に向けまして、海洋変化がかなり急激に変わっていて、現在、減耗の要因として、春先の海水温の上昇が稚魚によくないだろうということで、上昇の前に、上昇を極力回避するような早い放流をしましょうということで、種卵確保対策を早期に始めることとしております。
 もう一つは、種卵の確保数が少ないということで池に余裕があるので、密度を薄くして、なおかつよい餌をやって、丁寧に飼って、大型で遊泳力の高い稚魚を生産する方向で進めていきたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 その点については、ぜひ早期に研究を進めていただいて、1匹でも多く、1トンでもふえるようにお願いしたいと思います。
 最後になりますが、沿岸部でカキやホタテの殻などの残滓が出るわけですが、その処理は、各漁協や事業者がするべきものかと思います。震災前は、ある程度、県でもいろいろな形で支援策があったように思うところでありますが、その辺の状況はどのようになっているのかお伺いしたいと思います。
〇山口水産担当技監兼水産振興課総括課長 カキ殻等の漁業系廃棄物の処理についてでございますが、本県の養殖作業等から発生するカキ殻等の漁業系廃棄物の発生量は、令和元年度で約9、000トンと推計しております。このうちカキ殻が約46%でございます。
 県ではこれまで、漁業系廃棄物の再資源化に向けた養鶏場の飼料や堆肥への混入、ぬかるみ防止などの土壌改良など、農畜産分野での有効利用の促進に向けた取り組みを進めてまいりました。また、カキ殻の容積を少なくしてリサイクル工場への運搬をスムーズにするということで、カキ殻破砕機等の整備を支援してきたところでございます。
 一方、カキ殻の残渣については、漁協等が廃棄物処理業者に委託して処理しており、近年、カキ等の生産が落ち込む中で、処理費の負担が課題となっていることは認識しております。
 このような漁業系廃棄物については、一部の市町がその処理費用を漁協に補助していると伺っておりますが、漁業系廃棄物は事業系の廃棄物でございますので、原則事業者が責任を持って処理するということから、農林水産部としては、環境生活部と連携して再資源化に向けた取り組みを推進してまいりたいと思います。
〇城内よしひこ委員 貝も、実は春先に貝毒が出たりして、なかなか収入につながらない部分がある。ただ、一回揚げてしまえば、それはそれで処理しなければならなくなってしまいます。そういうことも考えますと、ぜひしっかりとした支援策を、担当する部局と、地元の漁協、地元自治体との連携も図りながらしっかりと進めていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
〇山口水産担当技監兼水産振興課総括課長 十分認識しておりますので、関係部局と連携して、しっかりと進めてまいりたいと思います。
〇伊藤勢至委員 ただいまの水産振興、そして海に関して、関連してお伺いしたいと思います。
 まず、ここ1週間、10日前から、北海道で赤潮が発生したという報道が頻繁にございます。これは三十数年前にも本県の三陸沿岸地域であちこちにあったわけです。当時は植物プランクトンの異常発生が原因だということでありましたが、今回の北海道の赤潮も同じような原因なのでしょうか。何が原因で、あわせて、寒流という海流が本県まで北海道を経由して下って来ているわけでありますので、この海流によって本県まで影響がないか、これを心配しているところでありますが、その辺についてお伺いしたい。
〇山口水産担当技監兼水産振興課総括課長 ことしの9月ころから、襟裳以東の海域を中心に北海道の沿岸域において広範囲に赤潮が発生しておりまして、秋サケや天然ウニが変死するという漁業被害が生じております。
 この原因は、プランクトンなのですけれど、渦鞭毛草という種類で、先ほど委員から御指摘がありました植物プランクトンの一種ではあるのですが、岩手県沖で過去に発生したものは珪藻類という種類でありますので、全く種類の違うものでございます。
 それで、今回の赤潮被害は岩手県のほうに影響があるかということでございますが、国の研究機関のことしの秋の海峡状況の予報では、岩手県の沿岸域に接近する親潮の勢力が弱いということと、日本海側から津軽海峡を抜けて太平洋に出てくる津軽暖流が、平年並みから極めて強勢で下北半島東側に張り出すように推移すると予報しております。
 このことを受けて、岩手県水産技術センターの所見でも、北海道沿岸域で発生した赤潮が本県に漂着する可能性は低いと判断しております。
〇伊藤勢至委員 津軽暖流が防波堤の役目を果たしていると理解してよろしいのでしょうか。
〇山口水産担当技監兼水産振興課総括課長 はい。津軽暖流が東のほうに、ここ数年間ほど強い勢力で張り出しておりまして、ちょうど本州側をブロックしているというような状況になりますので、委員の御指摘のとおりでございます。
〇伊藤勢至委員 三陸沿岸地域の漁業が全く不振であります。スルメイカがだめ、サンマがだめ─この前、久しぶりに初サンマを盛岡市内で賞味しましたが、やはりサンマは宮古市に限ると思っているのですが、それはおいておきまして─サケも、今回の赤潮によって、サケのエラにこのプランクトンがついて死んでいる。海水中の酸素がとれなくて死んでしまうと。それでは本県にも来ないことになってしまいますから、サケの減耗に影響していると考えなければならないのですか。
〇山口水産担当技監兼水産振興課総括課長 北海道でありました赤潮被害については、多分酸欠で死んでいるのだろうということですが、岩手県でサケがとれないことについて、一つは、稚魚を放流した段階で、なかなか北の海に泳ぎ着けていないというのが多分大きな原因であろうということであります。
 あと、今回の津軽暖流が強いということは、逆に言うと親潮が弱いということです。そこのせめぎ合いがあるのですが、それに乗ってサンマや秋サケが岩手県の沿岸域に寄ってきますので、それも逆に津軽暖流が阻害している面があります。
 今回の赤潮の被害に対しては非常に効果があるのですけれど、一方で、主要魚種の漁獲に対しては、よい影響はないだろうと認識しております。
〇伊藤勢至委員 三陸沿岸地域の水産物の中には、魚類のほかにアワビ、ウニ、ホタテ、ホヤ、ナマコ、カキなど、各湾ごとにいろいろ頑張ってやっているわけであります。
 質問を変えますが、東京電力福島第一原子力発電所のALPS処理水が海洋放流されると、この水産漁業界に大きな風評被害が与えられてしまいます。東日本大震災津波から10年7カ月が経過しましたが、この間に漁業者が代がわりをしてきまして、どんどん若い人になっているのですが、こういう若い人たちに、今よりも悪い環境を残していくことは何としても避けなければならないと思っております。
 そういう中で、県内の各漁協の組合長、あるいは各単協を束ねる県漁連の方たちは、今回の東京電力福島第一原子力発電所のALPS処理水の海洋放出の問題についてどのようにお考えになっているのか、御存じでしたら教えていただきたい。
〇鈴木農林水産企画室企画課長 ALPS処理水の風評被害等についてでございますが、ことしの春、国がALPS処理水を海洋放出する方針決定をしました。その後、市町村からは、放出によらない新たな処理、保管方法の検討を求める声が上げられておりますし、漁業関係者、漁業団体の皆様からは、風評被害等を懸念し、強く反対するという姿勢が示されております。
 県としては、処理水の海洋放出が、東日本大震災津波からの復興に向け、なりわいの再生に取り組んでいる最中に、主要魚種の水揚げ量の減少など厳しい状況にある水産業を初め、農林業、観光業等への風評被害等の影響を及ぼすものであってはならないと認識しております。
〇伊藤勢至委員 東京電力福島第一原子力発電所は廃炉作業に入っているようでありますが、燃料棒が溶け落ちて燃料デブリというものができているらしいのですが、この廃炉工程が40年かかるということでございます。しかし、出だしから順調ではありませんので、恐らくこの40年が50年と延びるのではないか。
 そして、地下水がどんどん湧いている状態で、ALPS処理水をプールしておく大きなドラム缶が1、000本を超えたそうであります。それで、場所がないからとか、放射性物質を除去する技術がないからということも真っ赤なうそであります。世界各国の中にはこの技術を確定しているところもあって、日本が入札の際に単価を安く入れて取れなかったということがあります。
 東京電力福島第一原子力発電所で発電した電気は100%東京圏で消費しています。そして、その汚染水だけが東北地方に来るというのはいかがなものか。これは県民が一つになって反対していくべきだと思いますが、最後に農林水産部長の考えをお聞きして終わります。
〇佐藤農林水産部長 東京電力福島第一原子力発電所のALPS処理水のお話でございます。委員御指摘のとおり、県内の漁業者は、岩手県漁連の大井代表理事会長を初め皆さん大反対という状況でございますので、県としては、政府予算要望等いろいろなところを通じまして、国が責任を持って水産業を初めとする関係団体、市町村等に対する丁寧な説明と真摯な対話を継続して、慎重な対話を行うように要請を行っているところでございますし、県としても、関係部局と連携して、必要な対策、対応等をとってまいりたいと考えております。
〇田村勝則副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後4時9分 休 憩

午後4時27分 再開
〇小西和子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇中平均委員 最初に治山事業についてお伺いいたします。
 まず、令和2年の実績、治山関係事業決算の一覧ということで、実績、箇所数、金額等を教えていただければと思います。
〇西島技術参事兼森林保全課総括課長 治山事業におきます令和2年度の実績についてでありますが、委員も御存じのとおり、治山事業は、山地に起因する災害から県民の生命や財産を守ること、あるいは、森林の持つ広域的機能の維持、増進を図ることを目的に県内で実施しており、令和2年度には県内103カ所で約20億円の事業費で事業を実施してきたところでございます。
〇中平均委員 その中で、近年の災害の多発があります。国土強靱化ということで、国も重点的にやっていこうということで動いています。そうした中で、令和2年度の103カ所、20億円は、国土強靱化がなかった年のベースと比較すると、箇所数でどれくらいふえているとか、もしわかればで結構ですが、お願いしたいと思います。
〇西島技術参事兼森林保全課総括課長 御質問の件でございますけれど、明確な数字をお示しすることはできかねるのですが、国土強靱化対策というのは、災害の多発化、激甚化といったものを受けて国のほうで措置されたものであります。
 そういった中で、本県の場合には、以前の防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策で3カ年行ったのですけれども、14地区ほどで、約11億円の事業を実施しております。この対策を活用することにより非常に効果がありましたし、一定の成果、あるいはむしろ大きく前進してきたということで評価しております。
〇中平均委員 そういった中で、5カ年ということで今度さらにやっていくことになっておりますが、今まで見ていて、治山事業は予算の関係で進みづらかったところがあるのかなと思っています。そこは、災害を未然に防止していくという観点からどのように進めていくのか。これからまた5カ年になりましたが、それを踏まえて、今後の事業展開をどう考えているのかお伺いします。
〇西島技術参事兼森林保全課総括課長 国土強靱化を踏まえた形での今後の方向性というお尋ねかと思います。
 先ほども発言させていただきましたが、近年、記憶に新しいところで、一昨年の令和元年台風19号に本県も襲われておりまして、災害が非常に多発しているということで、私どもとしては、引き続き、人家や公共施設等に被害を及ぼすおそれがあるなど、緊急性の高い箇所から計画的に実施していこうと考えているところでございます。
 このため、令和3年度においても、地元市町村の要望を踏まえまして、激甚化する風水害への対策等の加速化を目的とするという、先ほど委員からもお話がありました防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策が措置されております。そちらの活用も図りながら、山崩れ防止等の予防対策のほか、荒廃した渓流への治山ダムの設置や、崩壊地の復旧など、必要とされる対策を積極的に行ってまいりたいと考えております。
〇中平均委員 治山事業は、御答弁のように、まず市町村の要望が県に上がってきて、事業化になっていくという流れだと認識しておりますが、その後、広域振興局の担当と現地の市町村と、崩壊箇所など、災害があってからではなくても、まず動いて現地を確認しながら事業化の箇所を決めていっているという流れだと思うのです。そこの連携をより強力にしていきながら進めていってもらいたいという点が1点であります。
 もう一つは、通常で見ていても、平成28年台風第10号、令和元年台風第19号ほどの雨量ではない場合でも、これは県内各地区どこでもそうだと思うのですが、沢出しの土砂が出てきている。そこを上がって見に行くと、昭和55年や平成7年という昔つくった治山ダム等もありますので、そこの確認もあります。
 あとは、道路に出てきた土砂は、当然、道路管理者が撤去するものですが、その道路管理者の撤去のほかに、その道路の上に原因となっている治山ダムがあったり、砂防ダムがあるときもあります。定期的に出てきている箇所というのがありますから、そういった点を絶えず点検して、事業化に向けていくことが必要ではないかと思います。
 これからの市町村との情報交換を含めた連携のあり方と、また、そういう箇所の洗い出しの方法について、今後の検討等を聞かせてもらえればと思います。
〇西島技術参事兼森林保全課総括課長 市町村との連携というお話でございます。
 治山事業の場合には、委員からもお話がございましたとおり、まずは、市町村の要望を受けて広域振興局が調査し、そして、我々が現地調査をして、緊急性、あるいは、いわゆる採択要件等を満たすかどうか、そういった調査を行った上で、国庫補助事業であれば国に対して要望を行いますし、もし国庫補助事業の対象とならないものであれば、県単独で事業を実施することが可能かどうか検討を行う。
 そういう手順で行っているわけですが、最終的には現地ということに戻ってまいりますので、市町村と一緒に現地に足を運びながら、地元の住民の方からもお問い合わせや御相談もありますので、そういうものを丁寧に拾いながら、事業化できるかどうか真摯に対応してまいりたいと考えております。
〇中平均委員 どうぞよろしくお願いします。また、現地へ行くときには、きのうまでの議論でありましたが、熊や鹿、イノシシが出ていますので、ぜひ気をつけて行っていただきたいと思います。
 次に、密漁対策についてお伺いいたします。
 主要魚種がこれだけ低迷している中で、これからアワビの時期に入ってまいります。そういった中で、どのような対策を打って密漁対策をしていくかということが非常に大切になってくると考えております。
 10月5日の一般質問において伊藤勢至議員からも、漁業の取り締まりという観点で、今ある2隻のうちの1隻をまず久慈港に配備することを提案していただいております。岩手県全体の密漁に対する抑止力といった意味で、伊藤勢至議員のおっしゃっていることは全くそのとおりだと思いますし、そういった点を受けて県の答弁でも、さまざまな調整なり設備が必要だが前向きに進めていくという答弁が本会議場でされたと記憶しております。
 そういった点を踏まえて、密漁対策として2隻をどのように分散配置していくのかという点を、またこの場で改めて教えていただければと思います。
〇阿部漁業調整課長 密漁対策でございます。
 県では、岩鷲とはやちね、2隻の取締体制により、広い本県沿岸域をカバーしているわけですが、こちらの分散配置については、県北地域を重点的にという御質問の趣旨だと思いますけれど、平成18年度以降、ウニ、アワビの漁期に合わせて岩手県漁業取締事務所久慈臨時事務所を開設し、漁業取締船による監視等を含め、陸上捜査も含めて実施してきているところでございます。
 取締船1隻を常時久慈港に配備することについては、専用の岸壁や給電、給水施設の確保、職員体制の見直し等々、中長期的な観点から検討が必要と考えまして、引き続き、すきのない最適な監視、取締体制を考えることが必要であると認識しているところでございます。
〇中平均委員 岩手県漁業取締事務所久慈臨時事務所は平成17年からですか。平成17年以降、震災時はちょっと途切れましたが、久慈臨時事務所を開設してもらっていることには感謝申し上げます。
 その中で、例えばすぐに分散配置できないにしても、スケジューリングの中で、久慈港に帰港する回数やとまる回数をふやしていく。これからのアワビの時期、夏のウニの時期とか、対象によるとは思いますが、できるまでは現状のままということではなく、分散配置の方向に向けていきながら前に進んでいく形を何とか進めながら、より抑止力を発揮していただきたいと思うのですが、これからの2隻の回し方をどう考えているのかお伺いします。
〇阿部漁業調整課長 悪質で巧妙化する密漁に対しての取り締まりのあり方でございますが、監視、取締体制の維持、強化が重要と考えております。今、委員から御指摘のありました取締船の運航体制ですが、県北地域での取締船の運航回数、運航日数の増加を含めて、県警察本部の警備船や海上保安部の巡視船、漁協の監視船との連携による海上取り締まり、また、震災後は陸上から夜陰に乗じてゴムボートで侵入するという密漁の手口もあることから、県警察本部と連携した陸上捜査を組み合わせて、県北を初め全県の沿岸域でより抑止力の向上が図られるような監視、取締体制の検討を進めてまいりたいと考えております。
〇中平均委員 どうでしょう。例えば今まで何日入っていたところをふやすとかいうことは、具合的な取り締まり情報になってしまうから、この場で答弁するわけにはいかないものですか。
〇阿部漁業調整課長 取締船の運航回数でございますが、昨年度の運航実績、地区ごとの個別の回数は、おっしゃるとおり取り締まり情報にかかわるので差し控えさせていただきますが、2隻合わせて、昨年度は延べ182日出航しております。
〇中平均委員 あまり詳しく聞くと、そういうことだそうなので、その点を踏まえながら、早期に分散配置をしていく方法、また、課題等を今聞きましたし、それをどう解決していくかというのも、私どもも考えてまいりますので、そういった点を含めて密漁対策、それがすぐできないのであれば、繰り返しになりますが、沿岸北部も、沿岸南部も、その重点的な抑止力の発揮という点をより徹底していただきたいと思います。
 最後に、水産業の振興にかかわりまして、三陸沿岸道路が整備され、年内には全線開通と報道されております。先ほどから出ているように水産業の主要魚種が厳しい中で、流通形態が大きく変わってきたところをどのように生かしながら今後につなげていこうとしているのかという点をお聞きして、終わりたいと思います。
〇山口水産担当技監兼水産振興課総括課長 新たな流通体系の変化を生かした水産業の振興についてでございますが、三陸沿岸道路については、令和3年度内に全線が開通する予定と聞いております。本年、本県の沿岸市町村を含む仙台―八戸間や、本県の内陸部と沿岸部との移動の所要時間が大幅に短縮されることになりまして、これまで以上に物流や人の往来が活発になると期待されております。
 これまで、沿岸地区の漁協等においては、漁業生産基盤のハード整備等を着実に進めてまいりましたが、三陸沿岸道路の全線開通により大きく進展する交通ネットワーク等を生かして、内陸部や仙台市、八戸市などから沿岸地域に多くの人を呼び込んで、新鮮な水産物を利用していただくというような施策が必要になると考えております。
 さらに、三陸沿岸道路の全線開通により、県北地域の久慈市、洋野町から仙台圏まで約3時間ほどの時間短縮が図られるということですので、人口100万人を超える仙台市への商圏の広がりも期待されます。
 このことから、県では、水産関係団体や関係市町村とも連携しながら、新商品の開発や商談会の開催による販路開拓の取り組みを積極的に支援するなど、三陸の地域資源を生かした魅力ある事業を展開するとともに、生産面では、サケ、マス類の海面養殖、またウニの効率的な畜養手法の開発などの取り組みにより、水産魚の振興を図ってまいりたいと思います。
〇山下正勝委員 2点ほど質問いたします。
 まず1点目は、新規事業である広葉樹材乾燥技術開発事業の取り組み内容について伺います。
〇鈴木森林整備課総括課長 広葉樹材乾燥技術開発事業の取り組み内容についてでありますが、県では、広葉樹資源の付加価値を向上させるため、令和2年度から広葉樹のフローリング材等への利用に向けた人工乾燥技術の開発に取り組んでおります。
 昨年度は、コナラ、ミズナラ、この二つの樹種を対象に、乾燥時間や温度などの条件を変えながら、含水率、割れ、曲がりなどを調査する人工乾燥試験を実施しました。今年度は、さらに対象樹種にクリ、桜を加え、継続して試験を実施しているところでございます。
 この試験の結果、乾燥の最終段階で含水率のばらつきを抑え乾燥むらを取り除くことが、割れや変形などの防止に有効であるとわかってきたところでございます。
〇山下正勝委員 今回のウッドショックにより、今が岩手県産材を販売するチャンスだと思います。残念なことに県内には乾燥設備が不足していると聞いていますが、現状はどうなっていますか。
〇工藤林業振興課総括課長 乾燥施設についてでございますが、高品質な県産木材製品の安定的な供給体制を構築していくためには、木材乾燥施設等の整備が重要であります。県では、これまでも木材加工事業者の要望を踏まえながら導入の支援をしてきたところでありまして、今年度も国庫補助事業を活用して、木材乾燥施設10基の導入を支援しているところでございます。
 また、今般のウッドショックの影響による国産材需要の高まりから、幾つかの事業体から木材乾燥施設の整備支援について要望がございまして、県では、現在、木材加工事業者に対し施設整備補助の要望調査を行っているところでありますけれど、引き続き、事業体の要望を把握しながら、木材乾燥施設の整備を支援してまいります。
〇山下正勝委員 現状は、県産材を地元に納めたいというときに、今の乾燥設備では7日から10日間程度かかるようなのです。経費が、27万円くらいかかるそうで、これは大変なことなのです。
 公共施設や一般住宅の注文をもらっても、山から伐採して製材に加工するまでに3カ月、4カ月かかるということで、なかなか大変だという問題があります。これは考えなければならないと思っています。それが原因で、例えば燃料用木質チップのほうに原料が行くようで、製材所の人たちは大変だということであります。
 これはまだ発表段階ではないようですが、聞いたところによると、2日間で経費が3万円ぐらいで済むボイラーも出ているようです。岩手県にはいろいろな企業等がありますので、県は企業等と連携して技術開発を進めるべきだと思いますが、その辺はいかがでしょうか。
〇工藤林業振興課総括課長 委員からお話のございました短期間で乾燥ができる機械については、県でも、そういう取り組みをされている企業が県内にあるのを把握しております。
 県林業技術センターでも、そのような企業に対する指導を行っていますが、従来何日間もかかった乾燥が数日間でできるという新しい技術の部分については、そう簡単に実用化するには難しい点があると聞いておりますので、県林業技術センターのほうでの指導を続けながら対応していくこととしております。また、それが補助として活用される、あるいは導入するかどうかについては、新しい技術でもありますので、国や関係機関と相談しながら対応してまいりたいと考えています。
〇山下正勝委員 林業関係の方々といろいろな部分で協力しながら、そういったものにも御配慮いただきたいと思います。
 次に、2点目、森林整備面積についてです。令和2年度主要施策の成果に関する説明書によると、県民参画により広域的な機能を重視する森林面積、令和2年度目標値が1万9、300ヘクタールで、実績値が1万7、208ヘクタールでございます。約2、000ヘクタールも減って、達成度がDとなっていますが、その内容について伺います。
〇工藤林業振興課総括課長 県民参画による森林整備面積の評価がDだったことの要因についてでありますが、これは、近年の国産材の需要拡大に伴う主伐の増加により、岩手県森林組合等において間伐を担う作業員を確保することが難しくなっていることに加え、間伐をしなければならない事業対象となる森林が奥地化したことなどにより、施工可能な森林の確保が進まなかったことによるものでございます。
〇山下正勝委員 人材確保に大変な部分があるということはわかっています。せっかくこういう計画を立てていても、岩手県の森林整備は大変だなというのはわかりますが、いわて林業アカデミーもありますので、生徒を募集をしながら、何とか若い人たちのことを考え、早く岩手県の森林を整備していく必要があると思いますけれども、その辺はいかがでしょうか。
〇工藤林業振興課総括課長 近年、県内で先進的な事業に取り組んでいるところがございます。具体的にお話ししますと、生産性向上を目的にした高性能林業機械の導入でありますとか、ICTを活用して森林の現況調査やその施工管理など、先進的な取り組みをしている事業体がありますので、そういう意欲と能力のある事業体と一緒に、森林整備を積極的に進めてまいりたいと考えております。
〇山下正勝委員 奥地等もございます。林道や仮設も考えながら、計画的に、速やかに、スピーディーにしてもらいたいと思います。要望で終わります。
〇吉田敬子委員 県産木材の利活用の促進についてお伺いいたします。
 さまざまな分野で県産木材の利活用の取り組みがされていますが、住宅等への利用促進の取り組みについてお伺いいたします。
 いわて木の家ナビ等の情報発信や、いわて森の棟梁への研修、そして、住みたい岩手の家づくり促進事業等を実施し取り組んでいらっしゃいます。県として、住宅等への県産木材の使用量の全体は把握するのはなかなか難しいということでしたけれど、これは住みたい岩手の家づくり促進事業の分ですが、県産木材の使用量は、令和元年度は423立方メートルということでした。令和2年度の実績、そして、これまでの推移についてどう捉えているかお伺いしたいと思います。
〇工藤林業振興課総括課長 委員からお話のありましたとおり、住宅全体における県産木材の使用量については、木材や製材品の流通が県を越えてしまったり、商社を介したりと、把握するのが非常に難しい状況でございます。住みたい岩手の家づくり促進事業を担当している県土整備部に確認しましたので、この事業の令和2年度の実績を含め、これまでの推移もあわせて御説明いたします。
 事業を創設した平成22年度の申請件数は55件、県産木材使用量は1、023立方メートルでございます。その5年後の平成27年度の申請件数は15件、県産木材使用量は259立方メートル、そして10年後の令和2年度の申請件数は14件、県産木材使用量は293立方メートルと聞いております。
〇吉田敬子委員 これは、住みたい岩手の家づくり促進事業の分ということであります。県土整備部の部分でも推移として把握はできますが、せっかくなら森の棟梁の方々に伺いながら、県産木材の使用量について把握していったほうがいいのではないかと思っておりますので、その所見をお伺いいたします。
 令和2年、昨年の9月に、県は、いわて木づかい宣言をされました。今年度は新たに、岩手県「木づかい宣言」事業者登録制度、そして、いわて木づかいサポーター登録制度を開始されました。登録実績、どのような効果を新たに見込んでいるのか。これまでのいわて森の棟梁登録制度は65者くらいだったと記憶しておりますが、取り組みの評価についてあわせてお伺いいたします。
〇工藤林業振興課総括課長 まず、県産木材を使った住宅、森の棟梁も含めて今後どうするかについては、今回の木づかい住宅の中でも詳細に調べております。そのような部分を通じ、引き続き、これからも森の棟梁あるいはそれ以外の工務店も含めて、可能な範囲で調べてまいりたいと考えております。
 次に、木づかい宣言事業者とサポーターの件でございます。
 まず、「木づかい宣言」事業者登録制度でございますが、現時点での登録実績は4事業者でございます。いわて木づかいサポーター登録制度は、現時点で15事業者となっております。
 この取り組みの効果について期待しているところでございますが、これらの制度の趣旨に賛同する事業者が増加することにより、県内各地における施工数がふえ、非住宅分野での県産木材の需要拡大や、木造、木質化した店舗等の利用者への木材のよさのPRにつながっていくと期待しております。
 次に、いわて森の棟梁登録制度についてでありますが、これは、住宅建築を考えている方に対し、県産木材利用の積極的な提案を行う工務店を登録するものでございますが、その棟梁が施工した住宅の事例をポータルサイトいわて木の家ナビや、森の棟梁に登録している工務店のホームページ等において、これまでも情報発信を行ってきたところでございまして、住宅部門での県産木材利用の機運醸成につながってきたものと捉えております。
〇吉田敬子委員 今年度、いわて木づかい住宅普及推進事業が開始され、申請件数等について、全体では128件と伺っております。県では、これまで、いわて森の棟梁登録制度ということでさまざまな取り組みをされてきた中で、今回、いわて木づかい住宅普及推進事業の申請件数のうち、森の棟梁を利用しているのはわずか25%にとどまったということです。私自身は、いわて森の棟梁をもっと利用していただきたかったところです。これまで研修等さまざまされておりますので、県としてもお墨つきだったわけです。
 一方で、登録していない工務店等でも、やろうと思えば県産木材を利用できたという思いと、今回のウッドショックの関係もあるのだとは思いますが、ぜひ今回、これまで登録されていない未登録の方々は、これまでの県産材の利用は多かったのかどうか、今回の申請を機に使っていただいたのか、この辺はぜひ検証していただいて、今後につなげていただきたいと思っていますが、いわて森の棟梁登録工務店の利用実績と、それに対する県の所感についてお伺いします。
〇工藤林業振興課総括課長 いわて木づかい住宅普及推進事業申請者のうち、森の棟梁の登録工務店を利用した実績は、先ほど委員からお話がありましたが、新築では、申請件数118件のうち利用件数が30件で、割合は25%でございました。また、リフォームにおいては、申請件数10件のうち利用件数は2件、利用割合は20%でございます。
 これを総合的に見ますと、森の棟梁は55者ございまして、その中で、今回この事業を活用した事業者は17者ということで、31%ほどの利用がなされていたと捉えています。
 登録されていない工務店の方々も、今回の事業を通じて把握できましたので、今後は、これらの工務店に対しても、森の棟梁への登録を促すとともに、さらに、さまざまな工務店と一緒になって、住宅建築における県産木材の利用が一層促進されるよう、積極的に情報発信をしてまいりたいと考えております。
〇吉田敬子委員 今回の9月定例会に補正予算として、県産木材サプライチェーン構築支援事業が組まれております。これはまさにそういったものに対する支援制度なのかと思っておりまして、ぜひ期待したいところであります。
 いわて木づかい住宅普及推進事業と、住みたい岩手の家づくり促進事業、こちらは県土整備部ですけれど、事業効果をさらに高めるための制度の見直しも進めていただいて、いわて型住宅の普及促進に努めていただきたいと考えております。
 いわて森の棟梁など、県では、県産木材の設計、施工に携わる方々への研修もされておりますが、その取り組み実績はどうなっているのか、また課題についてどう捉えているのか、今後の取り組みについてお伺いいたします。
〇工藤林業振興課総括課長 県では、これまで、林業関係団体や建築関係団体と連携して、いわて森の棟梁を対象とした地域材の活用事例や、技術者の育成に関する研修会の開催、中・大規模建築物の木造化にかかわる建築士を対象とした木造設計技術の向上のための研修会の開催などに取り組んできたところでございます。
 課題としては、本県において、いわて森の棟梁を含む工務店やその建築士などが、木造建築に関する知識や技術を学ぶ機会が少ないことと認識しております。
 このことから、今後とも、いわて森の棟梁登録制度に登録されている工務店などのニーズを把握しながら、木材利用に係る最新の知識や技術の習得、木造建築技術の継承など、木造設計施工技術の向上に向けて、関係団体と連携して取り組んでまいります。
〇吉田敬子委員 報告書を見ると、これは中規模のほうの研修会だと思いますが、その研修を受けた後に木造建築の設計、施工に取り組みたいと考える受講者の割合が90%ということで、かなり高いと感じております。先ほどの御答弁のとおり、研修の機会をふやしていただきたいと思います。
 先月は、遠野市にできました、こども本の森遠野にも伺いました。こちらは安藤忠雄さんの設計です。農林水産委員会では、隈研吾さんが設計された陸前高田アムウェイハウスまちの縁側という複合施設にも伺ったのですが、その施工に従事した方の話を聞くと、すばらしいデザインに追いつくための技術がやはり必要だということでした。やはり目で見てもすばらしい。こども本の森遠野もそうでしたが、そのようなものをつくっていける技術者の育成は本当に大事だと思っております。当局のほうでも研修の機会が大変少ないということでしたので、ぜひふやしていただきたいと思っております。
 県産木材のよさを知ってもらうための情報発信についてお伺いいたします。
 県では、さまざまな冊子等もつくって、県産木材について情報発信をされていますが、実際に県産木材を使用した住宅がどのような感じなのか、樹種も含めて紹介する工夫も必要と考えております。いわて森の棟梁の方々に御協力をいただきながら、SNS配信等を工夫していってもよいのではないかと思っております。
 先ほどの第1部の、農業分野では岩手白米百景のインスタグラムについて取り上げましたが、大変工夫されて、内容は充実していると思っておりました。農業分野ではそのようなSNSがあるのですけれど、林業分野では現在ないということで、私も毎回いろいろな冊子をいただくのですが、当局からいただかないと、私たち消費者の手には届かないのが現状です。せっかくすばらしい内容の冊子ですし、このようなものをもう少し県民の皆さんにわかるように配信していただきたいです。
 今年度はいわて木づかい住宅普及推進事業によって、いろいろな方々が県産木材を使って住宅を建てていると思いますので、木工品も含めて、そういった工夫を今後ぜひしていただきたい。農業分野からの御助言もいただきながら、ぜひ取り組んでいただきたいと思いますが、御所見をお伺いしたいと思います。
〇工藤林業振興課総括課長 情報発信についてでございますが、県では、いわて森の棟梁を紹介するいわて木の家ナビにおいて、いわて森の棟梁の最新の施工事例を紹介しているところでございます。
 令和2年度には、そのポータルサイトの閲覧数をふやすために、ウェブ広告の活用やスマートフォンに対応した閲覧を可能にするなど、県民の皆様がいわて木の家ナビを利用しやすい環境の整備に取り組んでいるところでございます。
 引き続き、県産木材を利用した住宅の効果的な情報発信が必要なことは十分理解しておりますし、最近、一般の方々の住宅の取得に関する情報収集がSNSにシフトしているということもわかってきておりましたので、委員の御意見を踏まえまして、いわて木の家ナビ、あるいはいわて森の棟梁である工務店のホームページを充実させるとともに、SNSの活用などについても積極的に検討してまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 私からは、原木シイタケについてお伺いしたいと思います。
 令和2年度の乾シイタケの植菌本数が、目標値94万本に対して60万1、000本にとどまりました。まず、その要因をどのように分析しているのか。
 もう一つお聞きしますけれど、東日本大震災津波から10年ということで、さまざまな支援策が継続されているのか心配されます。関係予算の決算ベースの推移もあわせてお示しいただきたいと思います。
〇工藤林業振興課総括課長 原木シイタケの植菌本数の減少の要因についてでございますが、まず、乾シイタケ市場価格の低迷、それに加えましてシイタケ原木価格の高騰、そして生産者の高齢化による生産意欲の低下から、生産を再開した者が少数にとどまったことに加え、これまで生産をしている方々においても、植菌量を減らしたことが大きな要因と捉えております。
 その関連する事業でございますが、大きなところでは、価格が高騰しているシイタケ原木の導入を支援する特用林産施設等体制整備事業、新規生産者の確保定着を図ることを目的とした、しいたけ等特用林産振興対策事業、規模拡大に取り組む生産組合を支援する原木しいたけ生産拡大支援事業、この三つが主な事業ですが、この3事業の決算額は、震災後直近の平成24年度は約3、300万円、震災後5年後の平成28年度には約1億7、000万円、そして令和2年度の決算では約1億1、500万円となっております。
〇佐々木朋和委員 支援は継続していただいているのかという数字でございましたが、一方で、植菌本数の減少というのは大変ゆゆしき事態だと思っております。94万本達成に向けて、令和4年は98万本を目標にしておりまして、それに向けた推移はいただきましたけれど、これまでの事業費の組み立ては十分だったのか。
 今、3事業を示していただきました。特用林産施設等体制整備事業は原木購入支援ですが、その目標本数37万本対して、目標は達成しております。
 また、しいたけ等特用林産振興対策事業や、原木しいたけ生産拡大支援事業のどちらも、予算額と同程度執行されておりますし、植菌本数以外の達成度もA、Bでした。この目標や指標設定について、どのように評価しているのか伺いたいと思います。
〇工藤林業振興課総括課長 先ほど御説明しました3事業については、これまでも生産者の意向を確認しながら、その要望に応えるような形で、必要な予算を確保して取り組んできました。したがいまして、取り組みに関して、県は、できる限り努力をしてきたところでございます。
 先ほどの成果指標としている原木購入支援本数あるいは新規参入者については目標を達成しましたが、最初に説明させていただいた乾シイタケの価格低迷は生産者への影響が非常に大きく、それで植菌本数の目標を達成できなかったということで、この価格の部分については、生産体制の強化、あるいはさまざまな支援をする中で、少してこ入れをするような形で対策を講じていかなければならないと理解しております。
〇佐々木朋和委員 てこ入れをしていただけるということで、期待したいと思います。
 一方で、県南地域を中心に、放射線の被害があったところについては、県でも37万本の原木購入支援をしていただいているということで、ある程度維持されておりますが、聞くところによると、原木の高騰は全国的なもので、岩手県内全域に影響が及ぶというところです。しかしながら、特用林産施設等体制整備事業の原木購入支援について、国のお金がほぼ満額ですが、その査定で、やはり被害地域以外のところはなかなか認められないといった課題もあるとお聞きしました。
 そういう意味では、今、市場価格と原木の高騰がつり合わない状況になってきていて、放射線の被害に遭っていない地域でも、原木の購入の買い控えが出ているということだと思います。この辺については、ぜひ国にしっかり現状を伝えて、査定を広く認めてもらうようにすべきではないかと思うのですが、どのようにお考えでしょうか。
〇工藤林業振興課総括課長 原木の価格については、確かにお話がありましたとおり、県北のほうにおいても価格が高くなっているということで、多くの生産者は、購入ではなくて、できる限り自分で切り出して使うという状況にあると聞いております。
 そういう中でも、実際に自分で切れる方はいいわけですが、そうでない方々への対応も必要ですので、その辺については、委員から御指摘がありましたとおり、国あるいは関係団体等にも御相談しながら、そういったことが、生産の再開、あるいは、産地再生の障壁にならないような形で取り組んでまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 生産者は、今、県南地域でも再開に向けて取り組んでおりますが、県全体として数量がそろわないと、やはりブランド力も高まっていかないと思いますので、全県的な支援をお願いしたいと思います。
 最後に、令和2年度の豪雪被害において、私の地域でも、パイプハウスで生産していた生産者の方も被害に遭いました。原木シイタケのパイプハウスの再生率はどのようになっているのか、お示しいただきたいと思います。
〇工藤林業振興課総括課長 豪雪被害を受けた原木シイタケのパイプハウスの再生率でございますが、復旧の対象となる4棟のうち、国庫補助事業で2棟、あとは一関市の単独補助事業で2棟の復旧を計画して、来年の春の植菌に向けて、ことしの12月に完成するよう、現在施工中と聞いております。
〇斉藤信委員 最初に、東日本大震災津波から10年という節目でありますので、2020年の県内魚市場の水揚げ量、前年比、震災前比を含めて示してください。あわせて、ことしの状況はどうなっているか示してください。
〇阿部漁業調整課長 令和2年の水揚げ量は、8万5、166トンで、前年の83%、震災前比の48%となっています。また、令和3年における10月10日現在の水揚げ量は5万9、615トンで、前年の112%、震災前比で59%となっています。
〇斉藤信委員 主要魚種の水揚げ量の前年比、震災前比、ことしの状況を示してください。
〇阿部漁業調整課長 主要魚種別の水揚げ量でございますが、サケは、昨年は1、734トンで、前年の76%、震災前比7%。サンマは7、527トンで、前年の96%、震災前比14%。スルメイカは4、271トンで、前年の206%、震災前比23%となっております。
 ことし10月10日現在の水揚げでございますが、サケは58トンで、前年の84%、震災前比7%となっております。サンマは539トンで、前年の238%、震災前比3%となっております。スルメイカは836トンで、前年の42%、震災前比9%となっております。
〇斉藤信委員 今、魚市場の水揚げ量と主要魚種の震災前の状況をお聞きしました。10年たって、漁業、水産業の現状は大変な状況にとどまっていると痛感します。特にサケは、震災前で7%、サンマは14%、スルメイカは前もかなり低かったのですけれども、今はサケ、サンマがスルメイカ以上の減少になっているということで、大変深刻な状況だと感じています。復興途上以上に新たな困難に直面していると言ったほうが正確ではないのか。
 養殖についてもお聞きしますが、ワカメ、ウニ、アワビの水揚げ量の震災前比、前年比を示してください。
〇山口水産担当技監兼水産振興課総括課長 まず、ワカメの生産状況でございますが、令和3年産のワカメの生産量は1万1、000トン、震災前の50%となっております。ウニは、令和2年度の生産量ですが74トン、震災前の77%。同じくアワビの水揚げについては、97トン、震災前の28%となっております。
〇斉藤信委員 ワカメは、震災直後、直ちに取り組んで頑張ってきたのですが、今答弁があったように、去年は50%ということでしたが日本一なのです。ワカメが50%にとどまっている要因は何なのか、そのことを示してください。あわせて、対策も示してください。
〇山口水産担当技監兼水産振興課総括課長 ワカメの不漁の状況でございますが、令和3年産のワカメについては、養殖初期の段階で芽落ちをしたことと、漁場の栄養塩、水温などに基づいて生産管理を徹底しなければならないということで、そういう対策を進めてまいりたいと思っております。
 また、県水産技術センターが開発した半フリー種苗というものがございますが、これは陸上である程度の大きさまで育てまして、その利用が可能だということなので、そのような新しい技術を普及していきたいと考えております。
〇斉藤信委員 ワカメの場合、従事者、担い手は震災前と比べてどうなっていますか。
〇山口水産担当技監兼水産振興課総括課長 養殖ワカメの行使者についてでございますが、令和2年度の行使者数が852人になっておりまして、震災前の平成22年度は1、647人になっていますので、この比は52%となっております。
〇斉藤信委員 ワカメの場合は、従事者が半減しているところに大きな要因があるのではないか。そういう点では、後継者を育成していくことが大変大事なのではないかと思います。
 話が前後しますが、サケの対策についての議論がありました。早期に稚魚を放流するとか、生命力のある稚魚を育成するとありましたが、最近の漁獲速報を見ると、ことしの重量は前年度比60%くらいなのです。
 お聞きしたいのは、これは10月10日現在ですから始まったばかりですけれども、野田村が353%になっているのです。野田村はなぜ急に伸びたのか。
 もう一つは、定置網による水揚げは前年比60%にとどまっているのですが、河川捕獲が148.7%なのです。定置網による水揚げが落ち込んでいる中で、河川の捕獲が前年比で1.48倍になっているのはなぜなのか。
 もう一つは、盛岡市の中津川にサケが戻ってこないことが新聞で話題になりました。北上川のサケは比較的高い海水温に対応すると言われて、その研究もしてきたと思うのですけれど、漁獲速報を見ると、宮古市以南では、ことし、前年比の2割以下なのです。去年落ち込んだところと比べても激減している。これはどういう要因と受けとめているのか示してください。
〇山口水産担当技監兼水産振興課総括課長 最初に、野田村の下安家周辺のサケでございますが、ことしの回帰が非常によいのは、野田村の周辺、普代村まで含めてよいのですけれども、野田村の周辺は、実は昨年が非常に悪かったという裏返しでもあります。
 では、昨年はなぜ帰ってこなかったかと言いますと、4年前の台風の被害で放流ができなかったので、昨年は落ち込んでしまった。ただ、下安家漁協が、その後しっかりと放流しまして、それがことしの他地区と比べても結構回帰がよい結果になった要因ではないかと思っております。
 また、定置網の水揚げが低いのに河川での採捕の数が多いのはなぜかということですが、これも推測ですが、先ほど伊藤勢至委員の質問でもお答えしましたが、津軽暖流が大きくブロックしておりまして、サケがなかなか帰って来られないような状況がまず全体としてありますので、サケそのものがかなり深い水深で戻ってきまして、定置網にぶつからないように川のほうに上がっている。水温の高いときにはそういう傾向が見られますので、多分ことしもそのような状況になっているのかと考えております。
 あと、盛岡市の中津川にサケがなかなか上らないということですが、実際に北上川水系のサケは遺伝子的に高水温耐性が強いということなのですけれど、全体的に資源が減っておりまして、総体的に上らないということと考えております。
〇斉藤信委員 宮古市以南も前年度と比べて激減している。もしそれにコメントがあれば後で示してください。
 それで、大幅に漁獲量は減少しているのですけれど、そうした中で、南の魚がとれるようになっている。増加している資源の有効活用の取り組み、魚種転換の課題と対策はどうなっているでしょうか。
 マイワシを対象とした小型漁船による試験操業の取り組みと今後の見通しを示してください。
〇阿部漁業調整課長 増加している資源の有効活用の取り組みについての御質問でございますが、近年の海洋環境の変化によりまして、主要魚種の漁獲量は減少する一方で、マイワシの資源量が増加しており、令和2年における県内魚市場でのマイワシの水揚げ量は2万3、181トンということで、震災前の約96倍まで増加しているところでございます。
 県では、マイワシ資源を有効活用するため、市町村や漁協等が実施する県外のまき網船による県内魚市場への水揚げ誘致ですとか、県内の小型漁船による資源の利用の検討を支援しているところでございます。
 先ほど、小型漁船による試験操業のお尋ねもございましたが、令和元年度から知事の特別採捕許可による小型漁船のマイワシ試験操業を実施しているところでございまして、1年目の令和元年度の漁期は4、809トン(後刻「4、889トン」に訂正)の水揚げがございました。2年目の令和2年漁期には3、317トンを水揚げしております。
 今後の見通しでございますが、3年目となる今年度の漁期においても、引き続き試験を実施する予定としておりまして、今準備中でございます。
〇山口水産担当技監兼水産振興課総括課長 サケの宮古市以南の激減の原因でございますが、宮古市以南については、ここ何年か前から沿岸北部に比べ水温が高い状況が続いており、当然、帰ってくるサケも少なくなっていることと、放流数がちょっと少なかったことも重なって、今の状況に陥っていると考えております。
〇阿部漁業調整課長 先ほどの答弁で、マイワシ試験操業の1年目の令和元年度の漁期の水揚げ量を4、809トンと申し上げましたが、正しくは4、889トンになります。訂正してお詫びいたします。
〇斉藤信委員 新たな漁業、養殖業の導入の取り組みと県の支援策、また採算の見通しを示してください。
〇山口水産担当技監兼水産振興課総括課長 新たな漁業、養殖業についてでございますが、現在、サケ、マスの海面養殖を推進しているところであり、先行している久慈地区、宮古地区、大槌地区の3地区では、令和5年度の漁業権の切り換えを待たずに、本年の10月1日に漁業権の免許を取得し、ことしの11月から本格的に事業を開始することになっております。
 また、同時に開始する釜石地区では、今度2期目の養殖試験を実施します。さらに、今年度から山田地区でも新たに養殖試験を開始したいという要望を受けておりますので、その取り組みも進めていきたいと思っております。
 その収支ですけれども、実際にことし600トン弱の生産がありましたが、来年度の生産計画は合わせてこの2倍となっており、生産は拡大していくということですので、その推移を見て支援してまいりたいと思っております。
〇斉藤信委員 新型コロナウイルス感染症による漁業への具体的な影響と県の対策を示してください。
〇山口水産担当技監兼水産振興課総括課長 新型コロナウイルス感染症による具体的な影響と県の対策についてのお尋ねでございます。
 主要魚種のうちアワビは、令和2年12月の単価が、令和元年の同月比で26%減となっております。また、ホタテガイは、令和3年9月の販売単価が前年同期比で11%減となっております。これらの価格の低下については、新型コロナウイルス感染症の影響による外食産業などの需要の減少などが原因と考えております。
〇斉藤信委員 対策はどうですか。
〇山口水産担当技監兼水産振興課総括課長 これまで県は、県内の小中学校の給食への食材の提供、県内量販店150店舗における水産物販売促進キャンペーンによるフェア等の実施に取り組んできたところであり、今後も、市場の動向等をしっかり把握して、漁業関係団体、流通加工業者とも連携しながら、引き続き必要な対応をとっていきたいと思っております。
〇斉藤信委員 これが最後です。小型漁船漁業の状況、課題について示してください。
〇阿部漁業調整課長 小型漁船漁業の状況と課題でございますが、漁業センサスによりますと、平成30年における総トン数20トン未満の小型漁船漁業の経営体数は2、017経営体と、平成25年比の95%となっているところでございます。
 課題として、小型漁船漁業の経営については、近年のサンマ、スルメイカ等の不漁に加え、ことし春のイサダの漁獲量も2、998トンと前年の2倍に増加しているのですが、震災前の17%ということで、厳しい状況にあると認識しておりまして、その経営の安定化が課題と考えているところでございます。
〇小西和子委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇小西和子委員長 質疑がないようでありますので、これで農林水産部関係の質疑を終わります。
 農林水産部の皆さんは御苦労さまでした。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時33分 散 会



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